○議長(比留間敏夫君) 三十三番西岡真一郎君。
〔三十三番西岡真一郎君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○三十三番(西岡真一郎君) 薬物乱用防止について伺います。
昨今、毎日のように大麻や覚せい剤などの薬物乱用のニュースが飛び交う深刻な事態です。医師によるリタリン不正処方や硫化水素による自殺指南なども社会問題となりました。
特に、マリファナとも呼ばれる大麻は、高校生、大学生、芸能人、スポーツ選手、医師など、一連の報道に見られるように汚染拡大が懸念され、薬物のファッション化ともいわれる深刻な事態であります。自宅の押し入れや山林などの発見しにくい場所でひそかに大麻を栽培し、吸引や密売される例が多発し、インターネットや書籍では栽培方法まで紹介されています。都の審議会が大麻の特集雑誌を不健全指定として答申したと聞き、私も昨日、その雑誌を拝見しました。
大麻は、たばこより害が少ないなどの誤った情報が流布されていますが、吸引量によっては精神に悪影響を及ぼすため、大きな誤りで、ゲートウエードラッグとも呼ばれ、誘導役となり、心や体、周囲の人々に悪影響を及ぼす覚せい剤などへの入り口ともなり得ます。
大麻事犯は、平成十五年から十九年までの五年間の状況で、二十歳代以下の検挙者の占める割合が毎年六割を超え、若者に大麻が蔓延しています。
また、覚せい剤の薬物乱用も極めて憂慮される事態が続いています。最近は、取り締まりが困難なインターネットや携帯を使った密売、防犯カメラのない住宅地での密売などが横行し、若者受けする錠剤の形や色、ネーミングでカムフラージュし、価格も、子どもたちをターゲットに低下傾向にあります。勉強ができる、やせるなどのいい回しによりだまされてしまうなど、薬物乱用が低年齢化しています。
都は、国に先駆け、国の法律では追いつかない新種の脱法ドラッグを禁止する条例を策定し、大きな成果を上げ、国を動かし、脱法ドラッグ対策が全国的な規制の枠組みに位置づけられました。しかし、乱用状況は改善していません。都の取り組みをより一層強化する必要があります。
現状認識と今後の取り組みについて、知事にご所見を伺います。
都は、私も委員として取り組んだ薬事審議会に薬物乱用防止対策を諮問し、昨年に答申を受け、今、検討中です。薬物を流出させているやみ社会は、日々悪い方向に進化しています。同じ対策の繰り返しではない、早期の対策が必要です。検討状況や取り組みについて、都に伺います。
こちらのパネルをごらんください。こちらのパネルは、平成十七年度東京都薬物乱用防止高校生会議の活動の一環として、女子美術大学付属高等学校の皆様がつくった啓発チラシです。一見おいしそうなお菓子に見えますが、実は、この中には五つの恐ろしい薬物が紛れ込んでいます。合成麻薬のMDMAや幻覚剤のLSDといった薬物が、カラフルでかわいらしい形で五つもまじっています。
こちらは、まじっている五つの恐ろしい薬物を拡大したものです。まるでガムやサプリメントのようで、中にはキャラクターも描かれ、見た目では判断できませんが、絶対にだまされてはいけないものです。
恐ろしい薬物にはまってしまえば、死にも至り、また、生きていても、フラッシュバックと呼ばれる乱用者特有の現象に悩まされ続けるなど、大切な人生が取り返しのつかない事態へと至るのです。
このような違法薬物が出回る現状を考えてみると、有用な医薬品と絶対に使用してはいけない薬物の区別を都民一人一人が認識すること、薬物を勧められたり、売買情報を得たときの対処方法を学ぶこと、学校、家庭、地域における教育や社会の機運づくりが重要です。
しかし、私も地元の薬物乱用防止市民団体で活動していますが、地域で活動する団体の財政基盤が弱いのも現実です。また、大人になるにつれ、雰囲気やイメージにより薬物への認識が変化してしまいます。地域に根差した取り組みによる社会全体への効果的啓発が重要です。都のご所見を伺います。
大麻汚染は、大麻の種子が法律で規制されていないことに起因しています。種子は加熱処理により発芽不能とした上で、食用などとして国外から輸入されていますが、法の裏をかいて、観賞用と称し販売されている種子が不正栽培に利用され、多く乱用されています。この種子には法による規制が必要です。昭和二十年代に制定された大麻取締法は、現代社会との乖離が見られます。しかし、国からは、法改正は不要との声が聞こえてきます。
都は、三つの提案を国に行うべきです。第一に、大麻種子に関して法規制を行うこと。第二に、大麻の吸煙など使用に関する罰則の強化です。所持が処罰され、吸引が処罰されない矛盾が生じています。第三に、取り締まりの分野ですが、さまざまな情報がはんらんしているネットサイトへの取り締まりの強化です。厚生労働省とも協議し、国に積極的に提案していくべきと考えますが、都のご所見を伺います。
