平成十九年東京都議会会議録第三号

   午後六時六分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十六番鈴木あきまさ君。
   〔二十六番鈴木あきまさ君登壇〕

○二十六番(鈴木あきまさ君) 初めに、文化振興について伺います。
 東京都は、文化振興を推進する体制整備の一環として、昨年十二月に文化条例を改正し、文化振興施策を総合的かつ効率的に推進するため、新たに知事の附属機関として、このたび、東京芸術文化評議会を設置しました。
 評議会の創設については、知事が定例記者会見で東京都文化振興指針の策定を発表した折に、特に重要な取り組みとして言及されたほか、昨年十二月の第四回定例会においては、東京の芸術文化振興の頭脳部と表現されました。そこで、知事は評議員にどのような方々を迎え、評議会にどのような役割を期待しているのか、改めて伺います。
 次に、保護司活動の支援について質問いたします。
 都民の多くが治安対策を求めている今、犯罪のない明るい社会づくりに地域で地道に取り組む保護司の活動はますます重要性を増しております。
 これまでの都と保護司のかかわりは必ずしも十分なものではありませんでしたが、平成十七年十一月、知事が東京都青少年問題協議会に、少年院等を出た子どもたちの立ち直りを地域で支援するための方策について諮問され、昨年十月に出された答申の中核に、保護司活動に対する都の支援の充実強化が位置づけられたことは、大変意義深いものであります。
 究極の治安対策は青少年の健全育成にあると知事は常々述べられていますが、治安対策を求める都民要望にこたえるためにも、この答申に盛り込まれた施策の実現に向け、知事ご自身が先頭に立って、都と保護司とが一体感を持って取り組みを進めていただきたいと強く願うものであります。
 そこで、この答申の実現に向けた知事の決意を伺います。
 また、答申では、少年院を出院した少年の四分の一が、少年院を出てから五年のうちに再び少年院や刑務所に戻るという実態が明らかにされています。罪を犯した少年には、その罪の重さをしっかりと自覚させることが不可欠ですが、まだ若い少年は、みずからの罪を反省して、きちんと立ち直るだけの柔軟性も備えております。だからこそ、少年院を出た少年を地域社会の一員として定着させることが大切になってきています。
 答申では、少年院出院者が抱える困難を踏まえて、就労の支援を初めとするさまざまな都の施策を少年に届けるため、最前線で少年の指導に当たっている保護司の支援を充実することが示されておりますが、都には、答申に盛り込まれた個々の具体的な提言を速やかに実現に移していくことが求められています。
 都は、答申を受けて、保護司とどう連携して少年院出院者の支援対策に取り組んでいくつもりなのか、お伺いいたします。
 次に、ものづくり人材の育成について伺います。
 ものづくりの人材が不足していく要因としては、小さいときからものづくりに触れる機会や、実際に自分で物をつくってみることが少なくなったことなどが考えられます。
 私の小中学校時代には、学校でちり取りや本棚をつくったり、プラモデルのレーシングカーをつくって友達と競争させて、負けたときには悔しくて、車体を軽くするためにナイフや紙やすりで何度も削ったものです。このような小さいころからのものづくりの原体験が大事だと考えております。
 産業界、特にものづくり分野における人材不足、人手不足は深刻で、平成二十七年以降には生産年齢人口が減少に転ずると見込まれており、その対応として、質の高い人材を確保、育成することは重要な課題となっております。
 東京のものづくりの基盤を支える中小企業の後継者不足や、即戦力となる人材の不足が深刻化する中、地元の企業の皆さんからも、優秀な即戦力が欲しい、若い高卒の人材が欲しいとの声が強く聞かれます。
 これまで、高専や工業高校は製造現場の技術者輩出に大きな役割を果たしてきたことは承知していますが、技術の急速な進歩等により、実社会に対応した人材育成に課題が生じているのではないかと危惧しています。また、企業との連携についても、校長先生の人脈で、一人で企業と進めている学校もあると聞いています。
 企業と学校が一体となって教育するデュアルシステムのような取り組みにより、学生に実践力をつけさせるとともに、ものづくり企業の魅力を体感させることが有効です。教育庁や産業労働局、総務局を初め、オール東京都として、デュアルシステムが拡大できるようバックアップすべきです。
 デュアルシステムの拡大や高専と工業高校との連携など、ものづくり教育に具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 ものづくり人材の育成においては、人材のすそ野を広げるという意味で、早い段階からの一貫教育や複線的な人材育成など、多様な仕組みが求められているとともに、中小企業が持つ高度な技術力を生かし、厳しい競争にも打ち勝つことができる、自立した企業の原動力となるような高度専門技術者の育成も重要であります。
