午後一時開議
○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。
○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
百十二番川井しげお君。
〔百十二番川井しげお君登壇〕
○百十二番(川井しげお君) 平成十九年第四回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
今、国会の状況を見ますと、混迷する政局を打開するため、みずから職を辞した安倍政権を受け継いだ福田政権が、国会の正常化と国際責任を果たすため、懸命に努力をしております。しかしながら、国会は、建前だけの論議の横行と破廉恥ともいうべき防衛官僚の行動により、空転を繰り返すばかりで、国民生活にかかわる法律はたなさらし状態になっています。国会はまさに国民の負託を放棄したといわざるを得ません。こういうときこそ、住民に最も身近な地方が自立し、信頼される地方政府を確立していく必要があります。
ことしは、地方自治法が施行されて六十年に当たります。この間、東京を中心とする首都圏は世界に比類のない大都市圏へと発展し、日本の成長を支えてきました。その後、アジア諸国の急速な経済発展など、世界的な厳しい都市間競争の中、都市の興亡が国家の興亡を左右する時代を迎え、今後、東京の持つポテンシャルを効果的に発揮できるか否かが、我が国の行く末に大きく影響するといえます。
しかし、国が全国画一的な関与を続けている現行地方自治制度のもとでは、都の積極的な取り組みにも限界があるのが実情です。今後の分権改革は、我が国の将来にかかわる国家百年の計として、国と地方の役割分担を根本から見直し、地方の自主性、自立性を高めるものにしなくてはなりません。
こうした中、先月十六日には、国の地方分権改革推進委員会が中間的な取りまとめを行いました。それに先立ち、知事は、委員会の場で分権改革の必要性を強く主張するとともに、先月の九日には、委員会に提言を提出しました。国の中間的な取りまとめの大きな方向性は、都の提言の内容に沿ったものとなっていますが、知事はどのような思いを込めて委員会に対する提言を行ったのか、考えを伺います。
次に、二〇一六年東京オリンピック・パラリンピック招致について尋ねます。
去る十一月十九日、二〇一六年東京大会の開催基本計画が発表されました。日本の国家復興の促進に寄与した一九六四年東京オリンピックのレガシーを踏まえ、新しい都市モデルを提案し、地球環境を再生する東京から地球社会への贈り物と位置づけています。大変明確なコンセプトで、都民、国民にも理解しやすいメッセージだと思っています。
今後は、このコンセプトを高く掲げて、ただ単に、オリンピック・パラリンピック招致というだけでなく、高度な都市化や高齢化など、二十一世紀的課題を世界で最初に大規模に経験しつつある東京こそが、だれもが安心して快適に暮らせる都市を実現する戦略を示し、政策展開を図っていく必要があります。また、最先端の技術を用い、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現し、その成果を広く世界に発信していくことも重要であります。
しかし、環境の二十一世紀といわれている現在、ほかの立候補都市も環境対策を重視したコンセプトを提示してくることは明白です。都市間競争を勝ち抜くためには、他の都市にない日本独自の視点が不可欠です。そこで、開催基本計画のコンセプトにおいて、東京また日本ならではの視点は何なのか、伺います。
今回の開催基本計画のコンセプトに基づいて、今後の申請ファイル、立候補ファイルを作成すると聞いていますが、さらによい計画となるように常にブラシアップを心がけてほしいと思います。
我々都議会オリンピック招致議員連盟は、先月十九日、三十万名を超える都民、国民からの熱い声援がこもった署名を知事に贈呈いたしました。また、今月、招致に関する世論調査の結果が公表され、新聞社が春に実施した調査結果を大きく上回りました。これは地道な招致活動の結果であり、関係者の労をねぎらいたいと思います。今後も引き続き、開催の意義や経済効果などをPRすることにより、賛同の輪を大きく広げていかなければなりません。
「オリンピックを日本に、二〇一六年!」が招致スローガンに加えられたことを契機に、今後、都内にとどまらず、広く国内、国外へもこのコンセプトを強く発信していくべきだと思いますが、今後の招致活動の展開について伺います。
二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックを開催することは、障害者、高齢者、子ども、外国人など、すべての人に優しく、開かれた平和な社会を、未来を担う子どもたちにプレゼントすることであります。この実現のためにも、東京の都市戦略を広く発信し、政策を力強く展開していくことが必要です。我々都議会も、人を育て、緑を守り、都市を躍動させるオリンピックの実現へ、招致活動を大いに盛り上げてまいります。
最後に、オリンピック・パラリンピック招致に向けた知事の決意を伺います。
次に、横田基地の軍民共用化について伺います。
横田基地の軍民共用化は都政の重要課題であり、知事みずからが先頭に立ち、早期実現を目指して精力的に取り組んでこられました。日本政府も、知事の行動によって重い腰を上げ、平成十五年五月、当時の小泉首相とブッシュ大統領との会談で、共用化の共同検討について合意されました。これまで、必ずしも関係省庁の足並みがそろっていたとはいえない時期もあったようですが、知事の熱意により、現在では、関係省庁が都と一枚岩になって共用化の早期実現に取り組んでいます。
軍民共用化の検討のために開催されたスタディーグループの協議は、この十月で、十二カ月以内という検討期限を経過しましたが、まだ検討すべき課題が残されているため、先月八日、高村外相とゲーツ国防長官との会談で、議論を継続していくことが了解され、引き続き協議を行うことになりました。
知事は、事あるごとに横田基地の軍民共用化の重要性を訴えてきており、先月五日には、新聞に「アメリカは真の友人か?」の見出しで寄稿し、政治家として、日本国民の立場から現状を鋭く分析し、首都圏における空のアクセスを拡大することが国力の維持のために不可欠であり、横田基地の軍民共用化が必要であると訴えています。
一方、横田基地を抱える多摩の立場からすれば、戦後六十年以上にわたり、日米の安全保障政策の重要性にかんがみ、基地を受け入れて友好的な関係を保ってきたにもかかわらず、アメリカ側は日本側の求めに対し消極的な立場をとっているようであり、この点については強い憤りを禁じ得ません。
そこで、改めて、現在の状況を踏まえ、横田基地の軍民共用化を今後どのように進めていくのか、知事のお考えをお伺いします。
次に、平成二十年度予算編成について伺います。
都財政は、知事と都議会が手を携えた懸命な財政再建の取り組みが実を結び、平成十八年度決算、二年連続黒字、経常収支比率の改善など、大いに健全性を回復しました。財政再建に区切りをつけた今、これまで我慢をお願いしてきた都民の方々には、その成果を十分還元することが重要であります。同時に、将来の東京をより高いレベルで成熟を遂げたまちにしていくために、我々は今何をなすべきかという中長期的な視点も欠かすことができません。
一方で、都財政はよくも悪くも外部要因の影響を受けやすく、将来の不確実性に対して万全な備えを期しておく必要があります。中長期的に安定した施策を展開していくために、財政運営の質という点でも、財政再建期とは違うものが求められると思います。
これから予算編成作業が山場を迎えるわけですが、来年度は「十年後の東京」の実現に向けて本格的なスタートを切る重要な年であります。そこで、平成二十年度予算編成に当たって、知事の基本的な考え方について伺います。
次に、東京の財源を奪う動きについて伺います。
先ほど石原知事が福田総理と会談をし、総理からの求めに応じ、協力することとされたとのことであります。これまで都は、不合理な税財政制度の見直しに対し、断固反対の姿勢を示してきましたが、地方の現実と日本を預かる総理からの要請という状況の中で、大局的見地からご決断されたのではないかと思います。
地方税財政制度の本来のあるべき姿、一方では困窮する地方への思い、そして首都東京を預かる知事の立場など、いろいろな要素が複雑に絡み合う中、都民と日本の繁栄を願う観点から、まさにぎりぎりで苦渋の決断だったと推察をいたします。非常に冷静で現実的な対応をとられたものであるとともに、首都東京の代表にふさわしい英断であると高く評価しております。そこで、今回の決断をした知事の率直な気持ちを伺います。
次に、都独自の固定資産税の軽減措置について伺います。
景気が回復基調にあるとはいえ、中小企業の業況は先行き不透明であり、中小企業者は依然として重い税負担感を持っています。税負担感などに配慮をし、商業地に対する条例減額制度など、都独自の四つの軽減措置を来年度も引き続き継続すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
次に、都の人事執行体制について伺います。
石原知事就任以来、都では、二万人を超える定数削減を行うなど、国や他自治体の模範となる数々の行政改革に取り組んできました。こうした取り組みは、都の財政再建達成に大きく寄与したばかりでなく、監理団体、民間企業へのアウトソーシングなどによって、都民サービスの質的な向上にもつながっております。
都民の貴重な税金で人件費を賄う以上、行政改革はこれからも当然必要ですが、長年にわたる定数削減によって、都庁内の一部の職場から、人手不足を訴える声、叫びも聞こえてきております。
一例を挙げると、今後十年間で、四大技術職は半数近く、四千人が定年を迎えます。このままでは、熟練職員の大量退職によって、マンパワーの不足や技術力などの伝承が円滑に行われないといった事態も起こりかねません。二十年後、三十年後にも住民ニーズにこたえられる体制を築くには、計画的な職員の採用としっかりした人材育成が極めて重要です。こうした観点から、これまでの取り組みを一度検証してみる必要もあるのではないでしょうか。
引き続きスリムな体制を維持しつつ、都民要望に迅速かつ的確に対応していくための今後の人事執行体制のあり方について所見を伺います。
次に、地球温暖化対策について伺います。
先月まとめられたIPCCの報告書では、地球温暖化は人間の活動に起因する温暖化ガスの増加が原因とほぼ断定し、二〇一五年から二〇年には世界のCO2排出量を減少に転換する必要性を指摘しています。さらに、この報告書では、CO2の削減対策だけでなく、洪水や感染症など、温暖化による悪影響を避けるためのいわゆる適応策の重要性を強調しており、まさに地球温暖化対策は待ったなしの状況であります。
こうした中、都は、本年六月策定した東京都気候変動対策方針で、大規模CO2排出事業所への排出削減義務づけと排出量取引制度を導入することを明らかにしました。現在、都は、経済界などと意見交換会を開き、その意見を踏まえながら制度の内容を検討しているとのことですが、義務化については、経済成長が阻害されるといった懸念の声が上がっているとも聞いております。
