平成十九年東京都議会会議録第九号

平成十九年六月十九日(火曜日)
 出席議員 百二十七名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
五番菅  東一君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番山口  拓君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番きたしろ勝彦君
二十一番田中たけし君
二十二番鈴木 隆道君
二十三番神林  茂君
二十四番早坂 義弘君
二十五番崎山 知尚君
二十六番宇田川聡史君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番伊藤まさき君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番秋田 一郎君
四十四番矢島 千秋君
四十五番高橋かずみ君
四十六番串田 克巳君
四十七番吉原  修君
四十八番山田 忠昭君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番臼井  孝君
六十四番林田  武君
六十五番野島 善司君
六十六番高木 けい君
六十七番山加 朱美君
六十八番服部ゆくお君
六十九番田代ひろし君
七十番三宅 茂樹君
七十一番川井しげお君
七十二番鈴木 一光君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番柿沢 未途君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番藤井  一君
八十五番ともとし春久君
八十六番木内 良明君
八十七番吉野 利明君
八十八番倉林 辰雄君
八十九番村上 英子君
九十番こいそ 明君
九十一番三原まさつぐ君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番新藤 義彦君
九十五番古賀 俊昭君
九十六番立石 晴康君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大沢  昇君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番相川  博君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番石川 芳昭君
百八番中嶋 義雄君
百九番石井 義修君
百十番桜井  武君
百十一番遠藤  衛君
百十二番高島なおき君
百十三番宮崎  章君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番中村 明彦君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番馬場 裕子君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
教育長中村 正彦君
知事本局長大原 正行君
総務局長押元  洋君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監伊藤 哲朗君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長吉川 和夫君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長津島 隆一君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長島田 健一君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長矢口 幸一君
労働委員会事務局長有留 武司君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

六月十九日議事日程第二号
第一 第百三十一号議案
  政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百三十二号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百三十三号議案
  住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例
第四 第百三十四号議案
  東京都恩給条例の一部を改正する条例
第五 第百三十五号議案
  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百三十六号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百三十七号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第八 第百三十八号議案
  東京都納税貯蓄組合補助金交付条例の一部を改正する条例
第九 第百三十九号議案
  東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第十 第百四十号議案
  東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百四十一号議案
  東京都学校経営支援センター設置条例の一部を改正する条例
第十二 第百四十二号議案
  東京都営住宅条例等の一部を改正する条例
第十三 第百四十三号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十四 第百四十四号議案
  東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百四十五号議案
  多摩都市計画多摩土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第十六 第百四十六号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十七 第百四十七号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十八 第百四十八号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第十九 第百四十九号議案
  東京都日暮里・舎人ライナー条例
第二十 第百五十号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百五十一号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百五十二号議案
  中央環状品川線シールドトンネル工事請負契約
第二十三 第百五十三号議案
  平成十九年度若洲橋鋼けた製作・架設工事請負契約
第二十四 第百五十四号議案
  ヘリコプターの買入れについて
第二十五 第百五十五号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第二十六 諮問第二号
  地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第二十七 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) これより質問に入ります。
 百十一番遠藤衛君。
   〔百十一番遠藤衛君登壇〕

