○議長(川島忠一君) 五十番今村るか君。
〔五十番今村るか君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○五十番(今村るか君) 本年四月の都議会議員補欠選挙で初当選をいたしました町田市選出の今村るかです。
選挙戦を通じて訴えてまいりました人に優しい東京をつくるため、与えていただいた任期、全力で活動してまいりますので、理事者、議会の諸先輩、職員の皆様方、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まずは、一項目めであります。子育て、子育ち環境の向上を願い、虐待防止について、児童相談所の体制をお聞きします。
児童相談所の機能強化についてでありますが、既に東京都では、児童福祉司の定数を二〇〇二年から六年までの間、増員しております。しかし、これらは児童福祉法施行令の定めに合わせた加算を行っただけであり、施行令の人口五万人から八万人に一人という基準の最低基準を満たしているにすぎず、四十七都道府県では、下から数えて三番目の位置にあります。
一方、児童相談所への相談件数は、ここ数年、三万件台で推移していますが、相談件数のうち虐待の件数を過去三年で見てみると、約二千件から三千二百件と、実に一・五倍になっており、養護相談のうち約半数が虐待の相談という大変深刻な状況になっています。このことに関して、五件質問をいたします。
まず、児童相談所を充実させるためには、仮称子ども家庭総合センターの基本構想で示された児童相談所再編の早期実現を求めるとともに、検討されている所管見直しにおいては、市区町村との連携強化のため、より身近なところに地域児童相談所が設置されるべきであり、増設の必要性があると考えますが、東京都の見解を求めます。
次に、児童養護施設や養育家庭に措置した児童を初め、施設や養育家庭、実親などへのアフターケアについてです。
例えば、こんなことがありました。現在小学生のA君は、幼いときに実親が離婚し、母親は外国籍のため祖国に戻ってしまい、A君は養護施設から養育家庭に措置されてきました。小学生になり、自分の実親がどうしているのか知りたくなり、養育家庭の母親と相談した結果、担当の福祉司に、実親がどういう人なのか、今何をしているのか教えてほしいと頼みました。
初めはなかなか聞き入れてもらえませんでしたが、いざ調査をしてみると、母親は祖国に戻った後、すぐに来日し、父親とよりを戻して生活をしていたのです。しかも、調査時点では実親に六人もの子どもがいて、家族で生活をしていたのです。次々に子どもが生まれ、A君を引き取ることができなかったということでありますが、このことがわかり、A君は悩んだ末、実親と兄弟のもとに帰っていきました。福祉司が、せめて一年に一度でも実親の調査をしていれば、もっと早く実親や兄弟たちと暮らせていたはずです。幼い心でずっと実親のことを思い、悩んでいたA君のことを思うと、なぜもっと早く調査ができなかったのか、残念で仕方がありません。
しかし、現実は、日々の相談や緊急の虐待などに追われ、児童福祉司一人当たり百件以上の担当を持つ現在の体制では、十分なケアが行われない、こんな声が寄せられています。こうした現状にどう対応していくのかをお尋ねいたします。
さらに、都内児童養護施設の定員は、国型グループホームの増設を積極的に行って、毎年十名から二十名以上ふやしていますが、年間入所率は過去五年ほぼ一〇〇%で、幾つかの施設は一〇〇%を超えてしまっています。都は、次世代育成支援東京都行動計画において、今年度、計画どおり百カ所のホームを達成することになり、その努力には敬意を表します。
しかし、被虐待児がますますふえている状況では、次年度に向けた児童養護施設のさらなる増員計画が必要と考えます。東京都の見解を求めます。
次に、都立児童養護施設と児童相談所・一時保護所の老朽化した施設の改善についてです。
まず、新耐震基準以前の施設が耐震補強されないままありますが、どう対応されるのかお聞かせください。特に、Is値〇・三程度のかなり危険な施設があるとのことですが、早急な対応を求めます。
過日、私が視察をした一時保護所は古く、居室などが狭く、さらに定員をふやすため床の部屋に畳を敷いただけの居室があるなど、児童の学習や生活にも影響があると感じました。これらの改善の必要性について、東京都の見解を求めます。
次は、一時保護所の定員についてであります。
近年、児相で受けている相談件数は三万件程度で推移していますが、さきに述べたように、虐待の相談件数は大幅にふえています。このことから、要保護児童がふえていることは、ご承知のとおりであります。
一時保護所の定数は、昨年百二十八名から百四十四名に増員されましたが、昨年の入所率は実に九九・八%、近年ずっとこの傾向であります。そのために、一時的に入所率が一三〇%を超えることもあり、空きスペースに布団を敷いて寝るようなことになっております。このような状況が通年続いているわけでありますから、本来なら保護すべき児童がいても、保護先がないため保護できない子どもたちが出てきております。
当然、命にかかわるような場合、無理にでも実親から引き離しをするのでしょうが、程度が軽いと判断されてしまった子どもたちは、心と体に傷を負ったまま保護されずに、問題のある家庭に置かれてしまっていることになります。この現状は一刻も早く改善すべきと考えますが、東京都の見解を求めます。
