○議長(川島忠一君) 二十四番石森たかゆき君。
〔二十四番石森たかゆき君登壇〕
○二十四番(石森たかゆき君) まず初めに、医療制度改革の一環として現在進められている療養病床の再編成についてお尋ねいたします。
この再編では、医療の必要性が低いにもかかわらず適切な受け入れ先がないために療養病床への入院を余儀なくされているという、いわゆる社会的入院の解消を図り、そして個々の患者の状態にふさわしい介護施設や在宅療養の場などで受け入れていこうとするものであり、利用者の視点から見ても、こうした改革そのものは必要なものと認識しております。
国は、現在全国で三十八万床ある療養病床を医療の必要性の高い患者の療養施設として十五万床程度に集約し、その余りの療養病床は介護施設等へ転換を図るものとしております。
こうした療養病床再編成が実現し、所期の目的を達せられるか否かは、療養病床から介護施設への転換が円滑に進むかどうかにかかっているといっても過言ではありません。
この点において、高齢者保健福祉計画に基づき、都内十三の老人保健福祉圏域ごとの介護施設等の定員の上限管理を行い、また、補助金により施設整備を調整していく東京都の役割は極めて重大であります。
そこで、療養病床の介護施設等への円滑な転換が図られるよう、医療関係者などの声をしっかりと受けとめ、都の有する権限や財源を駆使して、総合的な支援策を講じるよう求めますが、所見を伺います。
次に、療養病床の再編成において、主要な受け皿となるべき介護老人保健施設については、人員や設備の面で、医療機関である療養病床とは大きく異なっており、このままでは、幾ら医療の必要性がそれほど高くないとはいっても、一定の医療的対応を要する患者を受け入れることは困難であります。
そこで、重度の要介護状態にあり、医療的処置の必要な高齢者を受け入れるための、従来よりも医療機能を高めた新たな介護老人保健施設の類型を創設する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
次に、現在深刻化しているのが看護師不足の問題であります。
昨年の診療報酬改定を契機として、全国の病院で看護師の獲得競争が激化している一方で、看護師の離職率は年々増加傾向にありまして、良質な医療サービスを提供し続けるためには、若手看護師を確保、育成していかなければなりません。特に、新卒看護師は、技術的な未熟さや精神的な不安から、十人に一人が一年以内に離職している現状にあることから、新卒看護師の離職を防止し、確実に育成、定着させる方策が必要であります。
そこで、都立病院では、新卒看護師の育成にこれまでどのような取り組みをされてきたのか、お尋ねいたします。
また、新卒看護師の離職防止、育成対策は、都立病院だけではなく、都内の全病院において取り組んでこそ大きな成果が得られます。しかし、現実を見ると、多くの民間病院では、こうした新卒看護師に対する研修体制が十分整っているとはいえません。東京発医療改革を進める都として、民間病院における研修体制の整備を図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
続きまして、精神障害者の保健医療福祉施策について伺います。
精神保健医療福祉施策は、入院医療中心から地域生活中心へという大きな流れにあります。精神科病床に入院中の受け入れ条件が整えば退院可能ないわゆる社会的入院の患者は、全国で約七万人、都内では約五千人に上ると推計されていますが、国では、平成十六年九月に示した精神保健医療福祉の改革ビジョンで、これらの社会的入院患者について、十年後の解消を目指すとしております。
都は、今後、この社会的入院の状態にある精神障害者の退院促進にどのように取り組んでいくのか、伺います。
また、精神障害は、病状が変化しやすいため、退院して地域での生活に移行してからも、地域の医療機関や相談支援機関と連携して、病状の安定を図る必要があるという特性があります。いわゆる社会的入院の患者の退院を促進する上では、このような精神障害の特性を踏まえた医療のサポート体制が確保されなければなりません。
都では、これまで、精神科医療体制を先駆的に整備するなど精神科医療の確保に取り組んできましたが、今後、精神障害者が自立した地域生活を営むための支援体制を一層充実する必要があると考えますが、所見を伺います。
国は、先ごろ、障害者自立支援法の枠組みを守りつつ、三年後の見直しまでの措置として、利用者負担のさらなる軽減や、事業者に対する激変緩和措置などの特別対策を実施するとしました。我が党の代表質問でも触れましたが、この特別対策は、障害者を初め国民からのさまざまな意見を踏まえて、我が党が国に対して行った提言を踏まえてのものであります。
