平成二十年東京都議会会議録第七号

平成二十年六月十日(火曜日)
出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
五番きたしろ勝彦君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番西岡真一郎君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番田中たけし君
二十一番神林  茂君
二十二番早坂 義弘君
二十三番高木 けい君
二十四番崎山 知尚君
二十五番宇田川聡史君
二十六番高橋 信博君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番村上 英子君
四十一番鈴木あきまさ君
四十二番秋田 一郎君
四十三番山加 朱美君
四十四番串田 克巳君
四十五番吉原  修君
四十六番山田 忠昭君
四十七番田代ひろし君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番三宅 茂樹君
六十四番高島なおき君
六十五番鈴木 一光君
六十六番菅  東一君
六十七番石森たかゆき君
六十八番矢島 千秋君
六十九番鈴木 隆道君
七十番こいそ 明君
七十一番倉林 辰雄君
七十二番遠藤  衛君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番三原まさつぐ君
八十八番田島 和明君
八十九番林田  武君
九十番野島 善司君
九十一番高橋かずみ君
九十二番樺山たかし君
九十三番新藤 義彦君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番服部ゆくお君
百十二番川井しげお君
百十三番吉野 利明君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番馬場 裕子君
百二十一番大沢  昇君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

欠席議員 なし
欠員
   四十八番 七十九番

出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長中村 正彦君
知事本局長大原 正行君
総務局長押元  洋君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監矢代 隆義君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長吉川 和夫君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長島田 健一君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長矢口 幸一君
労働委員会事務局長有留 武司君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

六月十日議事日程第一号
第一 第百三十二号議案
  東京都恩給条例の一部を改正する条例
第二 第百三十三号議案
  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百三十四号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第四 第百三十五号議案
  東京都収入証紙条例を廃止する条例
第五 第百三十六号議案
  土地収用法関係手数料等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百三十七号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百三十八号議案
  東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第八 第百三十九号議案
  東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第九 第百四十号議案
  東京都医師奨学金貸与条例
第十 第百四十一号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百四十二号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十二 第百四十三号議案
  東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第十三 第百四十四号議案
  東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例
第十四 第百四十五号議案
  東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第十五 第百四十六号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百四十七号議案
  温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第百四十八号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百四十九号議案
  都立多摩養護学校(二十)校舎増築工事請負契約
第十九 第百五十号議案
  東京都多摩産業支援拠点(仮称)(二十)新築及び改修工事請負契約
第二十 第百五十一号議案
  警視庁赤坂警察署庁舎(二十)改築工事請負契約
第二十一 第百五十二号議案
  中央環状品川線大井地区トンネル工事請負契約
第二十二 第百五十三号議案
  中央環状品川線シールドトンネル工事―二請負契約
第二十三 第百五十四号議案
  ヘリコプターの買入れについて
第二十四 第百五十五号議案
  ヘリコプターの買入れについて
第二十五 第百五十六号議案
  大型ヘリコプター用エンジンの買入れについて
第二十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
第二十七 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき平成二十年三月三十一日専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十八 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき平成二十年四月三十日専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

 午後一時開会・開議

○議長(比留間敏夫君) ただいまから平成二十年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十一番  西岡真一郎君 及び
   六十七番 石森たかゆき君
を指名いたします。

○議長(比留間敏夫君) この際、謹んでご報告を申し上げます。
 名誉都民加瀬三郎氏には、去る四月十一日、また、名誉都民辻清明氏には、四月十五日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 平成二十年六月三日付東京都告示第八百二十八号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案二十五件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した損害賠償請求事件の控訴提起外二件の報告及び承認について、依頼がありました。
 次に、平成二十年第一回定例会の会議において同意を得た収用委員会委員及び収用委員会予備委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、平成十九年度東京都一般会計予算外三件の明許繰越について、平成十九年度東京都一般会計予算外一件の事故繰越について及び平成十九年度東京都中央卸売市場会計予算外六件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分をした訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、包括外部監査の結果に基づき知事が講じた措置の通知内容について、提出がありました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載〕

