平成十九年東京都議会会議録第三号

   午後一時一分開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 四十一番高橋かずみ君。
   〔四十一番高橋かずみ君登壇〕

○四十一番(高橋かずみ君) 当面する都政の課題について質問をさせていただきます。都知事並びに関係局長の誠意あるご答弁をお願いいたします。
 まず最初に、オリンピックの東京招致についてお尋ねいたします。
 昨年十一月に開かれた東京都議会オリンピック招致特別委員会で、私は、オリンピックの理念など基本的な事項を質問させていただきました。同じ月に発足した東京オリンピック招致委員会も、三月初旬までにはNPO法人として法人格を取得する予定と伺っており、いよいよ活動も本格化してまいります。
 そこで、今回は、招致活動のための資金調達について質問をいたします。
 開催都市の国際選考まで三年を切り、アメリカではシカゴとロサンゼルスの争いが本格化しています。アメリカに加え、いまだ開催経験のない南米、アフリカなどの強豪ライバルを破るには、十分な資金を持って、かつ都民、国民に早くから働きかけ、招致に取り組むべきと考えます。
 二〇〇八年大会に立候補した大阪市では、二〇〇〇年の正式立候補都市承認を記念して、二千円以上の寄附者に招致マーク入り大阪市バス模型、いわゆるチョロQを記念品としてプレゼントする企画を行い、市民の大きな反響を呼んだと聞いております。
 現在、開催の九年前ではありますが、大会招致は、招致委員会だけではなく、都民、国民一人一人がともに進めていくという意識を高めるためにも、招致資金の寄附を募るのもよいことだと思います。
 例えば若洲ゴルフリンクスや東京体育館など、まずは都内のスポーツ施設の利用者に対し、百円でも二百円でも寄附を求めるなど、都民レベルの寄附を募り、あわせて機運盛り上げへの参画を図るということは大変有意義だと思いますが、所見をお伺いいたします。
 一方、招致活動を全国に展開するための十分な資金を確保するには、募金に加えて財界や企業からの寄附が中心になるとも考えます。大阪や長野の招致の例を見ると、おおむね半分くらいが財界からの寄附金、残りが地方公共団体等の負担金と聞いております。招致活動に係る経費の都の負担を極力抑えるためにも、財界や企業の協力を得ることが重要なのではないでしょうか。
 資金の調達方法を含め、東京オリンピック招致委員会が財界、企業の協力を得られるよう、都としても積極的に支援すべきと考えます。この点について知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、駅ナカビジネスに係る固定資産評価の見直しについてお尋ねいたします。
 この駅ナカビジネスについては、駅前商店街との税負担の公平を図るべきであり、昨年の第二回定例都議会において、我が党が代表質問で取り上げたところであります。
 この間、主税局は、全国の市町村にも影響することから、評価基準を所管する総務省へ働きかけを行っており、こうした積極的な取り組みに対しては敬意をあらわしたいと思います。
 こうした都の努力が国をも動かし、昨年末、この問題について一定の成果があったと仄聞しておりますが、改めて今回の改正に向けた基本的な考え方と今後の見通しについてお伺いいたします。
 次に、道路整備及び連続立体交差事業についてお尋ねいたします。
 道路は、交通の安全、円滑化を図るのみならず、良好な都市景観の形成や環境保全に寄与するなど、多様な機能を担っております。しかし、区部における混雑時の自動車平均旅行速度は十八・八キロメートルと、交通需要に対して道路整備が追いつかない状況にあります。
 首都圏の道路交通の骨格として三環状九放射の高速道路ネットワークが計画されたのは、今からおよそ四十年前であります。しかし、都心部に用がない通過交通の分散を図るための首都圏三環状道路は、いまだに完成しておりません。昨年十二月に都が公表した「十年後の東京」の中では、三環状道路の整備率を十年後に約九割に向上させ、渋滞ゼロを目指しています。
 東京外かく環状道路については、これまでも事業の促進を訴えてきましたが、いよいよ大深度地下を活用した構造へと都市計画変更されると聞いております。しかしながら、地下化への都市計画変更があっても、すぐに事業化されるわけではなく、解決しなければならない課題があります。
 首都圏にとっても、また沿線地域の活性化にとっても欠かすことのできない外環でありますが、国における計画上の位置づけはいまだに予定路線のままであり、早急にその位置づけを高めていく必要があります。その上で、一日も早く事業化を図り、早期完成を目指すべきであると考えますが、事業着手に向けた取り組みをどのように進めていくのかお伺いいたします。
