平成十九年東京都議会会議録第十号

○副議長(木内良明君) 十八番中山信行君。
   〔十八番中山信行君登壇〕

○十八番(中山信行君) 初めに、体験学習について質問いたします。
 現代社会の人間関係の希薄化は、子どもたちの世界にも色濃く影響を及ぼしています。生身の人間と触れ合うことなく、バーチャルな世界で学習課程が進み、その結果、生きる意欲や頑張る気力を喪失した子どもがふえているという指摘もあります。子どもたちの心の成長に必要な世の中との触れ合いの機会を適切に提供していくことは、まさに教育の不可欠な課題といえます。
 都は、中学生のわくわくウイーク東京など、体験教育重視の方針を打ち出しています。中学生の感想を読むと、人から感謝されることのすばらしさ、自分の長所を発見できたなど、素直な感動と喜びが伝わってきます。
 特にことしからスタートする都立高校の教科「奉仕」においては、そのメーンとなる体験活動がこの夏の期間に集中します。
 そこで、奉仕活動の本格的な実施を前に、体験教育を積極的に導入して、子どもたちに社会とのかかわりを持たせる教育の推進に関して、知事の所見を伺います。
 あわせて、奉仕の体験活動では、アルバイトとの両立や交通費の負担などが課題として予想されます。そこで、都は、すべての生徒が安心して意欲的に体験活動に臨むことができるよう万全を期すべきです。所見を伺います。
 また、奉仕の体験活動の充実のためには、町会、自治会等の地域団体が取り組むボランティア活動との連携が重要です。見解を伺います。
 さらに、今後の体験教育の充実のためには、取り組みの成果や課題について地域や奉仕活動の受け入れ先と意見を交換し、情報を共有化することが重要です。所見を伺います。
 次に、児童虐待について質問します。
 近年、児童相談所が受ける虐待相談件数も、一時保護や施設入所を必要とする子どもの数も、増加の一途をたどっています。暴力や虐待で行き場のない親子にとっては、緊急避難できる一時保護施設の存在が不可欠です。しかし、現在、一時保護施設の入所状況は、子どもが家庭に帰る正月と新学年に伴って施設に入所する四月を除き、九九・八%とほぼ満員状態で、本来の機能が発揮できないおそれがあります。今後の施設の拡充を求めます。
 次の段階として、虐待の原因を解消し、親と子との再統合を目指す取り組みが重要です。
 児童福祉司を増員し、すべての児童相談所に虐待対策班を設置するなど、これまでの取り組みは評価しますが、子どもの将来を考えれば、安心して成長できる環境を整えることが重要です。虐待を受けた子どもはもちろん、虐待に至った親のケアにも取り組む必要があります。そこで、家族再統合についての都の認識を伺います。
 都の児童相談センターでは、精神科医、児童心理司、外部スタッフなどがチームを組んで、親の心のケアに取り組んでいます。独自に改良したカウンセリングプログラムとグループ療法により家族関係の再構築が進み、家族再統合の成果を挙げています。こうした事業を拡大する必要があります。同センターのこれまでの成果と、今後の事業拡大について方針を明らかにするべきです。見解を伺います。
 次に、環境対策について質問します。
 温暖化対策が最大の焦点になった今回のサミットでは、環境先進国ドイツでも、すぐれた環境政策で有名なフライブルグ市が注目され、話題を呼んでいます。フライブルグ市では、特に交通行政に力を入れており、環境に優しいLRT、公共交通機関と自転車の活用により、自動車の利用量を減らす取り組みに成功しています。
 東京においても、CO2の削減策として、自動車の燃費向上や公共交通機関への転換促進にあわせて、手軽に利用でき、環境に優しい交通手段である自転車の積極的な利用を図るべきです。
 そこで、ディーゼル規制等に続く新たな対策として、自転車の活用を社会全体に定着させていくための総合的な取り組みを開始するべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、自転車利用の促進に関する都民の理解を高めるため、子どもの自転車の歩道通行を可能にした道路交通法の改正を踏まえ、小学生はもとより中高生も含めて、ルールの遵守とマナーの向上を目的として啓発を行うべきです。見解を伺います。
 また、今後、自転車が加害者となる事故がふえていくと予想されています。そこで、賠償責任保険に加入していることを示すTSマークの普及に力を入れるべきです。見解を伺います。
 次に、障害者の就労について伺います。
 先日、私は、就職率が九二・九%に及ぶ所沢の国立職業リハビリテーションセンターを見学しました。訓練プログラムを個別化し、企業からの訓練オーダーにも応じるなど、個別性を重視する取り組みを徹底し、精神障害、高次脳機能障害、発達障害など、就労が困難といわれる事例でも成果を上げています。
