平成二十年東京都議会会議録第四号

平成二十年二月二十八日(木曜日)
出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
五番きたしろ勝彦君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番西岡真一郎君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番田中たけし君
二十一番神林  茂君
二十二番早坂 義弘君
二十三番高木 けい君
二十四番崎山 知尚君
二十五番宇田川聡史君
二十六番高橋 信博君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番村上 英子君
四十一番鈴木あきまさ君
四十二番秋田 一郎君
四十三番山加 朱美君
四十四番串田 克巳君
四十五番吉原  修君
四十六番山田 忠昭君
四十七番田代ひろし君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番三宅 茂樹君
六十四番高島なおき君
六十五番鈴木 一光君
六十六番菅  東一君
六十七番石森たかゆき君
六十八番矢島 千秋君
六十九番鈴木 隆道君
七十番こいそ 明君
七十一番倉林 辰雄君
七十二番遠藤  衛君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番三原まさつぐ君
八十八番田島 和明君
八十九番林田  武君
九十番野島 善司君
九十一番高橋かずみ君
九十二番樺山たかし君
九十三番新藤 義彦君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番服部ゆくお君
百十二番川井しげお君
百十三番吉野 利明君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番馬場 裕子君
百二十一番大沢  昇君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
欠員
   四十八番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長中村 正彦君
知事本局長大原 正行君
総務局長押元  洋君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監矢代 隆義君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長吉川 和夫君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長島田 健一君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長矢口 幸一君
労働委員会事務局長有留 武司君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

二月二十八日議事日程第四号
第一 第一号議案
平成二十年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成二十年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
平成二十年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第百三十一号議案
平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第三十一 第三十号議案
東京都アジア人材育成基金条例
第三十二 第三十一号議案
東京都公害健康被害予防基金条例
第三十三 第三十二号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十三号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十四号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十五号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十六号議案
平成十九年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十八 第三十七号議案
市としての要件に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十八号議案
住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第四十 第三十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十一号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十二号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十三号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十四号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十五号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十六号議案
職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十七号議案
職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十八号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第四十九号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十号議案
法人事業税国税化対策特別基金条例
第五十二 第五十一号議案
東京都債権管理条例
第五十三 第五十二号議案
東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十三号議案
東京都減債基金条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十四号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十五号議案
東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十六号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十七号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十八号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第五十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十一号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十二号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十三号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十四号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十五号議案
東京都立高等学校の寄宿舎使用料徴収条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十六号議案
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十四条の二の規定に基づく職務権限の特例に関する条例
第六十八 第六十七号議案
東京都スポーツ振興審議会に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十八号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十 第六十九号議案
国分寺都市計画事業西国分寺土地区画整理事業施行規程を廃止する条例
第七十一 第七十号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例
第七十二 第七十一号議案
東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十二号議案
東京都立心身障害者口腔保健センター条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十三号議案
東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十四号議案
東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十五号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十六号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十七号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十八号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第八十 第七十九号議案
東京都立肢体不自由児施設条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十一号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十二号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十三号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十四号議案
東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十五号議案
東京都監察医務院関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十六号議案
東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十七号議案
東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十八号議案
東京都介護福祉士等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第九十 第八十九号議案
東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十号議案
東京都精神障害者都営交通乗車証条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十一号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十二号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十三号議案
東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十四号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十五号議案
東京都立小児病院条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十六号議案
東京都立精神科病院条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十七号議案
東京都立結核病院条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十八号議案
東京都農業振興事務所設置条例の一部を改正する条例
第百 第九十九号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第百一 第百号議案
東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百二 第百一号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百三 第百二号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百四 第百三号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百五 第百四号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百六 第百五号議案
都立青梅東学園養護学校(仮称)(H十九)改修その他工事(その二)請負契約
第百七 第百六号議案
都営住宅十九CH―一一一東(足立区江北四丁目・足立区施設)工事請負契約
第百八 第百七号議案
中川左岸防潮堤耐震補強工事(その三十)請負契約
第百九 第百八号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(十九 一―環二新橋第一工区)請負契約
第百十 第百九号議案
中央環状品川線中目黒換気所下部工事請負契約
第百十一 第百十号議案
中央環状品川線南品川換気所下部工事請負契約
第百十二 第百十一号議案
包括外部監査契約の締結について
第百十三 第百十二号議案
交通信号機等工事に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について
第百十四 第百十三号議案
道路標識設置等工事に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について
第百十五 第百十四号議案
東京都美術館外一施設の指定管理者の指定について
第百十六 第百十五号議案
八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
第百十七 第百十六号議案
多摩都市モノレール株式会社に対する出資について
第百十八 第百十七号議案
東京都立芝浦南ふ頭公園の指定管理者の指定について
第百十九 第百十八号議案
土地の買入れについて
第百二十 第百十九号議案
都道の路線の廃止について
第百二十一 第百二十号議案
平成二十年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百二十二 第百二十一号議案
平成十九年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百二十三 第百二十二号議案
多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百二十四 第百二十三号議案
荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百二十五 第百二十四号議案
平成十九年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第百二十六 第百二十五号議案
平成十九年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第二号)
第百二十七 第百二十六号議案
平成十九年度東京都都市開発資金会計補正予算(第一号)
第百二十八 第百二十七号議案
平成十九年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百二十九 第百二十八号議案
平成十九年度東京都病院会計補正予算(第一号)
第百三十 第百二十九号議案
平成十九年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十一 第百三十号議案
平成十九年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)

議事日程第四号追加の一
第一 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一九財主議第四二八号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一九財主議第四二九号)
第三 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(一九財主議第四三〇号)
第四 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(一九財主議第四三一号)

  午後一時開議

○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(比留間敏夫君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件三件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加をいたします。

○議長(比留間敏夫君) 昨日に引き続き質問を行います。
 四十七番田代ひろし君。
  〔四十七番田代ひろし君登壇〕

○四十七番(田代ひろし君) 脳梗塞の特効薬である組織プラスミノゲン・アクチベーター、略してt―PAの使用により、四割近い方がほぼ後遺症なく社会復帰ができます。しかし、このt―PAは、発症後三時間以内に治療を開始しなくてはならないという制限があり、いつ倒れたのか、いつまで健康な状態であったのかということを通報者がきちんと把握しておくことが非常に重要です。また、三時間以上経過しても、脳梗塞は早期治療の効果が大きいことを広く都民に啓発していくことが大切だと思います。
 現在、消防庁は現場まで六、七分、病院到着まで三十分程度ですので、画像診断などに要する一時間を考慮しても、十分に治療を行うことができるはずです。しかし、的確な病院選択システムがないために、最近報道されているようなたらい回しになり、タイムリミットを超えてしまうという現実があります。
 そこで、日本脳卒中学会の施設基準に基づいたCTまたはMRI検査が二十四時間実施可能で、専門医とスタッフが常駐する設備の整った病院のみを登録した輪番システムをつくれば、効率よく搬送先を検索することができます。こうした脳梗塞の取り組みを含めた脳卒中の一貫した医療体制をどのように構築するのか、都の見解を伺います。
 現在、特定健診・保健指導は全体像が示されてはおりますが、細部は固まっておりません。早急に国に対して整備を急ぐよう要望すべきと考えますが、見解を伺います。
 と同時に、効果的な健診の実施に向けて、医療関係七団体との協力や連携が一層不可欠ですが、都の考え方を伺います。
 後期高齢者医療の診療報酬体系は、高齢者の特性を踏まえた医療サービスに対する評価をする方針で、新たに策定されたものと聞いております。しかし、主治医が十分に機能を発揮し、国の設計どおり、他の保健医療福祉サービスとの効果的な協力体制が組めるかどうか、各事業体の連携が不十分である現段階では、疑問なしとはいえません。
 また、終末期における情報提供等の点数評価が新設されておりますが、病状や心情が揺れ動く終末期にあって、話し合いの機会の算定回数を一回限りとしていることなど、四月以降実態を注視していく必要を感じます。
 日本人の死因第四位である肺炎の半数は肺炎球菌によるもので、近年、耐性菌が増加しています。このため、戦後一貫して減少し続けてきた肺炎の死亡者数が増加に転じました。肺炎球菌ワクチンを接種することにより、死亡率を六〇%下げることができるとされています。
 しかし、海外の主要国では接種率が六割を超えるのに対し、日本では数%とまだ認知されておりません。一回の接種で五年から八年は効果が持続する肺炎球菌ワクチンを接種することにより、医療費の削減にも大きな効果を期待できますが、その普及について、都の見解を伺います。
 一九七六年、アフリカのスーダンでエボラ出血熱という病気が発見されました。高熱や出血などの症状の後、約七割という高い致死率を持つこの感染症は、いまだに有効なワクチンや治療法は見つかっておらず、ある意味では、エイズ以上に恐れられている恐怖の感染症です。しかし、接触感染のみのエボラ出血熱は、今のところ幸いにもアフリカという限られた場所での発生を見るにすぎません。
 この恐怖の感染症エボラ出血熱と同様に高致死率であり、さらに空気感染、飛沫感染をも起こす新興感染症が、今人類の目前に迫っている可能性が高いと叫ばれています。
 一九九七年五月に、香港で三歳の少年が高熱とせきで入院しました。そして、亡くなりました。その少年の血液検査で、H5N1型鳥インフルエンザウイルスが検出されました。種の壁を超えることがないといわれていた鳥のインフルエンザウイルスが人間に感染を起こしたということで、大変ショッキングなニュースとして全世界に伝わりました。
 鳥インフルエンザウイルスは、本来カモを中心とした水鳥にしか感染しませんが、インフルエンザウイルスは非常に変異しやすく、人類が一千万年かかる進化を一年でなし遂げるために、徐々に鶏にもうつり、多くの動物にも感染するという変化を遂げてきたわけです。
 さらに、一たび鳥インフルエンザウイルスが人に感染すると、人から人へ感染する新型ウイルスへ変化するのは時間の問題といわれています。
 また、もともと鳥の病気なので人は免疫を持っておらず、免疫系が働かないため重症化し、一たび流行すると、瞬時に大陸を越えた地球規模での大流行、パンデミックを起こす可能性を持ちます。
 さらに、発症後五日目からウイルスを振りまくといわれているSARSと違って、このH5N1は発症前からウイルスを出すため、サーモグラフィーなどを使用した現在の空港や港の検疫システムでは、侵入をとめることは、ほぼ不可能です。
 現在、高病原性強毒型の典型例であるH5N1型鳥インフルエンザウイルスが、人から人へ感染する新型インフルエンザになるのは、イフ、もしかするとではなく、ホエン、いつの問題であると、WHOは警鐘を鳴らしています。しかし、このWHOの認識は日本ではほとんど理解されておらず、政府による新型インフルエンザに対する危機管理対応準備もなかなか進んでいません。
 また、次の新型インフルエンザが強毒型ウイルスH5N1とは限らないのではないかという声もありますが、たとえ別のウイルスがはやったとしても、H5N1は独自に変異をし続け、パンデミックが起きるまでは決着がつかないのです。そのため、二〇〇三年から世界じゅうで三億三千万羽の鶏などを殺処分するなど、莫大な資金と労力を費やし、人への感染と新型への変異を防いできたわけです。
 インフルエンザウイルスは、たんぱく分解酵素プロテアーゼがある場所でしか感染、増殖をすることができません。弱毒型ウイルスの開裂部位に合うプロテアーゼは、呼吸器と消化器にしかありません。
 これに対して、強毒型ウイルスの開裂部位に合うプロテアーゼは、全身すべての細胞にあるゴルジ体に存在するため、あらゆる臓器で感染、増殖を引き起こし、さらに血流中にも侵入してウイルス血症を引き起こすため、代謝や免疫活動が活発な若年者においては、サイトカインストームと呼ばれる過剰な生体防御反応が起こり、正常な細胞までも破壊するため、弱毒型ウイルスである通常のインフルエンザでは高齢者の死亡率が高いのに対して、多臓器感染を起こす強毒型H5N1では、青年、児童の死亡率が非常に高いのです。また、ウイルスの胎児・胎盤感染も確認されています。少子高齢化が急速に進行する我が国において、働き盛りの年代と小児を失うことは、国家存続の危機にもつながりかねません。
 マウスを使った実験では、二〇〇〇年以前のH5N1だと、マウスの臓器への感染はほとんど認められず、発症していませんでした。しかし、現在のH5N1では、マウスの致死率は一〇〇%です。また、人に対しても病原性が非常に強くなっていることが証明されています。
 二〇〇四年、バンコクのトラ動物園で飼育されていた約三百頭のトラの何頭かに感染した鶏をえさとして与えたところ、そのうちの八十頭が死にました。このとき、鳥からトラへ感染したH5N1が、トラからトラへ感染できるウイルスへと変化したことが確認されています。これは、図らずも人と同じ哺乳類で実験をしたことになり、人類の間でも同様の事態が起きると予想されています。
 政府による我が国の死者数の試算は、最高でも六十四万人です。六十四万人とは、スペイン風邪における被害を現在の人口比に合わせた推定値です。
 一九一八年に流行したH1N1型のスペイン風邪では、世界で約一億人の方が亡くなりました。当時我が国は、人口五千五百万人だった日本で四二%の方が罹患し、四十五万人の方が亡くなりました。過去最大といわれているこのスペイン風邪でさえ弱毒型のウイルスで、致死率はわずか二%ですが、それに対して、感染力の強い強毒型H5N1の致死率は、現在六〇%を超えております。弱毒型のスペイン風邪とは全く別のものなんですね。
 当時に比べ、人口は約二・五倍にふえ過密化し、さらに、全国に張りめぐらされた交通網ができたにもかかわらず、政府試算での感染率は二五%です。弱毒型スペイン風邪でさえも四二%であったわけですから、この試算が理論破綻していることは明らかです。
 オーストラリアのロウィ研究所では、日本の死亡者数は二百十万人と試算されています。さらに、アメリカ政府が机上訓練で設定した二〇%の致死率をそのまま我が国に当てはめれば、四百万人以上の方が亡くなる計算になるわけです。
 また、我が国の行動計画では、感染時に自宅療養ということになっておりますが、通常のインフルエンザのように肺炎だけではなく、出血、多臓器不全、脳炎を起こしている患者さんが自宅療養ということがあり得るでしょうか。
 他の先進諸国では、このH5N1に対するWHOの警告に対して、H5N1新型インフルエンザ問題を、医療問題ではなく、国家安全保障にかかわる重要課題と位置づけて、最悪の事態を予測し、その対策が強く推進されています。
 アメリカでは、二〇〇五年の十一月にブッシュ大統領が、H5N1新型インフルエンザ対策をテロ対策と同格に位置づけて、管轄を保健省から国務省へ引き上げ、ホームラウンドセキュリティーと認定しました。大統領が最高責任者となり、年間九千億円の予算が投入され、最近の情報では、アメリカは既に三億三千万人分のプレパンデミックワクチンの備蓄が完了したとのことです。
 スイスでも、全国民分のプレパンデミックワクチンの備蓄が終わり、接種が間もなく始まる予定です。
 二十世紀の新興感染症の大流行は、世界では平等でした。どの国もすべからく被害をこうむったわけです。しかし、二十一世紀は違います。各国の対応状況により、被害には大きな差が生じるのです。
 では、この迫りくる新型インフルエンザのパンデミックに対して、我が国の政府は何を行えばよいでしょうか。それには、三つのワクチンがあります。
 一つ目は、パンデミックワクチン。パンデミックワクチンとは、パンデミックが発生した後、罹患した患者さんからとったウイルスをもとにつくるワクチンです。日本のガイドラインでは、発生後六カ月から一年以降に製造するということになっておりますが、供給できる体制が現在はなくて、具体的な製造計画も示されておりません。
 では、事前に予防するためにはどうすればよいかということで開発されたのが、二つ目のプレパンデミックワクチンです。これは、H5N1型の今の鳥インフルエンザウイルスからつくったワクチンです。このワクチンを打つことで、その流行規模と健康被害をかなり低下させることが期待できます。さらに、国民の七割以上にプレパンデミックワクチンを打った場合には、その国ではパンデミックが起きず、一般のインフルエンザの流行程度にしかならないという研究結果が出ています。
 このプレパンデミックワクチンを、日本ではまだ一千万人分しか用意できておりません。抗生物質は全く効果がないため、抗ウイルス剤タミフルが必要であるにもかかわらず、実際には九百万人分の備蓄しかありません。副反応の可能性をきちっと説明した上で、希望するすべての国民に早急に接種をできるように計画すべきです。この生産コスト約千七百億円は、社会機能の停滞や崩壊による経済被害二十兆円に比べたら、圧倒的に安上がりです。
 そして三つ目は、知識のワクチンです。パンデミック発生前に、必要な情報とあらゆる選択肢を国民に広く示して、開かれた議論を重ねていくことにより、納得と同意を得ることが大切なのです。それを通して心の準備をさせるのです。この知識のワクチンが、本物のワクチン同様に人を救うといわれています。
 今回、多大なご指導をいただいた我が国の感染免疫学の第一人者である国立感染症研究所の岡田晴恵博士は、最新の著作の中で、今必要なのは、H5N1型鳥インフルエンザウイルスを科学的に正面から見据え、この鳥型ウイルスがどのような性質の新型インフルエンザに変化していくのか、その可能性を科学的に直視して見きわめ、危機管理、国家安全保障の問題として最善の準備対応対策を早急に講じることではないか、それこそが新型インフルエンザ大流行の大災害から多くのとうとい人命を救い、国の未来を守る二十一世紀の真の英知となる、新型インフルエンザは出てみないとわからないというのはサイエンスではない、科学を放棄した無責任な言動である、我々は、サイエンスの教えを真摯に受けとめ、かけがえのない生命を守っていくべきであると述べられています。
 この質問が、我が国の政府を動かすきっかけとなる最初の知識のワクチンとなることを願い、知事のお考えを伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田代ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
 新型インフルエンザ対策についてでありますが、今や新型インフルエンザは、いつ発生してもおかしくない差し迫った危機でありまして、最悪の事態を想定した対策を早急に講じる必要があると思っております。
 新型インフルエンザの脅威から国民を守ることは、まさに国が、国家の危機管理として対応すべき重要な課題であると思います。しかし、国の動きはまだまだ鈍く、プレパンデミックワクチンの備蓄も一千万人分と不十分でありまして、また、感染の拡大防止に不可欠な外出や事業活動の規制についての法整備は極めておくれております。
 都は国に対して、ワクチンの接種体制の整備や行動規制による徹底した封じ込めの実施など、新型インフルエンザ対策の確立を強く求めていきたいと思っております。
 都としても、都民の生命を守ることを最優先に、せめてご指摘の知識のワクチンの普及を徹底させること等で、感染の拡大防止に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 四点についてお答えをいたします。
 まず、脳卒中の医療体制についてであります。
 脳卒中は死亡率が高く、命を取りとめても重大な後遺症が残る可能性が高いことから、t―PAを含めた急性期の専門的治療の提供と、その後のリハビリや在宅療養を支える体制が重要であります。
 このため、都内全域で患者が速やかに急性期の治療が受けられるよう、医療機関や東京都医師会、東京消防庁等から成る協議会を来年度早期に設置し、ご提案の輪番制を含めた専門医療機関の確保や、救急隊と情報を共有した搬送受け入れ体制の構築について検討を行ってまいります。さらに、二次保健医療圏ごとに検討会を設置し、地域において、急性期から在宅に至るまで切れ目のない医療連携体制の構築に努めてまいります。
 次に、特定健康診査等に関する国への要望についてであります。
 これまでの区市町村の基本健康診査にかわり、平成二十年度から医療保険者が実施主体となって、特定健康診査・特定保健指導を実施することとなりました。都民の健康づくりの体制が大きく変わることを踏まえまして、都は国に対し、受診者にとって利便性の高い健診等の仕組みづくりや必要な財政支援等について、提案要求をしております。今後、特定健診等の円滑な実施に向けて必要な情報提供を行うよう、引き続き国に求めてまいります。
 次に、特定健康診査等の実施に向けた関係団体との連携についてでありますが、都民の健康の保持増進のためには、生活習慣の改善を目的とした特定健診等が円滑に実施されることが重要でございます。
 都では、東京都健康推進プラン21の推進に当たりまして、特定健診・保健指導検討部会を設置し、医師会など医療関係団体とともに、その実施に向けたさまざまな課題について、鋭意検討してまいりました。今後とも特定健診等が効果的に実施されるよう、区市町村や医療保険者、医師会等の関係機関との連携をより一層強化をしてまいります。
 最後に、肺炎球菌ワクチンの普及についてであります。
 肺炎球菌ワクチンは、我が国では現在、主として高齢者の肺炎予防を目的に、任意の予防接種として実施をされております。
 国は、平成十七年の予防接種に関する検討会中間報告書におきまして、肺炎球菌ワクチンを予防接種法の定期接種に位置づけることを検討するに当たっては、さらに知見を収集することが必要であるとしてございます。海外では、肺炎球菌ワクチンの有効性を示唆する研究が報告されておりまして、都としては、ワクチンの有効性、安全性、費用対効果等について早期の検討を行うよう、国に対し働きかけてまいります。

