平成二十年東京都議会会議録第十一号

平成二十年九月十八日(木曜日)
 出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
 欠員
    五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

九月十八日議事日程第一号
第一 第百五十七号議案
  平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第二 第百五十八号議案
  平成二十年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第三 第百五十九号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十一号議案
  東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第六 第百六十二号議案
  東京都特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例
第七 第百六十三号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百六十四号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例及び職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百六十五号議案
  東京オリンピック開催準備基金条例の一部を改正する条例
第十 第百六十六号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十七号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十八号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十三 第百六十九号議案
  東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十一号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
第十六 第百七十二号議案
  東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十三号議案
  医学系総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十四号議案
  老人総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百七十五号議案
  東京都婦人保護施設条例の一部を改正する条例
第二十 第百七十六号議案
  東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
第二十一 第百七十七号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第二十二 第百七十八号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第二十三 第百七十九号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第二十四 第百八十号議案
  墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第二十五 第百八十一号議案
  東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
第二十六 第百八十二号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第二十七 第百八十三号議案
  東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例
第二十八 第百八十四号議案
  東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第百八十五号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第三十 第百八十六号議案
  東京都下水道条例の一部を改正する条例
第三十一 第百八十七号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第百八十八号議案
  都立久我山学園特別支援学校(仮称)(二十)改築その他工事請負契約
第三十三 第百八十九号議案
  都庁第一本庁舎(二十)防災設備改修工事請負契約
第三十四 第百九十号議案
  都庁第一本庁舎(二十)ビル管理設備改修工事請負契約
第三十五 第百九十一号議案
  都庁第二本庁舎(二十)ビル管理設備改修工事請負契約
第三十六 第百九十二号議案
  道路標識設置等工事に係る損害賠償額確定調停事件に関する調停成立について
第三十七 第百九十三号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第三十八 第百九十四号議案
  東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第三十九 第百九十五号議案
  東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第四十 第百九十六号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第四十一 第百九十七号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款について
第四十二 第百九十八号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(仮称)に承継させる権利を定めることについて
第四十三 第百九十九号議案
  遺伝子組換え実験等に係る拡散防止装置外六点の買入れについて
第四十四 第二百号議案
  中央実験台外二点の買入れについて
第四十五 第二百一号議案
  実験動物飼育用架台システム(個別換気型)の買入れについて
第四十六 第二百二号議案
  個人防護具(ガウン等セット)外七点の買入れについて
第四十七 第二百三号議案
  株式会社東京臨海ホールディングスに対する出資について
第四十八 諮問第一号
  地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく異議申立てに関する諮問について

議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(二〇財主議第二四三号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(二〇財主議第二四四号)

   午後一時開会・開議

○議長(比留間敏夫君) ただいまから平成二十年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。

○議長(比留間敏夫君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
  十一番 伊藤まさき君 及び
 六十四番 川井しげお君を指名いたします。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 平成二十年九月十一日付東京都告示第千百五十一号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案四十八件の送付がありました。
 次に、平成二十年第二回定例会の会議において同意を得た教育委員会委員、公安委員会委員及び監査委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び六行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告がありました。
 また、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について、並びに東京都母子福祉資金貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、教育委員会委員長より、平成二十年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、平成十九年度分について報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十年各会計定例監査、平成十九年度執行分の結果について報告がありました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第二回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載〕

○議長(比留間敏夫君) 次に、警視総監矢代隆義君の退任に伴い、新たに米村敏朗君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介をいたします。
 警視総監米村敏朗君。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) 去る八月七日付で警視総監を命ぜられました米村でございます。
 東京都議会の皆様方には、平素から警視庁の運営につきまして格別のご理解、ご高配を賜っているところであり、この機会に厚く御礼を申し上げます。
 さて、都内における治安情勢でありますが、警視庁の総力を挙げて取り組んでおります犯罪抑止総合対策の推進等によりまして、全刑法犯の認知件数が五年連続で減少するなど、いわゆる指数治安面においては着実にその成果があらわれているかと思います。しかしながら、その一方で、都民、国民を震撼させる通り魔事件の発生や振り込め詐欺が多発するなど、いまだ体感治安の十分な改善には至っておりません。
 こうした情勢を踏まえ、現在、警視庁では、繁華街等における街頭警察活動の強化を含め、犯罪抑止総合対策をさらに強化しているところでありますが、特に振り込め詐欺につきましては、本年は急増を続け、被害額も、都内におきまして、八月末時点でほぼ四十七億円に及ぶなど、甚大なものとなっているところであります。現在、全庁挙げて、その撲滅に向けた特別緊急対策を実施しているところであります。
 東京都を初めとする関係機関との連携を強めるとともに、都民の皆様のご協力をいただきながら、安全・安心なまち東京の実現に全力を尽くしてまいります。
 また、組織の運営に当たりましては、都民の皆様にとって頼もしい警視庁となるよう努めてまいりたいと考えております。
 都議会の皆様方には、今後とも一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって紹介は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、先般、教育長に就任されました大原正行君をご紹介いたします。
 教育長大原正行君。
  〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 平成二十年第二回都議会定例会におきまして教育委員選任の同意をいただき、七月十三日付で教育長を拝命いたしました大原正行でございます。
 教育の分野は多くの課題を抱えておりますが、この五月に策定いたしました第二次東京都教育ビジョンに掲げました施策を着実に推進いたしまして、東京の教育改革を進めてまいる所存でございます。
 都議会の皆様方には、なお一層のご指導、ご鞭撻を心よりお願いを申し上げます。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって教育長の紹介は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 知事本局長吉川和夫君、総務局長中田清己君、生活文化スポーツ局長秋山俊行君、環境局長有留武司君、交通局長金子正一郎君、下水道局長今里伸一郎君、東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君、病院経営本部長中井敬三君、選挙管理委員会事務局長矢口貴行君、人事委員会事務局長中村晶晴君、労働委員会事務局長関敏樹君、収用委員会事務局長野口孝君。
   〔理事者あいさつ〕

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名をいたしました。

議会運営委員辞任・選任名簿

○辞任
吉野 利明君(自民) 川井しげお君(自民)
服部ゆくお君(自民) 高橋かずみ君(自民)
野島 善司君(自民) 林田  武君(自民)
矢島 千秋君(自民) 鈴木 隆道君(自民)
石森たかゆき君(自民)土屋たかゆき君(民主)
大津 浩子君(民主) 泉谷つよし君(民主)
      〔以上 平成二十年八月一日付〕

○選任
高島なおき君(自民) 三宅 茂樹君(自民)
鈴木 一光君(自民) 串田 克巳君(自民)
山田 忠昭君(自民) 山加 朱美君(自民)
秋田 一郎君(自民) 村上 英子君(自民)
宇田川聡史君(自民) 酒井 大史君(民主)
石毛しげる君(民主) 増子 博樹君(民主)
      〔以上 平成二十年八月一日付〕

○議長(比留間敏夫君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック招致特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る九月四日付をもって、土屋たかゆき君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって山下太郎君を指名いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、オリンピック・パラリンピック招致特別委員長より、調査の経過について中間報告をいたしたい旨の申し出がありますので、これを許します。
 オリンピック・パラリンピック招致特別委員長野村有信君。
   〔百十四番野村有信君登壇〕

○百十四番(野村有信君) オリンピック・パラリンピック招致特別委員会における調査、検討の経過について中間報告いたします。
 本委員会は、平成二十八年に開催される第三十一回オリンピック競技大会の東京招致に関する調査、審議及び必要な活動を行うことを目的として、平成十八年十月五日に設置されて以来、委員会を十四回開催いたしました。平成二十年六月には、目的として、第十五回パラリンピック競技大会の招致を明確にし、現在に至っております。
 この間、開催基本計画、申請ファイル、IOC理事会における正式立候補都市の承認など、理事者からの報告事項の聴取を行ってまいりました。
 九月六日から八日までの間には、オリンピック・パラリンピック競技大会に関する実地調査及び北京パラリンピックの開催状況に係る調査を実施するため、中華人民共和国の北京市を視察してまいりました。
 今回の視察は、オリンピック・パラリンピックが四年に一度開催されるため、実際に開催状況等を調査するための非常に限られた機会であります。また、オリンピック・パラリンピック招致本部を初めとして、東京都が実施している招致活動の最前線の現場を調査する絶好の機会でもあります。
 今回の視察では、北京パラリンピック開会式や競技開催に係る運営や施設の状況の調査、IOC関係者の講演の聴取と意見交換、ジャパンブースでのJPC、日本パラリンピック委員会会長との意見交換、北京市人民代表大会常務委員会の表敬訪問などを行いました。
 慌ただしい日程にもかかわらず、参加された理事、委員の皆様には、積極的に意見交換を行うなど、終始熱心に調査されたことに深く感謝申し上げます。
 それでは、北京市で調査いたしました主な事項につきましてご報告申し上げます。
 まず、開会式では、九万人を超える観客の移動に伴う交通手段、規制の状況、安全な開催に向けたセキュリティー対策、障害者や高齢者に配慮した施設のバリアフリー対策など、パラリンピックのメーン会場について調査いたしました。
 次に、オリンピック公園内の競技の視察では、重度障害者のボッチャの競技会場であるフェンシングホール、車いすのバスケットボール会場である国家体育館において、運営や施設の状況を調査いたしました。また、公園内においては、会場の案内や、競技会場を結ぶ高齢者や障害者のための電動式カートの運転などで生き生きと活躍する多くのボランティアの姿を目の当たりにしました。
 ジャパンブースでは、JPC会長と、パラリンピックの現状、東京への招致活動の状況、東京で実施する場合の課題などについて意見交換いたしました。
 また、IOC関係者の講演では、立候補ファイル作成など、北京オリンピック開催都市決定までの戦略的な招致活動、開催に向けた具体的な取り組みなどについての説明を聴取するとともに、活発な意見交換を実施いたしました。
 最後に、北京市人民代表大会常務委員会を表敬訪問いたしました。議会が招致から開催に至るまでの間に果たした役割などについて説明を聴取するとともに、意見交換いたしました。
 以上、述べてまいりましたように、北京パラリンピックの開催、運営状況、オリンピック・パラリンピック招致から開催に至るまでの開催都市及び議会の取り組みなどについて幅広く調査してまいりました。
 本委員会といたしましては、これまでの報告事項の聴取を踏まえた上で、今回の視察の成果を今後の委員会審議に十分反映させてまいりたいと考えております。
 以上をもちまして、オリンピック・パラリンピック招致特別委員会を代表しての委員長報告といたします。(拍手)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもってオリンピック・パラリンピック招致特別委員長の中間報告は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都名誉都民の選定の同意について二件が提出されました。
これらを本日の日程に追加をいたします。