 今後の障害者就労にあっては、個別性に加え、先進技術と企業連携が重要です。
 訪問した職業リハビリテーションセンターでも、独自に開発したエクセル等の高速読み上げソフトのほか、クリックしたデータを即座に点字化するピンディスプレー、読み上げできない図形やグラフの様子を触覚で伝える点図ディスプレーなどにより、全盲の視覚障害者でも高度な情報処理が可能になっていました。つまり、先端技術が障害者就労の幅を広げているのであります。
 したがって、都も、障害者の職業訓練において、こうした先進技術を活用した就労支援機器を積極的に導入するべきと考えますが、所見を伺います。
 また、小平市にある都の障害者職業能力開発校では、知的障害者を対象に商品の在庫管理のバックヤード作業訓練に成果を挙げています。一方、介護現場のリネン類整理やホテルのベッドメーキングなどでも、障害者就労の大幅な拡大が期待できます。こうした職域において、障害の種別や程度などに応じて作業手順を標準化し、企業間の壁を取り払うことができれば、障害者の皆さんの就労に向けた環境が大きく改善されます。
 その第一歩として、都は、障害者校などにおいて、これまでの訓練で培った職場環境改善等のノウハウを普及するなど、企業等と連携して、障害者が働きやすい職場づくりを進めるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、都営住宅の活用について質問します。
 総計二十六万四千戸の都営住宅は都の最大の公共財産であり、特に老朽化した都営住宅の建てかえについては、それを契機とした新たなまちづくりに期待と夢が広がっています。
 また、福祉分野でも、都営住宅に福祉施設が合築されるケースがあり、地域の保健福祉施策の向上に寄与しています。こうした場合でも、運営に携わる社会福祉法人には、自治体が直営で取り組む場合と同等の利用料等の配慮を加えることが重要であります。
 また、新たに建てかえ時に合築できる施設の内容として、区市が取り組むインキュベーション施設など、若者の創業や就労を促進する施設を認めるべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、足立区の上沼田団地では、大規模な建てかえにより隣接する団地を集約化し、貴重な用地を新たに生み出すこととしています。こうした用地を活用すれば、新たな産業集積や集客力に富む施設の誘致など、再開発への夢が膨らみます。都営住宅の建てかえで創出された用地の活用に関しては、ぜひとも地元自治体の意欲、意向を生かす仕組みを検討すべきです。所見を伺います。
 次に、農地保全について質問します。
 住民構成も街並みも激しく変化する東京においては、区市が農地の存在を地域の都市計画やまちづくりの将来設計に反映させていくことが重要です。
 都市の農地には、防災、緑化、食育、食の安全、オープンスペースの確保など多面的な機能があります。こうした農地の機能を区市がまちづくりの施策に積極的に生かせるよう、都は支援策を講じるべきです。見解を伺います。
 また、農地保全のためには、農業経営を引き継ぐすぐれた後継者の育成が欠かせません。同時に、最新の技術や経営情報の継続的な提供などが重要です。その意味で、都は、後継者研修の修了者に対するフォローアップを一段と充実させるべきであります。見解を伺います。
 さらに、団塊の世代など、新たに農業への参画を希望するようになった人々と遊休農地を抱える農家とのマッチング事業を、農家の意向を踏まえ、強力に推進すべきと考えます。見解を伺います。
 最後に、都の医学研究について質問します。
 先日、私は、医学研究機構の評議員会において、認知症の患者脳に見られる特有のたんぱく質の特定や、アルツハイマー病のワクチン療法の開発など、目覚ましい成果をおさめつつある三件の報告を拝聴しました。
 都の研究には、朝日賞を受賞するなど、ノーベル賞級の評価を得ているものもあります。こうした研究が少しでも早く具体的な成果をおさめるようになれば、治療の先行きの見えない患者にとって、この上ない朗報となります。
 そこで、もう一歩のところで都民に対し具体的な成果を還元できそうな都の医学研究については、今年度新たに設置する五百億円の福祉・健康安心基金を機動的、集中的に活用するべきと考えます。見解を伺います。
 あわせて、臨床と研究の連携も重要です。
