○副議長(石井義修君) 六十七番宇田川聡史君。
〔六十七番宇田川聡史君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○六十七番(宇田川聡史君) 初めに、障害者施策について伺います。
七月に行われた財政委員会の視察において、都立永福学園に行き、就労を含む自立へ向けた取り組みが着実に行われていることを実感いたしました。
一方、さきの第一回定例会でも申し上げましたが、意思の疎通が困難であったり、常時医療的ケアが必要であるなど、自立したくとも厳しい状況の方々、重症心身障害児者に対する支援体制は、まだまだ十分ではないと感じております。
平成十七年、知事も出席された東部療育センターの開所式に私も伺いましたが、設備などについては、感心するばかりのすばらしい施設でありました。
しかし、その後は、全国的な医療人材確保の困難などが生じ、この東部療育センターに限らず、医師や看護師不足により、本来の機能が発揮できないところがあると聞いております。
意思の疎通が困難である重症心身障害児者への医療提供や看護は、大変な苦労も多々あることだと思います。だからこそ、その意義や重要性、やりがいといったものを認識する必要性があるのではないでしょうか。
知事は、就任後間もなく、府中療育センターを視察され、その後、さらに整った設備を有する東部療育センターを開設いたしました。視察時や開所式において、施設で働く医師や看護師と意見を交わされたそうですが、その方たちの仕事に対して、知事はどんなご認識、どういったご理解をされているのかをまずお尋ねいたします。
現在、とりわけ看護師確保が困難な状況です。障害者施設で働く看護師を安定して確保していくためには、その特性をきちんと理解し、その上で、意義ややりがいを見出してもらえる取り組みが必要だと考えます。
都は、重症心身障害児者施設での看護師確保に向けて、どんな取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。
障害者看護を志し、幅広い看護技術を身につけ、大変な中にもやりがいを見出して頑張っている看護師は、今、とても貴重な存在です。こうした看護師に励みを与え、定着してもらうためには、専門性を正当に評価するような仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。ご所見をお伺いいたします。
重症心身障害児施設は児童福祉法に基づくものですが、重症心身障害児者通所事業は法律上の位置づけがなされていないなど、制度上の課題がございます。在宅での家族の方に対する支援という意味合いからも、通所施設の充実は必要不可欠です。
一定での私の質問に対し、通所施設の整備を進めていくとの前向きな答弁をいただいたところではありますが、安定的な運営のためには、制度の面からも法律上の位置づけがなされるなど、国としても必要な措置を早急に講じるべきです。
都としても、必要な見直しについては、国に対して提案、働きかけをしていくべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
次に、都市農業の振興について伺います。
過日、視察を通じて、江戸川区内の農家の方と意見交換の機会がありました。さまざまな話の中、都市部の農業が直面する課題を再認識し、振興施策の必要性を強く感じたところです。
区内も他の地域同様、農地面積は減少の一途をたどり、平成八年からの十年間で、三二%、約三十六ヘクタールの農地が消えてなくなりました。いうまでもなく、農地は、食糧生産にとどまらず、防災空間などの多面的機能を持つ貴重な緑地であります。都の喫緊の課題として農地保全に取り組んではおりますが、まず何より、農業が経営として成り立つことが重要だと考えます。
現在、農業者みずからが作成する農業経営改善計画を区市町村が認定するという認定農業者制度が全国的に導入されており、認定農業者は、国や都からの支援策対象となっております。都は、この制度をどのように普及し、認定農業者をいかに支援していくのかをお伺いいたします。
江戸川区は、都内区市町村の中で農地面積が三十一番目であるにもかかわらず、産出額は約十六億円と四番目に位置しております。
特に、江戸川区発祥といわれるコマツナは、年間六回から七回の収穫により生産性を高め、産出額の四分の三を占めるほどの特産品であります。しかしながら、病虫害や土壌劣化対策、競争激化による価格低迷など、課題は山積しているのが現状です。