○百十一番(遠藤衛君) 平成十九年第二回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問をさせていただきます。
 さきの都知事選では石原知事が大差で圧勝するという都民の審判が下されました。我が党は責任政党として、都民の良識ある選択をしっかりと受けとめ、知事と議会という二元代表制のもと、都民、国民のため、全力で取り組んでいくことを、まずここに明らかにしておきたいと思います。
 東京、そして我が国の現状を見渡すと、相次ぐ凶悪犯罪、子どもを取り巻く環境の悪化など、日本人が持っていた美徳はどこにいってしまったのかと嘆かざるを得ません。しかし、夢も希望もないわけではありません。
 子どもの問題でいえば、知事が提唱された心の東京革命に多くの都民の皆さんが共鳴し、あいさつ運動や子どもの見守り活動などボランティア活動を展開しています。今こそ、都民の皆さんを支え、危機をともに克服していくことが求められております。そのためには、都民、国民への明確なビジョンを提示し、実現する力強いリーダーシップが求められています。政治が本来の役割を果たすべきときが来ております。
 そこで、まず、三期目のスタートに当たり、政の本質とは何か、豊富な政治経験を踏まえ、知事の所見をお伺いいたします。
 都は、昨年末、久々の長期ビジョンである「十年後の東京」を発表いたしました。その内容は、最先端の省エネルギー技術を活用した、世界でも最も環境負荷の少ない都市の実現、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活、外国人旅行者一千万人への倍増など目標を明確にしながら、夢のある将来像が具体的な近未来図として描かれております。
 「十年後の東京」は、都民や国民にとって夢の実現につながることはもちろん、東京オリンピック開催を実現する上でも、東京がより高いレベルで成長を遂げていく姿を示すことが極めて重要であります。
 今後、この実現に向けて、具体的な政策を確実に展開していかなければなりません。知事は、三期目は十年先の東京を見据えた基礎固めの時期として、さきの所信表明で近未来図の着実な実現に向けて、年内に「十年後の東京」を具体化するための実行プログラムを策定する旨を表明されたところでございます。
 我々も東京がさらに機能的で魅力的な都市に生まれ変わるよう全力を挙げて取り組んでいく所存です。「十年後の東京」で描いたさらなる成熟を遂げる東京の実現に向けた知事の決意をお伺いいたします。
 また、首都東京に象徴的にあらわれている課題は、環境問題や少子高齢化への対応など、一局だけの取り組みで解決するものではありません。各局が知恵を出し合うとともに、知事本局がリーダーシップを発揮して、横の連絡をとりながら全庁一丸となって取り組むことが大変重要であります。
 また、民間企業や多くの都民の方々に参加していただき、東京全体で機運を醸成していくことが欠かせません。今回の実行プログラム策定に当たっては、こうした視点を十分踏まえ、都議会と連携を強化し、実効性の高いものにしていくべきと考えます。
 局をまたがる課題への対応を含め、どのような考え方で実行プログラムの策定に臨んでいくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、東京の、アジアを中心とした国際貢献についてお伺いをいたします。
 二十一世紀はアジアの世紀といわれております。アジアは、欧米に加え、世界の三つ目の極として、政治、経済、文化などさまざまな面で重要な役割を担いつつあります。
 東京の水道技術、省エネ技術といった環境技術の数々は世界最高水準にあり、急成長するアジア諸国にこれを供与することが、エネルギー需給や価格の安定化、ひいては人類の持続的発展に貢献することになると考えます。特に、北京オリンピックを間近に控えた中国には最も必要であります。
 また、知事の言葉をかりれば、首都公務員たる都庁職員が、国際感覚をさらに涵養し、グローバルな視野に立ってアジアの諸都市の問題解決に貢献していくことも重要であります。アジア社会への貢献は、東京のさらなる発展のためにも、オリンピックの東京招致を実現する上でも、大きなかぎになると確信をしております。
 東京は、これまでもアジア大都市ネットワーク21での取り組みなどを通して、アジア諸都市のかけ橋として中心的な役割を担ってきました。今後さらにリーダーシップを発揮し、アジア社会全体の発展に貢献していかなければならないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、オリンピック招致についてお伺いいたします。
 先月十六日、IOCから二〇一六年のオリンピック競技大会立候補受付手順書が公表され、招致に向けた具体的なスケジュールが示されました。既に国際レースにおいては、シカゴ、リオデジャネイロ、マドリードなどといった世界の強豪都市が名乗りを上げ、いよいよ各都市の熾烈な招致競争がスタートすることになりました。
 こうした中、五月二十日、オーランドでの国際体操連盟評議員会において、東京が二〇一一年の世界体操競技選手権大会の開催都市に選ばれました。これは、東京都と日本体操協会が一致団結して招致活動を行った結果であり、成果であり、同時に東京の魅力や開催能力の高さが示された、評価された結果であります。
 オリンピックの招致に当たっても、こうした東京の魅力や優位性を強く世界にアピールしていくことが必要です。加えて、オリンピックへの都民、国民の幅広い賛同、支持、国内全体の招致機運の盛り上がりが何より重要であります。
 そのためには、あらゆる機会をとらえ、さまざまな媒体を活用し、オリンピックのすばらしさや夢を都民、国民に伝えていくことが必要です。また、夏休みには、スポーツイベントや夏祭りなど、地域においてさまざまな催し物が開かれます。こうした機会も積極的に活用すべきであります。今後、国内の招致機運を盛り上げていくために、どのような取り組みを進めていくのか、所見をお伺いいたします。
 現在の国立競技場の建てかえが望ましいとの声が、報道が一部でなされていました。一方、都としては、これまで一貫して国立競技場として晴海に整備することを国に要望し続けてきたと聞いております。
 さまざまな観点から検討を行い、今回の結論が出されたと思いますが、なぜオリンピックスタジアムを晴海に整備することにしたのか、改めて所見をお伺いいたします。あわせて、都立のスタジアムとして、どのように整備していくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、東京国体の準備状況についてお伺いいたします。
 平成二十五年の東京国体開催まで六年となりました。開催に向けた準備については、競技施設の整備やジュニア選手の育成など、一朝一夕にはなし遂げられないことも事実であり、もう既に開催準備は待ったなしの時期に来ていると思います。
 国体は、国内最大、最高のスポーツの祭典であり、大会の開催県においては、競技施設の改修や選手の競技力の向上だけではなく、選手や観客と地元住民の触れ合いなどを通して地域の活性化が図られるなど、大きな意義があると認識しております。
 とりわけ多摩・島しょ地域にとって、平成二十五年の東京国体の開催は、地域の魅力を全国に発信するとともに、産業や経済の活性化を呼び起こす起爆剤として大きな期待が寄せられております。
 これまでの国体の準備状況を調べてみると、各県ともその県らしさを発揮するために工夫を凝らし、県、市町村の行政機関だけではなく、体育協会、町会、商工会、ボランティアなど、さまざまな地域団体の力を結集して、県を挙げて取り組んでおります。
 東京国体においても、開催に向けた取り組みを東京全体に広げていくことが不可欠であります。我が党は、東京国体に向け、全都的なスポーツ振興を図るとともに、広く多摩・島しょの地域振興につながる取り組みを強化していくため、各会派に呼びかけて東京国体推進議連を立ち上げ、都議会としての体制を固めたところであります。
 そこで、今後、東京国体の開催準備を全都に広げていくためにどのような取り組みを行っていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 また、東京国体の成功に向けては、選手の競技力向上も重要であり、東京国体や東京オリンピックの成功のかぎを握るのは、選手の活躍にあるといっても過言ではありません。残念ながら、昨年の兵庫国体では総合五位、特に少年男子は十六位という成績に終わりました。
 六年後の国体やオリンピックなど国際舞台で戦える選手の育成やジュニアの発掘は、今すぐ取り組まなければならない喫緊の課題であります。そこで、競技力の向上に向けて、具体的にどのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。
 さらに、こうした東京国体開催のための準備や選手の競技力向上だけではなく、スポーツ環境を整備し、都民のだれもがいつでもスポーツに親しめる、スポーツ都市東京の実現を通して、東京オリンピック招致機運の一層の盛り上げを期待するものであります。都はこの春、スポーツ振興を力強く進めるべく、新たに生活文化スポーツ局を発足いたしました。
 東京国体の開催やオリンピックの招致に向け、また、スポーツ都市東京実現のため、今後のスポーツ振興の戦略を早急に打ち出すべきであります。知事の所見をお伺いいたします。
 次に、東京大気汚染訴訟についてお伺いをいたします。
 先般、国は都のぜんそく患者対策に六十億円を拠出することを決定いたしました。思い起こせば平成十四年十月、東京地裁での一審の判決の際、知事は、自動車排出ガス対策の強化と健康被害者の救済を早急に実施することが行政の使命であるとして、控訴しないことを即断されました。我が党も知事の決断を評価するとともに、東京の空気をきれいにするための環境対策に総力を挙げてまいりました。しかし、二審でも国のかたくなな姿勢は一向に変わらず、我々は歯がゆい思いでそれを見つめておりました。
 こうした中、昨年第三回定例会で、我が党の質問に対し、知事は被害者の救済を最優先し、裁判の範疇を超えて社会全体の課題として解決すべきと答弁され、みずから東京高裁に出向き、大所高所からこの問題の解決を訴えられ、今回の安倍総理の決断に至りました。
 安倍総理は、尼崎や川崎など過去の大気汚染訴訟では例のない国の資金拠出に踏み切りました。これは、総理の問題解決への断固たる決意のあらわれであります。我が党は、総理の決断を高く評価するとともに、敬意を表する次第であります。
 安倍総理がこの官僚の抵抗を排して前例のない決断に踏み切ることを後押ししたのは、首都東京を預かる知事の行動力であり、また、知事と我々とが手を携えてこれまで進めてきた違反ディーゼル車一掃策など、都民、国民の生命を脅かす問題に対する国に先駆けた取り組みにあると考えます。
 本訴訟の解決に向けた大きな進展を受け、改めて現時点における知事の所見をお伺いいたします。
 次に、地球温暖化問題についてお伺いいたします。
 地球温暖化がもたらす気候変動が、人類の活動により引き起こされた最も深刻な環境問題であることは、いうまでもありません。
 先般ドイツで開かれた主要国首脳会議においても、安倍総理が、危機回避のため、二〇五〇年までに世界全体の温室ガスの排出量を半分に減らすよう提唱し、今後の具体化に向けて基本合意が得られました。
 今、求められているのは、CO2削減に向けた取り組みの強化であり、そのためには、社会を構成するすべての主体が、それぞれの役割と責任に応じてCO2を削減することが可能になる、わかりやすく実効性のある施策を明らかにしていかなければなりません。
 そうした中、先般、都が気候変動対策方針を明らかにしたことは、非常に大きな意義があります。この中には、大規模CO2排出事業所に対する削減義務化や排出量取引制度の導入など、先駆的、具体的な施策が提起されております。
 今後、この方針で示された施策を大胆に実施し、日本の気候変動対策をリードしていくべきと考えますが、知事の決意をお伺いいたします。
 都内のCO2削減のためには、大規模事業所の削減対策の促進とともに、中小企業や家庭などにおいても取り組みが進まなければなりません。こうした取り組みが積極的に行われるようにするためには、都内最大規模の排出事業者である東京都が率先してCO2削減に取り組むとともに、都民に対し、中小企業や家庭でのCO2削減の具体的な取り組みと効果をわかりやすく示し、あわせて、これらを促進、支援していく仕組みづくりが極めて重要であります。都の今後の取り組みについて所見をお伺いいたします。
 次に、緑の創出についてお尋ねいたします。
 都は、六月八日、緑の東京十年プロジェクト基本方針を公表いたしました。この方針は、「十年後の東京」の水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させる道筋を示すものであり、都民の期待も大きいと考えております。
 かねてより我が党は、海の森整備を求めてきました。この方針の中で、新たに海の森を基金という手法を用いて整備することとしております。
 明治神宮の代々木の杜は、全国から約十万本の木が奉納され、市民の方々が植樹をして今日のすばらしい東京の緑に成長いたしました。また、調布の神代植物公園でも、都民の皆さんがボランティアとして、百年先の二十二世紀を見据えた森づくりに取り組んでおります。
 子や孫の世代にもすばらしい緑を残していく、そのための手だてとして、緑化募金は、都が都民、企業と協働する有効な取り組みであります。こうした取り組みを契機に、緑あふれる東京の再生に向けて、大きな緑のムーブメントを起こしていきたいと考えます。改めて、こうした募金について、知事のお考えと決意をお伺いいたします。
 次に、築地市場の移転についてお伺いいたします。
 築地市場の移転については、本年二月の予算特別委員会で、我が党の質問に対し、現在地での再整備は営業を続けながらの工事であるため、完成までに二十年以上を要し、市場の経営活動に深刻な影響を及ぼすことや、現行の敷地面積では基幹市場としての役割を十分果たせないとの答弁があり、現在地での再整備は困難であり、断念したものと理解をいたしております。
 こうした状況に加えて、最近では、築地市場のアスベスト問題がクローズアップされてきております。市場施設の一部にアスベストが使用されていると聞いております。もし、移転に反対する人たちが主張するように、現在地で再整備をした場合、この施設の解体時には、生鮮食品を扱う市場であることから、相当慎重にアスベスト対策を行っていかなければなりません。
 そこで、築地市場のアスベストの状況はどうなっているのか、また、アスベストの問題を含めて、現在地での再整備を行うことは、現実性のある案なのか、都としての見解をお伺いいたします。
 次に、先般設置された豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議についてお伺いをいたします。
 関係者や一部都民に懸念の声があり、知事は、市場が食の安全にかかわるということで、土壌汚染調査などについて、専門家にその検証を求めるという方針を打ち出されました。この方針を受け、中央卸売市場では、専門家会議を設置し、ここでの検証、提言を踏まえ、必要な追加調査や対策などを実施することとし、先月第一回の会議が開催されました。
 そこで、会議の設置後、都としてどのように検討を進めていくのか、お伺いをいたします。
 次に、都の税財源をめぐる動きについてお伺いをいたします。
 このところ、地方税収が地域間で偏在をしていることを理由に、東京を初めとする都市部の財源を吸い上げ、地方に回そうという議論がますます熱を帯びてきております。
 先日開催された四都府県知事の会談での指摘にもありましたが、地方分権の大枠が決まっていない段階で、方法論ばかりが先行し、いかにも拙速であります。ましてや、国と地方という本質的な問題に踏み込むことなく、都市部の財源を地方に回そうとする発想は、安易安直といわざるを得ません。
 このような税収の偏在を是正するとの観点から、都の財源を奪う動きが急速に高まっていますが、この問題について知事の基本的認識をお伺いいたします。
 また、地域間の税収偏在の是正に向けた方策として、法人二税の税収を人口基準等で再配分するという考えや、消費税と法人二税を入れかえるといった考え方が、またしても議論の俎上に上がっております。
 しかも今回は、経済財政諮問会議の中で、民間議員が具体的な手法にまで踏み込んで言及するなど、具体化が一層進んでいる印象があります。このような東京の税源をねらい撃ちする不合理な財源調整の動きに対し、どのようなスタンスで反論をしていくのか、都の見解をお伺いいたします。
 本日開かれた、骨太の方針二〇〇七では、地域間の税収の偏在を是正する方針が示されると聞いております。しかし、税制改正に向けた議論は、政府税調や与党税調で議論が行われる秋から冬にかけてが正念場となります。
 先ごろ都が発表した財政力格差是正論に対する反論の書は、緊急アピールとして、最近の議論における論点を都民にわかりやすく説明しています。秋以降の議論ではさらに、国に対し、より積極的な攻めに転じる必要があります。そのためには、地方の厳しい状況も勘案し、問題の本質である国の責任を明らかにして的確な反論を行い、地方が連携して国と対峙していくことが重要であります。
 一方、大都市需要や行革努力のように、都として主張すべきものは主張しなければなりません。そこで、秋以降の本格的な議論に向けて、都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 次に、公会計制度改革についてお伺いをいたします。
 いよいよこの秋には、全国で初めて官庁会計に複式簿記・発生主義会計を導入した新たな公会計制度による財務諸表が作成されることになります。
 財務諸表の作成を第一歩として、これからは、財務諸表を都政の体質改善に活用していくべきであると考えます。従来の官庁会計では明らかにされなかった数々の情報を分析、評価し、その情報を行政だけではなく、都民及び議会が共有し、今後の都政の経営改革に向けて生かしていくことが重要であります。
 財務諸表の作成に当たっては、事業別の情報をも対象とし、都民や議会にわかりやすく提示される必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、安心・安全のまちづくりについてお伺いをいたします。
 知事は、世界一安心・安全な首都東京を実現するために、地域の総合力と行政の力を結集して取り組むとしております。
 都内の犯罪、特に身近な場所での発生状況を見ますと、侵入窃盗や十三歳未満の子どもへの強制わいせつの多くが、マンション等の共同住宅で発生をしております。
 これは、共同住宅の構造上の問題も大きいと思われますが、地域住民同士のつながりが希薄になっていることや、みずからが住んでいる地域社会への無関心といった問題も大きな要因になっていると思われます。
 そこで、今年度から開始した地域防犯モデル事業について、その意義と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 ことしに入ってからも、けん銃を使用した凶悪事件が全国的に発生し、都内でも暴力団対立抗争事件や、暴力団員が都営住宅に立てこもり、駆けつけた警官に向けて発砲するなど、都民に重大な危害を及ぼしかねない事件が発生をしております。
 警視庁では、治安回復に向けた犯罪抑止対策に努め、着実に成果を上げていると承知をしております。しかしながら、こうした事件が発生した背景には、相当数のけん銃が地下に潜んでいるのではないかという不安と脅威を多くの都民が感じていると思います。
 都民が安全で安心して暮らせる東京を実現するためには、今まで以上に効果のある取り締まりを強力に推進し、銃器を社会から一掃することが必要不可欠であると考えます。
 そこで、警視庁では銃器の取り締まりに向け、どのように取り組み、対策を講じていくのか、警視総監のご決意をお伺いいたします。
 さきにも触れましたが、本年四月に町田市の都営住宅で起きた暴力団員による拳銃発砲立てこもり事件は、日常の生活の場である住宅街での事件であり、近隣住民の方々も含めて、恐怖と不安の中で一夜を過ごされたことと思います。再びこのような事件が起こらないように、対策を進める必要があります。
 今定例会に暴力団員の排除に向けた都営住宅条例等の改正が提案されていますが、改正後の条例が実効性のあるものとならなくては意味がありません。条例改正後の暴力団員を排除するための具体的な方策についてお伺いをいたします。
 次に、豪雨対策と多摩地域の河川整備についてお伺いをいたします。
 近年、地球温暖化などを背景に世界的な異常気象が顕在化し、大規模な干ばつや豪雨による被害も多く報道されております。東京においても平成十七年九月の局地的集中豪雨により、中野区、杉並区などで六千棟に及ぶ浸水被害が発生をいたしました。
 都では、この集中豪雨による浸水被害を契機として、豪雨対策基本方針の策定を進めております。本年第一回定例会の一般質問において、基本的な考え方などについて聞き、我が党としても意義あるものとして注目してきたところであります。
 間もなく豪雨の時期を迎えることになります。一刻も早く基本方針を策定し、治水対策を着実に実施することが求められております。そこで、豪雨対策基本方針の策定に向けた進捗状況をお伺いいたします。
 次に、多摩地域における河川整備についてお伺いをいたします。
 治水対策にはまず河川の整備が重要ですが、区部では、先月、環七地下調節池善福寺川取水施設が完成し、本格的な運用が可能となるなど、重点的かつ着実に河川の整備が進められております。
 多摩地域においては、青梅市の霞川で地下調節池が完成するなど、整備が進んでおります。私は先日、霞川調節池を視察し、総事業費百二十八億円との説明を受けました。膨大な事業費ですが、この施設がなく、水害が発生すれば、被害額はこの程度では済みません。
 東大和市などを流れる空堀川や調布市の入間川などでは、まだ水害のおそれがあります。河川の整備促進を進めるべきとの思いを強くしたところであります。
 治水対策は一朝一夕に進むものではありませんが、河川の整備に当たっては、目標を定め、積極的に計画的な取り組みを推進していくべきであります。
 そこで、多摩地域における河川整備の現在の状況と、今後の方針についてお伺いをいたします。
 次に、治水対策を進めるには、河川整備だけではなく、下水道による対策も重要であります。多摩地域の下水道事業は、都と市町村が役割を分担して進めておりますが、市町村が効率的に治水対策を進めていけるよう、さらなる技術的支援を行っていくことを強く要望しておきます。
 ところで、多摩地域の河川には、貴重な自然環境が多く残されております。新たな開発が進められる中、川を中心とした水と緑の空間は、人々の心を和ませる貴重な資源であります。
 「十年後の東京」においても、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活が筆頭に挙げられております。豊かな水辺空間は、多摩地域における都市環境の向上に大きな役割を果たすものであります。
 そこで、多摩地域の河川整備に際しては、豊かな自然を十分生かした取り組みが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、高速道路の料金体系についてお伺いいたします。
 現在、首都圏では、三環状道路を初め、高速道路ネットワークの整備が進められております。外環道については、この四月に大深度地下への都市計画変更が行われ、圏央道については、今月二十三日にあきる野インターチェンジから中央道までの区間が開通するなど、着々と事業が進んでおります。交通混雑の緩和、物流の効率化、環境改善などを図るため、今後とも三環状の整備促進を図ることが重要であります。
 しかしながら、首都圏の高速道料金を見ると、首都高速、東日本高速、中日本高速の三つの会社により運営されていることもあって、ばらばらの料金体系で割高感があるのが実態であります。高速道路をせっかく整備しても、今の料金体系のままでいくと効率よく使われないことが懸念をされます。
 そこで、首都圏の高速道路ネットワークを有効活用できるよう、料金体系を見直すことが重要であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、日暮里・舎人ライナーについてお伺いいたします。
 日暮里・舎人ライナーは、昭和六十年の運輸政策審議会答申を受け整備することとなりました。その後、平成九年に工事着工され、いよいよ平成十九年度末に開業することとなったものです。
 我が党は、これまでこの日暮里・舎人ライナーを都民や地域住民の足として安定的に経営することができるよう、運営主体については、東京都地下鉄建設株式会社ではなく、交通局みずから運営すべきと強く要望してまいりました。今般、交通局みずからが運営主体となることを決断し、東京都日暮里・舎人ライナー条例案が提案されました。
 そこで、この日暮里・舎人ライナーの運営主体となるに当たっての意義と決意についてお伺いをいたします。
 地元住民の交通アクセスが飛躍的に向上することは大変喜ばしいことであり、徐々に沿線開発も進んでいますが、沿線に大型集客施設が多くあるわけではありません。こうした状況の中にあっても、地元都民にとって三十年来の悲願である日暮里・舎人ライナーの運営がしっかりと行われるよう要望して、次の質問に移ります。
 橋梁の長寿命化についてお伺いいたします。
 隅田川にかかる清洲橋、永代橋、勝鬨橋の三つの橋が、昨日、都道府県の橋梁として初めて国の重要文化財に指定されました。いずれも大正から昭和初期にかけて、当時の最先端の技術を駆使して建設された美しい姿の橋梁であり、また、適切な維持管理によって、建設後七十年から八十年を経た今でも現役で使用され、都民に身近に親しまれている橋梁であります。
 都では、今後も貴重な文化遺産として、またすぐれた景観を有する観光のシンボルとして、保全、活用していくよう努めていただきたい。
 都が管理する橋梁は、この三つのほかにも都内に約千二百あります。その多くは高度経済成長期に集中的に建設されたものであり、あと十年間で架設後五十年以上経過することになる橋が過半数あると聞いております。このままではかけかえ時期が集中し、経費の面でも、工事の実施の面でも支障が生ずるおそれがあります。
 そこで、できる限り現在の橋梁が長く使えるよう、かけかえのピークを平準化していくような計画的な対策が必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、アユのすめる川づくりについてお伺いをいたします。
 昨年、第一回定例会では、多摩川の清流復活について、知事から、天然のアユをはぐくむ清流を取り戻すことは、観光資源として多摩川の魅力をさらに増すものと確信しているとの力強い答弁をいただきました。
 また、都では、伝統工法である木工沈床の設置により、周辺の景観や生態系に配慮した川づくりを進めております。
 しかし、現状の多摩川を見ますと、依然として砂利の堆積による瀬やふちの消失が目立ち、魚のすみかが奪われたり、カワウなどによる深刻な食害が生じているなど、魚をはぐくむ環境をつくるためにはさらなる努力が必要と考えます。
 そこでまず、昨年、都が策定した水産業振興プランに掲げた川魚の復活について、具体的にどのような取り組みを進めているのかお伺いいたします。
 また、観光資源として、多摩川のアユなどを活用することが重要だと考えます。多摩川のアユは、かつては全国的に有名な特産品でありました。しかしながら、現在、中下流でとれたアユには、アユ本来の香りが乏しいとの声があります。
 私は昨年、アユ本来の香りを取り戻すための有効な手段の一つとして、多摩産材の木炭の利用を提言させていただきました。都として、香り豊かな多摩川のアユの実現に向けてどのような検討が進められているのか、お伺いをいたします。
 次に、産業振興についてお伺いいたします。
 都は、産業振興基本戦略の推進に向け、年内に産業振興指針を策定するとしております。指針には、中小企業の実態を踏まえた実効性のある施策を盛り込み、産業力の強化を図るべきであります。
 多摩地域における圏央道の整備や横田飛行場の軍民共用化など、都市機能の飛躍的向上によって、異なる経営資源、業種の多様かつ広域的な連携、交流が活発になります。
 多摩地域には、エレクトロニクスや半導体など、時代の先端を行く企業や大学、研究機関が数多く集積しております。これらの多様な交流がさらなる産業集積を誘引し、多摩シリコンバレーともいえる都市型産業の一大拠点として、一層の発展が期待をされております。
 しかしながら、多摩地域を真にシリコンバレーとして成長させていくためには、都市インフラの整備を確実に新事業の創出につなげていくための産業振興施策が不可欠であります。
 平成二十一年度には多摩産業支援拠点が開設されるなど、技術や経営支援機能は着実に強化されております。しかし、新事業の創出を促進するためには、こうした支援機能に加えて、知事が所信表明で述べたとおり、産業交流機能の強化が求められております。
 今こそ、多摩地域の産業交流機能の強化に向けて多面的な取り組みが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、東京には、ものづくり産業の集積、伝統文化、農林水産や観光など、地域産業の活性化に活用可能な魅力ある資源が数多く存在しております。東京ブランドというべき地域資源を活用し、商品やサービスの差別化を図ることで産業の活性化を図っていくことが有効と考えます。
 国においても、中小企業地域資源活用プログラムを新たに策定し、こうした地域資源を活用した新商品開発支援の強化に踏み出したと聞いております。
 そこで、都においても、国の施策を活用しつつ、東京の特性を踏まえ、地域のすぐれた資源を活用した中小企業の取り組みを後押しすべきと考えますが、所見をお伺いします。
 次に、都市農地の保全についてお伺いいたします。
 我が党は、平成十五年に都市農政を考える議員連盟を結成し、青壮年農業者を中心に意見交換を重ねてまいりました。そして、農業者が直面する問題に対処するため、農業経営の支援対策などさまざまな政策を提言をしてまいりました。
 しかしながら、都市農地を保全するためには、国の諸制度の改善が不可欠であります。このため、本年第一回定例会では、現行の農地制度や相続税制度の改善に向けて都市農地の保全に関する意見書を取りまとめ、政府や国会に提出をいたしました。
 このような活動の中で、自由民主党国会議員の都市における農業を考える若手議員の会も発足し、今月八日には制度改善について議論を交わしたところであります。
 このように我が党は、都市農地保全についてさまざまな取り組みを行ってまいりました。しかし、制度改善は国の役割であり、また時間を要することから、この間も貴重な都市農地は失われ続けることになります。
 そこで、都では、農地に対する都民の理解促進を図るなど都独自の農地保全策に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いします。
 今月一日、新銀行東京の十九年三月期の決算が公表されました。これによると、計画を上回る赤字を計上するなど厳しい内容となっております。
 これまで新銀行東京は、その設立趣旨に沿って多くの中小企業に対し積極的な支援を行い、地域経済の発展に寄与してきましたが、一方で、民間企業である以上、財務体質を強化し、経営の健全性を確保することが不可欠であると考えます。
 そこで、今回の決算に対する都の評価をお伺いいたします。
 メガバンクが急速に体力を回復し、中小企業向け融資に積極姿勢を示していますが、直近の都の調査を見ても、依然として多くの中小企業において資金繰りの苦しい状況が続いております。
 中小企業の皆さんが新銀行東京に期待しているのは、ニーズにかなったサービスの提供と、この先、金融環境がどう変わろうとも、事業者の立場に立って支援してくれることです。こうした期待にこたえるためには、まずは経営をしっかりと立て直し、中小企業を着実に支援していくことが重要であると考えます。改めて知事の決意をお伺いいたします。
 次に、障害者施策についてお伺いいたします。
 知事が描く「十年後の東京」では、障害者の自立と社会参加が進み、障害の有無にかかわらず、だれもが安心して暮らせる地域社会の形成がうたわれております。
 都では、これまで、障害者が可能な限り地域で安心して生活が送れることのできるよう、障害者の生活基盤の重点的整備や就労支援策の拡充を図ってきました。特に、障害者の地域における自立した生活の場となるグループホーム、ケアホームの定員は、過去五年間で二倍以上に増加をしております。その結果、長期入所を余儀なくされていた施設利用者の地域生活への移行が進んできております。
 こうした中、今般、都では、障害者の地域生活のさらなる支援に向けて、東京都障害者計画、東京都障害福祉計画を策定いたしました。さきの第一回定例会の代表質問で、計画策定に向けた知事の基本姿勢などについて質問したところですが、改めてこの二つの計画のねらいと具体的な目標についてお伺いをいたします。
 また、障害者の自立のために、生活基盤の整備とあわせて、障害者がそれぞれの状況に応じて働くことができるよう、行政、企業、福祉施設が一体となって支援していくことが重要です。「十年後の東京」に掲げる障害者の雇用三万人増加を実現するために、都は今後、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、医療制度改革についてお伺いいたします。
 本格的な少子高齢社会を迎える中、昨年六月、医療制度改革関連法が成立しました。この改革の中では、七十五歳以上を対象とした後期高齢者医療制度の創設のほか、療養病床の再編成並びに特定健康診査等、生活習慣病予防対策の見直しが打ち出されています。
 良質な医療提供体制の確立や国民皆保険制度を維持可能なものにしていくという本改革の基本的方向については理解をいたしますが、患者の受け皿整備や介護サービスのあり方が具体的に示されないまま療養病床の再編成が進められ、患者や家族が不安を抱いているのではないかと懸念をされております。特に老人保健施設では、現在でも短期間に転院を余儀なくされるケースも少なからずあると聞いております。
 都は、東京発医療改革として、東京ERの整備や小児救急医療の充実など、さまざまな改革を行ってまいりました。今回の医療制度改革においても、首都東京として患者の視点を重視し、都民の健康と安心を支える改革となるよう、実効性のある取り組みを実施していくことが何よりも重要であります。
 そこで、医療制度改革に対する都の取り組みについてお伺いをいたします。
 また、今回の改革において、これまで区市町村が実施してきた基本健康診査を、特定健康診査・特定保健指導として医療保険者に実施を義務づけるなど、生活習慣病対策の総合的な推進を図ることとしております。
 しかしながら、医療保険者は、健診・保健指導に関する経験が少なく、専門的研修などの支援が必要となると考えます。生活習慣病の早期発見、早期治療に向けた仕組みづくりは、医療制度改革の一環として国が責任を持って実施すべきものであります。
 一方、都としても、都民の生命と健康を守るため、医療保険者への支援を積極的に行っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、感染症対策の充実強化についてお伺いいたします。
 都内で、はしかの流行が拡大し、高校や大学で集団感染による休校が続出いたしました。この中、我が党の強い要請を踏まえ、先月、都が緊急対策として、関係局が連携し、都内のすべての高校並びに集団感染のおそれのある小中学校を対象に、ワクチン接種を支援する体制を迅速に講じました。
 今回のはしか流行は、図らずもワクチンの重要性を再認識させられることになりました。国は、ようやく昨年から諸外国に倣い、はしかワクチンを二回接種方式としましたが、遅きに失した感は否めません。
