平成十八年東京都議会会議録第十三号

平成十八年九月二十七日(水曜日)
 出席議員(百二十五名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番きたしろ勝彦君
四番田中たけし君
五番鈴木 隆道君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番山口  拓君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番神林  茂君
二十一番早坂 義弘君
二十二番崎山 知尚君
二十三番宇田川聡史君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番鈴木あきまさ君
二十七番秋田 一郎君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番串田 克巳君
四十三番吉原  修君
四十四番山田 忠昭君
四十五番臼井  孝君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番西岡真一郎君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番田代ひろし君
六十五番三宅 茂樹君
六十六番高木 けい君
六十七番山加 朱美君
六十八番村上 英子君
六十九番坂本たけし君
七十番川井しげお君
七十一番鈴木 一光君
七十二番吉野 利明君
七十三番いのつめまさみ君
七十四番門脇ふみよし君
七十五番小沢 昌也君
七十六番石毛しげる君
七十七番岡崎 幸夫君
七十八番柿沢 未途君
七十九番初鹿 明博君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番倉林 辰雄君
八十八番樺山たかし君
八十九番近藤やよい君
九十番こいそ 明君
九十一番松原 忠義君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番野村 有信君
九十七番酒井 大史君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大沢  昇君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百十番比留間敏夫君
百十一番遠藤  衛君
百十二番高島なおき君
百十三番宮崎  章君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番馬場 裕子君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
 欠員
百九番 百二十番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長大原 正行君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長渡辺日佐夫君
都市整備局長柿堺  至君
環境局長村山 寛司君
福祉保健局長山内 隆夫君
産業労働局長島田 健一君
建設局長依田 俊治君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長熊野 順祥君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長高橋 道晴君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

九月二十七日議事日程第三号
第一 第百八十二号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十八号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第三 第百八十九号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第四 第百八十六号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第五 第百八十七号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第六 第百八十号議案
東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第七 第百八十一号議案
老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百八十三号議案
東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百八十四号議案
東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
第十 第百八十五号議案
大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十一号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十二号議案
東京都立小児病院条例の一部を改正する条例
第十三 第百七十二号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十三号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十四号議案
電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十五号議案
東京都消防訓練所条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十六号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十七号議案
東京都景観条例
第十九 第百七十八号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第二十 第百七十九号議案
東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
第二十一 第百九十号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十二 第百九十三号議案
東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
第二十三 第百九十四号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百九十五号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第二十五 第百九十六号議案
特別区の消防団の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十六 第百九十七号議案
特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第百九十八号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十八 第百九十九号議案
たつみ橋交差点立体化工事(十七 五 ─ 放十四東新小岩)請負契約
第二十九 第二百号議案
警視庁西新井警察署庁舎(H十八)改築工事請負契約
第三十 第二百一号議案
警視庁多摩西警察署(仮称)庁舎(H十八)新築工事請負契約
第三十一 第二百二号議案
晴豊二号橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十八 五 ─ 環二)請負契約
第三十二 第二百三号議案
是政橋二期鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
第三十三 第二百四号議案
中央環状品川線大井北発進立坑設置工事請負契約
第三十四 第二百五号議案
旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託について
第三十五 第二百六号議案
抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビル)備蓄用の買入れについて
第三十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都税還付加算金還付請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
第三十七 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第三十八 平成十七年度東京都公営企業各会計決算の認定について
議事日程第三号追加の一
第一
東京都公安委員会委員の任命の同意について(一八財主議第二三五号)
第二 議員提出議案第十六号
東京都子どもの医療費の助成に関する条例
第三 議員提出議案第十七号
東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例
第四 議員提出議案第十八号
東京都心身障害者福祉手当に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時一分開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十六号、東京都子どもの医療費の助成に関する条例外条例二件、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意についてが、それぞれ提出をされました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 九十四番立石晴康君。
   〔九十四番立石晴康君登壇〕

○九十四番(立石晴康君) 人生、いつも始発駅。私は、ちょうど八月三十日、ベトナムで同僚議員とともに、恒例、マングローブの植林を終えたところでしたが、JOC選定結果が気になり、夕刻、東京に帰り、選定会場に行きました。熱気あふれる会場で、やがて東京に決定の知らせを受け、招致議連の仲間とともに大変喜び合いました。
 しかし、いうまでもなく、これでようやく世界各都市との競争のスタートラインに立つことができたというわけです。本当の戦いはこれからです。アメリカが一九九六年のアトランタ大会以来の開催をねらっており、リオデジャネイロも南米で初めてのオリンピック招致を目指すと聞いています。世界の強敵を打ち破り、オリンピック招致を勝ち取るためには、二〇一六年の都市像を明確に打ち出し、世界の人々が認める、東洋の、日本らしい都市像を描くことが重要であります。加えて、オリンピック招致の機運を都民、国民全体で盛り上げながら、招致レースに挑むことが大切です。
 このような観点から、オリンピックとまちづくりについて質問いたします。
 まず初めに、メーンスタジアムの建設が予定されている晴海地区のまちづくりについてお伺いいたします。
 世界一コンパクトで高密度な大会を目指す今回のオリンピック計画では、主要施設を半径十キロメートル圏内に配置し、道路交通の整備とともに、東京の多様な公共交通網を利活用することで、来場者の安全迅速、快適な移動を実現させることとしています。
 しかし、晴海地区においては、公共交通機関は都バスと都営大江戸線しかありません。また、最も最寄りの勝どき駅は、トリトンスクエアなど、勤労者で慢性的な混雑に悩まされています。このため、周辺の住環境への配慮や、地域交通の利便性を向上させる交通インフラの整備が重要です。
 交通インフラの整備として、大江戸線の延伸、既存地下鉄のループ化など、鉄道のネットワーク化があります。これ以外にも、勝どき駅から晴海地区への地下道の整備による歩道渋滞の緩和や、環状二号線を利用したLRTの導入、さらには水路の活性化による羽田空港との広域的水上交通網など、数々の案が考えられます。いずれにしても、オリンピック終了後の関連施設の環境、防災等の有効利用や、東京の顔となるこの地域の東京インナーハーバーとしての将来の活性化を見据えた多角的な公共交通の整備が必要です。
 そこで、オリンピックに向けた公共交通整備の今後の方向性について、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、メディアセンターの建設が予定されている築地市場跡地の利用計画についてお伺いいたします。
 築地市場は平成二十四年に豊洲新市場に移転することが決まり、現在、この跡地にメディアセンターを建設する計画になっています。しかし、築地市場移転やこの跡地利用に関しては、移転に断固反対の立場をとっていた地元中央区との長年にわたる経緯があります。中央区では、築地市場と一体となって築地の伝統と食文化を形成していた、四百店舗を数える場外市場の活気とにぎわいを守るため、築地市場地区の活気とにぎわいビジョンを作成し、鮮魚マーケットの設置や、銀座、浜離宮、汐留、月島地域との連携など、独自のまちづくりを提案しています。そこでこのビジョン実現に向け、都との協議を求めています。
 このように、オリンピック招致以前から着々と進められていた計画や地元との協議内容と、新たなオリンピック計画とのよき整合性をいかに図っていくのかが課題であります。東洋の魅力ある、二〇一六年新東京の都市像を描いていく上で、地元の民意や自治体との連携がとられなければなりません。
 そこでお伺いいたします。築地市場跡地の利用計画の具体化に向けて、メディアセンターを整備するに当たり、今後、地元区とのどのような調整を図っていくのか、所見を伺います。
 次に、有明の選手村についてであります。
 都が現在計画している選手村は、四十九階と三十六階の高層棟がメーンであり、JOCからは、IOCの評価に合わないとの意見を受けたと聞いております。
 私は、先日、スウェーデンのウメオ市で環境対策について視察し、その際、エコロジーとしての中高層木造住宅を見てきました。木造でありながら、五階建てや八階建てが可能であるばかりか、バイオマスの利用など、省資源に配慮しつつ、また、意外にも燃えにくい、安全性を兼ね備えた住宅でした。
 私は、東京オリンピックが日本の文化やおもてなしを標榜する意味からも、そうした木造住宅のよさを選手村に取り入れるべきと考えます。特に東京には多摩産材や木場の貯木場など、昔ながらの木の文化があります。そこで、東京オリンピックの選手村についても木造建築を取り入れ、東京の文化や環境への配慮を積極的にアピールすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都心部には浜離宮などの文化財庭園や日比谷公園などの都市公園の緑があり、快適な都市環境の形成に重要な役割を果たしています。このような都心部の緑は、都民の生活に潤いを与えるばかりでなく、防災上も重要です。
 関東大震災の際には、タブノキを初め常緑樹が多く植えられた江東区の岩崎別邸、今の清澄庭園に避難した約二万人の人々が、一人の焼死者も、タブノキのおかげで焼死者は一人もなく救われたということです。片や、本所被服廠に避難した四万人近い方々の犠牲者の悲劇は長く伝えられています。
 知事は先日の所信表明で、今後、オリンピックをてこに東京をさらに先進的な環境都市にする必要があると述べられました。そのための手法の一つとして、埋立地を緑の森に変えていく二十一世紀の公園づくり、海の森構想をぜひ推進していただきたいと思います。私は、東京の発展を見守り、ときには東京の人々を守ってきた、この文化財的庭園などにあるいわゆるふるさとの木を大切にすることが重要であり、次の世代にも伝えていくことが必要です。私は、それを継承する場として海の森がふさわしいと考えています。いわば二十一世紀の鎮守の森ともいってよいと思います。
 そこで、この海の森ではどのような種類の樹木を植林しようと考えているのか。
 また、大勢の都民が参加できる森づくりをどのように進めようとしているのか、所見を伺います。
 次に、都心部の緑は、上空から見ると、皇居の森、代々木公園、新宿御苑など、多くの緑があり、コンクリートの海に浮かぶ島のようにも見えます。しかし、島をつなぐ緑が見えないのが残念でなりません。私は、緑の島を結んでいくのは街路樹や屋上緑化であると考えています。現在の街路樹をより大きく育てるとともに、屋上緑化が東京の緑のネットワークの充実につながり、環境のみならず、火災からの火よけや保水性など、防災機能の向上にもさまざまな効果が期待できます。風格ある都市をつくるために、都心部の街路樹の育成に積極的に取り組むべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、都の物品購入と工事の発注についてお伺いいたします。
 私の地元であり、育ったところの日本橋問屋街では、よく半値八掛け二割引きと子どものころから聞きなれた言葉がありました。さて、都のホームページなどから、物品購入や入札価格で、いわゆる低入札や、落札率が文字どおり半値を切る例もあると仄聞いたしました。安いことはいいことですが、また、安かろう悪かろうで品質の低下を招かないかと心配です。発注者としての都も、品質管理や安全管理など、徹底した管理を行うべきです。
 そこで、都は、物品購入や公共工事の発注において、適正な履行や低価格による品質の確保に、あるいは安全管理のあり方など、今後どう取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、都税収入の確保について伺います。
 都の歳入の七割以上を占める都税収入は、最近の大企業の景気回復を反映して好調であると聞いています。また、主税局の徴収率が三年連続で過去最高を更新するなど、大きな結果が出ています。今後の都財政の基盤をしっかりと築くため、今後の取り組みについて所見を伺います。
 来年はいよいよ所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲が実現します。今回の税源移譲では、所得税と個人住民税を合わせた全体の税額は変わらないわけです。住民税の課税事務を行っている区市町村だけでなく、都みずからが税制改正の内容をきちんと都民に説明し、理解を得る必要があります。積極的な広報活動を行っていくべきと考えますが、所信を伺って、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 立石晴康議員の一般質問にお答えいたします。
 晴海地区におけるオリンピックに向けた公共交通整備の今後の方向性についてでありますが、晴海地区に整備が予定されているオリンピックスタジアムは、開会式や閉会式で常に大会関係者や多くの観客が集まる施設であるだけに、そこへの交通アクセスの確保は極めて重大であります。
 現にその証左として、従来毎夏行われております東京湾花火も、そのたびに十万人の人が出て大変混雑しておりますが、ゆえにも今後、晴海地区などの交通の現況や開発の状況を勘案しながら、オリンピックスタジアムへの円滑な交通アクセスの方策について検討していきたいと思っております。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、築地のメディアセンターの整備に関する地元区との調整についてでございます。
 オリンピック関連施設の整備につきましては、地元の自治体や住民、企業の皆様などの幅広い協力が欠かせません。築地は東京の台所として大都市東京の食文化を支えてきた土地柄でございますし、地元住民や業界もそうした伝統に愛着を抱いていることは十分承知してございます。メディアセンターの整備に当たりましては、こうした地域の特性も勘案しながら、地元区のご意見も十分に拝聴し、理解を得てまいりたいと考えております。
 続きまして、選手村への木造建築の採用についてでございます。
 日本の伝統的な木造建築は、日本人の美意識を表象するとともに、我が国の気候風土に適し、環境負荷の小さいことが特徴でございます。開催概要計画書では、日本文化を堪能する大会、環境を最優先した大会を大会コンセプトとしてございます。選手村の整備におきましても、日本文化を味わえるサービスの提供や、環境共生型の都市モデルの創造を掲げてございます。選手村の整備に当たりましては、日本文化あるいは環境への配慮を積極的にアピールするために、木造建築の要素を取り入れることも視野に入れまして、検討を進めてまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 海の森に関する二点のお尋ねにお答え申し上げます。
 まず、海の森の樹木の種類についてでございますが、海の森は、東京港の玄関口に豊かな自然を再生し、緑の島を出現させようとする計画でございます。樹木の種類は、東京港の自然条件に適合し、潮風による塩害や乾燥にも強いものを考えております。
 また、高さ三十メートルほどの台地状の地形であることから、斜面を常緑樹を主体とした防風機能を果たす風の森で囲み、潮風の影響の少ない場所には落葉樹も配置してまいります。例えば風の森の樹木は、浜離宮庭園のタブノキ林が好例でございますが、ご指摘のように、ふるさとの木など、東京都の沿岸部に自然に生育するものが主体になることが有効であると考えております。
 今後、具体的な樹木の種類の選定に当たりましては、専門家の意見を十分踏まえて、豊かな自然環境の再生を図ってまいります。
 次に、海の森における都民参加の緑づくりについてでございます。
 この事業の進め方の大きな特徴は、長期間にわたり、企業、NPOなど、広範な都民との協働による森づくりを事業の基本方針としていることでございます。こうした方針のもとに、都の費用負担によらずに、樹木の枝葉を堆肥化し、海の森の土壌改良を行っていく協働事業者を本年七月に選定してまいりました。
 また、都内の児童生徒に、海上公園などに生育する常緑樹のドングリから苗木を育てていただいております。
 今後とも、植樹祭の開催や森の育成、環境学習など、森づくり全体を通じて都民との多様な協働を実現し、ふるさとの木を大事に思う心を継承する場として、海の森事業を進めてまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 都心部の街路樹の育成についてでございますが、豊かな街路樹は、道路空間の快適性を向上させるとともに、風格ある都市の景観や緑のネットワークを形成する重要な役割を果たしております。
 しかし、都心の街路樹は、生育空間に制約があるなど、十分な大きさに育ちにくい状況にございます。そのため、豊かな街路樹を育成するため、雨水浸透や土壌改良などに取り組んでまいりました。特に公園などの緑の拠点を連続して結ぶ道路では、樹木本来の形を維持するため、生育環境の改善や適切な剪定などを行う、のびのび街路樹育成事業を実施しているところでございます。
 今後とも風格ある都市の形成を目指して、本事業などをさらに進め、連続した緑豊かな街路樹を積極的に育成してまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君) 契約の適正な履行や品質の確保についてでございます。
 契約の発注においては、価格競争を基本としながら、品質や履行における効率性、安全性、環境への配慮等を考慮することが重要でございます。
 公共工事の契約では、低価格入札に対する調査制度、あるいは最低制限価格制度の活用を図るとともに、競争参加者の技術的能力を価格とあわせて総合的に審査する手法を取り入れてまいりました。今月からは、工事成績等を一層きめ細かく反映するよう改善を図ったところでありまして、その実施対象の拡大を進めてまいります。
 今後とも、契約の適正な履行と品質の確保に向け、入札・契約制度の充実に取り組んでまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君) 都税の徴収確保に向けた今後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 都民のご期待にこたえる施策を引き続き実現していくためには、都政を財政面から支えております都税の徴収確保に向けた努力が不可欠でございます。都はこれまでも、全国に先駆けたインターネット公売の実施、あるいは東京から全国に広がりつつある自動車へのタイヤロックの装着など、さまざまな創意工夫によりまして税収確保を進め、平成十七年度決算見込みでは都税の徴収率は九七・三%と、過去最高を更新しております。
 今後とも適正公平な課税に努める一方、区市町村との密接な連携による個人住民税の確保など、全国の模範となるよう、創意工夫を凝らしながら、都政を支える都税のさらなる徴税努力を重ね、唯一の歳入所管局に課された責務を全力で果たしてまいります。
 次に、税源移譲に伴う個人住民税の広報についてお答えを申し上げます。
 来年実施される所得税から個人住民税への税源移譲は、地方の自主財源を拡充し、地方自治の確立に資するものでございます。この税源移譲により、所得税と個人住民税とを合わせた税負担額は変わらない仕組みとなっております。しかしながら、個人住民税だけを見ますと税負担が増える納税者も多いこと、さらには定率減税廃止の影響もあることから、納税者に対する事前の十分な周知が必要でございます。
 税源移譲の意義や改正内容につきまして、広報誌やホームページによるPR、納税貯蓄組合など各種団体への説明など、あらゆる機会をとらえて丁寧な広報活動を積極的に展開し、他の自治体や課税実務を行っている区市町村とも連携しながら、都としての説明責任を着実に果たしてまいります。

○議長(川島忠一君) 百一番大塚たかあき君。
   〔百一番大塚たかあき君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百一番(大塚たかあき君) 昭和三十九年、初めてオリンピックが東京で開催され、亡き母に手を引かれ代々木の国立競技場に行き、聖火台に火がともされたときの感動は今でも鮮明に記憶をしております。それから四十二年が経過し、都議会議員として都議会で招致決議に賛成し、去る八月三十日の国内候補選定の決定的瞬間を、最前列で同僚議員の皆さんと夢と希望に満ちた気持ちで共有できたことは大変貴重な体験でした。再び東京でオリンピック開催を願う一人として、招致活動について、提案も含め、質問をしたいと思います。
 まず、私が調べたところ、港区には、日本における海外の百七十の駐日外国公館のうち七十三カ所、約四三%が所在しています。その地域特性から、私は港区選出の議員として、オリンピック招致活動に駐日外国公館との交流が大事であるとの認識を常々持っておりました。
 また、先日、個人的なレベルでみずから堪能な英語を駆使して多くの大使館との国際交流に努めてきた原田敬美港区前区長にお話を伺いましたが、それによりますと、港区の観光産業振興、外国語教育の向上、そして港区の魅力を広く海外の方々に知ってもらうために大変有効であり、成果があったという話を興味深く聞きました。
 目的は違いますが、今述べました港区という地域特性をかんがみますと、参考までに、IOC委員全体の百十四票のうち六十五票、約五八%近くが港区内の駐日外国公館の国に在籍しております。今後さまざまな立場の方々が海外に行き、IOC委員にお願いに行くことは大変重要で効果のあることは十分認識していますが、例えば知事主催の東京物産展を開催し、各国の大使を招待し交流を図るなど、身近な駐日の大使や職員の方々に、東京、日本の魅力をさらに知ってもらい、礼儀を軸としたおもてなしの精神で、官民問わず、こちらから積極的に交流していくことが重要と考えます。現在の駐日大使や職員が親日家になれば、本国のIOC委員への働きかけが一層期待されます。見解をお伺いいたします。
 次に、日本全体の自治体との連携招致活動についてですが、財団法人自治体国際化協会の資料で調べたところ、全国の千八百八十九自治体の中で、千五百四十三の自治体が世界六十カ国と姉妹提携をしており、そのうち三十七カ国にIOC委員が在籍しています。
 福岡市との一騎打ちとなり、地方都市福岡対大都市首都東京という構図で今回東京が国内候補地に選定されたわけですが、東京だけが勝手にオリンピックをやればいいということになってしまったらいけないと思います。ただでさえ、東京ひとり勝ち論が叫ばれているからこそ、地方都市との連携が必要になってくると思います。
 姉妹提携をしているからには、それぞれ独自の国際交流をしているわけですから、その機会をとらえ、親書を姉妹都市に渡したり、国外において日本の四季折々の郷土の魅力をPRするなど、日本にオリンピック開催をというムーブメントをオールジャパンでつくる必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、民間団体からの協力についてですが、開催概要計画書の財政計画によりますと、企業からの協賛金で運営経費の約四七%を収入として見込んでおります。これは、三年後にオリンピック開催地が東京に決まってからの財政計画です。さらに、開催の関連経費として、都は、今年度から一千億円を四年間積み立てようとしております。この四千億円は貴重な都民の税金から捻出されるわけですから、いうまでもなく、その使い道については、都民の納得を得られるものでなければなりません。であるならば、少しでも招致経費を税金以外で捻出する努力が必要と考えます。
 そこで、先日横浜市を訪れ、中田横浜市長の提案によるアントレプレナーシップ事業、これは、職員提案で採用された事業は予算つきで事業化されるというものだそうですが、その提案した担当職員に面会し、お話を伺ってきました。
 その事業は、横浜市が持つ有形無形のあらゆる資産を広告媒体ととらえ、販売または有償貸与することによって、新たな財源を確保する事業です。例えば横浜市のホームページや広報誌や市民への納税通知書の封筒や職員の給与明細などを広告媒体ととらえ、財政に反映しており、財政の厳しい自治体ならではの取り組みだと思います。
 東京都も全国に先駆けて、バスラッピング事業で広告料を財政に反映していることはいうまでもありません。横浜市が行うこの事業はあくまで財政の一部に充てるための事業ですが、今後都が設置するオリンピック招致のための外部組織も、まさしく同様の考えで資金を集めるべきと考えます。
 多くの都民や国民の皆様に東京オリンピック開催の意義を理解していただき、多くの賛同を得るために、民間企業からの資金収集の実効性を高め、宣伝効果のある努力をすることが大事であると思います。見解をお伺いいたします。
 以上、オリンピック招致活動に関し具体的な提案をさせていただきましたが、知事の招致活動に関するご決意をお聞かせください。
 さて、私は、二年前の第三回定例会の代表質問でレインボーブリッジのライトアップの例を挙げ、都が管理する公共施設に企業広告を掲出し、維持管理費に充てることについての質問をしました。その後、昨年の一月に、広告物審議会の答申で、公益的施設に第三者の広告表示を認めて、設置維持管理費に充てることを検討することは重要との提言がなされ、屋外広告物のあり方についてさまざまな検討が加えられてきました。
 今回、景観条例の改正が提案され、屋外広告物についても、良好な景観を形成していくための規制が予定されております。一方で、臨海部は、オリンピックメーンスタジアムなどの主要三施設の候補地となっています。オリンピック開催を見据え、臨海部の景観をよりよいものにしていくことは当然ですが、場所、期間を限定した上で、現在企業広告が禁止されているレインボーブリッジや有明コロシアムなどについて、オリンピックのロゴマークと企業広告をセットで掲載し、施設整備や招致活動経費に活用できるようにすることは有効と考えます。
 公共施設における企業広告の活用について、屋外広告物行政の立場から見解をお伺いいたします。
 次に、観光産業についてですが、東京都は、千客万来の都市東京を目指して国際観光事業に取り組んでおります。多くの観光客が回遊した際の相談をする先としての観光案内所は、現在、都庁舎、上野、羽田の三カ所にとどまっています。国際観光都市を目指す東京としては、まだまだ十分とはいえません。新幹線がとまることになった品川駅、情報通信のまち秋葉原や、ファッションのメッカである銀座や原宿、青山、六本木など、多くの観光客が訪れる場所に観光案内所が設置できないかと思っておりました。
 しかし、そういった大規模開発地、繁華街や駅ビルに観光案内所を確保するために障害になるのが、テナント賃料の高いことです。大規模再開発を進めるときに、例えば二百平米程度の国際観光案内所の設置を計画したら、この面積に見合う容積の割り増しを認め、民間事業者の協力を得て観光案内所を確保することが重要と考えます。
 都市政策と福祉政策の一体化であるハートビル法がありますが、今回の提案は都市政策と観光産業政策の一体化の提案ですが、観光施策の一層の推進を図るため、都市再生特別地区や将来都市開発諸制度の活用ができないか、見解をお伺いいたします。
 次に、地元芝浦地区を中心とした運河ルネッサンス事業について伺います。
 運河ルネッサンス推進地区が昨年から順次指定され、具体的な地域ぐるみの事業が展開され、まさに水辺の復権が始まっていると感じます。
 先日、ヒートアイランド対策の一環であります、打ち水大作戦の仕掛け人であります元建設省の河川局長の尾田栄章さんにお会いし、水辺のあり方についてお話をする機会がありました。運河の水質の改善や生物の生息環境の創出を推進することが、護岸や遊歩道の整備などのハード面の促進につながり、地元はもとより、多くの都民が集い、舟遊びや釣りを楽しむために不可欠だという認識で一致いたしましたが、運河の環境改善を積極的に行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 近年高層マンションが建設され、人口が急増している芝浦地区は、地元の皆さんが主体で運河祭りなどイベントが積極的に行われ、コミュニティの活性化に大きく貢献されています。観光や景観など、オリンピック開催を見据えて、さらなるにぎわいづくりや魅力の向上のため、運河ルネッサンス推進地区の拡大など、今後の展開について見解をお伺いいたします。
 次に、今般東京都景観条例が改正されることになり、首都東京の良好な景観を形成するための施策がようやく一つのルールとしてでき上がったことは大変評価できると思います。都が、市区町村や地域住民と連携し、建物の色や高さや壁面の位置など、その地域ごとの特色を生かしてまちづくりができることは大きな前進だと思います。
 さて、平成十五年に国土交通省が港区の国道二四六の景観整備事業の検討を始め、地元の方々や有識者の意見を取り入れ、景観整備の基本となるプランを取りまとめ、十九年度から具体的な事業がスタートする予定です。そして、ことしの去る七月、港区及び渋谷区の地元町会、商店街の方々が、青山通りの街並み協定書の締結に至りました。
 この地元のまちづくりに対する取り組みは、今回の景観条例の理念に沿っているとともに、新たなコミュニティの活性化の動きだと思います。こうした地元による幹線道路沿道の街並みづくりに対し、都として積極的に受けとめるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、青山、表参道地域は、ことし二月には表参道ヒルズがオープンし、南青山一丁目の都営住宅用地を生かしたプロジェクトも進行し、来年三月には完成予定であり、この地域は都市再生の流れが活性化しています。
 その中、青山通り沿道では、地元新青山街づくり協議会による都市再生モデル調査の実施や、地元のまちづくりに関する機運が熟成しつつあります。
 そのような地域で、青山通りから一歩入ったところに、老朽化した都営青山北町アパートがあります。敷地面積は約四ヘクタールあり、その存在は、青山、表参道地域の発展において大きなポテンシャルになっています。しかし、残念ながら青山通りとの接道が狭く、そのことが敷地の有効利用の障害になっていると考えます。
 このような青山、表参道地域のまちづくりの動きの中で、都営青山北町アパートの将来的な敷地活用のビジョンについて見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大塚たかあき議員の一般質問にお答えいたします。
 オリンピック招致活動についてでありますが、在京の各国大使館との交流が招致に対して大変有効であるという提案は、非常に暗示的で参考になったと思います。
 私自身も既に何度か、EUあるいはアジアの大使をヘリコプターを使ったピクニックに誘いまして、東京を空から理解していただき、特に三多摩と島しょというのは、これが東京に属しているかということで非常に外国の大使も意外だったようでありますが、そういう点で印象を深くしたと思いますけれども、今後も、ご提案がありましたこういった機会を大いに活用して、それぞれの外務省がそれぞれの国の招致委員会とどういうかかわりがあるかはつまびらかにしませんが、いずれにしろ、IOCのルールが非常に厳しくなりまして、事前の直接の働きかけが一切禁止になりましたので、こういった手段は、間接ではありますけれども、かなり有効なものだと私は思っております。
 今後も、世界の強豪都市を相手に、熾烈な招致レースを勝ち抜いていかなきゃならないわけでありまして、オリンピックの招致は国を挙げての一大プロジェクトでありまして、JOCを初め、国、関係機関と綿密な連携を図るとともに、東京が持つ都市力と日本の底力を存分に発揮して、東京への招致に向けて全力を挙げて多角的に取り組んでいくつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 オリンピック招致に当たっての駐日大使等との交流についてでございます。
 ただいま知事が申し上げたとおり、各国政府を代表している駐日大使や職員は、それぞれの国のIOC委員も含め、広範な人脈を有しており、こうした方々に日本の魅力や東京の都市力への理解を深めてもらうことは、オリンピック招致を成功に導くために大変有意義であると考えてございます。
 このため、都が毎年開催している在京大使館との情報連絡会を初め、さまざまな機会を通じて、駐日大使等と積極的に交流を図り、オリンピック招致に結びつけてまいりたいと思います。
 次に、各自治体の国際交流を活用したオリンピック招致のムーブメントでございますが、オリンピック招致のために、まずは海外に東京や日本の魅力をPRし、日本に対する理解を深めていただくことが重要でございます。
 国内の各自治体が行っている国際交流の機会は、その有効な手段の一つでございます。それらの取り組みが全国各地で展開されるよう、都の外部に設立いたします招致組織と連携いたしまして、効果的な協力方法について検討してまいります。
 最後に、民間企業からの資金調達などでございますが、オリンピック招致は、都の外部に設立いたします招致組織を中心に行い、その活動資金は、ロゴマークなどを活用した企業等へのマーケティング、企業や個人からの寄附を中心に調達する計画でございます。
 都といたしましては、招致組織が広告宣伝の手法、媒体等の魅力を高め、より多くの企業等の賛同を得て、円滑に資金調達が進むよう協力してまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、公共施設における企業広告についてでございますが、都が管理する庁舎や橋梁などの施設は、公共性、公益性を有するため、屋外広告物条例により、商業広告の表示を禁止しております。
 ご提案の施設のある区域は、臨海副都心の進出企業などにより、第三者の商業広告は表示しないなどの協定が既に定められております。
 また、水辺を生かした良好な景観形成を図るべき地域にあることから、こうした点を十分勘案の上、適切に対応してまいります。
 次に、都市開発諸制度等を活用した観光産業施設の推進についてでございますが、東京を千客万来の都市とするためには、観光振興を視野に入れたまちづくりが重要でございます。
 ご提案の国際観光案内所設置への都市開発諸制度等の適用につきましては、観光施策上の必要性や施設の継続性などを関係局とともに精査した上で、公共性、公益性を踏まえた制度のあり方を今後整理してまいります。
 次に、幹線道路沿道の街並みづくりについてでございますが、幹線道路は、その沿道と相まって地域の景観を特徴づけており、道路管理者と沿道の地権者が協力し、良好な景観形成に取り組むことが重要でございます。
 ご質問の青山通りについては、現在、道路管理者により修景事業が検討されており、これに合わせて、沿道の商店会などでは、建築物の高さや広告物の色彩などに関する協定を締結しております。
 都は、地域が主体となったこうした取り組みに対して、今後、道路管理者や地元自治体とも連携し、地区計画や景観地区の活用などを促して、道路と沿道が調和した景観が形成されるよう支援してまいります。
 最後に、青山北町アパートの敷地活用についてでございますが、都営住宅の敷地は都民共有の貴重な財産であることから、老朽化した都営住宅の建てかえにおいては、土地の高度利用や団地の集約を行い、周辺地域の活性化等のために活用していくことが重要と考えております。
 青山北町アパートについても、周辺地域の動向を踏まえながら、地元区のまちづくりとも連携し、地域特性に合わせた土地利用のあり方について幅広く検討してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 運河ルネッサンスに関します二点のお尋ねにお答え申し上げます。
 まず、運河ルネッサンス地区における環境改善についてでございます。
 運河部ではこれまで、海底からの有機物の溶出や悪臭を抑えるためのしゅんせつ事業を継続的に実施するとともに、護岸整備に当たり、生物の生息に適したカニ護岸や干潟を設置してきております。この結果、ハゼやスズキといった多くの魚が見られるようになるなど、水質の改善が進んでおり、芝浦地区では、小学生も参加し、カニなどの水生生物との触れ合いや水質調査を通じた環境学習が行われるようになってきております。
 今後さらに自然浄化のサイクルを取り戻す試みを実施するとともに、関係局、関係団体との十分な連携を図りながら、より一層水辺の環境改善を図ってまいります。
 次に、芝浦地区における運河ルネッサンスの今後の展開についてでございます。
 都ではこれまで、運河を生かしたまちづくりの機運の高い芝浦地区を推進地区に指定し、規制緩和やイベントの支援などを行うとともに、遊歩道や水辺の広場の整備に努め、親水空間の確保を図ってまいりました。
 年内には、新たな水域の利用が可能となるよう、地元の意向を踏まえ、運河ルネッサンスの区域を拡大するとともに、民間による桟橋などの施設を計画に加えることとしております。これにより、芝浦アイランドなどでは、お台場と結ぶ航路が開設されるとともに、ボートスクールや、より水辺に親しめるイベントが期待されております。
 今後とも地元と連携を図り、運河周辺の一層のにぎわいづくりを進め、地域の潤いや魅力の向上に努めてまいります。

