平成二十年東京都議会会議録第十五号

平成二十年十二月二日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

欠席議員 なし
欠員
 五番 七十九番

出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

十二月二日議事日程第一号
第一 第二百四号議案
  平成二十年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第二 第二百五号議案
  平成二十年度東京都病院会計補正予算(第一号)
第三 第二百六号議案
  平成二十年度東京都水道事業会計補正予算(第一号)
第四 第二百七号議案
  平成二十年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
第五 第二百八号議案
  職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例
第六 第二百九号議案
  東京都統計調査条例の一部を改正する条例
第七 第二百十号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十一号議案
  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十二号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第十 第二百十三号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十四号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十五号議案
  東京都選挙管理委員会関係手数料条例
第十三 第二百十六号議案
  選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百十七号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百十八号議案
  東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百十九号議案
  特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百二十一号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十九 二百二十二号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第二十 二百二十三号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百二十四号議案
  東京都産業教育審議会に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百二十五号議案
  東京都立図書館条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百二十六号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
第二十四 第二百二十七号議案
  東京都立老人医療センター条例を廃止する条例
第二十五 第二百二十八号議案
  老人総合研究所の助成等に関する条例を廃止する条例
第二十六 第二百二十九号議案
  食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百三十号議案
  食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百三十一号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十九 第二百三十二号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第二百三十三号議案
  東京都労働委員会あつせん員の費用弁償条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百三十四号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第二百三十五号議案
  東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例
第三十三 第二百三十六号議案
  都立産業技術研究センター(仮称)(二十)新築工事(その二)請負契約
第三十四 第二百三十七号議案
  都立武蔵村山高等学校(二十)改修工事請負契約
第三十五 第二百三十八号議案
  中央環状品川線五反田換気所下部工事請負契約
第三十六 第二百三十九号議案
  街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(二十北南-西東京三・二・六東伏見)請負契約
第三十七 第二百四十号議案
  街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(二十北南-西東京三・二・六富士町)請負契約
第三十八 第二百四十一号議案
  永田橋上部製作・架設工事請負契約
第三十九 第二百四十二号議案
  公立大学法人首都大学東京が徴収する料金の上限の認可について
第四十 第二百四十三号議案
  当せん金付証票の発売について
第四十一 第二百四十四号議案
  駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第四十二 第二百四十五号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標について
第四十三 第二百四十六号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビルカプセル)の買入れについて
第四十四 第二百四十七号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第四十五 第二百四十八号議案
  東京都石神井学園外五施設の指定管理者の指定について
第四十六 第二百四十九号議案
  東京都品川景徳学園外一施設の指定管理者の指定について
第四十七 第二百五十号議案
  東京都八王子自立ホームの指定管理者の指定について
第四十八 第二百五十一号議案
  東京都視覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第四十九 第二百五十二号議案
  東京都聴覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第五十 第二百五十三号議案
  東京都清瀬園の指定管理者の指定について
第五十一 第二百五十四号議案
  東京都清瀬療護園の指定管理者の指定について
第五十二 第二百五十五号議案
  東京都日野療護園の指定管理者の指定について
第五十三 第二百五十六号議案
  東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第五十四 第二百五十七号議案
  東京都八王子福祉園外三施設の指定管理者の指定について
第五十五 第二百五十八号議案
  品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定について
第五十六 第二百五十九号議案
  東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十七 第二百六十号議案
  東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十八 第二百六十一号議案
  東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百六十二号議案
  東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第六十 第二百六十三号議案
  東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第六十一 第二百六十四号議案
  東京都立日比谷公園外二公園の指定管理者の指定について
第六十二 第二百六十五号議案
  東京都立駒沢オリンピック公園の指定管理者の指定について
第六十三 第二百六十六号議案
  東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第六十四 第二百六十七号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び青梅市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第六十五 第二百六十八号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び調布市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第六十六 第二百六十九号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び国立市公共下水道使用料徴収事務の受託について

議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第二十八号
  相続税制の改正に関する意見書

   午後一時開会・開議

○議長(比留間敏夫君) ただいまから平成二十年第四回東京都議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十二番 伊藤 ゆう君 及び
  六十五番 こいそ 明君
 を指名いたします。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 平成二十年十一月二十五日付東京都告示第千四百三十四号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案六十六件の送付がありました。
次に、平成二十年第三回定例会の会議において同意を得た、監査委員、教育委員会委員及び収用委員会予備委員の任命について、発令したとの通知がありました。
次に、人事委員会より、平成二十年十月十六日付で、都の一般職の職員の給与についての勧告等がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。

○議長(比留間敏夫君) この際、平成二十年十月二十八日付をもちまして、全国都道府県議会議長会において自治功労者として表彰を受けられた方々をご紹介いたします。
 在職二十年以上、内田茂君、名取憲彦君。
 在職十五年以上、新藤義彦君、宮崎章君、野村有信君、植木こうじ君、松村友昭君、樺山たかし君、古賀俊昭君、曽根はじめ君、大山とも子さん、田中良君、比留間敏夫でございます。
在職十年以上、服部ゆくお君。
ここに敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。
  〔拍手〕

○議長(比留間敏夫君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載〕

○議長(比留間敏夫君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二十八号、相続税制の改正に関する意見書が提出されました。
これを本日の日程に追加いたします。

○議長(比留間敏夫君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十七日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
知事石原慎太郎君。
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱は、百年に一度と形容される経済危機へと発展し、世界をのみ込みました。震源地である米国は、深く傷ついただけでなく、超大国として世界ににらみをきかせてきたその地位を大きく低下させたのであります。これにより、世界は多極化の度を深めようとしております。
 危機のただ中にあって、刮目すべきは、現代の錬金術の破綻が、かえって先進的な技術とそれを製品化する能力などの日本の本来の強みを鮮明に浮かび上がらせたことであります。豊かな潜在能力を持った日本が、危機を乗り越えられないはずがありません。
 問われているのは、みずからを信じて確固たる意志を持ち、主体的に、戦略的に行動できるか否かであります。しかし、国政は危機感に乏しく、浮かんでは消える解散、総選挙の話題に右往左往するばかりであり、この国は、国際社会の荒波の中でかじを失い、漂流する難破船ともなりかねません。
 これに対して、都は着実に行動を起こしております。米国が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除したことなどから、膠着状態にある拉致問題を解決に向けて動かすため、先月、北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会を立ち上げ、改めて、日本人を帰せとのメッセージを発信いたしました。
 また、粘り強く取り組んできた横田基地の軍民供用化も、米国の現政権にはこれまでの交渉の積み重ねを新政権に確実に引き継ぐよう求め、新政権にも早期実現を強く働きかけてまいります。
 時流に翻弄されることなく、未来を見据え、活路を見出してこそ政治であります。かたい決意を胸に果敢に行動しながら、あるべき政治のありようを東京から示し、国を先導してまいりたいと思います。
 いうまでもなく、未曾有の混乱を沈静させ、さらなる危機への芽を摘み、景気回復への道筋をつけるのは国家の責任であります。しかし、我が国では、ねじれ国会のもとでの与野党の対立により、危機への対処がもたついております。
 こうしている間にも危機は進行していきます。企業業績は悪化し、国内消費が低迷するほか、経営体力を大きくそがれた金融機関が貸し渋りや貸しはがしに走ることが懸念されており、手をこまぬいていれば、不安が不安を呼び、景気悪化に歯どめがかからなくなるに違いありません。
 ゆえにも、都民、国民の不安を正面から受けとめ、活路を開くべく、第二弾の緊急対策を策定いたしました。現場を熟知する東京が、国に先駆けて実効性の高い施策を展開することで、日本のダイナモたる東京から、危機克服に向けた確かな歩みを進めてまいりたいと思います。
 日本経済の力の源泉である小零細企業を取り巻く状況は日に日に悪化し、年末に向けてさらに厳しくなることは確実であります。
 こうした中で、懸命な努力を続ける小零細企業を支えるため、既に十月から、都の制度融資において、最優遇金利を適用し、信用保証料の負担も大幅に軽減する緊急融資を実行しております。また、今後、連鎖倒産の防止にも取り組んでまいります。
 金融面での支援とあわせて、道路や上下水道の維持など、都市活動に必要な公共工事の予定を早め、年度内契約を増加させます。これにより小零細企業の受注機会を拡大して、景気を下支えしてまいります。
 近年、非正規雇用者が増加したことなどから、今後、過去の景気後退局面以上に雇用への深刻な影響があらわれると考えられ、より即効性のある雇用対策が求められます。しごとセンターやTOKYOチャレンジネット、さらに、先月開設した年長フリーター等への専用相談窓口によるきめの細かい就労支援はもちろん、行政みずから雇用を生み出して、失業者の増加を抑えていかなければなりません。そこで、東京では、都道等での樹木剪定作業などを通じて当面の雇用につなげ、区市町村とともに連携しながら、延べ五十万人分の雇用を生み出してまいります。
 また、困難な状況をみずからの力で克服せんとする意欲を持った人を後押しし、その家族の生活を支えなければなりません。再就職を目指す離職者への緊急融資制度を創設し、子育て世帯はより手厚く支援いたします。
 都民、国民の不安を解消するための国の政策、中でもかなめとなる医療、介護などの分野でほころびが目立っております。そこで、先月、提案要求を行って国の対応を迫るとともに、現場を持つがゆえに発想できる、知恵と工夫を凝らした独自の取り組みを全力で進めてまいります。
 今般、墨東病院などで出産をめぐる大変痛ましい事態が発生いたしました。亡くなられたお方のご冥福を心からお祈り申し上げます。
 現場では、日々、医師たちが限られた人員で、まさに骨身を削りながら頑張っております。しかし、産科、小児科の深刻な医師不足が問題の根底にあるのは間違いなく、これは国の失政にほかなりません。
 都は、国を待つことなく、民間病院における医師の負担軽減、女性医師の復職支援、都立病院における大幅な給与改善、若手医師を育成する東京医師アカデミーの開講など、独自の医師確保策を重ねてまいりましたが、今般の事態を重く受けとめ、さらなる対策に着手いたします。
 都立病院の医師と地域の開業医や民間病院とが協力して出産等に当たる産科診療協力医師登録制度を創設するほか、すべての周産期母子医療センターにおける搬送調整業務や休日診療体制を強化いたします。また、周産期母子医療センターと連携して患者を迅速に受け入れる周産期連携病院を新たに指定し、早急に協力体制を構築してまいります。
 こうした対策とともに、周産期医療の現場に精通した医師などから成る周産期医療協議会でも、緊急に対策をまとめております。さらに、庁内横断組織も立ち上げ、医療の現状を都民の視点で検証してまいります。
 これによって、より安全で安心できる医療の実現に向け、重層的に取り組んでまいります。
 医療と並んで都民の安心のよりどころである福祉サービスを提供する施設は、介護保険制度などが、高い地価など大都市の実情を反映した仕組みになっていないため、慢性的に厳しい経営を余儀なくされ、昨今の物価高騰がさらに追い打ちをかけております。
 そこで、都独自の緊急融資制度を新設して、施設経営の安定化を支援し、業務改善計画の策定など、経営改善のサポートも行ってまいります。あわせて、福祉施設のみならず、民間病院でも懸案となっている耐震化を促進するため、新たな補助制度を創設し、建物の安全性を高めて利用者の安心を確保してまいります。
 これまで述べてきた施策を強力に推進するため、とりわけ早期の対応が必要な施策を補正予算案に計上して、本定例会に提案いたしました。今、打つべき手を、全速力で、かつ確実に打ってまいります。
 景気回復を目指す国は、生活対策において、地方が地域活性化に取り組むことを支援するとしておりますが、地方は、霞ヶ関が財源を握り全国を支配する構造のもと、国の政策に追従することを余儀なくされ、巨額の借金を積み上げてきました。加えて、三位一体改革の際に国が責任を持つべき財政負担までつけ回されております。地方は取り組みを行おうにも、既に疲弊し切っているのであります。
 太政官制度以来の官僚統制から地方を解き放たなければ、地方再生も地域活性もありません。地方がみずからの才覚と責任で地域を主宰できるよう、国から地方に権限と財源を移譲することが不可欠であります。
 国は、こうした本質論からは目を背け、道路特定財源の一般財源化でも、相も変わらぬ小手先の議論に終始しております。
 道路特定財源は、三環状道路を初めとする道路整備はもとより、あかずの踏切を解消する連続立体交差事業や、今春の開業以来、既に一千万人が利用した日暮里・舎人ライナーなどの公共交通機関の整備などに投入されてきました。いずれも東京の最大の弱点である渋滞を解消し、日本の屋台骨を支える都市インフラを整備する重要な事業ばかりであります。
 道路特定財源が地方交付税化されれば、不交付団体である東京の道路整備はとんざし、致命的な悪影響を生じて、この国の再生は到底あり得ません。また、地方全体にとっては、従来、地方に交付されてきた道路特定財源が、無定見な削減の続いた地方交付税の穴埋めに回されるにすぎません。地方交付税の復元は、別途、国の責任でなされるべきであります。
 全くの数字合わせでしかない道路特定財源の地方交付税化には断固反対であり、一般財源化は、地方分権の本筋に沿った税源移譲で行うべきであります。それが直ちにできないならば、当面、税源移譲を前提とする交付金の形をとるように強く要求いたします。
 今般の経済危機の影響は多方面に及んでおり、地球温暖化対策にブレーキがかかるのではないかとの懸念が広がっております。
 しかし、豪雨や干ばつといった地球環境の異変が各所で顕在化しており、あと五、六年のうちに徹底した対策を講じなければ、もはや取り返しがつかなくなるところまで来ております。経済と環境とをトレードオフの関係でとらえることはもはやできません。
 むしろ、環境技術や代替エネルギーを開発して新しい市場を創出し、社会を低炭素型へと転換していくことが今後の経済発展を導くのであります。このことは、先月、東京ビッグサイトで開催された産業交流展二〇〇八において、全国から集まった珠玉の最先端環境技術の数々が雄弁に語っております。
 環境と経済とが調和した社会への道筋を切り開くために、環境産業を振興するほか、太陽エネルギー利用機器の普及を着実に進め、電気自動車など環境負荷の低い次世代自動車の普及にも取り組んでまいります。
 また、十月に立ち上げた省エネ型営業スタイル推進協議会を中心に、都民生活に密着した小売店や飲食店での省エネ対策を促進いたします。広告用照明についても、事業者とともに深夜の消灯に取り組むなど、都市の活動に対してきめ細かく省エネ、節電を働きかけてまいります。
 こうした具体的行動が急がれながら、昨年のCOP13・バリ会議もことしの洞爺湖サミットも、国家間の利害が錯綜するばかりでしかありませんでした。
 そこで、世界を具体的行動に踏み出させるため、現場を預かる大都市の実務者による会議を提案し、この十月にC40気候変動東京会議を開催いたしました。CO2削減に関する緩和策だけでなく、水不足や食糧問題に関する適応策などを話し合い、世界の大都市がこれまで培ってきた技術や経験を分かち合って、十三の共同行動を実施することを決めました。
 また、先月、クアラルンプールで開催されたアジア大都市ネットワーク21総会でも、局地的集中豪雨に伴い発生する洪水への対策について熱心に意見を交換いたしました。
 今後、都市間で最新の技術情報や人材などを積極的に交流し、来年五月のC40ソウルサミットにつなげてまいります。京都議定書に続く新たな目標を決める来年のCOP15・コペンハーゲン会議において、国家を動かすべく都市の行動を糾合し、強力にアピールしたいと思います。
 日本招致を目指す二〇一六年のオリンピック・パラリンピックにおいても、地球環境の再生にかける東京の取り組みの成果を全世界に披瀝してまいります。
 先ほど述べました先進的な環境政策に加えて、緑あふれる東京の形成も加速しております。海の森では、先月、公募による都民の方々が多数参加して七千本の苗木を植樹するイベントを開催いたしました。また、来年度には、皇居周辺を景観誘導区域に追加し、緑や水辺などと調和した風格ある景観を誘導する取り組みを開始いたします。こうした緑の拠点を、街路樹を倍増させた緑の道で結んでまいります。
 東京が持てる力を結集し、環境と調和した快適な住み心地のよい都市へと率先して生まれ変わり、「十年後の東京」で描いた二十一世紀の都市モデルを具体的に提示したいと思います。
 現在、我が国は、物質的な豊かさをきわめながらも、みずからがよって立つ価値の基軸や新しい目標を見出せずに自信を失い、夢や希望を抱くことができにくくなっております。人間の多様な可能性に気づかせてくれるスポーツを引き金として、こうした状況に風穴をあけていきたいと思っております。
 それには、だれもが生涯を通じてスポーツに親しみ、健康で豊かな人生を楽しむ都市へと変貌を遂げる必要があり、オリンピックに向けた取り組みこそ、そのてことなるのであります。
 二十六万人を超える参加申し込みがありました東京マラソンや来年九月の東京二〇〇九アジアユースパラゲームズなど、多彩なスポーツ大会を開催し、身近でスポーツに親しむことのできる地域スポーツクラブの設立を支援するなど、多角的な施策を展開してまいります。
 また、オリンピック本番では、トップアスリートたちの活躍を間近で目にし、大会運営にもボランティアとして参加することで得られる深い感動、心の財産を若者たちに贈っていきたいと思います。
 このように、オリンピック・パラリンピックは、社会を変え、人の心も変える力を持っております。さらに、開催によって、都内では最低一兆六千億、全国で二兆八千億に上る経済効果も期待されております。
 東京と日本にとって千載一遇のチャンスをつかむべく、残り一年を切った招致レースを何としても勝ち抜かなければなりません。
 来年四月には、IOCの評価委員会が会場視察等のために来日いたします。トップアスリートに最良の環境を整え、IOCからも高い評価を得るべく、現在、開催計画の最後の詰めを行っております。
 自転車競技ロードレースについては、オリンピックにふさわしい好勝負を演出するために、多摩の自然の起伏を生かして、皇居外苑と多摩丘陵部を往復するコースを設定するほか、北京大会での実地調査を踏まえて、メディアセンターの予定地を、取材や報道に一層便利で機能的な東京ビッグサイトに変更してまいります。
 既に東京が持つ数多くの競技施設や都市としてのはかり知れないポテンシャルを最大限に活用しながら、近年の諸大会とは全く異なる、日本だからできる新しいオリンピックを実現してまいりたいと思います。
 また、先月のアジア大都市ネットワーク21総会では、すべての出席都市がアジアの友情をもって日本招致に賛同してくれました。こうした追い風を受けながら、今月十二日には、一万人が集うオリンピック・パラリンピック招致サポーター結成集会を代々木第一体育館で開催し、招致機運をさらに盛り上げたいと思っております。
 二十一世紀の坂の上の雲を目指して、全員で肩を組み合ってさまざまに工夫し、力を出し合って東京オリンピック・パラリンピックを実現し、成功させ、日本の確かな再生と世界の繁栄の大きなよすがとしていきたいと思っております。
 次に、都政の主要課題について申し上げます。
 日々の生活の安全・安心は、都民の強い願いであります。
 新型インフルエンザはいつ発生してもおかしくなく、都は独自に抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を拡充するなど対策を行っております。
 先月二十日には、爆発的な感染拡大と職員の四割が欠勤する事態を想定し、区市町村や八都県市、ライフライン事業者等が参加して、連携の強化や対応力の向上などを目的とした図上訓練を実施いたしました。
 今後とも、あらゆる事態を念頭に置きながら、都民の生命を新型インフルエンザから守る取り組みを進めてまいります。
 昨今、家族、親戚の情愛につけ込み、主に高齢者を食い物にする卑劣な振り込め詐欺による被害が後を絶ちません。都民への注意喚起に努めるとともに、十月を撲滅月間としてATM一千カ所に警官を連日配置して警戒に当たった結果、都内の振り込め詐欺認知件数が前年の同月比で約四五%減少いたしました。
 しかし、まだまだ多くの被害が発生しておりまして、各警察署に摘発組織を新設し、十一月以降も警察官七百人の専従捜査体制を敷いてまいります。また、金融機関の窓口と連携したATMでの声かけやコンビニエンスストアからの不審者通報などの取り組みを進めてまいります。
 十月一日に大阪で発生した個室ビデオ店での放火事件は、狭い空間での火災の恐ろしさをまざまざと見せつけました。
 都では、関係機関が連携して、先月末までに、都内の個室ビデオ店など千三百八十八施設を対象に緊急査察を実施して防火管理や設備面等の状況を検査し、違反施設には是正を強力に指導いたしました。
 くしくも事件発生の当日から、消防法令の改正により、すべての個室ビデオ店やインターネットカフェ等の施設に自動火災報知設備の設置が義務づけられております。
 今後とも、厳しい姿勢で定期的に査察を行い、設備の設置を徹底して、火災による被害を未然に防止してまいりたいと思います。
 教育は国家、社会の発展の礎であり、確かな学力の習得は、生きる力をはぐくみ、子どもたちの未来を広げます。
 国が推し進めてきた、いわゆるゆとり教育の弊害として子どもたちの学力低下が心配されており、都では、平成十五年度以降、独自に実施してきた学力調査を分析して、全国で初めて、十月に児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)を策定いたしました。
 今後、区市町村教育委員会と連携して、東京ミニマムを小中学校に定着させ、子どもたちに基礎的、基本的な内容を徹底指導するとともに、指導方法をより効果的なものとするよう改善、充実してまいります。
 昨今の経済危機により、貸し渋りや貸しはがしの再燃が懸念され、零細企業に生きた資金供給を行う金融機関の必要性が改めて浮き彫りになっております。
 新銀行東京は、その設立目的である零細企業支援を継続するため、再建に全力を尽くしておりまして、先月発表された中間決算では、ほぼ再建計画どおりの業績となっております。都としても引き続き、再建計画の着実な達成に向け、経営の監視と支援を行ってまいります。
 一方、旧経営陣の時代に、行員みずからがやみ勢力と結託して愚劣な行為に手を染めていたことが明らかになりました。新銀行東京に期待したすべての皆様を裏切る事態が起きたことは、極めて遺憾であります。新銀行東京には、これまでの経営を徹底して見直し、過去のうみをすべて出し切るよう、株主としても強く求めてまいります。
 次に、多摩・島しょ地域について申し上げます。
 地域医療の拠点である多摩・島しょの公立病院等では、深刻な医師不足によりまして診療体制が縮小するなどの問題が起きております。
 そこで、来年度から、都が採用した東京都地域医療支援ドクターを多摩・島しょの公立病院等に派遣いたします。まさに命綱である救急医療を守り、小児医療やへき地医療などを支え、多摩・島しょにおける都民の安全・安心を確保してまいります。
 近年、多摩地域では林業が衰退しており、放置され荒廃した森林の再生を進めるために、植林や間伐への補助事業などを行ってきました。
 さらに、企業が森林整備に関する費用を負担する等の企業の森事業を、四つの企業、団体により約十ヘクタールにわたって進めております。このたび、この中の企業から、さらに広域的な森林整備への協力提案があり、先月二十八日、多摩の森林整備に関する基本協定を締結いたしました。
 このような包括的な協定は、都道府県と民間との間では全国初でありまして、今後十年間、企業の協力を得て、社員ボランティアによる植樹や歩道、標識等の整備などを進め、都民、企業が主人公となる緑のムーブメントの輪を広げてまいります。
 災害からの復興を目指す三宅島では、島の観光の起爆剤として、十月、二回目のモーターサイクルフェスティバルが開催されました。
 新たな企画を加えるなど、関係者が並々ならぬ熱意で精いっぱい力を尽くされた結果、この三日間で多くの方々が来島し、島民の方々との交流も深まりました。
 三宅島の本格的な復興に結びつけるべく、これからも強く支援をしていく決意であり、さらなる充実に向けて、今後とも関係各方面の協力を求めてまいります。
 かつて都財政は、バブル崩壊後の低迷の中で、財政再建団体転落の瀬戸際まで追い詰められました。徹底した内部努力や施策の見直し、都債残高の圧縮などに取り組み、都議会の皆様とともに手を携えて、ようやく危機を乗り越えたのであります。
 現下の経済危機により、再び都税収入の大幅な減が想定されます。こうしたときにこそ、改革により蓄えた力を生かし、都民、国民にとって真に必要な政策を機動的に実行し、未来への積極的な布石も打ってまいりたいと思います。
 もとより、施策を着実に展開し続けるには、今後一層、厳しさを増していくであろう社会経済情勢を見据えたかじ取りが求められます。平成二十一年度予算の編成では、新しい公会計制度も活用しながら、事業内容や執行方法の見直しをさらに徹底して、より効果的に施策を練り上げてまいります。
 経済危機の行く末は混沌としておりますが、東京が活路を開かざるをして日本に未来はありません。日本の首都として、日本の頭脳部、心臓部として、その持てる力を遺憾なく発揮し、役割を十全に果たす決意であります。ゆえにも、徹底して政策に磨きをかけ、首都公務員の奮闘を督励しながら、都民、国民の期待に全力でこたえてまいります。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案四件、条例案二十八件など、合わせて六十六件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 追加日程第一、議員提出議案第二十八号、相続税制の改正に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第二十八号
   相続税制の改正に関する意見書
 右記の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成二十年十二月二日
(提出者)
 遠藤  守  伊藤 興一  米沢 正和
 鈴木 章浩  後藤 雄一  福士 敬子
 そなえ邦彦  西崎 光子  伊藤まさき
 伊藤 ゆう  原田  大  河野百合恵
 小竹ひろ子  松葉多美子  大松  成
 中山 信行  高倉 良生  菅  東一
 きたしろ勝彦 田中たけし  鈴木 隆道
 神林  茂  早坂 義弘  高木 けい
 原田 恭子  佐藤 広典  尾崎 大介
 山口  拓  松下 玲子  野上ゆきえ
 西岡真一郎  たぞえ民夫  村松みえ子
 橘  正剛  上野 和彦  吉倉 正美
 谷村 孝彦  石森たかゆき 高橋 信博
 鈴木あきまさ 矢島 千秋  高橋かずみ
 吉原  修  林田  武  野島 善司
 服部ゆくお  山口 文江  今村 るか
 吉田康一郎  斉藤あつし  泉谷つよし
 くまき美奈子 大西さとる  増子 博樹
 かち佳代子  植木こうじ  野上 純子
 東村 邦浩  長橋 桂一  小磯 善彦
 田代ひろし  川井しげお  こいそ 明
 崎山 知尚  宇田川聡史  秋田 一郎
 村上 英子  倉林 辰雄  遠藤  衛
 三原まさつぐ 大西由紀子  いのつめまさみ
 門脇ふみよし 小沢 昌也  石毛しげる
 岡崎 幸夫  清水ひで子  古館 和憲
 松村 友昭  東野 秀平  ともとし春久
 鈴木貫太郎  石川 芳昭  田島 和明
 樺山たかし  山加 朱美  山田 忠昭
 串田 克巳  新藤 義彦  古賀 俊昭
 立石 晴康  桜井  武  吉野 利明
 初鹿 明博  花輪ともふみ 大津 浩子
 大塚たかあき 相川  博  中村 明彦
 馬場 裕子  曽根はじめ  大山とも子
 藤井  一  中嶋 義雄  木内 良明
 石井 義修  宮崎  章  鈴木 一光
 三宅 茂樹  高島なおき  野村 有信
 比留間敏夫  佐藤 裕彦  川島 忠一
 内田  茂  三田 敏哉  山下 太郎
 酒井 大史  大沢  昇  土屋たかゆき
 田中  良  名取 憲彦  吉田 信夫
 渡辺 康信
東京都議会議長 比留間敏夫殿

