○副議長(石井義修君) 百四番曽根はじめ君。
〔百四番曽根はじめ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○百四番(曽根はじめ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
二年前、私は、都民の深刻な貧困と格差の是正を提起しましたが、知事は、東京にはさしたる貧困も格差もないと開き直りました。
今、貧困と格差があらゆる分野に拡大し、社会のゆがみとなっていることが共通認識となりました。これは、十年来の構造改革路線のもとで、雇用の破壊、中小企業の切り捨て、庶民増税や医療、介護など、負担増がもたらしたものです。
都の福祉保健基礎調査では、この九年間で、年収三百万円未満の世帯が九六年の一五%から二七%へと倍近くにふえ、別の調査では、勤労者の階層別賃金は、高額所得階層が六年間で平均一五%伸びた一方で、低所得層の平均賃金は逆に四割も減っています。貧困化が格差を激しくしているのです。
それに加えて、都民を直撃しているのが、原油高騰に端を発したガソリンや灯油、商工業者の原材料、食料品や生活必需品にまで及ぶ物価高騰の動きです。
灯油は、三年前の十八リットル千円が現在、配達で千八百円。年明けには二千円を超すといわれ、低所得者のぎりぎりの暮らしを脅かしています。北区に住む七十八歳の男性は、昼間は外で過ごして石油ストーブは夕方だけ、どうしても寒いときはガスコンロで暖をとると話しています。穀物など輸入品も上昇し、ビール、食パン、即席めんなどの食料品、紙類など生活用品も上がり、ガス、電気も値上げが予告されています。中小零細業者も、原材料が上がる中で、値上げを価格に転嫁できず、苦しんでいます。
知事は、所信表明で、こうした都民の苦しみに言及しませんでした。都民の貧困と格差の増大、そして物価高騰について、どう認識し、対処するのか、都民の前に明らかにすべきです。答弁を求めます。
私は、物価対策として、かつてオイルショックの際に物価Gメンを配置して洗剤などのため込みを摘発したように、必要な調査体制をとり、大企業の不当な便乗値上げを監視するとともに、原油価格の上昇により都民生活に影響を及ぼすことのないよう、国に強く要望すべきと思いますが、見解を伺います。
また、国が灯油代補助を支援する方向であり、都としても区市町村と連携して、所得の低い世帯に対する灯油代への助成などを実施することを提案します。いかがですか。
また、国にガソリン税の軽減などを強く求めるとともに、重油などを使う公衆浴場への燃料代や、ガスへの設備更新に思い切った助成を行うことなどが急がれていると思いますが、それぞれ答弁を求めます。
貧困をなくし、格差を是正するために、庶民減税はもとより、抜本的な雇用対策や経済支援が必要です。ところが、事もあろうに石原知事は、個人都民税の減税の公約を撤回したのです。しかも、そのかわりに公約の進化だといって持ち出した施策は、極めて不十分です。
都が失業者の生活保障の経済給付を職業訓練期間に限定して盛り込んだことは、対象者が極めて限定されているとはいえ、我が党の主張の一部が実現したものです。
しかし、都民税減税の対象者が八十万人で七十億円規模だったのに対し、今回、経済給付の対象は、三年間でも二万人程度、金額も二十億円程度にすぎません。しかも、施策のほとんどは貸し付けや相談窓口などで、極めて不十分なものであり、高齢者などは対象にすらなっていません。
私は、都が以下のことを実施するよう提案します。
まず、高齢者です。老年者控除の廃止など、高齢者への年金課税の強化によって、六十万人を超える高齢者が増税となり、二十二万人の高齢者が新たに住民税課税となりました。高齢者は百億円近い増税になっています。この税収増を、暮らしが大変な高齢者に還元すべきだと思いますが、どうですか。
また、住民税課税となった高齢者へのシルバーパスの負担軽減の継続が必要です。お答えください。
後期高齢者医療制度について、知事は前定例会で、貧しい年寄りは早く死ねということになっては決してならないと答弁しましたが、示された保険料は平均十万二千九百円、加入者の九割以上が増額、二倍前後の負担増も出るというものです。
知事、国に後期高齢者医療制度の四月実施中止を求めるべきではありませんか。あくまで国が実施する場合、広域連合が実施する健診などへの財政支援を行うべきです。お答えください。
また、保険料引き下げに向けた都の支援を強く求めておくものです。
次に、ワーキングプア対策です。
今回の都のワーキングプア対策は、ネットカフェ難民対策を除けば、相談窓口設置と貸し付けなどに限られています。
ネットカフェ難民対策も、対象や対策の内容が不十分である上、職業訓練を既存の訓練の枠内で行うため、一般の受講者が締め出されかねません。対象を広げ、別枠で希望者に応じて拡充すべきです。
貸し付けは、半年がたつと返済が始まるなど、失業者やネットカフェ難民には条件が厳し過ぎます。返済免除も必要です。少なくとも据置期間を三年程度に設定すべきと思いますが、それぞれ答弁を求めます。
東京都の仕事をする労働者の中に、ワーキングプアをつくり拡大させてきた、いわゆる官製ワーキングプアの是正を避けては通れません。
八年間の石原都政は、一万二千人の職員定数を削減し、非正規職員や、安上がりの民間企業委託をふやしてきました。今、正規職員十六万六千人に対し、約二万三千人の非正規職員がおり、公社、監理団体にも三千七百人の非常勤や派遣職員が働いています。
臨時職員は、学校を除く都の事務系職場で年間延べ四千五百人近くが働いていますが、交通費込みで時給七百九十四円です。民間のアルバイトよりも低い低賃金を強いられており、まさに官製ワーキングプアがつくられているのです。