○副議長(木内良明君) 四十六番林田武君。
   〔四十六番林田武君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○四十六番(林田武君) まず最初に、東京都の災害対策について伺います。
 いつ発生するかわからない、しかし、発生する可能性が極めて高い首都直下地震は、首都東京に甚大な被害をもたらすことが確実に想定されます。
 東京を襲った大地震としては、大正十二年九月一日に起こった関東大震災があり、七万人余の命を奪いました。平成七年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災は、大都市における震災の恐ろしさを全国に知らしめました。高層ビルが林立する大東京、そして家々が密集する大東京において、震災対策、災害対策は容易なことではないと、正直思います。
 東京都は、阪神・淡路大震災を契機に、従前の東京都震災予防条例を全面的に改正し、平成十三年四月に東京都震災対策条例を施行しました。この条例は、自助、共助の理念に都民が立ち、公助の役割を持った行政、都、区市町村とが、それぞれの責務と役割を持って連携を図っていくというものであります。
 問題なのは、マグニチュード七、直下型大地震がある日突然起こる。これは今、人間の力ではどうにもならないことであります。そこで、被害を可能な限り最小限にしていく対策は必要ですが、同時に、災害が起こってしまった後、都民の生命、財産をいかに守るかが大事だと思います。
 ことしも、九月一日、防災の日には全国各地で防災訓練が行われ、三十七都道府県で約八十万人が参加したとのことです。東京都でも石原知事を先頭に合同防災訓練が行われました。東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生したという想定で実施されました。この規模の地震が起きると、中央防災会議が試算した被害想定では、最悪で一万一千人が死亡、八十五万棟が全壊・焼失、都市からの帰宅困難者は約六百五十万人に上るだろうといわれております。
 今回の訓練で大きな前進は、従来の行政、都民、自衛隊による訓練に加えて、石原知事が在日米軍に参加を呼びかけ、実行されたことであります。
 私も横田基地での防災訓練に参加しましたが、横田基地を出発した米軍ヘリコプターが、六本木の軍施設まで医療用品を運ぶ訓練が行われ、また晴海ふ頭では、帰宅困難者移送訓練に当たる海上自衛隊の護衛艦と海上保安庁の巡視船に並び、被害者役の都職員約三十人を運ぶ米フリゲート艦「ゲイリー」が参加しました。また、韓国ソウル特別市のレスキュー隊が東京消防庁と合流し、訓練に参加しました。私は、石原知事の英断に心から賛同いたしました。
 申し上げたいことは、いざ大被災が起きたときに、今回のように、都民はもとより、消防庁、警視庁に加え、プロフェッショナルの自衛隊、そして米軍の力も遠慮なく加わって防災システムをつくっておくことが極めて大事であるということであります。
 このことで思うことは、元内閣安全保障室長佐々淳行氏の話であります。佐々氏は、あの阪神・淡路大震災の後、残念ながら戦後の日本は、骨抜き憲法によって、危機管理のできない国になってしまった、阪神・淡路大震災のとき、村山首相のもと、笹山神戸市長が革新市長で、自衛隊の救援を求めなかった、そのため、六千四百三十三人の死者を出してしまったと述べております。自衛隊の救援が早急になされていたならば、多くの命が助かったという話であります。まさに言語道断だと思います。
 知事は今定例会の所信表明の中に少し触れられておりましたが、改めて知事に伺います。今回の防災訓練に、自衛隊に加え、在日米軍にも参加を要請されたお考えと、今回の訓練の成果を率直にお聞きいたします。
 平成十八年度重要施策、都民の安全・安心を守る震災対策で災害情報システムを構築するとしていますが、都民にとって有効で、かつわかりやすく活用できる情報提供が必要であります。どのようなシステムを考えているのか伺います。
 また、災害時における高齢者を初めとする要援護者対策ですが、平成十六年七月、新潟での豪雨など、各地で相次いだ水害で多くの高齢者が被災したことで、国が各自治体に災害時要援護者のリストづくりを要請した中で、新聞社が調査したところ、東京二十三区、政令市、県庁所在地の全国七十二の自治体のうち、十九自治体しか作成できていないという報道がありました。個人情報保護が壁になり、なかなかリストづくりが進んでいないことはわかりますが、少なくとも十九の自治体は熱心に取り組んだわけで、このリストづくりを含め、都として区市町村での災害時の要援護者対策が進むよう支援していくべきだと思いますが、ご所見を伺います。
 多摩地域における物流拠点の整備について伺います。
 多摩地域において待望の圏央道八王子ジャンクションが平成十九年六月に開通となり、中央道と結ばれます。予定では、平成二十四年には東名道海老名ジャンクション及び東北道久喜ジャンクションまで通じることとなりました。一日も早い完成を願うものです。
 さて、圏央道が関越道と中央道が結ばれることによって交通の利便性が一段と高くなり、同時に物流の動きも活発化されることが想定されます。私は、平成十六年の一定の一般質問でこのことについて伺った経緯があります。そのとき、当時の勝田都市計画局長のご答弁は、多摩地域への輸送の多くは区部の物流拠点を経由しているため、輸送距離が長く、道路も混雑し、非効率な輸送形態となっている、圏央道インターチェンジ周辺に新たな物流拠点を整備する必要があると述べておられます。今まさにその時期が来たものと思われます。
 そこでまず、多摩地域、特に圏央道インターチェンジ周辺における物流拠点の整備に向けたこれまでの検討状況について伺います。
 次に、東京都では本年二月、東京都が取り組むべき物流対策について、「東京からはじまる物流改革 総合物流ビジョン」として公表しております。その中で、東京西南部物流拠点の整備促進をするという方針を策定しておりますが、これはまさに圏央道を視野に入れた施策であります。そして、このビジョンで掲げている市街化調整区域における開発許可のあり方については、物流拠点を必要とする企業や土地所有者にとって最大の関心事となっております。
 いろいろな意見、声が私のところにも寄せられております。総合物流ビジョンを策定した東京都として、拠点整備に向け積極的に方向性を示す必要があると思いますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、過疎町村対策について質問と要望をさせていただきます。
 まず、過疎町村への財政支援についてであります。
 都内で過疎地域自立促進特別措置法に基づく過疎地域に指定されている町村は、西多摩地区の奥多摩町と檜原村、島しょ地区で三宅村、新島村、青ヶ島村となっております。過疎地域の主な指定要件は、人口減少率や高齢化率の高さ、財政力の弱さなどであります。これらに起因する地域活力の低下は極めて厳しいものがあります。
 しかしながら、西多摩、島しょの過疎地域の町村も東京都であり、都全体の行政需要が高度多様化していることに伴い、都内の他地域と同様に、都市基盤や生活基盤となる各種公共施設の整備が求められていることは極めて当然であると考えます。
 加えて、町村には豊かな森林や澄んだ水の流れ、島には広大な海があり、これらは、全都民共有の財産として、貴重な自然環境の創出、憩いの場の提供など大きな役割を果たしております。それぞれの町村が抱える問題は東京都全体の問題といっても過言ではありません。都としても過疎町村財政に対する強力な支援が必要であると思います。
 そこで伺います。過疎地域の指定を受けている町村は、その指定要件からも、当然財政力が極めて脆弱であることから、都独自の財政支援や各種補助率のかさ上げ措置を講ずるべきだと考えます。また、本年度都が創設した市町村総合交付金について、これら町村の財政力や特殊事情などを勘案し、弾力的、効果的に配分すべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、過疎町村、山間地区域の郵便局廃止、統合について伺います。
 ご承知のとおり、都議会では、平成十八年六月二十一日に、川島議長名で国会へ、郵政事業分割・民営化に伴う地域住民の利便性確保に関する意見書を提出しました。
 郵政事業は、来年十月から、民営化の上、五つの株式会社に分割されます。檜原村では、これに伴って来年三月で郵便集配業務が廃止されることになりました。村民は、今後実際に起こるだろう郵便集配回数の減少、配達のおくれ、貯金や保険の外務員不在によるサービスの低下など、突然強いられる不便な状況に対して、特に高齢者の方々や身体の不自由な人たちにとっては深刻な問題であり、不安感は今全村に広がり、マスコミでも報道されているところであります。
 檜原村の坂本村長は、このような村民の声を受け、先月、総務大臣と郵政公社総裁に対し、集配業務を行う郵便局の存続と過疎地域におけるサービス低下防止策の実施について要望書を提出しました。
 郵便局の分割・民営化は国策であり、今さらもとに戻るものではないことは十分に承知しております。しかし、合理化の対象となった郵便局のある町村にとって、郵便局の廃止、サービスの低下が過疎化のスピードを加速することにはならないか、非常に大きな問題であります。このような状況下にある過疎町村の声に真摯に耳を傾け、町村と一体となって過疎対策を東京都としてしっかり講じていただきたいと思います。
 次に、過疎町村における地場産業の育成支援について質問いたします。
 特に、林業の振興と木材を製材する製材所の育成支援が必要であります。申し上げるまでもなく、東京都では、平成十四年から東京の森再生計画を進め、人工林三万一千ヘクタールのうち、民有林一万八千ヘクタールを対象に、都と所有者が管理契約を結び、林業関係者に委託して間伐する施策が進められております。また、特に平成十八年から花粉発生源対策が開始され、重要施策の一つとして多摩の森林対策に都として大きく踏み出していただき、感謝いたしております。
 しかし、東京の森再生を着実に進めるためには森林所有者の理解が不可欠であるため、森林所有者の集まりである東京都森林組合と連携して事業に取り組んでもらいたいと思います。
 多摩地域では、長引く木材価格の低迷により林業経営が困難となり、森林整備が進まず、木材産業全体が地盤低下を起こしているのが現状です。西多摩地域の製材所では経営が成り立たず、平成に入ってからも、平成八年に五十二社あったものが、現在稼働中の製材所が二十社と激減しております。
 木材産業がこのような状況の中で、森林再生ができるのか、花粉発生源対策ができるものなのかと思います。机上の施策でなく、実態に合った施策を進めていくためには、林業そのものに財政的投資、政策的投資をしていかなければならないと思いますが、木材産業への支援をどのように考えられているのか、伺います。
 過疎町村に活力と活性化を育てていくためには、地場産業に対して東京都の大きな支援が必要と思います。現在、西多摩過疎町村では、水産業や農産物にいろいろな工夫を凝らし、特産品化を進めています。例えば、檜原村特産のユズやジャガイモを使ったワインやしょうちゅう、奥多摩では、森林を荒らすシカの食材利用、東京都が開発した大型の奥多摩やまめなどがあります。しかし、このような特産品があるにもかかわらず、生産・販売体制がまだ十分でないため、残念ながら、地元食材やお土産物として観光客など一般の人に広く提供されるには至っておりません。
 そこで、今後東京都では、過疎町村対策として、地場産業振興の観点から、どのように生産・販売体制の整備を支援していくのか、伺います。
 以上で終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 林田武議員の一般質問にお答えいたします。
 総合防災訓練における米軍参加についてでありますが、災害時の救援活動に必要となる人員、資機材、輸送力などを有する在日米軍に対して人的、物的支援を求めることは、有効な、また当然な手段であると思います。
 今回の訓練では、在日米軍が空、海の機動力を発揮し、緊急支援物資や帰宅困難者の輸送を行うなど、緊急時の後方支援として役割を十分果たすことを確認することができました。特に海軍の出動は、東京湾を活用して、神奈川県、千葉県への帰宅困難者の援助、救済のために非常に有効であることを再確認いたしました。
 国はいまだに海外への支援要請の仕組みや受け入れ体制を整備しておりませんが、東京の試みが国にとっても初めての経験でありまして、よいモデルケースになったと思っております。
 今回の成果を踏まえ、今後とも外国の支援部隊の参加による実践的訓練を実施するとともに、災害時における在日米軍の協力のより広い枠組みを構築するなど、災害対応能力を高めていきたいと思います。
 なお、付言されませんでしたが、今回は韓国のソウルの、要するに災害対策特殊部隊も、あれは消防関係でしょうか、出動してくれまして、両国の友好な関係のために大きなよすがになったと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔総務局長大原正行君登壇〕

○総務局長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、災害情報提供システムについてでございます。
 災害時には、都民がどのような場所、状況にあっても適切な行動をとれるよう、発災直後から、その時々に必要とする情報を提供していくことが重要でございます。
 このために、本システムでは、都民がパソコンや携帯電話で直接アクセスでき、避難所や帰宅支援ステーションでも情報を受け取れるようにいたします。提供する情報といたしましては、発災時には地震情報や都内各地の被害状況等を、その後は道路、鉄道、ライフラインの復旧状況、避難所の開設状況等を予定しております。
 今年度末からの一部稼働を目指し、さらに画面構成や情報内容の精査を行い、都民が活用しやすいシステムとなるよう整備してまいります。
 次に、過疎地域の町村に対する財政支援についてでございます。
 過疎地域の町村は、人口減少や高齢化が進む中、公共交通や保健、医療の確保、郵便局の統廃合など多くの課題を抱えるとともに、厳しい財政状況にございます。
 こうした町村に対しましては、過疎地域自立促進特別措置法に基づく国の財政措置に加えまして、都も各種補助金を交付し、手厚い支援を行ってきております。また、都独自の一般財源補完制度として本年度創設いたしました市町村総合交付金におきましても、各団体の財政力や事業動向などを十分に勘案した、弾力的、効果的な配分を行うこととしているところでございます。
 このような取り組みを通じまして、今後とも過疎地域の町村の行財政基盤の安定化を図り、地域の振興を促進してまいりたいと考えております。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 災害時の要援護者対策についてでございます。
 高齢者等の災害要援護者の迅速な避難を行うためには、区市町村が主体となって要援護者の所在などを事前に把握し、支援に結びつけることが重要でありますけれども、昨今、個人情報に関する保護意識が高まり、こうした情報の収集は困難を来してきております。
 こうした中で、国は本年三月、避難対策に関するガイドラインを改定しまして、避難支援体制を整備する目的での個人情報の利用や第三者への提供を積極的に打ち出したところでございます。都においても、こうした国のガイドライン改定の趣旨を踏まえ、本年度中に区市町村向けの災害対策に関する指針を改定する予定でございます。
 今後、この指針に基づき、ご指摘の要援護者名簿の作成を含め、情報の収集と共有化を働きかけるなど、区市町村における災害要援護者対策の強化を支援してまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 多摩地域の物流拠点に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、これまでの検討状況についてでございますが、多摩地域においては、物流の量に対し相対的に物流施設が少ないことなどから輸送効率が低下しており、新たな拠点整備が求められております。
 都はこれまで、東京西南部における物流拠点の整備に関する調査を実施し、圏央道インターチェンジ周辺など五カ所の候補地を選定、公表してまいりました。また、物流関連企業の進出意欲についてのヒアリング調査を行うとともに、各地域の実情を踏まえた面的な整備手法や、PFIなど民間活力を生かした施設の整備方策についても検討してまいりました。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、都は、多摩地域の物流の将来動向等を踏まえ、それぞれの候補地にふさわしい拠点の規模や施設の内容について、本年度、調査を実施いたします。これを受け、都及び関係市町による協議会を設置し、候補地における開発のあり方などについても検討することとしております。
 今後、これらの調査結果などを取りまとめ、拠点整備に向けて取り組む関係市町に対し広域的な立場から支援に努め、圏央道の整備を見据えた多摩地域の物流の効率化を推進してまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、木材産業への支援についてでございます。
 都はこれまでも、木材産業に対して、材木の品質向上を図るための乾燥施設導入や、間伐材の搬出などに対する支援を行ってきたところであります。今後、花粉症対策の取り組みにより多摩産材の流通量が倍増することから、多摩産材の販路開拓を進めるとともに、製材業を初めとする木材産業の経営体質の強化に積極的に取り組んでまいります。
 次に、特産品の生産、販売体制に対する支援についてでございます。
 都では、山村振興等特別対策事業などにより、檜原漬等の特産品の開発、奥多摩のみそやそばなど地元食材の加工施設、直売施設等の整備を進め、地域産業の振興に貢献してまいりました。現在では、ジャガイモしょうちゅうなど、地元みずからの取り組みによる新たな特産品の開発も行われるようになりました。
 今後も、こうした取り組みに対し、食品技術センターによる生産、加工技術の指導を強化するなど支援を行ってまいります。また、観光施策とも連携させながら、特産品のパンフレット作成やキャンペーンの実施など、販売拡大を支援してまいります。

○議長(川島忠一君) 三十八番吉倉正美君。
   〔三十八番吉倉正美君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十八番(吉倉正美君) 最初に、東京オリンピック招致に向けた最先端技術の活用について伺います。
 知事は所信表明の中で、日本が誇る先端技術を町の中で有効に活用していくことも、魅力ある町の実現に欠かせない要素であると述べられております。
 日本が世界に誇る先端技術を披瀝するオリンピックを開催するために最も期待されている科学技術の一つが、ユビキタス技術であります。日本のユビキタス技術の研究開発は世界のトップレベルにあり、ICタグを活用して、いつでも、どこでも、だれにでも、音声、映像、文字など多様な形で情報提供が可能となり、次世代の世界標準のITになると期待されております。
 例えば、都心の歩道や地下街などの歩行空間にICタグを設置して、携帯電話等のモバイル端末を通じて位置情報を提供することにより、障害者や高齢者を含む国内外のすべての観光客を安全、快適に目的地まで誘導するシステムを構築することができます。同様に、電車やバスの運行状況や停車駅の情報なども提供でき、さらに、入場券、乗車券にICタグを張りつけて、高齢者や障害者の移動をトータルにサポートすることも可能であります。
 都はこれまで、上野で実証実験を行い、全国の注目を集めております。また、今年度に予定されている銀座の実証実験では、公衆無線LANを活用したモバイル端末の情報更新も行われると聞いております。
 こうしたユビキタス技術による東京のインフラ整備は、ユニバーサルデザインのまちづくりや観光、商業振興のツールとして、オリンピック終了後も大いに活用できます。また、研究開発や普及に際しては、民間企業が競い合って参入する仕組みをつくることにより産業の活性化を促すことも可能です。大会会場の配置される都心部全体が、あたかも先端技術・福祉技術博覧会となるようなコンセプトをつくり上げるべきであります。
 このように幅広い可能性を持った先端技術の活用によるオリンピック招致戦略について、知事の所見を伺います。
 次に、具体的課題についてでありますが、第一は、オリンピックスタジアムなどの競技場や選手村、メディアセンター等の施設の周辺に公衆無線LANのサービスエリアを設定し、訪れる外国人や障害者、高齢者の方々に位置情報を提供するとともに、誘導、案内、音声ガイダンスなどのためにユビキタス技術を活用すべきであります。加えて、競技情報を初め、災害時の避難経路や障害者トイレの案内など、多種多様なサービスの提供に努めるべきであります。所見を伺います。
 第二は言葉のバリアフリーです。国土交通省が行っている外国人旅行者へのユビキタス観光ガイドの実証実験の結果を踏まえ、今後は、携帯電話等を用いた多言語自動翻訳システムの開発が求められております。都は、国の開発状況をもとに、多言語での情報提供サービスを東京オリンピックにはぜひ実用化できるように取り組むべきであります。所見を伺います。
 第三に、世界には民族、宗教によって異なる多様な食文化があり、また、ベジタリアンの方々も数多くおられます。こうした方々にも安心して食事を楽しんでいただくためのシステムが不可欠です。さらに、生鮮食料品のトレーサビリティーシステムを確立して、生産、流通、小売の履歴情報を示し、日本の多様で味わい深い食材に親しんでいただくことも重要です。所見を伺います。
 次に、公営企業改革、特に水道事業について伺います。
 都がこの七月策定した行財政改革実行プログラムには、経営資源の集中と周辺業務のアウトソーシングを基本とした公営企業改革が示されております。
 水道局がこれまで徹底した事業の見直しを進め、民間にゆだねる分野は民間へと、常にコスト意識を持って不断の経営努力を行ってきたことは評価するものであります。
 首都東京を支えるライフラインとして、安全でおいしい水を提供する東京水道の果たす役割と存在は極めて重要であります。特に水道は、飲み水として直接人命にかかわる公共性の高い事業であり、責任ある事業運営が求められております。
 今後、水道事業の改革に当たって最も重要なことは、都民の命を守る責任体制の構築であり、効率性だけを優先して都民の安全を犠牲にしてはならないという点であります。強固な責任体制を築くためには、水道局の適切な指導監督が不可欠であり、都民のだれもが納得できるようなスキームを早急に提示すべきであります。見解を伺います。
 さらに、公営企業として、効率化を追求しながらも、公共性の立場から、将来にわたって安全でおいしい水を確実に都民に供給できる運営体制を確立すべきであります。所見を伺います。
 次に、震災発生時の帰宅支援について伺います。
 都は、首都直下型地震の被害想定の最終報告において、震度五強の場合には、鉄道などほとんどの交通機関が停止し、都全体で、外出者約千百四十四万人のうち、約三百九十二万人の帰宅困難者が発生するとしております。一方、帰宅距離が二十キロメートル以内の帰宅可能者は、都全体で約七百五十二万人と想定されています。これまで帰宅困難者に焦点が当てられておりましたが、徒歩による帰宅者対策も極めて重要であります。
 都は、支援を必要とする徒歩帰宅者に対して、水、トイレ、休息の場の提供、沿道情報の提供を行うため、平成十二年に都立学校、平成十六年にガソリンスタンド、平成十七年にコンビニをそれぞれ帰宅支援ステーションとして指定しました。
 しかし、指定はしたものの、果たして現実的な対応が可能になっているのかどうか疑問があります。中には、帰宅支援ステーションの指定を受けたことすら知らなかった施設もあると報道されております。特に都立学校においては、近隣住民の避難所としての機能を担う学校も多く、都と区市町村の指定の重複による混乱も懸念されます。
 そこで、コンビニ、ガソリンスタンド、都立学校が帰宅支援ステーションとしての実質的な機能を果たすために、水、資材の備蓄に加え、マニュアルを策定し、それに基づいた訓練を行う必要があります。また、ラジオやインターネットを活用したきめ細かな災害情報、交通情報を提供する体制を早急に構築すべきであります。所見を伺います。
 次に、地震情報を迅速にキャッチすることで被害を大幅に軽減できると期待されている緊急地震速報システムについて伺います。
 気象庁は先月から、地震の揺れが到達する前に感知できるP波を利用して、揺れの予測到達時間や到達予測震度などの情報を提供する緊急地震速報システムの試行を開始しました。現在、建設現場、病院、鉄道事業者などの分野の希望者に情報を提供しています。この情報に基づいてスムーズな避難や事前の対応が可能となるシステムであります。
 気象庁では、試行期間の分析を踏まえ、十九年度中にも一般に提供する予定であると聞いております。今後、都管理の施設やエレベーター、学校、都営地下鉄等に早期にこの緊急地震速報システムを導入し、人的、物的被害の軽減に努めるべきであります。見解を伺います。
 最後に、新宿駅周辺の基盤整備について伺います。
 新宿駅周辺は、現在、鉄道敷地による東西の分断により、歩行者の通行に大きな不便を生じ、魅力ある都市空間の形成に支障を来しております。
 そこで、新たに東西自由通路を建設し、新宿駅周辺の人の回遊性を確保し、にぎわいの創出と地域の活性化を図ろうという構想が持ち上がり、大きく期待を集めています。
 この東西自由通路の開設については、新宿区長を整備促進同盟の会長として、区と区民はもとより、周辺企業も一体となってその実現を目指しております。
 八月には、北側一雄前国土交通大臣が新宿駅東西自由通路の予定地を視察し、国土交通省としても応援をしていきたいと述べております。さらに、東西自由通路の幅員についても、青梅通路の空間等を活用し、幅員二十五メートルで整備していくことで関係者間の調整が進んでいると聞いております。
 そこで、都は、こうした状況を踏まえて、新宿区、JR東日本と積極的に協議し、計画の実現に向けて指導力を発揮すべきであります。所見を伺います。
 関連して、新宿靖国通り地下歩行者空間の整備について伺います。
 都及び東京メトロが建設している地下鉄十三号線は、平成二十年六月の開業が決定し、地元区民からも大きく期待されております。ところが、この十三号線新駅と新宿駅地下サブナードは全く接続されておりません。新宿駅周辺の回遊性を高め、歩行者の利便性を向上させるために、地下サブナードを明治通り方面へ延伸させ、地下鉄十三号線新駅との接続を図るべきであります。
 都は、今後、積極的に新宿区及び関係者と連携をとり、計画策定に向けた取り組みを行い、調査費等も計上すべきであります。所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉倉正美議員の一般質問にお答えいたします。
 先端技術の活用によるオリンピック招致戦略についてでありますが、全世界の注目を集めるオリンピックにおいて先端技術を活用することは、日本の技術力の飛躍的な進歩に資するとともに、その成果を世界全体に波及させる効果もあると思っております。
 現在、オリンピックにおける先端技術の積極的な活用方策について、専門家などの意見も聞き、折々会合を開いておりますが、立ち会って聞きますと、我々素人からすると、想像を超えた奇想天外というような案も出てまいりまして、大変心強く思っております。
 これから、オリンピックの成功のために、付随した観光も含めて、こうした技術の多角的な活用に努力していきたいと思っております。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京オリンピックにおきますユビキタス技術の活用についてでございますが、ユビキタス技術は、人、場所、時間を問わず情報アクセスを可能とするものでございます。
 オリンピックの競技会場の周辺では、障害者や高齢者、外国人も含め、多くの集客が見込まれておりますので、この技術は、こうした方々の快適性、利便性をサポートする上で有効なものと認識してございます。
 今後、お話のあったサービスを含めまして、東京オリンピックにおけるユビキタス技術の活用について幅広く検討をしてまいります。
 次に、東京オリンピックにおきます多言語での情報提供サービスの実用化についてでございますが、現在、国等で研究開発が進められております多言語自動翻訳システムは、大会期間中に東京を訪れる大勢の外国人に対しまして、きめ細かな情報提供を行う上で有効な手段であると考えてございます。
 今後とも、実証実験の推移等を見守りつつ、先端技術を活用した多言語での情報提供サービスについて検討を進めてまいります。
 最後に、異なる多様な食文化を持つ方々に安心して食事を楽しんでいただくためのシステムについてでございますが、オリンピックにおいて、食事は快適な滞在の重要な要素でございます。海外から来訪する選手や観客は、それぞれ異なる文化や風習を持ってございます。
 こうした点につきましても、きめ細かい配慮を行いまして、日本食はもとより、世界各国の料理を本国と同じクオリティーで味わっていただける東京の利点を生かしまして、選手や観客に味覚の面でも最高の満足を提供していく所存でございます。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 生鮮食料品のトレーサビリティーシステムについてでございます。
 トレーサビリティーシステムは、生産流通履歴の管理が可能であり、商品の信頼性向上や食の安全性を確保し、さまざまな食文化を持つ方々にも適切な情報が提供できるほか、物流の効率化を図るためにも有効な方法と認識してございます。
 現在、国においてICタグ等の新たな技術を活用した実証実験を行っている段階であり、都では、築地市場や大田市場などで協力をしているところでございます。
 このシステムの開発導入に当たりましては、生産から消費までを全国的に一貫して構築することが必要であり、今後とも、国の実証実験に積極的に参画し、その実現に向け取り組んでまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水道事業運営における責任体制の確保についてでございますが、水道局ではこれまで、経営の効率化を図るため、さまざまな企業努力に努めてまいりましたが、本年七月に公表されました行財政改革実行プログラムに沿いまして、一層の効率化に向け、監理団体を活用した新しい事業運営体制を構築していくことといたしました。
 監理団体につきましては、今後、公共性の高い業務を担わせていくことから、ご指摘のとおり、指導監督を的確に行い、責任ある体制を確保していくことが極めて重要であると認識しております。
 このため、監理団体が策定する中期経営計画の進捗管理や総合的な評価を行うとともに、今般の会社法改正に伴い創設されました会計参与制度を導入いたしまして、一層の透明性を高めていくよう指導してまいります。
 さらに、新たに当局に設置する外部委員会から専門的見地による評価、助言を得まして、監理団体の指導監督に反映させてまいります。
 これらの仕組みにつきましては、監理団体への出資比率を引き上げる時期との整合を図りながら、ご指摘の点を踏まえまして早急に実施してまいります。
 次に、今後の事業運営体制についてでございますが、水道事業は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインであり、極めて公共性が高く、効率経営のもと、責任をもって安定給水を確保することが重要であると認識しております。
 このため、民間にゆだねられている業務は民間事業者に委託するとともに、基幹的業務につきましては、コア業務を当局、準コア業務を監理団体が担うといった一体的な事業運営体制によりまして責任を担保し、公共性と効率性を両立させた事業運営を行ってまいります。
 今後とも、東京水道の未来をしっかり見据え、将来にわたって安全でおいしい水を安定的に供給する体制を構築してまいります。
   〔総務局長大原正行君登壇〕

