平成二十年東京都議会会議録第十二号

平成二十年九月二十五日(木曜日)
 出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
 欠員
    五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

九月二十五日議事日程第二号
第一 第百五十七号議案
  平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第二 第百五十八号議案
  平成二十年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第三 第百五十九号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十一号議案
  東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第六 第百六十二号議案
  東京都特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例
第七 第百六十三号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百六十四号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例及び職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百六十五号議案
  東京オリンピック開催準備基金条例の一部を改正する条例
第十 第百六十六号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十七号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十八号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十三 第百六十九号議案
  東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十一号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
第十六 第百七十二号議案
  東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十三号議案
  医学系総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十四号議案
  老人総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百七十五号議案
  東京都婦人保護施設条例の一部を改正する条例
第二十 第百七十六号議案
  東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
第二十一 第百七十七号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第二十二 第百七十八号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第二十三 第百七十九号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第二十四 第百八十号議案
  墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第二十五 第百八十一号議案
  東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
第二十六 第百八十二号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第二十七 第百八十三号議案
  東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例
第二十八 第百八十四号議案
  東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第百八十五号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第三十 第百八十六号議案
  東京都下水道条例の一部を改正する条例
第三十一 第百八十七号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第百八十八号議案
  都立久我山学園特別支援学校(仮称)(二十)改築その他工事請負契約
第三十三 第百八十九号議案
  都庁第一本庁舎(二十)防災設備改修工事請負契約
第三十四 第百九十号議案
  都庁第一本庁舎(二十)ビル管理設備改修工事請負契約
第三十五 第百九十一号議案
  都庁第二本庁舎(二十)ビル管理設備改修工事請負契約
第三十六 第百九十二号議案
  道路標識設置等工事に係る損害賠償額確定調停事件に関する調停成立について
第三十七 第百九十三号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第三十八 第百九十四号議案
  東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第三十九 第百九十五号議案
  東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第四十 第百九十六号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第四十一 第百九十七号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款について
第四十二 第百九十八号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(仮称)に承継させる権利を定めることについて
第四十三 第百九十九号議案
  遺伝子組換え実験等に係る拡散防止装置外六点の買入れについて
第四十四 第二百号議案
  中央実験台外二点の買入れについて
第四十五 第二百一号議案
  実験動物飼育用架台システム(個別換気型)の買入れについて
第四十六 第二百二号議案
  個人防護具(ガウン等セット)外七点の買入れについて
第四十七 第二百三号議案
  株式会社東京臨海ホールディングスに対する出資について
第四十八 諮問第一号
  地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく異議申立てに関する諮問について

議事日程第二号追加の一
第一 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二 平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について

 午後一時開議

○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成十九年度 東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出をされました。
 これらを本日の日程に追加をいたします。

○議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
 百十三番高島なおき君。
   〔百十三番高島なおき君登壇〕

