午後五時二十分開議
○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
十九番高倉良生君。
〔十九番高倉良生君登壇〕
○十九番(高倉良生君) 私は、二月十七日の東京マラソンで、初めてフルマラソンを完走することができました。タイムは制限時間ぎりぎりの六時間三十三分でした。運営関係者の皆様や大会を陰で支えてくださった数多くのボランティアの皆様、そして沿道で声援を送ってくださった皆様に心から感謝を申し上げます。
今回の東京マラソンは環境に配慮した大会でした。私は、オリンピック招致のロゴマークをあしらった靴ひもを結び、招致推進のブルゾンを着たほか、手には緑色のリボンをつけて走りました。ゴールでは、完走記念として、緑の東京募金のPRのために緑色の靴ひもをいただきました。
来年は二〇一六年のオリンピック開催都市が決定する年であります。知事は、今回のマラソンを、東京が一つになったと表現されました。今回の大会では市民ランナーが全国各地から参加し、また外国人も多数参加しています。来年の第三回東京マラソンは、日本が一つになるようにオリンピック招致の機運を全国にさらに広げ、また、都民と一緒になって進める環境先進都市東京の姿をより具体的に内外にアピールする記念イベントとすべきです。知事の所見を伺います。
東京マラソンは、スタートしてすぐ、外堀沿いの大変気持ちのいいコースを走ります。お堀は東京の顔、日本の顔であります。私は、外堀などの水質向上を図り、ホタルが飛び交うほどの水辺が創出されれば、首都東京の新たな環境のシンボルになると思っています。
昨年十二月、東京都庁で表彰式が行われた、「明日のTOKYO」作文コンクールで最優秀賞に選ばれた女子中学生の作文でも、お堀の水が取り上げられ、さらに水がきれいになったらどれだけ美しくなるのだろうとつづられています。
二〇一六年のオリンピック招致に向け、東京の魅力を引き出す取り組みは大事であると考えます。その一つとして、国や地元区などと連携して外堀などの水の浄化を進めることが重要だと考えます。そのためには外堀のしゅんせつが必要と考えますが、見解を伺います。
次に、CO2削減策について質問します。
私は昨年、東京電力の技術開発研究所を訪れ、公道も走れる電気自動車に試乗しました。加速性能を初め、機能はガソリン車と比べて全く遜色なく、大変快適でした。一回の充電で八十キロメートルの距離を走ることができ、東電では日常業務にも活用し、大幅に導入をふやす計画とのことです。また、国土交通省は今月、羽田空港で非接触給電ハイブリッドバスの実証事業を行い、早期の実用化に結びつけようとしています。
地球温暖化対策への取り組みを進めるためには、自動車交通からのCO2削減を図ることが必要であり、電気自動車やプラグインハイブリッド車など、次世代自動車の普及拡大に取り組むことは極めて有効と考えます。普及への手始めとして、大会運営に環境への配慮を打ち出している東京マラソンでの活用は最適であり、効果的にアピールすることができると考えます。このような多くの都民が注目する大規模イベントを通して普及を進めるべきと考えます。所見を伺います。
最新の電気自動車等は、ガソリン車やディーゼル自動車との価格差などを考えると、事業者や都民が購入に慎重になることが懸念されます。そこで、都として、電気自動車等の購入への財政支援など、さまざまな施策を行うことによって普及拡大に努めるべきであります。所見を伺います。
また、都はみずから多くの自動車を保有しております。公用車や建設事務所のパトロール車を初め、水道局や下水道局など多数の局が日常業務で庁有車を使用しています。
そこで、都は庁有車への電気自動車等の導入を積極的に進め、みずから排出する自動車からのCO2の削減を図るべきです。そして、実際の業務に使用することで得られるノウハウを事業者や都民に提供することにより、普及拡大に弾みをつけるべきと考えます。所見を伺います。
今回、東京マラソンの事前受け付けの会場には緑の東京募金のコーナーがありました。環境施策を推進する上で、広く都民が参加する形でその理解と協力を広げていくことは重要です。環境先進都市東京を都民と一緒になって実現していくため、寄附は有効な手法の一つです。都民の中に寄附文化の醸成を図り、緑を守る意識を掘り起こし、東京全体で緑のムーブメントを起こしていく取り組みが肝要であると考えます。所見を伺います。
次に、携帯電話などに含まれるレアメタルのリサイクルについてであります。