環境と経済は相反するものではなく、東京の長期的な発展を可能とするためにも、東京が国をリードし、積極的な温暖化対策の展開が必要であると考えますが、知事の所見を伺います。
さらに、一層の温暖化対策を進める上で、中小企業や家庭も重要であります。中小企業のCO2排出量は都内の約五分の一、家庭の排出量は約四分の一を占めています。しかしながら、中小企業や家庭は省エネルギー対策に関する知識不足のため、取り組みが全体としておくれています。対象者数も多く、それぞれの事情に応じた具体的できめ細やかなサポートが有効なのではないでしょうか。
これまでも都は、中小企業への省エネ対策に関する現場相談、省エネ診断や家庭に対する普及啓発などを行ってきましたが、今後、一層積極的、集中的に施策を展開するための拠点づくりを含めた体制整備により、こうした取り組みを進化させるべきと考えますが、見解を伺います。
国でも審議会が開かれ、温暖化ガス削減に向けた抜本的検討が進められています。その中で、太陽光など新エネルギーの導入が論点として議論されておりますが、余り期待できるものではありません。我が党は、都が先導的に取り組むべき重要な課題と考えておりますが、都も、検討会の結果を踏まえ、具体的な方策を早急に取りまとめていく方向であると認識しております。
そこで、国の施策で普及が進まない理由や、導入コストの軽減を実現する上での課題などを踏まえ、家庭等への普及拡大策の構築を早急に進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
こうした取り組みを含め、先進的な温暖化対策の構築をし、環境オリンピックの実現に向けて世界に強くアピールしていくことを要望し、次の質問に移ります。
「十年後の東京」において、新しい技術やアイデアで世界をリードする産業都市東京を目指す方針が示されました。東京の産業振興には、革新的なベンチャー企業に対する支援や新産業の育成などによるイノベーションの創出と、それを支える確かなものづくり産業の基盤の維持、強化の二つの視点が必要です。
東京のものづくり産業は、高い技術力と競争力を有し、世界的にも高い評価を得ております。これは、金型や鋳造、メッキなどの基盤技術を持つ町工場といわれるような中小企業が、日本製品の高い信頼性と性能を支えてきたからにほかなりません。しかし、戦後最長の景気回復の中にあって、こうした中小企業にはその恩恵が行き渡らず、大企業との収益格差も広がっています。
世界をリードする産業都市東京の実現には、こうした基盤技術を担う中小企業が果たすべき役割は極めて大きなものです。今こそ産業基盤の強化に全力を挙げるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
東京のものづくり産業の基盤を支える中小企業は、後継人材の不足による技術力の低下や大手企業との系列関係の崩壊など、極めて深刻な問題に直面しています。しかし、基盤技術を担う中小企業は、小規模な下請企業であることが多く、克服すべき課題に単独で対応することは極めて困難です。今後、こうした中小企業が、お互いの技術を高め合うとともに、大企業と対等に取引できるような支援策を講じていくべきと考えますが、所見を伺います。
将来にわたり東京の産業を高めていくためにイノベーションの創出が不可欠です。都内企業にイノベーションのうねりを巻き起こし、波及効果の高い産業分野を育成することで新産業を創出していくことが必要です。成長性の高い産業分野の民間プロジェクトを集中的に支援する重点戦略プロジェクトは、こうした考えを具現化する施策として大きな期待を寄せているところです。そこで、今後の成長産業の育成に向け、本プロジェクトをどのように展開していくのか、伺います。
次に、商店街振興について伺います。
都はこれまで、地域コミュニティの核である商店街の活性化を図るため、新・元気を出せ商店街事業などの支援を進めており、その成果もあって、都内の商店街では活性化に向けたさまざまな取り組みが繰り広げられています。その一方で、新たに開店したコンビニや居酒屋に代表されるチェーン店等が商店街に加入せず、商店街の問題となっています。
こうした状況を打開するため、かねてより我が党が提言してきた商店街とチェーン店との話し合いの場として、商店街振興組合連合会、東京都商店街連合会、商工会議所、商工会連合会など、地域商業、サービスの関係十団体による商業まちづくり協議会が平成十五年度に設置され、活発な議論が交わされています。
その後、連携・協働の商業まちづくり共同宣言や連携・協働ガイドブックの作成など、地域商業者の連携、協働の機運が高まりました。また、都内区市町村での商店街への加入促進を目的とする条例や要綱を定める動きが広がり、現在その数は二十九団体に上ります。
地域商店街の活性化をさらに推進するためには、これらの地域商業者の連携や各自治体の取り組みに、都として積極的な後押しが必要と考えます。商店街がチェーン店等とも一体となってさまざまな取り組みを行えるよう、実効ある施策を打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、多摩地区の水道事業について伺います。
我が国の水道事業は市町村経営を原則としてきたため、経営的にも技術的にも脆弱な中小規模の事業体が多く、経営統合などによる広域化が最大の課題とされています。こうした中で、都は、昭和四十六年に多摩地区水道の都営一元化計画を策定し、現在まで二十五市町の水道を一元化してきました。
一方、奥多摩町と檜原村の水道事業については一元化計画の対象外とされ、いまだに両町村による運営が続けられています。第三回定例会で我が党が指摘したとおり、両町村は、水源水質の悪化や技術的な問題など、その運営に苦慮しております。特に、ことし、奥多摩町にある小河内ダムが竣工五十周年を迎えました。奥多摩町は、この間、水源地として都の水道事業にさまざまな協力をし、また町の料金水準を都に合わせるなど、一元化を目指して努力をしております。
こうした状況を踏まえ、都は、奥多摩町水道事業の都営一元化を都政の重要課題として取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。また、奥多摩町が抱えるさまざまな課題への対応は、都の技術力、運営力をもってすれば必ずや解決できると考えますが、見解を伺います。
続いて、直結給水について伺います。
我が党はこれまで、機会あるごとに直結給水の取り組みの重要性について指摘をしてきました。例えば、平成十三年の水道法改正で、水道事業者が貯水槽水道の管理に関与できるようになったことから、都内にある全貯水槽水道を対象とした点検調査やフォローアップ、また、新築建物における直結給水の基準緩和などを指摘してまいりました。
高度浄水処理の導入を初め、我々が水道局とつくり上げてきたおいしい水への取り組みは徐々に実を結びつつあり、東京の水道のおいしさを実感する都民もふえてきております。これまでの世界に誇る安全でおいしい水への取り組み、努力を結実させるためにも、直結給水化など、さらに力を入れていくことが重要だと考えます。また、水道局のみならず、民間の力をも活用した効果的な施策を実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、羽田空港の跡地利用について伺います。
知事は、我が党の第三回定例会の代表質問に、羽田空港の国際化は、我が国の経済を活性化し、国際競争力を強化する極めて重要な国家的プロジェクトであり、引き続き国に積極的に働きかけると強い決意を示しました。
羽田空港再拡張事業は、新滑走路整備事業と国際線旅客ターミナルビルなど、整備を行う国際線地区整備事業の二つの事業が同時に進められておりますが、その国際線地区整備事業に隣接するエリアに、羽田空港の沖合展開により生じた跡地約五十三ヘクタールが更地のまま存在しております。この跡地利用について、国、都、大田区の三者での共同調査が進められており、先月公表された羽田空港跡地利用基本計画素案では、跡地を三つのゾーンに分け、各ゾーンの特性を踏まえた利用の方向が示されました。
今後の羽田空港跡地の整備に当たっては、今回の基本計画素案で示された地元大田区など周辺地域との連携の視点に立つとともに、羽田空港の再拡張、国際化と整合を図りながら推進すべきと考えますが、今後の跡地利用に関する基本的な考え方について知事の所見を伺います。
羽田空港再拡張事業は着実に進んでいると承知しておりますが、一方で、再拡張事業と足並みをそろえるべき跡地については、現在も国が所有し、土地処分のあり方が定まっていないなど、跡地利用がなかなか進まないのではないかと懸念されております。また、跡地が大田区の市街地に隣接しているなど、跡地利用には、都がリーダーシップを十分発揮して、地元大田区と情報交換を行うべきと考えます。そこで、今後の跡地利用の具体化に向けた都の取り組みについて伺います。
次に、改正建築基準法の影響について伺います。
構造計算書偽造問題の再発防止を図るため、去る六月に改正建築基準法が施行され、姉歯事件で失った建築物の安全への信頼性を回復するための取り組みが進められています。しかしながら、改正内容の周知が不十分だったことなどで、建築確認手続が大幅におくれ、建築着工件数が急減する事態を招いています。こうした状況が継続すれば、建築設計業界を初め、建築工事や不動産関係業界、住宅を購入する消費者など、社会全般に深刻な影響が拡大していく懸念があります。
一方、日本銀行や内閣府の経済報告でも、建築確認停滞による影響は既に指摘しており、GDPも下方修正されています。せっかく回復基調にある日本の景気にも冷や水を浴びせかねない状況であります。そこでまず、最近の建築確認の都の現状と国の動向について伺います。
我が党は、平成十八年七月に建築設計議員連盟を設立し、建築士事務所との意見交換などを通じて、建築業界が直面する課題に真摯に耳を傾けてまいりました。本件は基本的には国の問題ですが、建築行政を所管する都も、法の中で最大限の取り組みを行うことが必要だと考えます。そこで、今後の都の取り組みについて伺います。
我が党は、このような状況を踏まえ、関連中小企業に円滑な資金供給がなされるよう、先月、金融機関及び国、都に対し強く申し入れを行いました。こうした我が党の取り組みが功を奏し、先月二十七日より、国が定める不況業種として建築関連の十五業種が新たに追加指定され、都においても特別相談窓口が設置されました。こうした行政の対応には一定の評価はできるものの、影響が極めて広範な業種に及んでいることを考慮すると、決してまだ十分な対応であるとはいえません。
建築着工の落ち込みが特に顕著な都では、国が指定する不況業種以外の業種であっても、建築確認のおくれに伴い経営が悪化している関連中小企業者にできるだけ有利な条件で制度融資が活用できるよう、緊急かつ特別な措置を講ずるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、建物の耐震化について伺います。
三月の能登半島地震や七月の新潟県中越沖地震など、大規模な地震の発生が相次いでいます。一たび東京で大地震が発生すれば、その被害の影響は、東京のみならず全国に及ぶものと考えられます。首都東京の国際的な信用を高める上でも、震災対策、とりわけ建物の耐震化は最優先の課題であります。
