平成十九年東京都議会会議録第九号

   午後三時二十七分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十八番岡崎幸夫君。
   〔七十八番岡崎幸夫君登壇〕

○七十八番(岡崎幸夫君) 私は、都議会民主党、すなわち、田中良幹事長、馬場裕子政調会長、土屋たかゆき総務会長を先頭にして活動する三十五名の会派を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず、石原知事の都政運営について伺います。
 今回の東京都知事選挙においては、石原知事が約二百八十万票を得て三選を果たされました。今回の石原知事の勝因の一つは、都政の私物化、傲慢との批判に対して、説明不足で誤解を招いた、都民におわびをしたい、反省しているなどと率直に謝罪したことにあったともいわれています。しかし、当選が決まった際の石原知事の発言は、一部メディアの執拗なバッシングで誤解が拡大した、決して独断専行したわけじゃないなどと、批判はあくまで誤解にすぎず、単なる説明不足でしかないというものでした。これでは、石原さんは謙虚になったと評価し、都政を三たび石原知事に託した都民に対する裏切りになってしまいます。石原知事の真意を伺います。
 また、私たちはさきの第一回定例会において、政権内に友人を入れてはならないとの警告を進呈いたしましたが、知事は、知人、友人であろうと、要所要所で骨身を惜しまず働いてもらっておりますとされました。しかしながら、知事側近の一部に、知事の威光をかさに着て都政をゆがめる者が出かねないことは、濱渦元副知事の更迭や、この間のトーキョーワンダーサイトを初めとした一連の事態が如実に示しています。
 この石原知事の知人、友人の登用については、先週の記者会見において、猪瀬直樹氏を副知事に登用するとの表明がありました。石原都政における民間副知事の登用については、既に結果として更迭することとなった濱渦元副知事の例があります。この濱渦氏の副知事登用について、石原知事はどのように総括されているのか伺います。
 民間副知事を初めとした政治任用について一概に否定するものではありませんが、庁内外の信頼性を確保するために、安定性、透明性並びにリスク回避という観点から、新たな制度設計を考える必要も出てきているのではないかと考えます。
 そこで伺いますが、現在、東京都知事と都議会議員には政治倫理の確立のための資産等の公開に関する条例が課されており、本議会には規定整備のための一部を改正する条例案が提案されています。石原知事にとどまらず、副知事や知事側近の方々にも、透明性を高め、相応の責任感と緊張感を持っていただくために、副知事、特別秘書、参与の方々もこの条例の対象に加えるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 さて、知事は、選挙前、交際費に関する住民訴訟で交際費の返還を命ずる判決が出た後、この事務については日本一透明度の高いものにすると明言し、ホームページに掲載しています。今後は不透明な支出を行わないよう、襟を正していただきたいものです。
 その一方で、都民の求めに応じて行う情報公開については、さきの第一回定例会において、開示請求者に公平な負担を求める観点から、必要となる事務費、人件費など、実費の範囲内で徴収していると答弁しています。
 手間と時間がかかる、行政コストがかかるから料金を徴収するというのは、情報公開に対する基本的な姿勢の問題です。つまり、情報公開は、都が都民に求められる余分な仕事ではなく、基本的な業務の一つであって、これを請求する都民が特別な利益を享受しているわけではありません。原則として都民が求める情報を提供するのが都の責任であり、原則公開、原則無料とすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、さきの定例会において、知事は、都の情報公開の独自性として、依頼者の五五%は圏外者(都外)と答弁されました。平成十七年度東京都情報公開制度運用状況年次報告書を見ると、請求者の内訳として、三千四百六十七件の請求のうち、都の区域内に住所を有する人が一千五百五十二件、都に法人税も納めている都の区域内に事務所または事業所を有する個人や法人などが九百九十七件となっており、七三%が都内の方です。都内在学在勤者を都内の方として算出すると、八九・八%となります。さきの答弁とは二割から三割以上もかけ離れてしまうわけですが、都外からの情報公開請求が五五%としたその根拠についてお答えください。
 次に、地方分権改革について伺います。
 都民がゆとりと豊かさを実感でき、安心して暮らせる東京を実現するため、我々は分権改革をさらに進めていかねばなりません。第二次改革が始まり、国と地方の役割分担の見直しや地方税財政制度の確立が急務となっているにもかかわらず、国や有識者から都市と地方を対立させる地域税収格差是正論が打ち出されています。
 まずは、先日、知事が副知事に登用するとした猪瀬直樹氏から提起された東京DC特区構想です。山手線内、山手通りで区切った都心部三百万人が住む地域を国の直轄地にする、都民の税金は国全体のものとして税収を徴収し、地方に振り分けるというものです。
 東京都制は、自治体東京市を廃止し、東京府に吸収する形で誕生しました。この東京DC構想は、府制をも飛び越えて国の直轄地とするもので、自治権の拡充に逆行するものであるばかりか、戦後、特別区が続けてきた自治権拡充の取り組みを否定するものでもあります。
 知事は民間副知事の人物像を、やってきたことを継承してくれる人、国に的確に東京側の意思を伝え、その効力がある人と語っていますが、猪瀬氏の提案する、都心を国の直轄地とする案は、知事の、都心の住民から自治権を奪うことは許されないとする基本姿勢と根本的に異なります。知事の見解を伺います。
 次に、総務大臣発言から始まり、国の骨太の方針二〇〇七原案に明記されたふるさと納税構想です。
 この構想は、政府・与党が分権改革を推進する責務を放棄し、三位一体改革で財政を悪化させた地方自治体の対立を一層あおるものとなっています。
 また、租税の公平性からは、選択しない納税者の負担をふやし、簡素化の点からも複雑なシステム構築を必要とする制度です。住民税の税率を一律一〇%として、国がみずから応益性を強化したにもかかわらず、その一方で地方税の原則に反する受益と負担を異にするものを打ち上げました。地域間の再分配や地方の活性化に本当に資するかどうかも不明です。自分の税金の使い道を選択したいと望む住民への対応を考えるならば、住民税の一部を地域振興を行うNPOへの補助金に指定するなど、一部の使途を特定化できる納税者投票の導入を検討するべきです。分権改革やふるさと納税構想を機に、都民の納税意識の向上に資する制度について、都の見解を伺います。
 一方、石原知事が知事選直前に、都民税所得割の軽減措置を発表したことは、さまざまな波紋を呼んでいます。知事によると、東京で高まっている所得格差と現行税制のゆがみを是正する措置と述べています。これにより、生活保護レベルの低所得者は都民税所得割を全額軽減されることになりますが、都民税均等割は軽減されません。
 また、もっと所得の少ない課税最低限以下の人々には、財政再建の還元、恩恵は全くなく、置き去りにされたままです。生活保護受給者の人々は、住民税すべての負担を免除されています。今回の軽減措置は、税源移譲によって一律一〇%と応益性を増した住民税を、六%と一〇%の変則的な累進課税にすることとなり、住民税をいびつな構造にしてしまいます。税源移譲により財政責任が高まった都において、住民税のあり方をどう考えているのか伺います。
 都民税所得割の軽減措置の効果は限定的であるため、低所得者対策は、税をゆがめる制度変更のみで行うべきではなく、より広い自立支援策によるべきであります。
 海外に目を移すと、イギリスでは、低所得者の就労促進を図るために、課税最低限以下の者には給付金を支給し、課税最低限を超えても課税により手取りが減ることのない、働くことが報われる制度を導入しています。
 国でも新たな仕組みとして議論を開始しています。同じくイギリスにおける失業者対策、福祉から労働へのプログラムでは、若年者や長期失業者、ひとり親世帯などに就業の可能性を高める施策を行っています。都においても、生活保護受給者に就労や保健、医療面での自立促進を行う自立支援プログラムを開始し、一定の効果を上げているところです。こうした施策を積極的に推進すべきですが、都における低所得者施策の方向性について伺います。