○議長(比留間敏夫君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から六月二十五日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 去る四月十一日、名誉都民である加瀬三郎さんが逝去されました。また、四月十五日には、同じく名誉都民である辻清明さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 さて、今月五日未明、IOC理事会において、東京は、マドリード、シカゴ、リオデジャネイロとともに、二〇一六年オリンピック・パラリンピック大会の立候補都市に決定されました。
 大会理念や世界一コンパクトな運営はもとより、充実した公共交通網や宿泊施設、治安体制、そして大気汚染の改善等先進的な環境政策の実績など、都市としての総合ポテンシャルを七都市の中で最も高く評価されたのであります。
 しかし、今回の決定は、あくまで通過点にすぎず、来年十月のIOC総会を目指し、いよいよ招致レースは正念場を迎えます。慢心することなく気を引き締め、都議会と手を携え、都民、国民の皆様の力を結集して、是が非でも勝ち抜いてまいりたいと思います。
 日本だからこそできる、先端技術を駆使した新しいオリンピックを目指して、大会運営に一層の磨きをかけるとともに、八月の東京芸術文化評議会の答申を踏まえ、東京と日本が誇る豊穣な歴史と文化を生かした文化プログラムを作成いたします。来年に提出する立候補ファイルにこれらを盛り込み、他に絶対に負けないものに練り上げてまいります。また、国際的な招致運動が解禁されたことから、北京オリンピックを初めとした国際的イベントで、東京と日本の魅力を世界に余すところなくアピールしたいと思います。
 オリンピックは、国民にかけがえのない心の財産を贈る国家的事業でありまして、その招致は国同士の戦いであります。国を挙げて大会を必ず成功させる強い意志を示さなければ招致はあり得ず、工夫を重ねて日本全体の招致機運をさらに燃え上がらせてまいります。政府の万全な協力体制も、招致レースを勝ち抜くために必須であり、福田首相には、明確な財政保証を示すことを強く求めます。
 さらに、東京が開催都市にふさわしいことをアピールするためにも、スポーツ振興に力を入れてまいります。その指針として、スポーツが都市を躍動させるという大会の理念を具体化する新たなスポーツ振興基本計画をこの夏に策定いたします。
 また、だれもがスポーツに親しむことのできる社会をつくるに当たり、障害者スポーツの振興は重要な位置を占めております。その契機として、来年、アジアの障害のある青少年が集い、わざを競う、東京二〇〇九アジアユースパラゲームズを東京で開催することになりました。この大会を成功に導き、日本とアジアに障害者スポーツを普及し、障害のある青少年に夢を贈ってまいります。そして、来るべきパラリンピックの成功にもつなげていきたいと思います。
 東京がオリンピックを通じて日本の可能性を世界に示そうとしているにもかかわらず、国政は混迷し、目を覆うばかりの惨状を呈しております。歴史学者トインビーは、その著書「歴史の研究」の中で、国家衰退の決定的要因は、国家が自己決定能力を欠くことにあると述べております。この言葉を思い出さずにはいられません。
 米国のサブプライムローン問題が国際金融市場に深刻な影響を与え、世界景気の後退も懸念される中、四月には金融政策をつかさどる日銀総裁が一時空席となる前代未聞の事態が発生し、国際社会で築いてきた日本への信頼が著しく損なわれました。そればかりか、資源価格の高騰という国家の存亡につながる問題を前にして、国政は、道路特定財源の暫定税率をめぐるガソリン価格のみに目を奪われ、近視眼的な議論に終始しております。かつてオイルショックの危機に際して、環境技術の活用により経済の足腰を鍛えるなど、国を挙げてしたたかに乗り切った国家とは到底思えません。
 この国の形を根底から改良するための地方分権の実現も、百年河清を待つがごとしであります。現場で必死にこの国を支えている地方に対して、国政は正当な認識を欠いたまま、税財源の移譲を中長期のものとして棚上げし、財政運営の失敗を地方にしりぬぐいさせてはばかりません。
 根源的なものへの認識を欠いて混迷する政治を目の当たりにして、強い危機感を感じないわけにはまいりません。未来への視座を持ち、戦略と戦術を構築して、確固たる意志で実行するという政治本来の姿を取り戻さなければ、間違いなく日本は衰退への道をたどるのであります。
 ゆえにも、日本の頭脳部、心臓部であり、ダイナモである東京から、みずからの未来をみずからの手で切り開いていくという政治のあるべき姿を体現し、この国を覚せいさせていきたいと思います。
 未来を見据え、都民、国民にとって真に必要な現実性のある政策を力強く進めてまいりたいと思います。
 また、国の地方分権改革推進委員会の動向を注視しつつ、あるべき地方自治の姿や、法人事業税国税化の解消と地方消費税の拡充、さらに地方の責任と権限に見合う税財源の移譲を目指した抜本的な地方税財政改革について、あらゆる機会をとらえて都の主張を展開してまいります。
 我々の未来を見据えたとき、何をおいても取り組まなければならないのは、地球温暖化対策であります。地球温暖化対策は、人間の欲望を充足させるために化石燃料の無制限な消費を容認してきた現代文明のあり方を根本から転換することにほかなりません。
 国政においては、さまざまな意見の相違や対立を乗り越えるリーダーシップが発揮されておらず、我が国全体の対策を確立するに至っておりません。また、国際社会においても、先進国と発展途上国との間に深い溝が横たわっております。
 繁栄を謳歌する現代文明は、深刻な地球環境の異変を引き起こし、五、六年のうちに徹底した対策を講じなければ、取り返しがつかなくなるところまでみずからを追い込んでおります。だからこそ、CO2の劇的な削減に思い切ってかじを切らなければならず、それは今をおいてほかにはありません。とりもなおさず、社会の針路を決めるべき政治が、いかにその役割と責任を果たすかを問われているのであります。
 そこで、東京から世界に先駆けて低炭素型都市を実現していきたいと思います。環境と調和した高度な都市機能を東京から実現するならば、都市の世紀における地球の未来に新しい航路を開くに違いありません。東京の持つ英知と力を結集して、世界の目標となるような魅力のあふれる都市の姿を実践的に示すことで、日本と世界の環境政策をリードしていきたいと思います。
 都民、企業などあらゆる主体がその役割と責任を果たさなければ、CO2の削減は到底不可能であります。特に多量のCO2を排出する大規模排出事業所には、従来自主的な取り組みを促してまいりましたが、さらに大幅かつ確実にCO2を削減するため、取り組みの強化が不可欠であります。
 そこで、大規模排出事業所に削減義務を課すとともに、排出量取引制度を導入するため、環境確保条例の改正を本定例会に提案いたしました。削減義務化は、日本初の取り組みであり、大都市に多いオフィスビル等も含め義務化の対象とするのは世界初であります。公平公正で合理的な削減義務の水準を設定し、実効性を高めるために罰則も整備して、東京のCO2の排出を着実に削減してまいります。
 先日、東京商工会議所が都の制度提案に賛意をあらわすなど、支持が広がっております。子孫への責任を履行しようという志をCO2削減の確かな潮流にするためには、省エネに関するノウハウや資金が不足している中小企業での対策を加速させなければなりません。中小規模事業所向けの省エネに関する報告書制度を新設するほか、新たな融資制度の創設といった金融面での支援や技術面での支援などを複合的に講じて、中小企業の取り組みを力強く後押ししてまいります。
 一方、CO2削減の取り組みは、中小企業にとって飛躍のチャンスでもあります。十一月に東京ビッグサイトで開催する産業交流展二〇〇八に、最先端の環境技術を有する中小企業の出展を全国から募るなど、ビジネスチャンスを創出し、技術開発を促進してまいります。
 事業所と並んで家庭での取り組みも重要であります。火力発電など化石燃料の使用によって多量のCO2が発生することから、家庭での電力やガスの消費を太陽エネルギーなどで代替すれば、CO2の大幅な削減につながります。太陽光発電は、国の政策が後退し、普及が足踏みしておりますが、今後、太陽熱利用機器も含めて、初期投資を十年程度で回収できる仕組みを構築し、東京から普及を飛躍的に拡大してまいります。
 今回の条例改正により、削減義務化だけでなく、大規模新築ビルの省エネ基準を定めるほか、大規模開発において、未利用エネルギーや再生可能エネルギーの活用などを積極的に誘導いたします。施策を契機として、エネルギーを徹底的に有効活用する都市へと東京を生まれ変わらせてまいります。
 都市づくりとあわせて、便利さのみを追い求めてきた生活スタイルも、CO2の削減の観点から見直さなければなりません。深夜にこうこうとともるネオンなど広告用照明を消灯し、デパート等の営業時間を短縮するなど、省エネ、節電につながる具体的な行動を業界団体等に働きかけてまいります。
 都民、企業などの皆さんと手を携え、東京の総力を挙げて投じた一石は、日本を変え、世界に変革を迫るうねりとなるに違いありません。
 本年十月に、志を同じくする世界大都市気候変動グループ参加都市の実務者を東京に招きます。専門的知見と危機感を改めて共有した上で、ヒートアイランド現象や渇水など、眼前で頻発している深刻な事態への対処策を検討いたします。
 また、国際炭素行動パートナーシップ、ICAPにも、アジアで初めて東京が参加し、東京の先進的施策を世界に向けて発信いたします。
 東京から変革の輪を地球全体に広げ、人類が地球温暖化を阻止するための足場を固めていきたいと思います。
 地球温暖化対策にとどまらず、都政は、日々生きた現実に直面し、課題解決を迫られております。これに十全に対処するため、常に先を見通しながら積極果敢に行動してまいります。
 二十一世紀において、人、物、情報の自由な往来なくして、都市も国家も発展はありません。空港は、単なる空の玄関口ではなく、我々の命運を託して極めて戦略的に整備、運用されるべき日本と世界の結節点であります。ゆえにも、国には、羽田空港の潜在力を十二分に引き出す国際化を求めてきたほか、従来の自治体の枠を超えて、第四滑走路の建設にも一千億円の無利子貸付を行ってまいりました。
 先月、国は、これまでの都の主張に沿って航空政策を転換し、羽田空港の国際線発着枠を倍増することや、就航距離制限を外して東南アジア諸都市への就航を可能にすることなどを発表いたしました。当然のこととはいえ、大きな前進であります。今後も、いまだ十分とはいえない昼間の国際線の増加など、さらなる国際化の進展を国に求めてまいります。
 道路も、将来を見据えた着実な整備が必要であります。日本の心臓部たる東京の道路は、全国の道路につながるハブとして重要な役割を果たしており、日本の効率的な経済運営に欠くことのできない動脈であります。昨年には中央道と関越道が圏央道により結ばれ、中央環状線の池袋から新宿までの区間も開通し、渋滞の緩和に著しい効果があらわれております。
 しかし、三環状道路の整備はいまだ途上でありまして、スピードをさらに上げなければなりません。特に外環道は、東京が首都の役割を果たす上で欠かすことができず、日本の発展にも直結する極めて重要なインフラであります。昨年十二月、福田首相が協力を約束した経緯からも、国は、平成二十一年度に事業着手するのが当然であります。国の速やかな対応を改めて要求いたします。
 道路特定財源の一般財源化が行われようとも、日本の生命線たる三環状道路を初めとする東京の道路が確実に整備されるよう、財源の確保を国に求めてまいります。
 都民、国民の生命、健康を守るためには、直面する課題の本質を見きわめ、眼前の危機に対して迅速に対処することが必要であります。
 新型インフルエンザの発生が時間の問題といわれており、一たびこれが発生すれば、感染の爆発的な拡大や深刻な社会的、経済的混乱が懸念されます。都は、これまでに抗インフルエンザウイルス薬の備蓄、新型インフルエンザの発生を想定した訓練など、独自の対策を進めてまいりました。
 しかし、国家的危機管理の問題として、国の責任で行われるべきワクチンの確保や、企業活動、公共交通の運行等の社会活動を制限するための法整備などは大きくおくれております。このため、先般、関東各県の知事と共同で国への要求を行うことといたしました。今後とも、あらゆる機会を通じて、国が責任を果たすように強く求めてまいります。
 医療の充実、とりわけ深刻化する医師不足を解消するためには、重層的な取り組みが求められております。今年度には、勤務医の過重な勤務環境の改善や女性医師の復職対策等に着手してまいります。今後さらに、地域医療を担う志のある医師の育成にも取り組むため、来年度から、小児医療や周産期医療など東京で医師が不足する分野を志望する医学生のための奨学金制度を開始すべく、本定例会に条例案を提出いたしました。都立病院に開講した東京医師アカデミーともあわせて、優秀な医師を確保し、東京の医療の質をさらに向上させてまいります。
 七月には、北海道洞爺湖サミットの開催が予定されており、都内でも、全力でテロを未然に防止しなければなりません。四月には、東京駅周辺で、国や民間事業者と提携したテロ警戒対応訓練を実施いたしました。今後、五月に設置した東京都テロ警戒推進本部を中心に、官と民とが密接に連携して、多くの人々が利用する駅や集客施設などの警戒警備を強化し、万全を期してまいります。
 昨今、食品の安全性について、都民、国民の不安が高まっております。その根底には、海外への食糧依存がこれだけ高まりながら、食品を選択するための十分な情報を得られていないことがあります。
 先般の消費生活対策審議会の答申を踏まえ、国に先駆けて、都民生活に欠かせない調理冷凍食品について、原料原産地を表示することを義務といたします。我が国最大の消費地である東京から先鞭をつけ、国を動かし、事業者の取り組みを促して、食の安心・安全の底上げを図ってまいります。
 東京には、世界最先端の技術や、たくみのわざを駆使して活躍する中小企業が数多くあり、我が国の産業力の源泉となっております。
 しかし、中小企業にとって、原材料価格の高騰等に伴うコスト増を価格に転嫁することが難しいことなどから、下請取引に関するトラブルが最近頻発しております。
 そこで、本年四月に、下請取引紛争解決センターを中小企業振興公社に設置いたしました。同センターについては、地方自治体では初めてとなる、下請取引に関する裁判外の紛争解決機関としての認証を夏にも国から取得し、中小企業を下支えする機能を拡充してまいります。
 さらに、将来を見据えた支援も一層強化してまいります。都の空き庁舎等を活用して、中野にコンテンツ分野、浜松町に健康・バイオ関連分野のインキュベーション施設をそれぞれ新たに開設いたします。区市町村が行うインキュベーション施設整備への支援ともあわせ、今後の東京と日本の発展を担う新産業の芽を見出し、育成してまいります。
 低所得の状態から抜け出せず不安定な生活を送る方々が未来への展望を開くため、都では、四月から緊急三カ年対策をスタートしております。インターネットカフェなどで生活する方々を対象とした相談窓口、TOKYOチャレンジネットでは、最初の一カ月で延べ三百四十七人が相談に訪れ、電話、メールでの問い合わせは六百件を超えました。こうした取り組みをさらに広げるため、今月中にも、インターネットカフェが多い地域に相談員が直接出向き、現場での相談を開始してまいります。
 また、八月からは、生活の安定に向けた支援が必要な方々のため、相談窓口を区市町村に順次開設し、就業相談専用の窓口も都内四カ所に設置いたします。生活資金を無利子で貸し付け、当面の生活を安定させた上で、職業訓練や訓練後の就業支援をきめ細かく実施し、できるだけ早く、より安定した雇用につなげてまいります。
 いつの時代も、どんな社会も、いかにして子どもたちをたくましく育てることができるかに、その行く末がかかっております。
 平成十六年に東京都教育ビジョンを策定し、東京教師養成塾の開設や「奉仕」の必修化など、国に先駆けて改革を実行してきました。
 さらに、今回、社会全体で子どもの生きる力をはぐくむことを柱とする、新しい東京都教育ビジョンを策定いたしました。児童生徒の確かな学力や規範意識の向上のほか、豊かな社会経験や多様な専門性を有する外部人材の積極的活用、親の教育力の再生など新たな課題に取り組み、次代を担う子どもたちを育成してまいります。
 次に、多摩・島しょ地域について申し上げます。
 多摩地域には、エレクトロニクスや機械分野等におけるすぐれた中小企業が数多く集積しております。こうした企業への技術支援を充実強化するため、最新の試験設備を整えた多摩の産業支援拠点を昭島市に来年度整備いたします。製品開発を力強く支えるとともに、産学、産産連携等による、中小企業の経営課題にこたえる体制も整えてまいります。
 平成二十五年に多摩・島しょ地域を中心として開催する東京国体の準備も着々と進行しております。さきの定例会でいただいた開催決議を添えて、今月四日に大会の開催申請を行い、間もなく東京での開催が内定する予定であります。
 国体は、昭和二十一年以来、毎年開催されてきた国内最大の体育、スポーツの祭典であります。スポーツのすばらしさをさらに広く国民にアピールする大会へと変貌させ、オリンピックの機運盛り上げにもつなげるため、来月に策定する基本構想で新たな国体像を提示してまいります。
 世界自然遺産の登録を目指している小笠原諸島は、美しく多様な自然に満ちております。豊かな自然と人間の活動との調和を図る試みは、自然環境の保護にとって極めて重要であります。
 都は、今月下旬に東京都景観計画を変更して、島民の生活の中心地でもある父島の二見港周辺を景観形成特別地区に指定いたします。海上や山頂からの眺望に配慮するなど、良好な街並みの形成に努め、世界自然遺産の登録にふさわしい美しい景観へと誘導してまいります。
 今月一日、スペースシャトル「ディスカバリー号」が打ち上げられました。ディスカバリー号には、東京都出身で、宇宙飛行士という子どものころからの夢を実現した星出彰彦さんが搭乗しております。
 星出さんには、駒沢オリンピック公園にあるケヤキの種子を託しました。昭和三十九年の東京オリンピック以来、公園から東京と日本の発展を日々見守ってきたケヤキの種子が、星出さんと一緒に宇宙へと飛び立ち、地球に帰還いたします。後日、これらのケヤキを海の森や公園、小学校などに植樹し、宇宙ケヤキとして大切に育ててまいります。緑あふれる東京のシンボルとなり、無限の可能性を持つ子どもたちにとって、夢を実現する大きな心の糧にもなるに違いありません。
 今日の我々は、世界規模での地球温暖化問題を初め、人間の旺盛な活動に伴い生じる都市の病理や、次代を担うべき子どもや若者たちの心の荒廃など、さまざまな課題を抱えながら生きております。
 かけがえのない地球の危機的状況を宇宙から眺めてきた宇宙ケヤキとともに、東京もまた、さまざまな課題の解決に向けて現実を直視して取り組み、成熟した魅力あふれる都市へと変貌を遂げていきたいと思います。
 現在、「十年後の東京」を羅針盤とし、あらゆる分野で展開している先進的な政策を種子や苗として、子や孫たちが生活する時代には見事な大木となるように育ててまいりたいと思います。そして、世界に範を示すことのできる二十一世紀の都市モデルを実現し、地球と人類の未来に対する我々の責任を果たしていきたいと思います。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案十七件、契約案五件など、合わせて二十八件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
以上をもちまして所信表明を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(石森たかゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十一日から十六日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十一日から十六日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月十七日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二〇財主議第五一号
平成二十年六月二日
         東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十年第一回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   後藤雄一議員
   福士敬子議員
   村松みえ子議員
   山口文江議員
   吉田康一郎議員
   石毛しげる議員
   清水ひで子議員

平成20年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 後藤雄一

質問事項
一 神経病院の理念の実現について
二 都営住宅について
三 FAシステムのチェック体制について
四 交通局の職員管理について
五 福利厚生について
六 主税局、「減免」の対応について
七 首都大学東京の公用車使用について

