平成十九年東京都議会会議録第二号

   午後三時十一分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十四番田中良君。
   〔百二十四番田中良君登壇〕

○百二十四番(田中良君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 質問に入る前に、一言申し上げます。
 十二日、多くの方々の願いもむなしく、宮本邦彦巡査部長が逝去されました。故宮本警部のご遺族にお悔やみ申し上げますとともに、故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 質問に入ります。
 まず、石原知事の都政運営について伺います。
 この間、海外出張費や知事交際費、また、ご子息の都政への関与あるいは裏献金疑惑が取り上げられ、石原知事と知事側近による都政の私物化が問題とされてまいりました。私たちは、こうした問題に加えて、石原知事の都政運営がいかに都政を傷つけているのかを一つ一つ明らかにし、今、都知事をかえることの重要性を訴えるものであります。
 「十年後の東京」について伺います。
 私たちはこれまでにも、都政の基本的指針として長期計画を示し、その中に実施計画、単年度予算を位置づけるという当たり前のことを行うことが、都政の未来に向かって職員のモチベーションを高めることにもつながるとし、東京の将来ビジョン策定を求めてまいりました。
 しかしながら、さきに明らかにされた「十年後の東京」は、ハードに偏重し、これまで都政に関して議論、提言されてきたものをパッチワーク的に張りつけたもので、新味のあるものではありません。そもそも、東京の将来ビジョンの中にオリンピックを位置づけるべきものを、オリンピックのためにすべての施策が位置づけられているところに根本的な間違いがあるのであります。
 知事は、さきの施政方針において、「十年後の東京」は、空想的、抽象的なマニフェストなどではなく、東京の具体的な近未来図であるとされました。
 そこで伺いますが、この「十年後の東京」は、都政においてどのように位置づけられるのでしょうか。行政計画なのか、構想、ビジョンなのか、単なる夢なのか、東京構想二〇〇〇との関係はどうなるのか、明らかにすべきであります。
 また、具体的なものであるならば、その財政的な裏づけをここで明確にしていただきたいと思います。
 さらに、ここに示されたような各種施策であっても、これを着実に具体化していくためには、都政運営の戦略的、総合的な管理が不可欠であります。しかし、朝から登庁することが極端に少なく、休日や庁外の仕事が多い石原知事には酷な課題であります。
 そもそも、今回の「十年後の東京」がパッチワーク的なものになってしまったのは、知事が在庁していることが少ないため、職員が知事決裁を要するような新しい仕事をしなくなったからではないのでしょうか。さらにいえば、計画を嫌い、知事にのみスポットライトを当てようという、これまでのピンポイントサプライズの手法が、職員全体の戦略目標を棚上げにし、職員のモチベーションと政策立案力を著しく低下させてきたことも大いに起因しているのではないでしょうか。
 知事は、これまでの都政運営の結果が今回の「十年後の東京」につながったことについてどのようにお考えか、見解を伺います。
 知事は、就任以来、人事は知事が直接指示するとしてまいりました。ピーター・ドラッカーも、トップが行う決定のうち、人事ほど重要なものはない、したがって、人事は正しく行われなければならないとしています。
 人事はそれほど重要な決定ですが、知事がこれまで行ってきた人事を見ると、例えば、知事が重視する環境行政のトップである環境局長は、平成十四年夏から十六年夏の二年間を除いて、毎年一年で交代しており、港湾局長、財務局長は四年間連続で交代し、収用委員会事務局長に至っては、平成十二年夏から五年間連続で交代しております。
 このように一年で交代した局長ポストは、知事就任以来の累計で六十二にも上るのであります。夏に就任した局長が、前局長の編成した予算を執行し、次年度予算を編成したところで異動する、これが何年も繰り返されることは、その局の新たな事業展開を阻害することにつながります。さらに、局長の一年交代は部課長人事にも影響を及ぼし、庁内を混乱させています。
 さらに、庁内には、これまでの人事の結果から、人事はその人の能力ではなく、知事と知事側近の好き嫌いで決められるという風評が流布していますが、このようなことで人事は正しく行われたといえるのでしょうか。
 ドラッカーは、組織の中の人間というものは、他人がどのように報われるかを見て、みずからの行動を決める、したがって、人事の決定に真剣に取り組むことなく、正しい人事を行うための幾つかの簡単な原則や手順に従うことのないトップは、組織の業績を損なう危険を冒しているだけではない、組織そのものへの敬意をも損なう危険を冒しているのであるとも述べています。
 知事の行うお好み人事は、まさに組織そのものへの敬意をも損なっていると考えるものでありますが、見解を伺います。
 私たちは、これまでにも幾度となく、分権改革の推進に向けた東京都以外の自治体との連携を求めてきました。都は地方交付税不交付団体であり、それゆえに自治体を代表して国に対して最も物がいえる自治体であります。その東京都が、おのれの利害のみを声高に叫び、ほかの自治体を顧みなければ、ますます孤立を深め、結果として東京都の利益を著しく損ねることになりはしませんか。
 石原知事は、さきの第四回定例会においても、地方分権改革の実現が必要として、今後も国に対して、真の地方分権改革を実現するよう、ほかの自治体とも連携して強く働きかけると答えてまいりました。
 しかし、確かに八都県市首脳会議にはすべて出席してきましたが、知事就任以来三十九回開催された全国知事会議に出席されたのは、わずか九回にすぎず、そのうち四回は政府主催による総理大臣、閣僚との懇談の席です。石原知事の顔は、国には向いていますが、他府県には向いていないといわざるを得ません。
 すべての会議に出席しろといっているのではありませんが、他府県の知事と直接会い、それぞれの事情を理解し、積極的に分権改革に向けたイニシアチブを発揮することが求められています。いわゆる改革派知事と呼ばれた各知事が分権改革の推進に向けて傾けてきた努力に比べて、知事の存在感はなきに等しいものです。
 第二期地方分権改革を迎える今、石原知事は、このような状況でいかに他府県との連携を図り、新地方分権構想検討委員会のビジョンに示すように、詳細な具体案をつくり、政府に投げかけていくつもりなのか、伺います。
 また、ドラッカーは、その著「未来への決断」において、大統領のための六つのルールを記しています。その第五のルールに、政権内に友人を入れてはならないを挙げ、このルールを無視した大統領は、皆、後悔することになっているとしています。
 一昨年の副知事更迭に引き続く、今回のご子息の友人を館長に据えたトーキョーワンダーサイトをめぐる一連の事態は、まさにこのとおりです。参与、館長に取り立てられたことを光栄に思うがゆえに、その影響力を行使してご子息を持ち上げ、それによって知事に恩返しをする。本来ならば、そのようなことは結果として知事を傷つけることになるがゆえに避けるべきであるにもかかわらず、それをせず、さらには、そうすべきでないと諭すべき知事側近がこれを支持し、知事自身が唯々諾々とこれを受け入れてきた、これが今回の事態を招いたのであります。
 しかも、やめさせることを極端に嫌い、あろうことか、館長の処遇を課長級から一気に理事級に引き上げ、部長級の副館長を置くということまでやってしまっているのです。
 さらに知事は、議会で問責決議を受け、一たんは都政から更迭した人物を参与に迎え入れ、またまたあろうことか、知事名代を名目に、参与就任祝いの海外旅行を公費でプレゼントされたとまで報じられています。
 公私の境目を見失い、周囲に太鼓持ちを置く裸の王様、これが現在の石原知事であります。今や時期を逸してしまいましたけれども、あえてドラッカーの警告を贈り、知事の見解を伺うものであります。
 また、知事は常々、行き過ぎた結果の平等を批判し、機会の平等の重要性について述べられておりますが、トーキョーワンダーサイトにおいては、殊さらにご子息とその友人を重用し、この機会の平等をみずから踏みにじっています。機会の平等が大事なのだと力説するその横で身内を優遇していては、何の説得力も持ちません。この点についてはどのようにお考えか、見解を伺います。
 昨年は、知事選で借りをつくった知事が、業者と癒着して腐敗し、地方自治への信頼を失墜させる事件が相次いで起きました。この一連の不祥事を受けて、一月二十四日に掲載された読売新聞の、知事と業者とのかかわりに関するアンケート調査結果によると、知事の五九%、二十七人が、集票マシンでもある業界から何らかの支援を受け、六七%、三十一人は、自分が支援を受けることには問題はないといい切っているとのことであります。
 しかし、石原知事は、選挙での業者・業界の支援に伴う政治腐敗への懸念があるかとの問いには、全く懸念していない、選挙で業者・業界の支援を受けた経験があるかとの問いには、ない、業者・業界からの支援についての考え方の問いには、問題があるので支援は受けるべきでないと答えています。
 一部に報じられた吉兆会合疑惑を意識しての回答でしょうが、「週刊文春」誌上では、ご子息の当選祝いの会で、水谷建設の元会長にお世話になったお礼をし、糸山政経塾に集まってくる若い経営者に選挙を手伝わせるというので、それは頼むとご子息を紹介したことを認めておられる石原知事の回答としては、にわかには信じがたいものであります。どなたかが配慮して書かれたのでしょうが、ここで知事自身の言葉で、さきのアンケートに対する回答を伺いたいと思います。
 そこで、いわゆる吉兆会合疑惑について伺います。
 平成十七年九月十四日、糸山英太郎氏の呼びかけで、水谷元会長と石原知事、三男宏高氏ら五人が、銀座の高級料亭吉兆で宏高氏の当選祝いの宴席が行われたというものです。その宴席に入る直前、糸山氏から知事にしょうちゅう箱が渡され、その箱に一千万円とも二千万円ともいわれる現金が詰められていたという疑惑であります。
 当然、石原知事は裏献金については否定していますが、この宴席に出席し、水谷建設の元会長にお世話になったお礼をしたことは認めておられるようです。
 しかし、一方には、糸山氏から依頼を受けて政治献金を用立てたという人物の証言があります。
 また、この証言を右翼と関連づけて否定した石原知事の特別秘書らに、一月三十日付で、貴殿の事実に反する発言等に関し抗議並びに訂正要求する通知書が送られています。この一連の事実関係について、知事はどのように説明されるのか、伺います。
 さらに伺います。知事の政治資金管理団体である石原慎太郎の会は、年に数回、会費二万円の昼食会を開催し、年間四千万円を超える収入を上げています。都知事という公職にある者が二万円の昼食会とはいかがかと思いますが、先日、日中に行われたシンポジウムにはカクテルパーティーまで付随していました。昼間から都知事がカクテルパーティーとは、都民の目にはどう映るでしょうか。
