午後四時五十三分開議
○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
八十五番鈴木貫太郎君。
〔八十五番鈴木貫太郎君登壇〕
○八十五番(鈴木貫太郎君) 私は、都議会公明党を代表し、質問をいたします。
私の住む荒川区が生んだ水泳の北島康介選手の活躍に象徴されたように、北京オリンピック・パラリンピックでのアスリートたちの人間力には、私ならずとも、多くの都民が感動を覚えたのではないでしょうか。二〇一六年オリンピックの東京招致に向けて、改めて思いをはせたのであります。
一方、平和の祭典であるオリンピック・パラリンピック開催中にグルジア紛争が勃発。サブプライムローンに端を発した金融危機は、新たな世界の金融不安の連鎖に発展をしようとしております。
一方、国内に目を転じても、ゲリラ豪雨や汚染米事件など、これまでの常識、予想をはるかに超える事態が相次いでおります。時代の危機を乗り越えたジュリアス・シーザーの、ただ迅速果敢な行動のみがすべてを決定するという箴言が、私は思い出されてなりません。
混沌とした時代のカオスを打ち破る東京ならではの行動が今こそ求められているのであります。こうした観点から、以下、知事並びに関係局長に伺ってまいります。
初めに、補正予算に関して質問いたします。
我が国経済は、景気後退局面に入った公算が高く、今後の経済の見通しは極めて不透明であります。特に原油価格や物価の高騰は、都民生活に大きな影響を与えております。
都民の不安は、先行き不透明な経済の問題だけではありません。首都東京においては、いつ大地震が発生しても不思議ではない状況にあります。さらには、東京は膨大な昼間流入人口を抱え、都市機能が高度に集約しているがゆえに、さまざまな危機が先鋭的にあらわれております。
今日の都政に求められている課題は、都民生活が直面する不安に対して、生活者の視点に立ち、具体的な手だてを早急に講じることでありましょう。
都議会公明党としても、こうした観点から、八月二十七日に緊急要望を行ったところであります。
今回の補正予算案では、我が党の要望を受け、年長フリーターを対象とした雇用対策を初め、現下の厳しい経済環境を乗り切るための中小企業支援対策、小中学校の耐震化対策等が盛り込まれております。ほかにも、新型インフルエンザ対策、低炭素社会への取り組みなど、都民の不安を解消するための具体的な施策を取り入れており、高く評価をするものであります。
都民が危機に直面している今こそ、都民生活のセーフティーネットとして、積極的に施策をこの際展開すべきと考えるものであります。
そこでまず、この時期に補正予算の編成を決断した石原知事の考えを伺うものであります。
今回の補正予算は、将来の財政運営の足かせとなることを避け、かつ都民生活への影響を最小限にとどめるため、地方債の発行、基金の取り崩しを行わず、その全額を平成十九年度決算剰余金で賄うこととしたところであり、これは、都財政の長期にわたる財政再建努力の結実があったからこそ可能となったものであると高く評価をいたします。
その上で、補正予算の内容に関連して、以下二点質問をいたします。
まず、保育所等の耐震化についてであります。
都議会公明党は、さきの第二回定例会代表質問において、学校などの耐震化の取り組みを加速させ、特に経営基盤が弱く、耐震改修がおくれている私立の学校、幼稚園、保育所等について、都独自の支援策を講じるよう求めてまいりました。
都はこれを受け、今回の補正予算案で、耐震診断の実施を促進するための補助率を三分の二から五分の四にかさ上げをいたしました。さらに、保育所等については緊急に実態調査に着手するなど、我が党の主張を受けての迅速な対応を、この際、高く評価をいたすものであります。
そこで、この実態調査を受けて、保育所等の耐震化を推進するための今後の取り組みについて、都の見解を求めるものであります。
次に、年長フリーター対策について質問いたします。
今回の補正でネクストジョブ事業が提案をされておりますが、採用する企業側を見ると、三十代で正社員の経験がないといった方については、履歴書を見ただけで、経験不足を仕事能力の不足ととらえて、採用に二の足を踏むようなことが多いという現実がまさにあります。
こうした状況を変えるには、都として企業に積極的アプローチすることが重要であり、また、採用後の職場定着まで支援する仕組みも必要と考えます。都の見解を求めるものであります。
次に、原油価格並びに資材価格の高騰対策について質問をいたします。
まず、公共工事発注後の資材価格高騰に応じ、工事費の支出を上乗せする、いわゆる単品スライド条項についてであります。
単品スライド条項とは、いうまでもなく、第二次オイルショック期間の昭和五十五年に、石油価格の高騰による建設資材の価格変動に対応し、特別措置として契約金額の変更を行ったことを受け、昭和五十六年に単品スライド条項が工事請負契約書に規定されたものであります。
以来二十八年間、この単品スライド条項の適用事例はありません。昨年来の石油高騰による、鋼材を初め建設資材の急激な価格上昇により、公共工事を取り巻く社会経済情勢は大変厳しいものとなったため、都議会公明党は、都に対して本条項の初適用を強く申し入れを行ったのであります。
都はこれを受け、六月十六日、この単品スライド条項の適用を発表いたしました。迅速な対応を評価するものであります。また、我が党の強い要望を受け、対象資材を鋼材類、燃料油に限定せず、その他の資材まで広げたことは、高く評価をまずいたします。
しかしながら、六月十六日の適用発表から三カ月が経過した今日でさえ、いまだにこの条項が適用された工事は一件もありません。
資材高騰に苦しむ事業者に対応するための単品スライド条項であります。早期にさかのぼって本条項の適用を実施するとともに、今後の状況を見据えながら、一%条項、すなわち、価格上昇に伴う増額分のうち、資材別に対象工事費の一%を超える部分のみ都が負担をするという条件については、早期に撤廃をすべきと考えます。あわせて見解を求めるものであります。
次に、原油価格の高騰の影響を直接受けている公共交通機関、とりわけバス交通について質問をいたします。
東京におけるバス交通は、経営環境の厳しさに対し、みずから輸送サービスの改善、運行の効率化、合理化を進めるなど内部努力を続けておりますけれども、追い打ちをかける軽油価格の高騰によって、一部路線の廃止、運行回数の縮小を検討せねばならない状況に追い込まれているのであります。
そこで、通勤通学など、都民の日常生活を支える公共交通機関として重要な役割を担うバス交通について、都としての支援策を、この際、検討すべきであります。見解を求めます。
特に、都の温室効果ガスの二五%削減目標を見据えたときに、CO2排出量が約一五%削減でき、低燃費のハイブリッドバスの導入はとりわけ重要であります。国の低公害車に対する補助制度を例に挙げるまでもなく、都は、積極的に導入助成をまず行うべきであります。見解を求めます。
次に、契約制度改革について質問をいたします。
都の入札契約制度改革研究会は、先般、入札契約制度改革に関連し、直ちに実施すべき当面の対策として、九項目にわたる第一次提言を受け、都が実施方針を発表いたしました。
今回、都が明らかにした実施方針は、透明性と競争性の向上を目指しながらも工事品質を確保し、入札不調の解消、低価格競争抑制への試みであり、本年第一回定例会の予算特別委員会での我が党の主張にこたえたものとして、一定の評価をまずするものであります。
研究会では、今後の制度改革の抜本的な解決策の視点として、予定価格の事前公表、総合評価方式、最低制限価格、契約担当者を窓口としない不服審査機関の設置、発注者側の技術能力の向上などを挙げております。
中でも、事業者の社会貢献活動等の評価のあり方について取り上げておりますけれども、災害復旧に関する地域への貢献、高齢者、障害者雇用など、都の施策推進に貢献している事業者に対しては、改革される入札契約制度の中で、何らかの優遇措置を講じていくべきと考えます。見解を求めるものであります。
次に、行財政改革について質問をします。
都が三年間の行財政改革の具体的な道筋を示した行財政改革実行プログラムは、本年度で一区切りとなります。
