平成十八年東京都議会会議録第十一号

平成十八年九月二十日(水曜日)
 出席議員(百二十二名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番きたしろ勝彦君
四番田中たけし君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番山口  拓君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番神林  茂君
二十一番早坂 義弘君
二十二番崎山 知尚君
二十三番宇田川聡史君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番鈴木あきまさ君
二十七番秋田 一郎君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番串田 克巳君
四十三番吉原  修君
四十四番山田 忠昭君
四十五番臼井  孝君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番西岡真一郎君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番田代ひろし君
六十五番三宅 茂樹君
六十六番高木 けい君
六十七番山加 朱美君
六十八番村上 英子君
六十九番坂本たけし君
七十番川井しげお君
七十一番鈴木 一光君
七十二番吉野 利明君
七十三番いのつめまさみ君
七十四番門脇ふみよし君
七十五番小沢 昌也君
七十六番石毛しげる君
七十七番岡崎 幸夫君
七十八番柿沢 未途君
七十九番初鹿 明博君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番倉林 辰雄君
八十八番樺山たかし君
八十九番近藤やよい君
九十番こいそ 明君
九十一番松原 忠義君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十七番酒井 大史君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大沢  昇君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百十番比留間敏夫君
百十一番遠藤  衛君
百十二番高島なおき君
百十三番宮崎  章君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島忠一君
百十九番三田 敏哉君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番馬場 裕子君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員(三名)
  五番 鈴木 隆道君
九十六番 野村 有信君
百十八番 内田  茂君
 欠員
百九番 百二十番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長大原 正行君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長渡辺日佐夫君
都市整備局長柿堺  至君
環境局長村山 寛司君
福祉保健局長山内 隆夫君
産業労働局長島田 健一君
建設局長依田 俊治君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長熊野 順祥君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長高橋 道晴君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

九月二十日議事日程第一号
第一 第百七十二号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百七十三号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百七十四号議案
電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第四 第百七十五号議案
東京都消防訓練所条例の一部を改正する条例
第五 第百七十六号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六 第百七十七号議案
東京都景観条例
第七 第百七十八号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第八 第百七十九号議案
東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
第九 第百八十号議案
東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第十 第百八十一号議案
老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百八十二号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百八十三号議案
東京都原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百八十四号議案
東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
第十四 第百八十五号議案
大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百八十六号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第十六 第百八十七号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第十七 第百八十八号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第十八 第百八十九号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第十九 第百九十号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十 第百九十一号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第二十一 第百九十二号議案
東京都立小児病院条例の一部を改正する条例
第二十二 第百九十三号議案
東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
第二十三 第百九十四号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百九十五号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第二十五 第百九十六号議案
特別区の消防団の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十六 第百九十七号議案
特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第百九十八号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十八 第百九十九号議案
たつみ橋交差点立体化工事(十七 五 ─放十四東新小岩)請負契約
第二十九 第二百号議案
警視庁西新井警察署庁舎(H十八)改築工事請負契約
第三十 第二百一号議案
警視庁多摩西警察署(仮称)庁舎(H十八)新築工事請負契約
第三十一 第二百二号議案
晴豊二号橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十八 五 ─ 環二)請負契約
第三十二 第二百三号議案
是政橋二期鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
第三十三 第二百四号議案
中央環状品川線大井北発進立坑設置工事請負契約
第三十四 第二百五号議案
旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託について
第三十五 第二百六号議案
抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビル)備蓄用の買入れについて
第三十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都税還付加算金還付請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(一八財主議第二三二号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(一八財主議第二三三号)
第三 東京都名誉都民の選定の同意について(一八財主議第二三四号)

   午後一時一分開会・開議

○議長(川島忠一君) ただいまから平成十八年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。

○議長(川島忠一君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
     三番 きたしろ勝彦君 及び
   六十五番 三宅 茂樹君
を指名いたします。

○議長(川島忠一君) 次に、議会局の部長に異動がありましたので、紹介いたします。
 調査部長長嶋博宣君。
   〔部長あいさつ〕

○議長(川島忠一君) 以上で紹介を終わります。

○議長(川島忠一君) 謹んでご報告を申し上げます。
 世田谷区選出桜井良之助議員には、去る七月十六日逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。
 ここで、故桜井良之助君に弔意を表するため、三宅茂樹君より発言の申し出がありますので、これを許します。
 六十五番三宅茂樹君。
   〔六十五番三宅茂樹君登壇〕

○六十五番(三宅茂樹君) 追悼の辞。
 世田谷区選出桜井良之助議員におかれましては、ご家族の懸命な看護と願いもむなしく、去る七月十六日午前三時四十九分、ご逝去されました。
 享年六十六歳、人生八十年時代の今日、政治家として円熟味も増し、これからますますのご活躍のときと期待されていたやさきの突然の悲報に、ただただ驚愕いたしますとともに、痛惜の念にたえません。
 ここに私は、皆様のご同意によりまして、東京都議会を代表し、謹んで桜井良之助議員への哀悼の言葉を述べさせていただきます。
 桜井議員は、昭和三十九年三月、東北大学をご卒業後、公明新聞社に入社されました。国会や都庁を担当され、大いに健筆を振るわれるとともに、政治部長、編集局次長の重責を全うされております。
 その後、昭和四十八年には、都議会議員に立候補され、世田谷区民の皆様の圧倒的なご支持により、三十三歳の若さでご当選なされました。
 以来、九期、三十二年と十一カ月の間、ひたすら都民福祉の向上のため、行財政改革や生活環境の改善、都市基盤の整備を初め、教育、福祉の充実など、都政の抱える重要課題の解決に向け全身全霊をささげてこられました。
 この間、桜井議員は、総務都民生活委員会、住宅港湾委員会の委員長を初め、財務主税委員会、公営企業会計決算特別委員会、予算特別委員会の副委員長など数多くの役職を歴任されるとともに、所属される都議会公明党にあっては、副幹事長、政務調査会長、副議員団長、議員団長と数々の重責を果たされ、同志同僚の皆様の信頼と敬愛を広く集めておられました。
 ところで、若かりしころの桜井議員は、熱血あふれる政治家として既に頭角をあらわしておられましたが、その活躍ぶりをほうふつとさせる話として、今から約三十年前に、世田谷区内の駅で三人の若者が車いすのために乗車拒否をされたことがありました。用賀の職業訓練校で時計の組み立て技術を学び、技能試験に向かう途中のことであったそうです。結局、三人は試験を受けられず、涙をのんだのですが、桜井議員はこの話を聞き、早速、彼らと一緒に当時の運輸省へ陳情に行かれました。
 ところが、ほとんど相手にされません。まだバリアフリーの考え方が社会に浸透していない時代でした。しかし、その後も決してあきらめず、幾度となく交渉され、少しずつ改善が図られたそうですが、こうした桜井議員の熱心な取り組みが後に国を動かし、平成十二年の交通バリアフリー法の制定へと実を結んでいったのです。
 また、阪神・淡路大震災の直後、都議会公明党の派遣団長として現地に入られた桜井議員は、焼け跡で一人の老婦人が、だれもいないテーブルに向かって、亡くなった家族に語りかけている姿を目の当たりにされたそうです。彼女の余りにも悲しい背中を見て、もっと早く救助の手が差し伸べられたら、そう痛感された桜井議員は、東京に戻られるとすぐに、先頭に立って特別救助隊の強化に向け要請活動に全力を注がれました。
 そのかいあって、東京消防庁のハイパーレスキュー隊が創設されましたが、新潟県中越地震での優太ちゃんの救出劇は、まさに桜井議員のご熱意とご努力の成果でもあったわけです。
 さて、平成七年には、その温厚誠実なお人柄と卓越したご実績が広く同僚議員の推すところとなり、晴れて第三十一代副議長にご就任なさいました。
 副議長在任中は、世界都市博覧会の中止やバブル崩壊後の経済の混乱など、まさに激動の時期でございましたが、熊本哲之議長を助け、円滑な議会運営にご尽力なされたことは広く万人の認めるところであります。
 今、我々都議会議員は、真の地方分権、地方自治の確立のために、一丸となって難局に立ち向かっていかなければなりません。こうした折、桜井議員という得がたい都政の同志を失ったことは、極めて大きな損失であります。
 私も同じ世田谷区選出議員として、政治家としても大先輩である桜井議員に、常々、都政のあり方、都政の課題についてご教示、ご指導をいただいてまいりました。深く感謝を申し上げる次第です。
 奉仕に徹し、何事も青年の気概で挑戦を信条とされておりました桜井議員には、座右の銘とされていたサミュエル・ウルマンの詩がありますので、朗読させていただきます。
 「青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相をいうのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。」
 桜井議員、私たちも青春の志を胸に、都政の発展のために邁進することをお誓い申し上げます。
 最後になりましたが、ご遺族の皆様がこの悲しみを乗り越えて力強く歩まれることを切にお願い申し上げ、追悼の言葉とさせていただきます。
  平成十八年九月二十日
東京都議会代表 三宅 茂樹

○議長(川島忠一君) 以上をもって三宅茂樹君の発言は終わりました。

○議長(川島忠一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松原恒美君) 平成十八年九月十三日付東京都告示第千二百八十七号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案三十五件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都税還付加算金還付請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について、依頼がありました。
 次に、平成十八年第二回定例会の会議において同意を得た人事委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び監査委員外三行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成十八年各会計定例監査、平成十七年度執行分の結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第二回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は末尾に掲載〕

○議長(川島忠一君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 総務局長大原正行君、生活文化局長渡辺日佐夫君、環境局長村山寛司君、福祉保健局長山内隆夫君、産業労働局長島田健一君、建設局長依田俊治君、中央卸売市場長比留間英人君、選挙管理委員会事務局長梶原康二君、人事委員会事務局長高橋道晴君、監査事務局長白石弥生子さん、収用委員会事務局長中田清己君。
   〔理事者あいさつ〕

○議長(川島忠一君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(川島忠一君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長においてそれぞれこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、それぞれ議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、それぞれ議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

   議会運営委員辞任・選任名簿

○辞任
 野村 有信君(自民) 新藤 義彦君(自民)
 吉野 利明君(自民) 三宅 茂樹君(自民)
 川井しげお君(自民) 倉林 辰雄君(自民)
 林田  武君(自民) 秋田 一郎君(自民)
 きたしろ勝彦君(自民)中村 明彦君(民主)
 相川  博君(民主) 花輪ともふみ君(民主)
 初鹿 明博君(民主) 酒井 大史君(民主)
 門脇ふみよし君(民主)
     〔以上 平成十八年八月一日付〕

○選任
 宮崎  章君(自民) 高島なおき君(自民)
 遠藤  衛君(自民) 松原 忠義君(自民)
 こいそ 明君(自民) 近藤やよい君(自民)
 山加 朱美君(自民) 村上 英子君(自民)
 坂本たけし君(自民) 田中  良君(民主)
 土屋たかゆき君(民主)山下 太郎君(民主)
 馬場 裕子君(民主) 小沢 昌也君(民主)
 岡崎 幸夫君(民主)
     〔以上 平成十八年八月一日付〕

○議長(川島忠一君) 次に、閉会中の都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました特別委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、それぞれ議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、それぞれ議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

   都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員辞任・選任名簿

○辞任
 西岡真一郎君(民主) 増子 博樹君(民主)
 酒井 大史君(民主) 相川  博君(民主)
     〔以上 平成十八年九月五日付〕

○選任
 吉田康一郎君(民主) 大西さとる君(民主)
 小沢 昌也君(民主) 土屋たかゆき君(民主)
     〔以上 平成十八年九月五日付〕

○議長(川島忠一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都名誉都民の選定の同意について三件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月五日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(川島忠一君) この際、永年在職議員の表彰についてお諮りいたします。
 百十九番三田敏哉君及び九十四番立石晴康君には、東京都議会議員として多年にわたり地方自治の確立と都政の進展のために貢献せられ、その功績はまことに顕著であります。
 本議会は、その功労を多とし、表彰することにいたしたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本議会は、両君を表彰することに決定いたしました。
 お諮りいたします。
 表彰文は議長に一任せられたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより、議長において起草いたしました表彰文により表彰いたします。
  表彰状
  三田 敏哉殿
 あなたは東京都議会議員として
 在職二十五年以上に及び
 都政の発展に努力された功績は
 まことに顕著であります。
 ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成十八年九月二十日
東京都議会
   〔拍手〕

  表彰状
  立石 晴康殿
 あなたは東京都議会議員として
 在職二十五年以上に及び
 都政の発展に努力された功績は
 まことに顕著であります。
 ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成十八年九月二十日
東京都議会
   〔拍手〕
 おめでとうございました。
 なお、表彰状の贈呈については、議長において取り計らいたいと存じますので、ご了承願います。
 ただいま表彰を受けられました両君を代表し、三田敏哉君よりごあいさつがあります。
 百十九番三田敏哉君。
   〔百十九番三田敏哉君登壇〕

○百十九番(三田敏哉君) ただいま立石晴康議員ともども、全会一致の永年表彰二十五年ということで議決をいただきまして、まことにありがとうございます。
 思い起こしますと、私ども、昭和五十六年でしたか、初めて都議会に議席を得させていただきました。そして、鈴木都政、青島都政、そして現在の石原都政のもとにおきまして、私ども、全力で、誠心誠意、皆さんと一緒に都政進展のために努力をしてまいりました。
 私ごとでございますが、平成十三年には都議会議長という大役を仰せつかりまして、無事にこれも務め上げさせていただきましたことは、皆様方の多大なご支援とご協力のたまものでございます。
 この二十五年間、議員の皆さんと、そして、石原知事を初めとする東京都の幹部の皆さんのご理解、ご協力、そして、幾多の都政の課題に、私どもは積極果敢に努力をして今日を迎えたわけでございます。
 特に、思い起こしますと、一九八九年、このときにジャカルタと友好都市を締結いたしました。地球温暖化の一番の原因は緑の減少だというふうなこと等で、オイスカを支援する議員連盟を立ち上げて、それを機に植林を展開して、ことしで十九年目を迎えております。
 その間に、ミャンマーあるいはカンボジア、そしてインドネシア、特に北スマトラ、こういったところに多大な足跡を少なからず残させていただいた。特にジャカルタの郊外の海岸線には、五年間で約二十三万本のマングローブを植えて、十年後には陸地が約一キロ近く沖合に展開したということにつきましては、大変思い出深いものがございます。
 ことしは、たまたま立石晴康議員ともども、都議会のメンバー含めて約二十七名のメンバーで、枯れ葉剤で枯渇したメコン川の周辺の植林に入りました。これも、大変大きなこれからの地球の課題解決に向けての一つのステップかもわかりません。
 これからも全力を挙げて、東京都政の進展はもとより、地球の将来に向けての、いつまでも未来永劫に人間がこの地球に生活できるような、そういう環境づくりを目指して、これからも懸命な努力をこの場において約束させていただきまして、今日まで皆様方とこうして手を携えてこられたのも、そういった意気込みが大きな一つの要因であるということを改めて認識をさせていただきました。
 皆様方のご厚意によりまして、二十五年の栄誉ある表彰を議決いただきました。これを機に、さらに一層の努力をお誓いさせていただきまして、立石議員ともども、心から皆様方に感謝を申し上げまして、御礼のごあいさつにかえさせていただきます。
 皆さん大変にありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 以上をもってあいさつは終わりました。

○議長(川島忠一君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成十八年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 九月六日、悠仁親王殿下が誕生されました。首都東京の知事として、都民とともに心よりお喜び申し上げます。
 親王のご誕生は、都民、国民が久しく待ち望んでいた慶事でありまして、親王殿下が秋篠宮ご一家の深い愛情に包まれながら健やかに成長され、皇室がますます繁栄されることを祈念いたします。
 去る七月十六日、桜井良之助議員が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
 先ほど、はえある永年在職議員表彰を、三田敏哉議員、立石晴康議員がお受けになりました。都政の発展に尽くされた二十五年間のご功績に対して深く敬意を表し、お喜びを申し上げます。
 このたび、名誉都民の候補者として、ドナルド・キーンさん、辻清明さん、西山鴻月さんの三名の方々を選定させていただきました。
 ドナルド・キーンさんは、芭蕉や西鶴など近世日本文学の碩学として知られ、東京を拠点とした意欲的な著作、翻訳活動に長年携わり、世界に向けた日本文化の紹介に精力的に取り組まれております。
 辻清明さんは、多摩の高台に登り窯を築き、無釉による焼き締めという高度な陶芸技法により独自の境地を切り開いて、日本を代表する陶芸家として国際的に活躍されていらっしゃいます。
 西山鴻月さんは、江戸文化である押し絵羽子板を七十年間つくり続け、浅草の羽子板市に毎年作品を出展される傍ら、自宅に資料館を開館するなど、東京の伝統工芸の保存と継承に尽力されております。
 お三方は、多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 さて、夏の甲子園大会において、西東京代表の早稲田実業が球史に残る激闘を制して初の全国制覇をなし遂げ、深紅の大優勝旗を東京に持ち帰りました。白球を追う彼らのひたむきな姿は、東京のみならず日本全体に大きな夢を与え、同時に、スポーツが持つ無限の可能性を示してくれました。
 そのスポーツの世界最高の舞台であるオリンピックの国内立候補都市が、先月末、東京に決定いたしました。二〇一六年の五輪招致はこれからが本番であり、来月にも招致組織を立ち上げ、国内での機運の盛り上げはもとより、国際社会での招致活動を積極的に展開してまいります。
 東京で再びオリンピックを開催することは、私たち日本人が失いつつある自信をこの手に取り戻すための大きなきっかけとなるに違いありません。二〇一六年の東京オリンピックは、日本の存在感をさまざまな形で世界に示す絶好の機会であり、ロボットやIT技術など、東京に集積する日本の最先端技術を存分に駆使して、だれも体験したことのない二十一世紀型の大会を実現してまいります。
 二回目となる東京五輪を成功させるには、交通渋滞の解消や先駆的な環境対策だけでなく、生活、文化、産業などさまざまな分野で東京の将来像を国内外に明らかにし、成熟した都市の新しい可能性を世界に示す必要があります。集中、集積の過程で数多くの課題を克服してきた東京のあり方そのものが世界の範となるよう、さらに高いレベルを目指して東京の未来をしっかりと描き、リアリティーのある政策を重層的に講じていきたいと思います。
 オリンピックは、単に世界最高峰のスポーツ大会としてだけではなく、文化と平和の祭典として、世界全体の発展に寄与する大きな役割を担っております。
 東京は、戦後六十年以上にわたり平和を堅持してきた日本の首都として成長を遂げ、多くの人々がここをふるさとと思い定めて住み続け、代を重ねてきたまちであります。都市の成長と成熟は、都市機能の拡大、充実ばかりではなく、住む人々の地域への愛着や洗練された暮らしぶりによってもたらされるものにほかなりません。
 太平の世が二百五十年続いた江戸では、日本独特の文化、芸術が花開くとともに、江戸っ子と呼ばれる、当時世界最大の都市・江戸ならではの気質もはぐくまれてまいりました。その多様で厚みのある歴史と伝統は、確実に現在の東京へと引き継がれております。世代を超えて連なるかけがえのないものを未来につないでいくことは、後の世代に対する私たちの責任であり、こうした営みの積み重ねこそが、平和であり続けることの何よりのあかしであると思います。
 二〇一六年の東京オリンピックでは、最先端技術の成果を世界に広く還元するとともに、東京大会を、世界の人と人、過去と未来を結ぶ大会と位置づけ、私たちの熱意と可能性を全世界に披瀝し、世界の平和と発展に大いに貢献してまいります。
 今後、JOC、日本オリンピック委員会を初め、国、関係機関と綿密な連携を図りながら、日本の英知を尽くして複合的、戦略的に活動を展開し、熾烈な招致レースを勝ち抜いていきたいと思っております。
 オリンピックは国挙げての一大プロジェクトでありまして、開催国として、日本全体のスポーツの底上げが急務であります。都としても、JOCの意向を十分に踏まえ、旧都立秋川高校などの都有地を活用しながら、ハード、ソフトの両面から、アスリート育成のための支援策を積極的に講じてまいります。
 東京が持つ都市の力と日本の底力を存分に発揮して取り組んでまいりますので、都民の皆様、都議会の皆様一人一人の力をオリンピック招致に結集していただきますよう、心からお願いいたします。
 十年後の五輪開催を見据え、東京を成熟した都市にふさわしいより魅力的なまちとしていくことは、都に課せられた責務であります。
 都はこれまでも、国に先駆けて、東京の特色のある景観を保全する取り組みを進めてまいりました。今後、首都東京ならではの風格ある景観を形成していくため、大規模建築物に関する事前協議の制度化など新たな仕組みを取り入れ、建物の色彩や屋外広告物などを強制力をもって規制してまいります。本定例会に条例の改正案を提案しており、これに基づき東京全体の景観計画を策定してまいります。
 日本が誇る先端技術をまちの中で有効に活用していくことも、魅力のあるまちの実現に欠かせない要素であります。昨年秋、上野地区で実施したICタグの実証実験の成果を踏まえ、この秋から上野動物園で本格的な展開を図るとともに、年内にも、銀座を舞台にした商店街などと連携した新しい取り組みを開始いたします。この実験を、だれもが必要な情報をいつでもどこでもやりとりできるという社会の実現に向けた第一歩としていきたいと思っております。
 オリンピックをてこに、東京をさらに先進的な環境都市としていく必要があります。このため、年明けにも全庁的な推進組織を設置し、都政のあらゆる分野でCO2の大幅な削減を目指す新たな十年プロジェクトを開始したいと思います。
 すべてのオリンピック関連施設を最新の省エネ仕様とするなど、環境最優先の大会を実現するための環境ガイドラインを来年度、策定するとともに、東京全体で緑の大幅な増加や自然エネルギーの多量普及を図るなど、民間企業や都民を巻き込みながら、東京を世界で最も環境負荷の少ない都市としてまいります。
 地球温暖化の進行を阻止するには、二十一世紀の半ばに全世界でCO2の排出量を劇的に減少させる必要があり、今後、都は世界に先んじて、CO2半減都市モデルの実現を目指していきたいと思います。
 東京のみならず首都圏全体が直面する交通渋滞の解消に向け、これからの十年間はまさに正念場でありまして、日本の新しい発展のため、財源の確保を含め、幹線道路の集中的な整備が不可欠であります。
 中でも、三環状道路の整備は一刻の猶予も許されません。圏央道については、来年六月、あきる野─八王子間が開通し、中央自動車道と接続いたします。外環道については、現在、大深度地下方式への都市計画の変更の手続を着実に進めており、中央環状品川線では、十一月に工事に着手し、平成二十五年度の完成を目指してまいります。
 また臨海部では、来月、環状第二号線の築地─晴海間について都市計画の手続を開始し、平成二十七年度の完成を目指すほか、十一月には晴海通りが全線開通いたします。これにより、メーンスタジアムなどオリンピックの主要施設が一つに結ばれ、臨海部周辺のアクセスが格段に改善されるものと大いに期待しております。
 先月中旬、首都圏の広い範囲で大規模な停電が発生いたしました。これまで日本ではあり得ないとされていた大停電により、鉄道を初めとする交通機関などに多大な影響が生じ、都民生活が大きく混乱いたしました。
 直ちに都の施設への影響を点検するとともに、事故発生時の体制やマニュアルを再確認いたしましたが、停電により一国の首都機能が麻痺することは絶対にあってはならないことであります。先日、国、関係機関に対して早急に対策を講じるよう要請するとともに、今後、都としても停電時の体制を強化してまいります。
 首都直下地震の被害想定を九年ぶりに見直して初めてとなる総合防災訓練を、今月一日、二万六千人以上の参加を得て行いました。陸海空の三自衛隊が初めて統合して訓練を実施したほか、全国初の試みとして、外国の支援部隊との連携にも取り組みました。
 在日米軍の艦船が晴海ふ頭から横須賀まで帰宅困難者の輸送訓練に携わるとともに、六年間連続で会場となった横田基地において、韓国のソウル特別市のレスキュー隊が東京消防庁と合流し訓練に加わるなど、都民の安全を守る上で大きな収穫を得ることができたと思います。
 次いで、新興感染症による健康被害から都民を守ることも、危機管理上の重要な課題であります。都では、昨年十二月、新型インフルエンザ発生時の対応を行動計画にまとめるとともに、ことし一月には、アジアの大都市と連携し、感染症の情報ネットワークを構築いたしました。さらに、早期治療薬として効果が期待される抗インフルエンザ薬について、国の備蓄計画よりも一年前倒しして、年内にも約百万人分を確保いたします。
 危機管理の徹底こそ都民福祉の基本でありまして、今後とも、大規模災害はもちろん、テロや伝染病など不測の事態に対し万全を期してまいります。
 感染者が全国で二百万から三百万人と推計されるウイルス肝炎について、先般、国と製薬会社の責任を認める司法判断が相次いで出され、社会的な関心が高まっております。ウイルス肝炎は、自覚症状のないまま肝硬変、肝がんへと進行する重大な病気でありまして、国は早急に抜本的な対策を講じるべきであります。都は、早期発見、早期治療の促進をするため、来年度から、通院医療費の助成など短期集中的な対策を講じ、都民の健康を率先して守ってまいります。
 高齢化の急速な進展により、四人に一人が六十五歳以上の高齢者という社会が間近に迫っておりまして、高齢者の特性を踏まえた医療の提供や、老化に関する高度な研究が喫緊の課題となっております。
 このため、我が国随一の高齢者専門医療機関である老人医療センターと、老化のメカニズムや高齢者に関する研究のパイオニアである老人総合研究所を統合し、地方独立行政法人として健康長寿医療センターを設立いたします。研究と臨床の一体的な取り組みとともに、これまで以上に柔軟で効率的な運営を目指し、高齢者に関する最新の医療を広く都民に提供する新たな拠点として整備してまいります。
 東京、ひいては日本の産業を支えているのは、いうまでもなく都内の優秀な中小企業であります。彼らの競争力をさらに高めるには、独自の技術やデザインを活用した付加価値の高い製品を中小企業みずからが生み出していく必要があります。
 先週、産業技術研究センターに、技術の側面からデザインの活用を支援するデザインセンターを開設するとともに、来月、産業技術大学院大学にデザイナーの養成講座を開講し、製品開発からマーケティング、販売までの一連のプロセスを担う人材を育成してまいります。
 オリンピックが開催される十年後、今の十代の若者たちは社会の一翼を担う存在となっており、彼らの可能性を大きく伸ばすことが重要であります。
 来春、チャレンジスクールや単位制・総合学科の設置など、新しく九つの学校を開設いたします。商業科と工業科を融合させ、ものづくりから流通、消費に至る基礎知識や技術を総合的に学習できる産業科を、区部、多摩地域に一校ずつ新設するなど、独自の取り組みにより、生徒一人一人の能力を引き出す都立高校改革を一層推進してまいります。
 次に、来年二月の東京大マラソン祭りと平成二十五年に開催予定の東京国体についてであります。
 東京マラソンには、定員の三倍を超える十万人近い参加申し込みがあるなど、都民はもとより、日本全国、世界各国の方々から大きな期待が寄せられております。開催までの間に、コース沿道のバリアフリー化など必要な整備を推進するとともに、地元自治会、商店街、都民有志による趣向を凝らした応援イベントの実施や、広範なボランティアの参加などにより、都民と一体となった機運の盛り上げに取り組んでまいります。
 五十四年ぶりの開催となる東京国体が七年後に迫ってまいりました。先月から本格的な競技会場選定の調査を実施しておりまして、今後、多摩・島しょ地区を中心とする関係自治体などと協力し、着実に準備を進め、地域に根差したジュニア選手の育成に積極的に取り組むなど、国内最大のスポーツの祭典を成功に導いてまいりたいと思います。
 マラソンと国体の成果を、国体の三年後に控える東京オリンピックに確実につなげ、国全体に複合的、重層的にインパクトを与える連続的なスポーツムーブメントとしていきたいと思っております。
 最後に、都政改革の一層の推進について申し上げます。
 この七月、行財政改革実行プログラムと「今後の財政運営の指針」を相次いで発表いたしました。
 都はこれまでも、身を削る徹底した改革を進めてきましたが、今回の実行プログラムでは、来年度から三年間でさらに四千人規模の定数を削減するなど、具体的な数値目標と年次計画を明示し、さらなる改革に取り組んでまいります。
 指定管理者制度や市場化テストなど多様な手法を駆使するとともに、監理団体改革や公営企業改革についても一層の推進を図り、新しい世紀にふさわしい行財政システムの構築を目指してまいります。
 また、七年前、破綻寸前であった都財政については、二度の財政再建推進プランに掲げた取り組みにより巨額の財源不足を解消するなど、財政再建に一つの区切りをつけることができました。今後は、中長期的な視点に立って、東京の将来を展望する新たな取り組みにも十分対応できる、強固で弾力的な財政基盤を構築していく必要があります。
 今回指針で示しました中期の財政フレームに基づき、基金の積極的な活用や負の遺産への的確な対応などを基本に据えて、来年度以降の都財政のかじ取りを担ってまいります。
 これからも、改革の手を緩めることなく、東京のさらなる発展と都民福祉の向上に全力で取り組んでいきたいと思います。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案二十七件、契約案六件など、合わせて三十六件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第三までを先議されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第三までを先議することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 追加日程第一から第三まで、東京都名誉都民の選定の同意について三件を一括して議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について三件