 無党派を標榜して都知事に就任された石原知事が、都知事の職を背景に政治資金パーティーを開催されているわけですが、政治と金がさまざまに議論されている中で、何のためにこのような資金集めの昼食会を開催されるのか、その理由を伺います。
 さて、さきの石原知事の施政方針表明の日、朝日新聞は石原知事に関する世論調査の結果を報じました。ピーク時には七八%を誇った支持率が、今回は五三%と二五ポイントも大きく落ち込み、これまでの調査で最も低くなったとされています。支持しないとする率は、かつての一四%から三五%へと、二・五倍もふえています。海外出張費や知事交際費などの公金の使い方は適切でない、六四%、ご子息の都政関与は適切でない、六三%と、いずれも六割を超え、都民の厳しい視線が示されています。三選出馬が望ましいとする者は四一%と、半数を割り込んでいます。
 一方、石原知事を最も身近で見ている都職員に対する「都政新報」のアンケート調査結果では、三選出馬すべきだは一九・三%と二割にも満たず、三選出馬すべきではないは五六・三%にも達しています。特徴的なのは、石原都政への評価が高い職層の方が、三選出馬に否定的だということであります。合格点が六割を超えた部長級以上で六二%、課長級で六六%が、出馬すべきではないとしているのであります。知事や知事側近の横暴にこれまでは何とか我慢してきた、しかし、これ以上はもういいかげんにしてくれという都職員の悲鳴が聞こえてきそうな結果であります。
 こうした世論の動向は、何が原因でこうなっているのかについて、知事はご自身どのようにお考えか、伺います。
 次に、平成十九年度予算について伺います。
 昨年七月に発表した「今後の財政運営の指針」に基づく初めての予算となる十九年度一般会計予算案は、企業部門の好調による税収増で、指針のフレームを上回る六兆六千二十億円、七・〇%の増、平成十年度の財政規模に匹敵する予算となりました。都税収入は、税源移譲分を除き実質で五千二十八億円、一一・二%の増を見込んでいます。歳出においては、さまざまな分野に満遍なく予算を措置しています。
 一方、都財政が抱える課題の一要素にすぎなかったオリンピック招致も、東京都が国内立候補都市に選定された後は、予算編成に大きな影響を与えています。重点事業の策定でも、招致に向けた事業を改めて選定しました。
 そもそも都民ニーズは、少子高齢化社会や各種災害への対応など、多岐の分野にわたります。再来年度からは、先送りしてきた都の大規模施設、庁舎等の社会資本ストックの改築も始まります。こうした中でも、オリンピック招致に向けた取り組みは着実に進めていかなければなりませんが、オリンピックを魔法のつえとするような野方図な財政運営を行うことは、都財政の規律をゆがめることになるのであります。
 オリンピックをにらみつつも、強い自己規律に基づく健全な財政運営が求められています。知事の見解を伺います。
 また、都は、この数年間が都財政の将来に大変重要な時期だとし、財政構造改革のブレーキになる負の遺産を取り除きながら、都財政の質的転換に積極的に取り組むとしています。そのため、都は隠れ借金と呼ぶ減債基金積み立て不足を解消し、他会計からの借入金を年度末に完済、多摩ニュータウン事業欠損金等の残高も約一千二百億円となりました。
 また、事業の見直しが避けられない負の遺産対策として、来年度予算で、まず心身障害者扶養年金制度とひよどり山有料道路事業に対応するとしています。
 ひよどり山事業については、有料道路を無料化し、債務を一括償還するため、六十九億円の予算計上を行っています。
 この有料道路の通行台数は、平成十七年度実績で計画の三八%しか達成できていません。そのため、七十億円の負債残高を抱え、近いうちに資金ショートを起こすことが確実な事態になっています。こうした負の遺産を処理していくことは理解しますが、そのためには、ひよどり山有料道路事業がなぜそうなったのかについてもきちんと総括していくことが不可欠であると思いますが、見解を伺います。
 負の遺産に関連して、臨海三セクについて伺います。
 一昨年、東京ファッションタウン株式会社と株式会社タイム二十四が破綻し、株式会社東京ビッグサイトがビル事業を引き継ぐことになりました。このスキームに対し、私たちは、東京都が七三・五%も出資し、役員の大半が東京都からの天下りである東京ビッグサイトがビル事業を継続しても、甘えの構造は断ち切れないと主張してまいりました。
 東京都は、ビル事業の自立的経営などとお題目では唱えていましたが、その実態はいまだにビル事業に対して過大な支援を行っているのです。
 例えば、東京ファッションタウンビルには、東京都の飯田橋技術専門校有明分校が入居していますが、その賃借料は、年間二億七千万円、平米当たり七万六千円であり、建物が最も新しい飯田橋技術専門校での年間減価償却費の平米当たり一万円に比べると、何と七倍以上も高いのであります。
 また、タイム二十四には東京都の創業支援施設がありますが、その多くを占めているインキュベーターオフィスの入居率は、東京都が企業に対する二分の一の家賃補助をしているにもかかわらず、四〇%台でしかありません。
 このような高い賃料、実質上使われていないオフィス床を確保することで、東京都はこれらビル事業の経営を下支えしているのであります。
 私は、東京都と監理団体とにはびこる甘えの構造こそが、負の遺産を助長するものであり、このような状況は早急に是正していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピックについて伺います。
 アジア民族全体の感激である、これは、戦前から日本のスポーツ振興に汗を流してきた東龍太郎知事が、昭和三十九年の東京オリンピックを迎えるに当たり語った言葉です。また、柔道の父と呼ばれた嘉納治五郎IOC委員は、アジアの一角から世界平和をと訴え、昭和十五年の幻のオリンピック招致を成功させています。我々の先達たちは、平和とスポーツの祭典オリンピックを日本で開催するため、世界じゅうで招致活動を展開してきました。
 一方、石原知事は、参議院議員時代、昭和四十四年三月の参議院予算委員会ですが、政府が非核三原則を何でつくったのか理解に苦しむと語り、日本政府の非核三原則を否定する意見を述べました。その後、環境庁長官時代になると、内閣の閣僚として非核三原則の姿勢を遵守すると発言を百八十度変え、説明を求められた石原大臣は、昭和五十二年三月の衆議院公害対策・環境保全特別委員会ですが、時間の推移や国際情勢の変化など、いわゆる政治の係数が変化したと答弁しています。その後、また時間が推移して、昨年二月の「文藝春秋」誌上では、私が民営化された日本郵政公社の社長だったら、うまく政府に根回しして核開発にでも資金を回しますなとの発言を行っています。
 まずは、平和の祭典オリンピックを議論する上で、平和そして核に対する知事の見解を伺います。
 また、石原知事の歯にきぬ着せない発言は有名で、中国や韓国、北朝鮮などに対しても時に反発を招き、時には誤解を招きかねない発言を繰り返し、近代オリンピックの生みの親、クーベルタン男爵の母国語であり、英語と並ぶIOCの公用語であるフランス語についても、ろくに数の勘定ができないフランス語というのは、やっぱり国際語として脱落していきましたなどと発言し、これが蔑視だとして訴訟も起こされています。
 オリンピックを東京に招致するためには、世界各国のIOC委員の支持を得なければなりませんが、石原知事を先頭に立てての招致活動では、アジア、アフリカ、EU諸国の支持を得られないのではないかと危惧するものであります。知事の見解を伺います。
 都は、現在、来年の立候補ファイル作成に向け、開催概要計画の見直しを行っています。竹田JOC会長も、東京全体に磨きをかけたい、コンセプトをもう一度詰める必要があると意気込みを述べました。
 この開催計画で、今、晴海か神宮外苑かと議論されているのが、新設予定のオリンピックスタジアムです。国が臨海部の都有地に一千百七億円をかけて新設するとしたオリンピックスタジアムは、「十年後の東京」でも、都心部へと緑の拠点を結ぶグリーンロードネットワークの重要な緑地と位置づけています。
 しかし、JOCの招致戦略プロジェクトが、二月七日から三日間、各競技団体から開催概要計画に対する要望を聴取し、今後、メーンスタジアムに関してもJOCとして要望をまとめていくとしています。
 知事は、メーン会場の整備について、いずれにしろ国立競技場ですからと含みを残した発言をしつつ、いまだに臨海部メーン会場への交通路を示してはおりません。契約書において、JOCの意向を十分尊重するとした条文もあり、オリンピックスタジアムをどうするかが問われていますが、知事の見解を伺います。
 オリンピック招致の顔は現在石原知事ですが、昨年末、この招致組織の名誉総裁として、皇太子殿下ご夫妻に就任を要請する意向を明らかにしました。みずからがオリンピックのために都知事選挙に出馬するとして、オリンピックと知事選出馬を関連づけて政治課題とする中で、その当事者が、国民の総力戦と勝手に位置づけ、各国の立候補都市と競い合い招致活動を行う招致委員会の名誉総裁就任を皇太子殿下ご夫妻に要請すると発言するのは、余りにも不謹慎だと思います。この知事の思いつき発言は、招致委員会理事会が開催されない中、その独断が既成事実になりつつあります。
 知事は、イギリスのアン王女やエリザベス女王のロンドン招致を例にとり、自分の発言を正当化しますが、アン王女は一九七六年モントリオールオリンピックの馬術に出場したオリンピアンであり、イギリスオリンピック協会会長とイギリスのIOC委員として長年オリンピックムーブメントに貢献してきました。エリザベス女王もイギリスオリンピック協会の後援者として同じ立場にあります。ほかの王族たちも、IOC委員としてオリンピックやスポーツ界に尽力してまいりました。
 オリンピック招致に全力で取り組むことは理解をいたしますが、尾崎行雄翁の弾劾演説をも想起させる、軽々に皇室を利用するがごときの知事の手法は厳に慎まれるように求めるものであります。知事の見解を伺います。
 昨年十月、IOCのロゲ会長が来日し、都を二〇一六年オリンピック開催地の有力候補と評価し、オリンピックを成功させる上で重要な開催国選手の活躍も見込めると述べました。JOCでは、選手強化方針ゴールドプランステージⅡの中で、日本で開催する二〇一六年オリンピックにおいて世界トップスリーの金メダルを獲得する目標を掲げています。
 二〇〇〇年にシドニーオリンピックを成功させたスポーツ大国オーストラリアは、スポーツを、トップアスリートを頂点とし、全国民のスポーツ振興を基盤とした一体化構造で考えています。トップアスリートの活躍は、国民全体がスポーツを広く楽しんでいるかどうかで決まります。スポーツ振興は、体力向上や健康づくり、地域におけるコミュニケーションの進展にもつながります。
