平成二十年東京都議会会議録第十二号

 午後一時開議

○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成十九年度 東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出をされました。
 これらを本日の日程に追加をいたします。

○議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
 百十三番高島なおき君。
   〔百十三番高島なおき君登壇〕

○百十三番(高島なおき君) 平成二十年第三回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 昨日、麻生内閣が発足しました。五人の候補者が堂々と政策を競い合い、全都道府県で党員投票を実施するという民主的な手続を経て、新しい総理・総裁が誕生したのであります。我々は、責任政党の一員として、このことを誇りに思うと同時に、来るべき総選挙に勝ち抜き、この国の立て直しに全力を挙げていく決意を新たにしたところであります。
 今、日本は新たな危機に直面をしています。サブプライムローン問題に端を発し、投機マネーによる原油や穀物の価格高騰によって加速された世界経済の減速は、アメリカ大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻により、世界的な金融不安に拡大する様相を見せています。今回の景気の低迷は構造的な要因によるものであり、長期にわたる可能性があります。さらに、ガソリン価格の高騰、食品の値上がり、原材料価格の高騰による工事費の上昇が相次ぎ、電気、ガス料金の値上げも予定されるなど、景気後退局面でのインフレも懸念されています。
 社会に目を転じると、マンションの耐震偽装事件に始まった企業モラルの低下は、最近も相次いでいる食品偽装など、とどまることを知らず、ついには汚染米の不正転売にまで及び、都民、国民の不安は募るばかりであります。また、秋葉原の痛ましい事件に代表されるような、理屈のない殺意による犯罪が頻発しています。大きなことをして目立ちたい、他人を困らせるため、自殺の道連れ、死刑になりたいといった動機から、人間としての成熟のおくれと孤立化がうかがわれます。一昔前の切れる子どもが、切りつける若者と化してしまったのかとさえ思うほどです。
 私は、家庭、学校、地域社会、職場、国家に至るあらゆる場で若者たちの帰属意識が希薄化しており、非正規雇用の拡大も、その背景をなしているのではないかと懸念をしております。さらに、現在の社会全般には、自分たちの現在の暮らしにのみ関心が向き、次の世代によりよい生活を継承しようという明瞭な意図が感じられず、拝金的な風潮が広がっているという印象がぬぐえません。こうした状況の放置は、社会そのものの危機を招来するのではないかと危惧の念を強くするものであります。
 このような危機は、その場しのぎのびほう策では乗り切れません。さきの参議院選挙以来続いた政局至上主義的な思惑に左右される事態を克服し、あるべき国家像を明確に示し、中長期的な視点から、国と地方を通じた財政再建、税財政や社会保障制度、さらには真の地方分権を進めるための統治機構の再構築に取り組むべきであります。そうした中でこそ、その場しのぎの交付税のカットや法人事業税の一部国税化などに終止符を打ち、真の地方分権実現への道を開くことができるのであります。
 私たち都議会自由民主党は、こうした認識をもとに首都東京の改革を進めることによって、国家の改革を先導していく立場から、都民に対する責任を果たし、来年に迫った選挙戦を戦い抜く覚悟であります。二元代表のもう一翼を担う石原知事に、我が国の政治、経済、社会の現状に対する認識と都政運営に臨む基本姿勢をまず初めにお伺いをしたい。
 危殆に瀕している地方行財政の改革を進め、都政運営を変革していく上で、国と都、そして都と区市町村との役割分担や財源配分のあり方の見直しは、避けて通ることのできない課題であります。全国的に市町村合併が進む中、特別区の区域の再編、道州制を視野に入れた首都圏の行政体制のあり方などは、いまだ議論の域を出ていません。将来、膨大な需要が予想される社会資本の更新一つを見ても、こうした問題の行く末と密接な関係を持っています。
 我が党は、今後の改革は、都政における骨太の道筋、すなわち東京の自治の将来像を含めたグランドデザインを明らかにするものであるべきことをまず表明しておきます。
 その上で、都政改革のあり方についてお尋ねをいたします。
 これまでの量にウエートを置いた行革は、都庁のむだをなくし、スリム化するという大きな意義がありました。国や他の自治体に先駆けて財政再建もなし得たのであります。しかし、団塊世代の大量退職、少子化の進行による人材難の深刻化、公の担い手の官から民へという潮流など、私たちが今置かれている状況を踏まえると、行革のあり方はターニングポイントを迎えているといわざるを得ません。すなわち、より質にウエートを置いた新しい視点での再構築が求められているのであります。
 まず初めに、行政責任とアウトソーシングについてお尋ねをいたします。
 いうまでもなく、都政の本質は、都民の生命、利益を守ることにあります。そのためには、目立たなくとも継続的に必要な施策を大切にし、これに不可欠な行政執行能力を維持することが必要です。
 近年、都政の現場では、指定管理者制度、独立行政法人化、市場化テスト、民営化などが進められています。効率的な執行、民間活力の導入という目的自体は正しいと思います。しかし、施設、サービスの目的や性格により、アウトソーシングに適しているのか、民間の企業や市場が公の担い手として成熟しているのかを見きわめることが肝要であります。市場競争原理による経費削減が優先し、安かろう悪かろうになることが危惧され、結果として、指定管理者制度など民間活力の導入による効果が発揮されていないことも懸念されます。真に住民サービスは向上しているのか、行政としてコントロール責任を果たし得ているのか、それぞれの実態に応じた検証が必要であります。
 特に指定管理者制度については、公の施設の性格に応じ、行政を補完、代行する監理団体を適切に活用すべきものと、民間の競争原理にゆだねるべきものの再整理を行うことも必要です。こうした観点から再検証を行い、必要な場合には、振り過ぎた振り子を戻すことがあってしかるべきではないでしょうか。所見を伺いたい。
 都庁の事業遂行能力の強化も重要な課題となっています。スリム化が進む一方で、世代交代が円滑に行われていない現状があります。とりわけ技術職では、団塊の世代の大量退職による影響が顕著であります。都庁の執行力を将来にわたって維持するという視点で正規職員を確保することが必要です。現在の再任用制度や非正規職員の活用だけでは、都政の執行力を将来にわたって維持することにはなりません。
 また、委託は行政執行の一方法であり、その効果、責任は、すべて都に帰属するものであります。したがって、その進行管理をする委託側に十分な能力が求められるのは自明の理であり、私は現状に大きな危惧を抱いております。
 知事は、都政の強みとして、現場を持っていることを挙げられますが、都庁が現場を安易に手放すことによって、その強みを徐々に失うことが懸念されます。これからの行革には、都庁みずからの事業を展開する力量を高める視点が不可欠と考えますが、所見を伺いたい。
 事業部門の弱体化だけでなく、個々の職員の企画力が低下しているという話もよく耳にします。行政執行体制の強化という視点から人材育成のあり方が問われます。また、少子化による人材不足の中で、優秀なモチベーションの高い人材の確保は急務の課題であります。将来展望のある人材の育成、確保策が必要であると考えますが、所見を伺いたい。
 経済情勢が急変を続ける中、契約制度の改革も喫緊の課題であります。資材価格の高騰は、都民や企業だけでなく、都政にもさまざまな影響を与えております。入札が不調となる事例もふえており、単品スライド制度の導入には一定の評価をするものであります。しかし、下請の中小企業等からは悲鳴にも似た声が寄せられています。
 都議会自民党はPTを組み、地域産業育成の観点を含め、このたび報告書をまとめました。都は、自身が巨大な経済プレーヤーであり、その行動が東京の経済社会に重大な影響を及ぼしていることを十分に自覚すべきであります。民間事業者については、請負ではなく、協働の関係者であるととらえられないでしょうか。工事案件などのコスト水準が社会的に真に適正なものとなるよう、さらに迅速で柔軟な対応を求めるものでありますが、今後どのような工夫をしていくのか、所見を伺いたい。
 財政環境が急激に悪化する中にあって懸念されるのは、着実に推進すべき社会資本の更新が停滞するのではないかという点であります。高度成長期に集中的に整備された東京の社会資本は、一斉に老朽化し、補修、補強を含む維持更新事業には多額の財源が必要となります。五十年、百年の視野のもと、財政環境の変動の中にあっても戦略的に進めていくためには、事業部門の知恵とともに、必要な財源を計画的に確保する努力が不可欠であり、その時々の財政状況次第という場当たり対応では、都民の安全は守れません。
 今後厳しさを増すであろう財政環境のもと、都政にとって重要な課題である社会資本の更新を戦略的に進めるため、財政面から中長期的にどう取り組むのか、伺いたい。
 次に、今後の財政運営について伺います。
 都の法人二税が、四月から六月にかけて対前年度で五%以上もの減収となる中、アメリカ発の金融不安が経済の悪化に追い打ちをかけており、生活物価の上昇と相まって、不況下におけるインフレの到来も懸念されます。都財政をめぐる環境は、来年度予算編成を前に、日増しに厳しさを増しているというのが実感であります。ここ数年の税収増をとらえて東京富裕論が喧伝されてきたわけですが、潮目は明らかに変わりました。加えて、法人事業税の一部国税化に伴う三千億の減収であります。景気変動の影響をもろに受ける都の税収構造の持つ弱点が、今まさに前面に出てきたのです。
 一方、都政は、経済が下降局面に入った今こそ、東京に住み、働く人々のために、その力を発揮すべきであります。財政再建の成果を積極的に活用し、これまで培ってきたさまざまな工夫を凝らして、緊急性と中長期的な視野の両面から積極的な施策を展開していくことが必要です。
 これまでにも増して難しいかじ取りが求められる局面に当たり、財政の健全性を確保しつつ、十年後を目指して東京の都市づくりを進めるため、来年度予算編成、さらにその先をも展望して、今後の財政運営にどう当たろうとしているのか、知事の基本姿勢並びに決意を伺いたい。
 また、知事は第一回定例会において、「十年後の東京」の確実な実現に向けて、施策の進捗状況を随時点検するとともに、新たなニーズに目配りをしながら、実行プログラムを毎年度改定していくと明言されました。今回の実行プログラムの改定に当たっては、どのような視点を重視して取り組みを加速化していくのか、知事の見解を伺いたい。
 補正予算案についてお尋ねいたします。
 予算案には、我が党の緊急要望を受けとめ、中小企業者等への支援策や小中学校の耐震化対策、さらにインフルエンザ対策や低炭素社会実現への取り組みなど、国を先導する取り組みが計上されております。来年度予算においては、こうした姿勢をさらに発展させていただきたいと思います。
 そこで、年度中途の補正予算に踏み切った知事に、今回の補正予算編成の考え方を伺いたい。