二項目めは、まちづくりについてであります。
相原・小山土地区画整理事業は、多摩ニュータウン建設の中で新住宅市街地開発事業で行う予定であったものが、土地区画整理事業に変更になったものです。この区画整理事業は、当初、三千五百人の計画人口で、企業などの誘致をメーンにした職住近接のまちづくりを目指していました。ところが、思うような企業進出が進まずに、区画整理事業であるため、地権者所有の土地は民間マンション業者に転売され、都有地にもマンションが建設され、人口が急増しています。さらに、大型ショッピングセンターの出店による渋滞も大きな問題となっています。
当初、小学校、中学校一校ずつの予定地を確保していましたが、計画進行中に、需要がないとの判断により建設計画はなくなりました。にもかかわらず、当初人口三千五百人が、その後の状況の変化により最大一万五千人にもなると予測される状況になり、都有地を町田市が購入し、小学校を建設するに至っています。さらに、今後二校目の小学校が必要になり、当然中学校も建設しなければなりません。さらに、中学校も二校目が必要になるのではとの試算がされています。
多摩ニュータウンの小中学校は、そのほとんどすべてが新住宅市街地開発事業地内で計画的に建設されてきました。今回のように、当初計画人口が四、五倍になるということ自体が異常で、あり得ないことであり、区画整理事業だからといって、このことによって生じるツケをすべて町田市に押しつけるのは、事業者としての都の責務を全うしているとはいえません。
さらに、区画整理当初は、駅前交番が設置できる計画をしていたにもかかわらず、設置の予定がないままになっているなどの課題も残されたままになっています。
そこで、人口急増により必要な学校用地などを確保するために、都有地売却時に市に対する配慮ができないのか、所見をお聞きします。
現在、事業地内の都有地については、学校が不足するので集合住宅の建設のためには売却をしないよう、市からの要請があり、売り出しても買い手がつかないままになっています。この学校用地問題に一定の見通しがつけば、都有地について集合住宅マンション用地として売却することが可能になり、都財政にも大きなメリットとなると考えますが、あわせてご答弁を求めます。
次に、都市計画道路についてであります。
この相原・小山土地区画整理事業地内のわずか四キロのメーン通りは、土日は通過するのに一時間以上もかかる渋滞が続いています。ところが、最近、近接の八王子市の長池地区に大型ショッピングセンターができ、さらに、出入り口となる都市計画道路南多摩尾根幹線の交差点改良が行われたことにより、幾分緩和された感があります。
この幹線は、町田市、八王子市、稲城市の両端の整備がほぼ完了し、多摩市を通る中央部分がいまだ暫定整備のままです。さらにこの部分は、全線道路幅員が確保され、用地買収費が必要ないにもかかわらず、約三十年間もそのままになっています。都は、多摩地域における都市計画道路の整備方針を策定し、事業の推進に当たっています。
東京都は、都市計画道路の重要性、特に南多摩尾根幹線の重要性をどう認識しているのか、都の見解を求めます。
最後の三項目めは、モータースポーツ、自動車文化の向上について、簡潔に知事にお聞きします。
三宅島での公道レース計画は、モータースポーツ関係者、そしてそのファンに大きなインパクトを与えました。国内では、富士スピードウエーでのF1開催予定を初め、鈴鹿の八耐、北海道でのWRCなどの大規模なレースから、サーキットや民有地を利用したレースや練習、エキシビションなど、さまざまな取り組みが行われ、モータースポーツ文化が定着しつつあります。また、海外に見られるような古い車をレストア、修理しながら楽しむといったことも広がりつつあります。
残念なことに、東京都においては、こうしたモータースポーツの文化振興に対応する部署がありません。観光面でも、モータースポーツは一定の集客力が見込まれますし、横浜町田インター付近には、モータースポーツに関するショップが多数ありますが、産業振興としての位置づけもされておりません。
日本の自動車文化向上、モータースポーツ文化向上のために、こうしたことを文化ととらえ、対応する部署を決め、取り組みを行う検討を始めるべきではないかと考えますが、知事の見解を求めます。
次に、税制面での支援について質問を行います。
二輪とは違い、四輪は、初年度登録後十年から十三年を超えると、排気ガスなどの環境面から重課、すなわち自動車税が約一割増しになります。しかし、二、三十年も経過をすれば、多くの車両は年間走行距離を余り走らない趣味的用途になります。買いかえだけを奨励するのではなく、同じものを長く使うことは環境にも大切な視点になります。現に、一九四五年以前に生産された車には税制上の優遇措置が適用されています。これらを拡大する考えがないか、東京都の見解を求めます。
以上、私の一般質問とさせていただきます。
ご清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 今村るか議員の一般質問にお答えいたします。
まず、児童相談所の体制についてでございます。