〇議長(比留間敏夫君) 十八番中山信行君。
  〔十八番中山信行君登壇〕
  〔議長退席、副議長着席〕

○十八番(中山信行君) 初めに、産業人材の育成について伺います。
 私は、昨年二月の予算特別委員会において、自力での人材確保が困難な都内中小企業の窮状を訴え、調査と対策を求めました。都はそれにこたえ、昨年六月に産業人材育成実態調査を実施、十二月の第四回定例会で公明党の代表質問に対し、都内中小企業の求人活動への新たな支援策を打ち出したところです。
 そこで、何点か質問いたします。
 まず、都は中小企業の人材確保、育成システムの構築に向け、例えば企業現場を熟知し、必要な人材を的確に探し求める仮称人材ナビゲーターを派遣するなど、個々の企業の状況に即したきめ細やかな支援策を展開するべきです。所見を伺います。
 経済のグローバル化が進む今日、産業を支える人材の確保は、国内に限定されるものではありません。欧米企業は、外国人を進んで採用して業績を上げています。東京も長期的には労働人口の減少が予想されており、国内の潜在的な労働力の活用を図りながらも、優秀な海外人材を積極的に招き入れていく必要があります。都内中小企業における海外人材の活用の現状と成果について、さきの調査を踏まえた都の認識を伺います。
 とりわけ、アジア人材の活用が重要です。例えばベトナムは、アジアの中でも有望な経済市場として国内外の注目を集めています。
 企業の海外進出にあっては、有為な現地人材の確保と精度の高い現地情報の入手が当然の戦略です。そこで、アジアへの展開を目指す都内の中小企業を応援するため、都は、技術や経営を学ぶアジアの留学生の受け入れを積極的に支援し、留学生と都内中小企業とのマッチングを図るべきです。所見を伺います。
 人的交流の必要性は、産業分野に限るものではありません。都は既に、環境、衛生、防災などの都市問題の解決に向けて、都のすぐれた技術を提供するべく、アジア諸国の行政職員の研修を積極的に受け入れています。人的交流の促進は、東京とアジア諸国の双方にとって、それぞれが必要とする大きなメリットをもたらし合う重要な取り組みです。
 人的交流の拡充を通し、アジアと東京のネットワークをより強固で継続的なものへと発展させていくため、都は、産業分野に限らず、東京で学び終えたアジア人材が、東京とのつながりを長く保ちながら幅広く活躍できるよう、その将来展望を積極的に応援していくべきであります。所見を伺います。
 次に、国際都市東京の進展について伺います。
 既に都内の外国人登録者数は三十九万人、外国からの年間訪問者数は四百八十一万人となっており、今後も確実な増加が見込まれています。こうした外国人が、みずからの生活実感をもとに、母国の家族や友人に東京の魅力を発信していくことになれば、その宣伝効果は、はかり知れません。
 そうした意味で、外国人都民などの声はまことに重要です。外国人が東京で暮らす中で感じるさまざまな壁や不自由さといったものを一つ一つ丁寧に解消していくことが、国際都市東京を大きく前進させていくことになるのです。そのためには、都政全体の国際化を図る観点から、日々都庁各局に寄せられている外国人都民などの意見、要望を整理、分析し、新たな施策に生かす必要があります。
 そこで、都は今後、東京で外国人が直面する課題の解決に向けて、各局の施策を調整し、都総体として迅速かつ総合的に取り組むべきです。所見を伺います。
 また、外国人にも暮らしやすい東京を構築し、東京の魅力を高めることは、オリンピック招致にもつながる大事な課題です。
 そこで、この質問の最後に、二〇一六年のオリンピック招致に向け、国際都市東京の魅力をいかに世界に発信していくかについて、石原知事の所見をお伺いいたします。
 次に、滞留者対策について伺います。
 私は先月、北千住駅で首都直下地震に備えた滞留者対策訓練を視察しました。鉄道四社や地元区民などが真剣に取り組む訓練の模様を拝見し、災害時の雑踏の中でも避難指示の内容が的確に伝わる、わかりやすい指示方法の工夫が必要と感じました。駅前滞留者対策の推進は、公明党が一貫して主張してきたものであり、大いに評価します。新宿駅でも実施された今回の訓練を踏まえ、以下二点質問します。
 まず、今後の訓練は、毎年二駅ずつ実施されていくとのことですが、都が地元協議会の事務局としてかかわるのは初回の訓練に限られると聞きます。訓練の効果が地域に根づいていくためには、都の継続的な支援が必要です。所見を伺います。
 また、東京駅や品川駅などでは、一つのターミナル駅に複数の区市が隣接し、商店街やオフィス街が行政区域を超えて広がっています。そうした駅では、行政区域をまたがる協議会を設置してこそ、訓練の効果も高まるというものです。
 そこで、来年以降、都は駅周辺の地域実態に即して、隣接する複数の区市と連携して訓練を実施するべきと考えます。所見を伺います。
 次に、在宅医療について伺います。
 平成十七年の東京都社会福祉基礎調査では、七割弱の都民が自宅での介護を希望しています。そのためには、在宅での医療的ケアに充実を期す必要があります。都は、今後都民が安心して在宅医療を選択できるようにその整備を図るべきです。在宅医療に関する都の認識をまず伺います。
 先日、都議会公明党は、在宅医療重視の取り組みで注目を集める広島県尾道市を視察しました。
 尾道市の人口は十五万人弱ですが、高齢化が全国平均より十年以上早く進展しており、既に四人に一人は高齢者となっています。尾道市では、病院と在宅の医療、そして医療と福祉との連携が具体的に徹底されています。高齢の退院患者の場合、ケアプランを作成するケアカンファレンスに、患者本人や家族だけでなく、退院した病院と在宅の主治医とが必ず毎回、福祉関係職種とともに出席して、協力し合い、望ましいプランを作成しています。ターミナルケアに至る場合も含め、重症患者でも在宅での医療的ケアに不安が少ないため、入院日数が減り、医療費の節減効果も上がっています。
 尾道市と東京では、さまざまに状況は異なるでしょうが、都は、今後このようなケアカンファレンスシステムを取り入れ、医療も介護も一体となって患者を支える在宅医療の取り組みを実施するべきです。所見を伺います。
 次に、多重債務者対策について伺います。
 公明党の推進で、昨年四月に政府が策定した多重債務問題改善プログラムにより、多重債務者数は、昨年二月以降の八カ月間で四十万人も減少しました。しかし、それでも全国にはまだ百万人を優に超える多重債務者がおり、依然として深刻な状況が続いています。
 昨年の第三回定例会において、我が党の大松議員の質問に、都は、適切な相談体制づくりを進めると答弁しました。多重債務対策では、早期相談の推進と専門家による適切な助言が不可欠です。都の取り組みの現状を伺います。
 また、相談体制の整備にあっては、住民に身近な区市町村との連携が重要であり、都は、区市町村の相談体制の整備を積極的に支援していくべきと考えます。所見を伺います。
 また、今後新たに多重債務者を生み出さないためには、金融経済の知識の普及が必要です。政府の多重債務問題改善プログラムでも、小中高生向けの教育の充実が強調されています。都は全国に先駆け、多重債務予防のための金融経済教育の強化に具体的に取り組むべきです。所見を伺います。
 次に、自然環境を保全する人材の育成について伺います。
 都のエコトップ・プログラムが、いよいよ本年四月、首都大学東京において本格的に実施されます。同プログラムは、環境知識を体系的に取得するもので、フィールドワークやインターンシップにも取り組みます。
 プログラム修了者の社会的活用が進んで、プログラムに対応した講座を開く大学の数がふえていけば、自然環境を守ろうとする都民意識が大きく高揚します。そのために、都はプログラム修了者の活躍を支援するとともに、自然環境を起点に、キャリアアップや新規事業の展開を考える社会人への一層の門戸の開放も検討するべきです。所見を伺います。
 あわせて、首都大学東京においても、こうした社会人コースの開講に向けて取り組みを工夫するべきです。所見を伺います。
 次に、環境に配慮した交通手段としての自転車の利用促進について伺います。
 私は、昨年の第二回定例会で、事故防止へのマナー向上や自転車用の任意保険であるTSマークの普及とあわせ、自転車の社会的活用の推進を主張しました。
 既に、世田谷区や杉並区では、安全な自転車走行空間の社会実験が実施されており、渋谷区内の都道や、三鷹市と武蔵野市にまたがる市道でも、同様の取り組みが進む予定と聞きます。
 自転車愛好者の増加は、環境をたっとぶライフスタイルの広がりを物語るものです。都は、自転車利用の促進へみずから積極的に取り組むとともに、区市との連携を強化していくべきと考えます。所見を伺います。
 また、自転車利用の促進を図るためには、区市と連携して自転車走行空間の整備を進めることにより、点と点を線や面で結び、自転車走行空間のネットワーク化を図ることが重要です。所見を伺います。
 最後に、都立公園について伺います。
 高度に都市機能が集中する都内にあって、自然と触れ合い、人間性の回復の機会を与えてくれる公園の存在は、まことに貴重です。例えば、私がかつて勤務していた目黒区では、区立碑文谷公園こども動物広場のポニーの引き馬が好評で、子どもたちが命を大切にする優しい心を培い、多くの区民から愛されています。
 都立公園には、たくさんの木々や水辺など豊かな自然があります。これを生かして動物との触れ合いをふやしていけば、都立公園の魅力が高まります。折しも私の地元、足立区の舎人公園では、日暮里・舎人ライナーの開通に伴い、公園利用者の増大が予想されます。
 そこで、舎人公園の魅力をさらに高めるため、子どもたちが動物と触れ合う機会をふやすことを提案いたします。所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
 オリンピック招致に向けた東京の魅力の発信についてでありますが、オリンピック招致をかち取るには、東京の開催都市としての魅力を、IOC委員はもちろんのこと、広く世界の人々に発信することが重要であります。
 日本には、世界に誇れる最先端技術やすぐれた人材、治安のよさ、豊かな芸術文化などもございますし、また、さきのミシュランの東京におけるレストランの評価のように、また、先般の「ニューズウィーク」の特集にもありましたが、東京はパリを抜いて世界一のグルメ都市になりました。こういったものをですね、やはり世界にさらに喧伝する必要があると思います。
 また、東京は、十年後を見据え、都市の新しいあり方を提案する具体的な将来ビジョンを描き、先進的な取り組みを加速させております。今後、洞爺湖サミット、北京オリンピック、アジア大都市ネットワーク総会など、国内外におけるあらゆる機会をとらえて、日本の魅力、東京のすばらしさを強く世界にアピールしていきたいと思っております。そして、何とかオリンピック・パラリンピックの招致を実現したいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 産業人材の育成に関する三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中小企業の人材確保、育成支援についてでありますが、企業経営におきまして、人材は最も重要な経営資源であり、その確保、育成を戦略的に行うことは、企業の持続的な発展を図る上で重要と認識をしております。
 しかし、中小企業におきましては、人材の確保、育成のための十分なシステムが確立されていないため、従業員の新規採用や中核人材の能力開発が課題となっております。このため、平成二十年度から新たに、企業経営や人材育成に詳しい専門家を派遣をいたしまして、個々の企業の実情を踏まえた人材育成計画の策定支援や取り組み状況のフォローアップを行うなど、中小企業の人材確保、育成支援を強化してまいります。
 次に、中小企業における海外人材の活用と成果についてでございます。
 都内中小企業一万社を対象に今年度実施をいたしました、ものづくり人材の確保と育成に関する調査では、約三六%の企業が海外人材の活用を考えており、特に製品開発や設計に取り組む企業におきましては、より積極的であるという傾向が見られました。
 こうした企業の中には、海外人材を採用して営業活動を展開し、国内外への販路開拓に成功している事例もございまして、海外人材を活用することは、中小企業にとっても有効な取り組みの一つであるというふうに考えております。
 最後に、中小企業におけるアジアの留学生の受け入れについてでございます。
 都では、海外進出先として特に関心が高まっておりますベトナムに焦点を絞りまして、都内中小企業が現地法人を設立をしたり製品を輸出するに当たりまして、円滑に事業が進むよう専門家による支援を行っております。
 しかしながら、進出に際しましては、現地において従業員をまとめ、また、関係機関との調整を中心になって担う人材を確保することが課題であるというような声が聞かれております。このため、平成二十年度から都内中小企業とベトナム人留学生とのマッチングを新たに実施をいたしまして、同国への進出を計画している都内中小企業の人材確保を後押ししてまいります。
  〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) アジアの人材育成についてお答えを申し上げます。
 東京で学んだアジアの優秀な人材が、帰国後も東京とのつながりを継続しつつ、各分野で活躍できるよう、都としてフォローすることが大変重要でございます。このため、新たにアジア人材バンクを設置をいたしまして、東京で受け入れた留学生や行政職員につきまして、専門分野等の情報を登録いたしますとともに、この人材情報をアジア諸都市間の専門家等の交流に活用いたします。
 この取り組みによりまして、東京とアジア諸都市とのかけ橋となる人的なネットワークを構築してまいります。
 〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)
 四点の質問にお答えいたします。
 まず、東京に暮らす、あるいは東京を訪れる外国人の方々が抱える問題への取り組みについてでありますが、近年、東京に居住する、あるいは東京を訪れる外国人の方々は増加しており、都はこれまでも、外国人の方々が暮らしやすいまちを実現するため、外国人にもわかりやすいまちの表記や、災害時における外国人への効果的な情報提供などに取り組んできました。
 今後、外国人を含め有識者で構成する地域国際化推進検討委員会などを活用して、外国人の抱える課題を把握し、庁内の横断的な会議である国際政策推進会議に提案し、関係各局と連携を図りながら、課題解決に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、多重債務相談の適切な体制づくりについてでありますが、昨年八月に設置した東京都多重債務問題対策協議会において関係機関と協議を進め、消費生活相談窓口から、弁護士会や司法書士会などの法律相談窓口などに確実につなぐ仕組みとしての多重債務相談東京モデルを構築いたしました。
 具体的には、消費生活センターの相談員が丁寧に事情を聞いて助言を行うとともに、法的手続などが必要な場合には、専門の相談窓口の予約から相談結果の確認に至るまでサポートするものであります。都の消費生活総合センターでは、本年一月からこのモデルを実際の多重債務相談に活用しております。
 次に、区市町村における多重債務問題の相談体制整備に向けた都の支援についてでありますが、住民に身近な区市町村の相談体制づくりを都が積極的に支援し、相互に連携を図ることが必要と考えております。
 このため、昨年十二月に行った多重債務特別相談では、法律専門家とともに、都と区市町村の相談員が協力して相談業務に従事いたしました。また、多重債務相談を受けた区市町村の窓口からも法律相談窓口に直接つなぐことができるよう、今年度に多重債務相談東京モデルの実施マニュアルを作成し、来年度の早い時期に区市町村への普及を開始する計画でございます。今後も、さまざまな機会を通じて区市町村を支援してまいります。
 最後に、多重債務予防のための金融経済教育強化の取り組みについてでありますが、新たな多重債務者を生まないためには、小中学校から高校、大学に至る各段階において、金融経済教育を適切に行うことが極めて重要であると考えております。
 このため、現在、東京都多重債務問題対策協議会において、小中学校から高校までの児童生徒を対象に、その発達段階に応じた適切な教材の開発や必要な講師の確保策などについて検討を行っております。また、大学生については、大学生協と連携して、クレジットカードや借金の問題等を事例に即して学習する企画の具体化を進めております。
 今後とも多重債務問題について、関係機関、団体と積極的に連携を図りながら取り組んでまいります。
  〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、駅前滞留者対策への支援についてでございますが、震災が発生したときに駅前の混乱を防止するためには、地元の対策協議会が主体となった訓練を繰り返し実施し、その実効性を高めていくことが重要であると考えております。このため、今回の訓練の結果を踏まえまして課題を整理し、対応策を取りまとめますとともに、次回の訓練で検証していく必要がございます。
 今後とも、協議会の活動が継続され、訓練の充実が図れるよう、都は適切な助言を行うほか、防災機関や地元事業者の関連団体に協力を要請するなど、必要な支援を引き続き行ってまいります。
 次に、行政区域を超えた訓練の実施についてでございます。
 駅周辺の地域実態に応じて混乱防止対策を推進することは、大変重要であると考えております。ご指摘のように、駅周辺の業務地域が複数の行政区域にわたる場合には、関係する区市が連携し、地元の多様な事業者と協力して一つの協議会を立ち上げ、取り組んでいく必要がございます。
 今後、都といたしましては、地域の実態に合った取り組みが進み、実効性の高い訓練が実施できますよう、関係区市や地元の事業者に対し積極的に働きかけてまいります。
 最後に、首都大学東京の社会人コースについてでございます。
 エコトップ・プログラムの第一号に認定されました自然・文化ツーリズムコース及び観光科学専修のうち、大学院課程である観光科学専修では、社会人を対象とした特別選抜を実施いたしますとともに、南大沢キャンパスの一部の授業や研究指導を夜間や土曜日に行うなど、社会人が学びやすいものとなるよう検討しております。また、飯田橋キャンパスのオープンユニバーシティーでは、地球温暖化や環境保護をテーマといたしました都民向け講座を開設するなど、幅広く人材育成を図っております。
 今後とも関係局と連携をしながら、首都大学東京の持つノウハウを活用いたしまして、都民や企業のニーズにこたえる講座を実施するなど、社会人を対象とした環境人材の育成に貢献してまいります。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 二点についてお答えをいたします。
 まず、在宅医療についての認識でありますが、在宅での療養を希望する人が、必要なサービスを受けながら地域で安心して暮らしていくためには、都、区市町村、医師会などが連携協力し、在宅医療基盤の一層の充実に取り組む必要がございます。
 具体的には、訪問診療を行う在宅療養支援診療所や訪問看護ステーション、介護保険事業者などが相互に連携してサービスを提供することや、急変時に入院することができる病床を確保することなど、地域の医療資源や住民ニーズを踏まえた体制整備が不可欠であると考えます。
 なお、都では、区市町村が地域の実情に合わせて行います在宅医療の基盤整備について、今年度から包括補助事業を活用した支援を始めております。
 次に、ケアカンファレンスについてでありますが、在宅医療が必要な患者について、医師、看護師やケアマネジャーなどの関係者が一堂に会し、患者の状況や医療ニーズ等の情報を共有するケアカンファレンスの実施は、在宅医療や介護サービスの提供にとって重要でございます。
 このため、都は平成二十年度から、在宅医療に携わるさまざまな事業者が二十四時間の連携体制の構築を目指します在宅医療ネットワーク推進事業をモデル実施をすることとしております。この中で、都の地域特性を踏まえましたケアカンファレンスのあり方について検討してまいります。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、エコトップ・プログラムについてでございますが、本プログラムは、認定を受けた大学において、自然環境分野の幅広い知識と行動力を身につけた人材を育成するとともに、プログラムの修了者を都が登録し、自然環境に関する最新の知識、情報を得る機会を提供するなど、継続的な支援を行っていくものでございます。
 ご指摘のとおり、このプログラムへの社会人の参加が拡大することは、自然環境保全に関する都民意識が高まり、保全活動が一層促進されることになり、意義あることと認識しております。こうしたことから、今後社会人の受講促進に向け、大学に働きかけていくとともに、企業等に対して本プログラムの周知に努めてまいります。
 次に、自転車利用の促進についてでございますが、現在、環境審議会で、世界で最も環境負荷の少ない都市を目指し、環境基本計画のあり方が審議されており、その中で、自転車道の整備などのハード面と、自転車利用のあり方などソフト面の対策をあわせて講じていくことが必要であると議論されております。
 こうした議論を踏まえ、まちづくりにおける道路や駐輪場の整備状況などに合わせて、地域特性に応じた自転車利用の促進策について検討するとともに、企業の営業活動で使用する自動車の削減を働きかけるに当たっては、業界に対し、業務実態等に応じて自転車を利用するよう促してまいります。
 あわせて、自転車の走行空間にかかわる社会実験の事例等について情報を共有し、活用していくため、区市との連絡会等を設置するなど、関係機関との連携強化にも努めてまいります。
  〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車走行空間の整備についてでありますが、自転車は、近距離の移動にすぐれるとともに、環境への負荷の少ない都市内の有効な交通手段の一つであります。このため、その利用を促進する自転車走行空間の整備が重要と考えており、「十年後の東京」への実行プログラムに具体的な整備計画を定めました。
 区部では、隅田川周辺の観光スポットを結ぶ浅草通り、国際通りなどで、また多摩地域では、調布保谷線やこれと交差する東八道路などにおいて、歩行者と自転車が安全で快適に通行できる空間の整備を進めてまいります。
 今後とも、だれもが安心して利用できる道路空間の実現に向け、地元自治体や交通管理者と連携を図りながら、自転車走行空間の整備を推進し、ネットワークの拡大に努めてまいります。
 最後に、舎人公園における動物との触れ合いについてでありますが、自然との触れ合いの機会が少なくなっている今日、緑豊かな公園は、子どもたちが身近に植物や動物に接することのできる貴重な場所であります。
 舎人公園では、広大な敷地を生かして林や池などを整備し、野鳥や昆虫、魚など多様な生き物と出会える場を提供しております。舎人公園における子どもたちと動物との触れ合いについては、日暮里・舎人ライナーの開業日である三月三十日に開催する記念イベントの中で、馬や羊などとじかに触れ合える一日動物園を実施いたします。
 今後とも、緑豊かな公園の特色を生かしたさまざまなイベントを通じて、舎人公園の魅力向上に努めてまいります。