 城南地区には、都立産業技術高等専門学校のほか、今年度開学した産業技術大学院大学がありますが、同大学では今後どのようにものづくり人材の育成に取り組むのか伺います。
 また、城南地域は機械金属工業が集積しており、東京のものづくり産業を支える屋台骨であります。今後ともその役割を担っていくためには、人材の確保、育成への積極的な支援が欠かせないものとなっています。
 都は来年度、我が城南地域を初め四カ所に職業能力開発センターを設置し、関係機関と連携しながら、地域における企業の人材確保、育成を支援していくこととしていますが、同センターでは具体的にどのように関係機関と連携を図っていくのか伺います。
 次に、羽田空港に関連して質問いたします。
 羽田空港は、これまで、国内航空ネットワークの拠点として四十九空港とネットワークを結び、国内航空旅客の約六〇%、約六千三百万人が利用する空港であります。
 今回の再拡張・国際化により、羽田空港は国際空港として再び離陸することとなります。これまでの羽田空港の整備は国内空港としての整備でありましたが、今後は国際空港としての整備が求められます。
 国の羽田空港の国際化の考え方は、発着枠で年間三万回、就航路線については、羽田発着の国内線の距離を目安として、石垣島までの距離千九百四十七キロメートルとしています。この運航距離では、北京や台湾、香港にも行くことはできません。
 この就航路線については、多くの方からもっと遠くへ飛ばすべきであるとの意見が出されています。国際競争力の強化や国際航空路線網の充実の観点から、距離制限はすべきではないと私は考えます。
 このことについて、知事は、一月十二日の記者会見で、私見として、世界の全体の動き、東南アジアの成熟度を考えると、ジャンボで満タンにしてアメリカまで飛ぶことはできないかもしれないが、東南アジアくらいの距離だったら当然すべきだと思うと述べられていますが、就航路線の距離制限があることについて知事はどのように考えておられるのか、改めてお伺いいたします。
 次に、空港周辺の交通アクセスの改善についてお伺いをいたします。
 羽田空港の再拡張により、発着容量は現在の一・四倍となり、人、物が格段に増加していくことが見込まれます。しかし、現状の空港周辺の幹線道路網では、将来空港周辺で大渋滞が発生するのではないかと大変危惧するものであります。
 局所的には、港湾局が大田市場周辺の交差点改良に取り組んでいただいておりますが、抜本的な対策が必要と考えます。現在、京浜臨海部の幹線道路網や羽田空港跡地に関連する基盤整備などについて、京浜臨海部基盤施設検討会で検討中と聞いていますが、羽田空港の再拡張工事の完成時期は現時点で二〇〇九年十二月であり、あと二年十カ月と迫っております。羽田空港の再拡張・国際化は実現したけれども、空港周辺は大渋滞で身動きできない状況では、都市間の競争に打ち勝つことはできません。
 こうしたことから、羽田空港へのアクセス道路である国道三五七号線では、東京港トンネル部が未整備であるために、都心方向の路線で渋滞が慢性化したり、湾岸環八から川崎方面への多摩川トンネルが未整備であるために、神奈川方面への円滑なアクセスがなされていない状況です。こうしたことから、既に都市計画決定されている国道三五七号線について、京浜臨海部の産業の活性化の面からも、東京都として早期整備を図るべきと考えますが、ご見解を伺います。
 次に、羽田空港跡地について伺います。
 昨年の十二月、国、都、地元区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協において、国から跡地の範囲と面積約五十三ヘクタールの提案がありました。この跡地の利用については、大田区や東京商工会議所大田支部が跡地利用計画案を既に作成しており、昨日、大田区は、跡地の一部を取得整備するために、羽田空港対策積立基金に新たに四十億円を積み立て、約六十八億円とする発表をいたしました。この跡地は、範囲と面積について合意されれば、三者共同による跡地利用計画が検討されることと考えます。
 羽田空港跡地が位置する京浜臨海部は、日本の経済の発展を支えてきた高度な技術や技能を有する研究開発型企業などが多く立地しています。羽田空港の国際化により、新たな人、物、情報の流れが出てきます。臨海部の産業再生を図る上でも、跡地は重要な位置にあると考えます。
 都は、今後、どのような跡地利用を目指して、この三者共同による検討を進めていくのか伺います。また、今後のタイムスケジュールをお示しください。
 次に、空港周辺の景観について伺います。
 今後、羽田空港は、国際化や跡地の開発などにより、その全容を変えようとしています。世界の玄関口となる空港周辺の景観は、世界に誇れるものでなくてはなりません。羽田空港の周辺は、緑が少なく、多摩川や海老取川があるものの、これらが地域の景観に十分生かされているとはいえません。今後、空港跡地などを活用した景観づくりが必要と考えますが、都の所見を伺います。
 次に、下水道の整備について伺います。
