平成十八年東京都議会会議録第十六号

   午後四時五十六分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番中嶋義雄君。
   〔百七番中嶋義雄君登壇〕

○百七番(中嶋義雄君) 都議会公明党を代表して質問いたしたいと思います。
 初めに、今後の財政運営について伺います。
 平成十二年度以降の二次にわたる財政再建推進プランによる取り組みにより、都財政はようやく健全性を取り戻しつつあるといえます。
 しかし、これからの社会経済環境を展望すれば、安閑としていられない状況にあることはだれの目にも明らかであります。本格的な少子高齢社会の到来、人口減少社会への移行というかつて経験したことのない事態への対応や、オリンピック招致に向けた都市活力の創造など、指摘されている課題は枚挙にいとまがありません。
 したがって、今後は、人口構造、経済、景気動向などの変化に臨機応変に対応しながらの難しいかじ取りが求められることになります。そして、その成否を分かつものこそ、財政運営に対する都民の共感を得ることができるか否かであります。したがって、財政再建への手を緩めることなく、さらに的確な財政運営を行って、その成果を着実に都民に還元することが重要であります。
 子育て支援、福祉・保健サービスの拡充や、安全・安心のまちづくりといった当面する課題から、防災都市の構築や東京の都市像の明確化といった中長期的な課題に至るまで、都民との問題意識の共有あるいは都民の共感を得る施策の展開が欠かせません。
 こうした視点から、平成十九年度予算においては、都民生活に密着する喫緊の課題に積極的に対応するとともに、中長期的な課題への対応を明確にして、文字どおり未来創造型の編成を行うべきであります。まず、知事の所見を伺いたいと思います。
 また、関連して、都税収入について伺いたいと思います。
 最近発表された政府の報告では、二〇〇二年以来の景気拡大が、本年の十一月で連続四年十カ月となり、戦後最長であったイザナギ景気を超えました。
 今回の景気拡大の特徴は、経済のグローバル化を追い風に企業が成長を続けていることであり、各上場企業が、先月発表した本年の中間決算においても、企業業績は一段と向上いたしております。その一方で、個人消費の伸び悩みなど、景気回復の持続に不安を抱かせる側面も見られます。
 そこで、このような景気状況を背景とした十八年度の都税収入の動向及び十九年度の都税収入の見通しを明らかにしていただきたいと思います。
 続いて、中小企業支援について何点か伺います。
 少子高齢化の進展により、十年後には、全国で約四百万人の労働力人口が減少すると予想されております。中でも、中小零細企業の人手不足がより一層深刻であります。一方で、子育て後の女性や高齢者、また正社員を希望しながらもフリーターにとどまらざるを得ない若者など、いわゆる就職困難層といわれる人たちが多数存在いたします。
 働く意欲を持ちながら希望どおりに働くことができないこうした人々に対して、的確な就業支援や能力開発を行うことは、中小企業の人手不足を改善する有力な方策であります。
 都は、来年度、都議会公明党の要望にこたえ、多摩地域にもしごとセンターを設置する方針を明らかにしました。ぜひとも多摩の特色を生かした事業の展開を心がけていただきたいと思います。
 特に、多摩地域には四十四もの大学があり、二十三万人を超える学生が学んでおります。文部科学省の学校基本調査によりますと、大学を卒業しても職につかない学生の割合は二割に上り、高卒無業者の割合の約二倍に上っております。大学院への進学や各種試験の準備もあるのでありましょうが、結果的にフリーターにならざるを得ない大卒者も多いと考えられます。
 そこで、しごとセンターの多摩拠点の設置を契機として、市町村や各大学等との連携に特に力を入れ、大学卒業者の就職支援など多摩地域の特色を踏まえた取り組みを行うべきであります。所見を伺いたいと思います。
 次に、団塊の世代の大量退職問題であります。
 熟練労働者の大量退職は、日本全体にとって、経営ノウハウや技術、技能の継承が困難になるという深刻な影響をもたらします。この点中小企業には、すぐれた技術力を有する人材を定年後もフレキシブルに雇用できるという柔軟性がございます。大手企業などで長年働き、マーケティングなどの専門分野に秀でた人材や、水準の高い技術者などの活用をぜひとも検討すべきであります。
 例えば、都の中小企業振興公社が実施しているニューマーケット開拓支援事業では、商社やメーカー等のOB六十人が、中小企業の販路開拓などを支援し、この三年間で四百件の契約を成立させており、目覚ましい実績を現に上げております。
 そこで、大手企業などを定年退職する団塊の世代と人材を求める中小企業とのマッチングを推進する事業を展開すべきでありますが、所見を伺いたいと思います。
 次に、重要なことは、中小企業の財務体質の強化であります。
 残念ながら、現状では、中小企業の財務体質の強化を進める上で、現行税制という厚い壁が存在いたします。その代表的な例が、中小企業の大半を占める同族会社に対する内部留保金課税の問題であります。
 同時に、事業承継に関する税制にも大きな問題がございます。つまり、相続に伴う税負担が中小企業の後継者に重くのしかかり、多くの中小企業が廃業に追い込まれている実態があります。都内では、平成十三年からの三年間で五万弱もの事業所が減少し、約三十万人の雇用の場が失われております。
 当然、税制の見直しは、国の責任ではあります。しかし、内部留保金課税の撤廃と事業承継税制の見直しに向けて、都においても国を動かすために必要な取り組みを改めて行うべきであると考えますが、所見を伺いたいと思います。
 また、関連して、固定資産税の軽減措置の継続を求めたいと思います。実感なき景気拡大といわれる中、給料は一向にふえず、世帯収入の減少傾向は続くなど、所得の伸び悩みが個人消費に影を落としております。十一月の月例経済報告では、個人消費の判断が久々に下方修正されるに至ったところであります。
 地価の高い二十三区に住み、そこで働く中小企業者に対し、景気を下支えする意味でも、固定資産税等の軽減措置を来年度もぜひ継続すべきであります。見解を伺います。
 中小企業対策に関連して、さらに質問をいたします。
 改正道路交通法により、駐車違反の取り締まりが強化されました。施行当初は一部に混乱があったものの、現在ではおおむね都民の理解が得られたと思います。しかし、来年度からさらに、放置車両確認事務の民間委託が拡大されると聞いております。
 そこで、施行から半年過ぎた現在、この施策によって生じた効果を都民に明らかにし、より以上の理解を得る努力を行うべきであります。所見を伺いたいと思います。
 公明党の調査によりますと、改正道路交通法施行の後、運送業者、特に宅配等の中小業者が駐車に関して大変に苦労しているとの報告があります。また、ヘルパー派遣などの福祉関連の事業者からも、規制緩和や配慮を求める声が数多く上がっております。
 そこで、まず、都民の意見や要望にこたえるため、駐車規制の解除や駐車許可の緩和、さらにパーキングメーターの増設や駐車枠の大型化などの対策をさらに拡充すべきであります。あわせて警視総監の所見を伺いたいと思います。
 また、都としては、民間の駐車場事業者に協力を要請し、荷さばきが可能な駐車場の拡大を図るべきであります。
 現在荒川区では、区の施設や所有地の一部を荷さばき場として提供しております。同様に、都においても都の施設等の活用を進めるとともに、他の区市などにも荷さばき対策を働きかけるべきであります。あわせて見解を伺います。
 次に、心身障害者扶養年金制度について伺います。
 本制度については、先般、審議会による最終答申が発表され、今定例会には廃止条例が提案されております。
 この扶養年金制度は昭和四十四年に発足しました。しかし、その後、障害者施策の充実に伴い、制度の持つ意味と役割が変容して、あわせて制度の財政的な行き詰まりから今回の判断に至ったことは、理解できるところであります。
