平成二十年東京都議会会議録第一号

平成二十年二月二十日(水曜日)
 出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
五番きたしろ勝彦君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番西岡真一郎君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番田中たけし君
二十一番神林  茂君
二十二番早坂 義弘君
二十三番高木 けい君
二十四番崎山 知尚君
二十五番宇田川聡史君
二十六番高橋 信博君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番村上 英子君
四十一番鈴木あきまさ君
四十二番秋田 一郎君
四十三番山加 朱美君
四十四番串田 克巳君
四十五番吉原  修君
四十六番山田 忠昭君
四十七番田代ひろし君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番三宅 茂樹君
六十四番高島なおき君
六十五番鈴木 一光君
六十六番菅  東一君
六十七番石森たかゆき君
六十八番矢島 千秋君
六十九番鈴木 隆道君
七十番こいそ 明君
七十一番倉林 辰雄君
七十二番遠藤  衛君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番三原まさつぐ君
八十八番田島 和明君
八十九番林田  武君
九十番野島 善司君
九十一番高橋かずみ君
九十二番樺山たかし君
九十三番新藤 義彦君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番服部ゆくお君
百十二番川井しげお君
百十三番吉野 利明君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番馬場 裕子君
百二十一番大沢  昇君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
欠員
   四十八番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長中村 正彦君
知事本局長大原 正行君
総務局長押元  洋君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監矢代 隆義君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長吉川 和夫君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長島田 健一君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長矢口 幸一君
労働委員会事務局長有留 武司君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君
包括外部監査人園  マリ君

二月二十日議事日程第一号
第一 第一号議案
平成二十年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成二十年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
平成二十年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
東京都アジア人材育成基金条例
第三十一 第三十一号議案
東京都公害健康被害予防基金条例
第三十二 第三十二号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
平成十九年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十七 第三十七号議案
市としての要件に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
法人事業税国税化対策特別基金条例
第五十一 第五十一号議案
東京都債権管理条例
第五十二 第五十二号議案
東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
東京都減債基金条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都立高等学校の寄宿舎使用料徴収条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十四条の二の規定に基づく職務権限の特例に関する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都スポーツ振興審議会に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
国分寺都市計画事業西国分寺土地区画整理事業施行規程を廃止する条例
第七十 第七十号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例
第七十一 第七十一号議案
東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都立心身障害者口腔保健センター条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
東京都立肢体不自由児施設条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
東京都監察医務院関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
東京都介護福祉士等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
東京都精神障害者都営交通乗車証条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
東京都立小児病院条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
東京都立精神科病院条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
東京都立結核病院条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
東京都農業振興事務所設置条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
都立青梅東学園養護学校(仮称)(H十九)改修その他工事(その二)請負契約
第百六 第百六号議案
都営住宅十九CH―一一一東(足立区江北四丁目・足立区施設)工事請負契約
第百七 第百七号議案
中川左岸防潮堤耐震補強工事(その三十)請負契約
第百八 第百八号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(十九 一―環二新橋第一工区)請負契約
第百九 第百九号議案
中央環状品川線中目黒換気所下部工事請負契約
第百十 第百十号議案
中央環状品川線南品川換気所下部工事請負契約
第百十一 第百十一号議案
包括外部監査契約の締結について
第百十二 第百十二号議案
交通信号機等工事に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について
第百十三 第百十三号議案
道路標識設置等工事に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について
第百十四 第百十四号議案
東京都美術館外一施設の指定管理者の指定について
第百十五 第百十五号議案
八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
第百十六 第百十六号議案
多摩都市モノレール株式会社に対する出資について
第百十七 第百十七号議案
東京都立芝浦南ふ頭公園の指定管理者の指定について
第百十八 第百十八号議案
土地の買入れについて
第百十九 第百十九号議案
都道の路線の廃止について
第百二十 第百二十号議案
平成二十年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百二十一 第百二十一号議案
平成十九年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百二十二 第百二十二号議案
多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百二十三 第百二十三号議案
荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百二十四 第百二十四号議案
平成十九年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第百二十五 第百二十五号議案
平成十九年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第二号)
第百二十六 第百二十六号議案
平成十九年度東京都都市開発資金会計補正予算(第一号)
第百二十七 第百二十七号議案
平成十九年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百二十八 第百二十八号議案
平成十九年度東京都病院会計補正予算(第一号)
第百二十九 第百二十九号議案
平成十九年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十 第百三十号議案
平成十九年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)
第百三十一 第百三十一号議案
平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)

  午後一時開会・開議

○議長(比留間敏夫君) ただいまから平成二十年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十番   西崎 光子さん 及び
   六十六番 菅  東一君
を指名をいたします。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 平成二十年二月十三日付東京都告示第百四十二号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、平成二十年二月十三日及び二十日付で、本定例会に提出するため、議案百三十一件の送付がありました。
 次に、知事及び監査委員並びに各行政委員会より、平成二十年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、選挙管理委員会委員長より、平成十九年第四回定例会の会議において選挙された選挙管理委員は、平成十九年十二月二十三日をもって就任したとの通知がありました。
 次に、知事より、平成十九年第四回定例会の会議において同意を得た教育委員会委員及び監査委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成二十年二月十五日付で、平成十九年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、平成十九年行政監査、平成十九年工事監査、平成十九年財政援助団体等監査及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成十九年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付しておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載〕

○議長(比留間敏夫君) 次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
 去る二月十二日付をもって、江東区選出柿沢未途君より、議員を辞職したい旨、届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る二月十三日付をもって、吉原修君より、文教委員から公営企業委員へ、川井しげお君より、公営企業委員から文教委員へ、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る二月十三日付をもって、いのつめまさみさんより辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって古館和憲君を指名いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、閉会中のオリンピック招致特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る二月十三日付をもって斉藤あつし君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、たぞえ民夫君を指名いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月二十八日までの三十八日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認め、よって、会期は三十八日間と決定をいたしました。

○六十七番(石森たかゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 平成十九年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、平成十九年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定をいたしました。
 ここで、園マリ包括外部監査人の出席を求めます。
  〔包括外部監査人園マリ君入場、着席〕

○議長(比留間敏夫君) ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 園マリさんでございます。
  〔包括外部監査人あいさつ〕

