平成十九年東京都議会会議録第十七号

   午後四時四十八分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百六番藤井一君。
   〔百六番藤井一君登壇〕

○百六番(藤井一君) 私は、都議会公明党を代表して、知事並びに関係局長に伺います。
 初めに、きょう、大きな動きのあった税財政問題についてであります。
 本日午前中、石原知事は福田総理と会談し、福田総理から地方の窮状を理解されるよう懇願されるとともに、都の重要な施策に国は最大限協力し、そのため国と都の協議の場を設けるとの提案がなされました。石原知事は、それに対し、今回の措置は税制の抜本改革までの暫定措置とすることを条件に国に協力することとしたとのことであります。
 我々は、東京の活力をそがないよう国の協力を取りつけながら、後々の税制の抜本改革を約束させた石原知事の大局的な判断を評価するところであります。
 しかし、今回の決着には、いろいろな影響が避けられないと思われます。そうした中にあっても、都民生活にいささかの影響も出ないようにしなければいけません。都民生活を守るべき知事に、都民生活に悪影響を与えないという強い決意で臨んでいただきたいと考えますが、知事の決意を伺います。
 また、現実に今回の影響額は三千億円程度といわれております。財政当局としては、この大きな減収に対して、今後どう対応していくつもりなのか、伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 平成九年に採択された京都議定書に基づいて、日本の温室効果ガス六%排出削減を実行に移す五年間の目標達成期間がいよいよ明年からスタートし、CO2の排出削減は待ったなしとなります。一方、被害を抑制する適応策の重要性が大きくクローズアップされております。
 仮に、今直ちに人間活動によるCO2排出をやめたとしても、地球の気候システムが持つ熱的慣性によって気温上昇が続き、温暖化被害が今後頻発するおそれがあります。先月十七日に正式決定されたIPCC、気候変動に関する政府間パネルの第四次評価統合報告書も、温暖化や海面上昇などが今後も続くと予測し、想定される温暖化被害への適応策の重要性を指摘しております。
 そこで、東京が環境先進都市として世界にアピールしていくには、CO2削減策だけでなく、温暖化被害から都民生活を守るための適応策についても、世界をリードするような都独自の対策を講じるべきと考えます。知事の認識を伺います。
 想定される適応策の分野は、洪水や暴風雨、熱波や水不足、健康への影響や感染症の拡大など幅広い分野にわたります。しかし、いずれも危機管理、防災対策の面での取り組みは現状でも行われているものの、今後の持続的な気温上昇や、これまで経験したことのない気候変動の影響に視点を据えた対策は講じられておりません。これらの課題はいずれも相互に関連し、しかも都民生活の安全・安心に深くかかわるだけに、全庁的な取り組みが不可欠であります。
 温暖化被害の適応策は時間との闘いとなっており、早急に庁内横断的に検討を行い、具体策を打ち出していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、環境分野の国際交流に関して、仮称環境子ども調査団の創設を提案いたします。
 温暖化との闘いが今後長く続くことを踏まえ、東京、そして日本の未来の担い手である子どもたちが、森林伐採など地球上の環境破壊の現状、氷床の融解など温暖化影響の実態などを現地に行って自分の目で見たり、関係者の話をじかに聞くことは、本人だけでなく、広範な温暖化対策にとって貴重な財産になると考えます。それを都内の児童生徒、保護者などに伝えることを通し、温暖化防止に取り組むすそ野を子どもの時代から広げることができます。こうした役割を担う環境子ども調査団の創設は大きな意義があると考えます。見解を伺います。
 次に、温暖化防止への都民の広範な取り組みについて質問いたします。
 地球温暖化防止対策といっても、突き詰めれば、人間活動によるCO2の排出をいかに少なくするかということであります。したがって、一人一人がどれだけ意識を持ち、具体的行動に移すことができるかにかかっていることは、いうまでもありません。
 そこで、地球温暖化対策推進法で都道府県に設置することができるとされ、温暖化防止の啓発・広報活動、情報提供などを担う地球温暖化防止活動推進センターを都は早期に設置するとともに、東京の独自性を打ち出すべきです。見解を伺います。
 さらに、CO2削減への貢献を都民が実感できる取り組みとして、エコバッグ運動等エコライフの強力な推進を提案します。
 スーパーや商店等で使われるレジ袋は、全国で年間約三百億枚に上るといわれ、原油換算で約五十六万キロリットル、大型タンカー二隻分に相当します。レジ袋の使用を減らし、エコバッグを普及させることで身近なCO2削減運動となるわけですが、運動の機運を盛り上げるための工夫として、エコバッグやふろしき等にオリンピック招致ロゴを入れるなど、温暖化防止ムーブメントと五輪招致を連動させてはどうかと考えます。都の所見を伺います。
 さて、都民が安心して将来にわたって暮らしていける東京を実現していくには、何よりも福祉・健康先進都市東京を目指すべきであります。
 都は、昨年の十二月に、長期ビジョンである「十年後の東京」を発表しました。この中では福祉・健康分野として、超高齢社会の活性化策や障害者の自立支援策、待機児童の解消策、救急医療基盤の整備などの施策の方向性が示されています。しかしながら、児童虐待など支援を必要とする子どもへの対応や、感染症など健康危機への対応の視点が含まれていません。
 現在、「十年後の東京」実現に向けた実行プログラムが策定されていますが、平成二十年度予算は、今後十年間の都の方向性を具体的に示す初年度の予算であります。
 そこで、来年度予算編成に当たっては、「十年後の東京」を踏まえ、福祉・健康先進都市東京の展望を明らかにした上で、新年度の事業展開をすべきと考えます。見解を伺います。
 次に、さきに指摘をした児童虐待などの支援策について質問いたします。
 児童相談所における虐待相談件数が依然として増加しており、平成十八年度の東京都の児童虐待の対応件数は、十年前の六・七倍となる三千二百六十五件に達し、危機的な状況となっています。虐待を未然に防止するためには、早期発見、早期対応が何よりも重要であります。都は、虐待の危険性のある家庭の早期発見に具体策を講ずるべきであります。所見を伺います。
 また、緊急性のあるものや困難なケースを発見した場合には、専門的な対応を行う児童相談所がその役割を担いますが、都内十一カ所の児童相談所だけでは、深刻かつ急増する児童虐待に対応し切れない現状があります。従来、児童相談所は、都道府県の事務とされてきましたが、平成十七年の児童福祉法改正により、人口三十万人程度の区市も設置できるようになりました。今後、児童相談所の区市の設置を見据えて、虐待防止に対する区市への支援を強化していくべきと考えます。見解を伺います。
 一方、虐待を受けた子どもたちの急増に対応すべき社会的養護体制の不足も大きな課題となっています。虐待を受け、心身ともに傷を負った子どもたちの養護と健全育成を図り、さらに児童が親になったときに同じように虐待に走る世代連鎖を防ぐためには、グループホームや養育家庭などを中心とした家庭的養護が必要です。都としても、家庭的養護体制の早急な整備を行うべきであります。見解を伺います。
 また、施設を退所した子どもたちは、社会の中で自立することが求められます。しかし、就職や人間関係でつまずいたり、さまざまな困難に直面し、行き詰まる場合もあります。その再出発のためには、帰るよりどころと支援が必要です。そこで、新たに相談支援の施設を設置すべきと考えます。見解を伺います。
 次に、感染症対策について質問いたします。