○議長(比留間敏夫君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月六日までの十九日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十九日間と決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 このたび、名誉都民の候補者として、川淵三郎さん、松本源之助さんの二名の方々を選定させていただきました。
 川淵三郎さんは、前回の東京オリンピックのサッカー代表選手として活躍の後、Jリーグ創設に力を尽くされ、サッカーを地域のスポーツとして根づかせるなど、日本サッカーの隆盛に大きく貢献してこられました。
 松本源之助さんは、七十年余りにわたり、東京の伝統芸能である江戸里神楽の継承に尽力されるとともに、現代音楽や演劇の要素も取り入れて、伝統芸能に新しい息吹を吹き込んでこられました。
 お二方は、多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 この夏、北京オリンピックで世界のトップアスリートたちが肉体と精神を極限まで駆使して繰り広げた迫力ある戦いぶりは、見る者すべてに感動を与えてくれました。引き続き開催されたパラリンピックでも、ハンディキャップを物ともしない力強いわざに、人間の可能性の大きさを再認識し、勇気づけられる思いであります。
 日本人選手も、東京都出身の北島康介選手が日本競泳史上初となる五輪二種目連覇の偉業を打ち立てるなど、全国民が歓喜に沸いた一方で、無念のリタイアなど波乱の競技もあって、幾多のドラマが生まれました。
 我々を魅了したアスリートたちは、昨今の日本で忘れられがちな、本気で真剣に事に取り組むことの美しさを改めて教えてくれたと思います。日本の若者たちにとって、単なる勝ち負けではなく、我々と同じ一人の人間が、国を背負い、時には孤独を、あるいは、さらに重い何物かを背負って繰り広げる真剣勝負を目の当たりにすることは、将来を担うための力を生み出す絶好の機会となると思います。二〇一六年のオリンピック・パラリンピックを日本で、この東京で開催する意義の一つである、人を育てるがそこにあります。
 オリンピック・パラリンピックでは、会場案内や通訳など、舞台裏を支える多くの人々が活躍しております。北京大会でも、若者のボランティアが親切で礼儀正しく、印象に残りました。日本で行われた外国選手の事前合宿でも、各地の住民が温かく選手たちをもてなして交流が深まり、日本のホスピタリティーの高さを世界に実感してもらえたと思います。
 東京大会が実現すれば、世界の人々とのすばらしい出会いを得ることができ、日本の若者たちが人間同士の連帯や本物の友情をはぐくむ大きな機会となるに違いありません。
 国際的な招致合戦が本格化する中、北京市内に設けたジャパンハウスの招致ブースでは、都が新たに作成したDVDやガイドブックを活用して、海外のメディアやIOC関係者など、来場した多くの方々に東京の魅力を伝えてまいりました。また、日本各地の祭りなどで招致プロモーションを展開しているほか、都内各地のイベントで、区市町村と連携して招致機運のさらなる盛り上げにも取り組んでおります。
 二〇一六年には、人を育てると同時に、最先端の環境技術などの英知を結集して、豊かな水と緑にあふれた都市のモデルを実現し、世界に提案するなど、日本だからできる新しいオリンピックを、成熟を遂げた東京で開催したいと思います。今後とも、こうした意義と魅力をあらゆる機会をとらえて国内外にアピールし、招致の成功につなげてまいります。
 今回のオリンピック・パラリンピックで、都民、国民に夢と希望と活力を与えてくれた東京在住のアスリートたちを顕彰したいと思います。世界一の座に輝いた金メダリストには、東京都栄誉賞をもってその功績をたたえ、見事にメダルを獲得したすべての選手たちにも、新たに創設した都民スポーツ大賞を贈呈いたします。今後ともスポーツの発展に貢献していただくことを心より願っております。
 北京大会のさなか、ロシアとグルジアの間で紛争が勃発しました。新しい冷戦の始まりが懸念され、世界各所の紛争や頻発するテロとも相まって、国際情勢はさらに混迷の度を深めていくと思います。
 世界経済もまた混沌としております。いわゆるサブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱は世界じゅうに広がり、米国の大手証券会社の破綻という事態にまで至っております。また、あしき経済原理の申し子である巨大な投機マネーが、原油や食糧等を標的に跳梁ばっこして価格高騰を引き起こすなど、我々は景気後退とインフレの危機にさらされております。
 他方、我が国においても、破綻に瀕した国家財政などの困難で複雑な課題が山積しております。難局に臨んで政治の覚悟を問われていながら、国政は、ねじれ国会のもとで迷走を続け、臨時国会を目前にして首相が突然退陣を表明し、停滞のきわみにあります。
 まさに内憂外患といえる今、この国に必要なことは、政治が明確な未来図を示し、本質的な課題に正面から向き合いながら、変身蘇生のための具体的な行動を戦略的に積み重ねることなのであります。
 ゆえにも、東京からあるべき政治の姿を示す気概を持って、「十年後の東京」という明確な戦略を構え、二十一世紀の範となる都市を造形すべく全力で取り組んでまいります。
 さらに今回、都民、国民に広がる不安を解消していくため、首都東京という現場に根差した発想力と行動力を最大限に発揮し、国を先導する緊急対策を展開してまいります。
 まず、緊急の中小零細企業向け支援と雇用対策についてであります。
 ただいま申し上げたように、我が国には、景気後退と広範囲な物価上昇という暗雲が立ち込め、特に、金融環境が悪化しただけではなく、原油、原材料価格の高騰を転嫁できない中小零細企業の痛手は極めて深刻であります。
 中小零細企業は、単に都民、国民の多くが働く場というだけではなく、日本経済が発展を遂げてきた原動力であり、高度な技術とそれを駆使できる優秀な人材の宝庫でもあります。東京と日本のあすのために、一刻も早く手を差し伸べなければならず、国に先んじた複合的な施策を講じてまいります。
 景気の悪化に伴い逼迫する中小零細企業の資金繰りを支えるため、制度融資を拡充し、零細企業への信用保証料の補助も大幅に拡充いたします。
 また、納品単価の切り下げ要求など、横行する下請たたきを、下請センター東京を核として防止してまいります。自治体で唯一、東京だけが下請取引紛争を裁判外で解決できる機関を持っているメリットを最大限に生かし、きめ細かく中小零細企業を支援してまいります。
 経営難に陥っている企業の立ち直りも支援しなければなりません。過去の制度融資が焦げついている企業でも、しっかりとした再建計画を立て、再起を期すならば、他の金融機関等と足並みをそろえ、円滑に債務を圧縮して再建を応援する仕組みを新たに条例案としてまとめ、本定例会に提案いたしました。
 資源価格の高騰は、投機マネーの影響もさることながら、新興国の経済成長を背景とした資源需要の増大により、中長期的に続くことは不可避であります。現下の試練を乗り切るだけではなく、将来を見据えて経営の足腰を鍛え直していかなければなりません。
 そこで、中小企業振興公社に新しく百億円規模の基金を造成して、中小零細企業に設備リースを行い、信用保証料も補助して設備更新を支援いたします。こうして生産効率の向上や経営の合理化を促してまいります。
 景気後退に伴い、非正規雇用者の雇用環境が厳しさを増しております。中でも、バブル崩壊後の就職氷河期に学校を卒業したために、安定した職を得られず、先行きに展望を見出せない三十代の年長フリーター等への支援が急務となっております。
 しごとセンターに専用窓口を設け、専門相談員を配置してサポートを開始すると同時に、正社員としての採用を促すため、新たな助成金制度を創設して、企業に強く働きかけてまいります。
 これらの施策により、景気後退と物価高騰に直面した中小零細企業等を支援する一方で、資源価格の高騰の背景には、人類が築き上げてきた現代の消費社会そのものがあることも見過ごしてはなりません。豊かさを得た代償として、CO2の排出等により、地球の環境は致命的に破壊されているのであります。
 人類の存続のためには、環境との調和を軸とした文明秩序の再構築が不可避でありながら、七月の洞爺湖サミットや、先月にガーナで開かれた国連の気候変動に関する会議でも、世界は具体的な解決策を見出すことができておりません。時間ばかりが空費され、あと五、六年でポイント・オブ・ノーリターンが来てしまう今、世界を変革するうねりを起こすため、施策をさらに強化して、一日も早く東京を低炭素型都市に転換する必要があります。
 既に導入を決めたCO2排出総量の削減義務化等を着実に具体化していくとともに、排出量が増加を続けている家庭での対策を強化いたします。家庭からの排出量削減には、使用される電気やガスを太陽エネルギーに転換することがかぎとなることから、都は、太陽エネルギー利用機器の重要性を強くアピールしてまいりました。これが呼び水となりまして、関連事業者の関心は高まり、国も再び普及拡大に方針を転ずるなど、状況は整いつつあります。この機を逃さず、都独自の新しい補助制度を構築し、都民や事業者、区市町村とも手を携えて、来年四月から本格的に機器の普及をスタートするべく、準備をスピードアップさせてまいります。
 さらに、区市町村と連携して環境教育を推進し、学校で学んだ子どもが親と一緒に家庭で省エネ、節電などに取り組むことを促し、すそ野の広いCO2削減のムーブメントを起こしてまいりたいと思います。
 新型インフルエンザ対策も、東京が先駆けとならなければなりません。世界が時間的、空間的に狭小となった今日、一たび発生すれば、瞬く間に全世界に蔓延することは必至であります。狭い都市空間に膨大な人口を抱える東京では、想像を絶する惨事となるに違いありません。
 既に都は、平成十七年十二月に東京都新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、施策を積み重ねており、国にも対策を強く求めてまいりました。昨今、ようやく国も動き始めましたが、米英がテロなどとともに安全保障上の重要課題にこれを位置づけて対策を急いでいることに比較しまして、全く日本は不十分であります。新型インフルエンザから都民、国民を守るためには、東京がさらに二歩も三歩も前に進んで、国を牽引しなければなりません。
 都内で感染が発生しても、患者に的確な処置を速やかに施し、その拡大を徹底して防ぐために、抗インフルエンザ薬の備蓄を、都単独で現在の百万人分から八百万人分にまで拡充いたします。また、必要な医療資機材の備蓄を積み増し、地域での医療体制も整備してまいります。
 感染の拡大を防ぐには、学校の休校や企業活動の制限なども不可欠であります。立ちおくれている法令整備を急ぐよう国に強く求めるとともに、都独自の対応策についても検討を進めてまいります。
 あわせて、大学等と連携して、新しいワクチンや、より迅速な検査方法の開発につながる基礎研究にも着手し、重層的に備えを固めてまいります。
 新型インフルエンザと並び、震災は東京に壊滅的な打撃を与える危険性が高く、対策は焦眉の問題であります。今後三十年以内に南関東にマグニチュード七程度の地震が発生する確率が七〇%程度と予測されております。被害を少しでも軽減するため、現在、建てかえ予定のある建物を除くすべての都立病院、消防署、警察署等の耐震化を三カ年で完了させるべく取り組んでおります。
 五月に中国で発生した四川大地震では、無残にも倒壊した学校の校舎が多数ありまして、大変な衝撃を受けました。次代を担う子どもたちのとうとい命を守るだけでなく、地域の避難拠点を確実に確保するためにも、学校の耐震化を特に加速させなければなりません。
 そこで、倒壊の危険性の高い公立学校の耐震化を三年以内に完了するべく、補助制度の創設や人材面での支援などにより、区市町村を全面的にバックアップしてまいります。
 また、私立学校については、耐震化の前提になる耐震診断がおくれていることから、診断費用の補助を拡充し、耐震性能の早急な把握を支援してまいります。
 もとより耐震化を進めるには、都民一人一人がみずから取り組む意識を強く持つことが不可欠であります。そこで、先月、耐震化推進都民会議を立ち上げ、民と官とがスクラムを組んで耐震化への機運を高める取り組みを始動させました。
 加えて、都独自の耐震化促進税制を来年度からスタートいたします。二十三区内で旧耐震基準に基づき建築された住宅を建てかえた場合に、三年間、固定資産税と都市計画税を全額免除し、耐震改修を行った場合も、国制度に上乗せして軽減する措置を講じてまいります。
 いざ大地震が発生した場合には、都は、迅速な初動対応とともに、医療や介護などの重要業務を継続しながら、都市機能の速やかな回復を図らなければなりません。
 八月末の総合防災訓練では、即応力と連携をテーマに、警察、消防、自衛隊が、他県や米軍などの支援部隊と共同して迅速に救出救助活動等に当たる実践的な訓練を行い、連携を深めるなど、多くの収穫を得ました。
 同じ八月に、首都直下地震を想定して、都政の事業継続計画、BCPの素案を策定いたしました。今後、重要業務への応援体制の整備やライフラインのバックアップ機能強化などを進めてまいります。
 四つの分野で緊急対策を強力に推進するため、とりわけ早期の取り組みが必要な施策を補正予算案に計上して提案いたしました。今後、景気後退により税収の減が見込まれますが、今打たなければならない手をしっかりと打って、都民、国民の不安を解消してまいります。
 あわせて、新銀行東京の減資に伴う減債基金の義務的積み立ても行います。必要なものは早く積み立てることが財政的にメリットがあると判断し、前倒しで実施することといたしました。
 都民、国民の不安にこたえていくため、緊急対策とともに、都政の各分野で施策を力強く展開してまいります。
 昨今、悪徳商法による被害や商品の安全性に対する信頼を揺るがす事件が頻発しております。これを受け、国は消費者庁の設置に動いておりますが、その実効性はいまだ不透明であります。
 消費者行政は、現場に根差し、都民、国民の求めに応じて機動力を発揮してこそ、その使命を果たし得るのであり、先月、食の安全と安心の底上げのために、国に先駆け、食品の原料原産地表示を拡充いたしました。今後も、我が国最大の消費地として、東京が先頭に立ってまいります。
 改定した東京都消費生活基本計画に基づき、最前線の現場である消費生活総合センターの相談機能を充実し、強化してまいります。また、既に持っている権限をフルに活用して、首都圏での連携を深めながら、悪質業者の撲滅等に取り組んでまいります。加えて、巧妙化する悪徳商法の実態におくれることなく、積極的に法整備を行うよう、国に求めてまいります。
 昨今、年齢に応じた社会性が身につかず、他者との関係を築けずに社会と断絶してしまう若者の非社会性が問題となっており、ニート、ひきこもりなどのほか、反社会的な行動にまで至ることがあります。
 最近も全国で刃物を用いた無差別殺傷事件が相次ぎ、六月の秋葉原での事件では、攻撃用で殺傷力の高いダガーナイフを使った凶行により、七人ものとうとい命が理不尽にも奪われ、日本じゅうが衝撃を受けました。こうした事件の根底には、便利で過度の情報があふれた現代社会が逆に若者を孤独に追いやり、人間としての実存までを希薄化させているという文明工学の皮肉、現代の病理があります。
 至急の対策として、危険な刃物について青少年への販売等を禁止いたしました。また、人々でにぎわう繁華街であろうとも、昼夜を問わず安全で安心なまちとなるよう、今月に有識者会議を設置し、年度内を目途に防犯対策の充実強化を図ってまいります。
 残念ながら、根深い病理を治癒させる即効薬はありませんが、これまで進めてきた心の東京革命などの取り組みを粘り強く講じ、社会を変えていく努力を続けてまいります。
 ことしの夏は全国各地で局地的豪雨が頻発し、都内でも被害が相次ぎました。都では、昨年八月に策定した東京都豪雨対策基本方針に基づき、護岸整備に加えて調節池等を整備するほか、土砂災害の防止にも取り組んでおります。今月には古川地下調節池の整備に着手するとともに、地下街等の浸水被害を防止するためのガイドラインを作成いたしました。今後とも豪雨対策を着実に進めてまいります。
 七月、豊洲新市場予定地については、土壌汚染対策を講じることで、生鮮食料品を取り扱う市場用地として食の安全・安心を十分に確保できる旨、専門家会議から提言をいただきました。
 この提言を踏まえて、土壌汚染対策を具体化するため、学識経験者による技術会議を設置し、新技術や新工法を広く民間業者等から公募した上、確実でコスト面でもすぐれた土壌汚染対策を選択してまいります。
 今後、この技術会議の検討結果に基づき、早期に都としての土壌汚染対策計画を取りまとめ、都民、国民や市場関係者が安心できる万全な対策を講じてまいります。
 続いて、多摩・島しょ地域について申し上げます。
 先ごろ開催されたジュニアスポーツアジア交流大会では、アジアの若者がバドミントンと柔道で交流試合を行い、また、来年三月開催の東京マラソンでは、フルマラソンの参加申込者が応募開始後二日で定員を超えるなど、東京は世界のスポーツ都市へと歩みを進めております。
 多摩・島しょ地域を中心として開催される東京国体も、平成二十五年の開催に向け、七月に策定した基本構想をもとに準備を進めております。競技力の向上やスポーツ環境の整備などにも取り組み、国内最高のスポーツの祭典へと変貌を遂げてまいります。また、初めての取り組みとして、全国障害者スポーツ大会を同時開催し、だれもが生涯を通じてスポーツを楽しむ社会の実現も目指してまいります。
 さらに、七月に策定した東京都スポーツ振興基本計画に基づき、トップアスリートの育成に向け、ナショナルトレーニングセンター等と連携してジュニア選手の強化に努めるとともに、国体のメーンスタジアムとなる味の素スタジアムの隣接地には、多摩地域のスポーツ振興の拠点となるスポーツ施設を整備してまいります。また、スポーツ一貫校の開設を検討していた旧秋川高校跡地については、地元市の意向も受けとめながら、新たな有効活用等を検討してまいります。
 来月十七日から十九日にかけて、昨年に引き続き、三宅島でモーターサイクルフェスティバルが開催されます。ことしはフリースタイルのモトクロスなどの新しい企画も加わり、さらにだれもが楽しめる内容になっております。七月にお台場で開催されたプレイベントには一万七千人もの方々が来場するにぎわいを見せておりまして、来月のフェスティバル本番も一層盛り上がるよう、三宅島を支援してまいります。
 今月二十五日、東京の西の空に大きく立ちはだかる、実は見えない壁、すなわち米軍の管理下にあった横田空域の一部が日本に返還されます。これまで、東京から西に向かう航空機は極めて不自然な飛行を余儀なくされておりましたが、これにより飛行ルートは大幅に改善されます。燃料削減などの経済効果は年間で約九十八億円に上り、CO2の削減効果も、一般家庭約一万五千世帯の年間排出量に相当いたします。
 今回の一部返還を重要な一里塚として、共用化の実現に向けた交渉をさらに重ね、米軍のかたくかたく閉ざされた扉を必ずやこじあけてまいります。
 都市の世紀を迎えた今日、日本が真のグローバルプレーヤーであり続けるためには、横田基地の共用化を初め、首都東京の機能向上が必須であります。それゆえ、自治体の枠を超えた取り組みをも行ってまいりました。先ごろ現地も視察しました羽田空港の新滑走路建設では、一千億円の無利子貸付を実施して、首都圏と世界を強固に結ぶ結節点づくりを促進し、三環状道路のうち中央環状品川線については、都みずからも共同事業者となって首都圏の動脈づくりを進めております。
 法人事業税の一部国税化に伴い、国に設置させた実務者協議会においても、既に国から羽田空港の国際線を拡充する方針を引き出し、東京港トンネルの事業着手にも前向きな姿勢を引き出しております。今後も、羽田空港の昼間における国際線の増加や東京の道路整備の財源確保、外環道の平成二十一年度事業着手などを国に強く求めてまいります。
 国を動かすだけではなく、地方みずからが既存の枠組みを超えた新しいフォーマットを造形することも重要であります。本日夕方、東京、横浜、川崎の三港を実質的に一港化することを目指して、横浜市長、川崎市長とのトップ会談を行います。三港で世界第十三位というスケールを生かし、首都圏のさらなる発展のため、国際物流のかなめであるメーンポートとしての地位を揺るぎないものにし、アジアの主要港にも対抗してまいります。
 我が国が今まさに国家の危機にあって、天はみずから助くる者をのみ助くという、この世の公理を思い起こさねばなりません。
 国政が日本をどうするかという縦軸を失う一方、都政ではみずからの意思で進むべき道を選びとるため、この国の桎梏を打破し、東京と日本の潜在力を解き放つ挑戦を進めてまいります。未来にもつながる明かりをともすことで、この国をあるべき航路に引き戻していくことが首都東京の使命であると思います。
 そのためにも、緊急対策を速やかに実施し、年内を目途として「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八を改定いたします。東京から日本を変える決意を新たにしながら、我々の未来を切り開くべく、都政運営に全力を傾けてまいります。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案二件、条例案二十九件など、合わせて四十八件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。ありがとうございました。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議することに決定をいたしました。

○議長(比留間敏夫君) 追加日程第一、東京都名誉都民の選定の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について一件

二〇財主議第二四三号
平成二十年九月十八日
     東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     川淵 三郎

      略歴
     現住所 千葉県千葉市
     川淵 三郎
昭和十一年十二月三日生
昭和十一年  大阪府泉北郡高石町(現大阪府高石市)生まれ
昭和三十三年 日本代表選手に選抜
昭和三十七年 アジア競技大会(ジャカルタ)に出場
昭和三十九年 東京オリンピックに出場(第八位)
昭和五十一年 日本サッカーリーグ(JSL)常任運営委員
昭和六十三年 財団法人日本サッカー協会(JFA)理事
平成三年   社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)発足と同時に同法人チェアマン(理事長)
平成六年   財団法人日本サッカー協会副会長
同年     二〇〇二年ワールドカップ日本招致委員会実行副委員長
平成十二年  財団法人二〇〇二年FIFAワールドカップ日本組織委員会副会長
平成十三年  日本オリンピック委員会(JOC)理事
平成十四年  財団法人日本サッカー協会キャプテン
平成十七年  日本オリンピック委員会副会長
同年     日本トップリーグ連携機構副会長
同年     アジアサッカー連盟(AFC)初代ダイヤモンド・オブ・アジア賞を受賞
平成十八年  国際サッカー連盟FIFA功労賞を受賞
平成十九年  南米サッカー連盟特別勲章を受章
平成二十年  財団法人日本サッカー協会名誉会長