 しかし、日本における成人のスポーツ実施率は低いレベルにとどまり、トップレベルの競技スポーツと一般のスポーツ振興は二極化した傾向が見られます。都は、東京スポーツビジョンにおいて、平成二十五年の東京国体までに都民の六割が日常的にスポーツを実践することを目指し、「十年後の東京」では、国体までに総合型地域スポーツクラブを全区市町村へ設置するとしましたが、今後、生涯スポーツ社会の実現を目指すため、どのようなスポーツ振興策を図るのか、伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 生涯現役、元気なまま人生を全うしたいというのは、だれもが願うところであります。しかし、現実には、多くの人々が徐々に身体機能や判断力を低下させていくことは避けられません。そうなったときにどう支えるかが行政を預かる者の責任であり、それこそが福祉であります。
 都の高齢者は、八割が元気高齢者、要介護者が二割です。この比率が現在と同じだとしても、十年後には現在よりも七十万人ふえると見込まれる高齢者数に比例して、支援を必要とする高齢者数は十四万人ふえ、六十万人に達すると考えられます。高齢者数の増加、ひいてはサービス量の増大への対応が必要です。
 加えて、核家族化と少子化の進行や価値観の変化から、子どもと同居しない高齢者のみの世帯や高齢者の単身世帯がふえていくにつれ、自宅介護が困難な方の割合がふえることも考えられます。また、療養病床の削減による社会的入院患者の受け皿や、要介護度の低い老人保健施設入所者が安心して暮らせる住まいも必要となります。
 このような状況にもかかわらず、「十年後の東京」において石原知事が示したのは、高齢者の八割は元気高齢者、高齢者像を一新などと、あたかも今後の高齢者は介護が必要なくなるかのような印象を与える書きぶりで、極めて見通しの甘い絵そらごとです。このままでは、今後団塊世代が高齢者となったときには、介護難民の団塊と化してしまいます。
 十年後、十五年後には確実にやってくる高齢者数の急激な増加に備え、長期的な展望を持たなければ、とても団塊世代の高齢期を支え切ることはできません。
 夢や希望は大切ですが、介護ロボットがあなたをケアしますといわれて、安心する都民がいるでしょうか。事高齢者ケアに関しては特に、このような空想的、抽象的な近未来図ではなく、しっかりとしたマニフェストたり得る「十年後の東京」を示す必要があると考えますが、見解を伺います。
 また、このような将来予測を前提に、しっかりとした中身のある施策の検討を早急に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
 「十年後の東京」では、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造するとあります。石原知事らしいフレーズです。しかし、現実の生活実感とのずれが余りに大きいと感じます。お上が何かのモデルを示し、人々に夢を与えるという発想や体質の古さに違和感を感じる都民も多いのではないでしょうか。
 超高齢社会をどう生きるかは、個々の都民の選択、行動の積み上げによって実現するものであります。問われているのは、世界に先駆けてなどとむやみに力むことではなく、いかに多様化する個々のニーズにこたえ、生活満足度を高めるかであります。
 東京では、先駆的な事業者により、プライバシーの保たれた住居に住み続けながら、徐々に必要となる介護サービスを付加したり、デイサービスを利用することができる、高齢者のニーズにどんどんこたえる試みが始まっています。これまでの福祉では考えられなかったような質の高いサービスが、自由な発想と行動力のある事業者によって次々と実現しているのであります。
 介護を必要とする高齢者の多様化する二ーズにこたえ、生活満足度を高めるためには、こうした先駆的取り組みへの支援などを一層拡充することが必要です。量の増加への対応に加え、質の高度化には何が必要とお考えか、伺います。
 次に、教育の再生について伺います。
 いじめ、不登校、学習意欲の低下、社会性のなさなど、子どもや学校が抱える課題に対する学校や教育委員会の対応力の低さがますます深刻な状況となり、学校不信が募っています。文部科学省を頂点とした都・区市町村教育委員会のヒエラルキーの末端として存在する学校のあり方、そして、議会や行政から独立した機関として教育に責任を持つという形になってはいるものの、実際には無責任体質、問題への対処能力の低さがクローズアップされ、教育委員会のあり方が根本的に問われています。
 一方では、倫理観の育成やしつけ、基本的な生活習慣の定着までも学校に求める時代となっており、学校不信の中で学校依存が強まっているという矛盾した状況になっています。しかし、信頼関係がなければ、学校が親のかわりにしつけなどできるはずもありません。現場は、どんどん肥大する要求に身動きがとれなくなっています。
 こうした閉塞状況を打開し、教育を再生するために、民主党は、自治体や地域が責任と権限を持ち、それぞれの学校を学びの共同体として自主的、自立的に運営できるようにすることこそが、今まさに必要とされていると考えます。
 最近の若者はけしからぬといった表層的な観点からではなく、個々の現場のあり方にもっともっと思いをはせ、現場が頑張れる学校づくりを進めなければ、教育の再生はなし得ません。
 危機的状況にある東京の教育再生に向けて、どのような取り組みをなされるお考えか、知事の見解を伺います。
 繰り返し申し上げますが、今なすべきは、現場における教師と親と地域との対話と協働を促し、学びを支援するコミュニティを全面的に応援することであります。
 教師によるいじめ事件や被害に遭った子どもが自殺するという深刻なケースでも、校長や教育委員会がその事実を知らなかったことに、だれもが驚きと失望を禁じ得ませんでした。限られた関係者だけではどうしても十分に目が届きませんし、教育委員会が毎日、すべての学校を細部にわたって監視することは不可能であります。
 学校をコミュニティスクールにして、地域住民や保護者が日ごろから積極的に学校にかかわっていれば、たとえ国や教育委員会の目はごまかせても、日ごろ接している保護者や地域ボランティアの目はごまかせず、早期の対応が可能となるはずです。そして同時に、コミュニティスクールは、教師だけがひとりで抱えていた問題をみんなで共有し、対応することができるのです。
 コミュニティスクール化は極めて有効な手法であり、既に実践している学校では、教員を含めた学校、地域がどんどん活性化しているといわれていますが、コミュニティスクール化をこれから進めていくべきだと思いますが、見解を伺います。
 陸の孤島と化している現在の学校を真の開かれた学校として再生するためには、学校を取り巻く環境を含めて、子どもの成長のために何が必要か、何が課題であるのかをまとめ、その中に地域内の学校、保護者、地域住民がそれぞれの役割を果たしていくようにする地域教育計画が必要です。
 子どもは学校で育つわけではなく、地域社会の経済、教育、文化、生活環境の中で育っていきます。地域のまちづくりに連動させて、地域の大人たちが教育活動を理解し、参加する。その中で、子どもは、社会的な存在としてコミュニケーション能力やマナー、ルールを自然と学ぶことができ、子どもの生きる力、ひいては考える力をはぐくむことができます。
 今、区市町村の現場では、行政や教育委員会が改革を行おうとしても、地域や保護者の理解が十分に得られず、なかなか進まないのが現状です。また、総合学習の時間一つとっても、社会学習に取り組む学校もあれば、学力強化の要望にこたえるため教科学習の補充に使うなど、その質や内容は各区市町村によってばらばらです。
 地域教育計画は、学校と地域社会との関係を深め、東京都全体としてはミニマムな水準を保ちながら、区市町村の創意工夫により教育の質を向上させていく枠組みとすることができると考えますが、見解を伺います。
 次に、雇用における格差是正について伺います。
 一月二十五日から始まった通常国会は、格差是正国会とも位置づけられ、特に雇用における格差問題が大きな争点となっており、都においても、雇用における格差是正に向けて積極的に取り組んでいく必要があります。
 石原知事は、平成十八年三月十四日の予算特別委員会で、フリーターやニートを指して穀つぶしと非難しましたが、フルタイムで働いていても、得られる収入が生活保護並みかそれ以下の水準でしかないワーキングプアといわれる働く貧困層に対して、無理解、無関心であってはなりません。
 私は、身分の違いや社会に出た時期の違いなどに関係なく、だれもが将来の暮らしに希望が見出せる社会を構築していくことが必要であると考えています。そのために、私は、都政においても、正規や非正規の雇用形態や年齢などに関係なく、個人の能力が正しく評価され、同じ仕事の内容には同じ処遇がなされるといった社会の構築に取り組んでいくべきだと考えています。
 石原知事は、雇用における格差についてどのように考え、その是正についてどのように取り組んでいこうとしているのか、見解を伺います。
 次に、非正規労働者の雇用改善について伺います。
 昨年五月に都が発表したパートタイマーに関する実態調査では、雇用契約を文書で行っている事業所は六割にも満たない状況にあります。東京都は今年度から、非正規労働者の雇用環境改善に取り組む中小企業に対して、コンサルタントの派遣やチャレンジ融資などを通じた支援を行っていますが、目標とする事業者数は三十社しかありません。
 平成十八年度版の労働経済白書では、少子化を加速させている一因は、非正規雇用の働き方が若年者を中心に広がっているためだと指摘されており、格差是正だけでなく、少子化といった視点からも、非正規労働者の雇用環境の改善は重要な課題です。
 私は、制度普及のために広報や相談体制を充実、あるいは企業へのインセンティブの充実などを含め、非正規労働者の雇用改善に向けて、さらに踏み込んだ取り組みを求めるものでありますが、見解を伺います。
 次に、若年者、特に年長フリーターをターゲットにした支援について伺います。
 前述の白書では、フリーターの数は減少傾向にあるものの、三十五歳から四十四歳の世代では逆に増加しており、ニートについても、二十五歳以上ではふえているとしています。これらの人たちが社会に出るようになったのは、バブル崩壊後のいわゆる就職氷河期です。本人の能力や努力という以前の問題として、当時の社会が彼らの就業機会を奪ってしまったことを考えれば、社会や行政の責任で改めて彼らに対し就業機会を提供していくことは当然のことではないでしょうか。
 そしてまた、少ない収入、少ない貯金に甘んじざるを得ない彼らの実態を踏まえるならば、奨学金などの貸付金制度の充実、職業訓練のための給付金制度の創設といった自立支援に向けた経済的支援に加えて、受け入れ企業の拡大など、総合的な支援策を講じていく必要があります。
 年長フリーターヘの総合的な支援策について、見解を伺います。
