平成十八年東京都議会会議録第八号

平成十八年六月十三日(火曜日)
 出席議員(百二十五名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番宇田川聡史君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十一番三宅 茂樹君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大沢  昇君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員(一名)
百九番 桜井良之助君
 欠員
十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長柿堺  至君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長熊野 順祥君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

六月十三日議事日程第二号
第一 第百四十四号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百四十五号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百四十六号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百四十七号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百四十八号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第六 第百四十九号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百五十号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百五十一号議案
東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第九 第百五十二号議案
東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第十 第百五十三号議案
東京都立し体不自由児施設条例の一部を改正する条例
第十一 第百五十四号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第十二 第百五十五号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第十三 第百五十六号議案
東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
第十四 第百五十七号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十五 第百五十八号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第十六 第百五十九号議案
東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
第十七 第百六十号議案
警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百六十一号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十九 第百六十二号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第百六十三号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十一 第百六十四号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百六十五号議案
特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第二十三 第百六十六号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百六十七号議案
都立町田高等学校(H十八)改築及び改修工事請負契約
第二十五 第百六十八号議案
警視庁大崎警察署庁舎(H十八)改築工事請負契約
第二十六 第百六十九号議案
平成十八年度東京港臨海道路(Ⅱ期)南北水路横断橋(仮称)鋼けた製作・架設工事請負契約
第二十七 第百七十号議案
都有地の不法占拠者に対する工作物収去土地明渡等請求訴訟事件に関する和解について
第二十八 第百七十一号議案
地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第二十九
地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第三十
地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第三十一
地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターが定めた料金の上限の認可の報告及び承認について

   午後一時開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) これより質問に入ります。
 百十一番吉野利明君。
   〔百十一番吉野利明君登壇〕

○百十一番(吉野利明君) 平成十八年第二回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 二期七年にわたる石原都政を振り返りますと、ディーゼル車排ガス規制の実施、中小企業向け債券市場であるCLO、CBOの創設、民間活力導入による認証保育所の創設、そして公会計改革と、ほぼ掲げた公約を国に先駆けて見事に達成されました。中でも、徳俵に足がかかっていた都財政を見事に土俵の真ん中に押し戻し、健全化を達成したことはさすがであります。残るは、横田飛行場から実際に民間機の定期便を飛ばすことでありましょうか。
 しかしながら、今後本格化する少子高齢化社会を見据えれば、決して油断は許されません。都は、財政再建に向けたこれまでの成果を十分に活用し、都民の安全確保、都市機能の一層の拡充、福祉、保健、医療の充実などの緊急課題に正面から取り組んでいかなければなりません。
 我が都議会自由民主党は、これからも石原知事と力を合わせ、これらの課題解決に努め、都民サービスの向上に全力を尽くすことをお約束し、質問に入ります。
 まず、今後の都政運営について伺います。
 昨今、小泉改革の成果ばかりでなく、いわば陰の部分が指摘され、所得格差を初めとする格差拡大の風潮もあって、社会のセーフティーネットのあり方が重要な政治課題となってきました。
 今必要なことは、都市のダイナミズムや社会の活力を伸ばしつつ、同時に万一の場合のセーフティーネットを確保し、再チャレンジが可能となる社会を構築することであります。また、高齢者、障害者、子育て世帯など、社会的支援を最も必要とする人々が安心して暮らしていけるような社会の実現が求められています。
 こうしたことが都政運営に当たっても基本であるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、東京オリンピック及びパラリンピックについて伺います。
 都は、二〇一六年オリンピック及びパラリンピックの招致に向けて、正式に立候補の意思を表明し、大会開催の基本方針なども明らかにするなど、いよいよ本格的な動きを開始しました。
 先日、都議会オリンピック招致議員連盟が、オリンピック及びパラリンピックの主要施設の建設予定地を視察しました。現地の十分な広さと水辺に囲まれた景観のすばらしさを実感し、十年後の東京オリンピック及びパラリンピックの開催に思いをはせました。
 知事も、オリンピック及びパラリンピック招致に向け、今月の初め、ロンドンを視察しました。現地では、組織委員会会長のセバスチャン・コー氏と会談したことなどを聞き及んでおりますが、競争に打ち勝ち開催準備を進めている都市に実際に足を運んでみて、知事はどのような感想を持たれたのか、伺います。
 この間、福岡市との比較がさまざまな形でされています。都は基本方針を発表したところですが、出足の早かった福岡市と比べると、都が公表している情報がいまだ少ないことは否めません。
 福岡では、財政の問題が大きくクローズアップされ、反対運動も起きていると聞いていますが、都の基本方針では、財政の基本的な考え方は述べられているものの、具体的な金額などが示されていません。大会運営に関する経費についても触れられていないため、都民も漠然とした不安を感じていると思います。
 そこで、現在積算中であることは承知していますが、大会運営に関する経費や施設整備費など、オリンピック及びパラリンピック関連経費をどのように考えているのか、伺います。
 今後、国内での候補都市となり、さらには海外諸都市との厳しい競争を勝ち抜いていくためには、東京プランともいうべき将来の東京都の都市像を描き、都民に示すことが重要です。そして、都民、国民が一体となって、招致に向けてあらゆる活動をしていくことが必要です。さまざまな盛り上げ事業を展開するなど、都民、国民全体でオリンピック及びパラリンピックを招致しようという機運の醸成を図るべきだと思いますが、所見を伺います。
 自民党都連でも、先月、オリンピック競技大会及びパラリンピック大会の東京招致に関する特別決議を採択しました。東京が世界との競争にも打ち勝ち、二〇一六年にオリンピック及びパラリンピックを実現するために、都議会自民党も全力で支援していくことを申し述べて、次の質問に移ります。
 次に、横田基地の軍民共用化について伺います。
 先月、日米安全保障協議委員会、2プラス2が開催され、在日米軍再編協議に関する最終取りまとめ、再編実施のためのロードマップが公表されました。横田基地の軍民共用化に関しては、具体的な条件や態様に関する検討を実施し、開始から十二カ月以内に終了することが日米間で合意されました。検討の期限が明確に区切られたことは、軍民共用化が現実のものとなってきたということであり、大きな前進であります。
 先日、都と国の関係省庁との連絡会も開かれたようですが、軍民共用化の早期実現を図るためには、ロードマップに位置づけられた具体的な条件や態様に関する日米協議の進展が大きなかぎになると考えられます。
 また、地元では、商工団体が中心となって、軍民共用化推進協議会や横田基地の民間機利用促進市民の会がつくられるなど、軍民共用化の早期実現を求める声が大きくなってきています。
 知事は、先月二十五日に、日本航空及び全日空両社から、軍民共用化の実現を求める要望書を受け取ったとのことですが、こうした航空会社の意向も十分に生かしていくべきであります。
 まさに軍民共用化は大きく動き出しております。これまで先頭に立って進めてこられた知事の率直な思いと、今後いかなる戦略を持って早期実現を図ろうとしているのか、伺います。
 横田飛行場の軍民共用化と並んで、横田空域の返還も知事が積極的に進めてきた施策であります。二〇〇九年の羽田空港再拡張など、今後増大が予想される航空需要に的確に対応するためにも、空域の返還は不可欠なものです。
 ロードマップでは、横田空域の一部を日本に返還すること、また、米軍が使わないときには一時的に日本に管制業務を移すこと、横田空域全体のあり方についても検討することにはっきりと言及しています。しかし、返還される空域の範囲などは今後の検討作業にゆだねられています。また、横田空域全体の返還を実現していくための検討も今後の大きな課題であります。
 そこで、今回のロードマップにおける横田空域にかかわる内容について、知事はどのように受けとめ、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 ところで、今回、空域返還について示された内容は、羽田空港の発着容量が現在の約一・四倍に増大し、国際定期便も就航するという羽田空港再拡張事業をにらんでのものであるといえます。
 再拡張事業は、現在、環境影響評価の手続がほぼ終わり、国際線地区整備事業のPFI事業者も決定するなど、具体的な整備の段階に入っていると聞いています。再拡張事業の完成により、現在も日本一の発着回数、利用客数を誇る羽田空港は、さらなる飛躍を遂げ、世界有数のすばらしい空港となります。再拡張後の羽田空港をより一層活用するために、どのような課題があり、今後どのように対応しようとしているのか、伺います。
 次に、アジア大都市ネットワーク21における中小型ジェット旅客機の開発促進について伺います。
 この四月にアジア大都市ネットワーク21の総会が台北市で開催されました。我が党も、これに合わせ、日台友好議員連盟の有志が台湾を訪問し、陳水扁総統と会談するなど、日台の友好を一層深めるとともに、このネットワークの取り組みが着実な成果を上げられていることを確認してまいりました。
 知事が提唱して始まったこのネットワークは、アジアの大都市が政治的立場を超えて産業振興や環境対策など共通の課題に取り組み、その成果をアジアの繁栄につなげていこうとする新たな試みです。その取り組みの一つである中小型ジェット旅客機の開発促進プロジェクトは、今後増大するアジア地域の航空需要に対応し、百人乗りのジェット旅客機をアジアが協力してつくるものです。
 現在、世界の空は欧米の旅客機に独占されています。日本はかつて、YS11という世界に誇れる旅客機を開発し、四十年余を経た現在でも世界の空を飛んでおります。日本にはそれだけの技術があるのです。
 今日、日本の重工メーカーは、ボーイングの主翼部分の製造を任されるなど高い評価を得ていますが、共同開発という名のもとに欧米の下請に甘んじているのが実情であり、このままでは、YS11というすばらしい国産旅客機にかかわるさまざまなノウハウが失われてしまいます。
 また、東京には既に航空機部品の製造を請け負っている多くの中小企業があります。彼らが、欧米の下請だけではなく、アジアブランドのジェット旅客機の製造にも貢献するようになれば、中小企業の一層の発展が期待できます。
 そこで、改めて、アジア独自のジェット旅客機開発の意義とこれまでの成果について知事に伺います。
 次に、財政問題について伺います。
 二〇一一年のプライマリーバランス均衡を目指す国は、既に黒字となっている地方財政をやり玉に上げ、地方の歳出削減を求めるさらなる見直しを強く主張しています。中でも、自治体間の税源の偏在性が大きな争点となり、全国の法人二税の約四分の一を占める東京都の財源が俎上に上がっています。端的にいえば、東京を初めとする都市部の自治体から財源を吸い上げ、財政力が脆弱な地方の自治体へ移転すべきであるとの主張が日に日に勢いを強めているのです。住民一人当たりの税収額などを単純に比較し、あたかも、東京都の財源には余裕があり、余った分は他の困っている自治体に譲り渡すべきだといわんばかりの議論がなされています。
 この背景には、東京を初め、愛知、大阪など大都市圏の経済状況がおおむね堅調に推移する一方、一部の地域では経済に明るさを取り戻せない焦燥感が生まれ、国民の間に漠然と広がる格差感とも相まって、勝ち組の代表格とされる東京にその矛先を向けていることがあると思われます。
 ところで、都民は本当に生活の豊かさを実感しているのでしょうか。我々は、決して満足できる状況ではないだろうと考えます。こうした現状を直視したとき、本当に今、東京の財源を地方に配分することが必要なのでしょうか。都としての見解を伺います。
 都は既に、過去に強行された法人事業税の分割基準見直しにより、毎年一千七百億円もの減収となっています。さらには昨年末にも、法人住民税の分割基準見直しなど、東京の財源をねらうさまざまな動きがあったことは記憶に新しいところです。
 今回は、新たに人口を基準として法人二税を配分する案や、地域間の偏在性の低い地方消費税の比重を高める案などあらゆる検討が進められており、見直しに対する圧力は以前にも増して強まっています。そもそも、法人事業税や法人住民税を都から奪い、地方に配分することは、税制の観点からも多くの問題があると考えますが、所見を伺います。
 ようやく財政再建に一区切りをつけ、東京の将来像を真剣に議論していこうとしているまさにこの時期に、こうした流れに逆行するような動きが顕著となってきたことには強い憤りを感じます。万が一にも数千億円規模の財源が現実に東京から奪われるような事態になれば、都財政は非常な打撃を受け、都民サービスの低下を招く結果となるのはだれの目にも明らかです。
 こうした国の不合理な動きに対する我々の怒りについて、国は全く鈍感であるといわざるを得ません。例えば、財務省の財政制度等審議会では法人二税の見直しが審議されていますが、そこでは国の財政再建が最優先され、地域で生活する人々の暮らしを尊重する地方分権の視点、現場の視点はなおざりにされています。
 現在、この審議会の会長は、日本を代表する大企業の元会長であります。かつて、同氏が議長を務めた政府の会議の方針に異を唱えた鳥取県知事が、その企業製品の不買運動の検討を表明したことがありました。東京の財源を奪う動きが明らかになるにつれ、東京都もこうした行動を真剣に検討すべきではないかという声すら聞こえてきます。
 いうまでもなく、都政が直面する課題を着実に解決し、都民福祉のさらなる向上を図るため、都の貴重な財源を確保していくことは我々の最も重要な使命であります。先般、我が党は、国の税財政制度の見直しに関する意見書を提案し、反対の強い決意を明らかにしました。今後とも、我が党の国会議員を含め、あらゆる機会をとらえながら働きかけを行ってまいります。
 都の財源をめぐる国の不合理な動きには徹底して対抗することが必要だと考えますが、改めて知事の決意を伺います。
 次に、民設公園の固定資産税について伺います。
 知事は、さきの所信表明において、東京オリンピック開催をにらみ、東京のまちを観光の視点から見直していくとともに、民有地を活用した民設公園の整備など、緑豊かで潤いのある街並みを形成していくと力強く述べられました。
 この民設公園制度は、いわば民有地の有効活用であるため、都にとっては、当面の財政支出を伴わないで公園整備を早期に進めることができるという大きな長所がありますが、民有地のため、現状では固定資産税等が課税されることにならざるを得ません。
 そこで、民設公園制度の普及促進を図っていくために、民有地の所有者が協力しやすい条件整備を行う一環として、固定資産税等の減免を積極的に検討していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、鉄道事業用地に対する課税の適正化について伺います。
 近年、都内の主要ターミナル駅等で、駅構内に有名ブランド店等の商業テナントを進出させる、いわゆる駅ナカビジネスが活発化しております。鉄道各社が駅のあいた空間を有効活用する経営努力のあらわれということだと思いますが、デパートの名店街と区別がつかない駅ナカ施設に顧客を奪われた地元の商店街にとっては大きな打撃となっています。
 駅舎等の敷地については、付近の一般住宅と比べ、固定資産税の評価が相当低く、税負担に差が生じていると聞いています。こうした駅ナカビジネスの活発化に伴う税負担の格差については我が党も指摘してきたところですが、今回、商工団体からも不公平の是正を求める要望を行ったものであります。早急な是正に向け、今後どのような取り組みをしていくのか、所見を伺います。
 次に、都区のあり方検討について伺います。
 先般の都区合意に基づき、都区共同で設置された検討組織で今後の都区のあり方についての議論が開始されたと伺いました。
 市町村合併の急速な進展や道州制に関する議論など自治制度の変革の動きが強まる中、都と特別区が、事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度などを主体的に検討していくことの必要性はかねてから我が党が主張してきたところであります。
 国では、東京が富裕であるとして、都と特別区の財源をねらい撃ちしようとする動きが加速しており、さきの地方制度調査会における道州制の検討の中では、国による都心区などの直轄化の議論すら出ている状況であります。
 こうした動きも踏まえ、ともに東京の自治の担い手である都と特別区が共通の認識に立って、都区制度の抜本的な見直しに向けた議論を行っていくことが必要であると考えますが、知事の所見を伺います。
 なお、今後の都区のあり方については、行財政改革基本問題特別委員会における議論を踏まえるとともに、都議会とも十分な意思疎通を図りながら検討を進められることを最後に要望して、次の質問に移ります。
 先月十二日、東京テレポートセンター等の臨海三セク三社が民事再生手続の開始を申し立てました。思い起こせば、世界都市博覧会の開催中止が決定されてから十年余りたちますが、今こうした事態を目の当たりにしますと、当時、博覧会の開催を強く主張した我が党としてはじくじたる思いに駆られるところであります。
 ところで、平成十年から十カ年の計画で実施している経営安定化策によって経営指標も改善の傾向を示してきただけに、計画期間をあと二年残しての今回の申し立ては極めて残念なことであります。金融情勢の変化など、やむを得ない事情もあったのでしょうが、抜本的見直しになれば、テナントなどに多大な迷惑をかけるばかりでなく、債権放棄など都民への負担が伴うことから、臨海三セク及びこれを指導監督する立場である都は、まずこうした事態に至ったことを厳粛に受けとめ、謙虚に反省すべきであります。
 しかしながら、臨海三セクは、民事再生手続により都民への負担を最小限とすることを念頭に、できる限り負担を圧縮して再生を目指し、事業を継続するとしております。多くの民間企業の努力に支えられ、総仕上げまであと十年となった臨海副都心開発を今後とも着実に推進していく上で、臨海三セクの活用はますます重要になってきます。
 バブル崩壊を背景とした多額の負債の処理が、臨海三セクの安定的な経営を行う上で長年の懸案であったことを考えれば、今回の民事再生手続の申し立ては、現段階でとり得る最善の選択肢であると考えますが、今回申し立てに踏み切ったことに対する都の考え方について、改めて所見を伺います。
 今後、裁判所の関与のもと、再生計画が作成され、都議会の議決を経て再生手続を完了した後、三社は合併して新会社として発足するとのことですが、重要なのは、同じ轍を二度と踏まないということです。
 そこで、再生手続後に設立されるこの新会社が、その後、確かに自立した安定的な経営を営めるのか、その見込みについて所見を伺います。
 次に、臨海地域における監理団体改革について伺います。
 昨年十一月の行財政改革の新たな指針を踏まえ、全国主要港に先駆けた東京港埠頭公社の民営化と、臨海地域の監理団体を経営統合する持ち株会社構想が発表されました。
 埠頭公社の民営化は、我が国港湾の国際競争力の強化のためには、規制の多い現在の公社制度を抜本的に転換するべきであるとの我が党の主張に沿うものであります。この間、国から規制緩和に向けたさまざまな譲歩を引き出したとも聞いていますが、ぜひ成功させることを願っています。
 そこで、東京港にとってどのような効果をねらって民営化を決断したのか、伺います。
 また、持ち株会社構想ですが、自治体でこのような手法を活用して経営統合を図るという取り組みは全国でも例のない試みであります。しかし、幾ら先駆的な取り組みであろうとも、あくまで自治体が持ち株会社方式の採用を通して得ようとする実質的な効果を明確にして都民の理解を求めていく必要があります。持ち株会社構想にはどのような意義や効果を見込んでいるのか、所見を伺います。
 さて、臨海副都心は、オリンピック及びパラリンピック誘致に向け選手村が予定されるなど、この地域に対する都民の期待は非常に高まっています。臨海三セクの民事再生申し立てをもって、臨海副都心開発そのものが失敗だったとする一部の誤った声もあるようですが、第一回定例会で我が党がただしたように、臨海副都心開発が着実に成果を上げてきたことについては疑いの余地がありません。
 そこで、今回の持ち株会社構想による監理団体の経営統合など、新たな取り組みに支えられる臨海副都心開発の将来展望について知事の所見を伺います。
 次に、民主政治の根幹である選挙について伺います。
 来年の四月には東京都知事選挙を初めとする統一地方選挙と、七月には参議院議員選挙が予定されています。また、衆議院の総選挙はいつ行われても不思議ではありません。これらの選挙は都政、国政にとって極めて重要であり、公正で公平な選挙の管理執行が求められています。短い期間に既に決定している重要な選挙が重なるわけですが、選挙管理委員会の役割と、来年春の統一地方選挙に向けた準備について伺います。
 また、選挙の投票率では、昨年の衆議院議員選挙を除くと低下傾向にあります。低い投票率は民主主義の基盤を危うくするものであり、憂慮にたえません。特に、投票率の低い二十代、三十代の若年層有権者の投票率を高めるために、選挙管理委員会はどのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、けさほど九時四十分ごろ、都電荒川線で、追突事故により二十七人の乗客がけがをしたとの報道がありました。さきの「ゆりかもめ」の事故もあり、公共交通の安全には一層厳しく取り組むよう強く求めておきます。
 次に、総合防災訓練の実施について伺います。
 先月二十七日にインドネシアのジャワ島で大きな地震が発生し、建物倒壊などにより、約六千人のとうとい人命が奪われました。
 災害はいつどこで起きるかわかりません。私たちが住んでいる東京も、首都直下地震の発生が切迫していると指摘されています。安全なまちづくりを進めることはもちろん重要ですが、これとあわせて、災害がいつ起きても対応できるよう、常日ごろから防災対応能力を高めておく必要があります。
 その手段として、総合防災訓練は極めて有効であると考えます。毎年、八都県市の連携のもとで総合防災訓練が実施されてきましたが、ことしは都がメーン会場となると聞いています。この機をとらえ、都としてどのような訓練を実施していくのか、伺います。
 ところで、先般、港区のマンションのエレベーターで高校生が死亡する痛ましい事故が発生しました。この事故を受け、都は、直ちに都施設のエレベーターの緊急点検を行うとともに、民間施設のシンドラー社製エレベーターについて緊急点検を要請するなど迅速な措置をとられました。現在、警察の捜査も入り、一刻も早い原因究明が待たれますが、都としても、都民の不安の解消に向けた対策に万全を期されるよう強く要望しておきます。
 次に、地域力の向上に関連して伺います。
 都営住宅では、平成十六年に三百九人もの方々がだれにもみとられずに亡くなる、いわゆる孤独死を遂げており、その約八割が六十五歳以上の高齢者であるとの報道がありました。孤独死は、高齢化する社会の実態に加えて、地域コミュニティの脆弱化、いわゆる地域力の低下、またプライバシー保護意識の高まりなど、都市に住む人々の行動様式全般の問題としてとらえる必要があると思います。このような現実について知事の所見を伺います。
 こうした問題に対応するため、我が党は、地域力が脆弱になりつつある現状をとらえ、既に関連する議連を立ち上げ、取り組んでいます。
 そして、この地域力は何も高齢者だけの問題ではありません。昨今の子育て力の低下を背景に、児童虐待など子どもをめぐる課題にも深くかかわりがあります。また、子どもが被害者、加害者になる事件が多発するなど、子どもの安全、そして健全育成への強い要望が寄せられています。
 こうした声にこたえるためにも、町会、自治会、商店街などの地域力を結集した取り組みを展開していくことが必要です。例えば、現行の民生・児童委員のすそ野を広げ、児童健全育成のための新たな制度を創設し、子育て家庭の不安に対応していくべきです。
 こうした取り組みを契機として、地域社会に真の魂を吹き込むことこそが重要と確信していますが、見解を伺います。
 次に、新たに実施された違法駐車取り締まりについて伺います。
 都心部を中心に増加の一途をたどる違法駐車は、時には重大な交通事故の要因となる一方、深刻な交通渋滞を引き起こすなど、都民生活に著しい弊害をもたらしております。
 この六月一日から、改正道路交通法の施行により放置車両確認事務の民間委託が導入され、短時間の放置駐車に対する取り締まりも強化されることになりました。このことにより、交通の安全と円滑を確保し、快適な生活や事業活動の実現が期待できます。
 しかしながら、取り締まり形態などが正確に伝わっていないため、運送事業者を初め、都民や中小企業の多くの方々からは、いまだに誤解や不安の声が上がっており、また商店などへの客足が遠のくなど、大きな打撃を受けております。それぞれの道路事情に即した駐車取り締まりが肝要であり、都民の理解と協力も必要不可欠です。
 この新たな施策をどのように具体的に周知していくのか、また、今後の取り締まりの方針について見解を伺います。