財務局は、交通費込みで時給七百九十四円という参考単価を各局に示していますが、これでまともな生活ができると思うのですか。都の臨時職員の賃金を少なくとも時給千円以上に改善するとともに、交通費は別支給にすること、さらに正規職員化を進めるべきです。
消費生活センターの相談員やウィメンズプラザなどの専門職の非常勤職員は、都職員と同等の仕事につきながら、月収は三分の一以下で、ベテランになればなるほど格差は開くばかりです。本来は、都の正規職員として位置づけることが必要です。少なくとも都の職員と同等の待遇を保障すべきです。
それぞれ答弁を求めます。
コスト第一の民間委託によって、例えば都庁の清掃に従事する企業で働く人は、月十数万円程度で働かざるを得ない人が多いのが実態です。こうした状況をどう認識しているんですか。ワーキングプアをつくり出しているとしか思えません。コスト削減第一の安易な委託は抜本的に見直すべきではないか。知事の答弁を求めます。
今、浪費に浪費を重ねるという点でも、環境対策という点でも、オリンピックをどうするかが都政をめぐる最大の焦点になっています。
先日、オリンピック招致委員会が開催基本計画を発表し、IOCによる開催都市の選考に当たっての基本的な計画が明らかにされました。この計画は、競技施設を中心に変更が加えられ、これまでの開催概要計画書以上に財政規模が拡大され、環境破壊をもたらす危険の強いものです。
まず財政です。
第一に、競技施設建設費にかかわる費用ですが、全体として、都民の批判の強い箱物行政が復活したといわざるを得ません。中でもメーンスタジアムは、国立競技場とは別に、わざわざ都立で建設することになりました。しかも、建設される晴海地区は、地震の際に液状化が必至といわれており、運河にかける避難用の橋梁や護岸改修が欠かせないなど、その経費は大きく膨らみます。加えて、交通アクセスのために、大江戸線勝どき駅の改修や動く歩道、暑さ対策としてのドライミストの設置、連結バスの導入などを行います。全体として、メーンスタジアム関連だけで最低でも四千七百億円必要となります。
さらに、十一の競技施設が変更され、中でも競技施設の大きな新設を四つも行うことになったため、経費が増大します。バレーボール会場は、既存の駒沢競技場を改修して活用することをやめて、代々木公園のB地区に新設されることになり、百億円が必要となります。また、中央防波堤の水路に決定したボート競技も、水門や護岸整備などで新たに百七十億円もかかります。
第二に、オリンピックが終わった後の競技施設の維持管理費の問題です。これは長期の負担となるため、オリンピックを開催した多くの都市で赤字をふやす要因になっています。だからこそ、IOCも新規建設を抑制し、既存施設や仮設施設の活用を求めているのです。
ところが、新たに六つもの箱物をつくるため、その維持管理費だけでも、我が党の推定では年間二百億円になると思われます。仮にPFIでやるにしても、後利用が見込めない限り、都の補助頼みになることは明らかです。
知事、施設の建設費、さらには維持管理費に幾らかかるのか、どのくらいの利用を見込み、財政収支はどう見込むのか、都民に明らかにすべきです。お答えください。
第三に、招致活動でも莫大なお金がつぎ込まれていることです。招致経費のうち、都の負担分は十五億円とされていましたが、来年度予算も含めると、オリンピック招致本部の関係予算だけで既に五十一億円と、これを大きく上回ります。
これ以外にも、年度途中にもかかわらず、各局の経費の中で、さまざまな形でオリンピックキャンペーンが実施されています。例えば、商店街から喜ばれ、予算が足りないほどといわれている新・元気を出せ商店街事業では、当初の予算段階ではなかったオリンピックのフラッグ掲揚が事業として追加され、一億円以上が充てられています。年末大売り出しの旗を出せないで困っている、お金は年末のイベントなどに回してほしいなどの批判の声が上げられているのです。
六千三百万円かけた緑の基金のテレビスポットも、いつの間にかオリンピック宣伝になっています。交通局は、地下鉄の駅のコンコースで、オリンピックPRとスタンプラリーを行っています。
知事、このままではオリンピック経費は膨れ上がる一方です。もっと抑えるべきではありませんか。大体、四十億円集めるとした企業の協賛金は幾ら集まっているのですか。
各局の予算は本来の目的に使うべきであり、オリンピックに動員されるようなことがあってはならないと考えますが、知事、どうですか。
また、公社などの都の外郭団体に寄附金を要請したそうですが、これは税金の還流となるもので許されません。
それぞれ知事の答弁を求めます。
一番金額がかさむのは、オリンピックをてこにしたインフラ整備です。三環状道路を初め、オリンピックに間に合わせるためのインフラ整備は約七兆円、都の負担は三兆円にもなりかねません。知事、これだけの投資をこの十年間にやることは余りに無謀です。
中でも、地元住民や自治体から批判や反対の声が上げられている外環道は、国の新直轄方式でも三千三百七十五億円、新会社と折半では六千七百五十億円という莫大な持ち出しとなるもので、知事が建設を急げば急ぐほど東京都の負担がふえ、場合によっては一兆三千五百億円を東京都が丸抱えすることにもなりかねないものです。これに六千億円の上部道路が加わります。少なくとも外環道の早期建設を見合わせ、再検討すべきです。
また、知事が無責任に言及した羽田─築地間のトンネル道路や横田基地と都心を結ぶ高速道路多摩新宿線は建設しないと言明すべきです。
それぞれ知事の答弁を求めます。
オリンピック関連投資は総額九兆円に及び、都の負担はその半分にも達するもので、オリンピック計画を白紙に戻すことこそ求められていることを重ねて指摘しておくものです。
知事は、オリンピックに向け、新たに一千ヘクタールの緑をふやす、世界で最も環境負荷の少ない都市をつくるなどの目標を掲げています。我が党は、これが絵にかいたもちにすぎないことをかねてから指摘しています。