一 神経病院の理念の実現について
 都立神経病院のホームページには『当院は、昭和55年(1980)7月開設された日本で数少ない脳神経系疾患の専門病院です。その設立理念には、「あらゆる脳神経系疾患、特に神経・筋難病に対し、(1)高度で、専門的な脳神経系の総合医療を広く都民に提供し、(2)脳神経系の臨床的研究と教育・研修の役割を持って、(3)医療のみならず、予防から福祉に至る脳神経系疾患患者さんの全ての過程に関わる専門病院として、社会福祉政策面においても貢献すべき使命をもつ」と「設立理念」が書かれている。
 行革110番は神経病院に入院・在宅治療を受けている「ALS」の患者さんから、「看護師の文字盤への対応、そして、医師等の対応への不満」の相談を受けた。ALSは進行性の難病であり、自分の思いどおりに手足や顔などの筋肉を動かす随意筋を動かす運動神経細胞の筋肉が萎縮していき、進行が進むと会話が困難になるなど、そして寝たきりになる。しかし、眼球の運動に必要な筋肉は侵されにくく、目の動きで「文字盤」の「文字」を示し会話、また、パソコンを使用しての会話、そして、視覚、聴覚、臭覚、味覚等の知覚神経は侵されず音楽・絵画鑑賞をしている患者さんもいる。現在、治療法は見つかっておらず、日本で約7000人前後の患者さんがいるという。
 昨年12月、神経病院に入院していた患者さんが、呼吸器の回路の曲がりに気づきナースコールしたところ、文字盤がうまく使えない看護師が来た。
 話がうまく通じないと思い、他の看護師を呼ぶべくナースコールを鳴らしたところ、その看護師はぞんざいな態度で「そんなことを、するなら」と大切なナースコールを遠ざけられ、「文字盤を使えるのか?」とまでいわれたという。(ナースコールは、目の脇の部分に棒状のスイッチがあり、目の筋肉の微妙な動きで、スイッチを触りナースコールが鳴る)
 患者さんは、病院に謝罪を求めたが公務員的対応に我慢が出来ず、肺炎療養中だったが、療養を諦め退院した。
 その後、神経病院は、「当該看護師は反省しており、文字盤も前向きに読めるよう努力する」として研修を行い改善に務め、一件落着した。
 しかし、入院時でのナースコール事件の経緯、様々な病院の対応の悪さ等を患者さん本人のブログに記載したところ、在宅担当医師等が患者さんの自宅を訪れ「今後、ブログ等で病院の対応の悪さ等の内容の記載を止めるように。このような事が続けられれば在宅は行えず病院として対処できない。在宅等を続けるなら念書にサインをしてほしい」と迫った。
 患者さんから依頼され行革110番「後藤」もその場に立会っていたので、上記医師等の対応、そして念書については「後藤」から異議を唱えた。
 その場は院長の言葉で、患者さんも納得し解決した。
 3月になって、患者さんが胃ろう交換で神経病院に入院したとき、上記担当医はトラブルを避ける為として、「都立病院の患者権利章典(7つの権利と3つの責務)をお守り頂き、気持ちのよい入院生活となるようお互いに努力しましょう」と書かれたメモ(入院のご案内の表紙に書かれた)を渡された。
 しかし、このメモ書きだが「患者・家族」からは「嫌がらせ」そのものであり、神経病院の理念に反するものと考える。
 神経病院の医師・看護師の難病に対処する仕事は、他の業務と比べても辛い事もある事は推察する。
 今回の事件を、なにかみんなが追いつめられての対応と感じ、寂しく感じてしまう。そもそも、医療の基本は「心と心のふれあいを増やす事」、今回の事件も看護師と患者の間に心が通じていれば起きなかったことだ。
1 神経病院関係者と患者さんとの「心と心」のつながりを大事にすることをOJTのテーマに取り上げるべき、と考えるが見解を伺う。
 神経病院は、日本で数少ない脳神経系疾患の専門病院で、その設立理念はすばらしく、最も重要な都立病院の一つである。そして、医師・看護師も公務員である。
 病院を利用する患者さん・そしてご家族は、当然、民間病院も利用しており、都立病院と比較することになる。
2 都立病院の医師・看護師の「公務員」としての自覚についてをOJTのテーマに取り上げるべき、と考えるが見解を伺う。
3 ALS等の気管切開の為喋る事が出来ない患者さんとの会話のための、比較的余裕のある患者さんと一体となった文字盤研修を定期的に行いうべきと考える。また、これで患者さんと医療関係者のコミュニケーションが図れると考えるが、見解を伺う。
二 都営住宅について
1 都営住宅の防犯カメラ設置について
 東京都は、都営住宅のエレベーター内に防犯カメラを順次設置していく。そしてエレベーター以外の建物に設置する時は、団地自治会等が公社窓口センターに申請し、許可を得て自治会等の責任と費用で設置する事と聞いている。
 以前は、団地住民の全員の承諾が必要だったが、自治会等の総意で設置が可能になったと聞く。しかし、住民の意見の違いで、一つの都営住宅で複数の自治会が設立され活動しているケースも増えている。
 南千住にある都営住宅では、A、B、2つの自治会が活動している。
A自治会は「防犯カメラ設置」を設置する事とし、今年3月初めに公社に申請書を出したが、申請に際しB自治会の了解を取っていなかった。
 その上、正式な許可(承認)が下りる前から工事を始めたと、当初住宅供給公社は説明している。A自治会は防犯カメラを1階部分だけで10台設置しているという。住民のプライバシー保護の観点から「カメラの設置場所、カメラの画像を保存しておくビデオの設置場所、ビデオの扱い、費用の負担、等々」を事前に住民間で説明・相談をする必要があるにも関わらず、A自治会はB自治会に相談を一切しなかった。
ア 都市整備局は住民の防犯カメラ設置について、どのような基準を設けているか伺う。
イ 2つ以上の自治会が活動しているケースを想定して、申請する際、各自治会の代表者の連名で申請するようすべきと考えるが、見解を伺う。
2 東京都の指導方法の甘さについて
 平成15年、行革110番の調査で「複数の都営住宅で敷地内に駐車場」を作り駐車料金を徴収していた事が発覚し裁判になり、都は「是正」すると約束し、裁判所で「和解」が成立した。にも関わらず世田谷区にある都営住宅/池尻団地では昨年12月まで駐車場を作り、料金を徴収していた事実が発覚した。
 この団地では、自治会長には「事務手当(給料)」の名目で1か月あたり8万円、役員が集まりに出席すると1回1000円の「渉外手当」、役員の忘年会等の費用として1か月あたり2万5000円の「役員手当」が支払われ、また、自治会の総会を開催する際に「委任状」を取る手続も行われていない。
 この自治会費の使い方等に納得しない自治会員が帳簿の閲覧をしたところ、理解できない支出が多くあり、改革の動きを加速している。
 また、前述の南千住の団地では、A自治会の会則には帳簿の閲覧等の規約もなく、自治会員が帳簿の閲覧を要求しても拒否され、閲覧する事さえ出来なかった。その上、A自治会は共益費の額の確定する事にも応じず裁判になろうとしている。
 上記都営住宅の自治会内でのトラブルの原因は、会則等が整備されておらず民主的な自治会運営がなされていない事が原因である。
 都市整備局は行革110番の再三の指摘に「自治会は会員により適切な運営が望ましいと考える」と答えるだけである。
 しかし、都市整備局は「住まいのしおり」の共益費の項目に、「入居しましたらすぐに自治会の役員等から説明を受けて下さい」と「自治会に入会」するよう指導している。その指導を受け、自治会に入会し「裁判沙汰、警察沙汰」になるのでは「都営住宅」の姿といえない。
 民主的な自治会運営がなされていない都営住宅は40余りあると聞いているが、最近、都営住宅は住民の高齢化が進んでおり、住民が立上がり改革するのは至難の業である。
 会計帳簿等の開示、自治会費・共益費の分離、総会の議決、等々の民主的な自治会運営に最低限必要な項目を会則にいれるよう指導すべきと考えるが、見解を伺う。
三 FAシステムのチェック体制について
 東京都では様々なOAシステム(オフィイスオートメーション:いわゆるパーソナルコンピューターを主に使用したシステム)・FAシステム(ファクトリー・オートメーションシステム)が採用され、現在、稼働している。近年、ハードウェアー・ソフトウェアー等の情報・通信分野での技術革新は目覚しいものがあり、専門的知識を有しないと適正な仕様書、適正な価格設定ができないと、いわれている。
 東京都では、OAシステムの新規システムあるいはシステムの更新は総務局情報システム部で仕様書等を含めて協議し、FAシステムについては、それぞれの担当部局での稟議、契約のみと聞く。
 FAシステムの仕様書作成・内容のチェックについて、環境局の「大気汚染常時監視システム」と「大気汚染速報提供システム」から伺う。
1 「大気汚染常時監視システム」は、昭和45年からの稼働だと聞く。現在のシステムは何世代か。今後のシステム更新、リース料についても伺う。
2 更新の際、仕様書作成・内容のチェックの作業は、都庁職員で行うのか?また、システム専門家に依頼するのか、その際は契約方法についても伺う。
3 「大気汚染速報提供システム」は、平成11年度から稼働し、約10年は経過していると聞いている。システムの変更を行っているか伺う。又、ソフトウェアーについての資産償却の考え方を伺う。
四 交通局の職員管理について
1 事故の対応
 昨年12月に東京都交通局早稲田営業所の都バスが2日続けて、「車いす利用者」が降車中に転倒事故を起こしている。運転手が介護補助を怠ったのが原因という。12月22日(土曜日)「護国寺のバス停」、12月23日(日曜日)、「早稲田営業所前の停留所(終点)」の2件だ。
 交通局の営業課は、「運行管理責任者が各営業所におり、責任を持って職務をしている。詳しい事故の状況等は営業所で保管している。」という。
 運行管理責任者の職務をネットで調べてみると、「3.研修および指導監督運行管理責任者は、運転者に「安全運転研修」等の徹底を図り、運航の安全確保に努めるとともに、整備管理者と協力をして輸送の安全と移動制約者の利便確保のために誠実にその任務を遂行するよう指導監督する。」と書かれている。
 となれば、2日続けて「降車時」の車いすの転倒事故を起こした早稲田営業所の運行管理責任者は何をしていたのだろう、ということになる。
ア 運行管理責任者の位置づけと責任について伺う。
イ 今回の2件の車いす転倒事件と運行管理者に責任について伺う。
ウ 12月23日(日曜日)の事故の現場は、本来の停車位置の手前にバスを停車させていた事も判明している。なぜ? 決められた停車位置に止めなかったのか伺う。
エ 車いすで転倒した乗客に対する謝罪は適切に行われたか、また、局への対応は適切に行われたか伺う。
2 職務専念義務について
 交通局の職員組合「東京交通労働組合」は平成19年8月24日、田町ハイレーンで16時からボーリング大会を行った。職員がボーリングを楽しむことは問題ない。しかし、勤務時間中のボーリングは、当然、違法行為に当たる。
 当日、行革110番が現場調査を行い、本件組合幹部職員の職務内容が記録された関係文書を情報公開で入手し分析したところ、東京交通組合幹部が職務時間中にボーリングを行っていた可能性が高く、「職務専念義務違反」と考えられる。入手した文書は、所属長の「所長、副所長」の印鑑があるものも多く、所属長等が職務専念義務違反を「容認」していたことが考えられる。
ア 本件ボーリング大会で職務専念義務違反の事実はあるか伺う。
イ 交通局局長以下幹部の組合に甘い体質があると感じられる。抜本的な改革をする必要と考えるが見解を伺う。
五 福利厚生について
1 都庁は福利厚生事業団に都庁職員の福利厚生として「元気回復事業」を委託している。そして福利厚生事業団は、職員が福利厚生のメニューを選べる「カフェテリアプラン」を行っている。
 カフェテリアプランでは、職員の年間利用限度額を正会員「2万円」とし、「ゴルフ代、ディズニーランドの入園料、チケット・CD購入、等々」のメニューがあり、「本人だけでなく家族の料金もOK!!!!」としている。
 公務員は「給与条例主義」という大原則があり、条例に基づかなければいかなる金員も支払うことはできない。給与明細でも、交通費等の経費は「非課税」、そして各種「手当」は課税される。
 都民の目線で見ると、福利厚生でなく職員への「手当」と誤解を招きかねない。
 カフェテリアプランを見直し、改善すべきと考えるが、見解を伺う。
2 青山病院での情報公開
 今年3月で廃院する東京都職員共済組合「青山病院」に、10年前に通院していた方が、障害年金の受給申請に必要な「受診状況等証明書」を青山病院で発行してもらった。念のために、この「受診状況等証明書」の根拠になる「カルテの開示(個人情報)」も求めたところ、担当職員からは「カルテの保存期間は5年、本来は廃棄処分になっているはずの文書だ!!」といい、そして「今は不存在!!」「今から廃棄する!!」といわれたあげく、「開示請求するなら、渡した「受診状況等証明書」を返せ」といわれた。
 行革110番が、ご本人と青山病院へいき事務長等に事実を確認し、カルテは廃棄されていない事がわかり、ご本人に開示された。
 保存期間を過ぎていようと、カルテが存在していれば、情報公開の対象文書となり、ご本人から請求があれば公開しなければならないのは当然である。
 東京都職員共済組合は「情報公開・個人情報に関する」研修を行い必要があると考える。見解を伺う。
六 主税局、「減免」の対応について
 東京都では、障害者手帳の交付を受けている方で同居等の一定の要件を満たす場合、自動車税・自動車取得税の減免(全額)制度がある。
 障害者の歩行の介助が目的で、日常生活、通院・通学等に使用する為の自動車が対象になる。申請者は、本人又は障害者と同居している方だ。
 平成18年1月、障害を持った母親と同居を始めた方が、病院への送り迎えの車の自動車税の減免申請に世田谷都税事務所に出かけた。
 ところが、担当者は「(兄弟から)継続の申請書も出されている。家族の事なので(兄弟から)減免取消を出して欲しい」と言われたという。
 兄弟が母親と同居していない事実を知ったのだから、都税事務所が調査して減免を取消せばよい事だ。
 この方は母親を病院に送り迎えしていた車が会社名義の車であったので、減免申請が出来ない事が分り、それ以上問題にしなかった。
 今年になり、新車を購入することになり、自動車税の減免制度を利用しようと、再び世田谷都税事務所を訪れ相談すると、兄弟の減免は取り消されておらず、昨年と同じように、「(兄弟から)減免取消が出るまで(娘さんの)減免申請を受け付けない」といわれたと言う。
 都税事務所は、同居の事実がない事を承知で減免を1年間も続け、その上、減免の要件が整っている家族に対し、申請を拒否する。
 相談を受けた行革110番が、この減免は都税事務所による「利益供与」と判断し、主税局の担当者に説明を求めた。
 すると翌日、「調査し事実が確認できたので、兄弟の減免を取消し、現在同居している方の車の減免申請を受ける」と回答してきた。
 主税局は徴税には力を入れているが、減免についても積極的に対応すべき、と考えるが見解を伺う。
七 首都大学東京の公用車使用について
 首都大学・理事長が、理事長・専用公用車で首都大学が開催しているオープンユニバーシティの「水墨画講座」に出かけていた。
 参加の理由を尋ねると、「水墨画の先生は有名で、お客様との信頼関係もできているので、経営者としていろいろなご意見を頂く場として参加した。また、受講者の立場として講義内容、運営方法を確認している。受講料は理事長個人負担です。」と担当者はコメントした。
 水墨画を通う!!のが仕事という人は少ないと思う。首都大学東京へは、東京都からも税金がつぎ込まれている。その税金が使われている公用車を使って「趣味の水墨画のお稽古」、となれば問題だ。また、職員が南大沢のキャンパスの移動に理事長公用車を利用していること確認されている。
 首都大学東京の公用車の使用について、指導を行うべき、と考えるが見解を伺う。