 外環を初めとする三環状道路の整備は進みつつありますが、環状道路と都心方向を結ぶ高速道路の整備は十分とはいえません。次のステップとして、これらの放射方向を担う構想路線が整備されなければ、ネットワークの効用が十分に発揮されません。
 そこで、まず放射方向の部分などを担っている未着手の高速道路の計画、構想路線は、現在、都内にどのような路線があり、どのような位置づけとなっているのかお伺いいたします。
 これらの計画、構想路線は、すべて整備されることが期待されますが、とりわけ整備の必要性が高いのが高速一〇号線であります。都内に建設された高速自動車国道の中で、関越自動車道だけは唯一接続する首都高速道路がなく、目白通りが終点となっていますが、関越道から都心方面への交通需要は依然として高い状況であります。
 また、谷原の交差点は、関越道をおりて都心方面に直進する車と、環状八号線方面に右折する車で渋滞しております。外環が整備されれば、関越道から大泉ジャンクションを経て中央道方面への接続が可能となりますが、都心方面に直進する車の利便性については課題が残ります。
 周辺地域の交通問題を解消するためにも、外環の都市計画変更にめどがついた今、ぜひとも関越道から都心方面への構想路線である高速一〇号線を具体化すべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、都内の渋滞解消を図っていくためには、都内の幹線道路ネットワークも拡充していかなければなりません。しかし、都民の生活に欠くことのできない都市計画道路については、地域によって、その整備率に格差が生じているのが現実であります。十年後、成熟した都市東京となるためには、渋滞解消を進めることが求められており、そのためには、バランスよく都内全域で都市計画道路の整備を進める必要があります。
 私の地元練馬区では、おおむね中心部に笹目通りが南北に貫いており、その笹目通りを境に、東側では環状八号線や放射三五号線の整備が進んでおりますが、笹目通りより西側の練馬区西部では、整備率が区部平均の半分以下と極めて低い状況にあります。とりわけ練馬区北西部の土支田・高松地区や大泉町・大泉学園町地区は、交通不便地域であることから、大江戸線を延伸することを地元は長年待ち望んでおり、また周辺地域の渋滞を緩和するためにも、大江戸線延伸部の導入空間ともなる補助第二三〇号線を早期に整備することが望まれます。
 このような状況の中、補助第二三〇号線の土支田・高松地区では、既に区が区画整理事業を実施しており、また昨年八月には、ほかの区間も都が事業に着手したところであります。
 そこで、残る土支田通りから西側の補助第二三〇号線の大泉町・大泉学園町の区間の今後の具体的な取り組みについて伺います。
 また、渋滞解消に当たっては、都市計画道路の整備とあわせて、いわゆるあかずの踏切を解消するために、鉄道の立体交差化が必要不可欠であります。練馬区では、西武池袋線の桜台駅から練馬高野台駅間で既に鉄道の立体化が完成したところでありますが、引き続き、練馬高野台駅から大泉学園駅間の鉄道立体化が地元住民の悲願であります。
 この区間については、平成十三年度以来、数度にわたって事業化に向けた取り組みなどを伺ってきたところであり、一昨年三月の第一回定例都議会では、平成十九年事業着手を目指すとの答弁を得ております。
 そこで、この区間の踏切解消に向けた連続立体交差事業の取り組み状況と今後の進め方について伺います。
 また、現在の石神井公園駅にはエレベーターがなく、階段の上り下りに苦労している人が多く見受けられます。さらに、踏切があかないため、駅の南北方向の行き来も難しい状況があります。このため、地域住民は早期にバリアフリー化などが図られることを強く望んでいます。
 そこで、工事期間中を含めた石神井公園駅のバリアフリー化と南北方向の自由通路の確保についてお伺いいたします。
 鉄道の立体交差化は、踏切除却による交通渋滞の解消だけでなく、沿線のまちづくりを推進するなど、地域住民の生活向上に非常に大きな効果をもたらす事業であります。都の踏切対策基本方針によると、練馬区内には、西武池袋線の椎名町駅から桜台駅間を初め、大泉学園駅から保谷駅間、新宿線の井荻駅から東伏見駅間の三区間が鉄道立体化の検討区間に位置づけられております。
 これらの区間についても、鉄道の立体化は住民の悲願であります。どうか一日も早く実現することを強く要望しておきます。
 次に、大江戸線の混雑対策についてお尋ねいたします。
