○副議長(木内良明君) 六番後藤雄一君。
〔六番後藤雄一君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○六番(後藤雄一君) 社会のモラルが崩壊していく中、うそをつかないこと、正しいことを行うことと育てられた団塊の世代の私にとり、本当に公僕としての公務員の資質に期待をするところは大変大きいのです。このことは、心ある都民ならば共通して感じることだと思います。
新聞でも、ストーカーをされている娘さんが悩んだ末に警察に助けを求めたが、警察は何ら対応してくれなかったという報道や、子どもの死亡に不可解な事実があっても、それを見逃して第二の子どもの犠牲が出たなどとの報道がなされています。この報道は、私はむしろ警察に期待している国民の嘆きであると感じています。
そこで、私の体験している事実について、知事の見解をお尋ねします。
この第一が警視庁で体験をしたものです。
去る十一月二十四日、目黒区議会で、政務調査費に関する違法、不当な支出があったとして、目黒区長に対し、政務調査費に外部監査の実施と刑事訴訟法に基づき告発を行うべきとの質疑がなされました。この一般質問の中で、自民党の区議会議長と公明党区議団の政務調査費についての指摘があったのですが、公明党の区議団六名は、政務調査費約七百七十三万円を区に返還をし、辞職をしました。また、目黒区議会の議長も、政務調査費から一部を削除して、議長職をやめました。
このような背景の中、私はオンブズマンの方と告発をすべく、警視庁に告発文と証拠の書類を持って、前もってアポイントをとって出向きました。私が持参をした領収書は情報公開で正式に入手したものであり、その領収書の中には日帰り旅行のバス代から昼食代、さらには日帰りの温泉代などが含まれており、それらが政務調査費で支払われていたのです。また、その中には、抱き枕などの領収書や、東京では走っていない沖縄のタクシーの領収書が出てきたのです。
そして、平成十七年五月、六月、七月、八月の仮設電話の領収書、さらに、北新宿にある配達弁当屋さんから、平成十七年六月二十四、二十五、二十六、二十七、二十八日にお弁当が配達されていることが判明したのです。
目黒区議会の一般質問の中で質問に立った区議会議員は、平成十七年六月二十四日から始まった都議会議員選挙に関係があるのではないかと、質問を展開していました。
私は、これらの領収書を自分の足で確認しました。その上で警視庁に持参をしたのですが、結果としていただいた回答は、忙しい、時間がないので当分できないという内容でした。
石原知事は、いろいろなアイデアで都民にみずからの姿勢を示されています。現在は、都バスを初め、宅配便のトラックなどに、知事の発案の、犯罪を見逃さないという歌舞伎顔のステッカーが張られています。また、テレビでは、高齢の方が数百円の万引きをして、警察に突き出されている場面が報道されています。このような場面を見ながら、何か腑に落ちない感覚に襲われました。
それは、私が今体験をしている、政治家の金絡みの疑惑に対する警察への不信感からであることに気がつきました。私は、目黒区の区議会議員が、自家用車の車検代や自分以外の電話の使用料を政務調査費で支払っている事実、領収書を変造しているなどを警察に証拠をつけて告発しているのに、忙しい、時間がない、当分できない、また、その時点で調べるかどうかもわからないとの返事を受けているからと気がつきました。
私は、オンブズマンとして約二十年間、税金のむだ遣いを減らすために闘っています。その中で最大の問題は、一都民には限界があるということです。警察のかわりはできません。最終的には警察が関与していただくしかないのです。
目黒区で起きていることは、区議会議員への不信から始まり、政治家への不信になっています。さらに、警察への不満と不信感が出てきています。政治家の金絡みの事件は、捜査は難しいとは思いますが、警視庁に頑張ってもらわなければなりません。警視総監のお考えをお聞かせください。
平成十七年七月の都議会議員選挙には、政務調査費の領収書の添付を行うかとのマスコミの質問に対し、多くの都議会議員は行うと答えていますが、いまだに実現していません。都議会議員の政務調査費は、日本で一番高い一カ月六十万円、年間七百二十万円です。
マスコミでも連日、品川、目黒の政務調査費について取り上げています。こういう状況にある中で、知事は、政治家と政務調査費の関係についてどのようなお考えをお持ちですか、お尋ねします。
知事の後押しで、何とか来年からは領収書の添付の義務づけへの道を切り開きたいのですが、力をおかしいただけないでしょうか。どうぞお願いをいたします。
次に、都立高校の備品の購入についてお尋ねをします。
平成十八年十月末、マスコミより教育庁に談合情報が寄せられ、開札を中止し、調査後に入札をした事件がありました。行革一一〇番にも同じ告発があり、仕様書を取り寄せ、調べました。
