平成二十年東京都議会会議録第十六号

   午後三時十六分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十二番大沢昇君。
   〔百二十二番大沢昇君登壇〕

○百二十二番(大沢昇君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長にお伺いいたします。
 まず、緊急対策Ⅱと十二月補正予算案、二十一年度予算編成について伺います。
 都の九月補正予算、緊急対策が成立した後も、アメリカ金融危機による世界同時不況は、国内景気に大きな影響を及ぼし続けています。十月下旬には日経平均株価が二十六年ぶりに七千円を割り、首都圏の中小企業は、受注減や原材料高などで収益はさらに悪化、関東地方の企業倒産件数は、月間で四百件から五百件で推移しています。月例経済報告も二カ月連続の下方修正で、厳しい景況が続くとされ、都内の有効求人倍率も八カ月連続で悪化の一途をたどっています。
 このように深刻な影響が続く中、都は九月補正予算後の経済状況の変化をどのように認識しているのか、見解を伺います。
 景気後退が長期化する予想の中、国の実質成長率の下方修正は必至であり、都内成長率もマイナス〇・八%、来年も、国際通貨基金が、戦後初めて日米欧の成長率すべてがマイナス成長になると予想をしております。
 また、国は、今年度の国税収入の見通しを六兆円から七兆円程度減額する方向にあります。都も、税収が今年度上半期四百億円の減収、下半期も、景気後退による消費の低迷、企業業績の悪化で、当初予算に対して一千億円を超える減収の可能性が高まりました。
 そこで、今後の経済動向について、あわせて今年度の都税収入の見通しについても伺います。
 平成二十一年度予算は、石原知事が福田前総理との間で合意した法人事業税一部国税化を受け、二千八百億円を上回る減収が発生します。また、経済情勢の悪化が続くとされ、六年ぶりの大幅な減収も見込まれます。
 このような中でも、都政は、一千五百億円を超える緊急対策や、石原都政初の三カ年プラン「十年後の東京」実行プログラムの達成、高齢化社会に伴う負担増、大規模施設の改築、改修など、都民生活に必要不可欠な各種施策を行っていかなければなりません。
 来年度予算見積もりが提案された当時は、減収局面に入ったとはいえ、要求枠は特例を認め、その他はゼロシーリングを維持するものでした。都は昨年度まで好景気による税収増に支えられ、各施策や負の遺産の処理、各種基金の積み立てなどを積極的に行うことができましたが、平成二十一年度予算編成に当たり、どのような基本姿勢で臨むのか、また、景気後退時期における今後の財政運営をどのように行っていくのか、知事に見解を伺います。
 都は、都民生活の危機的状況に対して、三百九十五億円の緊急対策に続く、もう一段の対策とした総額二千百四十億円規模の東京緊急対策Ⅱを策定しました。そして今回、財政対応能力を駆使し、五百八億円規模の第二次補正予算案を提出しています。
 国も同時期に、追加経済対策、生活対策を策定、麻生総理も、提案はなるべく早い方がいいと述べながら、その後、年度末実施でも間に合うと方向転換、迷走し、来年の先送りとなりました。それと比較すると、都の早急な対応は、現場感覚があり、評価できるものであります。
 緊急対策は、都民や中小、小規模企業などへの悪影響を抑え、短期的施策としても有効なものであるべきです。そこで、緊急対策の基本的考え方として、今後、都民生活をどのように守っていくのか、知事に見解を伺います。
 都は、国に新たな経済対策に関する緊急提言を提出し、生活対策の早急な実現を求めました。麻生総理が地域活性化対策などを来年に先延ばしすることで、定額給付金も含めた各施策は緊急性が乏しいことになりました。同時に、国の経済状況に対する危機感も足りないといわざるを得ません。
 給付金について、知事は、何らかの効果があると述べていますが、給付金のほとんどが貯蓄に回り、GDPの押し上げ効果はわずか〇・一%と見られること、解雇された非正規雇用者は、寮を出て給付を受けられないおそれがあるなど課題がある中、改めて知事はどのように考えているのでしょうか。
 先日の知事会でも、多くの知事が総理に批判と注文をしたと聞きます。民主党など三党は、定額給付金の対案として、国民生活を守る緊急経済、雇用対策を示す方向です。定額給付金など国の追加経済対策に対する見解を伺います。
 次に、周産期医療について伺います。
 根本は、この国が周産期医療、救急医療にお金を幾ら使う気があって、医療制度の設計をどうするのかに尽きます。十月の墨東病院事案の報道が火つけ役となって、国も重い腰を上げるそぶりはありますが、当てにはなりません。
 これまで、具体的な申し入れや昨年の議会活動を通じて申し上げたとおり、多岐にわたる課題があり、都にできることについて、大きく三つに整理ができます。
 一つは、人手不足、病床満床で疲弊している周産期医療、救急医療の悪循環を断ち切るために予算を幾ら投入するのか。二つ目は、今ある限られた体制の中で、いかに確実に迅速に患者を搬送する仕組みをつくるのか。そして三つ目は、妊婦の九九・九九%の、本来不安にさらされる必要のない大多数の妊婦や家族にどのように対処するのかという問題です。
 まずは、一つ目の課題についてであります。
 東京都周産期医療協議会で、命の危険がある場合、ベッドのあきがなくとも必ず受け入れる構想が打ち出されました。私たちが求めてきた強いメッセージが、専門家による協議会から打ち出されたことは歓迎します。今度は、これを実体のあるものとするために、どこまでの予算を確保し、裏づけを行うのかの問題となります。
 病院では、ベッドのあきがなければ医師も対応できないことが多いといわれます。また、低体重児の場合、生まれてからすぐにNICUがあいている病院に移さなければなりませんが、千グラム以下の新生児は、大人の手のひらにおさまる体で、血管も髪の毛ほどの太さしかなく、大変なリスクを伴うと指摘する医師もいます。
 病院の経営上も、NICUが常に満床の現在でさえ、周産期医療は赤字といわれており、医師と病床がそろった確実な受け入れ体制を整備していくきっかけとするには、やはり空床確保とその補償が必要と考えます。
 空床補償については、国の懇談会の場で、医師から、東京オリンピック誘致にあんなにお金を使うのなら、それくらいできるんじゃないかという発言も出ていると聞きます。あのお金をこっちにという単純な議論はいたしませんが、このような事態に陥っているのになぜ予算がつかないのかと、医師がいうのも十分うなずけます。本来国がすべきことでありますが、こうしたことこそ、国がやらなければ、都が行うべきと考えます。
 周産期医療を立て直すために、十分な対策を講じ、必要な予算を確保すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、二つ目の課題についてです。
 迅速に搬送するために、調整コーディネーターの設置など、さまざまな環境整備により、やりとりをスムーズにすることは必要ですが、結局は、患者の状況についてどう判断するかに尽きます。詳細については今後検討されるわけですが、こうした事態を引き起こしている根本原因である医療費削減、人材不足の解消が実現しなければ、ぎりぎりの医療体制の中で迅速に受け入れる仕組みを構築することになるわけです。
 搬送調整にコメディカルがどのような役割を果たすことになるのか、医師の負担がふえて、現場の疲弊を進める結果にならないのか、きちんと機能させるための人材確保はどうするのかについて、不安視する向きも多いようです。
 どのような患者であれば病床などの調整を行って受け入れるのか、最優先事例となるのか、医療的な判断の問題にならざるを得ません。さきに述べた空床補償をきっかけとして、受け入れ可能な病床が複数確保できたとしても、限られた確保病床に受け入れるのか、その判断の問題はなくなりません。この点についてはどのように取り組むのか、伺います。
 続いて、三点目の課題についてです。
 妊婦の大病院志向が一層高まっており、高度な医療機能を備えた病院の人手不足がクローズアップされています。しかし、一方で、地域の産科や助産所では、ほとんどの方が無事出産されております。
 こうした前提のもとに、医療機能に応じた役割分担という話になるわけですが、周産期母子医療センター、産科の二次医療対応可能な病院など規模の大きな病院も、経営上、ベッドをあけておいては立ち行かないことは、一つ目の質問と同様であります。