平成20年第一回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 神経病院の理念の実現について
1 神経病院関係者と患者との「心と心」のつながりを大事にすることをOJTのテーマに取り上げるべきだが、見解を伺う。

回答
 脳神経系疾患の専門病院である神経病院では、病棟などでの神経難病看護のリーダーの育成を目的とした「神経難病看護研修」を実施し、「患者・家族の気持ち」という科目を設け、患者・家族の気持ちを十分理解し、日々の看護に生かすことを目指しています。平成19年度はALS患者のご家族を亡くされた方を講師に迎え話を聞きました。
 各病棟では、この研修を受講したリーダーを中心に、思いやりの心とやさしさを大事にする看護に取り組んでいます。

質問事項
一の2 都立病院の医師・看護師の公務員としての自覚についてをOJTのテーマに取り上げるべきだが、見解を伺う。

回答
 神経病院に配属された医療従事者は、採用・転入職員研修時に脳神経系疾患の専門病院としての役割を学習しており、引き続き、行政的医療としての高度・専門的な脳神経系疾患医療の重要性を認識し、その自覚のもと日々の業務に取り組んでいきます。

質問事項
一の3 ALS等の気管切開のため喋る事ができない患者との会話のために、文字盤研修を定期的に行うことで、患者と医療関係者のコミュニケーションが図れると考えるが、見解を伺う。

回答
 文字盤研修については、神経病院への採用・転入時の研修や、各病棟でのリーダー育成を目的として毎年実施している「神経難病看護研修」の中に組み込んで行っています。また、各病棟では、日々の看護の場におけるリーダーを中心としたOJTにより、患者と医療従事者とのコミュニケーションの向上を図っています。

質問事項
二 都営住宅について
1 都営住宅の防犯カメラ設置について
ア 都市整備局は住民の防犯カメラ設置について、どのような基準を設けているか伺う。

回答
 自治会による防犯カメラ設置については、「都営住宅共用敷地等における工作物設置承認要綱」に基づき、建物管理上支障がないこと、自治会の決定を経たものであること、管理責任者を選任し居住者のプライバシーの保護に充分配慮することなどを条件として、都が承認しています。

質問事項
二の1のイ 二つ以上の自治会が活動している都営住宅において、防犯カメラ設置を申請する際は、各自治会の代表者の連名で申請するようすべきだが見解を伺う。

回答
 防犯カメラ設置の承認を受けることができる自治会については、「都営住宅共用敷地等における工作物設置承認要綱」に基づき、都営住宅使用者だけで組織し、当該都営住宅の使用者総数の四分の三以上の者が加入していることを条件としています。

質問事項
二の2 会計帳簿等の開示、自治会費・共益費の分離、総会の議決等、民主的な自治会運営に最低限必要な項目を会則にいれるよう指導すべきだが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の自治会は、都営住宅の居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体であり、会員により適切に運営されることが望ましいと考えています。

質問事項
三 FAシステムのチェック体制について
1 大気汚染常時監視システムは、昭和45年からの稼動とのことだが、現在のシステムは何世代か伺う。また、今後のシステム更新、リース料について伺う。

回答
 都は昭和45年から通信機器を使用して大気汚染の監視を始め、その後データ処理機能の拡張やシステムの効率化を目指して、機器及びソフトウェアの更新を行っています。
 現行の大気汚染常時監視システムは、平成13年2月に導入されたものであり、平成21年2月を目途にシステムを更新する予定です。
 なお、本システムの賃借費として、平成20年度に約3300万円を計上しています。

質問事項
三の2 システム更新の際、仕様書作成や内容のチェック作業は都庁職員が行うのか。または、システム専門家に依頼するのか。依頼するのであれば契約方法についても伺う。

回答
 当該システムの更新に当たっては、所管課において、大気監視の充実や効果的な運営方法等を検討し、最新の機器や通信技術の動向を踏まえ、システム仕様書の作成や内容の確認などの事務手続を行っています。

質問事項
三の3 大気汚染速報提供システムは、平成11年度から稼動し、約10年は経過しているとのことだが、システムの変更は行っているのか伺う。また、ソフトウェアの資産償却の考え方について伺う。

回答
 大気汚染速報システムは、平成15年12月に更新を行い、「大気監視速報システム」として現在に至っています。
 本システムは、導入時から賃借契約を行っており、ソフトウェアの資産償却には該当しません。

質問事項
四 交通局の職員管理について
1 事故の対応について
ア 運行管理責任者の職務は、運転者に安全運転研修等の徹底を図り、運行の安全確保に努める等とされているが、運行管理責任者の位置づけと責任について伺う。

回答
 運行管理者は、道路運送法に基づき、運行管理者資格証の交付を受けている者のうちから営業所ごとに選任しており、乗務員の指導監督など、運行の安全の確保に関する業務を行っています。

質問事項
四の1のイ 昨年12月、都バスが2日続けて、車いす利用者の降車中に転倒事故を起こしている。本件事故に関し、運行管理責任者の責任について伺う。

回答
 運行管理者は、日頃から、運行の安全確保について乗務員に対し指導監督を行っており、本件についても、当該乗務員から事情を聴取し、厳しく注意・指導しました。
 あわせて、事故内容と注意事項を記載した文書を速やかに営業所内に掲示するとともに、点呼において、車いすのお客様の安全確保について特に注意を払うよう、他の乗務員にも伝達しました。
 さらに、当該乗務員に対して、車いすのお客様への介助方法について再訓練するなど、指導を徹底しました。

質問事項
四の1のウ 2日目の事故は、本来の停車位置の手前にバスを停車させていた事も判明している。なぜ決められた停車位置に止めなかったのか伺う。

回答
 ガードパイプの開口部が広い場所にバスの降車口を合わせたほうが、車いすのお客様がスムーズに降りられると乗務員が判断したため、本来の位置よりも手前にバスを停車させたものです。

質問事項
四の1のエ 車いすで転倒した乗客に対する謝罪は適切に行われたのか、また、局への対応は適切に行われたのか伺う。

回答
 どちらの事故についても、営業所職員が、お客様にけががなかったことを確認するとともに謝罪しました。
 なお、所管の自動車部営業課では、事故の概要について速報を受けており、さらに、後日、詳しい経過報告も受けました。

質問事項
四の2 職務専念義務について
ア 東京交通労働組合は、平成19年8月24日16時からボーリング大会を行ったが、勤務時間中に行っていた可能性が高いと考えられる。本件ボーリング大会で職務専念義務違反の事実はあるのか伺う。

回答
 本件の職務専念義務違反については、事実関係を調査し、該当職員に対して相当額の給料を返還させる等の措置を講じています。

質問事項
四の2のイ 交通局長以下幹部の組合に甘い体質があると感じられる。抜本的な改革をすべきだが、見解を伺う。

回答
 職員管理については、今後とも適切な運営に努めていきます。

質問事項
五 福利厚生について
1 福利厚生事業団は、都職員の福利厚生としてカフェテリアプランを行っているが、都民の目線では職員への手当と誤解を招きかねない。これを見直し、改善すべきだが、見解を伺う。

回答
 職員を対象とする福利厚生事業は、地方公務員法第42条により自治体が実施すべきとされている厚生制度であり、職員の健康保持・増進及び生活内容の向上に資するための施策を実施することで勤労意欲の向上をもたらし、もって公務能率の増進を図ることを目的としています。
 財団法人東京都福利厚生事業団の実施するカフェテリアプラン(メニュー選択方式事業)は、都が事業主の責務として実施する福利厚生事業の一つです。この方式は、民間企業や他の自治体においても幅広く普及しているもので、給与とはその性格を異にするものです。
 現在実施しているメニューの内容については、都民の理解が得られるものと考えていますが、今後も、都民の視点や民間企業、他の自治体の動向等を踏まえて、不断の見直しを行っていきます。

質問事項
五の2 青山病院での情報公開開示請求に対する担当職員の対応を踏まえると、職員共済組合は、情報公開・個人情報に関する研修を行う必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 東京都職員共済組合では、独自に「東京都職員共済組合情報公開規則」及び「東京都職員共済組合個人情報の保護に関する規則」(いずれも平成15年4月施行)を定めるとともに、職員を都の実施する研修に参加させる等、情報公開制度の適正な運用に努めています。

質問事項
六 主税局における減免の対応について
 障害者に対する自動車税等の減免で、申請を拒否する事例が存在する。
 積極的に対応すべきと考えるが見解を伺う。

回答
 障害者を対象とした自動車税の減免は、法令等でその要件が定められており、この要件に該当する方からの申請により実施しています。
 また、減免については、毎年、使用状況等を照会し、その回答に基づいて翌年度の減免を決定するなど、適正な運用に努めているところですが、今後とも、減免要件の確認等、一層調査の充実に努めていきます。

質問事項
七 首都大学東京の理事長が専用公用車で水墨画講座に出かけたり、職員が南大沢キャンパスへの移動に理事長公用車を利用していることが確認されている。公用車の使用について指導を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 公立大学法人首都大学東京が所有する乗用車の使用については、公立大学法人自らが社会一般の情勢等を踏まえて必要があれば見直していくべきものと考えています。