 ただし、保護者亡き後の不安の軽減と障害者の福祉の向上という政策目的は軽視すべきではありません。制度の廃止に当たっては、第三回定例会で我が党が指摘したとおり、加入者に十分配慮した対応策の実施並びに保護者亡き後の不安解消を図るため、グループホームやショートステイ等の生活基盤整備が不可欠であります。
 同時に、加入者の方に対して十分な説明を行い、制度廃止に対する理解を得ることが重要であります。改めて知事の見解を伺います。
 次に、知的障害者入所更生施設について質問いたします。
 東京都の知的障害者の中で、入所更生施設で生活されている方々は約六千八百人に上り、その半数以上、約三千八百人の人々は、都の補助事業で設置された四十カ所以上の都外の民間施設で生活をしておられます。これらの施設は、ほとんどが平成八年ごろまでに整備されたものであり、地価の高い都内の状況と施設誘致に熱心であった当時の地方の事情などから、青森県から岐阜県に至る地域に設置されたという歴史がございます。
 障害者自立支援法の施行に伴い、障害者施策の理念が、施設保護から地域における自立支援へと大きくかじを切ろうとしている現在、これまで多くの障害者の生活の場であった都外施設について、都は今後の位置づけを明確にすべきであります。所見を伺いたいと思います。
 先日、我が党は、入所者のほとんどが都内出身である秋田の施設を視察してまいりました。自然豊かな広大な敷地の中で皆さんが大変明るく生活をしておられ、施設の経営者の方から、また都内からたまたま面会に来ていた家族の方からもお話を伺うことができました。
 先ほど述べたとおり、障害者福祉は、地域での生活を重視する方向に転換いたします。また、従来からの都外施設は、五年の経過措置があるものの、自立支援法に従った新たな事業の展開に努めなければなりません。
 しかし、その一方で、これまで都外施設で暮らしてきた障害者やその家族の方々には、地域における生活へと移行することに対し、戸惑いと不安を感じている人が少なくありません。したがって、東京都は、都外施設の今後のあり方や利用者の地域生活への移行に関して、こうした不安や戸惑いを解消するための配慮あるいは対応策を講じる必要があります。局の見解を求めたいと思います。
 次に、障害者の就労支援について伺いたいと思います。
 先日、第四回スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲームが熊本で開催され、我々も視察に行ってまいりました。
 このスペシャルオリンピックスの特徴は、大会を開催するだけにとどまらず、日常的にスポーツを通じて自立をサポートし、社会参加を支援していくことであります。障害者が地域で安心して生き生きと暮らすという理念を実現させるためには、このようなスポーツを通じた支援も極めて効果的であると実感をいたしました。
 そして、障害者の自立生活にとって最重要な課題が一般就労の促進であります。
 三重県のブリヂストン化成では、知的障害者を雇用して自立に十分な給与を支払い、企業としても収益を上げております。その責任者の言葉が印象的でありました。我々企業は、職場環境や用具の改善など一般就労の実現の努力を行う、しかし、私の会社では円滑な就労ができなくても、近くの菓子製造業の会社ではスムーズに就労できた例がある、行政はこうしたコーディネート機能をぜひ果たしてほしいと語っておりました。全く賛成でございます。
 既に一部の大手衣料品販売チェーン店では、バックヤードで雇用の拡大を図っております。平成二十年に全区市に設置される予定の就労支援センターでは、こうしたチェーン店などの企業に全力で働きかけ、福祉施設とも連携して、障害者の一般就労をぜひとも実現すべきであります。都の所見を伺います。
 次に、子どもの医療費助成制度について質問いたします。
 都議会公明党は、これまで、医療費助成制度の対象年齢を拡大すべきであると繰り返し訴えてまいりました。これを受けて都は、来年十月から、中三までを対象にした義務教育就学児医療費助成事業を創設する方針を示したことは、国や他自治体に先駆けての取り組みとして高く評価いたしたいと思います。
 しかし、一方で懸念材料があります。現在ですら乳幼児医療費助成制度については、都内各区市町村の財政力の違いによって格差が存在いたします。新たな義務教育課程の助成制度の導入でさらに格差が拡大しないよう、都はさまざまな角度から対応策を検討すべきであります。
 そこで着目すべき課題の一つが、現行の乳幼児医療費助成制度に対する国のペナルティーの存在であります。従来、国は、助成制度を実施している自治体に対し、国民健康保険法第七十条第二項を根拠に、国が本来負担すべき一部負担金の減額調整措置を講じております。
 ところが、本年の医療制度改革の一環として、平成二十年度からは、国みずからが就学前児童を対象に医療保険自己負担分の軽減を実施することになりました。国がペナルティーを課す根拠はもはやどこにもありません。
 都議会公明党は、こうした国の動きに対して、去る十一月三十日、厚生労働省にこの国庫支出金減額調整措置、いわゆるペナルティーの廃止について緊急申し入れを行いました。都においても国に対して強く廃止を要求すべきであります。現在の減額調整の額と国への働きかけについて所見を伺いたいと思います。
 次に、認定こども園について伺います。
 認定こども園制度は、従来、別々に行われてきた就学前の教育と保育を一体的に提供する仕組みであり、地域の子育て支援機能をあわせ持つものであります。この認定こども園の実施に当たっては、国の財政支援が不十分であるなど幾つかの課題も残されております。しかし、都独自の財政支援を実施するとともに、この制度のメリットを最大限に引き出して、都民のさまざまなニーズに的確にこたえていくべきであります。
 認定こども園では、幼稚園のスペースを活用して保育を実施することが可能となり、待機児解消に向けた選択肢が大きく広がります。ぜひとも保育所待機児解消に認定こども園制度を活用すべきであります。都の方針を伺いたいと思います。
 また、認定こども園の大きな特色は、在宅で子育てを行っている家庭への支援機能の発揮であります。
 近年、子育てに不安や負担を覚える親がふえており、これが深刻化して児童虐待などの大変に痛ましい結果に結びつくケースもあります。特に、核家族化や近隣関係の希薄化が進む大都市では、地域全体で支えていく取り組みが重要であります。都が基準を定める認定こども園においても、大都市特性を踏まえて、地域の子育て支援機能を十分に発揮させる必要があります。所見を伺います。
 続いて、ドクターヘリについて伺います。
 ドクターヘリは、重症救急患者に対応するため、医師と看護師が同乗し、必要な医療機器と医薬品を搭載して現場に向かうヘリコプターであり、既に導入している諸外国や国内の九つの県では、大きく救命率が向上しております。
 現在、同様のヘリの運航が島しょ地域と都立広尾病院などの間で実施されています。こうした現行の体制に加え、病院におけるヘリポートでの受け入れ態勢の整備が進めば、さらに搬送時間の短縮が図れるはずであります。搬送時間の短縮とドクターヘリの有効活用のため、ヘリポートのある病院に対し、ドクターヘリの受け入れと医師派遣等への協力を要請すべきであります。
 さらに、現在運航されている東京消防庁のヘリを東京版のドクターヘリとして、より効果的な運用を目指すべきであります。所見を伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 今定例会の最大のテーマの一つが住宅条例の改正であります。都の住宅基本条例は、平成四年に他道府県に先駆けて制定されました。当時は、地価や建設費の高騰により、中堅所得層でも都内で住宅を確保することが困難な時代でありました。そのような状況の中、中堅所得者向けの都民住宅の供給や優良民間賃貸住宅制度の推進は、時代の要請であったといえます。
 しかし、現在、社会経済情勢は大きく変化し、余剰住宅が約五十万戸に上っております。今後は、こうしたストックの有効活用の促進など政策転換が強く求められております。