 土地の固定資産税、都市計画税について、来年は三年に一度の土地の評価替えの年に当たりますが、先日発表された平成二十年地価調査では、都内のほぼ全域で地価が上昇しております。景気が厳しさを増す中、固定資産税等の著しい上昇に対しては何らかの緩和措置を講ずるべきと考えますが、所見を伺いたい。
 次に、中小企業対策について伺います。
 これまで都内中小企業は、高い技術力とすぐれた経営力で、東京の産業の原動力として経済の活性化に貢献してきました。しかし今、景気の後退に伴い、中小企業は極めて厳しい状況に追い込まれ、さらに雇用情勢の悪化も懸念されております。こうした状況のもと、知事は、いち早く我が党の強い要望を受け入れ、時宜を得た支援策を打ち出されました。
 そこで、改めて緊急中小企業支援、雇用対策の基本的な考え方について知事に伺いたい。
 仕入れコストの増加を価格転嫁できず、赤字の拡大に苦しみ、窮状を訴える経営者の声が後を絶ちません。まずは、資金繰りに苦しむ中小企業を積極的に支援していく必要があります。補正予算案では制度融資の充実が盛り込まれていますが、売り上げの減少など苦境に陥る中小企業に、より手厚く支援すべきです。
 また、親企業からさらなるコストダウンを迫られるなど、下請企業に対する締めつけが一段と厳しさを増している上、買いたたきなど、いわゆる下請いじめは日に日に深刻化しています。弱い立場にある下請企業を強力にバックアップする体制の確立が求められています。
 都は、企業現場の実態に即した支援を実施すべきと考えますが、所見を伺いたい。
 企業が存続、成長していくためには、将来を見据えた新たな設備を導入し、生産性の向上や経営の効率化、合理化を進めることが重要です。しかし、経済の先行き不透明感が増す中、設備投資に踏み切れない中小企業は少なくありません。補正予算案に計上された中小企業設備リース事業は、積極的な設備投資を促そうとするタイムリーな施策であると評価します。この事業の実施に際しては、中小企業の負担をできる限り軽減するための思い切った仕組みが必要であると考えますが、所見を伺いたい。
 将来にわたり東京の産業を活性化させるためには、中小企業の企業力そのものも一層向上させていく必要があります。景気の動向を見きわめつつ、こうした視点に立って、さらなる対策の充実を要望しておきます。
 新銀行東京の第一・四半期の決算が先月発表されました。純損失は三十七億円とほぼ見込みどおりとなりましたが、融資実績は低調でありました。今、経営再建を優先せざるを得ないことも理解できますが、中小企業を取り巻く環境は再び厳しさを増す中、新銀行本来の役割が期待されるところであり、一日も早い再建が望まれます。
 現在、全庁を挙げて連携支援が検討されていると聞いております。新銀行東京の金融機能を都の政策実現に活用するという観点からの検討も必要であると考えますが、見解を伺いたい。
 ことし八月には、新銀行東京は減資を行いましたが、一部には、都に追加負担が生じるような誤った認識が持たれているようであります。新銀行東京が多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を大きく毀損したことの重みを踏まえた上で、今回の減資と減債基金への積み立てについて、それぞれ見解を伺いたい。
 北京オリンピック開会式視察の際、私も知事や同僚議員とともにチャーター便で羽田空港から出発し、都心に近接している利便性を改めて実感をいたしました。また、先日、我が党の港湾空港振興議員連盟が新滑走路の現場視察を行い、工事が着々と進んでいる状況を目の当たりにして、大変心強く思った次第であります。
 これまで都議会自民党は、国との協議の場を実現するなど、責任政党として具体的な役割を果たしてきました。
 都は、国との協議により、国際線の発着枠の倍増、就航距離制限の撤廃など一定の成果を引き出したわけですが、チャーター便を利用した体験から、昼間の国際線のさらなる増加など、羽田の空港機能をフルに活用することが必要であると痛感した次第であります。
 こうした観点から、首都圏、ひいては我が国全体の利益のためにも、羽田の国際化の一層の拡大を求めていきたいと考えておりますが、知事の所見を伺いたい。
 東京外かく環状道路の早期着工は、国が協力を約束した十三項目の重要施策の一つであります。
 知事は、第二回定例会において、外環は最優先順位の工事であり、平成二十一年度事業着手を強く国に要求すると述べ、並々ならぬ思いを明らかにされました。大深度地下方式への都市計画変更、基本計画の策定を終えた現在、いかに道路整備の財源問題が厳しい状況にあっても、国の責任において事業着手に向けた準備を着実に進めるべきであります。
 都議会外かく環状道路建設促進議員連盟は、先月末、国土交通大臣に外環整備の必要性や地元の状況を伝え、二十一年度事業着手について決断を求めてきたところであります。改めて事業着手に向けた知事の決意を伺いたい。
 道路整備や高速道路の合理的な料金体系構築に向けた財源確保について伺います。
 東京の慢性的な交通渋滞は、都市の活力低下や環境悪化を招いています。東京が日本経済全体の牽引役を果たしていくためには、三環状道路や幹線道路ネットワークなどを早期に整備し、渋滞を解消することが不可欠です。また、首都圏の高速道路の料金体系は、事業主体や料金圏が異なることで生じる割高感が顕在化しており、抜本的な改善が必要であります。
 今般、政府は、経済対策の一環として高速道路の料金引き下げをしましたが、首都高など都市高速道路は対象外としており、東京の実情を全く無視したものといわざるを得ません。
 一方、道路整備や料金施策の財源は、道路特定財源の一般財源化の方針が閣議決定されたものの、暫定税率の扱いや一般財源化後の使途などについて、今後の見通しがいまだ不透明であります。
 そこで、三環状道路や幹線道路ネットワークなどの整備はもとより、高速道路の合理的な料金体系の構築に必要な財源の確保に向け、都の取り組みについて伺いたい。
 周囲を海に囲まれ、生活物資や原材料を輸入に依存する我が国にとって、世界への玄関口である港は、産業活動、国民生活の基盤であり、日本経済を支える重要な役割を担っています。
 しかし、中国を初めとするアジア諸港の躍進を背景に、日本港湾の地位の低下が続いており、このままでは経済に深刻な影響が出ることが危惧される事態となっています。
 知事は、本年三月、港湾の国際競争力の強化を図るため、将来のポートオーソリティーを視野に入れた包括的な港湾連携を推進するという基本合意を、横浜市長、川崎市長と締結しました。これは、自治体の枠を超えて、東京港、横浜港、川崎港が一つの港となることを目指す画期的な合意といえます。
 また、今月十八日、都議会、横浜、川崎市議会の超党派の有志二百十二名が、京浜港広域連携推進議員連盟を結成いたしました。地元選出の国会議員からは顧問、神奈川県会議員からは相談役として、合計九十六名の参加を得ており、自治体の枠を超えた、かつて例のない議員連盟となりました。我々は、それぞれが抱えている事情を乗り越え、一層のバックアップをしていく所存であります。
 さて、議員連盟設立の当日、知事は、横浜市長、川崎市長とトップ会談を行い、京浜港広域連携推進会議の設立や京浜港共同ビジョンの策定など、東京湾の国際競争力強化に向けた合意内容を発表しました。一層の連携強化に向け、大いに期待するところですが、京浜三港が第一歩を踏み出した広域的な港湾経営に向けた知事の決意を伺いたい。
 世界の港湾間競争に打ち勝っていくためには、京浜港の連携を戦略的に進めることはもとより、まずは、三港それぞれが国際標準を満たすような港湾機能を強化することが最重要課題であります。
 先般の港湾審議会答申でも、アジアを中心に世界のコンテナ貨物量が大幅に増加するとともに、船舶の大型化が想定を超えたスピードで進んでいると指摘しています。アジア諸港は、既に大水深岸壁の整備など機能強化に力を入れており、東京港も早急な対応が求められています。
 そこで、今回の答申を東京港港湾計画にどう反映していくのか、見解を伺いたい。
 多摩地域の振興について伺います。
 都は、平成十七年に多摩リーディングプロジェクトを策定し、全庁を挙げた取り組みにより、南北道路の整備や連続立体交差事業の推進、東京国体の準備など、着実にその成果を上げています。
 しかしながら、区部に比べ鉄道網が乏しい多摩地域は、自動車交通への依存度が高く、道路の新設や幅員の拡大といった道路網の整備はまだまだ必要です。また、多摩シリコンバレーとしての発展が期待されている中で、産業交流機能の強化や企業立地の促進などについても、なお一層の取り組みが求められております。
 昨今では、救急医療体制の整備や地球温暖化対策、建物の耐震化などの新たな課題も発生しており、ハード、ソフト全般にわたる課題の存在を踏まえ、多摩リーディングプロジェクトを見直すべきと考えますが、所見を伺いたい。
 多摩地域の一層の発展と個性の発揮に不可欠なのが交通基盤の充実であります。JR中央線は、多摩地域の鉄道ネットワークの基軸となる重要な路線です。しかし、常磐線や総武線など、他の放射状に延びるJRの路線が昭和五十年代までに複々線化されていることと比べ、既に都市計画として定められているJR中央線の複々線化は大変おくれています。
 複々線化は、山梨県や長野県方面に広く効果が及び、さらには、知事が軍民共用化の実現を進める横田飛行場へのアクセス向上にも資するものであります。三鷹―立川間の連続立体交差事業が平成二十二年度の高架化完了に向け着実に進められており、間を置くことなく複々線化を実現していく必要があります。沿線の二十四市町村は、三鷹・立川間立体化複々線促進協議会を昭和四十四年に発足させ、約四十年の長きにわたり熱心に取り組んできました。
 そこで、都は、JR中央線の三鷹駅から立川駅間の複々線化に向け、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 都は、多摩地域の水道を都営水道として一元的に経営することを決断し、水源の確保や料金水準の課題などを解消しました。
 しかし、一元化の計画外である奥多摩町は、かねてから事業運営上多くの課題を抱えております。昨年の第四回定例会で、我が党がこの問題を取り上げた際、今後、庁内の検討組織を設置し、精力的に検討していくとの答弁がありました。
 水源林や小河内ダムを守り支えてきた町にとって、一元化は長年の悲願といえます。奥多摩町水道事業の都営一元化へ向け、都として、技術上、財政上、一歩踏み込んだ取り組みが必要だと考えますが、見解を伺います。
 都民の安全・安心を実現するための施策について伺います。
 ことしは国内外で記録的な豪雨が続発しています。八月には、一時間一四六ミリという記録的な豪雨により、岡崎、名古屋両市の五十万世帯に避難勧告が出されました。東京では、町田市で一時間一一五ミリを記録するなどの豪雨で、多数の浸水被害が発生しました。また、八王子市では土砂崩れにより京王線が不通となるなど、都民生活に大きな影響を及ぼしました。
 昨年発表された気候変動に関する政府間パネルの第四次評価報告書においても、豪雨の増加や台風の大型化、海面水位の上昇が予想されています。東部低地帯では多くの高潮被害をこうむってきた歴史があり、今後、台風の大型化や海面上昇が進めば、危険性が増すことも予想されます。
 東京の中小河川は、一時間五〇ミリの降雨に対応する対策を進めていますが、最近の一〇〇ミリ規模豪雨の頻発傾向から見て、整備水準が今のままでよいとは到底いえません。河川整備には長い時間と多くの費用がかかりますが、目標とする整備水準の達成に向け、着実に進めることが重要であります。