      事績
川淵 三郎
昭和十一年十二月三日生
昭和十一年、大阪府泉北郡高石町(現大阪府高石市)に生まれる。
昭和三十二年、早稲田大学商学部に入学し、サッカー部でプレーする。早稲田大学時代に関東大学リーグで三回優勝する。
昭和三十三年、日本代表選手に選抜される。
昭和三十六年、早稲田大学商学部を卒業する。同年、古河電気工業株式会社に入社する。
昭和三十七年、アジア競技大会(ジャカルタ)に出場する。
昭和三十九年、東京オリンピックに出場(第八位)する。
昭和四十七年、現役を引退し、古河電工サッカー部監督に就任する。
昭和五十年、古河電工サッカー部監督を辞任する。
昭和五十一年、日本サッカーリーグ(JSL)常任運営委員に就任する。
昭和五十五年、ロサンゼルスオリンピック強化本部長、日本代表チーム監督に就任する。
昭和六十三年、財団法人日本サッカー協会(JFA)理事に就任する。
平成三年、社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)発足と同時にチェアマン(理事長)に就任する。
平成五年、第三十六回経営者賞、第十九回経済界大賞特別賞、第四回東洋経済賞を受賞する。
平成六年、財団法人日本サッカー協会副会長に就任する。同年、二〇〇二年ワールドカップ日本招致委員会実行副委員長に就任する。同年、文部省スポーツ功労者顕彰、朝日スポーツ賞、第六回日本フェアプレー賞、日本プロスポーツ振興賞を受賞する。
平成八年、二〇〇二年ワールドカップ開催準備委員会実行副委員長に就任する。
平成九年、財団法人二〇〇二年FIFAワールドカップ日本組織委員会(JAWOC)理事に就任する。
平成十一年、保健体育審議会臨時委員に就任する。
平成十二年、財団法人日本サッカー協会副会長に再任される。同年、財団法人二〇〇二年FIFAワールドカップ日本組織委員会副会長に就任する。
平成十三年、プロスポーツ団体の長としては初めて日本オリンピック委員会(JOC)理事に選出される。
平成十四年、ワールドカップを日本と韓国で共同開催する。大会終了後、財団法人日本サッカー協会キャプテンに就任する。
平成十七年、日本オリンピック委員会副会長に就任する。同年、日本トップリーグ連携機構副会長に就任する。同年、Jリーグの成功とサッカー発展に貢献したとして、アジアサッカー連盟(AFC)の初代ダイヤモンド・オブ・アジア賞を受賞する。
平成十八年、国際サッカー連盟FIFA功労賞を受賞する。
平成十九年、南米サッカー連盟特別勲章を受章する。
平成二十年、財団法人日本サッカー協会名誉会長に就任する。

 氏は、日本のプロサッカーリーグ(Jリーグ)の創設に尽力され、初代チェアマンとしてそれを軌道に乗せられた。また、アジアで初めてとなるワールドカップ日韓共同開催にも尽力され、これらを通じて、日本サッカーの強化に貢献された。
 サッカーを地域のスポーツとして根付かせ、多くの子どもたちがサッカー選手となることを夢見るようになるなど、サッカーの普及発展に多大な貢献をされた。以上のような功績は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(比留間敏夫君) 本件は、起立により採決をいたします。
 本件は、知事の選定に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(比留間敏夫君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選定に同意することに決定をいたしました。

○議長(比留間敏夫君) 追加日程第二、東京都名誉都民の選定の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について一件

二〇財主議第二四四号
平成二十年九月十八日
     東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     松本源之助
    (本名 松本茂雄)

      略歴
      現住所 東京都荒川区
      松本源之助
     (本名 松本茂雄)

大正十三年九月十七日生
大正十三年  東京府北豊島郡(現東京都荒川区)生まれ
昭和六年   七歳より父(三代目)源之助について江戸里神楽を学ぶ
昭和二十三年 お神楽学校を創立
昭和五十二年 昭和五十一年度文化庁芸術祭優秀賞(大衆芸能部門)を受賞
昭和五十九年 昭和五十八年度文化庁芸術祭優秀賞(大衆芸能部門)を受賞
昭和六十年  昭和五十九年度文化庁芸術祭大賞(大衆芸能部門)を受賞
同年     荒川区功労者表彰
平成二年   芸術選奨文部大臣賞を受賞
平成四年   スペイン王国・セビリア万国博覧会日本館セレモニーに出演
平成六年   大韓民国・ソウルにおける建国六百年祝祭「民俗舞踊の祭典」に出演
平成七年   荒川区功労者表彰(特別功労)
同年     社団法人全日本郷土芸能協会常務理事
平成十一年  財団法人日本太鼓連盟評議員
平成十二年  財団法人日本太鼓連盟東京都支部長
平成十五年  勲四等瑞宝章を受章
平成十八年  荒川区区民栄誉賞を受賞

      事績
松本源之助
(本名 松本茂雄)
大正十三年九月十七日生
大正十三年、東京府北豊島郡(現東京都荒川区)に生まれる。
昭和六年、七歳より父(三代目)源之助について江戸里神楽を学ぶ。
昭和二十三年、日暮里にお神楽学校を創立する。
昭和三十九年、江戸の里神楽松本家が東京都の技芸(現無形文化財)に指定される。
昭和四十九年、江戸の里神楽保存会松本社中が国選択無形文化財に指定される。
昭和五十二年、「江戸里神楽・松本源之助の会」の成果により昭和五十一年度文化庁芸術祭優秀賞(大衆芸能部門)を受賞する。
昭和五十八年、江戸里神楽が荒川区無形民俗文化財(民俗芸能)に登録され、松本社中がその保持団体として認定される。
昭和五十九年、第十八回江戸里神楽「松本源之助の会」の成果により昭和五十八年度文化庁芸術祭優秀賞(大衆芸能部門)を受賞する。
昭和六十年、昭和五十九年度文化庁芸術祭大賞(大衆芸能部門)を受賞する。同年、東京都功労者(文化功労)表彰(団体表彰)を受ける。また、大東京祭の運営に関する功績により大東京祭協賛会の表彰を受ける。同年、荒川区功労者表彰を受ける。
昭和六十一年、日本コロムビア株式会社よりゴールデン・ディスク賞「特別賞」を受賞する。同年、エジプト・アラブ共和国、カタール国、クウェート国、オマーン国における国際交流基金公演に出演する。
平成二年、芸術選奨文部大臣賞を受賞する。
平成三年、オーストラリア連邦・シドニーにおける国際公演に出演する。
平成四年、スペイン王国・セビリア万国博覧会日本館セレモニーに出演する。
平成五年、東京都江戸東京博物館オープニングセレモニーに出演する。同年、インドネシア共和国・バリ島におけるジャパンフェスティバルに出演する。同年、NHK厚生文化事業団チャリティー舞踊全国大会に出演する。
平成六年、松本社中が重要無形民俗文化財に指定される。同年、大韓民国・ソウルにおける建国六百年祝祭「民俗舞踊の祭典」に出演する。
平成七年、荒川区功労者表彰(特別功労)を受ける。同年、社団法人全日本郷土芸能協会常務理事に就任する。同年、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)・平壌における「国際スポーツと文化の祝祭」に出演する。
平成八年、ハンガリー共和国における「ダンス・フォーラム」に出演する。
平成十一年、財団法人日本太鼓連盟評議員に就任する。
平成十二年、財団法人日本太鼓連盟東京都支部長に就任する。
平成十五年、勲四等瑞宝章を受章する。
平成十八年、荒川区区民栄誉賞を受賞する。

 氏は、永年にわたり伝統芸能である江戸里神楽の継承に尽力するとともに、現代音楽や演劇など異なる分野の方々との共演にも積極的に取り組み、伝統芸能の普及発展に多大な貢献をされた。また、世界各地で公演を行い、日本の伝統文化を紹介し、国際理解の推進にも寄与されている。
 この道一筋に精魂を傾け、伝統芸能の魅力をわかりやすく伝えることに取り組まれてこられた姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 本件は、知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の選定に同意することに決定をいたしました。

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十九日から二十四日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十九日から二十四日まで六日間、議案調査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、九月二十五日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十七分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二〇財主議第二三五号
平成二十年九月十日
     東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十年第二回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   後藤雄一議員
   河野百合恵議員
   たぞえ民夫議員
   斉藤あつし議員
   かち佳代子議員
   石毛しげる議員
   松村友昭議員

平成20年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 後藤雄一

質問事項
一 警察署の行政財産の使用許可、及び、防犯協会のPRについて
二 世田谷消防署の防火防災協会の代行について
三 福利厚生・カフェテリアプランのメニューの課税について
四 交通局の公文書管理と、組合との関係について
五 島嶼部のガソリン、地方公務員の自覚について
六 都営住宅の共益費と自治会の実態把握について
七 排ガス試験-半年/順番待ちについて

一 警察署の行政財産の使用許可、及び、防犯協会のPRについて
 警察署には、防犯協会等の関係団体事務局がおかれている。
 行政財産を他団体に使用させるときは、行政財産使用許可を与え、経費は団体に負担させるようになっている。しかし、北沢警察署では行政財産使用許可でなく、協定書を交わしているだけという。
1 協定書をもって行政財産使用許可にかえることができるのか、伺う。
2 電気代等の経費は支払われているか、また、減免申請を受けているか伺う。
 北沢警察署で「防犯協会の申込書をほしい」と告げると背広姿の男性が北沢防犯協会と書かれた冊子を持ってきた。名刺交換すると、名刺には生活安全課防犯係と書かれ、警察署員と分った。
3 防犯協会の仕事も警察署員が代行するという事務分掌があるか伺う。
 北沢警察署、世田谷警察署には防犯協会のパンフレットがおかれていない。警察署内に事務局をおいている防犯協会なのに、なぜ積極的にPRしないか疑問である。
4 警察署の窓口に防犯協会のパンフレットを置き、積極的にPRを行なうべき、と考えるが見解を伺う。また、PRをできない理由があれば伺う。
二 世田谷消防署の防火防災協会の代行について
 世田谷防火防災協会の会費3000円と書かれた会費請求書を入手した。世田谷防火防災協会の活動を調べようと会費請求書に「連絡先」と書かれている携帯番号に電話した。この携帯電話は世田谷消防署内に設置されており、消防署員が対応していることが分かった。数日後、世田谷消防署を訪れ携帯電話が設置されている場所を確認すると、消防署員の事務机の上におかれている。つまり世田谷防火防災協会の電話の対応は全て消防署員が代行していることになる。また、世田谷防火防災協会のパンフレット・入会申込書も置いていなかった。
1 世田谷消防署では、消防署員が世田谷防火防災協会の電話取次ぎをしているが、その他防火防災協会の雑用は行なっていないか。また、その電話代行等は事務分掌に書かれているか伺う。
2 世田谷消防署は世田谷防火防災協会との関係を明確にして、パンフレット・入会申込書をおき積極的に説明・PRするべき、と考えるが見解を伺う。
3 携帯電話の電源は署内のコンセントから使用されている。どのように対処するつもりか伺う。
三 福利厚生・カフェテリアプランのメニューの課税について
 東京都は都庁職員の福利厚生の一部を財団法人東京都福利厚生事業団に委託し、同事業団は民間でも利用しているカフェテリアプランを採用している。
 しかし都のカフェテリアプランには、チケット購入助成、ゴルフ等の余暇施設利用助成、書籍・雑誌・CD等購入助成、等々があり、課税対象のメニューが多く含まれている。にも関わらず総務局長は課税について、「国税庁に問い合わせている」と自信満々で答弁までしている。しかし、本件同様のカフェテリアプランを採用している都の外郭団体「財団法人東京都道路整備保全公社」は平成14年、新宿税務署から税務調査を受け、多くのカフェテリア・メニューを課税扱いにして、給料と合算して課税している。
 東京都平成20年度予算の中に、本件カフェテリアプランを含む「互助交付金」があり、その額は3億5097万1000円である。
 一方、公務員の給与は条例に基かずには、いかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない、と地方公務員法25条に規定されており、東京都のカフェテリアプランへの支払いは違法となる可能性が十分あると考える。
 国税当局の見解を再度聞いていると思うが、その見解を伺う。また、課税対象と判断された場合、どのように対処するか伺う。
四 交通局の公文書管理と、組合との関係について
 前回、平成20年第1回定例会文書質問で、平成19年8月24日に交通局の職員組合が行った「ボウリング大会」において、組合幹部が勤務記録簿等に虚偽記載し職務時間中に「中抜け」し給与を詐取したことを取り上げたところ、「該当職員から相当額の給料を返還させた」と答弁があった。
 行革110番のその後の調査で、同様の組合幹部等の「中抜け」等の不祥事が明らかになり、給料も返還され意識の低さが露呈している。そして、組合幹部等の乗務記録等を調べると、仕雑等を理由に乗務日数が非常に少ない事が分かる。
1 運転職員の定員枠は決まっており、組合幹部等が不正な組合活動など行い乗務をしない「しわ寄せ」は、一般運転職員の負担になっている。組合幹部職員も他の運転職員同様の通常運転業務を行わすべき、と考えるが見解を伺う。
 また、南千住自動車営業所に勤務する職員の「休暇職免等処理簿兼週休変更命令簿」は職免をとった日よりも後に申請しているケースが1年のうち9ヶ月間(19年4月から12月)もあることが判明している。
 この職員を含め、今回不正が判明した組合幹部職員の多くは「運輸業務」と区分けされ勤務記録簿で仕事が管理されている。しかし、不正を隠す為に「勤務記録簿」に苦情処理等と嘘の内容を記載していた。
2 今回、給与を詐取した事が判明した「運輸業務」職員は、ヤミ専従といわれても仕方がない。組合に対してどのように対処するか伺う。
3 今回の事件で使われた手口に、苦情処理がある。苦情処理は別の苦情処理簿に記入することになっておりダブルチェックが行なわれていたはずにも関わらず、不正の温床になっていた。苦情処理が実際に行なわれたかのチェック体制を見直すべき、と考えるが見解を伺う。
五 島嶼部のガソリン、地方公務員の自覚について
 最近のガソリンの高騰は目にあまるものがある。島嶼地区のガソリン価格は、本土と比べると40円以上高いという。しかし、島嶼地区に赴任している都庁職員の中で、都区職員生協に加入している本人・家族は、30円から45円ほど安く給油できるという。都区職員生協とは、東京都と特別区に働く職員で作っている東京都区職員生活協同組合の略、生協の一つだが、そのサービスの一つに「ENEOS/新日本石油ガソリンカード」がある。
 島嶼地区に赴任している都職員が、このENEOSカードは使用してももちろん問題はないのだが、島嶼部で割引が受けられるのは都区職員生協だけだろう、そして、都区職員生協に加入できるのは都庁職員だけであることからすれば、都庁職員だけ安く給油できるということになる。
 一方、東京都は離島と本土の格差を是正するための「離島振興計画」に基づき各種の補助を行っている。しかしガソリン価格の格差を是正する為の補助等は一切行なっていない。
 島嶼に赴任している都職員は、安く給油することができ本土との格差を実感することなく、離島振興計画でガソリン格差を考えなくても当然なのである。
 島にお住まいの方々から、「これでは植民地だ」等の怒りのメールが届いている。
1 島嶼地区に赴任している都庁職員に対し、島嶼地区でのENEOS/新日本石油ガソリンカード使用の自粛を呼びかけてはどうか、見解を伺う。
2 ガソリンの海上輸送に補助金を付け、格差是正につとめるべき、と考えるが、見解を伺う。
六 都営住宅の共益費と自治会の実態把握について
 行革110番は以前から都営住宅の自治会運営について取り上げている。それに対し都市整備局は、「自治会は任意団体であり、会員により適切に運営されることが望ましいと考えています。」と答弁している。しかし今年5月、池尻団地自治会では不明朗な自治会運営が批判を浴び、選挙で新会長が誕生した。新会長の元で帳簿等を調べたところ、不適切な決算が行なわれていた。
 また、集会所の半分のスペースが、前自治会長により自治会事務所として使われ、その上、給湯室・倉庫には缶ビール、ウイスキー、日本酒などがおかれていて本来の集会所の機能が半減していた。新会長が、適正な形に戻した。
1 都民の財産である都営住宅の集会所を、こんな状態になるまで放置していた都市整備局、東京都住宅供給公社の責任は重大である。指導すべきと考える、見解を伺う。
2 今後都営住宅の高齢化は必至である。また、年金生活・生活保護を受けている居住者も多く、自治会会計の透明性・公正性が保たれることは最低限必要である。そこで、都営住宅の自治会決算書・会則の実態を調査すべき、と考えるが見解を伺う。
 都営住宅には自治会があり、自治会長がエレベーターの電気代等の共益費の集金・支払を行っている。そして都市整備局、東京都住宅供給公社は、共益費の会計を明確にする為に、共益費会計と自治会会計を分離するよう指導している。
 その背景には、「共益費を払えば自治会に加入する必要がない」という最高裁判決があるからだ。
3 都市整備局、東京都住宅供給公社が、共益費と自治会費の会計を分離するよう指導している以上、どの範囲までが共益費か明確にすべき、と考えるが見解を伺う。
七 排ガス試験-半年/順番待ちについて
 「都において自動車NOx・PM法に基づく自動車排ガス試験を行う時は、迅速に実施していただきたい。」との陳情が都議会に出された。
財団法人東京都環境整備公社東京環境科学研究所で、法的に義務づけられた検査を受けようとした業者が、「平成19年5月10日に申請して、検査は平成19年11月9日。平成19年11月18日に申請して、検査は平成20年5月20日。半年の検査待ち、これっておかしいよ!!!」と言う陳情だ。
 陳情に対し、環境局は「・・可能な限り、排出ガス試験を実施している」と胸をはる。
 民間業者が検査を6ヶ月も待たされては死活問題だ。検査のスケジュールを尋ねると、環境局は「検査の所要時間は1台あたり11時間だ。残業を考慮に入れずスケジュールをくんでいる。東京環境科学研究所は19年4月から都の外郭団体の環境公社に移管された。東京都の直営だったときは、2日に1台検査を行なっていたが、公社に移管されてからは3日に2台と検査台数を増やしている。」と自慢する。
 検査対象のトラック等は、今後は減る事が分かっているので、設備を増やす事はできないだろうが、その検査が半年待ちという事態があるのなら「残業」で対応するしかないが、環境局は財団法人東京都環境整備公社に「残業」を指示もしていない。検査にかかわる職員は、研究員1名、作業員2名、他3名、シフトを調整すれば十分対応できるはずだ。「残業もせずのほほん」と仕事をしている財団法人東京都環境整備公社、そして指導を怠る環境局の怠慢と考える。
 残業を考慮に入れて、民間業者の需要に応えるよう、指導すべき。と考えるが見解を伺う。

