平成二十一年東京都議会会議録第一号

平成二十一年二月十八日(水曜日)
 出席議員 百二十三名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君

 欠席議員 二名
三番    米沢 正和君
百二十七番 渡辺 康信君
 欠員
五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

 二月十八日議事日程第一号
第一 第一号議案
  平成二十一年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成二十一年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成二十一年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成二十一年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成二十一年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成二十一年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成二十一年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成二十一年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成二十一年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成二十一年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  平成二十一年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
  平成二十一年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
  平成二十一年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成二十一年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
  平成二十一年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
  平成二十一年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
  平成二十一年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
  平成二十一年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  平成二十一年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
  平成二十一年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成二十一年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成二十一年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成二十一年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成二十一年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成二十一年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成二十一年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成二十一年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  平成二十一年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  平成二十一年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
  住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都育英資金条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  教育職員免許法関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都医師奨学金貸与条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  東京都福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都介護福祉士等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都入港料条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都漁港管理条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都営空港条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  火薬類取締法関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都立公園条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  警視庁留置施設視察委員会の設置に関する条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都医学系総合研究所(仮称)(二十)Ⅱ期新築工事請負契約
第八十二 第八十二号議案
  東京都医学系総合研究所(仮称)(二十)Ⅱ期新築電気設備工事請負契約
第八十三 第八十三号議案
  東京都医学系総合研究所(仮称)(二十)Ⅱ期新築空調設備工事請負契約
第八十四 第八十四号議案
  都立産業技術研究センター(仮称)(二十)新築電気設備工事(その二)請負契約
第八十五 第八十五号議案
  都立産業技術研究センター(仮称)(二十)新築空調設備工事(その二)請負契約
第八十六 第八十六号議案
  環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十一─環二西新橋工区)請負契約
第八十七 第八十七号議案
  平成二十年度ドラグサクション式しゅんせつ船製造請負契約
第八十八 第八十八号議案
  包括外部監査契約の締結について
第八十九 第八十九号議案
  清掃工場建設工事に係る損害賠償等請求控訴、同附帯控訴事件に関する和解について
第九十 第九十号議案
  全国自治宝くじ事務協議会への岡山市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第九十一 第九十一号議案
  土地の売払いについて
第九十二 第九十二号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第九十三 第九十三号議案
  平成二十一年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第九十四 第九十四号議案
  平成二十年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第九十五 第九十五号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第九十六 第九十六号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第九十七 第九十七号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
第九十八 第九十八号議案
  平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)
第九十九 第九十九号議案
  平成二十年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百 第百号議案
  平成二十年度東京都一般会計補正予算(第五号)
第百一 第百一号議案
  東京都消費者行政活性化基金条例
第百二 第百二号議案
  東京都安心こども基金条例
第百三 第百三号議案
  東京都妊婦健康診査支援基金条例
第百四 第百四号議案
  東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都ふるさと雇用再生特別基金条例
第百六 第百六号議案
  東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例
第百七 諮問第一号
  地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく審査請求に関する諮問について

 午後一時開会・開議
○議長(比留間敏夫君) ただいまから平成二十一年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。
○議長(比留間敏夫君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
    十三番 原田  大君 及び
   六十六番 崎山 知尚君
を指名いたします。
○議長(比留間敏夫君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 平成二十一年二月十日付東京都告示第百四十三号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案百七件の送付がありました。
 次に、知事及び監査委員並びに各行政委員会より、平成二十一年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、平成二十年第四回定例会の会議において同意を得た教育委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成二十一年二月十日付で、平成二十年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、平成二十年随時監査、平成二十年財政援助団体等監査二件、平成二十年行政監査、平成二十年工事監査及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。
(別冊参照)
○議長(比留間敏夫君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成二十年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一五ページ)に掲載〕
○議長(比留間敏夫君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月二十七日までの三十八日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十八日間と決定いたしました。
○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 平成二十年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、平成二十年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定いたしました。
 ここで、鈴木啓之包括外部監査人の出席を求めます。
   〔包括外部監査人鈴木啓之君入場、着席〕

○議長(比留間敏夫君) ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 鈴木啓之さんでございます。
   〔包括外部監査人あいさつ〕

