平成二十年東京都議会会議録第四号

○議長(比留間敏夫君) 十番西崎光子さん。
  〔十番西崎光子君登壇〕
  〔議長退席、副議長着席〕

○十番(西崎光子君) 初めに、平成二十年度予算に関連して伺います。
 好調な税収を背景に、平成二十年度一般会計の予算規模は六兆八千五百六十億円と、前年比三・八%の増となりました。全体に満遍なく予算をつけ、基金も積むなど、一見堅実ではありますが、ここに来て、にわかに赤ランプが点灯したのではないかという気がいたします。
 詳細は予算審議の中で触れたいと思いますが、ここでは知事の基本姿勢にもかかわる新銀行、低所得者対策、八ッ場ダムの三点について伺います。
 新銀行東京は、知事の二期目の公約として、無担保融資で中小企業を救うことを目標に、トップダウンで進められてきました。生活者ネットワークは、中小企業支援は制度融資などの拡充で行うべきであり、銀行経営は公の役割ではないと設立そのものに反対してきました。
 事業内容の詳細が示されないまま、予算案の中に一千億円の出資を入れ込んで一括審議とするなどの乱暴な提案で開業にこぎつけたものの、三年足らずで九百三十六億円の累積損失となり、知事は、発案は私でその責任はあるが、金融の専門家ではない、経営者に責任があると責任を転嫁する発言を繰り返しています。
 知事は、旧経営陣の経営責任について、どこまで明らかにしていくのか、刑事告発を含めた法的責任まで問うていくのかどうか、見解を伺います。
 知事はこの間、融資を受けた中小企業に対する責任があることを繰り返していますが、一千億円プラス四百億円の出資金のもとである納税者への責任についての認識が薄いことは遺憾です。
 本来ならば、福祉や教育、子どもの未来のために投資されるべき貴重な財源が、この三年間で、一日一億円の割合でむだに消えていったことになります。その責任を重く受けとめるべきです。
 今回の提案の最終的決定において、この問題の責任を明確にせずして、税金を払う都民への都議会の責任を果たすことはできません。解明のためには、関係者への聴取を議会の権限において行う必要があります。
 都議会生活者ネットワークを代表して、都議会の皆様方に、都議会の総意において地方自治法上の百条委員会の設置を提案したいということを申し述べておきます。
 次に、低所得者対策についてですが、今、働く現場は、非正規雇用で使い捨ての雇用が横行し、正規職員でさえサービス残業で悲鳴を上げている現状です。貧困者の救済を考えるときに、社会からの孤立感、疎外感を払拭していくことや、勤労意欲を持たせることも重要です。一人一人が自助努力をするのを助けるという従来型の就労支援では限界があり、包括的な貧困対策の再構築が急務です。
 低所得者対策は、身近な自治体にとっても喫緊の課題です。これまで、当事者の声を聞き、生活支援や自立支援に取り組んできており、地域によって、求められる支援策もさまざまです。
 こうした状況の中、区市町村からは、今回の都のプログラムを既にある自治体施策とどう連携させるのか、また、三年間の期限つき事業であることから、継続的な事業が組めないこと、窓口の人材確保をどのように行うのかなど、不安や戸惑いの声が上がっています。
 そこで、今回の都の施策を成功させるためには、当事者のニーズを一番つかんでいる自治体の声を十分反映させ、施策に生かしていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 国土交通省は昨年十二月、八ッ場ダムの工期を五年間延長し、二〇一五年までとすると発表しました。八ッ場ダムは一九八六年に計画され、その後、二〇〇一年には工期延長、二〇〇三年事業費増額で、今回は三回目の変更となります。ここまでの変更を経ても、いまだ本体工事に手がついていない現状が、この事業の困難さを物語っています。
 東京の水需要は、一九七五年の日量六百二十万トンから徐々に減少し、現在では五百万トンを割ろうとしているにもかかわらず、二〇一三年度に日量六百万トンという水需要予測を見直そうとはしていません。このような過剰な水需要を満たすために、地域住民を分断し、自然を破壊してまで、巨費を使ってダム事業を進める価値があるか、疑問です。
 ダム建設をめぐっては、公共事業のあり方を問う住民訴訟が東京地裁で進行中です。
 石原知事は、国土交通省が発表した基本計画変更に対し、今後の工期の延長と事業費の増額がないようにという意見を付して同意するとしています。
 持続可能な社会づくりが進められている今、ダムに頼るよりも、節水意識を高めるとともに、身近な地下水を活用するなど、新たな時代の水資源の確保を考えるべきと思いますが、見解を伺います。