 例えば、駒込病院では、キャンサーボードと呼ばれる制度によって、複数の医師が自由濶達に意見を交わし、がん治療にすばらしい成果をおさめています。がん治療には、外科、投薬、放射線だけでなく、多くの専門家の連携が重要です。例えば、研究医による遺伝子解析のデータが臨床現場で迅速に提供されていけば、連携の効率性は飛躍的に向上します。
 こうした臨床と研究の連携を都立病院でも実施すべきであります。仮称がん・感染症医療センターの整備に当たっても、効果的な連携システムを導入するべきであります。都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
 子どもたちに社会とのかかわりを持たせる教育の推進についてでありますが、昨年十二月に策定しました「十年後の東京」では、子どもに多様な体験学習の機会を提供し、社会の発展に貢献できる若者を育成していくことを提言いたしました。
 子どもは、社会の中で人とかかわることを通して自分と他者との違いを認識し、自分自身を主張したり、我慢したり、人とのかかわりで感動することも学ぶわけであります。
 都が先駆けて始めた「奉仕」の授業は、子どもたちが人のために役立つことを学ぶ、またとない機会であると思っております。
 他の質問について、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、生徒が意欲的に体験活動に取り組む方策についてであります。
 「奉仕」の授業で行う体験活動は、事前に学んだ奉仕に関する知識と技術を、実践的活動を通して確かなものにしていく機会であり、すべての生徒が意欲的に取り組めるようにすることが大切であります。
 都教育委員会は、先行的に研究を行ってきた学校での実践を踏まえ、体験活動の受け入れ先の確保を初め、効果的な実施時期や「奉仕」の教科書の費用負担の軽減などについて検討し、課題解決を図ってまいりました。
 今後は、本年度の「奉仕」の授業の成果と課題について、ご指摘の点も含め、検討する委員会を設置し、生徒がより意欲的に取り組めるよう、体験活動の一層の改善と充実に努めてまいります。
 次に、体験活動における地域団体との連携についてであります。
 「奉仕」の授業で行う体験活動を充実するためには、受け入れ先を地域団体へも拡充し、生徒がより多様な体験活動に取り組めるようにすることが重要であります。
 都教育委員会は、「奉仕」の授業の内容や意義等を掲載したリーフレットを社会福祉協議会やボランティアセンターなどに配布するとともに、各学校では、幼稚園、保育所、高齢者福祉施設、消防署等さまざまな機関を訪問するなどして、生徒の受け入れについて協力を依頼してきたところであります。
 今後、地域の方々が実施しているボランティア活動への生徒の参加を促進するため、町会や自治会等の地域団体との連携を強化するよう、学校を指導してまいります。
 次に、「奉仕」の成果や課題の共有についてでありますが、各学校が活動の成果や課題を地域や受け入れ先の関係者と共有することは、今後の「奉仕」の授業を一層充実するために大切であります。
 これまで先行的に研究を行ってきた学校においては、受け入れ先と情報交換を積極的に行い、共通理解を図ってきたところでございます。
 今後、都教育委員会は、各学校に対し、地域や受け入れ先の関係者による連絡会を設置し、成果検証を行うとともに、関係者との連携を深めるよう指導してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、虐待を理由に親子分離した家族の再統合についてでございますが、児童相談所では、虐待を受けた子どもの安全確保を最優先し、必要な場合には、法的対応として親子の分離を行っております。
 一方、これらの子どもが再び家族と暮らせるようにすることは、健やかな成長を図るという観点から大変重要でございます。このため、精神科医や心理職等の専門家による親へのカウンセリングのほか、親子関係の修復に向けたトレーニングなど、心理的、医学的援助により親の虐待傾向の改善を図りました上で、子どもの安全を確保し、家族再統合を目指す取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、東京都児童相談センターにおける家族再統合事業についてであります。
 これまで七十一の家族が利用し、そのうち、おおむね七割の家族の関係修復に効果を上げております。
 今後、この成果を関係機関の参考となる手引書としてまとめるほか、新たに開設予定の子ども家庭総合センター(仮称)において、家庭での生活を想定した子どもと親に対する宿泊プログラムを実施するなど、取り組みの充実を図ってまいります。