 また、近年、全国で子どもが被害者となる犯罪が多く発生するなど、いまだに治安情勢は予断を許さない状況にあります。今回、民間の駐車監視員の導入により、これまで駐車取り締まりに従事していた警察官を他の緊急対応分野に振り向けることによる治安上の効果、さらに民間委託の拡充等、今後の展望について見解を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 中小ものづくり企業は、厳しい国際競争の中で、依然として長期的な衰退に歯どめがかからないのが現状であります。こうした状況を打開していくためには、行政による技術、経営両面にわたる支援の強化とともに、例えば知事がかねてからおっしゃっている航空機産業など、新たな産業の創出も必要です。
 都は、本年四月に、産業支援拠点の再編整備に関する基本構想を発表いたしました。この構想は、中小企業の高度化、多様化するニーズにこたえ、現在の分散化した支援体制を、区部と多摩の拠点に再編することにより効率的かつ効果的な支援体制を構築するものであり、まさに我が党が求めてきた産業支援体制の強化を具体化するものであります。
 そこで、産業支援拠点はどのような機能を有し、今後の中小企業支援策の充実をどう図っていくのでしょうか、所見を伺います。
 また、都内中小企業に対するきめ細かな支援を行っていくため、地元区市町村との連携を一層密にして、都内ものづくり産業の振興を一体となって進めていくことを要望します。
 次に、若年者の就業支援について伺います。
 近年、若者を取り巻く雇用情勢は回復傾向にはあるものの、ニートと呼ばれる若者や、フリーターを続けている若者が多数存在することは、本人及び社会にとって大きな損失であります。若者が雇用の場において能力を発揮できなければ、将来、我が国の活力衰退といった事態を招きかねません。
 今定例会で知事は、来月から若者しごとホットラインを開設すると表明しています。これは、ニートやフリーターなどの若者が求職活動に踏み出すきっかけとなるものであります。これを機に、従来の施策からさらに踏み出し、NPOとの連携などにより、これらの若者に積極的にアプローチする施策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、首都圏三環状道路、外かく環状道路について伺います。
 我が党は、東京から日本を再生するため、人や物の流れを円滑化する首都圏三環状道路の整備促進に全力で取り組んでまいりました。
 三環状道路のうち、中央環状品川線や圏央道につきましてはまさに進行中でありますが、残る外環については、早期整備を望むものの、いつ事業化されるのか不透明でありました。今般、知事の強いリーダーシップのもと、地下化への都市計画変更の手続に着手したことは、外環の一日も早い完成を望む我が党の要望に沿ったものであります。
 ここで改めて、外環整備の推進に向け、知事の決意を伺います。
 また、今後は速やかに都市計画手続を進めるとともに、外環を国土開発幹線自動車道建設会議で建設すべき路線として位置づけ、一日も早く事業化することが重要であると考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、道路整備について伺います。
 首都東京の交通渋滞を解消することは、日本経済の高コスト構造の是正を図り、我が国の国際競争力を高める効果があります。加えて、被災時に緊急輸送路となる道路の防災性を向上させ、また二酸化炭素削減にも大きな効果があるなど、東京の渋滞解消は緊急に解決すべき重要な課題であります。
 さらに、オリンピック及びパラリンピック招致に向けても、世界各国の多くの来訪者が都内の施設間を移動することが予想されることから、円滑な道路交通の確保が求められています。
 そこでまず、道路整備を早急かつ着実に進めていくため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 一方で、道路特定財源の見直しに関する基本方針が昨年度に出され、道路整備のための財源である道路特定財源の一般財源化という動きがあります。しかし、東京の道路はいまだ整備の途上にあるため、安定した財源確保が不可欠で、この道路特定財源を一般財源化し、他へ流用する余裕はないと考えます。
 そこで、財源確保に向けた今後の取り組みについて伺います。
 次に、小笠原諸島の振興について伺います。
 先般、我が党は現地調査を実施し、小笠原村の現状把握を行ってまいりました。
 先月二十三日、国は、TSLの就航が困難な状況になったことを踏まえ、小笠原諸島振興開発基本方針の変更を発表しました。そこでは、高速交通アクセス手段の確保が国にとっても喫緊の課題との認識を明らかにするとともに、航空路の検討に当たっては、関係者間の円滑な合意形成を図ることとしています。我が党が最重要課題と主張してきた航空路の問題が取り上げられたことは、極めて当然であります。
 航空路の開設については、これまで都は、洲崎地区活用案、水上航空機案などの四案を検討してきたと聞いていますが、今後は国の基本方針を踏まえ、自然環境の保全や村民の合意形成など、関係者間の協議を十分に行いながら、これまで以上の着実な取り組みを期待いたします。
 そこで、交通アクセス改善が喫緊の課題とした基本方針の変更を受け、小笠原への航空路開設にどのように取り組むのか、改めて知事の所見を伺います。
 また今後、都は、小笠原諸島振興開発計画の変更が必要と考えますが、その基本的な考え方、スケジュールを伺います。
 次に、小笠原にとって欠かせないのが観光振興です。
 本年三月末まで小笠原村が緊急に実施した小笠原自然体験モニターキャンペーンでは、二千人を超える観光客を誘致しました。この事業は、村、地元観光事業者、運航事業者が一体となって実施した初の試みであると聞いています。このように、地元が一丸となって観光客増加に向けた取り組みを行っていくことが何より重要であります。
 そこで、今後、小笠原の観光振興に関する地元の主体的な取り組みに対し、都としてもさらに積極的に支援していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、環境対策について伺います。
 東京はこれまでも、環境問題を解決するため、自動車公害対策や地球温暖化対策について、我が国のみならず、世界の模範となる施策を進めてきました。しかしながら、環境に優しく、豊かで安全な成熟した都市東京を実現していくには、克服すべき課題がまだ多くあります。
 折しも都は、二〇一六年の東京オリンピック及びパラリンピック招致に向けた行動を議会と一丸となって進めておりますが、二十一世紀のオリンピックは、オリンピック憲章に明記されているとおり、開催都市が環境対策にどれだけ力を入れているかが高く評価されます。
 先般、都は、環境審議会に対して新たな環境施策のあり方について諮問を行いましたが、今後、中長期的な課題に向けた環境施策の構築について、知事はどのような考え方で取り組んでいくのか、所見を伺います。
 ロンドンで二〇一二年に開かれるオリンピックは、ワン・プラネット・オリンピックを標榜し、最も持続可能な大会にすると宣言しており、オリンピック公園の電気をすべて再生可能エネルギーで供給し、観客には一〇〇%の公共輸送を提供することなどが計画されています。このロンドンをしのぐ大会を開催するためにも、必要な環境施策を今から推進していくべきであります。
 都においても、先般、再生可能エネルギー戦略を策定し、他の先進的な国や地域と並ぶ、高い再生可能エネルギーの利用目標を提起しましたが、今後どのように利用拡大を図っていくのか伺います。
 次に、東京の農地の保全について伺います。
 東京の農地は、新鮮な農産物を我々に提供してくれるとともに、都市化の進んだ市街化区域においては、雨水の涵養や環境保全、防災空間、さらには自然景観としての安らぎなど、さまざまな機能をあわせ持っています。まさに農地は、都市においても欠かせない貴重な都民共有の財産であります。
 一方、昨年九月四日、首都圏で記録的な豪雨があり、私の住む三鷹市でも、床下浸水や車が水没するなど被害が発生しました。三鷹市では、雨水の浸透を回復するため、これまで四万基近くの雨水浸透ますが設置され、一定の成果を上げてきました。しかしながら、なお、このような災害が起こるのは、農地の減少が少なからず影響しているのではないかと考えております。減少した農地の機能を補完する意味でも、雨水浸透ますの役割はますます重要になってくるものと思われます。
 東京の農地は、昭和四十年二万七千七百ヘクタール、それが平成七年には一万ヘクタールを切り、わずか三十年間で区部の四分の一の面積に相当する農地が失われました。
 三鷹市では、青年農業者が、市街化が進む困難な環境の中においても、都市農業と農地を守っています。しかし、この青年たちも、いざ相続が起これば、ある程度農地を手放さざるを得ないと覚悟しており、東京の農業の未来が危惧されます。こうした事情は、三鷹市だけにとどまらず、東京の農家全体に共通しております。
 知事は、こうした東京の農地の危機的状況についてどのように認識しているのか伺います。
 また、東京の農業を活性化させるとともに、貴重な農地の維持保全が都の重要な責務であると考えますが、どのような対策を講じようとしているのか伺います。
 次に、文化振興策について伺います。
 今般策定された東京都文化振興指針は、東京の持つポテンシャルをさらに発揮させるため、おおむね十年間を展望した都の文化振興の考え方や方向性を示すもので、オリンピック及びパラリンピックの東京招致を見据えたものと考えます。
 指針では、我が党が提案した新進・若手アーチストの支援、芸術文化を支える人材の育成等が施策の大きな柱となっております。本指針にも盛り込んだ施策を着実に推進し、国内外の才能ある若いアーチストの交流の中から世界に羽ばたく人材が数多く育つことを期待しています。
 知事は、本指針を発表したことによって、今後、東京の文化振興をどういう方向に進めていくのか、改めて所見を伺います。
 また、指針でも触れていますが、蓄積された伝統や歴史は、次代における創造の源です。歴史に耐えてきたものは普遍的な価値と訴える力を持っており、グローバル化が進む中、世界に向けた固有の文化の発信とアイデンティティーの礎ともなるものです。
 文化の継承、発展のためには、公演や発表の機会の確保などのほか、子どもたちが伝統文化を体験する機会の充実も重要です。都においては、都立文化施設を活用するなどして、都民やその子どもたちが伝統文化に触れ、身近に感じる機会の提供に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都立高校改革の推進と教育環境の改善について伺います。
 都立高校改革は計画策定以来十年目を迎え、進学指導重点校を中心に進学実績が大幅に向上するとともに、各学校においてきめ細かい生徒指導を徹底することにより、都立高校全体の中退率も低下するなどの成果を上げつつあります。このようなことから、都立高校人気は確実に高まってきておりますが、こうした改革の歩みをとめることなく、さらに推進していくことが重要です。
 都立学校の改革の一環として、本年四月には学校経営支援センターが設置されました。今後一層の学校改革を進めていく上で、支援センターの果たす役割は大変重要であると考えます。この設置により、どのように学校教育の充実が図られるのか、その効果について伺います。
 都立高校改革の成果の一つとして、進学実績の向上が挙げられると思います。これまで以上に生徒が学習に集中していける環境を整備していくことが必要です。
 現在、都立高校以外の都内の学校では、暑さ対策を目的として普通教室への冷房の設置が進んでいます。都内の私立高校では、民間調査によると二百七校中二百三校が、都内の国立高校では六校すべてに、区立小中学校では八三%が冷房を設置している状況です。また、他県では、三十七府県で冷房を設置している状況です。
 こうした状況を踏まえて、都立高校においても冷房化を考える時期と考えますが、都教育委員会では、冷房化について今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、多摩地域における医療の充実について伺います。
 都では現在、府中病院の改築とあわせて小児総合医療センターの建設を行うPFI事業を進めています。多摩地域の医療の充実の観点からも、この事業を着実に推進していただきたいと考えます。
 一方、地域医療における中核的な役割を果たす地域医療支援病院は、これまで都内では、保健医療公社が所管する東部地域病院と多摩南部地域病院の二病院だけでしたが、本年五月に新たに四病院が承認されました。このうち、多摩北部医療センターなど三病院は多摩地域にあり、多摩地域の地域医療支援病院は、多摩南部地域病院と合わせて一気に四病院へと飛躍的に拡大されました。
 府中キャンパスの整備に呼応して地域医療機能が着実に充実されていくことについて、期待は大きいものがあります。
 今回の地域医療支援病院承認を契機に、多摩北部医療センターは多摩地域の医療の充実にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 多摩地域における医師数は、区部と比べて不足していますが、医療の充実を図るに当たっては、医師の十分な確保と育成が不可欠です。医師の臨床研修の必修化等に伴い、深刻な勤務医不足が起こるなど、医師を取り巻く環境も大きく変化していますが、高水準で専門性の高い医療を安定的に提供していくためには、それを担う優秀な医師の確保、育成が必要です。
 今後は、医師の確保、育成面でも、都立病院と公社病院の協力、連携強化が期待されます。都立病院は、多摩地域における医療の充実のためにも、これまで以上に医師の確保、育成に努めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、後期高齢者医療制度について伺います。
 人口減少時代を迎え、将来にわたって安心、信頼の医療サービスを確保することを目指す医療制度改革関連法案が、現在、国会で審議中であります。これには、医療費の適正化に向けた総合的な対策とともに、平成二十年度から新たに七十五歳以上の高齢者を主な対象とする後期高齢者医療制度を導入することが盛り込まれております。
 さきの第一回定例会においても、我が党の佐藤裕彦議員が、こうした医療制度改革の必要性を十分に踏まえつつも、財政的な側面ばかりが優先された議論について苦言を呈したところであり、真に都民の、高齢者の健康と安心を支える改革となるよう取り組んでいくことが必要です。
 そこでまず、この新たな後期高齢者医療制度について、都としてどのように受けとめておられるのか、所見を伺います。
 さて、この後期高齢者医療制度ですが、都道府県の区域ごとにすべての区市町村が加入する広域連合を今年度中に設立し、保険料の設定、賦課等の事務を行うものとされています。都内六十二区市町村すべてが加入する広域連合というのは、過去に例がありません。それぞれの区市町村は人口も財政規模も大きく異なり、広域連合設立に向けた団体間の調整は容易ではないと予想されます。
 平成十八年度末という期限が定められている状況において、都は、広域連合設立のスケジュールをどのように想定し、具体的にどのような役割を果たしていこうとされているのか、所見を伺います。
 次に、子育て支援策について伺います。
 今回、新たな枠組みである認定こども園の整備を目的とした、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律が今国会で成立しました。新たな施策の特色として国が掲げている、保育に欠けない子への対応、利用者との直接契約、施設における利用料の設定、徴収など、いずれも都が認証保育所において既にその効果を実証しているものであります。
 このように、認定こども園という新たな形態ではありますが、都が目指してきた保育所制度改革の一部が実現したことは、都の取り組みを一貫して支持してきた我が党の要望に沿ったものであります。
 この認定こども園については、国の指針に基づき、都道府県知事が基準を定めて認定を行うことになると聞いています。新たな基準の設定に当たっては、認証保育所の成果を踏まえ、これまでの保育所改革の取り組みをさらに推進し、東京における子育てサービスのより一層の充実を図るものとすべきと考えますが、所見を伺います。
 一方、認定こども園は、既設の幼稚園も対象です。幼稚園は幼児教育の中核を担っており、これまで大きな役割を果たしてきました。特に都内では九割の園児が私立幼稚園に通っており、各園独自の教育理念に基づく個性あふれる幼児教育の実践によって、私立幼稚園は都民の厚い信頼を得ているものと考えます。
 私立幼稚園においては、地域のニーズを踏まえ、子どもが豊かにはぐくまれることを第一に考えた教育活動を行っており、このことは認定こども園にも生かされなければなりません。こうした私立幼稚園の取り組みを受けとめ、基準づくりを初めとした都の制度設計に当たっては、子どもが豊かにはぐくまれることを第一に考慮すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、福祉保健施策についてであります。
 現在、審議会において、約三万人の利用者を抱える心身障害者扶養年金制度のあり方が議論されています。その扶養年金が危機的状況にあることが明らかになりました。平成五年から始めた基金の取り崩しにより、このままでは平成二十三年度中には基金が消滅し、毎年四十億円もの巨費が必要となるとのことです。
 扶養年金制度は、都単独の制度として現在に至っています。現在、毎年二百人近くの新規加入者がおり、都として障害者を持つ保護者の不安解消を今後とも図っていく必要があります。
 一方、他の道府県は、都に追随し創設された全国制度へ加入し、制度を設けています。都制度が財政的に立ち行かなくなったからといって、都民の加入希望者に道を閉ざしてしまうことは許されません。仮に現行制度を見直すのであれば、新規に制度利用を希望する人のため、都民も全国制度に加入できるようにすることが必要と考えますが、所見を伺います。
 我が党はこれまでも、障害者の社会参加や障害者施策の充実を進めてきました。確かに制度発足時の昭和四十四年当時と比べると、障害者福祉の充実ぶりは隔世の感がありますが、まだ決して十分とはいえません。都の障害者施策の基本的あり方として、グループホームなどの居住の場の整備など、障害者の地域で自立した生活を支えるサービスの充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、日本に住む我々が外国人と接したときに最も痛感するのは、みずからをはぐくんできた伝統文化に対する理解不足だという話はよく聞くところであります。自分が生まれ育った国を十分理解することなく、他の国の人々との真の意味での交流を行うことはできません。ましてや、国際社会において尊敬される存在とはなり得ないことは当然であろうと思います。
 先般、知事は、若い特攻隊員たちの姿を描いた映画の脚本と制作総指揮をみずから手がけることを発表されました。陸軍の特攻隊基地のある鹿児島県知覧町を舞台に、実話をもとにした物語が展開されると聞いております。
 特攻隊として散っていった若者たちの貴重な犠牲の上に今の平和が築かれていることを再認識するとともに、当時の若者たちが抱いていた志のとうとさを思わずにはいられません。
 改めていうまでもなく、二度と悲惨な戦争を繰り返さないためには、日本の歴史や文化を深く理解した人材を育成し、諸外国との国際協調を推進していくことが何より大切であります。
 折しも国会では教育基本法の改正案が審議されております。日本の歴史や伝統・文化を将来を担う世代に正しく伝え、我が国に生まれたことを誇りに思えるような教育を推進することは、我々に課された重要な使命です。
 我が党は、これからも石原知事とともに未来を背負う人材を育て、東京そして日本の再生を果たすべく尽力することを申し上げ、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉野利明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、安心して暮らせる社会の実現についてでありますが、都はこれまで、高齢者や障害者あるいは子育て世帯を初めすべての都民の生活を守り、都民サービスの向上を図るため、さまざまな手立てを講じてまいりました。
 認証保育所の創設やグループホームの拡充、しごとセンターの開設はもとより、治安の回復や大気汚染の改善、さらには都市再生などに積極的に取り組んできたつもりでございます。こうした一連の方策は、都民生活の向上のための取り組みにほかなりません。
 都政運営の基本は、自助、共助、公助の精神に基づいて、東京に住んで働く人々が意欲を持って活動できるようにすることでありまして、これからも東京のダイナミズムの発揮と安心して暮らせる社会の実現を目指し、都政のかじ取りを担っていきたいと思います。
 これから先、非常にふえる高齢者、しかも元気な高齢者も重要な都民でありまして、こういった方々にこれから都としてどういう活躍の場を与えるかというのはやっぱり喫緊の問題だと思いますが、例えば、来年から行われます東京大マラソンでありますとか、この間視察してまいりましたが、二つの島の首長さんそれぞれ非常に乗り気でありまして、島という特異な条件の中、公道を使って行えるようなオートレースが実現しましたら、やっぱり高齢の方々に、数多い方々に、何というんでしょうか、マーシャルと向こうで呼んでいましたけれども、監督者として積極的に働いていただくようなことも、東京全体の活力のためにも、また、楽しんで安心して暮らせる東京の造成のためにも必要ではないかと思っております。
 次いで、ロンドンを視察しての感想でありますが、まず感じましたことは、ロンドンのオリンピックの運営なるもの、企画運営なるものは、もちろん理念的なものは必要でありましょうけれども、まず非常に実利的で、ゆえにも現実的な視点で考えられ企画され運用されているという点でありました。
 ロンドンは、東京にも増して成熟した古い都市でありまして、一方、老化も目立っておりますが、それだけにオリンピックを契機として、開発のおくれた地域に光を当て、都市全体を改造しようとする明確な意思を強く感じました。
 また、今回会談を行ったオリンピック組織委員会の会長のセバスチャン・コー氏の存在も大変大きかったのではないかと思いますが、東京も同様に、オリンピック開催をてこに、都市としての体裁あるいは機能をもう一度迅速に整え直す必要があると痛感いたしました。今回の視察で得たさまざまな示唆を十分に生かして、東京への招致を成功させたいと思っております。
 次いで、招致機運の醸成についてでありますが、オリンピック及びパラリンピック招致を成功させるには、十年後を見据えて東京の都市像を明らかにするとともに、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくりかえていく必要があります。
 例えば、都市基盤が整備された効率的な都市、あるいは超高齢社会においても、安心・安全で質のいい生活が確保された世界に誇れる福祉都市、あるいは環境負荷を抑制し、澄んだ空気、豊かな緑と水に囲まれた環境都市といったイメージを目指していくべきだと思います。
 また、招致に向けてさまざまな団体にも働きかけ、多くの都民の参加を得て、七月二十日の都民集会などで機運を盛り上げてまいりますが、さらに、国際的なスポーツ大会を大いに活用するなどして、国内はもとより海外においても広範な手段を講じ、世界の都市との競争に打ち勝っていきたいと思っております。
 しかし、しょせん最後は日本のオリンピック協会、JOCが決めるわけでありまして、JOCの持っている見識というものがいかなるものか私存じませんが、一部の国会議員が、自分が会長をしている会の投票を、東京や福岡が正式に計画書を提出する前に、何の情実に構えてか、票を取りまとめたなどということを揚言するということは、これはやはり国家的なイベントでありますから、国会議員ともあろうものが国全体の利益というものを考えずに、そういう軽率なというか、まあ何にかまけた発言かわかりませんけれども、そういう動きを見せるということは、国民全体にとっても、JOCにとっても、特に都民にとっても迷惑な話でありまして、この間、私、個人の名前を挙げて記者会見で指摘しましたが、こういったものは皆さんもやはり監視して、こういう、何ていうんでしょう、妨害に近い、配慮を欠いた発言というものを牽制もし、チェックしていただきたいと思います。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、本来別物でありますトランスフォーメーション、米軍再編の流れに巻き込まれまして、ちょっと回り道をさせられましたけれども、先月、米軍再編のロードマップ、つまり日程表が日米両政府によって合意されました。軍民共用化は名実ともに実務的な段階に入りました。ことし十月までにどれくらいの空域を開放するかということを日米双方で決めることになりまして、これは非常に大事なことであります。
 先般開催された都と国の関係省庁の連絡会でも、軍民共用を専管するスタディーグループを直ちに立ち上げ、早急に結論を出すように、国に強く申し入れをいたしました。
 都は、米側との協議を加速するために、首都大学東京と連携して、一橋大学の杉山学長、これは交通経済学の泰斗でありますが、杉山さんをヘッドとする軍民共用具体化検討委員会を設置いたしました。
 最初は、これ非常に充実した委員会でやってきましたので、アメリカの代表もこれに入れてひとつグレードアップして日米で討論したらどうだといいましたら、向こうは向こうでこけんがあるんでしょう、いや私たちは別個に委員会をつくってその委員会で議論をしたいということで、それも結構だろうということで、私がよく知っておりますワインシュタインという男が議長になりましたハドソン研究所が主体になった検討組織ができるようで、それと意見交換を行いながら軍民の両立性など具体的な検討を進めて、スタディーグループによる協議に反映させていきたいと思いますが、現にもう既に向こう側の内々の意向で、ターミナルをどこにしたいとか、どういう資本構成でターミナルをつくったらどうかとかいう向こう側のオファーもありまして、事はかなり具体化してきたと思います。
 先日も我が国の代表的な航空会社二社から、軍民共用化の実現を──軍民共用化といいますと、とにかく横田を使わせろという要望書が都と国に提出されました。こうした航空会社の意見も米軍にしっかり伝えまして、軍民共用化を認めるように迫ってまいります。
 今後、国と連携して日米協議を迅速に進め、一刻も早く、とにかく横田から、我々の国土の中にあり、一番長い、使われていない滑走路から日本の飛行機を飛ばすということでありまして、そのための十全の努力を今後も重ねていきたいと思います。
 ご記憶でしょうけれども、冷戦構造が一番厳しかったころの青森の三沢という空港、これ、今の青森空港がなかったんです。青森に行くにはあそこしかなかったんです。そのときも年じゅうソビエトの飛行機が侵犯してきて、日本とアメリカの戦闘機がスクランブルをかけて飛び立っている間にも、あそこには粗末なターミナルビルしかありませんでしたけれども、とにかく青森に行く人たちは三沢を利用して、民間機が飛んでおりました。こういった事実を踏まえて、私たちはとにかく横田を、今後、はるかに三沢より大きなユーティリティーのある空港でありますから、活用すべきだと思っております。
 次いで、横田空域の返還についてでありますが、我が国の航空政策を自分の手で進めるとともに、安全で合理的な航空路を確保するためには、横田空域の返還は不可欠であります。空域の返還により、飛行時間の短縮や燃料の削減及びこれに伴う排出ガスの削減など多くの効果が期待できます。
 今回合意された米軍編成のロードマップ、時間表によりまして、一部にしろ空域返還の道が開いたことは、一定の前進であると思います。
 再拡張した羽田空港の利用性というものを最大限に生かすためにも、これを積極的に国際化もしまして、日米協議の中で返還される横田の空域の範囲や、移管される管制権の具体的な内容などを早急に明らかにするとともに、全面返還の実現に向けた検討を前進させることが必要であると思います。
 ご存じでしょうが、横田の空域というのは非常に広範囲に及んでおりまして、ほとんど使われておりませんが、その南端の伊豆半島の先端近くまではみ出している管制空域というものは非常に邪魔になりまして、羽田から大阪あるいは博多あるいは韓国に向かう飛行機もそれを迂回しなくちゃなりません。
 ということで、数年前、渋々相手側はその一部を日本の飛行機にも割愛しましたが、これはいってみると、幹線道路ではありますけれども、本来なら要するに四車線の幅が確保されなくちゃいけないのに、わずか一車線ということで、五年前ですか、そこで管制のミスもありましたけれども、非常に大型の飛行機が正面衝突しそうになって、片方が急上昇し、乗務員等がけがをしたというような事故がございましたけれども、こういった非常に不自然な状況が空路において、目にはっきり見えませんが、あるということも、ひとつ議会にご認識いただきたいと思っております。
 次いで、中小型ジェット旅客機の開発についてでありますが、このアジアの数カ国によります、決して戦闘機ではない、平和利用の旅客機が実現しますと、アジアの存在感を高めるとともに、アジアの繁栄と発展に大きく寄与するものと思います。