都は今後、コマツナなどの都市農業に適した農産物の生産振興に対してどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
八ッ場ダムについて伺います。
熊本県の蒲島知事が、川辺川ダム計画を中止し、ダムによらない治水対策の追求をすべきとの意向表明を行いました。都議会内の一部会派では、この表明を引き合いにして、八ッ場ダム計画の見直しを主張しております。しかし、治水というのは、地域事情等を総合的に勘案すべきであり、熊本県知事も、いかなる目的を持ったダムも認められないといった意見に対しては賛成できないと明言をしております。
私の地元江戸川区を含む区部東部低地帯の住民にとって、治水による安全確保は切実な願いであり、昭和二十二年のカスリーン台風による甚大な浸水被害を二度と罹災しないためにも、八ッ場ダムの完成に大きな期待を寄せているとともに、早期完成を願っております。
そこで、治水といった面から考えられる八ッ場ダムの必要性について、改めてお伺いをいたします。
次に、気候変動への対応について伺います。
気候変動の問題は、降雨への影響のほか、エネルギー使用のあり方を含めて、さまざまな場面で議論され、マスコミにも頻繁に取り上げられております。現在進行形で変動が続いておりますが、五十年後、百年後を見据えるような長いスパンで検討を加える必要があると思います。
水道施設、水道事業は、気候変動と切っても切れないかかわりを持っているわけで、そのあり方について慎重なる検討、対応が求められております。
地球温暖化が叫ばれる昨今、温室効果ガス削減への取り組みがなされつつありますが、浄水場を上流部へ移動させ、位置エネルギーを活用したシステムにすることにより、CO2排出量削減につながるのではという調査検討が国土交通省で始められたとのことです。水道局としても、こうした検討を積極的に進めていくべきと考えます。
温暖化対策を踏まえた水道システムづくりについて、これまでの取り組みも生かし、今後どのように取り組んでいかれるのか、基本的な姿勢についてお伺いいたします。
次に、京浜港についてお尋ねをいたします。
今月十八日、石原知事と横浜市長、川崎市長が会談を行い、三港の実質的な一港化に向けた取り組みについて発表がありましたが、広域連携推進体制の整備、京浜港共同ビジョンの策定など、着々と取り組みが進んでいることが実感できます。今後とも、国際競争力を強化し、国際基幹航路の維持拡大を図るために努めていただきたいと思います。議会としても、三議会が手を取り合って、京浜港広域連携推進議員連盟を結成し、積極的な支援を確認したところです。
しかし、港というのは、船が寄港すれば終わりというわけではなく、荷主や消費者に荷物が届いて初めて物流として完結するわけで、その後の輸送網が整備されていなければ、国内ハブ港としての機能は発揮できていないことになり、内航船による輸送、内陸部への鉄道輸送や陸上輸送などの充実強化は不可欠だと考えます。
京浜三港の広域連携を進める中で、こうした国内ハブ機能の強化についてどのような取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。
基幹航路を維持拡大するためには、国内ハブ機能の強化とともに、東京港の外貿コンテナ機能の強化も喫緊の課題です。
国際物流は、船舶の大型化により、ますます活発化しており、世界の船会社の中には、八千個積み以上の大型コンテナ船を建造し、効率化と輸送能力増強を図っていると聞きます。こうした大型船に対応するため、上海や釜山等のアジア諸港では、大水深岸壁等の整備を確実に進めているようです。
世界のこうした流れに取り残されないためには、東京港においても、船舶の大型化に対応する取り組みが必要だと考えますが、都としてどう取り組んでいくのか、具体的にお聞きをいたします。
最後に、下水道の老朽化対策について伺います。
下水道の管渠は、既に耐用年数を超えたものが約一千五百キロメートルあるなど、老朽化が進行しており、損傷などによる道路陥没が毎年一千件もあると聞きました。これまでの取り組みによって減少してはいるようですが、「十年後の東京」にうたわれている安全なまちの実現のためには、施設の再構築などにより、道路陥没を防止すべきことはいうまでもありません。
