平成十九年東京都議会会議録第十七号

平成十九年十二月十一日(火曜日)
 出席議員 百二十六名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
五番きたしろ勝彦君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番西岡真一郎君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番田中たけし君
二十一番神林  茂君
二十二番早坂 義弘君
二十三番高木 けい君
二十四番崎山 知尚君
二十五番宇田川聡史君
二十六番高橋 信博君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番村上 英子君
四十一番鈴木あきまさ君
四十二番秋田 一郎君
四十三番山加 朱美君
四十四番串田 克巳君
四十五番吉原  修君
四十六番山田 忠昭君
四十七番田代ひろし君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番三宅 茂樹君
六十四番高島なおき君
六十五番鈴木 一光君
六十六番菅  東一君
六十七番石森たかゆき君
六十八番矢島 千秋君
六十九番鈴木 隆道君
七十番こいそ 明君
七十一番倉林 辰雄君
七十二番遠藤  衛君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番柿沢 未途君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番三原まさつぐ君
八十八番田島 和明君
八十九番林田  武君
九十番野島 善司君
九十一番高橋かずみ君
九十二番樺山たかし君
九十三番新藤 義彦君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番服部ゆくお君
百十二番川井しげお君
百十三番吉野 利明君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番馬場 裕子君
百二十一番大沢  昇君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
 欠員
四十八番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長中村 正彦君
知事本局長大原 正行君
総務局長押元  洋君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監矢代 隆義君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長吉川 和夫君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長島田 健一君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長矢口 幸一君
労働委員会事務局長有留 武司君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

十二月十一日議事日程第二号
第一 第百八十六号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十七号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百八十八号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百八十九号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百九十号議案
  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百九十一号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十二号議案
  東京都育英資金条例の一部を改正する条例
第八 第百九十三号議案
  東京都私立学校教育助成条例の一部を改正する条例
第九 第百九十四号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百九十五号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十六号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十七号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十八号議案
  東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第十四 第百九十九号議案
  東京都心身障害者扶養共済制度条例
第十五 第二百号議案
  大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百一号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二号議案
  東京都立公園条例の一部を改正する条例
第十八 第二百三号議案
  公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百四号議案
  性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百五号議案
  東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百六号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百七号議案
  東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)Ⅰ期新築電気設備工事請負契約
第二十三 第二百八号議案
  東京都医学系総合研究所(仮称)(H十九)Ⅰ期新築空調設備工事請負契約
第二十四 第二百九号議案
  富士見橋鋼けた製作・架設工事請負契約
第二十五 第二百十号議案
  瑞穂大橋鋼けた製作・架設工事請負契約
第二十六 第二百十一号議案
  平成十九年度東京港臨海道路(Ⅱ期)中防側アプローチ橋りょう鋼けた製作・架設工事請負契約
第二十七 第二百十二号議案
  当せん金付証票の発売について
第二十八 第二百十三号議案
  東京都立小峰公園の指定管理者の指定について
第二十九 第二百十四号議案
  東京都立明治公園外一公園の指定管理者の指定について
第三十 第二百十五号議案
  東京都立大神山公園の指定管理者の指定について
第三十一 第二百十六号議案
  東京都立横網町公園の指定管理者の指定について
第三十二 第二百十七号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び八王子市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第三十三 第二百十八号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び立川市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第三十四 第二百十九号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び町田市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第三十五 第二百二十号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び国分寺市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第三十六 第二百二十一号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び福生市公共下水道使用料徴収事務の受託について

   午後一時開議

○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
 百十二番川井しげお君。
   〔百十二番川井しげお君登壇〕