○総務局長(大原正行君) 二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、帰宅支援ステーションについてでございます。
 都はこれまで、都立学校やガソリンスタンド、コンビニエンスストアを帰宅支援ステーションに指定いたしまして、八都県市の連携による徒歩帰宅訓練の実施等を通じまして支援の有効性を検証してまいりました。
 この結果、こうした施設における徒歩帰宅者への支援の重要性が改めて確認される一方、帰宅支援ステーションとしての役割の理解が十分でない施設もございました。
 このため、今後、徒歩帰宅者への支援や情報提供の方法などをルール化した運営マニュアルを整備いたしまして、施設管理者への周知徹底を図りますとともに、マニュアルに基づいた訓練を実施することにより、帰宅支援ステーションとしての実効性を高めてまいります。
 次に、緊急地震速報システムの導入についてでございます。
 本システムにより提供される地震情報を活用し、大きな揺れが到達する前に、緊急避難や鉄道の運行制御など危険回避行動をとることで、被害の軽減が期待できるものでございます。
 一方、本格運用に向けましては、直下型地震には対応できないことに加えまして、予測震度の信頼性の向上や、都民の混乱を引き起こさないような情報の提供方法といった課題がございます。
 こうした点を踏まえまして、地震動による事故や人身への被害を防止し、都民の安全を確保する視点から、都施設のそれぞれの機能に応じた効果的な活用について具体的に検討してまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 新宿駅周辺整備に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新宿駅の東西自由通路についてでございますが、自由通路は、駅周辺の回遊性を向上させ、にぎわいと活力あふれるまちの形成に必要な施設でございます。
 都はこれまで、地元区が設置した新宿駅周辺整備計画検討委員会に、JRなど関係者とともに参画してまいりました。検討委員会では、駅構内の通路や駅改修のための工事用通路を有効に活用することなど、整備の方策について検討を進めております。
 都といたしましては、今後とも、東西自由通路の早期実現に向けて、国やJRとの協議、調整や技術的支援を行うなど、区の取り組みに対し積極的に協力してまいります。
 次に、サブナードの延伸についてでございますが、靖国通り地下歩行者道の地下鉄十三号線への延伸は、歩行者の利便性や回遊性の向上に資するものと認識しております。
 その実現には、周辺のまちづくりとの整合を図った上で、整備主体や事業スキームなどを検討することが不可欠でございます。
 都としては、区が取り組むまちづくりへの支援を行うとともに、延伸の課題解決に向けた調査検討に参画するなど、必要な協力を行ってまいります。

○副議長(木内良明君) 五十番西岡真一郎君。
   〔五十番西岡真一郎君登壇〕

○五十番(西岡真一郎君) まず最初に、二〇一六年オリンピック招致に関連し、建設的な立場から、東京湾の水質改善策について伺います。
 本定例会の知事所信表明では、オリンピックをてこに、東京都は先進的環境都市を目指すとして、環境基本計画の改定、CO2大幅削減を目指す新たな十年プロジェクトなど、意義のある重要な施策が示されました。
 一方、主要三施設であるメディアセンター、選手村、メーンスタジアムは東京湾に面していることから、東京湾を良好な状態にすることも重要であります。
 また、競技団体では、例えばトライアスロンは、浜離宮に隣接している海域がスイム会場となります。知人のトライアスロン選手に聞いた話では、東京湾をスイム会場にしている大会は既に開催されておりますが、より一層の改善が必要との声を聞いています。一方、ボート、カヌーは中央防波堤水路が競技会場となり、間接的に海水に接することとなります。今でも小型船で東京湾を航行すると、一昔前よりは水質が改善されたとはいえ、さらなる改善が求められていると感じます。
 先日、東京湾やトライアスロンのオリンピック競技会場などを視察させていただきました。改めて、東京湾の水質改善の必要性を強く感じた次第であります。国内外の選手や応援団、訪問者を美しい東京湾の状態でお迎えできるよう、最善の努力を行うべきと考えます。
 まず最初に、国内選考の過程で、東京湾の水質に関して指摘された事項や課題となったことを伺わせていただきます。
 また、オリンピックの世界選考過程において、東京湾の水質改善や透明度の向上などは重要な位置づけになると思いますが、ご認識を伺わせていただきます。
 さて、東京湾は、雨が降り森林やダムや地下にたまる、水道を使う、川を流れる、そして海に注ぎ込む終末の場所であります。水循環としての東京の水の全体像を考えていくことが必要であります。
 次に、その最初となる雨水浸透の回復について質問をさせていただきます。
 平成三年のデータによる調査では、都内で建築物や舗装された道路などに覆われた面積である不浸透率は、区部では八一・八%、山間部を含む多摩地域では五二・五%となり、降った雨が浸透している面積は、区部で九・五%、多摩でも二四・九%しかなく、最終調査年次から十五年経過した現在では、さらに悪化していると推測できます。
 降った雨が地中に戻る雨水浸透能力を回復させることは、合流式下水道の改善やヒートアイランド、温暖化対策などに寄与し、東京の水環境や東京湾の水質を向上させる重要な決め手になると考えますが、ご所見を伺わせていただきます。
 雨水浸透対策は、関係局や関係自治体と広範に連携していくことが不可欠であります。東京の水の全体像は、森林、治水、水道行政などの多くの事業が関連し、壮大な労力や多くの時間を要する事業になるものと思います。
 しかし、オリンピックは全庁を挙げて取り組まなければならないので、これを機会に、東京の水循環全体を見据えた視点での長期的な対策が必要と考えますが、知事のご所見を伺います。
 東京湾の水質は、下水道の普及により生活排水対策が完備したこと、工場への排水規制の強化などにより、東京湾に流入する汚濁物質の量は削減されました。四十年ぶりに、スズキなどの大型の魚群が運河に復活してきたとのうれしい成果も聞こえてきています。しかし、いまだ十分であるとは思えません。
 合流式下水道の改善、窒素、燐の高度処理の導入、海底の汚泥のしゅんせつなどを一層進めていくことが重要と考えます。国や他自治体との連携も欠かせません。
 オリンピック招致実現に向けて、東京湾の水質改善にもハードルの高い環境目標を掲げ、まずは二〇一六年を初期目標に、五十年、百年先を見据えた東京湾の水質改善策に一層取り組むことが求められていると思います。
 国や関東圏の自治体とも連携し、東京湾の水質改善策を強力に推進することを環境基本計画の中に明確に位置づけることが求められていると思いますが、ご所見を伺わせていただきます。
 続きまして、硫黄島の遺骨、遺品収集について伺わせていただきます。
 ことしも、八月には戦没者追悼関連のさまざまな行事が行われました。私は、中国で戦死した父方の祖父のお墓参りのため、郷里である三重県尾鷲市に行き、そこで終戦の日を迎えました。戦後生まれの世代として、改めて戦争の悲惨さを痛感するに至りました。
 私は、今から十二年ほど前に、硫黄島視察団のスタッフとして、一度だけ硫黄島を訪問したことがあります。現地で説明を聞き、米軍との余りにも壮絶な戦いにより多くの犠牲が生み出されたことに、胸が熱くなった記憶を今でも思い出します。美しい海と自然環境に恵まれた小笠原諸島には、悲劇の歴史も刻まれていることを学ばせていただきました。
 そして、硫黄島においては、現在までに六十二回の収集作業が行われ、収集された遺骨は全体の約四割の八千五百二十二柱でありますが、いまだ一万三千柱の遺骨が未収集の状況にあることは、極めて胸を痛めるものであります。私は、最後の一柱まで決してあきらめない対策を国に求めていくことが必要と考えます。
 遺骨収集の状況を調べてみますと、国にはその法律がなく、閣議了解のもと、厚生労働省が担当し、自衛隊は支援任務となっております。
 最初に、遺骨収集が実際にどのような形態で行われているのか、現在の実施体制について伺わせていただきます。
 また、この間、日本の領土であり、自衛隊も駐屯する場所でありながら遺骨収集が難航している理由については、硫黄島特有の地形や地熱、埋没している地下ごうが多いなどがあると思われます。改めて、遺骨収集が進まない理由をどのように把握しているのか、伺わせていただきます。
 遺骨収集の際には、さまざまな遺品も発見されますが、個人が識別できない大半の戦跡や遺品は、現状のまま放置されていると聞きます。硫黄島で発見される戦跡や遺品も、後世に歴史を物語る我が国の重要な役割を担うものでありますので、東京都が国に対して行ってきた提案要求の中に位置づけることが求められていると考えますが、ご所見を伺わせていただきます。
 平成十四年第二回定例会の知事答弁では、硫黄島そのものを慰霊の地にする旨のご発言がなされております。英霊への哀悼の意を表し、戦争の悲惨さを後世に語り継いでいく上では、私も同感であります。
 今後、遺骨、遺品収集をあきらめずに継続していくこと、島全体を慰霊の地としていくための準備を開始すること、より多くの国民、都民が島を訪問できるよう、国の協力体制も確保しながら輸送体制を構築することが課題であると認識いたします。
 慰霊巡拝を希望する方々、場合によっては遺骨収集作業を希望する方々も含めて、より多くの方々が硫黄島を訪問できる体制を構築することも重要であります。
 都はこれまでも、毎年、国に対して提案要求を提出してきましたが、風化が進み、手おくれにならぬよう、より強力に働きかけていただきたいと願っております。知事のご所見を伺わせていただきます。
 最後に、日本の将来を考える上で極めて心配をされているニート、フリーター対策、若者と仕事をテーマに何点か伺わせていただきます。
 最近の調査では、十八歳から三十四歳までの国内のニートは約六十四万人、都内では約六万五千人、フリーターは、国内では約二百一万人、都内では約三十四万人といわれております。驚くべき数字であります。
 価値観が多様化するように、若者と仕事という観点では難しい側面が多々あるようにも感じます。しかし、今既にニートあるいはフリーターという社会環境に置かれている方々をどのようによりよい社会環境に導いていけるのかということは、喫緊の課題と考えます。
 先日、東京都が設置した東京しごとセンターを訪問させていただき、さまざまな有効なプログラムや、本年七月に開設された若者しごとホットラインなどを視察させていただきました。東京しごとセンターでは、就業のワンストップサービス拠点として、各種セミナーやカウンセリングなど、若者の就業支援への取り組みが熱心に行われていました。
 しかし、こうした取り組みを行っていることが、支援を必要とする若者には十分に知られていない、または利用されていない面もあると感じました。東京しごとセンターに足を運び、各種事業に参加する若者に加え、支援を必要とする若者がより利用しやすいサービスを提供すべきと考えます。
 最初に、何よりも支援を必要としている若者たちへの効果的なPRがより一層必要であると認識をいたしますが、ご所見を伺います。
 次に、具体的な施策について伺います。
 支援を必要とする若者がどこに存在するのかを把握することは困難でありますが、その情報を把握することは重要です。
 現在、さまざまなNPOにおいて、地域で若年者の就労を支援する取り組みが行われています。行政が直接、無業の若者の支援を行うには限界があるため、地域に根差した活動の実績、ノウハウや、支援を要する若者の情報やネットワークを持つNPOを活用して、無業の若者の支援を行うことは極めて有効と考えます。
 都は今年度から、若者が活動主体となるNPOからの企画、提案に対する助成事業である若者就業支援プロジェクトを開始しましたが、事業の取り組み状況と事業に対する期待について伺わせていただきます。
 調査をしていく中で、就業していない若者には、さまざまな状態の方がいることを痛感しました。例えば、就職を目指して東京しごとセンターを利用される若者の中には、精神保健医療的側面からのケアをあわせて行うことで、就業支援がよりスムーズに進むケースもあるのではないかと思います。
 昨今、メンタル面での悩みを抱えている若い世代の方々が急増しています。メンタル面の問題を抱え、就職が困難な方々への対策が急がれていると考えます。産業労働と福祉保健の分野との連携が求められていると考えますが、ご見解を伺わせていただきます。
 現在の若者の中には、アルバイトをして安易に高い収入を得ることにより、誤った金銭感覚を身につけてしまっている現状があります。このことがニート、フリーターを生む一因とも考えられ、若者が、正しい金銭感覚や労働と対価についての望ましい認識や理解が不十分であります。最も大切なのは家庭でありますが、小中学校の義務教育段階から高校生までの間に、発達段階に応じて正しい金銭感覚や望ましい労働と対価の意義について具体的に学習し、身につけることも大切であると考えます。
 特に、義務教育のころからの教育が極めて重要であります。平成十七年度から東京都が実施した、公立中学校二年生を対象とした職場体験事業、わくわくウイーク東京には大きな意義があり、この事業は継続、発展させ、地域に定着させていくことが重要であります。
 そこで伺いますが、中学生の職場体験事業は、望ましい勤労観や職業観を育成する方策としても重要であると考えますが、都教育委員会では職場体験事業の成果についてどのように認識しているかを伺わせていただきます。
 また、地域によっては、学校現場では、受け入れていただける事業所を毎年確保することは困難であるという声も聞きます。職場体験先を確保するためには、事業者への何らかのインセンティブの付与、大手事業所や各種関係機関とのより広範かつ緊密な連携などの検討も必要であると思います。
 最後に、受け入れ事業所の確保についてご所見を伺わせていただきまして、一般質問を終了させていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 西岡真一郎議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、東京の水循環についてでありますが、水は絶えず循環することにより、生態系を支えるとともに、水面からの蒸発散によって気候を緩和するなど、水の循環は都市を支える大事な、大切な役割を果たしていると思います。
 東京では、長い都市化の過程でアスファルト舗装が広がりました。水がしみ込まない不浸透域が拡大するなど、健全な水循環が損なわれてきておりまして、結果、豪雨の際などは、地面から吸収されない水が流れ込んで、地下街の浸水災害などが起こっておりますが、いずれにしろ、多摩の山地から東京湾に至る東京全域の水の循環の回復は、極めて重要な課題であると認識しております。
 十年後のオリンピック開催を見据えて、東京を、成熟した都市にふさわしい、より魅力的なまちとしていくことは、都に課せられた責務であると思っております。
 こうした観点から、東京全体の緑の大幅な増加、地下水の涵養など、多面的な施策を都市づくりのさまざまな局面で展開することによりまして、東京における健全な水循環を回復していきたいと思っております。
 浸水性の舗装もあるようですけれども、あれは大変単価が高くて、今のところ、ちょっと問題がございます。
 次いで、硫黄島の戦没者慰霊についてでありますが、太平洋戦争の最激戦地の一つでもありました硫黄島の熾烈な攻防戦で亡くなられた二万余の英霊を慰霊し、遺族の方々にとっての戦後を一日も早く終わらせることは、平和な現代を生きる我々の務めであると思います。
 祖国のために犠牲となった戦没者の遺骨収集は、国家の責務でもありますが、戦後六十年余を経た今日、さまざまな問題がございます。その一つは、どうも戦争中よりも地熱が高まってきた傾向がありまして、非常に困難な作業になっておりますが、多くの同胞が散華された歴史を語り継ぎ、島全体のすべてが国民にとっての象徴的な慰霊の地となるように私はすべきであるとかねがね思っております。
 基地として使われておりますけれども、今限りでは基地としての機密性がそう高い場所でもございませんし、そういう点で、あの島全体のあり方、国家としてのとらえ方というものを改めて基本的に考え直すべきではないかと思っておりますが、この点も国に働きかけていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 中学生の職場体験の成果についてでございます。
 中学生の職場体験、わくわくウイーク東京は、生徒に社会の一員としての自覚を促すとともに、望ましい勤労観、職業観を育成する上で極めて重要な教育活動でございます。
 本事業を体験した多くの生徒からは、仕事の厳しさや楽しさを知った、働くことの大切さを実感した、仕事にはそれぞれ必要な知識や技術があることを学んだなどの声がございます。勤労の意義や職業についての理解を深めております。
 都教育委員会は、関係部局や区市町村教育委員会と連携を図りまして、本事業を充実するとともに、小学生の職業への興味、関心を高めるため、中学生の体験を小学生にも紹介するなど、発達段階に応じ、社会的自立を図る教育を一層推進してまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) オリンピック競技会場の水質改善についてでございますが、八月三十日に行われました国内立候補都市選定委員会におきまして、JOCの評価委員会から、中央防波堤や浜離宮前の水質改善が必要という口頭での指摘がございました。
 今後、IOCへの立候補ファイルを作成する中で、国際競技団体とも協議しながら、よりよい水質で競技ができるよう、さまざまな方策を検討してまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京の雨水浸透能力の回復についてでありますが、雨水の地下浸透を進めることは、下水道への雨水の流入抑制や河川の流量確保など、東京の水環境や東京湾の水質を改善する課題を達成する上で重要でございます。
 これまで、公共施設等に雨水浸透施設を設置するとともに、自然保護条例に基づきまして、緑化計画書や開発許可手続により、緑化の推進を指導するなど、より多くの雨水が地下に浸透するよう取り組みを進めてまいりました。
 今後とも、こうした実績を踏まえながら、関係局や関係自治体と連携し、雨水浸透対策を一層推進してまいります。
 次に、東京湾の水質改善についてでありますが、都はこれまで、工場等に対する排水規制の強化、下水道の普及などにより、東京湾の水質の改善に努めてまいりました。この結果、平成十七年度には、初めて東京都内湾において、窒素、燐両方について環境基準を達成しましたが、COD、化学的酸素要求量の環境基準達成率はなお五〇%であり、東京湾の水質を一層改善していくことは、重要な課題の一つであります。
 来年度改定を行う東京都環境基本計画の中でこの課題を位置づけ、また、東京湾の水質は東京以外の都市の活動の影響も受けることから、首都圏の他の自治体とも連携しながら、今後とも東京湾の水質改善に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 硫黄島の遺骨収集に関する三点の質問にお答えいたします。
 まず、硫黄島の遺骨収集の実施体制についてでございますが、国においては、南方地域等の遺骨収集については、確度の高い情報が得られた都度、厚生労働省が収集団を派遣しているのに対しまして、硫黄島については毎年度派遣しております。
 その体制は、厚生労働省職員のほか、不発弾処理等を担当する自衛隊員など、関係省庁等と遺族会などの民間団体で構成され、平成十五年度以降は、三十名程度で年四回派遣されております。
 次に、遺骨収集が進まない理由についてでございますが、硫黄島におきましては、現在も多くの不発弾が未処理のまま残っていること、また、高い地熱によりまして、地下ごう内の作業が困難であることなど、厳しい条件が伴うこと、さらに、火山活動による地形の変化や地下ごうの崩落などによりまして、遺骨の埋没しているごうの発掘に困難を来していることなどがあります。
 さらに、これらに加えて、戦後六十一年を経過いたしまして、遺骨の存在場所を知る方々が少なくなっていることなどが、遺骨収集が進まない原因であると考えております。
 最後に、遺品の保存についてでございますが、お話の遺骨収集に際して発見された遺品については、その所持者が明らかなものについては、その都度、ご遺族にお届けしております。所持者が不明なものについては、国は取り扱っておりませんが、戦争の史実を伝える貴重な遺品については、後世に伝えていくため、保存を検討するよう国に働きかけてまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京しごとセンターの若者への効果的なPRについてでございます。
 一人でも多くの若者にしごとセンターの事業を周知し、利用を促進することは重要であります。
 これまで、都は、しごとセンターに関して、若者がよく見る深夜の時間帯にテレビコマーシャルを流すとともに、都のホームページのトップページに若者を応援するサイトを盛り込むなど、就業支援に関する最新情報を提供してまいりました。加えて、区市町村の広報紙や就職支援雑誌等を活用したPRも行っております。
 今後とも、あらゆる媒体を用いまして、一層効果的なPRに努めてまいります。
 次に、若者就業支援プロジェクトについてでございます。
 この事業は、NPOのノウハウを活用して行う、若者の目線に沿った新たな発想の事業を掘り起こし、その事業を通して若者の就業支援を促進することを目的としております。
 選定されました事業の内容は、ボランティアや農業体験をしながら働く意味を考える体験合宿、働くことに悩む若者がみずから行う仕事体験マニュアルづくりなど、いずれも新規性のある試みであります。
 今月から各NPOにおいて事業を開始されているところであり、今後、若者の就業支援に効果があらわれるものと期待しております。
 最後に、しごとセンターを利用する若者のメンタル面にかかわる福祉保健分野との連携についてでございます。
 メンタル面の悩みを抱える利用者への対応は、プライバシー保護の問題もあり、非常に難しい課題であります。
 こうした若者に対しては、必要に応じて保健所や精神保健福祉センター等の専門機関に関する情報提供を行うなど、福祉保健分野との連携を行ってまいりました。今後、さらなる連携のあり方について検討してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 中学生の職場体験についてでありますが、この事業の実施に当たりましては、子どもたちを受け入れていただける事業所を確保することが必要不可欠でございます。
 そのため、都では、商工会議所や各種産業団体などとともに、平成十七年五月に中学生の職場体験推進協議会を設置いたしまして、十七年度は、東京都石油商業組合、日本チェーンストア協会、花キューピット協同組合など三十三団体の協力を得まして、事業所を確保したところでございます。
 今後とも、中学生の職場体験推進協議会を中核としまして、受け入れ事業所の拡大に向け、職場体験事業の意義に関する広報を充実するなど、都民や企業などに積極的に働きかけを行ってまいりたいと思っております。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩
   午後三時二十八分開議

○議長(川島忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十四番山田忠昭君。
   〔四十四番山田忠昭君登壇〕