産業のビタミンともいわれるレアメタルは、量の確保が不安定な状況が続き、世界の資源価格は高どまりしていると聞いています。資源のない日本は、レアメタルの安定供給を確保するため、廃棄物リサイクルを強化していく必要に迫られています。人口が集積している東京は、レアメタルを含む電子機器が多く廃棄されており、そのリサイクルは重要な課題と考えます。首都東京におけるレアメタルのリサイクルの必要性と効果について見解を伺います。
国民一人が一台保有するほど普及している携帯電話には、金やパラジウムといったレアメタルが使用されています。この携帯電話については、平成十三年から、メーカーと通信事業者による自己回収システム、モバイル・リサイクル・ネットワークが導入されています。しかし、このシステムでの回収が年々減少しているのが現状です。私も、携帯電話を買いかえる際、回収・リサイクルをしていることを伝えられた記憶がなく、我が家にも使用済みの携帯電話が何台もあります。
このままでは貴重なレアメタルがむだに眠ってしまうことになります。都は、レアメタルリサイクルを強化していくために、携帯電話の回収促進に乗り出すべきであります。また、回収によって生み出された成果については、リサイクルに寄せる都民の思いの結晶として、環境施策の前進につながる活用を推進すべきであります。あわせて見解を伺います。
次に、がん検診について伺います。
国のがん対策推進基本計画では、十年間で七十五歳未満の年齢調整死亡率を二〇%減少させるとしています。死亡率を二〇%減少させることについて、国立がんセンターの推計によれば、がん治療の進歩による自然減により、十年間で一〇%程度の効果があるとし、さらに、がん治療の底上げで四・九%、そして、がん検診の受診率向上で三・九%などの効果があるとしています。がん検診の受診率向上で三・九%の効果があるということは、全国で年間三十二万人に上るがん死者のうち、受診率向上に取り組めば一万二千人以上もの人が救えるということになります。これは大変な数字であります。
策定中の東京都がん対策推進計画では、がん検診受診率五〇%を目指すとされています。しかし、東京都では企業で働く人が多いことから、区市町村におけるがん検診だけでは目標の達成は難しい状況です。がん検診は、区市町村が実施する検診のほかに、企業でも実施されています。都民の受診率を向上させるためには、これら企業でのがん検診の受診をさらに促進する必要があると考えます。具体策について所見を伺います。
都民のがんによる死亡率を減少させるには、より質の高い検診が行われることが重要です。東京都がん対策推進計画でも、区市町村のがん検診において精度管理の実施を目標に掲げています。すべての区市町村がより質の高い検診を実施できるよう、都としても支援を行うべきであります。所見を伺います。
がんの中でも、特に乳がんは比較的若い年代からかかる人が多いがんです。東京都の乳がんによる死亡率は全国で最も高い状況にあります。
乳がんの早期発見にはマンモグラフィー検診を受診することが最も望ましいとされていますが、その一方で、日常的にできる自己チェックは、予防意識を高め、検診を受診するきっかけになるものと考えます。最近は、しこりなどをより見つけやすくする手袋など、自己チェック用のグッズも出てきております。また、浴室で自己チェックするためのカードを配布するなどの工夫をしている自治体もあります。都は、検診を受診するきっかけともなる、こうした乳がんの自己チェックの普及に積極的に取り組むべきと考えます。所見を伺います。
次に、踏切対策について質問します。
私の地元、中野区にある西武新宿線の踏切の多くはあかずの踏切であり、その解消は住民の長年にわたる切実な願いであります。このたび、西武新宿線の中井駅から野方駅間について、国から連続立体交差事業の新規着工準備採択の内示を受けたことは、あかずの踏切解消への大きな一歩を踏み出したものであり、この間の東京都の積極的な取り組みを高く評価するものであります。
都は現在、連続立体交差事業を積極的に進めているところですが、都内にはまだまだ数多くのあかずの踏切が残されており、その解消には多くの時間を必要とします。このため、連続立体交差事業などの抜本的な対策と並行して、即効性のある対策を実施することが必要と考えます。
国土交通省では今月、西武新宿線の都立家政駅で、踏切迂回のため、一たん改札を入って、駅構内の通路を通って線路を渡り、反対側の改札から出るという実証実験を実施しました。自由通路のない駅でも、駅構内を通行させることで踏切を迂回させることが可能となる試みです。
先日、その現場を見てまいりました。同じように駅構内の通路が活用できそうな駅は、この都立家政駅の近くだけでも、新井薬師前駅、沼袋駅、下落合駅などがあるように思います。さらに、都内にもこうした駅が数多くあるはずであります。
