平成十八年東京都議会会議録第十五号

平成十八年十二月一日(金曜日)
 出席議員(百二十五名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番きたしろ勝彦君
四番田中たけし君
五番鈴木 隆道君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番山口  拓君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番神林  茂君
二十一番早坂 義弘君
二十二番崎山 知尚君
二十三番宇田川聡史君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番鈴木あきまさ君
二十七番秋田 一郎君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番串田 克巳君
四十三番吉原  修君
四十四番山田 忠昭君
四十五番臼井  孝君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番西岡真一郎君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番田代ひろし君
六十五番三宅 茂樹君
六十六番高木 けい君
六十七番山加 朱美君
六十八番村上 英子君
六十九番坂本たけし君
七十番川井しげお君
七十一番鈴木 一光君
七十二番吉野 利明君
七十三番いのつめまさみ君
七十四番門脇ふみよし君
七十五番小沢 昌也君
七十六番石毛しげる君
七十七番岡崎 幸夫君
七十八番柿沢 未途君
七十九番初鹿 明博君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番倉林 辰雄君
八十八番樺山たかし君
八十九番近藤やよい君
九十番こいそ 明君
九十一番松原 忠義君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番野村 有信君
九十七番酒井 大史君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大沢  昇君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百十番比留間敏夫君
百十一番遠藤  衛君
百十二番高島なおき君
百十三番宮崎  章君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番馬場 裕子君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
 欠員
百九番 百二十番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長大原 正行君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長渡辺日佐夫君
都市整備局長柿堺  至君
環境局長村山 寛司君
福祉保健局長山内 隆夫君
産業労働局長島田 健一君
建設局長依田 俊治君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長熊野 順祥君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長高橋 道晴君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

十二月一日議事日程第一号
第一 第二百七号議案
平成十八年度東京都臨海地域開発事業会計補正予算(第一号)
第二 第二百八号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第二百九号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百十号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第二百十一号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六 第二百十二号議案
東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第七 第二百十三号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十四号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十五号議案
東京都消費生活条例の一部を改正する条例
第十 第二百十六号議案
東京都文化振興条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十七号議案
東京都教育相談センター設置条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十八号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第二百十九号議案
東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百二十号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百二十一号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二十二号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十三号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百二十四号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百二十五号議案
東京都住宅基本条例
第二十 第二百二十六号議案
東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百二十七号議案
保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百二十八号議案
東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百二十九号議案
興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第二百三十号議案
プール等取締条例の一部を改正する条例
第二十五 第二百三十一号議案
東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
第二十六 第二百三十二号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百三十三号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百三十四号議案
東京都認定こども園の認定基準に関する条例
第二十九 第二百三十五号議案
東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例
第三十 第二百三十六号議案
東京都心身障害者扶養年金会計条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百三十七号議案
東京都心身障害者扶養年金基金条例の一部を改正する条例
第三十二 第二百三十八号議案
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による任意入院者の症状等の報告に関する条例
第三十三 第二百三十九号議案
警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第二百四十号議案
性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第二百四十一号議案
都営住宅十八CH―一〇四東(小松川三丁目第二・江戸川区施設)工事請負契約
第三十六 第二百四十二号議案
街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(十八北南―府中三・四・七清水が丘)請負契約
第三十七 第二百四十三号議案
平成十八年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事請負契約
第三十八 第二百四十四号議案
当せん金付証票の発売について
第三十九 第二百四十五号議案
都営住宅の買入れについて
第四十 第二百四十六号議案
再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第四十一 第二百四十七号議案
再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第四十二 第二百四十八号議案
再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第四十三 第二百四十九号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び小金井市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十四 第二百五十号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び日野市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十五 第二百五十一号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び東村山市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十六 第二百五十二号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び狛江市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十七 第二百五十三号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び清瀬市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十八 第二百五十四号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及びあきる野市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十九 第二百五十五号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び西東京市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第五十 第二百五十六号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び日の出町公共下水道使用料徴収事務の受託について
第五十一 第二百五十七号議案
審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第二十六号
東京都議会会議規則の一部を改正する規則
第二 議員提出議案第二十七号
東京都議会委員会条例の一部を改正する条例

   午後一時開会・開議

○議長(川島忠一君) ただいまから平成十八年第四回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
     六番 後藤 雄一君 及び
   六十六番 高木 けい君
を指名いたします。

○議長(川島忠一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松原恒美君) 平成十八年十一月二十四日付東京都告示第千五百五十三号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、平成十八年十一月二十四日及び十二月一日付で、本定例会に提出するため、議案五十一件の送付がありました。
 次に、平成十八年第三回定例会の会議において同意を得た監査委員及び公安委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、東京都人事委員会より、平成十八年十月十三日付で、都の一般職の職員の給与について勧告等がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) この際、平成十八年十月二十四日付をもちまして全国都道府県議会議長会において自治功労者として表彰を受けられました方々をご紹介いたします。
 在職二十五年以上、三田敏哉君、立石晴康君。
 在職十五年以上、山崎孝明君。
 ここに敬意を表し、心からお祝い申し上げます。
 〔拍手〕

○議長(川島忠一君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
 〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載

○議長(川島忠一君) 次に、閉会中の都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る十月六日付をもって中嶋義雄君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました特別委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、東野秀平君を指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 次に、東京都議会海外調査団について申し上げます。
 本議会において、去る十一月十日から十八日まで、ドバイ、アテネ及びドーハヘ、また、十一月十九日から二十六日まで、ロンドン、フランクフルト及びミュンヘンへ、また、十月十二日から二十一日まで、サンパウロ、イグアス及びクリチバへ、それぞれ海外調査団を派遣いたしました。
 海外調査団を代表いたしまして、それぞれ報告のため発言の申し出がありますので、これを許します。
 二十二番崎山知尚君。
 〔二十二番崎山知尚君登壇〕

○二十二番(崎山知尚君) 東京都は、二〇一六年夏季オリンピックの国内立候補都市に正式決定し、三年後のIOCでの開催都市決定に向け、石原知事を先頭に招致活動を本格化させることになりました。これを受けて、今回、都議会、東京オリンピック招致本部、JOC三者の構成による海外調査団を二班に分けて結成、総合的な調査が行われました。私からは、去る十一月十日から十八日まで実施いたしましたアテネ調査団の視察報告をいたします。
 調査目的は、オリンピック開催に向けた課題等をメーンテーマとして行ってまいりました。
 次に、参加メンバーですが、都議会からは、団長は我が自民党の山崎孝明議員、副団長には公明党の中嶋義雄議員、そして自民党の近藤やよい議員と私、崎山の四名が参加いたしました。
 今回の視察を、議会、JOCそして行政と、東京オリンピック招致に向け、それぞれ役割の違う皆さんで実施できたことは大変意義深く、視察、研修と同時に対策会議がその場でできたことは、オリンピックの仕組みを知る上でも大きな成果といえます。
 訪問都市は、二〇〇四年にオリンピックが開催されたギリシャのアテネ、そして、本日から始まる第十五回アジア競技大会の開催地であるカタールのドーハ、そしてトランジットで立ち寄ったアラブ首長国連邦の都市ドバイです。
 ドバイでは、整備中の港湾施設や空港の増設工事、大リゾート基地の建設現場などを視察し、また、千八百ものビルが建設中であるという爆発的な経済発展の背景と現状について、ジェトロより説明を受けました。また、JOCの骨折りで、ギリシャ駐在の北村大使、カタール駐在の堀江大使に面会し、東京オリンピック招致の協力を取りつけたことも収穫といえます。
 それでは、各都市別の報告をいたします。
 まず、ギリシャのアテネです。
 アテネでは、ギリシャオリンピック委員会を訪問し、石原知事からギリシャオリンピック委員会のキリアコウ会長あての親書を手渡しました。そして、二年前に開催されたオリンピック招致と大会までの経緯、開催から現在の跡地利用に至るまでの課題を中心に調査してまいりました。
 アテネの招致に至るまでの経緯は、近代オリンピック百周年を記念して一九九六年大会に名乗りを上げたが、九〇年に東京で開催されたIOC総会でアメリカのアトランタに敗れ、次にシドニーが決定し、実に三度目の正直で開催地として決定いたしました。オリンピック発祥の地に聖火が帰ってくるということで、多くの国民に支持され、待ち望まれた大会であったそうであります。また、五輪を機に、新空港、高速道路、メトロ、トラム、郊外電車等のインフラが整備され、当初批判的だった人を含め、国民に大変喜ばれています。
 施設は、メーン会場周辺と臨海部の空港跡地の二つのクラスターを中心に競技場が設置されておりました。施設の配置は、選手村から南半分におおむね三十キロ圏内となっています。
 開催に当たっての課題は、第一に、同時多発テロ後、初の夏季大会であったため、NATO軍の支援も含め、テロ対策費として約一千六百億円が投入されたとのことでした。
 第二に、車庫証明というシステムがないアテネでは、路上駐車しかすべがなく、渋滞は慢性的となっており、私どもが実際バスでメーン会場から臨海部のクラスターまでの移動に一時間以上を要しました。期間中は、市民がバカンスであったこと、路上駐車の徹底した取り締まりとオリンピック専用レーンの設置で、ほぼ三十分以内で移動ができ、結果として混乱はなかったそうであります。
 また、開催後に指摘されたことは、チケットは完売状態であったにもかかわらず、観客席には空席が目立ったこと、宿泊施設不足によって、中クラスのホテルでダブルの部屋が七万円以上に高騰したことだそうであります。
 また、跡地利用としては、選手村を低所得者用住宅としたぐらいで余り進んでおらず、全く予定の立たないところもあります。これは、アテネの規模が小さいため、需要が見込めないことが主な理由であります。
 開催から現在まで続くインフレの抑制、競技場やメディアセンターの跡地利用などの多くの課題を抱えつつも、オリンピック発祥の地アテネでの開催は、ギリシャ人としての誇りと自信を取り戻す機縁であったことは間違いないという何人もの関係者からのコメントを耳にいたしました。我が東京でもそうあってほしいものであります。
 次に、カタールの首都ドーハであります。
 ドーハは、アラビア半島に位置し、きょうから始まるアジア競技大会の開催地であります。日本は、九三年にサッカーワールドカップ予選、対イラク戦でのロスタイムでゴールを奪われ、本大会参加を逃したドーハの悲劇のあった都市で、中東の衛星放送アルジャジーラもあります。
 現地は、イスラム律の特に厳格なワッハーブ派ということもあるのでしょうか、宗教はもちろんのこと、文化や法律までも含め、生活そのものがイスラムといえばわかりやすいと思います。
 そして、経済面では、世界有数の石油、天然ガスの産出国で、堀江大使の言をかりれば、実質世界で一番のお金持ちだそうであります。今回で十五回目となる大会ですが、アラブ世界では初、参加選手も一万人の大台になると見込まれています。
 開催前の突貫作業のさなか、総責任者のアブドラ氏に面会し、カタールのオリンピック委員会のアルタニ会長あての石原知事の親書を渡した後、今日までの進捗等の説明を受け、メーン会場周辺施設の案内を受けました。
 組織委員会は多くの国の人で構成され、最後の準備に追われていました。サッカー場からプール、テニス、体操、卓球、ボクシング等々、大小四つの体育館を収容し、長さ二百四十五メートルで、何と二百メートルのトラックを擁する世界一の室内体育施設を誇るアスパイアドームの視察。大会後は、小学生などの若い世代の育成を図るために使用することになっています。メーン会場はオープニングセレモニーのリハーサル中でもありましたが、特別に見せていただきました。その演出については、一切口外無用の署名をいたしましたので、あしたのテレビを楽しみにしていただければと思います。
 滞在中に、東京のライバルとしてドーハも名乗りを上げた旨のニュースが日本から届きました。
 今回の視察調査を終え、二つの確信を得ました。一つは、山崎団長の持論でもありますが、いかに国民の賛同を得ているかは、都にとどまらず、日本国民全体がひとしく熱意を持ってオリンピックの招致を切望する機運を盛り上げていくのが私たち議会の役割で、勝敗の帰趨といえるということです。
 いま一つは、最終的にIOC総会でのプレゼンテーションの是非が委員の判断に大きな影響を与えるということだそうで、周到、綿密な選考に心がけていただきたいと思います。
 詳細につきましては、後日、冊子にまとめてご報告をいたします。アテネ班として、とりあえず口頭でのご報告といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 続きまして、四十八番服部ゆくお君。
 〔四十八番服部ゆくお君登壇〕

○四十八番(服部ゆくお君) 都議会海外調査団アテネ班に続き、ロンドン、フランクフルト、ミュンヘン三都市の調査団は、去る十一月十九日より二十六日までの八日間、野村有信団長のもと、藤井一議員、谷村孝彦議員、石森たかゆき議員、服部ゆくおが調査に参加し、さらに、東京オリンピック招致本部、JOCも加わり、総合的な調査活動となりました。
 以下、簡潔に調査団の報告をさせていただきます。
 まず、ロンドンオリンピック組織委員会を訪問し、石原都知事からセバスチャン・コー会長への親書を託しました。
 計画部門の責任者であるマイク・パワー氏は、なぜ他都市ではなく東京なのか、説得力のあるコンセプトとストーリーが必要であることを強調されました。IOC委員に対しては、相手に合わせたアピールが必要なことや、政府、都市、招致委員会、NOC競技団体が一体となり、しっかりした協力関係を築くことを指摘されました。また、世界に向けてのネットワークづくりが大切で、さらに、日本の文化、伝統を世界にメッセージとして発信することも重要であることなど、示唆に富んだ内容でした。
 ロンドンオリンピックの戦略は、港湾労働者の住宅地として発達し、現在は荒廃が進む主会場であるストラットフォード地域の再生を、オリンピックを機会に一気に進め、地域全体の社会変化の実現を目標にしています。すなわち、貧しく仕方なく住んでいる町から、住みたくなる町への大きな変革であります。
 同時に、企業活動を行う場所としての地域の業務商業核の整備を行い、衰退した産業遺構を新しい企業活動の場に変え、働きたくなる場所への変革も望まれており、オリンピック後の都市計画を前提とした施設マスタープランにあります。
 つまり、ロンドンでのオリンピックの開催決定は、都市再生が起こるきっかけをつくる巧みな計画であることが評価されたといえます。
 在英国日本大使館を表敬訪問した際、野上特命全権大使からは、特に若い人たちに東京の人気は高い、それだけに千客万来の国際都市東京としての受け皿をどうつくるかが課題であること、二年後には日英修好百五十年を迎えることもあり、一層の日英友好関係を深め、東京招致に自覚を持って臨んでいることなど、予定時間をオーバーして熱く語られ、大いに意を強くしたところであります。
 次の訪問先であるフランクフルトでは、陸上選手として活躍されたフランクフルト市のドクター・カレン・フェレススポーツ局長、そして、近代五種の選手として国際大会にも出場したドイツオリンピック委員会のスポーツ選手強化部長クラプフ女史と会見し、バッハ会長への石原都知事の親書を託しました。
 ここでも、ブレア首相のプレゼンがよかったことが勝因につながったことや、オリンピック招致には人的交流の大切なことを述べられました。オリンピック精神のもと、厳しいトレーニングを乗り越え、国の名誉と誇りを持って参加する選手と関係者に対して、心から歓迎し、敬意を払うことのできる国日本、そして、東京には世界の食があり、すしを初め繊細な和食もあり、世界一安全・安心で健康的な日本の食文化、これを世界にアピールすることも重要との指摘がありました。
 ミュンヘンでは、一九七二年開催され、現在オリンピックパークとして市民に活用されている施設について、経営責任者のシュプロンク社長から説明を受けました。
 オリンピック施設の後利用は重要なテーマで、ミュンヘンでは、施設を管理会社に移して、テニスコート、スイミングプール、体育館など、一般の市民に貸し出すために、マネジメントの観点を強調していました。建築家には著作権があり、承諾がなければ改装もできないことや、ロンドンでは、準備段階の現在、後の利用を考えて既にマネジメント会社ができているように、オリンピックが始まる前に後のことを考えることが重要と強調されました。
 続いて、ベッケンハウアーとともに二〇〇六年ドイツでのサッカーW杯開催の原動力であり、実力者であるザルツブルグ招致委員会のラドマンCEOは、東京に対して好意的ながらも厳しい見方をしており、東京がどのようなコンセプトを持つか、スポーツ選手がどう感じるかが重要で、当然のことながら超党派で国民の総意をもって取り組むべき性質のものと、適切なアドバイスがありました。
 第十八回東京大会の開催が決まったのは、一九五九年五月、ミュンヘンでのIOC総会でした。このとき、招致委員会側からプレゼンに立った外交評論家の平沢和重氏は、小学校六年生の日本の国語の教科書を片手に、次のように述べました。この教科書を見ればわかるように、日本ではオリンピック運動を義務教育の段階からだれもが学んでいると力説、感銘を与えたものでした。
 以上、現場の第一級の情報と、東京招致のために貴重なご意見を賜り、実りある調査活動とミッションの役割を果たせたものと感謝申し上げます。
 現在、詳細な報告書をまとめておりますが、本日は概要のみ報告させていただきました。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 続きまして、九十九番大沢昇君。
 〔九十九番大沢昇君登壇〕

○九十九番(大沢昇君) 平成十八年都議会海外調査の報告をさせていただきます。
 都議会民主党の岡崎幸夫、いのつめまさみ、大西さとる、私、大沢昇の四名は、去る十月十二日から二十一日までの十日間、ブラジル連邦共和国のサンパウロ州、パラナ州を訪問し、エネルギー施策、環境施策、交通施策、都市計画などの調査を行ってまいりました。
 以下、調査の概要についてご報告申し上げます。
 サンパウロ州では、州環境局、エタノール製造工場、近郊農業と環境保全の現場、そして日本人移民の歴史に触れてまいりました。
 ブラジルは、一八八八年の奴隷廃止により、奴隷にかわる労働力としての移民の受け入れを始めました。二〇〇八年には日本人移民百周年を迎えますが、資料館では、なれない土地で苦労と工夫を重ねて生み出した生活が当時のまま残されていて、日本人移民の生活と社会背景を学ぶことができました。
 我々の先輩は、他国の移民に比べ行儀がよく、むだ口をきかず、おとなしく整列をし、静かに食事を待つ姿に、ブラジル人からとても高い評価を受けたそうであります。現在でも、日本人は信頼できると、ブラジル人の高い評価を得ています。日本を離れ、異国の地で苦労した日本人移民の方々に頭が下がります。
 日本で暮らしている私たちは、日本人が持っていた勤勉で奥ゆかしい心を時代とともに置き忘れてきてしまったのではないでしょうか。日本のよき文化、精神がブラジルの地で残っておりました。
 まず、エタノール関係を申し上げます。
 ブラジルでは、一九七三年の石油危機を契機に、サトウキビを原料とするエタノールによって石油を代替する国家アルコール計画が実施されました。まず、無水エタノールをガソリンに二〇%混合し、自動車の燃料として使用を始め、その後、一九八〇年には、含水エタノールを一〇〇%燃料とする自動車が販売されました。一九八五年にはエタノール生産量は年間で百億リットルに達し、自動車燃料の約半数を賄うまでに発展をなし遂げました。
 現在では、各自動車メーカーから、ガソリン、エタノール、それらのいかなる割合での混合燃料にも対応可能なフレックス燃料車が販売され、ガソリンとエタノール価格の変動に応じて燃料を変更できるフレックス燃料車が主流となっております。
 エタノール製造工場においては、世界最大級の会社でありますコザン社の工場を視察してまいりました。この工場は、徹底したエネルギーの再利用を行うとともに、エタノール製造過程から排出される廃棄物も徹底して再利用して、一トンのサトウキビから平均八十五から九十リットルのエタノールをつくり出しますが、発生する廃棄物がほとんどないことに驚きました。
 東山農場においては、近郊農業の現場を視察してまいりました。この農場は、安全な作物の生産、自然環境の保護、社会への貢献を使命とした姿勢に感銘を受けてまいりました。
 また、この農場では、不審者の侵入を防ぐため、防犯上の塀や鉄条網を設けず、雑木林で農場を囲み、もともとその土地に生息しているタランチュラや毒蛇が結果的に侵入者を防いでいるというユニークな取り組みをしておりました。人に害を与える動物を排除するのではなく、きちんとすみ分けをして、さらに防犯に用いている共生の現場を見てまいりました。
 続いて、パラナ州では、州都のクリチバ市とフォース・ド・イグアス市において、都市計画、公共交通、世界遺産、環境保護について視察をしてまいりました。
 フォース・ド・イグアス市では、世界第二位の発電能力を持つイタイプー水力発電所で、超巨大ダムによる環境負荷を徹底的に調査研究し、生態系への配慮、自然動物の保護、森林のケアなど、環境保護の現状を視察をしてまいりました。
 また、三十二万ヘクタールの広大な自然が広がる世界遺産のイグアス国立公園は、年間百万人の観光客を迎え入れる世界的に有名な公園で、生物多様性、天然資源の保全と、それらの合理的かつ持続的な利用による、将来及び現世代の生活の質の向上の両立が提唱されております。この目的達成のため、北海道の約一・八倍に相当する保護区を設定するとともに、その管理体制の強化を図り、生物多様性の保全、自然環境保全のための活動を多岐にわたり実施しております。
 保護区の中でも、国立公園、州立公園は、厳正な保護、管理を実施するために、居住を含む入場者数の制限や経済活動の禁止等、さまざまな規制を設けて保護地域の保全に努めております。公園内を移動する手段として、電気自動車やトロッコ等、自然環境に配慮した観光振興の現場を視察してまいりました。
 続いて、パラナ州の州都であるクリチバ市において都市計画を視察してまいりました。
 クリチバ市は、この二十年余り、市を挙げて計画的なまちづくりを進めてきた結果、ラテンアメリカで最も美しい町の一つといわれるようになり、都市計画の模範とされております。
 二十数年前は、クリチバ市も大変な交通渋滞、大気汚染、スラムの増加などの問題に直面しておりました。交通渋滞を地下鉄の整備で解決するには予算面での制約があり、バス路線の整備での問題解決に取り組みました。バス路線整備の特徴としては、第一に、道路の半分を、緊急車を除き終日バスが走る専用路線につくりかえるという徹底したバス専用車線の確保であります。その結果、朝夕のラッシュもバスがおくれることなく、利用者から信頼性も高まりました。
 第二の特徴は、バスの停留所に、電車でいうところのプラットホームを設け、切符の販売と検札を行い、電車のように一斉に乗降を行うことで、停車時間を十秒程度にできることであります。そのためにバスの車体に大きな扉が複数設けられていたり、三両編成の車両があったりと、車両にも工夫が施されておりました。
 第三に、三本の環状線と四本の放射道路をつなぎ、交差する乗りかえ地点では大きなターミナルをつくり、プラットホームから出ない限り、一枚のチケットで乗りかえ自由で、どこでも時間どおりに移動できるバスシステムが構築をされておりました。
 結果、多くの人が自家用車を使わなくなり、交通渋滞や大気汚染の解決、市の収入への寄与に結びついたそうであります。
 交通施策のほかにも、ごみを市民に収集してもらうことにより、町の美化とスラムの解消を同時になし遂げたり、市民一人当たりの公園の面積を六十倍以上にふやした都市計画を推進した、当時の市長と担当者から詳しく話を聞くことができました。
 つけ加えますが、都市計画を行った担当者は日本人であります。
 以上、概略の報告とさせていただきます。
 なお、今回の詳細は、後日、海外調査報告書として取りまとめ、配布させていただきます。
 オブリガード。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 以上をもって東京都議会海外調査団の報告は終わりました。

○議長(川島忠一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二十六号、東京都議会会議規則の一部を改正する規則外条例一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十五日までの十五日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十五日間と決定いたしました。