   相続税制の改正に関する意見書
 現在、相続税の課税方式の見直しが行われている。その中で検討されている「遺産取得課税方式」は、それぞれの相続人が取得した財産の額に直接課税されるため、取得額が大きくなるほど累進課税により税負担が増すこととなる。また、相続税額を最も少なくする方法として、相続財産を均等に分割する均分相続が増加することが想定され、農地や林地の所有の分散化を招くことにもなる。
 農林業においては、他の産業と異なり、生産基盤として一定規模の農地と林地が必要であり、これらが分散することによって、経営の零細化、ひいては廃業につながることが強く懸念される。
 東京の都市農地は、都民のニーズにこたえ、新鮮で安全・安心な農産物を供給する農業の生産基盤となるだけでなく、緑地空間として、ヒートアイランド現象の緩和や災害時の避難場所となるなど、快適で安全な都市環境を創造する上でも重要な役割を果たしている。また、林地は、木材の生産の場であるとともに、二酸化炭素の吸収や水源の涵養、憩いの場の提供など都民のみならず、国民全体の生活にとって重要な機能を持っている。
 制度の詳細が明らかにされずに、農業者や林業者を交えた議論もないまま「遺産取得課税方式」を導入することは、東京の農地と林地の維持・保全に多大な支障を来すものである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、相続税制の見直しにおいては、農業者や林業者の意見を十分に反映させ、農林業の活性化及び農地と林地の維持・保全に支障を生じさせることがないよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十年十二月二日
       東京都議会議長 比留間 敏夫
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 総務大臣
 財務大臣
 農林水産大臣
 国土交通大臣 あて

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第二十八号については、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二十八号は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明三日から八日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明三日から八日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月九日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十三分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二〇財主議第三八八号
平成二〇年十一月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 比留間敏夫殿
文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二〇年第三回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
   記
後藤雄一議員
そなえ邦彦議員
小竹ひろ子議員
斉藤あつし議員
植木こうじ議員
石毛しげる議員
清水ひで子議員
曽根はじめ議員

平成20年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  後藤雄一

質問事項
一 警視庁・消防庁の昇進試験の成績の本人通知について
二 交通安全について
三 発光ダイオードの満空情報の設置について
四 消防庁/世田谷消防署員の防火防災協会の代行について
五 公聴会の結果報告について
六 東京都社会教育指導員について

一 警視庁・消防庁の昇進試験の成績の本人通知について
 昇進試験の問題用紙持ち帰り、不合格者への本人通知の対応について「警視庁、消防庁」と「知事部局、教育委員会」を比較すると、知事部局等は答案用紙の成績開示欄にチェックを入れると後日成績が本人に通知される。また、問題は持ち帰る事も認めているという。しかし、消防庁と警視庁は、成績の本人通知は行っておらず、問題用紙の持ち帰りもダメという。
 しかし、職員からは知事部局同様に問題の持ち帰り、成績の本人通知を望む声が多い。
 警視庁・消防庁も知事部局同様に、答案用紙の持ち帰り、成績の本人通知を行うべき、と考えるが見解を伺う。
二 交通安全について
 交通事故は、ドライバーと歩行者等共に避けたいものだ。しかし不注意による事故が後を断たない。
 行政が交通安全に直接かかわるとすれば交通環境を良くし、すこしでも事故を減らす工夫をする事だと考える。
 今後高齢者が増え、高齢者の交通事故が増える事が懸念される。
 しかし、交通標識は運転席にいるドライバーの目線で作られ歩行者から見えにくくなっている。最近は車の大型化に伴い交通標識・カープミラー等が高い位置に取り付けられているものが増えており、なおさら歩行者の目線からは見えにくくなっている。一方、高齢になればなるほど下を向いて歩く方が多くなる。
 幹線道路の交差点には信号機・横断歩道があるが、生活道路の交差点はほとんど「止まれの標識、止まれの表示、白線表示」である。
 しかし私が住んでいる世田谷区を見ると、その「止まれの表示、白線表示」が消えているにもかかわらず、補修が行われていない箇所を多くある。
 警察担当者は、「予算がないので・・・」というが、これでは交通事故を減らす事ができない。
1 警視庁は「止まれの表示、白線表示」の白線が消えかかっている箇所、また消えている箇所を把握するよう各警察署に指示しているか、又は試みた事があるか伺う。もし試みた事が無ければ、その理由と今後の対応を伺う。
2 交差点の「止まれの表示、白線表示」の補修の予算は、別枠で優先し予算立てすべき、と考えるが見解を伺う。
3 交差の「止まれの表示、白線表示」の白線表示予算は十分と理解しているか伺う。
 春(4月)と秋(9月)に交通安全運動が行われる。この交通安全運動の歴史は古く元々は昭和23年11月15日の国家地方警察本部長官通達に基づき実施されていたが、自動車普及に伴う交通事故の急増を受けて、昭和37年からは政府の重要施策として交通対策本部が中心となって実施しているという。
 私が記憶している頃から、町会等の地域の方達がテントをはる等して交通安全を訴えている姿はあまり変わっていないと思う。
 近年は交通事情も変化し、もっと積極的な交通安全運動、例えば「交通事故の危険箇所のマップ作り、街路樹等による交通標識が見えにくい箇所の点検等、そして、交差点の白線等の消えている箇所のチェック、等々」を地域の方と一緒に進めていくべきと考える。
4 交通安全運動を、もっと積極的な地域に実情にあった参加型の手法を取り入れるべきと考えるが見解を伺う。
三 発光ダイオードの満空情報の設置について
 新宿区役所前の交差点、しかも中央分離帯の中に「信号機の青色と同じ発光ダイオード」で駐車場の位置と空き情報を示す「P24H 新宿サブナード ←空」と書かれた看板(満空表示)が出現した。
 場所が交差点内であり、これでは青信号と間違えてしまうドライバー、歩行者がいてもおかしくない。行革110番が指摘したところ、設置場所を交差点内から歩道上へ移動し、発色も白色に変更されると聞いている。
1 上記サブナード駐車場の掲示版(満空表示)の申請者及び許可者、及び許可までの経過を伺う。
2 交差点内の中央分離帯に、標識・信号機以外の民間(公営も含む)の看板の設置は可能か伺う。可能な場合は、信号機の青・赤の信号と同じ発色(発光ダイオード)の看板は可能か伺う。
3 移動すると聞いているが、現状を伺う。
4 最近、発光ダイオードによる駐車場の満空表示が増えている。信号機と同じ青色・赤色の発光ダイオードを使った掲示は、目の不自由(弱視)な方、高齢者の方、そして、急いで勘違いする方など、交通信号と間違える危険性があるので、道路の分離帯、歩道、及び、私有地であっても道路に面している駐車場等での使用を禁止すべき、と考える。
 警視庁、建設局、及び関係局の見解を伺う。
四 消防庁/世田谷消防署員の防火防災協会の代行について
 前回の文書質問で、世田谷消防署は世田谷防火防災協会の電話取り次ぎ等の雑用をおこなっていないか?と質問したところ、「署員は世田谷防火防災協会の電話取次ぎや雑用を経常的に行っていません。」との回答を受け取った。
 しかし、行革110番が調べたところ、世田谷防火防災協会は世田谷区に補助金を申請し、毎年500,000円を受領している。その際の世田谷区に保存されている補助金の起案文書には、協会の連絡所として「世田谷区三軒茶屋2-33-21 世田谷消防署内」と明記されている。これを見る限り世田谷消防署が「協会の雑用を行っていない」といえない。
1 世田谷消防署は、世田谷区から世田谷防火防災協会に関し連絡があった事があるか伺う。
2 そもそも、世田谷消防署(消防署)と世田谷防火防災協会(地域の団体)との関係を明確にせず放置していた消防庁の責任である。新たに地域で活動する防火防災団体との関係を明確にすべき、と考えるが見解を伺う。
五 公聴会の結果報告について
 都市整備局は、都市計画公聴会を開き公述人にから意見を聴取している。
 公述なさった方から「公述したが、私の意見に対する都の見解は、都民情報ルームに公表してある、と言う連絡だけで送ってこない。おかしな話だ。都の偉そうな態度は呆れる。公述人の手元にも送るべきではないか。」と苦情を頂いた。そこで都市整備局の担当者に聞くと、「内規で、情報公開ルームにおいて公表はすることになっており、公述人には送っていない」という。そこで、その内規を見せてもらったが、「決定日時、決定者」も書かれていない。これではただのメモと同じである。
 内部文書を内規と言うのであれば、すべて内規と言う事になる。しかし、都民は内規と言われれば規則等の決定された正式な文書と考える。
1 都民に対し「内規」という言葉で対応しているケースが多く見受けられるが、都民に向けていう「内規」の定義を伺う。
2 公述人は、事前に公述する意見要旨を都市整備局に提出し審査を受けてから公述するという正式な手続きを踏んでいる。礼儀として、お礼状と公表したものと同じものを送るべき、と考えるが見解を伺う。
六 東京都社会教育指導員について
 現在東京都には、教育出張所が置かれている「大島、三宅島、八丈島」の3カ所に「東京都社会教育指導員設置等に関する規則」に基づき、社会教育指導員を置いている。報酬は月/16日勤務で196,900円、1日/12,300円だ。
 仕事は「社会教育主事を助け、市町村における社会教育の振興をはかるために必要な事項の指導及び助言に関する事務」とされ、資格要件は(1)教員免許等、3年以上の経験、(2)社会教育に関係する職・業務に3年以上、(3)その他社会教育に関する学識経験者を有する者、となっている。
 教育庁の担当者に各社会教育指導員の在任期間を聞くと、大島の社会教育指導員は平成9年4月から現在まで。三宅島の社会教育指導員は平成7年4月から現在まで。八丈島の社会教育指導員は平成9年4月から現在までという。
 そして更新に関しては公募は行わず、各出張所長が現・社会教育指導員の仕事を評価・推薦し、教育委員会が任命するという。
 しかし、昨年12月に要綱改正があり、在任期間について平成20年4月から雇用期間を「4回までに限り更新できる」と変更し、5年以上の更新ができないことになった。しかし要綱をよく読むと、経過措置として「現に専務的非常勤職員である者の平成二〇年三月三一日以前の雇用期間は、更新回数に含まないものとする。」と書かれ、現在いる3名の社会教育指導員は採用から15年間も社会教育指導員として在職する事も可能である。
 大分県では教員採用の不祥事もあり、採用には注意を払うべきである。平成21年4月の社会教育指導員の採用には、公募を行い新しい風を吹き込むべきだ。
1 よって平成21年の採用に当たっては公募すべき、と考えるが見解を伺う。
2 本件要綱の経過措置は、総務局が作成した要綱のコピーである。総務局は、在職10年を超えることを想定しているのか見解も伺う。