○議長(比留間敏夫君) 本日は、ご多忙のところ、監査結果報告の説明のためご出席いただき、まことにありがとうございます。

○議長(比留間敏夫君) この際、知事より、平成二十年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 世界は今、海面水位の上昇や氷河の後退といった地球温暖化による地球環境の深刻な異変に直面しております。これは、かつてない文明社会を築き上げ、豊かな生活を当たり前のものとして繁栄を謳歌していることの代償にほかなりません。さらに、近年、ロシア、東欧や中国、インドなど新興の経済国の経済活動も活発となり、地球にかかる負荷の蓄積はもはや臨界点目前まで来ております。世界各所の気象観測データや数多くの研究者からの報告が警告を発し、地球温暖化に歯どめをかける実効性のある対策を促しております。
 しかし、CO2排出削減に率先して取り組むべき国々の一部は、北極海の氷の面積が過去最小となる深刻な状況を横目に、我先にと北極海の海底資源を求めてしのぎを削り、また、昨年末のCOP13・バリ会議も、向こう二年間の交渉スケジュールを決めただけに終わりました。こうした状況を見るにつけ、文明の負の循環を思わずにはいられません。
 我が国もまた、実効性のあるCO2排出削減策を政策決定できずにおります。日本は、エネルギーや食糧の大半を輸入に頼り、多くの企業が世界を舞台に事業を展開しております。このため、地球環境の異変により食糧不足や地域紛争が発生し、世界が混乱に陥れば、日本の存立すらが危うくなります。政府は、バリ会議での対応を批判されて、ようやくCO2削減の目標値設定に前向きな姿勢を示しましたが、そのための危機感も文明認識もいまだに欠けているといわざるを得ません。
 国家が責任を果たさなければ、都市が立ち上がるしかありません。世界人口の五割が居住するまでになった都市は、人々の夢をかなえ、便利な生活をもたらし、文明社会を発展させる原動力であります。一方、資源、エネルギーを多量に消費し、地球環境に耐えがたい負荷もかけております。また、地球環境問題だけでなく、文明社会の発展に伴い生じた少子高齢化や災害に対する脆弱性などの深刻な課題にも直面しております。
 今や、都市のあり方そのものが地球の未来を決定する、都市の世紀に人類は生きております。都市の変革なくして人類が生き残る道はありません。技術や多種多才な人材などの集積から生まれる都市の力で、生活様式や産業構造を省エネ型に転換して環境との調和を図りながら、危機を突破していかなければなりません。
 こうした観点に立ち、先般、東京で第一回アジア・エネルギー環境技術ワークショップを開催し、東京と日本の持つすぐれた技術やノウハウをアジア大都市ネットワーク21の諸都市と共有いたしました。世界の諸都市と手を携えるとともに、大きな文明の流れを見きわめ、将来を見通した戦略を持ち、東京という現場を踏まえた行動を渾身の力を込めて起こしてまいります。こうして二十世紀の文明社会を超克し、新しい文明秩序への道を切り開いていきたいと思います。
 東京は、成長から安定の段階を経て成熟へと至る過程で多くの課題を克服してまいりました。文明社会の光も影も知る東京ならではの複合的な政策を展開し、環境との調和を図り、美しく安全で住み心地のよい都市を実現して、二十一世紀の都市モデルとして世界に示してまいりたいと思います。
 このための設計図が「十年後の東京」であり、その基礎を固めるための今後三年間の道筋が「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八であります。東京から日本へ、さらに世界へと変革を広げる気概を持って、世界の範となる都市を実現してまいります。
 まず、環境政策について申し上げます。
 一昨年、都は国に先んじて、二〇二〇年までに二〇〇〇年比でCO2を二五%削減する目標を打ち出し、昨年には気候変動対策方針を策定いたしました。京都議定書の第一約束期間も本年一月よりスタートしておりまして、低炭素型都市への転換を平成二十年度から本格化させてまいります。
 CO2の排出削減のためには、社会の隅々にまで省エネ、節電を行き渡らせる仕組みを整えなければなりません。都市レベルでは世界初となる、大規模事業所への排出総量の削減義務化と削減量取引制度の導入を実現してまいります。また、本年四月には環境整備公社に地球温暖化防止活動推進センターを設置して、中小事業者や都民の取り組みをバックアップいたします。
 世界の太陽光発電装置の半分は日本製であるにもかかわらず、国の政策が後退し、国内での普及が足踏みしております。今後十年間で、火力発電所一基分に相当する都内消費電力を太陽エネルギーに転換することを目指して、まず、三カ年で四万世帯に太陽光発電や太陽熱利用機器を導入してまいります。加えて、白熱球の一掃や高効率な給湯器の普及拡大による省エネ、節電を推進いたします。
 都の施設でも率先してCO2削減対策を講じてまいります。下水汚泥の焼却に当たり、全国に先駆けて汚泥ガス化炉を導入し、山手線内側の約半分の面積に相当する森林が吸収する量のCO2を削減するなどの取り組みを進めてまいります。
 快適な都市生活を妨げるヒートアイランド現象を緩和し、エネルギー消費を削減するのみならず、都市に潤いを持たせるには、緑にあふれ、海からの風が吹き抜ける東京へと変わらなければなりません。既に、緑の東京募金を創設し、ごみと残土でできた東京湾の埋立地を森に再生する海の森づくりにも着手しております。三カ年で海の森に七万本の植樹を行い、街路樹を現在の四十八万本から七十万本へと増加いたします。また、次代を担う子どもたちが緑の上を元気に走り回り、自然の大切さや地球環境問題について学ぶことができる校庭の芝生化を、小中学校や幼稚園、保育園で実施いたします。都市公園の整備や屋上の緑化などとも合わせて、サッカー場五百面分相当の新しい緑を創出してまいります。
 環境への負荷を軽減するためには、交通ネットワークを充実して交通渋滞を解消するなど、効率的な都市を実現することも必要です。三月三十日、いよいよ日暮里・舎人ライナーが開業いたします。六月には、池袋から新宿を経て渋谷までを結ぶ地下鉄副都心線も開業するなど、これまでの都の取り組みが着実に進展しております。
 一方、昨年暮れ、外環道がようやく基本計画路線に格上げされましたが、一日も早く整備計画を策定し、平成二十一年度には事業着手することを国に強く要求いたします。また、中央環状新宿線の残された区間を平成二十一年度じゅうに完成させるとともに、骨格幹線道路については、二十二年度までに区部の環状道路の整備率を九割に、多摩南北道路も八割にまで高めてまいります。
 鉄道の連続立体交差事業も引き続き積極的に進め、ボトルネックとなるあかずの踏切などを解消いたします。平成二十二年度までにJR中央線などの二十五カ所の踏切をなくすことに加えまして、来年度から、西武新宿線と京王線においても新しい区間に取り組んでまいります。
 さらに、環境負荷の少ない、最新技術を活用した交通の姿を先駆的に実現いたします。高度な情報通信技術によって効率的に信号を制御し、交通の流れをスムーズにするハイパースムーズ作戦を展開するほか、バイオ燃料の利用拡大や、都民、事業者に対するハイブリッド車などの低公害・低燃費車の普及を促進いたします。
 道路の整備を支えているのが道路特定財源であり、この暫定税率の期限切れを三月末に控え、現在、国会で議論が行われております。大都市の潜在力を引き出す道路の整備は、文明工学的にも必要不可欠なものであることは論をまちません。それが滞れば、東京の最大の弱点であります渋滞の解消は道半ばでとんざし、安全で快適な生活の実現やCO2削減も進まず、そのツケは都民、国民に回ることになります。暫定税率の維持など、道路整備のための財源確保を国に強く求めたいと思います。
 二十一世紀の都市モデルを実現するためには、地球環境問題にとどまらず、東京に先鋭的にあらわれた都市の課題を解決していかなければなりません。
 東京は、世界が経験したことのない超高齢社会を迎え、十年後には要介護認定者数が五十万人を超えると見込まれております。都民の老後への不安を解消するため、東京の強みである企業やNPOなどの集積を生かして、介護、医療、見守りなどを地域で提供するネットワークの構築を進めてまいります。あわせて、認知症高齢者グループホームの定員を三カ年で六千二百人にまで増加させるとともに、不足する介護人材の確保にも取り組んでまいります。
 このほか、高齢者が住みなれた地域において自立した生活を続けるには、最先端技術の活用も重要であります。来年度には、高齢者を見守り、生活を支えるロボット等の活用についての新たな研究会を設置いたします。
 他方、高齢者全体の八割を占める元気な高齢者や団塊の世代が持つ経験や能力を社会全体で生かしていく必要があります。介護や子育てなどの分野の担い手として活躍できるよう、必要とする側とのマッチングの仕組みづくりについて着手いたします。こうして、社会を活性化する存在としての新しい高齢者像を東京から造形し、発信してまいります。
 東京には少子化の潮流も先鋭的にあらわれておりまして、合計特殊出生率は全国最低であります。これまでも、認証保育所の創設など、施策を充実させてまいりましたが、仕事と家庭生活の両立が難しい職場環境などが原因となりまして、子育てへの負担が大きくなっております。子どもを産み育てたいと望む人たちのために、働き方や社会環境を幅広く見直さなければなりません。
 昨年設置した子育て応援とうきょう会議を核に、都民、企業などと連携して、社会全体で子育てを応援してまいります。三カ年で二百カ所以上の認証保育所を整備するなど、待機児童の多いゼロ歳から二歳を中心に、一万五千人分の保育サービスを確保いたします。また、都独自の助成制度により、仕事と子育てを両立させる職場づくりに取り組む中小企業を支援いたします。さらに、授乳やおむつがえのためのスペースを公共施設などに六百カ所設置し、子育てに優しい環境を整えていきたいと思います。
 だれもが生き生きと暮らすことのできる社会の実現は世界共通の課題でありまして、これまでも都は、障害者が地域で自立して暮らすための居住の場の整備や就労支援などに取り組んでまいりました。しかし、東京における障害者雇用数は増加傾向にあるものの、雇用率は全国平均を下回り、特に中小企業での雇用はおくれております。障害者就労支援事業を全区市町村に拡大し、特別支援学校においても職業教育と就労支援の充実を図ります。また、都独自に養成した東京ジョブコーチが企業を訪問し、障害者の職場定着をサポートするほか、障害者を採用しようとする中小企業には、一定期間、賃金の一部を助成し、雇用を促進いたします。企業による障害者雇用を目的とした特例子会社の設立支援とも合わせて、三カ年で一万人の新しい雇用を生み出してまいりたいと思います。
 これまで、三百六十五日二十四時間の安心を目指し、東京発医療改革を進めてまいりました。しかし、近年、小児科、産科を中心に、病院に勤務する医師の不足が深刻化し、早急な対策が求められております。
 本年四月に都立病院を活用して開講する東京医師アカデミーは、定員の約二倍の応募者が集まるなど期待が高まっておりまして、都も全力を尽くして、高度な専門能力を有する医師の養成に取り組んでまいります。また、病院勤務医の過重労働を緩和するため、医療クラークの導入を支援することに加えて、女性医師や看護師の仕事と子育ての両立や再就業も応援して、人材不足の解消につなげてまいります。
 充実を求める声が強い周産期医療では、地域の医療機関をネットワーク化して、限られた医療資源を有効活用いたします。また、周産期母子医療センターに医療機関相互の患者搬送をコーディネートする医師の配置を促進するなど、緊急搬送体制を強化いたします。
 世界が時間的、空間的に狭小となった現在、一たび東京で危機的事態が起これば、直ちに地球的な規模で影響が及びます。危機への備えは、都民、国民を守るだけではなく、国際的な信頼を得るためにも不可欠であります。
 平成七年の阪神・淡路大震災では、建物の倒壊等が死因の九割を占め、また、消火や救助活動の大きな障害ともなりました。東京は、三十年以内にマグニチュード七程度の地震が発生する確率が七〇%程度と予測されておりまして、「地震がこわくない東京」の実現を強力に進める必要があります。
 今年度に実施した沿道建築物の耐震化モデル事業を、来年度からは緊急輸送道路の全路線に拡大しまして、災害時の道路寸断を防止してまいります。建てかえ予定のある建物などを除くすべての消防署、警察署、都立病院などを三カ年で耐震化し、区市町村や私立学校による小中学校の耐震化への取り組みとあわせて、防災上特に重要な建築物の安全性を向上いたします。
 住宅については、都民が安心して専門家に相談できる体制を区市町村と連携して整備し、マンションの耐震改修助成制度も新たに創設するなど、施策を複合的に講じて、住宅の耐震化率を現在の七六%から八二%にまで高めてまいりたいと思います。
 卑劣なテロ行為もまた大都市が備えなければならない危機的な事態であります。テロの封じ込めには、主要な施設の警備はもとより、テロリストや指名手配犯の迅速かつ確実な検挙が求められております。今後、官と民の連携を強化しつつ、最先端技術を活用したテロ対策として、そうした危険人物の顔を識別できる顔画像自動照合システムを大学や企業と共同で開発し、実用化を目指してまいります。
 また、本年七月に開催される北海道洞爺湖サミットに関連した非常事態を想定して、四月に国や民間事業者などと連携したテロ警戒対応訓練を東京で実施し、都民の安全・安心の確保に力を尽くしてまいります。
 先日、輸入冷凍食品に薬物が混入する事件が発生して、都民、国民の食への不安が高まっております。原因については関係機関が調査中ではありますが、都民の食の安全を守るため、都内に流通する冷凍加工食品への農薬検査等を緊急に実施し、原料原産地名の表示の充実等について検討を開始いたしました。また、国に対しては検疫体制の一層の強化を強く求めてまいります。
 大都市東京の力は、最先端技術や人材、企業の集積、豊穣な歴史や伝統・文化にあります。二十一世紀の都市モデルをつくり上げるためにも、都市の力にさらに磨きをかけなければなりません。
 東京のさらなる発展には、新しい産業やビジネスを育てる必要があります。世界に類を見ない企業、大学、研究機関の集積を生かしまして、今後有望な環境分野や健康分野などの先進的プロジェクトを、研究開発から製品化、販売に至るまで継続的に支援してまいります。
 他方、原油や資材価格の高騰が続き、企業系列の崩壊などの構造変化も相まって、中小企業は厳しい経営環境にあります。東京の都市の力はもとより、日本の競争力を維持するために、中小企業の基盤強化は喫緊の課題であります。共同受注体制の構築や技術力強化に取り組む中小企業グループを支援するとともに、中小企業振興公社に下請取引紛争解決センターを設置し、中小企業の受注機会の確保や下請取引の適正化を図ってまいります。
 東京には、江戸開府以来の豊かな伝統や文化、食文化に加え、渋谷、原宿の若者のファッション、秋葉原の最先端IT技術、そして美術館、博物館の集積等、世界に誇る独自の魅力があふれております。これらを生かした観光振興を進めて、千客万来の都市としての成熟度を増し、外国人旅行者を、現在の四百八十万人から、平成二十三年度までに七百万人へと増加させていきたいと思っております。
 まず、東京からの情報発信をさらに強化するため、都議会からもご提案がありました、東京の魅力をPRするDVDを製作し、シティーセールスやオリンピック招致に活用してまいります。また、今後大幅な増加が見込まれる東アジアからの観光客誘致に向け、中国、台湾、韓国の雑誌などのメディアを活用してPRを強化いたします。
 東京のすぐれた芸術文化も大きな魅力であり、さらに発展させ、戦略的に発信していく必要があります。東京芸術文化評議会の提言をもとに、伝統芸能、演劇、美術、音楽など、さまざまな分野にわたる大規模な文化プロジェクトを展開してまいります。
 東京は、戦後の高度経済成長の中で、無秩序なまでに都市の景観が失われてしまいました。これを反省して、昨年策定した新たな景観計画に基づき、既に指定した景観形成特別地区内で規制対象となっている屋上広告物のほぼ全数を三年間で撤去いたします。また、東京駅丸の内駅舎の復元や眺望の保全とあわせて、首都東京の正面玄関にふさわしいトータルデザインのもとに駅周辺地域を整備いたします。さらに、センター・コア・エリア内はもとより、多摩地域や周辺区部の主要駅周辺、緊急輸送道路などの都道で無電柱化を進め、オリンピックや観光客誘致につながる成熟した都市のたたずまいを創出してまいります。
 質の高い教育は、社会の発展や変革の原動力でありますが、日本の強みであった教育に今や明らかに揺らぎが見え始めております。人材育成の再構築に今こそ真剣に取り組まなくてはなりません。
 今日、社会のルールや基本的な学力が身についていない子どもたちがふえ、まことに憂慮にたえません。こういった中、新たに策定する新・東京都教育ビジョンにより、学校のみならず、子どもの教育に重要な役割を担う家庭、地域が連携しながら、社会が総がかりで次代を担う子どもの生きる力をはぐくんでまいりたいと思います。
 家庭教育では、社会を生き抜く上での必要な忍耐力や規範意識を養い、健やかな成長の土台となる生活習慣を確立するため、乳幼児期の子どもを持つ親に対する支援を充実いたします。
 また、学校教育では、漢字や九九など、すべての児童生徒が習得すべき内容を教師が的確に指導するための基準である東京ミニマムを作成し、基礎的、基本的な内容に関する指導を徹底いたします。
 地域でも、退職した団塊の世代が教育サポーターとして学校教育や地域教育の支援者となるための取り組みを進めてまいります。
 非行少年を立ち直りへと導くワンストップサービス施設の設置や、ひきこもりから自立を促すプログラムの開発などによりまして、子どもたちをめぐるさまざまな課題にも積極的に対応してまいります。
 戦後日本の繁栄は、終身雇用制度に象徴される日本型雇用慣行の中で訓練された優秀な人材により支えられてきました。しかし、昨今、雇用環境が大きく変化する中で、人材育成を企業だけに頼るのではなく、一人一人がみずからの努力により必要な能力を身につけ、レベルアップを図ることができる環境を整備していく必要があります。
 産業界が求める能力を具体的に定義し体系化した指標である東京版スキルスタンダードを、デザイン分野を皮切りに来年度から策定してまいります。これをもとに大学などの教育機関がカリキュラムを再構築することで、学生が産業界のニーズに合ったより実践的な能力を身につけることができるように取り組んでまいります。
 また、社会人がより高度な知識や技術を学び直し、キャリアアップできるように、新たな奨学金を公立大学法人首都大学東京に創設いたします。
 近年、懸命に努力しているにもかかわらず、低所得の状況から抜け出せずに不安定な生活を余儀なくされる人々が増加しております。三カ年で三百億円を超える規模の緊急対策を実施し、こうした人々の将来への展望や希望を取り戻していきたいと思います。
 全区市町村と連携して相談窓口を創設することに加え、新たに設けるサポートセンターが、住居を失い、インターネットカフェなどで生活している人々を対象として、生活・就労相談や巡回相談を実施いたします。また、生活、転居、就職のための無利子貸付や職業訓練にも取り組んでまいります。さらに、職業訓練期間中には、生活に困らずに訓練に専念できるよう、訓練生に対して受講奨励金を支給するほか、訓練生を正社員として一定期間継続して雇用した企業には採用助成金を支給いたします。
 これからの人材育成には国際的な視野も必須となります。必要となります。成長著しいアジアとの関係強化は東京の発展に不可欠でありまして、東京がアジアの人材育成を先導することで、アジアの若者たちに夢と希望を与えるだけではなく、双方の間に真の友情に支えられた強固な橋がかかるのであります。
 来年度、アジア人材育成基金を創設し、首都大学東京にアジアの優秀な人材を受け入れ、航空機用新素材の開発など、アジアの発展に資する高度先端的な研究を支援してまいります。受け入れた人材を将来の経済交流や学術交流の橋渡し役にするため、アジア人材バンクを創設し、人材情報の登録、管理を開始いたします。
 次に、多摩・島しょ地域について申し上げます。
 多摩シリコンバレーの実現のためには、都域を超えた産学や企業間の交流、連携を一層活性化させ、研究期間から試作、製品化に至るまでの高度で多様な企業集積を促進させる必要があります。
 平成二十一年度には、中小企業に対する高度な技術・経営支援を行う多摩の産業支援拠点を昭島市に再編整備するほか、広域的な産業ネットワークの形成を見据えて、今後、八王子市に産業交流拠点を整備してまいります。また、市町村が行う企業誘致への支援などによりまして、高度な技術力を有する企業の立地を促進していくとともに、アジア、世界へと広がる事業展開を強力に後押ししてまいります。
 平成二十五年の東京国体に向けて、本年六月に、都議会の開催決議を添えて、国と日本体育協会に対して開催の申請をいたします。都議会の皆様には、本定例会での決議をよろしくお願いいたします。
 また、来年度からは区市町村への競技施設整備に対する財政支援を開始し、都立施設の改修等も進めてまいります。
 島しょ地域は、人々を強く引きつける美しい豊かな自然に恵まれております。ことしで返還四十周年を迎える小笠原諸島についても、豊かな自然の保護を目指し、世界自然遺産登録に向けて準備を進めております。また、三宅島の空港再開やバイクイベントへの支援あるいは小笠原諸島での航空路開設の検討などを進めながら、島しょ地域の自然を生かした観光振興に取り組んでまいります。
 実行プログラム二〇〇八を着実に実行することで、人を育て、緑を守り、都市を躍動させるという東京オリンピックの開催理念を具現化する決意を内外に示してまいります。東京が目に見えて変わることこそ、最も明快で強力なアピールとなります。
 昨年の十二月の世論調査では六割を超える支持をいただきましたが、国内外でのPRになお一層力を尽くしていかなければなりません。北京オリンピックを初め国際大会などの場を活用して、東京開催の意義や魅力を十二分に発信してまいります。
 国内では、先日、都議会の皆様とともに副知事及び幹部職員が全国の道府県を直接訪れ、オリンピック招致を目指して日本が一丸となって戦うための協力を呼びかけました。さらに、全国の夏祭りや花火大会などでPR活動を展開するほか、東京マラソン、文化・スポーツイベント、緑の東京十年プロジェクトなど都の環境施策とも連携して、都民、国民の招致機運を一層高めてまいります。
 来年二月には、いよいよ立候補ファイルをIOCに提出いたします。国の全面的な支援を強く求め、国際競技団体等とも十分に調整して、質の高い大会計画を作成いたします。また、オリンピックの開催に向けて、世界の人々を魅了する文化イベントを行うため、東京芸術文化評議会の答申に基づき、文化プログラムを策定し、立候補ファイルに盛り込んでまいります。
 去る十七日、東京マラソン二〇〇八が盛況のうちに開催されました。大勢のボランティアのサポートのもとで、三万人を超えるランナーが都内を駆け抜け、沿道では観衆が熱い声援を送り、昨年を上回る多彩な催しも披露されるなど、まさに東京が一つになったと思います。今大会では、使用する電力をすべてグリーン電力で賄い、大会関係者やボランティアは再生素材一〇〇%のコートや帽子を着用いたしました。環境に配慮した都市マラソンという新しいモデルを世界に提起できたと思います。
 大会の成功によるスポーツへの関心の高まりを、オリンピック招致の実現はもとより、東京のスポーツ振興につなげてまいりたいと思います。今年三月に取りまとめられる東京都競技力向上基本方針に基づいて、東京オリンピックでの活躍が期待されるジュニア世代の競技力向上や、スポーツ医科学のサポート体制の充実などを進めてまいります。さらに、四月に東京国際ユースサッカー大会、八月にはジュニアスポーツアジア交流大会を開催し、東京のみならず、世界のスポーツの振興に貢献いたしたいと思います。
 東京を二十一世紀の新しい都市モデルへと高めるためには、都政がその持てる力を十二分に発揮していかなければなりません。
 これまで、日本の首都である東京から、国全体の利益につながる施策を展開してまいりました。一方、国政は、この国の将来を真剣に考えているとは到底思えません。天文学的な借金を前にして、政治家は目先の利害にとらわれ、官僚は省益に拘泥して、国家のあり方や国民の税負担にかかわる根本的な議論を避け続けております。
 昨年十二月に国が決めた法人事業税の一部国税化も、財政運営の失敗を小手先で糊塗するものにすぎません。税の原理にももとり、地方分権にも逆行し、地方の疲弊の解決にもなりません。決して納得できませんが、地方税制の改正については地方に阻止するすべがないことから、福田首相とも会談し、今回の改正をあくまでも暫定措置にとどめさせ、日本の発展につながる首都東京の重要政策に対して国が最大限の協力をするとの約束を取りつけました。
 こうした経緯で設置された国と都の実務者協議会では、既に羽田空港の国際化に関する分科会を千葉県や神奈川県の参加も得て立ち上げております。東南アジアの主要都市との間に国際定期便を就航させるため、就航距離制限の見直しについて国と協議を開始いたしました。また、インフラ整備や首都の治安維持向上等について、平成二十一年度の予算措置も強く求め、都独自の認証保育所制度の承認等についても国の規制緩和を要求いたします。
 徹底した交渉により、都から突きつけた十三項目を国に着実に実行させ、日本の頭脳部、心臓部である首都東京が持つ真の実力と豊かな可能性を官のくびきから解き放って、日本全体の発展につなげてまいりたいと思います。
 今回の国の不合理な措置により、平成二十一年度と二十二年度の合計で約六千億円の減収が見込まれます。さらに、米国経済の減速が懸念されることなどから、都税収入の先行きには不透明感が増しております。かつて、景気変動の直撃を受けて数千億円単位の税収減に見舞われ、塗炭の苦しみをなめながら、都議会の皆様と手を携えて財政再建を果たしてまいりました。しかし、今後の都財政運営を楽観できる状況にはありません。
 そうした中にあって、東京をさらに成熟へと導くため、「十年後の東京」を着実に実行していかなくてはなりません。予算案では、実行プログラム二〇〇八に関する事業費を四千七百六億円計上し、投資的経費も七年ぶりに七千億円台に回復させるなど、都民のために、攻めの姿勢で施策を展開しております。
 他方、都財政の足腰強化を休むことなく続ける必要があります。将来への備えに十分に目配りし、税収減や財政需要の増加に弾力的に対処するため、基金を積み増しいたします。また、国や他の自治体に先駆けて導入した新しい公会計制度を本格的に活用し、費用対効果を徹底的に吟味しながら施策を検証して予算案に反映いたしました。千百二人の定数を削減するなど、手を緩めることなく内部努力も継続してまいります。加えて、職員が首都公務員として納税者への奉仕という本分を尽くし、東京からこの国を牽引する覚悟を持つよう、ますますの意識改革を図ってまいります。こうした取り組みにより、質と量の両面から都政のレベルアップを実現してまいります。
 かつて福沢諭吉は、立国は公にあらず私なり、独立の気心なき者、国を思うこと深切ならずと説きました。私という個人の強い意思が国家を動かす原動力でありまして、また、自立した個人でなければ国のことを主体的に深く切実には考えられないという意味であります。
 この言葉から百年以上が経過し、この国は大いに発展し、物質的な豊かさをきわめたものの、福沢が問うた私の姿は荒廃しつつあります。近年、耐震や商品の偽装、国の官僚の国民をないがしろにした許しがたい出来事が続いております。また、親が親である前に極めて自己中心的になり、親としての責任を放棄している姿も見受けられます。これは、社会を形づくる人間同士の連帯を断ち切るものにほかなりません。
 一方で、各地で災害が発生した折には、地元消防団や多くの企業、個人ボランティアが黙々と復旧に汗を流す姿も見られます。危機に際して人間や社会の地金があらわとなりますが、まだまだ日本人の根底には、ふるさとを愛し、国を愛し支えんとする心意気が備わっておると思います。これを呼び覚まし、きずなを結び直すことができれば、この国は必ず再生するに違いありません。
 そこで、東京に集積した多彩な人材や企業、地域でのさまざまな活動と手を携え、区市町村ともスクラムを組んで、「十年後の東京」実現のために広範囲なムーブメントを展開いたします。東京が一丸となってCO2削減に挑み、また、社会全体で介護や子育て、教育を支えていくことなどをよすがにして、この国に人間同士の連帯や価値の基軸を再生する新しいうねりを起こしてまいりたいと思います。
 二十一世紀の都市モデルは、都民、国民という自立した個人としての私の意思が凝集することで完成に至るものであります。福沢諭吉の言葉から百年を経た今、日本を、人々が協力し合い、ともに支えんとする心意気を備えた国へと再生し、次世代に継承すべく、都政運営に全力を傾けてまいります。
 最後に、新銀行東京について申し上げます。
 新銀行東京はこれまで、既存の金融機関では支援がしがたい、赤字や債務超過に陥っている中小企業を含めた約一万七千社に対して支援を行ってまいりました。この中には、新銀行東京の融資を契機に業績を回復させた事業者が約九千社に及ぶなど、中小企業を支える銀行として独自の役割を果たしてまいりました。
 しかし、新銀行東京では、金融環境の劇的な変化とリスク認識の甘い旧経営陣の事業運営により、予想をはるかに超える多額の不良債権が発生するなど、経営状況が悪化しております。
 今般、新銀行東京は、高い事業意欲がありながら資金繰りに窮している中小企業などへの支援を継続していくことを目的として、抜本的なリストラを進めるとともに、都の関連団体や他の金融機関のノウハウを活用して、確実に必要な収益を見込める事業を重点化する再建計画を策定いたしました。そして、これを着実に実現していくために不可欠な資本の増強を都に対して求めてきております。
 旧経営陣の経営責任が厳しく問われなければならないのはもちろんですが、新銀行東京は、中小企業を支える銀行として重要な役割を果たしており、懸命に努力している既存融資先の中小企業の経営に重大な影響を及ぼしてはなりません。都民の貴重な税金を再び投入する重みを十分に踏まえつつ、新銀行東京が新たな道を開き、今後も中小企業金融において適切に役割を果たすことができるよう、追加出資を行い、引き続き支援をしてまいりたいと思います。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案三十七件、条例案七十五件など、合わせて百三十一件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして施政方針表明を終わります。
 ありがとうございました。
〇議長(比留間敏夫君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
  警視総監矢代隆義君。
   〔警視総監矢代隆義君登壇〕