 「十年後の東京」では、再チャレンジ応援奨学金の創設が打ち出されていますが、その対象は、先端分野において活躍できる、高度のスキルを持った人材育成に限られています。今の若者の置かれている現状を考えるならば、すべての教育機関、職業訓練機関でも活用できる奨学金制度に加えて、彼らが一定期間仕事を休んでも生活することができる生活資金の貸し付けなど、より使い勝手のいい貸付制度を打ち出していくべきではないでしょうか。
 また、奨学金、貸付金に加えて、職業訓練での給付金制度の創設も必要です。年長フリーターは雇用保険に未加入な場合も多く、そのため教育訓練給付金が受けられません。また、正規社員の自己負担分を会社負担になるよう奨励しているのと比べても、非正規と正規の間には大きな格差が存在しています。
 栃木県では、若年者バウチャーモデル事業として、三十五歳未満の雇用保険制度の支援を受けることができない若者で、職業訓練受講の必要性が認められる者に対して、職業訓練受講費用の二分の一を給付する制度を始めています。東京都が都立技術専門校で実施している若年者の職業訓練の定員は二百三十人でしかなく、約三十万人といわれる都内のフリーター数と比べても、微々たるものでしかありません。
 奨学金、貸付金の拡充や教育訓練給付金制度の創設など、若者に対する経済的な支援策について見解を伺います。
 次に、雇用における年齢差別の禁止について伺います。
 民主党が今国会で提案を予定している格差是正緊急措置法の項目の一つに、雇用における年齢差別禁止があります。民主党の動きを受けてか、自民党の雇用・生活調査会においても検討が始まっていると聞いており、年齢差別が禁止されれば、団塊の世代の人たちの再就職を初め、年長フリーターの就業促進も期待できるのではないでしょうか。
 ところで、石原知事が平成十二年に策定した東京構想二〇〇〇では、求人時の年齢制限の撤廃に向けて企業を指導していくなど、国と連携した取り組みを強化することを打ち出していました。しかし、いまだに都内の求人広告では年齢制限を設けているものが多く見られます。
 国において雇用における年齢差別の禁止が具体的に動きつつある中で、かつてその取り組みを掲げていた石原知事は、雇用における年齢差別の禁止についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、産業振興基本戦略について伺います。
 東京都は一月三十日に産業振興基本戦略素案を発表しましたが、まだまだ中小企業の意見を反映させていく余地は大きいように感じます。産業振興の主体的役割を果たすのは東京都ではありません。中小企業が活動しやすい公平、公正な市場を形成してこそ、東京の産業は大きく飛躍することが可能なのです。
 しかしながら、中小企業を取り巻く環境は、例えば商取引・金融慣行においていえば、下請いじめや第三者保証要求など優越的地位の乱用が依然として存在しています。また、理工学部を卒業した学生が、その経験が生かせる中小企業よりも、たとえ営業や事務職だとしても大企業を志望する風潮は、中小企業の人材確保を困難なものにしています。さらに、国際競争が激しくなる中で、事業承継税制など他国の企業と競い合う上での足かせも大きく、知的財産の保護といった面からも同一の競争条件となっていません。
 このような視点から、昨年十二月に民主党が打ち出した政権政策の基本方針(政策マグナカルタ)では中小企業憲章の制定を掲げていますが、東京都においても、中小企業を産業活動の中心に据えて、公正に競争できる環境を整備していくべきだと考えます。
 産業振興を戦略的に進めていくためには、まずは公正、公平な競争条件を整えることで中小企業の活力を高めていくことこそが重要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、中小企業の資金調達に関連して、新銀行東京について伺います。
 産業振興基本戦略では、中小企業振興策でのこれまでの施策として、CLO、CBOの発行やベンチャーファンドの創設などが記載されているものの、新銀行東京は参考資料どまり。また、多様な金融手法を活用し、企業の資金調達を支援すると掲げた施策の取り組み例では、CLO、CBOと制度融資が触れられているのみで、中小企業の資金調達にかかわる新銀行東京の存在は極めて希薄なように感じます。
 私たちは、十二月議会の代表質問でも、中小企業対策という当初の設立目的で事業が立ち行かないのであれば、民間への売却も含めて、新銀行東京のあり方を早急に検討すべきだと主張してまいりました。これに対して石原知事は、当初、大きな銀行から来た責任者たちが、中小企業の借り手としての評価、見きわめが困難だったのか、その部分がかなり焦げついたとの認識を示し、また、年末の定例記者会見でも、ATMは利用価値が少ない、頻度が少ないので撤収し、かわりにほかの業務を展開するといった問題を発案の段階で発表すると述べられました。
 そこで、以下、三点について伺います。
 石原知事は、新銀行東京の経営状況が悪化しているのは、現場の人たちに責任があるかのような発言をしていますが、そもそも新銀行を発案し、今も最大の株主として影響力を有する知事の発言としては、極めて不見識ではないでしょうか。新銀行東京の経営悪化の原因として、改めて知事の見解を伺います。
 また、ATMは撤収し、かわりにほかの業務を展開するといった問題を発案の段階で発表すると述べていましたが、かわりの業務とは具体的に何か、いつごろ、どのような形で発表する予定なのか、伺います。
 さらに、ATMは利用価値が少ない、頻度が少ないので撤収すると述べていますが、ATMの利用頻度などについては、これまで私たちが質問したにもかかわらず、東京都が経営情報を理由に明らかにしてこなかったものであります。石原知事は、ATMの利用頻度などを一体どのように知り得たのか。石原知事と新銀行東京との関係について見解を伺います。
 次に、中小企業の事業承継について伺います。
 中小企業の事業承継については、相続税の軽減など、外国並みの事業承継税制の確立を国に要望していくことは当然ですが、これに加えて、東京都としても積極的な施策を講じていく必要があります。
 中小企業の事業承継を困難にしている後継者不足の問題は、会社経営者が、自分の息子や親族、あるいは社内を見渡して感じていることだと思います。しかし、これまで連綿と築き上げられてきた貴重な技術やノウハウが、次世代に引き継がれることなく消滅してしまうのでは、社会的にも大きな損失ではないでしょうか。
 信託法の改正など、事業を承継するためのツールもふえているところであり、私は、後継者の発掘、育成や、後継者不足に悩む中小企業とのマッチング、あるいは企業合併の円滑化などを進め、中小企業の事業承継を積極的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、知的財産権の保護、育成について伺います。
 産業振興基本戦略の策定の背景には、中国やインドなどアジア諸国の台頭による危機感があるようです。しかしながら、中国の台頭などは何年も前から指摘されていたことで、今さらといった感がしないでもありません。むしろ中国などの台頭は、安い賃金もさることながら、日本の知的財産を不当に侵害してきたことによって成り立っている部分もないとはいえません。
 特に、これから東京都が世界をリードするクリエーターを育成しようとするのであれば、あわせて、彼らの著作物やデザインなどを保護していくことは至上命題であります。
 他国の政策、国と国との交渉に属する問題については東京都としても限界がありますが、私は、国に十分に働きかけるなどして、海賊版や模倣品を撤廃し、日本の知的財産を保護、育成していくべきだと考えますが、知的財産の保護、育成に向けていかがお考えか、見解を伺います。
 次に、アニメ産業の振興について伺います。
 日本の文化として世界に誇れるコンテンツ産業の元祖ともいえるのは漫画であると思いますが、その漫画の分野では、かつてトキワ荘というものがありました。漫画家の梁山泊ともいうべきアパートに入居した漫画家の多くがその後著名になったことを思うと、夢を同じくする者同士の切磋琢磨を促す仕組みは注目されるべきことであります。
 一方で、アニメ産業の振興といった場合、アニメ業界に人材が定着しない一困は低賃金によるものだともいわれており、クリエーターの育成や中小企業とのマッチングとあわせて、中小企業の財政基盤を強化すべきと考えています。
 そこで、アニメ産業の振興に向けて、人材交流や中小企業の財政的な強化を兼ねて、アニメ産業の集積的な創業支援拠点を整備していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 既にロンドン市やベルリン市では、二〇一〇年までに一九九〇年比二〇%あるいは二五%のCO2削減目標を掲げています。他方、「十年後の東京」は、日標年次を十年先の二〇二〇年とした上で、基準年次も二〇〇〇年として二五%の削減目標を打ち出しています。しかし、二〇〇〇年は、一九九〇年に比べてCO2の排出量が九%もふえていることを考えれば、二五%といっても、数字を大きく見せかけただけの印象はぬぐえません。そもそも、東京都がこれまで掲げてきた、二〇一〇年までに一九九〇年比で六%削減という目標さえ、達成が困難なのではないでしょうか。
 温暖化は私たち一人一人の問題であり、アメリカが批准しないとか、国が怠慢だからといっている場合ではありません。東京都は東京都として、具体的にできることを大胆かつ着実に実施していく必要があるのであります。
 世界一の低CO2型大都市の実現に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 東京都でのCO2削減が進まない最大の要因は業務部門です。CO2排出量は一九九〇年以降二八%もふえており、事業所ビルの床面積の増加などが大きく影響しています。東京都も建築物環境計画書制度などにより温暖化対策を講じていますが、もはやこうした取り組みは、建築物だけでなく、まちそのものに拡大していく必要があります。
 国においては、新規市街地開発や再開発などが行われる面的な広がりを持った一定エリアにおいて、単なる建築物ごとの対策だけでは得られないCO2削減効果をもたらすモデル事業が今年度から始まっています。また、ロンドン市では、住宅、オフィス、商業施設などを含む複合開発においてCO2排出量ゼロを目指すゼロカーボン開発が提案されています。
 東京都内では、六本木や大手町や豊洲などにおいて、大手ディベロッパーがそれぞれの地域の広報戦略を展開しており、私は、こうした地域ごとの競争を環境的視点から促していくという仕組みづくりが極めて有効であると考えます。
 個々の建築物にとどまらず、一定の広がりを持った地域を対象にした温暖化対策の実施に向けて、見解を伺います。
 次に、ヒートアイランド対策について伺います。