〇副議長(石井義修君) 二十五番宇田川聡史君。
  〔二十五番宇田川聡史君登壇〕
  〔副議長退席、議長着席〕

○二十五番(宇田川聡史君) 初めに、障害者支援についてお尋ねをいたします。
 「十年後の東京」への実行プログラムを拝見いたしますと、障害者の自立生活の実現や社会参加の促進、そして雇用の増加といった目標を掲げ、具体的な施策が示されております。総合的な支援体制の強化に期待をするとともに、実現に向けた一層の努力を願うばかりです。
 就労支援などの自立に力を注ぐ一方で、自立が困難である障害者、自立したくとも厳しい状況にある障害者にも目を向けなければなりません。重度重複の方や重症の方々にとっては、家族や地域の支えなくして生活することはできません。これまでも都として取り組みを行ってまいりましたが、残念ながら実行プログラムの中には、こうした方々への支援については触れられておりません。
 今後、自立が困難である障害者、障害児への支援も当然に重要視すべきと考えますが、知事のご認識、ご見解をまずお伺いいたします。
 加えて、重度かつ重複などの重症障害の方は、在宅における家族たちの介護が必要であり、介護する側の人たちに対する支援もまた重要と考えます。医療ケアなどの福祉施設や地域施設の拡充なども含め、都としてどのような支援を行っていくのか伺います。
 次に、特別支援教育についてお尋ねいたします。
 特別支援学校の寄宿舎の再編整備については、現在、東京都特別支援教育推進計画に基づき、平成十八年度末の青鳥養護学校の寄宿舎を閉舎したことを初めとして、第二次実施計画期間の平成二十二年度までに計四校の閉舎を計画していると伺っております。
 都立特別支援学校の寄宿舎に関する管理規定が制定されてから既に五十年ほどが経過しており、当時の社会情勢とは大きな変化があり、通学困難の事情が減少していることからも、この再編整備についてはやむを得ないと理解しているところであります。
 しかしながら、障害のある児童生徒たちが身につけてきた身辺自立や、基本的生活習慣を確立するための指導の場や機会が、寄宿舎の閉舎によって減少につながることに対しては大いに危惧を抱いており、また、宿泊を伴う生活訓練は、今まで児童生徒たちにとって大きな成果を生み出していることからも、欠かすことができない学習機会であります。
 したがって、江戸川養護学校においては、寄宿舎を閉舎することにより、これまで行われていた入舎生に対する自立や社会参加に向けた指導を行う場を学校内に確保することが必要不可欠であると考えます。
 指導の場を確保した上で、児童生徒たちのすべてが利用でき、より充実したプログラムなど、ソフト面の整備を行うべきことはいうまでもありません。教育長のご見解をお伺いいたします。
 次に、工業用水道についてお伺いいたします。
 工業用水道は、地盤沈下抑止のため、地下水のくみ上げ規制が行われ、その代替として供給する都の施策として始まりました。事業開始以来四十年以上が経過し、施設の老朽化が顕著であり、利用者、使用量も減少の一途をたどり、経営の存続は危機的状況だと聞いております。
 そうした中、地下水の揚水規制のあり方を踏まえ、利用者への影響を調査するなど、工業用水道事業の廃止を含めた検討がなされているとも聞きました。しかし、化学、金属、メッキ、食品、皮革など、今なお五百件を超える事業者が利用しておりまして、中には、月額百万円を超える使用料金を支払っているところもございます。もし、この工業用水道の供給がストップし、上水道への切りかえを余儀なくされると、その影響は年額で数千万円となる事業者もおり、懸念されるところであります。
 こうした懸念を払拭するためには、まず、事業者の意向をしっかりと把握し、その上で、きめ細やかな対応が必要です。事業開始のいきさつから考えても、全庁で横断的に検討を重ね、慎重なる対策をすべきことは当然の責務であると考えます。
 工業用水道の今後の見通しと、利用者に対する対応について伺います。
 次に、東京湾における水質改善についてお尋ねいたします。
 東京湾に流れ込んでいる河川の流域は、昭和三十年代からの高度成長に伴い、さまざまな産業集中や人口の集中が進み、急速に発展をしてまいりました。昭和四十年代には、生活水準の向上や経済活動の発展は著しく、大量の生活、産業排水が河川流域の広範囲から排出され、東京湾の水質悪化に拍車をかけてきました。
 油などによる汚染、海底へのヘドロの堆積、また、有機物による汚染や赤潮、青潮の発生による魚介類への被害が深刻化する中で、東京湾における生活、産業、レクリエーションといったあらゆる環境に対して負担をかけ続けてきたわけです。
 その後、工場などからの排水規制といった負担削減への取り組みの促進などとともに、下水道の整備も進み、東京湾へと放出されていた汚濁物などは減少し、異臭を漂わせていた当時から考えれば、その水質は大きく改善の途につきました。しかし、現在でも、有機物などの流入が途絶えたわけではなく、環境基準達成は六割程度で横ばいに推移しているのが現状です。
 オリンピックの申請ファイルによると、東京湾において、ボート、カヌー、トライアスロン、セーリングなどの競技を行う計画となっており、水質改善には急を要すると考えます。
 水質改善のためには、総合的な対策、例えば他県における下水道普及や農地などからの有機物の流入抑制、ヘドロのしゅんせつといったさまざまな対応が必要です。河川流域の中でも、東京都が果たすべき責務は大きく、とりわけ下水道局の役割は重要だと考えます。なお一層の下水処理水質の向上が求められるところでありますが、水質向上に対しての取り組みについてお伺いいたします。
 区部における下水道の約八割は、雨水と汚水を同一管にて収容する、いわゆる合流式下水道として整備されております。したがって、一定規模の大雨の際には、雨水とともに、希釈された汚水をも放流されており、水質悪化の一因となっています。降雨後に、夢の島マリーナがある砂町運河を視察いたしましたが、水面上に浮遊物が漂い、水質はもちろんのこと、美観、臭気といったものを含め、改善の必要性を痛感いたしました。
 また、「十年後の東京」実行プログラムの中にも、水と緑に包まれた美しいまち東京を復活させるため、合流式下水道の改善のための下水道施設の整備が重要であるとしています。合流式下水道の改善に向けた具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 次に、コンベンション誘致についてお尋ねいたします。
 世界各国からコンベンションを誘致することは、イベント施設やホテルなどの開催場所だけでなく、関連する業種に至るまで大きな経済波及効果が期待できます。また、国際会議という舞台において東京をアピールすることにより、東京の都市としての格が向上し、オリンピック・パラリンピック東京招致に向けても、意義ある重要な取り組みだと認識しております。
 しかしながら、アジアにおける誘致状況は、国際観光振興機構の平成十八年データのまとめでは、一定規模の国際会議開催件数が、シンガポールで二百九十八件、ソウルで八十九件、北京で八十件、それぞれ世界の三位、十一位、十八位となっているのに対し、東京では五十八件、二十四位と、アジアの激化する競争の中で取り残されたように伸び悩みの状況にあるのが実情です。
 コンベンション誘致に対するこれまでの都の取り組みはどうなっていたのか、伺います。
 一方、国内ではイベント開催が減少傾向であり、国内需要の縮小から、海外に目を向けた新たな取り組みが課題となっています。経済は国際化が進行し、グローバル企業による世界各地のグループ企業を集めた会議の開催や、海外企業の優秀社員に対する報奨旅行などの増加が予想されているようです。
 こうした企業系の会議などでは、同時に開催するレセプションや観光旅行などを通じて、参加者による多大な消費が行われてもおります。また、企業系会議については、新たな開催地の開拓が行われ、アジア地域はその候補地として注目されつつあり、大きなビジネスチャンスが到来しているといえます。
 したがって、従来の学会、協会といった主催者による国際会議だけではなく、東京も、こうした企業系会議について積極的な誘致を行っていくべきだと考えます。誘致成功の可否を握っているのは、決定権を持つキーパーソンであり、ここに対する的確なアクションが勝敗を大きく左右するともいわれています。
 今後、海外との誘致競争に勝ち抜き、東京の魅力を全世界に発信するためにも、国際会議本部や企業系会議のプランナーなどに対して積極的かつ的確に働きかけを行うことができる人材の育成が不可欠です。この人材育成に対して都は支援を行っていくべきだと考えますが、ご見解を伺います。
 続いて、東京港における客船の誘致についてお尋ねいたします。
 東京港は、首都圏四千万人の生活と産業活動を支えるメーンポートとして大きな発展を遂げてまいりました。私も、東京港の各施設を視察し、物流拠点としての重要性をこの目で見、肌で感じてまいりました。今後も、世界の物流変化の動向に決して乗りおくれることなく、東京港の国際競争強化に向けた取り組みが必要だと考えます。
 さて、東京港では、こうした物流機能という一面のほか、国内外の客船が寄港し、華やかな雰囲気とともに人の交流が行われているという一面もございます。
 晴海の客船ターミナルは、レインボーブリッジをくぐった先にありますが、橋げた設計に当たっては、羽田空港の管制による制約を受けつつも、当時最大級だった「クイーンエリザベスⅡ世号」の通過を可能にしたとのことです。
 しかし、近年建造された超大型の豪華客船はレインボーブリッジの下を通過できないという報道がありましたが、晴海への客船誘致を進める上で支障となっているのではないかという疑問があります。ご所見を伺います。
 平成二十年度予算には、客船誘致が新規事業として掲げられました。以前から取り組みは行われてきたこととは思いますが、一層の本格的な取り組みを、東京港の利点を最大限に生かしつつ進めてほしいと願っております。
 多くの客船が東京港に寄港し、国内外、特に海外からの観光客に東京を実感してもらうことは、オリンピック・パラリンピック招致を進める上でも効果が見込めると考えます。都として今後どのように客船誘致に取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
 最後に、東京マラソン二〇〇八について伺います。
 一万二千人のボランティアと二百二十六万人もの沿道応援に支えられ、三万二千四百人がランナーとして都内を駆けめぐり、昨年を上回る規模で開催されたことしの東京マラソンは、まさに東京が一つになった日となりました。何より絶好の天気に恵まれたこともありましたが、第一回開催の不備な点は見事に改善をされ、東京が有するポテンシャルの高さを内外にアピールできたことは、オリンピック招致に大きく前進をした思いです。
 また、昨年の予算特別委員会における私の提案を受け、出場者に対して早速にアンケートを実施するなど、来年に向けた意気込みも伝わってまいります。
 我が自民党からは三名がフルマラソンに完走し、私も、昨年とはまた違った大きな感動のゴールを味わうことができました。ボランティアや応援してくれた皆さんに心より感謝と御礼を申し上げます。
 さて、今大会は、環境に配慮した新たな提案を持った都市マラソンという一面があったわけですが、世界で名立たるマラソンにおいては、例えば、がん撲滅などのテーマを掲げ、メッセージを配信することが昨今では当たり前のように行われており、世界じゅうの理解と共感を得ております。来年の東京マラソンにおいては、オリンピック招致機運の向上といった側面とともに、メッセージを前面に押し出した大会となれば、よりグレードが高く、より世界の共感が得られる大会になるものと考えます。
 知事は、今後、このマラソンを通じて、どんなメッセージを世界に向けて発信をされるのか、また、さらなる改善と、五万人規模へと定数の拡大など、今後の飛躍を語っておられましたが、この先、東京マラソンは何を目指して実施していかれるのか、ご所見をお伺いいたしまして、私からの質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 宇田川聡史議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、障害者施策についてでありますが、どんなに障害が重くとも、人間としての尊厳を持って生活できるようにすることが障害者施策の目指すところであります。
 都はこれまでも、グループホームの整備促進など、国に先駆けて独自の施策を実施するとともに、重症心身障害児のための東部療育センターを開設するなど、さまざまな障害者施策に取り組んでまいりました。
 今後とも、都の先導的取り組みをさらに前進させまして、区市町村とも協力しながら、障害者が地域の中で安心して暮らせる社会を実現してまいります。
 次いで、東京マラソンについてでありますが、さきに開催されたマラソンでは、三万人を超えるランナーと二百二十六万人の観衆が、頑張れ、ありがとうと声をかけ合って、この一体感、連帯感が実に表出した、すばらしい大会だったと思います。
 同時に、マラソンが自然を相手にするスポーツであることから、太陽光発電などのグリーン電力や再生素材一〇〇%のコートや帽子の利用など、地球温暖化対策について積極的な取り組みを行ってまいりました。
 今後は、東京マラソンを通じて、国や民族、世代などを超えた人と人とのつながりの大切さと、我々人類が大きな負荷をかけている地球環境の問題について、世界に向けてメッセージを送っていきたいと思っております。
 今も、来年のマラソンのテーマをいかにするかというご質問でしたが、これはみんなで考えていきたいと思いますが、環境問題というのは、ことしに入ってにわかに、何といいましょうか、非常にブームになった感じがいたしますけれども、口で唱えるだけではなくて、やはり私たち、深刻にこれを受けとめませんと、東大の山本教授の編さんした「1秒の世界」という非常にショッキングな、要するにデータが盛り込まれた本でありますが、わずか一秒の間に世界で今何が起こっているかということが羅列されてありますけれども、例えば、人間が二人ずつふえていく。同時に、一秒間に〇・四人の人が餓死する。ということは、二・五秒の間に一人が餓死する。それからまた、体育館といいますといろんな大きさがあるでしょうけど、いずれにしろ、排出されるCO2が循環し切れずに、一秒間に体育館三十棟分のCO2が堆積していると。その他この他、あるいは自動車は一秒間に一・三台生産されているようでありますけれども、こういった現況というものを私たち相当深刻にとらえませんと、このままでいくと、恐らく五、六年の間に、大干ばつ、大飢饉が世界じゅうにやってくると思います。
 こういった現実のデータというものをしっかりとらえて、私たちはやっぱり、環境問題というのは抽象的に過ぎますが、地球の存在についての危機感というものを持ち合わす、そういう適切で非常に強い印象の残るロゴといいましょうか、そういったものを皆さんにも考えていただいて、次のマラソンには掲げて進みたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
  〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 寄宿舎閉舎後の自立や社会参加に向けた指導の場の確保についてのご質問にお答え申し上げます。
 基本的生活習慣の確立などの自立や社会参加に向けての教育は、寄宿舎の有無にかかわらず、特別支援学校として重要な指導内容の一つでございます。
 寄宿舎を閉舎します江戸川養護学校につきましては、宿泊可能な設備を有します生活訓練室を新たに整備いたしまして、生活指導や宿泊行事等の内容の充実を図りまして、在籍するすべての児童生徒の自立と社会参加に向けた、計画的、継続的な指導を行ってまいります。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 在宅の重症障害者の介護に対する支援についてでありますが、障害が重くても、可能な限り地域で生活できるようにするためには、介護者に対する支援が不可欠でございます。
 介護者の負担を軽減し、継続的な介護を可能とするには、障害者の通所事業などを充実していくことが必要でございます。
 そのため都は、在宅重症心身障害児者について、従来からの医療型施設に加えまして、地域の福祉施設を活用し、比較的軽度の医療的ケアを要する方を受け入れる通所施設の整備を進めております。
 今後とも、民間も含めた通所施設の整備などによりまして、重症心身障害児者と介護者の方への支援に取り組んでまいります。
  〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 工業用水道事業についてでありますが、東京都の工業用水道事業は、昭和三十九年から地盤沈下防止を目的として供給を開始しておりますが、深刻な地盤沈下はほぼ鎮静化するなど、現在、所期の目的は達成しております。
 しかしながら、工業用としての利用者は、昭和四十九年度の六百二十五件から平成十八年度末では二百四十八件となっており、また基本水量につきましては、日量三十五万立方メートルから日量三万立方メートルとなっております。
 こうした需要の減少に対しまして、雑用用途への需要拡大を図る一方、四カ所あった浄水場を一カ所に集約し、江東地区工業用水道事業、城北地区工業用水道の二事業を一事業に統合するなど、あらゆる合理化努力を行ってまいりましたが、将来的にも需要の減少は続くものと見込まれ、工業用水道事業の経営は極めて厳しい状況にあります。
 一方、事業開始から四十年以上が経過した工業用水道施設は老朽化が進んでおり、数年後には、配水管などの施設の更新に多額の経費を必要とする状況に直面することとなります。
 こうしたことから、工業用水道事業のあり方について、事業者への対応も含め、その意向等も調査しながら、庁内横断的に検討を進めてまいります。
  〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君) 水質改善に向けての二点のご質問にお答えいたします。
 下水処理水質向上のための取り組み内容といたしましては、東京湾においては、現在でも年間百日程度赤潮が発生しており、窒素や燐がその発生原因の一つとされております。
 このため、下水道局では、窒素や燐を除去できる高度処理施設の導入を進めており、平成二十年度からは、区部、多摩合わせまして十二カ所の水再生センターで、日量約七十万立方メートルの処理が可能となります。
 今後も、砂町や浮間、八王子などの各水再生センターにおきまして高度処理施設の導入を進め、下水処理水質の一層の向上に取り組んでまいります。
 次に、合流式下水道改善に向けた具体的な取り組みについてでございますが、下水道局では、川などに放流される量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすため、これまでも、幹線管渠の増強や、降雨初期の下水を一時的にためる貯留池の整備を図るなどの対策を積極的に進めてまいりました。
 さらに、三年後には、幹線管渠の増強をおおむね完成させるとともに、貯留池を二十六カ所の施設で約百万立方メートル確保することとしております。また、雨水の吐け口対策といたしまして、全吐け口の九割に当たる約六百四十カ所に、ごみやオイルボールの流出を抑制する施設を設置する予定でございます。
 今後とも、高度処理施設の導入や合流式下水道の改善対策を進め、水と緑に包まれた美しいまち東京の復活に貢献してまいります。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 国際コンベンション誘致に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、コンベンション誘致に対するこれまでの都の取り組みについてでございます。
 国際コンベンション誘致は、大きな経済波及効果があり、また、東京の名を冠した大規模な国際会議の開催や世界に向けた宣言などは、東京の国際的な存在感をさらに向上させ、オリンピック・パラリンピック招致に向けた東京のPRにも資するものと考えております。
 都はこれまで、国際会議の誘致を支援するため、知事の招請状の発行や資金助成、開催資金の貸し付けを実施するなど、国際コンベンション誘致に取り組んでまいりました。
 具体的には、この結果、二〇一一年には、参加者が一万人規模の国際建築家連合東京大会の開催が決定するなど、大規模な国際会議の誘致に成功しております。
 次に、コンベンション誘致のための人材育成についてでございますが、国際コンベンションの誘致を成功に導くためには、誘致のための専門知識やスキルを備えた人材を育成することが重要であります。
 このため、来年度から、会議施設やホテルなどの実務担当者を対象といたしまして、成功事例を通じた誘致戦略や実践的な交渉のノウハウを付与する講座を開催する予定でございます。
 都は、従来の学会や協会などの国際会議のみならず、海外企業の会議や報奨旅行などの誘致が活発に行われるよう、今後とも、人材育成に積極的に取り組んでまいります。
  〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 東京港におけます客船の誘致について、二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、レインボーブリッジの高さによる客船誘致への影響についてでございますが、近年建造され、主にカリブ海や地中海航路に就航しております客船の中には、レインボーブリッジを通過できない超大型船もございます。
 しかしながら、設備、サービスとも最高級の格付を受け、世界のベストシップと呼ばれておりますドイツの豪華客船「オイローパ」や、日本最大の客船であります「飛鳥Ⅱ」「ぱしふぃっくびいなす」は晴海客船ターミナルに着岸しておりまして、国内外の客船の東京港への誘致を進める上でレインボーブリッジは支障にならないものと考えておりまして、引き続き積極的に客船誘致に取り組んでまいります。
 次に、東京港への客船誘致の取り組みについてでございますが、客船は港の花ともいわれ、港に潤いとにぎわいを与えるとともに、国内外からの観光客の増加にもつながることから、東京オリンピック・パラリンピックを招致する上で大きな効果があるものと認識しております。
 このため、都は、海外でのポートセールスにおきまして、クルーズ会社を訪問し、銀座や浅草などの観光スポットへのアクセスのよさを初め、東京港の利点をアピールしてまいりました。
 また、都民の方が低廉な料金でクルーズに親しめる機会を提供することで、クルーズの人口のすそ野を広げていく都民クルーズ事業を実施してまいりました。
 これらの取り組みに加えまして、来年度には、近年脚光を浴びておりますアジア航路を中心とする最新のクルーズ動向や、羽田空港の国際化を見据えまして、空と海の観光を結びます、いわゆるフライ・アンド・クルーズの需要の見通し、さらに、客船を温かく迎える仕組みづくりなどにつきまして、専門家の意見を聞き、調査、分析を行った上で、より効果的な東京港の客船誘致プランを策定してまいります。

〇議長(比留間敏夫君) 七十六番小沢昌也君。
  〔七十六番小沢昌也君登壇〕
  〔議長退席、副議長着席〕

○七十六番(小沢昌也君) 初めに、中小企業対策について伺います。
 石原知事の産業振興策は、イノベーションが期待される産業を重点的に育成し、東京の産業を牽引することに重きをなしていることに特徴があります。もちろん、私の地元墨田区にも、世界に誇り得る中小企業があるのも事実です。しかしながら、この間の原油高を初めとする原材料の高騰に加え、建築確認のおくれによる住宅着工件数の激減、そして、年金問題を初めとする将来への生活不安や、株安を背景とした消費者心理の冷え込みなどから、多くの中小企業が苦しんでいるのが現状です。
 そこで、東京の産業を牽引する重点産業の育成だけでなく、中小企業の経営基盤を強化し、産業全体の底上げを図ることについても積極的に取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 知事は、施政方針の中で、中小企業振興公社に仮称下請取引紛争解決センターを設置し、中小企業の受注機会の確保や下請取引の適正化を図っていくと述べられました。これは、都議会民主党が昨年二月の代表質問で述べた施策の具体化を図るものとして評価します。しかし、このセンターが下請取引の適正化を図っていくためには、周知の徹底や体制の充実など、運営面での強化が欠かせません。
 私は、中小企業へのPRや相談の積み重ねによる対策の強化、体制の整備など、下請取引の適正化を積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、新規学卒者の大企業志向などから、中小企業は、人材確保の面についても大企業と比べて不利な立場にあり、少子化が進むことで、その傾向がますます強くなるものと思われます。今後、中小企業の人材確保を進めていくためには、例えばインターンシップの充実などにあわせて、中小企業の現場で実際に仕事を体験できる機会を拡大していくことや、多様な人材を受け入れる中小企業の体制整備を支援していくことが必要です。
 また、中小企業の魅力をさらに多くの人たちに発信していくために、NPOなどと連携しながら、多様で戦略的な展開を図っていくことが望まれます。
 そこで、中小企業の採用支援に向けて、東京都は今後、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 中小企業の事業承継支援について、国においては、平成二十年度税制改正大綱で、取引相場のない株式等の課税価格の八〇%相当の相続税を猶予することが盛り込まれましたが、税制以外の課題も残されています。そのため、税務や法務などさまざまな分野で、実務の知識を持った専門家による中小企業のサポート体制の充実も必要と考えます。
 昨年二月の我が会派の質問に対し、都は、研究会を設置して事業承継の仕組みづくりを検討していくと答弁しましたが、その後の取り組みについて伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 東京都は、「十年後の東京」で掲げた、住宅の耐震化率九〇%以上とする目標の達成に向け、昨年十二月に民間建築物等の耐震化促進実施計画を策定し、向こう三カ年の年次計画を示しています。この中では、平成二十七年度までに、過去の実績を含め、木造住宅については、耐震診断が計五万件、耐震改修は計二万二千件、また、マンションの耐震改修は計五百件で二万戸の実施が目指されています。
 しかし、都議会民主党がこれまで指摘してきたように、平成二十七年度までに住宅の耐震化率を九〇%以上とするためには、自然更新を除いて、約三十四万戸の耐震化が必要であり、目標と計画の乖離が明らかであります。
 そこで、民間建築物等の耐震化促進実施計画で示された住宅の耐震化の計画量で、平成二十七年度末に住宅の耐震化率が九〇%以上達成できる根拠について所見を伺います。
 次に、都は、今年度緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化のためのモデル事業を三路線、約三十八キロメートルで実施し、来年度からは緊急輸送道路全路線、約一千九百七十キロメートルに拡大することが予定されています。
 しかし、今年度の実績は、耐震診断及び補強設計に対する助成に申請がわずか九件、耐震改修に至っては全く利用されていません。この事実について、実績が上がらなかった要因をどうとらえ、今後の事業拡大に向けてどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、土壌汚染対策について伺います。
 都議会民主党では、豊洲地区の土壌汚染対策に積極的に取り組んでいるところでありますが、私は、視点を変えて、土壌汚染があるために土地の取引や土地利用が進まない、いわゆるブラウンフィールドといわれる問題について、幾つか質問したいと思います。
 私の地元墨田区にも、メッキ屋さんやまたクリーニング屋さんといった、シアンや有機溶剤などを使って仕事をしている人たちが多くいます。しかし、例えばこれらの人たちが、廃業したい、あるいは別の事業を展開したいと思っても、土壌汚染の対策費用が高くつくために、建てかえもできない、転売もできないという状況に陥っているのです。
 平成十八年五月、東京都は、土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会を設置し、土壌汚染対策を促進するための仕組みづくりを検討してきましたが、いまだ報告書を取りまとめるに至っておりません。国においては、昨年六月に、土壌環境施策に関するあり方懇談会が設置され、この間、積極的な議論がなされていると聞いていますが、東京には東京の地域性、例えば敷地が狭量なこと、土地利用の経済性が高いことなどを踏まえて、施策を積極的に展開していく必要があります。東京都の検討委員会の取りまとめの時期と施策の方向性について、見解を伺います。
 また、法律ができる前から操業していた中小零細事業者の人たちに、土壌汚染対策法ができたからといって、一方的に汚染者負担の原則を押しつけるだけでは、なかなか問題は解決しません。私は、問題解決の第一歩として、まずは都内にどのくらい汚染地区があり、これまでどの程度処理されてきたかなど、その土地の情報を都民と行政が共有していく必要があると考えています。
 現在、東京都には指定地区の台帳があるものの、データベース化されていないことから、十分に活用できる仕組みになっていません。一度対策を講じた土地であっても、新たな土地購入者がそれを知らずに再調査してしまうという不合理な話も聞いています。私は、土壌汚染に関する調査結果や対策措置に関する情報については、その情報を集積、保存して、都民に対しても情報提供できる仕組みづくりに取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都内では、東京都環境確保条例で定める対象外の、三千平方メートル以下の土地の売買や再開発などの際において、実際に民間ベースで土壌汚染調査やその処理が行われています。しかしながら、これらの調査結果や汚染土壌が適正に処理されているのかなどの実態は、法や条例の対象外であるために把握されていないのが現実です。
 そこで私は、こうした法や条例の対象外である汚染土壌の実態や、搬出された土壌が適正に処理されているかなどを調査し、その実態把握に取り組んでいくべきだと考えますが、見解を伺います。
 土壌汚染対策法では、土地所有者の負担能力が低い場合に限って、土壌汚染対策基金による助成を行うことができますが、その適用要件が余りに厳しいため、有効に活用されていないといわれています。また、この土地所有者だけでなく、汚染原因者の負担能力が低い場合には、この制度の対象とすべきであると考えます。
 私は、原因者負担も当然必要ではありますが、それを追求する余り、東京の土地取引や土地利用が停滞し、結果として東京の活力にマイナスとなるようなことは避けなければならないと考えています。場合によっては、東京都が東京の活力向上のための独自の基金を設置することも考えられるのではないでしょうか。
 そこで、負担能力の低い汚染原因者に対する施策を講じることで、土地取引の促進、土地の有効利用を進め、東京の活力向上に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後にお伺いいたします。
 都立横網町公園は旧陸軍省被服廠の跡地で、現在の両国国技館の北東約五百メートルに位置しております。大正十二年九月一日の関東大震災の際は、当時公園として造成中であった被服廠跡に避難した約三万八千人の方々がこの地で亡くなられました。また、昭和十七年四月十八日から終戦まで続いた東京空襲において、東京は焼け野原と化し、中でも昭和二十年三月十日未明に、現在の墨田、江東、台東の各区を中心とした下町地区を襲った爆撃は、八万人を超える多くのとうとい命を奪いました。
 震災遭難者を供養するため、昭和五年、公園内に震災記念堂が建てられ、現在は東京都慰霊堂として、関東大震災の遭難死者約五万八千人及び空襲犠牲者など十万五千人、延べ十六万三千余柱の遺骨が納められています。今日では財団法人東京都慰霊協会により、毎年三月十日と九月一日に慰霊法要が行われ、皇室を初め各界からの代表者や一般の方々が参拝されているところです。
 私は、関東大震災、東京大空襲の二度の大きい災いを受けた東京都こそ、率先して、その悲惨な史実を風化させることなく、二度と戦争という悲劇を繰り返さないよう平和の大切さを伝えるとともに、地震を初めとする自然災害に対する備えの重要性を広く後世に発信していくべきと考えます。
 また、公園内には、震災復興事業を記念するため、昭和六年に竣工した復興記念館がありますが、周知不足のためか、来館者は年間三万人程度にすぎません。そこで、復興記念館について、両国エリアを訪れる観光客を含め、より多くの方々が訪れやすいよう、展示や案内方法に工夫を加え、広報を充実すべきと考えますが、所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 小沢昌也議員の一般質問にお答えいたします。
 産業全体の底上げについてでありますが、底上げといっても非常に相対的な問題でありまして、いうにやさしいが、行うに非常に難しい問題だと思います。世界が物理的、時間的に非常に狭小になりました現代で、日本の経済も他国の経済動向に容易に大きく振り回される時代になりました。しかし、何であろうと、中小企業の健全な成長なくして活力ある豊かな東京の実現はございません。
 都は、これまでもベンチャー企業の育成や航空機産業への参入支援など、東京の産業を牽引する中小企業を支援する一方、金融支援や事業再生支援など、厳しい環境に置かれている中小企業に対するさまざまな施策を講じてもまいりました。
 今後とも、中小企業が持てる力を十分に発揮できるよう、基盤整備の強化に向けた取り組みをさまざまに積極的に展開し、東京の産業の底上げを図っていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 中小企業対策に関する三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、下請取引の適正化についてであります。
 下請取引の適正化は、中小企業にとりまして、経営の安定を図る上で重要な課題であると考えております。そのため都は、これまでも東京都中小企業振興公社を通じまして、親企業や下請企業に対し、講習会などによりまして、下請取引適正化の遵守を促しております。
 さらに、平成二十年度には、取引における紛争を早期に解決するセンターを設置するとともに、巡回相談体制を充実するなど、下請取引の適正化に努めてまいります。
 次に、中小企業の採用支援についてですが、多くの中小企業は、大企業に比べまして、採用に関するノウハウや採用事務を行う体制が十分ではありません。一方、就職をしようとする若者におきましては、中小企業に関する情報を得る機会が少なく、中小企業を就職先に選択肢として考えていないケースも多いと聞いております。
 今後、都といたしましては、中小企業の魅力を総合的に発信するプロジェクトを民間と連携して推進しますとともに、中小企業向けに、採用ノウハウを提供するセミナーの実施やマニュアルの作成を行いまして、中小企業の人材確保を支援してまいります。
 最後に、事業承継の取り組みについてでありますが、都は、本年度、有識者による研究会を開催いたしまして、中小企業の事業承継の課題について議論をしてまいりました。研究会では、円滑な事業承継のための早期準備や計画的な後継者育成などの必要性が示されております。
 研究会における議論を踏まえまして、都は、平成二十年度より、普及啓発から相談対応、後継者育成までを行う事業承継・再生支援事業を実施してまいります。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) まず、住宅の耐震化率の目標達成についてでございます。
 都は、「十年後の東京」の実現に向けまして、建物の耐震化を進めるため、昨年末に実施計画を策定し、目標達成への具体的道筋を示しました。この計画に基づきまして、住宅所有者の意識啓発や耐震化に取り組みやすい環境の整備、助成の実施など、施策を総合的に展開し、住宅の耐震化を積極的に促進してまいります。
 また、区市町村におきましても耐震改修促進計画の作成が進んでおりまして、都の支援制度の拡充とも相まって、取り組みの一層の進展が図られるものと考えております。こうした積み重ねによりまして、今後は住宅の耐震化が実施計画に沿って進捗するものと見込んでおります。
 次に、緊急輸送道路沿道の建物の耐震化についてでございますが、今年度のモデル事業は、来年度以降の事業を効果的に進めるため、建物所有者の意向を把握し、支援のあり方などにつきまして検討を行うことを目的として実施いたしました。
 今回、沿道の対象建物約五百棟の所有者に対しまして意向調査を行った結果、耐震診断や耐震改修をまだ実施していない建物のうち、約七割の所有者が、今後の実施について前向きの意向を持っていることがわかりました。来年度からは助成の対象を全路線に拡大するとともに、区市町村とも連携して、所有者への働きかけや支援を強めることとしております。今後、事業の周知を図ることによりまして、着実に助成の実績は伸びていくものと見込んでおります。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会についてでございますが、本検討委員会は、土壌汚染対策を促進するため、環境保全を初め、まちづくり、不動産鑑定、金融等の学識経験者により構成しており、環境保全はもとより、都市の健全な発展や地域の活性化等の幅広い視点で、平成十八年五月から検討を行っております。
 その後、環境省、経済産業省及び国土交通省におきましても、それぞれの立場から、土壌汚染対策の促進のための検討が進められております。
 本検討委員会では、現在、これら国の検討状況を参考としつつ、本年度末の取りまとめに向け検討を重ねております。
 次に、情報提供できる仕組みづくりについてでございますが、現在、土壌汚染対策法に基づく指定区域に関しましては、汚染状況を記載した台帳の閲覧が可能であり、また、都の環境確保条例による土壌汚染に関する届け出内容につきましては、情報公開条例に基づき、調査結果や対策内容の情報を開示しております。
 検討委員会では、将来にわたって適切かつ効果的な土壌汚染対策を講じるためには、過去の調査や対策などに係る情報のデータベース化を進め、より積極的な情報の提供をするべきとの意見が出されております。今後、検討委員会からの最終的な報告を踏まえ、対応してまいります。
 次に、汚染土壌の実態把握についてでございますが、環境省の調査によりますと、全国の土壌汚染対策件数のうち、約二割が土壌汚染対策法や条例に基づく対策であり、その対策により生じた搬出土壌の量や処理方法などは正確に把握されております。一方、対策件数の残り八割は自主的な対策であり、搬出土壌の量などについての国における推計値はあるものの、詳細な情報は把握されているとはいえない状況にございます。このため、今後、自主的な対策に係る汚染土壌搬出実態調査の実施を検討してまいります。
 最後に、負担能力の低い汚染原因者に対する施策についてでございますが、国が平成十四年に設置した土壌汚染対策基金は、汚染者負担の原則に立ち、助成を行う対象を、汚染原因者ではない土地所有者で、かつ負担能力が低い場合に限定していることなどから、ほとんど活用されていない状況にあります。このため、都では、基金が有効に活用されるよう負担能力の低い汚染原因者に対しましても対象とするよう、これまでも国へ提案要求を行っております。
  〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 横網町公園の復興記念館についてでありますが、復興記念館では、関東大震災や東京大空襲などの惨事を後世に伝えるため、写真や絵画、遺品などの資料を展示しております。都では、これまで、保管資料を活用した定期的な展示品の入れかえ、解説板の設置、照明の改良など、展示方法の改善に努めてまいりました。
 今後は、来館者の理解がより深まるよう、解説内容の充実に取り組むとともに、ボランティアによるガイドを新たに実施してまいります。
 また、多くの方々に復興記念館を訪れていただけるよう、周辺の文化施設などと連携し、PRに努めてまいります。