 次に、東京オリンピック招致について伺います。
 東京オリンピック招致委員会が、二〇一六年東京オリンピックのメーンスタジアムを都立施設として建設すると発表しました。都が日本最大の競技場を保有することになります。その建設費は約一千億円と見積もられています。
 昨年、知事は、スタジアムに対する国の負担を、東京に決まった時点で総理大臣からきちっと言質をとるよと言明していました。それが、ことしになり、まあ、それだっていいじゃないかと前言を翻し、続けて、その建設は設備投資で、経済効果が見込まれるから都民に迷惑をかけないともいっています。
 建設費に関しては、PFI方式の活用を検討する方針ですが、それで根本的に解決したわけではありません。平成十二年に東京スタジアムを二百六十億円で買い取った、知事いわく損切りした歴史を知事自身もお忘れではないと思います。
 そこで、このわだちを最後の最後で踏むことのないよう、当初の計画どおり、国立競技場として整備する交渉を今後も粘り強く続けていくべきです。知事の見解を伺います。
 JOCは、晴海のメーンスタジアムを、三方向が海で動線が一方向にしかなく、収容人数の十万人を問題なくさばくためには、より綿密な計画が必要となると指摘しています。
 そもそも都は、東京の交通輸送を、神宮外苑を例に、お盆で乗客数が減少するので全世界から観客を迎えられると説明しています。メーンスタジアムに関しては説明がなく、今後、地下鉄延伸か路面電車の導入を行ったとしても、帰路の十万人を運び終えるには相当な混雑が生じ、時間がかかるのではないでしょうか。
 大会後の採算から、東京メトロが計画に難色を示せば、建設費は都の負担になります。安全対策の面やパラリンピックのメーンスタジアムとしても綿密な計画が求められます。メーンスタジアムへの交通アクセスに関する都の見解を伺います。
 選挙中のオリンピックに関する世論調査では、読売新聞の賛成四九%、反対四六%の拮抗した結果から、東京新聞の、最も都政で力を入れてほしい政策では一・七%の選択しかないものまであり、決して都民の関心は高くないという結果が出ています。知事は、三選されたことにより、オリンピックが支持されたと思っているようですが、果たしてそういえるのでしょうか。
 また、招致委員会会長としては、さらにIOCが普及に努めるオリンピックムーブメント、大会の開催以外に十五項目ありますが、スポーツを人類のために役立てることや平和の推進や差別の撤廃、男女平等な社会の実現など、スポーツにかかわるすべての事項も同時に取り組む必要があります。
 また、二〇〇八年オリンピック招致で敗れた大阪は、七六%の市民から支持を受けていると主張しましたが、IOCの独自調査では、大阪は五二%、日本全体でも五一%と、半数の支持しかないとの結果が出ました。大阪の失敗を念頭に、オリンピック招致を成功させる賛同の機運をつくり出すためには、知事が行わないとした都民の意識動向を探る調査が必要であろうと考えます。都の見解を伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 石原知事が三選直後の記者会見において、神戸の地震のときなんか、首長の判断が遅かったから、二千人余計な人が亡くなった、この反省に立って、都は自衛隊との訓練をやりましたと述べました。
 阪神大震災での死者は、その後の関連死も含めて六千四百三十四人、一月十七日当日に命を失った人は約五千二百人とされています。兵庫県警の検視によると、八三・七%が家屋の下敷きになった窒息死や圧死、ほとんどがほぼ即死状態で、地震発生から十五分以内に亡くなったと分析されています。ここからは、二千人という数字はどこからも出てこず、自身もその後、私、佐々さんの受け売りでねと、いい逃れています。
 自衛隊との連携も、兵庫県は震災前にも自衛隊との防災総合訓練を実施しており、何も石原知事の発案ではありません。
 この発言で一番懸念されるのは、都の災害対策本部長である知事が、正確な情報を把握することなく、誤った認識を持っておられるのではないかということであります。知事は、そうした認識で都の防災対策に取り組まれるのでしょうか。
 そして、首長の判断が遅かったため亡くなったとされる二千人の方々や残された遺族、被災者の思いであります。首長の判断が早ければ、これらの方々は助かったのでありましょうか。それならばという思いを知事はどう受けとめられるのでしょうか。
 知事には発言の説明責任があります。知事の説明を伺います。
 一方、知事は、阪神大震災を機に改築、耐震化された渋谷区松濤の都知事公館への居住を趣味ではないと拒否し、私邸に防災行政無線とファクスを引いて起居しています。確かに私邸の地域は総合危険度は低いのですが、被災した場合の私邸の耐震性や周辺道路が通行困難になる障害、歩くと二十分以上もかかる多摩川河川敷のヘリポートへの移動など、知事自身が被災したときの災害対策本部長としての対応は万全といえるのでしょうか。
 県庁の次に連絡のとりやすい場所である公舎に住んでおられた貝原元兵庫県知事であっても、どうにかして早く登庁しておればとの悔いは今も残ると、率直に反省しておられます。
 防災司令室の機能を持つ都知事公館は、都の国民保護計画でも、東京都立川地域防災センターに次ぐ第二順位にある被災時の代替施設であり、ヘリポートも近接しています。阪神大震災を教訓とするならば、災害対策本部長としての職務を全うするためにも、都知事公館の機能と役割について、知事自身が認識を改めるべきではないでしょうか。所見を伺います。
 昨年度、都は木造住宅の耐震化促進制度を創設しました。しかし、昨年度の実績は、耐震診断が八百件分の予算に対して、五百五十一件、耐震改修は四百八十件分の予算に対して、わずかに二十二件の利用にとどまっています。
 今年度は、耐震診断一千五百件、耐震改修五百件が予算化されていますが、さきの予算議会でも指摘したように、これでも十年間での耐震化率を九〇%以上とするには足りないわけですから、少なくともこの予算枠を使い切ることができなければ、目標達成は到底不可能であります。
 さきの所信表明では、耐震化促進のための都庁横断的な戦略会議を立ち上げることが明らかにされました。その中では、都が昨年度から実施している耐震化促進制度をさらに実効性のあるものへと改善していくことが検討されることと思います。
 例えば、昭和五十六年以前に建てられた木造住宅については、耐震診断を義務づけた上で、耐震診断、耐震改修を行えば、固定資産税を減免したり地震保険料への補助を行う、あるいは既に墨田区や足立区で実施されているように、簡易補強についても都の助成制度の対象とするなど、幾つかの制度を組み合わせることによって、だれもが耐震診断、耐震改修を行った方が得策だと考えるような条件整備を行うべきと考えます。
 住宅の耐震化促進のための条件整備、環境づくりに対する基本認識について所見を伺います。
 一方、いわゆる木造住宅密集地域においては、敷地が狭小であったり接道していないことなどから、自力での建てかえや更新のできない住宅も多く、耐震化や不燃化がなかなか進まないのが実情です。木造住宅密集地域の改善や被災者の生活再建への公費投入については、国はいまだに私有財産の形成に資することを嫌う財政規律論に固執していますが、大地震が来れば確実に危険だとわかっているにもかかわらず、また、公費を投じることで改善の可能性が高まることが明白であるにもかかわらず、有効な対策を打つことなく傍観していては、本当に被災した後に行政の不作為責任を問われかねません。
 このような木造住宅密集地域こそ、公費を投じて面的に耐震化や不燃化を進めていくことが必要ではないでしょうか。このような分野こそ、都がリーダーシップを発揮し、国の姿勢を変えさせていくような取り組みが求められていると考えます。
 木造住宅密集地域における耐震化、不燃化促進への公費投入に関する基本的考え方について所見を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 四月の東京都知事選挙では、築地市場の移転予定地である豊洲の土壌汚染問題が都民の大きな関心を集め、争点の一つとして浮上しました。
 そもそも築地市場の移転問題をここまで大きくしたのは、市場最大の業界団体である水産仲卸の東京魚市場卸協同組合、すなわち東卸とのボタンのかけ違いを放置し、今日まで半ば強引に移転の既成事実だけを積み重ねてきた東京都の対応にあります。
 東卸は、築地市場の移転に関して、平成十年四月に東京都が業界各団体の一致した意思等が確認できる文書の提出をと求めたのに対して、現在地での再整備を機関決定しました。関係者の多くは、このとき東京都がさまざまな働きかけをしてきたことに対し不信感を抱き、不満を募らせていました。