一八財主議第二三二号
平成十八年九月二十日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。

ドナルド・キーン
略歴
現住所 東京都北区
ドナルド・キーン
一九二二年六月十八日生
一九二二年 アメリカ合衆国ニューヨーク市生まれ
一九三八年 コロンビア大学に入学
一九四六年 コロンビア大学大学院で日本文学の研究に専心
一九四九年 近松門左衛門の「国姓爺合戦」の研究論文でコロンビア大学文学博士号を授与される。
一九五三年 京都大学に留学
一九六〇年 コロンビア大学東洋学部教授
一九六二年 菊池寛賞を受賞
一九七五年 勲三等旭日中綬章を受章
一九八一年 ケンブリッジ大学文学博士号を授与される。
一九八二年 朝日新聞社客員編集委員に就任
一九八五年 読売文学賞と日本文学大賞を受賞
一九八六年 コロンビア大学にドナルド・キーン日本文化センター設立
一九八七年 東京都文化賞を受賞
一九八八年 コロンビア大学ユニバーシティ・プロフェッサーに任命
一九九〇年 谷崎潤一郎賞選考委員、国際日本文化研究センター教授に就任
一九九二年 コロンビア大学名誉教授
一九九三年 勲二等旭日重光章を受章
二〇〇二年 文化功労者
二〇〇三年 ニューヨークにドナルド・キーン財団を設立
二〇〇六年 読売新聞(土曜朝刊)に自伝「私と二十世紀のクロニクル」を連載

事績
ドナルド・キーン氏
 一九二二年六月十八日、アメリカ合衆国ニューヨーク市に生まれる。
 一九三八年、コロンビア大学に入学、日本語を学ぶ。
 一九四六年、コロンビア大学大学院に入り、日本文学の研究に専心する。
 一九四九年、近松門左衛門の「国姓爺合戦」の研究論文でコロンビア大学文学博士号を授与される。
 一九五三年、京都大学に二年間留学する。
 一九六〇年、コロンビア大学東洋学部教授となる。以降年の半分を日本で過ごす。
 一九六二年、日本文学の翻訳及び海外への紹介により菊池寛賞を受賞する。
 一九七五年、勲三等旭日中綬章を受章する。
 一九八一年、ケンブリッジ大学文学博士号を授与される。
 一九八二年、朝日新聞社客員編集委員に就任する。
 一九八五年、日本の日記文学の全体像を著した「百代の過客」により読売文学賞と日本文学大賞を受賞する。
 一九八六年、コロンビア大学にドナルド・キーン日本文化センターを設立する。
 一九八七年、東京都文化賞を受賞する。
 一九八八年、コロンビア大学の最高称号であるユニバーシティ・プロフェッサーに任命される。
 一九九〇年、谷崎潤一郎賞選考委員、国際日本文化研究センター教授に就任する。
 一九九二年、コロンビア大学名誉教授となる。
 一九九三年、勲二等旭日重光章を受章する。
 二〇〇二年、文化功労者となる。
 二〇〇三年、海外に日本文化を普及させる目的でニューヨークにドナルド・キーン財団を設立する。
 二〇〇六年、読売新聞(土曜朝刊)に自伝「私と二十世紀のクロニクル」を連載する。
 氏は、コロンビア大学在学中から日本文学に惹かれ、古代から現代までの日本文学を研究し、著書「日本文学史」及び「日本の文学」等は、日本文学の真髄に迫る名著として絶賛を浴びた。
 「優れた文明は、共通に人々をひきつける普遍性を持つ。日本文化もその例外ではない。」という信念に基づいて、広く世界に日本文化を紹介するなど優れた業績を残している。
 また、欧米における日本文学・文化研究の先導者として多くの研究者の育成に尽力するなど、その功績は広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

一八財主議第二三三号
平成十八年九月二十日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。

辻 清明
(本名 つじ きよはる)

略歴
現住所 東京都多摩市
辻 清明
(本名 つじ きよはる)
昭和二年一月四日生
昭和二年   東京府荏原郡(現東京都世田谷区)生まれ
昭和十六年  自宅に倒焔式石炭窯を築き、姉輝子と辻陶器研究所を設立
昭和二十三年 富本憲吉を中心とする新匠工芸会展に出品
同年     札幌の北海道拓殖銀行ロビー、丸井デパートで個展を開催
昭和二十六年 同志と「新工人会」を設立。以後約十年にわたって活動
昭和二十七年 第一回新工人展を開催
同年     光風会展に出品し、工芸会賞を受賞
昭和三十年  多摩市連光寺に登り窯を築き、辻陶器工房を設立
昭和三十七年 三越日本橋店にて妻の協とともに辻清明・辻協新作陶展を開催。以降たびたび二人展を開催
昭和三十八年 米国ホワイトハウスに「緑釉布目板皿」、仏国ギメ美術館に「壺」が所蔵される。
昭和三十九年 日本陶磁協会賞を受賞
同年     日本陶磁協会賞受賞作家展に出品。以降平成十八年まで毎年出品
昭和四十年  米国インディアナ大学美術館に「信楽自然釉壺」が所蔵される。
昭和四十二年 米国ペンシルバニア州立大学美術館に「信楽窯変花生」が所蔵される。
昭和四十四年 三越日本橋店にて辻清明陶芸二十五周年展を開催
昭和四十五年 東京国立近代美術館に「球と方形の対話」が所蔵される。
昭和四十六年 日本陶芸展に出品。以降平成十七年まで毎回招待出品
昭和四十八年 伊国ファエンツァ陶芸博物館に「茶碗」が所蔵される。
昭和五十七年 西武美術館主催の作陶四十五周年記念「炎 ─ 陶匠辻清明」展を開催
昭和五十八年 日本陶磁協会賞金賞を受賞
平成二年   藤原啓記念賞を受賞
平成十三年  独国ハンブルグダヒトアホール美術館で開催の日本現代陶芸展に招待出品

事績
辻 清明氏
(本名 つじ きよはる)
 昭和二年一月四日、東京府荏原郡(現東京都世田谷区)に生まれる。
 昭和十六年、自宅に倒焔式石炭窯を築き、姉輝子と辻陶器研究所を設立する。
 昭和二十三年、富本憲吉を中心とする新匠工芸会展に出品する。同年、札幌の北海道拓殖銀行ロビー、丸井デパートで個展を開催する。
 昭和二十六年、同志と「新工人会」を設立し、以後約十年にわたって活動する。
 昭和二十七年、第一回新工人展を開催する。同年、光風会展に出品し、工芸会賞を受賞する。
 昭和三十年、多摩市連光寺に登り窯を築き、辻陶器工房を設立する。
 昭和三十七年、三越日本橋店にて妻の協とともに、辻清明・辻協新作陶展を開催する。以降たびたび二人展を開催する。
 昭和三十八年、米国ホワイトハウスに「緑釉布目板皿」、仏国ギメ美術館に「壺」が所蔵される。
 昭和三十九年、日本陶磁協会賞を受賞する。同年、日本陶磁協会賞受賞作家展に出品する。以降平成十八年まで毎年出品する。
 昭和四十年、米国インディアナ大学美術館に「信楽自然釉壺」が所蔵される。
 昭和四十二年、米国ペンシルバニア州立大学美術館に「信楽窯変花生」が所蔵される。
 昭和四十四年、三越日本橋店にて辻清明陶芸二十五周年展を開催する。同年、京都国立近代美術館に「信楽壺」が所蔵される。
 昭和四十五年、東京国立近代美術館に「球と方形の対話」が所蔵される。
 昭和四十六年、日本陶芸展に出品する。以降平成十七年まで毎回招待出品する。
 昭和四十八年、伊国ファエンツァ陶芸博物館に「茶碗」が所蔵される。
 昭和五十七年、西武美術館主催の作陶四十五周年記念「炎 ─ 陶匠辻清明」展を開催する。
 昭和五十八年、日本陶磁協会賞金賞を受賞する。
 平成二年、藤原啓記念賞を受賞する。
 平成十三年、独国ハンブルグダヒトアホール美術館で開催の日本現代陶芸展に招待出品する。

 氏は、陶芸家として土に親しむこと七十年に及び、特に古信楽の美の世界に深く興味を寄せ、無釉による焼締めに独特の境地を切り拓いてきた。

 「宇宙を構成する五つの要素である地・水・火・風・空と人との調和が美の生命力を培っていく」という想いのもと、電気窯やガス窯に頼ることなく、多摩の地に築窯した登り窯での焼成に取り組み、土と炎によって生成される美を追求し続けている。
 ひたすら己を信じる道をすすみ、仕事を深く豊かなものにしてきた姿勢は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

一八財主議第二三四号
平成十八年九月二十日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。

西山 鴻月
(本名 西山幸一郎)

略歴
現住所 東京都墨田区
西山 鴻月
(本名 西山幸一郎)
大正十年三月十三日生
大正十年   東京市浅草区(現東京都台東区)生まれ
昭和十二年  羽子板面相師倉田雅生氏に師事
昭和五十三年 英国ロンドンで開催のエリザベス女王戴冠二十五年記念日本伝統工芸展に出展、羽子板を寄贈
同年     池袋サンシャインでの商工会議所百周年記念会場において羽子板展と実技の披露
同年     墨田区伝統工芸保存会を創立。会長に就任
昭和五十六年 第一次「江戸伝統工芸職人訪中団」団長として北京他五都市の伝統工芸技術者と交流。羽子板を寄贈
同年     仏国ニースにおいて羽子板展と実技の披露。羽子板を寄贈
同年     東京都功労者(労働精励)表彰を受ける。
昭和六十年  米国ロサンゼルスにおいて「羽子板父子展」を開催。売上金の一部を寄贈
同年     第二次「江戸伝統工芸職人訪中団」団長として西安他五都市の伝統工芸技術者と交流。羽子板を寄贈
昭和六十一年 西ドイツ・コール首相夫人に羽子板を寄贈
同年     第五十八回新構造展入選S氏賞受賞
昭和六十二年 銀座松屋において「羽子板父子展」を開催。以後平成十八年まで二十回連続開催
昭和六十三年 東京都伝統工芸士に認定
平成元年   自宅に「羽子板資料館」を開館
平成二年   東京都伝統工芸保存連合会副会長に就任
平成三年   墨田区指定登録無形文化財保持者に認定
平成四年   東京都伝統工芸品産業功労者感謝状を受ける。
同年     タイ国バンコクにて実技を披露。羽子板を寄贈
平成六年   豪州シドニーにおいて実技を披露。羽子板を寄贈
平成七年   墨田区功労者(教育振興功労)表彰を受ける。
平成八年   銀座松屋美術サロンにおいて羽子板作り一筋六十年展を開催
同年     東京都伝統工芸士会展において特別賞を受賞
平成十一年  「羽子板職人の四季・風のしがらみ」出版
平成十二年  東京節句人形振興協会全国新作コンクール展において文部大臣特別賞受賞
平成十三年  東京都功労者(文化功労)表彰を受ける。

事績
西山 鴻月氏
(本名 西山幸一郎)
 大正十年三月十三日、東京市浅草区(現東京都台東区)に生まれる。
 昭和十二年、羽子板面相師倉田雅生氏に師事する。
 昭和五十三年、英国ロンドンで開催のエリザベス女王戴冠二十五年記念日本伝統工芸展に出展し、羽子板を寄贈する。同年、池袋サンシャインでの商工会議所百周年記念会場において羽子板展と実技を披露する。同年、墨田区伝統工芸保存会を創立し、会長に就任する。
 昭和五十六年、第一次「江戸伝統工芸職人訪中団」団長として北京他五都市の伝統工芸技術者と交流し、羽子板を寄贈する。同年、仏国ニースにおいて羽子板展と実技を披露し、羽子板を寄贈する。同年、東京都功労者(労働精励)表彰を受ける。
 昭和六十年、米国ロサンゼルスにおいて「羽子板父子展」を開催し、売上金の一部を寄贈する。同年、第二次「江戸伝統工芸職人訪中団」団長として西安他五都市の伝統工芸技術者と交流し、羽子板を寄贈する。
 昭和六十一年、東京サミット開催時、西ドイツのコール首相夫人が工房を視察に訪れた際、羽子板を贈る。同年、第五十八回新構造展入選S氏賞を受賞する。
 昭和六十二年、銀座松屋において「羽子板父子展」を開催する。以後平成十八年まで二十回連続開催。
 昭和六十三年、東京都伝統工芸士に認定される。
 平成元年、自宅に「羽子板資料館」を開館する。
 平成二年、東京都伝統工芸保存連合会副会長に就任する。
 平成三年、墨田区指定登録無形文化財保持者に認定される。
 平成四年、東京都伝統工芸品産業功労者感謝状を受ける。同年、タイ国バンコクにて実技を披露し、羽子板を寄贈する。
 平成六年、豪州シドニー市において実技を披露し、羽子板を寄贈する。
 平成七年、墨田区功労者(教育振興功労)表彰を受ける。
 平成八年、銀座松屋美術サロンにおいて羽子板作り一筋六十年展を開催する。同年、東京都伝統工芸士会展において特別賞を受賞する。
 平成十一年、「羽子板職人の四季・風のしがらみ」を出版する。
 平成十二年、東京節句人形振興協会全国新作コンクール展において文部大臣特別賞を受賞する。
 平成十三年、東京都功労者(文化功労)表彰を受ける。
 氏は、歌舞伎役者の舞台姿を押絵にして羽子板に打ち付けるという江戸時代から始まる押絵羽子板の第一人者として、七十年余の長きにわたり匠の業に取り組んできた。
 また、これまで培ってきた技術や体験を活かし、子どもたちに仕事を通して人に喜びを与える素晴らしさを伝えたいと努めている。
 「羽子板づくりは天職、生まれ変わっても羽子板の職人になる」とその道一筋、百年は持ちこたえる羽子板を丹精込めてつくり続ける姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定いたしました。

○六十七番(山加朱美君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十一日から二十五日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十一日から二十五日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、九月二十六日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時五十分散会


文書質問趣意書及び答弁書

一八財主議第二二六号
平成十八年九月十二日
         東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十八年第二回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   後藤雄一議員
   そなえ邦彦議員
   河野百合恵議員
   小竹ひろ子議員
   村松みえ子議員
   斉藤あつし議員
   かち佳代子議員
   植木こうじ議員
   松村友昭議員
   曽根はじめ議員

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 後藤雄一

質問事項
 一 都営住宅の共益費の徴収について
 二 海洋不法投棄について
 三 港湾局と大島支庁の対応について
 四 新銀行東京について
 五 外部講師/謝金-支払い基準について
 六 交通局の隠ぺい体質について
 七 公用車について

