○議長(比留間敏夫君) 三十六番橘正剛君。
〔三十六番橘正剛君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○三十六番(橘正剛君) 初めに、温暖化防止に向けた家庭部門のCO2排出削減対策について質問します。
世界で最も環境負荷の少ない都市の実現は、石原知事が進める「十年後の東京」において極めて重要な政策として位置づけられております。今定例会の施政方針表明において、知事は、低炭素型都市への転換を平成二十年度から本格化させると強調し、社会の隅々にまで省エネ、節電を行き渡らせる仕組みを整えなければならないと強い決意を表明されました。公明党も、この認識を一にして、今後の政策展開に全力で取り組む決意であります。
都内のCO2排出量の部門別推移を見ますと、オフィスなどの業務部門と家庭部門の排出量の伸びが著しく、今後、この部門については一段と力を入れて対策を講じる必要があります。特に家庭部門においては、日常生活とCO2の排出削減、そして地球温暖化防止の関連が実感として結びつきにくいこともあって、都民ぐるみの具体的な運動として広がっていないのが現状であります。
都は、家庭部門に対する今後の取り組みについて、太陽光発電、太陽熱利用、高効率給湯器の導入等を促進するとしておりますが、これとあわせて、家庭でできることから運動のすそ野を広げていくことも、CO2排出削減への大きなうねりになると考えます。知事の認識を伺います。
その一方策として、身近にできる実践項目と、それによるCO2排出削減効果を簡単に確認できるチェックリストカードを作成して、広く都民に配布し、すべて実践してチェックしたカードは、動物園、博物館、美術館など、都の主な施設の割引券として活用できるようにしてはどうかと思います。
こうしたことを通して日常生活を見直す契機とし、しかも実益のある形で取り組める都民参加のCO2排出削減ムーブメントを起こしていくべきと考えます。見解を伺います。
次に、高齢者の介護関連施設の整備について質問します。
都の推計によると、都内の高齢者は、七年後の平成二十七年には都民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者となり、要介護認定者も一・五倍の約五十四万人以上になると予測されております。これに伴って増大する介護需要にこたえていくためには、地域ケア体制における大きな役割が期待されている認知症高齢者グループホーム等の整備促進が求められております。
「十年後の東京」への実行プログラムによると、認知症高齢者グループホームについては、三年後の平成二十二年度の到達目標として、定員を六千二百人に増員するとしておりますが、単年度の利用定員増の推移を見ますと、十七年度は七百五十四人、十八年度が五百二十九人と、年を追って減少しております。
整備が進まない要因として、東京の高い地価などによって、事業者が採算面で二の足を踏んでいることなどが指摘されております。六千二百人の定員確保には、創意工夫して現状の課題に全力を挙げて取り組む必要があります。
そこでまず、補助制度の充実によって事業者が参入しやすい整備環境を整えるべきと考えます。今後の対応について見解を求めます。
二点目の課題である高い地価や用地の賃借料への対応については、未利用の都有地の積極的な活用など、全庁的な取り組みが不可欠であると考えますが、都の見解を伺います。
さらに、都営住宅の建てかえに当たっては、建物の一階部分へのビルトインなどによる整備促進策を講じるべきです。見解を伺います。
介護問題に関連し、介護支援専門員であるケアマネジャーの資格更新研修について伺います。
一昨年四月の介護保険法改正に伴い、ケアマネジャーに資格の更新制度が導入され、更新に当たっては、限定された研修開催日の中で段階的に講義を履修することが義務づけられております。受講者は、あらかじめ決められた研修開催日に合わせなければならず、そのための日程確保に苦労しているケアマネジャーが多く存在しているのも介護現場の実態であります。
ケアマネジャーの有資格者には、医師、看護師、医学療法士、薬剤師など介護分野以外の業務に就業している人も多く、研修のために休診、休業せざるを得ないといった影響も出ております。
こうした課題を改善するには、休日を利用して研修を修了できるスケジュールや、仕事と調整して受講できる研修機会の拡大など、業務への影響を極力少なくするための弾力性を持たせた研修体制を整備すべきです。見解を求めます。
次に、歯科健診と児童虐待の早期発見について質問します。