 これまでアジア大都市ネットワークでは、日本を含むアジアの航空機メーカー、エアライン、商社などが一堂に会する国際会議を毎年開催してまいりました。アジアの可能性の高さと意欲を確認してまいりました。私も、台湾、インド、インドネシアの各航空機メーカーを視察し、その水準の高さを認識して、その意を強くいたしました。
 日本がイニシアチブを発揮してアジアと協力することで、アメリカの鼻を明かすようなすばらしいジェット機はすぐにもできると思っております。
 ご指摘のように、日本はいまだにボーイングとかいった大型の旅客機のパーツメーカーに甘んじているわけですけれども、アメリカが一番嫌がっているのは、かつて第二次大戦の経験のトラウマが尾を引いていまして、日本が航空機産業に進出していくことを一番嫌っているわけであります。それを明かすものが今日の日本の自動車の世界に対する席巻でありまして、そういう点では、前に申しましたが、アメリカに今飛ばしている宇宙船のコックピットにある頭脳部分というのは、表はアメリカのメーカーのラベルが張ってあっても、中身はほとんど日本製だということを、かつてのアストロノーツ、宇宙飛行士の毛利さんが申しておりました。
 そういった日本の技術の持っているポテンシャルというものを生かせば、これは本当に、国さえその気になれば、瞬間的にもすばらしいジェット機ができ、何もここから、東京からジャカルタへ飛んでいく必要はない。ジャカルタからニューデリー、あるいはニューデリーを中心としてインドという亜大陸の中で中距離を飛び回る飛行機が必要なんでありまして、石破君が防衛庁の長官をしているときに、私、彼と会いまして、ちょうど彼のときに日本もようやくアメリカの禁が解けたんで、どうですか、C1の後続機とP3Cの後続機、対潜哨戒機を自前でつくるという決定をしましたので、そういった技術というものを大いに開放して民間にも情報を伝えて、日本がYS11に続くすばらしい飛行機をつくれるようにとにかく国が協力してくれといいましたが、通産省が及び腰でありまして、アメリカにその意向があるというので、せいぜい三十人か五十人の小型の旅客機ということをいい出しましたが、とても採算が合わないということがわかって、このごろ軌道修正して、アメリカと競合しても百人前後の中小型の旅客機が望ましいという認識には至ったようでありますが、その後の日本の外交のへっぴり腰を見れば、どこまでこれが遂行できるか。
 やはり、アジアというものを背景にして、アジアの飛行機をつくるのだという、そういう大きな意図というものが、私はこれからこういう問題を積極的に動かしていくことになると思っております。
 次いで、都の財源をめぐる国の動きについてでありますが、国には、財政再建という大義を振りかざすことで東京の財源を吸い上げようとする発想が相も変わらず根強く残っております。
 ともかく、この国債依存度をこれだけ高めて、かつて私たち随分イタリアに同情しましたが、とんでもない、もうそれをはるかに抜いて、かつてのイタリアの最悪の状況の倍ぐらいのつまり借金を子孫につくったという、この放漫というか無知というか、実に投げやりな財政再建、財政運営というものが、今日このていたらくになったわけであります。
 中で東京は、皆さんのご努力で財政再建して都債への依存率もはるかに低いところでとどまっておりますが、そこで結局国が財政再建の大義という中で、東京の財源というものを吸い上げろという、これはもう非常に国の放漫経営の帳じりを合わせるための、何というんでしょうか、人の懐に手を突っ込むやり方で、まさに貧すれば鈍という感じが強くいたします。
 とりわけ地方法人課税の見直しは乱暴というか稚拙というしかいいようがなくて、この理念のない発想は地方分権にも明らかに逆行するものでありまして、東京以外の県の知事にもこういう発想はおかしいという意見があるようでありますが、今後とも都議会並びに東京都選出の与党国会議員の方々と力を合わせ、また他の地方自治体とも共同しながら、国の理不尽な動きには、地方の自主自立を守る立場で徹頭徹尾反対の姿勢を貫くつもりでございます。
 次いで、民設公園に対する固定資産税などについてでありますが、オリンピック開催をにらんで東京を緑豊かな潤いのある街並みとするためには、民有地を活用した緑の創出が有効であることから、民設公園制度を創設いたしました。
 民設公園は、都市公園に準じた高い公共性を有していることから、東京の緑づくりを税制面から後押しし、支援していくことが必要であると思います。
 今後、民設公園に対する固定資産税などの減免措置を講じることによりまして、民設公園の整備促進を図っていきたいと思います。
 これはむしろ環境局よりも主税局の方からこういうオファーがありまして、東京の主税局は、マリナーズのイチローのごとく、日本に冠たる四割打者でありますけれども、決して鬼の四割打者ではなくて、やっぱり環境にも配慮する、こういう柔軟性を持った局であるということをひとつご評価願いたいと思います。
 次いで、都区のあり方の検討についてでありますが、大都市が国全体を引っ張っていく時代の中で、日本の首都であり頭脳部、心臓部である東京の潜在力を最大限に発揮できる自治の仕組みが必要であります。しかし、国には、東京ひとり勝ち論や、地方分権を無視した直轄論といった誤った認識がありまして、都と特別区は協力して対応していかなくてはならないと思います。
 東京の力が日本全体の発展を大きく左右するという共通認識を持ち、将来を見据えて、都と特別区が主体的に都区制度について大きな視点から見直すことが必要となっていると思います。
 先般、都の三副知事と区長会の正副会長を中心とする都区のあり方に関する検討会を設置いたしました。これまでの発想にとらわれずに、都区の新しい関係を構築するため、行政区分の再編も含めて根本的かつ発展的に議論をしていきたいと思っております。
 次いで、臨海副都心開発の将来展望についてでありますが、臨海副都心は、かつて国の口車に乗せられて走り出しちゃって、万博中止などという思いがけぬ挫折もありまして、その後バブルも崩壊して、そういう試練を通じて困難に陥りましたが、今や年間四千万の人が訪れる首都東京の新しい魅力を発信するまちに成長してまいりました。交通アクセスも充実し、開発は今年度から総仕上げの十年間という重要な段階に入りました。持ち株会社のもとでゆりかもめやビッグサイトなどを効果的に連携させ、エリアマネジメント機能を強化する取り組みは、まちの活力やポテンシャルを一層高めるものと思います。
 二〇一六年、オリンピックの主要な舞台となる臨海地域で、臨海副都心は、成熟した東京を象徴する都市の姿を世界にアピールできるものと確信しております。
 この臨海副都心は、都心といいますが、既存の特別区に属してはおりますけれども、しかし地政学的に三多摩と同じように都心部から離れた、ともに将来性に非常に満ち満ちた大事な大事な東京の財産であると思っております。ゆえにもこれを、策を講じながら、これから先、失地を回復して健全に育て直していく必要があると思っております。
 次いで、孤独死についてでありますが、ひとり暮らしの方がだれにもみとられずに亡くなるケースは、都営住宅に限らず、また東京に限らず、世界の大都市で、先進国の大都市では頻発している現象であると思います。
 向こう三軒両隣というかつての地域社会の緊密性がなくなりまして、これは非常に残念でありますが、私は数十年前に初めてパリへ行きましたときも、夜中に歩いておりましたら、何か叫びながら歩いているおばあさんを何人も見まして、友人にいったら、気が変になった人かと聞いたら、いや違う、あれは孤独な老人で、ああやってひとりで住んでいるので、夜中になって叫ばないとストレスがたまって、それこそ精神に異常を来すからああやって発散しているんだろうという同情をしておりました。しかし何年前ですか、非常にパリが猛暑に襲われたとき、あのまちは冷房なんかありませんから、気がついてみたら腐臭が漂って、高層のビルの中にひとりで住んでいる老人が暑さのために衰弱して死亡していたというような例がたくさんございました。
 これは、進んだ文明社会の、しかもそれに沿って家族のあり方が変容し、都市での生活様式が、地域の人間関係も非常に乾いたドライなものになってきたことの証左といえるのではないかと思います。
 この問題は非常に痛ましい問題で、あすは我が身になるかもわからないことでありますが、これは一種の文明批判として取り組まない限り、こういう悲劇はますます数をふやすのではないかと危惧いたします。これは、東京都だけじゃなしに、政府もその気になって、日本全体の問題としてとらえることが必要だと思っております。
 この間もある座談会で、これからの国にとっての一番の問題は都市に集中した人口をいかに地方に移すかということを主題にしておりましたが、私もそのとおりだと思いますけれども、これを具体的にどう展開していくかは、今後の大事な問題であると思っております。
 次に外環道についてでありますが、外環道などの三環状道路は、日本の社会全体のダイナミズムを高め、我が国の国際競争力の向上、国家の繁栄、東京の発展に不可欠な道路であります。そのうち中央環状と圏央道は早期完成に向けて事業を進めております。
 共産党は、こういった道路なんて国の計画のテーブルにのっていないじゃないかといわれますけれども、のっていないでしょう、これは。とにかく共産党が支持した美濃部さんがすべての公共事業を中止して、自民党もばかなことに凍結宣言してしまって、それが扇大臣を呼び出して見てもらうまで国は動こうとしなかったんですから。やっとこれが凍結解除になったので、これから、これをはっきりと国の計画のテーブルにのせて優先順位を高めるためにも、私は、オリンピックもそのための一つの大きな大きな引き金であると思っております。
 外環道についても、就任以来一貫してその意義を主張してきましたが、今般、日本の技術というものを大いに活用して、大深度地下への都市計画変更に着手いたしました。引き続き外環道の早期完成に向け、国を動かし、総力を挙げて一日も早い完成を目指します。
 次いで、小笠原への航空路の開設についてでありますが、小笠原諸島は、人類にとって貴重な固有の自然の宝庫であるとともに、沖ノ鳥島を含め、我が国の排他的経済水域確保の観点から、国益を維持する上で枢要な地域であります。
 国が航空路の開設を喫緊の課題として踏み込んだ認識を示したことは一歩前進でありますが、実現に向けては多くの課題を解決していかなくてはならないと思います。
 私もかつて自分の選挙区であったのでこの問題に随分取り組みましたが、やはり、あの洲崎を活用する以外に私はないと思います。そして、特にあそこには珍しい植物も動物もいないようでありまして、あとは自然をどうトリムするかという景観の問題での環境問題だと思いますけれども、これはやはり観光の振興とか、ああいう貴重な、要するに自然というものをもっと多くの日本人に満喫してもらうためにも、そういうルートを開拓するということとのこれはトレードオフの問題でありまして、まあ環境庁がいかに頭がかたいかやわらかいかわかりませんが、私たちも力を合わせて環境問題についての説得というものを、島民を含めて国や役所にも続けていかなくちゃならないと思っております。
 次いで、新たな環境施策の構築についてでありますが、東京の環境は、異常気象の頻発など地球温暖化の影響が顕在化するとともに、ヒートアイランド現象の改善が進まないなど、依然として重い課題に直面しております。
 十年後のオリンピック開催も見据え、これらの課題に果敢に挑み、東京をさらに快適で安心して住み続けることのできる都市としていくために、環境基本計画を改定いたします。
 改定に当たっては、世界の最大都市で最もきれいな大気環境の実現を目指して、最新鋭の環境対応車の普及や自動車交通量の総合的抑制策などに取り組むとともに、世界最高水準の地球温暖化対策として、より厳しい二酸化炭素の排出抑制や再生可能エネルギーの飛躍的拡大など新たな方策を検討していくつもりでございます。いずれにせよ、二十一世紀は、都市の未来が地球の未来を規定する世紀となります。
 先般、首都大学東京の西澤学長のお話をちょっと聞きましたが、CO2の問題に限っていえば、これをこのまま野放図に抑制せずに続けると、物理的、科学的というんでしょうか、人類、哺乳類の生命はあと二百年はもたないだろうというのが専門家の結論だそうでありまして、やはり、ならばこそ今からどんな微細な努力でも積み重ねていくと。まさにちりも積もれば山となるというその志で、私たちは、前にも申しましたゲオルグの、地球があす滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植えるという志で東京から世界の範となる先進的な環境政策を展開することによって、都市と地球の未来を切り開いていきたいと思っております。
 次いで、東京の農地の現況に関する認識についてでありますけれども、都市における農地は非常に非常に貴重な重要なものであります。そう認識しております。
 東京では、近年、局所的な集中豪雨が頻発しておりますが、都市化の進展によって、本来土地の持つ浸透性や排水性が低下してしまって、都市型水害が発生しております。
 都では、河川や下水道整備、浸透ますの設置など治水対策に取り組んでおりますが、その中で農地や緑地は、浸透性や保水性能を持つ自然のダムとして注目されております。
 さらに、農地は人々の生活に潤いをもたらすとともに、最近では食育の一環として生産体験の場を提供するなど、多様な機能をあわせて持っております。
 東京の農地は都民の貴重な財産でありますが、相続のたびに農地が失われ、その減少に歯どめがかかっていないのも現況であります。
 こうした農地の減少に伴い、潤いやゆとりのみならず、保水や防災といった都民にとって喫緊の大切な機能が失われてまいりました。残された農地をどうやって後世に引き継いでいくかということは非常に重要な問題でありまして、これは税法での措置も講じて、こういった問題も都の都税調にもちょっと相談してみようと思いますが、いずれにしろ、私たちは貴重な東京都の未来的な財産というものをやはり農地としてしっかり保ち続けていくということの努力を多角的にしなくてはならないと思っております。
 次いで、今後の文化振興の方向性についてでありますが、文化の進歩というものの本質は、私は、混交、つまり物がまじるということであると思います。すぐれた芸術様式ほど他のすぐれた様式と容易に混交してさらに高揚されていくものでありまして、ちなみに、例えばかつてアンドレ・マルローが日本に来たときにいっておりましたけれども、日本の仏教美術、仏像の完成度というものは世界に比類がない。これは、アレキサンダーの東征でギリシャの美術様式がガンダーラに伝わり、さらにそれが中国を経て日本に伝わってきて、日本で収れんされて極度なものに結集されたと。こういった、物事が伝播しながら混ざり合っていくということが、まさに文化の本質だと思っております。
 この文化の伝播と混交が首都東京の文化的魅力を高め、日本全体の魅力を牽引していくものと思います。行政は文化芸術振興のサポート役に徹しまして、芸術家の自由な発想を尊重することで、新たな文化芸術が開花することと思います。
 今後、外部の専門家によります評議会、いわばアートカウンシルというようなものを新たに設置しまして、自由な提言をいただきながら、創造的な文化を生み出す、東京から生み出す施策を展開していきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長並びに関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 放置駐車確認事務の民間委託についてお答えいたします。
 初めに新制度の周知方策と今後の取り締まり方針についてでありますが、これまで新制度について広く都民に理解していただくため、マスコミを通じた広報を行うとともに、当庁独自に作成したポスター、リーフレット等の活用を初め、ホームぺージへの掲載、「広報けいしちょう」及び「広報東京都」の新聞折り込み、さらに路線バスの車内広告、携帯電話サイトからの情報提供、また、取り締まり活動ガイドラインに定める最重点路線への立て看板の設置等、あらゆる媒体を活用した広報に努めてまいりましたほか、物流・輸送関係団体等に対して直接説明を行うなど周知を図ってまいりました。
 今後も引き続き町会や自治会に対する交通安全教育や各種講習会等のあらゆる機会を通じて、きめ細かな広報活動に努めてまいりたいと思っております。
 また、駐車規制は交通の安全と円滑を確保するために必要な規制でありますが、物流を初めとする社会活動に深くかかわりを持つものでもあります。このため、今後の取り締まり方針といたしましては、管内の駐車実態や地域住民、地元企業、商店等の意見、要望を踏まえた上で、地域の実態等を勘案して、新制度を適切に運用するとともに、公平でめり張りのある指導取り締まりを推進し、良好な駐車秩序の確立に努めてまいります。
 次に、民間委託による治安上の効果についてでありますが、民間委託を行うことにより、最終的に合理化できる総人員を確定的にこの時点で申し上げることは困難でございますが、このたびの四十三警察署における民間委託の導入により新たに生じる警察事務に要する人員を差し引いて、交通部門から四十九名の削減が可能となったところであります。
 また、従来、地域警察官が駐車取り締まりに充てていた時間をパトロール等に充てることができるようになり、地域警察部門において、より密度の濃い執行務が行われることとなったと考えております。
 民間委託の拡充につきましては、放置車両確認事務の運用状況や駐車実態の変化等を検証した上で、民間委託の導入地域を拡大する方向で検討するとともに、交通部門から他部門への定員の振りかえ等についても行ってまいりたいと考えております。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、学校経営支援センター設置の効果についてでございます。
 都教育委員会は、本年四月、都内六カ所に学校経営支援センターとその支所を設置し、適時、機動的に学校訪問を行い、学校の実態を的確に把握して、教育活動や学校経営、人事、予算などの面で必要な支援を行っております。
 このような支援により、各学校では、学校の特色を生かした教育課程の編成などが進み、教育内容が充実するとともに、校内研修を初め、授業改善の取り組みが着実に推進され、教員の指導力向上が期待できるなど、学校教育の一層の充実が図られるものと考えております。
 次に、都立学校の冷房化の取り組みについてであります。
 お話しのように、都立高等学校以外の学校で冷房化が進んでいることや、また、夏季期間中におきます都立高校の教育活動が活発化していることは十分に承知しております。
 このため、都教育委員会は、教室環境改善につきまして総合的に調査検討するため、学識経験者や保護者、学校関係者から成る都立高校教育環境改善検討委員会を本年四月に設置し、鋭意、検討を行っているところでございます。
 この検討委員会では、教室環境改善を進めるに当たっての基本的な考え方や、冷房化を含めた多様な方策、費用負担のあり方などを検討課題としておりまして、都教育委員会は、今後この検討委員会での議論やご指摘の点を踏まえまして、環境改善に積極的に取り組んでまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) オリンピック及びパラリンピックの関連経費についてお答え申し上げます。
 大会運営費は、競技会場の仮設費用、選手村の管理経費など、オリンピック及びパラリンピック大会を運営するために必要な経費でございまして、今月の三十日までにJOCに提出いたします開催概要計画書への記載事項でございます。現在、二〇一二年開催予定のロンドンと同程度の三千億前後を見込んでございます。
 なお、この経費の財源は、主にスポンサー企業からの協賛金やIOCからの配分金により賄われ、税金は投入しないこととしてございます。
 また、オリンピックの関連施設整備費につきましては、既存施設の活用を基本として現在積算しているところでございますが、おおむね五千億円程度、そのうち都の負担額は、民間資金の活用や国庫補助金の獲得などにより、約その一割、五百億円程度にとどまる見込みでございます。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、再拡張後の羽田空港の活用についてでございますが、羽田空港は再拡張・国際化により、日本の表玄関として、これまで以上に社会経済の活性化や国際競争力の向上に資することが期待されます。
 羽田空港の持つポテンシャルを十二分に生かすためには、空港アクセスの強化や空港跡地等の土地利用転換の促進とともに、広域的には三環状道路を初めとする首都圏全体にわたる都市基盤のネットワークを構築していくことが重要でございます。
 こうした課題に的確に対応するため、都は、国や関係自治体と連携した取り組みを強化し、羽田空港の機能が最大限に発揮できるよう、関連する社会資本の整備を推進してまいります。
 次に、外かく環状道路の今後の取り組みについてでございますが、外環は首都圏の交通の円滑化、環境の改善、都市再生に不可欠な道路でございます。都はこれまで、地元と三百四十回以上の話し合いを重ねるとともに、沿線区長、市長との意見交換も行ってまいりました。
 こうした積み重ねの結果、外環整備の意義や本線の地下化などに対して、おおむねの理解が得られたものと判断し、今般、都市計画変更の手続に着手いたしました。引き続き地元に対して丁寧に説明し、着実に都市計画変更を進めるとともに、国に対し、外環を高速自動車国道法の整備計画に位置づけ、早期整備を実現できるよう強く働きかけてまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君) 東京から地方への財源配分の必要性についてでございますが、首都東京には、交通渋滞の慢性化、犯罪の多発、環境問題など多くの課題が山積してございます。都民の暮らしは、決してすべてが満足できる水準にあるわけではございません。税収の規模や増加のみを一面的にとらえて主張される東京富裕論は、根本的に大きな誤解があると考えております。
 また、税収の偏在ばかりが指摘されてございますが、税収に地方交付税を加えた一人当たりの一般財源総額を見れば、東京は全国平均並みでございまして、この点からも自治体間の財源配分は既に適切に行われているものと認識してございます。
 東京から地方にさらに財源を移転することは、こうした実態を無視するものであり、到底その必要性を認めることはできないと考えております。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、法人二税を都から奪うことについてでございますが、法人は、事業活動を行うために地方自治体からさまざまな行政サービスを受けておりまして、個人と同様、地域の構成員として応分の負担をすべきものでございます。
 地方法人課税を、課税根拠と何ら関係のない人口により税収配分することは、全くの誤りでございます。もはや独立税源であります地方税として存続できなくするものでありまして、また、地方自治体間の課税権の配分の基準でございます分割基準を財源調整手段として用いることも、税制の姿をゆがめるものでございます。
 法人二税の税収の偏在性を殊さら問題視することは、企業活動等に伴う大都市の財政需要を無視した一方的な議論でございまして、このような誤った認識に基づく不合理な動きに対しましては、断固として反対をしてまいります。
 次いで、鉄道事業に係る固定資産税についてでございますが、現在、商業施設のある駅舎の敷地と周辺の宅地との間で、場所によりましては、固定資産税の評価に十倍を上回る格差が生じております。したがいまして、税負担の公平の観点から見直しが必要と考えております。
 具体的には、商業施設のある駅舎の敷地等につきまして、商業施設の占める割合を勘案しながら、付近の土地と均衡のとれた評価に改めていく方針でございます。
 見直しに当たりましては、鉄道事業者にも十分な説明をした上で、早急に適正化を図ってまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 臨海地域における監理団体改革について、四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、臨海三セクの民事再生申し立てに対する都の考え方についてでございますが、臨海三セクは、現在の収支を前提とすると、借入金の完済に五十年以上要することや、今後の金利上昇が懸念されることなどから、これまでと同様の改善策を続けることは困難と判断し、早期に債務を圧縮して再生を目指すことといたしました。都民への負担を伴う事態に至ったことについては、都として厳粛に受けとめております。
 これまで、都は、経営安定化策に沿って全力で経営改善を指導してまいりましたが、今後とも都が責任を持って臨海副都心開発を推進していくためには、臨海三セクを適切に活用していくことが必要であり、そのためには、臨海三セクが経営の安定化を図る抜本的見直しを選択することが、都としても現時点で最善の方策と考えております。
 次に、再生手続後に設立される新会社の経営見込みについてでございますが、新会社は、これまで経営の重荷になっていた借入金につきまして大幅な債務免除を受けることにより、年間約六十億円の支払い利息が半減いたします。
 また、都が実質的な負担のない形で底地の現物出資を行うことによりまして、新会社の資産価値が高まり、地代負担も軽減されます。
 さらに、組織の見直しや事業再構築に取り組む一方、ビル事業におきましては、不動産業者との業務提携など戦略的な営業展開を図り、収入の確保に努めてまいります。
 こうした抜本的な収益改善を図ることで、新会社の安定的な経営が十分見込めるものと考えております。
 次に、東京港にとっての埠頭公社民営化の効果についてのお尋ねでございますが、アジア諸港の躍進によりまして、日本港湾の相対的地位の低下が続く中、首都圏の産業と生活を支える東京港の国際競争力の強化とサービス向上が喫緊の課題となっております。
 このため、東京港の外貿コンテナ貨物の約七割を扱う公社を民営化することで、規制の多い制度からより柔軟な対応が可能な体制に移行し、一層の企業性の発揮を通じて経営効率化を進めていくことといたしました。
 これによりまして、第一に、港湾コストの低減や利用者ニーズに対応した迅速なサービスを提供すること、第二に、事業拡大や多角化を図り、東京港における国際物流機能の向上に貢献することを目指してまいります。
 今後、公社民営化を着実に進め、首都圏のメーンポートとしての機能のさらなる充実強化に取り組んでまいります。
 最後に、持ち株会社構想の意義及び効果についてでございます。
 東京港の国際競争力の強化と、臨海副都心開発を一層推進していくためには、公社を民営化するだけでなく、臨海地域の開発整備を進めてきた監理団体を一体として効果的に活用する必要があり、そのため持ち株会社方式による経営統合を行うことといたしました。
 これにより、グループの信用力を背景とした有利な資金調達や経営資源の相互融通などを通じまして、各団体の経営基盤強化が可能となります。
 さらに、各団体個別の事業目標の達成にとどまらず、臨海地域全体の戦略的経営を一体的に行うことで、港湾コストの低減による東京港の国際競争力強化や、連携したサービスの提供による臨海副都心の魅力向上を一段と図ることができるものと考えております。
   〔選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君登壇〕

○選挙管理委員会事務局長(渡辺日佐夫君) 選挙事務に関する質問にお答えいたします。
 まず、選挙管理委員会の役割と統一地方選挙に向けた準備についてでございますが、選挙管理委員会は、発足して以来、本年で六十周年を迎えますが、戦前の選挙干渉という苦い歴史を教訓に、知事の行政執行権からの独立性を特に強く担保するため、他の行政委員会とは異なり、地方自治法に基づき、議会において選挙された四人の委員によって構成されております。
 東京都選挙管理委員会は、全国最大の地方議会である百二十七名の都議会議員及び首都東京の知事、さらには全国で最も多い衆議院議員と参議院議員の選挙を管理執行するほか、区市町村の議員や長の選挙についても必要な助言等を行っております。民主政治の基盤であるこれらの選挙を、公正、公平かつ円滑に管理執行することが、選挙管理委員会の主要な役割でございます。
 さらに、政党の本部が所在する首都東京において、政治資金規正法に基づき、六千余の政治団体の届け出及び政治資金収支報告書の受け付け、公表などを公正、適正に実施することも重要な役割でございます。
 来年の統一地方選挙の準備のため、区市町村の選挙管理委員会や明るい選挙推進協議会と連携しながら、都民の選挙への関心を高め、投票参加を呼びかけるなど啓発活動を進めてまいります。
 また、投票や開票の正確で迅速な情報提供のための速報システムを更新するとともに、選挙事務に従事する職員の研修を、今年度スタートした東京都選挙アカデミーにおいて一層充実してまいります。
 次に、若い世代の投票率を高めるための取り組みについてでございますが、将来の日本を中心で担う二十代から三十代の世代が政治や社会に関心を持ち投票に参加することは大変重要でございますが、この世代の投票率は、近年の選挙では平均投票率と比べると一五から二〇ポイント程度低い数値を示しております。