 都営住宅は、各世代がともに暮らせるソーシャルミックスを踏まえた建てかえを推進することにより、より良質なストックの形成を図ることが可能であります。また、民間の住宅市場についても整備を進め、活用を図っていくべきであります。特に、子育てや介護を積極的に支援する新たな住宅政策を推進していくことや、耐震化促進など安全・安心の視点から住宅政策を展開していくことが都の責務であります。
 基本条例の改正後、新たな住宅マスタープランを策定することになりますが、このプランの中でこれらの具体策を明確に提示すべきであります。今後の住宅政策の方針について、まず知事の所見を伺いたいと思います。
 住宅基本条例の改正案には、公共住宅での子育て世帯の入居促進のほか、民間住宅においても子育て世帯の居住の安定を図ることが明記されました。
 都は、都営住宅で若年ファミリー世帯向けの期限つき入居などに取り組んでおりますが、小さな子どものいる世帯の支援について、都営住宅における新たな制度の導入を図るなど、より一層子育て支援対策を推進すべきであります。
 また、空き家が生じている都民住宅の新たな活用策の導入や、民間の中古戸建て市場の整備活用を通じ、子育て世帯の居住に適した住宅供給の促進に取り組むべきであります。所見を伺います。
 高齢者世帯が今後も増加する中で、その居住の安定も重要な課題であります。条例改正案では、民間住宅における高齢者の居住の安定が明記されておりますが、高齢者に対する今後の取り組みについても所見を伺いたいと思います。
 同じく、条例改正案では、住宅の安全性の確保が新たに盛り込まれました。東京の住宅の約九割を占める民間住宅の耐震化を促す意味でも、都が直接管理する都営住宅の耐震化の推進は不可欠であります。
 第三回定例会で我が党が指摘したとおり、いまだ約三千九百棟に上る都営住宅では耐震診断が行われておりません。したがって、耐震診断を着実に進めるとともに、耐震改修を積極的に推進すべきであります。改めて所見を伺います。
 次に、教育問題について質問いたします。
 いじめが原因という大変痛ましい事件が、北海道、福岡、大阪、岐阜、埼玉などで連続して起きました。子どもたちがみずから命を絶つなどという事態が連続して発生すること自体、異常であるといわねばなりません。四人の子育てがほぼ終了した私の立場からいえば、子どもたちの命、そして子どもたちの存在そのものが、何物にもかえがたい、とうといものであります。たとえ直接の親でなくても、大人の普遍的な責任として、子どもたちがその命を全うできる環境を断じて守らなくてはなりません。親の人生観や世界観、家庭のあり方から始まって、学校や教師、地域なども関係し、さらには社会や文化の状況、あるいは時代精神のようなものまで関係してくるであろう極めて難しい問題であることは重々承知をいたしております。しかしやはり、我々は着手可能な分野から対応策を模索していかねばなりません。
 まずは学校であります。いじめは、どの子にも、どの学校にも起こり得ることを前提に対処すべきであります。したがって、いじめの発生の有無を評価するのではなく、解決のためにいかに努力し対策を講じたか、あるいは発見のためにどれほど意を払ったかが重要であるという方向に意識を転換していくべきであります。所見を伺います。
 また、学校現場からは、担任が一人で問題を抱え込む、保護者の協力が得られにくいなどの声もあり、学校への支援が急務であります。
 そこで第一に、臨床心理士の資格を持つスクールカウンセラーの積極的な活用を図るべきであります。東京都では、すべての公立中学校にスクールカウンセラーを配置しておりますが、いじめが多発している地域の小学校でも、スクールカウンセラーやアドバイザリースタッフの活用を検討すべきであります。また、いじめの未然防止を図るために、特任の専門スタッフの派遣を実施すべきであります。見解を伺います。
 また、知事は今回の所信表明で、自殺総合対策東京会議を設置し、相談支援ネットワークを構築することを明らかにいたしました。ぜひとも都は、いじめによる自殺など若年層の自殺防止についても、関係者が連携して効果のある対策に乗り出すべきであります。改めて所見を伺います。
 次に、特別支援教育について伺います。
 本年六月に学校教育法が改正され、来年度より小中学校において本格的に特別支援教育を進めていくことになります。来年度には、都内のすべての小中学校で校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名を行うことになっております。本格的にスタートする特別支援教育において強く期待されているのが、障害教育の専門機関である盲・ろう・養護学校の果たす役割であります。
 盲・ろう・養護学校による小中学校に対する指導、相談等の支援が円滑に進められるための体制を早急に整備すべきであります。都教委の所見を伺いたいと思います。
 あわせて、小中学校における特別支援教育の体制整備のために、必要な人員配置を国に強く要望していくべきであります。所見を伺います。
 次に、都立高校の普通教室の冷房化について質問いたします。
 本年の第一回定例会において、公明党は、都立高校普通教室へのエアコン導入を主張いたしました。これを受けて都教委は、十九年度の予算要求に都立高校へのエアコン導入予算を加えたことは高く評価いたします。
 そこで、十九年度中には全都立高校への導入を完了し、二十年度夏には冷房設備として活用できるように推進すべきであります。また、省エネ、CO2削減、排熱処理などの対応を行い、環境への配慮を強くアピールすべきであります。所見を伺います。
 学校に関連して、校庭芝生化について伺います。
 校庭芝生化は、都心部のヒートアイランド現象の抑制とともに、子どもたちの環境教育にもつながります。例えば、芝生を育てることも学習の一環であるとして、生徒が芝生の種まきや芝刈りを行い、プランターで植えかえ用の芝生を育成している学校もございます。また、校庭にトンボやバッタ等の昆虫が集まり、格好の自然教育にもなっております。
 そこで、こうした事例をまとめて参考資料として配布したり、あるいは芝生の養生、維持管理のマニュアルを作成すべきであります。考えてみれば、都内の各学校は都心の緑のオアシスともいうべき貴重な存在であります。校庭の芝生化を行うと同時に、今後は屋上、壁面を含めた緑化をさらに推進すべきであります。学校が都会のオアシスとなるような取り組みを行うべきでありますが、所見を伺います。
 さて、知事は、オリンピックに関連して、CO2半減都市を目指すと宣言され、来年早々にも全庁的な組織づくりを行うと述べました。大賛成であります。今後の地球温暖化対策の展開は、都市づくりやインフラ整備などのハードの施策、また産業振興、福祉、教育などのソフトな施策など、都政のあらゆる分野において基本的な視点として貫いていくべきものであります。
 年明けにも設置が予定されている全庁的組織を活用し、大胆な施策展開を図っていくべきでありますが、知事の所見を伺いたいと思います。
 次に、消費生活条例の改正について質問いたします。
 東京都内の消費者被害は、現在、高齢者やいわゆる社会的弱者、また社会的経験の乏しい若年層の間で増加し、その手口は悪質化、巧妙化しております。こうした事態に対して都は、消費生活条例による行政指導の対象を拡大し、さらに全国初の不適正取引行為に対する禁止命令や罰則規定の導入を目指した条例改正案を提出いたしました。これを高く評価したいと思います。
 そこで質問です。第一は、違反行為を行った人物だけを罰するのでは不十分であり、法人、代表者もあわせて罰する、いわゆる両罰規定の導入を検討することが必要であります。
 第二に、今回の改正で、高齢者等の判断力不足に乗じる勧誘を不適正な取引行為として明確に位置づけたことは前進であります。しかし、高齢者、特に認知症の方などは、条例の内容を理解し、みずから行動するのは困難であります。こうした方々に対し、地域、行政、家庭が一体となった特別の配慮が必要であります。
