平成十八年東京都議会会議録第十二号

平成十八年九月二十六日(火曜日)
 出席議員(百二十五名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番きたしろ勝彦君
四番田中たけし君
五番鈴木 隆道君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番山口  拓君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番神林  茂君
二十一番早坂 義弘君
二十二番崎山 知尚君
二十三番宇田川聡史君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番鈴木あきまさ君
二十七番秋田 一郎君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番串田 克巳君
四十三番吉原  修君
四十四番山田 忠昭君
四十五番臼井  孝君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番西岡真一郎君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番田代ひろし君
六十五番三宅 茂樹君
六十六番高木 けい君
六十七番山加 朱美君
六十八番村上 英子君
六十九番坂本たけし君
七十番川井しげお君
七十一番鈴木 一光君
七十二番吉野 利明君
七十三番いのつめまさみ君
七十四番門脇ふみよし君
七十五番小沢 昌也君
七十六番石毛しげる君
七十七番岡崎 幸夫君
七十八番柿沢 未途君
七十九番初鹿 明博君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番倉林 辰雄君
八十八番樺山たかし君
八十九番近藤やよい君
九十番こいそ 明君
九十一番松原 忠義君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番野村 有信君
九十七番酒井 大史君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大沢  昇君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百十番比留間敏夫君
百十一番遠藤  衛君
百十二番高島なおき君
百十三番宮崎  章君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番馬場 裕子君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
 欠員
百九番 百二十番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長大原 正行君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長渡辺日佐夫君
都市整備局長柿堺  至君
環境局長村山 寛司君
福祉保健局長山内 隆夫君
産業労働局長島田 健一君
建設局長依田 俊治君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長熊野 順祥君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長高橋 道晴君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

九月二十六日議事日程第二号
第一 第百八十二号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十八号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第三 第百八十九号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第四 第百八十六号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第五 第百八十七号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第六 第百八十号議案
東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第七 第百八十一号議案
老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百八十三号議案
東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百八十四号議案
東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
第十 第百八十五号議案
大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十一号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十二号議案
東京都立小児病院条例の一部を改正する条例
第十三 第百七十二号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十三号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十四号議案
電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十五号議案
東京都消防訓練所条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十六号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十七号議案
東京都景観条例
第十九 第百七十八号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第二十 第百七十九号議案
東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
第二十一 第百九十号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十二 第百九十三号議案
東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
第二十三 第百九十四号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百九十五号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第二十五 第百九十六号議案
特別区の消防団の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十六 第百九十七号議案
特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第百九十八号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十八 第百九十九号議案
たつみ橋交差点立体化工事(十七 五 ─ 放十四東新小岩)請負契約
第二十九 第二百号議案
警視庁西新井警察署庁舎(H十八)改築工事請負契約
第三十 第二百一号議案
警視庁多摩西警察署(仮称)庁舎(H十八)新築工事請負契約
第三十一 第二百二号議案
晴豊二号橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十八 五 ─ 環二)請負契約
第三十二 第二百三号議案
是政橋二期鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
第三十三 第二百四号議案
中央環状品川線大井北発進立坑設置工事請負契約
第三十四 第二百五号議案
旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託について
第三十五 第二百六号議案
抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビル)備蓄用の買入れについて
第三十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都税還付加算金還付請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
議事日程第二号追加の一
第一 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二 平成十七年度東京都公営企業各会計決算の認定について

   午後一時開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松原恒美君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成十七年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君) これより質問に入ります。
 百十三番宮崎章君。
   〔百十三番宮崎章君登壇〕

