平成十九年東京都議会会議録第九号

   午後一時開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) これより質問に入ります。
 百十一番遠藤衛君。
   〔百十一番遠藤衛君登壇〕

○百十一番(遠藤衛君) 平成十九年第二回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問をさせていただきます。
 さきの都知事選では石原知事が大差で圧勝するという都民の審判が下されました。我が党は責任政党として、都民の良識ある選択をしっかりと受けとめ、知事と議会という二元代表制のもと、都民、国民のため、全力で取り組んでいくことを、まずここに明らかにしておきたいと思います。
 東京、そして我が国の現状を見渡すと、相次ぐ凶悪犯罪、子どもを取り巻く環境の悪化など、日本人が持っていた美徳はどこにいってしまったのかと嘆かざるを得ません。しかし、夢も希望もないわけではありません。
 子どもの問題でいえば、知事が提唱された心の東京革命に多くの都民の皆さんが共鳴し、あいさつ運動や子どもの見守り活動などボランティア活動を展開しています。今こそ、都民の皆さんを支え、危機をともに克服していくことが求められております。そのためには、都民、国民への明確なビジョンを提示し、実現する力強いリーダーシップが求められています。政治が本来の役割を果たすべきときが来ております。
 そこで、まず、三期目のスタートに当たり、政の本質とは何か、豊富な政治経験を踏まえ、知事の所見をお伺いいたします。
 都は、昨年末、久々の長期ビジョンである「十年後の東京」を発表いたしました。その内容は、最先端の省エネルギー技術を活用した、世界でも最も環境負荷の少ない都市の実現、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活、外国人旅行者一千万人への倍増など目標を明確にしながら、夢のある将来像が具体的な近未来図として描かれております。
 「十年後の東京」は、都民や国民にとって夢の実現につながることはもちろん、東京オリンピック開催を実現する上でも、東京がより高いレベルで成長を遂げていく姿を示すことが極めて重要であります。
 今後、この実現に向けて、具体的な政策を確実に展開していかなければなりません。知事は、三期目は十年先の東京を見据えた基礎固めの時期として、さきの所信表明で近未来図の着実な実現に向けて、年内に「十年後の東京」を具体化するための実行プログラムを策定する旨を表明されたところでございます。
 我々も東京がさらに機能的で魅力的な都市に生まれ変わるよう全力を挙げて取り組んでいく所存です。「十年後の東京」で描いたさらなる成熟を遂げる東京の実現に向けた知事の決意をお伺いいたします。
 また、首都東京に象徴的にあらわれている課題は、環境問題や少子高齢化への対応など、一局だけの取り組みで解決するものではありません。各局が知恵を出し合うとともに、知事本局がリーダーシップを発揮して、横の連絡をとりながら全庁一丸となって取り組むことが大変重要であります。
 また、民間企業や多くの都民の方々に参加していただき、東京全体で機運を醸成していくことが欠かせません。今回の実行プログラム策定に当たっては、こうした視点を十分踏まえ、都議会と連携を強化し、実効性の高いものにしていくべきと考えます。
 局をまたがる課題への対応を含め、どのような考え方で実行プログラムの策定に臨んでいくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、東京の、アジアを中心とした国際貢献についてお伺いをいたします。
 二十一世紀はアジアの世紀といわれております。アジアは、欧米に加え、世界の三つ目の極として、政治、経済、文化などさまざまな面で重要な役割を担いつつあります。
 東京の水道技術、省エネ技術といった環境技術の数々は世界最高水準にあり、急成長するアジア諸国にこれを供与することが、エネルギー需給や価格の安定化、ひいては人類の持続的発展に貢献することになると考えます。特に、北京オリンピックを間近に控えた中国には最も必要であります。
 また、知事の言葉をかりれば、首都公務員たる都庁職員が、国際感覚をさらに涵養し、グローバルな視野に立ってアジアの諸都市の問題解決に貢献していくことも重要であります。アジア社会への貢献は、東京のさらなる発展のためにも、オリンピックの東京招致を実現する上でも、大きなかぎになると確信をしております。
 東京は、これまでもアジア大都市ネットワーク21での取り組みなどを通して、アジア諸都市のかけ橋として中心的な役割を担ってきました。今後さらにリーダーシップを発揮し、アジア社会全体の発展に貢献していかなければならないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、オリンピック招致についてお伺いいたします。
 先月十六日、IOCから二〇一六年のオリンピック競技大会立候補受付手順書が公表され、招致に向けた具体的なスケジュールが示されました。既に国際レースにおいては、シカゴ、リオデジャネイロ、マドリードなどといった世界の強豪都市が名乗りを上げ、いよいよ各都市の熾烈な招致競争がスタートすることになりました。
 こうした中、五月二十日、オーランドでの国際体操連盟評議員会において、東京が二〇一一年の世界体操競技選手権大会の開催都市に選ばれました。これは、東京都と日本体操協会が一致団結して招致活動を行った結果であり、成果であり、同時に東京の魅力や開催能力の高さが示された、評価された結果であります。
 オリンピックの招致に当たっても、こうした東京の魅力や優位性を強く世界にアピールしていくことが必要です。加えて、オリンピックへの都民、国民の幅広い賛同、支持、国内全体の招致機運の盛り上がりが何より重要であります。
 そのためには、あらゆる機会をとらえ、さまざまな媒体を活用し、オリンピックのすばらしさや夢を都民、国民に伝えていくことが必要です。また、夏休みには、スポーツイベントや夏祭りなど、地域においてさまざまな催し物が開かれます。こうした機会も積極的に活用すべきであります。今後、国内の招致機運を盛り上げていくために、どのような取り組みを進めていくのか、所見をお伺いいたします。
 現在の国立競技場の建てかえが望ましいとの声が、報道が一部でなされていました。一方、都としては、これまで一貫して国立競技場として晴海に整備することを国に要望し続けてきたと聞いております。
 さまざまな観点から検討を行い、今回の結論が出されたと思いますが、なぜオリンピックスタジアムを晴海に整備することにしたのか、改めて所見をお伺いいたします。あわせて、都立のスタジアムとして、どのように整備していくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、東京国体の準備状況についてお伺いいたします。
 平成二十五年の東京国体開催まで六年となりました。開催に向けた準備については、競技施設の整備やジュニア選手の育成など、一朝一夕にはなし遂げられないことも事実であり、もう既に開催準備は待ったなしの時期に来ていると思います。
 国体は、国内最大、最高のスポーツの祭典であり、大会の開催県においては、競技施設の改修や選手の競技力の向上だけではなく、選手や観客と地元住民の触れ合いなどを通して地域の活性化が図られるなど、大きな意義があると認識しております。
 とりわけ多摩・島しょ地域にとって、平成二十五年の東京国体の開催は、地域の魅力を全国に発信するとともに、産業や経済の活性化を呼び起こす起爆剤として大きな期待が寄せられております。
 これまでの国体の準備状況を調べてみると、各県ともその県らしさを発揮するために工夫を凝らし、県、市町村の行政機関だけではなく、体育協会、町会、商工会、ボランティアなど、さまざまな地域団体の力を結集して、県を挙げて取り組んでおります。
 東京国体においても、開催に向けた取り組みを東京全体に広げていくことが不可欠であります。我が党は、東京国体に向け、全都的なスポーツ振興を図るとともに、広く多摩・島しょの地域振興につながる取り組みを強化していくため、各会派に呼びかけて東京国体推進議連を立ち上げ、都議会としての体制を固めたところであります。
 そこで、今後、東京国体の開催準備を全都に広げていくためにどのような取り組みを行っていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 また、東京国体の成功に向けては、選手の競技力向上も重要であり、東京国体や東京オリンピックの成功のかぎを握るのは、選手の活躍にあるといっても過言ではありません。残念ながら、昨年の兵庫国体では総合五位、特に少年男子は十六位という成績に終わりました。
 六年後の国体やオリンピックなど国際舞台で戦える選手の育成やジュニアの発掘は、今すぐ取り組まなければならない喫緊の課題であります。そこで、競技力の向上に向けて、具体的にどのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。
 さらに、こうした東京国体開催のための準備や選手の競技力向上だけではなく、スポーツ環境を整備し、都民のだれもがいつでもスポーツに親しめる、スポーツ都市東京の実現を通して、東京オリンピック招致機運の一層の盛り上げを期待するものであります。都はこの春、スポーツ振興を力強く進めるべく、新たに生活文化スポーツ局を発足いたしました。
 東京国体の開催やオリンピックの招致に向け、また、スポーツ都市東京実現のため、今後のスポーツ振興の戦略を早急に打ち出すべきであります。知事の所見をお伺いいたします。
 次に、東京大気汚染訴訟についてお伺いをいたします。
 先般、国は都のぜんそく患者対策に六十億円を拠出することを決定いたしました。思い起こせば平成十四年十月、東京地裁での一審の判決の際、知事は、自動車排出ガス対策の強化と健康被害者の救済を早急に実施することが行政の使命であるとして、控訴しないことを即断されました。我が党も知事の決断を評価するとともに、東京の空気をきれいにするための環境対策に総力を挙げてまいりました。しかし、二審でも国のかたくなな姿勢は一向に変わらず、我々は歯がゆい思いでそれを見つめておりました。
 こうした中、昨年第三回定例会で、我が党の質問に対し、知事は被害者の救済を最優先し、裁判の範疇を超えて社会全体の課題として解決すべきと答弁され、みずから東京高裁に出向き、大所高所からこの問題の解決を訴えられ、今回の安倍総理の決断に至りました。
 安倍総理は、尼崎や川崎など過去の大気汚染訴訟では例のない国の資金拠出に踏み切りました。これは、総理の問題解決への断固たる決意のあらわれであります。我が党は、総理の決断を高く評価するとともに、敬意を表する次第であります。
 安倍総理がこの官僚の抵抗を排して前例のない決断に踏み切ることを後押ししたのは、首都東京を預かる知事の行動力であり、また、知事と我々とが手を携えてこれまで進めてきた違反ディーゼル車一掃策など、都民、国民の生命を脅かす問題に対する国に先駆けた取り組みにあると考えます。
 本訴訟の解決に向けた大きな進展を受け、改めて現時点における知事の所見をお伺いいたします。