○百十三番(高島なおき君) 平成二十年第三回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 昨日、麻生内閣が発足しました。五人の候補者が堂々と政策を競い合い、全都道府県で党員投票を実施するという民主的な手続を経て、新しい総理・総裁が誕生したのであります。我々は、責任政党の一員として、このことを誇りに思うと同時に、来るべき総選挙に勝ち抜き、この国の立て直しに全力を挙げていく決意を新たにしたところであります。
 今、日本は新たな危機に直面をしています。サブプライムローン問題に端を発し、投機マネーによる原油や穀物の価格高騰によって加速された世界経済の減速は、アメリカ大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻により、世界的な金融不安に拡大する様相を見せています。今回の景気の低迷は構造的な要因によるものであり、長期にわたる可能性があります。さらに、ガソリン価格の高騰、食品の値上がり、原材料価格の高騰による工事費の上昇が相次ぎ、電気、ガス料金の値上げも予定されるなど、景気後退局面でのインフレも懸念されています。
 社会に目を転じると、マンションの耐震偽装事件に始まった企業モラルの低下は、最近も相次いでいる食品偽装など、とどまることを知らず、ついには汚染米の不正転売にまで及び、都民、国民の不安は募るばかりであります。また、秋葉原の痛ましい事件に代表されるような、理屈のない殺意による犯罪が頻発しています。大きなことをして目立ちたい、他人を困らせるため、自殺の道連れ、死刑になりたいといった動機から、人間としての成熟のおくれと孤立化がうかがわれます。一昔前の切れる子どもが、切りつける若者と化してしまったのかとさえ思うほどです。
 私は、家庭、学校、地域社会、職場、国家に至るあらゆる場で若者たちの帰属意識が希薄化しており、非正規雇用の拡大も、その背景をなしているのではないかと懸念をしております。さらに、現在の社会全般には、自分たちの現在の暮らしにのみ関心が向き、次の世代によりよい生活を継承しようという明瞭な意図が感じられず、拝金的な風潮が広がっているという印象がぬぐえません。こうした状況の放置は、社会そのものの危機を招来するのではないかと危惧の念を強くするものであります。
 このような危機は、その場しのぎのびほう策では乗り切れません。さきの参議院選挙以来続いた政局至上主義的な思惑に左右される事態を克服し、あるべき国家像を明確に示し、中長期的な視点から、国と地方を通じた財政再建、税財政や社会保障制度、さらには真の地方分権を進めるための統治機構の再構築に取り組むべきであります。そうした中でこそ、その場しのぎの交付税のカットや法人事業税の一部国税化などに終止符を打ち、真の地方分権実現への道を開くことができるのであります。
 私たち都議会自由民主党は、こうした認識をもとに首都東京の改革を進めることによって、国家の改革を先導していく立場から、都民に対する責任を果たし、来年に迫った選挙戦を戦い抜く覚悟であります。二元代表のもう一翼を担う石原知事に、我が国の政治、経済、社会の現状に対する認識と都政運営に臨む基本姿勢をまず初めにお伺いをしたい。
 危殆に瀕している地方行財政の改革を進め、都政運営を変革していく上で、国と都、そして都と区市町村との役割分担や財源配分のあり方の見直しは、避けて通ることのできない課題であります。全国的に市町村合併が進む中、特別区の区域の再編、道州制を視野に入れた首都圏の行政体制のあり方などは、いまだ議論の域を出ていません。将来、膨大な需要が予想される社会資本の更新一つを見ても、こうした問題の行く末と密接な関係を持っています。
 我が党は、今後の改革は、都政における骨太の道筋、すなわち東京の自治の将来像を含めたグランドデザインを明らかにするものであるべきことをまず表明しておきます。
 その上で、都政改革のあり方についてお尋ねをいたします。
 これまでの量にウエートを置いた行革は、都庁のむだをなくし、スリム化するという大きな意義がありました。国や他の自治体に先駆けて財政再建もなし得たのであります。しかし、団塊世代の大量退職、少子化の進行による人材難の深刻化、公の担い手の官から民へという潮流など、私たちが今置かれている状況を踏まえると、行革のあり方はターニングポイントを迎えているといわざるを得ません。すなわち、より質にウエートを置いた新しい視点での再構築が求められているのであります。
 まず初めに、行政責任とアウトソーシングについてお尋ねをいたします。
 いうまでもなく、都政の本質は、都民の生命、利益を守ることにあります。そのためには、目立たなくとも継続的に必要な施策を大切にし、これに不可欠な行政執行能力を維持することが必要です。
 近年、都政の現場では、指定管理者制度、独立行政法人化、市場化テスト、民営化などが進められています。効率的な執行、民間活力の導入という目的自体は正しいと思います。しかし、施設、サービスの目的や性格により、アウトソーシングに適しているのか、民間の企業や市場が公の担い手として成熟しているのかを見きわめることが肝要であります。市場競争原理による経費削減が優先し、安かろう悪かろうになることが危惧され、結果として、指定管理者制度など民間活力の導入による効果が発揮されていないことも懸念されます。真に住民サービスは向上しているのか、行政としてコントロール責任を果たし得ているのか、それぞれの実態に応じた検証が必要であります。
 特に指定管理者制度については、公の施設の性格に応じ、行政を補完、代行する監理団体を適切に活用すべきものと、民間の競争原理にゆだねるべきものの再整理を行うことも必要です。こうした観点から再検証を行い、必要な場合には、振り過ぎた振り子を戻すことがあってしかるべきではないでしょうか。所見を伺いたい。
 都庁の事業遂行能力の強化も重要な課題となっています。スリム化が進む一方で、世代交代が円滑に行われていない現状があります。とりわけ技術職では、団塊の世代の大量退職による影響が顕著であります。都庁の執行力を将来にわたって維持するという視点で正規職員を確保することが必要です。現在の再任用制度や非正規職員の活用だけでは、都政の執行力を将来にわたって維持することにはなりません。
 また、委託は行政執行の一方法であり、その効果、責任は、すべて都に帰属するものであります。したがって、その進行管理をする委託側に十分な能力が求められるのは自明の理であり、私は現状に大きな危惧を抱いております。
 知事は、都政の強みとして、現場を持っていることを挙げられますが、都庁が現場を安易に手放すことによって、その強みを徐々に失うことが懸念されます。これからの行革には、都庁みずからの事業を展開する力量を高める視点が不可欠と考えますが、所見を伺いたい。
 事業部門の弱体化だけでなく、個々の職員の企画力が低下しているという話もよく耳にします。行政執行体制の強化という視点から人材育成のあり方が問われます。また、少子化による人材不足の中で、優秀なモチベーションの高い人材の確保は急務の課題であります。将来展望のある人材の育成、確保策が必要であると考えますが、所見を伺いたい。
 経済情勢が急変を続ける中、契約制度の改革も喫緊の課題であります。資材価格の高騰は、都民や企業だけでなく、都政にもさまざまな影響を与えております。入札が不調となる事例もふえており、単品スライド制度の導入には一定の評価をするものであります。しかし、下請の中小企業等からは悲鳴にも似た声が寄せられています。
 都議会自民党はPTを組み、地域産業育成の観点を含め、このたび報告書をまとめました。都は、自身が巨大な経済プレーヤーであり、その行動が東京の経済社会に重大な影響を及ぼしていることを十分に自覚すべきであります。民間事業者については、請負ではなく、協働の関係者であるととらえられないでしょうか。工事案件などのコスト水準が社会的に真に適正なものとなるよう、さらに迅速で柔軟な対応を求めるものでありますが、今後どのような工夫をしていくのか、所見を伺いたい。
 財政環境が急激に悪化する中にあって懸念されるのは、着実に推進すべき社会資本の更新が停滞するのではないかという点であります。高度成長期に集中的に整備された東京の社会資本は、一斉に老朽化し、補修、補強を含む維持更新事業には多額の財源が必要となります。五十年、百年の視野のもと、財政環境の変動の中にあっても戦略的に進めていくためには、事業部門の知恵とともに、必要な財源を計画的に確保する努力が不可欠であり、その時々の財政状況次第という場当たり対応では、都民の安全は守れません。
 今後厳しさを増すであろう財政環境のもと、都政にとって重要な課題である社会資本の更新を戦略的に進めるため、財政面から中長期的にどう取り組むのか、伺いたい。
 次に、今後の財政運営について伺います。
 都の法人二税が、四月から六月にかけて対前年度で五%以上もの減収となる中、アメリカ発の金融不安が経済の悪化に追い打ちをかけており、生活物価の上昇と相まって、不況下におけるインフレの到来も懸念されます。都財政をめぐる環境は、来年度予算編成を前に、日増しに厳しさを増しているというのが実感であります。ここ数年の税収増をとらえて東京富裕論が喧伝されてきたわけですが、潮目は明らかに変わりました。加えて、法人事業税の一部国税化に伴う三千億の減収であります。景気変動の影響をもろに受ける都の税収構造の持つ弱点が、今まさに前面に出てきたのです。
 一方、都政は、経済が下降局面に入った今こそ、東京に住み、働く人々のために、その力を発揮すべきであります。財政再建の成果を積極的に活用し、これまで培ってきたさまざまな工夫を凝らして、緊急性と中長期的な視野の両面から積極的な施策を展開していくことが必要です。
 これまでにも増して難しいかじ取りが求められる局面に当たり、財政の健全性を確保しつつ、十年後を目指して東京の都市づくりを進めるため、来年度予算編成、さらにその先をも展望して、今後の財政運営にどう当たろうとしているのか、知事の基本姿勢並びに決意を伺いたい。
 また、知事は第一回定例会において、「十年後の東京」の確実な実現に向けて、施策の進捗状況を随時点検するとともに、新たなニーズに目配りをしながら、実行プログラムを毎年度改定していくと明言されました。今回の実行プログラムの改定に当たっては、どのような視点を重視して取り組みを加速化していくのか、知事の見解を伺いたい。
 補正予算案についてお尋ねいたします。
 予算案には、我が党の緊急要望を受けとめ、中小企業者等への支援策や小中学校の耐震化対策、さらにインフルエンザ対策や低炭素社会実現への取り組みなど、国を先導する取り組みが計上されております。来年度予算においては、こうした姿勢をさらに発展させていただきたいと思います。
 そこで、年度中途の補正予算に踏み切った知事に、今回の補正予算編成の考え方を伺いたい。
 土地の固定資産税、都市計画税について、来年は三年に一度の土地の評価替えの年に当たりますが、先日発表された平成二十年地価調査では、都内のほぼ全域で地価が上昇しております。景気が厳しさを増す中、固定資産税等の著しい上昇に対しては何らかの緩和措置を講ずるべきと考えますが、所見を伺いたい。
 次に、中小企業対策について伺います。
 これまで都内中小企業は、高い技術力とすぐれた経営力で、東京の産業の原動力として経済の活性化に貢献してきました。しかし今、景気の後退に伴い、中小企業は極めて厳しい状況に追い込まれ、さらに雇用情勢の悪化も懸念されております。こうした状況のもと、知事は、いち早く我が党の強い要望を受け入れ、時宜を得た支援策を打ち出されました。
 そこで、改めて緊急中小企業支援、雇用対策の基本的な考え方について知事に伺いたい。
 仕入れコストの増加を価格転嫁できず、赤字の拡大に苦しみ、窮状を訴える経営者の声が後を絶ちません。まずは、資金繰りに苦しむ中小企業を積極的に支援していく必要があります。補正予算案では制度融資の充実が盛り込まれていますが、売り上げの減少など苦境に陥る中小企業に、より手厚く支援すべきです。
 また、親企業からさらなるコストダウンを迫られるなど、下請企業に対する締めつけが一段と厳しさを増している上、買いたたきなど、いわゆる下請いじめは日に日に深刻化しています。弱い立場にある下請企業を強力にバックアップする体制の確立が求められています。
 都は、企業現場の実態に即した支援を実施すべきと考えますが、所見を伺いたい。
 企業が存続、成長していくためには、将来を見据えた新たな設備を導入し、生産性の向上や経営の効率化、合理化を進めることが重要です。しかし、経済の先行き不透明感が増す中、設備投資に踏み切れない中小企業は少なくありません。補正予算案に計上された中小企業設備リース事業は、積極的な設備投資を促そうとするタイムリーな施策であると評価します。この事業の実施に際しては、中小企業の負担をできる限り軽減するための思い切った仕組みが必要であると考えますが、所見を伺いたい。
 将来にわたり東京の産業を活性化させるためには、中小企業の企業力そのものも一層向上させていく必要があります。景気の動向を見きわめつつ、こうした視点に立って、さらなる対策の充実を要望しておきます。
 新銀行東京の第一・四半期の決算が先月発表されました。純損失は三十七億円とほぼ見込みどおりとなりましたが、融資実績は低調でありました。今、経営再建を優先せざるを得ないことも理解できますが、中小企業を取り巻く環境は再び厳しさを増す中、新銀行本来の役割が期待されるところであり、一日も早い再建が望まれます。
 現在、全庁を挙げて連携支援が検討されていると聞いております。新銀行東京の金融機能を都の政策実現に活用するという観点からの検討も必要であると考えますが、見解を伺いたい。
 ことし八月には、新銀行東京は減資を行いましたが、一部には、都に追加負担が生じるような誤った認識が持たれているようであります。新銀行東京が多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を大きく毀損したことの重みを踏まえた上で、今回の減資と減債基金への積み立てについて、それぞれ見解を伺いたい。
 北京オリンピック開会式視察の際、私も知事や同僚議員とともにチャーター便で羽田空港から出発し、都心に近接している利便性を改めて実感をいたしました。また、先日、我が党の港湾空港振興議員連盟が新滑走路の現場視察を行い、工事が着々と進んでいる状況を目の当たりにして、大変心強く思った次第であります。
 これまで都議会自民党は、国との協議の場を実現するなど、責任政党として具体的な役割を果たしてきました。
 都は、国との協議により、国際線の発着枠の倍増、就航距離制限の撤廃など一定の成果を引き出したわけですが、チャーター便を利用した体験から、昼間の国際線のさらなる増加など、羽田の空港機能をフルに活用することが必要であると痛感した次第であります。
 こうした観点から、首都圏、ひいては我が国全体の利益のためにも、羽田の国際化の一層の拡大を求めていきたいと考えておりますが、知事の所見を伺いたい。
 東京外かく環状道路の早期着工は、国が協力を約束した十三項目の重要施策の一つであります。
 知事は、第二回定例会において、外環は最優先順位の工事であり、平成二十一年度事業着手を強く国に要求すると述べ、並々ならぬ思いを明らかにされました。大深度地下方式への都市計画変更、基本計画の策定を終えた現在、いかに道路整備の財源問題が厳しい状況にあっても、国の責任において事業着手に向けた準備を着実に進めるべきであります。
 都議会外かく環状道路建設促進議員連盟は、先月末、国土交通大臣に外環整備の必要性や地元の状況を伝え、二十一年度事業着手について決断を求めてきたところであります。改めて事業着手に向けた知事の決意を伺いたい。
 道路整備や高速道路の合理的な料金体系構築に向けた財源確保について伺います。
 東京の慢性的な交通渋滞は、都市の活力低下や環境悪化を招いています。東京が日本経済全体の牽引役を果たしていくためには、三環状道路や幹線道路ネットワークなどを早期に整備し、渋滞を解消することが不可欠です。また、首都圏の高速道路の料金体系は、事業主体や料金圏が異なることで生じる割高感が顕在化しており、抜本的な改善が必要であります。
 今般、政府は、経済対策の一環として高速道路の料金引き下げをしましたが、首都高など都市高速道路は対象外としており、東京の実情を全く無視したものといわざるを得ません。
 一方、道路整備や料金施策の財源は、道路特定財源の一般財源化の方針が閣議決定されたものの、暫定税率の扱いや一般財源化後の使途などについて、今後の見通しがいまだ不透明であります。
 そこで、三環状道路や幹線道路ネットワークなどの整備はもとより、高速道路の合理的な料金体系の構築に必要な財源の確保に向け、都の取り組みについて伺いたい。
 周囲を海に囲まれ、生活物資や原材料を輸入に依存する我が国にとって、世界への玄関口である港は、産業活動、国民生活の基盤であり、日本経済を支える重要な役割を担っています。
 しかし、中国を初めとするアジア諸港の躍進を背景に、日本港湾の地位の低下が続いており、このままでは経済に深刻な影響が出ることが危惧される事態となっています。
 知事は、本年三月、港湾の国際競争力の強化を図るため、将来のポートオーソリティーを視野に入れた包括的な港湾連携を推進するという基本合意を、横浜市長、川崎市長と締結しました。これは、自治体の枠を超えて、東京港、横浜港、川崎港が一つの港となることを目指す画期的な合意といえます。
 また、今月十八日、都議会、横浜、川崎市議会の超党派の有志二百十二名が、京浜港広域連携推進議員連盟を結成いたしました。地元選出の国会議員からは顧問、神奈川県会議員からは相談役として、合計九十六名の参加を得ており、自治体の枠を超えた、かつて例のない議員連盟となりました。我々は、それぞれが抱えている事情を乗り越え、一層のバックアップをしていく所存であります。
 さて、議員連盟設立の当日、知事は、横浜市長、川崎市長とトップ会談を行い、京浜港広域連携推進会議の設立や京浜港共同ビジョンの策定など、東京湾の国際競争力強化に向けた合意内容を発表しました。一層の連携強化に向け、大いに期待するところですが、京浜三港が第一歩を踏み出した広域的な港湾経営に向けた知事の決意を伺いたい。
 世界の港湾間競争に打ち勝っていくためには、京浜港の連携を戦略的に進めることはもとより、まずは、三港それぞれが国際標準を満たすような港湾機能を強化することが最重要課題であります。
 先般の港湾審議会答申でも、アジアを中心に世界のコンテナ貨物量が大幅に増加するとともに、船舶の大型化が想定を超えたスピードで進んでいると指摘しています。アジア諸港は、既に大水深岸壁の整備など機能強化に力を入れており、東京港も早急な対応が求められています。
 そこで、今回の答申を東京港港湾計画にどう反映していくのか、見解を伺いたい。
 多摩地域の振興について伺います。
 都は、平成十七年に多摩リーディングプロジェクトを策定し、全庁を挙げた取り組みにより、南北道路の整備や連続立体交差事業の推進、東京国体の準備など、着実にその成果を上げています。
 しかしながら、区部に比べ鉄道網が乏しい多摩地域は、自動車交通への依存度が高く、道路の新設や幅員の拡大といった道路網の整備はまだまだ必要です。また、多摩シリコンバレーとしての発展が期待されている中で、産業交流機能の強化や企業立地の促進などについても、なお一層の取り組みが求められております。
 昨今では、救急医療体制の整備や地球温暖化対策、建物の耐震化などの新たな課題も発生しており、ハード、ソフト全般にわたる課題の存在を踏まえ、多摩リーディングプロジェクトを見直すべきと考えますが、所見を伺いたい。
 多摩地域の一層の発展と個性の発揮に不可欠なのが交通基盤の充実であります。JR中央線は、多摩地域の鉄道ネットワークの基軸となる重要な路線です。しかし、常磐線や総武線など、他の放射状に延びるJRの路線が昭和五十年代までに複々線化されていることと比べ、既に都市計画として定められているJR中央線の複々線化は大変おくれています。
 複々線化は、山梨県や長野県方面に広く効果が及び、さらには、知事が軍民共用化の実現を進める横田飛行場へのアクセス向上にも資するものであります。三鷹―立川間の連続立体交差事業が平成二十二年度の高架化完了に向け着実に進められており、間を置くことなく複々線化を実現していく必要があります。沿線の二十四市町村は、三鷹・立川間立体化複々線促進協議会を昭和四十四年に発足させ、約四十年の長きにわたり熱心に取り組んできました。
 そこで、都は、JR中央線の三鷹駅から立川駅間の複々線化に向け、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 都は、多摩地域の水道を都営水道として一元的に経営することを決断し、水源の確保や料金水準の課題などを解消しました。
 しかし、一元化の計画外である奥多摩町は、かねてから事業運営上多くの課題を抱えております。昨年の第四回定例会で、我が党がこの問題を取り上げた際、今後、庁内の検討組織を設置し、精力的に検討していくとの答弁がありました。
 水源林や小河内ダムを守り支えてきた町にとって、一元化は長年の悲願といえます。奥多摩町水道事業の都営一元化へ向け、都として、技術上、財政上、一歩踏み込んだ取り組みが必要だと考えますが、見解を伺います。
 都民の安全・安心を実現するための施策について伺います。
 ことしは国内外で記録的な豪雨が続発しています。八月には、一時間一四六ミリという記録的な豪雨により、岡崎、名古屋両市の五十万世帯に避難勧告が出されました。東京では、町田市で一時間一一五ミリを記録するなどの豪雨で、多数の浸水被害が発生しました。また、八王子市では土砂崩れにより京王線が不通となるなど、都民生活に大きな影響を及ぼしました。
 昨年発表された気候変動に関する政府間パネルの第四次評価報告書においても、豪雨の増加や台風の大型化、海面水位の上昇が予想されています。東部低地帯では多くの高潮被害をこうむってきた歴史があり、今後、台風の大型化や海面上昇が進めば、危険性が増すことも予想されます。
 東京の中小河川は、一時間五〇ミリの降雨に対応する対策を進めていますが、最近の一〇〇ミリ規模豪雨の頻発傾向から見て、整備水準が今のままでよいとは到底いえません。河川整備には長い時間と多くの費用がかかりますが、目標とする整備水準の達成に向け、着実に進めることが重要であります。
 そこで、都のこれまでの取り組み状況と、気候変動も踏まえて、今後どのように河川の整備を進めていくのか、所見を伺いたい。
 ここで、八王子市川町の土砂災害についてお尋ねいたします。
 八月二十九日未明に発生した土砂災害に対し、八王子市が関係住民に避難勧告をするとともに、都は、災害が発生した土地所有者への改善命令を発し、素早く土砂搬出等の行政代執行の工事に着手したと聞いております。今回の災害に対して、一日も早い生活再建に向けた避難勧告の解除と防災工事の完了が望まれます。
 そこで、災害発生から代執行に至った経過と今後の対策について伺いたい。
 五月の中国四川大地震に続き、六月、七月には東北地方で震度六強を記録する地震が相次いで発生し、地震の発生がより身近な問題であることを実感させられました。東京には、大地震で倒壊するおそれのある建物がいまだに多く存在しており、その耐震化が急務となっています。
 民間と行政が一丸となって取り組むため、先月、多くの関係団体が参加する耐震化推進都民会議が発足しましたが、そのねらいと今後の取り組みを伺いたい。
 耐震化の推進に当たっては、地域に身近な区市町村の果たすべき役割は重要です。都は今年度、緊急輸送道路沿道建物の耐震化助成制度やマンションの耐震改修助成制度を創設しましたが、いずれも区市を窓口とするなど、耐震化施策の多くが区市町村との連携を前提としております。区市町村における耐震化施策の取り組み状況と、都として今後どのように促進していくのか、所見を伺いたい。
 学校の耐震化は、児童生徒の安全確保はもとより、地域住民の避難場所の確保という意味でも喫緊かつ重要な課題です。国の緊急対策を踏まえつつ、公立学校施設の耐震化をさらに加速させる必要があります。とりわけ、倒壊の危険性の高い建物は短期間のうちに解消を図ることが重要です。
 一方で、工事資材等の高騰や区市町村における技術者の不足などの課題が残されていることも事実であります。
 補正予算案では、我が党の提案と緊急要望を受け、公立小中学校等の耐震化対策を盛り込んでいますが、今後の目標と主な具体的な支援策について伺いたい。
 また、私立学校については耐震診断の促進策を盛り込んでいますが、耐震化をどのように促進していくのか、あわせて伺いたい。
 加えて、今後さらに、保育所や高齢者施設などの福祉施設についても耐震化対策を推進していくべきと考えますが、所見を伺いたい。
 知事は先日の所信表明において、昨年の第四回定例会における我が党の代表質問の提案にこたえ、二十三区の住宅について、耐震化を促進するための税制を導入することを表明しました。住宅については、「十年後の東京」で、平成二十七年までに耐震化率九〇%の達成が目標とされておりますが、改めて今回の措置の意義について伺いたい。
 近年、都内の犯罪件数は大幅に減少していますが、都政要望の第一位は、四年続けて治安対策となっています。特に最近、秋葉原や八王子において若者が刃物を使った無差別殺傷事件を起こすなど、多くの人が集う繁華街等の安全に対する都民の不安が高まっているように感じられます。
 繁華街等の防犯対策を積極的に進めていくことは、オリンピック・パラリンピックを招致する上でも重要であると考えます。今後、都はどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺いたい。
 昨今、高齢者をねらった悪質商法による被害は深刻化し、高額な契約などにより、生活基盤を根底から危うくする事態が生じています。また、身近な商品、サービスによる事故や食品の偽装など、消費者生活の安全・安心を脅かす不祥事が後を絶ちません。国は、消費者行政一元化に向けた取り組みを進めているところでありますが、都民の不安と不信を払拭するためには、現場における施策の強化は待ったなしの状況にあります。
 都は、東京都消費生活基本計画を改定したところでありますが、今後、消費者行政をどのように展開していくのか、所見を伺いたい。
 救急医療について伺います。
 東京消防庁のデータによれば、救急隊が現場に到着して病院選定を開始してから三十分以上経過した、あるいは五つ以上の医療機関に連絡をとった事例は、全搬送件数の六%程度です。この六%を発生させない仕組みをつくることこそが都民の安心を確保するものであると考えます。
 先月末、救急医療対策協議会の中間のまとめが明らかにされました。救急医療が置かれた厳しい状況の中で、患者の一時受け入れと転送のシステムなどの救急医療の東京ルールを推進していくべきとの内容になっています。このまとめによれば、三つの東京ルールを推進し、救急患者の迅速、適切な受け入れを実現するために必要な救急医療機関の地域ネットワークの構築において、仮称東京都地域救急センターがそのかなめとなるとされています。
 そこで、東京ルールの意義と、このセンターの役割について所見を伺いたい。
 医師の確保対策について伺います。
 地域医療は今や危機に瀕し、医療崩壊とまでいわれています。国が骨太の方針二〇〇八などで、これまでの医師抑制策を百八十度転換し、医学部定員を早急に過去最大となる程度まで増員するとしたことは、地域医療の確保にとって歓迎すべきことだと思います。
 都は、周産期や小児、救急、僻地医療に従事する医師を確保するため、医師奨学金制度を創設しました。地域医療を担う医師の育成を行う取り組みは評価するところでありますが、医師が一人前になるためには、医学部を卒業後、臨床研修期間を含めて、およそ十年かかります。このような将来を見据えて行う中期的な対策とともに、短期的な取り組みが不可欠であります。
 このため、都は、勤務環境改善などの病院の取り組みを支援するとしていますが、病院勤務医にとってどのような効果をもたらすのか、施策の実効性について伺いたい。
 我が党は、第二回定例会において、地域医療を担う医師をより多く確保する観点から、医師奨学金制度のさらなる拡充を検討するよう強く要望いたしました。地域医療を担う医師が過酷な勤務から解放され、十分に治療に専念でき、患者とも十分なコミュニケーションによって理解を図る、これがあるべき姿であります。最前線で頑張る医師を都民が支え、これに続く医師を育て、希望とやりがいを持ってもらうための取り組みが必須であります。
 都は、医師の養成、定着、再就職のあっせん、さらには、都が大学医局に成りかわって公立病院に医師を派遣する仕組みをつくるなど、総合的な医師確保策を推進していくべきと考えますが、所見を伺いたい。
 次に、シルバーパスについてであります。
 平成十六、十七年度の税制改正において、十八年度より高齢者に対する区市町村民税非課税の基準が引き下げられました。この結果、収入が変わらないにもかかわらず、二万五百十円でパスを購入しなければならなくなる事態を避けるため、我が党の要請を受け、都が十八、十九年度、そして今年度と、影響の出る方の負担額をそれぞれ据え置いたことは高く評価するものであります。
 一方、国においては、税制改正に伴う介護保険料の激変緩和措置を二十年度で終了するものの、二十一年度以降についても、税制改正によって影響を受けた方の保険料が大幅に上昇する場合には、保険者である区市町村がきめ細やかな配慮を行う必要があるとして、保険者の判断で保険料を軽減できることとしております。
 そこで、シルバーパスについても、二十一年度、引き続き経過措置を継続すべきことを強く求めるものでありますが、都の見解を伺いたい。
 子育て支援策について伺います。
 先ごろの国の調査によると、保育所の待機児童数は五年ぶりに増加し、一万九千五百五十人となりました。また、七月に発表された都内の待機児童数は、昨年より八百七十八人増の五千四百七十九人となり、全国の約三割を占めております。
 このような状況にあって、都は、待機児童解消に向け、区市町村の実態に応じた取り組みを積極的に行うべきと考えますが、所見を伺いたい。
 東京の待機児童のうち、三歳未満児が約九割を占めています。これらの低年齢児の定員枠を拡大し、待機児を解消するためには、認証保育所の設置促進が極めて有効であります。認証保育所は、十三時間開所やゼロ歳児保育の実施など、大都市特有の保育ニーズに対応したサービスとして都民から広範な支持を得ており、我が党も認証保育所推進議員連盟を設立し、積極的に支援を行っているところです。
 国と都の実務者協議会で、福祉分野の施策で唯一、東京独自の認証保育所の承認が取り上げられました。
 そこで、認証保育所制度の承認に当たり、国との協議状況と今後の取り組みについて伺いたい。
 子どもの医療費助成について、既に特別区では、中学三年生までの入院、通院に係る医療費の全額助成が実施されているのに対し、市町村部のほとんどでは、都の義務教育就学児医療費助成事業に準じた一割助成となっています。このことを多摩格差という声もあります。このような違いは、各区市町村における自治制度の違いから来る政策選択の結果として生じているものでありますが、市町村部の都民からは、都の医療費助成制度を充実してほしいという切実な声が上がっています。
 その一方で、医療現場の非常に厳しい状況を見過ごすことはできません。核家族化の影響などから、子どもの病気に対する基礎的な知識が不足しているために、症状がそれほど重くなくても時間外に受診する人がふえ、小児科医師の疲弊した状況がマスコミでも取り上げられています。
 このようなことを踏まえると、助成内容の拡大について、都民の方々にも小児医療現場の厳しい状況を理解をしていただいた上で、秩序ある持続可能な制度として構築し、知事の公約を実現すべきであると考えます。
 さきの第二回定例会における我が党の代表質問に対し、福祉保健局長は、今後、事業の実績等を踏まえ、実施方法や実施時期については区市町村と協議し、具体的な内容について検討を進めると答弁しました。
 そこで、都はどのような方針で臨もうとしているのか、伺いたい。
 新型インフルエンザは、いつ発生してもおかしくないといわれております。我が党は、さきの第二回定例会でも、都の率先した取り組みが必要であると主張しました。これを踏まえ、今般、抗インフルエンザウイルス薬三百万人分を追加購入し、備蓄量を大幅拡充するとの補正予算案を編成したことは高く評価いたします。
 新型インフルエンザの大流行から都民を守るため、対策をさらに強化すべきと考えますが、今後の都の取り組みについて伺いたい。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について伺います。
 専門家会議から、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する報告書が都に提出されました。報告書にある対策は、生鮮食料品を取り扱う市場用地として、食の安全・安心が十分に確保できる手厚い内容であると考えます。
 我が党としては、築地での現在地再整備が不可能であり、移転先の代替地もない中、豊洲新市場を将来にわたり活用される首都圏の生鮮食料品の基幹市場として、都民や市場関係者が安心して利用できるようにすることが最も重要と考えます。このためには、冷静かつ客観的な議論に基づき、科学的見地からの食の安全に加え、都民の安心が最大限担保できる土壌汚染対策を講じていかなければなりません。
 そこで、都は、食の安全・安心という観点も含め、この報告書の内容をどのように受けとめているのか、所見を伺いたい。
 都では、この報告書を踏まえ、土壌汚染対策を具体化するため、土木技術や汚染物質処理等に関する専門家による技術会議を設置し、新しい発想や新技術の可能性を含め、広く検討を進めています。食の安全・安心を十分に確保できる対策を講じていくことが当然必要ですが、約四十ヘクタールもの敷地全体にわたり汚染土壌の掘削や処理を行うとすれば、工期が長期間に及び、対策経費が増加することも予想されます。今後、対策を取りまとめるに当たり、工期短縮や経費の縮減を図ることが、より一層の都民や市場関係者の理解にもつながり、豊洲への移転整備を着実に進める上で不可欠であると考えます。
 技術会議を通じて実効性ある技術、工法を検討することはもちろん、効率や経済性という観点からも十分な検証が必要と考えますが、所見を伺いたい。
 第二回定例会において環境確保条例が改正されました。今後、平成二十二年四月の削減義務の開始に向け、着実な準備を進めることが重要です。都は七月末に、対象となる事業者に対して第一回目の制度説明会を開催したと聞いております。引き続き、制度の具体化に応じ、順次事業者への説明を丁寧に行うよう要望しておきます。
 今定例会に提案された補正予算においては、家庭部門のCO2削減を進める中核的な施策として、太陽エネルギーの大胆な普及策が具体化されています。太陽光発電の普及支援は、昨年来、我が党の求めに応じて、都が関連業界とともに具体化を進めてきたものであります。この取り組みは、全国の関係事業者の活動を活発化させ、ついには、一度廃止した国の補助金を復活させるという大胆な方向転換をもリードしてきました。
 今回提案された補正予算で、太陽エネルギー普及補助のための基金を創設すると聞いています。これは、年度の切れ目なく補助事業を行う上で適切な方法であり、来年の四月から円滑な補助事業の実施が可能となります。
 計画では、二年間で四万個の太陽エネルギー機器の普及を予定していますが、これは、現状のペースを一挙に五倍にも引き上げる意欲的な目標です。知事に、東京から太陽エネルギー拡大の新たなうねりを生み出す決意を伺いたい。
 また、家庭部門でのCO2削減対策については、太陽エネルギーの利用拡大に加えて、日々の生活の中で常にCO2削減を意識し、節電や省エネ型の機器を選択するなど、生活や消費のあり方を見直す具体的な取り組みが必要です。
 都は、二〇二〇年二五%削減の目標を達成するため、当初の三、四年を低炭素型社会への転換始動期と位置づけ、戦略的、集中的に対策を実行するとしています。
 都民生活に最も身近な区市町村も、それぞれが知恵を絞ってさまざまな取り組みを始めています。都は、今こそ、区市町村の先進的な発想や取り組みに後押しをする必要があります。そのためには、区市町村の施策が大胆に集中的に実施されるよう、連携強化や技術的な支援にとどまることなく、財政面での考慮も必要です。
 そこで、都は、区市町村の行うさまざまな取り組みに対し、どのような支援策が必要であると認識しているのか、伺いたい。
 さらに、CO2削減を進めるためには、公共交通機関の十分な活用と環境負荷の少ない自動車の利用が望まれます。
 現在、都は、オリンピック・パラリンピック招致活動を行っていますが、これをかち取るためにも、目に見える形での環境施策の実施が強く求められております。
 そこで、都民生活に密着し、広く活用されている公共交通機関である路線バスのハイブリッド化の促進など、環境負荷の低い自動車の普及促進策を早急に講じるべきと考えますが、所見を伺いたい。
 最後に、二〇一六年東京オリンピック・パラリンピック招致についてお尋ねします。
 北京オリンピックの開幕に当たっては、私も石原知事とともに現地に赴き、開会式を目の当たりにするなど、熱気を肌で感じてきました。東京では、よりすばらしいオリンピック・パラリンピックを開催し、次代を担う子どもたちに夢と希望を与えたいとの思いを強くしたところであります。
 そこで、知事に、北京に行かれて感じたこと、そして、北京視察を経て、なお一層強くなったであろう招致に向けての決意を伺いたい。
 北京での開催期間中には、東京オリンピック・パラリンピック招致に携わる職員が現地調査を行ったと聞いております。実際の大会運営をつぶさに視察することで、より高い評価を得られる大会開催計画を策定するためのアイデアをたくさん得たのではないかと思っています。
 私の感想を率直に申し上げますと、開会式は迫力十分で見ごたえがあったものの、大がかりで華美な印象を受けました。また、社会基盤整備も含むものの、四兆五千億円をも超える巨費を投じられていますが、適切な規模だったのかと思います。
 そこで、北京での調査では、計画策定に向けてどのような成果があったのか、伺いたい。
 東京でオリンピック・パラリンピックを開催する意義や大会の特色、東京の都市としての魅力、最先端技術など、日本の持つ力を広く世界にアピールすることは、招致を成功に導くためには欠かせません。JOCジャパンハウス内の東京オリンピック・パラリンピック招致ブースでのPRの様子は私も拝見しましたが、このブースには、IOC委員も含めた多数の方々に訪れていただき、大変盛況であったと聞いています。また、都内においては、夏祭りや花火大会など、地域のイベントとタイアップして招致機運の盛り上げを図る区市町村連携事業が順調に開催されていると聞いています。
 招致成功のための重要な要素となる、国際的なPRと国内における支持率の向上策を今後どのように展開していくのか、伺いたい。
 都は、この夏、東京都スポーツ振興基本計画を発表しました。この計画は、オリンピック・パラリンピック招致都市にふさわしい、都民のだれもが生涯を通じてスポーツに親しめる社会、スポーツ都市東京の実現を目指すものです。
 地域スポーツの振興に当たっては、都みずからの取り組みに加え、住民に最も身近な区市町村といかに連携を図って施策を展開していくかが大きなポイントとなります。そのために、例えば運動広場や河川敷の活用など、地域のスポーツ拠点の確保に向けて環境づくりを進めていく必要があると考えます。
 スポーツ振興基本計画の今後の具体化について所見を伺いたい。
 なお、河川敷など既存の施設についても、さらに有効活用されることを要望いたします。
 アスリートを養成するためには、小中学生の中から有望な選手候補を計画的に発掘、育成、強化していくことが不可欠であります。
 そこで、現在実施している地域におけるジュニア選手の養成に、これまで以上に積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、所見を伺いたい。
 我々都議会自由民主党は、知事と手を携え、来年に迫った二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックの招致に全力を注いでいく決意であることをここで改めて表明し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高島なおき議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、我が国の政治、経済、社会の現状認識と、それにのっとった都政運営に臨む基本姿勢についてでありますが、深刻化する地球温暖化や、到来がほとんど喫緊の問題であります新型インフルエンザの問題など、直面するさまざまな危機を前にして、国の政治も行政も十分に機能しているとは思えません。年金問題や事故米問題などに見られる国の役人の無責任さにはあきれるばかりであります。
一方、過剰流動性に乗った投機マネーの暴走といった、アメリカ型の抑制のきかない資本主義が世界に害悪をまき散らしております。
 こういった状況の中で、新しい経済秩序が求められており、今こそ日本の英知が試されていると思います。
 一方、社会では、親が子どもを殺し、子どもが親を殺すような事件や、食品偽装や、人を欺いても、もうかればよしとする事件が後を絶たないさまは、人間社会にとっての基本的な価値の基軸が失われていることを如実に示しているのではないかという気がいたします。
 まさに我が国は、内憂外患としかいいようのない状況にございますが、こうした状況であればこそ、危機の本質を正確に認識した上で、衰弱に向かう流れを何とか断ち切って、この国を土台から再生させる現実的な手だてを強い意志で講じていくことが強く求められていると思います。
 ゆえにも、都は、停滞のきわみにある国政を座して待つことなく、「十年後の東京」を羅針盤としました独自の取り組みを進めておりまして、今回、中小企業支援などの緊急対策にも着手するため、補正予算案を提出いたします。
 今後も、首都東京こそが日本を救うという気概を持ちまして、志を同じくする都議会の皆様と手を携えながら、今なさなくてはならないことを国に先駆けて果断に実行していくつもりでおります。
 次いで、今後の財政運営についてでありますが、皆さんのご協力のもとに、就任以来、財政の再建に取り組み、それをなし遂げることができましたのは、都政に課せられた使命の一端を果たしてきたと思っております。
 現在、日本は、景気後退とインフレの大きな危機にさらされておりますが、このようなときにこそ、この間培ってきた都財政の力を、東京の将来を見据えた都市づくりや、東京に住み、働く人々が直面する課題にこたえるために発揮しなくてはならないと思っております。
 一方、都財政をめぐる環境は、景気後退に伴う税収の減や、国の無策を露呈した不合理な法人事業税の暫定措置の影響など、厳しさを増していることも事実であります。
 したがって、今後の財政運営に当たっては、改めて気を引き締め、いかなる荒波にも揺るぎない力を蓄えて、都政がなすべき施策を果敢に推進していきたいと思っております。
 次いで、「十年後の東京」への実行プログラムの改定についてでありますが、この六月、東京都は、二〇一六年オリンピック・パラリンピックの立候補都市として、第一段階の審査では、最高の評価を得て承認されました。「十年後の東京」で描き出した都市インフラ、環境、安全など、さまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく、世界の範となる都市像をIOC理事会からも高く評価されたことによると思っております。
 今回の改定に当たりましては、実行プログラム二〇〇八で示した先進的な取り組みについて、その成果を都民が実感できるようにさらに加速化するとともに、頻発する大地震や局地的豪雨による都民の危機意識の高まりなど、社会状況の変化に的確に対応していかなければならないと思っております。
 加えて、例えば、羽田空港の国際化を見据えた快適で利便性の高い交通ネットワークの構築、あるいは環境確保条例の成立を踏まえた国際炭素行動パートナーシップ――ICAPと略しておりますが――へのアジアでは初めての都市としての参加、あるいは低炭素型都市の実現に向けた具体的な広範な施策展開、想定される危機から首都都市・東京を守る取り組みの一層の強化など、意欲的な取り組みを重点的、戦略的に展開していきたいと思っております。
 今後とも、日本、ひいては世界を牽引する気概を持って、二十一世紀の都市モデル実現に向けた取り組みを進化させ、東京をさらなる成熟へ導いていきたいと思っております。
 次いで、補正予算の編成についてでありますが、今日、都政に求められているのは、都民に広がる不安に正面から向き合いまして、これを解消するための具体的な対策を積み重ね、都民の期待にこたえていくことであると思います。
 このため、景気、雇用状況の悪化、新型インフルエンザや大地震の脅威、地球温暖化などの都民の不安を解消する四つの緊急対策を展開することとし、とりわけ早期に取り組むべき施策の実行に向け、年度中途という例のない時期ではありますけれども、あえて補正予算を編成いたしました。
 今後とも、首都東京という現場に根差した発想力と行動力を発揮して、都民生活を守り抜く決意を持って、国を先導する取り組みを展開していきたいと思っております。
 次いで、緊急中小企業支援、雇用対策の基本的考え方についてでありますが、東京の中小零細企業は、高度な技術と優秀な人材を有し、東京の産業を支える重要な役割を果たしております。しかし、原油あるいは原材料の価格の高騰などを背景にしまして、経済情勢は急速に悪化し、中小零細企業は、資金繰りの逼迫や下請たたきなど、極めて厳しい状況に陥っております。このまま放置すれば、中小企業の活力の喪失により、東京の経済は衰退しかねません。
 このため、近年、例のない規模で補正予算を編成し、都内中小零細企業を強力に支援することといたしました。中小企業が直面する資金繰りなどの課題に対して迅速に対処するとともに、設備投資の促進といった将来を見据えた対策も実施してまいります。
 また、雇用の面から、特に不安定な状態に置かれている就職氷河期世代の非正規雇用者を対象とした支援策を展開してまいります。
 こうした都独自の緊急対策を速やかに実施しまして、東京の産業活力を維持していきたいと思っております。
 次いで、羽田空港の国際化についてでありますが、先般、新滑走路の上から工事の状況を確認しましたが、羽田空港は、国家の存亡に係る重要なインフラでありまして、事業の一刻も早い完成が必要であると改めて認識いたしました。
 国は、都の求めに応じて、国際線発着枠を倍増すること、距離制限を撤廃して、北京、台北、香港まで昼間の定期便を就航させるなどを骨太の方針の中で閣議決定し、これに基づき、各国と羽田への乗り入れに関する具体的な協議を開始しております。
 都心に近接する羽田空港の利便性を生かし、首都圏と世界を結ぶ結節点としての機能を最大限に発揮させることは当然のことであります。
 今申し上げました以上に、実は根回ししておりますが、今後とも昼間の国際線を増加させるとともに、国の方針には含まれていないバンコクやシンガポール、ASEANの諸国までは当然飛ばなくちゃいけないと思いますが、さらに、私の感触では、近々に至近の距離のヨーロッパの都市にも、あるいはアメリカの西海岸までは国際線を飛ばすことになり得ると思っております。
 次いで、外環道についてでありますが、外環道は、ひとり東京のためだけでなく、首都圏、ひいては我が国全体に広く便益が及ぶ、まさに必要な道路であります。外環道の早期着工は、首都東京の十三項目の重要施策の中でもトッププライオリティーでありまして、先般の実務者協議会の場でも、その実現を強く国に申し入れました。
 道路特定財源が一般財源化されようとも、外環道は、国が必要な財源を確保して整備するものであると思っておりますし、国交省も十分それを認識しております。
 今後も国に対して、国幹会議を開催し、整備計画を策定するとともに、平成二十一年度事業着手に必要な予算と実施体制を確保するよう強く求めてまいります。
 次いで、京浜三港の広域的港湾経営についてでありますが、我が国の港湾政策がスピードと戦略性を欠く中で、日本港湾は、アジア諸港の躍進による熾烈な港湾間の競争にさらされて、苦戦を強いられております。
 京浜三港は、世界有数の経済圏を背後に持ち、海上貿易額の合計は三十兆円に上り、また、世界的には一つの港といえる地理的な近接性を有しております。このスケールメリットを生かした広域的な港湾経営を行い、世界の主要港として生き残る活路を開いていきたいと思っております。
 このため、今回、横浜の市長、川崎市長とトップ会談を行いまして、広域連携の第一弾として、入港料の一元化や京浜港の共同ビジョンの策定に着手することといたしました。
 東京港と川崎は数キロも離れていないのに、東京に入り川崎に入る船が、一々入港料を別に払うというばかなことを今までやっていたわけでありますから、こんなものを何で国が放置していたかわかりませんけれども、幸い三首長の合意を得ましたので、今回の運びになりました。
 京浜三港みずからの判断と責任において、港を一体的に管理するポートオーソリティーを視野に入れまして、我が国港湾の新時代を切り開いていきたいと思っております。
 東京、横浜、川崎の各議会が連携して、京浜港広域連携推進議員連盟が設立されました。大変心強く思います。日本港湾の凋落に歯どめをかけるためには、今が正念場だと思います。我が国港湾の現状を憂える議員連盟の皆さんと力を合わせて、世界の港湾間の競争に打ち勝っていきたいと思っております。
 次いで、繁華街の防犯対策についてでありますが、多くの人々が出入りし、憩いもする繁華街などを犯罪が起こりにくいまちとして人々の安心感を高めていくことは、世界一安全で安心な首都東京を実現するためにも必須のことであります。
 都はこれまでも、警視庁などと連携し、夜の盛り場の浄化対策を進めるとともに、ダガーナイフなどの殺傷能力の高い危険な刃物については、青少年への販売を禁止するなど、都内の治安の向上に努めてまいりました。
 また、繁華街等を、昼夜を問わず安全で安心なまちとして活性化するため、昨日、有識者会議を設置いたしまして検討を開始いたしました。
 今後、その検討結果を踏まえて、繁華街などの防犯対策の充実強化を図ってまいります。
 次いで、太陽エネルギー利用の拡大についてでありますが、太陽エネルギーに代表される再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大を実現することは、省エネ、節電と並び、東京におけるCO2の大幅な削減を実現するために欠かせない取り組みであります。
 我が国は、太陽光発電、太陽熱利用に関する先端技術を有してきましたが、国が認識不足のために、その国際的な優位性を急速に失いつつあります。
 都の主導により、民間企業、団体の力を総結集して、太陽エネルギーが徹底して活用される低炭素型の都市モデルを、東京において、いち早く実現していきたいと思っております。
 次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、北京に参りまして、いろいろ参考にはなりました。トップアスリートの迫力のある戦いぶりは、見る者、眺める者すべてに感動を与えて、日本の若者にとっても、将来を担う力を生み出す絶好の手がかりであると確信いたしました。
 二〇一六年の東京は、北京と全く違う、これは全く違う大会を開催するつもりであります。成熟した都市の中心において、ハイテクを駆使し、地球環境問題の解決に資する、世界一コンパクトで、しかも日本人の鋭い感性と日本の美意識を表現した、日本ならではの大会を目指したいと思っております。
 来年は、嘉納治五郎がクーベルタンに請われてアジア初のIOC委員になってからちょうど百年目に当たりまして、まさに記念すべき年に開催都市が決定されます。都議会を初め、都民、国民の皆様の力強いご支援、ご協力をいただいて、招致を実現したいと願っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 学校施設の耐震化に関する今後の目標と主な支援策についてお答え申し上げます。
 学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であり、災害発生時には避難場所となるなど、重要な役割を担っており、耐震化を早急に完了する必要がございます。
 そこで、構造耐震指標であるIs値が〇・三未満の建物、すなわち倒壊等の危険性の高い建物につきましては平成二十二年度までに、Is値は〇・三以上でございますが、倒壊等の危険性のある建物につきましては、現行計画を三年前倒しをいたしまして、平成二十四年度までに耐震化を完了することを今後の目標といたします。
 この目標を達成するために、都教育委員会は、区市町村に対して財政支援及び人的支援を行うことといたしました。
 財政支援につきましては、資材等の高騰により、実勢単価と国庫補助単価の乖離が拡大し、区市町村の負担が増大していることから、Is値〇・三未満の建物を対象に単価差補助を行うことといたします。また、Is値〇・七未満の建物を対象といたしまして、国庫補助金と起債可能額を除く設置者負担額を補助いたします。
 さらに、人的支援として、耐震化のために区市町村が必要とする技術職の雇用経費の補助やあっせんを行うことといたします。
 今後、区市町村教育委員会とさらに連携を深め、これら都独自の支援策を講じることによりまして、早期に学校施設の耐震化完了を図ってまいります。
 〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 行政改革と多摩の振興に関します四点のご質問にお答えさせていただきます。
 まず、指定管理者制度など民間活力導入についてでございますが、都は、効率的、効果的な事業執行を図るため、民間でできることは民間にゆだねるとの原則のもと、官民の役割分担を見直し、指定管理者制度など多様な民間開放手法の導入を進めてきたところでございます。
 これらの制度を運用するに当たりましては、評価の仕組みを構築し、チェック機能を強化するなど、適切に検証を行っております。
 しかしながら、ご指摘のとおり、職員の大量退職や少子化に起因する労働市場の縮小の問題など、都政を取り巻く状況が変化する中、都民サービスの向上や都民の安全・安心の確保がより一層求められております。
 今後、指定管理者制度など民間開放手法を活用するに当たりましては、引き続き、不断の検証を行うとともに、都が担うべき業務、役割を再整理した上で、行政に対する支援、補完機能を担う監理団体を有効活用し、行政サービスを適切に提供してまいります。
 次に、都庁の事業遂行能力の強化についてでございますが、都はこれまでも、現場を持つ強みを生かしながら、都民が真に必要とする施策、サービスを着実に推進してきたところでございます。
 このような施策を継続的に実行していくためには、現場感覚を身につけた職員が必要不可欠でございます。したがいまして、効率性のみならず、都民のニーズを的確にとらえた施策やサービスを展開できるよう、職員の現場感覚を養い、事業遂行能力を高めるための仕組みづくりにつきまして、今後、検討してまいります。
 次に、人材の育成、確保策についてでございますが、今後の都政運営においては、中長期的視点に立ちまして、企画力のある人材を育成、確保することが極めて重要な課題であると認識しており、都はこれまでも、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 人材育成につきましては、本年度をOJT元年と位置づけ、仕事を通じて職員を育成するOJTをさらに強化してまいります。あわせて、高水準の語学力とともに、政策形成能力を養うため、海外研修を開始いたしました。
 今後は、自己啓発を促進する仕組みづくりを進め、職員の能力向上に取り組んでまいります。
 また、人材確保につきましては、人事委員会と連携し、政策対応力のある多様な人材を幅広く確保するため、来年度から採用試験制度を改正するとともに、都への就職希望者をふやすため、民間主催イベントへの参加など、都職員の魅力を伝えるための活動をこれまで以上に行ってまいります。
 今後とも、都として、人事政策を戦略的に展開しながら、その機能をより一層高め、企画力ある人材の育成、確保を図ることで、執行体制を強化してまいります。
 最後に、多摩地域の振興についてでございますが、平成十七年一月に策定した多摩リーディングプロジェクトは、地域の特性に着目し、都がどのように多摩振興に取り組むかを基本施策として明らかにしたものであり、都はこれまで、その着実な推進に努めてまいりました。
 しかしながら、社会情勢等の変化により、現在のリーディングプロジェクトの重点推進事業に含まれていない新たな課題が発生していることも十分に認識しております。
 このため、ご指摘の医療や環境などの分野も含め、今日の課題に対応した新たな実施計画を早期に策定し、活力と魅力あふれる多摩の実現に積極的に取り組んでまいります。
 〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、入札契約制度改革についてでございますが、公共工事におきましては、透明で公正な入札契約手続等を通じまして、適正な価格と品質の確保の両立が求められており、都は、こうした観点から制度改革に取り組んでおります。
 しかしながら、公共工事をめぐる状況は、過度の低価格競争、入札不調工事の増加、資材価格の急騰などにより、お話のように、コストと品質の両立に懸念が生じております。
 この状況に的確に対応するため、都は、今回、単品スライド条項の運用を開始するに当たりまして、受注者の負担を対象工事金額の〇・五%と、国に比べて半分の低い水準に抑えるとともに、請求手続を簡素化するなど、中小企業に配慮した都独自の取り組みを行うことといたしました。
 同時に、抜本的な制度の見直しに向けまして、学識経験者による入札契約制度改革研究会を設置いたしまして検討を進めてきております。
 このたびいただいた第一次提言におきまして、直ちに実施すべき当面の対策が示され、都はこれを受けまして、最低制限価格の上限額の引き上げや、工事積算単価の改正期間の短縮などの改善策を策定し、早急に実施することといたします。
 今後、研究会におきましては、会計法に基礎を置く予定価格の上限拘束性のあり方など、制度の根本に立ち返った抜本的な検討を行うこととなります。
 これらを踏まえまして、今後、価格と品質のバランスのとれた、都独自の入札契約制度改革の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。
 次に、社会資本の維持更新についてでございます。
 社会資本は、大都市東京の発展を支える基礎でございまして、しかも、老朽化に伴う維持更新需要が、今後、相当長期にわたり高い水準で推移することから、都財政にとって大きな懸案課題となっております。
 この課題を戦略的に進めていくためには、社会資本の適正水準、適正配置の再検証や、長寿命化の取り組みなど、都庁の持つ知恵と工夫により、維持更新需要の平準化を図ることがもとより重要でございます。
 とはいえ、そのような努力を重ねてもなお、この課題達成には膨大な費用を要することは確実でございまして、これに必要な財源の確保が都財政に課せられた大きな役割であると受けとめております。
 したがいまして、今後の財政運営に当たりましては、基金の一層の充実や、必要な場合には必要な都債を発行できる余力の確保など、一層の体力増強に向けた努力を中長期的視点に立って継続していくことが不可欠であると考えております。
 こうした観点に立ちまして、東京の発展と都民の安全・安心の基盤である社会資本の維持更新に向け、関連各局と連携を図りながら、全力で取り組んでまいります。
 最後に、今回の減債基金への積み立てでございますが、新銀行への当初出資一千億円のうち、七百億円は地方財政法に基づき出資債を充当しております。今般、減資が決定したことに伴いまして、出資債のうち減資割合に相当する五百四十億円を減債基金に積み立てるものでございます。これは、地方財政法の趣旨に基づく義務的経費でございます。
 また、今回の措置は、地方財政法に定める決算剰余金の処分方法である繰り上げ償還の財源に充てるものに該当いたします。
 今回の積み立ては、もともと将来の償還に備えて順次積み立てていくべきものを、時期を前倒しして積み立てるものでございまして、追加負担ではございません。必要な措置は早期に実施することが財政的に有効であることを踏まえ、今回補正予算に計上したものでございます。
 〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、固定資産税等の上昇に対する緩和措置でございますが、平成二十一年度の土地の固定資産税評価額は、現在算定作業中でございます。しかしながら、都心の一部におきまして評価額が大幅に上昇することに伴い、都民の負担が急激に増加する懸念がございます。
 このため、都といたしましては、今後、土地の評価額が大幅に上昇する場合には適切な負担緩和措置を講ずるよう、国に対し、強く働きかけてまいります。
 次に、耐震化促進税制についてでございます。
 建物の耐震化を進めることは、都にとって喫緊の課題でございます。
 今回導入することといたしました都独自の耐震化促進税制は、二十三区内において耐震化のための住宅の建てかえを行った場合、または耐震改修を行った場合に、固定資産税及び都市計画税を減免するものでございまして、「十年後の東京」が目指す災害に強い東京の実現を税制面から支援していくものでございます。
 〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
 