平成20年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 福士敬子

質問事項
一 東京オリンピックについて
二 3次元顔形状データベース自動照合システムについて

一 東京オリンピックについて
 自治市民'93では、2007年第四回定例会において、オリンピック招致活動について一般質問を行ったが、オリンピック主要施設建設予定地の安全性および、オリンピックに関する世論調査において、未だ不明な点があるため、以下、文書質問を行う。
1 地域危険度測定調査について
 19年度第四回定例会において、メインスタジアムおよび選手村のオリンピック関連2施設の建設予定地における地震発生時の安全性について質問したところ、「都が行った地域危険度測定調査で、地震に対する危険度がもっとも低い」総合危険度ランク1ということや、その他安全対策を講じることなどを根拠に、安全性が主張された。しかし、昨年末の段階で公開されていた第五回地域危険度測定調査は、平成14年12月に発表されたものである。この時点では有明1丁目は埋め立て事業中で、建物が建つどころか大きく海水面が残る状態であり、火災危険度、避難危険度、建物倒壊危険度ともに算出の意味がないと考えられる状態であった。
ア こうした状態で、どのようにして地域危険度を算出したのか。
イ この地域危険度を多数の選手が入村した状態の選手村にそのまま適用できるのか、見解を伺う。
ウ 晴海地区においても、現状の更地の状態で算出された地域危険度を、メインスタジアムが建設され、10万人の観客が入った状態にそのまま適用できるのか、見解を伺う。
2 地盤沈下について
 有明地区に先行して埋め立てが行われた豊洲地区でも、護岸周辺が地盤沈下してひび割れが起きている。選手村建設が予定されている有明北地区では、建物については、岩盤まで基礎を打ち込むことで沈下が避けられても、埋立地部分は常に地盤沈下の危険があり、インフラに損害が発生することも考えられる。
 選手村建設が予定されている有明地区の地盤沈下についてどのような対策を講じていくか伺う。
3 オリンピックに関する世論調査について
 昨年12月、オリンピック及びパラリンピックの2016年東京招致に関する世論調査が行われた。オリンピック招致委員会が発表した設問は
 「あなたは、2016年の夏季オリンピックに、東京都が立候補していることを、この調査の前から知っていましたか」
 「あなたは、2016年東京オリンピック招致に賛成ですか」
の2問のみとなっている。
ア 他の設問は何か?他の設問をお示しください。
イ 設問以外に対象者に提示した全文をお示しください。
二 3次元顔形状データベース自動照合システムについて
 「10年後の東京」への実行プログラムの新規事業として3次元顔形状データベース自動照合システムの構築・実用化が予算化された。
 しかし防犯カメラ先進国とされるイギリスでも2005年にロンドン同時爆破事件が起き56人もの人々が死亡している。この例からも防犯カメラが、テロ対策として有効であるとは到底言えないと考える。
 今回導入される3次元顔形状データシステムでは、登録データにどのような人が登録されるかの基準も示されていない上に、テロリストというあいまいな用語が使われているため、登録データに登録される人が拡大解釈される危険性もありうると考える。
 3次元顔形状データベース自動照合システムが導入されれば、都民の生活上にさまざまな点で重要な支障をきたすと考え、文書質問を行なう。
1 防犯カメラに映った人物と3次元顔形状データシステムと照合するには、あらかじめ作っておいた登録データとの照合が必要と思う。この登録データベースにはどのような人物を登録するのか。ちなみに「10年後の東京」への実行プログラムには「テロリスト、指名手配犯などの写真」と書かれている。
ア テロリスト・指名手配犯など、とあるが「など」には具体的に誰が含まれるのか。
イ 市民運動や労働組合の活動家は含まれるのか。
ウ 国際指名手配犯など、海外から提供を受けたデータを、データベースに登録することは考えているのか。
2 昨今、ファイル交換ソフトや、データの自宅持ち帰り作業等による情報流出が問題となっている。3次元顔形状データベースは、情報流出や情報の正確性に関して特に厳密な対応が求められると思われる。
ア あらかじめ作成された登録データの外部流出防止策として、どのような手段を講じるのか。
イ 民間のカメラとの接合がされるようだが、モデル地区で撮影された画像データを警視庁に送信する際の漏洩防止策については、どのように考えているか。

平成20年第一回都議会定例会
福士敬子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京オリンピックについて
1 地域危険度測定調査について
ア 選手村建設予定地の有明一丁目は、第5回地域危険度測定調査が発表された平成14年12月時点では、埋立事業中で、大きく海水面が残る状態であった。どのようにして地域危険度を算出したのか伺う。

回答
 平成14年12月の「地震に関する地域危険度測定調査報告書(第5回)」は、「水面・河川・水路」の区域を除外し、建物被害の危険性を表す「建物倒壊危険度」、地域の出火や延焼の危険性を表す「火災危険度」、火災時に人々が避難場所に到達するまでに要する時間などを評価した「避難危険度」と、これら3つの危険度を合算した「総合危険度」を公表しています。
 これによれば、海水面を除いた有明一丁目地域は、地震により倒壊する恐れのある建物や、出火、延焼の恐れのある建物が少なかったことなどから、すべての危険度が五段階評価で最も低いものでした。
 また、選手村予定地は、「地震に関する地域危険度測定調査報告書(第5回)」の調査時は海水面でしたが、現在、埋立が完了しています。今後、当該地に建設する建物などは、十分な耐震性や耐火性を有する構造にするとともに、地盤の状況などに応じて必要な場合は地盤改良を行います。
 このように、選手村周辺地域の地震に対する危険性が低いことに加え、選手村自体も十分な安全対策を講じることにより、地震に対する安全性を確保していきます。

質問事項
一の1のイ この地域危険度を多数の選手が入村した状態の選手村にそのまま適用できるのか、見解を伺う。

回答
 選手村予定地に建設する建物などは、十分な耐震性や耐火性を持った構造にするとともに、地盤の状況などに応じて必要な場合は地盤改良を行うことで、地震に対する安全性は確保できるものと考えています。
 なお、世界各国から多数の選手などが入村した選手村において、地震が発生した際の混乱を防ぐため、多言語での誘導案内の実施など、適切な誘導方法を講じることにより、安全性を確保していきます。

質問事項
一の1のウ 晴海地区において、現状の更地の状態で算出された地域危険度を、メインスタジアムが建設され、10万人の観客が入った状態にそのまま適用できるのか、見解を伺う。

回答
 現在の晴海五丁目周辺地域は、地震により倒壊する恐れのある建物や、出火や延焼の恐れのある建物が少ないことから、地震に対する地域危険度が低い地域です。また、オリンピックスタジアムを建設する際には、建物は十分な耐震性や耐火性を持った構造とするとともに、地盤の状況などに応じて必要な場合は地盤改良を行います。
 こうしたことから、オリンピックスタジアムが建設された状態においても、地震に対する安全性は確保できるものと考えています。
 なお、オリンピックの開閉会式など10万人の観客が入った状態において、地震が発生した際の混乱を防ぐため、誘導員のきめ細かい配備や多言語での誘導案内の実施など、適切な誘導方法を講じることにより、安全性を確保していきます。

質問事項
一の2 選手村建設が予定されている有明北地区では、埋立地部分は地盤沈下の危険があり、インフラへの損害発生も考えられるが、どのような対策を講じていくのか伺う。

回答
 埋立地の開発においては、埋立完了後、地盤が安定するまでの期間を確保した後、地盤の強度などを把握する地質調査を実施し、必要な場合は地盤改良を行うなど、十分な対策を講じたうえで、インフラ等の整備を行っています。

質問事項
一の3 オリンピックに関する世論調査について
ア 昨年12月、オリンピックの2016年東京招致に関する世論調査が行われたが、招致委員会が発表したのは二つの設問のみである。他の設問について示してほしい。

回答
 既にお示しした認知度、支持率、賛成の理由、反対の理由、生で見たいか、の5項目のほかに、以下の質問をしました。
・2016年の夏季オリンピック招致のコンセプトについて、ご存知だったものをお知らせください。
・オリンピック招致の効果について、ご存知だったものをお知らせください。
・2016年東京オリンピックのスローガンとシンボルマークについてご存知だったものをお知らせください。
・スローガンや招致ロゴをどちらでご覧になりましたか。
・「東京オリンピック招致のポスター」をご覧になったことがありますか。
・「2016年東京オリンピック招致のテレビCM」をご覧になったことがありますか。

質問事項
一の3のイ 設問以外に調査の対象者に提示した全文を示してほしい。

回答
 設問以外には、「2016年東京オリンピック・パラリンピック開催基本計画」、「第31回オリンピック競技大会開催概要計画書」を参照できるようにしました。

質問事項
二 3次元顔形状データベース自動照合システムについて
1 登録データベースについて
ア 3次元顔形状データシステムのデータベースには、「テロリスト、指名手配犯などの写真」を登録するとされているが、「など」には具体的に誰が含まれるのか伺う。

回答
 殺人、強盗等の重要・凶悪事件の被疑者については、指名手配登録手続中の段階であっても本システムに登録することを想定しており、こうした被疑者が「など」に該当します。

質問事項
二の1のイ 市民運動や労働組合の活動家は含まれるのか伺う。

回答
 本システムは、テロリスト・指名手配犯人などのデータを登録するものであり、市民運動や労働組合の活動家であることを理由に登録することはありません。

質問事項
二の1のウ 国際指名手配犯など、海外から提供を受けたデータを、データベースに登録することは考えているのか伺う。

回答
 日本国内における被害の防止及び国際捜査共助の趣旨から、外国捜査機関から国際手配されている者で、「出入国管理及び難民認定法」に基づき退去強制手続を早急にとるべき者については、データベースに登録することを考えています。

質問事項
二の2 情報流出への対応について
ア 3次元顔形状データベースは、情報流出等に関して特に厳密な対応が求められると思うが、あらかじめ作成された登録データの外部流出防止策として、どのような手段を講じるのか伺う。

回答
 登録データの保管・管理については、アクセス権限の制限、アクセス履歴の管理、データの暗号化など厳格な運用に努め、情報流出を生じさせない万全のセキュリティ対策を施すこととしています。

質問事項
二の2のイ 民間のカメラとの接合がされるようだが、モデル地区で撮影された画像データを警視庁に送信する際の漏えい防止策について、どのように考えているのか伺う。

回答
 モデル地区から警視庁への画像データの送信に当っては、外部からアクセスができない高いセキュリティを有する通信ネットワーク回線を利用するなど、漏えい防止に万全を期することとしています。