 このような中で、平成十一年九月に石原知事が築地市場を視察し、古く、狭く、危ないと発言したことで、移転をもくろむ人たちを一気に勢いづけました。そして、石原都政のもとで、用地の売却に消極的だった東京ガスとの交渉が進められてきたのです。
 石原知事は、みずからの行動をトップダウンではないといっていますが、少なくとも政治的な影響の大きい知事の発言が移転を大きく後押しし、その後、豊洲の土壌汚染が指摘されても、彼らの声に十分に耳を傾けてこなかったのは事実です。東卸のメンバーらが市場を考える会を立ち上げ、もはや豊洲の土壌汚染の問題は、市場関係者だけでなく、日本じゅうあるいは世界じゅうから注目される事態となりました。
 私は、汚染土壌の問題が解決されず、多くの人たちが移転に疑問を抱いている中で築地市場を強引に豊洲に移転することについては、断固として反対するものです。築地市場の移転の経過に対する石原知事の見解を伺います。
 選挙期間中の石原知事の発言を受けて、東京都では土壌汚染対策等に関する専門家会議を設置し、五月十九日に第一回目の会合が開催されました。この会議に対しては、そもそも専門委員の数が四人では少ないとか、第一回の会合では、専門委員四人のうち一人が欠席、もう一人が途中退出するなど、最初の会議とは思われない本気度で、東京都にお墨つきを与えるだけの会議だという非難の声が出てもしかるべきです。
 そこで、専門家会議のメンバーを絞り込んだ理由と委員の選定の考え方、また、専門家会議の今後の運営のあり方について見解を伺います。
 東京都では、専門家会議の指摘を受けて追加調査をすべく、その方法を検討していると聞いていますが、売却する側の東京ガスの調査結果を前提として、足らない部分だけを追加するような調査では、もはや都民の納得は得られません。
 また、私たちは、東京ガス田町工場での土壌汚染対策についてもヒアリングしてきましたが、東京ガスの当時の調査と土壌汚染対策法に基づいて行われた調査とを比べると、例えば、シアンが環境基準の最大四十五倍であったものが一千九百倍となるなど、調査の方法によって結果は大きく異なります。私は、東京都が調査を実施するに当たっては、東京都自身による新たな調査が必要であると考えます。
 また、調査に当たっては、土壌汚染対策法に基づき、敷地全域にわたる十メートルメッシュの測定点を設けるとともに、液状化現象を考慮して、深さ二十メートル以上のボーリングを行い、汚染物質ごとの空間的分布を明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、調査に当たっては、クロスチェックによるデータの信頼性を高めるべきです。クロスチェックとは、利害の対立する事業者側と住民側とが両者立ち会いのもと、同じ場所、同じ時間で同じサンプルを取り、それぞれが信頼できる調査機関に分析を依頼し、結果を突き合わせるという方法であります。
 最近まで安全だと繰り返し答弁していた東京都が一転して調査を行うわけですから、データに対する都民の信頼性を高めるための仕組みが必要であると考えます。調査に当たっては、例えば、いまだに豊洲への移転を機関決定していない仲卸など、立場が異なる団体立ち会いによるクロスチェックにより、データの信頼性を向上させるべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都が予定している土壌汚染対策の範囲は、土壌汚染処理基準の十倍以下の有害物質を含む土壌については、現在の地盤面から深さ二メートルまでは基準以下になるように処理するとしていますが、それ以下の地盤面から二メートル以上深いところは、環境基準を超える汚染土壌がそのまま放置されるということになります。
 東京都の処理方法をめぐっては、毛細管現象などによる汚染地下水の上昇により、表層土壌の再汚染が起こる可能性が指摘されており、また、ベンゼンやシアン、水銀などは、ガス化することで表層面からの漏出が指摘されています。
 このようなことから、まずは十分な土壌汚染調査を実施した上で、その結果を踏まえて、汚染土壌の全面的な処理はもとより、地下水の管理など、食品を扱う市場の重要性にかんがみた抜本的な対策を講じていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 三月二十日、東京都は、豊洲新市場にかかわるPFIのスケジュールを当面三カ月延期すると発表しました。この理由として、当初よりも手厚い土壌対策を講じることを挙げていますが、加えて施設計画についても、各業界団体から出された新たな要望を検討、反映させる必要があることを挙げています。
 業界団体、中でも東卸からは、かねてより、補助三一五号線により市場機能が分断されてしまうことや、荷受けと仲卸との通路の問題などが指摘されていましたが、この間、現在の衛生基準を適用すると、従来の店舗面積が確保できないのではないかといった疑問の声が寄せられています。
 さらに、ここに来て専門家会議では、建物の設計、配置の再検討などについて言及がされています。
 私はこの際、施設計画についても、汚染のリスクや業界団体の意見などをさらに反映させるため、より踏み込んだ検討、見直しを実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 六月一日、新銀行東京は、平成十九年三月期決算及び新中期経営計画を発表しました。十八年度の最終損益は五百四十七億円の赤字で、累積損失は八百四十九億円、開業わずか二年で、東京都が出資した一千億円のうち、既に七百十五億円が棄損したことになります。
 私たち都議会民主党は、新銀行東京への出資には賛成をしましたが、当時議会で付された付帯決議が着実に履行されてきたとはいえません。したがって、私たち都議会民主党は、新銀行東京について、民間への売却、すなわち東京都が撤退するという前提で抜本的な見直しが必要であると考えます。
 石原知事は記者会見で、進むも地獄、引くも地獄などと他人事のようなコメントをしていますが、地獄に足を踏み入れた責任は知事自身にあるのではないでしょうか。新銀行を思い立った人の責任、ビジネスモデルを設定した人の責任、当時の金融情勢を見誤った人の責任、ふなれな人にふなれな仕事をさせてしまった人の責任、新銀行東京が危ない、危ないといわれていたにもかかわらず、今日まで有効な対策を打ち出してこなかった人の責任などなど、今回の経営不振の責任は、もはや知事の政治責任が問われかねない段階に入ってきたものと考えています。
 新銀行東京の経営責任について、石原知事の見解を伺います。
 新銀行東京が発表した新中期経営計画では、リレーションの観点、すなわち顧客との継続した関係を重視した経営を志向し、一般融資を大幅にふやしていくことを掲げ、また、これまでミドルリスク市場に対応するとしていたスコアリングモデルを抜本的に見直し、デフォルトの圧縮などを打ち出しています。
 確かに新銀行東京は、引き続き債務超過企業や赤字企業に融資をしていくという点は変わっていないのかもしれませんが、今回の経営方針の見直しによって、設立当初のコンセプトが大きく後退してしまったのは確かです。
 石原知事が誇らしげに述べていた、負の遺産のない新しい銀行というフレーズも、今や空虚に響くのみで、新銀行東京は、もはや都民、中小事業者のためではなく、石原知事のメンツのために、いたずらに延命させられているようにさえ感じます。
 石原知事は、今この時点での新銀行東京の存在意義についてどのようにお考えか、見解を伺います。
 既に私たち都議会民主党は、一年以上も前から、新銀行東京の融資のあり方やATMの利用実績などについて問題ありとしてきましたが、今回の対応は、何を今さらという感さえあります。その意味からも、新中期経営計画で宣言している平成二十一年度の黒字化についても、その実効性がどこまで担保されているのか疑問であります。
 例えば、新中期経営計画では、優良資産への入れかえとして、小口の件数増加に目を向けた営業戦略を展開することを掲げていますが、優良資産への入れかえが簡単にできるのか、店舗や従業員を大幅に削減する一方で、小口の件数増加に目を向けることが可能なのかなど、その道は容易でないように思われます。
 石原知事は、この新中期経営計画の実効性の担保についてどれほどの確信を持っているのか、見解を伺います。