 そこで、都のこれまでの取り組み状況と、気候変動も踏まえて、今後どのように河川の整備を進めていくのか、所見を伺いたい。
 ここで、八王子市川町の土砂災害についてお尋ねいたします。
 八月二十九日未明に発生した土砂災害に対し、八王子市が関係住民に避難勧告をするとともに、都は、災害が発生した土地所有者への改善命令を発し、素早く土砂搬出等の行政代執行の工事に着手したと聞いております。今回の災害に対して、一日も早い生活再建に向けた避難勧告の解除と防災工事の完了が望まれます。
 そこで、災害発生から代執行に至った経過と今後の対策について伺いたい。
 五月の中国四川大地震に続き、六月、七月には東北地方で震度六強を記録する地震が相次いで発生し、地震の発生がより身近な問題であることを実感させられました。東京には、大地震で倒壊するおそれのある建物がいまだに多く存在しており、その耐震化が急務となっています。
 民間と行政が一丸となって取り組むため、先月、多くの関係団体が参加する耐震化推進都民会議が発足しましたが、そのねらいと今後の取り組みを伺いたい。
 耐震化の推進に当たっては、地域に身近な区市町村の果たすべき役割は重要です。都は今年度、緊急輸送道路沿道建物の耐震化助成制度やマンションの耐震改修助成制度を創設しましたが、いずれも区市を窓口とするなど、耐震化施策の多くが区市町村との連携を前提としております。区市町村における耐震化施策の取り組み状況と、都として今後どのように促進していくのか、所見を伺いたい。
 学校の耐震化は、児童生徒の安全確保はもとより、地域住民の避難場所の確保という意味でも喫緊かつ重要な課題です。国の緊急対策を踏まえつつ、公立学校施設の耐震化をさらに加速させる必要があります。とりわけ、倒壊の危険性の高い建物は短期間のうちに解消を図ることが重要です。
 一方で、工事資材等の高騰や区市町村における技術者の不足などの課題が残されていることも事実であります。
 補正予算案では、我が党の提案と緊急要望を受け、公立小中学校等の耐震化対策を盛り込んでいますが、今後の目標と主な具体的な支援策について伺いたい。
 また、私立学校については耐震診断の促進策を盛り込んでいますが、耐震化をどのように促進していくのか、あわせて伺いたい。
 加えて、今後さらに、保育所や高齢者施設などの福祉施設についても耐震化対策を推進していくべきと考えますが、所見を伺いたい。
 知事は先日の所信表明において、昨年の第四回定例会における我が党の代表質問の提案にこたえ、二十三区の住宅について、耐震化を促進するための税制を導入することを表明しました。住宅については、「十年後の東京」で、平成二十七年までに耐震化率九〇%の達成が目標とされておりますが、改めて今回の措置の意義について伺いたい。
 近年、都内の犯罪件数は大幅に減少していますが、都政要望の第一位は、四年続けて治安対策となっています。特に最近、秋葉原や八王子において若者が刃物を使った無差別殺傷事件を起こすなど、多くの人が集う繁華街等の安全に対する都民の不安が高まっているように感じられます。
 繁華街等の防犯対策を積極的に進めていくことは、オリンピック・パラリンピックを招致する上でも重要であると考えます。今後、都はどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺いたい。
 昨今、高齢者をねらった悪質商法による被害は深刻化し、高額な契約などにより、生活基盤を根底から危うくする事態が生じています。また、身近な商品、サービスによる事故や食品の偽装など、消費者生活の安全・安心を脅かす不祥事が後を絶ちません。国は、消費者行政一元化に向けた取り組みを進めているところでありますが、都民の不安と不信を払拭するためには、現場における施策の強化は待ったなしの状況にあります。
 都は、東京都消費生活基本計画を改定したところでありますが、今後、消費者行政をどのように展開していくのか、所見を伺いたい。
 救急医療について伺います。
 東京消防庁のデータによれば、救急隊が現場に到着して病院選定を開始してから三十分以上経過した、あるいは五つ以上の医療機関に連絡をとった事例は、全搬送件数の六%程度です。この六%を発生させない仕組みをつくることこそが都民の安心を確保するものであると考えます。
 先月末、救急医療対策協議会の中間のまとめが明らかにされました。救急医療が置かれた厳しい状況の中で、患者の一時受け入れと転送のシステムなどの救急医療の東京ルールを推進していくべきとの内容になっています。このまとめによれば、三つの東京ルールを推進し、救急患者の迅速、適切な受け入れを実現するために必要な救急医療機関の地域ネットワークの構築において、仮称東京都地域救急センターがそのかなめとなるとされています。
 そこで、東京ルールの意義と、このセンターの役割について所見を伺いたい。
 医師の確保対策について伺います。
 地域医療は今や危機に瀕し、医療崩壊とまでいわれています。国が骨太の方針二〇〇八などで、これまでの医師抑制策を百八十度転換し、医学部定員を早急に過去最大となる程度まで増員するとしたことは、地域医療の確保にとって歓迎すべきことだと思います。
 都は、周産期や小児、救急、僻地医療に従事する医師を確保するため、医師奨学金制度を創設しました。地域医療を担う医師の育成を行う取り組みは評価するところでありますが、医師が一人前になるためには、医学部を卒業後、臨床研修期間を含めて、およそ十年かかります。このような将来を見据えて行う中期的な対策とともに、短期的な取り組みが不可欠であります。
 このため、都は、勤務環境改善などの病院の取り組みを支援するとしていますが、病院勤務医にとってどのような効果をもたらすのか、施策の実効性について伺いたい。
 我が党は、第二回定例会において、地域医療を担う医師をより多く確保する観点から、医師奨学金制度のさらなる拡充を検討するよう強く要望いたしました。地域医療を担う医師が過酷な勤務から解放され、十分に治療に専念でき、患者とも十分なコミュニケーションによって理解を図る、これがあるべき姿であります。最前線で頑張る医師を都民が支え、これに続く医師を育て、希望とやりがいを持ってもらうための取り組みが必須であります。
 都は、医師の養成、定着、再就職のあっせん、さらには、都が大学医局に成りかわって公立病院に医師を派遣する仕組みをつくるなど、総合的な医師確保策を推進していくべきと考えますが、所見を伺いたい。
 次に、シルバーパスについてであります。
 平成十六、十七年度の税制改正において、十八年度より高齢者に対する区市町村民税非課税の基準が引き下げられました。この結果、収入が変わらないにもかかわらず、二万五百十円でパスを購入しなければならなくなる事態を避けるため、我が党の要請を受け、都が十八、十九年度、そして今年度と、影響の出る方の負担額をそれぞれ据え置いたことは高く評価するものであります。
 一方、国においては、税制改正に伴う介護保険料の激変緩和措置を二十年度で終了するものの、二十一年度以降についても、税制改正によって影響を受けた方の保険料が大幅に上昇する場合には、保険者である区市町村がきめ細やかな配慮を行う必要があるとして、保険者の判断で保険料を軽減できることとしております。
 そこで、シルバーパスについても、二十一年度、引き続き経過措置を継続すべきことを強く求めるものでありますが、都の見解を伺いたい。
 子育て支援策について伺います。
 先ごろの国の調査によると、保育所の待機児童数は五年ぶりに増加し、一万九千五百五十人となりました。また、七月に発表された都内の待機児童数は、昨年より八百七十八人増の五千四百七十九人となり、全国の約三割を占めております。
 このような状況にあって、都は、待機児童解消に向け、区市町村の実態に応じた取り組みを積極的に行うべきと考えますが、所見を伺いたい。
 東京の待機児童のうち、三歳未満児が約九割を占めています。これらの低年齢児の定員枠を拡大し、待機児を解消するためには、認証保育所の設置促進が極めて有効であります。認証保育所は、十三時間開所やゼロ歳児保育の実施など、大都市特有の保育ニーズに対応したサービスとして都民から広範な支持を得ており、我が党も認証保育所推進議員連盟を設立し、積極的に支援を行っているところです。
 国と都の実務者協議会で、福祉分野の施策で唯一、東京独自の認証保育所の承認が取り上げられました。
 そこで、認証保育所制度の承認に当たり、国との協議状況と今後の取り組みについて伺いたい。
 子どもの医療費助成について、既に特別区では、中学三年生までの入院、通院に係る医療費の全額助成が実施されているのに対し、市町村部のほとんどでは、都の義務教育就学児医療費助成事業に準じた一割助成となっています。このことを多摩格差という声もあります。このような違いは、各区市町村における自治制度の違いから来る政策選択の結果として生じているものでありますが、市町村部の都民からは、都の医療費助成制度を充実してほしいという切実な声が上がっています。
 その一方で、医療現場の非常に厳しい状況を見過ごすことはできません。核家族化の影響などから、子どもの病気に対する基礎的な知識が不足しているために、症状がそれほど重くなくても時間外に受診する人がふえ、小児科医師の疲弊した状況がマスコミでも取り上げられています。
 このようなことを踏まえると、助成内容の拡大について、都民の方々にも小児医療現場の厳しい状況を理解をしていただいた上で、秩序ある持続可能な制度として構築し、知事の公約を実現すべきであると考えます。
 さきの第二回定例会における我が党の代表質問に対し、福祉保健局長は、今後、事業の実績等を踏まえ、実施方法や実施時期については区市町村と協議し、具体的な内容について検討を進めると答弁しました。
 そこで、都はどのような方針で臨もうとしているのか、伺いたい。
 新型インフルエンザは、いつ発生してもおかしくないといわれております。我が党は、さきの第二回定例会でも、都の率先した取り組みが必要であると主張しました。これを踏まえ、今般、抗インフルエンザウイルス薬三百万人分を追加購入し、備蓄量を大幅拡充するとの補正予算案を編成したことは高く評価いたします。
 新型インフルエンザの大流行から都民を守るため、対策をさらに強化すべきと考えますが、今後の都の取り組みについて伺いたい。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について伺います。
 専門家会議から、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する報告書が都に提出されました。報告書にある対策は、生鮮食料品を取り扱う市場用地として、食の安全・安心が十分に確保できる手厚い内容であると考えます。
 我が党としては、築地での現在地再整備が不可能であり、移転先の代替地もない中、豊洲新市場を将来にわたり活用される首都圏の生鮮食料品の基幹市場として、都民や市場関係者が安心して利用できるようにすることが最も重要と考えます。このためには、冷静かつ客観的な議論に基づき、科学的見地からの食の安全に加え、都民の安心が最大限担保できる土壌汚染対策を講じていかなければなりません。
 そこで、都は、食の安全・安心という観点も含め、この報告書の内容をどのように受けとめているのか、所見を伺いたい。