平成20年第三回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 警視庁・消防庁の昇進試験の成績の本人通知等について
 警視庁・消防庁も、知事部局同様に、昇進試験の問題用紙の持ち帰り、成績の本人告知を行うべきだが、見解を伺う。

回答(警視庁)
 試験問題には、捜査手法に関する内容も含まれており、これら内容が部外に流出すれば捜査活動に著しい支障を及ぼすおそれがあることから、試験問題の持ち帰りは認めていません。
 また、試験成績については、合格者中の順位を本人に示達しています。
 不合格者に対して、告知することは考えていません。

回答(東京消防庁)
 当庁の昇任試験では、問題用紙の持ち帰りを認めておりませんが、選択試験問題の一部と論文問題、出題意図を全職員に通知しています。
 また、成績の本人告知は、現在のところ実施していませんが、職務能力向上の観点から、実施方法等について、検討しています。

質問事項
二 交通安全について
1 警視庁は、「止まれ」の表示や白線表示の白線が消えかかっている、または消えている箇所の把握を各警察署に指示したことがあるか伺う。指示したことがなければ、その理由と今後の対応を伺う。

回答
 警視庁では、「止まれ」及び「白線」の標示に限らず、全ての道路標識等に関して適正な管理に努めるよう各警察署に対して指示しています。

質問事項
二の2 交差点の「止まれ」の表示や白線表示の補修の予算は、別枠で優先して予算立てすべきだが、見解を伺う。

回答
 警視庁では、全ての道路標識等を適正に管理するという観点から、これまで、その設置や補修に係る費用については一括して予算計上しており、これによる不都合は生じていないことから、「止まれ」及び「白線」標示だけを優先し、別枠で予算要求するということは考えていません。

質問事項
二の3 交差点の「止まれ」の表示や白線表示の予算は、十分と理解しているか伺う。

回答
 「止まれ」及び「白線」標示に限らず、全ての道路標識等の設置及び表示等に係る予算について、必要額を確保していると考えています。


質問事項
二の4 交通安全運動について、もっと積極的な地域の実情にあった参加型の手法を取り入れるべきだが、見解を伺う。

回答
 全国交通安全運動は、内閣府及び警察庁を始めとした関係省庁、関係団体の主催により実施されており、東京都においては、東京都、警視庁、自治体等の関係機関をはじめ、交通ボランティア、地域住民等と連携を図りながら実施しています。
 警視庁では、平成20年秋の全国交通安全運動において、管内の交通事故実態等に即した参加・体験型の交通安全教育をはじめ、テレビ、新聞等のあらゆる情報メディアを活用した広報啓発活動等を推進しました。今後も、「安全で快適な交通社会」の実現を目指し、交通事故実態等に即した地域・職域ぐるみの交通安全運動を実施していきます。


質問事項
三 発光ダイオードの満空情報の設置について
1 新宿区役所前の交差点にある、新宿サブナード駐車場の掲示板(満空表示)の申請者及び許可者、また許可までの経過について伺う。

回答
 申請者は社団法人東京駐車協会で、許可者は東京都第三建設事務所長です。
 平成20年2月20日に、申請者から道路法に基づく占用許可の更新申請があり、所轄警察署と協議の上、同年4月1日に許可しています。


質問事項
三の2 交差点内の中央分離帯に、標識・信号機以外の民間又は公営の看板の設置は可能か伺う。
 また、可能な場合、信号機の青・赤の信号と同じ発色の看板設置は可能か伺う。

回答
 「道路法施行令」及び「東京都道路占用規則」に基づき、交差点内の中央分離帯には、商業広告等の看板を設置することはできませんが、本件のような発光ダイオードによる電光表示板は、案内標識であることから設置できます。


質問事項
三の3 新宿サブナード駐車場の掲示板(満空表示)は、移動するとのことだが、現状を伺う。

回答
 本件の占用物件は、現在、社団法人東京駐車協会において、表示の色などについて検討中と聞いています。


質問事項
三の4 信号機と同じ青色・赤色の発光ダイオードを使った掲示は、目の不自由な方や高齢者の方など、交通信号と間違える危険性があり、道路の分離帯や歩道等での使用を禁止すべきだが、見解を伺う。

回答(警視庁)
 「道路交通法」では、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物等の設置を禁じています。したがって、ご指摘のように、信号機の効用を妨げる状態で駐車場の満空表示等を道路の分離帯や歩道等に設置していれば、その使用の禁止や表示方法の変更を求めることになります。

回答(建設局)
 都道においては、「道路法施行令」及び「東京都道路占用規則」に基づき、青色・赤色の発光ダイオードを使った案内標識の設置は可能です。


質問事項
四 消防庁・世田谷消防署員の防火防災協会の代行について
1 世田谷消防署は、世田谷区から世田谷防火防災協会に関し、連絡があった事があるか伺う。

回答
 世田谷防火防災協会が、世田谷区から補助金を受領していることは承知していますが、世田谷消防署は、同補助金手続の問い合わせ先ではないため、世田谷区から本件に係る連絡を受けたことはありません。
 世田谷区には当該文書に記載された「協会の連絡所」について、訂正を申し入れています。


質問事項
四の2 本件はそもそも、世田谷消防署と世田谷防火防災協会との関係を明確にせず放置していた消防庁の責任である。新たに地域で活動する防火防災団体との関係を明確にすべきだが、見解を伺う。

回答
 世田谷防火防災協会は、地域における火災予防をはじめ住民の防火防災行動力の向上等を目的に自主的に設立・運営されており、同協会と連携・協力を図って地域住民及び事業所の防火防災指導を行うことは極めて有用であると考えています。
 同協会との連携・協力体制については、都民から誤解を招かない適切な関係が保たれるよう努めていきます。


質問事項
五 公聴会の結果報告について
1 都市計画公聴会において意見聴取した公述人に対し都の見解を送付していないのは、内規によるものと説明したが、都民に向けて使用が多く見受けられる「内規」の定義について伺う。

回答
 公聴会は、「都市計画法」第16条に基づき、住民及び利害関係者に公開の場での意見陳述の機会を設けるものです。
 都は、都市計画手続の透明性を高めるための内部規定を設け、公平・公正、かつ、適切に公聴会を運営しています。


質問事項
五の2 公述人は、事前に公述する意見要旨を提出し審査を受けてから公述するという正式な手続きを踏んでいる。礼儀として、お礼状と公表したものと同じものを送るべきだが、見解を伺う。

回答
 公聴会は、公述を希望する方の申出に基づき実施されます。
 また、公聴会の結果は、都民情報ルーム及び関係区市町村の都市計画主管課において公表することをあらかじめ周知しており、さらに公述人に対しては、発言内容等の公表について事前の同意を得ています。


質問事項
六 東京都社会教育指導員について
1 都は、教育庁出張所が置かれている3つの島に社会教育指導員を置いているが、平成21年の採用にあたっては公募すべきだが、見解を伺う。

回答
 社会教育指導員の採用については、「東京都専務的非常勤職員設置要綱(4教総総一第382号)」第4の第1項において、「職務の遂行に必要な知識及び技能を有する者のうちから、選考の上、東京都教育委員会が任命する。」とされており、第4の第3項においては、「専務的非常勤職員の職の新設及び欠員の補充の場合の採用に際しては、公募等により、広く人材を求めるものとする。ただし、職務の性質上これによりがたいと教育委員会が認めた場合は、この限りではない。」と規定されています。
 平成21年度の任命については、社会教育指導員として現在任命している者の雇用期間更新の可否について、適切に判断を行うとともに、欠員が生じる場合には、公募等により、広く人材を求めていきます。


質問事項
六の2 要綱の経過措置は、総務局が作成した要綱のコピーであるが、総務局は在職10年を超えることを想定しているのか、見解を伺う。

回答
 「東京都専務的非常勤職員設置要綱(4総人調第35号)」の附則において「平成20年3月31日以前の雇用期間は、更新回数に含まないものとする」と定めたのは、事務事業の円滑な実施を阻害しないための経過措置です。
 要綱上、専務的非常勤職の任期は1年以内ですが、円滑な事務事業の実施と適切な人材確保の観点から、同一の職が設定されている場合には、4回までに限り更新することができます。ただし、その後も職の必要性があり、雇用期間内の勤務成績が良好な場合には、更新期間限度後も公募などによる選考において、再度、採用される可能性があります。
 個々の職員の更新、再度採用については、要綱の範囲内で任命権者が個別に判断すべきものと考えています。

平成20年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  そなえ邦彦

質問事項
一 都のスポーツ振興策について

一 都のスポーツ振興策について
 北京オリンピック、パラリンピックも終わり結果的には、アテネオリンピック時より、メダルの数が減少しております。
 スポーツの振興にはオリンピックで金メダルを取れる様なアスリートを育成することと共に、老若男女が生涯を通じてスポーツに親しみ、健康を維持し、楽しく人間関係をつくりながら人生を過ごしていく場を提供する事にもあると思います。
 都では、本年7月に、躍動するスポーツ都市を目指して「東京都スポーツ振興基本計画」を発表しました。
 そこで、都のスポーツ振興策について、いくつかの点でお伺いしたいと思います。
1 都立秋川高校跡地に創設予定の、スポーツのトップ選手養成の中高一貫校開設を断念したが、他に創設の予定はありますか。
2 基本的に全中学校に主な競技が出来る部活動を展開すべきだが、部活動に関する都教育委員会の認識を伺います。
3 学校で部活動に対応出来ないときは外部の「指導員」を導入して競技種目を最低限確保するようにすべきだと思うが現状はどうですか。又、指導員導入の財政的支援はどうなっていますか。
4 都の「スポーツ振興基本計画」に「平成28年までに週1回以上スポーツを実施する成人の割合を全体で6割以上にする」とありますが具体的な取り組みはどうするのですか。
5 都内の小中学校、高校の校庭の芝生化の推進状況と、区市町村への財政支援の状況と、今後の取り組み予定について、お伺いします。
6 各市町村に設立予定の「地域スポーツクラブ」の設立の目的と、今後の設立の目標について、お伺いします。
7 高齢者が、親しく、楽しく出来る、ゲートボール、ターゲットバードゴルフ、グランドゴルフ、ソフトバレー等々のニュースポーツの振興にどのように取り組んでいくのですか。

平成20年第三回都議会定例会
そなえ邦彦議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都のスポーツ振興策について
1 都立秋川高校跡地に創設予定の、スポーツのトップ選手養成の中高一貫校開設を断念したが、他に創設の予定はあるか伺う。

回答
 東京都出身の選手が、東京国体やオリンピックで活躍するためには、ジュニア選手の発掘・育成を含めた総合的な競技力向上策を推進していくことが重要です。
 今後、トップアスリートの養成については、ジュニア選手の競技力向上を目指し、ナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学センターと連携していきます。

質問事項
一の2 基本的に全中学校に主な競技が出来る部活動を展開すべきだが、部活動に関する都教育委員会の認識を伺う。

回答
 部活動は、各学校が生徒や地域の状況に応じて計画・実施する教育活動です。
 都教育委員会は、部活動が生徒の個性や豊かな人間関係をはぐくむ上で極めて重要であると認識しており、区市町村教育委員会と連携してその活性化に取り組んでいます。

質問事項
一の3 中学校で部活動に対応できないときは外部の指導員を導入して競技種目を最低限確保すべきだが現状はどうか伺う。また、指導員導入の財政的支援はどうなっているか伺う。

回答
 平成19年度の調査によれば、都内公立中学校には8,463の部活動が設置され、3,673人の外部指導員が導入されています。
 中学校に導入される外部指導員の経費については、区市町村教育委員会が負担しています。

質問事項
一の4 都のスポーツ振興基本計画に、「平成28年までに週1回以上スポーツを実施する成人の割合を全体で6割以上にする」とあるが、具体的取組について、伺う。

回答
 スポーツ実施率は、スポーツ実践層のすそ野の広がりを示す一般的な指標であり、国のスポーツ振興基本計画においても数値目標を定めています。
 目標の実現に向けて、スポーツ実施率の低い20代から40代の世代を対象に、気軽に楽しめる体操プログラムの提供や親子で参加できるスポーツ大会を開催するほか、生活習慣の改善のためスポーツを奨励するなど、様々な角度からスポーツ人口の拡大を図っていきます。

質問事項
一の5 都内小中学校、高校の校庭芝生化の進捗状況と区市町村への財政支援の状況、今後の取組予定について伺う。

回答
 都内の公立小中学校、都立学校における校庭芝生化の状況は、平成19年度末現在、小学校65校、中学校13校、都立学校24校です。
 また、公立小中学校の設置主体である区市町村に対しては、芝生化を促進するため、整備工事費補助に加え、専門的な維持管理に要する費用の補助を行っています。
 今後とも、「10年後の東京」への実行プログラムに基づき、公立小中学校、都立学校などの校庭の芝生化を進めていきます。

質問事項
一の6 各区市町村に設立予定の「地域スポーツクラブ」の設立目的と今後の設立目標について伺う。

回答
 都は、「スポーツ・フォア・オール」を実現し、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも、スポーツを楽しむことができる仕組みを作るため、地域の日常的なスポーツ活動の場として、地域スポーツクラブの設立・育成を推進しています。
 今後も、地域スポーツクラブの設立促進とクラブ運営への支援に取り組み、平成25年の東京国体開催時には全区市町村に、平成28年には全都で100以上の地域スポーツクラブの設立を目指します。


質問事項
一の7 高齢者が親しく、楽しくできる、ゲートボール、ターゲットバードゴルフ、グランドゴルフ、ソフトバレー等のニュースポーツの振興にどう取り組むのか伺う。

回答
 都は、ニュースポーツ振興のため、公園などでニュースポーツやレクリエーションに利用可能な場所を提供したり、体育指導委員との連携によるニュースポーツの普及や交流会の開催を支援します。