最後に、取り締まりの状況を伺います。
警視庁では、全職員が一丸となり、治安回復に向けた犯罪抑止策に努め、着実に成果を上げています。しかし、大麻乱用には都民も重大な関心を寄せ、都民生活の身近で起きている薬物事件に対し、大きな不安と脅威を感じています。
都民が安心して暮らせる東京を実現するためには、薬物事犯の取り締まりをさらに強力に推進し、違法な薬物を社会から一掃することが必要不可欠です。
警視庁における大麻事犯の取り締まりの現状と、今後の大麻事犯の取り締まりにどのように取り組み、対策を講じていくのか、決意を伺わせていただきます。
次に、新銀行東京について伺います。
新銀行東京は、都民の税金八百六十一億円を失わせ、さらなる赤字が懸念され、また、ブローカーや元行員による詐欺事件にまで発展しました。中小企業向けの貸出比率は四〇%程度と停滞し、その状況が改善されなければ、この銀行の使命が果たされているとはいえません。
昨日の都議会民主党代表質問では、日銀考査の概略を横から聞いていたことについて、石原知事は、子細なことは覚えていないと答弁していますが、知事は、本年三月の予算特別委員会で、当然都の幹部の人たちに伝わっていると思ったら、それは伝わっていなかったというのは改めて驚きと述べています。みずからも驚く事象であり、これほど重要な内容を覚えていないというのは、都のトップの姿勢としてはあってはならないことと思います。
改めて、日銀考査について、どのような内容を聞いたのか、ご見解を伺います。
本年三月の予算特別委員会での私の総括質問では、知事から銀行の新たな人事構想が必要との認識が示されていたため、質問し、知事は、これからの人事はまさにこれからと答弁されました。それから半年以上が経過し、大きな変化がなく、都の関係者が重職についています。
知事は、役人の発想には限界があると発言していましたが、なぜ進展がないのでしょうか。新銀行東京は新たな経営者を確保しないということなのか、ご所見を伺います。
また、不良債権以外の損出七百億円の詳細な内訳を質問しましたが、営業経費に五百億円との答弁があり、詳細は不明でした。都は、経営内容の詳細を把握する必要があります。
民民の分野とはいえ、システム経費などに過大な投資があったともいわれています。都は、不適切、むだな投資があったのか、詳細を把握しているべきと考えます。その状況や評価について伺います。
平成二十一年三月期中間決算に関連し、伺います。
新銀行東京が他行と違う最大の特徴は、一つには、銀行業にあってはならない、預金利息が貸出利息を上回る逆ざや状況に陥っていることであります。決算では、貸出金を含めた資金運用利回り一・〇九%に対し、預金金利を含めた資金調達利回りが一・二二%と逆ざや状況にあり、その差は昨年よりも悪化し、今後も、満期を迎えた預金により拡大し、さらに赤字が膨らむ可能性が大きいと考えます。
二つ目には、内部調査報告書概要版で指摘されていた、デフォルトが利息収入を上回っていたという深刻な状況です。この数値は現在どうなっているのでしょうか。経営を監視する上では重要な数値です。現状への評価と今後の動向を伺います。
最後に、今、着々と工事が進行している、待望の三鷹―立川間のJR中央線連続立体交差事業に関連して伺います。
私の地元の武蔵小金井駅小金井街道の、いわゆる有名なあかずの踏切は、高架化前は、朝七時から八時までの一時間に、踏切があいている総時間は、従来の小金井街道で五分、仮線切りかえ後は、踏切延長が長くなったことから、一分程度という調査もありました。既に下り線の高架化が実現した東側区間では、高架化によるその効果は高く、踏切遮断時間が平均で約四割減少し、小金井街道では最大渋滞長が約四割減少しました。
今後、東側区間は、上り線の高架橋工事が進められ、平成二十一年度末の踏切除却が予定されています。安全管理を優先しつつ、今想定している事業完了予定日より一日でも早く完成ができるよう強く要望いたします。
また、高架化により、高架下には貴重な都市空間が新たに創出されることから、市民生活の利便性を高める高架下利用への期待も高まっています。高架下利用については、沿線自治体において市民アンケートなどを実施し、意見を取りまとめ、JRに沿線自治体からの意見、要望が提出されております。
一方、JRは、ホームページの中で、連続立体交差化事業が進む中央線の沿線価値向上を目指した中央線ラインモール(仮称)構想の実現に取り組むことを提唱しています。地域経済や市民の利便性を高める事業であれば、もちろん歓迎すべきことであります。しかし、地域経済界や商店街との共存、まちづくりや防災など、幅広い分野にかかわるため、沿線自治体との協議が欠かせません。