 また、はしかに限らず、子どもの障害の原因となる妊婦の風疹感染の予防なども重要な課題であります。
 国全体で就学前の子どものワクチン接種率を向上させるべきであります。国に対して対策の強化を強く求めるべきであります。都は、こうした感染症の流行を防ぐためにどのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、介護保険事業者の不正行為等についてお伺いいたします。
 都の実施した指導監査が発端となって、株式会社コムスンが、不正な手段により事業所の指定申請を行ったことが次々と明らかになりました。国もこうした事態を重く見て、今月六日、都道府県に対し、同社の新規指定及び更新をしてはならない旨を通知いたしました。
 一方、同社はこの間、都の指導監査結果に基づく処分を逃れるための廃業届の提出や系列会社への事業譲渡などを一方的に発表するなど、法の網をくぐるような不誠実な対応をとっており、コムスンの介護サービス利用者を初め、多くの都民の不安が高まっております。
 こうした事態を踏まえ、我が党は先般、都に対し、サービス利用者の安心を確保するため、緊急に要望したところです。
 そこで、今回の要望を受け、今後、都では介護サービスの利用者を初め、都民の不安を解消するため、どのように対応していくのかお伺いをいたします。
 次に、子育て環境の整備についてお伺いいたします。
 少子化は、日本の経済成長や社会保障にも影響を及ぼす深刻な問題です。少子化の進行に直ちに歯どめをかけるという困難な課題に都は率先して取り組み、未来に希望の持てる社会を実現していかなければなりません。
 そのために都に課せられた喫緊の課題の一つに、都内に五千人いるといわれる保育所への入所待機児童の解消です。
 都は、これまでも国の示す画一的な基準にとらわれず、大都市東京の実情に合わせ、独自の認証保育所制度を創設し、都民の広範な支持を得て大きな成果を上げてきました。
 都として、待機児童解消を初めとする総合的な子育て支援の施策展開を強力に推進すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、子育て環境の整備については、実際に育てる保護者自身の意見やニーズを把握し、より実効性のある施策を構築することが必要であります。
 そのためには、官民が一体となって良好な子育て環境をつくり上げていこうとする機運を高めることが重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、子どもの医療費の助成についてお伺いします。
 昨年六月、我が党は、国の宝であり、国の財産である子どもたちの成長をより確かなものにするためには、人間形成の核となる重要な時期に当たる義務教育終了まで社会が責任を持つことが必要との観点から、子どもの医療費助成制度の拡大を申し入れを行いました。
 都は、これを契機に検討に着手し、平成十九年度予算で、小中学生に対し、医療費自己負担額の一部を助成する義務教育就学児医療費助成事業を構築いたしました。
 さらに、先般の都知事選挙において、知事は公約として、所得格差の是正を図りつつ、中学三年生までの医療費負担をゼロにするとされました。これは、東京の子育て環境の充実を一層図ろうとするものであり、国が積極的に動こうとしない中で、知事の率先した姿勢を示すものとして評価いたします。
 そこで、知事の公約実現に向けた決意をお伺いをいたします。
 次に、教育についてお伺いいたします。
 子どもの基本的な生活習慣の乱れや、それを身につけさせるべき家庭の教育力の低下が指摘されております。こうしたことが子どもの学力、体力や規範意識の低下などをもたらしている傾向があるといわれております。
 都教育委員会では、平成十八年度から子どもの生活習慣確立プロジェクトを立ち上げ、社会全体で家庭教育を支援する取り組みを行っております。とりわけ、公立小学校の入学説明会でわかりやすく説明したDVDの上映や、新一年生全保護者にテキストを配布した取り組みは、大変好評であると聞いております。
 こうした取り組みを社会全体へ広げていくためには、啓発資料の配布を一年で終わらせることなく、継続していくことが必要です。さらに、関係各局との連携を深めることはもとより、企業や医師等の専門家の協力を得るなど、横断的に取り組む必要があると考えます。
 そこで、このプロジェクトについて、今後どのような考えで取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 本来、親は、子どもの豊かな情操や基本的な倫理観、自制心、自立の心を養うなど、子どもの教育について第一義的責任があります。ところが、今や子どもの成長に関心が薄かったり、過保護だったり、干渉のし過ぎだったりする親もいます。このような親を育ててきた私たち世代の責任も痛感せざるを得ません。
 こうしたことを繰り返さないためには、家庭の教育力をみずから高める取り組みだけではなく、それを地域社会で支え合う仕組みが必要であります。
 改正された教育基本法に、家庭教育、幼児期の教育や、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力などが新たに規定されました。家庭が教育の原点であり、その役割を明確にするとともに、学校、家庭、地域が緊密に連携して子どもの教育に当たるという視点を明確にしたものです。
 そこで、心の東京革命では、心の東京ルールや学校、地域及び社会全体でそれぞれの具体的な取り組み内容を掲げてきましたが、都教育委員会としても、こうした心の東京革命や法改正の趣旨を踏まえ、家庭の教育力向上を社会全体で支援する具体的な仕組みを示すべきと考えます。
 今後、どのように進めていくのかお伺いいたします。
 次に、特別支援教育についてお伺いいたします。
 平成十九年四月に改正学校教育法が施行され、特別支援教育が本格的に実施されました。東京都では、既に平成十六年に東京都特別支援教育推進計画が策定され、国に先んじてさまざまな取り組みを進めております。
 しかし、特別支援教育は緒についたばかりで、まだまだ多くの課題があります。
 我が党では、特別支援教育をさらに推進するため、文教部会特別支援教育小委員会が、美しい日本における特別支援教育と題する報告書をこの五月に出したところです。
 都は現在、東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画を作成していると聞いております。その際、知的障害のある子どもたちのための教室の確保や、肢体不自由の子どもたちの通学時間の軽減など、障害のある子どもたちへの十分な教育環境の整備を図るため、特別支援学校の再編成が重要な課題と考えます。
 さらに、「十年後の東京」でうたわれている障害者の自立と社会参加を進めるための三万人以上の障害者雇用に向けた学校の取り組みも非常に重要と考えます。
 これらに関し、第二次実施計画の策定に当たっての所見をお伺いいたします。
 また、近年、障害者を取り巻く社会環境、医療の進歩や障害の多様化、重度化などを踏まえた障害のある子どもたち一人一人のニーズに合った教育を行っていく必要があります。そのためには、個々の教員の資質能力の向上とともに、学校現場に多様な専門家がかかわるような指導体制の構築も必要なことと考えます。
 こうした、国を先導していくような東京都独自の取り組みについても第二次実施計画に盛り込んでいくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 遠藤衛議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、政、政治の本質についてでありますが、私自身の国政経験からいえば、残念ながら国の政治家の多くは正当な歴史観を欠き、持つべき危機意識が非常に希薄なままに目先の利益に拘泥するばかりか、独善的で国益よりも省益を優先させてはばからない国の官僚に操られるままという態様の気がいたします。そのありさまは、とても真の政治とはいえない気がいたします。
 政治の本質は、都民、国民の生命と利益を政治家の責任で守ることでありまして、そのためには治安、医療、福祉あるいは教育、環境、さらには災害対策など、あらゆる手だてを着実に講じるべきだと思います。
 私、都政のかじ取りを預かって以来、こうした信念に基づきまして幾つかの対策をしてきたつもりであります。例えば、一部の政党は反対しておりましたけれども、陸海空、日本の三軍を動員して、米軍にも協力させて大都市災害のシミュレーションをし、実際訓練も行ってきました。
 こうした信念に基づきまして、自分自身がグッドコミュニケーターとなって、さまざまな機会を通じて都民、国民にメッセージを発信し、やっていることの理解を取りつけ、さらに都独自の具体的な政策を構えて、東京から日本を変えるべく、幾つかの試みをやってきたつもりでございます。
 これからも都議会の皆様の協力を得ながら、都民、国民のために必要なことを果断に実行し、首都東京からこの国に本物の政を取り戻していきたいものだと思っております。
 次いで、「十年後の東京」の実現についてでありますが、「十年後の東京」は、あくまで実現可能な東京の近未来図でありまして、これによって目指すべき東京の具体的な姿を国内外にはっきりと示すことができたと思っております。
 東京オリンピックを実現するためにも、都市インフラの整備を初め、環境、安全、文化、産業などさまざまな分野で、東京が今後十年にわたり展開していくべき先進的な取り組みの成果を、二十一世紀の新しい都市モデルにまで高め、世界に発信していくことが不可欠であると思っております。
 三期目を迎えまして、これからの四年間は、東京発の日本再生を確固たるものにしていくため、「十年後の東京」の実現に向けた政策を確実に、かつ迅速に実行することが私の最大の使命と思っております。
 また、「十年後の東京」で描いております三環状道の整備や羽田空港の再拡張、国際化、世界を代表する大都市としての先進的な地球温暖化対策、あるいは首都東京を守るための耐震化への集中的な取り組みなど、大都市の効率性、安全性の向上や国際社会をにらんだ政策展開は、ひとり東京だけにとどまらない、我が国の将来を見据えた国全体の利益につながるものと思っております。
 今後、都議会の皆さんと連携をさらに深めながら、年内を目途に「十年後の東京」をさらに具体化するための実行プログラムを策定し、東京がより高いレベルの成熟した都市となるように全力で取り組んでまいります。
 次いで、アジアの発展への貢献についてでありますが、今日、白人の世界支配という近代、現代史の原理がようやく終わりました。アジアは、その中で世界で最もダイナミックに発展を続ける地域に変貌を遂げましたが、発展に伴うゆがみも顕在化しております。
 特に、環境問題やエネルギー問題は、世界全体への深刻な影響が懸念され、このままでは地球は危機的な状況に陥ります。アジアのさらなる発展の重要なかぎは、東京がこれらの成長、発展の過程で蓄積した、大気汚染、ごみ問題あるいは交通渋滞などの困難、難問を克服するための技術、人材、ノウハウであると思います。
 アジアの経済発展を持続可能でより確かなものにしていくため、こうした東京の知見をアジア大都市ネットワークなどを通じて提供していきたいと思っております。経済分野だけではなく、東京の持つポテンシャルを生かしながら、スポーツ、芸術、文化の分野でも交流を促していきたいと思っております。
 こうした重層的な取り組みを、職員に首都公務員としての気概を持って先導させ、都としてアジアの全体的な発展に責任を果たしていきたいと思っております。
 次いで、東京国体への取り組みについてでありますが、およそ半世紀ぶりの開催となる東京国体は、首都圏の中核拠点として発展する多摩地域や、豊かな自然に満ちあふれた島しょ地域など、首都東京のもう一つの、県外の人には思いがけないだろう顔を全国に発信する絶好の機会であると思っております。
 このため、都民の幅広い共感と賛同を得て開催への機運を盛り上げ、全都を挙げて成功へと導かなきゃならないと思います。来月早々にも東京国体準備委員会を設立しまして、都議会を初め、区市町村、経済産業界、スポーツ団体など、各界各層の方々にご参加いただき、開催準備に万全を期していきたいと思っております。
 次いで、スポーツ振興の戦略についてでありますが、東京マラソンや丸の内で先般行われましたストリート陸上などのスポーツイベントは、都民に大きな感動を与え、スポーツへの関心を大いに高めたと思います。
 この機運をとらえて、都民がスポーツに親しむ機会を拡大し、スポーツ実践層のすそ野を広げていくことは、オリンピック憲章の定めるスポーツ・フォア・オールの発展にもつながることだと思います。
 今後、速やかにスポーツ振興審議会を立ち上げ、オリンピック招致都市にふさわしい新たなスポーツ振興戦略を策定し、子どもから高齢者まで、だれもが生涯を通じてスポーツに親しめる社会を実現したいと思っております。
 次いで、東京大気汚染訴訟についてでありますが、東京都はみんなして、これまで大気汚染の問題を抜本的に解決するため、ディーゼル車排出ガス規制などによる大気改善や、三環状道の整備などによる交通渋滞の解消に取り組んでまいりました。
 東京地裁で本訴訟の判決を受けた際も、正当な文明批判の視点に立って大局的に判断し、患者救済を最優先に考えて、控訴を断念するとともに、和解に向けて医療費助成制度の創設を提案いたしました。
 今回、長い道のりではありましたが、都と都議会とが手を携えて強力に進めてきた取り組みが、ようやく国を動かしたと思います。環境問題についての歴史認識や、強い危機感を持っている安倍首相だからこそ、東京のメッセージをしっかり受けとめて国の姿勢を大転換させ、歴代内閣がなし得なかった決断をすることができたと思います。私としては、安倍首相の英断を高く評価しております。
 二十世紀の負の資産ともいうべき大気汚染問題の解決に向け大きく前進したことで、今後は温暖化など、地球の未来にとって極めて深刻な諸課題にも都として全力で取り組んでまいります。
 次いで、気候変動対策への取り組みについてでありますが、地球温暖化のもたらす気候変動の危機はもはや明白でありまして、これを回避するためにはCO2の排出量を劇的に削減することが必要である。つまり、節電です、節電。
 都は、実効性のある具体策を提示できない国を待つことなく、今般、気候変動対策方針を定めました。「十年後の東京」に掲げたCO2排出量を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減するという目標を達成するために、今後数年間を低CO2型社会への転換始動期と位置づけ、戦略的、集中的に対策を実行していくつもりでございます。
 大規模事業所に対する節電による削減義務化や排出量取引制度は、来年度じゅうの条例改正を目指すとともに、民間資金、地球温暖化対策推進基金、税制等を活用して、必要な投資は大胆に実行したいと思っております。
 こうした取り組みを通して、世界で最も環境負荷の少ない都市を着実に実現し、日本の気候変動対策をリードしていきたいと思っております。
 次いで、新たな緑化募金についてでありますが、緑あふれる東京の再生は、「十年後の東京」の具体化に向けた極めて重要な課題であります。
 その第一歩として、ごみや残土で埋め立てられた島を緑の島に生まれ変わらせ、東京湾から都心への風の道をつくり出したいと思っております。このために、中央防波堤内側処分場に海の森を本格的に整備いたします。
 整備に当たっては、都民や企業などの幅広い参加と協力を得て進めてまいりますが、中でも海の森の苗木については、都民から海の森募金を募り、都民と協働して森を育てていきたいと思っております。ぜひ多くの都民の皆さんのご協力をいただきたいと念願しております。
 さらに、この募金は、海の森にとどまらず、街路樹の倍増など緑化を広範かつ強力に進めるため、ことしの秋に新たな緑化募金に拡大いたします。こうした募金の活用を初め、従来の行政の枠を超えた新しい発想で、広く緑のムーブメントを巻き起こしていきたいと思っております。
 次いで、都の財源を奪う動きについてでありますが、国は地方を厳しい状況に陥らせた張本人でありながら、みずからの責任を棚上げして、本来なされるべき国と地方の分権改革の議論を都市対地方の構図にすりかえようとしております。
 国のこうした小手先の手法では、問題は解決できません。国からの権限と税源の移譲、地方交付税を含む財政調整機能の充実、これらを一体的に実現することこそが必要であります。
 先日、神奈川県、愛知県、大阪府の知事さんと会談を行いまして、地方同士の連携の重要さを確認するとともに、緊急アピールを取りまとめ、昨日、官房長官に申し入れを行ってまいりました。
 ともかく小渕内閣時代にせっかく地方分権一括法なるものができましたが、あの付記に、ただし、税財源の分与、譲与は中長期の目的であるというつまらぬ付記がついておりますけれども、現在の内閣の尾身財務長官なる男は、とにかく今後一切、税源の分与は地方にしないと公言してはばからない。こういう時代錯誤というか、面妖な大臣がいる内閣に、私は地方分権なんていうのは本当に推進できないと思っています。
 今後も国の理不尽な動きに対抗し、都議会の皆様と力を合わせて、真の地方分権の実現に全力で取り組んでまいります。
 次いで、高速道路の料金体系の見直しについてでありますが、今週末、圏央道が関越道から中央道まで開通いたします。また、年末には中央環状線が池袋から新宿まで開通するなど、首都圏三環状道路の整備が着実に進んできております。
 首都圏の高速道路ネットワークの機能を十全に発揮させていくためには、現在の入り組んだ料金体系を、渋滞解消に役立ち、かつ利用者にわかりやすいものに改める必要がございます。
 このため、都は、環状道路の利用を促進する政策的な料金の導入や、将来的な料金の一元化など、首都圏の高速道路の料金体系を一都三県の連携によって提案し、その実現を国に強く働きかけてまいります。
 今週末の土曜日に、できました圏央道とのコネクションの開通式がありますが、地元の八王子の黒須市長以下八王子の幹部が、こんなばかな料金体系があるかというので、そのテープカットの式には参加しないというボイコットを表明しています。
 これは本当に気持ち、わかりますよ。わけのわからない料金体系で、相手側のいい分は、要するに時代が違って工費に金がかかったからということで、料金が違うのは仕方ないといっていますけれども、計算してみましたら、新しく開通する道路は一キロ当たり四十円ですか。ところが、反対側を回れば一キロ当たり二十五円という、こういう格差がまかり通るというのは本当におかしな話でありまして、これは国のイニシアチブで変わるべき問題だと思いますけれども、その道路を保有し、利用する地方であります東京も、この問題については重大な関心を持って、こういったものの是正に他県とも協力して働きかけていきたいと思っています。
 次いで、新銀行東京についてでありますが、開業からこれまでに一万六千六百件の融資、保証を実行しており、中小企業金融において重要な役割を果たしてきたと思います。しかしながら、計画を上回る不良債権の発生などにより、経営が極めて悪化しました。
 今般、新銀行東京は、平成二十一年度の単年度黒字を目指して新たな経営計画を策定するとともに、代表を銀行出身の森田氏に交代することといたしました。
 立て直しに向けては、都としても、大塚前副知事を含め、五人の幹部職員を派遣し、支援することにいたしました。
 しかし、多額の不良債権が発生したことなど、経営結果は到底納得できないものでありました。今後、その原因を整理しなければならないと考えております。この過程で、私も幾つかうっかり発言をいたしまして、あることの是正を求めましたが、株主としての立場というのをそんたくしてほしいという苦情が入りまして、口をつぐみましたが、結果としてこういうことになりました。
 ゆえにも、人事も一新いたしましたが、こういう困難な条件のもとであっても、新経営陣とともにベストを尽くして、中小企業に対する金融支援を一層充実していきたいと思っております。
 次いで、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、次代を担う子どもたちは社会の宝でありまして、子どもたちが健やかに育つ環境を整備することは、行政はもとより、社会全体の責務であります。
 都はこれまで、認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備など、国に先駆けて子どものためのさまざまな独自の施策を展開してまいりました。
 子育てにかかわる経済的支援については、本来、国が実施すべきものでありますけれども、国の取り組みが不十分であることから、私も公約として、所得格差を踏まえつつ、あくまでも所得格差を踏まえつつ、だれもかれもというわけにはいきません、中学三年生までの医療費負担をゼロにすることにいたしました。本公約については、今後、実現に向けて準備を進めてまいります。
 なお、他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 銃器事犯への取り組みについてお答えいたします。
 我が国が良好な治安を保ってきた要因の一つに、銃器に対する厳しい規制、取り締まりが挙げられるところであります。しかしながら、近年、暴力団がけん銃を使用する事案が多数発生したことから、警視庁では、かねてより暴力団総合対策やけん銃等摘発総合対策を強力に推進し、暴力団の徹底検挙に取り組み、武器庫の摘発や密輸、密売事犯の検挙など、けん銃の押収に努めてきたところであります。
 その結果、最近の都内におけるけん銃発砲件数は、平成十三年の五十八件をピークに減少傾向にあり、昨年は三件でありましたけれども、本年に入りまして、暴力団によるけん銃使用対立抗争事件やけん銃発砲立てこもり事件など、暴力団によるけん銃発砲事件が五件発生したところであります。
 警視庁では、引き続き、都民生活の安全と安心を確保するため、暴力団対策を徹底し、情報収集の強化、税関、海上保安庁等関係機関との連携強化による水際対策の推進など、銃器事犯の取り締まりとけん銃の押収に努めてまいる所存であります。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の子どもの生活習慣確立プロジェクトの取り組みについてでございます。
 子どもの生活習慣を確立するためには、その必要性を広く社会全体に訴えるとともに、学校、地域社会、企業、行政機関等が協働して家庭を支援し、その取り組みが地域に定着することが重要であると考えております。
 お話のありました啓発用のDVDやテキストにつきましては、本年度も引き続き全公立小学校の入学説明会等の時期に配布し、教育に関心の薄い保護者にも生活習慣確立の必要性が効果的に伝わるよう、活用してまいります。
 さらに、出産を控えた親を対象といたしました両親学級や、幼児期の保護者を対象とした家庭教育学級などを通しまして、早い時期から保護者に働きかけるとともに、都医師会や企業、関係各局等の協力を得まして、さまざまな機会に子どもの生活習慣確立のための取り組みを広げてまいります。
 次に、家庭の教育力向上への支援についてでありますが、都教育委員会はこれまでも、子どもの生活習慣確立プロジェクトを初めとした家庭教育支援の取り組みを進めるとともに、学校、家庭、地域の教育力の総合的な向上を図るために、企業、大学、NPO等も含めました都レベルのネットワークづくりや、区市における地域教育連携のモデル事業など、さまざまな取り組みを進めてきたところであります。
 本年五月に設置しました第七期東京都生涯学習審議会におきましても、新しい教育基本法のもとでの、これからの社会教育施策のあり方について諮問したところであります。
 今後、審議会における家庭教育に関する議論も踏まえながら、例えばPTA団体や都医師会等とのより緊密な連携により、家庭や家庭を支える地域への施策の定着を全都できめ細かく推進するなど、家庭の教育力向上を社会全体で支援する仕組みづくりをさらに進めてまいります。
 次に、東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画の策定についてであります。
 平成十六年度から本年度までの第一次実施計画において、知的障害のある児童生徒の増加に応じました教室の確保や、肢体不自由の児童生徒の通学時間軽減等のため、特別支援学校の新設、増改修等を積極的に推進してきたところでございます。
 都教育委員会といたしましては、本年四月の改正学校教育法の施行を受けまして、特別支援教育のさらなる推進と定着を図るべく、平成二十年度から二十二年度までの三カ年を計画期間とする第二次実施計画を、本年秋を目途として策定する予定であります。
 この第二次実施計画におきまして、引き続き特別支援学校の再編整備を進めるとともに、障害者の自立と社会参加のため、職業教育の充実、知的障害が軽い生徒を対象といたしました高等部の計画的な設置、就労先、実習先の開拓等に取り組み、特別支援教育の一層の充実を図ってまいります。
 最後に、東京都独自の取り組みについてでありますが、東京都では、全国に先駆けて、養護学校への希望者全員就学及び通常の学級に在籍する児童生徒が特別の指導を受ける、いわゆる通級制度の創設等、数多くの取り組みを実施してまいりました。
 特別支援教育推進計画第二次実施計画の策定に当たりましては、学校現場に医療や福祉等の専門家がかかわり、一人一人のニーズに合った指導体制を構築するなど、今後も、東京都ならではの国を先導するような改革を推進してまいります。
   〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 「十年後の東京」を実現するための実行プログラムの策定についてでございます。
 「十年後の東京」に掲げました目標を確実かつ迅速に実現していくためには、財政、組織、政策展開が一体となりました、オール都庁の総合力を発揮しますとともに、都民、企業、行政が協働しながら、東京全体で取り組みを進めることが重要であります。
 ご指摘のように、地球温暖化や少子化対策、建物の耐震化促進など、全庁的な取り組みが欠かせない課題につきましては、組織横断型の戦略会議の成果を十分反映させてまいります。
 また、多くの都民や企業などの参加によります、広範なムーブメントを創出するための新たな手法を具体化いたしますとともに、実効性を確保するために創設をいたしました都独自の四つの基金を活用して、取り組みを加速させてまいります。
 今後、来月末を目途に策定方針を定めまして、各局との意見交換を行いますとともに、都議会の皆様から十分ご意見を伺いながら、知事本局の総合調整機能を最大限発揮をいたしまして、実行プログラムの策定に取り組んでまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) オリンピック招致に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国内の招致機運の盛り上げについてでございます。
 これまでも、東京大マラソン祭りを開催するとともに、スポーツ大会や地域イベントにおけるPRブースの出展、パンフレットの配布、横断幕やのぼり旗を用いた広報活動を展開してまいりました。
 また、去る五月二十四日には、東京オリンピック招致大使として、マラソンの有森裕子さん、野球の星野仙一さん、柔道の山下泰裕さんを任命いたしました。今後は、さらに招致機運を盛り上げていくために、スポーツ界のみならず、各方面で活躍している多くの方に招致大使をお願いしてまいります。
 また、町内会や商店街と連携したPR、例えば東京五輪音頭を用いた夏祭りでの盛り上げ、ロゴマークを活用したポスター、フラッグ、ピンバッジ、横断幕等によるPR、さらには、メダリストを初めとするオリンピック出場選手によるフォーラムの全国展開、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等のマスメディアの活用など、各種の方法を用いながら、都議会を初め、JOC、競技団体、国、区市町村、企業、経済界等と連携して、今まで以上に広がりのある広報展開を戦略的かつ効果的に行い、招致機運を強力に盛り上げてまいります。
 次に、晴海に建設予定のオリンピックスタジアムについてでございます。
 オリンピックスタジアムは、開会式や閉会式、陸上競技などが開催され、世界じゅうから多くの観客や大会関係者が集まる、大会の象徴となる施設でございます。晴海は、東京の新たな発展の可能性を有する臨海地域に位置し、そこに建設されるオリンピックスタジアムは、水と緑のすぐれた景観を有し、東京の新しいランドマークとなることが期待できます。
 また、ご指摘の、現在国立競技場がある神宮と晴海を比較した場合、第一に、神宮では十万人規模のオリンピックスタジアムや補助競技場等の建設用地が確保できないのに対し、晴海はそうした用地が確保できること、第二に、神宮に比べ、晴海は選手村予定地の有明北地区から至近距離にあること、第三に、神宮は都市計画法等の規制が多いことなどの状況にございます。
 以上のことから、オリンピックスタジアムを晴海に整備することを決定したものでございます。
 最後に、都立によるオリンピックスタジアムの整備についてでございます。
 都は、昨年六月に開催概要計画書を発表して以来、一貫してオリンピックスタジアムを国立で晴海に整備することを国に要望してまいりました。しかし国は、東京に二つの大規模な競技場を建設することはできないとの立場をとり続けております。そのため都は、オリンピックにふさわしいスタジアムを提供する開催都市としての責任を果たすとともに、大会後も、都民の貴重な財産として、スポーツ、文化の拠点を残すとの観点から、都立で整備することとしたものでございます。
 整備に当たりましては、国費の調達や民間資金の導入に最大限努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  スポーツ選手の競技力の向上についてでございますが、六年後に迫った東京国体で活躍できる選手や、将来性豊かなジュニアの育成強化を図るため、都は、今年度、地区体育協会との連携によるジュニア育成地域推進事業等を大幅に拡充いたしました。
 こうした事業の効果を一層高めるためには、成長段階に合わせた指導プログラムの整備と普及、優秀な指導者の確保と育成、スポーツドクター等の医科学スタッフによる支援などの体系的な仕組みづくりが必要でございます。
 このため、都はこの七月に、区市町村、東京都体育協会、競技団体や学校関係者、JOC委員などのスポーツ関係有識者等で構成する東京都競技力向上推進本部を設置し、オリンピック等の国際舞台でも戦えるトップアスリートの発掘、育成を図ってまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) CO2の削減に向けた今後の取り組みについてでありますが、CO2排出量の大幅な削減を着実に推進するため、まず、都庁みずからの率先行動として、世界最高水準の省エネ仕様を都施設の新築、改築時に全面適用するなど、先進的な取り組みを進めていくとともに、地球温暖化対策都庁プランを改定し、大幅な削減を図ってまいります。
 また、家庭における省エネの取り組みを推進するため、白熱球一掃作戦をこの夏から展開するなど、積極的な広報活動を通じて省エネや節電がCO2削減に直接結びつくことを都民がわかりやすく実感できるよう、工夫を凝らしてまいります。
 さらに、中小企業等における省エネ努力の支援に当たりましては、省エネ設備の導入に必要な初期投資費用の調達が円滑に進むような仕組み等を構築してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場のアスベストの状況と現在地再整備の可能性についてでございますが、築地市場では、施設の広範囲にわたりアスベストが使用されておりました。しかし、飛散のおそれのあるものにつきましては既に除去し、水産仲卸売り場の屋根や駐車場のはりの部分などに、現在もアスベスト含有建材が使われてございますけれども、これらはすべて封じ込められた状態であり、安全性は確保されております。
 築地市場の現在地再整備につきましては、整備を行う場合には、営業を継続しながら工事を行う必要がございますが、現状の過密、狭隘の中では、ローリング工事用のまとまった種地を確保することができません。
 これに加え、ただいま申し上げましたアスベスト対策として、仲卸売り場等を密閉し、隔離した状態で解体処理を行うことが必要となり、市場業者の一定部分が営業を停止せざるを得ず、営業活動に深刻な影響を及ぼすことになるなど、厳しい制約条件が多いことから、現在地再整備は不可能であると考えております。
 次に、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議の今後の進め方についてでございますが、都は、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策などについて、科学的、客観的な検証を行うため、公平、中立な立場の専門家による専門家会議を発足をさせました。
 去る五月十九日に開催されました第一回会議では、東京ガス株式会社が実施した土壌汚染調査に対する評価を行った上で、ベンゼンなどの揮発性物質のガス化への対応、地下水の管理の重要性、地下室等の施設配置のあり方などにつきまして、活発に意見交換が行われ、その中で、都民や市場関係者の不安を解消する観点から、一部、追加調査の必要性も指摘されたところでございます。
 第二回以降の会議におきまして、追加調査の内容や範囲、新たな対応策の必要性などを議論し、本年九月を目途に具体的な提言をいただく予定でございます。
 都は、こうした専門家会議の検討や提言を踏まえて、必要な措置を確実に実施し、豊洲新市場を都民が安心できる市場として開場させてまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 不合理な財源調整の動きに対する反論についてでございます。
 そもそも、地方におきます法人課税は、法人が事業活動を行うに当たり、自治体が提供する行政サービスを利用することから、その応益関係に着目いたしまして、応分の負担を求めるものでございます。
 これに対しまして、法人二税の税収の人口基準による再配分あるいは消費税と法人二税との入れかえといった考えは、課税の根拠、そして法人二税の果たす役割を全く無視するもので、地方税の基本原則から外れており、地方分権改革の流れにも逆行するものでございます。
 都といたしましては、東京都税制調査会にも検討をお願いし、大都市特有の財政需要に見合う税財源が確保されるよう国に対して求めていくとともに、都議会のご協力もいただき、また、他の自治体とも連携して、こうした大都市の税源を奪うための地方法人課税の見直しなど理不尽な税制上の措置に対し、あらゆる機会をとらえて反論してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 都の税財源をめぐる今後の取り組みについてでございます。
 秋以降の正念場の議論におきましては、都として重要なことは、問題の論点とそれに対する都の立場をより鮮明にしていくことでございます。
 そのため、まず今日の地方財政の厳しい状況が、国自身が行ってきた地方交付税の大幅な削減の結果生じていることを実証的に示すことにより、国の責任を明らかにしてまいります。
 同時に、東京には、これからまさに更新期を迎える社会資本ストックへの対応や大都市特有の需要など、みずからの税収で賄うべき膨大な財政需要が存在することなどを明らかにしてまいります。
 今回公表いたしました反論ペーパーにつきましても、こうした点に留意して一層充実を図り、国などが主張する都税収入の直近の増加傾向のみをとらえた誤った東京富裕論への反論をさらに強め、都議会の皆様とともに、東京の財源を奪おうとする理不尽な動きに対抗してまいります。
   〔会計管理局長三枝修一君登壇〕