平成20年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 村松みえ子

質問事項
一 都市農業の振興について

一 都市農業の振興について
 私は先日、地元の日野市で開催された「農業シンポジウム」に参加しました。4回目を迎えたシンポジウムには、会場いっぱいの関係者や市民の方が参加し、「地球温暖化と農業」と題した講演と、パネリストの農業従事者、消費者団体、農業委員の発言に耳を傾けていました。私は、このシンポジウムに参加し、日野市内で都市農業をされている方々や、市の担当者の地道な努力を痛感しました。
 日野市は、都市化が進む中で、住宅地の中に農地があります。農家の人は、「農薬を散布するとき、近所の住宅にかからないように、風の少ない日をえらぶとか、防薬シャッターを畑の周りに張るなど工夫している」といった努力をしながら、農業をまもっています。また、収穫寸前に作物(果物や、野菜類など)をハクビシンや、鳥につつかれるため、その被害を受けないようにするためにも大変な苦労をしているということでした。
 一方、昨年後半から顕著になった国際穀物価格の急騰は、食料品や飼料の価格を上昇させ、国民生活をじりじりと圧迫しています。同時に、地球温暖化による農漁業の生産条件の悪化や食料資源の減少、発展途上国の人口増とバイオ燃料による需要の急増などのため、国際的な食料不足が現実の問題になっています。
 こうしたもとで、東京の農耕地面積は、1999年9190ヘクタールあったものが2006年度には8320ヘクタールと、この7年間で約9.1%以上も減少しました。生産緑地面積は、1999年3925ヘクタール、2006年3704ヘクタールと約6%以下の減少にとどまっていますが、日野市では、10年前に「農業基本条例」を制定し積極的に生産緑地指定をすすめ、1996年から2005年までの間に、133ヘクタールから136ヘクタールに増加しています。この背景には、日野市の取り組みがあります。その1つは、全国に先がけて制定した「日野市農業基本条例」です。その理念として、「農業振興は、新鮮で安全な農産物の供給をうけ、自然環境を享受する全ての市民に係わる施策として、将来の世代に継承していくことを目的に行わなければならない」としています。そして、具体的に農業経営の近代化、環境に配慮した農業、消費者と結びついた生産及び流通、農業の担い手の確保及び育成、農地の保全、災害への対応などが基本事項に掲げられています。さらに、具体的に市が責任を持って推進することとして、農業振興計画の策定と実施をあげ、市民の責務も明確にして、農業懇談会を設置し、農業施策の推進について、調査し、意見を求めるとしています。
 大阪府でも昨年10月、都市農業条例を制定し、関係者から歓迎されています。
 大阪府の条例の特徴は、第1に、地産地消や、農薬・化学肥料を半減させたエコ農業を実践する小規模農家、援農ボランティアなどの組織を担い手に位置づけて支援する自治体独自の制度を創設したことです。第2に、農地、里山、集落及び水路、ため池などの施設が一体としてある農空間は、「風格ある都市」づくりに欠かせないとしていることです。第3に、農地を新鮮で安全な食の供給基地であり、食育や景観形成、歴史・文化に触れる場、ヒートアイランド現象の緩和、防災など、非常に多面的機能ととらえていることです。
1 都としても、このように農業施策を都政の柱としてしっかり位置づけ、農業振興条例を制定して欲しいという声に応えるべきではありませんか。
2 また、都として日野市、稲城市のように、積極的に生産緑地を増やしている地域の取り組みを支援するとともに、他の自治体でも取り組めるよう制度化することを提案します。
 以下、具体的にうかがいます。
 現行制度による生産緑地の税の軽減制度の拡充について、都は重点事項として国に提案要求をしていますが、国の対応待ちということでは、困ります。
3 農業用施設用地など、農業の継続に欠かせない部分であるにもかかわらず、税法上除外されている部分について、都として積極的に負担軽減の方策をすすめるよう求めます。
4 生産緑地といえども、相続のために失わざるを得ない状況がおきています。そうした際に、地元自治体と連携して生産緑地を買い取る制度をつくって、公立の農業公園というものをつくるよう提案するものですが、答弁を求めます。
 都が主催して、八王子市小宮公園付近の宇津木で行っている、「農地と担手マッチング」事業は、農業を理解し、農業の専門知識を得るために農業の実習・講義など専門的に学ぶ事業として大変好評です。三宅島民が利用していた都有地を、1期2年かけて研修を行う事業ですが、1期生の公募70名に対して、245名の応募がありました。2期、3期も50名に対して、約90名が応募するほどの人気がありました。八王子市で行うというのに、江戸川区や練馬区からも来ています。
5 区部でもやって欲しいという、強い都民の要望に答えられるように、こうした農業者育成事業をおこなう場所を、各自治体と連携していくつも創設するよう求めるものです。
6 また、都は農業体験農園を開設する際に、休憩施設やトイレなどの整備に対する補助を行ってきておりますが、こうした補助対象などを拡充するよう求めるものです。
 東京の温暖化は世界の気温が過去100年間で0.74度の上昇に対して、東京は3度の上昇と深刻な状況になっています。農地は、地球の温度を下げる役割を持っています。東京の農業を守ることは、地球環境を守ることにつながります。農地が、地球温暖化やヒートアイランド現象の防止など、環境確保の面から見直されています。
7 環境局として、あらためて農地、森林地が環境面で果たしている役割について、科学的データを調査することを求めるものですが、いかがですか。
8 さらに、地球温暖化対策の立場から都市農業を守る取り組みが必要と考えますがどうか。
 食料自給率が39%まで落ち込んだ今、安心・安全な地場産の食料品を求める声が広がっています。特に、中国の冷凍ギョーザに使用禁止の農薬が混入した事件、産地など食品偽装事件から、食の安全を求める声がかつてなく高まるとともに、地場産農産物への要求が上昇しています。
 日野市では、25年前から小・中学校の給食に地元産の野菜を供給してきました。それは、小学生が学校の行き帰りに近くの田畑に入って遊び、農作物を荒らすなどの被害に教育で都市農業を理解してもらおうということから始まりました。
 私は、小・中学校の給食の時間を見学させていただきました。当番の生徒が「今日の給食に出ているとうもろこしは、平山の遠藤さんが、4月に種をまき、草取りは、何回して今朝6時に畑からとってきたものです」と報告してみんなで「いただきます」と食べていました。このように農家の人が丹念に育てたものだということを確認しながら給食で利用するようになってから、田畑に子どもが入って遊ぶことがなくなったということも伺いました。
 また、大豆やトウモロコシに遺伝子組み換えが使われるという問題があったとき、栄養士さんが、「生徒に安全なお豆腐を食べさせたい」と市内の農家の畑を貸してもらい市民と共同して大豆を作って学校給食で使用しています。
9 学校、病院などへの地場産農産物の供給が急がれています。都として支援を求めるものです。
10 また、地場産の農産物を直接販売する共同直売所は、今日の都民の要望に応えるものであるとともに、農家にとっては農産物の販路としても、大変大きな役割を果たすものです。都として、共同直売所への支援を拡充するよう求めるものです。
11 消費者と農業従事者とお互いの理解を深めることも大切です。そのためにも、各自治体間での意見交換会や経験交流などを進めることが必要と考えますがいかがですか。
 東京都の「魅力ある都市農業育成事業」の改善も強い要望があります。日野市内にたった1軒しかない酪農家がこの事業を使って牛乳の搾乳機を購入し、アイスクリームショップを作ったのですが、東京都に提出する書類が多くてこの事業を進めるために、市の担当者がかかりきりで他の仕事に手が出せないほどだったとのことです。もっと簡素に効率よくできないかという意見もあります。
 また、イチゴを経営している農家では、これまで低い土地に這わせて作っていたのを、発泡スチロールを使い上に上げたところに栽培できるようになり、作業が楽になった。この事業も「魅力ある都市農業育成事業」を使ったのですが、希望する農家の人の年齢が70歳前ということで年齢を理由に1件の農家が事業からきられてしまったということです。
 これでは、都市農業を守ろうと頑張っている人のやる気をそぐことになります。
 また、農業者3名以上の事業が前提になっている点、補助の継続が認められず一年限りである点について、改善を求める声が寄せられています。
12 こうした声に応え、「魅力ある都市農業対策事業」について、もっと利用しやすくするため、年齢制限の撤廃、提出書類の簡素化など積極的に柔軟に対応できるよう改善を求めます。
 東京の農家総数は、1998年(平成10年)に1万6600軒が、2005年(平成17年)には、1万3748軒と7年間で2852軒も減少しています。農業は、自然を相手にしているだけに、農産物の価格保障、農業所得補償など農業経営を守る支援策が欠かせませんが、特に最近では、原油高騰による施設栽培の農業者などへの燃料負担は、大変な重圧となっています。
13 施設園芸農家などを中心に、原油高騰の影響調査の実施、原油の価格高騰対策や省エネ施設の改善にたいして無利子長期融資の実施などを求めます。

平成20年第一回都議会定例会
村松みえ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都市農業の振興について
1 日野市は、全国に先がけて農業基本条例を制定し、大阪府も都市農業基本条例を制定して農業施策を推進している。都も、農業施策を都政の柱として位置づけ、農業振興条例を制定すべきだが、所見を伺う。

回答
 都は、東京農業の可能性を切り拓き、魅力ある産業としての東京農業を振興する方向を明らかにし、計画的に振興施策を進めるための指針として「東京農業振興プラン」を策定し、さまざまな農業施策を展開しています。したがって、条例制定の予定はありません。

質問事項
一の2 また、都として日野市、稲城市のように、積極的に生産緑地を増やしている地域の取り組みを支援するとともに、他の自治体でも取り組めるよう制度化することを提案するが、所見を伺う。

回答
 都は、区市町村が農業振興計画等を策定する際に必要な助言を行うとともに、区市町村における農業振興や農地保全の取組に対し、魅力ある都市農業育成対策事業などのさまざまな施策による支援を行っています。

質問事項
一の3 都は、生産緑地の税の軽減制度の拡充について国に提案要求をしているが、国の対応待ちではなく、税法上除外されている農業用施設などに都として負担軽減すべきだが、所見を伺う。

回答
 生産緑地地区の農地や農業用施設用地等の相続税制度は国の制度であるため、軽減措置などの改善について国に要望しています。

質問事項
一の4 相続のために失わざるを得ない生産緑地について、地元自治体と連携して買い取る制度をつくり、公立の農業公園をつくるよう提案するが、答弁を求める。

回答
 都市計画に定める生産緑地地区については、相続等のために耕作を続けることが困難となった場合、「生産緑地法」第10条に基づき、区市長に対して時価で買い取りを申し出ることのできる制度が定められています。
 区市においては、この制度に則り、適正な運用を行なっています。

質問事項
一の5 都が主催して八王子で行っている農地と担い手マッチング事業には、江戸川や練馬からも応募がある。こうした事業をおこなう場所を、各自治体との連携でいくつも創設すべきだが、所見を伺う。

回答
 農業に関心を持つ都民を、自ら耕作できる技術を持った新たな担い手として育成する実践農業セミナーは、意欲ある都民に積極的な参加をいただいており、都民の要望に応えているものと考えています。

質問事項
一の6 また、都は農業体験農園を開設する際に、休憩施設やトイレなどの整備に対する補助を行っているが、こうした補助対象などを拡充するよう求めるが、所見を伺う。

回答
 農業体験農園の開設の際、都は、休憩施設やトイレ以外にも、農地の区画割、農地周辺のフェンス、農具置き場などの整備に対して支援を行っています。

質問事項
一の7 農地が、地球温暖化やヒートアイランド現象の防止など、環境確保の面から見直されている。農地、森林地が環境面で果たす役割について、科学的データを調査すべきだが、所見を伺う。

回答
 農地など都市の緑は、ヒートアイランド現象の緩和などの観点からも重要な役割を果たしています。
 都は、これまでも、農地や緑地などのヒートアイランド現象の緩和機能などについて、調査研究を行っています。

質問事項
一の8 さらに、地球温暖化対策の立場から都市農業を守る取組が必要と考えるが、所見を伺う。

回答
 ヒートアイランド現象の緩和を進めるうえで、地表面の被覆対策は重要なことから、今回改正した「東京都環境基本計画」においても、引き続き、都市農業の保全を施策の方向として位置づけています。

質問事項
一の9 今、産地を偽る食品偽装事件などから、安心・安全な地場産の食料品を求める声が広がっており、学校、病院などへの地場産農産物の供給が急がれている。都として支援すべきだが、所見を伺う。

回答
 都では、平成17年度から、地産地消学校給食導入モデル校事業や、学校栄養職員を対象とした地産地消料理講習会等を行ってきており、今後も、地産地消給食導入支援事業により、地場産農産物の学校給食等での利用に取り組んでいくこととしています。

質問事項
一の10 地場産農産物の共同直売所は、今日の都民の要望に応えるとともに、農家の農産物の販路としても、大きな役割を果たすものだ。都として、共同直売所への支援を拡充すべきだが、所見を伺う。

回答
 共同直売所の整備に対しては、都は、魅力ある都市農業育成対策事業等により、区市等が実施する施設整備やPR活動に対する補助などに対し、既に十分な支援を行っています。

質問事項
一の11 消費者と農業従事者とお互いの理解を深めることも大切である。そのためにも、各自治体間での意見交換会や経験交流などを進めるべきだが、所見を伺う。

回答
 都では、消費者と農業者の相互理解を深めるために、農業改良普及センターの「東京都農業改良普及事業フォーラム」において、消費者の現地見学や農業者との意見交換などを行うとともに、区市と共催で「都市農地保全自治体フォーラム」を開催し、農業体験等の事例発表などを行っています。

質問事項
一の12 都の「魅力ある都市農業対策事業」について、もっと利用しやすくするため、年齢制限の撤廃、提出書類の簡素化など積極的に柔軟に対応出来るよう改善すべきだが、所見を伺う。

回答
 魅力ある都市農業育成対策事業では、原則として年齢制限を設けておらず、提出書類については、事業の適正な執行に必要な書類の提出をお願いしています。

質問事項
一の13 施設栽培農業者への原油高騰による燃料負担は、大変な重圧となっている。原油高騰の影響調査及び対策、省エネ施設の改善に対する無利子長期融資の実施などをすべきだが、所見を伺う。

回答
 都では、農業改良普及センターにおいて、農家から直接原油高騰の影響等についての意見を聴いています。
 原油高騰に対する農業者への金融支援としては、省エネ型施設を導入する場合の農業改良資金による無利子の長期貸付制度があり、また、農業経営に必要な運転資金としての農業近代化資金の借入れに対する利子補給を行っています。