 都では、この報告書を踏まえ、土壌汚染対策を具体化するため、土木技術や汚染物質処理等に関する専門家による技術会議を設置し、新しい発想や新技術の可能性を含め、広く検討を進めています。食の安全・安心を十分に確保できる対策を講じていくことが当然必要ですが、約四十ヘクタールもの敷地全体にわたり汚染土壌の掘削や処理を行うとすれば、工期が長期間に及び、対策経費が増加することも予想されます。今後、対策を取りまとめるに当たり、工期短縮や経費の縮減を図ることが、より一層の都民や市場関係者の理解にもつながり、豊洲への移転整備を着実に進める上で不可欠であると考えます。
 技術会議を通じて実効性ある技術、工法を検討することはもちろん、効率や経済性という観点からも十分な検証が必要と考えますが、所見を伺いたい。
 第二回定例会において環境確保条例が改正されました。今後、平成二十二年四月の削減義務の開始に向け、着実な準備を進めることが重要です。都は七月末に、対象となる事業者に対して第一回目の制度説明会を開催したと聞いております。引き続き、制度の具体化に応じ、順次事業者への説明を丁寧に行うよう要望しておきます。
 今定例会に提案された補正予算においては、家庭部門のCO2削減を進める中核的な施策として、太陽エネルギーの大胆な普及策が具体化されています。太陽光発電の普及支援は、昨年来、我が党の求めに応じて、都が関連業界とともに具体化を進めてきたものであります。この取り組みは、全国の関係事業者の活動を活発化させ、ついには、一度廃止した国の補助金を復活させるという大胆な方向転換をもリードしてきました。
 今回提案された補正予算で、太陽エネルギー普及補助のための基金を創設すると聞いています。これは、年度の切れ目なく補助事業を行う上で適切な方法であり、来年の四月から円滑な補助事業の実施が可能となります。
 計画では、二年間で四万個の太陽エネルギー機器の普及を予定していますが、これは、現状のペースを一挙に五倍にも引き上げる意欲的な目標です。知事に、東京から太陽エネルギー拡大の新たなうねりを生み出す決意を伺いたい。
 また、家庭部門でのCO2削減対策については、太陽エネルギーの利用拡大に加えて、日々の生活の中で常にCO2削減を意識し、節電や省エネ型の機器を選択するなど、生活や消費のあり方を見直す具体的な取り組みが必要です。
 都は、二〇二〇年二五%削減の目標を達成するため、当初の三、四年を低炭素型社会への転換始動期と位置づけ、戦略的、集中的に対策を実行するとしています。
 都民生活に最も身近な区市町村も、それぞれが知恵を絞ってさまざまな取り組みを始めています。都は、今こそ、区市町村の先進的な発想や取り組みに後押しをする必要があります。そのためには、区市町村の施策が大胆に集中的に実施されるよう、連携強化や技術的な支援にとどまることなく、財政面での考慮も必要です。
 そこで、都は、区市町村の行うさまざまな取り組みに対し、どのような支援策が必要であると認識しているのか、伺いたい。
 さらに、CO2削減を進めるためには、公共交通機関の十分な活用と環境負荷の少ない自動車の利用が望まれます。
 現在、都は、オリンピック・パラリンピック招致活動を行っていますが、これをかち取るためにも、目に見える形での環境施策の実施が強く求められております。
 そこで、都民生活に密着し、広く活用されている公共交通機関である路線バスのハイブリッド化の促進など、環境負荷の低い自動車の普及促進策を早急に講じるべきと考えますが、所見を伺いたい。
 最後に、二〇一六年東京オリンピック・パラリンピック招致についてお尋ねします。
 北京オリンピックの開幕に当たっては、私も石原知事とともに現地に赴き、開会式を目の当たりにするなど、熱気を肌で感じてきました。東京では、よりすばらしいオリンピック・パラリンピックを開催し、次代を担う子どもたちに夢と希望を与えたいとの思いを強くしたところであります。
 そこで、知事に、北京に行かれて感じたこと、そして、北京視察を経て、なお一層強くなったであろう招致に向けての決意を伺いたい。
 北京での開催期間中には、東京オリンピック・パラリンピック招致に携わる職員が現地調査を行ったと聞いております。実際の大会運営をつぶさに視察することで、より高い評価を得られる大会開催計画を策定するためのアイデアをたくさん得たのではないかと思っています。
 私の感想を率直に申し上げますと、開会式は迫力十分で見ごたえがあったものの、大がかりで華美な印象を受けました。また、社会基盤整備も含むものの、四兆五千億円をも超える巨費を投じられていますが、適切な規模だったのかと思います。
 そこで、北京での調査では、計画策定に向けてどのような成果があったのか、伺いたい。
 東京でオリンピック・パラリンピックを開催する意義や大会の特色、東京の都市としての魅力、最先端技術など、日本の持つ力を広く世界にアピールすることは、招致を成功に導くためには欠かせません。JOCジャパンハウス内の東京オリンピック・パラリンピック招致ブースでのPRの様子は私も拝見しましたが、このブースには、IOC委員も含めた多数の方々に訪れていただき、大変盛況であったと聞いています。また、都内においては、夏祭りや花火大会など、地域のイベントとタイアップして招致機運の盛り上げを図る区市町村連携事業が順調に開催されていると聞いています。
 招致成功のための重要な要素となる、国際的なPRと国内における支持率の向上策を今後どのように展開していくのか、伺いたい。
 都は、この夏、東京都スポーツ振興基本計画を発表しました。この計画は、オリンピック・パラリンピック招致都市にふさわしい、都民のだれもが生涯を通じてスポーツに親しめる社会、スポーツ都市東京の実現を目指すものです。
 地域スポーツの振興に当たっては、都みずからの取り組みに加え、住民に最も身近な区市町村といかに連携を図って施策を展開していくかが大きなポイントとなります。そのために、例えば運動広場や河川敷の活用など、地域のスポーツ拠点の確保に向けて環境づくりを進めていく必要があると考えます。
 スポーツ振興基本計画の今後の具体化について所見を伺いたい。
 なお、河川敷など既存の施設についても、さらに有効活用されることを要望いたします。
 アスリートを養成するためには、小中学生の中から有望な選手候補を計画的に発掘、育成、強化していくことが不可欠であります。
 そこで、現在実施している地域におけるジュニア選手の養成に、これまで以上に積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、所見を伺いたい。
 我々都議会自由民主党は、知事と手を携え、来年に迫った二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックの招致に全力を注いでいく決意であることをここで改めて表明し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高島なおき議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、我が国の政治、経済、社会の現状認識と、それにのっとった都政運営に臨む基本姿勢についてでありますが、深刻化する地球温暖化や、到来がほとんど喫緊の問題であります新型インフルエンザの問題など、直面するさまざまな危機を前にして、国の政治も行政も十分に機能しているとは思えません。年金問題や事故米問題などに見られる国の役人の無責任さにはあきれるばかりであります。
一方、過剰流動性に乗った投機マネーの暴走といった、アメリカ型の抑制のきかない資本主義が世界に害悪をまき散らしております。
 こういった状況の中で、新しい経済秩序が求められており、今こそ日本の英知が試されていると思います。
 一方、社会では、親が子どもを殺し、子どもが親を殺すような事件や、食品偽装や、人を欺いても、もうかればよしとする事件が後を絶たないさまは、人間社会にとっての基本的な価値の基軸が失われていることを如実に示しているのではないかという気がいたします。
 まさに我が国は、内憂外患としかいいようのない状況にございますが、こうした状況であればこそ、危機の本質を正確に認識した上で、衰弱に向かう流れを何とか断ち切って、この国を土台から再生させる現実的な手だてを強い意志で講じていくことが強く求められていると思います。
 ゆえにも、都は、停滞のきわみにある国政を座して待つことなく、「十年後の東京」を羅針盤としました独自の取り組みを進めておりまして、今回、中小企業支援などの緊急対策にも着手するため、補正予算案を提出いたします。
 今後も、首都東京こそが日本を救うという気概を持ちまして、志を同じくする都議会の皆様と手を携えながら、今なさなくてはならないことを国に先駆けて果断に実行していくつもりでおります。
 次いで、今後の財政運営についてでありますが、皆さんのご協力のもとに、就任以来、財政の再建に取り組み、それをなし遂げることができましたのは、都政に課せられた使命の一端を果たしてきたと思っております。
 現在、日本は、景気後退とインフレの大きな危機にさらされておりますが、このようなときにこそ、この間培ってきた都財政の力を、東京の将来を見据えた都市づくりや、東京に住み、働く人々が直面する課題にこたえるために発揮しなくてはならないと思っております。
 一方、都財政をめぐる環境は、景気後退に伴う税収の減や、国の無策を露呈した不合理な法人事業税の暫定措置の影響など、厳しさを増していることも事実であります。
 したがって、今後の財政運営に当たっては、改めて気を引き締め、いかなる荒波にも揺るぎない力を蓄えて、都政がなすべき施策を果敢に推進していきたいと思っております。
 次いで、「十年後の東京」への実行プログラムの改定についてでありますが、この六月、東京都は、二〇一六年オリンピック・パラリンピックの立候補都市として、第一段階の審査では、最高の評価を得て承認されました。「十年後の東京」で描き出した都市インフラ、環境、安全など、さまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく、世界の範となる都市像をIOC理事会からも高く評価されたことによると思っております。
 今回の改定に当たりましては、実行プログラム二〇〇八で示した先進的な取り組みについて、その成果を都民が実感できるようにさらに加速化するとともに、頻発する大地震や局地的豪雨による都民の危機意識の高まりなど、社会状況の変化に的確に対応していかなければならないと思っております。
 加えて、例えば、羽田空港の国際化を見据えた快適で利便性の高い交通ネットワークの構築、あるいは環境確保条例の成立を踏まえた国際炭素行動パートナーシップ――ICAPと略しておりますが――へのアジアでは初めての都市としての参加、あるいは低炭素型都市の実現に向けた具体的な広範な施策展開、想定される危機から首都都市・東京を守る取り組みの一層の強化など、意欲的な取り組みを重点的、戦略的に展開していきたいと思っております。
 今後とも、日本、ひいては世界を牽引する気概を持って、二十一世紀の都市モデル実現に向けた取り組みを進化させ、東京をさらなる成熟へ導いていきたいと思っております。
 次いで、補正予算の編成についてでありますが、今日、都政に求められているのは、都民に広がる不安に正面から向き合いまして、これを解消するための具体的な対策を積み重ね、都民の期待にこたえていくことであると思います。
 このため、景気、雇用状況の悪化、新型インフルエンザや大地震の脅威、地球温暖化などの都民の不安を解消する四つの緊急対策を展開することとし、とりわけ早期に取り組むべき施策の実行に向け、年度中途という例のない時期ではありますけれども、あえて補正予算を編成いたしました。
