平成十九年東京都議会会議録第十号

平成十九年六月二十日(水曜日)
 出席議員 百二十七名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
五番菅  東一君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番山口  拓君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番きたしろ勝彦君
二十一番田中たけし君
二十二番鈴木 隆道君
二十三番神林  茂君
二十四番早坂 義弘君
二十五番崎山 知尚君
二十六番宇田川聡史君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番伊藤まさき君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番秋田 一郎君
四十四番矢島 千秋君
四十五番高橋かずみ君
四十六番串田 克巳君
四十七番吉原  修君
四十八番山田 忠昭君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番臼井  孝君
六十四番林田  武君
六十五番野島 善司君
六十六番高木 けい君
六十七番山加 朱美君
六十八番服部ゆくお君
六十九番田代ひろし君
七十番三宅 茂樹君
七十一番川井しげお君
七十二番鈴木 一光君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番柿沢 未途君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番藤井  一君
八十五番ともとし春久君
八十六番木内 良明君
八十七番吉野 利明君
八十八番倉林 辰雄君
八十九番村上 英子君
九十番こいそ 明君
九十一番三原まさつぐ君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番新藤 義彦君
九十五番古賀 俊昭君
九十六番立石 晴康君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大沢  昇君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番相川  博君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番石川 芳昭君
百八番中嶋 義雄君
百九番石井 義修君
百十番桜井  武君
百十一番遠藤  衛君
百十二番高島なおき君
百十三番宮崎  章君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番中村 明彦君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番馬場 裕子君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
教育長中村 正彦君
知事本局長大原 正行君
総務局長押元  洋君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監伊藤 哲朗君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長吉川 和夫君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長津島 隆一君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長島田 健一君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長矢口 幸一君
労働委員会事務局長有留 武司君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

六月二十日議事日程第三号
第一 第百三十一号議案
  政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百三十二号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百三十三号議案
  住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例
第四 第百三十四号議案
  東京都恩給条例の一部を改正する条例
第五 第百三十五号議案
  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百三十六号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百三十七号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第八 第百三十八号議案
  東京都納税貯蓄組合補助金交付条例の一部を改正する条例
第九 第百三十九号議案
  東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第十 第百四十号議案
  東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百四十一号議案
  東京都学校経営支援センター設置条例の一部を改正する条例
第十二 第百四十二号議案
  東京都営住宅条例等の一部を改正する条例
第十三 第百四十三号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十四 第百四十四号議案
  東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百四十五号議案
  多摩都市計画多摩土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第十六 第百四十六号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十七 第百四十七号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十八 第百四十八号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第十九 第百四十九号議案
  東京都日暮里・舎人ライナー条例
第二十 第百五十号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百五十一号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百五十二号議案
  中央環状品川線シールドトンネル工事請負契約
第二十三 第百五十三号議案
  平成十九年度若洲橋鋼けた製作・架設工事請負契約
第二十四 第百五十四号議案
  ヘリコプターの買入れについて
第二十五 第百五十五号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第二十六 諮問第二号
  地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第二十七 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

議事日程第三号追加の一
第一 東京都人事委員会委員の選任の同意について(一九財主議第一〇四号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一九財主議第一〇五号)
第三 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一九財主議第一〇六号)
第四 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(一九財主議第一〇七号)
第五 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(一九財主議第一〇八号)

   午後一時一分開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都人事委員会委員の選任の同意について外人事案件四件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 六十五番野島善司君。
   〔六十五番野島善司君登壇〕

○六十五番(野島善司君) 最初に、多摩・島しょ振興について伺います。
 その一つは、財政支援についてです。
 国から地方への税源移譲が実施されました。これからの時代、各自治体は創造性を発揮し、みずからの責任において施策を選択し、自立的な都市経営を行っていかなければなりません。
 そのためには、将来の税収に結びつくような都市基盤整備や産業振興などに取り組み、税源を涵養していくことが必要なことはいうまでもありません。
 一方、財源の有効活用には、経常経費の圧縮と投資的財源の確保を可能にする効率的な行財政運営が求められます。さきの東京市町村自治調査会の調べによれば、多摩地域の自治体の人件費比率は二年連続して減少し、職員数の抑制や給与の適正化を初め、さまざまな点で行財政改革が進展している様子が見てとれます。
 私は、これまでも、厳しい財政事情の中、このような視点で努力を続ける多摩の市町村に対し都が適切な支援をするよう求めてまいりました。昨年度、従前の交付金を統合し創設した市町村総合交付金は、財政支援の観点からそれにこたえたものと受けとめております。
 この三月には、初めて交付が行われたところですが、都は、市町村総合交付金を設けたことにより、従前に比較して各市町村のまちづくりや経営努力にどのような効果があったと認識しているのか伺います。
 その二つは、三宅島でのオートバイを活用した復興支援のイベントです。
 私自身、離島を余儀なくされた、東久留米に仮住まいをされた方をお見舞いに訪れたことや、八王子のげんき農場で農作業に取り組む三宅の人々の交流会に参加したこともございました。また、テレビ朝日のダイオキシン報道により風評被害をこうむった所沢市の農家の方々が、その和解金のほとんどを三宅島の農業復旧のためにご寄附申し上げたいということで、その橋渡しをしたこともありました。その時々にお会いした三宅の人は、島の復興はと、今こんなことを思っております。
 さて、一般の道路を使用したオートバイレースについて、日本共産党さんは、無理やりに知事の海外出張やトップダウンとかに結びつけんがために、いたずらに不安をあおることに終始しております。それは、三宅の人々の復興への願い、思いに逆行するものと受けとめているのは私一人でしょうか。大切なことは、知事が所信表明で言及なされましたように、多くの関係者の理解と協力を得て開催されることであり、それにより来島者がふえ、住民の励みになり、島の復興に資することになろうかと思っております。要は、多くの人々が参加し、楽しめるイベントにすることだろうと思います。
 この秋開催に向けて、都として、このイベントをどのように支援していくのかを伺います。
 その三つは、産業振興についてです。
 多摩地域の製造品出荷額は約六兆円と、区部を上回り、特にエレクトロニクス関連では都内出荷量の九割を占めるほど、産業面においても大きな存在感を示しております。
 冒頭、都市経営における税源涵養が今後ますます重要になる旨申し述べたところですが、直接的な税収効果のみならず、ベッドタウン的な都市形成をしてきた多摩地域に就業の機会を確保し、都市経営の自立化を促進する意味合いからも、産業振興は極めて重要です。
 多摩地域を俯瞰いたしますと、国道一六号線沿線に工業立地がなされ、目を転じますと、この一六号線沿線には、従来から工業集積がなされてきた神奈川県相模原市、埼玉県西部の狭山市、入間市とつながるベルトゾーンが見てとれます。加えて、圏央道の整備により、埼玉県においては、田園都市産業ゾーン基本方針を策定し、この沿線自治体が産業団地の造成等に動き出しておりますし、千葉、茨城にもポテンシャルがあります。都は、西南部物流拠点の整備促進の方向も打ち出しております。
 このような立地にある都県がそれぞれの持つ資源を有効に活用し、競争しつつ連携して、一六号線、圏央道沿線を産業の首都圏ベルトゾーンとして育成していくべきと考えます。多摩が東京の多摩にとどまらず、首都圏の中核としての発展が期待されるところです。産業の振興には、人材の育成、移動インフラの整備、事業立地ゾーンの確保等さまざまな条件、要素があることはいうまでもありません。都県、各市町村がそれぞれに持つ特性を大いに発揮していかなければなりません。そうした視点での多摩の強みは何か、大学の存在だろうと思っております。
 そこで、多くの大学が立地する多摩地域が、産学公連携の中心地として、首都圏の産業振興の牽引役を果たすべきと考えております。知事のご所見を伺います。
 次に、地球温暖化対策についてです。
 さきのハイリゲンダム・サミットの主要なテーマになるほど、地球温暖化への関心が高まりを見せています。国の総合エネルギー調査会は、地球温暖化防止のための省エネルギー強化策の検討を始め、その中では家庭・オフィス部門対策が最大の焦点とのことです。
 折しも都は、大企業などへのCO2排出削減量の義務化を打ち出しました。数値目標や罰則、排出権取引、家庭の協力等のさまざまな壁がありますが、環境先進都市を目指す東京の取り組みが日本を牽引し、世界をリードすることを願ってやみません。
 昨日は、我が党の代表質問に対しまして知事の力強い答弁をいただいたところでございますが、冒頭、局長の決意のほども伺っておきたいと思います。
 さて、京都議定書で義務づけられた日本の温暖化ガス排出削減目標に対し、製造業など産業部門は五・五%減、家庭・業務部門では四〇%増、また、都内全体のCO2排出量のうち家庭部門は二三%を占めているとのことでございます。
 私たちの便利な生活がCO2の増加、地球温暖化を引き起こしていることは気にしながらも、環境負荷の高い生活を変えられないというのが私自身の実感でもございます。
 今後、CO2削減のためには、家庭部門、生活者としての協力を得ることが重要であり、そのための普及啓発が不可欠でございます。
 都のこれまでの取り組みと、今後どのようにこの問題を展開させていこうとしているのか伺います。
 家庭や中小企業の省エネルギーを促進するためには、例えば省エネ住宅、施設、設備に対する税の減免や償却の前倒し等の税制の活用、省エネ努力や再生可能エネルギーの導入に対してインセンティブを働かせる仕組みも重要です。ご所見を伺います。
 次に、都市整備施策について伺います。
 一つは、無電柱化の推進についてです。
 私の利用する西武池袋線東久留米駅は、関東の駅百選の一つに選定されています。駅舎の富士見テラス、ここからは、名前のとおり富士山を望み見ることができます。そして、駅前からの都市計画道路のうち六百メートルは無電柱化されておりますが、その先、千メートルは電柱があります。これを対比して見ますと、この電柱が消えれば、景観もよくなり、安全、快適な歩行空間も確保され、加えて、緑化の促進、防災機能の向上も図れるわけでございます。
 都の「十年後の東京」では、センター・コア・エリア内の都道を無電柱化するとしておりますが、それ以外の区部や多摩地域における無電柱化について、どのように取り組んでいかれるのか伺います。
 区市町村における無電柱化の促進に当たっては、事業主体の違いによる財源の枠組みもありますし、その道路の性格の差異もあります。多摩についていえば、多摩地域における都市計画道路の整備方針に定めた路線については、都、市町村施行の別なくすべてを、既存道路については、商業・業務集積の高い、あるいは高まりが期待される地域の路線、周辺公共空間と相まって良好な都市景観が期待される路線等、総合的に勘案しながら面的な無電柱化に取り組むべきと考えます。
 区市町村事業への財政支援については強く要望するにとどめ、技術的な支援についてお伺いをいたします。
 二つは、潤いと安らぎのある緑空間の創出についてです。
 先般、都は、環境軸ガイドラインを公表し、道路、河川、公園などの公共空間の緑と民有地の緑を組み合わせ、緑豊かな都市空間を創造する指針を示しました。
 しっかりとした環境軸を打ち立て、民間開発にあっては、公共空間と連続する緑空間の確保を誘導し、緑地保全地域、市町村の保存緑地や保存樹林、屋敷林等の地域に根づいた緑や河川管理との整合性に留意しつつ、緑化が可能な河川域の活用等、あらゆる緑を組み合わせ、広がりと厚みのあるグリーンロードネットワークを実現し、すぐれた都市景観の創出、都市環境の改善に取り組むべきと考えます。環境軸の形成の具体的な取り組みについて伺います。
 三つは、中古住宅の流通についてです。
 都は、本年三月に新たな住宅マスタープランを策定し、その中で、住宅が長期にわたって活用される市場を実現するための施策の一環として、中古住宅の流通促進に積極的に取り組む方向性が示されました。
 私は、これまでも一般質問や予算特別委員会でこの課題に取り組んでまいりました。市場で中古住宅の流通が促進されるには、住宅の品質や性能等に関する住宅検査の実施と住宅履歴の整備が必要です。これらにより、商品としての住宅の質が高まり、安心・安全な取引が確保され、中古住宅市場の活性化につながるものと考えます。
 さて、先月、自民党の住宅土地調査会は、世代を超えて受け継がれる超寿命住宅の普及に向けた提言、二百年住宅ビジョンをまとめました。この中でも、住宅履歴や住宅検査について提言もなされております。国もこの提言を受けて中古住宅の流通促進の動きのある中で、最大の住宅市場である都としても、国に先んじて施策を推進すべきでございます。
 本年の予算特別委員会において、都の具体的な取り組みの一つとして、これら住宅履歴や住宅検査の必要性を盛り込んだ、都民が安心して中古住宅を売買できるガイドブックを作成中であるとのご答弁もいただきました。間もなくまとまるものと聞いておりますが、ガイドブック作成の意義とその内容について、改めてお伺いをいたします。
 また、ガイドブックは中古住宅市場を活性化する第一歩であり、その取り組みを評価するものでございますが、ガイドブックの活用はどのような効果をもたらすのか、また、ガイドブックの都民への普及策など、今後の取り組みについてもお伺いをいたします。
 最後に、都市農業についてお伺いいたします。
 生産基盤である農地の保全策は、都市計画上の生産緑地制度や税法上の納税猶予制度が講じられ、この間、幾つかの見直しも行われ、今日に至っております。
 都市計画上の手法としては、保全すべき農地をゾーニングして調整区域へ逆線引きする手法があります。しかし、小規模な生産緑地と都市的利用が既になされ、蚕食状態になっている都市近郊地帯では現実味がありません。新たな都市計画的手法も必要です。また、屋敷林等に対する多額の相続税の捻出のために農地を処分するのも実情でございます。屋敷林を広く都民に開放する等の公共・公益性を高めつつ、相続税等の軽減措置を講じることも重要でございます。
 農地や屋敷林の保全策については、都庁内に設置されました関係局の協議会でさらに議論を深めるとともに、国に要望していただくよう求めておきます。
 ところで、多摩地域の農地では緑化用植物の生産も盛んです。
 都はこのたび、新たに千ヘクタールの緑を創出するなどとした緑の東京十年プロジェクト基本方針を発表いたしました。緑あふれ潤いのある都市環境の創出のためにも、緑化用植物の生産振興を図るべきと考えますが、所見を伺って、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 野島善司議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩地域の産業振興についてでありますが、多摩地域は、先端技術を有する企業や大学、研究機関が集積しておりまして、産業発展の大きな可能性を有しております。
 今後、圏央道などの都市インフラの整備に伴って、隣接する埼玉や神奈川県との産業交流が一層拡大することが見込まれております。
 数多くの大学や研究機関を擁する多摩地域は、将来にわたり広域的な産学公連携の中核的な役割を担っているものと考えております。
 この機を逃さず、周辺県とも協力し、都域を超えた幅広い産学公連携を促進することで、多摩地域を都市型産業の一大集積地としてさらに発展させ、首都圏の産業活性化を牽引していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 多摩・島しょ振興に係る二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、市町村総合交付金創設による効果についてでございます。
 第一に、ものづくり産業の育成を初めとした地域経済の活性化や、公共施設の耐震化による安全・安心なまちづくりなど、各市町村が独自に取り組む施策について、これまで以上に幅広く、かつ積極的に支援をいたしましたことにより、特色ある地域づくりに貢献することができたと考えております。
 第二に、各市町村の行財政改革の成果に応じて交付額を算定する仕組みを取り入れましたことを契機として、市町村における人事給与制度の改善などが一層進展をいたしました。こうした点は、ご指摘の税源涵養にも通じるものと認識をしております。
 今後とも、この交付金制度をさらに効果的に活用いたしまして、努力と創意工夫により地域の発展に取り組む市町村を積極的に支援してまいります。
 次に、三宅島のバイクイベントに対する支援についてでございます。
 このイベントは、島の復興に向けて、年間を通じ来島者をふやすことにより、産業、観光振興の起爆剤となるよう実施をするものでございます。そのため、ご指摘のとおり、バイク愛好者のみならず、すべての人が楽しめる、にぎやかなイベントとすることが成功の条件と考えております。
 三宅村では、こうした考えのもと、事業の実施主体となるNPO法人を組織し、多くの関係者の協力を得ながら、空港を使ったドラッグレースやラリーはもとより、島の多彩な魅力をアピールできる企画について検討を進めております。
 都といたしましても、企画運営面を初め、安全対策や輸送対策等について積極的に支援するなど、このイベントが成功するよう、全力で取り組んでまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 地球温暖化対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、気候変動対策への取り組みについてでありますが、近年の熱波や干ばつ、降雨量の増加といった異常気象に見られる地球全体の気候変動は、都民の生命、財産、健康にも直接的な影響を与え得る深刻な環境問題でございます。
 こうした認識に立ち、今般、都は、気候変動対策方針を策定し、この問題に対する今後十年間における基本姿勢を明確にして、地球温暖化の原因である温暖化ガスを着実に削減していくことといたしました。
 この方針に基づき、まず、都庁みずから率先して省エネ対策を実施していくとともに、都民や企業等の省エネ意識を高め、あわせて、日本の誇る環境技術がフルに活用されるような仕組みを構築するなど、世界で最も環境負荷の少ない都市の実現に向けて、最善の努力を着実に積み重ねてまいります。
 次に、家庭部門でのCO2削減対策についてでありますが、都はこれまで、全国に先駆けた家電製品の省エネラベリング制度の創設など、家庭で消費されるエネルギーの約五割を占める電力使用量の削減に向けた取り組みを進めてまいりました。
 今回発表した気候変動対策方針では、家庭でのCO2削減をさらに強化するため、住宅自体の省エネルギー性能の向上や、給湯器の高効率化の推進とともに、白熱球一掃作戦の展開をきっかけとして、家庭での省エネ行動の拡大を促していく方針をお示しいたしました。
 今後、家庭での電気代やガス代の節減が日本のCO2の削減に直結することを明確に示すため、テレビ、ラジオなどさまざまな媒体も活用して、具体的な省エネの取り組みを都民に呼びかけるキャンペーンを積極的に展開してまいります。
 最後に、家庭や中小企業の省エネルギーを促進する税制についてでありますが、家庭や中小企業から排出されるCO2を削減するためには、省エネ努力や再生可能エネルギー導入が進むような視点に立って仕組みを構築していく必要がございます。
 こうした観点から、省エネルギーの促進のための新しい税制について、省エネ投資等の促進、省エネ行動への誘導など幅広い角度で、東京都税制調査会を活用しながら検討してまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 無電柱化に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都道における無電柱化の今後の取り組みについてでありますが、無電柱化事業は、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保、都市防災の強化を図る上で大変重要な事業であります。
 このため、センター・コア・エリア内及びオリンピック関連施設周辺はもとより、その他の区部や多摩地域の都道についても、環状七号線、青梅街道など緊急輸送路や、八王子、町田などの主要駅周辺などで無電柱化を推進してまいります。さらに、街路事業で都道の新設や拡幅を行う場合などさまざまな機会をとらえて、無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、区市町村に対する技術的支援についてでありますが、区市町村道の無電柱化を進めるに当たっては、区市町村に経験やノウハウの蓄積が少ないこと、狭い道路では技術的に無電柱化が困難なことなどの課題があります。
 都は、区市町村に対し、東京都道路整備保全公社と連携して、設計や施工などにかかわる技術支援を行うとともに、電線共同溝のコンパクト化など、狭い歩道における無電柱化技術の開発に、国や電線管理者と連携して取り組んでまいりました。
 今後とも、より多くの区市町村が無電柱化に取り組めるよう技術的な支援に努め、面的な広がりに配慮した無電柱化を推進することにより、美しいまち東京の実現を目指してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境軸の具体的な取り組みについてでございます。
 道路や河川等の緑と、まちづくりで生まれる緑が一体となって、広がりのある緑空間を創出するため、このたび、環境軸ガイドラインを策定いたしました。
 この中で、民間都市開発に対して、周辺と一体となった質の高い緑空間の形成を誘導するため、公開空地等のみどりづくり指針を示しておりまして、来月には施行することとしております。
 また、地元区市町と連携して、早期に環境軸の具体化を図る推進地区といたしまして、道路整備や沿道まちづくりが進められている環状二号線や府中所沢線などを今年度中に位置づけてまいります。
 これらの施策を積極的に展開して、早期に環境軸の形成を図り、すぐれた都市景観の創出や都市環境の改善に向けて取り組んでまいります。
 次に、中古住宅を売買するためのガイドブックについてでございます。
 既存の住宅ストックを有効に活用し、住宅選択の幅を広げるためには、中古住宅の流通促進が重要でございます。
 本ガイドブックは、中古戸建て住宅の取引に当たりまして、売り主や買い主が確認すべき事項等を示すことにより、安心して売買できる環境をつくることを目指すものでありまして、近々公表することとしております。
 その内容といたしましては、土地や建物の状況等について情報提供すべき事項をチェックリストとして示すとともに、売買契約における留意事項を盛り込む予定でございます。
 また、新築時の工事記録や修繕記録など住宅履歴の整備や、住宅の状況等を確認するための住宅検査の実施を推奨することとしております。
 最後になりますが、ガイドブックの活用による効果と今後の取り組みについてでございます。
 売り主と買い主の双方が住宅に関する情報を共有化することで、中古住宅取引上のトラブルの軽減等が期待できます。また、住宅の状態や品質、性能に関するより正確な情報が提供されることから、売買時の住宅の信頼性を高めることができ、中古住宅の流通拡大につながるものと考えております。
 今後の取り組みでございますが、ホームページを活用するほか、パンフレットを作成し、不動産流通業者や区市町村を通じまして配布するなど、ガイドブックの内容を都民に広く普及させてまいります。また、住宅検査につきましても、不動産流通団体や住宅検査機関等で構成されます中古住宅流通促進連絡会と連携し、普及に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 緑化用植物の生産振興についてお答えをいたします。
 東京都はこれまで、公共事業で使用いたします苗木の生産委託や、栽培施設の整備補助などによりまして、緑化用植物の生産振興を図ってまいりました。
 また、農林総合研究センターにおきまして、施工、維持管理が容易な樹木や、屋上、壁面への新たな緑化用植物などの研究開発に取り組んできております。
 今後はさらに、大都市に適した緑化用植物の研究開発を進めまして、事業者や生産者にその情報を提供するとともに、イベント等により東京産の緑化用植物をPRするなど、生産振興を積極的に図ってまいります。   

○議長(川島忠一君) 五十番今村るか君。
   〔五十番今村るか君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十番(今村るか君) 本年四月の都議会議員補欠選挙で初当選をいたしました町田市選出の今村るかです。
 選挙戦を通じて訴えてまいりました人に優しい東京をつくるため、与えていただいた任期、全力で活動してまいりますので、理事者、議会の諸先輩、職員の皆様方、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まずは、一項目めであります。子育て、子育ち環境の向上を願い、虐待防止について、児童相談所の体制をお聞きします。
 児童相談所の機能強化についてでありますが、既に東京都では、児童福祉司の定数を二〇〇二年から六年までの間、増員しております。しかし、これらは児童福祉法施行令の定めに合わせた加算を行っただけであり、施行令の人口五万人から八万人に一人という基準の最低基準を満たしているにすぎず、四十七都道府県では、下から数えて三番目の位置にあります。
 一方、児童相談所への相談件数は、ここ数年、三万件台で推移していますが、相談件数のうち虐待の件数を過去三年で見てみると、約二千件から三千二百件と、実に一・五倍になっており、養護相談のうち約半数が虐待の相談という大変深刻な状況になっています。このことに関して、五件質問をいたします。
 まず、児童相談所を充実させるためには、仮称子ども家庭総合センターの基本構想で示された児童相談所再編の早期実現を求めるとともに、検討されている所管見直しにおいては、市区町村との連携強化のため、より身近なところに地域児童相談所が設置されるべきであり、増設の必要性があると考えますが、東京都の見解を求めます。
 次に、児童養護施設や養育家庭に措置した児童を初め、施設や養育家庭、実親などへのアフターケアについてです。
 例えば、こんなことがありました。現在小学生のA君は、幼いときに実親が離婚し、母親は外国籍のため祖国に戻ってしまい、A君は養護施設から養育家庭に措置されてきました。小学生になり、自分の実親がどうしているのか知りたくなり、養育家庭の母親と相談した結果、担当の福祉司に、実親がどういう人なのか、今何をしているのか教えてほしいと頼みました。
 初めはなかなか聞き入れてもらえませんでしたが、いざ調査をしてみると、母親は祖国に戻った後、すぐに来日し、父親とよりを戻して生活をしていたのです。しかも、調査時点では実親に六人もの子どもがいて、家族で生活をしていたのです。次々に子どもが生まれ、A君を引き取ることができなかったということでありますが、このことがわかり、A君は悩んだ末、実親と兄弟のもとに帰っていきました。福祉司が、せめて一年に一度でも実親の調査をしていれば、もっと早く実親や兄弟たちと暮らせていたはずです。幼い心でずっと実親のことを思い、悩んでいたA君のことを思うと、なぜもっと早く調査ができなかったのか、残念で仕方がありません。
 しかし、現実は、日々の相談や緊急の虐待などに追われ、児童福祉司一人当たり百件以上の担当を持つ現在の体制では、十分なケアが行われない、こんな声が寄せられています。こうした現状にどう対応していくのかをお尋ねいたします。
 さらに、都内児童養護施設の定員は、国型グループホームの増設を積極的に行って、毎年十名から二十名以上ふやしていますが、年間入所率は過去五年ほぼ一〇〇%で、幾つかの施設は一〇〇%を超えてしまっています。都は、次世代育成支援東京都行動計画において、今年度、計画どおり百カ所のホームを達成することになり、その努力には敬意を表します。
 しかし、被虐待児がますますふえている状況では、次年度に向けた児童養護施設のさらなる増員計画が必要と考えます。東京都の見解を求めます。
 次に、都立児童養護施設と児童相談所・一時保護所の老朽化した施設の改善についてです。
 まず、新耐震基準以前の施設が耐震補強されないままありますが、どう対応されるのかお聞かせください。特に、Is値〇・三程度のかなり危険な施設があるとのことですが、早急な対応を求めます。
 過日、私が視察をした一時保護所は古く、居室などが狭く、さらに定員をふやすため床の部屋に畳を敷いただけの居室があるなど、児童の学習や生活にも影響があると感じました。これらの改善の必要性について、東京都の見解を求めます。
 次は、一時保護所の定員についてであります。
 近年、児相で受けている相談件数は三万件程度で推移していますが、さきに述べたように、虐待の相談件数は大幅にふえています。このことから、要保護児童がふえていることは、ご承知のとおりであります。
 一時保護所の定数は、昨年百二十八名から百四十四名に増員されましたが、昨年の入所率は実に九九・八%、近年ずっとこの傾向であります。そのために、一時的に入所率が一三〇%を超えることもあり、空きスペースに布団を敷いて寝るようなことになっております。このような状況が通年続いているわけでありますから、本来なら保護すべき児童がいても、保護先がないため保護できない子どもたちが出てきております。
 当然、命にかかわるような場合、無理にでも実親から引き離しをするのでしょうが、程度が軽いと判断されてしまった子どもたちは、心と体に傷を負ったまま保護されずに、問題のある家庭に置かれてしまっていることになります。この現状は一刻も早く改善すべきと考えますが、東京都の見解を求めます。
 二項目めは、まちづくりについてであります。
 相原・小山土地区画整理事業は、多摩ニュータウン建設の中で新住宅市街地開発事業で行う予定であったものが、土地区画整理事業に変更になったものです。この区画整理事業は、当初、三千五百人の計画人口で、企業などの誘致をメーンにした職住近接のまちづくりを目指していました。ところが、思うような企業進出が進まずに、区画整理事業であるため、地権者所有の土地は民間マンション業者に転売され、都有地にもマンションが建設され、人口が急増しています。さらに、大型ショッピングセンターの出店による渋滞も大きな問題となっています。
 当初、小学校、中学校一校ずつの予定地を確保していましたが、計画進行中に、需要がないとの判断により建設計画はなくなりました。にもかかわらず、当初人口三千五百人が、その後の状況の変化により最大一万五千人にもなると予測される状況になり、都有地を町田市が購入し、小学校を建設するに至っています。さらに、今後二校目の小学校が必要になり、当然中学校も建設しなければなりません。さらに、中学校も二校目が必要になるのではとの試算がされています。
 多摩ニュータウンの小中学校は、そのほとんどすべてが新住宅市街地開発事業地内で計画的に建設されてきました。今回のように、当初計画人口が四、五倍になるということ自体が異常で、あり得ないことであり、区画整理事業だからといって、このことによって生じるツケをすべて町田市に押しつけるのは、事業者としての都の責務を全うしているとはいえません。
 さらに、区画整理当初は、駅前交番が設置できる計画をしていたにもかかわらず、設置の予定がないままになっているなどの課題も残されたままになっています。
 そこで、人口急増により必要な学校用地などを確保するために、都有地売却時に市に対する配慮ができないのか、所見をお聞きします。
 現在、事業地内の都有地については、学校が不足するので集合住宅の建設のためには売却をしないよう、市からの要請があり、売り出しても買い手がつかないままになっています。この学校用地問題に一定の見通しがつけば、都有地について集合住宅マンション用地として売却することが可能になり、都財政にも大きなメリットとなると考えますが、あわせてご答弁を求めます。
 次に、都市計画道路についてであります。
 この相原・小山土地区画整理事業地内のわずか四キロのメーン通りは、土日は通過するのに一時間以上もかかる渋滞が続いています。ところが、最近、近接の八王子市の長池地区に大型ショッピングセンターができ、さらに、出入り口となる都市計画道路南多摩尾根幹線の交差点改良が行われたことにより、幾分緩和された感があります。
 この幹線は、町田市、八王子市、稲城市の両端の整備がほぼ完了し、多摩市を通る中央部分がいまだ暫定整備のままです。さらにこの部分は、全線道路幅員が確保され、用地買収費が必要ないにもかかわらず、約三十年間もそのままになっています。都は、多摩地域における都市計画道路の整備方針を策定し、事業の推進に当たっています。
 東京都は、都市計画道路の重要性、特に南多摩尾根幹線の重要性をどう認識しているのか、都の見解を求めます。
 最後の三項目めは、モータースポーツ、自動車文化の向上について、簡潔に知事にお聞きします。
 三宅島での公道レース計画は、モータースポーツ関係者、そしてそのファンに大きなインパクトを与えました。国内では、富士スピードウエーでのF1開催予定を初め、鈴鹿の八耐、北海道でのWRCなどの大規模なレースから、サーキットや民有地を利用したレースや練習、エキシビションなど、さまざまな取り組みが行われ、モータースポーツ文化が定着しつつあります。また、海外に見られるような古い車をレストア、修理しながら楽しむといったことも広がりつつあります。
 残念なことに、東京都においては、こうしたモータースポーツの文化振興に対応する部署がありません。観光面でも、モータースポーツは一定の集客力が見込まれますし、横浜町田インター付近には、モータースポーツに関するショップが多数ありますが、産業振興としての位置づけもされておりません。
 日本の自動車文化向上、モータースポーツ文化向上のために、こうしたことを文化ととらえ、対応する部署を決め、取り組みを行う検討を始めるべきではないかと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、税制面での支援について質問を行います。
 二輪とは違い、四輪は、初年度登録後十年から十三年を超えると、排気ガスなどの環境面から重課、すなわち自動車税が約一割増しになります。しかし、二、三十年も経過をすれば、多くの車両は年間走行距離を余り走らない趣味的用途になります。買いかえだけを奨励するのではなく、同じものを長く使うことは環境にも大切な視点になります。現に、一九四五年以前に生産された車には税制上の優遇措置が適用されています。これらを拡大する考えがないか、東京都の見解を求めます。
 以上、私の一般質問とさせていただきます。
 ご清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 今村るか議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、児童相談所の体制についてでございます。
 児童虐待相談の急増に対応するため、平成十七年四月に改正児童福祉法が施行されまして、区市町村が児童虐待を含む第一義的な相談対応を担い、都道府県は専門的な対応や区市町村の後方支援を重点的に行うということとなりました。これに先駆けまして、都は、児童虐待防止のための機能を備えました先駆型子ども家庭支援センターの設置を、都内全区市に強力に働きかけております。
 さらに、今後、都における子どもと家庭の相談機関の中核といたしまして、子ども家庭総合支援センター(仮称)を設置し、身近な相談窓口である区市町村をこれまで以上に支援をしてまいります。
 次に、施設や養育家庭に措置した後の子どもへの対応についてでございます。
 児童相談所における児童福祉司と児童心理司は、施設や養育家庭を計画的に訪問し、措置後の子どもの状況を把握しながら、必要な指導援助を行っており、いずれも近年、大幅な増員を図っております。
 さらに、すべての児童相談所に家庭復帰支援員と養育家庭専門員を配置し、それぞれ児童福祉司との連携のもと、子どもの家庭復帰の促進や養育家庭への支援の強化に努めているところでございます。
 次に、グループホームの整備計画でございますが、都は、さまざまな事情で親と一緒に暮らすことのできない子どもが、家庭的な雰囲気の中ではぐくまれ自立できるよう、グループホームの整備に努めております。平成十九年度末までに百カ所設置することを目標とし、その達成に向けて現在取り組んでいるところでございます。
 平成二十年度以降の目標につきましては、実績などを踏まえて今後、検討していくことといたしております。
 次に、都立児童養護施設等についてでございますが、本年三月に策定いたしました東京都耐震改修促進計画では、都立養護施設など防災上重要な公共建築物については、平成二十七年度までに耐震に必要な対応を図ることとしております。
 また、一時保護所の施設の水準につきましては、国の施設基準に適合するものとなってございます。
 最後に、一時保護所の定員についてでございます。
 都は、児童虐待の増加などにより、子どもを緊急に保護するケースがふえてきたため、平成十八年に西部一時保護所を新設し、一時保護所の定員を百二十八人から百四十四人へと増員をいたしました。こうした整備により、緊急に一時保護すべき子どもについては速やかに保護し、子どもの安全確保に努めております。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、相原・小山土地区画整理事業についてでございます。
 本事業は、多摩ニュータウン西部の町田市に位置しておりまして、平成十六年三月に換地処分を行いました都施行の土地区画整理事業でございます。
 近年、民有地への集合住宅の立地も多く見られまして、居住人口は増加の傾向にございます。こうしたことから、中学校予定地として、市から区域内の都有地を取得したいとの要望を受けておりまして、今後、市と必要な調整をしてまいります。
 次に、都有地の集合住宅用地としての売却についてでございます。
 相原・小山地区の都有地は、平成十一年度当初には約五十一ヘクタールございましたが、現在では、既にその八〇%以上が売却されております。残された都有地につきましては、ただいまの学校用地としての処分の動向を勘案しつつ、引き続き適切に対処してまいります。
 最後になりますが、南多摩尾根幹線についての認識でございますが、本路線は、多摩ニュータウンを中心とした地域住民の利便性を確保するとともに、都心方面とを結ぶ、南多摩地域を支える幹線道路の一つでございます。また、神奈川方面を含めた広域的な幹線道路として、都県境を越えた都市間連携の強化に不可欠な路線と考えております。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  自動車文化についてのご質問にお答え申し上げます。
 文化の意味するところは極めて多様で、日常生活の中にある生活文化、創造性あふれる芸術文化、身近な楽しみとしての娯楽文化、また都市空間や建築が持つ文化など、さまざまな文化があると認識しております。このように広範な文化すべてを行政が施策の対象とすることはもとより不可能でございますし、また、そうすることは適当ではないと考えております。
 都においては、文化振興の施策の対象を、音楽、美術などの芸術文化、アニメーションなどのメディア芸術、能楽などの伝統芸能などとしております。
 お話しのモータースポーツや古い車をレストア、修理しながら楽しむといったことは、もちろん文化としてとらえることはできますが、都の文化振興施策の対象とすることは現段階では考えておりません。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 製造年代の古い自動車に対する自動車税についてでございますが、都は、低公害車の普及促進を図るために、環境負荷の小さい自動車の税負担を軽減する一方、新車新規登録から十年を超えるディーゼル車、十三年を超えるガソリン車につきましては、自動車税の一〇%重課を行っております。
 これは、一般的に一定年数を経過した自動車は環境への負荷が大きいことからとられている措置でございまして、使用実績あるいは文化的価値から特定の車両を区別し、重課から外すことは困難であると考えております。