平成20年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山口文江

質問事項
一 教育委員会における請願の処理について

一 教育委員会における請願の処理について
 請願は、憲法で定められており、国民の基本的権利として保障され、市民の要望や意見を国や地方公共団体の機関に対し文書で申し出るものです。都議会でも、多様な請願が提出され、採択に当たっては、付託されたそれぞれの委員会で質疑を行い、公正・中立な立場で審議しています。都教育委員会においても、国民の権利である請願は真摯に受け止め、審議する責任があります。しかし、近年、教育委員会に提出された請願が委員会で議論がされていない、請願の趣旨や請願者の思いが届かないという声が、都民から寄せられています。
 そこで、以下の点について質問します。
1 改めて、平成14年の請願処理規則改正、請願取扱要綱制定の理由と、どのような議論がされたのか伺います。
2 規則改正前5年間に、教育委員会に付議された請願の件数と、その取扱いについて伺います。
3 規則改正以降、教育情報課が受け付けた請願の件数、また、その中で最も多く出された請願の内容はどのようなものがあったのか、伺います。
4 それらの請願をどのように処理され、請願者にはどのように通知されてきたのか、伺います。
5 請願は、主管課が請願者から直接受け取り、請願者の願意を十分にくみ取るべきと考えるが、見解を伺います。
6 同一内容の請願が、何年にも渡って提出されるのであれば、それを都民の声として真摯に聞き、改めて教育委員会の中で議論すべきと考えますが、見解を伺います。
7 教育の現場では、住民との共同による取り組みが進められようとしていますが、教育における市民の要望や意見の反映について、教育委員会はどのように考えているのか、伺います。

平成20年第一回都議会定例会
山口文江議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 教育委員会における請願の処理について
1 平成14年に請願処理規則の改正、請願取扱要綱の制定が行われたが、その理由と、どのような議論がされたのか伺う。

回答
 規則改正前は、教育委員会で受理した請願は、すべて教育委員会の会議に付議していましたが、その多くは人事異動の問題やいじめの問題など個人的な請願でした。
 また、請願者への回答は審議後に行われていましたが、会議の開催日が限定されているため、回答までに時間がかかっていました。
 こうした点について委員から指摘があり、会議の効率化及び請願の迅速な処理という観点から、請願処理規則の改正を行いました。
 また、規則第4条に「この規則の実施に必要な事項は、教育長が別に定める」と規定されているため、請願の収受や処理の方法等の必要な事項について、新たに「東京都教育委員会請願取扱要綱」を定めました。

質問事項
一の2 請願処理規則改正前5年間に、教育委員会に付議された請願の件数と、その取扱いについて伺う。

回答
 平成9年4月から平成14年6月までの間に教育委員会の会議に付議された請願の件数は14件で、いずれも議案として審議されています。

質問事項
一の3 請願処理規則改正以降、教育情報課が受け付けた請願の件数、また、その中で最も多く出された請願の内容について伺う。

回答
 平成14年7月以降、平成20年3月末までに受け付けた請願件数は37件です。このうち、最も多く出された請願の内容は、教科書採択に関する請願で、件数は17件です。

質問事項
一の4 それらの請願をどのように処理し、請願者にどのように通知してきたのか伺う。

回答
 請願については、「東京都教育委員会請願処理規則」及び「東京都教育委員会請願取扱要綱」に基づき、主管課において迅速かつ慎重に検討して、その結果を請願者に回答するとともに、必要に応じて教育委員会の会議において報告し、委員の意見を聞いています。

質問事項
一の5 請願は、主管課が請願者から直接受け取り、請願者の願意を十分にくみ取るべきだが、見解を伺う。

回答
 請願については、従来から、広聴を所管する教育情報課が窓口として請願の主旨や御意見・御要望等を十分に伺い、対応しています。
 請願の処理を迅速かつ確実に行うためには、窓口が一本化されていることが必要であり、これまでの対応を変更する考えはありません。

質問事項
一の6 同一内容の請願が、何年にも渡り提出されるのであれば、それを都民の声として真摯に聞き、改めて教育委員会の中で議論すべきだが、見解を伺う。

回答
 請願については、これまでも、「東京都教育委員会請願処理規則」等に基づき、主管課において迅速かつ慎重に検討するとともに、必要に応じて教育委員会の会議において報告し、委員の意見を聞いています。
 今後とも規則等に基づき適正に処理していきます。

質問事項
一の7 教育の現場では、住民との共同による取組が進められようとしているが、教育における市民の要望や意見の反映について、教育委員会はどのように考えているのか伺う。

回答
 都教育委員会では、これまでも、請願に限らず都民や団体から寄せられる意見や苦情について、主管課において迅速かつ慎重に検討等を行うとともに、必要に応じて教育委員会の会議において報告し、建設的な意見等については事務事業の改善に役立ててきました。
 今後とも、都民や団体からの要望、請願等について、適正に対応していきます。

平成20年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 吉田康一郎

質問事項
一 区市町村が行う自転車駐輪場の整備に対する都の支援について

一 区市町村が行う自転車駐輪場の整備に対する都の支援について
 都は、昨年1月に自転車の安全利用推進総合プランを策定し、自転車を鉄道、自動車、徒歩などと並ぶ都市における主要な交通手段の一つとして位置づけ、その利用の促進に取り組んでいる。
 自転車の利用を促進する上で、駐輪場の確保は重要であるので、都の取組みに関して、以下について伺う。
 過去20年間における、区市町村が都有地を活用して整備を行った駐輪場の各年の整備の箇所数、面積および駐輪台数について。

平成20年第一回都議会定例会
吉田康一郎議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 自転車利用を促進する上で、駐輪場の確保は重要である。過去20年間における、区市町村が都有地を活用して整備を行った駐輪場の各年の整備の箇所数、面積及び駐輪台数について伺う。

回答
 区市町村の駐輪場の整備状況については、これまでも、昭和52年から毎年調査を実施し、区市町村ごとの駐輪場の箇所数、敷地形態、面積、駐車可能台数、実駐車台数等の実態把握に努めています。
 駐輪場の敷地形態については、道路敷、一般公有地、鉄道用地、民有地の区分で調査を実施しています。
 なお、駐輪場の詳細な実態を把握する必要も考えられるため、都有地を活用して整備を行った駐輪場についても、今後、早期に調査を実施します。

平成20年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 石毛しげる

質問事項
一 都営荒川線における観光対策などについて
二 トンネル内の設備について

一 都営荒川線における観光対策などについて
 都営荒川線は下町情緒豊かな線路で最も親しまれ、都民の足として1日あたり約5万3千人もの利用者がある。
 また、自動車に比べて排出ガスの量が非常に少なく、電力回生システムにより省エネルギー化され、バリアフリーも行き届いている都電で残っている唯一の貴重な路線である。
 今後も更に多くの日本人や海外からの旅行者の方々にも利用してもらうべくためにどのような取り組みがなされているか伺いたい。
1 政府や都の方針でもある外国人旅行者の誘致政策により、年々海外からの旅行者が増えてきている。現在設置されてある「周辺案内板」等の文字が日本語、英語以外も必要ではないか。
2 「小さな電車でおさんぽ日和」もとても良く出来ていると思う。同じように外国語版も作れないものか。また一般向けにも、都電の駅以外に置かせてもらったらPRに役立つのではないか。
3 停留場の一つに「鬼子母神前」があるが、「きしぼじんまえ」と「きしもじんまえ」と二通りの読み方で通っている。固有名詞はどちらかに統一するべきではないか。同じく「鬼子母神前」の表記はKishibojinとKishimojin、Kishibojinnのように表記の統一性がない。この点もどのように考えるか。
4 国際都市東京には、沢山の外国から観光のみならず、ビジネス、勉強といった目的で集まってくる。今後もこのような利用者は増える一方と考える。乗降口や車内の注意書きや説明がきは多言語で明記する必要があるのではないだろうか。
5 JRとのアクセスは都電において大変重要となる。例えば大塚駅の北口には都電までの導線のサインがあるが、南口のサインは小さくて見えない。また王子駅では導線のサインが全く見当たらない。もっとハッキリ目につくサインが求められるが所見を伺いたい。
6 都電車両を貸出ししているが、最近の状況はどうなっているか。また、貸出し車両については積極的なPRをしているのか、新しく作られた「レトロ電車」が一台あるが、他の電車と貸出し料金が同じと聞く。差があっても良いのではないかと考えるがどうか。
二 トンネル内の設備について
 私たち都民にとって、都道は安全な輸送を確保するための大切なライフラインである。日頃にわたり、こうした道路行政全般の当局のご尽力に対して敬意を表します。
 さて、東京都地域防災計画の中でも「震災に強い東京を目指して」とうたっていますが、現在、日本は地震活動度の高い時期を迎えている、と専門家は指摘しています。21世紀の前半から半ばまでは、兵庫県南部地震や現在発生が危惧されている、首都直下地震などのマグニチュードクラスの地震が40回から50回発生すると思われます。今後、東京にも関東大震災級の地震が10年以内に30%、30年以内に70%来ると言われていますが、こうした地震にあわせて水の災害、特にゼロメートルやマイナス地盤の墨田区、江東区といった地域や大きな河川の近くでの溢水の時、トンネルでの問題が考えられます。日常でも交通事故は起きますが、これらの際の情報の発信受信がどうなっているのか。
 トンネル内で災害や事故等が発生すれば、関係する機関等に連絡をしなければなりません。その際、足の不自由な障害者がトンネル内に設置してある緊急電話を使用したくても、緊急電話の所に行くまでに高低差があり、車イスでは不可能です。
 先般、日本における携帯電話の普及が、日本の人口と同じ台数になったと報道されていました。障害者でも自分の手元にある携帯電話で災害や事故の状況を伝えたり、地震の時のラジオやテレビなどの電波が受信可能であれば、その後の生命や火災・水害等に大きな差異が生じてくるといえます。
 そこで都道のトンネルについて伺います。
1 都道におけるトンネルはいくつあり、監視カメラ等の設置状況はどうなっているか。
2 携帯電話の送受信が不可能な箇所はどのくらいあるのか、またそうした所については今後どのような対策を考えているのか。
3 国際都市東京には、いろいろな外国人が住んでいるが、こうした人々が判るトンネル内の表示も多言語で表すことが必要と思うがどうか。

平成20年第一回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都電荒川線における観光対策などについて
1 外国人旅行者の誘致政策により、年々海外からの旅行者が増えてきている。都電荒川線を更に多くの方々に利用してもらうため、周辺案内板等の文字が日本語、英語以外も必要と考えるが、所見を伺う。

回答
 交通局は、これまでも、都営地下鉄の出口、券売機、トイレなど必要性の高いところに多言語表記を行ってきました。ご指摘の荒川線については、周辺案内地図などで英語表記を行っていますが、その他の言語による表記については今後の検討課題としていきます。

質問事項
一の2 「小さな電車でおさんぽ日和」もとても良く出来ていると思う。同じように外国語版も作れないか。また一般向けにも、都電の駅以外に置いたらPRに役立つと思うが、所見を伺う。

回答
 「小さな電車でおさんぽ日和」は、都電沿線の見どころや運賃等のご案内を掲載している路線案内図で、日本語版のみ作成しています。交通局が作成している外国人旅行者向けパンフレットとしては、都営地下鉄の利用案内(英語、中国語、ハングル)がありますが、「小さな電車でおさんぽ日和」の外国語版については、その需要の動向も踏まえ検討していきます。
 また、その配布は主に荒川電車営業所で行っていますが、それ以外にも拡大していくことを今後検討していきます。

質問事項
一の3 「鬼子母神前」は、「きしぼじんまえ」と「きしもじんまえ」と二通りあるが、どちらかに統一すべきではないか。また、KishibojinとKishimojinなど表記の統一性がないが、この点について所見を伺う。

回答
 寺院の名称は「きしもじん」ですが、停留場の名称は、大正14年の王子電気軌道株式会社時代から「きしぼじんまえ」となっており、また地域でも定着した名称となっているため、今後ともこの名称を使用していきたいと考えています。
 なお、「きしぼじんまえ」の表記については、停留場と車内で不統一がありましたのでヘボン式の「Kishibojimmae」で統一したところです。

質問事項
一の4 国際都市東京には、外国から観光のみならず、ビジネス、勉強といった目的で人が集まってくるが、乗降口や車内の注意書きや説明がきは多言語で明記すべきだが、所見を伺う。

回答
 荒川線の車両では、LED式車内表示器による次停留場名の英語表示を行っていますが、その他の多言語表記のあり方については、車内の表示スペースが限られているため、今後の検討課題としていきます。

質問事項
一の5 JRとのアクセスは都電において大変重要となる。例えば大塚駅南口の都電までの導線のサインは小さくて見えないなど、もっとハッキリ目につくサインが求められるが、所見を伺う。

回答
 乗換案内の重要性は認識しており、わかりやすい案内サインの設置について地権者であるJRに働きかけていきます。

質問事項
一の6 都電車両の貸出し状況はどうか。また、貸出し車両については積極的なPRをしているのか。レトロ電車の貸出し料金が他の電車と同じと聞いたが、差をつけても良いと考えるが、所見を伺う。