平成20年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  小竹ひろ子

質問事項

一 豆腐製造業支援について

一 豆腐製造業支援について
 私は、東京都豆腐商工組合理事長から、小売り豆腐業が、3000軒だったが、この1年間で83軒が廃業し、今では874軒にまで減少してしまったと、深刻な実態を聞いた。
 その背景には、シェアを大手が80%、小規模事業者が20%をしめるなかで、大手製造業との競争にさらされていること。それに追い打ちをかけるように、原油・原材料の高騰が直撃しているとのことである。特に、豆腐の原材料である大豆、現在その大半を占めている輸入大豆の高騰は深刻になっている。
 投機などによりバイオディーゼルの原料となるトウモロコシに生産を切り替える所がふえ、大豆が減少し、遺伝子組み換え大豆の生産が主流になっているため、非遺伝子組み換え大豆の収穫量が減少して価格を押し上げ、その確保も困難になっている。
 理事長は「大豆価格だけでなく食用油、燃料、包装資材の価格が軒並み上昇を続け、もはや合理化努力だけでは吸収できない。しかし、量販店との競合の中で、お客さんが離れてしまうことが怖く、なかなか値上げに踏み切れない」と訴えている。
 文京区内には、国産大豆を農家と直接契約して、特別栽培で農薬を使わず生産してもらい、その大豆を“売り”にして豆腐を製造している業者の人がいて、そこの豆腐はおいしいと評判を呼んでおり、後継者もそだっている。農家との栽培契約を結んでいるため、安定した生産ができるということで、栽培面積を広げており、農家の方も後継者ができ喜ばれているとのことである。
1 国産大豆は、作付が24万トンで15万トンから16万トンしか豆腐の方に回っていない。国に国産大豆の自給率を引き上げるよう求めること。そのために、交付金を増額して、大豆の生産をふやすこと。安定した価格で生産出来るよう農家に対して、価格保証をすることなど、都として国に求めるよう要望する。
2 業界の方々は「大学、研究機関と連携して、生産性の高い大豆の作り方など研究してほしい」と要望している。都の試験研究機関で、豆腐の材料に適する大豆を生産できる品種改良を含む開発に取むよう求める。
3 米飯給食に豆腐類は、重要な副食になっている。学校給食、病院、福祉施設などの給食に、地元小規模豆腐製造業から仕入れができるよう支援を求める。
 豆腐店にとって、大豆の値上がりとともに、食用油の値上がり、パック類など包装用品の値上げもあり、重い負担になっている。値上げ分を転嫁できないでいる。
4 とりわけ、用水型の豆腐製造小売業は、上下水道負担は深刻である。
ア せめて、上水道の減免対象業種とするよう求める。
イ また、下水道減免の措置については、減免金額を引き上げるよう求める。
 豆腐製造にとって頭の痛いのが、おからの処理の問題である。これは、産業廃棄物扱いとなり、その処理費用が重く経営にのしかかっている。
5 豆腐店は、おからドーナッツ、おからクッキー、おから煎餅など、新しい食べ物をつくるなど、必死の努力をしている。食品研究センター等で、こうした業者に積極的に新たな食品開発ができるよう支援してはどうか。
6 おからを食品としての活用すること、農林水産業者の肥飼料として活用する方法について、都としても、試験研究機関、大学、豆腐組合等の力を結集して、研究開発するよう求める。
7 豆腐づくりを志望する若者が増えており、後継者育成のためにも豆腐学校を作りたいと豆腐組合は考えているとのことだ。そのための支援をもとめているがどうか。
 私は、静岡県で豆腐油揚商工組合のオカラ処理指定工場となっている工場を訪問し、全国豆腐組合の理事長からも話を聞いた。この会社は、廃棄物処理業者として廃棄物のリサイクルに取り組でいる。大学、豆腐油揚商工組合、県の工業技術研究所、サッポロビールなどの産学官連携のプロジェクトを作って進め、工場からは一切廃棄物を出さないシステムをつくった。この会社では、おから、肥飼料原料、アルコールなどにリサイクルしている。
8 都内の豆腐業がおからを回収してリサイクルできるシステムを、都の試験研究機関、大学、豆腐組合等の力を結集して研究開発するよう求める。
 この会社は、オカラと共に天ぷら廃油も回収して、バイオディーゼル燃料を精製し、軽油と同等の燃費でエンジンもそのまま使え、県内の自治体の車、自社の車に使用している。
9 都が支援して商店街等から天ぷら廃油を回収し、リサイクルする仕組みをつくることは、エコ商店街づくりにもつながる。町の豆腐店をまもり、都民のタンパク源を守る立場、及び廃棄物リサイクルの立場から、前向きの答弁を求める。

平成20年第三回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 豆腐製造業支援について
1 国産大豆の自給率の引き上げ、交付金の増額による大豆の生産増大、安定した価格で生産できるよう農家に対する価格保証など、都として国に求めるよう要望するが、所見を伺う。

回答
 既に国では、土地利用型農業の体質強化と食料の安定供給を目指して、大豆などの栽培を続けた場合や、増産や優良品の生産を行った場合に助成をしています。
 また、農家の収入を安定させるため、販売収入の減少に対する補てんも行っており、これらの事業費についても年々増額しています。
 さらに来年度に向け、自給率を向上させるために主食用米から大豆などへ栽培転換した場合の助成も予算要求されています。
 このように、国においては大豆生産に対する施策の充実を図っているものと認識しており、国に要望する考えはありません。

質問事項
一の2 都の試験研究機関で、豆腐の材料に適する大豆を生産できる品種改良を含む開発に取り組むよう求めるが、所見を伺う。

回答
 国は、多収・大粒などの特性を有した品種改良を計画的に行っており、その結果、関東を含め、全国各地での栽培に適する多数の品種が育成されています。
 また、国内で栽培される品種の大部分は、豆腐への加工適性があります。
 このため、都の試験研究機関で独自に取り組むことは考えておりません。

質問事項
一の3 米飯給食に豆腐類は重要な副食になっており、学校給食、病院、福祉施設などの給食に、地元小規模豆腐製造業から仕入れできるよう支援を求めるが、所見を伺う。

回答(福祉保健局)
 病院や福祉施設の運営は、関係法令等の趣旨・規定を踏まえた上で、各経営主体の判断に基づいて行われており、食材の仕入れについても、それぞれの経営主体の判断において行われるべきものと考えます。

回答(病院経営本部)
 都立病院における病院給食で使用される豆腐類の購入については、現在、近隣の小規模製造事業者から購入をしています。

回答(教育庁)
 学校給食食材の購入に当たっては、区市町村教育委員会が、文部科学省「学校給食衛生管理の基準」に基づき、物資選定委員会を設け、施設の衛生面や食品の取扱いが良好であるなど、衛生上十分信用のおける業者を選定しています。
 都教育委員会の調査によると、豆腐類については、61区市町村のうち、58の区市町村が、衛生管理面や地元業者の振興などの視点から、地元の業者から購入しており、一部には、地元に小売業者がない、地元業者では発注量に対応できないなどの理由により、近隣業者等から購入している学校もあります。
 今後も、各教育委員会は、地域の実情を踏まえた上で、地元業者からの購入を続けていくと認識しています。

質問事項
一の4 上下水道料金減免について
ア 用水型の豆腐製造小売業は、上下水道料金負担が深刻である。上水道の減免対象業種とするよう求めるが、所見を伺う。

回答
 水道事業は、地方公営企業として、独立採算のもと、使用者間の負担の公平に基づき、受益者負担を原則として経営しています。こうした観点から、料金の減免措置は基本的になじまないと考えています。
 現在実施している、生活保護世帯などに対する減免措置は、都議会の決議の趣旨を尊重し、減収分を一般会計が補てんすることを前提に、例外的に実施しています。
 したがって、減免措置を拡大する考えはありません。


質問事項
一の4のイ また、下水道料金減免の措置については、減免金額を引き上げるよう求めるが、所見を伺う。

回答
 下水道料金は、独立採算の原則や使用者間の負担の公平に基づき、受益者負担を原則として設定しており、その減免は、公営企業には基本的になじまないものと考えています。
 現在実施している豆腐製造小売業などの生活関連23業種等に対する減免措置は、平成19年第一回定例会での全会派一致による決議の趣旨を尊重し、現経営計画の期間である平成22年3月末まで、減収分を一般会計が補てんすることを前提に、例外的に実施しているものです。
 したがって、減免金額を引き上げる考えはありません。

質問事項
一の5 豆腐店にとっておからの処理費用は問題であり、新しい食べ物をつくるなど必死の努力をしている。食品研究センター等で、積極的に新たな食品開発ができるよう支援してはどうか、所見を伺う。

回答
 食品技術センターでは、事業者からの受託研究を実施するほか、依頼試験や実験室の開放も行っており、事業者が取り組む新たな食品開発を支援しています。


質問事項
一の6 おからの食品としての活用や肥飼料としての活用について、都も、試験研究機関や大学、豆腐組合等の力を結集して研究開発するよう求めるが、所見を伺う。

回答
 都では、これまでも「豆腐製造におけるおから量の削減」や「大豆粉を用いた微塵入り豆腐の開発」、また国や他県と共同して「乳牛に対するおから等製造副産物多給の影響」など、豆腐やおからに関する試験研究を実施しています。
 今後とも、必要に応じ、各機関と連携をとりながら研究を進めていきます。


質問事項
一の7 豆腐づくりを志望する若者が増えており、後継者育成のためにも豆腐組合は豆腐学校を作りたいようだが、そのための支援について、所見を伺う。

回答
 現在、都は、事業主や事業主の団体等が、雇用する従業員に対して行う教育訓練について、「職業能力開発促進法」に基づき、一定の要件を満たすものを認定職業訓練校として認定し、運営費の一部を補助しています。
 豆腐組合においても、当認定制度を活用することができます。


質問事項
一の8 都内の豆腐業が、おからを回収してリサイクルできるシステムを、都の試験研究機関や大学、豆腐組合等の力を結集して研究開発するよう求めるが、所見を伺う。

回答
 おからなどの食品廃棄物については、飼料にリサイクルする技術や、発酵させてメタンガスを回収する技術などが実用化されており、都が推進しているスーパーエコタウン事業では、これらの技術を利用したリサイクル施設が稼働しています。


質問事項
一の9 都が支援して商店街等から天ぷら廃油を回収し、リサイクルする仕組みをつくることは、エコ商店街づくりにもなる。廃棄物リサイクルの立場等から、所見を伺う。

回答
 商店街等の天ぷら廃油など、業務用途からの廃食用油は、食品リサイクルの一環として、既に飼料等にリサイクルされています。 

平成20年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  斉藤あつし

質問事項
一 35人学級について
二 管理職の事務負担について
三 学校外の児童の支援について

一 35人学級について
 教育長が新しくなったのを機会に改めて伺います。私の地元市でも、小学校の35人学級導入については以前から論議をしております。実際に子供を通わせている側としてみれば、ホームクラスの担任の先生が全体を目配りするのはなかなか大変だなあ、というのが実感です。実際に35人以下のクラスが多いけれども、35人を超えた場合は指導が大変そうです。それならば40人より35人学級のほうがやはり負担は減るだろうなあ、とは思います。
 「米百俵の精神」で東京都がまだ税収の多いうちに教育に投資しても良いかと思いますので、35人学級の導入について前向きな検討をお願いする一方で以下の質問をいたします。
1 今の東京都教育委員会の35人学級についての考えを教えてください。
2 教員の加配についての東京都教育委員会の考えを教えてください。
3 都内市区町村教育委員会からの少人数学級への要望というものは東京都教育委員会へありますか?
4 東京都教育委員会は今実際に35人超のクラスが幾つまたは何%あると計算していますか。
5 35人学級にしたときの教員の増員の想定数は何人ですか?また、想定経費も教えてください。
6 他県は35人学級が多いですが、40人学級の方が教育として客観的に上回っている、と主張できる点は何ですか?
7 今後の児童数についての展望を教えてください。
二 管理職の事務負担について
 管理職、特に副校長の事務負担は相当大きいようです。そこで伺います。
1 東京都教育委員会は管理職・特に副校長の負担についてはどのような現状認識ですか。
2 文科省等からの調査が多いために事務が増えると言っていますが、どのようなものがどのくらいくるのでしょうか?わかれば教えてください。また、事務負担が増えるようなことを減らしたりやめさせたりできないものなのでしょうか?
3 管理職の負担軽減について何らかの対応を今後するつもりですか?そこには予算が必要ですか?
三 学校外の児童の支援について
 東京都教育委員会はスクールカウンセラーの導入を評価していると思いますが、1人のスクールカウンセラーが複数校掛け持ちしている状態です。増員が難しいのでしょうし、専門外の対処が必要なケースあったり、保護者への対応が必要であったりした場合には、子供の生活全般をサポートする資源を外部(子供家庭支援センター等)に求めるのは当然かと思います。現在が小学校と児童相談所など外部の社会資源との連携についてはどのようになっていますか?

平成20年第三回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 35人学級について
1 35人学級について都教育委員会の考えを伺う。

回答
 都教育委員会としては、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童・生徒が集団の中で、互いに切磋琢磨し、社会的適応能力を育むため、学級には一定規模が必要であると考えます。
 さらに、基礎学力の向上に配慮して、きめ細かな指導を行っていくためには、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であると考えており、今後も引き続き、その充実に努めていきます。


質問事項
一の2 教員の加配について、都教育委員会の所見を伺う。

回答
 都教育委員会では、いわゆる義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)に基づき、学級数に応じた教員数を配置するとともに、国の教職員定数改善計画を踏まえ、教育課題に適切に対応した教員加配を実施してきました。
 特に基礎学力の向上に配慮して、きめ細かな指導を行うため、少人数指導等の教員加配を図ってきたところであり、今後も引き続き、その充実に努めていきます。

質問事項
一の3 都内市区町村教育委員会から少人数学級への要望は都教育委員会へあるか伺う。

回答
 東京都市長会、東京都市教育長会及び東京都町村会・東京都町村議会議長会から、40人未満の学級編制に関する要望が出されています。


質問事項
一の4 都教育委員会は、今実際に35人超のクラスが幾つまたは何パーセントあると計算しているか伺う。

回答
 平成19年5月1日現在、区市町村立小学校1学級あたり35名を超える学級数は、4,028学級で、学級数全体の22.7パーセントに当たります。


質問事項
一の5 35人学級にしたときの教員の増員の想定数は何人か伺う。また、想定経費についても伺う。

回答
 平成21年度に、都内公立小学校のすべての学年で、35人学級を導入した場合、新たに1,815学級の増が見込まれることから、現行の教職員定数配当基準により2,128人の教員が必要となり、およそ190億円の経費増となります。

質問事項
一の6 他県は35人学級が多いが、40人学級の方が教育として客観的に上回っていると主張できる点は何か伺う。

回答
 35人学級と40人学級の教育効果を単純に比較することは困難です。
 都教育委員会としては、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童・生徒が集団の中で、お互い切磋琢磨し、社会的適応能力を育むため、学級には一定規模が必要であると考えます。


質問事項
一の7 今後の児童数についての展望を伺う。

回答
 都内公立小学校の児童数については、微増傾向が続いていますが、平成22年度をピークにその後は、ほぼ横ばいながら僅かに減少傾向を示すものと推計しています。

質問事項
 二 管理職の事務負担について
1 都教育委員会は、管理職、特に副校長の事務負担について、どのような現状認識を持っているか伺う。

回答
 東京都の公立学校では、教育改革への積極的な取組や、複雑化・多様化した教育課題への組織的な対応の強化が求められています。校長を補佐する副校長は、それらの実務を推進する役割を担っており、多くの学校では副校長に業務が集中し負担感が生じていると認識しています。


質問事項
二の2 文科省等からの調査が多いために事務が増えるとのことだが、どのようなものがどのくらいくるのか。また、事務負担を減らしたりすることはできないものか伺う。

回答
 副校長の処理する調査については、都教育委員会が提出を求める調査から、都教育委員会以外の部署から求められる調査まで様々です。その数は、ある都立高校では年間300件以上との報告が寄せられています。そこで、本年6月、庁内に常設の「調査・報告事務縮減推進委員会」を設置し、教育庁全体で縮減の取組を進める体制を整え、モデル校を抽出して年間を通じた実態調査を行い、その分析を踏まえた改善策の検討を開始しました。
 また、併せて、全都立学校から縮減に向けた改善提案を随時受け付け、対応する仕組みを設けたところです。
 小・中学校については、本年6月から、2区2市と共同で、都立学校と同様に調査・報告事務の実態把握と事務縮減の取組を開始しました。この中で、都教育委員会が実施する調査・報告事務については都の推進委員会で改善を図るとともに、区市教育委員会が独自に行うものについては、区市で改善に取り組むこととしました。
 都教育委員会としては今後、これらの取組の成果や「都立学校ICT計画」、区市町村における先進的事例を区市町村教育委員会に情報提供することにより、小・中学校における調査・報告事務の縮減や効率化の取組が推進されるよう支援していきます。

質問事項
二の3 管理職の負担軽減についての今後の対応について伺う。また、そのために予算は必要となるのか伺う。

回答
 学校の組織的課題解決能力向上のため、主幹教諭制度の一層の充実を図るとともに、非常勤教員を副校長の補佐に積極的に活用するなど、副校長の職務のあり方等の改善に向けた具体的な対応方針をまとめたところです。
 今後は、この方針に基づき、副校長を支える施策を着実に実施していきます。
 また、現在「都立学校ICT計画」により、「調査統計データベース」の構築に向けた予算の確保に努めているところです。
 今後、重複している調査・報告事務の整理や調査方法の改善を具体的に進めるとともに、教育庁内で「調査統計データベース」を活用できる仕組を構築し、調査項目数を減らす等、副校長の負担軽減を図っていきます。

質問事項
三 学校外の児童の支援について
 スクールカウンセラーの増員が難しい等の状況下では、子供の生活全般をサポートする資源を外部に求めるのは当然だが、現在の小学校と児童相談所など外部の社会資源との連携について伺う。

回答
 児童に対する育児放棄や、家庭に起因し、学校だけで解決することが困難な問題があるときには、外部機関からの支援を早期に求める必要があると考えています。
 このような事例が生じた場合、各小学校では、担任や管理職等が協議し、区市町村教育委員会と相談しながら、民生児童委員、子ども家庭支援センター等の関係機関と連携し、問題解決を図っています。