 次に、地球温暖化問題についてお伺いいたします。
 地球温暖化がもたらす気候変動が、人類の活動により引き起こされた最も深刻な環境問題であることは、いうまでもありません。
 先般ドイツで開かれた主要国首脳会議においても、安倍総理が、危機回避のため、二〇五〇年までに世界全体の温室ガスの排出量を半分に減らすよう提唱し、今後の具体化に向けて基本合意が得られました。
 今、求められているのは、CO2削減に向けた取り組みの強化であり、そのためには、社会を構成するすべての主体が、それぞれの役割と責任に応じてCO2を削減することが可能になる、わかりやすく実効性のある施策を明らかにしていかなければなりません。
 そうした中、先般、都が気候変動対策方針を明らかにしたことは、非常に大きな意義があります。この中には、大規模CO2排出事業所に対する削減義務化や排出量取引制度の導入など、先駆的、具体的な施策が提起されております。
 今後、この方針で示された施策を大胆に実施し、日本の気候変動対策をリードしていくべきと考えますが、知事の決意をお伺いいたします。
 都内のCO2削減のためには、大規模事業所の削減対策の促進とともに、中小企業や家庭などにおいても取り組みが進まなければなりません。こうした取り組みが積極的に行われるようにするためには、都内最大規模の排出事業者である東京都が率先してCO2削減に取り組むとともに、都民に対し、中小企業や家庭でのCO2削減の具体的な取り組みと効果をわかりやすく示し、あわせて、これらを促進、支援していく仕組みづくりが極めて重要であります。都の今後の取り組みについて所見をお伺いいたします。
 次に、緑の創出についてお尋ねいたします。
 都は、六月八日、緑の東京十年プロジェクト基本方針を公表いたしました。この方針は、「十年後の東京」の水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させる道筋を示すものであり、都民の期待も大きいと考えております。
 かねてより我が党は、海の森整備を求めてきました。この方針の中で、新たに海の森を基金という手法を用いて整備することとしております。
 明治神宮の代々木の杜は、全国から約十万本の木が奉納され、市民の方々が植樹をして今日のすばらしい東京の緑に成長いたしました。また、調布の神代植物公園でも、都民の皆さんがボランティアとして、百年先の二十二世紀を見据えた森づくりに取り組んでおります。
 子や孫の世代にもすばらしい緑を残していく、そのための手だてとして、緑化募金は、都が都民、企業と協働する有効な取り組みであります。こうした取り組みを契機に、緑あふれる東京の再生に向けて、大きな緑のムーブメントを起こしていきたいと考えます。改めて、こうした募金について、知事のお考えと決意をお伺いいたします。
 次に、築地市場の移転についてお伺いいたします。
 築地市場の移転については、本年二月の予算特別委員会で、我が党の質問に対し、現在地での再整備は営業を続けながらの工事であるため、完成までに二十年以上を要し、市場の経営活動に深刻な影響を及ぼすことや、現行の敷地面積では基幹市場としての役割を十分果たせないとの答弁があり、現在地での再整備は困難であり、断念したものと理解をいたしております。
 こうした状況に加えて、最近では、築地市場のアスベスト問題がクローズアップされてきております。市場施設の一部にアスベストが使用されていると聞いております。もし、移転に反対する人たちが主張するように、現在地で再整備をした場合、この施設の解体時には、生鮮食品を扱う市場であることから、相当慎重にアスベスト対策を行っていかなければなりません。
 そこで、築地市場のアスベストの状況はどうなっているのか、また、アスベストの問題を含めて、現在地での再整備を行うことは、現実性のある案なのか、都としての見解をお伺いいたします。
 次に、先般設置された豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議についてお伺いをいたします。
 関係者や一部都民に懸念の声があり、知事は、市場が食の安全にかかわるということで、土壌汚染調査などについて、専門家にその検証を求めるという方針を打ち出されました。この方針を受け、中央卸売市場では、専門家会議を設置し、ここでの検証、提言を踏まえ、必要な追加調査や対策などを実施することとし、先月第一回の会議が開催されました。
 そこで、会議の設置後、都としてどのように検討を進めていくのか、お伺いをいたします。
 次に、都の税財源をめぐる動きについてお伺いをいたします。
 このところ、地方税収が地域間で偏在をしていることを理由に、東京を初めとする都市部の財源を吸い上げ、地方に回そうという議論がますます熱を帯びてきております。
 先日開催された四都府県知事の会談での指摘にもありましたが、地方分権の大枠が決まっていない段階で、方法論ばかりが先行し、いかにも拙速であります。ましてや、国と地方という本質的な問題に踏み込むことなく、都市部の財源を地方に回そうとする発想は、安易安直といわざるを得ません。
 このような税収の偏在を是正するとの観点から、都の財源を奪う動きが急速に高まっていますが、この問題について知事の基本的認識をお伺いいたします。
 また、地域間の税収偏在の是正に向けた方策として、法人二税の税収を人口基準等で再配分するという考えや、消費税と法人二税を入れかえるといった考え方が、またしても議論の俎上に上がっております。
 しかも今回は、経済財政諮問会議の中で、民間議員が具体的な手法にまで踏み込んで言及するなど、具体化が一層進んでいる印象があります。このような東京の税源をねらい撃ちする不合理な財源調整の動きに対し、どのようなスタンスで反論をしていくのか、都の見解をお伺いいたします。
 本日開かれた、骨太の方針二〇〇七では、地域間の税収の偏在を是正する方針が示されると聞いております。しかし、税制改正に向けた議論は、政府税調や与党税調で議論が行われる秋から冬にかけてが正念場となります。
 先ごろ都が発表した財政力格差是正論に対する反論の書は、緊急アピールとして、最近の議論における論点を都民にわかりやすく説明しています。秋以降の議論ではさらに、国に対し、より積極的な攻めに転じる必要があります。そのためには、地方の厳しい状況も勘案し、問題の本質である国の責任を明らかにして的確な反論を行い、地方が連携して国と対峙していくことが重要であります。
 一方、大都市需要や行革努力のように、都として主張すべきものは主張しなければなりません。そこで、秋以降の本格的な議論に向けて、都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 次に、公会計制度改革についてお伺いをいたします。
 いよいよこの秋には、全国で初めて官庁会計に複式簿記・発生主義会計を導入した新たな公会計制度による財務諸表が作成されることになります。
 財務諸表の作成を第一歩として、これからは、財務諸表を都政の体質改善に活用していくべきであると考えます。従来の官庁会計では明らかにされなかった数々の情報を分析、評価し、その情報を行政だけではなく、都民及び議会が共有し、今後の都政の経営改革に向けて生かしていくことが重要であります。
 財務諸表の作成に当たっては、事業別の情報をも対象とし、都民や議会にわかりやすく提示される必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、安心・安全のまちづくりについてお伺いをいたします。
 知事は、世界一安心・安全な首都東京を実現するために、地域の総合力と行政の力を結集して取り組むとしております。
 都内の犯罪、特に身近な場所での発生状況を見ますと、侵入窃盗や十三歳未満の子どもへの強制わいせつの多くが、マンション等の共同住宅で発生をしております。
 これは、共同住宅の構造上の問題も大きいと思われますが、地域住民同士のつながりが希薄になっていることや、みずからが住んでいる地域社会への無関心といった問題も大きな要因になっていると思われます。
 そこで、今年度から開始した地域防犯モデル事業について、その意義と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 ことしに入ってからも、けん銃を使用した凶悪事件が全国的に発生し、都内でも暴力団対立抗争事件や、暴力団員が都営住宅に立てこもり、駆けつけた警官に向けて発砲するなど、都民に重大な危害を及ぼしかねない事件が発生をしております。
 警視庁では、治安回復に向けた犯罪抑止対策に努め、着実に成果を上げていると承知をしております。しかしながら、こうした事件が発生した背景には、相当数のけん銃が地下に潜んでいるのではないかという不安と脅威を多くの都民が感じていると思います。
 都民が安全で安心して暮らせる東京を実現するためには、今まで以上に効果のある取り締まりを強力に推進し、銃器を社会から一掃することが必要不可欠であると考えます。
 そこで、警視庁では銃器の取り締まりに向け、どのように取り組み、対策を講じていくのか、警視総監のご決意をお伺いいたします。
 さきにも触れましたが、本年四月に町田市の都営住宅で起きた暴力団員による拳銃発砲立てこもり事件は、日常の生活の場である住宅街での事件であり、近隣住民の方々も含めて、恐怖と不安の中で一夜を過ごされたことと思います。再びこのような事件が起こらないように、対策を進める必要があります。
 今定例会に暴力団員の排除に向けた都営住宅条例等の改正が提案されていますが、改正後の条例が実効性のあるものとならなくては意味がありません。条例改正後の暴力団員を排除するための具体的な方策についてお伺いをいたします。
 次に、豪雨対策と多摩地域の河川整備についてお伺いをいたします。
 近年、地球温暖化などを背景に世界的な異常気象が顕在化し、大規模な干ばつや豪雨による被害も多く報道されております。東京においても平成十七年九月の局地的集中豪雨により、中野区、杉並区などで六千棟に及ぶ浸水被害が発生をいたしました。
 都では、この集中豪雨による浸水被害を契機として、豪雨対策基本方針の策定を進めております。本年第一回定例会の一般質問において、基本的な考え方などについて聞き、我が党としても意義あるものとして注目してきたところであります。
 間もなく豪雨の時期を迎えることになります。一刻も早く基本方針を策定し、治水対策を着実に実施することが求められております。そこで、豪雨対策基本方針の策定に向けた進捗状況をお伺いいたします。
 次に、多摩地域における河川整備についてお伺いをいたします。
 治水対策にはまず河川の整備が重要ですが、区部では、先月、環七地下調節池善福寺川取水施設が完成し、本格的な運用が可能となるなど、重点的かつ着実に河川の整備が進められております。
 多摩地域においては、青梅市の霞川で地下調節池が完成するなど、整備が進んでおります。私は先日、霞川調節池を視察し、総事業費百二十八億円との説明を受けました。膨大な事業費ですが、この施設がなく、水害が発生すれば、被害額はこの程度では済みません。
 東大和市などを流れる空堀川や調布市の入間川などでは、まだ水害のおそれがあります。河川の整備促進を進めるべきとの思いを強くしたところであります。