 一 都営住宅の共益費の徴収について
   都営住宅入居者に配布している「住まいのお知らせ」29ページには「自治会等(居住者が決定した会計責任者)が徴収するもの」として、「1ヶ月1世帯2000円から5000円かかります」と書かれている。
   また、「都営住宅募集のご案内」の20ページにも、「使用料のほかに入居者の負担する費用」として「月額 約1000円から5000円程度」と書かれている。
   これらの費用は、エレベーターの電気代等で「共益費」と呼び、自治会等が住民から徴収している。
   行革110番が調査したところ、南千住のある都営住宅では、「共益費と自治会運営費」をまとめて自治会費として、月額3000円を徴収している。そしてこの自治会では平成10年から繰越残高が1000万円を超えており、自治会役員は震災等の災害に備えていると説明していることが分かった。しかし、都営住宅なので建物の損害は東京都に修繕等の義務がある。
   都営住宅には、年金暮らしの高齢者・生活保護を受けている世帯もあり、残高1000万円について異論を唱える住民もおり不適切と考える。また、一部の住民が「通帳・帳簿」の開示を求めてもこの自治会は拒否する、と言う。
   一方、最高裁で「共益費の支払いは義務であるが、自治会の入会は自由」との判決もある。そこで、東京都・住宅供給公社は
  1 「住まいのお知らせ」「都営住宅募集のご案内」の記載を統一すべき、と考えるが如何か。
  2 共益費と運営費を別会計にするよう指導すべき、と考えるが如何か。
  3 また、自治会の会計の透明性を高めるために、公開するよう指導すべき、と考えるが如何か。
 二 海洋不法投棄について
   平成18年3月30日、下田海上保安部は行革110番の刑事告発を受け、東京都港湾局が発注(前抗建設が受注)した「平成16年度野伏漁港-4.5メートル泊地整備およびその他工事」に関し沼津地検に「東京都、東京都職員、船主」を海洋汚染防止法違反で書類送検した。環境を守らなければならない東京都が書類送検されたことは、不名誉きわまりない。
  1 東京都が海洋汚染防止法違反で書類送検されたことに対する東京都の見解を伺う。
  2 工事業者に対する処分について伺う。
   また、中詰石を投入した海底には、投棄されているタイヤ・ワイヤー等は未だに回収されず放置されたままになっている。
  3 現在海底に放置されている産業廃棄物を至急回収させるべき、と考えるが如何か?また、なぜ現在まで放置しているのか理由を伺う。
   また、港湾局は本件工事のうち1万立方メートルの岩塊等を野伏漁港から10キロメートル先に投棄したとして工事代金を支払っていたが、行革110番が投棄場所が野伏漁港から400メートルであると監査請求したところ、工事変更を行い、970万円を工事業者から返還させた。その際の変更理由は、「魚礁作成」であるとして魚礁作成工事に必要なダイバー/投入指示を行ったとして潜水工事代金を追加して支払った。
   しかし、行革110番が行っている住民訴訟で裁判所を通し、「本件魚礁作成工事でダイバー/投入指示を行った潜水記録」を当該潜水会社に調査嘱託を行ったところ、「記録なし」との回答があり投入指示の潜水は行っていなかったことが判明した。つまり、港湾局は魚礁作成との既成事実を作るため調査も行わず「工事変更」を行い業者(前抗建設)にカラ工事代金を支払っていたことになる。
   本件ダイバー/投入指示工事がカラ工事であることを公になることを察知した前抗建設は、潜水会社が裁判所に「記録なし」の回答する当日、東京都に対し、五洋建設からの報告という形で「顛末書」を提出した。そして、6月1日「カラ工事代金244万6500円、利息21万3900円」を東京都に返還した。
  4 前抗建設・五洋建設を厳重に処分すべき、と考えるが見解を伺う。
  5 港湾局の調査も行わず、工事変更を行い「カラ工事代金」を支払った港湾局担当者を処分にすべき、と考えるが見解を伺う。
 三 港湾局と大島支庁の対応について
   平成18年4月29日、東京都港湾局が発注(前抗建設が受注)した「平成17年度野伏漁港-7.5メートル岸壁補修工事」に関し、下田海上保安部が行革110番の告発を受け不法投棄の疑いで現場検証を行った。
   現場の海底からは、岸壁車止め取り替え工事で落下したコンクリート殻等が多数発見された。
   その後、下田海上保安部が前抗建設に海底の掃除をさせたところ、コンクリート殻/90キログラム、鉄くず/20キログラムが回収されている。
   これほどズサンな工事にも関わらず、東京都大島支庁職員の現場監督らは「合格」と判定している。東京都発注の工事で、同一業者が海洋不法投棄、不法投棄の2度も海上保安庁の捜査を受けるとは業者の選定に問題があると言わざるを得ない。そこで質問だが、
  1 今回の不法投棄で、前抗建設は処分を受けたか?処分を受けたとしたら、どのような処分を受けたのか?処分を行っていなければ、今後処分を行う予定があるか?伺う。
  2 本件請負業者(前抗建設)が海上保安庁から海洋不法投棄で書類送検されている業者であるのに関わらず、現場監督らは本件不法投棄を何故未然に防げなかったのか?職務怠慢と考えるが見解を伺う。
  3 なぜ、監督員はこれほどのズサンな工事を合格と判定したのか?伺う。
 四 新銀行東京について
   新銀行東京は中小・零細企業を対象にして、「無担保・第三者保証不要」をキャッチフレーズの定型商品「ポートフォリオ」の融資を行っている。パンフレット等には、原則第3者保証不要とし「法人のお客さまは代表者の連帯保証が必要です。個人事業主のお客さまは不要ですが、お申し込み時年齢が満70歳以上の場合は、ご本人の相続人もしくは事業継承者さま1名の連帯保証が必要です」と但書が記載されている。この記載は常識であり本件では問題にしない。
   しかし、今年4月、行革110番に「73歳の有限会社K社長から『第三者保証を請求された』と言う苦情」が寄せられた。行革110番が調査してみると、新銀行新宿支店に第3者保証不要の定型商品「ポートフォリオ」の融資を「K社長」が申し込んだところ、最終段階で第三者保証を求められた、という。
   そこで新銀行東京新宿支店に問い合わせたところ「有限会社といっても個人経営と変わりない、73歳をこえているので承継者の保証が必要と判断した。一人でも多くの方に融資をするために必要だ」と言う。そこで定型商品「ポートフォリオ」の融資で、第三者保証をとっている融資は何件ぐらいあるのか?と担当者に聞くと「この件だけでなく、100件ほどある」と答える。他の金融機関の融資は、「保証協会」等の保証をとるケースが多くある。これでは「看板に偽りあり」である。そこで質問だが、
  1 東京都は新銀行東京に対して、上記第3者保証を要求した事案があるか確認したか?調査したか?結果も含め伺う。
  2 東京都は、新銀行東京が定型商品「ポートフォリオ」で第三者保証を求めるケースがあることを認識しているのか?
  3 今後も新銀行東京に対し、定型商品「ポートフォリオ」は保証協会の保証をも含め、第3者保証をとらず融資を続けていくよう指導するつもりか伺う。
 五 外部講師/謝金-支払い基準について
   平成18年1月31日、「東京ビッグトーク 石原知事と議論する会」が15時から16時30分、入場者400人で「川淵三郎氏、原田宗彦氏、大林素子さんらをコメンテーター、白石真澄さんをコーディネーター」として開かれた、上記4名に謝金が支払われた。
   東京都は、東京都職員研修所が外部講師の支払い基準として作成した「外部講師謝金支払い基準」を本件ビッグトークの謝金の支払いにも適用している。
   本件ビッグトークの謝金支払いをみると、コメンテーターには1時間当たり2万6000円、4時間、合計10万4000円。コーディネーターの白石さんは「助教授」なので、1時間当たり、2万3000円、4時間で9万2000円が支払われた。
   コーディネーターのお一人を例に取ると、「本件外部講師謝金支払い基準」の1時間当たり1万3000円を適用し、本件は講演受講者が400人となり、基準にある400人以上は10割増を適用し、時間単価が2倍の2万6000円で計算している。出演者には30分早めに来て頂き打ち合わせをしたとして、打ち合わせ30分、本番1時間30分、あわせて2時間の講演としてコメンテーター3名に5万2000円が支払われた。
   また1月16日、13時から15時の2時間に打ち合わせをしたとして、2時間の謝金が支払われている。この2時間の打ち合わせも講演受講者が400人として時間単価を本番同様に2倍の2万6000円の謝金を支払っている。
   しかし400人以上の講演は1月31日の1時間30分だけだ。30分前に来て頂いたとして2時間、これは100歩譲っても、1月16日の打ち合わせに2時間、1時間当たり2倍の謝金が支払われているのは納税者として納得しないだろう。生活文化局担当者に「事前打ち合わせ」の内容を聞くも、「電話などで内諾を頂いているが、お合いして正式にお願いし内容を打ち合わせた」という。
   見識・経験のある方にお願いするのに、2時間も面談してレクチャーが必要なのか?実際に2時間行っているのか疑問だ。そこで伺うが、
  1 本件ビッグトークの出演者の謝金支払いに、職員研修所の「本件外部講師謝金支払い基準」を使うのは不適切と考えるが見解を伺う。
  2 出演交渉・事前の打ち合わせにも謝金を支払うのは納税者の理解が得られない。見解を伺う。
  3 本件出演者と「事前打ち合わせ」として、面談しレクチャーした時間は、正味2時間おこなったのか?支払い金額をあわせるために便宜上2時間としたのか伺う。
 六 交通局の隠ぺい体質について
   交通局は飲酒運転撲滅の為「アルコール検知器」を導入し、仕事前、終了後に検知器でチェックを行っている。昨年からは替え玉チェックができないように、カメラ付き検知器を使用している。
   バス運転手は出勤すると小型カメラがついているアルコール検知器の前で、ストローくわえ検知器に5秒間フーフーと息を吹き込む。この5秒間のうちにカメラのシャッターがおりる。この画像はパソコンに取り入れられ保存される。
   しかし昨年11月16日、早稲田自動車営業所青梅支所(以下「青梅支所」という)で、「検査担当者」が帽子を深くかぶりアルコール検知器の前でストローでフーフー(替え玉チェック)している所を同僚の運転手に見つかってしまった。替え玉でフーフーしていたのが、チェックを担当する職員、最悪だ。
   見つけた運転手は、昨年11月末に早稲田自動車営業所長(以下「営業所長」という)に替え玉チェックの事実を伝えるが営業所長は「無視」、今年2月に再度営業所長に問いただしたがまたもや営業所長は「無視」。仕方なく交通局自動車部長に替え玉チェックの事実を伝えた。自動車部長は保存されていた写真を確認したところ、替え玉チェックは「この1件」だけでなかったことを確認する。
   替え玉チェックをみつけた運転手から再三「替え玉チェック」の事実を伝えられていた営業所長は、自動車部長宛の「職員の処分について(内申)」の中で「青梅支所長の処分を求めている」と推測されるページに、「今回の替え玉事件は現場(青梅支所)の管理する立場の職員として知らなかったとはいえ責任は重い。しかし深く反省している。寛大な処分をお願いする」と書いている。
   しかしこの文書を作成した営業所長は、2度も事件について職員から知らされており、営業所長は管理職として現場責任者である支所長に対し「替え玉チェック」の事実を確認し改善するよう指示し、同時に上司の自動車部長に報告する立場にあるはずだ。にも関わらず放置していたとすれば「隠ぺい」または「もみ消し」していると疑われても仕方ない。
   しかし交通局はこの隠ぺい疑惑の事実について、告発者である運転手から聴取せず営業所長のいい分だけで「隠ぺいなし」と結論づけ、そして「管理監督責任」だけを問題にしたようだ。この「管理監督責任」に対する処分は一般的に口頭注意程度という。
   乗務員には検知器の前で証拠の写真を撮り、少しでもアルコールが検出されれば当然乗務禁止、そして処分。アルコールチェックを忘れるだけでも戒告という重い懲戒処分が課せられる。
   しかし交通局の現状は、職員から替え玉チェックの事実を告げられ、そして是正を求められたのに管理監督責任を果たさず放置していた営業所長は口頭注意で終わらしたという。そこで質問だが、
  1 交通局は、運転手等の現場職員のやる気が一番だ。本件の隠ぺい・もみ消しの疑惑が生じるような人事管理を行っているが、なぜ告発した職員から事情聴取をしなかったか伺う。
  2 アルコール検知器の写真が、上書きされてしまうことがある、と営業所長の内申に書かれているが、上書きされたことがあるのか伺う。また上書きすることは可能なのか?伺う。
  3 ドライバーがアルコールチェックを忘れないために、検査結果が記載されるレシートにドライバーの確認印を押すべき、と考えるが見解を伺う。
 七 公用車について
   フライデー/2006年3月24日号には、公用車が違法駐車している写真が掲載されている。6月から違法駐車に関する法改正が行われた。
  1 公用車の運転手に対して、駐車についてどのような指導を行っているか伺う。
   出納長の専用公用車が問題になり、テレビ等のマスコミで話題になった。
  2 公用車の運用に関し、改革を行う考えがあるか伺う。また、改善した事柄があったら示してほしい。
   行革110番が公用車の使用実態を調査中、公用車のスピード違反をたびたび目撃した。
  3 公用車の運転に対し、交通法規を遵守するよう指導を徹底すべき、と考えるが、如何か?
   東京都は防犯ステッカーを車に貼って、防犯運動を展開中だ。
  4 公用車にも防犯ステッカーを貼るべき、と考えるが如何か?

平成18年第二回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都営住宅の共益費の徴収について
  1 都営住宅入居者に配布している「住まいのお知らせ」と「都営住宅募集のご案内」の共益費の記載を統一すべきであるが、いかがか。

回答
  「住まいのしおり」と「都営住宅募集のご案内」の共益費の表記方法について、入居者により分かりやすくなるような方向で検討します。

質問事項
 一の2 自治会に対し、共益費と運営費を別会計にするように指導すべきだが、いかがか。

回答
  都営住宅の自治会は、都営住宅の居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体で、会員が自主的に運営しています。

質問事項
 一の3 自治会の会計の透明性を高めるために、公開するように指導すべきだが、いかがか。

回答
  都営住宅の自治会は、都営住宅の居住者を会員として、会員相互の親睦を図り、快適な環境の維持管理に対処する等の目的で設立された任意団体であり、会員により適切に運営されることが望ましいと考えています。

質問事項
 二 海洋不法投棄について
  1 下田海上保安部は、16年度の港湾局発注工事に関し、東京都、東京都職員、船主を海洋汚染防止法違反で書類送検したが、都が書類送検されたことに対する見解を伺う。

回答
  本件は「平成16年度野伏漁港-4.5M泊地整備及びその他工事」において、しゅんせつした岩塊等を、地元漁協から魚礁材として活用してほしいとの要望を受け、海洋投入したものです。
  書類送検された件については、東京都、東京都職員、船主のいずれに対しても平成18年7月24日、静岡地方検察庁沼津支部において不起訴処分が決定しています。

質問事項
 二の2 工事業者に対する処分について伺う。

回答
  既に不起訴処分が決定しており、この件に関連して、東京都が処分を行う理由はありません。

質問事項
 二の3 現在海底に放置されている産業廃棄物を至急回収させるべきだが、いかがか。また、なぜ現在まで放置しているのか理由を伺う。

回答
  「平成16年度野伏漁港-4.5M泊地整備及びその他工事」における中詰石は、地元漁協の要望を受け、魚礁材として海洋投入しており、工事施工に当たり、監督員は廃棄物が混入しないよう適切に指導しました。
  なお、海上保安部の調査後、都が調査した際には、タイヤ等の廃棄物は確認できませんでした。

質問事項
 二の4 前抗建設・五洋建設を厳重に処分すべきだが、見解を伺う。

回答
  本件は、係争中であり、その結果を踏まえ適切に対応していきます。

質問事項
 二の5 局調査も行わず、工事変更を行いカラ工事代金を支払った港湾局担当者を処分にすべきだが、見解を伺う。

回答
  過払金の積算に当たっては、請負者から提出された工事関係書類や海上保安部への届出書を確認するなど、適切な事務手続により算定しました。
  その後、工事関係書類等に一部不備が明らかになったことから、適正に処理しました。

質問事項
 三 港湾局と大島支庁の対応について
  1 17年度の港湾局発注工事に関し、前抗建設は不法投棄で海上保安庁の捜査を受けた。今回の不法投棄で前抗建設はどのような処分を受けたのか、今後処分を行う予定があるか、伺う。

回答
  「平成17年度野伏漁港-7.5M岸壁補修工事」の請負者から、本工事に起因してコンクリート片等が海中に落下した可能性があり、海上保安部の調査を受けた旨の報告が大島支庁港湾課にありました。
  このコンクリート片等は、本工事に起因する可能性があることから、請負者は、都及び海上保安部の指導の下、岸壁周辺の海底から回収しました。
  なお、本件は海上保安部が調査中であり、その結果を踏まえ適切に対応していきます。

質問事項
 三の2 本件請負業者が海洋不法投棄で書類送検されているにも関わらず、現場監督らは不法投棄をなぜ未然に防げなかったのか、見解を伺う。

回答
  監督員は、請負者に対し、仕様書に基づき「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等の諸法令の遵守を義務付け、施工計画書にはコンクリ-ト片等の海中落下防止策を記載させるとともに、施工中も海中落下防止処置を適切に行うよう、指導を行いました。

質問事項
 三の3 なぜ、監督員はこれほどのズサンな工事を合格と判定したのか伺う。

回答
  当該工事の完了検査における合否の判定は、検査員が検査に関する基準に基づき、適切に実施しました。

質問事項
 四 新銀行東京について
  1 73歳の有限会社社長から「ポートフォリオ」融資で第三者保証を請求されたとの苦情があった。都は新銀行に対して、こうした事案があるか確認、調査したか。結果も含め伺う。

回答
  新銀行東京では、できる限り多くの中小事業者を支援するため、「新融資『ポートフォリオ』」での融資が困難な顧客に対し、例外的に、定型商品以外のいわゆる一般融資として融資を行うことがあります。その場合、法人であっても、代表者以外の第三者の保証を取ることがあります。
  御指摘の事案について、新銀行東京に確認したところ、過去において、「新融資『ポートフォリオ』」と一般融資との違いを十分説明せず、「新融資『ポートフォリオ』」で第三者保証を取ると誤解を招くようなことがあったため、そのような誤解を招くことのないよう、社内に周知徹底を図ったとのことです。

質問事項
 四の2 都は、新銀行が「ポートフォリオ」で第三者保証を求めるケースがあることを認識しているのか伺う。

回答
  都は、「新融資『ポートフォリオ』」で、「法人の代表者」と「個人事業主で70歳以上の場合の本人の相続人若しくは事業承継者」を除き、第三者保証を求めるケースはないと認識しています。

質問事項
 四の3 今後も新銀行に対し、「ポートフォリオ」は保証協会の保証も含め、第三者保証をとらず融資を続けていくよう指導するつもりか伺う。

回答
  新銀行東京に対する業務上の指導・監督は、銀行法に基づき金融庁が行っていますが、都は株主として、新銀行東京が、原則無担保・第三者保証なしの「新融資『ポートフォリオ』」を中心に、中小事業者のニーズに適ったサービスをより一層充実するよう、引き続き働きかけを行います。

質問事項
 五 外部講師謝金支払い基準について
  1 東京ビッグトークの出演者の謝金支払いに、職員研修所の「外部講師謝金支払い基準」を使うのは不適切と考えるが、見解を伺う。

回答
  「東京ビッグトーク 石原知事と議論する会」は、都政の重要課題について、知事と数名のコメンテーターが都民を交えて議論を行う形で開催しています。コメンテーターについては、その時々のテーマに合わせて、見識のある著名な専門家などを招へいしています。
  東京ビッグトークのコメンテーター等に対する謝金については、東京都職員研修所の「外部講師謝金支払基準」を準用し、適切に行っています。

質問事項
 五の2 出演交渉・事前の打ち合わせにも謝金を支払うのは納税者の理解が得られない。見解を伺う。

回答
  「東京ビッグトーク 石原知事と議論する会」においては、限られた時間の中でスムーズにトークが進行し有意義な議論となるよう、コメンテーターやコーディネーターとの事前の打合せ・調整が不可欠です。
  事前に、テーマの趣旨を説明し、知事や他のコメンテーターの考え方、都の取組状況、その他関連する情報を伝えるとともに、コメンテーター等自身の考え・意見等も聞いて大筋の流れを整理する必要があり、こうした事前打合せについては、議論する会として一体のものと考えています。
  コメンテーター等として依頼する方々は著名な専門家等であり、打合せ時間も極めて多忙な方々の貴重な時間を割いていただいており、開催時間と同様に謝金の対象とすることは、妥当であると考えます。

質問事項
 五の3 出演者と事前打ち合わせした時間は、正味2時間おこなったのか。支払金額をあわせるために便宜上2時間としたのか伺う。

回答
  コメンテーター等と直接会って打ち合わせを行っています。それに加えて、電話等で打ち合わせたり資料に目を通すなど、「東京ビッグトーク 石原知事と議論する会」のために割いていただく必要最小限の時間としたものです。

質問事項
 六 交通局の隠ぺい体質について
  1 交通局自動車営業所でのアルコール替え玉チェックに関し、なぜ告発した職員から事情聴取をしなかったか伺う。

回答
  平成17年11月に当該職員から営業所長に対し、「乗務検査未実施者がいる、検査が甘い。」等の内容の申立てがあり、直ちに調査を行いましたが、申立てがあった事項について事実関係は確認できず、その旨を当該職員に伝えました。
  平成18年2月7日には、当該職員から営業所長に対し、「乗務検査を身代わりで行っている職員がいる。」という内容の申立てがあり、当該営業所による調査を開始しました。
  その後、同月13日に自動車部長への告発があったため、本局としても事実関係について直ちに調査に着手しました。
  以上のとおり、交通局としては職員からの通報や告発に対し、誠実に対応しており、関係する職員に対しても、適切に事情聴取を実施しています。

質問事項
 六の2 アルコール検知器の写真が上書きされたことがあるのか伺う。また、上書きすることは可能なのか伺う。

回答
  カメラ付きアルコール検知器は、飲酒運転防止のため、より厳格な乗務検査を実施する目的で平成17年7月に、全営業所に導入したものです。この検知器に保存された写真は、上書きのできないシステムになっており、これまでにも上書きされたことはありません。

質問事項
 六の3 ドライバーがアルコールチェックを忘れないために、検査結果が記載されるレシートにドライバーの確認印を押すべきだが、見解を伺う。

回答
  アルコール測定システムによる乗務検査は、乗務員が点呼前に実施することになっており、具体的には、点呼開始時に、測定結果の記録されたレシートを乗務員が点呼執行者に提出し、点呼終了の際、乗務員と点呼執行者が点呼記録簿に確認印を押印、レシートの貼付をしています。
  今後とも、乗務検査の厳正な執行に努めていきます。

質問事項
 七 公用車について
  1 公用車の運転手に対して、駐車についてどのような指導を行っているのか伺う。

回答
 公用車の運転手に対しては、日々適正な駐車など交通法規の遵守を指導し、さらに、安全運転講習会や課内研修などを通じて、指導徹底を図っています。

質問事項
 七の2 公用車の運用に関し、改革を行う考えがあるか、また、改善した事柄について伺う。

回答
  公用車の運行については、適正に行っていると考えています。
  今後とも、公用車の適正な運行に努めていきます。

質問事項
 七の3 公用車の運転に対し、交通法規を遵守するよう指導を徹底すべきだがいかがか。

回答
  公用車の運転手に対しては、日々交通法規の遵守を指導し、さらに、安全運転講習会や課内研修などを通じて、指導徹底を図っています。

質問事項
 七の4 公用車にも防犯ステッカーを貼るべきだがいかがか。

回答
  公用車においても、地域に密着して走る車については、防犯ステッカーを貼付しています。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 そなえ邦彦

質問事項
 一 少子化対策と子育て支援策について
 二 中央自動車道(高井戸、八王子間)の料金体系の見直しについて

 一 少子化対策と子育て支援策について
   今年の東京の合計特殊出生率は、0.98ということであります。まさに人口減少社会を迎え、今や「超少子高齢化社会」に入ったと言えるのではないでしょうか。その背景には、女性の社会進出、仕事と子育ての両立できる環境整備の遅れや、結婚、子供を持つ事の価値観の変化、子育てに対する負担感の増大等が言われております。都でも、平成17年に「次世代育成支援東京都行動計画」を策定し、数々の施策を展開しております。
   しかし、問題は深刻で早急にさらなる制度の確立、支援策の展開をしていかねばならないと思います。そこで、少子化対策と子育て支援策について何点かお伺い致します。
  1 認証保育所の数と定数の現状と今後についてお伺い致します。
  2 国への働きかけについて
   ア 児童手当の充実について今後、国への働きかけはどうですか。また、都独自でも上乗せを考えるべきと思いますがいかがですか。
   イ 乳幼児医療費助成制度の創設への働きかけはどうですか。又、都の考えはどうですか。
   ウ 「幼稚園と保育園の一元化」に向けて「認定こども園」を創設するための、幼保一元化法案が国会で成立し、10月からスタートしますが、都として就学前の教育、保育を一体化として捉え、一貫して提供する制度を検討されているのですか。
  3 保育所の延長保育、休日保育、病後児保育等への支援の実態と都としての支援強化はどうですか。
  4 保育室に対する補助の充実についてはどうですか。
  5 定員に見合った保育士配置通年制の確立と保育士配置基準の改善についてお伺い致します。
  6 保育所を新設する際の用地取得に対する費用への補助の実態と今後についてお伺い致します。
  7 家庭的保育事業やファミリーサポートセンター事業等への支援はどうなっていますか。
  8 「里親制度」の実態と考え方はどうですか。
  9 多子世帯への経済的負担軽減のため、子供の学費の低利融資の考えはどうですか。
 二 中央自動車道(高井戸、八王子間)の料金体系の見直しについて
   中央道に隣接する、首都高速道路4号線は、高井戸で終点となっており多摩地区から都心に行くには、中央高速料金600円と、首都高速料金700円の計1300円を支払わなければならず、多摩地域に居住する者は、都民でありながら約2倍の料金を負担しております。
   加えて、料金所付近では料金支払いのため、混雑、渋滞を招き「地球温暖化」にとってもマイナスであります。一日も早く、料金体系の見直しについてご検討をお願いし、以下何点かお伺い致します。
  1 これまで過去、議会で問題化された事、又働きかけがされた事はありますか。
  2 都として、これまで、どこに、どの様な働きかけをしましたか。
  3 現在その結果は、どうなっておりますか。
  4 今後の都としての考え方についてお伺い致します。

平成18年第二回都議会定例会
そなえ邦彦議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 少子化対策と子育て支援策について
  1 認証保育所の数と定数の現状と今後について伺う。

回答
  都は、大都市特有の保育ニーズに柔軟かつ的確に対応するため、独自の認証保育所制度を平成13年度に創設しました。
  認証保育所は、事業者の創意工夫により質の高い保育サービスを提供してきたことが都民に広く支持され、平成18年4月1日現在、323施設、定員9681名と、設置が進んでいます。
  今後とも、利用者本位の保育サービスの推進に取り組んでいきます。

