平成二十一年東京都議会会議録第四号

       午後二時五十五分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十二番野上ゆきえさん。
   〔三十二番野上ゆきえ君登壇〕

○三十二番(野上ゆきえ君) まず初めに、国際交流について伺います。
 アメリカにおいて民主党オバマ政権が誕生し、新たな世界の構図が構築されようとする中で、経済成長と地球環境、気候変動への対応、少子化、国内外の経済格差拡大の問題や資源エネルギーの問題、科学技術における協力など、共通の課題を解決する上で、東アジアの役割が高まっております。
 東京は、都市戦略を示した「十年後の東京」で明らかにしたように、アジアの各都市と、経済的な分野だけではなく、文化や芸術、スポーツなどの国際交流を通じて相互理解を深めることが重要となってきております。
 また、国の三位一体改革に見られるように、自治体への権限移譲の動きは都市の機能の強化につながっており、海外の都市間との事案を都市が主体的に解決したり、新たな制度や関係を構築したりするなど、都市間交流への展開を加速させるものであります。
 知事は、アジアの首都及び大都市が共同して事業を推進し、その成果をアジア地域の繁栄と発展につなげていくという目的で、アジア大都市ネットワーク21を構築されました。この活動については、年に一度の会議開催など単発のイベントにとどまらず、情報を蓄積し、人脈を形成し、情報収集、発信する恒常的な交流と共同作業の場、機会づくりが必要であると考えます。
 そこで、知事は、二十一世紀がアジアの世紀であることを世界に向けて発信していくとしていますが、具体的にどのような関係性をつくっていくのか、伺います。
 アジア大都市ネットワーク21を、より強化していくことも必要であると考えます。
 そこで、構成する都市へ、まずは都の職員を派遣し、継続的な関係を構築し、相互理解を深化させていくことが必要であると考えますが、その見解を伺います。
 都では、毎年、技術者を含め約五十名程度の職員が、研修、派遣の別を問わず、海外で研さんを積み、業務に従事しております。例えば、自治体国際化協会への派遣のほかにも、アジア大都市ネットワークの共同事業への従事、また、水道局、下水道局では、国際協力事業団の依頼により、アジアの各地に職員を派遣し、技術協力を行っていると伺っております。
 こうした国際業務を通じて能力を高め、ノウハウを蓄積している職員の成果を都政に生かさなければなりません。アジアを初めとする海外各都市での活動の実績を集約し、課題ごとに対応できる人材を選出するような人事上の仕組みが必要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、文化の発信について伺います。
 アジア大都市ネットワークでは、アジア舞台芸術祭等の文化交流事業を行っております。世界規模で展開される都市間競争の中で、東京が魅力と活力ある都市としての地位を高めていくためには、創造性あふれ、より一層の文化発信力を備えていくことが重要です。
 東京には、文化施設やアーチスト等の魅力的な文化資源が多数存在しているにもかかわらず、世界における文化面での評価は決して高いとはいえません。
 そこで伺いますが、東京の文化面でのプレゼンス向上を目指すため、どのように東京から文化を発信しているのか、伺います。
 東京には、歴史に根づいた伝統文化や文化財などが多数存在しており、東京の魅力ある文化資源となっています。このようなすぐれた文化資源を東京の貴重な観光資源として活用し、気軽に東京の伝統文化に触れ、楽しめる機会を提供していくことは、観光を促進する上で大変有効なことであると考えます。
 先般、アメリカの映画賞である第八十一回アカデミー賞で、外国語映画賞として滝田洋二郎監督の「おくりびと」、短編アニメーション賞として「つみきのいえ」の二作品の日本映画が受賞いたしましたが、東京が世界に誇るアニメ、映像等、コンテンツやデザインといった新しい文化の広がりは、産業の振興にも密接につながるものです。
 都は、平成十八年五月に、東京都文化振興指針において、現代の文化資源であるアニメや映画などを、地場産業としてではなく、東京発の日本文化の象徴として位置づけ、文化振興の視点からも産業振興施策との連携を図っていくとしています。