○会計管理局長(三枝修一君) 公会計制度改革についてでございますが、これまで効率的な行財政運営や都民への説明責任の一層の遂行など、都庁の体質改善に寄与することを目的として取り組んできたところであります。
 平成十八年度決算では、従来の官庁会計決算に加えまして、全国で初めて複式簿記・発生主義会計による財務諸表を作成いたします。
 行政の特質を考慮しながら民間の企業会計原則に準拠し、新たに資産や負債などストック情報や減価償却費などのコスト情報を明らかにしてまいります。
 具体的には、一般会計及びすべての特別会計について、会計ごと及び局ごとの財務諸表を提示いたしますとともに、お話にありました事業別の情報についても作成することといたします。
 また、新公会計制度による初めての決算を、都民や議会にわかりやすくお示しできることができるよう、今後、その方法などについて関係各局と検討を進めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 地域防犯モデル事業についてでございますが、本事業は、マンションなどの共同住宅を含む地域の防犯力を向上させることを目的としております。共同住宅の居住者と地域の町会、自治会などが連携して行う地域防犯活動を、都、区市町村、警察署が支援するものでございまして、今年度は、都内の五つのモデル地域で実施することとしております。
 具体的には、町会などの自主防犯活動に対する支援に加えまして、共同住宅への防犯カメラの設置などを促進するほか、街路灯の設置、植栽の剪定など、周辺の防犯環境の改善にもあわせて取り組んでまいります。
 地元の区市及び警察署などと連携を密にし、各地域の特性に応じて、ハード、ソフト両面からの総合的な防犯対策を行ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) まず、都営住宅からの暴力団員の排除についてでございます。
 今回の条例改正案では、暴力団員の都営住宅への入居を認めないこととするとともに、既に入居している暴力団員についても、明け渡し請求を行うことができることといたしました。
 現在、実施に向けて、暴力団員であることの確認方法や、明け渡しに当たって警察官の同行を得る具体的な仕組みなどにつきまして、警視庁と協議中でございます。
 今後、警視庁の継続的な協力を得ながら、条例改正の趣旨を踏まえ、着実に取り組んでまいります。
 次に、豪雨対策基本方針についてでございます。
 近年、増加しております集中豪雨に対処するため、学識経験者による委員会を設置し、検討を進めてまいりました。
 この基本方針では、豪雨や浸水被害の発生頻度などを分析し、長期的な見通しを踏まえて、今後十年間で重点的に取り組む豪雨対策の促進エリアを設定することとしております。また、河川や下水道の整備計画を超える降雨により浸水被害が発生する場合であっても、床上や地下空間への浸水の防止、生命の安全確保に必要な減災のための対策を示すとともに、その実現に向けた公と民との役割分担も明確にしてまいります。
 近く中間のまとめを公表した上で、都民や関係機関の意見を聞きながら基本方針を早急に策定し、緊急性を有する対策から優先的に取り組んでまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域における河川整備についてでありますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川整備の明確な目標を設定し、それに向かって事業を推進していくことが重要であります。
 中小河川では、十年間で過去の水害と同規模の降雨による溢水の九割を解消し、残りの一割についても、被害の程度を大幅に減少させることを目標に事業を進めております。
 これまで、多摩地域の河川については、護岸や調節池などの整備を鋭意進めてきた結果、五〇ミリ降雨に対する治水安全度は、平成十八年度末で七四%になっております。引き続き目標達成に向け、空堀川や野川、入間川など、過去に河川の溢水により被害が発生した箇所において、五〇ミリ対策の完了を目指し、積極的に整備してまいります。
 今後とも、国費などの財源確保に努め、従来にも増して事業のスピードアップを図り、多摩地域における水害の早期解消に取り組んでまいります。
 次に、多摩地域の河川整備における自然を生かした取り組みについてでありますが、河川の整備においては、治水機能を向上させ安全性を確保した上で地域の自然に配慮し、人々に親しまれる河川環境を創出していくことが重要であります。
 これまでも、野川や平井川など多摩の河川では、緑豊かな遊歩道や緩やかな傾斜の護岸を整備するなど、人々が水辺に近づける工夫をするとともに、魚や昆虫、水鳥などにも優しい多自然川づくりを進めてまいりました。
 今後とも、地元自治体の協力や住民の参加を得て、多摩の豊かな自然を生かした安全で潤いのある川づくりに努めてまいります。
 次に、橋梁の長寿命化対策についてでありますが、高度成長期に集中して整備した橋梁が、近い将来、一斉に更新時期を迎えることから、かけかえ時期の平準化と総事業費の縮減を図る必要があります。
 このため、都は、全国に先駆け、橋梁に資産管理の手法であるアセットマネジメントを活用した予防保全型管理を導入しております。
 これまで実施してきた健全度調査の結果から、将来の損傷や劣化を予測して、適切な時期に最新技術により橋梁の耐久性を向上させる対策などを盛り込んだ長寿命化計画を今年度中に策定いたします。
 今後、この計画に基づき、国の重要文化財に指定された清洲橋など著名な橋梁や長大橋、主要幹線の橋梁について、橋げたや基礎の増強などの長寿命化対策を行い、効率的、効果的な管理に努め、都民の貴重な財産を次世代に継承してまいります。
   〔交通局長島田健一君登壇〕

○交通局長(島田健一君) 日暮里・舎人ライナーの運営主体になるに当たっての意義と決意であります。
 日暮里・舎人ライナーを安定的に経営していくためには、交通局みずからが運営主体となることが適当であると判断し、今回、東京都日暮里・舎人ライナー条例案を提出いたしました。
 日暮里・舎人ライナーは、区部北東部の交通利便性の向上や地域の活性化に大いに資するものと認識しており、運営に当たりましては、安全を最優先にしつつ、日暮里・舎人ライナーが地域とともに発展するよう、都営交通ネットワークも活用しながら、乗客の誘致を進めてまいります。
 あわせまして、コストの圧縮など経済性の向上に努め、経営の早期安定化に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、川魚の復活についてですが、多摩川は都民にとって身近な憩いの場であり、観光資源としてさらなる活用を図る上でも、魚であふれる豊かな川を取り戻すことは重要であると認識しております。
 そのため、都では、平成十八年度から、水産業振興プランに基づきまして、アユやヤマメの産卵場の造成や魚道の維持管理体制の整備などの取り組みを、関係機関と連携を図りながら進めております。
 今年度は、これらに加え、魚の良好なすみかを復活させるため、川に大きな石を配置して瀬やふちを創出するパイロット事業に取り組んでおります。
 今後とも、多くの都民が魚と触れ合い、楽しさを満喫できるよう、川魚の復活に努めてまいります。
 次に、多摩川のアユについてですが、釣りなどの遊漁振興とともに、都民に身近な食材として普及するためには、多摩川に香り豊かなアユを取り戻すことが大きな課題と考えております。
 このため、都では、平成十八年度から、アユの香りに影響を及ぼす要因の究明と水の浄化などに効果がある木炭を活用した改善方策につきまして、大学等の専門家と連携しながら検討を行っております。
 今後、検討結果を得た上で、香り豊かな多摩川のアユの復活に向けて、さらに取り組みを進めてまいります。
 次に、多摩地域における産業交流機能の強化についてですが、圏央道等の都市インフラ整備を契機とした異業種、異分野間や都域を超えた連携など、多様な産業交流が多摩シリコンバレーの形成にとって極めて重要と認識しております。
 このため、産学公連携や高度な技術支援などを一層推進すべく、多摩産業支援拠点を着実に整備してまいります。
 さらに、今後、関係局から成る検討組織を設置し、産業交流機能の強化に向け、ハード、ソフト両面から具体的な施策を検討してまいります。
 次に、地域資源の活用についてですが、中小企業が、東京において長年にわたって培われた独自の技術や特産品などの地域資源を生かし、新商品や新サービスを創出していくことは、地域産業はもとより、都内産業全体の底上げを図る上で極めて重要と考えております。こうした認識に立って、都は現在、区市町村と連携し、地域資源の掘り起こしを進めているところであります。
 今後、国や区市町村、商工関係団体とも連携しながら、地域資源を活用した中小企業の新事業創出に向けた取り組みを強力に支援してまいります。
 次に、都市農地の保全についてですが、都はこれまで、国に対して農地制度の改善を要請するほか、農業後継者の確保育成や魅力ある都市農業経営の確立などを目的としたさまざまな農業振興策を通じて農地保全を図ってまいりました。
 今年度は、生産緑地制度や相続税制度等の改善を国に強く要請するとともに、都独自の農地保全策に取り組んでまいります。
 具体的には、地域住民と農業者の相互理解を促進する場の設定など、住宅と農地の共存に向けた区市の取り組みへの支援を行うとともに、農業の継続を支援するため、農作業受委託の仕組みを構築してまいります。
 今後とも、都民の貴重な財産である都市農地の保全に向け、積極的に取り組んでまいります。
 最後に、新銀行東京の決算についてですが、融資、保証残高は三千二百十億円で、計画比七五%、預金残高は五千二百三十一億円で、計画比一〇九%となっております。
 また、当期損失は五百四十七億円となり、計画を大きく上回りましたが、その主な要因は、十分な貸し倒れ引き当てを行ったことと減損会計を適用したことによるものであります。これにより、将来のコスト負担が軽減されたと考えております。
 都としても、今回の決算については厳しく受けとめており、株主の立場から、新経営陣が立て直しに向け全力を尽くすよう、積極的な働きかけを行ってまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点の質問にお答えをいたします。
 まず、東京都障害者計画、障害福祉計画についてでございますが、本年五月に策定をいたしました両計画におきましては、障害者自立支援法の趣旨を踏まえ、これまで都が国に先駆けて進めてきた地域生活移行の取り組みやグループホームなどの地域生活基盤の重点的整備、喫緊の課題であります就労支援の強化を基本に据えております。
 平成二十三年度末までの主な数値目標といたしまして、入所施設利用者の一割以上及びいわゆる社会的入院の状態にある精神障害者の五割が地域生活に移行すること、一般就労への移行者を二倍以上にすることを掲げてございます。
 都は、両計画を着実に推進していくことによりまして、「十年後の東京」で描きました、障害の有無にかかわらず、だれもが安心して暮らせる地域社会を実現してまいります。
 次に、障害者雇用の取り組みについてでございますが、東京都障害者計画では、障害者が当たり前に働ける社会の実現を基本理念に掲げてございます。
 その実現のため、就労面と生活面の支援を一体的に提供いたします区市町村障害者就労支援事業を平成二十三年度までにすべての区市町村で実施することを目指してまいります。
 また、企業での就労を体験する企業内通所授産事業を拡大するなど、障害者が地域で安心して働き続けられる支援体制を整備してまいります。
 さらに、庁内関係各局や企業、経済団体、ハローワークなど関係機関の連携を強化するため、今年度中に障害者就労支援協議会(仮称)を設置し、新たな雇用機会の拡大に努め、障害者雇用の三万人増加の実現を目指してまいります。
 次に、医療制度改革への取り組みについてでございますが、人口減社会が現実のものとなった今、医療制度につきましても時代に合った制度への改革が不可欠であります。
 今般の改革は、国民皆保険制度を将来にわたり持続可能なものとするため、療養病床の再編成や生活習慣病予防対策を推進していくものであります。
 しかし、介護施設等における医療提供の具体的なあり方が明らかになっていないなどの課題もあるため、六月十一日、国に対して緊急に提案を行いました。
 都といたしましては、これまで同様、患者中心の視点に立ちまして、この改革推進の柱となる保健医療計画などの策定に向けた検討を進めまして、都民が安心できる医療の実現に積極的に取り組んでまいります。
 次に、医療保険者への支援についてであります。
 生活習慣病予防対策の一層の推進のためには、医療保険者が特定健康診査、特定保健指導を効果的かつ円滑に実施することが重要でございます。
 このため、都といたしましても、ただいま申し上げた国への提案の中で、受診者にとって利便性の高い健診等の仕組みづくり及び必要な財政支援を行うよう、緊急提案いたしました。
 また、今年度、都内の全医療保険者に対し、特定健診等の計画策定に関する研修を実施するとともに、効果的な保健指導を実施するための人材育成への支援等を行ってまいります。
 今後とも、国の対応を踏まえつつ、東京都保険者協議会等と連携しながら、医療保険者における特定健診等の着実な実施に向けて支援をしてまいります。
 次に、感染症対策の充実についてでありますが、お話しのように、麻疹等の感染症の流行を予防するためには、就学前の子どものワクチン接種率を向上させることが極めて重要であります。このためには、予防接種法に基づく定期の予防接種を確実に受けてもらうことが基本でございますが、接種期間が限られているため、法定の接種を受けられない子どもが一定数おります。
 都は、こうした子どもへの接種を促進するため、区市町村において接種期間以外にも接種が可能となるよう、今年度から新たに包括補助制度を通じた支援を開始いたしました。 今後、都は国に対して、予防接種制度の充実を初め、麻疹を根絶するための総合的な戦略を策定するよう強く要望していくとともに、流行監視体制の強化や都民への適切な情報提供など、対策の推進に万全を期してまいります。
 次に、株式会社コムスンの不正に係る対応についてでありますが、去る六月六日の厚生労働省からの通知を受け、都では即日、コムスンに対して、今後介護サービス事業者としての指定、更新などを行わない方針を伝えるとともに、利用者保護のため、介護サービスを低下させないこと、新たな事業者への紹介を確実に行うことなどについて指導を行っております。
 また、介護保険の運営主体である区市町村には、コムスンに関する事業所情報を提供するとともに、担当者会議を開催し、個々の利用者にきめ細かく対応するため、適切な相談体制の確保を依頼いたしました。
 さらに、介護支援専門員に対しましても、利用者からの相談に応じ、不安の解消に努めるよう、団体を通じて周知を依頼いたしました。
 今後は、国に対し、これまでも提案してきました不適正な事業者を排除することにつきまして、さらに実効性のある仕組みを早期に構築するよう要望してまいります。
 また、各事業者の法令遵守を徹底するため、今年度から、指定の更新に合わせ、都独自の取り組みとして事業者講習会を実施するとともに、指導、検査につきましても、引き続き厳正に行うことにより、都民が安心して介護サービスが利用できる体制の確立に向けて万全を期してまいります。
 次に、総合的な子育て支援策の推進についてでございますが、子育て支援については、子育てと仕事が両立できる雇用環境の整備を初め、課題は広範にわたっておりまして、福祉、労働、住宅など幅広い取り組みが必要でございます。
 こうした観点から、都は、庁内各局の連携をこれまで以上に強化し、総合的かつ機動的に施策を推進していくため、先般、副知事をトップとした局横断的な子育て応援戦略会議を設置いたしました。
 今後、この会議で、働き方の見直しの推進や子育て支援サービスの改革、子育てに優しい環境づくりについて重点的に検討を行い、「十年後の東京」で示した保育所の待機児童五千人の解消などを目指し、子どもと子育て家庭を支援する施策を全庁挙げて推進してまいります。
 最後に、子育て環境の整備に向けた機運の醸成についてであります。
 未来を担う子どもたちが健全に成長できる環境を整備するためには、行政はもとより、都民、企業など社会全体での取り組みが必要であります。
 都はこれまでも、シンポジウムの開催など次世代育成支援に向けたさまざまな意識啓発を図ってきました。
 今年度はさらに、社会全体で子育てを支援する機運を一層高めていくため、行政、企業、大学、NPOなどで構成する子育て応援とうきょう会議(仮称)を設置し、企業の効果的、先進的な取り組みの普及や若者の声を聞くフォーラムの開催などを機動的に行ってまいります。

○議長(川島忠一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

   午後三時二十七分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十八番岡崎幸夫君。
   〔七十八番岡崎幸夫君登壇〕