質問事項
 一の2 国への働きかけについて
    ア 児童手当の充実について今後国への働きかけを伺う。また、都独自でも上乗せを考えるべきだが、いかがか。

回答
  本来、所得格差の是正や所得保障は国の責任で実施すべきものであり、児童手当などの経済的給付は、社会保障全般の制度設計の中で対応すべきものと考えています。
  児童手当については、平成18年4月から、対象年齢の引上げや所得制限の緩和が図られ、さらに、現在、乳幼児加算の創設が検討されています。
  都としては、平成18年6月に、給付と負担の在り方を含む社会保障制度全般の在り方を見直し、子育て支援のための財源を十分に確保することを国に提案要求しています。

質問事項
 一の2のイ 乳幼児医療費助成制度の創設への働きかけについて伺う。また都の考えを伺う。

回答
  これまで都は国に対し、現在3歳未満となっている患者一部負担金の割合を2割に軽減する措置について、対象年齢の拡大を提案し、今般の国の医療制度改革の中で、平成20年4月から、義務教育就学前まで軽減措置が拡大される予定となっています。
  乳幼児医療費助成制度創設について、都として改めて国に対し働きかけることは考えていません。

質問事項
 一の2のウ 認定こども園創設のための幼保一元化法案が国会で成立し、10月からスタートする。都として就学前の教育、保育を一体化として捉え、一貫して提供する制度を検討しているのか伺う。

回答
  都は、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が平成18年6月9日に成立したことを受け、都道府県が定めるとされている認定こども園の認定基準について、大都市特有のニーズに的確に対応できるよう検討を進めています。

質問事項
 一の3 保育所の延長保育、休日保育、病後児保育等への支援の実態と都としての支援強化について伺う。

回答
  延長保育、休日保育、病後児保育等に関する支援策は、国制度として、次世代育成支援対策交付金、保育対策等促進事業費補助金があります。
  都としては、これらに加えて、区市町村の子育て支援に関する施策展開を柔軟に支援するため、平成18年度、子育て推進交付金と子育て支援基盤整備包括補助事業を創設しました。

質問事項
 一の4 保育室に対する補助の充実について伺う。

回答
  都は、保育の実施主体である区市町村が保育所の補完を目的として実施する保育室事業に対し、運営にかかる経費の一部を補助しています。
  なお、保育室については、サービス水準の向上を図るため、保育室よりも設置基準や補助の基準が高い認証保育所B型への移行を進めています。

質問事項
 一の5 定員に見合った保育士配置通年制の確立と保育士配置基準の改善について伺う。

回答
  都では、保育所の保育士の配置について、国の要綱等を踏まえ、各月初日の在籍児童数に応じて配置することを原則とし、児童数の変化等に柔軟に対応するために短時間勤務保育士を充てることを可能としています。
  配置基準を超えた職員の配置については、保育の実施主体である区市町村が、地域の実情に応じて対応しています。

質問事項
 一の6 保育所を新設する際の用地取得に対する費用への補助の実態と今後について伺う。

回答
  都では、用地取得への補助については予定していません。
  なお、国の規制緩和を踏まえ、自己所有が原則であった土地について平成12年度から賃借も認めています。

質問事項
 一の7 家庭的保育事業やファミリーサポートセンター事業等への支援について伺う。

回答
  都は、保育の実施主体である区市町村に対して、保育士資格を持つ人などが自宅で少人数の乳幼児の預かりを行う家庭福祉員事業に要する経費の一部を補助しています。
  ファミリー・サポート・センターは、仕事と育児の両立や子育て家庭への支援を目的に育児の援助を受けたい人と行いたい人とが、相互に助け合う組織として区市町村が設立するものです。
  都は、区市町村に対し、その設立指導を行うとともに、設立後10年間、国とともに事業運営経費の一部を補助しています。

質問事項
 一の8 「里親制度」の実態と考え方について伺う。

回答
  里親制度は、様々な事情で親と生活できない子どもを家庭に迎え養育する制度であり、養子縁組を目的とせずに養育する養育家庭、親族が引き取り養育する親族里親、養子縁組を前提とする養子縁組里親があります。
  現在、都は、養育家庭の拡充に向けた取組を進めており、平成18年5月末現在、245の養育家庭で、345人の子どもが生活しており、家庭数、児童数とも増加傾向にあります。

質問事項
 一の9 多子世帯への経済的負担軽減のため、子供の学費の低利融資について伺う。

回答
  都はこれまでも、子どもの数にかかわらず、子どもを生み育てたいと望むすべての人が安心して子育てをすることができるよう、国に先駆けてさまざまな子育て支援策に取り組んできました。
  経済的支援については、社会保障制度などを含めて、基本的に国の制度として対応すべきものと考えています。

質問事項
 二 中央自動車道(高井戸、八王子間)の料金体系の見直しについて
  1 これまで、議会で問題化されたこと、また働きかけがされたことがあったか伺う。

回答
  中央自動車道(高井戸から八王子間)の料金体系の見直しについては、これまでも、都議会において取り上げられ、直近では、平成17年第一回定例会、平成16年第三回定例会、平成16年第一回定例会などで質問がありました。
  また、これまで、東京都市長会などからも要望がありました。

質問事項
 二の2 都として、これまで、どこに、どのような働きかけをしたのか伺う。

回答
  これまで、都は、国への提案要求などを通じて、高速道路の料金体系について、利用者等の視点に立った適切な見直しが行われるよう、国に働きかけてきました。

質問事項
 二の3 現在、その結果はどうなっているのか伺う。

回答
  中央自動車道高井戸インター・八王子インター間の料金は、平成17年1月から、ETC利用者について夜間5割引にするなどの見直しが行われています。

質問事項
 二の4 今後の都としての考え方について伺う。

回答
  都としては、今後とも、高速道路の料金体系について、利用者等の視点に立った適切な見直しが行われるよう、引き続き国に働きかけていきます。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野百合恵

質問事項
 一 「男女平等参画のための東京都行動計画」の改定について

 一 「男女平等参画のための東京都行動計画」の改定について
   今年は、1946年4月10日に日本の女性が初めて参政権を行使してから60年目の年です。今年11月には、男女平等を明記した日本国憲法公布60周年を迎えます。また、男女雇用機会均等法施行20年という節目の年です。
   東京都は1978年に「婦人問題解決のための東京都行動計画」を策定し、2002年までに5度にわたる改定を行なってきました。今年は「男女平等参画のための東京都行動計画」(チャンスアンドサポート東京プラン)の改定の年であり、去る5月15日、東京都男女平等参画審議会が改定にむけての審議に入りました。審議会は、10月上旬に「中間のまとめの検討及び報告」を示し、その後、都民意見を募集し、11月下旬に答申を出すという予定が明らかにされています。実質、半年足らずの審議で答申が出ることになります。
   東京都の男女平等参画基本条例は、「男女が社会の対等な構成員として社会のあらゆる分野の活動に共に参画することにより、真に調和のとれた豊かな社会が形成される」と述べています。この条例の理念を尊重した実効性ある行動計画が策定されることが広範な都民の願いです。秋にむかって審議が進められる行動計画策定について、都民要望に基づき、以下、提言を含め質問します。
   初めに、男女平等社会にむけての現状について東京都の認識をお聞きします。
   性による差別がない社会の実現は、世界の流れになっていますが、日本、そして東京の男女平等施策の到達はどうでしょうか。
   2005年、国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると、女性が積極的に経済界や政治の意思決定に参加しているかどうかを示すジェンダー・エンパワーメント(GEM)は測定可能な80ヶ国の中で日本は43位です。2001年の31位、2004年の38位に比べて順位を下げています。女性国会議員の比率を見ると、衆院9%、参議院14%で、世界の中では136位で、女性議員の比率が高い北欧3国の、スウェーデン・45.3%、ノルウェー・37.9%、フィンランド・37.5%に比べて、大きく遅れています。東京都議会の女性議員比率は、現在126名中22名で17.46%ですが、北欧3国の2分の1以下です。
   2004年度の男女の所定内給与格差(厚生労働省調査)は、全国で67.6、東京は69.2で、男性に比べ3割以上低い状態です。また、今年3月発表の「東京の男女平等参画データ2006」によれば、セクシュアルハラスメントに関する労働相談件数は2004年度が2009件、前年比で約700件増と急激に増えています。全国は、微増の状況ですから、東京の相談件数の増加は際立っています。
   派遣やパート労働など女性たちの不安定雇用が増えていることを考えると、弱い立場に置かれた女性労働者は泣き寝入りする場合もあり、性的嫌がらせは実際にはもっと多く潜在化していると予想されます。
  1 このような職場、地域、家庭などでの性による差別の存在について、東京都はその現実をどのように認識されているでしょうか。男女が平等に力を発揮することを当たり前のこととして保障できる社会の合意、条件の整備が、民主主義の前進の力であると考えますが、女性たちが置かれている社会的、歴史的立場についてのご見解を伺います。
   東京都は1970年代から男女平等参画社会実現の行動計画を策定し、2000年には「東京都男女平等参画基本条例」を制定しました。国の男女共同参画社会基本法制定や国連の女子差別撤廃条約批准などの流れを受けて、都政でも努力が払われ、女性たちの人権意識を啓発し自立した生き方への励ましとなる施策が講じられてきました。
   男女平等の推進は国際的にも確かな潮流になっていますが、その一方で逆流させるようなバックラッシュ(揺り戻し)の論調も目立ってきています。「女性差別撤廃条約は過激なフェミニズムの元凶」との発言や、国会が全会一致で成立させた男女共同参画社会基本法を否定する論者もいます。国連女性差別撤廃委員会が「日本において、家庭や社会における男女の役割と責任に関し、根深く、硬直的な固定観念が持続している」と厳しく指摘したのは記憶に新しいところであり、バックラッシュの論理は歴史の進歩を阻害するものにほかなりません。
  2 残念ながら、東京都はこの数年、東京女性財団や男女平等推進基金の廃止、「区市町村の男女平等推進施策一覧」の冊子の発行停止、また2005年度かぎりで「東京ウイメンズプラザニュースplaza」を廃刊するなど男女平等施策を次々と後退させてきました。男女の人権を擁護し、歴史を前進させようと長年にわたって貴重な取り組みを続けてきた都民の願いに背を向けるものではないでしょうか。東京都が男女共同参画社会基本法及び東京都男女平等参画基本条例の理念と趣旨を堅持し、男女平等の流れをより豊かに推進させることを求めます。お考えをお示しください。
   新しい行動計画の策定にあたり、反映させていただきたい都民要望について具体的に伺います。
  3 まず、かつての行動計画には掲げられていた差別是正のための各課題の到達目標、期限を、新たに改定される行動計画に明確に定めることを求めます。御答弁をお願いします。
  4 民法における女性に対する差別条項は改正されていません。男性18歳、女性16歳となっている婚姻適齢の男女統一、再婚禁止期間の短縮を含む婚姻および離婚制度の改正、選択的夫婦別氏制度について、民法改正を国に求めるなどのことを審議されるよう提言します。いかがでしょうか。
   商店や町工場などの営業を支える業者婦人は、家族従業者として、女性事業者として地域経済を担っています。同時に、家事、育児、介護とまさに休む間もなく働いています。しかし、現在の税法では、労働の実態があっても「配偶者や親族の働き分は経費に参入しない」という所得税法56条があるために、自家労賃が社会的に認められず、ただ働きとも言える状態です。ドイツ、フランス、アメリカなど、世界の主要国では、「自家労賃は必要経費」と認められています。ベネズエラのチャベス政権は、女性は二つの差別、貧困と性による差別があるという考え方に立ち、女性の家事労働を生産活動と認め、一定の基準以下の収入に達しない貧困家庭で家事労働に専念している女性に対して、最低賃金の80%にあたる金額を年金として支給する試みを開始しています。
  5 日本の自家労賃への考え方は世界に比して遅れをとっているのではないでしょうか。また、男女共同参画基本法の立法精神にも反するものではないでしょうか。東京都が、中小業者の家族従業者の労働を正当に評価し、所得税法56条を廃止するよう国に提言することと、女性起業家や家族従業者への施策充実にむけて、都として実態調査を行うことを行動計画に位置付けることを求めます。それぞれ答弁をお願いします。
  6 内閣府の2006年度版男女共同参画白書によると、自ら起業したいと考えている女性は子育て期の30歳代が最も多い数値を示しています。OECD先進諸国における自営業者の増減率では、日本だけが女性起業家が減少しています。女性の起業への関心が高まり、意欲をもって起業する女性が増えると思われますが、女性起業家への支援は緒についたばかりです。「創業支援を申し込んだら男性の保証人をつけられないか」と言われたなどの例もあるように、女性起業家には融資や経営知識の面で、男性に比べると不利な条件が重なっています。女性起業家への低利融資制度の創設、経営コンサルタントの優先的派遣制度などのサポート策が求められています。都としての具体的な対策の検討について、それぞれお答えください。
   施行20年目を迎えた男女雇用機会均等法の改正案が6月15日の衆議院本会議で可決、成立しました。今回の改正で最大の論点になったのは、間接差別の禁止に関する問題でした。20年前の均等法成立後、「女性だから」ということでのあからさまな差別は減りましたが、コース別人事制度や成果業績主義などの名目による男女格差や、男性と同じ仕事をしながら女性はパート労働の比率が高く賃金が低く抑えられているなどの雇用のあり方は、間接差別の代表格と言われています。一見、性中立的な慣行や基準に基づいた場合であっても、結果として一方の性に不利益を与えている間接差別は是正が必要であり、2003年には国連女性差別撤廃委員会が日本政府に対し、法制上の措置を講じて間接差別を禁止するよう勧告していました。
   今回の法改正で禁じられる間接差別は、〔1〕募集・採用時の身長、体重、体力、〔2〕総合職の募集・採用における全国転勤要件、〔3〕昇進における転勤経験要件、の3つに限定されました。この3点に限ってしまうと、コース別採用やパート、派遣などの雇用形態による差別や福利厚生の適用などの差別は「間接差別にあたらない」とされ、女性に不利な事例が多くなるおそれがある、と指摘されています。
  7 都の新しい行動計画で間接差別について抜け道がない方向づけをすることが、均等法の不十分さを補ううえで極めて重要です。国に対し、均等法のさらなる見直しを提言することを含め、都としても間接差別をなくすための審議を深めることを求めますが、いかがでしょうか。
   都の行動計画は、ポジティブアクションについて「女性の能力の積極的活用について、都と事業者が協力して推進する」としています。
   東京都産業労働局の調査(都内、従業員30人以上の事業所)による2004年度の「民間企業における女性の活用」は、医療・福祉分野の女性管理職の割合は50.3%ですが、全体では12.7%という低さです。また、同調査で、「女性が職場で活躍できない理由」として、47.5%の人が、「男性管理職や男性従業員の認識、理解が不十分」、31.5%の人が「トップの意識が伴わない」と回答していることが注目されます。
  8 格差是正を確実に進めるためには、企業が積極的に取り組む措置(ポジティブアクション)の作成、実施、報告を義務付けることが不可欠です。現在、東京都では、「事業者からの報告」は男女平等参画基本条例13条で「知事が必要と認める場合、事業者に対し報告を求めることができる」との規定で、義務付けにはなっていません。女性たちの力を生かす働き方を保障するためにも、ポジティブアクションについて、より積極的な方策をうちだすことを要望します。お答えください。
  9 労働基準法の改正に伴い、トンネル工事など女性の坑内労働の解禁が問題になっています。この間の女性保護規定撤廃のなかで唯一残ったのが、坑内労働でした。坑内労働は、塵肺などが今でもなくならず、安全化は向上しているものの危険度が高い労働の場です。労働リスクの大きさ、母性保護の観点から、「平等」の名目で解禁を推進することがないよう、審議の場で位置付けることを求めます。お考えはいかがでしょうか。
  10 職場、地域、家庭での差別是正を求めて申し出があった場合、権限をもって救済の役割が果たせる第三者機関の設置が以前から求められていました。また、経済的な力が弱い女性たちが差別是正の裁判を起こす費用負担を考慮した、訴訟支援制度への要望も強くあります。公的な救済機関、及び救済に必要な訴訟支援などの制度創設を提案します。見解をお示しください。
  11 年4回発行されていたウイメンズプラザニュースは、都内区市町村の取り組みが紹介されるなど、男女平等施策推進と都民への啓発に大事な役割を果たしていました。都は今年度から廃刊を決めましたが、都民への広報、啓発活動の後退と言わざるをえません。
   今後は、インターネットのホームページでより早く情報を提供するとのことですが、インターネットを使用していない都民に対しては情報が閉ざされることにつながります。突然の廃刊は納得できません。審議会の場で意見を聴取するとともに、各区市町村の女性センターなど関係機関の意見集約を行うべきです。都民への意識啓発、広報活動を重視すること、ウイメンズプラザニュースの継続発行について審議会で討議していただくことを要望します。御所見を伺います。
  12 東京都庁内のとりくみについて質問します。東京都では、局長級の女性職員は2003年度から一人もいなくなりました。部長級の女性職員比率は、2002年は6.0%でしたが、2005年度は5.7%で、毎年比率が下がっています。東京都自身が、もっと積極的に政策決定の場に女性を登用する努力をすべきです。この点について、審議会で現在の到達と今後の方向を明確にするよう努力を求めます。お答えください。
  13 私は、2004年第四回定例会の文書質問で、東京都の審議会等への女性委員の比率を高める努力を求めました。
   国は、国の審議会等における女性委員の割合を「H17年度末までのできるだけ早い時期に30%を達成する」ことを目指し、昨年9月30日現在で、30.9%になり目標期限より半年早く達成しました。この実績をふまえて2020(H32)年までに、男女いずれかの委員の比率が40%未満にならない状態を達成するように努める新しい目標を決定しました。
   全国の道府県では、国よりも高い52.5%の三重県、50%(青森、岩手、秋田、宮崎)、40%(宮城、埼玉、鳥取、島根、徳島、香川、愛媛)の目標の各県、そして35%を目標にしている自治体は多数に及びます。いずれの自治体も目標年度を決めて達成にむけた努力をしています。ところが東京都は自らが定めた30%の目標に対して、比率が年々さがっているだけでなく、驚くべきことに47都道府県の中で唯一、目標期限なし、という状態です。新しい行動計画策定にあたっては、この分析を深く行い、審議会等への女性委員比率を高める具体的な提起を行うことが大切です。目標達成と期限の設定、幅広い人材の登用などをどのように定めていく方針か、お答えください。
  14 東京都男女平等参画審議会のあり方に関連して質問します。
   都の「附属機関等設置運営要綱の取扱いについて」を見ると、「附属機関の運営に当たっては、幅広く各方面の人の意見を聞くことが求められるものであり、可能な場合は、都民からの公募を積極的に行なうように努めること」と記されています。各区市町村の審議会等への公募委員も増えています。政策決定への住民参画を保障するうえで、望ましい方向です。しかし、今期の東京都男女平等参画審議会は、都民からの公募委員は募らないという結果になりました。1975年の国際婦人年以来、都政のもとで男女平等推進に取り組んできた女性団体の代表も入っていません。
   また、審議会の傍聴について希望があっても席数が20人分しかない、との理由で傍聴できない事態も起こっています。これでは、開かれた審議会と言えないのではないでしょうか。
   これまで、男女平等施策の充実めざして活動してきた女性団体やNPOの人たちの意見が行動計画策定に反映できるような方策を講じること、可能な限り多くの人の傍聴を保障することを求めるものですが、合わせて御答弁ください。

平成18年第二回都議会定例会
河野百合恵議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 「男女平等参画のための東京都行動計画」の改定について
  1 職場、地域、家庭などでの性による差別の存在について、都は現実をどう認識しているのか。女性たちが置かれている社会的、歴史的立場についての見解を伺う。

回答
  男女平等参画社会を実現するためには、職場、家庭、地域社会等のあらゆる分野において、性別に関係なく、誰もが対等な立場で参画し、個性を発揮できることが大切です。
  都は、男女平等参画施策について、国際社会や国内の動向と協調しつつ、積極的に推進してきました。長年の取組により男女平等は前進してきているものの、今なお一方の性に偏った影響を及ぼす制度や慣行などが存在しています。
  男女平等参画社会は、家庭や地域、職場などあらゆる場において実現される必要があり、都だけで推進できるものではありません。今後とも、男女平等参画社会の実現に向けて、都民や事業者とともに取り組んでいきます。

質問事項
 一の2 都はこの数年、男女平等施策を後退させてきた。都が男女共同参画社会基本法及び東京都男女平等参画基本条例の理念と趣旨を堅持し、男女平等の流れをより豊かに推進させることを求めるが、所見を伺う。

回答
  都においては、平成12年、全国に先駆けて男女平等参画基本条例を制定し、『すべての都民が性別にかかわりなく個人として尊重され、男女が対等な立場であらゆる活動に共に参画し、責任を分かち合う男女平等参画社会の実現』を目指してきました。
  平成14年1月には、「男女平等参画のための東京都行動計画 チャンス&サポート東京プラン2002」を策定し、計画に基づく施策を着実に推進しています。
  また、近年、少子高齢化の進展、人口減少社会を迎え、東京が今後も活力ある都市として発展するためには、なお一層の男女平等参画施策を推進することが重要です。
  今後とも、社会状況、時代のニーズをとらえ、より実効性のある施策を進めていきます。

質問事項
 一の3 かつての行動計画に掲げられていた差別是正のための各課題の到達目標、期限を、新たに改定される行動計画に明確に定めることを求める。答弁を求める。

回答
  男女平等参画のための東京都行動計画では、目指すべき目標を設定し、計画期間の中で取り組んでいくこととしています。男女平等参画の促進は、社会経済の状況や人々の意識など様々な要因に影響を受けるものであるため、一律に到達目標としての数値目標を設定することは困難であり、関係局と調整しながら個々に判断していきます。

質問事項
 一の4 婚姻適齢の男女統一、再婚禁止期間の短縮を含む婚姻および離婚制度の改正、選択的夫婦別氏制度について、民法改正を国に求めるなどの審議を提言するが、いかがか。

回答
  第3期男女平等参画審議会における諮問事項は、「男女平等参画のための東京都行動計画の改定にあたっての基本的考え方について」であるため、今回の審議会の審議事項に加える考えはありません。

質問事項
 一の5 所得税法56条廃止を国に提言すること、女性起業家や家族従業者への施策充実にむけ都として実態調査を行うことを行動計画に位置付けることを求める。答弁を求める。

回答
  所得税法第56条では、居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が事業に従事したことにより対価の支払を受ける場合、その対価は必要経費に算入しないとされていますが、家族の生活と事業の収支を経理上明確にした同法第57条の青色申告であれば、必要経費に算入できることとなっており、都として同法第56条の廃止を国に提言する考えはありません。
  都では、都内中小企業の経営動向を調査・分析し、広く中小企業の経営実態の把握に努めています。また、「都民生活に関する世論調査」において、職業区分の一つに「自営・家族従業」を設け、暮らしや生活の満足度について調査を行っており、都として実態調査を行うことを行動計画に位置付ける考えはありません。

質問事項
 一の6 女性起業家への低利融資制度の創設、経営コンサルタントの優先的派遣制度などのサポート策が求められている。都としての具体的な対策の検討について、答弁を求める。

回答
  都の制度融資では、「創業融資」のメニューを設け、創業前及び創業後の資金需要に応えており、信用保証協会及び金融機関が、事業計画等を客観的に審査したうえで、代表者個人の性別を問わず、優遇金利による金融支援を行っています。
  また、東京都中小企業振興公社を通じて実施しているTOKYO起業塾事業において、女性起業家のためのコースを設けています。さらに、創業時の各種サポートや、ベンチャーキャピタル等との出会いの場の設定といった支援事業を、男女問わず幅広く実施しています。