○議長(川島忠一君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
 〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成十八年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 ことしで七回目を迎えたベンチャー技術大賞の授賞式が去る十月に行われました。これまで数日を要していた食中毒菌の検出をわずか一時間で完了するという世界最速の装置が大賞を受賞したのを初め、創意と工夫にあふれた新技術の数々が紹介されました。
 いつの時代にあっても、革新的な技術こそが文明を動かす原動力であります。東京の中小企業が持つ底知れぬ力を改めて思い知らされるとともに、すぐれた技術が、日本ばかりでなく、世界をも変える大きな可能性を秘めていることを実感いたしました。
 来週からは、銀座を舞台に、ICタグなどを活用した東京ユビキタス計画の実証実験を開始いたします。東京には、こうした実用化を待つ高度な技術が数多く眠っておりまして、私たちはみずからの力を冷静に見定め、可能性の種を見出し、育てていかなければならないと思います。
 技術の進歩は、戦後六十年以上にわたる平和を支え、私たちに物質的な豊穣をもたらしました。しかし、その一方、文明が高度に発達するのと反比例する形で、人間そのものが本質的に衰弱してしまったように思えてなりません。かつて司馬遼太郎氏が慨嘆していたとおり、多くの日本人は、ある種の観念を目の前の現実より現実的であると錯覚し、思考停止の状態に陥っているのであります。
 平和が当たり前と思い込み、眼前の危機を察知する能力までが鈍麿してしまっては、我が国や東アジアの平和と安定を脅かすさまざまな動きが生じている現状に対して、危機意識を喚起しようもありません。
 北朝鮮による同胞の誘拐・拉致に対しても、私たちはもっと強い関心を持つべきであります。拉致は決して過去の出来事ではなく、現在進行形の問題であり、都は今月中旬、都議会拉致議員連盟などと協力して、拉致被害に関する写真展を都庁舎において開催いたします。一人でも多くの都民、国民の皆様に、我が国が直面している危機の実態を自分の目でぜひ確かめていただきたいと思います。
 次に、最近の主な取り組みについて申し上げます。
 横田基地の軍民共用化は、私が知事に就任して以来、最大の懸案であります。この十月に設置された日米両政府による公式の検討組織での協議には、十二カ月以内に結論を出すよう明確な期限が仕切られており、共用化はいよいよ具体的な段階に入ったと考えております。
 先般、安倍首相と会談した際、前内閣で交わされた日米合意に沿って共用化を進めていくように要請し、快諾を得ました。これを受けて安倍首相は、先月、ベトナムで行われた日米首脳会談の場で、ブッシュ大統領に、新内閣もこれまでと同じスタンスで共用化に取り組んでいくことを明確に表明しました。引き続き日米両政府に強く働きかけ、地元の意向を反映させながら、一日も早い実現を目指してまいります。
 アメリカの管理下にある横田空域については、かねてから都は全面返還を主張してきましたが、その一部返還が十月に決定されました。日本の空は、戦後六十年以上が経過した現在もなお、いわば占領状態が続いております。今回の措置によって、飛行の安全性が高まり、所要時間や燃料が節減されるほか、飛行経路の増加も可能となり、再拡張を進めている羽田空港の有用性が一層増すなど、日本全体に大きな便益がもたらされます。
 今後とも、軍民共用化とあわせ、空域の早期全面返還を国に強く求めてまいります。
 先般、国内の航空機メーカーの開発現場を視察する機会を得ました。これまで日本は、航空機開発の過程で何度となく切歯扼腕して悔しい思いをしてきましたが、今日では、世界最高水準の技術を駆使して最新鋭の航空機の開発が進められ、いよいよその機体が姿をあらわしつつあります。
 現在、アジア大都市ネットワークの場でも、中小型ジェット旅客機の共同開発を目指しておりまして、高度な技術を蓄積するアジア各国と日本がスクラムを組めば、旅客機をつくることなどたやすいことであります。アジア人の手による旅客機がアジアの大空を飛び交うことで、アジアの一体感がますます醸成されるものと大いに期待しております。
 東京に依然として蔓延する大気汚染の最大の要因が自動車の排気ガスであることは、だれも否定し得ない事実であります。先般、控訴審が結審した大気汚染訴訟に関連して、先日、東京高等裁判所に出向き、問題の解決に向けた基本的な考え方を、裁判長以下三名の裁判官に直接伝えてまいりました。
 国は、小さなメンツや狭い了見にとらわれることなく、正当な文明批判という大きな視点に立って、一刻も早く決断を下すべきであります。今後、都は、優柔不断な国を動かし、自動車業界の理解を得ながら、大気汚染による被害者救済のための新たな医療費助成制度を創設するなど、具体的な行動を起こしていきたいと思っております。
 大気汚染に限らず、都民の健康を守ることは都に課せられた責務であります。ウイルス肝炎は、自覚症状のないまま肝がんに進行するおそれのある重大な病気であり、緊急の取り組みが求められております。国は、予防接種や輸血などを実施する過程で感染予防を怠ってきたにもかかわらず、いまだに煮え切らない態度を続け、みずからの責任を果たそうとしておりません。国こそが、国民の健康を守るという立場から早急に抜本的な対策に取り組むべきでありますが、都は国に先んじて、来年度から新たに通院医療費助成を開始するなど、短期集中的な対策を実施し、都民の健康を守ってまいります。
 大気汚染や肝炎の問題だけでなく、国はみずからの怠慢や失態が招いた結果に対して責任ある行動をとろうとしておりません。今後とも都は、こうした国の不作為を徹底的に追及するとともに、動きの鈍い国を待つことなく、都民、国民のためになすべきことを率先して実行に移してまいります。
 次に、都が進める新たな政策について、昨日、予算に先行して発表した平成十九年度重点事業の取り組みを中心に申し上げます。
 三千万人以上の人口が集積する首都圏の最大の欠点である交通渋滞は、いまだに解消されておりません。渋滞によって引き起こされる非効率は、日本経済の発展の大きな障壁になっておりまして、日本を牽引する首都圏の潜在力を引き出し、東京をさらに効率的で快適な都市とするには、三環状道路を初めとする骨格的な幹線道路ネットワークの整備が急務であります。
 十年後のオリンピックに備え、首都圏をめぐる幹線道路をモータリゼーションの時代にふさわしい形で完成させる必要があり、中でも中央環状線は、オリンピックを実現するための必要条件であります。先日着工した品川線については、平成二十五年度の完成を目指し、首都高速道路株式会社と分担して精力的に整備を進めてまいります。
 また、大深度地下方式への都市計画変更を進めている外環道については、国に対して早急に整備路線として明確に位置づけるように求め、早期の事業化を図ってまいります。
 さらに、圏央道については、十年以内に全線開通させる決意で整備に取り組むよう国に強く働きかけ、一日も早い完成を目指してまいります。
 一国の首都は、高い効率性を備えると同時に、世界に誇れる美しい街並みや風格のある景観を有している必要があります。しかし、現在の東京のまちには、屋外広告物がはんらんし、建物の色彩、形態に統一感がなく、視覚的な美しさに欠けるといわざるを得ません。
 オリンピック開催を目指す十年後を見据え、景観の面でも世界から賞賛される都市としていくには、行政だけではなく民間の力を結集する必要があります。そこで、先週、都市開発に携わる企業の方々に広く呼びかけ、懇談会を開催し、東京の魅力向上のため、共通認識を持って取り組むよう強く協力を求めました。
 現在、都全域を対象とする景観計画の策定を進めておりまして、景観上重要な地域を指定し、建築物などの景観誘導と屋外広告物規制を一体的に行うなど、実効性のある対策を講じてまいります。
 同時に、都みずからも、センター・コア・エリアにおいて電線の地中化を集中的に実施するとともに、地域と連携し上野恩賜公園のグランドデザインを検討するなど、東京にふさわしい総合的な景観施策を展開してまいります。
 住宅も、良好な都市を構成する基本的な要素であります。都はこれまで、まちづくりと一体となった住宅整備や廉価で高品質な戸建て住宅の実証実験など、先導的な取り組みを進めてまいりました。こうした実績を踏まえ、今後の住宅政策の基本的な方向を明らかにするため、本定例会に住宅基本条例の抜本的な改正案を提案しております。
 今後、この条例を将来にわたる住宅政策の指針と位置づけ、住まいの安全・安心の確保や市場の活用、ストックの有効利用を重視し、成熟した都市にふさわしい居住環境の創造を目指してまいります。
 先進的な技術による新産業の創出こそが、日本経済発展の原動力であります。日本の産業を支える東京の中小企業の技術革新なくして、我が国のさらなる発展はあり得ません。今後の成長が見込まれる環境、健康などの分野で新産業の芽を大きく育てていくため、こうした産業の核となる民間の技術開発に対して、研究費の助成や製品化への支援を集中的に実施するなど、重点戦略プロジェクトを展開し、中小企業を積極的に支援してまいります。
 産業技術研究センター内のナノテクノロジーセンターを中心に、企業、大学などと連携し、大気汚染の原因ともなる揮発性有機化合物を処理する先進的な浄化技術の開発に取り組み、環境問題の解決と新たな環境ビジネスの創出を目指してまいります。
 だれもが意欲や能力に応じて活躍できる社会の実現を目指し、若年者、女性、団塊の世代など、さまざまな世代の就業を支援する必要があります。
 全国で二百万人ともいわれるフリーターについては、今後、高年齢化が懸念されておりまして、二十五歳以上の年長フリーターに対する合同就職面接会などを通じて、積極的に就職活動を支援いたします。また、出産等を機に退職した女性の再就職を促進するため、スキルアップセミナーや職場実習を組み合わせた支援プログラムを実施するとともに、団塊の世代がこれまで培ってきた専門的な能力を活用し、中小企業が求める高度な人材を育成、紹介してまいります。
 二年前、区部に設置したしごとセンターでは、登録者が四万四千人を超え、そのうち約四割が就職するなど、大きな成果を上げております。四百万人の人口を擁し、高いポテンシャルを持つ多摩地域にも新たに拠点を設置し、都民の働く意欲を就業に結びつけてまいります。
 新興感染症やエイズなど、都民のさまざまな健康危機に的確に対応することは、都の重要な役割であります。
 新興感染症の脅威やバイオテロの懸念などへの対応力を強化するため、二十四時間体制で情報の収集分析などを行う健康危機管理センターを整備いたします。また、現行の消防テレホンサービスの機能を拡充した救急相談センターを設置し、急病やけがの際の都民の不安を解消するとともに、救急車の適正利用を図ってまいります。
 若い世代を中心に感染が増加しているHIV対策として、若者自身による繁華街での普及啓発や多摩地域の検査・相談体制の充実を図るほか、身近な地域での治療・療養体制の構築を目指すモデル事業を実施いたします。
 全国の自殺者は八年連続で三万人を超え、都内でも交通事故死の六倍近くに及ぶなど、大きな社会問題となっております。社会全体で自殺防止に取り組むため、自殺総合対策東京会議を設置し、保健、医療だけでなく、教育、労働、警察など幅広い分野の関係機関が相互に連携して、相談・支援ネットワークを構築してまいります。
 高度化、専門化する都民の医療ニーズに対応するため、現在、都立病院の再編整備を進めております。
 駒込病院については、その機能を拡充し、難治がんなどの困難症例に対応する、がん・感染症医療センターの整備に取り組んでまいります。また、松沢病院については、我が国の精神科医療をリードしていくため、精神医療センターとして再編整備を進めるとともに、医療観察法に基づく病棟を整備してまいります。
 医師の質を維持向上させることは、質の高い医療サービスの提供のかなめでありまして、喫緊の課題であります。都立病院において、若手医師を対象とした新たな臨床研修医制度である都立病院医師アカデミーを創設し、小児科、産婦人科等の医師不足にも対応できるよう、優秀な臨床医の育成、確保に取り組んでまいります。
 都はこれまで、独自に認証保育所制度を創設するなど、大都市における子育て環境を充実してまいりました。国はようやく都の取り組みや主張を受け入れ、本定例会に条例案を提案している認定こども園制度の法制化にこぎつけました。しかし、その制度は依然不十分でありまして、これを補うために都独自の補助制度を創設し、大都市の実態を踏まえた子育て支援策を拡充してまいります。
 最近の子どもたちは、朝食をとらない、夜型の生活パターンから抜け出せないなど、基本的な生活習慣が身についておらず、これが学力、体力の低下ばかりか、規範意識の希薄化にもつながっております。早寝、早起き、朝ご飯という、子どもとしての当然の生活リズムの大切さを再認識し、家庭、学校、地域で浸透させていく必要があります。
 都では、今月中に、民間、行政が一体となった協議会を設置するなど、さまざまな取り組みを通じて、子どもの生活習慣の乱れを正してまいりたいと思っております。
 先般、ロンドン市長から、温暖化対策に先進的に取り組む世界の都市が集まる大都市気候変動先導グループへの参加要請がありました。地球温暖化を阻止するには大都市の役割が極めて重要であり、都は、志を同じくする諸都市の輪に加わることに決定しました。
 今後、世界に先駆けて、CO2半減都市モデルの実現を目指し、都政のあらゆる分野で先鋭的な排出削減に取り組むとともに、民間企業や都民を巻き込んだ取り組みを展開してまいります。
 来年度は、その第一歩として、中小規模の事業者の積極的な省エネ対策を促すため、業種業態別の実証実験を行うほか、IT技術を活用した渋滞回避策の検討や都営バスでのバイオディーゼル燃料の効果実証など、自動車のCO2削減対策にも力を注いでまいります。
 また、ヒートアイランド対策では、保水性舗装や屋上・壁面緑化、校庭の芝生化など、有効な対策を集中的に実施してまいります。
 先日、トーキョーワンダーサイト青山を旧国連大学の施設を活用して開館いたしました。アート、デザイン、音楽など幅広いジャンルの新進気鋭のアーチストが国内外から集まる、かつてのパリのモンパルナスのような拠点として、さらには東京の現代美術の迎賓館として、若手芸術家の育成に取り組んでいきたいと思います。
 今後、東京の芸術文化を一層振興していくため、外部の専門家などで構成する東京芸術文化評議会を設置いたします。評議会を東京の芸術振興の頭脳部と位置づけ、そこから得られる独創的で斬新な提言をもとに、東京の文化的な魅力のさらなる向上を目指してまいります。
 次に、スポーツ振興に関する取り組みについて申し上げます。
 先週、東京オリンピック招致委員会が設置されました。今後、本委員会が中心となって、国内機運の盛り上げはもとより、世界に向けて東京オリンピックの魅力を強力にアピールし、熾烈な選考レースを勝ち抜いていきたいと思います。
 来年二月には、いよいよ第一回東京マラソンが開催されます。現在、一万人規模のボランティアを募集しており、都民と参加者が一体となって、アジア最大規模の東京大マラソン祭りを盛り上げてまいりたいと思います。
 さらに、スポーツ振興を推進する体制を強化するため、来春、スポーツを専管する組織を設置するとともに、平成二十五年に開催する東京国体について、多摩・島しょ地域の振興と連動して準備を進めてまいります。また、旧秋川高校の跡地も活用し、トップアスリート養成のための中高一貫校を創設したいと考えております。
 今後、こうした動きを積み重ねながら、スポーツ振興のうねりを東京から日本全国、さらにはアジア全体に広げ、平和の祭典・東京五輪につなげていきたいと思います。
 最後に、本定例会に提案している主な案件について申し上げます。
 高齢者をねらった悪質な住宅リフォームや若者をターゲットにした架空・不当請求など、消費者被害が後を絶ちません。悪質行為を繰り返す事業者への規制を強化するために、全国初となる、行政処分と罰則を盛り込んだ消費生活条例の改正案を提案しております。
 また、心身障害者扶養年金制度については、現状のまま制度を維持するのは困難と判断し、廃止することといたしました。受給者には今後も現行どおりの給付を続けるとともに、未受給者に対しては、掛け金を上回る清算金を支払うなど、制度運営者としての責任を果たしてまいります。
 また、本年五月に民事再生手続を申し立てた臨海三セク三社について、このたび、東京地方裁判所を通じて再生計画案が示されました。都としても、この計画案の成立に協力するため、債権放棄の案件等を提出いたしました。これにより、バブルのツケであった長年の借金が解消されることとなり、今後、三社を合併の上、来年一月に設立する株式会社東京臨海ホールディングスの傘下におさめ、引き続き臨海地域のさらなる発展に取り組んでまいります。
 本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案三十四件、契約案三件など、合わせて五十一件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第一及び第二、議員提出議案第二十六号、東京都議会会議規則の一部を改正する規則及び議員提出議案第二十七号、東京都議会委員会条例の一部を改正する条例を一括議題といたします。
 案文はお手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第二十六号及び第二十七号については、趣旨説明並びに委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二十六号及び第二十七号は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二日から六日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二日から六日まで五日間、議案調査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、十二月七日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時五十四分散会


文書質問趣意書及び答弁書

一八財主議第三五四号
平成十八年十一月二十二日
  東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十八年第三回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
後藤雄一議員
福士敬子議員
そなえ邦彦議員
小竹ひろ子議員
山口文江議員
たぞえ民夫議員
斉藤あつし議員
植木こうじ議員
松村友昭議員
大山とも子議員
吉田 信夫議員

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 後藤雄一

質問事項
 一 東京消防庁が行う防火管理者の指導について
 二 日の出町の町道脇の私有地/六価クロムを含む残土の保管について
 三 都営住宅の建替えの近隣へ説明について
 四 都営住宅の共益費について
 五 水道局の職員の異動について
 六 各局が作成する文書について
 七 裁判所の判決について

一 東京消防庁が行う防火管理者の指導について
  東京消防庁は火災予防の為に、防火管理者の未設置の事業所を巡回指導していると聞く。指導に従わず防火管理者を置いていない事業所には、指導、警告、営業停止、告訴/罰金を課す、という。しかし、指導に従わず防火管理者を置かない、つまり講習を受けない事業者に対して警告も行わず、1年以上放置しているケースが見受けられた。以下質問する。
 1 指導に従わない事業者に対して、警告、営業停止、告訴/罰金の処分件数は過去10年間で何件あるか伺う。
 2 指導に従わない事業者に対しては警告を行う場合、どの程度の期間指導に従わないと警告をするのか伺う。
 3 防火管理者講習会が、満員で講習予約を取るのに2ヶ月ほど待たなければならないケースもあると聞く。事実か?
 4 上記講習会が2ヶ月待つことが事実の場合、災害は何時起こるか分からない。受講しようとする事業者の事を考え講習会の回数を増やす事が重要と考えるが、見解を伺う。
二 日の出町の町道脇の私有地/六価クロムを含む残土の保管について
  先日、毎日新聞に東京都日の出町の町道脇の私有地に、六価クロムを含む残土が積み上げられており、その残土が道路にはみ出している、という記事が写真付きで載っていた。
  環境局に問い合わせると、残土の量は約1万5000立法メートル、高さ8メートル程に積み上げられた状態にあると言う。「水質汚濁に係る環境基準」の別表には、人の健康に関する項目として、「カドミウム、全シアン、六価クロム、ヒ素、総水銀、PCBなど」の項目があり、六価クロムの基準値は1リットル当たり0.05ミリグラム以下とされているが、この残土は基準値の70倍にあたる1リットル当たり3.5ミリグラム濃度という。六価クロムは飛散して鼻から吸い込む、また、雨水と一緒に地下水にしみ込んだ井戸水を飲んで健康被害を及ぼすという。発ガン性物質というのだ。
  とすれば、当然、風に飛ばされないよう、雨に当たらないようにシートを掛ける事ぐらいは行われているだろう、と誰でも考える。
  しかし、都環境局は1年以上前にこの土地所有者から相談を受け、六価クロムが基準値の70倍ある事実を把握しながらシートで覆うなどの応急処置すら講じておらず、理解に苦しむ。有効的な対応が取れていないのだ。
  強制力のある指導を行うためには、近隣の井戸水などから基準値を上回る六価クロムが検出されるなど「健康被害が出ている事が条件」と担当者は説明する。基準値の70倍の六価クロムが検出された土壌が山積みされているのだから、当然地下にしみ込み地下水を汚染している事、風に舞って近所の住民が吸っている事は子供でも解る事だ。手続きどおりに行うのが行政ということは理解できる。しかし都民の健康を守るために「手続き論」に終始し1年間も放置しておいていいのだろうか?
  根気づよく土地所有者(不動産業者)を説得していくのが環境行政と言うらしいが、放置すれば近隣住民の健康を害する事が解っているのに手を出せない役所、これでは何のために税金を払っているのか解らない。
  しかし、ディーゼル車排ガス規制を行った石原知事は、排ガスの粉じんを入れたペットボトルを持ち歩き東京の空気をきれいにして都民から拍手を受けた。首長の強いリーダーシップがなければ「住民・納税者から見れば当たり前の事」がなぜ実現しない、とは寂しい限りだ。今後の対応を伺う。
三 都営住宅の建替えの近隣へ説明について
  場所は世田谷区成城8丁目。現在4階建ての都営住宅を建替えて10階建ての高層住宅にするという。9月に行われた説明会では、近隣住民は都の説明に納得せず、代替案まで提示する事態になっている。以下伺う。
 1 説明期間について
   この成城8丁目団地(仮称)は、去年3月には新たな空家募集を取り止め建替え準備に入った。にもかかわらず地元への説明会は1年後の今年の5月17日が最初。その後、6月19日、7月24日に行われ、9月が4回目が行われた。
   役所が行う説明会、地元に何回説明した!!という事実(アリバイ)を作る事が目的と言われている。事実、この建替計画も当初から「今後のスケジュール」として工事着工予定が組まれ、説明会でも配布されている。しかし担当者は工事予定を変える予定はない、としている。そして、今後は説明会を行うことも考えていない、と言う。
   都営住宅の建替え等は、多数の近隣住民との合意が必要と考える。本件建替え計画は、少なくとも昨年3月の空家募集を中止した時点であきらかになっていたはずであり、昨年3月から近隣住民に計画を明らかにし、説明会等で理解を得る事が必要であったはずだ。
   都は世田谷区の地区計画が出来るのを待っていた旨の説明をしているが、地区計画が出来る前に、建替え計画を示すべきである。なぜ、昨年3月の時点で説明会をおこなわなかったのか?伺う。
 2 工期について
   現在成城アパートに入居している住民で、高齢化、子供さんの学校等の条件で移転を希望していない世帯があると言う。この上記世帯の希望を考え、本件工事を2期の工事に分け、1期工事は6棟を解体し新規に2棟を建設。2期工事は2棟を解体し新規に1棟を建設する、という。しかし、一度に8棟を解体し新規に3棟を建築すると工期は2年、工事を2回に分けると工期は4年と1回の工事と比べ2倍の工期を有することになる。
   学齢・介護等で長年住み慣れた成城を離れたくない気持ちは分かるが、本件は都営住宅であり、都民の税金で建築され家賃も格安に設定されている。にも関わらず、入居者だけの要望に耳を傾け、近隣住民に4年間も工事による騒音・工事車両等で迷惑をかけるのは、都市整備局の横暴と考える。本件工事予定を変更して、1期の工期とし、工期を2年と短くすべき、と考えるが見解を伺う。
 3 地区計画との関係
   今年(平成18年)3月、地元と世田谷区は「成城8丁目地区計画」を作成した。その地区計画の中に、単調・長大・壁状の建物は作らないように、と書かれている。そこで、本件計画に対して近隣に住む有志の方々が、建物の圧迫感・閉塞感、地元のコミュニティー、緑化・風道を考え、代案を提示し再考を求めた。
  ア 東京都は地区計画に沿った代案を真摯に検討し、取り入れられる案は積極的に取り入れ、そして住民に説明し理解を求めるべきと考えるが、見解を伺う。
  イ また、都は世田谷区が地区計画が出来るのを待っていたので、近隣への説明が今年5月にずれ込んだと言うが、地区計画が出来る前に、建替え計画を示す、地区計画の中にいれ近隣住民とも調整・相談しながら、計画を進めるべきだったと考えるが、見解を伺う。
四 都営住宅の共益費について
  最高裁判決で「共益費の支払いは義務であるが、自治会の入会は自由」との判決が確定している。当然、都営住宅において「共益費の支払い義務はあるが、自治会の入会は自由」であるはずだ。にも関わらず、都市整備局に「都営住宅の入居者は、いつ自治会に入会するのか?」と質問したところ、自治会入会の定義を「供給公社で入居時に配布する「入居のおしらせ」を持参し、自治会役員にあいさつ、その案内・説明を了承したとき」また自治会脱会の定義を「自治会を脱会する旨の意思表示を、当該自治会役員におこなったとき」と回答している。
  上記自治会の入会のキッカケとなる「入居のお知らせ」には「引っ越しが済んだら、なるべく早く自治会等の役員の方へお渡しください。その時に次の案内を受けてください。
 ・共用部分の光熱費等の金額(民間住宅の管理費にあたるもの)
 ・ごみの出し方
 ・その他自治会等のお知らせ。」
と書かれている。つまり、「共用部分の光熱費等の金額(民間住宅の管理費にあたるもの)、ごみの出し方、その他自治会等のお知らせ。の案内を受けて、案内・説明を了承する」と入会した事になると言う。
  また、「住まいのしおり」29ページの「この費用は1ヶ月1世帯2000円から5000円かかります。」自治会等「居住者」が決定した維持管理方法等及び設備内容により費用がことなりますので、入居しましたらすぐに自治会の役員等から説明をうけてください)」と同様の文書が書かれている。そこで以下について伺う。
 1 上記最高裁判決が確定している以上、自治会が「その案内・説明」の説明をする時に、共益費と自治会親睦会費等の経費を区分して説明し、共益費部分のみ支払う事も可能であると説明しているか伺う。
 2 また、都は自治会等に「共益費部分のみ支払う事も可能であると説明するよう」指導しているのか?伺う。
 3 指導していなければ、新規入所者は共益費と自治会親睦費等を支払わなければならない、と錯覚してしまうと考える。見解を伺う。
 4 しかし、上記のごとくも、最高裁判決で確定した「共益費の支払いは義務であるが、自治会に入会は自由」という文言が「住まいのしおり」には一言も書かれていない。都営住宅は東京都が税金で建築・管理・補修する団地である以上、共益費の徴収、そして自治会運営に関しても最高裁の判決が確定している以上、最高裁判決の趣旨を「住まいのしおり」等に明確に記載し知らせるべき、と考える。見解を伺う。
 5 今後、最高裁判決に従い共益費だけを支払う入居者が出る事が想定される。そこで共益費の範囲を確定しなければならない。現在住まいのしおりに書かれている「自治会等(居住者が決定した会計責任者)が徴収するもの」としてアからキまで書かれているが、さらに具体的に確定する必要がある。自治会等が徴収する「共益費」の項目を具体的に示すよう求める。
 6 上記共益費の最高裁判決に加え、都営住宅入居者は高齢化が進み、自治会費の徴収・運営等の支障が生じているのが実情だ。自治会役員から公社に苦情・相談が多く持ち込まれている。現在、自治会が徴収している共益費の部分を東京都・公社が徴収するシステムを早期に構築すべき、と考えるが見解を伺う。
五 水道局の職員の異動について
 1 職員の定期異動について以下の点を伺う。
  ア 一般職員は通常何年で異動するか?
  イ 5年以上同じ職場(係)にいる職員の年数と人数?を明らかにせよ。
  ウ 上記5年以上同一職場にいる職員で組合役員等は何人いるか、年数ごとの人数を明らかにせよ。
 2 時間内組合活動の見直しの進捗状況について伺う?
六 各局が作成する文書について
  都の印刷物は「ポイントは、9Pから10P」、「紙は再生紙」、「通常の書体は明朝、強調する時はゴシック」、が目安として指導している、と聞く。しかし、議会に資料として配布される印刷物「知事の所信表明」に代表されるように、未だに大きなポイント、行間もたっぷりとったものがある。
  各局が作成する文書を「目安」にあったものにし、インク・紙等を節約し、環境に配慮すべき、と考えるが、見解を伺う。
七 裁判所の判決について
  平成18年9月21日、東京地方裁判所は、都立学校の教職員らが、国歌斉唱義務不存在確認等を求めた訴訟において、都教委教育長の「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」は、少数者の思想・良心の自由を侵害し、行き過ぎた措置であって、憲法19条に違反する、と判示した。
  翌日の本会議に置いて、石原知事は、「東京地裁の判決についてでありますが、判決は不当なものであり、控訴することは当然であります。あの判決に喜んでいるのは、多分共産党と、今やかなりたそがれてきた日教組の残党と、それから当の裁判官くらいなものじゃありませんでしょうか」と「裁判官を愚弄しているような!」(上記アンダーライン部分)発言を行っている。東京都が裁判で敗訴し判決を不服とするなら、手続きに従い控訴するのは認められる行為である。しかし、議会の答弁等で「裁判官」を愚弄しているような趣旨の発言をするのは、教育上好ましくないと考える。
  9月27日付けで第2東京弁護士会から「日の丸・君が代」強制予防訴訟東京地裁判決を支持する会長声明2006年(平成18年)9月27日」9月28付けで東京弁護士会からも「思想・良心の自由に関する声明-国歌斉唱義務がない事を認めた判決に関連して」とする声明も出されている。
  教育的上、東京都に都合の悪い判決であっても、裁判官を愚弄するような発言は慎むべきと考えるが、見解を伺う。