○七十八番(岡崎幸夫君) 私は、都議会民主党、すなわち、田中良幹事長、馬場裕子政調会長、土屋たかゆき総務会長を先頭にして活動する三十五名の会派を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず、石原知事の都政運営について伺います。
 今回の東京都知事選挙においては、石原知事が約二百八十万票を得て三選を果たされました。今回の石原知事の勝因の一つは、都政の私物化、傲慢との批判に対して、説明不足で誤解を招いた、都民におわびをしたい、反省しているなどと率直に謝罪したことにあったともいわれています。しかし、当選が決まった際の石原知事の発言は、一部メディアの執拗なバッシングで誤解が拡大した、決して独断専行したわけじゃないなどと、批判はあくまで誤解にすぎず、単なる説明不足でしかないというものでした。これでは、石原さんは謙虚になったと評価し、都政を三たび石原知事に託した都民に対する裏切りになってしまいます。石原知事の真意を伺います。
 また、私たちはさきの第一回定例会において、政権内に友人を入れてはならないとの警告を進呈いたしましたが、知事は、知人、友人であろうと、要所要所で骨身を惜しまず働いてもらっておりますとされました。しかしながら、知事側近の一部に、知事の威光をかさに着て都政をゆがめる者が出かねないことは、濱渦元副知事の更迭や、この間のトーキョーワンダーサイトを初めとした一連の事態が如実に示しています。
 この石原知事の知人、友人の登用については、先週の記者会見において、猪瀬直樹氏を副知事に登用するとの表明がありました。石原都政における民間副知事の登用については、既に結果として更迭することとなった濱渦元副知事の例があります。この濱渦氏の副知事登用について、石原知事はどのように総括されているのか伺います。
 民間副知事を初めとした政治任用について一概に否定するものではありませんが、庁内外の信頼性を確保するために、安定性、透明性並びにリスク回避という観点から、新たな制度設計を考える必要も出てきているのではないかと考えます。
 そこで伺いますが、現在、東京都知事と都議会議員には政治倫理の確立のための資産等の公開に関する条例が課されており、本議会には規定整備のための一部を改正する条例案が提案されています。石原知事にとどまらず、副知事や知事側近の方々にも、透明性を高め、相応の責任感と緊張感を持っていただくために、副知事、特別秘書、参与の方々もこの条例の対象に加えるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 さて、知事は、選挙前、交際費に関する住民訴訟で交際費の返還を命ずる判決が出た後、この事務については日本一透明度の高いものにすると明言し、ホームページに掲載しています。今後は不透明な支出を行わないよう、襟を正していただきたいものです。
 その一方で、都民の求めに応じて行う情報公開については、さきの第一回定例会において、開示請求者に公平な負担を求める観点から、必要となる事務費、人件費など、実費の範囲内で徴収していると答弁しています。
 手間と時間がかかる、行政コストがかかるから料金を徴収するというのは、情報公開に対する基本的な姿勢の問題です。つまり、情報公開は、都が都民に求められる余分な仕事ではなく、基本的な業務の一つであって、これを請求する都民が特別な利益を享受しているわけではありません。原則として都民が求める情報を提供するのが都の責任であり、原則公開、原則無料とすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、さきの定例会において、知事は、都の情報公開の独自性として、依頼者の五五%は圏外者(都外)と答弁されました。平成十七年度東京都情報公開制度運用状況年次報告書を見ると、請求者の内訳として、三千四百六十七件の請求のうち、都の区域内に住所を有する人が一千五百五十二件、都に法人税も納めている都の区域内に事務所または事業所を有する個人や法人などが九百九十七件となっており、七三%が都内の方です。都内在学在勤者を都内の方として算出すると、八九・八%となります。さきの答弁とは二割から三割以上もかけ離れてしまうわけですが、都外からの情報公開請求が五五%としたその根拠についてお答えください。
 次に、地方分権改革について伺います。
 都民がゆとりと豊かさを実感でき、安心して暮らせる東京を実現するため、我々は分権改革をさらに進めていかねばなりません。第二次改革が始まり、国と地方の役割分担の見直しや地方税財政制度の確立が急務となっているにもかかわらず、国や有識者から都市と地方を対立させる地域税収格差是正論が打ち出されています。
 まずは、先日、知事が副知事に登用するとした猪瀬直樹氏から提起された東京DC特区構想です。山手線内、山手通りで区切った都心部三百万人が住む地域を国の直轄地にする、都民の税金は国全体のものとして税収を徴収し、地方に振り分けるというものです。
 東京都制は、自治体東京市を廃止し、東京府に吸収する形で誕生しました。この東京DC構想は、府制をも飛び越えて国の直轄地とするもので、自治権の拡充に逆行するものであるばかりか、戦後、特別区が続けてきた自治権拡充の取り組みを否定するものでもあります。
 知事は民間副知事の人物像を、やってきたことを継承してくれる人、国に的確に東京側の意思を伝え、その効力がある人と語っていますが、猪瀬氏の提案する、都心を国の直轄地とする案は、知事の、都心の住民から自治権を奪うことは許されないとする基本姿勢と根本的に異なります。知事の見解を伺います。
 次に、総務大臣発言から始まり、国の骨太の方針二〇〇七原案に明記されたふるさと納税構想です。
 この構想は、政府・与党が分権改革を推進する責務を放棄し、三位一体改革で財政を悪化させた地方自治体の対立を一層あおるものとなっています。
 また、租税の公平性からは、選択しない納税者の負担をふやし、簡素化の点からも複雑なシステム構築を必要とする制度です。住民税の税率を一律一〇%として、国がみずから応益性を強化したにもかかわらず、その一方で地方税の原則に反する受益と負担を異にするものを打ち上げました。地域間の再分配や地方の活性化に本当に資するかどうかも不明です。自分の税金の使い道を選択したいと望む住民への対応を考えるならば、住民税の一部を地域振興を行うNPOへの補助金に指定するなど、一部の使途を特定化できる納税者投票の導入を検討するべきです。分権改革やふるさと納税構想を機に、都民の納税意識の向上に資する制度について、都の見解を伺います。
 一方、石原知事が知事選直前に、都民税所得割の軽減措置を発表したことは、さまざまな波紋を呼んでいます。知事によると、東京で高まっている所得格差と現行税制のゆがみを是正する措置と述べています。これにより、生活保護レベルの低所得者は都民税所得割を全額軽減されることになりますが、都民税均等割は軽減されません。
 また、もっと所得の少ない課税最低限以下の人々には、財政再建の還元、恩恵は全くなく、置き去りにされたままです。生活保護受給者の人々は、住民税すべての負担を免除されています。今回の軽減措置は、税源移譲によって一律一〇%と応益性を増した住民税を、六%と一〇%の変則的な累進課税にすることとなり、住民税をいびつな構造にしてしまいます。税源移譲により財政責任が高まった都において、住民税のあり方をどう考えているのか伺います。
 都民税所得割の軽減措置の効果は限定的であるため、低所得者対策は、税をゆがめる制度変更のみで行うべきではなく、より広い自立支援策によるべきであります。
 海外に目を移すと、イギリスでは、低所得者の就労促進を図るために、課税最低限以下の者には給付金を支給し、課税最低限を超えても課税により手取りが減ることのない、働くことが報われる制度を導入しています。
 国でも新たな仕組みとして議論を開始しています。同じくイギリスにおける失業者対策、福祉から労働へのプログラムでは、若年者や長期失業者、ひとり親世帯などに就業の可能性を高める施策を行っています。都においても、生活保護受給者に就労や保健、医療面での自立促進を行う自立支援プログラムを開始し、一定の効果を上げているところです。こうした施策を積極的に推進すべきですが、都における低所得者施策の方向性について伺います。
 次に、東京オリンピック招致について伺います。
 東京オリンピック招致委員会が、二〇一六年東京オリンピックのメーンスタジアムを都立施設として建設すると発表しました。都が日本最大の競技場を保有することになります。その建設費は約一千億円と見積もられています。
 昨年、知事は、スタジアムに対する国の負担を、東京に決まった時点で総理大臣からきちっと言質をとるよと言明していました。それが、ことしになり、まあ、それだっていいじゃないかと前言を翻し、続けて、その建設は設備投資で、経済効果が見込まれるから都民に迷惑をかけないともいっています。
 建設費に関しては、PFI方式の活用を検討する方針ですが、それで根本的に解決したわけではありません。平成十二年に東京スタジアムを二百六十億円で買い取った、知事いわく損切りした歴史を知事自身もお忘れではないと思います。
 そこで、このわだちを最後の最後で踏むことのないよう、当初の計画どおり、国立競技場として整備する交渉を今後も粘り強く続けていくべきです。知事の見解を伺います。
 JOCは、晴海のメーンスタジアムを、三方向が海で動線が一方向にしかなく、収容人数の十万人を問題なくさばくためには、より綿密な計画が必要となると指摘しています。
 そもそも都は、東京の交通輸送を、神宮外苑を例に、お盆で乗客数が減少するので全世界から観客を迎えられると説明しています。メーンスタジアムに関しては説明がなく、今後、地下鉄延伸か路面電車の導入を行ったとしても、帰路の十万人を運び終えるには相当な混雑が生じ、時間がかかるのではないでしょうか。
 大会後の採算から、東京メトロが計画に難色を示せば、建設費は都の負担になります。安全対策の面やパラリンピックのメーンスタジアムとしても綿密な計画が求められます。メーンスタジアムへの交通アクセスに関する都の見解を伺います。
 選挙中のオリンピックに関する世論調査では、読売新聞の賛成四九%、反対四六%の拮抗した結果から、東京新聞の、最も都政で力を入れてほしい政策では一・七%の選択しかないものまであり、決して都民の関心は高くないという結果が出ています。知事は、三選されたことにより、オリンピックが支持されたと思っているようですが、果たしてそういえるのでしょうか。
 また、招致委員会会長としては、さらにIOCが普及に努めるオリンピックムーブメント、大会の開催以外に十五項目ありますが、スポーツを人類のために役立てることや平和の推進や差別の撤廃、男女平等な社会の実現など、スポーツにかかわるすべての事項も同時に取り組む必要があります。
 また、二〇〇八年オリンピック招致で敗れた大阪は、七六%の市民から支持を受けていると主張しましたが、IOCの独自調査では、大阪は五二%、日本全体でも五一%と、半数の支持しかないとの結果が出ました。大阪の失敗を念頭に、オリンピック招致を成功させる賛同の機運をつくり出すためには、知事が行わないとした都民の意識動向を探る調査が必要であろうと考えます。都の見解を伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 石原知事が三選直後の記者会見において、神戸の地震のときなんか、首長の判断が遅かったから、二千人余計な人が亡くなった、この反省に立って、都は自衛隊との訓練をやりましたと述べました。
 阪神大震災での死者は、その後の関連死も含めて六千四百三十四人、一月十七日当日に命を失った人は約五千二百人とされています。兵庫県警の検視によると、八三・七%が家屋の下敷きになった窒息死や圧死、ほとんどがほぼ即死状態で、地震発生から十五分以内に亡くなったと分析されています。ここからは、二千人という数字はどこからも出てこず、自身もその後、私、佐々さんの受け売りでねと、いい逃れています。
 自衛隊との連携も、兵庫県は震災前にも自衛隊との防災総合訓練を実施しており、何も石原知事の発案ではありません。
 この発言で一番懸念されるのは、都の災害対策本部長である知事が、正確な情報を把握することなく、誤った認識を持っておられるのではないかということであります。知事は、そうした認識で都の防災対策に取り組まれるのでしょうか。
 そして、首長の判断が遅かったため亡くなったとされる二千人の方々や残された遺族、被災者の思いであります。首長の判断が早ければ、これらの方々は助かったのでありましょうか。それならばという思いを知事はどう受けとめられるのでしょうか。
 知事には発言の説明責任があります。知事の説明を伺います。
 一方、知事は、阪神大震災を機に改築、耐震化された渋谷区松濤の都知事公館への居住を趣味ではないと拒否し、私邸に防災行政無線とファクスを引いて起居しています。確かに私邸の地域は総合危険度は低いのですが、被災した場合の私邸の耐震性や周辺道路が通行困難になる障害、歩くと二十分以上もかかる多摩川河川敷のヘリポートへの移動など、知事自身が被災したときの災害対策本部長としての対応は万全といえるのでしょうか。
 県庁の次に連絡のとりやすい場所である公舎に住んでおられた貝原元兵庫県知事であっても、どうにかして早く登庁しておればとの悔いは今も残ると、率直に反省しておられます。
 防災司令室の機能を持つ都知事公館は、都の国民保護計画でも、東京都立川地域防災センターに次ぐ第二順位にある被災時の代替施設であり、ヘリポートも近接しています。阪神大震災を教訓とするならば、災害対策本部長としての職務を全うするためにも、都知事公館の機能と役割について、知事自身が認識を改めるべきではないでしょうか。所見を伺います。
 昨年度、都は木造住宅の耐震化促進制度を創設しました。しかし、昨年度の実績は、耐震診断が八百件分の予算に対して、五百五十一件、耐震改修は四百八十件分の予算に対して、わずかに二十二件の利用にとどまっています。
 今年度は、耐震診断一千五百件、耐震改修五百件が予算化されていますが、さきの予算議会でも指摘したように、これでも十年間での耐震化率を九〇%以上とするには足りないわけですから、少なくともこの予算枠を使い切ることができなければ、目標達成は到底不可能であります。
 さきの所信表明では、耐震化促進のための都庁横断的な戦略会議を立ち上げることが明らかにされました。その中では、都が昨年度から実施している耐震化促進制度をさらに実効性のあるものへと改善していくことが検討されることと思います。
 例えば、昭和五十六年以前に建てられた木造住宅については、耐震診断を義務づけた上で、耐震診断、耐震改修を行えば、固定資産税を減免したり地震保険料への補助を行う、あるいは既に墨田区や足立区で実施されているように、簡易補強についても都の助成制度の対象とするなど、幾つかの制度を組み合わせることによって、だれもが耐震診断、耐震改修を行った方が得策だと考えるような条件整備を行うべきと考えます。
 住宅の耐震化促進のための条件整備、環境づくりに対する基本認識について所見を伺います。
 一方、いわゆる木造住宅密集地域においては、敷地が狭小であったり接道していないことなどから、自力での建てかえや更新のできない住宅も多く、耐震化や不燃化がなかなか進まないのが実情です。木造住宅密集地域の改善や被災者の生活再建への公費投入については、国はいまだに私有財産の形成に資することを嫌う財政規律論に固執していますが、大地震が来れば確実に危険だとわかっているにもかかわらず、また、公費を投じることで改善の可能性が高まることが明白であるにもかかわらず、有効な対策を打つことなく傍観していては、本当に被災した後に行政の不作為責任を問われかねません。
 このような木造住宅密集地域こそ、公費を投じて面的に耐震化や不燃化を進めていくことが必要ではないでしょうか。このような分野こそ、都がリーダーシップを発揮し、国の姿勢を変えさせていくような取り組みが求められていると考えます。
 木造住宅密集地域における耐震化、不燃化促進への公費投入に関する基本的考え方について所見を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 四月の東京都知事選挙では、築地市場の移転予定地である豊洲の土壌汚染問題が都民の大きな関心を集め、争点の一つとして浮上しました。
 そもそも築地市場の移転問題をここまで大きくしたのは、市場最大の業界団体である水産仲卸の東京魚市場卸協同組合、すなわち東卸とのボタンのかけ違いを放置し、今日まで半ば強引に移転の既成事実だけを積み重ねてきた東京都の対応にあります。
 東卸は、築地市場の移転に関して、平成十年四月に東京都が業界各団体の一致した意思等が確認できる文書の提出をと求めたのに対して、現在地での再整備を機関決定しました。関係者の多くは、このとき東京都がさまざまな働きかけをしてきたことに対し不信感を抱き、不満を募らせていました。
 このような中で、平成十一年九月に石原知事が築地市場を視察し、古く、狭く、危ないと発言したことで、移転をもくろむ人たちを一気に勢いづけました。そして、石原都政のもとで、用地の売却に消極的だった東京ガスとの交渉が進められてきたのです。
 石原知事は、みずからの行動をトップダウンではないといっていますが、少なくとも政治的な影響の大きい知事の発言が移転を大きく後押しし、その後、豊洲の土壌汚染が指摘されても、彼らの声に十分に耳を傾けてこなかったのは事実です。東卸のメンバーらが市場を考える会を立ち上げ、もはや豊洲の土壌汚染の問題は、市場関係者だけでなく、日本じゅうあるいは世界じゅうから注目される事態となりました。
 私は、汚染土壌の問題が解決されず、多くの人たちが移転に疑問を抱いている中で築地市場を強引に豊洲に移転することについては、断固として反対するものです。築地市場の移転の経過に対する石原知事の見解を伺います。
 選挙期間中の石原知事の発言を受けて、東京都では土壌汚染対策等に関する専門家会議を設置し、五月十九日に第一回目の会合が開催されました。この会議に対しては、そもそも専門委員の数が四人では少ないとか、第一回の会合では、専門委員四人のうち一人が欠席、もう一人が途中退出するなど、最初の会議とは思われない本気度で、東京都にお墨つきを与えるだけの会議だという非難の声が出てもしかるべきです。
 そこで、専門家会議のメンバーを絞り込んだ理由と委員の選定の考え方、また、専門家会議の今後の運営のあり方について見解を伺います。
 東京都では、専門家会議の指摘を受けて追加調査をすべく、その方法を検討していると聞いていますが、売却する側の東京ガスの調査結果を前提として、足らない部分だけを追加するような調査では、もはや都民の納得は得られません。
 また、私たちは、東京ガス田町工場での土壌汚染対策についてもヒアリングしてきましたが、東京ガスの当時の調査と土壌汚染対策法に基づいて行われた調査とを比べると、例えば、シアンが環境基準の最大四十五倍であったものが一千九百倍となるなど、調査の方法によって結果は大きく異なります。私は、東京都が調査を実施するに当たっては、東京都自身による新たな調査が必要であると考えます。
 また、調査に当たっては、土壌汚染対策法に基づき、敷地全域にわたる十メートルメッシュの測定点を設けるとともに、液状化現象を考慮して、深さ二十メートル以上のボーリングを行い、汚染物質ごとの空間的分布を明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、調査に当たっては、クロスチェックによるデータの信頼性を高めるべきです。クロスチェックとは、利害の対立する事業者側と住民側とが両者立ち会いのもと、同じ場所、同じ時間で同じサンプルを取り、それぞれが信頼できる調査機関に分析を依頼し、結果を突き合わせるという方法であります。
 最近まで安全だと繰り返し答弁していた東京都が一転して調査を行うわけですから、データに対する都民の信頼性を高めるための仕組みが必要であると考えます。調査に当たっては、例えば、いまだに豊洲への移転を機関決定していない仲卸など、立場が異なる団体立ち会いによるクロスチェックにより、データの信頼性を向上させるべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都が予定している土壌汚染対策の範囲は、土壌汚染処理基準の十倍以下の有害物質を含む土壌については、現在の地盤面から深さ二メートルまでは基準以下になるように処理するとしていますが、それ以下の地盤面から二メートル以上深いところは、環境基準を超える汚染土壌がそのまま放置されるということになります。
 東京都の処理方法をめぐっては、毛細管現象などによる汚染地下水の上昇により、表層土壌の再汚染が起こる可能性が指摘されており、また、ベンゼンやシアン、水銀などは、ガス化することで表層面からの漏出が指摘されています。
 このようなことから、まずは十分な土壌汚染調査を実施した上で、その結果を踏まえて、汚染土壌の全面的な処理はもとより、地下水の管理など、食品を扱う市場の重要性にかんがみた抜本的な対策を講じていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 三月二十日、東京都は、豊洲新市場にかかわるPFIのスケジュールを当面三カ月延期すると発表しました。この理由として、当初よりも手厚い土壌対策を講じることを挙げていますが、加えて施設計画についても、各業界団体から出された新たな要望を検討、反映させる必要があることを挙げています。
 業界団体、中でも東卸からは、かねてより、補助三一五号線により市場機能が分断されてしまうことや、荷受けと仲卸との通路の問題などが指摘されていましたが、この間、現在の衛生基準を適用すると、従来の店舗面積が確保できないのではないかといった疑問の声が寄せられています。
 さらに、ここに来て専門家会議では、建物の設計、配置の再検討などについて言及がされています。
 私はこの際、施設計画についても、汚染のリスクや業界団体の意見などをさらに反映させるため、より踏み込んだ検討、見直しを実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 六月一日、新銀行東京は、平成十九年三月期決算及び新中期経営計画を発表しました。十八年度の最終損益は五百四十七億円の赤字で、累積損失は八百四十九億円、開業わずか二年で、東京都が出資した一千億円のうち、既に七百十五億円が棄損したことになります。
 私たち都議会民主党は、新銀行東京への出資には賛成をしましたが、当時議会で付された付帯決議が着実に履行されてきたとはいえません。したがって、私たち都議会民主党は、新銀行東京について、民間への売却、すなわち東京都が撤退するという前提で抜本的な見直しが必要であると考えます。
 石原知事は記者会見で、進むも地獄、引くも地獄などと他人事のようなコメントをしていますが、地獄に足を踏み入れた責任は知事自身にあるのではないでしょうか。新銀行を思い立った人の責任、ビジネスモデルを設定した人の責任、当時の金融情勢を見誤った人の責任、ふなれな人にふなれな仕事をさせてしまった人の責任、新銀行東京が危ない、危ないといわれていたにもかかわらず、今日まで有効な対策を打ち出してこなかった人の責任などなど、今回の経営不振の責任は、もはや知事の政治責任が問われかねない段階に入ってきたものと考えています。
 新銀行東京の経営責任について、石原知事の見解を伺います。
 新銀行東京が発表した新中期経営計画では、リレーションの観点、すなわち顧客との継続した関係を重視した経営を志向し、一般融資を大幅にふやしていくことを掲げ、また、これまでミドルリスク市場に対応するとしていたスコアリングモデルを抜本的に見直し、デフォルトの圧縮などを打ち出しています。
 確かに新銀行東京は、引き続き債務超過企業や赤字企業に融資をしていくという点は変わっていないのかもしれませんが、今回の経営方針の見直しによって、設立当初のコンセプトが大きく後退してしまったのは確かです。
 石原知事が誇らしげに述べていた、負の遺産のない新しい銀行というフレーズも、今や空虚に響くのみで、新銀行東京は、もはや都民、中小事業者のためではなく、石原知事のメンツのために、いたずらに延命させられているようにさえ感じます。
 石原知事は、今この時点での新銀行東京の存在意義についてどのようにお考えか、見解を伺います。
 既に私たち都議会民主党は、一年以上も前から、新銀行東京の融資のあり方やATMの利用実績などについて問題ありとしてきましたが、今回の対応は、何を今さらという感さえあります。その意味からも、新中期経営計画で宣言している平成二十一年度の黒字化についても、その実効性がどこまで担保されているのか疑問であります。
 例えば、新中期経営計画では、優良資産への入れかえとして、小口の件数増加に目を向けた営業戦略を展開することを掲げていますが、優良資産への入れかえが簡単にできるのか、店舗や従業員を大幅に削減する一方で、小口の件数増加に目を向けることが可能なのかなど、その道は容易でないように思われます。
 石原知事は、この新中期経営計画の実効性の担保についてどれほどの確信を持っているのか、見解を伺います。
 石原知事は、これまでの新銀行東京の経営不振の責任を、代表執行役でトヨタ自動車出身の仁司泰正さんに転嫁してきました。私たちは、仮に百歩譲って、その責任を代表執行役に求めるのであっても、石原知事の任命責任は問われるべきだと考えています。
 石原知事は仁司さんについて、率直にいって車を売るような感じがしたなどと発言してきましたが、今回、代表執行役に就任する予定の森田徹さんは、知事がたびたび批判する、真水といわれる公的資金約二兆円が投入された銀行の出身者でもあります。私は、そのことを理由に、またもやその責任を他人に押しつけるようなことはあってはならないと考えていますが、石原知事はこの森田さんにどのようなことを期待しているのか、見解を伺います。
 次に、都民に対する説明責任について伺います。
 石原知事は、定例記者会見で、知らないうちに役員が更迭されたなどと述べ、新銀行東京の透明感の欠如を指摘していました。しかし、知事が知らないという以上に、都民や議会は新銀行東京の実態を知り得ることができないのが実情です。都民からは、どこのATMや店舗が撤去されるのかといった不安の声、経営者はそれぞれどの程度の報酬を得ていたのかといった怒りの声、あるいは中小企業支援にかかわる費用対効果はどうなっているのかといった疑問の声などなどが寄せられていますが、新銀行東京は、こうした出資者である都民の声に真摯にこたえていかなければなりません。
 また、東京信用保証協会が毎月公表している月間の保証件数や代位弁済額、あるいは区市町村別の保証件数などのように、経営情報をより早く、わかりやすく示していく工夫も必要です。
 私は、新銀行東京の情報公開を積極的に進め、都民に対する説明責任を果たしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、福祉施策について伺います。
 まず、子育て支援策、中でも、まずは待機児童の解消について伺います。
 知事も選挙公約で待機児童ゼロを目指すとされ、さきの所信表明でも待機児童五千人の解消を述べました。新たに立ち上げられた子育て応援戦略会議においても、待機児童五千人の解消が主要課題の一つとされています。
 しかし、現に待機児童となっている五千人だけを見ていたのでは、待機児童は解消しません。平成十八年四月までの五年間で、認可、認証保育所合わせて一万七千人分の保育所が整備されました。平成十四年春の待機児童は五千五十六人でしたから、もし待機児童の数だけを考えていればよいのであれば、既に待機児童の問題は解決し、一万二千人分、箇所数に換算して百二十以上の保育所余り現象が起きているはずです。ところが、実際には、平成十八年四月の待機児童は四千九百八人であり、この間、百五十人程度しか減っていません。
 このことからも、今、保育所への入所待ちの行列には並んでおらず、統計上の数字五千人にはあらわれていないけれども、並んでいる人とそう状況は変わらない潜在的待機児童が相当数いるという認識を持って実態把握をし、思い切った対策を検討することが必要であることがおわかりいただけると思います。
 「十年後の東京」では、潜在的待機児童について記述がありましたが、対策について明示されておりません。待機児童についてどのようにとらえ、どのように対処しようとしているのか、この問題に対する基本認識を伺います。
 次に、保育料の格差についてです。
 保育所を利用できる人の数は限られており、依然として多くの待機児童がいる中で、各自治体や保護者からの認証保育所への評価は高く、都のヒット商品と受けとめられているようです。
 しかし、難点は保育料の高さです。同じように保育を必要としている家庭でも、認可保育所を利用できなければ、倍近い負担の格差が生じてしまうのです。利用料の高さや国制度である整備費等の補助金の格差から、認証保育所に対して独自の補助を行っている自治体が多くあります。保護者への直接補助が月四万円という区もあります。同じように保育を必要としている家庭でも、運よく認可保育所に入れたかどうか、また、財政状況がよく、こうした補助を行っている自治体に居住しているかどうかで大きな負担の格差が生じています。
 こうした大きな保護者負担格差の解消もまた重要な課題であると考えますが、所見を伺います。
 次に、安心、信頼の介護保険制度運営について伺います。
 都が行った株式会社コムスンによる介護報酬の悪質な不正請求への処分が端緒となり、国は、昨年導入した連座制を同社に初めて適用し、すべての事業所にかかわる新規の指定、更新が打ち切られる事態となりました。事業の譲渡先への引き継ぎがしっかりと行われ、利用者への介護サービス提供が絶えるような事態とならないよう、また、利用者が納得してサービスを受けることができるようにしなければなりません。
 初の事態であり、区市町村が対応を進める中で、さまざまな課題が生じることもあると聞きます。現場からの情報把握に努め、区市町村と連携をとり、都が行うべき指導等についてはもちろん、国においても迅速、的確な対処がなされるよう、都として全力を挙げて対応していただきたいと考えますが、所見を伺います。
 昨年来、都は、コムスン以外にも多数の事業者による不正請求を明らかにしてきました。民主党はかねて、民間事業者の参入により、市場の監督者としての都の役割は増大するとの認識から、ルールを破る者には厳しく対処し、市場の健全性を維持するチェック体制の強化を求めてきました。悪質な不正請求に対する都の厳正な対応を評価しております。
 しかし、事は一部の不心得者による不正行為と切り捨てて済む問題ではなく、多くの事業者が運営に苦慮せざるを得ない設計となっている制度にも問題があるのです。
 厚生労働省が介護三施設と居住系サービスの利用者数から算出した介護施設の整備率では、首都圏の一都二県でワーストスリーを占めています。これは、全国横並びに近い介護報酬と施設整備費などから、人件費や地価の高い首都圏は相対的に不利な経営環境にあるためです。
 二〇一五年にかけて、東京都では七十万人の高齢者増が見込まれ、サービス提供基盤の整備を進め、質の高い人材を確保しなければならない状況にもかかわらず、前回、介護報酬の単価改定では、施設系サービスの不足に拍車をかけ、低賃金と人手不足を一層深刻にする制度となってしまいました。このままでは、篤志家に頼る福祉の時代へと逆行することともなりかねません。
 今後、都として国に対し、こうした制度の改正を強く求め、働き手が意欲を持って取り組めるものとすることが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、暴力団員の排除について伺います。
 本定例会に提案される東京都営住宅条例等の一部を改正する条例案では、都営住宅から暴力団員を排除する規定が提案されています。
 ことし四月、町田市における都営住宅での暴力団員立てこもり発砲事件が全国的に注目を集めたところでもあり、私たちは条例改正の趣旨について否定するものではありません。
 この事件を受けた六月一日付国土交通省通達では、暴力団員排除規定を設ける場合には、暴力団員の動向、都営住宅における暴力団員による不法、不当行為等の状況など、都内の実情を踏まえた上で、都営住宅の入居者資格において暴力団員を一律に排除することが適当か否かについて検討することとされています。
 そこで、都が本条例改正が必要と判断するに至った検討の経過並びに理由について、所見を伺います。
 都営住宅に暴力団員を入居させないためには、入居資格審査時における暴力団員の特定が最も効果的と考えます。しかし、そのためには、暴力団員が入居資格審査のための申告書類に、みずから暴力団員と特定されるような記述をすることは考えにくいことからも、現実問題として、入居資格審査の対象者全員について警視庁への照会を行う必要が出てくるのではないかと考えられます。
 仮に、入居資格審査の対象者全員について照会を行うとするならば、その人数は、ポイント方式だけでも毎回千から二千名に上るわけですが、具体的な暴力団員の特定方法はどのようなものか、また、その際には、個人情報保護の観点からの配慮も必要と考えますが、所見を伺います。
 都営住宅から暴力団員を排除することにより、それら暴力団員が民間の賃貸住宅へ流れていくことが考えられます。民間賃貸住宅の場合、契約書の条項の中で、暴力団員であることが判明した場合には、即時、契約の解除を適用することになっている場合もあるとはいえ、都営住宅と同様に、契約時に暴力団員であるかないかの特定ができることが、家主にとっては最も望ましいことのはずです。
 また、入居後に暴力団員であることが判明し、仮に契約を解除したとしても、民間であればなおさらのこと、暴力団員を速やかに退去させることは非常に困難であり、警察などによる支援が求められます。
 本条例改正とあわせて、民間賃貸住宅での暴力団員対策を講じていく必要もあるのではないでしょうか。都がオーナーとしての立場で都営住宅から暴力団員を排除することは理解しますが、都営住宅からだけ排除すれば、それでよしと考えているのかどうか、所見を伺います。
 本条例が対象とする暴力団員は、暴力団対策法の第二条六号に該当する暴力団員ということで、指定暴力団だけでなく、警察で把握している全組織の組員が対象です。しかし、いわゆるフロント企業、企業舎弟など、一般社会で経済活動をしながら資金面で組織を支えている準構成員は対象外になっています。
 暴力団対策法の施行後、多くの組員が仮装離脱して準構成員になったといわれています。現実には、企業舎弟と暴力団組織とのつながりを特定することが困難であることもあり、本条例改正による措置によって、このような準構成員の増加が懸念されるわけですが、警視総監の所見を伺います。
 次に、三宅島振興策について伺います。
 知事が三宅島の災害復興及び産業、観光振興としてトップダウンで提案した公道オートバイレース計画が中止になりました。マン島レース視察と三宅村やモーターサイクルスポーツ協会との現地調査を終え、東京モーターサイクルショーにおいてレースの正式名称が発表されるはずでしたが、これも延期になっていた矢先でした。
 レースを開催するに当たり解決すべき課題である輸送や宿泊地、救援、医療体制などが山積していることに加え、メーカー各社やプロライダーからも安全面から懸念され、協力が危ぶまれたためです。我が党としても、安全の確保が困難であれば、レースの中止は当然であると考えています。
 島の関係者や国内のバイクファンも大きな期待をしていただけに、中止を機会にトップダウン事業の危うさを検証し、再度同じ事態を招くことのないようにしなければなりません。知事のトップダウンに都の関係局や村が振り回されたあげくのレース中止に関して、知事の見解を伺います。
 都は、公道オートバイレースの中止に際して、安全性の確保と関係者の協力を得たいと表明しています。バイクフェスタの参加型イベント、ツーリングラリーは、ゲーム感覚で島内一周を楽しむものですが、立ち入りが制限されている火山ガスの高濃度地区を通過しなければなりません。
 フェスタのメニューは、三宅島の安全対策に対して例外的な扱いを受けるものでしょうか。また、計画の変更や中止はあり得ないと考えますが、高濃度地区を通過するラリーの安全確保策について伺います。
 三宅島民の避難解除、帰島実現から三年目に入りました。都議会民主党も、先日、島の視察を行ってまいりました。暮らし向きについては、自立した生計を営む状況にはなってきていますが、依然苦しい生活が続いていると聞いています。健康などを理由に改めて島を離れたり、火山ガスのため帰れない方もいるため、島の人口は、依然として避難前の七割程度となっています。
 最近では、特養老人ホームや温泉施設の再開、アシタバの出荷、定置網漁の開始など、復興に向けた動きがありましたが、安全確保のため、噴火活動を初め火山ガスの放出の動向を注視していくことになります。今後も都は、長い時間をかけ復興を手がけていかねばなりませんが、都は、三宅島空港の再開も含め、今後どうやって三宅島の復興を図っていくのか伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 岡崎幸夫議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、私の当選後の発言についてでありますが、議会の質問という公の場で、余りいいかげんな言葉は使わない方がいいと思いますね。私が、いつ、だれに向かって、何を謝罪しましたか。謝罪というのは、やっぱりある違法性の事例に関してとられるべき行為でありまして、私は、謝罪した覚えはありません。これは個人の名誉にかかわる問題ですから、やっぱり強く反省された方がいいと思います。私がしましたことは、誤解を招いた事例についての説明が足りなかったという反省でありまして、謝罪ではございません。
 今回の三選に当たり、都民の皆様は二期八年の実績を評価してくださって、三期目に掲げる政策に期待して、私に今後四年間を託そうと判断されたものと思っております。同時に、一部メディアの執拗といいましょうか、的外れのバッシングともいうべき報道について、都民も賢明に、そして冷静に、それを見抜いて判断されたと思っております。
 私は、選挙中、確かに問題についての説明不足はわびましたが、反省しましたが、(発言する者多し)反省の意を表しましたが、説明不足だった海外出張や交際費については、既にホームページでの公開を進め、都民の皆様への約束を履行しております。私の選挙中の発言にも当選後の発言にも、意味するところは何も変わりません。都民への裏切りという指摘は全く的外れであります。
 というよりも、今回の選挙で果たして民主党がプロパーの候補者を擁立したのかしないのかわかりませんが、それだけ存在感の──民主党として、あの選挙におけるあいまいな姿勢というのは、都民への裏切りじゃないんでしょうか。都議会の皆様とは、こういう議論ではなくて、これから先の建設的な真摯な議論を行っていきたいと思っております。
 次いで、私の人脈を生かした人材登用についてでありますが、私は、都民、国民のためを考えて、国会議員として、あるいは作家として培ってきた自分の人脈を使い、都政の改革に努めてまいりました。
 例えば公会計制度の改革や横田基地の共用化の進展など、その成果は明らかであると思っております。役所にはない、あるいは既存の政治家にないひらめきや能力を持つ民間の優秀な人材を知事の責任で任命し、都政に役立てていくのは当然のことだと思っております。
 濱渦君も、副知事として、国との交渉を初め存分に力を発揮してくれました。それに、再登用した参与としても頑張ってくれております。三期目のスタートに当たって、民間から副知事を迎えることで、国との交渉をさらに強力に進めるとともに、民の発想と都庁の総力を融合した、首都東京にふさわしい体制をつくり上げていきたいと思っております。
 次いで、副知事等の資産公開についてでありますが、資産公開制度は、公選の職にある者が、その資産等を公開することでみずから襟を正すとともに、職務遂行に当たっての公正と公職者自身の高潔性を明らかにし、もってその政治倫理を確立することを目的とするものであります。
 副知事については都議会の同意を得て、特別秘書、参与は、都民の信託を受けた私の責任で任命したものでありまして、私のもとで公正に職務を遂行しております。したがって、公選の職ではない副知事等を資産公開の対象とする必要はないと思います。
 また、今回副知事に登用しようと思っている猪瀬氏との見解の相違でありますけれども、彼に副知事を要請したのは、彼の緻密な分析力や、国の官僚とちょうちょうはっしやり合いながら改革に取り組んできた姿勢、手腕を見込んだからでありまして、猪瀬氏の持つ他の人にない得がたい資質を、真の分権改革に向けた国との戦いの中で生かしていきたいと思っております。彼は大きな戦力になってくれると期待しております。
 この過程で猪瀬氏と議論し、考えを議論してきました。これからも考えをすり合わせていきたいと思っていますが、改めて、日本の心臓部であり頭脳部である東京の現実を知ってもらいまして、日本の行く末を考えれば、彼は、この東京のために正確な判断をし、行動してくれると思っております。
 ちなみに、彼が発言した東京DC特区の構想は一つの案でありますが、実現は全く不可能でありまして、これについても私は議論いたしました。猪瀬氏も最近、ある場所で、あれは頭の体操をしたまでといっております。ご懸念の点は心配に及びません。
 次いで、オリンピックスタジアムについてでありますが、オリンピックは国を挙げての一大プロジェクトでありまして、その象徴であるオリンピックスタジアムは、晴海に国立で整備するようこれまでも国に要望してきました。しかし、国は財政不如意ということで、現在の神宮の国立競技場では、IOCの求めるオリンピックスタジアムや補助競技場を建設することは不可能であります、物理的に。
 十年後の東京を見据えますと、スタジアムの建設場所としては、水と緑に囲まれ、建設用地も十分にある臨海部の晴海が適していると思っております。しかし、国は、東京に二つの大規模な競技場を建設できないとの立場をとっておりまして、国が動かないのであれば、都が晴海にスタジアムを整備し、必ずしもスポーツと競技のためだけでなくて、隣にあるビッグサイトも本当にフル稼働しておりますが、他の要するに催しにも使えるような、そういう建物にできるということを、主任のデザイナーであります安藤さんもいっておられますし、いずれにしろ、そういう形でスタジアムを整備し、開催都市としての責任を果たしていくのは当然だと思います。
 国に対しては、スタジアムの整備費等について、他の物件整備についての多面的な最大限な負担を強く求めてまいります。
 それから、震災対策について、その質問の前段の阪神大震災に関する発言で、私が認識を誤っているというご指摘ですが、これは決してそんなことはございません。(発言する者あり)専門家の示したデータでも、いいですか、震災が発生したのは朝六時前の五時四十六分。そして、自衛隊はそれを知って、間近に自衛隊の駐屯地がありましたが、準備を終えて、知事からの、あるいは市長からの要するに派遣要請を待っておりましたが、一向になかった。
 そして、それが行われたのが、何と四時間も過ぎた発災後四時間後、十時でありまして、そして、自衛隊の救助活動が始まったのは午後一時からでありまして、発災後七時間後であります。これは移動にも時間がかかったでしょう。そして、その活動の中にも、トリアージというものはほとんど行われませんし、ヘリでの患者の運搬も、発災後三日間で十件しか行うことができません。これはいろいろな障害が、要するに時間の経過とともに生じたわけでありますけれども。
 そして、数字は正確でなかったかもしれませんが、いずれにしろ、二千人に近い方々が亡くなった、時間の経過とともに。関連死を除いたほぼの死者は、とにかく発災直後の窒息、圧死は五千五百人。そして、その総合の死者の中から、直後に圧死された方以外、つまり的確に実施をしていれば救命できた可能性の方々、被害者が、千五百人から千七百人というのが正確な数字であります。
 ゆえに阪神・淡路大震災では、自衛隊の派遣の要請がおくれて、トリアージが現場でほとんど行われなかったことによって、失われなくてもいい生命が、いずれにしろ二千人近く失われたのは事実であります。
 これらを踏まえ、自治体からの要請を待つことなく迅速に自衛隊の派遣ができるような法令等が見直され、また、トリアージによる救護活動が本格的に実施されるようになりました。
 次いで、築地市場の移転の経過についてでありますが、これまた何を勘違いしているか、私のトップダウンということをいわれていますけれども、こんな大きなプロジェクトを、私の要するに独断で実現できるものではありません。そんなに簡単な、都政というのは、要するに機構にできているものじゃない。
 これは、あなたはこの問題に関する経過というのを事実として認識になってないようですけれども、いずれにしろ、これは鈴木、青島時代から検討されておりまして、私の代になって合意ができたので調印はいたしましたけれども、いずれにしろ、築地市場というのは開場から七十年余り経過しまして、老朽化、狭隘化が著しく、食の安全・安心に十分こたえられる施設とはいいがたい。このことは、築地市場を実際に見た人が、だれもが同じ感想を持っていると思います。
 封印はされておりますけど、まだあの建物には、あちこちにアスベストがたくさん使われているんです。もし、今災害が来て、要するにあの施設が崩壊しましたら、これはアスベストが飛散して大変なことになりますよ。当分、市場は使えなくなりますよ。こういった問題も含めて、築地市場については、平成三年から現在地に再整備の方針で実際に今工事に着手しましたが、業界調整の難航などによって、とめざるを得なかった経緯もあります。
 ということを受けて、私の就任前の平成十年に、市場業界団体から臨海部への移転検討の要請がありまして、業界と協議を重ねて、平成十三年に移転を決定したわけであります。
 現在、再度、現在地再整備論が一部で唱えられておりますけれども、種地がない上に、先ほど申しましたアスベスト対策も講じられる必要がありまして、市場業者の営業活動に深刻な影響を及ぼすことから、これは不可能であります。
 ゆえに土壌汚染対策については、既に設置した専門家会議で十分に議論していただき、本年秋に予定している提言を踏まえて、必要な措置を確実に実施していくことで、豊洲新市場を都民が安心のできる市場として開場させたいと思っております。(「クロスチェックをちゃんとやりましょうよ」と呼ぶ者あり)だから、やるといっているじゃないか。
 次いで、新銀行東京についてでありますが、新銀行の創設を発案し、実現したのは都でありますけれども、都はあくまでも出資者でありまして、所有と経営の分離の原則のもとに、個々具体の経営は経営者の判断で行われるものであります。したがって、経営陣は、その責任において環境の変化等にも柔軟に対応し、適切な経営を行うべきと考えております。
 しかしながら、新銀行東京の経営結果を見ますと、短期間で多額の不良債権が発生し、損失が拡大しております。環境の変化や事業執行状況などを踏まえた適切な経営判断がなされたものとは考えられず、到底都としても、出資者としても、納得できるものではありません。今後、その原因を整理していかなければならないと思っております。
 次いで、三宅島のバイクイベントについてでありますけれども、これまた、こういったイベントを決して私の一存、トップダウンでできるものではありません。ゆえにも、何年か前、三宅の村長に同道願って、マン島に行って実体験をしていただきました。
 そしてその結果、村長も村議会に諮って、議会は、一人だけ共産党が反対したそうでありますけれども、とにかくこれを行おうということを決定したわけですが、その間、バイク業界は最初賛成したんですけれども、メーカーの方が難色を示しましたが、それはそれで理があることでしょうけれども、確かに困難なコースではありますが、しかし、やはりそれといって、全部をあきらめて三宅島を見捨てるわけにいきません。
 でありますから、代案として、一部公道も使う、あるいは飛行場も使うということで、多角的なとにかくイベントをモーターサイクルを使って行いまして、三宅島の復興にサポートしたいと思っております。
 現在、三宅村では、事業の実施主体としてNPO法人を組織し、安全面にも十分配慮しつつ、その具体的な内容を検討しております。
 都としては、この事業の成功に向け、全力で支援をしてまいります。
 他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁します。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 東京都営住宅条例等の改正と暴力団に対する警察の対応についてお答えいたします。
 都内の暴力団勢力は、平成十八年末現在で約一万六千六百五十人であり、その内訳は、構成員が約六千五百人、準構成員が約一万百五十人で、準構成員が全体の六割以上を占めている実態にあります。
 全国の暴力団勢力については、平成十八年末には準構成員の数が構成員を上回ったところであり、都内においては、既に平成十年末以降、準構成員の数が構成員を上回っている状況にあります。
 このような状況のもと、議員ご指摘のように、暴力団員が組織を仮装離脱して都営住宅に居住しようとすることも考えるところではありますけれども、警視庁といたしましては、都営住宅からの暴力団排除の実効を期すため、あらゆる警察活動を通じて暴力団の実態解明を推進し、東京都と緊密な連携を図りまして、仮装離脱した暴力団員が確実に都営住宅から排除されるように努めてまいる所存であります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  情報公開についての二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、情報公開手数料についてでございますが、情報公開条例では、公文書の開示に当たり、事務費、人件費など実費の範囲内で手数料を徴収することとしております。
 公文書の開示を行う情報公開については、被害救済など住民福祉に直結するサービスである相談業務とは性格が異なるため、開示費用について応分の負担を求めております。
 また、手数料は、商業目的での大量請求や制度乱用への歯どめの観点からも、無料とすることは考えておりません。
 なお、知事や局長などの海外出張や交際費に関する情報を既にホームページ上で公開しているほか、都の重要施策など都民の関心が高い情報について、積極的に情報の公表、提供を推進しております。
 次に、開示請求者の区分についてでございます。
 情報公開条例においては、開示請求をできる者として、自治体がまず説明責任を果たすべき都内在住の都民を対象とするとともに、都内の事業所、在勤、在学者、さらには、これら以外の者で、理由を明示して請求する個人及び法人にも請求を認めております。
 以上の考え方に基づき、平成十七年度における開示請求者のうち、在住の都民からの請求が四五%であり、都民以外の在勤、在学者、法人などからの開示請求が五五%を占めることを、都の情報公開の特徴として第一回定例会でお示しいたしました。
 なお、平成十八年度の速報値では、都民以外の在勤、在学者、法人などからの開示請求は五九%を占めております。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 都民の納税意識についてでございますが、都民の納税意識の向上を図るためには、まず、都民の皆さんに受益と負担について正しくご理解いただくことが重要であると考えております。
 そのためには、税の使途の的確な情報提供とともに、納税キャンペーンや租税教育を通じまして、税の役割の大切さを認識していただくことが必要でございます。また同時に、税金逃れといった不公平が生じないよう、公平公正な徴収に努めることも重要だと考えております。
 なお、ご指摘の納税者投票の導入につきましては、行政サービスの費用を広く賄うための財源を調達するという税の基本的な性格にそぐわないばかりでなく、税の使途は議会で決定するという議会制民主主義との関係からも、慎重に検討すべきであると考えております。
 次に、住民税についてでございます。
 住民税は、地域におけます行政サービスの経費を、地域住民がその能力と受益に応じて共同して負担するものでありまして、地方公共団体の基幹的な税でございます。
 こうした住民税の性格を踏まえまして、今回のいわゆる三位一体改革に伴う税源移譲によりまして、一律一〇%のフラット化が導入されたものでございます。
 お話の都独自の軽減措置につきましては、十年前に比べまして生活保護受給者や非正規雇用者がふえておりまして、特に東京都は全国の増加率を大幅に上回る状況にあること、さらに生活保護を受給していれば、非課税措置等によりまして個人住民税をほとんど負担していないこと、そういったこととの均衡に配慮しようとするものでございます。現在、制度について検討を行っているところでございます。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、低所得者施策の方向性についてでありますが、所得保障は、社会経済状況全体を踏まえまして、基本的に国の責任で対応すべきものでありまして、現在、各種年金や手当、さらに最後のセーフティーネットとしての生活保護などの諸制度が整備をされております。都の役割は、これらの諸制度を踏まえた上で、地域特性に即した事業を効果的、効率的に展開することであるというふうに認識をしております。
 都としては、個々の被保護者ごとに必要な支援を行う自立支援プログラムの取り組みを初め、就職活動に必要な経費の支給など、区市が行う取り組みに対して多様な支援に努めております。
 今後とも、国と地方の役割分担のもと、低所得者施策を公正かつ適切に実施をしてまいります。
 次に、待機児童の解消についてでありますが、都は、これまでも認可保育所の設置促進を図るとともに、都独自の認証保育所の創設などにより、保育サービスの充実に努めてきました。
 一方、私どもが「十年後の東京」で示しましたとおり、都内には相当数の潜在的な保育ニーズが存在しているため、待機児童はここ数年、ほぼ横ばいで推移しております。このたび設置をいたしました子育て応援戦略会議におきまして、待機児童の解消に向けた総合的な子育て支援策を検討してまいります。
 次に、認証保育所の保育料についてでありますが、認証保育所は、区市町村が入所決定する認可保育所とは異なり、利用者と事業者との直接契約としております。また、保育料については、認可保育所の国の徴収基準を上限に事業者が設定するなど、競い合いを通じて質の高いサービスを提供する仕組みとしております。
 現在、幾つかの自治体においては、地域の実情に応じて保育料の保護者負担の軽減が行われておりますが、これはそれぞれの自治体の独自の判断によるものであり、都として実施をする考えはございません。
 次に、株式会社コムスンの不正行為に関する対応についてでありますが、都では、コムスンに対して、利用者保護のため、介護サービスを低下させないこと、新たな事業者への紹介を確実に行うことなどについて指導を行っております。
 また、区市町村には、コムスンに関する事業所情報を提供するとともに、担当者会議を開催し、適切な相談体制の確保を依頼するなどの対応をしております。
 さらに、国に対して、これまでも提案してきた不適正な事業者を排除することについて、さらに実効性のある仕組みを早期に構築するよう要望してまいります。
 最後に、国に対し制度改正を求めることについてでありますが、都は、既に国に対し、次期介護報酬改定に当たり、大都市の実情や事業者の経営実態に見合う報酬水準となるよう、都における介護保険施設の実情を踏まえ、具体的な見直しの方向性について提言しているところでございます。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、オリンピックスタジアムへの交通アクセスについてでございます。
 開会式や閉会式、陸上競技などが開催されるオリンピックスタジアムには多くの観客や大会関係者が集まるため、そこへの交通アクセスの確保は重要でございます。現在、晴海及びその周辺における交通の状況、開催される個々の行事や競技のスケジュール、発生観客数なども踏まえまして、円滑に輸送できる方策についてさまざまな角度から検討しているところでございます。
 今後、IOCから高い評価が受けられるよう、確実な輸送計画を策定してまいります。
 次に、オリンピック招致機運の盛り上げについてでございます。
 オリンピック招致を成功させるためには、都民、国民の幅広い支持が必要であり、IOCからは、世論調査を行って、その結果を申請ファイル、立候補ファイルに記載することが求められております。
 このため、今後さらに国内世論の盛り上げを図っていくことが重要であります。東京オリンピック招致委員会を中心に、都議会を初め、国、区市町村、企業、経済界等と連携し、各種の方策を用いてこれまで以上に積極的に広報・PR活動を展開し、広く都民、国民の招致機運を盛り上げてまいります。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、大地震が発生した場合の対応についてでございますが、知事の私邸の周辺地域は、地域危険度調査における総合危険度が低く、直下地震による被害想定でも、建物の倒壊や火災の発生が少ない地域でございます。私邸には防災行政無線を設置しておりまして、休日や夜間に災害が発生した際にも、知事が直ちに状況を把握し、指示できる体制を確保しております。
 また、知事が速やかに都庁に駆けつけることができるよう、私邸に近い多摩川グラウンドまではパトカーで、そこから都庁屋上まではヘリコプターで移動する緊急登庁体制を整備しており、その訓練も実施しております。
 なお、国民保護計画では、テロにより都庁舎が被災した場合には、立川地域防災センターに次いで、旧知事公館を都庁防災センターの代替施設としております。
 次に、三宅島のバイクイベントにおけるラリーの安全確保策についてであります。
 現在、三宅島の高濃度地区への立ち入りにつきましては、村の三宅村火山ガスに対する安全確保に関する条例に基づき、一定の規制のもとで認められております。今回のイベントは、島一丸となって産業と観光の振興のために開催するものでありまして、この安全確保に関する条例に従って実施するものであります。三宅村としては、常時火山ガス濃度を観測しており、イベント開催時に濃度が高くなった場合にも、本条例に基づきまして適切に対応してまいります。
 最後に、三宅島の復興についてでございます。
 三宅島では、平成十七年二月の帰島以来二年余りが経過し、島民の生活もようやく落ちつきを取り戻しつつございますが、いまだ復興への道筋の途上にあると認識をしております。
 都はこれまでも、三宅島の復旧、復興に向け、空港、港湾、道路、砂防ダムなどの整備を行うほか、さまざまな取り組みを行ってまいりましたが、今後は、村民生活の安定や産業振興、そしてバイクイベントなどを核といたします観光振興など、三宅島みずからによる中長期的な取り組みが重要となってまいります。都としては、引き続き国とも連携しながら、島の復興を担う三宅村の取り組みを支援してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、住宅の耐震化促進のための条件整備についてでございますが、住宅の耐震化は、自助、共助、公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本であります。都といたしましては、所有者が主体的に耐震化に取り組むことができるよう、技術的な支援を行うとともに、公共的な観点から必要がある場合に財政支援を行うこととしております。
 こうした基本的な考え方のもと、安価で信頼できる耐震改修工法の普及など、だれもが耐震化に取り組みやすい環境づくりを進める一方、震災対策上公共性の高い地域においては、耐震診断、改修への助成を実施しております。
 今後とも、区市町村や民間事業者等と連携して住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、木造住宅密集地域の耐震化、不燃化への助成についてでございます。
 都といたしましては、防災都市づくり推進計画に基づき、大規模な地震に備えて早期かつ効果的に整備を進める観点から、大きな被害が想定される地域に対し、集中的かつ重層的に事業を展開しております。これらの地域では、いわゆる木密事業などにより、避難、救援活動を円滑にする主要生活道路の整備を図るとともに、その沿道の住宅の耐震化、不燃化や共同化への助成により建てかえを促進しております。また、延焼を防止する幹線道路の沿道や、避難場所の周辺における建物の耐震化、不燃化にも助成を行っております。今後とも、地元区とも連携し、効果的に助成制度を活用して、木密地域の安全性向上に取り組んでまいります。
 次に、都営住宅条例等の改正案の検討経過及び理由についてでございます。
 本年四月、町田市にある都営住宅団地で暴力団員が起こした極めて凶悪な事件を受け、暴力団員を都営住宅から排除し、安全・安心を確保するため、警視庁と鋭意協議し、今回の条例改正を提案したものでございます。
 次に、入居資格審査時における暴力団員の確認方法及び個人情報保護についてでございますが、暴力団員であることの具体的な確認方法は、先ほどの答弁にもありましたが、現在警視庁と協議中でございます。
 また、入居資格審査時における個人情報につきましては、情報の流出や目的外利用の防止に留意するなど、個人情報保護条例に基づき十分な配慮をしてまいります。
 最後でございますが、民間賃貸住宅での暴力団員対策についてでございます。
 いうまでもございませんが、民間の賃貸住宅では、貸し主と借り主の当事者間の合意に基づき契約が締結されております。これまでも、都民などから民間賃貸住宅における暴力団関係のトラブルなどの相談があった場合には、専門の相談機関の紹介などを行っておりますが、今後ともこうした対応に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場移転に関する五点の質問にお答えをいたします。
 まず、専門家会議の委員の選定と今後の運営のあり方についてでございます。
 生鮮食料品を扱う豊洲新市場予定地の土壌汚染対策を評価、検証するためには、第一に、土壌、地下水の汚染の原因となる有害物質の分野、第二に、地下水の分布や水位の変化を把握するための水質の分野、第三に、埋立地の土壌を分析するための土質の分野、第四に、人体への健康影響を評価するための環境保健の分野からの専門的な検討が必要でございます。
 このため、委員につきましては、それぞれの分野に精通した専門家の中から、実際の研究内容や、過去に土壌汚染問題に取り組んだ実績などを考慮して公正に選定をいたしました。また、委員の人数につきましては、密度の濃い実質的な議論が行われるよう、各分野から一名の計四名の構成といたしました。会議の運営につきましては、透明性を確保し、都民や市場関係者の理解を得るため、議論の状況や会議資料をすべて公開することとしております。
 今後、専門家会議はおおむね月一回開催し、本年九月を目途に提言を取りまとめていただく予定でございます。
 次に、新たな土壌汚染調査についてでございます。
 五月に行いました第一回の専門家会議では、東京ガス株式会社が実施した土壌汚染調査に対する評価を行った上で、今後の検討課題を討議する中で、都民や市場関係者の不安を解消する観点から、一部追加調査の必要性も指摘されたところでございます。第二回以降の会議におきまして、この追加調査の必要性や内容、範囲などを詳細に議論していただくこととしております。
 次に、土壌汚染調査のデータの信頼性についてでございます。
 土壌汚染対策について都民の信頼を得るためには、調査方法、調査結果及び対策の内容をすべて公開していくことが重要であると認識しております。このため、東京ガス株式会社の行いました調査については、第一回専門家会議でデータを公開し、議論をしていただいたところでございます。
 今後、専門家会議において追加調査を行う必要があるとされた場合には、調査地点、日時、調査機関、作業状況、分析結果等を公開し、調査の透明性とデータの信頼性を確保してまいります。
 次に、抜本的な土壌汚染対策の必要性についてでございます。
 先般行われました第一回専門家会議では、ベンゼンなどの揮発性物質のガス化への対応、地下水の管理の重要性、地下室等の施設配置のあり方などについて、市場用地という特性を踏まえてさまざまな観点から議論が行われました。今後の会議において、これらに関する新たな対応策の必要性や内容などを検討し、具体的な提言をいただく予定でございます。
 都は、こうした専門家会議の検討や提言を踏まえて、必要な措置を確実に実施してまいります。
 最後に、豊洲新市場の施設計画についてでございます。
 豊洲新市場の施設計画につきましては、業界団体との協議を重ね、昨年十月、基本設計を取りまとめました。その後、この内容について、水産物部一階、卸・仲卸売り場から二階、三階へのスロープの増設や、青果部二階の大口荷さばき場の設置などの要望が出されており、現在協議を続けているところでございます。また、専門家会議において、土壌汚染対策の観点から、地下室の配置場所を考慮するよう意見が出されてございます。
 今後、業界との協議結果及び専門家会議の提言を踏まえ、必要な修正を加え、基本設計を確定してまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関する四点の質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の存在意義についてですが、新銀行東京は、開業後二年間で約一万六千六百件の融資、保証を実行してきており、中小企業金融において重要な役割を果たしてまいりました。
 また、先般策定した新中期経営計画におきましても、対象顧客の小口化による融資件数や顧客数の拡大に重点を置くとともに、新たに一般融資の取り組みも充実させるなど、より幅広く中小事業者の支援を行っていくこととしております。中小企業の資金繰り環境は依然として厳しく、今後も新銀行東京が、中小企業金融においてその役割をしっかり果たしていく必要があると考えております。
 次に、新中期経営計画の実効性についてですが、平成十九年三月期決算における当期損失は五百四十七億円と拡大したものの、十分な貸し倒れ引き当てを行ったことや減損会計を適用したことにより、将来のコスト負担が軽減されたと考えております。
 このもとに、新銀行東京では、平成二十一年度の単年度黒字化を目指す新たな経営計画を策定いたしました。また、代表を銀行出身の森田氏に交代することとし、都としても、五人の幹部職員を派遣して経営体制を整えたところであります。
 今後、都としては、新経営陣のもとで、環境の変化に柔軟に対応し、適切な経営が行われるよう働きかけてまいります。
 次に、代表執行役についてですが、新たに代表執行役に就任する森田氏は、長年金融界に身を置き、中小企業支援にも精通しております。新代表には、これまでの知識と経験を十分に生かし、遺憾なく経営手腕を発揮していただくことを期待しております。
 最後に、新銀行東京の情報開示についてですが、新銀行東京は、中間、期末決算の公表のほか、適宜、融資商品別の実績など業務内容に関する情報を開示しております。今後も、他の金融機関との競争にかかわるものなど企業運営上秘密としているものを除きまして、積極的かつわかりやすい情報開示を行っていくよう、都として働きかけてまいります。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時五十二分休憩