回答
 都電の貸切は、昨年度に導入したレトロ車両の影響もあり、一般的な利用に加え、テレビや雑誌等の撮影にも利用されるなど、前年度実績を上回っています。
 貸切車両の利用については、各種パンフレットに掲載するほか、マスコミ取材などを通じても積極的にPRしています。
 レトロ車両については、一般のお客様にも幅広くご利用いただくために、他の車両と同様の貸切運賃としています。

質問事項
二 トンネル内の設備について
1 トンネル内で災害や事故等の発生を鑑みて、都道のトンネルについて伺う。
 都道におけるトンネルはいくつあり、監視カメラ等の設置状況はどうなっているか伺う。

回答
 平成19年度末現在、都道には113のトンネルがあります。
 トンネル内の監視カメラ等の非常用施設については、国が定める「道路トンネル非常用施設設置基準」に基づき、トンネル延長や交通量に応じて48トンネルに設置しています。
 これまで、監視カメラを8、非常電話を39、ラジオ再放送設備を26のトンネルに設置し、火災その他の事故発生時の連絡や事故の拡大防止対策を行っています。

質問事項
二の2 携帯電話の送受信が不可能な箇所はどのくらいあるのか、またそうした所については今後どのような対策を考えているのか伺う。

回答
 トンネル内における携帯電話の送受信が不可能な箇所、いわゆる不感地の対策については、通信事業者等で構成する社団法人移動通信基盤整備協会が、移動通信サービスの確保を図ることを目的に実施しています。
 都道において、トンネル構造物により電波が遮へいされ、携帯電話の送受信が不可能となっているトンネルは、平成19年度末現在で19か所あります。
 この19のトンネルについて、同協会に対し携帯電話の不感地の解消を図るよう要望しています。

質問事項
二の3 国際都市東京には、いろいろな外国人が住んでいるが、こうした人々が判るトンネル内の表示も多言語で表すことが必要と思うが、所見を伺う。

回答
 トンネル内で火災その他の事故に遭遇した運転者等に情報を提供するための誘導表示板、非常口、非常電話等の表示については、国が定める「道路トンネル非常用施設設置基準」に基づき、図記号等で分かりやすく表示しています。
 トンネル非常用施設に係るトンネル内の多言語表示については、今後の検討課題と考えています。

平成20年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 清水ひで子

質問事項
一 「都立高校改革」と進学指導について

一 「都立高校改革」と進学指導について
 私はこれまで「都立高校改革」にもとづく、普通高校や専門高校、定時制高校などの統廃合による子どもたちへの影響などについて文書質問で指摘してきました。今回は、進路指導重点校の問題で、生徒の心が傷つけられている実態について質します。
 都は、「都立高校改革」の1つとして「長期低落傾向に歯止めのかからなかった都立高校の進学実績の向上にむけて」として、「過去の進学実績、学力検査問題の自校作成、進学対策の状況などを総合的に勘案し」、2001年以降、日比谷、戸山、西、八王子東、青山、立川、国立の7校を進学指導重点校に指定しました。そして昨年4月、これらの取り組み状況報告を公表しました。この「報告書」は、各校の取り組み状況とともに、東大、東工大、一橋大、京大の国立4大学や国公立医学部医学科、早稲田、慶応、上智の私立大学をことさら強調して取り上げ、高校別の各大学の合格者数、現役合格者数などが掲載されています。
 これに関連し、都立高校の保護者などから問題を指摘する声が寄せられています。
 例えば、現在3年生のある都立高校生は、国公立志望でT大を受験しましたが、不合格だったそうです。いわゆる「模試」の結果ではE判定で、受験しても到底合格の見込みのない状態だったそうですが、学校では、一段上の目標に向けさせて学力向上を図るということでT大を勧め、「本人もその気になってしまった」そうです。親御さんとしてはリスクが大きすぎると思いましたが、子どもが学校を信頼している様子から、強いて断念させることはしなかったとのことです。
 しかしこの親御さんは今回、進路指導に関するお子さんの学校の実績を改めて見て、愕然としたそうです。余りにも難関校に多く受験させ浪人を出している、また不本意な私大進学に回っている、たとえばT大への合格率は、3分の1どころかそれ以下となっているとのことです。「実力不相応に難関校を受験させ、あわよくば現役合格の絶対数を多くしたい、という意図がありありで、実際には過大なリスクを生徒父兄に負わせ、結果的に子どもたちの心を傷つけている」と、訴えています。
 ある高校の「経営計画」をみると、「現役進学者における3学年当初の高い第1位志望決定率55%以上」、「国公立大学合格者数(現浪)150名」、「センター試験受験者のうち5教科7科目型受験者数200名」、「センター試験の5教科7科目型(900点満点で)、平均700点」などと、数値目標をかかげてとりくんでいることがわかります。都教委の「報告書」でも、各高校の数値目標と達成度が一覧で掲載されています。
 学校が具体的目標をもつことは大事かもしれませんが、こうした数字がかかげられることで、教員、生徒がこれに向かって走らされていくことは明白です。こういう中で、生徒本人の希望を大切にした進路指導やその生徒の成長よりも、とにかく数値目標の達成が重視され、前に述べた学校の場合、目指す学校像「自らの力で伸びようとする生徒」とも異なる方向に向かうこともあり得るのではないですか。そこで伺います。
1 進学指導重点校で、実力以上に難関な受験を子どもに押しつけていることは事実なのですか。実態を把握するべきではありませんか。
2 なぜ都教委が、高校ごとに「難関大学」の合格者数を発表しているのですか。
3 こうした公表が、やみくもに学校に合格者数を競わせることにつながると思いませんか。
4 学力の向上や本人の進路希望の実現などは否定するものではありませんが、生徒にこのような影響がでていることも把握し、生徒に、学校の目標達成を第1においた要求やプレッシャーを与えないことが重要ではないですか。
 実際、ある高校では07年度、先に述べた国立4校と国公立医学部医学科に、現役生徒が76人も受験していますが、15人しか合格していません。各大学への受験者数に対する合格者数の割合をみると、東大が32%、一橋大11%、東工大17%、京大0%、国公立大学医学部医学科14%と、10人に1人か2人しか合格しない状況です。
 受験校の決定にはさまざまな要素が関係しているとは思いますが、実際にお子さんを通じてその高校の進路指導を経験した親御さんが、受験者数にくらべてあまりにも合格者数が少ないと驚き、「『成果』を焦るあまり、こうした無理な難関校への受験を誘導していると思われてならない」と、生徒本位の進路指導というより、自分の子どもが学校の目標達成の手段とされたと感じているのです。そして、「これからも、私の子どものような犠牲者がでないよう、国立4大学への現役合格絶対数を競わせるような、都教委のやり方を是正させてほしい」と語っています。
5 都教委が「難関国公立大学」や「難関私立大学」への合格者数を競わせるようなやり方を改め、子どもの心を傷つける進路指導の歪みを正すことが求められているのではないですか。
 都教委はこの間「都立高校改革」として、学校の多様化・複線化路線を展開し、各校に、予算や教員の加配などを獲得したかったら特色化せよと、各校を競争させるやり方を展開しています。しかしこの路線のもと、無理に無理を重ねたやり方となり、生徒や保護者がむやみな競争に追いやられたり、学校の「特色」に生徒の方が自分を曲げて合わせなければならないなどの、矛盾と苦しみに満ちた訴えが、少なからず私たちのところにも寄せられています。
 私は、「都立高校改革」による二商と八王子工業の統合で、この2つの学校が生徒や地域のニーズを捉え地域と協力してつくり上げてきた伝統、本当の特色をつぶし、一方的な「特色」を押しつけている問題、また、4校あった八王子市内の夜間定時制高校が昼夜間定時制の拓真高校に統廃合され、入試倍率があまりに高くなり不合格の生徒が続出した問題などを、当事者の声にもとづき質してきました。生徒や保護者は身近に通える普通の都立高校に行きたいと願っているのに、全日制の普通科が1つもなくなってしまった区市町村もあります。不登校や中退などの生徒を受け入れるとするチャレンジスクールは3倍の入試倍率と、せっかくチャレンジしようとした子ども達をはねつけるものになっています。
 こうした矛盾を招いている根底には、都教委の「改革」が、すべての子どもたちの成長を保障するという立場ではなく、「人材」育成に重きを置いた差別と選別の路線によっていること、そして教育にはなじまない「競争原理」を学校現場に持ち込んでいることがあるのではありませんか。
6 今日の時点にたって「都立高校改革」と再編整備の現状を把握し、どの子にも教育の場を保障するという立場に立って、問題点について修正の方向に踏み出すべきではありませんか。
7 希望するすべての生徒が、希望にそった高校に入学でき、いきいきと学べる環境を整備することが求められていると考えますが、どうですか。

平成20年第一回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 「都立高校改革」と進学指導について
1 進学指導重点校の問題で、生徒の心が傷つけられている実態について質す。進学指導重点校で、実力以上に難関な受験を子どもに押しつけていることは事実なのか。実態を把握すべきだが、所見を伺う。

回答
 受験校の決定は、生徒本人と保護者が行うものです。進学指導重点校においても、個別面談や三者面談等を通して、生徒一人一人の進路に合わせたガイダンス等を丁寧に実施し、本人の進路希望や特性に基づき受験校を決定できるよう指導の充実を図っています。

質問事項
一の2 都は、進学指導重点校の取組状況報告の中で、高校別の難関大学の合格者数、現役合格者数などを掲載しているが、なぜ、これらを発表しているのか伺う。

回答
 都教育委員会は、都立学校全体の進路指導の充実を図るため、各進学指導重点校の指導方法・指導内容、指導体制、大学の合格実績など、特色ある取組の成果を公表しています。

質問事項
一の3 こうした公表が、やみくもに学校に合格者数を競わせることにつながると思うが、所見を伺う。

回答
 進学指導重点校においては、知・徳・体のバランスの取れた人格の形成を図りながら高い学力を身に付けさせ、個々の生徒の自己実現を図るため、進路指導に取組んでおり、合格者数を競わせることを目的とはしていません。

質問事項
一の4 学力の向上や本人の進路希望の実現などは否定しないが、生徒に悪影響がでていることも把握し、生徒へ学校の目標達成を第一においた要求やプレッシャーを与えないことが重要だが、所見を伺う。

回答
 進学指導重点校では、ホームルーム活動や三者面談等を通して大学の学部や学科等の情報を提供するなど、本人の進路希望を重視した進路指導を行っています。

質問事項
一の5 生徒本位の進路指導より、難関国公立大や難関私立大への合格者数を競わせるようなやり方を改め、子どもの心を傷つける進路指導の歪みを正すことが求められていると思うが、所見を伺う。

回答
 進学指導重点校には、難関国公立大学や難関私立大学への進学を目指して多くの生徒が入学してきており、そのような生徒の進路希望を実現するための教育を行っています。
 今後とも、生徒が希望する大学へ進学できるよう、進学指導重点校における進路指導の充実を図っていきます。

質問事項
一の6 今日の時点にたって都立高校改革と再編整備の現状を把握し、どの子にも教育の場を保障するという立場に立って、問題点について修正の方向に踏み出すべきだが、所見を伺う。

回答
 都教育委員会では、平成18年度に「都立高校改革」に対する都民の評価及び都民の都立高校に対するニーズ等を把握するため、「都立高校に関する都民意識調査」を実施するとともに、「新しいタイプの高校における成果検証検討委員会」において、これまで設置してきた高校や既存校の成果と課題について検証を行い、平成19年4月に結果を公表しました。
 「都民意識調査」や検証の結果を踏まえ、生徒の多様な学習希望や進路希望に応えることができるよう、今後も教育内容や指導方法の一層の改善を図り、質の高い高校教育を推進していきます。

質問事項
一の7 希望するすべての生徒が、希望にそった高校に入学でき、いきいきと学べる環境を整備することが求められていると考えるが、所見を伺う。

回答
 都教育委員会は、多様化する生徒の実態や社会状況の変化に対応するため、様々な新しいタイプの都立高校を設置するとともに、既存校においても一層の特色化を図るなど、生徒の多様な希望に応える学校づくりを進めています。
 今後も、社会状況や都民の都立高校に対するニーズ等を踏まえながら、教育環境の更なる整備に努めていきます。

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