 最後に、都が取り組む医学研究への福祉・健康安心基金の活用についてでございますが、この基金は、がんなど健康危機への対処、認知症医療対策の強化及び子育て支援の三つの重点的取り組みと、これらの取り組みを支える基盤となる医学研究などの財源として活用することを予定しております。
 今年度中に基金充当事業の検討を行い、来年度から実施することとしておりまして、ご指摘のように、研究の成果を少しでも早く具体的な形で都民に還元することは重要でございます。
 このため、東京都医学研究機構の研究所などで行っております、がんや認知症などの研究について、その進捗状況も十分に考慮しながら、基金の効果的な活用を図ってまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 自転車の活用に向けた取り組みについてでありますが、自転車は、環境に優しく、都民に身近で便利な交通手段であることから、都はこれまで、TDM東京行動プランに基づき、自転車道の整備など自転車活用対策を実施してまいりました。
 現在、環境審議会において、世界で最も環境負荷の少ない先進的な環境都市の実現を目指し、東京都環境基本計画のあり方が審議されており、その中で、公共交通機関の最大限の活用や自転車利用の促進など、自動車に過度に依存しない交通行動への転換についても議論されております。
 今後、環境審議会での審議を踏まえ、日常生活や企業活動での自転車利用の普及とともに、自転車が安全に走行できる空間の確保など、地域特性に応じた自転車利用の促進が図られるよう、各局と連携し、総合的に検討してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 自転車の安全利用につきましての質問にお答えをいたします。
 まず、中高生などへの自転車利用に関するルールの遵守等の啓発についてでございますが、自転車による歩行者の人身事故が増加していることから、都は警視庁等と連携をいたしまして、平成十八年五月から、自転車の交通ルールや安全利用に関するキャンペーンを積極的に展開しております。
 また、本年一月には、自転車の安全利用推進総合プランを作成いたしまして、それとともに、歩道上の暴走行為の禁止などを訴える、自転車の安全利用に関する緊急アピールというものを、一般向けとともに、小学生向け、中学生向け、高校生向けと分けまして発信したところでございます。
 本年は、当該プランに基づきまして、中高生向けの自転車交通安全教育に関するマニュアルの作成も考えております。
 今後とも、改正道路交通法の施行を踏まえ、自転車の交通ルールの遵守など、その安全利用についての普及啓発に力を注いでまいります。
 次に、TSマーク制度の普及についてでありますが、近年、歩行者を死亡させるなどの重大な事故も発生しておりまして、自転車の点検整備と賠償保険がセットとなりました、このTSマーク制度の普及啓発を図っていくことは重要であると考えております。
 昨年五月に実施しました自転車の安全利用に関するキャンペーン、すなわち、あん・あん自転車TOKYOキャンペーンでありますけれども、その中でその周知を図りました。そうしましたところ、平成十八年度の実績では約六万二千枚のTSマークシールが交付されまして、これは前年度に比べまして約二万四千枚の増加ということになりました。
 今後、ご提言の趣旨も踏まえ関係団体等に働きかけ、当該制度の一層の普及啓発に努めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者の職業訓練における就労支援機器の導入についてでありますが、生徒の障害の状況に配慮いたしました先進的な機器を活用することは、就労に向けた訓練を行う上で効果的であると認識しております。
 このため、都はこれまで、視覚障害者向けの画面読み上げ機能を有するパソコンや、下肢障害者用のNC加工機などの就労支援機器を導入してまいりました。
 今後は、新たに設置をいたします公共職業訓練運営委員会の中で、事業主や学識経験者などを交えまして、機器に関する最新の技術動向や就労現場での活用状況について調査、検討いたしまして、より効果の高い就労支援機器の導入に努めてまいります。
 次に、障害者の働きやすい職場づくりについてですが、都はこれまで、東京障害者職業能力開発校におきまして、生徒の就職先企業に対して、障害特性に応じた職場環境面で配慮すべき事項につきまして助言、指導を行ってまいりました。
 今後、都といたしましては、障害者の雇用実績のある企業や採用意欲のある企業が参加をいたしまして、職場環境の改善について意見交換を行う場を新たに設けます。この中で、企業が実践している事例の検討や、都の有する情報の提供などを行ってまいります。