平成20年第二回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 警察署の行政財産の使用許可及び防犯協会のPRについて
1 行政財産を他団体に使用させるときは、使用許可を与えることになっているが、北沢警察署では防犯協会と協定書を交わしているだけとのことである。協定書をもって使用許可にかえることができるのか、伺う。

回答
 行政財産の使用許可は、公の施設を本来の目的以外に使用させる場合に必要となるものです。北沢警察署防犯協会の諸活動は、都の事務・事業遂行の目的に沿うものであるため、行政財産の目的外使用には当たらず、同協会が北沢警察署庁舎を使用する上で許可は必要ないと考えます。
 なお、北沢警察署長と北沢防犯協会会長による協定書は、双方の目的を円滑に達成するため、事務所使用の維持管理等について締結したものです。

質問事項
一の2 防犯協会の電気代等の経費は支払われているのか、また、減免申請を受けているのか伺う。

回答
 電気代等の光熱水費については、協定書に基づき警察署が負担しています。
 減免申請は受けていません。

質問事項
一の3 北沢警察署で防犯協会の申込書がほしい旨告げると、警察署員が北沢防犯協会と書かれた冊子を持ってきた。防犯協会の仕事も警察署員が代行するという事務分掌があるのか伺う。

回答
 警察署員は、防犯協会の事務職員が不在であったことから便宜的に対応したものであり、その事務分掌に基づくものではありません。

質問事項
一の4 警察署の窓口に防犯協会のパンフレットを置き、積極的にPRを行うべきと考えるが見解を伺う。また、PRできない理由があれば伺う。

回答
 防犯協会の活動を都民の皆様に理解していただくことは有用であると考えており、引き続き、PR活動を含め、連携・協力していきます。

質問事項
二 世田谷消防署の防火防災協会の代行について
1 世田谷消防署では、消防署員が世田谷防火防災協会の電話取次ぎをしているが、その他協会の雑用は行っていないか伺う。また、その電話代行等は事務分掌に書かれているのか伺う。

回答
 署員は世田谷防火防災協会の電話取次ぎや雑用を経常的に行っていません。また、電話の代行等は事務分掌にありません。

質問事項
二の2 世田谷消防署は、世田谷防火防災協会との関係を明確にして、パンフレット・入会申込書をおき、積極的に説明・PRすべきだが、見解を伺う。

回答
 世田谷防火防災協会は、地域における火災予防をはじめ住民の防火防災行動力の向上等を目的にしている団体で、同協会を通じて地域住民及び事業所の防火防災指導を行うことは極めて有用であると考えています。
 協会の会員募集や広報などについては、連携・協力を図っていきます。

質問事項
二の3 協会の連絡先である携帯電話は世田谷消防署内に設置されている。携帯電話の電源は署内のコンセントから使用されているが、どう対処するのか伺う。

回答
 世田谷消防署に世田谷防火防災協会の携帯電話は設置されていません。したがって、署内のコンセントを使用することはありません。

質問事項
三 福利厚生・カフェテリアプランのメニューの課税について
 都のカフェテリアプランの課税上の取扱いについて、国税当局の見解を再度聞いていると思うが、その見解を伺う。また、課税対象と判断された場合、どのように対処するか伺う。

回答
 東京都福利厚生事業団が実施しているカフェテリアプラン(メニュー選択事業)は、民間企業や他の自治体においても幅広く普及している福利厚生事業であり、社会的に認知された適正な制度であると考えています。
 国税庁は、福利厚生事業における所得税の取扱について、給付に合理性があり、社会通念上相当である場合には課税しなくても差し支えないとの見解を示しており、本事業は、従来からこうした見解に基づき実施しているところです。
 職員の福利厚生については都民の厳しい見方等もあることから、引き続き適切に対応していきます。

質問事項
四 交通局の公文書管理と組合との関係について
1 組合幹部等が組合活動などを行い乗務をしないことは、一般運転職員の負担になっている。組合幹部職員も他の運転職員同様の通常運転業務を行わすべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 組合役員等の時間内組合活動については、関係法令等に基づき、所定の手続の下に、適法な交渉や機関運営等に従事することを認めています。今後とも、勤務の取扱いについては適正を期していきます。

質問事項
四の2 今回勤務時間中に職場を抜け出し給与を詐取した運輸業務職員は、ヤミ専従といわれても仕方がない。組合に対しどう対処するのか伺う。

回答
 不適正な手続等により、勤務時間中に勤務を欠いた職員に対しては、相当額の給料等を返還させるとともに、懲戒処分等を行うなど、厳正に対処しています。

質問事項
四の3 苦情処理は別の苦情処理簿に記入するなどダブルチェックが行われていたにも関わらず不正の温床になっていた。苦情処理が実際に行われたのかのチェック体制を見直すべきだが、見解を伺う。

回答
 「苦情処理制度」は、知事部局等の職員が人事委員会に対して行うことが
出来る勤務条件に関する措置要求等の代替措置として法に基づき設けられたものであり、今後とも、制度の趣旨を踏まえて適切に運用していきます。

質問事項
五 島しょ部のガソリン、地方公務員の自覚について
1 島しょ地区に赴任している都庁職員に対し、都職員だけが割引を受けられる「ENEOS/新日本石油ガソリンカード」使用の自粛を呼びかけてはどうか、見解を伺う。

回答
 ご質問の「ENEOS/新日本石油ガソリンカード」は、都区職員生活協同組合と新日本石油株式会社との事業契約に基づき発行しているカードと聞いています。
 また、都区職員生活協同組合は、消費生活協同組合法に基づき、組合員の出資金等により運営されている団体です。
 したがって、都は、当該カードの使用について、組合員である都の職員に対し自粛を呼びかける立場にはありません。

質問事項
五の2 都は離島と本土との格差是正のため、「離島振興計画」に基づき各種の補助を行っている。ガソリンの海上輸送に補助金をつけ、格差是正に努めるべきだが、見解を伺う。

回答
 都の伊豆諸島海上貨物運賃補助は、プロパンガスや食用油、野菜や果物など島民の日常生活を支える基本的な品目を対象に補助を行っていることから、ガソリンを対象品目に加えることは困難です。

質問事項
六 都営住宅の共益費と自治会の実態把握について
1 池尻団地では、都営住宅の集会所が自治会事務所として使われるなど本来の集会所の機能が半減していた。放置してきた都市整備局、都住宅供給公社の責任は重大である。指導すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 集会所の管理運営は、「東京都営住宅集会所使用要領」により、入居者の大半で組織する自治会等が行うものとしています。ただし、特定の者が独占的に使用しているなどの事実が確認されれば、是正指導しています。

質問事項
六の2 今後都営住宅の高齢化は必至であり、自治会会計の透明性・公平性が保たれることは最低限必要である。都営住宅の自治会決算・会則の実態を調査すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の自治会は、都営住宅居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体であり、会員により適切に運営されることが望ましいと考えています。

質問事項
六の3 都市整備局・都住宅供給公社が、共益費と自治会費の会計を分離するよう指導している以上、どの範囲までが共益費か明確にするべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 共益費の範囲は、居住者に配布している「住まいのしおり」に明示しています。

質問事項
七 排ガス試験-半年/順番待ちについて
 都環境整備公社に法的に義務付けられた検査を申請した際、半年間の検査待ちと言われた業者から、迅速な実施を求める陳情が出された。残業も考慮に入れて、民間業者の需要に応えるよう指導すべきだが、見解を伺う。

回答
 自動車排出ガス試験は、自動車NOx・PM法に定める適用猶予期間を超えてもなお、車両更新等を行わず、引き続き車両を使用したいと車両使用者が考える場合であって、国が認定する排出ガス低減装置を装着しない場合に、その車両の排出ガス基準への適合を証明するために必要な試験です。
 財団法人東京都環境整備公社東京都環境科学研究所は、国から試験機関として認定を受けている機関のうちの一つですが、都の環境施策に必要な調査・研究等を行う機関であるため、調査・研究等の業務を確実に実施することを第一に設備を使用し、その上で試験設備の保守点検等の日程も踏まえ、可能な限り、自動車排出ガス試験を実施しています。
 同研究所では、試験の申請があった場合、試験申請者と面談を実施し、試験日程について説明して試験申請者の了解を得た上で試験日程を決定しており、また、受入れ台数を増やす工夫を行うなど、可能な限り試験申請者の希望に沿うよう努力しています。
 都は公社に対し、引き続き業務の円滑な執行を指導していきます。

平成20年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野百合恵

質問事項
一 葛西臨海公園のカヌー・スラローム施設建設計画について

一 葛西臨海公園のカヌー・スラローム施設建設計画について
 今年1月、東京都はIOC(国際オリンピック委員会)に2016年のオリンピック開催都市立候補の申請ファイルを提出しました。6月5日、IOCは東京都を含めた4都市を候補都市として選定しました。
 すでに、東京都は2006年度からオリンピック開催のための基金を毎年1000億円ずつ積み立てている上に、招致推進活動経費は150億にもふくれあがっています。
 貧困と格差拡大のなかで、厳しい生活を余儀なくされている都民は、「なぜ今、東京がオリンピックを開催しなければならないのか」「オリンピックより先に都がやるべき仕事はたくさんある。震災対策や、雇用の安定、福祉の充実にこそ力を入れてもらいたい」と、疑問の声を呈しています。
 東京都がIOCに提出した申請ファイルには、競技施設整備の計画が記されています。新設が予定されている施設として、カヌーのスラローム施設があり、場所は江戸川区の葛西臨海公園となっています。東京でのオリンピック開催はまだ決定されたわけではありませんが、葛西臨海公園へのスラローム施設建設計画は、いくつもの問題点がありますので、以下、質問します。
 計画ではスラローム競技施設は、新設、常設で2015年5月31日完成予定、建設位置は人工なぎさ西側の真向かいの汐風広場で、観客席数は8000人規模となっています。申請ファイルの前の概要計画書には、建築面積6550平方メートル、延床面積1万3100平方メートルと記されています。
 申請ファイルに記載されている建設費は10億円ですが、これは、オリンピック終了後も残す恒久的な施設部分の建設費のみで、暫定的につくられる観客席などの費用は含まれていません。暫定施設の建設費用は、オリンピック運営委員会が負担(放映権や入場料、スポンサーからのお金などを財源)することになりますが、恒久施設部分の倍以上の建設費が必要になると考えられます。
 現段階のおおまかな施設計画は、高さ6メートルのところから下方に水を流し、蛇行しながらカヌーがゴールに向かうコースを作る案のようですが、仮に汐風広場にこのような競技施設を建設したらどうなるでしょうか。
1 葛西臨海公園は、今から20年前の平成元年に開園した都立公園です。総面積は、80万5861.13平方メートルです。平成15年時で年間346万人の来園者数です。同じ区内にある都立篠崎公園は年間95万2千人の来園者数ですから、3倍以上の来園者数です。水族園、鳥類園、バーベキュー広場、大観覧車などの施設と合わせて、すぐ隣にディズニーランド、ディズニーシーがあることで、区内都内だけでなく関東近県を中心に多くの人が訪れています。開園以来20年の時を経た今、樹木は豊かに成長し、海辺の景が楽しめ、緑の下で憩える公園です。
 汐風広場にスラローム施設を新設することは、せっかくの恵まれた自然環境を破壊する結果をまねくことは間違いありません。緑の芝生は剥がされ、樹木は伐採されることが予想されます。
 高さ6メートル、長さ400メートル以上におよぶ競技コースの建設と合わせて、8000人の観客席、選手の更衣所や待機所、カヌーなど競技用具の収納場所に加え、係員の事務を執り行う事務所の確保、観客のためのレストハウスやトイレ、売店の設置など付随する多くの施設建設が必要となります。
 都のオリンピック招致本部は、「施設を建設しても都立公園の緑は減らさない」と説明していますが、その約束は可能なのでしょうか。ご見解をお聞かせください。
2 観客を移動させる交通機関の問題もあります。
 東京都は、選手は江東区有明に建設予定の選手村から専用シャトルバスで搬送し、要する時間は13分と説明しています。
 しかし、競技場に来る観客の移動はどうなるのでしょうか。招致本部は、オリンピック競技施設は自家用車の利用は認めず、公共交通を使ってもらう、と言っています。葛西臨海公園は、JR京葉線の葛西臨海公園駅がありますが、平日の快速電車停車はありません。東京メトロ東西線の西葛西、葛西の両駅も快速電車は停車せず、人口増の葛西地域では長年にわたって住民から不満が出ています。JR京葉線、東西線ともに葛西地域の人口増に伴い乗客数が増加しています。特に東西線は、朝夕、殺人的とも言える混雑です。一日の乗降客数は、両駅とも約10万人を数えます。超過密と言える状況が続いてきたのに、これまで改善策が進んできませんでした。
ア このような状況のもとで、もしオリンピックが開催された場合、万の単位の人々が瞬時に集まることが想定される競技施設に、観客の安全、安定的な輸送、移動は果たして可能なのでしょうか。ご見解をお聞きします。
 また、帰途も問題です。つい最近、ある女性人気シンガーが葛西臨海公園で野外コンサートを開き、数万の聴衆が集まりました。コンサート終了後、帰途につく人の移動が一斉に始まったために、大パニックになったのです。
イ スラローム競技の終了後、大勢の観客移動が予想されますが、公園外に出る人の流れなどについて、具体的に検討の上、葛西臨海公園をスラローム施設建設予定地としたのでしょうか。それぞれお答えください。
3 駐車場の利用について伺います。
 葛西臨海公園は、水族園、鳥類園に保育園、幼稚園、小学生、中学生が見学、学習に訪れています。大型バスに乗って園ぐるみ、学校ぐるみで来園しています。浦安のディズニーランドに来る人も葛西臨海公園の駐車場を利用する場合があり、特に土曜、日曜は車で人工なぎさ等に遊びに来る人が大勢います。もし、オリンピック競技施設が作られ、車での来園が禁止になったら、こうした人々は大変な影響を蒙ることになります。
 2,700台の収容能力をもつ駐車場がまったく使えなくなれば、大混乱になる事態が予想されます。一般来園者の車利用への対応はどうされるのでしょうか。お答えください。
4 オリンピック終了後の施設はどうなるのでしょうか。
 現在の計画では、スラローム競技施設は恒久的なもので、オリンピック終了後は一般利用に開放するけれども、観客席やレストハウス、選手の更衣室などは仮設で取り壊しになるとのことです。
 私は、数年前、長野オリンピックのジャンプ施設などを見る機会がありました。当時つくられた施設は、ほとんど活用されず、周辺に出店した飲物店などは閑古鳥が鳴いて廃業に追い込まれていました。地元では「オリンピック不況」ということさえ言われていました。スキーは冬に盛んになるスポーツですが、カヌー競技も季節によって利用が増減するスポーツではないでしょうか?
 一般利用がどれだけあるかわからない施設を、公的資金だけでも10億円もの建設費をかけて、わずか2週間あまりのオリンピックのために、新設する必要があるのでしょうか。
 1964年の東京オリンピックでは、河川にコースをつくって競技を行ったとのことです。コンパクトで、環境に優しいオリンピックと銘うっているのなら、それにふさわしい計画を立てるべきではないですか。
 後利用の見通しを含めて、あらためて施設建設の必要性についてお考えをお示しください。
5 葛西地域で生活している江戸川区民の意見を聞きました。
 まず、スラローム施設建設の計画があること自体が知られていませんでした。東京都は、都民及び施設建設や改修計画がある地域住民への説明や意見聴取を全く行わず、IOCへの申請ファイルを提出しているのではありませんか。その点について、お答えください。
6 カヌーのスラローム施設が建設された場合、せっかくの自然環境や景観が台無しになってしまいます。葛西地域の住民は、海浜のおおらかさと緑の安らぎを感じることができるこの公園は、今のまま守って欲しいと要望しています。
 さらに、日々の生活が困難な事態になっている経済情勢なのだから、東京都はオリンピックに多額の予算を使うよりも、生活を守ることに力を注いで欲しい、と切実に訴えています。
 医療改悪の影響で、江戸川区唯一の総合病院である臨海病院は、夜間小児救急診療もとりやめてしまいました。ワークライフバランスの大切さが強調されていても、保育園不足も依然深刻です。都心に近いことから賃貸住宅の家賃も高額です。大型店の出店で商店街は疲弊してきています。「オリンピックより私たちの生活を、仕事を何とかしてほしい!」というのが、率直な都政への要望です。
 厳しい生活を応援してほしい、この都民の声に東京都はどう応えるのでしょうか。お聞かせ下さい。

