平成二十一年東京都議会会議録第二号

 午後一時十五分開議
〇議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
百十三番高島なおき君。
〔百十三番高島なおき君登壇〕

○百十三番(高島なおき君) 平成二十一年第一回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 我が国は、百年に一度といわれる世界的な金融危機のさなかにあります。これまで世界経済のグローバル化のメリットだけがもてはやされてきましたが、その中で進行してきた証券化や金融デリバティブ商品の大衆化など、これまでにないマーケットメカニズムの展開が経済全体にもたらした帰結は、想定をはるかに超えたものでありました。ウオール街に生じたほころびは、瞬く間に世界をのみ込む大波と化し、出口の見えない深刻な同時不況をもたらしているのであります。一年前までの好調な経済状況は一変して、企業の多くは、収益の悪化、資金調達の困難に直面し、設備投資を控え、賃金カットやリストラに企業の存続をかけざるを得なくなっています。雇用環境が悪化し、個人消費が低迷、企業の売り上げがさらに落ち込むという負のスパイラル、これが私たちの直面している現状であります。とりわけ、金融機関の貸し渋りなどにより、東京の経済を支える中小企業は、大企業以上に大きな痛手を受けています。
 都議会自由民主党は、中小企業への資金繰り対策や受注機会の増加策、雇用創出策などの緊急対策を都に要請し、二度にわたる東京緊急対策の実現に大きく寄与してきました。一方、国政では、経済対策すらも政局の材料とされ、有効な手だてを打てず、我が国の将来展望についても十分な議論がなされていないのであります。厳しい社会経済にあってこそ、これまで以上に都民の生活を守り、首都東京の活力を向上させるため、英知を結集して、具体的かつ効果的な解決策を打ち出し、今後の都政運営に責任を持って臨む決意です。
 そこで、我々と手を携えてこの難局の打開に取り組んでいる知事に、改めて、都政を取り巻く現状についての認識と今後の都政運営に対する基本姿勢を伺いたい。
我々が直面している世界同時不況は、戦後の経済社会復興に匹敵するほどの大きな課題であります。そのような中、今何よりも必要なのは未来への夢と希望です。二〇一六年のオリンピック・パラリンピック東京開催は、世界から東京に集うアスリートや観客の交流を通じて、地球を一つに束ねる平和の祭典であり、子どもたちを初め都民、国民に未来への大きな希望を与えるものであります。同時に我々は、二〇一六年を最終年次とする「十年後の東京」という青写真を持っています。
 オリンピック・パラリンピック招致と「十年後の東京」の姿を共通の目標として、夢と希望を抱き、その実現に向けて、環境をよくし、インフラを改善し、スポーツを振興していく、このプロセスを通じて、危機的な社会経済状況を克服することが可能になると思います。七割を超える高い支持の背景には、オリンピックがもたらす、経済や社会を前向きに変えていくポジティブなエネルギーへの期待があるといえるのではないでしょうか。
 こうした状況を踏まえ、改めて、知事は、東京オリンピック・パラリンピック開催が我が国の社会経済に及ぼす効果をどのように考えているのか、お伺いをしたい。
 昨年六月、七つの申請都市から立候補都市が承認されるに当たって、東京は高品質かつ豊富な宿泊施設、世界で最も安全な治安のよさ、環境問題に対する先進的な取り組みなどが高く評価され、総合点で一位を獲得しました。ただ一つ懸念されたのは、他都市と比較して低い水準にあった都民、国民の支持でしたが、町会や商店街、その他の関係機関等との連携のもと、さまざまな機会をとらえて行ってきた取り組みが功を奏し、招致への支持は上昇してきました。今後も積極的な活動を展開することにより、支持率の拡大はもとより、オリンピックムーブメントの推進を促すことにつながるものと期待するものです。
 去る十二日に、国際オリンピック委員会、IOCに提出した立候補ファイルは、一次選考で高評価を得た計画をさらに磨き上げ、成熟を遂げた東京、日本だからできるオリンピック・パラリンピックの詳細な開催計画を示すものだと考えています。戦後からわずかの間に復興を遂げた東京の姿を世界に示した一九六四年の前回大会とは異なり、低カーボン、低エネルギー社会の実現や、潤いのある水辺環境や緑の創出など、成熟したがゆえにいち早く直面している世界的な課題に対する解決策を提示するとともに、コンパクトな会場配置と世界に誇る環境技術で、トップアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるひのき舞台を提供する競技大会であります。こうした機会に、目と耳で、そして肌で直接触れることは、必ずや次代を担う子どもたちにかけがえのない心の財産を残すことになると確信するものです。
 立候補ファイルをまとめ上げ、いよいよ本格化する招致レースに臨む知事の決意をお聞かせ願いたい。
 招致を成功に導くためには、東京の開催計画のすばらしさを、来る十月二日に投票するIOC委員にしっかりと理解してもらうことが必要です。
 今後、東京で二度目となる大会開催の意義や大会の特色、東京の都市としての魅力、最先端技術など、日本の持つ力をどのように伝えていこうとしているのか、伺いたい。
 我々議員はこれまで、石原知事とともに手を携え、東京オリンピック・パラリンピック招致の先頭に立って取り組んできました。今後も、なお一層積極的に招致実現に取り組んでいく決意であることを、ここに改めて表明するものであります。
 我が国の政治においては、日本が進むべき困難な道から目をそらし、ささいな点をとらえて、ためにする批判、反対に終始するというあしき風潮がなお存在します。今、我々政治家には、日本人が自信を取り戻し、国の将来を明るいものとするために、勇気ある行動が求められているのであります。難局を打開するには、予算、人材など、資源を惜しみなく投入することが重要であり、それがまさに政治の責任であります。
 都の二十一年度予算編成は、世界的金融危機による厳しい状況に対し、石原都政がどう立ち向かっていくのかを問うものでありました。昨年来の補正予算から二十一年度当初予算に至る経過を見ると、石原都政は、この十年間培ってきた力を遺憾なく発揮したと思います。
 この十年間、知事と我が党は手を携え、徳俵に足のかかっていた財政を立て直すと同時に、国を牽引する先駆的な施策を次々と打ち出してきました。事業者の理解と協力のもとでのディーゼル車規制や不正軽油撲滅作戦などの環境施策、CBO、ベンチャー育成など中小企業対策、新公会計制度の導入、羽田空港の再拡張と国際化など、その成果は枚挙にいとまがありません。さらに、夏以来の経済危機に対しては、二度にわたる補正予算を迅速に編成して、動きの遅い国を牽引してきました。
 二十一年度予算案では、大幅な税収減のもとでも、財政力を駆使して財源を確保し、一般歳出を二・九%伸ばしております。直面する緊急課題である中小企業、雇用対策や環境対策の分野は、ともに前年度比三〇%増額とし、投資的経費や福祉関係費も底上げを図るなど、必要な施策に財源を重点的に配分しています。この予算案は、現下の経済状況に都政が正面から立ち向かった、質と量を兼ね備えたものと評価するものであります。
 そこで、二十一年度予算案の基本的な考え方と、これに込めた知事の決意を披瀝していただきたい。
 また、都税収入の減少が過去最大の七千五百億円と見込まれる中、財源確保の苦労もうかがえます。積極予算を編成する上での財源確保に関する考え方を伺いたい。
 税収減は、世界規模の不況に起因するものであり、今後、相当の期間にわたって都政の重大課題となるものと考えます。そこで看過できないのが法人事業税の暫定措置です。七千五百億の税収減のうち、これによる減収は約二千七百億円にも上ります。急激な景気低迷による税収減は都市部を直撃しており、暫定措置の実施は、東京を初めとする大都市の財政に一層深い傷を負わせています。都が財政の対応能力を培ってきたとはいえ、早晩、東京の活力の創出はおろか、維持すら困難な事態が生じるのではと危惧するものであります。今こそ首都東京を中心に大都市圏が危機に対峙しなければ、我が国の経済に展望を開くことはできません。
知事は、法人事業税暫定措置の問題に今後どう対処していくのか、所見を伺いたい。
また、底が見えない景気状況にあって、今後の都税収入の見通しはどうなのか、税収確保に向け今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 経済低迷が続いたとしても、都政の停滞は許されず、的確な対応策を打つことが責務であります。財政運営には、そのための力の維持、増強が求められますが、短期、中期両方の視点からの取り組みについて所見を伺いたい。
 昨年の第三回都議会定例会において申し上げましたように、これまでの量にウエートを置いた行革は大きな成果を上げてきました。しかし、一方で、団塊世代の大量退職による業務遂行能力の低下や、少子化の進行による人材難、民間活力の導入拡大に伴う行政としてのコントロール責任など、さまざまな懸念が生じている中、行財政改革のあり方はターニングポイントを迎えているのであります。
 我が党の主張を踏まえ、平成二十二年度の新規採用職員数を前年度の一・五倍としたことは、時宜を得た対応であります。特に、今後、膨大な社会資本の更新が見込まれる中で、土木、建築など技術職の採用予定者をふやしたことは、都が培ってきた技術を承継していく上でも不可欠な対応であります。また、政策対応能力を持つ多様な人材を即戦力として幅広く確保するために、専門的な職務経験のある人材の採用年齢制限を撤廃するなどの取り組みは評価に値するものであります。
 行財政改革実行プログラムで掲げた四千人の定数削減が達成できる見込みとなった今、次の主要課題は、一騎当千の人材を育成することであります。既に都は、OJTの徹底に組織を挙げて取り組み、来年度からは、職員研修所の機能の拡充により、都政を支援、補完する監理団体の人材育成にも積極的に乗り出そうとしています。また、土木技術センターのように、技術支援機能等に人材育成機能を付加して、新たな一歩を踏み出そうとしている例もあります。
 人材育成にとって研修の充実は重要であり、これらの取り組みに大いに期待するものでありますが、より基本となるのは、仕事での多様な経験を通じた育成であります。職員が成長の節目ごとに現場経験を積むことが不可欠でありますが、例えば、課長、部長昇任の前後に経験させるべき現場らしい現場が減少しているという声も聞きます。また、大量退職の時期にあって、職種、職層を問わず、英知にあふれたベテラン職員の力を柔軟に活用、伝承する取り組みも求められています。
 現場での仕事を通じた人材育成や、貴重なノウハウや技術などの世代間継承が喫緊の課題となっている、今後の人材育成、活用のあり方について、知事の所見をお伺いしたい。
 次に、都政における現場の運営のあり方について伺います。
私は、昨年の第三回定例会において、行政責任とアウトソーシングについて、真に住民サービスは向上しているのか、行政としてコントロール責任を果たし得ているのか、実態に応じた検証が必要であり、その結果によっては、振り過ぎた振り子を戻すことも必要であると主張しました。
 いうまでもなく、都政の効率的な執行、民間活力の導入という目的自体は正しいと思います。しかし、都政の現場は多種多様であります。公の施設でも指定管理者制度の導入が進んでいますが、一口に公の施設といっても、施設の態様、サービスの目的や性格はさまざまです。都の政策と密接に連携した管理運営を行うべきもの、サービス向上や効率化をより重視すべきものなど、施設の性格により、最も適した担い手や手法を見きわめなければなりません。行政を支援、補完する監理団体を適切に活用すべきものと、民間の競争原理にゆだねるべきものの再整理を行う時期に来ていると考えます。
 我が党においても、近々、プロジェクトチームの検討結果を明らかにする予定ですが、この間、都は、指定管理者制度のあり方などについて、再整理に向けてどのような検討をしているのか、伺いたい。
 我が党が主張し続けてきた契約制度の改革も、厳しい経済状況の中、東京の中小企業を支援し、地域産業を育成する上で、待ったなしの課題であります。
 都は、昨年九月の入札契約制度改革研究会の第一次提言を受け、市場実態に合った予定価格の設定や、建設業業界と意見交換をする場の拡充に取り組んでいます。また、先月、その後の中小企業の資金繰り需要を踏まえ、中小企業の工事着工資金を確保し、公共工事の適正、円滑な施行を目的とした前払い金の支払い対象の拡大を行ったことは、我が党の要望にこたえたものであり、適切な対応であったと考えます。
しかしながら、いまだ道半ばであり、この夏に予定されている、制度全体の改革による抜本的な解決策を含めた最終提言が待たれるわけですが、現在の検討状況はどうなっているのか、伺いたい。
 「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九についてであります。
 昨年の第三回定例会で、我が党の質問に対し、知事は、オリンピック・パラリンピック立候補都市選定の際、「十年後の東京」計画で描き出した世界の範たる都市像がIOC理事会からも高く評価されたと確認している旨、答弁されました。我々も全く同感であります。
 このことは、今後、東京が、深刻な環境異変、経済危機、超高齢社会の急速な進展など、ひとり東京のみではない、世界の大都市が内包する危機をどのように乗り越え、未来へのかけ橋を築いていくかを問われているものと考えます。オリンピック・パラリンピック招致競争が待ったなしの正念場を迎える中で、実行プログラムで掲げた取り組みをいかに迅速に実行し、さまざまな分野でさらなる成熟を遂げる東京の姿を内外に発信していくかが、招致成功の大きなかぎを握ると確信しています。
 そこで、どのようにして世界の範となる都市像を着実に実現していくか、知事の決意を伺いたい。