○百十二番(川井しげお君) 平成十九年第四回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 今、国会の状況を見ますと、混迷する政局を打開するため、みずから職を辞した安倍政権を受け継いだ福田政権が、国会の正常化と国際責任を果たすため、懸命に努力をしております。しかしながら、国会は、建前だけの論議の横行と破廉恥ともいうべき防衛官僚の行動により、空転を繰り返すばかりで、国民生活にかかわる法律はたなさらし状態になっています。国会はまさに国民の負託を放棄したといわざるを得ません。こういうときこそ、住民に最も身近な地方が自立し、信頼される地方政府を確立していく必要があります。
 ことしは、地方自治法が施行されて六十年に当たります。この間、東京を中心とする首都圏は世界に比類のない大都市圏へと発展し、日本の成長を支えてきました。その後、アジア諸国の急速な経済発展など、世界的な厳しい都市間競争の中、都市の興亡が国家の興亡を左右する時代を迎え、今後、東京の持つポテンシャルを効果的に発揮できるか否かが、我が国の行く末に大きく影響するといえます。
 しかし、国が全国画一的な関与を続けている現行地方自治制度のもとでは、都の積極的な取り組みにも限界があるのが実情です。今後の分権改革は、我が国の将来にかかわる国家百年の計として、国と地方の役割分担を根本から見直し、地方の自主性、自立性を高めるものにしなくてはなりません。
 こうした中、先月十六日には、国の地方分権改革推進委員会が中間的な取りまとめを行いました。それに先立ち、知事は、委員会の場で分権改革の必要性を強く主張するとともに、先月の九日には、委員会に提言を提出しました。国の中間的な取りまとめの大きな方向性は、都の提言の内容に沿ったものとなっていますが、知事はどのような思いを込めて委員会に対する提言を行ったのか、考えを伺います。
 次に、二〇一六年東京オリンピック・パラリンピック招致について尋ねます。
 去る十一月十九日、二〇一六年東京大会の開催基本計画が発表されました。日本の国家復興の促進に寄与した一九六四年東京オリンピックのレガシーを踏まえ、新しい都市モデルを提案し、地球環境を再生する東京から地球社会への贈り物と位置づけています。大変明確なコンセプトで、都民、国民にも理解しやすいメッセージだと思っています。
 今後は、このコンセプトを高く掲げて、ただ単に、オリンピック・パラリンピック招致というだけでなく、高度な都市化や高齢化など、二十一世紀的課題を世界で最初に大規模に経験しつつある東京こそが、だれもが安心して快適に暮らせる都市を実現する戦略を示し、政策展開を図っていく必要があります。また、最先端の技術を用い、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現し、その成果を広く世界に発信していくことも重要であります。
 しかし、環境の二十一世紀といわれている現在、ほかの立候補都市も環境対策を重視したコンセプトを提示してくることは明白です。都市間競争を勝ち抜くためには、他の都市にない日本独自の視点が不可欠です。そこで、開催基本計画のコンセプトにおいて、東京また日本ならではの視点は何なのか、伺います。
 今回の開催基本計画のコンセプトに基づいて、今後の申請ファイル、立候補ファイルを作成すると聞いていますが、さらによい計画となるように常にブラシアップを心がけてほしいと思います。
 我々都議会オリンピック招致議員連盟は、先月十九日、三十万名を超える都民、国民からの熱い声援がこもった署名を知事に贈呈いたしました。また、今月、招致に関する世論調査の結果が公表され、新聞社が春に実施した調査結果を大きく上回りました。これは地道な招致活動の結果であり、関係者の労をねぎらいたいと思います。今後も引き続き、開催の意義や経済効果などをPRすることにより、賛同の輪を大きく広げていかなければなりません。
 「オリンピックを日本に、二〇一六年!」が招致スローガンに加えられたことを契機に、今後、都内にとどまらず、広く国内、国外へもこのコンセプトを強く発信していくべきだと思いますが、今後の招致活動の展開について伺います。
 二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックを開催することは、障害者、高齢者、子ども、外国人など、すべての人に優しく、開かれた平和な社会を、未来を担う子どもたちにプレゼントすることであります。この実現のためにも、東京の都市戦略を広く発信し、政策を力強く展開していくことが必要です。我々都議会も、人を育て、緑を守り、都市を躍動させるオリンピックの実現へ、招致活動を大いに盛り上げてまいります。
 最後に、オリンピック・パラリンピック招致に向けた知事の決意を伺います。
 次に、横田基地の軍民共用化について伺います。
 横田基地の軍民共用化は都政の重要課題であり、知事みずからが先頭に立ち、早期実現を目指して精力的に取り組んでこられました。日本政府も、知事の行動によって重い腰を上げ、平成十五年五月、当時の小泉首相とブッシュ大統領との会談で、共用化の共同検討について合意されました。これまで、必ずしも関係省庁の足並みがそろっていたとはいえない時期もあったようですが、知事の熱意により、現在では、関係省庁が都と一枚岩になって共用化の早期実現に取り組んでいます。
 軍民共用化の検討のために開催されたスタディーグループの協議は、この十月で、十二カ月以内という検討期限を経過しましたが、まだ検討すべき課題が残されているため、先月八日、高村外相とゲーツ国防長官との会談で、議論を継続していくことが了解され、引き続き協議を行うことになりました。
 知事は、事あるごとに横田基地の軍民共用化の重要性を訴えてきており、先月五日には、新聞に「アメリカは真の友人か?」の見出しで寄稿し、政治家として、日本国民の立場から現状を鋭く分析し、首都圏における空のアクセスを拡大することが国力の維持のために不可欠であり、横田基地の軍民共用化が必要であると訴えています。
 一方、横田基地を抱える多摩の立場からすれば、戦後六十年以上にわたり、日米の安全保障政策の重要性にかんがみ、基地を受け入れて友好的な関係を保ってきたにもかかわらず、アメリカ側は日本側の求めに対し消極的な立場をとっているようであり、この点については強い憤りを禁じ得ません。
 そこで、改めて、現在の状況を踏まえ、横田基地の軍民共用化を今後どのように進めていくのか、知事のお考えをお伺いします。
 次に、平成二十年度予算編成について伺います。
 都財政は、知事と都議会が手を携えた懸命な財政再建の取り組みが実を結び、平成十八年度決算、二年連続黒字、経常収支比率の改善など、大いに健全性を回復しました。財政再建に区切りをつけた今、これまで我慢をお願いしてきた都民の方々には、その成果を十分還元することが重要であります。同時に、将来の東京をより高いレベルで成熟を遂げたまちにしていくために、我々は今何をなすべきかという中長期的な視点も欠かすことができません。
 一方で、都財政はよくも悪くも外部要因の影響を受けやすく、将来の不確実性に対して万全な備えを期しておく必要があります。中長期的に安定した施策を展開していくために、財政運営の質という点でも、財政再建期とは違うものが求められると思います。
 これから予算編成作業が山場を迎えるわけですが、来年度は「十年後の東京」の実現に向けて本格的なスタートを切る重要な年であります。そこで、平成二十年度予算編成に当たって、知事の基本的な考え方について伺います。
 次に、東京の財源を奪う動きについて伺います。
 先ほど石原知事が福田総理と会談をし、総理からの求めに応じ、協力することとされたとのことであります。これまで都は、不合理な税財政制度の見直しに対し、断固反対の姿勢を示してきましたが、地方の現実と日本を預かる総理からの要請という状況の中で、大局的見地からご決断されたのではないかと思います。
 地方税財政制度の本来のあるべき姿、一方では困窮する地方への思い、そして首都東京を預かる知事の立場など、いろいろな要素が複雑に絡み合う中、都民と日本の繁栄を願う観点から、まさにぎりぎりで苦渋の決断だったと推察をいたします。非常に冷静で現実的な対応をとられたものであるとともに、首都東京の代表にふさわしい英断であると高く評価しております。そこで、今回の決断をした知事の率直な気持ちを伺います。
 次に、都独自の固定資産税の軽減措置について伺います。
 景気が回復基調にあるとはいえ、中小企業の業況は先行き不透明であり、中小企業者は依然として重い税負担感を持っています。税負担感などに配慮をし、商業地に対する条例減額制度など、都独自の四つの軽減措置を来年度も引き続き継続すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、都の人事執行体制について伺います。
 石原知事就任以来、都では、二万人を超える定数削減を行うなど、国や他自治体の模範となる数々の行政改革に取り組んできました。こうした取り組みは、都の財政再建達成に大きく寄与したばかりでなく、監理団体、民間企業へのアウトソーシングなどによって、都民サービスの質的な向上にもつながっております。
 都民の貴重な税金で人件費を賄う以上、行政改革はこれからも当然必要ですが、長年にわたる定数削減によって、都庁内の一部の職場から、人手不足を訴える声、叫びも聞こえてきております。
 一例を挙げると、今後十年間で、四大技術職は半数近く、四千人が定年を迎えます。このままでは、熟練職員の大量退職によって、マンパワーの不足や技術力などの伝承が円滑に行われないといった事態も起こりかねません。二十年後、三十年後にも住民ニーズにこたえられる体制を築くには、計画的な職員の採用としっかりした人材育成が極めて重要です。こうした観点から、これまでの取り組みを一度検証してみる必要もあるのではないでしょうか。
 引き続きスリムな体制を維持しつつ、都民要望に迅速かつ的確に対応していくための今後の人事執行体制のあり方について所見を伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 先月まとめられたIPCCの報告書では、地球温暖化は人間の活動に起因する温暖化ガスの増加が原因とほぼ断定し、二〇一五年から二〇年には世界のCO2排出量を減少に転換する必要性を指摘しています。さらに、この報告書では、CO2の削減対策だけでなく、洪水や感染症など、温暖化による悪影響を避けるためのいわゆる適応策の重要性を強調しており、まさに地球温暖化対策は待ったなしの状況であります。
 こうした中、都は、本年六月策定した東京都気候変動対策方針で、大規模CO2排出事業所への排出削減義務づけと排出量取引制度を導入することを明らかにしました。現在、都は、経済界などと意見交換会を開き、その意見を踏まえながら制度の内容を検討しているとのことですが、義務化については、経済成長が阻害されるといった懸念の声が上がっているとも聞いております。
 環境と経済は相反するものではなく、東京の長期的な発展を可能とするためにも、東京が国をリードし、積極的な温暖化対策の展開が必要であると考えますが、知事の所見を伺います。
 さらに、一層の温暖化対策を進める上で、中小企業や家庭も重要であります。中小企業のCO2排出量は都内の約五分の一、家庭の排出量は約四分の一を占めています。しかしながら、中小企業や家庭は省エネルギー対策に関する知識不足のため、取り組みが全体としておくれています。対象者数も多く、それぞれの事情に応じた具体的できめ細やかなサポートが有効なのではないでしょうか。
 これまでも都は、中小企業への省エネ対策に関する現場相談、省エネ診断や家庭に対する普及啓発などを行ってきましたが、今後、一層積極的、集中的に施策を展開するための拠点づくりを含めた体制整備により、こうした取り組みを進化させるべきと考えますが、見解を伺います。
 国でも審議会が開かれ、温暖化ガス削減に向けた抜本的検討が進められています。その中で、太陽光など新エネルギーの導入が論点として議論されておりますが、余り期待できるものではありません。我が党は、都が先導的に取り組むべき重要な課題と考えておりますが、都も、検討会の結果を踏まえ、具体的な方策を早急に取りまとめていく方向であると認識しております。
 そこで、国の施策で普及が進まない理由や、導入コストの軽減を実現する上での課題などを踏まえ、家庭等への普及拡大策の構築を早急に進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 こうした取り組みを含め、先進的な温暖化対策の構築をし、環境オリンピックの実現に向けて世界に強くアピールしていくことを要望し、次の質問に移ります。
 「十年後の東京」において、新しい技術やアイデアで世界をリードする産業都市東京を目指す方針が示されました。東京の産業振興には、革新的なベンチャー企業に対する支援や新産業の育成などによるイノベーションの創出と、それを支える確かなものづくり産業の基盤の維持、強化の二つの視点が必要です。
 東京のものづくり産業は、高い技術力と競争力を有し、世界的にも高い評価を得ております。これは、金型や鋳造、メッキなどの基盤技術を持つ町工場といわれるような中小企業が、日本製品の高い信頼性と性能を支えてきたからにほかなりません。しかし、戦後最長の景気回復の中にあって、こうした中小企業にはその恩恵が行き渡らず、大企業との収益格差も広がっています。
 世界をリードする産業都市東京の実現には、こうした基盤技術を担う中小企業が果たすべき役割は極めて大きなものです。今こそ産業基盤の強化に全力を挙げるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 東京のものづくり産業の基盤を支える中小企業は、後継人材の不足による技術力の低下や大手企業との系列関係の崩壊など、極めて深刻な問題に直面しています。しかし、基盤技術を担う中小企業は、小規模な下請企業であることが多く、克服すべき課題に単独で対応することは極めて困難です。今後、こうした中小企業が、お互いの技術を高め合うとともに、大企業と対等に取引できるような支援策を講じていくべきと考えますが、所見を伺います。
 将来にわたり東京の産業を高めていくためにイノベーションの創出が不可欠です。都内企業にイノベーションのうねりを巻き起こし、波及効果の高い産業分野を育成することで新産業を創出していくことが必要です。成長性の高い産業分野の民間プロジェクトを集中的に支援する重点戦略プロジェクトは、こうした考えを具現化する施策として大きな期待を寄せているところです。そこで、今後の成長産業の育成に向け、本プロジェクトをどのように展開していくのか、伺います。
 次に、商店街振興について伺います。
 都はこれまで、地域コミュニティの核である商店街の活性化を図るため、新・元気を出せ商店街事業などの支援を進めており、その成果もあって、都内の商店街では活性化に向けたさまざまな取り組みが繰り広げられています。その一方で、新たに開店したコンビニや居酒屋に代表されるチェーン店等が商店街に加入せず、商店街の問題となっています。
 こうした状況を打開するため、かねてより我が党が提言してきた商店街とチェーン店との話し合いの場として、商店街振興組合連合会、東京都商店街連合会、商工会議所、商工会連合会など、地域商業、サービスの関係十団体による商業まちづくり協議会が平成十五年度に設置され、活発な議論が交わされています。
 その後、連携・協働の商業まちづくり共同宣言や連携・協働ガイドブックの作成など、地域商業者の連携、協働の機運が高まりました。また、都内区市町村での商店街への加入促進を目的とする条例や要綱を定める動きが広がり、現在その数は二十九団体に上ります。
 地域商店街の活性化をさらに推進するためには、これらの地域商業者の連携や各自治体の取り組みに、都として積極的な後押しが必要と考えます。商店街がチェーン店等とも一体となってさまざまな取り組みを行えるよう、実効ある施策を打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩地区の水道事業について伺います。
 我が国の水道事業は市町村経営を原則としてきたため、経営的にも技術的にも脆弱な中小規模の事業体が多く、経営統合などによる広域化が最大の課題とされています。こうした中で、都は、昭和四十六年に多摩地区水道の都営一元化計画を策定し、現在まで二十五市町の水道を一元化してきました。
 一方、奥多摩町と檜原村の水道事業については一元化計画の対象外とされ、いまだに両町村による運営が続けられています。第三回定例会で我が党が指摘したとおり、両町村は、水源水質の悪化や技術的な問題など、その運営に苦慮しております。特に、ことし、奥多摩町にある小河内ダムが竣工五十周年を迎えました。奥多摩町は、この間、水源地として都の水道事業にさまざまな協力をし、また町の料金水準を都に合わせるなど、一元化を目指して努力をしております。
 こうした状況を踏まえ、都は、奥多摩町水道事業の都営一元化を都政の重要課題として取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。また、奥多摩町が抱えるさまざまな課題への対応は、都の技術力、運営力をもってすれば必ずや解決できると考えますが、見解を伺います。
 続いて、直結給水について伺います。
 我が党はこれまで、機会あるごとに直結給水の取り組みの重要性について指摘をしてきました。例えば、平成十三年の水道法改正で、水道事業者が貯水槽水道の管理に関与できるようになったことから、都内にある全貯水槽水道を対象とした点検調査やフォローアップ、また、新築建物における直結給水の基準緩和などを指摘してまいりました。
 高度浄水処理の導入を初め、我々が水道局とつくり上げてきたおいしい水への取り組みは徐々に実を結びつつあり、東京の水道のおいしさを実感する都民もふえてきております。これまでの世界に誇る安全でおいしい水への取り組み、努力を結実させるためにも、直結給水化など、さらに力を入れていくことが重要だと考えます。また、水道局のみならず、民間の力をも活用した効果的な施策を実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、羽田空港の跡地利用について伺います。
 知事は、我が党の第三回定例会の代表質問に、羽田空港の国際化は、我が国の経済を活性化し、国際競争力を強化する極めて重要な国家的プロジェクトであり、引き続き国に積極的に働きかけると強い決意を示しました。
 羽田空港再拡張事業は、新滑走路整備事業と国際線旅客ターミナルビルなど、整備を行う国際線地区整備事業の二つの事業が同時に進められておりますが、その国際線地区整備事業に隣接するエリアに、羽田空港の沖合展開により生じた跡地約五十三ヘクタールが更地のまま存在しております。この跡地利用について、国、都、大田区の三者での共同調査が進められており、先月公表された羽田空港跡地利用基本計画素案では、跡地を三つのゾーンに分け、各ゾーンの特性を踏まえた利用の方向が示されました。
 今後の羽田空港跡地の整備に当たっては、今回の基本計画素案で示された地元大田区など周辺地域との連携の視点に立つとともに、羽田空港の再拡張、国際化と整合を図りながら推進すべきと考えますが、今後の跡地利用に関する基本的な考え方について知事の所見を伺います。
 羽田空港再拡張事業は着実に進んでいると承知しておりますが、一方で、再拡張事業と足並みをそろえるべき跡地については、現在も国が所有し、土地処分のあり方が定まっていないなど、跡地利用がなかなか進まないのではないかと懸念されております。また、跡地が大田区の市街地に隣接しているなど、跡地利用には、都がリーダーシップを十分発揮して、地元大田区と情報交換を行うべきと考えます。そこで、今後の跡地利用の具体化に向けた都の取り組みについて伺います。
 次に、改正建築基準法の影響について伺います。
 構造計算書偽造問題の再発防止を図るため、去る六月に改正建築基準法が施行され、姉歯事件で失った建築物の安全への信頼性を回復するための取り組みが進められています。しかしながら、改正内容の周知が不十分だったことなどで、建築確認手続が大幅におくれ、建築着工件数が急減する事態を招いています。こうした状況が継続すれば、建築設計業界を初め、建築工事や不動産関係業界、住宅を購入する消費者など、社会全般に深刻な影響が拡大していく懸念があります。
 一方、日本銀行や内閣府の経済報告でも、建築確認停滞による影響は既に指摘しており、GDPも下方修正されています。せっかく回復基調にある日本の景気にも冷や水を浴びせかねない状況であります。そこでまず、最近の建築確認の都の現状と国の動向について伺います。
 我が党は、平成十八年七月に建築設計議員連盟を設立し、建築士事務所との意見交換などを通じて、建築業界が直面する課題に真摯に耳を傾けてまいりました。本件は基本的には国の問題ですが、建築行政を所管する都も、法の中で最大限の取り組みを行うことが必要だと考えます。そこで、今後の都の取り組みについて伺います。
 我が党は、このような状況を踏まえ、関連中小企業に円滑な資金供給がなされるよう、先月、金融機関及び国、都に対し強く申し入れを行いました。こうした我が党の取り組みが功を奏し、先月二十七日より、国が定める不況業種として建築関連の十五業種が新たに追加指定され、都においても特別相談窓口が設置されました。こうした行政の対応には一定の評価はできるものの、影響が極めて広範な業種に及んでいることを考慮すると、決してまだ十分な対応であるとはいえません。
 建築着工の落ち込みが特に顕著な都では、国が指定する不況業種以外の業種であっても、建築確認のおくれに伴い経営が悪化している関連中小企業者にできるだけ有利な条件で制度融資が活用できるよう、緊急かつ特別な措置を講ずるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、建物の耐震化について伺います。
 三月の能登半島地震や七月の新潟県中越沖地震など、大規模な地震の発生が相次いでいます。一たび東京で大地震が発生すれば、その被害の影響は、東京のみならず全国に及ぶものと考えられます。首都東京の国際的な信用を高める上でも、震災対策、とりわけ建物の耐震化は最優先の課題であります。
 都は、この課題に全庁を挙げて取り組むとして、ことしの六月に副知事を座長とする建物の耐震化推進会議を設置しました。推進会議では、防災上重要性の高い建築物の一〇〇%耐震化や住宅の九割以上の耐震化などの目標に向け、年内にも効果的な施策を取りまとめると聞いております。今後、建物の耐震化を促進するためにどのような方向で施策を展開しようとしているのか、所見を伺います。
 耐震化のための助成制度は、現在木造住宅が対象ということですが、耐震改修を促進するために、マンション等の木造以外の建物の助成についても検討されるよう、強く要望をいたします。
 さらに、耐震化促進のための税制も活用すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、防災上重要な建築物として病院、小中学校、ホテルなどが挙げられていますが、これらが民間所有の場合は、資金面で耐震改修に踏み切れない場合も多いと考えられます。特に私立学校では、少子化の影響により経営が厳しい状況のところもありますが、次代を担う子どもたちを震災から守り、安全な教育環境を確保することは急務であります。そのため、私立学校に対する補助金のさらなる充実など、さまざまな支援が求められますが、都の支援策を伺います。
 次に、都営住宅のストックの活用促進について伺います。
 現在、都営住宅の整備は、昭和三十年代以前建設の二万五千戸を対象に建てかえを年間三千戸、四十年代建設住宅を対象にスーパーリフォームを年間千九百戸実施していますが、建てかえの際には、敷地の有効利用で用地を創出し、南青山一丁目や東村山本町地区など、民間事業者による活力ある都市づくりを進めていることも承知しております。一方、スーパーリフォームは、建てかえの半分程度の事業費をかけて一定のバリアフリー改修を行い、居住性の向上を目指すものですが、建物の耐用年数を延ばすことはできず、従来の建物を生かすため、敷地の有効利用を図れるものではありません。
 こうしたことから、今後は、都民の貴重な財産である都営住宅用地の有効な活用の促進を図るため、老朽化した住宅の建てかえで集約、高層化などを行い、創出した用地を生かした都市づくりを積極的に進めるべきです。そのため、スーパーリフォーム事業は抜本的に見直し、建てかえ事業については、対象住宅の範囲を拡大するとともに、年間の着手戸数をふやし、事業を加速させるべきと考えますが、所見をお伺いします。
 「十年後の東京」には、豊かな緑や魅力ある水辺環境の創出、災害に強い都市づくりなどが示されていますが、都営住宅の建てかえ事業は、これまでの創出用地を生かした民間事業者による都市づくりに加え、公共公益施設の整備などで、こうした取り組みにさまざまな面で貢献できるものと考えます。そこで、建てかえ促進による「十年後の東京」の実現に向けて、具体的にどのような効果が生み出されるのか、伺います。
 次に、道路の整備の財源確保について伺います。
 東京都の慢性的な交通渋滞は、都市機能の停滞や環境の悪化を招くなど、東京の最大の弱点の一つであり、三環状道路を初め、道路ネットワークの形成による渋滞解消が喫緊の課題であります。そのためには道路整備の財源が必要不可欠であり、我が党は、危機意識のもと、第三回定例会において、公明党と協力をし、道路特定財源の首都東京の道路整備への重点投資と首都圏の高速道路料金の引下げに関する意見書を提出し、民主党の賛同を得て、決議し、国に提出をしました。
 ところが、この道路特定財源をめぐってはさまざまな意見が飛び交っており、閣議決定された暫定税率の維持すら覆す意見もあります。東京を中心とする首都圏は、日本経済全体の牽引役であり、その基盤となる道路ネットワーク整備を早急に進めていく必要があります。都議会自民党は、暫定税率を維持し、道路特定財源を一般財源化することなく、本来の目的である道路整備に充当していくことが不可欠であると考えております。
 参議院選後のいっときの政治情勢によって、都民、国民の生活を支える道路の整備を遅滞させてはなりません。今後の年末の中期計画の決定、それを受けた法案改正など、道路特定財源については山場を迎えます。そこで、改めて道路特定財源の確保に向けた知事の所見を伺います。
 次に、美しい都市景観創出について伺います。
 人々に潤いや安らぎを与え、都市環境の改善や景観の向上などに寄与する街路樹の役割は重要であります。これまで街路樹は着実に増加してきていますが、今後、目標とする街路樹の倍増に当たっては、行政の取り組みだけでなく、都民の理解と協力が不可欠であります。
 知事は第三回定例会で、我が党の代表質問に、緑あふれる東京の再生に向けて、従来の行政の枠を超えた新しい発想で広く緑のムーブメントを巻き起こしていきたいと表明されました。都ではこれまで、新しい発想による都民参加の取り組みとして、思い出ベンチや舎人公園での桜の森づくりなど実例があり、多くの都民から賛同をいただいております。こうした取り組みのように、わかりやすく参加しやすい仕組みを街路樹の倍増においてもつくるべきと考えますが、所見を伺います。
 また、東京の良好な都市景観の創出のためには、街路樹の倍増とともに、無電柱化の促進が重要であります。都は「十年後の東京」で、緑のネットワークと連携し無電柱化を推進することとしており、これには、都道はもとより、区市町村と連携した面的な無電柱化に積極的に取り組んでいく必要があります。このため、我が党は、かねてより区市町村に対する財政支援を強く要望してきたところであり、オリンピック開催を見据え、区市町村に対する新たな補助制度を創設し、面的な無電柱化を加速させるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、東京港について伺います。
 我が国の持続的な発展のためには、国際競争力の強化が不可欠です。特に、国際物流の玄関口である東京港の基盤整備は喫緊の課題であります。今、世界は、コンテナ輸送における一層の効率化を追求する方向の中、コンテナ船の大型化が急速に進んでいます。本年九月に着工されたパナマ運河の拡張は、世界航路再編の引き金になる可能性も秘めており、東京港においても、将来を見据えた戦略的な港湾施設の整備が必要であります。
 このため、先般、我が党の港湾空港振興議員連盟から、港湾整備についての要望書を提出したところであります。
 都の港湾整備の指針である港湾計画は、おおむね十年後の東京港を目指した計画ですが、民間企業では、二年から三年の事業計画を策定し、実績と事業環境の変化に応じてローリングしていくことが一般的となっています。港湾施設の整備には長期間を要することから、十年を計画期間とすること自体は否定しませんが、昨今の世界の物流状況をかんがみれば、柔軟に計画を見直し、スピード感を持って施策を遂行していくことが必要であります。
 船舶の大型化など世界の潮流を踏まえた港湾計画の見直しを含め、東京港の新たな経営戦略を直ちに作成すべきだと考えます。また、その検討に当たっては、横浜港など他港との連携により、東京湾全体としてアジアを代表する港ともなり得るような国際競争力を強化するという視点も必要だと考えますが、知事の所見を伺います。
 ところで、経営戦略の策定に当たっては、東京港の今後の役割について認識を明らかにしておくことが重要です。近年、製造業においては、日本とアジア諸国間での国際的な分業が進み、国境を越えた物の動きが年々活発になっており、輸出入の貨物量の急増につながっております。
 一方、高度な技術力を必要とする生産分野では生産拠点の国内回帰も進んでおり、南東北を中心に国内での工場立地が増加しています。圏央道や外環道などの整備が進む中、首都圏だけでなく、さらに広大な地域が東京港の背後圏となりつつあります。
 東京港は、このように伸びつつある国内の実需にこたえるメーンポートとしての機能を十分に果たすとともに、我が国を代表する海の玄関口として、内航、外航の円滑な結節点となるハブ機能を担っていくことも必要です。このような国際的、国内的な環境変化を踏まえ、今後、東京港はどのような役割を果たしていくのか、所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 都内では、がんで入院している患者が約一万二千人、総患者数は十三万五千人と推計されています。また、昭和五十二年から都民の死亡原因のトップを占め、年間三万人もの方ががんで亡くなっており、これは都民にとって大きな脅威であります。現在、都では東京都がん対策推進計画を策定中とのことですが、がんにかからないこと、たとえがんにかかっても、前向きにそれに向き合い、そして、がんを克服できることが都民の切なる願いであります。計画策定に当たり、がん対策に取り組む知事の決意を伺います。
 また、第三回定例会の代表質問において、我が党は、高度で専門的ながん診療機能を有する病院の活用を提案しましたが、知事は、国が指定する拠点病院と同等の診療能力を有する病院を都独自に認定すると表明されました。この認定病院について、その内容と今後の取り組みについて伺います。
 次に、医療制度改革について伺います。
 我が党は、一連の医療構造改革の中でも療養病床の再編については、都民に対する影響が極めて大きいものであることから、幾度となく都議会で質疑を重ねてまいりました。今般公表された東京都地域ケア体制整備構想において、第三回定例会の我が党の代表質問を踏まえ、療養病床数を全国一律で削減しようとする国の考え方によらず、都の地域特性を踏まえた再編を推進することが明記されました。今後、都は、当構想を踏まえ医療費適正化計画を策定していくわけですが、現在の検討状況について伺います。
 医療費適正化を総合的に推進するに当たって、国は、糖尿病など生活習慣病の予防を重要な取り組み策の一つに位置づけ、平成二十年度からは、特定健康診査そして特定保健指導の実施を医療保険者の責務としました。
 この特定健康診査・特定保健指導の費用について、区市町村の運営する国民健康保険の場合には、国と都道府県がそれぞれ三分の一を負担することが法定されていますが、国民健康保険組合には該当の規定がありません。生活習慣病予防の取り組みを推進するため、都として国民健康保険組合に対し必要な財政支援を行うべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、後期高齢者医療制度について伺います。
 このたび、政府・与党は、来年度からスタートする後期高齢者医療制度の保険料について、扶養家族であった被保険者の保険料の半年間の凍結を含む一層の激変緩和措置を国の財政責任で講じることとしました。また、都内の全区市町村は、保険料の軽減を目的に広域連合への財政支援を実施することとしました。都としても、広域連合及び区市町村と連携をし、安心して新制度を迎えるよう支援すべきと考えます。そのため、我が党は先月、後期高齢者医療制度の円滑な施行に関する要望書を知事に対して提出したところであります。そこで、こうした動向を踏まえた上での都の考えを伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 我が国の深刻な少子化に歯どめをかけ、次代を担う子どもたちを健やかに育成するためには、子どもを生み育てたいと望む人たちが安心して子どもを生み、子育てができる環境を整備することが必要です。都は、局を横断して総合的な子育て支援策を推進するため、本年六月に副知事を座長とする子育て応援戦略会議を設置しました。全庁を挙げてさまざまな角度から精力的に検討を重ねてきた結果が、近々、子育て支援の重点戦略として打ち出されると聞いております。そこでまず、大都市東京ならではの子育て支援について、知事の所見を伺います。
 子育て応援戦略会議のテーマは、働き方の見直しや子育てに必要な環境づくりなど広範にわたっていますが、とりわけ保育所の待機児童五千人の解消は喫緊の課題であります。全国に約一万八千人いる待機児童のうち、何と四分の一は東京都の待機児童です。待機児童問題はまさに大都市問題であり、都の取り組みこそが解決のかぎを握っていると思います。
 都はこれまでも、独自に認証保育所制度を創設するなど、待機児童の解消に努めてきましたが、残念ながら、いまだ待機児童を目に見える形で解消するには至っていません。そこで、緊急にさまざまな保育サービスを拡充し、確実に待機児童の解消を図ることが必要であると考えますが、今後の取り組みを伺います。
 さらに、保育サービスを必要とする、しないにかかわらず、すべての子育て家庭に対する支援も重要です。都市部の子育て家庭の約九割は核家族です。地域社会のきずなが弱まる中、子育て家庭が孤立し、子育て不安や育児ノイローゼに悩む親御さんも見られます。これが深刻化すれば、不適切な養育につながり、児童虐待という、あってはならない事態に至る危険性もあります。孤立した子育てにならないよう、例えば、親同士が子育ての相談や悩みなどを気軽に話し合えるような交流の場の整備や、子育ての負担軽減のためのさまざまなサービスを充実させることが必要です。地域で安心して子どもを育てるための支援の仕組みをこれまで以上に充実させるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、シルバーパスについて伺います。
 来年三月開業される日暮里・舎人ライナーについて、我が党は、東京都交通局が経営主体として運行を行うこと、さらに、沿線の高齢者の社会参加を一層促進するためにシルバーパスの対象路線とすることを昨年八月に都に要望しました。この点については、既に東京都交通局が経営主体として事業譲渡の許可を得ており、シルバーパスの適用に向けて所要の手続が行われると聞いております。
 さて、国の税制改正において、十八年度より高齢者に対する区市町村民税非課税の基準が引き下げられましたが、この結果、収入が変わらないにもかかわらず、千円から二万五百十円でパスを購入しなければならなくなる事態を避けるため、影響を受けた方について、都が、十八年度、十九年度と負担額をそれぞれ据え置いたことは高く評価するものであります。国においても、二十年度、二十一年度と介護保険料の激変緩和措置をさらに継続する見込みです。そこで、新たにパスを発行される方も含め、経過措置の継続を強く求めるものであります。都の見解を伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 都立病院は、東京発医療改革の核として、東京ERの実施やPFI手法の導入など、都立病院改革を積極的に推進し、全国をリードしてきました。しかし、全国的な医師不足、とりわけ産婦人科医師の不足は都市部でも深刻であり、都立病院でも、一部分娩の休止や縮小をせざるを得ない状況と聞きます。
 第三回定例会の代表質問で我が党がただしたとおり、産婦人科医師を含む優秀な医師を確保し、定着を図っていくことは、都立病院がその役割を果たしていく上で何よりも重要であることは論をまちません。特に産婦人科は、女性医師が三十代で五割、二十代で七割を占めており、出産等での離職が少なくないといわれています。今年八月の育児休業法の改正を踏まえ、我が党は、さきの各会計決算特別委員会でも主張したとおり、子育てと勤務の両立を可能とする短時間勤務制度の早期導入を要望していますが、これは、女性医師を初めとする医療従事者の確保に大いに資するものです。
 都立病院が率先して総合的な医師確保対策を講じ、それを東京発医療改革として発信していくことは、他の自治体病院に大きな影響を及ぼし、現下の医師不足の解消にも寄与するものと考えております。
 こうした中、先日、日本産科婦人科学会の理事長が知事と面会し、産婦人科医師不足に対して病院現場での総合的な対策を実施してほしい旨の要望を行い、学会の中で相当大きな話題となっていると聞きます。そこで、都立病院の医師不足についての認識と今後の対策について、知事の所見を伺います。
 また、都立病院改革を推進するに当たって、都立病院の経営形態の検討が大きな課題であります。先月末には有識者による都立病院経営委員会から報告書が出されましたが、その中で、いわゆる非公務員型の一般地方独立行政法人が制度的に最も柔軟な経営形態であると提言されました。一方、報告書では、地方独立行政法人の制度面や運用面での課題も指摘をしております。課題を抱えたままでの拙速な経営形態の変更は、病院現場に混乱を招き、医療サービスの低下につながりかねません。また、都立病院の使命である行政的医療については、都が最終的に責任を持つべきであり、慎重な検討が必要であると考えます。今後、この報告を受けて都としてどのように検討を進めていくのか、所見を伺います。
 次に、教育関係について伺います。
 平成十九年四月、改正学校教育法が施行となり、従来、障害種別ごとに設置されていた盲学校、ろう学校、養護学校制度は、複数の障害種別に対応した教育を行うことのできる特別支援学校制度になりました。また、幼稚園、小中学校、高等学校等に在籍する特別な支援を必要とする幼児、児童、生徒に対しても特別支援教育を行うことが明確に位置づけられたところです。本年は、こうした特別支援教育制度が大きく改正された、いわば特別支援教育元年となる年であります。
 そうした中、このたび、平成二十年度から二十二年度を計画期間とする東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画が策定されました。そこで、十一月に発表されたこの計画について伺います。
 障害の有無にかかわらず、すべての子どもが社会的に自立し、社会参加できるようにすることが大変重要なことであると考えます。特別支援教育制度への理解が進み、これから推進、定着していくことが求められます。そこで、都教育委員会は、知的なおくれのない発達障害を含む障害のある子どもに対する教育をどのように考えているのか、また、第二次実施計画では、障害のある子ども一人一人に応じた支援計画の充実など、障害のある子どもへのライフステージに応じた支援をどう展開していくのか、伺います。
 第二回定例会の我が党の代表質問で、都独自の取り組みも第二次実施計画で盛り込むべきとの質問に対し、教育長は、国を先導するような改革を推進していくと答弁されました。そこで、国に先駆けた教育内容の充実や外部の教育の活用など、計画に盛り込まれた都独自の先導的な施策とはどのようなものなのか、伺います。
 次に、スポーツ振興施策の総合的な推進について伺います。
 都のオリンピック招致に呼応して、ことし八月に、スポーツ振興を国家戦略としてとらえた報告書である「スポーツ立国ニッポン」が発表されるなど、スポーツ振興に対する国の本格的な検討が開始されました。都においても、スポーツ振興審議会が立ち上がり、新たなスポーツ振興戦略の検討が始まったと聞いています。
 スポーツは、都民の心身の健全な育成や健康づくりに欠くことのできない重要な要素であるとともに、競技者の活躍は、見る者に夢と感動をもたらすものであります。都民の日常生活にスポーツを溶け込ませることは、スポーツ都市東京の実現に欠かせないと考えます。
 都は、本年四月にスポーツ事業を生活文化スポーツ局に移管し、執行体制の強化充実を図っていますが、新たなスポーツ振興事業について、これまでの取り組みの実績と、今後の展開について伺います。
 本年二月には三万人が都心を駆け抜ける東京マラソンを開催し、多くの都民に感動を与えるとともに、東京の国際イベント運営能力を国内外にアピールするなど、都民のスポーツ機運の醸成に努めてきました。
 さらに、七月には、競技力向上推進本部を立ち上げ、総合的な競技力向上策の検討を行っています。将来のアスリート候補であるジュニア選手の発掘・育成事業、青少年がスポーツを親しむ機会の拡大を図るものであり、今後、一層の取り組みの強化を期待しております。
 このように積極的にスポーツ振興に取り組んでいるものの、まだまだスポーツに関心の低い都民がいることは否めません。我が党は、第三回定例会で都全体のスポーツムーブメントを高めるため、スポーツ情報の積極的な発信を提起したところであります。今後の都民の興味、関心をさらに高めるため、どのような方策を講じるのか、伺います。
 冒頭、オリンピック招致の決意を知事から改めて伺いました。子どもたちに夢と希望と感動を与えるためにも、ぜひとも招致を成功させたいと思います。各会場に日本の環境技術を世界に発信できるような環境ブースを各企業の協力を得てつくり、まさにスポーツの祭典とパラリンピックに象徴される障害者の社会参加、そして環境見本市を兼ねたイベントであると、広く国民に理解をいただけるよう働きかけるとともに、IOCへの立候補ファイルによって、IOCメンバーを感動させるような斬新な提案を期待します。
 我々議会も招致議員連盟を中心に一致努力することを申し添えまして、私の質問を終えます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 川井しげお議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、地方分権改革についてでありますが、国の差配のもとで何もかも全国一律に事業を行うという時代では、もはやありません。地方分権によって地方が真に自立し、みずから地域の活力を取り戻していくことが日本再生のかなめであると思っております。
 とりわけ首都東京は、我が国の頭脳部、心臓部でありまして、国力の源泉であります。この東京が、人材や企業が高度に集積したたぐいまれなる優位性を生かしまして、大都市特有の諸課題を迅速かつ的確に解決できなければ、一つの都市の盛衰にとどまらず、我が国の存立自体をも揺るがしかねないものだと思います。
 大都市の現状を熟知した東京都は、これまでもさまざまな先進的な取り組みを講じておりまして、みずからの権限と責任で課題を解決できるだけの力があります。
 しかし、どうも霞が関は、地方分権の意義を全く理解せずに、あたかも自分たちがこの国の盟主であるがように振る舞って、権限を墨守する姿勢を一向に崩そうとしません。こうした霞が関の姿勢にくさびを打ち込むためにも、地方分権改革推進委員会には、首都東京のかじ取りに必要な権限拡大を求めるとともに、国の関与を一たん白紙にして、必要なものを厳選するといった抜本的な改革が必要であると提言いたしました。
 また、先月には、委員会への提言を都民に対し、よりわかりやすく具体例を加えて発信いたしました。今後、都議会とも力を合わせて、この国のありようを変える地方分権の闘いを進めていくつもりでございます。
 次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、前回の東京大会が東京と日本の復興の扉を開いたように、二〇一六年の大会は、地球社会の未来のために新しい扉を開いていく絶好の機会であると思っております。地球の健康、人間の健康のためのオリンピック・パラリンピックを開催し、東京、日本が誇る世界最高水準の技術と政策を駆使して、人と地球の可能性を最大限に追求していきたいと思っております。
 来年は、立候補都市の決定、それから、北海道洞爺湖でのサミット、北京オリンピック・パラリンピックなど、世界の注目が集まる大きな催しがメジロ押しに並んでおりますが、国内外におけるあらゆる機会をとらえて全力で招致活動に取り組み、都市間競争を勝ち抜いて、オリンピック・パラリンピックをこの日本に招致し、東京で開催したいと思っております。その決意であります。
 このたび、二度にわたり実施した世論調査では、二度とも賛成が六割を超える結果となりました。これは百三十万に及ぶ署名など、これまでの皆さんによる招致活動の成果があらわれたものと認識しております。
 今後とも、都議会、区市町村、地域団体を初め都民、国民の皆様のさらなるご協力を心からお願いいたします。
 次いで、横田基地の軍民共用化でありますが、世界全体が時間的、空間的に狭くなっている今日の社会で、空のアクセスは、国家の繁栄、成熟のために不可欠な、非常に重要な意味を持っていると思います。横田基地の軍民共用化は、空港容量の逼迫する首都圏の空のアクセスを拡大するものでありまして、我が国の国力の維持のためにも必要不可欠であると思います。
 また、地元の多摩地域や、横田に近接する隣県にとっても、航空利便性が向上するばかりでなく、交通インフラの充実や産業の振興など、地域の活性化のためにも大きな意義があります。
 横田の軍民共用化は、二〇〇三年五月の小泉・ブッシュ会談で検討が合意されたものでありまして、これまで首脳会議などでも繰り返し実現を要請して、日米間の重要な懸案事項であります。
 これまでの日米協議では、アメリカ側の軍事運用にかかわる幾つかの課題が指摘されておりますが、例えば、セーフアークといいましょうか、弾薬庫の周辺の安全性の問題であるとか、基地を使ってのさまざまな訓練、実際には大してやってないんですが、こういったものが提示されておりますが、これはいずれも調整可能なことばかりでありまして、アメリカの政府が日米関係を本当に重視するならば、軍民共用化に積極的に対処してしかるべきだと思っております。
 しかし、残念ながら交捗中に、事務方、相手は主に軍人でしょうけれども、その言動に、横田は太平洋戦争の遺産であるなどというけしからぬ認識が露呈してきまして、これは今日の日米安保の地位協定の、要するにゆがみにもあると思いますけれども、そういう実情のもとで努力しなくちゃいけませんが、元在日米軍の司令官などをメンバーとします米国のコンサルタント会社、スペクトラムというグループがございますけれども、彼らの指摘も、米軍側の指摘は、ある部分、非常に拡大されている面があるといっております。
 今後も、国の関係省庁と都が一枚岩の結束を保ちながら、米側に対して説得力のある具体的な提案を行うなど、粘り強く協議を進めることによりまして、軍民共用化の早期実現を目指していきたいと思っております。
 平成二十年度予算編成についてでありますが、都財政は、都民、都議会の皆様とともに血のにじむような努力を積み重ねて、ようやく長いトンネルを抜け出すことができましたが、一方では、先行き不透明な景気動向など都政をめぐる環境は、なお予断を許さない状況にあります。
 そうした中にあっても、東京をさらなる成熟した都市としていくために、「十年後の東京」の実現に向けた実行プログラムを核とする先進的な取り組みの展開や、更新期を迎える都市インフラへの対応など、橋とか何とかが大分耐用年数に近くなっておりますので、そうした山積する課題に対しまして真正面から取り組んでいかなくてはなりません。
 平成二十年度予算では、いかなる荒波に遭っても東京の将来に向けた取り組みを支え、都民生活を守り抜くことのできる強靭な財政基盤を築くとともに、「十年後の東京」のプラン実現に向けた施策を本格的に展開し、都民の負託にこたえていきたいと思っております。
 次いで、取りざたされておりました東京の財源を奪う動きについてでありますけれども、けさ、急遽、福田総理との会談を求められたので、官邸に出向きました。
 総理からは、地方の窮状への理解を求めたいという申し入れがありました。あわせて、東京の活力の増進によって日本の発展を促すため、都の重要施策の推進に総理としても最大限協力したい、そのために、国と都の間で実務者による新しい協議の場を設けたいとの提案がありました。
 私からは、大都市の税源を理由もなく地方に移転させる今回の措置は、税の原則に反し、地方分権に逆行することから納得できるものではないと、はっきり申しました。また、地方財源の充実は、消費税の税率引き上げなど、地方への配分拡大という抜本的改革によって行うべきだと、強く申しました。また、現在、東京が取り組んでいる重要施策を十数項目、具体的に挙げまして、国がその実現のために力を尽くすようにも強く求めました。
 これに対して総理からは、私の主張を理解し、その実現に向け最大限努力をするという前向きな回答もありました。
 こうしたやりとりを踏まえまして、この国の発展を牽引する役割を担う首都東京、同時に地方の一員でもある東京が、その東京を預かる都知事としても、いかになすべきかを熟慮しまして、今回の措置を税制抜本改革までの暫定措置とすることを条件に協力することを、やむなく決断をいたしました。
 もとより今回の措置によって、地方の疲弊という構造的に生じている問題が根本的に解決されるものでは決してありません。総理には、地方の自立に向けた税財政制度の抜本的改革を早期に実現してほしいと申しました。
 既に、前政府ですか、国民保険の国家負担は五〇%にするという約束をしておりますから、これを実現すれば、これはとても消費税というものを踏まえなければ税源の確保はできるものではありません。
 それまでの、一つ、時限ということで合意をいたしましたが、この合意に基づきまして、東京の重要施策の推進を目的とする実務者による新たな協議の場を、国と都の間でつくることにいたしました。この会議をフルに活用しまして、東京の諸課題の実現に向け、首都東京、そして日本の発展のために全力を傾けていきたいと思っております。
 この間の都議会の皆様のご支援には、心から感謝を申し上げたいと思います。
 次いで、固定資産税などの軽減措置についてでありますが、これまで商業地等の負担水準の不均衡是正、中小企業支援、景気対策、都民の定住確保などの観点から、固定資産税などについて負担水準の上限引き下げや、小規模・非住宅用地に対する減免措置など、都独自の四つの軽減措置を実施してまいりました。
 平成二十年度の取り扱いについては、社会経済状況の変化や景気の状況等を踏まえつつ、中小企業者などの税負担感を十分に勘案しまして、今後、積極的に検討してまいります。
 次いで、温暖化対策の展開についてでありますが、地球温暖化の進行は、近年、加速化していることが明らかになっておりまして、今後十年程度の間に思い切った対策を打たなければ、破局的な事態を免れない。識者にいわせますと、事はもうポイント・オブ・ノーリターンを過ぎてしまいつつあるということでありますが、温暖化対策は、もはや経済の効率との取引、トレードオフができるような問題ではなくて、まさにもっと基本的な人類の生存にかかわる問題ともなっております。企業の経営者に求められるのは、こうした認識に立ちまして、我が国の有するすぐれた環境技術を最大限に活用し、温暖化対策の強化に取り組むことであります。
 都は、CO2の大幅な削減を可能とする二十一世紀の新しい都市モデルの実現を目指して、大規模な排出事業所への削減義務を初めとする先駆的な施策を展開していきたいと思っております。
 次いで、産業基盤の強化についてでありますが、世界の技術の粋を集めた航空機や宇宙ロケットなどの製造においても、東京の中小企業の持っているすぐれた技術が生かされております。
 また、日本の製品が世界のマーケットでの競争を勝ち抜いていくためには、製品の独創性や高付加価値を支える中小企業の技術力が必要不可欠であります。健康、環境、危機管理などの成長産業分野も、基礎的な技術なしには発展し得ません。しかしながら、多くの中小企業は、国際競争の激化や後継者不足など、厳しい経営環境に置かれておりまして、事業の継続自体も危ぶまれる企業がたくさんございます。
 都としては、技術、経営、人材育成など、さまざまな側面から、中小企業に対する支援を積極的に行い、東京の産業基盤を強化していきたいと思っております。
 次いで、羽田空港の跡地利用についてでありますけれども、羽田空港再拡張事業は、逼迫する首都圏の航空事情を改善し、日本の経済の活性化や国際競争力の強化を図る上で必要不可欠な国家的プロジェクトであります。
 きょうも、羽田の、だれが決めましたのか、国際化した後の発着便を三万回とか、以遠性が石垣島近辺のという、そういう愚かな取り決めがあるようなないような現況ですけれども、これは本当に噴飯な話でありまして、国際会議がどんどん減っているこの首都圏の窮状を見ましても、やはり国際化されたときには、最低ASEANまでは飛行機が飛ぶ、しかも、年間三万回などではなくて、要するに、その倍ぐらいの便数というものを可能にすべきだと申しました。
 そういう意味でも、羽田空港の跡地は、再拡張事業で整備される国際線ターミナルなど、国際化の拠点施設に隣接する貴重な空間でありまして、空港機能をサポートするとともに、空港の持つポテンシャルを活用した跡地利用を行っていくことが重要であります。
 今年度じゅうに国及び関係自治体との調整を進めまして、跡地利用基本計画を策定し、現在国が進めている再拡張事業の進捗状況を見据えながら、跡地利用の早期具体化を図ってまいります。
 これが実現しますと、いわゆる川崎口という多摩川をまたぐ橋も考えられておりますから、羽田の活動範囲というのは非常に広範囲に及ぶと思いますし、そういう意味でも、再拡張後の羽田が世界に向けた我が国の玄関口として、その機能を十二分に発揮できるよう、今回示した方向性に沿った跡地利用の実現を国に積極的に働きかけてまいります。
 次いで、道路整備の財源確保についてでありますが、首都東京が持てる力を十全に発揮するには、三環状道路を初め幹線道路ネットワークや連続立体交差などの早期整備が必要であります。
 先般、国が公表しました道路の中期計画素案には、都が主張してきた渋滞対策や高速道路を利用しやすい料金体系の構築などが、はっきりと盛り込まれました。これらの施策を実現し、我が国の国土形成の根幹をなす道路整備を着実に進めていくためには、安定した財源の確保が不可欠であります。今後とも、道路特定財源諸税の暫定税率を維持しまして、道路特定財源を本来の目的である道路整備や関係施設に集中的に投入するように、都議会や区市町村などと一体となって国に強く求めていきたいと思っております。
 次いで、東京港の経営戦略についてでありますが、世界の海運動向を展望しますと、近年、国際的な産業貿易構造が変化する中で、物流の効率化やコスト削減のために船舶の大型化が急速に進展しております。また、二〇一五年のパナマ運河拡張をにらみまして、国際航路戦略が大きく変わろうとしておりまして、スピード感を持って港湾経営に取り組んでいくことが重要であると思っております。
 一方、躍進の著しいアジア諸港との競争が激化しておりまして、東京港がこの競争に勝ち抜き、日本の国際物流の玄関口としての役割を果たしていくためには、横浜港などと連携を強化するなど、都県境を越えまして、東京湾全体を一体的に運営するポートオーソリティーの設置も必要であると思っております。
 このため、世界的な船舶大型化に対応した港湾整備のあり方、輸出入貨物の増加を見据えた臨海部道路網の検討などにつきまして、これは二つの環状線も含めてのことでありますけれども、年内に港湾審議会に諮問しまして、東京湾の持つ総合力を高めるような東京港の新しい経営戦略の策定に着手したいと思っております。
 次いで、がん対策についてでありますが、がんは、無情にも多くの人の命を奪っておりまして、現代社会を生きる我々の健康に重大な脅威を与えております。がんの克服には、都民みずからが予防を心がけ、早期発見の機会となる検診を受診するという行動が大切であります。
 また、がんにかかった都民がさまざまな治療法を複合的に組み合わせた高度な医療を受けられる体制を整える必要がございます。とりわけ、広く都民が最高水準の医療を受けられるように、国指定の拠点病院に加えて、都は独自の認定病院制度を設け、放射線療法、化学療法の推進など、がん医療の水準を向上させていくつもりでございます。
 こうした取り組みを核として、がんの予防から治療及び療養生活の質の向上に至るまでの総合的な計画を策定し、がんとの闘いに全力を注いでいきたいと思っております。
 次いで、東京における子育て支援策についてでありますが、我が国は既に人口減少時代を迎えておりまして、いかなる時代にあっても、次代を担う子どもたちの健やかな育ちを支えることは、親だけではなくて社会全体の責任であると思います。
 都においては、核家族化や女性の社会進出、就労形態の多様化などに伴う大都市特有の保育ニーズにこたえるため、認証保育所を創設し、都民からの広範な支持を得ております。
 この認証保育所につきまして、きょう、総理との中で、厚生省の守っているかたくなな規制を廃して、都独特の、要するに認証保育所というものを認可保育所に格上げするように、そういう規制緩和を考えてくれと申しました。
 引き続き、国に対して保育所制度の改革を働きかけ、「十年後の東京」で示したとおり、待機児童五千人を解消していきたいと思っております。
 さらに、東京で働く多くの人が仕事と子育てのトレードオフを迫られているという実態がありまして、企業サイドの意識改革を促していくことが重要であります。こうしたことから、企業や経営者に一肌脱いでもらいたいと思い、先日、東芝の岡村さんに会長をお願いしまして、子育て応援とうきょう会議を立ち上げました。
 今後、この会議も活用しながら、社会全体で子育てを支援していくムーブメントを巻き起こし、子育ての喜びを真に感じることができる東京にしていきたいと思っております。
 次いで、医師不足についてでありますけれども、この問題は我が国の医療制度に深くかかわっておりまして、本来は国が責任を持って対応することが基本であります。
 しかし、先日、日本産科婦人科学会の理事長から、医師不足の実態を直接聞きました。医療現場の窮状は、殊のほか深刻であります。動きの鈍い国の対策を待つことなく、都立病院という医療の現場の強みを生かしましたドラスチックな対策を講じることが急務であると痛感いたしました。
 このために、給与の大幅な改善はもとより、増加する女性の医師のための育児施設や、医療クラーク、これはお医者さんが業務を果たした後、手術なら手術の報告というものをお医者さんが書かずに、それを担当する職員をつくるなど、医師が働きやすい勤務環境を実現していきたいと思っております。
 また、来年度開講します東京医師アカデミーによる若手医師の計画的な育成、確保にも取り組んでまいります。
 こうした東京モデルともいうべき重層的、複合的な医師確保対策を講じ、都民に対する医療サービスを守るとともに、深刻な医師不足に悩む全国の自治体に向けても東京のシステムを発信していきたいと思っております。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 特別支援教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、特別支援教育に対する基本的考え方、展開についてであります。
 知的なおくれのない発達障害を含む障害のある児童生徒等に対しては、自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち、児童生徒等一人一人の教育ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び支援を行う必要があります。
 第二次実施計画では、保健、医療、福祉、労働等、他の分野との積極的な連携を図り、乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うために個別の支援計画の策定を一層推進し、例えば、小学部からキャリア教育を導入し、職業教育の充実を図り、障害の状況に応じた就業体験の機会の確保や新たな職種、職域の開拓を進めるなど施策の充実を図ってまいります。
 次に、第二次実施計画におきます都独自の先導的な施策についてであります。
 本計画においては、さまざまな面で特別支援教育の新たな取り組みを行っておりまして、主な例といたしましては、第一に、全国に先駆けて開発してきました自閉症の教育課程について、今後、小中学部を設置する知的障害特別支援学校で編成、実施していくこと。
 第二に、全国初の視覚障害教育部門と知的障害教育部門を併置する新たなタイプの学校を設置し、それぞれの専門性を生かした特色ある教育課程を編成していくこと。
 第三に、退職教員や教職を目指す大学生などの外部人材の活用やNPO法人、企業などとのネットワークの構築を図り、交流体験活動などのモデル事業を通じて、児童生徒のさまざまな活動を支援する新たな仕組みづくりを検討していくこととしております。
 これらの事業を含め、今後とも都独自の先導的な施策を推進することによりまして、障害のある児童生徒等一人一人の個に応じた教育の一層の充実を図ってまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) 二点についてお答えいたします。
 まず、コンセプトにおける東京、日本ならではの視点についてでございますが、開催基本計画で示しましたように、東京オリンピック・パラリンピックは、第一に、世界一コンパクトな大会を目指し、オリンピックスタジアムを中心とした八キロ圏内に、ほとんどの競技会場を配置いたします。
 そして、東京の都心全体をオリンピックパークとしてとらえ、成熟した大都市の中心で開催する新しいオリンピックのあり方を世界に提案いたします。
 第二に、他のライバル都市にはない過去のオリンピック遺産の活用でございます。四十年以上も前のオリンピックの競技会場が、現在でも数多くの国際大会に使用されていることに世界は注目をしております。これらの施設のさらなる改修により、未来に引き継いでまいります。
 第三に、世界最高水準にある交通インフラの活用でございます。正確かつ利便性の高い鉄道システムや充実した道路網により、観客の輸送を円滑、確実に実施いたします。
 第四に、日本が世界に誇る環境技術の活用でございます。海の森を初めとした緑化を推進するとともに、省エネ技術等を駆使してカーボンマイナス・オリンピックを目指します。
 以上に加え、今後さらに、東京、日本ならではの取り組みを充実し、人を育て、緑を守り、都市を躍動させるオリンピック・パラリンピックの実現を目指してまいります。
 次に、今後の国内及び海外での招致活動の展開についてでございます。
 国内世論の一層の賛同を得ることを目指しまして、まず都内においては、区市町村との連携をより強化し、オリンピック・パラリンピックへの具体的な市民参加の方策について協働して検討してまいります。
 また、全国レベルでの浸透を図るため、国会議員や全国自治体の力をいただきながら、広がりのある国内キャンペーンを実施してまいります。
 先日、国会の衆参両議員から成るスポーツ議員連盟に対しまして、オリンピック・パラリンピック招致への支援やメッセージの発信など招致機運の盛り上げを依頼いたしました。
 また、経済界による協力は、招致活動を財政的にも、人的にも強化するものであり、既にオフィシャルパートナーとして五つの企業が参加しております。今後、より組織的、全国的な協力関係を構築するため、経済団体、商工団体等に精力的に働きかけてまいります。
 次に、海外における招致活動でございますが、現段階は解禁される前であり、活動に制約がございます。しかし、手をこまねいていることなく、東京開催の意義、目標などについて、世界の理解を求めていく必要があります。
 そのため、IOCの規約等を遵守しつつ、国や民間における海外のさまざまな情報、人的、組織的チャンネル等を活用して、実質的な活動を行い、他のライバル都市との競争に勝ち抜いてまいります。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 今後の都の人事執行体制のあり方についてお答えを申し上げます。
 都は、これまでも各局、各職場の協力のもと、厳しい内部努力を積み重ね、スリムで効率的な執行体制の構築に努めてまいりました。
 今後とも、都民ニーズに迅速かつ的確に対応するには、その時々の状況に応じた多様な取り組みが必要であります。具体的には、高い志と能力を持つ若手職員の採用に一層努めますとともに、豊富な経験とノウハウを持つ高齢職員のさらなる活用を図ってまいります。
 また、人材の精鋭化に向けて、職員一人一人の意欲を引き出し、強みをはぐくむ配置管理や各職場におけるOJTの徹底など、人材育成の強化にも取り組んでまいります。
 今後とも、それぞれの現場の状況も十分に踏まえつつ、スリムで活力ある都政の実現に努めてまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 地球温暖化対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業や家庭における温暖化対策についてでございますが、オフィスビルなどの業務部門や家庭部門からのCO2排出量の増加は著しいものの、国においては効果的な対策がなされておらず、中小企業や家庭の対策は全体として取り組みがおくれております。
 こうした中、対象者数の多い中小企業や家庭に対しましては、ご指摘のとおり、それぞれの実情をしんしゃくしつつ、きめ細やかで実効性の高い施策を進めていく必要がございます。
 そのため、地球温暖化防止活動推進の核となるセンター的な機能を有した体制を早期に整備し、省エネの具体的な方策等に関する普及啓発を図るとともに、中小企業に対する省エネ診断の充実や家庭用省エネ機器の導入促進などに向けた効果的な施策を積極的に進めてまいります。
 次に、太陽光発電の普及拡大策についてでございますが、都は本年二月、太陽光発電メーカー、エネルギー事業者などとともに、太陽光発電利用拡大検討会を設け、普及拡大に向けた施策の検討を進めてまいりました。
 本年十月に公表した同検討会の中間まとめにおきましては、住宅用太陽光発電の飛躍的な拡大を実現するため、設置者が十年程度で設置コストを回収することができるような新たな仕組みづくりや、施工体制の整備等、進めるべき施策の方向を取りまとめました。
 今後、都は、金融機関やハウスメーカーなど、さらに幅広い関連事業者との連携を進めながら、普及拡大策を具体化し、できるだけ早期の実施を目指してまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、産業基盤の強化に向けた支援策についてですが、東京のものづくり産業の強みは、多様な基盤技術を持つ中小企業の集積にあり、この集積に支えられて、世界に通用する高度先端技術を駆使した製品を数多く創出することが可能になります。
 しかしながら、基盤技術を担う中小企業は、東アジアなど海外製品との価格競争や、大手企業との取引関係の不安定化など厳しい経営環境への対応を迫られております。
 こうした状況を踏まえまして、中小企業の連携による技術の高度化や共同受注体制の整備、また下請取引の一層の適正化など多面的な支援によりまして、ものづくり産業の基盤強化に努めてまいります。
 次に、重点戦略プロジェクトについてですが、東京の産業の国際競争力を強化し、さらなる成長を促進させていくためには、産業全体に高い波及効果が及ぶ革新的な技術や製品の開発を重点的に支援しまして、イノベーションを創出していくことが重要と考えております。
 先般、重点戦略プロジェクトの初年度案件といたしまして、自動車や家電分野などさまざまな産業分野において機器の軽量、小型化を可能とする高性能炭素皮膜の研究開発など二つのプロジェクトを選定いたしました。
 今後、革新的な技術開発プロジェクトを製品化、事業化に至るまで一貫した支援によりまして成功に導き、成長産業の育成につなげてまいります。
 次に、商店街振興についてでありますが、商店街を活性化させるためには、事業者間の一層の連携や協働が求められております。各地域の商店街では、こうした連携の推進のため、商店街未加入事業者の加入促進に向けたさまざまな取り組みが展開されております。
 例えば、商店街の連合組織が主体となりまして、加入促進マニュアルの策定や、フランチャイズチェーン本部への働きかけなど地元自治体の協力も得ながら、さまざまな取り組みを行うことで、事業者間の連携、協働が促進された事例もございます。
 こうした状況を踏まえまして、都は、商店街やその連合組織並びに地元自治体の協働による加入促進の取り組みを積極的に支援をいたしまして、商店街の一層の活性化を図ってまいります。
 最後に、中小企業への金融支援についてでありますが、ご指摘のとおり、建築確認のおくれに伴う影響は、すそ野が広い建築産業の特性を反映いたしまして、極めて広い範囲に及んでおります。
 今般、国におきまして、新たに不況業種として追加指定された業種以外にも、深刻な影響が出始めております。
 また、都内の住宅着工戸数の減少率は、全国平均を大きく上回っておりまして、今後、関連中小企業の資金繰りが一段と悪化をし、都内経済への悪影響も懸念されております。
 このため、建築確認のおくれに伴いまして、経営が悪化している都内関連中小企業に対しまして、制度融資の中でも最優遇金利が適用されます経営支援融資の対象範囲を拡大する特別措置を早急に講じてまいります。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 三点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、奥多摩町水道事業の都営一元化についてでございますが、我が国の水道事業は市町村運営が原則とされ、現在なお二千三百の事業体が存在しております。このため、事業統合による広域化を進めることが最大の課題となっております。
 都は、国に先駆けて広域化を進め、多摩地区の水道を都営水道に一元化してまいりました。こうした中で、奥多摩町は、ダムや水道水源林がありながら、地理的な条件などから、都営一元化計画の対象外となっております。
 奥多摩町は、独自の水道事業運営に課題を抱えるとともに、料金水準を都に合わせるなどさまざまな努力をし、都営一元化を強く望んでおり、このことは、都としても十分認識しております。
 都営一元化には、施設の整備水準や財源の確保等さまざまな課題があることも事実でございます。このため、知事本局、総務局、財務局、水道局から成る検討組織を設置し、こうした諸課題について精力的に検討してまいります。
 次に、奥多摩町が抱える技術的な課題への対応についてでございますが、奥多摩町の水道事業は、沢水を原水としており、近年、シカの食害と思われる森林崩壊が発生することなどによります取水施設への高濁度水の流入や、登山客や野生生物による原水の水質悪化などが深刻化し、浄水処理や水質管理の面において問題を抱えております。
 さらに、水道施設全体のバックアップ能力が不十分であることや、施設の老朽化が進行するなど、奥多摩町の技術や体制だけでは解決が難しいさまざまな課題がございます。
 こうした技術的な課題へ対処するためには、浄水施設への膜ろ過処理の導入や、老朽化した施設の計画的な更新など東京水道の技術を活用することが有効であると考えます。
 最後に、直結給水化などおいしい水への取り組みについてでございますが、これまで水道局では、直結給水方式の適用範囲の拡大や、都内にある全貯水槽水道を対象とした点検調査を実施してまいりました。
 加えまして、本年四月からは、直結給水方式への切りかえを希望するお客様に対しまして、工事費を無料で見積もるサービスを民間事業者の協力を得て実施しております。
 今後さらに、直結給水化を普及促進していくためには、お客様や民間事業者の間で、直結給水化への理解や機運を高めていく必要があります。
 このため、お客様に対して、パンフレットなどを用いて、個別に費用対効果など直結給水方式のメリットをよりわかりやすくPRしてまいります。
 さらに、都の指定事業者約五千者を対象とした説明会を新たに実施し、水道局が推進している施策の情報提供を行い、協力を働きかけてまいります。
 また、これまで直結給水ができなかった高層建物や大規模な集合住宅などに対しましても、直結給水方式を導入できるよう、技術的な検討を行ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、羽田空港跡地利用の具体化に向けた取り組みについてでございます。都は、これまでも国、都及び地元区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協でございますが、そこの事務局として共同調査の実施など跡地利用の検討作業を推進してまいりました。
 今年度中に策定する跡地利用基本計画に基づき、跡地の整備を進めるためには、道路や護岸などのインフラ整備や跡地の処分、事業手法等の課題を解決し、計画の早期具体化を図ることが重要でございます。
 このため、引き続き都が主体的に国や地元大田区など関係機関と調整していくとともに、特に土地所有者である国に対しては、跡地整備の課題解決に向けた積極的な取り組みを求めてまいります。
 次に、建築確認の現状と国の動向についてでございます。現在、都内の確認申請件数は、改正建築基準法の施行以前の水準には及ばないものの、木造住宅を中心に回復が進んでおります。
 これは事前相談の実施や講習会の開催など都を初めとした関係者の取り組みにより、新たな制度が設計者の間に定着してきた結果と認識しております。
 一方、国は、運用面の改善を図るため、添付書類の省略や工事途中の変更に関する手続の簡素化について、十一月に規則改正を行いました。
 都といたしましては、こうした改善策を関係者に十分周知していくとともに、より一層の円滑な審査に努めてまいります。
 次に、建築確認の停滞に対する取り組みについてでございます。確認の申請件数は今申し上げましたように、回復傾向にあることから、今後は、審査を円滑に進めていくことが重要であると認識しております。
 このため、先般、都では、申請する側の建築士の団体、審査する側の区市や民間の確認検査機関などが参加する連絡会議を新たに設置いたしまして、関係者が一丸となって、建築確認の円滑化に向けた取り組みを推進しております。
 また、審査期間に大きな影響を与える構造計算適合性判定につきましては、構造計算が複雑でない小規模な建物の判定体制を簡素化するなど都独自の運用によりまして、迅速化を図ってまいります。
 都といたしましては、引き続き、建築確認の状況を十分注視いたしまして、国に対して必要な改善を求めていくとともに、社会経済活動や都民生活に支障を来すことのないよう最大限取り組んでまいります。
 次に、建物の耐震化促進のための施策展開の方向についてでございます。建物の耐震化推進会議では、民間建築物及び都立建築物の二つの部会を設置し、多様な観点から具体的な施策の検討を進めておりまして、年内の取りまとめを予定しております。
 今後、その成果を踏まえ、都は、建物所有者が主体的に耐震化に取り組むよう、区市町村や関係団体と連携して、普及啓発事業を推進するなど、耐震化促進に向けた機運の醸成を図ってまいります。
 また、安価で信頼できる耐震技術の普及などにより、耐震化に取り組みやすい環境の整備を図るとともに、公共的な観点から必要な場合には財政支援を行うなど、施策を総合的に展開し、建物の耐震化を促進してまいります。
 次に、都営住宅ストックの活用促進についてでございます。都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、適切に維持更新するとともに、用地の有効活用を図り、地域のまちづくりに活用する必要があると認識しております。
 こうした考えから、これまで建てかえ事業とスーパーリフォーム事業を並行して実施してまいりました。
 今後は、用地の有効活用をさらに促進するため、建てかえ事業については、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、更新期を迎えつつある昭和四十年代建設の住宅に対象範囲を広げ、規模を年間四千戸程度まで段階的に拡大したいと考えております。
 これに伴いまして、スーパーリフォーム事業につきましては、順次、縮減、廃止してまいります。
 最後になりますが、建てかえ促進による効果についてでございます。今後十年間で、建てかえにより、団地内に約二十ヘクタールの緑を新たに創出し、周辺の緑とのネットワークや道路や水辺空間の緑と連携した豊かな環境づくりに役立ててまいります。
 また、敷地の有効活用により、約六十ヘクタールの用地を生み出し、都市計画道路や木造住宅密集地域の整備など、地域の特性を踏まえたまちづくりに活用してまいります。
 今後とも、都営住宅ストックの有効活用に積極的に取り組むことにより、「十年後の東京」の実現に向け、都市づくりを推進してまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 建物の耐震化促進のための税制を活用することについてでございますが、平成十八年度の国の税制改正によりまして、国税では所得税、法人税、地方税では固定資産税において、それぞれ耐震改修に伴う税の軽減措置が創設されたところでございます。
 こうした措置に加えまして、今後、耐震化を一層促進するため、都独自の税制の活用についても検討をしてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、私立学校の耐震化促進のための支援策についてでありますが、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では平成十五年度から耐震診断、耐震補強工事経費の一部について補助を実施してきました。
 平成十九年度は、専門的、技術的な助言を必要とする私立学校に対して、建築士による耐震相談を実施するなど支援の充実に努めております。
 また、財務局と連携し、未利用の都有地や都有施設を耐震化工事期間中の代替校舎として活用できるよう検討を進めております。
 今後、私立学校の耐震化をさらに促進するため、補助率の改善や補助の対象を木造校舎に拡大することなどについて検討してまいります。
 次に、新たなスポーツ振興事業への取り組み実績でありますが、本年四月のスポーツ事業の移管後は、都政におけるスポーツ振興を幅広くとらえ、関係団体や各局との連携を強化し、多様な事業を展開しております。
 まず、草の根からのスポーツ振興を図るため、地域スポーツクラブを支援する設立支援協議会を新たに発足いたしました。
 また、五月には、スポーツ競技への関心を高めるため、丸の内で開催された東京ストリート陸上の実現に協力いたしました。
 八月には、ジュニア選手の競技力向上と国際交流を目的としたジュニアスポーツアジア交流大会を開催するなどの新しい取り組みを行いました。
 今後とも、スポーツ振興審議会での検討をもとに、関係団体等と連携、協力して、スポーツ振興施策を積極的に推進してまいります。
 次に、スポーツに対する興味、関心を高めるための方策についてでありますが、都民にスポーツに関する情報を多様な手段で提供することが、スポーツへの関心を高める有効な方法の一つであると考えております。
 そこで、各種メディアを活用し、競技大会やイベント等に関する情報を発信するとともに、多様なスポーツ情報を検索できるポータルサイトを構築し、都民がスポーツ情報を容易に得られる環境をつくってまいります。
 今後も、さまざまなスポーツ大会を実施するとともに、このような情報を提供することにより、スポーツムーブメントを一層盛り上げ、だれもがスポーツに親しめるスポーツ・フォア・オールの実現を目指してまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 美しい都市景観の創出に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、街路樹の倍増における参加しやすい仕組みづくりについてでありますが、街路樹の倍増に当たっては、行政の取り組みだけではなく、都民一人一人が街路樹に関心を持ち、街路樹を植えることや育てることに積極的に参加していただくことが大変重要であります。
 そこで、本年十月に創設した緑の東京募金における街路樹への募金の一つとして、街路樹を都民や企業から寄附していただくマイ・ストリート・ツリー事業を平成二十年度から開始する予定でございます。
 この事業では、寄附者が寄附したことを実感できるように、名前などを入れたプレートを一本一本の街路樹や植栽地に設置するなどわかりやすく参加しやすい仕組みとしてまいります。
 今後とも多くの都民や企業の参加を得ながら、広く緑のムーブメントを巻き起こし、街路樹の倍増に積極的に取り組んでまいります。
 次に、区市町村の無電柱化事業に対する支援についてでありますが、良好な都市景観を創出し、成熟した街並みを実現するためには、都道だけではなく、区市町村と連携した面的な無電柱化が必要であります。
 このため、都は区市町村に対し、設計や施工などにかかわる技術支援を行うとともに、電線共同溝のコンパクト化など、狭い歩道における無電柱化技術の開発に、国や電線管理者と連携して取り組んでまいりました。
 区市町村からも、こうした技術支援とともに、財政負担の軽減方策について要望を受けており、今後、面的な無電柱化の推進を図るため、区市町村の無電柱化事業に対する補助制度の創設に向けて努力してまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 今後の東京港の役割についてのお尋ねでございますが、これまでも東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとしての役割や、国際物流と国内物流を結節する国内ハブ港湾としての機能を担ってまいりました。
 さらに、近年、国際分業の進展や生産拠点の国内回帰、内陸部における道路ネットワークの充実などにより、東京港の背後圏は、南東北を初め、首都圏を越えて拡大しつつございます。物流拠点としての役割は一段と重要性を増すものと認識しております。
 このため都といたしましては、外貿コンテナターミナルや輸送革新に対応する内貿ユニットロードターミナルの整備を着実に図っていくこととしており、メーンポートの機能、国内ハブ機能を一層充実させてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えを申し上げます。
 まず、東京都認定がん診療病院についてでありますが、国のがん診療連携拠点病院は、二次医療圏に一カ所程度の指定とされておりますが、都は、広く都民に高度ながん医療を提供するため、これに加え、拠点病院と同等の診療機能を有する病院を独自に認定し、拠点病院に準じた支援をしていくことといたしました。
 拠点病院及び認定病院の選定に当たりましては、胃がん、肺がんなどのいわゆる五大がんへの対応、相談支援センターの設置などの国の基準に加えまして、子宮がん、血液がん等の治療体制の確保、外来化学療法や都民要望の高いセカンドオピニオンの実施などを要件とすることで、高水準のがん医療を提供してまいります。
 都といたしましては、認定病院を早期に選定し、拠点病院とともに二次医療圏ごとのがん医療ネットワークを構築し、都民に対し質の高いがん医療を提供してまいります。
 次に、医療費適正化計画についてであります。
 この計画は、都民の健康の保持増進及び医療の効率的な提供の推進を図るために策定するものでありまして、その目標として、特定健康診査の実施率や療養病床数などを定めることとしております。本年四月には、有識者や医療関係者等を委員とする東京都医療費適正化計画検討委員会を設置し、実効性のある計画の策定に向けた検討を進めておりまして、十一月には、医療の現状を的確に把握するために、都民医療費の分析の取りまとめを行ったところであります。
 今後、区市町村との協議やパブリックコメントを行った上で、東京都地域ケア体制整備構想を踏まえ、必要な療養病床数を確保するなど、東京都の地域特性を反映した計画を今年度末に策定する予定でございます。
 次に、国民健康保険組合への財政支援についてでございますが、生活習慣病予防のためには、医療保険者において生活習慣病予備群等の早期把握や食生活の改善指導などを行う、特定健康診査や特定保健指導を着実に実施することが重要でございます。
 国は、区市町村が行う特定健康診査等への財政負担と同様に、国民健康保険組合における所要額につきましても概算要求をしているところであります。
 都としても、こうした国の動きを踏まえるとともに、広く都民の健康の保持増進を図るため、国民健康保険組合においても円滑に特定健康診査等が実施できるよう、財政支援を検討してまいります。
 次に、後期高齢者医療制度における広域連合等への支援についてであります。
 後期高齢者医療制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識しておりまして、都としても、制度の安定的運営を図るため、高額医療費の一部負担や保険料の法定軽減分の負担など、国や区市町村とともに応分の役割と負担を担っていくこととしております。
 さらに、都は、都民の健康の保持増進を図る観点から、広域連合が行う後期高齢者の健康診査事業に対する財政支援など、今後、制度の円滑な実施に向けて効果的な支援策を検討してまいります。
 次に、保育所待機児童の解消についてであります。
 仕事と子育ての両立支援に向けた環境を整備するためには、増大する保育ニーズに対応した多様な保育サービスをこれまで以上に充実していくことが必要でございます。
 このため、現在、子育て応援戦略会議では、マンション等併設型の認可保育所や無利子貸付制度による認証保育所の設置の促進など新たな施策を検討しており、子育て支援の重点戦略として、平成二十二年度までの三年間で、保育サービスを計画的、集中的に拡充してまいります。
 今後とも、待機児童の解消に向けて、保育の実施主体である区市町村を支援しながら、大都市東京にふさわしい保育施策を強力に推進してまいります。
 次に、子育て支援の仕組みについてであります。
 地域で安心して子育てができる社会を実現するためには、在宅で子育てをしている家庭を含め、すべての子育て家庭を支援する仕組みが必要でございます。
 都はこれまでも、地域の総合的な相談・支援の拠点となる子ども家庭支援センターを全区市町に整備してまいりました。これに加えて、子育てをしている親同士の交流を目的とした子育てひろば事業についても、相談体制を強化することを検討しております。
 あわせて、親の病気や育児疲れなどの際に利用できるショートステイや一時保育などのサービスを推進するなど、今後も子育て家庭を地域できめ細かに支援する仕組みを築いてまいります。
 最後に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応として講じたものでございます。
 シルバーパス事業を今後とも継続させていくためには、利用者である高齢者を初め、広く都民の理解も得ながら、社会状況の変化に的確に対応していくことが不可欠でございます。経過措置を継続することについては、ご指摘の点なども踏まえて、適切に検討してまいります。
   〔病院経営本部長秋山俊行君登壇〕