〇副議長(石井義修君) 五十七番かち佳代子さん。
  〔五十七番かち佳代子君登壇〕
  〔副議長退席、議長着席〕

○五十七番(かち佳代子君) 初めに、城南地域のものづくり支援について伺います。
 今月十四日から三日間、大田区の第十二回工業フェアが産業プラザPiOで開かれました。私も見学しましたが、百四十社を超える企業や大学、工業高校、研究機関などが出展参加し、新技術、工法、新製品の展示や、東京マイスターを受賞した金属彫刻職人による実演など、日本を代表するものづくり大田といわれるにふさわしい雰囲気でした。
 展示ブースでは、携帯電話用のプラスチック精密金型を設計、作成する企業と、樹脂部品の試作加工業とのコラボレーションの話や、高度な技術と品質管理が要求されるJISQ九一〇〇を取得し、販路を拡大した航空機産業の企業の社長さんからも話を伺い、力強く感じました。
 現在、大田区は、工場数など後退しているとはいえ、付加価値額では、大規模な工場が立地する日野市や府中市に次いで都内第三位の位置を占め、引き続き東京の経済にとって重要な基盤産業の役割を担っています。それは工業フェアで示されたように、中小企業の皆さんが、かつての一方的な下請構造から脱却して、他にない技術や知識を有した企業として、地道に再生に取り組んできた成果にほかなりません。
 そして大田区や業者の皆さんが切望しているのが、東京都の支援です。しかし、残念ながら、二〇〇六年に東京都が策定した長期計画「十年後の東京」では、城南地域の工業が明確に位置づけられていません。知事もご承知のように、城南地域、とりわけ大田区には世界に誇るものづくりの技術が集積しています。また、今後の産業の動向を考えた場合、羽田空港を抱え、少量多品種、高付加価値のものづくりや基盤技術を有する城南地域の優位性には大きなものがあります。
 知事、城南地域のものづくりの重要性をどう認識していますか。都の政策に城南地域のものづくり振興をしっかりと位置づけ、支援することを強く求めるものですが、見解を伺います。
 以下、具体的な取り組みについてお聞きします。
 大田区はかつて羽田空港の整備工場があり、部品の納入なども行っていたことから、巨大な市場である航空機産業への参入に期待を寄せています。こうしたもとで、最近、ボーイング社の新型機開発の動きが明らかになり、その部品供給に参入を模索する動きを強めています。航空機産業はJISQなどの資格が求められるものから、座席や内装などまで多岐にわたっており、参入のチャンスといわれています。
 都は、来年度、JISQの取得の支援を予算化しましたが、五カ所にとどまっています。予算を大幅に拡大するとともに、都として参入対策窓口を設置するなど、東京都のステータスを生かした取り組みが考えられますが、どうですか。
 加えて、小規模業者もチャレンジできるよう、相談から取得のためのアドバイスなど、一貫したサポートシステムを構築することが必要です。答弁を求めます。
 国は昨年、京浜地域において、多様な新事業創出、新産業創造分野の市場形成を図るとして、川崎市や横浜市、大田区、品川区などと連携して、京浜クラスターを立ち上げました。これは東京都と神奈川県をまたがった広域的な取り組みであり、広域行政としての都や神奈川県が連携してこそ生きた施策になると思われます。国に対して、都や県を交えて進めるよう要請するとともに、都として、連携事業やクラスター事業では対象とされていないかつての工業集積地域活性化事業のような、地元の取り組み自体を支援する仕組みを立ち上げることが重要ですが、どうですか。
 工場の確保と操業環境の問題は緊急課題です。大田区では、今年三カ所目の工場アパートを開設して製造業を支援していますが、建設費や維持費の負担が障害となっています。工場アパートの建設費、維持費への補助や入居者への家賃補助などが望まれています。また、工場跡地を活用して工場アパートを建設することなど、都が業者と関係自治体の要望にこたえるべきではありませんか、答弁を求めます。
 もう一つの問題が、都市化による住工混在の進行です。このため、大田区では、来年度から工場が区内で移転する場合、六百万円の補助を行う予定です。江東区でも建てかえ期間中の工場の一時貸しを実施しています。このように各自治体では工場確保のための取り組みを強めており、都の支援を切望しているのです。この声に積極的に答えることが必要と思いますが、見解を伺います。
 メッキ関連の研究開発を進める業者の方からも伺いました。それは都も重点事業に位置づけている環境分野で、例えば揮発性の有機化合物、VOCの処理設備など、中小企業が開発した製品への支援で、特許取得後の実用化に当たっての社会的、客観的評価の実施や、企業を回って技術の相談に乗るコーディネーターの派遣です。こうした要望にこたえることが必要と考えますが、答弁を求めます。
 高度に蓄積された技術の伝承と人材育成は、ものづくりの現場でこそ生きたものとなります。大田区内の企業では、ものづくりにチャレンジする都立六郷工科高校の生徒を受け入れ、教育する取り組みを進めています。一方、自治体の取り組みとしては、例えば葛飾区では、伝統工芸の職人を受け入れた場合、受け入れ企業に指導料を補助する仕組みを立ち上げています。人材育成に取り組む自治体を都として支援することは大変重要ですが、どうですか。
 また、人材確保を社会的事業として位置づけて、都の広報番組などを使ったPRで人材の確保に努め、企業に橋渡しすることが重要と思いますが、対策を求めるものです。
 次に、地球温暖化対策と商店街支援についてです。
 地球温暖化対策を地域社会全体に広げていくことが急がれています。その点で、地域経済を支え、地域社会の核としての役割を担っている商店街の位置づけを重視する必要があります。
 そこで伺います。知事、地域経済の主役である商店街が、地球温暖化防止に積極的に取り組むことは、環境負荷の少ない都市をつくる上で大きな意義と効果があると思いますが、どうですか。
 既に都は、新・元気を出せ商店街事業のうち、特定施策推進型商店街支援事業の中で、二酸化炭素削減の取り組みへの支援を行っていますが、これを抜本的に強化することが重要です。例えば商店街の街路灯は、地域を明るく照らす明かりとして欠かせない都市施設となっています。この街路灯を省エネルギー型に転換することは、光熱費のコストダウンに加え、二酸化炭素の削減に大きく寄与するという点で、一石二鳥の事業になります。
 既に全国では、太陽光発電や風力発電を使ったハイブリッド街路灯設置が始まり、東京の赤坂では、二酸化炭素の固定化効果を持つ古木を使用した環境に優しいユニークな街路灯も生まれています。こうした取り組みで年間八十万円もの電気代の節約が可能になった商店街も生まれています。
 また、新・元気を出せ商店街事業を活用した取り組みとしては、八十本の街路灯をLED、ダイオードに切りかえた上野中央通り商店街や、太陽光発電を使った白鬚商店街などで始まっています。しかし、特定施策の支援事業は、エコ事業には十分活用されておらず、五分の一の地元負担もあります。
 すべての商店街の街路灯を計画を持ってエコ型に転換することは重要です。特定施策推進型商店街支援事業における地元負担のさらなる軽減に努めるとともに、事業の周知徹底を図るべきと考えますが、答弁を求めます。
 エコ商店街の取り組みは、ワインの空き瓶を再利用したワインロードや、二酸化炭素を吸収するVノックス塗装の外壁を使った建物、空き缶などの回収機を備えたエコステーションなど、急速に普及しています。また、イギリスなどで広がっているごみを使ったバイオマス発電を初め、家庭で排出される廃油の再利用、空き地などをミニ庭園にすることなども有効です。
 そこで、エコの街路灯に加え、これらの取り組みも新・元気を出せ商店街事業の対象として事業を支援することで一気に広がることが期待できます。見解を伺います。
 また、都として、東京都版エコバッグを作製し、各地の商店街で活用できるように無償配布するのはどうでしょうか。
 ロンドンでは、白熱球をなくすために、省エネの蛍光灯を二十二万本用意して無料で配布しています。都は白熱球一掃作戦を掲げていますが、呼びかけだけで実効ある対策は見られません。そこで、都内商店街と連携して、廉価で省エネ型の蛍光灯を提供する事業を実施すべきと考えますが、それぞれ答弁を求めます。
 以上の商店街のエコの取り組みを総合的に支援するために、エコ商店街支援事業を創設し、地域商店街による地球温暖化防止の取り組みを推進することを提案するものです。お答えください。
 最後に、新・元気を出せ商店街事業を活用したエコの取り組みについては、地元負担ゼロにするために、環境局として補助することも有効です。見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) かち佳代子議員の一般質問にお答えいたします。
 城南地域のものづくり振興についてでありますが、城南地域、特に大田区は私の昔の選挙区がございまして、世界に誇り得る高度な技術力を持つ中小企業が多数集積し、東京だけでなく、日本のものづくりを支える重要な役割を果たしていることは十分承知しております。これまでもナノテクノロジーセンターを開設するなど、先進性と独自性を持った施策を展開してまいりました。
 「十年後の東京」においても、基盤技術や試作品開発を担う一大集積地として位置づけておりまして、今後とも城南地域のものづくり産業の強化に取り組んでまいります。
 地球温暖化防止に向けた取り組みについてでありますが、これまでも繰り返して申してまいりましたけれども、温暖化ガスの大幅な削減を実現するためには、商店街はもとより、都民、企業などすべての主体が、それぞれの役割と責任に応じて温暖化ガスの削減に取り組む必要があります。
 都はこうした考えに立って、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを掲げ、さまざまな施策を着実に推進しております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 十点のご質問にお答えを申し上げます。
 航空機関連産業への参入についてでございますが、航空機関連産業は、今後の需要予測におきましても高い伸びが予想されております。
 このため、都は、既に今年度から、航空機関連産業への参入セミナーを開催し、支援を行っているほか、参入に意欲のある中小企業に対しまして、民間企業のOBを専門家として派遣するなど、相談体制を構築しております。
 次に、一貫したサポートシステムの構築についてでありますが、航空機関連産業への参入に当たりましては、高い技術力だけではなく、品質管理能力が求められます。
 このため、品質管理の国際規格でありますJISQ九一〇〇の認証取得に取り組む中小企業に対しまして、セミナーの開催や専門家の派遣、取得経費の助成を行うこととしております。
 次に、国のクラスター事業への対応についてでありますが、都は、国や他県との情報交換を定期的に行いまして、クラスター事業も含め、緊密に連携して地域工業の振興に取り組んでおります。
 また、共同研究や共同開発など、工業の振興に資する民間事業者の取り組みにつきましては、中小企業経営・技術活性化支援事業などにより支援をしているところでございます。
 次に、工場アパートの整備に対する支援についてでありますが、都はこれまでも、基盤的技術産業集積活性化支援事業の国庫補助金の活用などによりまして、区市町村が行う施設整備を支援してまいりました。
 また、来年度から、創業者を対象とする施設の整備について支援することとしております。
 次に、工場確保の取り組みに対する支援についてでありますが、都はこれまでも、中小企業の組合や区市町村が行う工場の整備に対しまして、高度化資金等によって支援をしてまいりました。
 また、昨年発表されました「十年後の東京」の実現に向けました実行プログラムにおきましても、産業集積の形成に取り組む区市町村を支援することとしております。
 次に、製品の実用化に向けた支援についてでありますが、実用化に当たっての評価に関しては、中小企業の新製品についての事業計画の妥当性や事業化の有望性などについて、専門家が評価、助言を行う事業可能性評価を実施しております。
 また、技術支援に関しましては、産業技術研究センターにおきまして、中小企業の要請に基づき、外部専門家を現地に派遣しております。
 次に、人材の育成、確保についてでありますが、区市町村では、それぞれの地域の特性にあわせて、独自の政策として人材の育成、確保に取り組んでおります。
 都は既に、地域の人材育成を行う拠点といたしまして、職業能力開発センターを設置し、区市町村や企業の意見も反映しつつ、きめ細かな対策を講じております。
 また、人材の確保につきましては、中小企業の認知度を高めることが必要であることから、今後、民間企業やNPO等とも連携をしまして、中小企業の魅力の発信に取り組むこととしております。
 次に、商店街における環境に配慮した街路灯の設置についてでありますが、このような街路灯の設置につきましては、特定施策推進型商店街事業により、実施する商店街に対しまして、既に五分の四の高い補助率で特別に支援をしております。
 なお、この事業については、商店街及び区市町村向けの説明会や東京都ホームページなど、さまざまな機会を通じ周知を行っております。
 次に、商店街における環境に配慮した取り組みへの支援についてでありますが、商店街の活性化に資する環境に配慮した取り組みは、既に新・元気を出せ商店街事業の支援対象としております。
 最後に、エコ商店街支援事業の創設についてでありますが、商店街の活性化に資するエコ活動に対しては、既存の制度の活用により支援を行うことが可能であることから、新たな事業の創設は考えておりません。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) まず、エコバッグの配布についてでございますが、社会全体の環境意識が高まる中、温暖化対策に意欲的な商店街では、独自のエコバッグを作製するなど、既に多くの取り組みが進んでおります。また、消費者も、みずからのニーズに適したエコバッグを購入するなど、エコバッグの利用は着実に広がりつつあります。
 都は、こうした状況を踏まえつつ、環境配慮の意識が都民の間にさらに広がるよう普及啓発を進めてきており、今後とも、その充実に努めてまいります。
 次に、電球形蛍光灯の普及についてでございますが、都は昨年から、白熱球一掃作戦を展開し、都内の電気店やコンビニエンスストア等に対し、電球形蛍光灯の売り場拡大や割引セールの実施などを働きかけ、都民が電球形蛍光灯をより身近に購入できるような取り組みを進めております。
 この取り組みを開始して以来、電球形蛍光灯の販売個数が大幅に増加し、コンビニにおいても、メーカー希望小売価格の半額程度で販売されるようになるなど、普及拡大が進んできております。
 最後に、商店街の温暖化対策に関する取り組みについてでございますが、商店街における温暖化対策につきましては、新・元気を出せ商店街事業などにおいて、関係局が連携して実効性のある施策を推進しております。
 温暖化ガスの大幅な削減を実現するため、今後とも、全庁横断型の戦略組織であるカーボンマイナス都市づくり推進本部のもと、全庁一丸となって取り組みを進めてまいります。
〇議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

  午後三時二十五分開議

○議長(比留間敏夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十一番神林茂君。
  〔二十一番神林茂君登壇〕

○二十一番(神林茂君) まず、助け合う地域社会づくりとボランティアの育成、活用について伺います。
 今日においては、親が子どもを虐待し、子どもが親を殺すなど、常識でははかり知れない事件が日常茶飯事のように報道されています。戦後我々が受けた教育では、個人の権利を主張することの大切さは大いに学ばせていただきましたが、その反面、義務を果たすことの必要性、国を愛する心、年長者を敬う気持ち、助け合いの精神など、本来日本人が持ち合わせていた誇るべき国民性については、残念ながら十分な教えを請うことができませんでした。
 加えて、少子化や情報化の進展、物質的な満足を追い求めていく社会環境の変化などが、自分さえよければよいという人間性の欠如した事件を引き起こしている大きな要因となっていることは、私があえていうまでもないことかもしれません。
 平成十八年十二月に策定された「十年後の東京」は、東京が近未来に向け、都市インフラの整備だけでなく、環境、安全、文化、観光、産業など、さまざまな分野で、より高いレベルに成長を遂げていく姿を描き出したものです。私は、十年後の東京を考える上で最も大切なことは、こうした成熟した都市の中で、そこに暮らす住民がいかに成熟した生活を送っているのかということだと考えます。
 石原知事は、平成十一年に心の東京革命を提唱し、次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任を持って、正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくみ、人が生きていく上での当然の心得を伝えていく取り組みを始めました。
 正義感や倫理観、思いやりの心を持った人づくり、地域や自分の身の回りで助け合うことのできる地域社会づくりなど、成熟した人や地域社会の環境づくりを「十年後の東京」が目指す都市像と融合して結実させていくべきであります。
 国がやらないなら東京都からでも進めるという姿勢で、都民から高い評価を受けている石原知事のお考えと、東京都の今後の取り組みについて伺います。
 ボランティアをはぐくむ施策、殊に団塊世代、元気高齢者の力を活用した地域の活性化について伺います。
 昨年十二月に発表された東京都地域ケア体制整備構想では、東京都の総人口は平成三十二年をピークに減少していきますが、六十五歳以上の高齢者人口はその後も増加し続けることが予想されています。
 しかも、高齢者のうち約八割は元気な方々であります。地域社会や介護などのボランティアをはぐくむ施策の中で、高齢者が抱える問題に強い関心を持ち、人生経験豊かで豊富な知識を有するこうした方々の力をかりないのは、社会的にも大きな損失といえます。
 実際に稲城市においては、昨年の九月から介護支援ボランティア制度を開始し、市の予想を大きく上回り、ことしの一月末現在で二百三十一人の登録がされ、積極的に地域における介護を支える力として機能しております。
 また、私の地元の大田区では、地域のお母さん方と元気な高齢者が、ひとり暮らしの高齢者に給食サービスなどを実施して、大変喜ばれています。
 しかし、多くの現場では、ボランティアをしたくとも、仲間づくりや活動の場の確保が難しい、技術や知識を習得する機会が少ないなど、苦労しているという話を聞いております。もちろん、こうした取り組みは、住民に身近な区市町村が、それぞれの地域実情に合わせた取り組みをすることが必要ではありますが、その前提となる仕組みや環境づくりなどは、広域自治体として、東京都の役割が大きいと考えます。
 東京都としては、広域的な情報提供や財政支援はもとより、技術や知識を習得する研修会の開催や講師派遣、資格認定制度の確立、ボランティア活動をサポートする保険制度など、市区町村と協力して、ボランティア活動が地域社会の中で活動しやすい受け皿づくりを行って、地域ケア体制の整備をしていくべきであります。
 そこで、今後とも、地域社会を活性化させるためのボランティア活動の推進、殊に元気な高齢者の力の活用策について、東京都の考え方と具体的な取り組みを伺います。
 また最近、介護施設では、募集をかけても応募者が少なく、介護人材の不足が深刻化しているというニュースをよく耳にいたしますが、こうした介護施設などでも、高齢者を初めとしたボランティアの活用も積極的に考えてみてはいかがでしょうか。
 介護施設では、必ずしも介護の資格を持たずに活躍できる場がたくさんあると思います。例えば食堂内の配ぜん、下ぜん、散歩、外出や施設内の移動の補助、話し相手などが挙げられます。介護人材については、国の試算から推測すると、都内では今後十年間で、四万から六万人もの新たな確保が必要となります。
 介護人材の定着、確保の一助となるよう、介護施設などにおける元気な高齢者を初めとしたボランティアの活用について、東京都のご所見を伺います。
 次に、羽田空港をめぐる諸課題について、空港周辺住民の思いを込めて質問をいたします。
 昨年三月、国土交通省、東京都、品川区、大田区で構成するいわゆる三者協で、羽田空港跡地の範囲と面積について合意され、昨年十月、その利活用の方向について素案が提示され、その後パブリックコメントが実施されました。今後、この羽田空港跡地利用基本計画については、今年度末までに取りまとめる予定と聞いております。
 そこでまず、この跡地の整備内容については、これから具体的な検討に入るものと考えますが、東京都として羽田空港跡地整備を今後どのように進めていくのか、基本的な考え方について伺います。
 次に、忘れてはならないことですので再度申し上げますが、戦前、現在の羽田空港には、鈴木町、穴守町、江戸見町約二千八百九十四人といわれる方々が暮らしており、戦後のアメリカ軍による四十八時間以内での強制退去命令によってふるさとを失い、周辺地域に移り住んだ歴史があります。また、その後も、空港周辺住民は、長期間にわたってジェット機騒音に悩まされ、今なお市街地上空を飛行する左旋回飛行やヘリコプターの騒音に苦しんでおります。
 そして、今回の羽田空港跡地利用基本計画の中にも、主な留意事項として、羽田空港跡地に関する過去の経緯(強制退去の歴史など)を踏まえるとはっきり明記されております。
 私は、こうした空港周辺住民の思いや要望を、空港が整備され、よくなっていくのと一緒に、空港と共生させて、個人にではなく、まち全体を整備し、よくしていくことによって、結実させていくべきだと考えております。そして、空港跡地利用計画を検討する今がまさにその千載一遇のチャンスなのであります。
 そこで、東京都としても、こうした空港周辺住民の思いや要望をしっかりと受けとめ、実際の計画の中に反映させていくべきと考えますが、所見を伺います。
 三点目は、空港周辺住民の思いや要望の最も根底にある騒音解消と危機管理についてであります。
 そもそも三期にわたる羽田空港沖合展開事業の歴史を通して、一貫した最重点の目的は、騒音の解消であります。再度申し上げますが、四本目の滑走路が供用開始となって、朝七時から九時までの二時間で八十便の出発枠が確保されれば、従前に比べて十六便の増加となり、それ以外に五便の市街地上空を飛行する左旋回飛行を取りやめても、将来の航空需要に十分対処できるはずであります。
 そこで、私は、一日も早い左旋回飛行の廃止を切望するものですが、せめて羽田空港の四本目の滑走路が供用開始後、直ちに左旋回飛行を取りやめるべきと考えますが、東京都の所見を伺います。
 一方、国際化が促進され、人や物が流入することは、危険な事象が起きる確率もふえることになります。航空機事故対策の強化に加え、テロや犯罪にかかわる者の入国抑止、伝染病や小動物などの紛れ込みなど、危機回避の方策を、東京都としても国に対して申し入れてほしいと思います。
 四点目は、魅力あふれる水と緑のネットワークの構築について伺います。
 「十年後の東京」では、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることがうたわれています。羽田空港は、東京の空の表玄関として、今後さらに多くの国内外のお客様がその第一歩をしるす場所であります。当然この羽田空港から東京全域に向けて、魅力あふれる緑と水辺空間を発信していく必要があります。
 現在の羽田空港跡地及びその周辺地域を流れる多摩川や海老取川護岸は、殺風景なコンクリート護岸に不法係留船の課題を抱えています。空港跡地内の護岸だけでなく、その対岸や周辺地域を含めた一体的な緑あふれる潤いと安らぎの水辺空間を整備していただくことを、ここに強く要望しておきます。
 また、空港跡地内には、東京都震災対策条例で指定された羽田や東糀谷などの地区の方々の広域避難場所が現存しております。跡地整備後は、市街地からの避難誘導路の確保を考慮して、市街地に近接した場所に緑のオープンスペースと併用して位置づけられることが望まれます。
 この緑のオープンスペースへの取り組みは、市街地や多摩川、臨海地域とネットワークすることによって大きな効果を発揮いたします。例えば武蔵野の路へ緑をつなげることも有効であると思います。羽田空港跡地に創出される緑と連携した緑のネットワークの構築について、考えをお聞きいたします。
 五点目は、空港への交通アクセスについて伺います。
 羽田空港の持つ機能を最大限に生かすためには、当面対応可能な交通アクセスの整備だけではなく、将来を見据えて、空港機能がフル稼働した時点や追加需要にもこたえられる必要かつ十分な交通アクセスを整える必要があります。
 国道三五七号は、都市計画決定がなされているものの、東京都と神奈川県にまたがる多摩川トンネル部は未着手であり、その完成までには相当の時間を要すると思われます。このため、空港から川崎、横浜方面へ向かう大型車が大田区の市街地に流れ込み、交通混雑などの影響を及ぼしています。
 これらの大型車を削減するため、例えば並行して走る首都高速道路湾岸線において、多摩川渡河部のみ利用する車両については無料とし、交通を高速道路へ誘導するなどの方策も考えられます。
 東京都は、羽田空港周辺のアクセス道路の改善に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。
 また、新空港線については、国土交通省、大田区、鉄道事業者が推進の意向を示す中で、東京都としても、地元区が設置した勉強会に参画されているとのことですが、一方で、本路線には空港アクセスとしての機能性や多額な事業費のほか、事業の採算性、線路幅の違いなどの課題があるとされており、これら課題の解決に向けた取り組みを早急に進めていくことが重要と考えます。
 そこで、本路線における現在の検討状況について伺います。
 また、生まれ変わる空港の機能や快適性をグレードアップさせるため、新たな交通アクセスとして業務貨物専用道路の新設を提案しておきます。
 最後に、人、物、仕事の機能的な受け皿となるまちづくりと地元産業界との共生について伺います。
 新たに生まれ変わる空港におり立つ人、物、仕事をいかに効率よく機能的にさばいていくかは、空港跡地及び周辺地域における重要な課題であります。
 一例を挙げれば、深夜早朝便によって貨物が持ち込まれれば、荷さばきの場所が必要となり、加工して出荷していく需要が発生します。これを自然発生的に任せていれば、処理する場所やルートが分散し、機能が低下いたします。
 したがって、今後の空港跡地及び周辺地域、臨海部の開発については、まちづくりの計画段階から、空港機能の拡充によって生じる人、物、仕事の流れを考慮して、機能的なまちづくりを進めることが重要です。またその際、蓄積した最先端のものづくり技術や近接性を生かせる地元産業との共生についても、視野に入れていただきたいと存じます。
 以上、人、物などの受け皿となる空港跡地とその周辺地域のまちづくりについてご所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 神林茂議員の一般質問にお答えいたします。
 人づくり、地域社会づくりについてでありますが、社会全体の利益につながる活動に、多様な立場の人たちがそれぞれ積極的にかかわる仕組みをつくり上げていくためには、まず、その基礎となる人を育て、また、地域社会のきずなを強めていくことが必要であると思います。
 都はこれまでも、次代を担う子どもたちをはぐくみ、誇りの持てる社会を築く、心の東京革命を展開するとともに、町会、自治会など地域社会の担い手が、防犯、防災などに連携して取り組む、地域力向上の活動を支援してまいりました。
 「十年後の東京」で示した成熟を遂げた都市東京を実現するためにも、都民、企業、地域などを巻き込んだ広範な取り組みを通じ、人と人とが強く連帯し、地域で支え合う社会を形成していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 二点についてお答えをいたします。
 まず、元気な高齢者の力の活用についてでありますけれども、高齢化が進展する中、社会の活力を維持していくためには、元気で意欲的な高齢者が地域社会の担い手となり、豊かな知識や経験を十分に生かしながら、自主的、自発的に活動できる環境を整えることが必要でございます。
 このため、来年度に新たな検討会を設置し、ボランティア活動の核となる人材の育成、ボランティアに参加する側と必要とする側とのマッチングなど、団塊の世代や元気な高齢者の力を地域社会の中で積極的に活用するための仕組みづくりなどについて検討をしてまいります。
 次に、介護施設におけるボランティアの活用についてでありますが、ボランティア活動をさらに推進するためには、幅広い年代の地域住民が積極的に活動に参加できる仕組みづくりが必要でございます。
 そこで、都では、平成二十年度から、五つの区市町村におきまして、施設介護サポーターモデル事業を実施いたします。
 この事業は、ボランティア活動を希望する地域の住民の方々が、事前に区市町村の主催する研修を受けた後に、施設職員と緊密に協力しながら、散歩のつき合いや見守りなど、利用者に対しさまざまな支援を提供するものでございます。
 このモデル事業の成果と課題を検証した上で、今後、展開方法などについて検討をしてまいります。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 羽田空港に関します七点のご質問にお答え申し上げます。
 初めに、羽田空港跡地整備の今後の進め方についてでございますが、都が国や地元大田区等と構成するいわゆる三者協におきまして検討を進めておりまして、今年度中に跡地整備に係る土地利用の方向性を示す跡地利用基本計画を策定する方針でございます。
 この計画に基づきまして、跡地の整備を進めるためには、道路や護岸などのインフラ整備や跡地の処分、事業手法等の課題を解決し、計画の早期具体化を図ることが重要でございます。
 都といたしましては、今後、これらの課題解決を図るため、跡地利用基本計画で示した方向性に沿った積極的な取り組みを、土地所有者である国に対して強く求めてまいります。
 次に、跡地利用基本計画への地元住民要望についてでございます。
 都はこれまでも、国及び地元区と調整を行いながら、三者協の事務局として、共同調査の実施など跡地利用の検討作業を推進してまいりました。
 また、昨年十月には跡地利用基本計画素案を公表し、その後、空港周辺住民を含め、広く都民の意見を聞くため、パブリックコメントの募集を行い、寄せられた主な意見とその見解を公表いたしました。
 こうした都民の意見を参考に検討を進め、羽田空港跡地利用基本計画を取りまとめてまいります。
 次に、羽田空港の航空機による騒音対策についてでございますが、羽田空港を離陸した航空機が大田区の市街地上空を通る左旋回飛行は、現在、朝の混雑時に限定的に行われております。この左旋回飛行につきまして、国は、再拡張後におきましては、運用に当たっては需要動向を考慮し、機材の低騒音化について検討することとしております。
 都といたしましては、航空機騒音を低減することは地域の人々にとって重要な課題であることから、国に対しまして、このような対策を着実に進めるよう、引き続き強く働きかけてまいります。
 次に、緑のネットワークの構築についてでございますが、跡地利用基本計画素案では、検討の基本的な視点の一つとして、市街地に隣接した水と緑のオープンスペースや、環境との共生を目指した潤いと安らぎのある空間の形成を図ることを掲げております。
 こうした土地利用の考え方は、お話のような多摩川や臨海地域における緑のネットワークの構築にとって有意義なものであると考えております。
 今後、跡地やその周辺地域の動向を見定めつつ、緑のネットワークの形成に向けて、国を初め関係機関との連携を図ってまいります。
 次に、羽田空港周辺のアクセス道路についてでございます。
 羽田空港の高いポテンシャルを十二分に生かすとともに、周辺市街地の道路交通の円滑化を図る上でも、アクセス道路の整備改善が極めて重要でございます。
 このため、現在、空港に通じます環状八号線の国道一五号との交差点の立体交差化や、京浜急行線の連続立体交差化による踏切の解消などが進められております。
 さらに、都はこれまでも、お話がありました国道三五七号、湾岸道路の未開通部分につきまして、さまざまな機会をとらえて、整備促進を国に要請しております。
 今後も、引き続き関係機関との連携を図りながら、空港周辺のアクセス道路の改善に向けまして、着実に取り組んでまいります。
 次に、ご質問の新空港線、いわゆる東急線の蒲田駅と京急蒲田駅を結びます蒲蒲線といわれる線でございますが、地元大田区では、今後の鉄道整備の動向等を踏まえ、本路線の需要や事業性につきまして検討するため、今年度から勉強会を設置しておりまして、国や鉄道事業者とともに、都もこれに参画をしております。
 勉強会はこれまで四回開催されておりまして、現在、需要予測の実施に必要な前提条件等につきまして、検討を行っております。
 最後になりますが、跡地と周辺のまちづくりについてでございます。
 跡地利用基本計画素案では、市街地に隣接したゾーンの土地利用の方向性につきまして、地元区に広がる高度な技術を持つ企業の集積を踏まえた産業支援や、海外と周辺市街地との文化交流を促進していくゾーンとして位置づけられております。
 こうした視点を生かしつつ、羽田空港が担う、人、物、情報の交流機能を十分に発揮させるよう、周辺地域のまちづくりを進めていくことが重要であると考えております。
 都といたしましては、このような認識を踏まえながら、区で策定中の基本構想に基づく地域のまちづくりに対しまして、必要な支援を実施してまいります。