そこで、都としても、このような早期に実施可能なあかずの踏切対策を都内全域で進めていくべきと考えます。見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 高倉良生議員の一般質問にお答えいたします。
来年開催する東京マラソンについてでありますが、今回の東京マラソンにおいては、さまざまなイベントを行うなど、オリンピック招致について広くアピールもいたしました。また、使用電力を太陽光発電などのグリーン電力で賄うとともに、大会関係者やボランティアは再生素材一〇〇%のコートや帽子を着用するなど、積極的に地球温暖化対策に取り組みました。
来年は二〇一六年のオリンピック開催都市が決定される重要な年でありますが、今や、大規模なスポーツイベントを開催する際に環境に配慮しない大会は、あるいはそういう都市は評価されない傾向にあります。第三回東京マラソンでは、ランナーや観衆がより一層スポーツの楽しさを共感できる大会にするとともに、環境の配慮を徹底して進めることによりまして、低炭素型都市に果敢に挑む東京の姿を世界に向かって発信していきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁します。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) 外堀のしゅんせつについてのご質問でありますが、外堀は豊かな水と緑に恵まれた貴重な文化遺産であり、その水質向上を図ることは、首都東京のシンボルにふさわしい景観を創出するための重要な課題となっております。
水質向上を図るためには堆積土のしゅんせつは効果が大きいことから、これまでの関係区との協議の経過を踏まえ、しゅんせつの実施にかかわる課題解決に向け、関係機関と調整してまいります。
〔環境局長吉川和夫君登壇〕
○環境局長(吉川和夫君) 六点のご質問にお答えします。
まず、大規模イベントを通じた電気自動車等の普及についてでございますが、都は、カーボンマイナス東京十年プロジェクトに基づき、都民参加型イベントや東京マラソンの活用などにより、CO2削減の機運醸成を図っていくこととしております。
今回の東京マラソンでは、先導車へのハイブリッド車の使用など、地球温暖化防止に向けての取り組みを多くの都民に印象づけました。このような大きなイベントを通じた普及啓発は有効なアピールの手法であることから、今後、カーボンマイナス都市づくり推進本部のもとに設置した環境交通ネットワーク部会におきまして、イベント等における利用に適した自動車の選定など、具体的な方策を検討してまいります。
次に、電気自動車等の事業者や都民への普及拡大についてでございますが、電気自動車やハイブリッド車につきましては、現状においても、低公害性に着目して、購入の際、環境保全資金融資あっせん制度の対象となっております。
今後、CO2排出量が少ないなど、より性能のすぐれた新たな電気自動車やプラグインハイブリッド車が本格的に市場投入されることが見込まれますが、依然として、同クラスのガソリン自動車などに比べ、一回の充電で走行できる距離が短いことや価格が高いなどの課題がございます。
このため、これらの自動車の特徴を踏まえ、目的や用途に応じ、低燃費車の利用等を促す事業者向けや都民向けのガイドラインを策定してまいります。また、新たな電気自動車等の購入を促進するため、各種支援策の構築に向けて、需給動向などの調査に着手してまいります。
次に、庁有車への電気自動車等の導入についてでございますが、庁有車に電気自動車等を導入することは、CO2排出量の削減に直接寄与するとともに、事業者や都民に使用のあり方を示すことにより、これらの自動車の普及拡大につながることが期待されます。
このため、市場投入の動向や業務への適合性などを踏まえながら、先ほども申し上げました環境交通ネットワーク部会におきまして、都庁の率先行動の一つとして、電気自動車を含む低公害かつ低燃費な自動車の庁有車への導入を検討してまいります。
次に、緑のムーブメントの取り組みについてでございますが、東京を真に緑あふれる都市に再生していくためには、一人でも多くの都民が緑に関心を持ち、緑を植え、守り、育てる取り組みに積極的に参加していただくことが何よりも重要でございます。
このような趣旨からつくられた緑の東京募金をより身近で参加しやすいものとするため、インターネットを通じても募金できるよう簡便な仕組みをつくるとともに、海の森での植樹祭の実施などを通じて、募金の成果を寄附された方に伝えるよう努めてまいります。あわせて、今後予定されている寄附税制の改正内容についてもわかりやすく周知してまいります。これら運営面でさまざまな工夫を凝らしながら粘り強く募金活動を展開し、東京における寄附文化の醸成を目指してまいります。