平成18年第三回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京消防庁が行う防火管理者の指導について
1 東京消防庁は火災予防のために、防火管理者の未設置事業所を巡回指導していると聞く。指導に従わない事業者に対する警告、営業停止などの処分件数は過去10年間で何件あるか伺う。

回答
 平成8年から平成17年までの10年間において、消防法により防火管理者を選任していない事業所の関係者に対して、警告1277件、命令12件を行いました。
 なお、使用停止命令や告発には至っていません。

質問事項
一の2 指導に従わない事業者に対して警告を行う場合、どの程度の期間指導に従わないと警告をするのか伺う。

回答
 立入検査により違反を確認した場合、当該事業者に対して原則7日以内に改修(計画)報告書の提出を求め、その期間内に当該事業者から改修(計画)報告書が提出されず、かつ、具体的な是正意思が示されない場合、又は、提出された改修(計画)報告書に記載された改修計画日を経過しても改修されない場合に警告を行っています。

質問事項
一の3 防火管理者講習会が、満員で講習予約を取るのに2ヶ月ほど待たなければならないケースもあると聞く。事実か伺う。

回答
 防火管理講習については、申請してすぐに受講できる場合もありますが、満員で2か月ほど待たなければならない場合もあります。

質問事項
一の4 講習会を2ヶ月待つことが事実の場合、講習会の回数を増やすことが重要と考えるが、所見を伺う。

回答
 防火管理講習の実施回数については、努めて受講待ち期間が短縮できるように計画しています。

質問事項
二 日の出町の私有地に基準値の七十倍の六価クロムが検出された土壌が山積みされているが、相談を受けてから一年間も放置している。今後の対応を伺う。

回答
 都は地元自治体と連携し、当該土砂の分析及び周辺井戸や河川の水質調査を実施してきています。
土砂の調査結果では、ふっ素と六価クロムが地下水等から摂取することのリスクを評価する溶出量基準を超過していましたが、地下水等には汚染がありませんでした。
 これらのことから、現状では健康被害が生じるおそれはありませんが、今後とも健康被害を未然に防止するため、周辺地下水等のモニタリングを継続します。拡散防止措置については、地元自治体と連携し、土地所有者に対して堆積土砂へのシートがけなどを講ずるよう指導していきます。

質問事項
三 都営住宅の建替えの近隣への説明について
1 成城八丁目団地(仮称)は、昨年三月に新たな空家募集を取り止め建替え準備に入ったにもかかわらず、地元への説明は今年五月が最初であった。なぜ、昨年三月の時点で説明会を行わなかったのか伺う。

回答
 都営成城アパートについては、平成18年3月に周辺地域を含めた世田谷区の地区計画が策定されたことから、その内容に合わせ、建替えにかかる建築計画を取りまとめて、平成18年5月に近隣住民への説明を行ったものです。

質問事項
三の2 高齢化や子供の学校等の条件を考え、工事を二期に分けるというが、入居者だけの要望に耳を傾け、近隣の住民に四年間も工事で迷惑をかけるのは横暴と考える。工事を一期二年と短くすべきと考えるが見解を伺う。

回答
 都営住宅の建替えを円滑に実施するためには、団地の居住者の移転先となる事業用住宅を確保することが不可欠です。都営成城アパートの建替えについては、事業用住宅の確保の状況から、工事を2期にわけて事業を実施します。事業の実施に当たっては、工事毎に近隣に対して工事内容を十分説明するとともに、騒音、振動などの近隣への影響にも配慮しながら工事を進めていきます。

質問事項
三の3 地区計画との関係
ア 今年三月に作成された成城八丁目地区計画を踏まえ、本計画に対し、近隣有志が代案を提示し再考を求めた。都は代案を真摯に検討し、取り入れられる案は積極的に取り入れ、住民の理解を求めるべきだが見解を伺う。

回答
 都は、都営成城アパートの建替えについて、平成18年5月以降これまで4回にわたり説明会を開催するとともに、必要に応じて個別にも説明を行ってきました。
 都としては、建物の周辺に公園、緑地などを設けるとともに、近隣住民から出された要望などを踏まえて建物の配置計画の一部を見直すなど、周辺への配慮を十分に行った建築計画としており、また、世田谷区の環境基本条例に基づく、環境配慮制度の手続も完了しています。今後とも近隣住民に対して十分に説明を行い、建替事業を進めていきます。

質問事項
三の3のイ 世田谷区の地区計画が出来る前に、建替え計画を示す、地区計画の中にいれ近隣住民とも調整・相談しながら、計画を進めるべきだったと考えるが、見解を伺う。

回答
 地区計画制度は、地域のまちづくりの目標と方針及びこれを実現するためのルールを、地元区市が、地域の特性を踏まえ、住民等の意見を聴取した上で都市計画として定め、これに基づいて建築行為や開発行為を適正に規制・誘導等するものです。
 都営成城アパートの建築計画については、世田谷区が地区計画策定の手続を行っていたため、地区計画策定後、地区計画内容に合わせ建築計画を取りまとめ、近隣住民への説明を行ったものです。

質問事項
四 都営住宅の共益費について
1 最高裁判決から、都営住宅でも、共益費の支払いは義務だが、自治会入会は自由であるはずだ。自治会が説明する時に、共益費と親睦会費等を区分して説明し、共益費のみ支払う事も可能であると説明しているか伺う。

回答
 都営住宅の自治会は、都営住宅の居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体で、会員が自主的に運営しています。

質問事項
四の2 また、都は自治会等に共益費部分のみ支払う事も可能であると説明するよう指導しているのか伺う。

回答
 都営住宅の自治会は、都営住宅の居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体で、会員が自主的に運営しています。

質問事項
四の3 指導していなければ、新規入居者は共益費と自治会親睦費等を支払わなければならないと錯誤してしまうと考える。見解を伺う。

回答
 都営住宅の自治会は、都営住宅の居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体であり、会員により適切に運営されることが望ましいと考えています。

質問事項
四の4 住まいのしおりには、自治会入会は自由という最高裁判決の文言が一言も書かれていない。都は最高裁判決の趣旨を住まいのしおり等に明確に記載し知らせるべきと考える。見解を伺う。

回答
 住まいのしおりは、住宅設備の使用方法、世帯員変更の諸手続や共益費の負担など都営住宅の使用に当たってのルールをお知らせしているものです。したがって、居住者が自主的に運営する任意団体である自治会について、御指摘のような事項を掲載することは相応しくないと考えます。

質問事項
四の5 今後、共益費だけを支払う入居者が想定され、共益費の範囲を具体的に確定する必要がある。自治会等が徴収する共益費の項目を具体的に示すように求める。

回答
 自治会等が徴収する一般的な共益費の項目については、住まいのしおりでお知らせしています。共益費は、団地ごとに実情が異なることから、その項目の範囲において、自治会等が必要に応じ自主的に決めるものと考えます。

質問事項
四の6 都営住宅入居者は高齢化が進み、自治会費等の徴収・運営等に支障が生じている。現在、自治会が徴収している共益費の部分を都・公社が徴収するシステムを早期に構築すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都が自治会等に代わって共益費を徴収するには、都が個々の居住者から共益費を徴収し電力会社などに支払うために事務経費を加算して徴収することになることや、団地によって管理の内容や方法が異なり統一的な事務処理が困難であることなど、多くの課題があると考えています。

質問事項
五 水道局の職員の異動について
1 職員の定期異動について以下の点を伺う。
ア 一般職員は通常何年で異動するか伺う。

回答
 水道局における一般職員の定期異動は、行政系職員については同一事業所に5年以上在籍する者、技能系職員については7年以上在籍する者を異動させる基準で実施しています。

質問事項
五の1のイ 5年以上同じ職場にいる職員の年数と人数を伺う。

回答
 同一係に5年以上在籍する行政系の一般職員は56人おり、そのうち5年以上10年未満が47人、10年以上が9人となっています。
 また、5年以上在籍する技能系の一般職員は34人おり、そのうち5年以上7年未満が31人、7年以上が3人となっています。

質問事項
五の1のウ 5年以上同一職場にいる職員で組合役員等は何人いるか、年数ごとの人数を伺う。

回答
 5年以上在籍する行政系職員56人のうち、組合役員は26人おり、そのうち5年以上10年未満が22人、10年以上が4人です。その他病弱、家庭事情、少数職種等の理由による職員が30人おり、そのうち5年以上10年未満が25人、10年以上が5人となっています。
 また、技能系職員34人のうち、組合役員は1人で、在籍年数は6年です。その他の理由による職員が33人おり、そのうち5年以上7年未満が30人、7年以上が3人となっています。
なお、水道局における組合役員の定期異動については、労働協約に基づき実施しています。

質問事項
五の2 時間内組合活動の見直しの進捗状況について伺う。

回答
 時間内組合活動の見直しについては、平成18年6月6日に労働組合に対して提案し、現在、鋭意労使交渉を行っています。

質問事項
六 都の印刷物はポイント数は9から10、再生紙使用などを目安に指導していると聞くが、いまだに大きなポイント、行間の広いものがある。各局が作成する文書を「目安」に合ったものにし、節約や環境に配慮すべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 印刷物は、都民に情報を提供するための重要な手段であることから、わかりやすく、効果的なものとするため、都では、印刷物を作成する際の規格の基準を定めています。
 この中で、文字の大きさについては、印刷物の種類ごとに基準を設けており、それを参考として、印刷物の作成目的、用途、配布対象などに応じて、読みやすい大きさにすることとしています。また、用紙については、原則として再生紙を使用しています。
 今後とも、わかりやすさや環境への配慮を含め、適切な印刷物の作成に努めていきます。

質問事項
七 国歌斉唱義務不存在確認等を求めた訴訟の東京地裁判決について、知事は本会議において、裁判官を愚弄しているような発言をしているが、慎むべきと考える。見解を伺う。

回答
 裁判所の判決については、東京地裁判決は不当なものであり、控訴するという趣旨で答弁したものです。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 福士敬子

質問事項
 一 地下水保全に関して
 二 防災訓練に関して

一 地下水保全に関して
  今や都市の地下は道路や鉄道など、もぐらの巣どころかそれ以上に掘り進められている。地下の環境については不安も多いが、中でも地下水保全については不明な点も多いと思われる。しかし、外かく環状道路のアセスにおいては、地下水への不安意見に対し論理による説明を避け、「工事中および工事後の地下水位調査の実施」という見解しか述べられていない。
  そこで地下水保全について、すでに完了した井荻トンネルの事例および、地下水保全に関する研究を検証することにより確認の一助としたい。
  環八井荻トンネル工事の際には、地下水流の遮断が発生した。地下水流が遮断されると、上流部ではダムアップ効果により地下水面の上昇が発生、逆に下流側は地下水面が下がり、圧密沈下等が発生することになる。
 1 計画段階での調査について
   井荻トンネル計画段階において、地下水に関する調査は行われたのか。
 2 地下水面の変動について
   井荻トンネルにおいて、どの程度の地下水面の変動があったのか。
 3 地下水面変動による影響について
   井荻トンネルにおいて、地下水面の変動により、どのような変化が起こり、それによってどのような影響が出たか。
 4 地下水流動保全工法に関する研究について
   2000年度から2003年度にかけて地下水流動保全工法の研究が行われており、2001年の第6回土木技術研究所評価委員会中間評価では改善・修正等の意見が出されたが、その結果を受けて研究の変更等は行われているのか。
 5 地下水面調査方法について
   地下水流動保全工法の研究において、地下水位の観測はどの程度の間隔(メッシュ)で行われたか。また、今後、大規模トンネル工事等で地下水遮断による被害を防ぐためには、どの程度の間隔(メッシュ)で地下水位観測を行うことが妥当と考えられるか。
 6 研究結果の活用について
   地下水流動保全工法に関する研究結果がどのように活用されたか伺う。
  ア あらたな工法が開発されたか。
  イ 研究結果が実際の工事にフィードバックされた例があるか。
  ウ 地下水面観測技術に関して、新たな知見が得られたか。
 7 地下水流動保全工法の事例について
   東京都内において、地下水流動保全工法が用いられた主な事例を伺う。
二 防災訓練に関して
  初の米軍参加で、大規模かつものものしい防災訓練が行われた。小泉元首相の参加とは無縁のことと思うが、一部の人々は見学すら拒否されるという不可解なことも行われた。米軍との訓練態勢は一般市民を排除し、知事と一部の職員に限られていた。やむなく議員に許可された場所から視察したのだが、その意義は不明だった。
  防災訓練は本来、災害時に誰彼なく救助する為のものであり、そこに差別や区別があってはならないはずである。そこで伺う。
 1 フリゲート艦の参加について
  ア 各種兵器が装備されている軍艦を使った目的は何か。
  イ 帰宅困難者を職員に限らねばならないのも、兵器装備の関係かと思われるが、これで防災訓練になるのか。
  ウ 実際の災害時に民間人を移送できるのか。
  エ 効果はどのようなものであったか、またマイナス面はどうであったか。
  オ 出動要請を行ってから、被災地に到着するまでにどの程度の時間がかかるか。
  カ 実際の運用にあたって、被災地での接岸に要する時間・帰宅困難者が乗り込むために必要な時間。
 2 自衛隊輸送艦およびLCACの参加について
  ア LCACのコンテナでの輸送人員は限られており、大量の帰宅困難者が出た場合、輸送艦への往復が必要と思われるが、最大どの程度の被災者が輸送できるのか。
  イ LCACを被災地と輸送艦を往復させた場合、LCACから輸送艦への乗り換え時間が必要となる。特に訓練されていない民間人が乗り換えを行った場合、どの程度の時間を見積もっているか。
  ウ 出動要請を行ってから、被災地に到着するまでにどの程度の時間がかかるか。
  エ LCACを用いた効果はどのようなものであったか、またマイナス面はどうであったか。
 3 防災訓練への民間船舶の参加に関して
   災害時には、初動に時間のかかる自衛隊や米軍ではなく、民間の船舶等の活用こそ重要であると考える。防災訓練には、通常時からさまざまな行動訓練を行っている米軍や自衛隊ではなく、民間船舶等こそ参加し、対応を訓練すべきであると考えるが、見解を伺う。

平成18年第三回都議会定例会
福士敬子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 地下水保全に関して
1 地下の環境については不安も多く、中でも地下水保全については不明な点も多い。井荻トンネル計画段階において、地下水に関する調査は行われたのか伺う。

回答
 環状第8号線井荻トンネルは、延長1236メートル、片側2車線計4車線の矩形のトンネルです。
 本トンネルは、施工に先立つ計画・設計段階において、既存の地下水位分布図とボーリング調査、観測井戸9か所の設置により、地下水位や土質性状等を調査しました。
 さらに、施工中においても、工事進ちょくに合わせて観測井戸を56か所追加し、工事中及び工事後の地下水変位について調査を実施しています。

質問事項
一の2 井荻トンネルにおいて、どの程度の地下水面の変動があったのか伺う。

回答
 環状第8号線井荻トンネルの土留め壁の施工前後では、地下水の上流部である西側で最大約2メートル程度地下水位が上昇し、東側で最大約2メートル程度低下しました。

質問事項
一の3 井荻トンネルにおいて、地下水面の変動により、どのような変化が起こり、それによってどのような影響が出たか伺う。

回答
 西武新宿線井荻駅周辺で地盤沈下が起こり、一部家屋の壁や土間コンクリートにひび割れが発生するなど、被害が生じました。
 その対策として、東西方向の地下水流を確保するため、トンネル構造物の中に通水パイプを設置しました。その結果、現在、地下水位は安定しています。

質問事項
一の4 2000年度から2003年度にかけ地下水流動保全工法の研究が行われ、2001年の第6回土木技術研究所評価委員会中間評価では改善・修正等の意見が出されたが、その結果を受けて研究の変更等は行われているのか伺う。

回答
 地下水流動保全工法の研究は、開削トンネル工事を対象に、地下水流動保全工法に関する技術的知見を蓄積し、今後予定される同種工事に対して技術支援を行うため、土木技術研究所が平成12年度から平成15年度にかけて実施しました。
 平成13年度の土木技術研究所評価委員会中間評価において、「具体的な対策が得られるような調査開発目標を設定すべき」との意見が出されました。
 本研究の変更は行っていませんが、この評価委員会の意見を踏まえ、今後の同種工事に活用できるよう、地下水流動保全についての具体的な対策工法を、平成15年度にまとめています。

質問事項
一の5 地下水流動保全工法の研究において、地下水位の観測はどの程度の間隔で行われたか。また、今後、大規模トンネル工事等で地下水遮断による被害を防ぐためには、どの程度の間隔で観測を行うことが妥当と考えられるか伺う。

回答
 建設局が定める「工事に伴う環境調査要領」では、観測井は地形、地質状態及び井戸の分布状況などを考慮した上で、1測線当たり3か所以上設置することとしています。
 また、その観測井の設置位置は、原則として工事境界付近、工事境界線から40から50メートル、100から300メートルとしており、妥当であると考えています。
 今後の大規模トンネル工事等においても、本要領に基づき適切な位置に観測井を設置していきます。
 なお、地下水流動保全工法の研究においては、環状第8号線井荻トンネルで設置した観測井戸65か所の地下水変位の調査結果などを基に、対策工法をまとめています。

質問事項
一の6 研究結果の活用について
ア 地下水流動保全工法に関する研究結果の活用として、新たな工法が開発されたか伺う。

回答
 新たな工法としては、研究内容を参考として、地下水流動の保全を考慮した水中躯体移動設置工法が開発されています。

質問事項
一の6のイ 研究結果が実際の工事にフィードバックされた例があるか伺う。

回答
 水中躯体移動設置工法などを、環状第8号線練馬トンネル事業で実施し、地下水流動の保全に生かしています。

質問事項
一の6のウ 地下水面観測技術に関して新たな知見が得られたか伺う。

回答
 地下水流動保全に関する研究を踏まえ、建設局で定める「工事に伴う環境調査要領」を平成15年4月に改定し、延長の長い開削トンネル工事では、地下水観測の調査区域の設定に当たり、地下水の流れの方向や量を考慮することなどを、新たに定めています。

質問事項
一の7 都内において、地下水流動保全工法が用いられた主な事例を伺う。

回答
 都が地下水流動保全工法を用いて事業を行った主な事例は、環状第8号線井荻トンネルのほか、環状第8号線練馬トンネル事業及び東京急行電鉄目黒線立体交差事業などがあります。
 これらの箇所において、現在のところ、地下水位は安定しています。

質問事項
二 防災訓練に関して
1 フリゲート艦の参加について
ア 初の米軍参加で大規模かつものものしい防災訓練が行われたが、各種兵器が装備されている軍艦を使った目的は何か伺う。

回答
 災害時には、あらゆる手立てを講じて、被災者の救援に当たることが重要です。
 このため、今回の訓練では、災害時の救援活動に必要となる人員、資機材、輸送力等を有する在日米軍に対し、晴海埠頭から横須賀基地まで、帰宅困難者を輸送する船舶の派遣を要請しました。

質問事項
二の1のイ 帰宅困難者を職員に限らねばならないのも、兵器装備の関係かと思われるが、これで防災訓練になるのか伺う。

回答
 今回が在日米軍にとって、はじめての訓練参加であり、乗船する帰宅困難者への接遇や対応方法などを検証するため、乗船者を都職員としました。

質問事項
二の1のウ 実際の災害時に民間人を移送できるのか伺う。

回答
 平成17年10月に発表された日米同盟「未来のための変革と再編」において、災害発生時に、米軍は被災地に対する救援・協力を行うこととしています。

質問事項
二の1のエ 効果はどのようなものであったか、また、マイナス面はどうであったか伺う。

回答
 今回の訓練により、在日米軍が緊急時の後方支援としての役割を十分果たすことが確認できました。
 また、国は、いまだに海外への支援要請の仕組みや受入れ体制を整備していませんが、都の試みが、国にとっても、はじめての経験となり、良いモデルケースとなりました。

質問事項
二の1のオ 出動要請を行ってから、被災地に到着するまでにどの程度の時間がかかるか伺う。

回答
 今回の訓練では、横須賀基地から晴海埠頭到着までに要した時間は、約3時間でした。

質問事項
二の1のカ 実際の運用にあたって、被災地での接岸に要する時間、帰宅困難者が乗り込むために必要な時間を伺う。

回答
 一般に、埠頭に到着した艦船が、岸壁に接岸するために要する時間は、約20分です。
 また、帰宅困難者が乗船するまでに要する時間は、乗船者数に応じて変わりますが、今回の訓練では30名で約5分でした。

質問事項
二の2 自衛隊輸送艦およびLCACの参加について
ア LCACのコンテナでの輸送人員は限られており、大量の帰宅困難者が出た場合、輸送艦への往復が必要と思われるが、最大どの程度の被災者が輸送できるのか伺う。

回答
 LCAC(エアクッション型揚陸艇)は、砂浜などの海岸から人員を搬送できる舟艇であり、1回の輸送能力は最大180名です。
 なお、今回の訓練で使用した輸送艦「しもきた」は、最大1600名まで収容可能で、LCACを2艇搭載しています。

質問事項
二の2のイ LCACを被災地と輸送艦を往復させた場合、乗り換え時間が必要となる。訓練されていない民間人が乗り換えを行った場合、どの程度の時間を見積もっているか伺う。

回答
 今回の訓練では、LCACが輸送艦に到着し、帰宅困難者を降ろして再び被災地へ出発するまでの体制を整えるのに、30名で約5分を要しました。

質問事項
二の2のウ 出動要請を行ってから被災地に到着するまでにどの程度の時間がかかるのか伺う。

回答
 現在、我が国にはLCACを搭載する輸送艦が3隻あります。
 自治体から派遣要請があった場合は、最も近くにいる輸送艦が出動することになりますが、到着に要する時間は一概には申し上げられません。
 なお、横須賀に停泊していた場合は、約3時間で到着します。

質問事項
二の2のエ LCACを用いた効果はどのようなものであったか。また、マイナス面はどうであったか伺う。

回答
 今回のLCACによる訓練は、埠頭や桟橋等の港湾施設が被災した場合を想定して行いました。
 その結果、 西海浜公園の人工なぎさから帰宅困難者を安全に搬送することができ、その有効性が確認できました。

質問事項
二の3 災害時には、初動に時間のかかる自衛隊や米軍ではなく、民間の船舶等の活用こそ重要と考える。防災訓練には通常から訓練を行っている米軍等ではなく、民間船舶等こそ参加し、対応を訓練すべきであると考えるが、見解を伺う。

回答
 都はこれまで、関東旅客船協会などの民間船舶団体と、災害時における輸送に関する協定を締結し、これら事業者の参加による実践的な訓練を実施してきました。
 災害時に、大量の帰宅困難者を海上輸送するためには、民間船舶のみならず、自衛隊や在日米軍などの艦船も活用することが重要です。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 そなえ邦彦

質問事項
 一 行財政改革について
 二 職員の不祥事への対応について

一 行財政改革について
  都では、この7月に「行財政改革実行プログラム」を出しました。それによると「これまで、東京の再生と都民サービスの充実に向けて、国に先駆けて各分野で先進的な取り組みを実践するとともに、財政再建や職員定数の大幅削減、監理団体改革など、不断の改革を鋭意推進してきました。」とあります。
   平成17年11月に策定した「行財政改革の新たな指針」による自治制度から行財政全般に亘る一体的な改革の方向性を示したものを受けて、平成20年までの3ヶ年間の具体的な取り組みと言う事であります。確かに財政の健全化への取り組みや「スリムで仕事が出来る効率的な都庁」を目指して努力していることは事実です。
   又、都知事も本、三定議会の所信表明の中でも「具体的な数値目標と年次計画を明示し、さらなる改革に取り組んでいく」と言っております。しかし、この「プログラム」を絵に書いた餅にしない為にも、中味のある改革にしていかねばならないと思います。
   そこで、改めて、気が付いた点、不明な点について、具体的に何点かお伺い致します。
  1 現在の正規職員、外郭団体などへの派遣職員、外郭団体固有職員、再任用職員のそれぞれの実数を任命権者別にお知らせ下さい。
  2 団塊の世代が退職した後の今後5年間の補充計画について具体的にお知らせ下さい。
  3 今後3ヶ年で4千人規模の定数を削減するとのことだが、具体的なプロセスと中味についてお伺い致します。
  4 特殊勤務手当ての今後の見直しについてお知らせ下さい。
  5 バス事業の現業系職員の給料表の見直し以外に、給料表の見直しはしていくのでしょうか。
  6 民間委託した場合のチェック機能はどうするのか。又、監理団体独立地方行政法人等への指導監督等はどうしていくのですか。
  7 多摩広域基幹病院及び、小児総合医療センターのPFI事業者と都の関係はどうなっているのでしょうか。
  8 府中生活実習所が民間移譲されたが、人的配置等について十分な話し合いがされているのでしょうか。
  9 外部監査の実情についてお伺い致します。
 二 職員の不祥事への対応について
  毎日、新聞を開くと、公務員の不祥事の記事の載らない日は無いと言っても過言ではありません。都の職員もご多分にもれない様であります。最近でも、警視庁、東京消防庁関係、公営企業関係者の不祥事事件そして、9月28日の新聞にも、建設局の職員がロッカーからタクシークーポン券を盗み換金したり、職場の親睦会費を着服したとして、又、都市整備局の職員が職場で同僚職員に暴力を振るい傷害させたとして、それぞれに懲戒免職にしたとありました。
   そして、福岡市における飲酒運転により3児が死亡した事件を契機に職員の処分規定を改正する自治体の動きがみられます。
   そこで、改めて、職員の規律の確立と不祥事根絶のため、何点かについてお伺い致します。
  1 日常的に職員の服務規律の維持のためどの様なことを、徹底されていますか。
  2 職員が服務義務に違反した場合どの様な基準に準拠してどのように処分しているのですか。
  3 汚職防止のためにどの様なことをされているのですか。
  4 福岡市の飲酒運転死亡事故を受けて、都としてどの様な対応をされているのでしょうか。