○副議長(木内良明君) 二十六番宇田川聡史君。
   〔二十六番宇田川聡史君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十六番(宇田川聡史君) 初めに、水道事業における危機管理などについてお尋ねをいたします。
 首都東京において安定給水に支障が生じた場合、都民生活はもとより、国内外の社会経済活動に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。こうしたことから、平常時の安定給水はもちろんのこと、渇水、事故時などを想定した危機管理対策の必要性を、さきの予算特別委員会においてもただしました。
 その予特の場で、暖冬により積雪量が極端に少なかったことを受け、この夏に向けた渇水の危惧を指摘したわけですが、可能性が色濃くなってまいりました。新聞紙上においても、利根川上流ダムの貯水量が最低にとか、首都圏の水がめ、八木沢ダムの上流部干上がるといった文字が目立ち、また、ラニーニャ現象によって梅雨前線が北上しやすくなり、梅雨明けが早まるという話題が出ております。
 気象庁によれば、関東甲信地方の降水量は、六月こそ平年並みですが、七月、八月は少ないとなっている上に、ラニーニャ現象発生時は猛暑となる傾向があり、渇水に対する懸念は高まる一方であります。現時点での水事情はどうなっているのか、今後の給水の見通し、対応について改めてお伺いいたします。
 水道は、人間の活動を支えるライフラインとして最も重要であります。特に震災時における対策は大きな課題であり、万全を期す必要があると考えます。近年の大規模地震発生時には、水道が甚大な被害を受け、給水車での飲料水供給は確保したものの、トイレなどの生活用水の不足が被災地で大きな問題となっております。
 「十年後の東京」では、災害に強い都市をつくり、首都東京の信用を高めるとあります。今後、まさに国際社会での信用を高めていく上で、震災対策は最重要課題の一つといえます。水道インフラの整備は、一朝一夕にはなし得ないことではありますが、被害を最小限にとどめる予防措置を進め、結果、一日でも早い災害復旧を目指すべきだと考えます。現在の東京における被害想定はどうなっているのか、災害復旧の見込みはどうなのか、お尋ねいたします。
 復旧時間の短縮に向けた努力もまた必要ですが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 水の確保という点においては、量のほかに質も重要です。諸外国と比べ、おいしいといわれている日本の水道水ですが、以前の東京の水は決して評価できるものではありませんでした。その後、おいしい水の供給のため、高水準の水質確保に向けた対策を講じ、今や高度浄水技術によりペットボトルでの販売がなされるまでに至り、名実ともに安全でおいしい水として世界に誇れるのではないでしょうか。知事も、東京水を安心して飲まれていることと思います。
 その反面、水道水の安全性維持には、残留塩素の濃度が一定以上に保たれる必要があり、これがカルキ臭ともいわれ、おいしさを損なっているのも事実であります。せっかく小学校の水飲み栓を直結給水すべく事業を進めても、このカルキ臭があっては、子どもたちにおいしさを実感させることはできません。東京水道経営プラン二〇〇七の中では、残留塩素の低減策が掲げられておりますが、これを早期に具体化し、取り組みを進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。ご所見を伺います。
 近年、温暖化による地球規模の環境変化が指摘され、日本もご多分に漏れず記録的な異常気象が発生しております。渇水危機に際し、現在の水資源を十分に有効活用することはもちろんのこと、今後のさらなる危機に備え、ダム開発を進めておりますが、こうした将来を見据えた事業も着実に進めるべきだと考えます。
 さて、東京では、過去に取水制限が行われた年がありましたが、石原知事就任以来では、初めての給水危機となることが予想されております。また、五月の世界大都市気候変動サミットでは、知事から、漏水防止の取り組みや高度浄水などのアピールがありました。
 いずれにしても、都市の発展には、量、質ともにすぐれた水の確保、安定した給水は欠かせず、大きな意義を持つと考えるところですが、知事のご所見をお伺いいたします。
 水を貴重な資源としてとらえたときに、下水を高度処理した再生水の利用促進も、また一つの大きな意義を持つことであります。再生水をトイレ用水や道路、植栽等への散水などに有効利用することは、水資源の確保に加え、温室効果ガスの抑制やヒートアイランド対策にもつながることとなります。都はこれまで西新宿周辺において再生水を供給しており、庁内のトイレにも利用されておりますが、このたび、永田町及び霞が関地区においても再生水の供給を開始すると聞きました。再生水は、都市部における新たなる水資源としてなお一層の利用拡大を期待しており、より良質で安価なる供給をも望むところでありますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、公衆浴場支援について伺います。
 都内の公衆浴場、いわゆる銭湯は、この五年間に二百軒以上が廃業し、昨年度ついに一千軒を大きく割り込みました。都民の日常生活に欠くことができない施設なだけに、今なお廃業に追い込まれるところがあるのは非常に残念でなりません。
 しかし、一方で、公衆浴場の社会的役割は膨らみ、大いなる社会貢献を果たしていることも事実です。地域の社交場としてコミュニティの形成に一役を果たし、生活習慣病予防も含めた健康増進の援助を行い、あるときは子どもたちに団体行動の規律や社会のマナーを指導する場であったり、時にはひとり暮らしの高齢者の安全・安心を見守るといった役割も担っております。ある意味、非常に公共性を持った事業者の一面を持ち、そうした自負があるからこそ、経営環境が厳しい中、入浴料を据え置きながらも努力を続けているわけです。自家ぶろ保有率の増加はもとより、近年の原油の高騰や価格の急変動に加え、いわゆるスーパー銭湯などの進出等、厳しい逆風の中ではあっても、何とか事業継続をしてほしいと願っております。
 現在、都は、区市と連携のもと、健康増進型公衆浴場改築支援事業を行っておりますが、必要要件を満たす改築となると、多額な負担を強いられることとなります。とりわけスペース確保などが要件となっているため、制度を利用できる方は限られてしまっているのが現状です。
 そうした中、クリーンエネルギー化の改築のみを対象とした補助を事業化すべきではないでしょうか。近隣他県を見ますと、神奈川県では三百万円上限の二分の一補助を、埼玉県では百二十万円上限の二分の一補助を既に行っております。CO2削減を積極的に展開し、日本をリードしていくという知事の方針の中、燃料のガス化や太陽熱利用の温水器設置は、それに大いに貢献することともなるわけであり、重油や廃材利用と比べ、きれいな空気を排出し、環境負荷の軽減にもつながることを考え合わせれば、都としてもクリーンエネルギー化に対する助成を積極的に進めるべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 平成二十年四月の医療制度改革に伴い、予防医療がますます重要視されることとなります。公衆浴場は街角の身近な健康増進施設として一般都民にも広く利用されており、銭湯みずからが、生活習慣病の予防や改善といった健康増進に資するため、正しい知識の普及や指導を行う場として健康入浴を推進してまいりました。
 また、平成十六年四月に、公衆浴場が持つ住民の健康増進施設としての位置づけを明確にし、地方自治体が健康増進の場として活用することに努めなければならないとの法改正がなされたことも受け、まさに自治体である東京都としても、それを踏まえた支援を行うべきであります。現在の制度上、特別調整交付金の中に組み込まれ、区が主体となって事業を推進し、杉並区などでは積極的活用を行ってはおりますが、区ごとに大きなばらつきがあるのが現状です。都が指導的立場で、各区に対し、ばらつきを抑えた事業展開を講じる、そうした働きかけを行っていくよう要望をしておきます。
 次に、都民参加での環境づくりについてお尋ねをいたします。
 東京港は、首都圏四千万人を支える一大物流拠点であり、港としてのさらなる整備が望まれております。その側面には、都民にとって大変身近な水辺空間であるという顔もあわせ持ち、多くの人たちが親しみを持っております。都は「十年後の東京」の中で、豊かな自然環境と共生する水辺空間を創出し、安心して水と触れ合える水質を確保することを目指すとしています。
 東京港においても、これまで、海上公園等の整備により、海釣りや潮干狩りが楽しめるレクリエーションの場に人々が集い、にぎわいを見せ、また、運河ルネッサンスなどの推進により都民が水に親しめる場を提供するなど、環境づくりに積極的に取り組んでいるところであります。
 私も先月、若洲やお台場の海浜公園、有明北にあるカニ護岸などの整備状況、天王洲や芝浦における運河ルネッサンスの現状などを船上より視察をしてまいりましたが、以前のイメージを一新する印象を受け、環境づくりの意義を再考したところであります。
 しかし、こういった多くの取り組みは、行政が一方的に推し進めることにとどまらず、時には都民の意見を入れたり、時にはその取り組みに参加してもらうことも必要ではないでしょうか。都民の皆さんが主体的に環境づくりに参加することによって、東京港が貴重な水辺であると認識できるとともに、効果的な推進につながると考えます。
 そこで、東京港などにおける都民参加での環境づくりについて、都の今までの取り組み姿勢、そして実績についてお尋ねをいたします。
 二〇一六年、東京オリンピック招致を目指している今日、都市空間の緑化や良好なる水辺空間の創出、海辺の水質改善などは、より積極性を持って取り組むべきであります。知事も所信表明において、水と緑の回廊で結ばれた世界最先端の環境都市につくり上げるため、臨海部に造成する海の森づくり等により東京全体の緑のムーブメントを創造する、と力強く語っておりました。こうした環境づくりは、都民と一体となってこそ大きな前進ができると考えます。今後どのように都民参加を促し、どのような取り組みを行っていくのかをお伺いいたします。
 さきの一定にて質問があったところではありますが、都県境の橋梁整備について改めてお伺いをいたします。
 千葉県へと向かう交通アクセスは江戸川を挟むため、当然に橋梁を利用することとなります。橋梁がボトルネックとなり、慢性的交通渋滞を引き起こすわけですが、他の河川にかかる橋と比べて余りにも橋梁の数が不足しているといわざるを得ません。今井橋から市川橋の間八キロ近く橋がないことは、渋滞発生のみならず、災害時における都県境を越えた広域避難体制の確立といった点にかんがみても、一刻でも早い整備を要すると考えます。
 区部における第三次事業化計画の中でも、浦安市へと向かう放射一六号線と、市川市との間を結ぶ補助一四三号線については、平成二十七年度までに優先的に整備する路線として位置づけをされており、その必要性、重要性は明らかであります。さまざまな課題が残されているからこそ、遅々として事業化に至らないこととは思いますが、是が非でもの整備を強く望んでやみません。放射一六号線と補助一四三号線、この二路線について、東京都側の進捗状況をお伺いいたします。
 また、今月八日、千葉県との道路橋梁整備調整会議が実務者レベルで開催されたとも聞いております。事業の前進につながったことを期待しているところではありますが、会議の結果を踏まえ、橋梁部の事業化へ向けた今後の取り組みについて具体的にお伺いをさせていただきます。
 以上で私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 宇田川聡史議員の一般質問にお答えいたします。
 量と質がともにすぐれた水の確保についてでありますが、江戸時代の後半、世界に希有なる百万都市としての江戸の暮らしは、神田上水、玉川上水が支えておりました。これは、あの時代に上水道を持った首都というものは世界に例がございません。現在、東京水道は千二百万の都民の生活と首都東京の都市活動を支える、まさにライフラインであります。
 しかし、首都圏の水源は、一人当たりダム貯水量が世界の主要都市に比べて極めて少なく、脆弱であります。加えて、近年の気候変動に伴い、雨の多い年と少ない年の差が顕著になりまして、水資源の管理がますます困難になってきております。こうした状況から、引き続き水源確保に努めていくことが重要だと思います。
 ある政党は、建設中の八ッ場ダムについては非常に反対の意見を持っておりましたが、今日の事態になれば、こうした先を見越した設備投資というのがいかに都民にとって必要かということが証明されると思います。
 また、漏水防止を推進するなど、水資源の有効活用を図っていく必要もあります。
 東京は、安全性とおいしさを兼ね備えた水を供給する数少ない都市でありまして、都市の持続的な発展に欠かすことのできない水の安定供給を通して、成熟した大都市東京の姿を世界に発信していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 水道事業における危機管理対策などについての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、水源状況と今後の給水見通しですが、都の水源の約八割を占める利根川水系では、上流八ダムの貯水量が六月十九日現在、約三億五千万立方メートル、貯水率七五%となっております。また、多摩川水系では貯水量が約一億七千万立方メートル、貯水率七六%となっております。
 関東甲信地方は梅雨入りが平年より六日遅く、気象庁によると、七月、八月は平年に比べ降水量が少ないとされております。このため、今後の降水量によっては貯水量がさらに低下し、取水制限が実施された平成六年や八年と同様、厳しい状況になることも考えられます。したがって、水源状況や気象状況など、引き続き慎重に見守りながら、きめ細かな水運用を実施し、安定給水の確保に努めてまいります。
 次に、大規模地震発生時における被害想定と復旧見込みですが、平成十八年五月に作成された首都直下地震による東京の被害想定報告書では、東京湾北部地震でマグニチュード七・三の場合、水道の断水率は、区部が四六・三%、多摩地区が一〇・九%と想定しておりまして、水道局では、発災後、すべての水道施設を復旧するまでの日数を三十日と設定しております。現在、東京都水道局震災対策事業計画に基づき、浄水場や管路を耐震化する施設整備を推進していますが、発災時の被害をできるだけ少なくするため、一層の予防対策に努めていく必要があると考えております。このため、高い断水率が見込まれる東部地域に重点を置きつつ、耐震継ぎ手管への取りかえをさらに推進するなど、水道施設への被害を抑制し、一日でも早い災害復旧が可能となるよう取り組んでまいります。
 最後に、残留塩素の低減化に向けた取り組みですが、水道局では、安全でおいしい水プロジェクトとして、高度浄水処理の導入や貯水槽水道対策を推進するとともに、においや味などに関する都独自のおいしさに関する水質目標の達成に向けて、各種施策に取り組んでいるところです。
 今後、さらに、カルキ臭の原因の一つとなっている残留塩素を低減化していくために、中継点である給水所でも塩素を注入できるよう整備し、浄水場での塩素注入を減らし、全体として塩素濃度を減少させることとしていきます。このため、こうした注入地点を分散した設備を、今年度から平成二十一年度までに八カ所の給水所において順次整備してまいります。
 今後とも一人でも多くのお客様に水道水のおいしさを実感していただけるよう、水源から蛇口までの総合的な水質向上の施策を展開してまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君) 下水再生水の利用拡大についてでございますが、新たに永田町及び霞が関地区で事業を開始することとしており、まず来月から、ヒートアイランド対策として、国会議事堂に隣接する道路への散水に再生水を供給いたします。
 今後、再生水の一層の利用拡大を図るには、利用者を開拓することと、より安価で良質な再生水を提供することが重要でございます。このため、大規模な開発地域などを対象に供給地区の拡大を図るとともに、ビルの所有者に精力的に再生水利用を働きかけているところでございます。
 また、新たな技術として、寿命が長く経済性にすぐれ、色やにおい、細菌類などをろ過するセラミックフィルターなどの技術開発にも取り組んでおるところでございます。
 今後ともこうした取り組みを積極的に推進し、都市の貴重な水資源である下水再生水の利用拡大を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  公衆浴場におけるクリーンエネルギー化の推進についての質問にお答えいたします。
 公衆浴場は、ご指摘のとおり、都民に入浴の機会を提供するだけでなく、高齢社会に対応し、地域住民の福祉、健康づくりの場となるなど、地域コミュニティの活性化に貢献しております。こうした公衆浴場が環境面においても貢献するために、重油や廃材などから都市ガスなどのクリーンな燃料に転換を進めることは、CO2を初めとする温暖化ガスの削減にも寄与するものと認識しております。都としては、今後、公衆浴場業界の動向も見きわめつつ、対応について検討してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 東京港における都民参加による環境づくりについて、二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民参加による環境づくりの取り組み姿勢と実績についてでございます。
 東京港における自然と共生する豊かな環境づくりに当たっては、水辺の自然を回復し、多様なレクリエーションの場として発展させるという視点に加え、何よりも幅広い都民や企業が環境の大切さを認識し、みずから参加して取り組む体制を築くことが重要でございます。このため、都ではこれまで、例えば海上公園の整備に当たり、港湾審議会等への都民の参加や、小学生も参加した海の森の苗木づくり、また、カニの放流や干潟など自然の再生、地元住民や企業と協力、連携した運河ルネッサンスなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。こうした都民参加の取り組みにより、近年、臨海地域における緑や水辺の環境に対する都民の関心も一段と高まってきたところでございます。
 次に、都民参加による環境づくりの今後の取り組みについてでございます。
 環境づくりは、子どもから大人までの幅広い都民、企業、NPOなどの多様な主体が計画から運営までのさまざまな場面に参画する仕組みづくりと、行政との協働が促進されてこそ大きな前進が期待できると考えております。このため、今後、ごみや残土で埋め立てられた島を緑の島に生まれ変わらせる海の森事業では、海の森募金を募るとともに、都民による植樹や管理への参加を得て、協働して森を育ててまいります。
 また、東京港における環境づくりの大切さと喜びを体感していただくため、都民やNPOなどの参加による、お台場海浜公園でのカキを使った水質浄化実験にも取り組んでまいります。
 こうしたさまざまな取り組みにより、「十年後の東京」が目指す、緑に囲まれ、水辺と共存した都市空間を実現してまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、放射第一六号線と補助第一四三号線の進捗状況についてでありますが、これらの路線は、千葉県境付近における道路ネットワークの形成を図り、都市間連携を強化する上で重要な役割を担う路線と認識しております。このため、区部における第三次事業化計画の優先整備路線にも位置づけ、事業を進めてまいりました。このうち、放射第一六号線は、都心と千葉県臨海部を結ぶ延長約十二キロメートルの骨格幹線道路であり、都県境にかかる橋梁を除いて、整備済みであります。
 また、補助第一四三号線は、葛飾区金町と江戸川区東篠崎を結ぶ延長約十キロメートルの路線であり、都県境付近の篠崎街道から旧江戸川までの延長五百三十メートルが事業中であります、この区間の平成十八年度末の用地取得率は約六割であり、引き続き財源確保に努め、地元の理解と協力を得ながら事業を進めてまいります。
 次に、都県境の橋梁などに関する千葉県との調整会議と、橋梁部の事業化に向けた取り組みについてでありますが、両路線の旧江戸川にかかる橋梁の整備に当たっては、事業手法や取りつけ部の整備時期など、都県境特有の課題があり、千葉県との調整を図る必要があります。このため、平成五年に道路橋梁整備調整会議を設置して以来、継続的に開催し、路線整備について検討を行ってまいりました。
 直近の六月の会議では、都と県が合同で現地調査を行い、橋梁取りつけ部付近の現状を確認するとともに、課題である事業手法などについて意見交換を行いました。
 今後とも事業化に向け、この調整会議を活用し、積極的に課題解決に取り組んでまいります。