○病院経営本部長(秋山俊行君) 都立病院の経営形態についてでございますが、都立病院は、これまで百年を超える長い歴史の中で、その時々の社会状況や医療需給の変化に応じまして、都民の皆様に適正な医療サービスを提供してまいりました。
 また、近年では、医療を取り巻く状況が、診療報酬のマイナス改定や深刻な医師不足など、かつてないほどに厳しいものとなっておりまして、このような激変する医療環境に対しまして、より迅速かつ的確に対応する病院運営が求められているところでございます。 こうした観点から、これからの都立病院にとりましては、経営形態のあり方は極めて大きな課題であると認識をしているところでございます。
 しかしながら、現下の都立病院におきましては、早急に解決を図らなければならないさまざまな課題を抱え、また、何よりも行政的医療の提供という都立病院本来の役割を将来にわたって的確に果たしていくことが重要でありますことから、経営形態につきましては、ご指摘のとおり、拙速に結論を出すことなく、十分な検討を行う必要があるというふうに考えているところでございます。
 今後は、この都立病院経営委員会からの報告を踏まえ、今年度中に策定を予定しております第二次都立病院改革実行プログラムの中で、都としての考え方を明らかにしてまいります。

○議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時二十一分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十二番山下太郎君。
   〔百二十二番山下太郎君登壇〕