都は、この課題に全庁を挙げて取り組むとして、ことしの六月に副知事を座長とする建物の耐震化推進会議を設置しました。推進会議では、防災上重要性の高い建築物の一〇〇%耐震化や住宅の九割以上の耐震化などの目標に向け、年内にも効果的な施策を取りまとめると聞いております。今後、建物の耐震化を促進するためにどのような方向で施策を展開しようとしているのか、所見を伺います。
耐震化のための助成制度は、現在木造住宅が対象ということですが、耐震改修を促進するために、マンション等の木造以外の建物の助成についても検討されるよう、強く要望をいたします。
さらに、耐震化促進のための税制も活用すべきと考えますが、所見を伺います。
また、防災上重要な建築物として病院、小中学校、ホテルなどが挙げられていますが、これらが民間所有の場合は、資金面で耐震改修に踏み切れない場合も多いと考えられます。特に私立学校では、少子化の影響により経営が厳しい状況のところもありますが、次代を担う子どもたちを震災から守り、安全な教育環境を確保することは急務であります。そのため、私立学校に対する補助金のさらなる充実など、さまざまな支援が求められますが、都の支援策を伺います。
次に、都営住宅のストックの活用促進について伺います。
現在、都営住宅の整備は、昭和三十年代以前建設の二万五千戸を対象に建てかえを年間三千戸、四十年代建設住宅を対象にスーパーリフォームを年間千九百戸実施していますが、建てかえの際には、敷地の有効利用で用地を創出し、南青山一丁目や東村山本町地区など、民間事業者による活力ある都市づくりを進めていることも承知しております。一方、スーパーリフォームは、建てかえの半分程度の事業費をかけて一定のバリアフリー改修を行い、居住性の向上を目指すものですが、建物の耐用年数を延ばすことはできず、従来の建物を生かすため、敷地の有効利用を図れるものではありません。
こうしたことから、今後は、都民の貴重な財産である都営住宅用地の有効な活用の促進を図るため、老朽化した住宅の建てかえで集約、高層化などを行い、創出した用地を生かした都市づくりを積極的に進めるべきです。そのため、スーパーリフォーム事業は抜本的に見直し、建てかえ事業については、対象住宅の範囲を拡大するとともに、年間の着手戸数をふやし、事業を加速させるべきと考えますが、所見をお伺いします。
「十年後の東京」には、豊かな緑や魅力ある水辺環境の創出、災害に強い都市づくりなどが示されていますが、都営住宅の建てかえ事業は、これまでの創出用地を生かした民間事業者による都市づくりに加え、公共公益施設の整備などで、こうした取り組みにさまざまな面で貢献できるものと考えます。そこで、建てかえ促進による「十年後の東京」の実現に向けて、具体的にどのような効果が生み出されるのか、伺います。
次に、道路の整備の財源確保について伺います。
東京都の慢性的な交通渋滞は、都市機能の停滞や環境の悪化を招くなど、東京の最大の弱点の一つであり、三環状道路を初め、道路ネットワークの形成による渋滞解消が喫緊の課題であります。そのためには道路整備の財源が必要不可欠であり、我が党は、危機意識のもと、第三回定例会において、公明党と協力をし、道路特定財源の首都東京の道路整備への重点投資と首都圏の高速道路料金の引下げに関する意見書を提出し、民主党の賛同を得て、決議し、国に提出をしました。
ところが、この道路特定財源をめぐってはさまざまな意見が飛び交っており、閣議決定された暫定税率の維持すら覆す意見もあります。東京を中心とする首都圏は、日本経済全体の牽引役であり、その基盤となる道路ネットワーク整備を早急に進めていく必要があります。都議会自民党は、暫定税率を維持し、道路特定財源を一般財源化することなく、本来の目的である道路整備に充当していくことが不可欠であると考えております。
参議院選後のいっときの政治情勢によって、都民、国民の生活を支える道路の整備を遅滞させてはなりません。今後の年末の中期計画の決定、それを受けた法案改正など、道路特定財源については山場を迎えます。そこで、改めて道路特定財源の確保に向けた知事の所見を伺います。
次に、美しい都市景観創出について伺います。
人々に潤いや安らぎを与え、都市環境の改善や景観の向上などに寄与する街路樹の役割は重要であります。これまで街路樹は着実に増加してきていますが、今後、目標とする街路樹の倍増に当たっては、行政の取り組みだけでなく、都民の理解と協力が不可欠であります。
知事は第三回定例会で、我が党の代表質問に、緑あふれる東京の再生に向けて、従来の行政の枠を超えた新しい発想で広く緑のムーブメントを巻き起こしていきたいと表明されました。都ではこれまで、新しい発想による都民参加の取り組みとして、思い出ベンチや舎人公園での桜の森づくりなど実例があり、多くの都民から賛同をいただいております。こうした取り組みのように、わかりやすく参加しやすい仕組みを街路樹の倍増においてもつくるべきと考えますが、所見を伺います。
また、東京の良好な都市景観の創出のためには、街路樹の倍増とともに、無電柱化の促進が重要であります。都は「十年後の東京」で、緑のネットワークと連携し無電柱化を推進することとしており、これには、都道はもとより、区市町村と連携した面的な無電柱化に積極的に取り組んでいく必要があります。このため、我が党は、かねてより区市町村に対する財政支援を強く要望してきたところであり、オリンピック開催を見据え、区市町村に対する新たな補助制度を創設し、面的な無電柱化を加速させるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、東京港について伺います。
我が国の持続的な発展のためには、国際競争力の強化が不可欠です。特に、国際物流の玄関口である東京港の基盤整備は喫緊の課題であります。今、世界は、コンテナ輸送における一層の効率化を追求する方向の中、コンテナ船の大型化が急速に進んでいます。本年九月に着工されたパナマ運河の拡張は、世界航路再編の引き金になる可能性も秘めており、東京港においても、将来を見据えた戦略的な港湾施設の整備が必要であります。
このため、先般、我が党の港湾空港振興議員連盟から、港湾整備についての要望書を提出したところであります。
都の港湾整備の指針である港湾計画は、おおむね十年後の東京港を目指した計画ですが、民間企業では、二年から三年の事業計画を策定し、実績と事業環境の変化に応じてローリングしていくことが一般的となっています。港湾施設の整備には長期間を要することから、十年を計画期間とすること自体は否定しませんが、昨今の世界の物流状況をかんがみれば、柔軟に計画を見直し、スピード感を持って施策を遂行していくことが必要であります。
船舶の大型化など世界の潮流を踏まえた港湾計画の見直しを含め、東京港の新たな経営戦略を直ちに作成すべきだと考えます。また、その検討に当たっては、横浜港など他港との連携により、東京湾全体としてアジアを代表する港ともなり得るような国際競争力を強化するという視点も必要だと考えますが、知事の所見を伺います。
ところで、経営戦略の策定に当たっては、東京港の今後の役割について認識を明らかにしておくことが重要です。近年、製造業においては、日本とアジア諸国間での国際的な分業が進み、国境を越えた物の動きが年々活発になっており、輸出入の貨物量の急増につながっております。
一方、高度な技術力を必要とする生産分野では生産拠点の国内回帰も進んでおり、南東北を中心に国内での工場立地が増加しています。圏央道や外環道などの整備が進む中、首都圏だけでなく、さらに広大な地域が東京港の背後圏となりつつあります。
東京港は、このように伸びつつある国内の実需にこたえるメーンポートとしての機能を十分に果たすとともに、我が国を代表する海の玄関口として、内航、外航の円滑な結節点となるハブ機能を担っていくことも必要です。このような国際的、国内的な環境変化を踏まえ、今後、東京港はどのような役割を果たしていくのか、所見を伺います。
次に、がん対策について伺います。
都内では、がんで入院している患者が約一万二千人、総患者数は十三万五千人と推計されています。また、昭和五十二年から都民の死亡原因のトップを占め、年間三万人もの方ががんで亡くなっており、これは都民にとって大きな脅威であります。現在、都では東京都がん対策推進計画を策定中とのことですが、がんにかからないこと、たとえがんにかかっても、前向きにそれに向き合い、そして、がんを克服できることが都民の切なる願いであります。計画策定に当たり、がん対策に取り組む知事の決意を伺います。
また、第三回定例会の代表質問において、我が党は、高度で専門的ながん診療機能を有する病院の活用を提案しましたが、知事は、国が指定する拠点病院と同等の診療能力を有する病院を都独自に認定すると表明されました。この認定病院について、その内容と今後の取り組みについて伺います。
次に、医療制度改革について伺います。
我が党は、一連の医療構造改革の中でも療養病床の再編については、都民に対する影響が極めて大きいものであることから、幾度となく都議会で質疑を重ねてまいりました。今般公表された東京都地域ケア体制整備構想において、第三回定例会の我が党の代表質問を踏まえ、療養病床数を全国一律で削減しようとする国の考え方によらず、都の地域特性を踏まえた再編を推進することが明記されました。今後、都は、当構想を踏まえ医療費適正化計画を策定していくわけですが、現在の検討状況について伺います。
医療費適正化を総合的に推進するに当たって、国は、糖尿病など生活習慣病の予防を重要な取り組み策の一つに位置づけ、平成二十年度からは、特定健康診査そして特定保健指導の実施を医療保険者の責務としました。
この特定健康診査・特定保健指導の費用について、区市町村の運営する国民健康保険の場合には、国と都道府県がそれぞれ三分の一を負担することが法定されていますが、国民健康保険組合には該当の規定がありません。生活習慣病予防の取り組みを推進するため、都として国民健康保険組合に対し必要な財政支援を行うべきであると考えますが、所見を伺います。
次に、後期高齢者医療制度について伺います。
このたび、政府・与党は、来年度からスタートする後期高齢者医療制度の保険料について、扶養家族であった被保険者の保険料の半年間の凍結を含む一層の激変緩和措置を国の財政責任で講じることとしました。また、都内の全区市町村は、保険料の軽減を目的に広域連合への財政支援を実施することとしました。都としても、広域連合及び区市町村と連携をし、安心して新制度を迎えるよう支援すべきと考えます。そのため、我が党は先月、後期高齢者医療制度の円滑な施行に関する要望書を知事に対して提出したところであります。そこで、こうした動向を踏まえた上での都の考えを伺います。
次に、子育て支援について伺います。
我が国の深刻な少子化に歯どめをかけ、次代を担う子どもたちを健やかに育成するためには、子どもを生み育てたいと望む人たちが安心して子どもを生み、子育てができる環境を整備することが必要です。都は、局を横断して総合的な子育て支援策を推進するため、本年六月に副知事を座長とする子育て応援戦略会議を設置しました。全庁を挙げてさまざまな角度から精力的に検討を重ねてきた結果が、近々、子育て支援の重点戦略として打ち出されると聞いております。そこでまず、大都市東京ならではの子育て支援について、知事の所見を伺います。