 都市化の進んだ今日、雨水流出量の増大により既設の管渠が能力不足となり、都市型浸水被害が多発しています。大田区においても、馬込地区はこれまで多くの浸水被害に悩まされてきました。その馬込地区は、平成十一年度に策定された雨水整備クイックプランの重点地区に位置づけられ、雨水幹線である馬込幹線の上流部の整備を初めとする浸水対策が進められてきました。
 そこで、馬込地区における浸水対策の取り組み状況と、その効果について伺います。
 クイックプランは緊急的な施策であると思いますが、抜本的な浸水対策は幹線やポンプ所などの基幹施設の整備が基本であり、早期に整備を進めるべきです。そこで、下水道局では、今後、浸水被害を軽減するためにどのように幹線やポンプ所の整備を行うのか伺います。
 ところで、私の地元には一・六キロメートルの二級河川である内川があります。この内川は、固有水源のない潮の干満の影響を受ける河川であり、雨天時、最大一秒間に十八トンの下水を放流するはけ口があります。しかし、このはけ口からの下水の放流は、固有水源のない内川の水質に多大な影響を及ぼします。このため、内川への下水の放流をやめてほしいとの地域住民の声をよく聞きます。
 また、この内川の河口に大森東ポンプ所があります。このポンプ所の一画に、合流式下水道の改善対策として、降雨時の初期汚濁雨水を二万五千立方メートル貯留できる施設、雨水貯留池の設置が計画されています。現在、その計画によると、平成二十二年度以降の着手で、整備に五年かかると聞いています。
 この雨水貯留池の予定地は、現在、大田区が水域環境の改善や人と海の接点の回復などの観点から本年四月に開園の予定で整備を進めている、大森ふるさとの浜辺公園の中央部に位置します。そのため、大田区も水域環境の改善に取り組んでおり、おのおのの機会をとらえて合流改善対策について要望を行っていると聞いています。
 下水道局においても、矢口ポンプ所では、約二万立方メートルを貯留する施設が平成十九年度当初より稼働するとのことですが、馬込幹線の下流部の整備や雨水貯留池の早期整備と上部利用、そして水質改善に取り組むことを強く要望します。
 河川や運河などの水質を改善し、水辺と共存した都市空間を創出するためにも、合流改善事業を積極的に進めていかなければなりません。そこで、今後、下水道局としては、合流改善対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、内川水門等の改修について伺います。
 現在、内川の本川については順次耐震対策が進められているところですが、水門の改修も急ぐ必要があります。そこで、内川の水門や排水機場などの耐震対策について、今後の取り組みについて伺います。
 一方、都は、平成十五年から水門管理システムの改修に取り組んでおり、センターからの遠隔制御などが強化されることに合わせ、水門の維持管理を地元区へ委託管理すると聞いています。このような委託はやむを得ないものと考えますが、区に委託するに当たっては、従来以上の安全が前提であります。
 そこで、内川水門及び排水機場の大田区への委託管理についての考え方及び円滑な引き継ぎについてお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木あきまさ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、東京芸術文化評議会の評議員とその役割についてでありますが、これは従来国にも都にもなかった組織でありまして、主に文化行政のソフトについて論じられ、これからの都の文化政策というものはどうあるべきかという、そういうものを論じて、また、そのサジェスチョンをいただきたいと思っております。
 評議員には、我が国が世界に誇る当代きっての第一人者で、かつまた現役で活躍しておられる方々を十名よりすぐって就任いただくことにしました。建築家の安藤忠雄さん、現代美術作家の杉本博司さん、東京国際フォーラム社長の鳥海巖さん、演出家の蜷川幸雄さん、狂言師の野村萬さん、文芸評論家の福田和也さん、企業メセナ協議会会長の、これは今写真美術館の館長も務めていただいて、非常に成功しておりますが、福原義春さん、デザイナーの三宅一生さん、音楽家の宮本文昭さん、森美術館の理事長の森佳子さんでありまして、東京の芸術文化振興の頭脳部にふさわしい顔ぶれになったと思います。
 評議員には、それぞれの立場から自由に議論していただきまして、独創的で斬新な提言が示されることを期待しております。都は、この提言を踏まえながら、東京ならではの魅力的な文化を戦略的に創造、発信し、世界における文化面でのプレゼンスを確立していきたいと思っております。
 次いで、青少年問題協議会答申の実現に向けた決意についてでありますが、答申は、全国に先駆けて少年院出院者の支援に都が取り組むことを提言するもので、これまで国任せであった分野に一石を投じるものであると思います。