今回の計画で、新たに建設される競技施設のほとんどが夢の島公園や代々木公園などの都立公園に建設が予定されており、恒久施設のところは半永久的に緑が失われることになります。いずれも、都民の憩いの場として多くの都民に利用されているところばかりです。
また、知事は、中央防波堤内側に八十八ヘクタールの海の森をつくると宣伝していますが、この間に二千七百ヘクタールの緑が失われるのを放置してきただけではなく、新たに稲城市の南山丘陵の開発計画を進めることで、六十三ヘクタールもの緑をつぶそうとしています。大体、二十三区の人口一人当たりの都市公園面積も、二・九平方メートルと大都市平均の四割にも満たず、最低を続けているではありませんか。
知事、緑の公園をつぶして、どうして環境に配慮したオリンピックといえるのですか、見解を伺います。
東京都がなりふり構わず進めているオリンピック招致活動にも、疑問と批判の声が上げられています。
知事は、署名が百万人集まったなどと胸を張っていますが、その実態は、町会や企業を通じて、半ば強制的に集めたという批判の強いものです。町会の回覧板で回されてきて、新聞の投書欄には、拒否することに勇気が必要だった、直ちにやめてほしいなどという声が掲載されています。
我が党が入手した資料によれば、石原知事の要請を受けた東京電力で、職場ぐるみ、利益誘導型の署名集めが行われていたことが明らかになりました。本社総務部長から各部長、各所長などに協力依頼のメールが発信され、選手村でのヒートポンプ熱源や原子力発電など、オリンピックに協力することが東京電力のメリットになることが、東京都副知事のコメントとともに書き込まれています。露骨な利益誘導の協力依頼です。
また、小中学校の授業時間中にオリンピックイベントを開かせ、子どもを参加させるなど、招致活動に教育を巻き込むことも各地で行われています。
知事、企業ぐるみの署名活動や強制に近い署名、さらには教育を巻き込むようなことは改めるべきですが、答弁を求めます。
東京都は、こうした異常ともいえるキャンペーンを展開した上で、今月上旬に実施した世論調査の結果を発表しました。賛成が六二%と、目標とした七〇%には達しませんでした。しかも、今回の調査は、調査専門会社に登録されたモニターによるインターネット調査であり、一般的な無差別調査と異なり、思考や趣味、年齢などに偏りがあることから、意思決定のデータとしては代表性の問題から向いていないことは、調査会社自体が明確にしているものです。都民を対象にした世論調査では、オリンピック招致の中止、再検討を求めるものが、読売で六七%、朝日で六九%となっています。
世論調査というなら、オリンピックに関連して幾らのお金を使うのか明らかにすべきです。また、無差別抽出による公正で客観性が保証される方法で実施すべきです。知事の答弁を求めます。
次に、知事のトップダウン事業の中で、とりわけ破綻が深刻な新銀行東京についてただします。
先月末、二〇〇八年の中間決算が発表されました。不良債権処理のための経費が計画の一・六倍の七十一億円、累積損失が、わずか二年半で都の出資金の一千億円の九四%に当たる九百三十六億円に達するなど、ことし三月の決算からも、都が六月に策定した新中期経営計画からも後退するという深刻なものでした。都民に衝撃を与え、マスコミも、存続は重大な局面を迎えている、まさに背水の陣と厳しい評価を下しています。
本業の融資による収益は十六億円にすぎず、人件費だけで終わってしまいます。不良債権を四十六億円も償却したのに、個別引当金が新たに積み増しされるなど、融資業務は改善どころか悪化の一途をたどっています。さらに深刻なことは、融資が行き詰まっているために、預金の五割が預金の利息より低い利息収入しかない国債の購入に充てられているため、莫大な損失が生み出されていることです。
企業として成り立っていないのです。なのに、この銀行を立ち上げた張本人である石原知事は、本議会の所信表明で一言も触れませんでした。本当に無責任です。しかも、打開策は事態をさらに悪化させるものです。
第一に、元副知事に加え、都の港湾局長を代表執行役として派遣し、都のポテンシャルを活用するとしていることです。
知事は、民間でなければできないと繰り返し表明してきたではありませんか。なぜ今になって、次々と銀行経営の素人である都職員を経営の中枢に送り込むのですか。大体、この人たちは、新銀行設立の当初からかかわり、失敗の原因となった経営計画を立案してきた当事者ではありませんか。この人たちを経営陣のトップに据えざるを得ないということ自体、新銀行がもはや民間からも見放されたことを示すものにほかなりません。知事、見解を伺います。
また、都のポテンシャルの活用ということが、臨海副都心開発やオリンピックのための公共事業の資金調達や債券発行に新銀行を活用するということであれば、形を変えた税金による救済です。文字どおり、東京都の丸抱え銀行ともいうべきものになります。しかも、中小企業に役立つ銀行という設立目的をみずから否定することになり、存在の意味は全くなくなります。知事の見解を求めます。
第二に、旧BNPパリバ信託銀行の業務を活用することで経営立て直しを図るとしていることです。
信託業務の活用は、金融商品などのハイリスクの投資をふやすことになり、銀行経営のリスクを大きくします。大体、パリバ信託銀行自体が、信託業務で失敗したからこそ新銀行に身売りしたのです。しかも、それを、金融や投資の経験もなく、官の世界から派遣された経営者にゆだねるというのでは、無謀としかいいようがありません。知事、どうですか。
知事、潔く経営破綻を認めるべきではありませんか。今度こそ、部下に責任をとらせるのではなく、設立の責任者としてみずからが責任をとるべきです。直ちに第三者委員会を設置して破綻処理に踏み出すべきですが、答弁を求めます。