平成20年第二回都議会定例会
河野百合恵議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 葛西臨海公園のカヌー・スラローム施設建設計画について
1 汐風広場にカヌーのスラローム施設を新設する計画となっているが、施設を建設しても都立公園の緑は減らさないとの約束は可能なのか、見解を伺う。

回答
 葛西臨海公園のカヌー・スラローム競技会場の整備にあたっては、既存樹木はできる限り移植し、公園としての緑を保全する予定です。

質問事項
一の2 観客の輸送及び移動について
ア 葛西地域の人口増に伴い、沿線路線では超過密といえる状況が続いている。こうした状況下で、オリンピック開催時に、万の単位の人々が集まる競技施設に観客の安全、安定的な輸送、移動は可能なのか、見解を伺う。

回答
 カヌー・スラローム競技会場への主たるアクセスは、会場に隣接したJR京葉線の葛西臨海公園駅となります。
 競技会場の観客席数は8千人であり、葛西臨海公園駅は時間当たり約2万人の処理能力を持つため、観客の安全かつ円滑な移動等は十分可能です。

質問事項
一の2のイ スラローム競技終了後、大勢の観客輸送が予想される。公園外に出る人の流れなどについて、具体的検討の上、葛西臨海公園をスラローム施設建設予定地としたのか、見解を伺う。

回答
 カヌー・スラローム競技会場は、周辺に十分な広さの広場や広幅員の園路などがあることから、葛西臨海公園駅への観客等の移動について、十分な対応能力があります。
 なお、ご指摘の野外コンサートは約4万5千人の観客が来場したものです。
 競技会場の観客席数は8千人であり、葛西臨海公園駅は時間当たり約2万人の処理能力を持つため、観客の安全かつ円滑な移動等は十分可能です。

質問事項
一の3 オリンピック競技施設が作られ、葛西臨海公園への車での来園が禁止されたら、大混乱になる事態が予想される。一般来園者の車利用への対応はどうするのか、見解を伺う。

回答
 カヌー・スラローム競技の開催期間中は、公園の利用に混乱の無いよう十分配慮した大会運営を行っていきます。

質問事項
一の4 一般利用がどれだけあるかわからないスラローム競技施設を、公的資金だけで十億円もの建設費用をかける必要があるのか。後利用の見通しを含めて、施設建設の必要性について所見を伺う。

回答
 葛西臨海公園に建設するカヌー・スラローム施設については、大会後、カヌーの国内・国際競技大会の会場として使用するほか、急流下りなどの大人から子どもまで幅広い年齢層の都民が、レジャー感覚で水に親しむことのできるレクリエーション施設として整備していきます。

質問事項
一の5 スラローム施設建設計画があること自体地元住民には知られていない。都は、都民及び地域住民への説明や意見聴取を全く行わず、IOCへの申請ファイルを提出しているのではないか、見解を伺う。

回答
 葛西臨海公園をカヌー・スラロームの競技会場とすることについては、平成18年6月国内立候補都市選考の際に公表した開催概要計画書において明らかにしており、同時に広報東京都やホームページに掲載し、都民・区民に幅広く周知しています。
 また、この内容については、申請ファイル提出前の平成19年11月に発表した開催基本計画の中にも盛り込まれており、同様の方法により周知したところです。
 なお、地元の江戸川区に対しても説明し了解を得ています。

質問事項
一の6 オリンピックに多額の予算を使うよりも、医療や子育て、商店街振興など私たちの厳しい生活を応援してほしいという、都民の声に都はどう応えるのか、見解を伺う。

回答
 オリンピック・パラリンピック開催は、環境、生活、文化、産業、都市インフラなどさまざまな分野で、東京を21世紀の都市モデルとして、より高い次元で成熟させていく契機となるものであり、その実現は、現下の都政における重要課題の一つです。
 なお、福祉保健施策の充実や中小企業対策、東京の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策には、的確に財源を振り向けており、都民の期待に十分応えているものと考えています。

平成20年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 たぞえ民夫

質問事項
一 都営住宅建て替えは、居住者の声を反映したものに

一 都営住宅建て替えは、居住者の声を反映したものに
 東京都は、入居を希望する都民がふえ続けているのに、都営住宅の新規建設を打ち切り、もっぱら既存住宅の建て替えを進めています。今後、昭和30年代に作られた団地を中心に2万4千戸、さらに、40年代の10万6千戸について、建て替えをおこなう計画です。
 20年度は、都内で20ケ所の団地を建て替える計画ですが、実施にあたっての移転スケジュールは、多くが居住者への説明会から移転まで、六ヶ月程度と短い期間です。
 私の地元、世田谷区内の都営下馬アパートでは、「最近まで予定はないと言っていたのに、急に話しが出たことに不満と驚きで腹立たしい限りだ」「突然のごとくビックリとはこのこと」と都の提案に驚きを隠せません。
 さらに、居住者は「急な話しで血圧も上がり、体調も良くなく毎日が気が重い」と健康を害したと語り、せめて「人間としての心の余裕を持てる生活を保障してほしい」と訴えています。
 東京都は、自治会との関係を強調し、自治会や町会から了解を得ているからと、居住者に知らせないことが、各地から聞かれます。
1 自治会などが居住者の意向を十分反映することは当然のことですが、問題は居住者の生活と権利がかかわる問題であり、一人ひとりの入居者に直接伝え、合意形成に努めるのが最低限の責務ではないですか。見解を伺います。
 高齢者世帯の多い都営アパートだからこそ、貸主である東京都の一方的なスケジュールや都合で進めるのではなく、建て替え計画のスケジュールや規模、間取りなどプランを、まず住民に丁寧に説明するべきです。
2 建て替えは、住民合意をふまえ、計画も一年以上の期間をおき、住民の生活実態を十分考慮し、慎重に提案する必要があるのではありませんか。見解を求めます。
 次に、建て替え説明会のあり方です。都営下馬アパートの説明会は3月29日、東京都の主催で開催されました。
 私は、この説明会に参加し、三回にわけて実施する工事計画、そのための仮移転や工事期間などの説明についての住民の声を直接聞きました。
 「すべて先に決められており最低限の希望など何一つ取り入れられていないではないか」「老朽化が進み更新するというが、耐震化こそおこなうべきだ」など、会場から質問や不満が続出しました。1400世帯一人ひとりの住まいに関わる重大問題であるにもかかわらず、全体の説明会は後にも先にもこの一回です。住み慣れた団地でいつまでも暮らし続けたい、その願いに答えることこそ、自治体の責務です。
3 そのためには、一度説明会をもてば次のスケジュールに進めるという立場ではなく、住民の意向を十分尊重したきめ細かな説明会にする必要がありますが、どうですか。
 建て替えにあたって、大きな問題になっているのは、都が居住者の生活実態把握を行なっていないことです。各地で移転説明会後に意向調査書が配布されますが、居住者名や仮移転先の希望団地名、自動車の保有の記載を求めています。これはあくまでも移転への参考のための意向調査であり、子どもたちの学校や保育園・幼稚園への通学・通園、病院などへの通院、介護を必要とする状況などについては、一切記載を求めていないのです。これでは居住者の生活実態が把握ができないではありませんか。
 あるご婦人は、「私は目の難病を持っています。すぐ近くの東邦医大に行っています。都内にはそこと日大駿河台の2ケ所しかないのです。そのようなことをつかまずにおこなうのは考えられない」と怒りを隠せません。
4 建て替え計画に先立ち、居住している人々の暮らし向き実態の把握があってこそ、これからも住んでもらえる必要な建物規模や戸数、間取りが計画できるのではないですか。居住者の生活実態把握こそまずおこなうべきと思いますが、見解を伺います。
 建て替え後の間取りについても居住者から不安の声が上がっています。居住者から私に寄せられた声の中で多数占めているのは、「今より狭いのは困る」との声が九割を示していることです。間取りが狭いとの声が一番上がっているのは、いわゆる一人世帯の「1DK」と二人世帯の「2K」の間取りです。
 例えば、東京都は住戸標準規模について、平成5年度には1DKを35平方メートルから43平方メートルと設定していましたが、平成15年度はこれを下回る32平方メートルまで切り下げました。この年には、これまで二人から三人用の2DK45平方メートルから55平方メートルの中間に新たに37平方メートルの2Kという間取りまで設定したのです。2Kは六畳と三畳半というきわめて狭い間取りです。
 「13年前に建て増ししたのに、今回建て替え面積がずっと狭いのは納得がいかない」「毎週泊りがけで息子が心配して来てくれるが、泊まるところがなくなるのは困る」「2Kは死体置き場か霊安室のようだ」「生きたまま墓に入る気分です」と、面積規模がきわめて狭い型別供給実施基準に強い批判の声が寄せられています。
5 「団地で一緒に育ち、不幸にも亡くなってしまった二人の兄弟の荷物もあります」と居住者は語っていますが、多くで家財を捨てなければならないと悲鳴の声が広がっています。東京都の型別供給は、こうした思い出も、何もかも捨てろということなのですか。
  飾区では、区民の居住水準を引き上げようという区自身の計画と目標を定めた「住宅基本計画」があり、一人世帯で35平方メートル、二人世帯で40平方メートル、三人世帯で60平方メートル、四人世帯で70平方メートルと目標を立てています。東京都の最低居住水準に設定している1DK25平方メートルをはるかに上回るサイズをめざしています。都が提案している2Kサイズはあまりにも非人道的であると言わざるをえません。
6 昨年12月の第四回定例会で都市整備局長は、建て替えに当って「住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、適切な面積規模の住宅を供給する」と答弁していますが、住みやすいと言うのなら、2K住戸型式は再検討し、面積規模など必要な見直しをただちにおこなうべきと考えますが、見解を伺います。
 同時に、機械的に世帯人数で居室や面積を決めることは許されません。東京都の住宅政策の基本を、「住まい」は人権・福祉の観点に立って、都民が人間らしく住み続けられる住居の確保とその整備をはかるべきです。
7 住戸面積は、1DK、2DKなど小規模住戸に偏ることなく、若年ファミリー世帯や三世代ファミリー世帯などに対応できるよう、必要な広さの住宅を供給するべきと考えますが、見解を伺います。
8 また、狭隘な間取りで進めている建て替え計画は、いったん白紙にもどし、住民参加で再検討した住宅供給計画をたてることを提案しますが、見解をうかがいます。

平成20年第二回都議会定例会
たぞえ民夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営住宅建て替えは居住者の声を反映したものに
1 自治会などが居住者の意向を十分反映することは当然だが、居住者の生活と権利がかかわる問題について、都が一人ひとりの入居者に直接伝え、合意形成に努めるのが最低限の責務ではないか、見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たり、居住者に対しては、事業の説明会などにより丁寧な対応に努めています。さらに、移転に関する全体説明会や個別相談会などを実施し、居住者の要望に応えるよう努めています。

質問事項
一の2 建て替えは、住民合意を踏まえ、計画も一年以上の期間をおき、住民の生活実態を十分考慮し、慎重に提案すべきではないか、見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えについては、都民の住宅セーフティネットとしての機能を保持するため、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら、計画的に実施しています。
 建替えに当たっては、居住者に対し、事業の説明会などにより丁寧な対応に努めるとともに、居住者の要望などについて適切に把握しています。

質問事項
一の3 一度住民への説明会をもてば次のスケジュールに進めるという立場ではなく、住民の意向を十分尊重したきめ細やかな説明会にすべきだが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たり、居住者に対しては、事業の説明会などにより丁寧な対応に努めています。さらに、移転に関する全体説明会や個別相談会などを実施し、居住者の要望に応えるよう努めています。

質問事項
一の4 建て替え計画に先立ち、居住している人々の暮らし向き実態の把握があってこそ、必要な建物規模や戸数、間取りが計画できる。居住者の生活実態把握こそまず行うべきだが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに当たっては、事業の説明会等を通して、居住者の要望などについて適切に把握しています。

質問事項
一の5 面積規模がきわめて狭い型別供給実施基準に強い批判の声が寄せられている。都の型別供給は、これまでの思い出も何もかも捨てろということなのか、見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに際しては、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、世帯構成に応じた適切な規模の住宅を供給しています。

質問事項
一の6 建て替えに当たっては「住みやすい間取りとなるよう工夫をしながら適切な面積規模の住宅を供給する」と答弁したが、2K住戸形式は再検討し、面積規模など必要な見直しをただちに行うべきである。見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えで供給する二人世帯用の住宅については、面積規模など必要な見直しを行うこととし、既に、平成20年第二回定例会の代表質問で答弁したところです。

質問事項
一の7 住戸面積は、小規模住宅に偏ることなく、若年ファミリー世帯や三世代ファミリー世帯などに対応できるよう、必要な広さの住宅を供給すべきだが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに際しては、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、世帯構成に応じた適切な規模の住宅を供給しています。

質問事項
一の8 狭隘な間取りで進めている建て替え計画は、いったん白紙に戻し、住民参加で再検討した住宅供給計画を立てることを提案するが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えに際しては、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、世帯構成に応じた適切な規模の住宅を供給しています。

平成20年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
一 環境にやさしいバスの普及について
二 「難病」に対する救済策について
三 都市計画道路について

一 環境にやさしいバスの普及について
1 現在東京都はCNGバスに対して低公害バス普及補助をしている。東京都交通局には現在何台のCNGバスが稼働しているのか。
2 民間のバス会社にもCNGバスがあると思うが、会社を問わず何台あるのか。補助件数から推計できると思うが、算出して出していただきたい。
3 都内には民間会社含めて未だ低公害バス(CNG、ハイブリットバス)ではない路線バスは何台程度残っていると推計されるのか。
4 CNGバスの購入価格は通常のバスに比べてどの程度高額なのか。
5 CNGバスは運用コストどの程度安いのか。ハイブリットバスはいかがか。
6 アイドリングストップはCO2ガス抑制には効果的だがイグニッションスターターの劣化が激しく交換サイクルの短さゆえの高コストは運用上の負担になっている。ハイブリットバスはスターターが無いのでメンテナンスが安くて済む。どの程度の補助金があれば低燃費・低メンテナンスコストによる負担軽減と合わせて通常のバスの600万円高と言われるハイブリットバスが通常バスと同じ程度の負担で購入できると考えられるか。
7 都交通局は全車ハイブリットバス化までは考えていないのか。
8 年々ハイブリットバスは低価格になっているが、東京都環境局はCNGバスしか補助をしていない。国土交通省は低公害車普及促進対策において地方自治体の補助額の最大2倍を補助している。この制度に東京都が参入する予定は無いのか。
二 「難病」に対する救済策について
 「特定疾患」とされる「難病」以外に世の中には医師の診断によって「症例があるが治療法が確立されていない」という疾患が多数存在する。病名がありながら難治性疾患克服研究事業にもなっていない疾患に罹患した患者とその家族の孤独と絶望は、その状況の悪さに大変つらい思いをされることがあるのは事実である。単純な意味での医療費負担軽減は望まれるものであるが、それも含めて「特定外」の「難病」について伺う。
1 概念だけではかなり多数の疾患が含まれると理解されてしまうのだが、対象疾患(難治性疾患・特定疾患)になるには具体的にどのような過程と基準があるのか。
2 現在検討の俎上に乗っているのはどのような疾患か。
3 その対象者は東京都内で何人くらいだと推計されるか。
4 都内ではさまざまな理由を根拠として生活保護や都営住宅の入居が認められている。困窮の背景や経緯が申請者自身の過誤から発生したものであっても、「困窮」をしていれば「救済」される。しかし、「難病」の罹患とその発見は原因と治療法の未解明故に他疾患や他の困窮状況よりも唐突であり、精神的負担も大きい。しかも、実際には対象「難病」以上に希少性があって、やっと見つけた専門医が疾患名を挙げ、希少性も難知性も理解しているのにもかかわらず、対象外の疾患があると思われる。現在、厚生労働省で対象疾患拡大の準備をしていることは喜ばしいことであり、今後も前向きに努力を願うものである。その一方で、対象数として少ないのならば発見段階で特定疾患程度以下での支援策でもかまわないので支援を講ずる制度を構築しても良いかと思う。所見を伺う。
 私の意見を付与するならば、例えば、難病として疾患が確定していなくても、希少性が高い疾患名を主治医が診断しており、現実に社会生活、日常生活、通院活動が自立しえない状況であれば、高齢や高齢者特定疾患でなくても介護保険制度を活用して同様の支援を「要介護」として1割負担で受けられるなどの対応は必要ではないか。若しくは予算がやや少ない自立支援法の対象にしても良いのではないかと思う。もしも、難病ではないと最終的に判断されれば治療すればいいし、固定化していれば障害者認定に移行すればよいと思われる。このような支援で、対象以前の疾患が難病とならなくても、焦ったり、絶望することの無く療養できるようなことが望ましいと考える。東京都も恐らく保健所を通じてこのような現状を把握しているのではないだろうか。東京都から厚生労働省に対して新たな形の支援の検討を提案することを要望する。
5 医療費負担軽減でなくても公的な指定がされていることが、患者と家族への支援になることもあると考えるが、都の所見を伺う。
6 対象以前の疾患も患者の孤独感を軽減する意味でも疾患理解の広報での支援もひとつの支援と考えるが、所見を伺う。
三 都市計画道路について
 平成17年に私も一般質問で話題にした、「都市計画道路の必要性の確認」作業は今までの一度決めた道路計画は曲げない、という視点を根底から崩す画期的な取組と評価している。都民の目線に一歩近づいたと感じる。この取り組みについて伺う。
1 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」によると、都市計画道路の必要性については、8つの評価項目に照らして確認しているが、この評価項目が抽象的である。
 都市計画道路の必要性の確認にあたって、数値的な評価方法を採用しているのか伺う。
2 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」において、都市計画道路の必要性を数値的な評価で確認しているのであれば、その基準を示してもらいたい。
3 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」における、各都市計画道路の必要性の確認について、8つの評価項目ごとに評価結果を示すことは可能か。
4 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」における、都市計画道路の必要性の確認については、8つの評価項目ごとの評価結果をホームページや冊子で公表しているのか。していないのであれば、何故公表しないのか伺う。
5 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」では、必要性の評価により調布3・4・30号線の一部区間のみが要検討路線と位置づけられているが、少ないという印象を受ける。この必要性の評価による要検討路線をどのような方法で選定したのか伺う。
6 小平市内に計画されている小平3・3・3号新五日市街道線については、その必要性に疑問を持つ住民がいる。
 「すいすいプラン」など、既存の道路を整備することで、渋滞が緩和され、また、歩行者の安全性が向上するなど、新たな都市計画道路整備を整備しなくても、十分だと思う。既存の道路の拡幅などにより整備を行った場合、並行する新規の都市計画道路については、廃止を含めた検討をすべきと考えるが、所見を伺う。
7 国交省の社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会が平成18年6月に発表した「今後の道路政策の基本的方向」によると、市民団体等との「対話と協働」による道路政策を進めるべきとしている。
 都市計画道路を決定する際に、市民団体等からの意見聴取はどのように行っているのか伺う。