質問事項
 一の7 国に対し、男女雇用機会均等法のさらなる見直しを提言することを含め、都としても間接差別をなくすための審議を深めることを求めるが、いかがか。

回答
  都では、国の考え方を勘案しつつ、現在の行動計画の進捗状況、喫緊の課題である少子高齢化への対応や男女雇用機会均等法の改正なども踏まえて行動計画を改定する必要があることから、行動計画の改定に当たっての基本的な考え方について、東京都男女平等参画審議会に諮問しています。

質問事項
 一の8 企業のポジティブアクションの作成、実施、報告の義務付けが不可欠だが、条例では義務付けされていない。より積極的な方策をうちだすことを要望する。答弁を求める。

回答
  ポジティブ・アクションは、事業者が自主的に行う積極的な取組です。
  都としては、従来から、事業者団体との連絡会、ポジティブ・アクション実践セミナーの開催、ポジティブ・アクション実践プログラムの冊子作成・普及等を通じ、企業に対するポジティブ・アクションの積極的な推進を図っています。

質問事項
 一の9 女性の坑内労働の解禁が問題になっている。労働リスクの大きさ、母性保護の観点から「平等」の名目で解禁を推進することがないよう、審議の場で位置付けることを求める。所見を伺う。

回答
  労働基準法の女性の坑内労働に係る条文は、女性の雇用機会均等と職域拡大を図るため、女性技術者が坑内の管理・監督業務等に従事することができるよう、東京都の国への提案要求も踏まえて改正されました。改正に当たっては、妊産婦が行う坑内業務及び女性が行う人力掘削業務等の有害な業務は引き続き禁止されており、母性保護等にも配慮がされています。
  なお、第3期男女平等参画審議会の審議事項に加える考えはありません。

質問事項
 一の10 差別是正のための公的な救済機関、及び救済に必要な訴訟支援などの制度創設を提案する。見解を伺う。

回答
  職場、地域、家庭での都民からの申し出、苦情等に関しては、東京ウィメンズプラザや労働相談情報センターなど、都の各機関や相談窓口がそれぞれの専門分野に応じて相談を受け、対応しています。
  今後とも関係機関の連携、協力体制の確保により、適切な対応に努めていきます。
  なお、訴訟支援については、平成18年度に設立された日本司法支援センターや弁護士会等の支援を紹介するなど、適切に対応することとしており、都として、独自の制度を創設する考えはありません。

質問事項
 一の11 都民への意識啓発、広報活動を重視すること、ウイメンズプラザニュースの継続発行について審議会で討議することを要望する。所見を伺う。

回答
 都として広域的な視点から意識啓発、情報提供を行うために、速報性、利便性を考慮し、年4回の広報紙の発行に替えて、最新の情報を掲載したメールマガジンを毎月発行することといたしました。さらに、ホームページを充実するほか、都の広報媒体を幅広く活用するなど、より一層の情報提供、普及啓発の充実に努めています。

質問事項
  一の12 都自身が、もっと積極的に政策決定の場に女性を登用する努力をすべきである。審議会で現在の到達と今後の方向を明確にするよう努力を求める。答弁を求める。

回答
 職員の任用に当たっては、性別にとらわれず、能力、業績本位で行っています。男女の別なく適材適所により、人材を登用していく制度が整備されていることから、審議会での審議は考えていません。

質問事項
 一の13 新しい行動計画策定にあたっては、審議会等への女性委員比率を高める具体的提起を行うことが大切である。目標達成と期限の設定、幅広い人材の登用などをどのように定めていく方針か、答弁を求める。

回答
  審議会等における委員の選任については、それぞれの審議会の設置目的に沿って、専門性、適格性などを総合的に勘案し、女性委員の任用に努めています。
  各局への目標達成に向けた周知の徹底、専門分野の人材情報の提供などにより、審議会の設置目的に沿った女性委員任用の促進に努めていきます。

質問事項
 一の14 女性団体やNPOの意見が行動計画策定に反映できるような方策を講じること、可能な限り多くの人の審議会傍聴を保障することを求めるが、答弁を求める。

回答
  男女平等参画審議会委員の選任に当たっては、経済、労働、教育、子育てなど男女平等参画に関わる様々な分野から、豊富な知識と経験を有する学識経験者等、多様な人材を幅広く選ぶとともに、関係する機関、団体、都議会から、委員候補者の推薦をいただきました。
  審議会の傍聴に関しては、審議会の運営に支障がない範囲で可能な限り、傍聴枠の確保に努力しています。
  今後とも、審議会の議事録の公表、中間のまとめでの都民意見の募集などを行い、都民に開かれた審議会運営に努めていきます。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 小竹ひろ子

質問事項
 一 製靴産業を中心にしたものづくり支援について

 一 製靴産業を中心にしたものづくり支援について
   東京の製造業は工場数で、全国の製造業の1割を占め全国1位です。製造品出荷額は6%、付加価値額7%を占め、伝統産業から、半導体製造など先端産業まで多様な業種で構成されています。また、1工場当たりの規模が小規模で、その小規模企業がすぐれた技術をもって多数集積する特徴をもっています。
   特に、靴・カバン・ベルト等皮革産業の集積は、全国の工場の4割が集中。出荷額でも全国の1/3以上という東京を代表する地場産業で、台東・荒川・葛飾・足立・墨田等城東地域に集積しています。中でも靴の製造業が集中する台東区では、区内工場の24%、製造出荷額でも30%を占める区内最大の業種です。
   しかし、近年の輸入制限の段階的撤廃などにより、輸入品の急激な増加で、工場数の減少が激しくなっており、この集積を生かしたものづくりを支援し、製造業が元気になることが、東京の経済を活性化する道につながると確信するものです。
   こうしたもとで、業界では、生き残りをかけて、ニーズに即した高付加価値商品の開発、デザイン、機能、素材開発、オーダーメイド品の受注など、生き残りをかけたとりくみが始まっています。また、靴づくり職人をめざす、若者の増加も見られるというのも、この業界の注目すべき特徴です。
   都は、皮革産業にたいする業種別支援をおこなっていますが、こうした現状を打開するためにきめ細かな支援策として拡充発展させることが急務です。
   最初に、靴づくり職人、製靴業で働く人たちのスキルアップ支援についてです。
   スキルアップで重要な役割を果たしているのが都立技術専門校台東分校です。
  1 製靴産業に働く人たち、工房を開いている製靴職人の人たちが技術支援を受けられる能力向上訓練のPRを強めること。靴職人のCADなどの技能訓練の要望などに答えられるよう拡充すること。
  2 現在、第8次職業能力開発計画づくりがすすんでいますが、雇用情勢、製靴の技術専門校への応募倍率が非常に高い状況をふまえ、現状のコースとともに靴づくり職人をめざすクラフト技術習得の要求に応えるための2年制コースをつくるなど、その拡充を検討すること。都立技術専門校台東分校について統廃合、縮小しないこと。
   スキルアップで若い人たちから非常に歓迎されているのが、欧州への研修事業です。
  3 都と東京製靴協業協同組合が共同して募集していますが、募集が年間2人であったり、工房を開いている人などは対象外であったり、知らない人もいます。製靴職人をめざす若者が海外への研修ができる事業を拡充すること。
   次に、急増している靴づくり職人をめざす若者の創業・自立支援についてです。
   最近、靴づくりに関わる若者が集まって靴工房を運営したり、製靴科をつくり募集する専門学校が急増、東京都技術専門校の台東分校も、7倍から8倍の応募倍率など、靴づくり職人をめざす若者が増加しています。しかし、開業、一人前の職人として自立できるまでは、大変な困難があります。
   その一つが資金確保です。靴づくりを勉強する民間の専門学校の学費は、年間100万円から200万円です。卒業して工房を開く場合、初期投資として、工房の確保、ミシン1台30万円など設備投資、立ち上がり資金の確保が必要になります。
  4 勉強している間の負担等も考えると、できるだけ早く自立できるように支援することは、産業活性化に大変有効です。どうか。
   地元の方が、浅草で靴関連産業から廃業したビルを、オーナーの協力を得て、製靴関連の工房等に利用するためのインキュベートオフィスとしてオープンしたところ、その説明会には、若い人たちが30人から40人が参加してきたとのことです。現在、そこは10室全て入居しています。
   そこで、次のような支援の仕組みの確立を求めるものです。それぞれ答弁を。
  5 業界では廃業、倒産した靴関連会社が多くでています。製靴は、中古の機械でも、充分靴づくりは可能であるといわれています。事実、開業した若者の中には、ミシンなどを融通してもらって助かったという人もいます。廃業・倒産した会社の設備を、開業する際に有効活用できれば双方が助かります。創業者と廃業者の機械設備の再利用などを支援するマッチングシステムの要望にこたえること。
  6 廃業した企業・倉庫を、低家賃で工房、共同工房、工場アパートなどとして提供することへ支援すること。都としてこうした施設を、インキュベートオフィスとして活用できるようにすること。
  7 靴づくり職人をめざす若者たちが、製品、修理など共同受注できるようになれば、自立への支援になります。こうした共同組織の立ち上げに支援すること。
  8 創業、資金繰り、販路拡大など経営的な支援、技術的なアドバイス支援など、一人前の靴づくり職人をめざす若者へ専門家派遣の支援体制をつくること。
  9 若い人たちがつくった製品を展示できる、常設の展示場をつくること。
   次に、最近注目されている、健康のために一人一人にあった靴をはいてもらおうというとりくみと整形靴についてです。
   足の裏側が曲がってしまい、歩行に影響が出る。正常に歩けるようにするためには、矯正が必要ですが、そのために整形靴が必要になります。骨、腱、筋などの状態を把握した上で、正常な形で立ち、歩行できるように処方した靴です。こうした整形靴が必要な場合は、左右の脚の長さが違う場合、糖尿病による足のトラブルがある場合、関節リュウマチ、外反母趾、扁平足、爪の変形による歩行に困難が生じるなどのケースもあります。
   そうした靴をつくる職人として、ドイツでは整形靴マイスター、アメリカではポダイアトリストとペドージスト、オーストリア、スイス、フランス、イタリアなどそのための、専門家がいます。
   ところが、日本には義肢装具士、理学療法士、靴店が整形靴にかかわっていますが、欧米のような専門の公認の職士はおりません。足のトラブルに悩む人が増えているのですから、1日も早く改善されることが望まれます。足と靴と健康協議会がつくったシューフィッター制度が、ようやくデパートなど靴の販売業者には普及し、経済産業省も注目し始めているところです。
  10 消費者からも歓迎されているシューフィッターの資格について、製靴業者が足と靴と健康の関係を学び普及できるように支援すること。
  11 欧米各国のような整形靴、および整形靴マイスター制度を普及するために、国内でもっとも製靴業者が多い東京が国に先駆けて、そのしくみづくりに足を踏み出すこと。
  12 販路拡大も急がれている製靴業界では、安い靴の輸入が増加する中、技術のすぐれた製品の販路拡大が課題となっている。それに大きな役割を果たしているのが、展示会です。業界などがおこなう展示会の開催などに支援を求めるものです。
   次に、品質の良い靴づくりにかかせない、皮革技術センターの拡充についてです。
   皮革技術センターは、国内唯一のはきものの試験研究機関として、輸入品に負けない靴をつくる上で、その役割、需要は高まっています。依頼試験、受託試験とも、年度当初予定の2倍から3倍になっています。それは、消費者の信頼をえるために、成績書を発行する依頼試験が急増しているからです。
   一方、大学等には製靴にかんする学問、技術分野がなく、製靴専門の研究者がいません。製靴の専門家が相談にきたり、依頼試験などの要望にこたえることのできる、皮革技術センターの研究者が求められています。また、依頼試験などについても、学問的知識と靴技術知識の両方が必要とされています。
  13 研究者は、経験を積んでいく中で、製靴産業の要求に応えられる研究者になっています。後継者をどう育成するかは、目的意識的に取り組まなければなりません。専門研究者の育成を系統的に取り組むよう求めるものです。
   依頼試験は、規格化された試験をおこなうものですが、近年規格化された試験に当てはまらない依頼試験も増加してきています。そのような受託試験は、予定の2倍を上回る状態です。しかし、センターでは、その対応におわれ、試験所としての経常研究が充分進んでいないという問題が起きています。
  14 製靴産業の発展のためにも、依頼試験、受託試験とともに、経常研究に取り組めるよう皮革技術センターの研究者・機械施設の拡充を求めるものです。
   最後に、製靴業界全体への支援策の提案についてです。
  15 産業貿易センターは、皮革履物産業の振興に大きな役割を果たしてきました。その建替えにあたっては、技術専門校台東分校の拡充、台東区産業研修センター、皮革技術センターなどの施設を統合し、新たなインキュベーション施設、皮革資料博物館や地域地場産品の直売店などを含めた、皮革履物産業振興センターとして整備すること。
  16 都内の製靴産業の活性化にあたって、東京都、製靴産業が集積している台東区、足立区、墨田区など城東地域の自治体、業界や関係者などで、地場産業振興策を検討する協議の場をつくること。
  17 製靴業支援関連する予算を拡充するとともに、これからつくる産業振興ビジョンで製靴業支援を柱に位置づけ、振興策を拡充すること。

平成18年第二回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 製靴産業を中心にしたものづくり支援について
  1 製靴業の能力向上訓練のPRを強めること、靴職人のCADなどの技能訓練の要望などに答えられるよう拡充することを求める。答弁を求める。

回答
  現在、製靴業の能力向上訓練は、14科目、定員延べ290人を設定し実施しており、その募集に当たっては、業界団体等を通じて事業所等へパンフレット・チラシを配布するほか、団体の機関紙や業界紙などへの掲載、区の広報紙を活用するなど広くPRを行っています。
  また、能力向上訓練は、産業界全体の生産技術実態や現場要望等を踏まえて実施しており、現在は、製靴の生産現場が特に必要としている生産工程ごとの知識・技能の習得に、重点的に取り組んでいます。

質問事項
 一の2 現状のコースとともに2年制コースをつくるなど拡充を検討すること、都立技術専門校台東分校について統廃合、縮小しないことを求める。答弁を求める。

回答
  職業訓練の実施に当たっては、産業界や求職者のニーズを踏まえ、施設設備の状況等を勘案しながらコース設定を行っており、台東分校の製くつ科については、コースの新設等の拡充は考えていません。
  なお、技術専門校については、施設の老朽化の状況等を踏まえ、今後も適正配置を図っていきます。

質問事項
 一の3 製靴職人をめざす若者が海外への研修ができる事業を拡充することを求める。答弁を求める。

回答
  都では、皮革産業技術研究員派遣事業を実施するに当たっては、都内の事業所に2年以上勤務する者を対象として広く公募を行い、選考試験を実施して派遣する研究員を決定しています。
  また、派遣期間が3か月と長期にわたるため、事業所の理解と協力が不可欠なことから、選考に当たっては勤務する事業所の推薦を受けることとしています。
  今後とも、現行制度で事業を実施していきます。

質問事項
 一の4 靴づくり職人をめざす若者に対し、できるだけ早く自立できるように支援することは、産業活性化に有効だがどうか。

回答
  都の制度融資では、「創業融資」のメニューを設け、創業前及び創業後の資金需要に応えています。

質問事項
 一の5 創業者と廃業者の機械設備の再利用などを支援するマッチングシステムの要望にこたえることを求める。答弁を求める。

回答
  東京都中小企業振興公社で毎月発行している、中小企業向け情報誌「アーガス21」において、公社に登録している企業が機器の売却等を希望する場合には、その情報を掲載して、会員企業に提供支援しています。
  また、中小企業リバイバル支援事業においても、相談企業の要望があれば中古機器取扱団体等への紹介も可能です。

質問事項
 一の6 廃業した企業・倉庫を、低家賃で工房、共同工房、工場アパートなどとして提供することへ支援すること、都としてこうした施設をインキュベートオフィスとして活用できるようにすることを求める。答弁を求める。

回答
  区市町村が、廃業した企業、倉庫を取得・改修して、インキュベート施設として活用する場合には、「新事業支援施設整備費補助事業」により、支援しています。

質問事項
 一の7 靴づくり職人をめざす若者たちが、製品、修理など共同受注できるようになれば、自立への支援になる。こうした共同組織の立ち上げに支援することを求める。答弁を求める。

回答
  共同受注や設備の共同利用など、中小企業が協働して効果的、効率的な事業展開を図る仕組みとして協同組合制度があり、都としては、協同組合の設立、運営に関する指導などによって中小企業の協働の取組を支援しています。
  なお、平成17年度から「ものづくり新集積形成事業」を開始し、中小企業者の連携グループによる共同受注や共同開発などの共同事業を支援しています。

質問事項
 一の8 創業、資金繰り、販路拡大など経営的な支援、技術的なアドバイス支援など、靴づくり職人をめざす若者へ専門家派遣の支援体制をつくることを求める。答弁を求める。

回答
  都では、専門的な指導・助言が必要な事業者に対しては、東京都中小企業振興公社の専門家派遣制度により、各種専門家を派遣しています。
  そのほか、東京都中小企業振興公社を通じて、創業、資金調達等の各種相談事業や、デザイナー活用支援事業、中小企業ニューマーケット開拓支援事業などの支援事業を実施するとともに、皮革技術センター台東支所では、製靴に関する技術相談や情報提供等を実施しています。

質問事項
 一の9 若い人たちがつくった製品を展示できる、常設の展示場をつくることを求める。答弁を求める。

回答
  製靴産業に対しては、都はこれまでも販路開拓のため、「アジア・パシフィック・レザー・フェア」や「東京シューズグランドエキジビション」など展示会出展を支援してきました。
  また、皮革技術センター本所及び台東支所の常設展示場において、革靴の展示を行っています。

質問事項
 一の10 シューフィッターの資格について、製靴業者が足と靴と健康の関係を学び普及できるように支援することを求める。答弁を求める。

回答
  平成17年11月に開催した、皮革技術センター台東支所主催の皮革関連ゼミナールにおいて、シューフィッターに関するテーマを取り上げています。

質問事項
 一の11 欧米各国のような整形靴、及び整形靴マイスター制度を普及するために、国内でもっとも製靴業者が多い東京が国に先駆けて、そのしくみづくりに踏み出すことを求める、答弁を求める。

回答
  整形靴は、各個人の歩行障害などに対応して医療的処置を施した靴です。日本において、これらの靴の製作は、欧米と同じように、国家資格を持った義肢装具士が、医療行為の一環として医師の処方のもとに行うこととなっています。
  なお、生産技能の向上には技術専門校でのオーダーメイド講習の活用もできます。

質問事項
 一の12 販路拡大に大きな役割を果たしているのが展示会である。業界などがおこなう展示会の開催などに支援を求める。答弁を求める。

回答
  製靴産業に対しては、都はこれまでも販路開拓のため「アジア・パシフィック・レザー・フェア」や「東京シューズグランドエキジビション」など国内外の見本市への出展支援を実施してきています。

質問事項
 一の13 皮革技術センターの研究者は、経験を積んでいく中で、製靴産業の要求に応えられるようになっている。専門研究者の育成を系統的に取り組むよう求めるが、答弁を求める。

回答
  皮革技術センター台東支所において、今後とも製靴産業からの要請に応えられるよう、研究者の育成に努めていきます。

質問事項
 一の14 製靴産業の発展のためにも、依頼試験、受託試験とともに、経常研究に取り組めるよう皮革技術センターの研究者・機械施設の拡充を求める。答弁を求める。

回答
  皮革技術センター台東支所では、依頼試験や技術相談とともに、支援機能の向上等を目指して、経常研究にも取り組んでおり、平成18年度も、2つのテーマで研究を行う予定です。
  機械設備については、これまでも計画的に整備し、充実を図っています。

質問事項
 一の15 産業貿易センターの建替えにあたっては、技術専門校台東分校の拡充、新たなインキュベーション施設など、皮革履物産業振興センターとして整備することを提案する。答弁を求める。

回答
  現在、産業貿易センターの建替えを行う予定はありません。

質問事項
 一の16 都、製靴産業が集積している台東区、足立区、墨田区など城東地域の自治体、業界や関係者などで、地場産業振興策を検討する協議の場をつくることを提案する。答弁を求める。

回答
  都では、各区や製靴産業事業者、東都製靴工業協同組合等と必要に応じて情報交換を行っています。

質問事項
 一の17 製靴業支援関連する予算を拡充するとともに、これからつくる産業振興ビジョンで製靴業支援を柱に位置づけ、振興策を拡充することを提案する。答弁を求める。

回答
  都は、これまで「アジア・パシフィック・レザー・フェア」や「東京シューズグランドエキジビション」などの展示会出展や皮革産業技術研究員派遣事業のほか、制度融資など多様な支援を行っています。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 村松みえ子