また、実行プログラムに掲げた環境問題や雇用就業支援など、局をまたがる課題については、知事本局が、単なる調整にとどまらず、真のリーダーシップを発揮して、横の連携をとりながら取り組むことが重要です。ともすれば、扇のかなめとしての力が弱まっているのではないかと危惧されております。そこで、「十年後の東京」実現に向けて、改めて、知事本局が果たしていく役割について所見を伺いたい。
 先般、産業労働局が発表した昨年十二月の景況調査では、都内中小企業の業況判断指数が過去十年で最悪の水準となるなど、景気の後退が企業現場の実感となってあらわれています。また、世界経済の悪化で外需の低迷が深刻化するなど、中小零細企業の経営環境はさらに厳しさを増すことが懸念されます。
こうした一刻の猶予も許されない状況の中、中小零細企業に対する支援を今後どのように進めていくのか、基本的な考え方について知事の見解を伺いたい。
 年度末を控えて最も喫緊の課題になっているのが資金繰りへの支援です。都では、我が党の要望を受け、これまで二度にわたって補正予算を編成し、緊急保証の融資枠の拡大、信用保証料補助の充実など、資金繰り支援の強化を図ってきたところです。
 我が党としても、緊急保証の対象業種の大幅な拡大を実現するため、国に対して直接働きかけるとともに、区市町村窓口への中小企業診断士の配置による認定業務の円滑化にも力を注いできました。
今後とも、都として、緊急保証制度を中心に、中小零細企業の資金ニーズに一層的確にこたえていくことが求められます。
 また、最近の日銀の政策金利の引き下げに対応し、都の緊急保証制度の融資利率も引き下げるべきと考えます。緊急保証制度のこれまでの実績と今後の取り組みについて伺いたい。
 また、緊急保証制度により多くの中小零細企業が救われていますが、その一方で、この緊急保証制度によっても十分に資金調達できない、厳しい状況に直面している中小零細企業が存在しています。こうした企業の中には、高い技術力などにより、この難局さえ乗り切れば将来的に展望が開ける企業もあるはずです。こうした企業に対し、今、何らかの支援策を講じることが強く求められています。
我が党は、こうした観点に立ち、さきの第四回定例会においても、地域の金融機関との連携を強化し、資金供給の一層の円滑化を図るべきであると提言しました。これを受け、来年度予算案には、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策が盛り込まれていますが、この支援策の基本的な考え方と実施に向けたスケジュールについて伺いたい。
 都内の中小企業は、受注の減少や資金繰りの悪化等により、生き残りをかけた厳しい経営を迫られています。こうした厳しい経営状況を打開し、将来にわたって成長していくためには、金融支援を中心とした緊急対策に加え、経営基盤を強固なものとするために、それぞれの企業の経営力を一層強化していくことが不可欠です。
 我が党は、さきの第四回定例会において、日ごろから各地域において個々の中小企業経営者を熟知している商工会議所、商工会を初めとする中小企業支援機関の力を結集させ、一丸となって中小企業の経営力の強化を図るべきであると提案いたしました。
 これを受けて、都は、平成二十一年度新規事業として経営力向上TOKYOプロジェクトに取り組むことになりましたが、このプロジェクトや関連する各事業において、都や各支援機関は具体的にどのような取り組みを実施していくのか、伺いたい。
 また、我が党は、地域コミュニティの核である商店街の振興に向け、新・元気を出せ商店街事業の充実強化をこれまで一貫して主張してきました。その結果、今日では、都内の多くの商店街がイベントや活性化事業に取り組むとともに、安全パトロールや育児支援事業なども展開されています。しかしながら、イベントや活性化に取り組みたくても、自己財源が乏しいことから実施できない零細な商店街への支援も必要です。また、商店街が持てる力を十分に発揮できるよう、その組織率を高める取り組みもさらに推進する必要があります。加えて、区市町村の区域にとらわれない商店街振興策も実施し、その効果を広域的に波及させていくべきです。
 我が党としては、こうした観点から、さらなる商店街振興策の充実強化を図るべきと考えますが、二十一年度予算に盛り込まれた新たな支援策について伺いたい。
 地域の活性化には、防犯、防災に大きな役割を果たしている町会、自治会を元気にする取り組みは欠かせません。
 我が党が平成十九年度の新規施策として提案し実現した、町会、自治会の活動を支援する地域の底力再生事業助成事業は、当初、二カ年のモデル事業とされていましたが、地域の高い評価を得て、継続を実現することができました。また、来年度の予算についても、我が党の復活要求の結果、一億円が計上されました。
 町会、自治会からは、この事業をさらに積極的に活用するため、助成対象事業をイメージしやすくしてほしい、また、より利用しやすいものにしてほしいという声が上がっています。来年度に向けて創意工夫が望まれるところですが、都はどのように取り組んでいくのか、伺いたい。
 次に、新銀行東京について伺います。
 先般、新銀行東京は、経営悪化の原因について、外部の弁護士に委託した調査結果を公表しました。その中で、改めて旧経営陣によるずさんな経営のかじ取りが明らかになりました。新銀行東京は、この調査結果を踏まえ、旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟の準備を進めることを表明しております。旧経営陣への責任追及は当然のこととして、現在の経営陣のもとで新銀行東京が再建を進め、その役割を果たせるかが問われていると思います。
世界的な経済危機の中で、金融機関を含め、国内外の企業が決算見込みを下方修正するなど、経営環境は一段と厳しさを増しております。
 こうした中、新銀行東京の第三・四半期決算が発表されました。今回の決算は、再建計画初年度の目標達成にとって大変重要な意味を持つものと考えております。
 我が党はこれまでも、追加出資の四百億円を毀損させず、着実に経営再建を果たすことを求めてまいりましたが、今回の決算をどのように評価し、また、通期での見通しをどのように考えているのか、見解を伺いたい。
 固定資産税等の軽減措置について伺います。
知事は、平成二十一年度より、二十三区内の固定資産税額等の著しい上昇に対する緩和措置として、我が党がかねてから要望してきた新たな条例減額制度を実施することを明らかにしました。そこで、この新たな条例減額制度の意義とその効果について伺いたい。
 生活、雇用対策について伺います。
 既に指摘したとおり、雇用環境は急速に悪化し、今後も予断を許さない状況です。一月に厚生労働省が発表した調査結果によると、三月までに、全国で、非正規労働者では約十二万人が、正社員でも約六千人が失業する可能性があるとし、十二月調査に比べ大幅に増加しています。
 今、雇用の場が急速に失われており、また、派遣など非正規労働者であった方が離職した場合、再就職は容易なことではありません。
 都はこれまで、緊急対策を打ち出し、二度にわたり補正予算を組んできましたが、こうした状況下では、例えば観光や林業などでの新たな雇用創出はもとより、きめ細かな相談、職業訓練の充実や訓練期間中の支援など、多面的な雇用対策を効果的に実施すべきであると考えますが、見解を伺いたい。
 雇用環境が悪化する一方で、介護人材は、国によると、平成二十六年には最大で百六十万人が必要とされており、その確保は喫緊の課題であります。
 我が党の緊急要望を踏まえ実施した介護福祉士等の養成機関入学者に対する入学金の貸付事業は時宜をとらえたものでありますが、雇用状況の改善が早急の課題となっている現状を、介護人材の確保に向けた施策の契機として前向きにとらえることも必要ではないでしょうか。
 今回、都が新規事業として予定している離職者支援事業の早期実施も含め、多様な支援策により、離職者を介護分野への就職につなげていくことが急務と考えます。また、職を失った方々からの相談をさまざまな対策に着実につなげていくことも重要です。今後、年度末に向け、万全の体制を整えるべきと考えますが、あわせて所見を伺いたい。
 今後の新しい都市づくりの展開についてお聞きいたします。
都市再生事業の着実な進展など、我が国を先導する先進的な都市づくりが進んできた東京でありますが、世界的な景気後退の影響や、アジア諸都市の台頭による都市間競争の激化など、東京を取り巻く状況は今後さらに厳しさを増していくものと思われます。
 こうした中で、都は、さきの第四回定例会において、新たな時代の要請に対応し、東京をさらに機能的で魅力ある都市としていくために、平成十三年に策定した都市づくりビジョンを改定していくことを明らかにしました。そこで、改定する都市づくりビジョンの方向性とその進め方について伺いたい。
 次に、東京外かく環状道路について伺います。
 外環は、広く我が国全体に便益を及ぼす重要な道路であり、経済、雇用対策として前倒しで実施するよう、経済団体からも期待が寄せられています。そして、外環の早期着工は、国が法人事業税の移譲の際に最大限の協力を約束した都の重要施策です。都議会では、昨年暮れに、超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟において、平成二十一年度の事業着手を求める緊急決議を行ったところです。
 先般、石原知事は金子国土交通大臣を訪ね、国土開発幹線自動車道建設会議の開催を要請したと聞いております。改めて知事に、外環整備に対する決意を伺いたい。
 また、事業着手後、外環の早期完成を目指して、工程の促進に向けたあらゆる手を尽くす必要があると考えます。それにはまず、インターチェンジ、ジャンクション部などの事業用地を確保することが重要であります。
都はこれまでも、国と都が協力し用地の確保に取り組むことが重要であるとの認識を示してきましたが、今後の具体的な取り組みについて、また、あわせて、地上部に計画されている外環ノ2について、切り離すべきとの意見がありますが、どう考えているのか、伺いたい。
 外環など三環状道路を初め、幹線道路ネットワークや連続立体交差などの整備の裏づけとなる道路財源については、現在、国会において、地方道路整備臨時交付金にかわる地域活力基盤創造交付金の創設を盛り込んだ平成二十一年度予算案が審議されています。
また、高速道路ネットワークの有効活用を図り、その整備効果を高めるためには、利用しやすい料金体系を構築することも必要であります。我が党の働きかけなどにより、経済対策として、時限的ながらも、首都高を初め大都市圏の高速道路料金の引き下げが国から示されたことは一定の評価をいたします。
 首都東京の道路整備の着実な推進には、必要な財源を確実に確保することが不可欠であり、また、高速道路料金施策についても、さらなる拡充の必要があると考えますが、都の取り組みについて伺いたい。
 迅速な日本経済の立て直しが急務な中、羽田空港の再拡張とともに、東京港の機能強化は、日本の産業を支える上で大変重要であり、同港は首都圏四千万人の生活や産業を支えるメーンポートとして欠かすことのできない存在です。
 また、ダイナミックに移り変わる世界の物流動向に的確に対応し、世界の港湾間競争に打ち勝たなければなりません。
 大規模な港湾施設の整備には、計画まで含めれば、少なくとも五年程度の日時を要します。したがって、中長期的な視点から、東京港の将来あるべき姿を定めた港湾計画の適時適切な見直しが不可欠です。そこで、昨年夏の港湾審議会答申を反映して、港湾計画の見直しを早急に行っていくべきと考えますが、所見を伺いたい。
 現在の東京水道は、長い年月をかけて、水源から蛇口に至る施設整備を推進し、世界有数の事業体に発展しました。安心・安全を次世代にしっかりと引き継いでいくことが必要です。
 将来を考えると、気候変動による水資源への悪影響など、大きな不安があります。既に利根川水系では、ダム供給能力が二割低下し、今後、気候変動がさらに深刻化し、異常渇水の発生頻度が増加すると指摘されています。
 八ッ場ダムを初めとする水資源に関する議論の中には、ダムを不要とする近視眼的な主張があります。こうした主張は、首都東京の安心・安全を顧みない、極めて無責任な議論ではないでしょうか。また、ダムの一日も早い完成を望む地元住民の声を全く無視した議論です。
 東京の水道は、今後、気候変動や大規模施設の集中更新などに備え、水源の確保や施設の再構築など、将来をしっかりと見据えた対策が必要と考えます。このため、首都東京を支える水道の将来像について、わかりやすく都民に示していくべきではないでしょうか。基本的な考え方を伺いたい。
 多摩川上流の水道水源林についても、将来を見据えた取り組みが必要と考えます。水源林のうち約四割を占める民有林の多くは、荒廃が進み、土砂の流出防止や水源涵養機能などが大きく損なわれてきています。
 首都東京の貴重な水をはぐくむ水源林をみずからの手で守り続けていく決意と取り組みが必要ではないでしょうか。見解を伺いたい。
 我が党は、さきの第三回定例会において、現行の多摩リーディングプロジェクトについては、新たな課題にも対応した実効性のある振興策とするよう、その見直しを主張してきました。今回、都は、この主張にこたえて、多摩地域の総合的な振興策となる多摩振興プロジェクトを取りまとめました。厳しい経済状況の中、改めて、四百万人を超える都民が暮らす多摩・島しょ地域の振興に対する知事の所見を伺いたい。
 また、策定した多摩振興プロジェクトは、多摩地域の基盤整備にも引き続き精力的に取り組むとともに、重要な課題である医療、福祉などの事業も取り入れて、大きく拡充されました。策定の考え方と今後の多摩振興への取り組みについて所見を伺いたい。
 平成二十五年に開催する東京国体についても、多摩・島しょ地域の振興と連動して準備を進めていく必要があります。