今後の行財政改革における大事な視点として、第一に、都立病院の行政的医療の存続など、効率化を進めながらも、都民サービスの向上、不安解消など、都民の視点に立って改革を進めること、第二に、団塊の世代を中心とした職員の大量退職が見込まれる中においても、都が引き続き責任を持って担うべき業務とは何かを再検証するとともに、技術、ノウハウを着実に継承していくことなどが挙げられます。
都は、以上の視点も踏まえ、今後の改革の基本的方針を明らかにした上で、新たな実行プログラムを取りまとめるべきと考えます。答弁を求めるものであります。
関連して、監理団体については、これまで、都議会公明党の主張を踏まえ、団体の統廃合、都派遣職員数の削減などの改革が進んできており、高く評価をいたします。
しかし、一方で、外郭団体に対する都民の視線はますます厳しく、手綱を緩めることなく、さらなる監理団体の改革を進めていく必要があると考えます。見解を求めます。
むだを削減する具体的な事例として、都は、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを策定し、事業者や都民を牽引する意味で都の率先行動を示しております。
その中には、建設局による街路灯、公園灯の省エネ照明灯への転換、警視庁による信号灯器のLED化への転換の取り組みが挙げられております。こうした取り組みは、CO2削減に加え、電球が長寿命であるため、交換に要する手間も省け、さらに、毎月かかる電気使用料金、コスト削減にも大きく貢献するものではないでしょうか。
今後、都は、照明の省エネ化によるコスト削減効果をも踏まえて、環境局が各局に対し、これまで以上にリーダーシップを発揮し、都の率先行動を推進していくべきと考えます。都の見解を求めておきます。
次に、東京オリンピック・パラリンピック招致及びスポーツ振興基本計画について質問をいたします。
石原知事が北京オリンピックの開会式に出席をされ、東京招致への強い意欲を内外にアピールされたことを、我が党は高く評価するものであります。我が党も北京オリンピック視察団を派遣し、開会式に出席したのを初め、セキュリティー対策、選手村施設、オリンピックレーンによる渋滞対策、ジャパンハウスを中心とした招致活動をつぶさに視察してまいりました。
何よりもまずは、友好都市東京として、北京大会が成功裏に終わったことを心から祝福するわけであります。この北京大会の開催を通じて、北京に足を運ばれた石原知事は、東京招致に向けて参考になった点は何か、また、北京での招致活動の取り組みの成果について知事の所見を伺うものであります。
東京オリンピック・パラリンピックの招致活動を強力に進めていく上で、単に高齢者、障害者だけではなく、外国人、子どもたちも視野に入れたユニバーサルデザインに基づくまちづくりを進めていくことも重要であります。したがって、東京が内外に世界のユニバーサルデザインの最先端をリードする姿勢を示し、福祉のまちづくりを一層推進していくべきと考えます。都の見解を求めます。
冒頭でも述べたように、北京大会での日本選手の活躍は、都民に深い感動と活力を与えてくれました。また、オリンピックに限らず、多くの都民がスポーツの感動に沸いたこの夏、都はスポーツ振興基本計画を策定いたしました。
今回の計画では、都民のスポーツ実施率を高めるため、取り組みの一つとして、いつでもスポーツを実践できる場となる地域スポーツクラブの増加を目指しております。地域スポーツクラブは、子どもからお年寄りまでスポーツを通じ交流する場として地域の活性化にも役立っており、我が党もその普及を強力に推し進めているところであります。
都は今年度から、地域住民が地域スポーツクラブの活動を実際に体験する事業に対して支援を始めておりますが、こうした取り組みをさらに拡充し、全区市町での地域スポーツクラブの設立をも促進すべきと考えますが、見解を求めます。
なお、スポーツ振興基本計画では、スポーツ人口のシェアを広げることも大きな柱として位置づけをしております。しかしながら、学校教育における部活動は、顧問がいなくなるなどの理由により休廃部をしている現状があります。
現在策定に着手している「十年後の東京」実行プログラム二〇〇九にも明確に位置づけるなどして、部活動再生に取り組むべきと私は考えます。見解を求めます。
次に、消費生活基本計画に関連して質問をいたします。
都はこのたび、十一年ぶりに東京都消費生活基本計画を改定いたしました。折しも国内では、米粉加工販売会社による事故米の転売問題が発覚、時を同じくして、中国ではメラミンに汚染された粉ミルク被害が明らかになり、日本で全国販売された輸入食品も自主回収されるなど、中国産冷凍ギョーザの薬物中毒事件に続き、全国的に食の安全が脅かされているのであります。
とどまることを知らない食の安全の崩壊を目の当たりにし、首都東京の食の安全を守り抜く知事の決意をこの際伺います。
消費者の安全・安心確保のため、国では、公明党の推進により消費者庁を設置いたします。都としても、食の安全確保はもちろんのこと、深刻な消費者被害や、多発をする商品、サービスの安全に関する事故、偽装表示などに対するための悪質事業者排除、商品、サービスの安全性及び適正表示の確保など、さまざまな課題解決に、この際、一段と強く立ち向かっていかなくてはなりません。
このたびの消費生活基本計画の改定は、国の消費者庁設置による行政一元化に呼応したものでもありますが、今回の改定で提示されている緊急対策や政策課題は庁内八局にまたがっており、その推進のためには、都としても一元的に取り組む体制をまず構築すべきと考えます。見解を求めます。
次に、元気高齢者の支援について質問をいたします。
都内在住の六十五歳以上の高齢者のうち、要介護、要支援認定を受けていない、いわゆる元気高齢者は、八割以上の約二百七万人にも上ります。介護サービスを利用していない、こうした元気高齢者の健康維持や生きがいづくりに支援策を講じていくことは、目前の超高齢社会への対応として極めて重要であります。
その一環として厚生労働省は、高齢者施設等での元気高齢者のボランティア活動を活発化させ、しかも、活動実績をポイントに換算して、実質的な介護保険料の負担軽減等が可能となる介護支援ボランティア活動を十九年度から開始いたしております。
東京都も今年度、高齢者施設でボランティア活動を行う介護サポーターを養成して、施設への円滑な受け入れを進める施設介護サポーター事業に乗り出しておるのであります。
国、都の両事業とも、ボランティア活動への参加意欲と高齢者施設等での介護サポートを結びつけるものでありますけれども、二つの事業はそれぞれ独自に行われるために、事業への補助額の違い、活動状況に応じて還元されるポイントなどの対価に格差があり、こうした課題の解消がまず求められております。
そこで、都の施設介護サポーター事業を介護サポートの担い手としてのボランティア確保と研修を行う部門と位置づけ、それを国制度の介護支援ボランティア活動につなげる一貫したシステムをこの際整備すべきであります。見解を求めるものであります。
また、元気高齢者のボランティア参加を促していくためには、介護サポーターに関する意識啓発を初め、介護支援ボランティア活動の対象業務の拡大などによって、より多くの高齢者が参加しやすくなる環境整備も検討すべきとこの際考えます。見解を求めます。
次に、シルバーパス制度の激変緩和措置の継続について質問いたします。
シルバーパスについては、国の税制改正により高齢者の区市町村民税の課税基準が引き下げられ、その結果、収入が変わらないにもかかわらず、多くの高齢者が千円から二万五百十円のパスを購入せねばならない事態を避けるため、我が党は、負担拡大について配慮するよう強く主張し続けてまいりました。
都は、我が党の主張を踏まえ、税制改正の影響を受けた方の負担額について、平成十八年度、平成十九年度、そして今年度と、激変緩和の観点から経過措置を実施してきたことは評価をするものであります。その上で、二十一年度も引き続き経過措置を継続することを、この際、公明党は強く求めるものであります。見解を求めます。
次に、子育て支援策について二問質問をいたします。
まず、私立幼稚園に通う園児の保護者の負担軽減についてであります。