 「十年後の東京」では、目玉の一つとして、都心部を貫くグリーンロードネットワークを形成することで風の道をつくり出していくことを掲げています。風の道については、都議会民主党がかねてより主張してきたものであり、知事が平成十六年八月十三日の定例記者会見で、今ごろいっても遅いなどと歯牙にもかけなかったことを思うと、隔世の感があります。しかし、風の通り道を阻害している原因が無秩序に建てられた超高層ビル群であることを踏まえれば、単に緑をふやしただけで風が吹くと考えるのは大きな間違いです。
 品川周辺地域では、まちづくりガイドラインを策定し、中低層の街区計画や、隣の棟との十分な間隔をあけた高層建築によって、海からの風や運河沿いの風の通り道を確保しようとしていますが、まちづくりの早い段階から環境対策を位置づけていくことが、風の道の確保については最低限必要なのです。そして、これを東京という都市を対象に実現するのであれば、緑の保全、創設にとどまらず、都市計画を初めとしたまちづくりの中で環境対策を明確に位置づけ、制度、政策の中に反映させていく必要があるのではないでしょうか。
 風の道の確保など、まちづくりでの環境創造に向けた石原知事の基本的な認識について伺います。
 次に、緑の保全、創出に向けた規制的な取り組みについて伺います。
 海の森や樹木などの新たな緑の整備にとどまらず、まちの中の身近な緑をふやし、失われつつある既存の緑を保全していくためには、規制的な手法による取り組みが効果的、効率的であります。
 私たちは、この間、住宅地域や商業、工業といった地域特性に応じた緑化基準の設定や、昔から残る緑の優先的保全、あるいは駐車場緑化や屋上緑化など緑化義務の強化を求めるとともに、丘陵地などにおける開発行為を原則的に禁止すべく、自然保護条例の改正などを求めてまいりました。
 東京都の持続可能な東京の実現をめざす新戦略プログラムでは、緑化計画書制度や開発許可制度の強化について、十八年度中に制度改正案の検討を行い、十九年度に実施することが記されていますが、その取り組みは先送りされたといっても過言ではありません。
 私は、緑施策の抜本的な見直し、強化に向けて早急に自然保護条例を改正すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、建築物の耐震化促進について伺います。
 昨年末、ある新聞で、都一〇〇%耐震化作戦という大きな見出しの記事が掲載されました。幹線沿いビル、学校・病院という小見出しもついていましたが、この小見出しを見れば、普通の人なら、さすがは東京だ、都内のすべての建物を耐震化するのだなと思ったことでしょう。ところが、記事の内容は、都内の旧耐震基準の建物のうち、病院や学校など防災上重要な公共建築物、大規模な百貨店、ホテル、劇場といった民間建築物及び緊急輸送道路沿道の建物についてのみ、今後十年間で一〇〇%耐震化を図るというものでした。
 しかも、現在、策定が進められている耐震改修促進計画の素案では、閉塞を防ぐべき道路は第一次緊急輸送道路だけでも約千キロメートルに及びますが、そのうち当面はモデル路線としてわずかに三路線、計三十八キロメートルが指定されるにすぎません。
 都が言及する緊急輸送道路沿道の建物の一〇〇%耐震化とは、モデル路線だけを対象としているのか、地域防災計画で指定する第一次、第二次、第三次路線のすべてまで対象とするのか、見解を伺います。
 さきの「十年後の東京」では、緊急輸送道路沿道の建物の耐震化とあわせて、都内住宅の耐震化率を九〇%以上とすることも示されました。しかし、これらは、国の基本方針をそのまま踏襲しているだけで、全国自治体に先駆けて取り組む決意表明をしたということ以外、とりたてて評価するに値しません。
 しかも、目標達成のためには、都内住宅の耐震化の現状を踏まえると、老朽化による自然更新分を差し引いても、今後十年間で一年当たり三万四千戸耐震改修する必要があります。しかし、十九年度予算案では、木造住宅については、耐震診断千五百棟、耐震改修五百棟分、マンションについては耐震診断千八百棟、耐震改修等改良工事利子補給五千戸分が計上されているだけで、このペースでは「十年後の東京」に掲げた目標を達成することなど到底不可能なことであります。
 十分な予算措置とともに、都民が制度をより利用しやすくするための取り組みも必要です。例えば江戸川区では、耐震診断助成制度の活用を促進するため、限度額を設けないこととしました。墨田区では、木造住宅密集地域で町ぐるみの耐震化を促すため、耐震モデルハウス計画が、まちづくり公社のバックアップのもと、住民組織によって進められています。
 このような助成制度の拡充や意識啓発のための工夫など、住宅の耐震化をより一層促すような独自の取り組みが都として求められているにもかかわらず、都は、あくまで国が法律で定めた枠組みの範囲内で耐震化の助成制度を設けているにすぎないというのが現状です。
 そこで、十年後における都内住宅の耐震化率を九〇%以上とする目標達成の見込みとその具体策について見解を伺います。
 平成十五年に内閣府の中央防災会議が策定した東海地震対策大綱では、公共建築物の耐震性能の公表が求められており、昨年一月の改正耐震改修促進法の施行に際しても、国土交通省は同様の趣旨の告示を出しています。
 既に静岡県などでは、保有する建物について、建物名や所在地、完成年はもちろんのこと、旧耐震基準か否か、耐震性能のランクなど、包み隠さず公表しており、建物利用者からも高く評価されています。
 一方、都では現在、都有施設の耐震性能を公表していませんが、耐震改修促進計画の素案では、防災上重要な公共建築物のうち、都立建築物について平成十九年度末までに耐震診断の実施状況を公表するとともに、学校、病院、庁舎等の主要な用途別に具体的な整備プログラムを作成することが示されています。
 私たちは、このように対象を限定せず、都営住宅も含めたすべての都有建築物について、その耐震性能を公表すべきと考えます。特に、都営住宅は公表すべきであります。居住者の不安をあおる可能性を心配する意見もありますが、実際に、都市再生機構では、所有、管理する賃貸住宅居住者に対して耐震性能を公表しており、居住者に混乱は生じていません。都有建築物から率先して耐震性能を公表することによって、危険な建物が身の回りにあることを都民に知らせることが、耐震改修を促進する原動力になると考えるものであります。
 都有建築物の耐震性能の公表について見解を伺います。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご答弁によっては再質問をさせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田中良議員の質問にお答えいたします。
 選挙も近いせいですか、大層お派手な質問演説でありましたが、聞くところ、あなたの都政に対する評価は三十点ということだそうですけれども、ならば、今までなぜ都が提案した提案に民主党はすべて賛成をしてこられたんでしょうかな。都の提案に対して厳しい条件がつけられたり、あるいは代案を出されたということは聞いたことがないのはなぜなんでしょうか。
 民主党も多士済々であられまして、田中大幹事長も次期知事候補のさらに候補の一人だそうでありますが、ならば、せっかくの機会ですから、独自の提案、主張もされて、論戦を挑まれたらいいのじゃないかと思います。
 さて、これまでの都政運営についてでありますけれども、私の在庁時間が短いから都政運営に支障を来しているなどという話は、どこかの別の政党の主張を聞いているようでありまして、都庁にいようがいまいが、私は、常に私なりに東京のことを考え、東京を眺めておりまして、都庁の外ででも大きなヒントを得て、都民のためにやるべきことをやってきたと思っております。そして職員も十分にそれにこたえてくれました。
 また、選挙を控え、知事への批判は甘んじてお受けもしますが、職員の士気や能力が劣ってきたなどというのは、全く事実無根のいいがかりでしかございません。
 庁内からの発案によりまして銀行税やしごとセンター、インターネット公売、これは、きのうテレビでやっていましたが、関西のどこですか、芦屋市までが早速東京のまねをしてやっていますけれども、次々に新しい政策が生み出されてきております。不正軽油の撲滅作戦でも、今も続いておりますが、女性の職員までが体を張って任務の遂行に当たってきておりまして、既に十回を数える東京スピリット賞では、毎年、職員の創意あふれる新しい試みが数多く披瀝されておりまして、こうした職員たちの汗と努力を民主党の皆さんもよくご存じのはずであると思います。
 参考に申しますと、平成十八年度の東京スピリット賞受賞者は、架空請求対策チーム、それから東京DMATの創設プロジェクトチーム、脱法ドラッグの対策チーム、東京しごとセンター開設チームでありまして、こういった新しい案がどんどん発案されるだけじゃなしに、実現されていることもひとつ改めてご認識いただきたいと思います。
 「十年後の東京」にしましても、これは職員がみんなして知恵を出し合いまして、一年以上かかっていろんなシミュレーションをし、練り上げてきたものでありまして、私も参加してこれまで八年間の集大成といえるべきものができ上がったと思っています。極めて具体的な近未来図が完成したと思っております。ゆえにもご指摘は当たりません。
 これまで行ってきた人事についてでありますが、私は、知事就任以来、スピードと成果を重視し、戦略的かつ機動的な執行体制を構築するため、時々の行政課題に応じた適材適所の人事配置を果敢に行ってきました。こうした体制のもとで、ディーゼル車規制、あるいは債券市場創設など、国に先んじたいろいろな施策も展開するとともに、危機に瀕した都財政の再建も実現できたと思っています。
 今後とも、庁内外の多様な人材を実力本位で広く登用し、直面する課題に一丸となって取り組んでいくつもりでございます。
 なお、ご指摘のあった一年で交代した局長級の数については、ちなみに、鈴木都政四期目で六十七人、青島都政下で六十八人、私の就任以降は、一期平均で見ますと六十七人でありまして、さして前後変わりはないと思います。
 人事は、私が各自の能力、人物を見極めて決めておりまして、好き嫌いで人事を行っているなどということは全く当たりません。
 次いで、ドラッカーの警告についてでありますが、先ほど貴重な格言をいただきましたが、私は、都民、国民のためなら、知人、友人であろうと、要所要所で骨身を惜しまず働いてもらっております。中でも優秀な民間の経営者の方々からは、常に貴重な提言をいただくなど、大きな成果を上げていると思っております。
 ちなみにドラッカーは先に引用された五つのルールの第一として、何を行わなければならないかをまず問えと警告しております。また二番目には、集中せよ、二兎を追うなかれともいっております。ただいま田中幹事長の代表質問に対しては、逆に私からこの言葉をお贈りしたいような気がします。
 次いで、機会の平等についてでありますが、文化施設の運営と雇用などの平等の問題を無理やり結びつけるとは、いかにも乱暴な論であるといわざるを得ません。