○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、中小企業の資金繰りや下請取引の適正化にかかわる支援についてでございます。
 原油、原材料価格の高騰などの影響によりまして、不況業種の認定を受けた中小企業を中心として、セーフティーネット保証の本年度の融資実績が、七月末現在で、前年同期に比べまして、件数で九倍、金額で七倍と急増をしております。
 このため、セーフティーネット保証を含む経営支援融資の融資目標額を三百億円拡大するとともに、小規模企業者に対する信用保証料の補助率を大幅に引き上げ、資金調達の一層の円滑化と負担軽減を実現すべく、補正予算に必要な経費を計上したところでございます。
 一方、下請取引におきましても、さまざまな紛争が急増しております。このため、下請センター東京を設置いたしまして、弁護士や紛争解決専門員を活用した体制を強化したところであり、七月には、自治体関係機関としては全国初となる紛争解決事業者、いわゆるADRの認証を取得し、法的効果を持った調停が可能となったところでございます。
 同センターを活用いたしまして、売上代金回収や値下げ要求などの紛争解決に努めますとともに、親事業者である主要業種団体に対しまして、公正かつ適正な取引を行うよう要請をしてまいります。
 今後とも、厳しい経済状況のもとで資金繰りや適正な下請取引に腐心をしております中小企業の経営安定を支援するため、企業現場の実態に即した施策を展開してまいります。
 次に、設備投資に係る中小企業の負担軽減についてでございます。
 中小企業が将来にわたり、技術力、経営力を維持向上していくためには、計画的な設備投資が不可欠でございます。しかしながら、中小企業の設備投資は、大企業と比べまして大きく落ち込んでいるのが現状でありますことから、設備投資を後押しするために、中小企業設備リース事業を創設することといたしました。
 本事業では、都が中小企業振興公社に百億円の基金を造成いたしまして、それを原資として、低廉な利用料で設備の導入、更新を可能とするリースを実施するとともに、平成二十二年度までの緊急対策といたしまして、リースの実行に必要な信用保証料の全額を補助いたします。
 こうした中小企業の負担を最大限軽減する新たな仕組みを導入することによりまして、都内中小企業の設備投資を強力に支援をしてまいります。
 次に、新銀行東京に対する都の支援についてでございます。
 都はこれまで、公共工事代金債権信託など、新銀行東京と連携しながら、その機能を活用した支援を実施しますとともに、全庁を挙げて新たな支援を検討しているところでございます。
 ご指摘の、新銀行東京が持つ多様な金融機能を都の政策実現に活用していくことは、極めて重要な視点であるというふうに考えております。
 今後においても、中小企業支援に軸足を置きながら、都の重要な施策の実現に向けまして、新銀行東京の一層の活用を検討するなど、再建に向けた支援を続けてまいります。
 最後に、新銀行東京の減資に対する都の基本的な考え方についてでありますが、新銀行東京が多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を大きく毀損したこと、このことは都としても重く受けとめております。同時に、新銀行東京の再建に当たっては、こうした現実を直視しまして、経営上、合理的な方策をとっていかなければならないと考えております。
 その意味におきまして、新銀行東京の今回の減資は、過去の負の遺産である一千十六億円の繰越損失を解消し、財務体質の改善を図り、再建に向けて新たなスタートを切るために必要なものと考えます。
 こうしたことから、都といたしましては、再建に取り組む環境を一日も早く整えるために必要な対応であると考え、新銀行の提案に賛同したものでございます。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、道路整備と高速道路の合理的な料金体系の構築に必要な財源確保に向けた取り組みについてでありますが、「十年後の東京」の実現に向け、交通渋滞を解消し、都市機能の向上や都市環境の改善を図るため、首都圏三環状道路を初めとする幹線道路ネットワークや連続立体交差など、早期整備が不可欠であります。
 あわせて、首都圏の高速道路網が最大限に利活用される料金体系を構築し、これを国策として実施していくことが必要であります。都はこれまでも、実務者協議会などを通じて国に主張してまいりました。
 一方、今般の経済対策としての高速道路料金引き下げは、一定の評価はできますが、首都東京の大動脈である首都高を対象として加えるべきであり、このことについても、都は国に強く申し入れております。
 今後、道路特定財源の一般財源化が行われようとも、首都圏三環状道路など東京の道路整備に欠かせない財源と、首都高を含む高速道路の合理的な料金体系の導入に必要な財源を確保するよう、国に対し、さらに強く求めてまいります。
 次に、都の河川整備の取り組み状況と今後の進め方についてでありますが、都は、水害から都民の命と暮らしを守るため、これまで、中小河川では一時間五〇ミリの降雨に対応する整備を進め、東部低地帯では、日本最大の高潮被害をもたらした、あの伊勢湾台風を想定した高潮に対応する整備を進めてまいりました。
 今後は、これらの事業のスピードアップを図ることはもとより、近年の五〇ミリを超える局地的豪雨の頻発や台風の大型化など、気候変動による影響を考慮した河川の整備を進めることが極めて重要であります。
 具体的には、中小河川の整備については、豪雨対策基本方針を踏まえ、既往最大の狩野川台風級の七五ミリ降雨を視野に入れ、局地的豪雨の際にも流域間で効果的な運用ができる調節池の増設など、さらに検討を深めてまいります。
 また、高潮対策については、予測される海面水位の上昇や台風の大型化による影響を検証し、国や区などと連携して効果的な対策を検討してまいります。
 今後とも、安全で安心なまち東京の実現を目指し、気候変動にも対応できる河川整備を推進してまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 東京都港湾審議会答申の東京港港湾計画への反映につきましてお答え申し上げます。
 東京港の国際競争力の強化のためには、本年七月の港湾審議会答申を踏まえまして、外貿コンテナ貨物の急増や船舶の大型化に的確に対応するとともに、港内の交通ネットワークの充実を図っていくことが重要でございます。
 このため、外貿コンテナふ頭につきましては、アジア諸港と伍して競争できるよう、国際標準となりつつあります八千個積みを超える大型船が接岸可能となる新規ふ頭の整備や既存ふ頭の改良など、大水深岸壁への再編に向けまして、ふ頭計画を見直してまいります。
 さらに、中央防波堤地区において現在開発を進めてございますコンテナふ頭や高機能物流施設などから発生する大量の貨物の内陸部との円滑な輸送のため、港内の道路交通ネットワークを見直してまいります。
 今後、港湾計画の具体化を着実に進めることによりまして、世界の物流動向の変化に柔軟に対応いたしまして、日本経済の根幹を支える国際基幹航路の維持拡大を図ってまいります。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、JR中央線の三鷹駅から立川駅間の複々線化に向けた取り組みについてでございます。
 複々線化は、多摩地域の一層の発展を図る上で不可欠であるとともに、その整備効果は、東京だけにとどまらず山梨方面にも広く及ぶなど、意義の大きい事業でございます。連続立体交差事業が着実に進んでいる中で、既に都市計画決定している複々線化の実現が次の大きな課題であることは、ご指摘のとおりでございます。
 都は、三鷹・立川間立体化複々線促進協議会が設置した専門委員会に参画し、沿線市とともに、速達性の向上や混雑緩和、さらには交流人口の増加など、複々線の必要性について改めて取りまとめました。
 引き続き、専門委員会において議論を進め、その結果を勘案しながら、鉄道事業者や国、関係自治体と連携し、整備の仕組みづくりなどについて検討を深めてまいります。
 次に、八王子市で発生した土砂災害についてでございます。
 八月二十九日未明の豪雨により、八王子市川町の斜面地で土砂崩れが起こり、家屋一棟が倒壊する等の災害が発生いたしました。地元市からの勧告を受け、現時点で九世帯が避難中でございます。
 都は、二次災害の危険があることから、九月二日、土砂の流出防止等の改善命令を発しましたが、斜面地の土地所有者は命令を履行しなかったため、八王子市の協力を得て、十五日から行政代執行を開始いたしました。
 現地では、改善命令のうち避難勧告の解除に必要な応急工事を進めております。
 本格的な防災工事につきましては、再度、行政代執行を行うことも視野に入れ、引き続き、土地所有者に対してその履行を強く指導してまいります。
 次に、耐震化推進都民会議についてでございます。
 耐震化を効果的に進めるためには、行政はもとより、建物所有者、事業者などの関係者が相互に連携協力して取り組むことが重要でございます。
 このため、先月、約五十の団体とともに耐震化推進都民会議を立ち上げ、耐震化に向けた機運の醸成が重要であるとの認識を共有し、緊急アピールを行いました。
 また、防災週間に合わせ、会議の参加団体と連携してキャンペーンに取り組み、都内各地で多様なイベントや広報活動を行いました。
 今後とも、この会議を中心に、官民が一体となって、耐震化推進に向けた都民運動を重層的かつ波状的に展開し、地震が怖くない東京の早期実現を目指してまいります。
 最後でございますが、区市町村における耐震化の取り組みについてでございます。
 都の耐震改修促進計画を踏まえ、これまでに二十三区十八市が地域の促進計画を策定し、計画的かつ総合的な取り組みを開始しております。
 今年度から対象を拡大した緊急輸送道路沿道建物の耐震化助成につきましては、全路線での早期実施に向け、関係区市と協議を進めており、現在十三の区市で事業を開始しております。
 また、今年度創設したマンションの耐震改修助成につきましても、大半の区で実施する見通しとなるなど、取り組みが広がってきております。
 今後とも、区市町村の主体的な取り組みを一層引き出すよう工夫を凝らし、技術、財政両面から適切な支援を行ってまいります。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 奥多摩町水道事業の都営一元化に向けた取り組みについてでございますが、町の水道事業は、原水の水質悪化や施設の老朽化などの問題があり、独自の事業運営が困難な状況となっております。
 町には小河内ダムが立地し、長年にわたり都民の水がめを守ってきており、水道事業における経営努力も続けてまいりました。
 これまで町は、地理的条件などから都営一元化計画の対象外となってきましたが、平成二十年一月に、一元化について庁内横断的な検討組織を設置し、現在、精力的に検討を行っているところであります。
 都営一元化を円滑に進める条件整備が早期にできるよう、積極的に取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、私立学校の耐震化の促進についてでありますが、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では、平成十五年度から、耐震診断、耐震補強工事経費の一部について補助を実施してきたところでございます。
 平成二十年度当初予算におきましては、「十年後の東京」で掲げた耐震化の目標を達成するため、補助率をそれまでの二分の一から三分の二に引き上げるとともに、新たな補助対象といたしまして、木造の校舎等や耐震のために必要な改築工事を加え、耐震化促進の支援を強化してきたところでございますが、今年度に入りまして、国内外の大規模地震の発生によりまして、ご指摘のとおり、子どもたちの安全を確保するための学校耐震化の促進が、これまでにも増して緊急な課題となってまいりました。
 そこで、都内の私立学校は、公立学校と比べてもなお、耐震化の前提となる耐震診断を早急に進めるべき状況にありますことから、このたびの補正予算案で、耐震診断に対する補助率を、さらに五分の四に引き上げ、耐震性能の早急な把握を支援することといたしました。
 今後は、これらの対策の実効性を高めるため、これまで以上に説明会や建築相談などを充実し、私立学校に対しまして、補助制度の積極的な活用を働きかけ、耐震化を促進してまいります。
 次に、消費者行政の展開についてでございますが、経済のグローバル化やインターネットの拡大など、商取引が複雑多様化する中で、悪質事業者による不適正な取引や、食を初めといたします商品、サービスに潜む危険など、都民の不安は、これまでになく高まっているものというふうに認識をしております。
 こうした状況に的確に対応するため、今回の東京都消費生活基本計画の改定では、今後五年間の施策の方向性を定めるだけでなく、緊急に実施すべき対策を明らかにし、各局横断的に取り組むことといたしました。
 具体的には、まず、関係局と連携し、あらゆる法令を駆使して行政処分権限等をフルに行使いたしますとともに、広域的に事業活動を行っている悪質事業者に対しましては、都がリードしながら首都圏で情報を共有し、一斉に取り締まるなど、その排除に努めてまいります。
 また、ご指摘の現場における施策の強化に関しましては、現場の最前線でございます消費生活総合センターにつきまして、消費者トラブルの迅速な解決が図れますよう、来年度早期に、土曜日にも相談窓口を開設いたしますとともに、高度、専門的な対応に向けた人材の確保や育成など、相談体制の充実強化を図ってまいります。
 こうした現場に根差した施策を積極的に展開することによりまして、消費者被害の拡大を阻止し、都民の不安の払拭に積極的に取り組んでいく所存でございます。
 次に、スポーツ振興基本計画の具体化についてでございますけれども、だれもが生涯にわたってスポーツに親しみ、健康的な生活を送ることができるスポーツ都市東京を実現するためには、ご指摘のとおり、地域におけるスポーツ環境づくりが極めて重要なものであるというふうに認識をしております。
 このため、今回策定いたしましたスポーツ振興基本計画では、身近でスポーツを始められる場を積極的に提供していくことをスポーツ振興策の柱の一つとして掲げているところでございます。
 今後、具体的な展開を図るため、区市町村による地域の実情に即したスポーツ振興計画の策定を支援するとともに、公共施設の跡地などのうち、都が定める利活用の予定が当面ない都有地を運動場等として暫定的に貸し付けることのできる新たな仕組みをつくるなど、区市町村が行う地域スポーツの振興に向けた取り組みを支援してまいります。
 最後に、地域におけるジュニア選手の養成についてでありますが、将来、国体やオリンピックで活躍するアスリートを育成していくためには、ご指摘のとおり、現在の小中学生の中から才能ある選手を発掘、育成、強化していくことが重要であるというふうに認識をしております。
 このため、都は既に、区市町村の体育協会等と連携してジュニア育成地域推進事業を実施し、スポーツ教室やスポーツ大会等を開催しているところでございます。
 今後、都といたしましては、こうした取り組みを一層促進するため、競技種目の数や参加人数をさらに拡大するなど、地域におけるジュニア選手の競技力の向上に取り組んでいきますとともに、地域における取り組みに加えまして、将来有望な選手を東京都ジュニア強化選手として認定し、競技団体と連携して強化練習や強化合宿を実施するなど、ジュニア選手の育成強化を図ってまいります。
 今後とも、東京国体やオリンピック招致を見据えまして、計画的にジュニア選手強化体制の整備を進め、世界を目指す東京アスリートの育成を図ってまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 九点についてお答えをいたします。
 まず、福祉施設の耐震化についてであります。
 保育所や高齢者施設などの福祉施設は、自力での避難が難しい方が多く利用する施設であり、また、その一部は、地震発生時に被災者の受け入れ機能を果たすことなどからも、ご指摘のとおり、耐震化は大変重要であると考えております。
 このため、現在、耐震診断や耐震改修の実施状況に関する調査を行っております。
 今後は、この調査結果を踏まえ、施設特性にも配慮しながら、保育所などの耐震化の一層の推進に向けて、適切な対策を講じてまいります。
 次に、救急医療についてでございます。
 今回の救急医療対策協議会の中間のまとめで提言されました東京ルールは、救急患者の迅速な受け入れ、重症者を優先的に治療するトリアージの実施及び都民の理解と参画、以上の三つであります。
 このうち、救急患者の迅速な受け入れを実現するための具体策の一つとして、仮称東京都地域救急センターの設置が示されております。これは、病院選定が困難な場合に救急患者の受け入れ調整を行うものでありまして、救急患者を地域全体で受けとめていく上で、かなめの役割を担うものとされております。
 こうした東京ルールは、限られた医療資源を最大限生かしながら、救急医療を真に必要とする患者に迅速に提供しようとするものであります。
 都といたしましては、医療機関、消防、行政が一致協力することはもとより、都民みずからも救急医療を守り育てていくことが不可欠であるとの認識に立ち、提言の具体化に向け、さらなる検討を行ってまいります。
 次に、病院勤務医の勤務環境改善についてでありますが、都は今年度から、救命救急センターや周産期母子医療センターなどの病院が行う医師の交代制勤務や短時間勤務の導入、女性医師の復職支援研修など、医師の負担軽減と定着を図る取り組みを支援しております。
 これらの病院からは、相談や問い合わせを多数いただいており、とりわけ新たな勤務形態の導入については、非常に前向きな意向が示されております。
 本事業を活用することにより、病院みずからが勤務環境の改善に積極的に取り組み、病院勤務医の定着や確保が図られるものと期待をしております。
 次に、総合的な医師確保対策についてであります。
 不足が顕著な小児、周産期、救急、僻地医療を担う医師の養成、確保は急務であり、都は国に対しまして、緊急に医師確保対策を講ずるよう強く要望してまいりました。
 そうした中、国においても、これまでの医師養成数の抑制方針を転換し、来年度から医学部の定員をふやすなど、医師不足の解消に向けて、さまざまな取り組みが行われようとしております。
 都は今年度から、勤務環境改善事業に取り組むとともに、都が指定した大学医学部の定員枠を拡大し、医師奨学金制度を創設をいたしました。
 今後、国の動向も十分踏まえながら、医師奨学金制度の拡充や、地域医療を支えるための新たな医師確保策などを含め、実効性ある施策を検討してまいります。
 次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものであります。
 シルバーパス事業を今後とも継続させていくためには、利用者である高齢者を初め、広く都民の理解を得ながら、社会状況の変化に的確に対応していくことが不可欠であります。経過措置を継続することにつきましては、ご指摘の点なども踏まえて適切に検討してまいります。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、お話のとおり、都内の保育所待機児童数は、人口流入などによる就学前児童の増加や入所申込率の上昇により、四年ぶりに増加をいたしました。また、ここ数年、入所申込率が増加を続けていることから、保育サービスの需要は依然として高水準にあると考えられます。
 都は今年度から、認可保育所や認証保育所、認定こども園など多様な保育サービスを組み合わせ、これまでの一・五倍のスピードで定員一万五千人分の整備を行います保育サービス拡充緊急三カ年事業をスタートさせましたが、その着実な実現に向け、全力で取り組んでまいります。
 このため、今後、待機児童数の多い自治体を中心に、保育サービスの拡充が図られるよう、地域の実情を踏まえた取り組みが可能となる方策を検討するなど、支援策の一層の充実に努めてまいります。
 次に、認証保育所に関する国と都の実務者協議についてでありますが、都は、認証保育所が大都市東京の保育ニーズに即したサービスを提供し、待機児童の解消にも資するものであり、国の制度に位置づけ、財政措置を講じるよう要求してまいりました。
 七月の実務者協議会において、これまで認可保育所に限定されておりました休日・夜間保育事業などについて、来年度から新たに認証保育所も対象とする方向性が示されました。このことは、認証保育所制度の承認に向けての前進であると受けとめております。
 引き続き、認証保育所へのさらなる補助の拡大に向けて、国との協議を精力的に進めてまいります。
 次に、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、この制度のあり方につきましては、少子化対策を一層推進するとともに、適切な医療を提供できる体制を確保するという観点から検討することが重要であります。
 都としましては、このような考えのもとに、また、現行の所得制限を前提に助成内容の拡大を図る方向で検討をしており、十月早々には具体案を取りまとめることとしております。
 助成内容の拡大に当たりましては、小児医療の現場の厳しい状況や、医療保険制度の相互扶助の理念にも十分に配慮する必要があると考えております。
 最後に、新型インフルエンザ対策についてでありますが、新型インフルエンザによる健康被害と社会的混乱を最小限に抑えるためには、封じ込め期から大規模流行期までを想定した事前の対策を十分に講じておくことが重要と考えております。
 このため、都は、発生時における社会機能の維持、保健医療体制の整備、都民、事業者の意識啓発、以上の三つを柱といたしました都独自の総合的な対策を実施することとし、今回の補正予算案には、抗インフルエンザ薬の大幅な追加備蓄等を盛り込みました。
 今後、副知事を座長とした東京都新型インフルエンザ対策会議のもと、社会活動の規制のあり方等を検討するとともに、医薬品や医療資機材の備蓄、検査体制の強化、地域医療体制確保に向けた支援など、具体的な取り組みを積極的に推進してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、専門家会議の報告書の内容についてでございますが、報告書では、食の安全に加え、安心も確保する観点から、新市場予定地の汚染状況を的確に把握した上で、科学的知見に基づく対策が取りまとめられております。
 汚染状況につきましては、十メートルメッシュの詳細調査などの結果、敷地全域に高濃度の汚染が広がっているわけではなく、その範囲は極めて限定的であり、深さ方向についても、全体が汚染されているわけではないと評価しております。
 専門家会議は、この汚染状況から、対策は十分可能であるとし、土壌については、環境基準を超える汚染物質をすべて除去し、地下水については、最終的に環境基準以下に浄化するとともに、施設開場後も、水位、水質を監視していくなどの対策を提言しております。
 この提言は、これまで予定していた対策をより強化した手厚い内容となっており、これらの対策を確実に実施することで、報告書で述べているように、仮に人が生涯にわたりこの土地に住み続けたとしても、健康への影響はなく、生鮮食料品を扱う市場用地として、食の安全・安心も十分確保されるものと考えております。
 次に、技術会議での技術、工法の検証についてでございますが、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議は、専門家会議の提言を踏まえ、土壌汚染対策を具体化するため、本年八月に設置したものでございます。
 現在、新技術や新工法を広く民間事業者等から公募するとともに、土木、環境、情報処理、プロジェクトマネジメント分野の七名の専門家委員により、評価基準、評価方法等を検討してございます。
 今後、技術会議は、提案された内容を多角的に評価、検証した上で、実効性、工期、経費などの面ですぐれた対策を選定することとしており、都としては、その検討結果に基づき、早期に土壌汚染対策計画を取りまとめ、万全な対策を講じてまいります。
 あわせて、この計画内容について、あらゆる機会を通じて情報提供や説明を行い、都民や市場関係者の十分な理解が得られるよう努めてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村と連携した地球温暖化対策の取り組みについてでございます。
 今後、温暖化対策をさらに強化していくためには、家庭や中小規模事業所における省エネ対策の充実、都民一人一人のライフスタイルの見直しなどによる取り組みの底上げが必要でございます。
 このためには、都民や事業者に身近な区市町村において、地域特性に即した積極的な取り組みが行われるとともに、都は、区市町村との連携を強化し、地域の取り組みを一層充実していくことが重要でございます。
 こうした観点に立ち、区市町村において、それぞれの地域に応じた先進的な取り組みや、都の目指す環境施策に寄与する取り組みなどを促進する方策について、ご指摘の趣旨を踏まえまして、具体的に検討してまいります。
 次に、環境負荷の低い自動車の普及促進についてでございます。
 東京を環境負荷の少ない都市とするためには、排出ガス性能にすぐれ、CO2排出量が少ない自動車が効率よく使用されることが重要でございます。
 こうした自動車の普及促進を早期に図ることは、環境負荷の低減とともに、環境を柱の一つとするオリンピック・パラリンピックの招致にも非常に有効な手段であることから、今年度、公共交通機関である路線バスへのハイブリッドバス導入のための支援をこの秋から緊急に実施してまいります。
 今後とも、さらなる低公害かつ低燃費な自動車の普及促進に努めてまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 二点についてお答えいたします。
 北京オリンピック・パラリンピックにおける調査の成果についてでありますが、近隣の国での開催という地の利を生かし、実際に現地に赴いて、つぶさに見てまいりました。
 調査の目的は、まさに施設の整備状況と大会運営の実態の把握であり、広範囲に具体的な事例に沿って、すぐれている点や問題点、今後の課題等を調査してまいりました。
 二〇一六年の東京大会は、同じアジアの北京とは違った特色を出すことが招致獲得に必要不可欠でございます。現在、立候補ファイルの原案作成作業を進めていますが、IOC等に対し説得力のある開催計画をつくり上げていく上で、貴重な情報が得られたものと確信しております。
 なお、インフラ整備についてでありますが、IOCに提出した申請ファイルに記載のインフラを含め、今後の東京のインフラ整備は、オリンピックの開催の有無にかかわらず、「十年後の東京」の計画に沿って着実に実施し、オリンピック時にその成果を活用するものでございます。
 このように、オリンピックを目的として多額のインフラ投資をしない東京の計画をIOCは高く評価しております。また、東京の運営に要する経費は、すべて民間資金から調達する予定でございます。
 今後、各局や国、区市町村等と連携を一層密にし、計画策定、招致活動等に取り組んでまいります。都議会の皆様のさらなるご支援、ご協力をお願いいたします。
 次に、今後の国際的なPRと、国内における支持率の向上策についてでございます。
 招致をかち取るためには、IOC委員の票を獲得することが絶対条件であり、また、そのIOC委員に立候補都市の情熱を伝えるために、都民、国民の支持率を高めることが重要でございます。
 今回の北京大会の期間中におきましても、海外の通信社やスポーツ専門メディアを通じて、東京の招致にかける意気込みを世界にアピールしました。また、現地では、IOC委員や競技団体の役員に東京の計画の優位性を訴えるなど、大きな成果を上げることができました。
 今後も、行動規範を遵守しつつ、国の内外で開催される国際競技大会や国際会議の機会をとらえ、積極的にPRを行ってまいります。
 次に、支持率向上策でございますが、都議会を初め、各方面とのこれまでの連携協力の成果があらわれ、現在、都民、国民の九割が東京招致を認知しております。
 これを踏まえつつ、今後は、各界のオピニオンリーダーやメディアの協力を得ながら、開催理念、目標、都民、国民にとってのメリットなどを強く訴え、賛同の輪を広げていくことに重点を移してまいります。
 さらに、小中学生や高校生にはオリンピック学習読本による理解の促進、若者向けには携帯電話を活用した情報発信、中高年齢層にはイベントやシンポジウムの開催など、世代に応じたさまざまな工夫を凝らし、支持率の向上を図ってまいります。
 今後とも、都議会の皆様のさらなるご支援、ご協力をお願い申し上げます。

○議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後三時休憩

   午後三時二十一分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十一番酒井大史君。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