 地下鉄などの公共交通機関も、東京の都市活動や都民生活を支える都市インフラであり、その混雑緩和を図り、快適に利用できるようにすることは、大変重要な取り組みであると思います。
 都営地下鉄については、平成十九年度予算で、開業以来初めて経常収支の黒字転換を見込んでおりますが、その好調を牽引する大江戸線は、他社の路線と比べても、引き続き高い伸びを示していると伺っております。
 しかし一方、乗客数の伸びに合わせて、ラッシュ時の混雑が激しくなっております。この春、六本木の防衛庁跡地にミッドタウンのオープンを初め、これからも沿線の開発が進む中で、さらに厳しくなることが予想されます。
 こうした状況を踏まえ、大江戸線の混雑緩和に向けて、輸送力の増強などの対策を講ずべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、河川行政における治水対策と豪雨対策についてお尋ねいたします。
 先ほど申し上げました「十年後の東京」で特に目を引くことは、緑化の倍増と水辺の復活であります。鉄とコンクリートの人工的な都市に潤いや安らぎをもたらし、風格と落ちつきのある都市の形成には、緑や水などの自然的要素が大きな効果をもたらします。
 とりわけ、都市の中での水面や水辺を復活させることにより、多くの都民や訪問者が集い、これまで川に背を向けていた建物が水辺にも向かうようになれば、東京のまちの骨格にも大きな影響を及ぼします。
 川は、緑と異なり、雨を流下させる治水機能をあわせ持ちます。一昨年九月の中野、杉並両区を中心とした大水害では、都内で六千棟もの浸水被害が生じています。世界的な異常気象がますます顕著になり、極端な日照りと豪雨が世界じゅうで繰り広げられております。
 このため、過去には考えられないような大災害となり、多くの人々の生命を奪い、生活の破綻を招いています。東京も決して例外ではありません。水害に遭った多くの都民は、春から秋にかけての時期に集中豪雨の予報があると、安心して眠りにつくことはできません。東京は、オリンピックの正式招致に向けさまざまな取り組みが始まっていますが、これでは、都民として誇りを持って、世界じゅうからお客さんをおもてなしの心で迎えるどころではありません。
 聞くところによると、都内で土砂災害の危険な地域には、十八万人もの都民の皆さんが生活しております。こうした都民の生命を守るため、期限を定め、対策の速やかな提示と実行が強く求められております。
 以上、河川行政に関する考えを述べましたが、「十年後の東京」を見据え、どのような目標を定め事業を進めていくのかお伺いいたします。
 次に、水害の危険の高い神田川など区部の中小河川の計画の内容についてお聞きします。
 現在、都内では五〇ミリ降雨に対する対策が進んでいますが、いまだその整備率は六割にすぎません。このため、私の地元練馬区内でも、一昨年の集中豪雨では、石神井川、白子川などで大規模な被害が発生しています。
 河川の整備には、ふくそうした権利関係の中での用地買収を伴うことなど、大都市特有の困難さがあることは十分理解しておりますが、今後どのような対策を実施していくのか、区部の中小河川整備の具体的な内容についてお伺いいたします。
 さて、一昨年の豪雨は、これまで余り経験したことのないような、局所的に短い時間、猛烈に降る雨でありました。都は、こうした新たな状況に対して適切に対応するため、東京都豪雨対策基本方針の取りまとめを進めていると聞いております。ぜひ最近の豪雨の特性を踏まえた、実効性の高い方針をまとめてほしいと考えております。
 そこで、東京都豪雨対策基本方針をどのようにまとめていくのか、お伺いいたします。
 また、一昨年のような豪雨に対しては、河川や下水道の整備のみならず、浸透ますの設置などにより、河川などに水を流さない取り組みを一層強化するなど、流域全体を見据えた新たな取り組みも必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 最後に、都市農業についてお尋ねいたします。
 我が東京都議会自由民主党の都市農政を考える議員連盟では、一昨年から数回にわたり青壮年農業者との懇談会を開催し、農業者からさまざまな意見を聞きました。これから農業で生きていく若い農業者は、相続を重大な危機としてとらえています。都議会と都が協力して、国に相続税制度等の改善を要望していくべきだと思います。
 一方で、都として独自に取り組めることは、すぐにでも行うべきと思います。
 農地は、耕作されてこそ、都民への食料提供や潤いのある景観が維持されるなど、都市に対してさまざまな機能を果たすことになります。しかし、農業者が相続税納税猶予制度を受けていると、高齢や病気などになっても農地の貸し借りができません。