 そこで伺いますが、東京の文化資源を活用しての観光振興や産業振興の取り組みが大変必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、エネルギーの安定確保について伺います。
 日本はエネルギーのほとんどを海外に依存しており、さらに、そのエネルギーの中でも、東京が消費する電力の多くは都外から供給を受けております。東京の都市機能や都民生活を維持していくためには、都外からのエネルギー供給が安定的に行われることが不可欠です。
 都は、再生可能エネルギーの利用拡大のために、平成十八年に再生可能エネルギー戦略を策定いたしました。これは、地球温暖化対策だけではなく、エネルギーの安定確保や災害等によるリスク分散という意味から、大変重要なエネルギー戦略です。
 しかし、一昨年の七月に起きた中越沖地震によって、現在、柏崎刈羽原子力発電所は運転を停止しているため、電力の安定供給という点や、不足する電力を火力発電で賄っていることによるCO2の排出量の増加など、東京の現状は大きな課題を抱えているといえます。
 柏崎刈羽原子力発電所の復旧作業については、今月、既に国は運転再開に向けて安全を確認し、これを受けて、現在、新潟県を初めとする地元自治体において検討が進められています。
 東京の都市機能や都民生活は、新潟や福島といった原子力発電所立地地域によって支えられているといっても過言ではありません。都は、こうした現状を踏まえ、これらの地域の重要性をしっかりと認識すべきと思いますが、所見を伺います。
 一方、多くの都民は、消費している電気の多くが新潟、福島から供給されていることを十分に認識してはいません。都は、こうした地域によって都民生活が維持されていることを都民に理解していただくとともに、こうした地域における取り組みに対し感謝の意を示すためにも、都が原子力発電所立地地域の重要性を認識していることをこれらの地域に伝えていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、非正規労働者対策について伺います。
 平成二十年四月、改正パートタイム労働法が施行され、間もなく一年が経過いたします。改正法では、パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、通常の労働者とパートタイム労働者の均衡処遇の促進や、通常の労働者への転換を推進することなどが定められています。
 しかし、いまだにパートタイム労働者の処遇改善は十分に進んでいないと思います。都は、法施行後のパートタイム労働者の実態を十分に調査する必要があると考えますが、所見を伺います。
 東京都労働相談情報センターに寄せられた非正規労働関連の相談は、平成十九年度には約八千件でありましたが、今年度は一月末で既に九千件を超えており、経済情勢の急速な悪化が反映されていると思います。
 相談の内容を見ると、労働条件があいまいなまま働いている状況も見受けられますが、法令では、非正規労働者を雇用する使用者は、書面の交付により労働条件を明示することが定められています。私は、働く際に労働条件を明確にした労働契約を締結していないことがトラブル発生の一因となっていると考えます。
 そこで、労使間のトラブルの防止のためにも、パートタイム労働法の法令の周知を徹底していくべきと考えますが、所見を伺います。
 不況の影響により、職を失った人や転職を考えている人々の中には、この機会を生かして、再度、専門的な知識を得ることにより、キャリアアップを図ろうという意欲のある方々もいます。これらの人々に対する積極的な支援も行政の役割としては重要です。これらの人々が求めるものとしては、自分が専門的に学びたい知識が一体どこで得られるのか、それが専門学校なのか、それが大学なのかということです。リストラにより収入の途絶えた現状では、授業料に対する奨学金等の制度がどうなっているかという、その二点です。
 学校の教育内容については、市販のガイドブックや各学校のホームページ等により提供されていますが、奨学金についてはなかなか情報が得がたいのが現状です。公的な奨学金としては育英資金制度がありますが、現在、東京都の場合、大学生に対するものは国の機関である日本学生支援機構が単独で、専門学校生に対するものは日本学生支援機構と東京都私学財団が実施するなど重複しており、大変わかりづらい状況となっています。