 また、第三に、消費者契約法の改正に伴い、消費者団体訴訟制度が創設されました。そこで、訴訟に関する適格消費者団体への相談情報の提供を行うべきであります。また、訴訟費用が高額になる場合も考えられ、訴訟費用の援助についても都は積極的に取り組んでいくべきであります。
 以上三点について所見を伺います。
 なお、訴訟費用の援助などに関する事項については、改めて条例に明記することを強く求めておきたいと思います。
 続いて、東京オリンピック招致に関連して伺いたいと思います。
 我が党は先日、都議会自民党と東京オリンピック招致本部並びに日本オリンピック委員会と合同で、オリンピック招致の海外調査を実施いたしました。アテネ、ロンドンなどの招致事例を学ぶとともに、施設やインフラ整備の現場を回り、大変に実りがありました。
 まず、ロンドンの調査であります。ロンドンでは、ロンドンオリンピック組織委員会の計画部門の実務責任者であるマイク・パワー氏に話を伺い、今後の東京都の招致活動に関する非常に示唆に富んだ話を聞くことができました。
 話の要点は二つであります。一つは、大胆で独創的な計画の策定には、オリンピックの専門家や民間の企業の発想が不可欠であるということであります。二つ目は、IOC委員に対しては、百十三名それぞれの国籍、背景、立場、人物に適合したプロモートを行う必要があるということでありました。
 実際にロンドンでは、開催計画策定は専門家と民間企業が手がけ、IOC委員に対しても個別の綿密なPRパターンを作成し、接触の時期、方法、担当者も十分検討して実施したそうであります。こうしたロンドンの事例を参考にして、東京都も開催計画の策定とプロモートに当たるべきでありますが、所見を伺いたいと思います。
 一方、アテネでは、オリンピック開催にあわせて高速道路や地下鉄、トラムと呼ばれる路面交通システムを整備し、今でも市民から高い評価を得ておりました。オリンピックにあわせてインフラ整備を行うことが、都市の再生、都市の活性化に寄与した実例であります。都も三環状道路を初めとするインフラ整備に全力で取り組むべきであります。
 また、ドーハとドバイも印象的でありました。特にドバイは、現地のジェトロの責任者によると、単なる観光都市ではなく、世界の物流の拠点を目指しているそうであります。猛烈な勢いの都市開発に加え、四千メートル級の複数の滑走路を備えた大空港を建設中であり、現地にいると、決して不可能な話ではないと実感させられました。現在、アジア大会を開催中のドーハも、早晩ドバイを追いかけ、すさまじい発展を遂げる可能性があります。
 千客万来都市東京を実現し、都市間競争に勝ち抜くには、先進国の都市だけでなく、こうした新興の都市群のダイナミズムも視野に入れて、空港、道路、港湾、そして総合的なまちづくりに取り組んでいく必要がございます。改めて知事の決意を伺い、以下質問をいたします。
 最初に、航空路の整備であります。特に横田基地の共用化を実現し、首都圏の航空需要に対応できる空港の体制を整備すべきであります。
 本年五月、在日米軍再編の最終取りまとめである再編実施のためのロードマップが公表され、横田基地軍民共同使用の具体的な条件や態様に関する検討を開始し、十二カ月以内に終了すると明示されました。知事がこれまで先頭に立って進めてきた取り組みの成果がいよいよ結実の時期を迎えようとしています。また、横田基地の地元においては、昨年十一月に東京都商工会連合会が中心となって横田基地軍民共用化推進協議会が設置され、本年六月には武蔵村山市で横田基地の民間機利用促進市民の会が設立されるなど、軍民共用化を評価する動きが出てきております。
 こうした動向を踏まえ、今後の日米協議の促進、軍民共用化の早期実現に向けた知事の決意と見解を伺いたいと思います。
 同様に、横田空域の返還が重要であります。これも知事が積極的に進めてきた施策であり、それが功を奏し、同じく本年、日米政府間協議により一部返還される空域が合意されるに至りました。民間航空機の運航の障害となっている空域南側の約四割が二〇〇八年九月までに返還されるという内容であります。改めて、知事の率直な感想とその次への展望について伺いたいと思います。
 また、二〇〇九年末に予定されている羽田空港の再拡張・国際化も重要であります。羽田空港は、都心から約十キロメートルと非常に立地条件のよい空港であり、日本の国際競争力の向上、経済活性化のため、再拡張と国際化は不可欠であります。
 国は、現時点でおおむね年間三万回程度の近距離国際定期便の発着を想定していますが、これでは不十分であります。羽田はアジア、オセアニア便を運航し、成田はより遠方の便の受け入れを拡大して、今後の航空需要に的確に対応すべきであります。二〇一六年東京オリンピック招致のためにも羽田空港のさらなる国際化が不可欠であります。知事の所見を伺います。
 次に、東京港の国際競争力向上と魅力づくりであります。
 既に世界の港湾は活発な動きを呈しております。特に中国の上海、韓国の釜山などで巨大ハブ港の整備が進んでおります。上海港では二〇二〇年までに洋山地区に新たに五十二バースものコンテナターミナルを整備する計画があり、釜山港でも二〇一一年までに新たに三十バースのターミナルを整備する計画がございます。
 こうしたアジア諸港の計画に比べ、東京港は第七次改訂港湾計画でも新設はわずかに四バースにすぎません。このままでは大型コンテナ船が直接寄港する東京港のメーンポートの地位が危うくなりかねません。そこで、東京港の機能強化に向けたさらなる戦略を検討すべきであります。所見を伺いたいと思います。
 続いて、東京港の魅力づくりについてであります。
 東京港は物流の拠点であるとともに、臨海副都心という多様な可能性を秘めた都市機能が隣接するという特徴があり、臨海部の今後の開発と港湾の魅力づくりを連動させていく工夫が必要であります。また、魅力づくりに不可欠な客船誘致についても、フライ・アンド・クルーズと呼ばれる空と海の観光の連携を重視すべきであり、拡張される羽田空港と東京港を観光の視点からいかに関連づけるか検討すべきであります。
 空港との連携、またオリンピックの主要会場となる臨海部と連携した東京港の魅力づくりについて所見を伺い、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中嶋義雄議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、平成十九年度予算編成についてでございますが、都は、これまでの厳しい取り組みが何とか功を奏し、財政再建に区切りをつけることができましたが、今後重要になるのは、ここで生まれた成果を新しい東京の創造につなげていくことでございます。平成十九年度予算はその第一歩となるものでありまして、治安の回復や子育て支援など喫緊の課題から、災害に強いまちづくり、幹線道路の整備など息の長い取り組みに至るまで、さまざまな分野で施策の充実を図っていきたいと思っております。
 また、中長期の課題として忘れてならないのは、財政構造改革の取り組みでありまして、内部努力や施策の見直し、再構築については、財政状況のいかんにかかわらず引き続き徹底していく必要があると考えております。
 次いで、固定資産税などの軽減措置でありますが、景気拡大はイザナギ景気を抜いて戦後最長になったといわれておりますが、個人消費はおおむね横ばいに推移するなど、実感がなかなか伴われておりません。
 こうした状況の中で、これまで行ってきた都独自の軽減措置は、景気対策や都民の定住確保、中小企業支援などに対して大きな役割を果たしてきたと考えております。
 来年度の取り扱いにつきましては、社会経済状況や景気の動向を見きわめつつ、今後積極的に検討してまいります。
 心身障害者扶養年金条例の廃止についてでありますが、いかなる政策も、時代の変化に対応した不断の見直しが必要であります。心身障害者扶養年金については、現行制度の維持が困難となりまして、将来の世代に過重な負担を負わせないためにも、廃止せざるを得ないと判断いたしました。この事実を真摯に受けとめ、制度運営者として、制度の廃止後の対応にも加入者の方の理解が得られるよう、誠心誠意取り組んでいくつもりでございます。