 都は、二〇二〇年までに二五%の温暖化ガス排出削減という目標を立て、取り組みを開始しました。温暖化対策という地球的課題への解決策として、この目標をどう達成していくか、都民、基礎自治体が一体となった取り組みが求められます。
 特に、温暖化排出ガス量は市民にとってわかりにくく、努力の結果どうなっているかも把握しにくい現状があります。東京都はさまざまな場面で情報を伝える努力をしているようですが、この温暖化ガス情報を定期的に、だれにでもわかるよう工夫して発信することで市民の喚起を促すことがまず重要と考えます。
 現状の共通の理解こそ、大きな一歩につながります。市民、自治体への情報提供についての見解をお伺いします。
 今議会には都立高校の授業料の値上げの提案がされています。クーラーの設置に伴う経費増が主な理由です。教育庁は、学校における環境都市づくりとして、都立高校の芝生化、緑化、太陽光発電などを来年度予算に計上していますが、教育を実施している立場として、学校でのCO2発生がどのくらいで、今後の対策でどのくらい排出量が相殺されるかをしっかり示し、省エネを含めた取り組みをすべての都立高校で展開すべきでしょう。
 自分たちの選択が少しでも自然に負荷を与えない配慮を身をもって示すことが、何よりの生きた教育になります。都立高校での温暖化対策について見解を伺います。
 環境確保条例改正に向けての中間報告では、事業者に削減義務を課す制度が示されていますが、事業者に義務を課す以上、都の施設、事業での削減義務づけを制度の前倒しで行い、都内自治体も含む公的セクターでの取り組みを広げていくべきと考えます。
 その一端として、都内の清掃工場におけるCO2の排出抑制について伺います。
 東京都は、二〇〇四年の廃棄物審議会の答申において、埋立処分場の延命のため、プラスチックを埋立不可物としました。現在、二十三区は分別区分を変更し、これまで不燃ごみであったプラスチックごみを可燃ごみとするモデル事業が開始されています。二十三区の清掃工場がプラスチックを焼却することによって、CO2排出が削減どころか増加することは明らかです。区に移管された以上、ごみの分別方法、処理方法を決めるのは各区ですが、地球温暖化の防止の観点から、資源化できるプラスチックは焼却すべきではないと考えます。
 二十三区のすべてが、分別区分の変更に先んじて、容器包装その他プラスチックの資源化に取り組むことができるよう、都として支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、食品安全について伺います。
 昨年は、食品の偽装問題や虚偽表示の問題が連日のように報道され、事業者や食品に対する都民の不信や不安が、かつてないほど高まりました。
 こうした中、中国産冷凍ギョーザによって、兵庫県と千葉県で十名もの人が有機燐系農薬による中毒を起こすという前代未聞の事件が発生しました。この事件の原因究明は現在も行われていますが、社会に与えた衝撃と影響は非常に大きく、これを契機に、輸入食品に対する都民、消費者の不安はさらに高まってきた感があります。
 東京都は食品安全条例を設けていますが、この中で輸入食品の安全確保に対する基本的な取り組み方針を伺います。
 次に、今回の冷凍ギョーザ事件のように、食品による深刻な健康被害が発生した場合には、被害拡大防止のため、原因となった食品をいち早く市場から排除する必要があります。
 このため、行政による監視、指導はもとより、事業者みずからも、消費者等から寄せられた苦情を十分に把握し、原因あるいはその疑いのある食品を迅速に市場から排除するよう努めることが重要な責務であると考えます。また、健康被害が発生していない場合であっても、食品への異物混入事例などがあった際には、被害の未然防止のため、事業者が自主回収を行うことが必要な場合もあります。
 平成十六年に施行された東京都食品安全条例には、自主回収報告制度の規定が盛り込まれていますが、この制度について、改めてその意義と効果について伺います。
 また、他県の学校給食では輸入冷凍食品や半調理品の利用が明らかになりましたが、東京都の学校給食においては、輸入品や加工食品を避け、手づくりを推進するなどの方針に基づいており、その取り組みを評価したいと思います。今後、民間委託や弁当給食など学校給食の多様化が進むと思われますが、安全性の確保については一歩も譲らない姿勢を貫くよう要望します。
 さて、日本では、食糧輸入は増加の一途をたどっており、食糧自給率は四〇%を割っています。一方で、国内の食糧生産地である農村の疲弊、高齢化は顕著で、限界集落が問題になり、加工場も工賃の安い中国等に移って、地域の働く場をなくしています。これは、国の農政の失敗にほかなりません。