こういった現状を考えると、早期の具体的な協議が必要です。事業主体である都のコーディネーターとしての役割が早期に発揮されるべきであります。
高架下利用計画策定に向けた今後の都の進め方について伺います。
高架下利用に当たり、特に自転車駐輪場確保は地元自治体共通の急務の課題です。自転車法でも、鉄道事業者が駐輪対策に協力することを求めています。自治体が公共利用枠内で設置するのではなく、鉄道事業者が事業主体となって、みずから高架下に駐輪施設を設置すべきです。
地元自治体とともに、都も鉄道事業者への働きかけを行うよう強く要望します。
また、小金井エリア内では、NPOによる、内閣府の全国都市モデル調査事業に選ばれた、高架橋からの雨水を活用した発電と散水の実験が注目されました。このような環境対策へも、高架下利活用の一環として、都と鉄道事業者の協力を強く要望いたします。
連続立体交差事業は、市民の利便性や新たな空間を生み出すなどの駅周辺整備を実現するまちづくりと一体でもあり、現在、都市再生機構が事業主体となった武蔵小金井駅南口第一地区再開発事業、小金井市の事業としての東小金井駅北口土地区画整理事業が大きく進展しています。都からも大きな支援をいただいておりますことに感謝を申し上げます。
小金井の都市基盤整備は、JR中央線連続立体交差事業とも連動し、駅周辺整備の完成による快適な駅前ロータリーの創出などにより大きく進展します。今後の課題は、武蔵小金井駅南口再開発事業の第二地区地域のあり方や、武蔵小金井駅北口地域、そして東小金井駅南口地域であり、高架化完成後も駅周辺のまちづくりが継続してまいります。
今後とも、まちづくりを推進する上で、都の支援は極めて大きいことから、駅周辺のまちづくりへの継続的な支援を保持していただきたいと考えます。ご見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 西岡真一郎議員の一般質問にお答えいたします。
薬物乱用防止についてでありますが、薬物の乱用は、人間の身体や精神に危害を及ぼすのみならず、家庭も崩壊させ、学校、職場、社会の秩序を乱すものでありまして、その害悪ははかり知れません。
現在の若者を中心とした薬物汚染の実態は、その広がりと根深さから、極めて憂慮すべき事態でありまして、都としては、今後、国に対して法規制の強化を強く求めていくとともに、学校を初め関係機関と連携しながら、薬物の有害性、危険性を訴え、薬物乱用の根絶に全力を尽くしていきたいと思っています。
昨日も大麻について申し上げましたが、アメリカという合衆国では、州がそれぞれの独自の権限を持っていまして、州によっては大麻を許容していると。これは非常にはた迷惑な話でありまして、アメリカのように、ある影響力を持った国が、世界全体の人類に害悪を及ぼしかねないこういった薬物についての統一見解を当然持つべきだと私は思っております。
これはもう国対国の交渉の問題でありますから、政府が責任持って推進すべきことと思いますが、一つ思い出しましたが、かつて国会議員のときに、プリンストンのある教授がやってきまして、それが非常にある問題を抱えて強制退去されそうなんで力をかしてくれという話が、あるアメリカ人の友人からありまして、事務所で聞きましたら、その人は何と、大麻、マリファナは有害でないというキャンペーンで日本にやって来たというから、これは論外の話で、あきれましたが、ただ私、その人物、なかなかのインテリジェントな、とにかく何かの専門家の学者でしたけれども、事務所に呼んで聞きました。彼はとうとうと論を述べておりましたが、かなりいかがわしいといいますか、信憑性の少ないもので、こういった論が、アメリカの部分的にも大麻というものを許容する論拠になっているのも非常に恐ろしい話と思いました。
これは、あくまでも国の責任でアメリカの統一の見解というものを導き出して、それを世界に敷衍させる必要があると思っております。
〔警視総監米村敏朗君登壇〕
○警視総監(米村敏朗君) 都内における大麻事犯の取り締まりの状況と今後の取り組みについてお答えいたします。
本年十月末現在における大麻事犯の検挙人員は、全国的には増加傾向にありますが、警視庁における検挙人員は五百八十一人で、昨年とほぼ同様の状況にあります。
しかしながら、もう少し詳しく申し上げますと、全国的には、例えば平成十年と平成十九年を比較した場合、特に三十歳未満の検挙人員は二・三倍に上っております。また都内では、例えば昨年、平成十九年の検挙人員は七百五十二人でありますけれども、これも平成十年時に比べますとプラス二百四十七人、率にして四八・九%の大幅な増加となっているわけであります。この中身も、主として三十歳未満の若者による大麻事犯ということであります。