東京都としても、この特別対策を着実に実施するとともに、障害者自立支援法の三年後の見直しも見据え、区市町村はもとより、事業者や関係団体等の意見を十分に聞きながら、精神障害の特性に配慮した適切な対応をされるよう要望しておきます。
続きまして、都立公園の整備と水質浄化について伺います。
都市部における公園は、都民に安らぎと潤いを与えるとともに、景観あるいは防災面、そして近年ではヒートアイランド現象の緩和など、その果たす役割はますます重要となっております。
都としても、平成十二年に策定された緑の東京計画の整備拡大目標に向けて、民間活力の導入を含め、さまざまな施策を展開しておりますが、東京の場合地価が高いこともあり、市街地での大規模な公園用地の確保は困難で、思うような事業展開が図れない状況にあります。
また、多摩地域においては、豊かな緑が残されているものの、丘陵地では依然として開発が続き、里山などの貴重な自然環境が失われつつあります。雑木林や谷戸など人々の営みとともにはぐくまれた豊かな自然環境はかけがえのない財産で、この丘陵地に計画された都立公園の整備を着実に進め、里山の自然を保全することが大変重要であります。
都では、このたび、十年後の東京を見据えた長期プランを策定いたしましたが、丘陵地の公園における今後十年間の整備の進め方について、お聞かせいただきたいと思います。
平成十六年に新しい時代の公園整備と運営管理を目指してパークマネジメントマスタープランが策定され、このプランに基づいて、昨年末に公園別マネジメントプランが作成されました。都内の七十七公園、それぞれの特徴を生かしながら、積極的に質の高い公園緑地サービスの提供を目指して、都民やNPOなどと協働し、保全、管理運営をしていくこととしております。
既に、数カ所の公園では、都民、NPOあるいは企業との協働によって公園づくりがスタートしておりますが、問題点の一つに、公園内に点在する民有地があります。相続を契機に売却してしまい、マンションが建設されてしまったり、逆に公園内にあるために売るに売れないといった事例も存在いたします。
この問題を解決するには、将来の公園整備の見通しなどさまざまな課題があろうかと思いますが、買い取りの希望があったときに速やかに対応できる制度の創設などについて、今後検討されることを要望しておきます。
また、公園内にある水と緑は、公園形成の上で最も重要な要素でありまして、都市の豊かな自然を守るためには、緑だけでなく、水環境を良好に保全することが極めて重要なことだと思います。
八王子市から石原都知事あてに、整備拡充の要望書が出されております都立小宮公園も、豊かな自然が残る丘陵地の公園の一つであります。この公園では、深い森の中を思わせるような豊かな木々と多くの生き物が生息しておりますし、また自然のわき水が雑木林の中を通って池に流れておりまして、水と緑が調和した美しい景観を楽しむことができます。
小宮公園に限らず、他の都立公園にも多くの池がありますが、これらの池の水質を改善し、維持するために、現在どのような取り組みを行っているのか、お示しいただきたいと思います。
都内の公園には、湧水を水源とする池が存在いたしますが、都市化の進展によって湧水の減少が見られるためか、幾つかの池では水質の悪化が見受けられます。
こうした中、昨年五月に井の頭恩賜公園にある井の頭池の水質浄化に関する新聞報道がありました。この公園では、池の水をきれいにしたいという地域の思いが高まって、地元の都民が中心となり、都がバックアップをしながら、地下水を豊かにして、井の頭池の湧水を復活させる取り組みを始めたとの報道でしたが、我が党としても、このような取り組みについては、高く評価をし、その推進を期待しているところであります。
今後、井の頭恩賜公園において、さらに湧水の復活による池の浄化を進めるべきだと思いますが、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。
次に、圏央道を中心とした多摩地域における道路整備について伺います。
知事の強力なリーダーシップのもと、圏央道や多摩南北道路などの骨格幹線道路の整備は着々と進み、成果があらわれてきているところであります。しかし、まだまだ骨格をなす幹線道路の整備は道半ばであり、この道路整備のおくれにより慢性的な交通渋滞を発生させ、都市機能の低下と地域環境の悪化の原因となっております。
また、オリンピックの招致や、その三年前に開催される東京多摩国体を確実に開催することはもとより、自立ある多摩地域の発展のためには、骨格となる道路などの基本的な都市基盤整備が必要なことは論をまちません。
いよいよ本年六月には待望の圏央道のあきる野インターチェンジ─八王子ジャンクション間が開通いたします。これにより、国道一六号はもとより、周辺道路の混雑緩和と同時に、インター周辺での企業進出を初めとする地域活性化に大変大きな期待が寄せられているところであります。