○警視総監(矢代隆義君) 都内の治安状況についてご報告いたします。
 警視庁では、昨年、「安全・安心な街、東京の実現」を基本方針として、犯罪抑止総合対策を初め、暴力団総合対策、テロ、ゲリラの防圧検挙、重大交通事故防止対策などを重点目標に掲げて、さまざまな重要課題に取り組み、首都東京の治安維持と都民生活の安全確保に努めてまいりました。
 以下、その状況についてご説明いたします。
 第一は、犯罪抑止総合対策についてであります。
 その一は、推進結果と本年の基本方針であります。
 平成十四年に都内の刑法犯認知件数が三十万件を超え、戦後最悪となったことを受け、翌年の平成十五年から、組織の総力を挙げて犯罪抑止総合対策に取り組んでまいりました。とりわけ、昨年は、重点犯罪として、子どもに対する犯罪を新たに指定し、従来の強盗、ひったくり、侵入窃盗、性犯罪、振り込め詐欺と合わせて六つの犯罪を重点に、検挙と防犯の両面からの諸対策を強力に推進いたしました。
 その結果、全刑法犯及び指定重点犯罪の認知件数が、いずれも本対策の開始から五年連続して減少したほか、全刑法犯では、本対策開始時の基準目標であった平成四年の認知件数を初めて下回ることとなりました。また、指定重点犯罪の検挙率が前年に比べて二二・八ポイント上昇し九七・一%になるなど、着実に成果が上がっているところであります。
 しかしながら、犯罪の広域化、巧妙化の進展等、犯罪捜査を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある上、指定重点犯罪では、還付金等詐欺を加えた振り込め詐欺の認知件数が前年に比べ三・四%増加し、被害総額が六十億円を超えているほか、性犯罪についても五・三%増加するなどしております。
 こうした情勢を踏まえ、本年も、六つの指定重点犯罪を継続するとともに、サミット対策をも視野に入れ、車上ねらいと自動車盗を新たに指定して、より一層強力な犯罪抑止総合対策を推進してまいります。
 とりわけ、振り込め詐欺対策では、金融機関に対し、窓口での声かけの要請や、警察署とのホットラインの構築による速報体制の強化などを図っておりますが、引き続き、検挙対策はもとより、関係機関との連携による、新たな手口や防犯対策についてのチラシやポスターの作成、配布、電子メール、ホームページなどによる広報啓発活動を積極的に推進してまいります。
 その二は、重要・特異事件の検挙についてであります。
 昨年は、十二の事件について特別捜査本部を開設し、鋭意捜査を推進した結果、このうち、高島平一丁目旅行かばん詰め殺人・死体遺棄事件など、八つの事件を解決いたしました。このほか、四月に暴力団員が都営アパートの自室に立てこもり、けん銃を発砲するなどした町田市内都営アパート内けん銃発砲・立てこもり事件のほか、厚生労働省技官らによる贈収賄事件、株式会社リッチランドによる広域多額詐欺事件などの重要・特異事件を検挙しております。
 引き続き、大和田町スーパー事務所内けん銃使用強盗殺人事件、上祖師谷三丁目一家四人強盗殺人事件などの重要未解決事件の解決に向けて懸命の捜査を展開してまいります。
 その三は、来日外国人犯罪対策についてであります。
 来日外国人犯罪組織等は、偽装結婚や旅券等の各種証明書の偽造、地下銀行などのいわゆる犯罪インフラを構築し、生活の定着化を図りながら、目的に応じて離合集散あるいは暴力団と結託し、強盗等の凶悪事件を初め、薬物の密輸、密売などのさまざまな犯罪に関与するなど、来日外国人犯罪をめぐる情勢は依然として厳しい状況にあります。
 こうした情勢を踏まえ、昨年は、組織の実態解明とその壊滅に向けた捜査及び東京入管との合同摘発を徹底するなどして、侵入強窃盗を繰り返していたコロンビア人グループの検挙を初め、来日外国人犯罪者等約九千六百人を検挙、摘発しております。
 引き続き、来日外国人犯罪組織等に打撃を与える取り締まりを強力に推進してまいります。
 その四は、少年非行対策についてであります。
 昨年の街頭犯罪に占める少年の割合は約四割で、依然として高水準で推移しており、手口別では、オートバイ盗の約九割、自動販売機ねらいの約六割が少年犯罪であるなど、深刻な状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、昨年、少年補導職員制度を導入し、盛り場等における街頭補導活動を強化するなどした結果、約一万一千六百人の非行少年を検挙、補導し、約二百八十の非行集団等を解体しております。
 また、次代を担う少年の健全育成という観点から、スクールサポーター制度や、児童・生徒の健全育成に関する警察と学校との相互連絡制度を効果的に運用し、学校や地域等との連携による非行防止活動を推進するとともに、再非行防止や立ち直り支援策として、サポートチームによる支援や社会参加活動への参加の促進などの諸対策を講じてまいりました。
 今後も、関係機関、団体等との緊密な連携を図りつつ、少年非行対策を積極的に推進してまいります。
 その五は、安全・安心なまちづくりを実現するための各種対策についてであります。
 近年、都民の防犯意識が大いに高まる中、防犯ボランティア団体は、犯罪抑止総合対策を開始した平成十五年末当時、約百五十団体、約一万四千人でありましたが、昨年末現在には約三千五百団体、約十六万人と、団体数で約二十三倍、人員で約十一倍に増大し、地域単位での防犯パトロールや子どもの見守り活動などが展開されております。
 また、道路、公園、駐車場への街路灯や防犯カメラの設置、青色回転灯の装着車両によるパトロールなど、自治体等による防犯活動も積極的に行われ、地域防犯力の向上に大きく寄与しているところであります。
 こうした活動を支援するため、犯罪抑止に役立つ情報の提供のほか、定期的な連絡会の開催、合同パトロールの実施などに努めてまいりました。引き続き、地域の皆様や自治体、関係団体等と緊密に連携しながら、実効ある諸対策を積極的に推進してまいります。
 次に、子どもの安全確保のための取り組みについてでありますが、昨年、全国で子どもが犠牲となる痛ましい事件が発生し、都内においても、子どもを対象としたわいせつ事案や、この種事案の前兆と見られる声かけ事案が多発するなどしております。
 こうした現状を踏まえ、電子メールやホームページ、ファクシミリ等による不審者情報を広く都民に提供したほか、学校や地域住民と連携し、登下校時の合同パトロールや被害防止教室、不審者侵入時の対応訓練等を実施してまいりました。
 今後も、市区町村、学校、保護者及び地域との連携を一層密にして、子どもを犯罪から守るための取り組みを強力に推進してまいります。
 次に、猟銃所持者に対する安全管理対策でありますが、昨年十二月、都内においてライフル銃の暴発による幼児の死亡事故が発生したほか、長崎県下においても散弾銃を使用した殺傷事件が発生するなど、銃器に対する国民の不安が一段と高まっております。
 こうした現状を踏まえ、現在、許可猟銃等及びその所持者すべてを対象に一斉検査を実施しているところでありますが、今後も、銃砲許可行政の厳正化を図るほか、各種法令の適用による積極的な取り締まりを実施し、銃砲等に係る事件、事故の絶無を期してまいります。
 その六は、地域に密着した街頭警察活動についてであります。
 昨年は、地域の安全・安心のよりどころとして重要な役割を担う交番機能を一層強化し、パトロール活動と在所警戒をバランスよく実施するための全庁的な交番の配置見直しを行ったところであります。また、交番機能を廃止した施設の大部分を地域安全センターとして運用し、警察官OBによる地域安全サポーターが、学童の登下校警戒や地域住民との合同パトロールに当たるなどして、地域の安全・安心を支える活動を行っております。
 今後も、地域実態に即したきめ細かな街頭警察活動を強化し、地域の安全・安心の確保に努めてまいります。
 その七は、四地区を中心とする盛り場対策についてであります。
 だれもが安心して楽しめる盛り場環境の実現を目指し、歌舞伎町、六本木、池袋、渋谷の四地区を中心に、盛り場で暗躍する犯罪組織等の取り締まりを初め、違法風俗店に対する摘発など、重点的かつ戦略的な盛り場総合対策を実施してまいりました。
 その結果、昨年は、四地区において暴力団や来日外国人等約二千六百人を検挙、摘発するとともに、違法性風俗店やカジノ店など約三百七十店舗を取り締まり、その多くを閉鎖に追い込んだほか、違法な立て看板等を相当数撤去するなどしております。
 また、昨年の第四回定例会においてご審議いただきました、キャバクラに係る勧誘や執拗な態様で行われる勧誘行為等を規制する、いわゆる迷惑防止条例及びぼったくり防止条例の一部を改正する条例が四月一日から施行されます。
 今後とも、これら関係法令を積極的に適用した取り締まりの推進に努めるとともに、地域のボランティア団体や商店街振興組合等との連携を図るなど、まちぐるみでの盛り場環境の浄化に努めてまいります。
 第二は、暴力団総合対策についてであります。
 全国で最大の勢力を擁する六代目山口組は、平成十七年に國粹会を傘下におさめ、東京進出の橋頭堡を築いた後、昨年は都内の指定暴力団松葉会と友好関係を深めるなど、その動きを加速させております。また、二月に発生したけん銃発砲対立抗争事件に見られるように、主要繁華街における利権をめぐり、在京暴力団との緊張状態が続くなど、都内における暴力団情勢は依然として厳しい状況にあります。
 こうした情勢を踏まえ、昨年は、山口組集中取締特別捜査本部を中心に、あらゆる法令、捜査手法を駆使して、資金源の剥奪、武器庫の摘発、構成員の検挙などを強力に推進してまいりました。その結果、六代目山口組傘下組織幹部らによる組織的詐欺事件の検挙を初め、約五千三百人の暴力団構成員等を検挙しております。
 今後とも、暴力団の動向把握を徹底し、組織に打撃を与える対策及び取り締まりを強力に推進してまいります。
 第三は、国際テロ等、各種テロ、ゲリラの防圧検挙についてであります。
 その一は、サミットに向けた警備対策の推進についてであります。
 本年七月の北海道洞爺湖サミットをめぐっては、国際テロを初め、反グローバリズム運動に伴う過激な抗議行動のほか、極左暴力集団や一部右翼によるテロ、ゲリラ等が懸念されるなど、予断を許さない情勢にあります。
 とりわけ、今回のサミットは、平成十三年の米国同時多発テロ以降、我が国で初めての開催であることに加え、平成十七年の英国・グレンイーグルズ・サミットでは、開催地から遠く離れた首都ロンドンで同時多発テロが発生していること、また、都内において各国の閣僚が出席する開発大臣会議や司法・内務大臣会議の開催が予定されていることから、東京が主戦場になることは必至であります。
 こうした情勢のもと、テロ関連情報の収集、分析を初め、政府関連施設、公共交通機関、繁華街等に対する警戒警備を強化するとともに、事業者や地域住民等との緊密な連携による、テロを起こさせない社会づくりを推進しております。
 引き続き、国際テロ等の未然防止に向けた総合的な対策を強力に推進し、警戒警備の万全を図ってまいります。
 その二は、北朝鮮による拉致容疑事案についてであります。
 昨年は、二月に、蓮池薫、祐木子夫妻拉致容疑事案について、新たに北朝鮮工作員二人を共犯者として特定し、国際手配するとともに、四月には、姉弟拉致容疑事案の被疑者として北朝鮮工作員一人を、六月には、欧州で発生した石岡亨、松木薫さん誘拐容疑の被疑者として、よど号グループの二人をそれぞれ国際手配したところであります。これらにより、警視庁では、政府または警察庁が北朝鮮による拉致容疑事案と認定した十三件のうち七件に関して、これまで、被疑者十人の逮捕状を得て国際手配しております。
 引き続き、北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に向け強力に捜査を推進してまいります。
 その三は、オウム真理教についてであります。
 オウム真理教は、昨年五月、松本智津夫を絶対視する主流派と、その影響力の払拭を装う上祐派の対立から、上祐派が新団体ひかりの輪を設立して分裂状態にありますが、両派は、全国十五都道府県において二十九カ所の拠点施設と約千五百人の信者を擁しており、このうち都内は五カ所、約六百三十人であります。
 依然として、両派ともに、松本を絶対的帰依の対象としており、治安に対する危険性を具備していることから、今後も、関係機関、自治体等と緊密な連携を図りつつ、教団に対する警戒活動、組織的違法行為に対する厳正な取り締まりを推進してまいります。
 第四は、重大交通事故の防止と安全で快適な交通社会の実現についてであります。
 昨年九月施行の改正道路交通法により飲酒運転が厳罰化されたことに伴い、悪質、危険性、迷惑性の高い交通違反の指導取り締まりの一層の強化を図るとともに、関係機関との連携による飲酒運転させないTOKYOキャンペーン等を展開し、飲酒運転根絶に向けた広報啓発活動を推進したほか、交通事故死者数を二百五十人以下とする目標に向け、各種対策に取り組んでまいりました。
 その結果、昨年の都内における交通事故の発生件数及び負傷者数は七年連続で減少したほか、死者数については、前年に比べ六人増加したものの、戦後二番目に少ない二百六十九人となるなど、一定の成果をおさめることができました。
 本年も、「交通死亡事故減少―セーフティー東京・チャレンジ二五〇―」をスローガンに、高齢者と二輪車の交通事故防止に重点を置いた各種対策を一層推進するほか、四月から、放置車両確認事務の民間委託を二十三区全域に拡大し、交通渋滞の緩和にも努めてまいります。また、六月までに施行予定の改正道路交通法のうち、自転車利用者対策や後部座席のシートベルトの着用義務化等の円滑な施行についても万全を期してまいります。
 第五は、震災等大規模災害に対する迅速、的確な対応についてであります。
 昨年は、都内において大規模な自然災害の発生はありませんでしたが、台風九号による風水害や、渋谷区において温泉施設の爆発事故が発生するなどしております。また、七月に発生した新潟県中越沖地震では、警視庁からも直ちに広域緊急援助隊や警備犬等を派遣して、被災者の救助活動に当たりました。
 今後も引き続き、切迫性が指摘されている首都直下地震を初めとする各種大規模災害に備え、実戦的な訓練を反復、継続的に実施し、職員の対応能力の向上に努めるほか、地域や事業所等との合同の避難誘導訓練等を通じ、自主防災意識の向上を図るなど、地域と一体となった各種災害警備対策を推進してまいります。
 第六は、犯罪被害者支援活動についてであります。
 昨年は、犯罪被害者に対して、被害認知直後から病院への付き添い等を行う初期支援活動を初め、捜査状況等の情報提供を行う被害者連絡活動を推進するとともに、診断書料などの公費支出制度の充実に努めてまいりました。
 引き続き、各自治体、関係機関等との緊密な連携を図りつつ、犯罪被害者の心情に配意した支援活動を推進するとともに、犯罪被害の実態等について理解を深めるための広報啓発活動を積極的に展開し、社会全体で犯罪被害者を支え、思いやる機運を醸成し、安全で安心して暮らせる社会づくりを推進してまいります。
 以上、都内の治安状況について申し上げましたが、昨年ご承認いただいた警察官二百七十名や交番相談員等再雇用職員の増員などにより、多くの警察官を現場警察活動に充てることができました。
 引き続き、職員個々の資質、能力を最大限に発揮するための各種施策の構築、業務の効率化、合理化、優秀な人材の確保、退職警察職員の活用など、警察力の質的な強化方策を強力に推進してまいります。
 このほか、組織整備として、三月末には、発展著しい臨海地区を包括的に管理し、能率的な警察活動を推進するため、現在の東京水上警察署を廃止し、新たに東京湾岸警察署を開署する運びとなっております。
 警視庁では、今後とも、「安全・安心な街、東京」の実現に向け全力を尽くしてまいりますので、なお一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、治安状況報告といたします。
 ありがとうございました。
〇議長(比留間敏夫君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。
 監査委員倉林辰雄君。
  〔七十一番倉林辰雄君登壇〕

○七十一番(倉林辰雄君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間実施いたしました監査の結果についてのご報告を申し上げます。
 先ほど知事の施政方針でも述べられておりましたが、公会計制度でありますが、昨年は、新たな公会計制度に基づく東京都財務諸表が初めて作成をされ、都の行財政にとって大きな節目となる年でありました。また、監査委員が四名から五名へと増員をされ、監査機能の一層の充実強化を図ったところであります。
 ご承知のとおり、監査委員の役割は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されるよう監査することであります。この一年間は、六百六十五カ所で監査を実施し、問題点の指摘は二百七十九件、不経済支出等の合計は約十億二千万円であります。
 それでは、監査結果の報告に入ります。
 監査委員は、ご承知のとおり、定例監査、行政監査、工事監査、財政援助団体等監査、決算審査、住民監査請求など多岐にわたる監査を実施しておりますが、まず最初に、定例監査からご報告を申し上げます。
 定例監査は、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査であります。本庁のすべての部と事業所の約半数、計四百六十二カ所を対象といたしました。都の事務事業が適正に行われているかを監査し、今回はさらに、リース契約について重点的に監査を行いました。
 リース契約は、情報システムや業務用機器等の調達手段として広く行われておりますが、リース料の積算に当たって、本来リース物件価格に含めるべきでないインターネット接続料や保守料などの経費を含めて算出するなど、積算が適切でない事例が多く見受けられました。過大積算額の合計は約三億三千万円にも及んだところであります。
 このほかに、身体障害者更生施設の利用率を向上させ、待機者の解消を図ることや、漏水に伴う修理工事をより経済的な方法で行うことなどを指摘をいたしました。
 また、定例監査の一環として、新たに作成された東京都財務諸表が東京都会計基準に準拠しているか、検証もいたしました。
 監査の結果、都民にわかりやすい財務諸表の表示や固定資産の計上にかかわるシステム運用の改善について、今後の検討も要望いたしました。
 この財務諸表は、地方公共団体における複式簿記・発生主義会計導入のリーディングケースであるとともに、都の行財政運営を改革するための手段として大きな可能性を持つものであります。高く評価をするものであります。今後、都庁全体において、財務諸表を活用した資産の有効活用や事業運営の見直しが着実に推進されることを期待いたします。
 次に、行政監査について申し上げます。
 行政監査は、都の特定の事務や事業を対象とし、経済的、効率的、効果的に行われているかという観点を主眼として行う監査であります。今回は、公共交通機関の整備、運営と、指定管理者制度による公の施設の管理の二点について監査を実施いたしました。
 公共交通機関については、今回初めて、新たな公会計制度の財務諸表を活用した監査を実施しました。株式会社ゆりかもめと多摩都市モノレール株式会社はいずれも、都が駅舎や走行路等の躯体部分を建設し、保有しております。この都が保有する資産について財務諸表を作成し、会社の財務諸表と連結して分析をいたしました。
 その結果、会社単体の財務諸表で経営状況を見た場合、多摩都市モノレールには課題が多く、ゆりかもめには大きな課題は認められなかったのに対し、都の保有部分を連結すると、逆に、ゆりかもめの方が多摩都市モノレールよりも厳しい経営状況に置かれていることが初めて明らかになりました。このことから、事業別財務諸表から得られるストック情報などを活用し、会社に対して適切な経営指導を行っていくことを強く求めたところであります。
 次に、指定管理者制度による公の施設の管理についてであります。
 指定管理者制度は、公の施設の管理運営に広く民間のノウハウを活用することで、都民サービスの向上や経費の節減を図ることを目的とした制度であり、平成十八年度から本格的に導入をされました。
 監査の結果、制度導入前から長年にわたり受託していた同一の法人がそのまま指定管理者となっている場合が多く、業務内容が包括的、抽象的となっている事例が見受けられたことから、管理業務の内容、範囲、水準を精査し、明確にするよう求めたのであります。また、指定管理者が事業計画どおりに事業を実施しているかを所管局が適切に把握し、内容を検証することなども求めました。
 次に、工事監査について申し上げます。
 工事監査は、百万円以上の工事を対象として、その約一割、一千八百三十五件について実施をいたしました。
 監査結果の事例を挙げますと、設備工事で使用する電線やケーブル等を、環境負荷のより少ない、ハロゲンや鉛などを含まないものに転換するよう検討も求めました。
 また、指摘の大半は工事費の積算の誤りであります。浸水対策工事におけるシールドマシンの機械器具損料について、器具の使用台数を誤って計上したため積算額九千二百四十八万円余りが過大なものとなった事例など、過大な積算は合計で約二億四千万円にもなりました。
 また、今回、工事事務に関するチェック体制を重点監査事項とし、調査、検証した結果、チェック体制は一定の効果を上げていることは確認できました。
 しかし、今回の監査でも、積算の誤りが多いこと、各局の取り組みに相違があることなどから、工事事務に関する技術面からのサポート体制の構築等、全庁的な取り組みを求めたところであります。
 次に、都の出資団体や補助金交付団体に対する監査について申し上げます。
 監査を実施いたしたのは、出資団体九カ所及び補助金交付団体百八十九カ所であります。
 出資団体のうち、財団法人東京都保健医療公社では、医事業務委託等について、同一の業者と長年にわたり特命随意契約を継続しており、契約の公正性、経済性の観点から見直しを求めました。
 また、補助金交付団体について見たところ、私立学校や社会福祉施設において補助金の交付額に誤りがあり、返還を求めました。
 次に、決算審査について申し上げます。
 平成十八年度決算について、計数を確認するとともに、予算執行や資金管理、財産管理の面からも検証いたしました。その結果、財産に関する調書において、土地で約二十九万六千平方メートル、建物で約三千六百平方メートルの過大登載等の誤りがあり、現在高の把握を適正に行うよう求めました。
 このほかにも、平成十九年には十三件の住民監査請求があり、このうち、請求が法的要件を満たしている、自動車営業所における事務引き継ぎに係る超過勤務手当の返還を求めた請求など四件について監査を実施いたしました。
 ここで、監査結果に対する改善状況について申し上げておきます。
 これまで述べてまいりました監査は、指摘した問題点が改善されて初めて目的を達成いたします。このため、各局には、指摘を受けてどのように改善をされたのかの報告を求めております。過去三年間に行った指摘について見ると、これまでに九割以上が改善をされております。
 以上、この一年間に実施した監査について述べてまいりましたが、監査の結果、総じていえることは、組織内部のチェック体制が十分に機能をしていないために事務処理の誤りが見過ごされたり、業務の実情に対応した見直しが行われていなかった事例が多いことであります。他の部署に対する指摘等も他山の石とし、管理者の皆様には、職場の実情に合わせ、業務の標準化や基準の作成に向けた努力や工夫を講じるよう強く望むのであります。
 ところで、ことしから新たに、監査委員によるトップインタビューを行います。業務手順の明確化やチェック体制強化など、内部統制の整備については組織のトップの認識が肝要であります。そこで、各局の事業環境や運営方針について、監査委員が直接、局の幹部職員にインタビュー等を行い、内部統制の状況を確認することで、監査のさらなる充実に努めてまいります。
 最後に、私ども五名の監査委員は、都政が公正かつ効率的に運営されるよう、これからも監査委員の使命を全力で果たしていく決意であることを申し上げ、監査結果の報告を終わります。(拍手)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、包括外部監査人より、平成十九年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人園マリさん。
  〔包括外部監査人園マリ君登壇〕