都は、虫歯と児童虐待の関連について早くから注目し、全国で初めて、東京都歯科医師会との連携のもと、口腔内の状態を通じて虐待の早期発見が可能かを解明する実態調査を行い、平成十五年四月に、歯科健診時等の際に虐待の早期発見への活用が期待できるとの結論を得ております。
昨年十月からは、ドクターアドバイザーシステム事業を開始し、歯科分野も含め、健診や診療を通して医師が虐待の可能性を判断するための研修を行うなど、先駆的な取り組みを行っております。
そこでまず、昨年からの新たな事業を踏まえ、特に歯科医療の分野における虐待の早期発見機能について、都の認識を伺います。
次に、乳幼児歯科健診での虐待の早期発見について質問します。
歯科健診は、一歳六カ月児と三歳児を対象にした健診以降、保育所や幼稚園、小学校などさまざまな健診の機会があります。歯科健診のスタート地点である乳幼児歯科健診の際、虐待の可能性を念頭に置いて、きめ細かく観察を行うことで、虐待の早期発見とその後のフォローが可能となります。その具体策として、乳幼児歯科健診の際に観察チェックリストをつくり、その後のフォローに活用するなど、虐待防止対策を強化すべきと考えます。見解を伺います。
関連して、教職員への歯科保健の意識啓発について伺います。
学校保健法では、児童生徒の定期健診において、学校歯科医による歯の健康診断が定められておりますが、教職員の健診には歯の健診項目がなく、実施されておりません。
その結果、教職員はみずからの歯の健康に対する関心が不足がちで、子どもたちに対する指導や健康推進が行いにくい状況にあります。子どもたちが自分の健康状態に関心を持ち、自分の健康は自分で守る態度や習慣を身につけるための指導を充実するには、学校歯科医と連携し、教職員の研修や意識啓発を図る取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
次に、都立公園の運営におけるボランティアとの協働について質問します。
都立公園では、花壇管理や清掃、樹木の保全や植物の育成など、多彩なボランティア活動が展開されており、活動を通して実感している草花の種類や、遊歩道の改良といった提案やアイデアは、その都度、公園管理者等に相談しているとのことですが、個別の要望や提案がなかなか取り入れてもらえないとの声も聞かれます。
ボランティアの皆さんの活動を踏まえた具体的な意見、要望、アイデアは、より親しみやすい公園整備を進めていく上で極めて貴重であります。
そこで、公園ごとに、公園管理者と各種ボランティア団体が要望やアイデア等について定期的に意見交換を行う協議の場を持つことによって、より公園管理にかかわることができる仕組みを整えるべきと考えます。都の見解を伺います。
さらに、現在ボランティア活動が展開されている公園の運営状況を見ますと、各種ボランティア団体がそれぞれの目的を持って活動しているため、団体同士の横の連携が弱く、相互の協力がしにくい状況にあります。各ボランティア団体の特色を生かし、さらに活動を展開しやすくするために、ボランティア同士の横のつながりが強まるよう都が支援すべきです。見解を伺います。
次に、平成十八年五月に全線開通した環状八号線沿線の周辺整備について質問します。
全線開通の最終工事となった板橋区相生町から練馬区北町の区間は、かつて豊かな自然林のある地域であったことから、なお一層の緑の創出を求める声が周辺地域の住民等から出されております。
来年度は、この区間の本線に並行する側道の整備が予定されておりますが、こうした周辺住民の声を十分尊重し、「十年後の東京」の目玉政策である新たな緑の創出を具現化するような沿道環境の改善に取り組むべきです。見解を伺います。
次に、環状八号線の側道整備について伺います。
八号線の全線開通後、昨年九月から、民間バス会社がJR赤羽駅から西武池袋線練馬駅の区間に路線バスを運行させております。しかし、このうち板橋区相生町から練馬区北町までの約二・五キロメートルの区間は、トンネルなど道路構造の関係で停留所が設置されておらず、本線を通過するだけの状態となっております。
このため、今後整備される予定の側道へのバス停留所の設置が関係機関で検討されておりますが、この区間の周辺地域の住民にとって、バス停留所の設置は、病院への通院や買い物をする際、利便性が非常に高く、一日も早い設置を望む声が強く出されております。
そこで、側道の完成に合わせて正式なバス停留所を設置する前に、側道整備予定箇所に仮停留所を設置し、可能な限り早期にバス利用ができるよう、都も強力に後押しすべきと考えます。バス停留所設置と密接にかかわる側道整備の見通しについて見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 橘正剛議員の一般質問にお答えいたします。