 したがって、現状のまま、常に緊急対応のための空床を確保していくことは困難であり、病院側に正常分娩の可能性が高い妊婦を受け入れる傾向があります。加えて、地域の産科は減少しており、大多数を占める軽症や正常な分娩を取り扱う受け皿そのものが不足する中で、病診の役割分担という建前を徹底することは困難であります。
 結果、東京の妊婦は、喜ぶのもつかの間、予約確保に奔走しなければならないのが現実となっています。産科に行きさえすれば産めると思っていたが、そうではなく、しかも、万が一の場合、救急の受け入れが不能とあれば、不安も当然と考えます。
 つまりは、都内で最も不足しているのは、大きな問題のない分娩を取り扱う産科であり、この部分を強化できれば、二次医療機関への集中を防ぎ、緊急時の受け入れ体制確保にもつながる、お産の安全・安心を確保する上での重要な課題といえます。
 我々は地域医療調査を行っていますが、区市町村は、住民ニーズの把握や分娩可能な一次医療機関の過不足、医師、看護師不足を把握しているところはほとんどないようであります。
 正常分娩が見込まれる妊婦については地域で受け皿を用意し、都民側も救急対応可能な医療機関を大事に使うことができる環境づくりをした上で、医療機能に応じた役割分担を徹底することが必要と考えます。
 そのためには、区市町村が地域の実情を反映した取り組みが可能となるよう、さまざまな支援が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、新銀行東京についてお伺いいたします。
 十一月二十一日、新銀行が平成二十一年三月期の中間決算を発表いたしました。決算によれば、中間純利益は七十億円の赤字、通期見込みについても百二十六億円の赤字とし、いずれも再建計画と同水準あるいは同水準の見込みとしています。
 しかし、そもそも再建計画は、計画初年度の経常利益で大幅な赤字を想定しており、計画どおりといっても、厳しい状況であることには変わりはありません。
 決算の内容を見ても、計画にはなかった国債の償還益などによって、何とかつじつまを合わせたという印象がぬぐえず、また、貸し出しのうち、中小企業の占める割合は約四割、一般融資に限っては約二割と、中小企業を支援する銀行とはいいがたい状況であります。
 石原知事は、ことしの予算議会において、不退転の決意でこの銀行を必ず再生させると決意を述べていましたが、この中間決算をどのようにとらえているのか、また、今後の見通しも含めて見解を伺います。
 さて、金融機能強化法に関連して、参議院の財政金融委員会が、その発案者であり、最大株主である実質上の責任者、石原東京都知事に対して、参考人として出席を求めていますが、石原知事はこれを拒否し続けております。
 知事は、十一月十四日の定例会見で、何を聞こうとしているのかわからないと述べていますが、参議院ならずとも、石原知事に聞きたいことは多々あります。
 そこでまず、この間の新聞報道にもある金融庁の検査結果に関連して伺います。
 十二月四日の朝日新聞によれば、新銀行の経営陣が拡大路線を強いられたのは、東京都の関与によるところが大きいとの金融庁の指摘があったとのことです。この報道は事実なのかどうなのか、お伺いいたします。
 次に、仮に東京都が金融庁の検査結果を知り得る立場にないというのであっても、新聞で指摘されている内容は、これまで石原知事がいってきた、旧経営陣による信じられない経営という事実と大きく違っております。金融庁の検査結果が、経営内容にとどまることなく、東京都の関与について指摘されているというのであれば、東京都も知らぬ存ぜぬということでは済まされないと考えます。
 検査結果で、このような東京都とのかかわりが指摘されたことは極めて重大であり、そのことの真偽を含めて、石原知事は、新銀行並びに金融庁に問い合わせるべきであります。なぜ問い合わせようとしないのか、見解を伺います。
 また、金融庁の検査結果は別にしても、少なくとも石原知事は、新銀行の融資の拡大路線をめぐっては、支配株主である東京都の関与があったと認識しているのか、見解を伺います。
 現在、金融機能強化法においては、新銀行への資本注入に関して、一義的には東京都が責任を負うのかどうかといった議論がなされております。
 一方、石原知事は、新銀行設立前の平成十五年十二月九日の本会議において、民主党の代表質問に対して、新銀行は株式会社であって、出資者である東京都は、その出資額の範囲で株主の責任を負うものだと答弁していました。つまりは、東京都の責任は、出資金一千億円の有限責任に限られているとしていたのであります。
 しかし、有限責任であるという認識を示していながら、東京都が安易に四百億円の追加出資に踏み切ったことは、東京都に一義的責任があるということではなく、あくまでも政策判断によるものだったと理解するものですが、石原知事の見解を伺います。
 仮に新銀行への追加出資が石原知事の政策判断であったというのであれば、そもそも新銀行が経営難になった場合の資本注入の一義的責任はどこにあると認識していたのか、石原知事の見解を伺います。
 金融機能強化法案は、衆議院において、地方公共団体が支配株主となっている金融機関については、支配株主である公共団体がその資本の充実について一義的な責任を持つこととするとの附帯決議が付されました。民主党は、参議院において、附帯決議でなく修正案を求めていますが、自民党、公明党の与党幹部がそろって、東京都に第一義的な責任がある旨述べるなど、少なくとも、最低限、附帯決議によって一義的責任を求められる立場になります。
 石原知事は、このような重大な立場の変更を受け入れるのでしょうか。また、一義的な責任を受け入れられないのであれば、国に対して積極的に働きかけていくべきではないのでしょうか。
 以上を申し上げた上で、石原知事は、与党の附帯決議について、自民党、公明党・与党から事前に相談や説明を受けたり、了解を求められたりしたことはあったのか、答弁を求めます。
 また、石原知事は、この附帯決議がつくことについて、自民、公明の与党に意見を伝えたことがあるのか、あるとすれば、いつだれにいったのか、答弁を求めます。
 自民党、公明党・与党の附帯決議によって、東京都が第一義的責任を負うことが見込まれます。であるならば、それを前提として、東京都は、これまでの経営悪化に至る経緯を検証すべきと考えます。
 東京都はこれまで、新銀行に対する日銀考査や金融庁検査について、金融庁の定める金融検査に関する基本指針などを踏まえ、情報提供を求めないという立場をとってきましたが、しかし、一義的責任を負うという立場の変更になれば、これらの情報提供を求めるのは当然のことではないでしょうか。そうでなければ、金を出して口出さずという立場にみずからを追い込むことになるものと考えます。
 新銀行の経営状況を把握する上で、その情報の入手について、これまでと違った取り組みをするつもりがあるのかないのか、お伺いいたします。
 金融機能強化法案についてさらにいえば、石原知事は、参議院からの参考人招致に関して、参考人を呼ぶ順番というものはおのずとあるんじゃないかと、まず経営者が先に呼ばれるべき旨発言をしています。しかし、金融機能強化法案の議論は、経営責任もさることながら、東京都の一義的な責任、つまりは行政責任が問題となっているのであります。このような中で、なぜまず経営者が先だという話になるのか、理解に苦しみます。
 国民の代表が集まる国会の場において、みずからが参考人として率先して出向くのが筋ではないでしょうか。なぜ出席しようとしないのか、いつまで逃げ回るのか、石原知事の見解をお伺いいたします。
 参考人の招致に関しては、新銀行の大塚会長などにも要請がありましたが、大塚会長は公務を理由にこれを断っております。しかし、石原知事がまず経営者が先だと本当に思っているのであれば、大塚会長あるいは津島代表執行役などに対して出席を要請するのが筋ではないでしょうか。
 石原知事は、新銀行の経営者などに対して参考人としての出席を求めることはあるのか。出席を求めることもせずに、まずは経営者が先だといってみずからが出席を拒否するのは、いい逃れでしかないと思いますが、なぜ出席を求めようとしないのか、見解を伺います。
 さらにまた、新銀行の大塚会長は、金融機能強化法案による資本注入を求めない旨、取締役会で決定し、参考人としての出席を断ったとのことです。
 ここで、今回、取締役会が資本注入を申請しないと決定したことについて、銀行側より相談、報告を受けたのか、あるいは石原知事の意向を伝えたのか、石原知事は今回の決定についてどのように評価しているのか、お伺いをいたします。