○百十三番(宮崎章君) 平成十八年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 質問に入る前に、今月六日、皇孫殿下、悠仁親王様がめでたくご誕生されましたことを心からお喜び申し上げます。お名前のとおり、お健やかなご成長をお祈り申し上げます。
 また、国会において、本日、臨時国会で首班指名され、安倍総理が誕生いたします。安倍総裁は、民間主導の景気回復を初め、確たる実績を残されました小泉政権の改革路線を引き継ぐとともに、自立国家日本を目指すとの考え方をお伺いいたしております。
 都議会自由民主党は、安倍総裁を一致して支援してまいりました。期待にたがわぬ政治を邁進されることを願うものであります。
 さて、最近、東京都におけるビッグニュースは、何といっても、オリンピック、パラリンピックの東京招致決定であります。先月の三十日、二〇一六年オリンピック国内候補地選考は、知事のトップセールスでの招致活動とあわせ、都議会は、オリンピック招致議員連盟の山崎会長を中心に、選定委員会委員に対する積極的なPR活動を行ってまいりました。まさに執行機関と都議会の二人三脚で勝ちに至ったものであります。
 次のステージは世界が相手となるわけですが、国の積極的な支援が欠かせません。東京の勝利の翌日、知事は即座に小泉総理、安倍官房長官を訪れ、支援を要請されましたが、この迅速な対応について、知事に心から敬意を表するものであります。
 追って、過日、私も内田自民党都連幹事長等とともに安倍前官房長官にお会いし、オリンピック招致に対する国の支援、地方法人二税の現行制度の維持、地方議会議員の位置づけの明確化の三点を申し入れたところでございます。
 そこで、このような国政の動向も踏まえて、これからの都政運営のあり方について知事の所見をお伺いいたします。
 また、今回の国内候補都市決定に当たっての知事の率直な感想と、今後のオリンピック、パラリンピック招致に対する知事の決意をお伺いいたします。
 さて、オリンピック開催地の決定には、都民を初め国内全体での大きな盛り上がりが重要な評価要素といわれております。そうした広範な盛り上げを含んだオリンピック招致活動のため、都は外部組織を立ち上げると聞いておりますが、その外部組織の考え方についてお伺いいたします。
 我が都議会自由民主党有志議員は、国内選考に先立ち、中国オリンピック委員会を訪れ、北京オリンピックの準備状況を聞き、また、東京誘致への協力も求めてまいりました。国際間の招致レースを勝ち抜くためには、アジア諸国の支援、中でも中国の支援が欠かせません。
 再来年の北京オリンピックに先立ち、来年はプレオリンピックが開かれます。そうしたIOC委員や世界のメディアが集まる機会を活用し、有効に招致活動を行うべきと思いますが、見解を伺います。
 ところで、先月三十日のプレゼンテーションの際、知事は、あきる野市の旧秋川高校を選手の育成、強化の拠点として活用する方向性を示唆いたしました。二〇一六年に向けジュニア選手の育成を図る上でも、オリンピックの効果を多摩地域に及ぼす上でも、知事の提案はすばらしいものと考えます。そこで、旧秋川高校を今後どのように選手の育成、強化に活用していくのか、見解を伺います。
 私は、オリンピック開催と成功のためには、だれもが参加できる仕組みづくりが重要との考えを持っております。どの町から、どの村からもバリアフリーで参加できるような駅ごとのエスカレーターやエレベーター、バリアフリーなどを進め、オリンピックが終了したら、世界からの評価が、東京オリンピックは福祉のオリンピックといわれるような感想が聞かれることの実現を夢見ております。
 さて、オリンピック招致活動もいよいよ世界の強豪都市との戦いに移ります。改めて申すまでもなく、ロンドンがオリンピック招致に成功した要因の一つとして、都市の長期戦略とオリンピック大会の構想が合致したことが挙げられております。
 東京においても、成熟都市の新しい可能性を都市戦略として世界に示すとともに、その成果をオリンピックの場で披瀝し、世界のだれもが見たことのない驚きと感動の大会を実現する必要があります。
 所信表明において、知事は、東京の未来をしっかりと描くと表明されました。十年後の東京の都市像をわかりやすく示すことが極めて重要と考えます。この都市像を招致活動のあらゆる場面に活用して機運を盛り上げていくとともに、IOCに提出するオリンピック立候補ファイルへも反映していくべきであります。
 東京の将来にとって、オリンピック招致にとっても重要な意味を持つ二〇一六年の東京の都市像を策定するに当たり、改めて知事のお考えを伺います。
 これまでも都はさまざまな大都市問題に積極的に取り組んできましたが、東京の弱点の克服と長所をさらに伸ばす政策展開を、東京国体もにらんで、多摩地域を含めた都全域で進めていくべきと考えます。
 とりわけ環境対策やスポーツ振興等への取り組みも重要だと考えます。都市像の策定時期を含めて見解をお伺いいたします。
 次に、財政問題について伺います。
 都財政は平成十七年度決算で実に十六年ぶりに黒字に転換するなど、ようやく念願であった財政再建にめどをつけることができました。まさしく知事と我が党が一丸となって取り組んできた成果であります。
 都はこの七月、財政再建推進プランにかわる新たな財政運営の方向性として、「今後の財政運営の指針」を明らかにしました。今後三年間の財政フレームとあわせて、山積する課題への積極的な対策といった基本方針を示すことにより、都財政の質的転換を目指すものであり、予算編成手法についても思い切った見直しを行うなど、これまでにない斬新な取り組みを盛り込んだものであります。
 そこで、まず、今後の財政運営に臨む知事の決意を伺います。
 昨年末から続いております都の財源をねらう国の動きに対して、我々は猛反発し、何とか強行されることなく抑え込むことができました。しかし、景気回復やオリンピック招致を契機として都財政の回復ぶりが注目されており、この秋以降、こうした国の動きが一層強まることは確実であろうと思います。都の財源をめぐる今後の国の動きに対応しての所見を伺います。
 また、過去に実施された法人事業税の分割基準見直しによって、都は今年度だけでも二千億に上る減収が見込まれております。国はこうした実態を直視せず、大都市に税収が偏在している現状を打開するために、法人二税を法人とは全く関係のない各地方の人口を基準として配分すべきであるとの見解まで出ているありさまであります。法人二税のいわゆる人口配分論については、都は明確に反論していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、行財政改革について伺います。
 都はこれまで、厳しい社会経済状況での都民生活や中小企業経営をかんがみて、定数の削減や監理団体改革など、徹底した内部努力を国に先駆けて進めてまいりました。今後につきましては、かつて経験したことのない人口減少社会を迎え、社会や経済の活力を維持していくためには、公的部門の効率性を一層高めることが不可欠であります。
 都は、今般、行財政改革実行プログラムを策定しましたが、改めて、今後の都の行財政改革をどのような基本的な考え方で進めていこうとしているのかを伺います。
 団塊世代の職員の大量退職など、今後の都政をめぐる状況を考えれば、踏み込んだ行政改革が必要です。こうした観点から、行政のスリム化を実現するために、今後とも、官民の役割分担を見直し、行政分野の民間開放を進めていくことが必要であります。
 しかし、耐震強度偽造事件や埼玉県における公営プールの死亡事故のように、民間開放した事業について重大な事件が続いております。民間といえども絶対ではないんです。民間開放した事業についても、最終的には行政に責任があることをしっかりと認識すべきであり、また、議会としても関与を適切に行っていく必要があります。
 そこで、行政分野の民間開放に当たり、都民の安全・安心を確保していく仕組みを講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 本年六月、北海道夕張市が財政再建団体の申請を表明するなど、地方自治体の財政破綻が問題になっていますが、その一因として、資産や負債の全体像が見えにくいという官庁会計の限界が挙げられています。また、本年度から地方債の発行が自由化されましたが、自治体の円滑な資金調達のためにも、財務状況を的確に分析し、債券市場に対して積極的に情報開示を行うことが求められます。
 そんな中、本年四月、都は新たな公会計制度を導入しました。これは、単式簿記・現金主義会計である従来の官庁会計に、複式簿記・発生主義会計の考え方を加えた制度で、国及び全国の自治体を通して、我が国初めてのものであります。この改革は知事の強いリーダーシップによって実現したものであり、知事の先見性に深い敬意を表する次第であります。
 国でも、都を参考にしながら、複式簿記のシステム化の検討を開始したとのことです。公会計制度の改革は全国すべての自治体が取り組んでいくべき課題であり、都は全国に範を示し、牽引していく必要があります。
 そこで、行政に複式簿記・発生主義会計を導入すること、そして、これを全国に広めることの意義について知事の所見を伺います。また、今後の具体的な取り組みについての所見もあわせてお伺いいたします。
 次に、入札・契約制度の改善について伺います。
 昨年四月、公共工事の品質確保の促進に関する法律が施行され、総合評価方式の推進が求められています。総合評価方式は、価格以外の要素とあわせて評価するものであり、経済性と品質確保を両立させる入札・契約制度への大きな転換であります。価格以外の要素として、企業の技術力に加え、その地域の特性に十分精通し、都との災害協定を結ぶなど、企業の地域貢献度を評価することも公共事業の品質を確保することに有効と考えます。
 このような企業を大いに評価すべきと思いますが、都としてどう取り組んでいくのか、見解をお伺いします。
 次に、公営企業改革に関連して、都営バス職員給与の見直しについて伺います。
 都営バス事業は、都民生活や東京の都市活動を支える身近な公共交通機関として重要な役割を果たしています。一方、都バスの乗客数は、昭和四十七年度のピーク時には一日当たり百三十万利用者がありましたが、平成十七年度は半減するなど、大幅に減少していること、加えて、少子高齢化や新たな鉄道の開業、バス事業の規制緩和による事業者間競争の激化等、経営はさらに厳しくなるものと考えます。そこで、まず、都営バスの今後の経営見通しについて伺います。
 都営バスが安定した経営を行い、公営としての役割を確実に果たしていくためには、経費の大宗を占める人件費の削減など、より抜本的な対策を講じることが必要と考えます。
 このような中、交通局では、先般、公民格差の大きいバス事業の現業職員の給与表の見直しを組合に提案したと聞いております。バス事業の経営改善を図り、長期的に安定した経営基盤の確立を目指して、この課題の早期解決に最大限の努力を求めるものであります。そこで、今回の給料表見直しの趣旨とその実現に向けた決意をお伺いします。
 次に、都市再生とまちづくりについて伺います。
 初めに、道路整備であります。
 東京を中心とする都市圏の慢性的な交通渋滞は、大きな経済的損失とともに環境負荷の増大を招いております。東京の国際競争力を高め、首都圏の再生を推進するためには、三環状道路を含め、都市の骨格を形成する広域的な道路ネットワークの整備が重要であります。中でも、臨海部の広域幹線道路である環状二号線は、オリンピックの開催時には都心部とメーンスタジアムなどの主要施設を結ぶ路線として整備促進が求められております。
 知事は、所信表明演説で、築地─晴海間は平成二十七年度の完成を目指すと述べられましたが、今後の取り組みについての所見を伺います。
 次に、道路整備の財源について伺います。
 立ちおくれた首都東京の道路の整備に、その財源の確保は極めて重要であります。国の骨太の方針では、道路特定財源について一般財源化の方針を示しております。公共事業全体に一律にシーリングをかけ、本当に必要な道路整備に関する予算を絞り、道路特定財源が余るかの議論は、まさにつくられた余剰論といわざるを得ません。
 道路特定財源は、受益者負担の趣旨にのっとり、道路整備など本来の目的に活用すべきであり、仮に他の目的で使うならば、現行の暫定税率を本則の税率に下げるのが筋と考えます。
 交通渋滞に伴う経済損失や排出ガスによる環境負荷の解決には、三環状道路を初めとした幹線道路ネットワークの早期整備が必要であり、これまで以上に財源の確保が不可欠であります。さきの議会で道路特定財源について代表質問したところですが、その後、都としてどのような取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。
 次に、景観施策について伺います。
 知事は、東京オリンピックを招致する意義を、世界の範となる二十一世紀の都市のあり方を提示するとしていますが、そのためには、成熟都市として、世界に誇れる東京の景観を創出していくことが不可欠であります。
 幸いなことに東京都は、国の景観法制定以前から景観条例をつくり、独自の施策に取り組んできました。しかし、一方では、まちには電線が張りめぐらされ、原色のネオンや広告物がはんらんしている状況であります。今後、東京の街並みを景観重視の都市に変えていくべきであります。景観を重視した都市づくりに対する知事の決意を伺います。
 東京は、さまざまな地域で大規模な開発が進められ、これが都市の活力にもなっております。一方で、これら大規模開発は東京の街並みに大きな影響も与えております。都は今定例会に景観条例の改正を提案していますが、大規模な民間開発の景観誘導を今後どのように行っていくか、所見を伺います。
 景観法では、区市町村も都の同意を得て法に基づく計画を定めることができ、そのような意向を持つ区や市もあると聞いております。しかし、複数の区市町村にまたがる、広がりを持つ景観形成などについては、広域自治体としての都の役割が必要であります。
 都は、成熟した都市にふさわしい東京の景観を形成していくために、東京全体を視野に入れ、統一的な考えのもとに施策を展開すべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、電線類の地中化について伺います。
 道路上に張りめぐらされた電線類は、事故の際や災害時の信頼性に不安があるばかりではなく、道路に立ち並ぶ電柱が歩行者や車いすの通行を妨げるバリアとなっています。ロンドンやパリなど世界の主要都市では、電線類が地中化され、美しい街並みが形成されているのに対して、東京は電柱や電線類により都市の景観が大きく損なわれています。
 オリンピックは東京の存在感を世界に示す絶好の機会であることから、風格のある街並みの形成とバリアフリー化に向けて、今後十年間に今まで以上に地中化を急ぐ必要があると考えます。そこで、電線類地中化の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、東京の新しい可能性を秘めた臨海地域の今後の展開について伺います。
 今年十一月、晴海通りの延伸が完了すると、都心方面からオリンピックのメーンスタジアム予定地の晴海地域を経て臨海副都心までの交通アクセスが一段と向上し、臨海地域のさらなる発展が期待されるところでございます。
 臨海副都心は、今年度から開発の総仕上げの十年に入りますが、第一回定例会で我が党の代表質問に、都は、開発を支える財政基盤の一層の強化を明らかにしております。
 今後は、残る大規模な未処分地である青海地域北側と有明北地域の開発が注目されます。そこで、今後、この両地域の開発をどのような方針と手順で進めていくのか、伺います。
 次に、臨海地域における監理団体改革である持ち株会社構想について伺います。
 臨海地域の機能強化を図っていくためには、速やかに持ち株会社を設立し、持ち株会社グループ全体がエリアマネジメント機能を果たしていく体制を構築することが求められます。
 一方、東京港の国際競争力の強化や臨海副都心開発の総仕上げなど、臨海地域の重要事業は、基本的に都が責任を持って遂行すべきものです。
 今後、都が持ち株会社グループと一体となって取り組んでいくためには、これまでのようにゆりかもめなどの子会社に個別に指導監督を行うのではなく、持ち株会社を通してグループ全体に関与していくための仕組みづくりが重要となります。
 しかし、逆に、子会社となる各団体の状況が都民から見えにくくなるのではないかという危惧もあります。設立に当たって、こうした点に十分配慮すべきであります。
 そこで、持ち株会社のグループ化をどのように進めていくのか、各団体の透明性をどのように確保するのか、伺います。
 次に、多摩・島しょ地域の振興について伺います。
 多摩地域は四百万人の人口を擁し、神奈川、埼玉県と隣接し、人、物、情報の結節点として重要な位置を占めております。
 今、多摩地域では、試験研究機関や数多くの大学が立地し、先端技術産業の集積も進むなど、都心部とは異なる優位性を生かし、魅力ある都市づくりが進められております。
 こうした多摩地域の振興発展のため、基本施策として多摩リーディングプロジェクトが策定され、二年目を迎えております。この中で、都市基盤整備など都が重点的に取り組む事項を明確にするとともに、その進捗状況を市長会、町村会に報告しながらフォローアップを行うことといたしております。
 今後とも、このリーディングプロジェクトの特性を生かし、重点的かつ確実に施策を進める必要があります。そして、二十の多摩重点推進事業について、状況変化に柔軟に対応して事業内容を拡充するなど、自立と連携の都市づくりに向け、一層の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩地域の歩道の整備であります。
 都ではこれまでも計画的に歩道の整備を進めてきていますが、区部に比べて多摩地域における歩道の整備は大幅におくれている感じがします。現に、歩道の幅員が狭い箇所や、歩道のない箇所が数多く残されています。多摩地域において、子どもや高齢者が安心して歩ける幅の広い歩道を早急に整備すべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、島しょ地域におけるオートバイレースの開催についてお伺いをします。
 知事は、本年五月、オートバイレースで有名なマン島を視察し、第二回定例会において、オートバイレースを観光の起爆剤に据え、島民の方々が実現に向けた具体的な一歩を踏み出すことへの期待を述べられました。知事の島しょ地域の振興への強い思いを感じるものであり、この魅力ある提案の実現に向け、都としても全力で支援をすべきと考えます。
 このオートバイレースは、我が国で初めてサーキット場ではなく一般の道路で行うものであり、運営方法などさまざまな課題があると思いますが、今後、実現に向けて都としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 続いて、都民の安全・安心な生活と健康を守る施策について伺います。
 先月十四日の早朝、首都圏において百四十万件に及ぶ大規模停電が発生しました。鉄道が運行不能、信号機が停止など、都民生活に大きな混乱をもたらしました。今回の大規模停電は台船クレーンが高圧電線に接触したことが原因でありますが、首都東京の都市機能が一時的にでも麻痺したことは、ゆゆしい事態であります。
 今後、切迫性が高まっている首都直下型地震や、テロ活動などによる大規模停電が発生する可能性は十分にあります。今回の大規模停電を踏まえ、東京の危機管理について、改めて知事の所見を伺います。
 次に、総合防災訓練について伺います。
 都は、去る九月一日の防災の日に、足立区と合同で総合防災訓練を実施しました。今年は都が八都県市のメーン会場となり、政府や他県市に加え、警察、消防、自衛隊及び多くの都民、ボランティアなどが参加し、総勢二万七千人の大規模な訓練となりました。また、今回は、全国で初めてソウル市と在日米軍が参加し、災害時における海外からの支援を想定した訓練も実施しております。
 そこで、このたびの総合防災訓練の意義と成果について、所見を伺います。
 次に、警視総監に伺います。
 最近、全国で子どもが被害者となる痛ましい事件が続発しております。犯罪から子どもを守ることは私たち大人の責任であり、警察力だけでなし得るものではありません。
 学校や教育委員会が把握した不審者情報は、警察への通報や届け出により活用されることが大切であると認識をしております。
 そこで、警視庁では、学校やPTA、地域住民等とどのように連携を図っているのか、伺います。
 一方、少年によるひったくり、強盗等の犯罪も頻発しております。深刻な状況にあります。児童生徒の非行防止対策と被害防止対策を効果的に推進するために、警察と学校、地域との連携が重要であります。そのため、現在取り組まれているスクールサポーター制度を一層充実させ、相互連絡制度を都内のすべての学校と締結するなど、学校との連携を強化する必要があると考えます。
 そこで、スクールサポーターの活動及び相互連絡制度の締結の状況について、伺います。
 警視庁は、今年六月、都内にある九百四十カ所の交番の一割強に当たる百二十一カ所を来春までに廃止するといった交番の配置見直し計画を明らかにしました。平成十四年度に戦後最多であった刑法犯認知件数は年々減少しているとはいえ、いまだ高い水準にあり、都民の治安に対する不安も大きいものがあります。
 今回の交番の配置見直しは、こうした治安情勢や都民からのパトロール強化等の要望を踏まえ、警察官が交番に在所しての警戒とパトロールの二つの活動をバランスよく実施し、首都東京の治安対策を効率的に推進するためのものと聞いております。
 しかしながら、東京都議会自由民主党としては、交番が廃止されることへの住民の不安を十分考え、警視庁に対して、交番機能が廃止されてもその施設を存続させ、有効利用していくことについて強く申し入れを行いました。ぜひ都民の期待にこたえていただきたく、交番機能廃止後の施設の有効活用についてのご所見をお伺いいたします。
 次に、医療関係について何点か伺います。
 まず、多摩地域における死体の検案体制について伺います。
 事故死などの場合、医師が死亡を確認し、その原因などを推定する検案を行うこととされています。犯罪が明確に疑われる場合を除いて、地域の医師が検案を行いますが、二十三区については国が監察医を置くべき地域と指定しているため、都は監察医務院を設置して、法医学の専門家が検案を行い、必要があれば解剖して死因究明を行っております。死因の究明は地域を問わず重要なものであり、できることからでも多摩地域の検案、解剖体制を強化すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、知事は所信表明において、老人医療センターと老人総合研究所を統合し、高齢者に関する最新の医療を広く都民に提供する新たな拠点として、健康長寿医療センターを整備していくことを明らかにしました。
 超高齢社会の到来を控え、高齢者に最適な医療を安定的に供給できる体制を整備していくことは、我が党としても大きな関心を持っております。医療と研究は車の両輪であり、統合によりさらに連携を深め、より大きな成果を上げていくことと期待しております。
 反面、老朽化の著しい現施設では、新たな拠点としての機能を発揮していくことはいささか困難ではないかと危惧しております。
 そこで、健康長寿医療センターの基本的な役割と施設整備について、伺います。
 次に、ウイルス肝炎対策について伺います。
 ウイルス肝炎は、治療法が目覚ましく進歩し、最近では、通院治療による抗ウイルス療法で、治癒も十分に可能になっています。
 我が党は、第一回定例会において、検診受診の促進や通院医療費助成を含む制度の拡充など、早急にウイルス肝炎対策を実施すべきと提案をいたしましたが、最近では、ウイルス肝炎に関する訴訟判決が全国で相次いで出されるなど、社会的関心も高まっております。
 こうした中、知事は、所信表明において、来年度からウイルス肝炎対策を積極的に展開していくと述べております。高額な治療費に悩む患者、家族の方々を支えるとともに、潜在する感染者の早期発見、治療促進につながる有効なものと考えます。あわせて、総医療費の抑制効果も期待するところであります。
 そこで、都が率先して取り組んでいくウイルス肝炎対策について、改めて所見を伺います。
 続いて、福祉施策について伺います。
 心身障害者扶養年金ですが、先般発表された審議会の中間のまとめでは、制度の現状を踏まえると、昭和四十四年発足当時と比べ、その役割が障害者施策の中で相対的に小さくなっている、また、任意加入制度である以上、基金が底をついた以降、多大な公費を投入して現行制度を維持継続することは妥当ではなく、廃止について検討すべきだとしております。そして、こうした事態に至ったことに対する制度運営者としての都の責任は重く、廃止に当たっては、加入者への配慮に十分意を尽くすべきと述べております。
 中間のまとめにある加入者への対応を実施すると、一千五百億を超える非常に多額の財政支出となりますが、都は、責任を持って実施していくべきと考えます。所見を伺います。
 次に、福祉用具についてお伺いをします。
 本年四月の制度改革により、介護度が軽度の方への福祉用具貸与の見直しが行われ、保険給付対象から特殊寝台などの福祉用具の貸与が除外されることになりました。すべての高齢者が負担する保険料を財源としている以上、必要のない方にまで福祉用具が貸与されている事態は改善すべきであります。我が党も、改正の趣旨には異論はありません。
 しかしながら、半年の経過措置を設けたとはいえ、貸与ベッドを利用して生活している方から、軽度だからという理由で今月末をもってベッドを引き上げてしまうことについては配慮の余地があるのではないでしょうか。高齢者が使いなれているベッドを買い取るような場合、都として支援を行うことを提案しますが、所見を伺います。
 次に、少子社会対策について伺います。
 人口減少は、国や社会の活力や存続基盤にかかわる重要な問題であります。根本的に家族や地域のきずなを大切にする社会の醸成が重要ですが、直面する経済的問題や子育てと両立できる働き方など、総合的な対策を推進していく必要があります。
 その観点から、義務教育修了までの子どもに対する新たな医療費軽減対策について伺います。
 都は、国に先導する形で乳幼児医療費助成制度を導入し、我が党も制度の充実を推進してまいりました。現在、義務教育就学前までの乳幼児に対して医療費を助成していますが、少子化が進行する中、子どもたちの成長をより確かなものにするためには、人間形成の核となる重要な時期である義務教育修了まで医療費の軽減を工夫していくことが肝要と考えております。
 このことについて、本年六月、我が党は知事に対して申し入れを行ったところであります。義務教育修了までの子どもに対する医療費の軽減についてどのように考えているのか、所見を伺います。
 次に、仕事と家庭の両立支援について伺います。
 少子化対策として、特に出産、育児、仕事が両立できる雇用環境を整備していくことが重要です。しかし、中小企業において、次世代育成支援対策推進法が定める行動計画の作成が努力義務にとどまっていることもあり、両立支援に向けての取り組みがおくれております。
 そこで、こうした現状を改善するためには、都は、中小企業の両立支援に向けた取り組みを一層促進すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、認定こども園についてお伺いをいたします。
 さきの国会で、就学前の子どもに関する教育、保育を総合的に提供する認定こども園制度が法制化されました。認定こども園は、保護者の状況にかかわらずすべての子どもを対象とするなど、都が独自に認証保育所制度により進めてきた仕組みを取り入れており、制度そのものについては一定の評価をするものであります。
 しかし、事財源に関しては依然として従来の認可制度が基本であり、認可外部分への適用は考慮されておりません。仏つくって魂入れずとはまさにこのことです。
 東京の将来を担う子どもたちに必要なサービスを十分に確保するために、新たな事業者の参入が不可欠です。しかしながら、既存制度に基づく財政措置だけでは新規参入は難しく、国の対応は、事実上、新規参入を排除するものといっても過言ではありません。
 都における子育てサービスの一層の充実に向け、認可外の部分に対しても都が独自に支援を行い、認定こども園制度を推し進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 最近、格差問題が盛んにいわれています。平成十八年版経済財政白書によりますと、経済的格差の要因として、高齢化の進展という人口構造の変化によるところが大きいと分析しております。とはいえ、若年層を中心として、雇用環境による格差は事実であり、早急な対応が必要であります。
 その観点から、フリーターの正規社員化について伺います。
 フリーターは正規社員と比較して所得が低く、能力開発の機会も十分ありません。また、離転職を繰り返すフリーターについては、企業が必ずしも採用に積極的ではない現状であります。
 これらの若者が自分の希望する仕事に再チャレンジできるよう、正規社員化を促進することは大変重要であります。東京しごとセンターや技術専門学校は若者の再チャレンジを積極的に支援していますが、今後、さらに正規社員化に向けた能力開発や就職支援の拡充を図るべきと考えますが、所見を伺います。あわせて、しごとセンターの多摩地域への展開も要望をいたしておきます。
 また、若者が希望する職業に再チャレンジするためには、新しい資格を取得するなど本人のスキルアップが必要であります。技術、技能を習得させる職業教育の充実が求められております。
 この職業教育の分野において大きな役割を担っているのが専修学校の専門課程、いわゆる専門学校であります。現在、都内の私立専門学校には十六万近い生徒が学んでおり、就職率も八割、大学、短大と比較しても高く、その大半は都内に就職するなど、東京の産業界にとっても有為な人材を送り出しています。また、最近では、全国に先駆けて第三者評価制度の導入に取り組むなど、社会的評価を高める努力もいたしております。
 このような専門学校の役割についてどのように評価しているのか、伺います。
 また、これら専門学校に対する支援については、同じく東京の産業界の人材育成を担う高等教育機関である大学、短大に比べて、いまだ不十分です。
 高等教育機関に対する支援は、本来は国の役割であります。都議会として、昨年十月、専門学校に対して新たな補助制度を設けることを求める意見書を、国に対して提出をいたしました。
 しかし、専門学校には、東京の産業を支える人材輩出というこれまでの役割に加え、国際化やイノベーションなど、社会情勢の変化に対応した人材の育成が期待されております。そこで、国との役割分担を前提としつつも、都としても独自の補助を行うべきと考えますが、お考えをお示しいただきます。
 次に、地域力向上施策について伺います。
 多様な社会の担い手として、町会や自治会等、地域の力の果たす役割が評価されております。切迫性が指摘されております首都圏直下地震に対しては、自助や公助や、加えて地域の人々がお互いに助け合う共助の仕組みが重要であります。
 また、急速に進む少子高齢化の下で、ひとり暮らしのお年寄りや子どもの安全確保、子育ての支援など、町会、自治会を初め、地域の人々が手を携え取り組み、地域力を向上させていくことがますます重要となっております。
 我が党はこれまで、事あるごとに、治安、青少年の健全育成、子どもの安全確保などの課題を取り上げ、区市町村との連携などにより地域力の向上を図り、課題解決を図るよう提言をしてまいりました。
 都は、これを受け、本年二月以降、庁内各局による横断的な検討体制として、地域力向上方策検討委員会を設置し、多面的な検討を進めているとのことですが、現在の検討状況と今後の方向性についてお伺いをします。
 次に、産業振興施策について伺います。
 産業振興のための基本戦略策定について伺います。
 我が党は、かねてより、産業振興条例の制定を視野に入れたビジョンの策定を提案してきました。厳しい国際競争の中で、東京の産業が発展するためには、今後十年間を見据えた産業振興のための基本戦略が必要であります。知事は、我が党の、基本戦略を構築すべきとの質問に対して、都の将来の産業施策の道筋を示す総合的なビジョンの策定に向けて検討を進めていると答弁されました。
 基本戦略の策定に当たり、ものづくり企業や商店街、観光、農林水産業などを含め、総合的な戦略として、さまざまな角度から検討が必要です。そこで、基本戦略策定の取り組み状況と今後の見通しについて伺います。
 ものづくり産業への支援について伺います。
 我が国の製造業は、堅調な回復を見せているものの、アジア各国との価格競争激化や、原油高によるコスト増など、依然厳しい状況が続いております。原料を輸入に頼る我が国が今後とも発展を維持するためには、新たな技術やビジネスモデルが次々とわき出る技術革新の創出による、ものづくり産業の競争力の強化が不可欠です。
 東京には、豊富なビジネスチャンス、高度な研究開発を行う大学、研究機関の高いポテンシャルがあります。中小のものづくり企業が、こうした資源を最大限に生かし、技術革新を進めるには、研究開発から事業化までの一貫した支援が必要と考えますが、所見を伺います。
 また、これまでも都は、中小企業支援の視点に立ち、制度融資の保証料負担の緩和措置などを実施してきました。これに加え、中小企業の資金需要が高まる年末に向け、効果的な金融支援策を打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、ものづくり産業における技能継承や人材育成も重要であります。とりわけ東京の重要な地場産業である靴製造業は、国際競争が激化する中、優秀な人材確保が業界の発展にとって不可欠なものとなっております。
 現在、働く者の技能を客観的に評価する仕組みとして、国家技能検定制度がありますが、残念ながら靴製造業を対象とした国家検定は、今のところ行われていません。業界としても、この制度を活用して業界全体の技術力向上につなげていきたいとの意向があり、その導入に向けた機運が高まっております。
 都としても、検定制度の導入に向けた支援を行うべきと考えますが、見解をお示しください。
 次に、教育再生への取り組みについて伺います。
 今月二十一日、東京地裁において、国旗・国歌訴訟に関して、驚天動地の判決が出されました。なぜ東京都教育委員会が通達を出さざるを得なかったのかについて、全く理解をしていないといわざるを得ません。
 かつて学校現場で、児童生徒の晴れの舞台である卒業式で、一部の教員がTシャツやサンダル姿で出席し、国旗が保護者から見えない片隅に追いやられるなど、本来厳粛であるべき式典は惨たんたるものがありました。我が党は、これらの実態をこの目で見、この耳で聞いてきたからこそ、公教育本来の目的である児童生徒の健全育成に取り組んできたものであります。
 都教委として、今後とも全力で学校運営の適正化を進めるべきと考えますが、どのように対応していくのか、お伺いをいたします。
 安倍自民党総裁は、教育の再生を政権構想に掲げています。我が都議会自民党も、教育水準の向上と国や地域に誇りを持てる教育改革が最も重要だと考えております。
 そこで、まず重要なのは、優秀で熱意のある教員の確保であります。来年以降、いわゆる団塊の世代が大量退職期を迎え、また、都では、今後数年間、児童生徒が増加すると見込まれていることから、教員を大量に確保していかなければならない状況となります。
 既に採用倍率も大きく落ち込んでおり、小学校では平成九年度の八・三倍から、十七年度の二・四倍と低下しております。教育は人なりといわれるように、教育再生に最も重要なのは、すぐれた熱意ある新規採用教員を、将来的に安定して確保していくことです。
 そこで、優秀な教員を確保するために、どのような方策をお考えか伺います。
 次に、教育改革を支える現職教員の資質能力についてであります。
 教科指導や生活指導等において、実践的、効果的に指導を行い、学校運営にも積極的に関与し、同僚や若手職員への助言、支援を行っている教員と、必ずしもそうとはいえない教員に分かれている実態があります。一部には、教壇から外さざるを得ない、いわゆる指導力不足教員もおります。
 ところが、現行制度では、管理職等を除き、これらの教員はすべて教諭という職にあることから、給与面では、在職中、一律的かつ年功序列的な処遇を受けております。教員一人一人の意欲を引き出し、モラールアップを図っていくためには、積極的に学校運営に協力して頑張っている教員とそうでない教員を、任用面、給与面でもめり張りをつけることが重要だと考えますが、所見を伺います。
 次に、スポーツ振興に関連して、東京国体と東京マラソンへの取り組みについて伺います。
 平成二十五年度開催予定の東京国体まであと七年となり、本格的な準備が始まりました。この東京国体を通じて、幅広いスポーツ振興やコミュニティの醸成、観光振興など、地域の活性化が図られ、競技会場の中心となる多摩・島しょ地域にとって、またとない発展の機会ともなります。
 しかし、それぞれの競技大会を開催する区市町村は、厳しい財政状況の中で、競技施設の整備など取り組まなければなりません。都として、国体に向けた区市町村の競技施設の整備について、十分な財政支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 東京国体の成功のかぎは、東京都選手の活躍にあるといっても過言ではありません。
 選手たちの活躍する姿が、都民に夢や希望を与え、東京のスポーツ振興に大きく寄与するとともに、東京オリンピックへ向けた機運の醸成につながることでしょう。そのためにも、都と区市町村が密接に連携し、より多くのジュニア選手を地域から発掘し、効果的に育成強化、競技力を向上させていく必要があると考えます。
 そこで、今後の東京都におけるジュニア選手人口の拡大と育成強化を含めた競技力向上策について所見を伺います。
 また、行財政改革実行プログラムでは、東京国体開催に向け、来年度、準備組織を知事部局へ移管するといっていますが、東京国体の開催について、これまで協力関係を築いてきた関連団体との連携を強化することはもとより、多摩・島しょ地域の振興と密接な関係を保ちつつ準備を進めていくことが不可欠でございます。
 そのためにも、多摩・島しょ地域の振興を所管する総務局が全庁をリードし、関係局横断的に推し進めていくよう強く要望いたします。
 続いて、東京マラソンについて質問を行います。
 来年二月の東京マラソンには、定員を大幅に上回る申込者があると、都民を初め多くの方々から大きな期待が寄せられております。東京マラソンはオリンピックの前哨戦とも位置づけられ、東京の国際的なスポーツイベントの実施能力や、ホスピタリティーの高さをアピールする絶好の機会であります。
 また、コース沿道の町会、商店会や自治会を初め、多くの都民が自発的に参加をし、応援して、イベントなどを実施して東京大マラソン祭りを盛り上げていき、これまでにない魅力あふれたマラソン大会としていくことも重要です。
 こうした点を踏まえ、知事のマラソン大会の運営及び東京大マラソン祭りの成功に向けた決意をお聞かせをいただき、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 宮崎章議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、これからの都政運営のあり方についてでありますが、都は、これまで、皆さんご存じのように、身を削る徹底した行政改革や、土俵際からの財政再建に全力で取り組んでまいりました。とともに、東京のさらなる発展と都民の福祉向上のために、大気汚染の改善や治安の回復など、あるいは幹線道路の整備など、さまざまな手だてを講じてまいりました。
 オリンピック招致も、こうした取り組みの一環にほかなりません。オリンピックをてこに、東京を成熟した都市に相ふさわしい姿にしていく必要があります。
 同時に、今、オリンピックは、国を挙げての一大プロジェクトでありまして、五輪招致に対する国の全面的な支援が不可欠であります。
 かつて、さきの東京オリンピックの折には、いずれの時点でからでしたか、池田内閣はオリンピック担当の大臣をつくりまして、通産大臣、当時の佐藤さんでありますが、佐藤栄作という大物の政治家が担当大臣になりました。
 しかし、今の国の姿勢を見ておりますと、東京が持つ社会工学的な意味合いを理解しているとは、とても思えません。オリンピックに限らず、道路整備にせよ、法人二税のわけのわからぬ取り扱いにせよ、新政権には、ぜひこの点を十分に認識していただきたいと思っております。
 私も、これからも日本全体の利益という視点に立ちまして、東京の再生と日本の新しい発展のために、都政のかじ取りをしっかりと担っていくつもりでございます。
 次いで、東京オリンピック及びパラリンピック招致についてでありますが、都が国内立候補都市に決定したことは、都の実現性の高い計画と、それを裏づける東京都の都市力が選定委員に評価された結果であると認識しております。また、都議会東京オリンピック招致議員連盟を初め、関係者が一丸となって招致活動を展開したことも、大きな勝因の一つと考えております。
 今後は、世界の強豪都市を相手に、日本の英知を尽くして複合的に、戦略的に活動を展開しまして、激しい招致レースを勝ち抜いていかなければならないと思っております。
 オリンピック及びパラリンピック招致は、国を挙げての一大プロジェクトでありまして、JOCを初め、国、関係機関と綿密な連携を図るとともに、都議会の協力のもとに、東京招致へ向けて全力で取り組むつもりでございます。都民の皆様だけではなくて、日本全国の方々の、日本人としてのご支援を心からお願いしたいと思っております。
 東京オリンピックへ向けて、選手強化についてでありますが、二〇一六年東京大会を盛り上げるためには、開催国として、日本全体のスポーツの底上げを図っていくことが急務であります。選手の育成強化を支援していくことが重要であると思っております。
 旧秋川高校は、十二ヘクタールという非常に大きな敷地を有しておりまして、しかも四百メートルのトラックがとれるグラウンドが三面もあると。選手強化のための拠点になり得ると考えております。
 今後、JOCなど関係機関の意向を十分踏まえながら、このような都有地の活用も含め、ハード、ソフトの両面から、アスリート育成のための支援策を積極的に講じていきたいと思っております。
 やはり、非常に完備した都立高校でありましたから、この施設を生かしまして、できれば中高一貫した─このごろ都立高校もそれぞれの性格を決めて、プロパーな目的に邁進するような体制になりました。そういう点でも、中高一貫したアスリートの専門校となればいいなと思っておりまして、実は昨日、多くのアスリート、メダリストを輩出しております日本体育大学の理事長、学長以下十数人の幹部と一緒に秋川高校を視察してまいりました。非常に皆さん強い印象を受けたと思いますが、これからいろいろ話し合いの余地もあるでしょうけれども、いずれにしろ、せっかくのああいう施設でありますから、あれを大いに活用して、幸い非常にアクセスも、インターの整備などで格段にこれからよくなりますので、あの施設を大いに活用していきたいと思っております。
 次いで、二〇一六年の東京の都市像についてでありますが、オリンピックの開催は、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくり変えていく絶好の機会であります。前回のオリンピックは、我が国発展の起爆剤となりまして、オリンピック後一、二年して日本の高度成長が始まり、GNPが世界第二位の経済大国に躍り出たわけでありまして、また、東京のインフラ整備もこれを機に大きく進展いたしました。
 今回策定する都市像では、成熟した都市として、都市インフラの整備だけではなく、環境、生活、文化、産業などさまざまな分野で、東京がさらに高いレベルの成長を遂げた姿を世界に示していきたいと思っております。
 例えば、東京の唯一の弱点であります渋滞は、三環状道路の整備によって一気に解消されます。同時に、そのことがCO2の大幅な削減など環境改善に効果がありまして、物流の効率化、災害時における緊急輸送道路の確保など、さまざまな波及効果を生み出し、政策の効果が複合的、重層的にもたらされる姿をあらわしていくと思っております。
 さらに、運河や水路の活用を初め、かつて江戸が持っておりました洗練された都市の姿を取り戻し、先端技術で都市の機能を高めるといった視点も大切だと思っております。
 水と緑のネットワークの形成や、世界に誇れる美しい都市景観の創出、先端技術を活用した世界をリードする環境対策、あるいは日本やアジアのアスリート育成のためのスポーツ振興など、東京の新しい可能性を、リアリティーをもって描いていきたいと思っております。
 先般、今度オリンピックのグランドデザインをお願いしております、世界で有名な建築家の安藤忠雄さんが、あの方は大阪出身でありますけれども、一緒にヘリコプターで東京を飛びまして、いや、大阪に比べたらやっぱり東京はまだまだ緑が多いなといっておられましたが、あの人は非常に緑に固執しておりまして、これは大変ありがたいことですけれども、彼の発案で、近々、東京にたくさんの、主に建物でしょうね、あるいは土地を所有しております大手の不動産会社の社長さんなどを招きまして、どういう形にするかは決めておりませんが、いずれにしろ、あいた、大きな建物を持っている、あるいは、あいている土地を持っている不動産会社、屋上の緑化などを含めて、自分の敷地の一部に木を植えるなど、多角的な緑の造成の積み上げを行っていきたいと思っております。
 いずれにしろ、今後、専門家たちの協力を得ながら、成熟した都市にふさわしい魅力的な東京の姿を、オリンピックを目指して、国内外にわかりやすく示していくつもりでございます。
 次いで、今後の財政運営についてでありますが、これまで七年間、都議会のご協力もいただきながら、身を切るような努力を続けた結果、都財政は、ようやく長いトンネルを抜け出すことができました。
 しかし、長期的に見れば、人口減少社会の本格的な到来という非常に厳しい時代が迫っているだけでなくて、目の前においても、いまだ手つかずの負の遺産という厄介な存在や、都が財政再建を進めれば進めるほど強まる東京富裕論などというものがありまして、決して楽観できる状況ではございません。
 幸い現在は税収増というような追い風が吹いておりますので、これを好機として、これまでの成果に安住することなく、都財政の体質強化に本腰を入れて取り組んでいくつもりでございます。
 それにしても、先ほどご指摘もありましたが、政府の税のいじり方というのは、非常におかしい気がいたします。本来、受益者負担の目的税でありました自動車に関する揮発税あるいは重量税というものを、財政のかじ取りを間違ったために、それをにわかに原理を無視して一般財源化するという、こういう乱暴な税のいじり方というのは、結果として、それがまかり通ると東京都にも及んでくるわけで、私たちこれに対して、ちゃんと理を構えて強い反対を唱え、東京の財政というものを守っていかなくてはならないと思っております。
 次いで、複式簿記・発生主義会計の導入についてでありますが、これは私、就任以来の取り組みの中で、自治体の経営改革につながる最も本質的な改革であったと思います。明治以来の官庁会計は、いわば大福帳でありました。現金の出入りを記録するだけにすぎません。複式簿記・発生主義会計は、帳簿を見るだけでストック情報や正確なコスト情報を明らかにすることができます。
 説明責任を果たし、これまで以上に効率的、効果的な行政運営を展開することが可能となりました。金利感覚やコスト意識の涵養など、職員の意識改革を促すよすがになると思っております。
 都だけで導入すればいいというものではございませんで、国はもとより全国の自治体で、国民のために、それぞれの自治体に所属する住民たちのために、複式簿記・発生主義会計を導入することによりまして、真に国民の利益となる行政運営が実現するものと思っております。
 東京から日本を変えていくためにも、都は、我が国の新しい合理的なスタンダードを目指しまして、全国へ向けて積極的にこれを発信していくつもりでございます。
 次いで、景観を重視した都市づくりについてでありますが、都庁の廊下には、百数十年前の江戸を愛宕山の上から撮りました写真が飾ってあります。寺を除けば高層建築もなく、屋根はみんな灰色のかわらでふかれ、壁は白、モノクロームの町並みは本当にすばらしい、息をのむほどの美しいものであります。
 かつて明治政府になりましてから、近代ホテルをつくるために招かれましたフランク・ロイド・ライトという有名な建築家が日記にも記しておりますが、彼が日本に来て、まだ残っておりました江戸の景観を眺めて、こんなに美しい町は見たことないと。自分の新しいホテルの構想、コンセプトをがらっと変えまして、コンクリートは使わずに、日本らしい素材ということで、かつての古い帝国ホテルは、あの大谷石という日本独特の素材でつくられたわけであります。
 また、ドゴール政権下では、文化相を務めたアンドレ・マルローが、非常にすすに汚れた、あのパリの古い町の洗い直しをしましたし、何といっても、町を彩るネオンサインの色を、たしか二色、三色に規制してしまいました。随分表現の自由云々で問題がありましたが、結果として、非常にパリもまたモノクロームの美しい町としてよみがえりました。まさに、かつての江戸に似たパリになったわけであります。
 比べて、今日の東京は、建築物の色彩、形態に統一性を欠きまして、原色のネオンや看板がはんらんするなど、都市全体の美しさが余り感じられません。その最たるものは、ここに近い歌舞伎町でありましょう。このため、法的な強制力も行使できるように景観条例を改正し、新たな実効性のある景観計画を策定いたします。
 例えば、建築物や工作物の色彩に対する変更命令、あるいは屋上設置の広告物などを禁止する区域の指定、あるいは景観配慮を条件とする大規模開発の許認可といったものでありますが、オリンピックの開催も、成熟した都市にふさわしい東京の姿を世界に示す絶好の機会でありまして、景観を重視した都市づくりを積極的に進め、美しく風格のある首都東京に再生していきたいと思っております。
 次いで、東京の危機管理についてでありますが、自然災害やテロなどによって引き起こされる大規模停電のような事態によりまして、首都機能が麻痺して、都民生活が混乱することがあっては絶対になりません。
 このため、未然の防止策の徹底や、万が一発生した場合の代替措置、早期復旧策の強化が必要であります。今回の事故を受けて、直ちに緊急点検を指示しまして、都の停電対策を強化いたしました。
 さらに、事業者に再発防止と早期復旧策を求め、国に対しても、代替措置としてのバックアップ機能の強化や、電力施設への破壊活動の未然防止などを要求いたしました。
 今後とも、あらゆる事態を想定し、国や事業者との連携を強化しながら、危機管理に万全を期していくつもりでございます。
 次いで、多摩地域における検案・解剖についてでありますが、都は、新興感染症の流行の察知など、公衆衛生上の観点から死亡の原因を正しく把握するために、多摩地域においては、東京都医師会等の協力を得ながら検案を実施しております。
 しかし、専用の解剖施設がないことや、検案を行う医師の多くが法医学の専門家ではないなど、死亡の原因を正しく把握する上で、実施上の課題もございます。
 今、世界的なベストセラーになっております、バージニア州のリッチモンドの検視局長スカーペッタ、これは女性でありますが、この主人公をシリーズにした小説が世界じゅうに大人気になっております。私も一、二冊読みましたが、やはり、アメリカも果たしてそこまで本当にやっているかどうかわかりませんけれども、要するに非常に不可解な事件というものを、実に精緻に解剖分析して原因を突きとめるという、なかなか知的なスリルのある本でありますが、いずれにしろ、今日いろんな手の込んだ犯罪がしょうけつするようになりました。
 そういった犯罪に巻き込まれての死因の究明は、隠れた犯罪の発見など、社会秩序の維持にも寄与するものでありまして、極めて重要であることから、監察医務院の機能を充実し、解剖の受け入れや監察医の派遣を行うなど、多摩地区の検案、解剖体制の強化を図っていきたいと思っております。
 この質問は何か時間切れでなかったようでありますが、残念でありますが、これをもって回答を─失礼しました。もう一つありました。
 東京大マラソン祭りについてでありますが、東京マラソンには定員の三倍を超える十万人近い申し込みが既にありました。これからもっとふえると思いますけれども、これは大会に関する関心の高さのあらわれと考えておりまして、このマラソンの発案者としても大変うれしくもあり、またこうした期待にしっかりとこたえていかなければならないと思っております。
 今後、組織委員会などとも連携しながら、大会運営準備に万全を期してまいります。
 また、単なるマラソン大会に終わらせることなく、コース沿道での趣向を凝らした各地域地域のイベントや心の温まる応援などによりまして、今までのようにただマラソンを、小旗を振って声をかけるだけではなくて、観客もまた一心同体となってお祭りとしてのイベントを盛り上げる、そういう応援などによりまして、これまでにない新しい祭りといいますか、一つのスポーツイベントとして、東京大マラソン祭りを盛大に実施していきたいと思っております。
 このため、組織委員会や東京都だけではなく、都民と一体となった機運の盛り上げに取り組みまして、東京大マラソン祭りを成功させ、オリンピック招致に向けた大きな弾みとしていきたいと思っております。
 終わります。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 犯罪防止対策についてお答えいたします。
 初めに、子どもを犯罪被害から守るための関係機関との連携についてでございますけれども、警視庁では、子どもに対する声かけ事案等の不審者情報を、凶悪事件へ発展するおそれのある前兆ととらえ、学校や教育委員会にも情報の提供を呼びかけるなどして、不審者情報の収集に努めているところであります。この結果、本年一月から八月までで、学校や教育委員会、さらには保護者、地域住民などから約五百件の情報が寄せられております。
 警視庁では、こうした不審者情報に基づきパトロールなどの警察活動を行うほか、携帯電話でも受信することができるメールシステムによりまして、登録された団体や住民に対しまして、これらの情報を素早く、警察署単位できめ細かく配信して、広く情報の共有化を図っているところであります。その配信件数も八月までで約六百五十件となっておりますほか、こうした情報というものは警視庁のホームページでも逐次掲載しているところであります。
 このほかにも、防犯ボランティア等との合同による登下校時のパトロール、犯罪の発生しそうな場所や安全な場所を調べて地図にします地域安全マップづくり、また、学校等との連携による被害防止教室等の開催など、子どもを犯罪被害から守るための対策を、学校や地域住民等と連携し、推進しているところであります。
 警視庁では今後とも、関係機関等との連携を強化して、子どもを犯罪被害から守るための諸対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、スクールサポーターの活動状況及び学校と警察との相互連絡制度の締結状況についてでありますけれども、スクールサポーターにつきましては、警察官OBがその経験や知識を生かしながら、警察と学校、地域のパイプ役として、少年の非行防止活動や児童等の安全確保を行うものであります。平成十六年四月に運用が開始され、現在、八十六警察署及び八カ所の少年センターに合計百十四名が配置されております。
 具体的な活動といたしましては、管内の学校を訪問しまして、先生方とともに、問題を抱える個々の生徒に対する指導助言、学校周辺、通学路等のパトロール、セーフティー教室等の開催に対する支援や有害環境の浄化活動を行っております。
 次に、学校と警察との相互連絡制度についてでありますけれども、これは少年の非行事案等について学校側と相互に連絡を行うものであります。少年の非行防止と健全育成を目的として、平成十六年五月に運用を開始して以来、現在までに、都内の公立小中高校の約九七%、私立の小中高校の約五八%と締結をしているところであります。万引きの抑止や生徒の指導育成と少年の健全育成に成果が出始めてきているところでございまして、さらに拡充を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、交番機能廃止後の施設の有効活用についてでございます。
 ご案内のとおり、交番は地域警察官のパトロール活動の拠点であり、地域の方々のさまざまな要望、相談、届け出等の窓口としての機能を果たすなど、地域の安全・安心のよりどころとして、重要な役割を担っているところであります。
 しかしながら、もっとパトロールをしてほしい、いつも交番にいてほしいといった、都民の皆様方のさらなる希望があることも事実でございますので、警視庁といたしましては、交番機能の一層の強化を図るため、パトロール活動と交番での警戒活動をバランスよく行えるよう、交番の配置見直しを推進することといたしました。
 このたび百二十一カ所の交番の配置見直しに当たりましては、都議会を初め関係各方面等から賜りました貴重なご意見を十分しんしゃくし、一部を警備派出所や将来の駐在所として活用するほか、廃止する約九十カ所の施設につきましては、住民サービス面や安全・安心の確保の観点から有効活用を検討しているところであります。
 具体的には、交番機能を廃止した施設に、治安対策に関する知識や経験が豊富な警察官OBを配置し、警察相談の受け付けを初め、各種会合や防犯活動等への参加による地域安全情報の提供など、地域の安全・安心活動を支える拠点としての活用を考えております。
 また、一部の施設は自治体管理とすることを検討しているところでございまして、町会、自治会、ボランティア団体等の地域の防犯力向上のための活動拠点となるよう、関係方面とも協議を進めているところであります。
 今後も、それぞれの交番の活用方策につきましては、地元の方々と個別にきめ細かく相談しながら、ご理解を求めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   〔出納長幸田昭一君登壇〕