子育て応援戦略会議のテーマは、働き方の見直しや子育てに必要な環境づくりなど広範にわたっていますが、とりわけ保育所の待機児童五千人の解消は喫緊の課題であります。全国に約一万八千人いる待機児童のうち、何と四分の一は東京都の待機児童です。待機児童問題はまさに大都市問題であり、都の取り組みこそが解決のかぎを握っていると思います。
都はこれまでも、独自に認証保育所制度を創設するなど、待機児童の解消に努めてきましたが、残念ながら、いまだ待機児童を目に見える形で解消するには至っていません。そこで、緊急にさまざまな保育サービスを拡充し、確実に待機児童の解消を図ることが必要であると考えますが、今後の取り組みを伺います。
さらに、保育サービスを必要とする、しないにかかわらず、すべての子育て家庭に対する支援も重要です。都市部の子育て家庭の約九割は核家族です。地域社会のきずなが弱まる中、子育て家庭が孤立し、子育て不安や育児ノイローゼに悩む親御さんも見られます。これが深刻化すれば、不適切な養育につながり、児童虐待という、あってはならない事態に至る危険性もあります。孤立した子育てにならないよう、例えば、親同士が子育ての相談や悩みなどを気軽に話し合えるような交流の場の整備や、子育ての負担軽減のためのさまざまなサービスを充実させることが必要です。地域で安心して子どもを育てるための支援の仕組みをこれまで以上に充実させるべきと考えますが、所見を伺います。
次に、シルバーパスについて伺います。
来年三月開業される日暮里・舎人ライナーについて、我が党は、東京都交通局が経営主体として運行を行うこと、さらに、沿線の高齢者の社会参加を一層促進するためにシルバーパスの対象路線とすることを昨年八月に都に要望しました。この点については、既に東京都交通局が経営主体として事業譲渡の許可を得ており、シルバーパスの適用に向けて所要の手続が行われると聞いております。
さて、国の税制改正において、十八年度より高齢者に対する区市町村民税非課税の基準が引き下げられましたが、この結果、収入が変わらないにもかかわらず、千円から二万五百十円でパスを購入しなければならなくなる事態を避けるため、影響を受けた方について、都が、十八年度、十九年度と負担額をそれぞれ据え置いたことは高く評価するものであります。国においても、二十年度、二十一年度と介護保険料の激変緩和措置をさらに継続する見込みです。そこで、新たにパスを発行される方も含め、経過措置の継続を強く求めるものであります。都の見解を伺います。
次に、都立病院改革について伺います。
都立病院は、東京発医療改革の核として、東京ERの実施やPFI手法の導入など、都立病院改革を積極的に推進し、全国をリードしてきました。しかし、全国的な医師不足、とりわけ産婦人科医師の不足は都市部でも深刻であり、都立病院でも、一部分娩の休止や縮小をせざるを得ない状況と聞きます。
第三回定例会の代表質問で我が党がただしたとおり、産婦人科医師を含む優秀な医師を確保し、定着を図っていくことは、都立病院がその役割を果たしていく上で何よりも重要であることは論をまちません。特に産婦人科は、女性医師が三十代で五割、二十代で七割を占めており、出産等での離職が少なくないといわれています。今年八月の育児休業法の改正を踏まえ、我が党は、さきの各会計決算特別委員会でも主張したとおり、子育てと勤務の両立を可能とする短時間勤務制度の早期導入を要望していますが、これは、女性医師を初めとする医療従事者の確保に大いに資するものです。
都立病院が率先して総合的な医師確保対策を講じ、それを東京発医療改革として発信していくことは、他の自治体病院に大きな影響を及ぼし、現下の医師不足の解消にも寄与するものと考えております。
こうした中、先日、日本産科婦人科学会の理事長が知事と面会し、産婦人科医師不足に対して病院現場での総合的な対策を実施してほしい旨の要望を行い、学会の中で相当大きな話題となっていると聞きます。そこで、都立病院の医師不足についての認識と今後の対策について、知事の所見を伺います。
また、都立病院改革を推進するに当たって、都立病院の経営形態の検討が大きな課題であります。先月末には有識者による都立病院経営委員会から報告書が出されましたが、その中で、いわゆる非公務員型の一般地方独立行政法人が制度的に最も柔軟な経営形態であると提言されました。一方、報告書では、地方独立行政法人の制度面や運用面での課題も指摘をしております。課題を抱えたままでの拙速な経営形態の変更は、病院現場に混乱を招き、医療サービスの低下につながりかねません。また、都立病院の使命である行政的医療については、都が最終的に責任を持つべきであり、慎重な検討が必要であると考えます。今後、この報告を受けて都としてどのように検討を進めていくのか、所見を伺います。
次に、教育関係について伺います。
平成十九年四月、改正学校教育法が施行となり、従来、障害種別ごとに設置されていた盲学校、ろう学校、養護学校制度は、複数の障害種別に対応した教育を行うことのできる特別支援学校制度になりました。また、幼稚園、小中学校、高等学校等に在籍する特別な支援を必要とする幼児、児童、生徒に対しても特別支援教育を行うことが明確に位置づけられたところです。本年は、こうした特別支援教育制度が大きく改正された、いわば特別支援教育元年となる年であります。
そうした中、このたび、平成二十年度から二十二年度を計画期間とする東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画が策定されました。そこで、十一月に発表されたこの計画について伺います。
障害の有無にかかわらず、すべての子どもが社会的に自立し、社会参加できるようにすることが大変重要なことであると考えます。特別支援教育制度への理解が進み、これから推進、定着していくことが求められます。そこで、都教育委員会は、知的なおくれのない発達障害を含む障害のある子どもに対する教育をどのように考えているのか、また、第二次実施計画では、障害のある子ども一人一人に応じた支援計画の充実など、障害のある子どもへのライフステージに応じた支援をどう展開していくのか、伺います。
第二回定例会の我が党の代表質問で、都独自の取り組みも第二次実施計画で盛り込むべきとの質問に対し、教育長は、国を先導するような改革を推進していくと答弁されました。そこで、国に先駆けた教育内容の充実や外部の教育の活用など、計画に盛り込まれた都独自の先導的な施策とはどのようなものなのか、伺います。
次に、スポーツ振興施策の総合的な推進について伺います。
都のオリンピック招致に呼応して、ことし八月に、スポーツ振興を国家戦略としてとらえた報告書である「スポーツ立国ニッポン」が発表されるなど、スポーツ振興に対する国の本格的な検討が開始されました。都においても、スポーツ振興審議会が立ち上がり、新たなスポーツ振興戦略の検討が始まったと聞いています。
スポーツは、都民の心身の健全な育成や健康づくりに欠くことのできない重要な要素であるとともに、競技者の活躍は、見る者に夢と感動をもたらすものであります。都民の日常生活にスポーツを溶け込ませることは、スポーツ都市東京の実現に欠かせないと考えます。
都は、本年四月にスポーツ事業を生活文化スポーツ局に移管し、執行体制の強化充実を図っていますが、新たなスポーツ振興事業について、これまでの取り組みの実績と、今後の展開について伺います。
本年二月には三万人が都心を駆け抜ける東京マラソンを開催し、多くの都民に感動を与えるとともに、東京の国際イベント運営能力を国内外にアピールするなど、都民のスポーツ機運の醸成に努めてきました。
さらに、七月には、競技力向上推進本部を立ち上げ、総合的な競技力向上策の検討を行っています。将来のアスリート候補であるジュニア選手の発掘・育成事業、青少年がスポーツを親しむ機会の拡大を図るものであり、今後、一層の取り組みの強化を期待しております。
このように積極的にスポーツ振興に取り組んでいるものの、まだまだスポーツに関心の低い都民がいることは否めません。我が党は、第三回定例会で都全体のスポーツムーブメントを高めるため、スポーツ情報の積極的な発信を提起したところであります。今後の都民の興味、関心をさらに高めるため、どのような方策を講じるのか、伺います。
冒頭、オリンピック招致の決意を知事から改めて伺いました。子どもたちに夢と希望と感動を与えるためにも、ぜひとも招致を成功させたいと思います。各会場に日本の環境技術を世界に発信できるような環境ブースを各企業の協力を得てつくり、まさにスポーツの祭典とパラリンピックに象徴される障害者の社会参加、そして環境見本市を兼ねたイベントであると、広く国民に理解をいただけるよう働きかけるとともに、IOCへの立候補ファイルによって、IOCメンバーを感動させるような斬新な提案を期待します。
我々議会も招致議員連盟を中心に一致努力することを申し添えまして、私の質問を終えます。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 川井しげお議員の代表質問にお答えいたします。
まず、地方分権改革についてでありますが、国の差配のもとで何もかも全国一律に事業を行うという時代では、もはやありません。地方分権によって地方が真に自立し、みずから地域の活力を取り戻していくことが日本再生のかなめであると思っております。
とりわけ首都東京は、我が国の頭脳部、心臓部でありまして、国力の源泉であります。この東京が、人材や企業が高度に集積したたぐいまれなる優位性を生かしまして、大都市特有の諸課題を迅速かつ的確に解決できなければ、一つの都市の盛衰にとどまらず、我が国の存立自体をも揺るがしかねないものだと思います。
大都市の現状を熟知した東京都は、これまでもさまざまな先進的な取り組みを講じておりまして、みずからの権限と責任で課題を解決できるだけの力があります。
しかし、どうも霞が関は、地方分権の意義を全く理解せずに、あたかも自分たちがこの国の盟主であるがように振る舞って、権限を墨守する姿勢を一向に崩そうとしません。こうした霞が関の姿勢にくさびを打ち込むためにも、地方分権改革推進委員会には、首都東京のかじ取りに必要な権限拡大を求めるとともに、国の関与を一たん白紙にして、必要なものを厳選するといった抜本的な改革が必要であると提言いたしました。
また、先月には、委員会への提言を都民に対し、よりわかりやすく具体例を加えて発信いたしました。今後、都議会とも力を合わせて、この国のありようを変える地方分権の闘いを進めていくつもりでございます。
次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、前回の東京大会が東京と日本の復興の扉を開いたように、二〇一六年の大会は、地球社会の未来のために新しい扉を開いていく絶好の機会であると思っております。地球の健康、人間の健康のためのオリンピック・パラリンピックを開催し、東京、日本が誇る世界最高水準の技術と政策を駆使して、人と地球の可能性を最大限に追求していきたいと思っております。