○議長(比留間敏夫君) 本日は、ご多忙のところ、監査結果報告の説明のためご出席いただき、まことにありがとうございます。
○議長(比留間敏夫君) この際、知事より、平成二十一年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十一年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 ことしの正月、この国の行く末にかつてない危機感を持って、知事としての十年目の新年を迎えました。
 世界各地で頻発する気象の異変が警告するように、地球環境の循環は大きく狂い、もはや取り返しのつかない事態が刻一刻と迫りつつあります。さらには、未曾有の経済危機が各国を襲い、その震源地米国は唯一の超大国としての地位を低下させており、世界は多極化の度を増しております。
 このように、人類は、みずからつくり出した文明社会の発展ゆえに生起した数々の難題によって、その存在や尊厳を致命的に脅かされており、混迷を脱するためには新しい秩序を創造していかなければなりません。
 しかし、秩序の創造に当たり、日本がどのような役割を果たすかを問われながら、国政は、危機感に乏しいまま別次元での内向きな議論に終始しており、日本がこれからどこに進むかさえも定かではありません。国民は、みずからの将来を見通すことができずに、強い不安と危惧を感じて、いら立ちを募らせているのであります。
 一方、都政は、この十年間、文明社会が直面する難題が最も先鋭的にあらわれた東京という現場を踏まえ、明確な目標を掲げ、新しい発想による政策を確固たる決意で進めてまいりました。
 環境分野を例に挙げるならば、動きの遅い国にかわって、八都県市で協力して実現したディーゼル車排出ガス規制により、文明発展のあしき副産物ともいうべき大気汚染を急速に、かつ大幅に改善することもできました。また、多量消費社会が排出したごみから成る埋立地を美しい森へと生まれ変わらせる画期的な取り組みも行っております。さらに、昨年には、子や孫への責任を果たさんとする志を胸に、CO2排出総量の削減義務化と排出量取引制度の導入を決め、大都市における地球温暖化対策の端緒を切り開きました。
 この十年間、東京は、大きな流れを見きわめながら日本の再生の起点となり、新しい秩序の創造にもつながる取り組みを進めてまいりました。今、この国に必要なのは、こうした大きな視点に立って、みずからの未来をみずからの手で切り開き、国民に希望を取り戻すことであります。
 しかし、今の国政にはそれを望むべくもありません。ゆえにも、日本のダイナモたる東京から、この国の羅針盤となる取り組みを積み重ねて、国政を動かしていきたいと思っております。
 未来をみずからの手で切り開くためには、都民、国民の生活に甚大な影響を及ぼしている現下の経済危機を一刻も早く突破しなければなりません。そして、危機の先に日本のさらなる発展の軌道を見出し、今後の文明社会が進むべき道筋をも示す二十一世紀の都市モデルをつくり上げていかなければなりません。
 眼前の危機に果断に対処しつつ、未来を見据えた取り組みも重層的、複合的に行って、都民、国民に希望を指し示してまいりたいと思います。
 まず必要なのは、経済危機の影響が端的にあらわれている雇用問題への対応や、苦境にあえぐ小零細企業への支援であります。
 雇用情勢は厳しさを増しており、全国の製造業の派遣、請負労働者約百万人のうち、約四十万人がことし三月までに職を失う可能性があるとの業界団体による見通しも出されております。都は、国に先駆けた二度の補正予算で迅速に対策を講じ、即効薬として、都が行う公共事業による雇用の創出に取り組んでおります。
 近年進んだ働き方の多様化には、光と影の側面がありまして、みずからの条件に合わせ柔軟に働き方を選択できるようになった反面、就職氷河期世代に代表されるように、やむなく非正規で雇用された方々は、十分なスキルを習得できず低所得の生活を余儀なくされております。また、国の雇用保険制度などは実態と乖離しており、早急に改めるべきであります。
 こうした状況を踏まえ、実効性のある雇用対策を緊急に実施してまいります。東京しごとセンターなどをフル回転させるとともに、正規雇用に向けたスキルを身につける機会をふやし、非正規雇用者向けの職業訓練の対象年齢を拡大するほか、仕事との両立が可能な夜間訓練も新設いたします。加えて、来年度から、就労経験のある若者が学び直すことを支援する再チャレンジ応援奨学金制度も首都大学東京において実施いたします。
 失業者の増大は憂慮すべき問題でありますが、人手不足が続く介護分野では人材を得やすくなり、大企業に比べて採用に苦戦してきた小零細企業も有為な人材を採用することが可能となります。
 そこで、離職者千人に対して、介護資格の取得や介護職場への就職を支援してまいります。また、内定を取り消された学生を含む新規学卒者を対象に、人材を求める企業を幅広く集めて合同就職面接会を開催するなど、雇用のミスマッチの解消にも取り組んでまいります。
 資源のない日本にとって人は活力の源であり、人口減少の時代を迎え、その意味合いはさらに増加しております。社会の活力を高めるためにも、意欲のある若者、意欲のある者の挑戦や再挑戦を多様な方法で後押ししたいと思います。
 日本経済を支える小零細企業も、その痛手は極めて深刻であります。
 切迫する小零細企業の資金繰りを支えるため、昨秋から実施している緊急保証制度など制度融資を拡充するとともに、都と地域の信用金庫や信用組合等が連携して、現在厳しい経営環境にある小零細企業が新たに資金を調達できる仕組みを創設いたします。また、機械設備担保融資制度も創設し、不動産担保や個人保証だけに頼らない新しい資金調達ルートをつくってまいります。
 経済危機を乗り越えるためには、危機の先を見据えて、経営力の強化や生産性の向上など、発展の基盤づくりを行うことも重要であります。このため、都と中小企業振興公社や東京商工会議所など、小零細企業を支える組織がスクラムを組んで、経営力向上TOKYOプロジェクトを立ち上げてまいります。経営指導員が来年度中に二千社を訪問して経営改善を助言するほか、低利なリース方式を活用した最新設備の導入、共同受注や共同仕入れのためのグループ化などの取り組みを支援いたします。
 毎年、東京都ベンチャー技術大賞ではすぐれた技術が数多く見出されておりまして、東京にも日本にも、宝のような技術がまだまだ眠っております。そこで、都が率先して斬新な発想を生かした新製品を購入し、機能、品質等を実証するなどして、小零細企業の販路開拓を支援してまいります。
 経済危機に加え、国の医療制度のほころびへの不満や少子高齢化社会への不安などが相まって、都民、国民は閉塞感を強めております。都民、国民に将来への展望を取り戻すためには、日々の生活を支える医療を立て直し福祉を充実させるなど、安全と安心の確保もゆるがせにできません。
 近年、国の政策の失敗により、小児科、産婦人科を中心に医師不足が深刻化し、医療の足元が揺らいでおり、昨年、東京でも、出産をめぐる大変痛ましい事態が発生いたしました。これを受けて、周産期連携病院の指定を三月に行うなど対策を進めているほか、複数の診療科が連携して、母体救命処置が必要な妊産婦の救急搬送依頼を必ず受け入れる、いわゆるスーパー総合周産期センターの創設にも取り組んでおります。さらに、東京都周産期医療協議会と庁内横断組織のプロジェクトチームが連携しまして、さまざまな角度から周産期医療体制を検証しております。
 来年度、都立病院において総合周産期母子医療センターを、区部では大塚病院に開設し、多摩では、府中市に来年三月開設予定の多摩総合医療センターと小児総合医療センターとが一体となって運営してまいります。あわせて、分娩や救急業務に対する手当を新設するなど、医師の処遇を一層改善し、診療体制の充実に必要な人材の確保を一段と強化してまいります。
 都民の命綱である救急医療でも、この十年間で、医師不足などから救急医療機関が約二割減少する一方、救急患者の搬送件数は約三割増加しており、立て直しは急務であります。
 昨年末には、現場に精通した医師等から成る救急医療対策協議会で救急医療の東京ルールを策定いたしました。都内二十四カ所に、地域の病院間の連携や患者搬送の調整を行う東京都地域救急センターを整備するほか、消防庁の指令室に、地域間の病院搬送を集中的に調整するコーディネーターを配置いたします。また、いわゆるコンビニ受診に代表される救急医療の安易な利用を減らす啓発活動も行い、貴重な医療資源をより有効に活用してまいります。
 いつ発生してもおかしくない新型インフルエンザは、一たび発生すれば、爆発的に世界じゅうに広がることは必至でありまして、これに備えて、都は独自に抗インフルエンザウイルス薬の備蓄等に取り組んでおります。また、感染拡大を防ぎ被害を最小限に抑えるには、都民一人一人が正しい知識や予防方法を身につけることも求められます。そのため、リーフレットや車内広告などさまざまな方法により必要な知識を普及し、都民、国民の意識を高めてまいります。
 いざ発生した際に社会機能を維持するためには、十分な危機管理体制と社会的規制策を整えておかなければなりません。そこで、学校の休校や交通機関の運行自粛等について、おくれている法令整備を急ぐよう国に強く求めるとともに、都独自の対応策についても検討しております。また、都政の事業継続計画であるBCP、ビジネス・コンティニュイティー・プランを全国に先駆けて策定し、区市町村にもBCP策定のガイドラインを示し、事業者の策定も支援するなど、社会全体でさまざまな手だてを講じてまいります。
 世界に類を見ない速さで超高齢社会を迎える東京では、六年後の平成二十七年に要介護認定者数が五十万人を超えると見込まれております。また、ひとり暮らしの高齢者も増加していることから、在宅サービスを担う企業やNPOなどが集積する東京の強みを生かして、地域で介護、医療、見守りなどを提供するネットワークを構築しなければなりません。
 認知症高齢者グループホームの定員も、平成二十三年度までに六千二百人に増加させ、地域包括支援センターの機能強化も引き続き進めてまいります。来年度は、夜間緊急時の電話対応や地域住民による訪問活動を新たに開始して、見守り機能を強化し、高齢者の不安を解消いたします。
 また、高齢者が住みなれた地域で不安なく暮らし続けるために、介護と医療のより密接な連携が必要であります。このため、診療所や訪問介護事業所等を併設した高齢者専用賃貸住宅の整備に着手するほか、病院と在宅医療との橋渡しが円滑に行われる仕組みもつくってまいります。
 これまでも、子育ての不安を解消し、その喜びや魅力を感じられる社会を実現するため、保護者の多様なニーズにこたえるべく施策を充実させてまいりました。特に、大都市の実情に合わせて国の基準を緩和して創設した都独自の認証保育所制度は、約四百施設が既に設置され、定員一万三千人を超えるまでにもなりまして、都民の子育てに欠かせないサービスに成長しております。
 従来、大都市のニーズに応じて、利便性が高い駅前での施設を設置を進めてまいりましたが、今後は、大規模マンションの建設により子育て世帯が増加している地域など、より広い範囲でのニーズに応じた設置を促進いたします。また、待機児童の多いゼロ歳から二歳を中心に定員を拡充し、病児、病後児の保育も充実するなど、よりきめ細かい対策に取り組んでまいります。
 中学三年生までの医療費助成については、本年十月から助成内容の拡大を図り、安心して産み育てることができる環境をより一層充実させてまいります。
 医療や福祉と並んで、建物の耐震化にも取り組み、いつか必ず来るであろう大地震への備えも固め、安心と安全を確保していかなければなりません。
 子どもたちを守り、近隣住民の避難場所確保にもつながる公立小中学校の耐震化は喫緊の課題でありまして、計画を前倒しして平成二十四年度までに完了し、中でも、倒壊の危険性が高い校舎については、二十二年度までに完了するよう、区市町村を支援いたします。また、災害時の避難路、輸送路となる緊急輸送道路沿道の建物について、耐震診断、改修に対する補助や、新しく創設する低利融資制度などにより、耐震化を促進してまいります。
 耐震化は、行政の取り組みもさることながら、何よりも都民の自発的な行動が必要であります。耐震化推進都民会議を中心に、耐震化への機運を高めるとともに、都民が安心して専門家に相談できる総合相談窓口を新設し、加えて、旧耐震基準のマンションには専門家の派遣を開始するなど、都民を多角的にサポートしてまいります。
 東京都は、人類の存亡にかかわる課題として地球環境問題に取り組み、低炭素型都市の実現を目指して、国に先駆けた先進的な政策を進めてまいりました。
 経済危機が世界じゅうを襲う中、これまで国際的な温暖化対策にブレーキをかけてきた米国が、遅きに失したとはいえ、環境をてこにした経済政策に動き出しております。経済と環境をトレードオフの関係でとらえてきた文明観の転換にもつながる重要な変化でありまして、地球環境問題への対応いかんが社会の発展を左右する時代がようやく到来したと思っております。
 このため、東京は、環境の世紀のトップランナーを目指して、日本を次なる発展の軌道に乗せるべく、新しい市場の形成を後押ししてまいります。
 本年は、次世代自動車の本格的な市場投入が始まります。事業者と連携しながら、営業車としてはもちろん、レンタカーやカーシェアリング等での活用を進め、五年程度で一万五千台の普及を目指すこととあわせ、都独自に自動車税と自動車取得税を免除し、普及に弾みをつけてまいります。
 また、太陽エネルギー利用機器の普及に向け、家庭の背中を押す新たな助成制度も、いよいよ本年四月からスタートいたします。
 もとより、CO2を削減する取り組みの効果は目に見えにくいことから、人々の意識は十分に高まっているとはまだいえません。そこで、臨海地域を舞台に、先進的な環境技術を活用した取り組みを集中展開することで、CO2排出削減の効果を都民がわかりやすく実感できるエネルギー利用や交通などのモデルをつくってまいります。民間事業者と連携して太陽光発電設備を集中設置し、船舶のアイドリングストップを日の出ふ頭で実施するほか、電気自動車のための急速充電スタンドの設置や、環境に優しいレンタサイクルの実証実験なども行います。具体的なモデルを東京から示して、都民、国民の興味、関心を刺激して、低炭素型都市への流れを加速させていきたいと思います。
 温暖化の影響を軽減するためには、CO2排出量を削減していくことが何より重要ですが、地球環境の異変がもたらす自然災害や水不足、食料不足に関する適応策にも取り組まなくてはなりません。昨年十月のC40東京会議で合意した適応策に関する共同行動について、東京都が率先して取り組みを進めてまいります。また、本年には、気候変動が東京に及ぼす影響や課題について本格的な調査、分析に着手いたします。
 昨年十一月のアジア大都市ネットワーク21総会で議題となった局地的集中豪雨の対策も着実に進めてまいります。洪水予報システムを整備し、インターネットなどを通じて住民に警戒情報を提供するほか、大規模な地下街周辺における下水道施設の能力も引き続き増強するとともに、白子川では地下調節池の整備を進めてまいります。
 経済危機にある日本の活路を開き、次なる発展へと導くには、日本の頭脳部、心臓部である東京のインフラへの投資も力を尽くさなければなりません。日本の牽引役としての役割を十二分に果たしていくことができるように、都市の機能を大幅に向上させる必要があります。
 現在、羽田空港では新滑走路の建設が着々と進んでおります。都はこれに無利子貸付を行っておりますが、近年、物価高騰により資材価格が上昇したことから、国は貸し付けの増額を求めてまいりました。
 羽田空港は、我が国の将来を左右する重要なインフラでありまして、新滑走路の供用開始がおくれることがあってはなりません。仮におくれるならば、東京のみならず日本全体に非常に大きな損失をもたらすため、国の要請に応じることにいたしました。これにより、来年十月の供用開始を確実に実現するとともに、昼間の国際線をさらに増加し、就航都市も一層拡大することを国に強く求めてまいります。
 横田基地の軍民共用化も、空のアクセス充実に不可欠であります。首都東京に我が国最大級の滑走路がありながら、それがほとんど使われないまま、六十年以上も他国が独占使用しているのはまさに理不尽であります。
 米国に対して強く要求し、ようやく昨年、空域の一部返還を実現いたしました。首都圏上空の飛行ルートが大幅に改善され、燃料削減などの経済効果は年間九十八億円にも上ります。さらに、共用化が実現すれば、増大する航空需要への対応が可能となるばかりか、米国の新政権が重視する日米の同盟関係の強化にも大きく寄与するものであります。日米双方のメリットを掲げながら、米国の新政権に対して共用化を強く働きかけてまいります。
 空の玄関口とともに重要なのが港でありまして、大消費地である首都圏の物流を支えるインフラとしての機能を強化し、国際間競争を勝ち抜かなければなりません。昨年、川崎港、横浜港と結んだ基本合意を土台に、将来的には東京湾にかかわるポートオーソリティーを設立するなど、京浜三港を一体化してまいりたいと思います。四月からコンテナ船入港料の一元化を開始するほか、京浜三港の共同ビジョンを来年度じゅうに策定してまいります。
 東京の致命的な弱点であります交通渋滞が引き起こす非効率は、東京と日本の発展の大きな障壁であります。そこで、都内を走る車が、お盆や正月並みにスムーズに走行できることを目指しまして、道路整備を着実に進めております。平成十九年十二月に中央環状新宿線の新宿─池袋間が開通したことによりまして、首都高のピーク時の渋滞の長さが約二割減少いたしました。また、昨年十二月、中央環状品川線では、平成二十五年度の全線開通に向けてシールドトンネルの掘削が開始され、ことしに入っても、首都高速晴海線の東雲ジャンクションから豊洲までの区間が開通し、都心と臨海部のアクセスが向上しております。
 外環道については、沿道地域において、都市計画変更後も八十回を超える住民との話し合いを重ねておりまして、機は熟しております。あとは、高速道路建設の意思決定を行う国土開発幹線自動車道建設会議を開催し、事業着手に踏み出すばかりであります。先週、私みずから国土交通大臣を訪ね、この会議を一日も早く国が開催するよう強く求めてまいりました。速やかな決断を今こそすべきであると思います。
 また、道路財源についても、新たに創設される地域活力基盤創造交付金が東京に確実に配分されるよう、国に強く求めてまいります。
 今後も、日本を牽引する東京の力をより引き出し、東京を一段と効率的で快適な都市とするために、三環状道路を初め、道路ネットワークの充実強化を促進してまいります。
 日本の牽引役であります東京は、経済危機を乗り切り、この国を再生へと導くだけではなく、より高いレベルの成長を遂げた、美しく住み心地のよい都市へと変貌し、二十一世紀の都市モデルとならなければなりません。それには、都市としての魅力により磨きをかけていくことも重要であります。
 都市の成熟のためには、豊かな緑を欠かすことができません。東京を緑あふれる都市に再生するため、本定例会に提案した自然保護条例等の改正による緑化計画書制度と開発許可制度の強化に加え、多彩な取り組みによって、新しい緑の創出と今ある緑の保全を推進してまいります。
 都民に身近な街路樹については、目で見て楽しむことのできるように、樹木の種類や美しい樹形など、質を重視して整備を進めておりまして、東京マラソンのコースなどで、都民の皆様から託されたマイツリー約一千本を植栽しております。また、道路や河川などを緑の軸とし、その整備を契機とした周辺まちづくりにおいて、緑あふれるオープンスペースや良好な景観などを創出し、広がりと厚みのある緑を形成してまいります。
 新たな緑の創出とあわせて、屋敷林や農地など既存の緑も守らなくてはなりません。守るべき緑を明確化し、戦略的に保全するため、区市町村と合同で、来年三月末を目途に緑確保の総合的な方針を取りまとめてまいります。
 豊穣な歴史や独自の文化もまた、都市の魅力を高め、さらなる成熟に寄与いたします。東京は、浮世絵や歌舞伎などの伝統文化をはぐくみ、かつアニメなどのポップカルチャーといった、世界の他都市にない特色ある文化を生み出してきました。都では、こうした文化基盤の厚さを生かして、伝統文化を身近に体験する東京大茶会や、東京発の国際的舞台芸術の祭典であるフェスティバルトーキョー、映像文化の最先端を紹介する恵比寿映像祭など、さまざまな分野で芸術文化イベントを実施しております東京文化発信プロジェクトを展開いたしております。
 今後とも、プロジェクトを発展させ、東京はさらに高いレベルの成熟した文化都市を目指して、国内外に向けた文化芸術の創造、発信を行ってまいります。
 東京には、顔となるさまざまな文化施設も豊富に存在します。上野恩賜公園にはホールや複数の美術館、博物館があり、まさに文化の一大集積地であります。こうした資源を生かして、文化と歴史を体感できる、さらなる魅力にあふれた文化の森として再生していきたいと思います。今年度末までには再生基本計画を策定し、来年度からは、魅力的で多様な文化イベントを開催できる広場の整備に取り組んでまいります。老朽化の著しい東京都美術館についても、文化の創造、発信拠点としての機能向上を図るため、三年後の全面リニューアルオープンを目指して改修を進めてまいります。
 東京と日本の未来を開くには、次代を担う優秀な人材を育てなければなりません。そのためには、子どもたちの知力、体力、忍耐力をバランスよく鍛えなければなりません。
 ゆとり教育の弊害による学力低下が懸念される中、昨年策定した児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)の実践研究の推進校を指定し、この指導基準を活用して、基礎、基本を定着させ、応用力も伸長させる、具体的な授業改善に取り組んでまいります。
 また、体力は、学力と並んであらゆる活動の源でありまして、意欲や気力といった精神面の充実にも深くかかわっております。子どもたちにとって、スポーツを通じて、体を鍛えることはもちろん、挫折や達成感などさまざまな経験を積むことは、人生の跳躍台となるに違いありません。
 先般公表された、子どもたちの体力に関する全国調査では、東京の子どもたちの体力低下が著しいことが明らかになりました。まことに残念であります。そこで、来年度、その原因を分析して、指導のための目標や計画を作成するほか、スポーツ教育推進校を二百校に拡大して、子どもたちの体力を向上させてまいります。また、中学生がみずからの努力と仲間とのチームワークによってたすきをつなげる東京駅伝を開催いたします。さらに、顧問教員の不足から休廃止するおそれのある中学校の部活動に外部指導員を招聘して、子どもたちが健康な肉体と健全な精神を涵養する機会を充実させてまいります。
 次に、多摩・島しょ地域についてであります。
 多摩・島しょ地域においても医師不足は深刻化しております。多摩・島しょの公立病院などに、都が採用した東京都地域医療支援ドクターを来年度から順次派遣いたします。また、島しょなどでの医療従事者を求める医療機関と就職を希望する医療従事者との効果的なマッチングを目指して、今月から、職業安定法に基づく職業紹介に都がみずから乗り出してまいります。
 多摩地域は、電子、電気機器や精密機器などのすぐれた開発力や事業化能力を持つ企業や、最先端の研究を行う大学、研究機関の集積地でありまして、東京のみならず日本を支える一大産業拠点であります。多摩地域の中小零細企業の経営力強化や技術力の高度化を図るために、来年度、昭島市に多摩産業支援拠点を開設いたします。
 多摩地域の産業力を一層強化して、人と物の円滑な流れを支えるためには、動脈となる道路の整備が必要不可欠であることから、圏央道や多摩を南北に結ぶ幹線道路の整備などに取り組んでまいりました。来月末には、調布保谷線の中央自動車道から東八道路付近までの区間が利用可能となります。都と市が連携協力して都道の整備を進める新みちづくり・まちづくりパートナー事業も、来年度から七年間にわたり行ってまいります。
 これらの施策を含め、このたび、多摩の総合的な振興策となる多摩振興プロジェクトを策定いたしました。今後とも、多摩のさらなる発展に向けて取り組んでまいります。
 東京から混迷に活路を見出し、その先に二十一世紀の都市モデルをつくり上げていくために、都政はその底力を問われております。
 経済危機は都財政にも深刻な影響を与えておりまして、来年度は七千五百億という過去最大の税収減が見込まれます。これに対して、都政は萎縮するのではなく、今なすべきことを確実に果たすことによって、都民に安心をもたらし、希望を指し示さなくてはなりません。
 そこで、都民の不安を取り除くために迅速に対応し、危機克服への新たな活力を生み出し、そして東京の将来をつくるための中長期的な取り組みなどを確実に進めるべく、平成二十一年度当初予算案を編成いたしました。その中では、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九のための経費五千九百七億円を全額計上し、投資的経費も六・二%伸ばしております。
 今回、巨額の税収減に見舞われながらも積極的な予算が編成できたのは、この十年間、職員定数を約二万人削減し、監理団体をほぼ半減させるなどの内部努力とともに施策の見直しも行うなど、たゆまぬ努力を積み重ね、基金も蓄えて、都財政の体力を回復してきたからにほかなりません。無定見に借金を重ねる国との差は明らかでありまして、過去十年間で国債残高は七五%ふえているのに対して、都債の残高は二五%減少しております。
 もとより、この経済危機がどこまで深く、どこまで長く続くかは予断を許しません。今後とも継続的に都民サービスを提供していくためには、これまでの蓄えに安易に頼るのではなく、新しい公会計制度も活用しまして、施策をより効率的、効果的なものに練り上げるなど、引き続き行財政運営のレベルアップを図ってまいります。
 都の戦略的な行財政運営と対照的に、昨年度、国は、地方交付税を削減し地方を困窮させたみずからの責任を棚上げにして、都市と地方の対立をあおり、地方を助けると称して法人事業税を一部国税化して、都から三千億もの財源を奪いました。
 到底納得できるものではありませんでしたが、地方には国の税制改正を阻止するすべがないことから、あくまでも暫定措置にとどめさせ、かわりに、日本の発展につながる首都東京の重要政策への協力を取りつけました。これを受けて、実務者協議会を設け精力的に交渉を重ね、羽田空港のさらなる国際化、東京港トンネルの平成二十一年度着工、認証保育所で実施する休日・夜間保育事業への国庫補助導入など、首都東京と日本の可能性をより一層広げる合意を国から引き出しました。
 ところが、今般の経済危機に伴って、大幅な税収減による地方の困窮が一層深まる中、国は地方交付税の総額自体が不足している現実を認め、来年度予算において、赤字国債の発行等により一兆円を復元せざるを得なくなりました。都市の財源を奪うという小手先の手法では何ら問題の解決にならず、地方の財源不足は国の責任で解消すべき課題であることが改めて明らかとなったのであります。
 問題の解決につながらないばかりか、税の原則にもとり、地方分権にも逆行する法人事業税の一部国税化を、国は直ちに撤廃するように求めてまいります。
 次に、築地市場の豊洲移転について申し上げます。
 豊洲新市場の予定地の土壌汚染対策については、生鮮食品を取り扱う市場用地として食の安全・安心を高いレベルで確保するために、今月六日、技術会議の提言に基づき、世界に誇る日本の先端技術を複合的に活用した土壌汚染対策を取りまとめました。この対策による土壌汚染対策費用は、一般的な技術、工法に比べて大幅に経費が縮減され、総額で約五百八十六億円と試算されております。
 今後、都民、国民や市場関係者が安心できる十全な対策を着実に講じながら、平成二十六年十二月の開場に向け、豊洲新市場を、時代のニーズにこたえ、将来に向かって発展する新しい基幹市場として整備してまいります。
 次に、新銀行東京について申し上げます。
 新銀行東京は、金融庁検査を踏まえ、さらなる経営改善を進めております。第三・四半期決算では、中小企業向けの融資が着実に増加しておりまして、純資産は再建計画を上回る内容となっております。都としては、今後も新銀行東京が再建計画を着実に達成できるよう、引き続き経営の監視と支援を行ってまいります。
 昨日、新銀行東京の経営悪化に係る法的責任を究明するため、新銀行東京が外部の弁護士に依頼して進めてきた調査の結果とその後の対応について公表されました。これにより、旧経営陣時代における経営上のさまざまな問題と誤った判断による損失の拡大が、具体的かつ詳細に明らかにされております。今後の司法の場における解明を見守ってまいります。
 いよいよ、本年十月にコペンハーゲンで開かれるIOC総会で、二〇一六年オリンピック・パラリンピックの開催都市が決定いたします。国の財政保証を得たほか、今月十二日には立候補ファイルをIOCに提出するなど、準備は着実に進んでおります。残り二百二十五日、渾身の力を振るってゴールを目指し、夢と感動をもたらすオリンピック・パラリンピック開催を日本に持ち帰りたいと思っております。
 オリンピックは、人間がつくり出す劇の中で最も美しい劇であります。その感動がもたらすものは比類なきものであり、国家や民族の垣根を越えて、努力を通じた自己変革、公正さ、他者を尊重すること、夢を追求することのすばらしさを広く浸透させて、人々を結ぶのであります。
 日本は、戦後六十年以上にわたり一貫して平和を堅持し、数多くの分野で人類の成長と繁栄を支えてまいりました。その日本で再び東京大会を開催することによって、民族、国家間の協調を培い、世界を一つに結んでいきたいと思います。
 また、今触れたように、東京は環境問題への先進的な取り組みを積み重ねてまいりました。こうした東京こそが、スポーツによって世界の心が一つとなり、人類が直面する課題を共有できるオリンピックを通じて、地球の健康を取り戻す具体的な道筋を全世界に示し、変化の潮流をつくり出し得るのであります。
 世界じゅうの注目を集める大会の舞台を整えるために、きれいな空気と豊かな水、そして、さわやかな風を運ぶ緑にあふれた、水と緑の回廊をつくり上げてまいります。最先端技術を駆使したカーボンマイナスオリンピックを実現した低炭素型都市東京は、二十一世紀の都市モデルとして、後の世代に大きな遺産となるに違いありません。
 一方、今日の日本において、経済危機や国政の混乱のみならず、暗く凄惨な事件の続発など、日本人の価値観の紊乱にまで至る根の深い試練に直面しております。こうした試練に立ち向かうには、国民全体が共有できる夢と希望に満ちた目標が必要です。オリンピック開催は、二十一世紀の坂の上の雲となり、その試練を克服するよすがとなるのであります。
 先月発表された世論調査では、全国で七割を超える方々が東京開催を支持しております。十代の若者たちの支持率が一番高く、日本の将来を担う彼らこそオリンピックを熱望しているのであります。ぜひとも彼らにオリンピックをみずからの目と耳と肌で体験させ、若者たちにとって人生の大きな糧となり、この国を背負っていくための礎ともなる心の財産を贈ってあげたいと思います。それは、日本の新しい歴史を造形することにもつながり、また、我々大人たちが果たすべき次の世代への責任の履行でもあります。
 こうした思いで、日本だからこそできる新しいオリンピック・パラリンピックの開催を実現していきたいと思います。今般提出した立候補ファイルにも記したように、東京大会の開催を通じて、全世界が直面している難題を克服し、その新しい連帯を進んでいく決意であります。
 どうぞ、都議会の皆様、都民、国民の皆様のお力添えを心よりお願いいたします。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案三十二件、条例案五十七件など、合わせて百七件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして施政方針表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
 警視総監米村敏朗君。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) 都内の治安状況についてご報告いたします。
 警視庁では、昨年、安全・安心なまち東京の実現を基本方針として、都民の皆様や東京都などの関係機関、団体のご支援、ご協力をいただきながら、北海道洞爺湖サミットに伴う各種警備対策や犯罪抑止総合対策、重大交通事故防止対策など、さまざまな治安課題に全庁を挙げて取り組んでまいりました。
 その結果、おおむね都民生活の安全を確保することができたと考えておりますが、以下、その状況と今後の対応についてご報告いたします。
 第一は、犯罪抑止総合対策の推進についてであります。
 初めに、都内における犯罪の発生状況について申し上げます。
 昨年の都内の刑法犯の認知件数は、戦後最悪を記録した平成十四年の約三十万二千件から六年連続して減少し、二十一万二千百五十二件となりました。特に侵入窃盗は、戦後最少の約一万一千件まで減少しました。
 この二十一万二千件という数値は、日本が世界で最も安全だといわれていた昭和四十年代の水準に達するものであり、数値的に見れば、治安はおおむね回復したといえる状況にあります。
 しかしながら、その一方で、都民生活に関する世論調査で、治安対策が五年連続して都政への要望のトップを占めるなど、都民の治安に対する不安感には依然として大きなものがあります。
 こうしたことから、警視庁におきましては、本年も昨年と同様に、都民が身近に不安を感じる八つの犯罪を重点犯罪として指定し、検挙対策と防犯対策を徹底することによって、体感治安を一層改善してまいりたいと考えております。
 以下、その具体的な対策について申し上げます。
 その一は、振り込め詐欺の撲滅に向けた対策についてであります。
 今日の喫緊の治安課題の一つは、振り込め詐欺の撲滅であります。警視庁においては、昨年八月に、副総監を長とする振り込め詐欺緊急対策本部を設置し、九月、十月の二カ月間にわたり特別緊急対策を実施しました。とりわけ、十月を振り込め詐欺撲滅月間と位置づけ、都内約一千カ所のATM警戒、メディアを含めた官民一体となった被害防止の呼びかけを行ったほか、検挙活動を強化して、その抑え込みを図りました。これにより、十月以降の被害は大幅に減少し、発生は下火となりましたが、昨年一年間の認知件数は約三千七百件と前年をやや上回り、被害額も約六十億円に及んでおります。
 現在、今月を振り込め詐欺撲滅月間に指定し、最近顕著に見られる、バイク便や宅配便を悪用して被害者から直接現金をだまし取る手口に対する検挙方策を講じるなど、対策の強化を図っているところであります。
 振り込め詐欺対策につきましては、今後とも、東京都を初めとする行政機関、金融機関や電気通信事業者等の関係団体、振り込め詐欺被害防止アドバイザー等のボランティアの方々との連携を維持しながら、検挙と防犯の両面から諸対策を強力に推進してまいります。
 その二は、街頭警察活動の強化についてであります。
 昨年は、社会を震撼させる無差別殺傷事件が全国で多発し、都内においても、秋葉原や八王子などで六件発生しました。いずれの事件も、交番勤務員等が素早く立ち上がり、発生直後に被疑者を検挙することができました。
 この種事案は、特定の個人的関係を動機とするものではなく、いわば社会を標的とした犯罪であることから、都民の体感治安に与える影響にも著しいものがあります。その発生を抑止することは、警察のみならず社会全体の問題でもありますが、警察におきましては、街頭警察活動を強化して、繁華街等における警戒活動を高めるとともに、現場における被疑者の早期検挙に万全を期してまいりたいと考えております。
 その三は、重要、特異事件の検挙についてであります。
 昨年、特別捜査本部を設置して捜査を進めた重要、特異事件は十五事件ありましたが、さきに触れました秋葉原における無差別殺人事件や、元厚生省事務次官等をねらった殺人未遂事件など十三事件を解決いたしました。その一方で、八王子市におけるスーパー事務所内けん銃使用強盗殺人事件や、上祖師谷三丁目における一家四人強盗殺人事件等の重要事件が未解決となっております。
 この種事件の検挙は、都民の体感治安に直結する重要な課題であることから、引き続き懸命な捜査を展開して、被疑者を確実に検挙してまいります。
 その四は、銃器、薬物対策の推進についてであります。
 都内におけるけん銃発砲件数は、平成十三年の五十八件をピークに減少傾向にありますが、昨年も四件の発砲事案が発生するなど、銃器情勢は依然として都民生活に脅威と不安を与えております。こうした中、昨年は、暴力団が管理する武器庫を摘発するなどして、けん銃七十五丁を押収いたしました。
 また、薬物事犯につきましては、覚せい剤、大麻等約二百五十六キログラム、MDMA等錠剤型合成麻薬約七千九百錠を押収し、二千七百五十七人を検挙いたしましたが、違法に密輸、密売された薬物が一般社会に広く拡散していることが懸念されます。特に、ゲートウエードラッグともいえる大麻事犯は、検挙者の半数以上が三十歳未満で、また、その九割が初犯者であるなど、若者を中心に乱用のすそ野が広がっており、より依存性の強い覚せい剤等への乱用が危惧されるところであります。
 銃器、薬物対策につきましては、東京都や税関等の関係機関との連携を強化して、その社会的害悪について積極的に広報啓発を行うとともに、あらゆる法令や捜査手法を駆使して、水際での摘発、密輸、密売グループの壊滅、不法所持者及び末端乱用者の検挙を徹底してまいります。
 その五は、盛り場総合対策の推進についてであります。
 だれもが安全で安心して楽しめる盛り場環境を実現するため、新宿歌舞伎町、池袋、六本木、渋谷の四地区を中心に、重点的かつ戦略的な盛り場総合対策を実施してまいりました。その結果、昨年は、多くの違法性風俗店やカジノ店を閉鎖に追い込んだほか、キャバクラ等の執拗な客引き行為等を規制するいわゆる改正迷惑防止条例を適用するなどして、約百六十人を検挙いたしました。
 今後も、継続的な取り締まりを推進するとともに、関係機関や商店街振興組合等と連携しながら、盛り場環境のさらなる浄化に努めてまいります。
 その六は、安全・安心なまちづくりを実現するための防犯活動の強化についてであります。
 防犯ボランティア団体は、防犯意識の高まりとともに年々増加し、現在では約三千八百団体、十五万人を超える規模となりました。犯罪抑止総合対策を開始した平成十五年末と比べますと、団体数で約二十五倍、人員数で約十一倍に増加しております。各地域の防犯ボランティア団体による防犯パトロールや子どもの見守り活動などが犯罪の抑止に大きく貢献していることは、ご承知のとおりであります。
 警視庁では、これら防犯ボランティアの活動を支援するため、有効な情報の提供、連絡会議の定期的な開催、合同パトロールの実施などをさらに積極的に推進してまいります。
 また、子どもや女性の安全を一層確保するため、体制を強化して、いわゆる声かけやつきまとい等の前兆的事案への対応を強めるとともに、不審者情報をより広く都民に提供するなど、施策の充実にも努めてまいります。
 第二は、暴力団及び来日外国人犯罪組織等に対する取り締まりの推進についてであります。
 指定暴力団六代目山口組は、今や都内第三の勢力となり、松葉会等の在京暴力団と友好関係を構築するなどして着実にその活動範囲を広げる一方、繁華街等の利権をめぐり、住吉会と緊張関係を生じさせております。
 また、近年、暴力団は、取り締まり逃れや資金獲得のために組織実態を隠ぺいする傾向を一層強めており、都内における暴力団情勢は依然として厳しい状況にあります。このため、昨年は、山口組に対する集中取り締まりを実施するなどして、その実態を解明するとともに、暴力団員等四千七百九十五人を検挙いたしました。
 また、暴力団と結託して強盗や薬物の密輸、密売を敢行するなど、暴力団と並ぶ組織犯罪の担い手となっている来日外国人犯罪組織に対しましては、偽装結婚、旅券偽造等の犯罪インフラ事犯を解明するなどして三千五百七十二人を検挙したほか、東京入国管理局と連携するなどして、二千八百八十六人の不法滞在者を摘発いたしました。
 今後も、戦略的かつ効果的な諸対策を講じるとともに、徹底した取り締まりを行って、これら犯罪組織の壊滅に努めてまいります。
 第三は、交通安全対策の推進についてであります。
 昨年は、交通死亡事故死者数を二百五十人以下とすることを目標として、高齢者と二輪車を重点とした交通安全教育や広報啓発活動を推進するとともに、悪質、危険性、迷惑性の高い交通違反の指導取り締まりを徹底してまいりました。その結果、都内の交通事故は、発生件数、死者数、負傷者数のいずれも前年より減少し、とりわけ死者数については、二百十八人と戦後最少を記録いたしました。
 しかしながら、今なお多くのとうとい命が失われていることから、本年は、昨年の死者数をさらに下回ることを目標として、交通死亡事故のさらなる減少に取り組んでまいります。
 また、違法駐車問題につきましては、放置車両確認事務を民間委託する制度を導入したことにより、都心部の幹線道路を中心に違法駐車が減少したほか、導入当時に比べて渋滞長が一九・五%減少するなどの効果があらわれてきました。本年四月からは多摩地区においても放置車両の確認事務を民間委託することとしておりますが、これにより、都内全域において渋滞緩和が一層進むと見込んでいるところであります。
 今後も、安全で快適な交通社会の実現に向け、効果的、総合的な交通対策を講じてまいります。
 第四は、テロ、ゲリラの防圧検挙と震災等大規模災害に対する迅速、的確な対応についてであります。
 その一は、国際テロ対策の推進についてであります。
 昨年のサミット警備におきましては、国際テロを初めとする不法行為を完全に封じ込めることができましたが、国際テロは依然として世界各地で発生しており、昨年十一月にインド・ムンバイで発生した同時多発テロ事件では、日本人を含む多くの犠牲者が出ました。
 国際テロ対策につきましては、今後も徹底した実態把握、関連情報の収集、分析を行い、重要施設、公共交通機関、繁華街等に対する警戒力を高めてまいります。
 また、行政機関、事業団体、企業等により構成されるテロ対策東京パートナーシップ推進会議等と連携しながら、テロを許さない社会づくりにも努めてまいります。
 その二は、極左暴力集団及び右翼対策の推進についてであります。
 極左暴力集団は、自衛隊の海外派遣や在日米軍再編等に反対しており、近県において飛しょう弾を発射するゲリラ事件を敢行するなど、武装闘争に取り組む姿勢を示唆しております。
 また、右翼は、国家の基本的諸問題を運動の中心に据え、各種抗議、要請行動等に取り組んでおりますが、今後、経済や外交政策を初めとする政治情勢に敏感に反応して活動を活発化させることが懸念されます。
 昨年は、極左活動家等七十人、右翼構成員等百二十六人を検挙しましたが、極左暴力集団、右翼によるテロ、ゲリラ事件を防圧検挙するため、引き続きその動向に十分な関心を払いつつ、各種対策を強力に推進してまいります。
 その三は、オウム真理教対策についてであります。
 オウム真理教は、全国十五都道府県に三十カ所の拠点施設と約千五百人の信者を擁しており、うち都内には五カ所の拠点施設が存在し、約六百三十人の信者が居住しております。
 現在、教団は、松本智津夫の影響力の払拭を装う上祐派と、松本智津夫を絶対視する主流派が対立し、分裂状態にあります。しかしながら、いずれも依然として松本智津夫の強い影響下にあり、治安に対する危険性を具備していることから、今後も関係機関等と緊密に連携しながら、教団に対する警戒活動を続け、組織的違法行為があれば厳正に対処する方針であります。
 その四は、震災等大規模災害への対応についてであります。
 昨年、都内では大規模災害の発生はなかったものの、国内外では、中国四川大地震や岩手・宮城内陸地震などが発生し、警視庁からも直ちに国際警察緊急援助隊や広域緊急援助隊を派遣して救出救助活動に当たりました。
 切迫性が指摘されている首都直下地震を初め各種大規模災害に備え、引き続き実戦的な訓練を反復、継続して職員の対応能力を高めるとともに、地域や事業所等との合同の避難訓練等を通して自主防災意識の向上を図るなど、地域と一体となった災害に強い地域社会の実現に努めてまいります。
 その五は、新型インフルエンザ対策についてであります。
 世界的に発生が危惧されております新型インフルエンザに的確に対応するため、昨年、警視庁に新型インフルエンザ対策委員会を設置し、行動計画を策定するなど、危機管理体制を確立するとともに、関係機関との連携強化や合同訓練の実施などを推進してまいりました。
 本年は、防護衣や防護マスク等の装備資器材の配備等に努め、事態対処能力を一層高めることとしております。
 第五は、少年非行総合対策の推進についてであります。
 刑法に触れる犯罪少年の数は年々減少する傾向にありますが、昨年の街頭犯罪に占める少年の割合は約四割でありました。特に、オートバイ盗の約九割、ひったくりの約五割は少年によるものでありました。
 こうした状況を踏まえ、昨年は、少年犯罪が多発する盛り場等を中心に街頭補導活動を強化し、約一万五百人の非行少年を検挙、補導する一方、約三百六十の非行集団等を解体しました。
 今後も、スクールサポーター制度や児童・生徒の健全育成に関する警察と学校との相互連絡制度を効果的に運用するなどして、少年の非行防止と立ち直り支援を推進してまいります。
 最後に、犯罪被害者に対する支援活動についてであります。
 犯罪行為により精神的、経済的打撃を受けた被害者やその遺族に対しましては、社会がその立場を正しく認識し、温かい支援を行っていくことが重要であります。警察におきましてはこれまで、被害者からの相談受理、病院や裁判所への付き添い等の支援活動を行うとともに、診断料等の公費支出制度の充実に努めてまいりました。また、新たな事務として、昨年十二月に施行されたいわゆるオウム犯罪被害者救済法に基づく給付金支給のための申請受理と裁定を行っているところであります。
 今後も、東京都を初め各自治体、関係機関等と緊密な連携を図りながら、犯罪被害者の心情に配意した支援活動を推進し、社会全体で犯罪被害者を支え、思いやる機運が醸成されるよう努めてまいります。
 以上、都内の治安状況について申し上げました。
 警視庁としましては、「街とともに。人とともに。FOR MORE COMMUNICATION」を警察活動を行う上でのマインドとして、頼もしい警視庁を体現し、指数治安のみならず体感治安の改善を図ることによって安全・安心なまち東京を実現してまいる決意であります。
 東京都議会の皆様には、なお一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、治安状況の報告とさせていただきます。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。
 監査委員こいそ明君。
   〔六十五番こいそ明君登壇〕