「十年後の東京」においても、圏央道の整備により、産業集積化が進み、つくば、埼玉、神奈川等の産業交流の活発化が期待でき、ひいては多摩地域が首都圏の中核拠点に発展することが期待されています。そこで、圏央道を中心とした多摩地域における今後の道路整備について、知事の所見を伺います。
また、八王子北部地域では、圏央道のアクセス道路となる新滝山街道が、多摩リーディングプロジェクトの重点推進事業として、現在順調に事業進捗が図られておりますが、この新滝山街道に接続するひよどり山有料道路は、八王子市内中心部と八王子インター周辺地区を結び、南北間の慢性的な渋滞を避けながら通行のできる極めて利便性の高い道路であります。
この道路が本年六月には一般道路化される方針で、都民がより一層利用しやすくなりますが、一方、平成十九年度予算編成では、今回の措置を、いわゆる負の遺産処理の一環として位置づけられております。負の遺産処理は、財政構造改革を進め、揺るぎない財政基盤の構築を目指す知事の重要な施政方針であり、その実現に向けて来年度から抜本的な対策に取り組まれたことは高く評価いたしますが、どのような理由から、この機をとらえて無料開放とすることにしたのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
また、圏央道あきる野インター開業に合わせて行った無料キャンペーンでは、交通量が一万台を超え、周辺道路の渋滞が緩和されたと聞いており、無料化によってはかり知れない効果が期待されます。しかしながら、今回の方針は余りにも負の遺産の解消といった経営面だけがクローズアップされております。都としてはどのような効果があると考えておられるのか、お示しいただきたいと思います。
八王子北部地域については、幹線道路が集中していて、交通需要の非常に高い地域でありますが、ひよどり山有料通路の無料化、新滝山街道の整備などによって圏央道及び西多摩地域との交通ネットワークが強化され、広域的な交通利便性がより向上するものと思われます。
そして、さらなる飛躍活性化のためには、多摩川で隔てられた北多摩地域との一層の連携が次なる課題となります。
都では、多摩地域を自立性の高い活力ある圏域としていくため、多摩川による地域分断の解消を図るべく、多摩川中流部の橋梁整備を進めてまいりました。現在までの橋梁整備により、それまで約四キロあった橋梁間隔は二キロ余りとなっております。昨年完成した多摩川原橋周辺では、交通状況が格段に改善されたと聞いておりますし、多摩大橋も渋滞解消に向けて整備が完了しようとしております。
しかしながら、多摩川に接している八王子北部地域の多摩大橋から睦橋間に注目すると、現在は国道一六号の拝島橋だけに頼っている状況にありまして、周辺の交通渋滞が慢性化しております。
そこで、このような状況について、都としてはどのように認識しているのかお尋ねし、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 石森たかゆき議員の一般質問にお答えいたします。
多摩地域における今後の道路整備についてでありますが、「十年後の東京」では、オリンピックの招致や東京国体を視野に入れ、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくりかえていくことが重要であることを示しました。
特に多摩地域は、圏央道の全線開通の暁には、その可能性は飛躍的に高まりまして、広域多摩とも呼べる新しい圏域が形成されると思います。
本年六月には、八王子ジャンクションまでが完成し、いよいよ関越道と中央道が結ばれます。これは、四年前、国に強く働きかけまして、たしか参議院先議だったと思いますが、ごく短期間で土地収用法の改正を実現させて、迅速に土地収用を進めた成果であると思っております。
圏央道と一体となってネットワークを形成する多摩南北道路などを整備し、首都圏の活力の一翼を担う多摩を実現したいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕
○福祉保健局長(山内隆夫君) 福祉、医療に関する五点のご質問にお答えいたします。
まず初めに、療養病床の転換支援についてでございますが、いわゆる社会的入院の是正を目的とする療養病床の再編成を着実に実施する上で、受け皿となる介護施設等への円滑な転換を果たすことは喫緊の課題でございます。
そのため、都は、介護施設等の定員数を規定する高齢者保健福祉計画の平成二十一年度の改定に向け、療養病床実態調査の結果や医療関係者の意見も踏まえて、本年秋までに地域ケア整備構想を策定する予定でございます。