 治水対策は一朝一夕に進むものではありませんが、河川の整備に当たっては、目標を定め、積極的に計画的な取り組みを推進していくべきであります。
 そこで、多摩地域における河川整備の現在の状況と、今後の方針についてお伺いをいたします。
 次に、治水対策を進めるには、河川整備だけではなく、下水道による対策も重要であります。多摩地域の下水道事業は、都と市町村が役割を分担して進めておりますが、市町村が効率的に治水対策を進めていけるよう、さらなる技術的支援を行っていくことを強く要望しておきます。
 ところで、多摩地域の河川には、貴重な自然環境が多く残されております。新たな開発が進められる中、川を中心とした水と緑の空間は、人々の心を和ませる貴重な資源であります。
 「十年後の東京」においても、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活が筆頭に挙げられております。豊かな水辺空間は、多摩地域における都市環境の向上に大きな役割を果たすものであります。
 そこで、多摩地域の河川整備に際しては、豊かな自然を十分生かした取り組みが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、高速道路の料金体系についてお伺いいたします。
 現在、首都圏では、三環状道路を初め、高速道路ネットワークの整備が進められております。外環道については、この四月に大深度地下への都市計画変更が行われ、圏央道については、今月二十三日にあきる野インターチェンジから中央道までの区間が開通するなど、着々と事業が進んでおります。交通混雑の緩和、物流の効率化、環境改善などを図るため、今後とも三環状の整備促進を図ることが重要であります。
 しかしながら、首都圏の高速道料金を見ると、首都高速、東日本高速、中日本高速の三つの会社により運営されていることもあって、ばらばらの料金体系で割高感があるのが実態であります。高速道路をせっかく整備しても、今の料金体系のままでいくと効率よく使われないことが懸念をされます。
 そこで、首都圏の高速道路ネットワークを有効活用できるよう、料金体系を見直すことが重要であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、日暮里・舎人ライナーについてお伺いいたします。
 日暮里・舎人ライナーは、昭和六十年の運輸政策審議会答申を受け整備することとなりました。その後、平成九年に工事着工され、いよいよ平成十九年度末に開業することとなったものです。
 我が党は、これまでこの日暮里・舎人ライナーを都民や地域住民の足として安定的に経営することができるよう、運営主体については、東京都地下鉄建設株式会社ではなく、交通局みずから運営すべきと強く要望してまいりました。今般、交通局みずからが運営主体となることを決断し、東京都日暮里・舎人ライナー条例案が提案されました。
 そこで、この日暮里・舎人ライナーの運営主体となるに当たっての意義と決意についてお伺いをいたします。
 地元住民の交通アクセスが飛躍的に向上することは大変喜ばしいことであり、徐々に沿線開発も進んでいますが、沿線に大型集客施設が多くあるわけではありません。こうした状況の中にあっても、地元都民にとって三十年来の悲願である日暮里・舎人ライナーの運営がしっかりと行われるよう要望して、次の質問に移ります。
 橋梁の長寿命化についてお伺いいたします。
 隅田川にかかる清洲橋、永代橋、勝鬨橋の三つの橋が、昨日、都道府県の橋梁として初めて国の重要文化財に指定されました。いずれも大正から昭和初期にかけて、当時の最先端の技術を駆使して建設された美しい姿の橋梁であり、また、適切な維持管理によって、建設後七十年から八十年を経た今でも現役で使用され、都民に身近に親しまれている橋梁であります。
 都では、今後も貴重な文化遺産として、またすぐれた景観を有する観光のシンボルとして、保全、活用していくよう努めていただきたい。
 都が管理する橋梁は、この三つのほかにも都内に約千二百あります。その多くは高度経済成長期に集中的に建設されたものであり、あと十年間で架設後五十年以上経過することになる橋が過半数あると聞いております。このままではかけかえ時期が集中し、経費の面でも、工事の実施の面でも支障が生ずるおそれがあります。
 そこで、できる限り現在の橋梁が長く使えるよう、かけかえのピークを平準化していくような計画的な対策が必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、アユのすめる川づくりについてお伺いをいたします。
 昨年、第一回定例会では、多摩川の清流復活について、知事から、天然のアユをはぐくむ清流を取り戻すことは、観光資源として多摩川の魅力をさらに増すものと確信しているとの力強い答弁をいただきました。
 また、都では、伝統工法である木工沈床の設置により、周辺の景観や生態系に配慮した川づくりを進めております。
 しかし、現状の多摩川を見ますと、依然として砂利の堆積による瀬やふちの消失が目立ち、魚のすみかが奪われたり、カワウなどによる深刻な食害が生じているなど、魚をはぐくむ環境をつくるためにはさらなる努力が必要と考えます。
 そこでまず、昨年、都が策定した水産業振興プランに掲げた川魚の復活について、具体的にどのような取り組みを進めているのかお伺いいたします。
 また、観光資源として、多摩川のアユなどを活用することが重要だと考えます。多摩川のアユは、かつては全国的に有名な特産品でありました。しかしながら、現在、中下流でとれたアユには、アユ本来の香りが乏しいとの声があります。
 私は昨年、アユ本来の香りを取り戻すための有効な手段の一つとして、多摩産材の木炭の利用を提言させていただきました。都として、香り豊かな多摩川のアユの実現に向けてどのような検討が進められているのか、お伺いをいたします。
 次に、産業振興についてお伺いいたします。
 都は、産業振興基本戦略の推進に向け、年内に産業振興指針を策定するとしております。指針には、中小企業の実態を踏まえた実効性のある施策を盛り込み、産業力の強化を図るべきであります。
 多摩地域における圏央道の整備や横田飛行場の軍民共用化など、都市機能の飛躍的向上によって、異なる経営資源、業種の多様かつ広域的な連携、交流が活発になります。
 多摩地域には、エレクトロニクスや半導体など、時代の先端を行く企業や大学、研究機関が数多く集積しております。これらの多様な交流がさらなる産業集積を誘引し、多摩シリコンバレーともいえる都市型産業の一大拠点として、一層の発展が期待をされております。
 しかしながら、多摩地域を真にシリコンバレーとして成長させていくためには、都市インフラの整備を確実に新事業の創出につなげていくための産業振興施策が不可欠であります。
 平成二十一年度には多摩産業支援拠点が開設されるなど、技術や経営支援機能は着実に強化されております。しかし、新事業の創出を促進するためには、こうした支援機能に加えて、知事が所信表明で述べたとおり、産業交流機能の強化が求められております。
 今こそ、多摩地域の産業交流機能の強化に向けて多面的な取り組みが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、東京には、ものづくり産業の集積、伝統文化、農林水産や観光など、地域産業の活性化に活用可能な魅力ある資源が数多く存在しております。東京ブランドというべき地域資源を活用し、商品やサービスの差別化を図ることで産業の活性化を図っていくことが有効と考えます。
 国においても、中小企業地域資源活用プログラムを新たに策定し、こうした地域資源を活用した新商品開発支援の強化に踏み出したと聞いております。
 そこで、都においても、国の施策を活用しつつ、東京の特性を踏まえ、地域のすぐれた資源を活用した中小企業の取り組みを後押しすべきと考えますが、所見をお伺いします。
 次に、都市農地の保全についてお伺いいたします。
 我が党は、平成十五年に都市農政を考える議員連盟を結成し、青壮年農業者を中心に意見交換を重ねてまいりました。そして、農業者が直面する問題に対処するため、農業経営の支援対策などさまざまな政策を提言をしてまいりました。
 しかしながら、都市農地を保全するためには、国の諸制度の改善が不可欠であります。このため、本年第一回定例会では、現行の農地制度や相続税制度の改善に向けて都市農地の保全に関する意見書を取りまとめ、政府や国会に提出をいたしました。
 このような活動の中で、自由民主党国会議員の都市における農業を考える若手議員の会も発足し、今月八日には制度改善について議論を交わしたところであります。
 このように我が党は、都市農地保全についてさまざまな取り組みを行ってまいりました。しかし、制度改善は国の役割であり、また時間を要することから、この間も貴重な都市農地は失われ続けることになります。
 そこで、都では、農地に対する都民の理解促進を図るなど都独自の農地保全策に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いします。
 今月一日、新銀行東京の十九年三月期の決算が公表されました。これによると、計画を上回る赤字を計上するなど厳しい内容となっております。
 これまで新銀行東京は、その設立趣旨に沿って多くの中小企業に対し積極的な支援を行い、地域経済の発展に寄与してきましたが、一方で、民間企業である以上、財務体質を強化し、経営の健全性を確保することが不可欠であると考えます。
 そこで、今回の決算に対する都の評価をお伺いいたします。
 メガバンクが急速に体力を回復し、中小企業向け融資に積極姿勢を示していますが、直近の都の調査を見ても、依然として多くの中小企業において資金繰りの苦しい状況が続いております。
 中小企業の皆さんが新銀行東京に期待しているのは、ニーズにかなったサービスの提供と、この先、金融環境がどう変わろうとも、事業者の立場に立って支援してくれることです。こうした期待にこたえるためには、まずは経営をしっかりと立て直し、中小企業を着実に支援していくことが重要であると考えます。改めて知事の決意をお伺いいたします。
 次に、障害者施策についてお伺いいたします。
 知事が描く「十年後の東京」では、障害者の自立と社会参加が進み、障害の有無にかかわらず、だれもが安心して暮らせる地域社会の形成がうたわれております。
 都では、これまで、障害者が可能な限り地域で安心して生活が送れることのできるよう、障害者の生活基盤の重点的整備や就労支援策の拡充を図ってきました。特に、障害者の地域における自立した生活の場となるグループホーム、ケアホームの定員は、過去五年間で二倍以上に増加をしております。その結果、長期入所を余儀なくされていた施設利用者の地域生活への移行が進んできております。
 こうした中、今般、都では、障害者の地域生活のさらなる支援に向けて、東京都障害者計画、東京都障害福祉計画を策定いたしました。さきの第一回定例会の代表質問で、計画策定に向けた知事の基本姿勢などについて質問したところですが、改めてこの二つの計画のねらいと具体的な目標についてお伺いをいたします。