平成18年第三回都議会定例会
そなえ邦彦議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 行財政改革について
1 現在の正規職員、外郭団体などへの派遣職員、外郭団体固有職員、再任用職員のそれぞれの実数を任命権者別に伺う。

回答
 平成18年4月1日現在における任命権者別の職員数については次のとおりです。

常勤職員数(派遣職員を除く。)
知事部局など 2万7290人
公営企業 1万4293人
学校 6万2316人
警視庁 4万5340人
東京消防庁 1万7929人

再任用短時間職員数(派遣職員を除く。)
知事部局など 667人
公営企業 415人
学校 258人
警視庁 -
東京消防庁 -

監理団体への派遣職員数
常勤職員 3508人
再任用短時間職員 25人

監理団体固有職員数 3383人

質問事項
一の2 団塊の世代が退職した後の今後5年間の補充計画について具体的に伺う。

回答
 職員の大量退職により、マンパワーは大幅に減少しますが、業務のアウトソーシングや、事務事業の執行体制の徹底した見直しなど、都政運営の効率化を図ることにより対応していきます。
 新規採用については、今後の行政需要の動向や、指定管理者制度、地方独立行政法人制度のような、多様な経営改革手法の導入なども踏まえて行っていくこととしており、今後5年間においても、こうした動向や、職員の退職動向などに留意しつつ、定数の範囲内において、適切な規模の採用を行っていきます。

質問事項
一の3 今後3か年で4000人規模の定数を削減するとのことだが、具体的なプロセスと中身について伺う。

回答
 団塊の世代を中心とした職員の大量退職や少子化の進展に伴う労働市場の縮小などを考えると、より少ない人材で業務を担う組織体制を築いて、効率的な都政運営を実現していかなければなりません。
 都は、内部努力として今後3年間で4000人程度の職員定数の削減に取り組むこととしました。そのために、税務事務における委託の拡大や直営公園への指定管理者制度の導入、都立福祉施設改革の推進など、多様な経営改革手法を積極的に導入します。さらに、交通事業における業務委託の拡大や水道事業における営業業務の見直しなど公営企業の抜本的な改革、簡素で効率的な執行体制の整備や事務事業の見直しに取り組んでいきます。

質問事項
一の4 特殊勤務手当の今後の見直しについて伺う。

回答
 特殊勤務手当については、手当の支給要件である勤務の著しい危険性、困難性などの特殊性の変化を社会経済情勢の変化や技術の進歩、勤務環境の改善等に照らし必要に応じ見直しを行い、適正化を図ってきました。
 平成18年度知事部局で実施した見直しにおいては、全14手当中、1手当を廃止、12手当を減額または支給範囲を縮小し、平年度ベースで2億4900万円、対平成18年度予算比11.7%の削減効果を見込んでいます。
 今後とも、こうした勤務の特殊性については、適正に評価し処遇していくことが必要であり、制度の安定性をも考慮しながら、都民の視点に立って必要な見直しを行っていきます。

質問事項
一の5 バス事業の現業系職員の給料表の見直し以外に、給料表の見直しはしていくのか伺う。

回答
 給料表の見直しについては、平成17年度、人事委員会勧告を受けて、年功的に上昇する給与水準の抑制を図るとともに、職員の仕事ぶりをよりきめ細かく処遇に反映できるよう給料表構造の見直しを行いました。
 今後とも、国、他団体、民間との均衡を図りつつ、必要な見直しを行っていきます。

質問事項
一の6 民間委託した場合のチェック機能はどうするのか。又、監理団体・地方独立行政法人等への指導監督等はどうしていくのか伺う。

回答
 民間委託した事業については、契約に基づき、日常的な指導監督に加え、定期的な履行確認を行うなど、都として適正な事業実施を確保しています。
 こうした取組に加え、指定管理者制度や市場化テストにより新たに民間開放する事業については、安全管理面やサービス水準の確保について、都独自の評価の仕組みを新たに構築するなど、都としてのチェック機能を一層強化していきます。
 一方、監理団体に対しては、団体の特性に応じ、組織・人員・業務運営等に関する日常的な指導監督を行うとともに、中期経営計画や経営評価制度などにより、中期的な視点から戦略的に団体の経営改革を推進していきます。
 また、地方独立行政法人に対しては、法に基づき、中期目標の設定、東京都地方独立行政法人評価委員会における法人の毎年度の業務実績に対する評価の実施など、適切な関与に努めていきます。

質問事項
一の7 多摩広域基幹病院及び、小児総合医療センターPFI事業者と都の関係はどうなっているのか伺う。

回答
 都は平成18年8月、多摩広域基幹病院(仮称)及び小児総合医療センター(仮称)の整備に係るPFI事業に関し、当該事業を実施する特別目的会社(以下「SPC」という。)との間で事業契約を締結しました。
 この契約は、都が自ら行う診療行為等を除き、SPCが施設の設計・建設から医療事務等の医療周辺業務に至るまで包括して行い、都がそのサービス対価を支払うことを約束するものです。
 この契約の中で都が要求したサービス水準を達成するために、SPCは施設の設計、業務の仕様・実施方法の策定等を行い、都の確認を経た上で、具体的な業務を実施していくことになります。
 なお、法令等に基づく手続のうち、医療法に基づく申請・届出等、診療業務を行う上で必要となるものについては都が行い、建築基準法に基づく申請、東京都景観条例に基づく届出等、施設建設に係るものについては、SPCが都と調整の上、行うことになります。

質問事項
一の8 府中生活実習所が民間移譲されたが、人的配置等について十分な話し合いがされているのか伺う。

回答
 都立障害者施設の民間移譲に当たっては、運営事業者公募要項の中で人員配置等について「現在と同等のサービス水準を確保するための職員体制」を確保することを条件としています。
 また、移譲時には、上記条件を遵守することについて、都と移譲先法人との間で協定を締結しており、平成18年4月の民間移譲後も都の運営と同等のサービス水準を確保するための職員配置がなされています。

質問事項
一の9 外部監査の実情について伺う。

回答
 包括外部監査は、地方分権を推進するに当たり、地方公共団体の監査に対する住民の信頼を高めるため、監査機能の独立性と専門性を一層充実する必要があることから平成9年6月の地方自治法改正により制度化されたものです。平成11年度から、都道府県、政令指定都市及び中核市に実施が義務付けられています。
 包括外部監査は、公認会計士や弁護士等専門知識を有する外部の者と知事との契約に基づく監査であり、監査のテーマは包括外部監査人が自らの責任と判断により選定します。契約に当たっては、監査委員の意見を聴くとともに、議会の議決を必要とし、監査結果は、議会、知事、監査委員等に提出することになっています。
 都では、平成11年度から各年度、公認会計士と契約を締結し、平成17年度までに23テーマ、延べ27局25団体を対象に包括外部監査を実施してきました。
 また、監査報告後、直ちに改善計画を作成し、翌々年度には、改善の実効性を高めるため、包括外部監査人による措置状況の検証を実施しています。

質問事項
二 職員の不祥事への対応について
1 日常的に職員の服務規律の維持のためにどのようなことを徹底しているのか伺う。

回答
 地方公務員法においては、「職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」という服務の根本基準が定められています。
 都では、法の趣旨に基づき、東京都職員服務規程を設け、これらのことを徹底するための具体的取組として、〔1〕汚職等防止研修、〔2〕自己点検、〔3〕服務通知、〔4〕各局服務担当者会議の開催、〔5〕予防監察、などを実施するとともに、各管理監督者による部下に対する日常的な指導監督を行っています。
 今後とも、服務規律の確保の一層の徹底に万全を期していきます。

質問事項
二の2 職員が服務義務に違反した場合どのような基準に準拠してどのように処分しているのか伺う。

回答
 職員が服務義務に違反した場合には、公務における規律の維持のため、地方公務員法等の規定に基づき、厳正に懲戒処分等を行っています。
 都では、職員の非違行為の態様ごとに標準的な処分量定を掲げた「懲戒処分の指針」を定め、これに基づき社会的重大性の程度や信用失墜の度合いなどを総合的に考慮したうえ、具体的な処分量定を決定しています。

質問事項
二の3 汚職防止のためにどのようなことをしているのか伺う。

回答
 汚職がひとたび発生すれば、都民からの信頼は大きく損なわれ、都職員全体の名誉が傷つけられることとなるため、汚職の発生を未然に防止することは極めて重要です。
 このため、汚職を防止する観点から、全職員を対象とした汚職等防止研修を定期的に実施して、職員の注意を喚起するとともに、行政監察における徹底した服務指導を行うなど組織的なチェックも常に行っています。
 最近の具体的取組としては、〔1〕汚職等非行防止ビデオの作成、〔2〕汚職防止の手引の改訂、〔3〕汚職防止支援マニュアルの作成、〔4〕講師養成研修の充実、などを行っています。
 今後とも、汚職等防止研修や予防監察などを効果的に実施して、汚職防止に万全を期していきます。

質問事項
二の4 福岡市の飲酒運転死亡事故を受けて、都としてどのような対応をしているのか伺う。

回答
 福岡市職員の飲酒運転死亡事故でも明らかなように、飲酒運転は重大な事故につながるものであり、職員が飲酒運転を行った場合には、厳正な対処を行う必要があります。
 都では、平成14年9月から、飲酒運転をした場合には事故の有無にかかわらず懲戒免職などの厳しい規定としており、従前からこれに従って処分を行っています。
 また、福岡市職員の事故を受けて、飲酒運転に係わる服務規律の確保を徹底するため、緊急に各局人事担当課長会を開催して総務局長通知を発し、全職員に改めて注意を喚起しました。
 今後とも、研修や自己点検の充実などを通じて、職員の法規の遵守に万全を期していきます。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 小竹ひろ子

質問事項
一 東京都労働資料センターの存続と拡充について
二 文京区立大塚町公園及び区立元町公園の都市公園としての存続について

一 東京都労働資料センターの存続と拡充について
  東京都労働資料センターは、労働に関する情報及び資料の収集、提供等を行うことにより、労使関係の近代化と労働条件の改善向上に資することを目的にして、1974年9月に設立されました。その後1978年4月労働研究所の設立に伴い、同研究所に併合され、2001年4月労働研究所の廃止により、産業労働局産業政策部調査研究課の所管、2002年4月には、中央労政事務所の所管となり、2004年4月からは産業労働局雇用就業部調整課の所管になり、同年7月現在地中野区弥生の旧中野技術専門校跡に移転しました。
   労働資料センターには、労働に関する情報及び資料が24万点(図書4万冊、資料3万点、定期刊行物17万点)保存されています。こうした事業は、国・地方でも少なく、その存在価値はきわめて貴重なものです。その利用は、労働者、労働組合関係者、中小企業の事業主や労務担当者はもとより、学識者、学生などからも歓迎されてきました。
   ここの資料は、一般の図書館にはない労働問題に特化した資料・データーであり、特に東京の労働運動の歴史的な資料や都内の労働実態調査等、貴重な資料となっています。以前は、労働研究所と併設した時もあり、研究所の研究調査とセンターの情報資料は労働分野はもちろんのこと、中小企業の経営団体にも大きく貢献したと言われています。
   これらは歴代の職員が、労働研究所、労政事務所とタイアップして集めたものであり、職員配置がなされている時は“資料センターニュース”が毎月出され、年間の蔵書目録も発行するなどの利用者サービスが行われ、関係者に喜ばれ、多くの人に利用されていました。
  1 失業、リストラ、非正社員の増加など雇用をとりまく現状のもとで、労働者の地位向上、労働条件の改善、労使関係の近代化は喫緊の課題となっています。こうした、東京都労働資料センターの役割が、ますます求められている今こそ、その事業を存続・拡充することは自治体としての責務です。東京都として東京都労働資料センターを存続するよう求めます。
   労働資料センターを広く都民に利用されるようにするためには、利便性の向上も欠かせません。
   特に労働相談では、増加の一途をたどっていますが、労働事件の解決することはもちろん、労働者の地位向上、労働条件の改善、労使関係の近代化で労働事件を減少していく上でも、労働資料センターの資料は多いに利用価値があります。
   労働行政事業を行っているところ、特に労働相談情報センターなどの身近にあることは、利用者の利便性を確保する上で大変有効です。
   また、現在地に移転する前は、飯田橋に中央労政事務所と併設されていました。交通の便のよさと同事務所を訪れる人が気軽に利用できていました。
  2 たとえば、元に戻すなど利用の向上をはかってはどうか。また、労働相談情報センターに併設してはどうか。お答え下さい。
   また、来年度からは、専任の職員がいなくなると聞いています。今でも専門性をもったOBの非常勤職員が、相談に応じて情報の提供サービスを行っています。
  3 引き続き専任の職員を配置し、労働関係資料の収集や利用者の要望に応えられるようにすべきと考えますがどうですか。
  4 現在、労働資料センターにはコピー機もありません。コピー機を設置して利用者の利便性を図ることは基本的なサービス向上です。また、予算をふやし資料センターニュースや図書目録を発行するなど、労働資料センターの存在を広報するよう求めます。答弁を。
 二 文京区立大塚町公園及び区立元町公園の都市公園としての存続について
  文京区では、長い歴史があり地元住民に親しまれている2つの公園が、区の都合により現在地から他に移され、取り壊されようとしています。住民の怒りが大きく広がり、マスコミでも取り上げられて社会問題になっています。
   1つは、文京区大塚1丁目にある区立大塚町公園(通称新大塚公園)です。隣の区有地と一体にして、統廃合する2つの中学校(区立五中と七中)の新校舎を建設する方針を、区教育委員会が発表しました。
   この新大塚公園は周辺住民に親しまれ、赤ちゃんからお年寄りまでたいへん利用度の高い、地域の交流の核にもなっている公園です。40年以上経るなかで、桜の大木がみごとな花を咲かせ、セミが繁殖する生態系ができるほど、自然豊かな公園です。住民は「新大塚公園を残して欲しい」と、文京区に約1万7千余の署名を提出しています。
   公園は一朝一夕にできるものではありません。長い間かかって自然が形成され、緑豊かなものになるのです。住民の交流の場として重要な役割を果たすとともに、住民は愛着を持っていることからも、別の新たな場所に代替公園を作れば壊していいのだとはなりません。今、「都市再生」の名でどんどん開発が進められ、貴重な緑が失われ、ヒートアイランドや温暖化など地球環境が大きな社会問題になっています。CO2削減に重要な役割を果たす公園の貴重な緑は、きちんと保存しなければなりません。
   都市公園法第16条一項には、「みだりに都市公園の区域の全部又は一部について、都市公園を廃止してはならない」とあります。しかし「廃止される都市公園に代わるべき都市公園が設置される場合」は除かれており、文京区はこのことをたてに、新大塚公園を廃止し、代替公園を五中跡地に造るとしています。代替公園は、現在地より1キロメートル離れ、崖地にあるため急な坂を上り下りしなければならず、高齢者の人達は利用できないなど、現在のような多くの利用者の要望に応えられません。また、五中学区域住民からは、学校をなぜなくすのかなど沢山の意見が上がっています。住民に納得できる説明がなされず、とうてい合意をできるようなものになっていません。
  1 五中跡地に造るという代替公園は、都市公園法第16条二項の「代わるべき公園」にふさわしくないのではありませんか。お考えを伺います。
  2 都市公園の廃止、移転の場合には、周辺住民の合意の義務付けなど、厳密な対応が必要と考えますが、どうですか。
  3 都として区立大塚町公園の存続のために、積極的な役割を果たすべきと考えますが、どうですか。
   もう1つは、文京区本郷1丁目にある区立元町公園です。区は、ここに区立総合体育館を移転することを発表しました。元町公園は、関東大震災後都内52ヶ所に作られた震災復興小公園のうち、唯一原型をとどめるもので、地元住民はもちろん、日本造園学会等専門家からも存続を求める声があがっています。区は6月5日、元町公園を元町小学校跡地に移転変更する案を知事宛に申請し、都は6月20日に都市計画公園の変更案について同意しました。
   元町公園について都教育委員会は、04年3月「史跡等整備委員会」の報告の中で、都の名勝の新たな指定対象とすべき6候補の筆頭にあげ、詳細調査を実施すべきとしました。都は04年9月に、都教委の担当者を通じ、文京区側に文化財指定にむけての話し合いを持ちました。
   ところが文京区側は、その後きちんとした対処をしないまま、今回公園の廃止・移転をうちだしたのです。文京区の都市計画審議会に諮りましたが、「文化財的価値について専門学識による検証をすべきだ」という多数意見で継続審議になり、ストップしています。
  4 震災復興小公園として現存している唯一の公園である元町公園について、都は文化財としての価値をどう認識しているのか、伺います。
   建築史学会・日本造園学会は、「建築史・都市計画史・造園史上世界的にみても特筆すべき事業」「貴重な歴史遺産であり」「大正・昭和初期のモダニズム思潮が展開された造形点と景観を現在に伝えるわが国の近代都市の文化遺産」として高く評価し、元町公園の存続を求めています。また、文化庁文化財分科会第3専門調査会委員会からは、9名の連名で「元町公園の保存に関する意見書」が出されています。文京区の文化財保護審議会委員全員の「元町公園・元町小学校の保存活用についての要望書」も提出されています。いずれも貴重な文化財である元町公園を、保存すべきであるとしています。
  5 元町公園を廃止してしまえば、関東大震災で、東京市時代に都自身が行った事業の痕跡が全くなくなってしまうことになります。歴史的な文化遺産は今こそ守り、後世に継承する姿勢に、都自身が立つことが求められています。その立場からの指導と説得を行い、貴重な財産を後世に残すべきだと考えますが、都の認識を伺います。
   今回、元町公園に伴い社会問題となっている文京区の文化財問題は、今回に限って起きたことではありません。1991年文京区庁舎(現シビックセンター)建設時の文化財保護法違反に連なる問題です。
   当時文京区は、文化庁や東京都から指導されていたにもかかわらず、文化財保護法80条に違反し(シビックセンターが特別名勝の小石川後楽園の景観を阻害したこと)、さらに埋蔵文化財調査をしなかったことで、社会問題になりました。そして東京都と文化庁に対し、文化財行政等に関する確約書と「文化財行政については都と文化庁に、今後ご指導たまわる旨」の“詫び状”を提出しています。
  6 今回の元町公園の廃止は、この姿勢から大幅に後退し、約束をほごにしているものであり、都教育委員会として見過ごすことが出来ないと思いますが、見解を伺います。
  7 都教委として、元町公園の詳細調査をきちんと実施するよう区に働きかけ、専門家の評価を求めるべきではありませんか。
  8 元町公園について、都教委が「都指定名勝」の指定対象候補としてあげ、地元住民、造園や文化財関係の専門家から保存を求める声が上がっているのに、都市整備局の方では、区側の都市計画変更理由のみで簡単に移転廃止の同意書を出したのは問題です。軽率のそしりはまぬがれません。この問題をどうとらえ、対処しているのか。ここまで社会問題になっている状況の下で撤回し、保存を指導すべきですが、お答え下さい。

平成18年第三回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都労働資料センターの存続と拡充について
1 失業、リストラの増加など雇用をとりまく現状のもとで、労働資料センターの役割がますます求められており、その事業を存続・拡充することは自治体としての責務である。労働資料センターの存続を求める。見解を伺う。

回答
 東京都労働資料センターについては、社会情勢の変化や利用実績、費用対効果など様々な観点から、今後の事業のあり方を検討しています。

質問事項
一の2 労働資料センターを広く都民に利用されるようにするためには、利便性の向上も欠かせない。元の飯田橋へ戻すなど利用の向上を図るべき。また、労働相談情報センターに併設してはどうか。答弁を求める。

回答
 今後の東京都労働資料センター事業のあり方については、社会情勢の変化や利用実績、費用対効果など様々な観点を踏まえ、現在、検討中です。

質問事項
一の3 来年度から専任の職員がいなくなると聞いている。引き続き専任の職員を配置し、労働関係資料の収集や利用者の要望に応えられるようにすべきである。答弁を求める。

回答
 今後の東京都労働資料センター事業のあり方については、社会情勢の変化や利用実績、費用対効果など様々な観点を踏まえ、現在、検討中です。

質問事項
一の4 センターにコピー機を設置して利用者の利便性を図ることは基本的なサービス向上である。また、予算を増やし資料センターニュースや図書目録を発行するなど、労働資料センターの存在を広報するよう求める。答弁を求める。

回答
 今後の東京都労働資料センター事業のあり方については、社会情勢の変化や利用実績、費用対効果など様々な観点を踏まえ、現在、検討中です。
 なお、東京都労働資料センターについては、ホームページ等により、広報に努めています。

質問事項
二 文京区立大塚町公園及び区立元町公園の都市公園としての存続について
1 文京区は、区立大塚町公園を廃止し、代替公園を五中跡地に造るというが、これは都市公園法第16条2項の代わるべき公園にふさわしくないのではないか、考えを伺う。

回答
 都市公園法第16条第2号に関しては、公園管理者たる区が判断するものと認識しています。

質問事項
二の2 都市公園の廃止、移転の場合には、周辺住民の合意の義務付けなど、厳密な対応が必要と考えるが、どうか伺う。

回答
 大塚町公園は都市計画決定された公園です。
 都市計画法では、都市計画の変更等に際して、公聴会の開催、意見書の提出、都市計画審議会への付議等、住民等の意見を反映させる手続を定めています。

質問事項
二の3 都として区立大塚町公園の存続のために、積極的な役割を果たすべきと考えるが、どうか伺う。

回答
 当該都市計画公園の存続等については、区が主体的に決定することとなります。
 東京都は区が定めようとする都市計画公園の決定・変更に関して、都市計画法第19条に基づき同意協議に応じる立場です。

質問事項
二の4 移転が発表された区立元町公園について、都教育委員会は04年の史跡等整備委員会の報告の中で、名勝指定対象候補にあげていた。震災復興小公園として唯一現存する同公園の文化財としての価値の認識を伺う。

回答
 文京区立元町公園は、東京都文化財保護審議会委員の学識経験者からなる『史跡等整備検討委員会報告』(平成16年3月31日)において、「名勝の新たに指定対象とすべき候補」とされた公園の一つです。
 区立元町公園は、関東大震災後の昭和5年に東京市が設置した震災復興小公園の一つであり、建設された当時の姿に近い状況で残された貴重な公園と認識しています。

質問事項
二の5 歴史的文化遺産を守り、後世に継承する姿勢に都自身が立つことが求められている。その立場からの指導と説得を行い、貴重な財産である元町公園を後世に残すべきと考えるが、認識を伺う。

回答
 都教育委員会では、文京区立元町公園は震災復興小公園として貴重な文化財と認識しており、文化庁とともに文京区と協議を行っています。
 現在、文京区において適切な保護策の検討を行っています。

質問事項
二の6 文京区は過去に文化財保護法違反し、都と文化庁に詫び状を提出している。今回の元町公園の廃止は、約束をほごにしているものであり、都教育委員会として見過ごすことができないと思うが、見解を伺う。

回答
 お話の件については、国指定特別史跡及び特別名勝小石川後楽園の文化財保護法に基づく現状変更許可及び埋蔵文化財の規定に関するものであり、未指定文化財である文京区立元町公園に関する取扱いとは異なるものと考えられます。
 なお、区立元町公園に関しては、文化庁とともに文京区と協議を行い、文京区において適切な保護策の検討を行っています。

質問事項
二の7 都教委として、元町公園の詳細調査をきちんと実施するよう区に働きかけ、専門家の評価を求めるべきではないか。答弁を求める。

回答
 文京区立元町公園の文化財としての適切な評価は、区自らが区立元町公園の現状調査や歴史的価値の調査を実施し、専門家の意見等を踏まえて行うことが重要と考えています。
 このため、都教育委員会としては、文化庁とともに必要な調査について文京区へ働きかけています。

質問事項
二の8 元町公園について、都教委が都指定名勝候補としてあげ、地元住民等が保存を求めていたのに、都市整備局は都市計画変更に同意書を出したのは問題である。撤回し、保存を指導すべきだが、答弁を求める。

回答
 文京区立元町公園の都市計画変更は区の主体的判断に基づき行われます。
 都市計画法第19条第3項の規定に基づく区からの都市計画変更の協議については、「元町公園の歴史性を継承する」という区の見解も踏まえ、同意したものです。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山口文江