○包括外部監査人(園マリ君) 平成十九年度包括外部監査人の園マリと申します。
 平成十九年度は、都市整備局の業務である住宅政策、都営住宅等及び多摩ニュータウン事業の管理と財務事務の執行並びに東京都住宅供給公社の経営管理について監査を行い、十四件の指摘と六十五件の意見を監査報告書に記載いたしました。
 本日は、主な事項についてご説明申し上げます。
 第一に、住宅政策につきましては、初めに、東京都住宅供給公社に対する資金援助について申し上げます。
 公社一般賃貸住宅事業には、平成十八年度末で、東京都からの無利子貸付が千九百四億円、東京都が全額利子補給する社債が二百三十二億円ありますが、同事業においては、社会経済状況の変化などを反映して、二つの大きな方向転換が行われております。
 一つは、平成十四年三月に地方住宅供給公社法施行規則が改正されて、家賃が原価積み上げ方式から近傍同種と均衡を失しない家賃、すなわち市場価格を基準とする家賃に変更され、東京都の無利子資金の効果が、一律に家賃を軽減させるものではなくなっています。
 二つ目は、同事業に係る土地建物は、公社が、住宅金融公庫、現在の独立行政法人住宅金融支援機構からの借入金を五十年で償還し、その後五年間で東京都からの借入金を返済した後に、東京都に無償かつ無担保で移転することとされていましたが、法的根拠のない老朽住宅を東京都が新たに所有、管理することが困難であること、公社の事業運営にとっては大きなおもしとなり、自主自立経営を阻害することを理由に、平成十五年に、公社に相応の負担を求めた上で、所有権の帰属を公社に確定することとされています。
 他方、公社は、平成十八年度の一般賃貸住宅事業において、五十億円の事業利益と百五十七億円のキャッシュ・フローを計上しております。また、土地に係る東京都からの借入金返済に備えて土地債務償還積立金を設置しており、残高がピークとなる平成三十八年度には千百十九億円に達することが予想されています。
 加えて、公社は、国債、地方債を所有しており、平成十八年度の受取利息は一億四千三百万円でありますが、受取利息の金額も今後増加することが予想されます。
 公社が事業から生じた資金に係る利息を土地債務償還積立金の原資とすることは、東京都からの資金援助の直接的な目的には沿わないものであり、公社を指導監督する立場にある東京都は、公社に対する資金援助がどのように公益に還元されているかを十分検討した上で、公社の経営状況に即して、一般賃貸住宅事業に係る貸付金について、相応の利子負担を求めることを含めて、公社との契約の見直しを図ること、また、公社の中長期的資金計画に基づき、繰り上げ償還を求める必要があることを意見としております。
 次に、都民住宅についてですが、バブル期に制度設計された都民住宅は、入居者負担額が毎年増加する仕組みが社会経済状況の変化にそぐわないものとなったことなどにより、空き家率の高いものが見られ、平成十八年度末の空き家率は、都施行型都民住宅が二一・八%、公社施行型都民住宅が四・五%となっており、地理的条件などにより一概に論じられない面はあるものの、趨勢的に公社施行型の空き家率の改善が進んでおります。
 都施行型の募集は公社に委託して行われておりますが、公社の経営上は、公社施行型の入居を促進することにインセンティブが働くことから、都市整備局は、都施行型と公社施行型との空き家率の推移を比較して、都施行型の募集努力が十分であるかについて、経営的感覚を伴って指導監督する必要があり、具体的には、公社施行型の申し込みは公社ホームページでも受け付けているのに対し、都施行型の空き家入居者先着順受け付けは公社募集センターのみで行われており、都民にとって応募しにくい状態であることの改善を意見としております。
 第二に、都営住宅等につきましては、財産情報システムによる公有財産台帳の不備について申し上げます。
 都営住宅等の財産は、東京都公有財産規則に従って公有財産台帳に記録されており、公有財産台帳は、平成十七年度から、手書きの台帳から財産情報システムに移行しております。
 平成十七年度の財産情報システムから、取得価格の単価の異常が疑われるもの、取得価格と現在価格とに不自然な乖離があると思われるものを五十五件抽出して精査したところ、取得価格については、うち二十件で、財産情報システムへの移行時に生じたインプットミスなどにより、合わせて二百三十九億円多く記載されているほか、三件については、手書きの公有財産台帳における転記ミスなどにより、約四億円多く記載されており、これらが平成十八年度の財産情報システムにも引き継がれております。
 現在価格についても登録の誤謬が認められ、うち四件が、平成十九年度の市町村交付金の算定基礎とされております。
 このほかにも、減価償却開始日となる建築年月日の引き継ぎの不備が千八百九十五件認められ、これに伴い、平成十八年度末における減価償却累計額が三十三億円多く計上されております。
 財産情報システムによる公有財産台帳の金額は、平成十八年度から開始された新たな公会計制度における財務諸表にも反映されます。
 都市整備局は、誤謬が生じた原因として、限られた期間で膨大なデータを移管したことを挙げていますが、一見して異常が発生しているものも多く、事後的なチェックが不十分であるため、財産情報システムの正確性を検証する仕組みを早急に整備する必要があります。
 第三に、多摩ニュータウン事業についてですが、初めに、多摩ニュータウン事業会計は、平成十三年に民事再生法を申請した株式会社多摩ニュータウン開発センターに対し、十九億三千九百万円の別除権つき債権を有しており、当該債権は平成三十二年度から三十八年度にかけて順次返済される計画ですが、平成十三年に締結された別除権の取扱いに関する協定書には、事業が予測以上に順調に推移し、弁済資金に余裕ができたときには、別除権金額の全部または一部について繰り上げ弁済する旨が定められています。同社の財産及び損益は計画以上の順調な推移が認められる状況であり、都市整備局は、同社の事業状況を十分に把握、分析し、別除権つき債権の早期回収に努める必要があります。
 次に、多摩ニュータウン事業は、四十年以上かけて行われてきた大プロジェクト事業とみなすことができ、都市整備局は、平成二十三年度の事業会計閉鎖に向けて、事業の経緯を可能な限り定量的にも把握、整理する必要があると考えられます。
 新たな公会計制度による多摩ニュータウン事業会計は、平成十八年度末で千二百二十九億円の債務超過ですが、昭和六十年度から平成十年度までに相原小山開発事業会計が一般会計から借り入れた資金に対する利息が借入時の利率で毎年計上されており、未払い利息残高は二百四十四億円となっております。
 一般会計と多摩ニュータウン事業会計との間のことではありますが、借入時の利率は現在を大きく上回るものがあり、一般会計が現実に負担する金利と乖離した利息を計上し続けることは、多摩ニュータウン事業の負担コストを明らかにする観点からは適当でなく、また、借入金元金の完済も極めて厳しい状況が予測される事業に対して、一般会計が回収困難な未収入金を計上し続けることも適当でないと考えられることから、一般会計借入金に係る利息の計上は見直しが求められることを意見としております。
 第四に、東京都住宅供給公社の経営管理につきましては、公社みずからが、一般賃貸住宅事業のスキームが大きく変化したことを踏まえて、民間事業者との均衡を意識しながら、東京都の支援を受けることに合理的な理由があるか否かを常に把握、認識し、可能な限り東京都の支援に頼らない、真の自立経営を推進する必要があることなどを意見としております。
 以上をもちまして、平成十九年度包括外部監査の結果のご説明といたします。(拍手)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。

○六十七番(石森たかゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十一日から二十五日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。
〇議長(比留間敏夫君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十一日から二十五日まで五日間、議案調査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、二月二十六日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
  午後二時四十一分散会


文書質問趣意書及び答弁書

一九財主議第四二二号
平成二十年二月十二日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十九年第四回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
後藤雄一議員
そなえ邦彦議員
小竹ひろ子議員
村松みえ子議員
斉藤あつし議員
かち佳代子議員
石毛しげる議員
古館和憲議員

平成19年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  後藤雄一

質問事項
一 一方通行・入り口の交通標識について
二 伊豆諸島の白バイについて
三 伊豆大島の北部し尿処理池の崖下の水質検査に付いて
四 虐め、パワーハラスメント、職場復帰訓練について
五 出張・宿泊費の実費支給について
六 消防庁の人事異動について
七 都営住宅の自治会・共益費について
八 公益法人の貸付先について

一 一方通行・入り口の交通標識について
 自転車事故減少に向けて「第8次交通安全基本計画」の道路交通の安全対策として「8つの柱」を打ち出している。そして、運転者のモラルの向上だけでなく自転車に対し「罰則」の強化をはかる事にしている。其の為には前提となる「道路交通環境の整備」は欠かせない。しかし、行革110番が以前から「一方通行の入り口のある交差点」で、「一方通行の入り口に向かって一方通行を逆行してくる自転車にたいして、一時停止の標識・停止線がない。」(信号機設置を除く)。と指摘しているが、未だに改善されていない。自転車に「罰則の強化」という以上、整備すべき、と考える。
1 一方通行の入り口の交差点で、一方通行の入り口に向かって一方通行を逆行してくる自転車にたいして、一時停止の標識・停止線がないが、警視庁は危険と考えているか?否か?伺う。
2 世田谷区内の「一方通行の入り口のある交差点」で、平成18年度におこった自転車の人身事故の件数が何件あるか伺う?
3 今後、「一方通行の入り口のある交差点」で、「一方通行の入り口に向かって一方通行を逆行してくる自転車にたいして、一時停止の標識・停止線を設置する考えあるか伺う。
二 伊豆諸島の白バイについて
 伊豆諸島の大島、新島等に白バイが配備されている。しかし道路事情を考えると、白バイよりパトカー等による取り締まりが有効と考える。また、夏季には応援の白バイを毎年派遣している。しかし、観光客も激減しており、見直す時期にきていると考える。
1 伊豆諸島の白バイ配備の廃止も含めて見直すべきと考えるが、見解を伺う。
2 平成19年度に派遣した白バイの台数、費用、派遣理由を伺う。
三 伊豆大島の北部し尿処理池の崖下の水質検査に付いて
 大島町にはし尿処理施設・汚泥処理施設がなく、大島町は元町港近くの海岸の崖の上にある「北部し尿処理池」等にし尿等を投棄している。行革110番がこの「北部し尿処理池」の崖下の海水を採水し、大阪にある「環境監視研究所」に依頼し分析したところ、CODの値が100ppm、110ppmという常識では考えられないデータを得た。しかし、平成19年第3回定例会で「北部し尿処理池の崖下のCODの値100ppm、110ppm」と、「北部し尿処理池」との因果関係を質問したが、明確な答弁がなかった。し尿処理・汚泥処理は大島町の責任で行なうものであるが、し尿を投棄している崖下の海水からCODの高い値が検出されているのだから、広域行政を担当する東京都も関与する必要があると考える。
 また、東京都はオリンピック招致に向けて「環境」を重視している。し尿の投棄による「海洋汚染」を東京都が放置している、となれば、IOC委員も、東京都がいう環境重視を口先だけ!!と判断する事だろう。
1 再度伺うが、東京都は「北部し尿処理池」と「北部し尿処理池の崖下の海水」のCOD「100ppm、110ppm」の値との因果関係について見解を伺う。
2 今後、継続して「北部し尿処理池の崖下の海水」の水質検査を行うべき、と考えるが見解を伺う。
四 虐め、パワーハラスメント、職場復帰訓練について
 知事部局は、精神疾患などで休職している職員に対し、職場復帰に備えて職員からの要望という形を取り「職場復帰訓練」を行なっている。
 精神疾患の原因の一つに、職場内での「虐め、パワーハラスメント」がある。
 知事部局では、原則、職場復帰訓練は、元の職場で行なう事を前提としている。そして、職場内での「虐め、パワーハラスメント」を受け休職していた職員に対しても、元の職場での職場復帰訓練しか認めていない。
 上記休職した職員には、職場内での「不正・違法・不適正」な事業執行を見逃す事ができず、上司・組合に改善を求めたケースがあり、その結果として、復帰する事ができず退職するケースがほとんどである、という話が聞こえてくる。職場内部から改善を求める声を生かせなければ、都庁の改革は望めない。また、告発者保護法も制定され、告発者の身分は保証されなければならない。
1 都庁職員からの内部告発にたいして、どのように対応しているか伺う。
2 内部告発した職員が受ける「虐め、パワーハラスメント」の対応について伺う。
3 職場内での虐め、パワーハラスメントで精神疾患に陥り病気休職するケースでは、本人及び本人の担当医師等が元の職場以外で職場復帰訓練を行なうことを求めるケースもあると考える。元の職場以外でも職場復帰訓練を認めるべき、と考えるが、今後の対応を伺う。
五 出張・宿泊費の実費支給について
 石原知事は「国に先駆け、東京から日本を変える」と、宣言し行革を断行し財政再建を行なっている。
職員が出張する際の経費の支払いは、交通費は実費支給だが、宿泊費については定額支給だ。その理由として「国の旅費支給に準じている」と説明する。一方、民間の出張宿泊費は「領収書による実費支給」にかわってきている。
 伊豆諸島に出張すると、東京都内でありながら宿泊が必要となる。伊豆諸島の宿泊施設は「民宿」が大半であり、民宿料金は6300円からであり、都職員は民宿に泊まるケースが多い。現在、一般職員には1万円が定額で支給され、民宿に泊まれば差額がお小遣いになる。
1 知事は「国に先駆け、東京から日本を変える」と宣言しており、国のまねをせず、出張・宿泊費の定額支給を改め「限度額内で、領収書添付の実費支給」とすべき、と考えるが見解を伺う。
2 伊豆諸島に出張する際の宿泊費だけでも、早急に実施すべき、と考えるが、見解を伺う。
六 消防庁の人事異動について
 首都圏を直撃した今年9月6日の台風、「大雨洪水警報」が発令され、東京消防庁は「第2次水防第二非常配備態勢」で参集時刻まで設定していた。にもかかわらず、世田谷消防署の署長・副署長、課長2名が「酒」を飲んで参集時刻に遅刻した事件がある。この遅刻した署長・副署長等に対し、11月1日付けでマスコミにも公表せず、以下の順送りの人事異動が行なわれた。
 署長は「世田谷消防署長→尾久消防署長→池袋消防署長→西新井消防署長→世田谷消防署長」、副署長は「世田谷消防署・副署長→小金井消防署・副署長→向島消防署・副署長→北多摩西部消防署・副署長→世田谷消防署・副署長」。
 飲酒事件をもみ消すために、現場を指揮する署長職を外す事なく、別の消防署長にただ異動する順送り人事というものだった。これでは現場の消防士は、飲酒している署長・副署長と一緒にされてしまい消防士の士気が下がり、消火作業にも身が入らず、都民の被害が計り知れない。
1 上記飲酒事件だが、懲戒処分は行なわれなかったと解してよいか伺う?
2 今後、「大雨洪水警報」が発令され、東京消防庁が「第2次水防第二非常配備態勢」で参集時刻を予定しているのに、現場の消防士が飲酒で遅刻しても本件と同じように「懲戒処分」になる事はないと考えてもよいか?伺う?
3 本件「飲酒事件」を引き起こした署長・副署長は、現場には不適格と考えるが、見解を伺う。
七 都営住宅の自治会・共益費について
 行革110番が以前から指摘しているよう、都営住宅自治会は住宅建設時から自治会長が同じ人物が続けていたり、大家さん気取りで自治会を私物化している自治会等、民主的な自治会運営から外れているケースが存在する。
 先日も都営住宅敷地内に駐車場を設置し、駐車料金を徴収していた池尻団地がある。この自治会長は東京都から指導を受け、平成15年11月「池尻団地自治会に於いては、都有地である団地敷に駐車スペースを占有したり、居住者から駐車料金を受領するなど違法行為は一切行っていないことを報告します。」と文書まで入れていたが、今年(平成19年9月)まで駐車場を設置していた。そして駐車料金は自治会と別組織を作り徴集していた。
 また、住民が、会計帳簿を公開するよう申し出たところ、拒否され、新たな自治会を設立し住宅内で争いになっている自治会もある。そして自治会運営に異論を唱えると、「都営住宅を追い出してやる。生活保護をきってやる」等の暴言も吐かれたと住民からの告発もある。
 今後、都営住宅の住民の高齢化がすすみ、又生活保護等の弱者がふえると予測される。そこで、
1 都営住宅の自治会を住民の民主的な運営に任せる為にも、共益費と自治会費の会計分離、会計帳簿の公開等の最低限の事項を自治会に指導すべき、と考えるが見解を伺う。
2 都営住宅の共益費のうち、「エレベーター、街路灯」の電気代を東京電力に支払う契約者は、現在、自治会会長等と聞く。しかし、建設当初の契約者は東京都であると考えるが、自治会長に名義を変える手続き・方法について伺う。
八 公益法人の貸付先について
 世田谷区北烏山7丁目で学生寮を運営する「(財団)岩崎育英奨学会」は、平成19年3月31日現在、短期貸し付け残高が「104億円」であり、教育庁も確認している。「短期貸付け」とは、償還が1年以内に行われる貸付け、と定義づけられている、という。
 又、公益法人の指導監督基準では、
〔1〕公益法人の財産運用は元本が回収できる可能性の高い方法で行う事
〔2〕営利企業に不合理な資金の融資はダメとなっている。
 平成18年3月16日、朝日新聞/鹿児島版で「(財団)岩崎美術館(鹿児島県指宿市)が岩崎産業に対し8億円を超える融資をしていた」という報道がある。「(財団)岩崎美術館」と本件「(財団)岩崎育英奨学会」は、「岩崎産業」の創業者「岩崎興八郎」が創設した財団であり、「(財団)岩崎育英奨学会」の「短期貸付け先」も、「岩崎産業」と噂されている。もし「104億円の短期貸付金」の貸付け先が岩崎産業にとなれば、財団法人として不適切な資金の運用であり、指導しなければいけないはずだ。
1 財団法人の「104億円の短期貸付金」を解消するよう指導しているか伺う。また、この貸付金が「融資」でないのか?伺う。
2 また、104億円の貸付金であれば「担保」を取っているはずである。担保価値、及び抵当権の設定等の手続は適正に行われていたか、伺う。

平成19年第四回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 一方通行・入り口の交通標識について
1 一方通行の入り口の交差点で、入り口に向って一方通行を逆行してくる自転車に対して、一時停止の標識・停止線がないが、警視庁は危険と考えているのか否か伺う。

回答
 ご指摘の場所も含め、車両等が交錯する道路上においては、危険性が皆無であるとは言えないと考えています。

質問事項
一の2 世田谷区内の一方通行の入り口のある交差点で、平成18年度に起こった自転車の人身事故の件数について伺う。

回答
 世田谷区内に限らず、都内における「一方通行路に交わる交差点における自転車の人身事故件数」については、把握していません。

質問事項
一の3 今後、一方通行の入り口のある交差点で、入り口に向って一方通行を逆行してくる自転車に対して、一時停止の標識・停止線を設置する考えがあるか伺う。

回答
 道路交通法上、自転車は「車両」に該当し、交通規制の対象となりますので、一方通行を逆行する自転車に対する一時停止規制の実施は可能です。
 しかしながら、
・自転車は、小学生から高齢者まで幅広く利用されている交通手段であり、その高い利便性により手軽に利用されている実態から、このような場合に、あえて罰則の対象となる交通規制の義務を課すことは必ずしも適切ではないこと
・一般的に自転車自体の性能が高速度を出すことができない構造になっていること
・道路交通法第42条の規定により、見通しがきかない交差点等における徐行義務が自転車にも課せられていること
・標識を一方通行と逆向きに設置した場合、この標識を見た自動車等が通行できるものと誤認し、逆方向から進入してくるおそれがあり危険であること
等から、当庁では一方通行を逆行する自転車のみを対象とする一時停止規制は実施しないこととしています。
なお、自転車の交通事故を防止するため、一時停止規制に代わる対策として、「自転車ストップマーク」表示を路面に設置することにより、注意喚起を図っています。

質問事項
二 伊豆諸島の白バイについて
1 伊豆諸島に白バイが配備されているが、道路事情を考えるとパトカー等による取締りが有効と考える。観光客も激減しており、伊豆諸島の白バイ配備の廃止も含めて見直すべきだが、見解を伺う。

回答
 島部については、各警察署(大島署、新島署、三宅島署、八丈島署、小笠原署)に白バイを1台ずつ配置しています。
 その主な活動内容は、機動警ら、街頭監視、検問等の交通指導取締りや、交通安全教育、二輪車実技教室などによる交通事故防止対策のほか、白バイの機動力を活かした犯罪抑止対策、災害発生時における情報収集等であり、起伏に富んだ地形や狭隘な道路等、島部特有の地域特性の中で、これらの多角的な活動に迅速かつ効率的に従事する必要があることから、白バイを配置しているものです。

質問事項
二の2 夏季には、伊豆諸島に応援の白バイを毎年派遣しているが、平成19年度に派遣した白バイの台数、費用、派遣理由を伺う。

回答
 平成19年7月及び8月に島部の4警察署(大島署、新島署、三宅島署、八丈島署)に派遣した白バイは計8台で、その運搬費用の総額は16万2632円です。
 夏季期間中は、各島には多数の観光客が来島し、飲酒運転等の悪質な交通違反や交通事故の増加が懸念されることから、街頭活動及び交通指導取締りを強化することにより、交通安全の確保を図る必要があるため、毎年、応援の白バイを派遣しています。

質問事項
三 伊豆大島の北部し尿処理池の崖下の水質検査について
1 大島町がし尿等を投棄している北部し尿処理池と、その処理池の崖下の海水から検出されたCODの高い値との因果関係について、見解を伺う。

回答
 水質検査結果を評価する基準には、環境基準と排水基準があります。
議員が測定した崖下の海水は、環境基準を適用する場所には該当せず、環境基準と比較することは適当ではありません。
 また、このし尿投入場所は、水質汚濁防止法の規制対象ではありませんが、同法に該当する施設に適用される排水基準は、COD1リットル当たり160ミリグラム以下であり、議員が測定した崖下の海水の値100ミリグラムと110ミリグラムは、この基準を下回っています。

質問事項
三の2 今後、継続して、北部し尿処理池の崖下の海水の水質検査を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 し尿の処理が周辺環境に与える影響を調査する責務は、一般廃棄物の処理責任を有する大島町にあり、都は大島町に対し必要な技術的助言を行う立場にあります。
 大島町が平成19年7月、し尿投入場所から至近の海域において実施した環境調査の結果では、CODは1リットル当たり1.8ミリグラムであり、最もきれいな海域に適用される環境基準2ミリグラムより低い値でした。したがって、この海水には環境保全上の問題はありません。

質問事項
四 いじめ、パワーハラスメント、職場復帰訓練について
1 都庁職員からの内部告発に対して、どう対応しているのか伺う。

回答
 平成18年4月に公益通報者保護法が施行され、労働者が、事業者の一定の法令違反行為について事業者内部等に通報した場合、事業者は当該通報者に対して解雇や降格などの不利益な取扱いをしてはならず、また、事業者には、是正措置など必要な措置をとることが義務付けられました。
 同法の施行を受けて、都においては総務局人事部や各局人事担当課など、複数の公益通報窓口を設置して、職員等がより通報しやすい仕組みを整備するとともに、通報があった場合には、調査や是正措置など必要な措置を、所管部署が迅速かつ適切に実施することとしています。なお、公益通報に該当する場合、通報した職員等は通報を理由としたことによる不利益な取扱いは受けないこととなっています。