CO2排出削減対策についてでありますが、世界は今、地球温暖化による深刻な危機に直面しておりますけれども、これは、かつてない文明社会を築き上げ、豊かな生活を当たり前のものとして繁栄を謳歌していることの代償にほかならないと思います。
この危機を突破していくためには、CO2排出削減に向けた都民意識を醸成するとともに、社会の隅々にまで省エネ、節電を行き渡らせる仕組みを整えていくことが必要であります。
地球温暖化対策に率先して取り組む高い志を持った都民、企業等と連携して、東京が一丸となってCO2の大幅削減に挑む、新たなうねりを巻き起こしていきたいと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長中村正彦君登壇〕
○教育長(中村正彦君) 教職員への歯科保健の意識啓発についてでございます。
児童生徒の歯と口の健康は、食育推進の基礎となるものでございまして、将来にわたって健康な歯を保てるよう指導していく必要がございます。
歯と口の健康を守るためには、学校、家庭、地域で指導していくことが重要でありますが、特に学校教育における教職員の果たすべき役割は大きく、重要でございます。
そこで、都教育委員会は、東京都学校歯科医会などと連携を図りまして、学校歯科医を活用して、教職員が歯と口の健康の重要性について、より一層理解を進めるための取り組みを行うことで、学校全体として児童生徒の歯と口の健康づくりを推進するよう努めてまいります。
〔環境局長吉川和夫君登壇〕
○環境局長(吉川和夫君) CO2排出削減のムーブメントについてでございますが、家庭部門のCO2排出量の伸びは業務部門に次いで大きく、その削減に向け、省エネ、節電活動が日常生活の中で常に意識され、実行される取り組みを進めていくことが重要でございます。
毎日の生活を省エネの観点から点検するチェックカードを、レジャーや買い物の際の割引券として活用し、省エネへの動機づけに用いる取り組みは、温暖化対策に関心を持つ個人や企業、団体等が参加する国のアクションプラン、チーム・マイナス六%におきましても進められております。
都におきましても、今回の地球温暖化防止活動推進センターの設置を機に、こうした取り組みを積極的に展開し、都民参加のCO2排出削減ムーブメントを起こしてまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 五点についてお答えいたします。
まず、認知症高齢者グループホームについてでありますが、都はこれまでも、独自の補助制度によりましてグループホームの整備促進を図ってまいりましたが、今後の高齢化の進展を見据え、より一層、整備促進策を講じる必要がございます。
そこで、平成二十年度から、事業者の参入をさらに促進するため、民間企業や土地所有者に対します補助額を増額するとともに、従来補助対象としておりませんでした増築についても、新たに補助対象といたします。
これに加えまして、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域を重点的緊急整備地域と位置づけ、補助単価を一・五倍に加算するなど、整備の促進に努めてまいります。
次に、未利用の都有地の活用についてでありますが、近年の景気回復などにより不動産需要が増大し、グループホーム建設のための用地確保が困難となっている状況にあります。
このため、都は、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業によりまして、介護保険施設等の運営を行う事業者に対して、未利用の都有地を減額の上、貸し付けを行うことで、グループホームなどの施設整備の促進に努めております。
今後は、利用予定のない都有地について関係局の間で情報の共有化を図るとともに、区市町村とも緊密に連携し、グループホームや介護保険施設などの整備を進めてまいります。
次に、介護支援専門員の研修についてであります。
介護支援専門員は、資格更新に当たり、研修の受講が義務づけられており、ご指摘のとおり、介護や医療の現場で働く有資格者の方にとって受講機会の確保が課題となってございます。
このため、都は、介護支援専門員が資格更新に必要な研修を受講しやすいよう、日程や会場設定の工夫を重ねてまいりました。
さらに、平成二十年度からは、研修に土日祝日のコースを設定するなど、受講機会の多様化を図るとともに、やむを得ず受講できなかった方に配慮し、振りかえ受講やビデオによる補講を充実するなど、よりきめ細かい対応をしてまいります。