○議長(川島忠一君) 十九番高倉良生君。
   〔十九番高倉良生君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十九番(高倉良生君) 昨日、渋谷の温泉施設で三人が死亡する爆発事故が発生をしました。犠牲者の方々に心より哀悼の意を表します。
 昨夜、私も現場に行ってまいりましたけれども、警察、消防はもとより、都環境局の職員の皆さんも現場において徹夜で対応に当たっておられました。心より敬意を表するものであります。
 温泉施設は、都内でも昨年度百四十四施設に急増しております。今回の事故原因を徹底して究明するとともに、現在都内にある同様施設を緊急に実態調査すべきであります。
 北区で一昨年発生した天然ガスの噴出事故を機に、都は掘削工事中の安全対策ガイドラインを策定しておりますが、営業時におけるガスの適切な処理に関する規制などはない状況であります。今回のような事故を二度と起こさないために、営業時も含む抜本的な安全対策を確立するよう強く要望し、質問に入ります。
 石原知事が制作、総指揮、脚本に当たられた映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」を見てまいりました。大変感動的な作品であり、日本映画の魅力を改めて実感いたしました。
 私たちは、すばらしい日本映画や技術の高い日本アニメを映画館やDVDでいつでも見ることができます。しかし、聴覚障害者はそれを楽しむことが困難であります。日本語音声に日本語字幕がなく、内容がわからないからであります。テレビでは字幕放送が進んでいますが、映画では一部、劇場上映で日本語音声に字幕をつける作品はあるものの、DVDも含め、ほとんど対応されていない現状でございます。
 そのような中で、今回知事が制作、総指揮をされた映画は、日本語字幕つきフィルムが上映されていると聞いております。映画という魅力あふれる文化を一人でも多くの人が楽しめるよう、情報アクセスのバリア解消を図っていくことが重要です。知事の率直なお考えをお聞きします。
 ことし、「バベル」というハリウッド映画で菊地凛子さんがアカデミー賞にノミネートされ、話題になりました。この映画では、英語のほか、モロッコやメキシコの言葉、日本語、手話と五つの言語が登場しますが、日本公開に際し、当初は日本語音声には字幕がありませんでした。約四百人のろう者がエキストラ参加したこの映画を、全国の聴覚障害者にも同じように楽しんでほしいという声が大きな署名運動となって配給会社を動かし、日本語音声に字幕がついての上映が実現をいたしました。
 先日、我が党の政調会長と一緒に、署名を呼びかけた方にお会いしました。聴覚に障害のあるお子さんをアニメ映画に連れていったお母さんが、口を子どもの耳元に寄せて一生懸命せりふを伝えているんです、ぜひとも字幕が欲しいですねと語っておられました。
 洋画だけでなく、すばらしい日本映画やアニメ作品を字幕で自由に楽しみたいという聴覚障害者の要望にこたえるためには、劇場上映の字幕のほか、レンタルビデオ店に備えられるレベルのDVD作品に標準で字幕をつける働きかけが不可欠であります。都は、映画を通じて東京の文化や魅力の発信に取り組んでおりますけれども、日本語音声の字幕化についてもリーダーシップをとるよう努めるべきであります。そして、字幕の法制化に向けた取り組みへの後押しや、事業者に対する積極的な働きかけを行うべきであります。所見を伺います。
 また、知事には、「俺は、君のためにこそ死ににいく」がDVD化されるなら、シンボルマークをつけるなど、日本語字幕つき日本映画の見本となるよう要請をし、映画を愛する聴覚障害者の応援をしていただきたいと思います。
 次に、視覚障害者の情報アクセスについてであります。
 さまざまな情報の中で、防災に関するものは視覚障害者にとっても極めて重要であります。現在、小さなシンボルを文書の余白につけ、専用の読み取り機にかざすと音声で読み上げる音声コードが普及していますが、都の防災パンフレットにも音声コードをつけるべきであります。所見を伺います。
 この音声コードの添付は、都の発行物でも少しずつ進んでいると聞いております。「十年後の東京」が目指すユニバーサルデザインのまちづくりの一環として、都の各局においても音声コードの添付をさらに進めるべきであります。
 また、視覚障害者の社会参加に向けた利便性を考えるならば、公共施設の窓口を初め、必要と思われるさまざまな場所に音声コードの読み取り機を置くことを今から検討しておくべきであります。所見を伺います。
 次に、救急医療についてであります。
 公明党は、先月発表した命のマニフェストにおいて、空飛ぶ救命室とも呼ばれるドクターヘリの全国配備に取り組んでおります。我が党のこうした主張を受け、都は今年度、全国に先駆けて、消防庁のヘリを活用した二十四時間三百六十五日運航可能な東京型ドクターヘリの運航を開始することは、高く評価をするものであります。
 さらに、十カ所程度の協力病院から添乗医師を円滑に確保するとしており、救急治療が迅速に提供されると期待しております。
 そこで、救急患者搬送時間の短縮を一日も早く実現するために、この東京型ドクターヘリの運用を早期に開始すべきと考えます。所見を伺います。
 東京型ドクターヘリは、本土から四百キロ離れている島しょ地域まで飛べる大型ヘリであり、夜間飛行も可能であります。したがって、運航範囲については、患者搬送に時間がかかる多摩の山間部も対象とすべきであります。
 さらに、都内全域を対象にした活用を検討すべきであります。都心等においては、通常、救急車による迅速な救急活動が行われておりますが、密集した都心や市街地においても東京型ドクターヘリを活用する場面が必ずあると考えます。あわせて所見を伺います。
 次に、外国人の留学生受け入れについてであります。
 国は、五月に発表したアジア・ゲートウェイ構想の中で、二〇二五年までに現在の三倍の三十五万人の留学生受け入れを打ち出しました。都においても、「十年後の東京」で、アジアの優秀な人材を東京へ招致していくために留学生の受け入れ体制を整備することを明らかにしています。
 そこで、大学が最も集中する東京においてこそ、留学生の受け入れ枠の拡大の具体策を提示すべきであります。
 あわせて、率先して首都大学東京においてはアジアからの留学生を積極的に受け入れるべきであり、また今後、大学内での受け入れ施設整備も進めるべきであります。「十年後の東京」においても、アジア大都市ネットワーク21や現地大学とのネットワークなどを活用して首都大学東京に受け入れるとしています。アジア諸都市の発展に寄与する人材を育成するためにも、受け入れ拡大策を講ずるべきであります。所見を伺います。
 また、アジアからの留学生受け入れに当たって最大のネックになっているのが、住居の確保であります。都は、アジアからの留学生宿舎として平成二年から太田記念館を運営していますが、現在の入居者数は四十一名であります。こうした既存の住居の拡充整備を図るとともに、居住環境の整備に関して新たな工夫を加えるべきであります。所見を伺います。
 さらには、大学生だけでなく、中高生の受け入れも進めるべきと考えます。私学においては、多くの学校で長期、短期の留学や海外研修を実施し、中には交換留学を行っているところもあります。
 都は、十九年度重点事業として、海外青少年の教育旅行受け入れ促進事業を始めました。これは、外国からの修学旅行を受け入れ、学校での交流を行うものであります。既に都立高校で二校が学校交流を実施したと聞いております。ぜひとも国際交流推進モデルになるような取り組みの普及を図り、都立高校においても外国からの修学旅行の受け入れなどの国際交流を一層推進すべきであります。所見を伺います。
 次に、三宅島で計画されているオートバイイベントについてであります。私はバイク愛好者の一人として、さきの予算特別委員会でも安全対策など質問したところであります。
このイベントが構想されて以来、公道を使ったレースのみに関心が集まっている感があります。しかし、島の復興を考えるならば、中高年にも人気が高まっているバイクの魅力をアピールすることを主眼にさまざまなレースやイベントを開催し、来島者の増加を図っていくことこそ重要であります。
 私は、三宅島におけるバイクレースやイベントには、バイク愛好者の大きな期待があると思っております。例えば、モトクロスバイクを使うスーパークロスと呼ばれる競技は、ショーアップすることで非常にインパクトが高まります。三宅島の地形にふさわしいレースとして、実施に向けた検討をすべきであります。
 また、トライアルレースのほか、参加型イベントの一環として、ふだん見ることのできないクラシックバイクやサイドカーの走行など、工夫を凝らすべきであります。所見を伺います。
 三宅島では、噴火前に島民や観光客にも人気があったボウリング場が閉鎖されたままになっております。これは従前、勤労福祉会館にあり、都が運営をしていたものであります。地元住民から再開を求める強い要望がありますが、都の早急な取り組みを強く求めます。
 また、復興への重要な課題である三宅島─羽田間の航空路については、島民の利便性や観光客をふやすため一日も早く再開すべきであります。都の積極的な取り組みについて、所見を伺います。
 最後に、創業支援策についてであります。
 中野区にあった東京都労働資料センターが移転し、その跡を活用して、都の取り組みとしては初めての、アニメや映像を主体とするインキュベーション施設が設置されます。中野区は、IT・コンテンツ産業の振興に力を注いでおり、それと軌を一にするものとして大きな期待を寄せております。周辺にはコンテンツ系の学科を持つ教育機関もあります。
 そこで、今回のアニメ・映像産業に特化したインキュベーション施設の設置に当たっては、中野区との連携や、大学や専門学校などとの連携を積極的に図るべきであります。所見を伺います。
 東京のインキュベーション施設の設置は、国際的に見て低い水準にあります。今後、成長が期待される福祉、医療といった健康産業などの育成も含め、東京にふさわしい公的インキュベーション施設の整備に取り組むべきであります。
 所見を伺いまして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高倉良生議員の一般質問にお答えいたします。
 映画を楽しむためのバリアの解消についてでありますが、映画という文化に触れることを通して、人はさまざまな刺激を受け、心も豊かになり、日々の生活にも潤いがもたらされるわけでありまして、こうした感動は、障害の有無にかかわらずだれもが求めるものであると思います。
 私自身、先般久しぶりに映画制作にも携わりまして、つくり手側としても、より多くの人に映画の楽しさを味わってほしいと実感いたしました。
 現に、講演会であるとか政治の演説会などは手話が非常に徹底しているわけでありまして、一方、もっとハイブラウな、芸術のジャンルの一つである映画にそういう障害があるということは、まことにご指摘のように残念なことでありまして、現在、我が国においても、耳の不自由な人がいつでも映画を楽しむことは非常に難しい状況であります。すべての人が映画文化に触れる機会を享受できるようになればすばらしいことだと思っております。
 現に、私たち、洋画を見るときは皆スーパーを見ているわけで、日本映画を見るときにそれはそう視覚的な煩わしさにはならないと思いますので、すべての人が映画文化に触れる機会を享受できるようになればすばらしいことだと思います。そのような社会が実現されることを私も望んでおりますし、自分に関係した作品については、映画会社とも諮りまして、手始めにそういうものを実現していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 都立高校における国際交流の推進についてであります。
 異なる文化、生活、習慣を持つ同年代の若者同士の国際交流は、異文化を直接体験し、国際性を養うという点で大変大きな意義を持っております。
 都立高校におきましては、これまでも海外研修や姉妹校との交流、留学生を招いての交流会などを行っております。本年度は六校で海外修学旅行を実施するとともに、この七月には、国の二十一世紀東アジア大交流計画を受け、海外から約二百名の青少年の訪問を受け入れる予定でございます。
 ご指摘の海外からの修学旅行生との交流につきましては、今後とも関係機関等と連携し積極的に進めるとともに、国際交流のモデルとなる学校の実践事例をまとめ、指導資料を作成するなどして、都立高校における国際交流を一層推進してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  日本映画やアニメに字幕をつける取り組みについての質問にお答えいたします。
 ご指摘のとおり、日本語字幕によって耳の不自由な方が気兼ねなく自由に映画を楽しめる環境をつくることは、大変重要であると認識しております。
 都は、映像文化の振興を図るため、東京国際映画祭やショートショート・フィルムフェスティバル・アジアへの支援のほか、撮影許可等の総合窓口である東京ロケーションボックスの運営などを行っております。
 今後、福祉保健局と連携して、国に字幕についての取り組みを要請するとともに、映画祭関係者や制作会社などに対して、日本映画等に日本語字幕を表示していくよう、さまざまな機会をとらえて働きかけてまいります。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、視覚障害者に対する防災情報の提供についてでございますが、視覚障害者の方々が災害時にみずからの安全を確保するためには、防災情報を容易に入手し、利用できることが重要であります。
 これまで都は、災害時に視覚障害者など要援護者がいち早く避難できるよう、区市町村が放送事業者に避難準備情報を提供し、テレビやラジオを通じて伝える仕組みを整備してまいりました。
 今後は、視覚障害者の方々が日ごろから防災情報を利用できるよう、防災パンフレットなどに、ご指摘の音声コードを添付してまいります。
 次に、首都大学東京における留学生受け入れの拡大策についてでございます。
 首都大学東京では、環境問題などの大都市共通の課題解決に役立つ共同研究を行うなど、アジアの大学との国際交流に積極的に取り組み、学生、教員などの相互交流の機会を拡充しております。
 また、留学生を対象とした、大学の宿舎や民間の住宅などへの入居に関する相談や日本語教育の充実、授業料減免など、留学生が安心して教育・研究に専念できるよう、生活面、学修面でさまざまな支援を行っております。
 留学生の受け入れは、首都大学東京の教育・研究の活性化や、アジアの諸都市との人的ネットワークの拡大にも資するものであり、今後は、アジア人材ファンドなどの仕組みも活用し、大学の国際化や留学生支援を一層充実し、アジアの優秀な人材の育成に寄与してまいります。
 最後に、三宅島のバイクイベントの内容についてでございますが、このイベントは、オートバイを核として島への関心を高め、年間を通じた来島者の増加を図るために開催するものでございます。
 現在、NPO法人と三宅村が中心となり、クラシックバイクなどのエキシビション走行やドラッグレース、パレードなど多彩な企画を検討しております。
 都としても、このイベントがバイク愛好者を含め多くの人が楽しめる魅力あるものとなるよう、NPO法人や三宅村を積極的に支援してまいりますとともに、ご指摘のスーパークロスについても、今後、十分参考にして工夫を凝らすよう働きかけてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えを申し上げます。
 まず、視覚障害者用の音声コードについてでございますが、平成十五年度に、音声コードを読み取るための活字文書読み上げ装置が視覚障害者の日常生活用具として新たに公的給付の対象となり、障害者の方が利用しやすくなりました。
 これを契機といたしまして、都は、障害者向けのパンフレット等へ音声コードの添付を開始し、本年五月に策定をいたしました東京都障害者計画の概要版にも添付をいたしました。
 今後とも、各局の協力を得て、一般都民向け文書等への音声コードの添付にさらに努めるとともに、必要な場所に活字文書読み上げ装置を設置していくよう働きかけてまいります。
 次に、東京型ドクターヘリの運用についてでございますが、運用開始に当たりましては、添乗医師の派遣や搬送患者の受け入れが可能な協力病院を確保することが不可欠でございます。
 現在、江東及び立川のヘリポートに近接する病院や、大型ヘリが直接離着陸できる病院との協定締結に向け、鋭意調整を行っております。
 本年秋までには、順次病院と協定を締結し、運用を開始していく予定でございます。
 最後に、東京型ドクターヘリの運航範囲などについてでございますが、これは島しょ地域に限定するものではなく、救急車による患者搬送が困難、あるいは搬送に時間がかかります多摩地域の山間部についても対象としてまいります。
 また、救急車による迅速な患者の搬送体制が確保されております東京都心や市街地におきましても、震災時や大規模災害など救急車による救急活動が十分に行えない場合にはヘリコプターの活用が有効でございます。
 このため、東京型ドクターヘリを含めた東京消防庁のヘリコプターのほか、既に協定を締結しております民間航空会社のヘリコプターも活用し、迅速な患者搬送ができる体制を確保してまいります。
   〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、留学生受け入れを促す取り組みについてでございますが、アジアの優秀な人材を留学生として積極的に受け入れ育成をしていくことは、東京がアジア全体のレベルアップに貢献し、アジアの発展をリードしていく上で重要と考えております。
 しかし、アジアから来日する留学生は、物価水準の違いなどによりまして、経済面を初めさまざまな問題を抱えております。
 このため、「十年後の東京」に掲げました、渡航費や学費等を支給するアジア人材ファンドなどの支援策を来年度を目途に取りまとめまして、アジアの大都市に共通する課題の解決に資する高度な人材の育成を図ってまいります。
 次に、留学生に対する居住環境の整備についてでございますが、留学生が東京で安心して学業に専念するためには、住居の確保が重要でございます。このため、アジア人材ファンドなどの枠組みで受け入れる留学生に対しまして、入居相談体制の充実や住宅ストックの有効活用などが図られますよう、関係機関に働きかけるなどして支援をしてまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 三宅島空港の航空路再開についてのお尋ねでございます。
 航空路の再開は、三宅島の復興と島民生活の安定を図る上で欠かせないものと認識しております。
 このため、噴火により毀損した滑走路や航空灯火など空港施設の復旧整備はほぼ完了し、現在、運航事業者などと再開に向けた調整を行っているところでございます。
 一方、三宅島空港の約半分は高濃度の二酸化硫黄ガスが観測される環境にあるため、運航事業者からは、再開の判断には、空港及び周辺の飛行経路上における二酸化硫黄ガスの観測が不可欠とされております。
 このことから、昨年十二月より、火山や気象の専門家、国、運航事業者などの意見をもとに、上空等の火山ガス濃度の測定や気象状況の観測を行っているところでございます。
 今後、引き続き観測を行うとともに、これらの観測結果などをもとに運航事業者や関係機関などとの連携を密にし、再開に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、アニメ・映像産業に特化をいたしましたインキュベーション施設の設置についてですが、世界的にも高い競争力を有する東京のコンテンツ産業をさらに発展させていくという観点から、アニメ・コンテンツ分野での創業を支援するため、若手クリエーターなどを対象とするインキュベーション施設を、本年度末を目途に中野区内に整備いたします。
 創業支援を効果的に行うためには、スペースを提供するだけではなく、アドバイスや情報提供等の支援もあわせて行うことが重要と考えており、本施設におきましては、入居者に対してこうした支援をあわせて行う予定であります。
 今後、地元区を初めとする行政機関やアニメ・コンテンツ系の教育機関などとも意見交換等を行い、各機関の強みを生かした連携方策も検討してまいります。
 次に、公的インキュベーション施設の整備についてですが、東京の産業活力を引き続き維持発展させていくためには、創業の促進が重要であると考えております。
 そのためには、事業に必要な拠点の確保と、適切な経営支援を受けられる環境の整備が不可欠であり、インキュベーション施設の整備は重要な課題であると認識しております。
 本年度は、アニメ・コンテンツ産業を対象とした施設に加えまして、健康産業等を対象といたしました施設を産業貿易センター浜松町館に開設するなど、合計三カ所の施設整備を予定しております。
 今後とも、空き庁舎などの利用や民間の経営支援ノウハウを活用するなど、創意工夫によりましてインキュベーション施設の整備に全力で取り組んでまいります。

○副議長(木内良明君) 三十一番松下玲子さん。
   〔三十一番松下玲子君登壇〕

○三十一番(松下玲子君) まず初めに、放置自転車対策について伺います。
 先日、都内における駅前放置自転車の現況についてが発表され、昭和五十二年の調査開始以来、駅前放置自転車は初めて実数で十万台を下回ったとのことですが、毎年継続的に行っているこの調査の目的と調査方法について伺います。
 駅前放置自転車は過去最低となったものの、放置自転車の撤去台数は過去最高の九十万九千台、このうち持ち主に返還されたものは四十八万六千台、引き取られず処分されたものは四十二万二千台です。撤去された自転車の約半分が持ち主に引き取られずに区市町村が処分しています。
 処分の内訳を見ますと、廃棄物として有償処分が約六七%を占めています。廃棄物として無償処分は約二%、資源として業者に売却は約二三%、リサイクルは約八%です。
 自転車法第六条三項は、処分自転車は売却し、買い受け人がいないときまたは売却できないと認められるときは廃棄の処分をすることができるとなっていますが、現状は七割近くの撤去自転車を区市町村の負担で代金を支払って廃棄物として処分しています。
 今日、これだけ環境問題が重視され、折しも今月は環境月間です。省エネルギー、ごみ減量で二酸化炭素の排出を削減して、個人も企業も行政も地球温暖化防止に取り組まなければならない中で、まだ使える自転車、撤去された放置自転車が廃棄物として、しかも有償で処分をしている現状を改善すべきです。
 これまでの調査を比較してみると、過去三回の調査以前は、処分先の内訳が今と異なり、産廃と資源回収業者が同じ数字で、有償か無償かも不明です。内訳が明らかになっているだけでも進歩かとは思いますが、自転車法にのっとり、また環境に配慮して、資源としての売却やリサイクルをふやし、財政負担の大きい有償廃棄処分を減らし、税金をむだ遣いしない方法に変更するべきです。
 平成十七年に初めて資源として売却した、私の地元の武蔵野市の取り組みを聞きました。平成十七年の売却収入が約二百七十万円、廃棄費用が約八十二万円です。平成十六年には廃棄費用のみで約二百五十万円でしたので、費用として払っていたものが収入として受け取れるように変わり、平成十八年はほとんど売却できたとのことです。売却を実施した際には、先に取り組んでいた中野区の担当者にノウハウを聞いたようです。
 都は、処分先の内訳をさらに分析し、先進的な取り組みのノウハウを収集し、積極的に区市町村に提供していくべきだと思います。
 そこで、都は、引き取り手のない撤去自転車の処分先内訳の調査結果をどう受けとめ、今後、廃棄物として有償処分を減らすためにどのように取り組むか伺います。
 もちろん、撤去台数を減らし、返還台数をふやすための努力も同時にしていただきたいと思います。長年の継続的な取り組みで駅前放置自転車が初めて十万台を下回ったのは喜ばしいことかもしれませんが、それでもまだ十万台近い自転車が駅前に放置されているのが現状です。道路を占拠している駅前放置自転車をなくし、安全で快適な通行ができるように、都はもっと積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 放置自転車対策のこれまでの都議会での議論を調べると、平成十三年の答弁では、地域性が強いことや自転車利用の実態などから、基本的には住民に身近な自治体である区市町村が実施することが効果的であるといっていたのが、平成十五年や十七年の議論では、放置自転車対策は条例に基づき区市町村が具体的な取り組みを進めることと、いつの間にかニュアンスが変わっている感じがします。
 これはなぜかと思い、調べたところ、大体平成十三年までに、地元駅での放置自転車対策に頭を抱えていた各区市町は、放置自転車に関する条例を制定しています、そして、当該道路の管理者が例えば都であっても、条例の責任で区市町が放置自転車を撤去できるようになっているのです。そうした事実の積み重ねが現在に至っているのではないかと、私は推測します。
 いま一度、自転車法の趣旨にのっとり取り組むべきです。例えば第五条一項は、自転車駐車場の設置に努めるのは地方公共団体または道路管理者であり、同六項では、整理、撤去は地方公共団体、道路管理者、警察、鉄道事業者が相互に協力して努めるとなっています。当然どちらにも都も区市町村も入るわけですから、区市町村が主体的に設置や撤去を行うものではないはずです。
 そこで、区市町村と協力して、都として今後どのように放置自転車対策を進めていくのか、見解を伺います。
 近年、自動車リサイクル法や家電リサイクル法など、個別リサイクル法が整備されています。所有者や製造業者、引き取り業者の役割分担や費用負担が明確に示され、それぞれの分野でリサイクルのシステムが確立されていますが、残念ながら自転車リサイクル法は整備されていません。これまでの議論を調べると、放置自動車が社会問題となっていたときに、自動車のリサイクルシステムの確立が放置自動車対策に有効であり、都としてもリサイクルシステムが早期に確立されるよう、国に積極的に働きかけ、取り組んでいたようです。
 放置自転車の抜本的な対策として、自転車リサイクル法、自転車はサイクルともいいますから、サイクルリサイクル法と、響きもよい法律の法制化を、都が検討し、積極的に国に対して働きかけていただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 風致地区について伺います。
 風致地区は、大正八年の旧都市計画法の制定に伴い創設された制度で、都市における緑地の保全に関する制度として、我が国初めてのものです。風致地区は、現行の昭和四十三年に成立した都市計画法に規定する、都市における風致を維持するために定められる地域地区であります。国交省の風致地区制度の都市の風致の定義とは、都市において水や緑などの自然的な要素に富んだ土地における良好な自然的景観であり、風致地区は、良好な自然的景観を形成している区域のうち、土地利用計画上、都市環境の保全を図るため風致の維持が必要な区域について定めるものです。
 しかし、国交省の定義では、良好な自然的景観とはどのようなものであり、都市環境の保全や風致の維持とは具体的にどのような姿かは見えません。
 そこで、東京都において風致地区の果たしている基本的な役割について伺います。
 都市の風致の定義である良好な自然的景観とはどのようなものかを考えるとき、日本列島各都市で、自然的景観は、その土地ならではの地域性や歴史的な経緯が色濃く反映し、良好という言葉の意味も非常に幅が広いと思います。都内を眺めても、比較的自然が豊かな多摩地域と都心の二十三区では、良好という言葉の示す姿、目指す姿が異なるように思います。
 そこで、都内に風致地区と指定されている地区は幾つあり、それぞれどのような特色か伺います。
 都市計画法第五十八条は、風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができるとあります。
 東京都は昭和四十五年に東京都風致地区条例を制定していますが、現在の条例の規定では、許可の基準や取り扱いが明確ではありません。また、個々の風致地区に対しての特徴や計画、運用方針が明記されていないため、この条例だけに基づいて実際に運用することは非常に困難であると思います。
 条例を運用する際に、実際にある風致地区がどういった経緯で制定されて、今後どうしていきたいのか、東京都がそれぞれの地区における良好な風致や目指すべき姿はどういうものかということが、具体的な方針として、それも風致を保全する方針として定めるべきだと思います。
 さらに、都市計画法や風致地区条例の趣旨を逸脱しない形で運用していくためには、細かく運用の基準も定めていなければ、良好な風致の保全はできないと思います。
 平成十二年に都市計画法が改正された翌年、国交省は都市計画運用指針を発表し、その中には、風致保全方針を策定し、許可の運用に当たっての参考として活用することが望ましいとあります。沖縄県は三年前に風致保全方針を決定し、策定の目的や方針の位置づけを明確にし、県のホームページで公開しています。
 都は、風致保全方針ではなく条例に基づく許可の審査基準を策定していて、運用してきているようですが、残念ながら都の審査基準は広く公開されていないようで、インターネットで検索しても見ることはできません。
 東京都は、これまで風致地区条例をどのように運用してきたのか伺います。
 現在、参議院宿舎が千代田区紀尾井町の風致地区内に移転し、新たに建設される計画があり、国から都に対して、協議を開始するよう依頼があったそうですが、協議開始を行わないようにと、移転反対住民が都知事を被告とした訴訟を起こしています。
 国から都に対しての協議依頼や協議内容、訴訟について現在の状況はどのようになっているか伺います。
 参議院宿舎の移転・建築計画は、約八十平米の広さの宿舎を八十戸つくり、高さは約五十六メートルになっています。風致地区の歴史ある緑地を破壊してまで、このような立派な宿舎を移転、建設する必要が本当にあるのでしょうか。建設是非については、本来参議院が再考すべき問題であることは承知していますが、残念ながら、これまで参議院の議会では議論も行われていないようです。
 今回、私が現地に足を運び、調査を行った上で残念だと感じたことは、本来、参議院宿舎の是非や、移転、建てかえをせずに統廃合できないかなど、国の中、特に参議院で議論して解決すべき問題がすりかえられているように思えることです。つまり、風致地区を守りたい人たちと、紀尾井町のまちづくりを考えて旧宿舎の移転を望む人たちというような、同じ地域の住民を二分する形の議論のすりかえといえないでしょうか。
 今後、風致地区を保全するためには、都として区域ごと保全方針を定めるなど、基本的な部分でしっかりと保全のための対策を講じる必要があると思います。緑豊かな歴史ある風致は、都民、国民共有の財産であり、未来へと守り、受け継いでいくべきものであることを強く要望して、次の質問に移ります。
 境浄水場隣接都有地について伺います。
 私の地元の武蔵野市には、東京都水道局所有の境浄水場があります。周辺は武蔵野市の西の玄関口武蔵境駅からも近く、拡幅事業で整備された都道、近隣は住宅街です。境浄水場の一部には、現在、西側隣接地に賃貸の駐車場と倉庫があり、この場所に昨年秋、商業施設を誘致する計画が、水道局のホームページに発表となりました。
 これまでも、福祉保健局が、高齢者や障害者が地域で安心して暮らし続けられるよう、グループホームの増設を目的として、低廉な価格で都有地の貸し付けを行い、産業労働局が、首都東京の再生を担う民間事業者の活動をバックアップする目的で、都有地活用型企業支援事業を行うなど、各局所管で、それぞれの施策に応じた都有地の活用を行っています。
 水道局では、境浄水場の西側に隣接する用地の活用を図るため、商業施設を建設することとして既にテナントも決まっていますが、水道局における用地の活用に対する基本的な考え方を伺います。
 次に、都有地の活用に当たっては、地元自治体や地域住民の理解を得て、信頼関係を築いていくことが大切であると思います。また、どのようなテナントが入るかということも地域では非常に関心が高く、テナントの募集は広く情報公開を行い、募集をした上で、選定に当たっては地域への貢献度なども配慮すべきと考えますが、どのような考え方で募集や選定を行ったのか、見解を伺います。
 昨年来、地元自治体や近隣住民に対して、都と共同事業者が説明を行っているようですが、私はこれまで、より広く地元市民に対して告知をした上で説明会を行うよう要望を続けてきました。先月、ようやくテナントが決定し、具体的な事業計画や店舗の内容などが今後明らかになり、地元とも具体的な協議ができる時期になりました。地域に受け入れられる施設となるよう、テナント事業者と水道局は広く市民の声に耳を傾けていただきたいと思います。
 現在、武蔵野市は、月に二回市報を各戸配布しており、市の行政の施策や、時には都の施策に関しても周知を図っています。今後、境浄水場隣接都有地に関して、市報に載せ、広く市民に周知を行った説明会を開催するなど、地元自治体や住民の意向に十分配慮しながら事業を進めるべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 松下玲子議員の一般質問にお答えをいたします。
 放置自転車の対策についてであります。
 まず、現況調査の目的と調査方法についてでありますが、この調査は、駅前放置自転車対策の基礎資料とするために、都内の駅前放置自転車の現状などについて調査するものでありまして、毎年実施しております。
 調査は、駅周辺のおおむね五百メートルの範囲の放置自転車の状況、自転車など駐車場の整備状況、そして、撤去、返還、処分状況などを、まず各区市町村が調査をし、それを都が取りまとめ、分析をして発表しているものでございます。
 次に、引き取り手のない撤去自転車の処分方法についてでありますが、廃棄物として処分される自転車の数は多いとはいえ、他方、近年、自転車を資源として再利用するために売却する数は、従来よりかなり増加をしています。自転車を資源として売却するという方法は、経費の節減や資源リサイクルの観点から望ましいわけでありますので、自転車の再利用を促進していくために、区市町村に対して先駆的事例を紹介するなど、積極的な情報提供を行ってまいります。
 次に、今後の都の放置自転車対策についてでありますが、都は、これまでと同様に、区市町村が実施する放置自転車対策が有効かつ適切に実施されるよう、所要の支援をし、また、広域自治体として総合的な対策を着実に行ってまいります。
 具体的には、放置自転車の現況調査を行うとともに、駐輪場設置のための都有地の提供や、特別区都市計画交付金の交付などのほか、用地確保などの各種の調整や、駅前放置自転車クリーンキャンペーンなどの全都展開を今後とも実施してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 風致地区でございますが、風致地区は、水や緑など良好な自然的景観の保持を目的とした都市計画上の地域地区でありまして、その維持のため、建築物の建築や宅地の造成、土地の形質の変更などに一定の規制が課されております。
 これまで、河川や水域、丘陵、崖線など、自然景観の特性に応じて地区が定められておりまして、都市環境の保全を図る役割を担っております。
 次に、風致地区の指定でございますが、現在都内では二十八カ所、三千五百七十ヘクタールが指定されております。例えば武蔵野の豊かな田園景観を持った地区、あるいは都心部に残された自然地形と文化財的要素が一体となった地区など、それぞれの地区におきまして自然的景観に応じた特性が見られるものと考えています。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 初めに、風致地区条例の運用についてでありますが、風致地区内において建築物の建設、宅地の造成などを行うには、あらかじめ知事の許可が必要であります。許可に当たっては、東京都風致地区条例に基づく許可の審査基準を定め、許可の基準及びその取り扱いを明確にしております。
 この審査基準では、風致地区内を地域の現況や特性に応じて五つに区分し、その区分ごとに、土地の面積、形状などの敷地条件や、建物の公共性、公益性の有無などに応じて、許可の基準をきめ細かく定めております。
 さらに、この基準を受付窓口で公開し、その内容を説明するとともに、申請者からの相談に応じ指導に当たるなど、適切に条例を運用しております。
 次に、参議院宿舎の建設についての現在の状況でありますが、風致地区条例では、国が建築物を建設する場合には、許可にかえて、あらかじめ知事に協議することとしております。国からは、千代田区の弁慶橋風致地区内の国有地に参議院宿舎を建設するとして、本年五月十六日に協議の申請があり、現在、建設計画の内容について国と協議中であります。
 また、お尋ねの訴訟につきましては、現在訴状が届いておりませんので、その内容を把握しておりません。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 境浄水場隣接都有地についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、水道局用地の活用の基本的な考え方についてでございますが、水道事業は独立採算により事業運営を行っておりまして、常に経済性や企業性の発揮が求められております。このため、事業用として利用計画がない土地については、貴重な経営資源としてとらえ、企業努力の一環として積極的な利活用を図ることにより、収益の確保に努めております。具体的には、当該用地の特性に応じて、共同ビルの建設や事業用借地権の設定、駐車場としての暫定利用などを行っているところであります。
 次に、テナントの募集及び選定についてでございますが、この用地のすぐれた立地条件を最大限に生かすため、商業施設を建設することといたしまして、昨年十月末にホームページに掲載するなど、情報公開を行った上でテナントを募集したところです。その結果、六件の応募がありましたが、選定に当たっては、事業の収益性とともに、隣接する浄水場の安全性や周辺環境への配慮、地域貢献などを総合的に評価し、本年五月にテナントを決定したところであります。
 最後に、地元に配慮した事業の推進についてでございますが、これまでも、テナント募集の際など、随時地元への情報提供に努めてまいりました。このたびテナントが決定したことから、来月中旬に住民説明会を開催することとしておりますが、実施に向けては、地元自治体の協力も得ながら、広く住民に周知したいと考えております。
 今後とも、事業の推進に当たっては、近隣との調和のとれた利用が行われるよう、十分な配慮を図ってまいります。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時三十六分開議