質問事項
 一 都立図書館の運営について

一 都立図書館の運営について
  文字・活字文化振興法が2005年に施行され、都は地方公共団体として、法の施行において、公立図書館の運営の充実と関係機関の連携が責務とされています。しかしながら、法の趣旨を尊重されないような東京都の図書館行政のあり方に多々疑問を抱くものです。
   都立図書館改革として、2002年に出された「(第1次)都立図書館あり方検討委員会」報告に基づき、中央図書館、日比谷図書館、多摩図書館の3館独立体制を一中央館、二分館体制に変える機構改編と各図書館の機能の大幅見直しが進行しました。その具体的な取組の一つが、都立図書館3館の重複資料14万冊の実質的廃棄でした。石原知事および東京都教育委員会は、オリンピック招致を含め、世界都市としての東京の成熟を世界に問うという姿勢で独自色の強い取組をすすめていますが、全国一の財政規模と人口を抱える大都市東京の文化的な質の確保と育成には大変消極的といわざるを得ない状況が、図書館資料の大量廃棄に象徴的です。また、都立図書館の役割のひとつが基礎自治体の図書館へのバックアップ・支援であり、市町村の図書館だけでは対応できない状況の中でセイフティネットというべき重要な役割の協力貸出しシステムが後退し、実質的に市町村立図書館は頼るべき核を失ったに等しく、都立図書館まで直接来館できない地域の利用者のニーズを軽んじるものです。地域の図書館との十分な協議も市民への情報もなく、経済効率のみで改編を推し進める東京都の姿勢は、生涯教育や知る権利を保障し、長い目でみた市民の自立、豊かさの構築に背を向けたものといわざるをえません。
   さらに、昨年8月、東京都教育委員会は、「第2次都立図書館あり方検討委員会」報告を受け、今年8月24日に「都立図書館改革の具体的方策」を決定しました。ここに盛り込まれた方策は深刻さを増しています。年齢や地位を問わず、無料で生涯学習を保障し、知る権利に応える区市町村立図書館の充実と成熟は当然のことですが、そういった図書館の存続を支援し、共存する都立図書館の役割と誇りを失うことのないよう強く要望し、以下の質問を行います。
  1 「あり方検討委員会報告」「具体的方策」策定に区市町村立図書館を実質的に参画させず、パブリックコメントをも反映せず、一方的に施策後退を進める東京都教育委員会の姿勢は、「開かれた都立図書館」として大いに疑問があります。区市町村立図書館および利用者に向き合い、真摯に方策を問う役割が求められますが、今後の区市町村立図書館との協議や来館者、非来館者それぞれの立場の利用者に対し、明確な情報提供をどのように行うのか、伺います。
  2 「第2次都立図書館あり方検討委員会報告」には考え方のなかった雑誌の収集を多摩図書館に集中させる「東京マガジンバンク構想」が「都立図書館改革の具体的方策」で突如、急浮上したことに驚きを禁じえません。利用者の多い日比谷図書館での提供や、中央図書館でのレファレンスに欠かすことのできない雑誌類の蓄積は研究者にとっても意味が大きく、利用勝手がよいことが生命線であることから、雑誌利用者が21%を占める日比谷図書館を改革させる手立てとして「マガジンバンク」を選択するのなら妥当性はあるものの、あえて多摩図書館に一元化する意味が見出せません。このことにより、利用が低迷することを確信的にしかける道筋をつくっているのではないかとの懸念すら浮かぶものです。区市町村立図書館にも利用者にも納得度の低いこの構想ですが、中央図書館の現有タイトルの雑誌の収集を確保しない方策と聞き、どのように理解を得ようとしているのか、伺います。
  3 公立図書館の無料原則は、誰でもが使える図書館の原則を現すものです。その原則を逸脱する、各種サービスの有料化は行うべきでなく、根拠が見出せません。国会図書館および他の公立図書館でもデータベースを有料提供している例はなく、図書館の原則への逸脱を敢えて行おうとする根拠について、伺います。
  4 日比谷図書館を無償で、千代田区に移管しようとする協議が行われているとのことですが、このような大きな財産を手放す転換が幅広い議論も仰がずすすめられていることに、奇異を感じます。しかも千代田区の図書館設置方針が「指定管理者導入」を謳う中、日本の図書館のシンボルである日比谷図書館のありようが変質する恐れがあります。日本初の指定管理者を導入した図書館として知られる「山中湖情報創造館」を見学する機会を得ましたが、管理者の交替が3年程度の短期間で起きてしまう可能性や人件費の削減による専門性ある人材の定着が望みにくい点など、指定管理者制度が持続的な公共サービスを行うべき図書館にはそぐわない選択肢であることが明らかになってきました。都立図書館での指定管理者制度に関する考え方は存在しないと考えますが、無償で手渡すよその自治体がやることなら、意味合いが変化してきていいのでしょうか。どのような選択が生じても責任はないというのか、あまりに無責任といわざるを得ません。都民の知的財産であった日比谷図書館移管について、協議されている要件は都民にとって重要であり、その内容、考え方について、伺います。
  5 1973年に開館した中央図書館の特徴のひとつに1階から4階までの各フロアで熟知された資料を専門性の高い司書が駆使して行われるレファレンス体制の充実があげられ、定評のあるところです。しかし、今回の「方策」では、非常駐の相談ブースを設けたレファレンスの「ワンストップサービス」が挙げられ、1階の総合レファレンスカウンターのみで、レファレンスを一元化するというものです。この転換は利用者にとってのサービス低下であり、メリットがありません。なぜ、このようなサービスの低下がされなければならないのか、伺います。
  6 今後5年間で都立図書館の司書半数が退職を迎えることになりますが、専門性の確保をどのように行っていくのか展望がみえません。図書館の真髄ともいえるレファレンスの充実に向け、図書館の機能を十分発揮させられるよう、専門的なサービスを実施するに足る必要な数の専門的職員を確保するもの、と文部科学省告示でも謳われています。司書の確保に向けた退職補充計画および司書定数の配置計画について、伺います。
  7 今後も資料の除籍が断続的につづくことは、大きな損失です。図書を散逸させるだけでは、知的財産の確保になす手立てをもたないことになります。今までの除籍図書の推移を明らかにし、次世代への継承のために考えなければならない保存書庫の設置など、現有書庫容量にとらわれない図書の永久保存に向けた考え方が必要ですが、除籍の推移データと保存に向けた考え方について、伺います。
  8 都立図書館資料費は、削減が著しく、90年代後半との比較でも50%近い削減が行われています。今後の図書資料の維持すら危惧されますが、これ以上のサービス低下を招くことは容認できません。学力世界一(OECD調査)のフィンランドの図書館政策、図書資料の充実が注目されていますが、世界都市を標榜する東京の都立図書館の今後の図書資料費の考え方について、伺います。

平成18年第三回都議会定例会
山口文江議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都立図書館の運営について
1 都立図書館改革での都教委の姿勢は、開かれた都立図書館として大いに疑問がある。今後の区市町村立図書館との協議や、図書館利用者に対し、明確な情報提供をどのように行うのか伺う。

回答
 都教育委員会としては、都立図書館改革の内容について、区市町村立図書館や図書館利用者の理解を得るため、東京都公立図書館長連絡会などを通じて情報や意見の交換を行うとともに、都立図書館ホームページに掲載するなど、今後とも積極的に情報提供に努めていきます。

質問事項
一の2 東京マガジンバンク構想が突如浮上したが、区市町村立図書館にも利用者にも納得度の低い構想である。中央図書館の現存タイトルの雑誌の収集を確保しない方策と聞くが、どのように理解を得ようとしているのか伺う。

回答
 雑誌は速報性に優れているばかりでなく、その時々の社会状況を先鋭的にとらえるなど、図書とは違った有効性を持つ重要な情報媒体であり、多摩図書館に東京マガジンバンクを創設することは、雑誌に関心を持つ利用者の利便性を大きく向上させるものと考えます。
 一方、マガジンバンクとは別に、中央図書館においても、同館で展開する経済動向や医療、法律などに関する重点的情報サービスやレファレンスサービスに的確に対応するため、学術雑誌を中心に約4000種類の雑誌を用意して、利用者サービスに努めていきます。

質問事項
一の3 公立図書館の無料原則を逸脱する各種サービスの有料化は行うべきではなく、根拠が見出せない。図書館の原則への逸脱を敢えて行おうとする根拠について伺う。

回答
 図書館法第17条では、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」とあるが、国の審議会で、ここでいう「図書館資料」は、通常、図書館によって主体的に選択、収集、整理、保存され地域住民の利用に供されている資料を指し、図書館においてインターネットやオンラインデータベースといった外部の情報源へアクセスしてその情報を提供することは、「図書館資料の利用」には当たらないとされています。
 したがって、一部の高度・高品質な商用オンラインデータベースの利用について、受益者負担の観点から利用者に費用負担を求めていくことは、公立図書館の無料原則を逸脱するものではないと考えます。
 なお、都立図書館では、新聞記事や雑誌記事等の基礎的なオンラインデータベースの提供は、図書館の基本的な情報サービスとして位置付け、利用者に費用負担を求めないこととします。

質問事項
一の4 日比谷図書館を無償で千代田区に移管しようと協議が行われているとのことだが、その協議されている要件は都民にとって重要である。その内容、考え方について伺う。

回答
 都教育委員会は、平成17年10月に、都立日比谷図書館が個人貸出など都民に対して直接サービスを行う図書館として一層充実するよう、千代田区への移管方針を決定しました。移管に当たっては、現行の図書館サービスを継続すること、日比谷図書館の名称を継承すること、及び歴史ある現在の建物を活用することを基本条件としています。
 今後も、円滑な移管に向けて千代田区と十分協議していきます。

質問事項
一の5 中央図書館のレファレンスのワンストップサービスへの転換は、利用者にとってサービス低下であり、メリットがない。なぜ、このようなサービスの低下がなされるのか伺う。

回答
 中央図書館では、利用者に図書館の専門的なサービスをより効率的に提供できる利便性の高い仕組みとして、現行の各階にある人文科学、自然科学などの主題室ごとのレファレンスカウンターに替えて、1階に総合レファレンスカウンターの設置を目指しています。これにより、複数の主題に関わるレファレンスにも1回の申込みで迅速に対応し、閉架書庫内の資料の出納や複写申込手続についても1か所、1回の手続で済ませることができるワンストップサービスを実現します。
 また、このことに伴い、東京に関する情報、経済活動情報、法律情報などの重点的情報サービスに係る資料のコーナーを1階に集中するとともに、各階の蔵書配置を工夫し、開架冊数を増やすなど、利用者の立場に立った適切なサービスを実施していきます。

質問事項
一の6 今後5年間で都立図書館の司書半数が退職を迎えるが、司書の確保に向けた退職補充計画及び司書定数の配置計画について伺う。

回答
 都教育委員会としては、団塊世代の大量退職に向けて、図書館を支える専門職員である司書の確保は重要な課題と考えています。
 今後の退職動向を踏まえ、職務知識の継承を図り、都立図書館に求められる都民ニーズに的確に対応していくため、将来の都立図書館を担う専門性の高い司書の確保に努めていきます。

質問事項
一の7 今までの除籍図書の推移を明らかにし、次世代への継承のために考えなければならない保存書庫の設置など、図書の永久保存に向けた考え方が必要だが、除籍推移データと保存に向けた考え方について伺う。

回答
 都立図書館においては、平成13年度の「第一次都立図書館あり方検討委員会」の報告を受け、図書の収集・保存方針を「1タイトル1冊」としたことにより、平成13年度末から平成16年度にかけて、中央図書館と多摩図書館で重複する約26万冊の図書を除籍しました。
 資料の保存年限に関しては、貴重な資料や東京に関する資料については永年保存としますが、その他は原則100年間保存することとし、長期にわたる資料の保存という都立図書館に課せられた役割を果たしていくため、中長期的な計画を立て、今後とも適切な収蔵対策に取り組んでいきます。

質問事項
一の8 都立図書館資料費は削減が著しく、今後の図書資料の維持が危惧される。世界都市を標榜する東京の都立図書館の今後の図書資料費の考え方について伺う。

回答
 都立図書館は、都民や企業の課題解決を支援するために、都市に関する情報など都民ニーズの高い重点的情報サービスの各分野に関する資料及び「東京マガジンバンク」創設に必要な雑誌の収集を行うなど、蔵書の充実を図っていきます。
 また、都立図書館の収集方針・選定基準に合致する資料を選択し、今後も、できる限り収集するよう努めていきます。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 たぞえ民夫

質問事項
 一 都市公園の整備・拡充について

一 都市公園の整備・拡充について
  地球全体の温度がこの百年で一度近く上がったといわれる中で、東京が三度も上昇しているなど、東京と首都圏でのヒートアイランド現象を解消していく手立ては、生存権にかかわるまったなしの課題になっています。
   この問題について、気象学者などからもさまざまな実証研究がおこなわれていますが、最近の大手町と八王子の昼と夜の気温の変化についての検証で、昼間の気温が大手町が三十九度で、八王子が三十八度とあまり変わっていないのに対して、翌日の明け方の気温が都心では三十度を下回ることがないのに、八王子では二十四度に下がっていることが明らかにされています。
   八王子の場合、緑をはじめ自然が多く残されており、それが夜間の気温を下げている大きな要因とされています。新宿御苑など広大な空間・緑地があることによって、周辺にくらべて気温をさげていることも指摘されています。
   東京のヒートアイランド現象対策として、海風、谷風、山風などの風の道とともに、公園、樹木、芝生は大きな効果があることも検証されています。
   快適な空間を提供する緑のしげる公園の確保はかかせません。ところが、東京23区の公園面積は、国内政令都市の中で最下位の14位で、一人あたりの公園面積は2.9平方メートルにとどまり、福岡市の三分の一という水準です。
   都市公園の整備実績は、1998年度での公園整備費は460億円、用地面積は15万7354平方メートルでしたが、03年度の整備費は337億円、面積は3万5816平方メートルとなり、公園の整備は大きく立ち遅れています。
   今、東京全体で都市計画決定している公園・緑地約1万0600ヘクタールのうち、都民に公園として利用されているのは四割にすぎません。
  1 公園の整備については、都の計画の重要な柱に位置づけるべきだと思いますがどうですか。
   都と区市町村は、こうした現状を改善するため、2015年までに優先重点公園・緑地を選定して、優先的に整備を着手するとしていますが、事業化計画検討の対象にしている2600ヘクタールのうち、今回、優先重点公園・緑地に指定したのは、454ヘクタールにしかすぎません。
   しかも、優先に指定された公園・緑地についてさえ、緊急性、整備効果、財政的状況をにらんでおこなうことにしており、これでは事実上の先送りといわざるをえません。
  2 優先重点公園・緑地については、早急に事業化し、それをのぞいた事業化計画検討区域についても、いつ実施にふみだすのか、年次計画を策定して取り組むべきではないですか。
  3 同時に、都としての年度ごとの用地取得計画を明らかにして、それにふさわしい予算を組むことがなによりも求められていると考えますが、見解を伺います。
  4 また、用地の買収にたいする国の補助のあり方についても、改善が急がれています。国からの国庫支出金は用地については3分の1だけです。道路、街路整備や河川整備と同様の補助率である2分の1に引き上げるよう、国に改善を働きかける必要があると思いますが、どうですか。
   八王子市にある都立長沼公園は、五年前に事業用地の拡大をおこなうため、東京都都市計画審議会で民有地の用地取得区域を決定しました。
   しかし、都はいまだ用地の取得を進めないため、土地所有者や市民は、都が一刻も早く用地取得をおこなうよう求めています。
  5 都市計画決定をおこなう場合、少なくとも用地取得実施の裏づけや見通しがあってこそ、本来の都市計画の手続きではありませんか。長沼公園の用地取得を明らかにして下さい。
  6 また、今後の都市計画手続きは、事業の具体性をしっかり担保する必要があると思いますが、どうですか。
   都市公園を整備するうえで、さまざまな取り組みが必要ですが、特に工場跡地の優先取得や、丘陵地の緑を乱開発から守るための、保全が有効な手段です。
   財務省の私的研究会である、「国家公務員宿舎の移転・跡地利用に関する有識者会議」は、06年6月13日、「東京23区に所在する国家公務員宿舎の移転・再配置と跡地利用に関する報告書」を発表し、区部での売却処分をすすめるとしています。これによる売却益は4860億円と見込んでいます。私の地元、世田谷での移転による廃止予定宿舎は45ヶ所にもおよびます。
  7 この際、廃止予定にあがっている国有地を公園用地として積極的に取得するよう検討するべきと考えますが、どうですか。
   平成15年10月に開かれた東京都都市計画審議会は、『現行の枠組みや概念にとらわれず、みどりづくりを戦略的に転換する』という答申がだされました。
   都は答申をうけて、「みどりの新戦略ガイドライン」を発表し、民間の活力の導入をはかる「民設公園」などを提案しています。民設公園制度は、都が率先して用地取得をしなくとも都市公園を整備できるというものです。
  8 民設公園は、これを理由に都市計画上の規制をこえた超高層建物などを認めないこと、また、公立公園と同等に活用できることが不可欠ですが所見を伺います。
   都の方針にたいして、東村山市は西武鉄道株式会社が土地処分をおこなう所有地のうち1万2000平方メートルの土地を公園に整備するため、西武鉄道に買収を働きかけましたが、2004年度の市財政は歳出410億円にたいして、土木費の内公園費は2億円たらずの財政力のため、自力での取得はできませんでした。今年7月の近隣地価調査によると、基準地の1平方メートル当たりの価格は22万円で、敷地を取得するには27億円にもなります。
   結局、この土地は別の不動産会社が取得し、ここに超高層の集合住宅を建設する計画です。財政規模が小さくとも、取得できる柔軟な支援体制の拡充は欠かせないことが、教訓です。
   都の補助制度である「市町村土木補助事業」では、公園用地の取得計画にたいして、国庫支出金を導入する場合国の補助は3分の1で、残りの事業費のうち市は、大部分を負担することから財政負担はきわめて大きいものになっています。
   また、市が国庫支出金で採択される公園面積は500平方メートル以上になっており、市町村が独自に取得する面積は大きく容易ではない状況です。
   市の財政状況からみても、都の「市町村土木補助事業」の制度見直しが急がれます。
  9 緊急に、都市公園事業に対する補助率を3分の1に引き上げ、それに伴い市の負担を軽減する必要があると思いますが、見解を伺います。
   都としての公園用地の取得は、10万平方メートル以上の都市基幹公園で、これにより都の取得用地面積が大きいため、用地買収に都みずからも容易に着手できないことが、都の事業を遅らせている原因になっています。
   この際、都と区市町村が基準をさだめた公園用地取得面積の種別分担の柔軟な対応が必要です。
  10 10万平方メートルを超えない場合でも、都が率先して取得すること、また、区市の取得面積でも都が取得できるよう、種別分担基準の再検討をおこなう必要があると考えますが、答弁を求め質問を終わります。

平成18年第三回都議会定例会
たぞえ民夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都市公園の整備・拡充について
1 ヒートアイランド対策として公園、樹木等は大きな効果があることが検証されている。公園整備については、都の計画の重要な柱に位置づけるべきだと思うが、どうか伺う。

回答
 公園整備については、緑の重要性に鑑み、総合的、体系的に施策の道筋を示した「緑の東京計画」(平成12年12月)において、市街地の緑を回復する施策として既に位置付けています。
 さらに、「緑の東京計画」の実現に向け、平成17年度に「みどりの新戦略ガイドライン」や「都市計画公園・緑地の整備方針」を策定しました。

質問事項
一の2 優先重点公園・緑地については、早急に事業化し、それをのぞいた事業化計画検討区域についても、いつ実施にふみだすのか、年次計画を策定して取り組むべきではないか、伺う。

回答
 「都市計画公園・緑地の整備方針」では、優先整備区域として約454ヘクタールを定めており、その区域については、2015年までに整備に着手する予定です。
 優先整備区域以外の区域については、概ね10年ごとの事業化計画の更新に合わせ検討していきます。

質問事項
一の3 同時に、都としての年度ごとの用地取得計画を明らかにして、それにふさわしい予算を組むことがなによりも求められていると考えるが、見解を伺う。

回答
 都立公園の用地取得の状況は、平成16年度2万5255平方メートル、平成17年度3万4778平方メートルとなっています。
 また、平成18年度予算では、3万5816平方メートルを取得する予定です。
 今後とも、「緑の東京計画」に基づき、都民1人当たりの公園面積を、平成27年度末までに7平方メートルとする目標の達成に向け、着実に取得できるよう、財源の確保に努めていきます。

質問事項
一の4 また、用地買収に対する国の補助のあり方について、道路や河川整備同様の補助率2分の1に引き上げるよう、国に改善を働きかける必要があると思うが、いかがか伺う。

回答
 公園整備の用地取得の補助率については、平成13年度から、国土交通省に対し、3分の1から2分の1に引き上げるよう要求しています。

質問事項
一の5 都立長沼公園は5年前に都計審で民有地の用地取得区域を決定したが、いまだに用地取得を進めていない。都市計画決定を行う場合、用地取得実施の裏付けや見通しがあるべきだが、長沼公園の用地取得について伺う。

回答
 都は、平成18年3月に、「都市計画公園・緑地の整備方針」を策定し、事業対象地を、今後10年間に整備に着手する予定の「優先整備区域」とそれ以外の区域に区分しました。
 優先整備区域内では、用地取得を計画的に進めていますが、長沼公園は優先整備区域に指定していません。
 長沼公園では、地権者の協力を得て、土地を無償で借りて整備し、開園する「借地公園事業」を積極的に実施しています。
 平成18年度は、既に0.72ヘクタールの土地を借り受けており、年度内に公園整備を行います。引き続き平成19年度も借地による公園整備を実施していく予定です。

質問事項
一の6 今後の都市計画手続きは、事業の具体性をしっかり担保する必要があると思うが、どうか伺う。

回答
 都市計画公園・緑地は、将来にわたり、良好な都市環境を確保するために必要な施設として都市計画決定するものであり、計画の決定に際しては、その実効性を確保する観点から検討を行っています。

質問事項
一の7 財務省の有識者会議は、国家公務員宿舎の移転・再配置と跡地利用に関する報告書を発表し、区部での売却処分を進めるとしている。廃止予定の国有地を公園用地として積極的に取得するよう検討すべきだが、どうか伺う。

回答
 国家公務員宿舎の跡地を都市計画公園・緑地として活用することについては、都、区市町合同で策定した「都市計画公園・緑地の整備方針」を踏まえ、地域状況や土地状況などに応じ、適切に対処していきます。

質問事項
一の8 みどりの新戦略ガイドラインで提案している民設公園は、これを理由に都市計画上の規制を超えた超高層建築物などを認めないこと、また、公立公園と同等に活用できることが不可欠だが、所見を伺う。

回答
 民設公園とそれに伴う建築物は、地元区市町が策定するいわゆる都市計画マスタープラン等のまちづくり計画と整合して計画されるものです。
 また、民設公園は、都市公園に準じた機能を有するものです。

質問事項
一の9 市の財政状況から見ても、都の市町村土木補助事業の制度見直しが急がれる。緊急に、都市公園事業に対する補助率を3分の1に引き上げ、それに伴い市の負担を軽減する必要があると思うが、見解を伺う。

回答
 都は、市町村に対する補助事業を通じて、公園等の整備促進とまちづくりの推進を図っています。
 これまでも、都市公園事業に対する補助金については、可能な限りその確保に努めてきましたが、今後も課題を抱えている都財政の状況を考えると、補助率の引き上げは困難です。

質問事項
一の10 都と区市町村が基準をさだめた公園用地の取得面積の種別分担の柔軟な対応が必要である。十万平方メートルを超えない場合でも都が率先して取得するなど、種別分担基準の再検討を行う必要があるが、答弁を求める。

回答
 用地取得を始めとした公園整備の事業化計画については、平成18年3月に現行の役割分担を踏まえ、「都市計画公園・緑地の整備方針」を都と区市町合同で策定したところです。
 この方針に基づき、公園ごとに明示された事業主体が、着実に整備を進めることが重要だと考えています。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
 一 障害者基礎年金支給対象外の障害者の自立について
 二 障害者の就労支援について
 三 障害者を取り巻く環境について