第三に、知事は、追加出資について、今はしないが、経営陣からニーズがあれば考えるべきと表明しました。きっぱりと追加出資はしないと都民に約束すべきです。答弁を求めます。
最後に、認証保育所の問題です。
我が党の調査で、石原知事が福祉施策の目玉としてきた営利企業による認証保育所制度の欠陥が明らかになりました。
第一に、ルール違反がはびこっていることです。
株式会社が設置運営しているじゃんぐる保育園の問題は、とりわけ重大です。都の認証保育所事業実施要綱で専任の施設長を置くことが義務づけられているのに、長期にわたり施設長がいない。開設申請書の職員名簿のうち五人は虚偽申請の疑いがあり、七人の保育士が必要なのに、開設時は二人しかおらず、この十一月末まで七人そろったことがありませんでした。問題発覚後、じゃんぐる保育園は、施設長について実名を挙げて長期欠勤状態だと説明した、代表・三谷氏名の十二月三日付のおわびの文書を保護者に配布しました。しかし、東京都はこの方を施設長として受理していません。またしても虚偽の説明を繰り返しています。
そもそも、昨年六月の開設当初から数々の問題があったのに、都が立入調査をしたのがことしの八月というのは遅過ぎます。調査後の対応も不十分で、保護者や保育士がかねてから要望していた階段の子ども用手すりも設置されず、十月末には子どもの転落事故が起きています。調査後に機敏な対応をしていたら事故を防げたはずです。
施設長が長期間いない問題や、職員の架空申請などの数々の不正疑惑、子どもの安全が確保されていない実態などについて、どう認識しているのですか。徹底調査を行い、子どもや職員に不利益が及ばないよう万全な配慮をしつつ、厳正に対処すべきと考えますが、それぞれ知事の答弁を求めます。
いま一つは、認証保育所A型の設置運営基準が余りにも不十分であり、緊急に改善が必要なことです。
第一に、乳児の部屋と幼児の部屋をきちんと仕切ること。せめて固定式のさくの設置を義務づけること。
第二に、火を常用する飲食店などの上の階への設置は認めないことや、子どもと一緒に避難できるような非常階段など、安全面の基準を強化すること。
第三に、園庭にかわる施設を認める場合は、例えば子どもの足で移動時間十分以内、幹線道路は横断しないなどの基準を明確にすること。
第四に、十三時間開所にふさわしい職員配置への改善や職員の待遇改善を進め、経験年数が長い保育士を雇用することができるようにすること。
以上四点について設置運営基準自体を強化するとともに、各園における改善に向けた努力を支援することが必要だと考えますが、それぞれ見解を伺います。
私が指摘したことは、保育の質の確保よりも、企業参入拡大を最優先にしてきた知事の政策の問題です。
我が党は、認証保育所に対する過去二年間の指導検査結果を分析しましたが、驚くべきことに、全施設の三分の一がさまざまな問題点を文書で指摘されています。認可保育所への文書指摘はせいぜい一割程度で、多くは実務上の問題ですから、この面からも認証保育所に大きな問題があることが浮き彫りになっています。とりわけ、営利企業によるものは、業界大手も含め、職員数が足りないなど重大な問題が多く、改善されない傾向が明らかになりました。
二〇〇六年度では、営利企業の五十四施設に文書指摘がありました。毎月の避難訓練、消火訓練を実施していない、二十一施設、施設長が他の業務を兼務している、十六施設、開所時間は二名以上の保育士を配置するルールを守っておらず、朝晩など一人体制になっているが四施設、その他、必要な職員数が足りない、保育士資格がある職員がいない、正規職員がいないなど事態は重大です。
前年度に指摘をされ、改善済みと報告されているのに、翌年度また同じ指摘が繰り返されている場合もあります。
知事、認証保育所に対する都の指導検査の結果をどう認識しているのですか。
二〇〇五年に、日本女子大学大学院が、認証保育所の施設環境の現状を調査し、課題を取りまとめた研究成果を発表しています。それによれば、児童一人当たりの面積が認可保育所に比べて狭い、園庭がない、遊戯室がない、採光が不十分などの課題を挙げ、認証保育所に偏重することは、認可保育所を含めた保育施設全体の水準を引き下げかねないと結論づけています。既に三年前にこういう指摘がされ、その後、営利企業による認証保育所のさまざまな問題が明らかになっているのです。
企業参入推進について、保育の質の確保を最優先にする立場から再検討すること、待機児解消は、認可保育所への支援を抜本的に強め、その増設と拡充を基本に据えることを求めるものです。知事の見解を伺います。
また、問題の早期発見、早期解決に向け、指導検査体制強化が必要だと思いますが、答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
まず、都民生活と都政運営についてでありますが、日本が戦後六十年を経て、世界第二位の経済規模を維持しながら公平で自由な社会を築いてきたことは、だれもが認める紛れもない事実であります。格差や貧困の存在は決して否定しませんが、日本全体にそれが充満しているかのような喧伝をするのは、一種のプロパガンダでしかないと思います。
日本がさらに発展を続けていくためには、少子高齢化の進行や人口減少社会の到来を踏まえ、これまでの社会制度を点検し、次の時代に合ったものに再構築することが不可避であります。そうしないと、社会のダイナミズムを維持できず、都民生活の向上そのものが図れなくなります。こうした大局観を全く持たずに、何でもかんでも反対し、一部があたかも全部であるような主張をするのは、事の本質を見誤っているとしかいいようがないと思います。
また、第三回定例会で既に方針を示しておりますが、低所得の方々への支援策について、今後、着実に具体化してまいります。