 一度社会に出た方が再チャレンジで勉学を始めようとする場合に、学校情報あるいは奨学金情報などを容易に入手することができるために、今後は、情報を一元化したり、相談窓口の設置も必要と考えます。当面、情報が少ない奨学金の情報が一覧でき、容易に情報を入手できるようにすることが必要だと考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。
 次に、森林整備について伺います。
 森林は、木材供給を初め水源の涵養、土砂災害や洪水の防止、地球温暖化の原因となるCO2を吸収、貯蔵するなど、都民にとって不可欠な多くの機能を持っています。森林は都民共有の財産であります。
 しかし、この森林の整備を担ってきた林業は、長引く木材価格の低迷から衰退し、森林整備が十分に実施できない状況となっています。その森林から恩恵を受けている都民全体で森林を守り育てていくことが重要となっています。森林の受益者である都民、企業などが森づくりに参加していく仕組みが必要と考えますが、都の所見を伺います。
 私は、以前、和歌山県に約三週間滞在し、森林組合で森林再生事業の体験をさせていただいたことがあります。木を切り倒し、下草を刈り、障害物などを取り除いて更地にする作業と、植林のための地ごしらえ、植樹、林道づくりです。四十度もあろうかという急斜面を、苗木を背負いながら一心に登っていく。整えた土地に山桜の苗を植えていく。その喜びはつかの間、また急斜面をおりて山を下り、苗木をとりに行く。素人の私には、毎日が命がけとも感じる作業でした。
 実際に森林整備を行う林業従事者は、国勢調査によれば、平成二年の四百四十三人から、平成十七年には二百三人へと、十五年間に半数以下へと減少しております。
 都では、花粉発生源対策や森林再生事業を推進しており、今後事業量の増加も見込まれることから、林業事業者の確保が大きな課題となっております。林業における新規就労者の確保について、都の見解を伺います。
 また、次のステップとして、新規就労者を林業に定着させ、一日も早く一人前の従事者に育てることが必要です。しかし、林業の作業は、高度な知識と熟練を必要とする上、大変危険な作業であり、特殊な技術が求められます。そこで、林業の従事者の育成について都の見解を伺います。
 一方、平成十九年度に東京都生活文化スポーツ局で実施した環境に関する世論調査においても明らかになったように、都民の森林に対する関心は高く、都民は森林を緑豊かな環境をつくる重要な要素であると考えております。
 今後、緑豊かな森林を守り育てていくためには、都民の森林への関心を森づくりへとつなげ、森づくりにかかわる人々のすそ野を広げていくことが重要であると思いますが、都の見解を伺い、私からの質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 野上ゆきえ議員の一般質問にお答えいたします。
 アジアの各都市との関係構築についてでありますが、アジアは世界人口の六割を超え、米国、EUにほぼ匹敵する経済規模を持つ、世界の成長センターとして発展のポテンシャルは極めて高い地域であります。
 アジアが世界の第三極として今後さらに発展していくためには、アジアの頭脳部、心臓部である大都市の連携協力が不可欠であると思います。
 こうした認識に立ちまして、私が提唱したアジア大都市ネットワーク21では、アジアの都市が直面する課題の解決に向け、危機管理、感染症対策、環境問題あるいは航空機の製造など、幅広い分野で各都市が協力して実績を重ね、成果を上げてきました。
 国際会議の開催に加え、現場レベルでも、各都市の専門家同士のネットワーク構築や人材育成を通じて技術や経験を共有し、都市間連携を確かなものとしております。
 今後とも、これまで培ったアジアの各都市とのきずなをより強固なものとして、アジアの繁栄と発展を牽引していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、アジア諸都市への職員派遣についてでございますが、現在、長期海外派遣としては自治体国際化協会への派遣があり、また、短期派遣として、今年度から海外研修を再開いたしました。
 その内容は、アメリカの大学院への研修生派遣のほか、政策課題プログラムとして、都の喫緊の課題を国外の行政機関等で調査研究するため、ヨーロッパ、アジアなどの地域に職員を最大三カ月間派遣するものでございます。