 今後とも、首都東京という現場に根差した発想力と行動力を発揮して、都民生活を守り抜く決意を持って、国を先導する取り組みを展開していきたいと思っております。
 次いで、緊急中小企業支援、雇用対策の基本的考え方についてでありますが、東京の中小零細企業は、高度な技術と優秀な人材を有し、東京の産業を支える重要な役割を果たしております。しかし、原油あるいは原材料の価格の高騰などを背景にしまして、経済情勢は急速に悪化し、中小零細企業は、資金繰りの逼迫や下請たたきなど、極めて厳しい状況に陥っております。このまま放置すれば、中小企業の活力の喪失により、東京の経済は衰退しかねません。
 このため、近年、例のない規模で補正予算を編成し、都内中小零細企業を強力に支援することといたしました。中小企業が直面する資金繰りなどの課題に対して迅速に対処するとともに、設備投資の促進といった将来を見据えた対策も実施してまいります。
 また、雇用の面から、特に不安定な状態に置かれている就職氷河期世代の非正規雇用者を対象とした支援策を展開してまいります。
 こうした都独自の緊急対策を速やかに実施しまして、東京の産業活力を維持していきたいと思っております。
 次いで、羽田空港の国際化についてでありますが、先般、新滑走路の上から工事の状況を確認しましたが、羽田空港は、国家の存亡に係る重要なインフラでありまして、事業の一刻も早い完成が必要であると改めて認識いたしました。
 国は、都の求めに応じて、国際線発着枠を倍増すること、距離制限を撤廃して、北京、台北、香港まで昼間の定期便を就航させるなどを骨太の方針の中で閣議決定し、これに基づき、各国と羽田への乗り入れに関する具体的な協議を開始しております。
 都心に近接する羽田空港の利便性を生かし、首都圏と世界を結ぶ結節点としての機能を最大限に発揮させることは当然のことであります。
 今申し上げました以上に、実は根回ししておりますが、今後とも昼間の国際線を増加させるとともに、国の方針には含まれていないバンコクやシンガポール、ASEANの諸国までは当然飛ばなくちゃいけないと思いますが、さらに、私の感触では、近々に至近の距離のヨーロッパの都市にも、あるいはアメリカの西海岸までは国際線を飛ばすことになり得ると思っております。
 次いで、外環道についてでありますが、外環道は、ひとり東京のためだけでなく、首都圏、ひいては我が国全体に広く便益が及ぶ、まさに必要な道路であります。外環道の早期着工は、首都東京の十三項目の重要施策の中でもトッププライオリティーでありまして、先般の実務者協議会の場でも、その実現を強く国に申し入れました。
 道路特定財源が一般財源化されようとも、外環道は、国が必要な財源を確保して整備するものであると思っておりますし、国交省も十分それを認識しております。
 今後も国に対して、国幹会議を開催し、整備計画を策定するとともに、平成二十一年度事業着手に必要な予算と実施体制を確保するよう強く求めてまいります。
 次いで、京浜三港の広域的港湾経営についてでありますが、我が国の港湾政策がスピードと戦略性を欠く中で、日本港湾は、アジア諸港の躍進による熾烈な港湾間の競争にさらされて、苦戦を強いられております。
 京浜三港は、世界有数の経済圏を背後に持ち、海上貿易額の合計は三十兆円に上り、また、世界的には一つの港といえる地理的な近接性を有しております。このスケールメリットを生かした広域的な港湾経営を行い、世界の主要港として生き残る活路を開いていきたいと思っております。
 このため、今回、横浜の市長、川崎市長とトップ会談を行いまして、広域連携の第一弾として、入港料の一元化や京浜港の共同ビジョンの策定に着手することといたしました。
 東京港と川崎は数キロも離れていないのに、東京に入り川崎に入る船が、一々入港料を別に払うというばかなことを今までやっていたわけでありますから、こんなものを何で国が放置していたかわかりませんけれども、幸い三首長の合意を得ましたので、今回の運びになりました。
 京浜三港みずからの判断と責任において、港を一体的に管理するポートオーソリティーを視野に入れまして、我が国港湾の新時代を切り開いていきたいと思っております。
 東京、横浜、川崎の各議会が連携して、京浜港広域連携推進議員連盟が設立されました。大変心強く思います。日本港湾の凋落に歯どめをかけるためには、今が正念場だと思います。我が国港湾の現状を憂える議員連盟の皆さんと力を合わせて、世界の港湾間の競争に打ち勝っていきたいと思っております。
 次いで、繁華街の防犯対策についてでありますが、多くの人々が出入りし、憩いもする繁華街などを犯罪が起こりにくいまちとして人々の安心感を高めていくことは、世界一安全で安心な首都東京を実現するためにも必須のことであります。
 都はこれまでも、警視庁などと連携し、夜の盛り場の浄化対策を進めるとともに、ダガーナイフなどの殺傷能力の高い危険な刃物については、青少年への販売を禁止するなど、都内の治安の向上に努めてまいりました。
 また、繁華街等を、昼夜を問わず安全で安心なまちとして活性化するため、昨日、有識者会議を設置いたしまして検討を開始いたしました。
 今後、その検討結果を踏まえて、繁華街などの防犯対策の充実強化を図ってまいります。
 次いで、太陽エネルギー利用の拡大についてでありますが、太陽エネルギーに代表される再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大を実現することは、省エネ、節電と並び、東京におけるCO2の大幅な削減を実現するために欠かせない取り組みであります。
 我が国は、太陽光発電、太陽熱利用に関する先端技術を有してきましたが、国が認識不足のために、その国際的な優位性を急速に失いつつあります。
 都の主導により、民間企業、団体の力を総結集して、太陽エネルギーが徹底して活用される低炭素型の都市モデルを、東京において、いち早く実現していきたいと思っております。
 次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、北京に参りまして、いろいろ参考にはなりました。トップアスリートの迫力のある戦いぶりは、見る者、眺める者すべてに感動を与えて、日本の若者にとっても、将来を担う力を生み出す絶好の手がかりであると確信いたしました。
 二〇一六年の東京は、北京と全く違う、これは全く違う大会を開催するつもりであります。成熟した都市の中心において、ハイテクを駆使し、地球環境問題の解決に資する、世界一コンパクトで、しかも日本人の鋭い感性と日本の美意識を表現した、日本ならではの大会を目指したいと思っております。
 来年は、嘉納治五郎がクーベルタンに請われてアジア初のIOC委員になってからちょうど百年目に当たりまして、まさに記念すべき年に開催都市が決定されます。都議会を初め、都民、国民の皆様の力強いご支援、ご協力をいただいて、招致を実現したいと願っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 学校施設の耐震化に関する今後の目標と主な支援策についてお答え申し上げます。
 学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であり、災害発生時には避難場所となるなど、重要な役割を担っており、耐震化を早急に完了する必要がございます。
 そこで、構造耐震指標であるIs値が〇・三未満の建物、すなわち倒壊等の危険性の高い建物につきましては平成二十二年度までに、Is値は〇・三以上でございますが、倒壊等の危険性のある建物につきましては、現行計画を三年前倒しをいたしまして、平成二十四年度までに耐震化を完了することを今後の目標といたします。
 この目標を達成するために、都教育委員会は、区市町村に対して財政支援及び人的支援を行うことといたしました。
 財政支援につきましては、資材等の高騰により、実勢単価と国庫補助単価の乖離が拡大し、区市町村の負担が増大していることから、Is値〇・三未満の建物を対象に単価差補助を行うことといたします。また、Is値〇・七未満の建物を対象といたしまして、国庫補助金と起債可能額を除く設置者負担額を補助いたします。
 さらに、人的支援として、耐震化のために区市町村が必要とする技術職の雇用経費の補助やあっせんを行うことといたします。
 今後、区市町村教育委員会とさらに連携を深め、これら都独自の支援策を講じることによりまして、早期に学校施設の耐震化完了を図ってまいります。
 〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 行政改革と多摩の振興に関します四点のご質問にお答えさせていただきます。
 まず、指定管理者制度など民間活力導入についてでございますが、都は、効率的、効果的な事業執行を図るため、民間でできることは民間にゆだねるとの原則のもと、官民の役割分担を見直し、指定管理者制度など多様な民間開放手法の導入を進めてきたところでございます。
 これらの制度を運用するに当たりましては、評価の仕組みを構築し、チェック機能を強化するなど、適切に検証を行っております。
 しかしながら、ご指摘のとおり、職員の大量退職や少子化に起因する労働市場の縮小の問題など、都政を取り巻く状況が変化する中、都民サービスの向上や都民の安全・安心の確保がより一層求められております。
 今後、指定管理者制度など民間開放手法を活用するに当たりましては、引き続き、不断の検証を行うとともに、都が担うべき業務、役割を再整理した上で、行政に対する支援、補完機能を担う監理団体を有効活用し、行政サービスを適切に提供してまいります。
 次に、都庁の事業遂行能力の強化についてでございますが、都はこれまでも、現場を持つ強みを生かしながら、都民が真に必要とする施策、サービスを着実に推進してきたところでございます。
 このような施策を継続的に実行していくためには、現場感覚を身につけた職員が必要不可欠でございます。したがいまして、効率性のみならず、都民のニーズを的確にとらえた施策やサービスを展開できるよう、職員の現場感覚を養い、事業遂行能力を高めるための仕組みづくりにつきまして、今後、検討してまいります。
 次に、人材の育成、確保策についてでございますが、今後の都政運営においては、中長期的視点に立ちまして、企画力のある人材を育成、確保することが極めて重要な課題であると認識しており、都はこれまでも、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 人材育成につきましては、本年度をOJT元年と位置づけ、仕事を通じて職員を育成するOJTをさらに強化してまいります。あわせて、高水準の語学力とともに、政策形成能力を養うため、海外研修を開始いたしました。
 今後は、自己啓発を促進する仕組みづくりを進め、職員の能力向上に取り組んでまいります。
 また、人材確保につきましては、人事委員会と連携し、政策対応力のある多様な人材を幅広く確保するため、来年度から採用試験制度を改正するとともに、都への就職希望者をふやすため、民間主催イベントへの参加など、都職員の魅力を伝えるための活動をこれまで以上に行ってまいります。
 今後とも、都として、人事政策を戦略的に展開しながら、その機能をより一層高め、企画力ある人材の育成、確保を図ることで、執行体制を強化してまいります。