 石原知事は、これまでの新銀行東京の経営不振の責任を、代表執行役でトヨタ自動車出身の仁司泰正さんに転嫁してきました。私たちは、仮に百歩譲って、その責任を代表執行役に求めるのであっても、石原知事の任命責任は問われるべきだと考えています。
 石原知事は仁司さんについて、率直にいって車を売るような感じがしたなどと発言してきましたが、今回、代表執行役に就任する予定の森田徹さんは、知事がたびたび批判する、真水といわれる公的資金約二兆円が投入された銀行の出身者でもあります。私は、そのことを理由に、またもやその責任を他人に押しつけるようなことはあってはならないと考えていますが、石原知事はこの森田さんにどのようなことを期待しているのか、見解を伺います。
 次に、都民に対する説明責任について伺います。
 石原知事は、定例記者会見で、知らないうちに役員が更迭されたなどと述べ、新銀行東京の透明感の欠如を指摘していました。しかし、知事が知らないという以上に、都民や議会は新銀行東京の実態を知り得ることができないのが実情です。都民からは、どこのATMや店舗が撤去されるのかといった不安の声、経営者はそれぞれどの程度の報酬を得ていたのかといった怒りの声、あるいは中小企業支援にかかわる費用対効果はどうなっているのかといった疑問の声などなどが寄せられていますが、新銀行東京は、こうした出資者である都民の声に真摯にこたえていかなければなりません。
 また、東京信用保証協会が毎月公表している月間の保証件数や代位弁済額、あるいは区市町村別の保証件数などのように、経営情報をより早く、わかりやすく示していく工夫も必要です。
 私は、新銀行東京の情報公開を積極的に進め、都民に対する説明責任を果たしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、福祉施策について伺います。
 まず、子育て支援策、中でも、まずは待機児童の解消について伺います。
 知事も選挙公約で待機児童ゼロを目指すとされ、さきの所信表明でも待機児童五千人の解消を述べました。新たに立ち上げられた子育て応援戦略会議においても、待機児童五千人の解消が主要課題の一つとされています。
 しかし、現に待機児童となっている五千人だけを見ていたのでは、待機児童は解消しません。平成十八年四月までの五年間で、認可、認証保育所合わせて一万七千人分の保育所が整備されました。平成十四年春の待機児童は五千五十六人でしたから、もし待機児童の数だけを考えていればよいのであれば、既に待機児童の問題は解決し、一万二千人分、箇所数に換算して百二十以上の保育所余り現象が起きているはずです。ところが、実際には、平成十八年四月の待機児童は四千九百八人であり、この間、百五十人程度しか減っていません。
 このことからも、今、保育所への入所待ちの行列には並んでおらず、統計上の数字五千人にはあらわれていないけれども、並んでいる人とそう状況は変わらない潜在的待機児童が相当数いるという認識を持って実態把握をし、思い切った対策を検討することが必要であることがおわかりいただけると思います。
 「十年後の東京」では、潜在的待機児童について記述がありましたが、対策について明示されておりません。待機児童についてどのようにとらえ、どのように対処しようとしているのか、この問題に対する基本認識を伺います。
 次に、保育料の格差についてです。
 保育所を利用できる人の数は限られており、依然として多くの待機児童がいる中で、各自治体や保護者からの認証保育所への評価は高く、都のヒット商品と受けとめられているようです。
 しかし、難点は保育料の高さです。同じように保育を必要としている家庭でも、認可保育所を利用できなければ、倍近い負担の格差が生じてしまうのです。利用料の高さや国制度である整備費等の補助金の格差から、認証保育所に対して独自の補助を行っている自治体が多くあります。保護者への直接補助が月四万円という区もあります。同じように保育を必要としている家庭でも、運よく認可保育所に入れたかどうか、また、財政状況がよく、こうした補助を行っている自治体に居住しているかどうかで大きな負担の格差が生じています。
 こうした大きな保護者負担格差の解消もまた重要な課題であると考えますが、所見を伺います。
 次に、安心、信頼の介護保険制度運営について伺います。
 都が行った株式会社コムスンによる介護報酬の悪質な不正請求への処分が端緒となり、国は、昨年導入した連座制を同社に初めて適用し、すべての事業所にかかわる新規の指定、更新が打ち切られる事態となりました。事業の譲渡先への引き継ぎがしっかりと行われ、利用者への介護サービス提供が絶えるような事態とならないよう、また、利用者が納得してサービスを受けることができるようにしなければなりません。
 初の事態であり、区市町村が対応を進める中で、さまざまな課題が生じることもあると聞きます。現場からの情報把握に努め、区市町村と連携をとり、都が行うべき指導等についてはもちろん、国においても迅速、的確な対処がなされるよう、都として全力を挙げて対応していただきたいと考えますが、所見を伺います。
 昨年来、都は、コムスン以外にも多数の事業者による不正請求を明らかにしてきました。民主党はかねて、民間事業者の参入により、市場の監督者としての都の役割は増大するとの認識から、ルールを破る者には厳しく対処し、市場の健全性を維持するチェック体制の強化を求めてきました。悪質な不正請求に対する都の厳正な対応を評価しております。
 しかし、事は一部の不心得者による不正行為と切り捨てて済む問題ではなく、多くの事業者が運営に苦慮せざるを得ない設計となっている制度にも問題があるのです。
 厚生労働省が介護三施設と居住系サービスの利用者数から算出した介護施設の整備率では、首都圏の一都二県でワーストスリーを占めています。これは、全国横並びに近い介護報酬と施設整備費などから、人件費や地価の高い首都圏は相対的に不利な経営環境にあるためです。
 二〇一五年にかけて、東京都では七十万人の高齢者増が見込まれ、サービス提供基盤の整備を進め、質の高い人材を確保しなければならない状況にもかかわらず、前回、介護報酬の単価改定では、施設系サービスの不足に拍車をかけ、低賃金と人手不足を一層深刻にする制度となってしまいました。このままでは、篤志家に頼る福祉の時代へと逆行することともなりかねません。
 今後、都として国に対し、こうした制度の改正を強く求め、働き手が意欲を持って取り組めるものとすることが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、暴力団員の排除について伺います。
 本定例会に提案される東京都営住宅条例等の一部を改正する条例案では、都営住宅から暴力団員を排除する規定が提案されています。
 ことし四月、町田市における都営住宅での暴力団員立てこもり発砲事件が全国的に注目を集めたところでもあり、私たちは条例改正の趣旨について否定するものではありません。
 この事件を受けた六月一日付国土交通省通達では、暴力団員排除規定を設ける場合には、暴力団員の動向、都営住宅における暴力団員による不法、不当行為等の状況など、都内の実情を踏まえた上で、都営住宅の入居者資格において暴力団員を一律に排除することが適当か否かについて検討することとされています。
 そこで、都が本条例改正が必要と判断するに至った検討の経過並びに理由について、所見を伺います。
 都営住宅に暴力団員を入居させないためには、入居資格審査時における暴力団員の特定が最も効果的と考えます。しかし、そのためには、暴力団員が入居資格審査のための申告書類に、みずから暴力団員と特定されるような記述をすることは考えにくいことからも、現実問題として、入居資格審査の対象者全員について警視庁への照会を行う必要が出てくるのではないかと考えられます。
 仮に、入居資格審査の対象者全員について照会を行うとするならば、その人数は、ポイント方式だけでも毎回千から二千名に上るわけですが、具体的な暴力団員の特定方法はどのようなものか、また、その際には、個人情報保護の観点からの配慮も必要と考えますが、所見を伺います。
 都営住宅から暴力団員を排除することにより、それら暴力団員が民間の賃貸住宅へ流れていくことが考えられます。民間賃貸住宅の場合、契約書の条項の中で、暴力団員であることが判明した場合には、即時、契約の解除を適用することになっている場合もあるとはいえ、都営住宅と同様に、契約時に暴力団員であるかないかの特定ができることが、家主にとっては最も望ましいことのはずです。
 また、入居後に暴力団員であることが判明し、仮に契約を解除したとしても、民間であればなおさらのこと、暴力団員を速やかに退去させることは非常に困難であり、警察などによる支援が求められます。