○出納長(幸田昭一君) 複式簿記・発生主義会計を全国に広めるための取り組みについてのお尋ねでございますが、この会計制度が普及することにより、自治体間や類似事業間での比較、分析の充実につながるとともに、より効率的、効果的な行政運営に資すると考えております。
 このため、これまで積極的に普及活動を展開し、都内区市町村を初め、八都県市、全国知事会、各県等の研修会などにおきまして説明を行うとともに、より一層の理解を深めるため、この会計制度に関する解説書を作成し、配布を行ってまいりました。
 本年七月には、都庁におきまして、国や全国の自治体を対象に説明会を開催し、四十一の道府県、他県の市、都内の区市町村、そして各省庁など百二十九の団体、五百名を超えます参加がございました。参加者の関心は高く、説明会後も多数の質問が寄せられております。
 説明会を契機に、東京都市長会では研究会の設置が決定され、また各特別区におきましても、検討会の設置が相次いでおります。導入に向けた具体的な取り組みが始まっているところでございます。都としても、これらの取り組みに対しまして積極的に支援してまいります。
 今後とも、個別の自治体に対する支援、協力はもとより、複式簿記・発生主義会計を全国に発信し、日本の公会計制度改革が実現するよう、全力で取り組んでまいります。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京地裁の判決についてでありますが、都教育委員会の主張が認められなかったことは大変遺憾に存じます。この判決に対しましては、東京高等裁判所に控訴し、都教育委員会として主張の正当性を訴えてまいります。
 都立学校長に対しましては、今後とも従前と同様に、学習指導要領や通達に基づき国旗・国歌の指導を適正に行うよう、引き続き指導、支援してまいります。
 次に、優秀な教員を確保するための方策についてであります。
 優秀な人材を確保するためには、教員としての熱意や使命感並びに実践的な指導力を重視した採用選考を実施していくとともに、受験者数の拡大を図り、幅広く人材を求めていくことが重要です。
 そのために、これまでも豊富な社会経験に裏打ちされた人材を求め、社会人特別選考を実施するとともに、東京の教員を希望する大学生を対象に東京教師養成塾を設置し、人材の確保に努めてきたところでございます。
 また、今年度の採用選考におきましては、受験年齢制限の五歳引き上げや学校での就業体験などを条件とした大学推薦制度の導入を行ったところです。
 さらに、より実践力のある人材を確保するためには、現に学校現場で教育活動に携わっている産休代替などの臨時的任用教員や非常勤講師の中から優秀な人材を選ぶことが有効でありまして、その勤務実績を生かした採用選考の来年度からの実施に向けて検討してまいります。
 また、平成二十年四月に設置が予定されております教職大学院とも積極的に連携し、実践的指導力を身につけた新人教員を確保してまいります。
 次に、教員に対する任用・給与面でのめり張りのある処遇についてであります。
 ご指摘のとおり、現在、主幹や管理職になる者を除きまして、一般の教員は、採用されてから退職するまで、一律的、年功的に給与が上昇する制度となっております。しかし、同じ教諭であっても、児童生徒への実践的、効果的な指導や学校運営へのかかわりなど、職務の困難度や果たしている責任の度合いに大きな違いが生じております。
 このため、本年七月、教員の職のあり方検討委員会報告を取りまとめ、現在一つの職である教諭を責任の度合い等に応じまして二分化するなど、見直しの方向性を示したところでございます。
 都教育委員会は今後、関係機関と積極的に協議を進め、教員一人一人の意欲をさらに引き出すため、めり張りのある任用、給与制度を構築してまいります。
 次に、東京国体に向けた取り組みについてであります。
 東京国体の開催によりまして、多摩・島しょ地区を初め、東京都全体のスポーツ振興や地域の活性化など、多くの成果が期待できると考えております。
 そのためには、都と区市町村が緊密な連携のもとに準備を進めることが必要です。ご指摘の競技施設の整備にかかわります財政支援につきましては、先月、競技会の希望調査を実施するに当たり、各区市町村が総合的に判断できますよう、補助率を二分の一、補助の上限額を原則一億円、特例三億円とする考えを示したところでございます。
 今後とも、東京国体の成功に向けて、区市町村と一層の連携を図りつつ、精力的に準備を進めてまいります。
 最後に、今後の競技力向上策についてであります。
 都教育委員会は、地域におけるジュニアスポーツの普及、振興と選手の発掘、育成を図るために、ジュニア育成地域推進事業を本年度創設し、ジュニア選手が一堂に会した競技会や新たな競技種目の講習会の開催など、都内全域で事業を展開しております。
 今後は、区市町村教育委員会と連携を強化いたしまして、各地区体育協会や学校、地域スポーツクラブ等によりますネットワークづくりを支援するなど、本事業の拡充を目指し、競技人口の一層の拡大を図ってまいります。
 さらに、競技別一貫指導プログラムを整備いたしまして、競技レベルの高いジュニア選手の強化に積極的に取り組むとともに、医科学面からのサポートの充実を図るなど、選手の育成、強化を総合的に推進してまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) オリンピックに関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、オリンピック招致の外部組織についてでございますが、外部組織は、オリンピック招致活動の方針を決定し、その実施の中核を担う、招致のための組織でございます。
 具体的には、国内外におけますイベント、広報などの盛り上げ活動を効果的に実施し、東京オリンピック招致の機運盛り上げを進めるとともに、国際競技大会などのあらゆる機会を活用しながら、IOC委員などのオリンピック関係者に働きかけを行ってまいります。
 現在、招致組織につきましては、民間の資金あるいは人材を中心とした仕組みを検討しておりまして、JOCや関係団体と連携を図りつつ、できるだけ早く立ち上げを行い、招致活動を推進してまいります。
 次に、北京オリンピックやプレオリンピックなどでの招致活動についてでございます。
 再来年に迫った北京オリンピックや来年のプレオリンピックの開催とともに、さまざまなIOC関連の会議が北京で開かれる予定でございます。これらの北京オリンピック関連イベントを含め、世界各地で開催されるさまざまな国際大会や国際会議などにおいて、外部招致組織と連携を図りながら、IOC関係者へ積極的な働きかけを行い、世界各国の理解を求めてまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市像の策定についてでありますが、都はこれまでも重要施策、重点事業による先駆的な政策展開を図ってまいりましたが、今回策定する都市像は、十年後のオリンピックやその三年前に開催される東京国体を見据え、これまでの取り組みを一層推進し、より機能的で魅力的な東京の姿を発信するものであります。
 策定に当たりましては、東京の将来像を示すとともに、環境対策やバリアフリーなどの福祉施策、スポーツ振興等さまざまな分野での政策について、多摩地域も含めた都全域における展開を戦略的かつ重点的に明らかにしてまいります。今後のオリンピック招致活動を念頭に置きながら、成熟した都市の新しい可能性を世界に示す二〇一六年の東京の都市像を年内を目途に打ち出してまいります。
 次に、地域力向上方策の検討状況と今後の方策についてでありますが、検討委員会では、町会、自治会を初め、商店街、学校、企業など、地域を支える担い手の結びつきを強め、地域の課題解決力を高めるモデル事業の構築に取り組んでいるところであります。
 具体的には、防犯、防災、青少年健全育成などの地域活動に対して、都と区市町村が連携し、アドバイザーによる人的支援や活動拠点を提供するなど、幅広く支援していくものであります。
 地域の力が弱まる中で、ともに助け合う仕組みを地域みずからがつくり上げる取り組みは極めて重要と認識しており、今後さまざまな事業を積極的に展開するとともに、その評価、分析を通じて施策の充実を図ってまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の財源をめぐる国の動きについてでございますが、このところ、都市と地方の格差問題が殊さらに大きく取り上げられるなど、首都東京に対する逆風は勢いを増しております。残念ながら、国が東京から財源の吸い上げを強行する危険性はますます高まっているといわざるを得ません。
 膨大な大都市需要が存在する中、都民の共有財産である都の財源は都民に還元すべきものでございます。取りやすいところから取るという国の安直な姿勢は、健全化に向けた都のこれまでの努力に水を差すばかりか、東京の活力をそぎ、ひいては我が国経済の失速を招くものでございます。
 今後は、こうした点をわかりやすく丁寧に説明し、都議会並びに東京都選出国会議員の皆様のお力をおかりしながら、全力を傾け、国の不合理な動きを何とか阻止していきたいと考えております。
 次に、入札契約制度における企業の地域貢献度の評価についてでございます。
 公共工事は将来にわたる社会資本の整備でありまして、品質の確保が強く求められております。都はこれまで、技術提案型と工事成績等を評価する施工能力審査型との二つの総合評価方式を実施しており、価格と品質が総合的にすぐれた内容の契約がなされるよう取り組んでいるところでございます。
 今後、災害協定等による地域貢献の実績の評価などについて検討いたしまして、都における総合評価方式の推進を図ってまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君) 法人二税のいわゆる人口配分論についてお答えを申し上げます。
 法人二税の税収について人口を基準として配分することは、地域で活動している法人と地方団体の行政サービスとの応益関係などに着目して課税するという、税制上の根拠を全く無視し、もはや地方独立税とは呼べないものでございます。
 最近の税収の動きを見ますと、地域間の税収の偏在はむしろ縮小の傾向にございます。また、全国知事会などでは、税の本質を無視した国の不合理な財源調整の動きに反対する良識的な声も上がっております。
 都は、都税制調査会を活用いたしまして、税制のあるべき姿を検討するとともに、税収の人口配分論など不合理な国の財源調整の動きに対しては、他都市とも密接に連携をしながら、断固として反対をしてまいります。
   〔総務局長大原正行君登壇〕

○総務局長(大原正行君) 五点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、行財政改革の基本的な考えについてでございます。
 社会構造の変化に的確に対応し、活力ある東京を創造していくためには、不断の行政改革を推進し、都政の対応力を高めていくことが必要でございます。
 このために、都は昨年十一月、行財政改革の新たな指針を策定し、この七月には、今後三カ年の具体的な取り組みを明らかにした行財政改革実行プログラムを策定いたしました。このプログラムでは、基本的な考え方として、官民の協働による豊かな「公」の構築、政策対応力の高い執行体制の確立、スリムで効率的な行政運営の実現の三点を柱としております。
 今後は、本プログラムに沿いまして、多様な経営改革手法の活用、監理団体改革や公営企業改革の一層の推進、職員定数のさらなる削減などの取り組みを行うことによりまして、時代の要請に即した行財政改革を進めてまいります。
 次に、都民の安全・安心を確保する仕組みについてでございます。
 行政のスリム化を実現するためには、官民の役割分担を見直し、民間開放を進めていくことが重要でございます。こうした民間開放を行う場合におきましても、都として適正な事業執行を確保していくことは、ご指摘のとおり当然の責務であると考えております。
 しかしながら、民間開放の手法であります指定管理者制度や市場化テストにつきましては、現行法上、安全管理やサービス水準の確保についての評価の仕組みが定められておりません。
 そこで、都独自の評価の仕組みを新たに構築し、都としてのチェック機能を一層強化するなど、都民の安全・安心を確保する視点に立った行財政改革を着実に推進してまいります。
 次に、多摩リーディングプロジェクトについてでございます。
 平成十七年一月に策定をいたしました多摩リーディングプロジェクトは、多摩振興の全体像を具体的に明らかにしたものであり、都がみずから行う二十の多摩重点推進事業を中心に、市町村とも連携しながら、積極的に取り組んでまいりました。
 ご指摘のとおり、多摩重点推進事業につきましては、策定から二年を経過し、交差点すいすいプランなど拡充を図っている事業や、花粉症対策など新たな位置づけが必要な事業も生じておりまして、事業の追加も含め、内容の充実を図ってまいります。
 今後とも、このリーディングプロジェクトにより、多摩地域の持つ優位性を生かした施策を推進し、さらなる多摩振興に努めてまいります。
 次に、島しょ地域でのオートバイレースについてでございます。
 一般道路を使用した我が国初の本格的なオートバイレースとなることから、本年七月、都は専門家とともに三宅、八丈両島で調査を行い、道路の状況や準備に要する期間、さらに災害復興への寄与等を踏まえまして、三宅島での開催に先行的に取り組むことといたしました。
 地元の三宅村は既に実施検討組織を立ち上げ、運営方法、安全対策、宿泊、運搬対策等の諸課題の解決に向けて主体的な取り組みを行っております。
 今後、来年秋の第一回レース開催を目指し、都としても村と協力して、道路の安全対策や救急医療体制の確保等の課題の解決に取り組みまして、オートバイレースが島しょ地域の観光振興と活性化につながるよう全力で支援をしてまいります。
 最後に、総合防災訓練についてでございます。
 都はこれまで、自助、共助とこれを支える公助を防災対策の基本としまして、総合的な災害対応力を高めることを目的に防災訓練を実施してまいりました。
 今回は、八都県市、足立区、各防災機関及び都民の相互連携による災害対応力を検証するため、広域災害を想定した大規模訓練を実施いたしました。
 また、初めてソウル特別市の災害レスキュー隊及び在日米軍の参加を求め、警察、消防との協力体制や自衛隊の後方支援としての役割を確認いたしました。
 この結果、都民と防災機関の連携のノウハウが蓄積されるとともに、災害現場における活動ルールの確立や海外からの支援の有効性が実証されるなど、大きな収穫を得ることができたと考えております。
 今後とも、さまざまな訓練を積み重ねまして、首都東京の災害対応力の一層の向上を図ってまいります。
   〔交通局長松澤敏夫君登壇〕

○交通局長(松澤敏夫君) 都営バス事業に関する二点のご質問についてお答えをいたします。
 まず、都営バスの今後の経営見通しについてでございますが、都営バスを取り巻く経営環境は、鉄道網の整備や道路混雑などにより乗客数が減少する一方で、規制緩和により事業者間競争が激化するなど、大変厳しい状況が続いております。
 このため、これまで運行業務の委託や路線の見直しなどによる経営効率化に努めてまいりましたが、経営収支では営業損益で大幅な赤字が続いており、また多額の累積欠損金を抱えるなど、赤字基調から脱却できない状況にございます。
 今後も、ご指摘のとおり、少子高齢化や低経済成長のもとで東京メトロ十三号線開業の影響などを考慮いたしますと、さらなる乗客数の減少が避けられず、このままではさらに厳しい経営状況に陥るものと見込まれるところでございます。
 次に、バス事業職員の給料表見直しの趣旨と、その実現についてでございますが、都営バスの経営を公営企業として今後とも安定的に進めていくためには、民間並みの効率化を目指して思い切った人件費の削減を図るなど、抜本的な経営改善に取り組むことが不可欠となっております。
 このため、今回、民間のバス事業者との給与水準の格差や都営バス事業の将来の経営状況などを総合的に判断しまして、公民格差の大きい運転手などの現業系職員に適用している給料表を見直すこととし、労働組合に既に提案したところでございます。
 都営バス事業が経済性を発揮しつつ、引き続き都営交通として使命を十分に果たせるよう、今回の見直しの早期解決に向けて、全力で取り組んでいく決意でございます。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) まちづくりに関する三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、環状第二号線の今後の取り組みについてでございますが、本路線は都心部と臨海副都心を結ぶ生命線となる道路で、オリンピック開催時にはメディアセンター、メーンスタジアム、選手村の主要施設を直接つなぐ、大会運営に不可欠な路線でございます。
 このうち未着手の築地─晴海間につきましては、道路構造の変更に伴う都市計画素案の説明会を開催するなど、地元の意見を聞きながら検討を進めてまいりました。来月には、都市計画案及び環境影響評価書案の縦覧を開始し、平成十九年度の都市計画決定を目指してまいります。
 今後とも、地元及び関係機関の理解と協力を得て早期に事業着手し、豊洲新市場の開場に合わせた暫定整備を行うとともに、オリンピック開催前年に当たる平成二十七年度の全面開通に向けて、全力で取り組んでまいります。
 次に、大規模な民間開発の景観誘導についてでございますが、近年、活発な経済活動を背景に市街地の機能更新が進むことに伴い、街並みが大きく変わりつつあり、民間開発の事業化に合わせて良好な景観を誘導することが重要となっております。
 このため、今定例会で改正を提案している景観条例では、大規模な民間開発などを対象として、都市計画決定などの手続に先立つ事前協議制度を導入することとしております。
 具体的には、建築物の配置や色彩、屋外広告物の表示などの基準を景観計画の中で定め、これに基づき、企画段階から開発事業者との協議を行ってまいります。
 最後に、東京全体を視野に入れた景観形成についてでございますが、景観法では、一つの行政区域において、都または区市町村のいずれか一方が景観行政団体となり、法に基づく景観計画を定めることになっております。
 東京では、街並みが連檐していることに加え、首都としての景観形成が重要であることから、都と区市町村が基準を統一し、行政界を超えて施策を展開する必要がございます。都が定める景観計画では、こうした首都東京の特性を踏まえ、景観形成の方針などを明らかにいたします。
 今後、区市町村が景観行政団体となる場合においては、都の基準の共有を求め、区市町村とも連携して、東京全体として良好な景観形成を積極的に進めてまいります。
   〔建設局長依田俊治君登壇〕

○建設局長(依田俊治君) 道路整備など三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず初めに、道路整備の財源確保に向けた取り組みについてでありますが、首都圏三環状道路や都内の骨格幹線道路などの整備を進めるためには、安定した財源である道路特定財源が必要不可欠であり、一般財源化することなく、必要な道路整備に充当することが重要でございます。
 このため、都は、首都圏の道路整備の重要性と財源確保の必要性について、道路整備の全国大会などで国に対し強く主張するとともに、特定財源の仕組みや必要性をわかりやすく説明したパンフレットやポスターを新たに作成し、納税者に対し積極的に広報活動を展開しております。
 今後とも、知事と学識経験者との対談などを通じて、道路利用者や都民の理解を得られるよう努めていくなど、財源の確保と配分の拡大に取り組み、真に必要な首都東京の道路整備を全力で進めてまいります。
 次に、電線類地中化の今後の取り組みについてでありますが、地中化事業は、防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出などを図る上で極めて重要でございます。
 都は、現在、山手通りと荒川に囲まれたセンター・コア・エリア内の幹線道路、災害時の緊急輸送路、主要駅周辺などで事業を重点的に推進しており、例えばセンター・コア・エリア内の平成十七年度末の整備率は約五〇%となっております。
 今後、オリンピック開催に向け、風格ある成熟した街並みを形成するため、センター・コア・エリア内についてはもちろんのこと、オリンピック関連施設周辺においても一〇〇%の地中化を目指し、局一丸となって努力してまいります。
 また、環状七号線を初めとした緊急輸送路や八王子、町田などの主要駅周辺などにおいても、事業規模を拡大し、実施してまいります。
 今後とも、コスト縮減と工期の短縮に努めるとともに、財源の確保を図りながら、電線管理者や地元区市などと連携し、十年で確実に成果が得られるよう、地中化事業に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、多摩地域における歩道の整備についてでありますが、歩道は、歩行者の安全を確保するとともに、植栽などによる良好な都市環境の形成や、ガス、水道などのライフラインの収容空間の確保など多くの役割を果たしており、その整備は大変重要でございます。
 このため、交通量や学校、病院などの配置状況を踏まえ整備対象箇所を選定し、歩道の整備を計画的に進めております。現在の整備率は、区部が八七%、多摩地域が六八%となっております。
 今後、多摩地域における歩道整備のさらなる促進を図るため、整備箇所の拡大など、計画の見直しを行ってまいります。
 今後とも、財源の確保に努めるとともに、地元自治体や関係住民の理解と協力を得て、だれもが安心して歩ける幅の広い歩道の整備を積極的に推進してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 臨海地域の今後の展開について、二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、臨海副都心における今後の開発の方針と手順についてでございます。
 臨海副都心は開発の総仕上げの段階を迎え、青海地区北側と有明北地区の二つの地区を重点的に開発する段階に入りました。
 このため、都は今回、これらの地区について、現行のまちづくり推進計画の考え方を基本に、周辺の開発状況を踏まえ、土地利用の一部見直しを行ったものでございます。
 具体的には、青海地区北側については業務・商業機能を重点化し、有明北地区については住宅、商業・業務の複合機能を強化するというまちづくりの考え方をまとめたところでございます。
 今後の開発の手順としては、まず青海地区北側について、今年度末の公募開始を目指して、具体的なまちづくりの指針であるガイドラインを改定いたします。
 また、有明北地区については、地権者との協議を進めますとともに、オリンピック招致活動との整合性を図りながら開発を進めてまいります。
 次に、持ち株会社構想についてでございます。
 東京港の国際競争力強化と臨海副都心開発の総仕上げを着実に推進するためには、ご指摘のとおり、臨海地域の監理団体を経営統合する持ち株会社の早期設立が重要でございます。
 このため、まず来年一月に持ち株会社を設立し、都の施策との整合性を図りながら、各団体の事業が効果的に連携し、エリアマネジメント機能を十分発揮するグループ全体の経営計画の策定を進めてまいります。
 その後の展開については、十九年度に東京臨海熱供給とゆりかもめによるグループ経営を開始し、さらに二十年度には、東京ビッグサイトと民営化後の埠頭公社を子会社化し、二十一年度から経営を本格稼働させてまいります。
 また、各団体経営の透明性の確保でございますが、持ち株会社に加えて、グループ全体と各子会社の財務諸表についても、毎年度議会へ報告することにより、経営の透明性と都民への説明責任を果たしてまいります。
 今後、持ち株会社グループの具体的な組織形態や事業内容についてさらに検討を進めた上で、年内に詳細を明らかにしてまいります。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 医療施策、福祉施策などに関する六つの質問にお答えいたします。
 まず、健康長寿医療センターについてでございますが、今後の本格的な高齢社会の到来を見据え、高齢者の心身の特性に対応した適切な医療を広く都民に提供していくための確固とした基盤づくりが喫緊の課題となっております。
 このため、新たなセンターは、厚生医療など最先端医療の研究開発や高齢者モデル医療の発信、専門性の高い医師、看護師等の人材育成、在宅医療を支える救急体制の確保などの役割を担うことによりまして、さらなる健康長寿社会の実現を目指すものであります。
 こうした高齢者医療の新たな拠点としての機能を十分に発揮できるよう、ご指摘のとおり、施設が老朽化している現状も踏まえまして、新たな施設を現在地において整備してまいります。その中で、また関連施設のあり方もあわせて検討してまいります。
 次に、ウイルス肝炎対策についてでございます。
 ウイルス肝炎は、肝がんへ進行する危険性の高い重大な病気でございますが、最近では、インターフェロン等の治療法の開発によりまして、治癒も可能となっております。
 全国で二百万人から三百万人と推計される感染者を健康危機から守るためには、本来、国の制度として抜本的な対策を構ずべきであることから、先般、国に対し、肝炎ウイルス検診の充実、医療費の負担軽減など五項目の緊急提案要求を行ったところでございます。
 しかしながら、早急な対策が重要でございまして、都は国の動きを待つことなく、検診の拡充を初め、確実に治療を促進するための通院医療費助成を開始するなど、区市町村、東京都医師会等の関係機関と連携した独自の短期集中的なウイルス肝炎対策を来年度から強力に推進してまいります。
 次に、心身障害者扶養年金制度についてでございますが、先般、東京都心身障害者扶養年金審議会から、現行制度を維持することは妥当ではない旨の中間のまとめが報告され、都民の方々からのパブリックコメントを募集したところでございます。
 制度の運営を担っていく都としては、中間のまとめにおける指摘を真摯に受けとめるとともに、今後、同審議会の最終答申を踏まえた上で、加入者に十分配慮した具体的な対応策を早急に取りまとめてまいります。
 次に、福祉用具貸与の見直しについてでございます。
 今回の特殊寝台などの貸与に関する介護保険制度の改正は、心身の状態から見て利用が想定しにくい要支援などの軽度者について保険給付の対象外とし、その適正化を図るものでございまして、本年四月から半年間の経過措置を経て実施されております。この間、保険者である区市町村や現場の介護支援専門員などの取り組みによりまして、利用者の理解も進み、円滑に見直しが図られてきております。
 しかしながら、使いなれた特殊寝台をみずから購入し、引き続き利用しようとすることが高齢者の自立した生活の継続に資すると認められる場合は、九月末の経過措置が終了することを踏まえまして、制度改正以前から利用してきた軽度者に対し、区市町村がその購入費を助成する取り組みについて、都としての時限的な支援を実施してまいります。
 次に、義務教育修了までの子どもに対する医療費の軽減についてでございます。
 都はこれまで、子育てを支援する施策の一環として、乳幼児医療費助成制度を創設しまして、区市町村に対して補助を行ってまいりました。その対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してきております。
 申し入れのあった義務教育修了までの子どもに対する医療費の軽減については、小中学校の学齢期が人間形成の核となる重要な時期であることや、国の医療制度改革における子どもの医療費負担軽減の方向性、さらには現行の乳幼児医療費助成制度が区市町村主体で地域の実情に合わせて実施されていることなどを踏まえながら、具体的な検討に着手しております。
 終わりに、認定こども園に対する都独自の支援についてでございますが、認定こども園に対する国の財政措置は、幼稚園、保育所ともに認可を受けた部分のみが対象となり、新たな制度を普及する上で不十分だと認識しております。
 都は、国に対し、必要な財源措置を講ずるよう提案要求しておりますけれども、現時点では特段の動きはございません。
 教育、保育の一元的提供を目的とした認定こども園制度が円滑に実施できるように、現在、関係局と認定基準などの詳細について調整しておりますが、お話の都独自の財政支援についても早急に検討してまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、仕事と家庭の両立支援についてでございます。
 出産後も働き続けられるよう、短時間勤務の導入など、両立を支援するための行動計画を策定した都内中小企業は現在約四百社にとどまっており、雇用環境の一層の改善が必要であります。
 このため、都では本年七月から、行動計画を作成した中小企業をとうきょう次世代育成サポート企業として登録し、金融機関と連携した優遇融資の提供やホームページでの紹介を行うことといたしました。
 今後は、中小企業に対して、行動計画の作成やサポート企業への登録を積極的に働きかけていくとともに、国や企業団体等とも連携協力して、仕事と家庭の両立に向けた取り組みを支援してまいります。
 次に、フリーターの正規社員化についてでございます。
 安定した正規社員化を望むフリーターに対して、能力開発や就業支援を行うことは重要であります。
 このため、都では、グループ活動を通じて互いに早期の就職を目指す就職コミュニティをしごとセンターで実施するとともに、今年度からは技術専門校において、受講しやすい夜間の単位制パソコン科を開設いたしました。
 一方、正規社員化には企業側の理解が不可欠であることから、しごとセンターにおいて、企業向けセミナーを今月から開始いたしました。
 今後とも、カウンセリングの充実など、能力開発や就業支援の推進に努めてまいります。
 次に、産業振興のための基本戦略策定の取り組みでございます。
 策定に当たっては、今後十年の社会経済の大きな流れを踏まえるとともに、技術の進展や現場の実態について、ビジネスの第一線にある方々などからご意見をお聞きする必要があります。
 そのため、産業界を初め、観光、まちづくり、環境など幅広い委員で構成する産業振興の将来像に関する懇談会を設置し、九月六日に第一回懇談会を開催いたしました。
 今後は、二十一世紀の新しい都市戦略として策定される二〇一六年の東京の都市像を踏まえ、中間のまとめを発表し、基本的な方向を明らかにしてまいります。
 次に、ものづくり企業への一貫した支援についてでございます。
 中小ものづくり企業が厳しい国際競争に対応し、持続的に発展していくためには、イノベーションの創出が不可欠であります。
 そのため、都はこれまでも、都内中小企業に対し、産業技術研究センターによる技術開発支援を初め、デザイン活用支援、販路開拓支援など、企業の成長段階やニーズに応じたさまざまな支援策を実施してまいりました。
 今後は、区部及び多摩地域に産業支援拠点を整備し、最新機器を用いた質の高い技術支援や、都内の大学だけでなく全国へ対象を広げた産学公連携支援などを展開するとともに、時代を先取りする新技術の開発から、その事業化までを促進する支援スキームを検討してまいります。
 次に、年末に向けての金融支援についてでございます。
 ご指摘のとおり、原油高による原材料価格の上昇など中小企業を取り巻く経営環境は厳しい状況にあります。これら中小企業に対し適切な金融支援を講じ、経営の安定化を図っていくことが、都内産業の一層の活性化のために重要であります。
 このため、特に資金需要が高まる年末に向け、東京信用保証協会を初めとする関係機関と連携しつつ、制度融資の要件緩和など、金融支援の強化に取り組んでまいります。
 最後に、靴製造業への技能検定制度の導入に向けた支援についてでございます。
 この制度の導入は、靴製造業にかかわる方々の社会的評価を高め、技術、技能の継承を一層進めるものであり、東京の重要な地場産業である本業界の発展に大いに寄与するものと認識しております。
 都はこれまでも、靴製造技能の習得を専門とする技術専門校を設置し、新たな人材を業界に送り出すとともに、在職者の能力向上訓練にも取り組んでまいりました。
 今後は、さらに技能検定制度の導入に向けて国への働きかけを行うとともに、検定につながる訓練カリキュラムの充実を検討してまいります。
   〔生活文化局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) 私立専門学校についてのご質問にお答えいたします。
 まず、私立専門学校の役割に対する評価についてでございます。
 都内の私立専門学校は、これまでも都民の多様なニーズにこたえるとともに、産業構造の変化を初め、社会の動向に応じた教育を行い、多くの人材を育成しております。また、仕事に対する心構えや知識、技術を教えることにより、若者の自立を促すなど、職業教育の場として大きな役割を果たしてきております。
 さらに専門学校は、ご指摘のとおり、みずから私立専門学校等評価研究機構を設立し、第三者評価制度の導入を進めるなど、より一層学校の質を高める努力をしており、これまで果たしてきた役割以上に、東京の産業界や都民にとって、今後ますます重要な教育機関になるものと考えております。
 次に、私立専門学校に対する補助についてでございます。
 私立専門学校に関しましては、私立専修学校教育設備等整備費補助や私立専修学校第三者評価等促進事業などを実施しております。
 私立専門学校は、ご指摘のように、国際化やイノベーションなど社会構造の変化に即した人材育成など、新たな役割も期待されており、その重要性はますます高まっていると認識しております。
 こうした状況を踏まえ、国に対して専門学校に対する助成を引き続き強く要望するとともに、都としての支援のあり方について真摯に検討してまいります。

○議長(川島忠一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩
   午後三時四十一分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十一番山下太郎君。
   〔百二十一番山下太郎君登壇〕

