平成十八年東京都議会会議録第十七号

   午後一時開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 四十五番臼井孝君。
   〔四十五番臼井孝君登壇〕

○四十五番(臼井孝君) 一番目に、自然の回復と環境政策について質問いたします。
 石原知事は、東京オリンピック招致において、世界に誇れる環境都市東京をつくる決意を述べられました。東京都の環境対策の先進的な取り組みは、国を動かし、産業界も巻き込んで進行中であります。そして今、スギ花粉対策として荒廃した森林再生にも手を入れ始めたのであります。
 都市文明は、経済を優先させ、自然を破壊することで発展をしてきました。しかし、自然の生態系を壊した代償は大きく、今日の人々の心の荒廃にもつながっています。東京がその発展過程で失ってきた自然を回復させるために、今わずかに残っている都市の中の自然を保全することの大切さを思うのであります。
 東京の自然には、森林と田園、そして川と海があり、それぞれの自然のネットワークは緑の環境都市東京を演出する効果があります。全庁的にあらゆる行政分野において芳しい環境のあり方を考え工夫して、環境都市東京づくりの事業を推進していただきたいと、心から願っております。
 このような視点から、幾つかの質問をいたします。
 さて、去る十一月十三日、石原都知事出席のもと、青梅市で伐採開始式が開催され、知事の力強いおの入れにより杉林の伐採が始まりました。私も出席しましたが、地域の人も多数参加をいたしまして、大変盛況で式が行われました。多くの都民もこの日を待ち望んでいたように思いました。
 この事業は、花粉の発生源である杉を十年間で百八十万本伐採するという息の長い大きな取り組みであり、副次的効果として森林の再生があります。この事業を着実に推進していくためには、伐採された木材の有効活用も不可欠です。
 そこで、全国に先駆け、花粉症の抜本的な解決に踏み出した知事の決意を伺います。
 ところで、私の地元である檜原村では、小中学校の教室の内装に多摩産材を活用しています。こうした都の建築物でも、もっと多摩産材を活用できるはずであると思います。東京都において利用促進のためのルールづくりが必要と考えますが、取り組みについて伺います。
 また、木材の利用ということでは、広く住宅に使われることが最も有効と考えます。都の都営住宅は、毎年三千戸も建てかえをしていると聞いています。まとまった規模の事業で多摩産材を活用することは、特に効果的です。むろん、都が率先して利用する姿勢を示すことは、他に波及効果があり重要であると思います。そこで、所見を伺います。
 しかし、都営住宅に使用される量だけでは限界があることは明らかです。住宅市場の大部分を占めるのは民間住宅であります。最終的には、民間住宅への多摩産材の普及拡大が必要です。都は既に、民間住宅への多摩産材の利用を促すために、東京の木・いえづくり協議会の設立や、民間金融機関と提携した優遇融資制度の実施など、積極的な取り組みをしてまいりました。
 こうした中、今後、花粉症対策の推進により、多摩産材の供給量がさらに増加をし、民間住宅における利用がより一層求められるのでございます。そこで、多摩産材の民間住宅へのさらなる利用拡大に向けて、今後、より一層都民への普及活動に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都が今年度より開始した枝打ち事業と、平成十四年度から実施してきた森林再生事業は、花粉削減に資するだけでなく、荒廃した人工林を健全な森林に再生していくものであります。これらの事業は、生物多様性や水源涵養機能など森林の公益的機能の確保を図るものであり、着実に実施していくことが期待されています。
 多摩の森林を訪れる人々の中には、四季の美しさがある森本来の姿を取り戻すため、杉、ヒノキから広葉樹へ転換してほしいという声が多くあります。この意味からも森林再生事業は極めて有意義な事業と認識しております。
 しかし、長期的な事業なので、森林所有者の中には、先祖が植えてくれたことだからと、先のことまで自分が判断することをためらう人がおります。また、木材価格の動向が不透明なことからこの事業に乗ることをちゅうちょする人など、事業に消極的な人々もいると思うのであります。
 森林再生事業がさらに拡大、発展していくためには、より地元に密着した工夫や地元に受け入れられやすい工夫が必要であり、事業の再検討も望まれるのですがいかがか、お伺いいたします。