○百二十一番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長に伺います。
 まず、新首相の誕生に関連して伺います。
 昨日の国会における首相指名選挙では、参議院では小沢一郎民主党代表が、衆議院では麻生太郎自民党総裁が指名されました。その後の両院協議会において衆参の意見が一致しなかったため、憲法六十七条第二項の規定により、財政出動に積極的な麻生氏が新首相に指名されました。
 知事は、この麻生首相の誕生をどのように受けとめておられるのか、見解をお伺いします。
 さて、この財政出動に積極的な麻生首相のもとでは、石原知事と福田前首相との合意で導入され、暫定措置とされた地方法人特別税の恒久化が危惧されます。
 石原知事は、かつて、福田首相と会談し、今回の改正を暫定措置にとめさせ、日本の発展につながる首都東京の重要政策に対して国が最大限の協力をするとの約束を取りつけたとされました。しかし、麻生首相は、知事が望んだ消費税増税は三年間はしないと明言しており、麻生首相のもとでの財政出動では、どう考えても、地方法人特別税という財布を手放すようには思えません。
 東京都が法人事業税国税化に対応するために積み立てた基金二千百八十五億円も、昨今の景気後退により、吹き飛んでしまいかねません。また、国の最大限の協力を確保する場であります国と東京都の実務者協議会も、なし崩しに消滅しかねません。
 今後の都財政に厳しさが予想される中で、福田前首相との約束の履行についてはどのようにお考えか、知事の見解を伺います。
 次に、補正予算案について伺います。
 世界的な景気後退や円高を受け、外需中心の経済成長を続けてきた日本経済について、政府は、去る八月、景気が後退局面に入ったことを認め、日銀も景気判断を停滞に下方修正する状況となりました。
 エネルギーや食料品等の価格高騰による国内景気の後退は、経済成長にもかかわらず賃金が上がらなかった都民にとって大打撃となり、購買意欲は冷え込んでいます。都内企業も、石油製品の値上げで九割以上、金属の値上げでは七割が悪影響を受け、価格への転嫁が困難な状況が続いています。企業倒産件数も四カ月連続で増加し、今後も高水準で推移することが予想されています。
 そして、今月に入り、米大手証券会社の破綻によって米国の金融不安が再度高まり、国内景気の先行き不透明感がさらに増す事態となりました。
 そこで、都は、景気後退の現状をどのように認識し、今後の税収を含めた都財政をどう見通しているのか、伺います。
 政府・与党は、安心実現のための緊急総合対策の一つとして、今年度中に所得税と住民税の定額減税を行う方向です。与党は二兆円規模を目指すといわれていますが、既に今年度、一兆五千億円を超える税収減が見通される中にあって、定額減税の財源をどのように確保していくのでしょうか。
 平成十年度にも四兆円規模で減税が実施されましたが、その費用対効果は乏しく、財政悪化の原因にもなりました。国の財政健全化路線の後退を危惧する声も出てきています。
 さきの所信表明では、国では、破綻に瀕した国家財政などの困難で複雑な課題が山積していると述べている知事に、緊急総合対策や定額減税の評価について見解を伺います。
 都は、石原都政としては初めての九月補正予算案を、国の緊急総合対策と同日、八月二十九日に提示しました。
 内容は、約六割が新銀行東京の損失処理であり、しかも、金融庁の減資認可がおりたタイミングでの発表です。所信表明ではわずかに触れただけで、新銀行問題の処理を意図的に小さく扱っているとしか思えません。
 今回提案をされた補正予算案の事項を見ると、太陽光エネルギー対策、新型インフルエンザ対策としてのタミフル、リレンザの備蓄増強、耐震化対策、いずれも早いにこしたことはないですが、購入する薬剤の確保、工事の発注業務などがまず必要な事柄です。補正予算という現金を今必要とする理由は、提案に際し説明されていません。
 また、都議会民主党が繰り返し求めてきた、小児科、産科の医師、看護師不足、福祉人材の深刻な不足への対策に比べても、今でなければならない必要性は明らかではありません。
 都の財産八百六十一億円が失われた新銀行については、この後伺いますが、報道では、都民施策との抱き合わせ予算との論調も聞かれます。新銀行の失敗に起因する事項だけでは、議会、そして世論の批判に耐え得ないとの判断があったのでしょうか。
 今回の補正予算案は、新銀行の損失処理をカモフラージュするための予算が真相と考えますが、知事の見解を伺います。
 東京都は、ことしの予算議会の中で、新銀行が経営を悪化した場合でも、都債の発行条件に影響は生じないと説明していました。しかし今回、新銀行の減資が迅速に行われなければ、市場、投資家から都債の信用性を失うと述べており、その理由はにわかに納得できません。
 また、石原知事がいうように、財政的なメリットだけが減債基金への前倒し積み立ての理由であるならば、むしろ、だれも責任をとらない中で都が財政的なしりぬぐいをすることこそ、監理団体や第三セクターなどの財政規律を緩め、結果として都財政に大きな影響を与えていくのではないでしょうか。
 都財政に八百六十一億円の大きな損失を負わせた新銀行や都の責任がいまだに明確ではありません。ましてや、金融庁の検査の結果、新銀行の決算や再建計画が妥当なものと判断されるのかさえわからない中で、なぜ減債基金への積み立てを急ぐ必要があるのでしょうか。
 認可がおりたからすぐ減資では、今後ますます都の財政規律は無責任なものになると考えますが、石原知事の見解を伺います。
 補正予算案が可決され、新銀行の損失処理が行われた場合、昨年度の決算剰余金のほとんどが残らないことになります。今年度末、景気後退により都税の減収幅が予想を超えた場合、都は、義務的経費の歳出に財政調整基金の取り崩しなどの臨時的な対応を行わざるを得なくなりますが、その見通しはいかがか、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 原油価格の乱高下、また原材料価格の高騰や株価の下落など、日本経済の先行きは混迷度を増し、中小企業の経営にも大きな不安を与えています。
 しかしながら、そもそも中小企業を支援するために設立された新銀行が、このような景気状況の中で、何ら用を足すことなく、むしろ減資に伴い五百四十億円もの積み立てを余儀なくされるのであっては、その存在意義は完全に失われたという以上に、もはやお荷物といえるのではないでしょうか。
 また一部では、新銀行東京について、みずからの責任に飛び火することを恐れる金融庁も、現実に民主党政権になれば真剣に取り組まざるを得ず、新たな局面を迎えるのではないかともいわれています。そうした意味からも、石原知事は、みずからの責任を早急に示すことが必要であると考えます。
 私たちは、さきの定例会においても、責任の所在を明確にしなければ減資に応じるべきではないと主張してきましたが、石原知事は、減資と旧経営陣の責任追及とは切り離すべきだと答弁しています。
 今回の減資に伴う五百四十億円の積み立てについても、石原知事は、義務的積み立てだと強弁していますが、そもそも新銀行が減資をするような事態に陥ってしまったのは、だれの責任なのでしょうか。石原知事に政治的、道義的責任はないのでしょうか。
 だれもが責任をとらずに都民の財産が毀損してしまうことに対して、石原知事の見解を伺います。
 旧経営陣に対する責任追及について、六月議会で、東京都は、年内を目途に調査結果を得た上で法的対応について検討と答弁していました。調査結果が年内では極めて遅いと思っていましたが、先日、八月二十九日の定例会見で、石原知事は、いろいろな事例が出ていることは確かだと述べられました。
 この間、石原知事は、あたかも旧経営陣に重大な粉飾や背任があるかのような発言をしてきましたが、このような思わせぶりな発言を繰り返すのであれば、旧経営陣についてどのようにいろいろな事例が出てきているのか、具体的に説明をすべきです。
 訴訟する、しないの判断及びその判断の時期も含めて、旧経営陣についてどのようにいろいろな事例が出てきているのか、答弁を求めます。
 一方で、新銀行が、情報漏えいの禁止と千三百二十万円の損害賠償を求めて、元行員を提訴したことが報じられています。
 これは、そもそも石原知事が三月二十八日の定例会見で、都側がマスタープランを押しつけたことが記録されたメモがあるという指摘に対して、どんなメモで、だれが書いたか出してもらいたいと息巻いていたことに端を発します。
 これを受けて、勇気を出して実名告白した元行員が、今度は新銀行から訴えられるのであっては、不当な言論弾圧でしかありません。新銀行は、そもそも旧経営陣を訴えることに全力を尽くすべきであり、元行員に対する訴訟は取り下げるべきです。
 石原知事は、求めに応じて名乗りを上げた元行員が新銀行から訴えられたことに対して、どのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
 新銀行に入っていた金融庁の立入検査が七月二十五日に終わり、現在は、金融庁内において資料の分析、調査などが行われているのではないかと思われます。
 石原知事は、五月十六日の定例会見において、分析を尽くした上で再建計画を立てているので、金融庁の検査の結果、見直しを迫られることはないと思う旨答えています。
 しかしながら、万が一、金融庁の検査結果によって、追加出資を前に示されていた決算見込みや再建計画の内容に大きな変更が生じた場合、石原知事は、間違った報告や甘い見通しで、私たち都議会に四百億円もの追加出資を求めたことになるのではないでしょうか。
 東京都は、新銀行の経営監視に努めているわけですから、当然にして、金融庁の立入検査についても十分に注意を払っていたはずであり、その動向も承知をしているはずです。
 石原知事は、金融庁の検査結果によって、決算や再建計画の見直しがあるものと認識しているのか、改めて見解を伺います。
 また、新銀行の監査法人が六月三十日の株主総会で変更になりましたが、この監査法人は、例えば平成十八年の中間決算の際に、一般貸倒引当金の算定方法をめぐって、新銀行との衝突が報じられていましたし、また、さきの予算議会で突然四百億円の追加出資を提案せざるを得なかったのも、同法人からの指摘があったからだといわれています。
 もちろん、監査法人をかえるなというつもりはありませんが、少なくとも、従業員が五千人を超える日本最大級の監査法人から従業員二十数人の会計事務所に変更したことについては、事業規模見合いとはいえ、落差が大き過ぎるようにも思います。
 そこで、監査法人を変更したことの経緯、理由、その期待するところについて見解を伺います。
 八月二十九日に新銀行の第一・四半期決算が発表され、ことし四月から六月の三カ月で三十七億円余の最終赤字を出しました。これら新銀行の四半期情報は、私たちが再三求めてきたものですが、さきの六月議会では、あわせて、予算議会で提出していた月ごとの融資状況や不良債権額などについても、議会からの請求を待たずして自主的に公開すべきであると主張してきました。
 そこで、例えば、新銀行の象徴でもあった無担保、無保証の実績は、昨年の同時期と比べてどうなっているのか。月ごとの融資状況や不良債権額の自主的な情報公開についてはどうなっているのか。見解を伺います。
 最後に、新銀行の事業連携について伺います。
 石原知事は、八月二十九日の定例会見において、新銀行の現状について問われ、うまくいっていると思う、相手のこともあるので、次の定例議会、九月にはある形の報告をして、年内にもさらに進んだ段階の展開の報告をしたいと述べていました。
 既に九月も下旬ですので、改めて、新銀行の事業連携の進捗状況について石原知事の見解を伺います。
 次に、入札、契約制度について伺います。
 この間、入札に際して、最低制限価格での応札に伴うくじ引きが横行しています。中小企業者などからは、これでは企業努力が報われないため、企業の活力を高めるような入札制度に改めてほしいなどといった切実な声が届いています。
 都の発注工事では、全体の一割強、一部の種類の工事では二割から三割がくじ引きになっています。予定価格の事前公表によって最低制限価格付近に入札価格が集中し、くじ引きによって落札者が決定する事態が常態化することは、好ましいものではないと私たちも考えます。
 これを改善するためには、従来の予定価格を基準としてその何%を最低制限価格とする方法から、実際に入札された価格の平均額を基準として最低制限価格を定める方法に転換することが考えられます。予定価格が事前に公表されても、応札業者は最低制限価格を予想することができなくなるため、市場価格からかけ離れた安値で入札すれば失格となる可能性があり、きちんと積算をして入札をすることが必要になるからです。
 このような変動型最低制限価格制度は、既に長野県や横須賀市などで実施されています。この制度には、くじ引きが減少すること、最低制限価格が需給関係を反映し、市場価格に近いところで決められるようになることなどのメリットがあると報告されています。
 都においても、変動型最低制限価格制度の導入をぜひ検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 過度な低価格競争、いわゆるダンピングによるたたき合いに苦しんでいるという声も聞きます。これを防ぐために、総合評価方式を適用する工事件数を拡大する動きもあります。しかし、北海道開発局による官製談合事件において、総合評価方式が、さじかげんで決定を左右できるため、談合に加わらず、低価格で入札する業者をはじくために使われたとの報道もあります。このように、評価項目や配点の設定などから恣意性を排除する点に大きな課題があり、これが適切な対応とはいい切れない面があります。
 現在、入札結果は入札金額だけが公開されていますが、不当な安値で入札する業者を排除するためには、入札金額の内訳も公開することが必要です。この公開により、都の担当者では不当な安値かどうか判断できないものでも、業務内容を熟知している業界からの指摘を受けることができるからです。入札金額の内訳の公開について、見解を伺います。
 建設コストの高騰が建設業者の経営を圧迫し続ける状況を受け、ことし六月十三日、国の発注する公共工事請負契約に、工事請負契約書第二十四条第五項のいわゆる単品スライド条項が、二十八年ぶりに、鋼材と燃料油に限って適用されることとなりました。都も六月十六日、同条項の適用を発表しました。
 この九月には、国や都は対象資材の拡大を決めました。これに伴い、都における工事が中小企業者に多く発注されている状況を勘案し、都が受注者負担を当初の対象工事金額の一%から〇・五%に軽減した点については、一定の評価をします。
 一方、単品スライド条項が適用された工事は、国の直轄工事では、請求件数は八月末で百九件、うち協議済みが七件、スライド額は最高二百三十八万円、最低八万四千円となっていることからも、協議の請求手続に係る手間の割に、認められる金額は少ない印象を受けます。
 また、我が国の建設工事は、土木工事が多くを占める公共工事が総額の約四分の一、建築工事の多い民間工事が四分の三であるため、この措置による恩恵は、直接的には土木工事請負を主体とする業者にしか及びません。民間建築工事で価格の高騰が認められる動きが出てこない限り、建設業界全体に対する救済措置にはなり得ないように思います。
 単品スライド条項の適用は何をねらいとし、どのような効果が得られることを期待しているのか、見解を伺います。
 今回の運用方針では、工事材料価格が著しく上昇した品目だけが対象となっていますが、これは合理性を欠くように思われます。今のところ影響額は小さいかもしれませんが、主要建設材料の中には、価格が下がっているものもあります。例えばコンクリート型枠用合板などは値下がりしていますし、急騰を続けていた原油価格は一転して下降局面に入り、石油関連資材については、今後値下がりの可能性もあります。また、鋼材類や燃料油以外の資材については、価格上昇要因が明確であるものとされていますが、その因果関係をだれがどのように確認するのかが明確になっていません。
 私たちは、これらの要素も加味し、公共調達を適正な価格で行うという観点からも、スライド条項の適用は、単品スライド方式よりも総額スライド方式とする方がより合理的と考えます。
 昭和五十五年までの特約条項で運用されていたように、対象材料の価格増減の大小を問わず、主要材料の多くを対象とし、これらの増減分の総額が、工事の規模に応じて定められる一定額を超過した場合に請負代金額の変更を行う総額スライド方式の適用について、見解を伺います。
 次に、多摩振興、中でもシリコンバレーの創設について伺います。
 私は昨年十二月の一般質問において、ストックホルム市では、土地を十年間無償で貸し付けているとともに、企業等が立地しやすいように、不動産が投機対象にならないような配慮をしていることなどを例に、多摩シリコンバレーに立地する高付加価値産業を担う企業に対して、東京都のインセンティブの付与を求めてきました。
 東京都は、多摩産業支援拠点に設置する産学公の交流センターでのコーディネート機能の拡充や、中小企業に対する技術、経営両面からの支援強化を答弁していますが、他の府県では、関係市町と連携して、産業集積に向けた基本計画を策定し、企業立地促進法を活用するなどして、企業が具体的に税や補助金の恩恵が受けられるよう取り組んでいるところもあります。
 そこで私は、東京都としても、多摩シリコンバレーの創設に向けて、国の制度も活用しながら、具体的なインセンティブの創設に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、消費者行政について伺います。
 消費生活基本計画は、今回十一年ぶりの計画改定となります。この間、核家族化やひとり暮らし高齢者の増加による社会の個人化が進行するとともに、ブロードバンド環境の普及など、情報化が進んでいます。
 その一方では、立川にあった多摩消費生活センターが飯田橋へと統合されて、小規模な出先機関のみとなってしまい、多摩地域における都のセンター機能は縮小しています。
 また、農薬やカビ毒に汚染された事故米が学校給食や和菓子などに使われていた事件、中国の牛乳へのメラミン混入事件などが続発しており、消費者に不安が広がっています。
 都議会民主党は、複雑化、グローバル化する消費の実態には、事故対応、事後罰則では対応し切れないことから、未然防止のためのリスク分析の考え方を取り入れた取り組みが必要と考えます。その過程では、都民とのリスクコミュニケーションも大切です。
 今回の改定計画では、毎年度当初に東京都が消費生活対策審議会へ施策を報告し、確認、評価を受けるとされています。施策の効果を検証し、着実に前進させるためには、こうした取り組みが重要です。
 さらに加えて、基本計画のもとに年次計画を策定し、その策定、評価の過程に都民の参加を位置づけた実行体制が必要と考えますが、見解を伺います。
 続いて、具体的な取り組みについて伺ってまいります。
 民主党が消費生活総合センターの相談体制強化を求めたのは平成十七年九月ですが、消費者被害が鎮静化する様子はありません。にもかかわらず、今なお平日九時から四時までと、昼間家にいない人は相談しづらい体制となっており、ずっと話し中でなかなか電話がつながらないという声もなくなりません。
 都の消費生活総合センターは、能力も高く、国の国民生活センターをも牽引しているといわれていますが、これを担っている相談員は、非常勤という不安定な身分に置かれています。しかも、こうした専門的なノウハウを必要とする業務に対応した報酬もなく、月十六日しか勤務できないことから、相談業務を拡張するといっても、極めて限られたものとならざるを得ないのではないかと懸念します。
 複雑、巧妙化する悪徳商法の被害に苦しむ都民への対応を進めるために、こうした課題をクリアし、先ほどの自民党さんに対する答弁では、土曜日に関しては来年度早期に対応するとありましたが、平日夕方、日曜日、休日も相談できるように、体制を拡充強化することが必要と考えますが、見解を伺います。
 子どもとの二人乗り、三人乗りでの自転車転倒事故では、脳挫傷などの重傷を負う例が多いという救急医からの指摘をきっかけとして、都は、子ども用ヘルメットキャンペーンを実施しました。その効果もあってか、まちでは多くの子どもがヘルメットを着用して自転車に乗るようになっています。
 このように、個々の不注意やアクシデントと思われがちな事故やけがの事例も、集約することで一般的な危険性を浮き彫りにでき、対策へと結びつければ、効果的な施策となります。
 改定計画では、待ちから攻めへ、情報を収集し発信しますとして、「ひやり・ハッと体験」の一万人調査を緊急対策の一つとして位置づけています。これ自体は大いに歓迎しますが、さらに進めて、防げる事故を見逃さないためのシステムづくりを視野に入れた取り組みを求めるものです。
 予防に役立つ情報とは、事故が起こる前から起こった後までのシナリオ全体を網羅するような詳細なデータであるといわれます。子どもの重大事故ゼロを目指して、情報を継続的に収集する仕組みづくりへと、取り組みを強化すべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、自殺防止対策について伺います。
 九月十日は世界自殺予防デーで、この日からの一週間が自殺予防週間とされ、全国でさまざまな取り組みが行われました。九八年の企業決算期に前年比三五%増加した九八年三月ショック以降、毎年約三万人の方が自殺をしております。こうした中で、自殺を個人の問題としてではなく、一度つまずくと、立ち上がるために支えてくれるシステムがない、滑り台のような今の日本社会の問題としてとらえ、支援策を構築する必要があります。
 しかし、これまでの都の事業は、うつ対策、すなわち精神保健福祉が中心であり、その原因となった、さまざまな問題解決への具体的支援策は余り進んでいません。
 NPO法人ライフリンクが作成した自殺実態白書における自死遺族千人への聞き取り調査によれば、自殺で亡くなった方のうち、相談機関に行っていた人が七二%で、そのうち精神科など医療機関に行っていた人が八三%を占めていたということです。うつの治療をしていながらも、仕事や借金、家庭不和などの問題を抱えたまま、何とかしたい、だれかに助けてほしいともがきながら、死へと追い込まれていったと推察されます。
 例えば鹿児島県奄美市では、気軽に相談でき、解決の期待が持てる相談窓口を設置し、弁護士、司法書士とも連携して、多重債務者が自殺に追い込まれないネットワークが構築されており、今では、東京都を含む全国から相談が寄せられています。
 私は、こうした実態から、うつ対策に加えて、経済的問題による自殺をなくすという観点からの支援をもっと強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 自殺実態白書には、自殺対策の重要性、緊急性にかんがみ、初めて警察庁の自殺統計原票が提供され、解析結果が掲載されました。これによって、地域ごとの自殺者数と年齢、男女、職業、動機別の数もわかりました。
 この地域特性を見てみると、同じ東京都でも、ある市では女性の無職者が各年齢にわたって多く自殺しているとか、また、ある区では男性の有職者の自殺が多いといった地域特性がある程度見えてきます。
 区市町村において早急に地域特性に対応した施策が進むよう、都としても支援する必要があると考えますが、見解を伺います。
 さきの調査からもわかるように、多くのトラブルを抱え、疲れ切った方ほど、どこに行けば支援が受けられるのか、みずから探してアプローチできるような状況にはなく、行政に対するアクセスは行われていません。こうした中では、既存のサービスをコーディネートするだけでも、態勢を立て直すまでの力を回復することができる場合も多くあると考えられます。
 例えば、腰を痛めて失職し、妻とも別れ、うつを発症、家はごみだらけといった方の場合、うつ対策、家事援助などを利用して体と心をいやす、仕事につくためには、低所得者のための生活安定化総合対策事業を利用することも可能です。しかし、問い合わせが少ないとの指摘があるなど、そもそも必要とする人は、その存在すら知らずに、苦しみ続けているのではないでしょうか。
 都は近く、自殺総合対策東京会議での議論を踏まえ、取り組み方針を策定することとしていますが、総合的な支援のメニューをつくることに加えて、対象を絞り込んで、必要な人に情報が届く仕組みをつくることが必要です。
 都や区市町村には、支援を必要とする人が接触する機会のある多様な機関があります。自殺対策の担当セクションではない、こうした機関からも効果的に情報を伝え、必要とする人が支援を受けられるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、若い世代に多いといわれる非定型うつについて申し上げます。
 非定型うつは、うつ病に特有な無気力、集中力の低下などはあるものの、楽しいことやいいことに対応して元気になるため、本当は元気なのではないかなどと周囲の誤解を受けやすいようです。夕方や夜になると、不安やいらいらが高まるサンセットデプレッションにより、泣きわめいたりリストカットをしてしまう人もおり、深刻な結果につながりかねません。
 うつ病の場合、プレッシャーをかけずにゆっくりと休むことが必要だといわれますが、非定型うつの場合には、仕事や学校を続け、生活のリズムを保ちながらの治療が有効とされます。職場の中で相談できる体制や、働きながら治療を継続できる環境づくりなど、しっかりと取り組まれるよう、特に求めておきます。
 次に、オリンピックについて伺います。
 先月八日から今月の十七日まで、北京オリンピック・パラリンピックが開催されました。史上最多の二百四カ国の国と地域が参加したこの大会に、東京都からは、石原知事を初めとして、総勢百名を超す大視察団が訪れました。知事にとっては、就任以来、初の中国訪問です。
 都は、JOCが設置したジャパンハウスの費用の一部、一億円を負担し、PRエリアを確保、招致委員会やJOCとともに国際招致にも取り組みました。
 知事は、八日の開会式直後の印象を、十三億人の人口のすごさを感じたと語りながらも、帰国直後、東京招致の参考になったかと聞かれ、ないねと述べ、十五日には、マスゲームなど同じことを繰り返されると、うんざりするなと話されています。
 一方、河野一郎招致委員会事務総長は、実際に体験することの収穫は多かったと述べるなど、肯定的な感想を述べられています。
 そこで、知事に、初の中国訪問について、そして、オリンピック招致に係る北京オリンピックでの成果についてお伺いをいたします。
 来年二月の立候補ファイル提出に向けて、日本、東京での二度目の開催意義を考えるならば、まずは二十世紀の歴史を振り返り、日本が平和国家の立場で、平和を世界に喚起していく姿勢を招致理念の中心に据える必要があります。
 核兵器の使用や戦争被害を踏まえ、戦争を憎み、平和を求める世論を国内外に高めるために、広島、長崎など平和都市との連携を高め、オリンピックの平和運動としての位置づけを大いに高めていく計画でなければなりません。
 しかし、現実の北京オリンピックにおいては、ジャック・ロゲIOC会長が、オリンピックは競技することにとどまらず、民族、性別、宗教、政治を超えた平和の集いであることを忘れないでほしいと訴えたにもかかわらず、開会式当日、ロシアによるグルジア侵攻が勃発し、オリンピック休戦が破られてしまいました。
 また、招致委員会会長である知事自身の平和や核に対する発言は、平和と唱えれば実現するものではない、核兵器のある世界について、そういう現実なんだと、リアリズムに徹するのみで、世界平和の実現に向けた強烈なメッセージ、平和を求める理想は一向に聞こえてきません。計画にもその熱意が感じられません。
 我が党が重要視する、戦争を憎み、平和を世界に喚起する東京オリンピックについて、知事の見解を伺います。
 立候補都市東京の課題の一つに、招致支持率の低さがあります。都議会オリンピック・パラリンピック招致特別委員会による北京パラリンピック視察団も、北京オリンピック関係者から、招致への情熱が高まれば支持率が上がってくるといわれています。
 しかし、都に寄せられた六月の「都民の声」月例報告でもオリンピックへの支持は少なく、マスコミに問われた石原知事が、そんな数字は当てにならないと述べた後、なぜか名称が変更されてしまいました。北京大会中に行われた報道の世論調査でも、五割の支持にとどまっています。
 世論結果等が示すことは、理念を初めとした東京計画、「日本だから、できる。あたらしいオリンピック!」について、都民、国民にまだ十分理解されていないということではないでしょうか。
 町中にもエンブレムやポスターなどの新アイテムが飾られ始めましたが、一部には税金のばらまきとの声もあり、果たしてどれだけの効果があるのでしょうか。今後、大会理念などが浸透していかねば、支持率は上がらないと考えます。知事の見解を伺います。
 また、世論調査から、巨額の経費がかかる、むだな施設がふえるなど、オリンピックによって東京に再重点投資を許すような状況にない結果も出ています。実際、開催都市は、夏季、冬季を問わず、大型競技施設の後利用に苦しんでいます。東京では、当初、国立で整備するとしたメーンスタジアムも、その後、都立スタジアム整備となり、千二百十四億円を支出する計画となりました。
 しかし、果たして、この都立スタジアム整備計画、そして大会後の後利用の負担などが、招致決議を行ってきた都内の区長会、市長会、町村長会、区議会議長会、市議会議長会、町村議会議長会、そして各区市町村議会や、町中でエンブレムを掲げ、のぼりやポスターを見る各都民に本当に周知、理解されているかどうかが不明です。いや、都立での整備計画になったと知らない人が多いのではないでしょうか。
 また、現時点で、関連施設を含め二兆円規模となった東京オリンピック計画の概要についても同様です。
 そこで、首都東京におけるメーンスタジアムは、やはりナショナルスタジアムこそふさわしく、スポーツのための重要なオリンピックレガシーの活用を掲げ、国と再協議していくべきと考えます。改めて知事の見解を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 石原知事は所信表明で、豊洲新市場予定地について、市場用地として安全・安心を十分に確保できる旨、専門家会議から提言をいただいたと述べていますが、全くもって問題の本質がわかっていないといわざるを得ません。
 東京都が市場の移転を前提として検討している以上、どのような専門家、どのような技術者が判を押したとしても、いつまでたっても都民の理解を得ることはできません。
 過去、市場審議会や再整備推進協議会などにおいて、極めて少数の人間によって既成事実を積み重ねてきたのと、全くもって同じです。
 私たちは、もうここに至っては、築地市場の豊洲移転計画を見直して、公平公正な形で現在地再整備をもう一度検討すべきだと考えます。
 石原知事はこの間、アスベストの問題などを掲げて、築地での現在地再整備が困難であると主張していますが、石原知事が専門家会議や技術会議を設置してまで豊洲移転を図ろうとする、その熱意や情熱と同様に、現在地再整備が本当に可能なのか不可能なのか、アスベストの対策なども含めて、技術者や専門家の英知を集め、改めて検討すべきではないでしょうか。
 東京都が主導する審議会や協議会でない、第三者的な立場の技術者や専門家によって、現在地再整備を改めて検討すべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 この間の築地市場の流通量は大きく減っています。年間取扱量は、ピークの昭和六十二年の百三十万トンから平成十九年の八十九万トンと、約三〇%減少しています。市場関係者の中にも、昔と比べて混雑しなくなったと感じている人もおり、こうしたことから、現在地での再整備が今では可能になったのではないかと考えている人たちも多いのです。
 一方で、市場における流通実態を調査する生鮮食料品等流通実態調査は、過去三年ごとに実施されてきましたが、平成十六年以降、実施されておらず、改めて調査をすることが必要です。また、築地市場の搬出入の実態についても、最新のデータを得るために、引き続き調査をしていくべきではないでしょうか。
 私は、改めて築地を含めた市場の流通実態調査を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、集中豪雨対策について伺います。
 ことしの夏は、突然の局地的、短時間の集中豪雨、いわゆるゲリラ豪雨によって、川や下水道が急激に増水し、人が流されてしまうという痛ましい事故が相次ぎました。
 大都市における局地的集中豪雨の発生要因として、前線や寒気の影響で不安定になった大気が都市部のヒートアイランド現象で一層不安定さを増し、豪雨が起きやすくなること、高層ビル群に湿気を含んだ海風がぶつかって上昇し、積乱雲が急成長しやすいことなどがいわれています。
 私たちは、局地的集中豪雨の発生を抑制する対策として、平成十七年の都議会議員選挙におけるマニフェストで掲げた、ヒートアイランド対策としての風の道の確保が極めて有効であると考えます。
 都は、「十年後の東京」の重点政策の一つとして、風の道を位置づけました。しかし、その主な施策は、街路樹による緑の充実にとどまっており、まだまだ不十分であるといわざるを得ません。
 都は、平成十八年策定の品川駅周辺整備に関する基本計画で、建築物の形状や配置の工夫により風の道を確保するよう誘導を図っていくことを盛り込みました。こうした取り組みを私たちは評価していますが、品川駅周辺の一部地域だけにとどめず、都内各地域へと広げていくことが重要と考えます。
 風の道の確保など、都市づくりにおける地球温暖化対策への取り組みについて、見解を伺います。
 都は現在、一時間五〇ミリの雨に耐えられるように、河川の拡幅や下水道の整備を進めていますが、この計画レベルでの河川の治水安全度達成率は、平成十九年度末で約七四%、下水道の浸水対策整備率では約五二%にとどまっており、少なくとも現在の計画の一〇〇%達成を急がなければなりません。
 下水道でいえば、ポンプ所や幹線、枝線と、下流から上流にわたる膨大な施設の整備が必要であり、都内全域で整備が完了するのは、三十年後の見通しと聞いております。
 下水道局では、くぼ地や坂下など、繰り返し浸水被害が発生している地域を重点化し、できるところからできるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるという整備方針で、貯留施設の整備など緊急的な対応を図る雨水整備クイックプランを策定し、被害の軽減に努めてきていますが、最近では、頻発している局地的な集中豪雨によって、新たに浸水被害が発生している地域があると聞いています。
 そこで、下水道局では、今後どのように豪雨対策に取り組んでいくのか、見解を伺います。
 一時間五〇ミリを超える雨水への対応力を少しでも高めるためには、河川や下水道への雨水の流出を抑制することが有効であり、保水力のある都市づくりを目指すべきと考えます。
 雨水貯留槽や雨水浸透ますの設置、浸透性舗装などを促進する必要がありますが、都内では、民間の開発などで雨水流出抑制施設の設置を行ったり、個人住宅に雨水浸透ますを設置する際に助成を行っている区市もあります。例えば小金井市は、約二十年前から、全国に先駆けて雨水浸透ますの設置普及に取り組み、普及率が五一%となっているほか、墨田区では、個人住宅向けの小型雨水タンクの設置に助成しています。
 このような区市の取り組みに対して、保水力のある都市づくりの観点から、都としても積極的にバックアップしていくべきと考えますが、雨水流出抑制策に対する都の基本的な考え方と具体的取り組みについて、見解を伺います。
 九月十一日、熊本県の蒲島知事が、国の川辺川ダム計画に反対を表明しました。現時点では、事業が本当に中止になるかどうか、結論は出ていませんが、むだな公共事業の横綱として、東の八ッ場、西の川辺川ともいわれてきた川辺川ダムが大きな節目を迎えたことになります。関係者の意見を広く聞き、賛否両論あることを十分に理解した上での決断には、敬意を表したいと思います。
 一方、八ッ場ダムについては、国や都は、今も計画推進の立場をとっていますが、ことしの第一回定例会でも申し上げたとおり、まず、これまで何度も見直してきた水需要予測の見直しをなぜ今やらないのか、私たちは極めて疑問に思っています。
 また、八ッ場ダムは、先ほど述べたような都市型の局地的集中豪雨には何の役にも立たない上、利根川上流での大雨に対しては、堤防整備率五五%と、利根川水系の河川整備が滞っている限り、ダムだけが完成しても、治水上、大きな役には立ちません。
 八ッ場ダム本体着工直前の今だからこそ、半世紀以上に及ぶダム計画の歴史を振り返り、一度立ちどまって事業を精査し、ダムの必要性を再検証するとともに、ダム計画に翻弄されてきた建設予定地住民の生活再建を第一に考え、一刻も早く安心して暮らせる、落ちついた生活を取り戻してもらうべきと考えます。
 そこで、蒲島熊本県知事の川辺川ダム計画反対の決断に対する評価、並びに八ッ場ダム計画の再検証実施の必要性について、石原知事の見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えますが、答弁によっては再質問を留保させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
 〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 酒井大史議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、麻生新政権の誕生についてでありますが、大変結構なことだと思います。麻生氏は、前任の首相や野党の党首と大分違いまして、自分の政治理念を自分の言葉、自分のレトリックで明確に語ることのできる資質を備えた、立派な政治家だと思います。
 彼の五代前の先祖の大久保利通内務卿は、日本の近代化のために必須の、日本の官僚制度というものをつくりました。それはそれでよかったんですけど、その官僚がばっこし過ぎまして、今の日本の政治を壟断しているような事態でありますから、五代後の新しい総理大臣がご先祖の労に報いるために、今日の官僚制度というのを抜本的に改質、改善していただきたいと期待しております。
 次いで、福田前総理との約束についてでありますが、そもそも日本の税制は、国がもう一方的に勝手に決められるものでありまして、ということで、法人事業税の分割基準を国が勝手に変えて、三千億というものを東京から、ある意味じゃ、ふんだくったわけですけれども、しかし、抵抗するすべもございませんから、それについての会談の申し入れがありましたので、これを逆手にとる意味で、東京にとって必須の事業というものを優先するように条件をつけて、この約束を取りつけました。
 もとより、これは一国の総理大臣と都の代表であります都知事との約束でありまして、政党が変わったらどうなるかわかりませんけれども、同じ政党の総理大臣がかわることで、これが本質的に変わるということはあり得ないと思います。あってもならないことだと思います。
 したがって、いわれるまでもなく、この国との約束を確実に履行を求めてまいります。
 それにしても、この質問をお聞きする限り、都議会民主党というのは、総選挙の後も自民党政権が続くことを前提に考えていらっしゃるようで、これはいささか、けげんな感じがいたしますが。
 次いで、国の緊急総合対策や定額減税についてでありますが、今回の国の対策のように、国民の不安を解消するために、厳しい財政状況の中にあって、財政の規律を堅持しつつ、打つべき手を打つのは政治として当然のことであります。
 もとより、国家財政の立て直しは、この国のあり方を根本から見直すというドラスチックな取り組みにかかっております。役人や議員の数を思い切って減らすなど、国がみずからの身を切る努力を重ねること、地方への関与や補助金、あるいは二重行政を廃止する分権改革を進めること、さらには、消費税の見直しを初めとした税制の抜本改革に正面から挑んでいくことが必要であると思っています。
 国民のために打つべき手は打つ、同時に、この国の形を本質的に変え、国家財政を立て直す、両方に果敢に取り組んでいくことが真の政治だと思います。
 次いで、新銀行東京の事業連携についてでありますが、新銀行東京は、再建に向けてさまざまな努力を今重ねております。
 事業連携の進捗状況につきましては、その性格上、相手の立場もあることですから、今この段階で答えることは差し控えさせていただきます。明らかにできる段階になれば、きちんと報告をいたします。
 次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、北京では、ジャパンハウスを中心にPR活動を行いまして、海外メディアやIOC関係者など、多くの方々に東京の魅力を十分伝えることができたと思います。
 記者団から、招致の参考になったかと聞かれ、ないと答えたのは、日本は発展途上国型のものではなくて、全く違う先進国としての洗練性というものを誇示するような、そういう開会式をやりたいと思っているということで申し上げました。
 二〇一六年東京大会では、成熟した都市の中心において、ハイテクを駆使し、地球環境問題の解決に資する、世界一コンパクトで、しかも日本人独特の鋭い感性と日本の美意識を表現した、日本ならではの大会を開催することを改めて決意いたしました。
 次いで、オリンピックにおける平和の理念についてでありますが、いうまでもなく、オリンピックは、世界最高峰のスポーツ大会であると同時に、人種や国境の壁を取り払い、世界を一つに結ぶ文化と平和の祭典であります。
 六十年以上にわたり平和を堅持してきている日本が、オリンピック・パラリンピックにおいて平和を世界に喚起することは当然のことであります。
 大変失礼しました、ちょっと順不同になりましたが、銀行についての質問を飛ばしましたので……。
 加えて申しますと、新銀行東京の減資に対する責任についてでありますけれども、新銀行東京が、この経営の失敗により多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を毀損したことについては重く受けとめております。
 今回の減資は、過去の繰越損失を解消し、財務体質の改善を図るために必要な措置と考えております。新銀行東京を再建し、都民のお役に立つ銀行とすることが私自身の責任であると心得ております。
 次いで、新銀行東京の提起した訴訟についてでありますが、この訴訟は、新銀行東京が元行員の機密保持義務違反に対して提起したものであります。現在係争中であり、司法の判断にゆだねられるべき問題であります。
 なお、私の発言は、メモの信憑性について述べたものでありまして、また、新銀行東京が機密保持義務に違反した元行員を提訴したことをもって言論弾圧などというご指摘は、全く筋違いと思います。
 新銀行東京に対する金融庁検査についてでありますが、金融機関は、その監督官庁であります金融庁の検査結果に従う必要があります。
 新銀行東京に対する検査は現在も継続中でありまして、今の時点で私が検査について見解を申し上げることは適切でないと思います。
 今大事なことは、新銀行東京の再建に向けた取り組みを着実に進めることであると心得ております。
 次いで、築地市場の現在地再整備についてでありますが、築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ております。衛生面での課題やアスベストの問題もあり、一刻も早い対応が必要であります。
 豊洲地区への移転については、長い年月をかけて、関係者間で再整備も含め、さまざまな案を検討し、議論を尽くして決定したものであります。
 現在地再整備は、種地がなく、営業を続けながらの工事が困難なことや、市場に求められる新たなニーズに対応できないことなどから不可能であります。このことは、本年五月に出された業界団体の大多数からの要望書においても明確に述べられております。
 現在、専門家会議からの提言を踏まえ、技術会議において、確実で、コスト面でもすぐれた土壌汚染対策を検討しておりまして、この研究に基づき、都として早期に土壌汚染対策計画を取りまとめ、都民や市場関係者が安心できる万全な対策を講じていきます。
 どうかひとつ、日本の先進技術というものの水準を信じて、この問題に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、補正予算についてでありますが、今回の補正では、都民が抱える不安の高まりに緊急かつ積極的に対応していくための、早期に実現すべき諸施策を厳選して計上いたしました。
 また、所信表明で既に説明したとおり、減債基金への積み立てについては、必要なものは早く実施することが財政的にメリットがあると判断しました。
 このように、今回の補正予算は、直ちに手を打つべき必要な施策をそれぞれ計上したものでありまして、ご批判は当たらないと思います。
 最後に、八ッ場ダム計画の見直しについてでありますが、川辺川ダム計画に関する熊本県知事の見解は、球磨川の治水のあり方、ダム建設予定地や流域の事情などを熟慮した上で、重い決断をされたものと認識しております。
 一方、人口や都市機能が高度に集中する首都圏においては、治水、利水の安全度を向上させる上で、八ッ場ダムは必要不可欠な施設であり、一都五県が合意のもと、国により建設が進められているものであります。
 具体的には、川辺川ダムでは、流域の人口は十四万人であるのに対し、八ッ場ダムでは、人口がその百倍近くもありまして、ダムの受益は広く大きく及ぶものであります。
 また、川辺川ダムの地元では、建設の賛否が分かれるのに対し、八ッ場ダム建設地の二つの町では、そろってダムの早期完成を要望しており、地元の状況もかなり大きく異なっております。二つのこのダムのケースを同一視して事を論ずるのは、いささか軽率ではないでしょうか。
 八ッ場ダム計画を再検証せよとのご指摘でありますが、今なすべきことは、地元の地域振興、生活再建を十分支援した上で、ダムを一刻も早く完成させることであります。都としては、計画の見直しは全く考えておりません。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
 〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、景気の現状認識と今後の見通しについてでございますが、物価の高騰や失業率の上昇など、都民生活を取り巻く環境は厳しさを増しております。
 米国発の金融危機などにより、景気が一段と減速するリスクが高まっておりまして、こうした景気の影響を受けやすい都税収入の動向や法人事業税の国税化による影響も加わり、都財政をめぐる環境は、一層厳しくなるものと見込んでおります。
 次に、今回の減債基金への積み立てについてでございますが、新銀行東京への当初出資に係る出資債分について、今般、減資の決定に伴い、所要額を減債基金に積み立てるものでございます。
 これは地方財政法の趣旨に基づく義務的経費であり、早期の積み立てにより安定的な財政運営に資することが、財政規律の観点から適切でございます。また、早期の積み立ては、都債発行条件の改善や運用益の増加などの財政効果を生むことともなります。したがって、ご指摘は当たらないと考えております。
 次に、補正予算についてでございますが、決算剰余金は、都民のために有効かつ適切に活用すべきものであり、都民の抱える不安の解消に必要な施策を実施する今回の補正予算の財源として適切なものと考えております。
 また、決算剰余金の二分の一以上は、法律に基づき、基金積み立て等に充当することが義務づけられておりまして、今回の減債基金への義務的積み立ては、これに該当するものでございます。
 今後の財政運営に当たりましても、適切に対応してまいります。
 次に、入札における最低制限価格についてでございますが、この制度は、工事品質を確保するための仕組みであり、その価格は、適切な算定基準に基づき、発注する工事の内容に応じてあらかじめ定めておくべきものでございます。
 したがいまして、ご提案のような、工事内容ではなく入札金額の平均によって最低制限価格を決めるという仕組みは、工事品質の確保を目的とする本制度の趣旨からして、適切ではないと考えております。
 次に、入札金額の積算内訳についてでございますが、都の工事契約では、入札参加者全員に積算内訳書の作成を義務づけ、積算能力のない事業者の落札や工事品質の低下を未然に防ぐ仕組みを設けております。
 また、過度の低価格入札については、低入札価格審査委員会を設置し、積算内訳書の内容につきまして詳細な調査を行い、入札の適否を判断しております。
 ご提案の入札金額の内訳の公開は、事業者がこれまでに培ってきた積算ノウハウまでが公開されることになりまして、公正な競争を阻害するおそれが強く、適切ではないと考えております。
 次に、単品スライド条項についてでございますが、ご質問でこの制度の効果について疑問が示されましたが、都は、申請する受注者の事務負担を軽減するため、請求手続の簡素化などを行っており、また、都における工事契約は、年間約五千百件、金額にして土木工事が約三千二百億円、建築設備工事が約二千億円、合わせて約五千二百億円という大規模なものでございまして、今回の都の措置は、受注者負担の軽減や公共工事の円滑な執行に多大な効果をもたらすものと考えております。
 最後に、スライド条項についてでございますが、今回の対応は、鋼材類や燃料油など、特定の資材が短期間に急激な価格高騰を示したことに対する受注者リスクの軽減を目的としておりまして、単品スライド条項の適用が最も適切でございます。
 なお、対象資材の拡大については、既に実施済みでございます。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及についてでございます。
 現在、新銀行東京は、今後の法的対応などを検討するため、外部の弁護士に委託して調査を進めているところでございます。調査は、年内を目途に結果を得る予定と聞いており、その内容について申し上げる段階ではございません。
 次に、新銀行東京の会計監査人についてでございますが、会社法では、会計監査人について資格要件は規定されておりますが、従業員数など、その規模は要件とされておりません。
 新銀行東京の会計監査人が交代をいたしましたのは、契約期間の満了によるものでありまして、本年六月の監査委員会において、適正な手続を経て選任されたものでございます。
 新たな会計監査人においても、法令の規定にのっとりまして、適正な監査が行われるものと考えております。
 次に、新銀行東京の情報公開についてでございます。
 新銀行東京は、経営情報につきまして、これまでの中間、期末決算に加え、今年度からは四半期決算についても公表したところでございます。
 都は、今後においても、新銀行東京から報告を受けた経営情報につきまして、原則として四半期ごとに、銀行の経営に影響を及ぼさない範囲で、可能な限り開示してまいります。
 なお、商品構成が異なるため、単純な比較はできませんけれども、第一・四半期の無担保、無保証融資の実績は、前年同期の二百九十五件、約三十八億円に対し、今期は十七件、約二十七億円となっております。
 最後に、多摩シリコンバレーの形成に向けたインセンティブの創設についてでございます。
 多摩シリコンバレーの形成に当たりましては、圏央道等の整備を契機といたしまして、多様な交流機能の強化を図るとともに、地域特性を踏まえた企業集積の促進も重要でございます。
 このため、都は、区市町村の企業立地促進法活用への支援はもとより、今年度、創造的都市型産業集積創出助成事業を創設いたしまして、みずから積極的に企業誘致等に取り組む区市町村を、最長三年間にわたり支援することといたしました。
 また、都内で工場等を新設、拡張する中小企業を資金面で支援する長期の融資制度も創設をしたところでございます。
 多摩産業支援拠点の整備とともに、これらの施策をあわせて展開することで、多摩シリコンバレーを着実に形成をしてまいります。
〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、消費生活基本計画についてでございますが、深刻な消費者被害から都民を守るためには、消費者行政を機動的に展開することが重要でございます。
 このため、今回の基本計画では、ご質問の年次計画は策定しないものの、毎年度、消費者団体や事業者団体の代表などで構成する消費生活対策審議会に具体的な施策の推進状況等を報告し、その意見を反映しながら、計画の着実な推進を図ることとしております。
 また、都はこれまでも、都民公募による消費生活調査員の活用など、多くの場面で都民の参画を得ながら消費者行政を進めてきておりまして、今回の基本計画においても、都民の意見を吸収するさまざまな施策を定めているところでございます。
 次に、消費生活総合センターの体制強化についてでございますけれども、その相談機能の強化に関しましては、何よりもまず、専門人材の需給の状況を見きわめることが必要でございまして、同時に、都の消費生活総合センターが都内のセンター・オブ・センターズとしての役割を担っている点を十分に踏まえるなど、総合的、多角的に検討した上でなければ、相談業務の質を確保したまま実効性ある対策を講ずることは大変困難だというふうに考えております。
 こうした検討を行った上で、具体的には、先ほどご答弁をいたしましたとおり、来年度早期に、土曜日にも相談窓口を開設するとともに、相談体制の充実強化を図っていくこととしたものでございます。
 最後に、子どもの事故防止に向けた取り組みについてでございますが、都は、身近な商品等による事故を防止するため、都内の消費生活センターに寄せられる相談情報のみならず、東京消防庁等との定期的な情報交換で得られる危害危険情報を収集、分析し、安全対策を検討の上、都民等へ情報を発信してきております。
 子どもの事故防止対策につきましては、国内のみならず、広く海外の事例を分析することも含め、調査検討を行っておりまして、これまでも、国に先駆けまして、子ども用の衣類やアクセサリー、化粧品等の危険性について検証し、その成果をもとに、国や事業者団体等へ提案、要望を行うとともに、リーフレットやホームページにより、広く消費者への注意喚起を実施してきております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、自殺防止対策についてでありますが、自殺には多様かつ複合的な背景がありますが、中でも経済、生活問題が重要な要因となっていることは十分承知をしております。
 このため、都は既に、多重債務問題を抱える都民に対して、債務整理に向けて法律専門家に確実につなぐなどの相談、支援を行っております。
 また、生活の安定と正規雇用への意欲がありながら低所得の状況から抜け出せない都民に対して、生活費の貸し付けや就職への支援などを新たに開始をいたしました。
 今後とも、経済的な問題の解決に向けた施策を初めとして、幅広い分野の取り組みを進めることにより、自殺の未然防止を図ってまいります。
 次に、区市町村への支援についてであります。
 自殺防止対策を効果的に進めるためには、区市町村が地域の特性に応じた取り組みを行うことが必要であります。
 都はこれまでも、保健所を中心とした自殺防止対策を行ってきましたが、さらに今年度は、地域での取り組みを促進するため、足立区においてモデル事業を実施することとしております。
 具体的には、地域の実情を踏まえて、区内の行政機関や民間団体等による自殺防止のためのネットワーク構築と、自殺の危険の早期発見、早期対応のための人材育成などを行うものであります。このモデル事業における取り組み状況等も踏まえながら、区市町村への支援のあり方について検討してまいります。
 最後に、自殺防止のための情報提供と支援についてでありますが、さまざまな問題や悩みを抱える人に的確な情報を提供し、必要な支援を行う仕組みをつくることが重要でございます。
 このため、都は、本年二月に、都内のさまざまな相談機関の協力を得まして、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを立ち上げ、都民がどの窓口を訪ねても、悩みに応じた相談、支援に円滑につながる体制の整備を図っているところであります。
 今後とも、さまざまなチャンネルを活用し、支援を必要とする人に確実に情報が提供できるよう努めるとともに、関係機関の連携をより強化し、自殺防止対策に積極的に取り組んでまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 二点についてお答えいたします。
 まず、世論の支持についてでありますが、現在、都民、国民の九割が二〇一六年オリンピック・パラリンピックの東京への招致を認知しておりますが、これは、都議会や都内区市町村を初め、各方面とのこれまでの連携強化の成果でもあります。
 こうした結果を踏まえまして、今後は、東京オリンピックの開催理念や目指す目標、計画の内容、都民、国民にとってのメリットなどを、各界のオピニオンリーダーやメディアの協力も得ながら強く訴え、その浸透を図ってまいります。
 さらに、小中学生や高校生に対し、オリンピック学習読本を活用して理解を促進するなど、世代に応じたさまざまな工夫により招致への賛同を広げ、オリンピック・パラリンピックに対する理解と支持を高めてまいります。
 次に、オリンピックスタジアムについてでありますが、神宮の国立霞ヶ丘競技場では、IOCの求めるメーンスタジアム及び補助競技場を設置することが物理的に困難であることから、これまで、立地条件のよい晴海に国立で整備するよう、国に対して要望してまいりました。
 しかし、国は、東京に二つの大規模競技場を建設できないとの立場でございます。そのため、都は、開催都市としての責任を果たすとともに、大会後に都民のスポーツ、文化の拠点を残す観点から、晴海に都立で整備することといたしたものでございます。
 国に対しては、今後とも、スタジアムの整備やオリンピックレガシーとしての活用について、最大限の協力を求めてまいります。
 また、都民、国民に対しまして、今後とも、オリンピックスタジアムを含め、開催計画の内容をわかりやすく説明して、さらなる理解を得てまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関して、流通実態調査等の実施についてでありますが、築地市場の流通実態を把握し、新市場の整備計画を策定するためには、市場で取引される生鮮品の産地、種類、取扱数量、搬出先や販売先、輸送に係る車両の種類、台数などが基本データとして必要でございます。
 このうち、市場で取引される生鮮品の産地、種類、取扱数量につきましては、卸売業者からの報告により把握しており、毎年、年報として取りまとめております。
 また、生鮮品の搬出先や販売先については、五年ごとに改定する卸売市場整備計画の策定に合わせて、来年度調査を実施する予定でございます。
 築地市場へ出入りする車両の種類や台数、路上駐車の数等については、これまで、平成十年、十四年、十七年の三回にわたって調査を実施しておりますが、入場車両数等の状況に大きな変化が見られないことから、現時点で改めて調査を実施する予定はございません。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市づくりにおける地球温暖化対策についてでございますが、都はこれまでも、都心部等での保水性舗装や屋上緑化、都市開発を進める中での風の道の確保など、ヒートアイランド対策に取り組んでまいりました。
 また、既に、都市再生特別地区など大規模開発を対象に、最高水準の省エネ技術の導入を図る取り組みを開始し、環境負荷の低減に努めております。
 今後とも、都市の更新を適切に進め、環境に十分配慮した高度な都市機能を備えた東京の実現を推進してまいります。
 次に、雨水流出抑制策に対する都の基本的考え方と具体的取り組みについてでございます。
 昨年八月に策定した東京都豪雨対策基本方針では、流域の特性や土地利用の状況などを踏まえて、貯留施設や浸透施設の設置などの流域対策を重点的に行い、時間五ミリ相当分の雨水流出抑制効果を発揮させることとしております。
 このため、都は、これまで行ってきた開発行為に対する指導に加えまして、昨年度から、浸水被害が頻発している流域を対象にしまして、区市が行う個人住宅への浸透ます設置費用の助成に対しまして補助を行っております。
 今後とも、区市と連携して、効率性などにも配慮しつつ、雨水の流出抑制に取り組んでまいります。
   〔下水道局長今里伸一郎君登壇〕