   午後五時八分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十九番谷村孝彦君。
   〔三十九番谷村孝彦君登壇〕

○三十九番(谷村孝彦君) 石原都政三期目のスタートに当たり、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について知事並びに関係局長に質問いたします。
 今からちょうど四十年前、我が党は、緑の森と噴水の中にそびえる高層都市東京と題する政策提言を発表しました。そこでは、水と緑の環境政策、都市の高層化によるオープンスペースの確保、高速道路やモノレールなど総合的な交通ネットワークの整備、ゆとりある住宅の供給などが盛り込まれております。当時はまだ、公害問題、決定的な住宅不足や交通渋滞などが深刻で、この提言も将来のユートピア構想のように受けとめられたといっても過言ではありません。
 しかし、それから四十年を経た現在、当時の夢がまさに現実になろうとしております。それは、いうまでもなく、さきに知事が発表した「十年後の東京」構想であります。パリやロンドンやローマに負けない、世界に誇れる先進都市東京を築くことは、多くの都民の強い願望であるはずであります。
 東京の宿痾ともいうべき渋滞を解消し、また、ヒートアイランド現象を低減させて環境先進都市東京を築く、さらには、バリアフリーやユニバーサルデザインを広くまちづくりに取り入れて福祉先進都市東京を築くことこそ、三期目の石原都政の使命であるべきであります。そうした努力の積み重ねの中で、オリンピック招致への道も前進していくはずであります。
 「十年後の東京」の実現へ間違いない道筋をつけるため、三期目に挑む知事の決意を伺います。
 次に、オリンピック招致を目指す観点から、「十年後の東京」構想について具体的に質問します。
 経済のグローバル化とともに、国際的な都市間競争が激化しております。シンガポール、香港、上海など東アジアの主要都市が、空港、港湾など社会資本整備を急速に進めており、旅客、流通のハブ機能や国際金融センター機能の拡大が国家戦略として取り組まれ、我が国の優位性が揺るぎかねない状況であります。
 今後、東京が国際競争を勝ち抜いていくためには、改めて、首都圏の空港、港湾の整備、アクセスとなる道路網の整備、さらには多摩都市モノレールなど、東京の交通インフラ整備に対してスピード感を持って取り組むべきであります。「十年後の東京」、とりわけ、空港、港湾、交通インフラの整備に対する知事の所見を伺います。
 この首都圏の都市インフラ整備において決定的に重要な役割を果たすのが、横田基地の軍民共用化であります。日米政府間の検討組織であるスタディーグループでの協議が、ことしの十月を期限として進められておりますが、この六月八日には、八都県市首脳会議として初めて、国の関係大臣に対し、横田飛行場の民間航空利用等について要望書を提出しました。この要望書の提出は、日米協議の推進の後押しとなるものであり、大変に有意義なことであります。協議終了まであと四カ月に迫りました。今後の知事の取り組みと決意について伺います。
 また、共用化された横田基地に不可欠なアクセスが多摩都市モノレールであります。都が目指す多摩シリコンバレー構想を大きく前進させていくためにも、交通網の整備は欠かせません。その点で、多摩都市モノレールと圏央道の全線開通は、まさに車の両輪として重要な役割を果たす存在であります。
 今月二十三日には圏央道あきる野─八王子間が開通します。そこで、より重要となるのが多摩都市モノレールの延伸であります。完成すれば、総延長は九十三キロメートルに及び、十一市一町を循環する多摩の山手線として機能していくことになり、まさにこの時期に、都の財政支出を含む抜本的な経営改革を行うこと、そして将来の延伸の道筋をつけることが大変に重要であります。日暮里・舎人ライナーが交通局で運営されるのであれば、多摩都市モノレールの経営の安定化のために、都が財政支出をするのはむしろ当然のことであります。
 そこで、これまでの多摩都市モノレールの経営状況の評価と、会社の経営安定化に向けた今後の都の取り組みについて伺います。
 続いて、財政問題について質問します。
 政府の骨太の方針二〇〇七の策定をめぐる議論の中で、国の歳出抑制策と都道府県の税収や財政力の差を結びつけて、東京など都市部の財源を吸い上げて地方に回そうという無定見な手法が浮上しております。
 これに対し東京都は、「大都市狙い撃ちの財政力格差是正論への反論」をまとめ、地方自治体の財政力を、税収のみに着目するのではなく、歳入、歳出、行政改革という三つの角度から総合的に考えることが必要であるとの論を展開しております。
 すなわち、地方税の偏在については地方交付税制度によって調整されていること、歳出に関しては、首都東京には、ライフラインの整備、治安対策、道路、空港整備など大都市特有の膨大な財政需要があること、改革努力については、国や他の自治体に先んじた行財政改革で財政健全化を果たしたことを強調し、大都市ねらい撃ちの誤りを指摘しております。
 この反論の視点はまことに的確であり、評価するものであります。ただ、正論が正論だからといってそのまま国や他の自治体の理解につながるとは限りません。
 そこで、今回まとめた都の反論をさらに具体化する観点から幾つか提案いたします。
 まず第一に、都のこれまでの行財政改革のノウハウを他の自治体に積極的に提供していくということであります。都の近年の好調な財政状況は、法人二税を中心とした税収増だけでなく、全庁を挙げての間断のない行財政改革が実を結んだものであります。こうした都の改革ノウハウをきめ細かく紹介していくことは、小手先の財政力格差是正よりはるかに実質的な地方貢献になると考えます。見解を伺います。
 第二に、都が都市と地方の双方から共感を得る主張を発信していく必要があるという点であります。税収の偏在については、大都市である区部が焦点となっておりますが、東京都には、奥多摩や島しょ地域など、特有の課題を抱える市町村が存在しており、都は全国の各地方と同様の課題を抱えているといっても過言ではありません。大都市としての反論に終始するのではなく、新たな主張を発信していくべきと考えます。見解を伺います。
 第三に、大都市富裕論をこれ以上繰り返させないためにも、地方税財政制度の本格的な見直しを、今こそ自治体が一致結束して国に求めていくべきであります。最近の財政力格差の是正論議には、自治体間の財政調整によって国の負担を軽くしようという意図が色濃くあらわれております。今月十二日には、東京、神奈川、愛知、大阪の四都府県の知事による地方税財政の見直しに対する緊急アピールが出され、国による対処療法的な安易な手法に歯どめをかける機運が高まっております。自治体のこうした行動を広げ、抜本的な地方税財政制度の改革を国に迫っていくべきであります。知事の見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 先日発表された新銀行東京の決算内容を見ると、当期純損失が五百四十七億円、累積欠損が八百四十九億円という非常に厳しい内容となっております。これは、金融再生法に基づく不良債権が十八年三月末に十七億円だったのに対して、十九年三月末には二百六億円と大幅に増大したことが経営を圧迫している大きな要因になっているからであります。
 都議会公明党は、新銀行東京の経営について、さきの予算特別委員会において、自民党、公明党はもちろんのこと、民主党をも含む都議会が新銀行東京への一千億円の出資を承認した際の付帯決議に基づいて検証を行い、具体的な改善策を提案いたしました。
 その一つは、新銀行東京の内部管理体制の強化であります。特に、新銀行東京の規模から見て、多額のシステム経費や業務委託費については徹底した削減や見直しを行うべきであり、そのためには、支配株主である東京都が、物をいう株主として、しかるべき立場の職員を新銀行東京に派遣するべきであるとの提案であります。
 これを受けて、都は、当時の大塚副知事を筆頭に、東京都の優秀な幹部職員を新銀行に派遣を決定し、また新銀行東京が、赤字決算の中においても業務委託の見直しが可能となるよう、関連経費を三十五億円引き当て計上し、さらには、システム関連資産などの固定資産に減損会計を適用して百九億円の損失を計上したことは極めて効果的であり、英断として高く評価するものであります。
 しかし、新銀行東京の新中期経営計画においては、経営の立て直しに重点が置かれており、新銀行東京の本来の設立目的である技術力や将来性があるにもかかわらず、資金力のない中小企業への融資のための目きき機能の強化については、残念ながら言及されておりません。
 新銀行東京の本来の目的を遂行するためには、さきの予算特別委員会でも提案したように、例えば、代位弁済率を半減させ、中小企業の実態をどこよりもよく把握している東京信用保証協会のノウハウを活用し、目きき機能を強化させることが重要であります。
 新銀行東京の経営状況を見ると、まずは立て直しが重要でありますが、だからといって、将来性のある中小企業等への資金供給が後退するようなことがあってはなりません。
 そこで、新銀行東京における今後の中小企業支援に対する考え方について、見解を伺います。
 また、新銀行東京が、設立趣旨に沿って、中小企業支援を着実に実施し、一方で民間企業としての経営健全性を確保するためには、組織力の向上が一つのかぎであり、経営体制のあり方についても、見直すべきところは大胆に見直すことが必要であります。
 今後の都の取り組みについて、知事の所見を伺います。
 次に、中小企業支援について伺います。
 近年、都内では、事業の継続を断念し、廃業する中小企業が増加しております。平成十三年から十六年までの都内事業所の廃業率は七・七%と、ここ三十年間で最も高い数字となっております。
 都内工場の中には、隣地にマンションなどが建設され、操業に支障が出てきた例や、建築時には適法に建てられた建築物であっても、その後、用途地域の指定変更等によって、十分な増改築ができなくなり、事業継続を断念しているケースがあることをよく耳にします。
 また、経営者が高齢化しているにもかかわらず、後継者難や相続税負担等によって、事業承継が円滑に進まず、今後も廃業する企業数はますます増加すると危惧されております。
 こうした立地や事業承継の問題が事業継続を妨げる大きな要因となっており、このままでは都市型産業の崩壊につながりかねない危機的状況であります。東京の産業基盤を維持強化するためには、中小企業の事業継続を妨げているこうした要因を取り除き、事業環境を早急に整備することが必要不可欠であると考えます。所見を伺います。
 また、中小企業の人材不足も深刻な問題であります。人材不足に悩む中小企業と若者を結ぶ有効な方法にインターンシップ制度があります。
 中小企業庁の調査によると、中小企業における採用の満足度は、インターンシップの受け入れを積極的に行っている企業で高い数値を示しており、中小企業におけるインターンシップの取り組みが大変に有意義であることがうかがえます。
 しかし一方で、実際にインターンシップを積極的に行っている企業は、中小企業全体の七%程度にすぎないという現実があります。
 都は現在、インターンシップに熱心に取り組んでいる企業等を若者ジョブサポーターとして登録し、ホームページ等でその企業名や取り組み内容を積極的にPRするとともに、都の融資制度を利用できるようにするなどの優遇措置を講じておりますが、事業運営の傍ら、インターンシップに取り組む中小企業をさらにバックアップするためにも、中小企業と若者の出会いの場の充実や教育機関への情報提供など、若者ジョブサポーター企業への支援を強化すべきと考えます。見解を伺います。
 次に、子育て支援策について伺います。
 子育て支援策については、都庁の総合力を発揮するために、副知事をトップとした局横断的な会議を設置すべきとの公明党の提案を受け、都はこのたび、山口副知事を座長として、関係十三局で構成する子育て応援戦略会議を設置しました。これを高く評価するものであります。
 早速、先週十三日から検討が開始されましたが、出生率が全国で一番低い東京としては、女性に限らず、男性も含めた働き方全般にわたる見直しの推進や、社会全体で子育て世代を支えていくための環境づくりの推進に全力を挙げるべきであります。
 そこで、局横断的な組織の特性を生かし、時代に即応した施策の検討を進めるためには、専門家からの提言を積極的に生かし、あわせて子育て中の都民から直接意見を募って、施策に反映させる必要があります。所見を伺います。
 また、「十年後の東京」では、保育所の待機児童五千人の解消がうたわれております。この子育て応援戦略会議の場で、待機児童解消についても具体的に検討し、抜本的な解決策を講じるべきであります。所見を伺います。
 次に、子ども医療費助成について伺います。
 都は、中学校三年生まで医療費をゼロにすべきとの公明党の強い要請を受け、本年十月から他の道府県に先駆けて、通院費と入院費を一割助成する制度をスタートさせます。子育て支援の一環として、医療費助成の対象が大きく拡大されることは、高く評価するものであります。
 しかし、本制度が導入されることを契機に、二十三区ではほとんどの区で中学校三年生まで医療費をゼロにすることとしており、このままでは多摩の市町村との格差が拡大してしまいます。
 都知事選でのマニフェストである東京再起動宣言には、公明党の主張である中学校三年生まで医療費をゼロにする旨の記載があり、子育て支援に取り組む石原都知事の姿勢を多くの都民が支持したものと思います。
 そこで残された課題は、多摩の市町村の財政負担であります。医療費助成の二分の一は市町村の負担となり、財政を圧迫しかねません。中学校三年生までの医療費ゼロを一日も早く実現すべきでありますが、その際には、市町村への財政支援策を明らかにすべきであると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、障害者の就労支援について伺います。
 都議会公明党は、障害者の就労支援についてはたびたび取り上げてまいりました。多くの企業が集積する東京都においてこそ、障害者の自立支援に向けて、先駆的な役割を果たすべきであります。
 しかし、都内企業の障害者雇用率は一・四四%と、全国最低レベルにあり、早急に就労支援策を強化していく必要があります。
 都は、「十年後の東京」において、障害者雇用を新たに三万人創出するとしております。
 また、五月に策定された東京都障害者計画においては、障害者が当たり前に働ける社会の実現を目指しております。
 そこでまず、都として、この目標達成に向けた知事の決意を伺います。
 次に、障害者が一般企業に就労するための支援策として、企業で働くためのトレーニング等の支援を行う就労移行支援事業があります。
 今回この事業は、民間企業でも実施が可能になり、今月一日には、町田市で、東京都初の民間企業による就労移行支援事業が開始されました。パソコン操作やビジネスマナーなどの、一般企業等への就労に必要な知識や能力向上の訓練の実施、さらには、面接の練習や履歴書の作成指導、採用面接や職場実習での職員の付き添いなど、具体的な就職活動への支援が行われていく予定であります。
 障害者の雇用拡大のためには、こうした民間企業の力も活用し、就労移行支援事業のさらなる拡大に努めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、障害者の就労を推進し、職場への定着を図っていくためには、障害者と企業との的確な橋渡しを行う体制を強化することが重要であります。
 都は、千代田区飯田橋に東京しごとセンターを設置し、雇用や就業に関するワンストップサービスセンターとして、高い就職率を達成し、本年八月には、多摩地域にもしごとセンターを開設することは、高く評価するものであります。
 一方、障害者の就労支援については、同じ財団の新宿区戸山の心身障害者職能開発センターでも事業を実施しておりますが、しごとセンターとの連携が必ずしも十分ではありません。
 そこで、東京しごとセンターにおいて、障害者を含めた真のワンストップサービスが提供できるよう、かつ将来的には一本化することを目指し、当面、両センターの連携を強化し、機能の見直し、充実を行い、より一体的な就労支援を図るべきであります。見解を伺います。
 次に、障害者の就労促進のために、いよいよ東京都みずからが行動を起こすときを迎えました。現在、都庁内での障害者雇用については、身体障害者のみに限定され、知的障害者の雇用はいまだ皆無であります。
 国は、十九年度からチャレンジ雇用制度を知的障害者等にも拡大することを明らかにし、まずは厚生労働省が百人を雇用するとのことであります。
 都としても、いよいよ都庁内において、知的障害者の就労の実施に取り組むべきであります。見解を伺います。
 次に、生活保護制度における就労支援について伺います。
 景気の回復、失業率の改善など、国の経済状況には明るい兆しが見える一方、全国の生活保護世帯は百万世帯を突破しました。
 大都市東京においては、伸び率は鈍化してきたものの、依然増加傾向にあり、都内では十七年度に約十九万人が生活保護を受給しております。
 最後のセーフティーネットである生活保護制度は、昭和二十五年の現行制度創設以来、大きな制度改正が行われないまま、推移してきました。そもそも生活保護法は、国民の最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としております。
 都は本年三月、生活保護を変える東京提言を国に対し発信し、国が国家責任としてのセーフティーネットを堅持しつつ、自立支援を総合的、効果的に進め、今日の時代状況に適合する制度への見直しを行うよう提言しております。
 生活保護受給者の自立を推進するため、自立の可能性がある受給者に対して、生活習慣の確立等を支援する福祉事務所の体制強化、例えば、生活支援を専門的に行うような人材の配置等が必要と考えます。見解を伺います。
 また、確実な就職に結びつけるためには、新たな職業能力を身につけることも重要であります。
 都が、区市に働きかけ、就労支援プログラムの取り組みを実施し、ハローワーク等の労働部門との連携を推進しておりますが、受給者がいきなり就職するということはなかなか困難な状況であります。
 こうした状況を解決するためには、都立職業能力開発センターとの連携を強化していく必要があります。
 今後は、都立職業能力開発センターで、現在認められている母子家庭の母親や四十五歳以上の求職者に対する職業訓練の受講優先措置を、就労支援プログラムの対象となる生活保護受給者へも拡大するなど、特別の配慮を加えるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、介護サービス事業の不正行為対策について伺います。
 去る六月六日、厚生労働省は、訪問介護最大手の株式会社コムスンが虚偽の申請で事業者指定を不正に取得していたとして、事業所に係る新規の指定、更新を打ち切るよう、都道府県に通知しました。
 我が党は、利用者の不安解消とサービスの確保、継続及び悪質事業者の処分逃れについては、法改正を含めた整備を国に求めるよう、石原知事に対して申し入れを行ったところであります。
 介護サービス事業者による架空請求や水増し請求など、介護保険の不正請求は後を絶ちません。特に訪問介護において、ヘルパー等がいつ、どこで、何時から何時まで訪問したかという介護サービスの訪問記録は、介護サービス事業者が国民健康保険団体連合会に提出するため、その請求書の中身を区市町村がチェックできないことが不正を生む大きな要因となっております。
 大事なことは、区市町村が訪問記録を把握し、管理できるシステムを早急に導入することであります。
 我が党は、これまでも介護保険の適正化を図るために、区市町村が独自に行う不正防止対策を都が積極的に支援するよう、繰り返し訴えてまいりました。
 そこで改めて、介護保険の不正請求を根絶するための、都の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、自殺防止対策について伺います。
 我が党は、深刻な状況が続く自殺問題に対し、都においても、総合的な施策の展開と、特にいじめによる若年層の自殺防止対策の必要性について、これまでも主張してきたところであります。
 去る六月七日に警察庁が発表したところによると、昨年一年間の全国の自殺者数は三万二千百五十五人で、九年連続で三万人を超す状況が続いております。G8諸国の中で、二○○○年時点での十万人当たりの自殺者数を比較すると、フランス約十八人、ドイツ約十三人、アメリカ、イギリス、カナダがそれぞれ十人前後であるのに対して、日本は約二十四人と、四十人に上るロシアに続いて、ワースト二位となっております。
 こうした状況の中、先日、国において自殺総合対策大綱が策定され、具体的な施策がまとめられたところであります。
 東京都においては、平成十七年の自殺者数は約二千七百人で、これは都内の交通事故死亡者数二百八十九人の実に九倍にも達しております。年代別で見ると、五十代後半から六十代前半の中高年男性の自殺者が多くなっております。また、十代の子ども、二十代、三十代の若年層の死因のトップは、いずれも自殺であります。
 一家の大黒柱、社会の屋台骨である年代層の自殺や、将来ある若者の自殺など、極めて憂慮すべき状況が続いており、総合的な自殺対策の展開は、都においても喫緊の課題であります。
 東京都では、今年度から自殺総合対策に取り組むこととしておりますが、その積極的な推進を求める観点から、まず第一に、自殺総合対策東京会議の構成と位置づけについて、第二に、今年度を初年度とした重点事業、自殺総合対策における具体的な施策の内容について、そして第三に、自殺の危機にまさに直面している方々への水際防止策について、都の取り組みを伺います。
 次に、特別支援教育について伺います。
 都議会公明党では、去る五月三十日、杉並区にある、軽度の知的障害の特別支援学校である東京都立永福学園を訪問いたしました。学校内では、パソコンが並ぶ実習室、介護を体験するためのベッド、浴槽、コーヒーショップを模したスペースなどが設けられ、校内で疑似職場体験や実習が行われておりました。
 訪れた議員は、四月に入学した生徒たちが実に生き生きと授業に臨んでいた姿に感動し、一年次から各自の希望や適性に応じた、産業現場での実習が授業に取り入れられ、生徒の就職率一○○%を目指していると聞いて、大きな期待を抱いて帰ってまいりました。
 この学校では、百名の定員に対して、三倍以上の応募がありましたが、定員制のため、希望にこたえられなかったということであります。
 将来の自立と社会参加を目指す子どもたちと、その保護者の切実な願いを思うと、全員就労を目指す学校の設置計画をさらに推進すべきと考えます。
 ここ数年来、特に知的障害の児童生徒が大きく増加をしており、慢性的な教室不足が生じ、既存の学校での対応はもはや限界に来ております。
 また、例えば、江戸川区、葛飾区などでは、肢体不自由の子どもたちが、交通アクセスの不便さから長時間通学を余儀なくされている実態もあります。せめてこうした地域については、緊急に施設の設置を行うべきと考えます。
 全員就労を目指す知的障害特別支援学校高等部の増設について、知事の所見を伺います。
 また、都においては、これらの具体的な課題について、現在策定中の東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画で対応すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、不登校児童生徒対策について伺います。
 我が党は、さきの予算特別委員会で、小中一貫校として、不登校対策の取り組みを行っている八王子市立高尾山学園を取り上げ、この方式は効果的であるものの、重い財政負担のため、いまだ全国で二校しか開校されていない実態を明らかにし、不登校児童生徒が多い東京都においてこそ、意欲ある学校に財政的支援を行うべきであると主張いたしました。
 また、不登校が急激にふえるのが中学生の時期であり、さらに東京都では、不登校経験を持つ生徒や中途退学者等を受け入れるチャレンジスクールを開設していることから、このチャレンジスクールを母体とした中高一貫校を開設して、不登校対策に取り組んでいくべきであると強く主張したところであります。
 これを受け、石原知事が今月十四日、高尾山学園を視察され、学校並びに生徒を激励してくださったことに感謝を申し上げたいと思いますが、そこで、高尾山学園を視察された知事の率直な感想をまずお聞きしたいと思います。
 あわせて、都としても全国に先駆けて、中高一貫校での不登校対策に取り組んでいくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 次に、私立学校の自主性の確保について伺います。
 今国会で、教育関連三法案が先月衆議院を通過し、現在、参議院で審議されており、その中で、行政の私立学校に対する関与のあり方が争点となりました。
 石原知事は、このことについて、さきの予算特別委員会において、法律改正に当たっては、間違っても私立学校の自主性を侵すことのないようにすべきと答弁されております。
 そもそも私立学校法では、私立学校の自主性が尊重されるとともに、行政の関与が制限されております。このため、私立学校では、さまざまな教育活動が可能となり、中高一貫教育や体験学習などの取り組みを公立学校に先んじて導入してきました。
 衆議院では、私立学校のこうした実績と、それを裏打ちする私立学校法の精神を生かす観点から、公明党は動議を提出し、知事が都道府県教育委員会に対し、学校教育に関する専門的事項について助言、援助を求める際には、私立学校と協議するものとし、教育委員会は私立学校の自主性を尊重することとの附帯決議が付されました。これは、私立学校の自主性が重要であることを改めて確認したものであります。
 こういった流れを踏まえ、改めて私立学校の自主性に対する知事の所見を伺います。
 次に、地球温暖化がもたらす気候変動について伺います。
 本年公表された気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCC第四次報告書は、熱波、干ばつ、降雨量の増加などの異常気象、氷河や北極の氷の溶解、海面上昇など、さまざまな事象から温暖化のスピードが加速していると明確に指摘しました。
 地球温暖化は、未来の危機などではもはやなく、気候変動という形で、今日の都民にも影響を及ぼしている、今そこにある危機であり、CO2の排出量削減など、早急な対策が不可欠であります。
 そうした中、世界の大都市が連携してCO2削減に取り組むため、先月、ニューヨークで世界大都市気候変動サミットが開かれ、東京都からは石原知事が出席されました。その席上、東京水道の漏水率が三%台であることが参加都市からの驚嘆を呼んだことは、都民にとっても大きな誇りであります。
 「十年後の東京」で、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現すると宣言した東京として、東京の水道が誇る技術を各国に提供すべきであります。そして、それがひいてはオリンピック招致の大きな誘引にもなると思います。水道技術の国際支援について、知事の見解を伺います。
 また、水道局の経営や技術などのノウハウを各国の実務者に向けて広く発信すべきと考えますが、所見を伺います。
 都が先般策定した気候変動対策方針に基づき、我が国で初めて、都が大規模CO2事業所に対し削減義務を課すなど、先駆的な施策を提起したことは大いに評価するものであります。
 都は、大規模事業所の削減義務化と同時に、排出量取引制度を導入する方針ですが、排出量取引を実効性あるものにするためには、事業者が進んで参加できる条件整備が必要であり、あわせて、その取引でCO2削減の実効性を上げる仕組みづくりも必要であります。見解を伺います。
 あわせて、東京全体のCO2排出量を削減していくためには、大企業だけでなく、中小企業や家庭の削減努力も重要であります。中小企業や家庭など、各部門の削減努力を促すには、それを支援するための経済的手法の活用が欠かせないことはいうまでもありません。
 国は、環境税制について、いまだ方向性を示せないでおりますが、都が今回検討する省エネルギー促進税制では、中小企業や家庭が省エネ対策を進めた場合の具体的なメリットを示すべきであります。所見を伺います。
 最後に、文化芸術政策について伺います。
 我が党は、四十年前の政策の中で、世界文化の頭脳にふさわしい都市を目指すという提言をしました。東京こそ新たな文化の発信基地となるべきであるとの認識は、今も変わりありません。
 我が党の推進で、東京都は、国の文化芸術振興法制定に先立つこと十八年、昭和五十八年には全国初の文化振興条例を制定しました。今後はさらにオリンピック招致を視野に入れて、文化先進都市東京の実現を目指すべきであります。
 ところで、文化の先進都市を目指す東京の都民の日である十月一日が、世界的には国際音楽の日であることは余り知られておりません。この国際音楽の日は、一九七五年、当時の国際音楽評議会の会長であり、二十世紀の最高峰のバイオリニストであるユーディー・メニューイン氏が、紛争の絶えない世界を憂いて提唱し、一九七七年に制定されたものであります。
 ことしがちょうどその三十年の節目に当たります。毎年、世界各国でこの国際音楽の日に、世界の人と音楽でつなぐ心の輪をモットーに、子どもからお年寄りまで、そしてプロとアマチュアの協同によるさまざまな音楽の特別イベントが開催されております。
 東京都においては、一九九九年、文化庁主催の記念事業の一環として、東京都交響楽団と高校生のジョイントコンサートという形で事業が始まりましたが、現在は東京都交響楽団の事業にのみとどまっております。この東京都交響楽団には、一九六四年の東京オリンピックの記念文化事業として設立された経緯があり、今後はさらに活用を図るべきであります。
 古代ギリシャの時代から、音楽はスポーツと並んで、人種や言葉の壁を乗り越え、世界じゅうの人々と喜びや感動を共有できる媒体でありました。したがって、十月一日の都民の日においても、東京大マラソンのようにプロもアマチュアも公募で募り、東京国際フォーラムやビッグサイト、東京芸術劇場や東京文化会館、江戸東京博物館、ひいては都立公園などでの野外コンサートも含め、東京音楽の祭典の日として、世界の人々と音楽で心をつなぐ日としてはどうかと提案します。見解を伺います。
 ちなみに、ロンドンオリンピックが決定した際の大きな要因は、コンパクト開催もさることながら、文化プログラムのポイントが断然高かったことも有名であります。世界の強豪都市との熾烈な選考レースを勝ち抜くためには、IOCに提出する文化プログラムの策定も大変に重要であり、オリンピック招致に向けて、世界の人々を魅了するテーマを掲げていく必要があると思います。
 そこで、提案させていただいた音楽の日事業も含め、東京の文化事業を総合化、体系化して、文化プログラムとしてまとめ上げ、世界に発信すべきであります。
 知事の所見を伺い、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
 三期目における決意についてでありますが、多数の都民の皆様のご支持をいただき、三選を果たすことができました。今回の選挙では、世界一安心で安全な首都東京の実現という訴えに、大きな期待、強い共感が得られたと思っております。
 治安の回復、医療の充実、高齢者や障害者が安心して生活できる社会の実現、次世代を担う子どもたちの健やかな成長などの喫緊の課題に、今後も全力で取り組まなければならないと思っております。
 同時に、地球のあすをも左右しかねない地球温暖化などの環境問題には、我が国の対策を先導して、世界の諸都市と連携していく必要があると思っております。
 そのため、過去二期八年の実績を踏まえて、東京の近未来図である「十年後の東京」の実現に向け、目に見える成果を積み上げていく決意でございます。いま一度初心に戻って、今後四年間の都政のかじ取りに全力で当たっていきたいと思っております。
 次いで、オリンピック招致を契機とした都市インフラの「十年後の東京」に向けた整備についてでありますが、東京ほど、集中、集積が高度に進んだ都市は世界に類を見ないと思います。経済のグローバル化とアジアの地域間競争が激化する中で、東京の持つ本来の成長力や競争力を引き出す基幹的なインフラの整備がいかにおくれている、この現況であります。
 オリンピックが都市に加速度的な変革をもたらすのは、歴史の例を見ても明らかでありまして、これをてことして、東京をより機能的で魅力的な都市につくり変えていくことが必要であると思っております。
 「十年後の東京」で描いた三環状道路の整備、羽田空港の再拡張、国際化や横田基地の軍民共用化、さらには東京港のふ頭機能の強化など、陸海空を結ぶ交通、物流ネットワークの整備は、東京のみならず、我が国の国際協力を飛躍的に向上させるものであります。
 大都市の力こそが国力の象徴でありまして、文明の推進力であるとの認識に立って、オリンピック招致を確かなものとするためにも、引き続き、対応の遅い国に強く働きかけながら、基幹的な都市インフラの整備に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、横田の軍民共用化は、空港容量が限界に達している首都圏の航空機能を補完するとともに、首都圏全体に大きな経済効果をもたらし、ひいては我が国の活力を高めることになります。一方では、その首都圏のオープンスカイの要求が非常にふえておりました。
 今回、この横田の軍民共用化の意義や効果について八都県市の首脳に理解していただきまして、共用化の早期実現について、国に対して明確に意見表明をしたことは、共用化の実現に向けて大きな力となるだけではなくて、米国に対しても強いメッセージになっていると思います。
 都としましても、今後、日米協議の重要なテーマとなります軍民の両立性について、一橋大学の杉山学長をヘッドとします委員会で引き続き検討を行っておりまして、日米両政府のスタディーグループによる協議に反映させていきたいと思っています。
 日米協議の促進については、安倍首相にも重ねて要請しまして、ASEANでの会議と先般の日米首脳会議でも、二度にわたって、首相からブッシュ大統領に対して念を押してもらいました。
 スタディーグループでの協議は、外交交渉に係ることでありまして、現段階では具体的な案件について内容を明らかにできませんが、いずれにしろ、かんかんがくがくの活発な議論が行われておりまして、実現まであと一歩のところまで来たと思っております。
 いずれにしろ、十月というロードマップがあるわけでありますから、そこでできるだけ大きな収穫があるように、この間も外務省の次官に会いましてハッパをかけてまいりましたが、引き続き協議の促進を両政府に強く働きかけるとともに、軍民共用化の早期実現に向けた取り組みを着実に進めていきたいと思っております。
 税財源をめぐる国の動きへの対応についてでありますが、国は、地方を厳しい状況に陥らせておきながら、その責任をとることもなく、本来なされるべき国と地方の分権改革の議論を、都市対地方の構図にすりかえようとしているのは顕著であります。
 全国の地方自治体は、このような国のこそくな手法に惑わされることなく、しっかりと連携して国と対峙して、問題解決の正当な道筋である地方税財政制度の抜本的改革の実現を目指すべきだと思っております。
 そういう点で、来月の中旬に行われます熊本での全国知事会、私も当然出席しますが、先般も、全国知事会の会長をしております麻生さんがやってまいりまして、二人で合議しました。これはよほど、ほぞを固めて、会長の立場はいろいろあるでしょうが、とにかく仕切って、リードをし通して、私も全面的に協力するからと申しました。先日も、また、神奈川県、愛知県、大阪府の知事と四人で会談を行いまして、こうした立場からの緊急アピールも取りまとめました。昨日、官房長官に申し入れを行いました。
 今後も、国の動きに対抗して、自治体間の結束をさらに強めながら、都議会の皆さんと力を合わせて、真の地方分権改革の実現に取り組んでまいりたいと思っております。
 次いで、新銀行東京の経営体制についてでありますが、今般の見直しの中で、取締役会と執行役との意思疎通を強化する観点から、執行役を兼務する取締役を二名にふやしました。一方、取締役の数を減らし、コンパクトな体制ともいたしました。
 また、新たに銀行出身の経営者を迎え入れ、都からは、組織運営のノウハウを持った職員を派遣しまして、事業執行体制の一層の強化を図りました。
 今後においては、新経営陣の下で、経営体制についても引き続き不断の見直しが行われるよう、都としても働きかけてまいりたいと思っております。
 次いで、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、先ほども申しましたが、次世代を担う子どもは国にとっての宝でありまして、子どもたちが健やかに育つ環境を整備することは、行政はもとより社会全体の責任であります。
 都はこれまでも、認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備など、国に先駆けて子どものためのさまざまな独自の施策を展開してまいりました。
 子育てにかかわる経済的支援については、本来は国が実施すべきものでありますが、国の取り組みがまだ不十分であることから、先般の選挙でも公約としても、所得格差を踏まえつつ、中学三年生までの医療費負担をゼロにすると約束いたしました。この公約については、今後、実現に向けて準備を進めていきたいと思っております。
 次いで、障害者の就労促進についてでありますが、「十年後の東京」では、障害者雇用を新たに三万人以上増加させるなど、自立と社会参加が進み、障害の有無にかかわらず、だれもが安心して暮らせる地域社会を目指しております。
 この実現のために、本年五月に策定しました東京都障害者計画において、企業への就労支援体制を拡充し、経済団体など関係機関との連携を強化することといたしました。
 今後、障害者雇用に先進的な企業が集積する東京の強みを生かしながら、社会全体でムーブメントを起こし、障害者雇用に対する理解と関心を高め、新たな雇用機会の拡大を図っていきたいと思っております。
 次いで、生徒の全員就労を目指す特別支援学校の設置についてでありますが、障害者の自立と社会参加を進めるための雇用の充実は重要な課題でありまして、「十年後の東京」においても、東京の障害者雇用について、今後十年間で三万人以上の増加を目指すことといたしました。
 このためにも、特別支援学校の職業教育、就労支援の一層の充実が必要でありまして、知的障害が軽い生徒の全員就労を目指す高等部の計画的な設置を含めて進めていきたいと思っております。
 次いで、高尾山学園についてでありますが、先般、公明党の東村議員のご案内で行ってまいりました。あの体験活動を見ましたが、学校が一人一人の子どもの意欲を引き出そうと努力をしている姿勢は非常に評価されるべきものだと思います。
 中には、大阪からわざわざ来て、アパートを借りて通っている子どももおりまして、非常にそういう点で刮目すべきものだと思いますが、やはり一貫していることは、中学校の高学年の子どもが、小学校の低学年の子どもをさながら兄弟のように、一種の責任感でみとって、一緒にスポーツなどをしているというのは、非常にほほ笑ましい風景だと思いました。
 不登校の要因はさまざまでありまして、子どもたちの能力を伸ばすためには、固定化したパターンに当てはめずに、一人一人に応じたやり方が必要だと思いました。
 不登校生徒の対策については、都教育委員会において対応しておりまして、引き続き、高尾山学園も参考にして、十分検討してもらいたいと思っております。
 次いで、私立学校の自主性についてでありますが、これはもう言を要しないことでありまして、私立学校では、建学の精神に基づき、創意工夫による、それぞれ独自の教育が行われております。生徒、保護者の方々から高い信頼と評価を得ているのが現況であります。
 こうした事実を考えれば、私立学校の自主性が国会で再確認されるのは当然なことだと思います。
 都はこれまでと同様、私立学校の自主性を尊重していくつもりでございます。
 次いで、水道技術の国際支援についてでありますが、世界大都市・気候変動サミットにおいて、水の有効利用に取り組むことで二酸化炭素の排出削減を図り、地球環境の保全に貢献すべきだと提言をしてまいりました。私よりも、前任者でございましたけれども、水道局長が同伴しまして、水道局長の講演は非常に説得性があったと思っております。
 東京は長年にわたり漏水防止対策に取り組みまして、漏水率を三%台に低減させました。世界の各都市の漏水率は、先進国でも一○%以上が多く、途上国ではもう三十数%というていたらくでありますが、この東京の漏水率の低さは、みんなが驚くところでありました。
 地球環境問題は、国家が役割を果たすことが重要でありますが、東京を初めとした世界の大都市が逆に国をリードしていく必要があるなという感じがいたします。
 東京はかなり先進的なことをしておりますんで、各都市の報告は余り参考になりませんでしたが、ただ、やっぱり確認できたことは、どこの国も、大都市が頑張っても国の政府は余り動かぬ、そういう共通の悩みを確認したわけであります。
 その一つとして、世界レベルにある水道技術、ノウハウを世界に向けて発信するとともに、東京が核となって、漏水防止を初めとする技術情報を交換する場を設けるなど、アジアを中心とした海外の水道事業体との交流促進策を積極的に検討してまいります。
 こうした取り組みを重ねることが、ご指摘のように、オリンピックにも、かまけて東京のアピールにつながると考えております。
 次いで、オリンピックの文化プログラムについてでありますが、IOCは、オリンピックの運動において、スポーツ、文化、環境の三つを柱としておりまして、熾烈な選考レースに勝ち抜くためにも、すぐれた文化プログラムを策定する必要があります。
 現在、演出家の蜷川幸雄さんや、デザイナーの三宅一生さんといった世界に誇る当代きっての第一人者から成ります東京芸術文化評議会、アートカウンシルで、文化プログラムについてご議論いただいております。
 東京の持つ可能性というものを爆発させるような画期的な文化プログラムを策定し、オリンピック招致の実現を目指したいと思っております。
 今、初めて知りましたが、都民の日ですか、これは、あってもなくてもいいような、何というんでしょうかね、よく実態のわからない記念日ですけど、これに重ねて、要するに世界音楽の日というものを重ねれば、五月の連休に東京フォーラムでやっているラ・フォル・ジュルネが、素人のオーケストラも加えて、とにかく赤ん坊も連れていって聞けるような音楽祭をやって大成功しておりますけど、そういう点では、私は秋にも同じ催し物を、外国から人を呼ばなくても、日本独自でやることは大変おもしろいんじゃないかと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画についてお答え申し上げます。
 都教育委員会では、職業的自立を目指した職業教育を充実するため、平成十六年に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画第一次実施計画に基づきまして、知的障害が軽い生徒を対象とする特別支援学校高等部の設置を着実に進めてまいりました。
 また、知的障害のある児童生徒の増加に応じました教室の確保や、肢体不自由の児童生徒の通学時間軽減等のため、特別支援学校の新設、増改修等につきましても積極的に推進してきたところであります。
 第二次実施計画の策定に当たりましても、知的障害が軽い生徒を対象とした特別支援学校の設置につきましては、これまでの地域的な整備状況を踏まえまして計画的に取り組んでまいります。
 また、地域の実情を把握しつつ、特別支援学校の再編整備等を進めて、特別支援教育の一層の充実を図ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 多摩都市モノレールについてでございますが、多摩都市モノレールは、一日平均約十一万人を輸送する、多摩地域における重要な公共交通機関であると認識しております。
 モノレール会社におきましては、企画乗車券の発行など、乗客の増加策に加え、人件費等の経費削減に積極的に取り組んだ結果、平成十六年度以降は営業黒字を達成しております。
 しかしながら、利払い等を加味いたしました経常損益では赤字が続いておりまして、平成十五年度からは債務超過となっております。この状態を解消するためにも、将来に向けて早期の経営安定化が不可欠であると考えております。
 今後、会社に対しましては、さらなる経営努力を求めつつ、都といたしましても、関係者と調整、連携を図りながら、抜本的な経営改善に取り組んでまいります。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 行財政改革など、二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、都の行財政改革のノウハウの提供についてでございますが、都はこれまで、国や他の自治体に先んじて、職員定数削減など徹底した歳出削減や、税収確保に向けたさまざまな取り組み、複式簿記・発生主義会計による新たな公会計制度の導入など、量と質の両面からの行革に積極的に取り組んでまいりました。
 これらの先駆的な行革の取り組みに関しては、説明会の開催やツールの提供などを通じて、都独自のノウハウの提供に努めてきたところであります。
 今後は、ご提案の趣旨を踏まえ、能力や業績に基づく人事給与制度改革や、持ち株会社方式による監理団体改革など、他の自治体からの関心が高い都の行革のノウハウを提供することによりまして、自治体の財政力の向上に資する改革の推進に貢献してまいりたいと存じます。
 次に、都庁内における知的障害者の就労についてでございます。
 障害者の方々が地域で自立した生活を実現する上で、就労の問題は非常に重要であると認識をしております。
 障害者の方々の就労拡大を図るためには、民間と行政が密接に連携しながら、障害者雇用が広く社会に根づくような効果的な取り組みを行っていく必要がございます。
 都としては、今後、国の動向等も踏まえながら、知的障害者の就労拡大に向けた取り組みを検討してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 財政力格差是正論に対する今後の都の主張についてでございます。
 国が、この議論を都市と地方の対立の構造にすりかえようとしている中、地方同士がより強固に連携して国に対抗していくためには、都の主張が、都市、地方を問わず、広く他の自治体から共感を得ることが不可欠であります。
 そのため、都としてはまず、今日、多くの自治体が陥っている財政困窮の主たる原因が、この間、国が行ってきた地方交付税の大幅な削減にあることを実証的に明らかにしてまいります。
 同時に、この問題の解決は、国から地方への権限と税源の移譲、地方交付税を含む財政調整機能の充実、これらを一体的に実現することでこそ可能であるということを、さらにわかりやすく主張してまいります。
 今年秋を目途に、これらの主張を盛り込んだ冊子を取りまとめ、この冊子を活用することなどにより、全国の自治体の理解を一層深め、ともに手を携えながら、真の地方分権改革の実現に向け取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の中小企業支援についてですが、新銀行東京は、開業後二年間で約一万六千六百件の融資、保証を実行してきており、中小企業金融において重要な役割を果たしてまいりました。
 新中期経営計画では、対象顧客の小口化による融資件数や顧客数の拡大に重点を置くとともに、新たに一般融資の取り組みも充実するなど、中小企業向け融資の強化を図ることといたしました。
 また、都の制度融資につきましても、五月より全店舗で取り扱いを開始したところでありまして、中小企業のニーズに応じて幅広い支援を行っていくこととしております。
 都といたしましても、株主の立場から、新銀行東京が中小企業金融において、その役割をしっかり果たしていくよう、積極的な働きかけを行ってまいります。
 次に、中小企業の事業環境の整備についてですが、中小企業者が都内で事業を継続できる環境を整備することは、東京の産業力の維持強化を図る上で重要な課題と認識しております。
 都はこれまでも、特別工業地区建築条例を廃止するなど、中小製造業の立地に関する規制を見直したほか、事業承継時の税負担の軽減を国に提案要求するなど、事業環境の整備に努めてまいりました。
 さらに、今年度より、中小企業の事業承継を円滑に進めるため、学識経験者、弁護士、公認会計士等で構成する研究会を設置し、検討を開始したところでございます。
 今後とも、中小企業が安心して操業できるよう、中小企業の厳しい状況を踏まえ、事業環境の整備に積極的に努めてまいります。
 次に、若者ジョブサポーター企業への支援についてですが、都におきましては、インターンシップの受け入れなど、若者の職業的自立を支援する若者ジョブサポーター企業を募集いたしまして、現在、約三百の企業が登録をしてございます。
 これらの企業につきましては、ホームページや冊子でその活動を周知いたしますとともに、直接若者へのPRを行う場としてジョブパーティーを開催するなど、その人材確保に資する取り組みを行っております。
 今後は、ジョブパーティーの開催回数をふやし、より多くの若者や企業の参加を募るとともに、新たに大学、高校などに対しまして、きめ細かくインターンシップの情報を提供するなど、若者ジョブサポーター企業への支援を強化してまいります。
 次に、障害者の就労支援についてですが、障害者の就労を促進するためには、個々の障害者の状況に応じまして、支援機関等と協働して、生活支援や能力開発など、さまざまな支援を効果的に実施していく必要がございます。
 都ではこれまで、しごとセンターにおきまして、障害者からの相談に対し訓練機関を紹介する等の対応を行ってまいりました。
 また、心身障害者職能開発センターでは、職業訓練に加えまして、本年度から、国や地域の就労支援機関との連携によりまして、雇用機会の拡大を図る総合コーディネート事業を開始いたしまして、雇用啓発セミナーの実施等にも取り組んでいるところでございます。
 今後は、心身障害者職能開発センターのコーディネート機能の充実を図りつつ、しごとセンターの就職支援機能との連携を強化いたしまして、より一体的に障害者の就労支援を進めてまいります。
 最後に、生活保護受給者に対する職業訓練についてですが、現在、職業能力開発センターでは、就労支援プログラムの一環といたしまして、生活保護受給者であります母子家庭の母を対象といたしました年間百五十名規模の短期特別訓練を実施しております。
 また、一般向け職業訓練では、母子家庭の母や四十五歳以上の求職者に対する入校優先枠を設けております。
 今後は、福祉事務所やハローワークとの連携を強化いたしまして、この優先枠の活用を一層促進してまいります。
 さらに、現在、優先措置の対象となっておりません就労支援プログラムにおける他の生活保護受給者につきましても、その対象に加えることを検討してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点の質問にお答えいたします。
 まず、子育て応援戦略会議についてでございますが、子育て支援につきましては、子育てと仕事が両立できる雇用環境の整備を初め、課題は広範囲にわたっており、福祉、労働、住宅など、幅広い取り組みが必要であることから、先般、副知事をトップとした局横断的な子育て応援戦略会議を設置いたしました。
 さらに、行政、企業、大学、NPOなどで構成する、子育て応援とうきょう会議(仮称)を設置し、社会全体で子育てを支援する機運を一層高めるとともに、専門家や若者、子育て中の親から意見などをいただくことにいたします。
 今後、都としては、これらの意見も参考にしながら、効果的で実効性のある子育て支援策を鋭意検討してまいります。
 次に、待機児童解消のための抜本的な解決策についてでありますが、都はこれまでも、認可保育所の設置促進を図るとともに、都独自の認証保育所の創設などにより、保育サービスの充実に努めてまいりました。
 一方、都内には相当数の潜在的な保育ニーズが存在しているため、待機児童数は、ここ数年横ばいで推移しています。
 今後、「十年後の東京」で掲げた待機児童五千人の解消に向け、子育て応援戦略会議におきまして、保育所定員の増だけでなく、多様な保育サービスのさらなる拡充を含めた総合的な子育て支援策を検討し、その実現に取り組んでまいります。
 次に、就労移行支援事業の実施の拡大についてでありますが、障害者の雇用拡大を図る上では、障害者が一般就労に必要な知識、能力を習得し、適性に合った職場探しなどを行う就労移行支援事業を充実させることが有効であります。
 このため、身近な地域で障害者が就労移行支援事業を利用できるよう、都は、各区市町村が計画的、重点的に取り組むことを働きかけております。
 さらに、ご指摘のとおり、規制緩和により本事業への民間企業等の参入が可能となったことを好機ととらえ、さまざまな民間企業が集積しております東京の特性を生かし、障害者雇用のノウハウを持つ企業を初め多様な事業主体の参入を促し、本事業の拡充を図ってまいります。
 次に、生活保護受給者の自立についてでありますが、これまで、各福祉事務所にハローワークのOBを就労支援員として配置するなど、自立に向けた取り組みを強化したことにより、就労実績は拡大をしてきております。
 今後、就労自立をさらに促進するためには、就労意欲が低い人や生活習慣が確立していない人を支援する体制づくりが重要であります。
 都は、独自に設置をいたしました自立支援ネット会議におきまして、各福祉事務所における生活支援の効果的な取り組み事例などについて研究、協議を行っており、福祉事務所の職員がその成果を共有することで、さらなる能力向上を図ってまいります。
 また、国の補助制度の活用を各区市に働きかけ、生活支援を担う人材の確保などに努めてまいります。
 次に、介護報酬の不正請求を根絶するための具体的な取り組みについてでありますが、不正請求を防止するためには、保険者である区市町村の取り組みが重要でございます。
 都は、介護報酬の給付の適正化を図るため、これまでの方策に加えまして、今年度、都及び区市町村の具体的な取り組み内容を盛り込んだ東京都介護給付適正化プログラムを作成いたします。
 このプログラムにおきまして、ヘルパーの訪問時間の確認などを行います利用者宅訪問調査や、不適切なサービス給付を見直すケアプランチェックなど、先駆的な事例を示すことで、区市町村の効果的な取り組みを促進してまいります。
 今後とも、都は、区市町村が積極的に介護給付の適正化に取り組めるよう支援してまいります。
 次に、自殺総合対策東京会議についてでありますが、自殺は、個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであることから、その対策に当たりましては社会的な取り組みが必要でございます。
 東京会議は、自殺対策に関する取り組みの推進基盤でありまして、保健・医療・福祉、経済・労働、教育等の関係団体や、防止活動を行う民間団体、有識者など、多様な主体の連携、協働の場として、七月上旬に設置をいたします。
 この会議では、事前予防、危機対応、事後対応に関する分科会を設けて、多角的な観点から協議等を行い、都民に対して自殺問題に関するメッセージを発信し、社会全体での取り組みにつなげてまいります。
 次に、自殺総合対策の具体的な施策展開についてであります。
 東京会議での協議等を踏まえて、問題への認識や社会的取り組みの必要性などについて、広く都民の理解を促進し、その予防を図るため、自殺防止東京キャンペーンを実施するなど、広報、普及啓発に取り組んでまいります。
 また、東京における自殺の実態を把握するとともに、危機を早期に発見し、対応するための相談・支援体制の構築や、遺族、未遂者に対する支援策の検討に着手をいたします。
 なお、自殺対策は、総合的、組織横断的な取り組みが必要であることから、関係各局から成る連絡会議を設置し、多重債務者対策やいじめ対策などの関係施策と調整を図りながら、全庁的に推進をしてまいります。
 最後に、自殺を水際で防ぐ取り組みについてでありますが、自殺を未然に防止するためには、その危険性が高い人を早期に発見し、専門機関による相談・支援につなげることが重要であり、こうした役割を身近で担う人材として、今年度からゲートキーパーを養成することといたしました。
 その養成に当たりましては、都独自に養成プログラムを開発するとともに、地域や職域における保健師等の専門スタッフを指導者として養成してまいります。
 また、医療機関や相談機関などが相互に連携した相談・支援ネットワークを構築するなど、自殺防止に向けた専門的な対応力強化のための施策の充実に努めてまいります。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 水道局が持つ経営や技術などのノウハウを発信すべきとのご質問にお答えします。
 水道局ではこれまで、国際協力機構いわゆるJICAなどと協力し、アジア、アフリカへの職員の派遣や研修生の受け入れなどを行うとともに、アジア大都市ネットワークや日本水道協会と連携した取り組みを実施しております。
 こうした取り組みに加えて、今後、当局の漏水防止技術につきまして、外国語版のガイドブックを充実させ、早期に海外の実務者向けのものとして発信してまいります。
 さらに、本年十一月に当局の研修・開発センターで開催される、水道サービスに関する国際規格を決める会議に向けて、海外水道事業体との交流を促進するため、双方向で情報交換できる仕組みを構築し、当局がこれまで培ってきた経営や技術などのノウハウを広く提供してまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 二点のご質問についてお答えをいたします。
 まず、排出量取引制度についてでありますが、この制度は、大規模CO2排出事業所が、みずからの対策のみで削減目標を達成できない場合に、他の事業所からの削減量の購入を認めることにより、目標の達成を可能とする制度でございます。
 都での導入に当たりましては、大規模事業所だけでなく、削減義務を負わない中小規模事業所がCO2削減量を大規模事業所に売却することも可能とするなど、幅広く事業者が参加できる仕組みとしてまいります。
 また、削減量の認定方法など、取引ルールの整備を行いまして、実効ある制度づくりを進めてまいります。
 次に、省エネルギー促進税制についてでありますが、家庭や中小企業の省エネルギー対策を推進するためには、温暖化対策としての省エネの意義に関する意識啓発や、家電製品等に関する省エネ技術の開発促進に加え、省エネ行動が広がるような仕組みづくりが重要であり、とりわけ、金融商品の開発や税制などの経済的手法の活用が有効でございます。
 こうした観点から、省エネルギーの促進のための新しい税制について、省エネ投資等の促進、省エネ行動への誘導など、幅広い角度で東京都税制調査会を活用しながら検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  東京音楽の祭典の日のご提案でございますが、先ほど知事から答弁があったとおりでございます。
 都はこれまで、東京都交響楽団によるさまざまな演奏会、すぐれた舞台芸術を低廉な料金で鑑賞できる都民芸術フェスティバル、子どもたちがプロの音楽家と直接触れ合える子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムなど、都民が音楽に親しめる機会の充実に努めてまいりました。
 現在、東京芸術文化評議会において、世界文化都市・東京を実現するための文化戦略について議論しているところであり、都民の日である十月一日を、東京音楽の祭典とするアイデアにつきましても、東京芸術文化評議会の意見を踏まえ、芸術文化の一層の振興を図ってまいりたいと存じます。