〇議長(比留間敏夫君) 百二番相川博君。
  〔百二番相川博君登壇〕
  〔議長退席、副議長着席〕

○百二番(相川博君) 私は、初当選以来、多摩格差の是正から多摩の独立へをスローガンに、多摩独立プロジェクトを提唱してきました。もちろん、現行法制度のもとで多摩地域が例えば多摩県として独立することは、現実にはない話であります。私のいう多摩独立プロジェクトとは、補助金頼みの多摩格差の是正ではなく、多摩の自立と真の地方分権を実現するためのプロジェクトであるとご理解いただきたいと思います。
 さて、私は、一昨年の十二月に策定された「十年後の東京」を読んで、多摩の独立と、新しい多摩と都心の関係をつくり出す必要性を再認識いたしました。そこで、この質問の機会をとらえ、多摩独立プロジェクトの一環として、環境保全に向けた、いわゆる経済的手段に関連する一つの提言を行いたいと思います。
 環境税や課徴金、あるいは排出権取引など、経済的インセンティブを与えて企業や個人を環境保全に誘導する経済的手段は、他の先進国、特にEU諸国と比較した場合、日本の取り組みが最もおくれている分野の一つであります。
 EUでは、各国が炭素税を初めとする環境税の積極的導入と、その増税分を所得税や社会保障負担の軽減で相殺することによって、環境保全と経済活性化の双方を追求するタックスシフト政策のような大胆な政策を実施しています。また、二〇〇五年からは、EUの域内で排出権取引制度が開始され、国際的な炭素市場の中核として機能し始めています。
 これに対して日本では、いまだに炭素税の導入が実現せず、排出権取引制度に関しても、導入に向けた動きがやっと始まったのが現状であります。
 「十年後の東京」では、カーボンマイナス東京十年プロジェクトの中に、経済的手法を活用したCO2排出削減の仕組みづくりを進め、民間事業者が自主的、積極的に対策に取り組む土壌を整備していくとあり、実行プログラムにおける三カ年の事業展開に位置づけられています。
 また、都の税制調査会では、炭素税導入などの検討がなされておりますが、いかんせん多摩という観点が弱いといわざるを得ません。
 そこで、私は、多摩地域の特性を生かした独自の排出権取引制度を提案したいのでありますが、それを今回は、普通とは少し異なる観点から提起させていただきたいと思います。
 今アメリカでは、気候中立を掲げてエコキャンパス化を進める大学の運動が広がっています。気候中立とは、温暖化防止のために、大学のキャンパスから排出されるCO2を実質ゼロにしようということですが、この気候中立を掲げた全米大学学長気候公約、この公約とは公の約束と書きますが、これに署名した大学の数が五百近くあり、その数が現在でもふえ続けています。
 この公約では、大学は、温暖化ガスの排出をなくす方法を編み出し、気候中立化を達成するための知識を提供したり、見識ある卒業生を世に送り出すことにより、地域及び社会全体をリードしていかなければならないと述べられています。そして、各大学が独自の行動計画を作成して、カーボンニュートラルへ向けた取り組みを進めています。
 アメリカといえば、京都議定書を離脱した、温暖化対策には消極的な国であると考えていましたが、大学レベルでは、このような高い志を掲げた運動が繰り広げられているのであります。
 もちろん、日本の多くの大学も、エコキャンパス化を進めていますが、大学によってその取り組みに大きな差があることも現実であります。
 ここで、桜美林大学の片山博文准教授のゼミが行った調査を紹介します。この調査は、都内にある主要大学のエコキャンパスへの取り組みを、太陽光、風力、雨水利用、両面コピー、節水、節電、空調設定、ごみの分別、グリーン購入、緑化運動、環境報告書の有無、環境専門部署の有無、ホームページの水準、ISO一四〇〇一など、十七の指標を点数化したものですが、ちなみに最高得点を上げ、エコキャンパス輝く第一位になった大学は、皆さん、どこだと思いますか。
 早稲田大学ご出身の皆さん、おめでとうございます。早稲田大学は独自の環境マネジメントシステムを有し、全学の教職員と学生による多様な環境保全活動を推進しています。そして、情報公開が非常に充実しているということであります。
 その他のユニークな取り組みとしては、東京大学における紙ごみのリサイクルによる東大ブランドのトイレットペーパーや、都内ではありませんが、千葉大学の学内レジ袋税導入などがよく知られています。
 皆様ご承知のとおり、多摩地域は、全国でも屈指の大学集積地域であります。私の地元の八王子だけでも二十一、多摩地域全体では八十を超える大学、短大があります。それぞれの大学が単独でエコキャンパス化に取り組むだけでなく、地域として、アメリカにおける気候中立のような運動を進めていけば、それは社会を動かす大きな力になるはずであります。
 もちろん、こうした取り組みは行政主導で上から行うべきものではありませんが、東京都として、カーボンマイナス東京十年プロジェクトにうたっているように、民間が自主的、積極的に対策に取り組む土壌を整備していく責任があることも事実であります。多摩地域を対象とする排出権取引の導入は、まさにそうした土壌整備になり得るものであると私は考えています。
 現在、温室ガス削減のネックになっている、大学を含めたオフィスに排出権取引制度を導入すれば、その達成、未達成が大学ブランドに大きな影響を与えるわけですから、大学独自の取り組みを促進することにつながることを確信いたします。
 こうした多摩排出権取引の導入について、ご意見をお聞かせください。
 また、この制度に限らず、温暖化対策を重視する東京都として、首都大学東京がリーダーシップをとるべきであると考えますが、首都大学東京のエコキャンパス化への取り組みについて、現状とその評価をお聞かせいただきたいと思います。
 さて、貴重な機会をいただきましたので、多摩地域に住む都民の一人として、「十年後の東京」に一言申し上げたいと思います。
 「十年後の東京」は、オリンピックが開催される二〇一六年の東京の目指すべき姿と、それに向けた政策展開の方向を示す都市戦略として策定されたものでありますが、私はこの「十年後の東京」を読んで、正直、失望いたしました。なぜなら、この都市戦略には多摩地域の目指すべき姿について、新しいもの、見るべきものがほとんど描かれていなかったからであります。
 例えば「十年後の東京」には、多摩地域のこれからの政策展開として、圏央道等の整備や横田基地の軍民共用化を契機に、多摩地域を首都圏の中核拠点としてさらに発展させるとありますが、これは既存の開発路線を単に新しいいい回しで粉飾したものにすぎませんし、都心との関係においては、多摩地域は相変わらず都心を中心とした交通ネットワークの外延としてしか位置づけられておりません。
 恐らく、これではまずいんだろうということで首都圏の中核拠点という言葉を持ち出し、圏央道の整備により、多摩地域を首都圏における人と物の結節点として位置づけるとしているのでしょうが、そもそも横浜、川崎や、つくばなどの都市を包含した非常に広い首都圏の中で、多摩地域をどのようにして結節点としていくのか、その具体的な展望は語られておらず、本当に多摩地域を首都圏の中核拠点にしようとしているかどうかもはっきりしない内容であります。
 また、広域多摩エリアを多摩シリコンバレーとして、首都圏にとどまらず、アジアを代表する産業拠点に発展させるということが述べられていますが、これもまた、非常に唐突な印象を与える内容であります。何ゆえにシリコンバレーなのか、多様な多摩地域の姿をシリコンバレーという言葉で一くくりにできるのかという点も疑問ですが、その前に、まず、開発のコンセプトとしてのシリコンバレーという発想そのものが、前時代的といわざるを得ません。
 シリコンバレーという言葉で私が思い出すのは、第三次全国総合開発計画、いわゆる三全総のテクノポリス構想であります。この構想は、アメリカにも一つしかないシリコンバレーを、この日本に三十近くもつくろうという無謀なもので、そのほとんどは失敗に終わりました。多摩シリコンバレーというのは三十年前の発想であるという私の率直な感想を申し上げ、質問を終わります。(拍手)
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 相川博議員の一般質問にお答えいたします。
 排出量取引制度の導入についてでございますが、お話のように、CO2削減のため、大学が競い合って環境への取り組みを進めることは、意義があると認識しております。
 都は現在、現行の地球温暖化対策計画書制度を強化し、都内全域の大規模事業所を対象とするCO2排出削減義務と排出量取引制度の導入に向けて検討しておりますが、この新たな制度の対象は、現行制度と同じく、温暖化ガスの排出量が相当程度多い事業所を想定していることから、基準に該当すれば、大学施設も対象となります。
 ちなみに、現行制度では、都内の六十一の大学施設が対象事業所となっております。
  〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 首都大学東京のエコキャンパス化の取り組みについてのご質問にお答え申し上げます。
 多摩丘陵の豊かな自然の中に立地をしております南大沢キャンパスは、敷地内に十二万平方メートルを超える緑地を有し、自然と調和したキャンパス整備を図っております。
 教育研究活動につきましても、実験、研究などで生じました廃水をキャンパス内の処理施設で浄化し、再利用するなど、省資源化に配慮をしてまいりました。
 また、大規模事業所として、ごみの分別やグリーン購入などはもとより、環境局の指導助言を受け、地球温暖化対策計画書を策定し、照明器具や空調機の省エネ化など、温室効果ガスの削減にも着実に取り組んでおります。
 今後とも、環境問題に関する学生や職員の意識啓発をさらに進め、エコキャンパス化の取り組みを充実してまいります。

〇副議長(石井義修君) 十六番松葉多美子さん。
  〔十六番松葉多美子君登壇〕

○十六番(松葉多美子君) 初めに、東京オリンピック招致に大変に重要な位置づけとなる文化プロジェクトに関連し、都の文化施策について伺います。
 都は、「十年後の東京」実行プログラム二〇〇八の初年度で、東京の新たな文化の創造、発信とし、大規模な文化プロジェクトの展開を計画し、幅広い分野でのイベント開催を予定しております。
 こうした取り組みは、世界の主要都市と競い合える芸術文化の創造、発信、そして芸術文化を通じた子どもたちの育成にも大きく寄与するものであり、文化先進都市東京への大きな第一歩として、高く評価いたします。
 公明党は、昨年の第二回定例会の代表質問で、二十世紀最高峰のバイオリニストであるユーディー・メニューイン氏が提唱し、国際音楽評議会が制定した国際音楽の日が十月一日であり、同日を都民の日と制定している東京の音楽の祭典の日と定めて、音楽で世界の人々をつなぐ日としてはどうかと提案いたしました。
 その際の石原知事の答弁も極めて前向きなものでしたが、東京の芸術文化振興の取り組みを世界に大きく発信し、理解を得るためにも、大規模な音楽フェスティバルを国際音楽の日に合わせて開催するべきと考えます。その後の検討状況もあわせ、まず、改めて所見を伺います。
 次に、芸術文化を通じた子どもたちの育成について伺います。
 都が平成十六年度から実施している、こども能チャレンジ事業は、プロの能楽師から直接けいこを受けた子どもたちが、本格的な能舞台で成果を発表するプログラムであります。
 先日、江戸東京博物館で行われた発表会を拝見してまいりました。子どもたちは狂言や舞、おはやしを見事に演じ、そして、その後は、プロの舞台を食い入るように鑑賞しておりました。みずからが体験し、挑戦したものを、実際にプロはどう演じるのかを確認できるプログラムになっているわけです。
 子どものころに本物の芸術に触れることは、健全育成に大きな効果があるだけではなく、その子どもたちがやがて将来の芸術文化振興に貢献していく契機となります。
 こうした取り組みは、オリンピック招致に向けて、東京の文化面でのプレゼンスを確立するためにも、極めて重要であると思います。子どもたちが身近な地域で芸術文化を実体験できる機会を、これまで以上にふやしていくことが必要と考えます。
 知事の所見を伺います。
 次に、東京文化会館の音楽資料室についてであります。
 東京文化会館には、全国でも数少ない音楽専門の資料室があります。図書類やCD、DVDなどだけではなく、個人では購入困難な楽譜類など、音楽に関する資料を幅広く所蔵しており、都民の音楽活動を支援していく上で大変重要な施設となっております。オリンピック招致に向けて文化プログラムの策定を進める東京都にとっても、ここは、海外の音楽に関するさまざまな情報を得られる貴重な施設であると思います。
 例えば、オリンピック参加国の国歌を日本の子どもたちが友好交流のために演奏しようとしても、その楽譜やパート譜などが簡単に入手できないという実情があります。
 現在、音楽資料室には約二十カ国程度の国歌のパート譜を所有していると聞きますが、それでは不十分であります。音楽資料室みずからコレクションを収集するとともに、関係機関と連携するなどして、各国の国歌などの楽譜を初め、国内外の質の高いコレクションを形成し、オリンピックの文化プログラムに役立つ音楽資料室として充実を図るべきと考えます。所見を伺います。
 また、貴重な資料を展示の手法で企画展として開催するなど、積極的に都民に紹介すべきであります。あわせて所見を伺います。
 次に、環境学習について伺います。
 持続可能な都市を構築し、地球温暖化解決に向けた方策の一つとして、子どもたちにも環境問題の現状や課題を理解させ、その解決に向けて、みずから気づき、考え、行動する大人に育てていかなくてはなりません。
 企業や地域、家庭といった社会のあらゆる分野で、地球環境や地域の環境に配慮した行動がとることができる社会人に、そして、シンクグローバリー、アクトローカリー、すなわち、地球規模で考え、足元から行動できる子どもたちに育てていくことが重要です。
 まずは、学校での環境学習のさらなる充実を進めるべきでありますが、所見を伺います。
 都議会公明党は、先日、中央防波堤埋立処分場を視察いたしました。この処分場には、毎年五万人を超える小中学生が社会科見学に訪れています。昭和五十年代から埋め立て続けられてきた巨大なごみの島を目の当たりにし、人間の営みの中から日々排出される膨大な量のごみが処理される様子を学んでいます。
 見学した子どもたちからは、ごみを処理するのはとても大変だということがわかりました、なるべくごみを出さないようにしようと思いますといった感想が多く寄せられていると伺い、埋立処分場の見学会は資源の大切さを学ぶ、絶好の機会になっていると改めて実感いたしました。
 都は、この環境局庁舎などを平成二十年度に環境学習拠点として再整備するとしていますが、その際には、地球規模の深刻な環境問題をも学び、実感できる環境学習の拠点とすべきであると考えます。所見を伺います。
 また、同じ臨海部にある水道局の水の科学館でも、展示物の更新時期を迎えているようですが、リニューアルの際には、環境の視点を取り入れ、展示の充実を図るべきです。所見を伺います。
 このほか、臨海部には日本科学未来館や虹の下水道館など、環境問題にかかわりの深い見学施設が多数立地していますが、例えば、処分場に見学に来た小中学生に、臨海部のさまざまな施設の紹介や家庭でできる省エネ、省資源の取り組み方などをエコマップとして作成、配布すれば、家庭でもっと省エネに取り組もう、家族で環境施設の見学に行こうという意識啓発にもつながると思います。
 このような取り組みにより、都は、日本科学未来館など、臨海部における環境関連の見学施設をネットワーク化し、子どもから大人まで、環境学習ができる場として充実させていってはどうかと提案いたします。見解を伺います。
 次に、女性の健康支援策について伺います。
 近年、男女間で発症のしやすさなどに差がある病気に着目して、性別によって異なる医療を行う性差医療の有効性にも注目が集まっております。
 厚生労働省は、昨年十二月に発足させた民間有識者らによる、女性の健康づくり推進懇談会で議論を重ね、その上で、四月から研究施設や医療現場の意見を聴取し、性差医療の具体策をまとめると聞いております。
 女性が一生を通じて、健康的に明るく充実した人生を過ごせるよう、女性の健康づくり施策を総合的に展開していく重要性が増しております。都の認識を伺います。
 国では、本年を初年度として、毎年三月一日からの一週間を女性の健康週間とすることになりました。この新たにスタートする女性の健康週間について、都は、区市町村や関係団体等と一体となって取り組むことが必要と考えます。所見を伺います。
 また、医療研究の分野においても、女性の健康問題にさらに積極的に取り組むべきであります。
 女性の健康については、乳がんや子宮がん、あるいは更年期障害など、女性特有の疾病はもちろんのこと、男女共通の疾病であっても、骨粗鬆症などを初め、男性に比べて女性の発症率が極めて高いと指摘される疾病があります。
 東京都老人医療センターには、全国的にも珍しい骨粗鬆症外来がありますが、一年後には、老人総合研究所と一体化されて、地方独立行政法人健康長寿医療センターに生まれ変わると聞いております。
 健康長寿医療センターとなっても、骨粗鬆症などの長年の研究や治療成果を都民に還元できるよう、積極的な取り組みを行うべきと考えます。所見を伺います。
 次に、地域の子育て支援の拠点整備について伺います。
 就学前の子どもを持つ子育て世帯に占める核家族の割合は、東京では実に九割以上にも上っております。こうした核家族の子育て家庭では、祖父母から育児の支援やアドバイスを受けることがなかなかできません。
 子育ての不安感から母親がうつ状態になったり、児童虐待につながる危険性すらあると指摘されています。育児不安などを感じたときに相談できる場や、身近なところでいつでも気軽に親子で集える機会が求められています。
 こうしたニーズにこたえられる地域の拠点として、子育てひろば事業への都独自の財政支援も必要であります。所見を伺います。
 次に、水害対策について伺います。
 杉並区内の善福寺川では、平成十七年九月四日に発生した水害以降も、都内で局所的集中豪雨が発生するたびに、川の水位が大きく上昇し、周辺住民の方々の安全を脅かしております。
 現在、河川激甚災害対策特別緊急事業として、緊急の整備が進められておりますが、現在の進状況と今後の予定について伺います。
 また、この上流域についても、着実な整備を進めるべきです。整備の考え方について所見を伺います。
 最後に、都立和田堀公園の整備について伺います。
 善福寺川沿いに位置し、都民の憩いとスポーツの場であり、災害時には防災機能を果たす和田堀公園の計画地には、民間企業が所有する済美山運動場があります。この企業の運動場は五ヘクタールあり、一体化して公園化を進めれば、まとまった面積の公園を速やかに広く都民に提供することが可能になります。
 和田堀公園の整備を進めるに当たり、この運動場を早期に公園化すべきと考えます。所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松葉多美子議員の一般質問にお答えいたします。
 芸術文化を通じた子どもたちの育成についてでありますが、子どもたちは大人の常識に縛られない柔軟な感受性、奔放な創造力を有しております。
 その子どもたちが本物の芸術文化に触れることで、創造力を伸ばし、豊かな心をはぐくむことは、その子どもだけではなく、社会全体にとって、人間の可能性を広めていく上でも非常に重要だと考えます。
 来年度から展開する大規模文化プロジェクトでは、能や狂言、演劇、音楽などの分野で規模を大幅に拡大しまして、子どもたちを対象とした体験型文化プログラムを実施いたしてまいります。
 今後とも、将来の文化の創造、発信を担う子どもたちに向けた文化施策の充実に努めていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
 〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)
 文化施策に関する質問にお答えいたします。
 まず、国際音楽の日と大規模文化プロジェクトについてでありますが、東京からの芸術文化の創造、発信を積極的に行っていくため、来年度から大規模文化プロジェクトを立ち上げることとし、このうち音楽分野については、ミュージック・ウィークス・イン・トーキョー事業を開始いたします。
 来年度は、プロやアマチュア音楽家の幅広い参加によるジャンルを超えたコンサートを連続的に実施する予定でございます。
 さらに、国際的なクラシック音楽のフェスティバルの開催に向けて、今後、準備を進めてまいります。
 開催期間につきましては、ご提案の十月一日の国際音楽の日が含まれるよう、引き続き検討してまいります。
 次に、東京文化会館についてでありますが、その音楽資料室は、クラシック音楽を中心に十万点を超える豊富な資料を有する国内でも数少ない施設でございます。所蔵している資料は、音楽関係の図書や楽譜、CD、DVDに加え、過去の演奏会のプログラムなど、東京文化会館ならではの貴重なものもございまして、今後も充実を図ってまいります。
 お話の世界の国歌の楽譜につきましては、収集を進めておりますが、現在、収蔵していないものの入手先につきましても、大使館や音楽大学などの協力を得て、情報提供に努めてまいります。
 また、文化会館で開催中の演奏会の曲目や音楽家などに関係する資料の企画展示等も検討してまいります。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境学習のさらなる充実についてでございますが、地球温暖化問題の解決には、都民一人一人の主体的な取り組みが不可欠であり、とりわけ次代を担う子どもたちの意識をはぐくむことが重要でございます。
 環境問題を深く理解し、主体的に行動できる子どもたちを育てていくためには、学校現場において、教員が幅広い知識を改めて習得した上で環境教育を展開していくことが求められます。
 都では、関係各局が連携し、全公立小学校の教員が研修できる機会を来年度から五年間継続的に提供するとともに、私学にも積極的な参加を呼びかけ、実践的な環境プログラムを習得したリーダーを育成することにより、学校における環境学習の充実を図ってまいります。
 次に、埋立処分場見学会の今後の展開についてでございますが、平成二十年度から中央防波堤埋立地の環境局庁舎内に、さまざまな環境問題を展示する新たな環境学習拠点を整備するとともに、見学コースにつきましても、風力発電施設や海の森などを盛り込んだものに再構築する予定でございます。
 これにより、見学に訪れる子どもたちが、温暖化問題など地球が直面するさまざまな環境の危機について学ぶとともに、緑に囲まれ、再生可能エネルギーの利用が進んだ未来の東京を思い描き、そのような東京の実現に向けて、一人一人の都民が行動を起こすきっかけをつくってまいります。
 最後に、家族で環境学習ができる機会の提供についてでございますが、家族で環境問題を学ぶことは、子どもたちだけではなく、大人にとっても貴重な経験になるものと考えております。
 そのためには、お話のように、日本科学未来館など、環境関連の展示を行っている臨海部の他の施設を紹介する地図などを載せたリーフレットを作成し、処分場見学会に訪れた子どもたちに配布することによって、家族でこれらの施設を訪れるきっかけとすることが有効であり、関係機関と連携して、速やかに取り組んでまいります。
 また、夏休みの親子向け処分場見学会の際にも、臨海部の他の施設を紹介するなど、家族で一緒に環境問題をより深く学習できる機会を提供してまいります。
  〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 環境の視点を取り入れた水の科学館の充実についてでございますが、水の科学館は、水について楽しみながら学習することを通じて、水道事業への理解を深めていただくことを目的とする体験型の展示施設でございます。
 平成九年の開館以来、多くの方においでいただき、これまでの来客数は百四十万人に達しております。
 水道事業は、地球がはぐくんだ貴重な水資源を飲み水にするという、環境と深くかかわる事業でございます。
 水の科学館の展示、企画については、子どもたちが水について学ぶ中で、地球環境の大切さも認識し、実感できるものとなるよう検討してまいります。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 四点についてお答えをいたします。
 まず、女性の健康づくり施策についてでありますが、女性は思春期から高齢期までのライフステージごとに体の変化や疾病など、さまざまな健康上の問題に直面するため、生涯を通じて健康づくりを支援していくことが重要でございます。
 都はこれまで、区市町村や関係機関と連携いたしまして、国に先駆けました骨粗鬆症検診や女性のための健康ホットラインなどの健康相談、ピンクリボン運動を通じた乳がん予防など、女性の健康課題に対する取り組みの充実に努めてまいりました。
 今後も生涯を通じて、健康で生き生きと暮らせるよう、女性の健康づくりに関する施策を総合的に展開をしてまいります。
 次に、女性の健康週間における取り組みについてでありますが、女性の生涯にわたる健康づくりを支援するためには、健康に関する知識を高め、女性の健康課題に対する社会の関心を喚起していく必要があります。
 都は、子宮がんや乳がん、骨粗鬆症に関し、予防方法等の知識の普及や検診事業などを区市町村等と連携して推進しておりますが、今後、女性の健康週間に関連して実施する普及啓発や健康相談など、女性の健康に関する区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、骨粗鬆症に関する取り組みについてでありますが、お話の老人医療センターにおきましては、全国に先駆け、骨粗鬆症専門の外来を設置し、年間延べ四千人を超える患者の治療を行うとともに、老人総合研究所で開発した指導プログラムを活用し、転倒予防や栄養指導などを実施してきております。
 さらに、平成十八年度から、我が国で初めて、遺伝子情報を活用して個人の体質に応じた骨粗鬆症のオーダーメード医療を提供するなど、積極的に取り組んでおります。
 平成二十一年に開設予定の、仮称でございますが、健康長寿医療センターにおきましても、これまでの医療と研究の成果を活用し、骨粗鬆症を初めとした老年病について、高度先端医療を都民に提供してまいります。
 最後に、地域の子育て支援の拠点についてであります。
 核家族化の進行や近隣関係の希薄化により、地域の中で子育て家庭の孤立化が進み、育児に対して不安を感じている親も多くなっております。
 このため都は、身近な地域での子育て家庭の支援に向けまして、親同士が気軽に交流し、相談等が受けられる子育てひろばの拡大に努めております。これまでに都内に六百カ所以上を整備してまいりました。
 さらに、来年度から、より一層の拡充を図るため、子育てひろばの職員が保育所や幼稚園等を訪問し、育児に悩む親についての情報交換や子育て支援サービスに関する助言を行うなどの区市町村の取り組みに対しまして、都独自に支援を行ってまいります。
  〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、善福寺川における河川激甚災害対策特別緊急事業についてでありますが、この事業は、環状七号線より上流の約二キロメートルの区間で、増水時に水の流れを阻害する二カ所の橋梁のかけかえ、三百九十メートルの護岸整備及び和田堀公園内にある調節池の改修を平成十七年度から五カ年で行い、再度の災害を防止するものであります。
 このうち、和田堀調節池については、十八年度末に掘削工事を完了し、既に貯留能力を倍増させており、この三月には野球場の復旧や緑化などの修景工事も完成いたします。
 また、本村橋や済美橋付近の護岸及び橋梁の整備については、十九年六月に着工し、現在、護岸本体となる鋼管ぐいの施工などを予定どおり進めております。
 下流部の本村橋を含む百五十メートルの区間については二十年度に、また、上流部の済美橋を含む二百四十メートルの区間は二十一年度にそれぞれ完成させてまいります。
 次に、激特事業区間より上流域の整備についてでありますが、上流域においても、平成十七年九月の豪雨で浸水被害が発生しており、水害対策を実施していく必要がございます。
 整備に当たっては、下流から順次、川幅を広げることを基本としておりますが、完成までに長期間を要することから、川沿いに調節池を設置するなど、事業効果を早期に発現できる手法を検討してまいります。
 調節池については、地元区など関係機関の協力を得て公共空間等の活用を図るとともに、護岸についても、和田堀公園や善福寺川緑地の地域特性を踏まえ、環境に配慮した構造を工夫してまいります。
 今後、激特事業を予定どおり完成させ、引き続き上流域の水害軽減に向け整備を進めてまいります。
 最後に、和田堀公園の整備についてでありますが、善福寺川沿いにある和田堀公園は、水と緑のネットワーク形成の上で重要な公園であるとともに、震災時の大規模救出救助活動拠点としての役割を担っております。
 平成十八年三月策定の都市計画公園・緑地の整備方針においては、和田堀公園では約九・五ヘクタールを平成二十七年までに優先的に整備に着手する区域としており、このうち、これまでに〇・三ヘクタールを開園してまいりました。現在、公園全体の開園面積は約十九・四ヘクタールとなっております。
 お尋ねの民間企業の約五ヘクタールの運動場を含む優先整備区域については、今後の財政状況を踏まえ、地権者の理解と協力を得て、計画的な整備に努めてまいります。
〇副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時三十分休憩