○六十五番(こいそ明君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間に実施した監査の結果について報告申し上げます。
 ご承知のとおり、監査委員の役割は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されるよう監査することであります。年間を通じて、定例監査、行政監査、工事監査、財政援助団体等監査、決算審査、住民監査請求など多岐にわたる監査を実施しております。それらに加え、昨年は、初めて算定された財政健全化判断比率や資金不足比率の審査も行いました。
 それでは、監査の結果についてご報告いたします。
 この一年間は、七百七カ所で監査を実施し、問題点の指摘は二百七十六件、指摘等の合計金額は約六億二千五百万円でありました。
 まず初めに、定例監査から申し上げます。
 定例監査は、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査です。本庁のすべての部と事業所の約半数、計四百八十三カ所を対象に行いました。その結果、都立病院の新財務会計システムの開発に当たり、事前に仕様調整や動作検証を十分に行えば、約一億四千万にも上る追加開発は必要なかったこと、また、都営住宅の退去者に対する保証金等の返還に当たり、利便性向上のために銀行の口座振替制度を導入することなどを指摘いたしました。
 また、今回は、特命随意契約について重点的に監査しました。その結果、他の事業者による履行が可能であり、競争により契約すべきであるにもかかわらず安易に特命随意契約としているものなど、不適切な事例が三十七件認められました。
 各局に対し、特命随意契約が制度の趣旨を踏まえて適切に運用されていることを絶えず検証し、契約の公正性、経済性の確保に努められるよう求めました。
 このほか、今回初めて、定例監査の中で監査委員がトップインタビューを行い、各局の幹部職員に、事業環境や運営方針などについて確認をしました。総じて各局長においては、局を取り巻く事業環境や課題を的確に把握し、使命感を持って業務の遂行に当たっていることを改めて認識することができ、監査委員として大変有意義でありました。
 次に、行政監査について申し上げます。
 行政監査は、都の特定の事務や事業を対象として、経済的、効率的、効果的に行われているかという観点を主眼として行う監査であります。今回は、本庁舎や事業所などの庁舎の管理と青少年の健全育成の二点について監査を実施いたしました。
 庁舎の管理については、火災や地震などに対する安全対策並びに省エネルギーや地球温暖化への取り組みといった環境対策の観点を中心に検証しました。その結果、災害発生時に什器、備品類の転倒、落下を防止するための措置が不十分である、避難通路の確保がなされていない、また、PCB廃棄物や薬品類の保管状況が不適切であるなどの事例が多くの事業所で見受けられました。
 これらは、個々の事例としては軽微に見えても、放置しておけば人命にかかわる結果をもたらすこともあり、各局に対して、庁舎の安全対策に万全を期すとともに、世界で最も環境の負荷の少ない都市を実現するため、環境対策に率先して取り組んでいくよう求めました。
 次に、青少年の健全育成についてであります。
 青少年の健全育成に係る施策は、事業局が密接な連携を図りながら取り組む必要があるため、各局間の連携や役割分担等が適切か、関連する事業間の調整は適切に行われているかという観点から検証いたしました。監査の結果、青少年の健全育成を図るため、自立の支援に関する施策と非行防止等に関する施策について、なお一層の工夫や検討を求めました。
 次に、工事監査について申し上げます。
 工事監査は、百万円以上の工事を対象として、その約一割、一千八百六十件について実施しました。指摘の多くは工事費の積算の誤りです。
 東京ビッグサイトの屋根防水工事において、誤って次年度の工事範囲の分まで加えて計算をしたため、積算額が約一千六百八十万円過大となったものなど、合計で三十八件、約一億七千万円の過大積算を指摘しました。
 このほか、環境への負荷軽減等の観点から、東京都建設リサイクル推進計画等に基づき、公園の道路舗装において環境負荷の少ない再生材の利用に努めることについて検討を求めました。
 さらに、今回、設計変更を重点監査事項として検証した結果、施工内容を変更する際、契約変更手続を適切に行っていない事例や、業務の繁忙期に入力ミスがあった事例などが認められたため、チェック体制の充実、組織の支援体制の整備、強化などを求めました。
 次に、都の出資団体や補助金交付団体に対する監査について申し上げます。
 監査を実施したのは、出資団体十四カ所及び補助金交付団体百六十八カ所であります。
 出資団体の監査では、東京都新都市建設公社の土地区画整理事業に係る交付金の中で、公社が負担する必要のない消費税相当分約二千三百万円が含まれていたため、返還を求めました。
 また、補助金交付団体である私立学校や社会福祉施設に対して、過大に交付された補助金の返還を求めました。
 次に、決算審査について申し上げます。
 平成十九年度決算について、決算計数を確認するとともに、予算執行や資金管理、財産管理の面からも検証しました。その結果、財産に関する調書において、建物で約三万三百平方メートル、土地で約一千二百平方メートルの過大登載等の誤りがあり、現在高の把握を適正に行うように求めました。
 次に、地方財政健全化法に基づき、算定、公表が義務づけられている健全化判断比率及び公営企業など十三の会計における資金不足比率の審査について申し上げます。
 健全化判断比率については、実質赤字比率、将来負担比率などすべての比率は良好であり、資金不足比率についても、すべての会計において資金不足は生じていないことが認められました。
 次に、随時監査について申し上げます。
 昨年、会計検査院の検査で、十二道府県で公共事業に関する国庫補助事務費について不正経理が発覚しました。このため、国費関連の事務費に係る経理が適正に行われているのか、緊急に監査を実施いたしました。監査の結果、数回に分けて先に物品を納入させ、翌年度にまとめて契約関係の書類を作成している事例や、契約上の物品と実際に納入された物品が異なっていた事例など、不適正な契約実態が認められたため、契約事務全般についてのチェック体制の強化と再発防止策を講じることを求めました。
 ここで、監査結果に対する改善状況について申し上げます。
 これまで述べてきた監査は、指摘した問題点が改善されて初めて目的を達成します。このため、各局には、指摘を受けてどのように改善したかの報告を求めています。過去三年間に行った指摘等七百六十七件については、これまでに八四%が改善されています。
 このほかに、平成二十年には住民監査請求が二十三件あり、そのうち、交通局職員の職免取得を違法としてその取り消し等を求める件など、請求が法的要件を満たしている五件について監査を実施いたしました。
 以上、この一年間に実施した監査について述べてまいりました。監査の結果、総じていえることは、事業の実施に当たり、コスト削減に向けての努力が足りず、不必要な経費を支出していることです。また、従来の仕事の進め方について不断に見直すことを怠り、事業環境の変化に十分対応していない事例も見受けられました。
 管理者の皆様には、職場のさまざまな課題に即応できる高度な知識や能力を備え、都民サービスをさらに向上させる気概にあふれた職員の育成に努められるよう望みます。
 世界的な金融危機の影響により景気は後退し、都税収入は大幅な落ち込みが予想されております。今まで以上にむだを排し、効率的、効果的に事業を推進していかなければなりません。
 私ども五名の監査委員は、都政が公正かつ効率的に運営されるよう、これからも監査委員の使命を全力で果たしていく決意であることを申し上げ、報告を終わります。(拍手)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、包括外部監査人より、平成二十年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人鈴木啓之さん。
   〔包括外部監査人鈴木啓之君登壇〕