○副議長(木内良明君) 百二十七番渡辺康信君。
   〔百二十七番渡辺康信君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百二十七番(渡辺康信君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 私は、三選を果たした石原知事に対し、これまでの知事の立場を大きく変えた公約について、これをどう実現するのかという立場から、知事の見解をただしたいと思います。
 まず、中学三年生までの医療費無料化の公約であります。
 これは、我が党が繰り返し提案してきたものであり、知事選後、知事に対し公約実行を申し入れました。
 知事、中学三年生までの医療費無料化をいつから実施するのですか。来年度実施に向け、直ちに具体化すべきですが、答弁を求めます。
 具体化に向けた課題は、市町村の財政負担です。既に区部では、二十二区が中学三年生までの無料化に踏み出していますが、多摩地域では、ことし十月から始まる小中学生の一割助成を実施するのが精いっぱいです。
 我が党が、多摩二十六市の担当部課長を対象に行ったアンケートでは、都が実施するというのであれば、必要経費は都が負担すべきだ、市の負担がふえないようにしてほしい、都はすべての都民に責任があるのだから、すべての都民が利用できるようにしてくださいなどの声が寄せられました。事前の協議も、共通した要望であります。
 知事は、マスコミのインタビューに、中学卒業までの医療費は裕福な家庭を除き都が負担するとか、多摩の市町村が財政的にできないというなら、二十三区とはばらつきが生ずるので、都が何らかの方法で面倒を見ることはあり得ると答えています。
 知事、ここまでいったんですから、すべての区市町村が実施できるように、都が責任を持って財政負担を行うことが必要です。また、具体化に当たっては区市町村との協議を尽くすことを求めます。見解を伺います。
 また、今後、所得制限なしの無料化を実施するよう、強く求めておきます。
 知事は、選挙直前に都民税軽減の実施を表明しましたが、その後、所信表明などでも、この問題には触れていません。そこで、増税による都民の苦しみをどう緩和するのかについて伺います。
 今、六月からの住民税増税の通知が続々と各家庭に届き、間違いではないのか、だれが決めたんだという苦情や問い合わせが区市町村に殺到しています。足立区では、区役所に訪ねてきた人が一日だけで六百人、電話が七百件に及び、二十一台の電話を確保し、職員四十名体制で対応しております。
 私にも、切実な声が多くの方から寄せられています。
 ひとり暮らしのある高齢者は、一昨年、住民税は非課税だったのが、昨年は八千二百円、今回これが四・三倍の三万五千三百円にはね上がったといいます。国民健康保険料も一万七千九百円と大幅にふえます。受け取る年金は減っているのに、どうして負担ばかりがこんなに毎年ふえるのか、驚きと怒りの声が上がるのは当然であります。
 自営業のあるご夫婦の場合、一昨年はやはり住民税非課税で、昨年は四千円、ことしは一万千八百円。国保料は、昨年の十二万五千円が、ことしは二十四万二千八百円です。このほか、都営住宅の家賃、介護保険料と医療費を払うと、一カ月の生活費は夫婦でわずか十万円しか残りません。生活の苦しい人からむしり取るようなやり方に、このご夫婦は、とても払えません、どうやって食べていくのですかと訴えています。
 子育て世帯も大変です。ある家庭では、大学生と高校生二人の教育費と定期代、それに毎月七万円の住宅ローンです。家計を補うため、奥さんが月六万円のパートに出ていますが、この家庭に年間十二万円の住民税増税です。奥さんがパートで稼ぐ二カ月分がそっくり消えてなくなるのであります。
 政府・与党は、税源移譲だから住民税と所得税の合計は変わらないなどと宣伝しておりますが、とんでもないごまかしです。実際は、定率減税廃止により、若い人からお年寄りまで、サラリーマンも自営業者も、多くの都民に増税が押し寄せております。
 都が昨年度行った都民の生活実態調査の結果、年間収入五百万円未満の世帯がふえて、五割を超えました。中でも、三百万円未満の世帯が大幅にふえています。マスコミも格差都市東京と大きく取り上げました。
 このような中で、大幅な増税、負担増が押し寄せているのですから、本当に深刻です。住民には増税、大企業と大金持ちには減税という逆立ち税制を続けてきたことが、貧困と格差を一層ひどくしてきたのです。この流れを逆転することこそ、今求められているのであります。
 知事、こんな増税を国が都民に押しつけるのはひどいと思いませんか。住民の暮らしを守るべき自治体の長として、国に対し、住民税増税を中止し、既に通知した今年度分は還付するよう求めるべきであります。
 また、国がやらない場合は、都民税について都独自に還付するなどの対策をとることを提案いたします。お答えください。
 知事が来年度実施を約束した減税案は、生活保護基準程度の収入しかない人の都民税所得割を全額免除するもので、納税義務者の一割に当たる約六十万人に対し、五十億円の減税とされております。これを約束どおり実施すべきですが、どうですか。
 知事の減税案は、重要な前進ですが、一人当たり平均年八千円程度にすぎず、不十分です。緊急生活応援手当の支給や家賃助成など、低所得者へのさらなる支援が必要だと思いますが、見解を伺います。
 七十歳以上の高齢者にとって、シルバーパスの負担軽減はいよいよ切実です。知事は、住民税課税者の中にも一割程度は生活保護基準程度の人がいることを認めましたが、こういう人にも二万五百十円を押しつけているのが実態です。
 千円と二万五百十円の間に、三千円などのパスを導入することを改めて提案いたします。
 また、昨年度の税制改定に伴い住民税課税になった人は千円に据え置く特別措置をことしも継続することを、明確に答弁してください。
 知事は、都民の目線による医療と福祉を進めますと公約いたしましたが、高齢者の介護をめぐり重大な問題が起きています。
 株式会社コムスンが虚偽の申請内容で介護保険の事業者指定を受けたことで、厚生労働省は、来年四月から指定を取り消すよう全国に通知しました。全国で六万人から七万人に及ぶコムスンの介護サービス利用者が不安にさらされています。
 厚生労働省は、来年三月までは引き続きコムスンからのサービスが受けられるから安心してくださいといいますが、実際には、事業所の撤退や統合が進んでいるんです。
 そこで、都内の影響人数、コムスンの各事業所の現状、問題の経過と都の対応などについて明らかにしてください。
 また、コムスンの介護サービスの利用者、有料老人ホームやグループホームの入居者のサービスが途切れることがないよう、都として、相談窓口の開設を初め万全の対応を行うことが必要です。答弁を求めます。
 今回の事態は、営利企業の参入を拡大し、行政の責任を後退させてきた介護保険制度の根本的な問題点が噴き出したものです。営利企業の多くは、もうかる市場だということで介護事業に参入しています。コムスンは、ニチイを追い越せが目標で、ヘルパーに対して、営業、営業とハッパをかけ、売り上げ競争をさせてきました。こういう介護を営利追求の場にする現状を根本から変えないと、コムスンの事業をほかの営利企業に譲渡しても、問題は解決いたしません。
 コムスンだけでなく、業界大手のニチイ学館やジャパンケアサービスも、ヘルパーが介護保険法で定めた人数どおりに配置されていないなどの問題を都が指摘し、改善勧告と、介護報酬の過大請求の返還を求めた経過もあります。
 石原知事は、介護福祉分野への営利企業の参入、活用を積極的に推進してきましたが、今回のコムスンをめぐる事態で、そういうやり方の間違いがはっきりしたと考えますが、知事の認識を伺います。
 ヘルパーのほとんどは、時給千数百円の非常勤です。待遇をきちんと保障して、質の高いサービスを提供しようとしたら赤字になる介護保険制度の構造を改めることも急務です。まじめな事業者は疲れ果てています。人材不足も深刻です。事業者の努力だけでは解決できません。
 介護保険に対する国の公費負担をふやすことで介護報酬を拡充し、ヘルパーなど介護人材の賃金の引き上げなど、待遇改善を促進するよう国に求めることが必要です。答弁を求めます。
 都知事選挙では、我が党が追及した一回三千万円もの超豪華海外出張などの浪費や都政私物化の問題が大きな争点になりました。このため、知事は反省を口にせざるを得なくなりました。ところが、知事は、知事選挙が終わると、根も葉もないバッシングがあったなどという発言を繰り返し、マスコミからも、傲慢復活などという批判を受けています。
 私は、こうした問題でも、都民に対する知事の約束を守るよう厳しく指摘し、幾つかの点で見解をただします。
 まず、知事の豪華海外出張の中で、今問題が浮き彫りとなっているマン島TTレースの視察です。
 知事は、いまだに都のホームページで、マン島視察で成果を上げたと宣伝しておりますが、事実をゆがめるものです。マン島出張は、三宅島での公道を使ったオートバイレースの調査が目的でしたが、その三宅オートバイレースは、安全性についてメーカーやテストライダーから疑問と中止を求める声が上げられ、協力を得られないことから、島を一周する公道レースも、阿古地区での公道レースも断念に追い込まれたではありませんか。知事、ホームページを訂正すべきだと思いますが、どうですか。
 大体、公道レースの開催が現実的でないことは、マン島TTレースでも、この百年間の間に二百人を超える死者が生まれていることなど、ちょっと調べればわかることです。知っていたのに三宅でやろうとしていたというなら、余りにも人の命の重さを無視しているといわざるを得ません。知事、どうでしょうか。
 また、事前にメーカーの意向調査やテスト走行、マーケティング調査を行っていれば、開催が困難であるという結論を得ることは十分に可能だったのです。それをせずに多額の税金をかけて視察を行ったことは、都民の納得を得られるものではありません。豪華海外出張について、口先だけでなく、真摯な反省をすべきだと考えますが、どうですか。
 さらに、都民から、マン島視察に使った費用を返すべきとの声が上がるのは当然であります。我が党の試算では約七百万円になりますが、あわせて答弁を求めます。
 実際、今月八日、マン島TTレースでライダーと観客三人が死亡し、そのほかに観客一人と主催者側のマーシャル二人が重傷を負うという、観客を巻き込んだ悲惨な大事故が発生。翌々日の十日の日曜日には、これも観客を含む八人の死傷事故が発生しています。
 知事、公道オートバイレースはこれほど危険に満ちたものなんです。だからこそ、メーカーやレーサーも反対しているのです。公道レースに固執して、死亡事故があっても仕方ないというのですか。それとも、事故の責任も補償の責任も村の側にあるというのでしょうか。知事、いかなる形での公道レースもやらないと、きっぱり明言すべきです。それぞれ明確な答弁を求めます。
 都と村は、最近、公道レースにかわるフェスタ案を発表しましたが、レース的性格を持たせようとしたものです。そして、これを毎年ステップアップしていこうとしています。しかも、メーカー側から協力の約束を得ていると説明しています。これもごまかしです。
 まず、メーカーのホンダは、イベントであっても、公道を使って法定速度制限を解除して行うイベントは危険に変わりはなく、協力できないとはっきりといっていますし、イベントの窓口となるMFJは、最近、組織として協力できないことを表明するに至ったのです。八方ふさがりで、にっちもさっちもいかなくなっていることを直視すべきことを申し述べておきます。
 我が党は、この間に二回、三宅島を訪問し、関係者の話を伺ってきました。そこで明らかになったことは、オートバイレースは島民からは歓迎されていないということであります。島民が求めているのは、三宅空港の早期再開や航路の改善、観光振興、農漁業の振興などの現実的な復興に役立つ支援です。三宅の復興というのなら、この方向に支援を切りかえる決断が必要ではありませんか。知事の答弁を求めます。
 知事の誤った判断が都民の食の安全に重大な危険をもたらそうとしているのが、築地市場の豊洲移転問題です。
 築地市場は、古くから魚河岸の名で親しまれてきた、水産物では国内最大の卸売市場です。その市場を、ベンゼン、砒素や水銀、六価クロムなどの有害物質に汚染された豊洲に移転させるというのですから、関係業界を初め、地元区、都民からも疑念と反対の声が上がるのは当然であります。
 こうした批判に対し、知事は選挙で、これまでの東京ガスによる土壌汚染対策で安全といい張ることができなくなり、専門家会議を立ち上げて検討する、再調査をして土壌汚染があったら中止だという態度を示すに至りました。しかし、選挙が終わると、再調査するかどうかを専門家会議で検討すると、トーンダウンをしています。
 しかも、設置した専門家会議の構成にも疑問が寄せられています。環境学会のメンバーや液状化問題の専門家も入っておらず、座長に至っては、大阪で起きたマンションの土壌汚染訴訟で企業側の委員を務めた方が任命されているのです。
 一方、環境学会の専門家は、東京ガスの土壌改良は、国の土壌対策法に沿って行われていない不十分なものであること、豊洲では地下水まで汚染されており、土壌を全部入れかえない限り安全とはいえないと指摘しております。移転を前提とした専門家会議の委員からも、再調査の声が上がっているではありませんか。
 知事、食の安全を第一とする市場の設置者として、汚染が明らかな不適地を選定した責任は重大であります。しかも、新市場建設基本問題検討会で土壌汚染対策問題の検討を封印したのは東京都ではありませんか。このことをどう考えているのですか。
 最近、環境省は、現行の土壌汚染対策法が施行される前に調査された豊洲などの汚染地において、より厳しい調査、対策が必要だとする方向を打ち出しました。都の責任で、新たな基準に基づく調査、食の安全を守るにふさわしい調査を行うべきと考えますが、答弁を求めます。
 そもそも築地市場の整備は、現地での再整備という方向で一貫して進められてきたものです。それが青島都政時代に、臨海副都心開発の救済のために、臨海部への移転という方向が出され、確かに現地再整備と移転再整備の間で揺れたことも事実です。しかし、豊洲については、当時のサンフランシスコ地震被害の研究から、液状化の危険が強い豊洲は不適とされていたのです。これが石原都政になって、築地の周辺を含めた再開発というねらいが加わり、知事の市場視察を契機に、一気に豊洲移転で動き出したのであります。
 今日の業者の態度は明白です。四月の水産仲卸売業者のアンケートで七四%が移転反対を表明。最近実施された青果仲卸売業者のアンケートでも、九割が築地での営業継続を望んでいることが明らかになっています。地元中央区も移転に反対しています。
 知事、これだけの反対を押し切って移転を強行することは許されません。豊洲移転は中止すべきです。答弁を求めます。
 知事は、現地再整備は、種地がないとか、築地はアスベストで危険などと、いいわけを繰り返しています。しかし、種地というのであれば、例えば運河を挟んだ隣の晴海を使えばよいではありませんか。アスベストについても、東京都自身が、現状で取り壊し作業をやっても大丈夫だとしているのです。築地での再整備に立ち返るべきではありませんか。知事の答弁を求めます。
 知事のトップダウンで始められた事業によって、一千億円もの税金が泡と消えようとしているのが新銀行東京です。私たちは、自治体が手を出すべきではない事業に乗り出した、都民の重いツケになると厳しく批判してきましたが、まさにそのとおりになっているではありませんか。
 二〇〇七年三月期決算では、開業二年目の最終損益で五百四十七億円の赤字となり、累積欠損は八百四十九億円にも上り、都が出資した一千億円のほとんどが失われる事態となっています。知事は、破綻ではない、二年後には単年度黒字に転換すると強弁していますが、だれも額面どおりには受けとめていません。
 金融の専門家は、本来、金融庁が業務改善命令を発動してもおかしくない事態と指摘、これまで高い評価をしていたアメリカの格付会社も、政策的役割に低下の懸念が生じているとして二段階引き下げを行い、新中期計画についても、達成は容易でないと判断しております。
 知事は、責任を問われたら、素人などといっていい逃れしておりますが、知事の甘い見通しが今日の事態を生み出したのではありませんか。この期に及んで、経営者に責任を押しつけて、みずからの責任逃れをするのは見苦しい限りです。また、乾坤一てきの勝負をするなどといっておりますが、新銀行はギャンブルではありません。それとも、失敗したときは一千億円の責任を負うというのですか。
 都民の税金を一千億円も投入した、みずからの責任を明らかにするとともに、経営継続に固執せず、金融庁の検査と指導を要請し、都民の税金と預金者保護を最優先に、早期に撤退すべきです。知事の答弁を求めます。
 知事のトップダウンの事業の中で、最大のむだ遣いとなるのがオリンピックです。
 しかも、開催計画自体がずさんきわまりないものです。ビッグサイトでは開催不能な水泳会場、公園をつぶす夢の島会場、汚れた海水面を泳ぐトライアスロン会場など枚挙にいとまはありません。中でも深刻なのはメーンスタジアムです。
 最近、オリンピック招致委員会は、晴海をメーン会場とすることを正式に決定しました。しかし、かねてから我が党が指摘してきたように、埋立地である晴海は、液状化や側方流動の危険が極めて高く、交通アクセスが不便で十万人の観客の移動が容易でないことなど、問題は山積みしています。
 中でも、霞ヶ丘の国立競技場とは別に、晴海に国立の競技場を建設することについて、国や関係団体の了解を得られなかったことは致命的な問題です。
 そもそも知事は、都として新たな施設は建設しない、メーンスタジアムは国立で建設するといってきたのです。しかし、この計画は崩れました。我が党の質問に対して、文部科学省の担当者は、二つの国立競技場はあり得ない、晴海の計画について、交通の面から計画を見直した方がよいと都に申し上げたといっています。また、日本陸連も、我が党に、陸上競技にとって国立競技場は聖地である、晴海に競技場を建設するのは勝手だが、国立競技場をサッカー専用にすることについては絶対反対であることを明らかにし、このことを文部科学省にも東京都のオリンピック招致本部にもはっきり意思表示をしたと述べておるのであります。
 知事、最初、都民に説明した計画も、現在の説明も事実と全く違うではありませんか。これ以上都民を欺くことは許されません。大体こんなずさんな、つじつま合わせの招致計画で立候補する資格があると考えているのですか。答弁を求めます。
 さらに重大なことは、オリンピック招致をてこにしたインフラ整備への都民の税金投入に拍車がかかろうとしていることです。
 メーン会場への交通手段について、当初計画では全く示されていませんでしたが、最近、知事はこれが必要であることをようやく認め、LRTについて言及しました。しかし、LRTには鉄道や地下鉄のような輸送能力は期待できず、一時に十万人もの観客をさばくことは不可能です。LRTのほかにも、羽田と築地を結ぶ地下トンネルや都心と結ぶ地下鉄の建設など、次々と浮上してくることが予想されます。
 中でも最大の投資となるのは、地上部道路とあわせて二兆円規模の外かく環状道路です。我が党は先日、外環道の事業者となる東日本高速道路株式会社を訪ね、話を聞かせてもらってきました。同社の話では、大深度地下の本体について、一兆三千五百億円もかかるのであれば、採算がとれず赤字になるので、手を出すことはしないということでした。
 国会での国交省の道路局長の答弁では、新直轄方式だと都の負担は外環本体で三千四百億円になります。上部道路を合わせますと一兆円もの負担になるのです。
 知事、オリンピックの名で一体どれだけの投資を行い、税金投入がどれだけ必要となるのか、きちんと都民の前に明らかにすべきではありませんか。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 渡辺康信議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、子育てにかかわる経済的支援については、国の取り組みが不十分であることから、所得格差を踏まえつつ、中学三年生までの医療費負担をゼロとすることを公約の一つといたしました。
 この公約については、いった限り、共産党にいわれるまでもなく、今後、実現に向けて準備を進めてまいります。所得制限は当然に設けます。
 住民税についてでありますが、今回の定率減税の廃止は、導入当時と比べ、景気の回復が見られることなど、社会経済状況の変化を踏まえた措置であります。したがって、国に中止や還付を求める考えはありません。
 次いで、マン島視察の成果についてでありますが、私と三宅村長などは、三宅島の復興を図る目的でマン島のレースの視察を行いました。この視察の成果も生かしながら、村と都が、日本モーターサイクルスポーツ協会などの積極的な協力を得て、三宅島の現状に即したバイクイベントの検討を現在も行っております。
 三宅島の力強い復興に向けて、この秋にも意義のあるイベントとして実を結ぼうとしているわけでありまして、成果は十分にありますし、ホームページを訂正する必要はないと思っております。
 豊洲移転の中止についてでありますが、築地市場が基幹市場として今後とも都民に生鮮食品を安定的に供給していくためには、老朽化、狭隘化した施設の整備が緊急の課題であると思います。
 現在、一部に唱えられている築地市場での現在地再整備では、敷地面積が限られておりまして、これからの市場に求められる機能を満たすことができません。
 さらに、整備に当たっての種地がない上に、あちこちに封印されてありますアスベスト対策も講じる必要があります。市場業者の営業活動に深刻な影響を及ぼすことから、現在地での再整備は不可能であると思います。
 豊洲新市場予定地は、大規模な用地が確保でき、交通条件が良好な位置にあるなど、将来の市場の発展に十分に対応できる条件を有しております。
 土壌汚染対策については、既に設置した専門家会議で十分に論議をしていただき、ことし秋に予定している提言を踏まえて、再調査も含めて必要な措置を確実に実施していくことで、いつの時点になりますかわかりませんが、しかし、豊洲新市場をできるだけ早く、都民が安心できる市場として開場させたいと思っております。
 新銀行東京についてでありますが、都はあくまでも出資者であり、所有と経営の分離の原則のもとに、経営については、経営陣がその責任において、環境の変化などに柔軟に対応し、適切に行うべきと考えております。
 今決算においては、計画を上回る不良債権の発生などにより経営が悪化いたしましたが、これまで一万六千六百件の融資、保証を実行しており、中小企業金融において重要な役割を果たしていることに変わりはございません。
 都は出資者としても、今後とも新銀行東京が新たに迎えた経営陣のもとで、収益面の改善を図りつつ、中小企業に対する金融支援を一層充実していくよう働きかけを行ってまいります。
 次いで、オリンピックに関する経費についてでありますが、オリンピックはそもそも、経済効果をねらってやるものでは決してございません。しかし、都の試算では、全国で二・八兆円、三兆近い経済効果が生まれると予測されております。
 また、ちなみに、ことし二月に実現しました東京マラソンにおいても、大会運営費が都の支出二億円を含めて全体で十六億円でございましたが、一日、しかも七時間、幹線道路を封鎖することで、都内で百十七億、全国では百八十三億の経済効果がもたらされました。こうした開催の効果もあわせて議論しなければ、オリンピック云々について全く意味がないと思います。
 オリンピック開催にかかわる経費については、大会運営費及び施設整備費など、昨年、その概要を都民に公表し、立候補申請に向け、現在内容を詰めております。
 一方、三環状道路を初めとする都市インフラの整備は、オリンピックの開催有無にかかわらず、東京の機能をさらに向上させるために絶対に必要な将来への投資であると思います。
 二〇一六年のオリンピック開催に向け、インフラ整備を一層促進し、都市問題の解決に大いに貢献していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点の質問にお答えをいたします。
 まず、中学三年生までの医療費助成と区市町村の財政負担などについてでありますが、都は所得制限を児童手当準拠とし、医療費の自己負担分の三分の一を助成いたします義務教育就学児医療費助成事業の本年十月からの実施に向けて取り組みを進めているところであります。
 中学三年生までの医療費につきましては、先ほど知事が答弁したとおり、今後、実現に向けて準備を進めてまいります。
 次に、低所得者への支援についてでありますが、所得保障は、社会経済状況全体を踏まえ、基本的に国の責任で対応すべきものでありまして、現在、各種年金や手当、さらに、最後のセーフティーネットとしての生活保護などの諸制度が整備をされています。
 また、老人保健制度や医療保険制度等の中でも、各種のきめ細やかな本人負担の軽減措置が設けられております。
 これらの諸制度を国と地方との役割分担のもと、公正かつ適切に実施していくことが自治体の責務であり、都としては、お話のような現金給付の制度を設ける考えはございません。
 続きまして、シルバーパスについてでありますが、本事業は、若年世代の負担との間に不公平感があるなどの課題があったことから、平成十二年に、都民の理解を得て見直しを行い、所得に応じて、区市町村民税非課税の方は千円、課税の方は二万五百十円の利用者負担をいただく仕組みとなっております。
 ご提案の内容が、区市町村民税課税の方の一部について、シルバーパスの二万五百十円の利用者負担金を引き下げるという趣旨であれば、そうした制度を実施する考えはございません。
 次に、今年度のシルバーパスの経過措置についてでございますが、ご指摘いただくまでもなく、本年第一回定例会での代表質問における議論も踏まえ、平成十七年度の区市町村民税が非課税で、平成十八年度の経過措置の対象となった方については、更新時の費用負担額を千円に据え置くこととし、既に区市町村に周知をしたところでございます。
 次に、コムスン問題における現状等についてでございますが、コムスンのサービス利用者数につきましては、現在、区市町村を通じて国が全国調査を行っております。
 また、都内の事業所数につきましては、区市町村指定分を含めて、本年六月六日現在、百五十九事業所を指定しております。
 これまでの都の対応についてでございますが、六月六日の厚生労働省通知を受け、コムスンに対して、利用者保護のため、介護サービスを低下させないこと、新たな事業者への紹介を確実に行うことなどについて指導を行っております。
 また、区市町村には、コムスンに関する事業所情報を提供するとともに、担当者会議を開催し、適切な相談体制の確保を依頼するなどの対応をしてございます。
 次に、コムスンの介護サービス利用者への対応についてでございますが、ただいま申し上げたとおり、都ではコムスンに対して、利用者保護のため、さまざまな指導を行っております。
 また、都は、既に介護保険制度相談窓口で相談等に対応しているほか、区市町村に対しても適切な相談体制の確保を依頼しております。
 次に、介護福祉分野への民間企業の参入等についてでありますが、本格的な高齢社会を迎え、介護、福祉サービスの需要が増大する中で、都は、大都市東京の特性を生かし、NPOや民間企業など、多様な事業主体をサービスの提供者として参入させ、活発な競い合いを行うことにより、サービスの質の向上と量の確保に努めてきたところでございます。
 今後とも、利用者本位の福祉の実現を目指し、都民が安心してサービスを選択できるよう、第三者評価の普及、定着を図るとともに、指導、検査を厳正に実施するなど、事業者の適正な運営の確保に努めてまいります。
 最後に、国への要望についてでございますが、都は、既に国に対しまして、次期介護報酬改定に当たり、大都市の実情や事業者の経営実態に見合う報酬水準となるよう、都におけます介護保険施設の実情を踏まえ、具体的な見直しの方向性について提言しているところでございます。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都独自の都民税還付についてでございますが、先ほど知事がお答えしたとおり、今回の定率減税の廃止は、導入当時と比べて景気の回復が見られることなど、社会経済情勢の変化を踏まえた措置でございます。都民税の還付は考えておりません。
 次に、個人都民税の軽減措置についてでございます。
 これは、十年前に比べ、生活保護受給者あるいは非正規雇用者がふえており、特に、東京都は全国の増加率を大幅に上回る状況にあることを踏まえまして、生活保護の対象となる程度の収入しかない都民の税負担に配慮しようとするものでございます。現在、制度について検討をしているところでございます。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島のバイクイベントについてでございますが、今回のイベントは、村、事業の実施主体となるNPO法人など、住民みずからが島の復興に向け、年間を通じて来島者をふやすことにより、産業や観光の振興の起爆剤となるよう実施をするものでございます。
 実施に当たっては、安全面にも十分に配慮して行うよう、村、NPO法人とも協力をしてまいります。
 次に、マン島視察の必要性についてでございますが、三宅島でのバイクイベントは、知事が三宅村長や専門家などとともに、本場のレースを視察した成果も十分に生かしながら検討を進めているものであり、極めて意義のある海外出張であったと考えております。
 次に、マン島視察に使った経費でございますが、マン島視察は、ただいま申し上げましたとおり、極めて有益な海外出張であり、視察にかかった経費を返還する必要はございません。
 次に、バイクイベントにおける事故等への対応についてでございますが、現在、三宅村では、NPO法人を組織し、専門家も含め、多数の関係者の協力を得ながら、万が一にも事故等が起こらないよう、安全面にも十分配慮した事業の具体的内容を検討しております。
 万々が一事故が起きた場合には、その態様により責任の所在は異なってまいりますが、そのようなことがなく、このイベントが安全に行われるよう、都としても積極的に助言、支援してまいります。
 次に、バイクイベントの内容についてでございますが、三宅村では、現在、NPO法人を中心として、島民も含め、すべての人が楽しめるにぎやかなレースイベントとするべく、国内のオートバイ主要メーカーの協力を得られる形で検討を進めております。実施案が固まり次第、発表する予定でございます。
 最後に、三宅島の復興支援についてでございますが、都は、これまでも三宅島の復旧、復興に向け、空港、港湾、道路、砂防ダムなどの整備を行うほか、さまざまな取り組みを着実に行ってまいりました。
 一方、三宅島を訪れる観光客の数は、いまだ発災前の半分程度と低迷をしております。三宅島の産業、観光振興を図るためには、これまでにない思い切った取り組みが必要であり、今回のバイクイベントは、こうした趣旨で実施するものでございます。
 都としては、引き続き国とも連携しながら、島の復興を担う三宅村の取り組みを支援してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場移転に関する五点の質問にお答えいたします。
 まず、築地市場の移転地の選定についてでございます。
 築地市場の移転先の条件といたしまして、一つは、広い駐車場や荷さばきスペースを配置できる大規模用地の確保が可能なこと、二つ目は、消費地である既成市街地の外周地域で、交通条件が良好な位置であること、三つ目といたしまして、商圏に近く、機能、経営面で築地市場との継続性が保てる位置であること、こうした考え方に基づき、平成十三年四月、東京都卸売市場審議会から、豊洲地区を候補地として検討するよう答申がなされました。
 この土地は、東京ガス株式会社が、ただいま申し上げました審議会答申前の平成十三年一月に、ベンゼン、シアンなどの有害物質に関する調査結果と汚染土壌処理対策を公表し、同社の責任で、操業に伴う汚染について対策を実施することを表明していたものでございます。
 これらを踏まえ、平成十三年十二月の第七次東京都卸売市場整備計画で、築地市場の豊洲移転を決定したものでございます。
 次に、土壌汚染対策についての市場業界との検討でございます。
 平成十四年七月、東京ガス株式会社が実施する豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について、都と市場業界との協議機関であります新市場建設基本問題検討会において説明を行いました。
 平成十七年六月には、東京ガス株式会社の土壌汚染対策の詳細について、同様の協議機関でございます新市場建設懇談会において説明を行っております。
 また、平成十八年十一月には、都として、自然由来の物質についても処理対象としたことから、同懇談会において説明を行いました。
 このほかにも、平成十七年三月、十八年八月、十二月に、全仲卸組合員等を対象に説明会を行ってきてございます。
 次に、新たな基準に基づく調査の必要性についてでございます。
 都は、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策などについて、科学的、客観的な検証を行うため、公平、中立な立場の専門家による専門家会議を設置いたしました。
 先月の第一回の会議では、東京ガス株式会社が実施した土壌汚染調査に対する評価を行った上で、都民や市場関係者の不安を解消する観点から、一部、追加調査の必要性も指摘されたところでございます。
 第二回以降の会議において、この追加調査の必要性や内容、範囲などを議論していただくこととしております。
 都は、こうした専門家会議の検討や提言を踏まえて、必要な措置を確実に実施してまいります。
 次に、市場外に現在地再整備の種地を確保することについてでございます。
 築地市場は、卸、仲卸、物販業者や輸送業者などの関連事業者が一体となって機能しておりまして、現在地再整備の種地を市場外に求める場合には、ターレットやフォークリフトなどの場内搬送車が荷物を運べる範囲の距離であること、買い出し人が、水産、青果、関連店舗などを容易に移動できること、工事の施工に必要な一定規模の面積が確保されることなどが必要でございます。
 過去に行った現在地再整備工事の過程で、このような条件に適合する市場外の土地を求めましたが、確保できなかった経緯があり、現在においてもこの状況に変わりはございません。
 最後に、アスベスト対応と現在地再整備との関係についてでございます。
 築地市場では、施設の広範囲にわたりアスベスト含有建材が使用されているため、解体時には、飛散防止対策として、売り場等を密閉し、隔離した状態で処理を行うことが必要になります。
 十分なローリング工事用の種地がない中で解体工事を行う場合には、市場業者の一定部分が長期間にわたって営業を停止せざるを得ず、営業活動に深刻な影響を及ぼすことになり、こうした面からも、現在地再整備は不可能であると考えております。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) オリンピックの招致計画についてでございますが、都は、昨年六月に開催概要計画書を発表して以来、一貫して、オリンピックスタジアムを晴海に整備する方針をとってまいりました。
 また、国に対しては、国立で整備することを要望し続けてまいりましたが、国は、東京に二つの大規模な競技場を建設することはできないとの立場をとっております。
 そこで、都は、オリンピックスタジアムを提供する開催都市としての責任を果たすため、都立で整備することとしたものでございます。
 また、現在、施設の内容、機能を検討中でございます。整備費につきましても、都立施設であることを踏まえまして、国費及び民間資金の積極導入を前提に現在進めているところでございまして、今後、適時適切に説明してまいります。
 なお、先ほどのご質問の中で、現在の霞ヶ丘競技場をサッカーにとの都の要請に対して、文部科学省が反対の答えということがございましたけれども、現在、正式にはそういう答えは招致本部の方には聞いておりません。したがいまして、ご質問の中にありました、ずさんな、つじつま合わせの招致計画とのご指摘は当たらないというふうに考えます。
   〔百二十七番渡辺康信君登壇〕