 このため、昨年の都議会議員選挙では、若い世代に人気のダンスコンテストなどのイベントの実施や、レンタルショップ、居酒屋での手ぬぐい、コースターの配布などによる選挙のPRを行い、これらはマスコミでも大きく取り上げられました。来年の統一地方選挙におきましても、若年層向けの啓発活動をさらに工夫し、実施してまいります。
 また、若い世代が多く利用しているインターネットを活用して、日常的に啓発に取り組むとともに、大学生等を対象に、選挙について学び、啓発活動を企画し、街頭啓発に実際に参加する体験学習コースを九月から新たに開始いたします。
 投票率は、地域ごとにも異なるものでございますので、地域別、年代別投票行動調査や世論調査の結果を分析し、区市町村と連携して、地域や年代の特性に応じた投票率向上策に取り組んでまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、総合防災訓練の実施についてでございます。
 災害から都民を守るには、発災時に迅速かつ的確に対応できるよう日ごろからの訓練が重要でございます。
 本年九月一日の総合防災訓練は、足立区との合同で実施をいたしますが、ことしは八都県市のメーン会場ともなるため、政府や他県市も参加する大規模な実動訓練といたします。
 初めての訓練として、陸上自衛隊の部隊が大型輸送艦で東京港まで海上移動した後、被災地へ進出をして行う救援活動や、ソウル市緊急災害救助チームの参加による国外からの支援部隊受け入れなどを行います。
 また、八都県市の連携訓練として、帰宅困難者の海上輸送や広域医療搬送などを行います。都民の生命、財産、そして首都東京を守るため、一層の訓練を重ね、防災対応能力の向上に取り組んでまいります。
 次に、小笠原諸島振興開発計画についてでございます。
 先般、国は、都や小笠原村も参画している振興開発審議会の答申を受けまして、平成二十年度までの振興開発基本方針を変更いたしました。
 都といたしましては、新たな基本方針で示されたとおり、今後の小笠原振興の柱として、高速交通アクセス手段の確保と観光客増加に向けた振興策が重要であると考えております。今後、国の基本方針を踏まえ、振興開発計画を変更してまいりますが、まず、小笠原村が計画案を作成し、今月中には都に提出をすることになってございます。
 都は、村の作成した計画案の反映に努めながら、年内に振興開発計画の見直しを行い、小笠原諸島の振興に向け、引き続き積極的に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君) 医療福祉に関しまして、六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、児童健全育成についてでございますが、お話のように、子育て不安や虐待等に加えまして、子どもが犯罪の被害者、加害者になる事件が多発しており、子どもたちの日常生活を見守る地域の多様な力の結集は、極めて重要でございます。
 子どもたちの安全の確保と健やかな成長を実現するためには、行政の取り組みはもとよりでございますが、日ごろから住民と身近に接しておられます、また地域の実情にも詳しい都内約一万人の民生・児童委員との連携が不可欠と考えており、先般、地域代表など約二千人の参加をいただいた連絡会におきましても、直接協力をお願いしたところでございます。
 今後、地域の子育て力のさらなる充実のため、こうした連携協力を一層推し進めるとともに、ご提案の地域力の向上に向けた新たな取り組みにつきましても検討してまいります。
 次に、後期高齢者医療制度についてでございます。
 人口減少社会が現実となった今、国民皆保険を実現し、平均寿命世界一という成果を上げました我が国の医療制度につきましても、時代に見合った社会システムへと変革することは不可欠でございます。今回の後期高齢者医療制度も、改革の柱の一つとして打ち出されたものでございまして、財政的リスクの分散や、負担と給付のバランスのとれた制度構築を目指すものと受けとめております。
 都は、今後、医療制度全体の安定性のみならず、健康づくりや在宅医療の一層の充実に取り組み、都民が真に豊かさを実感し、安心できる医療の実現に努めてまいります。
 次に、広域連合設立に向けた取り組みについてでございますが、法案可決から設立までの期間が短く、準備が急がれることから、去る六月一日に、後期高齢者医療制度発足に向け、区市町村などによる検討会が設置されたところでございます。
 今後は、本年九月を目途に、区市町村の代表による広域連合設立準備委員会を立ち上げまして、区市町村議会における広域連合規約の議決を経て、来年一月ごろには知事に設置許可の申請がなされると聞いております。
 広域連合は、区市町村が主体的に設立するものでございますが、都としても、新制度の円滑な実施に向けて、情報の収集や提供、国、区市町村、国民健康保険団体連合会など、関係者間の調整等の役割を果たしてまいります。
 次に、認定こども園についてでございますが、都はこれまで、従来の認可保育所だけでは十分対応できていない都市型保育ニーズにこたえるとともに、保育所制度の抜本的改革を目指して独自の認証保育所制度を創設し、その拡充に取り組んでまいりました。
 認定こども園では、親の就労の有無により区別せず、また、利用者と施設が直接契約する方式となっておりまして、これらの仕組みは、都がこれまで進めてきた保育所制度改革と軌を一にするものとして、一定の評価をしているものでございます。
 認定こども園の認定基準の設定に当たりましては、これまでの認証保育所の成果を生かし、大都市東京のニーズに的確に対応するとともに、在宅も含めたすべての子育て家庭の支援に資するものとなるよう、関係局と連携しながら検討を進めてまいります。
 次に、心身障害者扶養年金制度についてでございますが、扶養年金は、平成五年度以降、支出が掛金等の収入を上回り、基金を取り崩して年金給付の財源に充てる状況が続いております。このまま推移いたしますと、平成二十三年度には基金が枯渇してしまう状況にございます。
 こうしたことから、現在、東京都心身障害者扶養年金審議会におきまして、扶養年金制度の社会的役割の変化を踏まえたあり方についてご審議をいただいているところでございます。今後、制度を見直す場合でありましても、年金加入者にも配慮した上で、ご指摘のとおり、新規の利用希望者につきましては、全国制度への加入も含め、適切に対処していく必要があると考えております。
 最後に、都の障害者施策についてでございますが、施策の推進に当たりましては、障害のある人が必要なサービスを利用しながら地域の中で主体的に生活できる社会を実現することが重要であり、都が本年二月に策定いたしました福祉・健康都市東京ビジョンでは、在宅サービスの充実や居住の場の整備など、障害者一人一人のライフステージと生活全体をとらえた支援策の充実を図ることとしております。
 今後とも、このビジョンの理念にのっとり、民間、地域、行政の持つ力を最大限に生かしながら、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランに基づき、グループホームの整備を着実に実施するなど、障害者の自立した生活を支援してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君) 中小企業、就労対策など四点のご質問にお答えいたします。
 まず、産業支援拠点の機能についてでございます。
 新産業を創出するなど、熾烈な国際競争に対応していくためには、最先端の技術開発とそれを支える競争力ある基盤技術の維持など、一層高度で多様な支援が必要でございます。このため、区部拠点では、超精密技術分野の支援や企画から試作、販売までのトータルなデザイン支援、最新評価機器による基盤技術支援等の機能充実を図ってまいります。
 また、多摩拠点では、技術、経営相談のワンストップサービスを実施するほか、エレクトロニクス分野など多摩の産業特性に対応した新たな支援機能や、産学公連携のコーディネート機能等を整備いたします。
 こうした両拠点の支援機能を中心として、区市町村とも十分に連携しながら、地域の中小企業ニーズを生かした新たな技術開発や競争力の向上を強力に支援してまいります。
 次に、若年者の就業支援についてでございます。
 若者に対しては、働く意欲の喚起や働きたいという気持ちを行動につなげてもらうことが重要でございます。このため、若者自身が企画、実施に当たるNPO事業に都が助成を行う若年者就業支援プロジェクト等を活用いたしまして、これらの若者に働きかけるとともに、社会人としての基礎学習や職場体験の機会を提供しながら就業への不安を取り除くワークスタート支援プログラムを、来月からしごとセンターで開始いたします。
 今後は、若者が求職活動に踏み出せるよう、学校やNPO、区市町村などと連携した総合的な若年者就業支援のネットワークづくりを検討してまいります。
 次に、小笠原の観光振興についてでございます。
 ご指摘のように、村と地元の観光事業者等が一体となって観光客を増加させる取り組みは、観光振興を図る上で極めて重要であると認識しております。
 これまでも、都は、地元と一体となって観光事業者への観光ルートの売り込みなどを実施してきたところでございます。今後は、修学旅行客や観光客の増大が見込まれるシニア層などをターゲットにしたモニター調査を実施するとともに、観光客誘致促進のための具体的な仕組み、例えば、専門のプロデューサーの派遣などについて検討してまいります。
 今後とも、小笠原の主体的な観光振興への取り組みを積極的に支援してまいります。
 最後に、農地の保全についてでございます。
 宅地化が急速に進展する中、平成三年には生産緑地法が改正され、市街化区域の農地は、保全すべき生産緑地と宅地化すべき農地に区分されたところでございます。
 都では、生産緑地に対し、農地保全の観点から、その指定を促進するとともに、農業を活性化するための土地改良、生産施設の整備などを積極的に支援してきたところでございます。
 こうした取り組みにもかかわらず、地価の高い東京では、相続税などの税負担が大きいことから、相続を契機として保全すべき生産緑地の減少が進んでおります。このため、減少に歯どめをかけられない農地の現状に対しまして、農地や税の制度などに係る東京固有の課題を整理した上で、保全策を検討し、国に対しても対応を求めてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 道路に関する二点の質問にお答えいたします。
 まず、今後の道路整備への取り組みについてでありますが、首都東京の道路整備は、渋滞解消、環境改善、防災性の向上にとって必要不可欠でありまして、幹線道路ネットワークの早期完成が喫緊の課題でございます。
 このため、今後十年を東京の道路整備の正念場としてとらえ、中央環状品川線など首都圏三環状道路や都内の骨格幹線道路、連続立体交差などを集中的に整備してまいります。
 また、二〇一六年のオリンピック及びパラリンピック招致も視野に入れ、成熟した都市を世界にアピールするため、広く快適な歩行空間の整備や電線類の地中化など、景観にもすぐれた道路空間の形成を図ってまいります。
 整備に当たりましては、事業の重点化、コスト縮減、徹底した時間管理に努め、十年で確実に成果が得られるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、道路財源確保に向けた今後の取り組みについてでありますが、東京の道路整備を着実に進めるためには、道路財源の確保が極めて重要でございます。
 これまで都は、道路特定財源を一般財源化することなく、道路整備など本来の目的に充当し、まだまだ整備が必要な東京への配分を拡大するよう国に要請するとともに、道の日のイベントなど、さまざまな機会をとらえまして、道路特定財源の必要性を訴えてまいりました。
 今後は、東京の道路整備をより一層進めるため、ポスターやパンフレットなどを活用し、道路特定財源の仕組みや必要性を納税者や都民にわかりやすく説明するなど、広報活動を積極的に展開し、財源の確保と配分の拡大に努めてまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君) 再生可能エネルギーの利用拡大についてのご質問にお答えします。
 都はこれまで、臨海部での風力発電施設の設置など、パイロット的な事業を進めてまいりましたが、さらに再生可能エネルギーの利用を拡大するため、本年三月に東京都再生可能エネルギー戦略を策定いたしました。
 今後、都は、浄水場での大規模な太陽光発電施設の設置など、率先導入をさらに進めるとともに、都民や事業者等との連携による導入プロジェクトの実施、大規模開発計画等において一定量の利用を促す仕組みの検討など、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みを強力に推進してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、都民や子どもたちが伝統文化に触れ、身近に感じる機会の提供についてでございます。
 都では、都民芸術フェスティバルにおいて、能楽や日本舞踊、民俗芸能などさまざまな伝統文化を鑑賞する機会を広く都民に提供しております。特に、次代を担う子どもたちには、伝統文化を体験する機会として、能楽などの子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムを実施しているほか、江戸東京博物館におきまして、江戸東京の文化を体験できるふれあい体験教室など多様な催しを開催しております。
 また、本年秋には、江戸東京博物館を主体としまして、江戸の歴史や文化に関する知識を問い、江戸の伝統からあすへの活力を学び取る江戸文化歴史検定事業を開始する予定でございます。
 今後とも、都立文化施設の機能を最大限に活用しまして、都民が伝統文化に触れ、身近に感じる機会の充実を図ってまいります。
 次に、認定こども園についてでございます。
 法律の定める認定こども園の類型には、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型、この四つがございまして、保育所待機児童の解消とともに、児童養育の機会拡大が期待されるところでございます。
 幼稚園が認定を受ける類型は、保育所と連携し一体的に運営する幼保連携型及び幼稚園が保育に欠ける子どものための保育時間を設ける幼稚園型でございます。今後、これら幼稚園が対象となる二類型を初め、認定こども園全体の仕組みづくりに当たりましては、ご指摘のように、地域のニーズを踏まえ、子どもが豊かにはぐくまれることを第一に教育活動を行っている私立幼稚園の教育実践が生かせるよう、関係局及び関係団体と調整を図りながら、認定基準等を検討してまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君) 多摩地域の医療に関する二つのご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の医療の充実についてでございますが、今回、地域医療支援病院の承認を受けた多摩北部医療センターは、昨年四月の公社移管を契機に、地域の中核病院として診療対象年齢を拡大し、新たに小児科を設置いたしますとともに、二次救急医療を開始いたしました。
 さらに、地域の小児科医と協力して初期救急医療を積極的に実施するなど、医療内容の充実に努めてまいりました。今後とも、都立清瀬小児病院や府中病院はもとより、民間医療機関と連携しながら、地域の医療体制を一層強化してまいります。
 次に、都立病院及び公社病院における医師の確保、育成についてでございますが、これまで、それぞれが臨床研修医を受け入れながら、初期臨床研修におきましては、都立病院が公社病院の研修医を受け入れるなどの協力をしてまいりました。
 今後は、それぞれの医療機能の特徴を生かしまして、専門性の高い医療分野におきましても、相互の連携を一層強化することによって、優秀な医師の確保、育成に努めてまいります。

○議長(川島忠一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時三十一分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 九十七番初鹿明博君。
   〔九十七番初鹿明博君登壇〕

○九十七番(初鹿明博君) まず、都政運営、中でもオリンピックについて伺います。
 先月十二日、都は、二〇一六年東京オリンピックの基本方針を発表しました。その中で、二〇一六年の東京の都市像を明らかにし、これを都市戦略と位置づけるとしています。
 都議会民主党は、かねてから、今後の都政における長期構想を策定することを求めてきました。前定例会においても、二〇一二年オリンピックを開催するロンドンにロンドンプランがあるように、二〇一六年オリンピックに向けて東京のまちづくりの長期構想を策定し、財政面も含めて、確かな都政の道筋を示していく必要があると述べたところです。
 あたかも私たちの声に呼応するような形で、都は、二〇一六年の東京の都市像の策定をオリンピック基本方針に盛り込みました。さらには、石原知事みずからがロンドン市に飛び、リビングストン市長と会談するとともに、共通の都市問題の解決に向けた包括的な政策協定を締結したと聞いています。
 まず、今回のロンドン市訪問の意義と政策協定を結んだねらいについて、知事に見解を伺います。
 ロンドンプランでは、将来にわたるロンドン市の発展を構想し、郊外のグリーンベルトを維持し、中心市街地では都市開発を積極的に進める、開発度が低く移民などが住む貧困地域イーストロンドンを集中的に開発する、そこには商業施設や国際コンベンションセンターなどの観光施設を配置するとしています。そして、このプランで構想した都市像を具現化するためにリビングストン市長が導き出した答えが、イーストロンドンをメーン会場とした二〇一二年オリンピック招致だったのです。
 ロンドンと同様に東京においても、目指すべき未来の都市像がまず先にあって、その中にオリンピック招致が位置づけられるべきです。今回の二〇一六年の東京の都市像は、オリンピック基本方針の中の一項目として打ち出されたものであり、現時点では、招致に向けた道具立ての一つでしかないという印象を受けます。
 そこで、二〇一六年の東京の都市像の今後の都政における位置づけと、策定に向けた基本的な考え方を伺います。
 今までの石原都政は長期的視野に立った展望が欠けていたと、私たちに限らず、都政にかかわる多くの人が指摘してきました。今回の二〇一六年の東京の都市像が、今後十年間において、東京のまちが、そして都政が目指す姿を明示する日本版ロンドンプラン、東京プランとなることを大いに期待しています。
 この都市像について、知事は、オリンピックを核とした東京のリフォームのグランドデザインを示す、もっと機能的な都市で、環状線もできれば、二〇一六年には随分変わっていると語っています。しかし、そうしたハード面ばかりでなく、ソフト面、社会政策の面からも、東京の目指すべき都市像を語ってほしいと思います。
 ロンドンプランでも、社会的包容力を高め、貧困と差別に取り組むことを政策目標の一つとして掲げています。オリンピック招致においても、そうした理念を招致計画に盛り込み、それがロンドンに対する高い評価にもつながったといわれています。
 スポーツに夢を描く子どもたち、江戸しぐさを身につけた江戸っ子の末裔たち、そして東京を訪れる世界じゅうの人々が生き生きと生活し、都市の活力につながる、そんな東京の目指す社会の姿を構想していただきたいものです。知事の見解を伺います。
 さて、オリンピック基本方針についてです。
 先日、メーンスタジアム、選手村、メディアセンターの主要三施設の予定地を視察し、施設がこれだけ近くに配置されるオリンピックは過去に例がないと感じました。都が新たに用地を購入する必要のない点も評価はできます。しかし、国際社会に訴えかける理念の面では、不十分という感が否めません。
 理念をめぐっては、既に二月、有識者による基本構想懇談会の報告書が発表され、私たちは第一回定例会の代表質問で、国際社会に通じる理念としては不十分だと指摘し、知事も、あの報告書が十全のものだとは思っていないと答弁されています。しかし、私たちの見る限り、今回の基本方針も、懇談会の報告書を基本的にただ踏襲しただけのように思われます。
 アジアで初めての二回目のオリンピックを前面に出し、さきの所信表明でも強調されていますが、果たして世界の人々にどれだけのアピールになるのか、甚だ疑問です。ロンドンの成功から、近年のオリンピック招致では理念の重要性が増してきたといわれています。どのような理念を打ち出すかは、国内選考を行う五十五名の投票行動にも大きく影響するはずです。
 今月末には、開催概要計画書をJOCに提出することになります。基本理念は、都としての国際性や特徴を反映させねばなりません。締め切りを前に、東京はどのような理念を打ち出すのか、今の理念で十分と考えているのか、基本方針を書いたという知事自身に率直に伺います。
 さて、開催概要計画書の中では、財政計画の提案を行う必要があります。招致経費や大会運営費、その調達方法がいよいよ明らかになります。都議会民主党は、都に対し、オリンピックの招致と開催に伴う財政的な見通しを可能な限り早急に明らかにすることを再三再四求めてまいりました。
 都は、主要三施設や開催概要を定めているので、財政計画にも一定の見通しをつけているはずです。しかし、いまだに概要も示していません。本来ならば、都民が最も気にしている財政計画は今定例会前に発表し、議会で議論をすべきだったのではないかと思います。
 福岡市は、既に開催計画と概算費用の試算を出しています。それにとどまらず、都は計画案も費用も出し切れていないと批判までしています。石原知事の発信力に専ら頼り、都から具体的な情報が発信されていないことが、都民の招致機運の低さにつながっていると思います。
 開催概要計画書を提出する今月末を待たずとも、一つ一つ積極的に情報開示を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 都が基本方針を発表してから一カ月、多摩地域から苦言が寄せられています。調布、八王子、羽村、府中の市長が相次いで、多摩地域を含めた大会にすべきだとか、コンセンサスをとってから招致するのがルールではないかと、都に対して異論を唱えました。羽村市長からは、多摩地域四百万人の民意を無視している、失礼千万な話だとの厳しい批判も聞かれています。
 都内の区市町村議会におけるオリンピック招致決議も、決議をしない瑞穂町を除き、いまだ三十一の自治体で採択されておらず、六月議会での採択が急がれています。第一回定例会でも触れましたが、そもそもオリンピックは、都道府県ではなく都市が招致するものです。招致に成功したロンドンでは、三十二のロンドン区の役割も大きかったとも聞きます。その意味で、区市町村全体の賛同と協力を得ることは、招致活動を進める上で死活的に重要なことと考えます。
 例えば、聖火リレーに多摩地域を組み込む、一校一国運動を多摩や島しょ地域を含めて展開するなど、考えられる取り組みはたくさんあるはずです。オリンピックをめぐる多摩地域の厳しい声にどのようにこたえていくのか、所見を伺います。
 IOCは、九四年のオリンピック百周年会議において、環境をスポーツ、文化とともにオリンピック精神の第三の柱とすることを宣言しました。二〇〇〇年のシドニーオリンピックはグリーンオリンピックともいわれ、以降、環境はオリンピックの重要な要素となっています。
 東京オリンピック基本方針では、基本コンセプトに、環境を最優先した大会を掲げています。しかし、環境への取り組みは、オリンピック招致の可否にかかわらず、より大胆に進めていく必要があります。
 二〇一二年の開催都市であるロンドンは、二〇〇四年二月に策定したエネルギー戦略の中で、CO2排出量を二〇一〇年までに一九九〇年比で二〇%削減し、二〇五〇年までに二〇〇〇年比で六〇%削減するという目標を掲げています。一方で、東京の二〇〇三年度のCO2排出量は、一九九〇年度比で約二四%も増加しているのです。
 オリンピック基本方針と相まって、都は、環境審議会に環境基本計画の改定を諮問し、世界一の低CO2型大都市を目指すことなどを掲げています。低CO2型の大都市とはどのような都市なのか、現段階でははっきりしませんが、今後の検討の中で、大胆なCO2の削減目標が掲げられることを期待します。
 地球温暖化対策も含め、どのような考え方で環境基本計画を改定していくのか、石原知事の所見を伺います。
 一九六四年の東京オリンピックの結果、東京には環境と景観の面で大きな負の遺産が残りました。日本橋及びその左右の河川上にかかる高速道路です。先月、私は、都議会民主党の有志と韓国ソウル市を訪れ、ソウル市内を流れる川、清渓川の復元事業を視察してきました。清渓川を覆っていたコンクリートや高速道路は撤去され、今ではソウル市のにぎわいの中心となっていると感じました。心配された高速道路の撤去による渋滞悪化も、それほど大きな問題となってはいないようでした。
 現在、日本橋周辺の高速道路の移設、撤去については、国の日本橋川に空を取り戻す会で検討中であり、昨日の会議では、地下案に内定したとも報じられています。しかし、地下案の事業費は四千億から五千億円ともいわれ、実現のためには、さらなる財政的な工夫が不可欠です。
 知事は、日本橋そのものの移転といったアイデアなども出されていますが、高速道路の移設、撤去は、日本橋の景観だけでなく、魅力ある水辺空間を再生することで、にぎわいのあるまちを創出することにもつながるのです。
 そこで、日本橋周辺の高速道路の移設、撤去について、都の見解を伺います。
 次に、臨海副都心開発について伺います。
 先月十二日、東京テレポートセンターを初めとする臨海三セク三社が、民事再生手続の開始を申し立て、事実上破綻しました。負債総額は約三千八百億円、三セク破綻としては全国最悪です。
 私たち都議会民主党は、これまで再三にわたり、臨海三セクの法的整理や民間事業者への売却など抜本的な見直しを求めてきましたが、今回の申し立ては、経営破綻に至った原因や責任を棚上げにしたまま、都がこれまで以上に関与してビル事業を継続していくという、抜本見直しにはほど遠い内容となっています。
 さらに驚くべきなのは、これだけの全国最悪の三セク破綻事例でありながら、三セクの経営者も都も、だれひとりとして責任をとる者がいないということです。民間企業のこのような大規模な経営破綻で、経営陣がだれひとり責任をとらなかったら、社会から、マーケットから、どのような評価を受けるでしょうか。ましてや、つぎ込まれたのは都民の税金、財産なのです。
 臨海副都心開発には長い歴史的経過があり、現経営陣にすべての責任があるとはいいませんが、しかし、事実上の経営破綻という状況に立ち至った以上、少なくとも現経営陣は責任をとって、即刻退陣すべきなのではないでしょうか。まずそのことを申し上げておきます。
 もちろん、都も責任を免れるものではありません。都は、臨海三セクの経営安定化策を平成十年に策定し、平成十四年に中間見直しを行っています。そして、今からつい半年前には、金融機関は引き続き臨海三セクを支援していくとか、経営改善に一定の成果を上げているなどと、極めて楽観的な答弁をしていました。
 現実には、そのわずか半年後に、銀行側から借りかえ拒否という最後通牒を突きつけられ、民事再生法の適用申請という決断を余儀なくされたのですから、都の見通しは全く甘かったといわざるを得ません。こうした都の経営感覚のなさ、危機意識の欠如にこそ破綻の原因があったのではないでしょうか。加えて、破綻した三セク三社の歴代社長は、すべて都からの天下りで占められているのです。
 今回の民事再生では、三セクの経営陣と同様、都の歴代の担当者もすべて責任が不問に付されていますが、そもそも都は、この三社が三セク史上最悪の破綻に立ち至った原因と責任をどのように認識しているのか、伺います。
 民事再生を発表した記者会見で石原知事は、あのころは、日本全体がバブルに乗ってすってんてんになった、その一例でしかないと他人事のように話しました。しかし、石原知事には何の責任もないのでしょうか。今から一年前、東京ファッションタウンなど二社が経営破綻した際、石原知事は、臨海三セクは経営黒字で、破綻した二社とは違うと強弁しておりました。そういいながら、わずか一年後にこの結果です。トップとしての見通しはどうなっていたのでしょうか。
 石原知事、あなたは、三セク史上最悪の経営破綻を招いた責任は自分には全くないと考えているのか、見解を伺います。
 さて、今回の民事再生スキームでは、三セク三社のビル事業について、都がこれまで以上に関与を強めて、継続していく内容となっています。私たちは既に昨年九月の都議会で、例えば臨海副都心建設が所有する三棟のフロンティアビルは民間に売却できないかなどと提案してきました。これに対して都は、地下に地域冷暖房などの熱供給施設があることなどを理由に難色を示しています。
 しかし、コジェネレーションなどの技術革新が進む中、そもそも地域冷暖房という大がかりなシステムをいつまでも維持する必要があるのかといった掘り下げた検討がなされたのでしょうか。竹芝地域開発には、熱供給施設がないビルもあります。最低限、臨海副都心開発と関係のない竹芝地域開発のビル事業は、民間への売却が可能なはずです。