また、療養病床から介護老人保健施設等への転換を支援するため、国の交付金に加え、都独自の補助を実施することとしております。
こうした取り組みによりまして、療養病床から介護施設等への円滑な転換が図られるよう、都として総合的に支援してまいります。
次に、介護老人保健施設の医療機能についてでございますが、今回の平成二十三年度までの療養病床再編成によりまして、医療の必要性の高い高齢者については、再編以降は医療療養病床において対応していくこととされております。
現行の療養病床と介護老人保健施設とでは、両施設の目的等の違いから、医師や看護師の配置基準が大きく異なるなど、医療提供体制に差異があることはご指摘のとおりでございます。この点について、昨年六月に成立した医療制度改革関連法の附則において、療養病床の再編成に関連して、その受け皿となる介護老人保健施設等の入所者への医療提供のあり方に関する検討規定が設けられております。これを踏まえまして、現在、国において専門家による検討が進められておりまして、都としてもその動向を注視してまいります。
次に、民間病院での看護師に対する研修体制の整備についてでございますが、看護師として養成した貴重な人材が早期に離職し、看護の仕事から離れてしまうことは、大きな損失でございます。
日本看護協会の調査によれば、新人看護師の離職原因の第一位は、学校で学んだ知識と現場の看護業務とのギャップからくる自信喪失でございます。学校では基礎的な知識、技術は学んでいるものの、医療が高度化、専門化する中で、看護に求められる高い技術や判断力を身につけるには、卒業後も臨床の場で研修を行っていくことが重要でございます。
今後、都は、新人看護師の研修体制の整備を図るため、採用の多い病院に対しては専任の研修担当者の配置を促進し、また、少ない病院には熟練した研修指導者を派遣して個別指導を行うとともに、研修資器材の整備を支援する早期離職防止対策事業を全国に先駆けて実施してまいります。
次に、精神障害者の退院促進についてでございますが、ご指摘のとおり、都内のいわゆる社会的入院の状態にある精神障害者は約五千人と推計されております。その退院の促進と、退院後の安定した地域生活を支援する仕組みの構築が重要な課題と認識しております。
このため、都は、相談支援機関である地域活動支援センター等に退院促進の支援員を配置しまして、入院中の精神障害者に対する退院に向けた働きかけを行っております。あわせて、グループホームを活用した体験入居を実施するなど、円滑な地域生活への移行を支援しております。
なお、今年度中に策定する東京都障害福祉計画において、退院促進の具体的な数値目標を設定し、地域生活への移行に積極的に取り組んでまいります。
最後に、精神障害者の自立した地域生活の支援体制についてでございますが、精神障害者が地域で安定した生活を営むためには、地域における継続的な医療サービスの提供はもとより、相談支援体制の充実を図ることが重要でございます。
このため、都では、平成十九年度より、グループホーム等から単身生活に移行する障害者の相談に的確に対応できる仕組みづくりを行う区市町村に対しまして、包括補助事業を活用して支援してまいります。
また、夜間の相談等に適切に対応するため、夜間こころの電話相談を、土曜、日曜も加えた三百六十五日体制に拡充いたします。
〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕
○病院経営本部長(大塚孝一君) 都立病院における新卒看護師の育成についてお答えいたします。
都立病院では、これまで、看護師の採用のときから、職員一人一人の習熟度に応じましてキャリアパスによる研修体系を取り入れ、その中で定着に向けた初期研修を行ってまいりました。
さらに、今年度は、墨東、府中、八王子小児の三つの病院におきまして、専任の指導者を配置し、基本的な技術習得にとどまらず、心のケアも含めたきめ細かな指導を行うなど、カリキュラムを充実させた看護臨床研修を実施いたしまして、新卒看護師の定着化に向けた取り組みを行っております。
この結果、三病院の新卒看護師の離職率は、昨年度十二月末時点で一七・五%だったものが、今年度は同じ時期でわずか二・三%となっておりまして、顕著な効果があらわれていると考えております。
今後とも、こうした看護臨床研修の充実強化を図ることによりまして、人材育成に力を注いでまいります。
〔建設局長依田俊治君登壇〕
○建設局長(依田俊治君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、丘陵地の公園における今後十年間の整備の進め方についてでありますが、丘陵地の都立公園は、里山の自然環境を保全するとともに、都民の自然体験の場としても重要でございます。