 とにかく、多摩の森林の恩恵は、地元や森林所有者だけでなく、広く都民に及ぶものであります。ぜひ、森林再生事業の成果がより大きくなるよう、今後ともご尽力をいただきたいと願っております。
 次に、農地の保全について伺います。
 先日、若い農業者が、ここ都庁広場に二千株のキャベツ畑を出現させました。多くの新聞やテレビに取り上げられました。我が都議会自由民主党・都市農政を考える議員連盟は若手農業者との懇談会を継続的に開催しており、都市農業が頑張っている姿を積極的に宣伝すべきだと常に提言してまいりました。今回のイベントは、改めて東京農業の健在振りをいかんなく都民に示したものであります。
 ところで、一方、相続等による都市農地の減少は深刻で、それに歯どめをかけてほしいという切実な農業者の声があります。あのような新鮮なキャベツを都民に提供するだけでなく、生態系を維持し環境に貢献してきた農地が、あるいは屋敷林が、ことしも一つ、また一つとなくなっていくのはまことに残念であり、寂しいことであります。
 都では都市農業検討委員会を設置し、都市農地保全について検討を進めてまいりましたが、十一月にその報告がありました。今後、この報告を受け、どのように取り組んでいくのか伺います。
 二つ目として、ジュニアスポーツの振興についてでございます。
 平成二十五年に東京国体が開催されます。終戦の翌年の昭和二十一年に始まった国体は、焦土から立ち上がろうとする国民に希望を与えました。以来、国体は、六十年の歴史を積み重ねて今日に引き継いでいる国内最大のスポーツの場であり、特にジュニア選手の活躍する晴れの舞台でもあります。
 今日、多くの困難な問題を抱えているジュニア世代にとって、スポーツを通じて心身の健全な発達を図るために、東京国体、それに続くオリンピックを目標に掲げることの意義は大きいと思います。知事は、旧秋川高校の跡地について構想を語っておられますが、ぜひここを子どもたちの夢が膨らむようなジュニアスポーツのメッカにしてほしいと思います。
 ジュニアスポーツの振興を図ることを期待する観点から、幾つかの質問をいたします。
 オリンピック開催にふさわしい都市として、東京においては、競技スポーツが盛んであることだけでなく、生涯にわたってスポーツを楽しみ、だれもが身近でいつでも実践できる環境をつくっていくことが必要であります。
 しかし、子どものスポーツ実践に関しては、学校の部活動が活発でなく、子どもたちのニーズに合った部活動が思うように行われていない状況があります。また、子どもたちの体力、運動能力の低下も指摘されています。その要因は、幼いころから、運動する場や機会の減少、スポーツ経験の不足が考えられます。
 こうした中で、地域スポーツクラブは、興味や技術に応じて身近な地域の中でスポーツを実践できる地域の住民の自主的な運営によるクラブと聞いています。現在、都内二十二の区市町村で、行政や地域の体育指導員、体育協会等と連携して設立運営されております。地元の学校の部活動と連携して活動しているスポーツクラブもあると聞きます。
 このように、地域スポーツクラブの設立は、子どもたちのスポーツ実践の場の提供として、また、都民のスポーツの機運を高める機会としても有効と考えますが、見解を伺います。
 平成二十五年の東京国体や、その三年後のオリンピックにおいて、東京都の選手が活躍する姿は都民に大きな夢と感動を与え、その効果は極めて大きいと考えます。
 そこで、将来、活躍が期待されるジュニア世代の発掘と競技力向上が必要と考え、我が都議会自由民主党がこれまで積極的に主張をし、十八年度から実施することとなったジュニア育成地域推進事業がございます。そこでジュニア世代の競技力向上を目指して、各地区で体育協会を中心にさまざまな事業が始まっているようでありますが、まだまだ十分にこれが理解され、活動が実施されているとはいいがたい地区もあると聞いています。
 都は、本事業の実施主体である各地区体育協会に対し、事前説明を開催するなどして事業の趣旨の徹底を図り、この地域推進事業をより一層効果的なものにすべきであると考えますが、見解を伺います。
 こうしたジュニア世代の子どもたちは、成長段階においてさまざまな場面でスポーツと接する機会を得ることとなります。とりわけ、学校における部活動もまた、ジュニア世代の選手育成には重要な時期であります。しかしながら、これまで継続していた部活動が指導者の不足や交代でできなくなったり、一貫した指導が受けられなかったりすることが多く、課題となっています。