 臨海三セク三社の処理に当たっては、改めてビル事業を民間へ売却するなど、抜本的な見直しをすべきと考えますが、見解を伺います。
 さて、都は、臨海三セクの破綻にあわせて、仮称臨海ホールディングスという持ち株会社構想を発表し、破綻した三セク三社などの子会社化を打ち出しています。これについて石原知事は、臨海地域のエリアマネジメントを強化し、オリンピックの運営にも大きな効果をもたらすと胸を張っています。臨海三セクの破綻さえオリンピックに結びつけて正当化する石原知事の所信表明には、正直、驚いてしまいました。
 しかし、三セク処理のスキームづくりの段階で、臨海地域と関係ない住宅供給公社との統合が報道されたことなどから見ても、エリアマネジメントの強化というのは全くの後づけの理屈であって、現実には持ち株会社構想は、三セク破綻に対する批判をかわすための窮余の一策であるとしか考えられません。もし仮に、持ち株会社構想でいうところの臨海地域のエリアマネジメントを行いたいというのであれば、まず臨海地域の将来ビジョンがなくてはなりません。
 既に第一回定例会でも述べましたが、オリンピック招致などの状況の変化にかんがみ、今こそ臨海地域の新たな将来ビジョンを策定すべきと考えますが、見解を伺います。
 持ち株会社と子会社の間では株式交換が行われ、ゆりかもめなどの子会社は臨海ホールディングスの一〇〇%出資になる一方、これまで子会社に出資していた民間株主は、株式交換によって臨海ホールディングスの株主となると思われます。その結果、臨海ホールディングスの出資比率は、都が五〇%以上になることが見込まれ、臨海地域の経営を都が直轄で進めていく色彩は、今まで以上に強くなります。
 しかし、そもそも臨海三セクが破綻したのはなぜだったのでしょうか。官僚とそのOBたちのもたれ合い体質、失敗してもだれも責任をとらない無責任体質がその原因だったのではないでしょうか。そう考えると、都の出資比率がさらに高まるであろう持ち株会社をつくるという今回の構想は、全く何の解決策にもなっていないことがわかります。官主導の三セク破綻をきっかけに、さらに大きな官営の持ち株会社が生まれるというのであれば、これはもう悪い冗談のような話です。
 そこで伺いますが、持ち株会社は、いつ、どのような形で設立されるのですか。また、持ち株会社は可能な限り都の出資比率を低め、民間の資金と経営ノウハウを導入して事業を進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、汚職の再発防止対策について伺います。
 去る四月十九日午後、都庁第二庁舎にある下水道局に、警視庁の捜査員が捜索に入りました。指名競争入札工事に関する収賄容疑で同局職員が逮捕されたのです。職員は、汚職防止の研修を受けていながら、親しい業者に入札情報を流すように持ちかけられ、外部に出していない工事の内訳表の写しを渡し、謝礼を受け取っていました。
 一方、昨年十一月、下水道局に、工事で情報漏れがあるのではないかと匿名の電話が入り、局内で調査を行ったということですが、特定はできなかったようであります。都としては、五年ぶり、平成に入ってからは六件目の汚職事件です。都庁全体で汚職の再発防止対策に全力で取り組むため、知事の指示に基づき汚職等防止委員会を設置し、つい先日、報告書が公表されました。
 都議会民主党も、これまで不正入札の防止などについてさまざまな指摘や提言をしてまいりましたので、大変注目をしていました。汚職等の再発防止に向け、例えば「汚職防止の手引」を改訂する、汚職等非行防止ビデオをつくるといった対応策が盛り込まれていますが、都民の信頼を回復するため、今後、どういった心構えでこれらの対応策に取り組んでいくのでしょうか、所見を伺います。
 また、汚職等非行防止ビデオの作成が対応策に入っていますが、どのようなビデオになるのでしょうか、具体的な内容を伺います。
 五年前の建設局主任による三宅島災害復旧工事をめぐる汚職事件では、都は、二十五億円以上としていた一般競争入札の実施範囲を九億円以上に広げるなど、入札及び契約関係における対応策を六項目発表し、取り組んできました。
 防衛施設庁の事件などを受け、現在、国や各自治体でも入札契約制度の見直しが行われており、国は、二億円以上の工事を一般競争入札の対象とすることを決めました。埼玉県は、五千万円以上の工事は一般競争入札の対象にすることができると決めています。
 しかし、都における一般競争入札の対象は、九億円以上の工事に限定されています。国が二億円以上の工事を対象とする中で、こうした対応は見直す必要があるのではないでしょうか。都においても一般競争入札の対象をより広げるべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、交通安全対策について伺います。
 今月一日から放置車両確認事務の民間委託が開始され、駐車違反の取り締まりも強化されました。この取り締まり強化に向けて各警察署は、重点的に取り締まりを行う場所、時間帯等を定めた取り締まり活動ガイドラインを策定、公表しているほか、駐車規制の見直しも進めています。このような周到な準備を重ねてきたことは評価しますが、今なおドライバーに周知されたとはいえません。
 報道によって、十分足らずの路上駐車でも違反のステッカーを張られるなどがクローズアップされ、不安が広がっているのも事実です。また、例えばそば屋の出前も駐車違反になるのか、急遽呼ばれた助産師がお産に立ち会っている間の車両も駐車違反になるのか、歩行が困難な高齢者や障害者を送迎、介護するボランティアなどの車両も駐車違反になるのかなど、さまざまな不安が広がっています。
 配達を行う運送業者にとっても、大手は二人一組にして、配達中は運転席に一人残すなどの対応が可能ですが、中小業者はそうした対応は不可能です。取り締まり強化は結構ですが、適切な配慮がなければ、取り締まり強化そのものが中小企業いじめになってしまう可能性も否定できません。
 取り締まりに当たっては、きめ細やかな運用、柔軟な対応を図るとしていますが、今述べた車両などについても柔軟に対処するよう求めるものですが、所見を伺います。
 路上駐車をしている人たちは、別にとめたくてとめているわけではありません。付近に駐車場が見つからず、やむを得ず駐車をしたという人が大半です。先月十七日に発表された駐車施設対策の基本方針案では、駐車場整備台数の伸びに対して路上駐車台数は横ばい、そして駐車場の利用率が低迷していることが示されており、これでは、あたかも駐車場整備台数は既に充足しているとの印象を受けますが、本当にそうでしょうか。確かに駐車場はマクロで見ればふえていますが、宅配のトラックや荷さばき車両などがとめられる駐車場がどこにあるのでしょうか。これらを次から次へと取り締まられたら、業者はたまったものではありません。
 そこで、トラックなどを対象とした駐車施設をふやすことなどが必要と考えますが、現在の駐車場の需給バランスについての認識と今後の取り組みについて、所見を伺います。
 駐車監視員に対する暴行による全国初の逮捕者は港区のミニバイクの運転者でしたが、都内では、自動二輪車用駐車場が圧倒的に不足しています。都内総合駐車場案内のs─parkに登録されている自動二輪車用駐車場は、平成十八年六月現在、七十七カ所、約千七百台にすぎません。これに対し、違法駐車の自動二輪車は一日約四千台で、半分も収容できないのが現状です。
 自動二輪車用駐車場の不足の解消方策としては、先日オープンした六本木六丁目オートバイ専用駐車場のように、首都高の高架下など未利用の都有地の有効活用や既存の自動車駐車場への自動二輪車の受け入れ促進などが考えられますが、自動二輪車用駐車場の確保に向けた都の今後の取り組みについて、所見を伺います。
 次に、小笠原諸島振興策について伺います。
 都議会民主党は、先月九日、四年前に続く二度目の小笠原視察団を派遣しました。今回の視察団は、インフラ整備がほぼ終了した小笠原諸島の今後の振興策、航空路の開設、世界自然遺産登録に向けた移入種対策を重点的に検証するため、派遣したものです。
 我が視察団は、大変熱心で優秀なガイドの方にご案内いただき、小笠原の自然環境が置かれている状況をつぶさに学ぶことができました。
 特に小笠原固有の貴重な動植物が外来種によって侵食されている状況は極めて深刻であり、世界遺産を目指すことからも、早急な対策が求められています。ガイドさんの話では、天然記念物であるアカガシラカラスバトが、ここ最近、野生化した猫などの影響で姿が見られなくなってしまったそうです。多くの侵略種の中でも、緊急度、駆除優先度の高いのは、植物ではアカギ、動物ではグリーンアノール、野生化した猫などで、これらの侵食によって、小笠原固有の動植物が急速に姿を消しつつあります。都として、これら外来種の早急な対策が求められていますが、今後の施策について伺います。
 次に、小笠原航空路の開設について伺います。
 私は、四年前の第一次視察団に参加し、当時の候補地であった時雨山に登り、空港建設などは余りにもむちゃな事業と感じた者の一人です。そのときも、時雨山の帰路、洲崎地区に立ち寄り、ここを何とか活用できないものかと考えておりました。今回の視察団もこの洲崎地区並びにその周辺を視察し、さらに高台から全景を眺めるとともに、小笠原村が実施した小笠原航空路開設への調査の概要について、非常に熱心な説明を受けました。TSLが幻となってしまった今、小笠原航空路開設に対する村民の期待には非常に切実なものがあります。
 東京都も本年度予算に調査費を計上し、自然環境への影響、運航採算性、気象状況等の調査を実施することとしていますが、小笠原村の意向や国の動向なども踏まえ、東京都としても早急に今後の方策をまとめていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 さて、小笠原諸島におけるエコツーリズムは、南島においては大きな成果を上げていることが実感できましたが、母島石門一帯については多くの課題があると考えます。このコースは、母島の原生林の中を歩く、想像をはるかに超える難関コースであったということであります。道なき道を進み、急斜面を上りおりするコースで、寸断された道、そして土砂崩れの危険のある場所も少なくなく、斜面に張られたロープがまさにその名のとおりの命綱となっている箇所もあります。今後、利用者の人数の制限、上限、利用経路等について、自然環境のモニタリングの結果や地元の方々の意見を踏まえ、柔軟に見直していく必要があると考えます。
 また、エコツーリズムに際しては、自然ガイドの存在は極めて重要です。貴重な知識や経験を伴ったガイドさんがいるからこそ、エコツーリズムが成立することは明白です。しかし、現地を訪問してみると、ガイドさんの人数は入山定員を満たす状況には至らず、また、後継者のことも危惧されています。今後のガイド育成に関する東京都の所見を伺います。
 また、自然環境の宝庫であるすばらしい母島には、石門一帯のみならず、多くの自然観察に適したコースが考えられます。今回訪れた南崎のコースは、より多くの方々に母島のすばらしい自然環境を気軽に体感してもらうために適したコースですし、乳房山のコースもあります。また、北港周辺のかつての村落を一部復元してビジターセンターとしたり、これらと母島周辺のダイビングポイント、パッションフルーツの果樹園などを有機的に結合することなどによっても、母島の観光資源としての価値を高めることができます。こうした母島全島をエコミュージアムとし、その魅力を高めるとともに、入島に際してのマナーや島内観光のルールを徹底することによって、島の自然保護にもつなげていくことができます。
 島民の生活を守り、自然保護と観光とのバランスに配慮した小笠原振興策を地元の皆様とともに検討していく必要があると考えるものですが、所見を伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 去る六月三日、港区の運営する区民向け住宅のエレベーターで、高校生が挟まれ、亡くなるという痛ましい事故が発生しました。私たちの生活に不可欠なエレベーターの安全性に重大な疑問符が投げかけられる事態となり、住民には不安が広がっています。
 そんな中で、都は、事故発生直後から、都営住宅などのエレベーターの緊急調査点検を開始し、シンドラー社製については今月二十六日まで、その他の会社のものについては七月上旬までに完了させる方針を明らかにしています。当初は対象が住宅のみでしたが、都が管理するすべての建物に対象を拡大したことも含め、迅速な対応として評価をしたいと思います。
 しかし、自分たちが乗っているエレベーターは安心なのかという都民の不安を解消するには、速やかな調査点検はもとよりですが、その結果、安全性が確認されたエレベーターは、そのことがわかるように、住民や利用者への周知を徹底する必要があります。エレベーターの緊急調査、点検結果の周知の方法について所見を伺います。
 最近、都営住宅と旧公団の賃貸住宅のひとり暮らし世帯における孤独死の多発が新聞で取り上げられています。玄関先で意識を失って、助けを呼べず衰弱して亡くなった人、皮膚病にかかり、かきむしってはがれた皮膚が粉雪のようにうっすらと部屋に積もっていた人など、胸が痛くなるような事例が新聞のルポで紹介されています。
 これは都営住宅や旧公団住宅だけに生じている特異現象ではなく、東京全体が抱える非常に重大な問題であると私たちは受けとめています。団地における孤独死ゼロ作戦を支援している松戸市では、平成十五年に孤独死の実態調査を行ったところ、年間九十件もの孤独死の発生がわかったということです。都営住宅における孤独死は、昨年一年間だけでおよそ三百件も発生しています。悲しい孤独死がなぜ続いてしまうのか、都営住宅における高齢化や低所得化の状況、自治会活動の状況なども含めたコミュニティとしての都営住宅に関する実態調査が必要と考えますが、所見を伺います。
 都営住宅全体の名義人の年齢構成を見ると、現在六十五歳以上が約五二%に達しています。また、都営住宅の居住者に関するある調査では、過去八年間で、収入最低区分世帯が四九%から七七%、家賃減額適用世帯が四一%から六五%にはね上がっているという数字が出ています。このように、都営住宅では私たちの想像をはるかに超えた極端な高齢化と低所得化が進行しており、先日出された住宅政策審議会答申でも課題として挙げられています。
 もともと都営住宅には入居資格として所得の上限があり、低所得者や高齢者が集住することになるのはやむを得ない側面があることも否定できません。しかし、都営住宅を含む地域全体が、高齢者だけの世帯や極端な低所得者だけの世帯、あるいは社会的な援助を必要とする世帯だけで構成されると、隣同士の日常的な交流や地域活動が停滞し、地域全体の活力が失われる、コミュニティバランスの崩壊といわれる現象が引き起こされます。先ほど申し上げた孤独死の問題も、都営住宅におけるコミュニティバランスが崩れてきていることを示す現象ではないでしょうか。
 医療や福祉の面での対策もさることながら、このような地域におけるコミュニティバランスを回復させるという観点からの住宅政策が、孤独死への抜本的な対策の一翼を担うのではないかと考えます。住宅政策におけるコミュニティバランスの重要性に対する都の認識について所見を伺います。
 都が都営住宅に若年ファミリー向け期限つき入居制度、巡回管理人制度など、高齢化への対応を実施していることは承知しています。しかし、それだけではまだまだ不十分であり、都営住宅とその周辺地域のコミュニティバランスを保持、回復するための緊急対策が必要と考えます。
 国土交通省も、昨年末の都道府県あて通達で、公営住宅団地等を含めたコミュニティバランスへの配慮を求めています。そのためには、例えば通達にも示されているようないわゆるみなし特定公共賃貸住宅制度の活用や、住政審答申でも提言されているような、民間賃貸住宅に対する家賃補助の検討、地域を支えるNPOに対する積極的な支援などが考えられますが、所見を伺います。
 次に、子育てについて伺います。
 厚生労働省が一日に発表した二〇〇五年の人口動態統計によりますと、合計特殊出生率は一・二五と、前年より〇・〇四ポイント低下し、過去最低を更新しました。東京都においても〇・九八と、改善の兆しが見えていません。子どもを何人産むかは個々人の価値観や人生観によるもので、行政が産めよふやせよといったところで、改善する見込みがないことは理解しますが、子育てしやすい環境を整えることによって、産むことをちゅうちょしている人たちが、子どもを産む選択をするように促していくことは必要だと考えます。
 都はこれまで、認証保育所の整備など子育て環境の整備に取り組んできました。認証保育所の認知度も高まり、都内各地で三百二十七カ所、九千七百人の定員まで増加しましたが、施設型の保育で対応できないような都市型のニーズをカバーするための新たな取り組みを始める時期に来ていると考えます。
 例えば認証保育所は十三時間開所を義務づけられていますが、東京には深夜や休日、祝日に働く父親や母親も多いはずです。スポット的にごく短時間だけ保育を必要とする父親や母親もいることでしょう。このようにさまざまな働き方がある大都市東京において、保育のすき間ともいえるところに十分に対応していくのは、施設型だけでは限界があると考えます。そこで、家庭福祉員やNPOなど、みずからの自宅で子どもを預かる家庭的な保育を今まで以上に活用することが必要だと思われますが、所見を伺います。
 さて、保育園に子どもを預けている親にとって、子どもがインフルエンザやプール熱、おたふく、水ぼうそうなど、病気になったときが大変です。一日、二日は仕事を休めても、それ以上となると。しかし、子どもが熱も下がり元気になったとしても、感染のおそれがなくなったと医師の証明がないと通園できません。さらに、兄弟がいる場合は、一人が治ったと思ったらもう一人が、と何日仕事を休めばよいかわかりません。保育園に子どもを預けている親にとって、病児・病後児保育の充実が、仕事と子育てを両立していく上で最も必要なのです。病児・病後児保育に取り組む施設はまだまだ足りません。施設をふやすことはもとより、病児・病後児保育に取り組んでいるNPOなどの力を活用していくことも必要だと考えます。所見を伺います。
 東大和市で、たんの吸引が必要な女の子の入園を認可保育園が断り、訴訟になっている事件は記憶に新しいですが、この例を挙げるまでもなく、障害児や難病で特別なケアや配慮の必要な子どもたちの受け入れが十分に進んでいると、胸を張っていえる状況ではありません。認可保育園を断られた子供たちの受け皿として認証が、さらに認証を断られた子どもたちの受け皿としての役割を家庭的な保育が担っているのが現状です。また、難病などで特別なケアの必要な児童を預かるには一定の知識が必要となりますが、現在、認可保育園にも認証保育園にも、特別な知識を備えている人材が十分にいるかといえば、甚だ疑問です。都が先頭に立って、難病など特別なケアの必要な児童の保育の担い手を育成していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 東京新聞の夕刊で連載をされている「歩くように 話すように 響くように」という、生まれながらに難病ミトコンドリア病を患っている娘さん、響ちゃんとの日々の生活をつづったコラムをご存じでしょうか。先日、このコラムの筆者の堀切和雅さんと会ってお話を伺いました。入園を受け入れてくれる幼稚園探しに大変苦労したというお話や、実際に入園した後、心配していた、いじめを受けるのではという不安は見事に外れ、子どもたちが響ちゃんの世話を競ってするようになっているということ、そして健常児と一緒にいることによって、障害のある響ちゃんが著しく発達していること、つまりは障害児にとっても健常児にとっても、成長していく上でプラスになっていることなど聞かせていただきました。
 堀切さんもコラムで述べていますが、この社会は障害者がある割合で必ずいるのだから、偏見や差別心の育っていない幼児期から、同じ空間に当たり前のように障害児がいることが子どもたちの成長にとって必要だし、また、まだそんなに競争はしなくていい幼児期だからこそ、障害児と健常児が友人としてともに刺激をし合いながら成長していくことができるのだと考えます。そして、競争が始まる小学生になっても、それから後も、そのころの気持ちは心のどこかに残り続けるのだと思います。
 小学生になると、障害児は公立小学校の身障学級や盲・ろう・養護学校へ入学しますが、就学前は公立幼稚園、私立幼稚園、保育園、療育機関など、さまざまな機関で受け入れられており、その受け入れ状況もさまざまです。現状では、就学前の障害児を保育所や幼稚園で受け入れることが当たり前という大前提もなく、受け入れに対する公的支援も不十分です。幼児期から障害児と健常児が一緒に過ごせるようにしていくことは、非常に重要な課題なのです。
 また、これとは別に、ケアの継続という課題があります。それぞれの制度の中で個々の関係では真摯な取り組みが行われていて、そこには障害児一人一人とケアをする人との間で積み上げられてきた蓄積があります。しかし、年齢が上がれば、これまで通っていた機関から、小学校、中学校、あるいは養護学校へと進んでいくのであり、ずっと同じ人にだけケアを受けるわけではありません。特にこれまでは就学前にかかわる機関と学校との連携が十分ではなく、義務教育への就学を境に、それまで行われてきたケアが継続されないという問題がありました。地域において障害児と関係機関が蓄積してきた情報を生かして支援を行えるようにしっかりと連携し、就学を境にそれまでと断ち切られることがないようにしなければなりません。就学がスムーズに進むように、また、就学前の情報が学校生活においてもきちんと生かされるようにすることが必要だと考えます。教育長の所見を伺います。
 医学が進歩したことによって、これまででは救うことのできなかった多くの命が救われるようになりました。すべての命は等しくとうといものであるという社会の要請があるからこそ、多くの方々が努力を積み重ねて治療法を生み出してきたのでしょう。であるとすれば、この社会はその後もそのとうとい命の生活に責任を持つべきだと考えます。しかし、現実は、未就学の段階から、保育園に預けられない、幼稚園に通えないといった壁にぶつかってしまっています。障害者自立支援法が施行となり、この法律の理念どおりに進んでいくとするならば、今まで以上に多くの障害者が社会の表舞台に出てくることとなるはずです。その一方で、医学の進歩によって、最重度の心身障害者も増加していくでしょう。
 これからは、ほっとするから、人生について考えさせられるから、といった健常者にとっての有用性から障害者とともに暮らすことが望まれるのではなく、ただ生きているだけでいいを是とする社会がつくられなくてはならないと考えます。ハード面の整備や施設の充実なども必要でしょう。しかし、それ以上に、障害者もその家族も、そして健常者も意識の変革が必要なのだと思います。
 この代表質問でロンドンプランのことを再三取り上げました。その根底にあるのは、ソーシャルインクルージョン、社会的包容力という考え方です。弱者や援助の必要な人たちを社会から排除するのではなく、社会の一員として受け入れること、そのことこそが今必要とされているのではないでしょうか。
 私は、首都東京が国際社会の中で都市間競争に打ち勝つ、父親のような強い都市であることも必要だと思います。しかし、それ以上に、弱者を疎外せず、すべてを肯定的に受け入れ、大きく胸を広げてすべてを抱える母親のような社会になってこそ、世界に誇れる成熟した都市、世界から尊敬を受ける都市といえるのだと考えます。
 東京において、障害のあるなしにかかわらず、すべての方々が生きにくさを感じることなく過ごすことのできる真のノーマライゼーションを実現することが必要だと考えますが、知事の所見を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 初鹿明博議員の代表質問にお答えいたします。
 新人検事さんの論告のように、大いに気張った質問で、私も愛聴いたしましたが、それにしても大きな声ですな。
 ロンドン市との話し合いについてまずお答えしますけれども、総じて私が感じた強い印象は、彼らがオリンピックというイベントを、理念もさることながら、実に実務的、実利的に認識して、それを活用しようという、そういう基本的な姿勢でありました。
 ロンドンは、東京同様、非常に機能の集中した、それに伴う環境、交通問題の顕在化など、極めて東京と類似した状況に置かれております。また、オリンピックの開催と、それを契機とした都市のリフォーム、つくり直しという共通の目標を有しておりますが、ただ、ロンドンの場合には、日本と違って、イーストロンドンという非常に広範囲の、しかも手つかずの、非常に粗雑なままに放置された地域がありまして、それを再生させるという非常に集約的な目的があるわけですけれども、日本の場合には、ロンドンに比べますと、こういう広域が手つかずにあいているという、活用されていないというところはございません。
 ただ、やはり問題は、いわゆる木密地域という、災害に非常に弱い地域がかなりの部分、かなりの広範囲にあるということでありまして、そういう点では状況も違っていると思いますが、いずれにしろ、ロンドンの場合には、イギリスすべての土地が王様の土地であるという一種の黙約がありまして、収用も割と簡単に一方的にできる状況にありますが、日本の場合にはそうはいきません。その点、東京は、既に手つけている、完成間近な広大なスペースがお台場にもあるし、また、移転する築地にもあるということで恵まれていると思って、これを向こうも非常にうらやましがっておりました。
 いずれにしろ、こうした課題に共同して取り組むべきという思いは両者の共通したものでありまして、今回の会談の結果は、都市の再生、交通政策、環境問題、治安対策、そしてスポーツ・観光振興、文化の交流という六つの政策分野で連携していくことに合意をいたしました。この提携によりまして、両都市に共通する政策課題の解決を図っていくために実務的な協力関係を構築することができたばかりでなく、東京自身も東京オリンピックの招致に弾みがついたものと考えております。
 次いで、東京が目指す将来の姿についてでありますが、これは、大きなのや小さなのや、具体的な問題でありまして、いずれにしろ、東京はかなりの部分、充実、成熟していると思いますが、致命的な欠点は、再三申しておりますように交通事情です。このほったらかしにされていた圏央道、中央環状という環状線ができましたら、東京の非常に大きな欠点、唯一とはいいませんが、大きな欠点であります渋滞は、完成と同時に速やかに緩和されるわけでありまして、そういう点で、これをいかにきちっとした国のテーブルに高いプライオリティーでのせるかということが肝要だと思いますが、その努力もしてまいりましたけれども、いずれにしろオリンピックがその引き金になればと思っております。
 昔から歌にも、ぼろは着てても心はにしきというような言葉がありますが、しかし、やはり都市はハードが整備されなければ、そこに住む人間たちのソフト面での充実もあり得ないと私は思います。
 次いで、東京オリンピックの基本理念についてでありますが、ロンドンと話しまして、お手元にもこの資料を配ったと思いますけれども、幾つかなるほどなと思ったことがありますが、ロンドン自身も、オリンピックの基本理念というのは、周囲の情勢が変わるたびに随分変えたと、くるくるくるくる。どういうふうに変えたかはつまびらかにしませんけれども、これは何もオリンピックの招致の決定の決して決定的な理由にはならない。それはそうでしょう、これから世界情勢がどう変わるか知りませんが、もちろんオリンピックというのは要するにスポーツの祭典でありまして、これは平和と友好、発展ということは論を待たないわけでありますけれども、それプラス、さらに具体的にそれをどういうふうに理念としてパラフレーズするかといえば、これはやはり状況の変化に応じて違ってくると思いますし、また、かなり抽象的ないい分に聞こえるかもしれませんが、今までなかった――ロンドンまでが恐らく二十世紀の形のオリンピックでありましょう。
 私は、コー氏にも、ほかのもう一人の委員にもいいましたが、東京がやろうと思っているのは、世界にない先端技術を駆使した、今までに全くなかった形のオリンピックというものを必ず実現してみせる。具体的にそれは何かといわれれば、ちょっと手の内を明かすわけにはいかないので、今ここで申しませんし、どこかの国に盗まれたらえらいことになりますから。そういった点、幾つかさらに具体性のある理念といいましょうか、特性というものを、私たちはこの東京ならでは、必ず実現できると思っております。
 それから、ついでに申しますと、三多摩の協力云々ということがありましたが、これはやはり三多摩の首長さんたちにもわかっていただきたいんですけれども、IOCが設けている原則があるわけですよ、コンパクトな、半径十キロ以内でほとんどの競技をやってくれという。これはロンドンもかなり無理してそれをやっていますが、東京の場合には非常に僥倖として、埋め立ても進んでおりますし、新規に、ロンドンのようにあるいは福岡のように、これから土地をかなり収用する、そういう労力を費やさずに、既存のものあるいはこれからでき上がっていくものを活用してできるわけでありまして、ただ、パリが部分的には非常にロンドンよりもすぐれたものをミッションしていました。しかし、結局パリがロンドンに敗れたのは、やはり二つに分けた、あれはクラッシュというんでしょうか、二つの地域にそれぞれ集約してオリンピックの施設があるんですけれども、それそのものが選手村からいかにも遠いということで、パリは失格したわけです。