○四十四番(山田忠昭君) 最近の少年犯罪状況は、ことし一月から六月までについて見ますと、昨年の同じ時期に比べて約二割減少するなど、発生件数は減少傾向が続いているものの、現状は危険水域からようやく一息がついたというところにすぎません。今後も引き続き、少年犯罪を防ぐ取り組みを続けていかなければならないことには変わりありません。
 特に、このところ、全国で家族や同級生などを殺傷する事件が相次いで発生していることは、憂慮すべき事態であります。個々の事件の背景には、容易にうかがい知れない深い事情があるのかもしれませんが、報道などを見聞きする限り、ほんの小さなことで感情を爆発させて、重大な結果を引き起こしていくようにも見えます。我慢やこらえ性を教えられなかった保護者や周囲の大人の接し方、育て方にも悲惨な事件の一因があるのかもしれないと思うと、子どもを取り巻く我々大人の責任は非常に大きいと改めて感じます。
 そこでまず、最近の青少年の状況についてどのようにとらえているのか、知事の所見をお伺いいたします。
 少年犯罪情勢について、全体として改善が見られるのは喜ばしいことですが、その一方で、再犯者率が上昇傾向にあることには不安を感じざるを得ません。特に、ことし上半期の少年の再犯者率は、全国では三一・〇%で、検挙された少年の実に三分の一が再犯であることは、極めて憂慮すべき事態であります。
 少年犯罪を減らしていくためには、まず、少年が非行の道に入らないよう、社会環境を整えることが大切であります。それとともに、道を誤ってしまった少年をそこから救い出し、正しく導く、すなわち、再犯を防止することが不可欠であります。
 少年の再犯をどうやって防ぐかというのは難しい課題であり、さまざまな対策を組み合わせて取り組む必要がありますが、最終的には、非行から立ち直ろうとしている少年を、地域社会の一員として受けとめ、受け入れていくことが必要であります。これこそが少年の更生ということの本質であり、社会奉仕の精神を持って地域で中心となって活動しているのが保護司であります。
 保護司の方々は、こうした保護司の役割が極めて重要なものであると確信し、みずからの任務に誇りを持って取り組んでおられます。
 その反面、保護司の活動に対する都や区市町村のかかわりは極めて少ないのが現状であります。保護司が受け持った少年の更生には多様な手助けが必要ですが、現状は、保護司自身の知識、経験と努力のみに過度に頼っているのが実態であります。
 そこで、保護司が社会において果たしている役割について、都としてどう考えているのか、お伺いをいたします。
 保護司が取り扱う保護観察対象者の約六割は少年であり、非行を犯した少年が立ち直ることは、保護司にとって大きな喜びであります。そうした少年の中には、少年院を仮退院した後、何とか社会に溶け込もうと努力している少年も少なくありませんが、こうした少年は、育ってきた環境や経歴などから、地域社会の一員として復帰するのに非常な困難があるというのも事実であり、保護司は、その手助けのため、日夜大変な労苦を重ねております。
 都は、平成十七年十一月二十四日に、青少年問題協議会に、非行程度の進んだ少年の再非行化防止について諮問をしていますが、このテーマはまさに保護司の活動を抜きに語ることのできない問題であります。
 青少年問題協議会の答申は秋にもなされる予定であると聞いていますが、保護司についてはどのような議論が行われているのか、お伺いいたします。
 また、保護司との連携強化が最終答申の大きな柱になるようですが、残念ながら、これまで都を含めた地方自治体は、保護司の活動に対して、余り熱心に支えてこなかったのではないかと思います。今回の青少年問題協議会の答申が契機となって、都が保護司の支援に取り組むことは、少年院を出た少年の立ち直り支援、再発防止という観点からも望ましいことと考えます。そのためには、単に報告書として出されて足れりというものではなく、ぜひその内容を実現に移してもらいたいと思います。
 少年院を出た子どもたちの立ち直りを支援するために、保護司との連携強化に取り組む決意を伺いたいと思います。
 次に、都市基盤整備について伺います。
 東京の都市を再生し、地域を活性化するためにも、その基盤施設となる道路ネットワークの整備は喫緊の課題であります。
 現在、東京都においては、区部環状、多摩南北方向の道路整備が重点的に進められていることは承知しておりますが、一日も早く幹線道路ネットワークが構築されることを熱望しているところであります。
 特に、私の地元の西東京市は、南北方向を結ぶ基幹となる道路がないことや、さらに、市内を東西方向に二本の鉄道が通ることなどから、地域が三つに分断されており、南北方向の移動に多くの時間を要しております。
 加えて、区部と多摩を結ぶ青梅街道や新青梅街道、さらには所沢街道等が北原交差点周辺で交わり、大変な交通渋滞が発生しております。
 そこでまず、この地域の南北方向の交通アクセスに大きく寄与する調布保谷線の整備の取り組み状況についてお尋ねをいたします。
 次に、調布保谷線と結ばれることで飛躍的に都心部への交通アクセスが向上し、青梅街道や新青梅街道などの東西方向の交通の分散に効果が高い新東京所沢線と、その延伸部であります放射七号線の整備の取り組み状況についてお伺いいたします。
 また、渋滞箇所の象徴ともいうべき北原交差点周辺の交通渋滞を解消するには、道路ネットワークの早期形成はもちろん、ボトルネックとなっています北原交差点での局所的な対策もあわせて行うことが必要であると考えます。そこで、ボトルネックとなっております北原交差点での渋滞対策についてお伺いをいたします。
 次に、石神井川の整備について伺います。
 昨年九月の集中豪雨による大水害の記憶が冷めやらぬ中、本年九月十一日の明け方の集中豪雨では、私の地元西東京市内でも浸水被害が発生いたしました。
 水害には、河川からの浸水だけではなく、雨水が河川や下水道にのみ切れないで発生する浸水被害、いわゆる内水被害があります。この内水被害の軽減のためには、一刻も早く河川整備を進め、下水道の受け皿となる河川の流下能力を高める必要があります。
 石神井川の整備は、下流の区部から順次進められていますが、上流部に位置する西東京市内はほとんど未整備区間となっています。そのため、整備がおくれているところですが、今後、石神井川の整備では、洪水対策だけでなく、狭く、人々も近づけない今の川を、緑豊かで、水辺に近づけ、潤いが感じられる河川に再生し、石神井川を西東京市内の東西に横断する良好な環境のシンボル的な存在としていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都市農業の振興について伺います。
 私は、東京都議会自由民主党・都市農政を考える議員連盟が七月に主催いたしました青壮年農業者との懇談会に出席しましたが、若い農業者は、相続が起きたら農業が続けられないと異口同音に危機感を募らせていました。
 農地面積の六割が市街化区域内に存在する東京では、他の道府県に比べ地価が高く、相続が発生した場合、生産緑地は納税猶予が受けられるものの、農業施設用地や屋敷林などは納税猶予が受けられず、相続時に多額の税負担を強いられ、年々農地が減少する大きな要因になっています。
 このため、我が党では、さきの第二回都議会定例会で、農地の置かれている危機的状況について知事に伺ったところ、都市における農地は非常に貴重な重要なもの、農地としてしっかり保ち続けていく努力を多角的にしなければいけないという答弁を知事からいただいたところであります。
 その後、都では、農地を保全するため、都市農業のあり方について検討を開始したと聞いていますが、その取り組み状況について伺います。
 このように、大半が市街化区域内の中にある東京の農業は、消費者である都民との密接な関係のもとに成り立っています。新鮮で安全な農作物の供給だけでなく、都市の貴重な緑地空間の提供、さらには都民がその生産現場に触れることで、自然の恵みを実感し、食を大切にする心がはぐくまれるなど、多くの機能を発揮しています。
 最近、私の住む西東京市では、地元の農家みずから、消費者と一緒になり、生産物の販売や加工、調理実習などを行う食育活動を始めました。
 我が党では、以前から食育の重要性について指摘してきたところですが、今般、都は、食育推進計画を策定し、食育に積極的に取り組むと聞いております。
 そこで、都がどのように食育に取り組んでいくのか、基本的な考え方を伺います。
 次に、消費者被害の元凶であります悪質事業者に対する規制の強化について伺います。
 最近、テレビや新聞などで、悪質商法によるさまざまな事件、高齢者の深刻な被害などが毎日のように報道されています。悪質事業者というのは、一つ手口が通用しなくなると、また新たな手口で消費者をねらうというように、一度味をしめると執拗に繰り返す者も多いと聞きます。こうした悪質事業者が社会にはびこることにより、消費者が安心して事業者とのかかわりを持てなくなるようでは、健全な事業者の活動にまで影響しかねません。
 この七月に出された消費生活対策審議会の部会中間報告では、悪質、巧妙化した手口への対応として、事業者規制に関する条例の整備と、その条例整備の効果を最大限に発揮できる不適正取引防止対策事業の充実についての提言がなされております。
 現状でも、東京都は、例えば現行の法令や条例に基づいて、近県と合同で悪質事業者の処分を行ったり、最近被害が多発している催眠商法について、迅速に情報提供を行うなどのさまざまな対策を行っていることは、私も十分承知しております。しかしながら、悪質事業者を排除し、消費者被害を防止するには、やはり、しっかりと条例に基づく規制策を充実して、厳正に対処していくべきと考えます。
 現実に起きている消費者被害の拡大防止は待ったなしであります。条例改正についてもできる限り早く実現することが重要であると考えますが、ご所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山田忠昭議員の一般質問にお答えいたします。
 最近の青少年の状況についてでありますが、現在の日本は、平和のうちに物質的な豊かさを享受している反面、それが逆にむしろあだとなったのでしょうか、青少年の健全育成にとっては思わぬ結果をもたらしたような気がいたします。いわば平和の毒とでもいうのでしょうか、きちんと子どもをしつけ、教育をすることができない親がふえました。地域の大人も子どもをしかってくれるようなことがなくなりました。
 実は、先般、北区の、国が新設しましたトップアスリートたちのためのトレーニング施設を見学いたしましたが、ちょうど日本の女子バレーのナショナルチームが合宿しておりました。何か座学をしておりましたので、そこに行きましたら、柳本さんといいましたか、ナショナルチームの監督が、来たついでに何か話をしてくれということで、私、四十年ちょっと前の東京オリンピックの最後の東洋の魔女たちがロシアに勝った、あのシーンの話をしました。
 そのときの大松さんが、一人の男として非常に美しく見えた。優勝した瞬間、離れて静かに遠くから自分の育てた魔女たちを見送って拍手して、メディアからすっと身を離した。そんな、鬼の大松といわれた監督がいかに男として優しく、美しく見えたかという話をしましたら、監督はその後追っかけてこられまして、実は、石原さん、私も大松さんをあこがれ、本当に尊敬しておりますが、なかなか当節そうはいかなくなりました。ナショナルチームといえども、厳しく怒るとすぐやめるといい、泣くといい、全く代表選手の資質がかつてとは変わりましたなと慨嘆しておりましたが、私にとってもちょっとショックな発言でありました。
 幼いころから願望を何でも満たされて育った子どもが、こらえ性を欠いたまま大人になっている。これはもう幼い子どもと、大人の親もそうだという気がいたしますが、まず、子どものしつけに一番の責任のある各家庭で、親が自分の責任で厳しくしつけることが大切だろうと思います。
 さらに、今、地域の大人も、それと連携して、自分たちのために近所の子どもを育てていくという心構えが肝要であると思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 保護司の活動に関します三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、保護司が社会において果たしている役割についてでございますが、保護司は、非行から立ち直ろうとしている少年と向き合っておられまして、更生に向けた必要な指導、援助を無報酬で行っておられ、現在約三千九百名の方々が都内で活動されております。
 保護司の任務は、少年のプライバシーなどにも十分配意しながら、それぞれの少年の事情に応じて立ち直りの道筋をつけていくというものでございまして、非常に重要かつデリケートな仕事を日ごろ果たしておられるものと認識しております。そうした保護司の方々の活動に対し、深い敬意を評するものであり、その活動は少年の非行防止に大きく貢献しているものと考えております。
 次に、青少年問題協議会での保護司に関する議論についてでございます。
 青少年問題協議会におきましては、少年院を出た少年の立ち直りのために必要な就職先や住居の確保あるいは生活面でのサポートなどさまざまな支援のあり方について検討がなされてきたところでございます。
 そうした中で、保護司につきましては、少年と直接接してその立ち直りを支えておられますので、そうした保護司の活動を、就業や教育などにかかわる都や区市町村あるいは国などの多くの機関が連携して支援していくということが何よりも大切である等の議論が行われてまいりました。最終答申は十月に取りまとめられ、知事に答申される予定でございます。
 次に、少年院を出た少年の立ち直りを支援していくための保護司との連携強化についてでございますが、非行から立ち直ろうとしている少年と実際に向き合っている保護司の方々の活動を、行政を初めとする地域社会でしっかりと支えていくことは大変に重要なことであります。しかしながら、これまで自治体でのそうした取り組みは必ずしも十分ではありませんでした。
 都としましては、今後関係する機関とともに、保護司また保護司会との連携を大幅に強化し、非行少年の更生、再犯防止のための取り組みを積極的に進めてまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 道路整備など四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、調布保谷線の整備の取り組み状況についてでございますが、本路線は、交通の円滑化、多摩の自立性の向上、地域の活性化に不可欠な骨格幹線道路でございます。西東京市内での調布保谷線は、青梅街道から埼玉県境までの三・九キロメートルが事業中であり、今年度末には九〇%の用地を取得する見込みでございます。さらに、本年十一月には、石神井川にかかる橋梁の下部工事に着手するとともに、引き続き西武新宿線及び西武池袋線との立体交差区間の工事を順次実施してまいります。
 次に、新東京所沢線及びその延伸部である放射第七号線の整備状況についてでございます。
 これらの路線は、多摩北部地域と区部の連携強化を図る重要な骨格幹線道路でございます。このうち新東京所沢線は、調布保谷線から区市境までの五百七十メートルが事業中であり、今年度末には八三%の用地を取得する見込みでございます。
 また、放射第七号線につきましては、本年七月に区市境から目白通り北園交差点までの二キロメートルの区間で事業認可を取得し、用地買収に着手いたしました。
 今後とも、財源確保に努めるとともに、地元の理解と協力を得ながら、多摩地域のバランスのとれた道路ネットワークの早期形成に向け、南北を貫く調布保谷線、東西方向の新東京所沢線などの整備を積極的に進めてまいります。
 次に、北原交差点における渋滞対策についてでございますが、本交差点は、主要な幹線道路でございます新青梅街道と所沢街道が鋭角に交わる上、交通量に占める大型車の混入率が高く、車線幅も狭いなどの理由から、渋滞が発生している箇所でございます。このため、本交差点を、スムーズ東京21拡大作戦の対象箇所とし、車線拡幅に必要な用地の確保などについて、関係機関と調整を重ねてまいりました。
 その結果、交差点に隣接する用地の確保ができたため、車両通行の円滑化に効果のある車線を拡幅する交差点改良工事を年内に着手いたします。
 今後とも、道路ネットワークの早期整備とあわせ、即効性の観点から、渋滞緩和に有効な交差点改良などの局所的整備にも積極的に取り組んでまいります。
 最後に、石神井川の整備についてでございますが、本年三月に策定した石神井川の河川整備計画において、治水はもとより、景観や環境に配慮した整備を進めていくこととしております。現在、石神井川の西東京市区間の整備に際し、東伏見石神井川緑地などとの一体的整備による親水化や、魚や昆虫、水鳥などにも優しい多自然型の川づくりを進めております。
 さらに、川の両側に設置する河川管理用通路を緑化するとともに、可能な箇所では水辺に近づける階段式の護岸を整備するなど、魅力ある水辺空間となるよう工夫してまいります。
 今後とも、地元自治体と連携を図り、安全で都民に親しまれる石神井川の整備に努めてまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市農業のあり方についてでございます。
 ご指摘のとおり、市街化区域内の農地は、相続時の税負担が主な原因となって減少し続けております。そこで、都は、農地を保全し、都市農業を振興するため、本年七月に学識経験者や農業者等で構成する都市農業検討委員会を設置いたしました。現在、都市政策における農業、農地の位置づけ、都市農地制度と税制度、農地経営、担い手、農地保全対策などの課題について検討を進めており、年内を目途に取りまとめてまいります。
 報告を受け、国の制度改正が必要なものについては、関係省庁に強く働きかけるとともに、都が独自に取り組むものについては、早急に必要な施策を検討してまいります。
 次に、食育への取り組みの基本的な考え方についてでございます。
 東京では、家庭でのバランスのとれた食習慣を身につけにくくなってきたことや、食を大切にする心が薄れるなど、食をめぐる問題が顕在化しております。そのため、今般、東京都食育推進計画を策定し、総合的な食育を推進することといたしました。
 基本的な取り組みの方向は、家庭、学校、地域が連携して子どもの食育を進めること、農業体験や生産者との交流を通じ、食や自然に感謝する心を育てること、東京に集積している食に関する情報や人材などを積極的に活用することの三点であります。
 今後、食をめぐる問題の解決に向け、外食産業などとも連携しながら、東京発の食育を力強く推進してまいります。
   〔生活文化局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) 消費者被害の防止対策についてでございますが、最近の消費者被害の特徴を見ますと、高齢者の健康上の不安や孤独感、若者の社会経験の乏しさにつけ込むなど、より悪質、巧妙な手口によるものが増加しており、有効な対策が急がれております。今回、東京都消費生活対策審議会の部会からも、悪質事業者への規制を強化すべきとの中間報告がなされたところでございます。
 今後、審議会の答申を受けました上で、都としてその趣旨を踏まえた消費生活条例の改正案をできる限り速やかに取りまとめ、都議会にお諮りできるよう準備を進めてまいります。

○議長(川島忠一君) 五十七番かち佳代子さん。
   〔五十七番かち佳代子君登壇〕

○五十七番(かち佳代子君) まず、高齢者介護について質問します。
 四月から改定された介護保険制度のもとで、保険料が大幅値上げになる一方、介護度が低いと判定された高齢者からヘルパー派遣やデイサービスが打ち切られています。介護ベッドや車いすの貸与が認められず、各地で悲鳴が上がっています。政府がいってきた自立支援や介護の社会化と逆行する深刻な事態です。このままでは、保険料だけ取り立てて介護は受けさせない制度になりかねません。
 そこで、以下、緊急の問題について提案します。
 第一に、介護保険料の負担軽減です。
 住民税増税に連動した負担増が高齢者に押し寄せているだけに切実な課題です。保険料を下げるには、国の財政負担をふやすことが必要です。事業費全体の二五%が国の負担とされていますが、そのうち五%は調整交付金で、後期高齢者比率の低い自治体には少ししか配分されません。東京都全体で国から来る調整交付金は三・六%にすぎません。
 全国市長会、町村会、東京都市長会、町村会も、調整交付金は国庫支出金の別枠にしてほしい、すなわち、国庫負担割合を現行の二五%から三〇%に上げてほしいと政府に要望しています。介護保険事業を安定的に運営していく上で切実な要望だと思いますが、所見を伺います。
 東京都全体で二五%の国庫負担がきちんと支払われた場合、約六十五億円の増収となり、年間保険料は高齢者一人当たり平均二千八百円値下げができます。都として、国庫支出金の不足分を区市町村に支援し、保険料軽減ができるようにすることを提案するものです。見解を伺います。
 第二に、介護ベッドなど福祉用具の問題です。
 東京都社会福祉協議会の介護保険居宅事業者連絡会は、介護保険制度改定に伴う利用者への影響調査結果を七月に発表しました。それによれば、約五割の人が、今まで利用していた時間や回数を減らさざるを得なくなった、四割の人が、今まで利用していたサービスが利用できなくなったと回答しています。
 このアンケート調査を見ても、今まで利用していたベッドが借りられなくて困るなど、軽度の利用者からの苦情や相談が事業者にも寄せられていることがわかります。この調査結果をどう受けとめていますか。
 あるひとり暮らしの七十代の女性の一例ですが、大腿骨に障害があり、歩行困難と痛みに苦しんでいます。心臓疾患で心臓に負担をかけられない生活です。ベッドで起き上がるのも、さくがなければ起き上がれません。ところが、要介護1だから、ベッドは九月末までに返すようにいわれ、途方に暮れています。この人は生活保護のため、自費でベッドを買うことも借りることもできません。
 二十三区介護保険課長会でも、人工関節で脱臼しやすい、全身が衰弱しているなど介護ベッドなしでは起き上がりが著しく困難になるケースがあるとの意見が出されています。こういう問題が現に生まれているからこそ、港、北、新宿、中央、千代田、江戸川区、そして調布市のように、独自の支援を行う自治体が相次いでいるのです。
 区市町村が自立支援のため必要と認めた高齢者に対し、独自にベッドを貸し出す事業などについて、区市町村から申請があれば、包括補助制度、福祉改革推進事業の活用について検討していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
 第三に、地域密着型サービスとリハビリテーションの充実です。
 通えて、泊まれて、住むこともできる小規模多機能ホームは、住みなれた地域で身近な人々との触れ合いの中で過ごすことができ、とりわけ認知症高齢者に大きな効果があります。
 小規模多機能ホームは、全国で百五十カ所整備されていますが、都内ではまだ五カ所です。都の計画では、今年度二千人分、約八十カ所、二〇〇八年度までに五千三百人分、約二百カ所の目標です。都として、小規模多機能ホームの役割の重要性をどう認識していますか。
 今年度からスタートした地域密着型サービス重点整備事業を来年度も継続し、小規模多機能型介護などの拠点について、一層、整備促進を図る必要があると思いますが、答弁を求めます。
 身近な地域におけるリハビリテーションの充実も緊急な課題であり、従事者研修や相談機関への支援などを行う支援センターの役割が重要となっています。今年度までに島しょを除く十二医療圏に一カ所ずつ整備が進められてきた地域リハビリテーション支援センターについて、今後その質の向上に積極的に取り組むべきと思いますが、所見を伺います。
 近年、海外に展開していた製造業の国内回帰が話題を呼び、国によるものづくり基盤法の制定など、日本のすぐれた製造業の再興に向けた流れが強まっています。
 地方自治体でも、大阪での工業集積支援や神奈川や神戸の臨海部地域での研究機関の集積、愛知での企業ブランドの取り組みなどが始まっています。こうしたもとで、国内のものづくり基盤産業の全国の出荷額は、二十年前と比べ、十五年間に二割伸び、製造品出荷額も二〇〇四年度のデータで、若干ですが、伸びを示しているのです。
 ものづくりの強化は欧米でも取り組まれています。ロンドンでは、世界都市に向かう過程で生まれた貧富の二極化を是正するために製造業を育成することに力を注いでいます。ドイツなどの欧州各国でも中小製造業の振興が大きな流れとなっています。
 こうした内外の取り組みに学んで、都内のものづくりの活性化に取り組むことが急がれているのではないでしょうか。
 そこで、何点か伺います。まず、都内には中小製造業が高密度に集積している城南地域を初めとして、先端産業、それを支える高度な基盤技術など、ものづくりが数多く存在しています。東京のこれからの経済的発展の一翼を担うものづくり企業の育成に向け、支援策を充実させるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 また、多摩川を挟んで京浜工業地帯を構成する城南地域と神奈川県と連携した広域的な工業支援の取り組みの強化を提案しておくものです。
 新たな産業振興ビジョンの策定が進められていますが、城南を初めとする工業集積を柱に位置づけ、将来的な展望を踏まえた内容とすることが欠かせないと思いますが、どうでしょうか。
 また、産業振興ビジョンの検討に当たっては、懇談会にとどまらず、中小企業対策審議会の開催や、区市町村、業者団体などの参画を働きかけ、よりよいものにすることも大切なことであると考えますが、見解を伺います。
 城南地域のものづくり活性化のためには、今、各企業が必要としている特許や技術などのシーズ、それを製品化し、販路を開拓するなどを一体的に支援するシステムが必要となっています。城南地域に試験研究と経営改善、インキュベーター施設、展示場や販路拡大などを一カ所に集約した施設をつくり、中小企業振興公社と連携した取り組みを展開することが急がれていると思いますが、いかがですか。
 城南地域の企業は、工場の中の工場、フルセット産業といわれるように、提供する部品や材料が、最終製品を生産するための装置に活用されるものが多数占め、お互いに支え合う構造を持っています。
 メッキ産業はそのかなめをなすものであり、国が進めるものづくり基盤法に基づく支援が欠かせません。東京都として国の支援拡充を働きかけるとともに、都として、無公害型メッキへの技術革新支援、技能検定支援の拡充、用水型産業として上下水道料金の軽減の継続などの切実な要望にこたえることを提案するものですが、あわせて答弁を求めます。
 すぐれた技能や環境、雇用対策など優秀な企業を育成することは、これからの国際的な競争に打ち勝つ上で欠かせない要件となるといわれています。都には優秀な技術者を認定する東京マイスター制度がありますが、認定するだけで終わっており、産業振興につながらないなど改善の要望が寄せられています。
 そこで、都としてマイスターのPRを行うことや、マイスターのいる企業や環境、雇用などすぐれた企業を認定し、資格を授与するものづくり東京ブランドを創設することなどは検討に値すると考えますが、答弁を求めます。
 東京の製造業は重層的な下請構造で構成されており、大手企業による手形による実質値引きや不当な単価の引き下げなどに直面しています。
 そこで、手形発行期間の短縮、対象業種の拡大など下請二法の改正を国に求めるとともに、都として下請二法の遵守を徹底するよう求めるものです。答弁を求めます。
 また、原油高騰に伴う鋼材費や原料費などの影響も深刻です。対策を国に求めるとともに、都として原油対策特別融資制度の創設を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) かち佳代子議員の一般質問にお答えいたします。
 ものづくり企業の育成についてでありますが、東京には世界に誇る高度な技術を持つ中小企業が集積しておりまして、日本の経済を牽引していく原動力となっております。こうした東京のものづくり産業の育成のため、これまでもベンチャー技術大賞の創設やナノテクノロジーセンターの開設など、先進性と独自性を持った施策を実施してまいりました。
 さらに、知的財産総合センターを設置し、国際競争力の強化を支援するなど、多面的に施策を展開しております。今後も、さらにこれらの試みを重視していくつもりであります。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 高齢者介護に関する六点の質問にお答えいたします。
 まず、介護保険の調整交付金についてでございますが、この交付金は、保険財政の自治体間格差を是正するため、国庫支出金の法定の負担割合である二五%のうちの五%分を財源として財政調整を図る仕組みでございます。
 具体的には、要介護者の発生割合の高い後期高齢者が多い区市町村や高齢者の所得水準が相対的に低い区市町村に対し、国費を傾斜配分しているものでございます。
 都内の各区市町村における介護保険財政は、相対的に見れば健全かつ円滑に運営が行われており、現行の調整交付金の仕組みは十分に機能しているものと認識しております。
 次に、調整交付金に係る区市町村支援についてでございますが、調整交付金は、保険財政の自治体間格差を是正する有効な仕組みであり、その五%相当額と交付実績の差額について都道府県が支援することは、公費負担割合を明確に規定しております介護保険制度の趣旨から適当ではないと考えております。
 次に、介護ベッドに関する調査結果についてでございますが、お話の調査は、制度改正直後の時期に、介護事業者の団体が会員事業者を対象として実施したものであり、その中で利用者からの声を事例として紹介していることは承知しております。
 今回の制度改正は、心身の状態から見て特殊寝台の利用が想定しにくい要支援などの軽度者について、保険給付の対象外とし、適正化を図るものでございます。ただし、軽度者であっても、客観的判定に基づき、起き上がりや寝返りができない方、そういう方は対象とされます。
 この半年間、保険者である区市町村や現場の介護支援専門員などの取り組みによりまして、利用者の理解も進み、円滑に見直しが図られてきているところでございます。
 次に、独自にベッドを貸与する区市町村への支援についてでございますが、今回の制度改正は、軽度者への特殊寝台の貸与を見直し、給付の適正化を図るものであり、介護保険対象外の方に対し、区市町村が独自に介護ベッドを貸し出す事業について、都が支援する考えはございません。
 なお、昨日の自民党の代表質問に対する答弁のとおり、制度改正以前から特殊寝台を利用してきた軽度者に対しまして区市町村がその購入費を助成する取り組みについては、都としては時限的な支援を実施することとしております。
 次に、小規模多機能型居宅介護についてでございますが、このサービスは、通所を中心に、利用者の希望による泊まりや自宅への訪問の機能により、住みなれた地域で高齢者の生活を支えていくサービスでございます。
 既に都は、今年度から三カ年の地域密着型サービス等重点整備事業を実施しており、これによりまして区市町村を支援し、小規模多機能型居宅介護拠点など、地域に密着した介護サービス基盤の整備促進に努めているところでございます。
 最後に、地域リハビリテーション支援センターについてでございますが、都は、地域でのさまざまなリハビリテーション事業の充実を図るため、当該地域においてリハビリ医療の中核的な役割を果たしている病院を地域リハビリテーション支援センターとして指定しております。
 支援センターの活動については、リハビリの専門家や関係団体等で構成する東京都リハビリテーション協議会の意見を聞きながら、二年ごとに実績を評価し、これを踏まえて再指定する仕組みをつくるなど、質の向上を図っているところでございます。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、産業振興のための基本戦略についてでございますが、産業振興の将来像に関する懇談会の第一回懇談会を九月六日に開催するなど、検討を開始したところであります。
 次に、基本戦略における関係団体の参画についてでございますが、産業界を初め、観光、まちづくり、環境など幅広い委員で構成される産業振興の将来像に関する懇談会を設置し、意見を聞くこととしております。
 次に、城南地域のものづくりの活性化についてでございます。
 現在、城南地域の中小企業振興の一大拠点として、中小企業振興センターを設置し、技術支援、経営支援などを展開しており、併設されている大田区産業プラザの展示場等と相まって機能集約が図られていると考えております。
 なお、同センターにおいては、産業技術研究センターと中小企業振興公社による連携した取り組みが行われているところであります。
 次に、ものづくり基盤法に基づく国の支援についてでございます。
 いわゆるものづくり基盤法は本年六月に施行されております。現在、都としては、メッキ関連企業を含む中小企業に対し、中小企業振興公社及び業界団体を通じて、その普及啓発を行っているところであります。
 次に、東京マイスターのPRについてでございます。
 東京マイスター制度は、技能者の社会的評価を高め、技能水準の向上に寄与しており、その受賞者は、ものづくり技能の指導活動等を通して社会に貢献しております。都は、受賞者の名簿を作成し、区市町村や関係団体等に広くPRしているところであります。
 次に、いわゆる下請二法の遵守についてでございます。
 都はこれまでも、親事業者で構成される主要業種団体協議会を開催し、下請取引の適正化や法の遵守について周知徹底を図っております。さらに、中小企業振興公社においても、下請取引改善のための指導を行っております。
 なお、いわゆる下請二法については、平成十五年に改正され、既に対象業種が拡大されたところであります。
 最後に、原油高への対応についてでございます。
 本年六月、都は国に対し、原油・石油製品の価格や供給の安定化等について提案要求を行いました。また、原油高などにより事業活動に悪影響を受けている中小企業に対しては、既に制度融資において、有利な金利が適用される経営支援融資など、適切な金融支援を行っております。