○百二十二番(山下太郎君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 初めに、平成二十年度東京都予算編成にかかわる諸課題について伺います。
 政府の月例経済報告では、十月月例に続いて十一月月例においても、景気はこのところ一部に弱さが見られるものの回復しているとし、先行きについては、サブプライム住宅ローンを背景とする金融資本市場の変動や原油価格の動向に留意する必要があるとしつつも、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門に波及し、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれるとしています。
 また、幾つかのシンクタンクの中期見通しにおいても、二〇二〇年度までの日本経済は、一%台半ばの成長を維持、あるいは、一時的な減速はあるものの、基本的には緩やかな拡大が続くとしています。
 不安を抱えつつも楽観的な見通しを立てているわけですが、来年度予算全体のスキームを設定するに当たって、今後の景気動向と税収見込みをどのようにお考えか、伺います。
 次に、福田総理と石原知事との合意について伺います。
 福田総理と石原知事は、自治体の税収格差を是正するためとして、東京都などの大都市圏の法人事業税の一部を移管し、税収の少ない地方自治体に配分する案について、抜本改革までの暫定措置とすることを条件に合意されたようであります。
 知事コメントでは、都の重要施策の実現について踏み込んだ提案をされたことは重要との認識を示されていますが、それが、分権に逆行し、税の原則に反する税制改悪という重大案件との交換条件となり得るのでしょうか。理屈が通るものを示してもらいたい、これは、先週の記者会見における知事の発言であります。しかし、今回の合意のどこに理屈が通っているのでありましょうか。
 自治体間の税収格差を調整し、ナショナルミニマムを保障するのは地方交付税の役割であり、これを、地方税の一部を剥奪して行おうというのは、国としての責任を放棄するものであり、全く筋が違うといわなければなりません。
 一部報道によると、石原知事は、法人事業税の配分見直しをめぐり、一部で都の合意が伝えられたことに猛反発し、副知事ら最高幹部を執務室に呼び、国との徹底抗戦を確認したとのことですが、これでは、結果的には政府・自民党に押し切られた形になったとの印象をぬぐい切れません。この間の交渉の間に知事はいかなるリーダーシップを発揮されたのか、ご説明をいただきたいと思います。
 次に、知事の選挙公約である低所得者減税から進化したとされている低所得者生活安定化プログラムについてです。
 この一連の対策は、この公約発表当初から民主党がいってきた、自立支援策を行うのが本来の姿であるという指摘に合致したものです。働ける年齢層への就業促進扶助、現に働いている低所得者層への所得向上策といった、これまでの失業保険や生活保護ではカバーしていなかったため統計にもあらわれていなかった、見えない低所得者への新しい取り組みとして、率直に評価をいたしております。景気が回復している時期にこのような取り組みを行うことはよい選択だと思いますし、新しい雇用政策におけるモデルとなることを期待するものです。
 この取り組みで求められる目標は、労働能力がありながら低所得者にとどまる者をしっかりとした納税者にしていくことであり、一時的な就労で終わらせるべきでないと考えますが、知事の所見を伺います。
 社会統計は、住居や仕事、年金のある人や、生活保護など既存の福祉制度を利用している人は把握できます。路上生活者の数についても調査がありますが、深夜営業のレストランやファストフード店、簡易宿泊所、病院、施設への入退所を繰り返し転々とする人は、安定した住居を持たないという点ではホームレスですが、この調査では把握されていません。
 この数を把握する必要性をご理解いただくために、私自身が経験した出来事を紹介したいと思います。
 最近、景気がよいといわれる、とある政令指定都市で、深夜に駅前のファミリーレストランに入りました。ほぼ満席の店内を見渡すと、ほとんどの方は、私同様、始発電車までの時間調整をしているように見えました。テーブルに突っ伏して寝ている方、話を楽しむ方などがいらっしゃいましたが、特に目にとまったのは四十代から五十代のグループでした。数百円でおかわり自由の飲み物を四人でとり合いをしており、聞こえてくる会話から、日雇い労働で住むところがないと推測できました。ご苦労されているなあと、悲しい気持ちで店内を見渡すと、お客の半数以上が大きな荷物を抱えており、この方々と同じような境遇であると私には推測できました。
 アイスコーヒーを頼むと、他の系列店ではテーブルに常備されているミルクや砂糖がありませんでした。店員さんに確認したところ、以前は置いていましたが、全部持っていかれるので、その都度お出ししていますとのことでした。まさかと思いましたが、私がアメリカ留学時代、貧困街で経験したのと同じ状況でございました。
 もし私が一人でなければ、会話に気をとられて見過ごしてしまっていたかもしれません。それほど、一見ごく普通の光景でした。私は、限られた地域に見られた現象が、その数を増し、都市部全体に広がっていると体感し、困窮されている方々が少しでも明るい未来を描ける方法を真剣に考える必要があると再認識をいたしました。
 知事は、低所得者生活プログラムを実行し、本当に困っている人をサポートしようとされるなら、少なくとも日本の首都東京において一体どれだけの人がこういった状況にあるのかを把握するために徹底した調査をすべきと考えますが、ご所見を伺います。
 このプログラムの特徴である、いわゆるネットカフェ難民などの見えない低所得者層への支援が行われることは、画期的な取り組みであります。しかし、施策を具体化していく上でよく検討していただきたい点があります。現段階での枠組みでは、主たる生計者であることが一つの条件であるということでございますが、この条件を強調してしまうと、本来主たる生計者として独立した暮らしを営むべき年齢にありながら独立できていない人が見過ごされてしまうおそれがあります。彼らは、十年後、二十年後、親が年老いたときに生計を担うことができず、低所得者として一気に顕在化してしまいます。
 また、ネットカフェ難民といわれる人々にとらわれ過ぎると、先ほど申し上げた、一体どれだけいるのか把握すらされていない多くの不安定就労者、低所得者は見えないままになってしまうのではないかと考えます。
 プログラムの対象については、実態すら把握できていないことを踏まえ、ネットカフェ難民といわれる人々のみならず、親にパラサイトしているフリーターや低所得の派遣労働者など、できるだけ多くの低所得者が利用しやすい仕組みを考えるべきだと思いますが、ご所見を伺います。
 不安定就労に陥る人たちは、就労以前に、心身や生活上の困難を抱えていたり、自身の低学歴に加え、親の教育歴、所得水準の低さとも明確な相関関係があるとの指摘があります。つまり、多くの若者たちは貧困の再生産のサイクルに閉じ込められ、構造的に生み出されているわけであります。
 特に、バブル期にマスコミが見出したフリーターは、その後の不況で数が激増するも、自由な生き方、親に依存する豊かな若者といったイメージが定着してしまったため、対策がおくれてしまいました。彼らの学卒時に求人と正規雇用が急激に減少し、安定した所得の得られる仕事から社会的に排除され、働きたくても働けなかったのであります。
 貧困の再生産から抜け出すためには、高校や大学、専門学校への再入学など、年単位での時間が必要です。資格取得の支援についても、修学資金だけでは、その間の生活が維持できませんし、私たちが提案してきた職業訓練期間中の生活資金も、六カ月間だけでは十分とはいえません。また、訓練期間中の母子家庭へのホームヘルパー派遣に加え、保育施設の利用を可能にする支援なども考えるべきであります。
 このプログラムは、これまで日本の雇用政策、生活保護からこぼれていた方を対象とするだけに、やってみなければわからない部分が残るのはやむを得ません。それだけに、ひとまず区切りとして期間を設けることは理解できますが、やはり三年で効果を上げるところまでいくのか、疑問をぬぐえません。
 このような低所得者対策を実施するということは、貧困の再生産のサイクル、社会的排除の流れに介入し、社会的包摂へ向かう大きく長い戦いとなります。若年者の就労対策に取り組んできた英国などの例を見ても、二十年以上前から試行錯誤を繰り返し、いまだに解決には至っていません。
 こうした点を踏まえ、職業訓練を中心とした六カ月の適用期間、また、三年という低所得者プログラムの期間についてどのように考えるのか、伺います。
 最後に、区市町村を一時相談窓口として考えているようですが、これまで区市町村は、経済や雇用という相談に対応し切れるほどの実績やノウハウがないのが現実です。多様な状況下の利用申請者に十分に前向きな対応ができず、メニューの多いこの施策の対象になるにもかかわらず利用につながらないといったことがないように、市区町村の担当者への理解を深める努力が不可欠です。
 また、実際には都の担当部署が支援を実施するとのスキームを考えているとのことですが、多くの利用者に対し十分な実施体制が確保できるよう、現行体制を強化する必要があるということを申し上げておきます。
 次に、多摩・島しょ地域の諸課題について伺います。
 平成十二年十二月に策定された東京構想二〇〇〇を踏まえ、十五年後の多摩地域のあるべき姿を明らかにし、その実現のための取り組みを示した多摩の将来像が平成十三年八月に作成されました。
 昨年の十二月には、二度目の東京オリンピック招致を契機として「十年後の東京」が策定され、翌月には、重点推進事業の充実を図った多摩リーディングプロジェクト改訂版が作成されました。
 都全域の近未来図とした「十年後の東京」が区部中心の構成であり、多摩への取り組みが事業改訂版にとどまっていることに、知事の心は多摩に向いていないのではないかと思うほどであります。
 また、「十年後の東京」に多摩の説明もありますが、多摩全体がシリコンバレーとなるわけではありません。都は、多彩な地域特性がある多摩がどう変わるのかを示す多摩の将来像の改訂版、近未来図を改めて考えるべきではないでしょうか。知事の所見を伺います。
 次に、横田基地軍民共用化について伺います。
 都は、都内最大の米軍基地である横田飛行場の返還を最終目標とし、それまでの対策として、基地の軍民共用化の早期実現に取り組んでいます。
 知事は、一期目の公約、そして三期目においても、東京再起動の優先課題として、歴代総理や米国関係者に働きかけを行うなど、率先してこの問題にかかわってきました。それが在日米軍再編の一つとして組み込まれ、この秋、共用化の検討結果が公表されることになっていました。
 都議会民主党も、返還までの対策として横田基地の民間航空との共用化を進めるとともに、都民の平穏で安心な、安全な生活を守り、地域のまちづくりを進める立場にあり、都の取り組みに敬意を表しています。
 しかし、日米双方を行き来した会合を重ねてきたにもかかわらず、いまだに継続協議となっています。この間、都も国に、連絡会を通じてさまざまな提案を行ってきたわけですが、果たして日米間に共用化に対する共通認識が生まれたのか、また、日本から今後、新提案が示されるとも聞いていますが、まずは第一段階である検討の合意の可能性について、また、十年先も展望して長期的な課題である横田基地の軍民共用化の実現に関して、知事の所見を伺います。
 また、横田基地の軍民共用化は、都の「十年後の東京」や多摩リーディングプロジェクト改訂版において、多摩地域を首都圏の中核や観光拠点として発展させる重要な位置にあり、その実現の可否は、圏央道等の整備とともに、多摩振興に大きな影響を及ぼします。 軍民共用化に当たっては、地域の経済発展ばかりでなく、騒音対策など都市部の基地に起因する生活環境問題への対策を、国とともに万全に行わなければなりません。
 そこで、今回の日米協議は、これらの視点を十分に踏まえた上で進められているのか、地元自治体に経過は説明しているのか、所見を伺います。
 平成二十五年に多摩・島しょ地域を中心に開催される東京国体について伺います。
 昨今の国体は、開催地負担の大きさに比べ、マンネリ化等の問題があり、知事が国体の意義を問いかけたこともあるように、国体改革の必要性が指摘されています。課題としては、オリンピック選手等のトップアスリートが参加しないことやプロ競技者が参加できないこと、学校教育制度に重きを置いた年齢制限があり、ジュニア競技者の育成に対応できていないこと等があります。
 今回は、トップアスリートの育成など、競技力向上と都民全体のスポーツ振興を高める大きな契機とすべき大会であり、東京から新しい国体、総合スポーツ大会をつくり上げていく取り組みが重要であると考えます。市長会からは、国体を盛り上げる事前事業開催への支援策等も要望されています。また、幅広い都民参加型のデモンストレーションをより多く開催することも考えられます。
 国体を盛り上げるための新しい試み、そして新しい国体へ向けた取り組みをどのように考えているのか、知事に伺います。
 今回の国体は、東京で三回目の開催であり、その発端は、市長会と町村長会から提出された平成元年の東京多摩国体の誘致の要望書と、同五年の多摩東京国体の推進に関する要望書によります。そのため、正式名称の東京国体のほかに、開催地の期待と盛り上げのため、サブタイトルやスローガンなどに多摩・島しょを明確に盛り込むことが必要と考えます。
 また、都では、この国体を契機として市町村振興を推進していく予定であり、まずは財政面における競技施設費補助が来年度から実施されます。
 しかし、この補助だけでは市町村振興につながりません。都は、国体開催をきっかけとしてどのように市町村振興を展開しようとお考えなのか、お伺いいたします。
 三宅島の復興とモーターサイクルフェスティバルについて伺います。
 今回、我々民主党からは、三名の議員が、実際にイベントを観覧するとともに、火山ガスの高濃度地区や産業など、村の復興の現状もあわせて視察をしてきました。村民の念願であった三宅島空港が来春に再開する運びになったことは、今後の観光産業の発展に大きな弾みとなります。我々も、新たな企画によって島の愛好者をふやしていく試みは間違っていないと考えています。
 また、今回のイベント開催に尽力した関係者のご努力に心から敬意を表します。
 イベントは、島の復興、発展を願い島内一周を行ったオープニングパレードに始まり、メーンプログラムである全日本ドラッグレース選手権三宅大会では、三宅島空港にプロストックバイクの爆音が響き渡り、その迫力あるスピードは、村民を初め観衆を大いに引きつけました。
 イベントが終了して、その検証をする上で最も大切な観点は、三宅島にどのような効果がもたらされたのか、また、参加者の皆さんが再度島を訪問したいと感じていただけたのかということです。本大会の最大の企画・支援者である都は、村とともに、その成果と経済波及効果を確認し、また、村民や参加者などの声を積極的に聞き、事業の検証を行っていくべきであります。所見を伺います。
 今後とも、三宅島への観光客をふやす新たな取り組みが必要です。島は、すばらしい海洋などの自然環境に恵まれ、ダイビングや磯釣り等のスポットとして有名です。また、たび重なる火山活動の猛威を物語る溶岩流などは、ほかでは見ることのできない景観であり、これを観察すること、故ジャック・モイヤー氏が推進していた魚やサンゴなどの自然環境実習とともに、島の自然の活用が子どもたちの学びに大変有効であると考えています。
 さらに、来年、空港が再開されるこの機会に、島全体を資源として、あらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、撮影隊だけでなく、作品を通じての観光客もふやす、直接・間接的経済効果を期待する施策を始めるのはどうでしょうか。映像制作から、島の文化に新たな創造を引き出せるかもしれません。東京近郊に位置する島は、ロケ候補地として大変チャンスがあります。実際に、民間で島を舞台にした撮影企画が提案されていると聞きます。この施策では、より効果を上げるため、フィルムコミッションの立ち上げなども考えられます。都も、東京ロケーションボックスの経験を生かせるのではないでしょうか。
 島が本来持っている魅力を多様な施策として活用し、みずから復興を進めていく、都は、こうした島の姿勢に長期的展望を持って支援していくことが必要であると考えます。ご所見を伺います。
 次に、医療行政について伺います。
 私ごとですが、ことし一児の父となり、我がこととしてさまざまな事態に直面し、都のサービスを利用してみて、改めて施策充実の必要性を痛感しているところであります。
 小児救急電話相談のシャープ八〇〇〇にも、子どもが夜間、四十度近い熱を発した際、電話をしました。これは全国共通の電話番号シャープ八〇〇〇番にかけると、各都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師や看護師が子どもの病状に応じた対処の仕方や受診できる病院などのアドバイスをくれるものです。私の場合、時間が夜十時を回っていたため、相談は終了しており、救急車を呼ぶ必要があるかどうか、東京消防庁の救急相談センター、シャープ七一一九に相談しました。その結果、救急車は呼ばずに、車で最寄りの救急病院に行くことにしました。私が行ったときもそうでしたが、小児救急の外来は夜十二時を回ってもおおむね混雑していると伺っており、ほかに頼れるところがないから多くの親が来ているのではないでしょうか。
 しかし、小児救急電話相談シャープ八〇〇〇の利用時間は、平日、夕方五時から夜十時まで、土日、祝日、年末年始には朝九時から夕方五時までです。他の自治体では、平日でも夜十時以降も、二十三道府県、休日は三十三府県が実施しています。
 救急の前段階での対応を目的として、小児救急相談電話という看板を掲げるのであれば、それに見合う実態を整えることが必要だと考えます。子どもの病気への対処方法をアドバイスする小児救急電話相談シャープ八〇〇〇は、平日、土日、休日とも実施時間を延長すべきと考えますが、所見を伺います。
 高熱を発した場合の熱性けいれんはよくあることで、心配ないという知識はあっても、我が子が本当にそのケースなのかどうか、電話では不安をぬぐい切れず、どうしても万が一のことを考えてしまいます。私の場合も、応答してくださる方は、実際に診ていませんから当然でありますけれども、大丈夫だとは思いますが、お父さんがご判断してくださいとおっしゃいました。
 このような課題は、電話サービスの限界ではあります。ただ、これをメリットとして考えた場合に、専門家のリードで状況を整理し、医師に伝えるポイントを絞り込み、診察に臨むという点では、よい流れをつくることができます。この観点はもっと重視してもよいのではないでしょうか。
 また、都内の、トロント小児病院で行われた調査結果には、救急外来患者の〇・六%はICUを必要とする重篤な患者、一一%が入院が必要な患者であり、小児救急患者の中には、重症者は必ずいるとのことです。素人に病院へ来ないという判断をさせるよりは、たくさんの患者の中に必ずいる重症患者を手おくれにさせないために何ができるかを考えていただきたいのであります。
 そこで、シャープ八〇〇〇について運用の実績をどのように分析しているのか、また、事前に情報を整理して診察に臨むという観点から、一層の活用を図るための取り組みを求めるものですが、所見を伺います。
 また、直接病院に来た場合でも、診察を前に同様のことができれば、現場はかなり改善できるのではないでしょうか。都立病院では、医療の現場の負担を軽減するために、幾つかの病院で新たな形の医療事務職導入を目指していると聞いています。これは三百五十人規模のアメリカの病院であれば、レジデント百人、秘書九十人などがいることからも、必要な役割であり、日本にはない周辺の職員のモデルとなり得ます。日本の医療機関として前向きに構築すべき体制と考えます。転院などでは、事前の情報収集はあるようですが、外来ではまだこれからの試みだと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 しかし、このような患者や家族の病状を踏まえて対応でき、医師ともやりとりできる人材が簡単には見つからないと予想されます。体制構築と並行して人材の発掘、育成の努力をすべきと考えます。
 さらには、かなりの専門性もあるために、報酬面での身分確保も確立すべきと考えます。
 東京都はこのような課題についてどのようにお考えなのか、ご所見を伺います。
 小児科医師の激務によるバーンアウト、医師不足が連日報道されています。私たちが直接伺ったお話でも、大学病院の勤務医師は従来五十代まで働くのが一般的だったのに、最近は、後進の指導に当たるべき中核の年齢層の医師が早目に開業してしまい、空洞化が起きているとのお話でした。
 また、当直明けからの勤務が終わり、疲労のピーク時でも、病床から自分の担当する子どもが出血したと連絡が入れば、数時間にわたり処置を行うことはよくあること、自分と患者の関係から、どんなに疲れていても帰ることはできない、こう淡々と語る言葉に、ただただ感謝と尊敬、私たちに何ができるのかという焦燥感、とんでもない事態への驚愕、いろいろな感情にさいなまれました。
 医師は、ただ自分と患者との一対一の関係から日々踏ん張っている、今の救急はその個人におんぶにだっこしている、制度としてバックアップしなければならない、言葉にしてしまうと陳腐かもしれませんが、そう感じました。
 さらに、私たちがいただいた彼の時間は、半年ぶりの、しかも午後だけのオフであったと、ふとおっしゃったときには、いろいろな意味で申しわけない思いでいっぱいになりました。
 いささか情緒が過ぎたかもしれませんが、恥じらうことなく皆様にお伝えしなければならないと思い、申し上げました。
 こうした現場へのバックアップ策として、具体的に提案をいたしますが、二次救急において、実態は夜勤であるのに制度上は休息を基本とする当直とされている点を改め、三十時間や四十時間という超長時間勤務を解消すること、一人の医師が軽症、重症、救急患者、病床、外来に対応する一人三役状態を解消するため、プライマリーケア担当医師を配置すること、さらに、トリアージや患者情報の整理を行う医師の補助者を配置することが必要です。そして、都がすべきなことは、こうしたことを国がやらないのであれば、東京都が実施することであります。この問題は、医療制度、診療報酬の設定に起因しており、今日のこの深刻な状態を招いた我が国の医療政策の無策に強い怒りを感じます。これが実現していない現状では、特に小児救急の分野では、公で負担しなければ、これ以上の空洞化を阻止するための十分な体制を構築することはできません。
 最近の親は情けないと批判するのは簡単ですが、東京の家庭は核家族が八六%以上、一人っ子が三六%と、家族のあり方も変わってきています。二十四時間三百六十五日、専門の医師がいる、医療施設が整った病院で診てほしいという親の気持ちを是正させる、建前論を基本とした受診抑制策と小手先の改革では、現場は疲弊の段階を超え、崩壊へと進まざるを得ません。私の提案に対する知事の見解を伺います。
 なお、医療行政に関する最後の質問は、一番最後にさせていただきます。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 都議会民主党が国の民主党に働きかけてきた土壌汚染対策法の附則三条を見直す法律案が十二月四日、参議院に提出されました。この法案が成立すれば、法施行前に有害物質使用施設を廃止した土地のうち一定の用途に使用されるものについては、現行法レベルに基づく土壌汚染状況調査を行うことになります。
 また、基準を超える汚染土壌があれば、その土地は汚染されている区域として指定区域に指定されることになります。
 この法案の可否にかかわらず、土壌汚染の対策についても、少なくとも汚染土壌の全面的な除去や地下水の管理徹底など、土壌汚染対策法に指定されることのないレベルにまで対策を講じていかなければ、都民の理解は得られないのではないでしょうか。
 知事は所信表明で、検査結果をもとに万全の対策を講じていくと述べられていますが、今のところ、万全の対策の意味するところが、私たちと知事との間では違うようです。
 豊洲の土壌汚染に対する万全の対策について、知事の所見を伺います。
 この間、市場移転問題での猪瀬副知事の発言が一部で問題視されています。インターネットで連載されている副知事のコラムから引用すると、その内容は、例えば、築地市場はイオンやイトーヨーカ堂に価格決定力を奪われつつあるとか、車社会に対応できずシャッター通りになった駅前商店街と同じとか、あるいは、取扱量は減少し、移転がおくれるほどじり貧化するが、移転をすれば取扱高が再浮上する可能性もあるなどです。
 これらの発言については、築地の地元、中央区議会でも取り上げられ、矢田美英区長は、データをもとに客観的な議論をといいつつも、築地市場にとって負のデータばかりを列挙しており、市場移転を前提とした議論といわざるを得ないと述べるとともに、東京都の責任者としての視点が欠けていると答弁しています。
 私たちのところにも、仲卸の小間の権利について、バブルのときは一小間一億円だったが、今は五百万円から七百万円との猪瀬氏の発言に、市場関係者からデータを示せとの声が届いています。
 今後、地元区を初め市場関係者などと真摯な議論、協議を重ねていかなければならないときに、担当でもない人が副知事の肩書で発言、発信し、不要な混乱を招くことは、好ましいことではありません。
 私は、東京都のしかるべき責任者が地元区や市場関係者と誠実に協議を重ねていくことが極めて重要であると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 十一月二十二日、石原知事は、新銀行東京の事実上の経営トップである代表執行役の森田氏が退任し、後任に東京都の港湾局長である津島氏を充てることを発表しました。健康上の理由で退任したとはいえ、半年間でトップが二度もかわるというのは、オリンピック絡みの都庁人事でも見たことがありません。まさに異常であります。
 石原知事は、新銀行東京の失敗について、経営の責任は経営者にあると強弁をし、責任を逃れてまいりましたが、今回のように経営のトップが次々と入れかわるような事態に陥っているのはだれの責任なんでしょうか。知事の所見を伺います。
 六月の本会議において、東京都は、代表執行役に就任予定の森田氏に対して、長年金融界に身を置き、中小企業支援にも精通したその知識と経験を十分に生かしてもらうことを期待していると答弁していました。であるならば、今回の人事は何なんでしょうか。もはや新銀行東京は、民間からのなり手がなく、都庁の官僚を人身御供として送り込むという状況にあるとしか思えません。
 石原知事は、銀行側から適任者の推薦依頼があったと述べていますが、銀行経営の責任者として都庁の官僚が本当にふさわしいとお考えなのでしょうか。金融を初めとした経済に精通した民間人の登用を模索したのか、しなかったのかも含め、銀行経営の適任者に対する知事の認識をお伺いいたします。
 また、石原知事は、新たな代表執行役である津島氏に対して、新銀行の立ち上げとその後の経過について精通していると評していますが、そもそも新銀行東京の失敗は、立ち上げ当時のプランの見通しの甘さにもその一因があったのではないでしょうか。
 一方で、津島氏は港湾局長として臨海三セクの破綻処理を手がけたことがあり、むしろ彼の手腕を期待するのであれば、新銀行東京の破綻処理にこそふさわしいように思います。
 石原知事は、新たな代表執行役にどのようなことを期待しているのか、見解を伺います。
 トップが突然交代する中、新銀行東京は、十一月三十日に平成二十年三月期の中間決算を発表いたしました。九月までの半年間の赤字が八十七億円と、六月に策定された新中期経営計画と比べれば三億円ほど改善しているかのように思われます。しかし、その主な要因は、融資実績が低調だったことにより、貸倒引当金が不要になったことにあるのです。
 さらに、デフォルト対策でも、予想以上に経費が膨らんでいることからも、改善したといえる状況にはありません。
 六月に策定したばかりの新中期経営計画と中間決算との間には、既に大きな乖離が生じているように思いますが、東京都は、デフォルト対策で既に経費が膨らんでいることや融資実績が低調なことに対してどのように認識しているのか、見解を伺います。
 新銀行東京の中間決算の記者会見では、その日に代表執行役に就任したばかりの津島氏が、状況によっては計画にこだわらないと述べるなど、早くも六月に策定されたばかりの新中期経営計画の見直しを示唆しています。
 石原知事は定例会見において、都が持っているいろんなオプションを活用するなどして頑張ってもらいたいと述べていますが、東京都との連携を名目にして新銀行東京を支援していくようなことがあってはなりません。
 石原知事は、東京都と新銀行東京との事業連携についてどのようにお考えなのか、見解を伺います。
 また、石原知事はこの間、新銀行東京への追加出資はしないということを述べられてきましたが、十一月三十日の定例会見では、ニーズがあるのかないのか、新しい責任者の報告を踏まえて考える問題と含みのある発言をしています。
 新銀行東京への追加出資は、都民の税金をさらにむだにする行為にほかなりません。追加出資の是非について、改めてこの本会議の場において表明されることを求めるものでありますが、知事の見解を伺います。
 新銀行東京は、既に死に体であります。私たち都議会民主党は、民間への売却を含めて、新銀行東京のあり方を早急に検討すべきだと主張してきましたが、もはやこのような段階になって、新銀行東京を買ってくれるところがあるのかさえ定かではありません。新銀行東京の維持存続にこだわるのではなく、都民に一番負担の少ない形で、東京都が新銀行東京から撤退する方法を早急に検討すべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 さらに、新銀行東京について、この間私たちが求めてきた情報公開が全く進んでいないことも残念でなりません。私たちの質問に東京都は、企業経営上秘密としているものを除き、情報公開を進めるよう都として働きかけていくとの答えを繰り返すのみで、具体的な情報はほとんど公開されておりません。
 都民の税金が一千億も投入されているわけですから、東京都は、新銀行東京に働きかけるだけでなく、株主としての権利を駆使して、みずから情報を積極的に入手すべきであります。これまで私たちが公開を求めてきた全株主のリストを初め、月別、地域別の融資実績、四半期ごとの決算などについては、再度公開を求めるものです。
 また、これら以外の情報についても、新銀行東京の経営上、公開しても影響がない情報については、東京都が積極的に入手、整理し、都民の前に積極的に公開し、東京都としての説明責任を果たしていくべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 知事は所信表明の冒頭で、アジア大都市ネットワーク21第六回総会に出席し、地球温暖化対策について議論を深めてきたと述べるとともに、アジア諸国における新たな国際的枠組みの成立に向けた取り組みを発表しました。私たちも、日本の首都である東京都がアジアの大都市と連携し、温暖化対策をリードし、進めていくことは、極めて有意義なことであると考えています。
 しかし、その枠組みとなるアジア大都市ネットワーク21に、中国の首都であり一千五百万人の人口を擁する北京市が入っていないのは、今後、アジア全体での温暖化対策に取り組んでいく上で支障を来すことになるのではないでしょうか。
 知事は、同じく所信表明で、東京の友好都市北京がオリンピック精神を具現化して大会を成功させることを祈念するとエールを送っていますが、いみじくも東京都が二〇一六年の招致を目指す東京オリンピックのテーマも、地球環境の再生です。今こそ温暖化対策を足がかりにして、アジア大都市ネットワーク21に北京市が復帰するよう働きかけてはいかがでしょうか。アジアの大都市を巻き込んだ温暖化対策の推進に向けて、知事の見解を伺います。
 また、知事が所信表明で着実に推進していくと述べられた大規模なCO2排出事業者に対する削減義務化などの施策については、一度、二〇〇二年に策定した地球温暖化対策東京作戦でも打ち出し、実現しなかった施策です。今回も、十二月二十五日に開かれた東京都のステークホルダーミーティング、利害関係者との意見交換会では、経済団体から、経済活動を損なうとか他県への事務所の流出を招くなど、反対意見が相次いだと伺っております。導入に向けた道のりは、なお厳しいものがあると思われます。
 しかし、温暖化対策は待ったなしの問題です。私は、知事が率先して経済団体の理解と協力を得るなどして、実効性のある温暖化対策に取り組んでいくべきだと考えますが、所見を伺います。
 また、温暖化対策は、義務的手法だけでなく、支援策を通じて進めていくことも重要で、特に中小企業者の温暖化対策を進める上では欠かすことができません。
 東京都は、平成十七年一月より環境金融プロジェクトの取り組みを進め、環境配慮型金融商品の創設を促すとともに、最近では八月三十一日に環境CBOを創設していますが、こうした施策をさらに進めるとともに、総合的な支援策を構築していくことが必要です。
 私は、東京都の制度融資に温暖化対策に向けたメニューを追加、充実させていくとともに、温暖化対策に取り組もうとする中小企業への相談体制の充実やESCO事業者などによる省エネ診断を支援する制度の創設など、温暖化対策に向けた中小企業者への支援について積極的かつ総合的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、環境税の導入について伺います。
 民主党は、さきの参議院選挙でのマニフェストなどにおいても、石炭を含む化石燃料を対象とした地球温暖化対策税の導入などを掲げているところです。しかし一方で、政府・自民党は、環境税の導入には極めて後ろ向きです。
 このような中、知事の諮問機関である東京都税制調査会は、十一月二十九日、東京都独自課税として環境税の検討を進める中間報告をまとめました。来年秋の最終報告に向けて、今後、活発な議論が期待されますが、国の対応が遅いのであれば、率先して東京都がこの問題に取り組むべきと考えます。環境税の導入に向けた今後の取り組みについて、知事の所見を伺います。
 最後に、重大な危機意識を持って質問させていただきます。
 平成十九年十一月二十八日、多摩北部医療センターの非常勤医師が総武線車内で、約百七十人分の氏名、生年月日、診察日時、病名、病状の変化などを含む個人情報のデータが入ったパソコンを紛失するという事故が起きました。事故発生から七日経過し、私が問い合わせるまで、ただの一枚の紙のみが送りつけられただけでした。ほかに何の説明もないことを不審に思った私が調べてみると、何と本年度に入ってたったの半年間で、都と監理団体において計十四件もの個人情報を漏えい、紛失する事故が起きていたことがわかりました。中でも病院経営本部が監督、指導する病院における紛失事故は、今回の事故と合わせて四件にも及びます。
 個人の病名、病状の変化などの命にかかわる個人情報が流出する危機に瀕していることが一体どういうことなのか、果たして病院経営本部は本当に事の重大さを認識しているのか、私には甚だ疑問であります。半年間で四回もの再発を繰り返す病院経営本部には何の緊張感、危機感もなく、明らかに重大な過失があると思われます。私は疑問を通り越して怒りすら覚えています。
 民間企業では、ジャパネットたかたで同様の事件が発覚した際には、約二カ月間の広告活動や商品の販売を自粛し、およそ百五十億円の減収に耐えながら、発覚当日から事業再開まで毎週謝罪と報告を繰り返しました。このとき社長は会社を清算することも考えていたといいます。
 また、ソフトバンクでの情報漏えい時にも、全会員に五百円相当の金券を送るほか、通常有料のサービスを三カ月間無料にし、経営陣も、孫正義氏を減給五〇%六カ月、副社長、取締役を減俸三〇%三カ月という社内処分を下しました。
 このように、民間企業では大変厳しいペナルティーを払って再発防止と信頼回復に努めているにもかかわらず、それを監督指導する立場の行政が、組織として何の責任もとらず、事故が起きるたびに、ただ、今後このようなことがないようにいたしますと繰り返すだけでは、到底都民の理解が得られるはずがありません。
 病院経営本部は、この半年間で四件もの個人情報の紛失事故を受けて、どのように組織として責任をとるおつもりなのか、そして、今後どのように再発防止に努めるのか、見解を伺います。
 最後に、情報化社会がますます進む中、こういうときにこそ知事の強いリーダーシップで、情報管理について職員の意識レベルの向上を徹底していただきたいと申し上げまして、私の都議会民主党を代表しての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山下太郎議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、法人事業税の配分見直しについてでありますが、そもそも日本の税制は、国が勝手に決められるものでありまして、知事に全く相談せずに決められるという法体系になっております。過去にも二度、法人事業税の分割基準は、理屈を通り越した変更を強いられました。そういうことをご認識いただいて、批判、質問されるなら、法律の勉強をなさってからされないと恥ずかしいことになります。
 それを、さらに逆手に取ってこの事態に条件をつけるということが、私は政治というものだと思います。
 きょう、いかにもこの改革が理が通らないゆえに、総理が私に対して地方の窮状への理解を求めてきたわけでありまして、私としては、大都市の税源を、財源を理由なく地方へ移転させるような措置は税の原則にもとるし、地方分権に逆行するものであり、納得できないということを強く主張してきましたし、きょうも明確に反対だと申しました。だからこそ総理は、首都東京の重要施策の大切さを理解して、個別団体との間で初めて、国と自治体の間での協議の場を新たに設置するということを提案してきたわけであります。
 こうしたやりとりを踏まえまして、この国の発展を牽引する役割を担う首都東京が、同時に地方の一員でもある東京が、その東京を預かる都知事としましても、いかになすべきかを熟慮し、今日の措置を税制の抜本改正までの暫定措置とすることを条件に協力することを決断いたしました。
 今後は、総理との合意に基づきまして設けることになりました東京の重要施策の推進を目的とする実務者による新たな協議の場をフルに活用して、東京の諸課題の実現に向けて、首都東京、そして日本の発展のために全力を傾けてまいります。
 次いで、低所得者生活安定化プログラムについてでありますが、現在、我が国では、額に汗をして懸命に働いているにもかかわらず低所得の状況から抜け出せない人々や、就職氷河期を経験した世代を中心として、職にも恵まれず、住居の確保もままならない人が存在しております。
 今回のプログラムは、真に困っている都民一人一人に手を差し伸べ、将来に向かって明るい展望が開けるよう、多様な施策を重層的に講じるものでありまして、この取り組みによって、こうした方々がみずから生活安定への道を切り開き、社会を支える力となることによりまして、豊かで活力のある東京を実現していきたいと思っております。
 次いで、多摩の将来像についてでありますが、昨年末に策定しました「十年後の東京」では、オリンピックの招致はもとより、平成二十五年に開催する国体も視野に入れまして、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくりかえることを目的に、都全域を対象として東京の近未来像を描きました。
 とりわけ多摩地域については、圏央道の全線開通や横田基地の軍民共用化を契機に、首都圏の中核として強く発展する姿を示しております。
 多摩地域は、先端技術産業や数多くの大学、研究機関の集積、豊かな自然環境などを生かしまして、従来にない特色のある都市づくりが可能な地域であります。
 今後も、これらの大きなポテンシャルを生かして、都市基盤の整備を初め広域的な課題にも取り組み、市町村とも連携しながら、活力と魅力にあふれた多摩を創造し、東京の再生、ひいては日本の再生を目指していきたいと思っております。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、横田基地の軍民共用化にかかわる日米協議は、この十月を期限として検討が重ねられてきましたが、米側の軍事運用にかかわる幾つかの課題が残されておりまして、引き続き協議を行うことになっております。
 これまでの日米協議で米国から指摘されている課題は、いずれも調整可能な事項ばかりであります。
 在日米軍基地の中で戦略上重要な地位を占める三沢基地ですら、既に冷戦時代に軍民共用化していたのでありまして、横田でこれが実現できないわけはありません。しかし、交渉の中での得た感触としては、国政のレベルで民主党が唱えている、インド洋の給油活動の、要するに筋の通らない反対というものが、かなり陰に陽にマイナス要因に働いているのは実感であります。それが外交というものかもしれませんが。今後も、国の関係省庁と都が一枚岩の結束を保ちながら、米側に対し説得力のある具体的な提案を行うなど、粘り強く協議をすることによりまして、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。
 新しい国体に向けた取り組みについてでありますが、およそ半世紀ぶりに東京で開催する東京国体は、その三年後に予定されている東京オリンピック成功の原動力ともすべく、東京の総力を挙げて取り組み、これまでにない新しい国体の姿を発信するものにしていきたいと思っています。
 このため、都議会初め区市町村、経済産業界、スポーツ団体など各界各層の方々にご参加いただき、七月に東京国体準備委員会を設立し、開催の準備に万全を期すことにいたしました。
 今後、都民の幅広い共感と賛同を得て、開催への機運を盛り上げ、東京国体の成功に向けて取り組んでまいります。
 次いで、小児医療についてでありますが、子どもの健康を守り、子どもを持つすべての家庭が安心して子育てをしていくためには、小児救急医療の充実が重要な課題であります。
 都は、これまでも、休日、夜間の小児救急医療体制の整備など、小児医療水準の向上に努めてまいりました。
 しかし、都内でも小児科などの医師不足が顕在化しておりまして、都として、医師の確保や病院勤務医の負担軽減策について検討を行うとともに、国に提案要求しております。
 今後とも、小児医療の充実に取り組み、子どもが健やかに成長し、未来に希望の持てる社会を実現していきたいと思っております。
 次いで、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策についてでありますが、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策については、専門家会議の提言に基づきまして、敷地全域にわたり、十メートルメッシュで土壌と地下水の調査を行うこととしました。この調査は、土壌汚染対策法が求める内容と同等であります。
 専門家会議では、調査と並行して、汚染物質の特定と除去、盛り土等による封じ込め、地下水の管理のほか、震災対策など必要な対策についても検討が進められておりまして、来年度の前半には具体的な提言がなされる予定であります。これらの対策は、法令が求める対策と照らしても、安全性を確保する上で極めて手厚いものとなります。
 今後、この提言を確実に実施し、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策に万全を期すことによりまして、都民、市場関係者が安心できる市場として、早期に開場させていきたいと思っています。
 次いで、築地市場移転についてでありますが、築地市場の移転に当たっては、移転の必要性や土壌汚染対策等について、市場関係者や地元区の理解を得ることが重要であります。
 都としても、今後とも、市場関係者や地元区との協議を重ね、その意見を十分に聞きながら、豊洲新市場の整備を進めてまいります。
 猪瀬副知事は、就任早々、築地市場に足を運び、流通環境の変化に対応し切れていない実情を目の当たりにして、客観的かつ正確なデータに基づき、移転の必要性について述べたものであります。
 次いで、新銀行東京の代表の人選についてでありますが、前代表の突然の退任の意向を受けまして、新銀行東京としても、代表を一日たりとも空席にできないとの判断から、都に適任者の推薦を依頼してまいりました。こうした事態の中で、都は、この銀行の創設に関与した津島前港湾局長が適任であると判断し、推薦いたしました。
 なお、新銀行東京の経営者には、この銀行の理念の実現に意欲を持ち、かつ思い切った経営改善を強力に進めることのできる手腕が求められております。
 次いで、新代表に期待する役割についてでありますが、新代表には、これまで幅広い分野で活躍してきた経験を生かしまして、都と十分に連携を図りながら、東京都の持つさまざまな金融にかかわるオプションというものを踏まえて、経営改善の取り組みに大いに力を発揮していただくことを期待しております。
 次いで、新銀行東京への追加出資でありますが、追加出資のニーズがあるや否かは、銀行の経営陣がその時々資本政策の中で判断するものであります。今は銀行が経営改善の取り組みを着実に進めていくことが必要でありまして、追加出資は考えておりません。
 次いで、アジア大都市を巻き込んだ地球温暖化対策の推進についてでありますが、近年、地球の温暖化は深刻の度を増しておりまして、今こそ世界のすべての国が参加する新たな枠組みをつくり、具体的な対策に踏み出さなきゃならないと思っております。
 きょうの新聞にも出ておりましたが、ブータンという国は、背後にあります氷河湖が決壊しますと、頭上からの津波に襲われて全滅する、ほとんど瞬間的に全滅する、そういう危惧というものを持たれておりますが、こういった現象が現に大惨事として起こらないと、なかなか世界がこの問題について共通の強い認識を持つには至らない、そういう残念な状況にあります。
 そうした中でも、日本の首都である東京は、経済成長の著しいアジアの頭脳部、心臓部を担う大都市と国益や発展段階の差異を超えて連携して、新たな枠組みをつくって後押ししていきたいと思っております。来年二月には各都市の実務担当者を招きまして、日本の環境技術や東京の先進的な政策ノウハウを提供するとともに、協力関係をさらに進めてまいります。
 なお、本年十月、都を訪れた北京市環境保護局の一行には、北京オリンピックを控え喫緊の課題となっている大気汚染の改善のために、都独自のディーゼル車排出ガス規制についてなど説明するとともに、環境科学研究所に案内しまして、技術面の情報提供を行ってまいりました。
 環境問題には国境はなく、都市間の立場の違いもなく、ご指摘をまつまでもなく、世界の各都市と地球の未来のために協力してまいります。
 次いで、実効性のある温暖化対策についてでありますが、地球温暖化の進行は、近年、急激に加速していることが明らかになっておりまして、今後十年程度の間に思い切った対策を打ちませんと、破局的な事態を招きかねないというのが、特にヨーロッパの専門家たちの共通した認識であります。
 温暖化対策は、もはや経済の効率とはトレードオフできるものではなくて、人類の生存そのものにかかわる問題となってきた。金を持っても死んでしまってはしようがないわけでありまして、そういった認識は、やっぱり企業の経営者にも求められるものでありまして、こうした認識に立って温暖化対策の強化に取り組むことでありまして、従来の自主的な取り組みだけではCO2の大幅な削減が進まないことは明らかであります。
 都は、日本の地球温暖化対策をリードするためにも、大規模な排出事業所への削減義務を初めとする実効性のある施策を展開していきたいと思っております。
 次いで、環境税についてでありますが、環境税の問題は、税を負担する企業や住民が、地球環境が危険的な状況にあり、もはや一刻の猶予も許されないところまで来ていることや、後の世代に対する責任をどれだけ認識するかにかかっております。
 いずれにせよ、文明の発展の代償であります地球のこの異変を前に手をこまぬいていては、人類に未来はないのではないかと思います。地球温暖化対策に、国はもっと責任を持って取り組むべきだと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 今後の景気動向と税収見込みについてお答え申し上げます。
 平成十九年度の都税収入は、十一月末の法人二税の中間申告などを見きわめる必要がございまして、確たることを申し上げる状況にはございませんが、企業収益の好調は持続しておりまして、堅調に推移していくものと考えております。
 今後の景気につきましては、お話のように、企業部門主導で回復基調を保つといわれています一方、原油など資源価格の高騰、米国経済の減速、そして為替相場の変動など、懸念材料がございます。このため、九月中間決算で好調であった上場企業の見込みにおきましても、本年度の下期以降は減速の見通しとなってございます。
 平成二十年度の都税収入につきましては、今後こうした景気動向、税制改正などを注視しつつ、的確に算定してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 五点についてお答えを申し上げます。
 まず、生活困窮者の実態調査についてでありますが、先般、厚生労働省において、住居がなく、インターネットカフェ等に寝泊まりしながら不安定な雇用形態で就業している方の実態調査が行われました。
 また、今回の低所得者生活安定化プログラムを実施するに当たりましては、インターネットカフェ等で常連的に寝泊まりしている方に対し、こちらから出向いて相談に応じるなど、きめ細かい対応を行う予定でございまして、その中で明らかになるこうした方々の生活実態を、今後の事業展開に活用してまいります。
 次に、プログラムの対象者についてでありますが、今回のプログラムは、一定以上の資産を保有している方や、同居する家族にも収入がある方などを除きまして、真に困っている方を対象として、一人一人の実態を踏まえた支援を行うものであります。したがって、お話の親元で暮らすフリーターなどは、対象として想定はしてございません。
 次に、シャープ八〇〇〇番の実施時間についてでありますが、小児救急電話相談、シャープ八〇〇〇番は、母子の健康に関する相談を行うことにより、母親の育児不安の解消と小児救急の前段階での安心の確保を目的としてございます。
 都では、小児救急電話相談であるこのシャープ八〇〇〇番以外にも、音声、ファクシミリのTOKYO子育て情報サービスやインターネットのこども医療ガイドによりまして、子どもの事故や病気への対処法を、二十四時間、独自に情報提供しております。
 さらに、普及啓発冊子であります「知って安心 暮らしの中の医療情報ナビ」を作成、配布いたしまして、子どもの急な発熱時の相談先や医療機関の利用方法などについて、平常時からの周知を図っております。
 こうしたさまざまな取り組みを行うことによりまして保護者の安心を確保しておりまして、シャープ八〇〇〇番の実施時間の延長につきましては、今後の研究課題と認識をしております。
 次に、シャープ八〇〇〇番の実績と活用についてであります。
 シャープ八〇〇〇番の相談は、まず保健師、助産師等の相談員が対応し、必要に応じて小児科医に転送をしております。
 平成十八年度の相談は約二万件でありまして、その主な内容は、子どもの病気や事故に関することが約六割、育児相談が約四割でありました。なお、相談内容や緊急性から医師の対応を要する相談は、約八十件でありました。
 現在、妊婦に対して、母子健康手帳を交付する際に、都が作成いたしましたシャープ八〇〇〇番の案内カードを必ず配布をしてございます。
 今後とも、さまざまな関係機関と連携しつつ、保護者の不安の解消に役立つよう、普及啓発に努めてまいります。
 最後に、医師の事務補助者についてでありますが、書類作成などをサポートする事務補助者を活用することは、病院勤務医師の負担を軽減するとともに、診療に専念できる環境を確保する上で有効であると認識をしております。
 医師の事務補助者の導入に当たりましては、専門職種としての資格の明確化や養成制度の確立、診療報酬での措置が必要と考えておりまして、既に制度設計者であります国に対して、具体的な提案要求を行っているところでございます。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、低所得者生活安定化プログラムについてでありますが、職業訓練など個々の支援につきましては、プログラムの対象者を早期に安定した就労に結びつけるとの観点から、適切な期間を設定してまいります。
 また、今回のプログラムにつきましては、対象者に対してきめ細かく的確な施策を重点的に講じることが効果的であることから、緊急総合対策として三カ年で実施していくこととしております。
 次に、新銀行東京の今回の代表交代の責任についてでありますが、森田前代表執行役は、本年六月に就任し、この間、新銀行東京の経営改善に向けて尽力をされましたが、健康上の理由で、十一月末日をもって退任をいたしました。今回の代表交代は、こうした不測の事態を受けて銀行側が判断したものでございます。
 次に、新銀行東京の現状についてでございますが、新銀行東京は、新中期経営計画におきまして、不良債権鎮静化までは慎重な運営を行い、採算を確保できるような適正規模に資産を圧縮することとしており、今中間決算における融資残高は、おおむね計画どおりとなりました。
 しかしながら、新経営陣のもとで、債務者実態の把握やそれに基づく貸倒引き当ての見直しを行いました結果、想定を上回る不良債権処理費用が発生するなど、不安定な要素も多い状況です。
 したがいまして、まずは新銀行東京が足元の状況をしっかり見据えて、デフォルトの抑制や営業経費の削減など、経営改善の取り組みを着実に進めていくことが重要と考えております。
 次に、新銀行東京との連携についてでありますが、新銀行東京の経営改善の取り組みは緒についたばかりであります。
 都は、今後、新銀行東京との連携を一層強め、具体的な取り組みが着実に進展するよう、適正な支援を行ってまいります。
 次に、新銀行東京の今後についてでございますが、新銀行東京は、最近の厳しい競争環境にさらされながらも、中小企業金融において役割を果たす一方で、現在、思い切った経営改善に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、新銀行東京が足元の状況をしっかり見据えて、デフォルトの抑制や営業経費の削減など、経営改善の取り組みを着実に進めていくことが重要であります。
 最後に、新銀行東京の情報開示についてでありますが、都は、これまでも新銀行東京に対しまして、他の金融機関との競争にかかわるものなど、企業運営上秘密としているものを除きまして、業務等に関する情報を積極的かつわかりやすく開示するよう働きかけてまいりました。
 どのような情報を公開するかにつきましては銀行の経営判断でありますが、今後においても、例えば全株主のリストのように、出資者との関係で公表できないようなものを除きまして、積極的な情報開示を求めていくことに変わりはございません。
 なお、地域別融資実績及び四半期決算につきましては、明らかにされておりません。
   〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 横田基地の軍民共用化についてでございます。
 横田基地の軍民共用化は、圏央道等の整備とともに、多摩地域を首都圏の中核拠点として発展させるための契機となるものでございまして、地域経済の活性化のために重要な意味を持つものと考えております。
 軍民共用化に当たりましては、騒音対策などの生活環境問題への対応を行うことも必要でございまして、日米協議は、都と国の関係省庁がこうした視点を踏まえた検討、調整を行った上で進められております。
 地元自治体への経過説明につきましては、横田に係る日米協議が外交交渉であるという制約の中で可能な限り行ってきておりまして、今後とも、地元の理解と協力が得られるよう努力を重ねてまいります。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 多摩・島しょ振興に関する三つのご質問にお答えを申し上げます。
 まず、国体開催を契機とした市町村振興についてでございますが、平成二十五年に多摩・島しょ地域を中心に開催いたします国体は、スポーツ振興のみならず、地域振興という点においても大きな意義がございます。都は、多摩地域のすべての市町村を競技会場地に選定するなど、国体開催の意義を踏まえまして、精力的に準備を進めております。
 六年後の大会開催が、多摩・島しょ地域の一層の活性化に結びつきますよう、スポーツ施設の整備や観光産業振興、地域づくりなどに、市町村と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
 次に、三宅島モーターサイクルフェスティバルの成果等についてでございます。
 イベント期間中は、関係者を含め一千人近くの方が島を訪れまして、島は久しぶりににぎわいを取り戻しました。多くの参加者からは、また島を訪れたいとの声が上がり、島民の間にも、継続して実施することへの期待が高まっております。
 今回の成果としては、多くの参加者を迎え、観光を初めとする今後の島の活性化に大きな弾みがついたことが挙げられます。一方、今後の課題といたしましては、参加者の受け入れ体制やバイクの輸送体制の改善などがございます。
 都といたしましても、今回の成果と課題を踏まえ、引き続き島の取り組みを積極的に支援してまいります。
 最後に、三宅島の魅力を活用した復興への取り組みについてでございます。
 三宅島は、紺碧の太平洋に囲まれ、火山活動による特徴ある景観が広がり、多種多様な野鳥が生息するなど、豊かな自然に恵まれております。
 こうした島の魅力を国の内外に幅広くPRし、自然環境学習やロケーションの場として積極的に活用してもらうことは、島の観光振興策として有効でございます。現在、三宅村では、今後の復興に向けて、自然環境を生かした取り組みを幅広く実施していく方針であると伺っております。
 都としても、関係各局が連携し、こうした島の取り組みを長期的に支援してまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 中小事業者の温暖化対策についてでございますが、都内における産業、業務部門の温暖化ガスを確実に削減していくためには、大規模事業者のみならず、中小事業者の排出削減対策の強化も必要でございます。
 多くの中小事業者は、省エネに関する知識や情報、省エネ投資を行う資金力が大規模事業者に比較し不十分なことなどから、取り組みが立ちおくれております。
 今後とも、都は、省エネのメリットや進め方等に関する研修会を開催するとともに、それぞれの事業者に応じた具体的な対策を提案する省エネ診断の充実を図ってまいります。
 また、省エネ投資を促進するための環境金融プロジェクトを推進していくなど、中小事業者の温暖化ガスの削減に向けたさまざまな施策を展開してまいります。
   〔病院経営本部長秋山俊行君登壇〕