○百二十一番(山下太郎君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 九月六日、悠仁親王殿下がご誕生されました。都議会民主党を代表し、秋篠宮同妃両殿下、天皇皇后両陛下に心からお祝いを申し上げますとともに、親王殿下の健やかなご成長を祈念申し上げます。
 まず、オリンピック招致について伺います。
 都は、世界的知名度と強い財政力から、国内立候補都市に選ばれました。しかし、次のステージである国際選考では、私たちがこれまで主張してきたように、世界の各都市にまさる開催理念を示さなければ、オリンピックに向けた都市間競争に勝つことは困難と考えます。
 そこで私たちは、知事も所信表明で語った、平和の祭典オリンピックの原点、平和運動から理念を再構築することを提案いたします。
 先日、テレビドラマ「僕たちの戦争」が放映されました。現代の青年が昭和十九年にタイムスリップして、海軍の特攻隊、回天の乗組員と入れかわり、戦争に巻き込まれる内容です。特攻隊員が、若者に突き倒されたお年寄りをだれも助けない現在の東京のまちを見て、国を守るために命を捨てていったあのとうとい犠牲は、こんな世の中をつくるためだったのかと叫んだ言葉が私の胸に突き刺さりました。
 私たちは、日本が享受している平和への意識が次第に薄らいできていると考えています。この平和がさきの戦争によるとうとい犠牲の上に成り立っていることを、今こそ自覚しなければなりません。
 オリンピックが開催される二〇一六年は、戦後七十年になります。敗戦と復興の歴史をたどり、悲惨な戦争を決して忘れてはならないという先人の思いを現代につなぐとともに、今戦火に苦しむ世界の人々に平和構築への連帯の意思を示すメッセージを、この二十一世紀に改めて東京から世界へと発信していくことが重要と私たちは考えます。知事の所見を伺います。
 都は、選考過程で指摘された多くの課題を解決するため、計画の変更を行おうとしています。私たちは、必要な経費を否定するものではありませんが、むだな経費は極力排除し、過大な財政投資にならない、品格があるオリンピックを求めます。
 現在、招致決議を採択していない都内の自治体は十三区市になります。これは、招致表明から候補都市選定までの時間が短く、計画が十分理解を得られていなかったことと考えます。改めて都と区市町村との話し合いを求めます。
 私たちは、都全体のオリンピックに対する盛り上げとして、六十二区市町村による招致の取り組み、一自治体一国運動を提案します。オリンピックに参加した国と地域が二百二、IOC委員が所属する国と地域は七十八にも上ります。この人々との交流を各自治体が行うのです。子どもたちがオリンピックや国際交流、国際親善について考え、将来に夢を抱く絶好の機会となります。都内の全自治体が参加する東京ならではの招致活動です。所見を伺います。
 次に、多摩・島しょを中心とした東京国体、いわゆる多摩国体について伺います。
 平成二十五年には多摩国体の開催が計画されています。オリンピックもそうですが、国体も今、国体の改革二〇〇三や国体の今後のあり方といった新たな改革が打ち出され、各開催予定地で議論が行われています。
 八月末、東京都がオリンピック国内立候補都市に選ばれ、三年前に開催される多摩国体の意義が増していますが、国体は、開催自治体の人的、財政的負担の増大や、トップアスリート参加の困難さなど、数々の課題を抱えています。
 都では、東京らしさや、都民が注目し共感を呼ぶ国体を議論していますが、私たちも、国体に関して、ハード面の整備はもちろんですが、ソフト面での充実も図っていく必要があると考えています。
 多摩国体の競技会としての質などを高めるため、大会運営の簡素効率化、トップアスリートの参加を促す資格の柔軟化、プロ競技者の参加、ジュニア育成とJOCとの連携など、充実した多摩国体への検討が必要だと考えます。多摩国体の基本的な考え方について、知事に所見を伺います。
 今年度は多摩国体の会場地選定の調査期間になっています。七月末には、市長会と町村会から会場整備などの要望が提出されました。都は、国体の成功のため、市町村との積極的な連携協力を推し進めていただきたいと考えます。
 オリンピックとパラリンピックがセットで行われるように、国体には障害者スポーツ大会、略して障スポがセットで開催されます。ことしは兵庫で、のじぎく国体、のじぎく大会が行われる予定です。
 先日、我が会派は、都における障害者スポーツの現状を視察するため、北区の都障害者総合スポーツセンターを訪問しました。年間十九万人が利用するスポーツセンターは、リハビリ利用が主であり、器具の使用は並んで待つことがあると伺いました。障害者がスポーツをする場所が足りないなど、障害者スポーツには課題があり、プレパラリンピックとしての障スポの盛り上げにもかかわります。
 私たちとしては、まず、国体の競技施設の新設、改修には、福祉的機能を入れたユニバーサルデザインとする、後利用も視野に入れることや、移動手段におけるバリアフリーを推進することを求めます。所見を伺います。
 次に、二〇一六年東京の都市像について伺います。
 私たちは、今後、都民の理解を得、都民の厚い支持のもとでオリンピック開催に結びつけていくためにも、やはり東京の将来ビジョンが不可欠であると考えます。
 石原都政の長期計画、東京構想二〇〇〇は、五十年先を展望した十五年後の東京の望ましい姿を千客万来の世界都市東京として描きました。行政評価を行うために、都民にわかりやすい東京都政策指標を初めて設定しています。
 その後、東京構想二〇〇〇はどう進行しているのでしょうか。例えば、取り組みの成果である政策指標の目標数値を見ると、ゼロ、一歳の保育サービス待機児童数を二〇〇四年度までに、ゼロ人とする、は、現在も五千人の児童が保育サービスを待ち続けている状態です。
 構想の進捗状況などを検証し、見直しを行っていくことは、成果重視の都政運営の実現と行政の透明性と説明責任からも必要です。都は、東京構想二〇〇〇をどう検証して二〇一六年東京の都市像に反映させていくのか、一体的な都政改革の結果もたらされる東京の都市像がしっかりと都民、世界に示されるよう求めて、所見を伺います。
 一方、東京は、都心部、区部だけでなく、多摩と呼ばれる武蔵野の面影を残した街並みや奥多摩地域の美しい山間地域など、さまざまな特色ある地域を有しています。
 総合ビジョン、多摩の将来像二〇〇一では、十五年後の多摩地域のあるべき姿、二〇一五年度末における活力と魅力にあふれた多摩を明確に打ち出しました。その後、都は、この将来像を具体化する取り組み、多摩アクションプログラム、多摩振興での基本施策、多摩リーディングプロジェクトを相次いで策定、事業を推進しています。
 多摩は、先端技術産業等の集積や豊かな人材など、都心部とは異なる優位性があり、広域的な都市間ネットワークを強め、都市圏の中核になることが求められています。
 そこで、この東京の将来像、二〇一六年東京の都市像の中に多摩がどう位置づけられていくのか、伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 まず、危機管理についてです。
 八月十四日、クレーン車と送電線の接触によって大規模停電が発生し、エレベーターでの閉じ込め、信号機の停止、鉄道の運休や一時停止など、都民生活に大きな影響が出ました。停電時の対応マニュアルが整備されていたこともあり、混乱は比較的短時間で終息しましたが、今回のような長時間の停電は想定されていなかったとのことです。
 都は、翌日から緊急点検を実施し、九月十四日には、その結果と今後の対策について報告をまとめるとともに、国と電力会社に対策の要請を行っています。迅速な対応については評価いたします。
 しかし、事故によって、都内のライフラインの弱点の一部が図らずも明らかになってしまったことにより、今度は、悪意を持った人物が意図的にその弱点をつき、都民生活に混乱を招くという事態の懸念も生じています。
 都は、地域防災計画や国民保護計画などにおいて、さまざまな災害やテロを含む武力攻撃等を想定した対策を定めています。昨年の第三回定例会において、都議会民主党は、大規模な自然災害が立て続けに発生したことを踏まえ、被害想定や防災計画の見直しを求めました。
 今回の事故の発生を教訓とし、専門家の意見も取り入れながら、改めて都内で起こり得る危機事態をチェックし直し、危機管理体制を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、防災まちづくりについてです。
 防災まちづくりにおいて、建物の耐震化、不燃化は欠かせません。都は、今年度より、耐震診断・耐震改修助成を行い、耐震化の促進に着手していますが、この制度では地域が限定され、さらに道路閉塞を起こす可能性が高い木造住宅を対象としているため、都内全体の旧耐震基準の木造住宅約七十二万戸のうち、わずか三%しか対象となっていません。私たちの試算では、これら七十二万戸すべてを無償で耐震診断を行い、さらに平均百六十二万円の耐震改修工事費に十五年間の無利子貸付を行うと、四千三百億円の公費負担となります。
 四千三百億円の公費負担というと莫大に聞こえますが、都は、今後四年間で、オリンピック開催のための基金を四千億円積み立てるのです。十年後のオリンピックのための基金も必要かもしれませんが、そのオリンピックが開催される前に、あすにでも首都直下地震が襲うかもしれないといわれている今、何よりもまず、都民の生命を守るための投資については、都はもっと積極的に行ってもよいのではないかと考えます。
 旧耐震基準の木造住宅の耐震診断・耐震改修について、対象の拡大など、さらに一歩踏み込んだ対策が必要と考えますが、所見を伺います。
 住宅の耐震化といえば、とかく古い木造住宅が注目されがちですが、旧耐震基準のマンションの方が、倒壊した場合の危険はより大きいといえないでしょうか。
 都は、今年度より、旧耐震基準のマンションの耐震診断補助にも着手していますが、診断後の耐震改修費用については、都独自の制度としては、一%の利子補給しかないのが現状です。住宅が倒壊しないことに公的支出の根拠、正当性があるとするならば、木造住宅同様に、マンションについても耐震改修に対する補助制度などの公的助成制度を創設することは、決しておかしな論理ではないはずです。
 旧耐震基準のマンションについても、耐震診断だけでなく、診断後の耐震改修等への支援が必要と考えますが、所見を伺います。
 これまで述べたように、都が木造住宅や分譲マンションについて耐震診断・耐震改修制度を充実させつつあることについては、私たちも評価いたします。しかし、せっかくつくった制度も、利用されないことには意味がないのも事実です。
 都が「あなたのまちの地域危険度」の出版、道路整備と一体的に進める沿道まちづくり、都立工業高校の建築科生徒による木造住宅の耐震診断などを実施するとともに、ソフト、ハードの両面から区市町村の取り組みへ支援を行っていることは評価します。
 そこで、今後、住宅の一層の耐震化促進に向けてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、景観施策について伺います。
 今定例会では、平成十六年十二月に施行された景観法を受け、地方自治法に基づく自主条例であった景観条例の全面改正が提案されています。
 今回の景観条例の改正理由の一つに、景観法の規定に基づく景観計画の策定が挙げられています。
 これまでの自主条例では、規制に法的な強制力がなく、実効性が上がらないという課題がありました。今後は、法委任条例に基づき景観計画を策定することで、建築物等の色彩などに変更命令を出すことが可能となります。遅きに失した感もありますが、都が強制力のある景観行政に踏み出したことは評価いたします。
 景観計画の策定に当たり、条例案では、東京都景観審議会の意見を聞かなければならないこととなっています。この種の行政計画の策定の際には、今では広く一般都民の意見を聞くことが常識となっていますが、条例案では、この部分が不透明な印象を受けます。
 今後、景観計画を策定する中での、広く一般都民の意見を集約するためのプロセスについてどのように考えているのか、所見を伺います。
 今回の改正案では、容積率などの規制緩和等を適用する大規模建築物などについて、企画段階から景観への配慮を含めた協議を行う事前協議制度の創設が盛り込まれています。制度の趣旨については大いに賛成するものでありますが、条例の運用面では、協議における客観性の確保や迅速な手続などが求められると思います。
 そのためには、景観審議会の活用が重要だと考えますが、都は、今後の景観審議会の役割についてどのように考えているのか、所見を伺います。
 都が景観行政団体となった一方で、区市町村も景観法に定める景観行政団体となり、景観計画を定めることができるようになりました。都の調査によれば、区部では約半数、多摩地域では約二割の市町村が景観行政団体となる意向を示しています。
 各区市町村がそれぞれの地域特性を生かした取り組みを行おうとしていることは望ましいことではありますが、独自の景観計画によって、ばらばらな基準を定めることも考えられます。例えば、一つの幹線道路の沿道や大規模な公園の周辺で、区市町村ごとに取り組みの差が生じ、広域にわたり統一感のある景観形成が困難になることも予想されます。
 都は、区市町村が景観計画を定めて施策を行う場合、都の施策とどのように調整を図っていくのか、所見を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 都は、オリンピック招致に関して、カーボンマイナスという理念を打ち出し、大会までに、大会開催によって排出されるCO2の総量を大幅に上回るCO2削減を達成することを掲げています。
 さきにドイツで開催されたFIFAワールドカップでは、カーボンニュートラルを掲げ、開催に伴う交通量の増加等によって排出されるであろう約十万トンのCO2を相殺するために、発展途上国に約一億七千万円を提供し、温室効果ガス削減プロジェクトを実施しました。都の掲げるカーボンマイナスオリンピックは、これ以上のことをしようとする意気込みはわかりますが、資金提供するだけでは、世界に訴えかけるインパクトには欠けるのではないでしょうか。
 私は、オリンピック開催期間中のCO2相当量の削減は当然のこととして、開催前から、世界各都市に対して都の取り組みを世界にアピールしていくとともに、世界のCO2削減に大胆に貢献していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 知事は、施政方針の中で、都政のあらゆる分野でCO2の大幅な削減に取り組むため、新たな十年プロジェクトを開始すると述べ、特に、東京全体での緑の増加や自然エネルギーの大量普及を図ると述べられました。
 そこで、まず、緑の増加について伺います。
 東京のみどり率は、都の積極的な取り組みにもかかわらず、この間減少を続けており、その対策は急務です。ことしの二月、都が策定した持続可能な東京の実現を目指す新戦略プログラムでは、緑施策の抜本的見直しを掲げていましたが、いまだ具体的な取り組みは進んでいません。
 とりわけ、私は、緑化義務や開発許可制の見直し、強化といった規制的な取り組みを早急に講じていく必要があると考えますが、都の所見を伺います。
 次に、自然エネルギーの大量普及について伺います。
 自然エネルギーを大量に普及させていくには、大規模事業者や再開発事業において、一定水準以上の利用を義務づけるなど、都市づくりと連携が重要ですが、まずは、都自身が率先して取り組んでいく必要があります。
 特に、太陽光パネルは、保育園や学校などに設置することで、環境教育にも役立ち、ある保育園では、園児が皆で水道水の節約をしたり、日中の園内の電気を消したりと、みずから省エネに対して積極的に取り組むようになったとも報告されています。
 また、最近、都内の公立学校からは、クーラー設置の要望も多くなっていますが、暑さのピークに効果を発揮する太陽光パネルの設置は、温暖化の面からも有効ではないでしょうか。
 私は、太陽光発電などの自然エネルギーを公共施設において積極的に導入していくべきだと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、自動車交通量の総合的な抑制策について伺います。
 自動車交通対策は、もはや、これまでのディーゼル車規制や幹線道路の整備だけでは限界があります。
 ロンドンプランでは、土地利用政策と交通運輸政策とを連携させ、自動車による移動の必要性を減少させることを掲げています。アメリカのポートランド市でも、交通政策と土地利用の統合をうたい、実際にさまざまな施策を講じています。
 あわせて、来年三月には、私鉄、地下鉄で利用できるパスネットがIC化され、JR東日本のSuica などとの相互乗り入れがスタートしますが、このIC化を民間のポイントカード化と連携させれば、公共交通機関への転換を飛躍的に進めることが可能になります。
 私は、都市づくりの視点やライフスタイルの変革も含めて、都民の移動を徒歩や自転車、公共交通機関に転換していく総合的な自動車交通抑制策が必要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、東京の産業振興について伺います。
 都は、今年度中に産業振興ビジョンを策定すべく、先日、産業振興の将来像に関する懇談会を立ち上げました。産業振興ビジョンでは、中小企業の振興策はもちろんのこと、ものづくりや観光といった産業の振興策なども盛り込まれるものと考えます。
 しかし、東京の産業振興を図る上で何よりも重要なことは、私たち一人一人が産業活動に携わりたい、働きたい、スキルアップを図りたいという希望を見出せる社会の構築ではないでしょうか。
 景気がよくなったとしても、働くことに希望が持てなければ、ニートをふやすことにもなりかねません。一獲千金を夢見て株式投資にのめり込むならまだしも、お金欲しさに脱法行為や違法行為を働くようなことは決して好ましいことではありません。
 私は、東京の産業振興を図るためには、働く人あるいは働こうとする人の視点に立って、雇用環境の整備や職業教育の充実などがまず何よりも重要であると考えますが、所見を伺います。
 中小企業への支援については、金融支援や人材育成などの充実に加えて、企業の社会的責任を促す取り組みも必要ではないでしょうか。
 法令を遵守するコンプライアンスという考え方は定着しつつありますが、法律さえ守っていれば何をしてもいいという風潮に私はくみするものではありません。地域社会への貢献や人権尊重、雇用対策、消費者対策など、企業には企業として果たすべき社会的責務があるはずです。
 現在、大手金融機関などでは、社会的信用投資というものが商品化されつつあり、また大手製造業などでは、部品や資材を調達する基準をグリーン調達から社会的責任調達に拡大する動きも見られます。しかし、中小企業が社会的責任というものに取り組もうとしても、資金や人材、知識やノウハウが不足しているとも指摘されています。
 そこで私は、ファンドの設置や制度融資での優遇、人材や知識、ノウハウの提供などにより、中小企業に対する社会的責任の取り組みを積極的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、いわゆる非正規労働者の問題について伺います。
 パート、アルバイト、派遣労働、業務請負といった、いわゆる非正規労働者の問題については、私たちは、これまでも、雇用者である企業に法令を遵守させるとともに、各企業において非正規労働者の処遇改善を図ることが重要であると主張してきました。
 都では、今年度から、非正規と正規との均衡のとれた人事給与制度の導入などに取り組む中小企業への制度融資での優遇策や、中小企業への専門家派遣による雇用管理の支援に取り組んでいます。
 これらの取り組みについては、まだまだスタートしたばかりではありますが、PRや支援内容の充実を図り、雇用環境の改善に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、職場におけるメンタルヘルスについて伺います。
 心の病、三十代社員急増。先日、ある新聞で、うつ病や神経症など、心の病を抱えている世代は三十代に最も多いと答えた企業が、二〇〇四年の約半数から二〇〇六年には六一%に急増していると報じられていました。
 私は、この記事を読み、改めて私の友人や知人、そして私と同世代の人たちに思いをはせました。急速に進む成果主義、恒常的な長時間労働、リストラによってノウハウが引き継がれないまま管理職になった責任感による重圧、こうしたことの積み重ねで心身ともに疲れ果てている若い人たちは確実にふえています。
 私は、こうした働く人々が、心身ともに健康で働き続けられるよう、職場のメンタルヘルスの確保に向けた施策を積極的に充実していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、人材の育成について伺います。
 都は、現在、中学生の職場体験教育や東京版デュアルシステムなど、若年者への職業教育を初め、ものづくりの分野では、都立技術専門校でのものづくり名工塾などに取り組んでいるところです。
 また、今年度からは、都立工業高専と都立航空高専を再編した都立産業技術高等専門学校において、平日の夕方以降の施設を活用して、地域の中小企業で働いている若手技術者に対するものづくり技術講座や、フリーターや休職中の人に対するものづくり講座を開いています。
 しかし、都内には、工業高校の施設設備や普通高校のLL教室やパソコンルームなど、まだまだ門戸を開放できる学校、施設があるのではないでしょうか。高校生にとっても、同じ年代の仲間とだけ過ごすよりは、少し上の世代の人たちの学ぶ姿は、彼らの自己の意識を変革するきっかけにもなると思います。
 私は、工業高校など、都の施設の有効活用を図り、より多くの若い人たちに対して、スキルアップや就業に向けたきっかけづくりに取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 障害者自立支援法が十月一日から本格施行となりますが、法の理念と施策には大きな乖離があるといわざるを得ません。
 この間、私たち民主党も、数多くの障害当事者や支援を提供する方々、施設運営者の皆様方からのヒアリングを重ねました。また、地域の作業所や入所施設、グループホーム、デイサービスなどを訪問し、本当に多くの現場を見てお話を伺いました。こうした中からはっきりと感じたのは、自立支援法の施策には、障害者の生活実態への理解と生活の質への配慮が欠けているということです。
 自立支援法の理念と実態の乖離をあらわす端的な事例は、住まいであるグループホームに対し、運営費補助を日払いで計算する方式とした点です。これにより、自立生活を営む障害者が週末や夏休みなどに実家を訪れ外泊すると、ホームは減収となります。
 普通、賃貸住宅で、休日実家に帰ったりして留守にした分の家賃を払わないなどということはありません。しかし、普通のことを普通にしようとすると、経営が成り立たなくなるおそれがあるのです。障害があっても普通の暮らしを、QOLの向上をという改革の理念とは相入れない事態を招いてしまいます。国も一定の見直しを行っていますが、経営の安定を確保するのに十分とはいえません。
 特に、一法人一ホームという小規模な経営形態が多い都の状況からすると、グループホームの安全で安定した運営確保のためには十分な支援が必要と考えますが、都の所見を伺います。
 都は、平成十五年から三カ年にわたり取り組んできた障害者地域生活支援緊急三か年プランに続き、本年一月には障害者地域生活支援・就労促進三か年プランを発表し、障害者の地域での自立生活を支援してきました。
 これに基づき、障害当事者や区市町村、事業者とも一丸となって、グループホームなど地域居住の場、障害者が住まいから出かけて、さまざまな活動をするための場の整備に取り組んできました。
 既存の地域居住の場が厳しい状況に置かれている中にあって、このように進めてきた障害者の地域生活移行は、今後も継続して取り組んでいかなければなりません。自立支援法による影響についてもきちんと把握し、プランの進捗に停滞を来さないようしっかりとした取り組みを求めるものですが、都の所見を伺います。
 先ほども申し上げましたが、国の施策は歳出削減を主眼としており、サービス利用にかかる一割負担と合わせて、実現すべき所得増について何ら見通しがありません。
 都は、就労促進三カ年プランを策定し、集中した取り組みを始めたところです。就労したい人、可能な人が自分の可能性を伸ばし、生きがいを持って暮らせるようにする、法のうたい文句であったこのことが実行されなければ、到底当事者の理解を得られるものではありません。
 法施行に伴い、これまで以上に就労支援を強化する必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、子どもの医療について伺います。
 都は、都立清瀬小児病院と八王子小児病院を廃止するとしています。しかし、小児医療が充足されているとはいえない現状で、実質的に地域医療をも担ってきた小児病院を二つ閉じ、小児医療、特に救急医療が受けられなくなるという事態は決してあってはなりません。
 一方で、府中キャンパスには新たな病院の開設が予定されています。不採算といわれ、医療資源の不足にあえぐ小児医療分野において、都が高レベルな医療を提供するセンター病院を整備する意義は高いものです。
 ですが、こうした高度な取り組みだけでなく、日々、子どもの生命と健康を守る、急な病気のときに頼れる小児医療の充実もまた、しっかりと取り組まなければならない課題です。
 都は、福祉・健康都市ビジョンで、小児医療を充実し、子どもの健康を守ります、小児医療体制の体系的な整備を進めますを重点プロジェクトとして取り組んでいます。しかし、依然として、子どもを持つ親にとって、休日や夜間、急な病気のときの苦労は絶えません。東京で二十四時間三百六十五日安心の医療は実現されているのか、実現するためには何が必要か、しっかりと考え、対応していかなければならないと考えます。
 新聞等でも報じられているように、二次救急医療機関に、夜間、多数の救急患者が集中することによって、診療現場では小児科医師が疲弊し、疲弊する現場に人が集まらない、人手不足でさらに疲弊するという負のスパイラルに陥っており、疲労こんぱいした小児科医がやめていく、燃え尽き現象が問題となっています。
 都の調査によれば、本来入院を必要とする状態の重症患者に対応する二次救急医療機関では、休日、夜間の救急患者のうち、結果的に入院の必要のなかった比較的軽症な患者さんは約九五%であったとのことです。あってはならないことですが、軽症患者で混雑する余り、本来の救急患者への対応がおくれる事態も危惧されるところです。
 二次救急病院に患者が集中している、この点について都としてはどのような対策をとっておられるのか、伺います。
 こうした状況について、本来は救急受診の必要性がない軽症患者は地域の診療所に行くべきという指摘もあります。しかし、東京の家庭は核家族が八六%以上です。そして、一人っ子が三六%となっている現在、乳幼児を持つ親の多くが新米お父さん、新米お母さんなのです。家庭に子育ての知識が蓄積され、判断できるという時代では既になくなっています。たとえ、ある程度の知識を持っていても、経験がなくては、目の前でぐったりしている自分の子どもが重症なのか軽症なのか、容易に判断することはできません。だからこそ、夜間、救急病院を多くの患者が訪れているのです。
 子どもの発熱や腹痛など、よくある病気を診るのは地域のかかりつけ医の役割とされる一方で、地域の小児科医院がどうなっているかといえば、診療はおおむねウイークデーの数回、朝から夕方までと、ごく限られた時間になっています。
 子どもは診療所の診察日や診療時間に合わせて病気になるわけではありません。最近の若い親はとの嘆きももっともな部分はありますが、夜間の二次救急病院での診療ニーズが高まっているのは、親の問題とばかりはいえないのではないでしょうか。
 都のいう小児医療の充実は達成されていくのか、そして、二十四時間三百六十五日安心の医療は実現していくのか、まずは、夜間に子どもの診療をしてもらえる医療施設が十分に確保されること、それにより小児二次救急病院の現状を改善することが必要です。
 私は、この点についてしっかりと取り組むことは、二十四時間三百六十五日安心の医療を実現する上で非常に重要だと考えます。この問題は、今、対応を迫られている課題であり、都としても強力に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、警察行政について伺います。
 まず、交番の統廃合についてであります。
 警視庁は、平成十九年四月を目途に、空き交番を解消するとともに、都民からの要望の強い警察官によるパトロールの強化を図るため、交番は原則として一当務二人以上の配置とすることとし、隣接交番と近接している、業務負担が低い、老朽化しているなどの百二十一の交番については、再編・統廃合することとしています。
 このことにより、交番には常に警察官がおり、さらに、地域のパトロールも常時行うことができるようになります。しかし、その一方で、百二十一の交番が交番でなくなるという現実は、いかにその交番の業務負担が低いとはいえ、警視庁自身が依然高い犯罪発生を認めている中にあっては、地域の住民にとっては大きな不安のもとです。
 地域住民による防犯強化とはいっても、しょせん限界があるものであり、重大事件については警察官に頼らざるを得ないものであります。各警察署の警察官がわずかしかふえていないという現実は理解いたしますが、駐車違反確認事務の民間委託による交通部門からの配置がえや事務改善による配置がえなどによって、第一線の警察力を確保することも含めて、都民の不安払拭に努力されるよう求めるものですが、所見を伺います。
 次に、駐車違反確認事務の民間委託について伺います。
 この六月からスタートした違法駐車の取り締まり強化については、読売新聞の世論調査によると、駐車違反が減った、民間委託はよかったと評価する人が六割を超え、自分や家族のふだんの生活によい影響が多いという人も五割を超えているとのことであります。具体的な生活の変化は、駐車場のある店を選ぶようになった、道路の見通しがよくなった、駐車にお金がかかる、渋滞が緩和された、商店街の活気がなくなってきたなどの順でありますが、おおむね好意的に受けとめられているようであります。
 取り締まり強化から三カ月を迎えようとしていますが、今回の駐車違反確認事務の民間委託に伴う取り締まり強化によってどのような効果があったのか伺います。
 一方、同じ調査では、取り締まりの対象から高齢者や障害者の送迎、食事の配送に使われる車を除外した方がよいという人が八七%、宅配は七五%、商店への荷物の搬出入は七〇%に上っています。
 厳正な取り締まりがあるからこそ効果が上がっているものであり、だれもが公平だと思う取り締まりルールをつくっていくのはなかなか難しい問題であると思います。しかし、一方では、高齢者や障害者の送迎、食事の配送に使われる車だけではなく、宅配や商店への荷物の搬出入にも高い率で配慮を求める声があります。こうした声を踏まえ、その事情がしんしゃくできる場合の救済策も考慮されるよう求めておきたいと思います。
 次に、行財政改革について伺います。
 都が今回まとめた行財政改革実行プログラムでは、多様な主体がかかわる豊かな公の構築、政策対応力の高い執行体制の確立、スリムで効率的な行政運営の実現を改革の柱として、二百十二の実施計画を明らかにしています。
 とりわけ、豊かな公の構築において、公イコール官ではなく、都民、地域活動の担い手として、自治会、町会、企業、NPOなどの多様な主体が、公共的な団体とともに公の役割を分担し合い、行政サービスの提供や公共的な課題の解決にかかわる、豊かな公を構築していくことが重要です、としている点は、私たちの視点と同じものであり、率直に評価するものであります。実施計画においても、多様な主体の育成や各種協働が盛り込まれ、経営改革手法の導入においても多様な選択肢が盛り込まれています。
 知事は、都政におけるこの豊かな公の構築についてはどのようにお考えか、所見を伺います。
 官と民との対等な協力、協働、競争や、官の組織の中での任期つき職員や民間専門家などの積極的な活用も評価するものでありますが、さらに一歩踏み込んだ官と民との融合ともいうべき新たな公の構築もまた、考えてみるべきではないでしょうか。
 例えば、官がある政策目標を実現するための事業を実施している場合、その政策目的とあわせて、官が行っている事業内容を事業別バランスシートも含めて常に公開する。民は、官の政策目的をよりよく実現するための具体的な事業を企画し、官の事業と置きかえることを提案する。そして、それが評価に値するものであれば、市場化テストなどにより、官の事業と置きかえ、民にその事業を委託することがあってもよいのではないでしょうか。
 そこで、市場化テストを行う際には、事前に政策目的や事業内容を公開し、民の改革提案を受け付けるような仕組みを導入すべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、私たちはこれまでにも、中長期的な視点に立った財政運営を求めてきましたが、さきにまとめられた「今後の財政運営の指針」で、大規模施設の改修、改築を計画的に実施するとしたことや、大規模プロジェクトなどの全体計画を公表するとしたことなどは、当然のこととはいえ、評価されるべきと考えます。しかし、各局の主体的取り組みの推進において、今まで続けてきたシーリングとの違いが見えません。
 地方分権改革の中で、国は自治体のはしの上げ下げにまで口を挟むといわれましたが、今までと同じような予算編成手法が続くのであれば、はしの上げ下げは局の裁量にゆだねるが、料理内容は財務局が口を挟むといっているのに等しいのではないでしょうか。マネジメントサイクルの確立とあわせて評価すべきですが、事業別バランスシートや事務事業評価との併用などにより、さらに効果的な予算編成が可能だと考えますが、所見を伺います。
 この事務事業評価は、今年度より財務局が所管することとなり、各局と財務局が予算編成過程の中で実施することとされ、予算査定と一体化することとなりました。しかし、これと一体であるべき政策評価の所管については明らかにされていません。個々の事務事業は、ある政策目標を実現するために行われているものであり、個々の事務事業評価のみにとどまっていては、その政策目標自身の検証が不問に付されることになります。
 設立に当たってさまざまな議論のあった首都大学東京の平成十七年度業務実績評価について、このほど評価委員会から知事に報告がありました。このように、都立から公立大学法人となった首都大学東京の業務実績については評価委員会による評価が出されているのに、都事業については、今、明確なのは事務事業評価だけで、事務事業評価と政策評価という行政評価全体の所管局は不明であり、ましてや第三者評価制度は検討の対象にもなっていません。
 この行政評価、とりわけ政策評価についてはどのようにお考えなのか、所見を伺います。
 さて、都の財政については、これまでも国の恣意的な差配に振り回され、不合理な財政調整にさらされてきました。平成十八年度予算も例外ではなく、法人事業税の分割基準見直しや地方特例交付金の廃止などによって大きな影響を受けることとなりました。鳴り物入りの三位一体改革も、しょせんは国庫補助負担金、地方交付税の削減と、その三分の一の税源移譲でしかなく、分権には何の貢献もないものでありました。
 こうした中で、現在、東京自治制度懇談会において、道州制を含む広域的自治体のあり方や、東京における大都市制度などについて検討が行われ、平成十八年度中にも自治制度改革について懇談会報告が取りまとめられることになっています。
 東京発自治論として、新たな自治の仕組みを発信するに当たっては、一自治体としての都の個別的利害にこだわることなく、国家全体の利益という視点に立って、地方税財政制度のあるべき姿を明確にし、自治体間の強固な連携のもと、国に対して、その実現を働きかけていくべきと考えますが、所見を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山下太郎議員の代表質問にお答えいたします。
 平和の祭典オリンピックについてでありますが、戦後六十年以上にわたり平和を堅持してきた国は、この世界にこの日本をおいてほかにはなく、国際社会も平和国家日本を大いに評価しております。ゆえにも、日本人はもっと自信を持ち、誇りを持つべきであると思いますし、十年後の東京オリンピックでは、平和であり続けた私たちの姿を全世界に披瀝し、世界の平和と発展に貢献していきたいと思っております。
 しかし、平和の中で失われつつあるものもありまして、受け継ぐべき価値観や志が希薄になっているのが日本の現状であると思います。
 ご指摘にありましたが、幾つかの自治体が、東京の中でもオリンピックについて無関心ということでありますが、これは、オリンピックに関する情報の提供にかかわるタイムスパンの問題もあるでしょうが、その以前に、やっぱり他人ごととしてしか物を見ないという、何といいましょうか、国家と国民の一体感の欠如というものも、どこかに起因しているんじゃないかという気がいたします。
 いずれにしろ、そうした意味からも、六十年前、先ほどドラマを引用されましたが、家族や最愛の人を守るために、あえて死んでいった多くの若者たちがいたということを、私たちは決して忘れてはならないと思います。
 次いで、東京国体に向けた基本的な考え方についてでありますが、多摩・島しょ地区を中心に開催する東京国体においては、競技のレベルアップや大会運営の効率化などの改革を進め、これまでにない国内最高となる総合スポーツ大会を実現していくつもりでございます。
 また、国体に向け、地域に根差したジュニア選手の育成や競技環境の整備を図り、すべての都民がスポーツに親しむスポーツ都市東京を実現する考えであります。ジュニア選手の育成は、決して日本に限らず、途上国の子弟をも対象にしたいと思っております。
 今後も、都議会や区市町村、各競技団体の協力をいただきながら、東京大マラソン祭りや東京国体を成功させ、その成果を東京オリンピックにつなげ、内外にインパクトを与えるスポーツムーブメントとしていきたいと思っております。
 次いで、CO2削減への取り組みについてでありますが、地球温暖化問題は、人類がこの現代に至って直面した最も深刻な環境問題でありまして、その進行を阻止するためには、二十一世紀半ばに全世界でCO2の排出量を劇的に減少させる必要があります。
 このため、都は、世界に先んじてCO2半減都市モデルの実現を目指し、都政のあらゆる分野でCO2の大幅な削減を目指す新たな十年プロジェクトを開始いたします。
 最先端の技術による省エネルギー対策や、再生可能エネルギーの多量普及を図るなど、民間企業や都民を巻き込みながら、東京を世界で最も環境負荷の少ない都市としていきたいと思っております。
 そしてまた、こうした取り組みの成果を折に応じて、機を見て、世界に示していきたいと思っております。
 次いで、豊かな公の構築についてでありますが、あくまでも公は、それぞれの民が集積してでき上がるべきものであると思います。少子高齢化が進む一方、公共分野を担う民間主体が成長しておりまして、公を担うだけのシステムは、原点に立ち返って見直しをする必要があります。
 官民の役割分担を徹底して見直し、民間が行えることは民間にゆだねるとともに、防犯、防災や環境問題など、社会全体の利益につながる活動に多様な主体がかかわる仕組みをつくり、豊かな公を構築していくことが重要であると思っております。
 これからも、こうした不断の行財政改革を積極的に推進し、二十一世紀にふさわしい公の形を東京から全国に発信していきたいと思っております。
 次いで、東京発自治論についてでありますが、小泉内閣が行った国のいわゆる三位一体改革は、しょせん数字合わせに終始しまして、国と地方の役割分担のあり方など、本質的な議論が行われなかったと思います。
 こうした中で、東京発の自治論の発信に向けて、東京自治制度懇談会の知恵もかりまして、税財政制度を含めた自治制度のあり方について検討を深めております。
 既に行ってきました、環境問題などを含めまして幾つかの隣県の神奈川、埼玉、千葉県と一緒にやりました広域行政などは、これからあるべき自治論のための一つの大きなよすがになるのではないかと思っております。
 国家全体の利益という視点に立てば、この国の形をかえる地方分権改革は、是が非でもなし遂げなければならない課題でありまして、地方分権の時代にふさわしい自治制度のあり方について、新しい内閣や他の自治体に対しても強く発信していく考えでございます。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 警察行政についてお答えいたします。
 初めに、交番の統廃合による都民の不安の払拭と第一線の警察力の確保についてお答えします。
 第一線の警察力を確保していくためには、警察官の効率的な運用が不可欠であり、特に交番にあっては、警察官がパトロールを行う一方、その間も他の警察官が在所して、地域の方々のさまざまな要望、相談、届け出等の窓口としての機能を果たしていくことが重要であります。
 このため、警視庁では、こうした交番機能強化に向け、地域警察官の増員にも努めてきたところでありますが、さらに交番の配置見直しを推進することとしたところであります。
 また、第一線の警察力の増強については、これまでも、管理部門から地域部門や捜査部門等の実動部門への警察官の振りかえや、退職警察官の交番相談員としての配置などの施策を講じてまいりましたが、こうした内部努力とあわせ、警察官を増員することも重要であり、引き続き警察官の増員要求も行ってまいりたいと考えております。
 また、駐車違反確認事務の民間委託に伴い合理化された人員については、第一線の警察力の強化のために再配置を行ってまいりたいと考えております。
 なお、交番機能を廃止した施設についても、治安対策に関する知識や経験が豊富な警察官OBを配置し、警察相談の受け付けを初め各種会合や防犯活動等への参加による地域安全情報の提供など、地域の安全・安心活動を支える拠点としての活用を考えております。
 次に、放置車両確認事務の民間委託など、新たな駐車対策法制による取り締まりの効果についてお答えいたします。
 改正道交法の施行後、都心部の幹線道路を中心として、放置駐車の減少や交通渋滞の緩和、さらには平均走行時間の短縮など、都民が実感できる効果があらわれているものと思います。
 具体的には、都内主要十路線における法施行三カ月後の調査結果では、施行前と比べ、放置駐車が約七四%の減少、渋滞の長さが約二七%の短縮、平均走行時間が約一〇%の短縮となっております。
 また、駐車場やパーキングメーター等の利用が大幅に増加するなど、ドライバーの駐車モラルの向上も見られるところであり、交通の安全と円滑はもとより、経済上の便益や環境面での二酸化炭素排出量削減など、多方面にわたって相当な効果が上がっているものと受けとめております。
 警視庁といたしましては、引き続き新法制のさらなる定着化を図り、違法駐車のない東京の実現に向けて努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 二点にお答え申し上げます。
 まず、国体の競技施設の整備についてであります。
 お話しのように、平成二十五年には、国体と障害者スポーツ大会を東京都で開催いたします。両大会の開催に向けまして、障害者を初め、子どもから高齢者まですべての人が安心してスポーツに参加し、楽しむことができるように、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた施設整備を進めていくべきである、そういうふうに考えております。
 今後、区市町村や競技団体等の意見を十分伺いながら、関係局と連携して対応してまいります。
 次に、工業高校などの都の施設を利用した若年者への就業等に向けたきっかけづくりについてでございます。
 都立産業技術高等専門学校では、地域の中小企業の若手技術者やフリーターを対象に、実習を重視したものづくりの講座を開講しております。
 また、都立高校でも、都民が受講できるものづくり関係の講座を実施しているほか、一部の工業高校の定時制課程でも、社会人が聴講できる授業を開講しております。
 これらの事業は、中小企業の若手技術者の育成に資するとともに、フリーター等若年者にものづくりへの興味や関心を持たせることになり、東京の産業を担う人材の育成にも寄与するものと考えております。
 今後、工業高校などの施設や設備を有効に活用した人材の育成について、関係機関と調整を図ってまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) 都内の全自治体が参加する招致活動についてでございます。
 都内の各自治体が、オリンピック招致に向けまして、世界の各国あるいは各都市と交流することは、招致機運を盛り上げるために有効であると考えてございます。
 今後、都の外部に設立する招致組織と連携し、都内の自治体を対象に、さまざまな世代が国際交流を通じてオリンピック招致への参加意識を持つとともに、東京の魅力を世界に発信する機会のあり方について検討してまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京の都市像についてでございますが、都は、平成十二年、魅力と活力にあふれた千客万来の世界都市東京を目指し、その実現に向けた取り組みや施策を明らかにする東京構想二〇〇〇を策定いたしました。その後、構想に示されたさまざまな取り組み等をより戦略的に実施していくため、進捗状況などの検証を踏まえ、重要施策、重点事業による先駆的な政策展開を図っております。
 今回策定する都市像では、十年後のオリンピック開催を見据え、これまでの先駆的な取り組みを一層推進し、より機能的で魅力的な東京の姿を示してまいります。
 次に、都市像における多摩の位置づけについてでございますが、多摩は、時代の先端を行く企業や大学、研究機関などが数多く集積し、大きな発展の可能性を有する地域でございます。今回策定する都市像では、成熟した都市にふさわしい姿として、三環状道路の整備等による都市機能の向上、地域に根差した生涯スポーツの振興、超高齢社会における良質な生活環境の確保などについて、多摩地域も含め東京全体を視野に入れながら描いてまいります。
 最後に、政策評価についてでありますが、都は、都政の構造改革を総合的に推進していくため、重要施策を策定し、戦略的取り組みを行っております。昨年十二月には、これまで進めてきた改革の検証、評価を踏まえ、今後、都政全体で取り組むべき新たな七つの重要施策を選定したところであります。
 また、行財政改革の新たな指針では、重要施策及び重点事業における、いわゆるPDCAサイクルを強化するため、毎年度、検証を経て改定することといたしました。事後検証の機能を充実することで、事業の執行状況を管理するだけでなく、政策に対する検証、評価、政策目標の設定をさらに的確に行ってまいります。
   〔総務局長大原正行君登壇〕