 また、障害者の自立のために、生活基盤の整備とあわせて、障害者がそれぞれの状況に応じて働くことができるよう、行政、企業、福祉施設が一体となって支援していくことが重要です。「十年後の東京」に掲げる障害者の雇用三万人増加を実現するために、都は今後、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、医療制度改革についてお伺いいたします。
 本格的な少子高齢社会を迎える中、昨年六月、医療制度改革関連法が成立しました。この改革の中では、七十五歳以上を対象とした後期高齢者医療制度の創設のほか、療養病床の再編成並びに特定健康診査等、生活習慣病予防対策の見直しが打ち出されています。
 良質な医療提供体制の確立や国民皆保険制度を維持可能なものにしていくという本改革の基本的方向については理解をいたしますが、患者の受け皿整備や介護サービスのあり方が具体的に示されないまま療養病床の再編成が進められ、患者や家族が不安を抱いているのではないかと懸念をされております。特に老人保健施設では、現在でも短期間に転院を余儀なくされるケースも少なからずあると聞いております。
 都は、東京発医療改革として、東京ERの整備や小児救急医療の充実など、さまざまな改革を行ってまいりました。今回の医療制度改革においても、首都東京として患者の視点を重視し、都民の健康と安心を支える改革となるよう、実効性のある取り組みを実施していくことが何よりも重要であります。
 そこで、医療制度改革に対する都の取り組みについてお伺いをいたします。
 また、今回の改革において、これまで区市町村が実施してきた基本健康診査を、特定健康診査・特定保健指導として医療保険者に実施を義務づけるなど、生活習慣病対策の総合的な推進を図ることとしております。
 しかしながら、医療保険者は、健診・保健指導に関する経験が少なく、専門的研修などの支援が必要となると考えます。生活習慣病の早期発見、早期治療に向けた仕組みづくりは、医療制度改革の一環として国が責任を持って実施すべきものであります。
 一方、都としても、都民の生命と健康を守るため、医療保険者への支援を積極的に行っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、感染症対策の充実強化についてお伺いいたします。
 都内で、はしかの流行が拡大し、高校や大学で集団感染による休校が続出いたしました。この中、我が党の強い要請を踏まえ、先月、都が緊急対策として、関係局が連携し、都内のすべての高校並びに集団感染のおそれのある小中学校を対象に、ワクチン接種を支援する体制を迅速に講じました。
 今回のはしか流行は、図らずもワクチンの重要性を再認識させられることになりました。国は、ようやく昨年から諸外国に倣い、はしかワクチンを二回接種方式としましたが、遅きに失した感は否めません。
 また、はしかに限らず、子どもの障害の原因となる妊婦の風疹感染の予防なども重要な課題であります。
 国全体で就学前の子どものワクチン接種率を向上させるべきであります。国に対して対策の強化を強く求めるべきであります。都は、こうした感染症の流行を防ぐためにどのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、介護保険事業者の不正行為等についてお伺いいたします。
 都の実施した指導監査が発端となって、株式会社コムスンが、不正な手段により事業所の指定申請を行ったことが次々と明らかになりました。国もこうした事態を重く見て、今月六日、都道府県に対し、同社の新規指定及び更新をしてはならない旨を通知いたしました。
 一方、同社はこの間、都の指導監査結果に基づく処分を逃れるための廃業届の提出や系列会社への事業譲渡などを一方的に発表するなど、法の網をくぐるような不誠実な対応をとっており、コムスンの介護サービス利用者を初め、多くの都民の不安が高まっております。
 こうした事態を踏まえ、我が党は先般、都に対し、サービス利用者の安心を確保するため、緊急に要望したところです。
 そこで、今回の要望を受け、今後、都では介護サービスの利用者を初め、都民の不安を解消するため、どのように対応していくのかお伺いをいたします。
 次に、子育て環境の整備についてお伺いいたします。
 少子化は、日本の経済成長や社会保障にも影響を及ぼす深刻な問題です。少子化の進行に直ちに歯どめをかけるという困難な課題に都は率先して取り組み、未来に希望の持てる社会を実現していかなければなりません。
 そのために都に課せられた喫緊の課題の一つに、都内に五千人いるといわれる保育所への入所待機児童の解消です。
 都は、これまでも国の示す画一的な基準にとらわれず、大都市東京の実情に合わせ、独自の認証保育所制度を創設し、都民の広範な支持を得て大きな成果を上げてきました。
 都として、待機児童解消を初めとする総合的な子育て支援の施策展開を強力に推進すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、子育て環境の整備については、実際に育てる保護者自身の意見やニーズを把握し、より実効性のある施策を構築することが必要であります。
 そのためには、官民が一体となって良好な子育て環境をつくり上げていこうとする機運を高めることが重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、子どもの医療費の助成についてお伺いします。
 昨年六月、我が党は、国の宝であり、国の財産である子どもたちの成長をより確かなものにするためには、人間形成の核となる重要な時期に当たる義務教育終了まで社会が責任を持つことが必要との観点から、子どもの医療費助成制度の拡大を申し入れを行いました。
 都は、これを契機に検討に着手し、平成十九年度予算で、小中学生に対し、医療費自己負担額の一部を助成する義務教育就学児医療費助成事業を構築いたしました。
 さらに、先般の都知事選挙において、知事は公約として、所得格差の是正を図りつつ、中学三年生までの医療費負担をゼロにするとされました。これは、東京の子育て環境の充実を一層図ろうとするものであり、国が積極的に動こうとしない中で、知事の率先した姿勢を示すものとして評価いたします。
 そこで、知事の公約実現に向けた決意をお伺いをいたします。
 次に、教育についてお伺いいたします。
 子どもの基本的な生活習慣の乱れや、それを身につけさせるべき家庭の教育力の低下が指摘されております。こうしたことが子どもの学力、体力や規範意識の低下などをもたらしている傾向があるといわれております。
 都教育委員会では、平成十八年度から子どもの生活習慣確立プロジェクトを立ち上げ、社会全体で家庭教育を支援する取り組みを行っております。とりわけ、公立小学校の入学説明会でわかりやすく説明したDVDの上映や、新一年生全保護者にテキストを配布した取り組みは、大変好評であると聞いております。
 こうした取り組みを社会全体へ広げていくためには、啓発資料の配布を一年で終わらせることなく、継続していくことが必要です。さらに、関係各局との連携を深めることはもとより、企業や医師等の専門家の協力を得るなど、横断的に取り組む必要があると考えます。
 そこで、このプロジェクトについて、今後どのような考えで取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 本来、親は、子どもの豊かな情操や基本的な倫理観、自制心、自立の心を養うなど、子どもの教育について第一義的責任があります。ところが、今や子どもの成長に関心が薄かったり、過保護だったり、干渉のし過ぎだったりする親もいます。このような親を育ててきた私たち世代の責任も痛感せざるを得ません。
 こうしたことを繰り返さないためには、家庭の教育力をみずから高める取り組みだけではなく、それを地域社会で支え合う仕組みが必要であります。
 改正された教育基本法に、家庭教育、幼児期の教育や、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力などが新たに規定されました。家庭が教育の原点であり、その役割を明確にするとともに、学校、家庭、地域が緊密に連携して子どもの教育に当たるという視点を明確にしたものです。
 そこで、心の東京革命では、心の東京ルールや学校、地域及び社会全体でそれぞれの具体的な取り組み内容を掲げてきましたが、都教育委員会としても、こうした心の東京革命や法改正の趣旨を踏まえ、家庭の教育力向上を社会全体で支援する具体的な仕組みを示すべきと考えます。
 今後、どのように進めていくのかお伺いいたします。
 次に、特別支援教育についてお伺いいたします。
 平成十九年四月に改正学校教育法が施行され、特別支援教育が本格的に実施されました。東京都では、既に平成十六年に東京都特別支援教育推進計画が策定され、国に先んじてさまざまな取り組みを進めております。
 しかし、特別支援教育は緒についたばかりで、まだまだ多くの課題があります。
 我が党では、特別支援教育をさらに推進するため、文教部会特別支援教育小委員会が、美しい日本における特別支援教育と題する報告書をこの五月に出したところです。
 都は現在、東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画を作成していると聞いております。その際、知的障害のある子どもたちのための教室の確保や、肢体不自由の子どもたちの通学時間の軽減など、障害のある子どもたちへの十分な教育環境の整備を図るため、特別支援学校の再編成が重要な課題と考えます。
 さらに、「十年後の東京」でうたわれている障害者の自立と社会参加を進めるための三万人以上の障害者雇用に向けた学校の取り組みも非常に重要と考えます。
 これらに関し、第二次実施計画の策定に当たっての所見をお伺いいたします。
 また、近年、障害者を取り巻く社会環境、医療の進歩や障害の多様化、重度化などを踏まえた障害のある子どもたち一人一人のニーズに合った教育を行っていく必要があります。そのためには、個々の教員の資質能力の向上とともに、学校現場に多様な専門家がかかわるような指導体制の構築も必要なことと考えます。
 こうした、国を先導していくような東京都独自の取り組みについても第二次実施計画に盛り込んでいくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 遠藤衛議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、政、政治の本質についてでありますが、私自身の国政経験からいえば、残念ながら国の政治家の多くは正当な歴史観を欠き、持つべき危機意識が非常に希薄なままに目先の利益に拘泥するばかりか、独善的で国益よりも省益を優先させてはばからない国の官僚に操られるままという態様の気がいたします。そのありさまは、とても真の政治とはいえない気がいたします。
 政治の本質は、都民、国民の生命と利益を政治家の責任で守ることでありまして、そのためには治安、医療、福祉あるいは教育、環境、さらには災害対策など、あらゆる手だてを着実に講じるべきだと思います。