質問事項
四の2 内部告発した職員が受けるいじめやパワーハラスメントに対して、どう対応しているのか伺う。

回答
 公益通報者保護法に基づき、事業者が内部通報した職員等に対して解雇などの不利益な取扱いをすることは禁止されており、これは、都においても同様です。
 万が一、公益通報に該当する通報をしたことを理由に、通報した職員等に対するいじめやパワーハラスメントがあれば、事業者として厳正に対応していきます。

質問事項
四の3 職場内でのいじめ等で病気休職するケースでは、元の職場以外での職場復帰訓練を行うことを求めるケースもあると思う。元の職場以外でも職場復帰訓練を認めるべきだが、今後の対応を伺う。

回答
 職場復帰訓練は、職場復帰訓練実施要綱に基づき、精神疾患により休職中の職員の円滑な職場復帰の実現を図るために、治療の一環として、所属する職場において行うこととしています。
 なお、職場復帰訓練の実施場所については、疾患の発生原因、職場の状況等を踏まえた上で、本人、産業医及び所属長が十分協議して決定することが必要と考えます。

質問事項
五 出張・宿泊費の実費支給について
1 国に準じることなく、出張・宿泊費の定額支給を改め、限度額内での領収書添付の実費支給とすべきだが、見解を伺う。

回答
 宿泊料は、旅行中の朝食・夕食代及び宿泊に要する諸経費に充てるための旅費です。
 旅費とは、旅行の事実に対して支給する実費弁償ですが、宿泊料について実費主義を適用すると、手続が煩雑になるとともに、同一地域への旅行であっても各自が選択するホテル等により旅費額が異なる場合が生じるなど、適正な支出額を判定することが困難となります。
 そのため、宿泊料については「標準的な実費額」を基準とした定額で定めることにより、効率的な事務執行と適正な支出を確保しようとするものです。
 宿泊料のあり方については、社会情勢の変化に応じて、適切に対応していきます。

質問事項
五の2 伊豆諸島に出張する際の宿泊費だけでも、限度額内での領収書添付の実費支給を早急に実施すべきだが、見解を伺う。

回答
 島しょ地域の宿泊施設は、主に観光客を対象としており、季節によって高額な宿泊料金が設定されているなどの状況があります。
 宿泊料の実費支給の要否については、施設の宿泊料の状況、職員の宿泊実態などの把握を行った上で、慎重に検討していきます。

質問事項
六 消防庁の人事異動について
1 台風による大雨洪水警報発令中に、世田谷消防署の署長等が飲酒をし参集時刻に遅刻した事件について、懲戒処分は行われなかったのか伺う。

回答
 東京消防庁では、職員の非違行為に対して、事例に照らし、懲戒処分又はきょう正措置により対処しています。本件は、職員を指揮して業務を管理する立場にある管理職員の服務違反であり、円滑な業務遂行に支障を生じさせたことから、厳正に消防総監訓戒等のきょう正措置を行いました。

質問事項
六の2 今後、同様の飲酒による遅刻事件が起きた場合も、本件と同様に懲戒処分になることはないのか伺う。

回答
 今後、二度とこのような事案が発生しないよう取り組んでいきますが、仮に同様の事案が発生した場合は、厳正に対処します。

質問事項
六の3 今回の事件を引き起こした署長・副署長は、現場には不適格と考えるが、見解を伺う。

回答
 今回の非違行為に対しては既にきょう正措置を行っており、引き続き綱紀の粛正に努めていきます。署長・副署長を含めた職員の職への配置については、職員の能力、適性に応じて実施しています。

質問事項
七 都営住宅の共益費について
1 都営住宅の自治会を住民の民主的な運営に任せるためにも、共益費と自治会費の会計分離、会計帳簿の公開等の最低限の事項を自治会に指導すべきだが、見解を伺う。

回答
 都営住宅の自治会は、都営住宅の居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体であり、会員により適切に運営されることが望ましいと考えます。

質問事項
七の2 都営住宅の共益費の電気代について、東京電力に支払う契約者は、住宅建設当初は都であると考えるが、自治会長に名義を変える手続・方法について伺う。

回答
 建替えにより建設した都営住宅における共用部分の電気料金の取扱いについては、居住者の入居戸数が全体の7割に達するまでの間は都が支払名義人になり、入居戸数が7割以上になった時点で、当該自治会等に文書で通知し、支払名義を自治会等の代表者に変更しています。

質問事項
八 公益法人の貸付先について
1 世田谷区で学生寮を運営する財団法人岩崎育英奨学会は、短期の貸付残高が104億円あるが、これを解消するよう指導しているのか伺う。また、この貸付金は融資ではないのか伺う。

回答
 財団法人岩崎育英奨学会に対しては、「東京都教育委員会の所管に属する民法第34条の法人の指導監督基準」等に基づき指導しています。
 一般的に、貸付けは融資と同義であり、「指導監督基準」等では、公益法人が営利企業の実質的な経営を行うことになる不合理な資金の融通を禁じていますので、適正な資産運用を行うように引き続き指導していきます。

質問事項
八の2 104億円の貸付金であれば、担保を取っているはずだが、担保価値及び抵当権の設定等の手続は適正に行われていたのか伺う。

回答
 法人からは、貸付けに当たって、担保設定等の財産保全措置が適正に行われていると聞いていますが、現在、内容を確認中です。
 公益法人の事業運営及び資産の管理運用については適正に行うよう、引き続き指導監督に努めます。

平成19年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  そなえ邦彦

質問事項
一 都の景観行政について

一 都の景観行政について
平成16年に国において、良好な景観の形成に関する基本理念や、国、地方公共団体、事業者、及び住民の責務を明らかにする、景観に関する総合的な法律として「景観法」が制定されました。
 都でも、平成18年、都景観審議会からの答申を受け、都市計画法、建設基準法等に基づき、良好な景観の形成に関し体系的に実効性を持たせるため「東京都景観計画」(素案)を作定しました。
 そこで、改めて、都の景観行政について何点かお伺いいたします。
1 景観法と都の景観条例と区市町村の景観計画との整合性はどうなっていますか。
2 景観行政団体と東京都の関係はどうなっていますか。
3 屋外広告物の規制の基準はどうなっていますか。
4 事業者の責務はどうなっているのか、又、違反した場合のペナルティーはどうなっていますか。
5 事前協議の中味はどうなっていますか。
6 既に対象外になっている規制対象物に対する指導はどうなっていますか。
7 電線類の地中化の実態はどうなのか、又、将来的にはどうなのか。
8 違法ステ看板等の撤去はどうなっているのか、東京電力、NTTとの関係はどうなっていますか。
9 国分寺崖線景観基軸の区域に、都立病院を増築したのはなぜですか。

平成19年第四回都議会定例会
そなえ邦彦議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都の景観行政について
1 平成16年に国で景観法が制定され、都でも平成18年に東京都景観計画を策定した。景観法と都の景観条例と区市町村の景観計画との整合性はどうなっているのか伺う。

回答
 都は、景観法に規定する景観行政団体として、東京都景観条例を平成18年10月に改正し、平成19年3月に東京都景観計画を策定しました。
 区市町村が景観計画を定めようとする場合には、景観法の規定に基づき、あらかじめ東京都景観計画との整合性の確保等について都と協議し、都の同意を得て景観行政団体となる必要があります。

質問事項
一の2 景観行政団体と都の関係はどうなっているのか伺う。

回答
 景観法により、都は景観行政団体となり、区市町村は都と協議し、都の同意を得た場合に、景観行政団体となることができます。
 景観計画区域内において一定の行為をしようとする者は、景観行政団体の長に景観法に基づく届出を行うこととしており、景観行政団体となった区市町村の区域については、当該区市町村の長に届出がなされることとなります。

質問事項
一の3 屋外広告物の規制の基準はどうなっているのか伺う。

回答
 屋外広告物法は、都道府県が広告物の表示等に関する条例を制定できると規定しており、都は、昭和24年に東京都屋外広告物条例を制定し、広告物の形状、面積等についての基準を定めています。

質問事項
一の4 事業者の責務はどうなっているのか、又、違反した場合のペナルティーはどうなっているのか伺う。

回答
 良好な景観を形成するためには、様々な主体の連携、協力が不可欠なことから、景観法及び東京都景観条例では、事業者に対し、良好な景観の形成に自ら努めることなどの責務を定めています。
 これらの法令に基づき、景観行政団体は、届出対象行為が景観計画に定める基準に適合しない場合には、届出者に対し、設計変更その他必要な措置の勧告又は命令等をすることができます。
 この命令等に違反した者に対し、景観法により罰則を科すこととなっています。

質問事項
一の5 事前協議の中味はどうなっているのか伺う。

回答
 都市開発諸制度等を適用する建築物は、大規模で景観に与える影響が大きいことから、都は、許認可手続の一環として、事業の企画段階から建築物の配置や規模、色彩などに関する事前協議を実施し、良好な景観の形成を図っています。

質問事項
一の6 既に対象外になっている規制対象物に対する指導はどうなっているのか伺う。

回答
 届出対象に相当する規模等の建築物等であっても、東京都景観条例の施行以前に建築確認申請等がされたものについては、同条例の適用外です。

質問事項
一の7 電線類地中化の実態はどうなのか。また、将来的にどうなのか伺う。

回答
 平成18年度末の都道における無電柱化の状況は、整備対象延長2328キロメートルのうち、586キロメートルを整備し、進ちょく率は約25パーセントです。
 今後は、山手通りと荒川に囲まれたセンター・コア・エリア内やオリンピック関連施設周辺はもとより、その他の区部や多摩地域の都道についても、緊急輸送道路や主要駅周辺などで無電柱化を推進していきます。
 さらに、都市計画道路の新設や拡幅を行う場合など、様々な機会をとらえ、無電柱化の推進に積極的に取り組んでいきます。

質問事項
一の8 違法ステ看板等の撤去はどうなっているのか、また、東京電力、NTTとの関係はどうなっているのか伺う。

回答
 捨て看板等については、都及び事務処理特例条例により屋外広告物事務の委任を受けた区市町が、毎年度定期的に共同除却を実施しているほか、随時適切に除却を行っています。
 また、共同除却等は、東京電力、NTTなどの企業者の参加も得て実施されています。

質問事項
一の9 国分寺崖線景観基軸の区域に、都立病院を増築したのはなぜか伺う。

回答
 多摩地域における医療水準の向上と小児に関する高度・専門的な医療を提供するため、「多摩広域基幹病院(仮称)」と「小児総合医療センター(仮称)」を現在の府中キャンパス内に一体として整備することとしました。
 整備に当たっては、東京都景観条例「国分寺崖線景観基本軸」の考え方を踏まえ、府中市や国分寺市などと協議を行いました。
 また、国分寺崖線の緑や周辺環境への配慮に努めてきており、関係市からの要望を受けて、病院機能に支障を生じない範囲でできる限りの計画の見直しも行っています。

平成19年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 小竹ひろ子

質問事項
一 築地市場の豊洲移転問題について
一 築地市場の豊洲移転問題について
 東京都中央卸売市場築地市場を土壌汚染が激しい東京ガス工場跡地の豊洲へ移転する計画について、私たちは9月に農林水産省、環境省へヒアリングにいきましたが、環境省の見解は「食品の安全・安心確保という点では、土壌対策汚染法の範囲を超えている」というものです。農水省の見解は「移転の整備計画を審議した2005年3月の審議会では、豊洲は土壌汚染地との認識はなかった。流通の観点からのみ判断した」「土壌汚染対策法は食品の安全を担保するものではない」というものです。
 一方、石原知事も、2007年の第1回定例会2月26日の予算特別委員会で「もとより食の安全・安心を確保するのは、生鮮食品を扱う市場の基本的、もう絶対的な使命であります」と言っています。
 2004年に東京都が実施した「食品の購買意識に関する世論調査」によると、消費者も卸売市場にたいして望むものは「食品の安全・衛生対策の徹底」が79%でトップです。
 第8次中央卸売市場整備計画でも「消費者からの食の安全・安心に対する関心の高まりへの対応が求められている」と書かれています。
 移転先の豊洲の市場設備で、HCCAPシステム、トレーサビリティ・システムの導入など、市場内の衛生対策に力を入れるとしていますが、いくらそのような設備投資をしたところで、もっとも肝心な市場設置場所が土壌汚染の状態では、このような衛生対策も根底から崩れてしまいます。
 首都直下型地震は必ずあるわけですから、その時、豊洲は液状化現象で基盤は崩壊し、汚染物質も吹き出し、生鮮食品流通はストップすることは明らかです。地震以前にも、地中の土壌や地下水に残っているベンゼン等揮発性汚染物質がガスとなって噴出するなど、いつその影響がでるかわからないという危険な場所です。
1 このように、食の安全の確保が重大な疑義が指摘されているところに、都、国の基幹市場である築地市場を豊洲に移転すべきではありません。答弁を。
 これまで豊洲市場建設にあたって、都は莫大な財政投入をしてきました。すでに、護岸工事、用地取得などで980億円を投入しています。今後明らかにされているものでは、土壌汚染対策670億円、用地取得1650億円など3400億円以上が投入される予定になっています。知事は、さらに側方流動対策を追加することを明らかにしています。
 土壌汚染地を購入しようとするために、資金投入額が莫大にふくれあがるばかりか、今後も土壌汚染対策で税金投入がどうなるかは明確ではありません。
2 いったい、これから中央卸売市場はいくら負担することになるのですか。その市場会計の支出は、何によってまかなうのですか。一般会計などからの負担は、どのようになるのですか。伺います。
3 また、豊洲移転に係わる都財政投入の全貌を都民にあきらかにすべきではありませんか。答弁を。
 中央卸売市場がやろうとしている追加調査について、発注業者への仕様書によって問題点が明らかになっています。
 また、都は土壌汚染対策予算を、未だ汚染状態がはっきりしていないにもかかわらず、その枠を決めました。また、先に移転ありきで、きわめて問題です。さらに、汚染対策費の枠をあらかじめ決めてしまうということになり、今後必要となる対策の検討を遮断してしまうことになり、土壌汚染対策が費用の面から不十分なものになる可能性がはっきりしてきました。多額の都財政を投入して移転することは、都民にはとても理解を得られません。
 第1に、本来なら調査は、どのようにおこなうのか、調査の正確性をどう確保するのか、調査結果から何をどう導き出すかなど、十分な議論をおこない、調査を実のあるものにしていく必要があります。ところが、これまでの経過も踏まえずに、準備も、調査も、分析もきわめて短期間です。これでは、移転先にありきの調査になっています。
 仕様書を見ると、随所に「監督員と協議して決定」「監督員と適宜打ち合わせ」などとあり、その時々の現場監督の裁量性を伴う指示で調査がやられます。このような調査では、統一した基準のもとで汚染の実態を正確に把握することはできません。
4 調査の正確性の確保は最低限の問題です。準備、調査、分析に充分な時間をとること。統一した基準で裁量の余地のないきちんとした調査にすべきです。答弁を求めます。
 第2に、東京都が調査会社に発注する仕様書を見ると、地質調査業務は「第1不透水層上端まで」になっています。
 第4回専門家会議に報告された「地下水・土壌の調査結果」を見ると、不透水層面がずれている可能性があることが明らかです。にもかかわらず、2008年調査は、こうした地層がどうなっているかを正確に把握する地質調査をやりません。これでは不透水層の地形を把握できない上に、汚染物質がどこまで浸透し広がっているのかわからないまま、汚染物質を封じ込めるという無謀な計画といわなければなりません。
 さらに、粘土層下の汚染状態を把握できません。長期にわたって高濃度の汚染があった場合は、粘土層も通過して汚染が浸透している可能性があると、専門家の間でも言われていることです。粘土層の下の汚染状態を調査せずして、汚染を封じ込めるなど危険きわまりない状況です。
5 不透水層下が安全とする根拠はなにか。不透水層の地質調査及び、第2不透水層までの汚染状況の調査はきちんとすべきであり、それを都民に公表すべきです。答弁を求めます。
 第3に、豊洲跡地では雨が降ると必ず長期間にわたって地表に雨水がたまっています。地下水面が非常に高い証拠です。したがって、すでに覆土や盛土についても2次汚染されている可能性が非常に高いと考えられます。にもかかわらず、覆土した表層土の汚染調査を抜いています。季節変動も見ることができません。雨の多少によって汚染がどう変動するか。季節によって、地下水質や水位がどう変化するのかも見ていません。
 追加調査で、土壌は複雑な汚染状態にあることはわかったわけですが、すべての調査地点で土壌について深度方向の汚染調査をすることになっていません。深度方向の汚染状況をつかまずに行われる汚染対策は、きわめて危険です。
6 敷地全域について表層土壌を含め、深度方向に1メートルごとに土壌及び、地下水の調査を行うことは汚染の全容を把握する上で不可欠です。見解を伺います。
 さらには、環境学会からのクロス調査の要望も拒否し、都が行う調査以外調査を認めない姿勢を固持していることは、調査の公正・透明性確保の上でも問題です。
7 このように多くの問題がある調査では、汚染のメカニズムを正確につかめません。今後、汚染がどのようになっていくかの予測も不十分なものになります。それに基づく対策は当然不十分なものでしかなく、そのリスク管理では都民の納得は得られません。汚染実態の全容が明らかになる詳細調査を、土壌・地下水でも行うべきだと考えます。答弁を。
8 土壌汚染調査方法について、参考とする事例はいくつもあります。例えば、イタイイタイ病の神岡汚染で被害者住民団体と企業側が、同一サンプルをとって、別々に測定値を比較しています。豊洲の土壌汚染調査についても、すくなくとも、同じ調査地点を複数の会社が調査する、環境学会にもサンプルを提供するなど、クロスチェックを認めるよう求めます。答弁を。
 東京都の豊洲の土壌汚染対策の基本的考え方は、汚染物質を封じ込めてモニタリング調査をするというリスク管理の立場にたっています。リスク管理だけでは限界があり、専門家が「予防」の立場での対策を提案します。
 しかも、汚染物質を封じ込めるというなら汚染状態を正確に把握する必要があります。現状がどのようになっているかを正確に把握せずに、汚染物質の「封じ込め」を行ったら将来に禍根を残すことになります。
 熊本・新潟の水俣病、富山のイタイイタイ病など四大公害病裁判では、厳しく企業責任を追及し、合わせて行政に対しても強い反省を求めるものになっています。たとえば、四日市裁判の判決では、「人間の生命・身体に危険のあることを知りうる汚染物質の排出については、企業の経済性を度外視して、世界の最高の技術・知識を動員して、防止措置を講ずべき」「いかなる手段をとっても被害者を出すことは許されない」というものです。
 これは「四大公害裁判の教訓」として、環境省の「環境白書」でも紹介されていることです。
9 四大公害裁判の教訓を生かし、世界の最高の技術・知識を動員して防止措置を講ずるという立場にたつなら、追加調査や対策のあり方、この精神に立つべきです。見解を求めます。
 「中央卸売市場事業概要」では、仲卸業者について「市場機構の中心をなすもの」「価格を形成するという重要な機能を有している」としています。このような役割をもった仲卸業者の協力無くして、市場の重要な機能である「公正な価格形成」「分荷」など、生鮮食料品等の円滑な流通を確保することはできません。
 都は、仲卸業者の団体である東卸組合に対し、12月3日から12月8日まで業界別説明会を行っています。出席した市場関係者の方々は「築地の再整備はありえない」「移転先にありき」の都の一方的な説明で、これで「安全安心保てるのか」と都側の移転押し付けの姿勢に怒りが広がっています。このようなことでは、関係者の協力のもとで、市場を活性化することはできません。
10 東卸関係者のアンケート結果、東京都中央市場労働組合のアンケート調査でも青果の仲卸業者の合意は得られていないことは明らかです。農林水産省は、わが党の笠井亮衆議院議員の質問にたいして「中央卸売市場の移転や運営について、市場関係者や消費者の理解等を得ることは重要であると認識している」と答弁しています。東京都中央卸売市場は、国からどのような指摘、もしくは助言を受けていますか。答弁を。
11 10メートルメッシュの「詳細調査」による土壌・地下水の汚染実態も明らかになる前に、都は従来のリスク管理による対策で行うことを表明していますが、汚染があるところをそのままにして封じ込めるという対策は、未来永劫大丈夫というものではありません。永久的に汚染状況をモニタリング調査をしていく専門家による観測体制をとることが必要不可欠になります。この土地から排出される水の浄化も、継続していく必要が最低あります。このような状態で移転することに、都民の合意を得られると考えているのですか。
 この点では、同じ東京ガス工場跡地を調査・対策をしている港区と大きな違いがあります。港区では、公共施設建設するに当たって汚染物質がなくなる所まで、深度方向を調査し汚染土壌を除去して、地下水も管理する対策を行っています。都の姿勢と大違いです。汚染実態の全容が明らかになる前に、対策を言うことは「移転先にありき」の姿勢です。
 このような危険な地域への築地市場の移転は中止すべきであることを強く求めます。