 そこで、部活動とジュニア世代の育成という観点から、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 我が国のスポーツの振興にとって学校体育が担う役割は大きく、東京オリンピックへの機運を高める上で、運動系の部活動の振興は不可欠であります。また、運動部のみならず、文化部も含め、部活動は児童生徒の個性や能力の伸長、豊かな人間関係づくりなど教育的意義が高く、保護者の期待も大きいのであります。また、学校の活性化や特色ある学校づくりなど、学校経営上も重要な柱であります。
 このため、熱意と指導力のある顧問教諭の確保が不可欠であります。教員採用に当たって、学生時代の部活動の実績を評価し、あるいは熱意と指導力のある教員を確保する方策について伺います。
 平日は暗くなるまで、土曜日、日曜日も部活動に熱心に取り組んでいる教員がいる一方、部活動に消極的な教員がいるのが現実であります。その落差は余りにも大きいといわざるを得ないのであります。今回、特殊勤務手当の見直しにおいて、我が自由民主党がこれまで主張してきた部活動指導業務に対する手当の額を千二百円から千六百円に増額したことは評価いたしますが、土曜、日曜に丸一日指導業務に当たっても千六百円では、十分な金額であるとはいえません。
 そこで、熱心に部活動に従事している教員に対して、士気を高めるためにもめり張りのある適切な処遇が必要であります。今後、どのように評価し、処遇していくのか、所見を伺います。
 終わりに、法人二税について申し上げます。
 申し上げるまでもなく、首都東京には膨大な行政需要があるにもかかわらず、都の税収増を背景に、都の税源を地方に配分すれば国は地方交付税を抑制でき、国の財政再建に資することから、法人二税の地域的な偏在の是正を理由として都の税源をねらう動きは後を絶ちません。最近では、地方共同税の名のもと、法人の事業活動と何の関係もない人口を基準として法人二税の税収を再配分すべきとの主張までされています。
 しかしながら、都の税収増は、都内で事業活動を行う企業の経営努力による収益増などのほかに、滞納を許さない都の徴税努力によるものであります。東京には巨大都市のインフラ整備や、経済社会のすべてにわたって膨大な財政需要があります。何ら根拠のない主張によって都の財源が奪われるようなことがあってはなりません。
 都の法人二税の税収を地方に配分するという動きを断固阻止すべきと考えますが、所見を伺います。
 終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 臼井孝議員の一般質問にお答えいたします。
 花粉症対策についてでございますが、先日、伐採開始式では、私自身も杉の伐採と植樹を行いまして、花粉症対策の第一歩を踏み出しました。まずは都から事業を開始いたしましたが、周辺の県と協力しながら、今後も国を動かし、広域的な取り組みに広げていきたいと思っております。
 今日の日本では、身近な生活の中でコンクリートが余りに多用されまして、古来よりはぐくまれてきた豊かな木の文化が忘れられております。日本在住の日本研究家でありますアレックス・カーさんの「犬と鬼」という奇妙な題の本ですが、この中で指摘されておりますけれども、私は驚きましたが、日本で一年間で使用されるコンクリートの量はアメリカ全体の二倍だそうでありまして、こういったコンクリートの消費量が木の文化の衰退というのも明かしているわけでありますけれども、議会に出ます回廊にも、都庁側に掲げてありますが、一八六〇年代に撮られた江戸の景観の美しさというのは、これはみんな木でできておりまして、すばらしいモノクロームのまちで、後年やってきましたフランク・ロイド・ライトが近代ホテルをつくれということで委嘱を受けましたけれども、あの町並みを眺めて、もう自分のコンセプトを変えまして、コンクリートを廃して日本で材質を探して、大谷石のかつての帝国ホテルをつくりました。
 そういった歴史の事実を考えましても、災害対策ということからすれば木の弱さもございますが、今、東京が東村山でやっておりますあの廉価な実験住宅の建設にも、少なくともインテリアには木を積極的に使うような、室内ですとそう老化もいたしませんから、そういう試みもこれからしまして、今こそ木の文化に思いをいたし、多摩産材の有効活用と森林の再生を図りながら、抜本的な花粉症対策を進めていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 教育に関します五点の質問にお答え申し上げます。