質問事項
 一 学校図書館の充実を求める

 一 学校図書館の充実を求める
   昨年10月の決算委員会で、学校図書館と司書教諭の役割、司書教諭の配置状況、図書購入費などについて質問いたしました。今、子どもの学力や読解力が問題になっているとき、学校図書館の果たすべき役割は一層重要になっています。そこで、子どもの読書環境を充実させる立場から、何点か質問いたします。
   東京都は2003年3月に「子どもの読書活動推進計画」を策定しました。この「子ども読書活動推進計画」では「読書の果たす役割は、子どもが自分の将来に夢を持ち、自己実現を図っていく上で極めて重要であり、読書活動の推進に当たっては、子どもの発達段階を踏まえることが重要」と読書活動の意義を位置付けています。そして、子どもの読書活動の現状を、OECD(経済協力開発機構)の読解力調査結果や全国学校図書館協議会・毎日新聞社の調査などをもとに、日本の子どもたちの読書ばなれの実態をあきらかにしています。さらに、「東京の子どもたちは、他県に比べて情報量が多く、子どもが他のメディアに時間を費やすことにより、読書の時間が相対的に少なくなっているとも考えられます」と現状を分析しています。
  1 計画策定後3年間の東京の子どもたちの置かれている状況をみれば、子どもたちの読書に対する興味、関心を強める努力が、いっそう重要になっていると思いますが、どうですか。
   学校図書館をより充実させるうえで、さまざまな取り組みが必要ですが、特に人員の配置と蔵書の確保は、学校図書館にとっては柱ともいえるものです。
   実際に、専門の職員が配置されたことにより、学校図書館がよみがえったという実践があります。東大和市では、2003年度から小学校2校、中学校1校に、1日4時間週5日で司書の資格をもつ指導員を配置しました。
   その成果の研究発表会では、こんな報告がされたそうです。「子どもたち全学年を3年間通してみてきて、大きな変化があったと感じています。初めの頃、子どもたちは本を借りに来たり、何かを聞くことに遠慮がちでしたが、だんだん慣れてくるにつれ積極的・意欲的になってきた」とのことです。特に3年生は、入学した時から指導員のいる学校図書館を利用しているので、本が読みたいときや何かを調べたいときに、学校図書館に来ること、本のことでわからないことがあれば指導員に聞くことが当たり前になっているそうです。読書意欲も高く、『長い本が読みたいんだけどおすすめはありますか?』と聞いてくる子どももいるとのことです。
   また、読書指導が難しいといわれている高学年についても、担任の先生方との連携がすすむにつれ、だんだん貸し出し冊数や休み時間の利用が増え、友達が『これとこれ読んだ。』『この本おもしろいからおすすめだよ』などと話している声が聞こえてくるなど、子どもたちが本の魅力を伝え合うようになったことです。本の苦手な子も朝、読書の時間に集中して読めるようになったそうです。
   大事なことは、学校図書館が、専任の司書が継続していること、蔵書が揃っていることで生きてくることが、実践を通して関係者に実感されていることです。発表会の中では、「このような読書や調べ学習の指導を先生方と連携して行えるようになったのは、3年という研究期間に専任・専門で継続してこの仕事ができたからです。学校図書館にある本の中味を知り、足りないものを補い、利用する先生方と子どもたちの要望を把握して必要なものを適切に提供するのは、1年程度でできるものではありません」、「どんなに面白い本や役立つ資料をそろえても、利用されないのであれば意味がありませんし、逆に読みたい本、読みたくなるような本や、調べるための資料が身近になければ、指導は難しいでしょう」、「学校図書館が変わり、先生方の意識も変わると、子どもたちは驚くほど変化を見せてくれました。このような活動を続けることが、子どもたちの読書意欲をますます高めていくことと確信しています」と語られていたそうです。
   東大和市の教育委員会は、市の研究指定校に指定された他の小中学校も同様の効果をあげていると高く評価し、今年度は、指導員をさらに小学校2校、中学校1校に配置し、今後も計画的に全小、中学校に広げていく方針だとのことです。
   学校図書館に司書教諭と司書または専門の職員がいることが、どれだけ大事なことかと思います。そのうえでボランティアや地域などの取り組みがあれば、いっそう充実したものとなるのではないでしょうか。
   このように、少なくない区市町村では、子どもの読書が子どもの成長に大きな役割を果たすことに確信を持つ保護者の要望にこたえて、何らかの取り組みをしています。
   しかし、東京都は都としての役割を十分果たしているかというと、決してそうとは言い切れないのではないでしょうか。たとえば、司書教諭の配置の問題です。前回の質問の答弁では、都内小中学校への司書教諭の配置状況は、2004年度で、12学級以上の学校では、法で義務づけられていることにより97%以上となっています。しかし全体の約4割の学校は11学級以下で、配置の義務はありません。しかも、中学校で司書教諭として教員が保障されている時間はたったの週2時間、小学校では全くありません。
   中学校校長会からは、「豊かな心と確かな学力を獲得するために読書指導の充実が求められている。また、魅力ある学習センターとなるためにも学校図書館の改善・充実と司書教諭の全校配置が必要である。全校に定数外に司書教諭を配置すること。それが可能となるまでは全ての学校の司書教諭の授業持ち時数の軽減を8時間以上とすること」とその必要性を東京都に要望しています。同じ趣旨の要望が、東京都市教育長会からも提出されています。
  2 すべての小中学校に、定数外で専任の司書教諭または専任の司書を配置すべきですが、どうですか。
  3 それが可能になるまで、せめて司書教諭の授業持ち時間の軽減を週8時間にとの要望にこたえること、また、小学校の司書教諭の授業の軽減も進める必要があると思いますが、どうですか。
  4 都として、区市町村での学校図書館の司書や指導員等の配置状況や、そこでの取り組みの成果を、調査することを求めます。
   次に、学校図書館の蔵書の確保について伺います。学校図書館に専門の職員が配置されると同時に、量・質ともに豊かな蔵書を充実することが大切です。
   文部科学省の調査によれば、都内で学校図書館図書標準を達成している公立学校は、小学校で49.1%、中学校で41.4%(2005年3月末)にすぎません。文部科学省は各都道府県に「公立義務教育諸学校の学校図書館の図書の購入に要する経費の地方財政措置について」の通知を出し、「学校図書館の計画的な整備を図るよう、貴域内の市(区)町村教育委員会に対し適切な指導及び助言等をお願いいたします。」としています。
  5 東京都して、この文部科学省からの通知を具体的にどのように受け止め、区市町村に指導、助言したのでしょうか。
  6 すべての小中学校が標準を満たした蔵書を確保できるよう、都として具体的な期限と数値目標を持った計画を策定し、区市町村を支援するよう求めます。
  7 都立盲ろう養護学校の蔵書数および図書標準の達成率はどれくらいで すか。都立盲ろう養護学校も基準を達成できるよう、ただちに手だてを求めます。
  8 都立盲ろう養護学校では、教室不足を補うために学校図書館を普通教室に転用し、図書室のない学校や、廊下に本棚が1、2本置いてあるだけの学校もかなりあります。養護学校でも、ゆたかな感性や情操を身につけるためにも、学校図書館をきちんと位置づける必要があると思いますが、どうですか。
   都立図書館や市区町村の図書館と学校との連携も重要です。
  9 都立多摩図書館で作成している「子どもたちに物語の読み聞かせを」などの「子ども読書活動推進資料」は好評です。小学校などで毎年配布したり、中高生向けの資料も作成、配布したらどうでしょうか。

平成18年第二回都議会定例会
村松みえ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 学校図書館の充実を求める
  1 子どもの読書活動推進計画策定後3年間の東京の子どもたちの置かれている状況をみれば、子どもたちの読書に対する興味、関心を強める努力が一層重要になっていると思うが、どうか。

回答
  児童・生徒の読書活動の推進に当たっては、学校が児童・生徒の発達段階を踏まえ学校図書館を計画的に利用して、適切に指導していくことが重要です。
  各学校では、教師などによる読み聞かせや朝の読書の実施、読書月間の設定などにより、児童・生徒に読書の楽しさを味わわせ、読書習慣の定着を図っています。
  こうした学校の教育活動を支援するため、都教育委員会は、平成15年3月に策定した「東京都子ども読書活動推進計画」に基づき、読書活動推進資料の作成、司書教諭等の研修、児童・生徒の読書活動に関する実践発表や表彰等を行ってきました。
  今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携して、児童・生徒の読書活動の推進を図っていきます。

質問事項
 一の2 すべての小中学校に、定数外で専任の司書教諭又は専任の司書を配置すべきだが、答弁を求める。

回答
  司書教諭は、学校図書館法第5条第2項において、「教諭をもって充てる」とされ、都教育委員会では、司書教諭の資格を有する教諭を校務分掌として担当させています。
  学校図書館の利用指導については、司書教諭を中心とした学校の全教職員の協力体制のもとで行われるべきであり、専任の司書教諭又は司書の配置は考えていません。

質問事項
 一の3 せめて司書教諭の授業持ち時間の軽減を週8時間にとの要望にこたえること、また、小学校の司書教諭の授業の軽減も進める必要があるが、答弁を求める。

回答
  学校図書館の利用指導については、司書教諭を中心とした図書部等の校務分掌組織と、学級担任、教科担任等の様々な教職員との協力によって組織的に行われており、その充実については学校全体で創意工夫を図り、取り組んでいくべきであると考えています。
  そのため、中学校の司書教諭についてのこれ以上の時数軽減や小学校の司書教諭の時数軽減については考えていません。

質問事項
 一の4 都として、区市町村での学校図書館の司書や指導員等の配置状況や、そこでの取組の成果を、調査することを求める。答弁を求める。

回答
  都教育委員会では、「学校図書館の現状に関する調査」を実施し、学校図書館の活用状況や学校図書館担当職員の配置状況等を把握しています。
  今後とも、この調査結果をもとに、学校図書館担当職員を活用している優れた実践事例を紹介するなどして、各学校が学校図書館を有効に活用できるよう支援していきます。

質問事項
 一の5 文部科学省は、「学校図書館の図書の購入に要する経費の地方財政措置について」の通知を出した。都としてこの通知を具体的にどう受け止め、区市町村に指導、助言したのか伺う。

回答
  国においては、平成18年度までの学校図書館図書整備5か年計画に基づき、公立義務教育諸学校の学校図書館の図書の購入に要する経費に関する地方財政措置を講じています。
  都教育委員会としても、文部科学省からの通知を踏まえ、この措置を活用して学校図書標準の早期達成に向け、公立義務教育諸学校における学校図書館の図書の計画的整備に努められるよう、区市町村教育委員会に引き続き働きかけていきます。

質問事項
 一の6 すべての小中学校が標準を満たした蔵書を確保できるよう、都として具体的な期限と数値目標を持った計画を策定し、区市町村を支援するよう求める。答弁を求める。

回答
  区市町村立小・中学校の学校図書館の図書の整備については、設置者である区市町村教育委員会において、国の学校図書館図書整備5か年計画や地方財政措置を踏まえながら対応しており、都として独自の財政支援を行うことは考えていません。
  都教育委員会としては、教職員を対象とした読書活動推進資料の作成、司書教諭等の研修、児童・生徒を対象とした読書活動に関する実践発表・表彰等を通じ、各区市町村における小・中学校の読書活動の推進について支援を行っています。

質問事項
 一の7 都立盲ろう養護学校の蔵書数および図書標準の達成率はどれくらいか。都立盲ろう養護学校も基準を達成できるよう、ただちに手だてを求める。答弁を求める。

回答
  平成18年7月現在の都立盲・ろう・養護学校の蔵書数は約15万1000冊です。
  なお、盲・ろう・養護学校については盲学校、ろう学校、養護学校の小学部、中学部ごとに学校図書館図書標準が定められている一方、都立盲・ろう・養護学校の蔵書数は各学校ごとに幼稚部や高等部も含めて総数で把握していることから、図書標準の達成率をお示しすることはできません。
  都立学校においては、自律経営推進予算等により、経営目標や学校の特色に応じて、学校長の裁量により図書購入費を決めることができるもので、各都立盲・ろう・養護学校においては、読書活動の推進の重要性を踏まえつつ、学校長の判断により図書購入費を決めています。

質問事項
 一の8 都立盲ろう養護学校では、教室不足を補うために学校図書館を普通教室に転用している学校がある。養護学校でも、学校図書館をきちんと位置づける必要があるが、どうか。

回答
  知的障害養護学校においては、児童生徒の増加等に伴う普通教室の確保のため、一部の学校において図書室を転用している状況です。
  都教育委員会としては、各都立盲・ろう・養護学校において、それぞれの学校における児童生徒の障害の状況等を踏まえつつ、適切に読書指導を進めていますが、平成16年11月に策定した東京都特別支援教育推進計画に基づき、盲・ろう・養護学校の再編整備を図るとともに、普通教室等を確保するための増築等を行うことにより、転用教室等の解消を図っていきます。

質問事項
 一の9 都立多摩図書館作成の「子ども読書活動推進資料」は好評である。小学校などで毎年配布したり、中高生向けの資料も作成、配布したらどうか、伺う。

回答
  都教育委員会では、平成15年3月策定の「東京都子ども読書活動推進計画」に基づき、「子ども読書活動推進資料」を作成し、配布しています。
  平成15年度は新小学校1年生の保護者に「子どもたちに物語の読み聞かせを」、平成16年度は都内の乳幼児の保護者に「しずかなひととき-乳幼児に絵本の読み聞かせを」、平成17年度は「本のよろこびを子どもたちに」を都内幼稚園・保育所や読み聞かせボランティア団体等に配布しました。
  また、これまでに作成・配布した資料は、多くの人が活用できるように都立図書館のホームページに掲載しています。
  子どもの読書活動を推進していくために、今後とも資料の充実に努めていきます。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
 一 発達障害や高機能障害児について
 二 学校における障害児の介助員について

 一 発達障害や高機能障害児について
   特別支援教育の全体としての取り組みは6月の一般質問でも数多く取り上げられた。
   特別支援教育などでは、学校入学前から卒業後までを視野に入れ、教育・福祉・医療・労働などと連携した長期にわたる個別の教育支援計画の作成がいわれている。現実には、東京都の児童相談所で手帳をもらおうと思っても、発達障害や高機能自閉症の人などは、審査の結果、IQが高く出てしまうと手帳がもらえない。また、大人になってからそのような障害が判明した方も、その障害特性から、人間関係がうまくいかないことも多く、一般の就労を続けられず、作業所等で働いても手帳がないため、公的扶助がなく苦しい思いをされている当事者・ご家族が多い。
  1 これらの理念と現実とのギャップを埋めることができるような対応について、東京都に考えがあるか。
  2 法的に生活に支障のある程度の障害ならば「愛の手帳」の発行は可能なのか確認したい。
  3 2の回答を受け、仮に法的に可能ならば、発行すべきと思うが、東京都の考えを教えてほしい。
  4 仮に発行対象になった場合に、予算への影響はどのようなものになるか。
  5 他の県においてアスペルガー症候群などの対象事業を実施していると聞いている(長野県:精神保健福祉センター)。今後、東京都として検討しうる事業はあるか。
  6 児童相談所でも手帳対象外の相談案件の場合、その後の対応に苦慮する場合も多いかと思う。児童相談所の視点から、問題解決の過程において課題は何か。
 二 学校における障害児の介助員について
   普通学級における介助員の問題ですが、私の地元の自治体でも、この4月から、子どものために、働いていた仕事をやめて、子どもが学校に慣れるまで、毎日介助に行く母親がおられる。毎日登下校を付き添い、授業も一緒に受け、給食も一緒に食べている。このお母さんは、これからも毎日学校に介助に行くと言っておられます。勿論大変だが、いやなんてことは一言も言っていませんが、母親が病気をしたら、子どもは学校を休まざるを得なくなる。この母親だけではなく、週一回介助がつくことになったけれども、多くの介助をしている母親が、病気や急用の時、子どもを休ませている。
   あくまでこれは介助員制度が毎日を対象にしていない自治体の話である。市区町村の判断で自ら予算を確保することができるならば配置してよいということになっている。しかし、市区町村だけの判断や財源で配置することが適切な考え方だろうか。障害の程度の差こそあれ、誰でも、望むならば、普通学級でも授業が受けられるように、子どもの必要なニーズをサポートし、学びの権利、学習権を確保し、教育を受ける権利を確立するために、もう介助員制度を東京都やひいては国も含めて確立すべき時期ではないだろうか。
   国分寺などは先駆的に制度を作り、運営しているが、同様の課題をもつ自治体は多い。1市でやろうとするから拡充できない自治体も多いと聞いている。
  1 国においては教育を受けさせる権利の観点から、厚生労働省も介助員制度の検討をしている様子だが、東京都も予算はともかく、同様の観点から、介助員そのものの必要性は認識しているのか。
  2 東京都も予算として支援していく検討の時期に来ているのではないか。
  3 立川などは、小1プロブレムの対応で、1年生のある学期まで、そのような先生が各学級に配置されているが、それと似たような形で、障害を持って普通学級で勉強をする子どもについても、その子だけという形ではなく、障害にも対応しうる自然な形の介助員も副担任というような形で、制度を作っていくことはできないだろうか。

平成18年第二回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 発達障害や高機能障害児について
  1 審査の結果、IQ値が高く出てしまうと手帳がもらえず、大人になってから障害が判明した方は手帳がなく公的扶助がない。これらの理念と現実とのギャップを埋められるような対応について、所見を伺う。

回答
  愛の手帳は、「東京都愛の手帳交付要綱」に基づき、知的障害のある方を対象として交付されるものです。
  一方で、知的障害を伴わない発達障害者に関しては、平成17年4月に施行された発達障害者支援法に基づき、東京都発達障害者支援センターにおいて専門的な相談・助言や就労支援、研修などを行うとともに、平成17年10月から世田谷区で「発達・相談支援等モデル事業」に取り組んでいます。
  このモデル事業で得られた成果を踏まえ、他の区市町村での取組を働きかけていきます。

質問事項
 一の2 法的に生活に支障のある程度の障害ならば「愛の手帳」の発行は可能なのか、伺う。

回答
  愛の手帳は、「東京都愛の手帳交付要綱」に基づく制度であり、知的障害のために日常生活に支障があり、援助が必要な方に交付されるものです。

質問事項
 一の3 仮に法的に可能ならば発行すべきと思うが、所見を伺う。

回答
  愛の手帳は、明確な判定基準に基づき、知的障害者を対象として交付していることから、知的障害を伴わない方への手帳の交付は困難です。

質問事項
 一の4 仮に発行対象になった場合、予算への影響はどのようなものになるか伺う。

回答
  愛の手帳の対象外である発達障害や高機能自閉症児について、想定での予算額を算出することは困難です。

質問事項
 一の5 他の県においてアスペルガー症候群などの対象事業を実施している。今後都として検討しうる事業について伺う。

回答
  都では、発達障害者支援法の施行以前の平成15年度から、東京都発達障害者支援センターにおいて、自閉症やアスペルガー症候群を含む発達障害者やその家族に対する支援を行っています。

質問事項
 一の6 児童相談所でも、手帳対象外の相談案件の場合、その後の対応に苦慮する場合も多いと思う。児童相談所の視点から、問題解決の過程での課題について伺う。

回答
  発達障害や高機能自閉症児は、食事や排泄などの生活動作に問題がない場合が多いため、他の障害と比べ、障害が認識されにくいという問題があります。児童相談所としては、いかに早期かつ正確に障害を見極め、児童一人ひとりに応じたきめ細かい支援を提供するかが課題と考えています。
  そのため、児童相談所では、児童福祉司や児童心理司が専門的な面接を行うとともに、必要に応じて児童精神科医が診察を行っています。その上で、保護者や教職員に対し、児童の障害の特徴や接し方について助言を行ったり、関係機関と連携を図るほか、児童への通所指導などの支援をしています。

質問事項
 二 学校における障害児の介助員について
  1 国では教育を受けさせる権利の観点から、厚生労働省が介助員制度の検討をしている。都も、介助員の必要性は認識しているのか伺う。

回答
  区市町村教育委員会は、法令に基づき、障害のある子どもに関する就学相談を実施しています。都教育委員会としては、就学相談については、保護者の理解と納得に基づき進めることが重要であると認識しています。
  都教育委員会では、区市町村立小・中学校における介助員については、小・中学校を設置・運営する主体である区市町村教育委員会において、就学相談等を通じて障害のある児童生徒の状況を把握しつつ、その必要性を判断すべきものと考えています。

質問事項
 二の2 都も、予算として支援していく検討の時期に来ているのではないか。所見を伺う。

回答
  小・中学校における介助員については、小・中学校の設置者である区市町村教育委員会において、それぞれの地域の状況に応じ、非常勤職員や外部人材の活用など、多様な仕組みが設けられ、さらに、児童生徒の障害の程度等に応じて、各区市町村教育委員会それぞれの判断により配置されているものと認識しています。これらのことから、都教育委員会として財政的支援の仕組みを設けることは難しいと考えます。

質問事項
 二の3 障害を持って普通学級で勉強をする子どもについて、その子だけという形でなく、障害にも対応しうる自然な形の介助員も副担任のような形で制度を作っていくことはできないか、所見を伺う。

回答
  御提案の制度については、全国的な課題として、国において検討されるべきものであり、都教育委員会として独自にこうした制度を導入することは難しいと考えます。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 かち佳代子

質問事項
 一 少子化対策について

 一 少子化対策について
   2005年に日本はついに人口減少を記録しました。つづいて、去る6月1日に厚生労働省が発表した合計特殊出生率は、全国1.25、なかでも東京都は、戦後最低の0.98を記録し、全国で最低最悪の事態であり、衝撃が広がっています。
   政府はこれまでも、「少子化」対策をかかげてきましたが、その効果はでるどころか、ますます下降の一途をたどっています。対策の抜本的強化は急務です。
   ところが石原知事は、新たな少子化対策の検討にも着手しようとしないばかりか、今定例会でのわが党の質問に対し、「必要な施策はすでに実施しております」という、深刻な現状をまったく認識していない答弁を行いました。
  1 政府でさえ、少子化対策について、第2次ベビーブームの年齢層の厚い世代を対象に今後、5年以内に、緊急かつ集中的な対策をとる必要があることを強調しています。都として、少子化対策の緊急性について、どう認識していますか。
  2 全国的な少子化の状況をみると、合計特殊出生率が低いのは東京をはじめとした大都市部です。大都市の少子化に歯止めをかけることなしに、全国的な少子化に歯止めをかけることはできません。若者が全国から集まる大都市で、深刻な少子化が進行しているのです。こうした、大都市における少子化対策の特別の重要性を、都はどう認識しているのでしょうか。
  3 少子化対策のためには、福祉・保健・医療、雇用・労働・中小企業、教育、住宅など、全庁的な推進体制の確立が必要です。たとえば、知事または副知事を責任者とした「少子化対策本部(仮称)」のような、政府や経済団体への働きかけなどもふくめ権限のある、少子化対策推進の全庁的体制を創設・強化すべきと考えますが、答弁を求めます。
   具体的対策の第一に、経済的支援について伺います。
   小泉内閣メールマガジンのアンケート結果(05年7月)でも、少子化に歯止めをかけるための政策の第1位が、「経済的支援の充実」(70.1%)となっています。内閣府が行った「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」(05年3月)でも、経済的支援措置(保育・教育費への補助、医療費補助、児童手当など)が第1位(69.9%)です。
  4 このように、どの調査をみても、圧倒的に経済的支援を求める要望が高い結果がはっきりしていることを、どう受け止めていますか。経済的支援の拡充を、少子化対策の柱のひとつにすえることが重要だと思いますが、認識を伺います。
   本年5月25日に少子化対策について、東京都をはじめ9県の関東地方知事会合同で「国において現物給付方式による乳幼児医療費公費負担制度を早急に創設すること」「早急な実施が困難な場合は、少なくとも、地方単独事業として現物給付方式により実施されている乳幼児医療費助成制度に対する国民健康保険国庫負担金の減額調整措置を直ちに廃止すること」などを要望しました。
   猪口少子化・男女共同参画担当大臣は「減額調整措置(ペナルティ)については、大変な力仕事ではあるが、この措置の廃止をめざしたい」と、報道インタビューに答えています。
   このインタビューで記者は、政府・与党が検討している方針にたいし、「地域格差がある乳幼児医療費の無料化など、もっと確実に子どもに届く経済支援の方法があるのでは」と質問し、これに答えたものです。
   すでに全国のすべての都道府県で、きびしい財政をやりくりして単独事業として乳幼児医療費助成制度を実施しているのですから、国が責任をもって制度化し、財政負担するのが当然のことです。
   東京都議会は、すでに1998年第3回定例会において、わが党の提案をうけ「乳幼児医療費助成制度の創設に関する意見書」を採択し、政府に送付しています。その後、都の対政府要望書にも、乳幼児医療費助成制度の創設がもりこまれましたが、石原知事の下で、削除されたままです。
  5 いま改めて、東京都として政府に乳幼児医療費無料化の制度化を働きかけていただきたいが、どうか。
  6 また、地方単独事業として現物給付方式により実施されている乳幼児医療費助成制度にたいする国民健康保険国庫負担金の減額調整措置は、ただちに廃止するよう政府につよく要請すべきです。これにより東京都と区市町村でそれぞれいくらの減額調整が行われているのか金額もあわせて、答弁を求めるものです。
  7 同時に、18区2町にまでひろがっている小学生や中学生の医療費無料化、乳幼児医療費助成制度の所得制限撤廃に、都としてふみだすことをつよく求めるものです。法改定により、医療費負担3割から2割への軽減措置が、これまでの3歳未満から就学前に拡大されるため、乳幼児医療費助成の都の財政負担は、約23億円軽減されるとの試算が、3月の予算委員会において明らかになっています。この財源も使って、所得制限撤廃や小中学生の医療費無料化に、ぜひふみだしていただきたい。所見を伺います。
   妊婦健診や、出産時の経済的負担の軽減も、切実です。
   近年の出産費用は平均48万円。経済基盤の弱い若いカップルにとって、出産にともなって、50万近いまとまった金額を用意することは大変です。港区では、06年度から、出産時の経済的負担をへらすため、50万円を限度として、国保組合からの出産一時金35万円と、実費の差額分を補助する制度にふみきりました。港区では医療機関との協力で受領委任払い制度や、貸付制度もおこなっています。
  8 子育ての第一歩を、安心してふみだすことができる支援策として、たとえば「妊婦検診と出産無料制度」など、妊婦健診の負担軽減、出産育児一時金の支払い手続きの改善に取り組むことを提案するものです。お答え下さい。
   子どもを何人ほしいか聞くと3人以上という人が多いのに、実際には経済的負担が大きな壁となっています。
   福井県は、沖縄県に次いで合計特殊出生率が高く1.47で、前年の1.45から上昇しています。ここでは、3人目以降の子どもについて、生まれる前の妊婦健診費から、3歳に達するまでの医療費と保育料を原則無料にする「ふくい3人っこ応援プロジェクト」を推進しています。
   また、名古屋市では、第3子以降について、月額2万円の手当てを支給するか保育料の無料化など、全国の多くの自治体が工夫をこらした経済支援に取り組んでいます。
   海外に目をむけると、出生率の回復で注目されているフランスは、とりわけ第3子以降の出生支援を中心に協力な家族政策を推し進めてきたことが注目されています。実際に、フランスと日本の大きな違いのひとつは第3子の出生動向で、フランスが維持・回復しているのにくらべ、日本では低下が著しいことが指摘されています。
  9 第3子以降の子育て費用の負担を軽減する支援を思い切って拡充をすることを提案するものですが、どうですか。
   第二に、働き方の改革です。
   労働法制の規制緩和や企業の人件費抑制策の下で、パートや派遣などの非正規雇用社員は増える一方です。今や働く人の3人に1人を占め、若い世代では2人に1人が非正規雇用です。非正規は正規に比べ、収入が低く、不安定です。厚生労働省の調査でも20歳から30歳の若者を対象に02年に行った調査では、正社員の男性は4割が結婚していたのに、非正社員は1割に満たない現状です。増えつづけている非正規雇用の若者は、そもそも結婚して子どもを産み育てることができる経済的基盤がないのです。
   一方、正規社員は30代を中心に長時間・過密労働を余儀なくされ、働きたい女性にとっても第1子が生まれると、7割の女性は職場を去っています。会社に残っても、なかなか2人目を産める環境ではないのが実態です。
   このような現状の打開は急務です。慶応大学の樋口美雄教授も「社会の土台を直さなければだめだ。公的保育の支援を強化したり、仕事と家庭の調和の努力をしている企業を助成する道もある。企業にとっては、少子化対策は短期的には、コストがかさむわけだから、政府が、音頭をとって支援していく必要がある」と主張しています。
   次世代を育もうとする若い世代への経済的支援とともに、仕事と生活のバランスがとれた働き方が土台になければ、出生率の回復は望めません。
  10 育児休業や育児期の短時間勤務制度の充実・普及、残業の抑制、正規社員と非正規社員の均等処遇をはじめ、仕事と子育てが両立できる働き方の改革を推進するために、都としても全力をつくす必要があると思いますが、どうですか。
  11 働き方の改革をすすめるために、経済団体や労働団体、都をはじめとした行政機関等が一体となった、たとえば「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の両立)推進協議会(仮称)」のような場をつくり、両立支援や働き方の改革をすすめる「東京ルール」の確立などの合意形成や、共同の取り組みを推進することを提案するものです。見解を伺います。
   秋田県では子育て支援課に6人の専任職員をおいて、300人以下の企業1万5000社から2000社を抽出して、アンケートをとり、これまでに550社訪問して1割の企業に「子育て支援推進計画」を立ててもらう目標で取り組み、49社で策定しています。
   静岡県でも、国と共同で300人以下の企業にたいしても、行動計画作成への協力をもとめ、啓発・啓蒙に努めています。
   また、秋田、鳥取、岡山、山口、佐賀の5県は、女性登用や育児・介護休業制度の導入、子育て支援をすすめる建設事業者等にたいし、入札参加資格等における優遇制度を実施しています。福島県は、子育て支援をすすめる中小企業を認証し、低利の融資、入札時の優遇措置を実施しています。
   都内でも千代田区、文京区は、次世代育成支援行動計画を策定した中小企業に奨励金や、補助、低利融資を実施しています。
  12 都としても、圧倒的多数を占める300人以下の中小企業にたいし、「次世代育成支援行動計画」作成への具体的な支援を実施するとともに、仕事と家庭が両立できる働き方の改善に取り組む中小企業について、公契約や融資における優遇措置などを行うことを提案するものです。お答え下さい。
   今年度から国の中小企業への支援策として、はじめて育児休業を取得した企業に対し、100万円の補助金制度ができましたが、「半年以上休むこと・その後半年以上働くこと」が条件となっており、しかも休業補償は給与の4割という点では、あまりにも不十分です。
  13 この育児休業補償制度を、実践的に活用できるよう拡充を国に求めるとともに、都独自に拡充することを求めるものです。所見を伺います。
  14 従業員301人以上の企業の「次世代育成支援行動計画」については、公表することを、国につよく要請していただきたい。
  15 また従業員301人以上の企業について、都独自に、男女平等参画基本条例の第13条2項の規定(知事は、男女平等参画の促進に必要と認める場合、事業者に対し、雇用の分野における男女の参画状況について報告を求めることができる)も積極的に活用し、次世代育成支援行動計画、および両立支援や働き方の改革の具体的な取り組み状況を公表することも重要だと思いますが、どうですか。
   男性の育児休業促進も重要です。
  16 都は、昨年3月にまとめた「東京都特定事業主行動計画」で、都の「男性職員の育児休業等の取得率を向上させる」ことを明記しました。平成15年度に育児休業・部分休業を取得した男性職員34人となっていますが、その後の実績はどうですか。
  17 広島市は、育児休業を取得した男性の市職員の所属職場にたいする市長表彰を実施しています。こうした努力もふくめ、都の男性職員の育児休業取得率を今後どのように向上させるのか、具体策を伺います。
   最後に、東京ではとりわけ切実な住宅問題です。経済基盤の弱い若い夫婦でも、安心して子育てできる住宅環境の改善・拡充は、急務です。
  18 若者や新婚家庭むけの家賃補助や、家賃が安くて良質な公的住宅の増設、整備促進を求めるものですが、見解を伺います。

