○副議長(石井義修君) 百番大塚たかあき君。
〔百番大塚たかあき君登壇〕
○百番(大塚たかあき君) まず初めに、東京駅前の中央郵便局の建てかえ計画における歴史的建造物の保存について伺います。
日本の持続的発展や東京の国際競争力を強化するために、東京の都市再生や都心部の計画的な耐震補強を含め、機能更新が不可欠であることは十分理解ができます。しかし、当建造物は、昭和六年十二月、モダニズム建築の旗手として評価の高かった吉田鉄郎氏の設計により、最高傑作としてこの世に誕生し、現在まで多くの都民、国民に親しまれ、約八十年近くにわたり、日本の郵政業務の中心的役割を果たしてきました。
また、この地域は、江戸から明治、大正、昭和、そして今日に至るまで、日本の枢要な業務を担う地域であり、建築の技術の粋を集めた歴史的建造物が多く残された地域でもあります。
昨年十一月に超党派で衆参両院の百六十八名の国会議員で組織された、東京中央郵便局庁舎を国指定重要文化財とし、首都東京の顔として将来世代のために、永く保存・活用を進める国会議員の会が結成され、日本郵政株式会社に要望書を出し、多くのマスコミでの報道や、千代田区議会や民間、学識者の皆さんの要望活動や、さらに国会での議論があり、文化庁も、戦前の我が国の近代建築のすぐれた作品の一つと考えており、国の重要文化財として指定する価値を有するものと認識と国会答弁をした経過があります。
私も過日、この質問をするに当たり、先ほどの国会の事務局を務めております河村たかし衆議院議員や文化庁の幹部の方に面会をし、意見交換をしてきましたが、多くの方々が、さらに希望を捨てずに中央郵便局の保存を望んでいることが理解できました。
今般、東京中央郵便局の建てかえ事業が都市再生特別地区として提案され、来年の東京都都市計画審議会に付議されることから、先月二十七日の都市整備委員会に報告され、質疑が行われたところです。我が都議会民主党は、あえて委員会質疑はせず、本会議の場で、多くの都民、国民の皆さんに、東京都の象徴的な場所、東京駅前の貴重な価値がある歴史的建造物を残すべく訴えたいと思いました。
東京都は、ぜひもう一度立ちどまり、今まで述べてきた観点を踏まえ、保存に向けてリーダーシップを発揮してほしいと思います。
そこで、東京中央郵便局の建てかえ計画における歴史的建造物の保存に関しての所見をお伺いするとともに、今後の都市計画と歴史的建造物の保存に関して所見をお伺いいたします。
次に、超高層建築物の防災対策についてお伺いいたします。
去る十二月六日の朝日新聞の一面に、長周期地震動、高層ビルの弱点、東京やっぱり要注意という見出しで、大型建造物の被害をもたらす危険度が高いという内容の記事が掲載されました。
震源から百キロ以上離れ、また震度が小さくても、大型建造物では共振現象が起こり、大破するそうです。幸いに、東京は近年、大きな地震には見舞われていません。現在、都内には、高さが百メーターを超える超高層建築物が三百四十棟あり、技術的に机上の計算では安全性が確保されておりますが、被害の拡大は想像ができません。例えば、地震により、建物そのものには被害が少なくても、エレベーターの停止により高層階から避難することができなくなり、出版物として紹介されております、いわゆる「高層難民」が発生することが予想されます。
こうした事態に備えて、避難できるまでの間、最低限生活ができるように防災備蓄倉庫の設置が進んでいますが、いまだ三百四十棟中七十棟にしか設置されておりません。私が住んでおります芝浦アイランドでも、住民の皆さんの不安の中心は、地震時に生活ができるかということになっております。
そこで伺いますが、超高層住宅においても、みずからが備蓄に取り組むという自助、共助は必要ですが、都としても、地元自治体と協力して、超高層住宅に対するさらなる対策を進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
次に、薬物についてお伺いいたします。
最近、テレビで何度も報道された港区白金台住宅地での薬物取引、本来は無縁のはずの平凡な主婦が、閑静な住宅地でイラン人から薬物を購入しているという事実を世間に知らしめたことで衝撃的でした。また、有名私立大学の一部の学生による大麻使用の事件が報道されたこともありました。このように、薬物の取引場所が繁華街から住宅地へ拡大し、また、インターネット取引により若年層への薬物汚染が広がり、大きな社会問題になっております。