子育ての経済的負担は、どの所得層でも年収の約三割を占めており、特に若年層の子育てにおける経済的負担は深刻な状況であります。こうした就学前の子育てにかかる負担を軽減する一環として、都議会公明党はこれまで、園児保護者の負担軽減事業の拡充を推進してまいりました。
現在、この制度では、兄、姉がいる園児については、優遇措置として補助単価の増額が設定をされております。これと同様の国制度では、今年度から、兄、姉の要件を小学校三年生まで拡大されております。しかし、都の制度では、兄、姉が同時に幼稚園等に通っている場合のみと限定されています。
そこで、都においても、早急に国と同様の優遇措置を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
次に、中学三年生までの医療費助成制度についてであります。
公明党の強い要請を受け、都は昨年十月から、中学三年生までの医療費の一割助成をスタートさせました。その結果、本制度が導入されることを契機に、二十三区十町村では独自に、入院、通院とも自己負担分を全額助成し、中学三年生までの医療費ゼロが実現しております。
しかし、これが、区部と比べ財政基盤の弱い多摩の市町村との間での格差となり、新たな三多摩格差と指摘をされるに至っております。石原都知事の選挙公約でもある中学三年生までの医療費ゼロを、早急に都の制度として、この際、実現をすべきであります。見解を求めます。
次に、住宅政策について質問をいたします。
初めに、子育て支援としての住宅政策の強化についてであります。
初めて少子化問題を取り上げた平成二年版の厚生白書では、少子化の要因の一つに、教育費、女性の社会進出と並んで住宅問題を指摘をしております。特に近年では、非正規雇用、ワーキングプアの増大が社会現象化し、若年者を中心とした経済的困窮が、結婚、出産の大きな壁となっていると指摘をされています。
まさに都においては、就労の促進とともに、次代を担う若い世帯が安心して生活できる住まいを確保するための公的な政策を、この際、急ぎ整えていくべきであります。
そこでまず、都は今後、従前の子育て支援策に加え、子育て世帯の住環境整備に積極的に取り組むべきと考えます。都の見解を求めます。
あわせて、都営住宅の役割も重大であります。例えば、子育て向け住宅の募集枠を大幅に拡充し、基準に見合う子育て世帯の入居希望を原則可能としたり、子育てに適した間取りの型別基準の新設、子育て限定の定期借家制度を活用したりするなどの工夫が考えられるのであります。
そうした意味からも、都は今後、一定期間、都営住宅ストックの総管理戸数抑制を弾力的に運用し、子育て支援策としての特別枠を設定することを、この際、検討すべきではないでしょうか。
現居住者の居住の安定を図りながら、都営住宅における子育て支援策を緊急に実施していく必要があると考えるものであります。都の見解を求めます。
また、都営住宅においては、明年四月に施行予定の公営住宅法施行令の改正について、都は、第二回定例会で我が党の代表質問に答え、都独自の家賃変動の緩和策の検討を約束いたしておりますが、都営住宅の現入居者の不安を一日でも早く解消するため、都独自の緩和策の骨子を、この際、急ぎ明らかにすべきであります。都の見解を求めます。
次に、がん対策について質問をいたします。
都は、本年三月、がんの予防から治療及び療養生活の質的向上を図る総合的な計画である東京都がん対策推進計画を策定いたしました。
この計画の基本方針として、第一に予防を重視するを掲げ、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんの五つのがん検診の受診率を五〇%にすることを目標としております。
しかし、区市町村が実施しているがん検診の受診率は、五つのがんのいずれも一〇%前後であり、全国と比べて低く、とりわけ、女性のがんである乳がん、子宮がんについては、東京が全国と比較して死亡率が高いのが実態であります。
そこで、都は、乳がん、子宮がん検診の受診率をこの際向上させるために、マンモグラフィー検診車をふやすなど、具体的な対策を実施すべきであります。見解を求めるものであります。
また、女性のがんのうち、子宮頸がんは二十代から三十代の女性に急増をいたしております。子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルスによる感染であります。
ヒトパピローマウイルスの研究が進み、ワクチンが開発をされ、世界でも百三の国で承認をされております。子宮頸がんは予防可能ながんとして、予防ワクチンへの期待が高まっているところであります。申請されている予防ワクチンが承認された後は、その推進を図るために、接種についての情報提供を、この際、速やかに行うべきと考えます。都の見解を求めます。
次に、在宅での緩和ケアについて質問をいたします。
都の調査によりますと、都民の半数が在宅での療養生活を希望しております。身体的にも精神的にも苦痛を抱えるがん患者が安心をして在宅療養生活を送ることができるよう、在宅での緩和ケアを、この際、拡充をすべきであります。
そのためには、在宅緩和ケアの人材育成、療養生活を支援する体制づくりを積極的に推進をすべきと考えます。都の具体的な取り組みについて、見解を求めます。
次に、救急医療におけるトリアージについて質問いたします。
公明党の主張を受け、都は平成八年に、国に先駆け、都独自の災害現場におけるトリアージ制度の導入を行ってまいりました。そのような中、先月末、救急医療対策協議会の中間のまとめにおいて、救急医療のトリアージの実施がうたわれたことは、私は高く評価をするものであります。
この中間のまとめでは、地域ネットワークのかなめとなる東京都地域救急センターが先行的にトリアージを実施、効果を検証し、その取り組みを地域の救急医療機関に広げていくことが有効であると論じています。
しかし、救急現場において、病院内トリアージを円滑に進めていくためには、何といっても患者側の理解が欠かせません。トリアージを実施する趣旨の説明、患者の個々の状況に応じた配慮があってこそ、初めて救急医療におけるトリアージは成り立つものと考えます。
そこで、トリアージをスムーズに行うためにも、例えばトリアージナースなどの訓練を積んだスタッフの配置などが何よりも必要であります。患者の理解と納得を得るための体制の整備の確保について、都の見解を求めるものであります。
また、救急医療にとっては、こうしたトリアージとともに、医師の確保が重要であります。我が党がかねてより主張してまいった奨学金の拡充による医師確保はもとより、制度的に弱体化した大学医局の医師派遣機能を都が補っていくことが重要でありましょう。
そこで、都は、医師不足に深刻な公立病院に医師を派遣する新たな仕組みを構築するよう、この際、強く要望をしておきます。
次に、環境政策について質問をいたします。
第二回定例会で、都は、世界で初めてオフィスをも対象として、CO2排出総量に削減義務を課す環境確保条例の改正を行い、先駆的な取り組みをスタートさせました。都は、条例改正以降、制度の円滑な実施に向けてさまざまな準備を進めていると思いますけれども、何といっても、制度の対象となる事業所に対し、都の制度について正しく、まずは周知する必要があります。
そこで、CO2排出総量の義務化される削減義務率の検討を初め、条例改正後の取り組み状況を明らかにするとともに、新たな融資制度の創設をも含めた中小規模事業所に対する省エネ支援策について、あわせて見解を求めます。
さきの定例会で我が党が求めた太陽光、太陽熱の利用促進について、都は直ちに太陽熱の利用拡大に向けたグリーン熱証書検討会を設置するなど、家庭部門における取り組みも強化をいたしております。
しかし、都の排出量の約四分の一を占める家庭部門における省エネ、節電のおくれを取り戻すには、家庭での取り組みをさらに抜本的に強化をしていく必要があります。
都は現在、白熱球一掃作戦、省エネラベリング制度などの施策を進めておりますけれども、その展開に当たっては、量販店での取り組みに加え、都民にとってより身近な地域家電店とも積極的に連携をし、家庭部門の温暖化対策推進に取り組むことが効果的と考えますが、見解を求めます。