 感染症などの健康危機から都民を守る体制を整備することは重要であります。現在、この二十年間で最も早くインフルエンザの流行期に入り、全国各地で感染症の報告が相次いでおります。また、東南アジアでは鳥インフルエンザのヒト感染の症例が発表され、新型インフルエンザに変異し、日本へ到来した場合の危険について、多くの国民が不安を抱いております。そのほかにも、エイズや結核など共通の課題があります。
 都は、こうした感染症の危機から都民を守るため、情報収集にとどまらず、アジア大都市間に共通する感染症対策の課題について、各都市が協力して調査研究を進めていくことが重要であります。
 現在、都は、健康危機管理センターを整備する計画を進めていますが、アジア各都市との共同調査研究を付与し、健康危機から都民を守る基盤整備をすべきと考えます。所見を伺います。
 次に、高齢者施策について質問いたします。
 「十年後の東京」においては、高齢者が社会のさまざまな場面で活躍し、超高齢社会を活性化するために、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造するとしています。十年後には、高齢者が二百二十九万人から三百十五万人になると見込まれています。多様な価値観を持つ団塊の世代の六十万人が加わり、四人に一人が高齢者になります。
 都は、平成十九年度から今までの補助事業を分野別に見直し、高齢社会対策区市町村包括補助事業を始めました。幾つかの区市がこの事業を活用していますが、なかなか成果の上がらない区市もあるようです。
 そこでまず、この包括補助事業の検証を行うべきであります。都が進めている「十年後の東京」の実行プログラム策定に当たっては、このような現状を踏まえた上で、新たな超高齢社会の活性化策を提示していくべきであります。あわせて見解を伺います。
 次に、高齢者施策に関連して、シルバーパス制度について質問いたします。
 国の税制改正において、公的年金控除の廃止などが実施され、従来は区市町村民税が非課税であった六十五歳以上の高齢者が、十八年度より収入が変わらないにもかかわらず、区市町村民税が課税となりました。基準を住民税の課税、非課税に求めているシルバーパスの購入も、千円から二万五百十円になるため、都は、影響を受けた方の負担額を十八年度、十九年度と据え置きました。このことは、公明党の強い主張を受け入れたものとして高く評価をいたします。
 景気が回復をしてきているとはいえ、高齢者の負担増は厳しくなるばかりであります。国も介護保険料の激変緩和措置をさらに二十年度、二十一年度と継続をいたします。また、十七年一月に六十五歳以上で税制改正の影響を受けた方についても、シルバーパスの激変緩和措置の対象としないと不公平になります。そこで、二十年度も引き続き、新たにシルバーパスを発行される方も含めて、激変緩和措置を実施すべきであります。都の見解を伺います。
 なお、来年開業する日暮里・舎人ライナーについては、昨年八月に、都営交通として運営することとあわせてシルバーパスを適用するよう、我が党は都に要望いたしました。十月に交通局が事業譲渡の許可を得ていることから、今後、開業に向けてシルバーパス適用に必要な手続を速やかに行うよう、強く求めるものであります。
 次に、障害者自立支援法について質問いたします。
 障害者自立支援法は、障害を持つ方が地域で安心して生活できる社会を目指す改革として、二〇〇六年にスタートしました。ただ、抜本的な改革であることから、在宅生活の場合、軽減措置を受けている人が少ない、また、障害児のいる世帯の負担感が大きいなどの声が寄せられ、公明党としても、利用者負担の軽減や事業者への支援拡充を国に要望してまいりました。
 その結果、二〇〇六年度から二〇〇八年度までの特別対策として、通所・在宅サービスの定率一割の利用者負担の月額上限額を四分の一に引き下げるとともに、収入、資産も大幅に緩和、また、送迎サービスへの助成など、事業者への支援も拡充してまいりました。予算は総額で約一千二百億円に上りました。
 しかし、負担軽減幅の小さいサービスも多く、収入要件のハードルで軽減サービスが受けられない方も多いのが現状です。また、現在の軽減策が三年間の特別対策であることから、二〇〇九年以降も軽減措置を続けてほしいとの切実な声も上がっています。
 今、国会では障害者自立支援法の見直しの議論が行われていますが、現在の特別対策を恒久化するとともに、低所得者の利用者の負担のさらなる軽減、そして所得要件の緩和などが不可欠であります。そこで都は、国に対しさらなる利用者負担の軽減などを強く求めていくべきであります。見解を伺います。
 次に、医療施策について質問いたします。
 初めに、がん対策についてであります。
 今や日本は、男性の二人に一人、女性の三人に一人がかかるのが、がんであります。日本は世界一のがん大国ですが、がん登録の制度がないなど、がん対策後進国といわれております。都は現在、来年三月の策定に向け、東京都がん対策推進計画の素案をまとめていると聞いております。
 こうした中、先日公表された福祉保健局の来年度予算要求に、これまで我が党が主張してきた放射線治療の推進や早期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進などの事業が盛り込まれたことを高く評価いたします。
 こうした動きを見るにつけ、ようやく都のがん対策の歯車が大きく動き出したとの感を強くいたします。アメリカでがん死亡者が減少する中、日本では増加している現状を考えたとき、まず東京から、がん対策についての積極的な取り組みを行っていくべきであります。石原知事の力強い決意を伺います。
 がん対策のさまざまな取り組みのうち、今後、急速にニーズが高まってくることが予測されるのは緩和ケアです。このうち、緩和ケア病棟については、今後、民間病院が整備する場合、その後押しとなるよう都として環境整備に努めるべきであります。
 もう一つの基盤である在宅について伺います。
 ことし十月、患者、家族の相談や情報提供を行うため、都の在宅緩和ケア支援センターが開設されました。しかし、その取り組みは多摩地域で緒についたばかりであり、患者が多い二十三区でも支援を加速すべきであります。見解を伺います。
 あわせて、患者や家族の不安の軽減を図るには、緩和ケアを含む相談支援や情報提供をよりきめ細かく行っていくことが必要と考えます。見解を伺います。
 次に、医師確保対策について質問します。
 医師不足のうち、特に深刻な産科医不足を解消するには、女性医師の離職防止を図ることが重要です。近年、女性の医師国家試験合格者は年々増加し、全体の三割以上を占めています。しかし、女性医師は、医師として本格的に活躍する医学部卒業後十年前後に、妊娠、出産、育児期などの人生の大きな節目と重なり、約半数が医療の現場から離れています。このまま離職を余儀なくされるのは、社会にとっても大きな損失であります。女性医師が出産、育児を迎えても離職しなくて済む、また、離職しても復職を容易にすることが、過酷な状態にある医師全体の勤務環境の改善につながってまいります。医師の勤務環境を改善するとともに、女性医師を初めとする離職中の医師の復職を支援することが重要であります。
 全国平均に比べ、女性医師の比率が高い東京都として、全国のモデルとなる支援策を積極的に実施すべきであります。見解を伺います。
 次に、後期高齢者医療費制度について質問いたします。
 日本における医療費の特性は、六十五歳未満の一人当たりの医療費が十四万円であるのに対し、七十五歳以上では八十一万円と高く、医療費の伸び率も、六十五歳未満よりも七十五歳以上の方が高いということであります。十八年後の平成三十七年には、七十五歳以上の高齢者の全人口に占める割合は、現在の六十五歳以上の人口割合と同じ程度になります。そこで、世界に冠たる国民皆保険制度を維持し、これ以上の現役世代の負担をふやさないためにも、七十五歳以上の高齢者に公費を重点化し、社会連帯的な保険料で賄う後期高齢者医療費制度が制定されたわけであります。