 障害者が、保護者が亡くなった後も、地域の中で自立し、安心して暮らせるように、地域生活基盤の整備を積極的に進めていくなど、障害者福祉施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。
 今後の住宅政策の展開についてでありますが、十年後のオリンピック開催を見据えまして、東京を、都市基盤や美しい街並みが整備され、環境への負荷が少なく、安全・安心で豊かな生活が確保された、さらに機能的で魅力的な都市につくりかえていく必要がございます。
 住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素でありまして、居住の場としての魅力を高めることは、都市社会に活力と安定をもたらし、東京の持続的展開に寄与するものであると思います。
 住宅政策については、住宅の量的な充足や居住ニーズの多様化を踏まえ、公共住宅の新規建設中心から市場やストックの活用重視へと転換を進めていくことが必要であります。また、大地震の可能性の高まりや耐震偽装問題の発生、少子高齢化の急速な進展などを背景として、住宅の安全性や都民の住生活の安心を確保することが焦眉の課題となっております。
 都は、安全で良質な住宅ストックの形成、子どもから高齢者までの多様な人々が安心して暮らせる住まいづくりなどに向け、施策の一層の充実を図るために、住宅基本条例の抜本的改正を提案いたしました。これを将来にわたる指針として、成熟した都市にふさわしい魅力ある居住環境を創造していきたいと思っております。
 次いで、地球温暖化対策の展開についてでありますが、地球温暖化のもたらす危機は、異常気象の頻発に見られるように顕在化しつつありまして、都民の生命と財産を守る観点からも抜本的な対策が必要となっております。そのためには、東京の都市構造の省エネルギー型への転換、公共部門はもとより企業や家庭におけるエネルギー利用の効率化の徹底など、都市活動や都市生活のあらゆる側面で地球温暖化抑制のための方策をきめ細かく強化していかなければならないと思っております。
 こうした観点から、年明けに設置する全庁的組織においては、都市づくり、産業政策、教育、文化・スポーツなど都政のそれぞれの政策分野において温暖化対策を位置づけ、集中的に取り組みを展開してまいりたいと思います。
 ご指摘の小中高等学校の校庭を芝生化する問題も、先日、サッカーの川淵会長と話しまして、彼も非常に喜んで、協会としても、何もサッカーのためだけではなしに、大いに協力したいという約束もいただきました。
 次いで、オリンピック招致に向けた総合的な都市づくりについてでありますが、東京は今や世界屈指の大都市として成長し、都市機能の高度な集積や正確無比な公共交通網など、海外の諸都市に比べさまざまな優位性を持っております。オリンピックの開催をてこに、こうしたメリットを最大限に生かしながら、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくりかえていく必要があると思います。
 このため、都市圏最大の欠点であります交通渋滞の解消に向けまして、三環状道路を初めとする骨格的な幹線道路の整備や羽田空港の再拡張・国際化、物流の効率化などに取り組みまして、陸海空の広域ネットワークを構築してまいりたいと思います。
 また、建物の色彩や形態に統一感がない市街地について、美しく風格のある景観を備えるとともに、緑豊かな潤いのある、世界に誇れるような街並みを形成していきたいと思っております。また、ご指摘のように、IOCの限られたメンバーのそれぞれの個性、特性というものを分析、調査しまして、きめの細かい対策を講じていきます。
 今後は、こうした取り組みによりまして、東京が持つ都市の力を最大限に発揮し、国際間のオリンピック招致競争に勝ち抜いて、成熟した都市の姿を世界に示し、オリンピックを開催することで、みんなで大きな夢を見たいと思います。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、先般、安倍首相にも前内閣の日米合意に沿って共用化を進めていくように要請し、これを受けて、首相は先月の日米首脳会談において、ブッシュ大統領に、ハノイでですか、新内閣も同じスタンスで取り組んでいくということをはっきりと伝えてくれました。
 また、先日、トランスフォーメーションの最高責任者であります、一、二度会ったことがありますが、ローレス国防副次官を都庁に招きまして、そのスタッフと軍民共用化についての意見交換を行いまして、共用化の必要性を改めて強く訴えて理解を深めさせましたが、都がつくってあります立体的な航空管制空域の模型を見せまして、彼は見れば見るほどこれは余りなものだということがわかったようであります。また、横田空港のニーズの、ヒンターランド、後背地であります地域は、決して関東だけじゃなくて山梨県も長野県も入るんだということで、地図を見せましたり、そこにある交通網などを見せまして、相手の認識をより深めたつもりでございます。
 米軍再編協議で合意された日米両政府によるスタディグループの公式協議が十月に始まっておりますが、それから十二カ月以内という期限がロードマップとして決められて、検討のスタートボタンが既に押されて、共用化はいよいよ具体的な段階に入りました。この協議を促進するために、都が設置した一橋大学の杉山学長をヘッドとする軍民共用具体化検討委員会の検討成果を国との連絡会議を通じて今後のスタディグループの協議に反映させていきたいと思っております。
 今後とも日米両政府に協議の促進を働きかけ、地元の意向を反映させながら、軍民共用化の早期実現を目指したいと思っております。
 次いで、横田空域の返還についてでありますが、随分時間がかかりましたが、第一段階として、日米協議において特定された空域が返還されることになりまして、羽田を離発着する航空機の安全性の向上や、大阪あるいは福岡、韓国方面に向かう飛行時間がはるかに短縮されます。これに伴うCO2の削減など多くの効果が期待されると思います。
 とにかく一部とはいえ、ようやく空域―地面ではありませんが、空が戻ってきたということも大事だと思いますし、これから全面返還に向けてのまず第一歩を踏み出したと認識しております。
 今後は、再拡張を進めている羽田空港の有用性を最大限に発揮させるためにも、今回の一部返還が着実に実行されるよう、そして一年以内にあそこから日本の飛行機が離発着するよう、そういう現実というものを到来させるために、引き続き国を通じて積極的な努力を進めていくつもりです。
 さらに、羽田空港の国際化についてでありますが、首都東京の国際競争力を強化し、これは首都だけでなく日本全体でありますけれども、首都圏、ひいては日本の発展に資するためには、羽田空港の国際化が不可欠であります。
 羽田空港は都心からまさに至近の距離にありまして、しかも二十四時間の運用が可能な空港であるために、その利便性は極めて高いわけです。当然、オリンピック開催時にはその有効性が最大限に発揮されることになります。
 羽田空港を世界に向けた我が国の玄関口として機能させていくために、再拡張後の羽田空港の持つ可能性を十二分に活用した国際化の推進を引き続き国に強く働きかけてまいります。
 先般、この問題に関しては、日本航空の社長が参りまして、そのときに聞きましたら、既に羽田を使って、日本航空と全日空が、日に二便、臨時便という形で韓国に飛ばしているそうですが、これは一番大きなジャンボを使っているけれども、いつも満員だそうでありまして、そういう点で、羽田の国際化の将来の可能性というのは十分憶測できると思います。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 駐車対策につきましてお答えいたします。
 初めに、改正道路交通法施行後の状況についてでありますけれども、法施行六カ月後の状況を調査いたしましたところ、施行前と比べ放置駐車が大幅に減少したほか、渋滞の長さや平均走行時間がそれぞれ短縮しており、走りやすくなったという多くの声が寄せられるなど、都民が実感できる効果があらわれております。