 トーキョーワンダーサイトを初めとする新しい文化振興策は、若手芸術家に門戸を開き、活躍する機会を新たに創出する取り組みにほかなりません。これは今まで日本になかったことであります。少なくとも国がやらなかったことです。これにより、現代美術の国際的なサーキットにこの東京もようやく加わることができました。文化振興事業の趣旨をぜひご理解いただきたいと思います。
 次いで、いわゆる吉兆会合疑惑についてでありますが、週刊誌で喧伝されている浅薄不確実極まりない情報を、ただ仄聞として引用されて、全く吟味もせずに質問されるのは、公党としての品格としてもいささかなものでありましょうか。疑惑と呼ばれるようなことは一切ないので、ご心配には及びません。
 政治資金パーティーについてでありますけれども、石原慎太郎の会なるものは、都政の課題を語り合う重要な機会でありまして、毎回多くの方々が参集して意見も交わしております。今回はシンポジウム形式で行いまして、安藤忠雄氏が二〇五〇年の東京の姿について自説を展開され、大変意義深いものとなりました。こうした集まりは、政治資金規正法に沿って適正に行われているものであります。
 次いで、世論の動向についてでありますけれども、都民の中にさまざまな意見があることは十分承知しております。しかし、世論調査の数字を唯一絶対の真実であるかのように受けとめるべきではないと私は思います。特に、限られた政党に近い限られた人物が、そういう業界紙が、明らかにためにしているそういうアンケートというものに振り回されては、都の職員そのものが私は迷惑していると思います。それをもってすべてをはかることなど絶対にあり得ないと思います。まあ、数字のデマゴーグに惑わされてはならないというのは、やはり政治家としての、これは互いに心得るべきことではないでしょうか。
 いずれにしても、一つ一つの数字に振り回されることなく、今後とも都民の声を広く真摯に聞き、都政運営に当たっていきたいと思っております。
 次いで、健全な財政運営についてでありますが、都は地方交付税の不交付団体であり、また、構造的に税収が大きく変動するリスクを抱えておりまして、こうしたことから、かねてより他の自治体よりも強い自己規制を課しながら財政運営を行ってきました。今日、財政再建が達成できたのは、当初よりこうした厳格な姿勢をみんなして貫いてきたことの何よりの証左であると思っております。
 この先もご懸念のような野方図な財政運営を行うつもりは毛頭ありません。オリンピックを含めた都民要望への着実な対応と健全な財政運営を両立させていきたいと考えております。
 次いで、平和と核についてでありますけれども、平和が、古今東西、万民の願いであることはいうまでもありません。しかし、平和は、平和、平和と唱えていれば実現するものでも決してありません。東京にオリンピックを招致することで、二十一世紀にふさわしい都市モデルを示すとともに、世界平和の実現に向けた強烈なメッセージを全世界に発信することができると考えております。
 また、核の問題についてでありますが、私の政治家としての信条は一貫しておりまして、ご懸念には及びません。しかし、あなたの方の民主党の党首の小沢代表は、かつては、日本がその気になれば一朝にして数千発の核弾頭をつくる能力を持っているなど、また鳩山幹事長も、日本の核保有について議論することそのものを禁じるというのはおかしいという発言をされたようでありますが、大分風向きが変わった、いい分が変わったようでありますけれども、まあ、民主党がそんな党であったということは、私もよく不明にして知りませんでした。
 そもそもこの問題は、緊迫する国際情勢を踏まえ、国政の中で刻々変化するであろう政治情勢というものを踏まえながら、冷静に、既存の特に観念にとらわれることなく存分によく議論を交わすべきものだと思っております。
 オリンピック招致への支持についてでありますけれども、オリンピック招致をかち取るためには、IOC委員の支持はもちろんでありますが、IOC委員に影響を持つ方々の賛同を求めていくことも重要であります。
 このため、政治、経済、外交などあらゆるチャンネルを通じて、いわゆる重層的な、複合的な外交展開が必要であります。東京オリンピック招致委員会を中心に、国を挙げての招致活動を展開していきたいと思っております。
 都としても、これまで都が先導してきたアジア大都市ネットワークやロンドンとの政策提携など、国際社会と連携したさまざまな取り組みを展開する中で、東京オリンピックへの支持を広げていくつもりであります。
 オリンピックスタジアムについてでありますが、オリンピックスタジアムは、開会式や閉会式、陸上競技などが開催され、すべての大会関係者や多くの観客が集う、その大会の象徴となる施設であります。このため、招致に当たっては、IOC委員から高い評価を得る施設とすることが重要であります。
 都としては、晴海地区に国の施設としてオリンピックスタジアムを整備する方針でありまして、JOCや国内競技団体の理解を得つつ、具体化に向けた検討を進めてまいります。
 次いで、オリンピック招致活動と皇室についてでありますが、オリンピック招致活動は、これまで何度も申し上げてきたとおり、国を挙げてのまさに国家的プロジェクトだと思います。
 日本の取り組みを国内外に印象づけていくためには、海外においても親しみを持って尊敬されて迎えられている皇太子殿下ご夫妻を含め、国民に敬愛されている皇室の方々に協力を仰いでいくことは大変意義深いことと考えております。現に、皇室外交というのはそれなりに非常に大きな成果を上げているじゃありませんか。
 「十年後の東京」における高齢者施策についてですが、いわゆる団塊の世代が高齢期を迎え、元気な高齢者が八割を占める中で、これまでのように、高齢者を、支えられる存在としての画一的なとらえ方ではなくて、もはや本質的に観点を変えまして、「十年後の東京」では、生活基盤や地域における支援体制の整備など、支援が必要な高齢者への取り組みにとどまることなく、社会を活性化させる存在として新たな高齢者像を描いております。
 現に、今回の東京大マラソンでもボランティアを募集しましたが、非常に数多くの高齢者が応募してくださいました。数そのものは飽和になりましたので、半分以上お断りするという、うれしい悲鳴を上げる次第でございます。
 いずれにしろ、最先端技術の活用などによりまして、高齢者の健康で自立した生活を支えるとともに、介護や子育て支援を初め、さまざまな社会的課題の解決に高齢者みずからが活躍できる場を提供するなど、多様な社会参加を促進し、超高齢化社会の都市モデルを東京から実現していきたいと思っております。したがって、空想的、抽象的近未来図という指摘は当たりません。
 次いで、教育再生についてでありますが、教育は、国家・社会の発展の基礎となる重要な営みであります。しかし、教育の現状を見ますと、親や大人たちは、子どもの教育を学校に任せ切りでおります。一方、学校は、競争原理の働かない中で画一的な教育から脱し切れておりません。
 子どもにとって、教育の原点は家庭であり、親こそ真の教師であると思います。親と大人は、子どもたちの教育についての責任を自覚し、その役割をしっかり果たすべきであると思います。
 また、学校は、これまでの画一的な教育を見直し、子どもの個性や創造力を伸ばしていくなど、教育改革を推進し、都民の期待にこたえていかなくてはならないと思います。
 次いで、雇用における格差についてでありますが、その前に、私の言葉を勝手に引用されまして歪曲されていますが、私が穀つぶしといったのは、これはフリーターじゃありませんよ。ニートのことはそう申しました。こういう歪曲した引用というのは非常に卑劣だと思います。
 近年、働く側の価値観や、厳しい競争を展開している企業の経営戦略の変化により、働き方や雇用形態が多様化してまいりました。仕事の内容や責任の重さなどにより、賃金など差が生じるのは当然でありますが、個人の能力や成果が正当に評価される、働き方を柔軟に変えられる社会を築いていくことが大切であると思います。
 このため、「十年後の東京」に示したとおり、働き方を自由に選択し、意欲あるだれもがチャレンジできる社会の実現に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、新銀行東京についてでありますけれども、新銀行東京は、他の金融機関との厳しい競争にさらされながらも、資金繰りに苦しむ中小企業に対して積極的に融資を行ってきました。
 しかし、結果は、今非常に苦しい状態にありますが、これは、私はやはり、私たち東京都は株主ではありますけれども、その株主が委託している経営者というものが、いろんな考え方を変えて努力をする必要があると思います。
 そういう面で、人事も含めて大株主としての発言の機会というものを考慮しておりますが、いずれにしろ、具体的には融資・保証の九割以上は中小企業に対するものでありまして、その約三割が赤字または債務超過の企業を対象としております。
 予想を超える不良債権が発生しましたが、中小企業金融において重要な役割を果たしていることには変わりありません。
 新銀行東京が、今後とも収入の確保や不良債権の抑制など、経営面の改善を進めつつ、中小企業支援に軸足を置いた事業展開を積極的に行うよう、出資者である東京都としても働きかけてまいります。
 次いで、地球温暖化対策への取り組みについてでありますが、都はこれまで、国に先駆け大規模なCO2排出事業者に削減計画の策定を求める制度を構築するなど、我が国の地球温暖化対策をリードしてきました。
 今後、「十年後の東京」で掲げた高い削減目標の達成に向け、民間企業や都民を大きく巻き込み、十年プロジェクトを本格的に展開し、引き続き我が国の温暖化対策を牽引していくつもりであります。
 次いで、まちづくりでの環境対策についてでありますが、都はこれまでも、都心部等で保水性舗装や屋上緑化、都市開発を進める中での風の道づくりなど、先進的なヒートアイランド対策に取り組んできました。
 今後も、「十年後の東京」に示したとおり、広域的、骨格的な緑を形成し、風の道を生み出すとともに、あらゆる都市空間を活用して緑化を推進するなど、都市づくりとも連動させながら、重層的、複合的に環境対策を展開していきたいと思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、スポーツ振興策についてでありますが、都民の健康やスポーツへの関心の高まりがある一方で、都民のスポーツ実践が必ずしも日常的に浸透しているとはいいがたい状況にございます。
 お話の生涯スポーツ社会は、子どもの体力向上や高齢者の健康づくりの実現など、都民全体が幅広くスポーツを楽しむ社会であると考えております。
 このため、都教育委員会は、幅広い世代の都民が身近でスポーツを楽しむことができる環境づくりと、各地区における地域スポーツ全体のすそ野を拡大するため、地域スポーツクラブの全区市町村での設置を目指しております。