 この後期高齢者医療費制度が明年四月より施行されますが、去る十一月二十一日に、東京都の広域連合議会において保険料等を定める条例が可決され、東京都における制度の全貌が明らかになるとともに、幾つかの課題も見えてまいりました。
 その一つが、すべての被保険者の負担軽減にかかわる財政支援であります。
 東京都の所得水準が全国平均の一・七二倍とされたことにより、国からの普通調整交付金の交付額が約二百二十七億円減額されます。その結果、一人当たりの保険料がすべての所得階層で増額となります。都内では、全国と比較して生計費が多額とならざるを得ない状況の中、この保険料の増額は家計を圧迫いたします。
 そこで、広域連合協議会においては、二年間の措置として、財政安定化基金拠出金、審査手数料及び保険料収納率が一〇〇%に満たない差額分に係る七十億円の経費について、区市町村の一般財源を投入することを合意いたしました。都としてこういった取り組みを評価し、広域連合の円滑な運営を確保するために、積極的に財政支援を行うべきであります。
 二つ目には、法定健診に必要な経費に対する財政支援であります。
 今般の制度改正により、後期高齢者の特定健診については、広域連合の努力義務とされ、国、都による負担義務はなくなりましたが、国においては、概算要求において一定の財源措置を予定しています。都としても、国のこうした対応や、都民の健康を維持増進し、医療費の適正化につなげる観点から、従来の基本健康診査と同様に必要経費の三分の一の財源補助を行うべきであります。あわせて見解を伺います。
 次に、ものづくりの活性化と中小企業の販路開拓支援について質問します。
 一九九〇年代以降のグローバル化により経済構造が変化し、企業間の取引構造は大きく変容しました。このため、優秀な製品や技術を持つ中小企業であっても、特定の取引先に依存することが困難になり、中小企業みずから積極的に販路開拓を行うことが不可欠の課題となりました。
 都は、平成十年より産業交流展を実施し、中小企業の販路開拓の場として多くの企業の商談に結びつけています。この産業交流展において、都が大企業などに強力に来場を呼びかけることにより商談の機会がさらにふえていくと考えます。都の見解を伺います。
 また、中小企業にとっても、産業交流展を単なる展示会で終わらせず、根本的な営業力の強化の場とするために、産業交流展自体の機能充実を進めるべきであります。所見を伺います。
 さらに、ことしの産業交流展では外国からの企業の出展もありましたが、日本にはない技術やノウハウを持つ外国企業との連携は、中小企業の将来の展開を考えるとき、重要な要素となります。今後、こうした外国企業からの出展も充実させるべきと考えます。産業交流展の国際化に向けての所見を伺います。
 次に、中小企業の人材確保策について質問します。
 厚生労働省の労働経済動向調査によれば、常用労働者の不足感を示すDI値が過去十年の最高値となっています。民間の調査でも、来春卒業予定の大学生、大学院生を対象とした民間求職状況で、大手企業志向が強まり、企業規模別の求人倍率は、従業員一千人以上で〇・七七倍、一千人未満では四・二二倍と大きな隔たりが生じています。
 こうした中、都は我が党の提案を受け、新たに産業人材育成実態調査を実施し、ものづくり産業における人材ニーズや確保動向を把握するとしています。
 そこでまず、都は、中小企業の人材確保状況に対する認識や本調査の実施状況、今後の活用方針を明らかにするべきであります。見解を伺います。
 中小企業の厳しい人材確保の状況を打開していくためには、従来からの雇用就業施策の充実だけでは不十分です。企業の情報発信能力を高め、東京の中小企業のポテンシャルを魅力として伝えていく必要があります。例えば、民間ノウハウやNPO団体と連携した効果的な人材確保支援策の企画公募、メディアを活用しての中小企業の魅力などの工夫が重要です。
 そこで都は、大企業に比べ、単体での情報発信が困難な中小企業の、人材確保のための情報発信力を高める支援策を打ち出すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、住宅政策について質問します。
 かつて、東京の住宅はウサギ小屋と酷評されました。また、長い通勤時間や住宅ローンに追われたライフスタイルをやゆされる場合もあります。衣食住という生活の三大要素のうち、衣と食は、間違いなく世界の最高水準にあります。問題は住です。オリンピック招致を機に、世界の都市問題の解決に貢献しようと決意した東京にとっては、東京が目指す真の住宅の豊かさとは何かを雄弁に物語る、新たな住宅政策を打ち出すことが必要です。そのためにも、住宅政策にかかわる専管局を新設するべきであります。都議会における議論を含め、都民の関心と夢や希望を喚起し、大いに住宅政策論議を巻き起こすべきと考えますが、この点に関する知事の所見を伺います。
 次に、低所得者向けに整備される公共住宅の総量について質問いたします。
 東京においては、平成十五年時点で七十五万二千戸、賃貸だけでも四十六万戸の空き家が生じている一方、都営住宅の入居倍率の平均は年々増加し、平成十七年度は三十二・一倍と、全国平均の九・九倍をはるかに超えています。この問題は、果たして市場経済任せで適切に低所得者向け住宅が供給できるのかという大事な課題をはらんでいます。
 都は、二〇一五年までの十年間における都内の公営住宅の供給の目標を十一万三千戸と定めています。しかし、この数量には既存都営住宅の建てかえも含まれており、低所得者向け住宅の総確保量がどうなるのか、はっきりとしません。そこで、都営住宅の総戸数の設定をより実態に即して見直すべきであります。所見を伺います。
 次に、都営住宅の建てかえについて質問いたします。
 この問題に関し、我が党は、第三回定例会の代表質問において、現在のペースのままでは、耐用年限を過ぎても建てかえができない住宅が多数発生することを指摘し、新たな整備方式に切りかえるべきと求めたところであります。そこで、この際、思い切ってスーパーリフォームによる耐用年数の延命化策は取りやめ、建てかえを中心とした整備方式に抜本的に見直すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都営住宅の建てかえの促進を図る上で、ひとり暮らし高齢居住者への配慮も重要であります。建てかえ後の住宅の間取りや移転先のあっせんなどは、さまざまな面で居住者の生活実態に即した配慮を行うべきと考えます。さらに、都営住宅の建てかえに際しては、CO2削減に率先して貢献できるよう、省エネやエコ対応の設備を設置すべきであります。あわせて見解を伺います。
 住宅政策の最後に、住宅の耐震化について質問いたします。
 都は、我が党の主張を受け、昨年度から木造住宅の耐震化助成を開始しました。しかし、住宅の倒壊による道路閉塞を防止するとの観点から、対象地域を木造住宅密集地域の整備地域に限定した制度としているため、初年度とはいえ、その執行率を見ると余りにも低調で、効果が上がっているとは到底いえません。こうした中、福田総理は所信表明演説で、災害発生時の犠牲者ゼロ政策を打ち出し、国では、住宅の耐震改修補助制度を来年度から大幅に拡充することなどを模索しております。
 一たび震災が起これば、その被害がほかとは比較にならないくらい甚大な首都東京においてこそ、いつ起きてもおかしくない震災から都民の生命や財産を守るため、住宅の耐震化助成制度を大幅に拡充すべきであります。特に、これまでの補助対象の条件撤廃や補助率上積みなどは、待ったなしに取り組むべきであると考えます。所見を伺います。
 次に、教育施策について質問いたします。
 初めに、いじめ問題についてであります。
 いじめは昔からあったものだからと気軽に受けとめる向きもありますが、昨今のいじめの深刻さは、いじめの発生に際し、被害者を守る役割を果たしてくれる存在が決定的に不足しているという点にあります。被害者は、加害者からだけでなく、ともするとクラスメート全員から無視されていたり、いじめの発生自体に全く気づいてもらえない状況に置かれたりしています。