来年は、立候補都市の決定、それから、北海道洞爺湖でのサミット、北京オリンピック・パラリンピックなど、世界の注目が集まる大きな催しがメジロ押しに並んでおりますが、国内外におけるあらゆる機会をとらえて全力で招致活動に取り組み、都市間競争を勝ち抜いて、オリンピック・パラリンピックをこの日本に招致し、東京で開催したいと思っております。その決意であります。
このたび、二度にわたり実施した世論調査では、二度とも賛成が六割を超える結果となりました。これは百三十万に及ぶ署名など、これまでの皆さんによる招致活動の成果があらわれたものと認識しております。
今後とも、都議会、区市町村、地域団体を初め都民、国民の皆様のさらなるご協力を心からお願いいたします。
次いで、横田基地の軍民共用化でありますが、世界全体が時間的、空間的に狭くなっている今日の社会で、空のアクセスは、国家の繁栄、成熟のために不可欠な、非常に重要な意味を持っていると思います。横田基地の軍民共用化は、空港容量の逼迫する首都圏の空のアクセスを拡大するものでありまして、我が国の国力の維持のためにも必要不可欠であると思います。
また、地元の多摩地域や、横田に近接する隣県にとっても、航空利便性が向上するばかりでなく、交通インフラの充実や産業の振興など、地域の活性化のためにも大きな意義があります。
横田の軍民共用化は、二〇〇三年五月の小泉・ブッシュ会談で検討が合意されたものでありまして、これまで首脳会議などでも繰り返し実現を要請して、日米間の重要な懸案事項であります。
これまでの日米協議では、アメリカ側の軍事運用にかかわる幾つかの課題が指摘されておりますが、例えば、セーフアークといいましょうか、弾薬庫の周辺の安全性の問題であるとか、基地を使ってのさまざまな訓練、実際には大してやってないんですが、こういったものが提示されておりますが、これはいずれも調整可能なことばかりでありまして、アメリカの政府が日米関係を本当に重視するならば、軍民共用化に積極的に対処してしかるべきだと思っております。
しかし、残念ながら交捗中に、事務方、相手は主に軍人でしょうけれども、その言動に、横田は太平洋戦争の遺産であるなどというけしからぬ認識が露呈してきまして、これは今日の日米安保の地位協定の、要するにゆがみにもあると思いますけれども、そういう実情のもとで努力しなくちゃいけませんが、元在日米軍の司令官などをメンバーとします米国のコンサルタント会社、スペクトラムというグループがございますけれども、彼らの指摘も、米軍側の指摘は、ある部分、非常に拡大されている面があるといっております。
今後も、国の関係省庁と都が一枚岩の結束を保ちながら、米側に対して説得力のある具体的な提案を行うなど、粘り強く協議を進めることによりまして、軍民共用化の早期実現を目指していきたいと思っております。
平成二十年度予算編成についてでありますが、都財政は、都民、都議会の皆様とともに血のにじむような努力を積み重ねて、ようやく長いトンネルを抜け出すことができましたが、一方では、先行き不透明な景気動向など都政をめぐる環境は、なお予断を許さない状況にあります。
そうした中にあっても、東京をさらなる成熟した都市としていくために、「十年後の東京」の実現に向けた実行プログラムを核とする先進的な取り組みの展開や、更新期を迎える都市インフラへの対応など、橋とか何とかが大分耐用年数に近くなっておりますので、そうした山積する課題に対しまして真正面から取り組んでいかなくてはなりません。
平成二十年度予算では、いかなる荒波に遭っても東京の将来に向けた取り組みを支え、都民生活を守り抜くことのできる強靭な財政基盤を築くとともに、「十年後の東京」のプラン実現に向けた施策を本格的に展開し、都民の負託にこたえていきたいと思っております。
次いで、取りざたされておりました東京の財源を奪う動きについてでありますけれども、けさ、急遽、福田総理との会談を求められたので、官邸に出向きました。
総理からは、地方の窮状への理解を求めたいという申し入れがありました。あわせて、東京の活力の増進によって日本の発展を促すため、都の重要施策の推進に総理としても最大限協力したい、そのために、国と都の間で実務者による新しい協議の場を設けたいとの提案がありました。
私からは、大都市の税源を理由もなく地方に移転させる今回の措置は、税の原則に反し、地方分権に逆行することから納得できるものではないと、はっきり申しました。また、地方財源の充実は、消費税の税率引き上げなど、地方への配分拡大という抜本的改革によって行うべきだと、強く申しました。また、現在、東京が取り組んでいる重要施策を十数項目、具体的に挙げまして、国がその実現のために力を尽くすようにも強く求めました。
これに対して総理からは、私の主張を理解し、その実現に向け最大限努力をするという前向きな回答もありました。
こうしたやりとりを踏まえまして、この国の発展を牽引する役割を担う首都東京、同時に地方の一員でもある東京が、その東京を預かる都知事としても、いかになすべきかを熟慮しまして、今回の措置を税制抜本改革までの暫定措置とすることを条件に協力することを、やむなく決断をいたしました。
もとより今回の措置によって、地方の疲弊という構造的に生じている問題が根本的に解決されるものでは決してありません。総理には、地方の自立に向けた税財政制度の抜本的改革を早期に実現してほしいと申しました。
既に、前政府ですか、国民保険の国家負担は五〇%にするという約束をしておりますから、これを実現すれば、これはとても消費税というものを踏まえなければ税源の確保はできるものではありません。
それまでの、一つ、時限ということで合意をいたしましたが、この合意に基づきまして、東京の重要施策の推進を目的とする実務者による新たな協議の場を、国と都の間でつくることにいたしました。この会議をフルに活用しまして、東京の諸課題の実現に向け、首都東京、そして日本の発展のために全力を傾けていきたいと思っております。
この間の都議会の皆様のご支援には、心から感謝を申し上げたいと思います。
次いで、固定資産税などの軽減措置についてでありますが、これまで商業地等の負担水準の不均衡是正、中小企業支援、景気対策、都民の定住確保などの観点から、固定資産税などについて負担水準の上限引き下げや、小規模・非住宅用地に対する減免措置など、都独自の四つの軽減措置を実施してまいりました。
平成二十年度の取り扱いについては、社会経済状況の変化や景気の状況等を踏まえつつ、中小企業者などの税負担感を十分に勘案しまして、今後、積極的に検討してまいります。
次いで、温暖化対策の展開についてでありますが、地球温暖化の進行は、近年、加速化していることが明らかになっておりまして、今後十年程度の間に思い切った対策を打たなければ、破局的な事態を免れない。識者にいわせますと、事はもうポイント・オブ・ノーリターンを過ぎてしまいつつあるということでありますが、温暖化対策は、もはや経済の効率との取引、トレードオフができるような問題ではなくて、まさにもっと基本的な人類の生存にかかわる問題ともなっております。企業の経営者に求められるのは、こうした認識に立ちまして、我が国の有するすぐれた環境技術を最大限に活用し、温暖化対策の強化に取り組むことであります。
都は、CO2の大幅な削減を可能とする二十一世紀の新しい都市モデルの実現を目指して、大規模な排出事業所への削減義務を初めとする先駆的な施策を展開していきたいと思っております。
次いで、産業基盤の強化についてでありますが、世界の技術の粋を集めた航空機や宇宙ロケットなどの製造においても、東京の中小企業の持っているすぐれた技術が生かされております。
また、日本の製品が世界のマーケットでの競争を勝ち抜いていくためには、製品の独創性や高付加価値を支える中小企業の技術力が必要不可欠であります。健康、環境、危機管理などの成長産業分野も、基礎的な技術なしには発展し得ません。しかしながら、多くの中小企業は、国際競争の激化や後継者不足など、厳しい経営環境に置かれておりまして、事業の継続自体も危ぶまれる企業がたくさんございます。
都としては、技術、経営、人材育成など、さまざまな側面から、中小企業に対する支援を積極的に行い、東京の産業基盤を強化していきたいと思っております。
次いで、羽田空港の跡地利用についてでありますけれども、羽田空港再拡張事業は、逼迫する首都圏の航空事情を改善し、日本の経済の活性化や国際競争力の強化を図る上で必要不可欠な国家的プロジェクトであります。
きょうも、羽田の、だれが決めましたのか、国際化した後の発着便を三万回とか、以遠性が石垣島近辺のという、そういう愚かな取り決めがあるようなないような現況ですけれども、これは本当に噴飯な話でありまして、国際会議がどんどん減っているこの首都圏の窮状を見ましても、やはり国際化されたときには、最低ASEANまでは飛行機が飛ぶ、しかも、年間三万回などではなくて、要するに、その倍ぐらいの便数というものを可能にすべきだと申しました。
そういう意味でも、羽田空港の跡地は、再拡張事業で整備される国際線ターミナルなど、国際化の拠点施設に隣接する貴重な空間でありまして、空港機能をサポートするとともに、空港の持つポテンシャルを活用した跡地利用を行っていくことが重要であります。
今年度じゅうに国及び関係自治体との調整を進めまして、跡地利用基本計画を策定し、現在国が進めている再拡張事業の進捗状況を見据えながら、跡地利用の早期具体化を図ってまいります。
これが実現しますと、いわゆる川崎口という多摩川をまたぐ橋も考えられておりますから、羽田の活動範囲というのは非常に広範囲に及ぶと思いますし、そういう意味でも、再拡張後の羽田が世界に向けた我が国の玄関口として、その機能を十二分に発揮できるよう、今回示した方向性に沿った跡地利用の実現を国に積極的に働きかけてまいります。
次いで、道路整備の財源確保についてでありますが、首都東京が持てる力を十全に発揮するには、三環状道路を初め幹線道路ネットワークや連続立体交差などの早期整備が必要であります。
先般、国が公表しました道路の中期計画素案には、都が主張してきた渋滞対策や高速道路を利用しやすい料金体系の構築などが、はっきりと盛り込まれました。これらの施策を実現し、我が国の国土形成の根幹をなす道路整備を着実に進めていくためには、安定した財源の確保が不可欠であります。今後とも、道路特定財源諸税の暫定税率を維持しまして、道路特定財源を本来の目的である道路整備や関係施設に集中的に投入するように、都議会や区市町村などと一体となって国に強く求めていきたいと思っております。
次いで、東京港の経営戦略についてでありますが、世界の海運動向を展望しますと、近年、国際的な産業貿易構造が変化する中で、物流の効率化やコスト削減のために船舶の大型化が急速に進展しております。また、二〇一五年のパナマ運河拡張をにらみまして、国際航路戦略が大きく変わろうとしておりまして、スピード感を持って港湾経営に取り組んでいくことが重要であると思っております。
一方、躍進の著しいアジア諸港との競争が激化しておりまして、東京港がこの競争に勝ち抜き、日本の国際物流の玄関口としての役割を果たしていくためには、横浜港などと連携を強化するなど、都県境を越えまして、東京湾全体を一体的に運営するポートオーソリティーの設置も必要であると思っております。