また、暗数がどれだけかというのは、なかなか推しはかりがたいところがありますが、例えて申し上げますと、警視庁では、本年七月、都内で大麻約百八十キログラムを押収いたしまして、密売者を検挙いたしました。百八十キログラムというのは、末端価格でいいますと七億二千万ぐらいでありますけれども、使用分で換算をいたしますと約三十六万回分ということでありまして、検挙というのは、いわば氷山の一角かなというふうに認識をしております。
大麻事犯の特性でありますけれども、覚せい剤とは違っておりまして、検挙者の約九割は初犯者であります。で、三十歳未満の若者がやはり六割近くを占めているということであります。こうした若者は、一つには、外国の一部では大麻が禁止をされていないということから、たばこの延長線上、ソフトドラッグというような感覚を持っているのではないか。あるいは好奇心、先ほど議員も申されましたとおり、ファッション感覚で乱用している。また、インターネット等を利用して種子や栽培方法に関する情報を得て、実際に栽培をしたりしております。
警察といたしましては、大麻につきましては、むしろ、先ほどこれも議員がご指摘されましたけれども、いわゆるゲートウエードラッグ、他の薬物に手を出す入り口の薬物として大変問題があると。より依存性の強い覚せい剤、さらにはMDMAといったような乱用につながる一因になるということを強く危惧いたしているところであります。
いずれにいたしましても、警視庁としては、かねてより設置しております薬物乱用根絶対策本部を中心に、全庁を挙げて乱用防止に向けた取り組みを推進しておりますが、とりわけ大麻につきましては、水際での阻止あるいは密輸、密売グループの壊滅、末端乱用者の徹底検挙を図るとともに、今申し上げましたとおり、ゲートウエードラッグとしての危険性あるいはソフトドラッグという誤った認識、こういったものを払拭すべく、また、危険性をアピールすべく、関係機関等と乱用防止に向けたキャンペーンを今後幅広く展開をし、この種の乱用の防止に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 薬物乱用対策について、三点お答えをいたします。
まず、薬事審議会答申を受けての都の取り組みについてでありますが、現在、国及び都の関係機関で構成する東京都薬物乱用対策推進本部におきまして、啓発活動の拡大と充実、指導、取り締まりの強化、薬物問題を抱える人への支援、以上の三つを柱に、東京都薬物乱用対策推進計画の改定作業を進めているところであります。
新たな計画におきましては、青少年の薬物乱用防止だけではなくて、薬物乱用のない社会づくりを到達目標として策定する予定でありまして、これまでの学校を中心とした青少年に対する啓発活動の場をさらに拡大することや、医療機関と連携した使用実態の把握など、新たな取り組みを盛り込む考えであります。
また、計画は、五カ年の中期的かつ具体的な行動計画として、年度末までに策定をする予定であります。
次に、社会全体への効果的な普及啓発についてでありますが、都はこれまでも、学校教育の場を活用して、発達段階に応じた薬物乱用防止教育を行うとともに、都内四十八地区に設置されております東京都薬物乱用防止推進地区協議会や商店街等と連携して、地域における普及啓発活動を行い、薬物には絶対に手を出さないことを強く訴えてまいりました。
また、今般の大学生等による相次ぐ大麻事件の発生を受け、先月、都内全大学を対象に薬物乱用防止対策の緊急説明会を開催し、学内における学生指導の強化を依頼するとともに、新入生ガイダンスなどで活用できるよう、都が作成いたしました啓発用DVDを配布いたしました。
今後とも、区市町村や関係機関と一層の連携を図り、社会全体への普及啓発に努めてまいります。
三点目は、大麻の規制に関する国への提案でありますが、現在、大麻取締法では、研究者など免許を受けた者以外の大麻の栽培や販売、所持が禁止をされており、外国為替及び外国貿易法並びに関税法で、発芽能力のある種子を国内に持ち込むことが禁止をされております。
しかし、栽培を目的としなければ、国内での大麻種子の販売や所持は規制の対象となっておらず、大麻の吸煙行為についても罰則規定はございません。
このため、発芽能力のある大麻種子を国内で販売したり所持していても、観賞用などと称すれば罪に問うことが困難であり、このことが大麻の不正栽培の温床となっているのが現実であります。
大麻の乱用を防止するためには、こうした入手経路を絶つことが必要であり、国に対して法規制の強化を提案してまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関する四点のご質問にお答えをいたします。