 まず、地域スポーツクラブの設立についてでありますが、お話のように、地域スポーツクラブは、子どもたちが身近な地域の中でスポーツに親しむとともに、都民のだれもが、年齢や興味に応じまして、いつでもどこでもスポーツを実践できる場として、生涯スポーツ社会の実現のためにも重要であると認識しております。
 都教育委員会は、これまでも地域スポーツクラブの支援のために、クラブ運営の核となりますクラブマネジャーの人材育成等を行ってきたところでございます。今後は、東京都地域スポーツクラブ設立支援協議会の設置や、地域スポーツクラブを段階的に育成していく設立モデル事業を実施していくことによりまして、平成二十五年の東京国体開催までに、全区市町村での地域スポーツクラブの設置を促進してまいります。
 これによりまして、さらに多くの都民がスポーツに親しむことのできる環境を整備し、東京国体やオリンピックに向けて機運の醸成を図ってまいります。
 次に、ジュニア育成地域推進事業についてであります。
 地域におきますジュニアスポーツの普及、振興と選手の発掘、育成を図るために、ジュニア育成地域推進事業を本年度設置したところでございます。各地区におきまして、ジュニア選手が一堂に会した競技会や、ボート競技など子どもが接する機会の少ない競技種目の講習会を開催いたしまして、約二万五千人のジュニア選手が参加するなど、成果を上げつつあります。
 今後は、各地区の体育協会を中心といたしまして、学校、地域スポーツクラブ等によりますネットワークづくりを支援するとともに、都競技団体との連携を図り、地域から発掘されるジュニア選手の育成強化に取り組むなど、本事業の充実と効果的な推進を図ってまいります。
 次に、部活動とジュニア世代の選手育成についてであります。
 お話のとおり、学校におきます部活動は、ジュニア世代の選手育成と競技力向上に重要な役割を果たしていると考えております。都教育委員会は、これまでも部活動の指導者不足などの課題に対応するため、部活動推進指定校の指定や外部指導者の導入など、部活動を活性化するためのさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今後は、これまでの外部指導者に加えまして、都競技団体との連携によりまして指導者派遣の拡充を図るほか、競技別一貫指導プログラムの活用を促すなど、部活動を通じたジュニア世代の選手育成を効果的に進めてまいります。
 次に、部活動に対する熱意と指導力のある教員を確保するための方策についてであります。
 従来から、採用選考の面接におきまして、受験生が持参します面接票に、大学等でのクラブ活動の状況や大会の成績などにつきまして記入する欄を設けまして、その内容を考慮しまして面接を行うなど、採用に当たっての参考としているところであります。
 また、今年度から、小学校の教員採用選考におきまして大学推薦制度を設けまして、学業が優秀で、大学時代のスポーツ、芸術活動におきまして優秀な実績のある者につきましては一次選考を免除するという制度をつくりました。今後、さらに、中学校及び高等学校の教員採用選考におきましても同様の大学推薦制度を導入することを検討してまいります。
 最後に、部活動指導に従事する教員に対しての評価及び処遇についてであります。
 ご指摘のとおり、部活動をさらに充実、活性化するためには、これを支える顧問教諭等の士気高揚が重要でありまして、部活動指導を熱心に取り組んでいる顧問に報い、めり張りのある処遇とする必要がございます。
 このため、部活動指導を教員の校務として明確に位置づけまして、熱心に取り組んでいる教員に対しましては、業績評価におきましてその実績等を積極的に評価し、その結果を適切に処遇に反映してまいります。
 また、今回の手当の改正におきましては四百円の増額としたところでありますが、現在、国におきまして教職員の給与のあり方についての検討が進められておりまして、これらの動向も踏まえ、今後、教員の資質、能力の一層の向上に資する給与制度を構築すべきと考えております。その際、部活動等指導業務などに対する処遇についても検討してまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君) 多摩産材の利用促進のルールづくりについてでございます。
 多摩産材の需要を喚起するためには、都が率先して利用していくことが重要であると考えております。
