○議長(川島忠一君) 九番そなえ邦彦君。
〔九番そなえ邦彦君登壇〕
○九番(そなえ邦彦君) なぜか、どういうわけか、いつも大トリを務めさせていただいております。都議会民主党のごく一部の方々のかたくなな入会拒否のために、やむなく一人会派を余儀なくされております民主フォーラムのそなえでございます。
時間がもったいないので、本題に入りたいと思います。
低迷を続ける日本経済の復興には、首都東京の経済の活性化が不可欠であります。とりわけ、中小企業の安定的成長や地域の振興は、その基礎となるものであります。
都でも、これまで中小企業に対しさまざまな経営支援、技術的支援等を行ってきております。しかしながら、経済産業省の商業統計を見ましても、小売業の事業所数を見ると、昭和五十七年には百七十二万一千件あったのが、一貫して減少し、平成十六年には百二十三万八千件と、ピーク時の約七割にまで落ち込んでいるということであります。
また、東京商工リサーチの調べでも、東京の中小企業の倒産件数は、過去十年間、年二千から三千件台の割で続いております。私の地元の商店街も、都の新・元気を出せ商店街事業で整備をしたり、イベントをしたりして努力をしておりますが、なかなか元気が出ずに、後継者の問題もあると思いますが、残念ながらシャッターを閉める店がふえております。それを見ましても、今こそ早急に金融支援を含めきめ細かな対策が必要であると考えております。
そこで、何点かお伺いしたいと思います。
都は、本年四月、産業支援体制の再整備に関する基本構想を打ち出すとともに、去る十一月三十日には、平成十九年度重点事業として、多摩と区部の産業支援拠点の整備を着実に推進するとの方針を示しました。
多摩地区には、エレクトロニクス分野など高度先端技術を有する中小企業や、それを支える基盤技術を有する企業も数多く存在しております。こうした中小企業の技術力をさらに高めて、多摩地域の産業を活性化させる方向で整備を促進させるべきだと考えますが、まず、多摩地区の産業支援拠点の再整備の具体的な内容と期待される効果についてお伺いいたします。
また、それと同時に、いかにその活用を図っていくかが重要となってきております。
多摩地域には、中小企業の技術開発に活用可能な研究を行っている大学や、民間の試験研究機関が数多く立地しております。私のすぐそばにも東京農工大学があり、公学の連携を行っております。
今後も、多摩産業支援拠点とこれらの機関がより連携強化することにより、新たな技術がこれまで以上に創出されることが大いに期待されます。また、その新技術を中小企業に移転することで、多摩地域の中小企業の技術革新は一層促進されると思われます。そこで、多摩産業支援拠点における今後の産学公連携の取り組みについてお伺いします。
産業の活性化には、当然のことながら、地域の産業を支えている小規模事業者の存在が重要であります。都内には約七十二万の事業所がありますが、そのうち小規模事業所が約四十八万といわれております。大手の企業だけでなく、これらの小規模企業がやる気や意欲を持って企業活動を展開して初めて、東京の経済は全体として活性化していくのであります。
そして、各地域の小規模事業の経営改善に大きな役割を担っているのが商工会議所や商工会の存在であります。商工会議所などのきめ細かな相談や経営指導が、地域の小規模事業者の経営の安定化や経営改善に大きく貢献しており、都はこれまで、そのために商工会議所などに対する支援を行ってきております。
しかしながら、いわゆる三位一体改革により、本年度から商工会議所等への経営改善普及事業の国庫補助が廃止され、都が単独で支援することとなったようであります。そのような状況下で、私の地元の商工会議所の方からも、十九年度に都の予算が確保されるのかどうかとの不安の声も聞かれております。
そこで、小規模事業者への支援に係る商工会議所等が果たす役割の重要性を考え、今後も変わらぬ都としての財政支援を維持していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
次に、中小企業への金融支援についてであります。