○下水道局長(今里伸一郎君) 下水道の豪雨対策についてお答えいたします。
 昨年策定いたしました東京都豪雨対策基本方針では、浸水予想区域図などをもとに、浸水の危険性が高い二十地区を重点化し、対策促進地区として一時間五〇ミリメートルの降雨に対応できるよう、ポンプ所や幹線などの基幹施設を整備することといたしております。
 また、東京駅周辺など、大規模な地下街等があり、浸水被害の危険性が高い六地区を選定して、一時間七〇ミリメートルの降雨に対応できるよう、貯留施設などを整備していくことといたしております。
 これらの対策を今後十年間で完了させるなど、着実に浸水被害の軽減に取り組んでまいります。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

○百二十一番(酒井大史君) それでは、再質問させていただきます。
まず、新銀行の一問目。
 私は、だれもが責任をとらずに都民の財産が毀損してしまうことに対して、知事の見解を求めたものでございます。知事からは、重く受けとめているという話もありましたが、知事が旧経営陣の責任だと強弁するならば、訴えるなどして、その責任を問うていただきたいと思います。
 知事は、新銀行を再建し、都民のお役に立つ銀行とすることが私の責任と答えましたが、そもそも、中小企業を支援するために設立された新銀行が、このような景気状況の中で、何ら用を足していないのが現状なのです。
 新銀行の設立に使われた都民の税金一千億円はどうなったのでしょうか。せっかくの都民の税金が、だれも責任をとらずに毀損してしまうことに対しての石原知事の見解を求めたものであります。改めて見解を伺います。
 次に、新銀行の二問目。
 石原知事がいろいろな事例が出ていると発言していることに対して、石原知事は答弁さえしていません。
 東京都に聞いても知らぬ存ぜぬで、例えば捜査当局からの協力要請があったのかを確認しても、東京都がその監視機能を果たしているようには思えません。
 石原知事は、単なるブラフなのか、だれから何を聞いて、どのような事例があると発言しているのか、見解を伺います。
 次に、新銀行の四問目。
 金融庁の検査について、石原知事は、見解を申し上げることは適切でないと答弁をされました。しかし、石原知事は三月二十五日の予算特別委員会で、日銀考査の報告を受けたが、都の幹部に伝わっていないと聞いて驚いたと答弁した前例があります。
 もし仮に、金融庁の検査について本当に知らないのであっても、新銀行の再建を着実に進めていこうと考えるのであるならば、少なくとも、新銀行には早急に金融庁の検査結果を公表するように求めてしかるべきではないでしょうか。
 金融庁の検査結果に対する石原知事の姿勢について見解を伺います。
 次に、新銀行の七問目。
 新銀行の事業連携について、私は、八月二十九日の定例会見で、石原知事が九月には報告をすると述べていたので、質問したものであります。明らかにできる段階になれば報告するとの答弁でしたが、それでは、九月に報告をするといったのは何なのでしょうか。
 事業連携がうまくいっていないのか、失敗したのか、あるいは、めどもないのに口走ってしまったのか。事業連携の進捗状況について見解を伺います。
 ほかにも伺いたいことはありますが、時間の関係もありますので、以上四点について伺いますが、私も、知事に対して、再度このような答弁を求めざるを得ないのは残念無念であります。どうか石原知事の誠意ある答弁を求め、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 再質問にお答えいたします。
まず、第一番目に出資金の毀損に対する責任についてでありますが……
   〔発言する者多し〕

○副議長(石井義修君) ご静粛に願います。

○産業労働局長(佐藤広君) 先ほど知事がお答えしたとおりであります。新銀行東京が、その経営の失敗により多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を毀損したことについては重く受けとめております。
 旧経営陣に対する責任追及については、現在、新銀行東京が、今後の法的対応などを視野に入れ、調査を進めているところでございます。
 次に、経営上問題のある事例についてのご質問ですが、これも先ほどお答えいたしましたが、新銀行東京の調査は年内を目途に結果を得る予定と聞いており、その内容について申し上げる段階ではございません。
 次に、早急に金融庁の検査結果を公表するよう求めるべきであるとのご質問ですが、新銀行東京に対する金融庁の検査は、現在も継続中であります。なお、個別の金融機関に対する検査等の内容は不開示とされております。
 最後に、事業連携の進捗状況についてでございますが、先ほど知事がお答えしたとおり、事業連携の進捗状況につきましては、その性格上、答えることは差し控えさせていただくとしております。明らかにできる段階になれば、ご報告申し上げます。

○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時三十八分休憩

   午後四時五十三分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十五番鈴木貫太郎君。
   〔八十五番鈴木貫太郎君登壇〕