○議長(川島忠一君) 三番きたしろ勝彦君。
   〔三番きたしろ勝彦君登壇〕

○三番(きたしろ勝彦君) 去る八月三十日、JOCの国内選考において、二〇一六年オリンピックの国内候補地が東京都に決定されました。二〇一六年までのこれからの十年間は、前回の東京オリンピック後の高度経済成長、その後のバブル経済崩壊を経て、さまざまなゆがみが生じている東京のまちを見詰め直す絶好の機会であると思います。加えて、世界の名立たる都市に打ち勝ち、最終的に東京がオリンピックの開催地として選ばれるためにも、世界にアピールできる明確な都市像というものが必要です。そこで必要とされる目指すべき都市像としては、一つは環境に優しいまち、もう一つは安全・安心のまちであると考えます。
 私は、この点を基本的な視点に持ち、十年先の東京の姿を思い描きながら、何点かの課題について質問させていただきます。
 まず、環境に優しいまちづくりの視点から、環境問題について質問いたします。
 戦後、経済成長を経る中で、これまでのまちづくりは利便性や経済性が重視され過ぎてきました。その結果、特に都心部などでは、地面がアスファルトに覆われ、緑や土といった自然環境が失われたため、集中豪雨による被害などにもつながっています。
 知事はかつて、トインビーの、決定する能力を欠いたいかなる国家も簡単に崩壊するという国家観を例に引き、同じことが地球という惑星にもいえると述べています。そして、みずから開発してきた文明が生存にかかわる環境破壊を続けているのに、それをみずから抑制できないというのは、自分で自分の首を絞めているということだと続けています。こうした知事の環境に対する考え方が、ディーゼル車の走行規制や取り締まり、不正軽油撲滅作戦など、国に先んじた環境対策によって大幅な大気の改善につながったものだと思います。
 そこで、まず東京大気汚染公害訴訟について伺います。
 この訴訟は、平成十四年十月に東京地裁で判決が下されましたが、都などの道路設置管理責任だけを認めるという、問題の本質を取り違えたものでした。これに対して知事は、判決の内容や論理には承服できないが、自動車排出ガス対策の強化と健康被害者の救済を早急に実施することが行政の使命であるとして、控訴しないことを判決日に即断されました。
 我が自民党は、知事と同様の考えから、判決への遺憾の意を表明するとともに、知事の決断を高く評価し、環境対策に総力を挙げることをお約束したと聞いております。
 この訴訟の控訴審は、今月末には結審するとのことですが、都は依然として被告の立場にあり、さらに二次から六次まで訴訟が提起されております。
 そこで、この問題にどのように対応するのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、都は先般、品川駅から田町駅一帯の約六百三十ヘクタールの地域について、品川周辺地域都市・居住環境整備基本計画を策定しました。この基本計画では、地域の目標とする将来像の一つとして環境モデル都市づくりを掲げており、都が目指す新たな環境対策として注目されています。
 そこで、この基本計画における具体的な取り組みについて、見解を伺います。
 次に、安全・安心なまちづくりの視点から、東京の治安回復について伺います。
 東京は従来、世界の主要都市の中でも世界一安全なまちといわれており、事実、犯罪の発生率は欧米の先進諸国の都市と比べても大きく下回っている状況です。この都市の安全性は、オリンピックの開催都市選定に向けても大きなセールスポイントであると思います。
 しかしながら、近年では、子どもを対象とした犯罪や青少年犯罪あるいは来日外国人による犯罪の増加等により体感治安が低下しており、都民の都政への要望として治安対策を掲げる人がこれまでになくふえております。
 加えて、最近は、全国で飲酒運転による交通事故が連日報道されており、大きな社会問題となっています。警視庁においても、治安の回復を大きな課題に掲げていますが、近年の取り組みの成果について伺います。
 また、東京都としても酒類提供業者に対して指導すべきであると考えますが、見解を伺います。
 一方、二〇〇七年問題といわれるように、日本ではこれからの数年間で団塊の世代の退職が進みます。これら人生経験豊かな退職者の方々を地域の戦力として活用できれば、これまで失われつつある地域コミュニティの復活などにも大きな効果があり、治安の回復に大きく貢献するものと期待できます。
 中でも、今後退職される警察官OBは、治安に関する知識や経験が豊富で、地域においても活躍が期待されるところです。警察官OBは、これまでは民間のセキュリティー会社や企業の総務部門等ヘの再就職も多いと聞きます。しかし、これら警察官OBの有する貴重なノウハウを引き続き東京の治安回復のために活用できれば、さらに有効であると考えます。
 今後、治安対策として警察官OBをどのように活用していくのか、見解を伺います。
 次に、防災力の向上による安全なまちづくりについて質問します。
 近年、特に都市部においては、ヒートアイランド現象の進行や一時間に一〇〇ミリを超える集中豪雨による被害が大きな問題になっています。特に集中豪雨による浸水被害は、都民の安全に直結する問題であり、これまでも東京都でも、いわゆる環七地下調節池の整備により神田川流域の浸水被害を低減するなど、大きな成果を上げています。
 しかし一方、いまだ対策が不十分で不安を抱えたままの地域も存在しています。現在、最も懸念されるのは渋谷川・古川流域であるといえます。例えば白金、麻布十番等を流れる古川では、平成十一年に河川の溢水による浸水被害が発生しているほか、大雨のたびに土のうを積むなどの対応を迫られ、特に台風シーズンでは流域の住民は不安な生活を余儀なくされております。
 さきに挙げた環七地下調節池事業も、これまでに長い期間をかけての整備が終了し、一方で都の財政再建も一定の区切りがついた現在、次は渋谷川・古川流域の整備に本格的に取り組むべきと考えます。
 この渋谷川・古川は都市河川であり、周囲が建物に囲まれている上、一部地域では川の上部に高速道路が設置されている状況を考慮すると、地下調節池の設置こそが最も高い効果が見込まれ、また環境整備にも役立つ整備方法であると考えます。古川の地下調節池による浸水対策整備の積極的な推進について見解を伺います。
 次に、心の東京革命について質問します。
 知事の発案でスタートした心の東京革命ですが、日本人のあるべき姿を取り戻すこと、特に次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任を持って正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくみ、人が生きていく上で当然の心得を伝えていくという理念は、私も強く共感しているところです。これまでも、家庭、地域社会、学校が協力し、地域ぐるみで子どもを育成するための推進モデル事業の実施や、それらの活動を広く都民に周知するための会報の発行など、着実に取り組んでいることは評価できるところです。
 心の東京ルールで訴えている、子どもにあいさつをさせよう、他人の子でもしかろう、先人や目上の人を敬う心を育てよう、子どもにその日のことを話させようなど七つの呼びかけは、どれも大切なものばかりです。青少年と接するすべての大人が取り組むべきことであります。
 そこで、心の東京ルールの視点から見た青少年の置かれた状況について、知事の所見をお伺いいたします。
 心の東京革命と並行して取り組むべきは、教育の再構築であります。
 九月二十一日、東京地裁での、教師四百一名の主張を認める驚くべき判決がありました。私は、公教育、ひいては青少年の人格形成をゆがめる歴史に残る不当な判決と考えます。
 かつて教師は、高い志を持った聖職者といわれていました。しかし、最近の教員の中には、学習指導要領を無視して自分の思いで授業をする者や、情熱や使命感あるいは教員としての指導力の不足している教員が少なからずいることも事実です。
 これまで都教育委員会では、教育の正常化や学校組織の活性化のためにさまざまな取り組みを行い、一定の成果を上げてきたことは評価をしているところです。しかし、肝心なのは、教員の意識改革がなされなければ真の成果は得られないということです。
 今後、すべての教員が強い使命感を持って子どもたちへの指導に当たることができるよう、他の教員を指導する力を身につけたリーダーを育成する必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、都区財政調整制度等について質問いたします。
 昨年度は、平成十二年に積み残した課題を整理できた重要な年でありました。三位一体改革の影響について引き続き協議を要しますが、私があえて申し上げたいのは、今までの問題は早々に幕引きとし、これからは未来について論ずべきだということです。
 幸い、都も区も景気の回復により税収が伸びており、各種の問題についても大人の決着が可能だと思います。より大切なことは、地方分権の視点に立って特別区の形を考えることであります。仕事の中身を変え、区域の形を変え、都との関係だけでなく、国との関係も変えていくべきではないでしょうか。
 平成の大合併により、全国の市町村数は、平成十年度末の約三千二百から、現在では約千八百に集約されています。さらに一層の統合が求められている中、今後も特別区だけが例外でいられるわけではありません。
 特別区はこれまで、対東京都との関係で財政的拡大を求めてきましたが、地方分権の潮流の中、むしろ志向すべきは、それぞれの特別区が自立していくことであります。真の分権の視点で考え、再編統合した上で自治の充実を目指すべきであります。このような視点に立ち、これからの都区のあり方に関する検討会の議論を深めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、中小企業への支援について質問します。
 近年、大企業においては景気の回復に伴い着実に業績が回復している状況ですが、ベンチャー企業を初めとする中小企業では、いまだ十分な回復といえる状況ではありません。地域経済を活性化させるためにも、ベンチャー企業の創業やその育成のために適切な金融支援を講ずることが重要ですが、それに対する資金供給策はまだまだ不足しているという認識です。
 東京都としても、東京信用保証協会などとの連携を図るなど、ベンチャー企業の創業とその育成に対する金融支援策をさらに拡充すべきと考えますが、見解をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、大気汚染訴訟についてでありますが、お話しのように、あの一審判決には、その理由や論理に承服しかねる部分もありましたが、異例の措置として控訴しないことを決断いたしました。
 しかし、判決から約四年が経過した現在でも、国はいまだに正当な現況認識を欠いたまま、依然として使用過程車を放置するなど、大気汚染に対する不作為の責任をとろうとしておりません。
 前にも申し上げましたけれども、前々回の総選挙の折、私、大阪の友人の応援に行きました。国道の交差点で宣伝車の上で演説していますと、目の前に、交差点でとまるバスとか、あるいはトラックの排気ガスが非常に激烈で汚れていて、演説して、のどや目が痛くなったものでありますが、東京に比べますと、東京ではそういう状況がなくなっておりました。
 これはまことに鮮明な、要するに証拠だと思いますけれども、いずれにしろ、日本じゅうで操業している大手の会社は、東京に来たらひっかかって罰金を取られる車は全部地方で回している。一番気の毒な、この首都圏だけで仕事をしている零細の方々は、本当に血を吐く思いで新しい車を買ったり、アタッチメントをつけられたわけですけれども、そういう非常に不公正な事態が、人間の生命にかかわる環境の上で生じているのに、国は一向にこういったものに対処しないというのは、私は本当に不可解だと思いますし、私たちはせっかく、つまり控訴を控えて、国に訴えても、一向に通じていないという感じがいたします。
 このような国の無為無策を転換させるとともに、被害者を救済することの重要性は今でも全く変わっておりません。このまま判決のままに任せて、裁判の流れに任せて手をこまねいているだけでは、何ら抜本的な解決にはつながらないと思います。
 もはやこの問題は、裁判で対応可能な範囲を超えておりまして、社会全体の課題として位置づけ、解決すべき段階にあると思います。
 そこで、まずは社会的責任を認識し、環境対策にも前向きな自動車側のメーカー、自動車工業会などと協議を始めることにしようと思っております。
 次いで、心の東京ルールから見た青少年の置かれた状況についてでありますが、子どもにあいさつをさせたり、他人の子どもをあえてしかるということは、かつての日本の社会では当たり前のことでありました。人間関係の希薄化や情報化社会の進展などによりまして、そういう当たり前のことがなおざりにされているという現況だと思います。改めて、あいさつやしかることを大人自身が率先して示さなければならない。これは、子どもたちの将来のためにもそう思います。
 人間が時代、世代、立場を超えて継承していくべき、いわば垂直な価値というものが、そういうものまでがなおざりにされている現今ではないかという危惧をいたします。
 こういうことで、都は、七月に六千人の都民の参加を得て、あいさつフェスタを開催し、ごく当たり前なあいさつの大切さを改めて訴えるなど、あいさつ運動の全都的な展開に取り組んできております。
 今後とも、親や大人が責任を持って子どもをはぐくむ社会の実現に向けた取り組みを進めていきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 治安の回復についてお答えいたします。
 初めに、近年の取り組みの成果についてお答えします。
 警視庁では、年々悪化する治安を回復するため、平成十五年から三カ年計画で犯罪抑止総合対策を推進してまいりました。
 特に、都民の身近で発生し、大きな不安要因となっている強盗、ひったくりなど四罪種を指定重点犯罪とし、その発生総数を十年前の平成四年の水準にまで下げることを目標に取り組みました。その結果、昨年の指定重点犯罪の発生総数は、目標の水準を約二割下回ることができました。
 本年は、この成果をさらに発展、伸長させるべく、新たに振り込め詐欺と車上ねらいの二罪種を加え六罪種を指定重点犯罪とし、さらなる犯罪の抑止に努めているところであります。
 その結果、本年八月末現在で、昨年同期に比べ指定重点犯罪の発生件数が一三・四%減少する一方、検挙件数は一〇・七%増加したほか、検挙率も一三ポイント増加しており五九・九%となるなど、検挙、防犯の両面で着実に成果があらわれてきているところであります。
 しかしながら、指定重点犯罪のうち、振り込め詐欺の発生件数は、本年八月末現在で昨年同期に比べ八・九%増加しており、被害額も約三十三億円に及んでいるほか、来日外国人組織犯罪の増加や少年犯罪の深刻化、子どもを対象とした犯罪の多発など、依然として厳しい治安状況が続いております。
 このため、振り込め詐欺被害防止の広報を積極的に行う一方、あらゆる法律を駆使して検挙に努めているほか、子どもの安全確保対策や少年非行総合対策、来日外国人犯罪者対策等についても、自治体や地域住民、関係機関等と一体となった諸対策を推進中であり、今後さらに安全・安心なまち東京の実現を目指して取り組んでいく所存であります。
 また、最近大きな社会問題となっております飲酒運転につきましても、今月十二日から取り締まり強化週間を実施したところでございますけれども、一週間で百三十件の飲酒運転を検挙したところであります。
 今後とも、徹底した取り締まりを行うとともに、酒類提供飲食店に対する協力の呼びかけや各種キャンペーン、地域、職域ぐるみでの広報啓発活動等を推進して、飲酒運転の根絶を図ってまいりたいと考えております。
 次に、治安対策としての警察官OBの活用方策についてお答えいたします。
 警視庁では平成三年から、退職した職員の豊富な経験や知識、技能等を引き続き警察業務に反映させるため、再雇用制度を導入いたしております。
 現在、交番相談員約一千人やスクールサポーター約百人、生活安全相談員約百人を初め二千二百人余りが、個々の知識や経験を生かし活動しているところであります。
 今後も、例えば、交番機能を廃止した施設に治安対策に関する知識や経験が豊富な警察官OBを配置し、警察相談の受付を初め、各種会合や防犯活動等への参加による地域安全情報の提供など、地域の安全・安心活動を行う新たな職種の設置も考えており、今後とも警察官OBの活用をより一層図ってまいりたいと考えているところでございます。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 他の教員を指導するリーダーの育成についてでございます。
 都民の期待にこたえ、信頼される学校づくりを進めるには、何よりも教員自身が教育に対する熱意と使命感を持って教育活動に当たることが重要でございます。
 都教育委員会は、本年四月に開設いたしました東京教師道場におきまして、教員としての職責を自覚し、一人一人の児童生徒を粘り強く教え導く意欲を高めるとともに、困難な状況や課題に挑む姿勢を持つなど、より高い使命感を持ったリーダーを育成しております。
 今後は、東京教師道場の修了者を、他の教員を指導するリーダーとして、各学校の校内研修における指導助言者に活用するなど、すべての教員が強い使命感を持ち、児童生徒の指導を行うことができるよう努めてまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 品川駅から田町駅一帯のまちづくりについてのご質問でございますが、この地域は、東京の南の玄関口としての交通の要衝にあり、JR車両基地など大規模な開発が見込まれる地区を抱えていることなどから、計画的、重点的な整備を図るため、このたび、基本計画を策定いたしました。
 この計画では、環境モデル都市づくりを目標に掲げ、ヒートアイランド対策など環境に十分配慮したまちづくりを進めることとしております。
 具体的には、建物の配置などの工夫による風の道の確保や、地域内の運河を活用した水と緑のネットワークの形成、下水の持つ熱エネルギーの活用などに取り組むこととしております。
 今後は、開発を誘導するためのガイドラインを策定するなど、この地域のまちづくりを推進してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 飲酒運転に対する都の取り組みについてでございますが、運転をする人の自覚を厳しく促していくことはもちろんでありますが、まさにご指摘のように、酒類を提供する飲食店などにおける対策も極めて重要であると考えています。
 都は、警視庁と連携し、酒類を提供する飲食店や酒類販売店に強く働きかけ、運転する人には酒は出さない、酒を飲んだ人には運転させないという飲酒運転をさせない運動を早期に実施してまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 古川の地下調節池による浸水対策についてでございますが、河川の整備は、下流から順次、川幅を広げることを基本としておりますが、用地取得など完成までには多くの費用や時間を要することから、早急な拡幅整備が困難な河川では、道路や公園の地下を活用して調節池などの整備を進め、浸水被害の早期軽減を図っております。
 近年、水害が発生しております古川につきましても、拡幅による河川整備が困難なことから、地下に調節池を設置することが治水上極めて有効と考えております。
 平成十七年度に実施した調節池の形態や規模などの検討に引き続き、今年度は模型による水理実験を行い、できるだけ早期に取水施設の形状などを確定してまいります。
 今後とも、都民の生命と財産を守るため、古川などの浸水対策に積極的に取り組んでまいります。
   〔総務局長大原正行君登壇〕

○総務局長(大原正行君) 特別区のあり方についてのご質問にお答えをいたします。
 特別区は、基礎的自治体として、今後、より広範に地域の事務を担い、みずからの責任で住民サービスを効率的に提供していくことが求められております。
 また、市町村合併の進展など、近年の地方自治をめぐる動きの中で、特別区の規模や能力についてさまざまな意見が出されており、改めて議論することが必要となっております。
 ご指摘の特別区の再編につきましても、生活圏の拡大など社会経済状況の変化を踏まえ、積極的に検討することが重要でございます。
 都区共同で設置いたしました都区のあり方に関する検討会では、既に、再編を含めた区域のあり方を初め、事務配分や税財政制度などについて議論を始めておりまして、さらに都区間で意見交換を重ね、検討を進めてまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) ベンチャー企業に対する金融支援についてでございますが、本年五月に、東京信用保証協会が創業アシストプラザを開設し、ベンチャー企業などの事業計画の立案から創業資金の調達、そして創業後のフォローまでトータルな支援を行っております。こうした取り組みにより、都の創業融資も、本年八月末時点で前年同月比七二%増と大幅に増加しております。
 今後は、都が平成十六年度に創設した投資法人との連携を図り、ベンチャー企業に運転資金を供給する融資制度を創設するなど、金融支援のさらなる充実に努めてまいります。

○議長(川島忠一君) 三十二番松下玲子さん。
   〔三十二番松下玲子君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十二番(松下玲子君) 初めに、自転車の安全な利用を促進していくべきという観点から、自転車対策について何点かお伺いします。
 本年三月の予算特別委員会において、自転車の安全対策について伺いました。その際、自転車の交通事故の増加が明らかになり、また、交通事故全体に占める自転車事故の割合がふえており、都としても、自転車の交通事故を防ぐことは重要と認識され、取り組んでいくという前向きなご答弁をいただきました。
 その後、国の第八次交通安全基本計画における自転車の位置づけ、都の第八次交通安全計画、交通安全実施計画においても、重点施策として自転車の安全利用の推進が掲げられております。
 そこで、都の第八次交通安全計画において、自転車の安全利用の推進を重点的な取り組みに取り上げた理由についてご所見をお伺いします。
 私は、本年三月の予算特別委員会で、自転車の質問の最後には、自転車にも任意ではなく義務としての自賠責保険制度を取り入れること、ICタグなどを活用して所有者管理を行うこと、マナーに訴えるだけでなく、より強制力の働く方策を関係機関と連携して検討いただき、自転車事故をなくしていくことを強く要望いたしました。
 都の第八次交通安全計画の中には、交通ルールを守らない自転車利用者に対する指導警告等に加え、特に悪質な自転車利用者の違反に対しては取り締まりを強化する必要があると書かれています。
 また、警察庁は、この四月に各都道府県の警察本部に対し、指導取り締まりの強化について通達を出しています。これは、今までの取り組みとは大きく異なるため、新聞や雑誌などでも、自転車悪質違反に赤切符、自転車にも違反切符など大々的に取り上げられました。
 実際、都内の自転車取り締まり件数は、既に昨年の約三倍の四十五件、指導警告数は約五万件であると伺っています。また、今月二十四日の新聞報道では、自転車の交通違反者に指導警告票、いわゆるイエローカードを交付した件数が、既にことし一月から六月までに全国では約六十五万件にも上ると報道されておりますが、まだまだ自転車が道路交通法上の軽車両であり、交通ルールを守らず違反した場合は赤切符が切られるということ自体知らずに自転車に乗っている人が多いのではないかと思います。取り締まり強化はもとより、より交通ルールを知ることができるあらゆる方法を考えていただきたいと思います。
 このような中、都では、自転車問題について総合的に検討することとして、本年五月に自転車総合対策検討会を設置されていますが、この検討会を設置した経緯についてお伺いします。
 今月十九日には、検討会の議論の取りまとめである自転車総合対策中間のまとめが発表されました。この中で、自転車の基本的考えを、都市における主要な交通手段の一つと位置づけています。自転車の利用を促進していくという基本的考えかと思いますが、改めてお聞きします。
 検討会では、自転車の安全利用のために、どのような基本的考え方に基づき、どのような視点から検討されているのか、お伺いいたします。
 また、自転車に関しては都民の方々にもさまざまな意見があると思います。幅広い都民の方々の意見も取り入れ、さらに検討を重ね、この報告書を実効性のあるものとしていただきたいと思います。自転車総合対策検討会の今後のスケジュール及び報告取りまとめ後の進め方についてご所見をお伺いします。
 次に、武蔵野市の都市計画道路、武蔵野三・四・二四号線の整備についてお伺いします。
 現在、この地域では、JR中央線の連続立体交差事業により、踏切除去が平成二十年秋には予定されており、その連立事業にあわせ、亜細亜大学通りからJR中央線南側の一方通行を解消すべく武蔵野三・四・二四号線のⅠ期区間で事業が行われています。
 また、Ⅱ期区間は、JR武蔵境駅の南側、武蔵野市境南町を通り、天文台通りと呼ばれており、この路線の両側には商店や住宅などがありますが、歩道がないため大変危険で、都市計画決定後四十年以上もの長い間、事業化決定が待ち望まれています。
 地元住民の意見を伺いましたところ、通過車両が多いのに歩道もなく安心して買い物ができない、都市計画制限がかかっており、ビルができたところは計画道路の線まで下がって建ち、建てかえていないところは道路に飛び出すような形になってしまっており、交通安全上も問題がある、一昨年測量を行っていたので間もなく事業決定するかと思っていたら一向に進まないため、情報もなくこの先不安であるなど、早急な事業化を望む声が多数あります。
 実際、歩道のないこの天文台通りを歩くと、車が横をすれすれに通り、非常に危険な通りであることがよくわかります。既にセットバックしている建物の前の広がった場所に出るとほっと安心するほどです。自動車は、自転車や歩行者を避けて中央線をはみ出して走行しています。私は、現在施行中のⅠ期区間の一方通行が解消し、中央線の踏切が除去されると、交通量が増加し、ますます歩行者の危険性が高まるのではないかと考えています。
 ことし四月に発表された多摩地域における都市計画道路の整備方針、第三次事業化計画の中で、武蔵野市では唯一優先整備路線と位置づけられていることは、地元としても大変うれしく、周辺住民や歩行者の安全確保のため、地域活性化のため、多摩地域の南北交通の円滑化のためにも、早期の事業化決定を強く要望します。
 そこで、武蔵野三・四・二四号線の、既に事業化しているⅠ期の進捗状況と、Ⅱ期の今後の取り組みについてご所見をお伺いします。
 次に、都立公園についてお伺いします。
 本年三月の予算特別委員会において、都立公園の役割や、より一層の利用促進について伺いました。その中で、公園ごとの立地特性や個性を生かした魅力ある公園づくりに取り組んでいくとお答えいただいています。
 これを踏まえて、都立公園の魅力をさらに高めていきたいという観点から、まずは都立井の頭恩賜公園についてお伺いします。
 私の地元の武蔵野市では、原っぱ広場を中心とした比較的新しい武蔵野中央公園と、大正時代からの歴史があり、来年は開園九十年、二〇一七年には開園百年を迎える歴史ある井の頭恩賜公園という、二つの個性ある都立公園があります。
 井の頭公園は、公園に隣接する井の頭線の駅を有し、吉祥寺駅からも近く、近隣には商店街も発達しており、多くの人々が集まる繁華街に立地しています。公園内では、大道芸や大変人気のあるストリートミュージシャンによる音楽演奏、また、都民による手づくりの絵はがきやアクセサリーなどの芸術作品が展示、販売されるなど、芸術文化性豊かな公園であり、公園利用者もそれらを楽しみに、週末になると多くの人が訪れています。
 公園は公の場であり、禁止事項がありますので、何でもできるわけではありませんが、こういった井の頭公園の特性を生かすことは重要であると考えます。例えば、障害を持った人たちの手づくり作品や、自慢の手づくり作品などさまざまな芸術作品を展示、販売し、訪れる人たちと会話や交流を楽しむことができるような仕組みづくりについて、地元市や商店街、近隣住民などの意見も聞きながら進めていっていただきたいと思います。地元の人や観光でいらっしゃる人など、来園者が魅力を感じ、楽しむことができる公園利用促進の仕組みづくりが必要と考えますが、ご所見をお伺いします。
 都は、平成十六年にパークマネジメントマスタープランを策定し、公園を管理するという観点のみではなく、経営するという観点に視点を変えていく、非常に今の社会経済の状況にも合ったプランであると理解しています。
 また、本年六月には、このマスタープランに基づき、今後十年程度を見据えた公園の整備管理の方針として、公園別マネジメントプランを策定中と発表があり、都民の意見も募集したとのことですが、その方針においても、井の頭公園の特性を生かした魅力向上のための目標を明確に位置づける必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。
 公園別マネジメントプランの策定に都民の意見を幅広く聞いたことを評価しています。公園利用者を顧客であると位置づけ、顧客の満足向上のために意見を取り入れるという、まさにマネジメント、経営の視点を都の財産、都民の貴重な財産である都立公園に取り入れ、都民とともに公園を育てていただきたいと思います。
 プラン・ドゥー・チェック・アクションといったマネジメントサイクルを活用した試みは、他の都の施設にも応用できると思いますので、ぜひよい事例となるよう取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、観光振興についてお伺いいたします。
 都は、千客万来の世界都市東京を目指して、観光が持つ重要性を認識し、海外から多くの観光客を招くべく、観光産業振興に取り組んでいます。
 まずは、観光産業振興に取り組む知事のご所見を改めてお伺いいたします。
 平成十六年三月に発表された東京都観光まちづくり基本指針では、東京都が進める観光のまちづくりは、地域が主体となって、住む人が誇れ、旅行者が何度でも訪れたくなる活力あるまちづくりを目指すものとして、地域特性に応じた観光まちづくりが提案されています。
 東京都の観光を振興し、千客万来の世界都市東京を目指していくためには、都内各地域が主体的に観光振興に取り組み、それぞれの地域が千客万来を目指して東京全体の観光の底上げを図っていく必要があると思います。
 例えば、私の地元の武蔵野市では、商工会議所が中心となって周辺自治体の観光スポットも網羅した広域な観光マップを作成し、大変好評を博しております。また、来月には、東京都も後援している吉祥寺ウエルカムキャンペーンの秋のメーン企画である吉祥寺アニメワンダーランド、来年早々には武蔵野吉祥七福神めぐりが企画され、市内の観光ポイントをめぐるにぎやかなイベントを実施すると聞いています。
 こうした地域主体の観光の取り組みは、他の市区町村においても熱心に行われていることと思いますが、一方で、地域主体のため、地域を超えた情報発信力という点では難しい面があるのではないでしょうか。
 都内各地で実施されるさまざまな魅力あふれる観光の取り組みを支え、幅広くかつ効果的にPRすることができれば、まさに千客万来の世界都市東京にふさわしく、都内だけでなく国内外からの観光客の来訪も期待できます。
 そこで最後に、都は、地域が主体的に取り組む観光事業に対し支援を行っていくことが必要であると考えますが、ご所見をお伺いします。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松下玲子議員の一般質問にお答えいたします。
 観光産業振興についてでありますが、観光はまさに産業でありまして、関連する産業のすそ野が広く、経済波及効果が大きいため、都においては重要な産業と位置づけ、その振興に力を入れております。
 個人的なことでありますが、私、運輸大臣をしておりますとき、運輸省が観光を管轄してはどうもおかしい、こんなものは通産に預けるべきじゃないかといって役人からひんしゅくを買いましたが、私がいったことは間違っていないと思います。東京もそういうことで、かつては観光は生活文化局に事業が属していましたけれども、今変えまして、産業労働局に移しました。その方がもっとアクティブな活動ができると思いますが。
 その結果、東京を訪れる外国人旅行者は、この四年間で何とか二百七十万から四百五十万と少し増加して、経済波及効果も六千二百五十八億円に及んでいるようであります。
 これは、国に先駆けて積極的な海外へのシティーセールスや観光案内標識の整備など施策を展開したことに加えまして、区市町村や都民、民間事業者などを巻き込んださまざまな観光施策の成果と受けとめております。
 しかし、まだまだ外国人の旅行者に対する情報も足りませんし、また便宜性も欠けているところがあると思います。前にもお話ししたかもしれませんが、ドイツを自動車旅行しますと、ドイツ語が何とか読めましたら、言葉はできなくても、行き先は全部数字でフォローできるようになっていまして非常に便利ですが、そういう努力も私は日本はもっともっとすべきじゃないかと思っております。
 まさに観光こそ都市の活力の源泉であるとの認識に立ち、今後も観光産業振興に取り組んでいきます。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 自転車に関する四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、第八次東京都交通安全計画におきまして自転車の安全利用の推進を重点施策とした理由についてでありますが、平成十七年に都内で発生した自転車の交通事故は二万七千七百五十九件に及んでおりまして、これは全交通事故発生件数の約三五%を占めているという数字でございます。
 また、これは全国平均と比べ約一五ポイント高く、また、全交通事故死者数に占める自転車事故死者数の割合も、都内は全国平均よりも高くなっております。
 こうした状況を踏まえまして、自転車の安全利用の促進を重点施策の一つと位置づけたものでございます。
 次に、自転車総合対策検討会の設置の経緯についてでありますが、自転車は、ご案内のとおり、子どもから高齢者まで利用される身近で便利な交通手段でございます。しかし一方で、交通事故だけではなく、歩道における無謀な運転、あるいは放置自転車などさまざまな問題が生じておりまして、第八次東京都交通安全計画におきましても総合的な対策を検討することとしたところでございまして、これに基づき、本年五月にこの検討会を設置し、自転車にかかわる諸問題の検討を現在行っているところでございます。
 次に、検討会における基本的な考え方などについてでありますが、自転車は都市における主要な交通手段の一つであり、環境負荷の軽減、また交通渋滞の緩和などの面で有効であると考えております。しかしながら、その利用を促進するためには、解決しなければならない課題も多く、検討会ではさまざまな課題を、交通ルールの遵守とマナーの向上、放置自転車の改善、安全な走行空間の確保、そして自転車の安全性の向上の四つの視点から整理をし、具体的な対策を検討しているところでございます。
 最後に、検討会の今後のスケジュールなどについてでありますが、先般、中間のまとめを発表いたしました。現在、都民から幅広く意見募集を行っておりまして、提出されたご意見を参考に年内に報告をまとめていく予定でございます。報告の取りまとめの後は、区市町村など関係機関と協力しまして具体的な対策に取り組んでまいります。
 そのため、速やかに説明会を開催して内容の周知を図りますとともに、広く交通安全対策を協議する場であります首都交通対策協議会なども活用しまして、関係機関との一層の連携を図ってまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、武蔵野三・四・二四号線の整備についてでございますが、本路線は、五日市街道、亜細亜大学通り、連雀通りを結び、地域のまちづくりや防災性の向上に資する重要な道路でございます。
 このうち、亜細亜大学通りから連雀通りまでの千六十メートルを二区間に分けて事業化を図っております。JR中央線と交差するⅠ期区間の四百八十メートルにつきましては、平成十四年度に事業化し、十七年度末までに用地の三割を取得しております。また、南側のⅡ期区間の五百八十メートルにつきましては、これまで、事業化に向け、地元市との調整や必要な事務手続を進めてまいりました。引き続き市と連携を図り、年内には地元説明会を開催して、用地取得に着手いたします。
 今後とも財源確保に努め、地元の理解と協力を得ながら着実に道路整備を進めてまいります。
 次に、井の頭恩賜公園の利用促進の仕組みづくりについてでございますが、井の頭恩賜公園は、吉祥寺駅に近い立地特性や、武蔵野の豊かな緑と井の頭公園の湧水を生かした公園として多くの利用者に親しまれております。園内の一部では、大道芸や演奏活動、手芸品などの展示が行われ、公園のにぎわいを生み出しております。
 一方、豊かな自然の中で公園を自由に散策したいという人々も多く、にぎわいを求める利用者との調和を図る必要がございます。
 このため、演奏活動や作品展示などについては、開催場所や回数など一定の条件のもとで継続して実施できるよう、地元市や商店街と連携して仕組みづくりを進めてまいります。
 最後に、井の頭恩賜公園のマネジメントプランについてでございますが、現在作成中の公園別マネジメントプランは、公園ごとの立地条件などを踏まえて、管理のあり方や整備の方向性を示すものでございまして、本年六月に原案を公表し、パブリックコメントを募集いたしました。
 井の頭恩賜公園は、多くの人々が訪れるにぎわいと豊かな自然環境が特徴でございます。これらの特徴を生かし、魅力向上を図るため、マネジメントプラン原案では、芸術文化活動の場の提供及び自然体験活動や環境学習の拠点としての活用など、四点を目標として掲げております。
 今後、パブリックコメントの意見などを参考に、井の頭恩賜公園のマネジメントプランを年内に策定し、来園者が魅力を感じる公園づくりに努めてまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 地域が取り組む観光事業の支援についてでございますが、東京の観光振興を図るためには、地元自治体や観光を担う民間団体による地域の主体的な取り組みを支援することが重要であります。
 都はこれまでも、ホームページ「東京の観光」や観光情報センターにおいて、地域ならではの観光資源や地域が主体的に取り組む観光イベントのPRを実施してまいりました。また、地域が的確に観光まちづくりを展開できるよう、アドバイザーを派遣するなどの支援を行ってきたところであります。
 今後とも、区市町村との連携を図りながら、地域による取り組みの状況も踏まえ、必要な支援を行ってまいります。

