○議長(比留間敏夫君) 二十一番きたしろ勝彦君。
〔二十一番きたしろ勝彦君登壇〕
○二十一番(きたしろ勝彦君) まず最初に、戦後教育により失われた日本人の伝統文化を大切にする心についてお伺いいたします。
ある情報企業が平成十八年に行った調査によれば、最も多くの人が日本人が失いつつあると感じているものが、礼儀正しさであり、謙虚さ、思いやりの気持ちなどでありました。高齢者に対する、許すことができない、いわゆる振り込め詐欺が後を絶たない状況を考えると、犯人自身の問題はともかく、自己の利益のみを重視し、他者の利益を軽視、無視する考え方の広がり、また、このような考え方を何ら問題視しない現代社会の風潮にあると考えざるを得ません。
かつては、日本人の美徳に感謝の気持ちがありました。人は、決して一人では生きられない。さまざまな人間関係の中で、厚意や善意を受けて成長していきます。これらの多くの人々の厚意や善意をありがたいと思い、それらに何とかこたえたいと願うことが感謝の気持ちです。
人々に支えられ、助けられて自分が存在するという認識に立ったとき、初めて相互に尊敬と感謝の念が生まれるのです。それは、日々の生活、さらには自分の存在に対する感謝へと広がり、生命尊重や人間尊重の精神の支えとなるものであります。
先人の努力により、我が国は急速な経済発展を遂げ、人々の生活は申し分のないほど快適になり、多くの情報や物があふれる中で、やりたいことはいつでもできる、欲しいものはどこでも手に入れることができる、自分だけで何でもできると錯覚し、傲慢になった日本人がふえてしまいました。これが利己的、せつな的な風潮を生み、日本人の美徳である感謝の気持ちを失わせてしまったのです。(発言する者あり)だれがいっているんだ。イエローカード出すぞ。
さて、日本人は古来より、おかげさま、ありがたい、もったいない、いただきます、人に迷惑をかけないなどという言葉で、他人やみずからが所属する集団や社会、そして自然や崇高なものに対して感謝の気持ちを持っていました。
しかし、戦後教育の義務なき自由や履き違えた個人主義の教えの状況をかんがみたとき、あるいは、学校において一部の教員は、昭和三十年代に展開された、みずからを聖職者ではなく労働者とした日教組による道徳特設反対闘争など、戦前の価値観のすべてを否定し、人として当然持つべき感謝の気持ちを含めた日本人の美徳を教えなくなりました。
古今東西のあらゆる社会において、人間としての美徳があるはずであり、それを教えることは学校教育の使命であります。
また、子どもたちに礼儀作法や基本的生活習慣を教えることは、本来家庭の役割であることはいうまでもありません。親は、子どもに対して徹底的に教え込まなければならないものですが、残念ながら家庭の教育力は低下しております。
その結果として、自分さえよければという利己主義や規範意識を喪失した子どもが増加したのは当然ともいえます。行動の基準を、善悪ではなく損得に置く子どもがふえ、きちんとしたしつけを受けていない子どもたちが大人になったとき、自分の子どもにだけしか目が行かず、周囲への感謝の気持ちなど全く持ち合わせることなく、自分の権利の主張に終始する身勝手な親が続々と出現してしまったのです。
我が国の社会基盤は、今このような状況にあるのです。
そこで、今後ますます変化する我が国の社会状況の中で、日本人の美徳を受け継ぎ、真に豊かな国づくりに尽くす子どもを育てる教育のあり方について、知事の所見をお伺いいたします。
今日求められる教育の目的や理念をかんがみて、教育基本法が六十年ぶりに改正され、公共の精神の尊重、豊かな人間性と創造性の育成、伝統の継承など、新たな文言が加えられました。この改正教育基本法のもと、昨年三月に新しい学習指導要領が告示され、東京都教育委員会では、同年五月に教育ビジョンを策定しました。
こうしたことを踏まえて、今後、学校教育で心の教育をどのように進めていくのか、所見をお伺いいたします。
次に、環状第二号線は、臨海部から神田に至る都心部の環状道路であります。このうち、虎ノ門から新橋にかけては、昭和二十一年の都市計画決定以降、半世紀以上も事業化が図られなかったが、現在整備が進められているところです。また、本区間の地上部については、緑豊かな広い幅員の道路が整備されると聞いております。
一方、都は昨年十二月、当該地区を含めた環状第二号線と晴海通りを中心軸とする環境軸推進計画書を策定いたしました。これは私が提唱する、水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京の実現にふさわしい施策だと考えております。
そこで、改めて、環状第二号線が担う役割についてお伺いをいたします。