 各区市町村では競技施設の整備が進められておりますが、全国から多くの方々をお迎えするためには、これまでと異なり、競技以外の観点からも施設整備の充実を図るように財政支援を行うべきですが、所見を伺いたい。
 近年、世界的に大規模水害が多発しております。我が国でも、時間当たり降水量一〇〇ミリ以上の回数が、平成八年からの十年間で年平均四・七回と、以前と比較して倍増しています。
 こうした中、国の中央防災会議では、昭和二十二年のカスリーン台風に匹敵する、二百年に一度起きるような大洪水により荒川堤防が決壊した場合、避難が行われない最悪のケースでは、死者が都内で約三千五百人に達するとの被害想定を公表しています。
 都は、十九年五月に、局地的集中豪雨に対応するため、地域防災計画風水害編を見直しをしましたが、大規模水害対策について、国の被害想定を踏まえた検討を行い、計画を見直し、必要な対策を講じるべきと考えますが、所見を伺いたい。
 また、都が中小河川で現在進めている、五〇ミリ降雨に対応する整備をスピードアップするとともに、洪水予報など、被害軽減のための情報提供を充実させ、東京の治水の安全性を早急に高めるべきと考えます。
 そこで、都は、中小河川の五〇ミリ降雨対策をさらに推進するため、具体的にどのように取り組んでいくのか、伺いたい。
ところで、平成十九年八月に策定された東京都豪雨対策基本方針では、おおむね三十年後に、七五ミリ降雨での浸水被害を可能な限り防止することとしています。
 また、東京都技術会議においても、去る二月三日、七五ミリ降雨に対応できるよう、治水対策のレベルアップを検討すべきとの提言が出されています。
 これらの方針や提言も踏まえ、現在の五〇ミリ降雨対策の完了を待つまでもなく、早期に次のステップへと踏み出すことにより、水害に対する安全度をより向上させることが重要です。中小河川における七五ミリ降雨対策に向けた都の基本的な考え方を伺いたい。
 また、都民の生命と貴重な財産を守り、首都として東京の機能を維持するため、宿命的な課題である震災対策に積極的に取り組む必要があります。
 地域防災計画において大規模救出救助活動拠点に位置づけられている都立公園は、自衛隊などによる広域支援救助部隊のベースキャンプとなり、迅速な消防活動や物資輸送に資するためのヘリコプターの緊急離着陸場所として大きな役割を果たします。
 現在、救出救助の活動拠点となる都立公園の整備が進められていますが、まず、その取り組み状況について伺いたい。
 また、いつ起こるともわからない災害に備え、住民の避難場所となっている都立公園については、例えば、地震が夜間に発生したときでも、住民が安全にスムーズに避難できるような入り口とするなど、避難場所としての機能を早急に強化していく必要があると考えますが、所見を伺いたい。
 建物の耐震化も重要です。
 ことしで十四年が経過した阪神・淡路大震災において、幹線道路沿いの建物倒壊が招いた道路の寸断は、交通の麻痺だけではなく、避難や救急、消火活動の支障となりました。このことは、沿道建築物の耐震化を進める必要があるという大きな教訓となりました。
 ところが、沿道建物の多くは大規模なビルであるため、耐震化には多額の費用を要します。また、現下の経済情勢を考えると、中小企業や個人の建物所有者にとって、耐震化を進めたくても、負担が大き過ぎて、後回しになってしまいがちというのが現状ではないでしょうか。
 このような状況であっても、耐震化施策の手綱を緩めることはできません。今後も都は、どのように沿道建物の耐震化を促進していくのか、所見を伺いたい。
 また、緊急輸送道路沿道の建物に限らず、住宅の耐震化は喫緊の課題です。
 都は、昨年夏に立ち上げた耐震化推進都民会議を核に耐震キャンペーンを行うなど、社会機運の醸成に努めており、一月に開催した耐震フォーラムでは、参加希望者が定員を上回る盛況であったと聞いています。また、戸別訪問が効果を発揮し、耐震診断については実績が上がってきていると伺っています。
 耐震化をさらに促進するためには、これまでの資金援助のほか、都民ニーズに包括的に対応できる体制や、都民の立場に立った適切な情報提供、また、合意形成に向けた環境づくりが重要と考えます。今後、都は、マンションを含めた住宅の耐震化をどのように進めていくのか、所見を伺いたい。
 次代を担う子どもたちのとうとい命を守るため、学校施設の耐震化は緊急かつ重要な課題であります。都は今年度、公立小中学校等の耐震化対策に補正予算を措置し、「十年後の東京」計画で挙げた目標を前倒しして、平成二十四年度までに耐震化を完了させるよう、耐震化への取り組みを加速させているところです。
 一方、私立学校については、昨年六月の我が党からの緊急要望を受け、補正予算において耐震診断に対する補助率を引き上げ、公立学校と比べておくれている耐震診断を促進しています。
 各自治体が整備する公立学校と違い、自己資金で耐震化を進める私立学校にとって、耐震化工事は大きな財政負担となります。
 今後、私立学校が耐震化工事を実施するに当たり、どのように財政支援をしていくのか、伺いたい。
 都内における犯罪認知件数は六年連続で減少しているにもかかわらず、都政への要望では、治安対策が五年連続で第一位となるなど、都民は必ずしも治安のよさを実感できているとはいえません。
 それは、秋葉原や八王子において発生した無差別殺傷事件など、予想できない、動機不可解な犯罪により、都民の不安が広がっていることが大きな原因であると思われます。こうした不安を解消するため、国内外からさまざまな人が集まる繁華街等の安全・安心の確保が何よりも重要です。
 そうした中、都は今定例会に、繁華街等の防犯対策に関して、東京都安全・安心まちづくり条例の改正を提案しています。今回の条例改正のねらいは何か、また、どのように対策を展開していくのか、伺いたい。
 子育て世帯の支援策について伺います。
 少子化による生産年齢人口の減少が、近い将来、我が国の経済社会に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。第二次ベビーブーム世代が三十代半ばを迎え、子育て世代の年齢層の人口が既に減少に転じている今、少子化対策には一刻の猶予もありません。ワークライフバランスの実現や、子どもを安心して産み育てることができる環境の整備が急務であります。
 都は今年度から保育サービス拡充緊急三カ年事業をスタートさせ、保育の実施主体である区市町村の取り組みへの支援を強化しました。しかし、平成二十年四月の都内の保育所待機児童数は、ここ数年の減少傾向から一転し、前年比八百七十八人増の五千四百七十九人となっています。
 待機児童の解消に向け、区市町村の取り組みをさらに加速させていくためには、もう一段の支援が必要です。保育サービスの拡充について、今後、具体的にどのような取り組みを行っていくのか、所見を伺いたい。
 子育て世帯では、家計に占める住居費、教育費の割合が高く、生活の基盤である住まいにおける対策が重要な課題になっています。
 このため、都は、我が党の要望にこたえ、都営住宅において、全国に先駆け、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居制度を創設、実施するなど、積極的な取り組みを行ってきました。
 今後は、期限つき入居を拡大することなどにより、子育て世帯の居住支援に向けた都営住宅の供給について、具体的な目標を持って取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺いたい。
 また、住宅供給公社の賃貸住宅を活用することにより、良質で安価な住宅を提供することが子育て世帯の居住支援につながると考えますが、所見を伺いたい。
 次に、高齢者施策について伺います。
 都では、平成二十一年度から二十三年度までの高齢者施策の基本方針として、東京都高齢者保健福祉計画の策定を進めています。この計画は、老人福祉法に基づく老人福祉計画と介護保険法による介護保険事業支援計画を一体的に作成し、都における高齢者施策の総合的、基本的計画の位置づけを有するものです。
 東京では、平成十七年度からの十年間に、要介護認定者数は約一・四倍、ひとり暮らしの高齢者も約一・五倍に増加していくと見込まれています。これに的確に対応するためには、特別養護老人ホームなどの施設整備を着実に進めることは当然として、軽度の要介護者やひとり暮らしの高齢者が地域で安心して暮らし続けていけるような、医療と介護が連携した住まいも確保していくべきと考えますが、都はどのように取り組んでいくつもりなのか、伺いたい。
 また、この東京都高齢者保健福祉計画の理念として、だれもが住みなれた地域で暮らし、支え合う社会の実現を掲げていますが、都市化の進展により、地域における助け合いの機能が低下しつつある今日、ひとり暮らしの高齢者などを地域住民が見守り、支え合うことは大変重要であると認識しています。
 そこで、一層の高齢化が進む東京において、町会など地域の住民が主体となってひとり暮らし高齢者などを見守り、支え合う仕組みづくりを進めるべきであると考えますが、所見を伺いたい。
 障害者自立支援法の施行以来、我が党は、障害者の方々や事業者の方々からの声を受け、法の円滑な施行を国に働きかけ、利用者負担の大幅な軽減や経営基盤の強化などを内容とする特別対策、緊急措置を実現させてまいりました。特に利用者負担は、きめ細かく上限額が設定され、相当程度、応能的なものに変わってきております。
 また、我が党は、低所得者に対する都独自の軽減措置を求め、都は、法施行当初より、ホームヘルプサービスの利用者負担を独自に三%に軽減してきました。
 法施行三年後の見直しに対しても、特別対策や緊急措置により実現された利用者負担軽減の継続、大都市の実情を反映した報酬引き上げ等について、継続的に国への働きかけを求めてまいりました。
 国が昨年末に示した見直し案の中に、それらがどう反映されたのか、また、平成二十年度までの時限措置とされているホームヘルプサービスに対する都独自の利用者負担軽減策を平成二十一年度も継続すべきと考えますが、あわせて伺いたい。
 法制度の見直しとともに、サービス提供基盤の整備も重要であります。
 都は、今年度中に、平成二十一年度から二十三年度を計画期間とする第二期東京都障害福祉計画を策定すると聞いております。
 平成二十三年度までには、自立支援法に基づく新しいサービス種別のもとで必要なサービス量を確保できるよう、基盤整備を進めなければなりません。そのためには、第二期計画における基盤整備の取り組みを強化すべきでありますが、都の所見を伺いたい。
 昨年、脳出血を起こした妊婦さんに大変痛ましい事態が起きたことは、都民、とりわけ、これから子どもを産み育てようとする方に大きな不安を与えました。
 この不安を解消するため、東京緊急対策Ⅱでは、周産期母子医療センターへの支援の充実に加え、地域で周産期医療を支える仕組みを構築するべく、ミドルリスクの患者に対応できる周産期連携病院を新たに指定するなど、さまざまな尽力をされていることは評価するものであります。都は、その後も、周産期医療協議会などにおいて検討を行っていると聞いており、都民の安心に直結する実効性のある具体的な対策を実践できるものと大いに期待しています。
 東京緊急対策Ⅱに示された対策の推進に加え、さらなる取り組みが必要として、我が党は、第四回定例会の代表質問において、妊産婦の救命を行うスーパー総合周産期センターの整備を強く要望いたしましたが、都は、来年度、新たにどのような取り組みを進めるのか、伺いたい。
 周産期医療の一層の充実のためには、システムづくりとともに、そこで実際に働く産科医や看護師など医療スタッフを確保し、定着させることが重要であることは論をまちません。とりわけ、今回の事態は都立病院で生じたこともあり、都立病院における医療スタッフの充実は、都民の安全にとって切実なものがあります。加えて、東京都では、来年度末、府中に多摩総合医療センター、小児総合医療センターを開設し、我が国でも屈指の総合周産期母子医療センターの運用を開始することになっています。
 我が党はこれまでも、医師の大幅な処遇改善や東京医師アカデミーの開講、看護師の採用活動強化など、都立病院の人材確保対策を積極的に支援してきましたが、採用環境には依然として厳しいものがあると聞いています。
 こうした状況を踏まえ、都立病院における医師、看護師等の確保、定着に向け、どのように取り組んでいくのか、伺いたい。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 我が党はかねてから、中小企業や家庭部門なども含め、CO2削減を本格化することが重要であると指摘してきました。その求めに応じ、都は、来年度、太陽エネルギー利用拡大連携プロジェクトやエコ金融プロジェクトなどを事業化するとともに、都民生活に最も身近な区市町村の取り組みを促進する補助制度や都独自の環境減税を導入することとしました。
 こうした取り組みは、CO2削減に貢献するばかりか、設備機器の更新を促し、新たな技術への投資を誘発するなど、経済的な効果も期待できるものです。
 現在、グリーン・ニューディールが叫ばれていますが、都の取り組みは、こうした面でも先駆的であります。そこで、改めて温暖化防止における知事の決意を伺いたい。
 また、自動車部門におけるCO2削減の取り組みも重要です。
 今回提案された環境確保条例の改正案は、低公害、低燃費車の使用、導入促進やエコドライブの推進など、対策の強化を図る内容となっておりますが、これを契機に一層のCO2削減を図るためには、大気環境改善の取り組みと同様に、事業者等の協力が必要です。
 昨今の深刻な景気状況の中にあっても、自動車メーカーでは電気自動車等の次世代車の開発の動きが見られるなど、環境負荷の少ない車の普及の可能性も広がろうとしています。
 こうした機会をとらえ、都は、自動車部門の地球温暖化対策の強化を図るため、条例の改正とあわせ、都民や事業者のCO2削減の取り組みを促進するためのさまざまな施策を実施していくべきと考えますが、所見を伺いたい。