 本条例改正とあわせて、民間賃貸住宅での暴力団員対策を講じていく必要もあるのではないでしょうか。都がオーナーとしての立場で都営住宅から暴力団員を排除することは理解しますが、都営住宅からだけ排除すれば、それでよしと考えているのかどうか、所見を伺います。
 本条例が対象とする暴力団員は、暴力団対策法の第二条六号に該当する暴力団員ということで、指定暴力団だけでなく、警察で把握している全組織の組員が対象です。しかし、いわゆるフロント企業、企業舎弟など、一般社会で経済活動をしながら資金面で組織を支えている準構成員は対象外になっています。
 暴力団対策法の施行後、多くの組員が仮装離脱して準構成員になったといわれています。現実には、企業舎弟と暴力団組織とのつながりを特定することが困難であることもあり、本条例改正による措置によって、このような準構成員の増加が懸念されるわけですが、警視総監の所見を伺います。
 次に、三宅島振興策について伺います。
 知事が三宅島の災害復興及び産業、観光振興としてトップダウンで提案した公道オートバイレース計画が中止になりました。マン島レース視察と三宅村やモーターサイクルスポーツ協会との現地調査を終え、東京モーターサイクルショーにおいてレースの正式名称が発表されるはずでしたが、これも延期になっていた矢先でした。
 レースを開催するに当たり解決すべき課題である輸送や宿泊地、救援、医療体制などが山積していることに加え、メーカー各社やプロライダーからも安全面から懸念され、協力が危ぶまれたためです。我が党としても、安全の確保が困難であれば、レースの中止は当然であると考えています。
 島の関係者や国内のバイクファンも大きな期待をしていただけに、中止を機会にトップダウン事業の危うさを検証し、再度同じ事態を招くことのないようにしなければなりません。知事のトップダウンに都の関係局や村が振り回されたあげくのレース中止に関して、知事の見解を伺います。
 都は、公道オートバイレースの中止に際して、安全性の確保と関係者の協力を得たいと表明しています。バイクフェスタの参加型イベント、ツーリングラリーは、ゲーム感覚で島内一周を楽しむものですが、立ち入りが制限されている火山ガスの高濃度地区を通過しなければなりません。
 フェスタのメニューは、三宅島の安全対策に対して例外的な扱いを受けるものでしょうか。また、計画の変更や中止はあり得ないと考えますが、高濃度地区を通過するラリーの安全確保策について伺います。
 三宅島民の避難解除、帰島実現から三年目に入りました。都議会民主党も、先日、島の視察を行ってまいりました。暮らし向きについては、自立した生計を営む状況にはなってきていますが、依然苦しい生活が続いていると聞いています。健康などを理由に改めて島を離れたり、火山ガスのため帰れない方もいるため、島の人口は、依然として避難前の七割程度となっています。
 最近では、特養老人ホームや温泉施設の再開、アシタバの出荷、定置網漁の開始など、復興に向けた動きがありましたが、安全確保のため、噴火活動を初め火山ガスの放出の動向を注視していくことになります。今後も都は、長い時間をかけ復興を手がけていかねばなりませんが、都は、三宅島空港の再開も含め、今後どうやって三宅島の復興を図っていくのか伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 岡崎幸夫議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、私の当選後の発言についてでありますが、議会の質問という公の場で、余りいいかげんな言葉は使わない方がいいと思いますね。私が、いつ、だれに向かって、何を謝罪しましたか。謝罪というのは、やっぱりある違法性の事例に関してとられるべき行為でありまして、私は、謝罪した覚えはありません。これは個人の名誉にかかわる問題ですから、やっぱり強く反省された方がいいと思います。私がしましたことは、誤解を招いた事例についての説明が足りなかったという反省でありまして、謝罪ではございません。
 今回の三選に当たり、都民の皆様は二期八年の実績を評価してくださって、三期目に掲げる政策に期待して、私に今後四年間を託そうと判断されたものと思っております。同時に、一部メディアの執拗といいましょうか、的外れのバッシングともいうべき報道について、都民も賢明に、そして冷静に、それを見抜いて判断されたと思っております。
 私は、選挙中、確かに問題についての説明不足はわびましたが、反省しましたが、(発言する者多し)反省の意を表しましたが、説明不足だった海外出張や交際費については、既にホームページでの公開を進め、都民の皆様への約束を履行しております。私の選挙中の発言にも当選後の発言にも、意味するところは何も変わりません。都民への裏切りという指摘は全く的外れであります。
 というよりも、今回の選挙で果たして民主党がプロパーの候補者を擁立したのかしないのかわかりませんが、それだけ存在感の──民主党として、あの選挙におけるあいまいな姿勢というのは、都民への裏切りじゃないんでしょうか。都議会の皆様とは、こういう議論ではなくて、これから先の建設的な真摯な議論を行っていきたいと思っております。
 次いで、私の人脈を生かした人材登用についてでありますが、私は、都民、国民のためを考えて、国会議員として、あるいは作家として培ってきた自分の人脈を使い、都政の改革に努めてまいりました。
 例えば公会計制度の改革や横田基地の共用化の進展など、その成果は明らかであると思っております。役所にはない、あるいは既存の政治家にないひらめきや能力を持つ民間の優秀な人材を知事の責任で任命し、都政に役立てていくのは当然のことだと思っております。
 濱渦君も、副知事として、国との交渉を初め存分に力を発揮してくれました。それに、再登用した参与としても頑張ってくれております。三期目のスタートに当たって、民間から副知事を迎えることで、国との交渉をさらに強力に進めるとともに、民の発想と都庁の総力を融合した、首都東京にふさわしい体制をつくり上げていきたいと思っております。
 次いで、副知事等の資産公開についてでありますが、資産公開制度は、公選の職にある者が、その資産等を公開することでみずから襟を正すとともに、職務遂行に当たっての公正と公職者自身の高潔性を明らかにし、もってその政治倫理を確立することを目的とするものであります。
 副知事については都議会の同意を得て、特別秘書、参与は、都民の信託を受けた私の責任で任命したものでありまして、私のもとで公正に職務を遂行しております。したがって、公選の職ではない副知事等を資産公開の対象とする必要はないと思います。
 また、今回副知事に登用しようと思っている猪瀬氏との見解の相違でありますけれども、彼に副知事を要請したのは、彼の緻密な分析力や、国の官僚とちょうちょうはっしやり合いながら改革に取り組んできた姿勢、手腕を見込んだからでありまして、猪瀬氏の持つ他の人にない得がたい資質を、真の分権改革に向けた国との戦いの中で生かしていきたいと思っております。彼は大きな戦力になってくれると期待しております。
 この過程で猪瀬氏と議論し、考えを議論してきました。これからも考えをすり合わせていきたいと思っていますが、改めて、日本の心臓部であり頭脳部である東京の現実を知ってもらいまして、日本の行く末を考えれば、彼は、この東京のために正確な判断をし、行動してくれると思っております。
 ちなみに、彼が発言した東京DC特区の構想は一つの案でありますが、実現は全く不可能でありまして、これについても私は議論いたしました。猪瀬氏も最近、ある場所で、あれは頭の体操をしたまでといっております。ご懸念の点は心配に及びません。
 次いで、オリンピックスタジアムについてでありますが、オリンピックは国を挙げての一大プロジェクトでありまして、その象徴であるオリンピックスタジアムは、晴海に国立で整備するようこれまでも国に要望してきました。しかし、国は財政不如意ということで、現在の神宮の国立競技場では、IOCの求めるオリンピックスタジアムや補助競技場を建設することは不可能であります、物理的に。
 十年後の東京を見据えますと、スタジアムの建設場所としては、水と緑に囲まれ、建設用地も十分にある臨海部の晴海が適していると思っております。しかし、国は、東京に二つの大規模な競技場を建設できないとの立場をとっておりまして、国が動かないのであれば、都が晴海にスタジアムを整備し、必ずしもスポーツと競技のためだけでなくて、隣にあるビッグサイトも本当にフル稼働しておりますが、他の要するに催しにも使えるような、そういう建物にできるということを、主任のデザイナーであります安藤さんもいっておられますし、いずれにしろ、そういう形でスタジアムを整備し、開催都市としての責任を果たしていくのは当然だと思います。