平成20年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  植木こうじ

質問事項
一 集中豪雨対策の抜本策について

一 集中豪雨対策の抜本策について
 集中豪雨
 今年の雨の異常さは台風による豪雨、局地的な集中豪雨、さらに加えてゲリラ豪雨という言葉も使われるようになり、その言葉がぴったりな雨で被害が多く発生しています。
 八王子市では8月25日夜半からの豪雨で、JR高尾駅では路線が水につかり、民家の裏山が70メートルに及び土砂崩れしたために倒壊してしまうなど被害が広がった。裏山は開発業者の造成地ですが、開発業者が復旧しないために東京都が代執行するという事態になり、開発を許可した東京都への批判の声さえあがっています。
 東京が集中豪雨に弱い都市であることを露呈した豊島区の事件がありました。
 8月5日、豊島区雑司ヶ谷下水道幹線の工事現場では、雨が降り出して数分後には下水管が瞬く間にあふれ、管内で工事していた作業員が避難する時間すらなく逃げ遅れて3キロメートル先まで流されて5人が死亡するという事件がおきました。1時間最大雨量57.5ミリメートルですが、大雨警報発令前の突発的な局所的集中豪雨で、これまでの安全対策では短時間の避難は想定していなかった事故でした。
 効果的でタイムリィな豪雨情報、警報システムを
 わが党が代表質問でゲリラ対策として効果的でタイムリィな的確な豪雨情報、雷雨情報システムの確立を求めたのに対して、水防情報システムや東京アメッシュの活用がありインターネットで提供しているから大丈夫という答弁でした。しかし、この情報は豪雨が降り出してからの雨量であり河川の水位ですから今回の下水道工事現場の事故では情報がまず届かない、届いても既に遅いということになりかねません。このために、天気予報専門のウェザーニュース社が、局地的に発生する積乱雲を“ゲリラ雷雨防衛隊員”の協力を得て、レーダーが捕捉する前に「ゲリラ雷雨メール」で情報提供するサービスを始めていますが、こういう情報提供こそ東京都が率先して実行すべきなのです。
 東工大の神田学工学博士は、気象庁、東京都、研究者などの成果をスーパーコンピューターで処理して、情報の一元的な活用システムを確立すれば局地的な雷雨や豪雨を降り出す前に予測し、現場に提供できるようになり被害を抑えることが可能だと警告しています。
1 現状では、アメダス、メトロス、東京アメッシュなどの情報が別々に存在し、情報の共用がしにくくなっています。局地的な雷雨や豪雨の予報や、現場への情報提供などができるよう情報の一元的な活用システムを確立すること、そのため、神田工学博士など専門家の協力を得てプロジェクトチームを立ち上げることを提案しますが、見解を伺います。
2 また、親水河川での避難の遅れで犠牲者も出ています。この点でも監視員がいるところは都内で一か所しかなく、大半は警告板が設置されている程度です。この点でも、警報による告知システムを全都的に確立すべきです。
 豪雨対策基本方針の充実の提案
 昨年、都は豪雨対策基本方針を発表し、わが党がかねてから求めていた豪雨流域ですすめている雨水浸透マス設置促進事業など具体化しました。
3 しかし、最近の豪雨地域は河川流域とは必ず一致するとは限りませんから雨水浸透マス設置促進事業を豪雨流域に限定せず都内全域に広げることによって雨水の地下浸透量を倍加すべきです。
4 また、雨水浸透率の高い関東ローム層地域では雨水浸透管(トレンチ管)の設置など雨水を涵養する各種対策を豪雨流域に広く普及すべきです。同時に、江戸川、江東などゼロメートル地域など低地では雨水浸透が十分にできない状況がありますから地域の実情に合わせて小規模の雨水貯留管の設置を行うべきです。事業所ビルや公共施設での一時貯留施設や雨水再利用の促進のためにも貯留槽の設置の遅れている現状を打開するための指導強化、助成制度の創設を図るべきです。それぞれお答えください。
5 さらに、被害を抑制するために、豪雨流域に計画的に緑地や公園の整備を進めることも重要です。また、豪雨対策促進エリアでの集合住宅建設は、下水道への負荷が増大し水害時の効果が少なくなることを考えて、豪雨対策計画期間については集合住宅の建設については一定のルールを確立し、抑制策を講じ、それらを公園や緑地への転用を図ることも被害を減らすために効果的だと考えます、合わせて見解を伺います。
 水害対策の目標の設定基準の見直しについて
 以上の努力を踏まえて、水害対策の目標の設定基準の見直しについても提案します。
 このたびの豪雨対策基本方針では「豪雨や浸水被害の発生頻度を踏まえ、」重点的に「対策促進エリア」の設定を提案していますが、現在の総合的治水対策の基本は「昭和61年答申」に基づき、「河川整備や下水道整備に加え、流域対策を実施」するとして、当面の暫定計画は河川・下水道施設のみで対応することが前提になっています。
 豪雨実態の変化に対応した水害対策の目標はこれまでの都市の在り方や流域対策を見直すことで目標設定基準を改善することが可能になります。
6 河川・下水道施設の整備はこれまで以上に充実することは前提ですが、基本対策の柱の一つに「家づくり・まちづくり対策」と「雨水浸透」を加えて、現在、全体では10ミリとなっている雨水浸透ます設置・貯留対策を倍に引き上げ、豪雨地域においては15ミリの目標を30ミリに改善することです。これまで述べてきた都市づくりと雨水の涵養対策を強力に進めれば達成できる提案です、積極的な回答を求めます。
 豪雨を生む都市構造、災害に弱い都市構造
 豪雨対策基本方針に基づく対策の実施が急がれていますが、近年の豪雨は都市構造にかかわる根本問題にふれた対策を考えなければなりません。
 この10年間では、50ミリメートル以上の雨量が377回になり、その前の20年間の195回に比べて実に2倍近くなり、100ミリメートルを超えた場合は13回と、その前の20年間の2回からみても、降雨状況が大きく変わっているのです。
 NHKのクローズアップ現代では、なぜ、不安定気象、集中豪雨、ゲリラ豪雨が発生するかを特集し、東工大の都市気象研究者の神田学先生の実験を紹介し、〔1〕地球温暖化の影響などグローバルな影響、〔2〕従来から考えられてきた九十九里海岸からの風、相模地方からの風、東京湾の海風の影響、それに加えて〔3〕23区規模で建物などが集積するヒートアイランド現象と、人工的な排熱、水蒸気がこもることによってピーク時には太陽エネルギーを超える場合があり、この三つ要素が重なりあって局地的に上昇気流が起き、不安定気象、集中豪雨、ゲリラ豪雨が発生するという研究成果を紹介していました。
 実際に、都市の人口集中、高層ビルなど都市化が激しくなってきたバブル時の建設ラッシュ、「メガロポリス計画」などの大規模開発、さらに石原都政が進める「都市再生」などで都心に超高層ビルが急増してきた時期と、東京における集中豪雨の増加時期とが一致していると言わざるをえません。
 「東京都豪雨対策基本方針」でも、「降雨状況の変化」について、「地球温暖化やヒートアイランド現象などの影響も考えられ」「今後も豪雨の増加傾向が持続する可能性」があると分析しており、「東京湾からの海風」が「暖まった地面」で上昇気流になることの要因になっていると分析しています。
 東京への都市の建築物の集積、人口の集積など新たな一極集中が集中豪雨やゲリラ豪雨に大きな影響を与え、今後も進められる「都市再生」計画で都市の集積が一層加速されれば、現在でもヒートアイランド現象が豪雨など自然災害に与えている影響が一層加速され、被害を増大させかねません。
 わが党の代表質問で「都市の成長管理をおこない、持続可能な都市づくりに転換をはかるべき」だとの指摘に都市整備局長は「環境と調和した国際競争力を有する都市でありつづけるために」とこれまでどおりの答弁を繰り返しており、全く危機意識を持っていません。
7 EU諸国の大都市では「都市の成長管理」を含めた地球温暖化問題に真正面から取り組み大きな成果を上げつつある事例もあるように、東京でも、これ以上の豪雨など自然災害を増やさないためにも勇気を持って都市の集積の大元になっている「都市再生特別措置法」の是正と、都市再生緊急整備地域指定を中止するよう国に求めるべきです。そして、高層・超高層ビル建設など大規模開発の抑制に踏み切るべきです。水害対策や被害に対する巨額の投資費用が必要になることを考えたらむしろ思い切って実行に移しすほうが効果的です。それぞれお答えください。
8 また、都市化が進み雨水が河川や下水にストレートに流れこむという都市の弱点の克服が重要で、雨水を涵養する街づくりを本格的に進めることが重要と思いますが見解を伺います。
9 この点でも、わが党が代表質問で多摩の緑地開発の規制や公園の倍化など緑地の保全と拡大について質問したのに対して「適切に対応」しているとか、「鋭意整備に取り組んでいる」と従来の答弁を繰り返していましたが、実際には緑地開発はどんどん進み緑地が減少する一方であり、公園もニューヨークの一人あたりの面積が約30平方メートルなのに比べて東京では約6平方メートルしかないという認識が欠如していると思いませんか、答えください。
10 改めて、里山など自然緑地や都市計画公園や地域の公園を倍化して公園のグリーンベルトをつくるなど緑地全体を倍加することを求めます。また、高層建造物については総合設計など容積率をプラスするのでなく、緑地空間確保を義務付け、その割合を増やすこと、コンクリートをはりめぐらせる大規模幹線道路計画を中止し、地域の街路樹はCO2吸収量を大幅に増やすこと、臨海副都心の未処分地には緑地を整備することです。
11 さらに、苗木の配布の倍化など都民の植林を促す取り組みを求めるものです。それぞれ答弁を求めます。

平成20年第三回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 集中豪雨対策の抜本策について
1 局地的雷雨や豪雨の予報や、現場への情報提供ができるよう情報の一元的な活用システムを確立すること、また専門家の協力を得てプロジェクトチームを立ち上げることを提案するが、見解を伺う。

回答
 気象予報を業務の一つとしている気象庁の見解によると、局地的な大雨をもたらす積乱雲の発生や発達を事前に的確に予想し、十分な時間的な余裕を持って警報や注意報を発表することは、現在の気象予報技術では難しい状況です。
 都では現在、水防災総合情報システムや東京アメッシュを活用し、都民へ雨量情報等の提供に努めるとともに、気象庁等へ情報の提供を行っています。
 今後の気象予報技術の開発については、専門的な機関である気象庁にゆだねるべきと考えていますが、引き続き雨量情報の提供等により気象庁と連携していきます。


質問事項
一の2 親水河川での避難の遅れで犠牲者も出ており、警報による告知システムを全都的に確立すべきだが、所見を伺う。

回答
 都はこれまでも、河床付近まで行ける親水施設に、増水に関する注意看板を設置し、利用者に対して注意喚起を行っています。
 今後とも、河川の安全な利用方法に関する周知活動や現場での安全対策を進めていきます。

質問事項
一の3 都の豪雨対策基本方針において具体化された雨水浸透マス設置促進事業を豪雨流域には限定せず、都内全域に広げることにより雨水の地下浸透量を倍加すべきだが、所見を伺う。

回答
 都は、平成19年8月に策定した「東京都豪雨対策基本方針」に基づき、流域の特性や土地利用の状況などを踏まえて、雨水浸透ますの設置などの流域対策を重点的に行うこととしています。
 今後とも、効率性などにも配慮しつつ、雨水の流出抑制に取り組んでいきます。

質問事項
一の4 雨水を涵養する各種対策の豪雨流域への普及、地域の実情に合わせた小規模雨水貯留管の設置、さらに、貯留槽等の設置の遅れを打開するための指導強化、助成制度の創設を図るべきだが、所見を伺う。

回答
 都は、これまで行ってきた開発行為に対する指導に加え、平成19年度から、浸水被害が頻発している流域を対象に、区市が行う個人住宅への浸透ますや浸透トレンチ管の設置費用の助成に対して補助を行っています。
 また、豪雨対策として、江戸川区、江東区などの低地において、小規模の雨水貯留管の設置は考えていません。
 さらに、貯留槽の設置のための指導強化について、都はこれまでも、延べ床面積1万平方メートル以上の大規模施設などを対象として「水の有効利用促進要綱」に基づき、雨水貯留施設の設置を促進してきています。助成制度については、地域の実情に応じて区市が実施しており、広域自治体である都として雨水貯留施設に対する助成制度は考えていません。

質問事項
一の5 豪雨被害抑制のため、豪雨流域へ計画的に緑地や公園を整備し、また、集合住宅の建設については一定のルールを確立し、抑制策を講じ、公園や緑地への転用を図ることも効果的と思うが、見解を伺う。

回答
 「東京都豪雨対策基本方針」では、公園や緑地の保水能力を流域対策として取り込むため、流域の特性に合わせた施策の検討を進めていくこととしています。
 また、集合住宅の建設に当たっては、これまでも一定の条件を満たす開発行為に対し、区市と連携しながら、貯留施設や浸透ますなどの設置について必要な指導を行ってきました。
 なお、豪雨対策として、集合住宅の建設を抑制し、公園や緑地に転用することは、考えていません。

質問事項
一の6 水害対策の柱の一つに「家づくり・まちづくり対策」と「雨水浸透」を加えて、現在、全体では10ミリとなっている雨水浸透ます設置・貯留対策を倍に引き上げ、豪雨地域においては15ミリの目標を30ミリに改善することです。都市づくりと雨水の涵養対策を強力に進めれば達成できる提案です。
 積極的な回答を求めます。

回答
 都は、平成19年8月に策定した「東京都豪雨対策基本方針」で、長期見通しのイメージとして、流域対策により、全流域で時間約10ミリ相当分の雨水流出の抑制を行うこととしています。また、深刻な浸水被害の発生が予想される場所において河川、下水道の貯留施設整備を適切に進めるとともに、家づくり・まちづくり対策を行い、時間15ミリ相当分の降雨に対応することで、床上浸水等を防止することとしています。
 今後とも、この方針に基づき対策を進めていきます。

質問事項
一の7 自然災害発生抑制のため、都市の集積の大元になっている都市再生特別措置法の是正と都市再生緊急整備地域の指定中止を国に求め、高層ビル建設など大規模開発の抑制に踏み切るべきだが、所見を伺う。

回答
 東京が、国際競争力を有する都市であり続けるためには、環状道路をはじめとする都市施設の計画的整備や、都市活動が集中する都心部の更新が不可欠です。
 都は、ヒートアイランド対策の観点からも、保水性舗装や屋上緑化、風の道となるオープンスペースの確保など、先進的な取組を進めています。
 また、都市再生緊急整備地域においては、建物の高断熱化をはじめ、効率性の高い熱機器の導入など、最先端の省エネ技術等を備えた優良な民間開発を誘導し、環境負荷の低減を図りつつ、都市の機能更新を進めています。
 今後も、これらの施策を推進し、環境に十分配慮した高度な都市機能を備えた東京の実現に取り組んでいきます。

質問事項
一の8 都市化が進み雨水が河川や下水にストレートに流れ込むという都市の弱点の克服が重要で、雨水を涵養する街づくりを本格的に進めることが重要と思いますが見解を伺う。

回答
 都は、「東京都豪雨対策基本方針」に基づき、河川や下水道の整備や雨水流出抑制などの流域対策、「地下空間浸水対策ガイドライン」の作成などの家づくり・まちづくり対策を総合的に進めています。
 今後とも、都民が安全で安心できる都市づくりを進めていきます。

質問事項
一の9 緑地の保全と拡大についての質問に対し、適切に対応しているとの答弁だったが、実際には緑地が減少する一方で、一人当たりの公園面積も東京は小さいという認識が欠如していると思うが、所見を伺う。

回答
 都は、これまで公園・緑地等の整備に取り組んできた結果、25年間で面積を倍増しました。今後も、「10年後の東京」で示した、緑あふれる東京を目指して、一層の整備に取り組んでいきます。

質問事項
一の10 自然緑地や公園などの倍加により緑地全体を倍加するとともに、高層建築物への緑地空間確保の義務付け、大規模幹線道路計画を中止し、地域の街路樹を増やすこと、臨海副都心の未処分地への緑地整備等を求めるが、所見を伺う。

回答
 都は、公園等を計画的・効率的に整備促進するため、都区市町共同で「都市計画公園・緑地の整備方針」を策定し、この方針に基づき、都と区市町が、事業の優先度や財源の状況を勘案し、着実な整備に取り組んでいます。
 総合設計など都市開発諸制度を適用する大規模建築物を対象に、これまでも、開発の機会を捉え、自然保護条例の基準を上回る緑化を誘導しており、環境に十分配慮し、都市の機能更新を進めています。
 道路の整備は、渋滞の緩和、環境改善のほか、環境軸などみどりのネットワーク形成にも寄与することから、積極的に取り組んでいきます。
 臨海副都心については、これまで、公園などの公共緑地空間を着実に整備するとともに、進出事業者の敷地についても十分な緑化を義務付けるなど、緑豊かなまちを実現しており、引き続き、緑化を強力に推進しながら、土地の処分を進めていきます。

質問事項
一の11 苗木の配布の倍化など都民の植林を促す取組を求めるが、所見を伺う。

回答
 都は、現在、緑あふれる東京を目指して、都民・企業等と協働しながら、「緑の東京10年プロジェクト」を全庁をあげて、積極的に推進しています。
 なお、苗木の配布については、都民参加型のイベントなどで行っています。