 このような場合も、農地が遊休化しないように、農地を維持する仕組みを整備すべきでありますが、所見をお伺いいたします。
 都では、「十年後の東京」で、屋上や壁面緑化、さらには校庭の芝生化や都市公園の整備などで緑をふやし、ヒートアイランド現象を緩和しようとしています。しかし、今ある農地を保全することも大切であります。地球温暖化対策推進基金などを使い、積極的な農地保全策をとるべきだと思います。
 環境都市づくりを推進する観点から、農地を初めとする身近な緑の保全について、今後どのように取り組もうとしているのか、所見をお伺いいたします。
 都市の農地には、生産緑地制度の対象とならない五百平方メートル以下の小規模な農地が散在し、これらも相続等により失われていっていると聞いております。都では、従来から生産緑地の指定面積の引き下げを国に要望していると聞いておりますが、当面、都市の農地を保全し、緑を守る観点から、小規模な農地についても保全活用策の積極的な検討などが必要であります。所見をお伺いいたします。
 さまざまな対策を講じて農業者が安心して農業ができるようにすることが、東京の緑を守ることに通じ、さらにはオリンピック招致に向けた良好な都市環境をつくり出すことになると考えております。
 これで私の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高橋かずみ議員の一般質問にお答えいたします。
 民間企業等の協力を得るための東京オリンピック招致委員会の支援についてでありますが、オリンピックの東京招致を成功させるには、招致の中心となる東京オリンピック招致委員会が存分に活動できる基盤を多角的に構築していくことが重要であると思います。
 中でも資金の確保は、招致活動を展開する上で不可欠でありまして、民間の企業や団体の協力に大きな期待を寄せております。
 都としても、経済団体等に対して東京オリンピック招致委員会への資金の提供を、ご提言にもあるように、きめ細かく、強く働きかけていくつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) オリンピック招致に対する寄附及び機運の盛り上げについてお答え申し上げます。
 都民、国民の一人一人から東京オリンピック招致委員会に対する寄附をいただくことは、招致活動の資金を確保するということに加えまして、招致機運の盛り上げを図る上でも大変重要であると考えております。
 ご提案のスポーツ施設利用者からの寄附につきましては、現在、東京オリンピック招致委員会におきまして寄附のさまざまな手法を検討しているところであり、その具体化につきましては、都としても積極的に協力してまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君) 鉄軌道用地に係る固定資産評価の見直しについてお答えを申し上げます。
 商業施設のある駅と近隣の宅地との間では、固定資産評価に著しい不均衡が生じておりまして、都といたしましては、都議会の皆様方のご支援も賜りながら、税負担の公平性を確保する観点から、その是正に向けまして、国に働きかけるなど積極的に取り組んでまいりました。
 今般、都の主張を踏まえまして、国において評価基準が改正されるとともに、通常の評価替えより二年前倒しの平成十九年度から実施するための税法上の措置が講じられる見通しとなりました。
 このため、都といたしましても、同様の状況にございます全国の市町村と歩調を合わせまして、見直しを実施することといたしました。
 今後は、速やかに鉄軌道用地の新たな評価、課税を実施いたしまして、適正、公平な税の執行に努めてまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、外環の事業着手に向けた取り組みについてでございますが、外環は、東京の最大の弱点である交通渋滞の克服、国際競争力の向上とともに、快適で利便性の高い都市を実現するため、早期整備が不可欠でございます。
 これまで都は、地下化への都市計画変更を着実に進めるとともに、国に対して、速やかに国土開発幹線自動車道建設会議を開催し、外環を高速自動車国道法の整備計画に位置づけるよう強く求めてまいりました。
 今後とも、引き続き、外環の早期事業化が図られるよう、積極的に働きかけてまいります。
 次に、都内における高速道路の計画、構想路線についてでございますが、平成十三年十月に都が策定した東京の新しい都市づくりビジョンや、平成十八年九月に国が策定した首都圏整備計画において、高速晴海線二期区間、高速一〇号線、第二東京湾岸道路などが、整備について調査検討すべき路線として位置づけられております。