 最後に、多摩地域の振興についてでございますが、平成十七年一月に策定した多摩リーディングプロジェクトは、地域の特性に着目し、都がどのように多摩振興に取り組むかを基本施策として明らかにしたものであり、都はこれまで、その着実な推進に努めてまいりました。
 しかしながら、社会情勢等の変化により、現在のリーディングプロジェクトの重点推進事業に含まれていない新たな課題が発生していることも十分に認識しております。
 このため、ご指摘の医療や環境などの分野も含め、今日の課題に対応した新たな実施計画を早期に策定し、活力と魅力あふれる多摩の実現に積極的に取り組んでまいります。
 〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、入札契約制度改革についてでございますが、公共工事におきましては、透明で公正な入札契約手続等を通じまして、適正な価格と品質の確保の両立が求められており、都は、こうした観点から制度改革に取り組んでおります。
 しかしながら、公共工事をめぐる状況は、過度の低価格競争、入札不調工事の増加、資材価格の急騰などにより、お話のように、コストと品質の両立に懸念が生じております。
 この状況に的確に対応するため、都は、今回、単品スライド条項の運用を開始するに当たりまして、受注者の負担を対象工事金額の〇・五%と、国に比べて半分の低い水準に抑えるとともに、請求手続を簡素化するなど、中小企業に配慮した都独自の取り組みを行うことといたしました。
 同時に、抜本的な制度の見直しに向けまして、学識経験者による入札契約制度改革研究会を設置いたしまして検討を進めてきております。
 このたびいただいた第一次提言におきまして、直ちに実施すべき当面の対策が示され、都はこれを受けまして、最低制限価格の上限額の引き上げや、工事積算単価の改正期間の短縮などの改善策を策定し、早急に実施することといたします。
 今後、研究会におきましては、会計法に基礎を置く予定価格の上限拘束性のあり方など、制度の根本に立ち返った抜本的な検討を行うこととなります。
 これらを踏まえまして、今後、価格と品質のバランスのとれた、都独自の入札契約制度改革の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。
 次に、社会資本の維持更新についてでございます。
 社会資本は、大都市東京の発展を支える基礎でございまして、しかも、老朽化に伴う維持更新需要が、今後、相当長期にわたり高い水準で推移することから、都財政にとって大きな懸案課題となっております。
 この課題を戦略的に進めていくためには、社会資本の適正水準、適正配置の再検証や、長寿命化の取り組みなど、都庁の持つ知恵と工夫により、維持更新需要の平準化を図ることがもとより重要でございます。
 とはいえ、そのような努力を重ねてもなお、この課題達成には膨大な費用を要することは確実でございまして、これに必要な財源の確保が都財政に課せられた大きな役割であると受けとめております。
 したがいまして、今後の財政運営に当たりましては、基金の一層の充実や、必要な場合には必要な都債を発行できる余力の確保など、一層の体力増強に向けた努力を中長期的視点に立って継続していくことが不可欠であると考えております。
 こうした観点に立ちまして、東京の発展と都民の安全・安心の基盤である社会資本の維持更新に向け、関連各局と連携を図りながら、全力で取り組んでまいります。
 最後に、今回の減債基金への積み立てでございますが、新銀行への当初出資一千億円のうち、七百億円は地方財政法に基づき出資債を充当しております。今般、減資が決定したことに伴いまして、出資債のうち減資割合に相当する五百四十億円を減債基金に積み立てるものでございます。これは、地方財政法の趣旨に基づく義務的経費でございます。
 また、今回の措置は、地方財政法に定める決算剰余金の処分方法である繰り上げ償還の財源に充てるものに該当いたします。
 今回の積み立ては、もともと将来の償還に備えて順次積み立てていくべきものを、時期を前倒しして積み立てるものでございまして、追加負担ではございません。必要な措置は早期に実施することが財政的に有効であることを踏まえ、今回補正予算に計上したものでございます。
 〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、固定資産税等の上昇に対する緩和措置でございますが、平成二十一年度の土地の固定資産税評価額は、現在算定作業中でございます。しかしながら、都心の一部におきまして評価額が大幅に上昇することに伴い、都民の負担が急激に増加する懸念がございます。
 このため、都といたしましては、今後、土地の評価額が大幅に上昇する場合には適切な負担緩和措置を講ずるよう、国に対し、強く働きかけてまいります。
 次に、耐震化促進税制についてでございます。
 建物の耐震化を進めることは、都にとって喫緊の課題でございます。
 今回導入することといたしました都独自の耐震化促進税制は、二十三区内において耐震化のための住宅の建てかえを行った場合、または耐震改修を行った場合に、固定資産税及び都市計画税を減免するものでございまして、「十年後の東京」が目指す災害に強い東京の実現を税制面から支援していくものでございます。
 〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
 

○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、中小企業の資金繰りや下請取引の適正化にかかわる支援についてでございます。
 原油、原材料価格の高騰などの影響によりまして、不況業種の認定を受けた中小企業を中心として、セーフティーネット保証の本年度の融資実績が、七月末現在で、前年同期に比べまして、件数で九倍、金額で七倍と急増をしております。
 このため、セーフティーネット保証を含む経営支援融資の融資目標額を三百億円拡大するとともに、小規模企業者に対する信用保証料の補助率を大幅に引き上げ、資金調達の一層の円滑化と負担軽減を実現すべく、補正予算に必要な経費を計上したところでございます。
 一方、下請取引におきましても、さまざまな紛争が急増しております。このため、下請センター東京を設置いたしまして、弁護士や紛争解決専門員を活用した体制を強化したところであり、七月には、自治体関係機関としては全国初となる紛争解決事業者、いわゆるADRの認証を取得し、法的効果を持った調停が可能となったところでございます。
 同センターを活用いたしまして、売上代金回収や値下げ要求などの紛争解決に努めますとともに、親事業者である主要業種団体に対しまして、公正かつ適正な取引を行うよう要請をしてまいります。
 今後とも、厳しい経済状況のもとで資金繰りや適正な下請取引に腐心をしております中小企業の経営安定を支援するため、企業現場の実態に即した施策を展開してまいります。
 次に、設備投資に係る中小企業の負担軽減についてでございます。
 中小企業が将来にわたり、技術力、経営力を維持向上していくためには、計画的な設備投資が不可欠でございます。しかしながら、中小企業の設備投資は、大企業と比べまして大きく落ち込んでいるのが現状でありますことから、設備投資を後押しするために、中小企業設備リース事業を創設することといたしました。
 本事業では、都が中小企業振興公社に百億円の基金を造成いたしまして、それを原資として、低廉な利用料で設備の導入、更新を可能とするリースを実施するとともに、平成二十二年度までの緊急対策といたしまして、リースの実行に必要な信用保証料の全額を補助いたします。
 こうした中小企業の負担を最大限軽減する新たな仕組みを導入することによりまして、都内中小企業の設備投資を強力に支援をしてまいります。
 次に、新銀行東京に対する都の支援についてでございます。
 都はこれまで、公共工事代金債権信託など、新銀行東京と連携しながら、その機能を活用した支援を実施しますとともに、全庁を挙げて新たな支援を検討しているところでございます。
 ご指摘の、新銀行東京が持つ多様な金融機能を都の政策実現に活用していくことは、極めて重要な視点であるというふうに考えております。
 今後においても、中小企業支援に軸足を置きながら、都の重要な施策の実現に向けまして、新銀行東京の一層の活用を検討するなど、再建に向けた支援を続けてまいります。
 最後に、新銀行東京の減資に対する都の基本的な考え方についてでありますが、新銀行東京が多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を大きく毀損したこと、このことは都としても重く受けとめております。同時に、新銀行東京の再建に当たっては、こうした現実を直視しまして、経営上、合理的な方策をとっていかなければならないと考えております。
 その意味におきまして、新銀行東京の今回の減資は、過去の負の遺産である一千十六億円の繰越損失を解消し、財務体質の改善を図り、再建に向けて新たなスタートを切るために必要なものと考えます。
 こうしたことから、都といたしましては、再建に取り組む環境を一日も早く整えるために必要な対応であると考え、新銀行の提案に賛同したものでございます。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、道路整備と高速道路の合理的な料金体系の構築に必要な財源確保に向けた取り組みについてでありますが、「十年後の東京」の実現に向け、交通渋滞を解消し、都市機能の向上や都市環境の改善を図るため、首都圏三環状道路を初めとする幹線道路ネットワークや連続立体交差など、早期整備が不可欠であります。
 あわせて、首都圏の高速道路網が最大限に利活用される料金体系を構築し、これを国策として実施していくことが必要であります。都はこれまでも、実務者協議会などを通じて国に主張してまいりました。
 一方、今般の経済対策としての高速道路料金引き下げは、一定の評価はできますが、首都東京の大動脈である首都高を対象として加えるべきであり、このことについても、都は国に強く申し入れております。
 今後、道路特定財源の一般財源化が行われようとも、首都圏三環状道路など東京の道路整備に欠かせない財源と、首都高を含む高速道路の合理的な料金体系の導入に必要な財源を確保するよう、国に対し、さらに強く求めてまいります。
 次に、都の河川整備の取り組み状況と今後の進め方についてでありますが、都は、水害から都民の命と暮らしを守るため、これまで、中小河川では一時間五〇ミリの降雨に対応する整備を進め、東部低地帯では、日本最大の高潮被害をもたらした、あの伊勢湾台風を想定した高潮に対応する整備を進めてまいりました。
 今後は、これらの事業のスピードアップを図ることはもとより、近年の五〇ミリを超える局地的豪雨の頻発や台風の大型化など、気候変動による影響を考慮した河川の整備を進めることが極めて重要であります。
 具体的には、中小河川の整備については、豪雨対策基本方針を踏まえ、既往最大の狩野川台風級の七五ミリ降雨を視野に入れ、局地的豪雨の際にも流域間で効果的な運用ができる調節池の増設など、さらに検討を深めてまいります。
 また、高潮対策については、予測される海面水位の上昇や台風の大型化による影響を検証し、国や区などと連携して効果的な対策を検討してまいります。
 今後とも、安全で安心なまち東京の実現を目指し、気候変動にも対応できる河川整備を推進してまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 東京都港湾審議会答申の東京港港湾計画への反映につきましてお答え申し上げます。