 いじめの放置は、被害者の心の傷の回復をおくらせるだけでなく、他人の痛みを理解しない大勢の大人を生み出すという、社会全体の被害にもつながります。絶対に看過することはできません。
 公明党は、国において、いじめの早期発見、早期対応を促すため、NPO団体や教育、福祉、法律の専門家などの協力を仰ぐ、第三者機関としての仮称いじめレスキュー隊を提唱し、二十年度の予算化を目指しています。兵庫県の川西市では、いじめ相談を教育委員会で受けていた四年間の相談件数が百件余りであったのに対し、第三者機関を設置してからは、年五、六百件にふえています。
 そこで、都においても、東京都子ども・若者問題対策会議などを通じて、いじめレスキュー隊など具体的な対策を検討すべきと考えます。教育長の見解を伺います。
 次に、食育の推進について質問いたします。
 早ければ来年の通常国会に、栄養教諭の役割を盛り込んだ学校給食法の改正案が提出され、新たな国家戦略としての食育推進が図られようとしています。
 子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い、豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となります。
 おくれていた多摩の市町村における中学校給食も、ほとんどの市町村で実施、もしくは実施に向けて準備を進めております。
 学校給食法において食育が明確に位置づけられようとしている今こそ、東京都においても、食育を含めた形で健康づくりに向け具体的な取り組みを推進していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、学校現場での教員の事務量の軽減策について質問いたします。
 昨年、四十年ぶりに実施された教員等の勤務実態調査によって、教員の多忙さが裏づけられ、子どもと向き合う時間が少ないということが明確になりました。
 このため、文部科学省は学校現場での教員の事務量を軽減するためのプロジェクトチームを発足させ、文科省が依頼する調査、統計の削減のほか、都道府県との間で重複している調査の統合、学校の業務日誌や学校運営のための書類などの簡素化などについても検討するとしています。
 そこで、都教育委員会においても、文科省と連携を図り、教員が子どもと向き合う時間が少しでも長く確保できるようにすべきであります。見解を伺います。
 さらに、最近、保護者や近隣住民からの理不尽な要求に対して、相談できる相手や機関もないため、一人で悩み苦しんでいる教員の声を聞くことが多くなりました。いわゆるモンスターペアレンツやクレーマーとのトラブル解決に向けて、本年四月に施行されたADR法に基づき法務大臣の認証を受けた紛争解決の専門家を活用し、教員の負担軽減を図るべきであります。所見を伺います。
 次に、羽田空港の国際化及び跡地利用対策について質問いたします。
 羽田空港は、二○一○年に新たに第四滑走路と国際線旅客ターミナルビル等が供用開始され、いよいよ国際旅客定期便や国際貨物便が就航することになります。そこで伺います。
 第一に、空港アクセス整備についてであります。
 現在、羽田空港は、年間六千七百万人の旅客が利用しており、今後、年間一%ずつ利用客がふえると予想されています。さらに三年後、海外から年間七百万人の旅客が羽田空港を利用することになります。
 しかし、現状では、空港周辺の道路基盤を初めとする空港アクセスは一定の整備がされているものの、将来に向け、これらに対応することができないのではないかと懸念されます。そこで、都は空港アクセスを早急に整備すべきと考えます。見解を伺います。
 第二に、新空港線の整備についてであります。
 新空港線とは京浜急行線と東急多摩川線の二つの蒲田駅を結ぶ路線であり、いわゆる蒲蒲線と呼ばれています。
 新空港線の整備により、東横線や東京メトロ副都心線を経由することにより、目黒区、世田谷区、品川区、渋谷区、新宿区、豊島区、練馬区など、東京圏西南部の地域に広域交通のネットワークが広がります。
 また、再拡張や国際線の就航、跡地利用を控える羽田空港へのアクセスが強化され、例えば、自由が丘から羽田空港までの所要時間も四十九分から二十五分に二十四分短縮されます。
 このように、新空港線は、大田区のみならず東京西南部の利便性が向上する路線であり、羽田空港への輸送増強策の一つとして早急に整備すべきと考えます。所見を伺います。
 本年十月、羽田空港跡地利用基本計画素案が発表され、既にパブリックコメントが終了し、今年度中に跡地利用基本計画が策定されると聞いております。
 都は、跡地利用基本計画の早期具体化を目指して、羽田空港跡地の道路、護岸、ライフライン等の基盤整備が着実に進められるよう、土地所有者である国に対し強く求めていくべきであります。所見を伺います。
 次に、横田基地の軍民共用化について質問いたします。
 横田基地の軍民共用化についての日米協議は、昨年十月、一年以内に結論を得る前提で開始されましたが、ことし十月、何ら結論を得ないまま、この期限を迎えてしまいました。先月八日、高村外務大臣とゲーツ米国防長官との会談で、引き続き協議を行っていくことは確認されましたが、その結論がいつまでも先延ばしになってしまうようなことがあれば、これまでの議論は振り出しに戻ってしまうおそれさえ生じかねません。
 横田基地の軍民共用化は、これまで石原知事が先頭に立って取り組んできたからこそ、ここまで進めることができたことは事実であり、さらにあと一歩、早期の実現に向けて力を尽くすべきと考えますが、横田基地の軍民共用化への今後の取り組みについて、知事の決意と見解を伺います。
 最後に、小笠原への航空路開設問題について質問いたします。
 都議会公明党は、来年、小笠原諸島返還四十周年の佳節を迎えるに当たり、去る十月十七日から二十一日までの日程で小笠原村調査団を派遣し、航空路開設問題など、現地調査を行い、村民の方々と率直な意見交換を行ってまいりました。私も調査団の一人として参加いたしました。
 昭和四十三年の返還以来、空港建設運動を続けてきた村民感情の中には、過去三度に及ぶ空港建設、超高速船TSLの挫折が少なからず重くのしかかっているのも確かであります。
 都は、昨年十一月に小笠原諸島振興開発計画の変更を行い、自然環境との調和に十分配慮した航空路を開設するといたしました。
 我が党調査団の視察後に、小笠原村では航空路開設に向けた機運を盛り上げるため、先月七日から二十数回に及ぶ村民説明会を開催しております。今後は、この村民合意を前提に、都と村が住民参画の手法であるPI協議会を設置すると聞いています。
 こうした小笠原村民の思いを後押しする上からも、知事の航空路開設に向けた率直な決意を伺います。
 以上をもちまして代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今回の地方税財政制度の見直しに際して、都民の生活をいかに守るかについてでありますが、もともとこの税制の改正に関しては、与党の税調等の内容を聞きますと、かなり筋の悪い税法だという意見が専門家の間で出ていまして、それでもなお、やっぱり貧すれば鈍するというんでしょうか、こういうある意味で無体な改正になったわけですけども、ゆえにも、総理もそれは十分認識した上での今回の会談になったと思いますが、その際、こちらもいろいろ条件も出しましたし、要望もいたしました。総理からも、首都の東京という日本の心臓部というものを重視するということで踏み込んだ提案もなされましたし、都の重要な政策を推進するに当たって私が提示した幾つかの案についても、国が大いに協力するという約束もございました。
 いずれにしろ、約束は約束でありますけれども、その前提に、三千億というべらぼうな我々の財産が非常に無体な形で国に吸収されるわけでありまして、いずれにしろ、その結果、東京がかなり財政の危機を迎えるのは、もう自明なことでありますが、悪い影響を最小限に食いとめるという意味でも、東京が逆手にとった幾つかの提案もいたしました。