 豊洲新市場予定地における土壌対策について伺います。
 今月六日に、技術会議の提言に基づき、都の土壌汚染対策が取りまとめられ、あわせて、今後、豊洲新市場の開場を平成二十六年十二月とする整備方針が公表されました。
 この土壌汚染対策は、世界に誇る我が国の先端技術を活用することで、生鮮食料品を取り扱う市場用地として、食の安全・安心を高いレベルで確保するとともに、費用も、一般的な技術、工法に比べ大幅に縮減することが可能となったと聞いております。
 しかしながら、この対策が公表される直前に、発がん性があるとされるベンゾ[a]ピレンや不透水層に関し、不安を抱かせる報道があったことは、まことに残念でなりません。
 我が党としては、万全な対策を確実に実施し、豊洲新市場を時代のニーズにこたえられる首都圏の基幹市場として着実に整備していくべきと考えておりますが、その推進には、都民や市場関係者の安心が得られるようにすることが重要であり、今後、実施される土壌汚染対策が、何よりも安全性に十分配慮したものでなければなりません。
 そこで、対策は、どのような点で安全・安心を高いレベルで確保したといえるのか、また、ベンゾ[a]ピレンや不透水層の問題についても、対策により安全性が確保されるのか、見解を伺いたい。
 また、土壌汚染対策費用については、技術会議の提言により大幅に縮減できることは、大きな成果として評価できるものであります。
 今回、具体的な対策内容や費用が確定しましたが、豊洲新市場予定地は、かつて東京ガス株式会社による都市ガス製造が行われ、都の調査において、操業に伴う汚染物質の存在が確認されたことから、どのような負担を求めていくか、都民の関心も高いところであります。そこで、今後、どのように東京ガス株式会社との協議を進めていくのか、見解を伺いたい。
 現在の学校を取り巻く状況は、児童生徒の学力向上に向けた基礎、基本を身につけさせる指導の充実や体力低下への対応など、喫緊の取り組むべき課題が山積しています。また、いじめや不登校などの問題行動への対応についても、これまで以上に学校の指導体制を拡充し、きめ細かな支援を行っていくことが必要になっています。
 このような、学校が現在直面する多様な課題に対応していくためには、学校の教員のみではなく、これまで以上に、広くさまざまな分野からの協力を得て展開していくことが必要と考えます。
 そこでまず、学校における外部人材活用の拡大について、都教育委員会の基本的な認識を伺いたい。
 外部人材の確保は、個々の学校ごとに行われていることが多く、多大な時間と労力を必要としているのが現状です。区市町村によっては、人材情報を学校に提供しているところもあると聞きますが、区市町村単位では、専門人材の確保が難しいことや、区市町村間での取り組み状況が異なったものとなっているなどの課題があります。
 現在、都教育委員会は人材バンクの設置を検討していると聞いていますが、地域を超えた全都的な募集活動により新たな人材を発掘するとともに、個々の人材の希望条件等、詳細な情報を一元的に管理し、各学校のニーズと的確に結びつけるなどの仕組みを構築することは極めて有効であると考えます。
 今後、都教育委員会として、具体的にどういった取り組みを行っていくのか、所見を伺いたい。
 上野動物園の動物展示の取り組みについて伺います。
 上野動物園は、日本の動物園のトップリーダーとして、さまざまな先駆的な飼育展示に取り組んできました。例えば、世界で初めてクマの冬眠展示に成功した例など、新聞等によって広く報道されています。
 さらに、日本固有の家畜の展示についても先駆的に取り組み、先日、上野動物園を訪れたところ、キソウマやクチノシマウシなどが新たに展示されていました。日本固有の家畜は、長い年月をかけて日本の風土や文化などに適応し、農作業に活用されてきました。まさに生きた文化財ともいえるのです。
 動物園の話によれば、こうした家畜は、人々の生活様式の変化により、今や絶滅の危機にあり、地元の保存会もその保存に大変苦労しているとのことです。
 そこで、上野動物園における日本固有の家畜の展示の現状と今後の取り組みについて伺いたい。
 上野動物園で、日本固有の家畜であるキソウマなどが子どもたちと触れ合う様子は、大変すばらしい光景でした。今後、身近な公園でも同様の取り組みができれば、さらにすばらしいことです。こうした夢の実現に向けて、ぜひ検討していただきたいと要望いたします。
 さて、都議選の投票日は七月十二日に決まりました。我々東京自民党は、日々、都民の暮らしに肌で触れ、有権者の声をじかに聞く中で、都政における責任政党として、国に対して主張すべきことは主張し、中小企業対策はもとより、まちづくり、防災、防犯、福祉医療改革、多摩・島しょ振興など、幅広い分野にわたり、血の通った打つべき手を確実に実行してまいりました。来るべき選挙戦には、十年後の生命力みなぎる環境都市東京の創造を目指して、新政策提言「東京・風の道をひらく」を掲げ、引き続き全力を傾注する決意で臨んでまいります。
 戦後最大の経済危機にあって、都民の生活、仕事を守り、将来の展望を切り開いていくため、山積する課題の本質を見きわめながら都政をリードしていく、それが我々東京自民党に課せられた責務であり、都民の期待にこたえる道であります。都民の皆様のご理解をいただき、公認候補全員が、あすの東京づくりの参画を目指す決意であることを表明して、私の質問を終了させていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高島なおき議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都政を取り巻く現状認識と今後の都政運営に臨む基本姿勢についてでありますが、米国発の世界的な経済危機によりまして、都民の生活や東京の小零細企業の経営は甚大な影響をこうむっております。
 また、地球環境の異変が深度を増すなど、だれもがこの二重苦、三重苦の大きな不安の真っただ中にあると思います。今こそ政治は果断に政策を決定して、着実に実行していくことが求められていると思います。しかし、国政は、大胆な政策を打ち出すこともなく、日本が有する潤沢な金融資本や、文明の推進力たる技術の将来性や潜在能力をうまく束ねて使うことができずにおりますね。
 例の定額給付にしても、決めたらさっさと行ったらいいと思うんですが、前倒しというわけにいかぬでしょうけれども、国会での手続に手間取って足踏みの状況としてありますし、昨今ちょっと話題になりました無利子国債なども、これは発行するなら大きな条件をつける。例えば、日本人の資産の三分の一は不動産、三分の一は株、三分の一は貯金ということでありますから、やはり土地を持っている方々の相続の問題、いろいろ懸念があると思いますので、これを大量に買った方の、五年間国債を維持してくださったならば、思い切って相続税はただにするぐらいなことをやったら、私は土地が動いて物も建つと思いますし、大蔵は、毎年の二兆近い相続税の税収というのに固執するでしょうけど、大体、ヨーロッパの先進国とオーストラリアもそうでありますが、相続税のない国が多いのでありまして、日本の相続税そのものはいろいろ問題があると思いますけど、こういうときにこそ、ひとつ見直す最初のきっかけに、思い切った、その無利子国債というものをいい条件で出すことも一つじゃないかと思いますが、力もある、ゆえに活路もあるのに、ただ萎縮しているのでは日本の未来は開けないと思います。
 一方、都は、停滞のきわみにある国政を座して待つことなく、二度にわたる補正予算や来年度予算案で、緊急の経済対策を初め地球温暖化対策、新型インフルエンザ対策、医療の立て直しなどに幅広く積極的に取り組んでまいりました。日本と東京の持つ大きな可能性を解き放つために、この国の羅針盤ともなる政策を力強く今後も展開して、直面する難局を乗り切るとともに、都民、国民の不安を解消することに全力を尽くしていきたいと思っております。
 今後とも、首都東京から日本の未来を切り開くべく、都議会の皆様と手を携えながら都政運営のかじ取りを担っていく覚悟であります。
 次いで、オリンピック・パラリンピックが我が国に及ぼす効果についてでありますが、オリンピックの開催は、まさに世界最大のイベントでありまして、平和イベントでありまして、国民全体が共有できる夢と希望に満ちた目標であると思います。また、現下の社会の閉塞感や未曾有の経済危機を克服するよすがともなると思います。
 とりわけ、戦後六十年以上にわたり、一貫して平和を堅持してきた日本での開催は、平和を希求する日本人の心、それを望む世界の人々とのきずなをさらに強固にし、世界平和の実現に大きく貢献するものと思います。
 東京が目指す大会は、海の森などの新しい環境計画や、日本が誇る最先端の技術を駆使して、例えば家庭で飲む水道水は、これは世界一の良質なものでありまして、オリンピック史上、最も環境に優しい世界初のカーボンマイナスオリンピックを実現するつもりであります。こうした取り組みは、国の内外に新しいビジネスチャンスを提供するとともに、国民の消費を促し、全国で最低でも三兆円の大きな経済波及効果が期待できます。
 大会を通じて、競技場で見せるアスリートの熱い戦いは、人々に最も崇高で比類のない感動をもたらし、次代を担う青少年に大きな力を与えると思います。
 いずれにしろ、国際競技で日本の代表が勝つということに、じんと来ない人間はいないわけでありまして、このじんと来るということは、やっぱり人間にとって非常に人生の大きな糧になると思います。
 このように、日本だからこそできる新しいオリンピック・パラリンピックをぜひとも開催し、国民、都民に希望を取り戻していきたいと思っております。
 次いで、本格化する招致レースについてでありますが、今月十二日、立候補ファイルをIOCに提出いたしましたが、これからが本番でありまして、熾烈な戦いが始まります。招致レースは、一国を代表する都市の魅力の競い合いでありまして、いわば外交であります。世界の推移、動きつつある現実を注視しながら招致活動を展開していくところに、オリンピック招致の本質があると思います。
 私も、総力戦となる招致レースの先頭に立ちまして、IOC委員に、東京、そして日本の魅力を十分理解してもらえるよう全力を尽くし、一票でも多くの票を獲得していきたいと思っております。
 昨日、実は定例のヨーロッパの大使たちの合同会議がありまして、私も出席いたしましたが、そこでスペインの大使からの報告では、マドリードは、我々の強敵はシカゴではないと。明らかに日本の東京であるという認識で行動を起こしているようでありますけれども、これも過信していい情報かどうかわかりませんが、そういった情報をできるだけ集めて、きめの細かい対処をしていきたいと思っております。
 先般の調査で、国民の支持率がようやく七割を超えました。読売新聞の調査では、東京だけでも七六%ということで、今後さらに世論を盛り上げて、日本全体が一つになって招致活動を推し進めていくことが重要であると思っております。都議会の皆様、都民、国民の皆様のさらなるご支援、ご協力をお願いいたします。
 二十一年度予算についてでありますが、今回の予算は、経済危機の荒波の中にあって、東京から混迷に活路を見出し、不安を抱いている都民に具体的な施策をもって安心をもたらし、希望を指し示すということを基本として編成いたしました。
 その結果、二十一年度予算は、眼前の危機にしっかりと対応するとともに、環境分野を初めとする先進技術の支援など、東京に新たな活力を創造する先駆的な取り組みを推進しまして、ソフト、ハード両面で東京の将来をつくるための中長期的な取り組みを着実に実施するなど、都民の期待に十分こたえるものになったと確信しております。厳しい財政環境にもかかわらず積極的な予算を編成できたのは、この十年間、都議会の皆様と力を合わせて財政再建に取り組んで、都政の力を蓄えてきたからであると思います。
 日本も東京も大きな変動の波にさらされておりますが、こういうときこそ、東京が危機克服と新たな活力の創造のために、牽引役としての役割をしっかりと果たさなければならないと思います。今後、この予算を原動力として、積極果敢に都政を展開すべく全力を尽くしてまいります。
 次いで、法人事業税の暫定措置についてでありますが、国は、地方税制を一方的に決めることができることをいいことにしまして、都の反対を無視して、都市と地方の対立をあおり立て、地方を助けると称して、東京を初めとする都市の財源を奪ってきました。しかし、その後の地方財政をめぐる事態は、国の主張がいかに誤っており、無責任なものであったかを赤裸々に証明することになりました。
 すなわち、国は結局、国の二十一年度予算において、地方交付税の総額自体が不足している現実を認めざるを得なくて、みずからの財源を用いて一兆円を復元せざるを得なくなりました。これは、かつて三位一体とか称して、とにかく三年間にわたって五兆円規模の削減をしたことの報いでありまして、このことは、今日の地方の困窮の原因は国による地方交付税の削減にあるという都の主張の正しさを証明すると同時に、都市の財源を奪う小手先の手法では問題が何ら解決されるものではない、国がみずからの責任で解決するほかはないという事実を改めて明らかにしたものであります。
 東京は、危機のときこそ、日本の牽引役としての役割を果たさなきゃなりません。その東京が景気悪化の直撃を受けて、このままでは、いずれ行政需要に十分こたえられない事態にもなりかねない状況となっております。無責任な国のしりぬぐいをする余裕は、都にはございません。問題の本質的な解決につながらず、東京の活力をそぐ原因にしかならない法人事業税の暫定措置は直ちに撤廃すべきでありまして、都議会の皆様との緊密な連携によりまして、ぜひともこれを実現していきたいと思っております。
 今後の人材育成、活用のあり方についてでありますが、常々、職員に対しては、一地方自治体の公務員の枠を超えて、東京のみならず日本を牽引する気概を持つ首都公務員たれと激励してまいりました。