  午後四時四十六分開議

○議長(比留間敏夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十四番崎山知尚君。
  〔二十四番崎山知尚君登壇〕

○二十四番(崎山知尚君) まず初めに、首都圏の温暖化対策について知事に伺います。
 地球温暖化問題は、国民の九割以上が関心を寄せているとの世論調査の結果も出ています。
 私自身、昨年の夏にサンゴに囲まれた沖縄の無人島に渡りましたが、潮が引いた海面から白化しているサンゴを実際に目の当たりにしたとき、地球の均衡が崩れ始めている光景に慄然としました。
 また、アカデミー賞とノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏の「不都合な真実」というドキュメンタリー映画でのボイルドフロッグ、ゆでガエルの教訓は印象的でした。お湯の中にカエルを入れるとびっくりして飛び出すが、水から温めるとカエルは気がつかず、ゆでガエルになってしまうとの警句です。手おくれになる前に万策を講ずる必要があります。
 今や世界規模の都市人口の割合は世界の総人口の約五割であり、二〇三〇年までには世界人口の約六割が都市に住むといわれています。地球温暖化の防止における都市の果たす役割と責任はますます大きくなっていくと考えます。
 知事も過日の施政方針演説の中で、都市のあり方そのものが地球の未来を決定する都市の世紀に人類は生きており、都市の力で生活様式や産業構造を省エネ型に転換して、環境との調和を図りながら危機を突破していかなければならないと述べられました。
 東京が属する首都圏は人口三千五百万人を擁し、全国のおよそ四分の一、そして先進国中二位で、一千九百万人のニューヨーク圏をはるかにしのぐ社会的、経済的活動圏域であります。この首都圏における取り組みは、我が国はもちろん、世界的に見ても大きな影響を及ぼすことはいうまでもありません。
 ディーゼル車対策のときもそうでしたが、地球温暖化対策についても、東京都が節電や再生可能エネルギーの拡大といった取り組みに関して、リーダーシップを持って施策を講じ、それを八都県市の連携などにより、首都圏規模の展開にしていくことが必要であると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、無電柱化について伺います。
 道路上にクモの巣のように張りめぐらされた電線類は、都市景観を大きく損なうとともに、歩道に立ち並ぶ電柱は歩行者や車いすの通行の妨げとなっています。安全で快適な歩行空間の確保のためにも、無電柱化が必要なことはいうまでもありません。
 そこで、だれもが安心で快適に移動できるように、無電柱化とあわせてセミフラット形式による歩道のバリアフリー化を図るべきという視点で伺います。
 二月三日の節分の日に、東京では久しぶりの大雪になりました。都内では、七十名以上の人がなれない雪道での転倒でけがをしたと聞いております。そうした光景を目にしたとき、車道と高低差が少なく、すりつけ勾配が緩やかなセミフラット形式の歩道の必要性を確信しました。
 これまで東京都でも、バリアフリーの観点から各方面で歩道のセミフラット化の取り組みがなされてきましたし、バリアフリー新法においてもセミフラット化が基本となっています。
 そこで、無電柱化の施行の際にも、あわせてセミフラット形式の歩道によるバリアフリー化を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、区市町村道を含めた面的な無電柱化の推進を図るべきという視点で伺います。
 区市町村道における無電柱化率は、区部で三%、多摩地域では一%という数字からもわかるとおり、依然として低い水準にあります。これには技術的な問題もさることながら、無電柱化のための財政的な負担が大きいことが課題として上げられます。
 我が党は、かねてより区市町村に対する財政的な支援について強く要望してきましたが、このたび新たな補助制度が創設されることになりました。この補助制度の具体的な内容について伺います。
 また、今回の補助制度を契機として、都道だけでなく、区市町村道での無電柱化が進み、線から面へと無電柱化が拡大していってほしいものであります。
 そこで、区市町村道も含めた今後の事業展開について所見を伺います。
 次に、消防団について伺います。
 平成十七年二月、国から首都直下地震の被害想定が公表され、その後、東京都では地震規模、地震発生時間等を細分化し、より実態に即した被害想定の策定や地域防災計画が抜本的に見直されました。今回の改定では減災という新たな視点も加わり、震災発生時の対策がより具体的に計画に盛り込まれました。
 地震被害が発生した際、救出に当たるのは人であり、行政、住民を初め、地域が一体となって対応しなければなりませんが、消防、警察、自衛隊などの専門の機関が中心に活動を展開するわけであります。
 とりわけ、その中でも地域に根差し、多くの地域の情報を持ち、災害に即座に、また効果的に対応できる消防団員は、他の機関には類を見ない能力を有した災害対応のかなめだといえます。
 消防団員の方々は、日ごろから防災訓練の指導や警戒など、昼夜を問わず活動しています。まさにノブレスオブリージュの精神で、一たん緩急あるときはおっ取り刀で駆けつけてくれる地域のヒーローでもあります。
 そこで、まず初めに、東京消防庁は特別区消防団員に対してどのような認識をお持ちなのか伺います。
 しかし、先日の新聞報道では、少子高齢化や就労構造の変化などの影響によって、全国的に消防団員の数が減少していると同時に、高齢化も大きな問題であると書かれていました。全国の消防団員の数は、昭和二十年代の二百万人をピークに、現在では九十万人を割ったとの掲載がありました。
 この首都東京においても同様であります。ここ十年で消防団員は約七百名が減少するとともに、高齢化が進んでいます。今後も消防団員が厳しい火災現場で一人でも多くの人々の命を救い、災害の第一線の戦力であり続けるためには、消防団員の確保が喫緊の課題と考えます。
 そこで、特別区消防団員確保に向けた現在までの取り組み状況と今後の方策について伺います。
 今後、身近な人ばかりでなく、社会の多くの方々に消防団や消防団員一人一人の存在や活動など、今まで以上にその意義や必要性を改めて認めていただければ、消防団員の活力となり、今後の消防団員の確保にもつながってくると考えます。
 そこで伺いますが、特別区消防団員が地域の防災リーダーとして地域住民から信頼され、活力ある消防団活動を行うためには、消防団員の方々の日常と有事の際の活動をもっと広く都民にPRすることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、出張理容・美容について伺います。
 我が国が世界に先駆けて超高齢社会を経験するといわれる中、理容師や美容師が老人ホームなどの社会福祉施設や病院、あるいは寝たきりの方がいる自宅を訪問して散髪する、いわゆる出張理容、出張美容に対するニーズが高まりを見せています。
 ところが、この出張サービス、衛生管理の面からは多くの課題を抱えているといわざるを得ません。というのは、理容所や美容所と違って、現行の法制度上、だれが、どこで、どのような状態で出張業務を行うのかを把握して、衛生管理について適切に指導する仕組みがないからです。したがって、はさみやかみそりなどの衛生管理の不備による都民の健康被害への懸念を否定することができない状況にあります。
 実際、TOKYOケア理容師制度の推進などを通じて、質の高い理容サービスの提供に取り組んでいる東京都理容生活衛生同業組合は、店舗を持たずに出張業務だけを行う場合の衛生管理の問題点をかねてより指摘していました。
 この点について、都では、いち早く社会福祉施設等でのサービスに対しては、条例で面積の緩和規定を設けるなどして、施設内に理容所や美容所の設置を進め、保健所が立入検査等を通じて衛生指導を行える仕組みをつくってきました。
 そこで、現状では、法制度上の限界があるとは思いますが、在宅でのサービスについても理・美容師への保健所指導が行き届く仕組みを工夫するなど、都として都民が安心して出張理・美容サービスを利用できるよう、取り組みのさらなるステップアップを図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、水道事業について伺います。
 水と環境とは密接な関連があります。一月下旬から水危機という特集がある新聞に掲載されました。それによると、近年では、世界各地で気候変動が原因の一つとされる湖の水量減少や、大河が枯渇する事例が発生しており、今後、日本にもこうした気候変動が大きな影響を及ぼすと指摘しています。
 気象庁の研究がありますが、要するに、日照りが何カ月も続く反面、スコールのような集中豪雨に見舞われるとのことです。近い将来、我が国にもこうした気候変動の影響が必ず訪れます。
 そこで、気候変動によって水道事業にどのようなリスクが想定されるか伺います。
 地球規模で進行する気候変動への対応には、共通認識を持った国々の水道関係者と連携を図っていくことが重要です。
 水道局では、去る二月四日、研修・開発センターで、気候変動が水道事業に与える影響などをテーマとして情報交換を行う会議を開催したと聞いています。この会議には、国内はもとより、世界でも先進的な取り組みを行っている国々が参加したとのことです。活発な意見交換があったことと思いますが、会議ではどのような報告があったのか、概要を伺います。
 気候変動は複雑なメカニズムで生じるため、その要因すべてが明らかになったわけではありません。
 また、こうした困難な問題に直面した今、国内外の研究者や水道技術者と共同して、気候変動に関する情報の収集や影響の分析などを進めるとともに、情報の共有化を持続的に行っていく取り組みが重要だと考えますが、見解を伺います。
 続いて、原水連絡管について伺います。
 水道局では、水資源の有効活用を図るため、利根川系の朝霞浄水場と多摩川水系の東村山浄水場との間の原水連絡管を活用し、原水の相互融通を行っています。
 多摩川水系には都独自の水道専用ダムである小河内ダムがあり、東京の安定給水を支える最後のよりどころとなっておりますが、利根川水系の渇水時には原水連絡管が重要な役割を果たします。
 そこで、原水連絡管が果たしてきた役割について伺います。
 この原水連絡管は昭和三十九年に整備されたため、老朽化が進行しており、耐震性にも問題を抱えていると聞いています。今後、どのように対応していく考えなのか伺います。首都東京の安定給水のため、整備を着実に進めていただきたいと思います。
 次に、都電荒川線について伺います。
 都電荒川線については、昨年五月にレトロ調の新型車両が十四年ぶりに一両導入されたほか、終点の三ノ輪橋停留場もレトロ調に改装され、地元では大変な人気になっています。
 また、荒川電車営業所内には、昔懐かしい旧型車両二両を展示したおもいで広場がオープンし、昨年はこれらを活用したさまざまなイベントも行われ、ますます地域に親しまれる存在となっています。
 しかし、一方で、乗客数は毎年減少してきており、さまざまな努力にもかかわらず厳しい経営を強いられていると聞いています。
 ところで、交通局の経営計画新チャレンジ二〇〇七では、来年度はレトロ車両がもう一両導入されるほか、老朽化した車両の更新も計画的に進めていくとしています。先日も新型車両のデザイン三案が示され、人気投票をするとの報道がありました。
 そこで、先日の車両の人気投票の結果はどうなったか、また、その導入時期と荒川線の活性化にどのように活用していくつもりか伺います。
 それから今、私の地元荒川区で一番盛り上がっているのが、いよいよ待ちに待った日暮里・舎人ライナーが来月三十日に開業することです。ぜひ多くの人に利用していただきたいと考えていますが、そのためにも路線のPRやイベントが欠かせないと思います。
 この日暮里・舎人ライナーは、実は、今申し上げた都電荒川線と荒川区の熊野前駅で交差することになっていますが、このことは意外に知られていないのではないでしょうか。
 そこで伺いますが、荒川線と日暮里・舎人ライナー双方の乗客増とPRのため、連携したイベントなども企画すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 答弁を求め、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 崎山知尚議員の一般質問にお答えいたします。
 首都圏での地球温暖化防止の取り組みについてでありますが、このまま地球温暖化が進行すれば、近々、大飢饉が到来し、さらに破局的な事態を招きかねず、それを防止するためにはCO2排出量を劇的に削減する必要があります。
 人口と経済活動が集中、集積する大都市のCO2削減に向けた役割は極めて大きく、特に世界有数の大都市圏である首都圏での取り組みは、我が国の温暖化対策をリードするものになると思います。
 既に八都県市では、首脳会議での議論を通じて温暖化に関しての認識を共有しておりまして、また、都が全国に先駆けて取り組んだ省エネラベリング制度など、実効性のある施策を紹介し、共同実施してまいりました。
 今後とも首都圏における連携を強化して、CO2削減に取り組んでいきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
  〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、無電柱化とあわせた歩道のバリアフリー化についてでありますが、都はこれまで、車道や歩道の改修の際などに、バリアフリー化の考え方に基づき、さまざまな方法で歩道の段差や勾配の改善に取り組んでまいりました。
 このうち、セミフラット形式の歩道は、車道との高低差が少なく、すりつけ勾配が緩やかになるため、高齢者、障害者などが通行しやすい構造であり、都道の新設や拡幅工事においては、原則としてセミフラット形式を採用しております。
 今後、既設の都道で無電柱化を施行する際にも、可能な限りセミフラット形式を採用することなどによりバリアフリー化を積極的に進め、安全で快適な歩行空間の確保に取り組んでまいります。
 次に、区市町村の無電柱化に対する補助制度についてでありますが、良好な都市景観を創出し、成熟した街並みを実現するためには、都道だけではなく、区市町村と連携した面的な無電柱化が必要であります。
 このため都は、これまでの設計や施工などにかかわる技術支援に加え、区市町村の財政負担を軽減するために、新たな補助制度を創設いたします。この制度は、無電柱化に要する経費のうち、国庫補助金を除く費用の二分の一を都が補助するものであります。
 これにより、センター・コア・エリア内はもとより、主要駅及び主要観光地周辺などにおける区市町村道の無電柱化を促進してまいります。
 次に、区市町村道も含めた今後の事業展開についてでありますが、都は、現在、平成十六年度から五カ年の整備目標や、実施箇所などを定めた無電柱化推進計画に基づき事業を実施しております。
 昨年十二月に策定した「十年後の東京」への実行プログラムにおいても、都道における無電柱化の具体的な目標を定め、事業の拡大に取り組んでおり、平成二十年度中には、国や区市町村の事業もあわせた二十一年度からの新たな計画を策定いたします。
 今後とも、新たな補助制度も活用しながら、国や区市町村と連携して面的な無電柱化を推進することにより、安全で美しいまち東京の実現に取り組んでまいります。
  〔消防総監小林輝幸君登壇〕

○消防総監(小林輝幸君) 消防団に関する三点のご質問にお答えします。
 まず、消防団員に対する認識についてでありますが、消防団員は火災等の災害活動を初め、各種警戒活動、都民に対する防火防災指導など、多岐にわたる活動を展開しております。
 加えて、震災等の大規模災害発生時においても、消防団員の果たす役割は極めて重要であり、都民の安全を確保する上で欠くことのできない存在であると認識しております。
 消防団員の方々は、郷土愛護の精神のもと、生業を営みながら、日夜、献身的に消防団活動に尽力されており、その崇高な使命感と活動に対し、心から敬意を表しますとともに、感謝いたしております。
 次に、特別区消防団員の確保に向けた取り組みと今後の方策についてでありますが、消防団員を確保するためには、団員の士気を高め、消防団活動に対する都民の理解を得る必要があります。
 このため、分団本部施設や可搬ポンプ積載車の整備を初め、活動服や防火服などの改善を進め、イメージアップを図るとともに、重機操作や大型自動車運転などの資格が活用できる特殊技能団員制度を運用するなど、士気高揚を図っております。
 また、昨年十月から入団促進キャンペーンを展開しており、本年一月十五日には全国初の街頭一斉募集活動を実施し、一月末現在、四百名を超える入団者を確保したところであります。
 今後とも都民の理解を求めるとともに、町会、事業所、大学等の協力を得て、幅広い層からの入団促進に努めてまいります。
 最後に、特別区消防団員の存在と活動に対するPRについてでありますが、各種広報紙やホームページなどを活用するほか、プロモーションビデオを作成し、ケーブルテレビや街頭ビジョンでの放映などにより、広く都民に広報しております。
 今後ともマスメディアを初め、都電やバスのラッピング車両など、あらゆる広報媒体を活用し、消防団員の存在や地域の防災リーダーとしての献身的な活動について、都民から一層の理解が得られるようPRに努めてまいります。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 出張理容、出張美容サービスの衛生確保についてお答えを申し上げます。
 都は、理容師、美容師に対して、これまでも出張業務に関する留意事項をまとめたリーフレットの配布や保健所での相談等を通じて、出張業務を適正かつ安全に行うよう指導してまいりました。
 今後、安心して出張サービスを受けられるよう、区市町村と連携して、衛生上の知識や相談窓口について利用者への周知を図ってまいります。
 さらに、ご指摘の高齢社会の進展に伴う社会的ニーズの高まり等に的確に対応していくため、出張業務に必要な衛生措置を確保できる方策について検討するとともに、国に対しても法令の整備を求めてまいります。
  〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 気候変動による水道事業へのリスクについてでありますが、気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCでは、世界の平均気温が二十一世紀末には一・八度ないし四度上昇すると報告されております。
 国土交通省では、こうした予測等を踏まえ、利根川流域を対象として、気候変動が水資源に与える影響について試算を行っております。
 これによりますと、将来、利根川上流域では、積雪量の減少に伴う河川流量の低下等により、利根川上流八ダムの枯渇する頻度が増加するなど、渇水の危険性が高まることが予測されております。
 また、東京大学など合同研究チームは豪雨日数の増加を指摘しており、水質面においても原水の濁度上昇などが懸念されるほか、貯水池などの水温上昇による水源水質の悪化などが予想されております。
 次に、気候変動に関するワークショップでの報告内容についてでございますが、まず、気象庁気象研究所からは、IPCCの地球規模での温暖化予測に対し、関東圏スケールの地域的な気候予測モデルを作成し、利根川上流域における水資源量や水質面にも大きな影響があることを明らかにいたしました。
 オーストラリア水道協会からは、既に水源の枯渇が深刻化していること、オランダの研究機関からは、河川の流量低下による地下水の塩分濃度の上昇が懸念されること、また、国際水協会やシアトル市公益事業局からは、降水量の減少や積雪の消失などによる水資源の不足が懸念されることなどの報告がされました。
 当局からは、降水量の変動幅の増大により、利根川の供給実力が低下することなどを報告いたしました。
 次に、情報の収集や分析などを行っていく取り組みについてでございますが、より詳細な気候変動の実態や、その水道事業に与える影響などにつきましては、いまだ解明されていない部分が少なくありません。
 先般のワークショップでは、各国の水道関係者からそれぞれの地域の水道事業が直面する課題について報告が行われ、有意義な情報交換や問題意識の共有化を行うことができたと考えております。
 今後とも、こうした会議を続けていくとともに、国際水協会における気候変動専門家グループの活動へ参加し、国内外の水道関係者や研究者との連携を図ることなどにより、情報収集や影響の分析に努めてまいります。
 次に、原水連絡管が果たしてきた役割についてでありますが、原水連絡管は、朝霞浄水場と東村山浄水場との間で、利根川水系と多摩川水系の原水の相互融通を図ることのできる唯一の施設です。
 通常時においては、利根川及び荒川の原水を多摩川水系の東村山浄水場へ送水し、この浄水場から供給することにより、小河内ダムなど多摩川系貯水池の貯水量確保に努めております。利根川水系の渇水時や事故時には、多摩川水系の水を朝霞浄水場へ送水することにより、給水の安定を確保することとしております。
 平成六年及び八年の渇水の際には、利根川水系の取水が最大三〇%制限されましたが、この原水連絡管を用いた多摩川水系の活用などにより、給水制限率を最大でも一五%に抑え、都民生活への影響を最小限にとどめることが可能となりました。
 最後に、原水連絡管への今後の対応についてでございますが、原水連絡管は、昭和三十九年の完成後、四十年以上が経過しており、施設の老朽化の進行や耐震上の脆弱さが顕在化しております。
 この管路は、利根川水系と多摩川水系を結ぶ唯一の連絡管であることから、将来にわたり安定給水を維持するために、バックアップ機能を確保することがぜひとも必要であると考えております。
 このため、原水連絡管の二重化を図ることとし、平成二十年度より調査設計に着手し、平成二十七年度の完成を目指して整備を進めてまいります。
 また、二重化の完了後には、既設の原水連絡管の耐震化工事を行う予定でございます。
 これにより、渇水や震災時にも強い水道システムを構築するとともに、将来のさらなる効率的な水運用を目指してまいります。
  〔交通局長島田健一君登壇〕

○交通局長(島田健一君) 都電荒川線に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都電荒川線の新型車両の導入についてであります。
 新型車両の新たなデザイン三案をホームページで公表しましたところ、優しさと親しみやすさをイメージした丸みのある案が多くの皆様から支持されました。
 このため、そのデザインを基本とした車両を二両導入し、平成二十一年春から運行いたします。
 今後は、この新型車両とあわせまして、地元の方々やお客様に人気のあるレトロ車両をさらに一両増備し、車両と路線の魅力を積極的にPRするとともに、地域と連携したイベントに活用するなど、荒川線の増客及び沿線地域の活性化に努めてまいります。
 次に、都電荒川線と日暮里・舎人ライナーが連携したイベントについてでございますが、ご指摘のとおり、二つの路線が熊野前駅で交差することによりまして、乗りかえの利便性が向上し、お客様の相互の移動や交流が活発になるものと考えております。
 そのため、今後は荒川線と日暮里・舎人ライナーのそれぞれの沿線名所を広くPRするとともに、荒川線と舎人公園を結ぶウオークラリーを行うなど、イベントの実施にも積極的に取り組んでまいります。