○包括外部監査人(鈴木啓之君) 平成二十年度包括外部監査人の鈴木啓之と申します。
 平成二十年度は、主税局の徴収事務について、補助者十一名とともに監査を行い、十件の指摘事項と三十件の意見を監査報告書に記載いたしました。
 今回の監査は、滞納額及び不納欠損処理の中から約三百七十五億円、五百十二人員の個別案件の監査と、税務総合支援システムの監査を実施いたしました。個別案件の監査のうち、指摘事項及び意見を記載したものは約七億七千二百万円、十二人員であり、個別案件監査全体の約二%でありました。金額、人員数とも非常に少なく、都の滞納整理事務は高いレベル水準でありました。
 本日は、監査報告書の指摘及び意見の主な事項についてご説明申し上げます。
 滞納額及び不納欠損処理の個別案件監査において、滞納者との接触が長期間放置されている事例がありました。現在あるシステムの簡易プログラム機能を有効活用するとともに、交渉記録の入力を徹底させて、効率的滞納管理を実施することが必要であるといたしました。
 平成十九年度、百万円未満の不納欠損額は約五十八億円あり、全体の四四%を占めております。こうした欠損処理したもの以外に、五年以上滞納している長期累積案件は約八億円あります。徴収すべきものを、少額なるがゆえに放置して時効とすることは避けなければなりません。各事案の課題を明らかにして、対応を定めて、早期に処理していくことが必要であるといたしました。
 不動産取得税は、他の税目より徴収率が低く、滞納となる時点で既に会社が倒産している事例がありました。特に、昨今、不動産業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあり、経営危機にあると判断される企業については、緊急賦課の方法を活用して、課税部門と徴収部門はより連携を強化して早期徴収に努めることが必要であるといたしました。
 滞納額に比べて意図的に著しく低い分納額しか支払わない法人に対しては、捜索等を念頭に置いて、対応の強化が必要であるといたしました。
 滞納者の税の執行を停止する財産調査において、担当者の習熟度に差異があり、手続の標準化と報告書の記載方法の改善が必要であるといたしました。さらに、都税事務所によって停止後の調査の金額基準に差異があり、税の公平性の観点から、基準の統一が必要であるといたしました。
 次に、税務総合支援システムの監査においては、システムに入るパスワードについて、安易に成り済まし入力等がなされないように、定期的に、一定の条件を満足するパスワードに変更することが必要であるといたしました。
 緊急利用時にアクセス記録が記載されていないことから、維持管理会社の作業記録を残すことが必要であるといたしました。
 セキュリティー関連規程の間で整合性を欠くものがあり、規程の整備と改定が必要であるといたしました。
 かなり機密性の高い情報が外部記録媒体に保管されておりますが、USBメモリー、FD、フロッピーディスクといった外部記録媒体の管理が不十分であり、改善すべきであるとともに、個人情報の漏えいを防ぐために、税務にかかわる個人データはファイルサーバーへの保管の徹底が必要であるといたしました。
 コンピューター室にはスプリンクラーがセットされておりますが、作動する前に消火対応しないと、放水によってサーバー等が故障して税務事務が中断するおそれがあります。ガス系消火器で初期消火をすることが重要であり、その訓練が必要であるといたしました。
 都税事務所のサーバー室も、スペースの関係で用紙や文書の倉庫と共用しているところもあり、入退室管理が十分でなく、かぎの保管方法も含めて改善が必要であるといたしました。
 以上が主な指摘事項及び意見であります。
 以上をもちまして、平成二十年度の包括外部監査の監査結果のご報告といたします。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。
○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十九日から二十三日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十九日から二十三日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、二月二十四日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時二十七分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二〇財主議第四八七号
平成二十一年二月九日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十年第四回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   後藤雄一議員
   そなえ邦彦議員
   河野百合恵議員
   斉藤あつし議員
   植木こうじ議員
   石毛しげる議員
   大山とも子議員

平成20年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  後藤雄一

質問事項
一 出荷保証書の提出義務について
二 伊豆諸島の港湾工事の契約について
三 ジェネリック医薬品の周知について
四 都営住宅の共益費・集会室について
五 公務員の告発義務について

一 出荷保証書の提出義務について
 都庁で使うフラットファイルなどの文房具は、会計管理局が財務局契約第2課を通し単価契約で入札(見積)・契約し、各局(事業所)に納入させている。
 財務局において今年9月17日に「フラットファイルA4S 外20点の買入れその2(単価契約)」として入札(1回目)が行われ、株式会社ホサカが2位の株式会社ミクニ商会より「25,808,100円」も安く入札し採用された。(1位/株式会社ホサカ 131,466,340円 2位/株式会社ミクニ商会 157,274,440円 3位/有限会社リエゾン・オフィス 163,294,000円 4位/美津濃商事株式会社 167,688,300円 5位/浅野商事株式会社 177,769,990円 6位/株式会社ノエス 199,454,000円)
 しかし、上記見積経過調書の備考欄には、「採用者の株式会社ホサカが契約の締結を辞退したため、平成20年9月30日に不調とした。(平成20年10月1日追記)」と書かれ株式会社ホサカが辞退していることが分かった。
 契約の所管局である会計管理局に事情を聞くと、『契約を確実に履行させる為に、「メーカーから業者に対して確実に出荷します」という出荷保証書を落札業者から提出させている。しかし、株式会社ホサカは今回納入を予定していたメーカーから、出荷保証書の提出を断られたため、辞退すると申し出があった。』と説明する。
 確かに仕様書には「出荷保証書を添付すること」との項目がある。
 しかし今回契約した文房具は、スーパーの文房具コーナーや、ネットでも格安に販売されているものと同じ商品だ。
 当然のことだが、品質不良等やその他契約違反があった場合には「誠実かつ速やかに対応すること」と明記されており、出荷保証書など必要ないと考える。今回、会計管理局が「出荷保証書」を仕様書に入れた為、2,500万円も安く納入するという業者を辞退に追い込んでしまったと考える。
 都財務局は、9月30日の株式会社ホサカの辞退を受け、同じ案件名で「2回目の入札」を10/14に発表した。しかし、2回目の仕様書を精査すると、前回の出荷保証書の提出義務付けに加え、「メーカーが梱包した製品を納品すること。」との文言が加えられメーカーへの縛りを強くしている事が分かる。
 これでは、入札参加業者に対し「メーカーと事前によく連絡を取ってから、入札に参加しろ」というものであり、メーカーと契約しているのと同じことになる。
 2回目の入札は、1回目の入札で2位になった株式会社ミクニ商会が落札している。
 業界関係者から出荷保証書の提出義務付けを、「官製談合の温床になっている」という声がある。
1 株式会社ミクニ商会が契約しようとしたメーカーは出荷保証書を書いたが、株式会社ホサカが契約しようとしたメーカーが出荷保証書を書かなかった理由を、会計管理局はどのように考えているか伺う。
2 東京23区で出荷保証書の提出義務付けしている区があるか伺う。
3 出荷保証書だけでなく、荷姿・梱包まで指定した理由を伺う。
4 官製談合の温床となりかねない、出荷保証書の提出、そして荷姿・梱包の指定を廃止すべき、と考えるが見解を伺う?
二 伊豆諸島の港湾工事の契約について
 伊豆諸島で港湾工事を行う場合、そのほとんどが観光シーズンに重なり、観光客に不快な思いをさせている。港湾局は、会計年度独立の法則があり、契約の準備に入るのが新年度の4月以降になることから、工事期間が7月~9月の台風シーズンの前までということになってしまう、という。
 一方、伊豆諸島の産業は何といっても観光である。そして、離島振興計画においても、「伊豆諸島は、豊かな海洋資源、変化に富んだ自然景観、時がゆったり流れる素朴な生活、固有の歴史・文化、伊豆諸島ブランドといわれる独自の特産品など、魅力あふれる地域資源に恵まれている。さらに、一つひとつの島が、それぞれまったく異なった顔を持ち、訪れる人の好みに応じた多様な選択肢を提供することができる個性に満ちた地域である。しかも、これらの島の交通手段は直に東京の都心地域と結ばれている。言い換えれば、伊豆諸島は、首都圏において都市活動のけん騒とともに暮らす三千三百万の人々にとって、短時間で訪れ、日常生活と異なる別世界を体験できる広大なテーマパークともいうべき存在なのである。これらのことから、本計画においては、伊豆諸島全体を「非日常的癒し空間」と位置づけ、そこに存在する地域資源のポテンシャルを引き出し活用するとともにこれを持続的に発展させていくことにより、本地域の自立を実現していくものとする。」と書かれている。
 にもかかわらず、都港湾局は、4月契約、工事期間7~9月の港湾工事を当然とし、観光振興に対して無視し続けている。
 伊豆諸島の港湾工事について、観光シーズン前までに工事が完了するよう、前年度契約、4月~7月中旬までに工事が完了するよう債務負担行為を用いた契約に変更するべき、と考えるが見解を伺う。
三 ジェネリック医薬品の周知について
 先日都民の方から行革110番に以下の告発があった。
 『文京区の薬局でジェネリック医薬品を頼んだところ「当店では扱っていない」といわれた。しかしほとんどの薬局がジェネリック医薬品を扱っていると聞いていたので、ジェネリック医薬品を再度頼んだところ「因縁を付けた」と勘違いされたらしく警察に通報された。その後、薬局は間違いを認めた謝罪・解決した。薬局にジェネリック医薬品について周知を徹底させてほしい。』
 ジェネリック医薬品は、新薬の特許制限がなくなった後、同じ成分・同じ効き目で製造販売される医療医薬品のこと、厚生労働省の審査を通過して承認され大きさや味など、飲みやすくなるよう工夫されている。開発期間が短く開発費が少ないため価格が安く、生活習慣病など長期にわたって治療が必要な病気ほどコストに差が出る。当然、個人の薬代負担を軽くするだけでなく、医療費全体を抑制する為にもジェネリック医薬品の拡大が望まれる。
 欧米では、特許が満了した1ヵ月後には約80%がジェネリック医薬品に替わる薬もあるほど、ジェネリック医薬品は一般的な存在というが、日本の現状はまだまだだ。それも、周知が足らないのが原因のようだ。
 すべての薬にジェネリック医薬品があるとは限らず、医師に相談する事が必要だ。
 2008年4月から処方箋様式が変更により、「後発品への変更不可」というチェック欄が設けられた。ジェネリック医薬品の名称が記載されていなくても、「後発品への変更不可」欄に医師のサインがなければ、薬剤師と相談の上、患者が薬を選ぶことができるようになった。
 都福祉保健局のホームページには、ジェネリック医薬品についての説明はあるが、ジェネリック医薬品を利用する事で、個人負担、強いては医療費全体を抑制する効果があることの記載がない。
1 都のホームページに「ジェネリック医薬品を利用する事で、患者の個人負担、強いては医療費全体を抑制する効果があること」を明記し、患者に使用を促すようにすべき、と考えるが見解を伺う。
2 また、患者への周知だけでなく、薬局への啓発を含め薬局内へのポスター等の掲示を指導すべきと考えるが、見解を伺う。
四 都営住宅の共益費・集会室について
 荒川区南千住にある都営住宅の住民から、集会室を自治会長等が独占的に使用し、使用願いを出しても拒否されている、と住宅供給公社に苦情が出された。
 行革110番が公社に事実関係を確認すると、公社は自治会長に集会室を適正に使うよう指導する為に、何度も電話・FAX等で対応したが応答がない。都市整備局に指導してもらうしかない、という。都市整備局担当者は「本件ケースはまれであり、公社から内容証明郵便で催促し、その後対応を考える」というが、困ったものである。昨年、世田谷区池尻団地でも不適正な集会室の使用が判明したが、今は改善されている。他の団地は大丈夫だろうか、
1 集会室が公平に利用出来きないような団地では、公社が鍵を管理し公平さを担保する対応をすべき、と考えるが見解を伺う。
 この南千住都営住宅の自治会費(共益費は込み)は月/3,000円で、自治会長は「東京都から自治会費を3,000円にしろと指導を受けた」と団地住民に説明している、と聞く。また、近隣団地自治会も同じことを言っていると聞く。
2 都市整備局・住宅供給公社から、自治会長等に対し自治会費を3,000円にしろと指導したことがあるか伺う。指導していなければ、その旨をこの自治会長にはっきりと告げるべき、と考えるが如何か?
 多くの都営住宅で共益費を払わない住民が増え、自治会長等が困っているとケースが増えていると聞く。
 上記荒川区南千住の自治会では、自治会費の使途が不透明であるとしてトラブルになり自治会を脱退した住民等が「共益費」を払うとしても、自治会長が受け取らないという、全く逆さまの事態まで起こっている。
 都市整備局が共益費の集金を自治会長に丸投げしている姿勢は、無策・責任放棄であり、都営住宅の管理を怠っていることになる。
3 都営住宅の住む住民から共益費を適正に納めてもらう為に、東京都は払わない住民、受け取らない自治会長に対し厳正に指導・対処すべき、と考えるが見解を伺う。
五 公務員の告発義務について
 刑事訴訟法第239条第2項では「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と規定されており、東京都職員は、職務の執行に際し発見した事実を告発する義務があると考える。
 告発するか否かについても、公立中学校での生徒の喫煙などいまだ生活指導の余地ありとして、教育上の見地から告発をしない等は別にして、「本来捜査機関によって判断されるべき事由、例えば、被疑者の再犯のおそれ、改悛の情の有無等を判断して、これによって告発するか否かを決めたり、その他自己の職務と関係のない事由によってこれを判断したりすることは、許されない」ものと解されていることは承知している。
1 都職員の犯罪行為により、都が被害にあったケースで、告訴・告発したケースは多々あると考える。
 都が、過去3年間に警察・検察等に告訴・告発した件数を伺う。
 平成20年11月27日、行革110番は「交通局の職員組合である東京交通労働組合/本部職員が長年にわたり公文書に虚偽の内容を記載し、給与を騙し取っていた詐欺事件」を警視庁 西警察署に「虚偽公文書作成、同行使、詐欺事件」を告発し受理された。今後、交通局に捜査が入ると聞いている。
 上記東京交通労働組合/本部職員の苦情処理等の記載でのヤミ専従は、平成14年に行革110番が公営企業委員会で追求し、交通局は是正させると約束していた事案である。
 しかし昨年、このヤミ専従が改善されず続いているとの告発が寄せられ、行革110番の調査し監査請求を行ったところ、交通局も事実を確認し給与相当額を返還させている。
 上記の通り本件は極めて悪質な事件である。
 交通局長は、前述の通り刑事訴訟法239条2項で告発義務を負っている。また、交通局は「犯罪は許さない」とステッカーまで貼って犯罪撲滅に取り組んでいるところである。
2 交通局長は、告発義務があるにも係らず、本件詐欺事件をなぜ告発しなかったのか伺う。今後は本件同様の詐欺事件は告発すべき、と考えるが見解を伺う。

平成20年第四回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 出荷保証書の提出義務について
1 文房具の買入契約において、株式会社ミクニ商会が契約しようとしたメーカーは出荷保証書を書いたが、株式会社ホサカが契約しようとしたメーカーが出荷保証書を書かなかった理由を、会計管理局はどう考えているのか伺う。

回答
 用品契約に際して、メーカーが都の契約相手に対して出荷保証書を発行するか否かは、メーカーの判断によるものであり、都は承知していません。

質問事項
一の2 東京23区で出荷保証書の提出を義務付けている区があるか伺う。

回答
 用品制度を持つ特別区において、出荷保証書の提出を義務付けている区はなく、その理由として、都に比べて調達規模が小さいことが推察されます。

質問事項
一の3 出荷保証書だけでなく、荷姿・梱包まで指定した理由について伺う。

回答
 用品契約に当たっては、各局・所の使用状況を考慮して荷姿を統一し、他製品の混入や製品の破損等が生じた場合に責任の所在を明確にするため、メーカーによる梱包を指定しています。

質問事項
一の4 官製談合の温床になりかねない、出荷保証書の提出や荷姿・梱包の指定を廃止すべきだが、見解を伺う。

回答
 出荷保証書は、大量購入を行う都の用品契約において、契約期間中、メーカーが契約業者を通じて、当該商品を確実かつ安定的に各局・所へ供給することと、その品質を保証することを目的として、提出を求めているものであり、引き続き必要であると考えています。
 また、用品契約に当たっては、各局・所の使用状況を考慮して荷姿を統一し、他製品の混入や製品の破損等が生じた場合に責任の所在を明確にするため、メーカーによる梱包が必要と考えています。

質問事項
二 伊豆諸島の港湾工事の契約について
 伊豆諸島の港湾工事について、観光シーズンである4月から7月中旬までに工事が完了するよう、債務負担行為を用いた契約に変更すべきだが、見解を伺う。
回答
 島しょの港湾工事に当たっては、ゴールデンウィークや夏休み等の観光シーズンを含め、地元関係者と十分な協議、調整を行った上で、計画的に実施しています。
 一般的に港湾工事は、契約の時期にかかわらず、気象・海象が安定する5月から8月をはずすと、事実上、実施することができません。
 なお、島しょの港湾工事は、定期船の就航率を高めるなど、島民の生活を支えるとともに観光振興を図るためにも不可欠です。

質問事項
三 ジェネリック医薬品について
1 都のホームページに「ジェネリック医薬品を利用することで、患者の個人負担、強いては医療費全体を抑制する効果があること」を明記し、患者にジェネリック医薬品の使用を促すべきだが、見解を伺う。

回答
 医療用の医薬品は、医師が処方し薬剤師が調剤するものであり、患者は、医師や薬剤師と相談して適切な医薬品を選択することが重要です。
 こうした観点から、都は、ホームページで、ジェネリック医薬品の特徴や処方の受け方、薬局での対応などに加え、価格が安いことについても情報提供しています。

質問事項
三の2 患者への周知だけでなく、薬局への啓発を含め、薬局内へのポスター等の掲示を指導すべきだが、見解を伺う。

回答
 都内の保健所は、薬局に対して、定期的に講習会を開催するなど、ジェネリック医薬品も含め医薬品に関する最新の情報を提供しています。
 また、都は、国が作成したジェネリック医薬品に関するポスターやパンフレットを、関係団体を通じて、薬局に配布しています。

質問事項
四 都営住宅の共益費・集会室について
1 都営住宅の集会室が公平に利用できないような団地では、住宅供給公社が鍵を管理し、公平さを担保する対応をすべきだが、見解を伺う。

回答
 集会所の管理運営は、「東京都営住宅集会所使用要領」により、入居者の大半で組織する自治会等が行うものとしています。ただし、正当な理由なく特定の入居者に使用させないなどの事実が確認されれば、是正指導しています。