一 障害者基礎年金支給対象外の障害者の自立について
  現在、障害基礎年金については1級で年額99万100円、2級で79万2100円となっている。つまり障害基礎年金の受給判定で1・2級と判断されない者は「働くことができる」ということで、収入が無くなってしまうわけである。しかしながら、医師の診断書を基本情報として本人に面接もせずに行政が判断する場合もある上、医学的に障害程度が軽減されたからと言って、即就労が約束されるわけではない。概ね障害者とされる者において身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者福祉手帳の1から3級(又は1から3度)程度は障害基礎年金の1・2級に該当するという認識もあるが、両者が必ずしもリンクをしていないところに手続きや理解の上での複雑さがある。結果、就労していなくとも年金受給がなされないことも起こりうるのである。国の理屈として障害基礎年金の1・2級に該当しない障害者は全てが就労していると言えるのであろうか、はなはだ疑問である。やはり社会的・経済自立を含めた自立の可・不可によって判断すべきではないか。
  1 年金のしくみから、障害者年金1・2級該当以外の障害者は就労が可能ということになっていると考えるのが当然であるが、現状はどのようになっているのか。過去に調査したことがあるのか。あればその結果、就労割合はどの程度か。(自立が困難な賃金程度の作業所や授産所は除く)雇用率ではなく、障害者側から見た就職率で示していただきたい。
  2 1の結果で仮に就労していない場合は生活保護なのだろうか。収入の手段も調査結果となっているということであればその結果はいかがか。
  3 一方で、1級・2級にはその障害の内容によって就労が困難と確実視される者が多いと思われる。現状はどのようになっているのか。過去に調査したことがあるのか。あればその結果、就労割合はどの程度か。(自立が困難な賃金程度の作業所や授産所は除く)これも、雇用率ではなく、障害者側から見た就職率で示していただきたい。
  4 障害基礎年金の判断が医師の診断書を中心とした健康状態やADLだけによるものではなく、「就労がすぐにできる」と言うことを主軸に判定し、就労まで継続的に暫定的に経済的なことも含めた支援し続けるような仕組みにしなくては就労できない障害者の自立生活は不可能と思うが、現在そのようになっているのか。なっていなければ障害者の自立生活に支障が生じると思うがいかがか。
 二 障害者の就労支援について
  就労支援が今回の自立支援法の大きな目玉である。生活保護施策で財源を使ってしまうより、就労支援に投資できればその方が理想である。就労支援について伺う。
  1 都内で利用可能な就労支援目的の公的機関、施設は多数あるが、そのような機関・施設を用いて端的に障害者の就労への支援の流れを表現するとどのようになるか。
  2 ジョブコーチは障害者の就労支援者として大きな期待を寄せるものだが、ジョブコーチをはじめとして就労支援の専門職の充足割合は現在どのようになっているのか。
  3 ジョブコーチなどの就労支援の専門職はどのような手法で養成をしているのか。
  4 自立支援法の施行などを経て、現在企業の障害者雇用は現在どのような状況か。
  5 一般企業の障害者雇用促進のために行っている企業への働きかけは現在どのようなものがあり、経験から、どのような活動が効果的と推測されるか。
  6 今後の企業への働きかけの計画はどのようになっているのか。また、その活動に必要な予算はどの程度か。
 三 障害者を取り巻く環境について
 1 自立支援法になって小規模の通所授産施設を中心として、登録利用者の出席状況で事業所の収益も変動する。利用者の自立も課題だが、事業所の経営不安定から、そこで働く20歳、30歳の従業員の生活も人件費削減で危ぶまれると思われる。事業者側が「ワーキングプア」と称される低賃金労働者となりかねないと思われる。事業者の継続的な運営について東京都はどのように捕らえ、対応すべきと考えるか。
  2 都営住宅において、配偶者以外の居住の継承について厳しく条件が付与された。これは私も後半でメンバーとして参加した住宅政策審議会での議論に基づき改変したものであり、当初の入居者が低所得であってもその後の不当な親族間の継承を防ぐことで都営住宅によって生じかねない不公平感を是正するものである。その一方で社会的に不利な一定要件があれば継承を可能としている。しかし、その条件となる介護度や障害度数は最近のこの審議会では詳細に議論をしてはいない。この一定の緩和要件は障害者の1・2級のほか、精神障害者は1級までである。では、実際にそれ以外の障害者は簡単に住居を見つけ、契約までこぎつけるこができるのだろうか。つまり、就労し所得があるか、不動産業者や貸主と信頼を築くことができるほど障害が軽度であるか、ということである。特に精神障害者は2級程度では要療養であったり、就労不可の者も多いと聞いているので、要件に満たないとも考えられる。
    質問として2級程度の精神障害者を都市整備局はどのように評価しているのだろうか。また、2級程度では必ずしも民間賃貸不動産を借りる至るほどの軽度であるとも断言できないことから、要件の見直しも必要ではないかと考えるがいかがか。

平成18年第三回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 障害者基礎年金支給対象外の障害者の自立について
1 障害者年金一・二級該当以外の障害者の就労調査をしたことがあるのか。就労割合はどの程度か。自立困難な賃金程度の作業所や授産所を除く就労割合はどの程度か。雇用率ではなく、障害者側から見た就職率を伺う。

回答
 都はこれまで、障害基礎年金支給対象外の障害者に限定した就労調査を実施したことはありません。
 なお、平成15年度に、無作為抽出した都内の身体障害者、知的障害者及び精神障害者を対象に実施した「東京都社会福祉基礎調査」では、18歳以上60歳未満の障害者のうち、福祉作業所なども含めて、収入を伴う仕事をしている人の割合は、身体障害者で約52%、知的障害者で約65%、精神障害者で約31%となっています。

質問事項
一の2 仮に就労していない場合は生活保護なのか。収入の手段も調査していれば、その結果を伺う。

回答
 生活保護は、世帯を単位とする制度であり、この場合、障害者本人を含めた世帯構成員が稼動能力や資産を活用してもなお、世帯収入が保護基準に満たない場合には、保護の対象になります。
 なお、生活保護は、生活に困窮する方が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが要件とされています。

質問事項
一の3 一級や二級の障害者の就労調査をしたことがあるのか。自立困難な賃金程度の作業所や授産所を除く就労割合はどの程度か。雇用率ではなく、障害者側から見た就職率を伺う。

回答
 都はこれまで、障害基礎年金を受給している障害者に限定した就労調査を実施したことはありません。

質問事項
一の4 障害基礎年金の判断を就労を主軸に判断し、就労まで支援し続ける仕組みにしなければ、就労できない障害者の自立生活は不可能だが、現在そうなっているのか。なっていなければ自立生活に支障が生じると思うがいかがか伺う。

回答
 障害基礎年金制度は、障害によって生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止し、健全な国民生活の維持及び向上を目的としています。
 障害基礎年金の支給要件は、国民年金法に定められており、医師の診断による障害の程度と本人の病歴・就労状況等申立書に基づき、支給の可否を社会保険庁長官が決定することとなっています。

質問事項
二 障害者の就労支援について
1 都内で利用可能な就労支援目的の公的機関、施設は多数あるが、そのような機関・施設を用いて端的に障害者の就労への支援の流れを表現するとどのようになるか伺う。

回答
 障害者の就労支援については、職業相談、職業紹介を行うハローワークをはじめ、地域において就労支援と生活支援を一体的に行う区市町村障害者就労支援センター、職業訓練機関である障害者職業能力開発校などの就労支援機関が、相互に連携を図りながら取組を進めています。
 これらの就労支援機関では、障害者個々の状況により異なりますが、主に就労相談から始まり、障害特性による能力や適性に応じた就労支援計画の作成、就労トレーニング、職場実習体験等を経て、具体的な企業紹介を行い、就労に結び付けています。

質問事項
二の2 ジョブコーチをはじめとして、就労支援の専門職の充足割合は現在どのようになっているのか伺う。

回答
 都内において障害者の就労支援を行っている施設としては、地域障害者就労支援センター等33か所(平成18年4月1日現在)があり、各施設においては、それぞれの基準に従って就労支援の担当者が配置されています。
 なお、都では、平成20年度までの「障害者地域生活支援・就労促進3か年プラン」を策定し、都内の全区市において障害者就労支援センター等が整備されることを目指しています。

質問事項
二の3 ジョブコーチなどの就労支援の専門職はどのような手法で養成しているのか伺う。

回答
 ジョブコーチの養成については、国において、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が行ってきたところであり、障害者の就労支援業務の経験が1年以上ある方を対象として、9日間程度の研修を実施しています。
 都としては、各就労支援機関の職員向けのセミナー等を実施し、スキルの向上を支援しています。

質問事項
二の4 自立支援法の施行などを経て、現在企業の障害者雇用はどのような状況か伺う。

回答
 民間企業における障害者雇用の取組は年々拡大しており、平成17年度に都内ハローワークを通じて就職した障害者の数は、過去最高の3974人となりました。平成18年度も8月末までにすでに2000人の方が就職され、前年同時期を13%上回っています。特に、精神障害者については、32%の増となっています。
 東京労働局によると、都内に本社を有する民間企業における障害者雇用率は、平成17年6月1日現在で1.40%となっています。

質問事項
二の5 一般企業の障害者雇用促進のために行っている企業への働きかけは現在どのようなものがあり、経験から、どのような活動が効果的と推測されるか伺う。

回答
 都はこれまで、「障害者雇用促進ハンドブック」の作成・配布などを通じて、企業に対する障害者雇用の普及啓発を行ってきましたが、これに加え、障害者の職域拡大に向けた積極的な取組への支援が重要との観点から、平成18年度から「東京都障害者職域開拓支援事業」を創設しました。
 なお、国においては、障害者雇用促進法に基づき、法定雇用率を達成していない企業(常用労働者301人以上)から納付金を徴収すること等により、各企業での法定雇用率の達成を促進してきました。

質問事項
二の6 今後の企業への働きかけの計画はどのようになっているのか。また、その活動に必要な予算はどの程度か伺う。

回答
 都では、国や区市町村と連携・協力しながら、企業に対する障害者雇用の普及啓発や、職域拡大の働きかけなどを行ってきました。今後もこのような取組を引き続き実施し、企業における障害者雇用の取組を推進していきます。
 これらの事業に係る都における平成18年度予算は、合計で約2500万円となっています。
 また、国においては、ハローワークを通じて、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率を達成していない企業に「障害者雇入れ計画」を策定させるなどの指導を行っていますが、平成18年度から指導基準を厳格化し、今後も企業に対する働きかけを強めることとしています。

質問事項
三 障害者を取り巻く環境について
1 自立支援法になり、利用者の出席状況で事業所の収益も変動し、事業所の経営不安定から従業員の生活も危ぶまれる。事業者の継続的な運営について都はどのようにとらえ、対応すべきと考えるか伺う。

回答
 障害者自立支援法では、障害者が身近な地域でサービスが利用できるよう、施設の運営基準、施設基準及び運営主体などの規制緩和が実施されるとともに、定員を超えた利用も認められるなど、創意と工夫による効果的かつ効率的な運営が可能となっています。
 既に各事業者においては、新たな利用者の積極的な受入れや土・日曜日の開所により収入を確保するなどの取組が行われています。

質問事項
三の2 精神障害者二級では就労困難な者も多い。二級程度の精神障害者を都市整備局はどう評価しているのか。また二級程度では必ずしも軽度であると断言できず、継承要件の見直しも必要ではないかと考えるがいかがか伺う。

回答
 平成18年6月の東京都住宅政策審議会の答申では、「高齢者や障害者など特に居住の安定を図る必要がある者に配慮しながら、同居者による使用承継のさらなる厳格化を図るべき」としており、都としては「特に居住の安定を図る必要がある者」について、所得税法施行令において特別障害者として認められている範囲を、これまでどおり準用しました。
 したがって、精神障害者の二級の方でも、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合には、使用承継の対象となります。
 なお、精神障害者の居住の確保については、東京都防災・建築まちづくりセンターの見守りサービス等を内容とする「あんしん入居制度」及び、高齢者住宅財団の家賃債務保証制度があり、精神障害者の二級の方も利用できるようになっています。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 植木こうじ

質問事項
 一 「建築物の耐震改修促進計画」の策定にあたって

一 「建築物の耐震改修促進計画」の策定にあたって
 1 「耐震改修促進計画」の策定について
   いつおきるかわからない震災への供えは、とりわけ、東京は首都直下地震について「発生の切迫性」が指摘されており、ひとたび地震が発生するとその被害は甚大になることが予想されているだけに急がれています。特に、住宅など建物倒壊による死者数は阪神・淡路大震災でも全体の死者数の9割を占めていることに示されているようにその対策が急がれております。
    私ども日本共産党が、木造住宅やマンションの耐震診断・改修への積極的な支援策をと繰り返し求めてきましたが、今年度になってようやく木造住宅特別密集地域整備促進事業とマンション耐震診断助成に踏みきったことは重要です。しかし、あくまでも国制度の範囲内であり、全国的に耐震化率を75%から90%に引き上げようとしているとき、建築物が全国の中でも一番多い東京都にふさわしい取り組み、具体化になっておりません。
    国の「建築物の耐震改修の促進に関する法律」、いわゆる「耐震改修促進法」で都道府県に「耐震改修促進計画」の策定が義務付けられたことは重要です。都としてこの計画策定の中で実効ある具体化を行うために全力を尽くすことを求めるものです。
   ア 都として「耐震改修促進計画」策定に着手していることは承知しておりますが、「耐震改修促進法」では都道府県の計画策定について「すみやかに作成」となっているものの期限を決めておりません。直下地震の切迫性が叫ばれている東京としていつまでに計画を策定する予定なのか、明確にお答えください。
   イ 「耐震改修促進法」では、民間や公的住宅のみならず、百貨店や映画館など多くの住民が利用する建築物、公共的施設などについても耐震促進計画を立てることになっています。したがって、都市整備局の担当部局だけでなく、全庁的な協力はもちろんのこと区市町村を始め民間、専門家の協力が必要と考えるがどのような体制で検討をすすめているのか。また、その検討状況についてもお示しください。
   ウ また、区市町村では「耐震改修促進計画を策定することが望ましい」とされており、義務とはなっておりません。しかし、首都直下地震に備えるには区市町村での具体化は不可欠ですから、全区市町村からの意見集約を独自に行い東京都の計画に盛り込み、より充実したものにすべきではないでしょうか。併せてお答えください。
   エ 耐震促進計画の基礎になる現状についてですが、民間や公的住宅、百貨店など多くの住民が利用する建築物、公共的施設などの昭和56年までの旧耐震基準の建築物とそれ以降の建築物の棟数はどのような割合になっているのか、現状を明らかにしてください。
   オ 「耐震改修促進計画」を立てた場合、これほど都民的に関心があり、重要なものである一方で、診断・改修共に多くの費用がかかるなど多くの都民・関係者の協力が不可欠です。それだけに都民の幅広い意見を求めるあらゆる努力すべきと思うがどうか。
  2 木造個人住宅の耐震補強について
   「建築物の耐震改修促進計画」の策定に当たり、民間や公的住宅のみならず、百貨店や映画館など多くの住民が利用する建築物、公共的施設などの具体的整備をどう進めるかが重要になってきます。
    木造個人住宅の耐震補強は倒壊被害や火災の発生する危険などからいっても対策が急がれています。
   ア 今年度から始めた20区にわたっている木造住宅密集地域の整備地域では、震災時に倒壊の危険性が高い建物が多く、その耐震化具体化にあたって行政の特別支援が必要な住宅が多いのが実情です。耐震診断・改修事業の区での具体化と進捗状況、その見通しはどうか。
   イ また、多摩地域では木造住宅密集が多く存在しているにもかかわらず、「防災都市づくり推進計画」で重点整備地域指定がないためにこの面での取り組みはまったく行われておらず、多摩市長会からも要望がだされています。多摩地域の木造住宅密集地域にも耐震化事業をおこなうよう求めます。併せてお答えください。
   ウ 都は「住宅の耐震化は、所有者によって行うことが基本」ということで「震災上公共性が高い地域に限定」した木造住宅密集地域の整備地域に限定していますが、木造住宅72万戸のうちわずか3パーセントにすぎません。
     静岡県では専門家の診断結果が「倒壊、又は破壊の危険がある」との診断された場合は補助の対象にしていますが、都は、旧耐震基準の一般の戸建て木造住宅についてこれまでなんの対策もありません。私の地元の中野区では、一軒一軒担当者が訪ねて無料の簡易診断など普及を図ってきました。簡易診断を行った985件のうち耐震強度1.0以下が883件にも及んでいるにもかかわらず、補強工事につながったのは78件で、多くが高齢者世帯が多い、財政的な余裕がないなど耐震診断にも踏み切れないなどの実態が明らかになっています。こうした戸建木造住宅の実態を調査し、一般の戸建て木造住宅についても耐震診断・改修助成を行うべきではないでしょうか。
    同時に、進まない原因の一つに改修後、耐震強度が1以上になることが求められておりますが、神戸市では住宅が倒壊しない程度の小規模の補強も助成の対象にしています。神戸市の担当者は耐震の「評点が1未満で住宅が多少壊れても、すぐに倒壊しなければ逃げることはできる。建物を守るのではなく『命を守る』ため」と語っています。
   エ 都としても、財政が大変で抜本的な改修ができないが、居間や寝室など一定の負担で行える部分的な改修、或いは簡易な部分補強なども対象にすべきと考えますが、どうですか。それぞれ、お答えください。
   オ さらに、木造共同住宅、木造アパートなどの賃貸もしくは共同住宅の対策です。現在、旧耐震基準で何らかの耐震補強が必要とされる木造賃貸住宅は、都内に21万棟以上も残されています。その多くは個人が経営するもので、改善は進んでいません。都としても、既存不適格といわれる旧耐震基準時代の木造賃貸住宅の耐震診断、耐震補強を促進する仕組みづくりに踏み切ることが急がれていると思いますが、どうでしょうか。
  3 マンション耐震診断・耐震改修の促進について
   東京都の分譲マンションは全国の中でも一番割合が高い上に、築30年以上たっているマンションや旧耐震基準のマンションが建て替え、あるいは大規模改修の時期を迎えており、震災対策の必要性が極めて大きくなっています。
   ア 今年度からマンション耐震診断事業を始めましたが、区市町村での具体化が進んでいないのが現状です。9月に中野区が実施すると発表しましたが、区市町村での協力がなければ住民は受けられないことになります。区市町村での実施状況は23区と市町村では実施状況がおおきな開きがでていると聞いております。財政的に大変との声が上がっていると聞いているが、都としての支援策を講じるべきと考えますが、どう考えていますか。
   イ マンションの耐震改修については、診断の結果が建替えや大規模改修費用がかさむ可能性があればあるほど住民の合意をうるのが大変になります。現実に旧耐震基準の建物は建設年度が古ければ古いほど資金の積み立てが不十分の所が多く、住民の年齢差や資金力、個々人の将来展望などの違いがあり合意が難しくなるケースが多くなります。したがって、耐震補強工事への支援策が現在のリホームローンの制度を使って1%利子補給を行うとしていますが、この事業を始めてからの応募実績がわずか4件にとどまっていることを考えれば実際の耐震化促進は見通しが立ちません。
     これまでも繰り返し求めてきましたが、耐震化に向けての合意、計画的な財政確保などマンション管理組合への啓発を行うと同時に、「耐震改修促進計画」策定の中でマンション耐震改修工事への助成を講じることを明確に位置づけるべきと考えますが、いかがですか。それぞれお答えください。
  4 公共施設、とりわけ都営住宅や学校施設の耐震化について
  ア 「耐震改修促進計画」を策定する上で、公共施設の耐震化は特に多くの都民が住んで直接都が管理している都営住宅や公社住宅、震災時に子どもたちの安全を守るだけでなく、住民の避難場所・応急対応としての役割を持っている学校施設などの耐震化は不可欠です。こうした公共施設の耐震化率の目標は90%ではなく100%にすべきではないでしょうか。
   イ 都営住宅や公社住宅では、わが党の指摘にもかかわらず、ピロティ方式の住宅など一部を除いて目視による簡易な診断で済ましてきた住宅が多数あります。
     東海地震に備えて耐震化にいち早く取り組んできた静岡県では全県営住宅で2004年までに耐震診断を完了させて改修に取り掛かっております。
     都として、都営住宅や公社住宅について耐震改修を急ぐ必要がありますが、耐震診断を一刻も早く行うとともに耐震改修の計画をお示しください。
    公立学校の耐震化への支援の問題です。
    児童生徒の急増期に伴い建設された学校も多く、新耐震基準に適合していないだけでなく老朽化が進んでおります。震災防災対策特別措置法で補助率2分の1と5年間の延長は示されたものの、区市町村では一般財源の持ち出しが多くなり具体的には進まないのが実情です。
   ウ 国に対して補助単価の拡充を求めると同時に、計画期間内の10年間で実現できるようにするためにも急増する需要に応えられるよう区市町村に対して都としての独自補助制度を創設するよう求めます。併せて、お答えください。

平成18年第三回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 「建築物の耐震改修促進計画」の策定にあたって
1 「耐震改修促進計画」の策定について
ア 耐震改修促進法では、都道府県の計画策定について期限が決められていない。直下地震の切迫性が叫ばれている東京としていつまでに計画を策定する予定なのか、答弁を求める。

回答
 耐震改修促進計画については、現在作業中であり、早急に策定していきます。

質問事項
一の1のイ 民間や公的住宅のみならず、百貨店など多くの住民が利用する施設や公共的施設も耐震改修計画を立てることになっている。どのような体制で検討を進めているのか、また、その検討状況についても伺う。

回答
 耐震改修促進計画の策定に当たっては、関係各局、区市町村の代表者からなる検討会において検討を進めています。
 また、民間建築物の所有者や建築関係団体と耐震化に関する連絡会を設けて、意見交換を行っています。

質問事項
一の1のウ 区市町村では義務とはなっていないが、首都直下地震に備えるには、全区市町村からの意見集約を独自に行い都の計画に盛り込み、より充実したものにすべきだが、答弁を求める。

回答
 都は、区市町村と耐震化に関する協議会を設けています。
 耐震改修促進計画の策定に当たっても、この協議会等を活用して、区市町村の意見を計画に反映させていきます。

質問事項
一の1のエ 民間や公的住宅、百貨店など多くの住民が利用する建築物、公共的施設などの昭和56年までの旧耐震基準の建築物とそれ以降の建築物の棟数はどのような割合になっているのか、現状を伺う。

回答
 耐震改修促進計画の対象となる建築物は、昭和56年以前に建築された、旧耐震基準の住宅及び百貨店、病院等の特定建築物などであり、その棟数については、現在区市町村を通じて調査中です。

質問事項
一の1のオ 耐震改修計画は重要だが、診断・改修共に多くの費用がかかるなど多くの都民・関係者の協力が不可欠である。都民の幅広い意見を求めるあらゆる努力をすべきだが、答弁を求める。

回答
 耐震改修促進計画については、都民、区市町村、関係団体の意見を聞きながら計画を策定していきます。

質問事項
一の2 木造個人住宅の耐震補強について
ア 木造住宅密集地域の整備地域では、耐震化具体化にあたっての行政の特別支援が必要な住宅が多い。耐震診断・改修事業の区での具体化と進捗状況、見通しについて伺う。

回答
 住宅の耐震化は、自助・共助・公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本ですが、建物の倒壊による道路閉塞を防止するなど、震災対策上公共性が高い地域の住宅については、耐震化の促進を図るため、耐震診断・耐震改修に関する助成事業を平成18年4月から開始しています。
 この制度は、区と連携して実施することから、助成制度を設けた区が、平成17年度の9区から18区に倍増するなど、区の取組も強化されています。
 現在、関係区と協力して、耐震診断・耐震改修の実施を住民に働きかけるなど、制度の周知を進めています。

質問事項
一の2のイ 多摩地域では、木造住宅密集が多く存在しているが、重点整備地域指定がなく、多摩市長会からも要望が出されている。多摩地域の木造住宅密集地域にも耐震化事業を行うよう求める。答弁を求める。

回答
 都の助成制度は、都内にある木造住宅密集地域の中でも、危険度が高く、震災時に甚大な被害が想定される「整備地域」を対象としています。
 多摩地域については、行政連絡協議会等において、国の補助制度の活用について情報提供するなど、今後とも市町村の耐震化事業を支援していきます。

質問事項
一の2のウ 戸建て木造住宅の実態を調査し、一般の戸建て木造住宅についても耐震診断・改修助成を行うべきではないか。答弁を求める。

回答
 住宅の耐震化は、自助・共助・公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本です。
 都としては、安価で信頼できる耐震改修工法の展示や施工業者に関する情報提供などを実施しています。

質問事項
一の2のエ 都として、居間や寝室など一定の負担で行える部分的な改修、或いは簡易な部分補強なども助成対象にすべきだが、答弁を求める。

回答
 住宅の耐震化は、自助・共助・公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本です。
 都では、既に、安価で信頼できる耐震改修工法や、地震から生命を守る装置を広く都民に紹介するなど、都民が多様なニーズに応じた工法等を選択し、安心して耐震化に取り組めるよう情報提供などを実施しています。

質問事項
一の2のオ 都として、既存不適格といわれる旧耐震基準時代の木造賃貸住宅の耐震診断、耐震補強を促進する仕組みづくりに踏み切ることが急がれている。答弁を求める。

回答
 住宅の耐震化は、自助・共助・公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本ですが、建物の倒壊による道路閉塞を防止するなど、震災対策上公共性が高い地域の住宅については、耐震化の促進を図るため、耐震診断・耐震改修に関する助成事業を平成18年4月から開始しています。
 この助成制度では、一戸建ての住宅のほか、長屋、共同住宅も対象になっており、木造賃貸住宅も含まれています。

質問事項
一の3 マンション耐震診断・耐震改修の促進について
ア 今年度からマンション耐震診断事業が始まったが、23区と市町村では実施状況に開きがある。財政的に大変だと聞いているが、都としての支援策を講じるべきである。答弁を求める。

回答
 平成18年4月から新たに耐震診断について助成を開始したところであり、区市町村や関係団体などとともに、管理組合に対し、こうした制度の活用を幅広く働きかけていきます。

質問事項
一の3のイ 耐震化に向けての合意、計画的な財政確保などマンション管理組合への啓発を行うと同時に、耐震改修促進計画策定の中で、マンション耐震改修工事への助成を講じることを明確に位置づけるべきだが、答弁を求める。

回答
 都では、平成17年度発行したマンション管理ガイドラインのなかで、耐震化の必要性や管理組合による耐震化に向けた取組方法を解説するとともに、マンション耐震診断助成事業のPRなどを通じ、管理組合への普及を図っています。
 また、自助・共助・公助の原則を踏まえ、耐震改修促進計画を検討していきます。

質問事項
一の4 公共施設、とりわけ都営住宅や学校施設の耐震化について
ア 都営住宅や公社住宅、学校施設などの耐震化は不可欠である。こうした公共施設の耐震化率の目標は90%ではなく100%にすべきではないか。答弁を求める。

回答
 公共建築物等の耐震化率の目標については、国の基本方針、防災上の位置付けなどを踏まえ、適切に検討していきます。

質問事項
一の4のイ 都営住宅や公社住宅では、目視による簡易診断で済ませた住宅が多数ある。耐震診断を一刻も早く行うとともに、耐震改修の計画を示すべきである。答弁を求める。

回答
 都営住宅及び公社住宅においては、阪神淡路大震災の被害状況を踏まえ平成8年に専門家により作成した耐震に関する指針に基づき、震災で被害の目立った一階がピロティなどの住宅について耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を実施してきました。
 今後、耐震診断及び耐震改修については、耐震改修促進法の改正を踏まえ、現在策定中の耐震改修促進計画の中で、位置付けていきます。

質問事項
一の4のウ 公立学校の耐震化に関し、国に対し補助単価の拡充を求めると同時に、計画期間内で実現できるようにするため、区市町村に対して都としての独自補助制度を創設するよう求める。答弁を求める。

回答
 公立小・中学校施設の耐震改修については、設置者である区市町村において国の助成制度も活用しながら進められており、都として、独自の補助を行うことは困難ですが、国に対して、区市町村が計画する耐震改修等の工事が予定どおり実施できるよう、必要な財源の確保について引き続き要望していきます。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松村友昭