 東京港の国際競争力の強化のためには、本年七月の港湾審議会答申を踏まえまして、外貿コンテナ貨物の急増や船舶の大型化に的確に対応するとともに、港内の交通ネットワークの充実を図っていくことが重要でございます。
 このため、外貿コンテナふ頭につきましては、アジア諸港と伍して競争できるよう、国際標準となりつつあります八千個積みを超える大型船が接岸可能となる新規ふ頭の整備や既存ふ頭の改良など、大水深岸壁への再編に向けまして、ふ頭計画を見直してまいります。
 さらに、中央防波堤地区において現在開発を進めてございますコンテナふ頭や高機能物流施設などから発生する大量の貨物の内陸部との円滑な輸送のため、港内の道路交通ネットワークを見直してまいります。
 今後、港湾計画の具体化を着実に進めることによりまして、世界の物流動向の変化に柔軟に対応いたしまして、日本経済の根幹を支える国際基幹航路の維持拡大を図ってまいります。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、JR中央線の三鷹駅から立川駅間の複々線化に向けた取り組みについてでございます。
 複々線化は、多摩地域の一層の発展を図る上で不可欠であるとともに、その整備効果は、東京だけにとどまらず山梨方面にも広く及ぶなど、意義の大きい事業でございます。連続立体交差事業が着実に進んでいる中で、既に都市計画決定している複々線化の実現が次の大きな課題であることは、ご指摘のとおりでございます。
 都は、三鷹・立川間立体化複々線促進協議会が設置した専門委員会に参画し、沿線市とともに、速達性の向上や混雑緩和、さらには交流人口の増加など、複々線の必要性について改めて取りまとめました。
 引き続き、専門委員会において議論を進め、その結果を勘案しながら、鉄道事業者や国、関係自治体と連携し、整備の仕組みづくりなどについて検討を深めてまいります。
 次に、八王子市で発生した土砂災害についてでございます。
 八月二十九日未明の豪雨により、八王子市川町の斜面地で土砂崩れが起こり、家屋一棟が倒壊する等の災害が発生いたしました。地元市からの勧告を受け、現時点で九世帯が避難中でございます。
 都は、二次災害の危険があることから、九月二日、土砂の流出防止等の改善命令を発しましたが、斜面地の土地所有者は命令を履行しなかったため、八王子市の協力を得て、十五日から行政代執行を開始いたしました。
 現地では、改善命令のうち避難勧告の解除に必要な応急工事を進めております。
 本格的な防災工事につきましては、再度、行政代執行を行うことも視野に入れ、引き続き、土地所有者に対してその履行を強く指導してまいります。
 次に、耐震化推進都民会議についてでございます。
 耐震化を効果的に進めるためには、行政はもとより、建物所有者、事業者などの関係者が相互に連携協力して取り組むことが重要でございます。
 このため、先月、約五十の団体とともに耐震化推進都民会議を立ち上げ、耐震化に向けた機運の醸成が重要であるとの認識を共有し、緊急アピールを行いました。
 また、防災週間に合わせ、会議の参加団体と連携してキャンペーンに取り組み、都内各地で多様なイベントや広報活動を行いました。
 今後とも、この会議を中心に、官民が一体となって、耐震化推進に向けた都民運動を重層的かつ波状的に展開し、地震が怖くない東京の早期実現を目指してまいります。
 最後でございますが、区市町村における耐震化の取り組みについてでございます。
 都の耐震改修促進計画を踏まえ、これまでに二十三区十八市が地域の促進計画を策定し、計画的かつ総合的な取り組みを開始しております。
 今年度から対象を拡大した緊急輸送道路沿道建物の耐震化助成につきましては、全路線での早期実施に向け、関係区市と協議を進めており、現在十三の区市で事業を開始しております。
 また、今年度創設したマンションの耐震改修助成につきましても、大半の区で実施する見通しとなるなど、取り組みが広がってきております。
 今後とも、区市町村の主体的な取り組みを一層引き出すよう工夫を凝らし、技術、財政両面から適切な支援を行ってまいります。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 奥多摩町水道事業の都営一元化に向けた取り組みについてでございますが、町の水道事業は、原水の水質悪化や施設の老朽化などの問題があり、独自の事業運営が困難な状況となっております。
 町には小河内ダムが立地し、長年にわたり都民の水がめを守ってきており、水道事業における経営努力も続けてまいりました。
 これまで町は、地理的条件などから都営一元化計画の対象外となってきましたが、平成二十年一月に、一元化について庁内横断的な検討組織を設置し、現在、精力的に検討を行っているところであります。
 都営一元化を円滑に進める条件整備が早期にできるよう、積極的に取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、私立学校の耐震化の促進についてでありますが、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では、平成十五年度から、耐震診断、耐震補強工事経費の一部について補助を実施してきたところでございます。
 平成二十年度当初予算におきましては、「十年後の東京」で掲げた耐震化の目標を達成するため、補助率をそれまでの二分の一から三分の二に引き上げるとともに、新たな補助対象といたしまして、木造の校舎等や耐震のために必要な改築工事を加え、耐震化促進の支援を強化してきたところでございますが、今年度に入りまして、国内外の大規模地震の発生によりまして、ご指摘のとおり、子どもたちの安全を確保するための学校耐震化の促進が、これまでにも増して緊急な課題となってまいりました。
 そこで、都内の私立学校は、公立学校と比べてもなお、耐震化の前提となる耐震診断を早急に進めるべき状況にありますことから、このたびの補正予算案で、耐震診断に対する補助率を、さらに五分の四に引き上げ、耐震性能の早急な把握を支援することといたしました。
 今後は、これらの対策の実効性を高めるため、これまで以上に説明会や建築相談などを充実し、私立学校に対しまして、補助制度の積極的な活用を働きかけ、耐震化を促進してまいります。
 次に、消費者行政の展開についてでございますが、経済のグローバル化やインターネットの拡大など、商取引が複雑多様化する中で、悪質事業者による不適正な取引や、食を初めといたします商品、サービスに潜む危険など、都民の不安は、これまでになく高まっているものというふうに認識をしております。
 こうした状況に的確に対応するため、今回の東京都消費生活基本計画の改定では、今後五年間の施策の方向性を定めるだけでなく、緊急に実施すべき対策を明らかにし、各局横断的に取り組むことといたしました。
 具体的には、まず、関係局と連携し、あらゆる法令を駆使して行政処分権限等をフルに行使いたしますとともに、広域的に事業活動を行っている悪質事業者に対しましては、都がリードしながら首都圏で情報を共有し、一斉に取り締まるなど、その排除に努めてまいります。
 また、ご指摘の現場における施策の強化に関しましては、現場の最前線でございます消費生活総合センターにつきまして、消費者トラブルの迅速な解決が図れますよう、来年度早期に、土曜日にも相談窓口を開設いたしますとともに、高度、専門的な対応に向けた人材の確保や育成など、相談体制の充実強化を図ってまいります。
 こうした現場に根差した施策を積極的に展開することによりまして、消費者被害の拡大を阻止し、都民の不安の払拭に積極的に取り組んでいく所存でございます。
 次に、スポーツ振興基本計画の具体化についてでございますけれども、だれもが生涯にわたってスポーツに親しみ、健康的な生活を送ることができるスポーツ都市東京を実現するためには、ご指摘のとおり、地域におけるスポーツ環境づくりが極めて重要なものであるというふうに認識をしております。
 このため、今回策定いたしましたスポーツ振興基本計画では、身近でスポーツを始められる場を積極的に提供していくことをスポーツ振興策の柱の一つとして掲げているところでございます。
 今後、具体的な展開を図るため、区市町村による地域の実情に即したスポーツ振興計画の策定を支援するとともに、公共施設の跡地などのうち、都が定める利活用の予定が当面ない都有地を運動場等として暫定的に貸し付けることのできる新たな仕組みをつくるなど、区市町村が行う地域スポーツの振興に向けた取り組みを支援してまいります。
 最後に、地域におけるジュニア選手の養成についてでありますが、将来、国体やオリンピックで活躍するアスリートを育成していくためには、ご指摘のとおり、現在の小中学生の中から才能ある選手を発掘、育成、強化していくことが重要であるというふうに認識をしております。
 このため、都は既に、区市町村の体育協会等と連携してジュニア育成地域推進事業を実施し、スポーツ教室やスポーツ大会等を開催しているところでございます。
 今後、都といたしましては、こうした取り組みを一層促進するため、競技種目の数や参加人数をさらに拡大するなど、地域におけるジュニア選手の競技力の向上に取り組んでいきますとともに、地域における取り組みに加えまして、将来有望な選手を東京都ジュニア強化選手として認定し、競技団体と連携して強化練習や強化合宿を実施するなど、ジュニア選手の育成強化を図ってまいります。
 今後とも、東京国体やオリンピック招致を見据えまして、計画的にジュニア選手強化体制の整備を進め、世界を目指す東京アスリートの育成を図ってまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 九点についてお答えをいたします。
 まず、福祉施設の耐震化についてであります。
 保育所や高齢者施設などの福祉施設は、自力での避難が難しい方が多く利用する施設であり、また、その一部は、地震発生時に被災者の受け入れ機能を果たすことなどからも、ご指摘のとおり、耐震化は大変重要であると考えております。
 このため、現在、耐震診断や耐震改修の実施状況に関する調査を行っております。
 今後は、この調査結果を踏まえ、施設特性にも配慮しながら、保育所などの耐震化の一層の推進に向けて、適切な対策を講じてまいります。
 次に、救急医療についてでございます。
 今回の救急医療対策協議会の中間のまとめで提言されました東京ルールは、救急患者の迅速な受け入れ、重症者を優先的に治療するトリアージの実施及び都民の理解と参画、以上の三つであります。
 このうち、救急患者の迅速な受け入れを実現するための具体策の一つとして、仮称東京都地域救急センターの設置が示されております。これは、病院選定が困難な場合に救急患者の受け入れ調整を行うものでありまして、救急患者を地域全体で受けとめていく上で、かなめの役割を担うものとされております。
 こうした東京ルールは、限られた医療資源を最大限生かしながら、救急医療を真に必要とする患者に迅速に提供しようとするものであります。
 都といたしましては、医療機関、消防、行政が一致協力することはもとより、都民みずからも救急医療を守り育てていくことが不可欠であるとの認識に立ち、提言の具体化に向け、さらなる検討を行ってまいります。