さらに今、社会全体のCO2排出を減らすための仕組みとして注目をされているのがエコポイントであります。都民一人一人のエコ活動については、商店街での取り組み、公共交通の利用促進、リサイクルといったさまざまな広がりを見せておりますが、こうした活動にエコポイントが結びついている例も、既に幾つか見受けられるのであります。
社会全体で地球温暖化阻止に取り組む仕組みを構築していくためには、公明党は、エコポイントの活用が大きなかぎを握ると考えております。
都民一人一人の環境配慮行動をより一層喚起できるように、大都市東京ならではのエコポイント制度を幅広く立ち上げ、その活用策についても具体的な検討を開始すべきであります。見解を求めます。
次に、教員の資質の向上について質問します。
教員の資質の向上を図るためには、すぐれた人材の採用とともに、社会全体で教育を支援することが大事であると考えます。
都教委は、教員の大量退職時代を迎え、それに伴う大量採用が教員の資質の低下につながらないようにせねばなりません。そこで、教員採用に向けて、東京だけではなく地方からも、また、新たに設置された教職大学院との連携など、既存の枠組みにとらわれない、さまざまな取り組みを行っていくべきであります。都の見解を求めます。
次に、教育を社会全体で支える仕組みについてであります。
近年、常識では考えられないような要求を繰り返す保護者が増加をし、教育現場の混乱の要因になっております。
そのため、学校単独で解決できない困難な事例が、平成十九年度で、小中高、特別支援学校を含めて二百三十四校で発生をしております。
本来ならば学校内で解決していくことが望ましいわけでありますが、子どもたちの適切な教育環境を確保するためには、学校事例の問題解決の研修を積み重ねてきている行政書士、司法書士、弁護士などの法律の専門家を活用し、対処できる仕組みを構築していくべきであります。都教委の見解を求めます。
また、いじめにつながる特定の個人への誹謗中傷が、携帯ネットやインターネットの学校裏サイトと呼ばれる掲示板、ブログ、プロフなどの中に掲載をされ、大きな社会問題となっております。こうした学校裏サイトやブログ、プロフなどは秘密裏に行われることも多く、各学校での実態把握は困難であります。
実態調査については分析中と聞いておりますけれども、次から次へと立ち上がる学校裏サイトを的確に把握し抹消する仕組みをつくり、子どもたちが被害に遭わないための実効性のある対策を講じることが急務でありましょう。教育長の考えを伺います。
次に、築地市場の移転問題についてであります。
まず、市場の整備のあり方についてであります。
新たな市場の施設は、五十年、百年先の生鮮食料品流通を見据え、時代の進展に伴って変化する商品流通過程に的確かつ効率的に対応できるものにしていかなくてはなりません。
近年の市場外取引の増加、流通環境の変化、情報化の進展への対応、将来の都市人口の動向、少子高齢化に伴う消費の質的、量的な変化など、社会経済状況の変化も勘案をしてみますと、新市場予定地の整備規模について、敷地面積四十ヘクタールは必要ないのではとの指摘もあります。このことについて、都の見解を求めます。
都議会公明党は、党内に築地市場問題調査特別チームを立ち上げ、これまで精力的に調査活動を展開してまいりました。
農林水産省は、施設の整備に当たり、卸売市場整備基本方針の中で、大都市圏の市場においては、土地の高度利用を図る観点から、立体的かつ効率的な施設の配置とすることと指導しております。
我が党としても、土地を高度利用するならば、豊洲以外にも候補地は存在すると考えます。都には、水産卸、仲卸売り場の一体配置が可能であり、土壌の地歴から土壌汚染がなく、既に都有地であり、異なる会計間の所管がえにより用地が取得でき、あわせて、公有財産規則の第十条ただし書きにより、取得価格が無償または軽減可能となる土地が存在をするのであります。このような土地は、たとえ四十ヘクタールを下回っても、高度利用することによって、移転候補地になり得ると考えます。都の見解を求めます。
仮に豊洲に移転するとしても、現在作業を行っている技術会議における新技術、新工法の提案に対する評価、検証は、慎重かつ十分な検討期間を必要とするものであります。
ところが、公募提案の検討及び委員からの提案の検討期間は九月下旬から十月中旬と、わずか半月余りしかありません。このような重要事項をなぜ短期間で結論を出すのか、理解に苦しむところであります。
土壌汚染対策への都民の不信と不安を払拭し、安心・安全を確保するために、都は、技術会議の評価、検証の検討期間を見直すべきであります。都の見解を求めます。
最後に、新銀行東京についてであります。
去る六月三十日、新銀行東京は定時株主総会において、一千十六億円の累積損失を補てんするため、株主資本を減少することを決議いたしました。改めて、このような累積赤字を発生させた旧経営陣の責任をも問うものであります。
前にも述べたところではありますけれども、新銀行東京は、調達する資金コストを一・五%から一・七%で行っていたにもかかわらず、大企業五十社に対しては一千億円の貸し出しを一%で行っていたのですから、不良債権問題以前に、あり得ない銀行経営を行っていたわけであります。
さらに、新銀行東京は、銀行のシステム開発においても、時代おくれのシステムを採用し、この使えないシステムに何百億円も投入していたわけであります。こういった新銀行東京の旧経営陣の責任は、一つ一つ明らかにしていくべきでありましょう。
新銀行東京の現経営陣は、年内に旧経営陣への法的な責任追及を行うということでありますが、このことに対する知事の見解を伺うものであります。
また、八月二十九日、新銀行東京は、平成二十一年三月期の第一・四半期決算を発表いたしております。四半期決算の発表は、四百億円の追加出資の際に、我が党が今後のチェック体制の一つとして強く主張していたものであり、新銀行側の対応に一定の評価をするものであります。この第一・四半期決算の状況を踏まえ、以下質問をいたします。
この第一・四半期の経常収益は十八億円で、前期の第一・四半期の経常収益の六〇%しかありません。純損失は三十七億円で、前期と二%しか変わりません。果たしてこの経営成績が妥当であるのかと疑問視する声もあります。
そこで、なぜこのような経営成績になったのか、まずこの際、明らかにすべきであります。都の説明を求めるものであります。
また、決算短信によりますと、平成二十一年三月期の業績予想は、経常収益が六十七億円で、当期純損失が百二十六億円となっております。この数字は、新銀行東京が提示をした再建計画と同じであります。第一・四半期の経営成績がそのまま推移をすれば、決算短信の業績予想どおりになると思いますが、ことしの五月に金融庁の検査が入り、貸倒引当金の積み増しが必要であるとの情報も流れておるのであります。
したがって、今回の第一・四半期決算には金融庁の検査結果が反映されているのかどうかを都民に明らかにすべきであります。説明を求めます。
仮に金融庁の検査結果を受けて、平成二十一年三月期の業績予想が下方修正されることになれば、新銀行東京の再建計画に対する信頼が揺らぐことになりかねません。金融環境を取り巻く状況を考えれば、大変に厳しいものと思います。他の金融機関と、この際、業務提携をしていくなど、積極的な努力を行っていくべきであります。
都の見解を求め、公明党を代表しての質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 鈴木貫太郎議員の質問にお答えいたします。
まず、補正予算の編成についてでありますが、景気の悪化に伴い、中小零細企業の資金繰りは逼迫し、非正規雇用者の雇用環境も一段と厳しさを増しております。
また、大地震、新型インフルエンザあるいは地球温暖化といった、都民の安全・安心を脅かす喫緊の危機に対しましても、思い切った対策を講じることは急務であります。
今、都政に求められているのは、こうした都民の不安を一刻も早く解消するための具体的な取り組みを積み重ねていくことであります。
このため、現場を持つ強みを生かして、東京で暮らし、働く人々の生活を守るための実効性のある緊急対策を打ち出し、とりわけ早期に実施すべきものを、今年度、年度途中ではありますが、補正予算として編成いたしました。