 昨年夏にこの大学院派遣を終了した研修生につきましては、オリンピック・パラリンピック招致本部を初めとする部署で、即戦力としてその研修成果を発揮しております。
 今後とも、海外研修を活用し、国際関係業務を担い得る語学力、対外交渉能力、グローバルな政策立案能力を備えた首都公務員の育成に取り組んでまいります。
 次に、職員の海外での活動実績の集約と活用についてでございますが、職員の長期海外派遣は、公営企業など任命権者ごとに派遣の目的、実績を把握するとともに、総務局におきましてもその報告を受けております。
 また、海外派遣の成果を十分に発揮できるよう、人事管理についても適切に配慮し、語学力につきましても、職員の自己申告等を通じて情報を収集することで、その能力の活用に努めておるところでございます。
 今後とも、職員の海外研修、語学力等の情報を集約し、適材適所の人事配置を行い、都政に生かしていきたいと思っております。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京からの文化の発信についてでございますが、都はこれまでも、東京の文化資源の集積と多様性を生かし、世界を視野に入れた文化施策に取り組んでまいりました。
 一昨年には、東京の文化発信について本格的かつ戦略的に取り組むため、各界の第一人者を迎えまして東京芸術文化評議会を立ち上げ、今年度からは、評議会の提案に基づき、東京ならではの芸術文化の創造発信を目指し、都内各所におきまして、演劇、音楽、美術、伝統芸能などさまざまな分野で文化イベントを行う東京文化発信プロジェクトを展開しているところでございます。
 来年度も引き続きプロジェクト事業を実施し、東京からの文化発信の強化に努めてまいります。
 次に、奨学金に関する情報についてでございますが、現在、都と財団法人東京都私学財団では、リーフレットを作成したり、ホームページにリンクを張るなどして、国の日本学生支援機構の制度も含めまして、奨学金に関する情報を提供しているところでございます。
 今後、日本学生支援機構など奨学金事業を実施しております団体に対して、都の私学財団のホームページへのリンクを働きかけるなど、情報の一覧性を図り、奨学金を希望する方々に適切な情報が届くよう努めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、文化資源を活用した観光と産業振興の取り組みについてであります。
 東京は、江戸開府以来はぐくまれた伝統文化と、アニメなど新しい文化が融合した、他都市にはない魅力を持っております。観光や産業振興を図る上で、東京の魅力ある文化資源を十分に活用することは意義あることであると認識をしております。
 このため、都はこれまで、シティーセールスを通じて伝統文化や伝統工芸を海外にアピールし、外国人旅行者の誘致につなげてまいりました。
 また、日本のアニメ関連企業の約八割が集積をいたします東京におきまして、国際アニメフェアを開催し、国際的な商談の場を提供いたしますとともに、産学公連携により作成をいたしました「アニメの教科書」を活用し、担い手の育成に取り組むなど、アニメ産業の振興を図っているところでございます。
 今後とも、東京の文化資源の積極的な活用による観光や産業振興施策を展開してまいります。
 次に、パートタイム労働者の実態調査についてでありますが、都はこれまでも、都内で働く方の賃金や労働時間等、労働条件を調査し、実態の把握に努めてまいりました。
 来年度は、改正パート労働法の施行から一年を経過することから、パートタイム労働者の実態について調査をする予定でおります。調査は、事業主及び従業員を対象といたしまして、賃金や教育訓練、福利厚生に関する均衡待遇や正社員への転換制度の導入など、法に盛り込まれた事項を中心に行い、改正法の定着状況を把握してまいります。
 次に、パート労働法など法令の周知徹底についてであります。
 労働相談情報センターでは、非正規労働関連の相談が大幅にふえており、その内容は、解雇や賃金不払いなど、深刻なものが多くなっております。また、労働契約の不備によるトラブルも多く、こうした労使間のトラブルにつきましては、あっせん等を行うことにより解決を図っているところでございます。