この環状第二号線、新橋・虎ノ門間の地上部道路の整備については、沿道住民が長い間待ち望んできた事業であります。現地では家屋の移転が進んできており、もうすぐ東京の顔となるような魅力あふれる道路空間ができていく期待に、地域全体に都市再生の機運が高まってきております。沿道住民などと何度も話し合いを重ねてきていると聞いておりますが、どのような道路整備となるのか、楽しみにしております。
周辺の地域にも波及効果が広がるよう、地域の交流やにぎわいの創出の視点を大事にすべきと考えております。札幌の大通公園が、道路の中で多くの札幌市民に愛され、全国的な名所となっているのを見ると、この地上部道路の整備を議論する中でも多様な事例を研究し、地域の発展の起爆剤となるような整備を進めていってもらいたいと思います。
そこで、地元との地上部道路整備の取り組みについてお伺いをいたします。
また、地上部の道路空間の整備に加えて、その周辺においても、道路空間を生かした活気とにぎわいのあるまちづくりを進めることが重要であると思います。
現在この地域は、裏側の路地は狭く、中小の敷地で老朽化したビルも多く、地元ではこの機会をまちづくりのチャンスととらえ、まちづくりの協議会を立ち上げております。この地域を、全国でも例を見ない、すばらしいまちにしようとする意気込みで進めておられます。
しかし、まちづくりを具体的に進めていくためには、地元住民や区だけの取り組みだけでは限界があり、都からの支援も必要不可欠であると思います。
今後、都として沿道周辺のまちづくりにどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
次に、渋谷駅周辺の再編整備について伺います。
渋谷駅は、大正時代から増改築が繰り返され、老朽化し、ハチ公広場は人があふれるほど混雑しているなど、さまざまな課題を抱えています。
このたび、都と渋谷区において、駅前広場、道路、鉄道などの再整備に関する都市計画手続が始まり、いよいよ渋谷駅の大改造計画が実現に向けて動き出しました。この大改造が起爆剤となって、駅周辺の再開発も促進されることとなり、副都心渋谷のさらなる発展が期待されるところです。
そこで、都は今後、渋谷駅周辺の再編整備の実現に向けてどのように取り組むのか、お伺いをいたします。
また、今回の都市計画案では、土地区画整理事業において、国道二四六号南側の渋谷川に隣接する区域について、水辺空間用地を設けるとされています。
渋谷川は、「春の小川」のモデルにもなりましたが、現在では、その面影もありません。都内には、玉川上水や野川公園のように蛍を鑑賞できる水辺がありますが、渋谷のような都心においても、こうした自然と触れ合うことができる水辺環境づくりが期待されているのではないでしょうか。
そこで、都は、今回の渋谷駅周辺の再編整備における水辺空間の創出についてどのように進めるのか、お伺いをいたします。
次に、客待ちタクシーの待機列による渋滞の解消についてお伺いをいたします。
新橋や銀座地区においては、深夜の時間帯を中心に、客待ちをするタクシーによる長蛇の待機列が発生しています。場所によっては、タクシーが二重、三重に並び、一般の車両のみならず、緊急車両の通行も困難な状況になっていると聞いております。
都はこれまでも、駅前や高架下の都有地をタクシーの待機場所とするタクシー待機列対策を実施しているが、今回、銀座地区において、一般の駐車場を活用する新たな方式による実証実験を行ったと聞いております。
タクシー待機列は、交通渋滞の緩和とともに、待機中のアイドリングによるCO2排出削減からも、その解消が求められております。
そこで、この実証実験の結果と今後のタクシー待機列解消に向けた取り組みについて、所見をお伺いいたします。
次に、臨海地域における病院の整備についてお伺いをいたします。
臨海副都心開発については、次々と進出事業者が決まり、まちの完成までもう一歩という段階に達しておりますが、一方で、隣接する豊洲・晴海地区においても再開発が進展するなど、臨海地域では、ウオーターフロントの魅力を生かしたまちづくりが進んできているところです。
まちづくりに当たっては、開発コンセプトに従うことは当然でありますが、長期にわたるプロジェクトを実施する中で、開発の成果を高めるためには、必要な見直しを行うなど柔軟性を発揮することも重要であります。
先般、江東区では、人口の急増に伴う医療サービス水準の低下を危惧し、豊洲地区において総合病院を整備する計画を打ち出しました。
成熟した都市では、充実した都市基盤施設、恵まれた自然環境といった快適性が求められますが、同時に、安心・安全面も大変重要であり、十分な医療資源の確保はぜひとも必要であります。