 こうした企業との連携を通じまして、障害者の働きやすい職場環境づくりに一層努めてまいります。
 次に、農地の機能を生かす区市の取り組みについてでありますが、都はこれまで、農地の持つ緑地空間や防災、レクリエーションなどの多面的機能をPRするとともに、地域住民が農業と触れ合える体験農園などの設置に対し、区市を支援してまいりました。
 今年度は、都民、農業者、有識者などによる検討機関を立ち上げまして、農地の多面的機能について調査と評価を行うとともに、その活用実例などを記載いたしました、農地保全のための指針の作成に取り組んでまいります。
 今後、区市において農地の多面的な機能を生かす取り組みがさらに進むよう、この指針を活用してまいります。
 次に、農業後継者研修の修了者に対するフォローアップについてでありますが、都では、後継者を対象に、試験研究機関が開発いたしました新技術など、最新の農業情報の提供をカリキュラムに取り入れました二年間の体系的な研修を行っております。また、この研修の修了生に対しまして、継続的にフォローアップ研修を行うとともに、より実践的な技術、経営情報を提供するセミナーを開始したところであります。
 今後は、これらの研修内容の充実を図るとともに、メーリングリストの活用などによりまして最新情報を随時提供し、農業後継者の育成に一層努めてまいります。
 最後に、遊休農地に関するマッチング事業についてでありますが、都では平成十七年度から、都民の農業参画の促進と遊休農地の再生利用等を図るため、参画を希望する都民と農地の情報を蓄積いたしまして、これらを結びつけるマッチング事業を開始いたしました。
 この結果、昨年度は、日の出町では遊休農地に約三十名の都民を受け入れ、ソバ栽培の体験農園として再生するなど、実績も上がり始めております。
 今年度は、東京都農林水産振興財団に相談窓口を新設いたしまして、農業団体と連携しつつ、新たな農業の担い手と農地とのマッチングを積極的に推進してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 都営住宅建てかえ時の施設の併設についてでございます。
 建てかえに当たりましては、老朽化した住宅を更新するとともに、地域のまちづくりに配慮し、住環境の整備などを図ることが重要でございます。
 これまでも、地元区市と連携し、都営住宅建設に関連する地域開発要綱に基づきまして、保育所、高齢者在宅サービスセンターなどの施設を整備してまいりました。
 区市から、ご指摘の創業や就労を促進する施設の併設について要望があった場合についてでございますが、これらは現行の同要綱には明示されている施設ではございませんが、建てかえ事業に支障のない範囲で、立地条件や周辺の環境なども勘案しまして、区市と協議した上で個別に対処してまいります。
 次に、上沼田団地の建てかえで創出される用地の活用についてでございます。
 都営住宅の建てかえに当たりましては、地元区市と連携して、都有地の有効活用や団地の集約によりまして用地を創出した上で、民間活力を生かしたまちづくりの誘導などのさまざまな政策目的に沿った活用を図っております。
 上沼田団地の建てかえにつきましては、これまでにも地元区と協議を重ね、今後、三期に分けて建てかえを行う計画としております。
 本団地の建てかえ完了後創出される用地につきましては、現在ある協議の場を活用いたしまして、今後、地元区とともに、利活用について検討してまいります。
   〔病院経営本部長秋山俊行君登壇〕

○病院経営本部長(秋山俊行君) 都立病院におきます臨床と研究の連携についてでございますけれども、医療技術の発展などによりまして、治療の現場と研究部門の関係がより緊密になってきておるということから、ご指摘のとおり、両者の連携は、適切な医療を提供していく上で重要性を増しているものというふうに考えております。
 特に、抗がん剤などによる治療でございますけれども、患者個人ごとにその効果や副作用が異なりますことから、一人一人の病気の状態に応じた医療を提供していくためには、遺伝子やたんぱく質を研究部門で解析いたしまして、得られた情報を個々の治療に迅速に生かしていくという必要がございます。
 そこで、都立駒込病院の改修によって設置を予定しております、がん・感染症医療センターの整備に際しまして研究部門を設けることとしておりまして、今後は、医療技術の進歩に対応する先進的な医療を提供していく観点から、関係局とも協議の上、臨床と研究が連携する有効な仕組みづくりに取り組んでまいります。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時三十九分休憩