○議長(川島忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十五番崎山知尚君。
   〔二十五番崎山知尚君登壇〕

○二十五番(崎山知尚君) 「十年後の東京」を中心に、何点か質問いたします。
 「十年後の東京」で第一の柱として掲げられている、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを目指して、今般、緑の東京プロジェクトの基本方針が策定されました。温暖化による危機が叫ばれ、地球は今沸騰しつつあります。都市の環境対策は東京にとって喫緊の課題であり、世界に垂範する責任があると思います。
 ところで、オリンピックの招致と環境について、都民の認識の違いを感じました。地元の方から私に寄せられた意見で、オリンピックは環境破壊につながるので、何も東京でやることはないのではとの声です。何が環境破壊なのですかとの私の問いに、その方は答えに窮しておりました。オリンピックとは、アスファルトを敷き詰め、コンクリートを積み上げるというイメージなのでしょう。前回の東京オリンピックと重ね合わせたからだと思います。
 「十年後の東京」は、オリンピック招致計画と軌を一にして策定されていることはいうまでもありません。二〇〇〇年に開催されたシドニーオリンピックはグリーンゲームともいわれ、環境問題は招致に必須の条件となっています。
 無論、緑の東京プロジェクトは、オリンピック招致のためだけではありません。水と緑に囲まれた美しい都市は、人の心をいやすばかりでなく、災害時には、鎮守の森や公園の緑が火災から守ってくれますし、延焼を食いとめる役割も担ってくれます。オリンピックを機縁として、世界に類を見ないスピードで発展した東京を、緑の都市として再生していく、こうした取り組みについて、石原知事の意気込みを伺います。
 次に、計画の具体的な取り組みについて伺います。
 このプロジェクトでは、先日プレス発表された、海の森の整備、一千ヘクタールの緑の創出、街路樹百万本倍増などが示されています。
 ちなみに、私の地元では、平成十六年度に都のモデル事業として、校庭の芝生化を全都に先駆けて既に導入しております。先日行われた運動会での皆さんの感想は、緑がまぶしい、やわらかい踏み心地がよい、そして、何といっても清涼感があるということであります。地域の理解を得ながら、計画的に進めていただきたいと思います。
 ついては、具体的に伺います。
 緑の東京十年プロジェクトを実現するには、初期費用を初め、メンテナンスにおいても多額の費用が必要とされます。その実現には、ひとり東京都庁だけでなし得る事業ではありません。区市町村を初め都民や企業の賛同を得ることも、成否のかぎを握ることになるのではないでしょうか。
 都においても公園ボランティアの充実を図っているところですが、都民の皆さんへの動機づけをどのように向けていくのか、仕掛けと工夫が必要となってくると思います。そうした今後の取り組みについて、具体的にお答えいただきたいと思います。
 次に、商店街振興について伺います。
 商店は三代続けばしにせといわれています。それでは、今、商店街に三代続いたしにせが何軒あるでしょうか。なかなかしにせがない。その裏を返せば、商店の承継がいかに難しく、そして代がわりが激しいということにつながるかもしれません。
 また、アメリカでは、地域でビジネスをする企業は、地域社会のステークホルダーとして地域に貢献することが求められています。それに対し、負担をしないで利益だけを受け取ることをフリーライダー、ただ乗りというそうであります。東京都もその前提に、地域に貢献する商店街の支援を積極的に行っていただきたいと思います。
 都の調査によれば、高齢者の七割以上が、週に二、三回以上商店街を利用しています。七十歳代以上に限れば、八割以上の高齢者が頻繁に商店街を利用しており、高齢者の日常生活にとって商店街は欠くことのできない存在となっています。
 商店街によっては、高齢者のためのお休みどころやバリアフリー施設の整備を初め、さまざまなサービスを展開しているところもあります。今後、高齢化がますます進展していく中で、地域の防犯、福祉や環境など、さまざまな機能を持つ商店街の役割が重要になってくると思います。都としても、徒歩圏の生活拠点である商店街の機能向上をより積極的に支援していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
 また、これまで都は、商店街の振興に向け、新・元気を出せ商店街事業でさまざまな支援を行ってきました。しかし、売り上げや集客力の低下、空き店舗の発生など、商店街の活性化を図る上で克服すべき課題は山積し、商店街の創意工夫による取り組みが求められています。
 例えば、空き店舗対策についてですが、団塊世代が退職期を迎え、新たなステージで活躍したいと考える方たちの中には、商店街で事業を始めようと考えている人も少なくありません。また、不動産業界では空き店舗に関する情報を多数取り扱っているとも聞いております。こうしたことから、商店街が地域の不動産業界と連携して空き店舗の解消に取り組んでいくことも有効な手だての一つではないかと私は考えます。
 都としても、これまでの施策に安住することなく、きめ細かな支援ができるよう、商店街の現状を把握、分析し、商店街が抱えるさまざまな課題の解決を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、築地市場の移転について伺います。
 去る六月五日、我が党の同期による築地市場の視察をいたしました。早朝五時集合という日程でありましたが、関係者の皆さんには、受け入れていただき、感謝を申し上げます。
 また、昨日の我が党の遠藤総務会長の代表質問で、種地がない中で、アスベスト対策も講じながら築地市場で現在地再整備を行うことは困難であるということが明確になりました。今後は、専門家会議での検証、提言を確実に実施して、豊洲新市場が都民にとって安心できる市場として整備、開場されていくことが重要と考えます。
 しかし、今でも一部の水産仲卸業者が移転に反対し、現在地での再整備を主張していると聞いています。その背景には、土壌汚染の問題だけでなく、厳しい経営環境にある中で、移転に要する費用負担に加えて、豊洲新市場の施設使用料や光熱水費の増加が見込まれるなど、営業を継続していくことができるのかといった不安があるものと思います。
 そこで、まず、現在の築地市場の水産仲卸業者の経営状況についてお伺いいたします。
 次に、近年、卸売市場を取り巻く環境の急激な変化の影響を受け、卸売市場経由率の低下や取扱量の減少傾向から、市場業者の厳しい経営状況が続いています。加えて、築地市場では施設老朽化や敷地の狭隘化が進み、場内物流や鮮度管理など、量販店や買い出し人、顧客のニーズに十分こたえ切れていない面があるようであります。移転を契機に、市場業者がビジネスチャンスを拡大し、経営体質の強化が図られるようにしていくことが必要であります。
 そこで、豊洲新市場では、築地市場での課題を克服して市場関係者のニーズを満たすためにどのような施設とするか、お伺いいたします。
 最後に、新しい市場が首都圏の基幹市場として機能していくために、その中で働く市場業者が元気に活気を持って事業に取り組んでいくことが重要であります。そのためには、小規模業者の多い市場業者が移転後も安定的に経営を続け、みずからの財務体質を強化していく努力はもちろんのこと、都の支援も必要であると思います。特に、経営状況の厳しい水産仲卸業者にはどのような支援をしていくのか、お伺いいたします。
 次に、観光振興について伺います。
 観光白書によると、我が国の国際旅行収支は平成十八年で約二兆一千四百億を超える赤字となっており、著しく不均衡な状態が続いています。また、外国人旅行者の受け入れランキングでも我が国は世界第三十二位。ちなみに、断トツの一位は、日本文化をやゆしたサルコジ氏が大統領のフランスとなっています。
 知事は、ことし二月の予算特別委員会で、我が党の鈴木一光議員の質問に対して、世界の大都市と比較すると、東京を訪れる外国人旅行者は依然として極めて少ないとお答えになっており、私も同感です。また、「十年後の東京」では、東京を訪れる外国人旅行者を一千万人に倍増すると掲げています。ぜひ目標実現のためにも、これまでにも増す取り組みを求めたいと思います。
 こうした中、三年後の平成二十二年に開業予定の成田新高速鉄道は、成田空港と日暮里駅が、現在の五十一分から、三十六分で結ばれることになります。飛躍的に成田空港と都心を結ぶ路線がスピードアップします。今までにも増して多くの外国人旅行者が、日暮里を玄関口として東京を訪れるのではないでしょうか。地元も千載一遇の好機としてとらえ、海外からの旅行者を迎え入れていきましょうという機運も盛り上がりつつあります。
 しかし、残念ながら、東京都による日暮里駅の位置づけはいまだ無印となっています。知名度では、通称谷根千や上野、浅草には及びませんが、広域的に行政区割りを超えた観光まちづくりの取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 あわせて、フィルムコミッションについて伺います。
 きょうのNHK、お昼の番組の「昼時一番」で、私の地元、荒川車庫が紹介されていました。歓迎すべきことであります。
 また、さきのカンヌ映画祭で、日本映画の「殯の森」がグランプリを受賞しました。私も近いうちに時間をつくって見るつもりでいます。もちろん、その前に、「俺は、君のためにこそ死ににいく」を見させていただきたいと思っております。
 「殯の森」の舞台は奈良市東部の田原地区だそうです。日本の原風景となる奈良の田園や街並みが刷り込まれたことになります。
 数年前のことですが、神戸のフィルムコミッションの視察をしてきましたが、関西という地理的なマイナス条件を克服する必死の努力がうかがえました。特に日本ではカーチェイスや爆破シーンなどの許可が厳しく制限され、韓国映画に大きく水をあけられる一因であるとのコメントが印象に残っております。
 ロケーションの誘致は、単に撮影場所の提供にとどまるものではありません。東京の魅力が世界に広まり、観光名所として訪れるようになれば、その経済的波及効果は極めて大きいものとなります。東京ロケーションボックスについては、今後、観光部に移管される方向で検討が進められていると聞いておりますが、その中で、ぜひロケーションの誘致を産業支援としてとらえ、観光の視点からも積極的に進めていかれるよう要望するものであります。
 映画やドラマの制作会社の大多数を占めるといわれている東京圏ですが、それに甘んずることなく、国内外からのロケーション誘致を今後も発展させることを期待いたしたいのですが、所見を伺います。
 最後に、防災都市づくりについて伺います。
 このたび、地域防災計画の改定版が公表されました。今回の防災計画の特徴は、風水害の対策を強化したことや、人的被害の半減を目指して、減災計画も新たなカテゴリーとして位置づけられたことです。
 この中で、減災効果が期待できる一番の対策は、建物の耐震化、不燃化となっています。逃げないで済む、燃えないまちづくりは一朝一夕には成りませんが、住民と都区が連携した、息の長く根気強い取り組みが必要であります。
 さて、我が荒川区に目を転じると、区内のほぼ全域にわたって災害危険度が高く、木造住宅密集地域整備事業や都市防災不燃化促進事業などが行われています。また、私の住む尾久地域においても、防災生活圏促進事業が昨年度まで十年にわたって実施されてきましたが、解決すべき課題が残されていると思います。
 そこで、防災生活圏促進事業完了に伴って残された課題について具体的に伺います。
 事業地域の外周に当たる幹線道路については、延焼遮断帯と沿道の不燃化が進められ、防災性の向上に一定の成果が上がっていると評価をいたします。しかし、その内側、いわゆるあんこの部分については、いまだに接道不良の宅地があり、老朽木造住宅が密集していることから、建物の耐震化や不燃化が急務となっています。
 地域内の防災性向上に今求められているものは、主要生活道路の幅員六メートル程度を確保する、ミニ延焼遮断帯の整備にあります。この整備によって、沿道の不燃化はもちろんのこと、建てかえ促進にもつながることが期待されますし、平時には、歩行者と自転車、自動車がゆったりと往来できる空間となります。そして、さらに無電柱化となれば、快適さが増すことはいうまでもありません。
 ミニ延焼遮断帯の整備に対する都の認識と尾久地域の今後の取り組みについてお伺いいたしまして、私の質問といたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 崎山知尚議員の一般質問にお答えいたします。
 オリンピックと緑の再生についてでありますが、「十年後の東京」で示した、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることは、環境を重視しているオリンピックムーブメントの考え方にも合致し、招致に際しても世界に大きなアピールができると思っております。
 今般、全庁横断型の戦略的取り組みによりまして、緑の東京十年プロジェクトの基本方針を策定いたしました。今後、この方針に基づきまして、都民、企業、区市町村などと連携を図りながら、社会全体で緑のムーブメントを巻き起こし、緑あふれる東京の再生を目指していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 緑の再生における都民等との協働についてでありますが、緑あふれる東京を実現するためには、都民、企業、NPOなど、あらゆる主体が協働して緑の創出と保全に取り組んでいくことが重要でございます。
 都はこれまでも、緑地保全地域の維持管理などで都民等と協働し、事業を実施してまいりました。今般策定した緑の東京十年プロジェクト基本方針におきましても、都民一人一人が愛着を持って緑を植え、育て、守ることにより、東京をふるさとと実感できる緑づくりをより一層進めていくこととしております。
 例えば海の森の整備では、計画から運営まで、さまざまな場面で都民や企業が主体となって参画できる仕組みを導入するほか、民間による自主的な緑化を促すよう、先進的な取り組み事例の公表や緑化技術の普及促進等を行い、緑化機運を醸成してまいります。
 さらに、道路や公園の緑についても、公的な管理にあわせて、都民や企業の参加意識をより一層高めるよう取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街の機能向上への支援についてでございますが、商店街は、都民にとりまして最も身近な買い物の場であることに加えまして、防犯、防災、福祉など、地域に貢献するさまざまな機能を有しており、その重要性が高まってきていると認識しております。
 このため、特定施策推進型商店街事業を関係各局と連携して実施し、民間交番の設置やアーケードの耐震補強、だれにでも使いやすいトイレの整備など、地域コミュニティの核ともいえる商店街の取り組みを支援しているところであります。
 今後とも、高齢者を初めといたしました地域の人々が暮らしやすいまちとなるよう、各局との連携を一層強化いたしまして、商店街が持つ多様な機能の向上を図ってまいります。
 次に、商店街が抱える課題の解決についてでありますが、都内の商店街は多種多様な課題を抱え、日々その解決に向け取り組んでいると認識しております。
 こうした実情を把握するため、今年度実施いたします商店街実態調査では、従来の都内全商店街へのアンケート調査に加えまして、新たに百程度の商店街に対しましてヒアリング調査を実施いたします。この実態調査を踏まえまして、課題解決に向けた商店街の取り組みに対して、新・元気を出せ商店街事業を活用し、これまで以上にきめ細かな対応をしてまいります。
 最後に、広域的な観光まちづくりの取り組みについてでありますが、点在する観光資源を有機的に結びつけ、新たな人の流れやまちのにぎわいを創出する広域的な観光まちづくりは、重要な取り組みであると考えております。
 日暮里は、成田新高速鉄道の整備によりまして、日本の玄関口成田に直結する交通結節点として、外国人旅行者を迎え入れる役割を担っていくことが期待されております。
 地域におきましても、活気とにぎわいの創出を目指した観光まちづくりや、区域を超えた広域的連携を進めていこうとする機運が芽生えており、都といたしましては、地域の取り組みを支援する観光アドバイザーの派遣などを行ってまいりました。
 今後とも、地域が主体的に取り組む広域的な観光まちづくりに対しまして、関係する区市町村と連携を図りながら支援をしてまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場移転に関する三点の質問にお答えいたします。
 まず、築地市場における水産仲卸業者の経営状況についてでございます。
 水産仲卸業者は、販売先である専門小売店の減少や取扱物品の低価格化傾向、冷凍魚、加工品の市場外流通の拡大などにより、厳しい経営状況に置かれております。
 都の調査では、平成十七年において、法人事業者の約半数が経常赤字であり、債務超過に陥っている業者も全体の四割に上っております。こうした経営状況を反映いたしまして、仲卸業者の数は減少しており、五年前の平成十四年には九百十四の業者が営業しておりましたが、この五年間で、約一三%に当たる百十九の業者が経営不振等により事業譲渡などを行ったため、平成十九年五月末現在では七百九十五業者となっております。
 次に、豊洲新市場における施設整備についてでございます。
 今後、水産仲卸業者の経営が活性化するためには、商品の鮮度管理の徹底や、販売先の要望に応じたきめ細かなサービスの提供、物流コストの低減など、生鮮食料品流通の変化を踏まえた取り組みが必要でございます。
 このため、豊洲新市場では、品質管理の高度化に向け、コールドチェーンを確保した閉鎖型施設にすることで外気の影響を受けにくくし、鮮度管理の徹底を図ります。また、スーパーなど量販店からの要請にこたえるため、店舗ごとの仕分けやさまざまな包装などにも対応できるよう、卸、仲卸売り場と一体になった荷さばきスペースや、加工、パッケージ施設等を整備いたします。さらに、物流の効率化や買い出し人の利便性の向上のため、十分な駐車場を確保するとともに、車両誘導システムの導入や場内搬送の共同化などを図っていきます。
 このように、顧客ニーズにこたえた施設や運営システムとすることで、市場業者のビジネスチャンスの拡大が図れる市場としてまいります。
 最後に、築地市場水産仲卸業者への支援についてでございます。
 仲卸業者が豊洲新市場に移転し、事業を発展させていくためには、みずから経営基盤の強化に努めるなど、健全な経営を確立していく必要がございます。
 現在、仲卸業者の中には、積極的に営業活動を行い新規顧客を開拓する者、インターネットによる通信販売や子会社等を活用して市場外への販路拡大を図る者など、経営の強化に努めている業者がございます。都は、新たな事業展開をしようとする仲卸業者に対して、こうした成功事例や先進的な取り組みに関する情報を提供してまいります。
 また、財務状況が悪化している仲卸業者を中心に、財務検査と経営改善指導を実施いたしますとともに、公認会計士など専門家による相談窓口を開設して助言を行うなど、経営基盤の強化に向けた支援を行ってまいります。
 さらに、多額の費用がかかると見込まれる新市場への移転経費につきまして、移転を希望するすべての仲卸業者が円滑に豊洲市場で事業継続が図れるよう、大田市場開設時の事例等を参考に、移転資金の融資や利子補給など、必要な支援策を検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  映画等のロケーション誘致についての質問にお答えいたします。
 映像文化が持つ影響力は、東京の魅力を広く発信するとともに、さまざまな経済波及効果を有する点でも非常に大きいものと認識しております。
 都はこれまで、国際フィルムコミッショナーズ協会への加盟、映像関連見本市への出展などを通じて東京のPRを行い、撮影の誘致に努めてまいりました。また、ロケーション活動におけるニーズを把握するため、実際に撮影をサポートする都内のプロダクション等との連絡会も実施しております。
 引き続き、東京における映像制作への支援に積極的に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) ミニ延焼遮断帯の整備と尾久地区における今後の取り組みについてでございます。
 荒川区では、木密事業などにより、主要生活道路の整備と、それにあわせて建物の耐震化、不燃化を促進するミニ延焼遮断帯の整備に努めております。都といたしましても、こうした取り組みは、木造住宅密集地域の整備を進めていく上で効果的であると考えております。
 尾久地区につきましても、防災都市づくり推進計画において重点整備地域に位置づけられていることから、現在、防災まちづくりの一層の推進方策につきまして区とともに検討を行っております。
 今後とも、この地域の防災性向上に向け、区と連携して取り組んでまいります。

○議長(川島忠一君) 三十五番村松みえ子さん。
   〔三十五番村松みえ子君登壇〕

○三十五番(村松みえ子君) 子どもと教育について質問します。
 まず、競争教育の問題です。
 日本の競争教育は、国連子どもの権利委員会が二度も改善を勧告するなど、世界的に見ても異常です。とりわけ都は、小中学校での一斉学力テストや習熟度別授業を推進し、競争をあおってきました。それで本当に学力が身についたのでしょうか。
 例えば学力テストは、どの問題を間違えたか知らされないので、子どもたちが勉強に役立てようがありません。区や学校の順位だけが重視され、保護者たちは、子どもは点数ばかりを気にするようになったという声が上がっています。
 習熟度別授業は、つまずいた子もしっかり教えてもらえるのではという都民の期待とは裏腹に、実際には、ゆっくりコースは到達目標が低く設定されています。これでは、一度ゆっくりコースになったら、低学力のまま固定されてしまい、学力格差がどんどん開いてしまうではありませんか。こんなやり方はやめるべきです。答弁を求めます。
 極度の競争教育で子どもたちは傷つき、ストレスをためています。差別感や無力感にもつながっています。点数や競争が最優先され、テスト対策の大量の宿題や補習に子どもが疲れているという事態が生まれています。
 世界では、競争をやめて学力世界一になったフィンランドが注目されるなど、脱競争の流れが大きくなっているのです。今、子どもたちに必要なのは、仲間同士が学び合い励まし合って高まっていくことであり、そうした中で、学力とともに自己肯定感をはぐくみ、人間性や仲間を大切にする力をはぐくむことではないでしょうか。お答えください。
 次に、三十人学級についてです。
 東京都が四十人学級に固執している間に、他の道府県はすべて少人数学級に踏み出しました。私たちはことし二月、全国調査をしましたが、大きな特徴は、一人一人個に応じたきめ細かい対応ができるようになったと、約八割の県が回答しているのです。また過半数の県が、学級が落ち着き、子どもたちの情緒が安定した、学力向上が進む、発言機会がふえ、積極的に授業に参加するようになったなどを挙げています。また、欠席日数や不登校などの減少を十五県が挙げ、少人数学級が、学習面だけでなく生活面でもいい効果をもたらすことが明らかになりました。教室が広々使えるなど、空間的なゆとりも重要な効果です。だからこそ他県は、財政的には厳しくても、さらに実施学年を広げているんです。
 一方、東京では現在、三十六人から四十人の学級が小中学校合わせて六千六百七十二学級、二十五万人もの児童生徒が在籍しています。四十一人以上の学級もあります。そのような学級では、一人一人きめ細かい対応はとても無理です。おとなしい子は、一度も先生と話さないで一日が終わってしまうことも珍しくありません。不登校の生徒が減少したと答えている秋田県や山形県と比べると、中学校の不登校生徒の割合は一・五倍にもなっています。
 私が訪問した中学校三年生、四十人のクラスは、一番前の席の生徒は、先生の横に机を置かれ、首を真横に向ける形で授業を聞いていました。教室に入ろうとすると、入り口のところに一番後ろの生徒の席があり、机をずらさないと教室に入れません。ロッカーが小さいため、机の横にかばんを置くので、先生は机と物の間をすり抜けながら生徒の指導をしています。空間的なゆとりなど全くありません。
 副校長先生は、教室に生徒がびっしりと入り、狭いし、子どもたちの気持ちは雑になります、子どもたちにきめ細かく対応したいのですが、現実はなかなかできません、クラスの規模が小さいことがベストですと話していました。これが現場の声です。
 知事、一人一人が確かな学力をつけているフィンランドも、一クラスの人数は二十人程度であり、欧米では二十人程度の学級が常識です。全国でも、東京都以外のすべての道府県が少人数学級に踏み出し、大きな効果を上げています。ひとり東京都だけが少人数学級を拒み続けているという事態を知事はどう考えているんですか。東京の子どもたちによりよい教育条件を整えるためには、直ちに三十人学級に踏み出すことを検討すべきではありませんか。
 知事は現場主義といいますが、知事も教育長も、東京の小中学校で子どもたちが四十人学級でどういう状況になっているのか、見に行ったことがあるんですか。また、全国の少人数学級での実践を一度でも見に行ったことがあるんですか。もし行ったこともないのだったら、見に行くべきです。知事と教育長の答弁を求めます。
 子どもたちの教育環境も重要です。先日、文科省が発表した、全国の小中学校の耐震化を見ると、一九八一年以前の建物では、二十三区は平均七割を超えているのに、多摩地域は五割を超えただけで、一〇%から三〇%台がまだ九市も残っているんです。
 東村山市では、学校の施設整備予算は七億円で、小中学校一校ずつ、二億円を学校の耐震化に使うと、水道の改修、屋上の防水対策、トイレの改修、外壁の落下対策などは後回しにせざるを得ません。
 青梅市でも、老朽校舎の改築もお金がかかるため、今後、十九校の耐震化は、いつまでに一〇〇%完了するとはいえないとのことでした。
 教室の冷房設置も同じです。二十三区ではほとんどの学校で冷房が設置されていますが、多摩地域では扇風機設置がせいぜいです。国の学校環境衛生の基準では、夏の気温が二十五度から二十八度が最も望ましいとしていますが、ここ数年、三十度を超える日がふえています。
 このように、耐震改修も冷房の設置も進まない理由は、税収の差が二対一と、多摩地域の財政力が弱いからです。
 知事、問題は、教育へ思い切ってお金を振り向けるかどうかです。知事は選挙の公約で、子どもたちは東京の宝と掲げました。その子どもたちが、猛暑の中、冷房もなければ、地震が来たら壊れかねない学校で勉強をしなければならない、こんな状況を放置できますか。
 学校の耐震化は、子どもの命と安全にかかわると同時に、地域の避難所にもなるところです。だからこそ、法律で義務づけられた東京都耐震改修促進計画で、病院や庁舎と同じ防災上重要な建築物として位置づけ、都は二〇一五年までに一〇〇%の達成を目指しているのです。そのための財政支援は欠かせないと思いますが、いかがでしょう。
 同時に、市町村に対し学校の冷房化への財政支援を行うべきです。ことしはとりわけ猛暑になるといわれています。お答えください。
 最後に、多摩都市モノレールについて伺います。
 モノレールが開通してから、沿線各地でバス路線が廃止され、高齢者は大変不便な思いをしています。モノレールへのシルバーパスの適用の要求は切実です。多摩地域は都営地下鉄も都電もなく、シルバーパスが使えるのはバスだけで、二十三区と大きな格差があります。ところが、今年度開通予定の日暮里・舎人ライナーはシルバーパスを適用する予算がついているのに、多摩都市モノレールに適用しないのでは、多摩格差がさらに広がってしまいます。
 多摩都市モノレールは、都営交通でないといっても、都の監理団体です。シルバーパスの適用範囲を都営交通とバスに限定した条例を改正し、多摩都市モノレールを対象に加えることを求めるものです。お答えください。
 再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 村松みえ子議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、学級規模についてでありますが、学級編制基準をどう定めるかについては、教育行政の根幹にかかわることでありまして、法的にも、所管する教育委員会がその専門的な立場から判断すべきものであります。児童生徒が集団生活の中で社会性を養うという観点から、集団生活としての学級には一定規模が必要であるとする教育委員会の判断は妥当であると考えております。
 次いで、学校施設の改善についてでありますが、各区市町村は、学校の設置者として施設等の教育環境整備に取り組んでおります。子どもたちの安全確保を第一としてその維持管理に取り組んでいくことは、設置者の責任であります。何もかも東京がやれというのは、ちょっと筋違いじゃないでしょうか。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 六点の質問にお答えいたします。
 まず、習熟度別指導についてでありますが、習熟度別指導は、個々の児童生徒の学力を最大限に伸ばすためのものでありまして、低学力を固定化するものではございません。この指導は、すべての児童生徒に確かな学力を定着させるために極めて有効でございます。
 次に、今、子どもたちに必要な教育についてでありますが、子どもたちが思いやりの心を持ち、これからの社会をたくましく生きていくためには、互いに切磋琢磨する中で、確かな学力の定着や社会性の育成を図るとともに、豊かな個性や創造力を伸ばす教育を進めることが重要であります。都教育委員会は、学力向上とともに、望ましい集団活動や体験活動を通して、個性の伸張や人と人とのかかわりを大切にする教育を推進しているところであります。今後ともこうした教育を充実してまいります。
 次に、学級規模についてでありますが、基礎学力の向上に配慮してきめ細かい指導を行っていくためには、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であり、着実な成果を上げており、今後ともその充実に努めてまいります。
 一方、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定規模が必要であると考えております。
 次に、現場主義についてでございますが、先日も知事と一緒に学校訪問をしたところでございます。都内の少人数指導を導入している各学校では、きめ細かな指導を行い、着実かつ多くの成果を上げております。都教育委員会といたしましては、今後とも、教育現場の実情を踏まえ、少人数指導の充実に努めてまいります。
 次に、区市町村立学校の耐震化についてであります。
 耐震化につきましては、設置者である区市町村が、それぞれの地域の状況に応じ、国の助成制度も活用しつつ、計画的に施設の改築、改修を進めていくべきものであります。都教育委員会といたしましては、学校の耐震対策がより一層促進されるよう、国において必要な財源確保を図ることを国に対して引き続き働きかけていくとともに、区市町村が学校施設の耐震化等を推進するよう、必要な指導助言を行ってまいります。
 最後に、学校の冷房化についてでありますが、都教育委員会といたしましては、区市町村立学校施設の冷房化につきましては、各区市町村教育委員会において、地域の実情、特性等を踏まえ、それぞれの考え方に基づいて対応しているものと考えております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 多摩都市モノレールへのシルバーパスの適用についてでございますが、シルバーパスは、高齢者の社会参加活動を促進するために、利用を希望する方に対しまして社団法人東京バス協会がパスを発行し、都が補助を行っている事業でございます。
 東京都シルバーパス条例により、シルバーパスの利用対象は都営交通及び路線バスとなっておりまして、新たな利用対象交通機関の拡大は考えておりません。
   〔三十五番村松みえ子君登壇〕