 食の安全は身近なところで生産を確認できることが一番と考える人がふえ、消費地に近い都市農業への期待は一層高まっています。
 今回、輸入食品への農薬混入事件は、国内においても、使用禁止農薬の周知徹底や使い残した農薬の処理の問題まで表面化されました。ポジティブリスト制度など、農薬についての規制は厳しくなっていますが、使用者への継続的な注意喚起が必要です。都は、農薬の適正使用はもちろんのこと、なるべく農薬を使わない農業を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 発達障害支援について、東京都では、法整備される以前の平成十五年一月より東京都発達障害者支援センターを設置し、障害者や家族への相談支援を初め、区市町村の関係機関からの相談に当たっています。
 先日、私は、世田谷区にあるこの施設を視察し、事業等について相談員からお話を伺いました。乳幼児や学童期の障害者に対する相談より、思春期以降の相談が全体の七割を占めていることから、改めてライフステージに応じた総合的な支援が可能となる体制整備の重要性を認識したところです。
 発達障害支援に当たっては、このようなセンターが東京都に一カ所しかないことから、本センターに寄せられる相談件数は年々増加し、その内容も複雑で多様化しています。そのため、都内全域を支援していくには限界があります。身近な地域において、すべての障害者がきめ細やかなサービスが受けられる相談や支援体制が必要です。しかし、現状は、相談窓口一つとっても、専門員の配置をしている区市町村は少なく、サービスについても格差が生じています。
 これからの各地域での発達障害者に対する相談体制を整備するため、区市町村の相談担当者の資質向上が求められます。都の所見を伺います。
 東京都では、現在、発達障害者の早期発見、早期対応のための支援手法を開発するモデル事業を世田谷区で行っています。発達障害者支援については、早期に発見し、気づいてあげる方法も必要ですが、それだけでは、障害を告知したために親がパニックになり、子どもを虐待してしまうこともあります。家族への支援や相談体制の充実、さらには地域生活や就労支援など、発達障害のある子どもの成長に沿った一貫した支援を地域や社会で支えていく体制整備が必要です。
 そこで、これまでのモデル事業ではどのような成果が得られ、今後どのようにほかの区市町村に広げていくのか、伺います。
 最後に、男女共同参画の推進について伺います。
 労働者の仕事と生活の調和、すなわちワークライフバランスなどへの考え方に国際的にも関心が高まっています。男女がともに自分らしい生き方を選択でき、あらゆる年代において、仕事と子育てだけではなく、介護や社会活動などが両立できる社会を実現していくことが求められます。
 このたび、東京都男女平等参画審議会専門調査会から、企業の実態に即したワークライフバランスの推進についての報告書が出されましたが、この調査報告では現状についてどのように認識しているのか、都の見解を伺います。
 今回の報告の中では、ワークライフバランスの施策がなかなか進まない課題として、経営戦略、人事評価・処遇、職場のマネジメント、個人の意識改革の四点から分析しており、このような課題解決に向けた取り組みを進めていく必要があります。
 都は、平成二十年度予算案で「十年後の東京」の実行プログラム事業として、仕事と生活の調和に向けた具体方策に関する実践プログラムを作成し、企業などの取り組みを促進するとともに、社会全体でのワークライフバランスの推進に取り組んでいくことになっていますが、作成に当たっては、企業の参加も行いながら進めていく必要があると考えます。今後どのように実施していくのか、伺います。
 仕事と子育てなど家庭生活が両立できる企業は、優秀な人材が確保できることや、社員の満足度が高まりモチベーションが向上するなど、さまざまなプラス効果が見込まれています。
 今定例会の石原知事の施政方針で、仕事と家庭生活の両立について触れ、都独自の助成制度により、仕事と子育てを両立させる職場づくりに取り組む中小企業を支援すると述べられており、今後どのように支援していくのか、都の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 西崎光子議員の一般質問にお答えいたします。
 新銀行東京の旧経営陣の経営責任についてでありますが、新銀行東京は、中小企業を支える銀行として独自の役割を果たしてきましたが、旧経営陣の常識では考えられない経営の結果、厳しい経営状態に陥っております。