 次に、病院勤務医の勤務環境改善についてでありますが、都は今年度から、救命救急センターや周産期母子医療センターなどの病院が行う医師の交代制勤務や短時間勤務の導入、女性医師の復職支援研修など、医師の負担軽減と定着を図る取り組みを支援しております。
 これらの病院からは、相談や問い合わせを多数いただいており、とりわけ新たな勤務形態の導入については、非常に前向きな意向が示されております。
 本事業を活用することにより、病院みずからが勤務環境の改善に積極的に取り組み、病院勤務医の定着や確保が図られるものと期待をしております。
 次に、総合的な医師確保対策についてであります。
 不足が顕著な小児、周産期、救急、僻地医療を担う医師の養成、確保は急務であり、都は国に対しまして、緊急に医師確保対策を講ずるよう強く要望してまいりました。
 そうした中、国においても、これまでの医師養成数の抑制方針を転換し、来年度から医学部の定員をふやすなど、医師不足の解消に向けて、さまざまな取り組みが行われようとしております。
 都は今年度から、勤務環境改善事業に取り組むとともに、都が指定した大学医学部の定員枠を拡大し、医師奨学金制度を創設をいたしました。
 今後、国の動向も十分踏まえながら、医師奨学金制度の拡充や、地域医療を支えるための新たな医師確保策などを含め、実効性ある施策を検討してまいります。
 次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものであります。
 シルバーパス事業を今後とも継続させていくためには、利用者である高齢者を初め、広く都民の理解を得ながら、社会状況の変化に的確に対応していくことが不可欠であります。経過措置を継続することにつきましては、ご指摘の点なども踏まえて適切に検討してまいります。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、お話のとおり、都内の保育所待機児童数は、人口流入などによる就学前児童の増加や入所申込率の上昇により、四年ぶりに増加をいたしました。また、ここ数年、入所申込率が増加を続けていることから、保育サービスの需要は依然として高水準にあると考えられます。
 都は今年度から、認可保育所や認証保育所、認定こども園など多様な保育サービスを組み合わせ、これまでの一・五倍のスピードで定員一万五千人分の整備を行います保育サービス拡充緊急三カ年事業をスタートさせましたが、その着実な実現に向け、全力で取り組んでまいります。
 このため、今後、待機児童数の多い自治体を中心に、保育サービスの拡充が図られるよう、地域の実情を踏まえた取り組みが可能となる方策を検討するなど、支援策の一層の充実に努めてまいります。
 次に、認証保育所に関する国と都の実務者協議についてでありますが、都は、認証保育所が大都市東京の保育ニーズに即したサービスを提供し、待機児童の解消にも資するものであり、国の制度に位置づけ、財政措置を講じるよう要求してまいりました。
 七月の実務者協議会において、これまで認可保育所に限定されておりました休日・夜間保育事業などについて、来年度から新たに認証保育所も対象とする方向性が示されました。このことは、認証保育所制度の承認に向けての前進であると受けとめております。
 引き続き、認証保育所へのさらなる補助の拡大に向けて、国との協議を精力的に進めてまいります。
 次に、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、この制度のあり方につきましては、少子化対策を一層推進するとともに、適切な医療を提供できる体制を確保するという観点から検討することが重要であります。
 都としましては、このような考えのもとに、また、現行の所得制限を前提に助成内容の拡大を図る方向で検討をしており、十月早々には具体案を取りまとめることとしております。
 助成内容の拡大に当たりましては、小児医療の現場の厳しい状況や、医療保険制度の相互扶助の理念にも十分に配慮する必要があると考えております。
 最後に、新型インフルエンザ対策についてでありますが、新型インフルエンザによる健康被害と社会的混乱を最小限に抑えるためには、封じ込め期から大規模流行期までを想定した事前の対策を十分に講じておくことが重要と考えております。
 このため、都は、発生時における社会機能の維持、保健医療体制の整備、都民、事業者の意識啓発、以上の三つを柱といたしました都独自の総合的な対策を実施することとし、今回の補正予算案には、抗インフルエンザ薬の大幅な追加備蓄等を盛り込みました。
 今後、副知事を座長とした東京都新型インフルエンザ対策会議のもと、社会活動の規制のあり方等を検討するとともに、医薬品や医療資機材の備蓄、検査体制の強化、地域医療体制確保に向けた支援など、具体的な取り組みを積極的に推進してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、専門家会議の報告書の内容についてでございますが、報告書では、食の安全に加え、安心も確保する観点から、新市場予定地の汚染状況を的確に把握した上で、科学的知見に基づく対策が取りまとめられております。
 汚染状況につきましては、十メートルメッシュの詳細調査などの結果、敷地全域に高濃度の汚染が広がっているわけではなく、その範囲は極めて限定的であり、深さ方向についても、全体が汚染されているわけではないと評価しております。
 専門家会議は、この汚染状況から、対策は十分可能であるとし、土壌については、環境基準を超える汚染物質をすべて除去し、地下水については、最終的に環境基準以下に浄化するとともに、施設開場後も、水位、水質を監視していくなどの対策を提言しております。
 この提言は、これまで予定していた対策をより強化した手厚い内容となっており、これらの対策を確実に実施することで、報告書で述べているように、仮に人が生涯にわたりこの土地に住み続けたとしても、健康への影響はなく、生鮮食料品を扱う市場用地として、食の安全・安心も十分確保されるものと考えております。
 次に、技術会議での技術、工法の検証についてでございますが、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議は、専門家会議の提言を踏まえ、土壌汚染対策を具体化するため、本年八月に設置したものでございます。
 現在、新技術や新工法を広く民間事業者等から公募するとともに、土木、環境、情報処理、プロジェクトマネジメント分野の七名の専門家委員により、評価基準、評価方法等を検討してございます。
 今後、技術会議は、提案された内容を多角的に評価、検証した上で、実効性、工期、経費などの面ですぐれた対策を選定することとしており、都としては、その検討結果に基づき、早期に土壌汚染対策計画を取りまとめ、万全な対策を講じてまいります。
 あわせて、この計画内容について、あらゆる機会を通じて情報提供や説明を行い、都民や市場関係者の十分な理解が得られるよう努めてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村と連携した地球温暖化対策の取り組みについてでございます。
 今後、温暖化対策をさらに強化していくためには、家庭や中小規模事業所における省エネ対策の充実、都民一人一人のライフスタイルの見直しなどによる取り組みの底上げが必要でございます。
 このためには、都民や事業者に身近な区市町村において、地域特性に即した積極的な取り組みが行われるとともに、都は、区市町村との連携を強化し、地域の取り組みを一層充実していくことが重要でございます。
 こうした観点に立ち、区市町村において、それぞれの地域に応じた先進的な取り組みや、都の目指す環境施策に寄与する取り組みなどを促進する方策について、ご指摘の趣旨を踏まえまして、具体的に検討してまいります。
 次に、環境負荷の低い自動車の普及促進についてでございます。
 東京を環境負荷の少ない都市とするためには、排出ガス性能にすぐれ、CO2排出量が少ない自動車が効率よく使用されることが重要でございます。
 こうした自動車の普及促進を早期に図ることは、環境負荷の低減とともに、環境を柱の一つとするオリンピック・パラリンピックの招致にも非常に有効な手段であることから、今年度、公共交通機関である路線バスへのハイブリッドバス導入のための支援をこの秋から緊急に実施してまいります。
 今後とも、さらなる低公害かつ低燃費な自動車の普及促進に努めてまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 二点についてお答えいたします。
 北京オリンピック・パラリンピックにおける調査の成果についてでありますが、近隣の国での開催という地の利を生かし、実際に現地に赴いて、つぶさに見てまいりました。
 調査の目的は、まさに施設の整備状況と大会運営の実態の把握であり、広範囲に具体的な事例に沿って、すぐれている点や問題点、今後の課題等を調査してまいりました。
 二〇一六年の東京大会は、同じアジアの北京とは違った特色を出すことが招致獲得に必要不可欠でございます。現在、立候補ファイルの原案作成作業を進めていますが、IOC等に対し説得力のある開催計画をつくり上げていく上で、貴重な情報が得られたものと確信しております。
 なお、インフラ整備についてでありますが、IOCに提出した申請ファイルに記載のインフラを含め、今後の東京のインフラ整備は、オリンピックの開催の有無にかかわらず、「十年後の東京」の計画に沿って着実に実施し、オリンピック時にその成果を活用するものでございます。
 このように、オリンピックを目的として多額のインフラ投資をしない東京の計画をIOCは高く評価しております。また、東京の運営に要する経費は、すべて民間資金から調達する予定でございます。
 今後、各局や国、区市町村等と連携を一層密にし、計画策定、招致活動等に取り組んでまいります。都議会の皆様のさらなるご支援、ご協力をお願いいたします。
 次に、今後の国際的なPRと、国内における支持率の向上策についてでございます。
 招致をかち取るためには、IOC委員の票を獲得することが絶対条件であり、また、そのIOC委員に立候補都市の情熱を伝えるために、都民、国民の支持率を高めることが重要でございます。
 今回の北京大会の期間中におきましても、海外の通信社やスポーツ専門メディアを通じて、東京の招致にかける意気込みを世界にアピールしました。また、現地では、IOC委員や競技団体の役員に東京の計画の優位性を訴えるなど、大きな成果を上げることができました。
 今後も、行動規範を遵守しつつ、国の内外で開催される国際競技大会や国際会議の機会をとらえ、積極的にPRを行ってまいります。
 次に、支持率向上策でございますが、都議会を初め、各方面とのこれまでの連携協力の成果があらわれ、現在、都民、国民の九割が東京招致を認知しております。
 これを踏まえつつ、今後は、各界のオピニオンリーダーやメディアの協力を得ながら、開催理念、目標、都民、国民にとってのメリットなどを強く訴え、賛同の輪を広げていくことに重点を移してまいります。
 さらに、小中学生や高校生にはオリンピック学習読本による理解の促進、若者向けには携帯電話を活用した情報発信、中高年齢層にはイベントやシンポジウムの開催など、世代に応じたさまざまな工夫を凝らし、支持率の向上を図ってまいります。
 今後とも、都議会の皆様のさらなるご支援、ご協力をお願い申し上げます。

○議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後三時休憩