そこで、今般、財団法人ライオンズ日本財団が、青少年の健全育成事業の一環として、薬物乱用防止DVD、ドラッグリポートを制作し、全国の学校や防犯協会に無料頒布することが決まりました。まず手始めに、都立学校約二百五十校に三百四十枚のほか、都内四十八地区の薬物乱用防止推進協議会や都庁にも配布され、活用されると聞いております。私もその財団の役員の一人として、補助教材や「ダメ。ゼッタイ。」の啓蒙活動に積極的かつ有効に使われることを期待しております。
そこで伺いますが、都立学校における薬物乱用防止の指導の現状と、東京都教育委員会としての今指摘した補助教材の利用など、今後の取り組みについて所見をお伺いいたします。
次に、緑化施策について伺います。
東京における自然の保護と回復に関する条例では、市街地における緑化推進のための緑化計画制度と、現在ある緑を保全するための開発許可制度の二通りの制度を定め、緑の確保に努めてきましたが、緑の減少に歯どめがかかっていないのが現状です。この状況から、本条例の改正に当たり、東京都自然環境保全審議会計画部会、中間のまとめが出され、先日、パブリックコメントの募集が行われたばかりです。
中間のまとめでは、二つの制度ともに、緑化基準の引き上げなどの強化が提案され、その趣旨や方向性は、私も将来の東京にとって望ましいものと考えます。一方、地域によっては、敷地の形状や面積、植栽条件などにより、強化された緑化基準を守るため、事業者が悩み、苦労するケースが出てくることが想定されます。しかし、これまでも、さまざまな工夫により緑化基準を超える緑を確保しているところも少なくありません。
今後、緑化基準の強化を図るに当たって、こうした事業者の現場での創意工夫について、ヒアリングを実施するなどして事例を収集、整理し、窓口で事業者に示すなど、きめ細かな対応が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
次に、品川駅、田町駅周辺のまちづくりについて伺います。
当該地域は、羽田空港にも直結するなど、交通利便性が高く、東京の新しい都市づくりビジョンで新拠点に位置づけられた大変重要な地域であります。また、運河沿いの地域では超高層住宅が多数建設され、親水護岸など運河ルネッサンス事業を中心に整備が進んでいるのも特徴の一つです。一方、私が過去の定例会で取り上げた、東西のアクセス道路や品川駅高輪口の整備は依然として地域の課題になっております。
最近、当該地域では、田町駅東口の東京ガスと港区区有地を活用したまちづくりや、港南の下水道局芝浦水再生センターの上部利用事業など、新たな開発計画が検討され、具体化に向けて議論が活発になっております。また、近隣のJRの車両基地の開発構想にも関心が集まっています。芝浦アイランドでは、新たに三千八百世帯、約一万人の自治会が、恐らく都内最大の規模で来年四月に設立され、現在準備が進んでおります。新たな住民、古くから住んでいる方々は、このようなまちの移り変わりの様子を注意深く見守っているとともに、安全で安心して快適に住めるまちづくりを考える機運が高まっております。
東京都は、昨年、品川駅、田町駅周辺の約六百三十ヘクタールの地域を対象に、東京湾からの風の道などを生かした環境モデル都市づくりなどを目標にまちづくりガイドラインを定めました。このガイドラインができて一年が経過しましたが、当該地域の都市づくりはまだ緒についたばかりであり、都市の魅力を高める先進的な都市づくりを今後着実に進めていくことが重要と考えます。
そこで、東京都は、品川駅、田町駅周辺地域でのガイドラインの実現に向けたまちづくりにどのように取り組んでいくか、所見をお伺いいたします。
次に、東京都は、芝浦水再生センター地区を品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインにおいて優先整備地区の一つに位置づけ、今の時代に即した環境モデル都市の拠点として重点的に整備を進めていくとしております。
今般、下水道局は、芝浦水再生センターの再構築の一環である雨天時貯留施設の建設に伴い、上部空間を利用し、合築の手法によって業務・商業ビルを建設、運営する民間事業者グループを公開募集し、来年二月に事業者を決定すると聞いております。
一方、センターの中央部については、地元の周辺町会や自治会から、以前からスポーツ・レクリエーション機能を持った公園整備に充てるよう要望が出ており、それを受けて、去る六月の港区議会定例会の代表質問でも、区から東京都へ要請する旨の質疑が民主党が中心の会派から行われました。さらに十月には、港区議会から東京都知事あてに覆蓋化の早期完成に関する要望書が出されたばかりであります。