原油価格の変動に伴う物価上昇についても、先般、国に対策を申し入れ、今後、都民生活への影響を最小限に抑えるべく、都として適切に対応していきます。
都民生活への認識を欠いているといわんばかりの、誤解に基づく主張をしておられますが、それは故意の誤解としかいいようを得ないと思います。
次いで、オリンピックに係る施設建設等の経費についてでありますが、先般発表した開催基本計画にあるように、恒久施設は二千四百六億円、仮設施設は八百四十三億円と見込んでおりまして、国からの補助金や民間資金を活用し、都民の負担をできる限り軽減してまいります。
このうち、オリンピックのレガシーとして、遺産として新たに建設する施設につきましては、大会終了後の都民のスポーツ需要等を勘案し、効率的な維持管理に努めるなど、適切な運営を行ってまいります。
次いで、環境に配慮したオリンピックについてでありますが、東京は、世界一コンパクトな会場配備や最先端技術の活用など、環境に十分配慮した大会を目指してまいります。
競技会場として緑豊かな公園を積極的に活用することは、アスリートたちに最高の力を発揮できる舞台を提供するものでありまして、ロンドンや北京の計画に見られるように、今や世界のオリンピックでは常識であります。東京においても、代々木公園や辰巳の森海浜公園などの都立公園を最大限活用しまして競技会場を整備してまいります。
さらに、海の森を初めとした地球環境への取り組みの成果も十分活用してまいりたいと思います。
このように、二〇一六年大会は、公園をつぶすなどというものではなく、公園の積極活用の考え方に立って行います。
次いで、新銀行東京の代表交代についてでありますが、前代表の健康上の理由による退任という不測の事態を受けまして、銀行は、代表を一日たりとも空席にできないとの判断から、都に適任者の推薦依頼をしてまいりました。
こうした事態を受けまして、都は、新銀行東京の開設に関与した津島前港湾局長を推薦いたしました。
新代表のリーダーシップのもとで、銀行が組織を挙げて経営改善にあらゆる努力を注いでいくことを期待しております。
次いで、新銀行東京への追加出資についてでありますが、追加出資のニーズがあるかないかは、銀行の経営陣がその時々の資本政策の中で判断するものでありまして、今は銀行が経営改善の取り組みを着実に進めていくことが重要であります。追加出資は考えておりません。
次いで、認証保育所についてでありますが、認証保育所は、大都市の多様な保育ニーズにこたえるため、都独自の制度として平成十三年度に創設して以来、認可保育所を上回るペースで整備が進んでおりまして、多くの都民の支持を得ております。
ご質問の認証保育所につきましては、都は既に立入検査や指導を行っておりまして、改善報告を求めております。引き続き必要な調査を行っております。
ご指摘を受けるまでもなく、認可保育所、認証保育所を問わず、不適正なところがあれば指導を行い、厳正に対処してまいります。
次いで、保育への企業の参入についてでありますが、認証保育所制度は、多様な事業主体の参入による競い合いの中で利用者本位の保育サービスの提供を目指すものであります。
認可保育所においても、規制緩和の観点から、平成十二年に民間企業の参入が認められました。
都としては、認証保育所、認可保育所ともに、多様な事業者の参入により整備を進め、待機児童を解消してまいります。
他の質問については関係局長から答弁いたします。
〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、原油価格上昇に伴う不当な便乗値上げの監視と国への要望についてであります。
都においては、物価の異常な上昇や便乗値上げなどにより対策の必要性を生じた場合には、消費生活条例に基づき、商品を指定して特別調査を行い、監視を強化するとともに、不適正事業行為として認定した場合には是正勧告を行うこととしております。
一方、最近の物価動向を見てみますと、かつてのオイルショック時の狂乱物価と同じような状況になるとは思われませんが、原油価格の変動に伴い生じる都民生活への影響については、庁内関係八局から成る原油価格変動に伴う行政連絡会議を通じて注意深く見守っております。
また、生鮮食料品や石油製品など生活に密着した四十五品目については、国の小売物価統計調査報告に基づき、その価格動向を把握し、都民に情報提供しております。
なお、十二月五日には、原油を取り巻く国際情勢や市場価格の動向を監視し、便乗値上げ等が発生することがないよう、国に対して適時適切な対策を講じるよう緊急要望したところでございます。
次に、公衆浴場の設備更新等に対する助成についてでございますが、都内の公衆浴場業界では、国際的な原油価格の動向に左右されにくい都市ガス等への使用燃料の転換について、現在、具体化に向けて動き始めております。
都としても、比較的クリーンで環境にも優しく、価格が安定しているエネルギーへの転換を促進する必要があると考えており、業界の取り組みを支援する目的で、来年度の予算要求を、せっかくのご指摘ではございますが、既に行っております。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) お答えいたします。
灯油代の補助についてでございますが、国は、原油価格の高騰に伴います国民生活等への対策として、寒冷地において、生活困窮者に対する灯油購入費助成など、地方自治体が行う原油価格高騰対策に要する経費につきまして特別交付税を措置する方針を決めたと聞いております。
詳細は承知をしておりませんが、これはあくまでも国の原油対策として、国の判断と責任によって実施されるものであると認識をしております。
次に、高齢者に対する課税についてでございますが、六十五歳以上の方に対する公的年金等控除の縮減や住民税非課税措置の廃止につきましては、少子高齢化が進む中、社会保障給付等に要する費用を、現役世代、高齢者世代がともに公平に分かち合うためのものと理解をしております。