平成19年第四回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 築地市場の豊洲移転問題について
1 豊洲への市場の移転については、土壌汚染が激しく、食の安全の確保に重大な疑義が指摘されており、都、国の基幹市場である築地市場を移転すべきではない。答弁を求める。

回答
 豊洲新市場予定地での土壌汚染対策については、専門家会議の提言に基づき、敷地全域にわたり、10メートルメッシュで土壌と地下水の調査を行うこととしました。
 この調査と並行して、専門家会議では、汚染物質の特定と除去、盛土等による封じ込め、地下水の管理のほか、震災対策など、必要な対策についても検討が進められており、平成20年度の前半には、具体的な提言がなされます。
 今後、この提言を確実に実施し、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策に万全を期すことにより、都民が安心できる市場として早期に開場させていきます。

質問事項
一の2 豊洲市場建設に当たり、これから中央卸売市場はいくら負担することになり、その市場会計の支出は、何によってまかなうのか。また一般会計などからの負担はどうなるのか伺う。

回答
 豊洲新市場の整備に要する事業費は、市場施設の建設や新市場予定地の取得、土壌汚染対策に要する経費など、開場後の運営に係る経費を除いた整備費の総額を約4400億円と見込んでいます。
 このうち、これまでに執行した事業費は、豊洲地区への移転を決定した、平成13年度から18年度までの6年間で、用地取得費など、合計約980億円となっています。
 したがって、平成19年度以降の執行予定額を約3420億円と見込んでいます。
 なお、財源については、国庫支出金や企業債のほか、中央卸売市場会計が保有する損益勘定留保資金などで賄う計画です。

質問事項
一の3 また、豊洲移転に係わる都財政投入の全貌を都民にあきらかにすべきではないか。答弁を求める。

回答
 豊洲新市場整備に要する事業費の財源については、一般会計などによる負担は予定していません。

質問事項
一の4 追加調査について、調査の正確性の確保は最低限の問題である。準備、調査、分析に充分な時間をとり、統一した基準で裁量の余地のないきちんとした調査にすべきである。答弁を求める。

回答
 今回実施する土壌・地下水調査の内容については、専門家会議で十分議論され、決定したものです。
 この調査に必要な期間については、都建設局積算基準に基づき算定しています。また、採取・分析方法については、土壌汚染対策法及び環境確保条例で定める土壌汚染対策指針に準じたものです。
 したがって、この調査は、十分な議論を踏まえて内容を決定したものであり、調査の期間や手法についても、基準や指針に則っています。
 なお、調査に当たっては、監督員は作業手順や工程調整などについて受託業者や関係機関と打合せや協議を行いますが、これらの打合せで調査内容が決定されるものではありません。

質問事項
一の5 都の発注では、地質調査は第1不透水層上端までだが、不透水層下が安全とする根拠は何か。不透水層の地質調査及び第2不透水層までは調査すべきであり、それを都民に公表すべきである。答弁を求める。

回答
 専門家会議において、関東地方の地層や土質に詳しい委員から、豊洲新市場予定地で不透水層を形成している粘土層は、水を通しにくく、汚染されている可能性は低いとの意見をいただいており、不透水層及び不透水層より下を調査する考えはありません。

質問事項
一の6 豊洲跡地では、覆土や盛土も2次汚染されている可能性が高いと考えられる。敷地全域の表層を含めた深度方向1メートルごとの土壌及び地下水調査は汚染の全容把握に不可欠だが、見解を伺う。

回答
 今回行う地下水調査は、専門家の科学的知見に基づき選定された手法であり、地中に有害物質があれば、地下水中に物質が溶け出すことから、地下水位の上端から不透水層までの中間地点で地下水を採取し分析することで、その地点の汚染状況を把握することができます。
 また、合わせて表層の土壌調査を実施し、さらに、土壌または地下水で高濃度の汚染が検出されたか所で、1メートル間隔で深度方向について土壌調査を行うとともに、旧地盤面から上の覆土についても調査を実施します。
 専門家会議では、これらの調査を敷地全域で行うことから、豊洲新市場予定地の汚染状況の全容を把握することができるとしています。

質問事項
一の7 クロス調査の要望の拒否など、調査の公正・透明性確保でも問題である。今後の汚染予測も不十分で、対策は当然不十分となる。汚染の全容を明らかにする詳細調査を土壌・地下水でも行うべきだが、答弁を求める。

回答
 豊洲新市場予定地の敷地全域で、地下水調査と表層の土壌調査、さらに、高濃度の汚染が検出されたか所では、1メートル間隔で深度方向と覆土の土壌調査を実施することから、汚染状況の全容を把握することができます。

質問事項
一の8 土壌汚染調査方法では、イタイイタイ病の神岡汚染で被害者住民団体と企業側が同一サンプルを別々に測定比較している例がある。豊洲の調査も、複数の会社などでのクロスチェックを認めるよう求める。答弁を求める。

回答
 土壌汚染調査に当たっては、調査データの信頼性を確保していくことが重要であると考えています。
このため、調査地点、調査方法、分析機関、調査結果等のすべての内容を公表します。また、分析は複数の機関で実施するため、同一の試料を各調査機関に分析させ、その結果を照合することで分析の精度を確保していきます。
 なお、約4100か所の調査を都以外の者が同時に行うことは現実的ではなく、クロスチェックは考えていません。

質問事項
一の9 4大公害裁判の教訓を生かし、世界の最高の技術・知識を動員して防止措置を講ずるという立場にたつなら、追加調査や対策のあり方について、この精神に立つべきである。見解を求める。

回答
 専門家会議は、有害物質、水質、土質、環境保健の各分野で国内有数の知識と経験を有する専門家から構成されており、現在、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について、最新の知見や技術に基づいた検討を行っています。

質問事項
一の10 アンケートなどで仲卸業者の合意がないことは明らかである。農水省は、中央卸売市場の移転や運営について、市場関係者などの理解等は重要としているが、都は、国からどのような指摘、助言を受けているのか、伺う。

回答
 中央卸売市場の移転や運営に当たって、市場関係者などの理解を得ていくことについては、開設者として当然必要なことであると認識しており、国も同様に考えています。
 このため、都は、これまで、水産、青果の仲卸組合を含め、市場業界団体に対して検討会や説明会などを開催し、移転の必要性や土壌汚染対策等についてきめ細かく説明してきました。
 今後は、こうしたことに加え、小規模な説明会を開催するなどの試みも行い、市場関係者の理解がより一層得られるよう努めていきます。

質問事項
一の11 詳細調査での実態判明前に、都はリスク管理での対策を表明しているが、永久的に汚染の観測や排出水の浄化が必要となる。このような状態での移転に、都民合意が得られると考えているのか伺う。

回答
 専門家会議では、土壌汚染対策として、汚染物質の特定と除去、盛土等による封じ込めなどのほか、施設完成後においても地下水の水位及び水質を継続的に監視し、地下水位を一定に保つなどの対策を議論しています。
 これらの対策は、法令が求める対策と照らしても、安全性を確保する上で、極めて手厚いものとなっています。
 今後、専門家会議の提言に基づく土壌汚染対策を確実に実施することにより、都民が安心できる市場として開場させていきます。

平成19年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  村松みえ子

質問事項
一 東村山3・4・11号線について
二 南山開発について

一 東村山3・4・11号線について
1 「東村山3・4・11号線」事業の中止について
 東京都は平成18年4月「多摩地域における都市計画道路の整備方針」(第三次事業計画)を発表し、その中に突如「東村山3・4・11号線」を優先整備路線として発表しました。
 この計画路線は、都立東村山老人ホームを分断し、幅16メートルの大型道路を建設するというものです。敷地内には老人ホーム、ナーシングホーム、北部医療センターという「医療と福祉」を兼ね備えた施設があり、絶滅危惧種のキンラン、ギンラン、マヤラン等の貴重な植物が自生している場所です。
 東京都が一昨年11月に開いた「東村山3・4・11号線」地元説明会では、計画の見直し、中止を求める意見が圧倒的で、今後も説明会を開くことを約束していたにも係わらず、その後の説明会を開くことなく、工事着工に向けたキンラン、ギンランの移植作業を11月26日に強行しました。
 東京都が、「東村山3・4・11号線」を優先整備路線として位置づけた理由に交通渋滞を挙げています。しかし、警視庁調査の過去10年間の多摩地域の交通渋滞、「ワーストテン」には、所沢街道の交通渋滞は1度も入っていません。
 私は、11月26日の朝7時30分から8時30分まで所沢街道全生園前の信号付近約300メートルを歩いてみました。走行車の信号待ちの状態はなく、思ったより車の流れがよいことに驚いたほどです。長いこと交通整理をしているという男性や信号待ちしていた女性、バス停で待っていた女性にお話を聞くと、「車は順調に流れている。それより学校に通う生徒のために歩道を整備して欲しい」の声が上がっていました。
 地元の議員からお話を伺うと、所沢街道と志木街道を結ぶ秋津町3丁目交差点のスイスイプランの交差点改良事業と久米川町のT字路のスイスイプランの整備で車の流れが大変改善したとのことです。
 東京都が、「東村山3・4・11号線」の建設を強行しようとしている都道226号線から野火止区間の470メートルの雑木林には、500株のキンランをはじめ、ギンラン、マヤランなどが生息し、近隣の皆さんの散歩道としても親しまれています。近隣住民でつくる「東村山老人ホームを分断する3・4・11号線を考える会」と「東村山老人ホーム構内の貴重な植物を保護する会」は、武蔵野の面影の残るこの雑木林をぜひ残して欲しいと訴えております。
ア 都心に残されたこうした貴重な雑木林を残すことは、喫緊の課題である地球温暖化防止の観点からも非常に重要であると考えるがどうか。
イ 東村山3・4・11号線の計画を中止し、抜本的見直しを求める。
2 歩道の拡幅について
 私が現地に行くまでの、タクシーの運転手さんは恩多街道を走りながら「あれを見てくださいよ。いつまでこんな危ないところを子どもが通らなければならないのか」とダンプとダンプが行き交う間をランドセルを背負った小学生が、近くの野火止小学校に通うところを指差して話されました。私もその状況を見て、いつ事故があってもおかしくない場所と非常に危険性を感じました。むしろ今、やるべきことは、恩多街道都道226号線の改善です。
ア 恩多街道都道226号線の歩道拡幅をただちに着手すべきです。また、所沢街道の歩道整備を急ぐことです。
イ 青葉町4丁目全生園前の交差点改良事業を急ぐべきと思うがどうか。
二 南山開発について
 私は、昨年の第4回定例会で提出した文書質問で、稲城市の南山開発について、地震時の危険と、自然破壊について、東京都の姿勢を質しました。これに対して、都は適正に対処しているなどとして、開発を強行する姿勢を変えようとしていません。
 しかし、この間にも、温室効果ガスによる地球温暖化の影響は深刻さを増し、地球環境保全に関する認識と取り組みの緊急性は増すばかりです。東京都自身、「10年後の東京」において、環境重視を打ち出し、1000ヘクタールの緑の創出を打ち出さざるを得なくなっています。
 例えば、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書は、地球温暖化の原因が人間の活動によるものであることをほぼ断定し、このまま温室効果ガスの排出を続けるのなら「回復不能な影響」により人類の生存が脅かされると警告しています。特に東京は、地球全体が過去100年間で0.74度の気温上昇に対し、3度も上昇しているのですからヒートアイランド対策は喫緊の課題です。温暖化防止、ヒートアイランド対策の決め手は、経済活動の抜本的な見直しと、二酸化炭素を吸収し、冷却効果を持つ緑地を増やすことであり、少なくともこれ以上の都内の緑地を削減することは避けなければなりません。
1 知事、一方で88ヘクタールの海の森をつくるといいながら、それに匹敵する87ヘクタールもの南山の緑地を開発にさらして、そのみどりを失わせることを認めるのですか。回答を求めます。
 前回の文書質問でも指摘しましたが、南山はオオタカやサンショウウオなど、希少動植物が生息する東京にわずかに残された里山であり、その保全は何をおいてもおこなわなければならないものです。ところが、区画整理組合は、サンショウウオとオオタカの移動を行う計画をすすめているとのことで、住民から心配の声が寄せられています。
2 これは、環境局が条件とした「特記条件」でも想定していないはずです。至急、区画整理組合に移動計画中止を求め環境保護の立場から指導すべきと考えます。
3 東京都自然環境保全審議会に提案し、意見を求めるべきと考えますがどうか。
 もう一つの問題は、里山をきり崩し、谷を埋めることで造成される宅地の危険の問題です。
 この点についても、第4回定例会の文書質問で、「南山開発事業は開発地内で土砂の処理をし、地区外に持ち出さないことから最大30メートル山を崩し、その土砂で谷を最大35メートル埋め立てる計画であること。稲城砂層は、雨水を大量に含むと流動化を起こし、大地震の時は、中越地震や宮城県沖地震の被害を上回る影響がある」と質問したのに対して、東京都は、「中越地震等の災害状況を踏まえ、大地震時の滑動崩落等の被害防止に関する技術的基準が宅地造成等規制法施行例に追加された」と答弁。
 その後、南山東部土地区画整理組合に「造成工事検討委員会」の設置を指導し、南山東部土地区画整理組合は、今年7月「検討委員会答申書」を東京都に提出されました。
 それによると、施工にあたって液状化対策、盛土内の地下水対策、徹底した排水対策など様々な提案が検討委員会から提出されています。
 たとえば、排水対策として、厚さ30センチメートル毎に排水ブランケットの設置や盛土の高さ9メートル毎に砕石を敷設する。稲城砂は粒径がそろっているので、締め固めがしにくいので、盛土の締め固め管理をするなどの工事の具体的な提起もされています。また、施工する場合は、盛土内に滞水させないために、雨の日には施工しないこと。など具体的に指摘されています。
 私は、この報告書を土木学会の専門の先生にみていただき、ご意見を伺いました。
 先生は、排水ブランケットの地図を見て、こうした造成は宅地では初めてとしたうえで、「30メートルから40メートルの深さの排水ブランケットはダムをつくるようなもの」と指摘され、問題は、工費が莫大にかかること、施工がこの対策にそって確実に実施されるのか、だといわれました。
 実際に、この工法は都の村山貯水池の堤体工事で採用され、莫大な工事費が投入されたと聞いています。
そこで、何点か伺います。
4 東京都は、検討委員会からの答申について、どのように評価されているのですか。また、この工法にしたがって施工する場合、いくらの工事費がかかるとお考えですか。
5 この工事費は、当初の予定額を上回ると予想されます。工事費用はだれが、どのように負担することになるのでしょうか。
6 検討委員会の答申どうりの工事がされるかどうか、その保証はどこにあるのか、回答を求めるものです。
 最後に、宅地造成の必要についてです。南山開発の目的は宅地開発とされていますが、お隣の多摩ニュータウンでは、宅地販売がゆきづまりを見せ、開発継続を断念しているではありませんか。また、東京都自身、今定例会の答弁で、住宅のストックは充足している旨の見解を明らかにしています。これらのことから、開発による宅地の供給の必要性は薄く、ましてや貴重な自然とみどりを犠牲にしてまで、おこなわなければならない根拠は見あたりません。
7 ただちに東京都の主導で地権者に工事中止を促し、貴重な南山の保全に乗り出すことを強く求めるものです。

平成19年第四回都議会定例会
村松みえ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東村山3・4・11号線について
1 東村山3・4・11号線事業の中止について
ア 都は、東村山3・4・11号線を優先整備路線としたが、警視庁調査では、多摩地域の渋滞ワーストテンにも入っていない。計画線内の雑木林を残すことは、地球温暖化防止にも重要と考えるがどうか。

回答
 現在、西東京市、東久留米市、東村山市を東西方向に結ぶ所沢街道(都道東京所沢線)がこの地域における主要な道路となっています。
 この所沢街道の多磨全生園付近では1日約1万7000台の交通量があり、特に志木街道と交差する秋津町三丁目交差点や都道226号線(都道東村山清瀬線)と交差する全生園前交差点などの混雑が激しく、この混雑を避ける通過交通が周辺の通学路等に進入しています。このため周辺地域の交通の円滑化や歩行者の安全確保を図る必要があり、所沢街道と並行する都市計画道路東村山3・4・11号線の整備は極めて重要です。
 当該路線の計画では、道路が整備されても雑木林のある約17ヘクタールの東村山老人ホームの敷地は、約96パーセントが残ります。
 また、整備に当たっては、幅の広い歩道を設けるとともに、できるだけ多くの街路樹を植栽し、周辺の自然環境に十分配慮していきます。

質問事項
一の1のイ 東村山3・4・11号線の計画を中止し、抜本的見直しを求めるが、どうか。

回答
 都市計画道路東村山3・4・11号線の整備により、所沢街道(都道東京所沢線)をはじめとする周辺の交通混雑緩和や通学路等における歩行者の安全確保、地域の防災性向上など、大きな効果が期待されています。
 本路線は、東久留米市南町一丁目から東村山市秋津町三丁目に至る延長6.24キロメートル、計画幅員16メートルの地域幹線道路として整備を順次進めており、現在、約3.6キロメートルが完成、約0.4キロメートルが事業中です。
 残る約2.2キロメートルについては、地元市とともに策定した「第三次事業化計画」において優先的に整備すべき路線として位置付けており、今後とも地元地権者等の理解と協力を得ながら、整備を進めていきます。

質問事項
一の2 歩道の拡幅について
ア 今、やるべきことは、恩多街道都道226号線の改善であり、恩多街道都道226号線の歩道拡幅をただちに着手すべきである。また、所沢街道の歩道整備を急ぐべきだが、どうか。

回答
 都道226号線(都道東村山清瀬線)の歩道拡幅については、平成19年度から野火止小学校に隣接する区間から事業に着手しており、既に地元説明会を終了し、用地取得を進めています。
 また、所沢街道(都道東京所沢線)の歩道整備についても、青葉町一丁目交差点から青葉歩道橋付近までの約900メートル区間で、平成16年度から用地取得を進めています。

質問事項
一の2のイ 青葉町四丁目全生園前の交差点改良事業を急ぐべきだがどうか。

回答
 青葉町四丁目全生園前の交差点改良については、現在進めている所沢街道(都道東京所沢線)の歩道整備事業の中で整備することとしています。

質問事項
二 南山開発について
1 知事、88ヘクタールの海の森をつくる一方で、それに匹敵する87ヘクタールもの南山の緑地を開発し、そのみどりを失わせることを認めるのか。答弁を求める。

回答
 南山東部地区は、「稲城市都市計画マスタープラン」において、都市防災上危険な崖地の解消や既存樹林地、寺社林を活かしたまちづくりを目指すことが位置付けられています。
 南山東部土地区画整理事業は、この都市計画マスタープランに則り、公園、緑地等を適切に配置し、周辺環境と調和した緑豊かで良好なまちづくりを実現するものであり、地区内の土地所有者の発意により進めてきたものです。都は、土地区画整理組合の設立認可申請を受け、法的な要件が整っていることから、平成18年4月に認可しました。

質問事項
二の2 区画整理組合によるサンショウウオとオオタカの移動計画は、環境局が付した特記条件でも想定していないはずである。至急、移動計画中止を求め環境保護の立場から指導すべきだが、見解を伺う。

回答
 保全計画に基づき、土地区画整理組合が行っているトウキョウサンショウウオの谷戸間の移動及び過去にオオタカの繁殖実績がある森での間伐などは、事業執行に際してのそれぞれの生息環境の維持・向上を目的とした配慮です。
 この保全計画は、専門家や地元自然保護団体と十分に協議の上策定されたものであり、都として適切な内容であると認識しています。また、特記条件は、保全計画を踏まえた上で、より自然環境に配慮した事業とするために付したものです。

質問事項
二の3 また、都自然環境保全審議会に提案し、意見を求めるべきと考えるがどうか。

回答
 土地区画整理組合が行っているトウキョウサンショウウオ及びオオタカに対する配慮は、専門家や地元自然保護団体と十分に協議の上進めているものであり、その内容についても、都として適切なものであると認識しているので、東京都自然環境保全審議会に付議する予定はありません。

質問事項
二の4 都は、南山東部土地区画整理組合の造成工事検討委員会から提出された排水対策等の答申について、どう評価しているのか伺う。またこの工法による施工の場合の工事費について伺う。