質問事項
四の2 都市整備局や住宅供給公社から、自治会長等に対し、自治会費の金額を三千円にしろと指導したことがあるか伺う。指導していなければ、その旨を当該自治会長にはっきり告げるべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の自治会は、都営住宅居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体であり、その経費については自治会が自主的に決めるものと考えています。
 自治会等が徴収する一般的な共益費の項目については、居住者に配布している「住まいのしおり」でお知らせしています。共益費は、団地ごとに実情が異なることから、その項目の範囲において、自治会等が必要に応じ自主的に決めるものと考えています。

質問事項
四の3 都営住宅に住む住民から共益費を適正に納めてもらうため、都は払わない住民や受け取らない自治会長に対し、厳正に指導・対処すべきだが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の自治会は、都営住宅居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体であり、会員により適切に運営されることが望ましいと考えています。

質問事項
五 公務員の告発義務について
1 都職員の犯罪行為により、都が被害を受け、告訴・告発したケースは多々あると考える。都が、過去三年間に警察や検察等に告訴・告発した件数を伺う。

回答
 都職員の犯罪により、都が被害を受けた場合の告訴又は告発については、各任命権者、各局等においてそれぞれ行っています。

質問事項
五の2 交通局長は、告発義務があるにも係わらず、本件詐欺事件をなぜ告発しなかったのか伺う。今後は同様の詐欺事件は告発すべきだが、見解を伺う。

回答
 刑事訴訟法第239条第2項に規定する公務員の告発義務については、一般的に、合理的根拠に基づき犯罪があると思料されることを要件としており、告発を行うべきか否かは、具体的事案に即し、犯罪の重大性、犯罪があると思料することの相当性、行政運営に与える影響等を総合的かつ慎重に判断するべきものと解されています。
 本件は、適正な手続を行わず勤務時間中に勤務を欠いた職務専念義務違反の問題として扱うべきであって、当該職員に給与を騙し取ろうとする積極的な意思や給与の支給行為に向けた積極的な欺もう行為があったとは認められず、詐欺事件であるとは考えていません。
 したがって、告発する考えはありません。
 なお、当該職員に対しては、減額すべき給与の全額を返納させるとともに、厳正な処分を行っています。

平成20年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  そなえ邦彦

質問事項
一 新型インフルエンザ対策について

一 新型インフルエンザ対策について
 最近マスコミ等で頻繁に取り上げられている「新型インフルエンザ」であるが、想像を絶する猛威を振るうという事である。
 都でも、「抗インフルエンザ薬」の大量備蓄を決め、又都の監理団体の東京都医学研究機構でも、抗ウィルス薬の開発を進めております。
 そこで、今、都民の中でも感心の高まりつつある、新型インフルエンザ対策について何点かお伺いいたします。
1 都の「新型インフルエンザ対応マニュアル」で想定している、流行時の感染者数はどれ位に設定していますか。又、マニュアルの見直しについてはどうですか。
2 抗インフルエンザ薬の備蓄は予定していますが、マスクやゴーグル、防護服等についてはどうですか。
3 現在企業では、従事員とその家族の命を守ると言う事と、事業を継続させるという観点から、具体的対策を進めていますが、都としては、都職員に対してどういう対策を考えていますか。
4 患者発生を早期に把握するシステムは考えていますか。
5 タミフル、リレンザに変わる新たな薬剤の必要性が言われていますが、それに対応していますか。
6 パンデミックが発生した際、最悪の状況下、多数の死者が出ると想定されるが、その際死体の置き場が困難になると思うが、どのような対処を考えていますか。

平成20年第四回都議会定例会
そなえ邦彦議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 新型インフルエンザ対策について
1 都の新型インフルエンザ対策マニュアルでは、流行時の感染者数をどの位に設定しているのか伺う。また、マニュアルの見直しについての見解を伺う。

回答
 都は、新型インフルエンザ流行時に、都民の約30%が罹患し、患者数は378万5千人と想定しています。
 また、平成19年3月に策定した「東京都新型インフルエンザ対応マニュアル」については、今後、感染拡大防止に関する国のガイドラインの改定状況等を踏まえ、見直しを行っていきます。

質問事項
一の2 都は、抗インフルエンザ薬の備蓄を予定しているが、マスクやゴーグル、防護服等の備蓄についてはどうなっているのか伺う。

回答
 新型インフルエンザ発生時に、治療や感染拡大防止の最前線に立つ医療従事者や保健所職員の感染予防のためには、マスクや手袋、フード付きガウン等の防護具が必要です。
 このため都は、今年度、約50万着を既に購入しており、来年度以降も計画的に備蓄していく予定です。

質問事項
一の3 企業では、従業員とその家族の命を守ることと事業を継続させる観点から、具体的対策を進めているが、都としては、都職員に対しどのような対策を考えているのか伺う。

回答
 都職員の感染予防を図るため、都職員に対し正しい知識を普及啓発するとともに、感染症対策に直接従事する職員の防護具の備蓄を進めています。
 また、都民の生命を守り、社会機能を維持するため、都政の事業継続計画であるBCPを策定します。

質問事項
一の4 患者発生を早期に把握するシステムは考えているのか伺う。

回答
 東京都では、新型インフルエンザの感染が疑われる患者が発生した場合、東京感染症アラートシステムを活用して迅速な患者把握を行います。
 このアラートシステムは、感染を疑う患者の発生を医療機関が保健所に報告した場合に、保健所による疫学調査と健康安全研究センターによるウイルス検査までの一連の対応を迅速に行う東京都独自の仕組みであり、休日・夜間を含め、24時間365日対応可能な体制を整えています。

質問事項
一の5 タミフル、リレンザに代わる新たな薬剤の必要性が言われているが、都はそれに対応しているのか伺う。

回答
 新たな抗インフルエンザウイルス薬については、現在、国内外で研究開発が進められています。
 都は、こうした新薬の開発や製品化の状況について、常に最新情報の収集に努め、適切に対応していきます。

質問事項
一の6 パンデミック発生時、多数の死者が出ると想定され、その際死体の置き場が困難になると思うが、どのような対処を考えているのか伺う。

回答
 新型インフルエンザによる死亡者が多数発生した場合、可能な限り火葬できるよう火葬場の事業者に要請していきます。
 また、火葬場の火葬能力の限界を超えることが想定される場合には、遺体を一時的に安置するため、公共施設を使用する準備を区市町村に要請していきます。

平成20年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  河野百合恵

質問事項
一 中川の「親水河川・防災ベルト構想」について

一 中川の「親水河川・防災ベルト構想」について
 今年11月13日、江戸川区土木部は江戸川区議会建設委員会に「中川親水河川・防災ベルト構想」(以下、「構想」とする)の資料を提出し、説明をした。「構想」は次の4項目を掲げている。
 ・治水対策としての堤防強化
 ・オープンスペースの創出(親水化などアメニティの空間)
 ・防災拠点の確保(洪水時の高台一時避難場所、防災ステーション)
 ・安全な街路整備
 この「構想」の具体的な事業内容は、荒川放水路と並行して流れる中川を埋め立てて、荒川の中堤から東側に「夢の100ha余の土地を生み出し」、国土交通省の基準に基づいて荒川のスーパー堤防の役割を果たさせる、というものである。区議会建設委員会への報告からさかのぼって2ケ月前の8月15日、江戸川区長は「江戸川区における気候変動に適応した治水対策検討委員会」(以下、「検討委員会」)を設け11名の委員を委嘱している。
 委員長は、関東学院大学の宮村忠工学部教授、他の10人の委員の中に東京都から総務局の総合防災部長、建設局の河川部長が委嘱されているが、江戸川区民に対しては、ほとんど何も説明されないまま発表された。この「構想」に対しては、当然のことながら異論が出ている。
 江戸川区議会第四回定例会本会議において、江戸川区長は「中川親水河川・防災ベルト構想」に関する質問に対し、「治水や地盤沈下への対応策を江戸川区だけでなく、学者、東京都等で高いレベルの協議をして、権威ある成果を生み出す。中川を暗渠にする方法、全面的に埋め立てる方法など着想の段階で、結論は言えない」という趣旨の答弁をしている。しかし、11月の区議会建設委員会の資料には、事業区間10キロメートル、スーパー堤防となる幅員は240メートルなど、極めて詳細な計画が示されているのである。
 国土交通省が主導するスーパー堤防事業は、区画整理事業などと合わせて進められてきたが、その多くは住民追い出し方の街づくりとなっているだけでなく、水害防止策としても効果が疑問視されている。この度の中川における「構想」も問題点が多くあるため、以下、都の考え方と対応について質問する。
1 「検討委員会」の設置にいたる東京都と江戸川区、及び「検討委員会」に加わっている葛飾区や国との協議はどのように進められたのか、また江戸川、葛飾両区民への計画に関しての情報提供、周知はどのように行ったのか、説明を求める。
2 「構想」が出されている中川の河川管理者は東京都である。今回、江戸川区が「検討委員会」を設置し、中川の親水河川や防災化について取り組みを始めていることは、河川管理者である東京都の権限を超えたものではないか、との疑問が出されているが、東京都の見解を示していただきたい。
3 「構想」に関連して、現段階での事業年度と事業費の試算、および都の財政負担の見込みなど、「検討委員会」での協議内容について明らかにしていただきたい。
4 都は中川の護岸整備事業を取り組んできた。江戸川競艇場周辺などが残されていたが、整備事業は今年度でほぼ完了の見通しと聞いている。もし「中川を荒川のスーパー堤防に」との「構想」が具体化されたとしたら、これまで東京都が進めてきた護岸整備事業の意義が問われることになると考えるが、都の見解をお聞きする。
5 2つの河川の計画高水流量は、荒川が毎秒7700トン、中川が毎秒700トンとのことである。中川の流量を荒川に合流させるとしたら最大で毎秒8400トンの負担が荒川にかかることになる。荒川にその負担を担わせる場合、当然、河川の拡幅、築堤などの対策が必要になる。荒川の流量増について、東京都はどのような分析をし、見通しをお持ちなのか、お聞きする。
6 荒川が負担する流量の増加によって、上流域の水面上昇が起きることが予想される。足立区、墨田区をふくめ広範な上流の地域に影響が及ぶことが指摘されている。荒川、中川流域の各自治体や住民との協議、合意形成について、東京都が明確な方針をもって臨んでいるのかが問われるのではないか。現時点での都の考え方をお聞かせいただきたい。
7 「市街地にスーパー堤防建設は難しい。中川埋め立てなら、時間もお金も節約できる。10年で完成し、3100億円の事業費で実現できる」との意見もある。国土交通省管理の江戸川流域の北小岩、篠崎地域では、市街地にスーパー堤防建設計画を区画整理事業と一体で、国と江戸川区が進めようとしており、住民から激しい反発が起きている。都は、建設残土の活用方法の一つとしてスーパー堤防を推進する立場に立っているが、住民の合意を得るのが困難で、容易には進まない市街地におけるスーパー堤防建設に代わるものとして、中川についての「構想」が計画されているのではないか。所見を伺う。
 中川の暗渠化、または埋め立てを計画している「構想」は、地球温暖化とヒートアイランド現象を緩和し、環境に優しい都市づくりをめざす、としている東京都の方針とは相いれないものではないかと考える。
 韓国のソウル市では、暗渠にした水路の上の高速道路をとりはずし、清流・チョンゲチョンを復活させ、温暖化防止に貢献する都市づくりとして世界から注目を集めた。ソウル市民からも歓迎されている。
8 比較して、今、示されている中川の「構想」は、せっかく存在する貴重な水面を失い、ヒートアイランド現象などをより深刻にすることが明らかではないか。環境に配慮した持続可能な都市づくりに逆行する「構想」であると判断するが、東京都の認識をお聞きする。
9 石原都政が進める「都市再生」は超高層ビル建設や、中央環状新宿線、品川線などの地下高速・幹線道路づくりで大量の建設残土を排出している。今後、オリンピック招致を理由にした3環状道路整備の方針のもとで、大深度の外かく環状道路建設が強行されたとしたら、いっそう建設残土の排出は増加する。治水対策を強調しながら、実際は残土処理場としての意味合いが強いスーパー堤防建設よりも、都市再生路線を見直して、環境保全優先の街づくりの方向に都政のあり方を切り替えるよう求めるものだが、見解を示していただきたい。
10 環境負荷が極めて大きい上に、水害対策の効果が疑問視されている「構想」に対し、住民からの反対の声が強まっている。東京都は住民の声を受け止め、「構想」に対して反対の立場を明確にすべきと考えるが、お答えいただきたい。

平成20年第四回都議会定例会
河野百合恵議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 中川の「親水河川、防災ベルト構想」について
1 江戸川区における治水対策検討委員会の設置にいたる都と江戸川区、及び葛飾区や国との協議はどう進められたのか伺う。また、両区民への計画に関する情報提供、周知をどう行ったのか伺う。

回答
 江戸川区における気候変動に適応した治水対策検討委員会は、地球温暖化を踏まえ、スーパー堤防を始めとする治水対策について検討するため、江戸川区長が委嘱する委員をもって構成される委員会です。
 建設局は、区の要請により、江戸川区に係る都管理河川の管理者として参加しています。
 設置に至る協議及び江戸川区、飾区両区民への情報提供について、都は関与していません。

質問事項
一の2 今回、江戸川区が検討委員会を設置し、中川の親水河川や防災化について取組をはじめていることは、河川管理者である都の権限を超えたものではないのか、見解を伺う。

回答
 中川の整備については、河川管理者である都が、国などの関係機関と調整しながら決定しています。

質問事項
一の3 「中川親水河川・防災ベルト構想」について、現段階での事業年度と事業費の試算、都の財政負担の見込みなど、検討委員会での協議内容について明らかにすべきだが、所見を伺う。

回答
 都は、江戸川区に係る都管理河川の管理者として委員会に参加しているものであり、委員会は、協議の場ではないと認識しています。
 委員会で議論している内容については、明示する立場にありません。

質問事項
一の4 「中川を荒川のスーパー堤防に」との構想が具体化されたとしたら、都が進めてきた中川の護岸整備事業の意義が問われることになるが、見解を伺う。

回答
 現在、中川において実施している整備事業は、防潮堤の耐震補強等を目的とする重要な事業であり、速やかに実施すべきものです。
 さらに、中川はスーパー堤防整備を行うべき河川として、江戸川区と連携して、実施に向けた調整に取り組んでいます。
 委員会において検討されている構想は、治水の安全性や環境の観点から課題が多いと考えています。

質問事項
一の5 中川の流量を荒川に合流させた場合、河川の拡幅、築堤などの対策が必要になる。荒川の流量増について、都はどう分析し、どのような見通しを持っているのか、所見を伺う。

回答
 荒川が負担する流量の増加については、荒川の管理者である国土交通省の所管であり、お尋ねの件について、都が明示する立場にありません。

質問事項
一の6 荒川が流量増を負担することになれば、広範な上流地域に影響が及ぶ。荒川、中川流域の各自治体や住民との協議等について、都が明確な方針をもって臨んでいるのかが問われる。現時点での都の所見を伺う。

回答
 この構想は、治水の安全性や環境の観点から課題が多いと考えています。

質問事項
一の7 都は、住民の合意を得るのが困難で、容易には進まない市街地におけるスーパー堤防建設に代わるものとして、中川についての本件構想が計画されているのではないか。所見を伺う。

回答
 都が計画しているスーパー堤防整備事業は、背後地のまちづくりと連携し、幅の広い堤防に造り替えることにより、地震や高潮に対する安全性を確保するとともに、水辺環境を向上させるために実施しています。
 今後とも、区と連携してスーパー堤防の整備に取り組んでいきます。

質問事項
一の8 中川の本件構想は、貴重な水面を失い、ヒートアイランド現象などをより深刻にするのが明らかである。環境に配慮した持続可能な都市づくりに逆行する構想であると判断するが、都の認識を伺う。

回答
 河川の水面は、基本的には都市における貴重な財産として保全すべきものと考えています。

質問事項
一の9 治水対策を強調しながら、実際は残土処理場としての意味合いが強いスーパー堤防建設よりも、都市再生路線を見直し、環境保全優先の街づくりの方向に都政のあり方を切り替えるべきだが、見解を伺う。

回答
 都が計画しているスーパー堤防整備事業は、地震や高潮に対する安全性を確保するとともに、都市における貴重な水面を確保しつつ、水辺環境を向上させるために実施しており、正に環境に配慮したまちづくりの考え方に合致したものです。

質問事項
一の10 環境負荷が極めて大きい上に、水害対策の効果が疑問視されている本件構想に対し、住民から反対の声が強まっている。都は、本件構想に対して反対の立場を明確にすべきだが、見解を伺う。

回答
 委員会において検討されている構想については、課題が多いと考えています。

平成20年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  斉藤あつし

質問事項
一 適切な生活保護の活用について
二 公共施設等が不十分な住宅地における対応策について

一 適切な生活保護の活用について
 生活保護の申請者がこの景気の悪化で増えている。しかし、生活保護世帯の生活態度について、日頃住民の方々からさまざまな意見をいただいているところである。
 生活態度など道徳的な側面の指導は苦慮することが多いと聞いているが、是非引き続き指導に努めてほしい。しかしながら、制度の運用にあたっては、生活が困窮している方への申請時の抑制があってはならない一方、収入を申告しないなどの不正受給は許されるものではない。税を財源として成り立つこの制度が最後のセーフティネットとして機能するためには、広く国民の理解を得られる運用が必要である。
1 そこでまず不正受給を防止し、適切に保護するためには、申請者や被保護者の保護要件や生活実態について、的確に調査、把握することが必要である。そこで聞くが、生活保護の決定や保護の過程で、申請者や被保護者の調査についてどのような調査をどのような頻度で行っているのか。また、都はどのように指導しているのか、その内容について教えていただきたい。
2 調査の際に自治体担当者が住居内に入ることもできないと聞いたことがある。また、訪問で調査する場合に連絡していく場合と連絡しないでいく場合とでは生活実態の把握に差が生じることも考えられる。納税者の理解に足る調査が必要と考えるが、調査の実効性は担保されるような方法となっているのか。
3 第4回定例会の2次補正予算案では離職者支援融資があったが、生活保護の制度まで行かなくても、このような融資を始め、ネットカフェ難民対策や、低所得者世帯の学習塾利用支援などの事業メニューがかなり増えてきた。
 これらの組み合わせによってはかなりの支援ができるが、今後、生活保護制度との関連で、都はどのような考え方に基づき低所得者支援を進めていくのか。
二 公共施設等が不十分な住宅地における対応策について
 昭和30・40年代の高度成長期において、急激な人口や産業集中により、多摩地域の大都市郊外部の市街化区域内で、バラ立ちスプロールやミニ開発が行われるなど、公共施設等が不十分な住宅地が形成されたエリアが未だに見受けられます。
 このような住宅地の中には、今なお、農地等の転用により、無秩序に新たな住宅が立ったり、小規模な開発が助長されたりしています。
 また、狭隘な位置指定道路などしかなく、道路のネットワークも形成されていないため、防災上の避難路が確保されていないケースもあります。
1 このような住宅地に新しい住宅の建築確認を行う上で、位置指定道路を含む周辺道路に対して何らかの条件が考えられるか。
2 また、こうした住宅地域では、どのようなまちづくりの誘導策が考えられるか。