次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、北京でのアスリートたちの迫力のある戦いぶりは、見る者すべてに感動を与え、日本の若者にとっても、これから将来を担うための、人生のための力を生み出す絶好の手がかりとなったと思います。
北京市内に設けた招致ブースでは、海外メディアやIOC関係者など、来場した多くの方々に東京の魅力を大いにアピールすることができました。
二〇一六年の東京では、成熟した都市の中心において、地球環境問題の解決に資する世界一コンパクトな、日本ならではの大会を開催するつもりでございます。そして、次代を担う子どもたちに夢と感動を与えたいと思っております。
開催都市決定まで、いよいよあと一年余りでありますが、皆様の力強いご支援、ご協力をいただきながら、多角的に全力で招致を実現していきたいと思っております。
次いで、食の安全についてでありますが、農薬やカビ毒に汚染されたミニマムアクセス米が食用に転用された今回の事故米の問題は、食の安全を根本から揺るがす、明らかな、これはもう農水省の怠慢では済まぬ、不作為による明らかな犯罪だと思います。
しかし、この問題に対する農林水産省の対応は、国民を守ろうとする姿勢がみじんもうかがえません。
食品に工業原料であるメラミンが海外で混入した事件も明らかになりましたが、本来、輸入食品の安全確保は、国における水際の検疫が基本であります。
そのため、都はこれまでも、国に対して、輸入食品の監視体制の充実強化を求めてまいりました。
また、国に先駆け、都独自に調理冷凍食品の原料原産地の表示を義務づけてまいりました。
今後とも、あらゆる機会を通じて、国の責任を果たすように強く求めるとともに、都の監視指導や検査体制を強化し、我が国最大の消費地として、食の安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。
次いで、新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及についてでありますが、新銀行東京が、その経営の失敗により多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を毀損したことは重大であり、この原因は複合的、重層的でありましょうが、中でもやはり、最前線にあった旧経営陣の責任は免れないと思います。
現在、新銀行東京が外部の弁護士事務所に委託して、旧経営陣における経営判断など、さまざまな観点から法的対応を視野に入れた調査を進めておりまして、年内を目途に調査結果を得る予定であります。
これを踏まえた責任追及については、都民の理解が得られるよう、厳正に対処すべきものでありまして、都としても適切に監視していくつもりでございます。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、部活動の振興についてでございますが、学校教育における部活動は、児童生徒の人格形成や健全育成に極めて有益な教育活動でございまして、都教育委員会は、部活動の振興にこれまでも努めてまいりました。
一方、学校の小規模化等に伴いまして、中学校の部活動においては、顧問教諭や専門的指導者の不足などによりまして、一部に部活動の休部、廃部問題が生じている現状がございます。
これまで都教育委員会は、教員採用の工夫や顧問教諭の処遇の改善などを行いまして、顧問や指導者の確保に努めてまいりました。
今後、区市町村教育委員会とも連携を図りまして、多様な指導者層の形成、活用など、部活動振興に一層積極的に取り組むとともに、こうした仕組みづくりにつきましては、「十年後の東京」への実行プログラムへの反映も含めまして、検討してまいります。
次に、優秀な教員確保のための取り組みでございますが、いわゆる団塊の世代の大量退職に伴う教員の大量採用時期を迎えまして、新規採用教員の数の確保と同時に、質の確保が求められております。
このため、都教育委員会はこれまでも、年齢制限を緩和いたしますとともに、民間企業経験者、他県の現職教員、臨時的任用教員等、社会経験や実践的指導力に富んだ者を積極的に採用するよう努めてまいりました。
来年度は、東京都教育委員会との連携のもと、学校現場での実習をカリキュラムに大幅に取り入れました教職大学院の修了者が初めて採用選考の対象となりますことから、その実習実績に着目をした新たな選考方法の導入を検討してまいります。
さらに、大都市圏を除き、教員志望者は多い一方で、採用数が少ない県も多数ございますことから、全国的な採用活動を強化し、地方説明会の拡充を図りますとともに、地方での選考実施を検討するなど、優秀な教員の確保に万全を期してまいります。
三点目に、学校問題の解決に向けた専門家の活用についてでございますが、都教育委員会では、本年六月に、学校への支援策を策定していくために、公立学校における学校問題検討委員会を設置し、保護者等による理不尽な要望等に係る問題の実態調査を行いました。
調査結果によれば、理不尽な要求等が繰り返し行われ、かつ学校での対応には時間的、精神的に限界があるという事例が、平成十九年度の一年間で約九%の都内の公立学校で発生をしておりました。
その中には、学校の初期対応に起因する事例もございましたが、要望そのものが理不尽なものが多く、学校だけでは解決が困難であるという実態が明らかになりました。
今後は、教員研修により、教員個々の対応能力を強化してまいりますとともに、学校側からだけではなく、保護者等からの要望にも公平中立な立場から相談に応じて解決に当たる、ご指摘の専門職、すなわち行政書士、司法書士、弁護士などを活用した支援策を検討してまいります。
四点目に、インターネットや携帯サイトの有害情報から子どもを守る取り組みについてでございますが、都教育委員会は、本年七月、子どものインターネット、携帯電話利用についての実態調査を行いました。
現在、詳細を分析中でございますけれども、この調査によれば、ネットによる被害やトラブルの状況は極めて深刻であり、保護者や学校も被害状況を十分には把握していないという実態が明らかになりました。また、学校は、児童生徒や保護者からの訴えのあったトラブルについて、その対応に苦慮しているという現状も明らかになりました。
今後は、これまで行ってきた情報モラル教育をさらに充実をさせまして、児童生徒が被害者にも加害者にもなることなく、安全に生活するための能力を身につけさせていきますとともに、実態調査の結果を踏まえ、ネットの被害状況を広く都民に周知し、児童生徒、保護者、教員、さらには関係業者それぞれに対しまして、子どもの携帯電話利用等について、都教育委員会としての考えをまとめてアピールをしてまいります。
さらに、専門家の協力を得ることも視野に入れまして、学校裏サイトの監視や内容把握など、具体的に被害やトラブルを防ぐ対策を検討してまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 十点についてお答えをいたします。
まず、保育所等の耐震化についてであります。
保育所等については、子どもの安心・安全の確保はもとより、その一部は地震発生時に被災者の受け入れ機能を果たすことなどからも、耐震化は大変重要と考えております。
このため、現在、耐震診断や耐震改修の実施状況に関する調査を行っております。
今後は、この調査結果を踏まえ、保育の実施主体である区市町村とも連携しながら、保育所等の耐震化の一層の推進に向けて適切な対策を講じてまいります。
次に、福祉のまちづくりについてであります。
都は、福祉のまちづくりを一層推進するため、来年四月を目途に福祉のまちづくり条例を改正し、条例の基本理念として、ユニバーサルデザインの考え方を明確に位置づけることなどを検討しております。
また、この条例改正にあわせ、段差解消に向けた建物と道路の一体的整備や、だれにでもわかりやすい案内表示による情報提供など、ハード、ソフト両面から成る新たな推進計画を全庁横断的な体制のもとで策定する予定であります。