このような状況の中、芝浦水再生センター地区において、今後、まちづくりが本格化していくということになりますが、地元町会や自治会、また港区議会の要望を踏まえ、下水道局では、センターの再構築に合わせたまちづくりをどのように進めていくか、所見をお伺いいたします。
次に、平成十八年の第三回定例会の質問で取り上げた地元青山通りのまちづくりについては、その後、平成十九年三月の東京都の景観計画の策定により、景観重要公共施設として位置づけられ、昨年十一月には、国土交通省、港区と地元協議会の間で景観維持プログラム協定が締結されるなど、国道二四六である青山通りは、四十五年前の東京オリンピック開催を契機に始まった道路拡幅以来、目覚ましい発展を遂げ、商業・業務、文化の情報発信地として活気のある街並みが連なっております。
さらに、この青山通りの沿道のまちづくりについては、地元町会や地元協議会とも協力関係にあるNPO法人渋谷・青山景観整備機構、いわゆるSALFに対して、先般、東京都により、景観法に基づく都内初の景観整備機構の指定がなされました。
そこで伺いますが、この景観法に定める景観整備機構はどういう機能を果たすのか、お伺いいたします。
また、東京都が今回景観整備機構として指定したNPO法人は、青山通り周辺において、地元のまちづくりのルールづくりに支援をする活動をしていると聞いております。青山通り沿いでは、SALFと協定を結んでいる協議会以外にも、民間地権者から構成された新青山街づくり協議会により、まちづくりの検討がされております。
今後、SALFが青山地区などでまちづくり活動を推進するに当たり、新青山街づくり協議会など沿道のまちづくり団体で議論されている内容にも十分配慮すべきと考えますが、景観整備機構の監督官庁としての東京都のSALFに対する今後の対応に関して所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 大塚たかあき議員の一般質問にお答えを申し上げます。
学校における薬物乱用防止の指導の現状と今後の取り組みについてでございます。
大麻、麻薬などの薬物乱用につきましては、個人の健康や人格形成を損なうだけでなく、家庭内暴力や犯罪の増加など、社会全体にも甚大な影響を与えるものでありまして、法律で厳しく禁止をされております。
児童生徒は、小学校、中学校、高等学校と、いずれも保健の授業で、発達段階に応じ、飲酒、喫煙、薬物乱用による健康被害について学習をしております。
これまで都教育委員会は、教師向け指導資料の作成、配布や、警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師などを講師に招いた薬物乱用防止教室やセーフティ教室の全校実施などを通しまして、教員の指導力の向上に努めてまいりますとともに、児童生徒に対しては、薬物乱用防止に関する正しい知識や適切な判断力、行動力を育てていくよう、各学校を指導してまいりました。
今後とも、関係機関や区市町村教育委員会とも連携を図りまして、お話の補助教材を活用するなどして、児童生徒みずからが薬物乱用の有害性や危険性を認識し、適切に健康を管理、改善していく力を育てる薬物乱用防止教育を推進してまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 五点のご質問にお答えをいたします。
まず、東京中央郵便局の建てかえ計画における歴史的建造物の保存についてでございますが、中央郵便局は昭和初期に建築されたものであり、建てかえ計画に対しまして保存の要望が出されておりました。
日本郵政株式会社では、要望を受け、耐震性能の確保に工夫を凝らし、東京駅前広場に面する部分の保存、再現を行い、東京駅前の景観を継承することといたしました。建てかえられる建物につきましては、郵便局の窓口機能とともに、郵便の歴史も伝えるミュージアムや国際ビジネス・観光情報センター等の新たな機能を導入することとしております。
今回の計画は、建物の一部保存、再現を図りながら建てかえを行うものであり、歴史の継承と開発のバランスをとりつつ進められると考えております。
次に、歴史的建造物の保存についてでございますが、都市の貴重な景観資源である歴史的建造物の保存、活用は、東京の魅力を高めていく上で重要でございます。
都はこれまで、景観条例に基づき、景観上重要な建造物を選定するとともに、重要文化財の三井本館などにつきまして、都市開発手法を活用して保存を実現するなど、取り組みに努めてまいりました。
今後とも、敷地の条件や建物の状態、周辺の開発動向等を勘案しながら、必要となる場合は特定街区などの都市開発諸制度の活用などによりまして、歴史的建造物の保存や歴史的景観の形成を図ってまいります。