 都ではこれまで、学校や社会福祉施設の建設において床や壁に多摩産材を用い、その利用促進を図ってまいりました。さらに今後は多摩産材を利用する建物の対象を拡大するとともに、来年一月には工事の仕様書に多摩産材の利用を盛り込むなどのルールをつくり、より一層の利用促進を図ってまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 多摩産材についての二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、多摩産材の都営住宅での利用についてでございますが、多摩産材の円滑な流通を実現するためには、安定的な需要を示し、生産者の供給意欲を高めることが重要でございます。これまでも、都における多摩産材の利用拡大に向けた取り組みの一環として、都営住宅の外構整備工事や集会室の内装の一部に使用してまいりました。
 今年度からは、部材メーカーと連携し、花粉症対策の取り組みとして内装パネルなどに多摩産材を使用していくこととし、平成十八年度は約二百戸の住宅に試行的に導入します。
 今後とも、多摩産材の供給量や品質、価格の推移に留意しつつ、利用促進に努めてまいります。
 次に、多摩産材の民間住宅での利用についてでございますが、民間住宅は、住宅着工戸数の大部分を占めていることから、多摩産材の利用促進に果たす役割は大きいものがございます。
 民間住宅への普及を進めていくためには、都民に多摩産材を使用した住宅に接する機会を提供し、じかに天然材の魅力を知ってもらうことが重要でございます。このため、都民を対象とした家づくりセミナー等の開催に加え、多摩産材の使用により優遇融資を受けた住宅や、東村山市本町地区プロジェクトでの使用事例の見学会を実施するなど、さまざまな普及活動を行っております。
 今後は、こうした取り組みを通じ、都民や家づくりに直接かかわる工務店等に対し活用事例を紹介するなど、多摩産材の利用拡大に積極的に努めてまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 多摩におきます森林再生事業についてのご質問にお答えをいたします。
 荒廃した杉、ヒノキの人工林を広葉樹へ転換していくことは、生物多様性の確保など、森林の公益的機能を向上させる上で大きな意義を持つものでございます。都は、こうした観点から、地元市町村との連携によりまして、平成十四年度から森林再生事業を実施し、杉、ヒノキの人工林の間伐を行い、広葉樹の芽生えを促すことで森林の再生を図ってきております。
 森林の再生は息長く取り組むべき課題でありますが、本事業を着実に実施していく上では、森林所有者など地元の理解と協力が欠かせないものでございます。事業開始後五年を経るのを機に、近く、地元住民や学識経験者などを交えた検討会を立ち上げまして、事業実施上の課題などを明らかにし、森林再生事業をより一層効果的に推進していくための方策を検討してまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 都市農地の保全に向けての取り組みについてでございますが、東京の地域特性を踏まえた農地制度などを検討するため設けた都市農業検討委員会からは、相続を契機に農地が年々減少している等の課題を示した上で、現行の生産緑地制度や相続税納税猶予制度の改善が必要であるなどとの報告がありました。
 これを受けまして、制度の改善に向けた提案要求を国に対して行うため、現在、関係四局により具体案を検討しております。
 また、都が取り組むべき農地保全策につきましては、担い手確保等の視点から検討を進めてまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君) 法人二税の税収を地方に配分しようとする動きについてお答え申し上げます。
 法人事業税は事業活動規模に応じまして、また、法人住民税は事業活動の成果としての所得等に応じまして、法人が所在する都道府県において課する税でございます。
 税源の偏在性を殊さら強調いたしまして、人口を基準として法人二税など税収を配分することは、課税の根拠を完全に無視するものであると同時に、首都であり大都市である東京の膨大な財政需要を賄う財源を都から奪うものでございます。
 都といたしましては、引き続き、都議会並びに東京都選出国会議員の皆様方のご協力をいただきながら、都税制調査会の活用も図りながら、他の大都市とも密接に連携をいたしまして、理念のない国の動きを断固阻止してまいります。