 国に対しては、スタジアムの整備費等について、他の物件整備についての多面的な最大限な負担を強く求めてまいります。
 それから、震災対策について、その質問の前段の阪神大震災に関する発言で、私が認識を誤っているというご指摘ですが、これは決してそんなことはございません。(発言する者あり)専門家の示したデータでも、いいですか、震災が発生したのは朝六時前の五時四十六分。そして、自衛隊はそれを知って、間近に自衛隊の駐屯地がありましたが、準備を終えて、知事からの、あるいは市長からの要するに派遣要請を待っておりましたが、一向になかった。
 そして、それが行われたのが、何と四時間も過ぎた発災後四時間後、十時でありまして、そして、自衛隊の救助活動が始まったのは午後一時からでありまして、発災後七時間後であります。これは移動にも時間がかかったでしょう。そして、その活動の中にも、トリアージというものはほとんど行われませんし、ヘリでの患者の運搬も、発災後三日間で十件しか行うことができません。これはいろいろな障害が、要するに時間の経過とともに生じたわけでありますけれども。
 そして、数字は正確でなかったかもしれませんが、いずれにしろ、二千人に近い方々が亡くなった、時間の経過とともに。関連死を除いたほぼの死者は、とにかく発災直後の窒息、圧死は五千五百人。そして、その総合の死者の中から、直後に圧死された方以外、つまり的確に実施をしていれば救命できた可能性の方々、被害者が、千五百人から千七百人というのが正確な数字であります。
 ゆえに阪神・淡路大震災では、自衛隊の派遣の要請がおくれて、トリアージが現場でほとんど行われなかったことによって、失われなくてもいい生命が、いずれにしろ二千人近く失われたのは事実であります。
 これらを踏まえ、自治体からの要請を待つことなく迅速に自衛隊の派遣ができるような法令等が見直され、また、トリアージによる救護活動が本格的に実施されるようになりました。
 次いで、築地市場の移転の経過についてでありますが、これまた何を勘違いしているか、私のトップダウンということをいわれていますけれども、こんな大きなプロジェクトを、私の要するに独断で実現できるものではありません。そんなに簡単な、都政というのは、要するに機構にできているものじゃない。
 これは、あなたはこの問題に関する経過というのを事実として認識になってないようですけれども、いずれにしろ、これは鈴木、青島時代から検討されておりまして、私の代になって合意ができたので調印はいたしましたけれども、いずれにしろ、築地市場というのは開場から七十年余り経過しまして、老朽化、狭隘化が著しく、食の安全・安心に十分こたえられる施設とはいいがたい。このことは、築地市場を実際に見た人が、だれもが同じ感想を持っていると思います。
 封印はされておりますけど、まだあの建物には、あちこちにアスベストがたくさん使われているんです。もし、今災害が来て、要するにあの施設が崩壊しましたら、これはアスベストが飛散して大変なことになりますよ。当分、市場は使えなくなりますよ。こういった問題も含めて、築地市場については、平成三年から現在地に再整備の方針で実際に今工事に着手しましたが、業界調整の難航などによって、とめざるを得なかった経緯もあります。
 ということを受けて、私の就任前の平成十年に、市場業界団体から臨海部への移転検討の要請がありまして、業界と協議を重ねて、平成十三年に移転を決定したわけであります。
 現在、再度、現在地再整備論が一部で唱えられておりますけれども、種地がない上に、先ほど申しましたアスベスト対策も講じられる必要がありまして、市場業者の営業活動に深刻な影響を及ぼすことから、これは不可能であります。
 ゆえに土壌汚染対策については、既に設置した専門家会議で十分に議論していただき、本年秋に予定している提言を踏まえて、必要な措置を確実に実施していくことで、豊洲新市場を都民が安心のできる市場として開場させたいと思っております。(「クロスチェックをちゃんとやりましょうよ」と呼ぶ者あり)だから、やるといっているじゃないか。
 次いで、新銀行東京についてでありますが、新銀行の創設を発案し、実現したのは都でありますけれども、都はあくまでも出資者でありまして、所有と経営の分離の原則のもとに、個々具体の経営は経営者の判断で行われるものであります。したがって、経営陣は、その責任において環境の変化等にも柔軟に対応し、適切な経営を行うべきと考えております。
 しかしながら、新銀行東京の経営結果を見ますと、短期間で多額の不良債権が発生し、損失が拡大しております。環境の変化や事業執行状況などを踏まえた適切な経営判断がなされたものとは考えられず、到底都としても、出資者としても、納得できるものではありません。今後、その原因を整理していかなければならないと思っております。
 次いで、三宅島のバイクイベントについてでありますけれども、これまた、こういったイベントを決して私の一存、トップダウンでできるものではありません。ゆえにも、何年か前、三宅の村長に同道願って、マン島に行って実体験をしていただきました。
 そしてその結果、村長も村議会に諮って、議会は、一人だけ共産党が反対したそうでありますけれども、とにかくこれを行おうということを決定したわけですが、その間、バイク業界は最初賛成したんですけれども、メーカーの方が難色を示しましたが、それはそれで理があることでしょうけれども、確かに困難なコースではありますが、しかし、やはりそれといって、全部をあきらめて三宅島を見捨てるわけにいきません。
 でありますから、代案として、一部公道も使う、あるいは飛行場も使うということで、多角的なとにかくイベントをモーターサイクルを使って行いまして、三宅島の復興にサポートしたいと思っております。
 現在、三宅村では、事業の実施主体としてNPO法人を組織し、安全面にも十分配慮しつつ、その具体的な内容を検討しております。
 都としては、この事業の成功に向け、全力で支援をしてまいります。
 他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁します。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 東京都営住宅条例等の改正と暴力団に対する警察の対応についてお答えいたします。
 都内の暴力団勢力は、平成十八年末現在で約一万六千六百五十人であり、その内訳は、構成員が約六千五百人、準構成員が約一万百五十人で、準構成員が全体の六割以上を占めている実態にあります。
 全国の暴力団勢力については、平成十八年末には準構成員の数が構成員を上回ったところであり、都内においては、既に平成十年末以降、準構成員の数が構成員を上回っている状況にあります。
 このような状況のもと、議員ご指摘のように、暴力団員が組織を仮装離脱して都営住宅に居住しようとすることも考えるところではありますけれども、警視庁といたしましては、都営住宅からの暴力団排除の実効を期すため、あらゆる警察活動を通じて暴力団の実態解明を推進し、東京都と緊密な連携を図りまして、仮装離脱した暴力団員が確実に都営住宅から排除されるように努めてまいる所存であります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  情報公開についての二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、情報公開手数料についてでございますが、情報公開条例では、公文書の開示に当たり、事務費、人件費など実費の範囲内で手数料を徴収することとしております。
 公文書の開示を行う情報公開については、被害救済など住民福祉に直結するサービスである相談業務とは性格が異なるため、開示費用について応分の負担を求めております。
 また、手数料は、商業目的での大量請求や制度乱用への歯どめの観点からも、無料とすることは考えておりません。
 なお、知事や局長などの海外出張や交際費に関する情報を既にホームページ上で公開しているほか、都の重要施策など都民の関心が高い情報について、積極的に情報の公表、提供を推進しております。
 次に、開示請求者の区分についてでございます。