○病院経営本部長(秋山俊行君) 都立病院などにおけます個人情報の紛失事故についてでございますが、病院は、患者の病名、容態や診療経過など、重要な個人情報を多数取り扱う職場でありますことから、そこで働く職員は、情報管理に細心の注意を払いながら日々の業務を遂行していくことが不可欠であるというふうに認識をしております。
 都立病院では、これまで、情報セキュリティーのための組織体制や個人情報の取扱方法を定め、情報の管理を行ってまいりましたが、今回、個人情報の紛失事故が重なったことにつきましては、これまでの取り組みが必ずしも十分であったとはいえず、まだまだ改善すべき点があるものと痛感したところでございます。
 このため、病院経営本部といたしましては、問題発生後に本部職員を各病院に派遣いたしまして、個人情報の管理状況に関する緊急点検を実施するなど、迅速な対応に努めますとともに、新たに全職員を対象とした情報セキュリティーに関する研修を進め、職員の意識啓発にも具体的に取り組んでおります。
 また、今回紛失の対象となりましたUSBメモリーにつきましては、小型軽量で紛失のおそれが高い外部記録媒体であるため、私物の使用を禁止した上で、認証機能つきのものへ切りかえ、保管管理を徹底いたしますとともに、個人情報を含む電子ファイルにつきましてはパスワードを付与するよう、セキュリティー対策に関しても周知徹底を図ったところでございます。
 さらに、日々、多くの診療部門などで膨大な量の個人情報が発生し、それを治療に生かすため、多数の職員がアクセスし、利用しているという病院の実態を踏まえまして、各病院に新たに設置いたしました個人情報管理チームが院内を定期的に巡回し、その結果につきましては各部門の責任者が改善を図る仕組みとするなど、現場での具体的かつ継続的な対策も講じているところでございます。
 病院経営本部といたしましては、こうした取り組みを一つ一つ着実に積み重ねることによりまして、職員一人一人の意識改革を繰り返し促しまして、再発防止に取り組んでいく考えでございます。
 なお、お話の多摩北部医療センターにつきましては、都の監理団体である財団法人東京都保健医療公社が運営していることから、同公社に対しまして、個人情報の適切な管理と職員の意識改革を徹底するよう、改めて指導してまいります。

○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時三十三分休憩

   午後四時四十八分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百六番藤井一君。
   〔百六番藤井一君登壇〕