ご提案の高齢者に対する税の還元策は、こうした改正の趣旨にふさわしくないことから、都として実施する考えはございません。
なお、都はこれまでも、所得の低い高齢者に対して、介護保険サービス利用者負担額軽減制度を独自に拡充するなど、きめ細かな支援に取り組んでおります。
次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものでございます。経過措置を継続することについては、先ほどお答えいたしましたとおり、適切に検討してまいります。
次に、後期高齢者医療制度についてでございますが、後期高齢者医療制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識をしておりまして、国に制度実施の中止を求める考えはございません。
また、先ほどお答えいたしましたとおり、都としては、広域連合が行う後期高齢者の健康診査事業に対する財政支援など、今後、制度の円滑な実施に向けて効果的な支援策を検討してまいります。
低所得者に対する新たな貸付制度についてでございますが、詳細については現在検討を行っているところであります。
この制度は、生活向上への意欲がある者に対し、生活資金等の貸し付けにより、安定した生活及び就労の促進を図るものでありまして、基本的に、返済の免除や三年にわたる長期の据置期間を設定する考えはございません。
次に、認証保育所の基準についてでありますが、認証保育所事業実施要綱において、大都市の実情を踏まえ、面積等を一部緩和しているほかは、基本的には認可保育所の基準と同水準に定めております。
お尋ねの四点についてでございますが、まず、部屋の仕切りについては、認可保育所では二歳未満児とその他の児童を分けているが、認証保育所ではさらにゼロ歳児の保育場所を区切るなど、より詳細な基準を定めており、安全が確保されております。
第二が、二階に設置する場合は、一階に設置する場合に比べて、建物の耐火性、避難路の確保、転落防止等について、より安全面に配慮した基準としております。
第三に、屋外遊戯場については、付近にある公園を屋外遊戯場とすることができることは認可保育所と同様でありまして、距離や移動の安全性等について実地に確認をしております。
第四に、職員配置につきましては、保育従事職員の配置基準を定め、開所時間の長さに応じ、必要な職員を加えることを義務づけております。
今後とも、この基準に基づきまして、各施設を適切に指導してまいります。
なお、職員の待遇改善については、各事業者が適切に対応すべきことと考えております。
次に、認証保育所に対します指導検査の結果についてでございますが、平成十八年度の実施状況は、認証保育所では、文書指摘を行った施設数が百十二カ所であり、指摘率は五〇%、改善率は九六%であります。
一方、認可保育所では、文書指摘を行った施設数が百五十六カ所、指摘率は五一%、改善率は八四%であります。
したがいまして、指摘率はほぼ同等でございますが、改善率では、認証保育所が認可保育所を上回っております。
なお、文書指摘を受けました百十二カ所の認証保育所のうち、株式会社及び有限会社を合わせて五〇%でありまして、その他の経営形態の認証保育所と特段の差はないと認識をしております。
次に、指導検査体制の強化についてでありますが、都はこれまでも、指導検査機能の集約化や福祉サービス専門員の活用などにより、指導検査体制を充実強化してまいりました。
中でも、悪質な法令等の違反に対しましては、機動班による緊急指導検査を実施するとともに、日常的に運営指導を行う区市町村とも連携した効果的な指導検査を進めてまいりました。
今後とも、こうした実効性ある指導検査体制により、適切に対応してまいります。
〔主税局長熊野順祥君登壇〕
○主税局長(熊野順祥君) ガソリンに係る揮発油税等についてでございますが、ガソリンに対しましては、揮発油税及び地方道路税が課税されておりまして、揮発油税の一部及び地方道路税の全額は、地方に配分される貴重な道路財源でございます。
したがいまして、国に対し揮発油税及び地方道路税の軽減を求めることは考えておりません。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、低所得者の方々への職業訓練についてでありますが、この訓練は、お話のネットカフェ等が生活の拠点となっている方も含め、額に汗して懸命に働きながらも低所得の状態から抜け出せない方々のうち、受講を希望する方を広く対象としております。
また、訓練の規模につきましては、従来の職業訓練の考え方と同様、適切な規模で実施してまいります。
次に、新銀行東京の存在意義についてでありますが、新銀行東京では、中小企業向け融資につきまして、小口の顧客に対する支援に重点を置いた取り組みを進める一方で、経費の削減など経営改善の取り組みを進めております。
ポテンシャルの活用など、都との連携は、こうした経営改善に資するものであって、中小企業に役立つ銀行という設立目的を否定するものではございません。
次に、新銀行東京の信託業務の活用についてでありますが、新銀行東京の経営改善に当たりましては、信託業務を初め、銀行の持てる力を最大限に活用することが重要であります。
新代表のリーダーシップのもとで、銀行が組織を挙げて経営改善にあらゆる努力を注いでいくことを期待しております。
最後に、新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京は、最近の厳しい競争環境にさらされながらも、中小企業金融において役割を果たす一方で、現在、思い切った経営改善に取り組んでおります。
今後におきましても、新銀行東京が足元の状況をしっかり見据えて、デフォルトの抑制や営業経費の削減など、経営改善の取り組みを着実に進めていくことが重要であります。