○三十五番(村松みえ子君) 知事に再質問いたします。
 まず、三十人学級についてです。
 私は、小中学校の一クラスが四十人の学級を知事が見に行ったことがあるのか、なければ見に行ってほしいと聞いただけです。なぜこんなことにも答えられないのですか。あるのかないのか、ないとしたらこれから行く気があるのか、はっきりと答えてください。
 知事は四十人学級が適切だといっていますが、現場も見ないでどうしていえるのですか。逃げずに答えてください。
 第二に、小中学校の耐震と冷房化について、知事は、教育環境の整備は設置者の責任と答弁しました。しかし、知事は、自分がやりたいと思った学校への防犯カメラの設置や校庭の芝生化には、設置者でなくてもお金を出しているではありませんか。
 学校の耐震化や冷房化は、子どもの命と健康にかかわる緊急課題です。子どもたちは東京の宝といいながら財政支援に踏み出さない、これは絶対許せないことです。ぜひ財政支援に踏み出してください。
 最後に、福祉保健局長は、条例で決まっているから多摩都市モノレールにシルバーパスは適用できないといいましたが、知事、だったら条例を変えればいいではありませんか。
 以上、石原知事の答弁を求めます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 小学校の視察は、議員時代に何度もいたしました。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 現場主義については、今知事がお答えしたとおりでございます。
 それから、耐震化と冷房化につきましては、議員ご指摘のとおり、各区市町村によって相当な差があることは確かでございます。ただし、ご答弁申し上げましたように、区市町村立学校の耐震化、冷房化につきましては、それぞれの区市町村で設置者責任として対応すべきものと考えております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) シルバーパスについてでございますが、新たな利用対象交通機関の拡大は考えてございませんので、条例の改正も考えてございません。

○議長(川島忠一君) 二十四番早坂義弘君。
   〔二十四番早坂義弘君登壇〕

○二十四番(早坂義弘君) 我が国では、毎日九十人の方が自殺をしています。また、自殺未遂に終わった方はその十倍といわれておりますから、我が国では、毎日九百人が自殺を試みているという驚くべき事態が続いています。
 そこで、自殺総合対策について伺います。
 我が国の自殺による死亡者は、平成十年から九年連続して三万人を超えており、これは、全国の交通事故による死亡者の五倍に当たります。先進諸国との自殺死亡率の比較では、アメリカの二倍、イギリスの三倍であり、我が国が極めて高い状態にあることは論をまちません。
 自殺により家族や友人が大きな精神的ショックを受けることや、その背景にはさまざまな社会的要因があることも考え合わせると、自殺は、個人的問題としてのみ扱うのではなく、社会的取り組みとして対処する必要があります。
 このような考え方から、国は昨年、自殺対策基本法を策定し、これに取り組んでいますが、毎日のように自殺に関する報道が数多く目にとまります。統計をつぶさに検証してみますと、バブル経済の崩壊と自殺者の増加には数年の開きがあることから、世間の常識とは違って、自殺と景気との関連性は案外と弱いことがわかります。現在、景気は回復傾向にありますが、自殺は減っていません。
 フランスの社会学者デュルケームは、十九世紀末に記した「自殺論」の中で、社会的要因が人々を自殺に追い込むという興味深い分析をしています。自殺につながる要因として、集団の価値観への絶対服従、個人の孤立感、市民の虚無感などを挙げたことは、今日の我が国としても参考になる、自殺対策のポイントだと考えます。
 思うに、かつて昭和四十五年の三島由紀夫さんの自決に象徴されるように、我が国には切腹の文化が今日でもまだ残っており、それがこの数字の一部に反映しているのではないでしょうか。
 一方で、自殺を試みた者の七五%が、自殺の直前にはうつ病やアルコール依存症などの精神疾患を有しており、したがって、自殺に至る前に適切に精神科医療に誘導することができれば、現在の状況は改善されるとの見方もあるようです。
 人生経験が豊富でいらっしゃる知事に、自殺に対するお考えと、東京都の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 外環沿線の地権者の生活再建・救済制度について伺います。
 都内の都市計画道路の総延長は三千二百キロメートルですが、このうち千百キロ、計画の三五%がいまだ着手に至っていません。古いものでは、昭和二十一年に都市計画が定められて以来六十年間も未着手の路線がまだ幾つも残っています。
 都市計画道路の区域内では、一部は緩和されましたが、都市計画法の定めにより、二階建て以下の建物にしか建築許可がおりないなど、さまざまな権利制限がかけられており、地権者の皆さんの将来設計が立ちにくい状況にあります。
 そこで、事業に先駆けて行政に土地を買い取ってもらう先買いの申し出という制度がありますが、実際には財源が担保されていないため、仕組みがあるだけで、これまではほとんど機能していませんでした。
 多くの地権者の皆さんに長年にわたってご迷惑をおかけしているにもかかわらず、その救済がなされていないこと自体、問題ですが、外環においては、国が財源をきちんと確保して生活再建・救済制度を創設し、沿線区市の土地開発公社が地権者からの先買いの申し出にこたえる体制を整えたことは、高く評価できると思います。
 しかしながら、都市計画が地下式に変更された地域では、この先買いの申し出が適用されなくなってしまうようであります。東京都は、国に対しこの制度の継続を働きかけていくべきと考えます。ご見解を伺います。
 一方で、外環沿線の七つの区市のうち、杉並区と狛江市では、この先買いの申し出の仕組みがいまだ現実に機能しておらず、多くの地権者が今日まで救済されないままでいます。杉並と狛江の外環沿線の地権者にとってみれば、自分たちのところにだけ先買いの申し出の窓口すらないのは、どう見てもおかしいわけです。
 国が創設したこの制度を、沿線すべての区市で活用し、さらに機能させることが必要であると考えます。今後の取り組みについて伺います。
 民設公園の促進について伺います。
 東京都は先週、緑の東京十年プロジェクトを発表しました。その中で、今後十年間で一千ヘクタールの緑を生み出し、民間、特に企業の力を活用するとしております。
 今後、事業化を要する二千六百ヘクタールの都市計画公園・緑地を整備するには、現在のペースでは、六兆円と数百年の歳月を要するといわれております。そこで、税金を使わず、民間の活力を利用して公園化を図れる民設公園の制度は、二十一世紀型の新しい都市開発の方法であろうと思います。
 東村山市の萩山公園が、民設公園第一号としての実現に向け動き出しました。緑を守る、広域避難場所を守る、公園を守るという観点から、すばらしい計画ができたと思っております。
 今後は、この動きを二十三区内でも広めていくことが大切だと考えます。そこで、二十三区内に、民設公園の対象となり得る、長期間にわたり事業が未着手のままの企業所有地はどのくらいあるのか、お伺いいたします。
 現在の制度では住宅が対象になっていますが、今後、幹線道路沿線や商業地周辺では、住宅に限らずオフィスビルなどもメニューに加えて、民設公園をさらに促進していくべきと考えます。ご見解を伺います。
 精神障害者に対する公共交通機関の運賃割引について伺います。
 昨年施行された障害者自立支援法により、身体、知的、精神という障害の種別を超えて、福祉サービスが一元的に提供されることになりました。しかしながら、公共交通機関の運賃割引制度については、都営交通を除き、精神障害者だけがその適用を受けておりませんでした。
 我が党は、精神障害者団体の要請を受け、昨年九月、社団法人東京バス協会に対し、都内の路線バスにおける運賃割引制度を精神障害者に対しても拡大するよう、幹事長名で強く要請したところ、本年四月から割引制度が実施されました。
 精神障害者の自立と社会参加を進めていくために、東京都はこうした割引制度の活用を広く周知していくことが必要だと考えます。ご見解を伺います。
 身体障害、知的障害の二つに比べ、精神障害者の運賃割引制度はまだまだおくれており、今後、JRなどの鉄道事業者に対して、さらに積極的に働きかけていく必要があります。現行の都営交通無料乗車制度においては、身体、知的については手数料なしで乗車券が発行されているのに対し、精神障害者には千円の自己負担が求められています。今後、精神障害者四万人の社会復帰や就労を促進するためにも、身体障害者四十二万人、知的障害者六万人同様の扱いをされるよう、特にお願いをいたします。
 都立学校と民間団体との防災協定について伺います。
 東京都が昨年発表した首都直下地震の被害想定では、震度五強の場合には、ほとんどの交通機関が停止するため、四百万人の帰宅困難者と七百五十万人の徒歩帰宅者が発生するといわれています。
 このような災害時に、都立学校は、徒歩による帰宅支援ステーションとして、飲料水やトイレの提供、テレビやラジオからの災害情報の提供などを行うことになっています。さらには、避難所として、一定期間生活をする場所としての役割も期待されています。
 このように、災害時に大変重要な役割を果たす都立学校においては、建物の耐震化を進めることが何よりも大切です。それと同時に、校舎内のライフラインが維持されなければ、帰宅支援ステーションや避難所としての役割を十分に果たすことができません。
 都立学校には、ライフラインを復旧できるような技術職員が常駐しているわけではありませんから、例えば電力会社からの配電そのものが再開しても、現場における応急復旧工事を、その都度、しかるべき業者に依頼しなくてはなりません。しかしながら、大規模な災害時には、電話がふくそうするなど、業者に連絡がとれない状況も予想されます。
 それならば、民間団体と事前に協定を結び、大規模災害発生時には地元の電気工事業者などが直ちに応急復旧に当たるような仕組みをあらかじめ構築しておけばいいのだろうと思います。ご見解を伺います。
 昨日、渋谷区の温泉施設で爆発事故が発生しました。その対応を確認したところ、総合防災部に、事故直後の十四時五十分、東京消防庁から入電があり、十五時に都庁舎から職員を現地に派遣し、十五時三十五分には現地に到着、十六時には警察、消防などの関係機関と現地連絡調整所を設置し、情報収集などの災害対応に当たったとのことで、こうした対応は、JR福知山線の脱線事故を教訓に関係機関が共同で作成したマニュアルに基づいたものであります。
 このような事故に対する関係機関が連携した迅速かつ的確な行動は、大いに評価できるものであり、昨日の我が党の代表質問でも申し上げたように、全庁横断的な対応は、まさに危機管理においても真価を発揮することが証明されたと考えます。
 今後とも、さまざまな課題に関して、全庁で知恵を持ち寄り、横断的な取り組みがなされることを要望します。
 緊急地震速報について伺います。
 いよいよ本年九月から、緊急地震速報が一般に開放されます。P波とS波の伝達速度の違いに着目し、大きな被害をもたらすS波到着の前に、例えば二十秒後に大きな揺れが来ますなどと警告をしてカウントダウンを始め、ゼロになったと同時に揺れが来るという、まさに革命的な技術です。
 学校での実証実験によれば、五秒あればすべての生徒が机の下に潜れ、八〇%も死傷者が軽減するというデータがあります。兵庫県監察医の調べによれば、阪神・淡路大震災では死者の九五%が即死でした。そこに数秒ないし数十秒の猶予があれば、社会のさまざまな分野で革命的な防災効果をもたらすものと考えます。
 既に総合防災部では試験的にこのシステムを導入しており、また、局を横断しての検討会も開かれているようです。今後、他の東京都施設での導入や、民間での普及啓発のためのPRなどを積極的に推進していくべきと考えます。ご見解を伺います。
 板橋キャンパスの再編整備について伺います。
 「十年後の東京」では、高齢者が社会のさまざまな分野で活躍し、医療、福祉の最先端の研究成果を生かしたサービスを利用しながら、地域において健康で自立した生活を営む、世界に先駆けた超高齢社会の姿を描いています。
 今般、東京都は、板橋キャンパスの再編整備基本構想を打ち出しました。板橋キャンパスにはこれまでも、老人医療センター、老人総合研究所のほかに、介護保険施設である板橋ナーシングホームがあり、これら三つの施設がそれぞれの機能を果たすことで、高齢者の医療、福祉の発展に大きく寄与してきたと思います。
 板橋キャンパスの再編整備に当たっては、高齢者の医療、介護を取り巻く環境の変化に的確にこたえていくために、予防から医療、介護に至る高齢者へのサービス提供の先駆的モデルを発信していくべきと考えます。キャンパス再編の基本的考え方と今後の取り組みについて伺います。
 特別支援教育について伺います。
 昨日の我が党の代表質問に対し、東京都教育委員会は、特別支援教育推進計画第二次実施計画を、本年秋をめどに発表することを明らかにしました。
 平成十六年に策定された第一次計画では、我が杉並区に特別支援学校永福学園を開設し、知的障害が軽い生徒を対象にした知的障害部門高等部をスタートさせるなど、児童生徒の自立と社会参加を目指すさまざまな施策を行ってきたと思います。
 特に、公立の小中学校との連携においては、東京都独自の施策である副籍モデル事業、すなわち、都立の盲・ろう・養護学校に在籍する児童生徒が、居住する地域の公立の小中学校にも副次的な籍を持ち、交流を行うことなどを実施し、今後の方向性を示すガイドラインも発表しました。
 こうした第一次計画の実績をさらに充実させ、第二次計画が策定されるものと思います。その際、都立の特別支援学校が各地域において中心的役割を果たすことが、特別支援教育の体制整備を推進するために必要です。それぞれの地域ごとに関係機関や専門家が連携してネットワークを築ければ、障害のある児童生徒を支援する、全都的な特別支援教育体制が整備できるのではないでしょうか。第二次計画において、このネットワーク構想をしっかりと位置づけるべきと考えます。ご見解を伺います。
 その第二次計画でぜひとも取り組んでいただきたいものに、就学前の乳幼児期の取り組みがあります。
 先般、学校教育法の改正により、小中学校だけでなく、幼稚園、保育所も支援の対象になりました。乳幼児期の取り組みが、特に障害児にとっては、その後の成長や発達に大変大きな影響を与えます。既に区市の保健所、保育所では、乳幼児期における障害児への支援体制をとっているところもあります。そこで、東京都教育委員会としても、障害児にとって最も大切な早期発見、早期発達支援を、区市の幼稚園や保育所と連携し、現在策定中の第二次計画に盛り込むべきと考えます。ご見解を伺います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 早坂義弘議員の一般質問にお答えいたします。
 自殺対策についてでありますが、私は、別段さまざまな死に出会ったこともございませんけれども、ただ自分自身が荒天下のヨットレースで何度か死にそうになったことはありますけれども。人間は生まれた限り必ず死ぬものでありまして、限りない生を切望しようとも、死は絶対に避けられない一つの宿命であります。
 それゆえにも、みずからその生を断ち切るという自殺という行為は、人生に対する冒涜ともいえると思います。
 自殺は、本人や残された家族、友人にとってもこの上ない悲劇であるとともに、社会的、経済的な損失も膨大なものがありますが、その要因は複雑で、解決は容易ではないと思います。
 しかし、根本的には、動物行動学のコンラッド・ローレンツがその脳幹論で説いたように、今日の日本の文明社会の過剰な豊かさ、あるいは情報のはんらんといったものが人間を非常に虚弱なものにして、結果として、こらえ性、トレランス、耐性というものを欠如させたのじゃないかと思っております。
 だれもが生きる力を持ち、互いに支え、避けられるべき自殺を防ぐために、行政、民間、専門家などの衆知を集め、自殺対策に社会全体で取り組んでいきたいものだと思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立学校のライフラインの復旧についてであります。
 都立学校には、児童生徒の保護に加えまして、避難所や帰宅支援ステーションとしての機能も求められるため、迅速な機能回復が必要でございます。特に電気につきましては、他のライフラインに先立って復旧を図ることが必要でございます。ご指摘を踏まえまして、民間団体等と早期に協定を締結してまいります。
 次に、ネットワークの構築についてでありますが、特別支援学校を中心として、さまざまな関係機関や専門家が連携して障害のある児童生徒等を支える体制を構築することは、大変重要な課題であると認識しております。
 第一次実施計画におきましても、特別支援学校、小中学部設置校を拠点といたしまして、地域のさまざまな関係機関や専門家が、障害のある児童生徒の一貫した支援体制を構築するエリアネットワークの構想に基づきまして、通常の小中学校も支援対象とし、モデル授業を実施してきたところでございます。
 第二次実施計画の策定に当たりましては、小中学校を中心にモデル授業を実施してきた成果を踏まえまして、こうしたネットワークの考え方が乳幼児期から高等部までの成長段階に応じて展開されるよう、具体的な方策を示してまいります。
 次に、区市の幼稚園や保育所との連携についてであります。
 乳幼児期におきまして、できるだけ早く障害を発見し、適切な支援を行いますことは、その子どもの成長にとって極めて重要でございます。
 第二次実施計画におきましては、障害のある幼児に対する幼稚園や保育所での支援を小学校等につなげるため、幼児の発達の様子などを記録した就学支援シートの区市町村への普及を図り、障害のある幼児の就学が円滑に進むよう、支援してまいります。
 さらに、障害のある乳幼児につきまして、障害の実態や支援の目標、方法などを記載する個別指導計画を作成するなど、障害のある乳幼児を支援するための新たな取り組みを行ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 四点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、外環の生活再建救済制度についてでございます。
 本制度は、計画の長期化による地権者への救済措置として、都の要望により、平成十四年度に国が創設したものでございます。
 平成十八年度末までに、外環沿線七区市のうち、世田谷区、練馬区、武蔵野市、三鷹市及び調布市の五区市におきまして四十四件、三・八ヘクタールの土地を区市の土地開発公社が買い取っておりまして、本制度は多くの地権者の生活再建に寄与しているものと考えております。
 国に対しましては、事業着手までの間、本制度を存続させ、地権者の申し出に適切に対応するよう求めてまいります。
 次に、制度を導入していない二区市に対しましては、地権者救済の趣旨を踏まえ、区市の土地開発公社に財政的な負担が生じないことなどをよく説明いたしまして、改めて理解と協力を求めてまいります。
 引き続きまして、本制度を活用しながら国や沿線区市と連携を図り、外環の一日も早い完成に向け積極的に取り組んでまいります。
 次に、民設公園についてでございますが、この制度は、都市計画公園・緑地の区域に含まれ、一ヘクタール以上の公園的空間が公開できる地区を対象としております。
 これに適合しました企業所有地は、区部におきましておおむね二十カ所、約百ヘクタール程度と見込まれます。対象地の立地条件や周辺土地利用などへの影響も考慮しながら、本制度の適用を検討していく必要があると考えております。
 最後に、民設公園制度の今後の進め方についてでございます。
 東京を早期に緑あふれる美しいまちとしていくためには、公共による整備に加えまして、民間の活力や協力による緑の確保が重要でございます。
 こうしたことから、東村山市の住居系地域における実績を踏まえつつ、地方自治体や民間事業者に対しまして、制度の周知と調整を図るとともに、幹線道路沿線や商業地域周辺なども視野に置きまして、引き続き本制度の拡充に向けた検討を進めてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 二点についてお答えをいたします。
 最初に、本年四月に開始をいたしました精神障害者に対する路線バスの運賃割引制度についてでございます。
 この制度は、精神障害者の方の自立と社会参加を促進し、行動範囲を拡大する上で、大いに意義がございます。
 そのため、この制度を広く精神障害者の方々に活用してもらえるよう、割引制度開始直前の二月から三月にかけて、精神障害者保健福祉手帳を所持する約四万人の方に個別にお知らせするとともに、関係機関に周知をしてまいりました。
 さらに、区市町村の窓口や精神科病院、社会復帰施設、共同作業所などの関係機関にリーフレットを配布し、本制度の理解を一層促進してまいります。
 続いて、板橋キャンパスの再編整備についてでございますが、さきに発表いたしました基本構想では、医療機能と研究機能を一体化した健康長寿医療センター(仮称)を新設するとともに、板橋ナーシングホームを民設民営の介護保険施設として整備することといたしました。
 整備に当たりましては、センターを先端的医療の取り組み、老化に関する研究開発の推進、さらに高齢者に対応した急性期医療の提供と在宅療養、在宅介護への支援機能を発揮する施設としてまいります。
 また、介護保険施設は、在宅生活支援の手法を開発する実践の場としてまいります。
 これら施設の連携により、新たな予防、医療、介護のサービス提供モデルを構築し、その内容を広く発信、普及していくことといたしております。
 今後、さらに検討を重ね、本年秋を目途に、基本構想を具体化いたしました再編整備基本計画を策定してまいります。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 緊急地震速報に関するご質問にお答えを申し上げます。
 このシステムは、大きな揺れが到達する前に危険回避行動をとることで被害の軽減が期待できるシステムでありまして、都は、新たな地域防災計画で減災目標を達成するための有効な手段の一つに位置づけたところであります。
 既に、本庁舎では、防災部門で初動態勢を確立するため試行的に導入しており、現在、来庁者などの安全確保にも活用できるよう、整備を進めております。
 また、鉄道や病院などの都施設につきましては、関係局による会議で、施設の特性に応じた効果的な活用方法などの検討を行っているところでございます。
 今後、九月からの本格実施を踏まえ、情報提供の留意点などをまとめた都施設の運用指針を定めますとともに、ご指摘のありました民間への周知を図るなど、積極的に導入を促進してまいります。

○議長(川島忠一君) 五十五番大西さとる君。
   〔五十五番大西さとる君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十五番(大西さとる君) 行政改革、特に選挙の開票事務改善を通して質問をさせていただきます。
 ことしは選挙の年、今年度の選挙管理委員会の予算は九十三億円、予算的にも大きなテーマですが、それだけではなく、自治体における迅速性、効率性の意識の重要性、職員の意識改革の必要性ということに踏み込んで伺います。
 統一地方選挙では、各地で行政改革を訴える候補者が多くいたようです。行政改革とは一体何でしょうか。公務員の数を減らすことが行政改革でしょうか。事業や業務の民間委託を進めることでしょうか。
 もちろん、余剰人員をカットする必要はあります。しかし、既に適正な人数になっている部署においては、それ以上の削減は、残った人に業務がしわ寄せされ、サービスの低下を招きかねない結果となります。安易な業務委託は、質や安全性の低下を招くおそれがあります。
 そうではなくて、今あるものを、今あるだけでもっと効果を出す、要するに効率化というものを徹底的に追求すること、これが真の行政改革ではないでしょうか。
 選挙の開票事務改善は、効率化を追求する取り組みの一つであります。開票事務改善の動きは、昨年四月十八日の産経新聞の朝刊に、コンマ一秒の節約実る、多摩市長選四十六分で開票終了という記事が載ったことがきっかけになり、現在、全国的にコンマ一秒運動として、大きな運動になりかけています。
 五月二十三日の総務省選挙部の選挙特報でも、開票についての迅速化に取り組むよう、具体的な内容に踏み込んだ通知が行われています。
 この写真をごらんください。Tシャツにジャージ姿の職員がきびきび作業を行っています。都内でも先進的な自治体の開票風景でございます。これは別の自治体の開票風景です。ほおづえをついた女性もいますが、自分の担当の仕事が終了し、手持ちぶさたになっている職員が写っています。後ろでは、まだ開票している職員もいます。効率的に取り組んでいるつもりでしょうが、残念ながら、このような状況があるのも、これまた事実でございます。
 選挙の開票には時間がかかるという思い込みが、有権者や候補者、職員にあるのではないでしょうか。しかし、公職選挙法には、選挙の結果を選挙人に対して速やかに知らせるように努めなければならないという規定があります。
 また、地方自治法には、地方公共団体は、最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければならないと規定されています。公選法からも自治法からも、選挙の開票事務は迅速に、そして効率的に行わなければならないことがわかります。
 今回の統一地方選挙で、佐賀県では、県の選挙管理委員会が中心となり、全県を挙げて開票事務の改善に取り組み、きめ細やかに対応することにより、知事選、県議選で開票所要時間の平均が五十四分も短縮するといった大きな成果を上げています。
 ところが、私が調べたところ、今回の東京都知事選挙においては、逆に開票所要時間の平均が前回より十五分も長くなっているようです。この現状をどう考えるのか、所見を伺います。
 四月の都知事選挙で、開票事務の費用として二億八千万円が計上されています。そのうち七〇%が開票従事者にかかわる費用、つまり約二億円が人件費です。平均時間が短縮されることで、このうちかなりの額が節減されるのではないかと思いますが、開票時間短縮の財政削減効果について、所見をお伺いいたします。
 また、他県の取り組みの話になりますが、京都府では、今年度の総務部の運営目標の中に、市町村の選挙管理委員会と連携し、コンマ一秒運動を通した効率的な開票事務を推進、参議院選挙で府内全市において取り組むということをホームページ上で公開をしております。
 岩手県では、自治体の規模にかかわらず、効率性を比較するために、事務従事者一人当たり一分間でどれだけ開票できるかの、一分間開票数を指標に、県内の自治体を評価しています。
 統一地方選で一番効率的であった紫波町という町では、一人一分間十・二一票を処理しています。ちなみに東京都内では、一番効率的であった大田区が五・六一票です。目黒区は一・五六と、幅がございます。
 今回の統一地方選挙では、福島県相馬市や広島県三次市、長野県小諸市で開票時間が三十分を切り、マスコミからも大きく取り上げられました。これらの自治体では、明確な目標設定をし、職員が担当事務を超えて研修、リハーサルを繰り返し、そこから生まれた創意工夫、アイデアが開票事務の短縮化に生かされていったとのことです。
 その結果として、市役所全体として、嫌々仕事をやっていたやらされ感から、みずからの意思で積極的に仕事に取り組むやりがい感に職員の意識が大きく変化し、この運動をきっかけに、他の業務にまでよい影響を与えたとのことです。こうした意識改革こそが本当の行政改革だと考えるものであります。
 しかしながら、こうした全国の自治体の改善運動をリードしたのが府中市や多摩市、そして足立区といった東京都内の自治体であることを忘れてはいけません。
 これらトップランナーともいえる東京の自治体に、全国から多くの自治体が視察に訪れ、ベンチマークしていき、そこから学んだことを自分たちの創意工夫をプラスして成果を上げているのです。県議選の開票をたった二十九分で終了した小諸市も、実は府中市の開票事務を視察して、参考にして、そして実現したとのことです。府中市など開票事務のトップランナー自治体を抱える東京都が率先してこの開票事務の改善に取り組み、リーダーシップを発揮する意義は極めて大きいといえます。
 これまで、都選管として、区市町村の開票事務の短縮のためにどのような工夫や努力をしてきたのか、今後の取り組みとあわせ、所見を伺います。
 また、区市町村の開票事務の改善を促すためには、財政的なインセンティブも重要です。開票事務の効率化により、人件費や会場費などの開票経費を削減することが可能になりますが、このことは、区市町村にとっては国や都からの交付金が減額されることにほかなりません。せっかく開票時間を短縮しても、交付金が削減されるだけの今の仕組みでは、区市町村がさらに事務改善をしようというモチベーションが働きにくくなってしまいます。
 そこで、努力して開票時間を短縮し、経費を削減した自治体に対して、削減した額を別の名目で還元するなどの財政的な優遇措置を検討するべきだと考えます。所見を伺います。
 七月には参議院選挙が予定されています。参議院選挙の比例代表は、かなり複雑な開票事務になります。私も、比例代表の開票立会人をして、明け方まで帰れなかったことを思い出します。こうなると、開票事務の改善に取り組んだか、そうでないかで、大きな差が出てしまいます。一時間、二時間の差は簡単に出ます。ここまでこのコンマ一秒運動が広がってくると、改善に取り組まなかった自治体が、努力を怠った自治体として目立ってしまうことにもなりかねません。
 参議院選挙は目の前です。区市町村の開票事務の改善に向けた都選管の取り組み、選挙管理事務局長の決意をお伺いいたします。
 大きな改革の流れは、小さな改善の積み重ねから起こります。ぜひ東京都がこの運動に積極的に取り組み、全国の自治体のトップランナーになり、都内の区市町村、そして都庁の職員の意識改革につなげていくことを要望するものです。
 最近の選挙の開票事務における全国的なスピードアップの動きについて、知事の所見を伺います。
 次に、正規労働者と非正規労働者の格差是正について伺います。
 パート労働者、派遣社員、契約社員といった形態の労働者が、正社員と全く同じ仕事をしているにもかかわらず、待遇的に大きな差が生まれている現状があります。
 五月二十五日、国において、正社員と格差是正を目指す改正パート労働法が成立いたしました。しかし、その内容は、待遇改善が期待されるパート労働者の範囲が限定されるなど、極めて不十分なものとなってしまっています。
 均等待遇、格差是正に取り組む必要があると考えますが、パート労働者の処遇改善さえその実行が期待できない国の取り組みを待っていては、いつまでたっても均等待遇、格差是正は実現しません。
 昨年十二月に東京都が策定した「十年後の東京」では、同じ仕事の質であれば、同様の労働条件とする公平な人事管理を行う企業を支援し、モデル企業として広く普及させていくことが示されております。
 私も、東京都として、正規、非正規を問わず公正な労働条件で働くことが可能になる社会の構築に向けて、早急に処遇の格差改善など具体的な取り組みを実施していくべきだと考えますが、所見を伺います。
 次に、エレベーターの安全確保対策について伺います。
 昨年六月に、港区の区営賃貸住宅のシンドラー社製エレベーターで死亡事故が起き、一時期は各種報道などで騒がれました。
 しかし、事故発生から一年が経過したにもかかわらず、事故の原因はいまだ警察が捜査中であり、国でも昨年九月に社会資本整備審議会に設置された対策部会の中間報告が出されましたが、エレベーターの安全確保対策は、事故以来、まだ何も改善されていないのが実情です。
 この間、シンドラー社が特別で、国内シェアの大半を占める大手五社のエレベーターは安全だという世論が形成されてきました。実はそうではなかったということが判明し、国内大手五社のエレベーターでさえ、ワイヤロープのストランドの破断が発生しているという、人命を危険にさらしかねないふぐあいの発生が相次いで報じられています。
 エレベーターは全国で約七十万台、そのうち東京には二割強を占める十五万台が設置されており、日本でエレベーターが最も集積している都市となっています。シンドラーエレベーターでの死亡事故も都内で起きたものです。
 現在、都は国の対策をただ待っているだけのようですが、国がもたついている間にも、また次の悲惨な事故が起きないとも限りません。エレベーターの安全確保対策について、都として独自に情報収集や調査研究を行い、具体策を国に提案するようなアクションを率先して起こすべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 三つの分野でお伺いいたしましたが、東京が他県の模範となり、さらに他県をリードして諸問題を解決していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大西さとる議員の一般質問にお答えいたします。
 開票事務のスピードアップについてでありますが、選挙は民主政治の根幹をなす重要な作業、仕組みでありまして、その管理執行は公正かつ正確であることが基本であります。この基本を十分に踏まえた上で、選挙の結果を早く知らせるためにも、開票の効率化を図ることは当然のこととは思います。
 しかしながら、最近の一分一秒を競うかのごとき風潮は、開票の精度を低下させ、選挙事務への信頼を損なうおそれもあると思います。これは決して早ければいいというものじゃないと思います。
 かつて中選挙区のころの衆議院で、何県でしたか、関東のある県で、これは一票差だかで衆議院の当落が決まったこともあります。それから、たしか、私もいろいろお世話になったことのある山中貞則さんは、晩年の選挙で、一回当確が出たけど、その後、わずか僅差で当選がひっくり返ったということもありました。こういう事例を踏まえますと、繰り返して申しますけれども、決して早ければいいというものじゃないと思います。
 これまで、都と区市町村の選挙管理委員会において、正確かつ効率的な開票への工夫や努力がされておりました。今後とも同様に対応していくものと考えております。
 他の質問については関係局長から答弁します。
   〔選挙管理委員会事務局長梶原康二君登壇〕