今後、都は、区市町村、事業者、都民の参加と協力を得ながら福祉のまちづくりを積極的に進め、高齢者、障害者を含めたすべての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることができる東京を目指してまいります。
次に、国の事業である介護支援ボランティア活動と、都の施設介護サポーターモデル事業との連携についてであります。
国は昨年度から、高齢者の社会参加活動を推進するため、区市町村を実施主体とする事業である介護支援ボランティア活動を導入いたしました。
一方、都が今年度から開始をいたしました施設介護サポーターモデル事業は、介護施設においてボランティア活動を希望する地域住民の方々が、事前に高齢者とのコミュニケーションや介助方法などについて研修を受講した後に、利用者に対し、さまざまな支援を提供するものであります。
今後、都が行いますボランティア研修の仕組みや育成した人材については、国の介護支援ボランティア活動においても一体的な活用が図られるよう、区市町村と連携し、取り組んでまいります。
次に、元気高齢者のボランティア活動についてですが、より多くの高齢者がボランティア活動に参加していくためには、高齢者が興味と関心を持って取り組める環境づくりが重要であります。例えば、介護支援ボランティア活動におきましても、ひとり暮らし高齢者の話し相手や散歩の付き添いなどに活動分野を拡大することなどを考える必要があります。
このため、都では、今年度発足しました団塊世代・元気高齢者による地域活性化推進協議会において、ボランティア活動に参加する側と必要とする側とのマッチングの仕組みづくりなどの検討を行っております。
今後、協議会の検討状況を踏まえ、ボランティアとして地域貢献する新しい高齢者像を発信できるよう取り組んでまいります。
次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものでございます。
シルバーパス事業を今後とも継続させていくためには、利用者である高齢者を初め、広く都民の理解を得ながら、社会状況の変化に的確に対応していくことが不可欠であります。経過措置を継続することについては、ご指摘の点なども踏まえて適切に検討してまいります。
次に、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、この制度のあり方については、少子化対策を一層推進するとともに、適切な医療を提供できる体制を確保するという観点から検討することが重要であります。
都としては、このような考えのもとに、また、現行の所得制限を前提に助成内容の拡大を図る方向で検討しており、十月早々には具体案を取りまとめてまいります。
助成内容の拡大に当たりましては、小児医療現場の厳しい状況や、医療保険制度の相互扶助の理念にも十分に配慮する必要があると考えております。
次に、乳がん及び子宮がん検診についてであります。
検診の受診率を向上させるためには、検診実施体制の整備とともに、がんの予防や検診の重要性について普及啓発を行うことにより、都民の主体的な受診行動につなげることが必要であります。
都は、検診実施体制の充実に向けて、職場での乳がん検診にも活用できるマンモグラフィー検診車について、今年度中に四台分の整備費補助を行ってまいります。
また、普及啓発として、ピンクリボン運動に加え、十月にメッセージはがきを作成し、郵便局で販売するなど、都民が検診の重要性を伝え合う取り組みを行うとともに、新たに、来年三月の女性の健康週間に合わせて、子宮がん、乳がん検診に関するリーフレットを作成、配布するなど、受診率向上に努めてまいります。
次に、子宮頸がんのワクチンについてでありますが、お話のヒトパピローマウイルスの感染が持続した場合には、子宮頸がんの誘因となるといわれており、感染を予防するためのワクチンの製造販売承認申請が、製薬会社二社から国に対して行われたと聞いております。審査の結果、承認された場合には、ワクチンの任意接種が可能となります。
都は今後、国における審査や、ワクチンの対象者、年齢等の具体的な接種方針に関する検討の状況などを踏まえ、区市町村への情報提供等に積極的に努めてまいります。
次に、がん患者の在宅緩和ケアについてでありますが、在宅緩和ケアの拡充には、医師や看護師が専門的知識を習得し、実践的技術の向上を図ることが不可欠であります。
そのため、都は、がんの疼痛管理や痛みに伴う精神症状のケアなど高度で専門的な研修を、今年度新たに指定した東京都認定がん診療病院の協力を得て実施をいたします。
また、最期まで家で過ごしたいと願うがん患者の在宅療養生活には、専門的医療、介護サービス、住民によるサポートなどが一体となって支援する地域のネットワークが必要であります。
このようながん患者の在宅療養を支援する連携体制の整備に向けたモデル事業を、本年十月から新たに実施してまいります。
最後に、トリアージの体制確保についてでありますが、トリアージでは、緊急度、重症度に応じて治療の順番が決定されるため、病院内で実施するに当たりましては、来院患者の理解と納得が欠かせないものであります。そのためには、治療の優先順位を適正に判断し、患者の立場に立って十分な説明ができる体制を確保する必要があります。
都では、今年度新たに、小児救急の現場において、トリアージを行う看護師、トリアージナースを配置いたしました小児救急トリアージ普及事業をモデル実施しておりますが、その成果を反映しながら、トリアージの体制の確保の具体化に向け、検討を行ってまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、ネクストジョブ事業における企業への働きかけについてであります。
雇用情勢の悪化が懸念される中、年齢的に不利な三十代の非正規雇用の方を正社員とするには、企業に、過去の就業形態にとらわれることなく、その適性や能力を正当に評価し、採用していただくことが必要となります。
このため、しごとセンターに専用の窓口を設けまして、企業の人事担当OB等をジョブコーディネーターとして配置をいたしまして求人開拓を行うとともに、本人の適性等を踏まえた職業紹介を行ってまいります。
さらに、採用企業には、専門家が訪問をいたしまして、職場定着に向けた相談に応じるほか、採用者の人材育成に係る経費を助成いたします。
こうした企業に対する積極的なアプローチを実施することによりまして、年長フリーター等の正社員採用と職場定着を促進してまいります。
次に、新銀行東京の第一・四半期決算についてでございます。
新銀行東京は、第一・四半期においては、効率的な執行体制の確立や増資による財政基盤の安定化など、再建に向けた経営基盤の強化に注力してきたところでございます。
今期の経常収益は、貸出金利息の減などによりまして、前年同期と比べ十三億円減少いたしました。
一方で、経常費用は、抜本的なリストラによる経営経費の削減や預金利息の減などによりまして、十一億円減少いたしました。
収益は減少したものの、費用もほぼそれに見合って減少したため、結果として、四半期の純損失は、ほぼ計画どおりの水準となったものでございます。
次に、新銀行東京に対する金融庁の検査についてでございます。
金融検査は、信用秩序の維持や預金者保護を目的に、銀行法に基づいて実施されるものであり、その結果につきましては、銀行の業務運営において適切に対処すべきものでございます。
検査は現在も継続しておりますが、今回の第一・四半期決算では、金融庁の検査の過程におきまして、新銀行東京が計上すべきと判断したものは反映したと聞いております。
最後に、新銀行東京の今後の展開についてでございます。
新銀行東京においては、再建に向けて全行を挙げて取り組んでいるところでございます。一刻も早く再建を進め、中小企業支援という役割を十分果たしていくためには、こうした取り組みに加え、他の金融機関との業務提携や都との連携といった新たな事業展開などにより、経営基盤を強化することが必要でございます。
都といたしましても、現在、全庁を挙げて新銀行東京との連携支援を検討しております。今後とも、再建に向けて全力を尽くしてまいります。
〔財務局長村山寛司君登壇〕