 加えて、日銀考査の関係で、石原知事は昨年三月二十五日の予算特別委員会で、日銀考査の報告を受けていた、横から聞いていて、概略聞いていたが、それが都の幹部に伝わっていないと聞いて驚いた旨答弁しています。日銀考査の結果は一般的には非公開とされていますが、石原知事は、いつどこでだれからどのような内容を聞かされたのか、お伺いをいたします。
 石原知事はこの間、新銀行の失敗は旧経営陣の非常識な事業運営が原因である旨発言していますが、仮にそうであるのならば、早急に旧経営陣の経営責任を問うべきであります。
 旧経営陣に対する責任追及について、東京都はこれまで、年内を目途に調査結果を得た上で法的対応について検討と答弁をしていましたが、あと残り三週間でことしも終わってしまいます。訴訟する、しないの判断及びその判断の時期も含めて、旧経営陣に対する責任追及についてどのようになっているのか、お伺いをいたします。
 石原知事は所信表明演説で、新銀行に関して、過去のうみをすべて出し切るとの決意を表明いたしました。しかし私は、新銀行のうみは、石原知事と新銀行の関係を清算しなければ、すべてを出し切ることはできないものと考えております。
 私は、新銀行は都民に一番負担の少ない形で早急に撤退をすべきと考えますが、石原知事の見解をお伺いいたします。
 次に、オリンピック招致についてお伺いをいたします。
 都は、オリンピックの主要施設、メディアセンターを築地市場跡地へ建設する計画を断念いたしました。これが我々が以前から求めてきた大きな問題点の一つです。
 築地市場の移転予定先から環境基準を大幅に上回る有害物質が検出され、移転計画に反対する声が高まっていました。
 一方、オリンピック招致は進み、来年二月には、IOCに開催計画を盛り込んだ立候補ファイルを提出しなければなりません。その結果、市場移転とオリンピック計画が結びつき、食の安全や環境面からの批判を引き起こすおそれがありました。予定地の土壌改良工事が長引けば、オリンピック開会までにメディアセンター建設が間に合わなくなる可能性もありました。
 しかし、都は、これらの理由に一切触れておりません。メディアセンター整備計画の変更に市場移転問題は関係していないのか、知事の見解を伺います。
 「広報東京都」特集号において、都は、オリンピックの経済波及効果は全国で二兆八千億円、都内は一兆六千億円で、日本じゅうが元気になるとしています。オリンピックは確かに東京の基盤整備を推進しますが、開会の前年二〇一五年がそのピークとなり、そして、施設整備などの大型需要が一段落した後、大会直前から直後にかけての景気後退をどうやって防いでいくのか、また、都営メーンスタジアムを整備するのであれば、これら大型競技施設の維持をどうやって行うのか、オリンピックの経済波及効果の事後検証などが都の課題となります。
 昭和三十年代の高度成長がとんざするのが東京オリンピック翌年の昭和四十年で、大型倒産や消費者物価の高騰など、深刻な不況が起こりました。この前例をどう総括していくのでしょうか。
 また、オリンピックの経済効果は、国内投資が開催都市に集中し、開発を必要としている地方の投資を奪うともいわれております。これらの課題に対する都民、国民への説明責任が求められております。
 経済波及効果によるオリンピック国内キャンペーンと中長期的な諸課題に対する知事の見解を伺います。
 二〇一六年招致を目指す立候補都市シカゴは、オバマ次期アメリカ大統領の地元であります。先月、欧州オリンピック委員会が開催され、シカゴからオバマ氏の応援ビデオが流されました。東京は想定内といいますが、プレゼンテーションを受けたヨーロッパ諸国は、とてもドラマチックだったと大きな評価をしております。オバマ氏は、IOC総会で最終演説にも登場するそうであります。
 一方、知事は、オバマ氏の勝利に、世界一の大国の大統領に黒人がなったんでね、アフリカなどの黒人国家の票が親近感を持って雪崩を打って動くと厄介ですなと述べ、東京招致関係者は、その発言にまたもや緊張感を走らせたと考えます。
 今後、国際招致も、やはり多難で熾烈なものとなりそうです。オバマ次期大統領選出など、情勢変化を受け、知事に国際招致に対する見解を伺います。
 そして、都は、来年二月が提出期限である立候補ファイルを年内目途にまとめていく意向であります。我々は今日まで、都のオリンピック招致活動に関して、主体的、積極的に意見や注文をつけ、議論を深めてまいりました。
 そこで、改めて、平和構築を前面に出した大会理念を示すこと、都財政の健全性を念頭に、関連経費もコンパクトな品格のあるオリンピックを目指し、負の遺産を残さないこと、そして、国立でのメーンスタジアム整備を国に再度求め協議していくことなど、我々の方針を述べ、開催計画に反映されるよう求めます。
 立候補ファイル提出に向けて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、温暖化対策について伺います。
 十二月一日、COP14がポーランドで始まりました。アメリカもオバマ次期大統領の選出により、今後、世界の温暖化対策は欧米を中心に進むことが予想され、日本が後手後手に回るのではないかと危惧するものであります。
 一方、東京都においては、ことし六月の環境確保条例の改正を受け、現在、規則の制定などに取り組んでいるところですが、条例の対象外である事業所や家庭部門なども含めた温暖化対策がさらに進むよう、施策の積極的な展開が望まれます。
 中でも私は、金融機関が低利融資などの経済的なインセンティブを通じて企業や都民に環境配慮行動を促す環境金融の取り組みに大いに期待するものであります。
 東京都はこれまで、金融機関に対して環境投融資の拡大や実績の公開などを求めてまいりましたが、今後は、要請だけにとどまるのではなく、例えば預託金をもとに環境投融資を着実に進めるなど、金融機関と連携をした取り組みをさらに充実すべきと考えます。環境金融の拡大に向けて見解を伺います。
 経済活動の血液ともいえる金融機能の活用とあわせて、税制を活用した温暖化対策の推進も重要な課題であります。
 十一月十九日、東京都独自の環境税制などを検討していた東京都税制調査会が、当面、課税に優先して政策減税を検討していくことが適当であるとの答申を取りまとめました。
 私も、ことし十月から都税調の委員になっているので、余り酷評はできませんが、一年以上の長きにわたって討論してきた割には、いささか踏み込みが足りないようにも思います。
 都税調の中間報告では、環境負荷に着目した法定外目的税の導入など四つの案を示しましたが、私は、国の対応が遅いのであれば、東京都が率先して独自の環境税制を創設していくべきだと考えます。
 そこで、東京都は、当面優先的に検討していくべきだとされた政策減税に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 環境確保条例では、義務的手法によって温暖化対策を進めていこうとしているため、家庭部門へのアプローチが十分ではありません。ことし六月の代表質問で、私はフードマイレージを例に挙げましたが、NPOの中には、消費者、企業、行政におけるグリーン購入の促進に取り組んでいるところもあり、東京都としても、こうしたNPOと連携しながら、環境に配慮した都民の消費行動を促していくことも必要であると考えます。
 また、太陽光パネルの設置促進や省エネ家電への買いかえ、あるいは環境家計簿や環境学習など、きめの細かな温暖化対策を進めていく上で、基礎的自治体である区市町村と連携をした取り組みが極めて重要であります。
 さらに、地域の家電店などと連携し、環境アドバイザーを養成、登録、派遣することで、家庭における温暖化対策を着実に進めていくことも可能ではないでしょうか。
 そこで、東京都は、家庭部門における温暖化対策をどのように進めていこうとしているのか、見解を伺います。
 次に、保水力のあるまちづくりについて伺います。
 東京都では、都市化の急速な進展によって、人間の利便性を重視した社会資本整備が行われ、河川流域が本来持っていた自然や水辺環境が損なわれてきました。近年では、下水道処理水の河川への導水などにより、水量、水質ともに改善されていますが、都市化による自然地の減少に伴い、土地の浸透能力や保水力の低下を招き、局所的豪雨の発生も相まって、都市型水害の頻発が問題になるなど、かつて自然の水循環系が有してきた機能を代替するには至っていないのが現状であります。
 我々は、持続可能な都市東京を構築していくためには、保水力のあるまちづくりという観点から、都市化の進展に伴う水循環の諸問題を解決し、望ましい水循環の形成を図っていくことが重要と考えます。