○選挙管理委員会事務局長(梶原康二君)  五点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都知事選挙における開票作業時間についてでございますが、前回と比較して長くなった要因としては、立候補者の数が前回の五名から十四名へと大幅にふえたこと、また、投票率が約九・四ポイント上昇し、投票総数が約百十万票も増加したことなどが考えられます。
 このように、開票の現場におきましては、立候補者数、投票総数、さらには開票立会人が行う確認作業等により、その作業時間にかなりの差が生じるという実態があり、単純な比較は困難でございます。
 次に、開票作業時間短縮による節減効果についてでございます。
 作業時間を短縮した区市の中には、開票事務従事者を増員して対応した団体もあり、このような場合には、逆に人件費増となる可能性もございます。
 一般的には、開票作業時間が短縮されれば、従事者の手当の減などにより、経費の削減が見込まれるところであり、今後も区市町村と連携して、効率的な選挙の執行に努めてまいります。
 次に、開票作業時間短縮の取り組みについてでありますが、開票作業は区市町村において公正、正確に万全を期すとともに、迅速化に向けてもさまざまな工夫が重ねられてまいりました。
 都選挙管理委員会としても、これまで開票作業の効率化に向けた取り組みや、工夫事例を区市町村に情報提供するなどしてまいりました。今後も、区市町村職員向けの研修の活用など、多様な方法により支援してまいります。
 次に、時間短縮に対する財政的な優遇措置についてでございます。
 選挙執行に係る区市町村への交付金は、選挙の執行に際して実際に要した経費を交付するという仕組みとなっておりまして、削減した額の還元など、実費以外の額を交付するといった優遇措置は困難でございます。
 もとより、開票事務の効率化は必要であり、そのための機器や資材等に要する経費については、現行制度を運用していく中で適切に対応してまいります。
 最後に、参議院議員選挙に向けた取り組みについてでございます。
 参議院議員選挙の適正な執行に向け、五月には区市町村選挙管理委員会委員長会議を開催し、公正、正確な事務の執行に加え、開票事務の迅速化についても改めて要請しております。
 区市町村の現場では、既に着々と準備が進められている中、相互の連携を一層密にし、選挙の適正かつ効率的な執行に向け全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 正規労働者と非正規労働者との処遇の格差の是正についてでございます。
 都はこれまでも、パートタイマーなどの非正規労働者の雇用環境の改善に向けまして、セミナーによる啓発や、パートアドバイザーの企業訪問による相談、助言等を実施してきたところでございます。
 また、雇用環境の改善に取り組もうとする中小企業に対しまして、専門家を派遣して支援するとともに、すぐれた取り組みを行っている企業をモデル企業に指定をいたしまして、ホームページ等で広く紹介しているところであります。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、非正規労働者の雇用環境の改善に努めてまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) エレベーターの安全確保対策についてでございます。
 エレベーターは、設置時のみならず、日常点検によりまして運行の安全を確保していくことが重要でございます。
 現在、国では、事故や一連のふぐあいの発生を受けまして、建築基準法に基づくエレベーターの定期検査制度の見直しを進めております。
 都といたしましても、検査制度を運用する立場から、その検討の場に参画し、適切な検査のあり方などにつきまして、現場としての考えを反映させてまいります。
 今後とも、国や区市、関係団体とも連携し、エレベーターの安全確保に向け万全を期してまいります。

○副議長(木内良明君) 十八番中山信行君。
   〔十八番中山信行君登壇〕

○十八番(中山信行君) 初めに、体験学習について質問いたします。
 現代社会の人間関係の希薄化は、子どもたちの世界にも色濃く影響を及ぼしています。生身の人間と触れ合うことなく、バーチャルな世界で学習課程が進み、その結果、生きる意欲や頑張る気力を喪失した子どもがふえているという指摘もあります。子どもたちの心の成長に必要な世の中との触れ合いの機会を適切に提供していくことは、まさに教育の不可欠な課題といえます。
 都は、中学生のわくわくウイーク東京など、体験教育重視の方針を打ち出しています。中学生の感想を読むと、人から感謝されることのすばらしさ、自分の長所を発見できたなど、素直な感動と喜びが伝わってきます。
 特にことしからスタートする都立高校の教科「奉仕」においては、そのメーンとなる体験活動がこの夏の期間に集中します。
 そこで、奉仕活動の本格的な実施を前に、体験教育を積極的に導入して、子どもたちに社会とのかかわりを持たせる教育の推進に関して、知事の所見を伺います。
 あわせて、奉仕の体験活動では、アルバイトとの両立や交通費の負担などが課題として予想されます。そこで、都は、すべての生徒が安心して意欲的に体験活動に臨むことができるよう万全を期すべきです。所見を伺います。
 また、奉仕の体験活動の充実のためには、町会、自治会等の地域団体が取り組むボランティア活動との連携が重要です。見解を伺います。
 さらに、今後の体験教育の充実のためには、取り組みの成果や課題について地域や奉仕活動の受け入れ先と意見を交換し、情報を共有化することが重要です。所見を伺います。
 次に、児童虐待について質問します。
 近年、児童相談所が受ける虐待相談件数も、一時保護や施設入所を必要とする子どもの数も、増加の一途をたどっています。暴力や虐待で行き場のない親子にとっては、緊急避難できる一時保護施設の存在が不可欠です。しかし、現在、一時保護施設の入所状況は、子どもが家庭に帰る正月と新学年に伴って施設に入所する四月を除き、九九・八%とほぼ満員状態で、本来の機能が発揮できないおそれがあります。今後の施設の拡充を求めます。
 次の段階として、虐待の原因を解消し、親と子との再統合を目指す取り組みが重要です。
 児童福祉司を増員し、すべての児童相談所に虐待対策班を設置するなど、これまでの取り組みは評価しますが、子どもの将来を考えれば、安心して成長できる環境を整えることが重要です。虐待を受けた子どもはもちろん、虐待に至った親のケアにも取り組む必要があります。そこで、家族再統合についての都の認識を伺います。
 都の児童相談センターでは、精神科医、児童心理司、外部スタッフなどがチームを組んで、親の心のケアに取り組んでいます。独自に改良したカウンセリングプログラムとグループ療法により家族関係の再構築が進み、家族再統合の成果を挙げています。こうした事業を拡大する必要があります。同センターのこれまでの成果と、今後の事業拡大について方針を明らかにするべきです。見解を伺います。
 次に、環境対策について質問します。
 温暖化対策が最大の焦点になった今回のサミットでは、環境先進国ドイツでも、すぐれた環境政策で有名なフライブルグ市が注目され、話題を呼んでいます。フライブルグ市では、特に交通行政に力を入れており、環境に優しいLRT、公共交通機関と自転車の活用により、自動車の利用量を減らす取り組みに成功しています。
 東京においても、CO2の削減策として、自動車の燃費向上や公共交通機関への転換促進にあわせて、手軽に利用でき、環境に優しい交通手段である自転車の積極的な利用を図るべきです。
 そこで、ディーゼル規制等に続く新たな対策として、自転車の活用を社会全体に定着させていくための総合的な取り組みを開始するべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、自転車利用の促進に関する都民の理解を高めるため、子どもの自転車の歩道通行を可能にした道路交通法の改正を踏まえ、小学生はもとより中高生も含めて、ルールの遵守とマナーの向上を目的として啓発を行うべきです。見解を伺います。
 また、今後、自転車が加害者となる事故がふえていくと予想されています。そこで、賠償責任保険に加入していることを示すTSマークの普及に力を入れるべきです。見解を伺います。
 次に、障害者の就労について伺います。
 先日、私は、就職率が九二・九%に及ぶ所沢の国立職業リハビリテーションセンターを見学しました。訓練プログラムを個別化し、企業からの訓練オーダーにも応じるなど、個別性を重視する取り組みを徹底し、精神障害、高次脳機能障害、発達障害など、就労が困難といわれる事例でも成果を上げています。
 今後の障害者就労にあっては、個別性に加え、先進技術と企業連携が重要です。
 訪問した職業リハビリテーションセンターでも、独自に開発したエクセル等の高速読み上げソフトのほか、クリックしたデータを即座に点字化するピンディスプレー、読み上げできない図形やグラフの様子を触覚で伝える点図ディスプレーなどにより、全盲の視覚障害者でも高度な情報処理が可能になっていました。つまり、先端技術が障害者就労の幅を広げているのであります。
 したがって、都も、障害者の職業訓練において、こうした先進技術を活用した就労支援機器を積極的に導入するべきと考えますが、所見を伺います。
 また、小平市にある都の障害者職業能力開発校では、知的障害者を対象に商品の在庫管理のバックヤード作業訓練に成果を挙げています。一方、介護現場のリネン類整理やホテルのベッドメーキングなどでも、障害者就労の大幅な拡大が期待できます。こうした職域において、障害の種別や程度などに応じて作業手順を標準化し、企業間の壁を取り払うことができれば、障害者の皆さんの就労に向けた環境が大きく改善されます。
 その第一歩として、都は、障害者校などにおいて、これまでの訓練で培った職場環境改善等のノウハウを普及するなど、企業等と連携して、障害者が働きやすい職場づくりを進めるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、都営住宅の活用について質問します。
 総計二十六万四千戸の都営住宅は都の最大の公共財産であり、特に老朽化した都営住宅の建てかえについては、それを契機とした新たなまちづくりに期待と夢が広がっています。
 また、福祉分野でも、都営住宅に福祉施設が合築されるケースがあり、地域の保健福祉施策の向上に寄与しています。こうした場合でも、運営に携わる社会福祉法人には、自治体が直営で取り組む場合と同等の利用料等の配慮を加えることが重要であります。
 また、新たに建てかえ時に合築できる施設の内容として、区市が取り組むインキュベーション施設など、若者の創業や就労を促進する施設を認めるべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、足立区の上沼田団地では、大規模な建てかえにより隣接する団地を集約化し、貴重な用地を新たに生み出すこととしています。こうした用地を活用すれば、新たな産業集積や集客力に富む施設の誘致など、再開発への夢が膨らみます。都営住宅の建てかえで創出された用地の活用に関しては、ぜひとも地元自治体の意欲、意向を生かす仕組みを検討すべきです。所見を伺います。
 次に、農地保全について質問します。
 住民構成も街並みも激しく変化する東京においては、区市が農地の存在を地域の都市計画やまちづくりの将来設計に反映させていくことが重要です。
 都市の農地には、防災、緑化、食育、食の安全、オープンスペースの確保など多面的な機能があります。こうした農地の機能を区市がまちづくりの施策に積極的に生かせるよう、都は支援策を講じるべきです。見解を伺います。
 また、農地保全のためには、農業経営を引き継ぐすぐれた後継者の育成が欠かせません。同時に、最新の技術や経営情報の継続的な提供などが重要です。その意味で、都は、後継者研修の修了者に対するフォローアップを一段と充実させるべきであります。見解を伺います。
 さらに、団塊の世代など、新たに農業への参画を希望するようになった人々と遊休農地を抱える農家とのマッチング事業を、農家の意向を踏まえ、強力に推進すべきと考えます。見解を伺います。
 最後に、都の医学研究について質問します。
 先日、私は、医学研究機構の評議員会において、認知症の患者脳に見られる特有のたんぱく質の特定や、アルツハイマー病のワクチン療法の開発など、目覚ましい成果をおさめつつある三件の報告を拝聴しました。
 都の研究には、朝日賞を受賞するなど、ノーベル賞級の評価を得ているものもあります。こうした研究が少しでも早く具体的な成果をおさめるようになれば、治療の先行きの見えない患者にとって、この上ない朗報となります。
 そこで、もう一歩のところで都民に対し具体的な成果を還元できそうな都の医学研究については、今年度新たに設置する五百億円の福祉・健康安心基金を機動的、集中的に活用するべきと考えます。見解を伺います。
 あわせて、臨床と研究の連携も重要です。
 例えば、駒込病院では、キャンサーボードと呼ばれる制度によって、複数の医師が自由濶達に意見を交わし、がん治療にすばらしい成果をおさめています。がん治療には、外科、投薬、放射線だけでなく、多くの専門家の連携が重要です。例えば、研究医による遺伝子解析のデータが臨床現場で迅速に提供されていけば、連携の効率性は飛躍的に向上します。
 こうした臨床と研究の連携を都立病院でも実施すべきであります。仮称がん・感染症医療センターの整備に当たっても、効果的な連携システムを導入するべきであります。都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
 子どもたちに社会とのかかわりを持たせる教育の推進についてでありますが、昨年十二月に策定しました「十年後の東京」では、子どもに多様な体験学習の機会を提供し、社会の発展に貢献できる若者を育成していくことを提言いたしました。
 子どもは、社会の中で人とかかわることを通して自分と他者との違いを認識し、自分自身を主張したり、我慢したり、人とのかかわりで感動することも学ぶわけであります。
 都が先駆けて始めた「奉仕」の授業は、子どもたちが人のために役立つことを学ぶ、またとない機会であると思っております。
 他の質問について、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、生徒が意欲的に体験活動に取り組む方策についてであります。
 「奉仕」の授業で行う体験活動は、事前に学んだ奉仕に関する知識と技術を、実践的活動を通して確かなものにしていく機会であり、すべての生徒が意欲的に取り組めるようにすることが大切であります。
 都教育委員会は、先行的に研究を行ってきた学校での実践を踏まえ、体験活動の受け入れ先の確保を初め、効果的な実施時期や「奉仕」の教科書の費用負担の軽減などについて検討し、課題解決を図ってまいりました。
 今後は、本年度の「奉仕」の授業の成果と課題について、ご指摘の点も含め、検討する委員会を設置し、生徒がより意欲的に取り組めるよう、体験活動の一層の改善と充実に努めてまいります。
 次に、体験活動における地域団体との連携についてであります。
 「奉仕」の授業で行う体験活動を充実するためには、受け入れ先を地域団体へも拡充し、生徒がより多様な体験活動に取り組めるようにすることが重要であります。
 都教育委員会は、「奉仕」の授業の内容や意義等を掲載したリーフレットを社会福祉協議会やボランティアセンターなどに配布するとともに、各学校では、幼稚園、保育所、高齢者福祉施設、消防署等さまざまな機関を訪問するなどして、生徒の受け入れについて協力を依頼してきたところであります。
 今後、地域の方々が実施しているボランティア活動への生徒の参加を促進するため、町会や自治会等の地域団体との連携を強化するよう、学校を指導してまいります。
 次に、「奉仕」の成果や課題の共有についてでありますが、各学校が活動の成果や課題を地域や受け入れ先の関係者と共有することは、今後の「奉仕」の授業を一層充実するために大切であります。
 これまで先行的に研究を行ってきた学校においては、受け入れ先と情報交換を積極的に行い、共通理解を図ってきたところでございます。
 今後、都教育委員会は、各学校に対し、地域や受け入れ先の関係者による連絡会を設置し、成果検証を行うとともに、関係者との連携を深めるよう指導してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、虐待を理由に親子分離した家族の再統合についてでございますが、児童相談所では、虐待を受けた子どもの安全確保を最優先し、必要な場合には、法的対応として親子の分離を行っております。
 一方、これらの子どもが再び家族と暮らせるようにすることは、健やかな成長を図るという観点から大変重要でございます。このため、精神科医や心理職等の専門家による親へのカウンセリングのほか、親子関係の修復に向けたトレーニングなど、心理的、医学的援助により親の虐待傾向の改善を図りました上で、子どもの安全を確保し、家族再統合を目指す取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、東京都児童相談センターにおける家族再統合事業についてであります。
 これまで七十一の家族が利用し、そのうち、おおむね七割の家族の関係修復に効果を上げております。
 今後、この成果を関係機関の参考となる手引書としてまとめるほか、新たに開設予定の子ども家庭総合センター(仮称)において、家庭での生活を想定した子どもと親に対する宿泊プログラムを実施するなど、取り組みの充実を図ってまいります。
 最後に、都が取り組む医学研究への福祉・健康安心基金の活用についてでございますが、この基金は、がんなど健康危機への対処、認知症医療対策の強化及び子育て支援の三つの重点的取り組みと、これらの取り組みを支える基盤となる医学研究などの財源として活用することを予定しております。
 今年度中に基金充当事業の検討を行い、来年度から実施することとしておりまして、ご指摘のように、研究の成果を少しでも早く具体的な形で都民に還元することは重要でございます。
 このため、東京都医学研究機構の研究所などで行っております、がんや認知症などの研究について、その進捗状況も十分に考慮しながら、基金の効果的な活用を図ってまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 自転車の活用に向けた取り組みについてでありますが、自転車は、環境に優しく、都民に身近で便利な交通手段であることから、都はこれまで、TDM東京行動プランに基づき、自転車道の整備など自転車活用対策を実施してまいりました。
 現在、環境審議会において、世界で最も環境負荷の少ない先進的な環境都市の実現を目指し、東京都環境基本計画のあり方が審議されており、その中で、公共交通機関の最大限の活用や自転車利用の促進など、自動車に過度に依存しない交通行動への転換についても議論されております。
 今後、環境審議会での審議を踏まえ、日常生活や企業活動での自転車利用の普及とともに、自転車が安全に走行できる空間の確保など、地域特性に応じた自転車利用の促進が図られるよう、各局と連携し、総合的に検討してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 自転車の安全利用につきましての質問にお答えをいたします。
 まず、中高生などへの自転車利用に関するルールの遵守等の啓発についてでございますが、自転車による歩行者の人身事故が増加していることから、都は警視庁等と連携をいたしまして、平成十八年五月から、自転車の交通ルールや安全利用に関するキャンペーンを積極的に展開しております。
 また、本年一月には、自転車の安全利用推進総合プランを作成いたしまして、それとともに、歩道上の暴走行為の禁止などを訴える、自転車の安全利用に関する緊急アピールというものを、一般向けとともに、小学生向け、中学生向け、高校生向けと分けまして発信したところでございます。
 本年は、当該プランに基づきまして、中高生向けの自転車交通安全教育に関するマニュアルの作成も考えております。
 今後とも、改正道路交通法の施行を踏まえ、自転車の交通ルールの遵守など、その安全利用についての普及啓発に力を注いでまいります。
 次に、TSマーク制度の普及についてでありますが、近年、歩行者を死亡させるなどの重大な事故も発生しておりまして、自転車の点検整備と賠償保険がセットとなりました、このTSマーク制度の普及啓発を図っていくことは重要であると考えております。
 昨年五月に実施しました自転車の安全利用に関するキャンペーン、すなわち、あん・あん自転車TOKYOキャンペーンでありますけれども、その中でその周知を図りました。そうしましたところ、平成十八年度の実績では約六万二千枚のTSマークシールが交付されまして、これは前年度に比べまして約二万四千枚の増加ということになりました。
 今後、ご提言の趣旨も踏まえ関係団体等に働きかけ、当該制度の一層の普及啓発に努めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者の職業訓練における就労支援機器の導入についてでありますが、生徒の障害の状況に配慮いたしました先進的な機器を活用することは、就労に向けた訓練を行う上で効果的であると認識しております。
 このため、都はこれまで、視覚障害者向けの画面読み上げ機能を有するパソコンや、下肢障害者用のNC加工機などの就労支援機器を導入してまいりました。
 今後は、新たに設置をいたします公共職業訓練運営委員会の中で、事業主や学識経験者などを交えまして、機器に関する最新の技術動向や就労現場での活用状況について調査、検討いたしまして、より効果の高い就労支援機器の導入に努めてまいります。
 次に、障害者の働きやすい職場づくりについてですが、都はこれまで、東京障害者職業能力開発校におきまして、生徒の就職先企業に対して、障害特性に応じた職場環境面で配慮すべき事項につきまして助言、指導を行ってまいりました。
 今後、都といたしましては、障害者の雇用実績のある企業や採用意欲のある企業が参加をいたしまして、職場環境の改善について意見交換を行う場を新たに設けます。この中で、企業が実践している事例の検討や、都の有する情報の提供などを行ってまいります。
 こうした企業との連携を通じまして、障害者の働きやすい職場環境づくりに一層努めてまいります。
 次に、農地の機能を生かす区市の取り組みについてでありますが、都はこれまで、農地の持つ緑地空間や防災、レクリエーションなどの多面的機能をPRするとともに、地域住民が農業と触れ合える体験農園などの設置に対し、区市を支援してまいりました。
 今年度は、都民、農業者、有識者などによる検討機関を立ち上げまして、農地の多面的機能について調査と評価を行うとともに、その活用実例などを記載いたしました、農地保全のための指針の作成に取り組んでまいります。
 今後、区市において農地の多面的な機能を生かす取り組みがさらに進むよう、この指針を活用してまいります。
 次に、農業後継者研修の修了者に対するフォローアップについてでありますが、都では、後継者を対象に、試験研究機関が開発いたしました新技術など、最新の農業情報の提供をカリキュラムに取り入れました二年間の体系的な研修を行っております。また、この研修の修了生に対しまして、継続的にフォローアップ研修を行うとともに、より実践的な技術、経営情報を提供するセミナーを開始したところであります。
 今後は、これらの研修内容の充実を図るとともに、メーリングリストの活用などによりまして最新情報を随時提供し、農業後継者の育成に一層努めてまいります。
 最後に、遊休農地に関するマッチング事業についてでありますが、都では平成十七年度から、都民の農業参画の促進と遊休農地の再生利用等を図るため、参画を希望する都民と農地の情報を蓄積いたしまして、これらを結びつけるマッチング事業を開始いたしました。
 この結果、昨年度は、日の出町では遊休農地に約三十名の都民を受け入れ、ソバ栽培の体験農園として再生するなど、実績も上がり始めております。
 今年度は、東京都農林水産振興財団に相談窓口を新設いたしまして、農業団体と連携しつつ、新たな農業の担い手と農地とのマッチングを積極的に推進してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 都営住宅建てかえ時の施設の併設についてでございます。
 建てかえに当たりましては、老朽化した住宅を更新するとともに、地域のまちづくりに配慮し、住環境の整備などを図ることが重要でございます。
 これまでも、地元区市と連携し、都営住宅建設に関連する地域開発要綱に基づきまして、保育所、高齢者在宅サービスセンターなどの施設を整備してまいりました。
 区市から、ご指摘の創業や就労を促進する施設の併設について要望があった場合についてでございますが、これらは現行の同要綱には明示されている施設ではございませんが、建てかえ事業に支障のない範囲で、立地条件や周辺の環境なども勘案しまして、区市と協議した上で個別に対処してまいります。
 次に、上沼田団地の建てかえで創出される用地の活用についてでございます。
 都営住宅の建てかえに当たりましては、地元区市と連携して、都有地の有効活用や団地の集約によりまして用地を創出した上で、民間活力を生かしたまちづくりの誘導などのさまざまな政策目的に沿った活用を図っております。
 上沼田団地の建てかえにつきましては、これまでにも地元区と協議を重ね、今後、三期に分けて建てかえを行う計画としております。
 本団地の建てかえ完了後創出される用地につきましては、現在ある協議の場を活用いたしまして、今後、地元区とともに、利活用について検討してまいります。
   〔病院経営本部長秋山俊行君登壇〕

○病院経営本部長(秋山俊行君) 都立病院におきます臨床と研究の連携についてでございますけれども、医療技術の発展などによりまして、治療の現場と研究部門の関係がより緊密になってきておるということから、ご指摘のとおり、両者の連携は、適切な医療を提供していく上で重要性を増しているものというふうに考えております。
 特に、抗がん剤などによる治療でございますけれども、患者個人ごとにその効果や副作用が異なりますことから、一人一人の病気の状態に応じた医療を提供していくためには、遺伝子やたんぱく質を研究部門で解析いたしまして、得られた情報を個々の治療に迅速に生かしていくという必要がございます。
 そこで、都立駒込病院の改修によって設置を予定しております、がん・感染症医療センターの整備に際しまして研究部門を設けることとしておりまして、今後は、医療技術の進歩に対応する先進的な医療を提供していく観点から、関係局とも協議の上、臨床と研究が連携する有効な仕組みづくりに取り組んでまいります。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時三十九分休憩

   午後五時五十六分開議

○議長(川島忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十四番矢島千秋君。
   〔四十四番矢島千秋君登壇〕