 そういった事情というものも三多摩の首長さんにも理解していただきたいのと、何も三多摩を疎外して、都心部だけでオリンピックをするわけじゃない。オリンピックが東京に決まれば、そのための予選の会場であるとか練習の会場とか、これは当然三多摩に協力をいただくわけでありまして、決して三多摩を疎外してオリンピックが成り立つわけでもありませんし、その他この他、その前にも国体が再び行われるわけでありますから、そういったことで私はオリンピックに対する三多摩の方々の意識も集中して、私は必ず東京のオリンピックに三多摩の方々も熱い声援を送っていただけると思っております。
 次いで、環境基本計画の改定についてでありますけれども、都は、平成十四年に策定した環境基本計画に基づき、ディーゼル車排出ガス対策に積極的に取り組み、大気汚染の大幅な改善も達成するなど、成果を上げてきましたが、十年後のオリンピック開催も見据え、東京をさらに快適で安心して住み続けることのできる都市としていくために、環境基本計画を改定いたします。
 改定に当たっては、中長期的な二酸化炭素削減数値目標の設定や、再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大など、新たな方策の検討を行い、さらなる環境施策の展開を図っていくつもりでございます。
 いずれにしろ、かつて私、大学時代、もう数十年前ですけれども、東京で講演した、ホーキングという、ブラックホールの発見者の講演を聞きましたが、やはり文明が地球のように進みますと、非常に悪い循環が蔓延していって、そういう惑星というのは非常に不安定になって、宇宙全体の時間からすれば瞬間的に消滅するということをいっていましたが、ゴキブリやカラスが生き残っても、存在というものを認識できる、意識できる人間が死んでしまったら、そういう意味ではこの地球は存在しないわけですから、私たちはやはり、先ほども申しましたけれども、ちりも積もれば山となる、そういう心がけで、まさに地球が滅びるとも、やはり我々はリンゴの木を植えていかなくちゃならないと思っております。
 次いで、臨海三セクの民事再生申し立てについてでありますけれども、就任時、臨海副都心開発は、バブル経済崩壊の影響を正面に受け、破綻寸前の状況にありました。しかし、この間、関係者の協力、努力とさまざまな創意工夫を凝らした結果、何とか綱渡りで、しかし、やはりいまだに際どい状況にありますが、とにかくここまで来ましたけれども、反面うれしいことに、今や臨海副都心は、仮の施設もございますけれども、年間四千万の人が訪れる一種の大きなリゾートになってまいりました。それを踏まえれば、東京の新しい魅力を発信する地域にこれからなり得ると思います。
 臨海三セクの民事再生による経営再建は、都民への一定の負担を伴いますけれども、これにより長年の借金が解消され、開発へのさらなる貢献が期待できると思っております。
 今後とも、経済金融情勢を的確にとらえ、臨機応変に対応しながら、臨海副都心開発を一層力強く進めていきたいと思っております。
 それから、ノーマライゼーション、何でこれ英語を使うんですかね。日本語で何というんですか。要するに平均化というんですか、みんな公平ということですか。いずれにしろ、要するに、どのようなハンディキャップを負っていようと、人間はそれぞれ異なる個性と能力を持ち、また、それなりにはかり知れない可能性を秘めたものであります。
 五体不健全ですか、乙武さん、あの本を書かれた彼も……(「五体不満足」と呼ぶ者あり)「五体不満足」。彼とも話しましたが、彼を見ていると、人間の可能性というのはこういうところにあるんだな、さらにあるんだなという感じがします。
 いずれにしろ、我が国には元来、人間の存在を慈しみ、とうとぶという独自の価値観がありまして、障害のある人もない人も、社会の一員として互いに尊重し支え合いながら、ともに生きる社会を実現するための土壌が、文化的にも伝統的にも、人間の、日本人の情念としてあります。
 都は今後とも、だれもが地域で人間としての尊厳を持って暮らすことのできる社会の実現を目指し、一人一人が持つ可能性を引き出せるよう、障害者の自立を支援する取り組みを多角的に推進していきます。
 初鹿さん、あなたはオリンピックにいろいろ疑義もあり、不満もあるようですが、注文をつけるなら具体的に出してください、あなたの代案を。出してくださいよ。それがよかったら、いつでも採択しますから。どうかお願いいたします。
 その他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 放置駐車車両の取り締まりについてお答えいたします。
 駐車規制は、交通の安全と円滑を確保するために必要な規制でありますが、物流を初めとする社会活動に深くかかわりを持つものでもあります。
 当庁におきましては、今回の新法制の施行に伴い、都民生活への影響を勘案し、駐車規制の見直しを行い、規制の解除、緩和を実施したところであり、とりわけ物流に関しては、貨物集配中の貨物車を、場所、時間を指定して駐車禁止規制から除く路線を設けたり、パーキングメーターの駐車スペースを大型化して貨物車を駐車可能とするなどの対策を推進しております。
 また、一定の基準に従い、身体障害者手帳、愛の手帳等の交付を受けておられる方が使用する車両については、東京都公安委員会が駐車禁止等除外標章を、さらには、訪問して行う看護、介護、入浴サービス等のため使用する車両については、警察署長が駐車許可証を交付しており、事業者の方々にもこうした制度を活用していただいているところでありますが、引き続きこれらの制度についてさらなる周知を図ってまいりたいと考えております。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 障害のある幼児の就学に際しての支援についてのご質問にお答え申し上げます。
 就学前の時期から学齢期へのより円滑な就学を推進するためには、関係機関の地域における連携体制づくりが重要であります。
 そのため、東京都教育委員会では、就学支援に関するモデル事業におきまして、保育所、幼稚園、療育施設等と就学先となります小学校や養護学校等との相談支援のネットワークを構築するとともに、保護者と保育所、幼稚園等が協力して就学支援シートを作成し、その情報を学校の個別指導計画に反映させる新たな取り組みなどを試行しているところであります。
 今後、モデル事業の成果を、本年度中に就学相談に関するガイドラインにまとめまして、区市町村教育委員会に対して示してまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君) 二〇一六年の東京の都市像についてのお尋ねでございます。
 オリンピックが都市に加速度的な変革をもたらすことから、これをてこに、これまでの東京の自己変革をさらに進めていくことが重要であります。
 このため、二〇一六年の東京の都市像を明らかにし、これを都市戦略として位置づけ、策定に当たりましては、三環状道路の整備などによる高効率的な都市の実現や、世界をリードする環境対策の推進など、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくり変えることを目指してまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) オリンピックに関します二点のご質問にお答えします。
 まず、オリンピックの情報開示についてでございますが、これまでも、競技施設の検討候補地図、主要三施設の配置図などをお示しするとともに、先月には二〇一六年東京オリンピック基本方針を発表するなど、検討の段階に応じて適宜情報提供に努めてまいりました。
 お話しの財政計画は現在積算中でございますが、大会運営費については、二〇一二年開催予定のロンドンと同程度の三千億程度、また、施設整備につきましてはおおむね五千億程度、うち都の負担額は五百億円程度を見込んでございます。
 今後とも、国内選考等のスケジュールにのっとって情報開示を進めてまいります。
 次に、多摩地域への対応についてでございます。
 オリンピックの基本方針等につきましては、市長会あるいは町村会におきましてご説明を申し上げ、既にそれぞれから招致決議をいただいているところでございます。
 オリンピック招致を成功させるためには、都民、国民の幅広い支持を得ることが重要でございます。知事からも先ほど答弁さしあげましたように、来年以降毎年開催する東京大マラソン祭り、オリンピックの三年前に多摩・島しょ地区を中心に開催する東京国体、そのほか、多摩地域において練習会場として利用するなど、さまざまな取り組みを通じて段階的、継続的に招致機運を高め、東京都全体を盛り上げてまいります。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 都市整備に関する七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、日本橋周辺の高速道路の撤去、移設についてでございますが、首都高速道路は、一日約百十五万台が利用しており、首都東京の大動脈として、社会経済活動を支える重要な役割を担っております。
 現在、日本橋周辺の首都高速道路につきましては、都市景観などの観点から撤去、移設すべきとの議論があり、有識者の方々から成る日本橋川に空を取り戻す会が検討を行っているほか、国土交通省も懇談会を設置し、学識経験者、行政や地元関係者が参画して検討を行っております。
 しかしながら、これを実現するには、交通機能の確保や膨大な事業費を要するなど大きな課題がございまして、都としても、その検討動向を見ながら、関係機関と連携して適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、駐車施設の需給バランスと今後の取り組みについてでございますが、交通渋滞や事故の原因ともなっている違法駐車の解消には、適切な駐車施設対策を行うことが必要でございます。
 お尋ねの駐車施設の収容能力につきましては、地域や利用時間帯に偏りはあるものの、都内の瞬間路上駐車台数や利用率を勘案すると、全体では余力があるものと考えております。
 しかし、繁華街や駅周辺では、宅配トラックの荷さばきなどに対応した駐車施設が不足しており、都はこれまでも、関係機関の協力を得て、高架下を利用した荷さばき施設の整備、一部駐車場での三十分無料化、また駐車場の情報提供などに努めてまいりました。
 今後とも、区市町村等と連携し、駐車場の整備促進など駐車施設対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、自動二輪車用駐車場についてでございますが、近年、繁華街や駅周辺などにおいて、大型化傾向にある自動二輪車が違法に放置され、円滑な交通や歩行者の安全を阻害しており、その対策が求められております。
 都はこれまで、六本木での自動二輪車専用駐車場の設置のほか、公共駐車場において自動二輪車の受け入れの試行を実施するなど、駐車場の確保に努めているところでございます。
 本年五月には駐車場法が改正され、新たに自動二輪車が法に定める駐車場整備計画の対象車両として位置づけられました。
 今後は、法改正の趣旨や現在行っている試行の結果も踏まえ、関係事業者や区市町村等の協力を得て、自動二輪車用駐車場の確保に取り組んでまいります。
 次に、都が管理する建物のエレベーターの調査点検結果の周知についてでございますが、港区のエレベーター事故を踏まえまして、都においては現在、緊急点検を行っているところであり、その結果を周知し、利用者の不安を解消することは重要であると考えております。
 都が管理するエレベーターは、都営住宅や広く一般の都民が利用する劇場などさまざまな施設に設置されていることから、点検結果につきましては、施設の内容や特性に合わせまして、掲示などにより適切に周知を図ってまいります。
 次に、孤独死にかかわるコミュニティの都営住宅に関する実態調査についてでございますが、だれにもみとられずに亡くなるいわゆる孤独死は、少子高齢化の進展、家族形態の変化など、文明社会全体に深くかかわるものでございます。
 都営住宅においては、これまで、若年ファミリー世帯向け期限つき入居などにより、幅広い世代の入居を進めて団地の活性化に取り組むとともに、巡回管理人による高齢者世帯の支援を行ってまいりました。
 お尋ねの孤独死にかかわる実態調査につきましては、地元自治体などが幅広い観点から実施していくことが望ましいと考えております。
 次に、コミュニティバランスの重要性に対する認識についてでございますが、年齢や世帯構成、所得に偏りのないバランスのとれたコミュニティを形成することは、地域活力の維持向上、各種施設の効率的な利用等に寄与するものと認識をしております。
 都営住宅などの住宅政策を推進するに当たりましては、政策目的との整合性に留意しながら、可能な限りコミュニティバランスにも配慮していくことが重要と考えております。
 最後に、都営住宅とその周辺地域におけるコミュニティバランスの回復についてでございますが、都は、少子化対策の視点に加え、バランスのとれたコミュニティの形成に配慮し、期限つき入居制度の活用等により、都営住宅への若年子育て世帯の入居促進に努めております。
 また、地域の活性化にも寄与するものとして、老朽化した都営住宅の建てかえにあわせ、民間住宅や生活関連施設等の整備を一体的に行う事業にも取り組んでおります。
 今後とも、こうした取り組みを継続するとともに、住宅政策審議会答申も踏まえ、多様な人々がともに暮らすバランスのとれた地域社会の形成に努めてまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 臨海副都心開発につきまして、四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、臨海三セクの民事再生申し立てについてでございますが、これまで臨海三セクは、平成十年に策定した経営安定化策に沿って経営改善を着実に進めてまいりました。その結果、平成十七年度では六十億円の営業利益を上げ、七年連続の黒字となるとともに、初めて経常黒字を達成いたしました。また、この間、借入金残高を五百億円弱減らしてまいりました。
 しかし、臨海三セクは完済までに長期間を要する借入金を抱えており、金融情勢の変化が今後の経営に与える影響を勘案し、早期に債務を圧縮して経営基盤を強化するため、十分な再建見通しのもとに、民事再生の申し立てを選択したものでございます。
 都民への負担を伴う事態に至ったことについては、都としても厳粛に受けとめておりますが、今後とも臨海三セクを適切に活用していき、総仕上げの段階に入った臨海副都心を着実に推進することで都の責任を果たしてまいります。
 次に、ビル事業を民間へ売却すべきとのお尋ねでございますが、臨海三セクビルは、開発を支援するという目的に沿って建設され、インフラ施設の管理や多様な企業集積の拠点となるなど、利益追求だけではなし得ない公共的役割を担っております。
 都が責任を持って臨海副都心開発を進めるためには、三セクビルが投機の対象となって転売されることでテナントなどの進出事業者の信頼を失い、計画的なまちづくりに支障が出るような事態は極力避けなければならないと考えております。
 そのため、引き続き臨海三セクを適切に活用していく必要があることから、民事再生手続による経営再建を図っていくもので、民間への売却は非現実的選択であって、全く考えておりません。
 次に、臨海地域の新たな将来ビジョンについてでございますが、持ち株会社のグループ戦略は、エリアマネジメントの充実によりまして、東京港の国際競争力の強化と臨海副都心のまちづくりの推進を目指すものでございます。
 現在、都は、東京港につきましては、東京港第七次改訂港湾計画に基づき、港湾コストの低減とサービスの向上に取り組みますとともに、臨海副都心につきましては、臨海副都心まちづくり推進計画に基づき、まちづくり総仕上げの十年に向けて、さらなる開発に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、これらの計画に沿って、持ち株会社を効果的に活用することにより、臨海地域の機能強化を目指してまいります。
 なお、これらの事業の推進に当たりましては、二〇一六年東京オリンピック招致計画との十分な整合性を図ってまいります。
 最後に、持ち株会社についてでございますが、この設立の時期は、臨海地域の機能強化が喫緊の課題であることから、来年早期を予定しております。
 また、事業の進め方についてでございますが、持ち株会社が民間の知恵や工夫を取り入れていくことは、これまでと同様に重要であると考えております。
 しかし同時に、持ち株会社は、東京港の国際競争力の強化と臨海副都心のまちづくりの推進体制の充実を目的として設立するものであり、都の施策との整合性を確保していくという必要があることから、都としてその運営に適切に関与してまいります。
 今後、持ち株会社の出資比率や運営形態についても、法的手続や会計などの面から専門的な検討を行い、設立目的の達成に適した内容を実現してまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、汚職等の再発防止に向けた心構えについてでございますが、職員一人一人が全体の奉仕者としての原点に立ち返り、汚職等を決して再び起こさないことが都民に対する責務であり、また都民の信頼を取り戻す道であると考えております。
 このため、職員の意識啓発を進める方策の一つとして、汚職等非行防止ビデオを作成することといたしました。
 具体的には、事件の発生を未然に防止する視点を強化し、職場実態を踏まえた事例を取り上げることによりまして、職員に身近な問題として強く自覚させるとともに、管理監督者が果たすべき役割を明確にして、内容の充実を図ることとしております。
 今後は、全職員が一丸となって、今回定めた再発防止策を着実に実施してまいります。
 次に、小笠原への航空路についてでございますが、航空路の開設に当たりましては、自然環境との調和を初め、運航の安全性や採算性の確保など多くの課題を解決する必要がございます。
 特に、自然環境との調和にも配慮しながら航空路の実現を図るには、国の理解、協力が不可欠でございます。また、何よりも地元村民の合意が肝要でございます。
 都は、国に対して積極的な働きかけを行うとともに、村民の意向を十分踏まえつつ、航空路開設の実現に向け、諸課題の調査検討を進めてまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君) 一般競争入札の範囲拡大についてでございますが、都は現在、予定価格が九億円以上の工事案件について一般競争入札を行っております。予定価格が九億円未満のものであっても、四億円以上の土木工事、一億五千万円以上の道路舗装工事、一億二千万円以上の設備工事など、共同企業体への発注案件では、一般競争入札と同様に、希望した共同企業体すべてが入札に参加できる取り扱いを既に実施してきております。
 このように業種、業態に対応した取り扱いを行っており、現時点では、一般競争入札の範囲を拡大することは考えておりません。
 今後とも、より適切な入札・契約制度の実現に努めてまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君) 小笠原についての二点のご質問にお答えします。
 まず、小笠原諸島の外来種対策についてでございます。
 小笠原諸島の世界自然遺産登録を目指す上で、外来種対策は重要な課題であると認識しております。
 このため、都では、無人島のノヤギについて積極的に排除するとともに、外来種の新たな侵入や拡散を防ぐためのルールづくりなどに取り組んでいるところでございます。
 野生化した猫については、村、NPOなどと対策に取り組むとともに、アカギやグリーンアノールについては、国が試験的な取り組みを開始しております。
 今後とも都は、国、村との役割分担と連携のもと、侵略的な外来生物に対する対策を積極的に進めてまいります。

○副議長(木内良明君) 大橋局長、もう一問答弁。ガイド養成ですね。

○環境局長(大橋久夫君) 失礼しました。もう一問ございます。
 次に、母島石門一帯のガイド養成についてでございます。
 エコツーリズムを推進するためには、十分な人数の自然ガイドが確保されていることが不可欠でございます。
 これまで、母島石門一帯のガイドとして、三十四名の東京都自然ガイドを養成し、認定してまいりました。
 今後とも、小笠原村と連携し、協力し、小笠原村の自然環境に精通したガイドの養成に努め、自然環境の保全と適正な利用の両立に取り組んでまいります。
 失礼しました。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君) 小笠原の観光振興についてでございますが、小笠原の魅力を高め、一層の観光振興を図るためには、自然保護に配慮しつつ、観光と両立させていくことが重要であります。
 都はこれまでも、東京都版エコツーリズムを推進している地域を初め、それ以外の地域をも対象として、自然の魅力を生かした旅行商品の企画を支援するとともに、自然ガイドの資質向上を図ってきたところであります。
 引き続き、地元関係者の意向を踏まえながら、村の主体的な観光振興への取り組みを支援してまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君) 保育に関し三点のご質問でございます。
 まず、家庭的保育の活用についてでございますが、子どもを主人公とした質の高い保育サービスを実現するためには、保育の実施主体でございます区市町村が地域の保育ニーズを的確に把握いたしまして、認可保育所に限らず、認証保育所や家庭福祉員などの保育サービスを組み合わせることにより、当該地域の実情に応じた保育を実施することが大変重要でございます。
 休日・夜間保育や一時保育などの多様なニーズに対し、お話しの家庭的保育も含めまして、区市町村がさまざまな保育資源を活用できますように、都としても働きかけてまいります。
 次に、病後児保育についてでございますが、病後児保育の実施に当たりましては、看護師などの専門職の確保が不可欠でございまして、急な発熱や呼吸困難による児童の容体の急変などに迅速かつ適切に対応できますように、協力医療機関との連携も重要でございます。
 このため、都では、区市町村と事業者を対象とした病後児保育事業マニュアルを作成し、事業の拡充と適正な運営が図られるように努めているところでございます。
 今後とも、実施主体としての区市町村が、地域の実情に合わせて質の高い病後児保育事業に取り組んでいくことができるよう支援してまいります。
 最後に、特別なケアを担うことのできる保育人材の育成についてでございますが、難病などの子どもの保育には、かかりつけ医や保健機関などとの連携体制を構築した上で、保育従事職員が病気や障害に対する専門的知識に基づき適切なケアを行うことが重要でございます。
 このため、都は、認証保育所を含む認可外保育施設の従事者研修におきまして、病気の子どもに関する知識を付与するとともに、区市町村と連携し、保育従事職員に対して、関係団体が実施する研修への参加を働きかけております。
 さらに、都が実施する母子保健研修におきましては、難病や発達障害の子どもに対する支援を研修内容に取り入れ、この研修の対象者に保育士を加えるなど、その充実を図っているところでございます。

○副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時五十五分休憩
   午後五時十三分開議

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十二番小磯善彦君。
   〔六十二番小磯善彦君登壇〕

○六十二番(小磯善彦君) 私は、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について知事並びに関係局長に質問いたします。
 最初に、東京都の財源に対する国のねらい撃ちについて、何点か質問いたします。
 財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、地方税のうち、東京都など大都市圏に税が集中している法人住民税と法人事業税、いわゆる法人二税の徴税、配分方法の抜本的な見直しについて、あすにも建議を行うとされています。具体的には、現行の法人二税を国が自治体にかわって徴収し、法人の実態とは無関係に、人口を基準として各自治体に配分をするという共同税の構想が議論されています。
 国はこれまでも、法人事業税の分割基準をたびたび見直すことにより、東京都の財源を吸い上げ、本来、国税で行うべき地方の財源調整を行ってきました。その結果、東京都は毎年千七百億円の減収になっています。今回の共同税が導入されれば、年間二兆円の法人二税の都税収入が八千億円になり、何と一兆二千億円の減収となります。都としても、座して待つのではなく、この共同税の問題点を公の場で明らかにすべきであります。都の見解を伺います。
 共同税構想の根底には、大都市富裕論という根強い偏見があります。しかし、実際には、都民の暮らし向きを見てみると、合計特殊出生率は全国で最も低く、生活保護者の割合も全国平均を上回るなど、決して大都市東京が富裕であるとはいえません。地方は地方、大都市は大都市としての需要があり、それぞれに見合う財源を確保できるように取り組んでいくことが肝要であります。
 そうした中で、共同税により大幅に減収となる、東京を初めとする大阪、愛知などの大都市圏がまとまることが重要であります。そこで、知事がリーダーシップをとり、これらの大都市圏との連絡会議を開催し、共同宣言を発表するなど、大都市の主張を明快に行い、広く国民の理解を求めていくべきであります。地方選出の国会議員や財政・経済一体改革会議だけに任せておくわけにはまいりません。知事の力強い決意を伺います。
 次に、臨海三セクの民事再生について伺います。
 港湾局が所管する監理団体である株式会社東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設株式会社、竹芝地域開発会社のいわゆる臨海三セクは、経営安定化策のもと、平成十七年度の決算見込みでは、営業利益が三社合計で六十億円という一定の経営改善の成果を上げてきました。しかし、依然として三社の金融機関借入金残高は三千二百八十億円に上り、その返済には五十年以上を要する状況にあります。
 臨海三セクがこの負債を圧縮するために、民事再生手続による経営再建を選択するに至ったことは、現下の状況では適切な対応であると考えます。そこでまず、なぜこの時期に臨海三セクが民事再生手続による経営再建を選択したのか、説明すべきであります。所見を伺います。
 また、民事再生というと、どうしてもマイナスイメージが先行します。しかし、民事再生手続による経営再建を行うということは、金融機関等の債権者が、臨海三セクの再建の可能性を評価して、手続に応じるということであります。そこで、都民の方々の理解が得られるように、臨海三セクの民事再生の意義を明らかにするべきであります。
 次に、臨海地域の監理団体改革について伺います。
 東京港埠頭公社は、公設民営が主流の世界の港湾とは異なり、港湾施設をふ頭用地も含めて丸抱えで整備、保有してきた経緯があり、このことが公社財政を圧迫し、背後の都有地との連携の阻害要因にもなっています。民営化を機に、ふ頭用地の公共化を進めることで、背後の都有地との一体化による外貿ふ頭の再編、強化を行い、世界の主要港に伍していくとともに、震災時における緊急物資の受け入れなど、公共的な利用も確保されます。
 こうした状況を踏まえると、民営化におけるふ頭用地の公共化は、早急に具体的手法をまとめ、実施に移すべきであります。所見を伺います。
 また、今回、都は、臨海地域というエリアを活動基盤とする各監理団体を経営統合し、より効果的で効率的な事業運営を行うとしています。今後、東京港の国際競争力強化や臨海副都心開発の推進に際して、持ち株会社の活用の手法やビジョンを明らかにすべきであります。所見を伺います。
 次に、都税や水道料金など公金支払いのクレジットカード決済について伺います。
 これまで、地方税以外の自治体公金のクレジットカード支払いは、法律では明確にされていませんでしたが、成立した改正地方自治法では公金のカード支払いが明記されました。都はこれに先んじ、都立病院の診療費や都民情報ルームでの刊行物購入代金の支払いで、クレジットカード決済を導入しています。ことし十月からは、都営地下鉄の定期券購入でもカード決済が可能になります。
 カード決済によって、都民にとっては公金の支払いチャンネルが多様化され、利便性が高まり、さらにはポイントもたまるなどの魅力があります。自治体として先駆的にカード決済を導入してきた都は、より幅広い公金の支払いにクレジットカード決済を実施すべきであります。所見を伺います。