次に、品川駅、田町駅周辺のまちづくりについてでございますが、都は、低未利用地も多く存在するこの地域につきまして、昨年、まちづくりガイドラインを策定し、運河などを生かした都市づくりの方針や、JR車両基地など優先的に整備を進める地区の将来像を明らかにいたしました。
今後、地区計画等を活用して、優良な民間開発や東西連絡道路などの基盤整備を誘導し、地域の中核的な拠点の形成を図ってまいります。また、地域全体として、風の道の確保や水と緑のネットワークづくりに取り組むなど、住民の視点にも留意し、環境モデル都市にふさわしい快適で魅力ある都市づくりを進めてまいります。
次に、景観法の定める景観整備機構についてでございます。
この機構は、民間団体等による自発的な景観の保全、整備の取り組みを一層推進させるため、良好な景観形成を行う主体として、都や区市などの景観行政団体が指定をするものでございます。
この機構の業務といたしましては、景観重要樹木の管理や、広場の整備等の景観重要公共施設に関する事業などがございまして、指定を受けることによりまして、地方公共団体にかわって、あるいは地方公共団体とともに、良好な景観の形成に取り組むことができることとされております。
最後に、お話がございましたNPO法人渋谷・青山景観整備機構についてでございます。
この機構は、渋谷、原宿、青山地区一帯を対象に、地域住民、行政、関係団体などと連携しながら、地元関係者による良好な景観まちづくりの取り組みを支援することを目的として活動してまいりました。
今後、青山通りの港区区間につきましても、地区計画の策定支援に向けた取り組みを進める意向と聞いておりますが、その際には、沿道におけるまちづくり協議会などの意見にも配慮するよう、都としても指導、助言するなど適切に対応してまいります。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 超高層住宅の震災対策についてお答えいたします。
超高層住宅の住民の方が震災時にも自宅で生活できるよう対策を進めることは重要であると認識しております。
都はこれまで、地元自治体と協力して、住民みずからが水、食糧の備蓄や家具類の転倒防止、簡易トイレの準備などを行うよう、防災訓練や防災展などさまざまな機会をとらえて働きかけてまいりました。
さらに、超高層住宅での生活に不可欠なエレベーターを早期に再稼働させるため、日本エレベータ協会と共同して、閉じ込めからの救出や復旧の早期実施に向けた体制整備に取り組んでおります。
今後とも、地元自治体等と連携しながら、超高層住宅に対する震災対策を進めてまいります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 緑化計画書制度についてお答えいたします。
東京を緑あふれる都市として再生するためには、事業者等と連携して、市街地における緑化をより一層推進していくことが必要でございます。
都はこれまでも、緑化計画書制度において、個別案件ごとにきめ細かな指導を行い、緑の創出を図ってまいりました。
今後の制度強化に際しても、具体的な緑化の創意工夫について取り組み事例を提示することなどにより、事業者が円滑に取り組めるよう、引き続ききめ細かな対応を図ってまいります。
〔下水道局長今里伸一郎君登壇〕
○下水道局長(今里伸一郎君) 芝浦水再生センターの再構築に合わせたまちづくりにつきましてお答えいたします。
芝浦水再生センターの再構築につきましては、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインを踏まえ、再構築に合わせて、環境モデル都市の中核的な拠点として、センター中央部は建築物の高さを制限し、風の道や大規模な公園、緑地を確保する一方、その他のエリアは集約的な高層化を図っていくこととしております。
公開募集しております業務・商業ビルは、下水再生水や下水の持つ熱を最大限に活用するなど、環境モデル都市づくりのランドマーク性を創出する最高水準の環境性能を有するビルとしてまいります。
今後とも、ガイドラインを踏まえまして、地元要望にも配慮しつつ、庁内関係部局や地元区と十分に連携しながら再構築事業を進めてまいります。
○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二分休憩
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