○百六番(藤井一君) 私は、都議会公明党を代表して、知事並びに関係局長に伺います。
 初めに、きょう、大きな動きのあった税財政問題についてであります。
 本日午前中、石原知事は福田総理と会談し、福田総理から地方の窮状を理解されるよう懇願されるとともに、都の重要な施策に国は最大限協力し、そのため国と都の協議の場を設けるとの提案がなされました。石原知事は、それに対し、今回の措置は税制の抜本改革までの暫定措置とすることを条件に国に協力することとしたとのことであります。
 我々は、東京の活力をそがないよう国の協力を取りつけながら、後々の税制の抜本改革を約束させた石原知事の大局的な判断を評価するところであります。
 しかし、今回の決着には、いろいろな影響が避けられないと思われます。そうした中にあっても、都民生活にいささかの影響も出ないようにしなければいけません。都民生活を守るべき知事に、都民生活に悪影響を与えないという強い決意で臨んでいただきたいと考えますが、知事の決意を伺います。
 また、現実に今回の影響額は三千億円程度といわれております。財政当局としては、この大きな減収に対して、今後どう対応していくつもりなのか、伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 平成九年に採択された京都議定書に基づいて、日本の温室効果ガス六%排出削減を実行に移す五年間の目標達成期間がいよいよ明年からスタートし、CO2の排出削減は待ったなしとなります。一方、被害を抑制する適応策の重要性が大きくクローズアップされております。
 仮に、今直ちに人間活動によるCO2排出をやめたとしても、地球の気候システムが持つ熱的慣性によって気温上昇が続き、温暖化被害が今後頻発するおそれがあります。先月十七日に正式決定されたIPCC、気候変動に関する政府間パネルの第四次評価統合報告書も、温暖化や海面上昇などが今後も続くと予測し、想定される温暖化被害への適応策の重要性を指摘しております。
 そこで、東京が環境先進都市として世界にアピールしていくには、CO2削減策だけでなく、温暖化被害から都民生活を守るための適応策についても、世界をリードするような都独自の対策を講じるべきと考えます。知事の認識を伺います。
 想定される適応策の分野は、洪水や暴風雨、熱波や水不足、健康への影響や感染症の拡大など幅広い分野にわたります。しかし、いずれも危機管理、防災対策の面での取り組みは現状でも行われているものの、今後の持続的な気温上昇や、これまで経験したことのない気候変動の影響に視点を据えた対策は講じられておりません。これらの課題はいずれも相互に関連し、しかも都民生活の安全・安心に深くかかわるだけに、全庁的な取り組みが不可欠であります。
 温暖化被害の適応策は時間との闘いとなっており、早急に庁内横断的に検討を行い、具体策を打ち出していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、環境分野の国際交流に関して、仮称環境子ども調査団の創設を提案いたします。
 温暖化との闘いが今後長く続くことを踏まえ、東京、そして日本の未来の担い手である子どもたちが、森林伐採など地球上の環境破壊の現状、氷床の融解など温暖化影響の実態などを現地に行って自分の目で見たり、関係者の話をじかに聞くことは、本人だけでなく、広範な温暖化対策にとって貴重な財産になると考えます。それを都内の児童生徒、保護者などに伝えることを通し、温暖化防止に取り組むすそ野を子どもの時代から広げることができます。こうした役割を担う環境子ども調査団の創設は大きな意義があると考えます。見解を伺います。
 次に、温暖化防止への都民の広範な取り組みについて質問いたします。
 地球温暖化防止対策といっても、突き詰めれば、人間活動によるCO2の排出をいかに少なくするかということであります。したがって、一人一人がどれだけ意識を持ち、具体的行動に移すことができるかにかかっていることは、いうまでもありません。
 そこで、地球温暖化対策推進法で都道府県に設置することができるとされ、温暖化防止の啓発・広報活動、情報提供などを担う地球温暖化防止活動推進センターを都は早期に設置するとともに、東京の独自性を打ち出すべきです。見解を伺います。
 さらに、CO2削減への貢献を都民が実感できる取り組みとして、エコバッグ運動等エコライフの強力な推進を提案します。
 スーパーや商店等で使われるレジ袋は、全国で年間約三百億枚に上るといわれ、原油換算で約五十六万キロリットル、大型タンカー二隻分に相当します。レジ袋の使用を減らし、エコバッグを普及させることで身近なCO2削減運動となるわけですが、運動の機運を盛り上げるための工夫として、エコバッグやふろしき等にオリンピック招致ロゴを入れるなど、温暖化防止ムーブメントと五輪招致を連動させてはどうかと考えます。都の所見を伺います。
 さて、都民が安心して将来にわたって暮らしていける東京を実現していくには、何よりも福祉・健康先進都市東京を目指すべきであります。
 都は、昨年の十二月に、長期ビジョンである「十年後の東京」を発表しました。この中では福祉・健康分野として、超高齢社会の活性化策や障害者の自立支援策、待機児童の解消策、救急医療基盤の整備などの施策の方向性が示されています。しかしながら、児童虐待など支援を必要とする子どもへの対応や、感染症など健康危機への対応の視点が含まれていません。
 現在、「十年後の東京」実現に向けた実行プログラムが策定されていますが、平成二十年度予算は、今後十年間の都の方向性を具体的に示す初年度の予算であります。
 そこで、来年度予算編成に当たっては、「十年後の東京」を踏まえ、福祉・健康先進都市東京の展望を明らかにした上で、新年度の事業展開をすべきと考えます。見解を伺います。
 次に、さきに指摘をした児童虐待などの支援策について質問いたします。
 児童相談所における虐待相談件数が依然として増加しており、平成十八年度の東京都の児童虐待の対応件数は、十年前の六・七倍となる三千二百六十五件に達し、危機的な状況となっています。虐待を未然に防止するためには、早期発見、早期対応が何よりも重要であります。都は、虐待の危険性のある家庭の早期発見に具体策を講ずるべきであります。所見を伺います。
 また、緊急性のあるものや困難なケースを発見した場合には、専門的な対応を行う児童相談所がその役割を担いますが、都内十一カ所の児童相談所だけでは、深刻かつ急増する児童虐待に対応し切れない現状があります。従来、児童相談所は、都道府県の事務とされてきましたが、平成十七年の児童福祉法改正により、人口三十万人程度の区市も設置できるようになりました。今後、児童相談所の区市の設置を見据えて、虐待防止に対する区市への支援を強化していくべきと考えます。見解を伺います。
 一方、虐待を受けた子どもたちの急増に対応すべき社会的養護体制の不足も大きな課題となっています。虐待を受け、心身ともに傷を負った子どもたちの養護と健全育成を図り、さらに児童が親になったときに同じように虐待に走る世代連鎖を防ぐためには、グループホームや養育家庭などを中心とした家庭的養護が必要です。都としても、家庭的養護体制の早急な整備を行うべきであります。見解を伺います。
 また、施設を退所した子どもたちは、社会の中で自立することが求められます。しかし、就職や人間関係でつまずいたり、さまざまな困難に直面し、行き詰まる場合もあります。その再出発のためには、帰るよりどころと支援が必要です。そこで、新たに相談支援の施設を設置すべきと考えます。見解を伺います。
 次に、感染症対策について質問いたします。
 感染症などの健康危機から都民を守る体制を整備することは重要であります。現在、この二十年間で最も早くインフルエンザの流行期に入り、全国各地で感染症の報告が相次いでおります。また、東南アジアでは鳥インフルエンザのヒト感染の症例が発表され、新型インフルエンザに変異し、日本へ到来した場合の危険について、多くの国民が不安を抱いております。そのほかにも、エイズや結核など共通の課題があります。
 都は、こうした感染症の危機から都民を守るため、情報収集にとどまらず、アジア大都市間に共通する感染症対策の課題について、各都市が協力して調査研究を進めていくことが重要であります。
 現在、都は、健康危機管理センターを整備する計画を進めていますが、アジア各都市との共同調査研究を付与し、健康危機から都民を守る基盤整備をすべきと考えます。所見を伺います。
 次に、高齢者施策について質問いたします。
 「十年後の東京」においては、高齢者が社会のさまざまな場面で活躍し、超高齢社会を活性化するために、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造するとしています。十年後には、高齢者が二百二十九万人から三百十五万人になると見込まれています。多様な価値観を持つ団塊の世代の六十万人が加わり、四人に一人が高齢者になります。
 都は、平成十九年度から今までの補助事業を分野別に見直し、高齢社会対策区市町村包括補助事業を始めました。幾つかの区市がこの事業を活用していますが、なかなか成果の上がらない区市もあるようです。
 そこでまず、この包括補助事業の検証を行うべきであります。都が進めている「十年後の東京」の実行プログラム策定に当たっては、このような現状を踏まえた上で、新たな超高齢社会の活性化策を提示していくべきであります。あわせて見解を伺います。
 次に、高齢者施策に関連して、シルバーパス制度について質問いたします。
 国の税制改正において、公的年金控除の廃止などが実施され、従来は区市町村民税が非課税であった六十五歳以上の高齢者が、十八年度より収入が変わらないにもかかわらず、区市町村民税が課税となりました。基準を住民税の課税、非課税に求めているシルバーパスの購入も、千円から二万五百十円になるため、都は、影響を受けた方の負担額を十八年度、十九年度と据え置きました。このことは、公明党の強い主張を受け入れたものとして高く評価をいたします。
 景気が回復をしてきているとはいえ、高齢者の負担増は厳しくなるばかりであります。国も介護保険料の激変緩和措置をさらに二十年度、二十一年度と継続をいたします。また、十七年一月に六十五歳以上で税制改正の影響を受けた方についても、シルバーパスの激変緩和措置の対象としないと不公平になります。そこで、二十年度も引き続き、新たにシルバーパスを発行される方も含めて、激変緩和措置を実施すべきであります。都の見解を伺います。
 なお、来年開業する日暮里・舎人ライナーについては、昨年八月に、都営交通として運営することとあわせてシルバーパスを適用するよう、我が党は都に要望いたしました。十月に交通局が事業譲渡の許可を得ていることから、今後、開業に向けてシルバーパス適用に必要な手続を速やかに行うよう、強く求めるものであります。
 次に、障害者自立支援法について質問いたします。
 障害者自立支援法は、障害を持つ方が地域で安心して生活できる社会を目指す改革として、二〇〇六年にスタートしました。ただ、抜本的な改革であることから、在宅生活の場合、軽減措置を受けている人が少ない、また、障害児のいる世帯の負担感が大きいなどの声が寄せられ、公明党としても、利用者負担の軽減や事業者への支援拡充を国に要望してまいりました。
 その結果、二〇〇六年度から二〇〇八年度までの特別対策として、通所・在宅サービスの定率一割の利用者負担の月額上限額を四分の一に引き下げるとともに、収入、資産も大幅に緩和、また、送迎サービスへの助成など、事業者への支援も拡充してまいりました。予算は総額で約一千二百億円に上りました。
 しかし、負担軽減幅の小さいサービスも多く、収入要件のハードルで軽減サービスが受けられない方も多いのが現状です。また、現在の軽減策が三年間の特別対策であることから、二〇〇九年以降も軽減措置を続けてほしいとの切実な声も上がっています。
 今、国会では障害者自立支援法の見直しの議論が行われていますが、現在の特別対策を恒久化するとともに、低所得者の利用者の負担のさらなる軽減、そして所得要件の緩和などが不可欠であります。そこで都は、国に対しさらなる利用者負担の軽減などを強く求めていくべきであります。見解を伺います。
 次に、医療施策について質問いたします。
 初めに、がん対策についてであります。
 今や日本は、男性の二人に一人、女性の三人に一人がかかるのが、がんであります。日本は世界一のがん大国ですが、がん登録の制度がないなど、がん対策後進国といわれております。都は現在、来年三月の策定に向け、東京都がん対策推進計画の素案をまとめていると聞いております。
 こうした中、先日公表された福祉保健局の来年度予算要求に、これまで我が党が主張してきた放射線治療の推進や早期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進などの事業が盛り込まれたことを高く評価いたします。
 こうした動きを見るにつけ、ようやく都のがん対策の歯車が大きく動き出したとの感を強くいたします。アメリカでがん死亡者が減少する中、日本では増加している現状を考えたとき、まず東京から、がん対策についての積極的な取り組みを行っていくべきであります。石原知事の力強い決意を伺います。
 がん対策のさまざまな取り組みのうち、今後、急速にニーズが高まってくることが予測されるのは緩和ケアです。このうち、緩和ケア病棟については、今後、民間病院が整備する場合、その後押しとなるよう都として環境整備に努めるべきであります。
 もう一つの基盤である在宅について伺います。
 ことし十月、患者、家族の相談や情報提供を行うため、都の在宅緩和ケア支援センターが開設されました。しかし、その取り組みは多摩地域で緒についたばかりであり、患者が多い二十三区でも支援を加速すべきであります。見解を伺います。
 あわせて、患者や家族の不安の軽減を図るには、緩和ケアを含む相談支援や情報提供をよりきめ細かく行っていくことが必要と考えます。見解を伺います。
 次に、医師確保対策について質問します。
 医師不足のうち、特に深刻な産科医不足を解消するには、女性医師の離職防止を図ることが重要です。近年、女性の医師国家試験合格者は年々増加し、全体の三割以上を占めています。しかし、女性医師は、医師として本格的に活躍する医学部卒業後十年前後に、妊娠、出産、育児期などの人生の大きな節目と重なり、約半数が医療の現場から離れています。このまま離職を余儀なくされるのは、社会にとっても大きな損失であります。女性医師が出産、育児を迎えても離職しなくて済む、また、離職しても復職を容易にすることが、過酷な状態にある医師全体の勤務環境の改善につながってまいります。医師の勤務環境を改善するとともに、女性医師を初めとする離職中の医師の復職を支援することが重要であります。
 全国平均に比べ、女性医師の比率が高い東京都として、全国のモデルとなる支援策を積極的に実施すべきであります。見解を伺います。
 次に、後期高齢者医療費制度について質問いたします。
 日本における医療費の特性は、六十五歳未満の一人当たりの医療費が十四万円であるのに対し、七十五歳以上では八十一万円と高く、医療費の伸び率も、六十五歳未満よりも七十五歳以上の方が高いということであります。十八年後の平成三十七年には、七十五歳以上の高齢者の全人口に占める割合は、現在の六十五歳以上の人口割合と同じ程度になります。そこで、世界に冠たる国民皆保険制度を維持し、これ以上の現役世代の負担をふやさないためにも、七十五歳以上の高齢者に公費を重点化し、社会連帯的な保険料で賄う後期高齢者医療費制度が制定されたわけであります。
 この後期高齢者医療費制度が明年四月より施行されますが、去る十一月二十一日に、東京都の広域連合議会において保険料等を定める条例が可決され、東京都における制度の全貌が明らかになるとともに、幾つかの課題も見えてまいりました。
 その一つが、すべての被保険者の負担軽減にかかわる財政支援であります。
 東京都の所得水準が全国平均の一・七二倍とされたことにより、国からの普通調整交付金の交付額が約二百二十七億円減額されます。その結果、一人当たりの保険料がすべての所得階層で増額となります。都内では、全国と比較して生計費が多額とならざるを得ない状況の中、この保険料の増額は家計を圧迫いたします。
 そこで、広域連合協議会においては、二年間の措置として、財政安定化基金拠出金、審査手数料及び保険料収納率が一〇〇%に満たない差額分に係る七十億円の経費について、区市町村の一般財源を投入することを合意いたしました。都としてこういった取り組みを評価し、広域連合の円滑な運営を確保するために、積極的に財政支援を行うべきであります。
 二つ目には、法定健診に必要な経費に対する財政支援であります。
 今般の制度改正により、後期高齢者の特定健診については、広域連合の努力義務とされ、国、都による負担義務はなくなりましたが、国においては、概算要求において一定の財源措置を予定しています。都としても、国のこうした対応や、都民の健康を維持増進し、医療費の適正化につなげる観点から、従来の基本健康診査と同様に必要経費の三分の一の財源補助を行うべきであります。あわせて見解を伺います。
 次に、ものづくりの活性化と中小企業の販路開拓支援について質問します。
 一九九〇年代以降のグローバル化により経済構造が変化し、企業間の取引構造は大きく変容しました。このため、優秀な製品や技術を持つ中小企業であっても、特定の取引先に依存することが困難になり、中小企業みずから積極的に販路開拓を行うことが不可欠の課題となりました。
 都は、平成十年より産業交流展を実施し、中小企業の販路開拓の場として多くの企業の商談に結びつけています。この産業交流展において、都が大企業などに強力に来場を呼びかけることにより商談の機会がさらにふえていくと考えます。都の見解を伺います。
 また、中小企業にとっても、産業交流展を単なる展示会で終わらせず、根本的な営業力の強化の場とするために、産業交流展自体の機能充実を進めるべきであります。所見を伺います。
 さらに、ことしの産業交流展では外国からの企業の出展もありましたが、日本にはない技術やノウハウを持つ外国企業との連携は、中小企業の将来の展開を考えるとき、重要な要素となります。今後、こうした外国企業からの出展も充実させるべきと考えます。産業交流展の国際化に向けての所見を伺います。
 次に、中小企業の人材確保策について質問します。
 厚生労働省の労働経済動向調査によれば、常用労働者の不足感を示すDI値が過去十年の最高値となっています。民間の調査でも、来春卒業予定の大学生、大学院生を対象とした民間求職状況で、大手企業志向が強まり、企業規模別の求人倍率は、従業員一千人以上で〇・七七倍、一千人未満では四・二二倍と大きな隔たりが生じています。
 こうした中、都は我が党の提案を受け、新たに産業人材育成実態調査を実施し、ものづくり産業における人材ニーズや確保動向を把握するとしています。
 そこでまず、都は、中小企業の人材確保状況に対する認識や本調査の実施状況、今後の活用方針を明らかにするべきであります。見解を伺います。
 中小企業の厳しい人材確保の状況を打開していくためには、従来からの雇用就業施策の充実だけでは不十分です。企業の情報発信能力を高め、東京の中小企業のポテンシャルを魅力として伝えていく必要があります。例えば、民間ノウハウやNPO団体と連携した効果的な人材確保支援策の企画公募、メディアを活用しての中小企業の魅力などの工夫が重要です。
 そこで都は、大企業に比べ、単体での情報発信が困難な中小企業の、人材確保のための情報発信力を高める支援策を打ち出すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、住宅政策について質問します。
 かつて、東京の住宅はウサギ小屋と酷評されました。また、長い通勤時間や住宅ローンに追われたライフスタイルをやゆされる場合もあります。衣食住という生活の三大要素のうち、衣と食は、間違いなく世界の最高水準にあります。問題は住です。オリンピック招致を機に、世界の都市問題の解決に貢献しようと決意した東京にとっては、東京が目指す真の住宅の豊かさとは何かを雄弁に物語る、新たな住宅政策を打ち出すことが必要です。そのためにも、住宅政策にかかわる専管局を新設するべきであります。都議会における議論を含め、都民の関心と夢や希望を喚起し、大いに住宅政策論議を巻き起こすべきと考えますが、この点に関する知事の所見を伺います。
 次に、低所得者向けに整備される公共住宅の総量について質問いたします。
 東京においては、平成十五年時点で七十五万二千戸、賃貸だけでも四十六万戸の空き家が生じている一方、都営住宅の入居倍率の平均は年々増加し、平成十七年度は三十二・一倍と、全国平均の九・九倍をはるかに超えています。この問題は、果たして市場経済任せで適切に低所得者向け住宅が供給できるのかという大事な課題をはらんでいます。
 都は、二〇一五年までの十年間における都内の公営住宅の供給の目標を十一万三千戸と定めています。しかし、この数量には既存都営住宅の建てかえも含まれており、低所得者向け住宅の総確保量がどうなるのか、はっきりとしません。そこで、都営住宅の総戸数の設定をより実態に即して見直すべきであります。所見を伺います。
 次に、都営住宅の建てかえについて質問いたします。
 この問題に関し、我が党は、第三回定例会の代表質問において、現在のペースのままでは、耐用年限を過ぎても建てかえができない住宅が多数発生することを指摘し、新たな整備方式に切りかえるべきと求めたところであります。そこで、この際、思い切ってスーパーリフォームによる耐用年数の延命化策は取りやめ、建てかえを中心とした整備方式に抜本的に見直すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都営住宅の建てかえの促進を図る上で、ひとり暮らし高齢居住者への配慮も重要であります。建てかえ後の住宅の間取りや移転先のあっせんなどは、さまざまな面で居住者の生活実態に即した配慮を行うべきと考えます。さらに、都営住宅の建てかえに際しては、CO2削減に率先して貢献できるよう、省エネやエコ対応の設備を設置すべきであります。あわせて見解を伺います。
 住宅政策の最後に、住宅の耐震化について質問いたします。
 都は、我が党の主張を受け、昨年度から木造住宅の耐震化助成を開始しました。しかし、住宅の倒壊による道路閉塞を防止するとの観点から、対象地域を木造住宅密集地域の整備地域に限定した制度としているため、初年度とはいえ、その執行率を見ると余りにも低調で、効果が上がっているとは到底いえません。こうした中、福田総理は所信表明演説で、災害発生時の犠牲者ゼロ政策を打ち出し、国では、住宅の耐震改修補助制度を来年度から大幅に拡充することなどを模索しております。
 一たび震災が起これば、その被害がほかとは比較にならないくらい甚大な首都東京においてこそ、いつ起きてもおかしくない震災から都民の生命や財産を守るため、住宅の耐震化助成制度を大幅に拡充すべきであります。特に、これまでの補助対象の条件撤廃や補助率上積みなどは、待ったなしに取り組むべきであると考えます。所見を伺います。
 次に、教育施策について質問いたします。
 初めに、いじめ問題についてであります。
 いじめは昔からあったものだからと気軽に受けとめる向きもありますが、昨今のいじめの深刻さは、いじめの発生に際し、被害者を守る役割を果たしてくれる存在が決定的に不足しているという点にあります。被害者は、加害者からだけでなく、ともするとクラスメート全員から無視されていたり、いじめの発生自体に全く気づいてもらえない状況に置かれたりしています。
 いじめの放置は、被害者の心の傷の回復をおくらせるだけでなく、他人の痛みを理解しない大勢の大人を生み出すという、社会全体の被害にもつながります。絶対に看過することはできません。
 公明党は、国において、いじめの早期発見、早期対応を促すため、NPO団体や教育、福祉、法律の専門家などの協力を仰ぐ、第三者機関としての仮称いじめレスキュー隊を提唱し、二十年度の予算化を目指しています。兵庫県の川西市では、いじめ相談を教育委員会で受けていた四年間の相談件数が百件余りであったのに対し、第三者機関を設置してからは、年五、六百件にふえています。
 そこで、都においても、東京都子ども・若者問題対策会議などを通じて、いじめレスキュー隊など具体的な対策を検討すべきと考えます。教育長の見解を伺います。
 次に、食育の推進について質問いたします。
 早ければ来年の通常国会に、栄養教諭の役割を盛り込んだ学校給食法の改正案が提出され、新たな国家戦略としての食育推進が図られようとしています。
 子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い、豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となります。
 おくれていた多摩の市町村における中学校給食も、ほとんどの市町村で実施、もしくは実施に向けて準備を進めております。
 学校給食法において食育が明確に位置づけられようとしている今こそ、東京都においても、食育を含めた形で健康づくりに向け具体的な取り組みを推進していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、学校現場での教員の事務量の軽減策について質問いたします。
 昨年、四十年ぶりに実施された教員等の勤務実態調査によって、教員の多忙さが裏づけられ、子どもと向き合う時間が少ないということが明確になりました。
 このため、文部科学省は学校現場での教員の事務量を軽減するためのプロジェクトチームを発足させ、文科省が依頼する調査、統計の削減のほか、都道府県との間で重複している調査の統合、学校の業務日誌や学校運営のための書類などの簡素化などについても検討するとしています。
 そこで、都教育委員会においても、文科省と連携を図り、教員が子どもと向き合う時間が少しでも長く確保できるようにすべきであります。見解を伺います。
 さらに、最近、保護者や近隣住民からの理不尽な要求に対して、相談できる相手や機関もないため、一人で悩み苦しんでいる教員の声を聞くことが多くなりました。いわゆるモンスターペアレンツやクレーマーとのトラブル解決に向けて、本年四月に施行されたADR法に基づき法務大臣の認証を受けた紛争解決の専門家を活用し、教員の負担軽減を図るべきであります。所見を伺います。
 次に、羽田空港の国際化及び跡地利用対策について質問いたします。
 羽田空港は、二○一○年に新たに第四滑走路と国際線旅客ターミナルビル等が供用開始され、いよいよ国際旅客定期便や国際貨物便が就航することになります。そこで伺います。
 第一に、空港アクセス整備についてであります。
 現在、羽田空港は、年間六千七百万人の旅客が利用しており、今後、年間一%ずつ利用客がふえると予想されています。さらに三年後、海外から年間七百万人の旅客が羽田空港を利用することになります。
 しかし、現状では、空港周辺の道路基盤を初めとする空港アクセスは一定の整備がされているものの、将来に向け、これらに対応することができないのではないかと懸念されます。そこで、都は空港アクセスを早急に整備すべきと考えます。見解を伺います。
 第二に、新空港線の整備についてであります。
 新空港線とは京浜急行線と東急多摩川線の二つの蒲田駅を結ぶ路線であり、いわゆる蒲蒲線と呼ばれています。
 新空港線の整備により、東横線や東京メトロ副都心線を経由することにより、目黒区、世田谷区、品川区、渋谷区、新宿区、豊島区、練馬区など、東京圏西南部の地域に広域交通のネットワークが広がります。
 また、再拡張や国際線の就航、跡地利用を控える羽田空港へのアクセスが強化され、例えば、自由が丘から羽田空港までの所要時間も四十九分から二十五分に二十四分短縮されます。
 このように、新空港線は、大田区のみならず東京西南部の利便性が向上する路線であり、羽田空港への輸送増強策の一つとして早急に整備すべきと考えます。所見を伺います。
 本年十月、羽田空港跡地利用基本計画素案が発表され、既にパブリックコメントが終了し、今年度中に跡地利用基本計画が策定されると聞いております。
 都は、跡地利用基本計画の早期具体化を目指して、羽田空港跡地の道路、護岸、ライフライン等の基盤整備が着実に進められるよう、土地所有者である国に対し強く求めていくべきであります。所見を伺います。
 次に、横田基地の軍民共用化について質問いたします。
 横田基地の軍民共用化についての日米協議は、昨年十月、一年以内に結論を得る前提で開始されましたが、ことし十月、何ら結論を得ないまま、この期限を迎えてしまいました。先月八日、高村外務大臣とゲーツ米国防長官との会談で、引き続き協議を行っていくことは確認されましたが、その結論がいつまでも先延ばしになってしまうようなことがあれば、これまでの議論は振り出しに戻ってしまうおそれさえ生じかねません。
 横田基地の軍民共用化は、これまで石原知事が先頭に立って取り組んできたからこそ、ここまで進めることができたことは事実であり、さらにあと一歩、早期の実現に向けて力を尽くすべきと考えますが、横田基地の軍民共用化への今後の取り組みについて、知事の決意と見解を伺います。
 最後に、小笠原への航空路開設問題について質問いたします。
 都議会公明党は、来年、小笠原諸島返還四十周年の佳節を迎えるに当たり、去る十月十七日から二十一日までの日程で小笠原村調査団を派遣し、航空路開設問題など、現地調査を行い、村民の方々と率直な意見交換を行ってまいりました。私も調査団の一人として参加いたしました。
 昭和四十三年の返還以来、空港建設運動を続けてきた村民感情の中には、過去三度に及ぶ空港建設、超高速船TSLの挫折が少なからず重くのしかかっているのも確かであります。
 都は、昨年十一月に小笠原諸島振興開発計画の変更を行い、自然環境との調和に十分配慮した航空路を開設するといたしました。
 我が党調査団の視察後に、小笠原村では航空路開設に向けた機運を盛り上げるため、先月七日から二十数回に及ぶ村民説明会を開催しております。今後は、この村民合意を前提に、都と村が住民参画の手法であるPI協議会を設置すると聞いています。
 こうした小笠原村民の思いを後押しする上からも、知事の航空路開設に向けた率直な決意を伺います。
 以上をもちまして代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今回の地方税財政制度の見直しに際して、都民の生活をいかに守るかについてでありますが、もともとこの税制の改正に関しては、与党の税調等の内容を聞きますと、かなり筋の悪い税法だという意見が専門家の間で出ていまして、それでもなお、やっぱり貧すれば鈍するというんでしょうか、こういうある意味で無体な改正になったわけですけども、ゆえにも、総理もそれは十分認識した上での今回の会談になったと思いますが、その際、こちらもいろいろ条件も出しましたし、要望もいたしました。総理からも、首都の東京という日本の心臓部というものを重視するということで踏み込んだ提案もなされましたし、都の重要な政策を推進するに当たって私が提示した幾つかの案についても、国が大いに協力するという約束もございました。
 いずれにしろ、約束は約束でありますけれども、その前提に、三千億というべらぼうな我々の財産が非常に無体な形で国に吸収されるわけでありまして、いずれにしろ、その結果、東京がかなり財政の危機を迎えるのは、もう自明なことでありますが、悪い影響を最小限に食いとめるという意味でも、東京が逆手にとった幾つかの提案もいたしました。
 これまでも、私としても都民生活を守ることを第一に考えまして、「十年後の東京」を初めとする先進的な取り組みも進めてきたつもりでございますが、今回の対応により、一時的に大きな減収になりました。財政的には厳しい状況に置かれることは確かでありますが、この際、やっぱりあらゆる創意工夫を凝らして、都民生活に対して影響を与えないような努力を全力でしてまいります。
 次いで、温暖化被害への適応策についてでありますが、地球の温暖化は疑う余地がございません。今後十年ほどの間に、あっという間に十年過ぎますが、相当な政策を講じませんと、人類全体にとっての破局的な事態を招きかねないというのが多くの専門家の認識であります。このためにも、都は温暖化ガスを劇的に削減すべく、全庁一丸となって、都民、事業者を巻き込んだ取り組みを進めてまいりました。
 いうまでもなく、温暖化によって引き起こされる都市水害や新たな感染症の流行などのさまざまな被害への対応も必要であります。この九月に、ツバルという沈みつつある島国を目にしてまいりましたが、日本も島国でありまして、これは決して他人事ではないという認識を強く、また改めて持ちました。
 都は、現在でも、防災や危機管理の観点から高潮対策や感染症対策などを着実に進めておりますが、地球温暖化がもたらす東京への影響を把握した上で、都民の安全と生活を守るために必要な適応策を検討して、一つ一つ実現していくつもりでございます。
 次いで、がん対策についてでありますが、がんは、現代社会を生きる我々の健康を脅かす重大な脅威であります。この病気の克服は、都民の願いでもあります。
 がん医療において都民が最良の医療を受けられるよう、首都東京としてのメリットを生かし、都独自の認定病院制度の創設や、放射線療法、化学療法の推進などにより、医療水準を向上させていきたいと思っております。
 こうした取り組みをがん対策推進計画に反映して、がんの予防から治療及び療養生活の質の向上に至るまでの総合的ながん対策の推進に積極的に取り組んでいくつもりであります。
 次いで、住宅政策についてでありますが、都民が真に豊かさを実感できる社会を実現し、東京がさらに高いレベルでの成熟を遂げるためには、何といっても居住の場としての魅力的な都市をつくっていくことが不可欠であります。
 このため、都民の意見なども踏まえて策定した東京都住宅マスタープランに基づきまして、住まいの安全・安心の確保や、世代を超えて住み継がれる住宅まちづくりなどに取り組んでいきたいと思っております。
 今後とも、成熟した都市にふさわしい豊かな住生活の実現に向けて、まちづくりと連携した施策の推進など、時代に即した住宅政策を総合的に展開していきたいと思っております。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、横田の軍民共用化は、首都圏の航空事情を改善し、首都圏全体に大きな経済効果をもたらすものでありまして、我が国の国力の維持のためにも必要不可欠であります。
 いずれにしろ、今現在、四十カ国を超す外国が主にこの首都圏に乗り入れを願っていながら待機しているというのが実情でありまして、このゆえにも、この軍民共用化は二○○三年五月の小泉・ブッシュ会談で検討が合意されました。これまでの首脳会談などでも繰り返し実現を要請してきましたが、日米間の重要な懸案事項であります。
 アメリカの政府は、日米関係を重視するならば、軍民共用化に積極的に対処してしかるべきであると思っておりますが、この末端というか、最先端の実務者ともなりますと、やっぱり軍人も含めてのお役人の通弊で、自分の足もとを守る、身の回りだけを守るという大きな視点を欠いた交渉になりがちで、これにはアメリカの元の在日司令官もメンバーにおりますコンサルタントを駆使しまして冷静な判断をさせて、何とかよき結論に導いていきたいと思っております。
 そこでも指摘しておりますが、米軍側がいっている幾つかの障害は、専門家の見地から見てもクリアできる調整可能な事項であるということで、都としても、一橋大学の杉山学長をヘッドとします杉山委員会において、共用化のためのさらに具体案を検討しておりまして、これを日米協議に反映させるように国にも積極的に働きかけてまいります。
 今後も、国の関係省庁と一枚岩の結束を保ちながら、粘り強く協議を続けることによりまして、軍民共用化の早期実現を目指していきたいと思っております。
 次いで、小笠原への航空路開設についてでありますが、私も国会議員時代、あそこが選挙区でもありましたから、友人の飛行機でテストフライトも何度もいたしてみました。いずれにしろ、二転三転して、結局いまだにこれが実現できない。頼りにしておりました高速船も採算が合わないということで、あのプロジェクトも挫折をしました。
 いずれにしろ、小笠原は本土からも非常に隔絶した離島でありまして、交通アクセスの改善は、昭和四十三年に小笠原が復帰して以来の最大の課題でもあります。航空路の開設には、自然環境との調和など解決すべき課題が多うございますが、小笠原振興を図る上で極めて重要であることも自明であります。
 洲崎の、昔の陸軍ですかが使っておりました短い飛行場の跡地を何とかできないかと思いますが、これまた環境省のいろいろ規制に引っかかりまして、なかなかクリアするのが難しい現況でありますが、いずれにしろ自然環境に十分配慮しながら航空路の開設を実現するためには、国の理解、協力が不可欠であります。これもやっぱり一歩もお互いが譲らぬということではとても実現できない事態でありまして、また何よりも地元の村民の合意が肝要だと思います。
 今後も国に強く働きかけを行うとともに、村民の意向を踏まえつつ、航空路開設の実現に向けて積極的な検討を進めていきたいと思っている。現に幾つか条件としての案も棚橋参与の方から出てますし、あとは主に環境省との兼ね合いというものがこれからの最後の問題になると思います。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 四点についてお答え申し上げます。
 まず、いじめ問題についてであります。
 いじめ問題の解決には、学校教育関係者はもとよりではありますけれども、都民一人一人がこの問題の重大性について認識を深め、社会全体の問題としてとらえることが重要であります。
 東京都子ども・若者問題対策会議は、東京の子ども及び若者にかかわります問題への対策につきまして、各局の連携を強化するために設置されておりまして、現在、いじめ問題については福祉保健局、警視庁などと連携し、相談事業や都民への啓発などに取り組んでおります。
 今後、お話しのいじめレスキュー隊など、国の新たないじめ問題にかかわります動きに注視いたしまして、関係各局や区市町村教育委員会と連携するとともに、いじめ問題学校支援員の中に、より広範な専門家等の協力を求めまして、具体的な対応策に取り組んでまいります。
 次に、食育の推進に向けた具体的な取り組みについてであります。
 都教育委員会は、食育を健康教育の一環といたしまして、学校教育全体の取り組みの中で推進していくことが重要であると考えております。都独自の仕組みであります食育リーダーを全都立学校に配置したところでございます。
 現在、各区市町村教育委員会に対しまして、平成十九年度中に全公立小中学校に配置するよう、積極的に働きかけを行っております。
 さらに、平成二十年度にはモデル地区を指定いたしまして栄養教諭を配置し、健康づくりの視点を重視した食育推進に効果的な教材、指導方法の開発を行うとともに、家庭、地域と連携した取り組み等を推進していく予定でございます。
 次に、教員が子どもと向き合う時間の確保についてでありますが、教員が一人一人の子どもと向き合い、指導を行っていくことは、個に応じた指導の充実や豊かな人間関係をはぐくむ上で極めて重要でございます。
 都教育委員会では、これまでも国と都の統計調査が重複しないように努めたり、効率的に授業準備ができるように教材等に関する情報を提供したりするなどいたしまして、教員の事務量の軽減に取り組んできたところであります。
 今後、国の動向を踏まえまして、区市町村教育委員会とも連携を図り、教員が子どもたちの指導に直接かかわる業務に取り組む時間を一層確保することができるよう努めてまいります。
 最後に、学校におけるトラブル解決に向けた専門家の活用についてであります。
 学校に対して理不尽な要望をする保護者や地域住民への対応に関しましては、教育委員会も連携して学校が組織的に対応することが重要であります。
 ご提言のADR法に基づきまして、学校においてトラブル解決に対応できる事業者は、現在、都内においては登録されておりませんが、その動向を注視しつつ、今後、教員の負担軽減の観点から、トラブル解決のための一つの手段として、その活用の可能性を検討してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 今回の税制上の措置の都財政への影響についてのご質問にお答えいたします。
 率直に申し上げまして、今回の措置が歳入面において非常に大きい影響を及ぼすことは認めざるを得ないと考えております。
 他方、都政はそうした中にありましても、「十年後の東京」の実現に向けた施策を着実に推進するとともに、更新期を迎える都市インフラの整備充実や都民生活をしっかり守り抜くなどの諸課題に適切に対応していく責務を負っております。
 こうした責務を果たすため、この間の財政再建の取り組みを通じて培ってまいりました基金や都債の活用能力など、財政対応能力を生かすとともに、歳入歳出両面の効率性、実効性をさらに一層高めることなどによりまして、財政面から的確に対応すべく、持てる力を最大限発揮していく決意でございます。
 同時に、今回の措置は抜本的改革までの暫定措置とされておりますので、いかに早期に抜本的改革を実施するのか、そしてその改革が、いかに大都市と地方がともに発展し得る地方の自立につながる本質的な改革となり得るか、これが都財政の将来にとって重要でございます。
 今回の措置は、地方分権にまさに逆行するものでございますが、その意味で真の地方税財政制度改革の早期実現がもはや先送りできないものであることを、いわば反面教師的に明らかにしたものともいえるわけでございます。
 したがいまして、今後、都議会の皆様のご協力を得ながら、従来にも増しまして改革の推進に全力を傾けてまいります。
   〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 温暖化被害の適応策に関する庁内横断的な検討についてでございます。
 地球規模の温暖化は確実に進んでおりまして、熱波や干ばつ、降雨量の増加といった異常気象や海面上昇などによりまして、世界のあらゆる地域にさまざまな影響を与えることが懸念されております。
 このため、地球温暖化対策を推進するに当たりましては、温暖化ガスの削減という緩和策に加えまして、温暖化被害への対応という適応策の検討が必要であることはご指摘のとおりでございます。
 今後、温暖化による都市水害や感染症などへの影響を把握し、カーボンマイナス都市づくり推進本部など、既設の横断的組織の活用を含めまして、総合的な観点から対応してまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 温暖化対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境子ども調査団に関するご提案についてでございますが、子どもたちに温暖化の影響や緑、水などの自然の大切さを実感する機会を与えることは、子どもたちが環境について日常的に考えることを促し、長い目で見て環境負荷の少ない都市づくりにつながるという意味で極めて重要でございます。
 このため、都はこれまでもキッズISO一四〇〇〇プログラムの導入など、子どものための環境学習に積極的に取り組んできました。
 今後、温暖化の影響の深刻さや自分が行動することの大切さをリアルに受けとめられるよう、子どもたちの意見も聞きながら、環境学習の質の向上に努め、子どもたちが環境問題をより主体的に考える機会を提供してまいります。
 次に、地球温暖化防止活動推進センターの設置についてでございますが、地球温暖化対策は、人類全体の生存にかかわる待ったなしの課題であり、都民や事業者など、すべての主体が能動的に省エネなど低CO2型社会への転換に取り組むことが必要不可欠でございます。
 そのためには、地球温暖化の危機的な現状や早急な対策の必要性などに関する普及啓発をこれまで以上に積極的に行うことが重要でございます。
 都は、今後、地球温暖化防止活動推進センターの早期の設置に取り組み、都民一人一人や各事業者が、節電などの直接的な行動につながる気づきを持てるような具体的できめの細かい普及啓発を行い、中小企業や家庭を対象とした効果的な施策を進めてまいります。
 最後に、オリンピック招致と温暖化防止ムーブメントを連動させた取り組みについてでございますが、都は、CO2削減への貢献を都民が日常生活の中で実感できる取り組みとして、現在、業界の協力も得て白熱球一掃作戦を進めており、都民の理解も深まって、電球型蛍光灯の売り上げが増加傾向に入るなど、温暖化防止に向けた機運は高まりつつあります。
 このような意味から、都民が身近に取り組めるエコバッグ運動などのご提案は、環境問題に先進的に取り組むオリンピック・パラリンピックの東京招致にとりましても、また温暖化防止ムーブメントを一層盛り上げていく上におきましても、有効な手法であると考えております。
 今後、オリンピック招致と温暖化防止に向け、さらなる機運の醸成に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) お答えを申し上げます。
 まず、福祉保健施策の事業展開についてであります。
 都はこれまで、大都市東京にふさわしい福祉、保健、医療サービスの実現を目指し、全国に先駆け認証保育所制度や東京DMATを創設するなど、福祉改革、医療改革に取り組んでまいりました。
 福祉・健康都市東京ビジョンは、こうした改革をさらに前進させ、確かな安心を次世代に引き継ぐための基本方針として策定したものであり、お話しの福祉健康先進都市東京と目指す方向は同じであると考えております。
 平成二十年度におきましても、「十年後の東京」を踏まえるとともに、ビジョンの基本方針を継承し、一人一人のライフステージと生活の全体をとらえた福祉健康施策の重点プロジェクトを新年度の事業計画の中で明らかにした上で、積極的に事業を展開してまいります。
 次に、児童虐待の早期発見についてであります。
 母親の育児不安や虐待のリスクを早期に発見し、適切な支援につなげることが虐待の未然防止のために重要ではあります。
 そのため、都は今年度、区市が支援を要すると判断した出産前後の母親に宿泊やデイケア等を行う子育てスタート支援事業を創設いたしました。
 今後は、都内の全区市町村が、妊娠期から母親とかかわる母子保健事業を活用し、産後うつ病のリスクを発見するのに役立ちますエジンバラ方式なども参考にしながら、母子保健手帳交付時の保健師による面接や健診時のアンケートの実施など、地域の実情に適した方法で虐待のリスクを早期に発見できるよう、必要な支援を検討しております。
 次に、区市の児童虐待への対応力強化についてであります。
 平成十七年四月に改正児童福祉法が施行され、区市町村が第一義的な相談窓口を担い、都道府県は専門的な対応や区市町村の後方支援を重点的に行うことになりました。
 これに先駆けまして都は、児童虐待に対応する専任ワーカーを配置いたしました先駆型子ども家庭支援センターを創設し、その設置を都内全区市に強力に働きかけております。
 また、地域の関係機関が緊密に連携し、虐待の早期発見と適切な対応を図ります要保護児童対策地域協議会が中心的な役割を果たしますことから、今年度中の全区市設置を目指しております。
 こうした取り組みにより、今後とも区市の児童虐待への対応力強化を積極的に支援してまいります。
 次に、家庭的養護についてでありますが、さまざまな事情で親と一緒に暮らすことのできない社会的養護を必要とする子どもたちは増加傾向にあります。
 こうした子どもたちは、できるだけ家庭的な環境のもとで、健やかにはぐくまれることが望ましいことから、都では養育家庭やグループホームなどによる家庭的養護を推進しております。
 今後、グループホームの整備の拡大とともに、養育家庭でより多くの児童がはぐくまれるよう、乳児期からの養育を推進するなど、家庭的養護の一層の充実に努めてまいります。
 次に、施設を退所した児童の支援についてであります。
 児童が社会的に自立するには、児童養護施設退所後においても就労や生活の面で悩みを抱えた場合に、必要な支援を行うことが重要でございます。
 このため、都は、今年度から、日常生活上の相談などのアフターケアを行う児童養護施設に対する支援を充実いたしました。
 また、施設から退所した児童が、社会に適応できず生活の場を失った際に、手厚い支援を受けながら、再度自立への準備を行うグループホームとして、再チャレンジホームの創設を検討しております。
 次に、健康危機管理センター(仮称)の機能についてであります。
 都は現在、アジア大都市ネットワーク21の取り組みの一環として、参加十一都市による感染症情報ネットワークを構築しており、健康安全研究センターは、この情報システムの管理運用など、その中核的な役割を担っております。
 本年十一月、ハノイで開催いたしましたアジア大都市ネットワークの第三回感染症対策プロジェクト会議では、東京都の提案により、プロジェクトの中期計画が策定され、共同調査や研究の実施について参加各都市の合意が得られました。
 新たに整備するセンターにおきましても、引き続きこのプロジェクトの中核を担うとともに、共同調査や研究、人材育成など、健康危機管理の基礎となる機能の強化を図ってまいります。
 次に、超高齢社会の活性化策についてであります。
 活力ある超高齢社会を創造するためには、団塊世代を初め、元気で意欲的な高齢者を地域社会の担い手と位置づけ、活用していくことが重要であります。
 具体的には、地域の高齢者の見守り、声かけ、話し相手や困りごとの手助け等を初め、地域社会の課題の解決に向け、これまでに培った豊かな知識、技術、経験を十分に生かしながら、自主的、自発的に活動できる環境づくりが必要であります。
 そのためには、住民に身近な区市町村の取り組みが重要でありますことから、引き続き包括補助により区市町村を支援するとともに、その実施状況を検証しながら、高齢者の主体的な活動が地域において継続できる方策について、速やかに検討してまいります。
 次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものでございます。
 シルバーパス事業を今後とも継続させていくためには、利用者である高齢者を初め、広く都民の理解も得ながら、社会状況の変化に的確に対応していくことが不可欠でございます。経過措置を継続することにつきましては、ご指摘の点なども踏まえて適切に検討してまいります。
 次に、障害者自立支援法の見直しについてであります。
 今回の法施行による改革が広範かつ抜本的なものであったことから、都として、昨年十一月に法の施行状況の実態を踏まえ、国へ緊急要望をし、その後、国において法の円滑な定着を図るための特別対策が実施されております。
 しかしながら、本年実施をいたしました都の調査によれば、特別対策実施以降もなお利用者に負担感があり、また、事業者報酬についても経営実態に合っていないなどの声が上がっております。
 今後、国への働きかけを含め、適切に対応してまいります。
 次に、がん在宅緩和ケア支援センターについてであります。
 緩和ケアは、身体的な痛みだけでなく、精神的な苦痛の軽減をも図るものであり、がん治療の早期から提供されることが、患者の闘病生活を支える上で重要であります。
 また、がん患者が住みなれた家庭や地域での療養を選択できるよう、在宅においても緩和ケアを受けられる体制の整備も必要であります。そのため、都では、医師や看護師向けの研修を行うとともに、在宅緩和ケアに関する相談や情報提供を行う在宅緩和ケア支援センターを本年十月、多摩地区に設置いたしました。
 今後、都民へ広く緩和ケアを普及するため、区部へも支援センターを設置してまいります。
 次に、がんの緩和ケアを含む相談支援や情報提供についてであります。
 がんの相談支援や情報の提供を行い、患者、家族の悩みや不安にきめ細かく対応することは、療養生活を支援する上で重要であります。このため、都では、患者団体のご協力も得まして、本年十月からピアカウンセリング事業を開始いたしました。
 今後、患者、家族への相談支援や情報提供の一層の充実を図るため、がん診療連携拠点病院及び都独自に認定いたします東京都認定がん診療病院のすべてに相談支援センターを設置してまいります。
 次に、医師確保に係ります都の支援についてでありますが、産科や小児科を中心とした病院勤務医は、業務の過重な負担から病院を離れる実態もありまして、その対策は緊急の課題であると認識をしております。
 中でも出産や子育てを迎える女性医師については、医療の現場でキャリアを中断することなく働き続けることができるよう、勤務環境の改善を支援することが重要であります。
 このため、都は、本年六月に設置をいたしました東京都地域医療対策協議会での協議を踏まえまして、短時間勤務の導入、当直体制の見直し、医療補助者の活用等、病院勤務医師の負担軽減に向けた医療機関の取り組みを支援してまいります。さらに、再就業研修を実施するなど、女性医師の復職支援についても積極的に取り組んでまいります。
 最後に、後期高齢者医療制度におきます広域連合等への支援についてであります。
 後期高齢者医療制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識しておりまして、都としても、制度の安定的運営を図るため、高額医療費の一部負担や保険料の法定軽減分の負担など、国や区市町村とともに応分の役割と負担を担ってまいります。
 さらに、都は、都民の健康の保持増進を図る観点から、広域連合が行う後期高齢者の健康診査事業に対する財政支援など、今後、制度の円滑な実施に向けて効果的な支援策を検討してまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 中小企業対策に関する五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、産業交流展における商談機会の拡大についてでありますが、産業交流展におきましては、これまでも、商社や流通、大手製造業者等に招待状を発送いたしまして、商談機会の拡大につながる来場者の増加に力を入れてまいりました。
 その結果、今年度は二日間の開催で、来場者数が昨年比約二割増の四万五百五十名となったところでございます。
 今後は、将来の主要な販売先となり得る大企業に対しまして、一層の来場を促すほか、新たに展示会場内にこれらの企業との商談の場を設置するなど、出展企業の商談機会の拡大に積極的に取り組んでまいります。
 次に、産業交流展における中小企業の営業力の強化についてでありますが、産業交流展は中小企業にとって安価で出展しやすいことから、将来、専門的あるいは国際的な見本市への出展に向けたトライアルの場として重要な役割を果たしております。
 今後は、産業交流展に合わせまして、出展企業を対象に、商談の進め方など展示会の有効活用について、そのノウハウを提供する、総合的な営業力強化セミナーを新たに開催いたしまして、中小企業の営業力の向上を図ってまいります。
 次に、産業交流展の国際化についてでありますが、都では、平成十九年三月に外国企業の東京進出を促すプロモーション活動を、イギリスのロンドン、ドイツのデュッセルドルフの二都市で実施いたしました。
 ことしの産業交流展におきましては、イギリスから二社、ドイツから四社の出展もあり、アジアの企業を加えまして、海外からの出展企業は合計二十一社となったところでございます。
 今後は、プロモーション活動を通じまして、産業交流展への外国企業の出展を一層促進し、都内中小企業との取引や技術提携等の機会を拡大してまいります。
 次に、中小企業の人材確保の状況についてでありますが、少子化の進展や大企業の採用拡大の中、中小企業の人材確保状況は厳しさを増しております。
 都といたしましては、その対策を講じることが極めて重要であるとの認識のもと、今年度、産業人材育成実態調査を実施したところでございます。
 その中間集計では、最近三年間で新卒者を募集した中小企業のうち、約一五%が全く採用できなかった、約四五%が採用できたが数は不足と回答をしており、中小企業の厳しい採用状況がうかがえる結果となっております。
 また、採用時の課題といたしまして、社会的認知度の向上や募集ノウハウを多くの企業が挙げております。
 今後は、この調査結果を踏まえ、中小企業が人材確保や人材育成を円滑に行えるよう、多面的に支援をしてまいります。
 最後に、中小企業の人材確保支援策についてでありますが、中小企業の人材確保状況を改善するためには、中小企業みずからが魅力を高め、その魅力を、多くの人々を引きつける情報として発信して、認知度を向上させることが重要であると認識しております。
 しかし、こうした取り組みは、中小企業のノウハウ不足等もありまして、十分には進んでいないのが現状であります。
 そのため、都は、企業PRに関して豊富な経験や実績を持つ民間企業やNPOなどとも連携いたしまして、高い技術力を初めとした中小企業のさまざまな魅力を広く発信していくなど、総合的かつ効果的な取り組みによりまして、中小企業の円滑な人材確保の支援に努めてまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) ご質問にお答えを申し上げます。
 まず、都営住宅の総戸数設定の見直しについてでございます。
 既に都内の住宅の数が世帯数を一割以上上回っておりまして、さらに将来的には東京においても人口減少社会の到来が見込まれていることなどを踏まえ、既存ストックの有効活用を図ってまいります。
 今後とも、都営住宅につきましては、社会経済情勢等の変化に対応し、管理の適正化の取り組み等によりセーフティーネット機能を強化し、真に住宅に困窮する都民に対して公平かつ的確に供給してまいります。
 次に、都営住宅の建てかえ推進についてでございます。
 都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、適切に維持更新するとともに、用地の有効活用を図り、地域のまちづくりに活用する必要があると認識しております。
 こうした考えから、これまで、建てかえ事業とスーパーリフォーム事業を並行して実施してまいりましたが、今後は、用地の有効活用をさらに促進するため、建てかえ事業につきましては、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、更新期を迎えつつある昭和四十年代建設の住宅に対象範囲を広げ、規模を年間四千戸程度まで段階的に拡大したいと考えております。
 これに伴いまして、スーパーリフォーム事業につきましては、順次、縮減、廃止してまいります。
 次に、建てかえの進め方についてでございます。
 居住者に対しましては、建てかえに際し、事業の説明会などにより丁寧な対応に努めております。
 また、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、適切な住宅の供給に取り組んでいるところでございます。
 さらに、移転先の住宅のあっせんの際は、居住者の生活に大きな影響があることから、全体説明会や個別相談会などを通して、要望にこたえるよう努めております。
 今後とも、居住者に対しましてきめ細かい配慮を行いながら、建てかえ事業を円滑に進めてまいります。
 次に、都営住宅の建てかえに当たってのCO2削減についてでございます。
 温暖化対策の視点は、東京の都市づくりにおきまして重要な課題でございまして、都営住宅におきましても、CO2削減のための取り組みが必要であると認識しております。
 これまでも、建てかえ時にすべての住棟に太陽光発電設備を設置することに加え、敷地の緑化や透水性舗装など、積極的に環境配慮の取り組みを進めてまいりました。
 今後とも、こうした環境対策を的確に実施するとともに、高効率型の住宅設備につきましては、技術開発やコストの動向を踏まえながら対応することとして、CO2削減に取り組んでまいります。
 次に、木造住宅の耐震化助成制度についてでございます。
 住宅の耐震化は、その所有者が主体的に取り組むことが基本であり、都としては、公共的な観点から必要がある場合に財政支援を行うこととしております。
 木造住宅密集地域の整備地域では、住宅が倒壊した場合に、道路をふさぎ、避難や救急・消火活動に支障を来すおそれが高いことから、本制度はこれを防止することを目的として実施しているものでございます。
 都といたしましては、このような重点的な取り組みを推進することが防災対策上重要であると考えており、当面、制度の周知徹底など普及啓発に力を注ぎ、耐震改修の促進を図ってまいります。
 次に、羽田空港の空港アクセスについてでございます。
 羽田空港は、都心から至近距離に位置し、高い利便性を誇る国内最大の空港でありまして、そのポテンシャルを十二分に生かすためには、幹線道路や公共交通など、空港アクセスの一層の強化が重要でございます。
 都はこれまで、国道三五七号線東京港トンネル部などの整備促進を国に要請するとともに、京急蒲田駅付近の連続立体交差や駅改良など、空港周辺の渋滞解消や輸送力の増強に努めてまいりました。
 また、現在、国際線ターミナルの供用開始に合わせ、京浜急行及び東京モノレールでは、新駅の開設に向け工事を進めております。
 今後も引き続き、国や関係自治体等との連携を図りながら、空港アクセスの強化に着実に取り組んでまいります。
 次に、東急線蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ路線であります、お話の新空港線、いわゆる蒲蒲線でございます。
 本路線は、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線に位置づけられております。ご指摘にあるような一定の効果につきましては、理解をしているところでございます。
 一方で、本路線には、空港アクセスとしての機能性や多額な事業費のほか、事業採算性、東急線と京急線の線路幅の違いなど、さまざまな課題がございます。
 今年度、地元区が設置した勉強会に、国や鉄道事業者などとともに都も参画しておりまして、こうした場を通じて、具体的な課題につきまして引き続き区と議論を重ねるなど、必要な対応を図ってまいります。
 最後に、羽田空港跡地の基盤整備についてでございます。
 空港跡地は、再拡張事業で整備される国際線ターミナルなど、国際化の拠点施設に隣接する貴重な空間でございまして、この跡地の利用につきまして、都はこれまで、国及び地元区とともに検討を進めてまいりました。
 跡地利用基本計画は、今年度中に策定いたしますが、跡地の整備を進めるためには、道路や護岸などの基盤整備や、跡地の処分、事業手法等の課題を解決することが重要でございます。
 このため、引き続き、都が主体的に国や地元大田区など関係機関と調整していくとともに、特に土地所有者である国に対しましては、跡地整備の課題解決に向けた積極的な対応を求めてまいります。