 国は、相変わらず机上の空論に終始しておりますが、都には、国にない広大な生々しい現場があります。職員の大量退職期を迎える今だからこそ、有為な人材を確保するとともに、現場を持つ強みを生かした柔軟な発想力と果断な行動力を持つ人材を育てていかなければなりません。
 また、都政の執行力の維持向上を図っていくためには、世代を超えて技術、ノウハウを継承していくことが不可欠であります。
 都はこれまでも、国の硬直した、いわゆるキャリア制度とは異なる独自の能力業績主義によりまして職員を育成してきましたが、今後とも、職員の一人一人が都政を支えるプロとして成長していけるよう、人材の育成、活用に力を入れてまいります。
 次いで、世界の範となる都市像の実現についてでありますが、東京が環境、安全などさまざまな分野でさらなる成熟を遂げ、美しく住み心地のいい都市に生まれ変わるには、「十年後の東京」計画を確実に実現していかなければなりません。
 今回、二十一世紀の都市モデルへと進化させる確かな歩みを進めるため、実行プログラムを改定いたしました。これまでの取り組みの成果をてこに、変革への流れを加速化するよう、重層的、複合的な取り組みを随所に盛り込んでおります。
 環境分野を例に挙げるならば、太陽エネルギー利用機器の四万世帯への導入促進、レンタカーやカーシェアリング等の活用による次世代自動車一万五千台の普及、都独自の環境減税の実施などであります。
 こうした先駆的な取り組みを通じて、東京は、環境の世紀のトップランナーを目指して、世界最先端の環境技術を駆使し、さらなる変貌を遂げていきたいと思っております。
 また、都は、近々、都市としては世界で初めて、ICAP、国際炭素行動パートナーシップに加盟します。東京の取り組みを広く世界にアピールしていきたいと思っております。
 国の対応は、いまだCO2の排出総量削減の義務化に至らず、余りに心もとありません。都は、国を先導し、世界を牽引していく気概を持って、カーボンマイナスオリンピックの開催をも通じ、環境先進都市東京を造形し、後の世代への大いなる遺産として発信していきたいと思っております。
 次いで、中小企業、特に小零細企業に対する支援の基本的な考え方についてでありますが、今日の世界的な金融危機は、我が国の実体経済にまで深刻な影響を及ぼしております。受注の減少や資金繰りの悪化など、小零細企業は、黒字倒産の増加等に見られる厳しい経営環境に置かれております。
 景気対策は、一義的には国の責任でありますが、このまま手をこまぬいていては、多くの企業が疲弊し、東京の産業が衰微しかねません。そのため、企業の深刻な資金繰りに迅速かつ的確に対応するとともに、あわせて、将来の産業発展への布石となる対策を打つことが必要であると思います。
 そこで、平成二十一年度予算では、まず、資金調達に対する支援として、地域の金融機関と連携した都独自の金融支援策を創設するなど、昨年二度の緊急対策から切れ目なく、一段と積極的な対策を講じてまいります。
 また、将来の布石として、都と都内の中小企業支援機関が総力を結集し、都内二千社を訪問して経営力強化のための具体的な助言を行うなどの新たなプロジェクトを推進していくとともに、企業の高度な技術、経営ニーズに対応するための産業支援拠点を区部と多摩に整備してまいります。
 こうした取り組みによりまして、中小企業、とりわけ小零細企業が現下の厳しい経営環境を乗り越え、新たな活路を切り開いていけるよう全力を尽くしてまいります。
 次いで、外環道についてでありますが、過日、私、国土交通省を訪ねまして、金子大臣に対して、一刻も早く国幹会議を開催して外環道の整備計画を定めるよう要請をいたしました。大臣からも、コスト・アンド・ベネフィットで計算する指数をもっても、計画されている道路の中では一番高い評価を得ている、そういう道路であるから、それは強く認識しておりますという発言でありました。
 大事なことは、政府がもっとちゃんとして、一刻も早く、こういうときに大事なインフラ整備をすることで景気対策をするということで、何といっても国家社会の動脈、静脈であります主要な道路の整備というものに一刻も早く着手すべきだと思います。
 外環道は、費用対便益が全国でもトップレベルにあり、まさに必要な道路であります。平成二十一年度の事業着手を果たすように、引き続き国に強く求めてまいります。
 次いで、多摩・島しょ地域の振興についてでありますが、東京の三分の一の人口を擁する多摩地域は、最先端技術が集積し、製造品出荷額では区部を上回るとともに、人、物、情報の結節点を形成しておりまして、首都圏の発展を牽引する大きな可能性を有する地域であります。
 また、島しょ地域には、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれた個性豊かな島々がありまして、我が国の排他的経済水域の確保等の観点から、国益を維持する上でも重要な役割を担っております。
 いずれにしても、多摩・島しょ地域は、都はもとより、国にとっても重要な地域でありまして、今後とも、それぞれの魅力とポテンシャルを生かし、両地域の振興に精力的に取り組んでまいります。
 次いで、温暖化対策についてでありますが、多くの専門家が警鐘を鳴らしているように、かなりの対策を講じませんと、五、六年のうちに、この地球はポイント・オブ・ノーリターンを過ぎてしまいます。温暖化がもたらす破局的な事態を回避するためには、CO2を劇的に削減しなければなりません。
 国は、いまだ中期の削減目標すら定めることができておりませんが、都は、都市のあり方そのものが地球の未来を決定するという認識に立ちまして、経済危機のただ中にあっても、あらゆる部門で積極果敢にCO2削減を展開する必要があると思っています。そのため、条例に基づくCO2削減義務制度を初め、新築ビルに対する省エネ基準の義務づけや独自の補助制度、環境減税の創設など、都の持てる施策のノウハウを総動員してまいります。
 こうした取り組みを新たな成長の糧ともして、東京オリンピック・パラリンピックの開催理念にも合致した低炭素型都市の実現を目指していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 公立学校における外部人材の活用に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、基本的認識についてでございます。
 都教育委員会ではこれまでも、奉仕体験活動や外国語指導などの分野で外部人材を導入しておりまして、また、区市町村教育委員会においても、学習指導補助や学校図書館の運営などに外部人材を導入しております。
 来年度、都教育委員会では、肢体不自由特別支援学校への介助専門家導入や、中学校部活動の外部指導員導入促進事業などの新規事業を展開いたします。
 さらに、今後は、既に外部人材を導入してきた分野において、その充実強化が求められますとともに、小学校での外国語活動や中学校での武道の必修化など、新たな課題への対応が必要となってまいります。
 このように、外部人材の活用は極めて重要であり、地域のさまざまな経験を持った人材や専門性を有する人材などを全都的に確保し、学校のニーズに応じた適材適所の人材活用ができる仕組みを構築していくことが必要であると認識をしております。
 次に、人材バンクの設置に向けた具体的な取り組みについてであります。
 ご指摘のとおり、外部人材の有効な活用を図っていくためには、都教育委員会による人材バンクの設置が効果的な方策と考えております。このため、本年二月に、庁内に、区市町村教育委員会の代表や各校種の学校長などを加えた検討組織を設置いたしました。
 今後は、学校の具体的なニーズを的確に、詳細に把握するとともに、外部人材の確保や学校と人材を的確にマッチングする手法、人材バンクの運営主体などについて検討を進めまして、学校が適切な人材を迅速に確保できる仕組みを構築してまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) IOC委員に対します東京、日本の持つ力のアピールの方法についてお答えいたします。
 まずは、十月二日のIOC総会までの間に控えております各種のプレゼンテーションの機会を最大限活用していくことでございます。
 具体的には、三月中旬にアメリカ・デンバーで、スポーツアコードと呼ばれます国際競技団体の総会がございます。また、三月下旬にはオセアニア州に属する各国オリンピック委員会の総会、四月中旬にはIOC評価委員の来日への対応、六月中旬にはスイス・ローザンヌでのテクニカルミーティング、そして、夏にはアフリカ大陸における各国オリンピック委員会の総会、このようなことが予定されております。
 こうした会合には多くのIOC委員や世界のマスコミが集まりますので、映像、CG、模型等を活用し、またメダリストなどの参加も得まして、大いにPRをしてまいりたいと思っております。
 特に、IOC評価委員会の来日に際しましては、国内のメディアだけでなく、海外のメディアも多数来日いたしますので、各局との連携、区市町村の協力を得ながら、東京の魅力を体感できますプログラムを実施し、東京のすばらしさを全世界に発信してまいります。
 また、こうした直接的な働きかけとともに、都庁各局における国際事業の活用、国の在外公館など関係機関との連携、海外在住の日本人会、企業等の協力を得ながら、さまざまなチャンネルを活用して、東京、日本の魅力を訴えてまいります。
 これから十月二日までの二百二十日間、集中的にプロモーション活動を行ってまいりますので、都議会の皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二十一年度予算編成における財源確保についてでございますが、今回の編成作業は、危機に直面している都民の不安を正面から受けとめ、都税収入減少のもとにあっても、都民の期待にこたえられる積極的な予算にするという方針のもとで進められました。
 ところが、作業終盤ともなった昨年十二月後半に至りまして、税収が想定を超えて大幅に落ち込むという見込みとなりまして、その時点で私どもが予定していた各種の財源上の手当てのみでは、なお一千億円を超える財源不足が生じることが明らかとなりました。
 この状況を知事に報告したところ、知事から、財源不足の解消に向けて、以下の三点の指示がございました。
 すなわち、第一に、基金の取り崩しについては、今後の経済変動に伴い想定され得るリスクに備えまして最小限にとどめること、第二に、実施すべき施策に要する経費は確実に予算に計上し、都民サービスには支障を来さないこと、第三に、この二つの条件を前提として、年明けの知事査定までの間に、歳入や事務経費を中心とする歳出の両面について、もう一度全面的な洗い直しを行い、都みずからの努力によって財源不足を解消すること、この三点でございました。
 この指示に基づきまして、それ以後年末にかけて、各局にも協力をお願いし、点検、見直しを行ったところでございます。
 その結果、何とか年明けまでに、必要な施策に要する経費を計上した上で、財源不足を解消したわけでございます。また、将来、財源として活用可能な基金の残高についても、一兆三千億円余りを確保することができました。
 次に、財政運営についてでございますが、経済変動の中において、今後の財政需要に対応していく上でまず課題となりますのは、今申し上げましたような努力によって確保した基金、これをどう有効かつ的確に活用していくのか、そして、都債につきまして、これまでの発行抑制努力により培った発行余力を生かしつつ、将来の財政負担を考慮しながら、どう適正に活用していくのかなどの点でございます。
 しかし、率直に申し上げて、現在直面している経済危機がどこまで深く、また長いものとなるかは予断を許さないところでございますので、いわば過去の努力の成果である基金や起債余力だけに依拠するのではなくて、従来にも増して強靱な財政体質の確立に取り組むことが重要だというふうに考えております。
 このため、新たな公会計制度の活用や事務事業評価などによりまして、事業のむだを省き、最少のコストで施策の目的を達成できますよう、施策の実効性を高めるための取り組みを一層定着、充実させるなど、中長期的視点に立った堅実な財政運営を行ってまいります。
 このような努力を積み重ねることによりまして、厳しい財政環境のもとにあっても、都政の積極的な展開を支え得る財政の力を将来にわたりまして確保し続けていけますよう、短期、中期両面から取り組んでまいります。
 最後に、入札制度改革の検討状況についてでございます。
 入札契約制度につきましては、透明で公正な入札手続を通じて、適正な価格と良好な品質のバランスのとれた契約を実現することが重要であると認識しております。
 都は、昨年六月以来、入札契約制度改革研究会を設置いたしまして、工事品質の確保のところに重点を置きまして、現在、制度改革を進めてきております。
 研究会では、まず、工事経費が現状に即した適正な水準となるよう、価格的側面を中心に議論が進められ、九月に出された第一次提言では、最低制限価格の上限額の引き上げ、工事積算単価の改正期間の短縮などが示され、これを都は直ちに実施いたしました。
 現在、次のステップといたしまして、工事品質の確保のため、技術的側面を中心に、総合評価方式の適用範囲の拡大など、技術力の高い優良な事業者が受注できる環境の整備について検討をいたしております。
 今後は、夏に予定している最終提言に向けまして、入札における透明性の確保と工事品質の確保という二つの観点から、一般競争入札の範囲、予定価格の事前公表のあり方、技術力評価の充実、さらには、制度の根本にさかのぼる予定価格の上限拘束性の検証などにつきまして、幅広い視点から議論を行うことといたしております。
 都といたしましては、こうした研究会の議論を踏まえまして、入札契約制度の抜本的な改革に全力で取り組んでまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の都税収入の見通しについてでございますが、我が国経済は、先月の政府月例経済報告におきまして、記録が確認できる一九七五年以降初めて、急速に悪化という表現が用いられ、今月にはその景気の基調判断がさらに下方修正されるなど、加速度的に悪化しております。