 そこでまず、東京の望ましい水循環の形成について、都の基本的認識を伺います。
 河川流域に降った雨は、一部が地表を流れて直接沢や川の流水に加わり、ほかの一部が地下に浸透します。地表から直接流出する水と土壌の浅い層から流出する水が、降雨中やその直後の河川の流量を構成しております。一方、土壌の深い層に入って地下水となり、さらに土壌中を移動してやがて河川などに湧出する水が、年間を通した長期にわたる河川の流量を構成しております。
 東京における河川流域の水循環は、こうした自然の流れに加え、人為的につくられた水の流れが加わっており、このような水が存在するさまざまな局面での年間の水の出入りをあらわすのが、いわゆる水収支といわれるものであります。
 水循環のあり方や方向性を考える上で、今後も水収支の実態把握が必須と考えますが、所見をお伺いいたします。
 東京における治水対策の中心は河川整備と下水道整備でありますが、河川整備における治水安全度達成率は現在約七四%で、年間約〇・五%の進捗率、下水道における浸水対策整備率は現在約五二%、年間進捗率は約一%であり、一時間五〇ミリに対応する既存計画を達成することでさえ、まだまだ時間がかかることが明らかです。
 これに加え、雨水の流出を抑制するため、大規模開発地などでの防災調整池やビルの地下などの貯留槽といった貯留施設整備と、雨水浸透ますや雨水浸透トレンチ、透水性舗装などの浸透施設整備による流域対策が進められております。我々は、特に浸透施設整備は、浸水の解消だけでなく、東京という都市の保水力の向上に大きな力となるものと考えます。
 都では、これまで行ってきた開発行為に対する指導に加え、昨年度から、浸水被害が頻発をしている流域を対象にして、区市が行う個人住宅への浸透ます設置費用の助成に対して補助を行っていますが、何よりもまず、都が管理する道路や学校、公園、庁舎などのほか、区市町村や国の施設などを含めた公共施設全体で貯留浸透施設の整備も進める必要があると考えます。
 公共施設における雨水貯留浸透施設整備の具体的取り組みについて、所見をお伺いいたします。
 持続可能な循環都市東京の形成に向けて、多様な水資源を確保するとともに、用途に応じたむだのない水利用システムを構築することによって水を有効利用し、水供給の安定性の向上を図ることは、都民生活の向上や環境への負荷の軽減などの面からも重要であります。
 多様な水資源として、雑用水や地下水、雨水などの利用が考えられますが、水の有効利用に向けた都の取り組みについて所見をお伺いいたします。
 次に、教育について、中でも学力の底上げについてお伺いをいたします。
 まずは、就学前教育の取り組みについてであります。
 幼稚園と保育所は、それぞれに目的や法律の位置づけが異なります。しかし、就学前の幼児が大切な時間を過ごす場所であることは共通です。幼稚園や保育所では、遊びを通して他者とのかかわりや集団行動、大人の話を聞いて何かを学ぶ姿勢といった社会性を育てる指導、教育が行われていますが、内容、レベルにばらつきがあります。
 近年、問題となっております小一プロブレムでも、幼稚園、保育所での指導のあり方と、小学校に入ってからの行動に強い関連性があることが指摘されています。幼児教育、就学前教育については、学習指導要領のような統一した指針はなく、それぞれの幼稚園、保育所が運営理念や教育方針に沿って取り組んでいるのが現状です。授業が聞けない子どもにとっても不幸なことですが、授業が成立しない学級に在籍してしまうと、クラスの子ども全員が巻き込まれることとなり、大変頭の痛い問題であります。
 義務教育内容をしっかり定着させるためにも、スタートが肝心であり、小学校と円滑に接続できるような就学前教育の充実に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、義務教育について見てみますと、有名私立学校や都立中高一貫校への受験対策を熱心に行う子どももいれば、義務教育内容が定着をしないままに中学卒業を迎えようとしてしまう子どももおり、その背景も多種多様であります。
 国の学力調査における東京都の児童生徒の状況でも、学校以外で学習を全くしない子どもの正答率は、中学校数学で五〇%を切っております。学校にさえ行っていれば義務教育内容が身につくというわけでないことがわかります。
 この調査の設問は、選抜のための問題ではないため、高度な知識や理解力を必要とするものではありません。それすら半分しか正解できない子どもが多くいるのも事実であります。
 特に、算数、数学は、一つつまずくとどんどんおくれてしまう科目であり、各段階での内容定着が不十分なまま学年進行した結果が学力調査にあらわれているのではないでしょうか。つまずきを防止し、一年一年着実に教育内容が定着するような取り組み、そして、おくれてしまった子どもたちが追いつけるような対策が必要だと考えますが、所見をお伺いいたします。
 学校外での学習支援として、都は低所得者世帯への塾代支援を開始しましたが、一層の活用が必要と考えます。これは、定額給付金と違って現金を配るわけではありませんから、必要な人がこぞって利用するというものではありません。子どもの勉強、将来への関心が薄い保護者であれば利用しないでしょうし、福祉などが制度利用を勧めても、子ども自身の学習意欲が低ければ、塾代だけが空費されかねません。
 知事の低所得者減税構想に対し、我々は、税の減免ではなく、自立支援を充実することこそが都の役割だと申し上げてまいりました。こうした指摘にこたえるように創設されたこの事業の活用は重要であります。
 問題は、どのようにして活用を進めるのかであります。勉強へのやる気は、お金のあるなしが必ずしも分水嶺ではなく、結局は希望を持てないことへの対応が不十分だからではないでしょうか。学習意欲を高めるとともに、利用できる制度があり、経済的に困窮していたとしても道は開けることを教えることが必要であります。
 学校においても、学習意欲を高めるとともに、必要であれば利用できるこうした各種制度があることを積極的に周知する必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、低所得者支援については、この対象がかなり限定されております。実際の生活状況などを勘案すると、経済的困窮から、塾など子どもの未来に投資することができない家庭はもっと多くあるのではないでしょうか。対象拡大が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、学校支援地域本部など、地域人材が学校教育に参加、支援する取り組みについて伺います。
 こうした取り組みは、学校教育の幅を広げ、深みを与え、学校を活性化させるものと考えます。少子化で母子密着の子育てが懸念される時代でもあり、親や教師以外の大人と話し、つき合うことだけでも、どれだけ教育効果があるか、はかり知れません。
 東京都教育ビジョンでも、生きる力をはぐくむ教育を掲げ、地域人材の学校教育への支援を推進するとされています。この取り組みを推進する上では、学校への支援体制づくりや地域人材を教育活動に積極的に活用していく仕組みを構築していく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、地方分権について伺います。
 麻生総理は、政府・与党が生活対策で示した定額給付金の給付対象を決められず、地方自治体に最終判断を丸投げする前代未聞の事態が起こりました。そこで、多くの自治体から、困惑と政府の無責任な姿勢に批判の声が強く上がりました。このとき総理が用いた言葉が、「地方分権だから」の一言です。この発言では、地方分権担当の総務大臣を歴任した総理として、その見識が疑われます。総理のこの発言に対して、地方自治体の長である知事に見解を伺います。
 昨日、地方分権改革推進委員会の第二次勧告が発表されました。国の出先機関の廃止を目指しましたが、結果、地方振興局に統合する後退した勧告となりました。
 我々は、日本の新しい国の形に向かって、地方が主役の国づくりを進めていかなければなりません。都の第二次勧告に向けた提言は、東京における二重行政の弊害や組織縮小のイメージを含む解決策を明確に示したものであり、評価するものであります。
 しかし、八府省十五系統の出先機関、そして多くの関係公益法人を抱える中央省庁は、組織改革につながる見直しへの抵抗を続け、分権改革はまだまだ道半ばです。