○副議長(石井義修君) 百四番曽根はじめ君。
   〔百四番曽根はじめ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百四番(曽根はじめ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 二年前、私は、都民の深刻な貧困と格差の是正を提起しましたが、知事は、東京にはさしたる貧困も格差もないと開き直りました。
 今、貧困と格差があらゆる分野に拡大し、社会のゆがみとなっていることが共通認識となりました。これは、十年来の構造改革路線のもとで、雇用の破壊、中小企業の切り捨て、庶民増税や医療、介護など、負担増がもたらしたものです。
 都の福祉保健基礎調査では、この九年間で、年収三百万円未満の世帯が九六年の一五%から二七%へと倍近くにふえ、別の調査では、勤労者の階層別賃金は、高額所得階層が六年間で平均一五%伸びた一方で、低所得層の平均賃金は逆に四割も減っています。貧困化が格差を激しくしているのです。
 それに加えて、都民を直撃しているのが、原油高騰に端を発したガソリンや灯油、商工業者の原材料、食料品や生活必需品にまで及ぶ物価高騰の動きです。
 灯油は、三年前の十八リットル千円が現在、配達で千八百円。年明けには二千円を超すといわれ、低所得者のぎりぎりの暮らしを脅かしています。北区に住む七十八歳の男性は、昼間は外で過ごして石油ストーブは夕方だけ、どうしても寒いときはガスコンロで暖をとると話しています。穀物など輸入品も上昇し、ビール、食パン、即席めんなどの食料品、紙類など生活用品も上がり、ガス、電気も値上げが予告されています。中小零細業者も、原材料が上がる中で、値上げを価格に転嫁できず、苦しんでいます。
 知事は、所信表明で、こうした都民の苦しみに言及しませんでした。都民の貧困と格差の増大、そして物価高騰について、どう認識し、対処するのか、都民の前に明らかにすべきです。答弁を求めます。
 私は、物価対策として、かつてオイルショックの際に物価Gメンを配置して洗剤などのため込みを摘発したように、必要な調査体制をとり、大企業の不当な便乗値上げを監視するとともに、原油価格の上昇により都民生活に影響を及ぼすことのないよう、国に強く要望すべきと思いますが、見解を伺います。
 また、国が灯油代補助を支援する方向であり、都としても区市町村と連携して、所得の低い世帯に対する灯油代への助成などを実施することを提案します。いかがですか。
 また、国にガソリン税の軽減などを強く求めるとともに、重油などを使う公衆浴場への燃料代や、ガスへの設備更新に思い切った助成を行うことなどが急がれていると思いますが、それぞれ答弁を求めます。
 貧困をなくし、格差を是正するために、庶民減税はもとより、抜本的な雇用対策や経済支援が必要です。ところが、事もあろうに石原知事は、個人都民税の減税の公約を撤回したのです。しかも、そのかわりに公約の進化だといって持ち出した施策は、極めて不十分です。
 都が失業者の生活保障の経済給付を職業訓練期間に限定して盛り込んだことは、対象者が極めて限定されているとはいえ、我が党の主張の一部が実現したものです。
 しかし、都民税減税の対象者が八十万人で七十億円規模だったのに対し、今回、経済給付の対象は、三年間でも二万人程度、金額も二十億円程度にすぎません。しかも、施策のほとんどは貸し付けや相談窓口などで、極めて不十分なものであり、高齢者などは対象にすらなっていません。
 私は、都が以下のことを実施するよう提案します。
 まず、高齢者です。老年者控除の廃止など、高齢者への年金課税の強化によって、六十万人を超える高齢者が増税となり、二十二万人の高齢者が新たに住民税課税となりました。高齢者は百億円近い増税になっています。この税収増を、暮らしが大変な高齢者に還元すべきだと思いますが、どうですか。
 また、住民税課税となった高齢者へのシルバーパスの負担軽減の継続が必要です。お答えください。
 後期高齢者医療制度について、知事は前定例会で、貧しい年寄りは早く死ねということになっては決してならないと答弁しましたが、示された保険料は平均十万二千九百円、加入者の九割以上が増額、二倍前後の負担増も出るというものです。
 知事、国に後期高齢者医療制度の四月実施中止を求めるべきではありませんか。あくまで国が実施する場合、広域連合が実施する健診などへの財政支援を行うべきです。お答えください。
 また、保険料引き下げに向けた都の支援を強く求めておくものです。
 次に、ワーキングプア対策です。
 今回の都のワーキングプア対策は、ネットカフェ難民対策を除けば、相談窓口設置と貸し付けなどに限られています。
 ネットカフェ難民対策も、対象や対策の内容が不十分である上、職業訓練を既存の訓練の枠内で行うため、一般の受講者が締め出されかねません。対象を広げ、別枠で希望者に応じて拡充すべきです。
 貸し付けは、半年がたつと返済が始まるなど、失業者やネットカフェ難民には条件が厳し過ぎます。返済免除も必要です。少なくとも据置期間を三年程度に設定すべきと思いますが、それぞれ答弁を求めます。
 東京都の仕事をする労働者の中に、ワーキングプアをつくり拡大させてきた、いわゆる官製ワーキングプアの是正を避けては通れません。
 八年間の石原都政は、一万二千人の職員定数を削減し、非正規職員や、安上がりの民間企業委託をふやしてきました。今、正規職員十六万六千人に対し、約二万三千人の非正規職員がおり、公社、監理団体にも三千七百人の非常勤や派遣職員が働いています。
 臨時職員は、学校を除く都の事務系職場で年間延べ四千五百人近くが働いていますが、交通費込みで時給七百九十四円です。民間のアルバイトよりも低い低賃金を強いられており、まさに官製ワーキングプアがつくられているのです。
 財務局は、交通費込みで時給七百九十四円という参考単価を各局に示していますが、これでまともな生活ができると思うのですか。都の臨時職員の賃金を少なくとも時給千円以上に改善するとともに、交通費は別支給にすること、さらに正規職員化を進めるべきです。
 消費生活センターの相談員やウィメンズプラザなどの専門職の非常勤職員は、都職員と同等の仕事につきながら、月収は三分の一以下で、ベテランになればなるほど格差は開くばかりです。本来は、都の正規職員として位置づけることが必要です。少なくとも都の職員と同等の待遇を保障すべきです。
 それぞれ答弁を求めます。
 コスト第一の民間委託によって、例えば都庁の清掃に従事する企業で働く人は、月十数万円程度で働かざるを得ない人が多いのが実態です。こうした状況をどう認識しているんですか。ワーキングプアをつくり出しているとしか思えません。コスト削減第一の安易な委託は抜本的に見直すべきではないか。知事の答弁を求めます。
 今、浪費に浪費を重ねるという点でも、環境対策という点でも、オリンピックをどうするかが都政をめぐる最大の焦点になっています。
 先日、オリンピック招致委員会が開催基本計画を発表し、IOCによる開催都市の選考に当たっての基本的な計画が明らかにされました。この計画は、競技施設を中心に変更が加えられ、これまでの開催概要計画書以上に財政規模が拡大され、環境破壊をもたらす危険の強いものです。
 まず財政です。
 第一に、競技施設建設費にかかわる費用ですが、全体として、都民の批判の強い箱物行政が復活したといわざるを得ません。中でもメーンスタジアムは、国立競技場とは別に、わざわざ都立で建設することになりました。しかも、建設される晴海地区は、地震の際に液状化が必至といわれており、運河にかける避難用の橋梁や護岸改修が欠かせないなど、その経費は大きく膨らみます。加えて、交通アクセスのために、大江戸線勝どき駅の改修や動く歩道、暑さ対策としてのドライミストの設置、連結バスの導入などを行います。全体として、メーンスタジアム関連だけで最低でも四千七百億円必要となります。
 さらに、十一の競技施設が変更され、中でも競技施設の大きな新設を四つも行うことになったため、経費が増大します。バレーボール会場は、既存の駒沢競技場を改修して活用することをやめて、代々木公園のB地区に新設されることになり、百億円が必要となります。また、中央防波堤の水路に決定したボート競技も、水門や護岸整備などで新たに百七十億円もかかります。
 第二に、オリンピックが終わった後の競技施設の維持管理費の問題です。これは長期の負担となるため、オリンピックを開催した多くの都市で赤字をふやす要因になっています。だからこそ、IOCも新規建設を抑制し、既存施設や仮設施設の活用を求めているのです。
 ところが、新たに六つもの箱物をつくるため、その維持管理費だけでも、我が党の推定では年間二百億円になると思われます。仮にPFIでやるにしても、後利用が見込めない限り、都の補助頼みになることは明らかです。
 知事、施設の建設費、さらには維持管理費に幾らかかるのか、どのくらいの利用を見込み、財政収支はどう見込むのか、都民に明らかにすべきです。お答えください。
 第三に、招致活動でも莫大なお金がつぎ込まれていることです。招致経費のうち、都の負担分は十五億円とされていましたが、来年度予算も含めると、オリンピック招致本部の関係予算だけで既に五十一億円と、これを大きく上回ります。
 これ以外にも、年度途中にもかかわらず、各局の経費の中で、さまざまな形でオリンピックキャンペーンが実施されています。例えば、商店街から喜ばれ、予算が足りないほどといわれている新・元気を出せ商店街事業では、当初の予算段階ではなかったオリンピックのフラッグ掲揚が事業として追加され、一億円以上が充てられています。年末大売り出しの旗を出せないで困っている、お金は年末のイベントなどに回してほしいなどの批判の声が上げられているのです。
 六千三百万円かけた緑の基金のテレビスポットも、いつの間にかオリンピック宣伝になっています。交通局は、地下鉄の駅のコンコースで、オリンピックPRとスタンプラリーを行っています。
 知事、このままではオリンピック経費は膨れ上がる一方です。もっと抑えるべきではありませんか。大体、四十億円集めるとした企業の協賛金は幾ら集まっているのですか。
 各局の予算は本来の目的に使うべきであり、オリンピックに動員されるようなことがあってはならないと考えますが、知事、どうですか。
 また、公社などの都の外郭団体に寄附金を要請したそうですが、これは税金の還流となるもので許されません。
 それぞれ知事の答弁を求めます。
 一番金額がかさむのは、オリンピックをてこにしたインフラ整備です。三環状道路を初め、オリンピックに間に合わせるためのインフラ整備は約七兆円、都の負担は三兆円にもなりかねません。知事、これだけの投資をこの十年間にやることは余りに無謀です。
 中でも、地元住民や自治体から批判や反対の声が上げられている外環道は、国の新直轄方式でも三千三百七十五億円、新会社と折半では六千七百五十億円という莫大な持ち出しとなるもので、知事が建設を急げば急ぐほど東京都の負担がふえ、場合によっては一兆三千五百億円を東京都が丸抱えすることにもなりかねないものです。これに六千億円の上部道路が加わります。少なくとも外環道の早期建設を見合わせ、再検討すべきです。
 また、知事が無責任に言及した羽田─築地間のトンネル道路や横田基地と都心を結ぶ高速道路多摩新宿線は建設しないと言明すべきです。
 それぞれ知事の答弁を求めます。
 オリンピック関連投資は総額九兆円に及び、都の負担はその半分にも達するもので、オリンピック計画を白紙に戻すことこそ求められていることを重ねて指摘しておくものです。
 知事は、オリンピックに向け、新たに一千ヘクタールの緑をふやす、世界で最も環境負荷の少ない都市をつくるなどの目標を掲げています。我が党は、これが絵にかいたもちにすぎないことをかねてから指摘しています。
 今回の計画で、新たに建設される競技施設のほとんどが夢の島公園や代々木公園などの都立公園に建設が予定されており、恒久施設のところは半永久的に緑が失われることになります。いずれも、都民の憩いの場として多くの都民に利用されているところばかりです。
 また、知事は、中央防波堤内側に八十八ヘクタールの海の森をつくると宣伝していますが、この間に二千七百ヘクタールの緑が失われるのを放置してきただけではなく、新たに稲城市の南山丘陵の開発計画を進めることで、六十三ヘクタールもの緑をつぶそうとしています。大体、二十三区の人口一人当たりの都市公園面積も、二・九平方メートルと大都市平均の四割にも満たず、最低を続けているではありませんか。
 知事、緑の公園をつぶして、どうして環境に配慮したオリンピックといえるのですか、見解を伺います。
 東京都がなりふり構わず進めているオリンピック招致活動にも、疑問と批判の声が上げられています。
 知事は、署名が百万人集まったなどと胸を張っていますが、その実態は、町会や企業を通じて、半ば強制的に集めたという批判の強いものです。町会の回覧板で回されてきて、新聞の投書欄には、拒否することに勇気が必要だった、直ちにやめてほしいなどという声が掲載されています。
 我が党が入手した資料によれば、石原知事の要請を受けた東京電力で、職場ぐるみ、利益誘導型の署名集めが行われていたことが明らかになりました。本社総務部長から各部長、各所長などに協力依頼のメールが発信され、選手村でのヒートポンプ熱源や原子力発電など、オリンピックに協力することが東京電力のメリットになることが、東京都副知事のコメントとともに書き込まれています。露骨な利益誘導の協力依頼です。
 また、小中学校の授業時間中にオリンピックイベントを開かせ、子どもを参加させるなど、招致活動に教育を巻き込むことも各地で行われています。
 知事、企業ぐるみの署名活動や強制に近い署名、さらには教育を巻き込むようなことは改めるべきですが、答弁を求めます。
 東京都は、こうした異常ともいえるキャンペーンを展開した上で、今月上旬に実施した世論調査の結果を発表しました。賛成が六二%と、目標とした七〇%には達しませんでした。しかも、今回の調査は、調査専門会社に登録されたモニターによるインターネット調査であり、一般的な無差別調査と異なり、思考や趣味、年齢などに偏りがあることから、意思決定のデータとしては代表性の問題から向いていないことは、調査会社自体が明確にしているものです。都民を対象にした世論調査では、オリンピック招致の中止、再検討を求めるものが、読売で六七%、朝日で六九%となっています。
 世論調査というなら、オリンピックに関連して幾らのお金を使うのか明らかにすべきです。また、無差別抽出による公正で客観性が保証される方法で実施すべきです。知事の答弁を求めます。
 次に、知事のトップダウン事業の中で、とりわけ破綻が深刻な新銀行東京についてただします。
 先月末、二〇〇八年の中間決算が発表されました。不良債権処理のための経費が計画の一・六倍の七十一億円、累積損失が、わずか二年半で都の出資金の一千億円の九四%に当たる九百三十六億円に達するなど、ことし三月の決算からも、都が六月に策定した新中期経営計画からも後退するという深刻なものでした。都民に衝撃を与え、マスコミも、存続は重大な局面を迎えている、まさに背水の陣と厳しい評価を下しています。
 本業の融資による収益は十六億円にすぎず、人件費だけで終わってしまいます。不良債権を四十六億円も償却したのに、個別引当金が新たに積み増しされるなど、融資業務は改善どころか悪化の一途をたどっています。さらに深刻なことは、融資が行き詰まっているために、預金の五割が預金の利息より低い利息収入しかない国債の購入に充てられているため、莫大な損失が生み出されていることです。
 企業として成り立っていないのです。なのに、この銀行を立ち上げた張本人である石原知事は、本議会の所信表明で一言も触れませんでした。本当に無責任です。しかも、打開策は事態をさらに悪化させるものです。
 第一に、元副知事に加え、都の港湾局長を代表執行役として派遣し、都のポテンシャルを活用するとしていることです。
 知事は、民間でなければできないと繰り返し表明してきたではありませんか。なぜ今になって、次々と銀行経営の素人である都職員を経営の中枢に送り込むのですか。大体、この人たちは、新銀行設立の当初からかかわり、失敗の原因となった経営計画を立案してきた当事者ではありませんか。この人たちを経営陣のトップに据えざるを得ないということ自体、新銀行がもはや民間からも見放されたことを示すものにほかなりません。知事、見解を伺います。
 また、都のポテンシャルの活用ということが、臨海副都心開発やオリンピックのための公共事業の資金調達や債券発行に新銀行を活用するということであれば、形を変えた税金による救済です。文字どおり、東京都の丸抱え銀行ともいうべきものになります。しかも、中小企業に役立つ銀行という設立目的をみずから否定することになり、存在の意味は全くなくなります。知事の見解を求めます。
 第二に、旧BNPパリバ信託銀行の業務を活用することで経営立て直しを図るとしていることです。
 信託業務の活用は、金融商品などのハイリスクの投資をふやすことになり、銀行経営のリスクを大きくします。大体、パリバ信託銀行自体が、信託業務で失敗したからこそ新銀行に身売りしたのです。しかも、それを、金融や投資の経験もなく、官の世界から派遣された経営者にゆだねるというのでは、無謀としかいいようがありません。知事、どうですか。
 知事、潔く経営破綻を認めるべきではありませんか。今度こそ、部下に責任をとらせるのではなく、設立の責任者としてみずからが責任をとるべきです。直ちに第三者委員会を設置して破綻処理に踏み出すべきですが、答弁を求めます。
 第三に、知事は、追加出資について、今はしないが、経営陣からニーズがあれば考えるべきと表明しました。きっぱりと追加出資はしないと都民に約束すべきです。答弁を求めます。
 最後に、認証保育所の問題です。
 我が党の調査で、石原知事が福祉施策の目玉としてきた営利企業による認証保育所制度の欠陥が明らかになりました。
 第一に、ルール違反がはびこっていることです。
 株式会社が設置運営しているじゃんぐる保育園の問題は、とりわけ重大です。都の認証保育所事業実施要綱で専任の施設長を置くことが義務づけられているのに、長期にわたり施設長がいない。開設申請書の職員名簿のうち五人は虚偽申請の疑いがあり、七人の保育士が必要なのに、開設時は二人しかおらず、この十一月末まで七人そろったことがありませんでした。問題発覚後、じゃんぐる保育園は、施設長について実名を挙げて長期欠勤状態だと説明した、代表・三谷氏名の十二月三日付のおわびの文書を保護者に配布しました。しかし、東京都はこの方を施設長として受理していません。またしても虚偽の説明を繰り返しています。
 そもそも、昨年六月の開設当初から数々の問題があったのに、都が立入調査をしたのがことしの八月というのは遅過ぎます。調査後の対応も不十分で、保護者や保育士がかねてから要望していた階段の子ども用手すりも設置されず、十月末には子どもの転落事故が起きています。調査後に機敏な対応をしていたら事故を防げたはずです。
 施設長が長期間いない問題や、職員の架空申請などの数々の不正疑惑、子どもの安全が確保されていない実態などについて、どう認識しているのですか。徹底調査を行い、子どもや職員に不利益が及ばないよう万全な配慮をしつつ、厳正に対処すべきと考えますが、それぞれ知事の答弁を求めます。
 いま一つは、認証保育所A型の設置運営基準が余りにも不十分であり、緊急に改善が必要なことです。
 第一に、乳児の部屋と幼児の部屋をきちんと仕切ること。せめて固定式のさくの設置を義務づけること。
 第二に、火を常用する飲食店などの上の階への設置は認めないことや、子どもと一緒に避難できるような非常階段など、安全面の基準を強化すること。
 第三に、園庭にかわる施設を認める場合は、例えば子どもの足で移動時間十分以内、幹線道路は横断しないなどの基準を明確にすること。
 第四に、十三時間開所にふさわしい職員配置への改善や職員の待遇改善を進め、経験年数が長い保育士を雇用することができるようにすること。
 以上四点について設置運営基準自体を強化するとともに、各園における改善に向けた努力を支援することが必要だと考えますが、それぞれ見解を伺います。
 私が指摘したことは、保育の質の確保よりも、企業参入拡大を最優先にしてきた知事の政策の問題です。
 我が党は、認証保育所に対する過去二年間の指導検査結果を分析しましたが、驚くべきことに、全施設の三分の一がさまざまな問題点を文書で指摘されています。認可保育所への文書指摘はせいぜい一割程度で、多くは実務上の問題ですから、この面からも認証保育所に大きな問題があることが浮き彫りになっています。とりわけ、営利企業によるものは、業界大手も含め、職員数が足りないなど重大な問題が多く、改善されない傾向が明らかになりました。
 二〇〇六年度では、営利企業の五十四施設に文書指摘がありました。毎月の避難訓練、消火訓練を実施していない、二十一施設、施設長が他の業務を兼務している、十六施設、開所時間は二名以上の保育士を配置するルールを守っておらず、朝晩など一人体制になっているが四施設、その他、必要な職員数が足りない、保育士資格がある職員がいない、正規職員がいないなど事態は重大です。
 前年度に指摘をされ、改善済みと報告されているのに、翌年度また同じ指摘が繰り返されている場合もあります。
 知事、認証保育所に対する都の指導検査の結果をどう認識しているのですか。
 二〇〇五年に、日本女子大学大学院が、認証保育所の施設環境の現状を調査し、課題を取りまとめた研究成果を発表しています。それによれば、児童一人当たりの面積が認可保育所に比べて狭い、園庭がない、遊戯室がない、採光が不十分などの課題を挙げ、認証保育所に偏重することは、認可保育所を含めた保育施設全体の水準を引き下げかねないと結論づけています。既に三年前にこういう指摘がされ、その後、営利企業による認証保育所のさまざまな問題が明らかになっているのです。
 企業参入推進について、保育の質の確保を最優先にする立場から再検討すること、待機児解消は、認可保育所への支援を抜本的に強め、その増設と拡充を基本に据えることを求めるものです。知事の見解を伺います。
 また、問題の早期発見、早期解決に向け、指導検査体制強化が必要だと思いますが、答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都民生活と都政運営についてでありますが、日本が戦後六十年を経て、世界第二位の経済規模を維持しながら公平で自由な社会を築いてきたことは、だれもが認める紛れもない事実であります。格差や貧困の存在は決して否定しませんが、日本全体にそれが充満しているかのような喧伝をするのは、一種のプロパガンダでしかないと思います。
 日本がさらに発展を続けていくためには、少子高齢化の進行や人口減少社会の到来を踏まえ、これまでの社会制度を点検し、次の時代に合ったものに再構築することが不可避であります。そうしないと、社会のダイナミズムを維持できず、都民生活の向上そのものが図れなくなります。こうした大局観を全く持たずに、何でもかんでも反対し、一部があたかも全部であるような主張をするのは、事の本質を見誤っているとしかいいようがないと思います。
 また、第三回定例会で既に方針を示しておりますが、低所得の方々への支援策について、今後、着実に具体化してまいります。
 原油価格の変動に伴う物価上昇についても、先般、国に対策を申し入れ、今後、都民生活への影響を最小限に抑えるべく、都として適切に対応していきます。
 都民生活への認識を欠いているといわんばかりの、誤解に基づく主張をしておられますが、それは故意の誤解としかいいようを得ないと思います。
 次いで、オリンピックに係る施設建設等の経費についてでありますが、先般発表した開催基本計画にあるように、恒久施設は二千四百六億円、仮設施設は八百四十三億円と見込んでおりまして、国からの補助金や民間資金を活用し、都民の負担をできる限り軽減してまいります。
 このうち、オリンピックのレガシーとして、遺産として新たに建設する施設につきましては、大会終了後の都民のスポーツ需要等を勘案し、効率的な維持管理に努めるなど、適切な運営を行ってまいります。
 次いで、環境に配慮したオリンピックについてでありますが、東京は、世界一コンパクトな会場配備や最先端技術の活用など、環境に十分配慮した大会を目指してまいります。
 競技会場として緑豊かな公園を積極的に活用することは、アスリートたちに最高の力を発揮できる舞台を提供するものでありまして、ロンドンや北京の計画に見られるように、今や世界のオリンピックでは常識であります。東京においても、代々木公園や辰巳の森海浜公園などの都立公園を最大限活用しまして競技会場を整備してまいります。
 さらに、海の森を初めとした地球環境への取り組みの成果も十分活用してまいりたいと思います。
 このように、二〇一六年大会は、公園をつぶすなどというものではなく、公園の積極活用の考え方に立って行います。
 次いで、新銀行東京の代表交代についてでありますが、前代表の健康上の理由による退任という不測の事態を受けまして、銀行は、代表を一日たりとも空席にできないとの判断から、都に適任者の推薦依頼をしてまいりました。
 こうした事態を受けまして、都は、新銀行東京の開設に関与した津島前港湾局長を推薦いたしました。
 新代表のリーダーシップのもとで、銀行が組織を挙げて経営改善にあらゆる努力を注いでいくことを期待しております。
 次いで、新銀行東京への追加出資についてでありますが、追加出資のニーズがあるかないかは、銀行の経営陣がその時々の資本政策の中で判断するものでありまして、今は銀行が経営改善の取り組みを着実に進めていくことが重要であります。追加出資は考えておりません。
 次いで、認証保育所についてでありますが、認証保育所は、大都市の多様な保育ニーズにこたえるため、都独自の制度として平成十三年度に創設して以来、認可保育所を上回るペースで整備が進んでおりまして、多くの都民の支持を得ております。
 ご質問の認証保育所につきましては、都は既に立入検査や指導を行っておりまして、改善報告を求めております。引き続き必要な調査を行っております。
 ご指摘を受けるまでもなく、認可保育所、認証保育所を問わず、不適正なところがあれば指導を行い、厳正に対処してまいります。
 次いで、保育への企業の参入についてでありますが、認証保育所制度は、多様な事業主体の参入による競い合いの中で利用者本位の保育サービスの提供を目指すものであります。
 認可保育所においても、規制緩和の観点から、平成十二年に民間企業の参入が認められました。
 都としては、認証保育所、認可保育所ともに、多様な事業者の参入により整備を進め、待機児童を解消してまいります。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  二点の質問にお答えいたします。
 まず、原油価格上昇に伴う不当な便乗値上げの監視と国への要望についてであります。
 都においては、物価の異常な上昇や便乗値上げなどにより対策の必要性を生じた場合には、消費生活条例に基づき、商品を指定して特別調査を行い、監視を強化するとともに、不適正事業行為として認定した場合には是正勧告を行うこととしております。
 一方、最近の物価動向を見てみますと、かつてのオイルショック時の狂乱物価と同じような状況になるとは思われませんが、原油価格の変動に伴い生じる都民生活への影響については、庁内関係八局から成る原油価格変動に伴う行政連絡会議を通じて注意深く見守っております。
 また、生鮮食料品や石油製品など生活に密着した四十五品目については、国の小売物価統計調査報告に基づき、その価格動向を把握し、都民に情報提供しております。
 なお、十二月五日には、原油を取り巻く国際情勢や市場価格の動向を監視し、便乗値上げ等が発生することがないよう、国に対して適時適切な対策を講じるよう緊急要望したところでございます。
 次に、公衆浴場の設備更新等に対する助成についてでございますが、都内の公衆浴場業界では、国際的な原油価格の動向に左右されにくい都市ガス等への使用燃料の転換について、現在、具体化に向けて動き始めております。
 都としても、比較的クリーンで環境にも優しく、価格が安定しているエネルギーへの転換を促進する必要があると考えており、業界の取り組みを支援する目的で、来年度の予算要求を、せっかくのご指摘ではございますが、既に行っております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) お答えいたします。
 灯油代の補助についてでございますが、国は、原油価格の高騰に伴います国民生活等への対策として、寒冷地において、生活困窮者に対する灯油購入費助成など、地方自治体が行う原油価格高騰対策に要する経費につきまして特別交付税を措置する方針を決めたと聞いております。
 詳細は承知をしておりませんが、これはあくまでも国の原油対策として、国の判断と責任によって実施されるものであると認識をしております。
 次に、高齢者に対する課税についてでございますが、六十五歳以上の方に対する公的年金等控除の縮減や住民税非課税措置の廃止につきましては、少子高齢化が進む中、社会保障給付等に要する費用を、現役世代、高齢者世代がともに公平に分かち合うためのものと理解をしております。
 ご提案の高齢者に対する税の還元策は、こうした改正の趣旨にふさわしくないことから、都として実施する考えはございません。
 なお、都はこれまでも、所得の低い高齢者に対して、介護保険サービス利用者負担額軽減制度を独自に拡充するなど、きめ細かな支援に取り組んでおります。
 次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものでございます。経過措置を継続することについては、先ほどお答えいたしましたとおり、適切に検討してまいります。
 次に、後期高齢者医療制度についてでございますが、後期高齢者医療制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識をしておりまして、国に制度実施の中止を求める考えはございません。
 また、先ほどお答えいたしましたとおり、都としては、広域連合が行う後期高齢者の健康診査事業に対する財政支援など、今後、制度の円滑な実施に向けて効果的な支援策を検討してまいります。
 低所得者に対する新たな貸付制度についてでございますが、詳細については現在検討を行っているところであります。
 この制度は、生活向上への意欲がある者に対し、生活資金等の貸し付けにより、安定した生活及び就労の促進を図るものでありまして、基本的に、返済の免除や三年にわたる長期の据置期間を設定する考えはございません。
 次に、認証保育所の基準についてでありますが、認証保育所事業実施要綱において、大都市の実情を踏まえ、面積等を一部緩和しているほかは、基本的には認可保育所の基準と同水準に定めております。
 お尋ねの四点についてでございますが、まず、部屋の仕切りについては、認可保育所では二歳未満児とその他の児童を分けているが、認証保育所ではさらにゼロ歳児の保育場所を区切るなど、より詳細な基準を定めており、安全が確保されております。
 第二が、二階に設置する場合は、一階に設置する場合に比べて、建物の耐火性、避難路の確保、転落防止等について、より安全面に配慮した基準としております。
 第三に、屋外遊戯場については、付近にある公園を屋外遊戯場とすることができることは認可保育所と同様でありまして、距離や移動の安全性等について実地に確認をしております。
 第四に、職員配置につきましては、保育従事職員の配置基準を定め、開所時間の長さに応じ、必要な職員を加えることを義務づけております。
 今後とも、この基準に基づきまして、各施設を適切に指導してまいります。
 なお、職員の待遇改善については、各事業者が適切に対応すべきことと考えております。
 次に、認証保育所に対します指導検査の結果についてでございますが、平成十八年度の実施状況は、認証保育所では、文書指摘を行った施設数が百十二カ所であり、指摘率は五〇%、改善率は九六%であります。
 一方、認可保育所では、文書指摘を行った施設数が百五十六カ所、指摘率は五一%、改善率は八四%であります。
 したがいまして、指摘率はほぼ同等でございますが、改善率では、認証保育所が認可保育所を上回っております。
 なお、文書指摘を受けました百十二カ所の認証保育所のうち、株式会社及び有限会社を合わせて五〇%でありまして、その他の経営形態の認証保育所と特段の差はないと認識をしております。
 次に、指導検査体制の強化についてでありますが、都はこれまでも、指導検査機能の集約化や福祉サービス専門員の活用などにより、指導検査体制を充実強化してまいりました。
 中でも、悪質な法令等の違反に対しましては、機動班による緊急指導検査を実施するとともに、日常的に運営指導を行う区市町村とも連携した効果的な指導検査を進めてまいりました。
 今後とも、こうした実効性ある指導検査体制により、適切に対応してまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) ガソリンに係る揮発油税等についてでございますが、ガソリンに対しましては、揮発油税及び地方道路税が課税されておりまして、揮発油税の一部及び地方道路税の全額は、地方に配分される貴重な道路財源でございます。
 したがいまして、国に対し揮発油税及び地方道路税の軽減を求めることは考えておりません。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、低所得者の方々への職業訓練についてでありますが、この訓練は、お話のネットカフェ等が生活の拠点となっている方も含め、額に汗して懸命に働きながらも低所得の状態から抜け出せない方々のうち、受講を希望する方を広く対象としております。
 また、訓練の規模につきましては、従来の職業訓練の考え方と同様、適切な規模で実施してまいります。
 次に、新銀行東京の存在意義についてでありますが、新銀行東京では、中小企業向け融資につきまして、小口の顧客に対する支援に重点を置いた取り組みを進める一方で、経費の削減など経営改善の取り組みを進めております。
 ポテンシャルの活用など、都との連携は、こうした経営改善に資するものであって、中小企業に役立つ銀行という設立目的を否定するものではございません。
 次に、新銀行東京の信託業務の活用についてでありますが、新銀行東京の経営改善に当たりましては、信託業務を初め、銀行の持てる力を最大限に活用することが重要であります。
 新代表のリーダーシップのもとで、銀行が組織を挙げて経営改善にあらゆる努力を注いでいくことを期待しております。
 最後に、新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京は、最近の厳しい競争環境にさらされながらも、中小企業金融において役割を果たす一方で、現在、思い切った経営改善に取り組んでおります。
 今後におきましても、新銀行東京が足元の状況をしっかり見据えて、デフォルトの抑制や営業経費の削減など、経営改善の取り組みを着実に進めていくことが重要であります。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の臨時職員の賃金等についてでございますが、都では、毎年度の予算見積もりに当たって、通勤費相当分を含む、適切に算定した賃金の参考単価を財務局が各局に通知をしております。
 また、臨時職員は、一時的、臨時的な行政事務の増加に弾力的に対応することを目的として雇用するものでございまして、これに正規の職員を充てることは、事業の効率的な執行等の観点から適当ではないと考えております。
 次に、非常勤職員の待遇等についてでございますが、非常勤職員は、常勤職員とは勤務時間や職責などに違いがあり、異なる制度として位置づけられております。
 また、非常勤職員の報酬は、その職務の遂行に対する純粋な反対給付としての性格を持つものであり、生活給的な要素も含む常勤職員の給与とは基本的に異なるものであります。
 以上のことから、都の常勤職員として位置づけることや、常勤職員と同等の待遇を保障すべきとの指摘は適当ではないと考えております。
 最後に、都の事業委託のあり方についてでございますが、都の事業は、申すまでもなく都民の税金で賄われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮することが強く求められております。
 このため、都は全庁を挙げて、業務委託などさまざまな事業手法を積極的に導入し、都民サービスの質の向上と業務の効率的執行に努めてまいりました。
 今後とも、こうした努力を積み重ね、効率的、効果的な事業執行を推進してまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) まず、オリンピックの招致経費と寄附等についてでございますが、招致経費につきましては、予算に基づきまして、適正かつ効率的に執行しており、今後ともそうした執行に努めてまいります。
 また、東京オリンピック招致委員会に対する寄附と協賛金についてでありますが、オリンピック・パラリンピックの開催の意義や効果等を十分にご理解いただいた上で、多くの方々に資金協力をお願いしているところでございます。
 企業からの寄附等の額につきましては、現在、企業、団体等と最終調整の過程にあり、資金調達に向けての戦略上、現時点ではこれを公表することを控えております。
 外郭団体からの寄附金についてですが、招致活動に対しては、都民、国民からの広範な支持が必要であり、民間企業のみならず、多くの個人、団体に対しても協力要請を行っているところでございます。
 こうした考え方から、このたび、監理団体等に対しましても協力をしていただくよう要請いたしましたが、収益から寄附するか否かは各団体の判断であり、税金の還流という指摘は当たらないというふうに考えます。
 次に、署名活動についてですが、署名活動は、都議会の招致議員連盟にご協力をいただきながら、さまざまなチャンネルを通じて、オリンピック・パラリンピック東京招致に賛同する都内や全国の方々に、あくまでも任意で署名をお願いしているものでございます。
 また、小学校などの場を活用したオリンピックイベントは、スポーツを通じて身体と精神を高めることを目指すオリンピズムの普及促進を目的としたものであり、大変盛況であったと聞いております。
 今後とも、いろいろな機会をとらえて、オリンピック招致機運の盛り上げと、オリンピックムーブメントの展開に努め、多くの方々にオリンピズム並びにオリンピック・パラリンピック競技大会のすばらしさを伝えてまいります。
 世論調査についてでありますが、今回、東京オリンピック招致委員会が二度にわたり実施した世論調査は、人口構成を反映した提携モニターからの無作為抽出により、二度の調査の合計で、都内二千人、全国六千人を対象に、インターネットを用いて、十二月初旬に行ったものでございます。
 また、調査の際には、施設整備費が記載されている開催基本計画及び大会運営費等が記載されている開催概要計画書を見ることができるように、調査書の画面の中でリンクを張りまして、開催経費の内容がわかるようにいたしました。
 このように、調査は公正で客観的に行われたものと認識しております。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 各局予算の執行等についてのご質問でございますが、各局の予算は、改めて申し上げるまでもなく、当該局の事業目的を達成するために計上されているものでございまして、各局におきまして、その趣旨に基づき適切に執行されているものと考えております。
 同時に、オリンピックの招致は、現下の都政の最重要課題の一つでございます。各局が事業を実施するに当たりまして、この課題に資するよう意を用いることは当然のことでございます。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) まず、外環でございますが、外環は、首都圏の人と物の流れを円滑化するとともに、首都東京の国際競争力を高め、快適で利便性の高い都市を実現する上で必要不可欠な道路でございます。
 今後とも、一日も早く事業に着手するよう、あらゆる機会をとらえまして、国に対して強く働きかけてまいります。
 次に、羽田─築地間のトンネル道路でございます。
 羽田空港アクセスの向上は重要な課題でございます。お尋ねの道路につきましては、研究してまいります。
 また、多摩新宿線につきましては、これまでの調査におきまして、整備の必要性は高いものの、事業主体や採算性が課題とされており、引き続き長期的な視点で検討を進めてまいります。
   〔百四番曽根はじめ君登壇〕