次に、歯科医療における虐待の早期発見機能についてでございますが、医療機関が行う診療や健康診査の場面は、多くの子育て家庭と接する機会であるため、児童虐待の早期発見の機能が期待をされております。その中で、身体的虐待やネグレクトを受けている児童については、歯の欠損や多数の虫歯が見られる例も多いことから、歯科医療は児童虐待の早期発見に重要な役割を果たすものと認識をしてございます。
最後に、乳幼児歯科健診における虐待防止対策の強化についてでありますが、区市町村が行う乳幼児歯科健診を活用して虐待防止対策を効果的に進めるためには、その担い手である歯科医師に、虐待の早期発見のための観察ポイントや対応方法を具体的に示すことが必要でございます。
このため、母子保健事業の手引書や歯科医師向けのマニュアルの中に、歯科健診における観察ポイントのチェックリストや対応方法のフロー図などをわかりやすい形で盛り込みまして、周知徹底を図ってまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 都営住宅建てかえ時のグループホームの整備についてでございますが、都営住宅の建てかえに当たりましては、老朽化した住宅を更新するとともに、高齢化の進展に伴う福祉サービスの充実など、地域のさまざまな課題に配慮し、住環境の整備を図ることが重要でございます。
こうした考えから、これまで建てかえに際しまして、グループホームの整備につきましては、都営住宅建設に関連する地域開発要綱に基づきまして、地元区市と協議し、支援してまいりました。
今後とも、地域に根づいたグループホームの整備に向けまして、建てかえる都営住宅の敷地の状況などを勘案しながら、地元区市や関係局と連携し、適切に対応してまいります。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、都立公園におけるボランティア活動についてでありますが、都立公園では、さまざまなボランティア団体が清掃活動を初め、花壇づくりや庭園ガイドなどの活動を行っております。
これまで都は、公園で活動する個々の団体から寄せられた意見、提案を生かし、自然観察会を実施するなど、魅力ある公園づくりに努めてまいりました。
今後、よりよい公園づくりを進めるためには、公園管理者と多くのボランティア団体とが、公園利用者の視点に立って、より緊密な連携のもと協働していくことが重要であります。
このため、現在、各公園で取り組んでいる公園管理者とボランティア団体との連絡組織づくりを進め、ご提案を踏まえ、この連絡組織を活用して、定期的な意見交換の場としてまいります。
次に、ボランティア団体間の連携についてでありますが、多くの都立公園では、野鳥保護とドッグランの運営のように、目的が異なる複数のボランティア団体がそれぞれ活動をしておりますが、これらの団体が相互に理解を深め、よりよい公園づくりに向けて協力し合うことは意義あるものと考えております。
このため、都は指定管理者とともに、各公園において公園美化キャンペーンや活動内容を紹介するボランティア祭りなどを、多くのボランティア団体と共同で実施してまいります。
今後とも、ボランティア団体との連携、協働に積極的に取り組み、公園利用の活性化や、地域と密着した公園管理を進め、魅力ある公園づくりに努めてまいります。
次に、環状第八号線の沿道環境改善に向けた取り組みについてでありますが、本路線は、慢性的な交通渋滞の解消を図り、円滑な交通を確保することはもとより、歩行者や沿道環境にも十分配慮した質の高い道路として整備を進め、平成十八年五月に本線部が開通いたしました。
お尋ねの板橋区相生町から練馬区北町までの区間については、地元の要望を踏まえ、道路のり面やトンネル上部の緑化を実施いたしました。
今後、側道部の整備においても、「十年後の東京」が目指す緑豊かな道路空間を創出するため、歩道の街路樹に加え、新たな緑地帯の整備やのり面上部への植栽、壁面の緑化などをできる限り実施してまいります。
最後に、バス停設置にかかわる側道整備の見通しについてでありますが、区間延長二・五キロメートルの側道のうち一・五キロメートルを交通開放しており、残る区間についても、既に電線共同溝などの地下埋設物工事が完了し、歩車道の仕上げ工事を順次実施しております。
また、バス停については、本年夏までの設置に向け、バス事業者が関係機関と協議を進めており、都としてもバスの円滑な運行に協力してまいります。
今後とも、周辺住民の理解と協力を得ながら、平成二十年度の完成に向け、側道整備に取り組んでまいります。
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