○八十五番(鈴木貫太郎君) 私は、都議会公明党を代表し、質問をいたします。
 私の住む荒川区が生んだ水泳の北島康介選手の活躍に象徴されたように、北京オリンピック・パラリンピックでのアスリートたちの人間力には、私ならずとも、多くの都民が感動を覚えたのではないでしょうか。二〇一六年オリンピックの東京招致に向けて、改めて思いをはせたのであります。
 一方、平和の祭典であるオリンピック・パラリンピック開催中にグルジア紛争が勃発。サブプライムローンに端を発した金融危機は、新たな世界の金融不安の連鎖に発展をしようとしております。
 一方、国内に目を転じても、ゲリラ豪雨や汚染米事件など、これまでの常識、予想をはるかに超える事態が相次いでおります。時代の危機を乗り越えたジュリアス・シーザーの、ただ迅速果敢な行動のみがすべてを決定するという箴言が、私は思い出されてなりません。
 混沌とした時代のカオスを打ち破る東京ならではの行動が今こそ求められているのであります。こうした観点から、以下、知事並びに関係局長に伺ってまいります。
 初めに、補正予算に関して質問いたします。
 我が国経済は、景気後退局面に入った公算が高く、今後の経済の見通しは極めて不透明であります。特に原油価格や物価の高騰は、都民生活に大きな影響を与えております。
 都民の不安は、先行き不透明な経済の問題だけではありません。首都東京においては、いつ大地震が発生しても不思議ではない状況にあります。さらには、東京は膨大な昼間流入人口を抱え、都市機能が高度に集約しているがゆえに、さまざまな危機が先鋭的にあらわれております。
 今日の都政に求められている課題は、都民生活が直面する不安に対して、生活者の視点に立ち、具体的な手だてを早急に講じることでありましょう。
 都議会公明党としても、こうした観点から、八月二十七日に緊急要望を行ったところであります。
 今回の補正予算案では、我が党の要望を受け、年長フリーターを対象とした雇用対策を初め、現下の厳しい経済環境を乗り切るための中小企業支援対策、小中学校の耐震化対策等が盛り込まれております。ほかにも、新型インフルエンザ対策、低炭素社会への取り組みなど、都民の不安を解消するための具体的な施策を取り入れており、高く評価をするものであります。
 都民が危機に直面している今こそ、都民生活のセーフティーネットとして、積極的に施策をこの際展開すべきと考えるものであります。
 そこでまず、この時期に補正予算の編成を決断した石原知事の考えを伺うものであります。
 今回の補正予算は、将来の財政運営の足かせとなることを避け、かつ都民生活への影響を最小限にとどめるため、地方債の発行、基金の取り崩しを行わず、その全額を平成十九年度決算剰余金で賄うこととしたところであり、これは、都財政の長期にわたる財政再建努力の結実があったからこそ可能となったものであると高く評価をいたします。
 その上で、補正予算の内容に関連して、以下二点質問をいたします。
 まず、保育所等の耐震化についてであります。
 都議会公明党は、さきの第二回定例会代表質問において、学校などの耐震化の取り組みを加速させ、特に経営基盤が弱く、耐震改修がおくれている私立の学校、幼稚園、保育所等について、都独自の支援策を講じるよう求めてまいりました。
 都はこれを受け、今回の補正予算案で、耐震診断の実施を促進するための補助率を三分の二から五分の四にかさ上げをいたしました。さらに、保育所等については緊急に実態調査に着手するなど、我が党の主張を受けての迅速な対応を、この際、高く評価をいたすものであります。
 そこで、この実態調査を受けて、保育所等の耐震化を推進するための今後の取り組みについて、都の見解を求めるものであります。
 次に、年長フリーター対策について質問いたします。
 今回の補正でネクストジョブ事業が提案をされておりますが、採用する企業側を見ると、三十代で正社員の経験がないといった方については、履歴書を見ただけで、経験不足を仕事能力の不足ととらえて、採用に二の足を踏むようなことが多いという現実がまさにあります。
 こうした状況を変えるには、都として企業に積極的アプローチすることが重要であり、また、採用後の職場定着まで支援する仕組みも必要と考えます。都の見解を求めるものであります。
 次に、原油価格並びに資材価格の高騰対策について質問をいたします。
 まず、公共工事発注後の資材価格高騰に応じ、工事費の支出を上乗せする、いわゆる単品スライド条項についてであります。
 単品スライド条項とは、いうまでもなく、第二次オイルショック期間の昭和五十五年に、石油価格の高騰による建設資材の価格変動に対応し、特別措置として契約金額の変更を行ったことを受け、昭和五十六年に単品スライド条項が工事請負契約書に規定されたものであります。
 以来二十八年間、この単品スライド条項の適用事例はありません。昨年来の石油高騰による、鋼材を初め建設資材の急激な価格上昇により、公共工事を取り巻く社会経済情勢は大変厳しいものとなったため、都議会公明党は、都に対して本条項の初適用を強く申し入れを行ったのであります。
 都はこれを受け、六月十六日、この単品スライド条項の適用を発表いたしました。迅速な対応を評価するものであります。また、我が党の強い要望を受け、対象資材を鋼材類、燃料油に限定せず、その他の資材まで広げたことは、高く評価をまずいたします。
 しかしながら、六月十六日の適用発表から三カ月が経過した今日でさえ、いまだにこの条項が適用された工事は一件もありません。
 資材高騰に苦しむ事業者に対応するための単品スライド条項であります。早期にさかのぼって本条項の適用を実施するとともに、今後の状況を見据えながら、一%条項、すなわち、価格上昇に伴う増額分のうち、資材別に対象工事費の一%を超える部分のみ都が負担をするという条件については、早期に撤廃をすべきと考えます。あわせて見解を求めるものであります。
 次に、原油価格の高騰の影響を直接受けている公共交通機関、とりわけバス交通について質問をいたします。
 東京におけるバス交通は、経営環境の厳しさに対し、みずから輸送サービスの改善、運行の効率化、合理化を進めるなど内部努力を続けておりますけれども、追い打ちをかける軽油価格の高騰によって、一部路線の廃止、運行回数の縮小を検討せねばならない状況に追い込まれているのであります。
 そこで、通勤通学など、都民の日常生活を支える公共交通機関として重要な役割を担うバス交通について、都としての支援策を、この際、検討すべきであります。見解を求めます。
 特に、都の温室効果ガスの二五%削減目標を見据えたときに、CO2排出量が約一五%削減でき、低燃費のハイブリッドバスの導入はとりわけ重要であります。国の低公害車に対する補助制度を例に挙げるまでもなく、都は、積極的に導入助成をまず行うべきであります。見解を求めます。
 次に、契約制度改革について質問をいたします。
 都の入札契約制度改革研究会は、先般、入札契約制度改革に関連し、直ちに実施すべき当面の対策として、九項目にわたる第一次提言を受け、都が実施方針を発表いたしました。
 今回、都が明らかにした実施方針は、透明性と競争性の向上を目指しながらも工事品質を確保し、入札不調の解消、低価格競争抑制への試みであり、本年第一回定例会の予算特別委員会での我が党の主張にこたえたものとして、一定の評価をまずするものであります。
 研究会では、今後の制度改革の抜本的な解決策の視点として、予定価格の事前公表、総合評価方式、最低制限価格、契約担当者を窓口としない不服審査機関の設置、発注者側の技術能力の向上などを挙げております。
 中でも、事業者の社会貢献活動等の評価のあり方について取り上げておりますけれども、災害復旧に関する地域への貢献、高齢者、障害者雇用など、都の施策推進に貢献している事業者に対しては、改革される入札契約制度の中で、何らかの優遇措置を講じていくべきと考えます。見解を求めるものであります。
 次に、行財政改革について質問をします。
 都が三年間の行財政改革の具体的な道筋を示した行財政改革実行プログラムは、本年度で一区切りとなります。
 今後の行財政改革における大事な視点として、第一に、都立病院の行政的医療の存続など、効率化を進めながらも、都民サービスの向上、不安解消など、都民の視点に立って改革を進めること、第二に、団塊の世代を中心とした職員の大量退職が見込まれる中においても、都が引き続き責任を持って担うべき業務とは何かを再検証するとともに、技術、ノウハウを着実に継承していくことなどが挙げられます。
 都は、以上の視点も踏まえ、今後の改革の基本的方針を明らかにした上で、新たな実行プログラムを取りまとめるべきと考えます。答弁を求めるものであります。
 関連して、監理団体については、これまで、都議会公明党の主張を踏まえ、団体の統廃合、都派遣職員数の削減などの改革が進んできており、高く評価をいたします。
 しかし、一方で、外郭団体に対する都民の視線はますます厳しく、手綱を緩めることなく、さらなる監理団体の改革を進めていく必要があると考えます。見解を求めます。
 むだを削減する具体的な事例として、都は、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを策定し、事業者や都民を牽引する意味で都の率先行動を示しております。
 その中には、建設局による街路灯、公園灯の省エネ照明灯への転換、警視庁による信号灯器のLED化への転換の取り組みが挙げられております。こうした取り組みは、CO2削減に加え、電球が長寿命であるため、交換に要する手間も省け、さらに、毎月かかる電気使用料金、コスト削減にも大きく貢献するものではないでしょうか。
 今後、都は、照明の省エネ化によるコスト削減効果をも踏まえて、環境局が各局に対し、これまで以上にリーダーシップを発揮し、都の率先行動を推進していくべきと考えます。都の見解を求めておきます。
 次に、東京オリンピック・パラリンピック招致及びスポーツ振興基本計画について質問をいたします。
 石原知事が北京オリンピックの開会式に出席をされ、東京招致への強い意欲を内外にアピールされたことを、我が党は高く評価するものであります。我が党も北京オリンピック視察団を派遣し、開会式に出席したのを初め、セキュリティー対策、選手村施設、オリンピックレーンによる渋滞対策、ジャパンハウスを中心とした招致活動をつぶさに視察してまいりました。
 何よりもまずは、友好都市東京として、北京大会が成功裏に終わったことを心から祝福するわけであります。この北京大会の開催を通じて、北京に足を運ばれた石原知事は、東京招致に向けて参考になった点は何か、また、北京での招致活動の取り組みの成果について知事の所見を伺うものであります。
 東京オリンピック・パラリンピックの招致活動を強力に進めていく上で、単に高齢者、障害者だけではなく、外国人、子どもたちも視野に入れたユニバーサルデザインに基づくまちづくりを進めていくことも重要であります。したがって、東京が内外に世界のユニバーサルデザインの最先端をリードする姿勢を示し、福祉のまちづくりを一層推進していくべきと考えます。都の見解を求めます。
 冒頭でも述べたように、北京大会での日本選手の活躍は、都民に深い感動と活力を与えてくれました。また、オリンピックに限らず、多くの都民がスポーツの感動に沸いたこの夏、都はスポーツ振興基本計画を策定いたしました。
 今回の計画では、都民のスポーツ実施率を高めるため、取り組みの一つとして、いつでもスポーツを実践できる場となる地域スポーツクラブの増加を目指しております。地域スポーツクラブは、子どもからお年寄りまでスポーツを通じ交流する場として地域の活性化にも役立っており、我が党もその普及を強力に推し進めているところであります。
 都は今年度から、地域住民が地域スポーツクラブの活動を実際に体験する事業に対して支援を始めておりますが、こうした取り組みをさらに拡充し、全区市町での地域スポーツクラブの設立をも促進すべきと考えますが、見解を求めます。
 なお、スポーツ振興基本計画では、スポーツ人口のシェアを広げることも大きな柱として位置づけをしております。しかしながら、学校教育における部活動は、顧問がいなくなるなどの理由により休廃部をしている現状があります。
 現在策定に着手している「十年後の東京」実行プログラム二〇〇九にも明確に位置づけるなどして、部活動再生に取り組むべきと私は考えます。見解を求めます。
 次に、消費生活基本計画に関連して質問をいたします。
 都はこのたび、十一年ぶりに東京都消費生活基本計画を改定いたしました。折しも国内では、米粉加工販売会社による事故米の転売問題が発覚、時を同じくして、中国ではメラミンに汚染された粉ミルク被害が明らかになり、日本で全国販売された輸入食品も自主回収されるなど、中国産冷凍ギョーザの薬物中毒事件に続き、全国的に食の安全が脅かされているのであります。
 とどまることを知らない食の安全の崩壊を目の当たりにし、首都東京の食の安全を守り抜く知事の決意をこの際伺います。
 消費者の安全・安心確保のため、国では、公明党の推進により消費者庁を設置いたします。都としても、食の安全確保はもちろんのこと、深刻な消費者被害や、多発をする商品、サービスの安全に関する事故、偽装表示などに対するための悪質事業者排除、商品、サービスの安全性及び適正表示の確保など、さまざまな課題解決に、この際、一段と強く立ち向かっていかなくてはなりません。
 このたびの消費生活基本計画の改定は、国の消費者庁設置による行政一元化に呼応したものでもありますが、今回の改定で提示されている緊急対策や政策課題は庁内八局にまたがっており、その推進のためには、都としても一元的に取り組む体制をまず構築すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、元気高齢者の支援について質問をいたします。
 都内在住の六十五歳以上の高齢者のうち、要介護、要支援認定を受けていない、いわゆる元気高齢者は、八割以上の約二百七万人にも上ります。介護サービスを利用していない、こうした元気高齢者の健康維持や生きがいづくりに支援策を講じていくことは、目前の超高齢社会への対応として極めて重要であります。
 その一環として厚生労働省は、高齢者施設等での元気高齢者のボランティア活動を活発化させ、しかも、活動実績をポイントに換算して、実質的な介護保険料の負担軽減等が可能となる介護支援ボランティア活動を十九年度から開始いたしております。
 東京都も今年度、高齢者施設でボランティア活動を行う介護サポーターを養成して、施設への円滑な受け入れを進める施設介護サポーター事業に乗り出しておるのであります。
 国、都の両事業とも、ボランティア活動への参加意欲と高齢者施設等での介護サポートを結びつけるものでありますけれども、二つの事業はそれぞれ独自に行われるために、事業への補助額の違い、活動状況に応じて還元されるポイントなどの対価に格差があり、こうした課題の解消がまず求められております。
 そこで、都の施設介護サポーター事業を介護サポートの担い手としてのボランティア確保と研修を行う部門と位置づけ、それを国制度の介護支援ボランティア活動につなげる一貫したシステムをこの際整備すべきであります。見解を求めるものであります。
 また、元気高齢者のボランティア参加を促していくためには、介護サポーターに関する意識啓発を初め、介護支援ボランティア活動の対象業務の拡大などによって、より多くの高齢者が参加しやすくなる環境整備も検討すべきとこの際考えます。見解を求めます。
 次に、シルバーパス制度の激変緩和措置の継続について質問いたします。
 シルバーパスについては、国の税制改正により高齢者の区市町村民税の課税基準が引き下げられ、その結果、収入が変わらないにもかかわらず、多くの高齢者が千円から二万五百十円のパスを購入せねばならない事態を避けるため、我が党は、負担拡大について配慮するよう強く主張し続けてまいりました。
 都は、我が党の主張を踏まえ、税制改正の影響を受けた方の負担額について、平成十八年度、平成十九年度、そして今年度と、激変緩和の観点から経過措置を実施してきたことは評価をするものであります。その上で、二十一年度も引き続き経過措置を継続することを、この際、公明党は強く求めるものであります。見解を求めます。
 次に、子育て支援策について二問質問をいたします。
 まず、私立幼稚園に通う園児の保護者の負担軽減についてであります。
 子育ての経済的負担は、どの所得層でも年収の約三割を占めており、特に若年層の子育てにおける経済的負担は深刻な状況であります。こうした就学前の子育てにかかる負担を軽減する一環として、都議会公明党はこれまで、園児保護者の負担軽減事業の拡充を推進してまいりました。
 現在、この制度では、兄、姉がいる園児については、優遇措置として補助単価の増額が設定をされております。これと同様の国制度では、今年度から、兄、姉の要件を小学校三年生まで拡大されております。しかし、都の制度では、兄、姉が同時に幼稚園等に通っている場合のみと限定されています。
 そこで、都においても、早急に国と同様の優遇措置を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、中学三年生までの医療費助成制度についてであります。
 公明党の強い要請を受け、都は昨年十月から、中学三年生までの医療費の一割助成をスタートさせました。その結果、本制度が導入されることを契機に、二十三区十町村では独自に、入院、通院とも自己負担分を全額助成し、中学三年生までの医療費ゼロが実現しております。
 しかし、これが、区部と比べ財政基盤の弱い多摩の市町村との間での格差となり、新たな三多摩格差と指摘をされるに至っております。石原都知事の選挙公約でもある中学三年生までの医療費ゼロを、早急に都の制度として、この際、実現をすべきであります。見解を求めます。
 次に、住宅政策について質問をいたします。
 初めに、子育て支援としての住宅政策の強化についてであります。
 初めて少子化問題を取り上げた平成二年版の厚生白書では、少子化の要因の一つに、教育費、女性の社会進出と並んで住宅問題を指摘をしております。特に近年では、非正規雇用、ワーキングプアの増大が社会現象化し、若年者を中心とした経済的困窮が、結婚、出産の大きな壁となっていると指摘をされています。
 まさに都においては、就労の促進とともに、次代を担う若い世帯が安心して生活できる住まいを確保するための公的な政策を、この際、急ぎ整えていくべきであります。
 そこでまず、都は今後、従前の子育て支援策に加え、子育て世帯の住環境整備に積極的に取り組むべきと考えます。都の見解を求めます。
 あわせて、都営住宅の役割も重大であります。例えば、子育て向け住宅の募集枠を大幅に拡充し、基準に見合う子育て世帯の入居希望を原則可能としたり、子育てに適した間取りの型別基準の新設、子育て限定の定期借家制度を活用したりするなどの工夫が考えられるのであります。
 そうした意味からも、都は今後、一定期間、都営住宅ストックの総管理戸数抑制を弾力的に運用し、子育て支援策としての特別枠を設定することを、この際、検討すべきではないでしょうか。
 現居住者の居住の安定を図りながら、都営住宅における子育て支援策を緊急に実施していく必要があると考えるものであります。都の見解を求めます。
 また、都営住宅においては、明年四月に施行予定の公営住宅法施行令の改正について、都は、第二回定例会で我が党の代表質問に答え、都独自の家賃変動の緩和策の検討を約束いたしておりますが、都営住宅の現入居者の不安を一日でも早く解消するため、都独自の緩和策の骨子を、この際、急ぎ明らかにすべきであります。都の見解を求めます。
 次に、がん対策について質問をいたします。
 都は、本年三月、がんの予防から治療及び療養生活の質的向上を図る総合的な計画である東京都がん対策推進計画を策定いたしました。
 この計画の基本方針として、第一に予防を重視するを掲げ、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんの五つのがん検診の受診率を五〇%にすることを目標としております。
 しかし、区市町村が実施しているがん検診の受診率は、五つのがんのいずれも一〇%前後であり、全国と比べて低く、とりわけ、女性のがんである乳がん、子宮がんについては、東京が全国と比較して死亡率が高いのが実態であります。
 そこで、都は、乳がん、子宮がん検診の受診率をこの際向上させるために、マンモグラフィー検診車をふやすなど、具体的な対策を実施すべきであります。見解を求めるものであります。
 また、女性のがんのうち、子宮頸がんは二十代から三十代の女性に急増をいたしております。子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルスによる感染であります。
 ヒトパピローマウイルスの研究が進み、ワクチンが開発をされ、世界でも百三の国で承認をされております。子宮頸がんは予防可能ながんとして、予防ワクチンへの期待が高まっているところであります。申請されている予防ワクチンが承認された後は、その推進を図るために、接種についての情報提供を、この際、速やかに行うべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、在宅での緩和ケアについて質問をいたします。
 都の調査によりますと、都民の半数が在宅での療養生活を希望しております。身体的にも精神的にも苦痛を抱えるがん患者が安心をして在宅療養生活を送ることができるよう、在宅での緩和ケアを、この際、拡充をすべきであります。
 そのためには、在宅緩和ケアの人材育成、療養生活を支援する体制づくりを積極的に推進をすべきと考えます。都の具体的な取り組みについて、見解を求めます。
 次に、救急医療におけるトリアージについて質問いたします。
 公明党の主張を受け、都は平成八年に、国に先駆け、都独自の災害現場におけるトリアージ制度の導入を行ってまいりました。そのような中、先月末、救急医療対策協議会の中間のまとめにおいて、救急医療のトリアージの実施がうたわれたことは、私は高く評価をするものであります。
 この中間のまとめでは、地域ネットワークのかなめとなる東京都地域救急センターが先行的にトリアージを実施、効果を検証し、その取り組みを地域の救急医療機関に広げていくことが有効であると論じています。
 しかし、救急現場において、病院内トリアージを円滑に進めていくためには、何といっても患者側の理解が欠かせません。トリアージを実施する趣旨の説明、患者の個々の状況に応じた配慮があってこそ、初めて救急医療におけるトリアージは成り立つものと考えます。
 そこで、トリアージをスムーズに行うためにも、例えばトリアージナースなどの訓練を積んだスタッフの配置などが何よりも必要であります。患者の理解と納得を得るための体制の整備の確保について、都の見解を求めるものであります。
 また、救急医療にとっては、こうしたトリアージとともに、医師の確保が重要であります。我が党がかねてより主張してまいった奨学金の拡充による医師確保はもとより、制度的に弱体化した大学医局の医師派遣機能を都が補っていくことが重要でありましょう。
 そこで、都は、医師不足に深刻な公立病院に医師を派遣する新たな仕組みを構築するよう、この際、強く要望をしておきます。
 次に、環境政策について質問をいたします。
 第二回定例会で、都は、世界で初めてオフィスをも対象として、CO2排出総量に削減義務を課す環境確保条例の改正を行い、先駆的な取り組みをスタートさせました。都は、条例改正以降、制度の円滑な実施に向けてさまざまな準備を進めていると思いますけれども、何といっても、制度の対象となる事業所に対し、都の制度について正しく、まずは周知する必要があります。
 そこで、CO2排出総量の義務化される削減義務率の検討を初め、条例改正後の取り組み状況を明らかにするとともに、新たな融資制度の創設をも含めた中小規模事業所に対する省エネ支援策について、あわせて見解を求めます。
 さきの定例会で我が党が求めた太陽光、太陽熱の利用促進について、都は直ちに太陽熱の利用拡大に向けたグリーン熱証書検討会を設置するなど、家庭部門における取り組みも強化をいたしております。
 しかし、都の排出量の約四分の一を占める家庭部門における省エネ、節電のおくれを取り戻すには、家庭での取り組みをさらに抜本的に強化をしていく必要があります。
 都は現在、白熱球一掃作戦、省エネラベリング制度などの施策を進めておりますけれども、その展開に当たっては、量販店での取り組みに加え、都民にとってより身近な地域家電店とも積極的に連携をし、家庭部門の温暖化対策推進に取り組むことが効果的と考えますが、見解を求めます。
 さらに今、社会全体のCO2排出を減らすための仕組みとして注目をされているのがエコポイントであります。都民一人一人のエコ活動については、商店街での取り組み、公共交通の利用促進、リサイクルといったさまざまな広がりを見せておりますが、こうした活動にエコポイントが結びついている例も、既に幾つか見受けられるのであります。
 社会全体で地球温暖化阻止に取り組む仕組みを構築していくためには、公明党は、エコポイントの活用が大きなかぎを握ると考えております。
 都民一人一人の環境配慮行動をより一層喚起できるように、大都市東京ならではのエコポイント制度を幅広く立ち上げ、その活用策についても具体的な検討を開始すべきであります。見解を求めます。
 次に、教員の資質の向上について質問します。
 教員の資質の向上を図るためには、すぐれた人材の採用とともに、社会全体で教育を支援することが大事であると考えます。
 都教委は、教員の大量退職時代を迎え、それに伴う大量採用が教員の資質の低下につながらないようにせねばなりません。そこで、教員採用に向けて、東京だけではなく地方からも、また、新たに設置された教職大学院との連携など、既存の枠組みにとらわれない、さまざまな取り組みを行っていくべきであります。都の見解を求めます。
 次に、教育を社会全体で支える仕組みについてであります。
 近年、常識では考えられないような要求を繰り返す保護者が増加をし、教育現場の混乱の要因になっております。
 そのため、学校単独で解決できない困難な事例が、平成十九年度で、小中高、特別支援学校を含めて二百三十四校で発生をしております。
 本来ならば学校内で解決していくことが望ましいわけでありますが、子どもたちの適切な教育環境を確保するためには、学校事例の問題解決の研修を積み重ねてきている行政書士、司法書士、弁護士などの法律の専門家を活用し、対処できる仕組みを構築していくべきであります。都教委の見解を求めます。
 また、いじめにつながる特定の個人への誹謗中傷が、携帯ネットやインターネットの学校裏サイトと呼ばれる掲示板、ブログ、プロフなどの中に掲載をされ、大きな社会問題となっております。こうした学校裏サイトやブログ、プロフなどは秘密裏に行われることも多く、各学校での実態把握は困難であります。
 実態調査については分析中と聞いておりますけれども、次から次へと立ち上がる学校裏サイトを的確に把握し抹消する仕組みをつくり、子どもたちが被害に遭わないための実効性のある対策を講じることが急務でありましょう。教育長の考えを伺います。
 次に、築地市場の移転問題についてであります。
 まず、市場の整備のあり方についてであります。
 新たな市場の施設は、五十年、百年先の生鮮食料品流通を見据え、時代の進展に伴って変化する商品流通過程に的確かつ効率的に対応できるものにしていかなくてはなりません。
 近年の市場外取引の増加、流通環境の変化、情報化の進展への対応、将来の都市人口の動向、少子高齢化に伴う消費の質的、量的な変化など、社会経済状況の変化も勘案をしてみますと、新市場予定地の整備規模について、敷地面積四十ヘクタールは必要ないのではとの指摘もあります。このことについて、都の見解を求めます。
 都議会公明党は、党内に築地市場問題調査特別チームを立ち上げ、これまで精力的に調査活動を展開してまいりました。
 農林水産省は、施設の整備に当たり、卸売市場整備基本方針の中で、大都市圏の市場においては、土地の高度利用を図る観点から、立体的かつ効率的な施設の配置とすることと指導しております。
 我が党としても、土地を高度利用するならば、豊洲以外にも候補地は存在すると考えます。都には、水産卸、仲卸売り場の一体配置が可能であり、土壌の地歴から土壌汚染がなく、既に都有地であり、異なる会計間の所管がえにより用地が取得でき、あわせて、公有財産規則の第十条ただし書きにより、取得価格が無償または軽減可能となる土地が存在をするのであります。このような土地は、たとえ四十ヘクタールを下回っても、高度利用することによって、移転候補地になり得ると考えます。都の見解を求めます。
 仮に豊洲に移転するとしても、現在作業を行っている技術会議における新技術、新工法の提案に対する評価、検証は、慎重かつ十分な検討期間を必要とするものであります。
 ところが、公募提案の検討及び委員からの提案の検討期間は九月下旬から十月中旬と、わずか半月余りしかありません。このような重要事項をなぜ短期間で結論を出すのか、理解に苦しむところであります。
 土壌汚染対策への都民の不信と不安を払拭し、安心・安全を確保するために、都は、技術会議の評価、検証の検討期間を見直すべきであります。都の見解を求めます。
 最後に、新銀行東京についてであります。
 去る六月三十日、新銀行東京は定時株主総会において、一千十六億円の累積損失を補てんするため、株主資本を減少することを決議いたしました。改めて、このような累積赤字を発生させた旧経営陣の責任をも問うものであります。
 前にも述べたところではありますけれども、新銀行東京は、調達する資金コストを一・五%から一・七%で行っていたにもかかわらず、大企業五十社に対しては一千億円の貸し出しを一%で行っていたのですから、不良債権問題以前に、あり得ない銀行経営を行っていたわけであります。
 さらに、新銀行東京は、銀行のシステム開発においても、時代おくれのシステムを採用し、この使えないシステムに何百億円も投入していたわけであります。こういった新銀行東京の旧経営陣の責任は、一つ一つ明らかにしていくべきでありましょう。
 新銀行東京の現経営陣は、年内に旧経営陣への法的な責任追及を行うということでありますが、このことに対する知事の見解を伺うものであります。
 また、八月二十九日、新銀行東京は、平成二十一年三月期の第一・四半期決算を発表いたしております。四半期決算の発表は、四百億円の追加出資の際に、我が党が今後のチェック体制の一つとして強く主張していたものであり、新銀行側の対応に一定の評価をするものであります。この第一・四半期決算の状況を踏まえ、以下質問をいたします。
 この第一・四半期の経常収益は十八億円で、前期の第一・四半期の経常収益の六〇%しかありません。純損失は三十七億円で、前期と二%しか変わりません。果たしてこの経営成績が妥当であるのかと疑問視する声もあります。
 そこで、なぜこのような経営成績になったのか、まずこの際、明らかにすべきであります。都の説明を求めるものであります。
 また、決算短信によりますと、平成二十一年三月期の業績予想は、経常収益が六十七億円で、当期純損失が百二十六億円となっております。この数字は、新銀行東京が提示をした再建計画と同じであります。第一・四半期の経営成績がそのまま推移をすれば、決算短信の業績予想どおりになると思いますが、ことしの五月に金融庁の検査が入り、貸倒引当金の積み増しが必要であるとの情報も流れておるのであります。
 したがって、今回の第一・四半期決算には金融庁の検査結果が反映されているのかどうかを都民に明らかにすべきであります。説明を求めます。
 仮に金融庁の検査結果を受けて、平成二十一年三月期の業績予想が下方修正されることになれば、新銀行東京の再建計画に対する信頼が揺らぐことになりかねません。金融環境を取り巻く状況を考えれば、大変に厳しいものと思います。他の金融機関と、この際、業務提携をしていくなど、積極的な努力を行っていくべきであります。
 都の見解を求め、公明党を代表しての質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木貫太郎議員の質問にお答えいたします。
 まず、補正予算の編成についてでありますが、景気の悪化に伴い、中小零細企業の資金繰りは逼迫し、非正規雇用者の雇用環境も一段と厳しさを増しております。
 また、大地震、新型インフルエンザあるいは地球温暖化といった、都民の安全・安心を脅かす喫緊の危機に対しましても、思い切った対策を講じることは急務であります。
 今、都政に求められているのは、こうした都民の不安を一刻も早く解消するための具体的な取り組みを積み重ねていくことであります。
 このため、現場を持つ強みを生かして、東京で暮らし、働く人々の生活を守るための実効性のある緊急対策を打ち出し、とりわけ早期に実施すべきものを、今年度、年度途中ではありますが、補正予算として編成いたしました。
 次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、北京でのアスリートたちの迫力のある戦いぶりは、見る者すべてに感動を与え、日本の若者にとっても、これから将来を担うための、人生のための力を生み出す絶好の手がかりとなったと思います。
 北京市内に設けた招致ブースでは、海外メディアやIOC関係者など、来場した多くの方々に東京の魅力を大いにアピールすることができました。
 二〇一六年の東京では、成熟した都市の中心において、地球環境問題の解決に資する世界一コンパクトな、日本ならではの大会を開催するつもりでございます。そして、次代を担う子どもたちに夢と感動を与えたいと思っております。
 開催都市決定まで、いよいよあと一年余りでありますが、皆様の力強いご支援、ご協力をいただきながら、多角的に全力で招致を実現していきたいと思っております。
 次いで、食の安全についてでありますが、農薬やカビ毒に汚染されたミニマムアクセス米が食用に転用された今回の事故米の問題は、食の安全を根本から揺るがす、明らかな、これはもう農水省の怠慢では済まぬ、不作為による明らかな犯罪だと思います。
 しかし、この問題に対する農林水産省の対応は、国民を守ろうとする姿勢がみじんもうかがえません。
 食品に工業原料であるメラミンが海外で混入した事件も明らかになりましたが、本来、輸入食品の安全確保は、国における水際の検疫が基本であります。
 そのため、都はこれまでも、国に対して、輸入食品の監視体制の充実強化を求めてまいりました。
 また、国に先駆け、都独自に調理冷凍食品の原料原産地の表示を義務づけてまいりました。
 今後とも、あらゆる機会を通じて、国の責任を果たすように強く求めるとともに、都の監視指導や検査体制を強化し、我が国最大の消費地として、食の安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。
 次いで、新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及についてでありますが、新銀行東京が、その経営の失敗により多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を毀損したことは重大であり、この原因は複合的、重層的でありましょうが、中でもやはり、最前線にあった旧経営陣の責任は免れないと思います。
 現在、新銀行東京が外部の弁護士事務所に委託して、旧経営陣における経営判断など、さまざまな観点から法的対応を視野に入れた調査を進めておりまして、年内を目途に調査結果を得る予定であります。
 これを踏まえた責任追及については、都民の理解が得られるよう、厳正に対処すべきものでありまして、都としても適切に監視していくつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、部活動の振興についてでございますが、学校教育における部活動は、児童生徒の人格形成や健全育成に極めて有益な教育活動でございまして、都教育委員会は、部活動の振興にこれまでも努めてまいりました。
 一方、学校の小規模化等に伴いまして、中学校の部活動においては、顧問教諭や専門的指導者の不足などによりまして、一部に部活動の休部、廃部問題が生じている現状がございます。
 これまで都教育委員会は、教員採用の工夫や顧問教諭の処遇の改善などを行いまして、顧問や指導者の確保に努めてまいりました。
 今後、区市町村教育委員会とも連携を図りまして、多様な指導者層の形成、活用など、部活動振興に一層積極的に取り組むとともに、こうした仕組みづくりにつきましては、「十年後の東京」への実行プログラムへの反映も含めまして、検討してまいります。
 次に、優秀な教員確保のための取り組みでございますが、いわゆる団塊の世代の大量退職に伴う教員の大量採用時期を迎えまして、新規採用教員の数の確保と同時に、質の確保が求められております。
 このため、都教育委員会はこれまでも、年齢制限を緩和いたしますとともに、民間企業経験者、他県の現職教員、臨時的任用教員等、社会経験や実践的指導力に富んだ者を積極的に採用するよう努めてまいりました。
 来年度は、東京都教育委員会との連携のもと、学校現場での実習をカリキュラムに大幅に取り入れました教職大学院の修了者が初めて採用選考の対象となりますことから、その実習実績に着目をした新たな選考方法の導入を検討してまいります。
 さらに、大都市圏を除き、教員志望者は多い一方で、採用数が少ない県も多数ございますことから、全国的な採用活動を強化し、地方説明会の拡充を図りますとともに、地方での選考実施を検討するなど、優秀な教員の確保に万全を期してまいります。
 三点目に、学校問題の解決に向けた専門家の活用についてでございますが、都教育委員会では、本年六月に、学校への支援策を策定していくために、公立学校における学校問題検討委員会を設置し、保護者等による理不尽な要望等に係る問題の実態調査を行いました。
 調査結果によれば、理不尽な要求等が繰り返し行われ、かつ学校での対応には時間的、精神的に限界があるという事例が、平成十九年度の一年間で約九%の都内の公立学校で発生をしておりました。
 その中には、学校の初期対応に起因する事例もございましたが、要望そのものが理不尽なものが多く、学校だけでは解決が困難であるという実態が明らかになりました。
 今後は、教員研修により、教員個々の対応能力を強化してまいりますとともに、学校側からだけではなく、保護者等からの要望にも公平中立な立場から相談に応じて解決に当たる、ご指摘の専門職、すなわち行政書士、司法書士、弁護士などを活用した支援策を検討してまいります。
 四点目に、インターネットや携帯サイトの有害情報から子どもを守る取り組みについてでございますが、都教育委員会は、本年七月、子どものインターネット、携帯電話利用についての実態調査を行いました。
 現在、詳細を分析中でございますけれども、この調査によれば、ネットによる被害やトラブルの状況は極めて深刻であり、保護者や学校も被害状況を十分には把握していないという実態が明らかになりました。また、学校は、児童生徒や保護者からの訴えのあったトラブルについて、その対応に苦慮しているという現状も明らかになりました。
 今後は、これまで行ってきた情報モラル教育をさらに充実をさせまして、児童生徒が被害者にも加害者にもなることなく、安全に生活するための能力を身につけさせていきますとともに、実態調査の結果を踏まえ、ネットの被害状況を広く都民に周知し、児童生徒、保護者、教員、さらには関係業者それぞれに対しまして、子どもの携帯電話利用等について、都教育委員会としての考えをまとめてアピールをしてまいります。
 さらに、専門家の協力を得ることも視野に入れまして、学校裏サイトの監視や内容把握など、具体的に被害やトラブルを防ぐ対策を検討してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 十点についてお答えをいたします。
 まず、保育所等の耐震化についてであります。
 保育所等については、子どもの安心・安全の確保はもとより、その一部は地震発生時に被災者の受け入れ機能を果たすことなどからも、耐震化は大変重要と考えております。
 このため、現在、耐震診断や耐震改修の実施状況に関する調査を行っております。
 今後は、この調査結果を踏まえ、保育の実施主体である区市町村とも連携しながら、保育所等の耐震化の一層の推進に向けて適切な対策を講じてまいります。
 次に、福祉のまちづくりについてであります。
 都は、福祉のまちづくりを一層推進するため、来年四月を目途に福祉のまちづくり条例を改正し、条例の基本理念として、ユニバーサルデザインの考え方を明確に位置づけることなどを検討しております。
 また、この条例改正にあわせ、段差解消に向けた建物と道路の一体的整備や、だれにでもわかりやすい案内表示による情報提供など、ハード、ソフト両面から成る新たな推進計画を全庁横断的な体制のもとで策定する予定であります。
 今後、都は、区市町村、事業者、都民の参加と協力を得ながら福祉のまちづくりを積極的に進め、高齢者、障害者を含めたすべての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることができる東京を目指してまいります。
 次に、国の事業である介護支援ボランティア活動と、都の施設介護サポーターモデル事業との連携についてであります。
 国は昨年度から、高齢者の社会参加活動を推進するため、区市町村を実施主体とする事業である介護支援ボランティア活動を導入いたしました。
 一方、都が今年度から開始をいたしました施設介護サポーターモデル事業は、介護施設においてボランティア活動を希望する地域住民の方々が、事前に高齢者とのコミュニケーションや介助方法などについて研修を受講した後に、利用者に対し、さまざまな支援を提供するものであります。
 今後、都が行いますボランティア研修の仕組みや育成した人材については、国の介護支援ボランティア活動においても一体的な活用が図られるよう、区市町村と連携し、取り組んでまいります。
 次に、元気高齢者のボランティア活動についてですが、より多くの高齢者がボランティア活動に参加していくためには、高齢者が興味と関心を持って取り組める環境づくりが重要であります。例えば、介護支援ボランティア活動におきましても、ひとり暮らし高齢者の話し相手や散歩の付き添いなどに活動分野を拡大することなどを考える必要があります。
 このため、都では、今年度発足しました団塊世代・元気高齢者による地域活性化推進協議会において、ボランティア活動に参加する側と必要とする側とのマッチングの仕組みづくりなどの検討を行っております。
 今後、協議会の検討状況を踏まえ、ボランティアとして地域貢献する新しい高齢者像を発信できるよう取り組んでまいります。
 次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものでございます。
 シルバーパス事業を今後とも継続させていくためには、利用者である高齢者を初め、広く都民の理解を得ながら、社会状況の変化に的確に対応していくことが不可欠であります。経過措置を継続することについては、ご指摘の点なども踏まえて適切に検討してまいります。
 次に、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、この制度のあり方については、少子化対策を一層推進するとともに、適切な医療を提供できる体制を確保するという観点から検討することが重要であります。
 都としては、このような考えのもとに、また、現行の所得制限を前提に助成内容の拡大を図る方向で検討しており、十月早々には具体案を取りまとめてまいります。
 助成内容の拡大に当たりましては、小児医療現場の厳しい状況や、医療保険制度の相互扶助の理念にも十分に配慮する必要があると考えております。
 次に、乳がん及び子宮がん検診についてであります。
 検診の受診率を向上させるためには、検診実施体制の整備とともに、がんの予防や検診の重要性について普及啓発を行うことにより、都民の主体的な受診行動につなげることが必要であります。
 都は、検診実施体制の充実に向けて、職場での乳がん検診にも活用できるマンモグラフィー検診車について、今年度中に四台分の整備費補助を行ってまいります。
 また、普及啓発として、ピンクリボン運動に加え、十月にメッセージはがきを作成し、郵便局で販売するなど、都民が検診の重要性を伝え合う取り組みを行うとともに、新たに、来年三月の女性の健康週間に合わせて、子宮がん、乳がん検診に関するリーフレットを作成、配布するなど、受診率向上に努めてまいります。
 次に、子宮頸がんのワクチンについてでありますが、お話のヒトパピローマウイルスの感染が持続した場合には、子宮頸がんの誘因となるといわれており、感染を予防するためのワクチンの製造販売承認申請が、製薬会社二社から国に対して行われたと聞いております。審査の結果、承認された場合には、ワクチンの任意接種が可能となります。
 都は今後、国における審査や、ワクチンの対象者、年齢等の具体的な接種方針に関する検討の状況などを踏まえ、区市町村への情報提供等に積極的に努めてまいります。
 次に、がん患者の在宅緩和ケアについてでありますが、在宅緩和ケアの拡充には、医師や看護師が専門的知識を習得し、実践的技術の向上を図ることが不可欠であります。
 そのため、都は、がんの疼痛管理や痛みに伴う精神症状のケアなど高度で専門的な研修を、今年度新たに指定した東京都認定がん診療病院の協力を得て実施をいたします。
 また、最期まで家で過ごしたいと願うがん患者の在宅療養生活には、専門的医療、介護サービス、住民によるサポートなどが一体となって支援する地域のネットワークが必要であります。
 このようながん患者の在宅療養を支援する連携体制の整備に向けたモデル事業を、本年十月から新たに実施してまいります。
 最後に、トリアージの体制確保についてでありますが、トリアージでは、緊急度、重症度に応じて治療の順番が決定されるため、病院内で実施するに当たりましては、来院患者の理解と納得が欠かせないものであります。そのためには、治療の優先順位を適正に判断し、患者の立場に立って十分な説明ができる体制を確保する必要があります。
 都では、今年度新たに、小児救急の現場において、トリアージを行う看護師、トリアージナースを配置いたしました小児救急トリアージ普及事業をモデル実施しておりますが、その成果を反映しながら、トリアージの体制の確保の具体化に向け、検討を行ってまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ネクストジョブ事業における企業への働きかけについてであります。
 雇用情勢の悪化が懸念される中、年齢的に不利な三十代の非正規雇用の方を正社員とするには、企業に、過去の就業形態にとらわれることなく、その適性や能力を正当に評価し、採用していただくことが必要となります。
 このため、しごとセンターに専用の窓口を設けまして、企業の人事担当OB等をジョブコーディネーターとして配置をいたしまして求人開拓を行うとともに、本人の適性等を踏まえた職業紹介を行ってまいります。
 さらに、採用企業には、専門家が訪問をいたしまして、職場定着に向けた相談に応じるほか、採用者の人材育成に係る経費を助成いたします。
 こうした企業に対する積極的なアプローチを実施することによりまして、年長フリーター等の正社員採用と職場定着を促進してまいります。
 次に、新銀行東京の第一・四半期決算についてでございます。
 新銀行東京は、第一・四半期においては、効率的な執行体制の確立や増資による財政基盤の安定化など、再建に向けた経営基盤の強化に注力してきたところでございます。
 今期の経常収益は、貸出金利息の減などによりまして、前年同期と比べ十三億円減少いたしました。
 一方で、経常費用は、抜本的なリストラによる経営経費の削減や預金利息の減などによりまして、十一億円減少いたしました。
 収益は減少したものの、費用もほぼそれに見合って減少したため、結果として、四半期の純損失は、ほぼ計画どおりの水準となったものでございます。
 次に、新銀行東京に対する金融庁の検査についてでございます。
 金融検査は、信用秩序の維持や預金者保護を目的に、銀行法に基づいて実施されるものであり、その結果につきましては、銀行の業務運営において適切に対処すべきものでございます。
 検査は現在も継続しておりますが、今回の第一・四半期決算では、金融庁の検査の過程におきまして、新銀行東京が計上すべきと判断したものは反映したと聞いております。
 最後に、新銀行東京の今後の展開についてでございます。
 新銀行東京においては、再建に向けて全行を挙げて取り組んでいるところでございます。一刻も早く再建を進め、中小企業支援という役割を十分果たしていくためには、こうした取り組みに加え、他の金融機関との業務提携や都との連携といった新たな事業展開などにより、経営基盤を強化することが必要でございます。
 都といたしましても、現在、全庁を挙げて新銀行東京との連携支援を検討しております。今後とも、再建に向けて全力を尽くしてまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、単品スライド条項についてでございますが、本条項の適用の対象工事につきましては、鋼材類と燃料油につきましては、六月十六日時点で契約中、またはそれ以降契約した案件を対象としておりますので、その条件に該当する案件につきましては、すべてさかのぼって対象といたします。
 また、著しい価格の変動の判断基準につきましては、他団体との均衡上、対象工事金額の一%というふうにさせていただいていましたが、受注者の負担額の算定に当たりましては、都の工事における中小企業の割合の大きさなどを勘案し、都独自の判断といたしまして、対象工事金額の〇・五%と、国に比べて低い水準といたします。
 それから、ご質問の中で、これまで、まだ都では適用工事の案件が全然ないではないかというご指摘をいただきました。それは実は、国の手続でやればすぐに始めることができたわけでございますが、その国の手続に準拠いたしますと極めて煩雑でございまして、事業者に非常に過度の負担を課すということで、都といたしましては、受注者の事務負担をできるだけ軽減する独自方策をこの間検討してまいりました。
 その結果、国の定めるあり方とは相当異なる都独自の請求手続の簡素化などを今回定めまして、先日、関係者に通知を行ったところでございます。
 これに基づきまして、今後、事業者からの申請が始まりますので、これに対して速やかに対応してまいります。
 次に、入札契約制度改革についてでございますが、公共契約におきましては、契約の公正性や経済性を確保すると同時に、政策目的の実現のために契約制度を活用することも重要であると考えております。
 現在、都の工事契約では、ISOシリーズを認証取得し環境施策に貢献している事業者に対して、入札参加の格付において優遇措置を実施しておりますが、ご提案の災害復旧、あるいは高齢者、障害者雇用などの事業者の社会貢献活動の優遇措置につきましては、今後の入札契約制度改革研究会の検討テーマとしては、非常に大きなものの一つだというふうに考えております。
 これらを含めまして、研究会では、制度の根本に立ち返った抜本的な検討を行うことになりますので、都といたしましては、それらの検討結果を十分踏まえて、都独自の入札契約制度の実現に向け、積極的に改革に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、バス交通に対する支援についてでございます。
 都民生活を支える重要な交通機関であるバス事業にとりまして、昨今の原油価格高騰の影響など、取り巻く環境は厳しいものがございます。
 都はこれまでも、東京バス協会に運輸事業振興助成交付金を支出するほか、バス事業者に対しまして、ICカードシステムの導入や、停留所の案内表示板などの整備に要する経費を助成することにより、経営に対する支援を行ってまいりました。
 今後、東京バス協会との協議の場を活用しながら、バス事業者の要望等を受けとめるとともに、支援の原資となる交付金等の財源確保に努めてまいります。
 次に、子育て世帯の住環境整備への取り組みについてでございますが、少子化が進展する中、子どもを安心して産み育てられる住環境整備を促進することは、住宅政策における重要な課題の一つと認識しております。
 都はこれまでも、都営住宅などの公共住宅における優先入居の実施など、子育て世帯の入居機会の拡大を図ってまいりました。また、都営住宅の建てかえにより創出した用地の活用や、新築に比べて安価な既存住宅の流通促進などにより、子育て世帯の居住に適した民間住宅の供給促進に取り組んでまいりました。
 今後は、子育てに配慮した住宅の技術的情報の提供や、高齢者世帯の住みかえ支援制度の普及による子育て世帯への賃貸住宅の供給促進など、住宅政策における子育て支援策を推進してまいります。
 次に、都営住宅における少子化対策についてでございます。
 子育て支援は、都営住宅においても重要な課題と認識しております。これまでも、ひとり親世帯や多子世帯への優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯や多子世帯を対象とする期限つき入居につきまして、十九年度の募集戸数を、前年度から百戸増しまして四百戸に拡大するなど、多様な取り組みを行っております。
 今後とも、都営住宅につきましては、既存ストックを有効に活用し、期限つき入居の募集戸数のさらなる拡大など、少子化に対応した施策の推進に努めながら、真に住宅に困窮した都民に対して公平かつ的確に供給できるよう、引き続き検討してまいります。
 最後になりますが、公営住宅法施行令の改正に伴う都独自の緩和策についてでございます。
 国は、政令改正に当たりまして、既存入居者の家賃が上昇する場合、五年間で段階的に実施する等の経過措置を講じております。これによっても、なお収入区分が二段階上昇する世帯につきましては、家賃の上昇幅が、他の世帯に比べましてより大きくなることが見込まれます。
 このため、都としては、世帯ごとの負担がより平均化するよう、二段階上昇する世帯の経過措置期間を延長する方向で検討を進めております。
 また、家賃改定の適用時期につきましては、円滑な実施に向けて十分な準備を行う観点から、一定期間延ばすことを検討しております。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、公共交通機関であるバス交通へのハイブリッドバスの導入助成についてでございます。
 都はこれまで、低公害車の普及促進を図るため、路線バスを対象としたCNGバスの導入に係る補助などを行ってまいりました。
 こうした従来の排出ガス対策に加え、自動車部門において温暖化対策を早期に進めるため、大気汚染物質だけでなく、CO2も含め、総合的に環境負荷の少ない自動車を普及させることが重要でございます。
 このような観点から、今年度、オリンピック・パラリンピックの招致も見据え、公共交通機関である路線バスを対象に、環境性能のよいハイブリッドバス導入に係る支援を、この秋から緊急に実施してまいります。
 今後とも、さらなる低公害かつ低燃費な自動車の普及促進に努めてまいります。
 次に、温暖化対策における都の率先行動についてでございます。
 都は、平成十七年度に地球温暖化対策都庁プランを策定し、都みずからの温暖化対策を推進してまいりました。第二回定例会における環境確保条例の改正により、事業所に対する新たな温暖化対策を導入しましたが、この円滑な実施のためにも、これまで以上に、こうした都の率先行動が重要でございます。
 一方、照明を初めとする省エネ機器の効率は、近年大幅に向上し、CO2削減とともに、コスト削減の効果も期待できます。
 こうした状況を踏まえまして、全庁横断的な戦略組織であるカーボンマイナス都市づくり推進本部を活用して、最先端の省エネ技術を含め、対策効果を明確にしながら、各局の温暖化対策を推進し、都の率先行動を強化してまいります。
 次に、条例改正後の取り組み状況についてでございます。
 大規模事業所に対する削減義務につきましては、対象となる事業所に対して、七月下旬から説明会を開催し、約二千六百名の参加がございました。参加者へのアンケート結果によれば、九割以上の方から、改正内容について、おおむね理解できたとの回答をいただきました。
 この秋には、CO2削減対策に関する知見を有する専門家などにより、削減義務率等に関する検討会を設置することとしており、この会での検討も踏まえまして、今年度末を目途に、制度の詳細を定める規則を制定してまいります。
 中小規模事業所への省エネ支援策につきましては、現在、東京商工会議所等と連携を図りながら、東京都地球温暖化防止活動推進センターが実施する省エネ診断の普及を進めており、今年度からは、この省エネ診断に基づく設備投資等を制度融資の対象事業としております。
 また、今後、新たな取り組みとして、環境配慮取り組み支援融資の取り扱いを開始するとともに、さらに中小規模事業所の省エネ支援策について検討を進めてまいります。
 次に、地域家電店との連携についてでございます。
 家庭部門の温暖化対策をきめ細かく推進していくためには、日常の暮らしに身近な地域家電店との連携を進めることが有効でございます。
 このため、都は、地域家電店を対象として、地球温暖化の現状や家庭で取り組む省エネ対策のノウハウ、また、省エネ製品の最新動向などの情報を提供する省エネセミナーを今月から開催してまいります。
 さらに、これらの地域家電店と連携し、省エネ家電ラベルの活用や白熱球一掃作戦の徹底など、家庭でのCO2削減を進める省エネキャンペーンを、この秋から年末にかけて実施してまいります。
 最後に、エコポイント活用の検討についてでございます。
 家庭部門のCO2削減などを進めるためには、身近でわかりやすい形で省エネ等の努力が報われ、さらなる行動を促すインセンティブを付与することも効果的であることから、エコポイントは、既に幾つかの地域で独自の取り組みが図られております。
 今後、都としても、こうした地域での取り組みの内容や課題などを把握しつつ、年度内を目途に、民間事業者、NPOなどと協議の場を設け、エコポイントの活用策を具体的に検討してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、今後の行財政改革についてでございますが、都はこれまで、職員定数の削減や事業の聖域なき見直し、新たな公会計制度の活用など、量と質の両面から行革に取り組んでまいりましたが、職員の大量退職や少子高齢化など、都政を取り巻く状況が変化する中で、今後とも不断の行財政改革を推進し、都民ニーズへの対応力を高めていくことが必要であると認識しております。
 ご指摘のとおり、今後の行革を進めるに当たりましては、都民の安全・安心など、都が責任を持って担う業務を明確化するとともに、人材の確保、育成や、ベテラン職員の技術、ノウハウの継承、さらには職員の意識改革などに取り組むことが重要であると考えております。
 このような観点を踏まえまして、速やかに今後の行財政改革の基本的考え方を明らかにしてまいります。
 次に、監理団体改革でございますが、都はこれまで、団体の統廃合、都財政支出や都派遣職員数の削減など、監理団体改革を積極的に進めてまいりました。
 その結果、団体数は、最も多かった七十二団体から、平成二十年四月には三十六団体と半減し、現行の行財政改革実行プログラムが終了する本年度末には、さらに三団体の減が実現する予定となっております。
 また、平成二十年度予算におけます都財政支出につきましては、平成十一年度予算に比べまして四百五十七億円の削減を行い、都派遣職員につきましても、平成十一年度の四千五百九十人から千四百八十六人削減したところでございます。
 今後とも、団体ごとの存在意義を検証した上で、民間企業並みの効率的経営のもと、公共性を発揮し、都政や都民に一層貢献する団体となるよう改革を進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地域スポーツクラブ設立の促進についてでございますが、都は、スポーツ振興基本計画におきまして、平成二十五年の東京国体までに、全区市町村に地域スポーツクラブを設置することを目標としております。
 そこで、クラブ設立を支援するため、設立に関する課題や改善策等を明らかにすることを目的といたしまして、モデル事業を五つの区市において実施をいたしますとともに、設立の核となる人材の養成や、インターネットを活用した情報提供等を行っているところでございます。
 今後、こうした取り組みに加えまして、区市町村を対象とした研修会の実施や、地域の住民が地域スポーツクラブの活動を体験できる都民参加事業の拡充を検討し、地域におけるスポーツ振興の一翼を担う地域スポーツクラブの設立を積極的に推進してまいります。
 次に、消費生活基本計画の推進体制についてでありますが、悪質商法や商品事故を初めとする消費者問題は、衣食住はもちろん、健康や環境など、都民生活に幅広くかかわっておりますことから、こうした状況に的確に対応するには、ご指摘のように、関係局が一丸となった取り組みが必要であるというふうに認識をしております。
 このため、今回の基本計画の改定に当たっては、局横断的な検討を行いまして、四つの緊急対策と五つの政策課題を明らかにし、都の消費生活関連施策を計画的、総合的に推進することといたしました。
 今後、関係各局との連携の仕組みを生かした推進会議を早期に設置し、消費者問題に関する情報と課題の共有を図り、問題解決に向けて機動的に取り組んでまいります。
 最後に、私立幼稚園等の保護者負担軽減についてでございますが、都の事業では、兄弟や姉妹が同時に幼稚園に通っている保護者の経済的負担が大きいことから、下の子の補助単価を割り増しする優遇措置を設け、平成十九年度からは、その適用要件を幼稚園だけでなく、保育所等に在園する場合にも拡大するなど、制度の充実を図ってきたところでございます。
 ご指摘のとおり、国の同様の制度では、優遇措置の適用要件を、平成二十年度には、兄や姉が幼稚園等に同時在園する場合だけでなく、小学三年生である場合まで拡大したところでございます。
 都としては、これらの優遇措置の適用について、子育て支援総体の中での位置づけや国の状況等を踏まえまして、総合的に検討してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する三点の質問にお答えいたします。
 まず、新市場予定地の整備規模についてでありますが、豊洲新市場が首都圏の基幹市場としての役割を果たしていくためには、流通環境の変化や情報化の進展への対応、消費の質的、量的変化など、社会経済状況の変化に的確に対応していくことが必要でございます。
 このため、市場の基幹的な施設を温度管理のできる閉鎖型施設とすることに加え、物流の効率化のためのIT技術を活用した待機駐車場や車両誘導システム、新たな顧客ニーズに対応した加工、パッケージ施設、大口荷さばき施設などを整備してまいります。これらの施設の機能や、規模及び配置につきましては、市場業界団体と協議を重ね、取りまとめてきたところでございます。
 この新市場の規模を、取扱数量と車両台数をもとに、青果の基幹市場としての役割を果たしている大田市場と比較し算定すれば、新市場の面積は約四十ヘクタールとなります。全体で約三十九ヘクタールの面積を有する大田市場が既に過密となっている状況を勘案すれば、新市場の敷地面積は決して過大ではないと考えております。
 次に、土地の高度利用についてでありますが、市場では効率的な物流の確保が最も重要でありますが、土地の高度利用のため施設を重層化いたしますと、エレベーター等の機器やスロープにより、各階の搬送を行う必要が生じます。
 市場においては、深夜から早朝の限られた時間内に大量の荷を搬送しており、その短い時間帯にエレベーターやスロープの利用が集中した場合、待ち時間や混雑が生じ、物流が阻害され、効率性が著しく低下することから、市場施設における土地の高度利用には一定の制約がございます。
 そのため、築地市場の移転先は、少なくとも卸売り場、仲卸売り場の平面配置を可能とする観点からも、約四十ヘクタールの面積を確保する必要があり、あわせて、良好な交通アクセス、築地の商圏との継続性なども考慮し、改めて移転候補地となり得る用地を都内全域にわたり調べてみましたが、これらの条件を満たす場所は、豊洲新市場予定地以外に見出し得ない状況にございます。
 最後に、技術会議の検討期間についてでありますが、技術会議は、去る八月十五日に設置し、おおむね三カ月を目途に、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策の技術、工法を選定することとしております。
 現在までに、新技術等の比較対象となる一般的な工法を確定するとともに、個別技術の評価並びに個別技術を組み合わせた総合的な対策の評価の手順など、必要な事項を定めたところでございます。
 今後の検討に当たりましては、実効性や経済性等にすぐれた対策を確実に選定するため、公募提案内容の評価、検証は、委員合議による評価の前に、おのおのがあらかじめ評価を行うなど、効率的な会議運営に努めるなどし、審議に必要な検討期間を適切に確保してまいります。