 私、都政のかじ取りを預かって以来、こうした信念に基づきまして幾つかの対策をしてきたつもりであります。例えば、一部の政党は反対しておりましたけれども、陸海空、日本の三軍を動員して、米軍にも協力させて大都市災害のシミュレーションをし、実際訓練も行ってきました。
 こうした信念に基づきまして、自分自身がグッドコミュニケーターとなって、さまざまな機会を通じて都民、国民にメッセージを発信し、やっていることの理解を取りつけ、さらに都独自の具体的な政策を構えて、東京から日本を変えるべく、幾つかの試みをやってきたつもりでございます。
 これからも都議会の皆様の協力を得ながら、都民、国民のために必要なことを果断に実行し、首都東京からこの国に本物の政を取り戻していきたいものだと思っております。
 次いで、「十年後の東京」の実現についてでありますが、「十年後の東京」は、あくまで実現可能な東京の近未来図でありまして、これによって目指すべき東京の具体的な姿を国内外にはっきりと示すことができたと思っております。
 東京オリンピックを実現するためにも、都市インフラの整備を初め、環境、安全、文化、産業などさまざまな分野で、東京が今後十年にわたり展開していくべき先進的な取り組みの成果を、二十一世紀の新しい都市モデルにまで高め、世界に発信していくことが不可欠であると思っております。
 三期目を迎えまして、これからの四年間は、東京発の日本再生を確固たるものにしていくため、「十年後の東京」の実現に向けた政策を確実に、かつ迅速に実行することが私の最大の使命と思っております。
 また、「十年後の東京」で描いております三環状道の整備や羽田空港の再拡張、国際化、世界を代表する大都市としての先進的な地球温暖化対策、あるいは首都東京を守るための耐震化への集中的な取り組みなど、大都市の効率性、安全性の向上や国際社会をにらんだ政策展開は、ひとり東京だけにとどまらない、我が国の将来を見据えた国全体の利益につながるものと思っております。
 今後、都議会の皆さんと連携をさらに深めながら、年内を目途に「十年後の東京」をさらに具体化するための実行プログラムを策定し、東京がより高いレベルの成熟した都市となるように全力で取り組んでまいります。
 次いで、アジアの発展への貢献についてでありますが、今日、白人の世界支配という近代、現代史の原理がようやく終わりました。アジアは、その中で世界で最もダイナミックに発展を続ける地域に変貌を遂げましたが、発展に伴うゆがみも顕在化しております。
 特に、環境問題やエネルギー問題は、世界全体への深刻な影響が懸念され、このままでは地球は危機的な状況に陥ります。アジアのさらなる発展の重要なかぎは、東京がこれらの成長、発展の過程で蓄積した、大気汚染、ごみ問題あるいは交通渋滞などの困難、難問を克服するための技術、人材、ノウハウであると思います。
 アジアの経済発展を持続可能でより確かなものにしていくため、こうした東京の知見をアジア大都市ネットワークなどを通じて提供していきたいと思っております。経済分野だけではなく、東京の持つポテンシャルを生かしながら、スポーツ、芸術、文化の分野でも交流を促していきたいと思っております。
 こうした重層的な取り組みを、職員に首都公務員としての気概を持って先導させ、都としてアジアの全体的な発展に責任を果たしていきたいと思っております。
 次いで、東京国体への取り組みについてでありますが、およそ半世紀ぶりの開催となる東京国体は、首都圏の中核拠点として発展する多摩地域や、豊かな自然に満ちあふれた島しょ地域など、首都東京のもう一つの、県外の人には思いがけないだろう顔を全国に発信する絶好の機会であると思っております。
 このため、都民の幅広い共感と賛同を得て開催への機運を盛り上げ、全都を挙げて成功へと導かなきゃならないと思います。来月早々にも東京国体準備委員会を設立しまして、都議会を初め、区市町村、経済産業界、スポーツ団体など、各界各層の方々にご参加いただき、開催準備に万全を期していきたいと思っております。
 次いで、スポーツ振興の戦略についてでありますが、東京マラソンや丸の内で先般行われましたストリート陸上などのスポーツイベントは、都民に大きな感動を与え、スポーツへの関心を大いに高めたと思います。
 この機運をとらえて、都民がスポーツに親しむ機会を拡大し、スポーツ実践層のすそ野を広げていくことは、オリンピック憲章の定めるスポーツ・フォア・オールの発展にもつながることだと思います。
 今後、速やかにスポーツ振興審議会を立ち上げ、オリンピック招致都市にふさわしい新たなスポーツ振興戦略を策定し、子どもから高齢者まで、だれもが生涯を通じてスポーツに親しめる社会を実現したいと思っております。
 次いで、東京大気汚染訴訟についてでありますが、東京都はみんなして、これまで大気汚染の問題を抜本的に解決するため、ディーゼル車排出ガス規制などによる大気改善や、三環状道の整備などによる交通渋滞の解消に取り組んでまいりました。
 東京地裁で本訴訟の判決を受けた際も、正当な文明批判の視点に立って大局的に判断し、患者救済を最優先に考えて、控訴を断念するとともに、和解に向けて医療費助成制度の創設を提案いたしました。
 今回、長い道のりではありましたが、都と都議会とが手を携えて強力に進めてきた取り組みが、ようやく国を動かしたと思います。環境問題についての歴史認識や、強い危機感を持っている安倍首相だからこそ、東京のメッセージをしっかり受けとめて国の姿勢を大転換させ、歴代内閣がなし得なかった決断をすることができたと思います。私としては、安倍首相の英断を高く評価しております。
 二十世紀の負の資産ともいうべき大気汚染問題の解決に向け大きく前進したことで、今後は温暖化など、地球の未来にとって極めて深刻な諸課題にも都として全力で取り組んでまいります。
 次いで、気候変動対策への取り組みについてでありますが、地球温暖化のもたらす気候変動の危機はもはや明白でありまして、これを回避するためにはCO2の排出量を劇的に削減することが必要である。つまり、節電です、節電。
 都は、実効性のある具体策を提示できない国を待つことなく、今般、気候変動対策方針を定めました。「十年後の東京」に掲げたCO2排出量を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減するという目標を達成するために、今後数年間を低CO2型社会への転換始動期と位置づけ、戦略的、集中的に対策を実行していくつもりでございます。
 大規模事業所に対する節電による削減義務化や排出量取引制度は、来年度じゅうの条例改正を目指すとともに、民間資金、地球温暖化対策推進基金、税制等を活用して、必要な投資は大胆に実行したいと思っております。
 こうした取り組みを通して、世界で最も環境負荷の少ない都市を着実に実現し、日本の気候変動対策をリードしていきたいと思っております。
 次いで、新たな緑化募金についてでありますが、緑あふれる東京の再生は、「十年後の東京」の具体化に向けた極めて重要な課題であります。
 その第一歩として、ごみや残土で埋め立てられた島を緑の島に生まれ変わらせ、東京湾から都心への風の道をつくり出したいと思っております。このために、中央防波堤内側処分場に海の森を本格的に整備いたします。
 整備に当たっては、都民や企業などの幅広い参加と協力を得て進めてまいりますが、中でも海の森の苗木については、都民から海の森募金を募り、都民と協働して森を育てていきたいと思っております。ぜひ多くの都民の皆さんのご協力をいただきたいと念願しております。
 さらに、この募金は、海の森にとどまらず、街路樹の倍増など緑化を広範かつ強力に進めるため、ことしの秋に新たな緑化募金に拡大いたします。こうした募金の活用を初め、従来の行政の枠を超えた新しい発想で、広く緑のムーブメントを巻き起こしていきたいと思っております。
 次いで、都の財源を奪う動きについてでありますが、国は地方を厳しい状況に陥らせた張本人でありながら、みずからの責任を棚上げして、本来なされるべき国と地方の分権改革の議論を都市対地方の構図にすりかえようとしております。
 国のこうした小手先の手法では、問題は解決できません。国からの権限と税源の移譲、地方交付税を含む財政調整機能の充実、これらを一体的に実現することこそが必要であります。
 先日、神奈川県、愛知県、大阪府の知事さんと会談を行いまして、地方同士の連携の重要さを確認するとともに、緊急アピールを取りまとめ、昨日、官房長官に申し入れを行ってまいりました。
 ともかく小渕内閣時代にせっかく地方分権一括法なるものができましたが、あの付記に、ただし、税財源の分与、譲与は中長期の目的であるというつまらぬ付記がついておりますけれども、現在の内閣の尾身財務長官なる男は、とにかく今後一切、税源の分与は地方にしないと公言してはばからない。こういう時代錯誤というか、面妖な大臣がいる内閣に、私は地方分権なんていうのは本当に推進できないと思っています。
 今後も国の理不尽な動きに対抗し、都議会の皆様と力を合わせて、真の地方分権の実現に全力で取り組んでまいります。
 次いで、高速道路の料金体系の見直しについてでありますが、今週末、圏央道が関越道から中央道まで開通いたします。また、年末には中央環状線が池袋から新宿まで開通するなど、首都圏三環状道路の整備が着実に進んできております。
 首都圏の高速道路ネットワークの機能を十全に発揮させていくためには、現在の入り組んだ料金体系を、渋滞解消に役立ち、かつ利用者にわかりやすいものに改める必要がございます。
 このため、都は、環状道路の利用を促進する政策的な料金の導入や、将来的な料金の一元化など、首都圏の高速道路の料金体系を一都三県の連携によって提案し、その実現を国に強く働きかけてまいります。
 今週末の土曜日に、できました圏央道とのコネクションの開通式がありますが、地元の八王子の黒須市長以下八王子の幹部が、こんなばかな料金体系があるかというので、そのテープカットの式には参加しないというボイコットを表明しています。
 これは本当に気持ち、わかりますよ。わけのわからない料金体系で、相手側のいい分は、要するに時代が違って工費に金がかかったからということで、料金が違うのは仕方ないといっていますけれども、計算してみましたら、新しく開通する道路は一キロ当たり四十円ですか。ところが、反対側を回れば一キロ当たり二十五円という、こういう格差がまかり通るというのは本当におかしな話でありまして、これは国のイニシアチブで変わるべき問題だと思いますけれども、その道路を保有し、利用する地方であります東京も、この問題については重大な関心を持って、こういったものの是正に他県とも協力して働きかけていきたいと思っています。
 次いで、新銀行東京についてでありますが、開業からこれまでに一万六千六百件の融資、保証を実行しており、中小企業金融において重要な役割を果たしてきたと思います。しかしながら、計画を上回る不良債権の発生などにより、経営が極めて悪化しました。
 今般、新銀行東京は、平成二十一年度の単年度黒字を目指して新たな経営計画を策定するとともに、代表を銀行出身の森田氏に交代することといたしました。
 立て直しに向けては、都としても、大塚前副知事を含め、五人の幹部職員を派遣し、支援することにいたしました。