 都道府県も、国との関係で、事業、権限の受け入れ姿勢に濃淡があり、まずは我々に任せろと積極的、自主的に提言し、引き取っていく政治的決断をせねば改革は進みません。丹羽分権委員長の、分権改革は地方が中央政府と対等に闘ってかち取るもの、を体現する闘う知事会の復活も重要です。知事の見解を伺います。
 国は、生活対策の重点分野の一つとして地域活性化策を打ち出し、道路特定財源の一般財源化に伴い、地方に自由に使える一兆円を渡すとしました。
 都は、八都県市首脳会議として、道路特定財源の一般財源化に伴う一兆円の税源移譲を要請し、単独でも東京の道路整備を着実に進めるための財源確保を緊急提言しています。
 その後、総理は、地方道路財源三・四兆円の中の地方道路整備臨時交付金七千億円の名称を変更し、三千億円を積み増しした新交付金を創設することとしました。
 そこで、真の地域活性化と分権を考えるならば、国は、地方への税源移譲を前提とした交付金を創設し、地方税財源の充実強化を図るべきではないでしょうか。地域活性化と分権に資する新たな交付金に対する知事の見解を伺います。
 最後に、一言述べさせていただきます。
 平成十九年八月一日より実施された駐車禁止規制除外措置の変更によって、除外措置が、これまでの車両を対象にしたものから歩行困難者を対象としたものになり、利便性が大きく向上しました。
 しかし、その一方で、これまで除外措置の対象者であった下肢機能障害三級の二、三及び四級の人たちが対象から外れてしまいました。義足をつけたり股関節に金属を入れたりして、つえに頼って歩行している人たちです。一口に義足といっても、その様態はさまざまであり、決して歩行が容易なわけではありません。
 現在は経過措置期間中でありますが、私たちは、これまでにも再三、これらの方々を対象に復活するよう求めてまいりました。私たちの求めに応じて、警視庁におかれましても、こうした障害者の現状をつぶさに検証され、関係機関との調整も進められていると聞いております。
 私たちは、改めて、これらの方々を対象者に復活する措置を速やかに講じられるよう求めるものであります。
 今回の件を契機に実施された検証作業、事情聴取によって、障害者の個々具体的な事実が明らかとなり、警視庁内にも障害に対する理解が深まることとなりました。まさにけがの功名というべきものですが、この経験を踏まえ、障害者にとっても安心・安全な社会となることを引き続きご尽力いただくよう要請するものであります。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えますが、答弁によっては再質問を留保させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大沢昇議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、平成二十一年度予算編成などについてでありますが、現在、都が直面する財政環境は相当厳しいものでありまして、今後、それがしばらく続くことも覚悟しなければならないと思います。このようなときにこそ、この間培ってきた力を、現下の都民が直面する危機への対応や、東京の将来を見据えた施策の推進のために発揮していく必要があります。
 平成二十一年度予算の編成では、こうした認識のもとに、事業内容や執行方法の見直しをさらに徹底し、一つ一つの施策をより実効性の高いものとして練り上げていくつもりでございます。
 また、今後一層気を引き締め、財政のかじ取りを行うとともに、必要な施策は、これは機動的に実行し、都民の負託にこたえる財政運営を行っていきます。
 次いで、東京緊急対策Ⅱでありますが、日本の経済は、米国発の金融危機に端を発した企業業績の低迷、それによる雇用環境の悪化、消費の落ち込みという負の連鎖に陥り、都民生活もまた大きな危機に直面しております。ゆえにも、都民の不安を正面から受けとめ、活路を開くべく、第二弾の緊急対策を策定し、とりわけ早期の対応が必要な施策を補正予算として編成いたしました。
 今後とも、現場を熟知する東京こそが実効性の高い施策を展開し、危機克服に向けた都民、中小企業の懸命な努力を支えていくつもりであります。
 次いで、国の追加経済対策についてでありますが、百年に一度ともいわれる金融経済危機の中で、国民の生活を守るために知恵と力の限りを尽くすのが政治家の責務でありまして、国が追加経済対策を策定したことは当然であります。麻生首相には、来年度の税制改正や予算を見据えつつ、諸情勢を総合的に判断して、追加経済対策をしっかりと実現してもらいたいと思います。
 世界の政府と中央銀行が金融市場の安定に腐心している最中に、金融機能強化法案を政争の具としているのは、ほかならぬ民主党でありまして、民主党は総選挙をにらんで、政権批判のボルテージを上げておられますが、この点はやはり、大いに胸に手を当て、我が身を考えられたらいかがでしょうか。
 次いで、周産期医療対策についてでありますが、問題の根底にあるのは医師の不足でありまして、国がその責任において、医師の確保に向け抜本的な策を講じるべきでありますが、現下の課題に対して即効性がある対応が必要であります。
 都としては、独自の緊急対策を講じるとともに、東京都周産期医療協議会や東京都医師会に、現場の実情を踏まえた対策の取りまとめをお願いしております。また、都庁横断組織を設置して、都民の視点から検証を行うこともやっております。
 都立病院においては、産科医確保に向けた処遇改善に取り組むとともに、NICUの増床など、周産期医療体制の強化を図ってまいります。
 こうした重層的な取り組みを通じて、一刻も早く都民が安心できる周産期医療体制を確保してまいります。
 次いで、新銀行東京の中間決算と今後の見通しについてでありますが、新銀行東京は、小零細企業を支援するために、現在、再建に全力を尽くしております。
 今回の中間決算は、金融庁検査の結果を反映した上で、ほぼ計画どおりの実績となっております。あなた方には不本意かもしれませんが、これは大いなる努力の結果だと思います。さらに、新銀行東京は、二十年度の通期も計画どおりの見込みとしておりまして、再建は着実に進んでおると思います。
 次いで、金融庁の検査結果に関連しての報道についてでありますが、都としては、金融庁の検査結果を知る立場にはありません。検査結果は、金融庁と銀行しか知り得ないものであります。これは、法規になってそうなっております。今回の報道も、憶測の域を出るものではありません。
 朝日の記事を参考にされるなら、朝日新聞自身にそのニュースソースを確かめられてはいかがでしょうか。これまでも、メディアによる風評被害でいかにこの銀行が再建を阻害されてきたか、認識していただきたい。
 金融庁の検査結果に関する問い合わせについてでありますが、ただいま答弁したとおり、これは法規、法律をよく認識して質問していただきたい。ただいまご答弁したとおり、都が問い合わせる立場にはありませんし、その筋合いのものでもありません。
 銀行は、株式――東京都もそうでありますけれども、株主に対しても、それを知らせてはならないという規則があります。これはホールディングカンパニーじゃなしに、形は違いますけれども、新銀行東京に関しては、そういう規則の拘束があります。
 次いで、融資拡大路線に対する都の関与についてでありますが、都は、新銀行東京の設立に当たり、マスタープランを示して――このマスタープランというのは、何も憲法のような絶対的なものではありません。この銀行のこれから運営されるべき性格というものを、規定といいましょうか、表象したものでありまして、ゆえに、都議会から一千億の出資を議決いただきました。皆さんもご承知の上で、これは最初に一千億の出資をいただいたわけです。
 そして、新銀行東京においても、それを踏まえての経営陣みずからが判断し、経営計画を策定してまいりました。銀行みずからの決定に際して、都として強制や強要をしたことはありません。
 これはよく、新銀行東京に関してのいろいろな報道の中で、当事者の発言の中にもいろいろありますが、マスタープランなるものを自分の瑕瑾の隠れみのにするというのは、これは非常に、私はやはり、巧みでもない単なるいい逃れであって、マスタープランに対する皆さんの認識というものをもう一回改めていただきたい。
 それから、金融機能強化法に関する附帯決議についてでありますが、そのような相談を受けたり、了解を求められたことは全くありません。
 附帯決議に関して、与党に対して意見を伝えたかどうかについてでありますが、そうした事実は全くありません。