この病院整備計画は、豊洲地区のまちづくりにおいて、機能的に厚みを持たせるものであり、都としても、できるだけ地元のニーズを尊重し、柔軟な対応をすべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
次に、安全対策についてお伺いいたします。
都営地下鉄、とりわけ大江戸線のこのところの混雑ぶりには驚愕するものがあります。大江戸線は、東京の都市活動を支える重要なインフラとして、平成十二年十二月に全線開業しました。最近は、大江戸線沿線の開発と相まって利用者の増加も著しく、区間によっては山手線にも匹敵する混雑があると聞いています。このことは、収入の面から見ますと、交通局には経営的に大きなメリットもあるものと考えます。
しかし、電車に乗っていて気にかかることがあります。つい一年半ほど前の大江戸線の停電事故では、暗いトンネルの中を、満員の乗客約千三百人に、ホームまで歩いて避難していただくという事例が発生しました。最後の方がホームに上がるまで、二時間かかったと聞いております。大江戸線を利用している者として、このようなことが起きたらと思うと、他人事とは思えません。
そこでまず、二度とあってはならない事故でありますが、交通局として、この教訓を生かし、乗客の避難誘導などにどのような対策をとっているのか、お伺いをいたします。
都営地下鉄は、今や一日二百三十万人ものお客様を運ぶ首都東京における重要な交通機関として、大手民営鉄道と比べても上位に入るほどに成長しています。利用者の増加は、都営地下鉄の収支にも大きな影響を与え、今もって莫大な累積欠損金があるものの、ここ二年続けて黒字化を達成しています。
その一方で、社会的責任や影響は、過去と比べ物にならないほど大きくなっており、できる限り安全対策に投資すべきと考えます。
そこで、公営企業管理者、経営者として、局長は都営交通の安全対策をどのように考えているのか、所見をお伺いをいたします。
ところで、停電時の安全対策は、都営交通に限ったことではありません。東京では、首都直下型地震の発生が予測されていますが、地震時の対策も必要です。
都民は、震災火災が発生した場合、火災の状況により避難場所などに避難しますが、停電した際には、夜間の避難場所は真っ暗であり、避難者は不安に駆られることと思われます。例えばソーラー蓄電式の街灯などが備えられていると、避難する都民に明かりを見せることで安心を与えることができると考えます。
都は、安全な避難場所を指定しておりますが、停電時の避難安全対策についても、何か取り組めることはないのかお伺いをして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えいたします。
教育のあり方についてでありますが、申し上げたいことはたくさんございますけれども、第二次世界大戦、日米戦争の開戦直前に、当時のルーズベルト大統領が、有色人種の中で、かくも短期間にこれだけの強大な軍事国家をつくった日本について、自分は実は余りよく知らないということで、女性でありましたけれども、有名なルース・ベネディクトという社会学者に日本人についての分析を依頼しまして、有名な「菊と刀」という著書がございます。
これには、実に正確な、本質的な日本人の分析が披瀝されておりまして、タイトルのように、菊の花に象徴される非常に高潔さ、それからまた、すばらしく切れる、美術品にも見まがわれる日本刀に象徴される潔さと勇気、その責任感、そういったものが描かれておりますが、これはいかにも今日希薄になってきたという気がいたします。
かわりに、身分、立場、価値観を超えて、いわば垂直に継承されなくちゃいけない価値の軸というんでしょうか、それすらが毀損されて、失われてきたような気がいたします。これも、履き違えられた自由と権利というものが、この日本全体を損なってきたのではないか。その一つの例として、ご指摘のように感謝というものがなくなりましたし、他人に対する思いやりもなくなりました。
ご指摘のような、日本人一種独特の、汎神論ともいえる万物の恵みに対する感謝や、他人や社会のために尽くす自己犠牲は希薄になりました。これは、やはり立場を超えて子どもたちに伝えていかなくちゃならない、教えていかなくちゃならない、人間の一番重要な美徳であると思います。
しかし、残念ながら結果として、今日では個人を支える共同体への帰属感が希薄になりまして、個人主義や平等主義を履き違えた、非常に自己中心的な生き方が蔓延しております。