 これまでも、私としても都民生活を守ることを第一に考えまして、「十年後の東京」を初めとする先進的な取り組みも進めてきたつもりでございますが、今回の対応により、一時的に大きな減収になりました。財政的には厳しい状況に置かれることは確かでありますが、この際、やっぱりあらゆる創意工夫を凝らして、都民生活に対して影響を与えないような努力を全力でしてまいります。
 次いで、温暖化被害への適応策についてでありますが、地球の温暖化は疑う余地がございません。今後十年ほどの間に、あっという間に十年過ぎますが、相当な政策を講じませんと、人類全体にとっての破局的な事態を招きかねないというのが多くの専門家の認識であります。このためにも、都は温暖化ガスを劇的に削減すべく、全庁一丸となって、都民、事業者を巻き込んだ取り組みを進めてまいりました。
 いうまでもなく、温暖化によって引き起こされる都市水害や新たな感染症の流行などのさまざまな被害への対応も必要であります。この九月に、ツバルという沈みつつある島国を目にしてまいりましたが、日本も島国でありまして、これは決して他人事ではないという認識を強く、また改めて持ちました。
 都は、現在でも、防災や危機管理の観点から高潮対策や感染症対策などを着実に進めておりますが、地球温暖化がもたらす東京への影響を把握した上で、都民の安全と生活を守るために必要な適応策を検討して、一つ一つ実現していくつもりでございます。
 次いで、がん対策についてでありますが、がんは、現代社会を生きる我々の健康を脅かす重大な脅威であります。この病気の克服は、都民の願いでもあります。
 がん医療において都民が最良の医療を受けられるよう、首都東京としてのメリットを生かし、都独自の認定病院制度の創設や、放射線療法、化学療法の推進などにより、医療水準を向上させていきたいと思っております。
 こうした取り組みをがん対策推進計画に反映して、がんの予防から治療及び療養生活の質の向上に至るまでの総合的ながん対策の推進に積極的に取り組んでいくつもりであります。
 次いで、住宅政策についてでありますが、都民が真に豊かさを実感できる社会を実現し、東京がさらに高いレベルでの成熟を遂げるためには、何といっても居住の場としての魅力的な都市をつくっていくことが不可欠であります。
 このため、都民の意見なども踏まえて策定した東京都住宅マスタープランに基づきまして、住まいの安全・安心の確保や、世代を超えて住み継がれる住宅まちづくりなどに取り組んでいきたいと思っております。
 今後とも、成熟した都市にふさわしい豊かな住生活の実現に向けて、まちづくりと連携した施策の推進など、時代に即した住宅政策を総合的に展開していきたいと思っております。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、横田の軍民共用化は、首都圏の航空事情を改善し、首都圏全体に大きな経済効果をもたらすものでありまして、我が国の国力の維持のためにも必要不可欠であります。
 いずれにしろ、今現在、四十カ国を超す外国が主にこの首都圏に乗り入れを願っていながら待機しているというのが実情でありまして、このゆえにも、この軍民共用化は二○○三年五月の小泉・ブッシュ会談で検討が合意されました。これまでの首脳会談などでも繰り返し実現を要請してきましたが、日米間の重要な懸案事項であります。
 アメリカの政府は、日米関係を重視するならば、軍民共用化に積極的に対処してしかるべきであると思っておりますが、この末端というか、最先端の実務者ともなりますと、やっぱり軍人も含めてのお役人の通弊で、自分の足もとを守る、身の回りだけを守るという大きな視点を欠いた交渉になりがちで、これにはアメリカの元の在日司令官もメンバーにおりますコンサルタントを駆使しまして冷静な判断をさせて、何とかよき結論に導いていきたいと思っております。
 そこでも指摘しておりますが、米軍側がいっている幾つかの障害は、専門家の見地から見てもクリアできる調整可能な事項であるということで、都としても、一橋大学の杉山学長をヘッドとします杉山委員会において、共用化のためのさらに具体案を検討しておりまして、これを日米協議に反映させるように国にも積極的に働きかけてまいります。
 今後も、国の関係省庁と一枚岩の結束を保ちながら、粘り強く協議を続けることによりまして、軍民共用化の早期実現を目指していきたいと思っております。
 次いで、小笠原への航空路開設についてでありますが、私も国会議員時代、あそこが選挙区でもありましたから、友人の飛行機でテストフライトも何度もいたしてみました。いずれにしろ、二転三転して、結局いまだにこれが実現できない。頼りにしておりました高速船も採算が合わないということで、あのプロジェクトも挫折をしました。
 いずれにしろ、小笠原は本土からも非常に隔絶した離島でありまして、交通アクセスの改善は、昭和四十三年に小笠原が復帰して以来の最大の課題でもあります。航空路の開設には、自然環境との調和など解決すべき課題が多うございますが、小笠原振興を図る上で極めて重要であることも自明であります。
 洲崎の、昔の陸軍ですかが使っておりました短い飛行場の跡地を何とかできないかと思いますが、これまた環境省のいろいろ規制に引っかかりまして、なかなかクリアするのが難しい現況でありますが、いずれにしろ自然環境に十分配慮しながら航空路の開設を実現するためには、国の理解、協力が不可欠であります。これもやっぱり一歩もお互いが譲らぬということではとても実現できない事態でありまして、また何よりも地元の村民の合意が肝要だと思います。
 今後も国に強く働きかけを行うとともに、村民の意向を踏まえつつ、航空路開設の実現に向けて積極的な検討を進めていきたいと思っている。現に幾つか条件としての案も棚橋参与の方から出てますし、あとは主に環境省との兼ね合いというものがこれからの最後の問題になると思います。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 四点についてお答え申し上げます。
 まず、いじめ問題についてであります。
 いじめ問題の解決には、学校教育関係者はもとよりではありますけれども、都民一人一人がこの問題の重大性について認識を深め、社会全体の問題としてとらえることが重要であります。
 東京都子ども・若者問題対策会議は、東京の子ども及び若者にかかわります問題への対策につきまして、各局の連携を強化するために設置されておりまして、現在、いじめ問題については福祉保健局、警視庁などと連携し、相談事業や都民への啓発などに取り組んでおります。
 今後、お話しのいじめレスキュー隊など、国の新たないじめ問題にかかわります動きに注視いたしまして、関係各局や区市町村教育委員会と連携するとともに、いじめ問題学校支援員の中に、より広範な専門家等の協力を求めまして、具体的な対応策に取り組んでまいります。
 次に、食育の推進に向けた具体的な取り組みについてであります。
 都教育委員会は、食育を健康教育の一環といたしまして、学校教育全体の取り組みの中で推進していくことが重要であると考えております。都独自の仕組みであります食育リーダーを全都立学校に配置したところでございます。
 現在、各区市町村教育委員会に対しまして、平成十九年度中に全公立小中学校に配置するよう、積極的に働きかけを行っております。
 さらに、平成二十年度にはモデル地区を指定いたしまして栄養教諭を配置し、健康づくりの視点を重視した食育推進に効果的な教材、指導方法の開発を行うとともに、家庭、地域と連携した取り組み等を推進していく予定でございます。
 次に、教員が子どもと向き合う時間の確保についてでありますが、教員が一人一人の子どもと向き合い、指導を行っていくことは、個に応じた指導の充実や豊かな人間関係をはぐくむ上で極めて重要でございます。