 都税の収入の先行きにつきましては、こうした経済状況に加え、世界的な金融危機のさらなる深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念など、景気のさらなる下押しリスクの存在にも留意し、その動向を慎重に見きわめていく必要がございます。
 こうした状況を踏まえまして、主税局といたしましては、昨年十二月に緊急税収確保対策推進本部を設置いたしまして、早期課税、早期調査の徹底や区市町村との連携強化を図っているところでございます。
 今後とも、歳入所管局としての使命を果たすべく、局を挙げて税収確保に努めてまいります。
 次に、新たな条例減額制度の意義と効果についてでございますが、この制度は、平成二十一年度税制改正で新たに創設される予定のものであり、近年の地価上昇を反映し、固定資産税等の税負担が大幅に増加する場合に、条例により税額の上昇を抑制することができるというものでございます。
 都では、同制度を最大限に活用し、固定資産税等の税額上昇率を一〇%に抑える措置を実施することにより、都民や中小企業者等の税負担を緩和することといたしました。この措置により、二十三区内の商業地の約六割が減額の対象となり、減税の規模は、固定資産税と都市計画税合わせまして約二百億円と見込んでおります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、指定管理者制度のあり方の検討についてでございますが、指定管理者制度は、公の施設の管理に民間の能力を活用して、その運営の効率化とともに、行政サービスの一層の向上を図ることを目的とする制度でございます。
 その管理運営状況につきましては、昨年、第三者の視点を含めた評価を実施した結果、優良が二十施設、良好が百八十一施設となっており、全二百一施設で良好な管理が行われているものと考えております。
 また、本年に入りまして、総務局といたしましても、事業者に対するヒアリングや現場調査など、指定管理者制度の検証を実施しております。
 事業者の意見でも、おおむね制度自体につきましては高い評価を得ておりますが、一方で、質の高い行政サービスを安定的に供給する視点も重視すべきである、こういったご意見もいただいております。
 今後とも、これらの意見や、都の政策と密接に連動した施設の管理運営など、ご指摘の点も踏まえまして、関係局と調整の上、行政支援、補完機能を担う監理団体の適切な活用等、制度運用面での見直しの検討を進めてまいります。
 次に、多摩振興プロジェクト策定の考え方等についてでございますが、平成十七年一月に策定し、十九年一月に改定いたしました多摩リーディングプロジェクトは、多摩固有の資源を最大限に活用することに着目し、都がどのように多摩振興に取り組むかを明らかにしたものでございまして、都はこれまで、その推進に努めてまいりました。
 しかしながら、社会情勢等の変化によりまして、ご指摘のように、さまざまな課題も生じております。
 こうしたことから、このたび、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九等を踏まえまして、地域医療体制の整備や子育て支援、小中学校の耐震化など、多摩振興に資する事業も積極的に取り入れ、総合的な振興策として多摩振興プロジェクトを策定いたしました。
 都としましては、このプロジェクトを活用し、市町村とも十分連携しまして、首都圏の中核拠点として発展する多摩の実現に向けまして、着実に取り組んでまいります。
 次に、東京国体の施設整備についてでございますが、競技施設の整備につきましては、本年度、平成二十年度から区市町村に対する財政支援を開始しております。
 また、全国から多くの方々をお迎えすることを踏まえまして、昨年七月に策定した開催基本構想におきまして、競技会場やその周辺のユニバーサルデザイン化を進め、障害のある人を初め、子どもから高齢者まで、すべての人が観戦しやすい環境の整備に努めることとしております。
 このため、平成二十一年度からは、福祉のまちづくりにつながるような競技施設の整備につきましても、財政支援の対象に加えてまいります。
 最後に、地域防災計画の見直しについてお答えさせていただきます。
 大規模水害が世界で頻発し、我が国においても、長時間にわたる集中豪雨等によりまして甚大な被害が各地で発生しており、大規模水害への対応は、都としても重要な課題であると認識しております。
 荒川など国管理の河川の堤防決壊によります大規模水害につきましては、河川管理者でございます国がまず対策を講じるべきではございますが、都といたしましても、地域防災計画を見直し、広域的な避難体制の整備や、ライフラインの維持、早期復旧など、必要な対策を講じ、都民の生命を守り、都市機能の確保をしてまいります。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 「十年後の東京」計画実現に向けた知事本局の役割についてでございますが、「十年後の東京」計画で掲げた目標を確実に実現していくためには、知事本局が各局と連携し、全庁的な視点に立った調整を行うことが必要でございます。
 今回の実行プログラム策定に当たりましては、知事本局としての総合調整機能を最大限発揮するとともに、局横断的な課題に関する若手職員のプロジェクトチーム設置などによりまして、各局が知恵を出し合い、都庁を挙げて検討を進めてまいりました。
 今後、計画の実施段階におきましても、引き続き各局との連携を強化し、施策の進捗状況を随時点検しながら、全庁一丸となって、課題の隘路を打ち破る取り組みを果敢に進めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 産業、景気対策に関する六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、緊急保証制度の実績と今後の取り組みについてであります。
 都は、国の緊急保証制度に対応し、制度融資に最優遇金利を適用した融資メニューであります経営緊急を設置いたしますとともに、特に小規模企業者には保証料の二分の一を補助するなど、都独自の対応を行っております。
 また、補正予算を編成し、経営緊急融資の目標額の拡大に対応をしてきたことによりまして、平成二十一年一月末の経営緊急の実績は、二万四千七百四件、六千二十億円と多くの企業に利用され、運転資金の調達や既存債務の返済軽減などに役立っているところでございます。
 本年四月には、この間の日銀の政策金利の動きに対応し、短期プライムレートが引き下げられたことを受けまして、金融機関との協議を経て、経営緊急の最優遇金利を引き下げる考えでおります。
 今後とも、緊急保証制度の利用状況等を踏まえながら、引き続き、中小企業の資金繰りの円滑化に適切に取り組んでまいります。
 次に、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策についてであります。
 企業体力が弱い中小零細企業は景気後退の影響を特に強く受けており、緊急保証制度によっても資金調達が困難な企業が存在しております。
 こうした中にありまして、ご指摘のとおり、高い技術力等により、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業などを見出しまして、支援をしていくことが必要であると考えております。
 そのためには、日ごろから企業の顔が見える関係にあります地域に密着した金融機関の目ききの力や、融資のノウハウを活用していくことが不可欠でありまして、来年度予算案の中に、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策を盛り込んだところであります。
 平成二十一年度の融資規模は五百億円とし、金利の低減を図るために預託金三百億円を予算案に計上いたしますとともに、本支援策の位置づけを明確にするため、制度の大枠を規定する条例案を提案してございます。
 本支援策は新たな融資制度を構築するものでありまして、現在、金融機関等との調整を進めております。夏ごろには支援を開始する考えでおります。
 次に、経営力向上TOKYOプロジェクトの具体的な取り組み内容についてであります。
 中小企業が現下の厳しい経営環境を乗り越え、将来にわたりまして存続、発展していけるよう、都のリードのもと、商工会議所や商工会、中小企業団体中央会等の支援機関が総力を結集いたしまして、中小企業の経営体質強化を図る取り組みを新たに展開いたします。
 具体的には、まず、各支援機関の経営指導員等が直接企業に出向きまして、今後作成をいたします経営チェックシートや経営力向上ハンドブックを活用いたしまして経営診断を実施することで、各企業の課題と解決策を明らかにしてまいります。
 また、その診断結果が確実に経営改善に結びつくよう、経営指導員による継続的な企業巡回を実施いたしまして、都や中小企業振興公社の支援策のタイムリーな利用を促してまいります。
 さらに、中小企業単独よりもグループで経営改善に取り組む方が効果的な場合には、中小企業団体中央会が当該グループに中小企業診断士等を派遣いたしまして、より専門的な見地から経営改善計画の策定を支援してまいります。
 こうした取り組みによりまして、中小企業の経営力を着実に強化してまいります。
 次に、商店街振興策の充実強化についてであります。
 商店街が地域の経済の活性化とコミュニティの維持発展に欠かせないとの認識のもと、商店街の活動をこれまで以上に充実させるために、平成二十一年度予算に新たな支援策を盛り込んだところでございます。
 まず、地域の商店が一丸となって活動を展開することが商店街の活性化に欠かせないという認識から、各区市町村の産業振興条例等に沿って商店街が加入促進活動を展開する場合の支援を強化してまいります。
 また、資金力が乏しいために活動が停滞している商店街がイベント等の活性化事業に取り組めるよう、支援を拡充してまいります。
 さらに、商店街の連合組織が区市町村の行政区域を越えた広域的な事業に取り組む場合に支援できる仕組みも整えてまいります。
 これらの施策を加えまして、新・元気を出せ商店街事業を着実に展開することで、商店街のより一層の振興を図ってまいります。
 次に、新銀行東京の第三・四半期決算の評価と通期の見通しについてであります。
 新銀行東京では、今年度の前半は、店舗の統廃合など基礎固めに注力をしてきましたが、後半からは、その基礎の上に中小零細企業向け融資の増加を見るなど、業績は上向いております。これは、四百億円の追加出資があればこそ可能となったものであります。
 今回の決算では、純損失額は、計画の百一億円に対しまして七十三億円と改善をし、純資産額も四百九十八億円が確保されており、再建に向けた取り組みは着実に進んでいると考えております。
 なお、新銀行東京は、通期の純損失を計画どおりと見込んでおり、今年度末の決算におきましても、四百億円の追加出資が毀損されることはないとしております。
 今後も、都といたしましては、新銀行東京に対しまして、厳しい経営環境の中で、さらなる経営改善に向けた取り組みを求めてまいります。
 最後に、雇用対策の強化と効果的な実施についてであります。
 急速な雇用情勢の悪化によりまして失業者が増大する中、きめ細かな就業支援とともに、働く機会を確保していくことが極めて重要となっております。
 都は既に、就職チャレンジ支援事業やネクストジョブ事業を開始いたしまして、低所得者や非正規労働者の方々の就業を支援してまいりました。また、来月には、非正規労働者などに対する緊急労働相談会も実施をいたします。
 さらに、来年度、しごとセンターにおける就業相談や就職セミナー等の支援を充実させるほか、夜間訓練の新設など、職業訓練の規模と内容の拡充を図ってまいります。
 加えまして、雇用機会の創出に向け、都は独自に区市町村に対し補助を行いまして、延べ三十万人の雇用創出を図っていくほか、国の交付金で創設をいたします基金によりまして、都と区市町村で、福祉や環境、産業振興といった多様な分野で、介護支援や公園清掃、森林整備など、雇用創出効果の高い事業を実施してまいります。
 こうした事業の実施に当たりましては、副知事を座長として設置をいたしました連絡会議によりまして全庁的に取り組んでいきますとともに、国や区市町村、経済団体等とも十分に連携をいたしまして、効果的な事業としてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地域の底力再生事業助成についてでございますが、この事業は、地域の担い手である町会、自治会等が実施する地域の課題解決のための取り組みに対しまして都が支援し、地域力の向上を図るものでございまして、これまで、防犯、防災など、地域の課題へのチャレンジ事業や、婦人部、女性部が中心となって行います地域触れ合い、助け合い強化事業等に助成を行ってまいりました。
 ただいまご指摘ございましたとおり、この制度につきましては、積極的活用を図るための方策や、利用しやすくするための工夫を要望される声が数多く寄せられておりますことから、来年度は、このような取り組みに加えまして、スポーツ振興、伝統文化、国際交流、市民活動の四つの分野別モデル事業を新たに助成対象とし、区市町村単位の連合組織の助成額を従来の百万円から二百万円に倍増するとともに、これまで助成を受けた団体も申請できることといたしました。
 また、事業の募集回数を二回から四回にふやし、申請期間も、十一月まで間をあけずに申請可能とするなど、さらに利用しやすい工夫もいたします。
 今後、多くの事業例を盛り込んだガイドラインを作成し、これを活用いたしまして本事業の周知を図り、町会、自治会の主体的な活動を支援することで地域の底力再生に取り組んでまいります。