平成20年第四回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 適切な生活保護の活用について
1 不正受給を防止し、適切に保護するためには、申請者や被保護者の保護要件や生活実態について、的確に調査、把握することが必要である。そこで聞くが、生活保護の決定や保護の過程で、申請者や被保護者の調査についてどのような調査をどのような頻度で行っているのか。また、都はどのように指導しているのか、その内容について教えていただきたい。

回答
 実施機関は、生活保護法や国が定める実施要領に基づき、保護開始時等において、預貯金などの資産の保有状況や給料・年金などの収入状況の調査をしています。
 受給中においても、収入状況や課税状況を調査するとともに、家庭訪問や来所による面接を通じ定期的に、また、必要があればその都度、受給者の生活実態を把握しています。
 都は、生活保護の適切な実施について、毎年実施する指導検査などにより、実施機関を指導しています。

質問事項
一の2 調査の際に自治体担当者が住居内に入ることもできないと聞いたことがある。また、訪問で調査する場合に連絡していく場合と連絡しないでいく場合とでは生活実態の把握に差が生じることも考えられる。納税者の理解に足る調査が必要と考えるが、調査の実効性は担保されるような方法となっているのか。

回答
 生活保護法においては、実施機関の職員が申請者や被保護者の居住場所に立入調査をすることができるとされています。
 調査は、通常連絡した上で訪問することが基本ですが、生活実態の把握のために実施機関が必要と判断する場合は連絡しないで訪問することもあります。
 調査に際しては、その趣旨を説明し、できる限り対象者の理解を得て実施しています。
 しかし、それでもなお、立入調査を拒否するなどの場合は、申請者に対しては保護の申請の却下、受給中の者に対しては保護の変更、停止、廃止ができるとされています。

質問事項
一の3 今後、生活保護制度との関連で、都はどのような考え方に基づき低所得者支援を進めていくのか。

回答
 生活保護制度は、社会保障制度における最後のセーフティネットの役割を担っており、国の責任において実施するものです。
 一方、今年度から都が実施している生活安定化総合対策事業は、懸命に努力しているにもかかわらず、低所得の状態から抜け出せない方々を対象に、職業訓練の紹介や必要な貸付等の支援を行うもので、現下の社会経済状況等を踏まえて対応しているものです。

質問事項
二 公共施設等が不十分な住宅地における対応策について
1 公共施設等が不十分な住宅地に新しい住宅の建築確認を行う上で、位置指定道路を含む周辺道路に対して何らかの条件が考えられるか。

回答
 建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低基準を定めたものであり、道路については、敷地と前面道路との関係(建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならない。)等が定められています。
 二階建ての戸建住宅のような小規模で一般的な用途の建築物については、法令上、制限を付加することは認められていません。

質問事項
二の2 また、こうした住宅地域では、どのようなまちづくりの誘導策が考えられるか。

回答
 多摩地域の道路など都市基盤が未整備な住宅市街地が多く残っている地域におけるまちづくりの誘導策としては、抜本的な方策として、土地区画整理事業による整備が考えられます。
 その他の誘導策としては、地元市による地方自治法に基づくまちづくり条例等の制定や都市計画法に基づく地区計画の活用等が考えられます。

平成20年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  植木こうじ

質問事項
一 認証保育所制度の改善について
二 西武新宿線、開かずの踏切渋滞解消について

一 認証保育所制度の改善について
 株式会社日本保育支援協会の「じゃんぐる保育園」(荒川区)、小田急グループの「小田急ムック成城園」(世田谷区)の職員水増しなどの虚偽申請につづき、株式会社エムケイグループの「ハッピースマイル東中野駅前園」(中野区)についても同様の虚偽申請疑惑が、日本共産党都議団の調査で明らかになりました。
 「じゃんぐる保育園」は虚偽申請で初の認証取り消し処分となりましたが、わずか8ヶ月後に「ハッピースマイル東中野駅前園」が、事業者側の一方的な都合で、突然、閉園したことを理由に、2例目の認証取り消し処分となりました。
 子どもたちの給食の食材費を、一食あたりわずか数十円におさえていた認証保育所も明らかになっています。
 これからの問題は、営利企業の参入を促進し、保育から利益をあげることを公然と認めている認証保育所制度の構造的欠陥が表面化した、氷山の一角にすぎません。この立場から、日本共産党都議団はつぎの7点について、都に申し入れをおこないました。
・営利企業による認証保育所の全面的な実態調査を、緊急におこなうこと。
・虚偽申請などの不正が明らかになった場合、介護保険と同様、その企業が運営する系列園全部に同じ処分を適用する「連座制」を、認証保育所にも導入すること。
・認証審査や指導検査を、書類審査だけでなく実効性があるものへ、抜本的に改善すること。
・認証保育所の施設・設備、園庭の代替公園、職員配置などの設置・運営基準を拡充・強化すること。
・補助金と保育料による運営費の使途基準を、認可保育所と同じ基準で明確に定め、株式配当などに使うことや、借金の担保にすることは禁止すること。
・今後、認証保育所、認可保育所を問わず営利企業の保育への参入は中止し、非営利原則を明確にすること。
・待機児解消は公立・私立の認可保育所の増設を基本にすえ、用地助成の創設をはじめ、施設整備費、運営費への財政支援を拡充・強化すること。
 さらに、第4回定例会の日本共産党都議団の代表質問で、使途基準の明確化を中心に質問しました。
 被害者は子どもたちであり、絶対に見過ごしにすることはできない問題です。ここでは、都として明らかにすべきこと、緊急に改善すべきことにしぼって、質問します。
1 初の認証取り消しになった、株式会社日本保育支援協会の「じゃんぐる保育園」について、都としておこなった調査の内容と、その結果の全容を明らかにするよう日本共産党都議団は求めてきましたが、いまだに全容は公表されていません。第三者機関などによる徹底調査をおこない、調査結果の全容を公表し、教訓を明らかにすることは、不正や不詳事への対応の基本です。「じゃんぐる保育園」に対する調査内容と調査結果の全容を公表することを求めるものです。
2 2例目の認証取り消しになった「ハッピースマイル東中野駅前園」は、開設からわずか2ヶ月で突然の閉園にいたった理由も、株式会社エムケイグループの経営・財務の実態も、いまだ明確になっていません。日本共産党都議団が明らかにした虚偽申請疑惑についても、都は調査中と答えています。「じゃんぐる保育園」の前例を見ると、このままでは、エムケイグループが経営難におちいった本当の理由や、虚偽申請の実態について、詳細が公表されないままになることを危ぐせざるをえません。株式会社エムケイグループに対する調査内容と調査結果についても、すみやかに全容を公表すべきと考えますが、どうですか。
3 認証保育所の認証審査会は、メンバーも、開催日時も、審議内容も非公開です。「じゃんぐる保育園」や「ハッピースマイル東中野駅前園」を認証した審査会自らの責任についても、何ひとつ明らかにされていません。少なくとも、これらの園について認証の時に、どういう審査結果だったのか、認証取り消し処分について、どういう審査をして決定したのかなど、できるかぎり情報公開するよう改善することを提案しますが、どうですか。
4 エムケイグループの虚偽申請疑惑を調査する中で、中野区は、開設申請時の職員名簿について、事業者が都に提出するものであり区は所持していないと回答しています。これが事実なら、申請が正しいかどうか、区は認証保育所事業の実施主体であるにもかかわらず確認しようがありません。事業者から都に提出された申請書類、および都が認証審査会に提出した申請書類と同じものを、区市町村が所持できるようにする必要があると思いますが、どうですか。
5 開設後の東京都への変更届は、施設長の変更は届出が義務づけられていますが、保育従事職員の変更は届出の必要がありません。これでは、認証保育所の開設後、実際の職員配置が基準を満たしているかどうかのチェックは区市町村まかせで、都は1~2年に1度おこなう定例の立ち入り検査で把握するしかありません。都が認証した責任をはたすためには、保育従事職員の変更についても都に届出を義務づける必要があると思いますが、どうですか。
6 認証保育所A型には、社会福祉事業について知識経験を有する者や、保護者などによる運営委員会の設置を義務づけていますが、ほとんど機能していません。運営委員会は、なぜ設置を義務づけているのですか。
7 運営委員会を毎月ひらいているのが何園あるのかなど、開催状況を明らかにしていただきたい。
8 運営委員会の開催状況とその内容の要旨がわかる記録を、都に提出するようにすべきではありませんか。
9 都は、東京都認証保育所事業実施要綱で、補助金の対象は運営費とされているので、補助金を運営費いがいに使うことは認められないと言いますが、要綱の「19 費用の補助」に規定されている「運営費」の範囲と具体的内容、およびその根拠規定を明らかにしていただきたい。
10 フランチャイズ事業者が認証保育所に参入していますが、フランチャイズの本部(フランチャイザー)に支払うロイヤルティは、保育所の運営費に含まれるのですか。
11 補助金は運営費にしか使えないが、保育料もあわせた運営費から生まれた利益は自由に使ってよい、使途は制限しないと福祉保健局長は第4回定例会で答弁しましたが、それでは保育料は、株式配当や他の事業分野に使ってよいということですか。
12 運営費から利益を生むことを公然と認め、その利益の使途を制限しないということは、職員の人件費、給食の食材費、おもちゃ・絵本・食器などに使う経費を、できるかぎり削減しようということにつながるのではありませんか。現にそういうことが起きているのです。その心配はないというなら、根拠を明確にしめしていただきたい。
13 各認証保育所の決算書類、できるだけ社会福祉施設会計原則にもとづくものを、毎年度、東京都に提出するよう求める必要があると思いますが、どうですか。
 以上、答弁を求めるものです。
二 西武新宿線、開かずの踏切渋滞解消について
 西武新宿線沿線の中野通り、中杉通りなど交差する踏み切りはひどい時は1時間のうち4~50分もしまっている状況は依然として改善されていません。特に朝のラッシュ時には昇りと降りの電車が多い時には8本も通過する間閉まっていることもあります。通学する児童や通勤者、関東バスや仕事の自動車などがイライラしながら待たされて、踏切が開くわずか時間に人も車もごった返して危険な状況です。6月10日には、路線バスと電車の接触事故も発生しました。
 中野区民は、西武新宿線の一刻も早い踏切の渋滞解消を願っているのです。
 昨年度、連続立体交差事業の新規着工準備箇所として中井駅から野方駅間が正式に決定され、現在、都として課題の整理や具体案についての検討が行われていると聞いている。また、野方駅以西についても渋滞解消の「事業候補区間」に位置づけることが示され、都が独自に課題の整理など調査・検討することになっています。
1 中井駅から野方駅間の新規着工準備箇所についての検討状況についてですが、どのような課題を検討しているか、また、いつまでに具体案を出す予定か。
2 今後、地元区民や中野区、国との調整が必要と思いますがいつごろ、どのように調整を進めていくのか。
3 中野区民から提出された、西武新宿線の中野区内全線地下化を求める請願が二〇〇三年に都議会で採択されました。さらに、中野区内の各団体、区民、区議会、区が一体となって2004年1月に、踏切の渋滞解消に向け、中野区内全線地下化促進を求めて、「西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟」を結成しました。
 このことについて現在の連続立体交差事業についての調査・検討の中でどのように位置づけているのか。
4 中野区民は地下化を望んでいるが野方以西の事業候補区間についても、中井―野方間との連続性を持たせる必要があると思うがどのように考えているか。また、野方以西の事業候補区間について、現在どのような課題の整理を行っているか。
 中井―野方間については西武鉄道株式会社に委託して調査・検討をおこなっているが、野方以西の事業候補区間は局内での調査の範囲と聞いているが、具体化に向けて今後はどのように進めていくつもりか。
5 連続立体交差事業と地域のまちづくりとの関係ですが、これまで街づくりとセットで事業が行われるために周辺開発などで住民合意が不十分なまますすめられる場合があります。まちづくりは住民の住環境も含めて生活がかかる問題もあるのでセットで行うかどうかについても住民合意を尊重すべきです。見解を伺います。
6 また、連続立体交差事業が完成するまで多くの時間を要する。しかし、住民はその間渋滞に悩み続けなければならない。この間にダイヤ改正などもあり、住民からは「最近、踏切が閉まっている時間が長くなっているのではないか」という声が起きている。
 西武新宿線について、安全を確保しつつの踏み切り閉鎖時間の改善が必要だと思うが、都として西武鉄道株式会社に踏み切り閉鎖時間の改善状況がどうなっているか指導すべきと思うがどうか。

平成20年第四回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 認証保育所制度の改善について
1 初の認証取消となった「じゃんぐる保育園」に対する調査内容と調査結果の全容を公表することを求めるが、所見を伺う。

回答
 「じゃんぐる保育園」については、「東京都認証保育所事業実施要綱」17(2)の規定に基づき、平成20年3月31日付けで認証を取り消し、認証取消しの理由等について公表しました。

質問事項
一の2 「ハッピースマイル東中野駅前園」の経営者である株式会社エムケイグループに対する調査内容と調査結果についても、すみやかに全容を公表すべきだが、所見を伺う。

回答
 「ハッピースマイル東中野駅前園」については、「東京都認証保育所事業実施要綱」17(4)の規定に基づき、平成20年12月8日付けで認証を取り消し、認証取消しの理由等について公表しました。

質問事項
一の3 「じゃんぐる保育園」や「ハッピースマイル東中野駅前園」を認証した時の審査結果、及び認証取消処分を決定した時の審査内容について、できる限り情報公開すべきだが、所見を伺う。

回答
 両認証保育所については、東京都認証保育所審査会において、「東京都認証保育所事業実施要綱」等に定める基準に基づく審査を行った上で、認証及び認証の取消しを行っています。
 また、取消し理由等について公表をしました。

質問事項
一の4 事業者から都に提出された申請書類、及び都が認証審査会に提出した申請書類と同じものを区市町村が所持できるようにすべきだが、所見を伺う。

回答
 認証申請に伴い区市町村から都に提出される推薦書や意見書については、当然のことながら、申請内容を確認した上で作成されているものと考えています。

質問事項
一の5 都の認証責任を果たすためにも、開設後の保育従事職員の変更についても都に届出を義務付けるべきだが、所見を伺う。

回答
 認証保育所事業の実施主体である区市町村が、運営費等補助金を支出する際に、職員の配置状況や児童数について確認を行っています。

質問事項
一の6 認証保育所A型には、社会福祉事業について知識経験を有する者や保護者などによる運営委員会の設置を義務付けているが、ほとんど機能していない。なぜ設置を義務付けているのか伺う。

回答
 運営委員会は、利用者等の意見を聴取するなど、利用者の立場に立った良質な保育サービスを提供するため、各施設に設置することとしています。

質問事項
一の7 運営委員会を毎月開いている保育所が何園あるのかなど、開催状況について伺う。

回答
 「東京都認証保育所事業実施要綱」では、運営委員会の設置の義務付け及びその構成について規定しており、立入調査において設置状況や議事録の作成状況について確認しています。

質問事項
一の8 運営委員会の開催状況とその内容の要旨が分かる記録を都に提出すべきだが、所見を伺う。

回答
 「東京都認証保育所事業実施要綱」では、運営委員会の設置の義務付け及びその構成について規定しており、立入調査において、議事録の作成状況について確認しています。

質問事項
一の9 東京都認証保育所事業実施要綱の「費用の補助」に規定されている「運営費」の範囲と具体的内容、及びその根拠規定について伺う。

回答
 「東京都認証保育所事業実施要綱」における運営費とは、認可保育所と同様、運営のために要する人件費、事業費及び管理費を指しています。

質問事項
一の10 フランチャイズ事業者が認証保育所に参入しているが、フランチャイズの本部に支払うロイヤルティは、保育所の運営費に含まれているのか伺う。

回答
 実施要綱に定められている設置運営基準に沿った適正な運営を行いながら、フランチャイズの本部に権利使用料を支払うことは特に問題ないと考えます。

質問事項
一の11 補助金は運営費にしか使えないが、保育料もあわせた運営費から生まれた利益は自由に使って良いとの答弁があったが、保育料は株式配当や他の事業分野に使って良いのか、所見を伺う。

回答
 都は、認証保育所制度創設当初より、営利だけを目的として保育事業を行うことはあってはならないこととしており、認証保育所の実施要綱に定められている設置運営基準については、基本的には認可保育所と同水準のものとしています。
 こうした設置運営基準に沿った適正な運営を行いながら、決算処理により利益が生じるということに問題はなく、その生じた利益については、事業者の会計規程等に基づく適正な手続きを経て処分されるものと考えます。

質問事項
一の12 運営費から利益を生むことを公然と認め、その利益の使途を制限しないことは、人件費や食材費等の経費を削減しようということにつながる。その心配はないというなら、根拠を明確に示してほしい。

回答
 都は、認証保育所制度創設当初より、営利だけを目的として保育事業を行うことはあってはならないこととしており、認証保育所の実施要綱に定められている設置運営基準については、基本的には認可保育所と同水準のものとしています。
 都は運営基準に沿った適正な運営が行われるよう指導しており、不適正な運営が行われた場合は、営利、非営利を問わず、厳正に対処しています。

質問事項
一の13 各認証保育所の決算書類について、できるだけ社会福祉施設会計原則に基づくものを、毎年度、都に提出すべきだが、所見を伺う。

回答
 認証保育所制度は、民間企業を始めとする多様な事業者の参入等により、大都市の多様な保育ニーズに対応したサービスを提供することを目的としており、社会福祉法人会計基準に基づく書類の作成、提出を求めていません。

質問事項
二 西武新宿線、開かずの踏切渋滞解消について
1 西武新宿線の中井駅から野方駅間の連続立体交差事業の新規着工準備か所について、どのような課題を検討しているのか、またいつまでに具体案を出す予定なのか伺う。

回答
 連続立体交差事業は、都が事業主体となり、道路整備の一環として、道路特定財源により実施されており、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業です。今年度、暫定税率等が失効し、事業の進ちょくにかげりが見えましたが、様々な工夫により、遅滞なく事業を進めてきました。
 東京都が現在進めている8路線9か所の連続立体交差事業には、多くの費用を要するため、都議会の御支援を頂きながら、財源を確保していく必要があります。
 新規着工準備採択された本区間については、構造形式や施工方法の検討を行っており、国との比較設計協議を始めました。
 今後、国との協議の状況を踏まえるとともに、事業中か所の進ちょくを勘案しながら、事業化に向けて取り組んでいきます。

質問事項
二の2 今後、地元区民や中野区、国との調整が必要となるが、いつ頃、どのように調整を進めていくのか伺う。

回答
 現在、鉄道事業者と連携し、構造形式や施工方法などの検討を行っており、国との比較設計協議を始めました。
 引き続き、国との協議を進めるとともに、まちづくりを進める地元区と適宜調整を図りながら、事業化に向けて取り組んでいきます。