 都教育委員会では、これまでも国と都の統計調査が重複しないように努めたり、効率的に授業準備ができるように教材等に関する情報を提供したりするなどいたしまして、教員の事務量の軽減に取り組んできたところであります。
 今後、国の動向を踏まえまして、区市町村教育委員会とも連携を図り、教員が子どもたちの指導に直接かかわる業務に取り組む時間を一層確保することができるよう努めてまいります。
 最後に、学校におけるトラブル解決に向けた専門家の活用についてであります。
 学校に対して理不尽な要望をする保護者や地域住民への対応に関しましては、教育委員会も連携して学校が組織的に対応することが重要であります。
 ご提言のADR法に基づきまして、学校においてトラブル解決に対応できる事業者は、現在、都内においては登録されておりませんが、その動向を注視しつつ、今後、教員の負担軽減の観点から、トラブル解決のための一つの手段として、その活用の可能性を検討してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 今回の税制上の措置の都財政への影響についてのご質問にお答えいたします。
 率直に申し上げまして、今回の措置が歳入面において非常に大きい影響を及ぼすことは認めざるを得ないと考えております。
 他方、都政はそうした中にありましても、「十年後の東京」の実現に向けた施策を着実に推進するとともに、更新期を迎える都市インフラの整備充実や都民生活をしっかり守り抜くなどの諸課題に適切に対応していく責務を負っております。
 こうした責務を果たすため、この間の財政再建の取り組みを通じて培ってまいりました基金や都債の活用能力など、財政対応能力を生かすとともに、歳入歳出両面の効率性、実効性をさらに一層高めることなどによりまして、財政面から的確に対応すべく、持てる力を最大限発揮していく決意でございます。
 同時に、今回の措置は抜本的改革までの暫定措置とされておりますので、いかに早期に抜本的改革を実施するのか、そしてその改革が、いかに大都市と地方がともに発展し得る地方の自立につながる本質的な改革となり得るか、これが都財政の将来にとって重要でございます。
 今回の措置は、地方分権にまさに逆行するものでございますが、その意味で真の地方税財政制度改革の早期実現がもはや先送りできないものであることを、いわば反面教師的に明らかにしたものともいえるわけでございます。
 したがいまして、今後、都議会の皆様のご協力を得ながら、従来にも増しまして改革の推進に全力を傾けてまいります。
   〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 温暖化被害の適応策に関する庁内横断的な検討についてでございます。
 地球規模の温暖化は確実に進んでおりまして、熱波や干ばつ、降雨量の増加といった異常気象や海面上昇などによりまして、世界のあらゆる地域にさまざまな影響を与えることが懸念されております。
 このため、地球温暖化対策を推進するに当たりましては、温暖化ガスの削減という緩和策に加えまして、温暖化被害への対応という適応策の検討が必要であることはご指摘のとおりでございます。
 今後、温暖化による都市水害や感染症などへの影響を把握し、カーボンマイナス都市づくり推進本部など、既設の横断的組織の活用を含めまして、総合的な観点から対応してまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 温暖化対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境子ども調査団に関するご提案についてでございますが、子どもたちに温暖化の影響や緑、水などの自然の大切さを実感する機会を与えることは、子どもたちが環境について日常的に考えることを促し、長い目で見て環境負荷の少ない都市づくりにつながるという意味で極めて重要でございます。
 このため、都はこれまでもキッズISO一四〇〇〇プログラムの導入など、子どものための環境学習に積極的に取り組んできました。
 今後、温暖化の影響の深刻さや自分が行動することの大切さをリアルに受けとめられるよう、子どもたちの意見も聞きながら、環境学習の質の向上に努め、子どもたちが環境問題をより主体的に考える機会を提供してまいります。
 次に、地球温暖化防止活動推進センターの設置についてでございますが、地球温暖化対策は、人類全体の生存にかかわる待ったなしの課題であり、都民や事業者など、すべての主体が能動的に省エネなど低CO2型社会への転換に取り組むことが必要不可欠でございます。
 そのためには、地球温暖化の危機的な現状や早急な対策の必要性などに関する普及啓発をこれまで以上に積極的に行うことが重要でございます。
 都は、今後、地球温暖化防止活動推進センターの早期の設置に取り組み、都民一人一人や各事業者が、節電などの直接的な行動につながる気づきを持てるような具体的できめの細かい普及啓発を行い、中小企業や家庭を対象とした効果的な施策を進めてまいります。
 最後に、オリンピック招致と温暖化防止ムーブメントを連動させた取り組みについてでございますが、都は、CO2削減への貢献を都民が日常生活の中で実感できる取り組みとして、現在、業界の協力も得て白熱球一掃作戦を進めており、都民の理解も深まって、電球型蛍光灯の売り上げが増加傾向に入るなど、温暖化防止に向けた機運は高まりつつあります。
 このような意味から、都民が身近に取り組めるエコバッグ運動などのご提案は、環境問題に先進的に取り組むオリンピック・パラリンピックの東京招致にとりましても、また温暖化防止ムーブメントを一層盛り上げていく上におきましても、有効な手法であると考えております。
 今後、オリンピック招致と温暖化防止に向け、さらなる機運の醸成に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) お答えを申し上げます。
 まず、福祉保健施策の事業展開についてであります。
 都はこれまで、大都市東京にふさわしい福祉、保健、医療サービスの実現を目指し、全国に先駆け認証保育所制度や東京DMATを創設するなど、福祉改革、医療改革に取り組んでまいりました。
 福祉・健康都市東京ビジョンは、こうした改革をさらに前進させ、確かな安心を次世代に引き継ぐための基本方針として策定したものであり、お話しの福祉健康先進都市東京と目指す方向は同じであると考えております。
 平成二十年度におきましても、「十年後の東京」を踏まえるとともに、ビジョンの基本方針を継承し、一人一人のライフステージと生活の全体をとらえた福祉健康施策の重点プロジェクトを新年度の事業計画の中で明らかにした上で、積極的に事業を展開してまいります。
 次に、児童虐待の早期発見についてであります。
 母親の育児不安や虐待のリスクを早期に発見し、適切な支援につなげることが虐待の未然防止のために重要ではあります。
 そのため、都は今年度、区市が支援を要すると判断した出産前後の母親に宿泊やデイケア等を行う子育てスタート支援事業を創設いたしました。
 今後は、都内の全区市町村が、妊娠期から母親とかかわる母子保健事業を活用し、産後うつ病のリスクを発見するのに役立ちますエジンバラ方式なども参考にしながら、母子保健手帳交付時の保健師による面接や健診時のアンケートの実施など、地域の実情に適した方法で虐待のリスクを早期に発見できるよう、必要な支援を検討しております。
 次に、区市の児童虐待への対応力強化についてであります。
 平成十七年四月に改正児童福祉法が施行され、区市町村が第一義的な相談窓口を担い、都道府県は専門的な対応や区市町村の後方支援を重点的に行うことになりました。
 これに先駆けまして都は、児童虐待に対応する専任ワーカーを配置いたしました先駆型子ども家庭支援センターを創設し、その設置を都内全区市に強力に働きかけております。