○総務局長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、危機管理の強化についてでございますが、東京は、地震などの自然災害に加え、テロの発生も懸念されるなど、あらゆる危機に直面をしております。都は、これまで、危機管理の専門家を参与に迎えるとともに、警察、消防、自衛隊の現職幹部を危機管理のもとに配置し、その専門的能力や経験を活用して、さまざまな危機への対応力を高めてまいりました。
 しかしながら、不測の事態が発生することもあり得ることから、今後は国内外における危機事態の分析をさらに進めまして、その結果を地域防災計画やマニュアルなどに反映をさせ、迅速かつ的確な対応が図れるよう、危機管理体制を一層強化してまいります。
 次に、市場化テストの実施についてでございますが、市場化テストは、官民が対等な関係で競い合い、公共サービスの提供主体を決定する手法であり、民間事業者が参加しやすい環境を整備することが課題でございます。そのため、民間事業者の意見を積極的に取り入れる一方、官の情報を適切に開示することが必要でございます。
 こうした観点から、今年度実施するモデル事業におきましては、民間の能力や創意工夫を生かせるよう意見募集を先般行ったところでございまして、また、今後、事業者の公募時には詳細なコスト情報を公表する予定でございます。
 来年度以降、市場化テストを本格実施していく際には、対象事業のバランスシートの作成など情報公開をさらに推進するとともに、民間事業者のよりよい意見や提案を取り入れ、事業に活用してまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 耐震対策など六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、木造住宅の耐震診断・改修助成についてでございますが、住宅の耐震化は、自助、共助、公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本でございます。しかしながら、建物の倒壊による道路閉塞を防止するなど震災対策上公共性が高い地域の住宅については、耐震化の促進を図るため、耐震診断・改修に関する助成制度を本年四月から開始しております。
 この制度は、区と連携して実施することから、助成制度を設けた区が倍増するなど、耐震化に向けた行政の取り組みも強化されております。都としては、今後とも関係区と協力して、耐震診断・改修の実施を住民に働きかけるなど、制度の周知を強力に進めてまいります。
 次に、マンションの耐震改修等への支援についてでございますが、分譲マンションは共同住宅であることから、改修の実施には、多数の区分所有者による合意が必要とされるなどの課題がございます。このため、都は、アドバイザーの派遣などにより円滑な合意形成を促すとともに、大規模修繕や耐震改修を行う管理組合に対して利子補給の支援を行ってまいりました。また、本年四月から新たに耐震診断についても助成を開始したところであり、区市町村や関係団体などとともに、管理組合に対し、こうした制度の活用を幅広く働きかけてまいります。
 次に、住宅の耐震化施策の利用促進に向けた取り組みについてでございますが、耐震化を一層促進するためには、都民がその必要性を認識し、主体的に取り組んでいくことが重要でございます。このため、都は、都民が安心して耐震診断・改修ができるよう、安価で信頼できる改修工法の展示や施工業者に関する情報提供などを行っております。
 今後とも区市町村や関係団体と連携しつつ、さまざまな機会を利用して新たな助成制度の普及に努めるとともに、耐震改修等にかかわる情報提供の充実を図り、震災に強い都市づくりを進めてまいります。
 次に、景観計画の策定時における都民意見についてでございますが、東京を良好な景観を備えた魅力ある都市としていくためには、都民や事業者の参加と協力を得て施策を展開していくことが重要でございます。このため、都は今後、景観計画の検討過程においてパブリックコメントを実施し、広く都民などの意見を聴取するとともに、業界団体などと意見交換を行ってまいります。
 また、都民代表や学識経験者などで構成する景観審議会に計画案を諮ることとしており、これらの意見を踏まえながら景観計画を策定してまいります。
 次に、景観審議会の今後の役割についてでございますが、今回の条例改正では、大規模建築物の事前協議などの景観誘導において、一定の強制力を発揮できる制度の創設を提案しております。
 こうした制度を公正に運用するためには、景観の専門家など第三者からの意見聴取が重要であり、条例案では審議会の機能を強化することにしております。具体的には、設計変更などを命令する場合には、あらかじめ審議会の意見を聴取するとともに、事前協議制度においても、必要に応じて審議会に意見を求めることとしております。また、これらの手続を迅速に進めるための規定も定めており、新たな制度の円滑かつ適切な運用を図ってまいります。
 最後に、区市町村による景観施策との整合性についてでございますが、景観法では、一つの行政区域において、都または区市町村のいずれか一方が景観行政団体となり、法に基づく景観計画を定めることになっております。現在、都内全域について都が景観行政団体となっており、区市町村は都と協議し、同意を得ることにより、景観行政団体となることが可能でございます。
 今後、区市町村から協議の申し出があった場合には、都が景観計画で定める基準の共有を求めることによって施策の整合性を確保し、東京全体として良好な景観形成を積極的に進めてまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 環境施策に関する三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、緑の増加に向けた取り組みについてでありますが、東京を成熟した環境都市にしていくためには、緑の減少を食いとめるのはもとより、さらに緑をよみがえらせ、大幅な緑の増加を図ることが必要であります。
 都はこれまで、緑化指導、開発規制等を行うとともに、保全地域の指定や利活用を行い、緑の保全、創出に努めてまいりました。今後の緑施策の推進に当たりましては、規制的手法や、企業、都民の自主的な意欲を高める手法など、実効性ある取り組みを一層強めてまいります。
 次に、再生可能エネルギーの公共施設への導入についてでありますが、都は、これまでも、都議会議事堂や浄水場などの公共施設への再生可能エネルギーの導入を積極的に行ってまいりました。
 CO2を大幅に削減していくためには、省エネルギー対策の推進とともに、太陽光発電などの再生可能エネルギーの一層の普及を図る必要があります。今後、こうした観点に立って、公共施設などへの再生可能エネルギーの導入方策について検討してまいります。
 最後に、自動車交通対策についてでございますが、東京において自動車交通の混雑解消、大気汚染の改善、CO2の大幅な削減を実現するためには、三環状を初めとする道路の整備、燃費など車両の環境性能の向上とともに、自動車交通量の抑制に取り組んでいく必要がございます。
 都内の自動車走行量の六割は乗用車が占めていることから、公共交通機関利用への転換を促進するなど、都民のライフスタイルを変え、自動車利用のあり方を見直すことが重要な課題であります。今後とも、こうした観点に立って総合的な交通量抑制策を推進してまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、雇用環境の整備や職業訓練の充実についてでございます。
 中小企業に働く人々が意欲を持ち、キャリアアップを図ることは、東京の産業を支える上で重要であると認識しております。しかし、中小企業では雇用管理ノウハウの蓄積が少なく、また、従業員の能力開発の機会も必ずしも十分でありません。このため、都は、職場改善訪問事業や雇用管理の実務者研修などにより、働きやすい職場づくりを支援するとともに、技術専門校での在職者訓練等により、従業員のキャリアアップに取り組んでまいりました。
 今後とも都民が意欲と希望を持って働けるよう、中小企業の雇用環境整備や人材育成の促進に努めてまいります。
 次に、企業の社会的責任の取り組みへの支援についてでございます。
 これまでも都は、制度融資においてISOの取得や環境、福祉対策等を目的とした設備導入等を、有利な金利が適用される特定取り組み支援融資の対象としてまいりました。また、投資法人を活用し、福祉や環境分野に取り組む企業への投資を特色としたファンドへ出資してまいりました。こうした中小企業に対する適切な支援を行うことにより、社会的責任を果たすための取り組みが促されていくものと考えております。
 次に、いわゆる非正規労働者の雇用環境の改善についてでございます。
 非正規労働者については、正規労働者との均衡処遇を促進するなど、その雇用環境を良好なものとしていくことが重要であります。このため、都では、これまで非正規労働者の雇用環境に関するセミナーや相談会を実施するなど、普及啓発に努めてまいりました。さらに、今年度から賃金制度の整備など処遇改善に取り組む中小企業に専門家を派遣する事業を開始いたしました。
 今後ともこうした事業のPRに努めながら、非正規労働者の雇用環境改善に向けた中小企業の取り組みを促進してまいります。
 最後に、職場のメンタルヘルスの確保についてでございます。
 近年、働く人の精神障害等がふえており、企業にとって心の健康対策が重要な課題となっております。このため、都は、これまで企業を対象にメンタルヘルスをテーマとするセミナーなどを実施してまいりました。さらに、今年度からは、労使双方向けに、ストレス対処法なども取り入れた実践的なセミナーを開始するとともに、労働相談情報センターにおける心の健康相談を三カ所から六カ所に拡大しております。
 今後とも、だれもが健康で働き続けられるよう、職場におけるメンタルヘルスの確保の支援に努めてまいります。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 障害者施策などに関する五つの質問にお答えいたします。
 まず、グループホーム運営の支援についてでございますが、総合的な自立支援システムの構築を目指す障害者自立支援法では、グループホームについて、一定の範囲に所在する複数の住居を一つの事業ととらえ、事業規模の拡大により運営の安定を図ることとされており、今後、都としても、個々の事業者が事業規模の拡大に積極的に取り組むよう支援してまいります。
 なお、報酬の日額払い方式が導入されたグループホームについては、都は、先般、法の本格施行後も安定的な運営が確保されるよう、国に緊急要望したところでございます。これを受け、国は利用者の外泊時等も報酬算定上の加算措置を講じるなど、一定の改善が既に図られていると考えております。
 次に、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランの取り組みについてでございますが、都は、障害者が地域で自立して生活できるよう三か年プランを策定し、居住の場や日中活動の場などの整備を重点的に進めております。
 障害者自立支援法が十月から本格施行され、各事業は新サービス体系に再編されるわけでございますが、事業の安定的な運営は事業規模の拡大など事業者の経営努力等により可能であり、今後とも事業者の参入が見込まれると考えております。
 都は、三か年プランの着実な達成に努めるとともに、法の施行状況等も踏まえながら、必要に応じ国に対して制度の充実強化を求めてまいります。
 次に、就労支援の強化についてでございますが、障害者自立支援法では、障害者が意欲と能力に応じて働くことができるよう、就労支援を抜本的に強化することとされました。
 都は、法の趣旨を踏まえ、平成十八年度から二十年度までの障害者地域生活支援・就労促進三か年プランにおいて、区市町村障害者就労支援事業の拡充など、障害者の自立を目指す就労支援策を初めてプラン化したところでございます。都は、今後、三か年プランに基づく事業を推進するとともに、法に基づく就労支援に係る事業の実施を事業者に促しながら、障害者の就労を積極的に支援してまいります。
 次に、二次救急病院への患者集中に関する対策についてでございますが、少子化、核家族化が進行する中で、若い世代の親は子育てに関する知識、経験が少なく、また、夜間には診療を行う医療施設が少ないことから、子どもが急病のときに、軽い症状であっても、大病院を受診する傾向がございます。このため、都では、すべての地域において、身近な診療施設等で受診できるよう初期救急体制の整備に努めてまいります。
 また、親の不安を解消するため、子どもの病気に関する基礎知識、対処方法などの情報をインターネットで提供する「東京都こども医療ガイド」や、小児救急電話相談事業を実施しておるところでございます。
 最後に、子どもの夜間診療施設の確保についてでございますが、都では、区市町村が行う夜間の初期救急事業に対する支援を行っておりますが、その実施に際しては、小児の救急患者に対応できる医師の確保など地域ごとにさまざまな課題がございます。このため、都では、こうした医師を確保するため、地域の医師を対象とした小児救急医療に関する研修事業を実施するとともに、複数の区市町村が共同で初期救急診療事業を実施する場合についても補助を行うなど、地域の実情を踏まえた支援策を講じております。
 都としては、引き続き、区市町村、地域の医師会、病院等に働きかけ、早期にすべての区市町村において小児の初期救急診療事業が実施されるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君) 予算編成手法の見直しについてでございます。
 これからの財政運営において重要なことは、財政を質的に転換し、強固で弾力的な基盤を確立することでございます。シーリングを主体としたこれまでの手法だけでは、限界があるのも事実でございます。そのため、庁内分権の視点に立った経費区分の見直しなどにより、各局の自主的、自発的な取り組みを促すとともに、それだけではなく、事務事業評価制度あるいは事業別バランスシートなどを活用し、決算分析の充実と翌年度予算への反映を徹底していくことといたしました。
 こうした新しい仕組みを取り入れ、新陳代謝を絶え間なく行っていくことで、これまで以上に効率的、効果的に予算を編成してまいります。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時五十七分休憩
   午後五時十三分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十九番長橋桂一君。
   〔五十九番長橋桂一君登壇〕