下水道局は、平成十八年度から本格的に幹線管渠の現況調査を実施しているとのことですが、その調査結果を踏まえ、安全・安心確保のためにどのような取り組みを進めていくのか、お尋ねをいたします。
一方で、各家庭の排水設備と下水道本管をつなぐ小さな下水道管渠、取りつけ管と呼んでいるようですが、これもまた老朽化は免れない状況であり、一千件の陥没のうち、この管によるものが大多数だと聞きました。
取りつけ管の現況調査は、これまでも下水道局によって行われているようですが、百八十六万カ所という膨大な数であり、はかどってはいないようです。一軒一軒のお宅に通じる取りつけ管を調査することは、時間も費用もかかり、人員も到底足りるものではないかもしれません。しかし、都内には、下水道普及に尽力した排水設備工事業者の方が多数いるわけで、こうした方たちの団体に協力を求めることにより、調査が格段にはかどると考えます。
陥没の減少はもとより、老朽化対策のために、このような民間団体と都が連携して、取りつけ管調査をこれまで以上に加速させるべきだと提案をいたしますが、ご所見をお伺いいたします。
以上で私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 宇田川聡史議員の一般質問にお答えいたします。
重症心身障害児施設で働く医師や看護師の仕事についてでありますが、先年、府中の療育センターや東部療育センターを視察しました。働いているスタッフの方々の献身的な姿を目の当たりにして、非常に感動というか、いろいろとショックを受けました。
重症心身障害児というのは、ほとんど自分の意思を伝えることができませんし、寝返りどころか、ほとんど自分で手足も動かせない。こういった重症者をうっかり寝返りをさせますと、その重量がかかった部分の骨が折れたりするものですから、本当に三、四人でゆっくり持ち上げて、床ずれを防ぐための寝返りを打たせるという、そういう状況でありました。
ゆえにも、医師や看護師は、小さなサインを見逃さないように懸命にケアをしておりまして、そういった障害児の訴えや思いを理解できたときの喜びや充実感はもう大変なものだと聞きましたが、とにかく、何かコミュニケートするための方法は、本当に軽く相手の体をたたくしかできないということでありました。
こうした仕事に日夜懸命に取り組んでいる人たちを、健常者ももっと理解していただきたいと思います。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えいたします。
まず、重症心身障害児施設における看護師確保についてでありますが、施設見学会や就業フェアなど、あらゆる機会をとらえ、重症心身障害児者を看護する仕事の意義を理解していただくようPRに努めております。
また、今年度からは、都立の東大和療育センターと東部療育センターで実施いたします離職中の看護師向け復職支援研修におきましても、実習などを通して、重症心身障害児者の看護の意義や、やりがいへの理解が深まるよう努めてまいりたいと思います。
あわせて、看護の負担軽減のため、機械浴槽等を整備するなど、業務環境の改善も行っておるところでございます。
引き続き、看護師の確保に精力的に取り組んでまいります。
次に、看護師の専門性の評価についてであります。
救急や緩和ケアなどの分野につきましては、認定看護師の制度がございますが、残念ながら、重症心身障害児者の看護はその対象となっておりません。
重症心身障害児施設で働く看護師は、心豊かな看護とともに、入所者の障害の重度化に伴い、呼吸管理等の専門性の高い医療への対応が求められております。
こうした専門性を正しく評価することは、看護水準の向上につながるとともに、看護師の定着にも有効と考えておりまして、今後、その仕組みについて検討してまいります。
最後に、重症心身障害児者通所事業についてであります。
重症心身障害児者が安心して地域で生活するためには、通所事業の充実が重要な課題となっております。
しかし、ご指摘のように、通所事業は法律上の位置づけがないために、国に運営費の負担義務がなく、補助も不十分であります。
都はこれまでも、補助基準額の引き上げを国に要求してきたところであり、引き続き、その充実を求めてまいります。
さらに、現在、国が検討している障害者自立支援法等の見直しにあわせまして、通所事業の法制化についても、国に強く働きかけてまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 農業振興に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、認定農業者制度についてであります。