〔総務局長押元洋君登壇〕
○総務局長(押元洋君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都の臨時職員の賃金等についてでございますが、都では、毎年度の予算見積もりに当たって、通勤費相当分を含む、適切に算定した賃金の参考単価を財務局が各局に通知をしております。
また、臨時職員は、一時的、臨時的な行政事務の増加に弾力的に対応することを目的として雇用するものでございまして、これに正規の職員を充てることは、事業の効率的な執行等の観点から適当ではないと考えております。
次に、非常勤職員の待遇等についてでございますが、非常勤職員は、常勤職員とは勤務時間や職責などに違いがあり、異なる制度として位置づけられております。
また、非常勤職員の報酬は、その職務の遂行に対する純粋な反対給付としての性格を持つものであり、生活給的な要素も含む常勤職員の給与とは基本的に異なるものであります。
以上のことから、都の常勤職員として位置づけることや、常勤職員と同等の待遇を保障すべきとの指摘は適当ではないと考えております。
最後に、都の事業委託のあり方についてでございますが、都の事業は、申すまでもなく都民の税金で賄われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮することが強く求められております。
このため、都は全庁を挙げて、業務委託などさまざまな事業手法を積極的に導入し、都民サービスの質の向上と業務の効率的執行に努めてまいりました。
今後とも、こうした努力を積み重ね、効率的、効果的な事業執行を推進してまいります。
〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕
○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) まず、オリンピックの招致経費と寄附等についてでございますが、招致経費につきましては、予算に基づきまして、適正かつ効率的に執行しており、今後ともそうした執行に努めてまいります。
また、東京オリンピック招致委員会に対する寄附と協賛金についてでありますが、オリンピック・パラリンピックの開催の意義や効果等を十分にご理解いただいた上で、多くの方々に資金協力をお願いしているところでございます。
企業からの寄附等の額につきましては、現在、企業、団体等と最終調整の過程にあり、資金調達に向けての戦略上、現時点ではこれを公表することを控えております。
外郭団体からの寄附金についてですが、招致活動に対しては、都民、国民からの広範な支持が必要であり、民間企業のみならず、多くの個人、団体に対しても協力要請を行っているところでございます。
こうした考え方から、このたび、監理団体等に対しましても協力をしていただくよう要請いたしましたが、収益から寄附するか否かは各団体の判断であり、税金の還流という指摘は当たらないというふうに考えます。
次に、署名活動についてですが、署名活動は、都議会の招致議員連盟にご協力をいただきながら、さまざまなチャンネルを通じて、オリンピック・パラリンピック東京招致に賛同する都内や全国の方々に、あくまでも任意で署名をお願いしているものでございます。
また、小学校などの場を活用したオリンピックイベントは、スポーツを通じて身体と精神を高めることを目指すオリンピズムの普及促進を目的としたものであり、大変盛況であったと聞いております。
今後とも、いろいろな機会をとらえて、オリンピック招致機運の盛り上げと、オリンピックムーブメントの展開に努め、多くの方々にオリンピズム並びにオリンピック・パラリンピック競技大会のすばらしさを伝えてまいります。
世論調査についてでありますが、今回、東京オリンピック招致委員会が二度にわたり実施した世論調査は、人口構成を反映した提携モニターからの無作為抽出により、二度の調査の合計で、都内二千人、全国六千人を対象に、インターネットを用いて、十二月初旬に行ったものでございます。
また、調査の際には、施設整備費が記載されている開催基本計画及び大会運営費等が記載されている開催概要計画書を見ることができるように、調査書の画面の中でリンクを張りまして、開催経費の内容がわかるようにいたしました。
このように、調査は公正で客観的に行われたものと認識しております。
〔財務局長村山寛司君登壇〕
○財務局長(村山寛司君) 各局予算の執行等についてのご質問でございますが、各局の予算は、改めて申し上げるまでもなく、当該局の事業目的を達成するために計上されているものでございまして、各局におきまして、その趣旨に基づき適切に執行されているものと考えております。
同時に、オリンピックの招致は、現下の都政の最重要課題の一つでございます。各局が事業を実施するに当たりまして、この課題に資するよう意を用いることは当然のことでございます。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) まず、外環でございますが、外環は、首都圏の人と物の流れを円滑化するとともに、首都東京の国際競争力を高め、快適で利便性の高い都市を実現する上で必要不可欠な道路でございます。
今後とも、一日も早く事業に着手するよう、あらゆる機会をとらえまして、国に対して強く働きかけてまいります。
次に、羽田─築地間のトンネル道路でございます。
羽田空港アクセスの向上は重要な課題でございます。お尋ねの道路につきましては、研究してまいります。
また、多摩新宿線につきましては、これまでの調査におきまして、整備の必要性は高いものの、事業主体や採算性が課題とされており、引き続き長期的な視点で検討を進めてまいります。
〔百四番曽根はじめ君登壇〕