 答申の実現に当たっては、地域で少年を直接指導している保護司との連携を深めることが重要であると考えておりまして、保護司の活動はデリケートで機密性の高いものであるだけに、なかなか広く知られていないところもありますが、答申の実現のため、保護司との連携確保を初め、リーダーシップを持って取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、羽田空港の国際化でありますが、羽田空港は都心から至近距離に位置し、高い利便性を誇る国内最大の空港であります。さらに、再拡張後、国際旅客定期便や国際貨物便が就航することによりまして、日本全体の経済活性化や国際競争力の強化につながると思っております。
 したがって、羽田空港の当然の国際化については、世界全体の動き、東南アジアの成熟度など諸情勢を加味し、広範な視点で考えるべきでありますが、ご指摘の就航距離の問題は、やはり世界の中で台頭の著しいASEANには届く、そういうことを念頭に置いて就航の作業をすべきだと思っております。このため、再拡張後の羽田空港を十二分に活用しまして、国際化を図るよう国に積極的に働きかけてまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) ものづくり教育への取り組みについてでございます。
 国際競争の一層の激化や、団塊の世代の大量退職に伴います熟練技術者の不足が予想される中、技術者教育を中心に担ってきた工業高校や高専の教育をこれまで以上に充実させていくことが求められております。
 産業界が求めます多様な技術技能レベルに対応できる人材を工業高校、高専から安定的に輩出していく方策を検討するため、産業界からも参画を得まして、この一月に教育庁内にものづくり教育推進検討委員会を設置いたしました。
 検討委員会では、デュアルシステムの拡大など、現場の即戦力となる人材を工業高校からより多く着実に輩出するための取り組みについて検討いたします。さらに、より高度な専門技術を習得させるため、工業高校から高専への編入枠の拡大や、工業高校の教育内容の充実などによります複線的な教育システムの構築について、本年六月を目途に検討してまいります。
 また、ご指摘のように、児童生徒に小さいころからものづくりのおもしろさや達成感を経験させる取り組みが必要でございまして、このため、夏季休業中の工業高校を活用いたしまして、小中学生向けのものづくり講座を都全域で展開していく予定でございます。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 少年院を出た子どもたちの立ち直りを支援するための保護司との連携の強化についてでありますが、都は、少年院出院者の立ち直りを図るため、保護司活動の支援に必要な情報提供や率直な意見交換を行う場として、この四月にも、庁内の関係部局と保護司会、また国の関係機関などから成る協議会を設置する予定にしております。
 この協議会を通じまして、実際に少年の指導に当たっておられる保護司の方々の意見や要望を十分聞きながら、関係部局とともに、協力雇用主の確保や若者向け就労支援事業を活用した就労に関する支援、また、復学や進学を希望する者に対する進学に関する支援など、答申の提言を具体化してまいります。
   〔総務局長大原正行君登壇〕

○総務局長(大原正行君) 産業技術大学院におけます人材育成についてお答えを申し上げます。
 今年度開学をいたしました産業技術大学院大学では、地域産業の振興や活性化に寄与する高度専門技術者を養成するために、企業の第一線で活躍する実務家を教員に迎えまして、実践的なカリキュラムのもとで専門的な教育を実施しております。
 さらに、来年四月には創造技術専攻を新たに開設いたしまして、企業の中堅技術者などの社会人のほか、都立産業技術高等専門学校専攻科の卒業生を受け入れ、高等専門学校との連携による九年間一貫のものづくり教育を行ってまいります。
 この専攻では、企業経営に関する基礎的知識を持ち、製品の機能設計や最適なデザインの選択ができるなど、より付加価値の高い製品開発をマネジメントできる技術者を養成することにしております。
 今後とも、産業技術大学院大学では、特色ある教育をさらに充実させまして、東京のものづくりをリードする人材の育成に努めてまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 地域における企業の人材確保、育成のための連携についてお答えをいたします。
 来年度開設いたします四つの拠点となる職業能力開発センターでは、地域の産業団体や教育機関等による協議の場を設け、地域特性に応じた人材の確保、育成に連携して取り組んでまいります。
 具体的には、関係機関が協働して就業相談会や求人企業の見学会等を新たに実施するほか、センターの訓練施設や指導員等を活用して行う企業内教育訓練への支援や、工業高校生向け資格取得の指導等を拡充していくなど、多様な取り組みにより人材の確保、育成の支援に努めてまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 羽田空港に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国道三五七号の整備についてでございますが、この路線は、東京の臨海部における広域的な道路ネットワークの形成に必要な路線であり、再拡張や国際化が予定されている羽田空港のアクセス道路としても重要でございます。しかしながら、東京港トンネル部や多摩川トンネル部などが未整備であることから、道路交通の円滑化が十分に図られてはおりません。