○五十九番(長橋桂一君) 最初に、このたびの悠仁親王のご誕生を、多くの都民の皆様とともに心からお祝い申し上げます。
 それでは、東京都議会公明党を代表して質問いたします。
 東京がオリンピック国内候補地に決定したことは、都民にとって大きな朗報であります。二〇〇八年の北京、二〇一〇年の上海万博、そして二〇一二年のロンドンを経て、二〇一六年に東京オリンピックを実現することができれば、東アジアを中心とした新たな発展の展望が開け、日本のみならず周辺諸国の活力が増大し、交流が活発化することは間違いありません。したがって、三年後のIOC総会での選考に勝ち抜くためにも、東京が目指すべき防災、治安、安全・安心の東京、そしてバリアフリーや環境への配慮を含めたトータルな東京の都市ビジョンを、目覚ましい発展を遂げている東アジアの活発な交流も視野に入れながら、改めて提示していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 また、国内候補地に決定した大きな要因が、都の財政力であるとされておりますが、これが強調され過ぎて、再び東京ひとり勝ち論が頭をもたげてくることに若干の危惧があります。都の財源を地方に配分する計画が企てられたり、オリンピック関連施設の整備費を都が過重に負担させられたりしないよう取り組むべきであります。
 都の財政が十六年ぶりに黒字に転換して、財政再建に一定のめどが立ったことは事実ですが、都政の歴史には財政破綻の危機に瀕した経験が少なくとも二回あります。過去の同じ轍を踏まないためにも、引き続き緊張感を持った財政運営を心がけるべきであり、知事はそうした都の状況を広く内外に発信すべきであります。都財政の現状と今後の財政運営について、知事の所見を伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 都はこれまで、都議会公明党の強い要請により、不断の行財政改革に取り組んできました。他の自治体を上回る大幅な職員定数の削減や、国に先んじた監理団体改革などを推進し、都の財政再建につながったことは高く評価するものであります。
 このたび都が策定した行財政改革実行プログラムでは、公営企業改革や監理団体改革などで踏み込んだ取り組みが提起され、また、これまでにはない切り口の改革も盛り込まれております。特に監理団体改革では、実行プログラムとあわせて中期経営計画が公表されました。団体トップの強力なリーダシップのもと、中期的な視点に立って戦略的な経営改革を進めていくことは、都議会公明党も強く主張してきたところであります。
 計画を実行するに当たっては、単年度では効果のあらわれない取り組みについても、中期的な視点から進捗の度合いを評価する仕組みづくりが重要と考えます。都の所見を伺います。
 次に、行財政改革実行プログラムに関連して都立病院改革について伺います。
 ここ数年、国の医療制度改革など、医療を取り巻く環境が大きく変化しております。新たな医師臨床研修制度の実施、診療報酬体系の見直し、全国的な小児科、産科医師の不足など、病院経営はますます厳しくなっております。
 これまで都は、平成十五年策定の都立病院改革実行プログラムに基づき、病院の再編や保健医療公社に経営をゆだねる公社化などの改革を進めてきました。しかし、今回の行財政改革実行プログラムでは、新たに地方独立行政法人化などを視野に入れた新たな経営形態の検討に言及しています。
 そこでまず第一に、都立病院の経営形態として、なぜ独立行政法人化の検討が必要なのか、その背景や目的、意義を含めて明らかにすべきであります。所見を伺います。
 これまで都は、都立病院改革実行プログラムの中で、都立病院の役割として、社会的要請から特に対策を講じなければならない高度医療などは、行政的医療として都立病院が担うと明記しております。都立病院を独立行政法人化すると、これまで以上の効率性や採算性が求められ、優秀な医師の確保や、都立病院が担っている行政的医療に影響が出るのではないかとの懸念があります。都は、こうした懸念の声にこたえるべきであります。独立行政法人制度のもとで、行政的医療は十分に提供できるのか、都の見解と方針を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、知事の所信表明にあった仮称健康長寿医療センターの整備でありますが、我が国は非常に速いスピードで高齢化が進んでおります。このため、高齢者に対する最新の医療を都民に広く提供していく新たな拠点の整備は、まさに時宜にかなったものであると考えます。
 しかし、一方では、老人総合研究所と老人医療センターが統合することにより、おのおのの特性や長所がいかに生かされるのか、これまで多大の成果をおさめてきた両機関の機能をいかに維持向上させるのか、あるいは両機関を統合することで生じる付加価値とは一体何か、都は明確に説明すべきであります。所見を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 公明党は、これまで、待機児童ゼロ作戦など積極的に少子化対策に取り組んできました。また、本年四月には、いわゆるチャイルドファースト社会の構築を目指す少子社会トータルプランを取りまとめました。結婚や出産はあくまで個人の選択と判断の問題であり、第三者や行政が口を挟むべき問題ではありません。しかし、子どもを産みたくても産めない要因があるならば、それを取り除くことは、もはや国や地方自治体、さらには社会総体の責任であるといわねばなりません。とりわけ日本の首都である東京都の取り組みは全国の指標となり、各地の自治体の取り組みを左右するといっても決して過言ではありません。
 都議会公明党は、本年六月、東京都が独自に実施している乳幼児医療費助成制度の対象年齢を、現行の未就学児童から中学校三年生まで拡大すべきであると知事あてに申し入れを行いました。その際、福祉保健局長は、前向きに検討すると述べました。あれから三カ月がたちますが、その後の検討状況をまず明らかにしていただきたいと思います。
 医療費助成制度や児童手当は出産後の支援策ですが、同時に出産そのものへの支援策も不可欠であります。
 都議会公明党は、去る八月二十九日、分娩件数が国内でも一、二を誇る葛飾赤十字産院を視察いたしました。同院の特色は、全国的にも珍しい助産師外来という専門外来があることで、院内のみならず大学病院や地域の助産所とも密接な連携を図っています。
 ここで、注目したいのは、医師、看護師とともに出産を支えている百十一人に上る助産師であります。葛飾赤十字産院での助産師の活躍を目の当たりにして、産科医の不足が指摘される中、改めて今後は助産師の活用策を検討すべきであると痛感をいたしました。
 都内においては、平成四年以降、助産師数が増加し続けており、平成十六年末には二千六百八十九人、出生数三十六・九人当たり一人の割合で、全国平均を大きく上回っています。都は、人数的には恵まれている都内の助産師をより積極的に活用するため、院内における医師、助産師、看護師などによるチーム医療はもとより、地域における病院、診療所、助産所の連携を今後一層強化すべきであります。見解を伺います。
 次に、軽費老人ホームについて伺います。
 軽費老人ホームA型は、高齢者が低額な利用料で日常生活上必要なサービスを受けながら安心して生活できる施設であり、都内十施設におよそ七百人の方が暮らしております。
 国の税制改正により利用料が急騰するケースが頻発することから、公明党は本年三月の予算特別委員会において対応策を強く求め、本年度の利用料は据え置くことが決まりました。しかし、問題は来年度以降であります。
 我が党は先日、福祉保健局長に対し、来年度においても利用者の急激な負担増とならないよう要請を行ったところであります。そこで、改めて、軽費老人ホームA型の利用料については、今後とも急激な負担増が起きないよう配慮すべきであります。所見を伺います。
 次に、この十月より本格施行される障害者自立支援法に関連して伺います。
 この法律の策定に携わった厚生労働省の審議官によると、障害者自立支援法の立法の趣旨は障害者の自立と社会参加であり、そのための一般就労の促進であるとし、厚生省と労働省が一体化した意味もそこにあると話しておりました。この趣旨には大賛成であります。
 都議会公明党は、障害者自立支援法が本格施行されるに当たり、実際に障害者を雇用している幾つかの民間企業を視察いたしました。そこで改めて認識させられたのは、障害者の一般就労に対する家族、福祉施設、養護学校などの意識改革が不可欠であるということであります。
 大手メーカーの関連企業で、重度の知的障害、発達障害を持つ人を雇用し、さまざまな工夫の末、健常者以上に生産性を高めて、自立するのに十分な賃金を支払っている会社が存在します。成功の要因は数多くありますが、印象深かったのが、福祉施設から転職してきた女性のジョブコーチの意識改革でした。
 彼女は福祉施設に長くいたため、本人が気づかないうちに、助けてあげる、守ってあげるという意識がしみつき、企業での生産性を上げるという目標が達成できなかったといいます。そこで、上司の厳しい指摘もあって、おのおのの能力をでき得る限り生かすことに専念した結果、さまざまな試行錯誤はあったものの、一人一人の能力に合わせた職場環境や作業道具を開発して、生産性や効率性を大幅に上昇させることが可能になったそうです。家族の方たちも、最初は心配していたものの、今では大変に感謝されているということでした。
 障害者の真の自立を支援するためには、こうした意識改革が重要であります。東京都は、東京しごと財団の心身障害者職能開発センターにおいて、自立支援のために、職業訓練、委託訓練、地域求職活動援助の三事業を行い、昨年は、施設内での職業訓練事業の結果、修了者四十五人中三十九人が就職、また、委託訓練事業では、五百七十五人の修了者のうち三百四十七人が就職をするなど、大きな成果を上げています。
 この成果をさらに拡大するためには、次は送り出す側の家族、福祉施設、養護学校などの意識改革に取り組む必要があります。しごと財団の心身障害者職能開発センターが核となって、区市町村の地域支援センターや養護学校とのネットワークを形成し、自立支援、一般就労に向けて、家族、施設、学校が一体となった取り組みを支援すべきであります。都の見解を伺います。
 また、三事業の中でも特に大きな実績を上げているのが委託訓練事業であります。これは、企業などへの委託訓練だけではなく、訓練終了後のトライアル雇用、そして本就労までの一貫したコーディネートを行っており、成果を上げています。おのおのの適応性を判断する上からも、企業等におけるオン・ザ・ジョブ・トレーニングは重要であります。今後は、この委託訓練事業を障害者就労の大きな柱として拡充していくべきであります。都の見解を伺います。
 また一方、重度重複障害等で一般就労が不可能な人たちもおります。そうした方々のためには、従来からの授産施設が果たす役割は極めて重要です。しかし、これらの福祉施設における工賃は平均月額一万五千円程度であり、経済的自立などは到底不可能であります。厚労省は来年度の概算要求において、公明党の主張により、授産施設における工賃倍増計画支援事業を盛り込みました。経営コンサルタント派遣による経営改善、授産施設間の連携による共同受注システム導入などで工賃を大きく伸ばそうという内容です。こうした動向を踏まえ、都は率先して東京の地域特性を生かした工賃倍増支援事業を導入し、強力に推進すべきであります。見解を伺います。
 なお、公明党は先月、障害者自立支援法の十月全面施行に向け、国に対し、福祉サービスの利用者負担の軽減と施設運営の安定化などに関する緊急要望を行い、それが実現することになりました。例えば、通所施設の未就学障害児の負担が保育所の保育料程度に減額され、また、入所施設の障害児についても低所得世帯の負担が一段と軽減されることになり、さらに、グループホーム等の報酬への新たな加算などの追加措置も講じられます。
 こうした国の動向の中で、次に心配されているのが都の施策であります。この四月、都独自の負担軽減策を実施したところでありますが、従来の事業がすべて廃止されてしまうのではないかとの不安が障害者や関係団体などから寄せられています。そこで、都は、このような不安を払拭するためにも、重度のグループホームに対する夜間支援の継続や小規模作業所に対する支援など、従来の障害者福祉サービスの運営水準を今後も堅持していくという強い決意を発信すべきであります。所見を伺います。
 次に、発達障害者支援について伺います。
 自閉症、アスペルガーなどの発達障害は、研究が進むにつれ、問題の大きさが明らかになりつつあります。公明党は、国においては発達障害者支援法の成立を一貫して働きかけ、十七年度からの施行を実現いたしました。また、都議会においてもたびたびこの問題を取り上げ、施策の推進を強く求めてきました。
 この夏、我が党は、発達障害に関して先駆的な研究や診療に取り組んでいる東京大学医学部附属病院こころの発達診療部を視察してまいりました。そこでは、発達障害の症状と脳の機能障害との関係を探る極めて興味深い研究が行われており、さらに、障害の診断や療育相談にも意欲的に取り組んでおりました。
 都としても、発達障害者支援の拡充には、こうした東大病院などとの連携が不可欠であります。都は、先駆的な研究に取り組んでいる機関と連携を図り、一日も早く支援を拡充すべきであります。見解を伺います。
 さらに今後、府中に予定されている小児総合医療センターと大塚病院が東大病院や成育医療センターなどと連携を図り、発達障害の研究、診断、療育などの体制を大幅に強化していくことを強く要望いたします。
 また、厚生労働省は、発達障害者支援を拡充するために、来年度の概算要求を四・四倍にする方針を固めたと報道されました。その中で、有効な支援策の情報を全国に発信する拠点として、仮称発達障害対策情報センターを新設するとしています。
 具体的には、国と全国二十カ所の自治体に専門家による委員会を設けて各地の取り組みを検証し、支援手法を確立するとともに、情報センターを通して、おのおのの家庭や医療機関、学校や支援機関に情報提供していくとしています。最も発達障害者が多く存在すると考えられる東京都こそ、率先してこの事業に名乗りを上げるべきであります。見解を伺います。
 また同時に、平成十五年度の開設当初より日を追うごとに利用者が増大し、多様なニーズに対応している都内で唯一の発達障害者支援センターが、決定的な人員不足に苦慮しております。体制強化を図るべきです。あわせて見解を伺います。
 次に、心身障害者扶養年金制度について伺います。
 先般、有識者会議による中間のまとめが発表され、現行制度を維持することは困難であり、廃止について検討すべきとの方向性が示されました。また、注目すべきは、制度維持が困難な事態に至ったことに対する都の責任に言及している点であります。都は、この指摘を厳粛に受けとめ、加入者への対応に誠心誠意取り組まなくてはなりません。都の責任について所見を伺います。
 また、扶養年金制度の廃止を検討せざるを得ないとしても、保護者亡き後の不安の軽減と障害者福祉の向上を図るという制度の目的は、依然として重要であります。保護者亡き後も地域の中で自立して、尊厳を持って生活できるためには、地域の居住の場であるグループホームの質、量ともの拡充が不可欠であります。グループホーム等の生活基盤整備促進について所見を伺います。
 次に、都内における良質な労働力の確保について伺います。
 「下流社会」の著者として有名な三浦展氏は、別の著作の中で、もはや日本の企業は一定の職務能力を要するアルバイトには国内の若者の採用を控え始めているとの趣旨の指摘をしています。また、東京商工会議所や内閣府の調査結果を見ても、若年者の基礎学力と労働意欲の低下は明らかです。日本の労働力の質が、今大きく変化しようとしています。加えて、昨年は初めて日本の総人口が減少に転じました。今後は、質とともに量としての労働力も不足するという厳しい現実が待ち構えています。
 そこで、第一に知事にお伺いします。
 諸外国から見ればうらやましいほど極めて勤勉で有能であったという日本の労働者の特質こそが、日本の最大の財産でありました。その財産が崩壊し、国力の衰退の危機に瀕しています。その背景には、家庭や地域の教育力の低下や学校の問題など、多様な要因が複雑に絡み合っています。
 したがって、まずは国が中長期的な視点に立って取り組むべきではありますが、都としても可能な対策は講じるべきであります。最も人口が集中する首都東京で、質と量の両面にわたる労働力の低下という難問を解決しない限り、国力の衰退という国家的な危機を回避することはできません。
 安易に外国人労働力に依存する前に、まずは国内において、都はあらゆる機関と連携し、近い将来の日本と東京を支える人材、労働力を確保する努力をするべきであります。難問に向かってこそ強いリーダーシップを発揮する知事の所見を伺います。
 第二に、個人の能力開発の促進です。
 ワーキングプアと呼ばれる人々の多くは、学生のアルバイトと同じ程度の賃金しか得られない職についています。その現状から脱却するためには、能力開発、つまりスキルアップが不可欠です。しかし、現在のしごとセンターでは、相談業務の中で都立技術専門校を紹介する程度の取り組みにとどまっています。そこで、今後は、しごとセンターの窓口機能を充実させ、専門校の紹介から選択、あっせんまでを連続的に行い、都民の再チャレンジ支援を強化するべきと考えますが、見解を伺います。
 また、国には教育訓練給付金という雇用保険法上の制度がありますが、これは、非正規職の人々はほとんど対象外となっているのが現状です。また、雇用保険の非加入者に支給される職業訓練手当がありますが、これも四十五歳未満は対象になりません。また、年齢制限のない貸付制度はあるものの、月額二、三万円と少額にとどまっています。スキルアップには当然コストがかかります。そこで、都は、例えば再チャレンジ奨学金などと銘打って、年齢のいかんを問わない具体的な支援策に乗り出すべきであります。見解を伺います。
 第三に、都内を幾つかのゾーンに区分した上で、都立技術専門校を活用した地域単位の就労支援策の実施が必要です。重要なのは、地域と技術専門校の従来にも増した連携です。各ゾーン共通のニート・フリーター対策はもとより、おのおののゾーンの中小企業の特質に合わせた人材育成を技術専門校が中心となって行うべきです。時には出張・出前講座なども行って、人材育成と人材のコーディネート機能を発揮すべきです。所見を伺います。
 第四に、家庭と労働の両立です。
 子育てをしながら就労が可能な、女性のための雇用環境の整備が重要です。有効な方策の一つが在宅勤務の普及です。ITの活用が目覚ましい現在、社内外の連絡や報告は機器を通じて即時に可能であり、通勤負担の少ない在宅勤務は、女性のみならず障害者や高齢者にとっても極めて望ましい制度です。そこで、都は、在宅勤務の創出、普及を図るためのモデル事業などを実施するべきと考えますが、見解を伺います。
 第五に、高齢者の積極的な社会参加を促す多様な働き口の確保です。
 都は現在、都市農業の新たな担い手対策や、介護や子育ての経験を生かした有償ボランティアなど、さまざまな課題に取り組んでおります。そこで、今後は、しごとセンターにおいてこのような事業の紹介、あっせんなどを行い、意欲のある高齢者の多種多様なセカンドライフを支援するための就労対策を行うべきであると考えます。見解を伺います。
 なお、現在、しごとセンターは都内に一カ所ですが、近い将来、ぜひとも多摩にも設置すべきであることを要望しておきます。
 次に、再生可能エネルギーについて伺います。
 石原都知事は、所信表明で、五輪招致へ向けて東京都から排出されるCO2を半減すると発表しました。今後は、目標達成への具体策が重要であり、その柱の一つが再生可能エネルギーの普及であります。
 オリンピック概要計画書では、カーボンマイナス・オリンピックを目指す、選手村などのエネルギーは再生可能エネルギーで供給するなどと明言しています。二カ所の立候補予定都市を擁するアメリカでは、既にカリフォルニア州が二〇〇七年から十年間、約三千四百億円を投じて三千メガワットの太陽光発電を目指す計画を発表しています。また、東京と政策提携を結んだロンドンでは、大規模開発計画の開発者に対して、最低一〇%の再生可能エネルギーの利用を求める制度を導入しています。こうした先進事例を参考に、さらに説得力のある環境対策を打ち出していかなければ、世界の五輪立候補都市に勝ち抜くことはできません。
 例えば、現在、バイオマス発電の最も有効な原料は、木材から出る木くずであるそうです。多摩山林の木材を製品化し、その過程で発生する木くず等を利用してバイオマス発電を行えば、山林の再生、林業の復活、そしてエネルギーの供給が三位一体で実現し、格好のモデルケースとなります。
 都は、さきに再生可能エネルギー戦略を発表しました。来年度策定予定のオリンピック環境ガイドラインにこれを生かすべきであります。具体的で説得力のある戦略的な環境ガイドラインの策定に関して、知事の見解を伺います。
 なお、環境ガイドライン策定に際しては、環境問題の関連団体の協力を仰ぐべきであります。あわせて所見を伺います。
 次に、具体的な再生可能エネルギーの利用拡大について伺います。
 石油会社は、二〇〇七年夏からガソリンスタンド五十店で、トウモロコシなどの植物原料からつくったバイオエタノールを混合したガソリンの販売を始め、二〇〇九年には一千店に広げる予定であります。このバイオエタノールは庁有車に導入すべきです。さらに、ディーゼル車への導入を研究し、都バスなどでも活用すべきです。所見を伺います。
 次に、都民出資による再生可能エネルギーの普及であります。
 岡山県備前市では、市民出資による太陽熱や木質バイオマスなどの温熱供給サービス事業を展開し、注目されております。五輪関連施設のエネルギーを再生可能エネルギーで賄うために都民の出資を求め、機運の盛り上げ、意識の啓発につなげる仕組みを検討すべきであります。都の見解を伺います。
 また、都は、二〇〇四年度に電気グリーン購入制度を導入し、都の大規模施設には五%の再生可能エネルギー使用を求めています。しかし、これは努力義務にすぎません。今後、都内におけるグリーン購入制度を実効あるものにするためにも、改めて明確なルール化あるいは義務化を行うべきであります。所見を伺います。
 さらに、都内には都営住宅、教育施設など再生可能エネルギーの活用が想定できる公共施設が数多く存在します。これらの公共施設などの建設に際しては、太陽光発電装置を設置するなど再生可能エネルギーの大胆な導入を図るべきでありますが、都の見解を伺います。
 次に、景観条例の全面的な改正、とりわけ屋外広告物条例について伺います。
 都市の環境を考える上で、景観は欠かせない要素であります。パリやローマに負けない魅力ある東京をつくることは、恐らく都民共通の願いであります。その意味で、これまで野方図だった屋外広告物に手をつけることは歓迎すべきことであると考えます。オリンピック招致と絡めて、東京の屋外広告物についての知事の認識を伺うとともに、景観行政と連携した広告物規制の取り組みについて当局の所見を伺います。
 次に、教師の資質の向上について伺います。
 団塊の世代の定年時期を迎え、教員でも平成十九年度から毎年二千人を超える規模の退職者が見込まれ、今後十年間で小学校教員の半数が入れかわることになります。また、東京都の教員の年齢構成は、五十歳代が全体の三割を超え、三十代半ば以下が二割程度と少なく、豊かな経験を持ったベテラン教員が急速に減少していきます。特に教育管理職の退職者は、平成十九年度から二十年度にかけて四百五十人程度に上り、ピークを迎えます。
 学校におけるさまざまな教育課題を解決し、適切な学校運営を行っていくためには、優秀な教育管理職を安定的に確保しなくてはなりません。したがって、大量退職が続く間は、第一に、優秀な教育管理職については、定年退職後もフルタイムの再任用教員として校長、副校長に登用していくことを検討すべきです。また、第二に、小中高などの校種間の人事交流の促進も検討すべきです。あわせて所見を伺います。
 次に、資質の高い教員を確保する観点から免許更新制などが議論されておりますが、ここでは二十年度発足予定の教職大学院について伺います。
 大量退職に対応するため安易に大量採用に走ると、採用教員の資質、能力の低下が心配されます。一方、教職大学院は、高度な実践力、応用力を備えた教員を養成していく、教員養成の専門職大学院です。既に都内においても六大学が名乗りを上げています。この教職大学院制度を活用し、優秀な教員確保、リーダー養成を図っていくことが必要です。所見を伺います。
 次に、教員を志望する教職大学院の学生は教員免許を有しており、連携協力校で実習生として受け入れれば、多様な教育活動を展開することが可能になります。実習生受け入れについて所見を伺います。
 続いて、住宅政策について伺います。
 国は、豊かな住生活の実現を図るため、その基本理念、国等の責務、住生活基本計画の策定などを定めた住生活基本法を制定し、住宅政策の見直し、拡充を図ろうとしています。住宅こそすべての生活の基盤であり、都としても最重要課題として取り組むべきであります。
 これまで、都は、都道府県で初の住宅基本条例を制定し、国や他の自治体に大きな影響を与えてきました。住生活基本法で示された住生活基本計画の策定に当たっては、都のまちづくり、産業、福祉、環境などの政策分野との連携を強化し、全国の自治体をリードするとともに、都市における質の高い住環境、住生活を実現するための住宅政策総合プランとして早急に取りまとめるべきであります。策定時期とあわせて見解を伺います。
 また、プラン策定に当たっては、住宅政策立案のための体制強化が不可欠であります。プラン策定の専門部署や委員会を設置するなど、体制強化に取り組むべきであります。見解を伺います。
 次に、都営住宅の管理制度について伺います。
 昨年十二月、国土交通省より公営住宅の管理の適正な執行についてガイドラインが示され、都においても、住宅政策審議会の答申を経て、都営住宅の管理制度について見直しが進められています。
 なお、使用承継制度の見直しについては、公明党の第二回定例会代表質問の主張を反映し、居住の安定を図る必要がある高齢者、障害者、病弱者の例外規定の継続と十分な周知期間を設けたことは評価するものであります。
 さて、国交省のガイドラインによると、小さな子どものいる世帯や多子世帯などについては、入居者選考において優先的に取り扱うことが適当であるとしています。公明党は、子育て支援策として、若年ファミリー世帯や多子世帯向けの優先入居制度の導入、拡充を推進してまいりましたが、実態はまだ不十分であります。そこで、国交省のガイドラインを受け、住宅困窮度の高い子育て世帯への支援をさらに強化すべきであります。見解を伺います。
 さらに、ガイドラインでは、入居者選考において住宅困窮事情を的確に反映させるため、可能な限り保有資産を把握し、選考の際の考慮事項とするとしています。しかし、法制度上、都には収入に関する調査権限はあるものの、資産に関する調査権限はありません。仮に制度を構築しても、応募者の申告内容をチェックする手段を持たなければ、適正に運用することはできません。実効性のある制度にしていくために、調査権限の付与を国に要望していく必要があり、それ以前に拙速にこの制度を導入すべきではないと考えます。見解を伺います。
 次に、都営住宅の耐震化について伺います。
 現在、都営住宅は約七千二百棟、約二十六万五千戸に上ります。このうち、昭和三十年代以前に建設された住宅については、毎年約三千戸の建てかえを実施し、耐震化等に取り組んでおります。しかし、国の基本方針が示す十年後の耐震化率九割の目標を達成するためには、現在の取り組みだけでは不十分であります。
 そこで、旧耐震基準で建設された昭和五十五年以前の都営住宅で耐震診断が実施されていない住宅は何棟あるのか、明らかにすべきであります。
 さらに、都が十八年度じゅうに作成するとしている耐震改修促進計画の策定とあわせ、都営住宅の耐震診断と耐震化を急ぐべきであります。あわせて所見を伺います。
 次に、自殺防止対策について伺います。
 国内の自殺者は八年連続で三万人を超え、都内では毎年二千五百人を超える人々がみずから命を絶っています。また、とりわけ中高年が多く、問題の深刻さを示しています。
 さきの国会で自殺対策基本法が成立し、背景にさまざまな社会的要因があることを踏まえ、自殺対策が社会的な取り組みとして実施される必要があるとされました。
 都においては、心の健康対策を中心に、自殺予防につながる施策がとられていますが、改めて対策全体を見直し、施策の強化を図る必要があります。背景にある社会的要因の分析や対応も含め、社会総体での取り組みが推進できるよう、施策の体系を再構築すべきであります。
 関係局の連携はもちろん、職場、学校、地域などのさまざまな角度から、総合的な自殺対策に踏み出すべきであります。所見を伺います。
 次に、救命救急対策について伺います。
 阪神・淡路大震災では、家屋等の倒壊で道路が遮断されたことにより、救急車の走行が不可能となり、重症患者の搬送がおくれて、多くのとうとい命が犠牲となりました。
 以来、一部の防災関係者の間では、ドクターヘリの導入を求める声が強まっています。ドクターヘリは、救命専用の医療機器を装備し、救命医療の専門医師と看護師を搭乗させたヘリコプターで、患者の搬送時間を大幅に短縮できるだけでなく、現場から救命救急センターに搬送するまでの間も患者に救命治療を行うことが可能な、まさに空飛ぶ救命救急センターといえます。
 震災時や交通事故などで重症患者が発生した場合、一分一秒でも早く救命救急活動を行うことが重要です。
 ドイツでは、救急医療は十五分以内で始めなければならないという十五分ルールが法律で定められています。したがって、国内どこでも十五分以内で飛べるよう、ドイツ全土で七十八機のドクターヘリが配備されています。その結果、ドイツでは、ドクターヘリ導入後、二十年間で交通事故による死者が三分の一に減少しています。
 現在、日本では、北海道を初め、千葉、神奈川、静岡、長野、愛知、和歌山、岡山、福岡県などでドクターヘリが運用され、大きな成果を上げています。
 公明党は、救命救急医療に大きな役割を担うドクターヘリを普及させるため、本年七月、全国配備を推進するための法案骨子を発表し、秋の臨時国会での成立を目指しています。
 そこで、まず第一に、東京大震災や災害時における救命救急活動により都民の生命を守るため、ドクターヘリは有効であると考えますが、所見を伺います。
 まだ東京都には、残念ながらドクターヘリが整備されていません。運用する主体は、救命救急センターとなる病院です。運行費用は、一機当たり年間約二億円かかりますが、国と都道府県が半分ずつ助成することになります。
 そこで、東京都においても、都立病院や国立病院、民間病院と連携をとり、早急にドクターヘリを導入するとともに、体制整備に着手すべきです。所見を伺います。
 加えて、島しょ部に生活する方々は、いざというときには一刻も早く都内の病院に到着し、適切な治療を受けたいというのが悲願です。
 現在、消防庁のヘリが島しょ部の救急患者の搬送に活躍していますが、現状では、さまざまな事情から、八丈島の救急患者を都内に搬送するため四時間から六時間かかります。
 そこで、島しょ部の救命救急対策として、ドクターヘリの検討など、搬送時間を短縮するため、都の具体策をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 長橋桂一議員の代表質問にお答えいたします。
 東アジアとの交流も視野に入れた都市ビジョンについてでありますが、東アジアは今や世界で最もダイナミックに変貌を遂げ、発展を遂げている地域になってまいりました。その圧倒的な可能性を十分に活用することが、世界に対する繁栄と平和をもたらす大きな契機となると心得ております。
 現にIMFなどでは、東アジア諸国からの金融資本の増加を踏まえて、組織や機能の見直しが考えられているようでありますが、今回策定する二〇一六年の東京の都市像では、東アジアの飛躍的に高まったプレゼンスを背景に、欧米地域以外で初めて二回目のオリンピックを開催するため、交通渋滞の解消はもちろんのこと、環境、治安、産業など、さまざまな分野で成熟した都市の新たな可能性を世界に示していきたいと思っております。
 例えば、IT技術を活用した治安、防災機能の強化、あるいは地球温暖化の進行を阻止するために、世界に先んじたCO2の半減都市モデルの実現、あるいは、障害者や高齢者はもとより、だれにとっても暮らしやすいバリアフリーが徹底された社会の推進など、二十一世紀の新しい都市モデルを明らかにしていきたいと思っております。
 さらに、アジアのアスリート育成やスポーツ交流なども大切な視点でありまして、アジア大都市ネットワークなども一層活用しながら、東京の成果やノウハウを還元し、東アジアの一層の成熟化を牽引していきたいと思っております。
 次いで、都財政の現況と今後の財政運営についてでありますが、最近、全国の自治体の中で東京ひとりだけが裕福であるという意見がしきりに喧伝されておりますけれども、忘れてならないのは、この東京は、私も就任以来、ずっととにかく議会も都庁側も協力しまして、内部努力としてさまざま手を尽くし、つい最近までは財政の立て直しに必死になってきたということであります。
 将来に目を向けても、諸外国の大都市と比べ見劣りのする都市インフラの整備や人口減少社会への対応など、幾つもの高いハードルが都財政をまだ待ち受けております。
 こうした将来の需要やこれまでの再建努力を顧みることなく、一部の表面的な事象だけをとらえて主張する東京富裕論は、非常に一方的で、一方的な見方であります。決して東京に余裕がそれほどあるわけではございません。
 この先、理不尽な動きを見せる国とは徹底的に戦いながら、過去の過ちを反面教師として、税収の回復にも浮かれることなく、かぶとの緒を引き締め、内部努力を初めとする構造改革を引き続き積極的に進めてまいります。
 次いで、質、量にわたる労働力の確保についてでありますが、我が国が今後とも国際競争力を高め、活力を維持していくためには、労働力の質と量の確保がご指摘のように不可欠であります。
 しかし、残念ながら、若い世代において、働くことに対する自覚の欠如など労働力の質の低下や、少子高齢化による労働力の量的な不足が懸念されておりまして、このため、若年者に社会人としての常識や能力を付与するための基礎訓練を行うとともに、職場体験などによりまして子どもたちの職業観を醸成するために、学校、地域、家庭が一体となって取り組んでいく必要があると心得ております。
 さらに、働く意欲のある高齢者や女性など潜在的な労働力を有効活用するとともに、ITなど最先端技術により生産性の向上を促進していかなくてはならないと思います。
 例えば、定年制などという、制度というよりも、それを支えてきた一つの物の考え方というものを、今日社会の本質的な変化に沿って根底的に見直していく必要があるのではないかと思います。
 次いで、オリンピック環境ガイドラインについてでありますが、環境はオリンピックでは三つの柱の一つに位置づけられておりまして、開催都市には環境問題への積極的な取り組みを行うことが求められております。
 地球温暖化は、人類が直面する最も深刻な環境問題でありまして、その進行を阻止するためには、徹底した省エネルギー対策とともに、再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大が必要であります。
 大会の開催に向けては、こうした観点を踏まえ、施設整備や大会運営の環境指針となるオリンピック環境ガイドラインを策定し、太陽光やバイオマスを活用した発電など、日本が持つ最先端の環境技術を総動員して、選手村などの施設のエネルギーを再生可能エネルギーで供給していきたいと思っております。
 東京大会を、大都市と環境との調和を目指す都市モデルを発信する場と位置づけ、徹底した環境対策を実施し、東京をさらに先進的な環境都市としていきたいと思っております。
 次いで、屋外広告物に対する認識についてでありますが、日本の大都市は至るところに屋外広告があふれておりまして、東京も目ざわりな広告物がはんらんしております。
 私は、かねがね、東京を視覚的にいらいらしなくて済むような景観を備える都市にする必要があると思ってまいりました。環境庁長官時代に、新幹線の沿線に沿って、せっかくすばらしい自然が展開するなと思ったら、学生服だとか何とか足袋の広告が立っているのは興ざめでありまして、あれを時限立法でとにかく淘汰するような提案をいたしましたら、これはもう通産省から猛烈な反対がありまして、経済効果を損なうということでつぶされましたが、やっとこのごろになって、国も景観法なるものをつくったようであります。
 このための強制力のある条例をつくりまして、今後策定する景観計画の中で広告物の規制を強化する地区を新たに指定する。例えば、水辺の周辺など観光振興を図る地区であるとか、文化財庭園周辺などの眺望の保全が必要な地域、そういったものを対象に屋上施設の広告物やネオンの色彩などを制限していきたいと思っております。
 こういうことをやりますと、必ず表現の自由というのが出てきまして、ここら辺はやはりどこで感覚的に折り合うかということが大事だと思いますが。
 オリンピックの国内立候補都市が東京に決定したことをきっかけに、新たな取り組みをスタートさせまして、成熟した都市にふさわしい、落ちつきのある首都東京の実現に取り組んでいきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、優秀な教育管理職の確保についてでございます。
 お話のとおり、教育管理職も大量退職期を迎えまして、優秀な人材を確保することが重要な課題となっております。
 そのため、今年度の教育管理職選考におきましては、受験対象者の資格年齢を拡大するとともに、一定の資格を有する者のうち、区市町村教育委員会や学校長の推薦を受けた者を対象とした新たな選考区分を導入するなど、制度の見直しを行ったところでございます。
 さらに、定年退職する教育管理職の中には、豊富な経験を有し、学校教育に対する情熱を持ち続けている者が少なくないことから、新たに来年度以降、区市町村教育委員会と連携いたしまして、大量退職のピークを迎えている小学校を中心に、再任用フルタイム勤務の校長、副校長の登用を図ってまいります。
 次に、教育管理職の校種を超えた人事交流についてであります。
 今後、教育管理職の退職者数は全体として大幅に増加するものの、校種ごと、小・中・高の学校校種ごとにピークの時期が異なっております。教育管理職の校種を超えた人事交流を進めることは、優秀な教育管理職を確保する上で一つの有効な方策であると考えております。
 このため、特に退職者が増加しております小学校の校長につきましては、昨年度から、小規模ではありますが、中学校副校長からの登用を実施しております。
 教育管理職の校種を超えた人事交流は、優秀な教育管理職の確保ばかりでなく、校種間の接続の円滑化にも資することから、今後さらに積極的に推進してまいります。
 次に、教職大学院の活用についてであります。
 都民に信頼される学校づくりを進めるためには、実践的指導力を身につけた新人教員を確保するとともに、高い専門性を身につけ、指導的役割を果たすことができる現職教員を育成していくことが必要でございます。
 都教育委員会は、中央教育審議会の中間報告を受けまして、平成十八年三月に、東京都における教職大学院の課題等検討委員会を設置いたしました。教職大学院の活用のあり方につきまして検討を重ねてまいりました。
 今後、教職大学院の活用に向け、特別選考による教員採用や東京都の教育の中核を担うことが期待される現職教員の派遣制度など、教職大学院と連携した東京都ならではの人材確保、育成の仕組みを構築し、教育の質的向上を図ってまいります。
 最後に、実習生の受け入れについてでございます。
 連携協力校におきましては、教員免許を有する大学院生が、教科指導だけでなく、生徒指導や学校運営など、実務に関する実習を行うこととしております。
 都教育委員会は、少人数指導や習熟度別指導、運動会等の学校行事の企画、準備、保護者との対応など、実践的な内容を実習のカリキュラムに位置づけるよう教職大学院と協議を重ね、連携協力校が多様な教育活動を充実でき、児童生徒の学校生活が一層豊かになるようにしてまいります。
   〔総務局長大原正行君登壇〕