 また、地域の関係機関が緊密に連携し、虐待の早期発見と適切な対応を図ります要保護児童対策地域協議会が中心的な役割を果たしますことから、今年度中の全区市設置を目指しております。
 こうした取り組みにより、今後とも区市の児童虐待への対応力強化を積極的に支援してまいります。
 次に、家庭的養護についてでありますが、さまざまな事情で親と一緒に暮らすことのできない社会的養護を必要とする子どもたちは増加傾向にあります。
 こうした子どもたちは、できるだけ家庭的な環境のもとで、健やかにはぐくまれることが望ましいことから、都では養育家庭やグループホームなどによる家庭的養護を推進しております。
 今後、グループホームの整備の拡大とともに、養育家庭でより多くの児童がはぐくまれるよう、乳児期からの養育を推進するなど、家庭的養護の一層の充実に努めてまいります。
 次に、施設を退所した児童の支援についてであります。
 児童が社会的に自立するには、児童養護施設退所後においても就労や生活の面で悩みを抱えた場合に、必要な支援を行うことが重要でございます。
 このため、都は、今年度から、日常生活上の相談などのアフターケアを行う児童養護施設に対する支援を充実いたしました。
 また、施設から退所した児童が、社会に適応できず生活の場を失った際に、手厚い支援を受けながら、再度自立への準備を行うグループホームとして、再チャレンジホームの創設を検討しております。
 次に、健康危機管理センター(仮称)の機能についてであります。
 都は現在、アジア大都市ネットワーク21の取り組みの一環として、参加十一都市による感染症情報ネットワークを構築しており、健康安全研究センターは、この情報システムの管理運用など、その中核的な役割を担っております。
 本年十一月、ハノイで開催いたしましたアジア大都市ネットワークの第三回感染症対策プロジェクト会議では、東京都の提案により、プロジェクトの中期計画が策定され、共同調査や研究の実施について参加各都市の合意が得られました。
 新たに整備するセンターにおきましても、引き続きこのプロジェクトの中核を担うとともに、共同調査や研究、人材育成など、健康危機管理の基礎となる機能の強化を図ってまいります。
 次に、超高齢社会の活性化策についてであります。
 活力ある超高齢社会を創造するためには、団塊世代を初め、元気で意欲的な高齢者を地域社会の担い手と位置づけ、活用していくことが重要であります。
 具体的には、地域の高齢者の見守り、声かけ、話し相手や困りごとの手助け等を初め、地域社会の課題の解決に向け、これまでに培った豊かな知識、技術、経験を十分に生かしながら、自主的、自発的に活動できる環境づくりが必要であります。
 そのためには、住民に身近な区市町村の取り組みが重要でありますことから、引き続き包括補助により区市町村を支援するとともに、その実施状況を検証しながら、高齢者の主体的な活動が地域において継続できる方策について、速やかに検討してまいります。
 次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものでございます。
 シルバーパス事業を今後とも継続させていくためには、利用者である高齢者を初め、広く都民の理解も得ながら、社会状況の変化に的確に対応していくことが不可欠でございます。経過措置を継続することにつきましては、ご指摘の点なども踏まえて適切に検討してまいります。
 次に、障害者自立支援法の見直しについてであります。
 今回の法施行による改革が広範かつ抜本的なものであったことから、都として、昨年十一月に法の施行状況の実態を踏まえ、国へ緊急要望をし、その後、国において法の円滑な定着を図るための特別対策が実施されております。
 しかしながら、本年実施をいたしました都の調査によれば、特別対策実施以降もなお利用者に負担感があり、また、事業者報酬についても経営実態に合っていないなどの声が上がっております。
 今後、国への働きかけを含め、適切に対応してまいります。
 次に、がん在宅緩和ケア支援センターについてであります。
 緩和ケアは、身体的な痛みだけでなく、精神的な苦痛の軽減をも図るものであり、がん治療の早期から提供されることが、患者の闘病生活を支える上で重要であります。
 また、がん患者が住みなれた家庭や地域での療養を選択できるよう、在宅においても緩和ケアを受けられる体制の整備も必要であります。そのため、都では、医師や看護師向けの研修を行うとともに、在宅緩和ケアに関する相談や情報提供を行う在宅緩和ケア支援センターを本年十月、多摩地区に設置いたしました。
 今後、都民へ広く緩和ケアを普及するため、区部へも支援センターを設置してまいります。
 次に、がんの緩和ケアを含む相談支援や情報提供についてであります。
 がんの相談支援や情報の提供を行い、患者、家族の悩みや不安にきめ細かく対応することは、療養生活を支援する上で重要であります。このため、都では、患者団体のご協力も得まして、本年十月からピアカウンセリング事業を開始いたしました。
 今後、患者、家族への相談支援や情報提供の一層の充実を図るため、がん診療連携拠点病院及び都独自に認定いたします東京都認定がん診療病院のすべてに相談支援センターを設置してまいります。
 次に、医師確保に係ります都の支援についてでありますが、産科や小児科を中心とした病院勤務医は、業務の過重な負担から病院を離れる実態もありまして、その対策は緊急の課題であると認識をしております。
 中でも出産や子育てを迎える女性医師については、医療の現場でキャリアを中断することなく働き続けることができるよう、勤務環境の改善を支援することが重要であります。
 このため、都は、本年六月に設置をいたしました東京都地域医療対策協議会での協議を踏まえまして、短時間勤務の導入、当直体制の見直し、医療補助者の活用等、病院勤務医師の負担軽減に向けた医療機関の取り組みを支援してまいります。さらに、再就業研修を実施するなど、女性医師の復職支援についても積極的に取り組んでまいります。
 最後に、後期高齢者医療制度におきます広域連合等への支援についてであります。
 後期高齢者医療制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識しておりまして、都としても、制度の安定的運営を図るため、高額医療費の一部負担や保険料の法定軽減分の負担など、国や区市町村とともに応分の役割と負担を担ってまいります。
 さらに、都は、都民の健康の保持増進を図る観点から、広域連合が行う後期高齢者の健康診査事業に対する財政支援など、今後、制度の円滑な実施に向けて効果的な支援策を検討してまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 中小企業対策に関する五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、産業交流展における商談機会の拡大についてでありますが、産業交流展におきましては、これまでも、商社や流通、大手製造業者等に招待状を発送いたしまして、商談機会の拡大につながる来場者の増加に力を入れてまいりました。
 その結果、今年度は二日間の開催で、来場者数が昨年比約二割増の四万五百五十名となったところでございます。
 今後は、将来の主要な販売先となり得る大企業に対しまして、一層の来場を促すほか、新たに展示会場内にこれらの企業との商談の場を設置するなど、出展企業の商談機会の拡大に積極的に取り組んでまいります。
 次に、産業交流展における中小企業の営業力の強化についてでありますが、産業交流展は中小企業にとって安価で出展しやすいことから、将来、専門的あるいは国際的な見本市への出展に向けたトライアルの場として重要な役割を果たしております。
 今後は、産業交流展に合わせまして、出展企業を対象に、商談の進め方など展示会の有効活用について、そのノウハウを提供する、総合的な営業力強化セミナーを新たに開催いたしまして、中小企業の営業力の向上を図ってまいります。