○財務局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、単品スライド条項についてでございますが、本条項の適用の対象工事につきましては、鋼材類と燃料油につきましては、六月十六日時点で契約中、またはそれ以降契約した案件を対象としておりますので、その条件に該当する案件につきましては、すべてさかのぼって対象といたします。
また、著しい価格の変動の判断基準につきましては、他団体との均衡上、対象工事金額の一%というふうにさせていただいていましたが、受注者の負担額の算定に当たりましては、都の工事における中小企業の割合の大きさなどを勘案し、都独自の判断といたしまして、対象工事金額の〇・五%と、国に比べて低い水準といたします。
それから、ご質問の中で、これまで、まだ都では適用工事の案件が全然ないではないかというご指摘をいただきました。それは実は、国の手続でやればすぐに始めることができたわけでございますが、その国の手続に準拠いたしますと極めて煩雑でございまして、事業者に非常に過度の負担を課すということで、都といたしましては、受注者の事務負担をできるだけ軽減する独自方策をこの間検討してまいりました。
その結果、国の定めるあり方とは相当異なる都独自の請求手続の簡素化などを今回定めまして、先日、関係者に通知を行ったところでございます。
これに基づきまして、今後、事業者からの申請が始まりますので、これに対して速やかに対応してまいります。
次に、入札契約制度改革についてでございますが、公共契約におきましては、契約の公正性や経済性を確保すると同時に、政策目的の実現のために契約制度を活用することも重要であると考えております。
現在、都の工事契約では、ISOシリーズを認証取得し環境施策に貢献している事業者に対して、入札参加の格付において優遇措置を実施しておりますが、ご提案の災害復旧、あるいは高齢者、障害者雇用などの事業者の社会貢献活動の優遇措置につきましては、今後の入札契約制度改革研究会の検討テーマとしては、非常に大きなものの一つだというふうに考えております。
これらを含めまして、研究会では、制度の根本に立ち返った抜本的な検討を行うことになりますので、都といたしましては、それらの検討結果を十分踏まえて、都独自の入札契約制度の実現に向け、積極的に改革に取り組んでまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、バス交通に対する支援についてでございます。
都民生活を支える重要な交通機関であるバス事業にとりまして、昨今の原油価格高騰の影響など、取り巻く環境は厳しいものがございます。
都はこれまでも、東京バス協会に運輸事業振興助成交付金を支出するほか、バス事業者に対しまして、ICカードシステムの導入や、停留所の案内表示板などの整備に要する経費を助成することにより、経営に対する支援を行ってまいりました。
今後、東京バス協会との協議の場を活用しながら、バス事業者の要望等を受けとめるとともに、支援の原資となる交付金等の財源確保に努めてまいります。
次に、子育て世帯の住環境整備への取り組みについてでございますが、少子化が進展する中、子どもを安心して産み育てられる住環境整備を促進することは、住宅政策における重要な課題の一つと認識しております。
都はこれまでも、都営住宅などの公共住宅における優先入居の実施など、子育て世帯の入居機会の拡大を図ってまいりました。また、都営住宅の建てかえにより創出した用地の活用や、新築に比べて安価な既存住宅の流通促進などにより、子育て世帯の居住に適した民間住宅の供給促進に取り組んでまいりました。
今後は、子育てに配慮した住宅の技術的情報の提供や、高齢者世帯の住みかえ支援制度の普及による子育て世帯への賃貸住宅の供給促進など、住宅政策における子育て支援策を推進してまいります。
次に、都営住宅における少子化対策についてでございます。
子育て支援は、都営住宅においても重要な課題と認識しております。これまでも、ひとり親世帯や多子世帯への優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯や多子世帯を対象とする期限つき入居につきまして、十九年度の募集戸数を、前年度から百戸増しまして四百戸に拡大するなど、多様な取り組みを行っております。
今後とも、都営住宅につきましては、既存ストックを有効に活用し、期限つき入居の募集戸数のさらなる拡大など、少子化に対応した施策の推進に努めながら、真に住宅に困窮した都民に対して公平かつ的確に供給できるよう、引き続き検討してまいります。
最後になりますが、公営住宅法施行令の改正に伴う都独自の緩和策についてでございます。
国は、政令改正に当たりまして、既存入居者の家賃が上昇する場合、五年間で段階的に実施する等の経過措置を講じております。これによっても、なお収入区分が二段階上昇する世帯につきましては、家賃の上昇幅が、他の世帯に比べましてより大きくなることが見込まれます。
このため、都としては、世帯ごとの負担がより平均化するよう、二段階上昇する世帯の経過措置期間を延長する方向で検討を進めております。
また、家賃改定の適用時期につきましては、円滑な実施に向けて十分な準備を行う観点から、一定期間延ばすことを検討しております。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、公共交通機関であるバス交通へのハイブリッドバスの導入助成についてでございます。
都はこれまで、低公害車の普及促進を図るため、路線バスを対象としたCNGバスの導入に係る補助などを行ってまいりました。
こうした従来の排出ガス対策に加え、自動車部門において温暖化対策を早期に進めるため、大気汚染物質だけでなく、CO2も含め、総合的に環境負荷の少ない自動車を普及させることが重要でございます。
このような観点から、今年度、オリンピック・パラリンピックの招致も見据え、公共交通機関である路線バスを対象に、環境性能のよいハイブリッドバス導入に係る支援を、この秋から緊急に実施してまいります。
今後とも、さらなる低公害かつ低燃費な自動車の普及促進に努めてまいります。
次に、温暖化対策における都の率先行動についてでございます。
都は、平成十七年度に地球温暖化対策都庁プランを策定し、都みずからの温暖化対策を推進してまいりました。第二回定例会における環境確保条例の改正により、事業所に対する新たな温暖化対策を導入しましたが、この円滑な実施のためにも、これまで以上に、こうした都の率先行動が重要でございます。
一方、照明を初めとする省エネ機器の効率は、近年大幅に向上し、CO2削減とともに、コスト削減の効果も期待できます。
こうした状況を踏まえまして、全庁横断的な戦略組織であるカーボンマイナス都市づくり推進本部を活用して、最先端の省エネ技術を含め、対策効果を明確にしながら、各局の温暖化対策を推進し、都の率先行動を強化してまいります。
次に、条例改正後の取り組み状況についてでございます。
大規模事業所に対する削減義務につきましては、対象となる事業所に対して、七月下旬から説明会を開催し、約二千六百名の参加がございました。参加者へのアンケート結果によれば、九割以上の方から、改正内容について、おおむね理解できたとの回答をいただきました。
この秋には、CO2削減対策に関する知見を有する専門家などにより、削減義務率等に関する検討会を設置することとしており、この会での検討も踏まえまして、今年度末を目途に、制度の詳細を定める規則を制定してまいります。
中小規模事業所への省エネ支援策につきましては、現在、東京商工会議所等と連携を図りながら、東京都地球温暖化防止活動推進センターが実施する省エネ診断の普及を進めており、今年度からは、この省エネ診断に基づく設備投資等を制度融資の対象事業としております。
また、今後、新たな取り組みとして、環境配慮取り組み支援融資の取り扱いを開始するとともに、さらに中小規模事業所の省エネ支援策について検討を進めてまいります。
次に、地域家電店との連携についてでございます。
家庭部門の温暖化対策をきめ細かく推進していくためには、日常の暮らしに身近な地域家電店との連携を進めることが有効でございます。