 カード決済導入の課題として、既に都が実施しているマルチペイメントネットワークとクレジットカードの接続があります。来年度から銀行系カードが接続を実施するとも聞いていますが、その見通しを明らかにしていただきたいと思います。また、割高なカード決済の手数料について、引き下げや負担のあり方をカード協会などと協議すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 先般、厚生労働省が発表した昨年の人口動態統計では、合計特殊出生率が五年連続で過去最低を更新し、中でも東京都は全国で唯一、〇・九八と一・〇を割り込み、国内で最低であることが改めて確認されました。
 公明党は、昭和四十四年に、全国に先駆けて東京都で児童手当を創設させ、福祉の推進に努めてまいりました。その後、この児童手当が国制度へと発展し、現在では国の子育て支援策の中心として定着しております。
 こうした公明党の取り組みにより、都が国の制度をリードしてきましたが、平成十二年度以降は、都も国に準拠した制度の運用を行っています。しかし、その結果、今年度からの児童手当の対象年齢拡大、所得制限緩和の措置によって、全国レベルでは制度の対象児童が八五%から九〇%にまで拡大したのに対し、都内ではそれが七〇%から八〇%にとどまっているという現象が起きています。
 これは都民の所得水準が高いことに起因するといわれますが、現実の都内の生活実感は、子育てをする条件の上では、地方に比べて決して良好とはいえません。全国で唯一、合計特殊出生率が一・〇を割り込むこととなった事態を重く受けとめ、今こそ再びこの東京から総合的な少子化対策を大胆かつ体系的に実行すべきであります。その手始めとして、まず都独自に児童手当の支給額の大幅な増額を図るべきであると提言いたします。見解を伺います。
 また、子ども優先の社会を築くため、総合的な施策を親と子のライフステージ、成長段階に合わせて展開していくことが効果的であります。
 そこで伺います。第一に、子育て世帯に対して、都営住宅のより一層の思い切った優先入居枠の拡大を検討すべきであります。第二に、妊娠、出産世帯に対して、妊婦健康診査への公的助成及び出産育児一時金の充実を図るべきであります。そして第三に、都内区市町村の財政力によりばらつきのある乳幼児医療費助成制度についても、都の責任において思い切った拡充策をとるべきであります。それぞれ所見を伺います。
 いずれにしても、少子化対策は総合的に取り組むことが重要です。担当の副知事を置くなど、都庁挙げての体制づくりが必要であると改めて指摘させていただきます。
 次に、高齢者施策について伺います。
 第一に、今回の介護保険制度の改正で、区市町村に設置されることになった地域包括支援センターについてであります。
 既に都内には三百十八カ所の地域包括支援センターが設置され、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門職が配置されていますが、いまだに十分なノウハウがあるとはいえません。介護予防や虐待を含む権利相談、地域におけるネットワークづくりなど、新たな業務に適切に対応していくには、これらの専門職の資質向上が何より重要であります。そこで、地域包括支援センターが地域における高齢者の支援拠点としての機能を十分に発揮できるよう、都は人材育成に重点的に取り組むべきであります。所見を伺います。
 第二に、認知症高齢者対策についてであります。
 本年七月に設置する予定の認知症高齢者を地域で支える東京会議においては、認知症高齢者とその家族が安心して地域で生活していくための第一歩として、地域住民や高齢者の日常生活にかかわるさまざまな人々に対して、認知症の症状や支援の仕方など、理解の普及に取り組むことが不可欠であります。都の見解を伺います。
 次に、障害者自立支援法の制定に関連して伺います。
 初めに、障害児施設の利用者負担についてであります。
 家族の方々からは、制度がどのように変わるのかよくわからない、利用者負担はどうなるのかといった不安の声が寄せられております。また、重症心身障害児施設の場合、紙おむつをたくさん使う利用者が多いことなどから、日用品費が自己負担になると大変だという声もあります。
 十月の法施行に向けて、障害者やその家族の方々の不安を解消するために、都として制度改正について十分周知し、理解を広げていくことが必要と考えますが、所見を伺います。
 また、日用品費の自己負担については、今後示される予定の国の取扱基準等を踏まえつつ、利用者にとって過大な負担にならないよう、特に要望しておきます。
 次に、精神障害者支援についてであります。
 精神障害は、身体、知的と比べて、地域でのサービス基盤の整備がいまだ十分とはいえず、また医療との連携も不可欠であります。今後、都内で約五千人のいわゆる社会的入院患者の方々が地域での生活に移行することが大きな課題となっており、そのためには、精神障害者を地域における医療や福祉サービスに適切につなげる仕組みが不可欠であります。精神障害者やその家族を孤立させないためにも、地域における居住の場の整備、いわゆるグループホームなどの基盤整備を急ぐべきであります。所見を伺います。
 次に、障害者の一般就労支援についてであります。
 公明党はこれまで、障害者の一般就労支援の重要性について繰り返し主張してきました。障害者の就労を促進するためには、まず都が模範を示すことが大変に重要であります。そこで、突破口を開くために、障害者が将来的に企業等で働くための訓練の場として、都庁内で障害者の職場体験や実習を積極的に受け入れてはどうかと提案いたします。所見を伺います。
 次に、心身障害者扶養年金について伺います。
 現在、審議会において、社会的役割の変化を踏まえたあり方について審議されております。扶養年金制度は、保護者亡き後の障害者の生活の安定と福祉の向上を目的として、昭和四十四年に都独自の相互扶助による保険制度として創設され、その後、全国制度が発足した後も独自に運営されてきました。制度発足当初においては当然のこと、現在においても加入者の方々には重要な制度であります。
 しかし、生活費や医療費など生活の基礎的部分に活用されている扶養年金が、現在、基金残高の減少によって、制度運営上厳しい状況に陥っていることが明らかになっております。
 制度の破綻によって加入者が被害を受ける事態は、断じて避けるべきであります。制度の見直しが不可避となった場合でも、全国制度への移行など、加入者の納得が得られる措置が不可欠であります。所見を伺います。
 そもそも、扶養年金制度は、保護者亡き後の障害者の生活の不安を解消するために創設されたものであります。この制度の趣旨を損なうことなく、都は問題に対処すべきであることを強く申し述べておきます。
 次に、がん対策について伺います。
 第一に、緩和ケアについてであります。
 がんの治療においては、痛みや苦しみを和らげる緩和ケアが治療の早期段階から適切に提供されることが重要であり、病院、診療所、訪問看護ステーションなど、がんの治療に携わるすべての医療機関に、最新の知識、技術が共有されなくてはなりません。そこで、都内の医療機関における緩和ケアへの取り組み状況を把握し、さらに拡充すべきであります。所見を伺います。
 第二に、粒子線治療についてであります。
 がんの高度最先端医療の一つに、粒子線治療があります。粒子線治療の特徴は、副作用が少なく、痛みがないことと、照射された放射線量が体内の病巣部で最大となり、病巣部を過ぎると急減し、人体への影響が最小限に抑えられることであるといわれております。
 先日、公明党は、兵庫県立粒子線医療センターを視察しました。同センターは、国内に六カ所ある粒子線治療施設の中でも最先端の施設であり、目やのどなどの頭頸部のがんや、肺、肝臓、前立腺のがん等に効果があり、年間四百人近くの治療実績があるとのことでした。
 都内でも、現在、民間事業者が粒子線治療施設を建設する動きがあります。がん治療に積極的に取り組んでいる都立駒込病院は、将来的には、粒子線治療を実施する民間医療機関と連携し、一層高度で効果的ながん治療の提供に努めるべきであると考えますが、所見を伺います。
 国においてもがん対策基本法が審議され、注目が集まっています。都におけるがん対策の強化について、知事の所見を伺います。
 次に、高次脳機能障害対策についてであります。
 公明党はこれまで、都議会の場で再三具体的な提案を行ってまいりました。その結果、都では、平成十一年度には全国初の実態調査を実施するとともに、医療従事者向けのマニュアル、家族用リーフレットの作成を行い、十四年度からの三年間は、東京都リハビリ病院において、就労支援など社会復帰に向けたマニュアル策定事業を実施しております。こうした取り組みを高く評価するものであります。
 そこでまず、マニュアル策定事業の検証の結果と今後の課題を明らかにされたいと思います。
 また、障害者自立支援法の施行を受け、都道府県に高次脳機能障害者への支援拠点機関を置き、適切な支援を提供する高次脳機能障害支援普及事業が都道府県の必須事業として位置づけられることになりました。まさに都議会での問題提起が国に発信され、全国的な施策の展開を見たものであります。
 しかし、区市町村における認知度にはばらつきがあり、担当職員の知識や支援ノウハウの不足が指摘される面もあります。そこで、高次脳機能障害者やその家族が相談のために区市町村を訪れた際、窓口で適切な対応が可能となるよう対策を講ずるとともに、さらに、区市町村を支援するための新たな都独自の対策を講ずるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、若年雇用について質問いたします。
 知事は施政方針演説で、若者しごとホットラインをこの七月に開設すると発表されました。また、技術専門校では本年四月から、中学卒業者及び高校中退者向けの就業基礎訓練や、アルバイトをしながら受けることができる就業訓練も提供しています。こうした都の積極的な施策を高く評価します。
 しかし、実際にこうした就労支援活動に触れるフリーターやニートの数は、まだごく一部にとどまっております。
 そこで伺います。第一に、今後は、都の各種の若年者就労支援策をさまざまなメディア媒体やホームページ等を通じて広く周知するべきであります。広報の強化やわかりやすい窓口の設置について、都の具体策を示していただきたいと思います。
 第二に、就業支援策について関係機関相互の連携の強化であります。高校の卒業者、中退者のうちに進路未確定者が多く存在する現状を見ると、就業を希望する若者への適切な情報の提供が必要です。このため、都は、行政の垣根を取り外して、就業支援機関と教育機関との連携を図るべきです。若年者の就業支援について、地域も含めた関係機関の緊密な連携策の検討に関し、都の所見を伺います。
 次に、違法駐車対策について伺います。
 道路交通法の改正で、六月一日から駐車違反の取り締まりが強化され、民間委託された駐車監視員による違反車両の取り締まりがスタートしました。
 恒常化した都心部の違法駐車を厳しく取り締まることは、交通事故の増加、交通渋滞の悪化など、交通環境の悪化を防止する上からも重要であります。
 しかしながら、営業車両や自家用貨物、さらに介護や福祉関係車両の専用駐車スペースが十分に整備されていない中で、駐車規制が一方的に進められたことにより、都内各地でかなりの混乱が生じているのであります。また、郵政公社の車の一時駐車は認めるが、同様の仕事をする営業車両の駐車を違反とするのは不公平であるとの声も聞かれるのであります。また、間接的な影響として、飲食店などの個人事業者からは、取り締まりによる顧客の激減、売り上げの極端な低下から、死活問題になりかねないとの悲鳴にも似た声も寄せられています。
 公明党は、去る五月九日、石井幹事長を先頭に、運送事業者、中小企業事業者の代表と太田昭宏党幹事長代行を介して、国家公安委員長である沓掛哲男国務大臣に対し、違法車両の取り締まりに当たり、経済活動や社会活動に支障を来すことがないことを求める、違法駐車対策に関する申し入れを行ったところであります。
 そこで伺います。第一に、都はこのたび、道路交通法の改正に合わせて、駐車施設対策の基本方針の改定を発表しました。その改定案の概要では、駐車場が不足している地区では効果的な駐車場を整備するなど、駐車需要に応じた駐車場の整備を重要な柱としております。この際、都は、関係区市と連携し、実態に即した駐車施設の整備や活用など、総合的な駐車施設対策を確立すべきでありますが、所見を伺います。
 次に、警視庁が取り締まり活動ガイドラインで公表した重点路線や重点地域において、荷さばき等の需要が多い道路については、運送事業者等の意見、要望を踏まえ、必要な駐車スペースの整備を推進すべきであり、また同様に、介護福祉関係者や中小企業、商店などへの配慮も必要であります。警視総監の所見を伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 先月二十五日、東京都防災会議において、首都直下地震の被害想定最終報告が公表されました。そこで次の課題として、復興対策について伺います。
 都は、平成十五年、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、東京都震災復興マニュアルを策定し、震災後の地域社会の復興に向けて推進組織となる復興市民組織の育成を図るために、復興訓練を実施してきました。当初、ことしまでの三年間に、毎年二十地区で実施する計画でありましたが、現状では七区一市、十地区でしか行われておりません。二年連続で行っている足立区では、地域危険度の災害情報を地域住民と共有化ができ、防災まちづくり意識の向上がなされた。また、訓練を通して区の復興マニュアルをより実効性のあるものに修正したとのことであります。そして、この事業の継続を強く要望しておりました。
 今回の被害想定を受け、全区市に広げて復興訓練の実施を急ぐべきであります。見解を伺います。
 なお、全区市に広げていくためには、来年度以降も引き続きこの事業を継続すべきであります。強く要望いたします。
 次に、公立小中学校の耐震化について伺います。
 先般、文部科学省より公立学校施設の耐震改修状況の調査が公表され、都内の公立小中学校の耐震化率は六五・九%でありました。震災時に避難所として指定されている公立小学校は、都内の避難所約三千のうち、七割を占めています。最優先で耐震化に取り組むべきであります。公立小中学校の耐震化は各区市町村で進めておりますが、財政的な理由で地域間の格差が見られます。都として一〇〇%耐震化を目指し、支援していくべきであります。見解を伺います。
 次に、病院の防災対策について伺います。
 病院の防災対策としては、ハード面だけでなく、各病院でのマニュアル策定など、ソフト面での対策も重要であり、公明党は、都内病院におけるソフト面の防災対策についても調査をすべきであると提言しました。局が早速調査に取り組んだことは評価いたします。できるだけ早く取りまとめ、より実効性のある対策ができるよう指導すべきであります。
 まず、調査結果の公表時期を明らかにしていただきたいと思います。
 また、災害発生時に多数の傷病者を受け入れるなど、重要な役割を担う災害拠点病院での対応は特に重要であります。今回の実態調査を踏まえ、災害拠点病院での防災訓練を実施すべきであります。あわせて見解を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 このたび発表された部活動振興専門委員会報告書では、位置づけがあいまいだった部活動について、教育活動として明確に位置づけ、校務であるとする方向性を示しました。しかし、現在、部活動を学校の教育活動とする根拠規定がなく、公的位置づけがされておりません。
 そこで伺います。部活動の位置づけの明確化と、部活動指導を校務として定めるため、早急に都立学校の管理運営に関する規則を改正すべきであります。また、平成十九年度から全公立学校において明確な位置づけのもとに部活動が行われるよう、区市町村教育委員会に積極的に働きかけるべきであります。あわせて見解を伺います。
 また、学校外の地域の人材、保護者、専門家等に正式に委嘱できる制度を整備し、顧問の担い手を拡大すべきであります。見解を伺います。
 本年第一回定例会で、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例が改正され、都立高校では、部活動指導についても週休日の変更や四時間単位での振りかえができるようになりました。しかし、職務の内容を見てみると、中学校と都立盲・ろう・養護学校は対象から除かれております。
 現在、中学校においては八三・二%、盲・ろう・養護学校では二四・八%の児童生徒が部活動を行っており、ほとんどの教職員が部活動指導に携わっています。したがって、中学校、盲・ろう・養護学校の勤務上の取り扱いについても、高校と同様の扱いとすべきであります。見解を伺います。
 次に、都立高校普通教室の冷房化について伺います。
 本年第一回定例会に、公明党は、都立高校普通教室の冷房化の実現に向け、具体的な検討を行うべきであると提案いたしました。これに対し、都教育委員会は、この四月、公明党の主張に応じ、教室内の温熱環境改善を目的とした都立高校教育環境改善検討委員会を設置し、検討を開始しました。
 東京の年間平均気温はこの百年間で三度上昇し、夏季における気温上昇傾向が顕著となっております。普通教室の平均室温は気象庁発表の気温よりさらに約二、三度高いとの調査報告もあり、通常の教育活動のみならず、熱中症や弁当の腐敗など生徒の健康、生活環境にも極めて深刻な影響を及ぼしております。
 一方、都内での都立高校以外の普通教室の冷房設置状況は、国立高校が一〇〇%、私立高校が九九%、大学キャンパスが一〇〇%であります。都立高校の二九%と比較すると、教育環境に極めて大きな格差が生じております。
 したがって、冷房化は不可欠であり、さらに、再生可能エネルギーの活用や温室効果ガスの排出抑制などの検討を行うべきであります。所見を伺います。
 また、冷房化の実現は保護者、生徒の切実な願いであり、検討委員会に対する都民の関心は大変高いものがあります。そこで、教育委員会は、説明責任を果たす意味からも、検討委員会での資料や検討内容を、例えば都教育委員会のホームページに掲載するなど、都民に公開すべきであります。所見を伺います。
 次に、青少年の健全育成について伺います。
 ゲームは今や、青少年だけでなく幼児から大人まで、家庭生活の中に深く浸透しており、ある調査によれば、約七八%の家庭がゲーム機を所有しています。一方、昨今多発している凶悪犯罪の遠因の一つにテレビゲームやインターネットゲームがあり、それに没入する余り、現実とバーチャルな世界の混同が起きているのではないかと指摘されています。
 また、ゲームの内容の問題や、長時間ゲームに熱中することによる脳や精神への影響、VDT症候群を初め身体への影響、対人関係への影響などがさまざまな角度から検討、調査されています。中でも注目されている書物が、森昭雄日大教授の「ゲーム脳の恐怖」と、医療少年院の勤務医であった岡田尊司氏による「脳内汚染」であります。こうした書物が多く読まれていることに、この問題に対する関心の高さと危惧があらわれていると思います。
 そこで、都として、青少年にふさわしくない内容を含むゲームや、長時間にわたるゲーム遊びによる影響について、その実態の調査研究を行うべきであると考えますが、都の所見を伺います。
 さらに、過度なゲームへの依存心は心や精神面に悪影響を及ぼす危険性があることや、ゲームの適切な楽しみ方などを周知し、啓発していく必要があります。児童、保護者、学校はもとより、広く社会全般へ向けて、こうしたゲームの問題点などを情報提供していくべきであると考えます。所見を伺います。
 また、知事は、本定例会所信表明において、昨今の子どもたちに見られる行動や精神の乱れと生活規範について述べられました。ゲームが青少年や家庭に与える影響とこの問題への対処について、知事の所見を伺います。
 次に、環境対策について伺います。
 東京都は先般、再生可能エネルギー戦略を発表しました。この戦略は、二〇二〇年までに風力や太陽光などの再生可能エネルギーの利用割合を二〇%に高めることを目的とする画期的なものであり、海外からも高く評価されています。この中では、送配電事業者に太陽光や風力などによる電力を一定価格で買い取ることを義務づけたドイツの固定価格買い取り制度など、先進的な事例が紹介されています。このような制度を参考にしながら、再生可能エネルギーの需要を拡大する仕組みづくりを積極的に進めていくべきであります。見解を伺います。
 また、東京のエネルギー需要を見ると、自動車で使用される燃料の割合が全体の約四分の一を占めており、この分野での対策も非常に重要であります。欧米など海外では、脱化石燃料を進めていくため、自動車などへのバイオマス燃料の導入が進んでいます。今後、都は、バイオマス燃料の利用拡大を具体的に図るべきと考えますが、見解を伺います。
 地球温暖化に危機感を持つEUでは、再生可能エネルギーの導入に積極的な姿勢を示しています。都としても、オリンピック招致を視野に入れ、再生可能エネルギーの導入拡大や新たなヒートアイランド対策を今後とも積極的に推進していくべきであります。知事の決意を伺います。
 次に、都営住宅について伺います。
 先般、住宅政策審議会の答申が出されました。都営住宅については、真に住宅に困窮している人が優先して入居できるよう改善していくべきであります。したがって、使用承継についても、利用機会の公平性を確保する観点から見直しを行う場合には、居住の安定を図る必要がある高齢者、障害者、病弱者の例外規定は継続すべきであります。さらに、居住している人たちの不安を払拭するために、都は丁寧に周知に努めるべきであります。見解を伺います。
 次に、港区のエレベーター事故に関連して伺います。
 港区の区民住宅で高校生がシンドラー製のエレベーターに挟まれて死亡するという事故を受けて、都は六月八日、都営、公社、都民住宅のエレベーター計三千三百八十基中、三百七十基がシンドラーエレベーターであると発表しております。
 重大な事故につながるものがなかったとはいえ、事故機と同一の駆動装置、制御器のエレベーターが新宿区の都営百人町アパートで見つかり、現在使用停止にしております。
 そこで第一に、都は、都営、公社に限らず、民間を含めた都内全域にわたる広範囲な観点から、シンドラーエレベーターの実態調査をすべきであります。見解を伺います。
 第二に、再発防止に向けて、エレベーター業者への安全指導を徹底すべきであります。所見を伺います。
 次に、小笠原振興について伺います。
 都議会公明党は、四月十五日から二十日までの日程で小笠原村を訪問し、現地調査、視察を行ってまいりました。小笠原諸島は、本土から約千キロ離れた外海孤島という厳しい地理的条件にあり、TSL就航を断念した今、小笠原村民にとって航空路開設は、返還以来の悲願であることを痛感しました。
 そこで、初めに、空港問題について伺います。
 まず、さきの予特の質疑で、知事は、洲崎地区の活用を示唆いたしました。都は、洲崎を含む四案を検討中と聞いていますが、できるだけ早期に候補地の決定を初め空港開設の方針を明確にすべきであります。都の見解を伺います。
 第二に、国への働きかけと村との連携についてであります。都は国に対して、環境への配慮を含め、航空路開設の技術的支援を要請するなど積極的な働きかけを行うべきであります。今後は、都と村の協議機関を設けるなど連携の強化を図るべきでありますが、都の見解を伺います。
 次に、世界遺産登録に向けた取り組みについて伺います。
 世界自然遺産登録を進める上で、母島石門地区のアカギや父島のノヤギなど、貴重な生態系を乱している外来種の対策と、新たな外来種の進入の防止策が不可欠です。さらに、小笠原だけにしか生育、生息していない固有種や、絶滅の危機に頻している貴重な動植物が多く生息し、固有の動植物の保護増殖が重要です。
 そこで、外来種対策や固有動植物の保護増殖に個別に取り組むだけではなく、関係行政機関、観光、漁業関係の団体、地元NPOなどが相互に連携し、総合的な対策を進めることが必要であります。所見を伺います。
 最後に、空港問題や世界自然遺産登録に向けた取り組みなどを含め、今後の小笠原振興について知事の所見を伺います。
 次に、都市農業についてお伺いします。
 都市農業は、小規模ながらも安全で付加価値の高い農産物を生産しています。また、都市の農地は、緑地保全、貯水機能、CO2の吸収、さらに子どもたちの食育や世代を超えた農業体験の場の提供など、多面的な役割を果たしています。仮にこうした能力を持つ都内の農地を公園として確保しようと思えば、建設費として約十五兆円、維持管理費として年間約百二十億円が必要であるとの試算もあります。
 そこで第一に、今後の都市農業の具体的な振興策が重要です。都は、東京農業振興プランの中間評価と今後の地域別取組を発表し、地域ごとの農業振興の方針を示しています。今後の地域別取り組みについて見解を明らかにすべきです。
 第二に、都は、地域別取り組みで示した農業振興の方策に沿って農業者を支援し、各地域の農業振興を図っていくべきであります。
 第三に、都は、農地保全のため、農地制度や税制についての課題を整理し、国への要望事項として取りまとめるべきでありますが、その対応を明らかにするべきです。また、その際には、都は改めて農業者から積極的に意見を聴取するべきであります。
 第四に、新たな農林総合研究センターについてであります。農業者からは、組織の再編が研究機能の縮小をもたらさないかという不安の声も聞かれます。そこで、都は、同センターの研究を充実させて農業者の要求に対応するとともに、充実させた機能についても農業者に明確に伝えるべきであります。
 以上、四点についての都の所見を伺います。
 最後に、東京オリンピック招致活動について伺います。
 まず第一に、広範な都民が参加しての招致運動を展開するために、特に多摩地区などを中心にオリンピック招致プレイベントやサテライトイベントなどを繰り返し企画し、機運を盛り上げるべきであります。また、イベントの内容については、老若男女の差別なく、また地域の差別なく参加できるアイデアを都民から公募するのも有効な方策であります。所見を伺います。
 次に、知事はロンドンで招致に強い手ごたえを得ることができたとしておりますが、その手ごたえの内容、あるいは知事の感想を伺います。
 また、来年二月十八日に行う東京マラソン大会は、東京オリンピックに向けての実質的な第一歩であり、その実施に当たっては、オリンピックを念頭に置いて運営すべきであります。東京マラソンは、トップランナーと障害のある一般市民が走る初めての大規模な市民マラソンであります。ランナーだけでなく、応援や観客の方々にとってもバリアフリー化を進め、弱者にとって優しい環境を整えるべきであります。
 具体的には、車いすでもレースを観戦し、応援できるゾーンの整備、あるいは外国人や障害者でも自由に使用できるバリアフリーのトイレの整備、また、コース全般にわたる移動手段のバリアフリー化など、オリンピックでも活用できる施設整備を行うべきであります。
 次に、オリンピック招致に関連して都市基盤整備について質問します。
 知事は、オリンピックを機に、成熟した都市としての東京を世界に発信するといわれましたが、そのためには、立ちおくれている都市基盤の整備に努めなければなりません。その代表例が道路であります。都では、過去、都市計画道路について、第一次、第二次の事業化計画を定め、道路ネットワークの充実に努めてきたところであり、区部では平成十六年三月に、多摩地域では本年四月に第三次の事業化計画を策定しました。
 そこで、第一に、都における都市計画道路の整備状況を明らかにし、あわせて事業化計画における必要性の高い路線については早期に整備を進めていくべきであると考えますが、事業化計画で目指す道路整備の見通しについて所見を伺います。
 第二に、都においては、本年四月、多摩地域事業化計画の策定とあわせて環境基本方針を策定しましたが、特に環境軸の形成に向けての今後の取り組みを明確にしていただきたいと思います。
 第三に、今後の道路整備に関しては、説明責任を果たす上でも、優先整備路線の進捗状況をホームページなどで都民に情報提供をすべきであります。見解を伺います。
 最後に、本日、都電荒川線で追突事故が発生し、多数の負傷者が出ました。
 負傷者の皆様には、心からお見舞い申し上げます。
 また、我が党は、現地に議員を派遣し、原因究明と再発防止を申し入れたところであります。交通局は、再びこのような事故を起こすことのないよう、より一層安全運行に努めるべきであります。
 以上を申し上げて、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 小磯善彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、大都市財源のねらい撃ちの問題でありますけれども、人、物、金などさまざまな資源が大都市に集中、集積することは、これは文明の必然の原理でありまして、それがまた国家そのものの新たな活力にもなっていると思います。
 今日の我が国においても、羽田空港の再拡張でありますとか三環状道路の整備など、それが成就すれば、そうした大都市への投資が成就すれば、国全体に大きな利益をもたらすことになるわけでありまして、そうした都市の本質的機能を理解することなく、ただいたずらに大都市の財源を帳じり合わせのために吸い上げようとする動きは、国みずからが墓穴を掘ることにしかならないと思います。