一件は、更衣箱のほか四点の買い入れ、つまりロッカーとげた箱の入札です。それぞれの仕様書には一者だけの設計図面がつけられ、規格、仕様の欄には、その他の明細は別紙図面のとおりとすると書かれています。ロッカーとげた箱がなぜ規格品ではいけないのか、お伺いをします。
また、ロッカーの上に三角形の屋根です。三角形の屋根を設置するという特殊な仕様まであります。掃除がしやすくなるという理由ですが、ほかに理由があったらば、お伺いをします。
ほかに、教師用実験台の仕様書にも、一者だけの設計図面が添付されています。しかし、平成十七年十一月、本件同様の談合情報が寄せられた事件がありました。その際、総務部長名で、談合防止のため、仕様書の図面はみずから作成したもの、または複数の図面を添付すると通知が出されています。改善するために通知を出しているはずですが、なぜ現場は守らないのか、お伺いをします。
おまけがありました。この調査の過程で、業者から葛飾地区総合学科高校(仮称)開設準備室にあてた一通の文書が届きました。この文書は平成十八年二月二十二日付の見積書です。図書室の机、いす、本棚などの九点が記載されているものですが、関係者が下見積もり、下みつと呼んでいる代物です。
談合防止のために、入札物件の情報は事前に業者に教えることはしないはずです。しかし、下見積もりが存在しているということは、担当者が業者に物品の、この下見積もりには、数量、単価、納期までが記入されています。
また、行革一一〇番に送られてきた下見積もりには、業者の社印と代表印が押してある、学校で保管してある下見積もりには印鑑が押していないというのです。担当者は、メモなので情報公開の対象にはならないといいます。説明責任の観点から公開すべきではないかと考えますが、お伺いします。
そして、学校の机、いす、ロッカーなどは、特殊なものを除き、規格品で十分です。下見積もりを原則禁止すべきだと思いますが、お伺いをします。
この契約ですが、百万円を超える随意契約でした。見積もりをした業者名、見積金額がわかる見積経過書があるはずです。しかし、見積経過調書は作成されていないことが判明をしました。本来なら、契約した二月の時点で作成しなければならない文書です。こちらも、平成十二年、契約管財課長名で見積経過書の作成を義務づける通知が存在しているのです。
また、平成十八年七月、ある下町の高校で下見積もりが行われました。落札をしたのは別の業者です。しかし、調べると、下見積もりを作成した業者の担当者と契約した業者の営業マンが同一人物、一人二役を推測させる文書があります。
また、業者の名刺を調べると、同一人物が二社の名刺を持ち、また会社が同一の住所、そして、二つの業者が同じ入札に参加しているケースもあるんです。
行革一一〇番が持っている証拠は事前にお渡ししてあります。業者間でこのような不適切なことが行われていることを放置するわけにはいかない。業者間のつながりなどを審査するように、業者基本情報の登録のあり方を変えるなどの方策を講ずるべきと考えます。見解を伺います。
行革一一〇番に寄せられる告発は、そこいらじゅうを駆け回って、最後に来るものが多いのです。その意味で、今回の質問も、当事者である教育委員会の担当部署は十分承知していると思われます。その意味で、行政が聞く耳を持てば、私のところに告発は来なかったでしょう。
石原知事は、犯罪を見逃さないという、犯罪に対する姿勢をはっきり示されています。これが契約現場の現状です。犯罪となる前に予防措置をとるべきではないでしょうか。知事に見解をお伺いします。
都営住宅の共益費の徴収方法についてお伺いをします。
都営住宅にお住まいの方から、自治会の共益費について相談が寄せられました。都営住宅に入居する際に配られる「住まいのしおり」の共益費の項目には、都が家賃と一緒に徴収をするエレベーターの保守管理費と、自治会が徴収をするエレベーターの電気代、ごみ処理代などがあります。
東京都住宅供給公社に実情を聞くと、共益費を支払わない居住者がいて困っている自治会がふえているというのです。エレベーターの保守管理費も電気代も共益費です。保守管理費を都が徴収しているのですから、電気代も徴収することは可能なはずと考えますが、いかがでしょうか。
また、自治会費の繰越金が一千万円を超えている自治会があり、会計に関心を持った居住者が会計帳簿の閲覧を求めても応じない。そこで、最高裁判例に従い、自治会費のうち共益費部分だけを払うと申し出たが、受け取ることを拒否する自治会長がいるというのです。共益費は、徴収する自治会、支払う入居者の双方で問題を抱えているのが現状です。
自治会役員の負担を減らし、居住者とのトラブルを防ぐためにも、共益費のうち、エレベーターなどの電気代だけでも家賃と一緒に徴収をするべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
以上です。ありがとうございました。
〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕
○警視総監(伊藤哲朗君) 後藤雄一議員の一般質問にお答えします。
政治と金をめぐる不正についての告訴、告発については、特に複雑な事案に関しましては、受理要件に合致しているか十分に吟味する必要がありますが、この種事犯は、政治の公平性、公正性を著しく損なうものであるところから、警視庁といたしましても、厳正に対処してまいる所存であります。
〔教育長中村正彦君登壇〕
○教育長(中村正彦君) 三点の質問にお答え申し上げます。
まず、都立高校の備品の購入についてでありますが、都立高校におきましては、学校の特色、生徒の状況、学校経営上の観点等を踏まえまして、契約の透明性や経済性を確保しつつ、学校長判断で、規格品のほか特注品など必要な什器を購入しております。
三角形の屋根の乗ったロッカーにつきましても、掃除がしやすくなるという理由だけではなくて、生徒指導上や安全確保の観点等から、学校長判断により購入したものでございます。
次に、通知の遵守についてでございますが、ご指摘のとおり、一部の学校で通知の趣旨が遵守されなかったことは大変遺憾であります。このようなことが生じないよう、改めて学校経営支援センターや都立学校等に対しまして、仕様書等の作成に係る取り扱いについての通知や、随意契約の見積経過の公表についての通知について周知を図り、遵守の徹底を図ってまいります。
次に、見積書の情報公開等についてでありますが、参考見積書を徴取している場合、開示請求があれば開示していくことは当然のことであります。学校におきましては、教室の形状など施設の状況に応じた備品類や特別規格の什器の購入が必要となります。このような特注品等の発注に際しましては、契約手続の適正化を図る観点から、メーカー等から参考見積書を徴収することが必要でございます。
平成十八年九月に、参考見積書を徴収する場合には、原則として複数の業者から徴収するよう通知し、公平、公正な執行に努めるよう周知徹底を図ったところでございます。
〔財務局長谷川健次君登壇〕
○財務局長(谷川健次君) 政務調査費など四点のご質問にお答え申します。
まず、政務調査費の考え方についてでございます。
政務調査費は、議員の調査研究に資するため、必要な経費の一部として交付するものであり、地方自治法に基づき制度化されているものでございます。
都議会においても、東京都政務調査費の交付に関する条例施行規程により各会派に交付されており、議員が調査研究を行うために機能しているものと考えております。
次に、領収書の添付についてでございます。
政務調査費は、平成十三年の改正地方自治法に基づき制度化され、東京都政務調査費の交付に関する条例及び同施行規則等に基づいて執行されております。
領収書等の添付につきましては、政務調査費が各会派の議員の調査研究に関するものであることから、都議会全体の判断を踏まえ、対応していくものと考えております。
次に、業者基本情報の登録のあり方についてでございます。
東京都の電子調達システムの登録業者数は二万を超えており、多数に上る営業担当者全員を常時把握し続けることは、現実的には困難であります。ただし、違法、不正な行為があれば、発見の都度厳しい対応を行っております。
今後とも、入札、契約における公正性、競争性の確保に努めてまいります。
最後に、不正行為の予防措置についてでございます。
東京都は、指名停止の強化や電子入札の全庁展開など、談合等の不正行為の予防措置を積極的に取り入れているところであり、違法、不正な行為が発生した場合は、断固とした厳しい対応で臨んでおります。
また、現行契約制度の的確な運用についても、引き続き契約事務協議会などを通じて、全庁に周知徹底を図ってまいります。
〔都市整備局長柿堺至君登壇〕
○都市整備局長(柿堺至君) 都営住宅の共益費についての二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、都営住宅の電気料金の徴収についてでございますが、お話のエレベーターの保守管理は、安全性の確保などの観点から都が建物と一体的に実施しており、このうち日常的な運行に要する経費を共益費として居住者から徴収しております。
一方、団地の共用部分の維持管理費用である電気料金の徴収については、都が行う場合は別途事務経費が必要になることから、自治会等がみずから行うこととしており、このことを入居時に配布する「住まいのしおり」に記載し、周知しているところでございます。
次に、都営住宅のエレベーターの電気料金のみの徴収についてでございますが、仮に都が自治会等にかわって行う場合には、新たに徴収や支払いの事務経費が必要となるほか、エレベーター以外の電気料金に関する徴収、支払い事務は依然として残ることから、自治会等の事務的負担の軽減にはつながらないものと考えております。
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