○総務局長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、中期経営計画の進捗度合いを評価する仕組みづくりについてでございます。
 指定管理者制度や公益法人制度改革など監理団体を取り巻く環境が変化する中、中期的な視点から戦略的に経営計画を進めることが重要であり、こうした観点から、それぞれの団体が中期経営計画を策定いたしました。
 この計画を着実に推進するためには、個々の改革策について、計画期間における実施状況を適正に評価する仕組みが必要でございます。
 このため、民間の経営管理手法を採用した新たな経営評価制度を導入し、複数年の取り組みについて、そのプロセスを総合的に評価するとともに、評価結果を確実に施策の改善につなげる仕組みを構築するなど、中期経営計画の進捗を着実に管理し、団体の経営改革を促進してまいります。
 次に、都立病院の経営形態の検討についてでございます。
 地方独立行政法人は、試験研究、大学の設置、管理、病院事業など、民間の主体にゆだねては確実な実施が確保できないおそれのある事業を効率的、効果的に行わせるため、平成十六年度に創設された制度でございます。
 都立病院に本制度を導入する場合には、都や議会の適切な関与のもと、将来にわたり医療水準を確保し、行政的医療を安定的、継続的に提供することを目指していくとともに、自立性の高い病院経営、弾力的な予算・契約制度による効率的な事業執行、独自の人事給与制度による質の高い医師の確保などが期待できます。
 都立病院の経営形態については、議会のご意見を十分踏まえ、このような新たな制度などを視野に入れて検討を行ってまいります。
 次に、独立行政法人制度のもとでの行政的医療の提供についてでございます。
 現在の都立病院は、地方公営企業法の経費負担の原則により、救急医療や感染症医療など行政的医療に関する必要な経費については一般会計が負担をしております。
 地方独立行政法人法におきましても、地方公営企業法と全く同様の経費負担の考え方が規定をされておりまして、当該経費につきましては設立団体が負担するものとされております。
 したがいまして、今後の検討の結果、病院の経営形態として地方独立行政法人を選択する場合でございましても、都民への行政的医療の提供は、これまでどおり担保されるものと考えております。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 福祉施策などに関する十五の質問にお答えいたします。
 まず、健康長寿医療センターについてでございますが、このセンターは、老人医療センターがこれまで培ってきた高齢者の高度専門医療に関する豊富な実績と、老人総合研究所における老化に関する最新の研究の成果とを有機的に結びつけ、臨床と研究の一体的な取り組みによりまして高齢者の特性を踏まえた最適な医療の普及を目指すためのものでございます。
 両施設の統合による具体的効果といたしましては、臨床症例などを研究資源として活用した最新の知見に基づく研究と、その成果の臨床への反映がこれまで以上に可能となるほか、研究と臨床の両分野にわたる交流によりまして、幅広い専門性を備えた質の高い人材の確保と育成が図られることなどが期待できると考えております。
 次に、小中学生に対する医療費の助成についてでございますが、都はこれまで、子育てを支援する施策の一環として乳幼児医療費助成制度を創設いたしまして、区市町村に対して補助を行ってまいりました。その対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してきております。
 申し入れのあった小中学生の医療費に関しては、この学齢期が人間形成の核となる重要な時期であることや、国の医療制度改革における子どもの医療費負担軽減の方向性、さらには現行の乳幼児医療費助成制度が区市町村主体で地域の実情に合わせて実施されていることなどを踏まえながら、その軽減について具体的な検討に着手しております。
 次に、病院、診療所、助産所における連携強化についてでございますが、産科医師や分娩施設の減少が危惧される中、妊娠期から分娩、出産後における助産所や助産師の役割は大きいと認識しております。
 都では、地域の産科医療機関や診療所などが連携しながら安心・安全のお産を提供するため、産科オープン病院化モデル事業を実施しております。
 また、医療法等の改正によりまして、安心して出産できる体制整備を進めるため、助産師の一層の活用などを図ることとされております。
 こうした都の取り組みや国の動向を踏まえ、今後とも地域の中で病院、診療所、助産所がそれぞれの機能に応じた役割を果たせるような仕組みについて検討してまいります。
 次に、軽費老人ホームA型の利用料についてでございますが、税制改正の影響による負担増の緩和を図るため、平成十八年度より利用料の算定基礎を課税金額から収入金額に改め、その上でなお負担増となる継続入居者について、その利用料を一年間据え置く経過措置を講じたところでございます。
 ご指摘を踏まえまして、大幅な負担増となる方を対象に、激変緩和の観点から、来年度においても必要な措置を前向きに検討してまいります。
 次に、福祉施設における工賃アップについてでございますが、都内の授産施設における平均工賃は、ご指摘のとおり約一万五千円でございます。福祉施設利用者の作業工賃を引き上げることが課題となっております。
 現在、授産施設においても、利用者の工賃を上げるため、それぞれ創意工夫や努力をしているところでございます。具体的には、複数の授産施設で協力して、付加価値の高い自主製品の開発、販路の拡大や企業からの大量受注などによる高い実績を上げておるところでございます。
 このような取り組みのさらなる拡大に向けまして、サービス業の比率が高いなどの東京の地域特性を踏まえまして、都として区市町村等関係機関とも連携の上、工賃収入アップに向けた支援策を検討してまいります。
 次に、障害福祉サービスの運営水準の維持についてでございますが、都はこれまでも、都として望ましいサービス水準が確保されるよう、グループホームや小規模作業所等に対する都加算補助を行ってまいりました。
 都としては、事業者に対して法内事業への移行や経営努力を促す一方、必要なサービスの運営水準が確保できるよう、法の施行状況等も踏まえながら、引き続き適切な支援を行ってまいります。
 次に、発達障害者支援に関する先駆的な研究機関との連携についてでございます。
 発達障害者のより有効な支援のあり方を確立していくために、ご指摘のとおり、大学病院などの先駆的な研究や事業の成果を積極的に取り入れてまいります。
 加えて、相談や各種の支援に取り組んでいる児童福祉施設など多様な関係機関の実践成果も含めて、広く関係事業者に共有され、支援の推進の一助となるように検討してまいります。
 次に、発達障害者支援に関する国の動きに呼応した事業展開についてでございますが、都では、東京都発達障害者支援センターにおいて、障害者本人や家族からの相談や療育支援を行っております。
 また、昨年度から、世田谷区とともに、臨床心理士や言語聴覚士による専門的な指導を行う発達・相談支援モデル事業に取り組んでおります。
 今後は、この事業の成果を踏まえて、他の区市町村における発達障害者支援の充実などを働きかけていくとともに、国が検討している新たな事業については、都としてもその実施を検討してまいります。
 次に、発達障害者支援センターの体制強化についてでございますが、東京都発達障害者支援センターは、本人や家族からの個別の養育相談や就労相談等に対応するとともに、教育、福祉等の関係者に対する専門的な助言指導や実践的な研修なども積極的に実施しております。
 今後とも、都における発達障害者支援の中心的な専門機関としての機能が発揮されるよう努めてまいります。
 次に、心身障害者扶養年金制度についてでございますが、先般、東京都心身障害者扶養年金審議会から、現行制度を維持することは妥当でない旨の中間のまとめが報告されたところでございます。
 本報告では、既に年金を受給している方には現在と同様の給付を継続するとともに、未受給者の方には全国制度並みの給付水準の清算金を支払うなど、具体的な提言がなされております。
 都としては、中間のまとめにおける指摘を真摯に受けとめるとともに、今後、同審議会からの最終答申を踏まえた上で、加入者に十分配慮した具体的な対応策を早急に取りまとめてまいります。
 次に、グループホーム等の生活基盤の整備についてでございますが、障害者が保護者亡き後も地域において自立した生活をしていくためには、グループホームやショートステイ等の地域における生活基盤の整備が極めて重要でございます。
 現在、都では、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランに基づきましてグループホーム等の整備を進めているところでございますが、このプランをさらに発展させ、居住の場の整備や障害者施設から地域生活への移行などを柱とする障害福祉計画を今年度中に策定する予定でございます。
 今後は、この計画に基づきまして生活基盤の総合的な整備を進めてまいります。
 次に、総合的な自殺対策についてでございますが、ご指摘のとおり、自殺は個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、社会全体での取り組みが重要でございます。
 自殺対策を社会的取り組みとして推進するためには、保健、医療や雇用、就業、教育などのさまざまな分野において、行政はもとより、企業、民間団体、都民が緊密に連携することが必要でございます。
 今後、都においては、自殺対策基本法を踏まえ、関係機関、関係局による協議、連携体制の整備、自殺問題に関する理解促進、相談体制の充実など、自殺対策の総合的な取り組みの推進に向けて検討してまいります。
 次に、災害時におけるヘリコプターの有効性についてでございますが、震災等により幹線道路が寸断されるなど、救急車による救急活動が十分に行えない場合、ヘリコプターの機動力を活用することは有効でございます。その際、ドクターヘリなど、医師が同乗して救急現場等に向かい、治療を行いながら患者を医療機関に搬送することは、重症患者の救命のために効果的であると考えております。
 都は、東京消防庁のヘリコプターを活用するほか、平成十二年度からは、民間航空会社とも協定を締結いたしまして、医師などが同乗して迅速な患者搬送ができる体制を確保しているところでございます。
 次に、ドクターヘリの導入についてでございますが、都は現在、生命危機を伴う重篤な患者に対応する救命救急センターを二十一カ所整備するとともに、島しょ等の医療機関で対応が困難な救急患者が発生した場合には、東京消防庁等と連携し、医師がヘリコプターに同乗して必要な医療処置を行いながら搬送する体制を二十四時間確保しております。
 都としては、現在のヘリコプターによる救急患者搬送などの状況を踏まえ、大都市東京の特性等も勘案しながら、ヘリコプターを活用した、より効果的な救急医療体制について多角的に検討してまいります。
 最後に、島しょの救急患者の搬送時間の短縮についてでございますが、島しょにおける救急患者の搬送に当たっては、現地及び受け入れ先の医療機関や地元町村など、多くの関係者の緊密な連携が必要でございます。都は、現地での説明会を開催し、手順の周知徹底を図るなど、円滑な搬送に向けた取り組みを行ってまいりました。
 今後、搬送時間の一層の短縮に向け、関係機関から成る検討会を新たに設置しまして、手順の見直しやマニュアルの改善などを具体的に検討してまいります。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、関係機関とのネットワークによる障害者の自立支援、一般就労に向けた取り組みへの支援についてでございます。
 障害者の一般就労による自立を促進するに当たっては、地域の就労支援機関や養護学校との連携が不可欠であります。都はこれまで、心身障害者職能開発センターにおいて、関係機関と協力し、情報交換会や知的障害者を対象とした企業説明会等を開催してまいりました。
 今後は、さらに同センターのコーディネート機能を強化し、地域の就労支援機関や養護学校等との連携を深め、関係者による障害者の一般就労による自立に向けた取り組みを支援してまいります。
 次に、障害者の企業等への委託訓練についてでございます。
 本事業は、企業等と障害者の双方にとって、職場への適応性を十分に見きわめることができるという点で有効であります。都はこれまで、本事業の拡充を図ってきており、昨年度は五二・六%の就職率を達成するなど、障害者と企業等の適切なマッチングに成果を上げてまいりました。
 今後とも、障害者の適性等を勘案したきめ細かなコーディネートを行うなど、本事業の拡充に努めてまいります。
 次に、しごとセンターの窓口等における技術専門校の紹介等についてでございます。
 技術専門校は、就業に向けたキャリアアップを支援する役割を担っており、その情報を、しごとセンターに来所した都民に伝えることは重要であります。そのため、都は、しごとセンターにおいて、総合相談窓口での情報提供やカウンセリングの際の助言を行ってまいりました。
 今後は、しごとセンターと技術専門校との連携によるカウンセリングの充実や、訓練内容の説明会を新たに開催するなど、情報提供機能の向上に努めてまいります。
 次に、非正規職の人々のスキルアップに対する支援についてでございます。
 都はこれまでも、技術専門校においてフリーター等を受け入れてきましたが、今年度からは、受講しやすい夜間の単位制パソコン科を開設いたしました。
 一方、経済面で支援する方策として、フリーター等に対する教育訓練のための給付金創設や貸付金の拡充を国に要望しております。
 今後は、生活実態等を把握の上、能力開発の一層の促進策について検討してまいります。
 次に、技術専門校のコーディネート機能についてでございます。
 中小企業が求める人材の育成、確保を図るためには、技術専門校のノウハウを有効活用することが重要であります。そのため都は、地域における在職者の能力開発を支援する人材開発センターを七カ所の技術専門校に設置してきたところであります。
 今後とも、地元産業界や関係機関等とのネットワークの充実に努め、地域特性を踏まえた人材育成に取り組んでまいります。
 また、若年者就業支援訓練については、今年度から開始した足立技術専門校での塗装コースの実績を踏まえ、地域における人材ニーズに即した訓練科目の開発についても検討してまいります。
 次に、在宅勤務の普及についてでございます。
 在宅勤務は、育児や介護をしながら働く者にとっては、仕事と家庭の両立がしやすい勤務形態の一つであると認識しております。一方で、社員の労働時間管理や健康管理が難しいなど、課題も指摘されております。
 都としては、今後、都内企業において在宅勤務を導入した事例のうち、すぐれた取り組みについてはホームページの中で公開するなど、普及に努めてまいります。
 最後に、高齢者のセカンドライフの支援についてでございます。
 高齢者の高い就労意欲にこたえ、高齢者の活力を社会の活性化につなげていく取り組みが重要であります。このため都は、しごとセンターにおいて高齢者の再就職支援に加え、起業、創業、NPO、ボランティアなど、多様な働き方に関する相談や情報の提供を行ってまいりました。
 今後は、シルバー人材センターやボランティアセンター等との連携を強化し、子育てや介護のボランティア、農業など、高齢者の多様な就労ニーズに対応できるよう、相談、情報提供機能を充実させるとともに、PRに努めてまいります。
   〔環境局長村山寛司君登壇〕

○環境局長(村山寛司君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、オリンピック環境ガイドラインの策定についてでありますが、東京オリンピック競技大会開催概要計画書は、環境を最優先したオリンピックを実現し、開催に向けた環境改善の取り組みを未来への遺産として継承していくため、都民や事業者等とも一体となった取り組みが必要であるとしております。
 オリンピック環境ガイドラインの策定に当たりましては、これを踏まえ、環境都市づくりに協働して取り組む環境NPOや都民、事業者などの幅広い主体の協力を得てまいります。
 次に、都が保有する車両へのバイオマス燃料の導入についてでありますが、都内のCO2排出量の約二割は自動車に起因することから、CO2の大幅な削減を図るためには、燃費の向上や交通量の削減とともに、自動車燃料の化石燃料からの転換を進めることが必要であり、バイオマス燃料の導入は、その有効な方法の一つであります。
 こうした観点から、ディーゼル車への導入の研究とともに、都が保有する車両においてバイオマス燃料を率先して利用するなど、その普及拡大に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
 次に、都民の参加による再生可能エネルギーの普及についてでありますが、都が現在推進しております都立潮風公園への太陽光発電施設設置プロジェクトにおきましては、多くの都民がチャリティーオークションやインターネット募金などを通して参加されております。
 オリンピック関連施設への再生可能エネルギーの導入に当たりましては、こうした経験を生かし、都民出資などの検討も含め、幅広い主体の参加を求めてまいります。
 次に、電気のグリーン購入についてでありますが、都は平成十六年度から、都の一部の施設において、使用する電気の五%を再生可能エネルギーで調達することを求める電気のグリーン購入制度を実施しております。
 現在、この制度は努力義務としておりますが、今後速やかにルールの明確化を図り、対象となる施設のグリーン購入を義務化し、早ければ年度内にも取り組みを開始してまいります。
 最後に、公共施設などへの再生可能エネルギーの導入についてでありますが、都は今後、都政のあらゆる分野でCO2の削減を目指す新たな十年プロジェクトを開始し、再生可能エネルギーの大量普及を進めることとしております。
 既に都議会議事堂や浄水場などへの再生可能エネルギーの導入を積極的に行ってきておりますので、新たなプロジェクト実施に当たりましては、こうした実績を踏まえながら、公共施設などへの導入方策を検討してまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、景観行政と連携した広告物規制についてでございますが、屋外広告物は景観形成に与える影響が大きいことから、今定例会では、屋外広告物条例と景観条例の改正をあわせて提案をしております。
 景観条例に基づき今後策定する景観計画では、屋外広告物の規制区域や表示方法の基準を明らかにいたします。屋外広告物条例では、これに即して具体的な規制を行うことにしております。
 今後は、景観条例に基づく建築物などについての景観誘導と、屋上広告物やネオンの色彩などの広告物規制を一体的に行い、落ちつきと美しさが感じられる東京の実現に取り組んでまいります。
 次に、住宅政策に関する総合プランについてでございますが、住宅の量的な充足や都民の居住ニーズの多様化などを踏まえ、都は、公的住宅の新規建設を中心とした政策から、市場の活用やストックの活用を重視した政策へと転換を図ってまいりました。
 さらに今後は、福祉、環境政策などとの密接な連携のもと、安全で良質な住宅の整備、子育て世帯の居住支援など、東京の将来を見据えた課題に総合的に取り組んでいくことが必要でございます。
 このため、六月の住宅政策審議会答申を踏まえ、住宅基本条例の見直しを進めるとともに、住生活基本計画の性格をあわせ持つ総合プランとして、成熟した都市東京にふさわしい新たな住宅マスタープランを速やかに策定してまいります。
 次に、プラン策定に当たっての体制強化についてでございますが、東京の住宅政策を総合的かつ効果的に推進していくためには、民間住宅分野での政策を一層充実していくとともに、関連する政策との連携を強化していくことが重要でございます。
 このため、住宅担当部署と関係六局から成る庁内の横断組織として、東京都住宅マスタープラン策定検討委員会を設置して鋭意検討を進めております。
 さらに今後、区市町村からの意見を聴取するとともに、住宅政策審議会において専門家の意見を聞くことにしており、こうした検討体制のもと、プランの策定に強力に取り組んでまいります。
 次に、都営住宅の入居者選考における子育て世帯の優先的な取り扱いについてでございますが、安心して子どもを産み育てられる環境を整える上で、生活の基盤である住宅の果たす役割は重要でございます。
 都営住宅ではこれまで、ひとり親世帯や十八歳未満の子どもが三人以上いる多子世帯に対し優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯や多子世帯向けに期限つき入居を導入してまいりました。
 今後とも、東京都住宅政策審議会の答申や国のガイドラインの趣旨も踏まえ、子育て世帯に対する支援の強化について検討してまいります。
 次に、都営住宅の入居時における資産の考慮についてでございますが、真に住宅に困窮する都民に都営住宅を的確に供給する上で、申込者の資産状況を考慮することは重要でございます。
 資産状況の把握に当たりましては、入居申込者の自己申告の信頼性が前提となりますが、現行の法制度では、申込者の資産について都に調査権限が付与されていないなど、制度の導入には公平性を確保する上でさまざまな課題がございます。
 今後とも、都営住宅を一層的確に供給できるよう十分検討していくとともに、現状に即した法制度の整備を国に要求してまいります。
 最後に、都営住宅の耐震化についてでございますが、地震による建物の被害から都民の生命を守り、日常生活の安全性を確保する上で、住宅の耐震性向上は重要でございます。
 都営住宅におきましては、阪神・淡路大震災の被害状況を踏まえ、平成八年に専門家により耐震に関する指針を作成しております。この指針では、震災で被害の少なかった型式の住宅は耐震診断を行わないとされており、その棟数は約三千九百棟でございます。
 また、震災で被害の目立った一階がピロティーなどの住宅については耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を実施してきております。
 今後につきましては、耐震改修促進法の改正を踏まえ、現在策定中の耐震改修促進計画の中で位置づけてまいります。