回答
 「造成工事検討委員会」の答申は、学識経験者等で構成する委員会が、南山東部土地区画整理事業の造成工事の内容について、技術的な見地から、その妥当性を審議し、結果を取りまとめたものです。
 都は、宅地造成等規制法の許可に当たり、この答申も考慮しながら、審査基準等の法令に則り、適正に審査していきます。
また、工事費については、今後、組合がこの答申を踏まえ、見積もっていくと聞いています。

質問事項
二の5 この工事費は、当初の予定額を上回ると予想するが、工事費用はだれが、どのように負担するのか伺う。

回答
 南山東部土地区画整理事業の造成工事費は、今後、見積りが行われると聞いていますが、その費用については、基本的に組合が保留地処分金を充てることになります。

質問事項
二の6 検討委員会の答申どおりの工事がされるのか、また、その保証はどこにあるのか、答弁を求める。

回答
 都は、宅地造成等規制法の許可に当たり、この答申も考慮するとともに、許可に係る工事に際しては、法の規定に基づき、技術基準等の適合について検査を行います。

質問事項
二の7 開発による宅地供給の必要性は薄く、貴重な自然を犠牲にしてまで行う根拠は見当たらない。ただちに都の主導で地権者に工事中止を促し、貴重な南山の保全に乗り出すべきだが見解を伺う。

回答
 南山東部地区では、地区内に広く分布する崖地において、過去にも土砂崩落事故が発生するなど、崖地崩壊の危険性が高く、その解消が永年の課題となっています。
 こうしたことから、組合は、「稲城市都市計画マスタープラン」に則り、危険な崖地を解消するとともに、既存樹林地、寺社林を活かした、緑豊かで良好なまちづくりを実現するため、土地区画整理事業を進めており、都としても、円滑な事業の推進に向け、引き続き支援を行っていきます。

平成19年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  斉藤あつし

質問事項
一 都営住宅の課題について
二 性犯罪者への対応について
三 交通局の都営バスの経営について
四 CO2排出抑制策について

一 都営住宅の課題について
 東京都住宅政策審議会の答申にもあがり、今後の都営住宅のあり方の大きなターニングポイントになる家賃補助による住宅供給支援について伺います。
1 実際にはすぐに実行することは難しい様子ですが、公営住宅法など住宅に関する法律との兼ね合いでは問題があるということでしょうか。あればどのような問題でしょうか。
2 実際にこの手法による低所得者支援が行われる場合、住宅扶助のみを実施する生活保護のような形になると思います。福祉系の法律でこのような施策は何か問題がありますか。
3 広大な敷地と高層の建造物を多数保有して緑地帯や駐車場、そして住宅建物管理に加えて居住者のトラブルまで対応するコストと、支援対象としての適性などの事務的処理が中心の業務とどちらがコストとして小さいのでしょうか。
4 今後の東京都のこの施策の展望はいかがでしょうか。
二 性犯罪者への対応について
1 犯罪についても全人口の10%が居住する東京都はやはり日本の大都市ではあると思う。しかしながら、未成年への性的犯罪や通り魔的殺傷犯罪については地方でも凶悪・理不尽な犯罪が発生し、残念ながら解決に至っていない。
 東京都の最新統計ではどの程度このような性犯罪が発生しているのか。成年と未成年対象の分類があれば分けて教えていただきたい。
2 再犯を防ぐために性的な異常嗜好性を減少させる「更正プログラム」などの研究が、東京都の医学研究機構でも研究がなされているのでしょうか?
三 交通局の都営バスの経営について
1 平成13年度に東京におけるバス会社の地域割りについて規制緩和がされました。しかしながら、緩和されたからといって、これまで作ってきた路線を緩和されたからといってすぐに拡大したり変更したり大きく変えるわけには参りません。都営バスの路線で規制緩和が功を奏して路線が変わったところはありますか。その利益はどのような結果となりましたか。
2 交通局バス部門だけで規制緩和後、収益に変化はありましたか。
3 現在都内の他の路線大手バス会社と比較して都営バスの収益はどのようになっていますか?わかる範囲で教えてください。
4 都営バスの路線数、路線数、路線の総キロ数及び平均キロ数と、路線の距離に対する平均乗車料収入金額について伺う。
5 バスの運営という点で他の都内バス会社と比較し、運営をどのように評価しているでしょうか。
四 CO2排出抑制策について
1 オイルショックのときは、環境対策ではなく原油高騰、原油不足から様々な節約策がとられました。ガソリンスタンドの土日祝日は一斉休業となりました。民放TVの午前1時から5時の休止、NHKについては午後11時以降の休止と午後の一部休止がありました。現在の地球温暖化対策の中で、テレビの視聴が長時間可能なためにその時間の冷暖房や照明などで必要外のエネルギー消費が増えるという意見があります。テレビがやっていないことで全国民が自粛ムードとなり、どのような世代にも節約が必要であることを深刻に感じていただくという点で意識の大きなリードとなると思います。インターネットやDVD視聴は当時と違って今の時代は多くの方がされるとは思いますが、それでも意識の刷り込みとして大きなPRになると思います。このような大きな規制が環境規制目的でできるものでしょうか。
2 東京都の深夜の風俗店の営業規制は歓楽街にとっては大変な影響があり、反対・賛成意見も当初はあったと思います。その規制が実行できるのであれば、COP13などの結果にもよるかと思いますが、CO2排出の目標値達成のためにこのような大きな規制を東京都で行なうこともあるのでしょうか。

平成19年第四回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営住宅の課題について
1 都住宅政策審議会の答申にもある家賃補助による住宅供給支援について、実際にはすぐの実行は難しいようだが、公営住宅法などの法律との兼ね合いで問題があるのか。あればどのような問題か伺う。

回答
 公営住宅法は、地方公共団体が住宅を整備し、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することなどを内容としたものであり、民間賃貸住宅に対する家賃補助についての特段の規定はありません。

質問事項
一の2 家賃補助という手法による低所得者支援が行われる場合、住宅扶助のみを実施する生活保護のような形になると思うが、福祉系の法律でこのような施策は何か問題があるか伺う。

回答
 住宅に困窮する低額所得者に対する家賃補助については、福祉関係の法律において特段の規定はありません。
 家賃補助を実施することについては、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があると認識しています。

質問事項
一の3 広大な敷地と高層の建造物を多数保有して、住宅建物管理や居住者トラブル等まで対応するコストと、支援対象としての適性などの事務的処理が中心の業務とどちらがコストとして小さいのか伺う。

回答
 現在、都は約26万戸の都営住宅のストックを保有しており、引き続き住宅建物管理等のコストが発生することになります。
 新たに家賃補助を実施する場合には、さらに家賃補助の実施に係る財政負担が発生することになると考えられます。

質問事項
一の4 今後の都の家賃補助による住宅供給支援施策の展望はどうか伺う。

回答
 都は、住宅に困窮する都民の居住の安定を図るため、都営住宅について、既存ストックの有効活用を図りつつ、公平かつ的確に供給していきます。家賃補助は、生活保護制度との関係や、財政負担のあり方など、多くの課題があることから、都として実施することは考えていません。

質問事項
二 性犯罪者への対応について
1 都の最新統計では、未成年者への性的犯罪や通り魔的殺傷犯罪のような性犯罪がどの程度発生しているのか伺う。成年と未成年者対象の分類があればそれぞれ伺う。

回答
 性犯罪事件の統計については、次のとおりです。
平成19年1月から12月(暫定値)
強姦
認知件数 234(少年64 成人170)
検挙件数 189
検挙人員 152(少年5 成人147)
被殺傷者数34

強制わいせつ
認知件数 1157(少年534 成人623)
検挙件数 644
検挙人員 483(少年33 成人450)
被殺傷者数37

質問事項
二の2 再犯を防ぐために性的な異常嗜好性を減少させる更生プログラムなどの研究は都の医学研究機構でも行われているのか伺う。

回答
 性犯罪者の再犯防止は、基本的には国の役割です。
 国は、平成17年4月に、性犯罪者処遇プログラム研究会を立ち上げ、その報告に基づいて、平成18年度から矯正施設等において性犯罪者処遇プログラムを実施しています。
 同研究会には、財団法人東京都医学研究機構の研究員が精神医学の専門家の立場から参画し、プログラムの開発に協力しました。

質問事項
三 交通局の都営バスの経営について
1 平成13年度に東京におけるバス会社の地域割りについて規制緩和がされたが、都営バス路線で規制緩和が功を奏して路線が変わったところはあるか伺う。また、その利益はどうなったか伺う。

回答
 平成13年度の規制緩和以前において、都営バスは、おおむね品川駅、新宿駅、赤羽駅を結ぶ線と荒川に囲まれている地域及び江戸川区の一部を事業エリアとしていました。
 規制緩和以降についても、事業エリア内の路線を維持し、都民やお客様の利便性を確保することとし、事業エリア外への新規参入は行っていません。

質問事項
三の2 交通局バス部門だけで規制緩和後、収益に変化はあったか伺う。

回答
 路線バスの事業参入が自由化されたことに伴い、民間バス事業者がコミュニティバスを各区から受託することなどにより、都営バスの事業エリアに新規参入しています。
 コミュニティバスは、一部で路線が重複しているものの、主に都営バス路線がない経路を運行しており、都営バス事業の収益に大きな影響はないものと考えています。

質問事項
三の3 現在、都内の他の路線大手バス会社と比較して都営バスの収益はどうなっているか伺う。

回答
 国土交通省が調査、公表している「平成18年度乗合バス事業の収支状況について」によれば、東京特別区や横浜市などを事業エリアとする「京浜ブロック」における主な民間乗合バス事業者の実車走行キロ当たりの収入は654.25円で、運送原価は619.97円となっています。
 一方、都営バスの乗合部門については、平成18年度実績で、実車走行キロ当たりの収入は847.70円、運送原価は848.64円となっています。

質問事項
三の4 都営バスの路線数、路線の総キロ数及び平均キロ数と、路線の距離に対する平均乗車料収入金額について伺う。

回答
 平成18年度末における都営バスの路線数については、138路線であり、その総キロ数は、約1122キロメートル、一路線当たりの平均キロ数は、約8.1キロメートルとなっています。
 また、平成18年度の路線バスの乗車料収入は、約328億円であり、路線1キロメートル当たりの平均乗車料収入は、約2900万円となっています。

質問事項
三の5 バスの運営という点で他の都内バス会社と比較し、運営をどう評価しているか伺う。

回答
 都営バスは、採算性が低く民間バス事業者では運行が難しい路線であっても、公営交通として地域に必要な路線を維持しています。
 また、ノンステップ車両を全事業者の中で最も多く導入しているほか、排気ガス対策や地球温暖化対策等の環境負荷低減にも積極的に取り組むなど、福祉や環境対策等の社会的要請に、民間バス事業者より高い水準で応えています。

質問事項
四 CO2排出抑制策について
1 オイルショックの時にも実施したテレビ放映の一部休止は、全国民が自粛ムードとなり、節約が必要と深刻に感じる点で意識の大きなリードとなると思うが、こうした規制が環境目的で可能か伺う。

回答
 CO2排出量の削減に当たっては、国民一人ひとりが主体的にライフスタイルの転換を図っていくことが必要ですが、オイルショックの際に行われた深夜放送の一部休止や営業時間の短縮等、政府の行政指導や一部法的措置もありましたが、多くの取組は事業者等の自粛によるもので意義があったと思います。
 しかしながら、こうした対応については、社会生活への影響が非常に大きいため、国民の間で幅広く議論されていくべきと考えます。

質問事項
四の2 CO2排出の目標値達成のために、深夜の風俗店の営業規制のような大きな規制を都で行うこともあるのか伺う。

回答
 CO2は、様々な都市活動に伴って排出されるものであり、現代生活のあり方そのものが問われているとも言え、あらゆる分野において排出削減の取組を進めていくことが必要です。
 ご指摘の深夜営業の規制については、営業のあり方そのものに係ることであり、その対応については、国民の間で幅広く議論されていくべきものと考えます。
 なお、現在、東京都環境審議会において、現行制度の成果と限界などを踏まえ、一定以上のエネルギーを使用する事業所を対象に総量削減義務を課すとともに、削減義務の履行を経済合理的に実行できるよう排出量取引制度を導入するなど、産業・業務、家庭、運輸各部門の新たな制度について総合的に検討されています。

平成19年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 かち佳代子

質問事項
一 中小企業支援について

一 中小企業支援について
 東京証券取引所第1部に上場する1200社の2008年3月期決算は、前期比では3兆円以上、10%増で、35兆円に迫る見込み、経常利益が5年連続で過去最高益を更新する見通しとの報道がされました。
 このように大企業は好調ですが、中小企業の経営は改善どころか、原油高騰の影響など深刻になっています。全国では2007年4月から9月期の企業倒産件数が、前年同期比中小零細を中心に23.5%増です。都内倒産件数は、月200件前後での推移していますが、4人以下の企業がその7割を占めています。また、都内の中小企業倒産件数を7月から10月期を比較すると、昨年度よりも、約1割増加しています。倒産企業従業員数は、34%増。製造業が2割増。規模別に見ると、20人から50人程度の中小企業が、8割増と急増しています。
 現場では、「半日しか仕事をしてない」「今日は仕事がなかった」などという工場も多く見られます。また、統計数値にでてこない廃業というケースも多いわけですから、小零細企業の営業継続がきわめて深刻な事態にあることは明らかです。そこに、原油、原材料の高騰が追い打ちをかけています。
 原材料費の高騰のなかで、業者の方はできるだけ安い材料を見つけて納品しています。私たちも、大田区内の製造業者の方から話しを伺いましたが、業者の方の話では、「安い材料をさがすといっても、材料の品質が問題になって製品としての重大問題になったらいけない。材料の良し悪しは、製品の致命傷になりかねない。しかし、このまま『安くやらせる』傾向が続けば、技術の継承もできないし、中小企業はつぶれていくだけ。技術力が低下してしまう。材料の品質は、使う所によっては、重大な事故につながりかねない」「05年春ごろ、50%の値上げがあった。今は、3倍の値上げだ。こんなに上がったのは初めて。親会社は、我々のつくる部品を使って製品で出荷しているが、価格を製品に転嫁できないとして、結局われわれが泣いている」「リース代を払ってパート並にしか稼げない」と訴えていました。
 こうした深刻な事態をいつまでも見過ごしていれば、単に企業の存続の問題にとどまりません。東京、日本のものづくりの根底を揺るがす問題になります。
1 知事、日本のものづくりを支えている小零細企業の現在のこのような深刻な状況について、どのように認識しておりますか。お答え下さい。
 社団法人大田工業連合会が発行する「こうれん」2007年8月号に、「昨今の倒産事情」として、大田区の倒産事情が紹介されています。そこでは、「区内ものづくり企業の80%強が従業員が9人以下の零細企業である。それらの企業が直面する現況は、非常に厳しいの一言に尽きる」して、その懸念材料として、「原油高」と「石油関連製品を始めとした原材料費の値上がり」を上げています。その対策として「絶好調の親企業が下請けに求めているベスト3は、1に低コスト対応、2に高品質・高精度、3に短納期への対応である」と、切実な訴えを書いています。
 経済産業省の調査によると、都内中小企業製造業の54%が下請中小企業です。東京のものづくりを支えている小零細企業のこうした声に、東京都が今こそ真摯に耳を傾け、下請け企業が親企業と対等の立場で取引できるように改善していくことが必要です。
2 そこで、下請け問題について提案します。
 業者の方は、「安くてつくれない仕事は、再見積の要求を出すが、もしそうすればもうその仕事は来ない」と訴えています。
 原材料の値上がりと同時に、現場を回って訴えられたのは「スクラップは一時440円から450円に上がったが今では130円だ。スクラップは製鉄メーカーにいき、原材料に替わって市場に流れる。製鉄メーカーは、現材料費の高騰、スクラップの引き下げと、2重に儲けている」ということです。
ア 第1に、今こそ、不公正取引の告発ホットラインを設置するとともに、不公正取引について、中小業者が気軽に申告するように周知することを求めます。
イ 第2に、都は業者から訴えが来るのを待つという受け身の態勢を取るだけでは不十分です。緊急調査隊をつくり、買いたたき・不当廉売・差別対価など業者のところにでかけ実態を把握するよう求めます。
ウ 第3に、その調査実態をもって、大手商社・大手荷主・元請け親企業などの大企業に対して、現材料費・燃料費の上昇分を中小・下請業者、物流業者などに一方的に押しつけないよう、厳重に取り締まるとともに、公正な取引価格を実現する緊急要請をすること。指導が必要なものについては、公正取引委員会とも連携して、強力に指導すること。
エ 第4に、ガソリン、軽油、重油等の価格高騰の直撃を受けている中小業者にたいして、緊急の都民税減税措置を講ずること。以上それぞれ答弁を求めます。
 次に、都が現在おこなっている施策の改善提案についてです。
 2006年3定の私の一般質問にたいして「原油価格の高騰については、既に国による影響調査が行われており、都においても財団法人東京都中小企業振興公社が実施している、下請企業に対する取引支援のための企業巡回の中で、実情把握に努めています。また、都では、下請事業者団体や親事業者団体との間で、下請取引の適正化や中小企業に対する受発注状況などについて協議の場を設けています。今後とも、これらを通じ、情報収集等に努め、適切に対応していきます」と、回答しました。
 私たちは、下請け取引問題で困難な事態に陥っている業者をまわって、東京都のこのような取り組みが、原油高騰、原材料高騰に有効に機能しているかどうかをみてみました。
 東京都は下請け中小企業のトラブルを防止するために、下請け企業者が相談しやすい業界団体の役職員等に「下請取引適正化推進員」を委嘱し、下請代金支払遅延等防止法の普及啓蒙、下請け取引の一層の充実強化を進めるとしています。
 現在、14の業界団体の役員に下請取引適正化推進員を委嘱していますが、ここ3期(1期2年)を見ると、委嘱されている業界団体はまったく同一です。
 その委嘱先の一つの団体である蒲田工業協会をみますと、株式会社バンダイナムコゲームスなどの大企業を初め、各地に何社もの支社をもつ中堅企業が中心となっている団体です。社団法人日本金型工業会東部支部も委嘱先の団体ですが、こちらも都内に営業所がある会員数は70社にも満たないものです。その構成を見ても、会員の平均従業員は70人で、10人未満の小零細企業の会員は2割です。これでは、こうした団体は、実際の受発注においては、下請けというよりも、元請けになり、下請業者の実態を把握するには無理があります。
3 地域の小零細企業などを参加させ、実態をその時々の時勢に合わせて随時、把握できる仕組みに改善すること。
4 当面、都が主催して、ものづくり集積地域で参加を広く呼びかけた意見交換会を開催し、実態把握すること。それぞれ、答弁を求めます。
 石原知事のもとで、商工指導所が廃止されました。商工指導所、中小企業振興センターにいた51名の経営指導職の専門職員は、今や半数以下になってしまいました。当時、経済環境の変化等により影響を受ける下請け企業に対し、巡回実地指導班を編制し、経営・技術両面から指導を行っていました。
 また、推進員との意見交換、推進員の所属業界の動向把握及び情報提供を目的にした下請け取引推進員協議会は、下請取引適正化推進月間にあわせて毎年11月、年1回しか行っていません。その参加者は、都から委嘱されている下請取引推進員だけです。
 これでは、「下請取引の適正化や中小企業に対する受発注状況などについて協議の場を設けています」といくら言っても、中身が伴いません。
 ものづくりの一番のすそのでがんばっている小零細企業の実態を反映できるような仕組みに改善する必要があります。現在、下請推進員を委嘱されている業界団体も、わずかに14団体にすぎませんので、都内の下請け事業所を網羅しているものではありません。今、業界団体等は会員離れで悩んでいるのが実情で、業界団体等との関係だけで、業者の実情を把握するには無理があります。
 地域、業界など網の目で、下請け取引の実態などを東京都が把握するためにも、現状の体制を抜本的に改める必要があります。
 大田区内の業者の方は、自ら実態調査を行って大田工連、蒲田工連などに、問題解決の要望をしています。
5 経営指導職を倍増するとともに、その専門職員の育成を計画的に進めること。そうした専門職の職員が現場に直接足を運び小零細企業の実態を把握して、下請取引改善など都の施策に反映する体制をつくること。答弁を求めます。
6 東京都産業基本戦略には、下請取引問題はまったく出てきません。これでは、都内製造業の54%の下請取引事業所は、東京の基本戦略から除外されたと思われてもしかたありません。下請取引問題改善を都の重要施策に位置づけるよう求めます。答弁を求めます。

平成19年第四回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 中小企業支援について
1 原油、原材料費の高騰等により、日本のものづくりを支えている小零細企業の営業状態は深刻である。知事はこうした状況をどう認識しているのか。答弁を求める。