 次に、私立学校の耐震化の促進についてでございますが、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では、平成十五年度から、耐震診断、耐震補強工事等の経費の一部について補助を実施してまいりました。
 また、ご指摘のとおり、私立学校は、耐震診断が進んでいる公立学校と比べ、耐震化の前提となる診断を早急に進める必要がございますことから、今年度の補正予算におきまして、耐震診断に対する補助率を従来の三分の二から五分の四に引き上げ、耐震性能の早期把握を支援いたしました。
 その結果、今年度、この補助制度を活用して耐震診断を実施した私立学校は百五十校に上り、そのうち、特に耐震化が急がれる幼稚園におきましては、実施園が九十園を超え、実施率も一五ポイント上昇して六〇%を超えたところでございます。
 来年度は、診断の結果、倒壊の危険性が高いとされるいわゆるIs値〇・三未満の校舎等の耐震補強工事等に対しては、耐震診断と同様に、補助率を従来の三分の二から五分の四に引き上げますとともに、その実効性を高めるため、関係団体と連携しまして、説明会や建築相談を通じ、補助制度の積極的な活用を働きかけてまいります。
 今後とも、このような取り組みを行うことによりまして、「十年後の東京」への実行プログラムの目標達成に向け、耐震化の一層の促進を図り、児童生徒の安心・安全を確保していく所存でございます。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えをいたします。
 まず、離職者への支援についてでありますが、都は、介護人材育成確保緊急対策として、解雇、雇いどめにより住居を失った都内の離職者で介護職場への就職を目指す方を対象に、差し当たっての生活と将来の就労に対する支援を行ってまいります。
 具体的には、民間住宅にあわせて、都営住宅などの公的住宅の活用により当面の住宅を確保し、生活費を無利子で貸し付けるとともに、介護資格取得のための受講料を助成し、福祉人材センターによる就労支援を実施いたします。
 介護職に六カ月継続して就労した場合は、貸付金の返済を免除し、継続雇用した施設に対しても助成金を交付するなど、生活、就労に係る一貫した支援を実施してまいります。
 お話のとおり、こうした取り組みは急務でございます。したがいまして、低所得者を対象とした就労支援も含め、来月上旬には事業を開始できるよう、鋭意準備を進めてまいります。
 また、介護人材の安定的な確保のためには、大都市の実態を反映した介護報酬水準の設定が何より重要であることから、今後とも、国に対して適時適切に提案要求を行ってまいります。
 さらに、ご提案のありました、離職者を国、都、区市町村の支援策へと的確に誘導する手だてとして、都は、平日のみならず、休日や夜間にも対応できる電話による総合案内を来月上旬に開始できるよう検討しております。
 次に、保育サービス拡充の取り組みについてでありますが、都は、待機児童解消に向け、今年度から保育サービス拡充緊急三カ年事業を実施しておりますが、増大する需要に対応していくためには、この取り組みをさらに加速させていく必要がございます。
 このため、来年度、待機児童解消区市町村支援事業を創設し、開設準備経費補助の拡充を初めとして、区市町村が地域の実情に応じて実施する事業を広く支援してまいります。
 とりわけ、待機児童の約九割を占める三歳未満児の定員拡充に積極的に取り組む区市町村には補助率を引き上げるなど、待機児童解消に向けた効果的な取り組みを強力に進めてまいります。
 次に、医療や介護のサービスと連携した高齢者の住まいについてでありますが、高齢者が地域で安心して暮らし続けるためには、ひとり暮らしや高齢者夫婦のみの世帯であっても、医療や介護が必要となったときに、適切に必要なサービスが受けられることが重要であります。
 このため、都は、来年度、モデル事業として、診療所や訪問介護事業所等を併設し、それらのサービスの利用支援や見守りなどを行う高齢者専用賃貸住宅の整備事業を実施いたします。
 今後、より効果的なサービスの組み合わせなどの検証を行いながら、望ましい高齢者向け住宅のあり方を事業者に示し、その整備促進に努めてまいります。
 次に、高齢者を見守る地域活動についてでありますが、都では、来年度から、区市町村包括補助事業を活用して高齢者地域見守り事業を開始いたします。
 この事業は、町会、自治会などが中心となって在宅の高齢者を訪問し、その状況や福祉ニーズを把握するとともに、ひとり暮らし高齢者等への見守りや声かけを行うもので、災害時に援護を必要とする方々の把握にも資するものであります。
 都としては、こうした区市町村への支援策を通じ、地域住民が主体となって高齢者を支え合う仕組みの普及に努めてまいります。
 次に、障害者自立支援法の見直し等についてでありますが、都はこれまで、利用者負担の軽減措置の継続や事業者の経営基盤強化などについて、国に積極的に働きかけてまいりました。
 国の見直し案では、利用者負担については現在の軽減措置が継続されるとともに、軽減措置を適用する際の資産要件の撤廃等が新たに実施されます。
 事業者報酬につきましても、本年四月から五・一%の増改定がなされるとともに、法の円滑施行のための基金事業についても、平成二十三年度末まで延長されることとなりました。
 都としては、国において改正内容が決定され次第、速やかに実施できるよう準備を進めてまいります。
 また、都独自の利用者負担軽減策については、平成二十一年度も引き続き実施してまいります。
 次に、第二期東京都障害福祉計画についてでありますが、現在策定中の第二期計画においては、障害者自立支援法に基づく新体系のもとで必要なサービス量を確保できるよう、グループホームなどの基盤整備を加速させることとしております。
 このため、新たに策定いたしましたプラン、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランにより、平成二十三年度までの三年間、整備費の事業者負担を半分に軽減する特別助成を実施し、現行の三カ年プランを上回る約四千二百人分の基盤整備を推進してまいります。
 さらに、入所施設等からの地域移行の仕組みづくりや、障害者の一般就労に向けた職場実習の実施等の事業を第二期計画の中に位置づけるなど、今後とも障害者施策のさらなる向上に努めてまいります。
 最後に、周産期医療対策の新たな取り組みについてでありますが、東京都周産期医療協議会の検討を受け、都は、総合周産期母子医療センターと救命救急センターが密接な連携をとりながら救命処置が必要な妊産婦を必ず受け入れる、いわゆるスーパー総合周産期センターを来月にはスタートさせます。
 また、ミドルリスクの妊産婦に対して緊急診療を行う周産期連携病院も来月指定をいたします。
 さらに、妊産婦や新生児の搬送先選定を円滑に行うため、都全域を対象として搬送調整を行うコーディネーターを設置する予定であります。
 これらの施策に加え、都医師会の協力を得て、周産期母子医療センターの休日診療体制を維持、確保していくなど、さまざまな取り組みを重層的に実施し、リスクに応じた分娩や母体救命など周産期医療の強化を図ってまいります。
 なお、NICUの整備については、近年の低出生体重児の増加等を踏まえ、国の周産期医療と救急医療の確保に関する懇談会において、増床に向けた整備目標の見直しを検討しており、その動向も踏まえ対応してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市づくりビジョンの改定についてでございますが、平成十三年に現行のビジョンを策定して以降、超高齢社会の到来、地球環境問題の深刻化など、都市づくりをめぐる社会経済情勢は大きく変化しております。
 今回の改定では、「十年後の東京」計画に示された都市像を踏まえ、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市を創造することにより、世界の範となる東京の実現を目指してまいります。
 具体的には、経済活力の向上や安全・安心の確保はもとより、環境負荷の低減、豊かな緑や美しい景観の創出に重点を置いた、さらに一段高いレベルの政策誘導による都市づくりの方向を明らかにいたします。
 こうした内容を盛り込んで、来年度の早い時期に改定案として示し、都民等の意見を聞きながら、新たな都市づくりビジョンを取りまとめてまいります。
 次に、外環の事業促進に向けた取り組みについてでございますが、外環事業では、四カ所のインターチェンジ、ジャンクション部で、合わせて約四十ヘクタールの土地の取得、約千棟の建物の移転が必要でございます。
 外環は、国がその責任において整備すべき路線ではありますが、事業の促進に向けては、都も協力して用地を確保していくことなどが重要と認識しております。
 今後も、整備計画策定の動きを見定めながら必要な準備を進め、外環の早期整備に向けて取り組んでまいります。
 また、外環の地上部街路についてでございますが、地上部に計画されている外環ノ2については、地元住民にさまざまな意見があることは承知しております。
 都といたしましては、この道路のあり方については、地元と話し合う必要があることから、地上部街路の取り組みを、早期整備が必要な外環本線とは切り離して進めるべきものと考えております。
 次に、緊急輸送道路沿道建物の耐震化についてでございますが、これまで、助成事業の実施主体となる区市町に対し早期の事業実施を働きかけてきた結果、来年度からは、二十二区市で助成事業を開始できる見込みとなりました。
 また、耐震診断の実施が耐震化の前提となることから、診断にかかわる補助率を引き上げるとともに、改修に向けては、自己負担分にかかわる低利融資制度を創設するなど、財政的支援の一層の充実を図ってまいります。
 今後さらに、倒壊する可能性のある建物が多く立地するなど、優先度の高い路線、区間を選定した上で、都みずからも、関係団体と連携し、重点的かつ積極的に施策を展開してまいります。
 次に、住宅の耐震化についてでございますが、都はこれまで、新たに作成した普及啓発のためのDVDの活用や都内全域におけるキャンペーンの展開などにより、耐震化に向けた機運の醸成に努めてまいりました。
 来年度は、改修事例などの情報をまとめて紹介するポータルサイトを設け、都民が容易にアクセスできるようにするほか、耐震化に係る総合相談窓口を開設いたします。
 また、木造住宅については、中野区や品川区などで実施された戸別訪問、いわゆるローラー作戦が効果的であったことから、より多くの区市などで実施されるよう、来年度以降も取り組みを支援いたします。
 さらに、マンション管理組合における合意形成等を支援する耐震アドバイザー派遣事業も新設いたします。
 これらの新たな施策を加えまして、地震が怖くない東京の実現を目指し、耐震化を強力に推進してまいります。
 次に、都営住宅における子育て支援の強化についてでございますが、少子化が進展する中、都営住宅においても子育て支援はますます重要な課題となっております。
 都は、子育て世帯に対する支援のために、ひとり親世帯等の優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯等を対象にした期限つき入居について、対象となる地域の拡大や住宅の要件の緩和を行うなど、施策の充実に取り組んでまいりました。
 今後は、現在五百戸実施しております期限つき入居の募集戸数を大幅に拡大することなどにより、おおむね十年間で一万五千戸程度を目途に、子育て世帯に対して都営住宅を供給し、積極的に支援してまいります。
 最後になりますが、住宅供給公社の賃貸住宅における子育て支援についてでございますが、都営住宅における取り組みに加え、ご指摘のように、公社の一般賃貸住宅ストックを有効に活用するなど、重層的な取り組みが必要であると認識しております。
 公社は、既に、建てかえ住宅の新規募集の際に子育て世帯に対する倍率優遇の措置を講じておりますが、既存住宅の定期空き家募集においても同様の措置の実施を検討しておりまして、都としても、早期の実現に向けて公社に働きかけてまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、道路整備の財源確保と高速道路料金施策の拡充についてでございますが、首都東京の交通渋滞を解消し、都市機能の向上や都市環境の改善を図るため、外環など三環状道路を初め、幹線道路ネットワークや、あかずの踏切を解消する連続立体交差など、早期整備が不可欠であります。
 あわせて、首都高を初めとする高速道路網が最大限に利活用される料金体系を構築し、これを国策として実施していくことが必要であります。
 このため、都は、道路特定財源の一般財源化に際し、さまざまな要請活動を行った結果、平成二十一年度政府予算案で、これまでの地方道路整備臨時交付金にかわる地域活力基盤創造交付金の創設が打ち出されました。
 また、平成二十年度第二次補正予算案に、生活対策として、高速道路の料金割引が盛り込まれたところでございます。
 今後とも、首都東京の道路整備の推進に必要な財源の確実な配分とともに、首都圏の高速道路料金施策についても、環状道路の利用促進や会社間乗り継ぎ割引の導入など、一層拡充させることを国に強く求めてまいります。
 次に、中小河川の五〇ミリ降雨対策の推進についてでありますが、都民の命と暮らしを守るためには、水害の発生状況等を考慮し、さまざまな工夫のもとに河川整備を効果的に進めていくことが重要であります。
 これまで、河道拡幅や分水路、調節池などの整備を着実に進め、五〇ミリ対策の治水安全度を七五%まで高めてまいりました。
 引き続き、近年水害が発生した神田川や石神井川など整備を促進すべき河川の拡幅を積極的に進めるとともに、道路や河川の地下空間を利用し、古川や白子川の地下調節池や入間川の分水路の整備などを進め、五〇ミリ対策のさらなるスピードアップを図ってまいります。