○四十四番(矢島千秋君) 日本の活力と発展は、現実に東京、大阪を中心とする人口集中地帯の工業の発展とともにあったといわれております。
 二〇〇三年の日本の生産性データで見ましても、東京都は一千一万円で第一位、大阪、滋賀、神奈川、愛知、千葉、三重と続き、所得もほぼリンクしております。しかし、国は、均衡ある国土の発展の言葉のもとに、大都会の活力を地方へと移転させようとし、都市の抑制政策が行われてまいりましたが、このことは、かえって日本経済の地盤沈下を招き、国力の停滞につながったのであります。その間、法の規制を受けなかった中京地区の発展、また二〇〇二年の工場等制限法廃止後の大阪の活性化が多くを物語っておるのであります。
 東京の場合は、産業構造の転換が比較的うまくいったといわれておりますが、都市政策は全く不十分でありました。都市の魅力と活力が、自由な発想を保証する空間と合理的時間の持ち方を可能とする集積とするなら、大都市の停滞は大きなロスであります。
 資源のない日本が、これからも世界と伍してその活力を維持するためには、環境負荷の少ない生活など調和すべき課題はあるものの、業務地域である都心部の高密度化と必要な投資は避けられないのであります。それにもかかわらず、国は、法人事業税、法人住民税一兆四千億円の税源移転という同じ過ちを踏もうとしております。
 東京の持てる力と課題を認識し、展開してきた石原知事の政策により、東京に本来のエネルギーが戻り始めるなど、効果を生んでいるにもかかわらず繰り返す、かような発想が、日本の活力の後退を招くのではないかと思えてなりません。知事のご見解をお伺いいたします。
 東京都がつい先ごろまで、財政再建団体に陥るかもしれないという危機的、困難な状況にあったことが少し昔のことと思えるほど、財政の好転を果たしてまいりました。そして、全庁挙げての財政再建への取り組みが、財政当局の長年の財政運営上の課題のことごとくのクリアにつながってまいったのであります。
 しかし、税収好調局面の歳出増の圧力に惑わされない、財政規模の維持は、今後の健全財政にとって基本的な要件であり、財務局が昨年、財政中期フレームを示しているのも、そのかたい決意をあらわすためのものであることは、理解できるのであります。
 また、現実の世界は、作為、不作為にかかわらず、いかなる形でか必ず結果が出るものでありますから、財政上、積極的、意思的に取り組む結果として、厳しい予算の手続となり、事業終了後の効果と効率性測定と活用のための政策評価、事務事業評価が財務局に移管され、予算査定と政策評価というルーチンの中で活用されることになったことは、評価するものであります。
 しかし、今後は、政策評価の透明性を増すため、事務事業評価に第三者を加えることも検討すべきであり、また、事業稼働を保証する意味でも、民間でいうところの内部統制の議論を参考に、支援部隊を検討すべきではないかと思いますが、意見として申し述べておきます。
 さて、政策運営を自立的有効なものとするため、シーリング予算の組み立てと事業との関係をどのようにすることが必要かということであります。予算査定と事務事業評価の間に、行政マネジメントを生かす内部統制方策が重要ではないかということです。この点について取り組みをお伺いいたします。
 明治に制定された府県制により、近代監査制度が自治体の補助機関として始まり、昭和二十二年、長と対等の立場で監査することに強化されたのであります。
 東京都では、この監査委員の定数を、平成十九年度に従来の四人から五人へと条例改正されております。また、監査委員の事務を補助させるため監査事務局が置かれ、適法性、税金の有効活用、組織の合理的運営など、多様な視点から監査が行われております。
 この監査部隊をどのようにとらえるかは、大きな分かれ目であります。何よりも、監査が事業の適法性と公金使途の透明化確保を基礎に、合理性、効率性を高める、いわばお金を生む事務事業であるという認識が必要であります。この観点からは、東京都の財政規模と予算の多様性が拡大する中、実働部隊である事務局職員の人数は心もとないのではないか。
 定数を追いますと、昭和五十二年度には百十名であったものが、平成元年度には百二名、平成十四年度には九十七名となり、平成十九年度は九十名であります。その間、財政規模は四兆円から十三兆円に拡大しているのであります。
 他府県では、政令指定都市などを抱えており、単純な比較はできないのでありますが、一般会計、特別会計の財政規模と監査事務局の職員数の比較では、東京都は現員九十名、大阪府は四兆二千億円で四十八名、愛知県は三兆円で三十名、埼玉県は二兆二千億円で三十名であり、不足感はぬぐえないのであります。
 東京都のように膨大な領域と予算規模を持つ自治体にとって、現在の体制は十分であるのか。外部監査制度が生まれたとしても、全体に目を光らせる監査業務の専門職の保証された人的体制は強化しなければならないと思うのでありますが、監査事務局長のご意見を伺います。
 都市の魅力は、生命、財産の安全を基本条件に、多様な人材の集積の力にあります。また、治安は日本人の基本的な信頼であるだけに、ないがしろにできない大きな課題であります。
 警視総監の治安状況の報告では、認知件数は大幅に減少しているとあり、資料によっても、社会を脅かす凶悪犯が減少し、検挙率は上がっているのであります。本来業務に警視庁はよく取り組み、結果を出しているということになります。この観点からは、治安の悪化は風説にすぎないという意見にもつながります。この点についてご見解をお伺いいたします。
 あわせて、日本の治安状況について理解を深めるためには、先進諸外国の犯罪状況の比較が必要であります。都市の形、社会の仕組みが違うとしても、傾向と特徴をお伺いいたします。
 また、統計によりますと、路上犯罪、侵入犯も明らかに減少しておりますが、この背景の一つには、住民団体あるいは自治体の協力があったわけであります。にもかかわらず、体感治安の不安は高まったままであります。
 体感治安が不安感を持って語られるのは、地域社会の弱体化が、軽微な窃盗などの取り締まり強化を警察に求めることによるものであるとするならば、警察官の増員は避けて通れないのであります。実際、多様な形で繁華街の取り締まりが強化される一方、繁華街と住宅地の境界があいまいとなり、犯罪の拡散が原因となっているのではないか。
 そこで、今後の体感治安改善を対策に生かすためにも、自治体、地域住民の皆さんの協力など、取り組んできた対策、方法、内容について精査し、次の対策に生かすべきと思いますが、ご見解をお伺いいたします。
 戦災復興以来、東京の都市整備、道路建設は、拡大するモータリゼーションに対応するため、自動車優先の基盤整備が行われてまいりました。そして現在、道路整備は、限られた財源を生かしながら優先順位の中で行われております。
 また、戦前に計画され、戦後、戦災復興事業の中で完成を見た渋谷、新宿、池袋、大塚の駅前広場も同様で、自動車交通と人のさばきを中心とした姿のまま、現在に至っております。今後、自動車の交通量が減少していく中で、こうした駅前広場は、積極的に人中心の整備をしていくべきかと考えますが、お考えをお伺いいたします。
 また、今後の道路整備に当たっては、広幅員の歩道や一方通行など、エリアの道路ネットワークなどを考慮し、全体として可能な限り人中心の立場から整備していく必要があります。
 例えば、池袋駅西口には、間もなく中央環状新宿線ランプと池袋西口を結ぶ、都市計画道路一七二号線が完成となります。これにより、放射状で三本の道路が環状六号線と結び、利用に供されることになります。このように面的条件が整う中では、歩行者優先の立場から道路整備の考え方を見直していくことができると思いますが、この点についてお伺いをいたします。
 同様に、戦後復興の対象事業として完成された大塚駅前広場も、自動車交通の処理の時代の計画のまま現在に至っております。ここでは、交通の結節点として駅舎の改築が進められており、現在はエレベーターすらない駅から、南北自由通路を擁したバリアフリーの駅へと姿を変えてまいります。まさにこのときこそ、JR敷地を含め、人中心の立場から見直す絶好の機会でもあります。東京都の今後の取り組みに期待をするものであります。
 日本の代表的港湾として国の施策を担う東京港は、埠頭公社を中心に、臨海地域の交通、冷暖房、高い収益と金融資産を有する貸し会場事業をグループ化し、不良債権の処理を織り込みながら、局関連事業を地域ネットワークとして完成させました。臨海地域の、港湾局所管の事業体を結集し、臨海地域の一体運営という衣を着せたわけでありますが、その中核事業である港湾行政についてお伺いをいたします。
 ご承知のように、一千億円を投下した北九州のコンテナターミナル会社が、開港二年目にして債務超過に陥り、また昨年、日本に寄港した世界一のコンテナ船が、東南アジアと欧州を結ぶ航路に就航したと聞いております。
 現在、東京港は世界貿易港で二十三番目のコンテナ取扱量であります。この東京港と川崎、横浜を合わせても、第一位のシンガポールの半分にも届かない水準であります。国は、従来の横並び均一港湾行政から、全国六港をスーパー中枢港湾に指定し、投資の重点化を始めるなど対策をとっており、東京港もその一つでありますが、世界と肩を並べるには全く集中が足りないといわれております。
 日本はこれまで、海上大量輸送のおかげで、極東という不利な条件をはねのけ、低廉な海上運賃により日本の経済発展が助けられてまいりました。しかし、現在の海上輸送における拠点の地位低下は、このままでは、ものづくり大国としてコスト上昇につながりかねないのであります。
 ここで考えねばならないのは、今後の東京港の目指す方向性の選択であります。現在、東京港は、首都圏後背人口を支える輸入偏重構造でありますが、その需要対応を中心に、コスト競争力を高め、北米基幹航路の寄港回数死守を目的にするのか、あるいは大型化するコンテナ船に対応する日本の内航、外航等、ハブ・アンド・スポーク・ネットワーク港湾の性格を強めるため、迅速、集中的な投資を国に要請し、国際競争力を高め、国際基幹航路としての性格を強化するアジアトップクラスの港湾を目指すのかということであります。
 そこで、東京港の目指す方向性と、それを実現する戦略をどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 また、東京都も国も、外国人観光客の誘致に力を注いでおります。見詰められるまちは美しくなるだけに、観光施策は経済効果だけではない重要な意義もあるのであります。
 さて、東京への国際観光交通手段は飛行機、船ということになりますが、このうちワールドクルーズ船の誘致は大きなインパクトを与えるものであります。世界の臨海大都市、東京港への大型客船の寄港は、国内クルーズに比べ五倍以上ある経済効果もさることながら、観光施策のシンボルでもあります。
 そこでお伺いいたしますが、港湾施策として、ワールドクルーズ船の受け入れをどのように考えるのか。大型化するワールドクルーズ船受け入れは、積極的に取り組む課題であり、そのための必要な対応も検討すべきではないかと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
 東京都のスポーツ行政は、組織が再編され、スポーツに親しむ者として、都民の皆さんの健康増進の意味からも、これからの事業展開に期待する者の一人であります。
 さて、日本のアマチュアスポーツは、これを支えてきた企業のスポーツに対する取り組みが、所有から地域住民、自治体との協力支援、あるいはビジネスへと転換してまいりました。
 自立は、競技団体のみならず、レクリエーションスポーツ、地域スポーツといわれるものも同様で、定期的な使用を可能とする場所の確保とあわせ、運営マネジメントの能力育成がキーポイントであります。この点について、東京都は既に平成十三年度から課題に取り組んでおり、評価するところであります。
 こうした中、平成十九年度重点事業として、地域スポーツクラブの設立されていない市区町村を対象に、地域スポーツクラブ設立モデル事業を挙げております。
 この事業では、スポーツという商品の特殊性、参加者の満足度とマーケティングなどを十分に理解する、軸となるリーダーの育成が、クラブを継続し、広く地域に支持されるための重要な課題であります。最終的に、スポーツ施設を中心としたドイツ型の地域スポーツクラブを想定することになるのでありましょうが、今回の事業でのこれらの点について、取り組みをお伺いいたします。
 また、地域スポーツクラブ設立に際しては、民間で組織運営に携わり、定年を迎え、地域に戻ってくる経験豊富な意欲のある人たちも積極的に受け入れ、地域スポーツクラブ設立、運営のリーダーとして位置づけるべきではないかと思いますが、ご意見を伺います。
 以上をもちまして私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 矢島千秋議員の一般質問にお答えいたします。
 日本の活力についてでありますが、ご指摘のとおり、国は、均衡のある国土の発展という名のもとに地方に非効率な投資を続けてきました。一方で大都市は、渋滞や通勤ラッシュ、空港容量の不足などといった不便を余儀なくされてまいりました。
 法人二税の分割基準の見直しにせよ、ふるさと納税にせよ、東京への集中、集積自体を害悪視して、東京を痛めつけることが日本の発展につながるかのような誤った議論が繰り返されていると思われます。そうした議論には都市に対する文明工学的な認識が欠けていると思わざるを得ません。
 東京は、世界に類のない高度な集中、集積を持つ、非常に本来は機能的であるはずの日本の頭脳部、心臓部であります。東京が十全に機能を発揮することが我が国の命運を左右することは自明であります。東京に積極的に投資をし、機能向上を図り、活力を高めていくことが日本全体の発展にもつながると信じております。
 また、地方の真の発展に必要なのは、地方がみずからの意思と才覚で行動のできる権限と財源を国から移管することであります。しかるに、現内閣の財務大臣は一切税源は分与しないといってはばからない。とにかく太政官制度以来続く中央支配の構造を変えない限り、地方の発展はないと思います。小手先だけのまやかしの改革とは一線を画しまして、「十年後の東京」を実現して、東京のさらなる成熟発展を図るとともに、真の地方分権改革の断行を国に求め、日本の活力を高めていきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 初めに、治安状況についてお答えいたします。
 近年の犯罪状況を見ますと、全国における全刑法犯の発生件数は、昭和期にはおおむね百四十万件前後であったものが、平成に入り急激に増加し、平成十四年には約二倍の二百八十万件に達しました。
 このため、警視庁を初め全国警察では平成十五年から犯罪の抑止に取り組み、その結果、治安状況報告のとおり、犯罪の発生件数は年々減少し、検挙率は向上するなど、着実に成果を上げてきているところであります。
 しかしながら、昭和期と比べると犯罪発生件数は依然として多く、その内容も、親族間での凶悪な事件や路上強盗、ひったくりなど、平穏な社会生活を営んでいる人々に対する凶悪事件が多発しており、いつ、だれが、どのような被害に遭うかわからないといった不安感があることも事実であります。
 警視庁といたしましては、今後とも、犯罪総数の抑止とあわせて、都民、国民に不安を与える重要・凶悪事件や身近で発生する犯罪の抑止に努めてまいりたいと考えております。
 次に、先進諸外国との犯罪状況の比較について申し上げます。
 統計の方法等がそれぞれの国により異なりますので、正確な比較は困難でありますけれども、平成十六年の殺人事件による死亡者数を見てみますと、アメリカは一万六千百三十七人、イギリスは八百二十人、我が国は六百三十八人で、人口比で見てもアメリカは日本の約十一倍、イギリスは日本の約三倍となっております。
 また、平成十七年における強盗事件の認知件数を都市別で見ますと、ニューヨーク市では二万四千四百二十七件、大ロンドンでは四万五千三百十一件で、これに対し東京は七百三十三件と極めて少ない数字であり、人口比で見ても、ニューヨーク市が東京の五十倍、大ロンドンが約百倍となっております。
 我が国の治安状況が良好な理由の一つとして、厳しい銃器規制が挙げられますけれども、平成十六年中の殺人事件による死亡者のうち、銃撃によるものは、銃器規制の緩やかなアメリカでは九千三百二十六人、一方、銃器規制の厳しいイギリス、日本ではそれぞれ七十七人、十七人となっておりまして、厳しい銃器規制が殺人などの凶悪な事件の発生を抑止していることがうかがえるところであります。
 最後に、地域住民との協力関係について申し上げます。
 近年、安全・安心に対する意識の高まりとともに、都民の皆様の防犯に対する関心が大いに高まっており、防犯ボランティア団体は、平成十五年には約百五十団体、一万四千人であったものが、昨年末には三千二百団体、十四万三千人とふえてきております。これらの団体は、防犯パトロールを初め、通学路などにおける子どもの見守り活動や環境美化活動などに積極的に取り組んでおりまして、地域の犯罪抑止に大きく寄与していただいているところであります。
 警視庁では、こうした地域住民による自主防犯活動をさらに拡大するため、犯罪や防犯に関する情報の提供や合同パトロールの実施、効果的な自主防犯活動に資する情報の提供、防犯ボランティア相互の意見交換の機会の積極的提供などを実施しているところであります。
 今後とも、防犯ボランティアの活動を支援してまいりますとともに、自治体、関係機関との連携を強化し、安全・安心なまち東京の実現に努めてまいりたいと考えております。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 予算における行政マネジメントについてでございます。
 都財政は、長期にわたりまして、マイナスシーリングによる歳出削減なしには予算が編成できないという困難な時代を経てまいりました。今日、ようやくそれを克服し、都財政は「十年後の東京」の実現に向け、政策諸課題や、これから更新期を迎える膨大な社会資本ストックへの対応などに中長期的視点に立って取り組むべき新たなステージを迎えております。
 これからの財政運営に求められておりますのは、今後予想される激しい社会経済変動の中にあっても、政策課題を着実に実行し得る弾力的で強靭な財務体質を築くとともに、マネジメントにおいても事業の実施結果を従来にも増して重視し、結果をしっかり検証することによって、次の事業展開をより効果的、効率的なものにする仕組みを充実することであります。
 十八年度から導入された新たな公会計制度は、予算編成過程で実施する事務事業評価と相まって、事業の事後検証をより効果的に実施することを可能にしております。
 以上の観点に立ちまして、予算編成手法について、シーリング手法などの見直しを行いまして、各局の自主性を一層発揮できるようにするとともに、事業の実施結果を評価、検証し、次期の予算に的確に反映する新たなマネジメントサイクルの確立に取り組んでまいります。
   〔監査事務局長白石弥生子君登壇〕

○監査事務局長(白石弥生子君) 監査事務における人的体制の強化についてでございますが、昨年度から導入されました新公会計制度に対応いたしまして、広範にわたる都の行財政運営を効率的、効果的に監査していくためには、お話のとおり事務局機能の充実が重要であります。
 これまでも、職員の専門能力を高めるため、経営分析などの専門研修の充実に努めるほか、システムエンジニアや公認会計士など、専門家の監査技術や手法の習得を図ってまいりました。
 さらに、この七月一日には新たに公認会計士一名を任期つき職員として採用し、人的体制を強化する予定でございます。
 今後とも、都の行財政運営を経済性、効率性、有効性の観点からチェックする監査委員監査の充実を図ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) まず、駅前広場の整備についてでございます。
 池袋、新宿などの副都心のターミナル駅の駅前広場につきましては、安全で円滑な交通処理などを目的にいたしまして、その多くは戦前から戦後にかけて都市計画決定されてございます。その後、増加する自動車交通にも対応できるよう、順次整備が進められてまいりましたが、現在、交通混雑や人と車のふくそうなど、課題を抱えている箇所も見受けられます。
 今後の駅前広場の整備のあり方につきましては、地域の将来像などを踏まえ、人と自動車の共存にも配慮していくことが重要と考えております。
 次に、面的に道路整備が進捗した地域のまちづくりでございますが、道路ネットワークが一定程度整備された地域におきましては、交通処理機能を損なわない範囲におきまして、さまざまな道路利用者に対応した道路の再編整備が可能であると考えられます。
 このため、これらの地域におきましては、ご指摘のように、歩行者や自転車にも配慮して道路のあり方を工夫していくことも、地域にとっては望ましいのではないかと考えております。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、東京港の目指す方向性についてのお尋ねであります。
 東京港は、半径百キロの首都圏でとらえますと、ニューヨークやロンドン、パリをはるかにしのぐ、世界最大規模の人口とGDPを有する大経済圏を背後に抱えております。このことから、東京港は、シンガポールや香港、釜山といった、国際貨物の積みかえを中心に行う国際ハブ港湾とは異なり、住民生活や産業活動に必要な貨物を中心に取り扱う、いわゆる市場立地型の港湾であると考えております。
 こうした東京港の機能を堅持し、首都圏四千万人の生活と産業を支えていくためには、国際基幹航路の大型船が直接寄港するメーンポートとしての地位を今後とも維持発展させていくことが東京港の使命であると認識しております。
 そのためには、第一に、船舶の大型化や海上貨物の急増に対応できる高規格ふ頭を整備すること、第二に、背後圏との貨物輸送を効果的に行うための十分な荷さばき地を確保すること、第三に、港湾施設と内陸部を結ぶ円滑な道路網の整備が必要となってまいります。
 このことを踏まえまして、第七次改訂港湾計画では、中央防波堤外側に新たな高規格コンテナふ頭を整備していくとともに、大井、青海の既存コンテナふ頭の背後を拡張して港湾機能を強化することとしており、今後、外貿コンテナふ頭の三極体制を強力に進めてまいります。
 あわせて、国や関係各局とも連携して、東京港臨海道路や首都圏三環状道路等の着実な事業推進を図り、円滑な交通ネットワークの構築に努めてまいります。
 こうした取り組みを着実に実施し、今後とも、首都圏の社会経済活動を支える一大物流拠点として、東京港の国際競争力の強化を図ってまいります。
 次に、外航客船の誘致についてのお尋ねでございます。
 客船は港の花ともいわれ、港に潤いとにぎわいを与えるとともに、東京への海外からの観光客誘致にもつながるものでございます。
 このため、多くの客船に東京港を利用してもらえるよう、都はこれまで、毎年実施している海外でのポートセールスにおいて、クルーズ会社を訪問し、銀座や浅草などの東京の観光スポットを紹介する誘致活動を行ってまいりました。
 また、臨海地域の開発の進展に伴い、港湾機能と都市機能とが一層共存する東京港におきましては、十年後のオリンピック招致の機運も盛り上がってきており、人的交流が広がる客船誘致を進める環境がより整ってきていると考えております。
 こうした状況を踏まえ、今後、クルーズ客を温かくもてなす仕組みづくりや、東京ならではの歴史や文化の体験メニューの開発、主要な近隣観光名所との連携策等について、客船やクルーズに精通した識者の意見も聞き、より多くの寄港が実現するよう、さらに効果的な誘致策を検討してまいります。
 なお、大型化するクルーズ船に対するハード面での受け入れ態勢についても、重要な事項と承知いたしておりますが、入出港する際の航行の安全性や客船ターミナル機能の確保等の検討が必要であると認識しております。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  地域スポーツの振興についての質問にお答えいたします。
 都は、生涯にわたってスポーツに親しめる社会の実現を目指し、地域の日常的なスポーツ活動の場として、地域スポーツクラブの設立促進とクラブ運営の支援に取り組んでおります。
 今年度から開始する地域スポーツクラブ設立モデル事業におきましては、地域説明会や普及活動などにより、参加者ニーズの把握を行い、地元の区市町村と連携しながら、地域実態に即した取り組みを行ってまいります。
 さらに、地域スポーツクラブの設立支援協議会で、人材の発掘、育成、活用策の検討や、設立モデル事業を通じて、地域に潜在している経験豊富な人材にクラブマネジャー、リーダーとして活躍していただくこと等を積極的に促進してまいります。

○議長(川島忠一君) 十三番原田大君。
   〔十三番原田大君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十三番(原田大君) まず、環境税について質問します。
 大都市東京を持続可能な形で発展させていくことは、未来に対する私たちの責任です。
 これまでの産業経済社会の発展の中で、人間社会は自然環境にさまざまなものをごみとして排出してきました。これまで、人間社会のごみは自然が、いってみればただで全部処理をしてくれていましたが、最近では、ごみの量が自然環境の処理能力を超えてきています。ここまで環境に与える負荷が大きくなると、ごみ処理には相応の処理コストを払うことが必要だという認識を新たにしなくてはなりません。
 昨今、自動車リサイクル法や家電リサイクル法の中で、リサイクル料金が課されるようになってきました。しかし、産業社会の根本的な課題であるエネルギー消費から排出されるごみ、すなわちCO2については、削減実績とあわせて、なかなか成果が上がっていないのが現状です。
 その影響については、例えば東京都においてもこの夏の水不足が心配されておりますが、それも温暖化による気候変動が原因ともいわれ、影響が実感されるようになってきました。温暖化対策、省エネ対策は待ったなしの状況です。
 そうした中、東京都においては、環境税制についてが東京都税制調査会の今年度の検討項目の柱の一つに取り上げられることが、本年五月十六日の第一回会合で決まりました。また、六月一日に発表された東京都気候変動対策方針では、都独自の省エネルギー促進税制の導入を、減免、課税の両面で検討を開始することが盛り込まれています。こうした都独自の環境税に対する取り組みが積極的に掲げられていることについては、大変よいことではありますが、問題は、どれだけ本気で環境税制導入に向けた取り組みができるかであります。
 東京都気候変動対策方針では、国の動きを、環境税の導入をめぐっていたずらに長期間の議論が続いていると批判していますが、これまでいたずらに議論が続き、実際に導入に至っていない点については、残念ながら都も同様であります。
 都税調の答申を見ると、平成十二年度には温暖化対策として炭素税を創設する旨がうたわれ、翌十三年度の答申ではかなりのページ数が割かれていました。以後、十六年度までは炭素税について言及がありますが、それから途絶えています。
 そうした中、今回、都税調でも、東京都気候変動対策方針でも言及がなされたわけです。今回こそは、他に誇れる環境税制を構築していかなくてはならないと思います。
 この炭素税について、外部不経済の内部化ということを考えれば、導入についての議論は不可欠であります。都は、省エネルギー促進税制の導入を、減免、課税の両面で検討を開始することとしていますが、炭素税はそのうちの増税要因となります。こうしたことまであわせて議論していくということでいいのか、見解を伺います。
 あわせて、導入に向けてどういった展望のもとで検討を開始しようとしているのか伺います。
 炭素税の議論を進める際、既存の自動車関係税や燃料関係税、ひいては道路特定財源との関係についての調整を図ることは避けて通れません。そもそも既存の仕組みには環境の視点が欠落しています。そうでなくても化石燃料関係には既にかなりの税金がかかっていることから、新たに炭素税を課すとなると、負担を抑える意味で、既存の化石燃料税の一部を環境目的税に振りかえる、あるいは既存の財源を環境目的に使用するといった議論が必要かと思います。
 ただし、この道路特定財源は、大都市における道路需要に反して、自治体の財源が不足しております。都議会としても昨年の第三回定例会におきまして意見書を決定いたしました。しかし同時に、環境対策も待ったなしであります。この道路特定財源の問題を避けた形で環境税の議論が行われれば、導入可能性は著しく低下するものと容易に想像ができます。
 環境税の議論を始めるに当たり、道路特定財源の問題を国との関係性も含めて整理することが不可欠であり、今回検討を再開するに当たり、検討を始める前提条件としてとらえるべきだと考えますが、見解を伺います。
 こうした課題はありますが、本当に循環する社会経済システムをつくり、持続可能な大都市東京を築いていくためには、これまでコストが正当に評価されてこなかった経済の静脈部分、つまり、目に見えないエネルギーのごみとしてのCO2の処理費用を社会経済システムの中に組み込まなくてはなりません。その一つの解決策が環境税です。国が動かないというならば、今度こそ都が率先して導入していかなければならないと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、放置自転車のリサイクルに係るトラブル防止について質問します。
 今日、自転車は便利な乗り物として広く利用されています。駅前等の公共の場所における放置自転車の処理については、特別法も整備され、区市町村を中心に取り組みが進み、一定の成果が認められるところであります。
 しかしその一方で、置き去りにされた放置自転車の問題があります。それは、団地やマンション等、私有地ではあるものの半公的な敷地内、あるいは駅前等以外の公共の場所など、放置自転車対策の根拠法となっている自転車法の枠に入ってこない場所における放置自転車の問題であります。
 現在、自治体による放置自転車の処理については、自転車法を活用し、自転車防犯登録制度等も活用しながら取り組みが進められています。その際、引き取り手のない自転車で再利用できるものについては、整備を行った上で一般に販売されたりしています。もったいない精神が発揮され、環境的にもごみの量を減らしていく取り組みが多くの自治体で実践されています。
 そうした中、最近、こうした自治体の取り組みを参考にしながら、団地の自治会、マンションの管理者等が、その敷地内の放置自転車の処分と再利用を進めている例を耳にします。こうした動きの趣旨については、環境への取り組みを進めるものでもあり、また地域自治を進めるものでもあり、一般には、よい取り組みと受けとめられるのではないかと思います。しかしながら、ここに落とし穴があり、トラブルが続発しています。
 まず、団地等でリサイクルされた自転車を利用中に警察官に呼びとめられ、利用者が、占有離脱物横領、遺失物横領といった罪に問われるケースが続発しています。あるいは、廃棄物として処分された後、所有者からの、ごみではなく価値のあるものだったという主張によってトラブルが発生したケースも見受けられます。
 実際、駅前等の放置自転車については、自転車法によって自治体の処分権や所有権の移転に関する規定があり、これに基づいて自治体は合法的に処分や所有権の移転が行えますが、団地やマンションの敷地等ではこの法律は適用されません。ほとんどの自治体では、民有地等の放置自転車については、相談があっても、対応ができないと伝えているようであります。
 そこで、団地の自治会やマンション管理者等が困り果てた結果、自治体に倣って処分や再利用をしようとすると、その場合には、民法の規定に従って、もとの所有者の所有権が強く保護されているために、勝手に処分や再利用すると罪に問われてしまう可能性があるわけです。
 しかしながら、団地やマンション等における放置自転車はやはり迷惑なものであり、放置された側は被害者です。彼らが救済されないばかりか、環境のことを考えて自転車をリサイクルしようとした場合に罪に問われる可能性があるなど、現在の仕組みの中では彼らが置き去りにされてしまっています。
 こうした状況を打開するために、都として、まずはトラブルを未然に防ぐために、法的に問題のない処分方法について周知するなどの対応が考えられるかと思います。まず、例えば都営住宅や民間マンション等の敷地における放置自転車の対応についてどのような取り組みをしていくのか伺います。
 トラブルに巻き込まれることなく放置自転車を処分あるいは再利用するには、自転車が廃棄物であるとはっきりいえるかどうかが一つの判断基準になります。そこで、放置自転車がどういう状態であれば、明らかに廃棄物であると判断できて処分や再利用を行うことができるのか伺います。
 この問題の解決には、根本的には国の法整備が必要かもしれません。しかしその前に、自転車利用者のマナーの低下が放置自転車を生んでいます。都は自転車利用者のマナーの向上についてどのように対応するのか伺います。
 次に、特別支援教育について質問します。
 北区と障害児教育のかかわりは深く、一八九一年、明治二十四年に、日本最古の知的障害者のための社会福祉施設である滝乃川学園が現在の北区滝野川の地に創立されました。以来、現在でも、自治体、民間を含めてさまざまな取り組みが進められています。都立の関連施設も集中しており、障害者福祉の分野で大きな役割を担ってきました。
 さて、東京都では、平成十六年に特別支援教育推進計画が策定され、現在、第一次実施計画の計画期間中であります。そうした中、都立の盲・ろう・養護学校に在籍する児童生徒の希望者全員が居住する地域の小中学校にも副次的な籍を置く副籍制度が本年度より本格的にスタートしました。
 これに先立ち、北区においては、多摩の三市と並んで、二十三区では唯一となる特別支援教育体制・副籍モデル事業が実施されました。実際に副籍事業が行われる中、養護学校の児童が一般の区立の小学校の運動会に参加できたなどの成果がありました。その運動会では、区立小学校の児童が自発的に養護学校の生徒を手助けする光景が見られるなど、区立小学校の児童にとってもよい経験となったに違いありません。
 さて、養護学校に入ってからはそれなりの教育相談体制があるものの、障害児を持つ親にとって最大の悩みは、まず就学前に訪れます。保護者が幼い自分の子どもの状態を十分客観的に把握し、子どもの就学先を決定するのはなかなか困難なことです。養護学校に入ってしまえば、地域とのつながりはどうしても希薄になってしまいます。かといって、区立の普通の小学校では、うまく対応できるかといった心配もつきまといます。こうした子どもを持つ親の不安を解消するためにも、また、都立の養護学校と区立の小学校が互いに補い合って最大の教育成果を上げてくためにも、就学前の教育相談体制の充実が望まれます。
 例えば、王子第二養護学校では、自閉症や教育心理学の専門家を招き、たんぽぽ教室という、就学前の幼児を対象とした幼児教室を今年度より実施の予定と聞いています。こうした相談の機会があれば、発達障害の早期発見にもつながり、その後の教育方針を決めていく上でも大いに参考になるはずです。
 現在、知的障害を対象とする幼稚園がない分、養護学校の小学部においてこうした取り組みを進めていくことは重要だと考えます。都においては、こうした各校の創意工夫を支援することが重要であると思います。都における就学前児童を対象とした相談等の事業の取り組み状況と今後の方針について伺います。
 北区においては、保育園、児童館では臨床心理士の巡回相談を実施していますが、必ずしも就学相談との連携が十分ではありません。障害を持つ子どもにとって最良の環境を見出していくためには、幼稚園と保育園や児童館、それも区立、都立、私立の差なく、情報交換と連携の体制をつくっていくことが必要です。
 無論、こうした各地での取り組みについては、地域によって歴史や持てる資源が異なるため、都で一律のやり方を押しつけるのではなく、地域の特性を生かした仕組みをつくらなくてはなりません。こうした地域の特性を生かした上でのさまざまな関係機関との連携について、都は地元区市町村とも連携しながらどのように進めていくのか伺います。
 LD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒が特別支援教育の対象となり、また、副籍事業が始まった結果、学校関係者の仕事がふえています。その中には、一定の専門知識がないと対応が難しいものもあります。
 北区の事例では、モデル事業の実施結果を受けて、区が小児精神科医師、心理職、学識経験者などから成る専門委員会と巡回相談チームを組織し、対応に当たることとしています。この場合は、区が専門家を配置することとなりましたが、特別支援学校にも同様の専門職の配置が求められる場合もあるかと思います。
 都は、今回のモデル事業の結果を受けて、専門家の必要性及び配置計画等についてどのように考えているのか伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 原田大議員の一般質問にお答えいたします。
 環境税についてでありますが、都は、温暖化問題に実効性のある具体策を提示できない国を待つことなく、CO2の大幅な削減を可能とする都市モデルをこの東京で実現するため、大規模なCO2排出事業所、つまり多量の電力を消費しているビルに対する削減の義務化、排出量取引制度の導入など、独自の対策の実施を目指して取り組んでまいります。
 税制の活用も有効な手段の一つでありまして、企業や家庭等での省エネを促進するための新しい税制度の確立に向け、東京都税制調査会で検討していただくつもりであります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都におきます知的障害のある就学前の幼児の相談についてであります。就学前の幼児に対しましては、現在、就学相談室を設けて、就学する学校の選択についての相談を行っております。今後は、さらに地域のセンター的機能を有する都立特別支援学校小学部設置校においても、幼稚園や保育所に在籍する幼児に対して幅広く支援や助言を行ってまいります。
 次に、都とさまざまな関係機関との連携の進め方についてでありますが、都教育委員会では、東京都特別支援教育推進計画第一次実施計画におきまして、障害のある幼児に対する就学前機関の支援を小学校等につなげるため、保護者と幼稚園、保育所などが連携して作成します就学支援シートを開発してまいりました。今後、区市町村への就学支援シートの普及に努めていくとともに、特別支援学校と幼稚園、保育所や関係機関等との情報共有などを推進してまいります。
 次に、特別支援教育にかかわる専門家の必要性や配置についてでありますが、ご指摘の北区の事例のように、各区市町村が専門委員会と巡回相談チームを組織し、対応に当たることは極めて重要であります。都教育委員会は、これまでも区市町村におけるこうした組織づくりに対し、助言を行ったり、専門家を紹介したりするなどの支援を行ってきたところでございます。
 今後は、都立特別支援学校の教員がその専門性を発揮し、区市町村が設置する専門委員会や巡回相談チームの一員として活動にかかわることにより、区市町村における特別支援教育を支援してまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず環境税の導入についてでございますが、東京都税制調査会は、平成十三年の答申におきまして、環境税を全国ベースの地方税として導入すべきとしてございます。今回、気候変動対策が我が国の喫緊の課題であり、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを東京全体で展開することが重要であるとの認識に立ちまして、改めて東京都税制調査会に対しまして、独自の省エネ促進税制について、また省エネ投資等の促進、省エネ行動への誘導など、幅広い角度から検討をお願いしたものでございます。
 次に、省エネ促進税制検討の前提条件についてでございます。独自の省エネ促進税制につきましては、導入の効果、それから産業経済への影響、他の環境政策との関係、さらには、ご指摘の道路特定財源を初めとする既存の税制との整合性など、さまざまな視点から検討することが不可欠であると考えております。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 都営住宅などにおける放置自転車についてでございます。都営住宅の日常管理は居住者で構成します自治会が自主的に対応しておりまして、都といたしましては、放置自転車の処分に係る法的な留意事項等につきまして、今後とも自治会への情報提供に努めてまいります。
 また、民間マンションの管理に関する情報につきましては、これまでも管理業団体などを通じまして提供を図っておりまして、放置自転車につきましても必要に応じて対応してまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 放置自転車のリサイクルについてでありますが、廃棄物処理法における廃棄物とは不要になったものをいい、放置された自転車の場合には、所有権の放棄の意思が明示されている必要があります。しかし、現実にはその確認は困難であり、遺失物か廃棄物か、断定しがたい場合が多うございます。明確に廃棄物と判断される自転車につきましては、貴重な金属資源であることから、単に処分するのではなく、できる限り自転車として再利用したり、鉄スクラップ等としてリサイクルすることが重要であると考えております。
 都は、今後とも、関係機関や区市町村と連携して、再利用やリサイクルが円滑に進むよう周知を図ってまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 自転車利用者のマナーの向上についてでありますが、都は、例えば本年一月に実施しました自転車利用に関する緊急アピールの中で、歩道上の暴走行為の禁止などとともに、自転車放置の禁止についての訴えも行ったところであります。今後とも、利用者マナーの一層の向上を図るため、あん・あん自転車TOKYOキャンペーンなどを通じて、自転車放置の禁止についても普及啓発に努めてまいります。