 なお、参考人招致についてでありますが、国会であろうとどこであろうと、私は逃げも隠れもいたしませんが……(発言する者あり)ちゃんと聞きなさい、あなた。参議院の参考人招致の手続というのは、参議院というのは良識の府と自称している割に、非常識といいますか、失礼じゃないですか。東京の一番忙しい局長に向かって、あした委員会があるから、きょうの通告で出てこいとか、それから、私に……(発言する者あり)私に対する参考人の招聘も、一体どういう問題について、要するに、お聞きしたいかという通告が全然ないから、聞きました。そうしたら、三つほど、四つほど案件が来ました。これは、私よりも銀行の当事者にお聞きになった方が正確な情報が得られますよということで、ならば基本的なことでお聞きをしたいといいますから、これは私、ちょうどそれに前後して、ちゃんとしたまとまった論文を書きました。新聞にも載りました。だから、それを大いに参考にしていただきたいと申しました。
 大体ですな、要するに、この案件となっている金融機能強化法なるものは附帯決議がついたんでしょう、あなた方の先輩が国会で。これを見れば、新銀行東京がこれにアプライする資格はありませんよ。私たちにかかわりのないことですよ。そして、新銀行東京が、国からのこの法律を通じて、融資を受けたいなどと申し込みをしたことは一度もございませんよ。そういう前後の事情も知らずに、何か知らぬけれども、どんな参考人招致をするのか、人民裁判をやるのか知りませんが、とにかく私は……(発言する者あり)私は、ですから、出ていく必要がありませんし、この銀行の問題について語る資格はありません。
 次いで、参考人招致に係る新銀行東京への働きかけについてでありますが、新銀行東京が参考人招致に応じるかどうかは、銀行みずからが判断することでありまして、私が働きかけをする筋合いのものではありません。
 新銀行東京に対する日銀の考査についてでありますけれども、子細なことは覚えておりませんが、当時、日銀の考査が行われたということについては聞いております。
 次いで、新銀行東京の今後についてでありますが、まず、私は新銀行設立の発案者でありますから、新銀行東京の業務に関しては、直接は携わったことはございません。
 新銀行東京のうみは、私との関係を清算しなければすべて出し切れるものではないという質問は、どういう意味かわかりませんし、余り上品ともいえないし、まあ、筋違いといいますか、非常に失礼ないい方だと思いますな。
 新銀行東京は、現在でも約一万社の中小企業、小零細企業に対する支援を行っておりまして、経営再建に取り組んでいるところであります。日本の経済の減速感が強まる中、新銀行東京の設立理念を実現するためにも、その再建は私の責務であり、不退転の決意で取り組みます。
 今、質問者は撤退といわれましたが、つぶすということですか。ことしの第一定例議会でも、追資をお願いしたときに、これはもう撤退しろ、つぶせという案が出ましたが、もし銀行を今つぶす、撤退したとき、一体どういうことが起こるかと再三申し上げましたけれども、もう一回申し上げますが、それをしかしご理解いただいて、こういう質問をしてもらいたい。
 大体、個人預金者への影響は……(発言する者あり)黙って聞け。預金額一千万円超、これはペイオフの対象外です。それで、件数にして七千七百件、約百六十億円。取引先への影響は、再三申し上げましたが、赤字、債務超過など取引先中小企業、これは企業数が五千社、家族を含む従業員が約十五万人いるんですよ。
 次いで、メディアセンター整備計画についてでありますが、北京での現地調査の結果、最近のオリンピックの放送施設は、高い天井や広大な空間を必要とし、また、大型機材の搬入車両も直接センター内に乗り入れる必要があるなど、築地で予定した建物では対応が困難であることがわかりました。
 今回の計画変更は、こうした調査結果やロンドンの最近の計画、報道関係者の要望も踏まえ、取材や報道に一層便利で機能的な構造を持ち、立地にもすぐれた東京ビッグサイトをメディアセンターとしたものであります。
 次いで、経済波及効果や施設整備についてでありますが、オリンピック・パラリンピック開催による経済波及効果は、道路などのインフラを除いても、全国で最低二兆八千億、そのうち東京で一兆六千億、東京以外の地方でも一兆二千億が見込まれております。
 また、施設整備については、既存の施設の機能を高め使用していくことを前提として、新規施設の建設を極力抑えることにいたしました。新たに建設する施設は、大会終了後、各種のスポーツ大会や文化イベントに活用し、二〇一六年東京大会のレガシーとして後世に引き継いでまいります。
 また、景気への影響については、六四年の東京大会の翌年には確かに成長率が鈍化したものの、その後着実に成長を続けておりまして、オリンピックの開催が一つのばねになり、景気に好影響を与えたと考えております。
 今後とも、東京開催の意義はもとより、経済波及効果についても都民や国民の皆様に強くアピールし、東京招致に対するご理解、ご支援を深めてまいります。
 次いで、国際招致活動についてでありますが、今後、ライバル都市との競争が本格化し、しのぎを削る戦いが繰り広げられます。今、我々にとって大事なことは、一国の大統領の動向に惑わされることなく、他都市にまさる東京開催の優位性を効果的、着実にアピールし、国を挙げて都民、国民の招致に対する熱い思いをIOC委員に強く訴えることであります。私も先頭に立って取り組んでいくつもりでございます。
 次いで、立候補ファイルについてでありますが、六十年以上にわたり、戦火を交えることなく平和を貫いてきた我が国において、東京が目指すオリンピック・パラリンピックは、平和でよりよい社会の建設に貢献するというオリンピックの憲章を具現化する大会でありまして、立候補ファイルにおいても、平和の理念を明らかにし、世界にアピールしていきたいと思っています。
 また、東京大会は、地図でごらんになるとわかりますけれども、世界一コンパクトな大会でありまして、かつ、一九六四年大会の会場を、幾つかの会場を活用しまして、大会後の需要も踏まえて施設整備を行うなど、経費も最小限にすることを目指しております。
 大会の象徴となりますオリンピックスタジアムについては、国立で整備するように国に対して要望してきましたが、用地の問題その他で合意を得ることに至りませんでしたので、晴海に都立で整備することを計画しています。
 今後とも、国に対して最大限の協力を強く求めてまいります。
 引き続き、招致活動について、都議会を初め都民、国民の皆様になお一層のご支援、ご協力をお願いいたします。
 次いで、首相の定額給付金をめぐる発言についてでありますが、麻生首相は、首相就任の際の所信表明演説で、地方分権改革に取り組む決意を述べておりました。また、地方分権改革推進委員会や閣僚に、国の出先機関の見直しを明確に指示しております。定額給付金をめぐる発言のみをとらえますと、言葉足らずな感じがあるにしても、こうした首相の姿勢を見れば、見識を疑うという批判は当たらないと思います。
 ただ、定額給付金の実施方法については、さきの八都県市首脳会議で議論し、国に技術的なアドバイスも行いましたが、地方に任せる前に、まず国が地方の立場を考えて知恵をもっと絞り、工夫をすべきものであったのではないかと思っております。
 もとより、さきの定例会でも話しましたが、麻生首相は、自分の政治理念を自分の言葉で国民に明確に語ることのできる、個性的な、資質を持った政治家だと思います。昨今、首相のいい間違いをおもしろく取り上げたり、言葉じりをとらえて批判する向きもありますが、首相には、ためにする批判も物ともせず、みずからの言葉で率直に国民に対して語ってもらいたいものだと思います。漢字だけは正確に読んでもらいたいけれども。
 分権改革に向けた取り組みについてでありますが、地方分権とは、地方が自立し、みずからの責任と才覚で地方を主宰することでありまして、国から地方へ権限と財源を移譲することが不可欠であります。しかし、霞が関は、分権の意義を全く理解せず、この国の盟主であるがごときに振る舞って、権限を一向に手放そうとしませんな。
 地方は、国に権限と財源を握られ、地域の事情に応じた独自の取り組みもままならないのが現況であります。
 今回の、猪瀬副知事もメンバーとして務めております地方分権改革推進委員会の第二次勧告は、国の出先機関について、組織の統廃合により各省縦割り体制を転換し、三万五千人程度を削減して、地方を縛る四千余りの国の関与を原則廃止というなど、見直しの基本的な考えとしてはまことに妥当な、踏み込んだものとなっていると思います。今後、霞が関の激しい抵抗が予想されますが、真の地方の自立に向け、具体的な改革を進めなければならないと思います。