平成18年第二回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 少子化対策について
  1 政府は、少子化対策について今後5年以内に緊急かつ集中的な対策をとる必要があることを強調している。都として、少子化対策の緊急性について、どう認識しているのか伺う。

回答
  我が国の総人口は、平成17年、統計上初めて自然減に転じましたが、社会経済状況にかかわらず、未来を担う子どもたちが健やかに育成される環境を整備することは、行政をはじめ、社会全体の責務であると考えています。
  こうした考えのもと、都はこれまで福祉改革や教育改革など先駆的な取組を実施してきました。現在も、「次世代育成支援東京都行動計画」に基づき、子育て支援策を着実に推進しています。

質問事項
 一の2 若者が全国から集まる大都市で、深刻な少子化が進行している。大都市における少子化対策の特別の重要性を、どう認識しているのか伺う。

回答
  少子化への対応は、長期的な視点に立って国家の在り方を検討した上で、基本的には国全体で取り組むべきものです。都の役割は、東京の特性を十分に踏まえ、都民が必要とする施策を実施することであると考えています。
  都は、東京で暮らすすべての子どもとその家庭が安心して生活できるよう、福祉、教育、労働など、組織を超えた横断的、総合的な取組を進めるとともに、地域の実情に応じた、よりきめ細かな子育て支援施策を展開できるよう、新たな補助制度を創設するなど、区市町村を支援しています。

質問事項
 一の3 知事または副知事を責任者とした「少子化対策本部(仮称)」のような、権限のある、少子化対策推進の全庁的体制を創設・強化すべきだが、答弁を求める。

回答
  都は平成17年、福祉、保健、教育、労働など、さまざまな分野における子育て支援策を総合的に示した、「次世代育成支援東京都行動計画」を策定しました。
  これに基づき、現在、次世代の健全な育成を支援するために、組織を超えて連携し、横断的、総合的な取組を進めています。

質問事項
 一の4 どの調査でも圧倒的に経済的支援を求める要望が高い結果をどう受け止めているのか。経済的支援の拡充を、少子化対策の柱のひとつにすえることが重要だが、認識を伺う。

回答
  少子化対策については、各種手当や税制、労働環境の整備など、さまざまな方策が議論されていますが、長期的な視点に立って社会全体で取り組むことが重要です。
  経済的支援については、税制の在り方も含めて社会保障制度全体を視野に入れ、国民的合意を得て、基本的に国の制度として行うべきものと考えています。
  こうした考えのもと、国においても、児童手当制度における乳幼児加算の創設や税制の見直しが検討されており、「新しい少子化対策について」や「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」において、平成19年度に向けて作業を進めていくこととしています。

質問事項
 一の5 いま改めて、都として政府に乳幼児医療費無料化の制度化を働きかけていただきたいが、どうか。

回答
  これまで都は国に対し、現在3歳未満となっている患者一部負担金の割合を2割に軽減する措置について、対象年齢の拡大を提案し、今般の国の医療制度改革の中で、平成20年4月から、義務教育就学前まで軽減措置が拡大される予定となっています。
  乳幼児医療費無料化について、都として国に対し働きかけることは考えていません。

質問事項
 一の6 乳幼児医療費助成制度にたいする国民健康保険国庫負担金の減額調整措置の廃止を政府に要請すべきである。都と区市町村での減額調整額もあわせて、答弁を求める。

回答
  乳幼児医療費助成制度に対する国民健康保険国庫負担金の減額調整制度の廃止については、これまでも国に対して要望を行っており、平成18年度も既に、提案要求を実施しています。
  都内の区市町村に対する減額調整額は、平成16年度で約10億9千万円となっています。
  なお、都は保険者ではないので、減額調整措置を受けることはありません。

質問事項
 一の7 医療費負担軽減措置の拡大によって軽減される財源も使い、小中学生の医療費無料化、乳幼児医療費助成制度の所得制限撤廃にぜひふみだしていただきたい。所見を伺う。

回答
  乳幼児医療費助成制度の対象年齢については、これまで、義務教育就学前まで段階的に拡大してきており、小中学生の医療費無料化については考えていません。
  また、本制度の所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しており、一定の所得制限を設けることは必要と考えています。

質問事項
 一の8 「妊婦健診と出産無料制度」など、妊婦健診の負担軽減、出産育児一時金の支払い手続きの改善に取り組むことを提案する。答弁を求める。

回答
  妊婦健康診査の負担軽減は、地域の母子保健サービスを担う区市町村が、それぞれの地域の実情に応じて実施しています。
  出産育児一時金は、医療保険各法に基づき給付しており、各保険者が判断すべきものです。なお、現在、国では、出産育児一時金の支払手続の改善について、検討を行っています。

質問事項
 一の9 第三子以降の子育て費用の負担を軽減する支援を思い切って拡充をすることを提案するが、どうか。

回答
  都はこれまでも、子どもの数にかかわらず、子どもを生み育てたいと望むすべての人が安心して子育てをすることができるよう、国に先駆けてさまざまな子育て支援策に取り組んできました。
  経済的支援については、社会保障制度全体の中で、基本的に国の制度として対応すべきものと考えています。

質問事項
 一の10 育児休業や育児期の短時間勤務制度の充実・普及、残業の抑制、正規社員と非正規社員の均等処遇をはじめ、仕事と子育てが両立できる働き方の改革を推進するために、都として全力をつくすべきだが、どうか。

回答
  都はこれまでも、仕事と子育ての両立支援のため、都内企業等に対して、労働セミナーや労働相談、「働く女性と労働法」など各種資料の作成・配布等を通じて、いわゆる育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)やパートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)等の普及啓発に努めています。

質問事項
 一の11 経済団体や労働団体、都をはじめとした行政機関が一体となった協議会をつくり、両立支援や働き方の改革などの合意形成や、共同の取組を推進することを提案する。見解を伺う。

回答
  都はこれまでも、国や区市町村、また経済団体や労働団体等と連携、協力して、仕事と家庭の両立支援や働きやすい雇用環境づくりに向けた取組として、各種セミナーを実施するほか、労働情勢懇談会や東京都男女平等参画を進める会などの場を活用して、幅広い団体との意見交換を行っています。

質問事項
 一の12 都も、300人以下の中小企業に対し次世代育成支援行動計画作成を支援するとともに、仕事と家庭の両立に取り組む中小企業について公契約や融資での優遇措置などを行うことを提案する。答弁を求める。

回答
  都は、「東京都次世代育成支援事業」を平成18年7月から開始しています。
  この事業では、「一般事業主行動計画」を策定した企業を「とうきょう次世代育成サポート企業」として登録し、その「行動計画」等が他の企業の自主的な取組の参考となるよう都のホームページで公表し、普及啓発を図ります。また、「とうきょう次世代育成サポート企業」として登録した中小企業は、提携金融機関において低利融資等の優遇融資制度を受けられるようになっています。

質問事項
 一の13 育児休業補償制度を、実践的に活用できるよう拡充を国に求めるとともに、都独自に拡充することを求める。所見を伺う。

回答
  育児休業中の給付については、国が所管する雇用保険から、育児休業基本給付金(休業開始前の賃金月額の30%)及び育児休業者職場復帰給付金(同10%)が支給されることとなっていますが、都としては、既に国に対して、育児休業給付の支給額をさらに充実するよう、提案要求しました。

質問事項
 一の14 従業員301人以上の企業の次世代育成支援行動計画については、公表することを国につよく要請していただきたい。答弁を求める。

回答
  国において次世代育成支援対策推進法の改正が検討されていると聞いており、国の動向を見守っていきます。

質問事項
 一の15 従業員301人以上の企業について、都独自に、次世代育成支援行動計画、および両立支援や働き方の改革の具体的な取組状況を公表することも重要だが、どうか。

回答
  国において次世代育成支援対策推進法の改正が検討されていると聞いており、国の動向を見守っていきます。

質問事項
 一の16 都は、東京都特定事業主行動計画で、男性職員の育児休業等の取得率を向上させるとした。平成15年度以降の実績について伺う。

回答
  育児休業・部分休業を取得した男性職員は、平成16年度は53人、平成17年度は48人と、平成15年度の34人に比べて増加しています。
  なお、このうち育児休業に限ってみると、平成15年度の21人に対して、平成16年度は32人、平成17年度は34人と年々増加しています。

質問事項
 一の17 広島市では、育児休業を取得した男性職員の所属職場に市長表彰を実施している。こうした努力を含め、都の男性職員の育児休業取得率を今後どのように向上させるのか、具体策を伺う。

回答
  仕事と子育ての両立を支援するに当たっては、子育てに関する様々な制度が有効に活用されるよう職員や各職場の理解と協力を得ることが重要であり、このことは男性職員の育児休業等の取得促進についても同様と考えています。
  平成17年度は、平成16年度末に策定した「東京都職員次世代育成支援プラン」に基づく初年度の取組として、庁内の推進体制を整備するとともに、講演会の実施や啓発ポスター、パンフレットの作成など様々な取組を行い、管理職をはじめすべての職員に対し、制度の周知や意識啓発を進めてきました。
  この取組は、継続して行っていくことが肝要と考えており、引き続き様々な取組を通じて意識啓発と職場の雰囲気づくりを進め、男性職員の育児休業等の取得率向上につなげていきます。

質問事項
 一の18 若者や新婚家庭むけの家賃補助や、家賃が安くて良質な公的住宅の増設、整備促進を求めるが、見解を伺う。

回答
  都内の住宅の戸数が世帯数を1割以上上回っており、さらに、今後人口・世帯減少社会の到来が確実と見込まれていることなどから、都営住宅の供給に当たっては、既存ストックの活用に重点を置くこととしています。こうした中で、若年子育て世帯の入居機会の確保に向け、期限付き入居制度の活用等を行っており、今後とも、公的住宅のストックを子育て世帯のニーズに対して積極的に活用していきます。
  また、若者や新婚家庭向けの家賃補助については、都として実施する考えはありません。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 植木こうじ

質問事項
 一 エレベーターの安全確保のために

 一 エレベーターの安全確保のために
   6月3日に港区の区民向け住宅でおきたエレベーター事故で若い尊い命が奪われました。亡くなられた高校生のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に心よりお悔やみ申し上げます。
   エレベーターは毎日日常的に利用するもので誰もが安全に管理されているものと思っています。そこでの死亡事故は絶対あってはならないものです。また、死亡事故に至らない事故の場合でも決して軽んじてはならず、今回の事故の教訓を明らかにすることはもちろん、エレベーターの適切な設置や保守管理のあり方、再発防止策を導き出さなければなりません。
   東京都が直接管理している都立学校関係を始め1813の都有施設でもシンドラー社製エレベーターが81基、都営住宅・公社住宅のエレベーターが3380基、シンドラー社製エレベーターが370基もあります。
   このうち都営住宅では、これまでもドアセレクター内の接点が接触不良でドアが開かずに閉じ込められる事態がおきたり、停止時に段差が生じてつまづく人もでるなどトラブルが昨年一年間では136件にも及んでいます。
   幸い、これまでは大事故に至った事例はありませんが、港区のような事態が起きないという保証はありません。東京都内には全国でも一番エレベーター台数が多く、なかでも、都有施設など公共施設でシンドラー社製品が多く採用されている実態から見ても率先して事故防止策をとるようにすべきです。
   エレベーターの事故はシンドラー社製のほかと国内メーカーでも報告されており、安全を第一にすべき立場に立った政策の確立が急がれています。
  1 まず、第1に、第3者の専門家による事故の原因と責任の所在の徹底究明をおこない、再発防止策を早期に確立するよう求めるものです。
   港区の事例でも保守点検に「異常なし」「安全は確認された」という結果であったのに事故がおきたわけです。住民からは「10階から1階までエレベーターが落下したことがある」という声があったと聞いていますが報告に問題がなかったかが、問われています。都営住宅についてもドアセレクター内の接点が接触不良による閉じ込められる事態がおきていても、「大きな事故がなかったので報告はありません」となっています。エレベーターの「維持保全の義務」は、「所有者または管理者」となっているが実際には「所有者または管理者」への報告自体が形式的になっている可能性があります。
  2 この事態を重く見て、都営住宅のみならず、すべての都有施設について保守点検と事故報告の実態調査を行い報告と改善のルールを確立し安全対策マニュアルを作成すべきと考えるがどうか。
  3 同時に、保守点検基準の改定の必要性も含めて国に検討を求めるべきです。
   第2に、「安ければ安いほど良い」という経済優先、価格競争を改め、品質保証、安全性能の確保を第一にする問題です。
   エレベーターの設置については入札或いは随意契約のあり方についても再検討が必要です。港区の事例では実際に発注した公社の保守・管理委託費用が5年まえに随意契約で446万円台の契約だったのが04年度からは入札制度に変わって06年度には115万円台の契約になっています。現在、捜査中で機械そのものに問題があったのか、保守・管理が問題かはまだ明らかになっておりませんが、設置後4年から5年たっていることからみても保守管理で問題が発見できなかったことは問題です。価格競争で経済優先になってはいなかったかの検証が必要であり、エレベーター機器の設置、保守管理は「安ければ安いほど良い」ということであってはならないのです。エレベーターの保守管理契約は技術力を評価する総合評価方式をとっていないこと、最低制限価格制度の適用もないことについての新たな検証が必要です。
  4 あくまでも技術力、品質保証、安全性能の確保を第一にする仕組みの確立のため、総合評価方式の採用、最低制限価格制度の適用をすべきです。お答えください。
  5 また、都営住宅や全都有施設でのエレベーター管理について適切な安全点検項目、部品の交換など安全管理費用が適切に見積もられそのとおりおこなわれているかなどについて改めて保守管理の実態調査を求めるものです。
  6 港区では保守管理業務を落札した業者が下請けにまるなげしたことも明らかにされています。保守契約で登録されている一級建築士若しくは二級建築士の有資格者以外が保守点検をおこなった場合、建築士法や建築基準法に明らかに違反になります。都有施設でこうした不適切なことがおこなわれていないか実態調査をおこなうべきです。
  7 第3に、捜査中のシンドラー社製エレベーターについて、これから新たに都有施設で設置する計画になっている場合については、原因が明らかにされ再発防止策ができるまでは発注を控えることを求めるものですが、見解を伺います。
  8 第4に、東京都が扱った民間の建物のエレベーターについて調査・点検を指示し、報告を求めていますが、これらについて一刻も早く報告をまとめ、問題点の有無、改善指導の必要性の有無などについて公表すべきです。
  9 同時に、各特定行政庁とも協力して都内のシンドラー社製エレベーターのみならず、すべてのエレベーターの調査・点検をおこなうことを求めます。
   第5に、国土交通省に対して総合的なエレベーター対策の検討を求める問題です。今回の事故では、エレベーターそのものの安全性や保守管理、安全基準など多くの問題点が明らかになりました。また、昨年の千葉北西部でおきた直下地震の際に、エレベーターに閉じ込められる事態が起きたことや、六本木ヒルズでの長周期地震動によるエレベーターロープ切断事故も含めてそれら総合的なエレベーター安全対策が必要です。国土交通省でワーキンググループが設置され検討がおこなわれていると聞いています。
  10 この際、国土交通省に対して、総合的にエレベーターの研究をおこない、抜本的な改善方針を確立するよう都として求めるべきです。

平成18年第二回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 エレベーターの安全確保のために
  1 第三者の専門家による事故の原因と責任の所在の徹底究明をおこない、再発防止策を早期に確立するよう求める。答弁を求める。

回答
  現在、警察などにより事故原因や責任の所在についての究明が進められており、今後はそれらの結果を踏まえて、国や区市、エレベーター業界など関係団体と連携し、都民が安心してエレベーターを利用できるよう、安全確保に万全を期していきます。

質問事項
 一の2 都営住宅のみならず、すべての都有施設について保守点検と事故報告の実態調査を行い、安全対策マニュアルを作成すべきである。答弁を求める。

回答
  港区内におけるエレベーターの死亡事故を受け、都営住宅を含む都有施設のエレベーターについて、直ちに、緊急点検と過去の不具合の発生状況の調査を行いました。
  エレベーターの保守点検の業務委託については、点検結果の報告の他、応急措置や故障時の対応等の安全対策を盛り込んだ「維持保全業務標準仕様書」を既に定めており、これに基づく仕様により、的確な点検を行っています。

質問事項
 一の3 同時に、保守点検基準の改定の必要性も含めて国に検討を求めるべきだが、答弁を求める。

回答
  エレベーターの保守点検委託契約における保守点検の基準として、東京都は「維持保全業務標準仕様書」を定めています。したがって、同標準仕様書の改定については、東京都が必要性を判断します。
  なお、改定する場合は、国及び他団体の動向も参考にします。

質問事項
  一の4 エレベーターの保守管理契約は、技術力、品質保証、安全性能の確保を第一にする仕組みの確立のため、総合評価方式の採用、最低制限価格制度の適用をすべきである。答弁を求める。

回答
  エレベーターの保守点検委託契約については、「維持保全業務標準仕様書」に定めた業務内容の履行確保が図られていることから、総合評価方式の採用、最低制限価格制度の適用は考えていません。
  契約に当たっては、設置後5年未満のもの等の一部を除き、技術面・安全面等の観点から製造会社の系列下にある保守管理会社と特命随意契約を結んでいます。

質問事項
  一の5 都営住宅や全都有施設でのエレベーターの安全管理費用が適切に見積もられそのとおりにおこなわれているかなどについて、保守管理の実態調査をおこなうべきだが、答弁を求める。

回答
  エレベーターの保守点検委託契約に当たって、費用の算定については市場価格を反映した「維持保全業務積算標準単価表」に基づき、適正な見積りを行っています。
  また、委託業務については「維持保全業務標準仕様書」にしたがって、適切な保守管理を実施しています。

質問事項
  一の6 都有施設で、登録されている一級建築士若しくは二級建築士の有資格者以外による保守点検がおこなわれていないか実態調査をおこなうべきだが、答弁を求める。

回答
  建築基準法によるエレベーターの保守点検、いわゆる「法定点検」は、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する昇降機検査資格者が行うことになっています。
  都有施設のエレベーターの法定点検については、「維持保全業務標準仕様書」に定める業務計画書等により点検者の資格を確認し、こうした有資格者から適切に実施した旨の報告を受けています。

質問事項
 一の7 シンドラー社製エレベーターについて、新たに都有施設で設置する計画になっている場合は原因が明らかにされ再発防止策ができるまでは発注を控えることを求める。答弁を求める。