平成20年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  石毛しげる

質問事項
一 年次有給休暇の取得率について
二 日本国籍を有しない外国人の東京都職員採用について
三 住居喪失不安定就労者に対するサポート拡充について

一 年次有給休暇の取得率について
 厚生労働省が2007年10月に発表した就労条件総合調査によると、年次有給休暇の取得率は46.6%となり過去最低を記録した。取得率は1992年、1993年に56.1%を記録した後、2000年以降は40%台となり低下傾向が続いている。企業が従業員に付与した有給休暇は平均17.7日だが、実際に取得したのは8.3日にとどまった。企業の有給休暇の付与日数は年々増加しているのにもかかわらず、実際に休んだ日数は1995年の9.5日をピークに減り続けている。
 企業別の取得率は従業員数1千人以上の企業は51.7%、300人から999人の企業は43.0%、100人から299人の企業は43.9%、30人から99人の企業は43.0%となり、企業規模が小さいほど取得率が低い傾向がわかる。
 これらの傾向はもちろんバブル崩壊後の日本経済が背景にある。リストラにより正社員数は減り、個々人が処理しなければならない業務は格段に増加した。またそれまでの年功序列型の評価体系から成果主義による評価体系が多く導入され、休みづらい状況も発生している。ただ上記で触れたように有給休暇の取得率は低下しているが、企業の労働者に対する有給休暇の付与日数は皮肉にも増加している。
 有給休暇は労働者に与えられる正当な権利であるが、その時点の経済、雇用状況により企業側の事情もあるだろう。しかし正当な権利を行使している割合が4割台というのはお寒いかぎりである。
 我が国で有給休暇を全て取得できている割合は全体のわずか13%であり、他の調査国と比較すると最も多く取得しているのはドイツの81%、次いでフランス80%、イギリス77%、スペイン76%、アメリカ69%、オーストリア59%、イタリア53%、オランダ51%となり日本は突出して低い結果であった。このように欧米先進国と比べると、これがいかに異常なことかがわかる。ドイツ・北欧では法定もしくは労働協約上の年休は30日で、これを全部消化するのが当たり前である。「取得率」などという考え方はない。しかも、ILO132号条約が批准されていて、2週間以上連続して有給休暇を与えなければならないことになっている。労働者が夏や冬に、まとまって1ヶ月近い休みを取るのは当然のことで、会社が文句を言おうものなら大問題になる。
 日本はもちろん、ILO132号条約を批准していない。
 厚生労働省統計によれば、脳・心臓疾患の労災申請は97年から06年の10年で539件から938件へ、認定数は73件から355件へと2倍から5倍に増えている(うち4割から5割は過労死)。精神障害などの申請数はもっとすさまじく、実に41件から819件へ、認定数は2件から205件へと激増しているのである(うち4割から5割は自殺もしくは自殺未遂)。有給休暇は心身ともに「リフレッシュ」でき、こうした労災申請等の減少につながるであろう。
 さて、有給休暇を取得できない理由は「有給休暇を取ろうと思えば取れない訳ではないが、仕事も忙しく、なんとなく職場の雰囲気としても取りにくいため」となっている。
 また東京労働局が例年、年次有給休暇の取得促進・連続休暇の普及拡大のために行っている「ほっとウィークキャンペーン」の2007年アンケート集計結果でも、有給休暇が取りきれずに消滅してしまう理由として、「職場の皆があまり取らないので皆に合わせた」という項目が74.8%と突出している。これらの調査結果理由は似通っている。
 2007年に政府が発表した「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の中で、年次有給休暇取得率を現状の46.6%から2012年には60%、2017年には完全取得を目指すことを目標としている。この目標を達成するには単純に有給休暇の取得を奨励するだけではなく、女性の社会進出の更なる活性化、定年退職後の継続雇用の拡大など労働力に対する柔軟で複合的な対策が求められよう。
 また有給休暇の取得拡大が実現されればレジャーなど消費行動にも大きな経済効果が望め、また国民の祝日と組み合わせることにより5月以外にも大型連休を作ることが可能になる。国内、海外の移動も活発になり地域経済は潤い、海外交流も盛んにもなるだろう。
1 東京都の職員の年次有給休暇の取得率はどうか。
2 都内における中小企業の年次有給休暇の取得率の実態はどうか。
3 都内中小企業の年次有給休暇取得率向上に対する都の取り組みと、今後の対策について伺う。
二 日本国籍を有しない外国人の東京都職員採用について
 現在、実施されている東京都職員採用試験では、一部の試験区分で日本国籍を有していない外国人でも受験可能にはなっている。しかし、それはまだ福祉系や医療技術系においてのみである。
 さらに、(土木、建築、機械、電気)といった職種でも外国人の採用が認められれば、採用試験案内にもあるような『首都東京をフィールドとして行政を担う東京都職員は、「首都公務員」として日本の未来を切り拓くフロントランナーであることが期待されています』という事にも益々応えられ、また<東京都の求める人材像>の中で謳っている『「首都公務員」にふさわしい、高い志と豊かな感性を持った人材』も更に集まってくるであろうと考える。
 少子化の進む日本の労働力人口は2006年から比べると2030年に1070万人減る見通し(厚生労働省推計)である。そして経済協力開発機構(OECD)は2007年、現状の労働力人口を維持するには年間50万人の外国人労働者を受け入れる必要がある、との報告書をまとめている。
 すでに看護や介護、製造業の分野などでは外国人労働者無しでは成り立たない状況下にあり、8月7日には日本とインドネシアとの経済連携協定(EPA)によりインドネシア人看護士・介護福祉士候補の第1陣、それぞれ看護士候補者104人、介護福祉士候補104人合わせて208人が来日したばかりである。そして製造業が多く集まる東海地方は人口に占める外国人の割合が高く、例としてソニーなど大手メーカー工場が集まる岐阜県美濃加茂市はその割合は10.8%となっている。外国人労働者を必要とする企業は東海地方に限らず、全国どこにでもあり生産現場での人材争奪戦は年々激しさを増している。
 また大和証券SMBCが今春採用した新入社員約150人のうち13人が外国人であった。日本市場の株式の売買は6割を外国人投資家が占めており、人事課長は「外国籍の社員が増えるのは自然なこと」と語っている。
 電機や自動車など世界展開する企業に加え、再び海外事業を強化する邦銀も外国人の人材確保に力を入れ始め、優秀な外国人労働者の才能を獲得するか否かというその成否が企業の競争力を大きく左右する時代になった。
 上記の通り様々な業種業態でこのような状況下にある。
 盛んにグローバリズムが唱えられている昨今、当然行政においても外国人の雇用を積極的に門戸を開いていく必要がある。
 日本以外にも欧州を始め東南アジア、そして世界一の大国である中国でさえ少子化に向かっている。全世界で優秀な労働力の獲得競争が始まっている。それは少子化に悩む各国が留学生獲得に躍起になっていることとまったく無関係ではない。そして外国人労働者を積極的に受け入れるということは、結果として政府が骨太の方針の中で目指している「留学生30万人計画」の実現の為の受け皿にもなるはずである。
 ただ日本は、他国に比べても人種や言語の多様性が少ないため、それは時に他人種や他文化に対しなかなか相互に理解しにくいと指摘されている。
 しかし、日本の2007年度の難民認定者数は41人であり米国の約1万8千人、フランスの1万3千人に比べると圧倒的に少ない。この状況は他国からは排他性と映るであろう。
 東京都職員が真の「日本の未来を切り拓くフロントランナー」と成り得るには、全試験区分から国籍要件を解除すべきである。それは東京都やがて国をも動かし、かけ声言葉だけではない真の国際化、グローバル化の社会に向かうであろう。
 すでに大阪府、神奈川県、三重県、高知県、沖縄県などでは全試験区分において国籍要件を受験資格から解除していると聞く。東京都においても全試験区分において外国人の受験が認められるなら、世界各国の様々な人種、国籍の人間が集まり経済活動を行っている首都東京における行政を担うにふさわしい人材が更に集まるであろう。
1 現在、日本国籍を有していない外国人の東京都職員がどんな職種に何人いるのか。
2 今まで、東京都職員の職種に事務や4大技術に日本国籍を有していない外国人が含まれない理由は何であったのか。
3 21世紀の現在、東京都職員採用、全試験区分に日本国籍を有していない外国人を採用できないか。
三 住居喪失不安定就労者に対するサポート拡充について
 厚生労働省のまとめによると、派遣労働者は99年の約107万人から、06年度は3倍の321万人に急増、また総務省の調査では、正社員の占める割合は、99年の75.1%から66.5%に減少している。
 一方、住居喪失不安定就労者(インターネットカフェや漫画喫茶、ファーストフード等の24時間営業店で寝泊りしながら就労している方)を支援している「TOKYOチャレンジネット」で得た厚生労働省の資料や厚生労働省による『住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書』(平成19年8月)によると、全国のネットカフェ等で寝泊りする住居喪失者は5400人、その約8割が東京、大阪、愛知に集中しており、そして東京23区には約2000人いると推定されている。
 その男女比は男性94.2%、女性5.4%と男性が9割以上を占めている。年齢では19歳以下が0.4%、20歳から39歳までが41.5%、40歳から59歳までが45.5%、60歳以上が12.5%となっており、20歳から59歳まで約9割を占めている。そして学歴は中学卒業が19.2%、高校中退が21.4%、高校卒業が43.3%、短大・高専・専門学校中退が3.6%、短大・高専・専門学校卒業が3.1%、大学中退が1.3%、大学卒業が4%となっており、高卒が約4割以上を占め最も多く、中卒や高校中退も約2割と高い数値となっている。
 これらの20歳から59歳までの約9割を占める年代の人々は1968年位から1980年代初頭生まれのバブル崩壊後の就職氷河期と言われた人々や、不況下においてリストラされた人々と多く重なっていると思われる。バブル経済崩壊後の1993年から2000年代中頃まで有効求人倍率は1倍を下回っていて、大卒ですら就職が難しかった時期が10年以上も続く状態であった、そのために中卒や高校中退、高卒の人々が就職難に陥ったのは容易に想像できる。
 日本の雇用サイクルは新卒の時期を逃すと、翌年には非常に就職が難しくなるという構図が出来上がっている。それは今尚、健在であり一度その枠組みから外れてしまうと正社員となるのが大変難しい。そのため不安定な非正規雇用へと従事せざるを得なかった人々がバブル経済崩壊後増大した。
 また不況に陥ってから、製造業やサービス業を始めとする多くの企業で人件費のかかる正社員から派遣労働者、アルバイトといった非正規雇用に移行することにより人件費を抑制し自社の労働力を賄い不況を乗り越えていこうとしたのだった。
 非正規雇用に従事している人々に対し、正規雇用の職に就けないことを本人の努力不足といった自己責任に押し付ける論調を多く目の当たりにする。しかしこれは上記の雇用、経済状態から大きな間違いであることがわかる。また自己責任論を唱える人々の多くは正社員として働いていると考えられるが、今日それらの人々が正社員としてベアアップやボーナス、様々な福利厚生が望めるのは非正規雇用である日雇い派遣やフリーターといった雇用形態の上に成り立っているということを決して忘れてはならない。
 そしてこれら非正規雇用に従事している人々は本来、正社員としての仕事を望んでいる。それは東京における住居喪失不安定就労者の内25.7%の人々が現在具体的な求職活動を行い、37.4%の人々が現在求職活動はしていないが、今後求職活動を行う予定と回答した人々が合わせて6割以上に達することからもわかる。
 そのため今年度4月から東京都と厚生労働省が「TOKYOチャレンジネット」事業を開始し、生活相談業務や居住相談業務、資金の貸付の行いを始めた事は大いに評価できる。
 ただ事業期間は平成22年度までの3年を予定しているようだが、先にも触れたように住居喪失不安定就労者は幅広い年代に分布しており、非正規雇用の現状から脱するには長期間要する人々もいるだろう。それは住居喪失期間が10年以上という人々が13.8%もいることから判断できる。また「悩み事等を相談できる人が存在するか」という問いに対し、42.2%の人々が存在しないと回答している。悩みを吐露できる場が存在する、存在しないでは、彼らの精神的状態も全く異なってくるであろう。
 また健康問題(身体・精神)、失職や不安定な収入により借金といった債務関係で悩んでいる人々も多い。これらは非正規雇用問題が語られる時、努力すれば現状は変えられるのにしなかったという自己責任論に押されあまり顕在化してこないが、そのため非正規雇用に従事しなければならなくなったという事は非常に多い。
1 「TOKYOチャレンジネット」事業を始めて何件申し込みがあり、何件成立に至ったか。
2 この事業をでは、条件として都内に生活期間を6か月以上置くことになっている、こうした事もハードルになっているようだ、生活期間はもっと短くならないか。
3 住居喪失不安定就労者には、多重債務者もいるが、こうした人には法律相談も合わせてするべきと思うが如何か。

平成20年第三回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 年次有給休暇の取得率について
1 都職員の年次有給休暇の取得率について伺う。

回答
 平成19年における都職員の年次有給休暇の取得率は、57.1%です。
 なお、警視庁、消防庁を除く都職員の取得率は、76.0%です。

質問事項
一の2 都内における中小企業の年次有給休暇の取得率の実態について伺う。

回答
 都が実施する「中小企業の賃金事情調査」の中で、従業員数10人から299人規模の都内中小企業の休日・休暇について調査しており、平成19年の年次有給休暇取得率は、46.4%となっています。

質問事項
一の3 都内中小企業の年次有給休暇取得率向上に対する都の取組と今後の対策について伺う。

回答
 都は、これまでもセミナーの開催や各種普及啓発資料の配布等を通じて、年次有給休暇制度の周知と取得率の向上に努めてきました。
 また、「働き方の見直し」を進めるため、平成20年度から実施している「いきいき職場推進事業」において、ワークライフバランスに取り組む中小企業の認定制度を開始しました。この制度では、認定部門の一つに「年休取得促進部門」を設けており、企業独自の年休取得促進に向けた優れた取組を公募し、広く公表していきます。
 今後とも、こうした事業の実施により、年次有給休暇を取得しやすい雇用環境づくりに努めていきます。

質問事項
 二 日本国籍を有しない外国人の東京都職員採用について
1 現在、日本国籍を有していない外国人の都職員は、どんな職種に何人いるのか伺う。

回答
 日本国籍を有していない外国人の都職員は、平成20年4月1日現在、知事部局、公営企業、教育委員会に看護師26名、医師6名、教諭3名など9職種、42名在職しています。

質問事項
二の2 今まで事務や四大技術の職種に日本国籍を有していない外国人が含まれない理由は何か伺う。

回答
 国は、公権力の行使又は公の意思の形成への参加に携わる公務員には日本国籍が必要であるという考えを「当然の法理」として示しており、また、最高裁においても、「公権力行使等地方公務員」に外国人が就任することは、我が国の法体系の想定するところではないとしています。都の職員採用においてもこれを基本とし、運用していくことは妥当であると考えています。
 したがって、事務や四大技術の職種については、許認可事務に従事するなど公権力の行使や公の意思の形成への参画等に携わる蓋然性が高い職種であることから、採用に当たって国籍要件を設けています。
 一方、国際化の観点を踏まえ、都独自の判断により、当然の法理に抵触しない範囲内で、国籍要件を解除することが可能と判断した職種を整理し、既に全職種の7割について国籍要件を解除しています。

質問事項
二の3 都職員採用の全試験区分から国籍要件を解除し、日本国籍を有していない外国人を採用できないか伺う。

回答
 事務や四大技術の職種については、許認可事務に従事するなど公権力の行使や公の意思の形成への参画等に携わる蓋然性が高い職種であることから、採用に当たって国籍要件を設けています。
 今後も引き続き、国籍要件を解除している職種については、適正に採用を行っていくとともに、日本国籍を有しない外国人の職員採用については、国や他の地方自治体の状況を注視していきます。

質問事項
 三 住居喪失不安定就労者に対するサポート拡充について
1 「TOKYOチャレンジネット」事業をはじめてから何件申し込みがあり、何件成立に至ったか伺う。

回答
 本年4月の事業開始から9月末現在までに、電話やメール等による問い合わせは1,613件あり、来所し継続的な相談のための登録を行った方は613人でした。
 このうち、住宅資金等の貸付けを受けた方は93人、求人を紹介し就職に至った方は112人です。

質問事項
三の2 「TOKYOチャレンジネット」事業では、条件として都内に生活期間を6か月以上置くことになっているが、この生活期間はもっと短くならないか伺う。

回答
 本事業は、都民を対象とした事業であることから、都内に一定の生活実態があることを要件としています。
 また、住居を喪失した方を対象とするという特性から、都内に住所がない場合であっても6か月以上の生活実態があれば支援の対象としているものです。
 なお、要件を満たさない方が来所した場合には、国事業である就労相談を行うほか、相談者の状況に応じて、福祉事務所等の関係機関へ繋げるなどの支援を実施しています。

質問事項
三の3 住居喪失不安定就労者には、多重債務者もいるが、こうした人には法律相談も合わせて行うべきだが、所見を伺う。

回答
 「TOKYOチャレンジネット」では、多重債務や労働問題などの法律問題を抱えている相談者に対して、弁護士や司法書士による無料法律相談を既に実施しています。
 9月末現在の相談件数は延べ65件です。