このため、世界的な船舶大型化に対応した港湾整備のあり方、輸出入貨物の増加を見据えた臨海部道路網の検討などにつきまして、これは二つの環状線も含めてのことでありますけれども、年内に港湾審議会に諮問しまして、東京湾の持つ総合力を高めるような東京港の新しい経営戦略の策定に着手したいと思っております。
次いで、がん対策についてでありますが、がんは、無情にも多くの人の命を奪っておりまして、現代社会を生きる我々の健康に重大な脅威を与えております。がんの克服には、都民みずからが予防を心がけ、早期発見の機会となる検診を受診するという行動が大切であります。
また、がんにかかった都民がさまざまな治療法を複合的に組み合わせた高度な医療を受けられる体制を整える必要がございます。とりわけ、広く都民が最高水準の医療を受けられるように、国指定の拠点病院に加えて、都は独自の認定病院制度を設け、放射線療法、化学療法の推進など、がん医療の水準を向上させていくつもりでございます。
こうした取り組みを核として、がんの予防から治療及び療養生活の質の向上に至るまでの総合的な計画を策定し、がんとの闘いに全力を注いでいきたいと思っております。
次いで、東京における子育て支援策についてでありますが、我が国は既に人口減少時代を迎えておりまして、いかなる時代にあっても、次代を担う子どもたちの健やかな育ちを支えることは、親だけではなくて社会全体の責任であると思います。
都においては、核家族化や女性の社会進出、就労形態の多様化などに伴う大都市特有の保育ニーズにこたえるため、認証保育所を創設し、都民からの広範な支持を得ております。
この認証保育所につきまして、きょう、総理との中で、厚生省の守っているかたくなな規制を廃して、都独特の、要するに認証保育所というものを認可保育所に格上げするように、そういう規制緩和を考えてくれと申しました。
引き続き、国に対して保育所制度の改革を働きかけ、「十年後の東京」で示したとおり、待機児童五千人を解消していきたいと思っております。
さらに、東京で働く多くの人が仕事と子育てのトレードオフを迫られているという実態がありまして、企業サイドの意識改革を促していくことが重要であります。こうしたことから、企業や経営者に一肌脱いでもらいたいと思い、先日、東芝の岡村さんに会長をお願いしまして、子育て応援とうきょう会議を立ち上げました。
今後、この会議も活用しながら、社会全体で子育てを支援していくムーブメントを巻き起こし、子育ての喜びを真に感じることができる東京にしていきたいと思っております。
次いで、医師不足についてでありますけれども、この問題は我が国の医療制度に深くかかわっておりまして、本来は国が責任を持って対応することが基本であります。
しかし、先日、日本産科婦人科学会の理事長から、医師不足の実態を直接聞きました。医療現場の窮状は、殊のほか深刻であります。動きの鈍い国の対策を待つことなく、都立病院という医療の現場の強みを生かしましたドラスチックな対策を講じることが急務であると痛感いたしました。
このために、給与の大幅な改善はもとより、増加する女性の医師のための育児施設や、医療クラーク、これはお医者さんが業務を果たした後、手術なら手術の報告というものをお医者さんが書かずに、それを担当する職員をつくるなど、医師が働きやすい勤務環境を実現していきたいと思っております。
また、来年度開講します東京医師アカデミーによる若手医師の計画的な育成、確保にも取り組んでまいります。
こうした東京モデルともいうべき重層的、複合的な医師確保対策を講じ、都民に対する医療サービスを守るとともに、深刻な医師不足に悩む全国の自治体に向けても東京のシステムを発信していきたいと思っております。
なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長中村正彦君登壇〕
○教育長(中村正彦君) 特別支援教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
まず、特別支援教育に対する基本的考え方、展開についてであります。
知的なおくれのない発達障害を含む障害のある児童生徒等に対しては、自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち、児童生徒等一人一人の教育ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び支援を行う必要があります。
第二次実施計画では、保健、医療、福祉、労働等、他の分野との積極的な連携を図り、乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うために個別の支援計画の策定を一層推進し、例えば、小学部からキャリア教育を導入し、職業教育の充実を図り、障害の状況に応じた就業体験の機会の確保や新たな職種、職域の開拓を進めるなど施策の充実を図ってまいります。
次に、第二次実施計画におきます都独自の先導的な施策についてであります。
本計画においては、さまざまな面で特別支援教育の新たな取り組みを行っておりまして、主な例といたしましては、第一に、全国に先駆けて開発してきました自閉症の教育課程について、今後、小中学部を設置する知的障害特別支援学校で編成、実施していくこと。
第二に、全国初の視覚障害教育部門と知的障害教育部門を併置する新たなタイプの学校を設置し、それぞれの専門性を生かした特色ある教育課程を編成していくこと。
第三に、退職教員や教職を目指す大学生などの外部人材の活用やNPO法人、企業などとのネットワークの構築を図り、交流体験活動などのモデル事業を通じて、児童生徒のさまざまな活動を支援する新たな仕組みづくりを検討していくこととしております。
これらの事業を含め、今後とも都独自の先導的な施策を推進することによりまして、障害のある児童生徒等一人一人の個に応じた教育の一層の充実を図ってまいります。
〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕
○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) 二点についてお答えいたします。
まず、コンセプトにおける東京、日本ならではの視点についてでございますが、開催基本計画で示しましたように、東京オリンピック・パラリンピックは、第一に、世界一コンパクトな大会を目指し、オリンピックスタジアムを中心とした八キロ圏内に、ほとんどの競技会場を配置いたします。
そして、東京の都心全体をオリンピックパークとしてとらえ、成熟した大都市の中心で開催する新しいオリンピックのあり方を世界に提案いたします。
第二に、他のライバル都市にはない過去のオリンピック遺産の活用でございます。四十年以上も前のオリンピックの競技会場が、現在でも数多くの国際大会に使用されていることに世界は注目をしております。これらの施設のさらなる改修により、未来に引き継いでまいります。
第三に、世界最高水準にある交通インフラの活用でございます。正確かつ利便性の高い鉄道システムや充実した道路網により、観客の輸送を円滑、確実に実施いたします。
第四に、日本が世界に誇る環境技術の活用でございます。海の森を初めとした緑化を推進するとともに、省エネ技術等を駆使してカーボンマイナス・オリンピックを目指します。
以上に加え、今後さらに、東京、日本ならではの取り組みを充実し、人を育て、緑を守り、都市を躍動させるオリンピック・パラリンピックの実現を目指してまいります。
次に、今後の国内及び海外での招致活動の展開についてでございます。
国内世論の一層の賛同を得ることを目指しまして、まず都内においては、区市町村との連携をより強化し、オリンピック・パラリンピックへの具体的な市民参加の方策について協働して検討してまいります。
また、全国レベルでの浸透を図るため、国会議員や全国自治体の力をいただきながら、広がりのある国内キャンペーンを実施してまいります。
先日、国会の衆参両議員から成るスポーツ議員連盟に対しまして、オリンピック・パラリンピック招致への支援やメッセージの発信など招致機運の盛り上げを依頼いたしました。
また、経済界による協力は、招致活動を財政的にも、人的にも強化するものであり、既にオフィシャルパートナーとして五つの企業が参加しております。今後、より組織的、全国的な協力関係を構築するため、経済団体、商工団体等に精力的に働きかけてまいります。
次に、海外における招致活動でございますが、現段階は解禁される前であり、活動に制約がございます。しかし、手をこまねいていることなく、東京開催の意義、目標などについて、世界の理解を求めていく必要があります。
そのため、IOCの規約等を遵守しつつ、国や民間における海外のさまざまな情報、人的、組織的チャンネル等を活用して、実質的な活動を行い、他のライバル都市との競争に勝ち抜いてまいります。
〔総務局長押元洋君登壇〕
○総務局長(押元洋君) 今後の都の人事執行体制のあり方についてお答えを申し上げます。
都は、これまでも各局、各職場の協力のもと、厳しい内部努力を積み重ね、スリムで効率的な執行体制の構築に努めてまいりました。
今後とも、都民ニーズに迅速かつ的確に対応するには、その時々の状況に応じた多様な取り組みが必要であります。具体的には、高い志と能力を持つ若手職員の採用に一層努めますとともに、豊富な経験とノウハウを持つ高齢職員のさらなる活用を図ってまいります。
また、人材の精鋭化に向けて、職員一人一人の意欲を引き出し、強みをはぐくむ配置管理や各職場におけるOJTの徹底など、人材育成の強化にも取り組んでまいります。
今後とも、それぞれの現場の状況も十分に踏まえつつ、スリムで活力ある都政の実現に努めてまいります。
〔環境局長吉川和夫君登壇〕
○環境局長(吉川和夫君) 地球温暖化対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業や家庭における温暖化対策についてでございますが、オフィスビルなどの業務部門や家庭部門からのCO2排出量の増加は著しいものの、国においては効果的な対策がなされておらず、中小企業や家庭の対策は全体として取り組みがおくれております。
こうした中、対象者数の多い中小企業や家庭に対しましては、ご指摘のとおり、それぞれの実情をしんしゃくしつつ、きめ細やかで実効性の高い施策を進めていく必要がございます。
そのため、地球温暖化防止活動推進の核となるセンター的な機能を有した体制を早期に整備し、省エネの具体的な方策等に関する普及啓発を図るとともに、中小企業に対する省エネ診断の充実や家庭用省エネ機器の導入促進などに向けた効果的な施策を積極的に進めてまいります。
次に、太陽光発電の普及拡大策についてでございますが、都は本年二月、太陽光発電メーカー、エネルギー事業者などとともに、太陽光発電利用拡大検討会を設け、普及拡大に向けた施策の検討を進めてまいりました。
本年十月に公表した同検討会の中間まとめにおきましては、住宅用太陽光発電の飛躍的な拡大を実現するため、設置者が十年程度で設置コストを回収することができるような新たな仕組みづくりや、施工体制の整備等、進めるべき施策の方向を取りまとめました。