質問事項
二の3 中野区内の全線地下化を求める請願の都議会での採択、また西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟の結成などについて、現在の調査・検討の中でどのように位置づけているのか伺う。

回答
 新規着工準備採択された中井駅から野方駅間については、現在、構造形式や施工方法の検討を行っています。
 また、中野区内のもう一つの事業候補区間である野方駅から井荻駅間については、事業範囲や構造形式の検討を行っていきます。
 なお、「中野区内の西武鉄道新宿線の踏切解消促進に関する請願」の趣旨や「西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟」の活動については、承知しています。

質問事項
二の4 野方以西の事業候補区間について、中井駅から野方駅間との連続性をどう考え、また、どのような課題整理を行っているのか伺う。また、具体化に向けて今後どう進めていくのか伺う。

回答
 野方駅から井荻駅間については、事業候補区間に位置付けており、事業範囲や構造形式の検討を行っていきます。
 連続立体交差事業は、都が事業主体となり、道路整備の一環として、道路特定財源により実施されています。今年度当初、暫定税率や地方道路整備臨時交付金制度が失効し、事業の進ちょくにかげりが見えましたが、様々な工夫により、遅滞なく事業を進めてきました。
 東京都が現在進めている8路線9か所の連続立体交差事業や新規着工準備採択された中井駅から野方駅間など2区間の事業化には、多くの費用が必要です。
 今後も、都議会の御支援を頂き、安定的な財源を確保するとともに、地元住民の理解と協力を得ながら連続立体交差事業の推進に取り組んでいきます。

質問事項
二の5 まちづくりは住民の住環境も含めて生活がかかる問題もあり、連続立体交差事業と地域のまちづくりをセットで行うかどうかについても、住民合意を尊重すべきだが、見解を伺う。

回答
 連続立体交差事業は、数多くの踏切を同時に除却することにより、道路交通の円滑化や踏切事故を解消するとともに、分断されているまちの一体化を図るものです。その効果を高めるため、地元区が主体となって、地域の方々の理解と協力を得ながら、まちづくりを進めていくことが重要であると認識しています。

質問事項
二の6 西武新宿線について、安全を確保しつつの踏切閉鎖時間の改善が必要である。都として西武鉄道株式会社に踏切閉鎖時間の改善状況がどうなっているか指導すべきだが、所見を伺う。

回答
 西武鉄道では、これまで、西武新宿線の踏切などの遮断時間を短縮するため、急緩行列車選別装置の設置や踏切継続警報対策を行っています。
 また、都は、平成16年の踏切対策基本方針策定以降も鉄道事業者に対して踏切システムの改善を働きかけており、引き続き、関係者間の連携を図りながら、踏切状況の把握に努め、遮断時間の短縮に向けて取り組んでいきます。

平成20年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  石毛しげる

質問事項
一 経済連携協定に基づくインドネシア人看護師、介護福祉士の受け入れについて
二 首都大学東京の就職などについて
三 都市農業の保護、継続、促進のための生産緑地の保全について

一 経済連携協定に基づくインドネシア人看護師、介護福祉士の受け入れについて
 日本とインドネシアの間で締結された経済連携協定(以下、EPA)に基づき、本年度8月にインドネシア人看護師、介護福祉士候補者、各々104人合わせて208人が来日した。EPAとはEconomic Partnership Agreementの略で、2以上の国(又は地域)の間で、自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)の要素(物品及びサービス貿易の自由化)に加え、貿易以外の分野、例えば人の移動や投資、政府調達、2国間協力などを含めて締結される包括的な協定である。
 インドネシアとの間では介護福祉士候補者600人、看護師候補者400人合わせて1000人を2年間で受け入れる予定である。候補者たちは日本で半年間の語学研修を受け、研修期間を経て日本の国家試験に合格すれば、看護師や介護福祉士として労働が可能となり、日本人と同等の給与が与えられる。しかし、第1陣である今回は当初の予定の定員500人を大きく下回る人数であった。
 それは、今回の協定批准の5月から来日の8月に至るまでの募集期間や周知期間が短かったことにより応募が少なかったことが考えられる。
 それに加え、受け入側である我が国においても、候補者の半数以上を占めた男性看護師を日本の医療機関が敬遠したことも要因の一つだ。日本側の受入窓口である国際厚生事業団(JICWELS)によると、面接等を通過し候補者名簿の登載された候補者は、看護師174名(男性88名・女性86名)、介護福祉士131名(男性60名・女性71名)であった。しかし、受入先が決定し入国に至ったのは、看護師104名(男性29名・女性75名)、介護福祉士104名(男性48名・女性56名)となっているのである。
 我が国では働く看護職員に占める男性の割合は約5%に過ぎず、介護福祉士においても21%と圧倒的に女性社会となっている状況である。
 外国人には、日本語の言葉の壁は厚くさらに、インドネシアには我が国における介護福祉士にあたる資格が無く、介護福祉士候補者として応募するには看護学校か大学の看護学部の卒業が応募要件となり、看護師候補者の要件には2年以上の実務経験が付加されたことが上げられる。これにはインドネシアの看護師が日本で介護福祉士にしかなれないのは格下げともとれると、不満を募らせている。
 今回のインドネシア看護師、介護福祉士候補者の受け入れにあたり日本政府は、人手不足の解消が狙いではなく両国の経済交流を強化する一環と考えており、また日本介護福祉士会や日本看護協会も現場での受け入れ態勢の不安から慎重論が根強いようである。しかし、全国約5000の特別養護老人ホームが加盟する全国福祉施設協議会は将来の人手不足解消に役立つと考えている。
 日本の少子高齢化が進んでいる中で、医療、看護の現場で外国人労働者が必要となる時代が訪れるのは確実である。それを見込んで高い費用を負担し施設は受け入れを決定している。求人申込手数料が3万1500円、そして以下に候補者1人あたりのあっせん手数料が13万8000円、インドネシア海外労働者派遣・保護庁への手数料が3万5000円、滞在管理費が2万1000円、日本語研修期間への支払いが約36万円とかなりの高負担である。
 施設にとっての更なる負担は候補者を在留期間内に合格させるという大きな役割を担うことである。現行のEPAにおいて看護師は来日から3年以内に3回、介護福祉士は4年に1回受験ができるとされている。不合格すなわち即帰国という厳しい条件の中で、介護福祉士は1回のみの受験しか認められないのは、日本語を母国語としていない候補者にとってはかなり厳しい条件なのではないだろうか。これでは決してパートナーシップとは言えず、今後、両国間に軋轢を生んでしまう可能性すらある。
 日本政府はフィリピンとの間でもEPAの調印を済ませており、発効すればインドネシアに続いて看護師、介護士が2年間に1000人来日する予定である。
1 インドネシア第一陣の受入数は、全国では208名だが、都内の受入状況はどうなのか、伺う。
2 今回、インドネシア側の応募が少なかったことについて、今後どう改善されるのか、伺う。
3 今回の208名には、6カ月間の日本語研修を免除され、既に受入施設での就労・研修を始めている方がいるが、その方々の現在の様子はどうか、伺う。
4 今回の受け入れに当たって、都はこうした受入施設に対してどのような支援を行うのか、伺う。
二 首都大学東京の就職などについて
 昨今、大学を取り巻く環境は厳しいものとなっている。アメリカのサブプライムローン問題に端を発した金融危機は、百年に一度と言われるほど経済に大きな混乱を兆している。その損失は、5.8兆ドル(550兆円)に達する可能性があることが試算で報告されており、この影響は超大国を含むすべての世界に同時に起き、アイスランドやいくつかの国では、その国の存亡に関わる所も出ている。日本においても経済の伸びが減速し、会社の決算の下方修正を余儀なくされる企業が続出している。
 金融危機は企業だけではなく、大学にも暗い影を落とし、少子化などで大学経営が厳しい大学が、投機性の高い資産運用を始めたといわれている。中には大規模なデリバティブ取引で多額の損失を出した大学も少なくなく、その穴埋めにキャンパスの土地・建物報告やグラウンドを担保として融資を受ける状況に至っている大学もある。
 このことは、それだけ多くの大学が経営苦しいともいえる。また、少子化により大学の定員数が進学希望者数より上回り、大学を選り好みしなければ誰でも大学に入れる「大学全入学時代」が目の前に来ています。すでに私大の五割弱に定員割れが起きている。
 近年ゆとり教育とか、大学入試が容易になったことが要因なのか、学生の学力低下が指摘されるようになったと言われています。本来、大学生として学力があるかどうかの絶対基準の評価の入学試験そのものが甘くなってきているとも言われている。
 さて、金融危機は今まで景気好転や団塊世代の退職期を迎えていたことにより「売り手市場」だった大学生の就職戦にも急激な変化をもたらした。企業の業績や景気の悪化により、いったん決まった採用の内定を一方的に取り消される「内定取り消し」が後をたたない情勢が続いている。このままいくと「就職氷河期」と呼ばれた10年前の水準に戻りかねない状況である。世界や国内の景気・株・為替といった動向が先行き不透明のため、今大学に求められることはどんな時代が来ようが、就職に強い卒学生の輩出である。つまり、大学生としての専門知識やスキルと身に付けることは当然ながら、日常生活を通じて学生に社会で生きていく力を付けさせていける大学であるかどうかある。
 大学はいかにこうした能力を学生にしっかり身に付けさせるかが課題である。
 さて、大学の二極化が進むとともに、就職活動でも学生の二極化が進んでいる。複数の企業から内定をもらう学生と、全く内定をもらえない学生に二分される。この差は企業が人物本位の採用選考を実施するようになったことが大きい。就職はあくまで学生個人である。入学後の学びや課外活動など、さまざまな体験によって個々の学生の能力を大きく伸ばすことができるのも大学である。
1 他の大学において、学生の学力のレベルが下がっていると聞くが、首都大学東京における近年の志願者数の推移はどうか、伺う。
2 「売り手市場」から「買い手市場」になった、今年と来年度の就職状況について、伺う。
3 首都大学東京での大麻防止にどのような対策がとられているのか、伺う。
4 欧米の大学を見ると入学は簡単だが卒業は難しいと言われている。つまり「受験生の質」でなく、「卒業生の質」が重要視されているといえよう。大学側にはどのような教育を提供し、そしてどのようなレベルの卒業生を出したいのか、大学の姿勢が求められる。学生側には学生時代の4年間をどう過ごすか、学生時代に何をやってきたかが採用選考で試される。この両者が合わさったものが「大学力」といえよう。不況の今まさに「大学力」が試される。今後の首都大学東京の姿を伺う。
三 都市農業の保護、継続、促進のための生産緑地の保全について
 都市部に残る緑地を守るために、1974年に制定された生産緑地法に基づき市町村から指定された生産緑地だが、3大都市圏において1995年における約1万5500ヘクタールがピークであり、2000年度には約260ヘクタール減少、2005年度にはさらに約660ヘクタールも減少してしまった。
 生産緑地法において生産緑地として指定されるには500平方メートル以上の土地であることや30年間の営農などが条件であり、指定されると農地としての維持が求められ宅地やアパート開発など農業目的以外での使用が制限されてしまう。しかし生産緑地に指定される最大の利点は税金であり、宅地並みの課税対象とはならず課される税金額が少ない。この税金における利点は、地価の高い3大都市圏で農地への課税がもし仮に宅地並みとなると、固定資産税は生産緑地の数10倍から数100倍にも膨らむということからもわかるだろう。
 このように税金面で優遇されているにもかかわらず、生産緑地が減少しているのは生産緑地の所有者の死亡による相続のためである。相続人となる遺族は高額な相続税が発生するために、生産緑地の指定を解除し開発業者に売却する。結果、生産緑地法の意義もむなしく売却後は宅地開発が進んでしまっている。
 しかし生産緑地法の規定では農業従事者の死亡や障害などで農業が続けられなくなった場合には自治体に申し出を行い時価で買い取ってもらうことが原則とされているが、この仕組みは全く機能していないに等しい。例にあげると練馬区では2003年度から2007年度の5年間で108件の買い取り要請があったが、区の購入は0件であった。自治体による買い取りが進まない主な理由は、生産緑地の面積が中途半端で公共用地としての使用が適さない土地であり、また財産的にも土地は高額なので無計画、無目的には購入できないことなどが挙げられる。つまり、相続税支払いのため生産緑地の指定は解除され貴重な生産緑地は多くが宅地へと姿を変えている。
 一方で、「耕したい非農家市民」の数は増加している。都市農業の担い手でもある一般市民層においても、農業は生産だけにとどまらず、環境保全、地域教育、福祉などの農業の持つ複合的な恩恵が認識されつつあり、都市農業を守ることの意義は大きい。
 自治体が農地所有者から農地を借り上げ開設する区民、市民農園のニーズはとても高く、どの自治体も抽選を行っている。しかし素人が指導も受けずに栽培を行うため上手くいかず、耕作放棄状態になりがちである。また、隣の区画との仲間関係も築きにくい。一方、農地所有者にとっても不利な点が多く上記の通り相続が発生した場合、高額な相続税を支払わなければならない。そのため区民、市民農園は将来的にそこで農業活動を行っていくのが難しい現状がある。
 練馬区では農家の方が中心となり区民参加型の体験農園の開設をした。体験農園は園主が農園利用者に栽培方法を直接指導するため自作扱いとなり、適正に管理すれば税制上相続税の納税猶予制度の対象となることが可能である。練馬区では体験農園開設後、実際に相続が発生したがこの納税猶予制度が適用されている。
 また、区内に12ある体験農園の1つ「大泉 風のがっこう」では園主の指導のもとに区民が年間20種類から25種類程度の野菜の栽培を行い4月から翌年の1月まで、毎週金、土、日曜日この畑は大勢の人で賑わっている。彼らは皆、農民ではなく近隣に居住するサラリーマンや主婦、定年退職後のリタイヤ組である。利用料は3万1000円(区民以外は4万3000円)と区民農園の4000円と比較すると割高だが、農業指導や道具や苗の提供もあり、また区の担当者によると1区画で価格にして年間平均8万円ほどの収穫があるという。農園利用者の満足を考えると決して高い費用ではない。
 体験農園の多くは単に野菜を栽培するだけではなく、区民、市民農園にはない園主、他の農園利用者との結びつきがある。体験農園では会社などを離れた場所で利害関係が生じない人間関係が築け、また定年退職後の人々の地域への再参加も促し、また大量にできた野菜を御裾分けするといったことにより農園関係者以外との接点もできる。都市農業は環境保全といった面だけではなく、核家族化や、他者との関係が希薄化の進んだ現在、個人と地域とのつながりを深める役割も果たしている。
 また練馬区の園主の場合、粗収入は区画数×4万3000円であり、体験農園が平均すると110区画なので平均粗収入は473万円である。また普通の野菜の経費が40%から50%であるのに対して、体験農園の場合は25%から30%だという。農作業が軽減され、区民に感謝され、コミュニケーションが深まり、農地が守られる体験農園は各地に広がり、2007年12月時点で都内では3区15市1町に47箇所2887区画となっている。
 以上に述べた理由に加え、食の安全が叫ばれ、また他の先進国と比較して食料自給率が著しく低い我が国にとって都市農業は今後も保護、推進していかなくてはならないと考える。しかし全ての生産緑地が体験農園となることが可能な訳ではない。上記の練馬区でも農地面積は288ヘクタールで総面積の6%を占めるが、この10年間で3割も減少している。
1 東京都の農家、農業人口、農地面積の推移はどうなっているのか、伺う。
2 都市における生産緑地の存在には沢山の利点があると思うがその役割にはどんなものがあるか、伺う。
3 都市農業の要となっている生産緑地をどのように保全していくのか、伺う。

平成20年第四回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 経済連携協定に基づくインドネシア人看護師、介護福祉士の受け入れについて
1 日本とインドネシアとの間で締結された経済連携協定に基づき、看護師、介護福祉士合わせて、全国で208名が来日したが、都内の受入状況はどうなっているのか伺う。

回答
 インドネシア人看護師候補者のうち、都内の医療機関における受入数は8名であり、その内訳は、民間病院2か所にそれぞれ2名、都立広尾病院及び駒込病院にそれぞれ2名となっています。
 また、介護福祉士候補者のうち、都内の福祉施設における受入数は6名であり、その内訳は、民間施設3か所にそれぞれ1名、都立板橋ナーシングホームに2名、都立東村山ナーシングホームに1名となっています。

質問事項
一の2 第一陣である今回は当初予定定員の500人を大きく下回る人数であったが、インドネシア側の応募が少なかったことについて、今後どう改善されるのか伺う。

回答
 本制度における就労のあっせんは、両国政府において一元的に実施することとされています。
 国は、来年度の受入れについて、募集期間を十分に確保し、制度に関する周知・広報の充実を図ることや、インドネシアにおいて介護士に関する研修制度・資格制度が創設されること等により、応募者数は今回よりも増えるものと見込んでいます。

質問事項
一の3 今回の208名には、6か月の日本語研修を免除され、既に受入施設での就労・研修を始めている方がいるが、その方々の現在の様子について伺う。

回答
 今回来日したインドネシア人候補者208名のうち、日本語能力が十分と認められた3名については、昨年9月から受入施設での就労・研修が行われています。
 都内で就労・研修中の候補者は、インドネシアの看護師資格に加え、日本語能力試験2級とホームヘルパー2級の資格を有している方で、現在、特別養護老人ホームの業務に従事しています。
 同候補者は、業務上の様々な質問についても日本語で行っていますが、介護福祉士国家試験に使われている漢字をはじめ、難易度の高い日本語を習得するなど、学習を継続しています。

質問事項
一の4 今回、看護師、介護福祉士の受け入れに当たって、都はこうした受入施設に対してどのような支援を行うのか、伺う。
回答
 都は、国際協力の観点に立ち、来日したインドネシア人候補者の方々が在留期間内に国家試験に合格し、引き続き就労できるよう支援していきます。
 現在、日本語教育の専門機関や有識者等と連携を図りながら、6か月の日本語研修終了後、受入病院・施設において使用する日本語教材や、効果的な学習プログラムについて検討しています。
 今後とも、インドネシア人候補者の方々が安心して就労し、学習できる環境づくりに努めるとともに、民間の受入病院・施設が行う日本語習得や国家試験合格に向けた取組に対しても支援していきます。

質問事項
二 首都大学東京の就職などについて
1 他大学では学生の学力レベルが下がっていると聞くが、首都大学東京における近年の志願者数の推移はどうか、伺う。

回答
 首都大学東京の学部における一般選抜と特別選抜等を合わせた全体の志願者は、全国的な18歳人口の減少傾向もあり、平成17年度 9,710人、平成18年度 9,314人、平成19年度 8,845人、平成20年度 8,564人と推移しています。