教育は、国家、社会の発展の基礎となる重要な作業でありますが、現状を見ますと、どうも世の親や一般の大人たちも、学校にこれを任せ切っているような気がしておりますが、実は年に一度、幼稚園から大学までの都立の教育機関の園長先生から学長まで、教育の場の最高責任者を集めた大会がございまして、私、いつも毎回同じことを申し上げますが、やはりあなた方が教育の場の最高責任者の責任としていっていただきたいのは、学校は、要するに教育の場ではあるけれども、しかし最高の、一番重要な場所ではない、子どものしつけ、教育というものの最高責任者は、先生でもなければ学長、園長でもない、親であるということを、あなたの責任でいってくださいということを申しておりますが、教育の原点はあくまでも家庭でありまして、親と一般の大人も、子どもの教育についての責任を自覚し、その役割をしっかり果たすべきであると思っております。
しかし、なかなかこれは、いうに易しくて、昨今の風潮といいましょうか、人間の価値観というものを踏まえますと、国家、社会として至難なわざになってきたような気がいたしてなりません。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 心の教育の進め方についてでございますが、子どもたちの豊かな人格を形成していくことは、学校教育の重要な責務でございます。
都教育委員会では、道徳授業地区公開講座の実施や道徳教材の開発を行いますとともに、奉仕体験活動の推進に取り組んでまいりました。
昨年五月に策定をいたしました、お話のございました東京都の教育振興基本計画であります東京都教育ビジョン(第二次)におきまして、これらの取り組みの充実を図ることに加えまして、新たに、人間関係を築く基礎となる自尊感情や自己肯定感を高める指導内容、方法の開発、我が国の伝統文化を尊重する態度を養うためのカリキュラム開発などを位置づけておりまして、今後とも豊かな人格形成を目指した教育を推進してまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 七点のご質問にお答えをいたします。
まず、環状第二号線が担う役割についてでございますが、この路線は、都心に集中する交通を適切に分散するなど、道路交通の円滑化を図る上で重要な役割を担う区部の環状道路の一つでございます。
このうち、現在整備中の有明から虎ノ門までの区間につきましては、都心部の幹線道路ネットワークの充実、都心部と臨海部との連絡強化などの機能を担うとともに、周辺地域の都市再生が促進をされます。
また、お話のとおり、本路線を中心として臨海部から皇居周辺にかけて、広がりと厚みのある豊かな緑を創出する環境軸の形成が進められます。
さらに、オリンピックが開催された際には、オリンピックスタジアム、選手村のアクセス道路として重要な役割を果たすものと期待されます。
次に、地上部道路の整備の取り組みでございますが、都は、地元区や沿道住民と環状二号線地上部道路計画検討会を設置し、既に十一回の話し合いを行ってまいりました。この中で、魅力ある景観の形成、地域の交流やにぎわいの創出を目指し、さまざまな事例や整備イメージ図などを参考に整備案を検討しております。
今後とも、地元住民と十分協議を重ねながら、関係機関と調整を図り、緑豊かで魅力ある道路空間の創出に取り組んでまいります。
次に、環状第二号線沿道のまちづくりについてでございますが、地上部の道路整備を契機に、昨年、沿道の地権者等によるまちづくり協議会が設立されておりまして、こうした機運をとらえて、市街地の更新を適切に誘導にしていく必要がございます。
都はこれまで、地区整備の方針に従い、建築物の建てかえ等を行う場合には、容積率の緩和も可能となる街区再編まちづくり制度を設け、地域の再編整備を促進してまいりました。本年四月からこの制度の適用要件を緩和し、お話のような地域の意欲的な取り組みをさらに促すこととしておりまして、今後、地元区と連携して、街路樹の緑と沿道のまち並みが調和した、東京の新しい顔となるまちの実現を支援してまいります。
次に、渋谷駅周辺の再編整備についてでございますが、本計画は、駅前広場や鉄道などの整備と駅ビルの再開発を一体的に行うものでありまして、さまざまな事業が長期間にわたって展開していくことから、段階的に整備効果が発現されるよう着実に推進していくことが重要でございます。
現在、東西駅前広場の再編、銀座線の移設などの都市計画手続を行うとともに、土地区画整理事業などの事業化に向けた準備を進めております。
次の段階では、駅周辺の再開発と連携を図り、駐車場や歩行者のネットワークを充実させるなど、まちづくりと一体となった整備を進めていく予定でございます。
都としては、駅周辺が渋谷のさらなる発展を牽引するリーディングコアとなるよう、国、地元区、鉄道事業者などの関係機関とともに、着実に整備を推進してまいります。
次に、渋谷川の水辺空間の創出についてでございますが、今回の駅周辺の再編整備では、国道二四六号線南側において、東急東横線の地下化によりまして生み出される線路跡地を、土地区画整理事業の手法を用いて公共用地として確保しまして、渋谷川と一体となった水辺空間を創出することとしております。