回答
  シンドラーエレベータ株式会社製エレベーターの事故については、関係当局による調査が行われていますが、現時点においては事故原因の解明には至っていません。
  同社に対する指名については、こうした状況を踏まえ、慎重に検討し対応していきます。

質問事項
 一の8 都が扱った民間建物のエレベーターについて調査・点検を指示し報告を求めているが、一刻も早くまとめ、公表すべきである。答弁を求める。

回答
  都が特定行政庁として所管している民間施設などのシンドラーエレベータ株式会社製エレベーターについては、管理者などに対して緊急点検・調査を指示したところであるが、結果については、それぞれの管理者から利用者への周知が図られるよう、都民の不安解消に向けて適切に対応していきます。

質問事項
 一の9 同時に、各特定行政庁とも協力して都内のすべてのエレベーターの調査・点検をおこなうべきだが、答弁を求める。

回答
  現在、都内すべてのシンドラーエレベータ株式会社製のエレベーターについて、各特定行政庁に依頼し、調査・点検を進めています。その他のエレベーターの調査については、事故原因の究明等の状況を踏まえ適切に対応していきます。

質問事項
 一の10 総合的なエレベーター安全対策が必要である。この際、国土交通省に対して、総合的にエレベーターの研究をおこない、抜本的な改善方針を確立するよう都として求めるべきだが、所見を伺う。

回答
  現在、事故原因の究明が警視庁などにより行われており、国土交通省においても、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会が、エレベーターの安全確保の観点から調査・検討を開始しています。それらの結果を踏まえ、国土交通省や関係団体などと連携し、エレベーターの安全確保に万全を期していきます。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松村友昭

質問事項
 一 外郭環状道路計画について

 一 外郭環状道路計画について
   石原知事が4月21日に「外かん道路」について、記者会見で、「凍結解除にこぎつけた」などと発言し、5月22日の、外環関係区市担当者会議で都市計画変更案と環境影響評価準備書を6月初旬から公告縦覧を行うことを指示し、6月1日には都市整備委員会で報告、同6日から練馬区の外環大泉インター付近の小学校を皮切りに地元説明会を強行するなど、矢継ぎ早にその具体化を開始した。
   こうした都の理不尽なやり方に、これまで協力してきたPI協議会の委員から抗議の声明が出され、計画の中止を求める住民の声も巻き起こっている。
   国が公式に凍結を解除してもいない、高速道路計画をきめる「国幹会議」で検討もされていない、費用負担もはっきりしていない、住民も合意していない、こんな異常なやり方はかってなかった。
   わが党は、第2回定例会で、都市計画手続きを停止することを求めたが、この間の、委員会質疑、住民説明会などで出された質問、意見、疑問などをふまえ、以下、5点について質問する。
  1 都市計画のすすめ方について
   ア 石原知事の4/21の記者会見「凍結解除にこぎつけた」とは、どういう具体的事実があっての言明か。国会での根本建設大臣(当時)の凍結宣言は、国会での発言であり、凍結を解除するというなら、国会での表明があってはじめて凍結解除になるのではないか。
   イ 都は、国に国会での取扱などについて、正式に問い合わせたのか。やった場合には、国からはどういう返事があったのか。
   ウ 4/17の沿線区市長意見交換会で、杉並区長(代理:助役)は、「今後の進め方については、区民が安心できるように丁寧におこなっていただきたい」、武蔵野市長は、「地元との対話を重視し、より一層住民との対話を継続し、・・・、計画案の公表に際しては、突然計画案を出すことのないようにしてほしい」、三鷹市長は、「引き続き慎重な検討をお願いしたい」などとの意見が出されていた。
     このどこに、おおむねの理解が得られたとするのか。
   エ 計画の中身についても、意見が分かれている段階だ。青梅街道インターチェンジについて、杉並区は反対している。インター予定地の練馬区関町の町会は91%の住民が反対し、1万1000筆の反対署名が練馬区長に提出され、「外かん説明会」の中で、練馬区の担当者は、これから検討すると答弁している。
     こういう状況のもとで、変更案は、提案できる段階ではないと思うがどうか。
   オ 4/21知事記者会見以降、8名のPI協議会委員、外環道路反対連盟から、抗議文が出されているが、これについては、どのように扱ったのか、PI協議会や関係団体との話し合いや合意づくりがどのようにおこなわれてきたのか。
   カ 練馬区で開かれた「外かん説明会」では、「本線の変更のみの説明」として、地上部街路などについて質疑を受け付けない態度をとった。変更案は、地上部街路が残り、立ち退きなどの重大な影響がでる、そのことを質問するのに、なぜ受けつけないのか。
   キ 「外かん説明会」で、「意見を聞く会などで、8割以上の方が反対の意見を出していたのに、それがまったく無視されている。どうしたらわれわれの声が届くのか」との批判が相次いだ。いま必要なのは住民との合意形成を図ることではないのか。住民との合意と理解を得ることなく、都計審に図るべきではないと思うがどうか。
  2 都市計画変更案、環境影響評価準備書の問題点について
   ア 環境影響評価準備書で、事業年度を2007年度から2020年度としているが、その設定の根拠、また、この事業期間は、国との合意で決めたのか。
   イ いったん事業完成年度を、2020年度としながら、都は、オリンピックに間に合わせて、2016年の完成を目指すなどとしている。期間を4年も短縮するとなれば、あらたな立杭をつくるなど、作業工程も変わり、現在出している環境影響評価準備書も当然変わってこざるを得ないと考えるがどうか。
   ウ 外かんは、国土開発幹線自動車道の予定路線で、国がその責任において整備すべき路線であるが、国交省は、2016年を想定した作業工程を出してはいないという。事業者が計画を明示していないのに、事業をすすめるのは間違いだと思うがどうか。
  3 地上部道路、青梅インター問題について
   ア 東八道路から大泉インター間の地上部街路、外環その2は変更ないということは、既存の計画がそのまま提案されたということか。
   イ 地上部街路について、3つの案について、地元の意見を聞いて、検討しているというが、誰が、どこで、どう言う検討をし、何時までに、どう言う手順で結論が出されるのか。
   ウ 立ち退きの影響を伺う。提案されている変更案ではどうなるか。青梅街道インター予定地ではどうか。40メートルの地上部街路によってはどうか。また、公共施設など立ち退きの対象となるのは。それぞれ伺う。
  4 事業費などについて
   ア 外環の本体の事業費はいくらか。青梅街道ハーフインターなしの場合では。また、地上部街路を事業化した場合は、さらにいくらかかるか。それぞれの場合の都の負担はどうなるか。
   イ 事業者はどこか。2016年供用開始となればいつまでに決定されなければならないか、どういう手順で決まるのか。
  5 環境への影響について
   ア 大深度地下高速道路の地下水脈などに対する影響は少ないというが、専門家を含め、多くの疑問視する意見が上がっている。圏央道では、予測と違って、八王子城跡で、水枯れ、出水が起きているが、外環も同じコンサルだと聞くが事実か。事実とすれば、公平を期すためにも再度事業者を変え、検証すべきではないか。
     また、「説明会」で、予測した本データーの公表を求める声があったが、拒否しているのはおかしい。データーを完全公開すべきだ。
   イ 八の釜憩いの森は消失するとしながら、今後地元と話し合って、可能な限り復元をするという。どんな復元か、具体的に計画段階で明らかにすべきだ。
   以上、この間の、委員会質疑、住民説明会などで出されながら、住民の納得が得られない問題にしぼって質問したが、いずれにしても、1回の都議会への報告、それぞれの地域での1回の説明会で、あとは、都市計画審議会に持ち込むなどということは絶対にしてはならない。手続きを白紙に戻し、住民との話し合いをただちに再開することを強く求める。

平成18年第二回都議会定例会
松村友昭議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 外郭環状道路計画について
  1 都市計画の進め方について
   ア 知事の凍結解除にこぎつけたとの発言はどういう具体的事実による言明か。当時の建設大臣の凍結宣言は国会での発言であり、国会での表明があってはじめて凍結解除になるのではないか、伺う。

回答
  いわゆる凍結発言は、昭和45年の参議院建設委員会において当時の建設大臣が、「いま私がこの地位にある限りにおいては、地元と話し得る条件の整うまでは、強行すべきではない。だからその間においては、しばらく凍結せざるを得ない。」と答弁したことを指しており、その後、地元住民との話し合いができない状況が続きました。
  平成11年の石原知事の現地視察以降、地元等と約350回の話し合いを重ねるとともに、大深度地下へ構造を変更するなど、当時の状況とは異なっていると認識しています。

質問事項
 一の1のイ 都は、国に国会での取扱などについて、正式に問い合わせたのか。国からはどういう返事があったのか伺う。

回答
  平成13年5月の参議院国土交通委員会において、扇国土交通大臣が、30年以上計画が放置されたことについて遺憾の意を表明しています。その上で、「外環について、計画のたたき台をもとに住民の皆様のご意見を聞いて、これを計画の中に取り入れていきたい」と発言しています。

質問事項
 一の1のウ 4月17日の沿線区市長意見交換会での区長、市長の発言のどこにおおむねの理解が得られたとするのか伺う。

回答
  平成18年4月17日に開催された東京外かく環状道路(関越道から東名高速)沿線区市長意見交換会では、外環道の必要性について、「大深度地下方式により早く安くつくることが重要」、「首都圏の道路交通機能面において、都市計画上の必要性は認識」、「必要性については一定の理解」などの意見が、出席した区市長から出されました。
  国と都は、地域の意見、区市長の意見等を踏まえて、総合的な検討を行い、外環道整備の必要性についての概ねの理解は得られたものと判断しました。

質問事項
 一の1のエ 青梅街道インターチェンジについて杉並区は反対し、インター予定地の練馬区関町町会は91%の住民が反対するなどの状況のもとで、変更案は提案できる段階ではないと思うがどうか。

回答
  青梅街道インターチェンジを設置することにより、10分以内にアクセスできる地域住民が21万人増加すること、高速道路利用者の旅行時間が短縮されることなど利便性の向上や、環八、吉祥寺通り等一般道路の交通量が減少するなどの効果があることから、地元の意向も踏まえたうえで、国と都が必要と判断し、提案しています。

質問事項
 一の1のオ PI協議会委員や外環道路反対連盟からの抗議文はどう扱ったのか。PI協議会や関係団体との話し合いや合意づくりがどのようにおこなわれてきたのか伺う。

回答
  外環道に対し、関連する団体から様々な御意見を頂いていますが、それぞれ適切に対処しました。
  話し合いや合意づくりについては、都は国とともに、計画の具体化に向け、外環沿線協議会・会議のみならず、オープンハウス、意見を聴く会等を開催し、あらゆる機会をとらえて行ってきました。

質問事項
 一の1のカ 練馬区での外かん説明会では、地上部街路などについて質疑を受け付けない態度をとった。変更案は、地上部街路が残り、立ち退きなどの重大な影響がでるが、なぜ受け付けないのか伺う。

回答
  平成18年6月6日から27日にかけて行った説明会では、都市高速道路外郭環状線の都市計画案と環境影響評価準備書について説明しました。説明会参加者からの地上部街路に係わる質問に対しても、誠意をもってお答えしました。

質問事項
 一の1のキ いま必要なのは住民との合意形成を図ることではないのか。住民との合意と理解を得ることなく、都計審に図るべきではないと思うがどうか。

回答
  外環道について、これまで外環沿線協議会・会議や意見を聴く会など幅広く地元との話し合いを行うとともに、沿線区市長からも意見を伺ってきました。今般、外環道整備の必要性や地下化について、概ねの理解が得られたと判断し、都市計画変更案を提案しました。引き続き、地元の理解と協力が得られるよう努めていきます。

質問事項
 一の2 都市計画変更案、環境影響評価準備書の問題点について
    ア 環境影響評価準備書で、事業年度を2007年度から2020年度としているが、その設定の根拠、また、この事業期間は、国との合意で決めたのか伺う。

回答
  都市計画と合わせて行う環境影響評価は、環境影響評価法に基づき、事業予定者である国土交通省関東地方整備局と協力してとりまとめました。
  環境影響評価準備書では、事業予定者の考え方を踏まえ、外環道の供用を平成32年度としています。

質問事項
 一の2のイ 都はオリンピックに合わせて2016年の完成を目指すなどとしているが、期間短縮により作業工程も変わり、現在の環境影響評価準備書も変わらざるを得ないと考えるがどうか。

回答
  外環道は、首都圏の交通混雑緩和、環境改善、東京の再生に必要な道路であり、早期整備が不可欠です。
  環境影響評価準備書では、工事中の予測・評価も行うため14か年の作業工程表を表示し、外環道の供用を平成32年度としています。

質問事項
 一の2のウ 外かんは、国が整備すべき路線であるが、国交省は2016年を想定した作業工程を出していない。事業者が計画を明示していないのに、事業を進めるのは間違いだと思うがどうか。

回答
  外環道は、国土開発幹線自動車道の予定路線であり、国土交通省が事業予定者となっています。
  なお、都市計画と合わせて行う環境影響評価準備書は、環境影響評価法に基づき、事業予定者である国土交通省関東地方整備局と協力してとりまとめました。

質問事項
 一の3 地上部道路、青梅インター問題について
    ア 東八道路から大泉インター間の地上部街路、外環その2は変更ないということは、既存の計画がそのまま提案されたということか伺う。

回答
  いわゆる地上部として計画されている都市計画道路外環ノ2については、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を示し、地元の意見を聴いている段階であり、都市計画案として提案したものではありません。
  今後、国や沿線自治体などと早期に結論が得られるよう検討を進め、必要に応じて都市計画変更等の手続を行っていきます。

質問事項
 一の3のイ 地上部街路について、三つの案について、地元の意見を聞いて検討しているというが、誰が、どこで、どういう検討をし、いつまでに、どういう手順で結論が出されるのか伺う。
回答
  外環ノ2については、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を示したパンフレットなどを作成し、説明会などの機会に説明し、地元の意見を聴いている段階です。
  出来る限り早期に国や沿線自治体などと検討を進め、結論が得られるよう努めていきます。

質問事項
 一の3のウ 立ち退きの影響について、提案されている変更案ではどうなるか。青梅街道インター予定地ではどうか。40メートルの地上部街路によってはどうか。また、公共施設など立ち退きの対象について伺う。

回答
  国土交通省は外環本線の立ち退き戸数を約1000棟と公表しています。
  一方、外環ノ2については、現在、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を地元に示している段階であり、立ち退き戸数は推計していません。

質問事項
 一の4 事業費などについて
    ア 外環の本体の事業費はいくらか。青梅街道ハーフインターなしの場合ではいくらか。また、地上部街路を事業化した場合はさらにいくらかかるか。それぞれの場合の都の負担はどうなるか、伺う。

回答
  国土交通省は、類似の道路整備事例を参考に外環本線の事業費を約1兆3500億円と推計しています。このうち、青梅街道インターチェンジの事業費は約1000億円と推計しています。
  外環道は国土開発幹線自動車道の予定路線であり、国がその責任において整備すべき路線と考えていますが、整備手法などについては現段階で決まっていません。
  また、地上部街路については、緑豊かな道路とするなど三つの検討の方向性を示し、地元の意見を聴いているところです。

質問事項
 一の4のイ 事業者はどこか。2016年供用開始となればいつまでに決定されなければならないか、どういう手順できまるのか、伺う。

回答
  外環道は、国土開発幹線自動車道の予定路線であり、国土交通省が事業予定者となっています。
  国土開発幹線自動車道の建設主体等については、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、国土交通大臣が決定することになります。

質問事項
 一の5 環境への影響について
    ア 圏央道では予測と違って水枯れ、出水が起こっているが、外環も同じコンサルだと聞くが事実か。公平を期すため再度事業者を変え検証すべきではないか。またデータを完全公開すべきだが、答弁を求める。

回答
  外環道の環境影響評価の委託は、事業予定者である国土交通省が行っています。大気質などの環境影響の調査、予測・評価については、項目別に複数のコンサルタントに委託されていますが、このうち地形・地質のみが圏央道と同じコンサルタントになっています。
  外環道の環境影響評価準備書の妥当性等については、住民からの意見書及び区長、市長の意見を踏まえたうえで、東京都環境影響評価審議会において審議されることになります。
  また、環境影響評価準備書などのデータについては、東京都のホームページ及び国土交通省東京外かく環状道路調査事務所のホームページで公表しています。

質問事項
  一の5のイ 八の釜憩いの森は消失するとしながら、今後地元と話し合って、可能な限り復元するという。どんな復元か、具体的に計画段階で明らかにすべきだが、答弁を求める。

回答
  外環道については、現在、手続中の都市計画変更が決定された後、事業予定者である国土交通省が、具体的な設計を行うことになります。
  八の釜憩いの森の代償措置は、外環道の設計を基に、練馬区の教育委員会、公園管理者などの意見を聴きながら検討していくことになります。

平成18年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 曽根はじめ

質問事項
 一 米軍横田基地の再編問題について

 一 米軍横田基地の再編問題について
   昨年10月末に発表された日米安全保障委員会(2プラス2)の中間報告でうちだされた国内米軍基地の大規模な再編計画は、沖縄はじめ関係自治体の首長の大多数が反対し批判しているにもかかわらず、5月1日には日米で最終報告の合意文書が取り交わされ6月に閣議決定されました。関係自治体からは、改めて地元を無視した政府の姿勢に怒りの声が出されています。
   さらにこの間、沖縄の海兵隊のグアム移転に7000億円を拠出するのをはじめ、政府自らまったく筋の通らない3兆円もの米軍の移転費用への負担を約束したことが明らかになり、「3兆円出すぐらいなら、社会保障の国民負担増をやめるべき」などの叫びがあがっています。
   このなかで石原知事は、「防衛に必要」としていち早く横田の米軍基地再編を容認し、そのうえで横田基地の軍民共用化を進めようとしていますが、これは基地被害に苦しむ横田周辺をはじめ、平和で安全なくらしを願う都民の長年の願いを根本から裏切るものと言わざるをえません。
   これらの事態を踏まえ、横田基地再編に関わる以下の諸点について質問します。
   第1に、横田基地の再編を許せば基地は恒久化・機能強化され、石原知事自身が掲げていた「横田基地の返還」はますます実現が遠のくという問題です。
   横田の基地再編は、神奈川県の横須賀、相模原、厚木、座間など首都圏の米軍基地・軍港の再編の一環であり、横田の空軍、横須賀の海軍、座間の陸軍、など在日米軍における各軍の中枢機能が国道20号線に沿って集中・強化されることも重大です。わが党の横須賀基地の調査では、横須賀港を原子力空母の母港とするために、かなり以前から海底の浚渫、水路の確保、岸壁の改修などの手だてが打たれてきていた実態も浮き彫りになりました。同時に、周辺の港湾設備や岸壁が次々と民間企業から自衛隊に買い取られ、横須賀港全体が日米一体の軍港にされていこうとしていることも鮮明になりました。
   5月に防衛庁が開いた「米軍再編シンポジウム」でも在日米大使館政治部安全保障部長メア氏は米軍再編について「一番重要な目標はわれわれの同盟能力の維持・向上」だとし、「米軍と自衛隊をもっと融合して、ある意味で統合する必要がある」とまで述べています。
  1 横田はじめ首都圏における米軍再編が、それぞれの米軍基地の恒久化・機能強化とならざるをえないことはあまりに明白です。これを容認することが「横田基地の返還」という知事公約となぜ両立しうるというのか、その根拠を示してください。
   第2の問題は、東京都が基地再編を容認することによって、現状でさえ「違法状態」にあると指摘されている横田基地の航空機騒音被害に自衛隊機の新たな騒音が加わることになり、さらに都が民間機の騒音被害を上乗せしてまで軍民共用化を進めようとしている問題です。
   昨年の新横田基地訴訟の東京高裁判決は、国が違法な騒音を放置してきたことを法治国家として怠慢だと厳しく批判しました。
   政府はこれを一顧だにせず、横田再編にあわせて航空自衛隊司令部と関連部隊を移転させようとしていますが、少なくとも年400回規模の自衛隊機の騒音を加えることになりかねず、司法の最終判断さえ無視したきわめて不当な態度といわざるをえません。
   同時に東京都が軍民共用化を進めることは、さらに民間航空機の騒音をこれに重ねるという、住民の苦しみなどお構いなしの地方自治体としてあるまじき姿勢というべきです。
   以上の点を踏まえて以下、質問します。
  2 都は東京高裁で指摘された横田基地の航空騒音の違法状態についてどう認識し、どう解決していこうとしているのですか。
  3 横田基地の再編で自衛隊の航空総隊司令部が横田に移駐すれば米軍機の騒音に加え、自衛隊員の移動用など自衛隊軍用機の騒音がこれに加わることとなり、違法状態がより悪化することは明白であると考えますが、どうですか。
  4 その上さらに軍民共用化を推し進めれば、民間機の導入によって、現状でさえ違法な騒音状態の上に、東京都によって、さらに違法を重ねることは明白です。東京都は「違法状態」をいっそう悪化させ、騒音被害が続いてもかまわないというのですか。お答えください。

平成18年第二回都議会定例会
曽根はじめ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 米軍横田基地の再編問題について
  1 横田をはじめ首都圏における米軍再編が、米軍基地の恒久化・機能強化となるのは明白である。これを容認することが、横田基地の返還という知事公約と何故両立しうるのか、その根拠を伺う。

回答
  基地の機能は、軍事的な情勢に合わせて変更されうるものであり、今回の米軍の再編をもって恒久化などと単純に論じることはできません。それは、冷戦終結後のヨーロッパにおいて、在欧米軍の規模が大幅に縮小されることとなったことからも明らかです。
  東京都の米軍基地に対する基本姿勢は、「整理・縮小・返還の促進」です。しかし、我が国を取り巻く国際情勢の現状からすれば、日本の安全を確保するためには日米の連携と協力が依然として必要であり、直ちに横田基地が返還される状況にはありません。そこで、都では、返還までの対策として、既存施設の有効活用により首都圏の空港機能を補完し、多摩の振興はもとより日本経済の再生も含めて将来の国力の充実を図る観点から、横田基地の軍民共用化を目指しています。

質問事項
 一の2 都は東京高裁で指摘された横田基地の航空騒音の違法状態についてどう認識し、どう解決しようとしているのか伺う。

回答
  平成17年11月30日の判決は、東京高等裁判所が、一定の騒音レベルを超える地域の居住者について、損害賠償請求を認めうる状態にあると判断したものと認識しています。
  都としては、基地に起因する騒音問題については、国が責任をもって対処するという法律的な枠組みに基づき、適切な対策が講じられるべきものと考えており、今後とも、「国への提案要求」や渉外知事会による「基地対策に関する要望」などにより、基地周辺の騒音被害の軽減を図るよう、国に働きかけていきます。

質問事項
 一の3 横田基地の再編で自衛隊の航空総隊司令部が横田に移駐すれば、米軍機の騒音に加え、自衛隊軍用機の騒音が加わることとなり、違法状態がより悪化することは明白だと考えるがどうか。

回答
  国は、航空自衛隊航空総隊司令部の移駐により、司令官等の移動用航空機の飛来はあるものの、軍用機が常駐されることはないとしており、航空機騒音の影響が拡大することはないと認識しています。

質問事項
  一の4 軍民共用化を推し進めれば、民間機の導入により、違法な騒音状態に、さらに違法を重ねることは明白である。都は違法状態を悪化させ、騒音被害が続いてもかまわないのか、答弁を求める。

回答
  民間機の騒音は、米軍機と比べて極めて小さいことから、騒音に配慮した軍民共用化は可能です。
  今後とも、地元の理解と協力を得ながら、国と連携して横田基地の軍民共用化の早期実現を目指していきます。

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