次に、レアメタルのリサイクルの必要性と効果についてでございますが、パソコンや携帯電話などの電子機器類にはさまざまなレアメタルが使用されており、国内で流通、廃棄された製品に含まれるレアメタルの量は世界有数の資源国の埋蔵量に匹敵し、中でも液晶ディスプレーや電子レンジ、デジタルカメラなどに使われているインジウムは、世界の天然鉱山の現有埋蔵量の約六〇%に相当するとの国の研究機関による試算も発表されております。大都市東京において、不要になった製品からレアメタルを回収し、資源として再生すれば、世界でも有数の埋蔵量を有する、いわゆる都市鉱山になり得るものと考えております。
最後に、携帯電話のリサイクルについてでございますが、不要になった携帯電話は、写真などのデータを保存するため、所有者の手元に残される傾向にございます。また、処分する際にも、事業者による携帯電話の回収システムの存在やレアメタルが含まれていることをご存じないことから、ごみとして廃棄される例もございます。
このため、都はこれまで事業者回収システムの活用策を検討してまいりましたが、来月、回収システムを運用している事業者団体や、ごみ処理事業を担っている区市町村による協議の場を立ち上げ、回収率の向上に取り組んでまいります。あわせて、この協議の場で、回収への協力が環境への貢献につながるということを所有者の皆様に実感していただける具体的な方策についても検討してまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) がん対策についての三点についてお答えを申し上げます。
まず、職域におけるがん検診の促進についてでありますが、昨年度行いました都民の生活実態に関する調査によりますと、区市町村が行うがん検診の受診者数とほぼ同数が職域の検診を受診しておりますので、受診率の向上には、区市町村の検診と同様に、職域での受診を促進していく必要がございます。
このため、平成二十年度に職域におけるがん検診の実態調査を行い、受診率向上に効果のあった実践事例を企業や医療保険者に紹介するなど、職域での受診のための取り組みを促してまいります。
また、全国に比べて死亡率が特に高い乳がんにつきましては、各職場における検診にも活用できますマンモグラフィー検診車の整備を支援することにより、受診機会の確保に努めてまいります。
次に、がん検診の質の向上についてでありますが、区市町村において質の高い検診が行われますことは、がんを早期に発見するために重要であります。
これまで都は、がん検診に携わる医師や診療放射線技師等の人材養成を行うとともに、区市町村が実施いたしますがん検診の実施方法や検診技術などにつきまして、毎年、専門家を交えて、評価や助言を行ってまいりました。
これらの成果を踏まえまして、今後、検査方法や判定基準などに関し留意すべき事項を盛り込んだガイドラインを新たに作成いたします。このガイドラインを活用し、すべての区市町村がより充実した精度管理を行い、質の高い効果的な検診が実施できますよう支援をしてまいります。
最後に、乳がんの自己チェックの普及についてでありますが、乳がんにつきましては、日常的な自己触診でも早期に異常に気づくことが可能であります。
このため、都は、都民向けの乳がん予防のリーフレットに、検診の必要性とあわせまして、自己チェックについて具体的な実施方法を掲載するなど、普及に努めているところでございます。
今後とも、ピンクリボン運動などを通じて、乳がんの自己チェックの普及啓発に努めますとともに、区市町村が実施をいたします、お話のあったような自己チェック用グッズを利用した独自の取り組みなどについても支援をしてまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 踏切対策についてでございますが、連続立体交差事業などの抜本的な対策に加えまして、早期に実施可能な対策を推進することは重要であるというふうに考えてございます。
このため、地元区市町や鉄道事業者などと連携し、駅の改良とあわせた自由通路の整備や踏切システムの改善など、地域の状況に応じた対策を促進しております。
お話の踏切対策の実証実験につきましては、その有効性などの検証結果を見定めた上で、必要な対応を検討してまいります。
今後とも、利用者の安全性と利便性の向上を早期に発揮する効果的な踏切対策につきまして、関係者間の連携を一層強化し、積極的に取り組んでまいります。
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