 今後は、東京都地域スポーツクラブ設立支援協議会の設置や、地域スポーツクラブを段階的に育成していく新たなモデル事業を通じまして、設立支援の一層の拡充を図る一方、トップアスリートが参加する国際大会を観戦する事業などを推進いたしまして、スポーツ実践層の大幅な増加を図り、生涯スポーツ社会の実現を目指してまいります。
 次に、コミュニティスクール化の推進についてであります。
 コミュニティスクールにつきましては、学校運営協議会を通じまして保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画することによりまして、学校、地域、家庭が一体となって、よりよい教育の実現に取り組むことができる一つの効果的な仕組みであると考えております。
 コミュニティスクールの指定につきましては、小中学校の設置者であります区市町村教育委員会が地域の実情を踏まえまして主体的に決定すべきものと考えておりますが、都教育委員会といたしましては、コミュニティスクールとなった学校の取り組み状況につきまして情報提供を行ってきておりまして、平成十九年四月には新たに二十二校で導入され、七区市で合計三十四校の小中学校がコミュニティスクールになる予定であるなど、都内では着実に取り組みが広がっているものと受けとめております。
 都教育委員会といたしましては、今後とも、本制度につきまして区市町村教育委員会への情報提供に努めてまいります。
 最後に、区市町村の創意工夫による教育についてであります。
 区市町村が教育の目標や施策の方向性などを明らかにし、自主的、自立的に教育行政を行うことは、大変重要なことと認識しております。
 小中学校におきます教育につきましては、設置者である区市町村教育委員会が地域の実情を踏まえ主体的に取り組むべきものと考えておりまして、都教育委員会は、今後とも区市町村の取り組みを尊重し、支援してまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君) 四点の質問にお答えいたします。
 まず、「十年後の東京」の都政における位置づけについてでございますが、今回策定しました「十年後の東京」は、東京が、近未来に向け、都市のインフラはもとより、環境、安全、文化、観光、産業などさまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく姿と、それに向けた政策展開の方向性を都市戦略として示したものでございます。
 策定に当たりましては、東京構想二〇〇〇に示されたさまざまな取り組み等を戦略的に実施していくために作成しました重要施策、重点事業による先駆的な政策展開など、これまでの実績を踏まえた上で、具体的でリアリティーのある東京の近未来図として完成させたものでございます。
 次に、「十年後の東京」の財政的な裏づけについてでございますが、この「十年後の東京」の実現に当たりましては、まず、区市町村を初め、都民、企業との連携を図りながら、東京全体で取り組みを進めていくことが必要でございます。また、都庁みずからも、組織横断型の戦略会議における検討や、昨年設置しました東京オリンピック開催準備基金に加え、地球温暖化対策推進基金など三つの新しい基金の創設により実効性を確保してまいります。
 今後、これらの基金を最大限活用するなど、重要施策、重点事業の取り組み等の中で、これからの政策展開の確実な具体化を図ってまいります。
 次に、地方分権改革の取り組みについてでございますが、単なる数字合わせに終始した国の三位一体改革の轍を踏まず、地方がみずからの課題をみずからの権限と責任で解決し得る真の分権改革を実現しなければならないと考えております。
 そのためには、まず国と地方の役割分担など本質的な議論を行うことが必要であり、これまでも都は、知事が直接、全国知事会等においてこのことを主張してまいりました。
 また、先月の全国知事会におきましても、知事みずからが道州制について都の主張を展開し、全体の賛同を得て、現実性のない記述を削除した経緯がございます。
 今後は、東京自治制度懇談会の議論を踏まえ、真の分権改革について都の考え方を取りまとめて広く発信するとともに、他の自治体と連携しながら、真の分権改革の実現を国に対し強く働きかけてまいります。
 最後に、知事へのアンケートについてでございますが、回答に当たっては、知事に確認しており、ご指摘のような、どなたかが配慮して書かれたというものではございません。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) ひよどり山有料道路についてでありますが、本道路は、八王子中心部と新滝山街道を結ぶ南北方向の交通の円滑化に資する重要な道路であり、昭和四十四年に都市計画決定され、事業化に向け、平成七年に計画変更されました。
 八王子周辺の交通渋滞の緩和と圏央道アクセスの確保を早期に実現するため、建設費の一部と管理費を料金収入で賄う有料道路事業の手法を活用して平成八年に整備に着手し、十三年に開通いたしました。
 事業に当たっては、国が策定した新道路整備五箇年計画をもとに計画交通量を設定しましたが、交通量の伸び率が当初の見込みより低かったことや周辺道路整備のおくれなどにより、現在の交通量は計画の四割程度にとどまっております。
 平成十七年に実施した無料キャンペーンでは、本路線の交通量が大幅に増加し、並行する国道一六号の渋滞緩和などに大きな効果が確認できたことから、債務を一括償還して、本年六月に無料開放することにより、道路資産を有効活用し、地域の安全性、利便性の向上や環境改善を図っていくこととしたものでございます。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 十一件のご質問にお答えをいたします。
 まず、TFTビル等の都関係施設に関するお尋ねであります。
 飯田橋技術専門校有明分校は、ファッション関連産業の拠点であります東京ファッションタウンビルにおいて、アパレル・ファッション系科目を中心に職業訓練を行い、多くの修了生を関連業界に送り出しております。
 また、タイム二十四ビルの創業支援施設は、卒業企業のうち二社がベンチャー技術大賞優秀賞を受賞し、九社が資本金一億円を超すなど成果を上げております。
 一方、これらの二施設においては、平成十八年四月から賃料の引き下げ等を行い、その結果としてタイム二十四ビルの創業支援施設は入居率が向上しており、今後とも改善に努めてまいります。
 次に、非正規労働者の雇用改善に向けた取り組みについてであります。
 都はこれまでも、労働相談情報センターにおける労働相談の実施や、年間約二千六百事業所を訪問することなどによりまして、非正規労働者の雇用環境の改善を事業主に働きかけてまいりました。
 平成十八年度からは、積極的に雇用環境の改善に取り組む中小企業に専門家を派遣し、正社員への転換制度の導入や教育訓練の機会の付与など、すぐれた取り組みを支援するモデル事業を開始しております。
 今後とも、さまざまな機会をとらえて、非正規労働者の雇用環境の改善に努めてまいります。
 次に、年長フリーターに対する総合的な支援についてであります。
 都はこれまで、しごとセンターにおいてフリーター向けセミナーや個別カウンセリングを行うとともに、企業に対しては、若年者雇用に関する理解を深めてもらうため、セミナーを開催してまいりました。
 今後は、特に、年長フリーターを対象とした合同就職面接会を開催するなど、就職活動を支援してまいります。
 次に、若年者に対する経済的な支援策についてであります。
 都は、フリーター等若者に対する教育訓練のための給付金創設や貸付金の拡充を国に働きかけてまいりました。
 なお、これまで、技術専門校において、フリーター等を対象とした科目のほかにも、さまざまな科目で多くの若者の能力開発を行い、就業に結びつけてきたところであります。
 次に、雇用における年齢制限についてであります。
 雇用対策法の規定により、事業主は、労働者の募集、採用において年齢にかかわりなく均等な機会を与えるように努めなければならないとされております。
 今後とも、こうした法令の趣旨の普及啓発に努めてまいります。
 次に、中小企業が公正公平に競争できる環境整備についてであります。
 中小企業の活力を高めるための環境整備を図ることは重要であり、都では、平成十七年度から制度融資において第三者保証を廃止するなど、これまでさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 一方、グローバル化が進展する中、東京の中小企業が海外の企業と対等に競争していく条件を整えることは、大きな課題であると認識しております。
 そのため、産業振興基本戦略では、国際競争条件の同一化のため、諸制度の改善を国に働きかけるなど、中小企業の国際競争力強化を支援することとしております。
 次に、新銀行東京の業務展開についてであります。
 ATM事業を含めた具体的な業務展開につきましては、新銀行東京がみずからの経営判断により行うものと認識しております。
 今後とも、都は、出資者として、新銀行東京が金融環境の変化に適切に対応し、収益面の改善を図りつつ、中小企業支援を一層充実するよう働きかけてまいります。
 次に、新銀行東京のATMの利用状況及び知事と新銀行東京との関係についてであります。
 新銀行東京のATMの利用が少ないことは新銀行東京から聞いておりまして、そのことを知事に報告いたしました。
 また、知事は、新銀行東京の出資者である東京都の代表者であり、その立場で、この銀行に関係をしております。
 次に、中小企業の事業承継についてであります。
 東京の産業力の維持強化の観点から、事業承継は重要な課題であると認識しております。しかし、後継者の確保、育成の問題等から、都内中小企業の事業承継は円滑には進んでいないのが実情であり、早急な対応が求められております。
 そのため、都は、平成十九年度、学識経験者等から成る研究会を設置し、事業承継の仕組みづくりについて検討していくこととしております。
 次に、知的財産の保護育成についてであります。
 都では、平成十五年に知的財産総合センターを開設し、中小企業への相談、啓発、助成事業等を行ってまいりました。特に、海外における知的財産保護対策としては、外国特許出願費用を助成し、大きな効果を上げております。
 模倣品などの侵害対策につきましても、国に先駆けて侵害調査費用等の助成制度を創設するとともに、侵害発生時の対策に関するセミナーの開催、相談、啓発などを実施しております。
 また、国に対しましては、侵害対策の充実を継続的に求めてまいりました。
 日本の知的財産の保護育成は都としても重要な課題と認識しており、今後とも、関係機関と十分に連携をとりつつ、効果的な対策を進めてまいります。
 最後に、アニメ産業の振興についてであります。
 都では、平成十九年度重点事業として、中野新橋に、入居企業をアニメ等コンテンツ産業に特化した創業支援施設を整備し、アニメ関連企業の成長を支援していくことといたしました。
 また、財政面でも、アニメ・映像産業への支援スキームを構築し、平成十八年二月から金融支援を実施しているところであります