このため、都は、地域家電店を対象として、地球温暖化の現状や家庭で取り組む省エネ対策のノウハウ、また、省エネ製品の最新動向などの情報を提供する省エネセミナーを今月から開催してまいります。
さらに、これらの地域家電店と連携し、省エネ家電ラベルの活用や白熱球一掃作戦の徹底など、家庭でのCO2削減を進める省エネキャンペーンを、この秋から年末にかけて実施してまいります。
最後に、エコポイント活用の検討についてでございます。
家庭部門のCO2削減などを進めるためには、身近でわかりやすい形で省エネ等の努力が報われ、さらなる行動を促すインセンティブを付与することも効果的であることから、エコポイントは、既に幾つかの地域で独自の取り組みが図られております。
今後、都としても、こうした地域での取り組みの内容や課題などを把握しつつ、年度内を目途に、民間事業者、NPOなどと協議の場を設け、エコポイントの活用策を具体的に検討してまいります。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、今後の行財政改革についてでございますが、都はこれまで、職員定数の削減や事業の聖域なき見直し、新たな公会計制度の活用など、量と質の両面から行革に取り組んでまいりましたが、職員の大量退職や少子高齢化など、都政を取り巻く状況が変化する中で、今後とも不断の行財政改革を推進し、都民ニーズへの対応力を高めていくことが必要であると認識しております。
ご指摘のとおり、今後の行革を進めるに当たりましては、都民の安全・安心など、都が責任を持って担う業務を明確化するとともに、人材の確保、育成や、ベテラン職員の技術、ノウハウの継承、さらには職員の意識改革などに取り組むことが重要であると考えております。
このような観点を踏まえまして、速やかに今後の行財政改革の基本的考え方を明らかにしてまいります。
次に、監理団体改革でございますが、都はこれまで、団体の統廃合、都財政支出や都派遣職員数の削減など、監理団体改革を積極的に進めてまいりました。
その結果、団体数は、最も多かった七十二団体から、平成二十年四月には三十六団体と半減し、現行の行財政改革実行プログラムが終了する本年度末には、さらに三団体の減が実現する予定となっております。
また、平成二十年度予算におけます都財政支出につきましては、平成十一年度予算に比べまして四百五十七億円の削減を行い、都派遣職員につきましても、平成十一年度の四千五百九十人から千四百八十六人削減したところでございます。
今後とも、団体ごとの存在意義を検証した上で、民間企業並みの効率的経営のもと、公共性を発揮し、都政や都民に一層貢献する団体となるよう改革を進めてまいります。
〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、地域スポーツクラブ設立の促進についてでございますが、都は、スポーツ振興基本計画におきまして、平成二十五年の東京国体までに、全区市町村に地域スポーツクラブを設置することを目標としております。
そこで、クラブ設立を支援するため、設立に関する課題や改善策等を明らかにすることを目的といたしまして、モデル事業を五つの区市において実施をいたしますとともに、設立の核となる人材の養成や、インターネットを活用した情報提供等を行っているところでございます。
今後、こうした取り組みに加えまして、区市町村を対象とした研修会の実施や、地域の住民が地域スポーツクラブの活動を体験できる都民参加事業の拡充を検討し、地域におけるスポーツ振興の一翼を担う地域スポーツクラブの設立を積極的に推進してまいります。
次に、消費生活基本計画の推進体制についてでありますが、悪質商法や商品事故を初めとする消費者問題は、衣食住はもちろん、健康や環境など、都民生活に幅広くかかわっておりますことから、こうした状況に的確に対応するには、ご指摘のように、関係局が一丸となった取り組みが必要であるというふうに認識をしております。
このため、今回の基本計画の改定に当たっては、局横断的な検討を行いまして、四つの緊急対策と五つの政策課題を明らかにし、都の消費生活関連施策を計画的、総合的に推進することといたしました。
今後、関係各局との連携の仕組みを生かした推進会議を早期に設置し、消費者問題に関する情報と課題の共有を図り、問題解決に向けて機動的に取り組んでまいります。
最後に、私立幼稚園等の保護者負担軽減についてでございますが、都の事業では、兄弟や姉妹が同時に幼稚園に通っている保護者の経済的負担が大きいことから、下の子の補助単価を割り増しする優遇措置を設け、平成十九年度からは、その適用要件を幼稚園だけでなく、保育所等に在園する場合にも拡大するなど、制度の充実を図ってきたところでございます。
ご指摘のとおり、国の同様の制度では、優遇措置の適用要件を、平成二十年度には、兄や姉が幼稚園等に同時在園する場合だけでなく、小学三年生である場合まで拡大したところでございます。
都としては、これらの優遇措置の適用について、子育て支援総体の中での位置づけや国の状況等を踏まえまして、総合的に検討してまいります。
〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕
○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する三点の質問にお答えいたします。
まず、新市場予定地の整備規模についてでありますが、豊洲新市場が首都圏の基幹市場としての役割を果たしていくためには、流通環境の変化や情報化の進展への対応、消費の質的、量的変化など、社会経済状況の変化に的確に対応していくことが必要でございます。
このため、市場の基幹的な施設を温度管理のできる閉鎖型施設とすることに加え、物流の効率化のためのIT技術を活用した待機駐車場や車両誘導システム、新たな顧客ニーズに対応した加工、パッケージ施設、大口荷さばき施設などを整備してまいります。これらの施設の機能や、規模及び配置につきましては、市場業界団体と協議を重ね、取りまとめてきたところでございます。
この新市場の規模を、取扱数量と車両台数をもとに、青果の基幹市場としての役割を果たしている大田市場と比較し算定すれば、新市場の面積は約四十ヘクタールとなります。全体で約三十九ヘクタールの面積を有する大田市場が既に過密となっている状況を勘案すれば、新市場の敷地面積は決して過大ではないと考えております。
次に、土地の高度利用についてでありますが、市場では効率的な物流の確保が最も重要でありますが、土地の高度利用のため施設を重層化いたしますと、エレベーター等の機器やスロープにより、各階の搬送を行う必要が生じます。
市場においては、深夜から早朝の限られた時間内に大量の荷を搬送しており、その短い時間帯にエレベーターやスロープの利用が集中した場合、待ち時間や混雑が生じ、物流が阻害され、効率性が著しく低下することから、市場施設における土地の高度利用には一定の制約がございます。
そのため、築地市場の移転先は、少なくとも卸売り場、仲卸売り場の平面配置を可能とする観点からも、約四十ヘクタールの面積を確保する必要があり、あわせて、良好な交通アクセス、築地の商圏との継続性なども考慮し、改めて移転候補地となり得る用地を都内全域にわたり調べてみましたが、これらの条件を満たす場所は、豊洲新市場予定地以外に見出し得ない状況にございます。
最後に、技術会議の検討期間についてでありますが、技術会議は、去る八月十五日に設置し、おおむね三カ月を目途に、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策の技術、工法を選定することとしております。
現在までに、新技術等の比較対象となる一般的な工法を確定するとともに、個別技術の評価並びに個別技術を組み合わせた総合的な対策の評価の手順など、必要な事項を定めたところでございます。
今後の検討に当たりましては、実効性や経済性等にすぐれた対策を確実に選定するため、公募提案内容の評価、検証は、委員合議による評価の前に、おのおのがあらかじめ評価を行うなど、効率的な会議運営に努めるなどし、審議に必要な検討期間を適切に確保してまいります。
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