平成20年第二回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 環境にやさしいバスの普及について
1 現在都はCNGバスに対して低公害バス普及補助をしている。東京都交通局には現在何台のCNGバスが稼動しているのか。

回答
 CNGバスは、平成19年度末現在162台が稼動しています。

質問事項
一の2 民間のバス会社にもCNGバスがあると思う。補助件数から推計できると思うが、会社を問わず何台あるのか伺う。

回答
 社団法人東京バス協会の調べでは、都内の民間のバス会社が路線バスとして運行しているCNGバスは平成19年度末現在114台です。

質問事項
一の3 都内には民間会社を含めて、いまだ低公害バスではない路線バスは何台程度残っていると推計されるのか伺う。

回答
 社団法人東京バス協会の調べなどから、民間バス会社を含めた都内の路線バス約5500台のうち、CNG、ハイブリッドバス及び東京都指定低公害車であるディーゼル車などを除いたバスの台数は平成19年度末現在約3500台と推計しています。

質問事項
一の4 CNGバスの購入価格は通常のバスに比べてどの程度高額なのか伺う。

回答
 大型のノンステップバスを例として比較しますと、現在の排出ガス規制に適合した新車のディーゼルバスが主要メーカーの希望小売価格の平均で約2200万円であるのに対し、CNGバスは約4割程度高額となっています。

質問事項
一の5 CNGバスの運用コストはどの程度安いのか伺う。また、ハイブリッドバスについても伺う。

回答
 バスの運用コストは、部品費などのメンテナンスコストと燃料費になりますが、車両の構造、整備方法、運行状況、燃料スタンドの設置状況などによって異なるため、一概に比較することは困難です。
 交通局の運用の例を見ると、現時点での運用コストは、平成20年度当初の燃料価格で試算した場合、CNGバスはディーゼルバスに比べ低くなっています。また、ハイブリッドバスの運用コストもCNGバスほどではありませんが、低くなっています。

質問事項
一の6 どの程度の補助金があれば、低燃費・低メンテナンスコストによる負担軽減と合わせて、ハイブリッドバスが通常バスと同じ程度の負担で購入できるのか伺う。

回答
 大型のノンステップバスを例として比較しますと、車両価格は、現在の排出ガス規制に適合した新車のディーゼルバスが主要メーカーの希望小売価格の平均で約2200万円であるのに対し、一般に普及しているハイブリッドバスは約2割程度高額となっています。
 バスの運用コストは、交通局の運用の例では、ハイブリッドバスはディーゼルバスに比べ低くなっています。運用コストに車両価格を加えたトータルコストを見た場合、依然としてハイブリッドバスが高額となりますが、運用コスト、車両価格とも、条件により違いがあるため、一概に比較することは困難です。

質問事項
一の7 都交通局は全車ハイブリッドバス化まで考えていないのか。

回答
 交通局では平成19年度に最新型のハイブリッドバスを5台導入したところです。
 ハイブリッドバスはディーゼルバスに比べ、購入価格が割高であることから、国などからの補助金を受けながら、計画的に導入を図っていきます。

質問事項
一の8 都環境局はCNGバスしか補助をしていない。国土交通省は低公害車普及促進対策において自治体の補助額の最大2倍を補助している。この制度に都が参入する予定はないのか伺う。

回答
 都はこれまで低公害車の普及による大気環境の改善を図るため、排出ガス性能に優れたCNGバスの普及を進めてきました。
 本年3月に策定した「東京都環境基本計画」では、こうした観点に加え、自動車からのCO2削減を早期に進めるため、低環境負荷で高効率な自動車使用を社会に普及させることが重要としており、ハイブリッド車に代表される低公害かつ低燃費な自動車の利用促進策を幅広く検討しています。

質問事項
二 「難病」に対する救済策について
1 「特定疾患」とされる「難病」以外にも、症例があるが治療法が確立されていない疾患が多数存在する。特定疾患と指定されるには、具体的にはどのような過程と基準があるのか伺う。

回答
 国は、難病対策として取り上げるべき疾病の範囲を「原因不明、治療方法未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病」や「経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担が大きい疾病」としています。
 このうち、難治性疾患克服研究事業の対象については、以上の要件に加え、症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まない疾病の中から、原因究明の困難性、難治度、重症度及び患者数等を総合的に勘案し、学識者からなる特定疾患対策懇談会の専門的な意見を踏まえて決定しています。

質問事項
二の2 特定外の難病について、現在検討の俎上にのっているのはどのような疾患か伺う。

回答
 「下垂体機能低下症」、「クッシング病」、「先端巨大症」、「原発性側索硬化症」、「有(ゆう)棘(きょく)赤血球を伴う舞踏病(有(ゆう)棘(きょく)赤血球舞踏病)」、「HTLV-1関連脊髄症(HAM)」及び「先天性魚鱗癬(ぎょりんせん)様(よう)紅(こう)皮症」の7疾病です。

質問事項
二の3 現在、検討の俎上に乗っている疾患について、対象者は都内で何人ぐらいと推計されるのか伺う。

回答
 先の7つの疾病については、国が対象者数を全国で約2万人と推計しているのみで、都内における患者数を推計することは困難です。

質問事項
二の4 対象者が少ないのであれば、発見段階で、特定疾患程度以下の支援策でも構わないので、支援を講ずる制度を構築してもよいと思うが、所見を伺う。

回答
 難病患者の病気や療養に関する様々な相談や問合せについては、保健所において常時対応しています。
 さらに、都では、「東京都難病相談・支援センター」を設置し、難病患者の日常生活における相談・支援及び地域交流の促進などの支援を実施しています。

質問事項
二の5 医療費負担軽減でなくとも、公的な指定がされていることが、患者と家族への支援になることもあると考えるが、所見を伺う。

回答
 難治性疾患克服研究事業の対象となった疾病については、病態の解明や治療法の開発等に関する研究が行われるとともに、難病患者等居宅生活支援事業の対象となり、ホームヘルプサービスや日常生活用具の給付などの福祉的な支援を受けることができます。
 このようなことから、都は国に対し、難治性疾患克服研究事業の対象拡大などについて提案要求しています。

質問事項
二の6 患者の孤独感を軽減する意味でも、疾患理解の広報もひとつの支援と考えるが、所見を伺う。

回答
 都では、難病に対する理解を広げるため、リーフレットの作成、ホームページの活用、講演会や研修会の開催など、情報発信や普及啓発に取り組んでいます。
 今後も、疾病理解の広報も含め、難病施策を着実に推進していきます。

質問事項
三 都市計画道路について
1 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」によると、道路の必要性についての評価項目が抽象的である。必要性の確認に当たり、数値的な評価方法を採用しているのか伺う。

回答
 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」における都市計画道路の必要性の確認については、「交通処理機能の確保」、「バス交通を支える道路網の形成」など、8つの評価項目を設定し、各評価項目毎に適合の有無を検証する方法により、評価を行っています。
 各評価項目毎の検証においては、必要に応じて数値的な評価方法も採用しています。

質問事項
三の2 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」において、道路の必要性を数値的な評価で確認しているのであれば、その基準を示してほしい。

回答
 都市計画道路の必要性の確認における数値的な評価の例としては、「交通処理機能の確保」では、将来の交通量が1日あたり6000台以上であることを基準としています。
 また、「バス交通を支える道路網の形成」では、バス停までの歩行距離が500メートルを超える地域が生じないように道路網が配置されていることを基準としています。

質問事項
三の3 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」における、道路の必要性の確認について、8つの評価項目ごとに評価結果を示すことは可能か伺う。

回答
 都市計画道路の必要性の確認について、8つの評価項目ごとの評価結果を示すことは可能であり、東京都情報公開条例第6条第1項の規定に基づく開示請求により、対応しています。

質問事項
三の4 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」における、道路の必要性の確認について、8つの評価項目ごとの評価結果をホームページや冊子で公表しているのか伺う。公表していないならば、なぜ公表しないのか伺う。

回答
 都市計画道路の必要性の確認においては、評価項目毎に評価することを目的としていないため、特に、評価項目毎の評価結果は公表していません。

質問事項
三の5 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」では、必要性の評価により、一部区間のみが要検討路線と位置付けられているが、少ない印象を受ける。必要性の評価による要検討路線の選定方法について伺う。

回答
 都市計画道路の必要性の確認については、8つの評価項目に照らして評価を行い、いずれの評価項目にも適合しない路線を要検討路線として抽出しています。

質問事項
三の6 既存の道路の拡幅などにより整備を行った場合、並行する新規の都市計画道路については、廃止を含めた検討をすべきだが、所見を伺う。

回答
 「多摩地域における都市計画道路の整備方針」では、都市計画道路のみならず、都市計画道路でない既存の国道、都道等の主要道路も含めて、道路ネットワークと位置付け、未着手の都市計画道路について、8つの評価項目に照らして、その必要性の確認を行っています。
 その結果、調布3・4・30号線の一部区間を除いて、必要性が確認されていることから、廃止等の検討を行うことは考えていません。

質問事項
三の7 都市計画道路を決定する際に、市民団体等からの意見聴取はどのように行っているのか伺う。

回答
 都市計画道路の決定または変更を行う場合には、都市計画法や環境影響評価条例による説明会等の開催、都市計画案の縦覧に基づく意見書の提出などの方法により、住民や各種団体などからの意見聴取を行っています。
 また、必要に応じて、早い段階から、関係する住民等に情報を提供して、意見聴取を行うなどの取組も行っています。

平成20年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 かち佳代子

質問事項
一 介護・福祉人材確保について

一 介護・福祉人材確保について
 近年、福祉分野で働く職員が急激に減少しており、障害(児)者施設や児童養護施設、保育施設でも、とりわけ、高齢者の介護施設や在宅介護
サービスでも人手が足りず、事業の存亡にもかかわる事態となっています。とりわけ、高齢者が安心して介護がうけられるための介護施設での人材不足は深刻です。
 本年6月、わが党都議団がおこなった。特別養護老人ホームなどに対する物価高騰の影響調査のなかでも、経営と人材をめぐる訴えが、多くみられました。
 一例をあげれば、「職員配置数の是正。介護プランに基づく個別の介護を徹底すれば、高齢化、重度化、認知症化の顕著ななかで、3:1配置では無理がある。せめて2:1にすべきであり、当苑は1.8:1でやっている。都にたいしては運営費補助をお願いしたい」「財政力があれば、千代田区のような対応も可能だが、23区以外の市町村は困難だ。措置時代のような対応を検討してほしい。要望としては〔1〕地域区分の見直し、〔2〕介護報酬基本単価の引き上げ、加算を。〔3〕介護、看護の配置基準の見直しをしてほしい」「介護報酬が固定されている福祉業界では最終的に人件費に反映される。人があつまらなければ経営も立ち行かなくなる」など切々とかきこまれていました。
 都が実施した「特別養護老人ホーム等の経営実態に関する調査」結果でも、利用者数に対する職員配置は特養・老健ともに、国基準の1.4倍の職員を配置しています。職員比率も、平成16年度に比べ、平成18年度ではほとんどの施設で上昇しており、特養で約64%、老健で56%となっていますが、現行の介護報酬では、人件費率は40%に設定されており、現実との乖離が大です。それは、療養病床の削減計画がすすむ中、本来医療的ケアの必要な人や、重度の介護度の利用者が増加していることを、裏づけるものです。
 また、職員の平均勤続年数は常勤で約5年、老健で3.7年、非常勤ではいずれも3年未満であり、入退職が激しい状況をあらわしています。
 施設長の7割以上が緊急の解決の必要な課題として、「人材確保」をあげており、人材確保が困難な理由として、特養・老健とも「給与水準が低い」という回答が8割以上、「業務内容が重労働」との回答が7割強をしめています。
 東京都社会福祉協議会でも、04年11月に現況調査を実施し、その結果6割の施設長が「職員の確保が困難」と回答。とりわけ特養では9割の施設長が「困難」と回答しています。
1 介護・福祉人材不足を打開するには、賃金、労働条件、職員配置などの改善・充実が重要だと考えますが、都の認識はどうですか。
 かつて、東京都は都内の実情にあわせて、福祉人材確保のために公私格差是正事業や運営費補助などをおこなってきました。ところが、都は介護保険制度の導入をきっかけに「全国共通の制度である」として廃止してしまいました。当時、日本共産党都議団が独自に実態調査を行い、引き続き支援が必要だと繰り返しもとめてきたにもかかわらず、都は拒否してきました。
 今回、国に、「緊急提言」をしていますが、都自身としては、従来の都加算の復活や、特養に対する特別支援事業の拡充などの努力はなく、研修の強化などにとどまっています。
 一方、千代田区では、今年度から、「不規則な勤務ローテーションなどの労働環境の改善」「緊急対応も含めた地域格差解消にかかる手当て」「人材育成」などの名目で、施設への支援をはじめました。横浜市では、特養ホームにおける前年度の利用者が平均介護度を越えた施設には、人材確保のための一部補助を今年度からスタートしています。
2 都は、「特別養護老人ホーム等の経営実態に関する調査」の結果を踏まえて、国に対し介護報酬の増額や職員配置基準の改善などを緊急提言しました。そうであるなら、都として施策を拡充することも必要だとおもいますが、どうですか。
3 特養ホーム等に対する都独自の人件費補助を実施するよう提案するものですが、お答えください。
4 特別養護老人ホーム運営の厳しい現状が、増設への支障にもなっていることを、どう認識していますか。その中で、都の用地費助成を廃止することは、特別養護老人ホーム設置に逆行するのではないですか。お答えください。
 特別養護老人ホームの設置促進にむけ、用地費補助の存続をつよく求めておきます。
 つぎに、小規模な施設への支援について伺います。
 私は都内の入所定員30名、デイサービス24名の小規模の特養ホームで、理事長から伺いました。「夜勤もふくめると職員配置が常勤9人、非常勤7人。派遣職員4人であったが、国基準の3:1では足りず、2:1の配置でフル稼働している。05年までは、なんとか募集をすれば2ケタの応募があったが、06年以降、よくて2人くらいしか採用できない。初任給を少し上げても応募がなく、その結果、人件費率も年々上がり、現在65%であるが、このままいけば、危険水域の70%に達するのではないかと危惧している。平均勤続年数も常勤で2年。入れ替わりが激しい。人材を確保できなければ、利用者定数を減らさざるをえない」と、苦悩していました。
 他にも、措置制度から介護保険制度への移行にともない、施設規模を無視した介護報酬が設定されたことにより、小規模な特別養護老人ホームの運営が、如何に厳しい現状におかれているかを、切々と訴える声が寄せられています。
 都の調査結果でも、「特別養護老人ホーム及び介護老人保健施設とも、小規模な施設の利用率は他の定員規模の施設と比較して遜色ないにもかかわらず、収支についてはいずれも施設平均を下回り、厳しい状況におかれている」「そのため、都は小規模な施設の整備がすすんでいない」と認め、国に対し施設の定員規模別に応じた段階的な介護報酬を設定するよう求めています。
 この問題についても、国に要望することは重要ですが、都の施策としてなにをするかが問われています。
 江東区では、60床以下の小規模な特養ホームの運営の困難さに手をさしのべています。収入基準の1段階から3段階の利用者の食事の差額を支援するなど経営支援策を実施しているのです。
5 とりわけ、定員が60名以下のような小規模な特養ホームに対する支援の強化は急務です。都の認識と対応をお聞きします。
 都が実施した「小規模多機能型居宅介護実施調査」の結果、小規模多機能型居宅介護がきわめて零細かつ、事業の安定性を確保しにくい事業であるにもかかわらず、それにふさわしい制度設計、介護報酬の設定がされていないため、多くの事業所が赤字経営を余儀なくされていること等が明らかになりました。
 2007年9月1ヶ月の収支において、事業所の3分の2が赤字であり、開設してから1年以上経過した都内の6事業所のうち、黒字に転換した事業所は2箇所にとどまっています。
 都は国に対し、小規模多機能型居宅介護の介護報酬の見直しなどを要望していますが、都として、整備補助の拡充や少なくとも、事業の立ち上げから運営が軌道に乗るまでの運営費補助、宿泊室の利用料軽減助成などに踏み出すことが求められています。
6 小規模多機能型居宅介護については、都の「実態調査」の結果を踏まえ、都として新たな設置促進策を講ずることが必要です。今後の都の対応をお聞きします。
 障害者施設からも、「福祉の現場はワーキングプアの現状です。人に心をこめて向き合っている人が、プアというのはおかしいとおもいます」「福祉の現場から人材が流出し、人が集まらない。先行きの不安と賃金格差が根底にある。なんとか行政の力で支えてほしい」「福祉は人とのつながりが大事だが、人の確保ができない状態にあります」「働く側の条件向上がなんとしてもなされなければ、日本の福祉はありません」などの声が寄せられています。
 また、児童養護施設では、勤続年数が4年未満の経験の浅い職員(児童指導員、保育士)が全体の過半数におよぶこと、児童養護施設における退職理由は「うつなどの精神的な疾患」「燃え尽き症候群」が施設全体にくらべ2倍近い割合にのぼるなど、職員の疲弊・負担感が増大し、バーンナウトによる離職につながっている状況が明らかになっています。
7 障害者福祉施設や児童養護施設の人材不足の深刻な現状については、どう認識していますか。また、今後の対応をお聞きします。
8 私立保育園などの社会福祉施設に対するサービス推進費補助を拡充し、職員の確保・定着を促進するため、経験年数加算を再開してほしいとの声が現場からあがっていることを、どううけとめているのですか。前向きに対応すべきとおもいますが、答弁をもとめます。