○百四番(曽根はじめ君) 何点か、知事に再質問いたします。
まず、認証保育所について、三点質問します。
第一は、じゃんぐる保育園の事態の認識についてです。
都はようやく文書指導しましたが、我が党の調査では、その指導内容は、要綱で定めた要件を有しない人が施設長とされている、職員数が足りない、労働者名簿が整備されていないなど、二十一項目に及ぶ重大なものです。
知事、これが保育園としてあってはならない深刻な問題だという認識があるのですか。職員の架空申請など、補助金不正受給の疑惑まで踏み込んで調べるのかどうか、答えてください。
第二は、設置基準の問題です。
じゃんぐる保育園の保育室は、乳児と幼児の部屋の仕切りがないワンルームです。こんな認可保育所はありません。せめて固定式のさくの設置が必要ではないのですか。安全に配慮しているといわれましたが、階段に子ども用手すりの設置は必要ないのですか。
園庭の代替施設について、じゃんぐる保育園の場合、子どもの足で二十分かかることを、我が党は現地調査で確認しています。これでも問題ないのですか。それぞれ答えてください。
第三は、指導検査結果の問題です。
認可保育所も営利企業の認証保育所も違いないかのような答弁でしたが、ごまかさないでください。我が党は認可の結果も調べています。
認可保育所の場合、公立保育園はほとんど書面検査だけです。それで大きな問題はないからです。昨年度の文書指摘は、その多くが実務上の問題で、認証保育所のように、保育士資格を持つ職員がいないとか、正規職員がいないなどという施設はありません。違いますか。答弁を求めるものです。
それから、オリンピックの協賛金についてですが、オリンピック招致の経費は、五十五億円のうち四十億円が企業などの寄附や協賛金で賄うとされています。なぜ総額さえいえないのですか。恥ずかしくていえないほど集まっていないとしか思えませんが、いかがですか。私たちは知事に聞いていますので、知事がお答えください。
最後に、知事は、貧困と格差の問題を、部分的だとか、我が党のプロパガンダなどと述べましたが、とんでもありません。この問題はさきの参議院選挙で争点となり、有権者の厳しい審判が下された、国民の最大関心事です。
大体、知事は所信表明でも、きょう、福田首相に出した重要施策のリストでも、都民の暮らしをどう守るのか、全く触れていません。こんなことでは知事の資格がないといわざるを得ません。
以上、再質問といたします。(拍手)
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 追加の質問をいただきましたが、質問につきましては、先ほどの知事の答弁でお答えしておりますけれども、改めてご質問がありましたので再度お答えをいたしますが、じゃんぐる保育園の項目につきましては、私どもは八月と十月に立ち入りをし、そして、その結果をもとに、この十二月六日に文書指摘をしたところであります。
なお、文書指摘と同時に、それの回答を一カ月後にいただくことになっておりますが、引き続き実態については調査をするということを、先ほど知事からご答弁を申し上げております。
また、認可基準につきましては、面積につきまして、大都市の特性を踏まえて若干緩和をしてございますが、基本的には認可と同水準のものであるということを先ほどご答弁申し上げました。
屋外遊戯場についてもご発言がございましたが、近所の公園でもいいというのは認可も同様でございます。その安全性については、先ほど、現地を訪れて確認したとご答弁申し上げております。
そして、認可の結果でございますが、私どもが行いました指導検査結果によれば、認可におきましても指摘事項が同様の率で出ているというのは事実でございます。
なおかつ、先ほどは、認証保育所はルール違反がはびこっているというようなことでございましたが、認証保育所につきましても、経営形態によって大きな差はない、こういうふうに申し上げたところでございますので、知事答弁並びに私の答弁をお聞きいただければ、十分ご理解できることではないかというふうに思っております。
〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕
○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) 企業からの寄附金についてでございますけれども、既に、現在協力いただいているサポート企業については、新聞、プレス等で発表したところでございまして、その他の企業、団体等との最終調整を現在やっている過程でございます。
したがいまして、総額といえども、資金調達に向けての戦略上、現時点ではこれを公にすることは控えております。
〔発言する者多し〕
○議長(比留間敏夫君) お静かに願います。
〔知事本局長大原正行君登壇〕
○知事本局長(大原正行君) 貧困と格差の問題についてでございます。
貧困や格差の存在につきましては、先ほど知事からご答弁申し上げましたとおり、正確な現状認識に基づきまして対応しているところでございます。
繰り返しになりますが、第三回定例会でも方針をお示ししましたとおり、低所得の方々への支援策につきましては、今後、着実に具体化をしてまいります。
また、原油価格の変動に伴う物価上昇等につきましても、既に国に対策を申し入れているところでございます。
ご指摘をまつまでもなく、都として適切に対応してまいります。
○六十七番(石森たかゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
○議長(比留間敏夫君) お諮りをいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後七時散会
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