この制度は、まず区市町村が農業基本構想を定めまして、これに基づき農業者が作成した農業経営改善計画を認定するものであり、この認定によりまして、農業者はさまざまな支援を受けることができ、経営意欲が喚起されることから、都市農業の振興を図る上で極めて効果的であります。
現在都内では約千名が認定をされており、都は本制度のさらなる普及に向けまして、農業者が経営改善計画を作成するに当たっての助言、指導を行いますとともに、区市町村に対しましては、農業基本構想の策定や計画の認定を推進するための補助事業を実施しております。
また、認定農業者の支援につきましては、この制度に基づく経営の指導や低利融資に加えまして、都として独自の魅力ある都市農業育成対策事業によりまして、生産施設などの整備に対する経費補助を行っております。
今後とも、都市農業を担う意欲的な農業者の確保に向けまして、認定農業者制度の普及促進に積極的に努めてまいります。
次に、都市農業に適した農産物の生産振興についてであります。
大都市の特徴である狭小な農地におきまして、収益性の高い農産物を継続して生産していくためには、病害虫の発生や土壌の劣化など、さまざまな課題を解決する必要があります。
このため、都は、生産面では、農薬だけでなく、防虫ネットやフェロモンなどを活用して、病害虫を総合的に防除するIPM技術や、通気性、保水性を維持するための土づくりの技術の導入などを進めております。
また、流通面では、学校給食に供給するための仕組みづくりや、農産物直売所などの施設整備に対する補助など、多様な地場流通による販路拡大に向けた支援を行っております。
今後とも、こうしたさまざまな取り組みを積極的に推進いたしまして、都市農業の一層の振興を図ってまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 八ッ場ダムの治水面からの必要性についてご質問ございました。
ご指摘にもありましたとおり、昭和二十二年の九月十六日でございますが、カスリーン台風によりまして利根川の堤防が決壊いたしまして、これに起因する洪水によりまして、東京の東部低地帯││江戸川区を含みますが││に壊滅的な被害がもたらされました。
利根川の治水計画は、このような二百年に一回とされる確率の規模の出水に対しましても、はんらんさせずに、安全に河口まで流すことを目標としております。
八ッ場ダムは、この治水計画の一翼を担う重要な施設でございまして、利根川上流ダム群の中でも最大の洪水調節能力を期待されているものでございます。
こうした治水の安全性を確保するとともに、利水安全度の向上も図る多目的ダムとして、八ッ場ダムは不可欠な施設でありまして、早期の完成がぜひとも必要でございます。
〔水道局長東岡創示君登壇〕
○水道局長(東岡創示君) 温暖化対策を踏まえた水道システムづくりについてでありますが、水道事業は、浄水場での高度浄水処理や送配水の過程において、ポンプ運転などのために大量のエネルギーを使用しております。
水道局ではこれまで、CO2の排出量低減のため、ポンプ設備の新設または更新時に省エネ型設備に転換するなど、省エネルギー対策に取り組むとともに、太陽光発電や小水力発電など、自然エネルギー等の有効活用に積極的に取り組んでまいりました。
今後、CO2排出量の削減義務化など、一層の温暖化対策の強化が求められることを踏まえると、従来の取り組みを超えた、さらに抜本的な施策が必要であると考えております。
今後、昭和三十年代から四十年代の高度経済成長期に整備した浄水場などの大規模施設が集中的に更新期を迎えますが、施設の更新に当たっては、長期的な視点を持って、エネルギー効率の観点も含め、水道システム全体のあり方について幅広く検討してまいります。
〔港湾局長斉藤一美君登壇〕
○港湾局長(斉藤一美君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、京浜三港の広域連携による国内ハブ機能の強化についてでございますが、近年、国際分業の進展や、生産拠点の国内回帰、内陸部における道路ネットワークの充実などによりまして、京浜三港の物流圏は、南東北を初め、首都圏を越えて拡大しつつあり、三港の国内ハブ港湾としての重要性はますます大きくなっております。