平成20年第二回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 介護・福祉人材確保について
1 介護・福祉人材不足の打開には、賃金、労働条件、職員配置などの改善・充実が重要と考えるが、都の認識について伺う。

回答
 都では、既に平成19年5月、国に対し、賃金や物価水準の地域差等を適切に反映した介護報酬とするよう提言しています。
 また、平成20年6月には、昨年の内容に加え、介護人材の定着・確保を図るため、人員配置基準について、実態を踏まえたものに改めるとともに、介護報酬上適切に評価すべきことなどについても提言を行っています。
 今後とも、平成21年度の介護報酬改定に向けて、国に働きかけていきます。

質問事項
一の2 都は、特別養護老人ホーム等の経営実態に関する調査結果を踏まえて、国に対し、介護報酬の増額や職員配置基準の改善などを提案したが、都として施策を拡充することも必要だと思うが、所見を伺う。

回答
 特別養護老人ホームの運営に要する費用は、国が定める介護報酬と利用者負担を充てることとされています。
 今後とも、平成21年度の介護報酬改定に向けて、国に働きかけていきます。

質問事項
一の3 特別養護老人ホーム等に対する都独自の人件費補助を実施することを提案するが、所見を伺う。

回答
 特別養護老人ホームの運営に要する費用は、国が定める介護報酬と利用者負担を充てることとされており、都独自に人件費補助を実施する予定はありません。

質問事項
一の4 特別養護老人ホーム運営の厳しい現状が、増設への支障にもなっていることをどう認識しているか伺う。また、その中で、都の用地費助成廃止は、特別養護老人ホーム設置に逆行するのではないか、所見を伺う。

回答
 特別養護老人ホームの用地費取得助成事業は、約半数の区市町村で特別養護老人ホームが未整備であった昭和60年度に開始したものですが、当時は施設用地の自己所有が原則であり、用地確保が大きな課題となっていました。
 その後、国の規制緩和により、民有地の貸付けによる特別養護老人ホームの整備が可能となり、現在は、定期借地権制度の創設や、用地取得費に対する融資制度の充実など、状況が大きく変化しました。
 こうしたことから、用地取得費助成事業は平成20年度着工分をもって終了することとしました。

質問事項
一の5 小規模な特別養護老人ホームの運営が非常に厳しい現状におかれている。定員が60名以下の小規模特養ホームに対する支援の強化は急務である。都の認識と対応について伺う。

回答
 特別養護老人ホームの運営に要する費用は、国が定める介護報酬と利用者負担を充てることとされており、都は、既に、平成19年5月及び平成20年6月に「定員規模に応じた段階的な報酬設定とすべき」ことなど、来年度の介護報酬改定に向けて国への提言を行っています。

質問事項
一の6 小規模多機能型居宅介護については、都の実態調査の結果を踏まえ、都として新たな設置促進策を講ずることが必要である。今後の都の対応について伺う。

回答
 都は、既に、平成18年度から3か年の「地域密着型サービス等重点整備事業」として、独自に施設整備費補助を実施しています。
 また、平成20年度には、区市町村自らが事業者に所有地を貸し付けて整備する場合、通常の補助に1500万円を加算するモデル事業を実施しています。

質問事項
一の7 障害者福祉施設や児童養護施設の人材不足の深刻な現状について、どう認識しているのか伺う。また、今後の対応について伺う。

回答
 近年、民間企業の求人が活発化する中で、福祉分野における人材確保は、厳しい状況にあると認識しています。
 そのため都は、平成19年8月の東京都社会福祉審議会の意見具申を踏まえ、平成20年度から新たな研修事業の実施や就労支援の充実など、総合的な育成・確保策を講じています。
 また、国に対して、基準・報酬等の改定を始め、地方自治体の多様な取組に対する支援など、必要な措置を講じるよう提案要求しています。

質問事項
一の8 私立保育園などの社会福祉施設に対するサービス推進費補助を拡充し、職員の定着促進のため、経験年数加算を再開してほしいとの現場の声をどう受け止めているのか。前向きに対応すべきだが、所見を伺う。

回答
 民間社会福祉施設サービス推進費補助は、平成16年度に再構築を行い、施設の定員、利用者数、職員の経験年数等に基づく画一的な仕組みから、施設における実際のサービス内容やサービス向上に向けた努力に連動するよう改めたものであり、経験年数による加算を行う考えはありません。

平成20年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 石毛しげる

質問事項
一 首都大学東京の9月入学について
二 助産所を包括した地域周産期ネットワークの確立及び緊急搬送体制の整備状況について
三 妊婦健診について
四 都立松沢病院における医療観察法施設について

一 首都大学東京の9月入学について
 政府は2020年までに「留学生30万人に増やす計画打ち出した、実施に移すとともに、具体策として、産学官連携による海外の優秀な人材の大学院、企業への受け入れの拡大を進める」と発表している。
 07年度の留学生は12万人であり、今後12年で2.5倍に引き上げなければならない、今の現状ではこの目標はかなり高いハードルといえよう。
 私は大学、大学院における教育、研究のレベル、ひいては日本経済、日本企業の国際競争力を高めるため、首都大学東京での9月入学を推進するべきだと考える。
 学部段階で05年度に9月入学の制度を設けていたのは国公立、私立大学併せて153大学あり入学者は1569人いたが、05年度の全入学者60万4千人に占める割合は1%に満たない。その半数以上は留学生である(毎日新聞、日本経済新聞)。制度はあるもののその利用は進んでいないというのが現状である。
 まず一般学生のケース考えると、入学時期の「原則4月」の撤廃は文部科学省による大学だけに対しての方針であり、9月入学が進まない原因は高校卒業後の大学進学までの空白(入口)や大学卒業後の進路先である企業での受け入れ態勢(出口)が整っていないと考える。
 大学進学までの空白時期についてだが、教育再生会議でも議論された英国で浸透しているというギャップイヤーという制度がある(英国では、主に大学入学の資格を得た18歳から25歳の希望者が取り組む習慣。高校卒業の6月から、大学が始まる翌年10月までの16カ月を猶予期間として使う場合が多く、ボランティアや就業体験、旅行などをする。全学生十数%にあたる約4万5千が毎年利用するという、体験した学生は勉強の動機がしっかりしているとの声が多い。)。また、入試時期については現行の4月入学を9月にも同様に行っていく。高校卒業から大学入学までのギャップイヤーという時期は、進路先である大学が指定するアルバイトやボランティア、就業体験などを行う。途中で入学予定者が集まり大学でスクーリングを行ない、それらの結果を単位認定するのも良いだろう。それは大学入学せずドロップアウトしてしまうという不測の事態にも備えられるのではないか。
1 そこで首都大学東京でも、英国で浸透しているようなギャップイヤーという制度を国に先駆けて都が導入することを考えられないか。
 一方、出口の方の大学卒業後の進路先である企業だが、現状では入社時期によって給与体系に差が生じる心配があるが、こうした契機に改めて給与、賃金体系を見直してもらうのもよいと考える。
 幸い首都である東京にはあらゆる業種の企業が本社機能を置いている。これらの中から、柔軟な給与体系を採用している企業(勿論、それ以外にも)に9月入学、9月入社の意義を理解して頂き積極的な採用を促すあるいは協力を求めていくといった行動は今後、都としても必要になっていくと考えられる。
2 首都大学東京が企業に対して9月入学の就職を受け入れてくれるように働きかけられないか。
 また、留学生のケースでは上記の通り9月入学の半数以上は留学生ではあるが、制度があるにもかかわらず入学数は伸びない。
 9月入学制度が存在しても利用されなくては無意味である。早稲田大学では98年から学部と大学院の一部で、日本語能力を問わず、英語能力だけを問い小論文などを中心とする欧米型の9月入学も行なったところ、アジアから欧米に流れるはずの逸材が入ってきたようだ(朝日新聞)。
 早稲田大学は少子化で学生の質が低下しているため、学部レベルで1、2割の生徒を優秀な留学生に置き換えたいとしている。この例こそが大学の教育、研究レベルの国際競争を高める為のよい例ではないだろうか。また、日本の学生にとっても間近に外国語や多文化に触れ、大学内において生きた外国が学べるメリットもある。少子化が続き、今後も各大学は学生獲得に奔走するであろう。もし9月入学が浸透しないままであるなら、確実に今後も日本の大学は世界の中から忘れ去られるであろう。それは大学崩壊に繋がり、結果、日本経済にも同じような状況が反映されていくのは想像に難しくない。
 少子化を迎え学生確保がかなり難しくなってきた今日、優秀な外国人留学生の受け入れは教育、研究レベルを保つために必要不可欠な存在であり、入学定員不足に悩む各大学にとっては大きなビジネスチャンスでもある。
 上記のような事を踏まえ、今後、首都大が大学、大学院における9月入学を推し進めていくことには十分価値があると考えられる。
 現在、首都大では大学院で9月入学は行なわれており、昨年度は1学科のみの実施だったが今年度は3学科に増えるということである。それに対し学部段階では残念ながら実施されてはおらず、旧都立4大学の1つであった旧都立科学技術大学において平成16年度に若干名募集したところ1名の応募があったのみのようだ。
 さて、我が国で留学生の受け入れが遅れている原因は日本の4月入学とともに言語、日本語の問題が挙げられると考えられる。言語の壁は留学生、受け入れる側の大学双方にとって難しい問題であるが、早稲田大学の例のように欧米型の9月入学を導入することによって留学生の確保はかなり望めるはずだ。ただ入試を行うだけでは勿論、不十分であり都や大学側はカリキュラム、奨学金、学生寮、進路など留学生に対するあらゆる制度、支援を整えていかなくてはならず、一般学生に対するそれとは比べものにならない負担が都や大学側に生ずるであろう。しかし、我が国で留学経験のある有望な学生が卒業後、世界各地で活躍することによって我が国にもたらすだろう有形無形の利益はその負担を大きく上回るはずである。
 ちなみに、我が国の留学生の出身国、地域は中国が60.2%、韓国14.6%、台湾4.0%、ベトナム2.2%、マレーシア1.8%、タイ1.8%、その他15.4%となっている(07年度文部科学省調べ)。我が国の地理上、留学生の出身国の人口などの理由から東アジアや東南アジアの留学生が多く占める構図は今後も大きく変化しないであろうが、欧米型の9月入学の導入により、更に世界各地からの留学生の獲得が望めると考える。
3 そこで、首都大学東京が9月入学に力を入れることは勿論であるが、国公立大学に対してもこうした取り組みを協働してできないか伺う。
二 助産所を包括した地域周産期ネットワークの確立及び緊急搬送体制の整備状況について
 現在、多摩地区における有床助産所は12カ所あり、そのうち半数以上の7カ所を一人の医師が嘱託医を引き受けている。今年度から、助産所においては、産科の嘱託医を確保しないといけなくなったが、嘱託医を引き受ける数少ない医療機関がかりに閉院したならば、助産所の営業ができなくなり、助産所での出産を希望している妊婦も希望どおりの出産ができなくなる。
 こうしたことから、院内助産所も含め助産所は自然分娩ができるローリスク妊婦を取り扱い、帝王切開など手術が必要なハイリスクの妊婦は医師が取り扱うというように、医師と助産師の役割分担を明確にし、互いに協力して妊産婦のケアにあたることができるというような環境整備を行政が積極的に進めていくことが必要だ。
 これにより、助産所は嘱託医を確保しやすくなり、安定的な経営が可能となるほか、大病院でのローリスク分娩が減り、緊急時の空きベッドの確保ができ、問題となっている救急車のいわゆる「たらい回し」を減少させることにも繋がると思うが、どう考えるか。
三 妊婦健診について
 国は少子化対策のための地方交付税を前年度より増やしてはいるものの、交付税の使い道は各区市町村に任されているため、地域によって助成に格差が生まれている。現に、経済的理由による未健診者は年々増加の傾向にある。この未健診者が飛び込み出産をする際、未健診のため医療機関に拒否される場合があり、その件数は妊婦健診に対する助成回数の少ない県ほど多く見られる。
 そこで妊婦健診の公費負担について伺う。
 都内区市町村では、里帰り出産などで居住地以外の場所での健診を公費負担の対象としない自治体が約6割、助産所での健診を公費負担の対象としない自治体が約8割ある。
 自治体により、里帰り出産などの居住地以外の場所での健診や、助産所の健診などについては、公費負担の対象としての扱いに違いがみられるが、現状をどう考えるか所見を伺う。
四 都立松沢病院における医療観察法施設について
1 全国最初の施設が小平市にできたときは、直接厚生労働省から地元市議会や自治体へ説明があったと聞いている、今回も地域への丁寧な対応は充分にできているのか。
2 この施設の根拠法は、司法と精神科医療の協働した取り組みとして課題と希望を持ったものですが、退院など司法と医療双方の判断が組み合わさる部分の運用はうまくいっているか。
3 退院後は対象者の過去の住居地に戻して診察をしていく、ということであるが、この対応も各県市町村は的確にすすんでいるのか。このことは施設のある自治体にとっては大きな関心事ですので詳細に説明して下さい。
4 この施設は国費での対応はどこまででしょうか。
5 この施設の医師は「人数が多いことを強調しているが、本来なら普通の精神科病棟にこの程度のスタッフがいることは欧米では珍しいことではない、理想とされるべきことだ。」と感想を漏らしています。制度に対する疑問は多々あるが、この感想は前述の「希望」という部分です。このような重度の精神障害者が、多くの専門家の手を経て外来通院在宅療養ができるプロセスを構築されるとしたら、それは1つの理想であります。少し前の話ですが、松沢病院などで急性期に非合法的活動(犯罪歴あり)をしていたような薬物中毒患者を警官でも警備員でもない看護師が取り押さえる危険性に疑問を持つ、というスタッフの意見を聞いたことがある。人数や体制の問題についてこの施設の経験が一般病棟のあり方への改善の試金石になるのではないか伺いたい。