○副議長(木内良明君) 十六番松葉多美子さん。
   〔十六番松葉多美子君登壇〕

○十六番(松葉多美子君) 去る八月三十日、二〇一六年オリンピックの国内候補都市に東京都が決定しました。石原知事と議会で招致活動に取り組んできた結果であると高く評価するものです。
 さて、IOC国際オリンピック委員会がオリンピックの名称使用を正式に許可した唯一のイベントがスペシャルオリンピックスであることは、一般には余り知られていません。身体に障害がある方が参加するパラリンピックに対して、知的発達障害のある方が参加する世界大会がスペシャルオリンピックスであり、夏季大会参加国は既に百六十カ国を超えています。
 私は先日、スペシャルオリンピックスの関係者とお会いしましたが、このスペシャルオリンピックスの歴史は一九六三年までさかのぼり、アメリカの故ケネディ大統領の妹であるユーニス・ケネディ・シュライバー夫人が自宅の庭を開放して開いたデーキャンプが始まりとなります。
 その後、一九六八年の夏季世界大会より、四年に一度ずつ夏季と冬季の大会が開催され、現在まで夏季大会は十一回、冬季大会は八回行われています。現在、夏季大会は、来年、中国の上海で、冬季大会は二〇〇九年にアメリカ・アイダホ州と、開催予定地が決まっています。
 スペシャルオリンピックスの精神は、創設者であるユーニス・ケネディ・シュライバー夫人の次の言葉に集約されています。スペシャルオリンピックスで大切なものは、最も強い体や目をみはらせるような気力ではない、それは、各個人のあらゆるハンディに負けない精神である、この精神なくしては勝利のメダルは意味を失うと。
 また、スペシャルオリンピックスは競技大会だけを指すのではありません。スペシャルオリンピックスの名称が複数形であらわされているのは、数年に一度の大会を開くことだけが目的ではなく、日常的にスポーツプログラムや教育プログラムを継続的に行う運動であることを意味します。そして、教育や訓練を受けることで自立でき、社会に貢献可能な人材であり、言葉を変えれば、社会人として納税者になれる人材であるとの考えが、スペシャルオリンピックスのコンセプトです。
 このスペシャルオリンピックスは、現在、オリンピックやパラリンピックとは異なる時期に開催されております。そこで、四十二年前の東京オリンピックで初めてパラリンピックが同時期開催されたのと同様、スペシャルオリンピックスを含めた三大会の同一都市同時期開催を次の東京で実現することができれば、障害者スポーツの新たな歴史を築くことになります。
 こうした提案を東京から発信すれば、平和と福祉都市東京を世界に大きくアピールすると同時に、二〇一六年のオリンピック招致への大きなインパクトになるのは間違いありません。
 ケネディ家の庭から始まったといわれるこのスペシャルオリンピックスに、石原知事にはぜひとも注目していただきたいと思います。スペシャルオリンピックスに対する知事の見解を伺います。
 次に、放課後子どもプランについて伺います。
 平成十九年度から、厚生労働省所管の学童クラブと連携した文部科学省所管の放課後子ども教室がスタートします。この事業は、放課後や週末に小学校の教室や運動場などを活用し、地域の方々の協力も得て、子どもたちとともに勉強やスポーツ、文化活動を行うものです。子どもたちの安全・安心な活動拠点を設ける総合的な放課後対策となります。
 文部科学省所管のこの放課後子ども教室は、これまで子どもの居場所づくりとして緊急三カ年計画で取り組んできた地域子ども教室に、学びの場としての機能を加えて発展させたもので、公明党が積極的に推進してまいりました。
 小学生の保護者の方々からは、子どもの健やかな成長や放課後の安全・安心な活動を支えるものとして、大変に強い期待が寄せられております。
 そこで、まず、来年度から各小学校区で実施していく放課後子ども教室に対する都教育委員会の基本的な考え方を伺うとともに、これまで実施してきた地域子ども教室の成果について伺います。
 区市町村がこの事業を円滑に実施していくためには、学童クラブとの効果的な連携もさることながら、いかにして地域の人材を確保していくかが重要なかぎとなることはいうまでもありません。都教育委員会としても、推進委員会を設置するなど早期に体制を整え、効果的な仕組みづくりを行い、区市町村を支援していくべきと考えます。所見を伺います。
 次に、起立性調節障害について伺います。
 今月十日、日本小児心身医学会から、起立性調節障害についての新しい診断・治療ガイドラインが示されました。この疾病は、小学校高学年から高校生に多く見られ、不登校の原因になることもあると指摘されています。
 朝きちんと起きられず、親や教師からは、怠け癖がある、夜更かしが原因などと責められてきた子どもたちが、実は血圧などの身体機能の異常による病気を患っており、身体的治療によってかなり改善されることがガイドラインで示されています。
 私は、ある不登校のお子さんを持つお母様からお話を伺いました。学校も大好きで、友人も多く、毎日楽しく学校に通っていた中学生のお子さんが、突然、朝に限って調子が悪くなり、学校に行けなくなってしまったそうです。病院に行っても原因がなかなか判明せず、三つ目の病院でやっと起立性調節障害と診断されました。初めは、お子さんが学校に行けないことを責めていたお母様が、この起立性調節障害が不登校の原因とわかってからは、お子さんの不登校にようやく落ちついて向き合えるようになったというのです。もっと早く原因がわかっていればとのお母様のお声を耳にして、私は、日本小児心身医学会のガイドラインを一日も早く学校関係者の皆さんに徹底してほしいと強く実感しました。
 児童生徒の健康相談に関与する養護教諭や学校医などに対し、最新情報を提供して、学校関係者が起立性調節障害という疾病について一日も早く共通の理解を深めていくことが重要と考えます。所見を伺います。
 次に、女性専用外来について伺います。
 公明党の主張により、平成十五年に都立病院では初めて大塚病院に女性専用外来が設置されて以来、現在では、墨東病院、府中病院の三病院で開設されています。受診した方からは、診療時間が長く、丁寧に話を聞いていただき、不安が解消された、初めて確定した病名がつけられ、安心して治療に専念できるなどの意見が多く寄せられ、これまでの女性専用外来は多くの成果を上げております。
 そこで、女性専用外来が大塚病院で開設してから早くも三年が経過しましたが、改めて各病院の診療実績と都としての評価を伺います。
 女性のライフサイクルは、ホルモンの変化によって、小児期、思春期、成熟期、更年期、老年期に分けられますが、思春期と更年期は、心と体の機能に急激な変化があらわれ、心身のバランスが崩れやすい時期となります。特に思春期においては、子どもから大人へ成長する過程で戸惑ったりするなど、深刻に悩む時期でもあります。
 現在、女性専用外来は四十代から五十代の方の利用が多いと伺っていますが、更年期に加えて思春期の世代にも広く周知を図るなど、思春期外来としての役割にも積極的に対応すべきと考えます。所見を伺います。
 最後に、善福寺川の水害対策について伺います。
 昨年九月四日、杉並区の善福寺川を初め都内全域で発生した大規模な水害については、まだ記憶に新しいところです。ことしに入っても、梅雨前線による豪雨や台風十三号による全国各地での被害状況が報道されるたびに、昨年、善福寺川の浸水現場で住民の方々と必死に救援活動させていただいたことを思い出します。雨が降るたびに、善福寺川沿いにお住まいの方々は、水害に対する心配がぬぐい切れないでいます。
 昨年の第四回定例会で、建設局長は、私の質問に対し、善福寺川の環状七号線上流の約二キロ区間について、再び災害が起こらないように、河川激甚災害対策特別緊急事業として五カ年で緊急に整備を行うこととし、工事着手の準備を進めていると答弁されました。
 まず、河川激甚災害対策特別緊急事業の現時点の進捗状況と今後の予定について伺います。
 また、善福寺川の水害対策として、切り札ともいうべき大きな役割を果たすのが神田川・環状七号線地下調節池の第二期工事です。昨年九月の水害の際には、神田川からは、工事中であった第二期トンネル部分にも取水し、被害を減らすことができましたが、善福寺川については、取水の取り入れ口はまだ工事中であったため、環七地下調節池は残念ながら機能することができませんでした。
 昨年の水害でも神田川の被害は少なく、環七地下調節池の効果が証明されています。第二期工事の一日も早い完成が善福寺川周辺住民の皆様から強く期待されています。来年の梅雨の時期までに完成させるべきです。その見通しについて伺います。
 環七地下調節池は、現在でも年間三千人を超える見学者があると聞いており、数多くの都民が集まる場所となっています。第二期工事が完成したときには、敷地内に学習施設や地域のコミュニティの場、あるいは公園を整備するなど、地元堀ノ内地域を初め、都民に開かれた施設としての活用を目指すことを強く要望して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松葉多美子議員の一般質問にお答えいたします。
 オリンピック招致とスペシャルオリンピックスについてでありますが、スペシャルオリンピックスは、知的障害のある人がさまざまなスポーツトレーニングや競技会に年間を通じて参加できる有意義な活動であると聞いております。
 このため、今後、関係者の意見を聞きながら、スペシャルオリンピックスに対する効果的な支援についても検討していくつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、子どもの放課後対策事業についてでございます。
 平成十六年度から緊急三カ年計画で実施してまいりました地域子ども教室推進事業につきましては、小学校などに子どもたちの安全・安心な居場所ができたことや、地域の大人たちによります子どもを支える仕組みづくりが進められたことなど、大きな成果があったと考えております。
 平成十九年度に創設が予定されております放課後子ども教室推進事業は、今までの地域子ども教室推進事業のこうした成果を引き継ぐとともに、さらに子どもたちに文化やスポーツなどの多様な活動を提供することなどによりまして、地域の教育力が向上することが期待できる事業であるというふうに考えております。
 次に、区市町村への支援についてでございます。
 お話しのとおり、放課後子ども教室推進事業の実施に当たりましては、地域の人材の確保を初め、運営の効率的な仕組みづくりなどが重要な課題であると考えております。現時点では国からの要綱が示されておりませんが、区市町村におきまして本事業が円滑に実施されますよう、行政関係者や学校教育関係者など、関係機関との連携を図るための推進委員会の設置、人材の確保を中心的に担いますコーディネーターの資質向上のための研修、都教育委員会のホームページを活用した活動事例や安全管理に関する情報提供など、放課後子ども教室推進事業の実施に向けた効果的な支援策を検討してまいります。
 次に、起立性調節障害に関します最新情報の周知でございます。
 起立性調節障害は、朝なかなか起きられず、午前中調子が悪いなどの症状がありまして、不登校との関係が重要視されております。しかし、保護者や学校関係者が身体疾患であるということを正しく理解することで、子どもは安心して、症状軽減につながるというふうにいわれております。
 そのため、都教育委員会では、児童生徒の健康相談に携わる養護教諭など学校関係者が疾患について共通理解を図るため、ご指摘の起立性調節障害の最新情報を含めた学校生活で配慮すべき疾患の基礎知識につきまして、手引の作成を検討してまいります。
 また、学校医に対しましても、東京都医師会及び東京都学校保健会と連携を図りまして、研修などを通じ周知してまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君) 都立病院に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院の女性専用外来の実績と評価についてでございますが、平成十七年度の延べ患者数は、女性専用外来を開設している大塚、墨東、府中の三病院合わせまして約四千三百名で、おおむね前年並みでございます。
 疾患別では、更年期障害、婦人科疾患、精神科疾患が多く、年代別では、お話しのように四十歳代から五十歳代で全体の約半数を占めております。
 受診患者さんからはおおむねよい評価をいただいており、今後も、患者さん一人一人の要望に合わせてきめ細かな対応を図っていくつもりです。
 次に、都立病院の女性専用外来での思春期の患者さんへの対応でございますが、思春期は心身両面において変化の大きな時期で、深刻な心身症状があらわれる場合もあり、その対応の重要性については認識しております。
 女性専用外来におきましては、これまで思春期の患者さんについても対応してきておりますが、全体の中ではかなり少ない割合であることも事実でございます。
 今後は、ホームページなどで、思春期の患者さんも診療できることを明確にして周知するなど、的確に対応してまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 善福寺川に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、善福寺川における河川激甚災害対策特別緊急事業についてでございますが、本事業は、環状七号線上流の約二キロメートルの区間で、増水時に水の流れを阻害する二カ所の橋梁のかけかえ、約三百五十メートルの護岸整備及び和田堀公園内にある調節池の改修により、再度の災害を未然に防止するものでございます。
 このうち和田堀調節池の工事は、貯留量を二万二千立方メートル増大させるもので、効果の早期発現を目指して年内に着手し、平成十九年度に完成させてまいります。
 また、済美橋と本村橋二橋のかけかえや護岸整備につきましては、既に事業説明会を終え、現在、関係機関との調整を進めており、十九年度に着手する予定でございます。
 今後とも財源確保に努め、地元の理解と協力を得て、二十一年度末の激特事業の完了に向け着実に整備を進めてまいります。
 次に、神田川・環状七号線地下調節池の第二期事業の見通しについてでございますが、既に、第一期と合わせ、五十四万立方メートルの洪水を貯留する地下トンネルが完成しており、昨年九月には、善福寺川からも暫定的な施設により取水を開始しております。
 現在は、取水ゲートや排水ポンプ、管理棟などの工事を実施しており、今年度末に完成させてまいります。
 この結果、来年の出水期からは、これら取水施設の本格的な運用が可能となり、善福寺川流域の安全性がさらに向上いたします。
 今後とも、神田川流域全体の治水安全度向上に向け、護岸や効果的な調節池の整備を積極的に進めてまいります。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時二十八分休憩
   午後五時四十六分開議

○議長(川島忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十二番串田克巳君。
   〔四十二番串田克巳君登壇〕

○四十二番(串田克巳君) 最初に、水道事業について伺います。
 最近、飲み水として水道水の質に満足している都民は増加傾向にあるとのことです。このような傾向は、水道局が、安全でおいしい水プロジェクトを推進し、高度浄水処理の導入、ペットボトル「東京水」の配布、販売、小学校を訪問して水道に関する授業を行う水道キャラバンなどの取り組みを積極的に行ってきたことが功を奏したものといえます。
 知事も愛用しているペットボトル「東京水」は、高度浄水処理をした水がそのまま詰められており、私も飲みましたが、非常においしいと感じました。
 ところで、知事は、さきの所信表明の中で、成熟した都市の新しい可能性を世界に示していくとおっしゃられました。また、現在の東京に引き継がれてきた歴史と伝統を未来につないでいくことは、後の世代に対する私たちの責務であるとも発言されております。知事がおっしゃった意味で、これまで営々として築き上げてきた東京の水道も、世界に誇れるレベルにあると思います。例えば蛇口から直接水を飲めることは、日本の水道文化といっても過言ではありません。
 こうした水道の文化を確実に次世代に引き継いでいくことが重要であると思いますが、知事のお考えを伺います。
 一方で、いまだに飲み水としての水道水に都民が不満を訴えているのも事実であります。その大きな原因の一つとして考えられるのが、受水タンクを経由して給水する貯水槽水道です。点検や清掃など、管理が不十分な例が小規模貯水槽水道の場合に見られ、こうした不満に結びつくのだろうと思います。
 そもそも貯水槽は設置者が管理しているため、水道局の対応にも限界があることは理解をいたしますが、蛇口離れの歯どめをかける手だてが必要なことに疑う余地はありません。
 ところで、さきに公表された行財政改革実行プログラムによりますと、新たにCSR、すなわち企業の社会的責任の遂行という視点で、公立小学校の水飲み栓の直結化を推進するモデル事業を実施していくことが明らかにされました。
 そこで、その背景などを含めて、モデル事業の概要について伺います。
 このモデル事業を通して、次世代を担う小学生が蛇口から直接水道水を飲みたいと思うような環境をできる限り多くつくることが極めて重要であると思うのです。一部の区市町からは、モデル実施の対象校が少ないとの声も聞きます。モデル事業の学校数をふやすなり、あるいは継続的に取り組んでいくことなどによって、事業効果が数段上がるのではないかと思います。思い切った対応が必要だと思いますが、今後の事業展開についてお考えを伺います。
 ただ、小学校は、貯水槽水道全体から見ればごく一部にすぎません。都内に約二十二万件ある貯水槽水道のうち、八割を超える約十九万件が小規模貯水槽水道であり、水道局は、都民の蛇口回帰を目指すならば、特に小規模貯水槽に対して適切な管理の徹底や直結給水方式への切りかえを積極的に働きかけていく必要があるのではないでしょうか。そのためには、このモデル事業を起爆剤と位置づけて、積極的にPRすることが極めて有効であると思います。
 そこで、直結給水方式の普及促進に向けたモデル事業のPRについて、お考えを伺います。
 次に、都が進めている自然の力・東京事業について伺います。
 多摩地域は、その七割が緑地であり、その大部分が自然公園として都民の利用に提供されております。
 自然公園は、子どもから高齢者までのだれでもが季節に応じて変化する自然を満喫でき、また、健康増進の上からも極めて貴重な自然地であります。また、多摩地域の観光や地域産業の振興に大いに期待できることから、将来にわたって末永く都民に親しまれる自然公園として、今後も発展していくことを強く望むところであります。
 そのためには、自然を保護していくだけではなく、都、市町村、都民が協働して多様な手法を導入し、都民の幅広い利活用を通して、良質な自然環境を保全していく自然の力・東京事業の推進が大いに期待されるところであります。
 このような観点から、何点か伺います。
 この数年間に、異常気象というか、局地的な大雨や落雷が頻繁に起こっていますが、山間部ではこの異常気象が極めて要注意で、時には樹木の倒壊等により、山道の使用が危ぶまれる状況になる場合があります。
 これらの地域では、常にこのような心配があるため、地域の人たちが簡易補修などを行っており、高尾山では、薬王院や商工会などが参拝者や登山者の安全のために山道整備などを行うなど、公園の維持管理に努力しています。
 現在、明治の森高尾国定公園で、都は、八王子市や地元の関係団体等と高尾地域連絡会を設置し、将来の高尾山のあり方を検討しているが、この連絡会はこうした考え方で運営されるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、新たな視点による自然公園の整備ですが、自然公園の登山道の中には、整備した当時に比べ、付近の樹木の成長により薄暗くなり、快適性が失われた状況にあるものが少なくありません。これでは、せっかく訪れた登山者はがっかりで、中高年を中心に人気の出ている登山やハイキングブームに水を差し、今後の利用者増にブレーキがかかることが危惧されます。
 この原因の一つに、自然公園法に基づく事業では十分な対応ができない荒廃した民有林が多く存在していることが挙げられます。眺望の確保という新しい視点に立ち、多摩の四季折々の自然を楽しめるよう整備し、利用者の満足度を一層高めていくことが重要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、自然の利用と保護の両立のための都レンジャー事業について伺います。
 利用者の増加により自然破壊が心配されることは、全国各地の自然公園の状況が示しているとおりであり、もはや登山者のマナーやモラルに頼るだけで、自然公園の適正利用は困難と思います。
 都では、平成十六年度から、全国に先駆け、自然公園等に導入した都レンジャーが巡回しながら適正な利活用を呼びかけています。広大な自然公園の中では苦労が多いと思います。
 今後、自然公園の利用者を増加、拡大させていくと同時に、貴重な財産である自然保護を両立させるために、都レンジャーの仕組みを今後どのように展開しようとしているのか伺います。
 また、高尾地域連絡会の成果を多摩地域の他の自然公園にも広げ、多摩地域の観光などに大いに役立つ自然公園として今後も発展していくことを要望しておきます。
 次に、障害者施策について伺います。
 障害者自立支援法は、地域で安心して自立した生活を営むことができる社会の実現を目的としております。
 我が党は、十月の施行に先立ち、障害者の方々や関係団体等から、さまざまなご意見を踏まえ、改善すべき事項について国に強く働きかけ、その結果、八月末には、障害児施設の利用負担が軽減されることとともに、円滑な事業運営のため、報酬が引き上げられるなど、新たな五つの改善策が講じられました。
 都においては、本年一月に、障害者自立支援法の趣旨を踏まえ、すべての障害者が地域で自立して生活するために必要な生活基盤の整備に取り組むとともに、障害者の経済的自立を促す就労を支援する障害者地域生活就労促進三か年プランを策定いたしました。
 障害者自立支援法では、東京都障害者福祉計画の策定が義務づけられており、現行の三カ年プランをさらに充実し、新たな計画を策定すべきと考えますが、計画に当たっての基本的な考え方をお伺いいたします。
 また、障害者自立支援法における特色の一つに、身体、知的、精神三障害共通のサービス利用の枠組みとなったことが挙げられます。
 精神障害者については、ようやく他の二障害と同一の制度となったところであり、今後、精神障害者施策を一層充実する必要がありますが、そのためには、まず、区市町村、事業者、関係団体としっかり連携をしていける推進体制を確保強化していくことが重要であります。
 精神障害者施策については、本年六月に東京都地方精神保健福祉審議会の最終答申が出されましたが、私もこの審議会の一員として参画してまいりました。
 この答申では、精神障害者の地域生活中心への構造変革に向けて、いわゆる社会的入院の解消だけでなく、将来にわたってその発生を予防する仕組みづくりとして位置づけ、地域での居住の場や日中活動の場の確保、医療中断防止対策、精神科医療と地域保健福祉の連携などの包括的なシステムを機能させることが必要であるとしています。
 都では、精神障害者の日中活動の場や住まいの場の確保対策を今後どのように進めていく考えであるか、お伺いいたします。
 また、私は、精神障害の特性として、医療との連携が極めて重要であると考えます。都では、このような地域での精神障害者の医療の確保について、今後どのように施策を充実していくか、お考えをお伺いいたします。
 次に、土砂災害の防止対策の推進について伺います。
 本年七月の九州から中部地方にかけて、記録的な豪雨が続き、全国で行方不明者は、八月四日現在三十二名で、このうち土砂災害では二十一名が犠牲になっています。
 都内には土砂災害危険箇所が数千カ所あるといわれており、八王子市など多摩地域にその大半が存在しています。一たび豪雨による土砂災害に見舞われると、甚大な被害が生じるおそれがあります。
 都では、土砂災害を防止するため、危険性が高い箇所から順次、土砂災害防止施設等の整備を進めておりますが、全体の施設整備などハード対策にはなお長期間を要すると聞いております。
 このことから、従来のハード対策だけでなく、土砂災害のおそれのある箇所を土砂災害警戒区域に指定し、都民に危険箇所を明確に周知するとともに、区市町村が役割を担う避難体制の整備を支援するソフト対策の充実が急務と考えます。
 また、土砂災害は、災害の兆候から発生まで三十分から一時間程度の時間的余裕があり、この時間的余裕を最大限活用し、発災前に避難ができるようになれば、人的被害を大きく減少することが可能になると思います。
 このためには、避難に資する適切な情報提供、例えば降雨量や土壌条件など、科学的な根拠に基づいた警戒情報の提供が必要と考えます。
 そこで、土砂災害警戒区域の指定や土砂災害警戒情報の提供が急務となっていますが、その対応についてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
 次に、避難体制の整備された後についてですが、避難場所の多くの場合は、集会所や公民館などが指定されています。これらの避難場所が土砂災害に遭うことになれば、避難体制の整備の意味がなく、避難場所が土砂災害危険箇所に立地している場合は、山間部では容易に変更できないし、したがって、このような箇所では、避難所の安全を確保するハード対策を優先して実施する必要があると考えます。
 そこで、避難所が土砂災害箇所の中にある場合のハード対策の進め方についてお伺いし、質問を終わります。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 串田克巳議員の一般質問にお答えいたします。
 水道の文化についてでありますが、都市の発展に水が欠かせないことは、もう歴史が証明しております。しかし、世界の主要都市で、水道があっても、直接蛇口から水を飲める都市はめったにありません。非常に少ないです。
 東京の水道は、江戸上水、そして近代水道を経て現在に至るまで、四百年の歴史があります。この歴史の中で培われた、蛇口から水を直接飲めるということは、まさに世界に誇れる水道文化であると思います。
 あえて持参しましたこの東京の水道水、これは「東京水」という名目で、普通のペットボトルより安く売っていますけれども、水は決してただじゃないんですが、これは、都市の水道でミネラルウオーターと同じぐらい水が優秀で、並べて売れる水道というのは東京しかないです。これは第五次処理までやっていまして、本当に高度の処理で、冷やして飲めばそこらのミネラルウオーターと全く変わりありません。
 ちなみに、最近、イスタンブールで世界の主要都市の水道のコンテストをしましたが、日本が圧倒的な投票で一位でありました。
 こういう文化を次世代に引き継ぐことは大きな責務でありまして、公立小学校の水飲み栓を初めとする、直接給水化の推進によりまして、高度浄水処理した東京の水の資質の高さを、広く広く発信していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君) 直結給水化モデル事業に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、モデル事業の概要についてでございますが、水道局では、高度浄水処理の導入や貯水槽水道対策を初めとした安全でおいしい水プロジェクトを推進しておりますが、さらに都民の理解を得るための一歩踏み込んだ取り組みが必要であると考えております。
 こうした状況を踏まえまして、蛇口から安心して水を飲めるという日本の水道文化を次世代に引き継いでいくため、CSRといった新たな視点に立ちまして、公立小学校の水飲み栓直結給水化を促進するモデル事業を行うことといたしました。
 このモデル事業は、平成十九年度におきまして、都営水道区域の公立小学校が給水栓を直結給水方式に切りかえを行う際、水道局が技術支援を行うほか、工事費の一部を負担いたしまして、区市町単位で一校、計四十八校を対象としております。
 次に、今後の事業展開についてでございますが、直結給水方式への切りかえ工事は、小学校の設置者であります区市町が行うことになりますが、都営水道区域の公立小学校は約千三百校ございまして、事業効果を一層高めるための対策が必要であると認識しております。
 したがいまして、ご指摘の点を踏まえ、モデル事業の対象枠を小学校数の一定割合に拡大するとともに、複数年の事業化に向けまして、関係区市町と協議しながら積極的に検討してまいります。
 最後に、モデル事業のPRについてでございますが、このモデル事業を積極的にPRすることは、直結給水方式の普及促進に極めて有効な手段と考えております。このため、あらゆる機会をとらえて、教育関係者などの協力を得ながら、次世代を担う小学生や保護者などを対象に、蛇口回帰を促進するキャンペーンを実施してまいります。
 こうした取り組みを積極的に展開するとともに、貯水槽水道の適正管理、直結給水化の普及促進など、総合的な施策を推進することにより、水道の信頼をより確かなものとしてまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 自然公園に関します三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、自然公園の整備、運営のあり方についてでありますが、自然公園の良質な環境を保全していくためには、地域と連携してこれに取り組む必要がございます。
 お話しの明治の森高尾国定公園では、こうした考え方から、地元の自治体や事業者、環境団体、地権者などに参加いただき、高尾地域連絡会を設置しております。この連絡会における意見交換の結果などを踏まえまして、今年度、関係者のご協力をいただき、山頂の見晴らし台の拡充整備などを行うこととしております。これにより、高尾山頂からの眺望は格段に改善することが期待されます。
 今後とも、こうした地域との連携を一層推進し、施設の整備や利用ルールの策定など、地域に支えられた自然公園づくりを進めてまいります。
 次に、利用者の満足度を高める自然公園の整備についてでありますが、多摩の自然を守っていく上では、多摩の山々がより多くの登山者に愛され、快適に利用されることが大切でございますが、お話しのように、自然公園法の枠内の事業だけでは、そうした必要に対応できない場合がございます。
 こうした観点から、自然公園内において森林の整備事業を活用いたしまして、登山道沿いの、眺望を遮っている民有林の樹木の間伐や伐採を行うなどして、自然公園に来られる都民が四季折々の自然を楽しめることを目指す取り組みとして、「四季彩(しきさい)の道」づくりというふうに名づけて実施してまいります。
 今後とも、多様な事業との連携を重視するこのような取り組みを積み重ねながら、利用者に一層親しまれる自然公園づくりに努めてまいります。
 最後に、都レンジャー事業の今後の展開についてでありますが、自然公園の利用の促進と自然の保護を両立させるためには、都民の利用マナーの一層の向上を図ることが必要であります。
 都は、自然公園の利用者に直接、自然の知識や利用マナーの指導、啓発を行うため、都レンジャーを配置しておりますが、今年度、その機能を一層強化するため、多摩地域で三名増員し、九名体制といたしました。
 あわせて、都レンジャーの活動を補佐するため、首都大学東京と連携をいたしましてサポートレンジャーを育成しておりまして、本年十月から一期生六十三名が活動を開始いたします。
 今後とも、都レンジャーとサポートレンジャーが一体となった体制を充実いたしまして、多摩地域の自然の利用と保護の両立を図る取り組みを推進してまいります。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 障害者の自立支援に関する三つの質問にお答えいたします。
 まず、障害福祉計画の策定についてでございますが、平成十八年度中に策定する東京都障害福祉計画においては、障害者自立支援法の趣旨を踏まえた三つの障害の制度の一元化と、これまで都が率先して取り組んできました地域生活移行や就労支援等の強化を基本に据えまして、そのために必要なサービスの数値目標を定めることとしております。
 今後、都は、東京都障害者施策推進協議会や東京都地方精神保健福祉審議会の報告など、広範な意見を取り入れるとともに、各区市町村の障害福祉計画との整合性を図りながら、本年一月に策定いたしました障害者地域生活支援・就労促進三か年プランをさらに発展させて、東京都障害福祉計画の策定に取り組んでまいります。
 次に、精神障害者の日中活動の場や住まいの場の確保についてでございますが、いわゆる社会的入院を解消するため、精神障害者の退院を促進するに当たっては、通所施設やグループホームなど、地域生活の基盤整備が極めて重要であると認識しております。
 そのため、都では、本年一月、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランの中で初めて精神障害者のグループホームの整備等を計画化し、その着実な実施を図っているところでございます。
 今後とも、東京都障害福祉計画に基づき、福祉サービスの実施主体である区市町村と密接に連携して、精神障害者の地域生活の基盤整備を促進してまいります。
 最後に、精神障害者の医療の確保についてでございます。
 疾病と障害をあわせ持つ精神障害者の特性として、病状が変動しやすく、また、それを本人が自覚しづらいことなどから、継続的な医療と相談体制が不可欠であると認識しております。
 このため、都では、いち早く精神科救急医療体制を整備するとともに、地域生活の中で医療の中断を防止するため、独自に低所得者に対する通院医療費の助成や、夜間こころの電話相談事業を実施してまいりました。
 今後とも、精神障害者の地域生活を支えるため、関係団体等の協力を得ながら、精神科医療と相談体制の一層の充実を図ってまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 土砂災害防止に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、土砂災害警戒区域の指定などについてでございます。
 都はこれまでも、土砂災害防止のため、砂防ダムなどの施設整備を行ってきておりますが、人的な被害を防止するには、これらに加えて、避難体制の基礎となる警戒区域の指定と警戒情報の提供が不可欠でございます。
 警戒区域は、急傾斜地などの地形や地質を調査し、危険範囲を設定の上、地元調整を経て指定するものでございます。
 本年三月、都内で初めて七十八カ所を指定し、引き続き今年度中に約三百カ所の指定を行ってまいります。
 また、避難の目安となる警戒情報につきましては、科学的根拠に基づく基準が必要であり、現在、学識経験者などによる委員会で検討中でございます。
 今年度中に基準を策定し、平成十九年度から区市町村への警戒情報の提供を試行してまいります。
 次に、避難所の土砂災害防止対策についてでございますが、急傾斜地などの土砂災害危険箇所にある避難所については、都民が安心して避難できるよう、安全性の確保が重要な課題となっております。
 このため、まず、避難所周辺の地形や地質調査などを実施し、これに基づき、工法や構造など技術的な検討を早急に行ってまいります。
 引き続き、急傾斜地の崩壊を防ぐのり枠工事や砂防ダムなどの防災工事を、緊急度の高い箇所から重点的に実施してまいります。
 今後とも、地元自治体と連携し、警戒区域の指定などのソフト対策を進めるとともに、避難所を守るハード対策を推進し、都民の安全確保に努めてまいります。