まず、新銀行東京に対する日銀考査についてでありますが、昨日の代表質問においてご質問いただき、知事から、子細なことは覚えていないが、当時、日銀の考査が行われた事実については聞いたということを既にご答弁申し上げているところであります。
次に、新銀行東京の人事構想についてでありますが、新銀行東京は、現経営陣のもと、この上半期におきまして、本部機能及び店舗機能の集約化など再建に向けた基盤づくりに努めておりまして、この間、ほぼ計画どおりの事業実績を上げております。
加えて、九月には、中小企業向け金融に対する造詣が深く、収益構造改革や営業店指導に豊富な経験を持つ執行役が新たに就任するなど、人事体制の強化が図られております。
今後とも、新銀行東京は、再建を支える人材の確保に努めてまいります。
次に、新銀行東京の投資についてでありますが、新銀行東京は、店舗の設置やシステム開発などの初期投資をみずから決定し、実行いたしましたが、開業後の経営実績を見ると、計画と乖離が生じており、このことにつきましては、新銀行が平成十九年に作成をいたしました新中期経営計画におきまして、当初想定をしていた事業規模が過大であり、これを可能とする組織、システムの構築を行った結果、経費負担が大きくなり、収益を圧迫していると認めております。
現在、新銀行東京は、現経営陣のもと、ATMの廃止や支店の統合等に加えまして、事業規模に見合ったシステムの見直しを行い、物件費をこの一年で三十九億円削減してまいりました。
都といたしましては、再建計画に沿って、今後とも経費の適正化に努める必要があると考えております。
次に、新銀行東京の決算数値の評価などについてでありますが、現在、新銀行東京は経営再建に向けた取り組みを行っているところでありまして、預金利回りや貸出金利回りの改善も重要な課題の一つであると認識をしております。
今回の中間決算では、再建計画に沿って融資残高が減少したために、運用利回りが低下する一方、金利の高いキャンペーン定期預金の残高が依然として大きいため、結果として逆ざやが拡大することになりました。
この逆ざやが拡大し、赤字が膨らむ可能性が大きいとのご指摘でありますけれども、今後は、キャンペーン定期預金の満期が到来することなどにより、利払い負担が軽減されるため、この状況は改善に向かうと見込まれます。
また、デフォルト発生額については、営業上の機密のため、一般の金融機関と同様に、新銀行東京は公表しておりませんが、再建計画においては、デフォルトの抑制に取り組み、平成二十二年度の収支均衡を目指しております。
いずれにいたしましても、新銀行東京においては、再建計画が達成されるよう、引き続き努力を重ねていくことが必要と考えております。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) JR中央線連続立体交差事業における高架下利用についてお答えいたします。
連続立体交差事業は、都が事業主体となり、道路整備の一環として道路特定財源により実施されており、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であります。
今年度当初、暫定税率等が失効し、事業進捗に陰りが見えましたが、さまざまな工夫を凝らし、遅滞なく事業を進めてまいりました。
連続立体交差事業により創出される高架下は、貴重な都市空間であり、有効かつ効果的な活用を図る必要がございます。
お話のJR中央線につきましては、既に平成十六年から、沿線六市及び鉄道事業者と高架下利用検討会を設置し、利用計画の策定に向け、沿線のまちづくりや地元要望を総合的に勘案し、都が主体的に調整を進めております。
今後、地元市及び鉄道事業者と連携し、早期に高架下利用計画を策定するとともに、混迷する道路財源の動向にかかわらず、必要な財源を確保し、揺るぎなく事業を推進してまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 中央線連続立体交差事業に伴う駅周辺のまちづくりの支援についてでございます。
鉄道の高架化に合わせ、駅前にふさわしい市街地の整備を行うことは、交通利便性の向上や地域の活性化などを図る上で重要であると考えております。
お話にもございましたように、都はこれまで、武蔵小金井駅南口の市街地再開発事業、また、東小金井駅北口の土地区画整理事業の進捗が図られるよう、技術的、財政的な支援を実施してまいりました。
引き続き、中央線連続立体交差事業にかかわる駅周辺のまちづくりの促進に向け、必要な支援に取り組んでまいります。
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