 都としては、今後とも広域的な視点から、地元自治体等関係機関と調整を重ねるなど、国とともに課題の解決に向けて努力してまいります。
 次に、羽田空港跡地についてでございますが、跡地は、現在建設が進められている国際線ターミナルなど、国際化の拠点施設に隣接する重要な空間でございます。跡地には、今後、再拡張事業の完成に伴い、飛躍的に増大する空港機能をサポートするとともに、空港の持つ可能性を活用した機能が立地されることが望ましいと考えております。
 都としては、本年度中に羽田空港移転問題協議会を開催し、国や地元区とともに跡地利用の基本的な考え方や、計画策定の具体的な進め方などについて協議してまいります。
 最後に、空港跡地などを活用した景観形成についてでございますが、羽田空港は、その周辺を含め、世界に開かれた空の玄関口にふさわしい、洗練された景観形成を図ることが望ましいと考えております。
 都は、今後、国や地元区と跡地の利用計画などを調整する中で、多摩川沿いなどの水辺や緑も生かしつつ、跡地に立地する新たな施設を核として、首都東京の顔となる景観が形成されるよう取り組んでまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、馬込地区における浸水対策の取り組み状況とその効果についてでございます。
 下水道局では、雨水整備クイックプランでこの地区を重点地区と位置づけ、馬込幹線の上流区間、馬込西二号幹線及び東二号幹線の整備を進めてまいりました。昨年十二月には対策が完了し、現在、約三万四千立方メートルの雨水の貯留が可能となっております。
 なお、事業効果を早期に発現させるため、平成十六年六月から既に完成した部分を活用して貯留を開始し、以降は浸水被害が大幅に軽減されております。
 今後も引き続き浸水対策事業を推進し、被害の一層の軽減に努めてまいります。
 次に、浸水被害軽減に向けた下水道施設の整備についてでございます。
 現在、大田区内では、基幹施設である矢口ポンプ所の増設や第二下丸子幹線の整備を行っており、これらの施設は平成十九年度当初に稼働する予定でございます。このような幹線やポンプ所などの基幹施設の整備は、浸水対策事業の基本となるものでございますが、その整備には多大な費用と長い期間を要するため、今後とも浸水の危険性の高い地域などを重点化し、優先的に事業を推進してまいります。
 最後に、合流改善の取り組みについてでございます。
 合流式下水道では、大雨が降ると、雨水で希釈された汚水の一部やごみが川や海に放流されます。下水道局は、合流改善対策として、川などに放流される量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすため、幹線管渠の増強や、降雨初期の下水を一時的にためる貯留池の整備を図るなどの対策を進めております。
 大田区におきましては、矢口ポンプ所のほかにも、平和島ポンプ所などの施設整備を進めるとともに、ごみなどの流出を抑制するため、雨水のはけ口での対策などを実施しております。
 今後ともこうした施策を着実に推進し、公共用水域の水質改善に努めてまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、内川水門及び排水機場の耐震対策についてでありますが、内川水門などは、高潮や地震水害から大田区東部の低地帯を守る重要な河川施設でございます。都は、平成七年の阪神・淡路大震災を契機とした耐震対策基準の見直しを踏まえ、平成九年から計画的に水門や排水機場などの耐震対策を進めております。
 お尋ねの内川排水機場については、基礎部分の耐震補強を予定しており、平成十九年度に設計を行い、二十年度に工事を完了させる予定でございます。引き続き内川水門についても門扉を早期に更新し、耐震性の向上を図ってまいります。
 次に、内川水門などの大田区への委託管理についてでありますが、都はこれまで、高潮による広域かつ甚大な被害を防止する観点から、河川水門などの管理を一体的に行ってまいりました。しかし、都が管理している河川水門の中には、内川水門など管理の範囲が一つの区に限られる水門がございます。これらの水門については、地域防災に責任を持ち、地域を熟知している地元区が、水門操作など日常の管理をすることが適切でございます。
 このため、内川水門、排水機場については、これまで大田区と協議を重ねてまいりまして、本年四月から日常管理を委託することになりました。委託に当たっては、操作、点検の習熟訓練や適切な経費負担などを行うとともに、委託後も二十四時間体制で操作状況を確認するなど、都としても支援をしてまいります。
 今後とも、新たな水門管理システムの構築などバックアップの強化を図り、都民の安全・安心に万全を期してまいります。