○副議長(木内良明君) 百四番曽根はじめ君。
   〔百四番曽根はじめ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百四番(曽根はじめ君) 日本共産党を代表して質問します。
 小泉前政権のもとで、富める者は富み、貧しき者はますます貧しさを増すという格差社会がつくり出されました。
 東京において矛盾と痛みが最も鋭くあらわれていますが、それは、石原都政が、都民の暮らしと営業を守るという自治体の使命を投げ捨て、福祉や教育の切り捨てを進める一方、大型開発にお金を注ぎ込んできた結果にほかなりません。この自治体の変質ともいうべき都政のゆがみを一層拡大しようとしているのが、オリンピック招致の問題です。
 石原知事がやろうとしているオリンピック計画の重大な問題の第一は、コンパクトどころか八兆円を超える投資を行う、とんでもない浪費型オリンピックであることです。しかも、計画に無理があることから、矛盾が次々噴き出し、そのことが財政負担を一層拡大する危険があります。
 まず道路については、外かく環状道路などの三環状道路だけで三兆六百億円にも及びます。とりわけ問題なのは、上下で二兆円近い外かく環状道路です。高コストで採算が見込めないため、何が何でも建設しようとすると、都の税金投入は避けられなくなります。都の要求で計画が早められた首都高品川線のようになれば、一兆円規模の都負担が発生しかねません。
 ほかにも、知事がいうように羽田 ─ 築地間道路をつくると一兆円、横田基地と臨海部を結ぶ多摩新宿線をつくると二兆二千億円、さらには、臨海部に集中した競技施設のための環状二号線を初めとする臨海部広域道路建設で七千二百四十五億円、道路関係の投資だけで七兆円規模の事業費が必要となり、しかも、急げば急ぐほど都の財政負担が膨らむおそれがあります。
 加えて、晴海に新設する十万人規模のメーンスタジアムの観客輸送には、新たな地下鉄が必要といわれ、例えばJRの駅と結ぶ地下鉄をつくるとすれば、二千億円もの投資が必要となります。
 知事、オリンピックまでに一体どれくらいの道路と地下鉄をつくるつもりなのか、また、それにどれだけの税金をつぎ込むのか明らかにすることが、都民に対する誠意ある態度というものではありませんか。
 オリンピック競技施設整備費も、都の五千億円という数字とは違い、莫大な額に膨れ上がります。既に我が党は、主要三施設の用地費は不要という都の説明はごまかしであり、七千億円もの財政負担が必要であることを明らかにしましたが、これにとどまりません。
 その一つは、知事が国内選考会のプレゼンテーションで、場合によっては東京プロパーの資金、すなわち毎年一千億円積み立てる基金を初め、都の財政の責任ですべて賄うとまで表明したことによる負担増です。これは、増税など連続する負担増に苦しむ都民のことを全く顧みないとんでもない発言です。
 この結果、どういうことが起こるでしょうか。例えばメーンスタジアムは、国から、神宮外苑とあわせて二つの国立競技場をつくることに疑問が寄せられています。当然というべき疑問です。
 知事、国と協議が調わなければ、都の資金で建設するのですか。答弁を求めます。
 選手村についても、JOCから、都の計画の高層ビルではだめだといわれており、後の利用を前提とした民間による建設が危ぶまれています。メディアセンターも、オリンピック終了後の引き取りを当てにしたNHKからそでにされるありさまで、これも民間でやることは障害が多く、税金投入になりかねません。
 二つ目に、計画が不十分であったり無理があるため、これを是正しようとすれば財政負担が激増することになります。例えば、JOCから指摘された、三方向海に囲まれたメーン会場の安全確保のために朝潮運河を埋め立てることになれば少なくとも七十億円、メーン施設の地下駐車場をつくるとすれば百五十億円など、都の計画書では隠されていた財政投入は限りなく膨れ上がることになりかねません。
 有明コロシアムを使う予定のテニスは、競技団体から、二面では足りない、少なくとも四面、できれば八面必要だといわれています。知事は競技団体との懇談で、何でもおっしゃってください、いかようにもしますといいました。ここでもさらなる財政負担が生じます。
 さらに驚いたことは、トライアスロンの会場を、海水が汚染された浜離宮に選定していることです。JOCは、到底競技をできるところではないと指摘しており、競技団体は水質浄化が大前提としています。海水の水質改善を行うことになれば、開放型の海域ですから、莫大な税金投入は絶対必要です。知事、どうするつもりですか。答弁を求めます。
 これらはごく一部の例にすぎません。しかし、今、我が党の試算で明らかにしたインフラ整備と施設整備費だけで、総事業費で八兆五千億円もの資金の必要に迫られる可能性があります。
 第二に、オリンピックの選手や観客を守るという防災対策に重大な欠陥があることも指摘しなければなりません。
 都が発表した地震被害想定は、マグニチュード七規模の地震が近い将来発生する危険を指摘しています。昨年、神戸で開かれた国連防災世界会議で、各種の災害のリスク要因を指標化したリスク指数が発表されましたが、その中で東京は、世界五十大都市中最も大きい七一〇という指数が明らかにされました。一方、オリンピック候補地といわれるニューヨークが四二、リオデジャネイロが一・八ですから、比較になりません。東京は五輪には危険過ぎるまちという報道が行われています。開催計画には、この地震対策をどうするのか全く触れられていません。
 とりわけ問題なのは、主要三施設を初め多数の競技施設を臨海部に集中させていることです。もともと臨海部は、地震時に液状化が発生することは知られていますが、加えて最近の研究では、流動化に伴い地面が数メートルも横に移動する側方流動が発生し、実際に阪神・淡路大地震では、石油コンビナートが破壊されたり、高架の高速道路が落下する被害が発生しています。
 日本土木学会会長の濱田政則早稲田大学教授は、国と共同で京浜臨海部の広域防災拠点周辺のシミュレーションを行い、五メートルから七メートルの側方流動が発生する危険を指摘しています。
 東京湾北部直下型地震の危険が切迫しており、専門家から相次いで危惧の念が表明されています。主要施設を臨海部に集中することについて、専門家の意見を聞いたのですか。防災の立場から検討されたのですか。オリンピックに参加する選手と観客を地震の被害からどう守るつもりですか。お答えください。
 私は、直ちに側方流動という指摘を踏まえた臨海部の埋立地の地質調査を行うべきと考えますが、答弁を求めます。
 今、自治体に求められているのは、オリンピックをてこにした大型開発ではなく、何よりも格差社会に苦しむ都民の深刻な現状に目を向け、支援の手を差し伸べることです。NHKの番組は、働いても働いても豊かになれないワーキングプアという新しい現実が生まれていることを告発しました。東京都社会福祉協議会の広報紙でも、健康で就労もしている世帯から生活の困窮を訴える相談がふえていると指摘しています。
 その上、住民税増税とそれに連動した負担増が高齢者を直撃しています。高齢者の所得税、住民税、介護保険料、国保料を合わせた負担は、多くの方が二〇〇四年からの四年間に二倍から四倍にふえます。年金のほぼ一カ月分が消えてなくなるのです。去年に比べ住民税が十倍にはね上がった人もいます。生活が成り立たない、長生きするなというのかという怒りの声が広がっています。
 知事は、こうした都民の現状をどう認識しているのですか。思いを寄せ、支援のために力を尽くす必要があると思いますが、お答えください。
 また政府に対し、定率減税廃止など今後実施予定のものを凍結することを初め、今後予想される消費税の増税など、庶民増税を中止するよう要請すべきです。知事の答弁を求めます。
 都民の暮らしを支える財源は十分にあります。昨年度の決算でも、税収は前年比三千六百億円もふえており、今後も税収増が見込まれています。しかも、その多くは、労働者のリストラによる企業の業績回復や庶民増税によるものです。老年者控除廃止などの税制改悪によるものだけで、都民税の増収は四百九十億円に及びます。これらを都民のために還元するのは当然のことです。以下、緊急課題に絞って提案します。
 まず、暮らしの支援と福祉の充実です。
 重い負担になっている介護保険料と国民健康保険料の負担軽減や減免制度拡充は切実な課題だと思いますが、どう認識していますか。区市町村などへの財政支援の強化を求めるものです。
 また、シルバーパスや軽費老人ホームA型の利用者負担について、住民税増税に連動させず据え置く措置を来年度以降も継続すべきです。所見を伺います。
 ワーキングプアという新しい現実への何らかの対策が必要ですが、都はどう考えているのですか。例えば、子育て世帯への家賃助成の創設や、私立幼稚園保護者負担軽減補助の拡充、高校生に対する就学援助の実施や奨学金の拡充を提案するものです。
 経済問題などによる自殺者がふえていることも深刻な問題です。関係機関、団体で構成する自殺予防対策連絡協議会を立ち上げ、相談体制整備や情報提供に取り組むことも重要です。見解を伺います。
 次に、乳幼児医療費助成の拡充です。
 東京の合計特殊出生率は〇・九八と過去最低を記録し、少子化対策の強化が緊急課題となっています。中でも経済的支援の拡充は切実な要求であり、我が党は、中学卒業までの対象年齢拡大と所得制限撤廃を求めるものです。二十三区の多くは小中学生への拡大に踏み出し、多摩地域でも所得制限撤廃の動きが広がっています。また、市長会、町村会、二十三区議長会から対象年齢の拡大が要望されました。
 都として対象年齢拡大に踏み出すことが必要ですが、どうか。また、所得制限についても撤廃すべきです。それぞれ答弁を求めます。
 都民の経済を支える中小企業の経営を守ることも緊急課題です。
 大型店や駅ナカ店舗、チェーン店の展開など、商店街は厳しい経営環境に置かれています。現在、都は、区市町村が策定した商店街振興プランをもとに各種の支援策を講じていますが、その計画自体はおおむね五年程度の期間で策定されており、更新期を迎えようとしています。加えて地域環境も大きく変動しています。
 都として今日的課題を踏まえた指針を策定し、区市町村の商店街振興プランの更新、拡充を促進することが必要と思いますが、どうか。
 各地でさらなる拡充の声が上げられている新・元気を出せ商店街事業についても、助成額の引き上げや対象の拡大の要望にこたえられるように予算を拡充すること、商店街パワーアップ基金事業の着実な実施、特定施策推進型事業の継続、手続の簡素化など、対応を求めるものです。それぞれ答弁を求めます。
 官から民、小さな政府を合い言葉に、都の仕事を民間に投げ出し、都政のあり方をゆがめていることも重大な問題です。石原都政のもとで廃止されたり民間移譲された都立施設は百五十カ所に及びます。都の事業として残ったものも、指定管理者や独立行政法人化など、都民サービスより経営効率を優先する方向を進めています。その結果、深刻な問題が広がっています。
 例えば都立病院です。大久保、荏原、多摩北部の三つの病院が、民営化に向け東京都保健医療公社に移管されましたが、医師が次々やめ、募集しても集まらない事態が常態化しています。多摩北部病院は、神経内科、小児科などの医師九人が欠員、荏原病院も脳外科、放射線科など五人が欠員です。大久保病院のことし四月から八月までの外来患者数や医業収益は都立時代の七割台に低下しています。
 もともと公社病院である多摩南部地域病院は、小児科の医師不足で入院も夜間救急も停止しています。麻酔科の常勤医もいなくなりました。看護師も十四人も欠員です。
 知事、こうした公社病院の現状をどう認識していますか。
 全国的な医師、看護師不足や国の診療報酬削減で、都立病院も含めて病院経営は厳しい状況にあります。支援を強化しなければならないときに、都立病院はお金がかかるといって、病院への支出を減らすために公社化し、その上、公社病院に対する補助も減らしてきた結果、こんな事態になっているのです。
 公社化の問題点が明らかになっている現状のもとで、さらに公社化や独立行政法人化を推進することは許されません。都民の命を守る都立病院を充実させる方向で、計画を根本から再検討することを求めるものです。
 都立病院、公社病院とも、医師の確保や待遇改善などを推進し、安定した診療体制を確立すること。患者七人に対し看護師一人の新しい看護基準を実施するとともに、新人ナースの研修体制の充実やサービス残業を撤廃するなど、看護師の離職防止に力を尽くすことが必要です。それぞれ見解を伺います。
 都は、七月に発表した行財政改革実行プログラムに基づき、官から民、小さな政府の方向を一層全面的に推進しようとしています。しかし、こうした路線の源流であるイギリスのサッチャー改革は、その後、雇用の破壊、格差拡大などの問題が明らかになり、行き過ぎた改革として見直しを余儀なくされています。既に失敗したサッチャー改革を無批判に導入すればするほど、都民への被害が拡大することは明白です。自治体として、公共サービスの質を守る立場から再検討することを求めておきます。
 次に、その一方で知事が、官が手を出すべきでない民の仕事にまで手を出して、都民の税金のむだ遣いをやろうとしている新銀行の問題です。
 七月末に、昨年度の新銀行東京の経営状況が開示されました。預金が当初の目標を上回った以外、融資も経営指標も目標に届かず、この一年の間に七人の執行役のうち五人が退職しているなど、深刻な経営状態にあることが明らかになりました。
 まず、融資と保証ですが、都が新銀行設立に当たって都民に示したマスタープランで掲げた二千五百八十億円に対して、実際は七割強の千九百三十億円で、預金の五割にしか及びません。これは新銀行の貸出利息金利が九%など、商工ローン並みの高利となっていることが最大の原因です。現実に、一たんは借りたが、金利が高いので他の銀行に借りかえたとか、他の金融機関が低い利息でとっていくなどが頻発しているといわれています。
 さらに、融資が伸びない分を金融派生商品などリスクの高い投資につぎ込んだり、国債を七百億円以上も買い込んだりするなど、千六百億円もの有価証券を保有して利ざや稼ぎでしのごうとしていますが、もうかるどころか損失を出すありさまです。
 新銀行設立の目的であるはずの中小企業への融資は、融資・保証の六割にすぎず、大手のみずほ銀行が八割を中小企業に振り向けているのと比べても、設立の目的は果たしていません。経営状態も、当初計画を二十五億円も上回る百二十三億円もの業務損失を発生させているのです。
 私どもが伺った銀行協会や地域の金融機関では、共通して、不良債権処理が終わり中小企業への貸し出しを拡大している、新銀行に存在意義は認められないといわれました。
 知事、この事態をどう認識しているのですか。そもそも官が手を出すのが間違いだったのです。直ちに金融庁の検査を要請するなど、新銀行の経営状態を把握し、対策を講じるべきと考えますが、答弁を求めます。
 次に、石原知事の肝いりでスタートしたワンダーサイトについて伺います。
 ワンダーサイトは、新進・若手芸術家の育成を図るとして、二〇〇二年、文京区本郷の教育庁所管の御茶ノ水庁舎を改修してスタートしたもので、現在ではこれに加え、カフェを併設したワンダーサイト渋谷、この秋にもオープンが予定されている内外の芸術家のための宿泊施設、ワンダーサイト青山と三つの施設がオープンすることになります。
 都の文化施設は、石原知事が膨大な経費を投入する一方で、入館者は一向にふえず、採算を度外視した運営が続けられてきたという一言で、軒並み財政が切り縮められ、基本的に独立採算性が押しつけられています。
 現代美術館では、都の予算がこの五年間で三割も減らされているのに対して、ワンダーサイトは別格で予算はふえ続け、今年度では事業収入は千二百万円なのに、東京都の補助金は事業収入の四十倍の四億七千万円も出されるなど、まさに破格の扱いとなっているのです。そもそも若手芸術家育成というのであれば、現代美術館でやればよいことです。
 しかも、その運営も極めてずさんなものです。二〇〇四年に行われた財政援助団体などに対する都の監査では、事業をチェックするために設置されたコミッティ委員会が年一回しか開かれず、事業計画の決定及び決算の認定が審議されないまま、委員長の決定だけで処理されていること、都の承認なしに事業の変更が行われ、事業計画と執行に内容も金額も大きな乖離が生じているなどの指摘が行われるなど、行政サイドからもそのあり方に重大な疑義が提示されるに至っているのです。
 人事も不可解です。まず、ワンダーサイトの館長は、知事が参与に委嘱した今村有策氏が就任、また今村参与の夫人がワンダーサイトの副館長とワンダーサイト青山の館長を兼務で務めており、まさにファミリー支配といわれても仕方のないものです。しかも、今村夫妻は参与、館長、副館長という三つの役職の報酬を受けていることになります。
 そもそも今村氏は、大学では建築を専攻し、卒業後も大手設計事務所に勤めていた方で、株式会社ライフスケープ研究所という会社の経営者でもあります。今村氏の会社がワンダーサイトの設計監修を行っていたことが建築専門誌で紹介されています。そして、今村氏が文化行政にかかわる参与として知事から委嘱されたのは、ワンダーサイトが竣工する五日前でした。この直後、今村氏はワンダーサイトの館長におさまりました。だれが考えても、今村氏にワンダーサイトを仕切らせるための出来レースとしか思えないではありませんか。
 ワンダーサイトの監修設計は教育庁が行ったとしていますが、設計の専門誌「新建築」では、今村氏の会社が設計監修を行ったことが紹介されています。どちらが本当なのですか、答弁を求めます。
 ワンダーサイトが行った海外調査及び交流の計画と実績、目的、参加者氏名を明らかにしていただきたい。
 知事、知事の肝いりでつくったワンダーサイトのずさんな運営実態について、知事自身、どのように認識していますか。都民の批判は免れないと思うが、知事自身の責任をどう考えているのか、見解を伺います。
 九月二十一日、東京地方裁判所において、都教委が出した通達と命令で卒業式や入学式などで日の丸に向かって起立し、君が代を歌う義務はないこと、起立、斉唱などをしないことを理由にいかなる処分もしてはならないという画期的な判決が出ました。
 判決は、日の丸・君が代強制問題についての都側のいい分をことごとく退けています。
 第一が、強制が憲法に違反するという指摘です。都教委の通達は、起立、斉唱などの行動を命じたのであって、内心まで制約するものではない。思想、良心の自由は侵害していないと主張していました。しかし、判決では、人の内心は行動と切り離せないとしてこれを退け、思想、良心の自由を侵害していると違憲の判断を下したのです。
 第二に、教育基本法に違反するという指摘です。すなわち、通達と命令は、各学校の裁量をほとんど認めず、教育の自主性を侵害するもので、行政による教育への不当な介入を禁じた教育基本法第十条に違反すると明確に述べています。
 第三に、通達の唯一の根拠にしていた学習指導要領からも逸脱するという指摘です。判決は、学習指導要領は大綱的基準を定めるものであって、学習指導要領の国旗・国歌条項をもって教職員に起立、斉唱の義務までは課すことができないと、これも明確な判断を示しています。
 石原知事と都教委は、判決を受け入れ、控訴することなく違憲、違法な通達や処分を直ちに撤回し、関係者に深く謝罪すべきです。知事と教育長の見解を求めます。
 重大なことは、都教委は、都立学校校長連絡会を判決の翌日、緊急に招集し、控訴する考えと従来どおりの方針で臨むことを表明したことです。
 また、同日の記者会見で石原知事は、指導要領でいわれれば、教師は生徒に範を垂れる義務があるし、義務を怠れば懲戒を受けるのは当たり前と発言しました。今回の判決は、まさにそれが行き過ぎた措置であり、強制そのものだとして全面的に否定したのです。およそ判決文をまともに読んでいるとは思えない、余りにも不遜な対応といわなければなりません。
 司法が、通達と職務命令に基づく処分について違憲、違法と断じ、いかなる処分もしてはならないと判決を下しているのです。たとえ知事や都教委が異なる意見を持っているとしても、その重みをかみしめ、少なくとも強制と処分を中止し、再検討すべきではありませんか。見解を求めます。
 そもそも知事は、第二回定例会の我が党の代表質問に対し、学習指導要領の中に、国旗は日の丸とする、国歌は君が代とするというきちっとした規定があると、明らかに誤った答弁をしています。知事がこんな認識しかないから、東京の教育行政のゆがみが噴き出しているのではありませんか。
 知事、学習指導要領のどこに、日の丸・君が代を国旗・国歌とするという規定があるのですか、お答えください。
 再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、オリンピックのためのインフラ整備についてでありますが、わけのわからぬ試算での反対のようでありますけれども、我々が考えている財政も伴ったオリンピックが計画どおり実現し、計画どおり成功をおさめたときは、よもや共産党は、おれたちは賛成したといわぬでしょうな。それははっきりしてもらいたい。
 道路や鉄道は、円滑な都市生活を支える都市インフラでありまして、オリンピックの開催の有無にかかわらず、その整備は不可欠であります。
 これまでも必要なインフラ整備については何とか推進してまいりましたが、二〇一六年のオリンピック開催に向けて、こうした取り組みを一層促進してまいります。
 貧困と格差の拡大についてでありますけれども、日本が戦後六十年を経て、世界第二の経済規模を維持しながら、極めて公正で自由な社会を築いてきたことはだれも否定できない事実であります。今の日本がさまざまな価値観や多様な生き方を認める自由主義国家であるからこそ、社会のダイナミズムも生まれてくると思われます。
 格差といえば、共産党がご神体と仰いでいるかどうか知りませんが、隣の中国は、一兆円のモーターショーの車を買う人間が二百人いたと思うと、貧困な農民は一日一元、一元というと十五円以下だそうでありますが、その所得もない。こういった格差は、私は恐ろしいものだと思いますし、外務省の報告でも、過去一年間、三万七千件の暴動が起こって鎮圧されている。これは驚くべき数字で、一日百件以上の暴動が起こっているわけでありますけれども、そういった格差を、あなた方の祖国かどうか知りませんが、あこがれるあの国がどう処理しているか、よく見きわめられて物をいわれたらいいと思う。
 しかし、少子高齢社会が進みまして、人口減少社会が到来する中で、国民全体で痛みを分担し合う必要が生じております。日本が成熟した国家に脱皮するためには避けて通れない過程であると思います。既に生じている幾ばくの格差というものの是正はこれからの問題であります。
 しかし、テレビもよくやりますけど、ホームレスを映した後、六本木ヒルズを映せば、これは一種の視覚的なモンタージュでありまして、何か日本に、隣のどこかの国のような絶対的な格差がますます拡大しているというようなイメージを持ちがちでありますけれども、それを踏まえて、共産党が得意のモンタージュをかざしながら喧伝するという手法は、いつもながらのやり口とはいえ、ちょっと現実をゆがめるものでしかないと思われます。
 次いで、消費税などの税制のあり方についてでありますけれども、少子高齢化が進展する中で、国民が、国や地方自治体にどのような役割を求めるか、そして、それに必要な経費をどのように分かち合うかということは、今後の我が国の基本的なあり方にかかわる問題であります。
 消費税について反対のようでありますけれども、私は消費税は一番公平な税金ではないかと思っています。個人的な私見でありますけれども。しかし、それは世界の常識でもありまして、ただ一律にものに課税するのではなくて、生活必需品であるとか、課税の対象というものをカテゴリーで分けるということは必要だと思いますけども、いずれにしろ、こうした問題は国民の選択によるべきものでありまして、国民的な議論が十分に尽くされるべきものと思います。そのために国会があるわけですからね。
 新銀行東京についてでありますが、新銀行東京では、平成十七年度に約六千七百件の中小企業者に対する新たな資金供給を実施してまいりました。これは全体の融資・保証件数の九割以上に当たると聞いております。
 中小企業への資金供給が着実になされており、中小企業金融におけるその存在意義には変わりないと考えておりますが、ただ、いわゆる大手の銀行がとにかくピンチを脱して、このごろ我々にまねて、しきりに中小企業の融資をし出した。日本の中小企業というのは、それなりに大銀行にも、非常に優秀であり、可能性に満ちたものであるという認識を持たれるようになったと、これは慶賀にたえませんが、しかし、その大銀行というのはどうなんですか。数年前には、私たちの税金、真水、数兆を投じて立ち直ってきた。あれがなかったらつぶれているのが銀行ですよ。
 それはそれとして、その大銀行が見識を新たにして中小企業に融資を始めたのは大変結構なことで、ただ、この新銀行東京も、開業してから丸一年たっていないわけでありますから、これはもう少し長い目で見て、いろいろ共産党からもお知恵を出していただきまして、これを健全なものにしていきたいと思っております。
 次いで、東京地裁の判決についてでありますが、判決は不当なものであり、控訴することは当然であります。あの判決に喜んでいるのは、多分共産党と、今やかなりたそがれてきた日教組の残党と、それから当の裁判官くらいなものじゃありませんでしょうか。これは控訴によって日本人の総意というものが反映されると私は信じております。
 公務員は法令に従う義務がありまして、まして教員は、法令に基づく学習指導要領により、児童生徒を指導する義務があります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立高校生に対する就学援助についてでございます。
 都教育委員会では、授業料等の納入の困難な生徒の就学を援助するため、授業料等の免除及び減額制度を導入しております。また、修学旅行費用等、保護者から徴収する経費につきましては、学校徴収金事務取扱規程等を定めまして、その負担軽減に努めているところでございます。
 今後とも、引き続きこうした施策を実施することによりまして、保護者負担の軽減及び適正化を図ってまいります。
 次に、東京地裁の判決についてであります。
 学校における国旗・国歌の指導は、学習指導要領に基づき、児童生徒に我が国の国旗・国歌の意義を理解させ、それを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるために行っているものでございます。
 通達は、学習指導要領に基づき、卒業式、入学式等を適正に実施するよう校長に発出したものであります。また、懲戒処分は、校長の権限に基づく職務命令に反する行為があったため、地方公務員法により行ったものであります。通達や懲戒処分を撤回する考えはございません。
 この判決に対しましては、東京高等裁判所に控訴し、都教育委員会として主張の正当性を訴えてまいります。
 次に、判決後の再検討についてですが、教員は、教育公務員として、法令や学習指導要領に基づき、国旗・国歌について指導を行う責務がございます。教員が校長の職務命令に反した場合は、今後も毅然とした対処を行ってまいります。
 これまでの国旗・国歌の指導に関する都教育委員会の取り組みを再検討する考えはございません。
 最後に、国旗・国歌の規定についてですが、小学校学習指導要領の音楽に、国歌君が代はいずれの学年においても指導することとあります。小学校学習指導要領社会の解説には、日章旗が国旗であり、君が代が国歌であるという記述がございます。
 なお、国旗・国歌については、国旗及び国歌に関する法律に定められております。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、オリンピックスタジアムの建設についてでございますが、オリンピックスタジアムは国の施設として整備することとしておりまして、八月末に国内立候補都市として決定いただきましたので、現在、国との調整をスタートしたところでございます。
 次に、トライアスロン会場の水質改善についてでございます。
 概要計画書にあるトライアスロン会場は、社団法人日本トライアスロン連合と協議の上設定したものでございます。
 インフラ整備と同様、オリンピックの開催の有無にかかわらず、東京湾の水質改善に努めることはもちろんでございますが、競技の実施だけに着目すれば、フェンスを張って実施することも可能でございます。
 いずれにいたしましても、今後、IOCへの立候補ファイルを作成する中で、国際競技団体とも協議しながら、よりよい水質で競技できるよう、さまざまな方策を検討してまいります。
 最後に、オリンピック主要施設の臨海部への配置に関する防災面での検討についてでございます。
 開催概要計画書におきましては、都が専門家の指導のもとに実施し公表した地域危険度測定調査におきまして、地震に対する総合危険度ランクの低い臨海部に主要施設を配置することとしてございます。
 多くの選手、観客が集まるオリンピックに際しまして安全対策を講じていくことは、当然のことでございます。主要施設の整備に当たりましては、安全性に十分配慮してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 臨海部の埋立地の地質調査についてのお尋ねでございます。
 臨海地域におきましては、これまで六千カ所を超える地点の地質調査を実施し、そのデータを集約整理し、構造物の基礎を支える地盤状況について適切に把握しております。
 また、新たに大規模な構造物を整備する際は、その蓄積した資料を活用するとともに、その都度詳細な地質調査を実施し、地盤の液状化や側方流動などに対する検証を行い、構造物の安定性、安全性を確保することとしております。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、保険料の負担軽減等についてでございます。
 介護保険制度及び国民健康保険制度は、区市町村等を保険者とする社会保険制度でございます。受益と負担の公平の見地から、すべての被保険者が適正に保険料を負担することが原則でございます。その上で、低所得者に対する配慮として、所得に応じた保険料設定などの仕組みの中で負担の軽減が行われているわけでございます。
 さらに、今般の税制改正による影響が大きい高齢者への配慮として、平成十八年度及び十九年度において負担の激変を緩和する措置が制度上講じられており、各保険者において既に適切な対応が図られていると考えております。
 こうしたことから、都として新たな財政支援を実施する考えはございません。
 次に、シルバーパス及び軽費老人ホームA型の利用者負担についてでございますが、シルバーパスについては、税制改正により新たに二万五百十円の負担となる方を千円の負担に据え置くとともに、軽費老人ホームA型については、利用料の算定方法を改めた上で、なお負担増となる継続入居者の利用料の据え置きを今年度限りの措置として講じております。
 なお、軽費老人ホームA型については、大幅な負担増となる方を対象に、激変緩和の観点から、来年度に限った必要な措置を検討しており、据え置き措置を継続する考えはございません。
 次に、自殺対策についてでございますが、自殺は経済問題にとどまらず、さまざまな要因が複雑に関係しているとされておりまして、その対策は社会全体での取り組みが重要でございます。
 今後、都は、自殺対策基本法を踏まえ、関係機関、関係局による協議、連携体制の整備、自殺問題に関する理解促進、相談体制の充実など、自殺対策の推進に向けて検討してまいります。
 次に、乳幼児医療費助成の対象年齢の拡大についてでございますが、都はこれまで、子育てを支援する施策の一環として乳幼児医療費助成制度を創設し、区市町村に対して補助を行ってまいりました。その対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してきております。
 義務教育修了までの子どもに対する医療費の軽減については、国の医療制度改革における子どもの医療費負担軽減の方向性、さらには現行の乳幼児医療費助成制度が区市町村主体で地域の実情に合わせて実施されていることなどを踏まえながら、具体的な検討に着手しております。
 最後に、所得制限の撤廃についてでございますが、乳幼児医療費助成制度の所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しておりまして、一定の所得制限を設けることは必要ないと考えております。
   〔産業労働局長島田健一君登壇〕

○産業労働局長(島田健一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、働いても低収入しか得られない人々についてでございますが、都ではこれまで、技術専門校において、求職者向け、在職者向けに職業訓練を行い、都民の能力開発を支援するとともに、しごとセンターを設置し、幅広く就業支援に取り組んでおります。今後とも適切に対応してまいります。
 次に、区市町村の商店街振興プランの改定についてでございます。
 都は平成十三年四月、二十一世紀型商店街づくりの実現に向けた指針を発表し、区市町村が策定する商店街振興プランの方向性を示しました。指針では、区市町村の主体性を最大限尊重しており、プランの改定は、策定主体である区市町村がその地域特性を踏まえ、みずからの責任において行うものであります。
 都としては、区市町村の主体的な取り組みに対し、適時適切な助言、協力を行ってまいります。
 次に、新・元気を出せ商店街事業についてでございます。
 都は新・元気を出せ商店街事業の展開に当たっては、区市町村との情報交換や商店街実態調査の結果を踏まえ、内容の充実を図ってまいりました。
 今後とも、区市町村等と連携し、商店街の振興を図ってまいります。
 最後に、商店街パワーアップ基金事業についてでございます。
 都は本年度、特定施策推進型商店街事業及び商店街パワーアップ基金事業を創設いたしました。今後とも、これら新規施策の円滑な執行に取り組んでまいります。
 なお、特定施策推進型商店街事業の申請に当たっては、必要最低限の書類の提出を求めるなど、可能な限り商店街の負担の軽減を図っているところであります。
   〔福祉保健局長山内隆夫君登壇〕

○福祉保健局長(山内隆夫君) 先ほどの最後の答弁、まことに失礼いたしました。
 所得制限の撤廃についてでございますが、乳幼児医療費助成制度の所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しておりまして、これから、当然ながら一定の所得制限を設けることは必要と考えております。失礼いたしました。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 子育て世帯への家賃助成についてでございますが、都は、都営住宅において、若年ファミリー世帯や多子世帯向けの期限つき入居制度を導入するなど、子育て世帯への公的住宅の提供に努めており、今後とも公的住宅のストックを子育て世帯のニーズに対して積極的に活用してまいります。
 家賃助成につきましては、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など多くの課題があることから、都として創設することは考えておりません。
   〔生活文化局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、保護者負担の軽減等についてでございます。
 私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助につきましては、今年度より、子育て支援策の一環として、第二子以降分の補助単価を大幅に増額しております。
 また、高校生に対する東京都育英資金につきましては、国の高校奨学金が移管された平成十七年度に貸付人員枠を広げ、その充実を図っているところでございます。
 次に、トーキョーワンダーサイトの施設改修時の設計監修についてでございます。
 トーキョーワンダーサイトは、若手芸術家育成のために、平成十三年度に、お茶の水にあった教育庁の空き庁舎を活用して事業を開始いたしました。
 施設改修に当たりましては、当時、事業所管局でございました教育庁が設計監理を行ったところでございます。
 また、その際、監修という名称は使用しておりませんが、施設改修アドバイザーとして、美術館建設に精通している今村氏に専門的な助言を受けたところでございます。
 なお、お話しの設計の専門誌「新建築」におきましては、設計者として、教育庁の営繕課につきましても記載をされております。
 次に、トーキョーワンダーサイトが行った海外調査についてでございます。
 日本の若手芸術家と海外の芸術家との共同制作や、アーチストインレジデンスを初めとする国際文化交流事業のネットワークづくりなどを行うため、平成十四年度以降、十四回、海外調査を行っております。
 具体的には、ワンダーサイトの館長などが、イギリスで開催されたアーツカウンシル世界大会への参加、フランスやドイツにおけるレジデンス施設の視察、韓国などにおけるアジアの芸術家との意見交換などを行っております。
 なお、調査に要した旅費等の費用は、五百万余円でございます。
 最後に、トーキョーワンダーサイトの運営についてでございます。
 トーキョーワンダーサイトは、開設以来、海外の芸術家による展覧会やワークショップ、音楽や美術など異分野の芸術家による共演、トーキョーワンダーウォール入選者等による展覧会などを開催しており、大きな成果を上げていると認識しております。今年度も、既に二十を超える事業を実施しており、九月までに、海外からの来訪者を含め、延べ八千人余りが参加、入場しております。
 また、お茶の水や渋谷の展示スペースに加え、本年十一月には、海外芸術家等との交流・宿泊機能を持つ施設を青山に開設する予定でございます。
 運営体制につきましては、監査の指摘を踏まえ、運営主体は、実行委員会であるワンダーサイトコミッティから都の監理団体である財団法人東京都歴史文化財団に既に移管されており、また、ビッグサイトの先駆的な活動とともに、都民の理解も十分得られているものと認識しております。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君) 都立病院と公社病院関連の四点のご質問にお答えいたします。
 まず、公社病院の現状認識についてでございますが、平成十六年度以降、順次、都から公社に運営を移管してまいりました三つの病院につきましては、公社移管後、医師の退職や医局ローテーションに合わせまして、これまで五十九人の医師を採用してきており、お話しのような募集しても集まらない事態が常態化しているという認識は当たらないと考えます。
 また、小児科、麻酔科等、特定の診療科における医師不足については、程度の差こそあれ、全国の病院が現在直面している問題であり、公社の運営が原因となるものではないと考えます。
 次に、都立病院の充実についてでございますが、これまで、都立病院は、都民に対し、時代のニーズに的確に対応しながら、高水準で専門性の高い医療を提供してまいりました。
 今後も、都立病院が担っている行政的医療を安定的、継続的に確保するとともに、公社病院が担っている地域医療につきましても一層充実し、引き続き、都民に対する総体としての医療サービスの向上を図ってまいります。
 次に、都立病院及び公社病院における診療体制についてでございます。
 これまで、それぞれの病院では、臨床研修医を積極的に受け入れるとともに、必要とされる人材を具体的に交流させるなど、医師の確保、育成に取り組んでまいりました。
 今後とも、それぞれの医療機能の特徴を生かしながら、相互の連携を一層強化することなどによりまして、安定した診療体制の確立に努めてまいります。
 最後に、看護体制についてでございます。
 これまで、都立病院及び公社病院では、個々の看護職員のキャリアアップを支援する計画的な教育指導体制の充実を図ることによりまして、看護師の確保、育成にそれぞれ取り組んでまいりました。
 さらに、今年度からは、都立の三つの病院におきまして、試行的に新人看護師を対象とした臨床研修制度を新たに実施するなど、看護師の定着に努めているところでございます。
   〔生活文化局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) 先ほど、トーキョーワンダーサイトの運営についてのくだりの際に、ワンダーサイトというべきところをビッグサイトと申し上げまして、正確には、ワンダーサイトの先駆的な活動とともに、都民の理解も十分得られるものと認識しておりますということで、おわびして訂正させていただきます。
   〔百四番曽根はじめ君登壇〕

○百四番(曽根はじめ君) 知事、私は、ワンダーサイトや日の丸・君が代の強制をめぐる知事の間違った答弁について、知事ご自身の答弁を求めたにもかかわらず、知事は答弁に立とうとせず、教育長や各局長に答えさせました。無責任です。
 以下二点について、知事に再質問します。
 まず、ワンダーサイトの質問についていえば、この事業は知事の肝いりで始められ、今日まで知事サイドのトップダウンで進められてきたものです。知事が答えないで局長に押しつけるなどは、トップにあるまじき行為です。改めて知事の答弁を求めるものです。
 二問目は、知事の、学習指導要領の中に国旗は日の丸とする、国歌は君が代とするというきちっとした規定があるという発言についてです。学習指導要領がすべての法の上にあるかのような認識で日の丸・君が代を強制されたら、教師や生徒はたまりません。
 教育長は、これが国旗国歌法の規定であると認め、事実上、訂正せざるを得ませんでした。知事、あなたの間違い答弁を正すよう求めた質問に、どうしてほかの人に答えさせるのですか。知事の発言なのですから、自分で答弁してください。
 なお、教育長は、知事の間違いをごまかすために、学習指導要領の解説書を持ち出しました。しかし、これまであなた方は、解説書は学習指導要領ではないといっていたじゃないですか。解説書を持ち出すなら、解説書の別の場所で、学校行事などでの日の丸・君が代の扱いは、各学校が判断するのが適当であると書いてあります。このようにするべきですよ。ご都合主義のごまかしを重ねるやり方は、教育に責任を持つ者がやってはならないことを指摘しておきます。
 知事、都政の最高責任者としての自負と誇りがあるなら、ちゃんと自分で答弁に立ってください。このことを申し上げて、再質問とします。(拍手)
   〔教育長中村正彦君登壇〕
   〔「議長」と呼び、その他発言する者、離席する者あり〕

○議長(川島忠一君) 順次やりますから。順次やりますから。順次。

○教育長(中村正彦君) 繰り返しになりますが、小学校学習指導要領の音楽には、国歌君が代は、いずれの学年においても指導することとあり、同要領社会の解説には、日章旗が国旗であり、君が代が国歌であるという記述がございます。
   〔発言する者、離席する者多し〕

○議長(川島忠一君) 自席にお戻りください。自席にお戻りください。
   〔発言する者多し〕
   〔生活文化局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) ワンダーサイトの運営につきましては、先ほどお答えしたとおりではございますが、ワンダーサイトなどの運営につきましては、東京都文化振興指針として、その方針を東京都として決定しております。その実行につきましては、知事を補助執行する私ども執行機関が答弁するのは、私の責務であると考えております。
   〔発言する者多し〕

○議長(川島忠一君) 知事の責任で答弁させておりますので、差し支えはございません。知事の責任で答弁をさせておりますので、別に問題はございません。
   〔発言する者、離席する者多し〕

○議長(川島忠一君) 自席にお戻りください。自席にお戻りください。自席にお戻りください。
   〔発言する者多し〕

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。(発言する者多し)
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三十分散会

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