副議長(石井義修君) 三十五番村松みえ子さん。
   〔三十五番村松みえ子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○三十五番(村松みえ子君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
初めに、新銀行東京について伺います。
 最近、与党各党議員や知事の特別秘書などの新銀行への融資口きき問題がマスコミで繰り返し報道され、我が党にも情報が寄せられています。都が追加出資を決めた三月以降も都議の口ききが続いていたこと、紹介した企業や経営者から献金を受け取ったことも明らかになっています。本当に重大です。
 我が党は第二回定例会で、都議会与党の意向を受けて都が不正融資を押しつけようとしている、そのやりとりを記録したCDを示しましたが、最近の報道は、まさにこれを裏づけるものです。識者からも、口ききの仲介は銀行への圧力と見ることもできる、行政の公平性や中立性から問題があるなどの声が次々に出されています。
 知事は、議員の口ききについて、当たり前じゃないか、あとは銀行の判断の問題などと無責任な発言をしました。とんでもないことです。知事、新銀行は民間企業と違って、都が最大株主となった自治体設立銀行です。都の幹部や都議会議員が口ききをするということは、それ自体大きな圧力となり、無理な融資に応じる原因となるのです。知事、そんなこともわからなかったんですか。お答えください。
 知事は、経営破綻の原因をすべて旧経営陣に押しつけていますが、知事が欠陥計画を押しつけたことに加え、口ききによる無理な融資が、金融ブローカーの暗躍と相まって損失を膨らませてきたことは容易に推察できるものです。知事、いかがですか。
 知事は、みずからの特別秘書や議員などの口ききにかかわる融資の実態、さらには、新銀行を食い物にしてきた金融ブローカーの実態などについて調査し、全容を明らかにすべきです。答えてください。
 新銀行東京の今年度第一・四半期の決算によると、中小企業への融資、保証は百六十四億円も減っています。実際の貸し出しでも、新銀行の融資を受け順調に返済していた業者が再び融資を申し込んだが断られ、他の金融機関から借りたなどということが続出しています。
 新銀行を継続する理由は、中小企業の支援のためだといってきたのではなかったんですか。しかし、実際は、ますます中小企業支援とは無縁な金融機関になっているのです。知事、一体これで新銀行の存在の意義があるというんですか。
 しかも、知事は、他の銀行との連携などを示唆していますが、四百億円を手土産に外資系ファンドなどに売却してしまうというのが本音ではないのですか。これでは、都民は踏んだりけったりではありませんか。それぞれ答弁を求めます。
 都民の暮らしはそっちのけで、自治体が手を出すべきでない銀行業にしがみつくことは許せません。速やかにつぎ込んだ税金を取り戻し、撤退すべきことを申し述べておくものです。
 さて、今、日本共産党は、都内で住民アンケートに取り組んでおり、回答数は、十の区市の途中集計だけで約一万五千人に及びます。
 生活状況を問う質問に対して、一万一千九百三十六人のうち八千七百六人、七二・九%は苦しくなったと答えています。おかずを減らし、水道、電気、ガス代を節約、この夏の暑さでもクーラーをつけない、寒い冬は来ないでほしいというお年寄りなど、本当に追い詰められているんです。私の事務所に届いた三十代の男性の回答は、年収百五十万円以下の派遣で働き、生活も何もいっぱいいっぱいで、社会から死ねといわれているようだ、それでも自殺しないで精いっぱい生きていると書いており、胸が痛くなりました。
 苦しくなった原因については、足立区でも杉並区でも物価高騰が八割以上と圧倒的ですが、その次には、社会保険の負担増や増税という回答が続いています。小泉内閣以来の構造改革路線、すなわち、アメリカ型の市場原理に基づき官から民への流れを加速させ、増税や社会保険負担増、雇用破壊を進めた痛みに加え、この間の物価高騰が国民、都民の生活に追い打ちをかけていることは明らかです。
 国民の怒りが沸騰する中で、首相が二年連続で無責任な政権投げ出しを行い、昨日、麻生内閣が誕生しました。しかし、麻生首相は、国民を苦しめている構造改革路線に対する反省の弁すら口にしませんでした。そして、実行するという緊急総合対策も、定額減税や高速道路料金引き下げは一年限り、原油、資材高騰の元凶である投機マネーにメスを入れる気もなく、農漁業者や中小零細業者に対しても制度融資の上乗せ程度、小手先の手直しだけです。
 知事、あなたは現在の都民の暮らしの現状について、そして、痛みの原因と責任についてどのように認識していますか、お答えください。
 知事は最近の記者会見で、アメリカの資本主義は間違っている、市場原理主義というのは違うなどと、市場原理主義を批判しました。しかし、知事は、都市再生の名による都心の再開発に、破綻したリーマン・ブラザーズなどが大株主となった外資系ファンドを引き入れるなど、みずからがアメリカ資本主義と市場原理主義のお先棒を担いできたではありませんか。知事の発言が本意なら、このことを反省し、政策を改めるべきではないですか。
 しかも、知事自身が市場原理主義を都政に持ち込み、福祉、医療などの事業や施設を次々廃止、縮小したり、民営化してきました。この点についても改めるのが当然ではないですか。それぞれお答えください。
 今、住民の福祉の増進を責務とするすべての自治体が何をおいても取り組まなければならない仕事は、住民の暮らしの苦しみを取り除くことです。まして東京都は巨額な財源を持っており、相当なことができるはずです。実際、東京都自身、来年度予算編成にかかわる副知事依命通達で、都財政は長らく続いた財政の危機的状況を脱したと、財政が健全化したことを認めているんです。
 今年度を見ても、都税収入は史上最高の五兆五千億円とされ、取り崩し可能な基金が一兆六千億円もあります。不要不急の浪費的支出を抑制し、これらの財源を都民のために積極的に計画的に使うべきです。
 ところが、都は、景気の減速傾向が加速とか、法人事業税の暫定措置による減収が現実のものになるなどといって、都民の暮らしを守る本格的な対策を進めようとしないばかりか、さらなる都民施策の抑制さえしようとしています。とんでもありません。
 都税収入が落ちるといっても、ことしの税収は、石原知事が初めて予算編成した二〇〇〇年度の都税収入に比べて一・四倍の一兆六千四百億円もふえているんです。多少の税収減になったとしても、都民のために使える財源は十分にあります。仮に、将来都税が大きく後退したら、それこそ国税化された三千億円を取り戻せばいいのではありませんか。
 都の依命通達も、都民は、物価高騰や食への信頼の低下などにより、経済面や安全面において不安を抱いており、都政がこれにどうこたえるかも問われているとしています。巨額の財源は、浪費型オリンピックや大型開発、また、そのためのため込みに使うのではなく、今こそ都民の暮らし、福祉に使うべきです。知事の答弁を求めます。
 本議会に提案された補正予算案には、学校耐震や中小企業融資など、我が党が提案してきたものが、不十分ですが含まれています。しかし、こうした予算は四割にすぎません。
 しかも、補正予算案の原資となる昨年度の繰越金、すなわち余剰金九百五十六億円のほとんどは、福祉や教育、中小企業対策などの予算を使い残すことによって生み出されたものです。基金についても、石原知事就任以来、都民に犠牲を押しつけ、この七年間に福祉や教育、中小企業などの施策を約三千五百億円、人件費などを二千八百億円も切り捨てて、ため込んできたものです。これらをなぜ都民のために使わないのですか。予算を組むというのなら、この立場で提案すべきです。
 私は、以上の立場から、緊急課題に絞って質問します。
 第一は、減税と低所得者への支援です。
 知事は、昨年の都知事選の公約として、個人都民税の減税を打ち出しました。しかし、その後、知事は、ばらまきにつながると強弁して公約を撤回しました。今、物価高騰によって、都民生活はさらに深刻になっています。だからこそ、自公政権も、国民の批判をかわすため、一年限りとはいえ、定額減税を打ち出さざるを得なかったのではないでしょうか。知事はこれをばらまきというんですか。改めて、東京都が一定所得以下の方に対する都民税の減税を行うことを求めます。知事、それぞれ答えてください。
 さらに、二十三区においては、小規模住宅用地、都市計画税減税の三分の二への拡大、小規模非住宅地の固定資産税の減額を二割から三割に拡大すること、また、市町村でも同様の手だてが可能となるよう、都として財政措置を行うべきと思います。いかがですか。
 減税の対象とならない低所得者への支援も求められています。第二回定例会では、都も、物価高騰による所得の低い人たちへの影響が懸念されるとの見解を示しましたが、その後も、生活に欠かせない電気、ガス代、食料品などの高騰は続き、節約も限界という声が上がっています。この時点に立って、都としてどう対策をとるお考えですか。
 生活保護基準程度の低所得世帯に対する緊急生活応援手当の支給を提案するものです。それぞれお答えください。
 第二は、高齢者、子育て世帯への支援です。
 高齢者分野では、後期高齢者医療制度への怒りの声はさらに広がり、七月の保険料通知に対し、都内の区市町村には、なぜ国保料と比べてこんなに上がるのかなど、十七万五千件もの問い合わせや苦情が殺到しました。来月には、年金からの天引きがほぼ全区市町村で実施されることになり、怒りが広がることは明らかです。自民党と公明党も見直しをいい始めましたが、制度の根本に手をつけるものではありません。
 この際、国に対し、後期高齢者医療制度をきっぱり廃止する、このことを求めるべきと考えますが、お答えください。
 また、物価高騰から高齢者が外出を控え、家に閉じこもる状況が危惧されるだけに、高齢者の外出、社会参加を促進する上でシルバーパスの役割は重要だと考えますが、どうお考えですか。また、多摩都市モノレールなどへの対象拡大を求めます。答弁を求めます。
 子育て家庭への支援では、多摩地域にとって、中学三年生までの医療費無料化は急務です。第二回定例会において、都は市町村と協議すると答弁しましたが、協議にどのように臨むのですか。私は、来年度には必ず実施するため、都が建設的提案を行うべきと考えますが、いかがですか。
 市町村が新たな負担なく中学三年生までの無料化を実施できるよう、都が財政支援を行うよう強く要望しておきます。
 物価高騰の影響は、授業料や塾代など教育費の負担が重い子育て世帯にとっても深刻です。公立小中学生には就学援助があり、四人に一人の生徒が受けていますが、高校生にはありません。そのために、学費が払えず学校をやめたり、修学旅行にも参加できないなどの事態も起きています。高校生に対する新たな支援策が必要ではありませんか。
 食材費の高騰によって学校給食費の値上げが起きており、父母の負担軽減のために公費で支援する自治体がふえ、二十九区市に広がろうとしています。都としても、都立学校での負担軽減とともに、区市町村への支援が求められております。
 第三に、雇用についてです。
 小林多喜二の「蟹工船」が若者に共感を持って読まれていますが、今、日雇い派遣の異常な実態を告発した我が党の国会質疑が契機となって、大企業での派遣労働の廃止や派遣労働法の見直しなど、新たな動きが始まっているのです。都としても、都内の大企業に対し、正規雇用拡大に努力するよう働きかけること、同時に、都が率先して臨時職員や派遣職員を拡大するやり方を改め、正規雇用拡大に努めることが求められています。
 都は、最低賃金が生活保護以下という実態をどう考えますか。国に対し、時給千円以上に引き上げるよう要求すべきです。
 また、改定されたとはいえ、時給八百円程度と低過ぎる都の臨時職員の時給を直ちに引き上げることは当然と考えますが、それぞれお答えください。
 第四に、景気悪化と原油、物価高騰が直撃している中小企業支援です。
 補正予算で百六十五億円の預託原資の増額などを提案していますが、この程度では不十分です。融資対策では、預託原資の大幅増額、本人負担利率一%以下、三年以上元本据え置き、長期返済緊急融資の実施、さらに、京都府のように既存融資に対する返済期間延長を求めます。
 都の公共事業については、建設業の場合、もはや単品スライドでは資材全般の高騰に追いつかないだけでなく、手続が煩雑で使えないという悲鳴が上がっています。手続の簡素化や、単品でなく工事費総額の上昇分を補償する制度に改善すること、さらに、最低制限価格の引き上げなどが求められています。いかがですか。
 都民が消費する農産物、魚介類を供給する東京の農業、漁業の支援も重要です。燃料などの高騰から東京の農漁業を守るために、都としてどう対策をとるのですか。原油高騰対策として、燃料への直接助成、融資の利息補助を求めるものです。
 また、価格補償を検討すべきと考えますが、それぞれご答弁ください。
 以上の提案は、千四百億円程度で実現できます。オリンピック招致を理由にした年間一千億円のため込み、新銀行失敗処理のための五百四十億円を回すだけでもおつりが来ます。問題は、知事が、深刻な都民の暮らしと中小業者の実態に心を寄せ、支援を図ることを都政の最優先課題と位置づけるかどうかの問題なんです。
 そのためにも、オリンピック東京招致を理由とした巨額な浪費にメスを入れることがどうしても必要です。それは、石原知事が無理やりにオリンピックの招致を盛り上げようと、都民の税金を振りまき、競技施設やインフラ整備へのなりふり構わない投資を行おうとしているからです。
 まず、都民の税金百億円も使う招致活動です。立候補四都市中、東京のように住民の負担が大きいところはありません。シカゴは、招致活動経費のすべてを民間資金で賄うとしています。マドリードも、市の負担は一〇%です。東京以外は、どの都市も極力、立候補都市の住民負担を抑えようとしているんです。
 使い方もひど過ぎます。北京でのジャパンハウスでの招致活動には、石原知事夫妻などの旅費五百三十五万円、開会式の知事の通訳代九十五万円、宣伝用DVD、冊子などに一億六千六百万円など、四億二千九百万円も都民の税金が使われたのです。そのほか、商店街へのオリンピックフラッグは一億二千五百万円、テレビのコマーシャル放映料三億円など、挙げれば切りがありません。
 こんなお金のばらまきをやって、しかも、北京オリンピックで盛り上がったというのに、最近の二つの世論調査では、東京への五輪支持は四六%にすぎず、東京招致が成功しないが七一%だったのです。知事、お金の力でオリンピック招致をかち取る、こんな招致活動はオリンピック精神に反すると思いませんか。こんなばらまきこそやめるべきだと思いますが、知事、それぞれお答えください。
 競技施設経費も、候補都市の中で、東京は最も巨額な負担を行い、費用がさらにふえることは必至です。このまま進めていいはずがありません。そして、何よりも、実に九兆円にも達するインフラ整備の浪費にメスを入れるべきです。
 中でも、石原知事が都政の最優先課題とする外環道路は、二〇〇九年度着手をうたっていますが、事業費は、地下方式に加え、外環その二の上部道路を合わせて二兆二千億円、さらに、必要なネットワーク路線として国が検討を始めた東名以南は一兆九千億円、合わせて四兆一千億円です。しかも、今行われているどの地域のPIでも、会議を進めるほど、批判や反対の声が広がっています。
 オリンピック招致をてこに外環計画を強行することはやめ、外環ノ2の都市計画は直ちに廃止すべきです。答弁を求めます。
 インフラ整備というのなら、今やるべきは、高速道路優先から防災対策優先に切りかえることです。私は、ここで水害対策を取り上げます。
 ことしの夏のゲリラ豪雨は、東京にも大きな被害をもたらしました。東京の雨量は、この十年間で、一時間一〇〇ミリを超えたのが十三回、その前の二十年間が二回だったのですから、大激増です。こうした異常気象が、地球温暖化とヒートアイランド現象によるものであることは明らかで、その抜本対策に今こそ全力を挙げなければなりません。
 そのためには、ヒートアイランド現象やCO2の発生を激増させている要因となっている東京集中政策を改めることです。今日の時点に立って、この間の都市づくりのあり方を総括し、今こそ都市の成長管理を行い、持続可能な都市づくりに転換を図るべきです。
 緑地の保全と拡大にも全力を挙げる必要があります。稲城市の南山開発を中止し、町田市北部丘陵を保全するなど、多摩の緑地開発を規制し、里山の保全を図ることを求めます。また、都市計画公園や地域の公園を倍加する計画を早急につくるべきです。
 水害を引き起こしやすい都市構造の改善に向け、がけ地の開発の規制、雨水浸透施設や、水害発生場所での小型の貯留施設の敷設計画を都の責任でつくり、推進することを求めます。
 また、ゲリラ豪雨対策として重要なのは、的確な豪雨情報、雷雨情報を都民に提供するシステムを確立することが必要です。都の考えをそれぞれお答えください。
 今、食の安全・安心が大きな社会問題になっており、国民は不安にさらされています。そんなときに石原知事は、食の安全が最優先されるべき卸売市場を、あえて高濃度汚染されている豊洲地区に強行移転しようとしています。一体、何を考えているのかという声が上がるのは当然です。
 石原知事は、第二回定例会で、豊洲における約四千百カ所の調査で、四万三千倍のベンゼンが一カ所しか検出されなかったことを挙げて、敷地全体が高濃度の物質で汚染されているわけではなく、その範囲は極めて限られていると答えました。しかし、環境基準を超える汚染は、三六%の地点で、延べ二千二百件余り検出されたのです。しかも、高濃度汚染は、三つの街区のすべてにわたり、いずれからも満遍なく検出されているのです。知事は報告書をちゃんと読んだのですか。ごまかさないで答えてください。
 百平方メートル当たり一カ所、土壌は旧地盤面の下一カ所、地下水は有楽町層と旧地盤面の間一カ所、有楽町層以下は未調査という、手抜きといわれても仕方がない調査でさえ、これだけの汚染が検出されていたのです。知事は、それでも汚染は極めて限られているといい張るんですか。見解を伺います。
 今、都は技術会議で、低価格で、しかも短期間で実施できる新技術、工法なるものを選定しています。しかし、現在、このような新技術は実用化されていないのです。だからこそ、環境学会からは、安かろう悪かろうになりかねないと批判が出され、専門家会議の報告書を実際につくったコンサル会社の人でさえも、実際にできるかどうかわからないといっているのです。
 知事、最も安全であるべき市場を、このような未確立の技術の巨大な実験場にしようというのですか。都民は断じて許しません。答弁を求めます。
 知事は、現在地再整備は不可能だといいます。しかし、都は、一九八六年に現地再整備の方針を打ち出し、九一年に工事に踏み切ったのです。種地もあります。アスベストも安全に除去できます。
 一方、豊洲移転計画は、大手量販店、流通業者を参入させるための大型計画であり、中小零細業者を排除するものです。競り売りを基本とした現築地市場の機能を前提にすれば、豊洲のような大規模な敷地は不要であり、現地再整備は可能です。費用も、今ある積立金や土地などで賄えるものです。どうですか。違うというのなら根拠を示すべきです。見解を伺います。
 現在地再整備の方が現実的です。市場の関係者もそれを望んでいます。知事、都民の不安がますます大きくなっていく中で、汚染された豊洲予定地への移転は断念し、市場関係者とよく話し合って、現在地再整備に立ち返るべきです。知事の所見を伺い、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
 〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 村松みえ子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の融資についてでありますが、新銀行東京では、紹介の有無にかかわらず、すべての申し込みについて厳正な審査を行い、融資の可否を判断しております。
 銀行への紹介が無理な融資につながるという認識には誤りがあると思います。
 新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京への四百億円の追加出資は、資金繰りに苦しむ中小企業を継続的に支援するために行ったものであります。この四百億円を手土産に、新銀行を外資系ファンドに売却するということは全く考えておりません。
 この銀行を都民の皆様のお役に立つ銀行として立て直すために、あらゆる努力を今後もしてまいります。
 次いで、物価高騰と都民生活についてでありますが、世界の全GDPを上回る金融資本が出回るという過剰流動性に乗った巨額な投機マネーの原油、穀物市場への集中が価格高騰を招き、今、世界経済は、景気後退とインフレの危機にさらされております。食の安全・安心を脅かす負の連鎖もとまりません。
 これらは、本来政府が責任を持って取り組むべき課題でありますが、国政は迷走を続け、政治の覚悟が問われていながら、この国の未来図を示せない状況にあります。
 都は、都民、国民に広がる不安を解消するためにも、首都東京から国を先導する緊急対策を展開いたします。共産党も、今回の補正予算には、ぜひとも賛成をしていただきたいと思います。
 都市再生と市場原理主義についてでありますが、世界経済がグローバル化する中で、多様な民間の資金を活用して都市再生に取り組む場合には、外資が参加することは当然のことであります。
 国の牽引役である東京の活力をさらに高める都市再生の取り組みと、市場原理主義による過激な投機マネーの暴走という比較にならないものを殊さら同列に論ずることは、経済の道理を全く無視し、事の本質を見誤って、的を射ないものであります。政策を改める必要はないと信じております。
 財政運営についてでありますが、ご指摘を受けるまでもなく、私はこの間、福祉、教育、中小企業対策はもとより、環境や治安、インフラ整備など、都民が直面する諸課題、東京の未来を切り開く施策、これらにしかるべく財源を投入し、財政運営を行ってまいりました。
 なお、お話を伺っておりますと、税収や基金がふえれば、どんどん使ってしまえとの主張のようですが、そうした安易な財政運営というのは、私の考え方とは全く相入れないものであります。
 次いで、国の定額減税についてでありますが、今回、国の緊急総合対策の一項目として定額減税が掲げられました。規模や実施方式は今後の検討を待たねばならないにせよ、国民の不安を解消するため、厳しい財政状況の中にあって、財政の規律を堅持しつつ、打つべき手を打つのは、政治として当然のことであると思います。
 後先を考えずに、何につけてもばらまきを主張する共産党とは次元が異なる問題であると思います。
 次いで、オリンピック招致についてでありますが、北京大会には、世界各国のIOC委員やスポーツ関係者が集まりますので、この機会を生かして積極的に招致活動を行うことは極めて効率的、効果的でありまして、当然のことであります。どの国もやっております。
 招致活動は、IOCの定めたルールや議決をいただいた予算の範囲内で行っておりますので、オリンピック精神に反するとか、ばらまきという指摘は、いずれも当たらないと思います。
 築地市場の現在地再整備についてでありますが、豊洲地区への移転は、長い長い年月をかけて、関係者間で再整備を含めてさまざまな案を検討し、議論を尽くして決定したものであります。
 現在地再整備は、種地がなく、営業を続けながらの工事が困難なことや、市場に求められる新たなニーズに対応できないことなどから、不可能であると思います。このことは、本年五月に出された業界団体の大多数からの要望書においても明確に述べられております。
 現在、専門家会議からの提言を踏まえ、技術会議において、新しい技術の検討も含め、確実で、コスト面でもすぐれた土壌汚染対策を検討しておりまして、この結果に基づき、都として早期に土壌汚染対策計画を取りまとめ、都民や市場関係者が安心できる万全な対策を講じてまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
 〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 学校給食費への公費による支援についてでございますが、学校給食法等によりますと、学校給食は学校の設置者が実施をし、給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされておりますが、学校設置者の判断により、保護者の負担軽減策を実施することも可能でございます。
 都立学校では、特別支援学校の児童生徒については就学奨励費により、また、夜間定時制高校の就業している生徒については夜食費補助により、保護者の負担軽減を図っております。
 小中学校における給食費は、学校設置者である区市町村が、地域の実情や特性を踏まえた上でそれぞれが決定をしているものでありまして、給食費の改定や保護者負担の軽減策についても、その判断により行われているものでございます。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 八点のご質問にお答えします。
 まず、新銀行東京の経営悪化の原因についてでありますが、新銀行東京が、その経営の失敗により多額の損失を発生させたことについて、旧経営陣の責任は免れるものではありません。
 現在、経営悪化の原因については、新銀行東京が外部の弁護士に委託して、さらに詳細な調査を進めているところであります。調査結果は、年内を目途に取りまとめられると聞いており、お話の、紹介による無理な融資等が損失を膨らませてきたなど、推察により論じることは適当ではないと考えます。
 次に、新銀行東京における融資実態の調査についてでありますが、新銀行東京では、どこからの紹介であっても、通常の融資申し込みと同様の手続を経て、厳正な審査を行っております。
 仮に、融資の申し込みに関連して違法な行為があった場合には、監督官庁など権限を有する機関が厳正に対処すべき問題でありまして、都として調査する考えはございません。
 次に、新銀行東京の存在意義についてでございます。
 新銀行東京は、資金繰りに窮する中小企業を支援するために設立したものであり、平成二十年六月末現在で約一万一千社の中小企業に対して融資、保証を行い、その残高は一千億円を超えております。
 このように、東京の中小企業金融において役割を果たしており、中小企業支援とは無縁な金融機関であるというご指摘は当たりません。
 次に、正規雇用拡大に関する大企業への働きかけについてでありますが、企業には、労働者派遣法やパートタイム労働法の規定に従い、非正規雇用から正規雇用への転換に向けての取り組みが求められております。
 都はこれまでも、既にセミナーの開催や資料の配布等を通じて法令の周知徹底を図ってきたところでありまして、今後とも、こうした企業への働きかけを行ってまいります。
 次に、最低賃金についてでございます。
 本年七月から施行されました改正最低賃金法では、地域別最低賃金は、労働者の生計費や類似の労働者の賃金に加えまして、生活保護との整合性にも配慮するものとされております。
 都内の最低賃金は、国の東京地方最低賃金審議会の審議を経て国が決定するものでありまして、引き続き、国の動向を見守ってまいります。
 次に、中小企業に対する融資対策についてでございます。
 今回の補正予算案では、最優遇金利を適用しております経営支援融資の融資目標額を三百億円拡大しております。これは、本年度の融資実績を踏まえ、中小企業者の資金需要に緊急に対応するために必要な金額を計上したものでございます。
 また、あわせまして、小規模企業者に対する信用保証料の補助率の大幅な引き上げを実施することとしております。
 なお、既存融資の返済期間延長につきましては、返済負担の軽減を図る借りかえ融資を既に実施をしております。
 次に、燃料高騰に対する農漁業への対策についてでありますが、原油高騰は全国的な課題でありまして、まず、国において総合的な対策が講じられるべきものであります。現在、国は、原油価格高騰対策として、補助金、税制、融資にわたるさまざまな施策を打ち出しております。
 都としては、その動向を注視しているところでございます。
 最後に、原油高騰対策としての、お話の燃料への直接助成、融資への利息補助、また価格補償についてのお尋ねですが、都におきましては、既に省エネに向けた技術指導や情報提供を行うとともに、省エネ施設導入資金や経営に必要な運転資金に対する融資制度を用意し、農漁業者の資金需要にもこたえております。
 また、国においても、さまざまな施策が打ち出されておりまして、お話の対策について実施する考えはございません。
 〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 二点の質問にお答えします。
 まず、都の民間開放についてでございますが、都はこれまで、都民の安全・安心を確保しつつ、真に行政が担うものは何かという視点から、民間など多様な主体による質の高いサービスの提供を図るとともに、政策対応力の一層の強化に向けまして改革に取り組み、認証保育所の設置を初め、都民が実感できる成果を上げてまいりました。
 このように、都民サービスの質的向上を図る観点から、行財政改革の一環として進めてきましたのが都の民間開放でございまして、今後とも、不断の改革を推進し、都民が真に必要とする施策を展開し得る強固な行財政基盤を構築してまいります。
 次に、都の正規雇用拡大についてでございますが、都の事業は、いうまでもなく都民の税金で賄われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮することが強く求められております。
 このため、都では、個々の職務内容や業務量等を十分に勘案した上で、常勤職員に加えまして、非常勤職員、臨時職員、人材派遣などを活用し、最適な組み合わせによる効率的かつ機能的な執行体制を構築しているところでございます。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、個人都民税の減税についてでございますが、都といたしましては、低所得者の方々に対しましては、税による一律の軽減よりも、きめ細かな施策として手当てする方が公平で効果的と判断し、生活安定化総合対策事業を実施しているところでございます。
 したがいまして、都民税の軽減措置を行うことは考えておりません。
 次に、固定資産税等の軽減措置の拡大でございますが、現在、住民の定住確保や中小企業支援のために、土地への課税の軽減措置及び減免措置を実施しております。
 しかしながら、税負担の公平性等の観点から、これらの措置をさらに拡大する考えはございません。
 なお、市町村でも同様の手だてが可能となるような都としての措置につきましても、考えてございません。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 五点についてお答えいたします。
 まず、低所得世帯に対する対策及び手当の支給についてでありますが、物価上昇への対策を含めて、低所得者に対する所得保障は、基本的に国の判断と責任によって実施されるべきものと認識しており、都として独自に実施する考えはございません。
 次に、長寿医療制度についてでありますが、この制度は、国民皆保険制度を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものであると認識をしております。
 現在、国においてさまざまな議論がなされており、これを見守ってまいります。
 次に、シルバーパスの役割についてでありますが、シルバーパスは、高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図ることを目的としております。
 現在、多くの高齢者がシルバーパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されております。
 次に、シルバーパスの対象拡大についてでありますが、シルバーパスは、高齢者の社会参加活動を促進するために、利用を希望する方に対して、社団法人東京バス協会がパスを発行し、都が補助を行っている事業であります。
 東京都シルバーパス条例により、シルバーパスの利用対象は都営交通及び路線バスとなっており、新たな利用対象交通機関の拡大は考えておりません。
 最後に、中学三年生までの医療費助成についてでありますけれども、これは先ほどご質問にお答えしたとおりでありますけれども、この制度のあり方については、少子化対策を一層推進するとともに、適切な医療を提供できる体制を確保するという観点から検討することが重要であります。
 都としては、このような考えのもとに、また、現行の所得制限を前提に助成内容の拡大を図る方向で検討しており、十月早々には具体案を取りまとめてまいります。
 助成内容の拡大に当たりましては、小児医療現場の厳しい状況や、医療保険制度の相互扶助の理念にも十分に配慮する必要があると考えております。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 高校生に対する就学支援についてでございますが、都では、勉学意欲がありながら、経済的理由により就学が困難な高校生に対しまして、育英資金を貸与しているところでございます。
 また、私立高校につきましては、各学校の運営費に対する補助や、一定所得以下の保護者を対象に特別奨学金補助を実施し、保護者の経済的負担の軽減を図っている状況にございます。
 こうしたことから、お話の新たな支援策につきましては考えておりません。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨時職員の賃金についてでございますが、都の臨時職員は、一時的、臨時的な行政事務の増加に弾力的に対応することを目的に各局で雇用されるものでございまして、毎年度の予算見積もりに当たって、適切に算定した賃金の参考単価を各局に通知しております。
 次に、都の公共事業についてでございますが、今回の措置は、特定の資材価格が短期間で急激に高騰した状況に対応するために実施したものであり、単品スライド条項の適用が最も適切でございます。
 なお、単品スライド条項の手続や最低制限価格については、都独自の方針や改善策を既に公表しております。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、外環についてでございますが、外環は、首都圏の人と物の流れを円滑化するとともに、快適で利便性の高い都市を実現する上で必要不可欠な道路でございます。
 今後も国に対し、平成二十一年度に事業着手するよう、あらゆる機会をとらえて強く働きかけてまいります。
 また、外環の地上部街路である外環ノ2につきましては、関係区市等から出されました要望を踏まえ、この道路の必要性やあり方などにつきまして、広く都民の意見を聞きながら検討を進めてまいります。
 次に、持続可能な都市づくりについてでございますが、東京が環境と調和した国際競争力を有する都市であり続けるためには、三環状道路を初めとする都市施設の計画的な整備や、都市活動が集中する都心部の更新が不可欠であります。
 今後も、都市活動に伴う環境負荷の低減を図りつつ、高度な都市機能を備えた東京の実現を推進してまいります。
 次に、公園を倍増させる計画とのご指摘でございますが、計画的、効率的に公園等の整備を促進するため、平成十八年三月に、都区市町共同で都市計画公園・緑地の整備方針を策定し、今後重点的に取り組むべき公園、緑地を明らかにいたしました。
 現在、この方針に基づき、都と区市町は、事業の優先度や財源の状況を勘案し、鋭意整備に取り組んでおります。
 最後に、がけ地の開発の規制でございますが、がけ地等での開発行為の許可に当たりましては、がけの崩壊に対する安全を確保するなど、関係法令等に基づき適切に対応しております。
 また、雨水の浸透、貯留の推進でございますが、昨年八月に、都は、局所的な集中豪雨に対応するため、東京都豪雨対策基本方針を策定いたしました。
 現在、この方針に基づき、流域の特性や土地利用の状況などを踏まえて、貯留施設や浸透施設の設置などを重点的に進めております。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 緑地の保全についてでございますが、緑地等の自然地の開発に際しては、自然保護条例に基づく開発許可制度により、自然環境の保全に配慮した計画とするよう事業者を指導するなど、適切に対応しております。
 また、都はこれまでも、地元自治体等と連携し、里山などの保全に努めており、今後とも緑の保全に取り組んでまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 豪雨情報などの提供についてのご質問にお答えいたします。
 都は、既に平成十四年度から、水防災総合情報システムや東京アメッシュで、降雨や河川水位の情報をインターネットにより都民に提供してまいりました。
 これらの情報システムについては、広報誌などで都民に周知を図っており、平成十九年度の実績として、携帯電話などから一千三百万件を超えるアクセスがあり、多くの都民に利用されております。
 今後とも、都民の安全・安心を確保するため、引き続き情報提供に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する四点の質問にお答えいたします。
 まず、新市場予定地の土壌汚染の状況についてでございますが、敷地全域にわたる四千百二十二カ所の詳細調査の結果、環境基準を超過した割合は三六%でございますが、千倍という倍率で見ましても、これを超える物質が検出されたのは、土壌で二カ所、地下水で十三カ所でございます。
 さらに、詳細調査で一定の汚染物質が検出された四百四十一カ所において、深さ方向に土壌ボーリング調査を行いました。この絞り込み調査の結果、三千百三十四検体のうち、二二%が環境基準を超過しましたが、千倍以上の物質が検出されたのは、七カ所、七検体でございます。
 なお、街区別では、千倍以上の物質が検出されたのは、五街区で三カ所、六街区で十六カ所、七街区では検出されてございません。
 次に、新市場予定地の土壌汚染の範囲についてでございますが、調査結果を平面方向で見ますと、高濃度の汚染物質が検出された箇所は、六街区の東京ガス株式会社操業時の旧空き地区域に集中しており、敷地全域に高濃度の汚染が広がっているわけではなく、汚染の範囲は限定的でございます。深さ方向について見ますと、詳細調査で汚染物質が検出された箇所においても、操業時の地盤面から不透水層上端まで全体が汚染されているわけではなく、部分的に点在している状況にございます。
 次に、技術会議についてでございますが、技術会議は、専門家会議の提言を踏まえ、土壌汚染対策を具体化するために設置したものでございます。
 現在、新技術や新工法を広く民間事業者等から公募しており、今後、提案された内容を土木、環境分野などの専門家委員により評価、検証した上で、科学的根拠に基づいた具体的内容で、確実に効果が得られ、工期や経費などでもすぐれた対策を選定することとしております。
 最後に、現在地再整備の可能性についてでございます。
 豊洲新市場は、中小の小売店、飲食店から量販店まで、あらゆる顧客のニーズにこたえていくこととしております。
 このため、新市場の施設の検討に当たりましては、これからの市場に求められる新たな機能を盛り込むとともに、卸、仲卸、小売等の市場業界団体と協議を重ね、その要望を取り入れた上で施設内容を取りまとめてきました。
 現在地で再整備を行った場合には、敷地が狭隘なため、こうした業界団体の要望や新たな機能を盛り込むことができないことに加え、種地が確保できず、営業を継続しながらの工事が困難なことから、再整備は不可能でございます。
 また、財政面においても、中央卸売市場の保有する資金では、再整備に要する事業費を賄えず、跡地の売却収入も見込めないことから、実現性のある再整備の計画を策定することができない状況にあります。
   〔三十五番村松みえ子君登壇〕