回答
 東京のものづくり産業を担う中小企業は、高い技術力と競争力を有しており、その果たすべき役割は極めて重要です。
 しかしながら、都内の中小企業を取り巻く経営環境は、最近の原油、原材料価格の高騰や国際競争力の激化、後継者不足など、大変厳しい環境にあると認識しています。

質問事項
一の2 下請問題について
ア 今こそ、不公正取引の告発ホットラインを設置するとともに、不公正取引について、中小業者が気軽に申告するように周知することを求めるが、所見を伺う。

回答
 都は、財団法人東京都中小企業振興公社に下請相談窓口を設置し、各種広報誌やホームページを通じて、広く周知するとともに、下請取引についての苦情相談等を実施しています。
 また、受発注開拓を行う企業巡回の際にも下請企業や親事業者に対し、下請取引に関する書面の交付義務等の遵守事項について普及啓発を行っています。
 さらに、苦情紛争処理委員会を設置し、親企業と下請企業との調停・あっせんを行っています。

質問事項
一の2のイ 都は業者からの訴えを待つという受け身態勢だけでは不十分である。緊急調査隊をつくり、買いたたき・不当廉売・差別対価など業者のところにでかけ実態を把握すべきだが、所見を伺う。

回答
 都は、これまでも受発注開拓を行う企業巡回において、下請企業や親事業者に対し、下請取引に関する遵守事項等について普及啓発するとともに、企業の現状を聴取するなど実態把握に努めています。

質問事項
一の2のウ 元請け親企業などに対し、原材料費等の上昇分を下請業者に一方的に押しつけないよう、厳重に取り締まるとともに、公正な取引価格実現のための緊急要請や強力指導を行うべきだが、所見を伺う。

回答
 都は、下請企業が相談しやすいよう、下請関連業界の役職員に下請取引適正化推進員を委嘱し、法制度の普及啓発や苦情等の収集を行っています。
 加えて、平成19年11月には、親事業者で構成する主要業種団体と公正取引委員会など国も参加した主要業種団体協議会を開催し、原油等の価格上昇に伴う下請事業者への配慮等を行うよう、要請を行いました。
 さらに、平成19年12月には、下請代金の減額や買いたたきの禁止等、下請代金支払遅延等防止法を遵守するよう、主要業種団体に要請するとともに下請取引適正化推進員に周知を図りました。

質問事項
一の2のエ ガソリン、軽油、重油等の価格高騰の直撃を受けている中小業者にたいして、緊急の都民税減税措置を講ずることを求めるが、所見を伺う。

回答
 ガソリン等の価格高騰の影響を受けている中小企業に対して、都民税の軽減措置を講ずることは考えていません。

質問事項
一の3 下請け中小企業のトラブル防止のために委嘱をしている下請取引適正化推進員に、地域の小零細企業などを参加させ、下請業者の実態を随時、把握できる仕組みに改善すべきだが、所見を伺う。

回答
 都は、下請企業のトラブルを防止するため、下請企業が相談しやすい業界団体の役職員に下請取引適正化推進員を委嘱しています。
 同推進員は、下請代金支払遅延等防止法の普及啓発や苦情等の情報収集などを行うとともに、公正取引委員会など関係機関への連絡を行っており、今後とも、現行制度を最大限活用して下請取引の適正化を図っていきます。

質問事項
一の4 また、当面、都が主催して、ものづくり集積地域で参加を広く呼びかけた意見交換会を開催し、下請業者の実態を把握すべきだが、所見を伺う。

回答
 都は、財団法人東京都中小企業振興公社の企業巡回、下請相談等や業界ごとに委嘱した下請取引適正化推進員との情報交換を通じ、下請企業の実態を把握しています。

質問事項
一の5 経営指導職を倍増し、その育成を計画的に進めるべきである。また、そうした専門職員が小零細企業の実態を把握し、下請取引改善など都の施策に反映する体制をつくるべきだが、所見を伺う。

回答
 従来、商工指導所等の経営指導職が行っていた経営相談業務等については、財団法人東京都中小企業振興公社において、中小企業診断士の資格をもつ公社職員や中小企業経営、法律などの専門家を確保・活用して効果的かつ効率的に推進しています。
 また、都は、これまでも同公社の企業巡回、下請相談や下請取引適正化推進員を通じ、下請企業の実態を把握しています。

質問事項
一の6 都の産業基本戦略には、下請取引問題はまったく出てこない。下請取引問題改善を都の重要施策に位置付けるよう求める。答弁を求める。

回答
 「東京都産業振興基本戦略」では、施策展開の方向性として下請企業のための取引改善指導など、中小企業の経営安定の支援を行うこととしています。
 さらに、この基本戦略を具体化するため、今後3年間で重点的に推進すべき産業振興策と主な取組をとりまとめた「東京都産業振興指針」を平成19年12月に策定し、下請取引の適正化に向けた体制強化や、受注・発注情報の提供など、下請企業への支援策を明記しました。

平成19年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  石毛しげる

質問事項
一 小笠原における東京都版エコツーリズムと世界自然遺産登録について

一 小笠原における東京都版エコツーリズムと世界自然遺産登録について
 環境省では、エコツーリズムの普及・定着のために様々な取り組みを進めている。今年6月に「エコツーリズム推進法」が成立し、エコツーリズムの法的な定義や理念、具体的な推進策(目的:エコツーリズムが〔1〕自然環境の保全、〔2〕地域における創意工夫を生かした観光の振興、〔3〕環境の保全に関する意識の啓発等の環境教育の推進において重要な意義を有することにかんがみ、その基本理念や基本方針の策定その他エコツーリズムを推進するために必要な事項を定めることにより、関係する施設を総合的かつ効果的に推進し、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とします。)が定められ、エコツーリズムの推進にとって大きな一歩となった。
 東京都においてエコツーリズムは、観光振興と自然環境の保全との調和を図ることが大きな課題であると考える。貴重な自然が残り、世界自然遺産を目指している小笠原諸島にとっては、今後、観光客が増えることも想定され、資源をどのように守りながら利用していくかが課題であろう。
1 小笠原においては、平成15年以降、東京都版エコツーリズムを行っているが、その目的は何であったのか。
2 小笠原で実施してきているエコツーリズムについて、現時点でどのように成果があり、評価しているのか。
3 世界遺産登録に向けては外来種対策が喫緊の課題であるが、早急に実績を上げなければ、一部の小笠原固有の動植物が絶滅しかねない。推薦書提出という時間的な制約の中で、効果的に外来種対策を行う必要があると思うが、今後どのように取り組んでいくのか。

平成19年第四回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 小笠原における東京都版エコツーリズムと世界自然遺産登録について
1 小笠原においては、平成15年以降、東京都版エコツーリズムを行っているが、その目的は何か伺う。

回答
 小笠原諸島南島や母島石門一帯には、他に類を見ない貴重な自然が存在していますが、そうした自然と都民が触れ合うことは意義あることです。
 しかし、かつて南島では、多くの観光客の立ち入りなどによって、植生が荒廃し、土砂が流出していました。
そこで、小笠原が誇る南島と母島石門一帯の自然を後世に残せるよう、適正に利用していくことを目的として、「利用人数の制限」「ガイド付の利用」「決められた自然観察路の利用」等のルールを定めて、東京都版エコツーリズムを開始したものです。

質問事項
一の2 小笠原で実施してきているエコツーリズムについて、現時点でどのような成果があり、評価しているのか伺う。

回答
 この5年間の事業者、ガイドや関係者と連携しての東京都版エコツーリズムの取組により、観光客は引き続き豊かな自然に触れ合うことができ、南島では植生も回復してきています。そして、自然環境を保全し利活用していくためには一定のルールも必要であるとの意識が、観光客も含め広く浸透してきていると認識しています。

質問事項
一の3 世界遺産登録に向けては外来種対策が課題だが、早急に実績を上げなければ、小笠原固有の動植物が絶滅しかねない。時間的制約がある中で、効果的に対策を行うべきだが、今後の取組を伺う。

回答
 外来種対策については、現在の種ごとの対策に加え、今後、新たに、環境省、林野庁、小笠原村と共同して、島ごとに重点的に取り組む内容を取りまとめ、きめ細かに連携を取りながら対策を実施していきます。

平成19年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  古館和憲

質問事項
一 横田基地の「軍民共用化」を撤回し、基地の全面返還を求めよ

一 横田基地の「軍民共用化」を撤回し、基地の全面返還を求めよ
 いま、横田基地は、米国の全地球的な軍事空輸や緊急の出撃拠点としての機能を担うとともに、アジア全体の作戦を指揮する新たな司令部として、その軍事的役割を極度に高めている。
 横田基地に常駐する第374空輸航空団が米本国から運ばれた大量の物資を世界に展開している各基地に輸送することを任務としており、イラクやアフガニスタンにも飛行している。横田基地からイラクへの軍隊派兵は2003年から2006年の4年間で現在わかっているだけで、延べ5回、千人近くにのぼっている。
 同基地のホームページによれば横田基地が「アジア太平洋を結ぶ米軍のハブ空港に」との位置づけがされており、文字通り『総合主要基地』としての役割を担わされており、米国にとっては重要・不可欠な基地とされている。
さらに、2006年2月には「米軍再編」計画に基づいて日米共同の戦争司令部である「共同統合運用調整所」(BJOCC)がつくられ、すでに活動をはじめている。
1 こうした事実について都はどのように把握し、どのように評価しているのか。
 横田基地に今年の一月はじめに、米軍の新戦闘司令部「ケニー司令部ジャパン」(第13空軍第一分遣隊、50人)が創設された。これはブッシュ政権が2002年に打ち出した先制攻撃戦略に沿って、「地球規模でのテロとの戦い」に対応するための司令部機能の強化を目的とするもので、全世界で十個の「戦闘司令部」をたちあげる計画で、その一つが横田基地につくられたものである。
 また、2010年には「米軍再編」の一環として航空自衛隊の防空指令機能を、府中基地から横田基地へと移転されることが予定されている。その際には自衛隊の新建物を、現在ある米軍第五空軍の建物と隣接するところに配置し、完成時には二つの司令棟が地下隧道によって行き来できるようにすることになっている。これによってこの戦闘司令部は、文字通り「陸海空の日米共同調整センター」として、本格的に稼働することになる。
2 日米共同の「共同統合運用調整所」の設置は、事実上、自衛隊が米軍の指揮のもとに置かれていることを意味しており、憲法違反の集団的自衛権の行使につながるもので、憲法が禁じている集団的自衛権の行使になるのではないか。認識を問う。
 隔絶された地下複合施設であるこの「共同統合運用調整所」は、米軍が発行した「星条旗」によると「24時間を通じ、最大150人の人員が12時間制の交代勤務で運用」しており、その機能は「在日米軍総司令のブルース・ライト空軍中将に対して状況を逐一伝達するためのプラットホーム」としての機能をもつとされ、その中核となるのがCATフロア(クライシス・アクション・チーム)すなわち「危機即応態勢」の部署だとされており、「巨大な神経中枢」の役割を担うものと位置づけられている。
 同フロアには、第5空軍、在日米陸軍、第3海兵遠征軍、第13空軍司令部、在日米海軍司令部とともに、日本側の担当者が肩をならべて配置に就くといわれており、米軍と自衛隊が、横田基地で一体化され、「地球的規模のテロとの戦いへの対応」などの任務を遂行することになる。
3 これは、首都にある横田基地の軍事的位置づけと役割が強まっていくことになり、首都東京の軍事的緊張は格段に強く増幅されることになるではないか。
 これほどまでに、首都東京への軍事化が米日政府や米軍司令部などから具体化されてきている中で、石原知事の態度は、いっかんして「軍民共用化の推進」だけだ。
 石原知事は「横田基地が兵站で、基地がほとんど使われていない」かのようにいっているが、横田基地の実態は、兵站基地どころか、米軍の中枢機能が集中し、実際の利用も知事の認識とはかけはなれている。
 テロ特措法によって航空自衛隊の米軍空輸支援が、横田を基点に米空軍嘉手納基地や米海兵隊岩国基地などを往復しており、今年の九月までに輸送回数はこの間377回に達し、さらには横田からグアムの米軍基地への空輸、さらには米軍の航空機用エンジンや部品、整備機材、衣料品などもおこなっていること。
4 こうした事実を承知しているのか。
 今年の六月十四日に、衆院安全保障委員会で米軍横田・座間基地を視察した際に、わが党の赤嶺政賢衆議院議員が、在日米軍司令官に「横田基地軍民共用化」問題にふれた際に、在日米軍司令官は「横田基地は軍事的所用が中心。米軍再編が大変であり、民間利用はあとの話だ。横田基地では毎月空域を制限してC130をつかった投下訓練を常時行っており、軍民共用についてはデメリットがあり、民間との調整をつけることが困難だ」との見解を表明した。
5 知事、米軍には軍民共用化の考えなどどこにもない。都民を欺くようなことはあってはならないと考えるがどうか。
6 知事になって8年が過ぎたが、いったい何が前進したのか。米軍とのやり取りを公開することを求める。
 都民の願いは、ただちに軍事基地の全面返還だ。
 戦争のための日米共同の司令部といえる「共同統合運用調整所」や「米軍と自衛隊司令部の共同」などが横田基地を中核として推進され、軍事的な指令基地の高度化、共同化が従前をはるかに越えて進められている事態に対して、唯々諾々と追認するようなことを、都民は願っているのでは断じてない。
 米軍基地による騒音被害、落下物の脅威、さらには基地や関連施設でのジェット燃料などの有害物質の流出事故など、軍事基地が存在することによって引き起こされている、このような事態は抜本的転換こそ求められている。
 「基地あるがゆえ」の損害・被害を受け続けてきた都民・住民の生命と安全を最優先することこそ、都政がなすべき最優先課題だ。
 いま大切なことは、横田基地をかかえる自治体でも、米軍基地の返還こそ、自律した都民・市民、自治体の期待に応えることではないか。
7 なぜ、横田基地の『全面返還』を要求しないのか。
 いま、横田基地はさらに「ミサイル防衛」についても重要な任務として担わされており、その具体化が、地対空ミサイル『PAC3』の配備だ。すでに今年3月には埼玉県の入間基地、そして11月には千葉県の習志野駐屯地に配備された。今後は、首都東京への配備だとして、都の管理する晴海ふ頭公園やお台場海浜公園を含めた、都内10箇所を候補地として、今月中にも移動展開訓練を実施することが伝えられている。
 日本共産党は、12月10日に「ミサイル防衛を口実にした地対空ミサイル・パトリオット(PAC3)の配備と移動展開を止める」ことを防衛省に申し入れをおこない、「『ミサイル防衛』は、アメリカによる先制攻撃を可能にするもので、アジアと世界の安定を脅かす」「都民の憩いの場で訓練が行なわれることになれば、都民生活にも大きな影響が出る」として、〔1〕移動展開訓練は行わない。〔2〕ミサイル配備を中止し、配備済みのものも速やかに撤去することを求めた。
 同席した日本共産党笠井亮衆院議員は、習志野駐屯地への配備では、防衛省が自治体に事前に公表しないよう要請しており、突然訓練があることも指摘し、重ねて訓練と配備の中止を求めた。これに対し、防衛省側は、移動展開訓練については「具体的な方針を固めたという事実はない」としながら、「一般論として訓練は必要だとし、展開地域も具体的に検討している」ことを認めた。年内の訓練や、住民への通知なしの実施の可能性も否定しなかった。
8 首都に検討しているミサイルの配備は行わないように、首都の責任者として、その配備計画の中止を強く関係機関に働きかけるべきと考えるがどうか。

平成19年第四回都議会定例会
古館和憲議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 横田基地の「軍民共用化」を撤回し、基地の全面返還を求めよ
1 横田基地は総合主要基地として米国にとって重要・不可欠な基地とされ、昨年には共同統合運用調整所がつくられ、活動をはじめたが、こうした事実について都はどう把握し、どう評価しているのか伺う。

回答
 共同統合運用調整所の設置については、平成18年5月に公表された「再編実施のための日米のロードマップ」に掲げられており、航空自衛隊総隊司令部の庁舎と同じ用地内に設置される予定であり、現時点ではまだ設置していないとの説明を国から受けています。

質問事項
一の2 日米共同の共同統合運用調整所の設置は、事実上、自衛隊が米軍の指揮下に置かれることを意味しており、憲法が禁じている集団的自衛権の行使になるのではないか。認識を伺う。

回答
 国から、「従来より、自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下、各々の指揮系統に従って行動することとしており、このことは共同統合運用調整所の設置によって変わることはなく、自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれることはない。」(「横田飛行場周辺自治体からの質問に対する追加回答」平成18年3月15日東京防衛施設局)との説明を受けています。

質問事項
一の3 米軍と自衛隊が、テロとの戦いへの対応などの任務を一本化して遂行すれば、横田基地の軍事的位置付けと役割が強まり、首都東京の軍事的緊張は格段に強く増幅されると思うが、見解を伺う。

回答
 現在進められている在日米軍再編は、弾道ミサイル攻撃といった事態への対処も含め、防衛力を強化し、我が国全体の安全性の向上を図ろうとするものであると認識しています。
 米軍再編に伴う横田基地の位置付けについては、国から、以下の説明を受けています。「自衛隊施設及び横田飛行場をはじめとする在日米軍の施設・区域は、我が国に対する弾道ミサイル攻撃をはじめとする攻撃への対処能力・抑止力を維持し、我が国の安全を確保する上での重要な基盤を提供するものである。」(「横田飛行場周辺自治体からの質問に対する追加回答」平成18年3月15日東京防衛施設局)

質問事項
一の4 航空自衛隊の米軍空輸支援が、横田を基点に嘉手納や岩国などの往復、横田からグアム米軍基地への空輸、さらには米軍の航空機用エンジンや部品等も行っているが、こうした事実を承知しているのか伺う。

回答
 いわゆるテロ対策特別措置法に基づく協力支援活動として、航空自衛隊が国内外輸送を行っていたことは承知しています。
 国内輸送について、国は、「現在、横田飛行場、岩国飛行場及び嘉手納飛行場の間で主として米軍の航空機用エンジン、部品、整備器材、衣料品等を輸送している。」(参議院議員近藤正道君提出テロ特措法に基づく航空自衛隊の空輸活動に関する質問に対する答弁書(平成19年10月5日提出))と公表しています。
 国外輸送について、「平成13年12月3日から在日米軍基地とグアム方面などとの間の国外輸送を開始した。」(平成19年度防衛白書)ことを公表しています。

質問事項
一の5 知事、米軍には軍民共用化の考えなどどこにもない。都民を欺くようなことはあってはならないと考えるがどうか。

回答
 横田基地の軍民共用化については、平成15年5月の小泉首相とブッシュ大統領のトップ会談において、その実現可能性について共同で検討することが合意されたものです。
 その後、平成18年5月の在日米軍再編の最終取りまとめ「再編実施のための日米のロードマップ」で、横田飛行場のあり得べき軍民共同使用の具体的な条件や態様に関する検討を実施することが明確に示され、日米両政府による協議が行われてきました。日米協議の検討期限は過ぎたものの、平成19年11月8日、高村外相とゲイツ米国防長官の会談が行われ、引き続き日米協議が行われることとなっているものです。

質問事項
一の6 知事になって8年が過ぎたが、いったい軍民共用化の何が前進したのか。米軍とのやり取りを公開することを求めるがどうか。

回答
 横田基地の軍民共用化については、知事自ら提唱し、米国政府高官や当時の小泉首相をはじめ日本政府に対し働きかけてきた結果、平成15年5月の小泉首相とブッシュ大統領のトップ会談で、軍民共用化の実現可能性について共同で検討することが合意されたものです。その後、日米両政府間による協議が行われ、平成19年9月の日米首脳会談及び外相会談では、日本政府として共用化を実現したいという立場を、米側に対し明確に伝えており、現在、国の関係省庁と都が一枚岩となって共用化の実現に向けて取り組んでいます。
 なお、軍民共用化に関する日米協議の具体的なやり取りについては、両政府間による外交交渉に関わるものであり、公表しないこととなっています。

質問事項
一の7 いま大切なことは、米軍基地の返還こそ、自律した都民・市民、自治体の期待に応えることではないか。なぜ、横田基地の全面返還を要求しないのか伺う。

回答
 米軍基地対策の推進に関する都の基本的立場は、基地の整理・縮小・返還の促進です。
 しかしながら、現在の国際情勢等を勘案すると、直ちに横田基地の全面返還がなされる状況にはないと考えられます。
そのため、返還までの対策として、軍民共用化の実現を目指しているものです。

質問事項
一の8 首都に検討しているミサイルの配備は行わないように、首都の責任者として、その配備計画の中止を強く関係機関に働きかけるべきだがどうか。

回答
 ミサイルの配備計画については、国が判断し作成するものであり、都として働きかける考えはありません。

ページ先頭に戻る