 次に、高速一〇号線でございますが、本路線は、関越自動車道と都心部との連絡を強化するとともに、周辺街路の混雑緩和などに寄与する路線でございます。
 この一〇号線を具体化するに当たっては、ルート、事業主体、採算性などさまざまな課題がございます。今後、都としては、首都圏三環状道路の整備状況や交通需要の動向等を長期的な視点でとらえながら、関係機関と連携し、調査検討を進めてまいります。
 次に、豪雨対策基本方針の策定についてでございますが、都は、平成十七年の豪雨災害の発生を踏まえ、学識経験者などから成る委員会を設置し、検討を進めております。
 委員会では、これからの豪雨対策について、河川や下水道の整備に加え、自助、共助を促進するという観点から、浸水被害を最小限にとどめる減災対策を集中的に推進すべきとの方向が示されております。
 具体的には、豪雨や水害の発生頻度などを踏まえた対策促進エリアを定め、豪雨をできるだけ川に流さない流域対策、地下空間への浸水を防ぐ家づくりなどの促進、水害に関する情報提供による避難の迅速化など、ハード、ソフト両面からの取り組みについて議論が進んでおります。
 今後、こうした委員会での議論を踏まえ、都民や関係機関の意見を聞きながら、基本方針を早急に取りまとめてまいります。
 次に、新たな豪雨対策の取り組みについてでございますが、都としては、豪雨対策の緊急性を踏まえ、具体的な対策を早急に実施していくことが重要と考えております。
 そこで、平成十九年度から、神田川や石神井川など浸水被害の多い四流域を対象に、浸透ます設置費用の助成を区市と連携して行うなど、流域対策の強化を図ってまいります。
 また、地下室などへの浸水被害を防止するため、対策の必要な地区やその方法などを示したガイドラインを作成し、都民みずからの浸水対策を促すなど、都民生活の安全確保に努めてまいります。
 最後に、生産緑地制度の対象とならない小規模農地の保全活用策についてでございますが、都市の農地は、本来の役割に加えて、良好な都市環境を形成していく上で、小規模であっても貴重な緑の資源でございます。
 これまで、屋敷林等の樹林地の保全に対しては、都市緑地法に基づく借地方式の市民緑地制度などが活用され、一定の効果を上げてまいりました。
 今後は、この制度の小規模な農地への適用を検討し、需要の多い市民農園へ活用するなど、区市町村とも連携しながら、身近な緑の保全に積極的に努めてまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、補助第二三〇号線の今後の取り組みについてでありますが、本路線は、練馬区北西部の道路ネットワークの形成に寄与するとともに、大江戸線延伸部の導入空間ともなる重要な路線であります。このうち、土支田通りから大泉学園通りまでの区間については、都は、練馬区と連携し、沿道のまちづくりに合わせて整備を進めることといたしております。
 本年二月には、練馬区がまちづくり協議会を設置し、広く地域住民の意見を聞きながら、沿道のまちづくりについて検討を開始いたします。こうした動きを受けて、都は、事業着手に向けて、本年秋から測量を再開してまいります。
 次に、西武池袋線の連続立体交差事業の取り組み状況と今後の進め方についてでございますが、本事業は、西武池袋線練馬高野台駅から大泉学園駅までの二・四キロメートルの区間を連続的に立体交差化することによって、九カ所の踏切を除却し、富士街道などの交通渋滞を解消するとともに、鉄道により分断されている市街地の一体化を図るものでございます。
 現在、平成十九年度早期の事業認可取得に向け、国土交通省などの関係機関と協議を実施しております。事業認可取得後、工事説明会を実施し、夏には、仮駅施設工事や仮線工事に着手する予定でございます。
 次に、石神井公園駅のバリアフリー化と南北方向の自由通路の確保についてでございますが、現在の駅舎は、エレベーターなどによるバリアフリー対応がなされておらず、また、南北の自由通路も設置されておりません。このため、連立事業で高架化する石神井公園駅については、エレベーターやエスカレーターを設置するなどバリアフリー化を図るとともに、南北方向の自由な通行を確保することとしております。
 しかし、完成までに期日を要することから、高架化工事に先立ち施工する仮駅施設においても、駅南北方向に自由な通行ができる仮設の地下通路及び改札口を設けるとともに、仮設エレベーターを設置いたします。