本年三月、京浜三港は、広域連携強化に係る基本合意を締結いたしまして、我が国の国際物流の玄関口としての役割を果たしていくため、国内ハブ機能をより一層強化することといたしました。
国内ハブ機能の強化には、三港を起点、終点といたします海上、陸上の太い物流動線を確保することが重要でございます。
このため、三港の航路を束ね、京浜三港と地方港を結ぶ航路の運航頻度を増加させるなど、内航海運網の充実強化を図ってまいります。
また、内陸部の物流圏との陸上物流ネットワークのかなめとなる三環状道路や、三つの港を貫く幹線道路である国道三五七号などの早期整備を、一体となって、国に対して強く働きかけてまいります。
さらに、貨物の集荷力強化のため、今月、長野県において、初めてとなる共同のポートセールスを実施いたしました。
今後、対象地域を東日本一帯に広げまして、貨物誘致の取り組みを積極的に推進し、京浜三港から伸びるスポークを増加させてまいります。
実質的な一港化を進める中で、国内物流と国際物流を結ぶ国内ハブ機能を強化することによりまして、京浜港として国際競争力を高めてまいります。
次に、東京港における船舶の大型化への対応についてでございます。
近年、国際海上コンテナの基幹航路におきましては、輸送効率向上の観点から、船舶の大型化と、これに伴います寄港地の集約化が急速に進んでございます。
東京港が国際基幹航路から外れ、小型船に積みかえるフィーダー輸送に依存することとなりますと、海上輸送日数や輸送コストの増加等から、日本経済への大きな影響が危惧されます。
このため、本年七月の東京都港湾審議会答申を踏まえまして、国際基幹航路の主流となりつつある八千から一万個積みのコンテナ船や、さらにはパナマ運河拡張も視野に入れ、一万個積みを超えるコンテナ船が接岸可能な大水深岸壁への再編に向けまして、その課題やあり方を検討し、大井、青海の既存ふ頭や、新たに計画しております中央防波堤地区ふ頭の港湾計画を見直してまいります。
さらに、ふ頭背後の荷さばき用地の拡充や荷役機械の増強により、コンテナターミナルの処理能力の向上など、大型コンテナ船の受け入れ体制を整えてまいります。
今後とも、急激に変化する国際物流の動向に迅速かつ的確に対応し、東京港が首都圏四千万人の生活と産業を支えますメーンポートとしての役割を果たしてまいります。
〔下水道局長今里伸一郎君登壇〕
○下水道局長(今里伸一郎君) 下水道管渠の老朽化対策に関します二点のご質問にお答えいたします。
まず、下水道の幹線管渠の再構築の取り組みについてでございますが、下水道局ではこれまで、法定耐用年数五十年を経過した下水道管渠が多い都心部を中心に、計画的に再構築に取り組んでまいりました。
しかし、口径が大きく流量も多い幹線につきましては、水位が高いなどの理由により、老朽化調査も困難な箇所が多く、部分的な対応にとどまっておりました。
そのため、こうした幹線を無人で調査する新たな機械を開発するなどして、平成十八年度から本格的な調査を開始し、耐用年数を経過した四十七幹線、約百二十キロメートルの調査をこれまでに完了しております。
調査結果に基づき、今後十年以内に、優先度の高い十六幹線につきましてはすべての区間の再構築を完了させ、残り三十一幹線につきましては、老朽化の著しい区間につきまして再構築を実施していくこととしております。
今後とも、耐震性などの機能向上を含めた再構築を着実に実施し、将来にわたり安定した下水道サービスを提供してまいります。
次に、取りつけ管調査の促進についてでございますが、下水道管渠の損傷により発生する道路陥没は、その八割以上が取りつけ管に起因しております。
これら道路陥没を防止するためには、損傷箇所を早期に発見し、補修などを行う予防保全型管理が重要となります。
そのため、下水道局では、従来のテレビカメラ調査に加えまして、口径の小さい取りつけ管を簡易に調査できるよう、小型化されたテレビカメラを導入するなどいたしまして調査を加速させ、損傷の早期発見に努めてまいりました。
しかし、調査箇所数が膨大であることから、ご指摘のような民間団体の活用につきましても積極的に検討いたしまして、調査のさらなるスピードアップを図り、道路陥没を抑制するなど、安全・安心なまち東京の実現に取り組んでまいります。
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