○百四番(曽根はじめ君) 何点か、知事に再質問いたします。
 まず、認証保育所について、三点質問します。
 第一は、じゃんぐる保育園の事態の認識についてです。
 都はようやく文書指導しましたが、我が党の調査では、その指導内容は、要綱で定めた要件を有しない人が施設長とされている、職員数が足りない、労働者名簿が整備されていないなど、二十一項目に及ぶ重大なものです。
 知事、これが保育園としてあってはならない深刻な問題だという認識があるのですか。職員の架空申請など、補助金不正受給の疑惑まで踏み込んで調べるのかどうか、答えてください。
 第二は、設置基準の問題です。
 じゃんぐる保育園の保育室は、乳児と幼児の部屋の仕切りがないワンルームです。こんな認可保育所はありません。せめて固定式のさくの設置が必要ではないのですか。安全に配慮しているといわれましたが、階段に子ども用手すりの設置は必要ないのですか。
 園庭の代替施設について、じゃんぐる保育園の場合、子どもの足で二十分かかることを、我が党は現地調査で確認しています。これでも問題ないのですか。それぞれ答えてください。
 第三は、指導検査結果の問題です。
 認可保育所も営利企業の認証保育所も違いないかのような答弁でしたが、ごまかさないでください。我が党は認可の結果も調べています。
 認可保育所の場合、公立保育園はほとんど書面検査だけです。それで大きな問題はないからです。昨年度の文書指摘は、その多くが実務上の問題で、認証保育所のように、保育士資格を持つ職員がいないとか、正規職員がいないなどという施設はありません。違いますか。答弁を求めるものです。
 それから、オリンピックの協賛金についてですが、オリンピック招致の経費は、五十五億円のうち四十億円が企業などの寄附や協賛金で賄うとされています。なぜ総額さえいえないのですか。恥ずかしくていえないほど集まっていないとしか思えませんが、いかがですか。私たちは知事に聞いていますので、知事がお答えください。
 最後に、知事は、貧困と格差の問題を、部分的だとか、我が党のプロパガンダなどと述べましたが、とんでもありません。この問題はさきの参議院選挙で争点となり、有権者の厳しい審判が下された、国民の最大関心事です。
 大体、知事は所信表明でも、きょう、福田首相に出した重要施策のリストでも、都民の暮らしをどう守るのか、全く触れていません。こんなことでは知事の資格がないといわざるを得ません。
 以上、再質問といたします。(拍手)
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 追加の質問をいただきましたが、質問につきましては、先ほどの知事の答弁でお答えしておりますけれども、改めてご質問がありましたので再度お答えをいたしますが、じゃんぐる保育園の項目につきましては、私どもは八月と十月に立ち入りをし、そして、その結果をもとに、この十二月六日に文書指摘をしたところであります。
 なお、文書指摘と同時に、それの回答を一カ月後にいただくことになっておりますが、引き続き実態については調査をするということを、先ほど知事からご答弁を申し上げております。
 また、認可基準につきましては、面積につきまして、大都市の特性を踏まえて若干緩和をしてございますが、基本的には認可と同水準のものであるということを先ほどご答弁申し上げました。
 屋外遊戯場についてもご発言がございましたが、近所の公園でもいいというのは認可も同様でございます。その安全性については、先ほど、現地を訪れて確認したとご答弁申し上げております。
 そして、認可の結果でございますが、私どもが行いました指導検査結果によれば、認可におきましても指摘事項が同様の率で出ているというのは事実でございます。
 なおかつ、先ほどは、認証保育所はルール違反がはびこっているというようなことでございましたが、認証保育所につきましても、経営形態によって大きな差はない、こういうふうに申し上げたところでございますので、知事答弁並びに私の答弁をお聞きいただければ、十分ご理解できることではないかというふうに思っております。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) 企業からの寄附金についてでございますけれども、既に、現在協力いただいているサポート企業については、新聞、プレス等で発表したところでございまして、その他の企業、団体等との最終調整を現在やっている過程でございます。
 したがいまして、総額といえども、資金調達に向けての戦略上、現時点ではこれを公にすることは控えております。
   〔発言する者多し〕

○議長(比留間敏夫君) お静かに願います。
   〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 貧困と格差の問題についてでございます。
 貧困や格差の存在につきましては、先ほど知事からご答弁申し上げましたとおり、正確な現状認識に基づきまして対応しているところでございます。
 繰り返しになりますが、第三回定例会でも方針をお示ししましたとおり、低所得の方々への支援策につきましては、今後、着実に具体化をしてまいります。
 また、原油価格の変動に伴う物価上昇等につきましても、既に国に対策を申し入れているところでございます。
 ご指摘をまつまでもなく、都として適切に対応してまいります。

○六十七番(石森たかゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時散会

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