 情報公開条例においては、開示請求をできる者として、自治体がまず説明責任を果たすべき都内在住の都民を対象とするとともに、都内の事業所、在勤、在学者、さらには、これら以外の者で、理由を明示して請求する個人及び法人にも請求を認めております。
 以上の考え方に基づき、平成十七年度における開示請求者のうち、在住の都民からの請求が四五%であり、都民以外の在勤、在学者、法人などからの開示請求が五五%を占めることを、都の情報公開の特徴として第一回定例会でお示しいたしました。
 なお、平成十八年度の速報値では、都民以外の在勤、在学者、法人などからの開示請求は五九%を占めております。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 都民の納税意識についてでございますが、都民の納税意識の向上を図るためには、まず、都民の皆さんに受益と負担について正しくご理解いただくことが重要であると考えております。
 そのためには、税の使途の的確な情報提供とともに、納税キャンペーンや租税教育を通じまして、税の役割の大切さを認識していただくことが必要でございます。また同時に、税金逃れといった不公平が生じないよう、公平公正な徴収に努めることも重要だと考えております。
 なお、ご指摘の納税者投票の導入につきましては、行政サービスの費用を広く賄うための財源を調達するという税の基本的な性格にそぐわないばかりでなく、税の使途は議会で決定するという議会制民主主義との関係からも、慎重に検討すべきであると考えております。
 次に、住民税についてでございます。
 住民税は、地域におけます行政サービスの経費を、地域住民がその能力と受益に応じて共同して負担するものでありまして、地方公共団体の基幹的な税でございます。
 こうした住民税の性格を踏まえまして、今回のいわゆる三位一体改革に伴う税源移譲によりまして、一律一〇%のフラット化が導入されたものでございます。
 お話の都独自の軽減措置につきましては、十年前に比べまして生活保護受給者や非正規雇用者がふえておりまして、特に東京都は全国の増加率を大幅に上回る状況にあること、さらに生活保護を受給していれば、非課税措置等によりまして個人住民税をほとんど負担していないこと、そういったこととの均衡に配慮しようとするものでございます。現在、制度について検討を行っているところでございます。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、低所得者施策の方向性についてでありますが、所得保障は、社会経済状況全体を踏まえまして、基本的に国の責任で対応すべきものでありまして、現在、各種年金や手当、さらに最後のセーフティーネットとしての生活保護などの諸制度が整備をされております。都の役割は、これらの諸制度を踏まえた上で、地域特性に即した事業を効果的、効率的に展開することであるというふうに認識をしております。
 都としては、個々の被保護者ごとに必要な支援を行う自立支援プログラムの取り組みを初め、就職活動に必要な経費の支給など、区市が行う取り組みに対して多様な支援に努めております。
 今後とも、国と地方の役割分担のもと、低所得者施策を公正かつ適切に実施をしてまいります。
 次に、待機児童の解消についてでありますが、都は、これまでも認可保育所の設置促進を図るとともに、都独自の認証保育所の創設などにより、保育サービスの充実に努めてきました。
 一方、私どもが「十年後の東京」で示しましたとおり、都内には相当数の潜在的な保育ニーズが存在しているため、待機児童はここ数年、ほぼ横ばいで推移しております。このたび設置をいたしました子育て応援戦略会議におきまして、待機児童の解消に向けた総合的な子育て支援策を検討してまいります。
 次に、認証保育所の保育料についてでありますが、認証保育所は、区市町村が入所決定する認可保育所とは異なり、利用者と事業者との直接契約としております。また、保育料については、認可保育所の国の徴収基準を上限に事業者が設定するなど、競い合いを通じて質の高いサービスを提供する仕組みとしております。
 現在、幾つかの自治体においては、地域の実情に応じて保育料の保護者負担の軽減が行われておりますが、これはそれぞれの自治体の独自の判断によるものであり、都として実施をする考えはございません。
 次に、株式会社コムスンの不正行為に関する対応についてでありますが、都では、コムスンに対して、利用者保護のため、介護サービスを低下させないこと、新たな事業者への紹介を確実に行うことなどについて指導を行っております。
 また、区市町村には、コムスンに関する事業所情報を提供するとともに、担当者会議を開催し、適切な相談体制の確保を依頼するなどの対応をしております。
 さらに、国に対して、これまでも提案してきた不適正な事業者を排除することについて、さらに実効性のある仕組みを早期に構築するよう要望してまいります。
 最後に、国に対し制度改正を求めることについてでありますが、都は、既に国に対し、次期介護報酬改定に当たり、大都市の実情や事業者の経営実態に見合う報酬水準となるよう、都における介護保険施設の実情を踏まえ、具体的な見直しの方向性について提言しているところでございます。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、オリンピックスタジアムへの交通アクセスについてでございます。
 開会式や閉会式、陸上競技などが開催されるオリンピックスタジアムには多くの観客や大会関係者が集まるため、そこへの交通アクセスの確保は重要でございます。現在、晴海及びその周辺における交通の状況、開催される個々の行事や競技のスケジュール、発生観客数なども踏まえまして、円滑に輸送できる方策についてさまざまな角度から検討しているところでございます。
 今後、IOCから高い評価が受けられるよう、確実な輸送計画を策定してまいります。
 次に、オリンピック招致機運の盛り上げについてでございます。
 オリンピック招致を成功させるためには、都民、国民の幅広い支持が必要であり、IOCからは、世論調査を行って、その結果を申請ファイル、立候補ファイルに記載することが求められております。
 このため、今後さらに国内世論の盛り上げを図っていくことが重要であります。東京オリンピック招致委員会を中心に、都議会を初め、国、区市町村、企業、経済界等と連携し、各種の方策を用いてこれまで以上に積極的に広報・PR活動を展開し、広く都民、国民の招致機運を盛り上げてまいります。
   〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、大地震が発生した場合の対応についてでございますが、知事の私邸の周辺地域は、地域危険度調査における総合危険度が低く、直下地震による被害想定でも、建物の倒壊や火災の発生が少ない地域でございます。私邸には防災行政無線を設置しておりまして、休日や夜間に災害が発生した際にも、知事が直ちに状況を把握し、指示できる体制を確保しております。
 また、知事が速やかに都庁に駆けつけることができるよう、私邸に近い多摩川グラウンドまではパトカーで、そこから都庁屋上まではヘリコプターで移動する緊急登庁体制を整備しており、その訓練も実施しております。
 なお、国民保護計画では、テロにより都庁舎が被災した場合には、立川地域防災センターに次いで、旧知事公館を都庁防災センターの代替施設としております。
 次に、三宅島のバイクイベントにおけるラリーの安全確保策についてであります。
 現在、三宅島の高濃度地区への立ち入りにつきましては、村の三宅村火山ガスに対する安全確保に関する条例に基づき、一定の規制のもとで認められております。今回のイベントは、島一丸となって産業と観光の振興のために開催するものでありまして、この安全確保に関する条例に従って実施するものであります。三宅村としては、常時火山ガス濃度を観測しており、イベント開催時に濃度が高くなった場合にも、本条例に基づきまして適切に対応してまいります。
 最後に、三宅島の復興についてでございます。
 三宅島では、平成十七年二月の帰島以来二年余りが経過し、島民の生活もようやく落ちつきを取り戻しつつございますが、いまだ復興への道筋の途上にあると認識をしております。