平成20年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  清水ひで子

質問事項
一 多摩地域の振興について

一 多摩地域の振興について
 わが党は、この間、各種団体及び市町村、多摩地域の党議員団などと懇談を重ねてきた。このなかで明らかとなった多摩地域固有の要望や課題について伺います。
 総合的振興計画の策定
 都は多摩振興をすすめるための総合的、体系的な実施計画として「多摩地域振興実施計画、多摩リーディングプロジェクト」を2005年に策定し、発表した。私はその年の3月の予算特別委員会で、「この内容は知事のすすめる都市再生に沿ったもので、ハード事業中心になっている、都民や市長会が切実に求める少子化対策、高齢者介護、教育などの課題は見あたらない。NICUや乳幼児医療費助成、児童館など明らかに多摩地域の方が23区と比べて遅れている課題について、必要な方策をとることが必要だ」として都の姿勢を質してきた。その際、当時の総務局長は「都が重点的に取り組む事業を明らかにしたもので、福祉などのソフト面の事業についてはこれまでも積極的にとりくんでいる」などと答弁した。しかし、この間、多摩をとりまく社会情勢、経済情勢が大きく変化している中で、とりわけ子育て分野や高齢者分野での取り組みの強化がますます求められている。
1 そこで、今日の時点にたって、多摩地域の総合的な振興策を策定すべきと考えるがどうか。
2 市町村総合交付金について
 まず、市町村総合交付金についてです。
 市町村総合交付金は、23区と比べ財政力のきびしい市町村にとって、財政格差をおぎない、福祉をはじめとする住民サービスの向上を図るうえで欠かせない支援となっている。同時に、この間、法人税の増収の恩恵をうける23区との、税収格差はひろがりを見せている。
ア 市町村から共通して寄せられる要望の一つが市町村交付金の増額です。是非、この要望に応えるよう求めるものです。
 わが党は市町村振興交付金と調整交付金を統一し、総合交付金とする際に示された「経営割り」について、「各市の自主性を尊重すべきと」主張し、毎年予算要望でもふれてきた。市長会でも同様の要望を提出している。しかし、実態は、定数、税徴収率の査定で、かなりがんじがらめにされている市が多いという。ある市では、保育士定数欠員、学童クラブ問題で市民の反発が起きていると聞く。
イ 経営割による事実上の査定は市町村への干渉行為で地方分権に反するものと思うがどうか。あくまで市町村の自主性を尊重すべきではないか。
 学校図書館員の増員
 学校図書館は生徒・児童の学習・教育に大きな役割を果たしているが、図書館員が十分に配置されていないため、図書の管理が不十分になったり、生徒の要望に応えることができないなどが生まれている。ある市では現在、小中学校の図書室に2校に1名の図書専門員が配置されていて、1日6時間、週ごとに交代して勤務しているとのことだ。
3 このため生徒、教職員、保護者から、図書館員をせめて1校に1名の配置してほしいとの要望が出されている。この要望の実現のために都として支援すべきではないか。
4 スポーツ施設整備
ア 「多摩国体」会場地となる各市への財政支援についてです。現在、味の素スタジアムのとなりに補助競技場をつくろうとしている。以前「武蔵野の森構想」があり、スポーツ施設を5つ整備する計画であった。しかし、それが頓挫し、従来の構想で計画していたエリアに補助競技場をつくると、3分の2はなくなる。いま、残りの3分の1をどうするかという議論がされている。
 従来の構想どおり、施設整備をしてほしいという声にが出されている、どうか。
イ 体育館や競技施設の改修が必要な自治体は、財政の持ち出しががあり、対応に困っています。市長会からも、「国体の施設基準に適合していない場合もあり、施設改修を行わなければならず、改修にあっては関連して空調設備など付帯工事に多額の改修費が必要となるため、できるだけ幅広く工事対象とすること」などと要望がだされている。
 これに応えることが必要と考えるがどうか。
井の頭公園プール
5 井の頭公園のプールはビオトープにするというのが都の回答だったが、いまだに放置されており、住民からプールとして復活させてほしいという要望が出されている。これに応える必要があるのではないですか。
6 税・公共料金滞納者への取り立て
ア 多摩地域の自治体で、税滞納者の差し押さえ件数が数十から300件、500件と増加している。「都の職員研修で人権侵害してもかまわない」といわれたといい話も聞いた。そうした事実はあるのか。
イ 水道は3回督促すれば水道停止と上から行政指導されているのではないか。
ウ 税滞納者には、給与振り込みの差し押さえ、生命保険の解約が行われているがそうしたやり方を奨励しているのか。
緑の保全
7 町田北部丘陵は広大な緑地帯です。都のフィンガープランに位置づけられていたが、棚上げされ開発がすすんでいる。都全体の環境保護の位置付けし保全することが急がれている。稲城市の南山開発、八王子の天合峰の保全と合わせ、都の支援が求められているがどうか。
8 立川基地跡地利用
ア 立川の基地跡地で法務省が、刑務所を関東近県のものを集約する方針があきらかになった。もともとは下水道分場を計画していたもので、当初計画では下水道場を地下に入れ、上を公園として整備する計画だった。ところが刑務所ビル建設計画が突如、浮上した。地元では公園をつくるべきとの意見がだされている。地球温暖化を防ぐうえでも、みどりを保全することは優先課題である。公園整備を検討すべきではないか。
イ また、地元住民によってオオタカの生息が確認されているが、都として調査するとともに、保護対策をただちに講じるべきと思うが、どうか。
9 農業振興策
 原油高騰は多摩地域の農業にも被害をもたらしている。対策として農業のための免税軽油制度がるが、島嶼を除くと全都で一件というように利用がほとんどない。原因の一つが、制度の存在が知られていないことであり、また、マニュアルも分厚くて理解が難しい。
ア 制度を知らせたら農業委員会で是非紹介してほしいと歓迎される。職員が自ら農家に出向いて制度を周知していったら喜ばれるのではないか。窓口は都税事務所になるが、多摩地域では立川事務所でしかできない。各都税事務所で受け付けるよう、それぞれ充実を求めるものだがどうか。
 生産緑地を解消しなければならない事情がうまれる場合に、市への買取申請をしても、市は買えないのが現状だ。とりわけ23区に隣接する市などは地価が高く買い取れない。ある市はファンドを考えると言うが、対応しきれない。そのため、生産緑地が減り続けている。
イ 生産緑地を区市町村が買い取る都の支援制度をつくることが求められているがどうか。

平成20年第三回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 多摩地域の振興について
1 多摩地域を取り巻く社会情勢・経済情勢が変化する中、子育てや高齢者分野での取組強化が求められている。今日の時点にたって、多摩地域の総合的な振興策を策定すべきだが、見解を伺う。

回答
 平成17年1月に策定した「多摩リーディングプロジェクト」は、地域の特性に着目し、都がどのように多摩振興に取り組むかを基本施策として明らかにしたもので、都はこれまで、その着実な推進に努めてきました。
 しかしながら、社会情勢等の変化により、現在のリーディングプロジェクトの重点推進事業に含まれていない新たな課題も発生しています。
 このため、都は、すでに明らかにしているとおり、今日の課題に対応した新たな実施計画を策定していきます。

質問事項
一の2 市町村総合交付金について
ア 市町村から共通して寄せられる要望の一つが市町村交付金の増額である。この要望に応えるよう求めるが、所見を伺う。

回答
 市町村総合交付金の予算額については、市長会や町村会からの要望等を踏まえ、平成20年度は過去最高額を更新する380億円を計上しています。
 今後とも、多摩島しょ地域の一層の振興に努めていきます。

質問事項
一の2のイ 総合交付金として統一された際に示された「経営割」による事実上の査定は市町村への干渉行為で地方分権に反しないのか、また市町村の自主性を尊重すべきではないか伺う。

回答
 市町村総合交付金の経営努力割は、市町村みずからの行政改革の取組を促すことを目的とし、市町村の自主性・自立性の向上に資するものと考えています。

質問事項
一の3 生徒・教職員・保護者から出されている、図書館員を一校にせめて一名配置して欲しいという要望を実現するため、都として支援すべきだが、見解を伺う。

回答
 公立小・中学校の図書館への人員配置は、学校設置者である各区市町村が、その経費の負担も含め行っています。
 既に多くの区市町村において、有償・無償を問わず学校図書館を支援する人材が配置されており、今後も各区市町村の方針等に基づき、学校図書館の運営の充実が図られるべきものと考えます。

質問事項
一の4 スポーツ施設整備について
ア 味の素スタジアムの隣に国体関連の補助競技場を作る予定だが、以前あった「武蔵野の森構想」エリアの大半がつぶれてしまう。従来構想どおりの整備を求める声があるが、所見を伺う。

回答
 武蔵野の森総合スポーツ施設については、本年5月、都と地元3市で構成する「調布基地跡地関連事業推進協議会」において、都が改めて整備構想を策定することとしました。

質問事項
一の4のイ 国体の施設基準に適合させるため、体育館や競技施設の改修が必要な自治体は財政問題に困っている。「できるだけ幅広く工事対象とすること」との市長会からの要望に応えるべきだが、所見を伺う。

回答
 国体の競技施設基準は、財団法人日本体育協会の定める国民体育大会開催基準要項の施設基準に基づき、第68回国民体育大会東京都準備委員会においてまとめたものです。
 現在、区市町村が実施する国体の競技施設整備に対して、補助率2分の1、上限額を原則1億円、特例3億円とする財政支援を実施しています。補助対象とする事業は、国体の競技実施に必要不可欠な施設整備です。
 今後も、都と区市町村が連携し、競技施設の整備を始めとする大会の開催準備に万全を期していきます。

質問事項
一の5 井の頭公園のプールはビオトープにするというのが都の回答だったが、いまだに放置されており、住民からプールとして復活させてほしいという要望が出ている。これに応える必要があると思うが、所見を伺う。

回答
 井の頭恩賜公園のプールは、近隣に市立の屋内プールがあるため利用者数が減少していたことから廃止したものであり、従前の施設を活用して、当初の予定どおりビオトープとして生物の観察会を行っています。
 したがって、プールとしての復活は考えていません。

質問事項
一の6 税・公共料金滞納者への取り立てについて
ア 多摩地域の自治体では、税滞納者の差し押さえ件数が増加している。都の職員研修で人権侵害してもかまわないと言われたという話も聞いたが、そうした事実はあるのか伺う。

回答
 そのような事実はありません。


質問事項
一の6のイ 水道料金は、3回督促すれば水道停止してよいと行政指導されているのではないか伺う。

回答
 料金収入は、水道事業の運営基盤をなすものであり、当局は、お客さまに公平な料金負担を求めています。
 そこで、多摩地域では、納入通知書の支払期限内にお支払いのないお客さまに対し、「水道料金・下水道料金お支払いの催告」、「給水停止等予告書兼支払書」を送付して支払いを催告した上で、電話や個別訪問等による催告も行っています。
 しかし、再三の催告にもかかわらず料金のお支払いがない方には、やむを得ず給水停止を行うことにより、未納料金の早期回収に努めています。
 なお、一時的に多額の料金となった場合や、経済的な事情がある場合などについては、支払期限を延長したり分割払いとするなど、事情を考慮して適宜適切な対応を行っています。

質問事項
一の6のウ 税滞納者には、給与振込の差し押さえ、生命保険の解約が行われているが、こうしたやり方を奨励しているのか伺う。

回答
 ご指摘のようなことは行っていません。
 なお、納税する十分な資力がありながら、納税に誠意のみられない滞納者に対しては、税務行政の公正・公平性の確保の観点から、法令に基づく財産の差押えを行い、滞納整理を推進しています。


質問事項
一の7 町田北部丘陵は、都のフィンガープランに位置づけられていたが、棚上げされ、開発が進んでいる。都全体の環境保護の位置づけ・保全が急がれている。稲城市の南山開発、八王子の天合峰の保全と合わせ、都の支援が求められているが、所見を伺う。

回答
 緑地等の自然地の開発に際しては、「東京における自然の保護と回復に関する条例」に基づく開発許可制度により、自然環境の保全に配慮した計画とするよう、事業者を指導するなど適切に対応しています。
 なお、丘陵地における開発に際しては、その連担した緑と地形の維持を図るため、「丘陵地における適正開発のための指導指針」に基づき、指導しています。


質問事項
一の8 立川基地跡地利用について
ア 立川基地跡地利用に関し、刑務所ビル建設計画が突如浮上し、地元では公園をつくるべきとの意見が出されている。地球温暖化を防ぐうえでも、公園整備を検討すべきだが、所見を伺う。

回答
 平成20年6月に東京都及び立川市、昭島市から財務省に提出した「立川基地跡地昭島地区利用計画」において、法務省などによる国利用のゾーンとともに、公園や緑地などの公共利用のゾーンを位置づけており、緑豊かなまちづくりを推進していくこととしています。


質問事項
一の8のイ 地元住民によってオオタカの生息が確認されているが、都として調査するとともに、保護対策をただちに講じるべきである。所見を伺う。

回答
 本地区では、現在、財務省が自然環境調査を行っており、その調査結果を踏まえ、必要に応じて、開発予定者が対策を講じることとなります。


質問事項
一の9 農業振興策について
ア 農業のための免税軽油制度があるが、利用はほとんどない。職員が自ら農家に出向いて制度を周知したらどうか。また各都税事務所で受け付けるよう、充実すべきだが、所見を伺う。

回答
 軽油には、原則として軽油引取税が課税されていますが、農業を営む者が耕うん機等の動力の燃料として使用する場合は、課税を免除する免税軽油制度があり、すでに主税局のホームページや各都税事務所の窓口案内など様々な方法で都民周知を行っています。
 免税手続きは、単に申請を受け付けるだけではなく、免税証の交付、返納及び使用状況の確認等が必要であるため、多摩地区においては、立川都税事務所に一本化しています。


質問事項
一の9のイ 生産緑地を区市町村が買い取る際の都の支援制度をつくるべきだが、所見を伺う。

回答
 相続等のために耕作を続けることが困難となった生産緑地の買い取りについては、「生産緑地法」第11条に基づき、区市長の責任で対応することとなっており、都が支援することは考えていません。