平成20年第二回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 首都大学東京の9月入学について
1 大学・大学院における教育・研究レベルを高めるため、首都大での9月入学を推進すべきである。首都大でも、英国で浸透しているギャップイヤーという制度を国に先駆けて導入できないか伺う。

回答
 秋季入学については、海外の優秀な人材の大学への受け入れ拡大という観点から意義のあることと認識しており、ご指摘のギャップイヤー制度の導入は、秋季入学の導入により生じる高校卒業後から大学進学までの半年の期間を有効に活用するためのひとつの手法と考えています。
 しかし、こうした制度を導入しても、4月入学と秋季入学が共存する中では、入学時期の異なる学生への対応のため、カリキュラム編成に制約が生じるなど、学修環境において学生に不利益が及ぶおそれがあります。
 また、高校卒業時期が3月である中で、首都大学東京だけがギャップイヤー制度や秋季入学を導入した場合に、国内での優秀な学生確保という目標と両立できるかという懸念もあり、秋季入学に向けた社会全体としての取組が進むことが重要であると考えます。 

質問事項
一の2 大学の9月入学が進まない原因に、卒業後の進路先である企業での受入態勢が整っていないことがある。首都大が企業に対して9月入学の就職を受け入れてくれるよう働きかけできないか伺う。

回答
 国の行った調査によれば、企業経営者が考える秋季入学への移行のデメリットとしては、「既存の人事体系、給与体系との調整が困難になる」という回答だけでなく、「事業年度とのズレが不合理」「高卒者の採用とのズレが不合理」という回答も多い状況です。
 こうした状況を踏まえると、秋季入学の導入に際しては、年度開始時期の変更について、企業や高校も含めた社会全体の合意ができることが、まず、必要と考えます。

質問事項
一の3 首都大が9月入学に力を入れることは勿論であるが、国公立大学に対してもこうした取組を協働してできないか伺う。

回答
 秋季入学導入の手法のひとつとして、他の国公立大学との協働もありますが、他大学において4月以外の入学を導入した学部の入学者数が減少しているという事例もあり、秋季入学に向けた社会全体としての取組が本格化することが、他大学との協働を進めるにあたっての重要な要素となると考えます。

質問事項
二 助産所を包括した地域周産期ネットワークの確立及び緊急搬送体制の整備状況について
 院内助産所も含め助産所はローリスクの妊婦を取り扱い、ハイリスクの妊婦は医師が取り扱うというように、医師と助産師の役割分担を明確にし、互いに協力して妊産婦のケアにあたることができるというような環境整備を行政が積極的に進めていくことで、助産所の安定的な経営が可能となるほか、大病院の緊急時の空きベッドの確保ができ、いわゆる「たらい回し」を減少させることにも繋がると思うが、どう考えるか。

回答
 都においては、医療連携を進めるツールとして周産期医療機関「連携ガイドライン」を平成20年3月に作成しました。
 今後、都内各地域で、この連携ガイドラインを基本に、周産期医療ネットワークグループを立ち上げ、周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所等の協力のもと、周産期医療を提供する体制を構築していきます。
 こうした取組を通じて助産所と医療機関との「顔の見える関係」づくりが進み、助産所も嘱託医を確保しやすくなるものと考えられます。

質問事項
三 妊婦健診について
 自治体により、里帰り出産などの居住地以外の場所での健診や、助産所の健診などについては、公費負担の対象としての扱いに違いがみられるが、現状をどう考えるか所見を伺う。

回答
 妊婦健康診査の公費負担の具体的な実施方法については、基本的には、実施主体である区市町村が、地域の実情に応じて、独自の判断によって行っているものと考えています。
 都は必要に応じ、こうした区市町村の取組を支援しています。

質問事項
四 都立松沢病院における医療観察法施設について
1 医療観察法に基づく全国最初の施設が小平市にできたときは、地元市議会や自治体へ説明があったと聞いている。都立松沢病院についても、地域への丁寧な対応は充分にできているのか伺う。

回答
 精神医療センター(仮称)整備運営事業の実施に当たっては、地元の協力、理解が不可欠であると認識しています。
 このため、平成18年10月に本事業の整備計画を公表してから、この間、地元世田谷区や医師会等関係機関に対する説明を行ってきました。また、松沢病院の周辺にお住まいの方を初めとして広く住民の方を対象とした説明会を開催するなど、整備計画の説明や情報提供を積極的に行うとともに、住民の方の意見もお伺いしてきました。
 加えて、先般、本事業に関する意見交換の場として、地域連絡協議会を設け、町会長や商店会長といった方々に参加いただくなど、十分な対応に努めています。
 今後も、こうした取組によって、引き続き、ご理解、ご協力をいただきながら、本事業を進めていきます。

質問事項
四の2 医療観察法に基づく施設の根拠法は、司法と精神科医療の協働した取組として課題と希望を持ったものだが、退院など司法と医療双方の判断が組み合わさる部分の運用はうまくいっているのか伺う。

回答
 心神喪失者等医療観察法に基づく入院や退院などの決定は、裁判所が行いますが、例えば、退院許可の決定手続では、指定入院医療機関の管理者が、保護観察所の長の意見を付して、裁判所に申立てを行い、裁判所は指定入院医療機関の管理者の意見を基礎とし、かつ、対象者の生活環境を考慮して、退院の許可の決定を行います。
 このような手続の中で、司法と医療などが密接に連携・協力して、本制度の円滑な運用が行われていると考えています。 

質問事項
四の3 退院後は対象者の過去の住居地に戻して診察をしていくとのことだが、この対応は各県市町村で的確に進んでいるのか。施設のある自治体にとって大きな関心事であり詳細な説明を求める。

回答
 法務省及び厚生労働省が定めるガイドラインでは、地域社会における処遇への円滑な移行を図るため、対象者の居住地を退院予定地とすることを原則として、保護観察所が退院後の生活環境を調整していくこととなっています。
 現在、心神喪失者等医療観察法に基づく入院医療機関や通院医療機関の指定が進められている中、こうしたガイドラインに基づいた退院予定地の調整が的確に進められているものと考えています。

質問事項
四の4 医療観察法に基づく施設は、国費での対応はどこまでなのか伺う。

回答
 心神喪失者等医療観察法に基づく入院施設の整備については、法令や厚生労働省の定めた要綱に基づき全額が国費で賄われることとなっていますが、本事業でも、施設整備に要する費用の全額を国費により賄っていく予定です。

質問事項
四の5 病棟における人数や体制の問題について、この施設の経験が一般病棟のあり方への改善の試金石になるのではないか。所見を伺う。

回答
 心神喪失者等医療観察法に基づく入院医療では、対象者に継続的に適切な医療を提供し、病状の改善を図り、その社会復帰を促進するという法の目的を達成するため、手厚い専門的な治療を行っていきます。
 一方、現在の松沢病院の人員配置は、病棟の性格に応じて、医療法の配置基準を上回って配置するなど、一般の精神科病院に比較して手厚い体制となっています。
 このような人員配置や体制については、基本的には、診療報酬制度やその施設基準を総合的に勘案して決めていくものと考えますが、引き続き、必要な人員配置に努め、適切な医療の提供に万全を期していきます。

平成20年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松村友昭

質問事項
一 練馬の医療問題について

一 練馬の医療問題について
 練馬区の人口がこの4月14日に70万人となりました。人口が増え続ける中、区民のもっとも強い要望は安心してかかれる医療で、医療過疎ともいえる練馬の現状を抜本的に解決して欲しいという願いです。
 この間、区民、行政、議会あげての取り組みで、都に、練馬区などの病床規制を緩和させ、公的性格をもつ病院と位置づける、400床の順天堂大学病院を誘致する等、事態打開へ向けた取り組みが始まっています。
 しかし、「順天堂なども開設して良かったが、既に飽和状態。そもそも病床、病院が少ないため400床増床程度では『焼け石に水』であり、抜本的にはもっと病院が増えないと対応できない」と医療関係者も指摘しています。
 わが党が3月半ばから配布をはじめた、練馬区での「医療問題アンケート」は、既に3千通の回答が寄せられ、「こうしたアンケートを待っていた」との声にみられるように、区民の医療問題に対する強い関心と、切実な、緊急に解決を図らなければならない課題が浮き彫りになりました。
 以下、その中間結果にもとづき、都政に関わるいくつかの点を質します。
 第1は、練馬区は人口数に対する病院のベッド数がひきつづき圧倒的に不足している問題の解決です。
 今回改訂された東京都保健医療計画の二次医療圏では、練馬が属する西北部圏域は、239床の過少地域となりましたが、練馬区だけを見ると、人口10万人あたり302床で、全都平均の3分の1以下でひきつづき全都最低の状態となっています。
 アンケートにも「区内に信頼できる高度医療の病院を」など、医療体制の拡充、改善を望む書き込みが多数ありました。病院などの整備には時間がかかります。
 そこで、今後、練馬区内で病院の新設や増設ができるようにするためには、練馬区内で人口数に見合う病床が安定して確保できるように、現在の医療圏の抜本的な見直しが求められます。
1 そのために、人口70万人を越える練馬区を単独の医療圏に設定することや、医療圏内でも行政区ごとに人口の応じた配分を取り入れることなどの検討を求めるものですが、見解を伺います。
 第2は、練馬区内への三次救急医療施設の整備です。
 アンケートで、「練馬区の医療体制などで充実してほしいのは」の回答で「区内に高度医療、救急が可能な公的病院の増設」の要望が42.2%にのぼりました。三次救急医療は現在、都内で22箇所の救命救急センターが担っていますが、その配置状況から見ると、練馬区はもとより、近隣の杉並区、中野区、西東京市にはありません。
 すでに東京の救命救急センターの設置数は1993年17箇所、98年20箇所、03年21箇所、08年22箇所と整備が進み、国の指針の100万人単位を上回って、50万人に1箇所の整備となっています。
 しかし、国の「救急医療体制の構築に係わる指針」でも、第三次救急医療機関は、「人口当たりの数としては十分な整備が行われたところであるが、その地理的配置を見ると、複数の救命救急センターを持つ地域がある一方で、最寄の救命救急センターまで長時間の搬送を要する地域も多数存在するなど、課題が残されている」としています。
 こうした現状からしても、練馬だけでも、人口70万人を越え、周辺の地域合わせれば、100万の人口を抱える地域がいわば空白となっている現状は早急に改善されるべきだと考えます。
2 練馬区内に、都の責任で、救命救急センターの整備を図るべきだと思いますが、どうか。
 第3は、練馬区のあらたな病院建設に対する都の支援です。
 練馬区は、今回の都保健医療計画の改訂によって、病床を増やすことが可能になったことを受け、区内でのあらたな病院・病床を少なくとも5百床確保する検討に入りました。
3 そこで、練馬区で、新たな病院の新・増設が優先的に整備できるようにすべきだと強く求めるものですが、見解を伺います。
4 また、区内では2箇所の病院に対して、公的病院として位置づけ、区としての支援を行っています。区内には、都立病院もない現状にかんがみ、市立病院並みの運営費の補助制度をつくって恒常的な財政支援を行うべきです。それぞれ答弁を求めます。
 第4は、都の医療施策の取り組みへの要望です。
 その一つは、都立清瀬小児病院の統廃合をやめてほしい要望です。
 アンケートでは、「都立清瀬小児病院の統廃合や都立病院を縮小していく動きについて」の回答で、反対が66%にのぼりました。人口に見合う、小児医療が圧倒的に不足する練馬にあって、とりわけ小児救急は区内の医療機関も清瀬小児病院がよりどころです。
5 練馬区民が多く利用している清瀬小児病院は存続させてほしいとの区民の要望にこたえるべきだと思いますがどうですか。
6 もし、この病院を廃止したら、北多摩北部医療圏は病床過剰地域となっていますから、新たな病院建設は出来ないことをどう認識していますか。それぞれ答弁を求めます。
7 二つは、現在、都の小児初期救急事業補助は、「1区1箇所」とされていますが、子供の人数や区の面積などの実態を勘案して、「複数箇所の補助金制度」に拡充して、練馬などを支援すべきだ思いますが、どうか。
 三つは、リハビリテーション医療の充実です。
 リハビリテーション医療の充実も区民の切実な要望の一つです。現在12箇所指定されている地域リハビリテーション支援センターも、おおむね二次保健医療ごととされているため、西北部医療圏は都立豊島病院が指定されていて、練馬を含む膨大な地域が空白地域となっています。
8 この改善のためにも、練馬区内での地域リハビリテーション支援センターの整備にぜひ東京都の支援を求めるものです。見解を伺います。

平成20年第二回都議会定例会
松村友昭議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 練馬の医療問題について
1 人口70万人を超える練馬区を単独の医療圏に設定することや、医療圏内でも行政区ごとに人口に応じた配分を取り入れることなどの検討を求めるが、見解を伺う。

回答
 「東京都保健医療計画」(平成20年3月改定)において、二次保健医療圏は、住民の日常生活行動の状況、交通事情、医療資源の分布等を総合的に勘案の上、設定しており、見直す考えはありません。

質問事項
一の2 練馬区内に、都の責任で、救命救急センターの整備を図るべきだが、見解を伺う。

回答
 練馬区を含む区西北部保健医療圏においては、既に2か所の救命救急センターを指定しています。

質問事項
一の3 今回の東京都保健医療計画の改訂により、練馬区は病床を増やすことが可能になった。練馬区で、新たな病院の新・増設が優先的に整備できるようにすべきだが、見解を伺う。

回答
 基準病床(療養病床及び一般病床)は、医療法により二次保健医療圏ごとに定めることとなっており、東京都においては、複数の区市町村からなる二次保健医療圏ごとに設定しています。
 したがって、圏域内において、特定の区市町村における整備を優先的に取り扱うことはできません。

質問事項
一の4 区内2か所の病院に対し、公的病院として位置づけ、区としての支援を行っているが、都立病院もない現状にかんがみ、市立病院並みの運営費補助制度をつくって恒常的な財政支援を行うべきだが、所見を伺う。

回答
 市町村公立病院運営費補助金は、多摩及び島しょ地区における地域医療の確保と向上に資することを目的として市町村が設置する病院の運営に対し補助を行っているものであり、御提案のような補助制度を創設する考えはありません。

質問事項
一の5 練馬区民が多く利用している清瀬小児病院は存続させてほしいという区民の要望にこたえるべきだと思うが、所見を伺う。

回答
 限られた小児医療資源を最大限に有効活用していくため、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を統合し、「こころ」から「からだ」に至る高度・専門的な医療を提供する病院として小児総合医療センターを整備し、都における小児医療の拠点として充実を図っていきます。
 一方、北多摩北部地域の小児医療体制を確保するため、初期医療を担う地元市、二次医療を担う多摩北部医療センター、三次医療を担う小児総合医療センターがそれぞれの機能に応じた役割分担のもとに連携を強化することとしています。
 また、二次医療を担う多摩北部医療センターの充実強化を図るため、東京都保健医療公社や同センターと密接に連携し、体制を整備していきます。

質問事項
一の6 清瀬小児病院を廃止した場合、北多摩北部医療圏は病床過剰地域となっているため、新たな病院建設はできなくなることをどう認識しているのか、所見を伺う。

回答
 清瀬小児病院移転後の北多摩北部地域における小児医療については、地元市、多摩北部医療センター、小児総合医療センターがそれぞれの機能に応じた役割分担のもとに連携を強化するとともに、二次医療を担う多摩北部医療センターの小児科を充実強化し、その体制を整備していきます。

質問事項
一の7 都の小児初期救急事業補助は、「1区1箇所」とされているが、子供の人数や区の面積などを勘案し、「複数箇所の補助金制度」に拡充し、練馬区などを支援すべきだが、見解を伺う。

回答
 都では、「東京都保健医療計画」に基づき、平成24年度までに都内全区市町村で小児初期救急診療事業が実施されることを目指しており、引き続き全区市町村での実施を最優先課題として取り組んでいきます。

質問事項
一の8 地域リハビリテーション支援センターの設置が二次保健医療圏ごととされており、練馬を含む膨大な地域が空白地域となっている。この改善のため、練馬区内での地域リハビリテーション支援センターの整備に都の支援を求めるものだが、見解を伺う。

回答
 地域リハビリテーション支援センターは、二次保健医療圏ごとに1か所を指定することとしており、区西北部保健医療圏においては豊島病院を指定しています。

ページ先頭に戻る