質問事項
二の2 「売り手市場」から「買い手市場」になったが、首都大学東京における今年と来年度の就職状況について伺う。

回答
 近年の学生の就職環境は、平成20年3月卒業・修了者の就職率が97.7%と前年の96.2%を上回るなど、「売り手市場」の中にあり、来春卒業・修了する学生に対する採用活動も早期に始まりました。
 しかし、年度途中に発生した金融危機による急激な景気悪化に伴い、採用を中止する企業や内定を取り消す企業が現れる状況となり、平成20年12月現在で把握している学生の進路状況における就職内定率は95.7%となっています。
 また、現在就職活動を行っている、平成22年3月卒業・修了予定者に対する採用動向は、急激な景気悪化の影響を受けて一層厳しい状況になっているものと認識しています。

質問事項
二の3 首都大学東京での大麻防止対策について伺う。

回答
 大麻をはじめとする学生の薬物乱用の防止については、年度当初に全学生を対象に配布している「キャンパスライフ&スタディ」のなかで有意義な学生生活を送るための注意事項の一つとして記載し、その防止を呼びかけています。
 また、最近の大麻に関わる学生の事件を深刻に受け止め、昨年11月には警告文書を学内に掲示し、学生へ注意喚起を行いました。
 さらに、本年1月には薬物依存に関する専門家を招いて「薬物乱用防止講習会」を開催したところであり、今後とも学生に対して薬物乱用防止の一層の普及啓発に努めていきます。

質問事項
二の4 大学側の教育提供姿勢と学生側の学ぶ姿勢とが合わさったものが「大学力」といえる。不況の今まさに「大学力」が試されるが、今後の首都大学東京の姿について、伺う。

回答
 首都大学東京では、その人しか持ちえないような能力、創造力を引き出す観点から、意欲ある学生一人ひとりの自主性を尊重しながら、大都市の特色を生かした実践的な教育を実施することにより、都市社会の抱える様々な課題を理解し、課題発見・解決能力を持った人材の育成を行っています。
 今後とも、首都大学東京の基本理念である「大都市における人間社会の理想像の追求」に向け、大都市に立脚した教育研究の成果をあげ、豊かな人間性と独創性を備えた人材を育成し、人間社会の向上・発展に寄与していきます。

質問事項
三 都市農業の保護、継続、促進のための生産緑地の保全について
1 都の農家、農業人口、農地面積の推移について伺う。

回答
 5年毎に行われる農林水産省の農林業センサスによると、都内の農家数の推移は、平成2年が20,679戸、平成7年が17,367戸、平成12年が15,460戸、平成17年が13,700戸となっており、15年間で6,979戸、約34パーセントの減少となっています。
 農業就業人口については、平成2年が26,069人、平成7年が21,143人、平成12年が19,715人、平成17年が16,344人となっており、15年間で9,725人、約37パーセントの減少となっています。
 また、毎年実施される農林水産省の耕地面積調査によると、農地面積の推移は、平成4年が11,000ヘクタール、平成9年が9,590ヘクタール、平成14年が8,550ヘクタール、平成19年が8,090ヘクタールとなっており、15年間で2,910ヘクタール、約26パーセントの減少となっています。

質問事項
三の2 都市における生産緑地の存在にはたくさんの利点があると思うが、その役割について伺う。

回答
 平成19年における都内の生産緑地面積は3,655ヘクタールで、農地面積全体の約45パーセントを占めており、東京の農業の主要な生産基盤となっています。
 都内の生産緑地では、大消費地に隣接しているメリットを活かして、消費者ニーズに応える特色ある農業生産が行われ、各地域の農産物直売所などを中心に、都民に新鮮で、安全・安心な農産物が供給されています。
 また、生産緑地とそこで営まれている農業は、多面的な機能を有しており、都市において重要な役割を担っています。
 具体的な機能としては、
・ 都民が農業を楽しみ交流できるレクリエーション・コミュニティー機能
・ 自然の仕組みや営みを学ぶとともに、農業・食に対する理解を深める教育機能
・ 災害時の避難場所や火災の延焼遮断、豪雨時の雨水貯留などの防災機能
・ ヒートアイランド現象の緩和、地下水の涵養などの環境保全機能
・ 田園風景や昔の面影を残す農地や屋敷林などの景観形成、歴史・文化の伝承機能
などがあると考えています。

質問事項
三の3 都市農業の要となっている生産緑地をどう保全していくか、所見を伺う。

回答
 生産緑地の保全は、都市計画制度や税制など様々な側面から取り組んでいくことが重要であり、都は、区市が行う新たな生産緑地地区の指定を支援するなど、都市計画制度の面から適切な運用に努めています。
 また、より多くの農地が保全できるよう、指定に係る面積要件の引き下げや相続税制度の改善について、引き続き、国に提案要求していきます。

平成20年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  大山とも子

質問事項
一 公営住宅の高齢化対策について
   -「戸山団地」を中心に-
一 公営住宅の高齢化対策について
  -「戸山団地」を中心に-
 都営住宅をはじめとした、公営住宅居住者の高齢化が進んでいます。2008年1月1日現在の東京都の65歳以上人口の割合は19.38%ですが、都営住宅では、名義人の55.3%が65歳以上です。高齢化は都営住宅のみならず、住宅供給公社やUR住宅でも同様です。年齢が高くなるほど一人暮らしも増え、孤立や認知症、孤独死などの問題が起こりやすく、見過ごすことはできません。
1 「東京における高齢者の住まい方検討会」で、委員から「公営住宅の見守りについても検討も必要ではないか」「公営住宅に入っている人たちのことも踏まえて、高齢者の住まい方というところに……議論を進めていかなければいけないのではないか」という意見が出ていることを、どう受け止めていますか。
 私が住んでいる新宿区に「戸山団地」があります。戦後初の本格的な鉄筋コンクリート造りの不燃住宅として、1948年から建築がはじまり、1950年までの間に42棟1,072戸が建設されました。居住者の入れ替わりはあったものの、「戸山団地」は、居住者の皆さんが育ててきた樹木や植物が豊富で、住宅ができたころ、若木として植えられたであろう桜並木はすばらしいものでした。鉄筋コンクリートの住宅ではありましたが、潤いのある住宅でした。住宅が年月を経ると同じに、居住者の高齢化も進みました。
 1990年から始まった「戸山団地」の建て替えが、今年終了しました。新しくなった住宅には従前居住者と他の都営住宅の建替えまたは、取り壊しのために移転してきた居住者が入居しました。戸山団地がそうであるように、他の都営住宅から転居してきた居住者も高齢化しています。「戸山団地」の建て替えが終了すると、いままでの2倍以上、2,321戸という大規模な団地になる予定ですが、新たな居住者も含めて、気心の知れた「ご近所」になっていくことが求められています。
2 新宿区社会福祉協議会が実施した「戸山団地・暮らしとコミュニティについての調査」で、この戸数2,321戸の都営住宅「戸山団地」の高齢化率が5割を超えていること、75歳以上の約6割がひとり暮らしとみられることが明らかになりました。また、この調査では、「戸山団地」には若い世帯も入居しているが、高齢者世帯との交流がほとんどないこと、集合住宅におけるコミュニティのあり方について検討する必要があることが指摘されています。こうした調査を十分に参考にして、都の福祉政策、住宅政策、コミュニティづくりの政策を進める必要があると思いますが、どうですか。
 コミュニティが壊れてしまう原因はさまざまありますが、考えられることの一つは、住宅の規模や建て方です。旧戸山団地が4~5階建てで廊下はなく、階段の両側に2戸ずつ、4階建てなら1つの階段を8軒で使用するものでした。1棟は、ほとんどが24戸か32戸のこじんまりしたものでしたから、階段毎のコミュニケーションが自然にできていました。その住宅が高層廊下型でしかも1棟の規模が一番小さな号棟でも59戸、一番大きなところは344戸という巨大な団地になりました。
 また、旧戸山団地と角筈アパートの居住者は、ほぼまとまって新しい建物に移転できましたが、他の都営住宅からの住み替えの方々は、同じ「戸山団地」でも、必ずしもまとまってはいません。長年かけて作ってきたコミュニティが壊れてしまったということです。そんな中で、他の住宅から引っ越してきた高齢者が広い「戸山団地」で買い物に出たけれど、帰れなくなってしまったということも珍しくありません。一人では外にもなかなか出られず、1週間誰とも口をきかなかったという人。同じ団地から引っ越してきた人に1ヶ月ぶりで会ったら、認知症がすすんでしまって、「あなた誰?」と言われたなど、高齢者にとっての困難は、たくさんあります。
3 福祉保健局と都市整備局などが連携して、都として、都営住宅をはじめとした高齢者世帯の多い共同住宅の高齢化の実態、孤立化やコミュニティの現状、居住者の要望などについて、調査を行うことを提案しますが、見解を伺います。
 人と会って、おしゃべりをすることは、認知症の予防には重要なことです。月に一度の掃除の日は、いろいろなところから引っ越してきた方々も含めて、顔見知りになるチャンスです。しかし、高齢で掃除はできない方々もいますから、役員さんは、お茶だけでも飲みにくるよう誘いますが、みんながお掃除をしているのに、自分だけお茶飲みもできないと、出てこられない方もいます。
 新宿区社会福祉協議会が「戸山団地・暮らしとコミュニティについての調査」を実施したとき、半年間、月に1回、集会室を借りて調査をしました。その時、相談窓口も開いたら、さまざまな相談がきたとのことです。そこに、人がいるから立ち寄ることができます。
 サークルは合わないという人も、掃除の時には出てこられないという人も、場所があって、常時人が居れば、気軽に立ち寄ることができます。横浜市では、市営住宅の空き部屋を活用した「高齢者支援拠点」を10月31日からスタートさせました。高齢者の孤独死防止の取り組みや見守り等を行うための拠点です。事業内容は(1)生活や福祉に関するよろず相談、(2)地域の福祉活動の「場」の提供(常設型サロン)、(3)地域の福祉保健情報の収集と発信です。拠点には常駐スタッフが配置されます。
4 「戸山団地」については、集会所の活用だけでなく、高齢者がいつでも立ち寄れ、おしゃべりや交流することができて、相談支援者が配置されているサロンのようなものを、ブロックごとに常設することが大事だと思いますが、どうですか。
5 「戸山団地」には、シルバーピアが308戸ありますが、団地全体がシルバーピア化している実態にあり、今後さらに75歳以上の世帯が急増することになります。シルバーピア以外の都営住宅にもLSA(生活援助員)を配置し、高齢者世帯の見守りや相談支援をおこなうなど、高齢化率5割を超える事態を踏まえた新たな対応策の検討が必要だと思いますが、認識を伺います。
 さまざまな年齢層、子どもも若者も働き盛りの人も高齢者も住んでいてコミュニティは活性化します。このようなソーシャルミックスが実現できない原因のひとつは、建て替えの時に従前居住者の住み替えだからと、1~2人向け住戸の割合を増やしてきたことがあります。同時に収入基準も問題があります。さらに、来年4月から制度が改悪され収入基準がさらに低くなり、公営住宅が必要な子育て世帯が排除されてしまうことは重大です。
6 ソーシャルミックスを進めるためにも、公営住宅法施行令改定の撤回を国に求めることがますます重要になってきています。
7 都心の大規模団地で高齢化率が5割を超えるような現状は、改善していく必要があると思いますが、どうですか。
 新宿区社会福祉協議会が早稲田大学等と協力して、「戸山団地・暮らしとコミュニティについての調査」が実施されましたが、今度はこれらを活かしていくことが重要です。
8 「戸山団地」については、東京都も一緒に、新宿区社会福祉協議会や近隣の早稲田大学などとも連携し、住宅政策・都市政策、地域福祉・高齢者福祉などの専門家、学生の力を生かした団地の活性化を進めることを提案しますが、どうですか。
9 新宿区社会福祉協議会の調査では、団地の建て替えにより1DKを極端に増やしたことが高齢化率を急速に押し上げたこと、「若年ファミリー向けの10年の期限付き入居制度なども、若い世代の入居で団地を活性化するというより、長い目で見たコミュニティづくりには、むしろマイナスに働くおそれもある」ことを指摘しています。こうした分析を、どう受け止めていますか。
10 これからの都営住宅政策については、住宅提供という視点だけでなく、高齢者も若い世代もバランスよく入居できるようにするとともに、さまざまな世代が交流できるコミュニティづくりの視点を、ハードとソフトの両面から重視する必要があると思いますが、認識を伺います。

平成20年第四回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 公営住宅の高齢化対策について(「戸山団地」を中心に)
1 東京における高齢者の住まい方検討会で、委員から公営住宅の見守り等について意見が出ているが、所見を伺う。

回答
 公営住宅などの共同住宅において高齢者が安心して暮らし続けるためには、居住者で組織する管理組合や自治会などが、日ごろから見守りを行うなど、居住者同士の支え合いが重要です。
 このため、都では既に、平成19年度から管理組合の代表者や管理人などに対し、高齢者支援に求められる基礎的な知識を付与する「高齢者住宅支援員研修事業」を実施するなど、共同住宅における高齢者の見守りを普及させています。
 また、都営住宅の管理者の立場から、巡回管理人を配置し、高齢者等で希望する世帯に対し、定期的に戸別訪問や個別相談を行っています。

質問事項
一の2 新宿区社会福祉協議会の調査では、都営戸山団地の高齢化率が5割を超えていることなどが明らかになった。また、若い世帯と高齢者世帯との交流がほとんどないこと、集合住宅におけるコミュニティのあり方について検討する必要があることが指摘されている。こうした調査を十分に参考にして、都の福祉政策、住宅政策、コミュニティづくりの政策を進めていくべきだが、所見を伺う。

回答
 都営百人町アパートなど建替えで供給した住宅については、従前居住者の入居を原則としています。
 建替えに当たっては、地元区市と連携し、高齢者在宅サービスセンター、地域のコミュニティ活動の拠点となる集会所や広場、公園・緑地等を整備しています。
 また、都営住宅の管理者の立場から、巡回管理人を配置し、希望する世帯に対し、定期的に戸別訪問や個別相談を行っており、従前居住者の入居後に発生した空家では、若年ファミリー世帯向けの期限付き入居制度による募集も行っています。
 なお、都は、高齢者の生活を支える医療、介護、住まい、地域の見守り等の総合的な地域ケア体制の整備を目指した「東京都地域ケア体制整備構想」を平成19年12月に策定し、関係者に積極的な取組を働きかけるとともに、区市町村への支援を行っています。

質問事項
一の3 福祉保健局と都市整備局が連携し、都として、都営住宅をはじめとした高齢者世帯の多い共同住宅の高齢化の実態、孤立化やコミュニティの現状等について調査を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 都では、共同住宅における見守りの在り方等について「東京における高齢者の住まい方検討会」を設置し、検討を行っています。
 検討会において、共同住宅における高齢化の状況や、高齢化に伴う問題とその対応などについて、実態調査を実施しています。

質問事項
一の4 戸山団地について、高齢者がいつでも立ち寄れ、おしゃべりや交流ができ、相談支援者が配置されているサロンのようなものを、ブロックごとに常設することが大事だが、所見を伺う。

回答
 都営百人町アパートの建替えに当たっては、居住者による自主的な活動の場となる集会所や広場、公園などを既に整備しています。

質問事項
一の5 シルバーピア以外の都営住宅にもLSAを配置し、高齢者世帯の見守りや相談支援を行うなど、高齢化率5割を超える事態を踏まえた新たな対応策を検討すべきだが、認識を伺う。

回答
 都営住宅の管理者の立場から、巡回管理人を配置し、高齢者等で希望する世帯に対し、定期的に戸別訪問や個別相談を行っています。
 なお、見守りサービスや日常の生活相談窓口などについては、それぞれの地域において、地元区市により既に実施されています。

質問事項
一の6 ソーシャルミックスを進めるためにも、公営住宅法施行令改定の撤回を国に求めることが重要になってきているが、所見を伺う。

回答
 今回の公営住宅法施行令の改正は、公営住宅を住宅困窮者に公平、的確に供給するためのもので、「東京都住宅マスタープラン」の内容とも整合することから、改正の趣旨に沿って適切に実施していきます。

質問事項
一の7 都心の大規模団地で高齢化率5割を超えるような現状は、改善していく必要があると考えるが、所見を伺う。

回答
 建替えで建設した都営住宅は、公営住宅法に基づき、建替事業における従前居住者が入居しています。
 なお、従前居住者の入居完了後に発生した空き家については、若年ファミリー世帯向けの期限付き入居制度による募集も行っています。

質問事項
一の8 戸山団地について、新宿社会福祉協議会や早稲田大学などとも連携し、住宅政策・都市政策、地域福祉・高齢者福祉などの専門家、学生の力を活かした団地の活性化を進めるべきだが、所見を伺う。
回答
 都営住宅における良好なコミュニティの形成など団地の活性化については、自治会など居住者による自主的な活動が重要な役割を担っており、その支援には、それぞれの地域において、地元自治体により総合的に対応されることが望ましいと考えます。
 なお、都営百人町アパートの建替えに当たっては、これまでも地元の新宿区と十分連携を図りながら、高齢者在宅サービスセンター、地域のコミュニティ活動の拠点となる集会所や広場、公園・緑地などを既に整備しています。また、都営住宅の管理者の立場から、巡回管理人を配置し、高齢者等で希望する世帯に対し、定期的に戸別訪問をするなどの対応を行なっています。

質問事項
一の9 新宿社会福祉協議会の調査による、団地の建替えにより1DKを極端に増やしたことが高齢化率を急速に押し上げたこと、「期限付き入居制度などは、長い目で見ればコミュニティづくりにはマイナスに働くおそれもある」こと、という分析について、どう受け止めているのか、所見を伺う。

回答
 都営百人町アパートは、建替事業における従前居住者が入居しており、建替えに当たって、従前居住者の世帯人員に応じた居室構成や面積規模の住宅を適切に供給したものです。
 また、期限付き入居制度は、都民共有の財産である都営住宅の利用機会の公平性の確保を図るとともに、あわせて若年ファミリー世帯など子育て世帯の入居を進めることにより、団地及び周辺地域の活力の維持向上にも寄与するために導入したものです。

質問事項
一の10 今後の都営住宅政策は、高齢者も若い世代もバランスよく入居でき、また、さまざまな世代が交流できるコミュニティづくりの視点を、ハードとソフトの両面から重視すべきだが、認識を伺う。

回答
 都営住宅における良好なコミュニティの形成については、自治会など居住者による自主的な活動が重要な役割を担っていると考えており、建替えに当たっては、自治会等の活動拠点となる集会所や広場、公園などを整備しています。
 また、都は、都営住宅の管理者の立場から、巡回管理人を配置し、高齢者等で希望する世帯に対し、定期的に戸別訪問をするなどの対応を行なっています。
 さらに、従前居住者の入居完了後に発生した空き家については、若年ファミリー世帯などへの期限付き入居制度による募集も行っています。

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