 しかし、多額の不良債権が発生したことなど、経営結果は到底納得できないものでありました。今後、その原因を整理しなければならないと考えております。この過程で、私も幾つかうっかり発言をいたしまして、あることの是正を求めましたが、株主としての立場というのをそんたくしてほしいという苦情が入りまして、口をつぐみましたが、結果としてこういうことになりました。
 ゆえにも、人事も一新いたしましたが、こういう困難な条件のもとであっても、新経営陣とともにベストを尽くして、中小企業に対する金融支援を一層充実していきたいと思っております。
 次いで、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、次代を担う子どもたちは社会の宝でありまして、子どもたちが健やかに育つ環境を整備することは、行政はもとより、社会全体の責務であります。
 都はこれまで、認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備など、国に先駆けて子どものためのさまざまな独自の施策を展開してまいりました。
 子育てにかかわる経済的支援については、本来、国が実施すべきものでありますけれども、国の取り組みが不十分であることから、私も公約として、所得格差を踏まえつつ、あくまでも所得格差を踏まえつつ、だれもかれもというわけにはいきません、中学三年生までの医療費負担をゼロにすることにいたしました。本公約については、今後、実現に向けて準備を進めてまいります。
 なお、他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 銃器事犯への取り組みについてお答えいたします。
 我が国が良好な治安を保ってきた要因の一つに、銃器に対する厳しい規制、取り締まりが挙げられるところであります。しかしながら、近年、暴力団がけん銃を使用する事案が多数発生したことから、警視庁では、かねてより暴力団総合対策やけん銃等摘発総合対策を強力に推進し、暴力団の徹底検挙に取り組み、武器庫の摘発や密輸、密売事犯の検挙など、けん銃の押収に努めてきたところであります。
 その結果、最近の都内におけるけん銃発砲件数は、平成十三年の五十八件をピークに減少傾向にあり、昨年は三件でありましたけれども、本年に入りまして、暴力団によるけん銃使用対立抗争事件やけん銃発砲立てこもり事件など、暴力団によるけん銃発砲事件が五件発生したところであります。
 警視庁では、引き続き、都民生活の安全と安心を確保するため、暴力団対策を徹底し、情報収集の強化、税関、海上保安庁等関係機関との連携強化による水際対策の推進など、銃器事犯の取り締まりとけん銃の押収に努めてまいる所存であります。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の子どもの生活習慣確立プロジェクトの取り組みについてでございます。
 子どもの生活習慣を確立するためには、その必要性を広く社会全体に訴えるとともに、学校、地域社会、企業、行政機関等が協働して家庭を支援し、その取り組みが地域に定着することが重要であると考えております。
 お話のありました啓発用のDVDやテキストにつきましては、本年度も引き続き全公立小学校の入学説明会等の時期に配布し、教育に関心の薄い保護者にも生活習慣確立の必要性が効果的に伝わるよう、活用してまいります。
 さらに、出産を控えた親を対象といたしました両親学級や、幼児期の保護者を対象とした家庭教育学級などを通しまして、早い時期から保護者に働きかけるとともに、都医師会や企業、関係各局等の協力を得まして、さまざまな機会に子どもの生活習慣確立のための取り組みを広げてまいります。
 次に、家庭の教育力向上への支援についてでありますが、都教育委員会はこれまでも、子どもの生活習慣確立プロジェクトを初めとした家庭教育支援の取り組みを進めるとともに、学校、家庭、地域の教育力の総合的な向上を図るために、企業、大学、NPO等も含めました都レベルのネットワークづくりや、区市における地域教育連携のモデル事業など、さまざまな取り組みを進めてきたところであります。
 本年五月に設置しました第七期東京都生涯学習審議会におきましても、新しい教育基本法のもとでの、これからの社会教育施策のあり方について諮問したところであります。
 今後、審議会における家庭教育に関する議論も踏まえながら、例えばPTA団体や都医師会等とのより緊密な連携により、家庭や家庭を支える地域への施策の定着を全都できめ細かく推進するなど、家庭の教育力向上を社会全体で支援する仕組みづくりをさらに進めてまいります。
 次に、東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画の策定についてであります。
 平成十六年度から本年度までの第一次実施計画において、知的障害のある児童生徒の増加に応じました教室の確保や、肢体不自由の児童生徒の通学時間軽減等のため、特別支援学校の新設、増改修等を積極的に推進してきたところでございます。
 都教育委員会といたしましては、本年四月の改正学校教育法の施行を受けまして、特別支援教育のさらなる推進と定着を図るべく、平成二十年度から二十二年度までの三カ年を計画期間とする第二次実施計画を、本年秋を目途として策定する予定であります。
 この第二次実施計画におきまして、引き続き特別支援学校の再編整備を進めるとともに、障害者の自立と社会参加のため、職業教育の充実、知的障害が軽い生徒を対象といたしました高等部の計画的な設置、就労先、実習先の開拓等に取り組み、特別支援教育の一層の充実を図ってまいります。
 最後に、東京都独自の取り組みについてでありますが、東京都では、全国に先駆けて、養護学校への希望者全員就学及び通常の学級に在籍する児童生徒が特別の指導を受ける、いわゆる通級制度の創設等、数多くの取り組みを実施してまいりました。
 特別支援教育推進計画第二次実施計画の策定に当たりましては、学校現場に医療や福祉等の専門家がかかわり、一人一人のニーズに合った指導体制を構築するなど、今後も、東京都ならではの国を先導するような改革を推進してまいります。
   〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 「十年後の東京」を実現するための実行プログラムの策定についてでございます。
 「十年後の東京」に掲げました目標を確実かつ迅速に実現していくためには、財政、組織、政策展開が一体となりました、オール都庁の総合力を発揮しますとともに、都民、企業、行政が協働しながら、東京全体で取り組みを進めることが重要であります。
 ご指摘のように、地球温暖化や少子化対策、建物の耐震化促進など、全庁的な取り組みが欠かせない課題につきましては、組織横断型の戦略会議の成果を十分反映させてまいります。
 また、多くの都民や企業などの参加によります、広範なムーブメントを創出するための新たな手法を具体化いたしますとともに、実効性を確保するために創設をいたしました都独自の四つの基金を活用して、取り組みを加速させてまいります。
 今後、来月末を目途に策定方針を定めまして、各局との意見交換を行いますとともに、都議会の皆様から十分ご意見を伺いながら、知事本局の総合調整機能を最大限発揮をいたしまして、実行プログラムの策定に取り組んでまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) オリンピック招致に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国内の招致機運の盛り上げについてでございます。
 これまでも、東京大マラソン祭りを開催するとともに、スポーツ大会や地域イベントにおけるPRブースの出展、パンフレットの配布、横断幕やのぼり旗を用いた広報活動を展開してまいりました。
 また、去る五月二十四日には、東京オリンピック招致大使として、マラソンの有森裕子さん、野球の星野仙一さん、柔道の山下泰裕さんを任命いたしました。今後は、さらに招致機運を盛り上げていくために、スポーツ界のみならず、各方面で活躍している多くの方に招致大使をお願いしてまいります。
 また、町内会や商店街と連携したPR、例えば東京五輪音頭を用いた夏祭りでの盛り上げ、ロゴマークを活用したポスター、フラッグ、ピンバッジ、横断幕等によるPR、さらには、メダリストを初めとするオリンピック出場選手によるフォーラムの全国展開、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等のマスメディアの活用など、各種の方法を用いながら、都議会を初め、JOC、競技団体、国、区市町村、企業、経済界等と連携して、今まで以上に広がりのある広報展開を戦略的かつ効果的に行い、招致機運を強力に盛り上げてまいります。
 次に、晴海に建設予定のオリンピックスタジアムについてでございます。
 オリンピックスタジアムは、開会式や閉会式、陸上競技などが開催され、世界じゅうから多くの観客や大会関係者が集まる、大会の象徴となる施設でございます。晴海は、東京の新たな発展の可能性を有する臨海地域に位置し、そこに建設されるオリンピックスタジアムは、水と緑のすぐれた景観を有し、東京の新しいランドマークとなることが期待できます。
 また、ご指摘の、現在国立競技場がある神宮と晴海を比較した場合、第一に、神宮では十万人規模のオリンピックスタジアムや補助競技場等の建設用地が確保できないのに対し、晴海はそうした用地が確保できること、第二に、神宮に比べ、晴海は選手村予定地の有明北地区から至近距離にあること、第三に、神宮は都市計画法等の規制が多いことなどの状況にございます。
 以上のことから、オリンピックスタジアムを晴海に整備することを決定したものでございます。
 最後に、都立によるオリンピックスタジアムの整備についてでございます。
 都は、昨年六月に開催概要計画書を発表して以来、一貫してオリンピックスタジアムを国立で晴海に整備することを国に要望してまいりました。しかし国は、東京に二つの大規模な競技場を建設することはできないとの立場をとり続けております。そのため都は、オリンピックにふさわしいスタジアムを提供する開催都市としての責任を果たすとともに、大会後も、都民の貴重な財産として、スポーツ、文化の拠点を残すとの観点から、都立で整備することとしたものでございます。
 整備に当たりましては、国費の調達や民間資金の導入に最大限努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  スポーツ選手の競技力の向上についてでございますが、六年後に迫った東京国体で活躍できる選手や、将来性豊かなジュニアの育成強化を図るため、都は、今年度、地区体育協会との連携によるジュニア育成地域推進事業等を大幅に拡充いたしました。
 こうした事業の効果を一層高めるためには、成長段階に合わせた指導プログラムの整備と普及、優秀な指導者の確保と育成、スポーツドクター等の医科学スタッフによる支援などの体系的な仕組みづくりが必要でございます。
 このため、都はこの七月に、区市町村、東京都体育協会、競技団体や学校関係者、JOC委員などのスポーツ関係有識者等で構成する東京都競技力向上推進本部を設置し、オリンピック等の国際舞台でも戦えるトップアスリートの発掘、育成を図ってまいります。
   〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) CO2の削減に向けた今後の取り組みについてでありますが、CO2排出量の大幅な削減を着実に推進するため、まず、都庁みずからの率先行動として、世界最高水準の省エネ仕様を都施設の新築、改築時に全面適用するなど、先進的な取り組みを進めていくとともに、地球温暖化対策都庁プランを改定し、大幅な削減を図ってまいります。
 また、家庭における省エネの取り組みを推進するため、白熱球一掃作戦をこの夏から展開するなど、積極的な広報活動を通じて省エネや節電がCO2削減に直接結びつくことを都民がわかりやすく実感できるよう、工夫を凝らしてまいります。
 さらに、中小企業等における省エネ努力の支援に当たりましては、省エネ設備の導入に必要な初期投資費用の調達が円滑に進むような仕組み等を構築してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場のアスベストの状況と現在地再整備の可能性についてでございますが、築地市場では、施設の広範囲にわたりアスベストが使用されておりました。しかし、飛散のおそれのあるものにつきましては既に除去し、水産仲卸売り場の屋根や駐車場のはりの部分などに、現在もアスベスト含有建材が使われてございますけれども、これらはすべて封じ込められた状態であり、安全性は確保されております。
 築地市場の現在地再整備につきましては、整備を行う場合には、営業を継続しながら工事を行う必要がございますが、現状の過密、狭隘の中では、ローリング工事用のまとまった種地を確保することができません。
 これに加え、ただいま申し上げましたアスベスト対策として、仲卸売り場等を密閉し、隔離した状態で解体処理を行うことが必要となり、市場業者の一定部分が営業を停止せざるを得ず、営業活動に深刻な影響を及ぼすことになるなど、厳しい制約条件が多いことから、現在地再整備は不可能であると考えております。
 次に、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議の今後の進め方についてでございますが、都は、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策などについて、科学的、客観的な検証を行うため、公平、中立な立場の専門家による専門家会議を発足をさせました。
 去る五月十九日に開催されました第一回会議では、東京ガス株式会社が実施した土壌汚染調査に対する評価を行った上で、ベンゼンなどの揮発性物質のガス化への対応、地下水の管理の重要性、地下室等の施設配置のあり方などにつきまして、活発に意見交換が行われ、その中で、都民や市場関係者の不安を解消する観点から、一部、追加調査の必要性も指摘されたところでございます。
 第二回以降の会議におきまして、追加調査の内容や範囲、新たな対応策の必要性などを議論し、本年九月を目途に具体的な提言をいただく予定でございます。
 都は、こうした専門家会議の検討や提言を踏まえて、必要な措置を確実に実施し、豊洲新市場を都民が安心できる市場として開場させてまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 不合理な財源調整の動きに対する反論についてでございます。
 そもそも、地方におきます法人課税は、法人が事業活動を行うに当たり、自治体が提供する行政サービスを利用することから、その応益関係に着目いたしまして、応分の負担を求めるものでございます。
 これに対しまして、法人二税の税収の人口基準による再配分あるいは消費税と法人二税との入れかえといった考えは、課税の根拠、そして法人二税の果たす役割を全く無視するもので、地方税の基本原則から外れており、地方分権改革の流れにも逆行するものでございます。
 都といたしましては、東京都税制調査会にも検討をお願いし、大都市特有の財政需要に見合う税財源が確保されるよう国に対して求めていくとともに、都議会のご協力もいただき、また、他の自治体とも連携して、こうした大都市の税源を奪うための地方法人課税の見直しなど理不尽な税制上の措置に対し、あらゆる機会をとらえて反論してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 都の税財源をめぐる今後の取り組みについてでございます。
 秋以降の正念場の議論におきましては、都として重要なことは、問題の論点とそれに対する都の立場をより鮮明にしていくことでございます。
 そのため、まず今日の地方財政の厳しい状況が、国自身が行ってきた地方交付税の大幅な削減の結果生じていることを実証的に示すことにより、国の責任を明らかにしてまいります。
 同時に、東京には、これからまさに更新期を迎える社会資本ストックへの対応や大都市特有の需要など、みずからの税収で賄うべき膨大な財政需要が存在することなどを明らかにしてまいります。
 今回公表いたしました反論ペーパーにつきましても、こうした点に留意して一層充実を図り、国などが主張する都税収入の直近の増加傾向のみをとらえた誤った東京富裕論への反論をさらに強め、都議会の皆様とともに、東京の財源を奪おうとする理不尽な動きに対抗してまいります。
   〔会計管理局長三枝修一君登壇〕

○会計管理局長(三枝修一君) 公会計制度改革についてでございますが、これまで効率的な行財政運営や都民への説明責任の一層の遂行など、都庁の体質改善に寄与することを目的として取り組んできたところであります。
 平成十八年度決算では、従来の官庁会計決算に加えまして、全国で初めて複式簿記・発生主義会計による財務諸表を作成いたします。
 行政の特質を考慮しながら民間の企業会計原則に準拠し、新たに資産や負債などストック情報や減価償却費などのコスト情報を明らかにしてまいります。
 具体的には、一般会計及びすべての特別会計について、会計ごと及び局ごとの財務諸表を提示いたしますとともに、お話にありました事業別の情報についても作成することといたします。
 また、新公会計制度による初めての決算を、都民や議会にわかりやすくお示しできることができるよう、今後、その方法などについて関係各局と検討を進めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 地域防犯モデル事業についてでございますが、本事業は、マンションなどの共同住宅を含む地域の防犯力を向上させることを目的としております。共同住宅の居住者と地域の町会、自治会などが連携して行う地域防犯活動を、都、区市町村、警察署が支援するものでございまして、今年度は、都内の五つのモデル地域で実施することとしております。
 具体的には、町会などの自主防犯活動に対する支援に加えまして、共同住宅への防犯カメラの設置などを促進するほか、街路灯の設置、植栽の剪定など、周辺の防犯環境の改善にもあわせて取り組んでまいります。
 地元の区市及び警察署などと連携を密にし、各地域の特性に応じて、ハード、ソフト両面からの総合的な防犯対策を行ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) まず、都営住宅からの暴力団員の排除についてでございます。
 今回の条例改正案では、暴力団員の都営住宅への入居を認めないこととするとともに、既に入居している暴力団員についても、明け渡し請求を行うことができることといたしました。
 現在、実施に向けて、暴力団員であることの確認方法や、明け渡しに当たって警察官の同行を得る具体的な仕組みなどにつきまして、警視庁と協議中でございます。
 今後、警視庁の継続的な協力を得ながら、条例改正の趣旨を踏まえ、着実に取り組んでまいります。
 次に、豪雨対策基本方針についてでございます。
 近年、増加しております集中豪雨に対処するため、学識経験者による委員会を設置し、検討を進めてまいりました。
 この基本方針では、豪雨や浸水被害の発生頻度などを分析し、長期的な見通しを踏まえて、今後十年間で重点的に取り組む豪雨対策の促進エリアを設定することとしております。また、河川や下水道の整備計画を超える降雨により浸水被害が発生する場合であっても、床上や地下空間への浸水の防止、生命の安全確保に必要な減災のための対策を示すとともに、その実現に向けた公と民との役割分担も明確にしてまいります。
 近く中間のまとめを公表した上で、都民や関係機関の意見を聞きながら基本方針を早急に策定し、緊急性を有する対策から優先的に取り組んでまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域における河川整備についてでありますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川整備の明確な目標を設定し、それに向かって事業を推進していくことが重要であります。
 中小河川では、十年間で過去の水害と同規模の降雨による溢水の九割を解消し、残りの一割についても、被害の程度を大幅に減少させることを目標に事業を進めております。
 これまで、多摩地域の河川については、護岸や調節池などの整備を鋭意進めてきた結果、五〇ミリ降雨に対する治水安全度は、平成十八年度末で七四%になっております。引き続き目標達成に向け、空堀川や野川、入間川など、過去に河川の溢水により被害が発生した箇所において、五〇ミリ対策の完了を目指し、積極的に整備してまいります。
 今後とも、国費などの財源確保に努め、従来にも増して事業のスピードアップを図り、多摩地域における水害の早期解消に取り組んでまいります。
 次に、多摩地域の河川整備における自然を生かした取り組みについてでありますが、河川の整備においては、治水機能を向上させ安全性を確保した上で地域の自然に配慮し、人々に親しまれる河川環境を創出していくことが重要であります。
 これまでも、野川や平井川など多摩の河川では、緑豊かな遊歩道や緩やかな傾斜の護岸を整備するなど、人々が水辺に近づける工夫をするとともに、魚や昆虫、水鳥などにも優しい多自然川づくりを進めてまいりました。
 今後とも、地元自治体の協力や住民の参加を得て、多摩の豊かな自然を生かした安全で潤いのある川づくりに努めてまいります。
 次に、橋梁の長寿命化対策についてでありますが、高度成長期に集中して整備した橋梁が、近い将来、一斉に更新時期を迎えることから、かけかえ時期の平準化と総事業費の縮減を図る必要があります。
 このため、都は、全国に先駆け、橋梁に資産管理の手法であるアセットマネジメントを活用した予防保全型管理を導入しております。
 これまで実施してきた健全度調査の結果から、将来の損傷や劣化を予測して、適切な時期に最新技術により橋梁の耐久性を向上させる対策などを盛り込んだ長寿命化計画を今年度中に策定いたします。
 今後、この計画に基づき、国の重要文化財に指定された清洲橋など著名な橋梁や長大橋、主要幹線の橋梁について、橋げたや基礎の増強などの長寿命化対策を行い、効率的、効果的な管理に努め、都民の貴重な財産を次世代に継承してまいります。
   〔交通局長島田健一君登壇〕