質問事項
 一 スポーツ振興について

一 スポーツ振興について
  いま、自治体としての都政に求められているのは、オリンピックをてこにした大型開発ではなく、東京において最も鋭く現れている格差社会の矛盾と痛みから、都民の暮らしと営業を守ることです。
   また、スポーツにおいても、オリンピックより、おきざりにされてきた本来の都民のスポーツ振興、すなわち、だれもが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しめる環境づくりを都民は切実に求めています。
   ところが、都民をとりまくスポーツの現状はどうでしょうか。
   私は、先日、スポーツ関係者から、「最近サッカーをやっている青年が『フランスに行って、東京との違いにびっくりした、やる場所を探すなどという苦労はまったくない』との便りをくれたが、東京では、どのスポーツをやるにも場所がない、何ヶ月もまえに申し込んでも抽選で、何倍、何十倍となって場所が確保できない。また、利用料が年々上がっていく、東京体育館のプールはわずか2年で倍の利用料になってしまった。何とかしてほしいというのがスポーツマンの切実な願いだ」との切実な訴えを聞きました。
   あらためて、調べてみますと、現在、都内の社会体育施設数は、ヨーロッパの諸外国の都市に比べて格段と少ないばかりか、国内でも人口の割合で見ると、47都道府県中、東京は45番目。2000年から2006年の間、都内の区や市は社会体育施設数を増やしている中で、都立施設は178箇所から137箇所に、面数では427面から374面と減らしているのです。
   都教育庁のスポーツ関係予算は、1999年度の50億円余が、2005年度は17億円余に、都立体育施設運営委託費は同じ6年間に30億円余から11億6000万円余に激減し、都立施設整備費も全く見られていないという状況が明らかになりました。
  1 このように東京都のスポーツ環境の現状が、世界の諸都市ばかりか、国内との比較でも、スポーツ施設やスポーツ予算が貧弱なうえ、むしろ、石原知事になって後退させている現状について、どう認識されていますか。見解をうかがいます。
   石原知事は、第3回定例都議会の所信表明で、オリンピックに向けてのスポーツ振興として、東京大マラソンや東京国体の開催、また、旧・都立秋川高校の活用による、ハード、ソフト両面からのアスリート育成の支援策をうちだしました。
   しかし、オリンピックを言うならば、都の課題は、IOCがかかげるオリンピック原則、すなわち「スポーツを行うことは人権のひとつ」であり、「各個人はスポーツを行う機会をオリンピック精神に則りいかなる差別もなく与えられなければならない」との定めを実現し、住民を主体とした地域スポーツの発展、スポーツ振興都市づくりの土台をしっかりつくることではありませんか。
   オリンピック基金1000億円の一部を活用するだけでも思い切ったスポーツ施設の整備や振興が可能です。
   身近なスポーツ施設の整備にとって、区市町村のはたす役割は重要ですが、そのためにも東京都の支援が欠かせません。私の住む練馬区を例にとっても、光が丘のスポーツ施設や旧中央大学のグランド跡地の取得等、すべて都の財政的支援があったからこそ、今では貴重なスポーツ施設が確保されました。
  2 スポーツ整備のあらたな区市町村支援について、制度化などを含めた都の見解をうかがいます。
  3 とりわけ、財政力の弱い多摩市町村への支援は緊急を要します。多摩国体についての支援策が打ち出されましたが、用地取得を含めた補助率引き上げなど、さらに抜本的な支援が必要です。見解を求めます。
   オリンピックレガシー(遺産)が重要とされながら、1964年の東京五輪会場としての役割を発揮した駒沢オリンピック記念公園陸上競技場の観覧席には、多数のひび割れが生じています。屋内競技場の改築も手がつけられておらず、大地震等の危機対応からも放置されています。都内でも数少ない硬式野球場が小雨でもグランドが水浸しとなって使えないなどというのが現状です。
  4 こうした、老朽施設などをただちに改善すべきだと思いますが、見解を伺います。
   また、今回、福岡市と国内選考を競う中で、東京には、国際大会が出来る施設が不足していることも露呈され、こうした施設の整備の必要が明らかとなりました。1964年のオリンピックに際し、多くの施設が建設されながら、その後、競技の発展に見合った施設の拡充や必要な整備などが行われずに、今日に至ったことによるものです。この教訓からも、オリンピックという一過性の施設整備ではなく計画的にすすめることが必要です。
  5 都として、国と連携し予算を確保し、計画的、段階的に整備を進めるべきだと考えますが、見解を伺います。
   トップアスリートへの医学的なサポートはもとより、先端技術を駆使した施設・整備の提供や各種教育・研修活動、ライブラリーの整備、インターネットによる情報提供などを行う、スポーツ医学センターが日本でも自治体レベルで整備されています。既に14府県と横浜市には2つのセンターがありますが、東京にはありません。
  6 東京でも検討すべきではないかと思いますが、それぞれ見解をうかがいます。
   何よりも重要なことは、スポーツ振興の計画化とそれにもとづく具体的なとりくみです。
   東京都は、スポーツ振興法に基づき、2002年度に「東京都スポーツビジョン」を策定して、今後この基本計画にもとづき、スポーツ振興の具体的な計画をつくるとしながら、財政が厳しいからと言って棚上げにしていることです。
   この間、都スポーツ振興審議会では、「毎年一律10%削減という言葉だけが非常に重くのしかかって気持ちまでが萎縮していく」との意見も出されており、本当に胸の痛みを感じます。その審議会も本年度はまだ一度も開かれていません。
  7 ただちに審議会を開き、スポーツ振興の具体的な実施計画をつくるべきではありませんか。
  8 都民の自主的なスポーツ団体への支援も重要です。スポーツ団体への財政支援の復活、大会開催への会場使用や減免措置の堅持・拡充を進めるべきです。答弁を求めます。
   障害者のみなさんが、身近な地域でスポーツを楽しめる条件整備も重要です。
   区市町村などの施設では、車椅子のバスケットをやりたくても体育館の床がいたむなどの理由でほとんど使えません。障害者スポーツにくわしい指導員もいません。
   このため、大都市東京で、障害者が安心してスポーツに親しむことが出来るのは、東京都障害者スポーツセンターと多摩障害者スポーツセンターの2ヶ所しかありません。諸外国にくらべ、あまりにお粗末です。
  9 このような障害者スポーツの現状をどう認識していますか。区市町村や関係団体と連携して、さまざまな障害のある人たちが、身近な地域でスポーツに親しむことができる条件整備を推進することが急務だと思いますが、答弁を求めます。
  10 障害者が利用しやすい施設整備、専門指導員やボランティアなどの人材育成、都立スポーツ施設、養護学校の体育施設を障害者スポーツに開放すること、都と区市町村、関係団体で障害者スポーツの振興策に関する協議会を設置し、都として障害者スポーツ振興実施計画を策定すべきです。見解を求めます。

平成18年第三回都議会定例会
松村友昭議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 スポーツ振興について
1 世界の諸都市ばかりか国内との比較でも、スポーツ施設やスポーツ予算が貧弱なうえ、むしろ石原知事になって後退させている現状についてどう認識しているか、見解を伺う。

回答
 東京のスポーツ振興については、広域行政の立場から、区市町村や民間などとの適切な役割分担のもと、都民が安全かつ快適にスポーツを実践するための条件整備や諸事業の実施に必要な予算措置を行っています。
 今後とも東京のスポーツ振興に向けて、必要な施設整備や事業実施に努めていきます。

質問事項
一の2 身近なスポーツ施設の整備にとって区市町村の役割は重要である。スポーツ整備のあらたな区市町村支援について、制度化などを含めた都の見解を伺う。

回答
 スポーツの振興のためには、身近な地域に日常的なスポーツ活動の場を確保することが重要です。
 都教育委員会では、国に対して、スポーツ施設整備のための国庫補助制度の拡充を要請しています。

質問事項
一の3 財政力の弱い多摩市町村への支援は緊急を要する。多摩国体についての支援策が打ち出されたが、用地取得を含めた補助率引き上げなど、さらに抜本的な支援が必要である。見解を伺う。

回答
 平成25年の東京国体は、多摩島しょ地区を中心に開催します。
 平成18年8月には、区市町村及び競技団体に対する会場地の希望本調査を実施するに当たり、区市町村が総合的に判断できるよう、都としての財政支援の考え方を示しました。
 競技施設については、既存の施設を最大限活用することとした上で、国体を都と区市町村が共同で開催することなどを考慮し、施設整備に係る補助について、補助率2分の1、上限額を原則1億円、特例3億円としました。
 これにより、国体で実施する競技に必要な施設整備が図られると認識しています。

質問事項
一の4 駒沢オリンピック記念公園陸上競技場や屋内競技場、硬式野球場などの老朽施設などをただちに改善すべきだが、見解を伺う。

回答
 駒沢オリンピック公園総合運動場では、平成18年度から、陸上競技場の大規模改修及び硬式野球場の管理棟改築工事を実施しています。
 今後とも、利用者が安全かつ快適に利用できる施設とするため、体育施設の整備に努めていきます。

質問事項
一の5 東京には、国際大会ができる施設が不足しており、施設整備が必要である。オリンピックという一過性の施設整備でなく、都として国と連携し予算を確保し、計画的、段階的に整備を進めるべきだが、見解を伺う。

回答
 都立スポーツ施設は、国際大会も開催できる広域的施設としての機能を有することが重要であり、その整備については、大規模大会開催のための施設需要や都民のスポーツニーズ、財政の見通し等を勘案し、総合的に検討する必要があります。
 また、国に対して、スポーツ施設整備のための国庫補助制度の拡充を要請しています。

質問事項
一の6 トップアスリートへの医学的サポート、先端技術を駆使した施設・整備の提供などを行うスポーツ医学センターが自治体レベルで整備されている。東京でも検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 ジュニア層からのトップアスリートの育成・強化については、スポーツ医科学のサポート体制を整備し、継続的に事業を実施していくことが重要です。
 都教育委員会は、2013年の東京国体や、2016年のオリンピック開催に向けて、関係機関との連携を図っていきます。

質問事項
一の7 2002年度策定の東京都スポーツビジョンでは、スポーツ振興の具体的計画をつくるとした。ただちに都スポーツ審議会を開き具体的な実施計画をつくるべきではないか。答弁を求める。

回答
 都教育委員会は、平成14年度に都のスポーツ振興計画である「東京スポーツビジョン」を策定した後、平成16年度には東京都スポーツ振興審議会から、今後の具体的な取組についての提言(『「東京スポーツビジョン」の実現に向けた今後の取組について』)を受けています。
 この提言を踏まえ、今後も地域スポーツの振興、競技力の向上、競技人口の拡大、学校運動部活動の振興など、スポーツ振興の計画的な推進を図っていきます。

質問事項
一の8 都民の自主的なスポーツ団体への支援も重要である。スポーツ団体への財政支援の復活、大会開催への会場使用や減免措置の堅持・拡充を進めるべきである。答弁を求める。

回答
 現在、都教育委員会では、大規模なスポーツ大会開催に当たっての後援や共催名義の使用承認、都立体育施設の優先的な使用申込みや利用料金の減額、免除などにより、スポーツ団体の活動を支援しています。
 なお、施設の使用申込みや利用料金の減額、免除については、「東京都体育施設条例施行規則」に規定した内容で各施設の指定管理者と協定を締結しており、今後も引き続き適切に対応していきます。

質問事項
一の9 区市町村や関係団体と連携して、さまざまな障害のある人たちが、身近な地域でスポーツに親しむことができる条件整備を推進することが急務だが、答弁を求める。

回答
 障害者がスポーツを行うことは、障害者本人の健康増進と社会参加を図る上で有意義であるとともに、スポーツを通じた交流は、障害に対する理解を深める契機になると考えます。
 区市町村においては、障害者が気軽にスポーツを楽しめるよう、身近な体育施設等で、障害者対象のスポーツ教室や市民とのふれあいスポーツの集いなどを行っています。
 都としては、社団法人東京都障害者スポーツ協会と協力して、障害者スポーツ指導員の現任研修やスポーツボランティアの養成講習会など、区市町村の人材育成に努めています。

質問事項
一の10 障害者が利用しやすい施設整備、専門指導員などの育成、都立スポーツ施設、養護学校体育施設の開放、都と区市町村、関係団体による協議会を設置し都として障害者スポーツ振興実施計画を策定すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、障害者のスポーツ・レクリエーション活動の振興と社会参加の促進を図るため、東京都障害者スポーツセンターを設置しています。
 障害者団体、スポーツ団体等の代表からなる同センターの運営懇談会において、障害者スポーツに関する人材育成、スポーツ環境の整備、障害者団体の活動への支援など、障害者スポーツ振興を協議し、その実現に向けて取り組んでいます。

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大山とも子

質問事項
 一 プールの安全対策について
 二 孤独死対策について

一 プールの安全対策について
  埼玉県ふじみ野市の市営プールで、小学校2年生の女児が流水プールの吸水口に吸い込まれ死亡した事故は、大きな衝撃と悲しみを日本中に広げました。
   この事故に関しては、市が指定管理者制度のもとで業者に管理を委託し、その業者が下請けに丸投げするという、やってはならないことをしていたこと。またそのようなずさんな実態を市や埼玉県もチェックできなかったことなど、効率化を優先する「官から民」への民営化路線の誤りが背景にあると指摘せざるをえませんが、いかなる状況の下でも、このような事故は決して起こしてはなりません。
   報道では、国は関係省庁が内閣官房を中心に、新たにプールの安全基準を作成し年内にまとめるとしていますが、都としても今回の事故を教訓として、プールの安全対策についてより積極的な対応をとるべきではないでしょうか。
   そこで、プールの安全対策について、主に三点にわたって指摘し、随時質問します。
   第一は、プールの構造と設備の問題です。
   今回のふじみ野市の流れるプールの事故は、本来ボルトで固定されているべき吸水口の蓋が、針金でとめてあるだけで、その針金が腐食し切れてしまい蓋がはずれ、その部分から一気に吸水口に吸い込まれたというものです。
  1 蓋のボルト固定化や二重蓋は構造上最低限すべきことではないでしょうか。
  2 また流れるプールは、とりわけ強い力で吸水口に水が吸い込まれていきます。よって遊泳区域と吸い込み口の間の緩衝部分を充分にとるなど、遊泳者が吸い付けられないような構造をもうけるなど安全基準を検討すべきです。
   またプールの事故は、流れるプールに限りません。水を循環浄化するための吸水口がありますが、かつて青梅市立の小学校でプールの授業中に、その吸水口に吸い込まれ溺死するという事故がありました。実際、日本体育協会によると、65年から04年の間にプールの吸排水口事故は少なくとも59件発生し、54人が死亡しています。
  3 吸い込み口は水流が緩やかになるように広くとるとか、蓋の構造をフラットではなく、半球状にするなどして水の通り道を作り吸水圧が身体全体にかからないようにし、吸い寄せられても貼りつかないような構造にすることを義務付けるべきではないでしょうか。
   第二は、設備の点検体制の強化についてです。
   ふじみ野市の事故では、吸水口の蓋がボルトで固定化されているべきものがおろそかにされていました。まさにずさんな管理による「人災」と言わざるをえません。また今回の事故を受けて、都でもいっせい点検がおこなわれましたが、きちんと調査されず、あらためて点検しなおしたという経過もありました。
  4 プールの吸水・排水口及び循環水取入口の蓋や金網が常に正常であるかどうか点検すること、とくに使用している期間は連日実施や、メンテナンスも最優先で行うことなどを義務づけることを明確にすべきではないでしょうか。
   第三は、監視員や救護員態勢の強化についてです。
   ふじみ野市の事故では、危険と隣り合わせのプールであるにもかかわらず、監視員等の位置づけや教育などが、まったく軽視されていたことが明らかになりました。監視員は吸水口の蓋の脱落に気づいていても、起流ポンプを停止させたり、遊泳を中止させることはしませんでした。実際に、監視業務にあたっていたアルバイトの監視員は、蓋の外れていることの重大さについて理解できなかったからです。ポンプを停止できる現場責任者は、監視員からの報告を受けたあとも、客に注意を呼びかけることもしませんでした。
  5 プールの安全管理についても、現場責任者やスタッフ、監視員の教育研修と、監視員や応急救護の訓練を受けた救護員の相当数の配置を義務付けること。また関係団体などとも協議し、監視員や救護員の資格などについても検討することを求めます。
  6 救護員、監視員の名簿、資格の有無について、定期的に報告を義務付けるようにすべきです。
   現在東京都内には、学校のプールをはじめ、都立や区市町村立の社会教育でのプール、民間でも遊園地やフィットネスクラブ内のプール、スイミングクラブのプール、ホテルのプール、個人宅や集合住宅のプールなどさまざまなところにプールがあり、夏だけに限らず1年中利用されているところも増えています。形態も競技用プール、流水プールだけでなくさまざまな形態のプールがあります。これらのプールの構造及び維持管理については、「公衆衛生上の向上と安全の確保」として「プール取り締まり条例」が適用されています。
   しかし条例は、福祉保健局の所管で、環境衛生面が強く、プール事故からの安全確保については「排水口および循環水取入口には堅固な金網、鉄格子を設けること」とだけなっており、規則においても「貯水槽内排水口及び循環水入口の金網、鉄格子等は容易に移動できないようにするとともに、これらが常に正常な位置にあることを確認する」となっているだけです。
  7 前述のような、構造・設備面、安全点検体制、人員の質的向上と配置などの対応について、都条例を改正し、補強することが必要と考えますが答弁いただきたい。
  8 指定管理者制度になり、公営プールへの自治体の管理・安全対策への責任があいまいになり、事故の要因を発見し改善するうえでの障害になりかねません。プールについては直営に戻すことを検討すべきです。
  9 また、条例の整備とともに、これらのことが、常に遵守されているかどうか、東京都としても、常に点検、指導する体制を確立すべきですが、答弁いただきたい。
 二 孤独死対策について
 (基本認識)
  団地の一室等で、だれにも看取られることなくひっそりと亡くなり、死後何日もたってから発見される孤独死が相次いでいます。
   都監察医務院の資料によると、ひとり暮らし高齢者で死因がわからず検案(解剖)された件数は、23区で、1994年の1049件から、2003年には1959件に、10年間で倍増しています。東京の高齢化率は今後上昇し、大都市の特性として、ひとり暮らしや高齢者のみ世帯が、いっそう増えていきます。また、地域の結びつきが弱く、密室性の高い団地やマンションに住む人が多いことも東京の特性です。また、高齢者だけでなく中高年の孤独死も少なくないと、報告されています。
  1 東京における孤独死対策の重要性を、都としてどう考えているのか伺います。
   厚生労働省は、来年度予算概算要求で、「孤独死ゼロ・プロジェクト」(1.7億円)を新規事業として計上しました。また、新宿区は区独自に、全庁的な孤独死対策連絡会議の設置をはじめとした総合対策をスタートしています。
  2 都としても、孤独死対策にふみだす必要があると思いますが、どうですか。
  (実態把握)
  孤独死対策にとりくむうえで、正確な実態把握が必要です。しかし、現状では「孤独死」の定義も明確となっていません。また、定義づけを明確にしていくための基礎的な研究の蓄積も十分なものとはいえません。
  3 都の老人総合研究所と監察医務院が連携することなどにより、「孤独死」の定義や、実態把握の効果的な方法等に関する調査研究をおこなうことを提案するものです。答弁を求めます。
  4 また政府に対し、全国統一の孤独死の実態調査を実施するよう要請することも必要だと考えますが、見解を伺います。
  (全庁体制の整備)
 5 総合的な孤独死対策にとりくむため、福祉・保健、地域づくり、住宅、あるいは水道使用状況による「みまもりサービス」実地試験を開始した水道局をはじめ、関係局が連携した全庁的体制を整備する必要があると思いますが、どうですか。
   知事本局は今年度、地域力向上方策検討委員会を立ち上げ、企業、NPO、区市町村と、「地域力」のおもな担い手である自治会・町会などの連携を図る仕組みを検討し、来年度にモデル事業を実施するとしています。孤独死対策のうえでもカギをにぎるのが地域力であることは、ひろく指摘されているところです。
  6 「地域力向上」を目的とした検討委員会を立ち上げて仕組みづくりの検討をおこない、モデル事業を実施するのであれば、その中で、孤独死対策についても明確に位置づけることを提案するものですが、答弁を求めます。
  (コミュニティ行政の推進)
  孤独死の予防や早期発見のためにも、また、防災、防犯のためにも、地域コミュニティの再生・強化にとりくむことが重要です。ところが都は、01年4月に生活文化局のコミュニティ文化部を廃止し、それ以来、コミュニティ行政を所管する局がない状態がつづいています。
  7 都は、コミュニティづくりへの支援はもっぱら区市町村の役割だとしていますが、都と区市町村が連携し、一体となって知恵と力をつくすことが必要です。大都市特有の困難さがあるもとでコミュニティづくりを進めるため、都としてのコミュニティ行政にあらためてとりくむことを提案するものですが、どうですか。
  (見守りネットワークの整備)
 8 都は、地域住民、団体等が協力員・協力機関として登録し、ひとり暮らし高齢者等の身近な相談窓口となり、見守りや声かけ等をおこなう高齢者地域自立支援ネットワーク緊急整備事業を、03から05年度の3年間実施し、11区13市でネットワークが整備されました。また、このほか6区5市(04年3月調査)が、同事業によらず独自に地域での見守り等のネットワークづくりをおこなっています。今後さらに、全区市町村での見守り等のネットワーク整備に向け、都として支援をおこなうことを求めるものですが、見解を伺います。
  (地域包括支援センターの活用)
  03から05年度に実施した高齢者地域自立支援ネットワーク緊急整備事業では、援助が必要な高齢者を早期に発見し、その情報を在宅介護支援センターに提供し、在宅介護支援センターは、その情報をもとに生活状況や保健・福祉サービスのニーズ等実態把握をおこない、自立生活に必要なサービス提供につなげることとされていました。その後、今年の介護保険法改定により、在宅介護支援センターは、地域包括支援センターに移行しています。
  9 身近な地域における孤独死対策を進めるうえで、地域包括支援センターの役割は大きなものがあると思いますが、都の認識を伺います。
  10 地域包括支援センターの従事者に対し、孤独死対策に関する研修や、先進的な取り組み事例の交流をはじめとした支援を、都としておこなうことを提案するものです。答弁を求めます。
  (マニュアルづくり)
 11 区市町村の見守りネットワーク等における孤独死対策の先進的なとりくみの事例集を作成することや、先進的とりくみの検証・評価にもとづき都として孤独死対策マニュアルの作成にとりくむことを提案するものですが、見解を伺います。
  (人材育成)
 12 大阪府は、おおむね中学校区単位の身近な地域において、要援護者にたいする「見守り・発見・相談・サービスへのつなぎ」などの機能を担うコミュニティソーシャルワーカーの養成研修事業、およびコミュニティソーシャルワーカーを配置する市町村を支援する配置促進事業を実施しており、注目されています。都としても、こうした先例にも学び、コミュニティソーシャルワーカー(またはコミュニティワーカー)の育成・配置にふみだすことを提案するものですが、見解を伺います。
  (住宅整備)
  社会福祉法人等から派遣される見守り援助員(LSA=ライフ・サポート・アドバイザー)を配置した住宅整備は、孤独死予防のために有効です。兵庫県の神戸市や芦屋市など阪神地域では、阪神淡路大震災後、頻発した孤独死を予防するため、LSA住宅の整備を重視し、大きな効果をあげています。
   都は、シルバーピアへのLSA配置を推進していますが、7区9市、あわせて52人(05年度末実績)にとどまっています。このほか、LSAが配置できる生活支援ハウスは、都内でわずか3か所です。高齢者優良賃貸住宅(高優賃)においても、LSA配置が認められていますが、都内64か所4000戸で整備そのものも少ないうえ、LSAの配置はほとんどされていません。
  13 シルバーピアへのLSAの配置促進、およびLSAを配置したシルバーピア、生活支援ハウス、高齢者優良賃貸住宅(高優賃)の整備促進を求めるものです。見解を伺います。
  14 NPO法人が運営する高齢者グループリビング「COCO湘南台」(神奈川県藤沢市)は、コーディネーター(ライフサポーター)1人と入居者9人が、「自立と共生」を合い言葉に地域の中での生活を実現し、注目されています。こうしたグループリビング等にとりくむNPO法人への支援をはじめ、孤立化しにくい多様な住宅整備を推進することも重要ですが、答弁を求めます。
  (多摩地域の検案体制強化)
  孤独死の実態がほとんど把握されていない現状のもとで、都の監察医務院は、高齢者をはじめとした単身者の自宅内での死亡状況についての貴重なデータをもっており、死因等の調査・分析をおこなっています。しかし、監察医務院が所管しているのは23区だけであり、多摩地域の検案業務は、都と都医師会の契約にもとづいて、検案医が開業のかたわら献身的努力で実施しています。
   一方、多摩・島しょ地域の検案数は年々増加傾向にあり、2005年は5297件におよび、1990年にくらべ倍増しています。
  15 多摩地域における孤独死対策を効果的にすすめるうえでも、都監察医務院の機能を充実することなどにより、多摩地域における検案・解剖体制を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 

平成18年第三回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 プールの安全対策について
1 プールの吸水口の蓋のボルト固定化や二重蓋は構造上最低限すべきことではないか。答弁を求める。

回答
 都のプール等取締条例では、排水口及び循環水取入口には、堅固な金網、鉄格子等を設けることとしています。
 また、同条例施行規則では、これらが容易に移動できないようにするとともに、常に正常な位置にあることを確認するよう義務付けています。
 また、保健所は、定期的に立入検査を行い、衛生管理とともに、こうしたプールの安全管理の徹底を図っています。
 さらに、今回の事故を受けて、緊急一斉監視を行い、排水口及び循環水取入口等が、ネジ・ボルト等で固定されており、安全であることを確認しています。

質問事項
一の2 流れるプールは、強い力で吸水口に水が吸い込まれる。遊泳区域と吸い込み口の間の緩衝部分を充分とるなど、遊泳者が吸い付けられない構造をもうけるなど安全基準を検討すべきである。答弁を求める。