今後、都は、金融機関やハウスメーカーなど、さらに幅広い関連事業者との連携を進めながら、普及拡大策を具体化し、できるだけ早期の実施を目指してまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、産業基盤の強化に向けた支援策についてですが、東京のものづくり産業の強みは、多様な基盤技術を持つ中小企業の集積にあり、この集積に支えられて、世界に通用する高度先端技術を駆使した製品を数多く創出することが可能になります。
しかしながら、基盤技術を担う中小企業は、東アジアなど海外製品との価格競争や、大手企業との取引関係の不安定化など厳しい経営環境への対応を迫られております。
こうした状況を踏まえまして、中小企業の連携による技術の高度化や共同受注体制の整備、また下請取引の一層の適正化など多面的な支援によりまして、ものづくり産業の基盤強化に努めてまいります。
次に、重点戦略プロジェクトについてですが、東京の産業の国際競争力を強化し、さらなる成長を促進させていくためには、産業全体に高い波及効果が及ぶ革新的な技術や製品の開発を重点的に支援しまして、イノベーションを創出していくことが重要と考えております。
先般、重点戦略プロジェクトの初年度案件といたしまして、自動車や家電分野などさまざまな産業分野において機器の軽量、小型化を可能とする高性能炭素皮膜の研究開発など二つのプロジェクトを選定いたしました。
今後、革新的な技術開発プロジェクトを製品化、事業化に至るまで一貫した支援によりまして成功に導き、成長産業の育成につなげてまいります。
次に、商店街振興についてでありますが、商店街を活性化させるためには、事業者間の一層の連携や協働が求められております。各地域の商店街では、こうした連携の推進のため、商店街未加入事業者の加入促進に向けたさまざまな取り組みが展開されております。
例えば、商店街の連合組織が主体となりまして、加入促進マニュアルの策定や、フランチャイズチェーン本部への働きかけなど地元自治体の協力も得ながら、さまざまな取り組みを行うことで、事業者間の連携、協働が促進された事例もございます。
こうした状況を踏まえまして、都は、商店街やその連合組織並びに地元自治体の協働による加入促進の取り組みを積極的に支援をいたしまして、商店街の一層の活性化を図ってまいります。
最後に、中小企業への金融支援についてでありますが、ご指摘のとおり、建築確認のおくれに伴う影響は、すそ野が広い建築産業の特性を反映いたしまして、極めて広い範囲に及んでおります。
今般、国におきまして、新たに不況業種として追加指定された業種以外にも、深刻な影響が出始めております。
また、都内の住宅着工戸数の減少率は、全国平均を大きく上回っておりまして、今後、関連中小企業の資金繰りが一段と悪化をし、都内経済への悪影響も懸念されております。
このため、建築確認のおくれに伴いまして、経営が悪化している都内関連中小企業に対しまして、制度融資の中でも最優遇金利が適用されます経営支援融資の対象範囲を拡大する特別措置を早急に講じてまいります。
〔水道局長東岡創示君登壇〕
○水道局長(東岡創示君) 三点のご質問についてお答え申し上げます。
まず、奥多摩町水道事業の都営一元化についてでございますが、我が国の水道事業は市町村運営が原則とされ、現在なお二千三百の事業体が存在しております。このため、事業統合による広域化を進めることが最大の課題となっております。
都は、国に先駆けて広域化を進め、多摩地区の水道を都営水道に一元化してまいりました。こうした中で、奥多摩町は、ダムや水道水源林がありながら、地理的な条件などから、都営一元化計画の対象外となっております。
奥多摩町は、独自の水道事業運営に課題を抱えるとともに、料金水準を都に合わせるなどさまざまな努力をし、都営一元化を強く望んでおり、このことは、都としても十分認識しております。
都営一元化には、施設の整備水準や財源の確保等さまざまな課題があることも事実でございます。このため、知事本局、総務局、財務局、水道局から成る検討組織を設置し、こうした諸課題について精力的に検討してまいります。
次に、奥多摩町が抱える技術的な課題への対応についてでございますが、奥多摩町の水道事業は、沢水を原水としており、近年、シカの食害と思われる森林崩壊が発生することなどによります取水施設への高濁度水の流入や、登山客や野生生物による原水の水質悪化などが深刻化し、浄水処理や水質管理の面において問題を抱えております。
さらに、水道施設全体のバックアップ能力が不十分であることや、施設の老朽化が進行するなど、奥多摩町の技術や体制だけでは解決が難しいさまざまな課題がございます。
こうした技術的な課題へ対処するためには、浄水施設への膜ろ過処理の導入や、老朽化した施設の計画的な更新など東京水道の技術を活用することが有効であると考えます。
最後に、直結給水化などおいしい水への取り組みについてでございますが、これまで水道局では、直結給水方式の適用範囲の拡大や、都内にある全貯水槽水道を対象とした点検調査を実施してまいりました。
加えまして、本年四月からは、直結給水方式への切りかえを希望するお客様に対しまして、工事費を無料で見積もるサービスを民間事業者の協力を得て実施しております。
今後さらに、直結給水化を普及促進していくためには、お客様や民間事業者の間で、直結給水化への理解や機運を高めていく必要があります。
このため、お客様に対して、パンフレットなどを用いて、個別に費用対効果など直結給水方式のメリットをよりわかりやすくPRしてまいります。
さらに、都の指定事業者約五千者を対象とした説明会を新たに実施し、水道局が推進している施策の情報提供を行い、協力を働きかけてまいります。
また、これまで直結給水ができなかった高層建物や大規模な集合住宅などに対しましても、直結給水方式を導入できるよう、技術的な検討を行ってまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
まず、羽田空港跡地利用の具体化に向けた取り組みについてでございます。都は、これまでも国、都及び地元区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協でございますが、そこの事務局として共同調査の実施など跡地利用の検討作業を推進してまいりました。
今年度中に策定する跡地利用基本計画に基づき、跡地の整備を進めるためには、道路や護岸などのインフラ整備や跡地の処分、事業手法等の課題を解決し、計画の早期具体化を図ることが重要でございます。
このため、引き続き都が主体的に国や地元大田区など関係機関と調整していくとともに、特に土地所有者である国に対しては、跡地整備の課題解決に向けた積極的な取り組みを求めてまいります。
次に、建築確認の現状と国の動向についてでございます。現在、都内の確認申請件数は、改正建築基準法の施行以前の水準には及ばないものの、木造住宅を中心に回復が進んでおります。
これは事前相談の実施や講習会の開催など都を初めとした関係者の取り組みにより、新たな制度が設計者の間に定着してきた結果と認識しております。
一方、国は、運用面の改善を図るため、添付書類の省略や工事途中の変更に関する手続の簡素化について、十一月に規則改正を行いました。
都といたしましては、こうした改善策を関係者に十分周知していくとともに、より一層の円滑な審査に努めてまいります。
次に、建築確認の停滞に対する取り組みについてでございます。確認の申請件数は今申し上げましたように、回復傾向にあることから、今後は、審査を円滑に進めていくことが重要であると認識しております。
このため、先般、都では、申請する側の建築士の団体、審査する側の区市や民間の確認検査機関などが参加する連絡会議を新たに設置いたしまして、関係者が一丸となって、建築確認の円滑化に向けた取り組みを推進しております。
また、審査期間に大きな影響を与える構造計算適合性判定につきましては、構造計算が複雑でない小規模な建物の判定体制を簡素化するなど都独自の運用によりまして、迅速化を図ってまいります。
都といたしましては、引き続き、建築確認の状況を十分注視いたしまして、国に対して必要な改善を求めていくとともに、社会経済活動や都民生活に支障を来すことのないよう最大限取り組んでまいります。
次に、建物の耐震化促進のための施策展開の方向についてでございます。建物の耐震化推進会議では、民間建築物及び都立建築物の二つの部会を設置し、多様な観点から具体的な施策の検討を進めておりまして、年内の取りまとめを予定しております。
今後、その成果を踏まえ、都は、建物所有者が主体的に耐震化に取り組むよう、区市町村や関係団体と連携して、普及啓発事業を推進するなど、耐震化促進に向けた機運の醸成を図ってまいります。
また、安価で信頼できる耐震技術の普及などにより、耐震化に取り組みやすい環境の整備を図るとともに、公共的な観点から必要な場合には財政支援を行うなど、施策を総合的に展開し、建物の耐震化を促進してまいります。
次に、都営住宅ストックの活用促進についてでございます。都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、適切に維持更新するとともに、用地の有効活用を図り、地域のまちづくりに活用する必要があると認識しております。
こうした考えから、これまで建てかえ事業とスーパーリフォーム事業を並行して実施してまいりました。
今後は、用地の有効活用をさらに促進するため、建てかえ事業については、管理戸数の抑制を図りながら、財政状況を勘案しつつ、更新期を迎えつつある昭和四十年代建設の住宅に対象範囲を広げ、規模を年間四千戸程度まで段階的に拡大したいと考えております。
これに伴いまして、スーパーリフォーム事業につきましては、順次、縮減、廃止してまいります。
最後になりますが、建てかえ促進による効果についてでございます。今後十年間で、建てかえにより、団地内に約二十ヘクタールの緑を新たに創出し、周辺の緑とのネットワークや道路や水辺空間の緑と連携した豊かな環境づくりに役立ててまいります。
また、敷地の有効活用により、約六十ヘクタールの用地を生み出し、都市計画道路や木造住宅密集地域の整備など、地域の特性を踏まえたまちづくりに活用してまいります。
今後とも、都営住宅ストックの有効活用に積極的に取り組むことにより、「十年後の東京」の実現に向け、都市づくりを推進してまいります。
〔主税局長熊野順祥君登壇〕
○主税局長(熊野順祥君) 建物の耐震化促進のための税制を活用することについてでございますが、平成十八年度の国の税制改正によりまして、国税では所得税、法人税、地方税では固定資産税において、それぞれ耐震改修に伴う税の軽減措置が創設されたところでございます。
こうした措置に加えまして、今後、耐震化を一層促進するため、都独自の税制の活用についても検討をしてまいります。
〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君) 三点の質問にお答えいたします。