また、昨年十月に公表された渋谷川・古川河川整備計画では、生物の多様な生息、生育空間など良好な水環境の創出、保全、それから、潤いのある都市空間の形成などが示されております。
今後、都は、周辺のまちづくりと連携を図り、多くの人々から親しまれる水辺空間の創出に向け、その構造や整備の手法などについて、関係機関とともに検討を進めてまいります。
次に、タクシー待機列解消に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまで、渋滞対策ハイパースムーズ作戦の一環として、関係機関と協力しまして、駅前や高架下の都有地などを活用した渋滞列解消対策を進めてまいりました。
本年一月下旬から三週間、銀座地区におきまして、一般の駐車場を待機場所として、ETCを活用して配車するという新たなシステムによる実証実験を実施いたしました。
実験では、ピーク時八百メートルにも及ぶ待機列が解消されまして、一般車などの走行時間の短縮が図られるとともに、アイドリングストップによるCO2の削減効果も上がるなど、大きな成果が確認されました。
今後は、本システムの本格的導入に伴う技術面や費用負担などの課題について検討を行うとともに、タクシー業界などとの連携を図りながら、待機列の解消に向けて取り組んでまいります。
最後になりますが、避難場所における安全対策でございます。
震災被害などにより夜間に停電した場合にも電気供給が可能となるよう、避難場所内の照明灯に非常用電源を用意しておくことは効果的でございます。
避難場所の指定及び運用に関しましては、これまでも、都と区の防災担当者で構成する避難場所連絡協議会において、情報交換をしながら検討しております。
今後とも、こうした場などを活用しまして、避難場所を運用する区に対しまして、より一層安全対策を講じるよう、関係機関とともに意識啓発に努めてまいります。
〔港湾局長斉藤一美君登壇〕
○港湾局長(斉藤一美君) 臨海地域開発における地元ニーズへの対応についてのご質問にお答え申し上げます。
臨海副都心を初め大型の開発では、まちづくりの骨格となるコンセプトを開発プロセスの根幹に置き、全体として整合性のある都市開発を一貫して進めていくことが重要でございます。
ご指摘のとおり、まちづくりは長期にわたるプロジェクトであることから、周辺地域の開発の進展状況を見据えた上で、その時々の地元ニーズを取り入れながら、開発の成果を高めていくことも必要でございます。
このため、都は、江東区の要望がございます豊洲五丁目の病院用地につきまして、同区で策定予定の病院整備の基本方針を、今後の臨海地域の開発の観点ともあわせて勘案した上で、適切な土地利用のあり方を検討してまいります。
〔交通局長金子正一郎君登壇〕
○交通局長(金子正一郎君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、大江戸線の停電事故の教訓を踏まえた乗客の避難誘導などの対策についてでございます。
この事故では、千三百人の方の避難完了までに時間を要したことから、お客様の安全を確保しつつ、いかに避難時間を短縮するかが大きな課題となっておりました。
このため、列車の前面だけでなく、側面からも避難誘導を行うこととし、非常用のはしごなど避難器具の改良や増備を行うとともに、さまざまな機会をとらえて訓練を行ってまいりました。
今月初めには、終電後の深夜から早朝にかけ、停電事故が発生したところと同じ場所で、局職員や消防からの参加も得て、約二百五十人で訓練を実施いたしました。この訓練では、新たな避難誘導方法の習熟を図るとともに、職員みずからが乗客役となり、お客様と同じ体験をする中で、避難誘導方法の改善状況をつぶさに検証いたしました。
次に、都営交通の安全対策への取り組みについてでございますが、交通事業者にとりまして、安全は経営の基本であり、最優先で取り組むべき課題であると認識しております。
都営地下鉄の経営状況は、多額の累積欠損金はあるものの、ここ数年好転しつつあり、大江戸線へのホームさく設置など、ハード面における必要な安全対策に万全を期してまいります。
また、都営交通は一日平均三百万人のお客様にご利用いただいておりまして、さまざまな緊急事態を想定したマニュアル訓練など、ソフト面からの安全対策の充実も不可欠でございます。
今後とも、こうしたハード、ソフト両面からの安全対策を推し進め、より一層安心してご利用いただける公共交通機関となるよう、一丸となって取り組んでまいります。
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