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 高齢者施策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、長期的な高齢者施策についてでございますが、都はこれまでも、将来の少子高齢化の進展を見据えまして、長期的な視点から介護サービス基盤の整備などを計画的に推進しております。昨年三月には、区市町村の推計に基づき、いわゆる団塊の世代が高齢期を迎える平成二十六年度までの施設、居住系サービスの長期的な需要予測を踏まえまして、高齢者保健福祉計画を改定いたしました。
 また、計画改定後に明らかとなった療養病床の再編成などの動向も踏まえまして、介護のみならず、在宅医療や住まいを含む地域における高齢者ケア全般について、三十年後までの需要を予測した上で、超長期的視点からの施策のあり方の検討を既に開始しております。本年秋までには、地域ケア整備構想として取りまとめるとともに、平成二十一年度からの次期計画改定に反映させてまいります。
 次に、介護サービスの質の向上についてでございますが、都はこれまでも、通所、訪問及び宿泊の機能を複合的に有する小規模多機能型サービス事業所の設置促進や、グループホームに認知症対応型のデイサービス事業所の併設を促進するなどの独自の取り組みによりまして、高齢者の介護ニーズの多様化に対応して、サービスの量の確保と質の向上を図ってまいりました。
 また、全国に先駆けて福祉サービス第三者評価制度を実施し、来年度からはその受審を実質的に義務づける取り組みを開始することとしております。
 さらに、高齢者の権利擁護や認知症ケアなどの新たな課題に的確に対応できる専門性の高い人材の育成にも引き続き取り組むなど、今後とも、介護サービスの質の一層の向上に努めてまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、まちづくりにおける温暖化対策についてですが、都はこれまで、建築物環境計画書制度や、これを基礎としたマンション環境性能表示制度により、建築物の省エネ性能の向上を促進してまいりました。
 これを受け、民間においても、都と連携し、環境性能の高いマンションに金利の優遇を行う新たな金融商品が開発されるなど、都の施策は、環境によい建築物が市場の中でより高く評価される状況を生み出すことに貢献しております。
 こうした成果を踏まえまして、今後とも、関係局が連携し、地域的なまちづくりにおけるCO2削減対策を一層推進してまいります。
 次に、緑の保全、創出に向けた取り組みについてですが、「十年後の東京」で示された世界に誇れる緑豊かな東京を実現するためには、規制、誘導の両面から総合的に緑施策を進めることが重要であり、自然保護条例の見直しについては、こうした諸施策を支えるにふさわしい内容とする必要があります。
 今後とも、こうした観点に立って、縁の保全、創出に向けた取り組みを一層推進してまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 建築物の耐震化促進について三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、耐震改修促進計画で指定の対象とする緊急輸送道路についてでございますが、平成十九年度には、代表的な三路線を先行的に指定し、耐震化助成など具体的な取り組みに着手するとともに、効果的な施策のあり方について検証してまいります。
 三路線以外については、沿道建築物の建築年次や高さに関する調査、三路線での検証結果等を踏まえ、第一次から第三次までの緊急輸送道路の中から中高層建築物が建築されていない区間などを除くなど、適切に指定してまいります。
 次に、住宅の耐震化率の目標達成の見込みとその具体策についてでございますが、住宅の耐震化を促進するためには、所有者みずからが主体的に取り組んでいくことが不可欠でございます。このため、都としては、これまでも、安価で信頼のできる耐震改修工法の普及など、独自の施策を実施してまいりました。
 今後は、耐震改修促進計画の策定を契機に、耐震化の助成制度の活用や情報提供をより一層行い、住宅の所有者に対して、耐震化に向けた取り組みを促してまいります。
 さらに、区市町村に対して、都の計画を踏まえた耐震改修促進計画を策定するよう要請するとともに、地域のまちづくりとも連携して、全力で目標を達成してまいります。
 最後に、都有建築物の耐震性能の公表についてでございますが、大地震の発生が切迫しているといわれている中、防災上重要な公共建築物の耐震性に関する情報を都民に提供することは重要であると認識しております。
 このため、耐震改修促進計画の素案では、震災時に重要な役割を担う消防署や警察署、庁舎を初め、都民の避難所となる学校や救護活動の拠点となる病院などについて、平成十九年度末までに耐震診断の実施状況を公表することとしております。
 都営住宅につきましても、平成二十四年度を目途に、耐震診断の必要な約三千二百棟について診断を行うこととしており、その実施状況を、順次、適切に公表してまいります。
   〔百二十四番田中良君登壇〕

○百二十四番(田中良君) 知事から、選挙の候補者の内示めいたご発言がございましたけれども、知事の好き嫌い人事とは全く関係なく、民主党はしっかりとした強力な候補者を近日中に擁立する運びとなるでしょう。ご心配は無用でございます。
 さて、ご答弁いただきましたが、何点かについて再質問を行います。
 まず、都知事は基本的に私の質問に答えておりません。まず、吉兆会合疑惑についてお尋ねをします。
 かつて知事は、テレビの放映で誤報が流されたということで、訴訟を起こすというようなことまでなされたというふうに記憶をしておりますが、(「何について、何について」と呼ぶ者あり)たしか、TBSの字幕かスーパーか何かでありましたね。そういうぐらい、ご自身の問題についてきちんと毅然とした態度をとられるならば、何ゆえ、この疑惑に対して発言をしている方々に対して法的手段をとらないのか、その点についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 もう一つ、知事は、やましいことは何もないというふうにおっしゃいましたけれども、この日、会合に同席していたのは、いってみれば建設会社の経営者、それから霊園開発などの都の許認可権限の影響のある業者の経営者であります。そこに知事が出向いて接待を受けて帰ったということでございまして、知事が来るということが前提でこの方々には声をかけられているんです。したがって、都知事は、あらかじめみずから飲食の負担をするつもりがなくてこの会合に出席をされたのでしょうか、お尋ねをいたします。
 それから、私がお尋ねしたのは、政治資金について、集めた政治資金を、何に使うためにお集めになっているのかということを問うたのであります。集めた政治資金を、一体何に使うために集めたのかということについてお答えをいただきたい。
 それから、三つ目に核の問題についてでありますが、私がお尋ねをしたのは、端的にいえば、かつての非核三原則、非核三原則を遵守するといっていた都知事のお考えは、現在はどのようなお立場に立っていらっしゃるのかということについて明快にお尋ねをしたいと思います。お答えをいただきたいと思います。
 それから、銀行についてお尋ねをいたしますけれども、民間会社だから、さもご自身に責任がないかのような、こういう印象を与えるようなご答弁であったのでありますけれども、この新銀行というのは、そもそもが、都知事が選挙公約のときにみずからの選挙公約として掲げて、トップダウンとして一千億円の出資を予算化して行ったことではありませんか。この新銀行設立の経過のときに、理事者の方々からのご説明でそこははっきりと私はお話をして、これは下から上がってきた、つまり組織から上がってきた政策提案か、上から来たトップダウンの提案かということは、はっきり私は確認をしていますよ。そのときには、トップダウンの政策だということをはっきりと説明を受けているんです。
 したがって、この事業が失敗するかどうかということの責任は、知事、あなたにあるというふうに私ははっきり認識をしていますが、その点、ご答弁があいまいでしたので、もう一度お願いをしたいというふうに思います。
 以上です。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 順不同でお答えしますが、吉兆会合なるものは、当然でしょう、料理屋に行くんですから、飲み食いするのは。向こうがお祝いをしたいというので、私は息子の選挙を手伝ったお礼をしに行っただけの話でありまして、そこで会った人は初対面でありましたけれども、その人が後にどんなことで物議を醸すか醸さぬか、私、神様じゃないからわかりません、それは。
 それから、これを法的手段云々といったって、要するに事件が何だったんです、これ。うわさのうわさだけで、評判にはなりましたよ、私も非常に迷惑しましたけれども、糸山君も迷惑したと思いますけれども、あなたはどうして、私が何を、要するに法的な手段に訴えて、要するに告訴しろというんですか。何事もなかったわけで、ただ飲み食いしただけの話でありますから。
 それから、シンポジウムを含めまして、私の要するに政治団体が持っている資金を何に使うか、それは要するに政治活動に使うわけですよ。それはあなたは政治家だからご存じでしょう。いろんな人に会ったり話したり、いろんな相談も受けますし、いろんな知恵もいただきますよ。
 それから非核三原則、これは依然として私は同じですね。つくらず、持たず、持ち込まずと、それで済むんですか。現に、横須賀へ来ているキティーホーク、ちゃんと核弾頭を積んでいますよ。調べてみなさい、あなた。見せてくれるかどうかわからぬけれども。やっぱり抑止力というからには、ある意味で顕在化させなかったら抑止力にならぬでしょう。
 これは、佐藤さんが沖縄を取り戻すときに、とにかく核つきは嫌だという声があったので、何でもかんでも核抜きだということになったけれども、私は、沖縄が返った後、村松剛さんと一緒に、ランパートに頼んで、嘉手納にある核の、要するに核弾頭を見てきましたよ。そういうものですよ、それは。(発言する者あり)いや、そういうもので、私も是としているんじゃない。そういう現実なんですよ。
 それから、新銀行ですけれども、これは確かに私の選挙公約で、私の責任で、私が公約として訴えて実現しました。実現した限りは、私、責任がありますけれども、その後は、私は経営者じゃありませんから、これはやっぱり、あなただって、企業の運営というのはわかっているでしょう、常識があったら。(発言する者あり)資本家が資本を提供して運営させる、その会社の営業の責任というのは経営者にあるんじゃないですか。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時五十六分休憩