 新銀行東京の経営がどうしてここまで悪化したかについては、速やかにその原因が究明されなくてはならないと思います。現在、新銀行東京において、経営不振を招いた原因究明のための詳細な調査が進められておりまして、その結果は発表してまいります。
 都としては、本調査の結果や新銀行東京の今後の対応を踏まえ、必要な措置を講じてまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
  〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 都立高校の温暖化対策のご質問にお答え申し上げます。
 都立高校では、これまでも、改築や大規模改修等の機会を利用いたしまして、太陽光発電機の設置や雨水のトイレ洗浄水への利用、屋上緑化や壁面緑化、効率のよい照明器具の活用など、温暖化対策を実施してまいりました。
 また、教育活動におきましては、公民科の授業等で、生徒が公害防止や地球温暖化など環境問題について考える教育を行うとともに、今年度から必修化されました「奉仕」等の時間の中で、リサイクルなどの環境保全活動についても取り組んでおります。
 今後とも、都立学校で実施していくさまざまな温暖化対策が生徒の教育活動にも生かされるよう配慮しながら、環境対策の一層の充実に努めてまいります。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 五点についてお答えをいたします。
 まず、低所得者対策についてであります。
 今回の対策におきましては、住民に身近な地域で対象者一人一人の実情を踏まえた効果的な対応を行っていく必要があることから、区市町村に相談窓口を新たに設けることとしております。現在、区市町村を初めとする関係機関と緊密に連携しながら、円滑な実施に向けた準備を進めております。
 次に、輸入食品の安全確保に対する基本的な方針についてでありますが、都は、食品の安全の確保に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、食品安全条例に基づき、食品安全推進計画を策定しております。この計画の中で、輸入食品の安全確保対策を重点的かつ優先的に推進する施策として位置づけ、着実に実施をしております。
 具体的には、輸入食品監視班による監視や、検疫所の違反情報等に基づく的確迅速な検査などを実施するとともに、輸入事業者の安全対策を指導する講習会などを開催しております。
 今後とも、本計画に基づき、輸入食品の安全確保に努めてまいります。
 次に、食品の自主回収報告制度についてでありますが、自主回収報告制度は、食品安全条例に基づき、全国に先駆けて都が制定したものであります。
 この制度は、都内の事業者が取り扱っている食品について、食品衛生法違反等のおそれがあるとして自主回収を決定した場合に、都へ報告することを義務づけ、都がこの情報を迅速に都民に周知することにより、回収を促進するものでございます。これにより、健康への悪影響のある食品の回収が徹底され、健康被害の発生や拡大の防止が図られていると考えております。
 次に、発達障害者支援に関する区市町村相談担当者の資質向上についてでありますが、都はこれまでも、区市町村等の保健師や保育士などを対象とした母子保健研修の中で、発達障害をテーマにした基礎的な研修を実施してまいりました。また、発達障害者支援センターにおきましても、区市町村の職員等を対象に専門的な助言指導や実践的な研修を実施しております。
 引き続き、区市町村の相談担当者の資質向上に向け、取り組んでまいります。
 最後に、発達障害者支援のモデル事業についてでありますが、平成十七年度から世田谷区において、発達障害者のライフステージに応じた支援体制を整備するためのモデル事業を実施しております。この取り組みの中で、保護者が幼児期の子どもの発達状況を確認することで、障害の早期診察につながり、療育等の継続的な支援が可能となるなどの成果が確認をされてきております。
 今後、このモデル事業を評価、検証し、発達障害者に対する効果的な支援方法を取りまとめ、区市町村に周知していくこととしております。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 八ッ場ダムについてでございます。
 都市を支える水資源を確保することは国や自治体の重要な責務でございます。都はこれまでも、水源地の皆様の理解と協力を得ながら、国や関係自治体とともに、必要なダム開発を推進してきました。
 水源確保につきましては、将来の水需要や、先ほど水道局長からもありましたけれども、渇水に対する備えなどを総合的に検証して、長期的な観点から取り組んでおり、八ッ場ダムは、治水、利水の両面から必要不可欠と考えております。