 次に、産業交流展の国際化についてでありますが、都では、平成十九年三月に外国企業の東京進出を促すプロモーション活動を、イギリスのロンドン、ドイツのデュッセルドルフの二都市で実施いたしました。
 ことしの産業交流展におきましては、イギリスから二社、ドイツから四社の出展もあり、アジアの企業を加えまして、海外からの出展企業は合計二十一社となったところでございます。
 今後は、プロモーション活動を通じまして、産業交流展への外国企業の出展を一層促進し、都内中小企業との取引や技術提携等の機会を拡大してまいります。
 次に、中小企業の人材確保の状況についてでありますが、少子化の進展や大企業の採用拡大の中、中小企業の人材確保状況は厳しさを増しております。
 都といたしましては、その対策を講じることが極めて重要であるとの認識のもと、今年度、産業人材育成実態調査を実施したところでございます。
 その中間集計では、最近三年間で新卒者を募集した中小企業のうち、約一五%が全く採用できなかった、約四五%が採用できたが数は不足と回答をしており、中小企業の厳しい採用状況がうかがえる結果となっております。
 また、採用時の課題といたしまして、社会的認知度の向上や募集ノウハウを多くの企業が挙げております。
 今後は、この調査結果を踏まえ、中小企業が人材確保や人材育成を円滑に行えるよう、多面的に支援をしてまいります。
 最後に、中小企業の人材確保支援策についてでありますが、中小企業の人材確保状況を改善するためには、中小企業みずからが魅力を高め、その魅力を、多くの人々を引きつける情報として発信して、認知度を向上させることが重要であると認識しております。
 しかし、こうした取り組みは、中小企業のノウハウ不足等もありまして、十分には進んでいないのが現状であります。
 そのため、都は、企業PRに関して豊富な経験や実績を持つ民間企業やNPOなどとも連携いたしまして、高い技術力を初めとした中小企業のさまざまな魅力を広く発信していくなど、総合的かつ効果的な取り組みによりまして、中小企業の円滑な人材確保の支援に努めてまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) ご質問にお答えを申し上げます。
 まず、都営住宅の総戸数設定の見直しについてでございます。
 既に都内の住宅の数が世帯数を一割以上上回っておりまして、さらに将来的には東京においても人口減少社会の到来が見込まれていることなどを踏まえ、既存ストックの有効活用を図ってまいります。
 今後とも、都営住宅につきましては、社会経済情勢等の変化に対応し、管理の適正化の取り組み等によりセーフティーネット機能を強化し、真に住宅に困窮する都民に対して公平かつ的確に供給してまいります。
 次に、都営住宅の建てかえ推進についてでございます。
 都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、適切に維持更新するとともに、用地の有効活用を図り、地域のまちづくりに活用する必要があると認識しております。
 こうした考えから、これまで、建てかえ事業とスーパーリフォーム事業を並行して実施してまいりましたが、今後は、用地の有効活用をさらに促進するため、建てかえ事業につきましては、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、更新期を迎えつつある昭和四十年代建設の住宅に対象範囲を広げ、規模を年間四千戸程度まで段階的に拡大したいと考えております。
 これに伴いまして、スーパーリフォーム事業につきましては、順次、縮減、廃止してまいります。
 次に、建てかえの進め方についてでございます。
 居住者に対しましては、建てかえに際し、事業の説明会などにより丁寧な対応に努めております。
 また、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、適切な住宅の供給に取り組んでいるところでございます。
 さらに、移転先の住宅のあっせんの際は、居住者の生活に大きな影響があることから、全体説明会や個別相談会などを通して、要望にこたえるよう努めております。
 今後とも、居住者に対しましてきめ細かい配慮を行いながら、建てかえ事業を円滑に進めてまいります。
 次に、都営住宅の建てかえに当たってのCO2削減についてでございます。
 温暖化対策の視点は、東京の都市づくりにおきまして重要な課題でございまして、都営住宅におきましても、CO2削減のための取り組みが必要であると認識しております。
 これまでも、建てかえ時にすべての住棟に太陽光発電設備を設置することに加え、敷地の緑化や透水性舗装など、積極的に環境配慮の取り組みを進めてまいりました。
 今後とも、こうした環境対策を的確に実施するとともに、高効率型の住宅設備につきましては、技術開発やコストの動向を踏まえながら対応することとして、CO2削減に取り組んでまいります。
 次に、木造住宅の耐震化助成制度についてでございます。
 住宅の耐震化は、その所有者が主体的に取り組むことが基本であり、都としては、公共的な観点から必要がある場合に財政支援を行うこととしております。
 木造住宅密集地域の整備地域では、住宅が倒壊した場合に、道路をふさぎ、避難や救急・消火活動に支障を来すおそれが高いことから、本制度はこれを防止することを目的として実施しているものでございます。
 都といたしましては、このような重点的な取り組みを推進することが防災対策上重要であると考えており、当面、制度の周知徹底など普及啓発に力を注ぎ、耐震改修の促進を図ってまいります。
 次に、羽田空港の空港アクセスについてでございます。
 羽田空港は、都心から至近距離に位置し、高い利便性を誇る国内最大の空港でありまして、そのポテンシャルを十二分に生かすためには、幹線道路や公共交通など、空港アクセスの一層の強化が重要でございます。
 都はこれまで、国道三五七号線東京港トンネル部などの整備促進を国に要請するとともに、京急蒲田駅付近の連続立体交差や駅改良など、空港周辺の渋滞解消や輸送力の増強に努めてまいりました。
 また、現在、国際線ターミナルの供用開始に合わせ、京浜急行及び東京モノレールでは、新駅の開設に向け工事を進めております。
 今後も引き続き、国や関係自治体等との連携を図りながら、空港アクセスの強化に着実に取り組んでまいります。
 次に、東急線蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ路線であります、お話の新空港線、いわゆる蒲蒲線でございます。
 本路線は、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線に位置づけられております。ご指摘にあるような一定の効果につきましては、理解をしているところでございます。
 一方で、本路線には、空港アクセスとしての機能性や多額な事業費のほか、事業採算性、東急線と京急線の線路幅の違いなど、さまざまな課題がございます。
 今年度、地元区が設置した勉強会に、国や鉄道事業者などとともに都も参画しておりまして、こうした場を通じて、具体的な課題につきまして引き続き区と議論を重ねるなど、必要な対応を図ってまいります。
 最後に、羽田空港跡地の基盤整備についてでございます。
 空港跡地は、再拡張事業で整備される国際線ターミナルなど、国際化の拠点施設に隣接する貴重な空間でございまして、この跡地の利用につきまして、都はこれまで、国及び地元区とともに検討を進めてまいりました。
 跡地利用基本計画は、今年度中に策定いたしますが、跡地の整備を進めるためには、道路や護岸などの基盤整備や、跡地の処分、事業手法等の課題を解決することが重要でございます。
 このため、引き続き、都が主体的に国や地元大田区など関係機関と調整していくとともに、特に土地所有者である国に対しましては、跡地整備の課題解決に向けた積極的な対応を求めてまいります。