○交通局長(島田健一君) 日暮里・舎人ライナーの運営主体になるに当たっての意義と決意であります。
 日暮里・舎人ライナーを安定的に経営していくためには、交通局みずからが運営主体となることが適当であると判断し、今回、東京都日暮里・舎人ライナー条例案を提出いたしました。
 日暮里・舎人ライナーは、区部北東部の交通利便性の向上や地域の活性化に大いに資するものと認識しており、運営に当たりましては、安全を最優先にしつつ、日暮里・舎人ライナーが地域とともに発展するよう、都営交通ネットワークも活用しながら、乗客の誘致を進めてまいります。
 あわせまして、コストの圧縮など経済性の向上に努め、経営の早期安定化に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、川魚の復活についてですが、多摩川は都民にとって身近な憩いの場であり、観光資源としてさらなる活用を図る上でも、魚であふれる豊かな川を取り戻すことは重要であると認識しております。
 そのため、都では、平成十八年度から、水産業振興プランに基づきまして、アユやヤマメの産卵場の造成や魚道の維持管理体制の整備などの取り組みを、関係機関と連携を図りながら進めております。
 今年度は、これらに加え、魚の良好なすみかを復活させるため、川に大きな石を配置して瀬やふちを創出するパイロット事業に取り組んでおります。
 今後とも、多くの都民が魚と触れ合い、楽しさを満喫できるよう、川魚の復活に努めてまいります。
 次に、多摩川のアユについてですが、釣りなどの遊漁振興とともに、都民に身近な食材として普及するためには、多摩川に香り豊かなアユを取り戻すことが大きな課題と考えております。
 このため、都では、平成十八年度から、アユの香りに影響を及ぼす要因の究明と水の浄化などに効果がある木炭を活用した改善方策につきまして、大学等の専門家と連携しながら検討を行っております。
 今後、検討結果を得た上で、香り豊かな多摩川のアユの復活に向けて、さらに取り組みを進めてまいります。
 次に、多摩地域における産業交流機能の強化についてですが、圏央道等の都市インフラ整備を契機とした異業種、異分野間や都域を超えた連携など、多様な産業交流が多摩シリコンバレーの形成にとって極めて重要と認識しております。
 このため、産学公連携や高度な技術支援などを一層推進すべく、多摩産業支援拠点を着実に整備してまいります。
 さらに、今後、関係局から成る検討組織を設置し、産業交流機能の強化に向け、ハード、ソフト両面から具体的な施策を検討してまいります。
 次に、地域資源の活用についてですが、中小企業が、東京において長年にわたって培われた独自の技術や特産品などの地域資源を生かし、新商品や新サービスを創出していくことは、地域産業はもとより、都内産業全体の底上げを図る上で極めて重要と考えております。こうした認識に立って、都は現在、区市町村と連携し、地域資源の掘り起こしを進めているところであります。
 今後、国や区市町村、商工関係団体とも連携しながら、地域資源を活用した中小企業の新事業創出に向けた取り組みを強力に支援してまいります。
 次に、都市農地の保全についてですが、都はこれまで、国に対して農地制度の改善を要請するほか、農業後継者の確保育成や魅力ある都市農業経営の確立などを目的としたさまざまな農業振興策を通じて農地保全を図ってまいりました。
 今年度は、生産緑地制度や相続税制度等の改善を国に強く要請するとともに、都独自の農地保全策に取り組んでまいります。
 具体的には、地域住民と農業者の相互理解を促進する場の設定など、住宅と農地の共存に向けた区市の取り組みへの支援を行うとともに、農業の継続を支援するため、農作業受委託の仕組みを構築してまいります。
 今後とも、都民の貴重な財産である都市農地の保全に向け、積極的に取り組んでまいります。
 最後に、新銀行東京の決算についてですが、融資、保証残高は三千二百十億円で、計画比七五%、預金残高は五千二百三十一億円で、計画比一〇九%となっております。
 また、当期損失は五百四十七億円となり、計画を大きく上回りましたが、その主な要因は、十分な貸し倒れ引き当てを行ったことと減損会計を適用したことによるものであります。これにより、将来のコスト負担が軽減されたと考えております。
 都としても、今回の決算については厳しく受けとめており、株主の立場から、新経営陣が立て直しに向け全力を尽くすよう、積極的な働きかけを行ってまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点の質問にお答えをいたします。
 まず、東京都障害者計画、障害福祉計画についてでございますが、本年五月に策定をいたしました両計画におきましては、障害者自立支援法の趣旨を踏まえ、これまで都が国に先駆けて進めてきた地域生活移行の取り組みやグループホームなどの地域生活基盤の重点的整備、喫緊の課題であります就労支援の強化を基本に据えております。
 平成二十三年度末までの主な数値目標といたしまして、入所施設利用者の一割以上及びいわゆる社会的入院の状態にある精神障害者の五割が地域生活に移行すること、一般就労への移行者を二倍以上にすることを掲げてございます。
 都は、両計画を着実に推進していくことによりまして、「十年後の東京」で描きました、障害の有無にかかわらず、だれもが安心して暮らせる地域社会を実現してまいります。
 次に、障害者雇用の取り組みについてでございますが、東京都障害者計画では、障害者が当たり前に働ける社会の実現を基本理念に掲げてございます。
 その実現のため、就労面と生活面の支援を一体的に提供いたします区市町村障害者就労支援事業を平成二十三年度までにすべての区市町村で実施することを目指してまいります。
 また、企業での就労を体験する企業内通所授産事業を拡大するなど、障害者が地域で安心して働き続けられる支援体制を整備してまいります。
 さらに、庁内関係各局や企業、経済団体、ハローワークなど関係機関の連携を強化するため、今年度中に障害者就労支援協議会(仮称)を設置し、新たな雇用機会の拡大に努め、障害者雇用の三万人増加の実現を目指してまいります。
 次に、医療制度改革への取り組みについてでございますが、人口減社会が現実のものとなった今、医療制度につきましても時代に合った制度への改革が不可欠であります。
 今般の改革は、国民皆保険制度を将来にわたり持続可能なものとするため、療養病床の再編成や生活習慣病予防対策を推進していくものであります。
 しかし、介護施設等における医療提供の具体的なあり方が明らかになっていないなどの課題もあるため、六月十一日、国に対して緊急に提案を行いました。
 都といたしましては、これまで同様、患者中心の視点に立ちまして、この改革推進の柱となる保健医療計画などの策定に向けた検討を進めまして、都民が安心できる医療の実現に積極的に取り組んでまいります。
 次に、医療保険者への支援についてであります。
 生活習慣病予防対策の一層の推進のためには、医療保険者が特定健康診査、特定保健指導を効果的かつ円滑に実施することが重要でございます。
 このため、都といたしましても、ただいま申し上げた国への提案の中で、受診者にとって利便性の高い健診等の仕組みづくり及び必要な財政支援を行うよう、緊急提案いたしました。
 また、今年度、都内の全医療保険者に対し、特定健診等の計画策定に関する研修を実施するとともに、効果的な保健指導を実施するための人材育成への支援等を行ってまいります。
 今後とも、国の対応を踏まえつつ、東京都保険者協議会等と連携しながら、医療保険者における特定健診等の着実な実施に向けて支援をしてまいります。
 次に、感染症対策の充実についてでありますが、お話しのように、麻疹等の感染症の流行を予防するためには、就学前の子どものワクチン接種率を向上させることが極めて重要であります。このためには、予防接種法に基づく定期の予防接種を確実に受けてもらうことが基本でございますが、接種期間が限られているため、法定の接種を受けられない子どもが一定数おります。
 都は、こうした子どもへの接種を促進するため、区市町村において接種期間以外にも接種が可能となるよう、今年度から新たに包括補助制度を通じた支援を開始いたしました。 今後、都は国に対して、予防接種制度の充実を初め、麻疹を根絶するための総合的な戦略を策定するよう強く要望していくとともに、流行監視体制の強化や都民への適切な情報提供など、対策の推進に万全を期してまいります。
 次に、株式会社コムスンの不正に係る対応についてでありますが、去る六月六日の厚生労働省からの通知を受け、都では即日、コムスンに対して、今後介護サービス事業者としての指定、更新などを行わない方針を伝えるとともに、利用者保護のため、介護サービスを低下させないこと、新たな事業者への紹介を確実に行うことなどについて指導を行っております。
 また、介護保険の運営主体である区市町村には、コムスンに関する事業所情報を提供するとともに、担当者会議を開催し、個々の利用者にきめ細かく対応するため、適切な相談体制の確保を依頼いたしました。
 さらに、介護支援専門員に対しましても、利用者からの相談に応じ、不安の解消に努めるよう、団体を通じて周知を依頼いたしました。
 今後は、国に対し、これまでも提案してきました不適正な事業者を排除することにつきまして、さらに実効性のある仕組みを早期に構築するよう要望してまいります。
 また、各事業者の法令遵守を徹底するため、今年度から、指定の更新に合わせ、都独自の取り組みとして事業者講習会を実施するとともに、指導、検査につきましても、引き続き厳正に行うことにより、都民が安心して介護サービスが利用できる体制の確立に向けて万全を期してまいります。
 次に、総合的な子育て支援策の推進についてでございますが、子育て支援については、子育てと仕事が両立できる雇用環境の整備を初め、課題は広範にわたっておりまして、福祉、労働、住宅など幅広い取り組みが必要でございます。
 こうした観点から、都は、庁内各局の連携をこれまで以上に強化し、総合的かつ機動的に施策を推進していくため、先般、副知事をトップとした局横断的な子育て応援戦略会議を設置いたしました。
 今後、この会議で、働き方の見直しの推進や子育て支援サービスの改革、子育てに優しい環境づくりについて重点的に検討を行い、「十年後の東京」で示した保育所の待機児童五千人の解消などを目指し、子どもと子育て家庭を支援する施策を全庁挙げて推進してまいります。
 最後に、子育て環境の整備に向けた機運の醸成についてであります。
 未来を担う子どもたちが健全に成長できる環境を整備するためには、行政はもとより、都民、企業など社会全体での取り組みが必要であります。
 都はこれまでも、シンポジウムの開催など次世代育成支援に向けたさまざまな意識啓発を図ってきました。
 今年度はさらに、社会全体で子育てを支援する機運を一層高めていくため、行政、企業、大学、NPOなどで構成する子育て応援とうきょう会議(仮称)を設置し、企業の効果的、先進的な取り組みの普及や若者の声を聞くフォーラムの開催などを機動的に行ってまいります。

○議長(川島忠一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