〇議長(比留間敏夫君) 十番西崎光子さん。
  〔十番西崎光子君登壇〕
  〔議長退席、副議長着席〕

○十番(西崎光子君) 初めに、平成二十年度予算に関連して伺います。
 好調な税収を背景に、平成二十年度一般会計の予算規模は六兆八千五百六十億円と、前年比三・八%の増となりました。全体に満遍なく予算をつけ、基金も積むなど、一見堅実ではありますが、ここに来て、にわかに赤ランプが点灯したのではないかという気がいたします。
 詳細は予算審議の中で触れたいと思いますが、ここでは知事の基本姿勢にもかかわる新銀行、低所得者対策、八ッ場ダムの三点について伺います。
 新銀行東京は、知事の二期目の公約として、無担保融資で中小企業を救うことを目標に、トップダウンで進められてきました。生活者ネットワークは、中小企業支援は制度融資などの拡充で行うべきであり、銀行経営は公の役割ではないと設立そのものに反対してきました。
 事業内容の詳細が示されないまま、予算案の中に一千億円の出資を入れ込んで一括審議とするなどの乱暴な提案で開業にこぎつけたものの、三年足らずで九百三十六億円の累積損失となり、知事は、発案は私でその責任はあるが、金融の専門家ではない、経営者に責任があると責任を転嫁する発言を繰り返しています。
 知事は、旧経営陣の経営責任について、どこまで明らかにしていくのか、刑事告発を含めた法的責任まで問うていくのかどうか、見解を伺います。
 知事はこの間、融資を受けた中小企業に対する責任があることを繰り返していますが、一千億円プラス四百億円の出資金のもとである納税者への責任についての認識が薄いことは遺憾です。
 本来ならば、福祉や教育、子どもの未来のために投資されるべき貴重な財源が、この三年間で、一日一億円の割合でむだに消えていったことになります。その責任を重く受けとめるべきです。
 今回の提案の最終的決定において、この問題の責任を明確にせずして、税金を払う都民への都議会の責任を果たすことはできません。解明のためには、関係者への聴取を議会の権限において行う必要があります。
 都議会生活者ネットワークを代表して、都議会の皆様方に、都議会の総意において地方自治法上の百条委員会の設置を提案したいということを申し述べておきます。
 次に、低所得者対策についてですが、今、働く現場は、非正規雇用で使い捨ての雇用が横行し、正規職員でさえサービス残業で悲鳴を上げている現状です。貧困者の救済を考えるときに、社会からの孤立感、疎外感を払拭していくことや、勤労意欲を持たせることも重要です。一人一人が自助努力をするのを助けるという従来型の就労支援では限界があり、包括的な貧困対策の再構築が急務です。
 低所得者対策は、身近な自治体にとっても喫緊の課題です。これまで、当事者の声を聞き、生活支援や自立支援に取り組んできており、地域によって、求められる支援策もさまざまです。
 こうした状況の中、区市町村からは、今回の都のプログラムを既にある自治体施策とどう連携させるのか、また、三年間の期限つき事業であることから、継続的な事業が組めないこと、窓口の人材確保をどのように行うのかなど、不安や戸惑いの声が上がっています。
 そこで、今回の都の施策を成功させるためには、当事者のニーズを一番つかんでいる自治体の声を十分反映させ、施策に生かしていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 国土交通省は昨年十二月、八ッ場ダムの工期を五年間延長し、二〇一五年までとすると発表しました。八ッ場ダムは一九八六年に計画され、その後、二〇〇一年には工期延長、二〇〇三年事業費増額で、今回は三回目の変更となります。ここまでの変更を経ても、いまだ本体工事に手がついていない現状が、この事業の困難さを物語っています。
 東京の水需要は、一九七五年の日量六百二十万トンから徐々に減少し、現在では五百万トンを割ろうとしているにもかかわらず、二〇一三年度に日量六百万トンという水需要予測を見直そうとはしていません。このような過剰な水需要を満たすために、地域住民を分断し、自然を破壊してまで、巨費を使ってダム事業を進める価値があるか、疑問です。
 ダム建設をめぐっては、公共事業のあり方を問う住民訴訟が東京地裁で進行中です。
 石原知事は、国土交通省が発表した基本計画変更に対し、今後の工期の延長と事業費の増額がないようにという意見を付して同意するとしています。
 持続可能な社会づくりが進められている今、ダムに頼るよりも、節水意識を高めるとともに、身近な地下水を活用するなど、新たな時代の水資源の確保を考えるべきと思いますが、見解を伺います。
 都は、二〇二〇年までに二五%の温暖化ガス排出削減という目標を立て、取り組みを開始しました。温暖化対策という地球的課題への解決策として、この目標をどう達成していくか、都民、基礎自治体が一体となった取り組みが求められます。
 特に、温暖化排出ガス量は市民にとってわかりにくく、努力の結果どうなっているかも把握しにくい現状があります。東京都はさまざまな場面で情報を伝える努力をしているようですが、この温暖化ガス情報を定期的に、だれにでもわかるよう工夫して発信することで市民の喚起を促すことがまず重要と考えます。
 現状の共通の理解こそ、大きな一歩につながります。市民、自治体への情報提供についての見解をお伺いします。
 今議会には都立高校の授業料の値上げの提案がされています。クーラーの設置に伴う経費増が主な理由です。教育庁は、学校における環境都市づくりとして、都立高校の芝生化、緑化、太陽光発電などを来年度予算に計上していますが、教育を実施している立場として、学校でのCO2発生がどのくらいで、今後の対策でどのくらい排出量が相殺されるかをしっかり示し、省エネを含めた取り組みをすべての都立高校で展開すべきでしょう。
 自分たちの選択が少しでも自然に負荷を与えない配慮を身をもって示すことが、何よりの生きた教育になります。都立高校での温暖化対策について見解を伺います。
 環境確保条例改正に向けての中間報告では、事業者に削減義務を課す制度が示されていますが、事業者に義務を課す以上、都の施設、事業での削減義務づけを制度の前倒しで行い、都内自治体も含む公的セクターでの取り組みを広げていくべきと考えます。
 その一端として、都内の清掃工場におけるCO2の排出抑制について伺います。
 東京都は、二〇〇四年の廃棄物審議会の答申において、埋立処分場の延命のため、プラスチックを埋立不可物としました。現在、二十三区は分別区分を変更し、これまで不燃ごみであったプラスチックごみを可燃ごみとするモデル事業が開始されています。二十三区の清掃工場がプラスチックを焼却することによって、CO2排出が削減どころか増加することは明らかです。区に移管された以上、ごみの分別方法、処理方法を決めるのは各区ですが、地球温暖化の防止の観点から、資源化できるプラスチックは焼却すべきではないと考えます。
 二十三区のすべてが、分別区分の変更に先んじて、容器包装その他プラスチックの資源化に取り組むことができるよう、都として支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、食品安全について伺います。
 昨年は、食品の偽装問題や虚偽表示の問題が連日のように報道され、事業者や食品に対する都民の不信や不安が、かつてないほど高まりました。
 こうした中、中国産冷凍ギョーザによって、兵庫県と千葉県で十名もの人が有機燐系農薬による中毒を起こすという前代未聞の事件が発生しました。この事件の原因究明は現在も行われていますが、社会に与えた衝撃と影響は非常に大きく、これを契機に、輸入食品に対する都民、消費者の不安はさらに高まってきた感があります。
 東京都は食品安全条例を設けていますが、この中で輸入食品の安全確保に対する基本的な取り組み方針を伺います。
 次に、今回の冷凍ギョーザ事件のように、食品による深刻な健康被害が発生した場合には、被害拡大防止のため、原因となった食品をいち早く市場から排除する必要があります。
 このため、行政による監視、指導はもとより、事業者みずからも、消費者等から寄せられた苦情を十分に把握し、原因あるいはその疑いのある食品を迅速に市場から排除するよう努めることが重要な責務であると考えます。また、健康被害が発生していない場合であっても、食品への異物混入事例などがあった際には、被害の未然防止のため、事業者が自主回収を行うことが必要な場合もあります。
 平成十六年に施行された東京都食品安全条例には、自主回収報告制度の規定が盛り込まれていますが、この制度について、改めてその意義と効果について伺います。
 また、他県の学校給食では輸入冷凍食品や半調理品の利用が明らかになりましたが、東京都の学校給食においては、輸入品や加工食品を避け、手づくりを推進するなどの方針に基づいており、その取り組みを評価したいと思います。今後、民間委託や弁当給食など学校給食の多様化が進むと思われますが、安全性の確保については一歩も譲らない姿勢を貫くよう要望します。
 さて、日本では、食糧輸入は増加の一途をたどっており、食糧自給率は四〇%を割っています。一方で、国内の食糧生産地である農村の疲弊、高齢化は顕著で、限界集落が問題になり、加工場も工賃の安い中国等に移って、地域の働く場をなくしています。これは、国の農政の失敗にほかなりません。
 食の安全は身近なところで生産を確認できることが一番と考える人がふえ、消費地に近い都市農業への期待は一層高まっています。
 今回、輸入食品への農薬混入事件は、国内においても、使用禁止農薬の周知徹底や使い残した農薬の処理の問題まで表面化されました。ポジティブリスト制度など、農薬についての規制は厳しくなっていますが、使用者への継続的な注意喚起が必要です。都は、農薬の適正使用はもちろんのこと、なるべく農薬を使わない農業を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 発達障害支援について、東京都では、法整備される以前の平成十五年一月より東京都発達障害者支援センターを設置し、障害者や家族への相談支援を初め、区市町村の関係機関からの相談に当たっています。
 先日、私は、世田谷区にあるこの施設を視察し、事業等について相談員からお話を伺いました。乳幼児や学童期の障害者に対する相談より、思春期以降の相談が全体の七割を占めていることから、改めてライフステージに応じた総合的な支援が可能となる体制整備の重要性を認識したところです。
 発達障害支援に当たっては、このようなセンターが東京都に一カ所しかないことから、本センターに寄せられる相談件数は年々増加し、その内容も複雑で多様化しています。そのため、都内全域を支援していくには限界があります。身近な地域において、すべての障害者がきめ細やかなサービスが受けられる相談や支援体制が必要です。しかし、現状は、相談窓口一つとっても、専門員の配置をしている区市町村は少なく、サービスについても格差が生じています。
 これからの各地域での発達障害者に対する相談体制を整備するため、区市町村の相談担当者の資質向上が求められます。都の所見を伺います。
 東京都では、現在、発達障害者の早期発見、早期対応のための支援手法を開発するモデル事業を世田谷区で行っています。発達障害者支援については、早期に発見し、気づいてあげる方法も必要ですが、それだけでは、障害を告知したために親がパニックになり、子どもを虐待してしまうこともあります。家族への支援や相談体制の充実、さらには地域生活や就労支援など、発達障害のある子どもの成長に沿った一貫した支援を地域や社会で支えていく体制整備が必要です。
 そこで、これまでのモデル事業ではどのような成果が得られ、今後どのようにほかの区市町村に広げていくのか、伺います。
 最後に、男女共同参画の推進について伺います。
 労働者の仕事と生活の調和、すなわちワークライフバランスなどへの考え方に国際的にも関心が高まっています。男女がともに自分らしい生き方を選択でき、あらゆる年代において、仕事と子育てだけではなく、介護や社会活動などが両立できる社会を実現していくことが求められます。
 このたび、東京都男女平等参画審議会専門調査会から、企業の実態に即したワークライフバランスの推進についての報告書が出されましたが、この調査報告では現状についてどのように認識しているのか、都の見解を伺います。
 今回の報告の中では、ワークライフバランスの施策がなかなか進まない課題として、経営戦略、人事評価・処遇、職場のマネジメント、個人の意識改革の四点から分析しており、このような課題解決に向けた取り組みを進めていく必要があります。
 都は、平成二十年度予算案で「十年後の東京」の実行プログラム事業として、仕事と生活の調和に向けた具体方策に関する実践プログラムを作成し、企業などの取り組みを促進するとともに、社会全体でのワークライフバランスの推進に取り組んでいくことになっていますが、作成に当たっては、企業の参加も行いながら進めていく必要があると考えます。今後どのように実施していくのか、伺います。
 仕事と子育てなど家庭生活が両立できる企業は、優秀な人材が確保できることや、社員の満足度が高まりモチベーションが向上するなど、さまざまなプラス効果が見込まれています。
 今定例会の石原知事の施政方針で、仕事と家庭生活の両立について触れ、都独自の助成制度により、仕事と子育てを両立させる職場づくりに取り組む中小企業を支援すると述べられており、今後どのように支援していくのか、都の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 西崎光子議員の一般質問にお答えいたします。
 新銀行東京の旧経営陣の経営責任についてでありますが、新銀行東京は、中小企業を支える銀行として独自の役割を果たしてきましたが、旧経営陣の常識では考えられない経営の結果、厳しい経営状態に陥っております。
 新銀行東京の経営がどうしてここまで悪化したかについては、速やかにその原因が究明されなくてはならないと思います。現在、新銀行東京において、経営不振を招いた原因究明のための詳細な調査が進められておりまして、その結果は発表してまいります。
 都としては、本調査の結果や新銀行東京の今後の対応を踏まえ、必要な措置を講じてまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
  〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 都立高校の温暖化対策のご質問にお答え申し上げます。
 都立高校では、これまでも、改築や大規模改修等の機会を利用いたしまして、太陽光発電機の設置や雨水のトイレ洗浄水への利用、屋上緑化や壁面緑化、効率のよい照明器具の活用など、温暖化対策を実施してまいりました。
 また、教育活動におきましては、公民科の授業等で、生徒が公害防止や地球温暖化など環境問題について考える教育を行うとともに、今年度から必修化されました「奉仕」等の時間の中で、リサイクルなどの環境保全活動についても取り組んでおります。
 今後とも、都立学校で実施していくさまざまな温暖化対策が生徒の教育活動にも生かされるよう配慮しながら、環境対策の一層の充実に努めてまいります。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 五点についてお答えをいたします。
 まず、低所得者対策についてであります。
 今回の対策におきましては、住民に身近な地域で対象者一人一人の実情を踏まえた効果的な対応を行っていく必要があることから、区市町村に相談窓口を新たに設けることとしております。現在、区市町村を初めとする関係機関と緊密に連携しながら、円滑な実施に向けた準備を進めております。
 次に、輸入食品の安全確保に対する基本的な方針についてでありますが、都は、食品の安全の確保に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、食品安全条例に基づき、食品安全推進計画を策定しております。この計画の中で、輸入食品の安全確保対策を重点的かつ優先的に推進する施策として位置づけ、着実に実施をしております。
 具体的には、輸入食品監視班による監視や、検疫所の違反情報等に基づく的確迅速な検査などを実施するとともに、輸入事業者の安全対策を指導する講習会などを開催しております。
 今後とも、本計画に基づき、輸入食品の安全確保に努めてまいります。
 次に、食品の自主回収報告制度についてでありますが、自主回収報告制度は、食品安全条例に基づき、全国に先駆けて都が制定したものであります。
 この制度は、都内の事業者が取り扱っている食品について、食品衛生法違反等のおそれがあるとして自主回収を決定した場合に、都へ報告することを義務づけ、都がこの情報を迅速に都民に周知することにより、回収を促進するものでございます。これにより、健康への悪影響のある食品の回収が徹底され、健康被害の発生や拡大の防止が図られていると考えております。
 次に、発達障害者支援に関する区市町村相談担当者の資質向上についてでありますが、都はこれまでも、区市町村等の保健師や保育士などを対象とした母子保健研修の中で、発達障害をテーマにした基礎的な研修を実施してまいりました。また、発達障害者支援センターにおきましても、区市町村の職員等を対象に専門的な助言指導や実践的な研修を実施しております。
 引き続き、区市町村の相談担当者の資質向上に向け、取り組んでまいります。
 最後に、発達障害者支援のモデル事業についてでありますが、平成十七年度から世田谷区において、発達障害者のライフステージに応じた支援体制を整備するためのモデル事業を実施しております。この取り組みの中で、保護者が幼児期の子どもの発達状況を確認することで、障害の早期診察につながり、療育等の継続的な支援が可能となるなどの成果が確認をされてきております。
 今後、このモデル事業を評価、検証し、発達障害者に対する効果的な支援方法を取りまとめ、区市町村に周知していくこととしております。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 八ッ場ダムについてでございます。
 都市を支える水資源を確保することは国や自治体の重要な責務でございます。都はこれまでも、水源地の皆様の理解と協力を得ながら、国や関係自治体とともに、必要なダム開発を推進してきました。
 水源確保につきましては、将来の水需要や、先ほど水道局長からもありましたけれども、渇水に対する備えなどを総合的に検証して、長期的な観点から取り組んでおり、八ッ場ダムは、治水、利水の両面から必要不可欠と考えております。
 なお、地下水につきましては、地盤沈下や水質の面から、将来にわたる安定的な水源として位置づけるべきではないと考えております。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) まず、温暖化ガス排出量に関する情報提供についてでございますが、都は現在、都内全体の温暖化ガス排出量を毎年取りまとめ、家庭や業務など部門別排出量に分け、データをグラフ化するなどして、ホームページ上で公開しております。
 一方、区市町村におきましても、みずからの区域内の温暖化ガス排出量を取りまとめ、公表するなどの動きがあることから、都の有するデータ等を提供するなど、区市町村とも連携し、よりわかりやすい情報提供に努めてまいります。
 また、家庭や職場、地域等における個々の省エネ、節電の取り組みとCO2排出量の削減が直接結びついていることが感じられるような情報提供のあり方についても、今後検討してまいります。
 次に、廃プラスチックの資源化に対する支援についてでございますが、埋立処分場の延命化のため、廃プラスチックはできる限り分別収集し、原材料として再利用するとともに、汚れが付着しているなど再利用に適さないものは焼却し、エネルギー回収を行うことが必要でございます。
 区部では、既に十二区が廃プラスチックの分別収集を実施しております。今後、新たに六区が加わり、二十三区全体の分別収集量も五年間で年間約二千トンから約五万トンに増加する見込みでございます。
 都は、今後とも広域自治体として、各区の取り組みが促進されるようリサイクルに関する普及啓発や、資源化施設の整備に対する技術的支援を行ってまいります。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、農薬使用の少ない農業の推進についてでございますが、都は、農産物の安全確保を図るため、従来から農薬に関する法令の遵守や使用記録の保管など、農薬の適正使用に関する指導を実施してきております。
 また、農薬だけに頼らない農業生産を進めるため、病害虫に対する天敵利用や、抵抗性のある品種の利用など、病害虫や雑草による被害を総合的に抑制する技術や手法の開発、普及に努めております。
 今後ともこうした取り組みによりまして、農薬や化学肥料の減量に取り組むエコファーマーをふやすとともに、有機農産物を初めとする特別栽培農産物等の生産を支援し、都民に信頼される農業を推進してまいります。
 次に、ワークライフバランスの実現に向けた中小企業への支援についてでありますが、都では、中小企業における仕事と家庭の両立支援を促進するため、今年度からアドバイザーを設置しまして、企業における行動計画策定などの相談に対応をしております。
 また、中小企業を対象とする助成制度を創設し、資金面の支援も開始したところでございます。さらに、来年度は、助成金の規模等を拡大するとともに、企業の両立支援責任者などに対する研修会を実施し、中小企業における仕事と家庭の両立に向けた取り組みを支援してまいります。
 〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)
ワークライフバランスの現状についてでありますが、東京都男女平等参画審議会専門調査会報告によると、仕事と家庭との両立を支援するため、育児・介護休業法や次世代育成支援対策推進法などの法律の整備が進んできており、法定以上のさまざまな両立支援のための制度を導入する企業もふえてきているとしております。
 また、専門調査会は、国等の調査に基づき、仕事、家庭、プライベートを両立することを希望していても、現実には仕事優先となっている人が多いことや、休暇が取りにくいこと、労働時間が長いことが、仕事と生活の調和の支障になっていると報告しております。
 このように企業において導入された制度が必ずしも活用されておらず、ワークライフバランスが十分に実現されているとはいいがたい状況にあると認識しております。
 次に、ワークライフバランス実践プログラムについてでありますが、実践プログラムは専門調査会報告も生かし、先進企業の取り組み事例に基づいてワークライフバランスのメリット、推進のための課題や具体的方策などを明らかにすることを意図するものであります。
 例えば、休暇や休業の取得促進について、経営戦略、人事評価、職場のマネジメントなどの視点から取り組みを示すとともに、両立支援のための助成金等の支援策についても紹介することを予定しております。
 このため、作成段階から、企業との意見交換を行い、実態を踏まえたプログラムとするとともに、このプログラムを活用した戦略的な働きかけを行って、企業の具体的な取り組みを促進してまいります。