平成20年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  曽根はじめ

質問事項
一 都営住宅の諸課題について

一 都営住宅の諸課題について
 都営住宅は、この10年余りの間に、国による応能・応益家賃制度の導入、家賃免額制度の廃止、新規建設の凍結、指定管理制度による公募の実施、承継制度の見直し、そして来年度実施の入居基準改定など、めまぐるしい制度変更が行なわれ、そのたびに居住者の負担増や退去、サービス低下が押し付けられてきました。
 このなかで、石原都政は国の政策を先取りする形で、一貫して都営住宅の戸数と予算を削減し、それによる応募倍率増加などの矛盾に対しては、入居対象をより低い所得階層にしぼりこむやり方をおしつけてきました。全体として公営住宅の役割を低下させてきたと言わざるを得ません。
 その一方で、石原都政による東京一極集中政策の激化による東京の人口増と所得格差の拡大の中で、高齢者のみならず若年層にまで低所得階層が広がり、都営住宅の役割はむしろ重要さをましています。
 いまこそ都営住宅は、都民のために大量の新規建設が求められているとともに、26万戸に及ぶ現都営住宅を、本来の役割にふさわしく維持・活用していくことが重要です。
 私はこの立場から、今日における都営住宅の諸問題について、以下の柱にしぼって質問します。
 ・ 都営住宅の入居基準改定について
 ・ 都営住宅の建替えについて
 ・ 都営桐ヶ丘団地再生計画について
1 都営住宅の入居基準改定について
 国土交通省が昨年12月に発表した入居及び明け渡し収入基準の改定によって、来年4月から公募対象者が大幅に削減されるとともに、暫定期間を置いても、いずれ現居住者の約3割の家賃が値上げを迫られ、収入超過者には明け渡し努力義務と民間家賃が課せられることになります。
 国土交通省は、「住宅困窮度の高い世帯に的確に公営住宅を供給できる」「応募倍率を引き下げる」としていますが、国民全体の平均所得が下がったのを根拠に、公営住宅の対象者を足切りにしたり、現居住者を追い出すことで問題解決を図るのは本末転倒にほかなりません。
 第1に、国が決定した政令月収15.8万円、3人世帯で粗収入400万円という基準の妥当性についてです。
ア 都は、入居基準引き下げで、対象外となる入居希望者の住宅が、前回基準改定後の10年間で、充足されてきたと考えているのですか。お答えください。
イ これまでも公営住宅入居基準を国が一律に定めることには、都内勤労者の平均収入が全国平均より高く、実態に合っていないとの批判がありました。今回も新基準が全国平均の収入分布で下から25%ということなら、都内の平均では25%より大幅に低いと推定されますが、都は実態をどう把握しているのですか。
ウ 新たに入居基準オーバーとされた世帯が、民間の家賃を負担できるのか、はなはだ疑問です。3人世帯の粗収入で463万円の旧基準では、都内の平均約10万円といわれる2DK賃貸家賃は、収入の約四分の一でしたが、新基準の年収400万円では約三分の一の負担になり、格段に重くなります。かつて国や都が公営住宅家賃を収入の16%から18%、都民住宅でも25%程度に抑えるとしたことから見てもあまりに負担が重過ぎると考えますが、認識を伺います。
 第2に、今回の措置で来年度から都営住宅申し込みができなくなる、年間申し込み数で数万から10数万の世帯への対策の問題です。
エ 都は、これまでの都営住宅応募者で、応募資格を失う人数をどのように推計していますか。
オ また、これらの世帯に対する何らかの対策を検討する必要があると思いますが、どうか。
カ 都営住宅に入居したくても入れない低所得者のために、家賃補助の創設を検討するよう求めます。所見を伺います。
キ 都営住宅の家賃減免制度を2000年以前に戻すべきですが、どうですか。
2 都営住宅の建替えについて
 都営住宅の建替えは、これまでの昭和30年代建設分から40年代建設分に広げられてきましたが、総予算を抑制するために、戸当たりの面積や設計の水準が大幅にレベルダウンさせられてきました。また都側の計画が一方的に押し付けられる事例が頻発しています。
 都営住宅は、建替え後も長く居住できるよう、建物の耐震性やバリアフリーなど安全性に最善をつくすとともに、住む人の快適性を保障できるよう設計や間取りに創意工夫を凝らす必要があります。
 また、老朽化した都営住宅の建替えは、居住者の高齢者のなかで、一人ぐらしや要介護者、通院者が多数に及ぶ場合が多く、きめ細かな対応が不可欠です。
 団地自治会や個別居住者に対して、都側の一方的な工事スケジュールや移転計画を押しつけることなく、居住者の要望を十分に聞いて可能な点は最大限実現を図ることによって、全ての居住者の建替え事業への理解と協力が得られ、事業をスムーズに進めることも可能になります。以上の観点から質問します。
 都営団地の建替えは、大規模団地はもちろん、規模は小さくても緑や広場、公益施設の配置などまちづくりの一貫であり、団地や近隣住民の理解と協力が欠かせません。
ア 建替え計画の提案は住民全体に少なくとも一年以上前に行い、十分な説明を行なうこと。計画の具体化は居住者と近隣住民の参加でワークショップを行い、許す限り住民意見を取り入れるなど、住民の参加と公開の姿勢が必要と考えますが、所見を伺います。
イ 建替え対象団地は長く住み続けている居住者が多く、地域に親しんでいること、通院や通学などの都合からも、できるだけ近接の住宅への移転希望が、遠隔地や都心など一等地への希望より多いのが通例です。戻り入居の希望も以前より増える傾向にあります。したがって移転住宅の斡旋は、戻り入居を基本に、近接の住宅の確保に全力をあげ、居住者の希望にこたえられる努力が必要ですが、どうか。
ウ 1人世帯及び2人世帯向けの住宅については、最低限の生活を保障するため、面積の拡充が必要です。型別供給のうち2Kから2DKへの若干の改善はありましたが、不十分です。全体の面積を増やし高齢夫婦向けに2部屋を隣接する設計とすること、1DKは介護ベッドが入っても、介護するもう一人の就寝スペースが確保できる広さとすることなど、実態に則した間取りを工夫するよう求めます。答弁願います。
エ 建替え後の住宅は、既存居住者の家族構成にあわせるだけでなく、ソーシャルミックスを前提に、新たな居住者向けに若年ファミリー世帯などにも対応できるよう、できるだけ多様な間取りの住宅配置とすべきです。
オ またシルバーピアやグループホームなど高齢者や障害者のためのケア付き住宅を計画段階から積極的にとりいれて、福祉機能を抜本的に高めるよう求めます。
カ 移転のために居住者が必要な費用は全額補償できるよう、現在の全国一律による17万円あまりの移転補償費を引き上げる必要があると思いますが、どうか。
3 都営桐ヶ丘団地の再生計画について
 都営桐ヶ丘団地は、5千戸を越える都内最大級の都営団地であり、再生計画に取り組んで20年になります。
 1988年に再生計画の一次案が示されましたが、超高層住宅を乱立させる一方、建替えが20年余に及ぶ間、浴室のない住宅が1千戸以上、21世紀まで放置されるなど住民要望とかけ離れていることが指摘され、都が見直しを行って、超高層住宅の階数を下げ、再生計画全体を6期24年、前期・後期に分けたうえで、建替えが後回しになる地区は増築や浴室設置を先行させるなど大幅に改善された現在の計画が96年に着工しました。
 この間、百回を越える大小の説明会や懇談を行い、概ね順調に推移して前期計画を終了しようとしており、後期計画の課題を明確にすべき段階に来ています。
 これまでの経過をふまえ、都全体や地元北区にとって高齢社会のモデルともいうべきまちづくりのあり方として、今日の時代にふさわしいものとなるよう求め、以下質問します。
ア 第一に、団地の規模として、最終的に約五千戸の都営住宅戸数を建替え後も確保するとともに、約1千戸の都民住宅等の公共住宅を整備して全体の戸数増を図るとともに、ソーシャルミックスを進めるという再生計画の基本構想を、最大限守れるようにする課題です。
 桐ヶ丘の建替えでは、区内に建設された移転用住宅に移った方を除けば、建替えで域外に移転した方の多くは、優れた桐ヶ丘のコミュニティーや医療環境などを求めて戻り入居しています。また、緑の多い広い敷地は都営住宅の環境として貴重なものです。
a したがって、都営住宅の既存戸数5千戸を確保すべきと考えますが、いかがですか。
b 当初計画の1千戸の都民住宅計画については、都として、都営住宅の入居基準を超える中所得層の都民に、負担可能な家賃で提供する新たな公共住宅の開発を検討してはどうでしょうか。
c 少なくとも、桐ヶ丘全体で6千戸の公共団地を目指すべきですが、どうか。
イ 第二に、環境やバリアフリーに配慮したまちづくりのあり方についてです。
 後期に建替えの対象となる桐ヶ丘のN地区は起伏の多い地形であり、自然を生かしながらも道路や建物の整備に工夫が必要です。
a また高齢化のもとで、団地内の通過交通を避け、歩車分離が可能となる道路等の設計、ノーマライゼーションの観点の徹底など、高齢社会のモデルにふさわしい街づくりとすべきですが、いかがですか。
b 自然エネルギーを極力取り入れ、基本的に共用部分の電力を自家発電できる施設を計画すること、温暖化ガス吸収効果や冷却効果の高い植栽・公園などの配置、ビオトープ等自然再生の取組みなど、住民参加による地球環境に配慮した創意ある計画を求めます。お答えください。
ウ 第3に、福祉、医療、コミュニティーの環境整備についてです。
 桐ヶ丘の前期計画では特別養護老人ホームやデイホーム、障害者の通所施設、児童館などが整備されました。
a 後期の中でも、ひき続き、小規模多機能型をふくめた特別養護老人ホームや通所の介護・福祉施設の整備が必要と考えます。さらにシルバーピアなど高齢者住宅の拡充、住宅を生かしたケアハウスやグループホーム、障害者の生活寮などを積極的に計画に取り込み、設計段階から工夫していくようにしてはどうでしょうか。
b 桐ヶ丘地域では、自治会等の総会が開けるコミュニティー施設が不足しています。北区とも連携して大小の集会施設などの配置をすすめるよう求めます。
c 団地内で2箇所の医療機関のうち、前期で桐ヶ丘診療所の入居する予定だった「1号館」計画が実現しないままです。後期計画の早いうちに、医療機関の配置が現状を基本に確保できるようにすべきですが、どうか。
エ 第4に、住宅および商店街等生活施設の配置についてです。
 前期計画の中で、建替え後に従前居住者の住宅を確保するという理由で、建物の住宅の大半が一人暮らし向けの1DKという例もありましたが、長期に活用していく公営住宅として、できるだけ多様な年齢・家族構成が居住できるよう工夫が必要です。
a 建物ごとの住宅配置にも、ソーシャルミックスの観点が必要と考えますが、どうですか。
b 建替えに伴い、団地内で居住者の移転によるローリングが行われるなかで、メゾネットタイプなど老朽住宅を早めに解消すること。
c 障害者住宅を思い切って増やすとともに、以前と同様に、入居者の状況に応じて室内を仕上げる方式を採用すべきです。
d 高齢化した居住者にとって、団地内の商店街は不可欠であり、可能な限り地元で営業が継続できるよう最大限の配慮が必要と考えますが、都の見解を求めます。
e 最終的に団地の敷地を民間企業に切り売りすることのないよう求めます。
f また、桐ヶ丘北小学校跡地は、今後も地域の教育・コミュニティーにとって貴重なスペースであり、区としての活用計画があれば尊重すべきです。それぞれお答えください。
オ 第5に、地元建設業者の活用についてです。
 前期計画では、準超高層の住宅以外は、建替えでも増築でも、分割発注なども活用して地元業者が入札に参加する機会が多く確保されました。
 地元建設会社も「建設不況のもとで息をつくことが出来た」「地元で評判を落とさぬよう仕事もがんばった」と胸を張ったとおり、地元業者の建てた住宅は概して入居者からも評判が良かったのが特徴です。
 後期計画でも分割発注、地元発注を原則とするよう要望します。いかがですか。

平成20年第三回都議会定例会
曽根はじめ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営住宅の諸課題について
1 都営住宅の入居収入基準改定について
ア 都は、公営住宅の入居基準引き下げで、対象外となる入居希望者の住宅が、前回基準改定後の10年間で、充足されてきたと考えているのか伺う。

回答
 都内においては、既に住宅戸数が世帯数を1割以上上回っており量的には充足しています。民間賃貸住宅の家賃は、最近の10年間を見ると横ばいで推移しており、民間賃貸住宅に居住する世帯の居住水準についても着実に改善しています。

質問事項
一の1のイ 今回の新入居基準が全国平均の収入分布で下から25パーセントであれば、都内平均ではそれより大幅に低いと推定されるが、都は実態をどう把握しているのか伺う。

回答
 都営住宅は、「公営住宅法」に基づき、住宅に困窮する低額所得者に対し低廉な家賃で供給される住宅です。
 その入居者資格においては、「公営住宅法施行令」によって、最低居住水準の住宅を市場において自力で確保することが困難な収入基準として、収入分位で下から25%に相当する収入が全国一律に定められています。

質問事項
一の1のウ 新たに入居基準オーバーとされた世帯にとって、民間の家賃負担は、収入の約3分の1にもなる。かつての国や都の基準からみてもあまりに負担が重すぎると考えるが、認識を伺う。

回答
 民間賃貸住宅については、その家賃は最近10年間横ばいで推移し、また居住水準の着実な改善が見られており、立地や規模等に応じ多様な供給がなされていると認識しています。

質問事項
一の1のエ 都は、これまでの都営住宅応募者で、応募資格を失う人数をどう推計しているのか伺う。

回答
 都営住宅の入居者募集に当たっては、自己申告による所得額で応募いただいていることから、これまでの都営住宅応募者で、応募資格を失う人数を正確に推計することは困難です。

質問事項
一の1のオ また、これらの世帯に対する何らかの対策を検討すべきだが、所見を伺う。

回答
 公営住宅は法令の規定により、原則として入居収入基準内の世帯を施策対象としています。
 今後とも、公的賃貸住宅に加え、市場の整備を通じて民間賃貸住宅の適切な供給がなされるよう努めていきます。

質問事項
一の1のカ 都営住宅に入居したくても入れない低所得者のために、家賃補助の創設を検討すべきだが、所見を伺う。

回答
 家賃補助は、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があることから、都として実施することは考えていません。

質問事項
一の1のキ 都営住宅の家賃減免制度を2000年以前に戻すべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の家賃減免制度は、使用料の負担をより公平なものとする観点から、平成12年度に、原則として免除を廃止する抜本的な見直しを行い、住宅の応益性や入居者の負担能力をより正確に反映できるようにしました。
 この見直しによる現在の制度は適切であり、元に戻すことは考えていません。

質問事項
一の2 都営住宅の建替えについて
ア 都営住宅の建替え計画の提案は、住民全体に1年以上前に行い、十分な説明を行うとともに、計画の具体化にあたっては、住民の参加と公開の姿勢が必要と考えるが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えについては、都民の住宅セーフティネットとしての機能を保持するため、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら、計画的に実施しています。
 また、居住者や近隣住民に対し、事業の説明会などにより丁寧な対応に努めています。

質問事項
一の2のイ 建替えの際の移転住宅の斡旋は、戻り入居を基本に、近接の住宅確保に全力をあげ、居住者の希望にこたえられる努力が必要だが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、本移転用の住宅と、戻り入居可能な仮移転用住宅を提示したうえ、移転に関する全体説明会や個別相談会などにより丁寧な対応に努めています。

質問事項
一の2のウ 1人世帯及び2人世帯向けの住宅については、面積の拡充を図るとともに、居住者の実態に即した間取りを工夫するよう求めるが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに際しては、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、世帯構成に応じた適切な規模の住宅を供給しています。
 なお、都営住宅の建替えで供給する2人世帯用の住宅については、面積規模など必要な見直しを行うこととし、既に、平成20年第二回定例会の代表質問で答弁しました。

質問事項
一の2のエ 建替え後の住宅は、既存居住者の家族構成にあわせるだけでなく、若年ファミリー世帯などにも対応できるよう、多様な間取りの住宅配置とすべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに際しては、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、世帯構成に応じた適切な規模の住宅を供給しています。
 なお、2人世帯用の住宅については、子育てをする若年ファミリーや高齢者など多様な世帯が活用できる良好なストックとなるよう、面積規模など必要な見直しを行うこととし、既に、平成20年第二定例会の代表質問で答弁しました。

質問事項
一の2のオ シルバーピアやグループホームなど高齢者や障害者のためのケア付き住宅を計画段階から積極的に取り入れ、福祉機能を抜本的に高めるべきだが、所見を伺う。

回答
 建替えに際しては、必要な住宅を整備することを基本とした上で、地域の様々な課題に配慮していくこととしています。
 グループホームやシルバーピアについては、都営住宅建設に関連する地域開発要綱等に基づき、地元区市と協議し、地域の特性に応じた整備を支援しております。
 今後とも、地元区市や関係局と連携し、適切に対応していきます。

質問事項
一の2のカ 建替え時の移転のために居住者が必要な費用は全額補償できるよう、全国一律の移転補償費を引き上げるべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替事業に伴う居住者の移転料については、移転に伴う動産移転料、移転雑費、電話移設料等の通常移転に必要な費用をお支払いしているものです。

質問事項
一の3 都営桐ヶ丘団地再生計画について
ア 団地の規模について
a 都営桐ヶ丘団地の建替えに当っては、約5,000戸の都営住宅戸数を建替え後も確保すべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えにあたっては、建設戸数を元戸数以下とすることを基本としています。
 桐ヶ丘団地についても、元戸数以下を基本とし、入居の実態に応じて必要戸数を確保していきます。

質問事項
一の3のアのb 当初の1,000戸の都民住宅計画については、都として、中所得層の都民に負担可能な家賃で提供する新たな公共住宅の開発を検討してはどうか、所見を伺う。

回答
 都民住宅制度は、バブル経済期の地価高騰により中堅所得層にまで及んだ住宅問題の深刻化に対処するためにつくられたものです。その後、バブル崩壊後の市場における住宅価格や家賃水準の大幅な低下等により、制度本来の意義が低下したため新規供給を停止するなど抜本的な見直しを行ったもので、桐ヶ丘団地において、中堅所得者層向けの新たな公共住宅の開発を検討することは考えていません。

質問事項
一の3のアのc 少なくとも、桐ヶ丘地区全体で6,000戸の公共団地を目指すべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、建設戸数を元戸数以下とすることを基本としています。
 桐ヶ丘団地についても、元戸数以下を基本とし、入居の実態に応じて必要戸数を確保していきます。
 なお、都民住宅については、新規供給を停止するなど抜本的な見直しを行ったものであることから、桐ヶ丘団地においても建設は考えておりません。

質問事項
一の3のイ 環境やバリアフリーに配慮したまちづくりのあり方について
a 団地内の通過交通を避け、歩車分離が可能となる道路等の設計、ノーマライゼーションの観点の徹底など、高齢社会のモデルにふさわしい街づくりとすべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、これまでも、段差を設けない路面及び地盤の高さ設定、歩車分離の移動経路等を考慮して計画し、高齢社会にふさわしい街づくりを進めています。
 桐ヶ丘団地についても、このような考え方に基づき後期計画を策定していきます。

質問事項
一の3のイのb 自然エネルギーの取り入れ、温暖化ガス吸収効果の高い植栽・公園などの配置、ビオトープ等自然再生の取組など、住民参加による地球環境に配慮した創意ある計画とすべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、これまでも、すべての住棟に太陽光発電設備を設置することに加え、敷地の緑化や透水性舗装など、積極的に地球環境に配慮した取組を進めています。
 桐ヶ丘団地についても、これらの取組を行っていくこととしています。

質問事項
一の3のウ 福祉・医療・コミュニティーの環境整備について
a 介護・福祉施設の整備は引き続き必要だが、さらにシルバーピアなど高齢者住宅の拡充、住宅を生かしたケアハウスやグループホーム、障害者の生活寮などを積極的に計画に取り込み、設計段階から工夫すべきだが、所見を伺う。

回答
 グループホーム等の福祉施設については、都営住宅建設に関連する地域開発要綱等に基づき、地元区市と協議し、地域の特性に応じた整備を支援しています。
 桐ヶ丘団地についても、地元区や関係局と連携し、適切に対応していきます。

質問事項
一の3のウのb 桐ヶ丘地域では、コミュニティー施設が不足しており、北区とも連携して大小の集会施設などの配置を進めるべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の集会所については、「集会所設置基準」に基づき計画を策定しています。桐ヶ丘団地についても、同基準に基づき計画を策定していきます。

質問事項
一の3のウのc 前期計画では、団地内の2箇所の医療機関のうちの一つの入居計画が実現していない。後期計画の早いうちに、医療機関の配置が現状を基本に確保できるようにすべきだが、所見を伺う。

回答
 桐ヶ丘診療所は、都営住宅建設時に都営住宅と併設し分譲した併存店舗の借家人です。
 桐ヶ丘団地の併存店舗の取扱いについては、今後、地元区や店舗所有者等と意見交換を行いながら、検討していきます。

質問事項
一の3のエ 住宅及び商店街等生活施設の配置について
a 建物ごとの住宅配置にも、ソーシャルミックスの観点が必要と考えるが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに際しては、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、世帯構成に応じた適切な規模の住宅を供給しています。
 桐ヶ丘団地についても、この考え方に基づき計画を策定していきます。

質問事項
一の3のエのb 建替えに伴い、団地内で居住者の移転によるローリングが行われるなかで、メゾネットタイプなど老朽住宅を早めに解消すべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えについては、都民の住宅セーフティネットとしての機能を保持するため、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況などを勘案しながら、計画的に実施しています。
 桐ヶ丘団地についても、このような考え方に基づき計画を策定していきます。

質問事項
一の3のエのc 障害者住宅を思い切って増やすとともに、以前と同様に、入居者の状況に応じた室内を仕上げる方式を採用すべきだが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、これまでも地元自治体と協議をしたうえで、車いす住宅の整備を進めています。
 また、車いす住宅の整備方式については、入居の早期実現を図ることなどから、これまでの整備実績を踏まえ、より多くの障害者に対応できる標準型を定め、それに基づき整備を進めています。

質問事項
一の3のエのd 高齢化した居住者にとって、団地内の商店街は不可欠であり、可能な限り地元で営業が継続できるよう最大限の配慮が必要だが、都の見解を伺う。

回答
 桐ヶ丘団地の併存店舗の取扱いについては、今後、地元区や店舗所有者等と意見交換を行いながら、検討していきます。

質問事項
一の3のエのe 団地の敷地を民間企業に切り売りすることのないよう求めるが、所見を伺う。

回答
 都営住宅の敷地は都民共有の貴重な財産であることから、建替えにより生み出した用地については、民間事業者の創意工夫も引き出しながら、地域の特性を生かしたまちづくりなどを進めていくことが必要と考えています。
 桐ヶ丘団地についても、このような考え方に基づき、計画を策定していきます。

質問事項
一の3のエのf 桐ヶ丘北小学校跡地は、今後も地域の教育・コミュニティーにとって貴重なスペースであり、区としての活用計画があれば尊重すべきだが、所見を伺う。

回答
 桐ヶ丘北小学校跡地の活用については、今後、後期計画を策定するなかで区と協議を行いながら検討していきます。

質問事項
一の3のオ 後期計画においても、分割発注、地元発注を原則とするよう要望するが、所見を伺う。

回答
 都はこれまでも、公共工事における中小企業者の受注機会の確保のため、工事の種類ごとに分離して発注するとともに、適切な工事規模に分割し、可能な限り中小企業者が受注できるよう努めています。
 桐ヶ丘団地についても、上記に基づき適切に発注していきます。

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