○百二十七番(渡辺康信君) 知事への再質問を行います。
 まず、築地市場の豊洲移転について、二点伺います。
 知事は、反対が一部だといいますが、圧倒的多数の仲卸業者の皆さんがこぞって豊洲移転に反対し、現地再整備を求めている。知事はこの声を無視するのかどうか、これが一つです。
 二つ目は、現地再整備の種地としては晴海があるといっているんです。ここを種地にすれば、アスベストだってすぐ撤去できる。オリンピックのために晴海を種地にできないというのは許されない。都民の食と安全をどうするんですか。中央区も、かつて晴海を種地にするよう提案していたのではないですか。晴海を活用できないというのなら、都民が納得できる理由を示していただきたい、これが二つ目です。
 次に、新銀行東京について三点伺います。
 もともと無理な発想で始めた新銀行東京の破綻責任を経営陣にすべて押しつける答弁は無責任きわまりない。新銀行は、石原銀行といわれているように、知事がトップダウンで始め、知事と側近の密室で準備されたものです。銀行を設置し、一千億円を投じた知事自身に最大の責任がある、そう思わないのですか。
 二つ目、日経新聞も、事業を譲渡し、早期に撤退するのが妥当としております。なぜ金融庁の検査と指導を受けないのか。それとも受けられない理由があるのか、明確にしていただきたい。
 三つ目、このまま突き進んで一千億円をどぶに捨てるような結果になったら、知事、あなたは責任とるんですか。一千億円を補償できるのか。
 それぞれ明確な答弁を求めます。
 最後に、東京オリンピックについて、二点伺います。
 一つ、三環状などの巨額な投資だけでなく、オリンピックの直接経費が当初の計画に比べて大幅に膨れ上がることを指摘しているんです。逃げないで、どれだけの投資を行うのか、明らかにしていただきたい。
 二つ目、大体オリンピック後の需要が見込めないのに、二つ目の大規模な競技場をつくって採算がとれるわけはありません。都民が重税と負担増、貧困と格差の拡大で苦しんでいるときに、こんなむだ遣いは許されません。
 答弁をそれぞれお願いをいたします。
 以上です。(拍手)
   〔発言する者多し〕

○議長(川島忠一君) 着席をしてください。着席をしてください。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場に関する二点のご質問にお答えいたします。
 圧倒的反対がある中で、移転は撤回すべきであるということのお尋ねでございますけれども、市場業界が行ったアンケートについては承知をしておりますが、これは一部の団体が実施したもので、その結果が全体の意見を正確にあらわしたものであるか、これについては確たることは申し上げられないと考えております。
 いずれにいたしましても、市場業界の一部に反対の声があることは十分承知しておりますので、今後とも、理解が得られるよう、必要な話し合い等を行ってまいります。
 それから、種地を晴海にというお尋ねでございますけれども、先ほど市場外に種地を設ける場合の条件についてご説明申し上げました。三点について申し上げましたけれども、場内搬送者で運べる位置、あるいは買い出し人が容易にその買い回り、いわゆる我々の言葉で買い回りというふうにいっておりますけれども、回れること、さらには、一定規模の面積が必要なこと、これらを考えますと、晴海を含めて、市場外の種地の適地は現状ないというふうに考えております。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関する再質問についてお答え申し上げます。
 まず、一点目の今までの経営責任についてでありますが、都はあくまで出資者でございまして、所有と経営の分離の原則のもと、経営につきましては、経営陣がその責任において、環境の変化等にも柔軟に対応して適切に行うべきものと考えております。
 次に、金融庁へ検査等を要請せよとのことでありますが、銀行に対する検査等につきましては、銀行法に基づきまして金融庁の判断により実施されるものであります。
 また、今後の経営に関する責任とのことでありますが、今後、都は出資者として新銀行東京が新たに迎えた経営陣のもとで、収益面の改善を図りつつ、中小企業に対する金融支援を一層充実していくよう、働きかけを行ってまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) オリンピックに関する二点のご質問にお答えします。
 まず、都市インフラに関するご質問でございますけれども、そもそも東京オリンピックは、一時期のスポーツの祭典のためにだけではなく、これからの東京の都市づくりの方向を踏まえ、都市の新しいモデルを世界に発信する機会としてとらえるべきであると考えます。
 したがって、メーンスタジアムを初めとする主要競技施設やアクセス、三環アクセスも、これからの都市づくりの中に位置づけられるものと考えております。十年先、二十年先の都市づくり、港づくりを見通した道路、公共交通の投資としてとらえるべきものというふうに考えております。
 それから、オリンピック関連経費でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在、諸施設を含め、施設の内容、機能を検討中でございます。整備費につきましても、国費の導入、民間資金の積極導入を前提に、現在詰めております。
 今後、適時適切にご説明申し上げます。

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時十九分散会

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