〇副議長(石井義修君) 八番伊沢けい子さん。
  〔八番伊沢けい子君登壇〕
  〔副議長退席、議長着席〕

○八番(伊沢けい子君) 新銀行東京についてお聞きします。
 おとといからの都議会での答弁では、新銀行の破綻原因はただいま調査中とのことでした。まず、新銀行東京が破綻に至った原因究明の調査の結果が出ていない状況下でなぜ四百億円の追加融資という結論が出せるのか、理解ができません。結論先にありきではないかといわざるを得ません。なぜ原因究明の調査結果をしない状態で追加融資という結論が出せるのか、お尋ねをいたします。
 このような話は信用ができませんし、到底都民の理解を得ることができません。そもそも、なぜ東京都は銀行業務に乗り出さなければならないのでしょうか。中小企業融資ならば、都は従来どおり信用保証協会を通じて行えばよいのではないでしょうか。信用保証協会をどう見るのか、信用保証協会の役割はどう考えているのか、都の考えをお聞きします。
 知事は、新銀行東京の破綻を認めて撤退をすべきときです。今がそのときです。これ以上債務をふやされてはたまったものではありません。失敗の原因が解明、説明されない中で、追加融資は行うべきではない。撤退すべきです。四百億円もあれば、福祉や教育、その他必要なところへ税金を回してほしいというのが都民の声です。私も、会う人会う人周りの人からも、強くこういう声を毎日聞いております。ぜひ、都民の声に耳を傾けるべきです。知事の考えを伺います。
 次の質問に入ります。
 こうして新銀行東京への四百億円追加融資を打ち出す一方で、今回の議会に、都民に手数料や利用料の値上げを求める条例案が十個も出ています。
 都立高校の授業料値上げについて伺います。
 ことし四月から、都教委は都立学校の学費値上げを全日制、定時制の両方で計画しており、全日制では十一万五千二百円から十二万二千四百円に、定時制では三万一千二百円から三万三千三百六十円に上げるとしています。都では、三年ごとに値上げを行ってきていますが、値上げを行ってきている根拠は何でしょうか。また、値上げによる増収は幾らと見込んでいるのでしょうか。
 都立高校では、経済的理由から中退する生徒は平成十八年度で全日、定時制を合わせて二百十三人おります。ここ十年を見ると、年間二百人、多いときは三百人に上っています。また、中退した生徒のうち半数以上が、その後の進路で就職を選んでいることからも、経済的に厳しい様子がうかがえます。
 経済的に苦しくなってきている様子は、授業料の減免を受けている生徒の数を見るとよくわかります。生活保護を受けているか、それに準じる世帯が減免を都立高校で受けることができますけれども、平成十八年には一万八千七百四十一人が減免を受けており、その人数は、六年前の八千五百五十七人から約二倍になっております。明らかに都立高校に通う生徒を取り巻く経済状況が厳しくなっていることがわかります。
 特に、減免を受けるかどうかのボーダーラインにいる生徒に対して、負担が大きくなると思いますが、どうでしょうか。授業料の値上げを行うことは、都立高校の門戸を狭め、教育の機会を奪うことにつながると私は思いますが、いかがでしょうか。また、今後も値上げをしていくつもりなのか、上限を設けていないのか、伺います。
 次に、小学校の教員の定数削減についてお聞きいたします。
 ことし四月から一つの小学校のクラスが十五学級、十六学級となる学校で、図工、音楽、理科、家庭科など専科の先生の数を三人から二人に、一人減らす計画を出しています。この学級数に相当する学校は都内に約百二十あります。定数減によって教育のレベルが下がるのでやめてほしいとの陳情を受けたことから、地元の三鷹市の十五、十六学級の先生方に実際にお会いし、学校の現在の状況と減らした場合の影響について伺ってきました。
 そうすると、現状で三鷹市でも小学校で一クラス三十五人を超えるクラスが四割を占め、生徒数も多く、先生の持ち時間も大変多いことから、とにかく疲れて、へとへとだという言葉が飛び出してきました。
 現在でも授業、雑務、行事の用意などで学校はパンク状態でばたばたと倒れる人が出て病休を取っている人も多いということです。病気は、精神的な病気が多いとのことでした。日常的に残業があるのはもちろんのこと、休憩時間もないとのことでした。
 そこで、質問です。
 都内の小学校の教員の精神疾患による病気休職者は年々ふえており、平成十八年度には百二十四人、その他の疾患を合わせると百八十一人と報告されています。このように精神疾患その他の病気による休職者がふえている理由を都教委はどう分析しているのでしょうか。
 さて、一人先生が小学校で減った場合、学校は組織で動いているので、その負担はほかの先生にのしかかってくる。質のよい授業をするためには準備が必要だが、その時間がますます取れなくなり、それは授業の質の低下として生徒にはね返ってくるとのことでした。
 また、小学校は、生徒たちが授業を受けると同時に、昼間の大部分の時間を過ごしており、生活の場でもあることから、先生たちはいろいろな作戦を立て、役割分担をすることで組織立って動いているのだから、一人欠けることのマイナスはとても学校にとって大きいとのことでした。結局ゆとりがなくなり、効率重視で、学ぶ側ではなく教える側にとって都合のよい授業となってしまう。現状でもそうなりつつあるとのことでした。また、音楽、図工、理科など専科は、担任だと教えたことがない先生も多いということで、現場の混乱が予想されます。
 そこで質問いたします。
 このように、現場で現状が既にパンク状態であるとの認識を都教委は持っているのでしょうか。専科を一人減らすことによる授業の埋め合わせは講師の十時間でといっていますが、これで可能だと考えているのでしょうか。学校全体で一人減ることのマイナスはないと考えているのか、そもそもなぜ減らさなければならないのか、そして来年以降も定数を減らすことを考えているのかということを伺います。
 次に、特別支援教育について二点お聞きします。
 まず、寄宿舎についてです。
 今回、第二次実施計画の中で、立川ろう学校と江戸川養護学校の寄宿舎をなくすことを発表しました。都教委は、今後、通学困難者以外は寄宿舎には入れないという方針を打ち出しています。しかし、寄宿舎が果たしてきた役割はとても大きく、生徒の自立に向けて教育上の成果を上げてきていることを生徒や先生、保護者の方々から聞いております。
 立川ろう学校の寄宿舎は、都内でも唯一のろう学校の寄宿舎ですが、同じ障害を持った生徒たちが手話によってお互いに深いコミュニケーションをとることができ、寝食をともにすることで、そのことは、心の発達、アイデンティティーの確立、社会性の確立に大変役に立っていると先生方からお聞きいたしました。
 都教委は、このような教育上の寄宿舎の成果はあったと見ているのか、なかったと見ているのか、もしあったとすればどのようなことが成果であったと考えているのか、お聞きします。
 また、都教委は、今後、特別支援学校は地域の特別支援教育のセンター的役割を担うと位置づけています。そうならば、生徒の自立に成果を上げてきた寄宿舎を廃止するのではなく、地域の特別支援教育の拠点とし、その蓄積や教育上のノウハウを活用すべきだと考えるが、いかがでしょうか。
 また、現在運営中の寄宿舎の経費は十舎で幾らかかっているのでしょうか。
 第二に、教員の異動についてです。
 新しくできた異動制度では、原則的に六年で教員が異動することになっています。また、別の障害をもう一つ経験しなければならないと決めていることから、立川ろう学校では聴覚障害の知識や経験を持った教員が定着しないと聞いています。
 例えば、手話ができない教員も出てくるわけです。特別支援教育の場合、障害の種類によって教員は専門性を要求されることから、異動制度を考え直すべきではないかと思いますが、見解を伺います。
 これまで述べてきましたように、東京都の教育行政は、本来行政が果たすべき教育環境の整備にこそ力を入れ、これに伴う予算を確保すべきです。これは教育をより充実させるための最低限の条件です。
 しかし、現状はこうした教育予算を切り詰めると同時に、教育現場、教育内容への干渉、介入を繰り返し、都教委による上からの支配、締めつけを行ってきました。まさに、教育を壊すような行為です。
 しかし、ここのところ、都教委が行ってきたことに対して、司法の場から何度も裁量権の乱用による不法行為との判決が出てきています。ことし二月だけでも一〇・二三通達に関連して嘱託職員を不採用にしたことは違法、違憲とされました。また、二月二十五日には七生養護学校の元校長の処分取り消し命令が出ました。
 平成十五年以降、六件も都教委の不法行為を断じる判決が出ていることについてどう考えるのか。これだけの判決が出ている以上、都教委が間違っているのか、裁判所が間違っているのかのどちらかだと思いますが、見解を伺います。
 都教委の法令遵守義務はどうなっているのでしょうか。具体的にお聞きします。六件のうち二件は既に最高裁で違法と確定しています。
 昨年七月二十日、都障労組がソーセージづくりと藍染めの教育研究会を行うために都立王子養護学校の施設の貸し出しを求めたのに対し、チラシの内容が都教委や国に批判的であるということで校長が貸さなかったのは、都教委による裁量権の乱用と、不法行為だと最高裁は断定いたしました。都教委はこれを不法行為であったと認めますでしょうか。また、都障労組に対する謝罪を行ったのでしょうか。校長に処分は行ったのでしょうか。
 なぜ私がこのようなことを聞くかといえば、少なくとも最高裁で確定したものに関しては間違いを認め、謝罪、処分などの対応をすることによって二度と同じことを繰り返さないということをしてほしいからです。
 教育は上からの締めつけによって成り立ちません。教育こそ民主主義実践の場です。教育で大事なのは人です。生徒、教員、保護者、地域の人たちが協力して自分たちの手で下からつくり上げていくものです。都教委はそのためにこそ教員の確保、そして環境整備のために力を尽くしていただきたいです。
 再質問を留保して、質問を終わります。
  〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 伊沢けい子議員の一般質問にお答え申し上げます。
 質問本数二十一件でございます。ちょっと時間をいただきます。
 授業料の値上げを行う根拠についてでありますが、授業料は、都立学校の授業料等徴収条例に基づいて定まっておりまして、今回は、従来から実施している国基準に基づいた改定とともに、普通教室冷房化事業に伴い、受益者負担を考慮して改定を実施するものでございます。
 増収額についてでございますが、平成二十年度の入学生から順次改定を行っていくので、初年度は二億六千二百七十四万円の増収を見込んでおります。平年度、平成二十三年度は約七億九千五百十万円の増収を見込んでおります。
 経済的に苦しい生徒がいる中での値上げについてでありますが、授業料につきましては従来から減免制度が適用されておりまして、これにより就学機会を確保できるよう制度の周知徹底を図っております。
 減免制度を受けられない生徒の負担についてでありますが、改定予定の授業料につきましては、全国的に見ても適正な水準にあると思っております。
 なお、経済的に苦しい生徒に対しましては、奨学金制度の活用も可能でありまして、都教育委員会としては、制度の周知徹底を図ってまいります。
 経済的に苦しい生徒がいる中での値上げについてでありますが、授業料につきましては従来から減免制度が適用されておりまして、これにより就学機会を確保できるよう制度の周知徹底を図ってまいります。
 今後の値上げについてでありますが、国の示す基準額が改定された場合など、必要に応じて見直しを行っていくこととなります。上限は定めておりません。料額の改定の際には、毎回条例改正を行いまして、議会の審議を経て決定するものでございます。
 教員の休職についてでありますが、東京都における平成十八年度の休職者は五百九十八名でありまして、千人に十・三人の割合であります。このうち精神疾患は三百八十四名で、千人に六・六人の割合でございます。
 病気休職者は、全国的に見ても、ここ数年増加傾向にあります。心の病の原因は一般的に、職場の人間関係や仕事の質などからくる強い不安、悩み、ストレス等が要因として挙げられております。特に教員は、児童生徒や保護者、地域住民など、さまざまな人間関係が重層的に重なったストレスの多い仕事であるといわれております。さらに、親の介護や夫婦関係など、教員個人の生活上の問題も心の健康に影響をする重要な要因であると考えられております。また、心の病は、その発生の過程に大きな個人差があるとともに、さまざまな要因が重なって引き起こされているものと考えられております。
 教員の多忙化についてでありますが、都教育委員会といたしましては、学校全体で組織的に取り組む体制を整えたり、非常勤教員など多様な人材を活用したり、校務分掌を見直すなどして業務の効率化を図り、残業時間を減らすよう努めてまいります。
 小学校の専科担当教員の配置見直しが与える影響についてでありますが、一定規模を有する学校における専科担当教員配置数の三人から二人への見直しに当たっては、非常勤教員や非常勤講師を代替措置として配置する予定でありまして、校内体制の工夫により対応することは十分に可能だと考えております。
 次に、小学校全体の多忙化についてでありますが、平成二十年度からは、学習教科指導や校務分掌など多様な職務を行う非常勤教員を配置するほか、小学校の教務主任等につきまして非常勤講師を活用して負担軽減措置を導入するなど、必要な対応を図ってまいります。
 次に、専科教員の配置見直しの考え方についてでありますが、平成二十年度におきましては、児童数の増加に伴う教員定数の増を図った上で、非常勤教員や非常勤講師の配置など代替措置を講じ、専科担当教員の配置数の一部見直しを実施するものでございます。
 来年度以降の定数削減についてでありますが、都教育委員会では、いわゆる義務標準法を踏まえつつ少人数指導の充実を図るなど、都における教育課題や児童数の変化に対応し、外部人材の活用なども含め、必要な教職員を配置してまいります。
 寄宿舎における教育上の成果についてでありますが、特別支援学校の寄宿舎におきましては、学校での指導と並行して、基本的な生活習慣や集団生活でのマナーを身につけることなどの成果があったというふうに認識しております。
 その活用についてでありますが、寄宿舎の設置目的は、通学困難の児童生徒の就学を保障するためであります。
 寄宿舎の入舎生に対して行われていた自立や社会参加に向けての指導は、特別支援学校としてすべての児童生徒に対して行われる指導内容でありまして、寄宿舎の設置の有無にかかわらず、今後とも教育課程の中で計画的、継続的に行ってまいります。
 十舎の経費でございますが、十五億三千八百万円でございます。
 特別支援学校の教員の異動についてでありますが、児童生徒の障害の状況に応じた適切な教育が行われることが重要であると認識しております。児童生徒の障害が重度重複化、多様化する中にありまして、教員は多様な障害種別に対応できる必要がありますので、人事異動におきましては、障害種別の異なる学校を二校以上経験することとしております。その後の配置につきましては、当該教員の専門性や職務経験を踏まえまして、校長の人事構想に基づき、適材適所の配置に努めております。
 裁判の判決についてであります。
 都教育委員会所管の訴訟事件につきましては、平成十五年度以降に敗訴した事件は合計八件ございます。このうち確定した事件が四件、現在係争中の事件が四件でございます。
 確定した事件の四件は、不当利得返還請求事件、いわゆるながら訴訟、及び施設利用許可にかかわります損害賠償請求事件、いわゆる王子養護訴訟、そのほかは都立高校のプール事故関係の裁判二件でございます。
 プール事故関係につきましては、いずれも平成十五年度の地裁判決でありまして、被害者救済、事案の早期解決の観点から、都は控訴せずに一審で敗訴が確定したものでございます。
 ながら訴訟及び王子養護訴訟につきましては、最高裁で都側の敗訴が確定いたしましたが、いずれも都側の主張が認められず、極めて残念であるというふうに考えております。
 また、現在係争中の四件は、予定も含めていずれも上訴しておりまして、東京高裁または最高裁で係属中でございます。
 なお、以上述べた訴訟以外はすべて勝訴しておりまして、都教育委員会の主張の正当性が認められているものと考えております。
 都教育委員会は、今後とも引き続き、法令等を遵守した適正な教育行政を推進してまいります。
 最高裁での判決についてでありますが、都立王子養護学校の目的外使用許可につきましては、東京都障害児学校労働組合が、ものづくり教育研究集会を実施するため、都立王子養護学校の施設の使用許可を求めたところ、校長が使用を認めなかったことについて、都に対し損害賠償金の支払いを求めたものでございます。
 この裁判においては、当局側の事務手続の一部に不備があったことなどから、残念ながら都側の敗訴が確定したものでございます。
 今後、施設の目的外使用許可について、より一層適正な処理に努めてまいります。
 職員団体への謝罪についてでありますが、判決の確定を受け、都教育委員会では、判決に従って、職員団体に対して賠償金を支払ったところでございます。
 王子養護学校にかかわる処分についてでありますが、この件については、関係者に対する処分、懲戒処分を行う考えはございません。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関するご質問にお答えをいたします。
 新銀行東京の経営悪化の原因究明と追加出資についてでありますが、新銀行東京の経営がどうしてここまで悪化したか、速やかにその原因が究明されなければならないと思っております。
 経営不振を招いた原因については、現在、新銀行東京において詳細な調査が進められており、その結果は発表してまいります。
 都としましては、既存融資先を初め多くの関係者への影響を考えたとき、新銀行東京が新たなビジネスモデルを一刻も早く軌道に乗せ、財務体質の強化を図ることが必要であると判断し、銀行からの追加出資の要請に応じ、今定例会に補正予算案を提案したところでございます。
 次に、都が新銀行東京を設立した理由についてでありますが、設立当時、東京の経済を支える中小企業は、不良債権にあえぐ既存金融機関の貸し渋りや貸しはがしによりまして十分な資金調達ができない状況に陥っておりました。これらの中小企業を救うために、都は新銀行東京を設立いたしました。
 新銀行東京はこれまで、既存の金融機関では支援が難しい、赤字や債務超過に陥っている中小企業に対しても支援を行うなど、中小企業を支える銀行としての独自の役割を果たしてまいりました。
 現在もなお、中小企業を取り巻く状況は厳しく、新銀行設立の趣旨である、高い事業意欲がありながら資金繰りに窮している中小企業に対して引き続き支援を行っていく必要があります。
 次に、信用保証協会についてでありますが、都は、東京信用保証協会、金融機関と協調いたしまして、創業資金や運転資金など中小企業の幅広い資金需要にこたえるため、制度融資を実施しております。この制度融資におきまして、信用保証協会は、信用保証業務を通じて中小企業に対して円滑に資金を供給する役割を担っております。
 一方、新銀行東京は、制度融資では対応しにくい中小企業を融資対象とするなど、独自の役割を担っております。
 制度融資と新銀行東京がそれぞれの役割を補完し合いながら、資金繰りに苦しむ中小企業の資金調達を支えていくことが望ましいと考えております。
 新銀行東京から撤退すべきとのお尋ねでありますが、新銀行東京はこれまで、既存の金融機関では支援が難しい、赤字や債務超過に陥っております中小企業を含めた約一万七千社に対して支援を行ってまいりました。この中には、新銀行東京の融資を契機に業績を回復させた事業者が約九千社に及ぶなど、中小企業を支える銀行としての役割を果たしてまいりました。
 今般提案いたしました追加出資以外の方法は、既存融資先一万三千社を初めその取引先、従業員、家族、預金者などの関係者に重大な影響を及ぼしかねないとともに、都民に膨大なコスト負担をお願いすることとなります。このような都民への影響の大きさにかんがみまして、今回、追加出資による再建を選択したものでございます。
  〔八番伊沢けい子君登壇〕

○八番(伊沢けい子君) 新銀行について再質問します。
 なぜ原因究明をしないで、出資をするから、失敗をするのではないでしょうか。一万七千社というのならば、この人たちに対しても、失敗した場合、じゃ、かえって迷惑がかかるのではないでしょうか。
 それからもう一つ、不法行為についてお尋ねいたします。
 残念というふうにいいましたけれども、裁量権乱用の不法行為ということについて、残念じゃ済まないんですよ。何いってるんですか、本当に。残念じゃないでしょう。だから(発言する者あり)残念じゃありません。不法行為と認めるのかどうかということを聞いているんですよ。
 それから、そういうことを一つ一つ認めていかないと……

○議長(比留間敏夫君) 時間が参りましたので、質問をおやめください。
〇八番(伊沢けい子君) そういうことを認めていかないと、次がまたそういったことになるということなんです。(発言する者多し)はっきり答えてください。
  〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 本件訴訟の中には、現在係争中のものもありますので、回答は差し控えさせていただきます。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 失敗したらどうするのかというご質問ですけれども、追加出資は、都民の方々の負担を考えたとき、限られた選択肢の中ではこれしかないものであるというふうに考えております。
 都としましては、この再建計画を軌道に乗せることによりまして、不退転の決意で新銀行東京を再建してまいります。
〇議長(比留間敏夫君) 以上をもって質問は終わりました。

〇議長(比留間敏夫君) これより日程に入ります。
 日程第一から第百三十一まで、第一号議案、平成二十年度東京都一般会計予算外議案百三十件を一括議題といたします。
 本案に関して、提案理由の説明を求めます。
 副知事谷川健次君。
  〔副知事谷川健次君登壇〕

○副知事(谷川健次君) ただいま上程になりました百三十一議案についてご説明申し上げます。
 第一号議案から第二十九号議案及び第百三十一号議案は平成二十年度予算案でございます。
 平成二十年度予算は、「十年後の東京」への実行プログラムの初年度として積極的に施策の展開を図るとともに、財政構造の弾力性を高め、強靭な財政基盤を築くことを基本に編成しております。
 第一号議案は一般会計予算で、総額六兆八千五百六十億円を計上いたしております。
 歳出予算の主な内訳は、教育と文化、九千七百五十六億円、警察と消防、九千五十二億円、福祉と保健、八千百九十九億円でございます。
 次に、歳入予算の主な内訳ですが、歳入の大宗を占める都税収入は五兆五千九十七億円でございます。
 一般会計予算につきましては、当初予算とあわせて補正予算を提出してございます。
 第百三十一号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)は、財政調整基金からの繰り入れにより、歳入を四百億円増額するとともに、歳出につきまして、同額を株式会社新銀行東京へ出資するものでございます。
 第二号議案から第十八号議案までの十七議案は特別会計予算でございます。
 それぞれの事業に必要な経費として、総額四兆三千三百十八億円を計上いたしております。
 第十九号議案から第二十九号議案までの十一議案は公営企業会計予算でございます。
 病院、交通、水道、下水道などの経営に要する経費として、総額二兆一千九百七十八億円を計上いたしております。
 第三十号議案から第百四号議案までの七十五議案は条例案でございます。
 まず、新設の条例についてご説明申し上げます。
 第五十一号議案、東京都債権管理条例は、債権管理のより一層の適正化を図るため、債権管理体制を整備するとともに、私債権の放棄に関する規定を設けるものでございます。
 このほかに、新たに基金を設置するもの四件、特別区に関するもの及び法改正に伴い制定するものなどで、新設の条例は合計七件でございます。
 次に、一部を改正する条例でございます。
 第三十八号議案、住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例は、都民の利便性の向上及び行政事務の効率化を図るため、住民基本台帳法の規定に基づき、知事が本人確認情報を利用することができる事務等を追加するものでございます。
 第三十九号議案、東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例は、東京都特別職報酬等審議会の答申を受け、給料等の額の改定等を行うものでございます。
 このほか、同じく特別職の給料等の額の改定を行うものが三件ございます。
 第四十五号議案、東京都職員定数条例の一部を改正する条例は、職員定数を改めるほか、育児短時間勤務制度の導入に伴い、規定を整備するものでございます。
 このほか、同じく職員等に関するものが九件ございます。
 第五十四号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置を継続するなどの改正を行うものでございます。
 第六十四号議案、東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例は、受益者負担の適正化を図るため、都立学校の授業料等の額の改定等を行うものでございます。
 このほか、同じく法令の改正や受益者負担の適正化を図る観点から、手数料の新設及び改定を行うものが九件ございます。
 第八十七号議案、東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例は、三宅島災害に伴う帰島の状況等を考慮いたしまして、条例の有効期限を一年間延長するものでございます。
 第八十九号議案、東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例及び第九十号議案、東京都精神障害者都営交通乗車証条例の一部を改正する条例は、日暮里・舎人ライナーを東京都シルバーパス等の対象とするものでございます。
 このほかに、法令の改正に伴い規定を整備するものなど三十八件ございまして、一部を改正する条例の合計は六十七件でございます。
 次に、廃止する条例でございます。
 第六十九号議案、国分寺都市計画事業西国分寺土地区画整理事業施行規程を廃止する条例は、事業の終了に伴い、条例を廃止するものでございます。
 第百五号議案から第百十号議案までの六議案は契約案でございます。
 都立青梅東学園養護学校(仮称)(H十九) 改修その他工事(その二)請負契約など、契約金額の総額は約百五十一億八千万円でございます。
 第百十一号議案から第百二十三号議案までの十三議案は事件案でございます。
 包括外部監査契約の締結についてなど、それぞれ地方自治法等の規定に基づき、議決をお願いするものでございます。
 第百二十四号議案から第百三十号議案までの七議案が、平成十九年度最終補正予算案でございます。一般会計、特別会計及び公営企業会計を合わせまして、総額は四千二百八十億円でございます。
 上程になりました百三十一議案の説明は以上でございますが、このほかに人事案を送付いたしております。
 まず、東京都収用委員会委員でございます。
 三月三十一日に任期満了となります鎌田薫氏、熊澤光司氏につきましては再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
 三月三十一日に任期満了となります早川通治氏の後任には岩崎隆氏を任命いたしたいと存じます。
 また、同じく三月三十一日に任期満了となります金岡昭氏につきましては再任いたしたいと存じます。同意につきましてよろしくお願い申し上げます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案並びに地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定に該当する議案及び平成二十年四月一日から施行される改正後の同法第二十四条二第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会及び教育委員会の意見をそれぞれ徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。
〇議事部長(大村雅一君) 人事委員会の回答は、第四十一号議案から第四十四号議案、第四十六号議案、第四十七号議案及び第五十八号議案から第六十二号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。
 また、教育委員会の回答は、第五十六号議案及び第六十六号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

一九人委任第一二一号
平成二十年二月十九日
東京都人事委員会委員長 内田 公三
東京都議会議長 比留間敏夫殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
平成二十年二月十三日付一九議事第四〇五号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
 記
提出議案
一 第四十一号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
二 第四十二号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
三 第四十三号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
四 第四十四号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
五 第四十六号議案
職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
六 第四十七号議案
職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例
七 第五十八号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
八 第五十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
九 第六十号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
十 第六十一号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
十一 第六十二号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

一九教総総第一八九二号
平成二十年二月十五日
東京都教育委員会委員長 木村  孟
東京都議会議長 比留間敏夫殿
「都道府県教育委員会の権限に属する事務の一部を、市町村が処理することとする条例」に対する教育委員会の意見聴取について(回答)
平成二十年二月十三日付一九議事第四〇八号により照会があった議案に係る教育委員会の意見は左記のとおりです。
 記
一 提出議案
第五十六号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
二 意見
一について、異議ありません。

一九教総総第一八九三号
平成二十年二月十五日
東京都教育委員会委員長 木村  孟
東京都議会議長 比留間敏夫殿
「スポーツ及び文化に関する教育事務を、地方公共団体の長が管理及び執行することとする条例」に対する教育委員会の意見聴取について(回答)
平成二十年二月十三日付一九議事第四一一号により照会があった議案に係る教育委員会の意見は左記のとおりです。
 記
一 提出議案
第六十六号議案 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十四条の二の規定に基づく職務権限の特例に関する条例
二 意見
一について、異議ありません。

○六十七番(石森たかゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、日程第一から第三十までについては、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。
〇議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第三十までは、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託することに決定をいたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名したいと思います。これにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定をいたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第三十一から第百三十一までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、日程第三十一から第百三十一までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。

○議長(比留間敏夫君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一及び第二、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
  〔大村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件

一九財主議第四二八号
平成二十年二月二十日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 比留間敏夫殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、左記の者は平成二十年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。


鎌田  薫

略歴
現住所 東京都府中市
鎌田  薫
昭和二十三年一月十八日生(六十歳)
昭和四十五年三月 早稲田大学第一法学部卒業
昭和四十七年三月 早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了
昭和四十八年四月 早稲田大学法学部助手
昭和五十一年四月 早稲田大学法学部専任講師
昭和五十三年四月 早稲田大学法学部助教授
昭和五十六年十月 日本土地法学会理事
昭和五十八年四月 早稲田大学法学部教授
平成四年五月   社団法人日本都市計画学会理事
平成七年十一月  臨時大深度地下利用調査会委員
平成八年五月   社団法人日本都市計画学会評議員
平成八年十月   金融法学会理事
平成九年十一月  医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構評議員
平成九年十二月  財団法人医薬情報担当者教育センター理事
平成十年十二月  法務省法制審議会民法部会委員
         法務省法制審議会倒産法部会委員
平成十一年四月  日仏法学会理事
平成十一年七月  財団法人民事法務協会理事
平成十三年一月  法務省法制審議会臨時委員
平成十三年一月  厚生労働省薬事・食品衛生審議会臨時委員
平成十三年三月  経済産業省産業構造審議会臨時委員
平成十三年四月  財団法人日弁連法務研究財団評議員
平成十三年七月  東京都収用委員会予備委員(12月19日から31日まで委員)
平成十五年六月  司法修習委員会委員(委員長代理)
平成十五年十月  法務省法制審議会不動産登記法部会長
平成十六年三月  法務省法制審議会人名用漢字部会長
平成十六年四月  早稲田大学大学院法務研究科教授
平成十六年四月  日本さい帯血バンクネットワーク会長
平成十七年四月  早稲田大学大学院法務研究科長
平成十七年四月  東京都収用委員会委員
平成十七年七月  国土交通省土地鑑定委員会委員長
現在       早稲田大学大学院法務研究科長

一九財主議第四二九号
平成二十年二月二十日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 比留間敏夫殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、左記の者は平成二十年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
 記
熊澤 光司

略歴
現住所 神奈川県茅ヶ崎市
熊澤 光司
昭和十八年十二月二十八日生(六十四歳)
昭和四十三年三月 早稲田大学第一法学部卒業
昭和四十三年四月 財団法人日本不動産研究所入所
昭和四十七年三月 不動産鑑定士登録
平成六年七月   地価公示東京都区部第二分科会幹事
平成七年四月   地価調査東京都区部第二分科会幹事
平成七年十一月  東京都財産価格審議会委員
平成十一年三月  社団法人東京都不動産鑑定士協会副会長
平成十二年三月  社団法人全国市街地再開発協会債務保証審査会委員
平成十三年九月  年金資金運用基金保養基地資産処分検討委員会委員
平成十四年四月  東京都収用委員会委員
現在       不動産鑑定士

○議長(比留間敏夫君) 本件は、起立により採決をいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

○議長(比留間敏夫君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定をいたしました。

○議長(比留間敏夫君) 追加日程第三及び第四、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
  〔大村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について二件

一九財主議第四三〇号
平成二十年二月二十日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 比留間敏夫殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、東京都収用委員会予備委員早川通治は平成二十年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
 記
岩崎  隆

略歴
現住所 東京都千代田区
岩崎  隆
昭和二十五年十一月二十八日生(五十七歳)
昭和四十八年三月 北海道大学工学部卒業
昭和四十八年四月 東急建設株式会社入社
昭和五十二年二月 一級土木施工管理技士資格取得
昭和五十九年三月 一級建築士登録
平成十二年二月  不動産鑑定士登録
平成十三年四月  加門鑑定事務所開業
平成十五年四月  社団法人東京都不動産鑑定士協会理事
平成十九年六月  社団法人日本不動産鑑定協会理事
現在       不動産鑑定士

一九財主議第四三一号
平成二十年二月二十日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 比留間敏夫殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、左記の者は平成二十年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
 記
金岡  昭

略歴
現住所 埼玉県ふじみ野市
金岡  昭
昭和十六年五月十七日生(六十六歳)
昭和四十年三月  島根大学文理学部卒業
昭和四十年四月  入都
昭和四十九年四月 司法修習終了
昭和五十年七月  東京都総務局法務部法務副主幹
昭和五十五年七月 東京都総務局法務部民事訟務課長
昭和六十年八月  東京都総務局主幹
平成四年七月   東京都総務局訟務担当部長
平成六年七月   東京都総務局審査法務担当部長
平成八年七月   東京都総務局法務部長
平成十三年七月  東京都退職
平成十三年八月  弁護士登録
平成十四年四月  東京都収用委員会予備委員
現在       弁護士

○議長(比留間敏夫君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

○議長(比留間敏夫君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定をいたしました。
〇議長(比留間敏夫君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願四件及び陳情六件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託をいたします。
〇議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 明二十九日から三月五日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、明二十九日から三月五日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、三月六日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
  午後六時二十六分散会

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