最近、景気が回復してきたとよくいわれております。しかしながら、多くの中小企業経営者からは、景気拡大の実感はなく、むしろ業種間の景況感の格差や、企業間の二極化がより鮮明になっているのではといった声が聞かれております。
資金繰りについては、依然として苦しい状況が続いております。日銀が本年三月に量的緩和政策を五年ぶりに解除したことにより金利上昇が懸念される中、取引金融機関の借り入れや返済に対する姿勢が厳しくなっており、資金繰りに対する中小企業の不安は非常に高まっております。今こそ、中小企業が適切に資金を調達できるような環境づくりが必要であります。
これまで、都でも制度融資や新銀行東京の活用などにより、中小企業の資金需要にこたえてきておりますが、まだまだであります。今後も一層金融支援を充実していく必要があると考えますが、所見をお伺いします。
東京が、今後とも活力ある、魅力ある都市として維持発展していくためには、財政の安定化が必要であり、そのためには都税収入の増加を図らなければなりません。鶏と卵ではないですが、そのためには、中小企業に対する支援を行い、中小企業の経済発展が不可欠であります。
中小企業対策に対する都の予算を見てみますと、ここ十年間を見ても年々減額となっております。都全体の厳しい財政状況の中では、ある面やむを得ないかもしれませんが、中小企業は、これから国際競争の激化や経済のグローバル化の進展など、大きな経営環境の変化にさらされ、また、新たな技術や新製品の開発等をしなければならず、そのためにも経営改善や創意工夫を重ねて、社会経済状況や市場の変化にも適応していかなければなりません。
都としても、こうした厳しい状況下にある中小企業への財政的支援を今こそ強化すべきと考えますが、その辺の所見をお伺いして、若干早いですけれども、私の質問を終わります。
〔産業労働局長島田健一君登壇〕
○産業労働局長(島田健一君) そなえ邦彦議員の一般質問にお答えをいたします。
まず、多摩産業支援拠点についてでございますが、同拠点は、昭島市の都立短大跡地を活用整備し、平成二十一年度に開設する予定であります。この整備によりまして、エレクトロニクス分野など、多摩地域の産業特性に対応した施設の格段の充実が図られるとともに、技術、経営相談のワンストップサービスなどの支援機能を強化してまいります。
次に、多摩産業支援拠点における産学公連携についてであります。
同拠点には産学公交流センターを設置し、多摩地域に集積する大学、研究機関と高い技術力を有する企業との連携を強化することにより、共同研究や技術移転を促進してまいります。また、大学や企業による各種交流の機会を積極的に活用し、産学公だけでなく、産産連携などさまざまな連携を進めてまいります。
次に、商工会議所、商工会に対する財政支援についてであります。
全国的には、国の補助金の廃止により、大きな影響が出ている地域があると聞いております。しかし、都におきましては、平成十八年度の小規模企業対策予算は、前年度並みを確保しております。今後とも、商工会議所等による地域の小規模企業育成支援に必要な予算の確保に努めてまいります。
次に、中小企業への金融支援についてであります。
都はこれまで、制度融資においては使いやすい制度となるよう見直しに努め、平成十七年度には約一兆八千四百億円の資金を中小企業に供給することができました。
また、CLO、CBOにつきましては、これまで約一万二千社に対し、五千七百億円余りの資金を供給してまいりました。今後も引き続き多様な方策を用い、中小企業の資金供給の円滑化に努めてまいります。
最後に、中小企業への支援強化についてであります。
東京の経済を活性化させていくためには、社会経済状況を踏まえた中小企業施策の着実な実施に加え、新たな時代に対応した産業力の強化を推進していくことが不可欠であります。
今後とも、アジア諸国の台頭による国際競争の激化への対応など、中小企業の実態と課題を踏まえた施策を積極的に打ち出し、中小企業への支援策を強化してまいります。
○議長(川島忠一君) 以上をもって質問は終わりました。
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