 今後とも、利用者の利便性や安全性に配慮しつつ、西武池袋線を初めとする連立事業を積極的に推進してまいります。
 次に、今後の河川整備の目標についてでありますが、東京を安全で安心できるまちとしていくためには、十年後の河川の明確な目標を設定し、それに向かって事業を推進していくことが重要でございます。
 主要な目標として、中小河川では、護岸や調節池を整備することにより、過去の水害と同規模の降雨による溢水の九割を解消し、残りの一割についても被害の程度を大幅に減少させること、東部低地河川では、伊勢湾台風級の高潮に対する対策や、阪神・淡路大震災を踏まえた外郭堤防と内部護岸などの耐震対策を完了させること、土砂災害の危険のある多摩地域などでは、住民の速やかな避難体制を確立するため、警戒区域の指定や警戒情報を提供するソフト対策を構築するとともに、避難所が立地するすべての危険箇所の安全対策を進めていくこと、さらに、これらの事業を進めるに当たっては、スーパー堤防の整備や多自然川づくりなどにより、景観や緑の視点を取り入れた、安全で潤いのある水辺空間を創出していくことなど、こうした目標を設定し、その達成を目指して積極的に事業に取り組んでまいります。
 最後に、区部中小河川の今後の取り組みについてでありますが、水害から都民の命と暮らしを守るため、過去に水害が発生した箇所や、大規模な浸水被害が発生するおそれのある箇所について、五〇ミリ対策を重点的に実施することが重要であります。これまで進めてきた護岸や調節池の整備をさらに推進し、五〇ミリ降雨に対する治水安全度を向上させ、十年後には、環七に囲まれた中小河川の流域では、治水安全度一〇〇%を目指してまいります。
 この達成に向け、具体的には、妙正寺川などの激特事業を平成二十一年度に完了させるとともに、石神井川など十三の河川で護岸や調節池の整備を推進してまいります。また、近年溢水被害が発生している古川では、新たに地下調節池を整備してまいります。
 今後とも、国費などの財源確保に努め、従来にも増して事業のスピードアップを図り、水害の早期解消に努めてまいります。
   〔交通局長松澤敏夫君登壇〕

○交通局長(松澤敏夫君) 大江戸線の混雑対策についてお答えいたします。
 都営大江戸線の利用者数は、沿線の再開発や利便性が浸透してきたことなどによりまして、現在、一日平均で七十万人を超え、前年度に比べ、五%を上回る高い伸びで推移してきており、当面はこの傾向が続くものと見込まれるところでございます。
 こうした中、ご指摘のとおり、朝夕のラッシュ時間帯では混雑が激しい区間が出ておりまして、その緩和に向けて、輸送力の増強を図ることが必要となってきております。
 このため、今回の新しい経営計画では、まずは新規に車両を二編成増備いたしまして、ラッシュ時において運行本数をふやすとともに、運行間隔をさらに短縮するため、新たな機能を持つ信号通信設備の導入など、抜本的な混雑対策について検討を進めていくこととしているところでございます。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 農地を維持する仕組みの整備についてお答えをいたします。
 現行の相続税納税猶予制度のもとでは、農地の貸し借りができないため、高齢や病気等で農業者が耕作が困難になった場合、農地が遊休化しがちであります。しかし、農業者が引き続き経営を行う中で、作業を委託することは可能であります。そのため、都では、作業受委託の仕組みを構築し、貴重な都市農地の保全を図ってまいります。
 具体的には、来年度から、農林水産振興財団を活用し、若い農業者や高い農業技術を持っている都民等を組織化して、困っている農家に紹介してまいります。
 今後とも、多様な取り組みにより、東京の農業、農地の保全に努めてまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 農地を初めといたします身近な緑の保全についてお答えいたします。
 身近な緑は、大都市東京において貴重なオープンスペースとして防災の機能を果たすとともに、人々の生活に潤いを与え、さらには、ヒートアイランド現象の緩和や生態系を保全するなど、多様な役割を担っております。このような機能の多様性という特質を持つ東京の身近な緑を守り、ふやしていくためには、都政の持つ多様な政策手段を複合的に組み合わせ、総合的に活用していくことが不可欠であります。
 今回、緑の都市づくり推進本部が全庁横断的な組織として設置されました。今後は、ただいま申し上げた観点に立ちまして、各局密接に連携して、緑の東京十年プロジェクトを構築し、農地や屋敷林など、東京の貴重な緑の保全に向けて、積極的に施策を展開してまいります。