 なお、地下水につきましては、地盤沈下や水質の面から、将来にわたる安定的な水源として位置づけるべきではないと考えております。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) まず、温暖化ガス排出量に関する情報提供についてでございますが、都は現在、都内全体の温暖化ガス排出量を毎年取りまとめ、家庭や業務など部門別排出量に分け、データをグラフ化するなどして、ホームページ上で公開しております。
 一方、区市町村におきましても、みずからの区域内の温暖化ガス排出量を取りまとめ、公表するなどの動きがあることから、都の有するデータ等を提供するなど、区市町村とも連携し、よりわかりやすい情報提供に努めてまいります。
 また、家庭や職場、地域等における個々の省エネ、節電の取り組みとCO2排出量の削減が直接結びついていることが感じられるような情報提供のあり方についても、今後検討してまいります。
 次に、廃プラスチックの資源化に対する支援についてでございますが、埋立処分場の延命化のため、廃プラスチックはできる限り分別収集し、原材料として再利用するとともに、汚れが付着しているなど再利用に適さないものは焼却し、エネルギー回収を行うことが必要でございます。
 区部では、既に十二区が廃プラスチックの分別収集を実施しております。今後、新たに六区が加わり、二十三区全体の分別収集量も五年間で年間約二千トンから約五万トンに増加する見込みでございます。
 都は、今後とも広域自治体として、各区の取り組みが促進されるようリサイクルに関する普及啓発や、資源化施設の整備に対する技術的支援を行ってまいります。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、農薬使用の少ない農業の推進についてでございますが、都は、農産物の安全確保を図るため、従来から農薬に関する法令の遵守や使用記録の保管など、農薬の適正使用に関する指導を実施してきております。
 また、農薬だけに頼らない農業生産を進めるため、病害虫に対する天敵利用や、抵抗性のある品種の利用など、病害虫や雑草による被害を総合的に抑制する技術や手法の開発、普及に努めております。
 今後ともこうした取り組みによりまして、農薬や化学肥料の減量に取り組むエコファーマーをふやすとともに、有機農産物を初めとする特別栽培農産物等の生産を支援し、都民に信頼される農業を推進してまいります。
 次に、ワークライフバランスの実現に向けた中小企業への支援についてでありますが、都では、中小企業における仕事と家庭の両立支援を促進するため、今年度からアドバイザーを設置しまして、企業における行動計画策定などの相談に対応をしております。
 また、中小企業を対象とする助成制度を創設し、資金面の支援も開始したところでございます。さらに、来年度は、助成金の規模等を拡大するとともに、企業の両立支援責任者などに対する研修会を実施し、中小企業における仕事と家庭の両立に向けた取り組みを支援してまいります。
 〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)
ワークライフバランスの現状についてでありますが、東京都男女平等参画審議会専門調査会報告によると、仕事と家庭との両立を支援するため、育児・介護休業法や次世代育成支援対策推進法などの法律の整備が進んできており、法定以上のさまざまな両立支援のための制度を導入する企業もふえてきているとしております。
 また、専門調査会は、国等の調査に基づき、仕事、家庭、プライベートを両立することを希望していても、現実には仕事優先となっている人が多いことや、休暇が取りにくいこと、労働時間が長いことが、仕事と生活の調和の支障になっていると報告しております。
 このように企業において導入された制度が必ずしも活用されておらず、ワークライフバランスが十分に実現されているとはいいがたい状況にあると認識しております。
 次に、ワークライフバランス実践プログラムについてでありますが、実践プログラムは専門調査会報告も生かし、先進企業の取り組み事例に基づいてワークライフバランスのメリット、推進のための課題や具体的方策などを明らかにすることを意図するものであります。
 例えば、休暇や休業の取得促進について、経営戦略、人事評価、職場のマネジメントなどの視点から取り組みを示すとともに、両立支援のための助成金等の支援策についても紹介することを予定しております。
 このため、作成段階から、企業との意見交換を行い、実態を踏まえたプログラムとするとともに、このプログラムを活用した戦略的な働きかけを行って、企業の具体的な取り組みを促進してまいります。