 また、パート労働法等の労働関係法令につきましては、セミナーなどにより周知を図るとともに、毎年十一月をパート等非正規労働月間と定めまして、集中的な普及啓発を行っております。
 さらに来年度は、労働契約の締結など、パート労働法等の遵守に向けたパンフレットを、多くの人が利用するコンビニエンスストアを通じて配布するなど、法令の周知徹底に努めてまいります。
 次に、都民、企業などが森づくりに参加する仕組みについてであります。
 森林所有者や行政だけではなく、都民や企業等の協力を得て森づくりを行うことは、貴重な森林を持続的に守る上で有効であると考えております。
 このため、都では、森林整備をボランティアが行う、わたしの森づくり事業や、企業の支援により森林整備を行う企業の森事業などを推進しているところでございます。
 また、先月発表いたしました森づくり推進プラン中間のまとめでも、都民や企業等のさまざまな主体が役割分担を明確にし、協働して森林整備に主体的にかかわる体制の構築が必要であるとしているところでございます。
 次に、林業における新規就労者の確保についてですが、森林整備を促進するためには、その担い手である林業従事者の確保が不可欠であります。都は、現在、東京都林業労働力確保支援センターと連携をいたしまして、就労希望者への求人情報の提供を行うほか、住宅の借り上げに対する助成や就業準備資金の貸し付けを行っております。
 なお、現状でも林業従事者の不足が生じていることから、今後は、この支援センターと協力をして、建設業など異業種の林業への参入促進を図るなど、林業従事者の確保に努めていくこととしております。
 最後に、林業従事者の育成についてですが、林業従事者は、習熟度に応じて技術力を高めることはもちろんのこと、作業の効率化に必要な先進技術にも対応できることが求められております。
 都は、現在、関係団体とも連携をいたしまして、新規就労者に対するチェーンソーなどの作業研修や、経験を積んだ林業従事者に対する小型クレーンの操作研修など、それぞれの習熟度に応じたさまざまな研修を実施しております。
 今後は、森林組合や大学等の教育機関などと連携をいたしまして、現地実習や先進地での研修、講習会等を組み合わせた総合的な林業従事者の育成を行うこととしております。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、原発立地地域に対する認識についてでございますが、都内の電力自給率は一割程度であり、東京の都市機能や都民生活を支える電力供給の多くは、新潟、福島の原子力発電を初め、都外から供給されております。
 新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の運転停止により、昨年夏も電力需給の逼迫が懸念される事態が生じまして、省エネルギー対策の必要性とともに、電力の安定供給を担う原発立地地域の重要性が改めて浮き彫りになったものと認識しております。
 次に、電力供給に関する都民の理解についてでございます。
 都民生活を支える電力の多くが都外から供給されていることを都民に理解していただくために、新潟、福島の地元自治体との共催による交流イベントを毎年、新宿駅西口において実施しております。昨年十月の開催で八回目となり、電気の生産地と消費地の交流の場として定着しております。このイベントは、東京の電力供給の現状を都民にわかりやすく示すとともに、地元自治体の首長や地域住民の皆さんにもご参加いただき、新潟、福島の特産や名所等に関する情報発信も行っております。
 今後とも、この取り組みを通じて都民の理解を図るとともに、都民生活にとって欠くことのできないこれらの地域に対し、感謝の意を伝えてまいります。
 次に、都民の森づくりへの参加についてでございます。
 緑豊かな森林を都民共有の財産として守り育てていくためには、森づくりにかかわる主体のすそ野を広げることが重要でございます。
 都はこれまで、NPOと連携して森林ボランティアを育成するとともに、都民が森林に気軽に親しめる施設である都民の森におきまして林業体験の講座を開催するなど、森づくりへの参加を促してまいりました。
 今後は、スキルアップの観点も踏まえ、都民の森を活用し、より専門性の高い講座を実施するとともに、教育機関や企業等と連携した取り組みを行うことなどにより、森づくりに携わる人材の育成につなげてまいります。