○議長(川島忠一君) 九十九番大沢昇君。
   〔九十九番大沢昇君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○九十九番(大沢昇君) 我が国のエネルギー需要をめぐる現状は、一九七〇年代までの高度経済成長期には、国内総生産よりも高い伸び率で増加してきました。しかし、一九七〇年代の二度にわたる石油危機を契機に、産業部門での省エネルギー化が進み、さまざまな努力の結果、エネルギー需要をある程度抑制しつつ、経済成長を果たしてまいりました。
 しかし、一九八〇年代後半からは、石油価格の低下に加え、豊かさを求めるライフスタイルなどを背景に、エネルギー需要は再び増加に転じ、一九九八年、二〇〇一年に対前年比マイナスとなったことを除けば、エネルギー需要は一貫して増加をし続けています。
 各種統計資料からエネルギー消費動向を見ると、石油危機以降、産業部門がほぼ横ばいで推移する一方、民生、運輸部門が倍増しています。その結果、産業、民生、運輸のシェアは、石油危機当時の四対一対一から、二〇〇一年には二対一対一と変化しています。この数字に触れてわかるように、民生、運輸部門で消費されるエネルギーについての需要、供給の両面からの対策が必要と考えます。
 一方、エネルギー供給の動向は、一九七〇年当時はエネルギー供給の七七%を石油に頼っていました。しかし、一九七三年に発生した第一次石油危機によって、原油価格の高騰と石油供給断絶の不安を経験した我が国は、エネルギー供給を安定化させるため、石油依存度を低減させ、石油にかわるエネルギーとして原子力や天然ガスの導入を促進し、第二次石油危機では新エネルギー開発の加速を果たし、結果、石油依存度は、二〇〇一年には四九・四%と、第一次石油危機当時の七七%から大幅に改善され、エネルギー源の多様化が図られてまいりました。
 資源の乏しい我が国は、エネルギー総供給の約八割を海外に、そしてまた、約五割を石油に依存している一方、今後、アジア諸国を中心とするエネルギー需要の大幅な増加が予想され、石油の中長期的な安定供給が懸念されています。
 加えて、一九九七年十二月に開催されたCOP3における合意により、我が国は、二〇〇八年から二〇一二年の二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を、一九九〇年比六%削減することが国際的な責務とされています。
 このような中、エネルギーの安定供給の確保、地球環境問題への対応の観点から、資源制約が少なく、環境特性のよいクリーンなエネルギーである再生可能エネルギーの一層の導入促進が必要であると考えます。
 国は、二〇一〇年度の新エネルギー導入目標量を一千九百十万キロリットルと設定するとともに、この導入目標達成に向けて、予算措置を初めとする種々の施策を講じていくこととしています。
 再生可能エネルギーは、二酸化炭素の排出が少ないことなど、環境へ与える負荷が小さく、資源制約が少ない国産エネルギーまたは石油依存度低下に資する石油代替エネルギーとして、エネルギー安定供給の確保、地球環境問題への対応に資することから、持続可能な経済社会の構築に寄与するとともに、さらに再生可能エネルギーの導入は、新規産業、雇用の創出などにも貢献するなど、さまざまな意義を有しています。
 知事の所信表明でも、東京全体で緑の大幅な増加や自然エネルギーの大量普及を図るなど、民間企業や都民を巻き込みながら、東京を世界で最も環境負荷の少ない都市としていくと述べています。また、都は、世界に先んじてCO2半減都市モデルの実現を目指すとも表明しています。
 私も、日本の首都東京が、世界の先進的な国や地域と足並みをそろえて再生可能エネルギーの飛躍的な拡大を目指す世界的な潮流を強化していく役割を果たすとともに、都民、事業者などへの取り組みを拡大していくべきと考えますが、石原知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、太陽光発電について伺います。
 新国家エネルギー戦略の中に、太陽光発電コストを二〇三〇年までに火力発電並みにする目標を掲げています。大阪府においては、本年四月から、ヒートアイランド現象の緩和と潤いと安らぎのあるまちづくりのため、建築物の敷地における緑化推進制度を設け、敷地面積一千平米以上の建築物について、地上部と屋上部の緑化を義務づけています。大阪府では、その際に太陽光発電パネルを緑化面積に含めることができるとしています。既に兵庫県、京都府、堺市、豊中市、池田市等々でも同様の措置がとられており、地球環境に優しい太陽光発電の普及に貢献しています。
 太陽光発電パネルは、緑化の難しい傾斜屋根などにも設置が可能であり、東京都においてもこうした民間事業者の取り組みを促すことが重要であると考えます。
 また、民間事業者の取り組みを促す上でも、東京都自身が率先して太陽光発電の導入を行う必要があります。水道局では、浄水場のろ過池への異物混入を防ぐために池全体にふたをして、ふたの上部に太陽光発電パネルを設置して一定の成果をおさめていると理解していますが、さらに研究を進め、導入の促進を求めるところであります。
 これらの取り組みは、本来の水道事業とは離れますが、水道事業が一日に都内で消費される電力の一%を消費しているわけですから、CO2の削減や環境保全に対して一層の貢献を求めたいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 さらに、私の地元江東区の豊洲地区に建設される豊洲新市場は、約三十八ヘクタールもの規模で計画されています。この新市場計画においても、太陽光発電や再生可能エネルギー導入など、温室効果ガス削減に積極的に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、バイオマス燃料の率先導入について伺います。
 バイオ燃料は、CO2と太陽光を吸収して成長する植物を原料としているため、燃料として使われても、理論的にはCO2をふやさないものと考えられています。国は、二〇三〇年までに運輸部門の石油依存度を八〇%にすることを目指し、バイオ由来燃料やGTLなど、新燃料の導入促進で目標達成に至るアクションプランを提示いたしました。
 京都市では、一般家庭や食堂などから排出される廃食用油を回収し、バイオディーゼル燃料として再生し、同市のごみ収集車や市バスの燃料として活用しています。栃木県高根沢町では、学校給食センターなどからの廃食用油を活用し、公用車に利用しようとしています。
 東京都においても、カーボンニュートラルであるバイオ燃料の普及を図り、率先して地球環境問題の解決に貢献すべきと考えますが、いかがお考えか、ご所見をお伺いいたします。
 また、バイオ燃料の普及はもちろんですが、その原料となるサトウキビなどの確保を海外に依存するようなことは好ましくないと考えます。輸送のためにむだなエネルギーを費やすのではなく、地産地消の取り組みが何よりも重要であります。
 沖縄県宮古島市、大阪府、新潟県新庄市においては、地元で産出されるバイオエタノールを公用車などにおいて利用し、バイオマスを活用した地産地消の取り組みをして地域エネルギー自給率を高めています。
 例えば、東京都においても、世界遺産の登録を目指す小笠原諸島や他の島しょ地域、多摩地域などでも、このような地産地消の再生可能エネルギーの導入をすべきであると提案いたします。東京都の地産地消再生可能エネルギーの導入に向けてのご所見をお伺いいたします。
 次に、下水道のバイオガス活用について伺います。
 大田区の森ヶ崎水再生センターでは、汚泥処理過程で発生する未利用エネルギーであるメタンガスを発電設備の燃料として活用したり、また、小規模の水力発電を設置するなど、資源を最大限に活用し、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでいると認識していますが、下水道事業は、水処理施設や汚泥の焼却炉など多くの施設を抱えていることから、都の事業活動で排出される温室効果ガスのうち約半分を占める最大の排出事業者でありますので、エネルギーのコージェネレーション、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組むべきと考えます。
 そこで、水再生センターにおいて、バイオガスなどの再生可能エネルギーの活用をなお一層進めるべきと考えますが、下水道局のこれまでの取り組みと今後の進め方についてのご所見をお伺いいたします。
 次に、電気自動車など低公害車の市場への普及促進について伺います。
 平成十二年に石原知事の強力な指導力により東京都環境確保条例が制定され、平成十五年には首都圏一都三県でディーゼル車走行規制が開始されたことは記憶に新しいところであります。都の環境確保条例は、一定規模以上の自動車を使用する事業者に低公害車の導入を義務づけることなどにより、低公害車の普及を促進しております。私は、こうしたユーザーサイドの取り組みに加えて、自動車の供給サイドからの低公害車の普及を促す必要があると考えます。
 ゼロエミッションビークル法を制定した米国カリフォルニア州やEUなどでは、販売事業者などに対するこうしたアプローチが既に進められております。私は、自動車メーカーや販売事業者に対して、ディーゼル規制のときと同様に、電気自動車など低公害車の販売を促進するよう、東京都もより積極的に取り組んでいくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 加えて、提案ですが、現在、自動車税においてグリーン化制度が導入されています。これは、低公害車を購入したユーザーに対して税制面でのインセンティブですが、自動車を販売する者に対して、一定割合の低公害車を販売しなければ、個人事業税や法人事業税において重課することで、販売、購入の両面から低公害車の普及促進に努めてはいかがでしょうか。ご見解を伺います。
 最後に、燃料電池の率先導入について伺います。
 国においては、首相公邸に各種再生可能エネルギー設備のほか、家庭用燃料電池が二台設置され、内閣官房を初めとする政府の公用車の一部には燃料電池自動車が導入されているなど、国は戦略的に燃料電池の率先導入を図っています。
 東京都においても定置用燃料電池や燃料電池自動車など、燃料電池を積極的に導入すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、家庭用燃料電池は、一キロワット級でも一千四百平米の森林に相当するCO2削減効果があると試算されています。業務用、産業用のものではさらに大きなCO2削減効果が期待できます。こうしたものについて、緑化対策を講じた場合と同様に税制上での優遇措置を講じられないかお伺いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大沢昇議員の一般質問にお答えいたします。
 再生可能エネルギーの普及拡大についてでありますが、地球温暖化は、現在、人類が直面する最も深刻な環境問題であると思います。ヒマラヤの氷河湖が決壊の危機に瀕していたり、南太平洋の砂州の国家が沈没の、消滅の危機に瀕していたり、いずれにしろ温暖化の進行を阻止するためには、徹底した省エネルギー対策とともに、再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大が必要であると思います。
 各国の再生可能エネルギーの導入目標を見ますと、ドイツやイギリスなどEU諸国の積極的な姿勢に比べ、日本はまだまだ消極的であると思います。
 都は、民間企業や都民を巻き込みながら、東京から率先して再生可能エネルギーの多量な普及というものを図っていきたいと思っております。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君) CO2の削減や環境保全への取り組みについてでございますが、水道局では、これまでも水道水源林管理の充実やエネルギーの有効活用、資源リサイクルの推進など環境に配慮した取り組みを積極的に推進してきております。
 太陽光発電につきましては、平成七年度に東村山浄水場に先駆的に導入いたしまして、その後も各浄水場のろ過池覆蓋化に合わせ、メガワット級の設備を順次導入してきておりまして、現在では国内最大級の太陽光発電の規模を有するまでに至っております。
 今後とも、これまで培ってまいりましたノウハウを生かし、CO2の削減など、環境施策を一層推進してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 豊洲新市場での温室効果ガスの削減についてでございます。
 豊洲新市場の整備に当たりましては、市場活動に伴う環境負荷をできる限り抑制していくことが重要であると認識しております。このため、再生可能エネルギーとして太陽光発電の導入を検討するとともに、断熱効果の高い屋上緑化を可能な限り進めてまいります。
 また、冷蔵冷凍車のアイドリングをとめるための外部電源装置の整備やフォークリフトなどの場内搬送車両の電動化も推進いたします。
 さらに、市場に出入りする車両の削減を図るため、共同配送の促進などについて業界との協議を進め、環境負荷の少ない市場を目指してまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、バイオマス燃料の普及についてでございますが、CO2排出量の削減を図っていく上で、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を進めていくことは重要であり、バイオマス燃料もその一つであります。都はこれまでも、廃棄物埋立処分場などで発生するメタンガスを活用した発電を行うなど、未利用のバイオマスの有効活用に取り組んでまいりました。
 今後は、都が保有する車両においてバイオマス燃料を率先して利用するなど、一層の普及拡大に努めてまいります。
 次に、東京における地産地消型の再生可能エネルギーの導入についてでございますが、東京には、活発な都市活動の結果として生じる大量の食品廃棄物や下水汚泥など、大都市特有のバイオマス資源が存在しております。既にスーパーエコタウン事業においては、都内で発生する食品廃棄物を利用したバイオガス発電が行われるなど、民間事業者による取り組みも積極的に進められております。
 今後とも、東京の多様なバイオマス資源の活用方策について検討してまいります。
 次に、電気自動車などの普及促進についてでございますが、電気自動車やハイブリッド車などの普及は、大気汚染の改善やCO2の排出削減を進める上で有効でございます。今後、八都県市などとも広域的に連携しながら、自動車メーカーや販売事業者に対して、より環境負荷の少ない自動車の開発や販売を促す取り組みを推進してまいります。
 最後に、燃料電池についてでございますが、燃料電池は、電気をつくる過程では水しか排出しない極めて低公害のエネルギーでございます。また、発電の際に発生する熱を活用できる高効率な発電システムであり、二酸化炭素の削減を図る上からも、今世紀において最も期待される新エネルギーの一つでございます。しかしながら、技術開発の現段階におきましては、なおコストが相当程度高いこと、耐久性についても一定の限界があることなど、実用化に向けては克服すべき課題が少なくございません。
 都といたしましては、こうした燃料電池の技術開発動向を注視しながら、導入の可能性について研究してまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君) 下水道局における再生可能エネルギーの活用についてでございますが、これまで地球温暖化の防止に向けアースプラン二〇〇四を策定し、汚泥処理の過程で発生する消化ガスを利用した発電や処理水の放流落差を活用した小水力発電など、温室効果ガス削減に取り組んでまいりました。さらに、平成十九年度には下水汚泥から炭化物を製造し、火力発電のバイオマス燃料として売却する事業を開始する予定でございます。
 今後とも、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君) 二点にわたりますご質問にお答え申し上げます。
 まず、低公害車普及のための税制の活用についてでございますが、各種の環境施策を積極的に推進していくことは有意義なものであると認識しているところであります。しかしながら、自動車販売という特定の業種の、そしてまた、特定の行為のみを対象として懲罰的な重課を行うことにつきましては、応益課税としての事業税の性格になじまないものと考えております。
 次いで、燃料電池に対する税制上の優遇措置についてでございますが、政策税制の検討に当たりましては、政策目的の重要性、税制の活用の必要性及び効果など十分に検証する必要がございます。
 燃料電池は将来有望なエネルギー源の一つでございまして、技術が確立し、そしてまた普及すべき段階に至れば、税制上の優遇措置を検討する余地もあり得るというふうに考えます。しかしながら、現在はいまだ実用化の途上にございまして、税制上の優遇措置の必要性を判断できる段階にはないものと考えます。

○副議長(木内良明君) 六十九番坂本たけし君。
   〔六十九番坂本たけし君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十九番(坂本たけし君) 子どもが健やかに生まれ育つ環境をつくることは、親はもとより社会全体の責任であります。この考えは、次世代育成支援対策推進法にも生かされており、この法の第九条のもとに東京都は次世代育成支援行動計画を策定いたしました。これに基づき、すべての子どもと子育て家庭を支援するさまざまな取り組みが進められ、子育てに対して大きな成果を上げようとしております。
 また、この中に示されている地域で安心して子育てができる新たな仕組みづくりや、次代を担う子どもたちがたくましく成長し、自立できる基盤づくりなどの施策は、生きた制度としてぜひ推進するべきであります。そのためには、福祉や教育での取り組みはもちろんのこと、労働、住宅、税制など、あらゆる側面から次世代育成支援に立った取り組みを推進していく必要があります。
 たとえ保育サービスが充実しても、育児休業など働き方の見直しが進まなければ、真に子育ての環境が整った社会とはいえません。子どもと子育て環境を支援するためには、さまざまな分野における総合的な取り組みが不可欠であると考えます。
 そこで、次世代育成支援に取り組む基本的な考え方について、知事の所見を伺います。
 次に、次代を担う子どもたちに対する教育と保育の充実の観点から、認定こども園について伺います。
 認定こども園制度は、就学前の子どもの教育と保育における多様なニーズに対応して、保護者の就労の有無にかかわらず、すべての子どもを対象とすることや、利用者と施設が直接契約すること等、評価できる制度であります。
 そこで伺いますが、これまで認証保育所制度を進めてきた都として、今回の認定こども園制度の創設をどのように評価しているか、所見を伺います。
 これまでは、親の就労等の状況で、保護者が働いていれば保育所で、働いていなければ幼稚園でと、幼児期を過ごす施設が別々に分かれていたため、保育と教育の両方を受けることが難しい面がありました。しかし、認定こども園ができたことにより、保護者の就労にかかわらず、幼稚園において保育も受けられ、また、保育所に通う子どももより充実した教育を受けられるようになります。
 そもそも幼児期の教育は、生涯にわたる人間形成の基礎を育むものであり、すべての幼児が受けられるようにすべきであります。特に幼稚園は、就学前教育の場として子どもの人間形成上重要な役割を果たしてまいりました。そうした点から認定こども園制度が広がれば、これまで以上に幼稚園の担う役割が大きくなるはずと考えます。
 さらに、現在、東京都には約五千人の保育の必要な待機児童がおり、保育サービスの充実が求められております。
 こうした面からも、認定こども園において、待機児童解消のための有効な方策の一つとして幼稚園が保育所機能を果たすことで、その期待が高まります。
 認定子ども園は、このように意義ある制度であり、都としても第四回都議会定例会での認定こども園の条例提案とその後の制度化に向けて、仕組みや支援策についてしっかりと検討すべきであります。
 ところで、認定こども園制度ができても、既存施設からの転換を希望する幼稚園や保育園が手を挙げなければ、せっかくの制度も絵にかいたもちになりかねません。この制度の設置基準の制定につきましては、単に国の基準に倣うのではなく、既存の認可幼稚園、認可保育所、認証保育所の長所を生かし、大都市東京の特性を踏まえた基準ですべきであると考えますが、所見を伺います。
 待機児童の解消や保護者に多様な子育ての場を提供するためには、地域に身近な存在である私立幼稚園が認定子ども園となることが一番有効であり、その事業者が積極的に取り組める環境づくりが不可欠であります。幼稚園では、従前より、平常教育時間を超えた時間に子どもを預かる預かり保育や、地域の親子の交流の場の提供など、従来の幼稚園教育の枠組みを超えた幅広いニーズにこたえてまいりました。そのため、新たな制度である認定こども園にも深い関心を持っていると聞いております。
 しかし、認定こども園制度は、多様な類型を認める複雑な制度であることから、多くの幼稚園事業者からは理解しにくいとの声も聞こえてまいります。また、認定を受けた幼稚園がこれからも質の高い教育と保育を提供するためには、施設や教員等の充実も強く求められてまいります。
 そこで、既存の幼稚園の認定こども園での転換を推進するため、必要な情報の提供などの積極的な支援策を展開していくべきと考えますが、私立幼稚園行政を所管する立場からの見解を伺います。
 認定こども園という新たな制度に取り組もうとする幼稚園、保育所の努力はもちろんでありますが、それをしっかりと支え、後押しをする行政の役割は大きく、生きた制度として地域に定着するよう東京都の支援をお願いし、次の質問に移ります。
 次に、耐震強度偽装事件の再発防止について伺います。
 昨年十一月に事件が発覚してから十カ月が経過し、その報道も一時期に比べるとかなり減りつつありますが、大切なのはまさにこれからであります。本来、魅力あるまちづくりや豊かな都民生活の実現は、社会資産としての建築物の安全性の上に成り立っているということは、いうまでもありません。この問題により、これまでの建築確認制度や建築士制度など、建築を取り巻く社会システムの信頼が失われ、都民は依然として不安を抱いております。
 この間、建築にかかわるあらゆる分野におきまして、健全な設計や生産システムのあり方、法令規制実施専門組織のあり方、建築分野における保険制度のあり方などさまざまな議論が交わされ、多くの提言がなされてまいりました。私も昨年の第四回定例会の一般質問において、自身の経験からこの問題を取り上げ、米国カリフォルニア州のピアチェックシステムなどを具体的に紹介しながら質問いたしました。
 国においても、社会資本整備審議会で再発防止に向けた検討がなされ、この六月に建築基準法が改正されました。この中で、第三者が構造計算書をチェックするピアチェックと同様の仕組みが導入されました。従来は、建築主事や指定確認検査機関が図面と書類を中心に審査し、建築確認されました。改正後は、一定の建築物について、建築構造に関する技術と経験を備えた第三者機関が構造計算書を再計算、チェックをし、適合性を判定することになります。これにより、悪意を持った偽装や構造計算上のミスの防止が期待できることになります。
 しかし、国が法律を制定するだけでは、建築物の安全性への信頼は回復できるとはいえません。実際の現場で都民の信頼にこたえるのは、都を初めとした地方自治体であります。建築構造計算書を初めとする建築基準法は、以前は専門家の領域ではありましたが、マンションや住宅を購入する都民、現に住んでいる都民にとっても大変身近な重要な問題であり、建築行政に対する期待も大変大きくなっております。
 改正建築基準法は速やかに施行されると思いますが、都においては、執行体制の整備や厳格な審査の実施など、建築物の安全性の確保に向けて全力で取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、建築行政を担う都として、事件の再発防止に向けどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、都市農政について伺います。
 私の住む板橋には、現在も三十一ヘクタールもの農地があり、生鮮農産物の地産地消ばかりでなく、都市の緑地空間としての重要な役割を果たしております。例えば板橋区では、これらの農地を対象に、災害時の避難場所確保や生鮮農作物の供給のため、地元農協との間で災害時における応急対策に関する協定を締結しております。また、農家の協力により、四十七カ所もの区民農園が開設され、区民に体験の場を提供しております。
 このように、区民の生活と命を守る都市農業と農地はぜひ保全するべきであると思います。このためには、農業後継者の育成はもとより、新たな担い手を活用して農業が継続できるような支援が必要であると考えます。
 ところで、私が所属する東京都議会自由民主党都市農政を考える議員連盟では、七月に青壮年農業者との懇談会を開きました。この中で、次代を担う方々の農業に対する熱い思いに触れ、大いに感動したところであります。板橋区でも、十名ほどの農業後継者が昨年、若葉の会を結成し、新たな農業技術の習得等に意欲的に取り組んでおります。
 しかしながら、このように意欲的な若い農業者がいる一方で、板橋区の農家の半分以上に当たる方が、現在後継者がおりません。後継者がいない農家や、たとえ後継者がいてもすぐには就農できないような農家では、病気などで農作業ができなくなった場合、農業継続が困難にならざるを得ません。このような農家が相続税納税猶予制度を利用した場合、途中で農業をやめたことにより、猶予税額と利子税を合わせた、大変大きな、莫大な税金を払わなければなりません。農業の担い手がいれば、農業をやめるような事態は避けられると思います。
 都は、このような状況も含め、農家が安心して農業を続けられるように、担い手の確保について支援をしていただくべきと思いますが、所見を伺います。
 最後に、都立志村高校の跡地利用について伺います。
 地元の都立志村高校は、現在、都教育委員会が進めている都立高校改革推進計画により、今年度末で閉校になる予定であります。この間、開校から五十年の間、都立志村高校は、地域住民とともに、板橋区の都立高校として親しまれてまいりました。
 今後、閉校となりますが、地域では、志村高校の跡地利用についてさまざまな期待と、その一方で不安の声が上がっております。
 また、閉校後の跡地に養護学校が設置されるといったような検討をされているやにも伺っております。
 跡地利用については、志村高校の広大な校地面積を考えますと、都教育委員会が教育財産として引き続き活用する検討とともに、地元や区民にも役立つ方策もぜひ検討をお願いしたいと思います。例えば、地域の防災拠点や区民のスポーツ活動の場にもなるような跡地を活用していくというのはいかがでしょうか。
 今後、跡地利用の検討の際には、こうした私の提案も参考にしていただき、地元区とも十分に協議するよう強く要望し、都教育委員会の所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 坂本たけし議員の一般質問にお答えいたします。
 次世代育成の取り組みについてでありますが、子どもたちが健やかに成長するための環境整備は、各行政分野での横断的、複合的な取り組みとともに、親はもとより、都民や企業など社会全体で責任を持って取り組むべき課題であると思います。
 都はこれまでも、独自の認証保育所制度の創設や小児救急医療体制の整備、教育改革など、次世代育成に向けた取り組みを国に先駆けて進めてきたつもりであります。あわせて、環境対策や治安対策など、東京が都市としての活力を発展させていくための取り組みを推進し、子どもたちが未来に希望の持てる社会の実現に努めてまいりました。
 今後とも、次代を担う子どもたちがたくましく成長し、自立できる社会を築くため、組織のラインの壁を越えて、ハード、ソフト両面にわたって積極的に取り組みを展開していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 志村高校の跡地利用についてでございますが、都教育委員会は、都立高校改革推進計画第二次実施計画におきまして、板橋地区の北野高校と志村高校を発展的に統合いたしまして、北野高校の跡地に、本議会で設置を提案させていただいております板橋有徳高校を平成十九年度に開設することとしております。
 お話のように、平成十八年度末をもって閉校となります志村高校の跡地につきましては、都教育委員会が引き続き教育財産として活用する方向で現在検討しているところでございます。
 ご指摘の点を踏まえまして、地元板橋区とも協議いたしまして、跡地を有効に活用できるよう検討してまいります。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 認定こども園に関する二点の質問にお答えいたします。
 まず、認定こども園制度に対する都の評価についてでございますが、都はこれまで、利用者本位の保育サービスの実現に向けて独自の認証保育所制度を創設し、その拡充に取り組むとともに、国に対して保育所制度の抜本的改革を提案要求してまいりました。
 認定こども園は、親の就労の有無にかかわらず利用でき、また、利用者と施設が直接契約する方式となっているなど、都がこれまで実践し、国に働きかけてきた内容が取り入れられたものでございまして、一定の評価をしているところでございます。
 次に、認定こども園の認定基準についてでございますが、認定基準の設定に当たりましては、就学前の教育、保育に対するさまざまなニーズにこたえ、地域において子どもが健やかに育成される環境の整備に資するものとする必要がございます。
 このため、これまで認可幼稚園、認可保育所、認証保育所で培ってきた教育及び保育の実績を生かし、多様な勤務形態など、大都市の特性に応じたニーズに的確に対応するものとなるよう、現在、関係局と連携しながら検討を進めているところでございます。
   〔生活文化局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) 認定こども園への転換促進についてでございますが、私立幼稚園は、地域に身近な存在であるとともに、幼児教育の中核を担ってきました。
 ご指摘のように、これからは、保護者の就労状況にかかわらず、教育及び保育を一体的に提供できるよう、こども園として積極的な役割を果たすことが期待されております。
 都はこれまでも、私立幼稚園を対象に、認定こども園に関する説明会や幼稚園の代表者との意見交換を行ってきました。今後、こども園の認定が円滑に進むよう、必要な情報を積極的に提供するなど支援に努めてまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 構造計算書偽装事件の再発防止に向けた取り組みについてでございますが、都では、耐震偽装の疑いのある建築物の再チェックを行うとともに、構造審査マニュアルを作成し、関係機関へ周知するなど、いち早く対応してまいりました。
 また、構造計算書を第三者がチェックする、いわゆるピアチェック制度の導入など、建築基準法の抜本的な改正を国に強く要求し、先般、一定の改正がなされたところでございます。
 都といたしましては、建築行政の信頼確立に向けて、区市、関係団体とも連携しながら、ピアチェック制度の的確な運用、指定確認検査機関への立入検査など、再発防止に万全を期してまいります。
 また、指定確認検査機関の責任明確化などについて、今後とも国に強く働きかけてまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 農業継続のための担い手の確保についてでございますが、都市農業を継続させていくためには、次代を担う農業後継者の育成にあわせて、新たな担い手の確保が重要であります。
 都はこれまでも、農業後継者に対して、栽培技術や経営に関する継続的な指導のほか、無利子融資などの支援を行ってまいりました。また、今年度から、新たな担い手を確保するため、みずから農業を行いたいと考えている都民を対象に実践農業セミナーを開始し、高い技術力を持つ人材を育てております。
 今後とも、農家が一時的に耕作できない場合でも、こうした人材を効果的に活用することなどにより、農業が継続できるよう支援してまいります。