○三十五番(村松みえ子君) 再質問します。
 まず、新銀行東京です。
知事は、新銀行東京が、すべての申し込みについて厳正な審査を行ったと答弁されました。だとしたら、なぜ融資関係だけで四百六十億円もの損失が生まれたのですか。厳正な審査を行ったのであれば、旧経営陣に経営破綻の責任はないことを認めたことになるんです。それでいいんですか。それとも、「週刊朝日」などの報道はうそだというんですか。知事、しっかり答えてください。
 産業労働局長は、約一万一千社の中小企業に融資、保証を行っているから、中小企業金融の役割を果たしていると答弁しました。今貸している一千億円について、制度融資を拡充すればいいのであって、新銀行存続の理由にはなりません。
 問題は、中小企業への貸し付けが、三月期決算から既に二千社も減少していることです。しかも、新規の契約はほとんどないんです。貸しはがし、貸し渋りの銀行に存在意義はありません。ごまかさないで答えてください。
 豊洲問題です。
 知事は、現地再整備ができない理由として、種地が確保できないことを挙げました。かつて都がつくった現地再整備計画で種地が検討されたことがあり、そのときの候補地で、まだ未利用の土地があるのです。地元中央区でも、種地はあるといっているんです。ごまかすのはいいかげんにすべきです。知事、もう一度お答えください。
 市場長の答弁を聞いて、本当に驚きました。これで、食にかかわる市場の責任者の発言なのか、疑わざるを得ません。汚染物質は、二千二百カ所余りも検出されているのですよ。それをあたかも、千倍以上の汚染は限られているといって、安全であるかのようにいい張っています。だったら、千倍以下の汚染は安全だというんですか。法律に、どこにそんなことが書いてあるのか。あったら示してください。
 次に、市場原理主義の問題です。
 知事は、自分が市場原理主義を都政に持ち込んだことは認めず、反省がありません。しかし、知事は、就任初の一九九九年の都議会定例会の所信表明で、福祉に市場原理を活用すると明言したんです。それでも、知事が都政に市場原理を持ち込んだことは認めないんですか。答えてください。
 最後に、知事は、市場原理主義について、殊さら過激な投機マネーの暴走だけが問題であるかのようにゆがめ、私の発言が的を射ないものであるといいました。とんでもありません。知事は、かつて著書で、アメリカの投機マネーを引き込むことについて、それで日本人が得られるのはアメリカに対する降伏だとまでいって批判したんです。知事、この論理でいけば、都市再生に投機マネーを参加させることもアメリカへの降伏になるのではありませんか。
 その時々でくるくる変わる知事の発言は、ご都合主義そのものといえます。信用できません。違いますか。答えてください。
 以上六点、再質問をいたします。ぜひ答えてください。(拍手)
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 再質問にお答えをいたします。
 すべての案件について厳正な審査を行っているということと不良債権化とを結びつけたお話でありますけれども、厳正な審査とお答えをいたしましたのは、申込者によって恣意的な審査をすることはないという意味で申し上げているわけで、そのことで不良債権化したことと結びつけてのお話は、意味がない話だというふうに思います。
 それからもう一点の、新銀行東京の存在意義の私の答弁についてでございますけれども、ご質問で存在意義がないというような、いわば新銀行の存立の根幹についての評価をするのであれば、単に直近の貸し出しのフローについて論ずるべきではなくて、ストックとして現にどれだけの貸し出しが今行われているかという、そういう側面も同時に評価すべきであると、当然のことを申し上げたまででございます。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) まず、種地についてでございますが、現在の築地市場、約九四%の敷地が建物、通路、荷さばき場等で使用されておりまして、六%ほどしか余裕がございません。この六%も散在をしている状況でございまして、再整備に当たっての種地というものは確保できる状況にないというふうに考えております。
 次に、汚染の範囲でございますが、高濃度の汚染は極めて限られた範囲でございまして、専門家会議も、対策は十分に可能であるというふうな見解を表明しております。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 市場原理の導入の件についてお答えさせていただきます。
 先ほどお答えしましたように、都はこれまで、都民の安全・安心を確保しつつ、真に行政が担うものは何かという観点から、民間など多様な主体による質の高いサービスの提供を図ってまいりました。
 認証保育所の設置を初め都市再生、こういったものを含めまして、都民が実感できる成果を上げてまいりました。
 このように、都民サービスの質的向上を図る観点から進めてまいりましたのが、都の民間開放でございます。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 市場原理主義についての再質問についてでございますが、先ほど知事が答弁したとおり、世界経済がグローバル化する中で、多様な民間の資金を活用して都市再生に取り組む場合に外資が参加することは当然でございます。
 また、都が進めてきた都市再生の取り組みと市場原理主義による過激な投機マネーの暴走という、比較にならないものを同列に論じること自体、意味のないものと考えております。
 したがって、これをもって知事の責任とする指摘は全く当たりません。
 いずれにいたしましても、今後とも適正に対処してまいります。

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。

   午後七時八分散会

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