児童虐待相談の急増に対応するため、平成十七年四月に改正児童福祉法が施行されまして、区市町村が児童虐待を含む第一義的な相談対応を担い、都道府県は専門的な対応や区市町村の後方支援を重点的に行うということとなりました。これに先駆けまして、都は、児童虐待防止のための機能を備えました先駆型子ども家庭支援センターの設置を、都内全区市に強力に働きかけております。
さらに、今後、都における子どもと家庭の相談機関の中核といたしまして、子ども家庭総合支援センター(仮称)を設置し、身近な相談窓口である区市町村をこれまで以上に支援をしてまいります。
次に、施設や養育家庭に措置した後の子どもへの対応についてでございます。
児童相談所における児童福祉司と児童心理司は、施設や養育家庭を計画的に訪問し、措置後の子どもの状況を把握しながら、必要な指導援助を行っており、いずれも近年、大幅な増員を図っております。
さらに、すべての児童相談所に家庭復帰支援員と養育家庭専門員を配置し、それぞれ児童福祉司との連携のもと、子どもの家庭復帰の促進や養育家庭への支援の強化に努めているところでございます。
次に、グループホームの整備計画でございますが、都は、さまざまな事情で親と一緒に暮らすことのできない子どもが、家庭的な雰囲気の中ではぐくまれ自立できるよう、グループホームの整備に努めております。平成十九年度末までに百カ所設置することを目標とし、その達成に向けて現在取り組んでいるところでございます。
平成二十年度以降の目標につきましては、実績などを踏まえて今後、検討していくことといたしております。
次に、都立児童養護施設等についてでございますが、本年三月に策定いたしました東京都耐震改修促進計画では、都立養護施設など防災上重要な公共建築物については、平成二十七年度までに耐震に必要な対応を図ることとしております。
また、一時保護所の施設の水準につきましては、国の施設基準に適合するものとなってございます。
最後に、一時保護所の定員についてでございます。
都は、児童虐待の増加などにより、子どもを緊急に保護するケースがふえてきたため、平成十八年に西部一時保護所を新設し、一時保護所の定員を百二十八人から百四十四人へと増員をいたしました。こうした整備により、緊急に一時保護すべき子どもについては速やかに保護し、子どもの安全確保に努めております。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
まず、相原・小山土地区画整理事業についてでございます。
本事業は、多摩ニュータウン西部の町田市に位置しておりまして、平成十六年三月に換地処分を行いました都施行の土地区画整理事業でございます。
近年、民有地への集合住宅の立地も多く見られまして、居住人口は増加の傾向にございます。こうしたことから、中学校予定地として、市から区域内の都有地を取得したいとの要望を受けておりまして、今後、市と必要な調整をしてまいります。
次に、都有地の集合住宅用地としての売却についてでございます。
相原・小山地区の都有地は、平成十一年度当初には約五十一ヘクタールございましたが、現在では、既にその八〇%以上が売却されております。残された都有地につきましては、ただいまの学校用地としての処分の動向を勘案しつつ、引き続き適切に対処してまいります。
最後になりますが、南多摩尾根幹線についての認識でございますが、本路線は、多摩ニュータウンを中心とした地域住民の利便性を確保するとともに、都心方面とを結ぶ、南多摩地域を支える幹線道路の一つでございます。また、神奈川方面を含めた広域的な幹線道路として、都県境を越えた都市間連携の強化に不可欠な路線と考えております。
〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君) 自動車文化についてのご質問にお答え申し上げます。
文化の意味するところは極めて多様で、日常生活の中にある生活文化、創造性あふれる芸術文化、身近な楽しみとしての娯楽文化、また都市空間や建築が持つ文化など、さまざまな文化があると認識しております。このように広範な文化すべてを行政が施策の対象とすることはもとより不可能でございますし、また、そうすることは適当ではないと考えております。
都においては、文化振興の施策の対象を、音楽、美術などの芸術文化、アニメーションなどのメディア芸術、能楽などの伝統芸能などとしております。
お話しのモータースポーツや古い車をレストア、修理しながら楽しむといったことは、もちろん文化としてとらえることはできますが、都の文化振興施策の対象とすることは現段階では考えておりません。
〔主税局長熊野順祥君登壇〕
○主税局長(熊野順祥君) 製造年代の古い自動車に対する自動車税についてでございますが、都は、低公害車の普及促進を図るために、環境負荷の小さい自動車の税負担を軽減する一方、新車新規登録から十年を超えるディーゼル車、十三年を超えるガソリン車につきましては、自動車税の一〇%重課を行っております。
これは、一般的に一定年数を経過した自動車は環境への負荷が大きいことからとられている措置でございまして、使用実績あるいは文化的価値から特定の車両を区別し、重課から外すことは困難であると考えております。
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