○議長(川島忠一君) 四十九番大西由紀子さん。
   〔四十九番大西由紀子君登壇〕

○四十九番(大西由紀子君) 二〇一六年オリンピックの国内立候補地として東京が決定し、十年後の都市像として、省エネ、省資源の最先端の都市であることや、独自の都市景観を持つ忘れがたい都市であるのかが都市の価値として最も重要ではないでしょうか。
 東京に都市計画はないが知事の口ぐせですが、行政の長として、これまでの無為無策の行政を批判してばかりはいられません。今定例会で景観条例を改正し、色彩や広告の規制を行うことを評価するものですが、それだけで終わるのでは、世界から訪れる観光客に、成熟した都市にふさわしい魅力的なまちを印象づけられるか心配になります。
 まずは時代おくれの開発主義から決別し、同時に高さ神話から脱却することです。人口が減少する時代だからこそ発想の転換が必要であり、もはや高さを競う必要はありません。オフィスビルやマンションは、地震に安全で、エレベーターに頼らず、住む人や働く人がコミュニケーションをとりやすい低層か、せいぜい中層の建物にすることです。経済効率を求め過ぎたのが今の東京です。生活する都民が豊かさを実感するためには、景観を中心とした水辺や緑の潤いのあるまちづくりを目指すべきです。
 今回、景観法に対応した景観条例の改正案が上程されていますが、知事は、条例を改正することによってどのようにして景観を重視した都市づくりを進めようとするのか、伺います。
 都は、平成十一年以来、順次、景観基本軸を定め、区域内で行われる大規模な計画には届け出を必要としてきました。しかし、区や市が届け出を義務づける条例を定めた場合には、景観の誘導が区や市の条例等にゆだねられ、基本軸全体としての調和や景観誘導につながっていません。今回の景観条例改正を機に、市民の景観への関心が広がることに期待するものです。
 景観基本軸の多くは自治体の区域を越えています。国分寺崖線景観基本軸など、区市町村の区域を越えた広域的な景観施策について、東京都の取り組みを伺います。
 国分寺崖線景観基本軸の区域は、貴重な自然環境と、地域の原風景ともいうべき景観が残っています。国分寺市は、まちづくり条例を制定し、崖線区域内の高さを十五メートルに規制しています。
 このたび、同じ景観軸内の府中市側に、都立府中病院が五十七メートルの高さで建てられる計画が明らかになりました。府中市は高さの制限はありませんが、都は景観基本軸について、連続した緑の景観を維持することをうたっており、国分寺市民から反対の声が上がっているのも当然です。
 この計画は、都立病院としては初めてのPFI事業であり、都の行う公共事業と同様の景観配慮が求められます。PFI事業を含む大規模建築物の景観誘導についてはどのように考えるのか、伺います。
 次に、消費者行政について伺います。
 ことし三月、生活文化局は、市販されている金属製アクセサリー類に有害な鉛が含まれていることが明らかになったとし、未然防止を図るために、国への緊急提案と消費者への注意喚起を行い、事業者は自主的に製品を回収しました。この機敏な動きを大いに評価し、子どもや高齢者の被害の未然防止の立場に立った消費者行政がさらに充実していくことを望むものです。
 さて、パロマの湯沸かし器によるガス中毒死、シュレッダーによる幼児の指の切断事故、浴室乾燥暖房機による火災発生など、製品事故は後を絶ちません。この問題点は、国民生活センターや消費者生活センターに寄せられた消費者からの苦情、相談を、オンラインでデータベースに登録するまで平均五十八日かかることに加え、このシステムは消費者が情報をじかにとれる状況ではないことなどが指摘されています。
 数多く寄せられる情報から広域性を判断し、経過をいち早く市民に知らせるために、庁内の情報整理の体制と市民への広報など、今後の対応についてお聞かせください。
 現在、大きな量販店が各地に開店し、電動シュレッダーのみならず、業務用、家庭用の種々の電動器具が販売され、業務用の製品が家庭で使用される事例もふえています。これらを使用する際の思いがけない事故を想定し、商品テストを充実させる必要があります。その結果を公表し、子ども、お年寄りへのガイドラインを策定すべきと考えますが、いかがですか。
 六本木ヒルズで起きた自動回転ドアの事故を契機に、消防庁は、日常生活における子どもの安全確保及び事故防止対策が急務であるとして検討委員会を設置しました。ことしの三月に、事故情報や安全対策情報の提供や普及啓発方法などに課題があるという報告をまとめています。
 消防、警察、そして病院などとの連携体制を図ることで、より多くの事故を防げるのです。市民生活を守る有効な手段として現場との連携を検討すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
 二〇〇二年に制定されたホームレス自立支援特別措置法は十年間の時限立法ですが、これを受けて、都も、二〇〇四年にホームレスの自立支援等に関する実施計画を策定しました。
 都は以前から、特別区と共同で自立支援システムによる路上生活者対策事業を実施してきましたが、二〇〇四年度からは、さらに地域生活移行支援事業を開始しました。この事業は、公園等に起居しているホームレスに低家賃住宅を貸し付け、就労及び生活面での支援を組み合わせることにより、地域での自立した生活を目指すものです。
 この八月で地域生活移行支援事業が開始から二年になりますが、その検証を含め、路上生活者対策について、課題と今後の取り組みへの姿勢を伺います。
 また、地域での自立した生活を可能にするためには、都民や民間企業等の理解と協力に根差した就労支援対策の充実が重要と考えます。今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
 ホームレス対策を着実に推進していくためには、ホームレスを訪問し、路上生活者対策事業の紹介やあっせんをすることが必要であり、何より実態の把握と生活再建に向けた丁寧な相談やカウンセリングに力を尽くすことが重要です。巡回相談センター事業の工夫と充実が求められますが、今後の取り組みについて伺います。
 最後に、教員の任用制度について伺います。
 団塊世代の大量退職時期を控え、教員の数と質の確保はますます重要になっています。ネットが行った教育に関する調査では、保護者からは公立学校への不安や不信、特に教員への不満が多く寄せられ、一方、教員は、子どもや親の意識の急激な変化に対応し切れず、若年退職や病気休職になる事例が見えてきました。中でも新規採用者は、きのうまで学生だった若者が即日先生と呼ばれる立場になる場合が多く、即戦力として力を発揮するには不安が大きいのは当然のことです。子どもたちの教育に当たるという職の重要性を考えれば、この状態を放置しておくことは問題です。
 一般企業であれば、新規採用者に対しては、正式採用前に一定の研修期間を設置するなど、さまざまな工夫がされており、自治体でも教員養成機関を設置し、独自の採用に踏み切るところも出てきています。緊急に対策を講じる必要があると思いますが、お考えを伺います。
 九月二十一日、日の丸・君が代の強要は違憲だとする東京地裁の判決が出され、都は控訴する方針を明らかにしました。学級崩壊や不登校など、教育現場の混乱を考えると、日の丸・君が代の強制をもって帰属意識を高めようとすることは余りにも空疎な教育哲学であり、東京都教育委員会の画一的な姿勢こそが問題です。
 今最も重要なことは、教育行政と教師との間の信頼関係であり、協力関係を築くことであると申し上げて、質問を終わります。以上です。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大西由紀子議員の一般質問にお答えいたします。
 景観を重視した都市づくりについてでありますが、今日の東京は、建築物の色彩、形態に統一感を欠き、原色のネオンや非常にあざとい色の看板がはんらんするなど、都市全体の美しさが感じられない状況になっております。このため、法的な強制力をも行使できるように景観条例を改正し、新たに実効性のある景観計画を策定するわけであります。
 例えば、建築物や工作物の色彩に対する変更命令、屋上設置の広告物などを禁止する区域の指定、景観配慮を条件とする大規模開発の許認可などであります。
 オリンピックの開催は、成熟した都市にふさわしい東京の姿を世界に示す絶好の機会でありまして、景観を重視した都市づくりを積極的に進め、美しく風格ある首都東京に再生していきたいと思っております。
 ちなみに、あなたの住んでいらっしゃる国立で、マンションの高さについてクレームがありましたが、あれと並行して、あの幅の広い美しい桜並木に、バーミヤンとかいう中華料理のチェーンがまことにあざとい店をつくって、あの黄色には驚きました。やっとあれは変わったようですね。まあ、ですから結構なことで、そういうふうに良識を発揮し、感性を研ぎ澄ましてまちの景観というものを考えていただきたいと思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 新規採用教員に対します採用前段階での取り組みについてでございます。
 新規採用教員は、四月当初から教壇に立ちまして、児童生徒に対しまして直接指導することになります。このため、教員の採用選考に当たりましては、具体的な指導計画を作成させ、場面指導を想定した個人面接を行うなど、実践的な指導力を重視しております。また、採用選考の合格発表後におきましては、採用予定者に対しまして、事前に採用説明会を開催するとともに、その中で相談コーナーを設けるなど対応をしているところでございます。
 新規採用者が、より円滑に教育活動のスタートが切れますよう、採用前の段階から実務に即したガイダンス等の取り組みを行うことは重要であると認識しておりまして、今後とも、その一層の充実について検討してまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 景観行政に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、広域的な景観施策における都の取り組みについてでございますが、東京では、崖線や丘陵地などの自然が行政界を超えて連続し、特色ある景観を形成していることなどから、都と区市町村が連携して施策を展開していく必要がございます。
 都が定める景観計画では、こうした東京の特性を踏まえ、景観形成の方針などを明らかにいたします。また、国分寺崖線など複数の区市にまたがる景観基本軸についても、引き続き計画に位置づけてまいります。
 都といたしましては、都民や区市町村の協力も得ながら、景観計画に基づく施策に取り組み、東京全体として良好な景観形成を積極的に進めてまいります。
 次に、大規模建築物の景観誘導についてでございますが、大規模な建築物は、周辺の景観に大きな影響を与えることから、企画段階より景観への配慮を誘導することが重要でございます。このため、今定例会で改正を提案している景観条例では、大規模な民間開発などを対象として、都市計画決定などの手続に先立つ事前協議制度を導入することとしております。
 今後、都は、PFIを活用するか否かにかかわらずこの制度を適用し、大規模建築物の事業化に合わせて、良好な景観形成を誘導してまいります。
   〔生活文化局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) 消費者行政に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、庁内の情報整理の体制と市民への広報など今後の対応についてでございます。
 都の消費生活総合センターに都民から寄せられた、商品、サービスに関する危害危険情報につきましては速やかに集約し、緊急対応が必要と判断されるものにつきましては、直ちに調査等を行っております。
 また、その結果等につきましては、新聞、テレビ等への発表や、都のホームページであるくらしの安全情報サイトへの掲載を通じて、都民に情報を提供しております。今後とも、都民の安全・安心のために迅速かつ的確な対応に努めてまいります。
 次に、商品テストの充実と、子ども、お年寄りへのガイドラインの策定についてでございます。
 都は、技術職員等で構成する危害防止対策検討会におきまして、相談情報や事故情報について専門的な分析を行っており、その結果に基づき、子どもやお年寄りの安全確保の観点も含め、必要な商品テスト等を実施しております。
 これらの結果につきましては、例えば高齢者の事故防止マニュアルなどを策定し、絵や図表を使ったわかりやすい内容にまとめまして都民に配布し、危険防止を呼びかけております。また、事業者や業界団体、国や関係機関等にも情報提供し、商品の改善や安全基準、ガイドラインの策定等に役立てるよう要望しているところでございます。
 最後に、消防、警察、病院等との連携についてでございます。商品、サービスの危害危険に関する情報を幅広く収集するためには、消費生活総合センターとともに、事故情報が集中する消防や病院等の関係機関との連携が必要と考えております。
 本年四月には、東京消防庁との連携により、商品等事故情報連絡会を設置し、定期的に事故情報の収集や情報交換を行っております。また、病院等との連携につきましては、都立病院等のリスクマネジャーを通じて、病院で使用しているベッドや車いすなどの商品に関する事故情報収集の取り組みを進めております。
 今後とも、幅広く危害危険情報を収集し、商品、サービスに起因する事故の未然防止に努めてまいります。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) ホームレス対策についての三点の質問にお答えいたします。
 まず、ホームレス対策の課題等についてでございますが、これまで、都は特別区と協働し、緊急一時保護センター及び自立支援センターによる自立支援システムを構築するとともに、平成十六年度にはホームレス地域生活移行支援事業を開始し、この二年間で都内の五つの公園から計千百九十人が借り上げ住居への移行を実現いたしました。
 こうした取り組みにより、就労し、地域で自立した方もいる一方、日雇いしか経験がない、また、技能が身についていないなどにより常用雇用に容易に結びつかず、自立が困難な状況もあるのも事実でございます。
 今後は、就労支援を一層きめ細かく実施していくことによりまして、一人でも多くのホームレスの方が自立できるよう、特別区と協力しながら、ホームレス対策を着実に推進してまいります。
 次に、就労支援についてでございますが、都はこれまで、当面の生活資金を賄うための臨時的な就労機会の提供のほか、個別相談により把握した本人の適性、経験に応じて、求人情報を紹介してまいりました。
 今後、ホームレスの自立を一層促進するためには、安定的、継続的な就労が極めて重要であることから、昨年度、民間団体と連携して設置した協議会を充実し、就職セミナーの開催、技能講習等を実施するほか、職業分野を広げて独自に開拓した求人情報を提供しております。また、必要に応じて採用面接に同行するとともに、就職定着指導も強化しております。
 こうしたことにより、就職件数も徐々に増加しておりますが、今後も、就労自立に向けて、一人一人の特性に応じた就労支援をきめ細かく継続的に実施してまいります。
 最後に、巡回相談事業についてでございますが、巡回相談事業は、二十三区に五カ所設置した緊急一時保護センターに巡回相談ブロックセンターを併設いたしまして、ホームレス対策にノウハウのある社会福祉法人に委託して、本年度から新たに実施しております。
 センターに配置した相談員が、公園や河川等に起居するホームレスを定期的に訪問し、健康や生活面での状況を把握した上で、ホームレス対策事業の紹介等をする一方、就労して自立支援センターを退所した方々に対して、再び路上生活に戻ることのないよう、アフターケアにも精力的に取り組み始めております。
 今後は、緊急一時保護センター職員と緊密に連携し実施するなど、工夫を凝らしながら、特別区と協働し、巡回相談を充実してまいります。

○議長(川島忠一君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(川島忠一君) これより日程に入ります。
 日程第一から第三十六まで、第百八十二号議案、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例外議案三十四件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事横山洋吉君。
   〔副知事横山洋吉君登壇〕

○副知事(横山洋吉君) ただいま上程になりました三十六議案についてご説明申し上げます。
 第百七十二号議案から第百九十八号議案までの二十七議案は条例案でございまして、全部を改正する条例が一件、一部を改正する条例が二十六件でございます。
 まず、全部を改正する条例についてご説明申し上げます。
 第百七十七号議案、東京都景観条例は、大規模建築物等の事前協議制度等を導入するとともに、景観法に基づく景観計画等に係る規定を設けるなど、美しく風格ある東京を実現するため、条例の全部を改正するものでございます。
 次に、一部を改正する条例でございます。
 まず、第百七十六号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、都立高等学校七校と都立養護学校一校を設置するため、所要の改正を行うものでございます。
 次に、第百七十八号議案、東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例及び第百七十九号議案、東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例は、東京都景観条例の改正に伴い、規定を整備いたすものでございます。
 次に、第百八十号議案、東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例は、健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴い、規定を整備するものでございます。
 このほか、同法の施行に伴い、規定を整備するものが七件ございます。
 次に、第百八十六号議案、東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例から第百八十九号議案、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例までの四件は、障害者自立支援法の施行に伴い、使用料等に係る規定を整備するものでございます。
 次に、第百九十号議案、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例は、介護保険法等の改正に伴い、介護支援専門員研修受講料に係る規定を整備するものでございます。
 次に、第百九十五号議案、火災予防条例の一部を改正する条例は、建物の防火安全対策の一層の充実を図るなど、所要の改正を行うものでございます。
 このほかに九件ございますが、いずれも法令等の改正に伴い、所要の改正を行うものでございます。
 次に、第百九十九号議案から第二百四号議案までが契約案でございます。
 たつみ橋交差点立体化工事など六件を予定しております。契約金額は総額約百六十六億七千万円でございます。
 次に、第二百五号議案及び第二百六号議案が事件案でございます。
 まず、第二百五号議案は、島しょ地域住民の利便性の向上を図るため、東京都が法定受託した旅券事務の一部を大島町など島しょ九町村に委託するものでございます。
 次に、第二百六号議案は、東京都新型インフルエンザ対策行動計画に基づき、約百万人分の備蓄用抗インフルエンザウイルス薬を買い入れるものでございます。
 次に、専決でございます。
 都税還付加算金還付請求事件の控訴提起につきましては、控訴期間内に控訴を提起するため、時間的余裕がなく、議会を招集するいとまがなかったことから、専決処分を行ったものでございます。
 上程になりました三十六議案の説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
 東京都公安委員会委員でございます。
 十月二十三日に任期満了となります太田芳枝氏を再任いたしたいと存じます。
 同意につきまして、よろしくお願い申し上げます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(川島忠一君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、日程第一から第十二までの第百八十二号議案外十一議案については、委員会付託を省略されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第十二までの第百八十二号議案外十一議案は、委員会付託を省略することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 三十五番村松みえ子さん。
   〔三十五番村松みえ子君登壇〕

○三十五番(村松みえ子君) 日本共産党都議団を代表して、第百八十二号議案、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例外二議案に反対の立場から討論を行います。
 第百八十二号議案は、健康保険法改悪に連動させて、療養病床に入院している七十歳以上の高齢者に対し、居住費と食材費、調理費などの自己負担を求めるものです。これにより、住民税課税者の場合、居住費等の負担は、これまでの月二万四千円が五万二千円に二倍以上にはね上がります。住民税非課税世帯でも、今までの二万円が三万円の負担になります。しかも、十月から高額療養費の引き上げで、さらに負担増となるのです。
 長期入院が多い療養病床だけに、負担増の影響は重いものです。療養病床への居住費、食費などの利用者負担導入は、法改定で決まったことですが、都独自に障害者医療費助成の対象とし、負担増にならないようにすべきです。
 よって、第百八十二号議案には反対です。
 なお、障害者医療費助成に関連して、国の税制改定により住民税が非課税から課税となり、一割負担の通知、あるいは老人保健法適用の高齢者の場合は、障害者医療費助成の消滅通知が送られ、驚きと怒りの声が上がっています。我が党の調査では、都内で消滅通知が送られた高齢者は千五百人を超えています。
 直接には国の税制改定により生じた問題ですが、石原知事が二〇〇〇年に障害者医療費助成制度を改悪し、住民税課税者について老人保健法に準拠した自己負担を導入するということをしなければ、こんなことにはならなかったのです。税制改定により今年度から住民税課税になった人には、シルバーパスと同様据え置き措置を実施し、医療費無料にすることを求めておきます。
 次に、第百八十八号議案、東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例及び第百八十九号議案、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例です。
 これは、いずれも障害児施設に対し、十月から障害者自立支援法が施行されるに伴い、食費と光熱水費の利用者負担を導入するものです。
 対象施設は、重症心身障害児や肢体不自由児が利用している都立北療育医療センターと二カ所の分園及び重度の知的障害児が入所している東京都七生福祉園、千葉福祉園、東村山福祉園です。以上の定員数は、合わせて入所が五百三十六人、通所が百二十人です。いずれも重症重度の障害児と家族の頼みの綱となっている、かけがえのない都立施設です。
 導入される負担増は、八月に国が示した基準どおりとされています。昨年示された当初案に比べれば改善されていますが、それでもなお重い負担増になります。入所の場合の上限額で見ると、住民税非課税の低所得の人で、今までおおむね月二千円だったのが八千五百円、または一万三千円となり、四倍から六倍になります。住民税所得割の人でも、今までの三倍から四倍になります。
 通所の場合、低所得の人で月千円だったのが九千円で九倍、住民税所得割二万円以下の人で、月二千円から三千円だったのが二万円となり、七倍から九倍にもはね上がります。通所の負担額について、国は保育料並みにしたといいますが、都内自治体の保育料は国基準の半額程度ですから、一層の負担軽減が必要です。しかも、今回の食費、光熱水費負担と別に、定率一割負担も導入されているのです。
 これらの障害児施設は、自立支援法施行に伴い、契約制度に変わります。このため、親が利用料を払えなくなるような事態が生じたときに退所を余儀なくされたり、通園日数を減らさざるを得ないことも起こりかねません。
 よって、第百八十八号議案及び第百八十九号議案に反対いたします。
 住民税増税と、それに連動した介護保険料などの負担増、さらに医療費値上げが高齢者に押し寄せています。障害者、障害児には自立支援法による重い負担増が押し寄せています。その中で提案された、以上の三つの議案とも、相次ぐ負担増をそのまま都民に強いるものです。こういうときに、都民の痛みを軽減するために頑張ることこそ、自治体の役割ではありませんか。都独自の負担軽減を求め、討論を終わります。(拍手)

○議長(川島忠一君) 四番田中たけし君。
   〔四番田中たけし君登壇〕

○四番(田中たけし君) 私は、東京都議会自由民主党を代表して、本日、本会議において議決する全議案に賛成の立場から討論を行います。
 まず、第百八十二号議案、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例についてであります。
 現在、我が国が進めている医療制度改革は、急速な少子高齢化や経済基調の変化等に対応し、国民皆保険を堅持し、医療保険制度を将来にわたり持続可能なものとしていくため、国を挙げて強い決意で推進しているものであります。
 今回の健康保険法等の改正により、医療型の療養病床に入院する七十歳以上の方は、十月からこれまでの食材料費に加え、調理コスト、光熱水費相当額を負担することとなりましたが、この新たな自己負担の導入は、医療制度改革における医療費適正化の総合的な推進等の基本的考え方を受けて行われたものであり、また、介護保険など他制度との負担の公平にも配慮したものであります。一方で、この改正においては、低所得者や入院医療の必要性が高い方などに対しては、大幅な負担額の軽減措置が講じられるなど、十分に配慮がなされております。
 こうしたことから、我が自由民主党は、今回の法改正に伴う都条例の改正は当然なものと考え、賛意を表するものであります。
 一方、日本共産党が相も変わらず主張するばらまき福祉的な考え方は、今後の我が国の持続的な社会保障制度全般を考えた場合、全く意味をなさない無責任なものであり、到底認められるものではありません。日本共産党の給付と負担のバランスを欠いた主張は、現在の社会保障制度改革に逆行するものであり、前近代的なものであるといわざるを得ません。即刻改めるべきであります。
 次に、第百八十八号議案、東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例を初めとする障害者自立支援法関連の条例案についてであります。
 障害者自立支援法は、障害者及び障害児がそれぞれ有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活、または社会生活を営むことを目指すものであり、各障害者の自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとに異なる法律に基づいて提供されていた福祉サービスや公費負担医療等について、共通の制度のもとで一元的に提供するものであります。
 この法による改革のねらいの一つに、新たなサービス利用者が急速にふえている中で、今後さらにサービス量を拡大していくための費用を、障害のある方も含め、国民皆で支え合う仕組みの強化という点があります。
 こうしたサービスの量や所得に応じた公平な利用者負担を求めるとともに、福祉サービス等の費用について、これまで国が補助する仕組みであった在宅サービスも含め、国が義務的に負担する仕組みなど一定の合理性があり、利用者負担を求めることは必要不可欠なことと理解しております。
 しかるに、日本共産党は、福祉サービスに対して一割の負担等を求めることを殊さらに強調し、法が全く不備であるかのような発言で、いつものことではありますが、いたずらに利用者の不安をあおるという極めて悪質な行為を繰り返しております。
 しかし、事実は全く異なり、既に国は、福祉サービスの定率負担、食費、光熱水費などの実費負担それぞれに、低所得の方に配慮した各種の減免措置を講じており、負担の公平を求めていく際に必要な安全弁を設けており、評価できるものであります。
 それに加え、国は、我が自由民主党からの要望を受け、四月からは自己負担の上限月額の引き下げを行うとともに、十月から定率負担、実費負担が導入される障害児施設における保護者の費用負担について、急激な負担増とならないよう、新たな負担軽減措置を講じたところであります。
 今回の条例改正は、こうした法の施行を受け、障害児施設における利用契約に基づくサービス利用及び利用者負担等について必要な規定を整備するものであります。
 以上のとおり、本日議決する議案につきましては、趣旨、内容ともに極めて妥当なものであり、我が党はこれら議案に賛成するものであることを改めて表明し、討論を終わります。(拍手)

○議長(川島忠一君) 以上をもって討論を終了いたします。

○議長(川島忠一君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一から第三まで、第百八十二号議案、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例外議案二件を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本案は、いずれも原案のとおり可決されました。

○議長(川島忠一君) 次に、日程第四及び第五、第百八十六号議案、東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例外議案一件を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本案は、いずれも原案のとおり可決されました。

○議長(川島忠一君) 次に、日程第六から第十まで、第百八十号議案、東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例外議案四件を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本案は、いずれも原案のとおり可決されました。

○議長(川島忠一君) 次に、日程第十一及び第十二、第百九十一号議案、東京都立病院条例の一部を改正する条例外議案一件を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本案は、いずれも原案のとおり可決されました。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第十三から第三十六までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、日程第十三から第三十六までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) 日程第三十七、平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について

一八財主議第二三九号
平成十八年九月二十日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
 このことについて、地方自治法第二百三十三条の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。

一 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算書
二 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算事項別明細書
三 平成十七年度実質収支に関する調書
四 平成十七年度財産に関する調書
五 平成十七年度決算審査意見書
六 平成十七年度主要施策の成果
七 平成十七年度東京都決算参考書
(決算書等省略)

○六十七番(山加朱美君) 本件は、三十一人の委員をもって構成する平成十七年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、三十一人の委員をもって構成する平成十七年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第十二委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
   〔平成十七年度各会計決算特別委員名簿は本号末尾(一八四ページ)に掲載〕

○議長(川島忠一君) 日程第三十八、平成十七年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、平成十七年度東京都公営企業各会計決算の認定について

一八財主議第二四〇号
平成十八年九月二十日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   平成十七年度東京都公営企業各会計決算の認定について
 このことについて、地方公営企業法第三十条第四項の規定に基づき、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定についてよろしくお願いいたします。

一 平成十七年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書
二 平成十七年度東京都中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書
三 平成十七年度東京都都市再開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
四 平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
五 平成十七年度東京都港湾事業会計決算書及び同決算審査意見書
六 平成十七年度東京都交通事業会計決算書及び同決算審査意見書
七 平成十七年度東京都高速電車事業会計決算書及び同決算審査意見書
八 平成十七年度東京都電気事業会計決算書及び同決算審査意見書
九 平成十七年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十 平成十七年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十一 平成十七年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
(決算書等省略)

○六十七番(山加朱美君) 本件は、二十三人の委員をもって構成する平成十七年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する平成十七年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第四委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
   〔平成十七年度公営企業会計決算特別委員名簿は本号末尾(一八四ページ)に掲載〕

○議長(川島忠一君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都公安委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都公安委員会委員の任命の同意について一件

一八財主議第二三五号
平成十八年九月二十日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年十月二十三日任期満了となるため、再び任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

     太田 芳枝

      略歴
現住所 東京都目黒区
太田 芳枝
     昭和十七年九月一日生(六十四歳)
(経歴)
昭和四十一年三月 慶應義塾大学経済学部卒業
昭和四十一年四月 労働省入省
昭和五十年十月  山形労働基準局賃金課長
昭和六十年四月  大阪婦人少年室長
昭和六十二年三月 婦人局婦人政策課長
平成二年七月   大臣官房政策調査部総合政策課長
平成三年十二月  石川県副知事
平成六年七月   労働省大臣官房政策調査部長
平成七年六月   婦人局長
平成九年十月   女性局長(名称変更)
平成十年六月   労働省退職
平成十年七月   財団法人二十一世紀職業財団理事長
平成十四年六月  目黒区男女平等・共同参画オンブーズ
平成十五年二月  芝浦工業大学評議員
平成十七年七月  財団法人二十一世紀職業財団顧問
平成十七年七月  株式会社国際研修サービス代表取締役社長
現在       株式会社国際研修サービス代表取締役社長

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第二から第四まで、議員提出議案第十六号、東京都子どもの医療費の助成に関する条例外条例二件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十六号外二議案については、趣旨説明を省略し、厚生委員会に付託されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十六号外二議案は、趣旨説明を省略し、厚生委員会に付託することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願六十七件及び陳情三十三件は、お手元に配布の請願陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 明二十八日から十月四日まで七日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、明二十八日から十月四日まで七日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十月五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時四十四分散会

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