 都は、これまでも国への提言を重ねてきましたが、引き続き、全国知事会に限ることなく、志を同じくする自治体と連携しながら、分権改革の実現を国に強く働きかけてまいります。
 次いで、道路特定財源の一般財源化についてでありますが、都はこれまで、道路特定財源の一般財源化に当たっては、税源を地方に移譲すべきであり、当面は、税源移譲を前提とする交付金として配分するよう主張してきました。
 今回、創設が合意された新たな交付金は、そうした明確な位置づけはなされていないものの、地方の財源であるということが明確にはなっていると思います。そしてまた、すべての団体に交付される制度となったこと、この二点において都の主張に一応沿ったものであると思っております。
 道路特定財源を地方交付税の不足の穴埋めに使おうという筋違いの議論が出ている中にあって、今回の交付金の創設は大きな成果でもあり、今後の布石となり得るものであると思います。この間の自民党、公明党の皆様のご尽力に感謝いたします。
 今後とも、地方がみずからの才覚と責任で地域を主宰し得る地方税財源の一層の充実を国に強く求めてまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、就学前教育の充実についてでございます。
 いわゆる小一問題の要因としては、小学校入学時の児童に基本的な生活習慣や態度が身についていないこと、入学前と入学後の環境の変化に児童が十分適応できないことなどが考えられます。こうしたことから、就学前教育と小学校教育とを円滑に接続していくことが必要であり、東京都教育ビジョン(第二次)に就学前教育の充実を位置づけたところでございます。
 都教育委員会は、幼稚園の教員や保育所の保育士を対象とした研修を実施して相互理解を深めますとともに、小学校と幼稚園の教員による指導内容や指導方法の効果的な連携に関する研究開発に取り組んでおります。
 今後は、これまでの研修や研究開発の成果をもとに、就学前教育プログラムを作成いたしまして、小学校と幼稚園、保育所との具体的な連携の方策を明らかにすることや、小学校への接続を踏まえた幼稚園、保育所におけるカリキュラムを開発するなどの取り組みを通じまして、就学前教育の充実に向けて具体的な対策を講じてまいります。
 次に、子どもの学習のつまずきへの対策でございます。
 これまで都教育委員会は、平成十五年度から独自に実施してまいりました学力調査の結果をもとに、学習におくれがちな児童生徒の実態を把握してまいりました。
 その結果をもとに、当該学年で確実に身につけないと、その後の学年において学習を行う際につまずく事項を明らかにし、その段階的な指導のポイントを示しました児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)を作成し、去る十月に公表をいたしました。この東京ミニマムの活用により、教員が指導のポイントを熟知し、実際につまずいている児童生徒にも十分配慮した授業ができるようになることから、学習のおくれを取り戻す指導の改善にも役立つと考えております。
 今後は、東京ミニマムに基づきまして実践的な研究を行う、確かな学力向上実践研究推進校を指定いたしますとともに、東京ミニマムの指導事例集を作成、配布いたしまして、一層の活用を図ってまいります。
 次に、学習の動機づけと各種制度の周知についてでございます。
 生徒一人一人が学習意欲を持って、さまざまな活動に目を輝かせて取り組み、将来に夢や希望を持って成長していくことは、都民の共通した願いであります。
 そのため、都教育委員会は、生徒一人一人が自己実現を図れるよう、進路指導資料集の作成、配布や進学指導研究協議会の実施などによりまして、個性や能力に応じた進路指導の充実に努めてまいりました。
 各学校においては、その進路指導の中で、個々の生徒の状況を踏まえ、必要がある生徒に対しましては、貸し付けや奨学金に関する各種制度を紹介するなど、きめ細かな取り組みを行ってまいりました。
 今後とも、各学校に対してそうした取り組みを推進していくよう、区市町村教育委員会と連携して支援をしてまいります。
 四点目に、地域人材を教育活動に活用する仕組みづくりなどについてでございます。
 多様な地域人材を教育活動に活用するためには、学校と地域を効果的につなぐ役割を担う教育支援コーディネーターが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、社会全体で学校を支援する体制づくりを目指しました国の学校支援地域本部事業が多くの区市町村で実施されるよう働きかけますとともに、教育支援コーディネーター研修を実施するなど、区市町村を支援してまいりました。
 また、PTAを初めとした関係団体と連携し、地域教育フォーラムを開催いたしまして、学校支援の理解が深まるよう普及啓発に努めてまいりました。
 今後は、こうした取り組みを充実させますとともに、NPOや企業等と連携し、教育に有用な専門的な知識や技術を有する人材を教育サポーターとして育成するなど、区市町村を支援してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 経済状況の認識についてのご質問にお答えをいたします。
 前回の補正予算を編成した九月以降、米国発の金融危機は実体経済に波及いたしまして、景気は急速に悪化しております。
 その影響は、とりわけ経済的な弱者に押し寄せておりまして、中小零細企業における資金繰りの悪化、倒産件数の増加などに顕著にあらわれております。また、高どまりする物価や非正規労働者の再契約停止の増加など、都民生活も厳しい状況に直面をいたしております。
 このように、この間、事態は一層深刻化しておりまして、これを放置すれば、不安が不安を呼び、景気のさらなる悪化に歯どめがかからなくなるという認識に基づきまして、都として第二弾の緊急対策の策定に至ったものでございます。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、景気動向及び都税収入の見通しについてでございますが、今後の景気につきましては、世界的な金融危機の深刻化や景気の一層の下振れ懸念、株式、為替の大幅変動などから、雇用情勢などを含めて、さらに厳しい状況となるおそれがあるものと認識しております。
 今年度の都税収入につきましては、十一月末の法人二税の中間申告等の状況を把握する必要があり、確たることを申し上げる段階にはございませんが、世界経済が一段と厳しさを増す中、企業収益の悪化に伴い、都税収入の減少傾向が強まりつつあり、今年度当初予算の確保は非常に困難な状況にあります。
 次に、都の環境減税についてでございますが、地球温暖化対策は、都の重要な政策課題であり、現下の経済状況を踏まえると、当面、中小企業等へのインセンティブの観点から税制を活用していくことが効果的であると考えております。
 今後、関係局とも連携を図りながら、都の環境施策を推進するための政策減税につきまして、積極的に検討してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、周産期医療に関しまして、患者受け入れの判断についてでありますが、現場の実情を踏まえた対策の取りまとめをお願いしております東京都周産期医療協議会において、周産期医療と救急医療の連携や患者受け入れをコーディネートする仕組みの構築、さらには、お話の母体搬送依頼があった際の受け入れ判断のあり方等について検討が行われております。
 都としては、この周産期医療協議会における検討の状況を踏まえて対処してまいります。
 次に、地域の実情を踏まえた周産期医療の取り組みについてでありますが、地域の診療所と比較的リスクの高い分娩を扱う病院とが機能に応じた役割分担と連携を進めることは、出産の安全性の確保や医療機関の負担軽減などの観点から有効であります。
 このため、都は、本年三月に策定いたしました連携ガイドラインを基本に、各市町村とも協力しながら、都内各地域で周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所によるネットワークグループを立ち上げ、安全・安心な周産期医療の提供体制を構築してまいります。
 最後に、低所得世帯への学習塾受講料等の貸し付けについてであります。
 本事業につきましては、相談者が窓口に来所しても、所得や土地建物の所有などに関する貸付要件に該当しない事例が多いという意見が区市町村から寄せられておりました。