まず、私立学校の耐震化促進のための支援策についてでありますが、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では平成十五年度から耐震診断、耐震補強工事経費の一部について補助を実施してきました。
平成十九年度は、専門的、技術的な助言を必要とする私立学校に対して、建築士による耐震相談を実施するなど支援の充実に努めております。
また、財務局と連携し、未利用の都有地や都有施設を耐震化工事期間中の代替校舎として活用できるよう検討を進めております。
今後、私立学校の耐震化をさらに促進するため、補助率の改善や補助の対象を木造校舎に拡大することなどについて検討してまいります。
次に、新たなスポーツ振興事業への取り組み実績でありますが、本年四月のスポーツ事業の移管後は、都政におけるスポーツ振興を幅広くとらえ、関係団体や各局との連携を強化し、多様な事業を展開しております。
まず、草の根からのスポーツ振興を図るため、地域スポーツクラブを支援する設立支援協議会を新たに発足いたしました。
また、五月には、スポーツ競技への関心を高めるため、丸の内で開催された東京ストリート陸上の実現に協力いたしました。
八月には、ジュニア選手の競技力向上と国際交流を目的としたジュニアスポーツアジア交流大会を開催するなどの新しい取り組みを行いました。
今後とも、スポーツ振興審議会での検討をもとに、関係団体等と連携、協力して、スポーツ振興施策を積極的に推進してまいります。
次に、スポーツに対する興味、関心を高めるための方策についてでありますが、都民にスポーツに関する情報を多様な手段で提供することが、スポーツへの関心を高める有効な方法の一つであると考えております。
そこで、各種メディアを活用し、競技大会やイベント等に関する情報を発信するとともに、多様なスポーツ情報を検索できるポータルサイトを構築し、都民がスポーツ情報を容易に得られる環境をつくってまいります。
今後も、さまざまなスポーツ大会を実施するとともに、このような情報を提供することにより、スポーツムーブメントを一層盛り上げ、だれもがスポーツに親しめるスポーツ・フォア・オールの実現を目指してまいります。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) 美しい都市景観の創出に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、街路樹の倍増における参加しやすい仕組みづくりについてでありますが、街路樹の倍増に当たっては、行政の取り組みだけではなく、都民一人一人が街路樹に関心を持ち、街路樹を植えることや育てることに積極的に参加していただくことが大変重要であります。
そこで、本年十月に創設した緑の東京募金における街路樹への募金の一つとして、街路樹を都民や企業から寄附していただくマイ・ストリート・ツリー事業を平成二十年度から開始する予定でございます。
この事業では、寄附者が寄附したことを実感できるように、名前などを入れたプレートを一本一本の街路樹や植栽地に設置するなどわかりやすく参加しやすい仕組みとしてまいります。
今後とも多くの都民や企業の参加を得ながら、広く緑のムーブメントを巻き起こし、街路樹の倍増に積極的に取り組んでまいります。
次に、区市町村の無電柱化事業に対する支援についてでありますが、良好な都市景観を創出し、成熟した街並みを実現するためには、都道だけではなく、区市町村と連携した面的な無電柱化が必要であります。
このため、都は区市町村に対し、設計や施工などにかかわる技術支援を行うとともに、電線共同溝のコンパクト化など、狭い歩道における無電柱化技術の開発に、国や電線管理者と連携して取り組んでまいりました。
区市町村からも、こうした技術支援とともに、財政負担の軽減方策について要望を受けており、今後、面的な無電柱化の推進を図るため、区市町村の無電柱化事業に対する補助制度の創設に向けて努力してまいります。
〔港湾局長斉藤一美君登壇〕
○港湾局長(斉藤一美君) 今後の東京港の役割についてのお尋ねでございますが、これまでも東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとしての役割や、国際物流と国内物流を結節する国内ハブ港湾としての機能を担ってまいりました。
さらに、近年、国際分業の進展や生産拠点の国内回帰、内陸部における道路ネットワークの充実などにより、東京港の背後圏は、南東北を初め、首都圏を越えて拡大しつつございます。物流拠点としての役割は一段と重要性を増すものと認識しております。
このため都といたしましては、外貿コンテナターミナルや輸送革新に対応する内貿ユニットロードターミナルの整備を着実に図っていくこととしており、メーンポートの機能、国内ハブ機能を一層充実させてまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えを申し上げます。
まず、東京都認定がん診療病院についてでありますが、国のがん診療連携拠点病院は、二次医療圏に一カ所程度の指定とされておりますが、都は、広く都民に高度ながん医療を提供するため、これに加え、拠点病院と同等の診療機能を有する病院を独自に認定し、拠点病院に準じた支援をしていくことといたしました。
拠点病院及び認定病院の選定に当たりましては、胃がん、肺がんなどのいわゆる五大がんへの対応、相談支援センターの設置などの国の基準に加えまして、子宮がん、血液がん等の治療体制の確保、外来化学療法や都民要望の高いセカンドオピニオンの実施などを要件とすることで、高水準のがん医療を提供してまいります。
都といたしましては、認定病院を早期に選定し、拠点病院とともに二次医療圏ごとのがん医療ネットワークを構築し、都民に対し質の高いがん医療を提供してまいります。
次に、医療費適正化計画についてであります。
この計画は、都民の健康の保持増進及び医療の効率的な提供の推進を図るために策定するものでありまして、その目標として、特定健康診査の実施率や療養病床数などを定めることとしております。本年四月には、有識者や医療関係者等を委員とする東京都医療費適正化計画検討委員会を設置し、実効性のある計画の策定に向けた検討を進めておりまして、十一月には、医療の現状を的確に把握するために、都民医療費の分析の取りまとめを行ったところであります。
今後、区市町村との協議やパブリックコメントを行った上で、東京都地域ケア体制整備構想を踏まえ、必要な療養病床数を確保するなど、東京都の地域特性を反映した計画を今年度末に策定する予定でございます。
次に、国民健康保険組合への財政支援についてでございますが、生活習慣病予防のためには、医療保険者において生活習慣病予備群等の早期把握や食生活の改善指導などを行う、特定健康診査や特定保健指導を着実に実施することが重要でございます。
国は、区市町村が行う特定健康診査等への財政負担と同様に、国民健康保険組合における所要額につきましても概算要求をしているところであります。
都としても、こうした国の動きを踏まえるとともに、広く都民の健康の保持増進を図るため、国民健康保険組合においても円滑に特定健康診査等が実施できるよう、財政支援を検討してまいります。
次に、後期高齢者医療制度における広域連合等への支援についてであります。
後期高齢者医療制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識しておりまして、都としても、制度の安定的運営を図るため、高額医療費の一部負担や保険料の法定軽減分の負担など、国や区市町村とともに応分の役割と負担を担っていくこととしております。
さらに、都は、都民の健康の保持増進を図る観点から、広域連合が行う後期高齢者の健康診査事業に対する財政支援など、今後、制度の円滑な実施に向けて効果的な支援策を検討してまいります。
次に、保育所待機児童の解消についてであります。
仕事と子育ての両立支援に向けた環境を整備するためには、増大する保育ニーズに対応した多様な保育サービスをこれまで以上に充実していくことが必要でございます。
このため、現在、子育て応援戦略会議では、マンション等併設型の認可保育所や無利子貸付制度による認証保育所の設置の促進など新たな施策を検討しており、子育て支援の重点戦略として、平成二十二年度までの三年間で、保育サービスを計画的、集中的に拡充してまいります。
今後とも、待機児童の解消に向けて、保育の実施主体である区市町村を支援しながら、大都市東京にふさわしい保育施策を強力に推進してまいります。
次に、子育て支援の仕組みについてであります。
地域で安心して子育てができる社会を実現するためには、在宅で子育てをしている家庭を含め、すべての子育て家庭を支援する仕組みが必要でございます。
都はこれまでも、地域の総合的な相談・支援の拠点となる子ども家庭支援センターを全区市町に整備してまいりました。これに加えて、子育てをしている親同士の交流を目的とした子育てひろば事業についても、相談体制を強化することを検討しております。
あわせて、親の病気や育児疲れなどの際に利用できるショートステイや一時保育などのサービスを推進するなど、今後も子育て家庭を地域できめ細かに支援する仕組みを築いてまいります。
最後に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応として講じたものでございます。
シルバーパス事業を今後とも継続させていくためには、利用者である高齢者を初め、広く都民の理解も得ながら、社会状況の変化に的確に対応していくことが不可欠でございます。経過措置を継続することについては、ご指摘の点なども踏まえて、適切に検討してまいります。
〔病院経営本部長秋山俊行君登壇〕
○病院経営本部長(秋山俊行君) 都立病院の経営形態についてでございますが、都立病院は、これまで百年を超える長い歴史の中で、その時々の社会状況や医療需給の変化に応じまして、都民の皆様に適正な医療サービスを提供してまいりました。
また、近年では、医療を取り巻く状況が、診療報酬のマイナス改定や深刻な医師不足など、かつてないほどに厳しいものとなっておりまして、このような激変する医療環境に対しまして、より迅速かつ的確に対応する病院運営が求められているところでございます。 こうした観点から、これからの都立病院にとりましては、経営形態のあり方は極めて大きな課題であると認識をしているところでございます。
しかしながら、現下の都立病院におきましては、早急に解決を図らなければならないさまざまな課題を抱え、また、何よりも行政的医療の提供という都立病院本来の役割を将来にわたって的確に果たしていくことが重要でありますことから、経営形態につきましては、ご指摘のとおり、拙速に結論を出すことなく、十分な検討を行う必要があるというふうに考えているところでございます。
今後は、この都立病院経営委員会からの報告を踏まえ、今年度中に策定を予定しております第二次都立病院改革実行プログラムの中で、都としての考え方を明らかにしてまいります。
○議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
午後二時五十九分休憩
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