 当庁といたしましては、これらの効果につきまして、あらゆるメディアを通じて積極的に広報を行い、都民のさらなる理解が得られますよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、駐車規制につきましては、貨物集配中の貨物車を場所、時間を指定して駐車規制から除く路線を設けるなど、地域の駐車実態に応じた規制の見直しを行っているところであります。
 駐車許可につきましても、都民の利便性を考慮し、引っ越しや冠婚葬祭などのほか、訪問して行う看護、介護、入浴サービス等のために使用する車両に駐車許可証を交付するなどの措置を講じているところであります。
 また、パーキングメーターの駐車枠の大型化につきましては、既に貨物車用として三百八十六枠を運用しているところでありますけれども、利用実態等を考慮し、今年度中にはさらに百七十一枠を増設する予定であります。
 今後とも、地域の駐車実態や都民の要望などを踏まえ、駐車規制の見直しや貨物車用のパーキングメーターの設置拡大に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 教育に関します六点の質問にお答え申し上げます。
 まず、いじめ問題にかかわります認識についてであります。
 いじめはどの学校にも起こり得るものでございまして、ご指摘のように、その発生の有無のみで評価するのではなくて、解決のためにどれほど意を払ったかが重要でございます。そのため、学校はいじめの事実を隠すことなく、その実態や解決策を保護者や学校運営連絡協議会等に報告するなどしまして、信頼関係を確立し、家庭や地域と一体となって問題解決に取り組むことが重要でございます。都教育委員会は、こうした認識のもと、区市町村教育委員会と連携いたしまして、いじめ問題の解決に当たってまいります。
 次に、小学校でのスクールカウンセラーやアドバイザリースタッフの活用についてでありますが、現在、多くの区市町村教育委員会は、小学校に固有のスクールカウンセラーを配置しております。また、中学校のスクールカウンセラーが、小中学校の教員研修会等におきまして教育相談の技能を高めるとともに、近隣の小学校の児童や保護者からの相談を受けております。さらに、緊急時には、都教育委員会はアドバイザリースタッフの派遣も行っております。
 今後は、区市町村教育委員会と連携を図りまして、必要に応じてスクールカウンセラーやアドバイザリースタッフを継続的に派遣するなど、効果的に制度の運用を図ってまいります。
 次に、専門スタッフの派遣についてでありますが、いじめの未然防止を図るためには、学校が家庭、地域との連携を図るとともに、必要に応じて専門家あるいは関係機関等と連携していくことが重要であります。
 現在、都教育委員会は、スクールカウンセラーやアドバイザリースタッフの派遣などによりまして、各学校の課題に応じた支援を行っているところでございます。
 今後は、これらの取り組みに加えまして、都教育委員会の指導主事が、いじめの未然防止を図るために専門スタッフとして区市町村教育委員会を訪問するとともに、要請に応じまして専門家を伴い学校を訪問するなど、各学校のいじめの未然防止について支援してまいります。
 次に、盲・ろう・養護学校によります小中学校への支援体制の整備についてでありますが、都立盲・ろう・養護学校におきましては、従来から地域の小中学校の特別支援教育に対する支援を行ってきているところであります。本年六月の学校教育法改正を踏まえまして、今後、高い専門性を持つ盲・ろう・養護学校の教員が小中学校を訪問いたしまして、よりきめ細かい指導、相談ができるようにするなど、地域の特別支援教育のセンター的機能をより充実させるための体制整備に努めてまいります。
 次に、特別支援教育に必要な人員配置の国への要望についてでありますが、都教育委員会では、学習障害等の児童生徒の指導を行うために必要な教員の配置等に対しまして財源措置を講ずるよう、かねてから国に対して提案要求を行っておりまして、学校教育法の改正も踏まえ、さらに今後も国に強く働きかけてまいります。
 最後に、都立学校普通教室の冷房化についてでありますが、教育環境改善につきましては、都立高校教育環境改善検討委員会の検討経過を踏まえまして、平成二十年度には全都立高校の普通教室等で冷房化が可能となるよう、平成十九年度の予算要求を行ったところでございます。
 また、都教育委員会では、これまでも学校におけます緑化の推進や雨水の有効活用など環境対策にも努めてきたところでありますが、今回の冷房化に当たりましては、省エネ効率の高い機器の導入を図るとともに、あわせまして太陽光発電設備や建物温度の上昇を防ぐ高反射率塗料を採用するなど、環境問題に対します都民の理解を得ながら、一層の環境負荷の低減に努めてまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君) 今後の都税収入の動向につきましてお答えを申し上げます。
 平成十八年度は、十一月末の法人二税の中間申告等を見きわめる必要がございまして、現時点で確たることを申し上げる状況にはございませんけれども、最近の好調な企業業績等を反映いたしまして、堅調に推移するものと考えております。
 また、十九年度の都税収入につきましては、景気は引き続き回復基調にあるといわれる一方で、消費の伸びの鈍化や原材料費の増加、米国景気の減速等の懸念材料もございます。このため、九月中間決算で好調でございました上場企業の見込みでも、本年度の下期以降につきましては慎重な見通しとなっております。
 なお、平成十九年度は所得税から個人住民税への税源移譲が実施されるわけでありますけれども、今後、こうした税制改正や景気動向などの諸事情を十分勘案いたしまして、的確に算定をしてまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 しごとセンターの多摩地域での事業展開についてでございますが、来年度から多摩地域にしごとセンターの拠点を設け、飯田橋のしごとセンターと同様、全年齢層を対象としたきめ細かなカウンセリングや職業紹介などのサービスを行い、就業促進に向けて取り組んでまいります。
 加えて、これまで市町村と連携して実施してきたセミナーについて、共同実施等の取り組みを強化するとともに、多摩地域に集積している大学に出向いて、就職の未内定者などを対象にカウンセリングを実施するなど、地域の特色に即した事業展開に取り組んでまいります。
 次に、団塊の世代と中小企業とのマッチングの取り組みについてであります。
 少子高齢化が進展する中、これからの東京の産業にとって、退職する方々が培った経験や能力を人材の確保が困難な中小企業で生かしていただくための仕組みづくりが重要であります。
 このため、都では、しごとセンターにおいて、財務管理、販路開拓などの実務経験が豊かな団塊の世代の方々を対象に、中小企業の経営環境を理解するための研修を実施してまいります。さらに、その修了者を登録し、合同就職面接会などにより、積極的に中小企業への就業を促進してまいります。
 次に、税制改正に向けての取り組みについてであります。
 東京の中小企業は、都内企業数全体の九九%、従業者数は七割以上を占めており、将来にわたってその活力を維持することが、東京の経済の発展、ひいては都民生活の充実にとって重要であると考えております。しかし、同族会社に対する内部留保金課税や事業承継時の相続税負担は、財務体質の強化や事業継続などの点で、中小企業の活力維持の阻害要因の一つとなっております。
 都はこれまで、国に対し、内部留保金課税制度の撤廃及び事業用資産相続時の負担軽減を強く要望してきました。今後は、さらに都内中小企業に対する実態調査を行い、これを踏まえ、商工関係団体と連携を図りながら、税制改正の実現に向けて、国に対し積極的に働きかけてまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、荷さばき可能な民間駐車場の拡大についてでございますが、都内における貨物の配送は、都民生活や経済活動を支える重要な役割を担っております。一方、貨物車による荷さばきのための路上駐車は、渋滞や事故の原因ともなっております。