 このため、既にこの十二月から、まず所得の算定に当たりまして、賃貸住宅へ入居している方につきましては、一定額を限度に家賃を収入から減額することとしております。また、土地建物を所有していないこととする要件につきましては、現に居住している家屋等には適用しないなど、利用者の生活実態により即した運用を行っており、今後とも、事業の効果を踏まえ、適切な事業運営に努めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関する五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新銀行東京に対する都の追加出資に関連してのご質問でありますが、四月に行いました都の追加出資を、世界的な金融危機に対応するための金融機能強化法の附帯決議に絡めて論じることは適切ではないというふうに考えます。
 都は、中小零細企業への継続的な支援を行うためには新銀行東京の再建が必要であるという判断のもと、議会のご議決をいただいた上で追加出資を行ったものであります。
 次に、資本注入の一義的責任がどこにあるかということについてでありますが、銀行に限らず、株式会社が経営難に陥った場合、増資を行うことがありますが、個別の状況に応じて判断をされております。株式会社がみずから資本調達を行う例も多数あり、一義的責任がどこにあるかというのは一律には決められないものと考えます。
 次に、金融検査等の情報の入手についてでありますが、金融機能強化法の附帯決議と金融検査を絡めて議論することは、これも適当ではありません。附帯決議は、資本注入を内容とした法律に付されたものでありますが、新銀行東京は資本注入を申請するつもりはないとしております。
 これまで再三申し上げてきましたとおり、金融庁、日銀は、株主を含め第三者には検査結果を不開示というふうにしております。したがいまして、都は検査結果を知り得る立場になく、金融庁や日銀に対して検査結果の公表を求めることは適当でないというふうに考えています。
 次に、資本注入の申請についてでありますが、新銀行東京からは、十一月二十六日に、自己資本の状況などから、金融機能強化法の適用を申請しないとの報告を受けました。都としましては、この新銀行東京の判断を尊重いたします。
 最後に、旧経営陣に対する責任追及についてでありますが、新銀行東京の経営悪化を招いた旧経営陣における経営判断などにつきましては、現在、新銀行東京が弁護士による調査を進めており、年内を目途に結果を得る予定であります。この調査結果を踏まえ、新銀行東京が、法的措置も含め、対応を決めることとなります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境金融の拡大についてでございます。
 地球温暖化などの環境の危機を克服するためには、企業や個人の環境配慮行動を促進する経済的インセンティブとしての金融の役割を一層高めていくことが重要でございます。
 このため、都は、今年度から金融機関と連携して、都の指定する省エネ診断に基づく設備投資等を制度融資の対象とするとともに、中小企業による省エネ設備等の導入を促進する環境配慮取り組み支援融資を実施しております。
 また、都が行った金融機関に対する環境投融資拡大の要請を受けまして、既に一部の金融機関では、環境配慮行動を促進する金融商品の開発に取り組んでおります。
 今後とも、中小企業等の省エネ対策の促進に金融機能を活用できるよう、取り組んでまいります。
 次に、家庭部門における温暖化対策についてでございます。
 家庭部門のCO2排出量の伸びは、業務部門に次いで大きく、東京の排出量の大幅な削減を実現するためには、さらなる対策の強化が必要でございます。
 都は、東京都地球温暖化防止活動推進センターを家庭部門対策の拠点とし、地域家電店と連携した省エネキャンペーンを進めるなど、普及啓発活動の充実を図ってまいりました。
 来年度からは、センターを窓口としまして、新たに家庭用太陽エネルギー利用機器の設置に対する補助事業を開始いたします。
 今後さらに、センターを核として、各家庭において、常にCO2の排出を意識し、その削減に向け、生活、消費のあり方を見直すような取り組みを進めてまいります。
 最後に、水収支の実態の把握についてでございます。
 都はこれまでも、さまざまな要因によって阻害されている水循環の現状を把握するため、都内に降った雨のうち、地下に浸透する量、地下に浸透せずに地表を流れる量などを明らかにする水収支調査を行ってきており、現在、昨年度実施した調査の取りまとめを行っております。
 水収支は、都市化に伴う地表の状況などにより変化することから、こうした調査を今後とも実施していくことが重要であり、その調査結果につきましては、関係局や区市町村の水循環に関連する施策の基礎資料として有効に活用できると考えております。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、望ましい水循環の形成についてでございますが、水は、絶えず循環して生態系を支え、地面や水面、植物からの蒸発散によりヒートアイランド現象を緩和するなど、都市環境にとって重要な役割を果たしております。
 こうした観点から、都は、地下水の涵養、再生水の活用による清流復活などに取り組んでおります。
 快適な都市環境を形成するためにも、校庭芝生化による緑の創出や透水性舗装の普及などにより雨水の浸透を促すなど、さまざまな施策を展開し、望ましい水環境の回復に努めております。
 次に、公共施設への雨水貯留についてでございますが、都は、貯留・浸透事業実施要綱に基づき、所管する道路や学校、庁舎などに雨水の貯留浸透施設を設置してまいりました。
 また、総合治水対策協議会等を通じて、区市町村に条例や要綱などの制定を働きかけ、都内の公共施設におけるこれらの施設の設置を促進してまいりました。
 さらに、昨年八月に策定した東京都豪雨対策基本方針では、貯留浸透施設の設置の取り組みを強化し、時間五ミリ相当の雨水流出抑制効果を発揮させることとしております。
 今後とも、区市町村と連携して雨水の貯留浸透に積極的に取り組み、浸水被害の軽減など、都民生活の安全確保に努めてまいります。
 最後に、水の有効利用に向けた取り組みについてでございますが、都は、長期的な視野に立ってダム開発により水源の確保を図るとともに、貴重な水資源の有効利用を進めてまいりました。具体的には、下水再生水の供給が可能な西新宿・中野坂上地区など七地区におきまして、大規模開発等を対象に再生水の利用を事業者に促してきました。
 また、一定規模以上の建築や開発につきましては、許認可などの申請の際に、再生水や雨水の利用施設の設置を指導しております。
 引き続き、都民や事業者の協力と理解を得ながら水の有効利用を図り、節水型の都市づくりを進めてまいります。
   〔百二十二番大沢昇君登壇〕

○百二十二番(大沢昇君) 日銀考査や金融庁の検査について、改めてお伺いをいたします。
 知事の答弁では、法令によって示せない旨、答弁がありましたが、それでは、その法令の根拠をお示ししていただきたいと思います。
 仮に法令の制約があったとしても、金融庁検査や日銀考査の目的は、銀行の経営の安定性を確保するものであり、都の責任を全うするためには情報入手に努めるべきであると思いますし、また、都民の税金が多く使われているこの銀行に対して、そのような努力をするのは当たり前だと思いますが、知事の見解を改めてお伺いいたしまして、再質問を終わります。(拍手)
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 検査結果についてのお尋ねでございますけれども、法令に基づいて、株主を含め第三者には不開示とされているという根拠ということでございますけれども、金融庁の金融検査に関する基本指針、これは金融庁のバイブル、検査に関するバイブルでございますけれども、この理念は銀行法から派生をしているということが第一点ございます。
 それからもう一点は、情報公開に関する法律、これの規定から、第三者に対しては不開示とするというふうに規定をされております。
 なお、大事なことは、検査結果を銀行のその後の業務運営に反映をして改善していく、こういうことが大事なことでありまして、新銀行東京におきましても、こういう検査結果を受けて、経営に適切に反映すべきであるというふうに私どもは考えております。

○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時四十二分休憩