そのため、里山の自然の中核をなす雑木林の下草刈りや間伐などを行い、多様な動植物の生育環境を保全するとともに、自然に触れ合える散策コースを設けるなど、今後十年間で百二十五ヘクタールを計画的に整備する予定でございます。
平成十九年度には、小宮公園など三つの公園で用地を取得するほか、桜ヶ丘公園や長沼公園など五つの公園で計二十四ヘクタールの整備を実施いたします。
今後とも、丘陵地の公園の整備を着実に進め、多摩の豊かな緑の保全と活用に取り組んでまいります。
次に、都立公園の中にある池の水質についてでありますが、公園の池は都民に安らぎや潤いを与えるとともに、多くの動植物に接する場として重要な役割を担っております。しかし、都市の発展に伴い、市街地の公園の池では、湧水の減少や落ち葉などの有機物の堆積により、水質の低下が見られます。
公園の池の役割を十分に果たすためには、水質を改善し、維持していくことが必要であります。そのため、井戸により地下水を補給し、池自体の自浄能力の維持を図ってまいりました。また、堆積した落ち葉などのしゅんせつや、ろ過装置の設置などさまざまな取り組みを行ってまいりました。引き続き、これらの対策を効果的に組み合わせ、公園の池の良好な水質の維持に努めてまいります。
次に、井の頭恩賜公園における湧水の復活による池の浄化についてでありますが、この公園にある井の頭池は、かつて神田上水の水源として豊富な湧水に恵まれていましたが、市街化の進展に伴い湧水が減少し、池の水質の低下が見られます。
池の水質浄化を図るためには、ご指摘のように、雨水を地中に浸透させ、地下水を涵養し、湧水を復活させることが重要でございます。このため、公園内での雨水浸透ますなどの設置や、公園周辺都道の歩道における透水性舗装を進めてまいりました。
さらに、公園外の宅地などにおいても雨水浸透ますの設置を促進するため、地元主催のシンポジウムなどを通じて、地下水涵養の重要性を訴えてまいりました。
今後とも、園路の透水性舗装を拡大するなど、さまざまな工夫により、湧水の復活を図り、井の頭池の水質浄化に取り組んでまいります。
次に、ひよどり山有料道路を無料開放する理由についてでございますが、本道路は、八王子周辺の交通渋滞の緩和と圏央道アクセスの確保を早期に実現するため、有料道路事業により平成八年に整備に着手し、平成十三年に開通いたしました。開通以来、バス路線が開設されるなど、八王子中心部へのアクセスは格段に向上しましたが、交通量は計画の四割にとどまっており、道路が十分に活用されていない状況でございます。
また、これからピークを迎える建設元金返済に対して、今年度以降、資金ショートが発生する見込みでございます。
一方、地元八王子市からは、地域の利便性を高めるとともに、一体的なまちづくりを進めるため、本道路の無料開放と市道移管を要請されております。そこで、周辺の交通状況を改善し、あわせて経営上の課題を解決するとともに、まちづくりを支援するため、本年六月に本道路を無料開放し、市へ移管いたします。
次に、無料開放による効果についてでありますが、平成十七年に行った無料キャンペーンの結果から、本道路の無料開放により、交通量は現在の約三倍、一日一万台程度の利用が見込まれます。
無料開放によりまして、国道一六号など幹線道路の交通渋滞を緩和し、圏央道あきる野インターとのアクセスが向上するなど、広域的に交通状況が改善されること、また、周辺の生活道路に流入する通過交通が減少することにより、交通安全性が向上し、生活環境が改善されること、さらに、この春、都内で最初の道の駅が開業する八王子インター周辺地区と中心市街地の連携が強化され、市が進める一体的なまちづくりにも寄与することなど、交通対策やまちづくり支援など、新たな道路を整備することと同様の効果を直ちに発揮いたします。今後、本道路の無料開放に向け、市と連携しながら着実に取り組んでまいります。
最後に、八王子北部地域の交通状況についてでありますが、この地域では、多摩南北方向の骨格幹線道路である八王子村山線や国道一六号で、合わせて一日七万台を超える交通量があり、慢性的な渋滞が生じております。これは、この地域における幹線道路のネットワークが十分形成されていないこと、ボトルネックとなっている交差点があること、多摩川にかかる立日橋から睦橋間の橋梁間隔が、多摩川中流部橋梁の平均間隔と比べて広いことなどが要因であると考えております。
都としては、圏央道や国道一六号の整備促進を国に強く働きかけていくとともに、事業中の新滝山街道の整備や多摩大橋の拡幅、橋詰交差点の改良など、引き続き渋滞対策に取り組んでまいります。
今後は、こうした事業の進捗を見ながら、渋滞の解消に向けた施策について、国や地元自治体などと調整を図りながら研究してまいります。
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