 都はこれまでも、三宅島の復旧、復興に向け、空港、港湾、道路、砂防ダムなどの整備を行うほか、さまざまな取り組みを行ってまいりましたが、今後は、村民生活の安定や産業振興、そしてバイクイベントなどを核といたします観光振興など、三宅島みずからによる中長期的な取り組みが重要となってまいります。都としては、引き続き国とも連携しながら、島の復興を担う三宅村の取り組みを支援してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、住宅の耐震化促進のための条件整備についてでございますが、住宅の耐震化は、自助、共助、公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本であります。都といたしましては、所有者が主体的に耐震化に取り組むことができるよう、技術的な支援を行うとともに、公共的な観点から必要がある場合に財政支援を行うこととしております。
 こうした基本的な考え方のもと、安価で信頼できる耐震改修工法の普及など、だれもが耐震化に取り組みやすい環境づくりを進める一方、震災対策上公共性の高い地域においては、耐震診断、改修への助成を実施しております。
 今後とも、区市町村や民間事業者等と連携して住宅の耐震化を促進してまいります。
 次に、木造住宅密集地域の耐震化、不燃化への助成についてでございます。
 都といたしましては、防災都市づくり推進計画に基づき、大規模な地震に備えて早期かつ効果的に整備を進める観点から、大きな被害が想定される地域に対し、集中的かつ重層的に事業を展開しております。これらの地域では、いわゆる木密事業などにより、避難、救援活動を円滑にする主要生活道路の整備を図るとともに、その沿道の住宅の耐震化、不燃化や共同化への助成により建てかえを促進しております。また、延焼を防止する幹線道路の沿道や、避難場所の周辺における建物の耐震化、不燃化にも助成を行っております。今後とも、地元区とも連携し、効果的に助成制度を活用して、木密地域の安全性向上に取り組んでまいります。
 次に、都営住宅条例等の改正案の検討経過及び理由についてでございます。
 本年四月、町田市にある都営住宅団地で暴力団員が起こした極めて凶悪な事件を受け、暴力団員を都営住宅から排除し、安全・安心を確保するため、警視庁と鋭意協議し、今回の条例改正を提案したものでございます。
 次に、入居資格審査時における暴力団員の確認方法及び個人情報保護についてでございますが、暴力団員であることの具体的な確認方法は、先ほどの答弁にもありましたが、現在警視庁と協議中でございます。
 また、入居資格審査時における個人情報につきましては、情報の流出や目的外利用の防止に留意するなど、個人情報保護条例に基づき十分な配慮をしてまいります。
 最後でございますが、民間賃貸住宅での暴力団員対策についてでございます。
 いうまでもございませんが、民間の賃貸住宅では、貸し主と借り主の当事者間の合意に基づき契約が締結されております。これまでも、都民などから民間賃貸住宅における暴力団関係のトラブルなどの相談があった場合には、専門の相談機関の紹介などを行っておりますが、今後ともこうした対応に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場移転に関する五点の質問にお答えをいたします。
 まず、専門家会議の委員の選定と今後の運営のあり方についてでございます。
 生鮮食料品を扱う豊洲新市場予定地の土壌汚染対策を評価、検証するためには、第一に、土壌、地下水の汚染の原因となる有害物質の分野、第二に、地下水の分布や水位の変化を把握するための水質の分野、第三に、埋立地の土壌を分析するための土質の分野、第四に、人体への健康影響を評価するための環境保健の分野からの専門的な検討が必要でございます。
 このため、委員につきましては、それぞれの分野に精通した専門家の中から、実際の研究内容や、過去に土壌汚染問題に取り組んだ実績などを考慮して公正に選定をいたしました。また、委員の人数につきましては、密度の濃い実質的な議論が行われるよう、各分野から一名の計四名の構成といたしました。会議の運営につきましては、透明性を確保し、都民や市場関係者の理解を得るため、議論の状況や会議資料をすべて公開することとしております。
 今後、専門家会議はおおむね月一回開催し、本年九月を目途に提言を取りまとめていただく予定でございます。
 次に、新たな土壌汚染調査についてでございます。
 五月に行いました第一回の専門家会議では、東京ガス株式会社が実施した土壌汚染調査に対する評価を行った上で、今後の検討課題を討議する中で、都民や市場関係者の不安を解消する観点から、一部追加調査の必要性も指摘されたところでございます。第二回以降の会議におきまして、この追加調査の必要性や内容、範囲などを詳細に議論していただくこととしております。
 次に、土壌汚染調査のデータの信頼性についてでございます。
 土壌汚染対策について都民の信頼を得るためには、調査方法、調査結果及び対策の内容をすべて公開していくことが重要であると認識しております。このため、東京ガス株式会社の行いました調査については、第一回専門家会議でデータを公開し、議論をしていただいたところでございます。
 今後、専門家会議において追加調査を行う必要があるとされた場合には、調査地点、日時、調査機関、作業状況、分析結果等を公開し、調査の透明性とデータの信頼性を確保してまいります。
 次に、抜本的な土壌汚染対策の必要性についてでございます。
 先般行われました第一回専門家会議では、ベンゼンなどの揮発性物質のガス化への対応、地下水の管理の重要性、地下室等の施設配置のあり方などについて、市場用地という特性を踏まえてさまざまな観点から議論が行われました。今後の会議において、これらに関する新たな対応策の必要性や内容などを検討し、具体的な提言をいただく予定でございます。
 都は、こうした専門家会議の検討や提言を踏まえて、必要な措置を確実に実施してまいります。
 最後に、豊洲新市場の施設計画についてでございます。
 豊洲新市場の施設計画につきましては、業界団体との協議を重ね、昨年十月、基本設計を取りまとめました。その後、この内容について、水産物部一階、卸・仲卸売り場から二階、三階へのスロープの増設や、青果部二階の大口荷さばき場の設置などの要望が出されており、現在協議を続けているところでございます。また、専門家会議において、土壌汚染対策の観点から、地下室の配置場所を考慮するよう意見が出されてございます。
 今後、業界との協議結果及び専門家会議の提言を踏まえ、必要な修正を加え、基本設計を確定してまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関する四点の質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の存在意義についてですが、新銀行東京は、開業後二年間で約一万六千六百件の融資、保証を実行してきており、中小企業金融において重要な役割を果たしてまいりました。
 また、先般策定した新中期経営計画におきましても、対象顧客の小口化による融資件数や顧客数の拡大に重点を置くとともに、新たに一般融資の取り組みも充実させるなど、より幅広く中小事業者の支援を行っていくこととしております。中小企業の資金繰り環境は依然として厳しく、今後も新銀行東京が、中小企業金融においてその役割をしっかり果たしていく必要があると考えております。
 次に、新中期経営計画の実効性についてですが、平成十九年三月期決算における当期損失は五百四十七億円と拡大したものの、十分な貸し倒れ引き当てを行ったことや減損会計を適用したことにより、将来のコスト負担が軽減されたと考えております。
 このもとに、新銀行東京では、平成二十一年度の単年度黒字化を目指す新たな経営計画を策定いたしました。また、代表を銀行出身の森田氏に交代することとし、都としても、五人の幹部職員を派遣して経営体制を整えたところであります。
 今後、都としては、新経営陣のもとで、環境の変化に柔軟に対応し、適切な経営が行われるよう働きかけてまいります。
 次に、代表執行役についてですが、新たに代表執行役に就任する森田氏は、長年金融界に身を置き、中小企業支援にも精通しております。新代表には、これまでの知識と経験を十分に生かし、遺憾なく経営手腕を発揮していただくことを期待しております。
 最後に、新銀行東京の情報開示についてですが、新銀行東京は、中間、期末決算の公表のほか、適宜、融資商品別の実績など業務内容に関する情報を開示しております。今後も、他の金融機関との競争にかかわるものなど企業運営上秘密としているものを除きまして、積極的かつわかりやすい情報開示を行っていくよう、都として働きかけてまいります。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時五十二分休憩