 このため、都では、渋滞緩和を図るスムーズ東京21拡大作戦の一環として、コインパーキングに荷さばき車両を受け入れてもらえる取り組みを実施してまいりました。本年六月時点での受け入れ駐車場は約五十カ所でございましたが、改正道路交通法の施行にあわせ取り組みを一層進めたことにより、十一月末には約二百四十カ所となっております。
 荷さばき施設は、業務上必要な施設として、貨物を受け入れる側で確保するのが基本ではございますが、今後とも、地域の実情などに応じて、駐車場事業者等の協力を得ながら、荷さばきが可能な駐車場のさらなる拡大に努めてまいります。
 次に、都の施設等の荷さばき施設への活用についてでございますが、荷さばき対策を効果的に進めるためには、民間の施設だけでなく、公共の施設等を活用していくことも有意義でございます。
 都はこれまでも、都の施設を活用し、道路整備保全公社の駐車場へ荷さばき車両を受け入れることや、高速道路高架下において荷さばき施設を整備するなどの対策を実施してまいりました。
 今後は、庁内連絡会等を活用し、立地条件を加味しながら、都の施設の利用可能性を検討するとともに、区市に対しては、お話しのような先進的な取り組み事例が広く普及するよう働きかけるなど、効果的な対策を推進してまいります。
 次に、子育て世帯に対する住宅供給の促進についてでございますが、少子高齢化が進展する中、住宅政策においても子育て支援は重要な課題と認識しております。
 都営住宅では、これまで、ひとり親世帯や十八歳未満の子どもが三人以上いる多子世帯に対し優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯や多子世帯向けに期限つき入居を導入してまいりました。
 来年度からは、さらに、小学校就学前の子どものいる世帯を対象とした優先入居を実施するとともに、都民住宅などの公共住宅においても、子育て支援の観点から、ストックの活用について検討を進めてまいります。
 また、民間住宅については、子育て世帯に適した広さと価格の住宅の供給促進に向けて、不動産関係団体等との連絡会を活用し、適切な品質情報の提供を促すなどにより、中古住宅の流通を活性化してまいります。
 こうした多面的な取り組みにより、子どもを安心して産み育てられる住まいの確保を積極的に支援してまいります。
 次に、高齢者の安心居住に対する取り組みについてでございますが、高齢者が民間住宅に円滑に入居し、安心して居住できるようにしていくことは、高齢者の居住の安定を確保する上で重要でございます。
 都はこれまで、高齢者向け優良賃貸住宅の供給や、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録の拡大等により、高齢者が安心して居住できる住宅の供給促進に取り組んでまいりました。また、住宅供給にかかわる関係事業者と連携し、入居に当たって制約を受けることがなく、バリアフリー化された住宅の供給を促進する仕組みについても検討してまいります。
 今後とも、高齢者が安心して居住できる環境整備に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、都営住宅の耐震化についてでございますが、地震による建物の被害から居住者の生命を守り、日常生活の安全を確保するため、これまでも耐震性向上に努めてまいりました。
 本年、耐震改修促進法が改正され、平成二十七年までに住宅の九割以上の耐震化が目標とされたことを踏まえ、都においても、本年度中に耐震改修促進計画を策定する予定でございます。
 都営住宅についてもこの計画に位置づけ、旧耐震基準で設計された住宅のうち、建てかえ対象を除く約三千二百棟の耐震診断を平成二十四年度を目途に行うとともに、耐震改修についても、必要に応じ順次実施してまいります。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 福祉、医療に関する八つの質問にお答えいたします。
 まず、都外の知的障害者入所更生施設についてでございますが、都外施設は、入所待機者が増加し、都内での施設の設置が進まない中、昭和四十年代から整備を始めまして、入所施設での支援を希望する多くの知的障害者に安定した生活の場を提供してまいりました。
 しかしながら、近年の入所施設の整備については、住みなれた地域での生活を続けたいとする本人や家族の希望をできる限り尊重する観点から、基本的に都内での設置を促進しております。
 都外施設の今後のあり方については、施設設置の経緯を十分に尊重しつつ、障害者自立支援法の趣旨を踏まえて検討してまいります。
 次に、都外施設利用者の不安の解消についてでございます。
 都外施設利用者の中には、障害者自立支援法の施行によりまして、将来的に施設を退所しなければならないのではないか、また、長年住みなれた施設から地域での生活へ移行できるのかなど、さまざまな不安を抱いておられる方がいることは、ご指摘のとおりでございます。
 これまでも、円滑に地域生活への移行が図られるよう、希望する利用者に対して施設が実施する自立生活訓練について、都として補助を行ってまいりましたが、引き続き支援に努めてまいります。
 また、施設の退所について不安を抱いておられる方へは、自立支援法の趣旨や制度内容の周知を図るとともに、都外施設のあり方に関する検討状況について適宜情報提供を行うなど、利用者の不安解消に努めてまいります。
 次に、障害者の一般就労の促進についてでございます。
 障害者が企業等に就労し、経済的な自立を目指すためには、企業等の理解を得ることが必要でございます。このため、都では、平成十九年度重点事業として、障害者の就労支援の拠点であります区市町村障害者就労支援センターにおいて、授産施設から企業等での就労への移行を橋渡しする地域開拓促進コーディネーターの配置を支援することといたしました。
 今後、都は、ご指摘の点を踏まえ、地域開拓促進コーディネーターを活用しながら、チェーン店など波及効果の高い企業を開拓するなど、区市町村における障害者の一般就労を促進するための取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、国民健康保険制度における減額調整措置についてでございます。
 自治体が独自に医療費を助成している場合に、国は、国民健康保険法に基づきまして、本来担うべき負担金を減額する措置を講じております。
 今般の医療制度改革において、国は、少子化対策の観点から、子どもに対する医療費の軽減措置を、現在の三歳未満から就学前まで拡大することを既に決めているにもかかわらず、乳幼児医療費助成制度など、自治体が独自に実施している同様の取り組みに対しまして、国庫負担減額によりまして阻害するような措置を継続していることは、まことに理解しがたいと考えております。
 都は、従来から国に対し、この減額調整措置を廃止するよう強く提案要求してまいりましたが、今後とも粘り強く働きかけてまいります。
 なお、都内の区市町村に対する減額調整額は、平成十七年度で約二十七億一千万円であり、うち乳幼児医療費助成制度に係る分は約九億二千万円でございます。
 次に、保育所待機児童解消における認定こども園制度の活用についてでございます。
 認定こども園は、地域の多様な保育、教育ニーズに柔軟に対応することとあわせて、幼稚園に保育所機能が備わることなどによりまして、保育所待機児童解消にもこたえていくことが期待されるわけでございます。
 こうしたことから、認定こども園の四つの類型それぞれがその機能を十分に発揮できるよう、国が財政措置をしていない部分につきまして、都独自の補助制度を創設し、区市町村とも十分な連携を図りながら、制度の円滑な実施に努めてまいります。
 次に、認定こども園の子育て支援機能についてでございます。