回答
 都では、循環水を用いて水流を作る流れるプールを含め、水泳者が吸い付けられないための構造について、指導基準を設けています。

質問事項
一の3 吸い込み口は水流が緩やかになるよう広くとるとか、蓋の構造を半球状にし吸い寄せられても貼りつかないような構造にすることを義務付けるべきではないか。答弁を求める。

回答
 都の指導基準では、施設の構造に応じて、排水及び循環水の系統をそれぞれ二つ以上に分けること、吸込みの圧力を逃す弁を配管途中に設置すること、循環水取入口の金網・鉄格子等は凸面型にすることなど、水泳者の吸込み防止対策を適切に講じることを定めています。

質問事項
一の4 プールの吸水・排水口及び循環水取入口の蓋や金網の点検、とくに使用期間は連日実施や、メンテナンスも最優先で行うことなどを義務づけることを明確にすべきではないか。答弁を求める。

回答
 都では、プール等取締条例に基づき、施設の安全性が確保されるよう、吸水・排水口及び循環水取入口等の維持管理の状況をプールの使用期間中、毎日点検し、記録・保存することを義務付けています。

質問事項
一の5 プールの安全管理について、現場責任者やスタッフ、監視員の教育研修と、監視員や応援救護の訓練を受けた救護員の相当数の配置を義務付けること。また、監視員や救護員の資格などの検討を求める。答弁を求める。

回答
 都では、プール等取締条例に基づき、施設ごとに安全確保等の責任者である管理者を設置するとともに、危険の防止や救助のため監視人を適正に配置することを義務付けており、プール内に死角が生じないように監視人を配置することを指導しています。
 また、保健所において、監視人の指導に当たる管理者を対象に、毎年講習会を開催し、プールの安全及び衛生に関する取組の徹底を図っています。

質問事項
一の6 救護員、監視員の名簿、資格の有無について、定期的に報告を義務付けるようすべきである。答弁を求める。

回答
 都では、プール等取締条例に基づき、危険の防止や救助のため監視人を適正に配置することを義務付けており、保健所の立入検査の際に、プール日誌等の記録によりこれを確認して、同条例の基準を遵守するよう指導を徹底しています。

質問事項
一の7 プールの構造及び維持管理についてはプール取締り条例が適用されている。構造・設備面、安全点検体制、人員の質的向上と配置などの対応について、都条例を改正し、補強することが必要だが、答弁を求める。

回答
 法律による規制がない中、都では昭和24年に全国に先駆けてプール等取締条例を制定し、プールの安全確保を図ってきました。
 今後、国が作成するプールの施設及び管理運営に係る安全標準指針も踏まえて、引き続き、プールの安全性の一層の向上のため、対策に努めていきます。

質問事項
一の8 指定管理者制度になり、公営プールへの自治体の管理・安全対策への責任があいまいになり、事故要因の発見、改善の障害になりかねない。プールは直営に戻すことを検討すべきである。答弁を求める。

回答
 都立体育施設等のプールについては、指定管理者制度導入後も、協定等により施設の点検を義務付けるとともに、監視員の配置人数や資格について規定し、指定管理者の履行状況を確認するなど、安全確保に努めています。
 今後とも、指定管理者制度のもとで、安全かつ快適な施設の提供を図っていくこととし、プールの管理運営について直営に戻すことは考えていません。

質問事項
一の9 条例の整備とともに、プールの安全対策が遵守されているかどうか、都としても、常に点検、指導する体制を確立すべきだが、答弁を求める。

回答
 都は、プール等取締条例に基づき、プールの安全と衛生を確保するため、全施設について、通年プールでは年2回以上、夏季プールでは年1回以上、保健所の環境衛生監視員による立入検査を実施しています。その際、同条例に基づき実施されている施設点検の状況などについても確認し、指導しています。

質問事項
二 孤独死対策について
1 ひとり暮らし高齢者で死因が検案された件数は、10年間で倍増している。また、高齢者だけでなく中高年の孤独死も少なくないと報告されている。東京における孤独死対策の重要性を都としてどう考えているのか伺う。

回答
 高齢者等のいわゆる「孤独死」は、家族のあり方の変容や都市での生活様式の変化など、様々な要因により、家族や地域のコミュニティとの関係が絶たれ、結果として誰にも看取られることなく亡くなるものであり、その発見が遅れることもあいまって、人としての尊厳をも損ないかねない痛ましい事態であると考えます。
 都としては、こうしたいわゆる「孤独死」への対応も含め、一人暮らし高齢者等が地域で安心して安全に暮らせるよう、区市町村をはじめ、地域の様々な社会資源が連携することにより、社会的に支援していくことが重要と考えています。

質問事項
二の2 厚生労働省は、来年度予算概算要求で孤独死ゼロプロジェクトを計上した。また新宿区は独自に総合対策をスタートさせている。都としても、孤独死対策にふみだす必要があるが、答弁を求める。

回答
 都はこれまでも、一人暮らし等の高齢者が安心して生活を続けられるよう、民生委員による訪問・相談をはじめ、地域における見守りや声かけのネットワークづくりを進めるとともに、緊急通報システム事業や高齢者火災安全システム事業などにより、高齢者の生活の安全の確保を図ってきました。
 こうした様々な取組を通して、いわゆる「孤独死」への対応を含め、区市町村との連携の下に、高齢者の安全・安心な生活の確保を図っています。

質問事項
二の3 孤独死の定義は不明確であり、基礎的研究の蓄積も十分ではない。老人総合研究所と監察医務院の連携などにより、孤独死の定義や、実態把握の効果的な方法等に関する調査研究をおこなうことを提案する。答弁を求める。

回答
 国は、「孤独死」について、地域コミュニティのぜい弱化、プライバシー保護意識の高まりなど、都市に住む人々の行動様式全般の問題と指摘しており、この点からも全国共通の問題と言えます。
 「孤独死」の正確な実態把握のためには、個人情報の取扱い等の環境整備が必要であり、「孤独死」の定義付けや把握の方法等を含む基礎的な研究は、こうした環境整備を踏まえ、国の責任において行われるべきものと考えています。

質問事項
二の4 また政府に対し、全国統一の孤独死の実態調査を実施するよう要請することも必要だが、見解を伺う。

回答
 個々の高齢者が「孤独死」に至った背景などの実態を把握するためには、国において、「孤独死」の定義付けなど基礎的な研究が行われていることが必要であると考えます。

質問事項
二の5 総合的な孤独死対策にとりくむため、福祉・保健、地域づくり、住宅、みまもりサービス実地試験を開始した水道局をはじめ、関係局が連携した全庁的体制を整備する必要があるが、答弁を求める。

回答
 一人暮らしの高齢者等の安全・安心な生活を支援するため、地域における見守りや声かけネットワークなど、地域住民や関係機関が連携した様々な取組が行われており、都は、これまでもこれら地域における取組を支援してきました。

質問事項
二の6 知事本局は、地域力向上方策検討委員会を立ち上げ、来年度にモデル事業を実施するが、その中で、孤独死対策についても位置づけることを提案する。答弁を求める。

回答
 地域のさまざまな課題に対して町会・自治会や商店街、学校などが連携して主体的に取り組む「地域力」の向上を図るため、都と区市町村が支援していくモデル事業の検討を局横断的な体制により進めています。
 今後、防犯、防災、青少年健全育成などのモデル事業の取組を通して、一人暮らしの高齢者の見守りなど地域のさまざまな課題に柔軟に対応する地域力の向上を図っていきます。

質問事項
二の7 都は、コミュニティづくりの支援を区市町村の役割としているが、都と区市町村が連携し、一体となって知恵と力をつくすことが必要である。都としてのコミュニティ行政に改めて取り組むことを提案するが、所見を伺う。

回答
 地域コミュニティの活動を、より活発にするためには、地域の実態に即した地域住民の自主的な取組を尊重することが重要です。
 このため、地域のコミュニティ活動については、住民に身近な基礎的自治体である区市町村が、主体的に支援を行い、都は、広域自治体としての立場から側面的な支援を行っていくことが本来の役割と考えています。
 近年、都市化や少子高齢化などを背景とした地域力の低下が指摘されており、都としても、その向上方策の実施に向け検討を進めています。

質問事項
二の8 都は高齢者自立支援ネットワーク緊急整備事業を行い、区市でも独自にネットワークづくりを行っている。今後、全区市町村での見守り等のネットワーク整備に向け、都として支援をおこなうことを求める。見解を伺う。

回答
 都は、これまで、一人暮らしの高齢者等を支援するため、高齢者自立支援ネットワーク緊急整備事業により、区市町村の見守りネットワークの構築を支援してきました。
 こうしたネットワークについては、平成18年4月に創設された地域包括支援センターに引き継がれています。
 これに加えて、都は、福祉改革推進事業により、区市町村がそれぞれの実情に応じて行う高齢者に対する訪問や相談等について、支援を行っています。

質問事項
二の9 身近な地域における孤独死対策を進めるうえで、地域包括支援センターの役割は大きなものがあると思うが、都の認識を伺う。

回答
 地域包括支援センターは、高齢者に関する相談・支援、権利擁護のための援助や介護予防ケアマネジメントなどの役割を果たす機関です。
 高齢者が住み慣れた地域で、尊厳あるその人らしい生活を継続することができるよう、地域包括支援センターが、地域において支援が必要な高齢者を把握し、継続的な見守りや、関係機関と連携して適切な支援を行うことにより、「孤独死」への対応も図られるものと認識しています。

質問事項
二の10 地域包括支援センターの従事者に対し、孤独死対策に関する研修や、先進的な取組事例の交流をはじめとした支援を、都としておこなうことを提案する。答弁を求める。

回答
 都は、地域包括支援センターの専門職1100人を対象に、平成17年度、地域包括支援センターの意義や役割、業務を行う上で必要な知識などを習得する事前研修を実施しました。
 平成18年度は、これに加え、一人暮らしの高齢者などの支援も充実できるよう、見守りネットワークの構築や権利擁護に関する事例演習や事例紹介等からなるスキルアップの研修について、既に実施に向けた準備を進めています。

質問事項
二の11 区市町村の見守りネットワーク等での先進的なとりくみの事例集作成や、先進的とりくみの検証・評価にもとづき都として孤独死対策マニュアルの作成にとりくむことを提案する。見解を伺う。

回答
 地域におけるネットワークの構築や高齢者の実態把握については、「地域包括支援センター業務マニュアル」において、基本的な視点や業務の具体的な進め方などが既に示されています。
 また、地域でのネットワークづくりの事例などについて、区市町村に紹介しており、新たに、「孤独死」対策マニュアルを作成する考えはありません。

質問事項
二の12 大阪府では、要援護者の見守りなどの機能を担うワーカー養成研修事業などを実施している。都としても、コミュニティソーシャルワーカーなどの育成・配置にふみだすことを提案するが、見解を伺う。

回答
 一人暮らしの高齢者などに対する見守りなどについては、民生委員による訪問・相談や区市町村等が設置する地域包括支援センターにおける相談・支援事業等により行っており、事業の担当者に対する研修も実施しています。
 今後とも、都と区市町村がそれぞれの役割分担の下、これらの事業に取り組んでいきます。

質問事項
二の13 シルバーピアへのLSA(ライフサポートアドバイザー)の設置促進、およびLSAを配置したシルバーピア、生活支援ハウス、高齢者優良賃貸住宅の整備促進を求める。見解を伺う。

回答
 シルバーピアについては、区市町村住宅等のほか都営住宅により供給しています。
 また、高齢者向け優良賃貸住宅については、都は区市町村を通じて建設費の助成等の支援を行っています。
 こうした住宅へのLSA(ライフサポートアドバイザー)の配置については、地域支援事業交付金により、都として支援しています。
 なお、生活支援ハウスについては、国の交付金により区市町村が整備し、生活援助員の配置に関しても区市町村において適切に対応しています。

質問事項
二の14 グループリビング等に取り組むNPO法人への支援をはじめ、孤立化しにくい多様な住宅整備を推進することも重要だが、答弁を求める。

回答
 グループリビング等に取り組む法人等への運営支援については、区市町村が地域の実情に応じて実施するものであり、都は、地域支援事業交付金により支援しています。
 また、高齢者の安全で安心な居住の確保を図ることを目的として、区市町村と連携しながら、緊急時対応サービス等を備えたシルバーピアや高齢者向け優良賃貸住宅の供給を行っています。

質問事項
二の15 多摩地域における孤独死対策を効果的にすすめるうえでも、都監察医務院の機能充実などにより、多摩地域における検案・解剖体制を強化すべきだが、所見を伺う。

回答
 監察医務院における死因の究明は、公衆衛生の向上や社会秩序の維持に寄与するものです。
 多摩地域の検案・解剖体制については、平成18年第三回都議会定例会の議論を踏まえ、その体制の強化を図っていくこととしています。
 

平成18年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 吉田信夫

質問事項
 一 障害者自立支援法への対応について

一 障害者自立支援法への対応について
  障害者自立支援法の一部施行から半年が経過しましたが、応益負担の導入による負担増は障害者と家族の生活を直撃し、通所を断念せざるをえない事態まで引き起こしました。日払い制度は施設収入を激減させ、多くの施設が運営の困難に追い込まれています。それだけに障害者団体からは「かめばかむほどひどさがわかる」「自立支援どころか自立阻害法だ」などの怒りの声が広がっており、8月には全国の障害者団体が一致して「早急な見直しを求める緊急要望」を厚生労働大臣に提出しました。
   わが党は、第2回定例会において、区内の100をこえる通所施設からのアンケート調査の結果にもとづいて、都として影響を調査し国に制度の改善、再検討を求めること、都として利用者負担軽減や施設運営への支援をはかることなどを要望しました。また、特別区障害福祉課長会からも、8月には地域生活支援事業等の東京都独自施策の継続についての要望書が東京都福祉保健局あてに出されています。
   その後都は、10月からの全面施行を前に、移動支援・ガイドヘルプへの部分的な負担軽減や、今年度内のグループホーム運営費への都加算の継続などを打ち出しましたが、深刻な事態の解決には、国に抜本的な見直しを求めるとともに、都としてより全面的な支援策が求められています。以下、緊急に都として対応すべき課題について提案し質問します。
   第1に、法施行による影響の調査です。
  1 わが党は第2回定例会で、都が法施行による影響の実態把握をおこなうことを求めましたが、都としてどういう調査を実施したのですか。その結果について明らかにしていただきたい。
   第2に、利用者負担の軽減です。
  2 利用者負担が工賃を上回るなど障害者と家族を圧迫している利用者負担の軽減が引き続き求められています。横浜市などで実施されているように負担軽減の対象事業を拡大し全額助成とすることを求めます。また、利用者負担軽減を実施する区市町村への財政支援を行うべきです。
  3 厚生労働省は、授産施設の「工賃倍加計画」を概算要求で打ち出しましたが、都としても共同受注システム導入や製品の販路拡大をはじめ、工賃引き上げの支援等を検討する必要があると考えますが、見解をうかがいます。
   第3に、施設運営への支援強化です。
  4 都は今年度内については、グループホームへの都加算補助の実施や地域生活支援事業に移行する小規模作業所などへの一定の支援策を実施していますが、今後も継続拡充が求められています。
  5 4月からの日払い制度のうえに、10月からは障害程度区分によって施設の収入はますます減少しかねない状況にあり、これまでの施設の運営水準を維持することが困難なだけでなく施設運営の継続そのものが困難に直面しています。大多数の施設は新体系への移行はまだ見合わせており、都が行ってきたサービス推進費は継続すべきです。
  6 精神障害者の授産施設などの場合は、他の身体障害者、知的障害者の通所施設以上に日払い制の影響がもっと深刻にあらわれていますが、逆にサービス推進費の対象となっておらず、都の支援策は不十分です。都としてどう対応しますか。サービス推進費を支給すべきです。見解を伺います。
   第4に、地域生活支援事業の問題です。
  7 地域生活支援事業になっているコミュニケーション支援などの利用者負担はそれぞれの区市町村が定めることになり、都内でも地域によるアンバランスが生じています。都として各区市町村の実施事業と利用者負担について調査を行い、どの区市町村でも一定のサービス水準が維持され負担軽減がはかられるよう支援を図ることが求められています。
  8 地域生活支援事業の一つである盲ろう者にたいする通訳介助者派遣事業は、盲ろう者1人当たり1日1時間にも満たない派遣時間を拡充することは急務と考えますがどうか。
  9 また都の責任において、盲ろう者への通訳介助者の養成事業を復活することを求めるものです。見解を伺います。
  10 特別区の障害福祉課長会からは、コミュニケーション支援事業の要約筆記や手話通訳者について、必要な人材の確保、派遣は困難であり、都として当面継続するよう要望が出されています。こうした要望にこたえ要約筆記、手話通訳派遣事業及び心身障害者(児)通所訓練事業は都の事業として継続すべきです。見解を伺います。
   第5に、障害程度区分導入への対応です。
  11 新たに導入された障害程度区分にたいし、障害者の実態が反映されないという意見が多くの障害者団体から出されています。自治体によっては独自の調査項目を追加するなどの努力もはじまっています。都として状態にあった障害程度区分が認定できるよう、認定審査にかかわる人材の育成・研修をはじめとした対策を講じることを求めます。
  12 障害程度区分の導入後も、現行のサービスが維持されるよう、支給決定はあくまで標準であり上限でないことを周知徹底することが必要です。また、区市町村の超過負担という事態にたいし、国に改善を求めるとともに、都として財政支援策をはかることが求められています。見解を伺います。
  13 第6に、障害者にたいする経済的支援及び就労支援策を拡充・強化することを求めるものです。以上お答えください。

平成18年第三回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 障害者自立支援法への対応について
1 わが党は、都が障害者自立支援法施行による影響の実態把握をおこなうことを求めたが、都としてどういう調査を行ったのか。その結果について伺う。

回答
 都は様々な機会をとらえて、障害者自立支援法の施行状況について、区市町村、障害者関係団体、施設運営者等から意見を伺うなど、日ごろから実態把握に努めていますが、制度改正に伴う状況調査については、客観的な実態を把握することが可能な時期に実施することが必要です。このため、都は、身体障害者・知的障害者更生施設等を対象とした調査を平成18年8月に実施しました。
 その結果によれば、障害者自立支援法が施行された平成18年4月から7月までの施設退所者や通所施設の一人当たりの利用日数は、いずれもおおむね前年並みの実績となっています。

質問事項
一の2 負担軽減の対象事業を拡大し全額助成とすることを求める。また、利用者負担軽減を実施する区市町村への財政支援を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 障害者自立支援法における定率負担の導入は、サービス利用者も費用を負担し、皆で制度を支える仕組みを構築するためのものです。定率負担の導入に当たっては、所得区分等に応じた月額負担上限額の設定や個別減免の実施など、低所得の方に配慮した様々な軽減策が講じられています。
 これらの軽減策に加え、都としても独自に、ホームヘルプサービスの利用者に対する定率負担導入の激変緩和、障害者施設等入所者への医療費助成制度の対象拡大及び精神障害者の通院医療費自己負担分の無料化などの負担軽減策を実施しており、これ以上の拡大は考えていません。
 また、こうした国の制度及び都の負担軽減策に加えて、一部の区市町村においても負担軽減措置を講じていますが、これは各自治体が地域の実情を踏まえて行う独自の取組であり、都として財政支援を行うことは考えていません。

質問事項
一の3 厚生労働省は、授産施設の工賃倍加計画を概算要求で打ち出した。都としても共同受注システム導入や製品の販路拡大をはじめ、工賃引き上げの支援策等を検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 現在、各授産施設において、利用者の工賃を上げるため、創意工夫や努力をしています。
 具体的には、複数の授産施設で協力して、付加価値の高い自主製品の開発、販路の拡大や企業からの大量受注などにより高い実績を上げている施設もあります。
 都としても、東京労働局と共催で、福祉施設関係者、ハローワーク職員、企業関係者等を対象として、様々な取組を紹介するシンポジウムを開催するなど、授産施設への支援に努めています。

質問事項
一の4 都は今年度、グループホームへの都加算補助の実施や地域生活支援事業に移行する小規模作業所などへの支援策を実施している。今後も継続拡充が求められているが、見解を伺う。

回答
 都はこれまでも、都として望ましいサービス水準が確保されるよう、グループホームや小規模作業所等に対する都加算補助を行ってきました。
 都としては、事業者に対して、法内事業への移行や経営努力を促す一方、法の施行状況等も踏まえながら、引き続き適切に対応していきます。

質問事項
一の5 施設運営水準の維持が困難なだけでなく、施設運営そのものが困難に直面している。大多数の施設は新体系への移行を見合わせており、都が行ってきたサービス推進費は継続すべきだが、見解を伺う。

回答
 障害者自立支援法では、障害者が身近な地域でサービスが利用できるよう、施設の運営基準、施設基準及び運営主体などの規制緩和が実施されるとともに、定員を超えた利用も認められるなど、創意と工夫による効果的かつ効率的な運営が可能となっています。
 また、障害者施設の新体系への移行については、平成23年度末までの経過措置が設けられています。
 民間社会福祉施設サービス推進費補助金については、福祉サービスの質の向上を目的に、都として望ましい福祉サービスの水準を確保し、施設の様々な努力が真に報われるよう平成16年度に再構築し、その際、5年間の経過措置を設けています。

質問事項
一の6 精神障害者の授産施設などは、他の身体障害者、知的障害者の通所施設以上に日払い制の影響が深刻にあらわれているが、サービス推進費の対象ではない。サービス推進費を支給すべきだが、見解を伺う。

回答
 民間社会福祉施設サービス推進費補助金については、5年間の経過措置期間中であり、現時点で同補助金の対象施設を変更する考えはありません。

質問事項
一の7 地域生活支援事業に関し、都として各区市町村の実施事業と利用者負担の調査を行い、どの区市町村でも一定のサービス水準が維持され負担軽減がはかられるよう支援すべきだが、見解を伺う。

回答
 区市町村地域生活支援事業は、区市町村が義務的に実施しなければならない事業が障害者自立支援法に定められるとともに、事業実施に要する経費については、補助事業として、国が2分の1、都道府県及び区市町村が4分の1を負担することとされています。都は、こうした仕組みの下で、区市町村が責任をもって事業を実施すべきものと考えています。
 また、各区市町村の事業実施予定等についても平成18年9月に調査を実施しました。
 なお、国に対しては、地域生活支援事業について、事業の充実に取り組む区市町村に超過負担が生じないよう、十分な予算措置を行うことを提案要求しています。

質問事項
一の8 地域生活支援事業の一つである盲ろう者にたいする通訳介助者派遣事業は、盲ろう者一人当たり一日一時間にも満たない派遣時間を拡充することは急務だが、見解を伺う。

回答
 盲ろう者通訳・介助者派遣事業は、盲ろう者のコミュニケーション及び移動の自由を確保することを目的に、盲ろう重複障害者が外出するときなど、必要な場合に介助者を派遣する事業で、平成17年度実績では、1回につき約4時間の派遣となっています。
 平成18年10月以降は、都道府県が実施する地域生活支援事業として引き続き実施していきます。

質問事項
一の9 都の責任において、盲ろう者への通訳介助者の養成事業を復活することを求める。見解を伺う。

回答
 通訳介助者の養成事業については、盲ろう重複障害者を支援する団体が既に自ら取り組んでいることから、都として事業を復活する考えはありません。

質問事項
一の10 特別区の障害福祉課長会からの要望にこたえ、要約筆記、手話通訳派遣事業及び心身障害者(児)通所訓練事業は都の事業として継続すべきだが、見解を伺う。

回答
 要約筆記及び手話通訳者等派遣事業は、障害者自立支援法において、区市町村が実施すべき地域生活支援事業の中のコミュニケーション支援事業と位置付けられています。
 また、本事業は、区市町村が義務的に実施しなければならないものとして法に定められており、区市町村の責任において実施すべきものと考えています。
 一方、心身障害者(児)通所訓練等事業は、在宅の心身障害者(児)の自立促進を図るため、障害者の日中活動の場として区市町村が実施する法定外の事業です。
 今後、事業運営の安定性や透明性を確保し、利用者支援の充実を図るため、都は、法内化の促進を図っていきます。

質問事項
一の11 都として状態にあった障害程度区分が認定できるよう、認定審査にかかわる人材の育成・研修をはじめとした対策を講じることを求める。見解を伺う。

回答
 都は、区市町村において公正かつ公平な障害程度区分の認定が行われるよう、手続の詳細が明らかになった平成18年2月以降、認定調査員研修、区市町村審査会委員研修等を実施し、認定調査や審査にかかわる人材の育成に努めています。

質問事項
一の12 現行サービスが維持されるよう、支給決定はあくまでも標準であり上限ではないことを周知徹底すべきである。また区市町村の超過負担に関し国に改善を求めるとともに都として財政支援すべきである。見解を伺う。

回答
 障害福祉サービスの支給決定は、各区市町村が定める支給決定基準に基づきサービスの支給量を決定するものです。支給決定に当たっては、個々の障害者の状況を勘案し、基準を上回る支給量を決定することも可能であり、その際には手続の公正性を確保する観点から区市町村審査会の意見聴取を行うこととされています。
 こうした支給決定の仕組みについては、既に区市町村説明会等の様々な機会をとらえて周知徹底を図っています。
 なお、国庫負担基準について、都は区市町村におけるサービス提供の実態を十分に反映したものとし、区市町村の超過負担を生じないよう国に対して提案要求しています。

質問事項
一の13 障害者に対する経済的支援及び就労支援策を拡充・強化することを求める。答弁を求める。

回答
 障害者の所得保障は、基本的に国の役割であり、都としても国に対して、障害者の経済的自立のために年金・手当制度を一層充実するよう、要求しています。
 一方、障害者の就労支援については、「障害者地域生活支援・就労促進3か年プラン」に基づき、関係局、関係機関などとも連携し、区市町村就労支援事業や企業内通所授産事業等の充実・強化に努めています。

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