○副議長(木内良明君) 十番西崎光子さん。
   〔十番西崎光子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○十番(西崎光子君) 初めて質問いたします。世田谷選出の西崎光子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、今後の都政運営について伺います。
 知事は三期目の選挙に当たって、東京再起動を掲げて当選を果たしました。ところが、先日の所信表明では、今後四年間の都政運営に向けて何をどのように再起動するのか、具体案が示されませんでした。特に喫緊の重要課題である新銀行東京については、再起動のかじ取りをどのようにしていくのかが問われています。知事が二期目の公約に掲げ、まさにトップダウンで進められてきましたが、赤字が大きく膨らみ、知事は、発案は私で、その責任はあるが、金融の専門家ではない。経営者に責任があるとして、経営陣を刷新しました。
 そもそも新銀行設立の目標は、無担保融資で中小企業を救うことにありましたが、当然リスクが伴うものです。生活者ネットワークは、事業内容の詳細が示されないまま予算案の中に一千億円の出資を入れ込んで、一括審議とするなどの乱暴な新銀行の提案に反対してまいりました。赤字膨張の原因が審査能力不足や融資モデルそのものにあったのは明らかです。
 知事自身も新銀行について、進むも地獄、引くも地獄という、惨たんたるありさまですと発言しておられますが、この言葉は、都の大きな負の遺産である臨海についての知事の発言と重なります。これ以上の損失を招かないためにも、ここは知事のトップダウンで新銀行の幕引きをきっぱりと行うべきではないでしょうか。知事の見解を伺います。
 次に、民生・児童委員の制度の機能強化について伺います。
 認知症高齢者の増加や孤独死、そして児童虐待の問題など、少子高齢化に伴い、地域の福祉課題は増加、複雑化しています。これらの問題解決のためにさまざまな役割を求められている民生・児童委員の負担は重くなっています。
 こうした状況を踏まえ、東京都は今年度、機能強化を図るための新たな事業として、仮称民生・児童委員サポーター制度を創設することを予定しており、具体的な事業内容について今後検討すると聞いています。しかし、現場からは、サポーターの位置づけがあいまいであり、法的規定のないサポーターの協力には限界があるという意見もあります。ことしは民生・児童委員一斉改選の年であり、区市町村は現在その準備に追われています。新たに導入するサポーター制度が民生・児童委員の機能強化と負担軽減につながるためには、現場の意見を十分に踏まえた事業内容にすることが求められますが、現在の検討状況について伺います。
 次に、感染症対策、とりわけ麻疹対策について伺います。
 東京都健康安全研究センターのまとめによると、都内の学校等の施設における麻疹患者の発生は二千十七人であり、中でも大学生、高校生の患者が八百人と多いのが今回の流行の特徴です。この世代は、麻疹の予防接種を受けてない人が比較的多いことや、予防接種を受けても免疫が低下した者がいることが流行の背景でした。しかも、高校生や大学生は小児に比べて行動範囲が広く、塾や地域の活動を通じて感染が広がった可能性があります。このため、公立、私立学校の区別なく、幅広い予防策が求められます。
 今回の集団感染防止において、関係機関がどのように連携して取り組まれたのか伺います。
 茨城県の竜ヶ崎保健所では、過去の教訓を生かし、保育所、幼稚園、学校等における麻疹患者発生時の対応マニュアルを作成し、感染者を最小限に抑え、これを参考にしている自治体も多いと聞いています。都でも学校等での患者発生時の初動体制を強化するため、こうした取り組みを行うべきと考えますが、見解を伺います。
 先進国では麻疹は根絶に近い状態にあるのに比べ、日本は麻疹の輸出国と非難されており、麻疹患者の発生を限りなくゼロに近づける努力が求められています。厚労省は、専門家による検討会を開催し、国レベルでの予防強化にようやく乗り出すようです。しかし、東京は、若者が集散する人口密集地域であり、麻疹の根絶を目指し、率先して抗体を持たない都民への注意喚起と予防接種の奨励に努めるべきと考えますが、今後、都はどのようにしていくのか伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 主要国首脳会議G8サミットは、六月七日、各国の思惑を超えて、温室効果ガス排出量を二〇五〇年まで少なくとも半減させることを真剣に検討するという合意を発表しました。既に、先行して東京都は、カーボンマイナス東京十年プロジェクトの基本方針である東京都気候変動対策方針の中で、東京が日本の気候変動対策をリードするとし、明確な政策提案により世論を喚起し、実現を目指すと明言しています。
 この中でうたわれた、今大きく動こうとしているのが環境自動車燃料導入プロジェクトです。都は既に今年度から第一世代、第二世代のバイオディーゼル燃料の率先導入プロジェクトを開始していますが、その進捗状況と今後の展開について伺います。
 バイオディーゼル燃料は植物油脂の成分を用いているので、温室効果ガスを増加させず、地球環境に優しい燃料といわれています。しかし、原料となる植物油脂の多くが菜種油やパーム油のように食料品として利用されてきたものであり、アメリカでのバイオエタノールの生産が急増したことで、マヨネーズやオレンジジュースまで値上がりしたとのことです。
 都は、バイオディーゼル燃料の率先導入を進めるに当たっても、食料品需要への影響に配慮し、廃食用油など、食用に適さない油脂を原料として活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 今、自治体、市民団体やNPOが家庭の廃油をリサイクルして、バイオディーゼル燃料として使用しています。小さな試みですが、将来を考えますと、持続可能な循環型エネルギーとして大いに可能性が広がります。東京都は大きな消費都市で、廃棄される食用油は大量にあると推測されます。この廃食用油の回収ルートと処理施設を設定することで大きなエネルギー源を手に入れると同時に、ごみの減量も図れると考えますが、見解を伺います。
 六月に山形県で第七回全国菜の花プロジェクト大会が開催されました。一面に広がる菜の花は人々の心をいやし、食卓を彩り、菜種油は調理用に、搾りかすは肥料に、調理後の廃油は石けんやディーゼル燃料にと、資源循環型のまちづくりに取り組んでいる人たちの大会です。この菜の花プロジェクトは、地域の廃油も回収し、バイオディーゼル燃料を使う運動をしています。このような草の根の運動の広がりが地球を守ることにつながっています。
 「十年後の東京」で、都民や環境団体が一体となって推進する温暖化対策を掲げている東京都は、こうした都民の自発的な取り組みと連携を深めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、食の安全について伺います。
 これまで東京都が都民のBSEへの不安にこたえ、国産牛の全頭調査を行ってきたことは、日本市場の全頭調査への流れをつくり、国民の食の安全を守ることにつながってきたと評価しています。しかし、国はBSEについて、生後二十カ月以下の国産牛の検査費用補助を二〇〇八年七月で打ち切ることとしています。そして、折しも六月に入って、国は、アメリカの日本向け食肉処理施設に関する点検調査は終了したことを発表し、アメリカ牛肉の全面解禁に向けての動きが出てきました。しかし、国民の不安はまだまだぬぐえません。不安を払拭するためにも、中央卸売市場を通った牛肉は安全という芝浦ブランドを持たせる意味でも全頭調査は重要です。そこで、来年度以降引き続きBSEの全頭調査を行うのか、都のお考えを伺います。
 日本の食糧自給率はどんどん低下し、二〇〇五年では熱量に換算すると四〇%まで落ちています。主な食糧輸入国はアメリカ、中国で、特に輸入野菜の中国産の割合は重量ベースで六三%にもなっています。経済成長の目覚ましい中国では、一方で、食品の監視は手が回らない状況です。経済がグローバル化する中で、大量にふえ続ける輸入食品の国内での監視体制が問われています。
 そこで、東京都の輸入食品対策について、その監視体制、国との連携、都民への周知について伺います。
 食の安全に常に大きな関心を持ち続けている私たちにとって、築地の中央卸売市場の移転問題は見逃せない課題です。豊洲の新市場予定地の土壌汚染については、知事も、再調査の必要性を含め、専門家に意見を聞き、必要があれば実施すると都民に約束しました。その専門家会議の第一回目が開催され、今月末には二回目が予定されていますが、事業者がつくったデータや処理方法、過去の評価をなぞるだけでは見直しの意味をなしません。土壌汚染に関しては、法律の改正後の新たな基準でのデータ検証を進めてこそ、客観性が担保できると考えます。また、専門家会議の議論を多くの人と共有し、情報公開を進めることが信頼関係をつくる第一歩です。傍聴枠を大きく広げ、傍聴できなかった人への配慮を丁寧にすべきと考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 西崎光子議員の一般質問にお答えいたします。
 新銀行東京についてでありますが、今決算においては、計画を上回る不良債権の発生などにより経営が悪化しました。これまでに一万六千六百件の融資、保証を実行しておりまして、中小企業金融において重要な役割を果たしていることには変わりはないと思います。
 都は出資者として、今後とも新銀行東京が、新経営陣のもとで収益面の改善を図りつつ、中小企業への金融支援を一層充実していくように働きかけを行ってまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 六点についてお答えをいたします。
 まず、仮称民生・児童委員サポーター制度の検討状況についてでございますが、この制度は、児童虐待防止、子育て支援、高齢者の見守りなど、地域における課題が多様化していることから、民生・児童委員の活動のすそ野を広げ、地域力の向上を図ることを目的として導入するものでございます。
 現在、区市町村や民生・児童委員の代表などから成る検討会を設置し、地域の実情に即した制度となるよう、サポーターの選出方法や活動内容等について検討しております。
 今後も、関係者の意見を聞きながら、円滑な事業開始に向けて準備を進めてまいります。
 続きまして、集団感染防止における関係機関の連携についてでございますが、都では昨年度から、都内すべての保健所が集団感染の対策情報をリアルタイムで共有する、都独自のオンライン情報システムを運用しております。保健所は、このシステムからの情報を活用しながら、学校、校医、医師会等と連携し、速やかな休校措置を指導して感染経路を遮断するなど、感染拡大防止に努めてまいりました。
 このたびの流行では、都内の高校、大学で複数の患者が発生いたしました集団感染事例百五十二校に対し、速やかな指導を実施いたしました。
 次に、学校等での初動体制についてでございますが、麻疹は感染力が強いことから、免疫の弱い集団では感染が広がりやすく、患者発生時の初動が重要でございます。
 このため、都は、情報システムを活用して、患者発生情報等を迅速に伝達し、機動的な初動体制を確保してございます。
 今般の流行に際しましても、対策担当者の緊急連絡会の開催や、お話の対応マニュアル、これは国立感染症センターの監修したものでございますが、その一部を取り入れて都が独自に作成いたしました対策指針を活用するなど、地域における初動体制を着実に強化してございます。
 今後、各保健所が実施いたしました集団感染防止対策の事例について検討、分析するなど、対策の一層の強化に取り組んでまいります。
 次に、都民への注意喚起と予防接種勧奨についてであります。
 今般の流行に際しましても、都は、情報システムによります地域情報の把握や、指定医療機関での定点調査等から麻疹の流行を察知し、都民に対して速やかに注意喚起を行ってまいりました。
 麻疹の予防は、予防接種法に基づく定期の予防接種を確実に受けてもらうことが基本でございますが、接種期間が限られているため、法定の接種を受けられない子どもも一定数おります。
 都は、こうした子どもへの接種を促進し、ワクチン接種率のさらなる向上を図るため、今年度より、包括補助制度を通じた区市町村支援を開始しております。
 今後も、区市町村などと連携し、適切な情報提供と予防接種の勧奨に努めてまいります。
 次に、牛のBSE全頭検査についてでありますが、国は、生後二十カ月以下の牛の検査費用補助を来年七月末をもって終了することとしておりますが、その時点までは、これまでと同様に、すべての牛のBSE検査を実施していくことに変わりはございません。
 来年八月以降の検査に関しましては、今後の状況を踏まえ、適切に対応してまいります。
 最後に、輸入食品対策についてでありますが、都は、輸入食品対策を、東京都食品安全推進計画の重点事項として位置づけてございます。
 輸入業者や卸売市場に対しましては、健康安全研究センターの輸入食品監視班や市場衛生検査所が、また、小売りの段階では都内の保健所が、国の検疫所からの最新の違反情報なども踏まえまして、それぞれ効果的な監視指導を実施してございます。
 また、事業者の自主管理の推進を図るため、衛生講習会を開催し、輸入食品に関する最新情報を提供しております。
 さらに、都民に対しましては、ホームページで違反事例などを公表し、迅速な情報提供を行ってございます。
 今後とも、関係機関と連携し、こうした取り組みを着実に行い、都民の食の安全確保に努めてまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) バイオディーゼル燃料に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、率先導入プロジェクトの進捗状況等についてでありますが、第一世代バイオディーゼル燃料は、植物を原料に含むため、品質劣化による車体等への影響を防ぐ観点から、適切な管理が必要であります。
 このため、都は、この秋より、都営バスを使ったモデル事業におきまして、燃料の管理方法などのノウハウを明らかにしてまいります。
 また、並行して、化学的処理により製造する、品質劣化のおそれがない第二世代バイオディーゼル燃料についても、実用化に向けた共同プロジェクトを進めてまいります。
 次に、バイオディーゼル燃料の原料についてでありますが、バイオディーゼル燃料の利用拡大が食料品需給の逼迫や熱帯雨林の伐採を促すことのないよう、都は、本年二月に開始した率先導入プロジェクトにおいて、既に原料調達などにも配慮しております。
 また、その一環として、廃食用油など、食用に適さない油脂の活用も検討を開始しております。
 次に、廃食用油の回収についてでありますが、約六割を占める業務用途からの廃食用油は、食品リサイクルの一環として、既に動物用飼料等へのリサイクルルートが確立しております。
 一方、一般家庭からの廃食用油は、一部の地域で回収されているものの、多くは固形化した後、可燃ごみとして出されている実態があります。
 現在、これらの実態を踏まえ、第二世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けた取り組みにおいて、原料供給体制についても検討しております。
 最後に、都民等との連携についてであります。
 世界で最も環境負荷の少ない先進的な環境都市を実現するためには、都民、民間企業、NGOと行政が一体となり、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを東京全体で展開していく必要があります。
 今後、そうした観点に立ち、都民などの省エネ意識をより高めるとともに、それぞれの役割と責任に応じた主体的な省エネ行動が積極的に推進されるよう努めてまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 専門家会議の議論を都民と共有することについてでございます。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策については、広く都民と情報を共有し、土壌汚染に対する不安を解消していくことが必要であると認識しております。
 このため、専門家会議は公開で行うとともに、会議終了後、速やかに会議の資料及び議事録等をホームページで公開するなど、審議過程の透明性の確保と都民との情報共有に努めているところでございます。
 会議の傍聴者数については、委員に密度の濃い実質的な討議をしていただくため、議論に集中できる静ひつな環境が保てるよう、四十人という枠を設けたところでございます。
 今後、できる限り多くの方々に会議の内容を理解していただけるよう、傍聴の希望に添えなかった方々への会議資料の配布などを検討してまいります。

○議長(川島忠一君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(川島忠一君) これより日程に入ります。
 日程第一から第二十七まで、第百三十一号議案、政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例外議案二十四件、諮問一件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事谷川健次君。
   〔副知事谷川健次君登壇〕

○副知事(谷川健次君) ただいま上程になりました二十七議案についてご説明申し上げます。
 初めに、第百三十一号議案から第百五十一号議案まで、及び第百五十五号議案が条例案でございまして、新設する条例が二件、一部を改正する条例が二十件でございます。
 まず、新設する条例についてご説明申し上げます。
 第百三十三号議案の住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例は、都民の利便性の向上及び行政事務の効率化を図るため、住民基本台帳法の規定に基づき、本人確認情報を利用できる事務などを定めるものでございます。
 第百四十九号議案、東京都日暮里・舎人ライナー条例は、来年三月に開業を予定しております日暮里・舎人ライナーについて、路線、運賃等に関する事項を定めるものでございます。
 次に、一部を改正する条例についてご説明申し上げます。
 第百三十七号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、地方税法の一部を改正する法律の施行に伴い、個人都民税について、配当割及び株式譲渡所得割に係る軽減税率の適用期限を延長するなどの改正を行うものでございます。
 第百四十二号議案、東京都営住宅条例等の一部を改正する条例は、居住者の安全と平穏の確保を図るため、都営住宅等の使用者の資格及び明け渡し請求事由に暴力団員を排除する規定を設けるものでございます。
 第百四十七号議案、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例は、女性福祉資金貸付事業の充実を図るため、医療介護資金について貸付限度額を引き上げるものでございます。
 第百四十八号議案、東京都自然公園条例の一部を改正する条例は、すべての自然ふれあい公園及び利用施設を指定管理者制度の対象施設とするものでございます。
 このほかに十六件ございますが、いずれも法令等の改正に伴い、所要の改正を行うものでございます。
 次に、第百五十二号議案及び第百五十三号議案が契約案でございます。
 中央環状品川線シールドトンネル工事など二件を予定しております。契約金額は、総額約四百四十五億円でございます。
 次に、第百五十四号議案が事件案でございます。
 現有のヘリコプター一機を更新するものでございます。
 次に、諮問でございます。
 未納下水道料金の督促処分の取り消しについて審査請求がありましたので、地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づき、諮問するものでございます。
 次に、専決でございます。
 東京都都税条例の一部を改正する条例につきましては、施行までの間に時間的余裕がなく、議会を招集するいとまがなかったため、専決処分を行ったものでございます。
 上程になりました二十七議案の説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
 まず、東京都人事委員会委員でございます。
 七月二十三日に任期満了となります佐々木克已氏の後任として、関谷保夫氏を選任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会委員でございます。
 七月十二日に任期満了となります山下保博氏、杉山美代子氏をそれぞれ再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
 新たに渡井理佳子氏を任命いたしますとともに、七月十二日に任期満了となります相澤俊行氏を再任いたしたいと存じます。
 同意につきまして、よろしくお願いいたします。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(川島忠一君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 人事委員会の回答は、第百三十六号議案について異議はないとの意見であります。

一九人委任第二二号
平成十九年六月十一日
東京都人事委員会委員長 内田 公三
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成十九年六月五日付一九議事第八六号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百三十六号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第二十七までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十七までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都人事委員会委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都人事委員会委員の選任の同意について

一九財主議第一〇四号
平成十九年六月十二日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都人事委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都人事委員会委員佐々木克已は平成十九年七月二十三日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方公務員法第九条の二第二項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     関谷 保夫

      略歴
現住所 千葉県八千代市
関谷 保夫
昭和二十二年十二月十四日生(五十九歳)
(経歴)
昭和四十六年三月 横浜国立大学経済学部卒業
昭和四十七年四月 東京都入都
昭和六十一年四月 江戸川高等職業技術専門校庶務課長
昭和六十二年六月 港湾局副主幹〈東京港埠頭公社派遣〉
平成元年八月   教育庁副主幹
平成三年四月   財務局主計部予算第三課長
平成五年七月   総務局人事部調査課長(統括課長)
平成七年六月   神経病院事務局長
平成九年四月   港湾局参事(団体調整担当)
平成十年七月   教育庁都立高校改革推進担当部長
平成十一年六月  政策報道室計画部長
平成十三年四月  知事本部特命担当部長
平成十三年七月  住宅局総務部長
平成十四年七月  住宅局理事〈東京都住宅供給公社派遣〉
平成十六年七月  産業労働局長
平成十七年七月  東京都副知事
平成十九年五月  東京都副知事退任
現在       常勤の現職なし

○議長(川島忠一君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第二、東京都収用委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について

一九財主議第一〇五号
平成十九年六月十二日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十九年七月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     山下 保博

      略歴
現住所 千葉県八千代市
山下 保博
昭和十八年四月十六日生(六十四歳)
昭和四十二年三月 東京大学工学部卒業
昭和四十二年四月 東京都入都
昭和六十三年四月 都市計画局施設計画部街路計画課長
平成四年四月   首都高速道路公団計画部付調査役
平成六年四月   都市計画局総合計画部長
平成七年六月   都市計画局開発計画部長
平成八年七月   都市計画局施設計画部長
平成十年七月   都市計画局技監
平成十二年八月  都市計画局長
平成十三年七月  建設局長
平成十四年七月  東京都公園協会理事長
平成十六年七月  東京都収用委員会委員
平成十七年八月  東京都都市計画審議会委員
現在       東京都公園協会理事長

○議長(川島忠一君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第三、東京都収用委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について

一九財主議第一〇六号
平成十九年六月十二日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十九年七月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     杉山美代子

      略歴
現住所 東京都渋谷区
杉山美代子
昭和十九年七月八日生(六十二歳)
昭和四十三年三月 慶應義塾大学商学部卒業
昭和四十五年三月 慶應義塾大学商学研究科修士課程修了
昭和五十二年三月 公認会計士開業登録
昭和五十二年五月 税理士開業登録
昭和五十八年二月 東京赤坂公認会計士共同事務所開業
平成二年十月   日本公認会計士協会租税調査会委員
平成六年十二月  公認会計士杉山美代子事務所開業
平成九年六月   東京税理士会渋谷支部研修部長
平成十一年六月  東京税理士会渋谷支部副支部長
平成十二年四月  東京都収用委員会予備委員
平成十三年七月  東京都収用委員会委員
現在       公認会計士、税理士

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第四、東京都収用委員会予備委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について

一九財主議第一〇七号
平成十九年六月十二日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者を、新たに任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     渡井理佳子

      略歴
現住所 東京都港区
渡井理佳子
昭和四十年十二月二十九日生(四十一歳)
平成元年三月  慶應義塾大学法学部法律学科卒業
平成五年六月  米国ハーバード大学法律大学院修士課程修了
平成六年九月  米国ニューヨーク州弁護士登録
平成七年三月  慶應義塾大学大学院法学研究科公法学専攻後期博士課程単位取得退学
平成九年四月  防衛大学校社会科学教室管理学科講師
平成十三年四月 防衛大学校人文社会科学群公共政策学科 兼総合安全保障研究科助教授
平成十六年四月 日本大学大学院法務研究科助教授
平成十八年七月 小田原市市税滞納審査会委員
平成十九年四月 日本大学大学院法務研究科教授
現在      日本大学大学院法務研究科教授

○議長(川島忠一君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第五、東京都収用委員会予備委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について

一九財主議第一〇八号
平成十九年六月十二日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十九年七月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     相澤 俊行

      略歴
現住所 東京都世田谷区
相澤 俊行
昭和二十五年四月二十三日生(五十七歳)
昭和四十九年三月 慶應義塾大学法学部卒業
昭和五十五年九月 新光監査法人入所
昭和六十年三月  公認会計士登録
平成元年十月   税理士登録
平成二年一月   公認会計士・税理士事務所開業
平成五年六月   東京都割賦販売許可業者調査員
平成七年七月   日本公認会計士協会東京会業務委員
平成十六年七月  東京都収用委員会予備委員
現在       公認会計士、税理士

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願一件及び陳情十一件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 明二十一日から二十六日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、明二十一日から二十六日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月二十七日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時二十一分散会

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