 お話しのとおり、東京では、近隣関係の希薄化、核家族化の進行などによりまして、子育てに対して不安や負担を感じている親も多くなっております。都はこれまでも、こうした大都市の実情を踏まえ、認可保育所や児童館などの社会資源を有効に活用し、地域の子育て支援拠点の整備に努めてまいりました。
 認定こども園においても、これらの既存の取り組みと連携を図りながら、地域の実情に応じた子育て支援事業が積極的に実施されることが重要と考えております。このため、子育て相談や一時保育などの子育て支援事業を複数実施することを都の認定基準とするとともに、必要な財政支援を行っていく予定でございます。
 次に、ドクターヘリの効果的な運用についてでございますが、都は現在、島しょ地域等の医療機関において対応が困難な救急患者が発生した場合に備え、東京消防庁と連携し、大型ヘリに医師が同乗して医療処置を行いながら搬送する体制を二十四時間確保しております。
 この救急患者の搬送時間をより一層短縮するため、ヘリポートを備える都内の病院に対しまして、ヘリの受け入れと同乗医師の派遣を依頼するとともに、搭載する医療器材の充実を図るなど、東京消防庁のヘリを東京型ドクターヘリとしてより効果的な運用ができるよう、積極的に検討を進めてまいります。
 最後に、若年層の自殺防止対策についてでございます。
 未来ある子どもがみずから命を絶つということは、理由のいかんを問わず、あってはならないことでございます。
 都は、平成十九年度重点事業として、自殺総合対策東京会議を設置し、相談・支援ネットワークの構築や、身近なところで自殺のサインを早期に発見できる人材の育成など、総合的な施策の展開を図ることとしております。
 都教育委員会の緊急アピールにおいても、子どもたちに、家族や周りの人に悩みを打ち明けることが大切であると訴えており、新たな施策の中で、相談することの重要性に関して普及啓発を強力に推し進めるなど、若年層の自殺対策についても、教育庁を初めとする各局や民生・児童委員などの関係者と連携し、積極的に取り組んでまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 校庭の芝生化事業についてのご質問にお答えいたします。
 校庭の芝生化は、都市の緑化にとって大きな役割を期待できるとともに、子どもたちに、学校という最も身近な場所で環境学習の場を提供する効果を生み出すものでございます。
 この事業を着実に推進していく上では、学校の教職員と子どもたちが一緒になって管理に参加する仕組みや、それを支える地域ぐるみの協力体制が存在することが重要でございます。
 したがいまして、事業実施に当たりましては、既に芝生化を行った学校の経験を参考としながら、環境学習での活用方法や維持管理のノウハウなどをまとめた事例集を作成するなどして、学校や地域の積極的な取り組みを促し、地域の緑の拠点ともなる校庭芝生化を推進してまいります。
   〔生活文化局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) 消費生活条例の改正に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都消費生活条例に違反した者と法人・代表者とをあわせて処罰できる両罰規定の導入の検討についてでございます。
 今回の条例改正では、消費者の利益を著しく害する悪質事業者の行為を抑止するために、禁止命令に違反した場合と、立入調査等を拒否した場合について、事業者に対し罰則として過料を科すことといたしました。
 お話しの両罰規定の導入につきましては、東京都消費生活対策審議会の答申にもあるように、今後、行政刑罰とあわせて検討する必要があるので、改正条例の規制の効果を検証しつつ検討していく必要があると考えております。
 次に、高齢者、特に改正条例の周知が難しい認知症の高齢者等への具体的な取り組みについてでございます。
 高齢による気力や体力の低下に加え、病気や認知症等により判断力が不足している高齢者等の被害防止のためには、家族や民生委員、介護事業者等、高齢者の身近にいる人々による見守りや被害の早期発見が重要でございます。
 このため、被害に遭っている高齢者を発見した場合の適切な対処方法についてのマニュアルや、都や区市町村における連携の仕組みなどについて盛り込んだガイドラインを年度内に作成し、都全域にわたるセーフティーネットの構築に役立ててまいります。
 最後に、適格消費者団体への相談情報の提供と訴訟費用の援助についてでございます。
 本年五月の消費者契約法の改正により、消費者団体訴訟制度が創設され、消費者全体の利益擁護のため、不特定かつ多数の消費者に対して行われている事業者の不当な行為について、直接差しとめを求める権利が一定の消費者団体に認められることになりました。
 都は、この制度が有効に機能するよう、今後制定される内閣府令の内容等を踏まえて、相談情報の提供の範囲や方法等について適切に定めてまいります。
 なお、訴訟費用の援助につきましては、国の動向や制度発足後の団体の財政状況等を見きわめることが必要であると考えております。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) オリンピックの招致活動についてでございますが、招致活動を行うに当たりましては、IOCの動向や、お話しのロンドンを初め、これまでの立候補都市の事例を十分に調査研究いたしまして、計画やIOC委員に対するプロモーションなどに反映させていくことが重要でございます。
 このため、今後の計画策定に当たりまして、過去のオリンピック招致に携わったアドバイザーの招聘あるいは計画策定などに精通した海外企業との契約などを現在検討しております。
 また、IOC委員へのプロモーションに関しましては、東京オリンピック招致委員会におきまして、各委員に対する影響力が期待される人材の登用など、より効果的な方策について検討してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 東京港の強化につきまして、二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京港の機能強化に向けた戦略についてでございます。
 東京港が引き続きメーンポートの役割を果たしていくためには、コンテナ船の大型化や、国際水平分業の進展などに伴って急増するアジア貨物などへの的確な対応が重要であると認識しております。
 このため、第七次改訂港湾計画を着実に推進してまいりますが、事業推進に当たりましては、中央防波堤外側埋立地における船舶の大型化に対応する新たなコンテナふ頭の整備に向け、早急に基本計画調査を進めるとともに、その機能を十分に発揮していくさまざまな取り組みを検討してまいります。
 また、急増する貨物に対応するため、ヤード機能の拡張や、新たな埋立地の造成による施設の集約化を行い、機能向上を図るとともに、IT化を促進するなど、既存ふ頭の効率性を最大限に高める運営も推進してまいります。
 こうした取り組みにより、東京港の国際競争力の一層の強化を図ってまいります。
 次に、空港や臨海部と連携した東京港の魅力づくりについてでございます。
 東京港は、空港や市街地と隣接した特色のある国際貿易港でございます。加えて、ご指摘のように羽田空港の再拡張や十年後のオリンピックを見据えますと、人々の交流や国際化の進展に十分こたえた東京港の魅力づくりが重要だと認識しております。
 このため、東京港においては、水上レストラン、観光桟橋など、水辺のさらなるにぎわいづくりを促進させるほか、環境にも十分配慮した港づくりを進めてまいります。
 また、首都東京の海の玄関として、航空機や船舶からの視点も踏まえたデザイン、色彩等に配慮した港湾施設と海上公園や水辺が調和した、東京港ならではの景観形成を図ってまいります。
 さらに、交通網の整備により空港へのアクセスも向上することから、お話しのフライ・アンド・クルーズを東京港のセールスポイントとした客船誘致も展開してまいります。
 今後は、こうした一連の施策を展開しつつ、東京港の魅力を世界にアピールしてまいります。