 加えて、洪水予報を実施するとともに、よりわかりやすくきめ細やかな雨量、水位情報を都民に提供できるよう具体的な検討を開始し、中小河川の安全性の向上に努めてまいります。
 次に、七五ミリ降雨対策に向けての考え方についてでありますが、首都東京をさらに水害に強い都市とするためには、近年の局地的集中豪雨の増加など気候変動の影響も考慮し、中小河川の計画的な整備を進めていくことが重要であります。
 このため、東京都豪雨対策基本方針や東京都技術会議の提言も踏まえ、平成二十一年度から河川整備のあり方の検討を開始いたします。
 具体的には、近年の集中豪雨や既往最大の被害をもたらした昭和三十三年の狩野川台風など、過去の水害の分析と、これまでの河川整備の効果検証を行ってまいります。
 さらに、この検証をもとに、狩野川台風級の一時間七五ミリ降雨を視野に入れ、学識経験者などの意見を踏まえ、局地的集中豪雨の際にも流域間で効果的な運用が可能な調節池の増設など、計画策定に向けた検討を深めてまいります。
 今後とも、安全で安心なまち東京の実現を目指し、関係部局と連携し、河川の整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、救出救助の活動拠点となる都立公園整備の取り組み状況についてでありますが、都は現在、二十七の都立公園について、災害時における役割により、首都圏の基幹的広域防災拠点となる公園、大規模救出救助活動拠点となる公園、ヘリコプター活動拠点となる公園の三種類に区分し、救出救助の活動拠点として整備を進めております。
 まず、基幹的広域防災拠点となる東京臨海広域防災公園につきましては、都立公園と国営公園を一体として整備しており、都立公園区域では、平成二十一年度に災害救助活動を行うための広場などの主要部分が完成いたします。
 国営公園の区域では、発災時に国の緊急災害現地対策本部が設置される本部棟が平成二十年六月に竣工し、訓練の実施など運用を開始しております。
 また、大規模救出救助活動拠点となる舎人公園など十一公園につきましては、大型車両の進入が可能な入り口や広場の整備、防災トイレの設置などによる防災機能の強化を最優先で進めており、平成二十一年度に整備を完了いたします。
 さらに、ヘリコプター活動拠点となる十五公園については、ヘリコプターがより安全に離着陸できる広場の改修などを行い、医療機関に近接する東綾瀬公園など八公園の整備を平成二十三年度までに完了し、残りの公園について、引き続き整備を進めてまいります。
 次に、都立公園の避難場所としての機能の強化についてでありますが、都民の避難場所となる都立公園は、いつ起こるともわからない震災に備え、拡大する火災から都民が安全に避難できるよう整備することが重要であります。
 特に、地震が夜間に発生した場合でも、停電時にも点灯する、公園の入り口を示す表示灯や、避難誘導を兼ねた公園灯などの非常用照明を早急に整備する必要がございます。
 これまで、非常用照明については、避難場所に指定された文化財庭園を除く五十の公園のうち、水元公園など十公園で整備を完了してまいりましたが、残る四十公園についても、平成二十一年度にすべて完了いたします。
 こうした整備に加え、防災トイレの設置や入り口の拡幅などに順次取り組み、公園の避難場所としての機能強化を図ってまいります。
 今後とも、都立公園の防災機能の強化に積極的に取り組み、災害に強い都市東京の実現に努めてまいります。
 最後に、恩賜上野動物園における日本固有の家畜の展示についてでございますが、日本各地の文化や風土にはぐくまれてきた日本固有の家畜は、生活様式の近代化の中で減少の一途をたどっております。
 こうした家畜を動物園において飼育し、来園者、殊に日本の未来を担う子どもたちが触れ合えるよう展示することは、家畜とともに暮らしてきた日本人の生活を知るとともに、絶滅危機の状況を脱する取り組みを応援する上で意義深いことであります。
 このため、上野動物園内の子ども動物園では、現在、トカラウマなど日本固有の馬や牛を五種類展示して子どもたちと触れ合えるようにしており、平成二十一年度には、新たにヨナグニウマを導入する予定であります。
 また、上野動物園が全国の動物園に働きかけを行い、平成二十年五月、日本の主要な動物園が加盟しております日本動物園水族館協会、この総会におきまして、日本固有の家畜の保存の重要性が決議され、各動物園の共通認識となりました。
 今後、各地で繁殖に取り組んでいる家畜の保存会や大学と連携し、種の保存に協力してまいります。
 さらに、来園者が家畜について理解を深めてもらえるよう、家畜本来の働く姿を間近で見せるなど、展示方法の工夫にも取り組んでまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 東京都港湾審議会答申の港湾計画への反映についてのご質問にお答え申し上げます。
 世界的な経済不況が深刻化する中、国際貨物の荷動きが低迷しつつありますが、国際物流の動向を中長期的にとらえ、タイミングを逸することなく東京港の機能強化を進めることが、世界の港湾間競争に勝ち抜く活路となります。
 現在、世界の海上物流におきましては、船舶の大型化とそれに伴う寄港地の集約化が急速に進展しておりまして、大型船が接岸可能な大水深岸壁への再編が不可欠でございます。
 また、中央防波堤地区の新規ふ頭開発では、大井ふ頭に匹敵いたします交通量の発生が見込まれ、背後圏への円滑な物流を確保するための南北交通の強化策が必要となります。
 このため、本年夏を目途に港湾計画を見直し、東京港の整備を着実に進めるとともに、川崎港、横浜港と緊密に連携し、京浜三港が一体となって国際競争力を一層強化してまいります。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 水道の将来像についてでありますが、水道は、首都東京の都市活動、都民生活を支える重要なライフラインであり、現在だけでなく、将来にわたって安定給水を確保することは、水道事業者の使命であると考えております。
 東京の水の将来を考えますと、IPCC、気候変動に関する政府間パネルが、気候システムの温暖化には疑う余地がないと断じているとおり、積雪量の大幅な減少、異常渇水の発生など、気候変動が水資源に及ぼす影響は深刻なものになると予想されております。
 国土交通省国土技術政策総合研究所の試算でも、将来、利根川上流八ダムは、二十年間で五回も枯渇し、その期間は延べ七十六日に及ぶとされております。
 一方、東京の水道は、戦後、急増する水需要に追いつくため拡張を繰り返してきましたが、これらの施設は、間もなく集中的に更新の時期を迎えることになります。
 したがって、今後、施設を更新していくに当たっては、利根川水系のダムの供給能力が現在でも二割低下している状況などを踏まえ、また、今後の水需要の動向も見通した上で、将来のリスクにも不安のない水源の確保や環境負荷に配慮した水道システムなど、長期的なビジョンのもと、新しい水道のあり方をわかりやすく示していくことが必要だと考えております。
 こうした水道施設の将来像について、来年度策定する次期経営計画に合わせ、明らかにしてまいります。
 次に、多摩川上流の水源林についてでありますが、約百年前、乱伐により木々が失われていた水源の山々は、東京市がみずから取り組んだ植林や間伐などの継続的な管理によって、土砂の流出防止や水源涵養の機能の高い緑豊かな森へと生まれ変わりました。
 一方、小河内貯水池上流域の森林の約四割を占める民有林では、長期にわたる林業不振などにより、間伐が行われないことによる樹木の過密化や、伐採後の植林の放棄など、荒廃が進んでおります。
 さらに、近年の気候変動に伴う集中豪雨の増加は、荒廃した山林の表土を削り土砂を流出させ、都民の水がめである小河内貯水池の水質被害をもたらす要因ともなっています。
 都民の貴重な水をはぐくむ水源地を守り続けていくことは、安全でおいしい水を安定的に供給する水道事業者に課せられた使命であります。
 水道局では、平成十四年度に多摩川水源森林隊を設立し、ボランティアと一体となって一部の民有林の保全活動を行ってまいりました。しかしながら、管理放棄による民有林の荒廃が進みつつあることから、水源林の将来を考えますと、みずから所有し、みずから管理していくなど、新たな一歩を踏み出していくことが必要であると考えております。
   〔青少年・治安対策本部長久我英一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(久我英一君) 東京都安全・安心まちづくり条例の改正の目的と今後の対策の展開についてでありますが、繁華街等の安全・安心を確保していくためには、警察、行政による対策に加え、事業者や地域住民等による自主的、継続的な取り組みが重要であります。
 都は、昼夜を問わず安全・安心な繁華街等を形成するための方策を示し、地域ぐるみの防犯活動を推進するため、今回、条例改正の提案を行いました。
 また、今後の対策についてでありますが、平成二十一年度から三年間で、十五の地域において、事業者、地域住民、地元自治体、警察等が一体となって防犯に取り組む組織の立ち上げや防犯カメラの導入などを支援し、繁華街等の防犯対策の充実強化に努めてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院における医師、看護師等の確保、定着に向けた取り組みについてお答えいたします。
 周産期医療を初め、都立病院が都民に対し十全な医療サービスを提供していく上で、医療人材の確保、定着は極めて重要であると認識しております。
 東京都ではこれまでも、医師の大幅な処遇改善、東京医師アカデミーの開講、看護師採用活動の強化など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 その結果、常勤産科医がこの一年で二割以上増加する見込みになるなど、一定の成果を上げつつあります。
 引き続き、産科、救急分野の医師の一層の処遇改善を行うとともに、看護師の二交代勤務や七対一看護基準の積極的導入を進めていくなど、医療人材の確保、定着対策の一層の強化に努めてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 自動車部門の地球温暖化対策についてお答えいたします。
 自動車からのCO2削減をより一層推進するためには、条例の改正とともに、必要な支援を行うなどにより、都民や事業者の理解と協力を得て、その積極的な取り組みを促すことが重要でございます。
 そのため、低公害、低燃費車の導入促進に向けて、中小事業者に対する融資あっせん制度を活用した支援や、電気自動車等の次世代自動車の導入支援を行うとともに、広く事業者と連携し、次世代車の利用推進の機運を盛り上げ、営業活動等での積極的な使用を促してまいります。
 また、事業者への働きかけによる共同配送や公共交通機関と連携したカーシェアリングなど自動車利用の合理化を促進し、交通量の抑制につなげてまいります。
 さらに、事業者団体等によるエコドライブを初めとした適正な運転や整備に向けた取り組みを支援するなど、さまざまな施策を総合的に展開し、自動車部門の地球温暖化対策を強力に進めてまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、土壌汚染対策の安全性の確保についてでございますが、昨年七月にまとめられた専門家会議の提言は、人が生涯この場所に住み続けても健康への影響はないとする極めて安全性の高い内容でございます。
 今回、技術会議で取りまとめた土壌汚染対策は、この専門家会議の提言を確実に実現するとともに、地下水を敷地全面にわたって早期に環境基準以下に浄化し、また、当該域内に仮設の汚染処理プラントを設置し、周辺地域への影響を抑制するなど、より高いレベルで安全性を確保する内容となってございます。
 ベンゾ[a]ピレンにつきましては、操業時の地盤面から下の土壌を二メートルすべて入れかえることに加え、それより深い部分につきましては、油膜が見られる汚染土壌は加熱処理などを行うことにより、健康影響のおそれがないよう対策を行うこととしております。
 不透水層が確認できなかった地点につきましては、今後、周辺の調査を行い、実態を把握した上で、対策時に当該地点の汚染状況を確認しながら、土壌や地下水中の汚染物質を確実に除去した後、人工的に不透水層を形成することとしております。
 こうした対策は、技術会議及び専門家会議において確認されており、安全性は十分に確保されます。
 次に、東京ガス株式会社との協議についてでありますが、今般、豊洲新市場の整備方針を定め、土壌汚染対策の内容や費用が確定したことから、今月十九日、副知事から東京ガス株式会社に対し、都が実施する土壌汚染対策経費の一部負担について協議の申し入れを行い、開始する運びとなりました。
 これまで同社は、平成十年から十四年にかけて土壌汚染調査を行い、十四年に環境確保条例に基づき処理計画を提出して対策を実施いたしました。その後、同社は、新市場予定地について、都と協議しながら、平成十七年から当初計画を上回る対策を実施し、十九年に完了届を提出したことにより、条例に基づく手続を完了してございます。
 一方で、その後の都の詳細な土壌汚染調査により、豊洲新市場予定地には、ベンゼンやシアン化合物等の都市ガス製造に伴う汚染物質が存在することが確認されております。
 また、今回取りまとめた土壌汚染対策は、生鮮食料品を扱う市場用地という観点から、安全を高いレベルで確保するため、法令が求める以上に手厚い内容となっております。
 今後、都及び東京ガス株式会社との間で、まずこれまでの経緯、土壌汚染の状況、都が行う土壌汚染対策の内容等を確認し、負担に関する基本的な考え方を整理、調整した上で、それらを踏まえて具体的に協議をしていくことになります。

○議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
 午後三時三十八分休憩