 このような都の反対の姿勢については、既に大阪府や愛知県などからも賛同を得ております。今後、これらの大都市圏とさらに連携を深めながら、広く国民に訴え、現実のものとなりつつある国の非常に小手先の理不尽な動きに徹底抗戦していくつもりでございます。
 次いで、がん対策についてでありますが、今、粒子線治療というのを初めて聞いて、その言葉の内容をお聞きしたんですけれども、いずれにしろ、さまざま手を講じて、がんという人類の大敵に対処する必要があると思います。
 がんは、現代社会を生きる我々の健康に対する重大な脅威でありまして、この病気の克服は人類の積年の願いであります。革新的な診断あるいは治療法の開発とともに、現時点では、可能な限りの知見を生かして、それを複合的に組み合わせながら、その以前に、がんを早期に発見して、今申しました治療を複合的に組み合わせながら、最良の治療を受けられる体制を整備することは、国は挙げて取り組むべき重要な課題であると思っております。
 都としても、お話のがん対策基本法の理念を踏まえ、予防から早期発見、早期治療、患者の生活の質を向上させる緩和ケアに至る総合的ながん対策の推進に積極的に取り組んでまいります。
 原宿の駅をちょっとおりますと、あそこに有名なタレントさんの顔を写した乳がんに対する警告の看板が並んでいるんですけれども、乳がんに限らず、これはやっぱりがん全体にもうちょっとまとまったうまいキャンペーンをできたらなという気がいたしております。
 次いで、いわゆるゲームが青少年や家庭に与える影響についてでありますが、子どもが一人前の人間になるためには、他者とのかかわりの中でいろいろ生じる摩擦に対するこらえ性、トレランスと申しますけれども、その育成が必要であります。ゲームなどのバーチャルな仮想な世界の中で自分一人で生きていますと、他者との関係が希薄になりまして、そうしたこらえ性というものの育成にはつながらない。また、それにのめり込み過ぎて、自分が生きている現実とゲームの世界の物事の境目がつかなくなって、非常に危険な行動をとったり危険な発想に陥ったりする可能性があると思います。
 ゲームが子どもたちに浸透しているのは、おもしろいし、手っ取り早い娯楽なんでしょうが、残虐なものは控えさせるとか、あるいはこれを規制するとかということは、私たち大人の責任でもあると思います。
 先般、有名な養老孟司さんと対談しましたが、あの人は解剖学者、特に脳に詳しい人ですけれども、やっぱりゲームに子どもが夢中になると、人間の感性、人格というものをつくっていくに必要な感性とか情念というものが育ってこない。つまり、ゲームというあてがいぶちの情報の中だけで生きていると、発想力がなくなって、非常にステレオタイプなつまらない人間にしかならぬということをいっていましたが、まさにそうだと思いますし、やっぱり我々の社会は、新しい発想を持った新しい人材が登場してくることで進歩するわけでありまして、そういう点では、私たちは、ゲームという、非常に安易ですけれども、危険な、ある意味で生産性のない、こういう遊びの手だてというものを、私たち、これから、どうやって規制するかということは問題になるでしょうけれども、ちょっと本質的な反省をしていかなくてはならないと思っております。
 次いで、環境政策の強化についてでありますが、都はこれまで、ディーゼル車の排出ガス対策やいろいろ先駆的な地球温暖化対策などに取り組んで、我が国の環境政策を先導もしてまいりました。十年後のオリンピックを見据えて、東京を安心して住み続けることのできる、さらに成熟し安定した環境都市としていくために、一層強力に環境、もろもろの環境施策を展開していく必要があると思います。そのためにも、世界最高水準の地球温暖化対策として、より厳しい二酸化炭素の排出抑制や再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大など、新たな方策を検討していくつもりでございます。
 二十一世紀は、都市の、大都市の未来がその国の、あるいは地球の未来を規定する世紀でもあると思います。東京から世界の範となるような先進的な環境政策を展開することによって、世界の大都市問題の解決に貢献し、東京の成果を広く世界に還元していければと思っております。
 次いで、今後の小笠原振興についてでありますが、残念ながら、あのテクノスーパーライナー、原油価格の高騰もありまして、もともとちょっと技術的に発想が外れていたんだという指摘が一部の専門家からもありますが、いずれにしろ、あれがだめになった今、私たち、新しい手だて、小笠原へのアクセスを考えなくちゃいけないと思っております。
 これは、日本人だけじゃなしに、人類にとっても非常に貴重な固有の自然の宝庫でありまして、沖ノ鳥島を含め、我が国の排他的経済水域確保などの観点から、国益を維持する上でも非常に重要な地域であります。
 こうした小笠原諸島では、自然環境の保全と観光振興の両立による自立的な発展を目指すことが大切でありまして、そのためには、都と国の支援とあわせて、地元が主体となった地域づくりを村民が一体となって進めることが必要であります。
 今後、都は、世界自然遺産登録への取り組みを推進するとともに、島民の意向を十分踏まえながら航空路の実現に向けて検討を進め、小笠原の振興に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 私もかねてからこの問題は関心がございましたが、結局また振り出しに戻ったという感じがございまして、やっぱり、そうジェットが離発着できる滑走路ができるわけはございませんし、兄島は絶好の候補地だと思いましたが、いろんな問題が環境の問題である。結局、小型機の性能のいい飛行機が、限られた人間でも運べる洲崎の活用しかないんではないかと思いますが、これまたいろいろどうやって山を削るかという問題になりますと、景観の問題といいましょうか、それそのものが要するに環境問題になるというケースがありますけれども、これはやっぱり、繰り返して申しますが、トレードオフ、取りかえっこの問題でありまして、山の一部を削るか削らないかで飛行場の立地が左右されるという問題でもないのではないか。これはやっぱりその程度といいましょうか、いろいろ設計を考えて、ぜひとも推進していきたいと思っております。
 次いで、ロンドンを視察しての感想でありますが、繰り返して申しますけれども、ロンドン全体の考え方、オリンピックのとらえ方は、実にオリンピックというものをいかにロンドンのために、国のために活用、利用していくかという、非常に現実的な、強いていえば抜け目ないといいましょうか、そういうある意味では冷静な、巧緻な発想でこの問題をとらえているということを改めて認識いたしました。そういう点でも東京にいろいろ参考になりました。
 いずれにしろ、これは国家的な行事でありますから、東京はもちろん主催地であって、東京が主催し、先頭を切って行うわけでありますけれども、話しましたリビングストン市長の述懐というか話ですと、多分、ブレア首相は、パリにかなわぬだろう、どうせ負けるんだから、わかった、何でもやったら協力するよとうっかりいっちゃったので、今さら引けなくなって、その言質をとって、大いにこれから国から引っ張り出すんだといっていましたが、我々もやっぱりそれでいかなきゃいかぬと思いますね。
 これはちょっと違った立場ですけれども、いずれにしろ、まあワールドサッカーも緒戦では惨敗しましたが、しかし日本が持っている力はいろいろあるわけでして、そういったものを顕示するためにも、古い言葉かもしれませんけれども、国威発揚のために、私は国がやっぱりその気にならなければ、新しいオリンピック、東京ならでは、日本ならではのオリンピックはできないと思いますので、そのうちに総理大臣がだれかになるかわかりませんが、代がくるくるかわろうと、たんびたんびにしっかり言質をとって、国の力を引き出しながら、皆さんのお知恵をかりて立派なオリンピックを実現していきたいなと思っております。
 なお、他の質問については、警視総監、出納長、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君) 道路交通法の改正に伴う駐車スペースの整備及び介護福祉関係者等への配慮についてお答えいたします。
 今回の駐車規制の見直しでは、都内で約四千三百区間、約一千キロにわたり見直しを行いまして、規制の解除、緩和を行ったところであります。
 新法制の施行に当たりましては、重点路線、重点地域を定めた取り締まり活動ガイドラインを策定して公表いたしておりますけれども、荷さばき需要の多い路線にありましては、地元商店等の意見を踏まえ、貨物集配中の貨物車を場所、時間を指定して駐車禁止規制から除外する路線を設けたり、商業地域を中心に、パーキングメーターの駐車スペースを一部貨物車用に大型化しているところであります。
 また、自治体等に対し、路外の駐車スペースの整備についても働きかけを行っているところであります。
 次に、介護福祉関係者につきましては、介護保険法に基づく、訪問して行う介護、看護、入浴サービス等のため使用する車両に対しまして警察署長が駐車許可証を発行しており、事業者の方々にもこうした制度を活用していただいているところであります。
 今後とも引き続き、地域の駐車実態等を踏まえ、自治体や地元に対し駐車場整備の推進を働きかけるほか、貨物車用のパーキングメーターの設置拡大や駐車規制の緩和等に努めてまいりたいと考えているところであります。
   〔出納長幸田昭一君登壇〕

○出納長(幸田昭一君) 公金のクレジットカード決済に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、より幅広い公金支払いへのクレジットカード決済の導入についてでございますけれども、都はこれまでも、コンビニエンスストアでの納付や都立病院窓口でのクレジット納付など、公金の支払い手段の多様化を進めてまいりましたが、クレジットカード決済の導入拡大は、都民の利便性の向上に資するものと考えております。
 しかし、クレジットカード決済は、銀行などと比較いたしまして手数料が割高になることが多く、収納コストが増加するという問題がございます。クレジットカード決済につきましては、費用対効果などの観点から十分な検証が不可欠でございまして、その導入につきましては、今後の状況等を十分見据え、検討してまいります。
 次に、クレジットカード決済導入の課題でございますけれども、クレジットカード決済にマルチペイメントネットワークシステムを活用することにつきましては、現在、日本マルチペイメントネットワーク運営機構や日本クレジットカード協会などで検討が進められておりますが、現時点では、選択肢の一つであると聞いております。
 また、クレジットカード決済の対象を拡大するに当たりましては、手数料水準が重要な課題であり、他の手数料とバランスのとれたものとなることが条件であると考えております。今後、手数料に関するクレジットカード協会などの検討状況も注視しながら、協議を含めて必要な対応を講じてまいります。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、区市町村立学校の耐震化への支援についてであります。
 区市町村立小中学校施設の耐震改修につきましては、設置者である区市町村において、国の助成制度も活用しながら進められているところでございます。
 都教育委員会としましては、今回の耐震改修状況の調査結果の公表を受けまして、区市町村教育委員会に対しまして、小中学校の耐震診断及び耐震化の促進を改めて働きかけていくとともに、国に対しまして、区市町村が耐震化を計画どおり進めることができるよう、必要な財源の確保を強く要望してまいります。
 また、都教育委員会におきましても、これまで区市町村に対しまして実施してきた耐震化に対する講習会の内容の充実を図るとともに、区市町村の求めに応じまして、技術的な相談や助言も積極的に行ってまいります。
 次に、学校における部活動の位置づけについてであります。
 これまで、部活動は、学校の教育活動としての明確な根拠規定がなく、位置づけにつきましてあいまいなとらえ方がなされてきたために、部活動は職務ではない、あるいはボランティアであるといった教員の認識が一部にあることが指摘されてまいりました。
 都教育委員会は、本来、部活動は学校が教育活動の一環として計画、実施するものでありまして、生徒の個性や豊かな人間関係をはぐくむ上で極めて重要な教育活動であると認識しております。
 このため、今後、都立学校の管理運営に関する規則を改正し、部活動を学校における教育活動として明確に位置づけてまいります。また、小中学校におきましても同様に位置づけられるよう、区市町村教育委員会に対して働きかけてまいります。
 次に、部活動の顧問の担い手の拡大についてであります。
 これまで部活動の顧問は、部活動の指導面や管理面を総合的に担当し、公式試合に生徒を引率する役割があることから、学校職員のうち教員が行うこととしてまいりました。しかし、とりわけ中学校では、学校が小規模化していることもありまして、設置する部の数が少なく、生徒のニーズにこたえ切れない現状が一部にあることから、学校関係者も含めました部活動振興専門委員会におきまして、教員以外も顧問につくことができるようにすべきであるとの方向性が示されたところでございます。
 この検討結果を踏まえまして、今後、都教育委員会は、関係団体や区市町村教育委員会とも連携を図り、顧問の担い手を教員以外にも拡大できるよう努めてまいります。
 次に、中学校と盲・ろう・養護学校におきます部活動指導についてですが、本年四月に出された部活動振興専門委員会報告におきまして、週休日等の部活動指導全般を勤務として位置づけていくとの方向性が示されておりまして、都教育委員会は、この報告を踏まえ、今後、中学校や盲・ろう・養護学校におきましても、部活動指導が週休日変更等の対象となるよう、必要な措置を講じてまいります。
 次に、都立高校の冷房化についてでありますが、都教育委員会は、教室環境改善につきまして総合的に調査検討するための、学識経験者や保護者、学校関係者から成ります都立高校教育環境改善検討委員会を本年四月に設置し、鋭意検討を行っております。
 この検討委員会では、教室環境改善を進めるに当たっての基本的な考え方、冷房化を含めた多様な方策、温室効果ガスの排出抑制などの環境対策や費用負担のあり方などを検討課題としておりまして、都教育委員会は、この検討委員会の検討結果やご指摘の点を踏まえまして、積極的に取り組んでまいります。
 最後に、検討委員会での検討内容の公開についてでございます。
 夏季期間中におきましても、これまで以上に生徒が学習に集中できる環境が求められており、ご指摘のように、冷房を含めた教室環境改善に関する都民の関心が高いことは承知しております。
 今後は、検討委員会の資料や検討内容につきまして、ホームページへの掲載を行うなど、都民への公開に努めてまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君) 共同税の問題点についてお答えを申し上げます。
 地方法人課税の税収を人口を基準として配分することは、法人に対する地方税の課税の根拠を失わせ、地方の独立税源として存続できなくするものでございます。また、地方税の存立にとって、重要な原則でございます応益課税の原則をも失わせるものでございます。さらには、地方の基幹税である法人課税を奪うことは、さらなる税源移譲による地方独立税源の充実が不可欠な中にありまして、そもそも地方分権に逆行するものでございます。
 こうした不合理な主張ないしは動きに対しましては、先般、都税制調査会は緊急提言を行ったところでございますけれども、都といたしましては、今後とも、全国知事会の場を初めといたしまして、あらゆる機会をとらえ、共同税の問題点を明らかにしつつ、明確に反対してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君) 監理団体につきまして、四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、臨海三セクが、この時期に民事再生手続による経営再建を選択した理由についてでございますが、臨海三セクは、平成十年以来経営改善に取り組み、その結果、七年連続で営業黒字を計上するなど、一定の改善成果を上げてまいりました。しかし、ご指摘のように、三千三百億円に上る借入金完済までには極めて長期間を要することから、その間、金利上昇による利息支払いの増加が懸念されるなど、今後の金融情勢を総合的に勘案し、民事再生により債務を大幅に圧縮して、早期に経営基盤の強化を図ることとしたものでございます。
 都民への負担を伴う事態に至ったことについては、都としても厳粛に受けとめておりますが、今後とも臨海副都心開発を強力に推進していくためには、この三セクを適切に活用していくことが必要であり、この時期、民事再生による経営再建を選択したことは最善の方策と考えております。
 次に、民事再生の意義についてでございますが、臨海三セクの今回の申し立ては、破産などに比べまして、具体的に次のような意義があると考えております。第一に、借入金につきまして、これは試算でございますが、総額三千三百億円のうち約二千億円が減少し、経営基盤が強化されることで、臨海三セクが、企業誘致やまちづくりに不可欠なインフラ施設の管理など、開発の推進的な役割を引き続き果たしていけること、第二に、三セクビルが投機の対象となって第三者に転売されることが回避され、都の開発事業に対するテナントなど進出事業者の信頼性の維持や計画的なまちづくりの推進が図れること、第三に、手続の透明性、公正性が確保されるとともに、迅速に再生手続を完了することができることなどが意義でございます。
 さらに、今回の民事再生は、通常の民事再生手続に比較いたしまして、申し立て後一年という極めて短期間に完了し、経営基盤の強化を図ることにより、早期に持ち株会社グループへの参加を可能とする内容としておりまして、このことにより、臨海副都心開発の円滑な推進を目指すものでございます。
 次に、ふ頭用地の公共化に向けた取り組みでございますが、世界の港湾では、ふ頭用地などの土地を公共が所有し、荷役機械や管理棟などの上部施設を民間等の事業者が整備、所有する公設民営方式が主流となっておりまして、今回のふ頭用地の公共化は、国際競争力強化のためにこの方式を取り入れたものでございます。
 また、ふ頭用地の公共化は、ご指摘のとおり、背後の都有地との一体化による外貿ふ頭の再編強化や、震災時における緊急物資の受け入れなど公共利用の確保にとっても極めて重要なものと認識しております。
 このため、まず、お台場ライナーふ頭用地について、年内に公共化を実現してまいります。その後、主力ふ頭であります大井コンテナふ頭の用地についても、早期の公共化に向け、具体的な手法を検討してまいります。
 最後に、持ち株会社の活用手法やビジョンについてでございますが、持ち株会社構想は、臨海地域を活動基盤とする監理団体を経営統合し、個々の団体の経営効率を向上させるとともに、相互連携による相乗効果を生み出していくことを目指すものでございます。
 具体的には、管理部門の集約やグループファイナンスによる資金調達コストの軽減化などを通じまして、まず港湾経営の面では、民営化する埠頭公社の経営効率化をさらに前進させ、港湾コストの低減を進めることで国際競争力を強化してまいります。
 また、ゆりかもめやビッグサイトなどのサービス提供部門の連携によりまして、まちの魅力や機能性を向上させる相乗効果を発揮させ、総仕上げの時期を迎えた臨海副都心開発を着実に推進してまいります。
 今後、持ち株会社が臨海地域全体を視野に入れたエリアマネジメント機能を発揮するための具体的な事業目標や組織形態などを、年内に明らかにしてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君) 福祉・医療施策など十三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、児童手当についてでございますが、少子社会への対応策といたしましては、各種の手当や税制、労働環境の整備などさまざまな議論がございますが、いずれも、我が国の将来を展望した上で社会全体で取り組むことが重要と考えております。
 このような中、児童手当につきましては、本年四月から、国において対象年齢の引き上げや所得制限の緩和が図られまして、支給児童数は、都の予算ベースで見ますと、約六十万人から約八十万人に拡大したところでございます。
 児童手当に関するこのたびのご提案につきましては、貴重な政策提言と受けとめ、現在、国が取りまとめ中の新たな少子化対策の動向等を十分に見定めながら、引き続き研究してまいります。
 次に、妊婦健康診査及び出産育児一時金についてでございますが、妊婦健康診査への公的助成は、母子の健康管理を通じて安全な妊娠、出産を確保するため、区市町村が地域の実情に応じて実施しているものでございます。
 子育て世帯に対する支援策につきましては、現在、国において新たな少子化対策を策定する中で検討が進められており、都としては、こうした国の動向等を十分に見据え、適切に対処してまいります。
 なお、出産育児一時金は、出産前後の諸費用の負担軽減を図るため、医療保険各法に基づき給付しているものでございまして、各保険者が判断すべきものと考えております。
 次に、乳幼児医療費助成制度についてでございますが、本制度は、子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものでございまして、対象年齢につきましては、義務教育就学前まで段階的に拡大してきたものでございます。また、本年十月から、児童手当に準拠して所得制限の緩和を行うこととしております。
 なお、各自治体独自の助成は、事業の実施主体でございます区市町村が、それぞれの地域の実情等を勘案しながら対応しているものと理解しております。
 次に、地域包括支援センターの人材養成についてでございますが、地域包括支援センターが、高齢者からの相談に関する支援、権利擁護のための援助や、介護予防ケアマネジメントなどの役割を適切に果たすためには、専門的な人材の育成、確保が不可欠でございます。
 このため、都は、本年度から活動を開始するセンターにおきまして、これらの役割を担う専門職約千百人を対象に、昨年度、事前研修を実施したほか、本年度も引き続きスキルアップのための研修を実施しております。
 これに加え、都では、今年度新たに、センターなどで介護予防事業に携わる職員を対象に、運動機能の向上や栄養改善などを指導するための実践的なノウハウに関する研修を独自に実施してまいります。
 次に、認知症高齢者への支援についてでございますが、認知症高齢者が地域で安心して生活していくためには、社会全体における認知症に対する正しい理解が不可欠であると考えております。
 このため、認知症高齢者を地域で支える東京会議では、有識者や事業者、団体のみならず、支援の担い手である都民が一堂に会しまして、認知症高齢者の現状や、地域で生活する上での課題を明らかにしていくこととしております。
 今後、お話の認知症に対する正しい理解を普及することにつきましても、この会議において検討、協議を行うとともに、認知症の方が安心して暮らせるまちづくりを推進するキャンペーンを全都的に展開してまいります。
 次に、障害児施設への利用契約制度導入についてでございますが、障害者自立支援法の施行に合わせまして、本年十月から、障害児施設につきましても利用契約制度が導入されることとなり、利用者負担につきましては、低所得者に配慮した軽減策を講じた上で、一割の定率負担となります。
 なお、これまで措置費で支出されていた医療費につきましても自己負担が生じることとなりますが、都は独自の医療費助成制度を適用し、利用者の負担軽減を図っていくこととしております。
 今後、障害児やその保護者が安心して新制度を利用できますように、ご指摘の点も踏まえ、改正内容についてのわかりやすいリーフレット作成はもとより、保護者への説明会等を行い、きめ細かな対応に努めてまいります。
 次に、精神障害者の地域生活を支える基盤整備についてでございますが、都では、障害者自立支援法の趣旨を踏まえまして、障害者が地域で自立して生活をするために必要な生活基盤の整備を促進するため、本年一月に障害者地域生活支援・就労促進三か年プランを策定いたしまして、精神障害者の共同居住や生活訓練の場として重要な役割を果たしておりますグループホームや通所施設などの基盤整備について、初めて計画化いたしました。
 今後は、本プランに基づく特別助成によりまして、現在五百六十五人分整備されているグループホームを、三カ年でさらに二百五十人分整備するなど、精神障害者の地域で自立した生活を支える基盤整備を重点的に支援してまいります。
 次に、都庁内での障害者の実習についてでございますが、障害者の企業等での一般就労を促進するためには、障害者が事前に企業や官公庁での就労を実際に体験いたしまして、一般就労に向けた不安を解消するとともに、受け入れを予定している企業等の障害者に対する理解の促進を図ることが有効であると考えております。
 こうしたことから、これまで都におきましては、東京障害者職業能力開発校の生徒を対象に、都庁内において体験実習を行ってまいりましたが、今後は、福祉施設で働く障害者や養護学校の生徒にも対象を広げるなど、都庁内における職場体験実習の機会の拡大を検討してまいります。
 次に、心身障害者扶養年金制度についてでございますが、扶養年金は、平成五年度以降、基金を取り崩して年金給付の財源に充てる状況が続いておりまして、このまま推移いたしますと、平成二十三年度には基金が枯渇してしまう状況にございます。こうしたことから、本年五月に、東京都心身障害者扶養年金審議会に対しまして、扶養年金制度の社会的役割の変化を踏まえたあり方について諮問し、現在ご審議をいただいているところでございます。
 都としても、扶養年金制度が障害者施策においてこれまで大きな役割を果たしてきたことは十分承知しておりまして、審議会答申を踏まえ、制度のあり方を検討していく中で、全国制度への移行も含め、年金加入者の方々にも十分な配慮をしてまいります。
 次に、緩和ケアの充実に向けた取り組みについてでございますが、がん患者の生活の質を向上させるためには、お話のとおり、治療の早期段階から症状に合わせた適切な緩和ケアが提供されることが重要でございます。
 都はこれまでも、医師や看護師などの医療従事者を対象といたしました、最新の緩和ケアに関する知識、技術の普及を図るための研修を実施してまいりました。
 今後、都内医療機関における緩和ケアの実施状況について詳細な把握をいたしまして、都民や医療機関に対する積極的な情報提供を図るとともに、現在、都内で十カ所指定されております地域がん診療連携拠点病院を十二カ所に拡大を図るなど、緩和ケアの充実に努めてまいります。
 次に、高次脳機能障害者への支援についてでございますが、都においては、職場復帰までを視野に入れた支援の方策を検討する社会復帰支援マニュアル策定事業を平成十四年度から三年間実施いたしました。
 この結果、高次脳機能障害者につきましては、食事、洗面などの基本的な日常生活を営むことは可能でございますが、金銭管理などの社会生活の場面で困難が生じているケースが多いこと、また、社会復帰のためには、失職、休職、未就労といった本人の状況を重視したきめ細かな支援が必要であることなどが明らかになりました。このことから、社会復帰に向けた支援技法の確立や、地域における福祉サービス提供機関同士の連携促進などが重要な課題であると考えております。
 次に、区市町村支援の取り組みについてでございますが、都では、高次脳機能障害者やその家族が区市町村の窓口を相談のため訪れた際に、区市町村職員が適切に対応できますよう、高次脳機能障害者地域支援ハンドブックの素案を昨年度作成したところでございます。
 本年度は、このハンドブックをより実践的なものとしていくため、ご指摘の趣旨も踏まえまして、二カ所程度の区市を選定し、高次脳機能障害者に対する支援を行う都独自のモデル事業を実施してまいります。
 最後になりますが、病院の防災対策についてでございます。
 都では昨年度、都内全病院に対して防災対策を詳細に把握するための調査を実施いたしまして、その結果については、この七月に公表することとしているところでございます。
 また、防災対策の徹底を図るため、都内全病院を対象とした説明会を開催するとともに、災害時には特に重要な役割を果たしていただく六十五の災害拠点病院につきまして、一部に水道や電気などのライフライン停止を想定した防災訓練が実施されていない状況が見られましたので、年内に訓練を実施するよう個別に指導してまいります。
 このような改善策に加えまして、災害発生時には水の確保が特に重要であることから、すべての災害拠点病院におきまして、水道局と連携して、給水車から受水槽への応急給水を行う実践的訓練を、本年夏ごろ、順次実施していくこととしております。
   〔都市整備局長柿堺至君登壇〕

○都市整備局長(柿堺至君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅の優先入居枠の拡大についてでございますが、安心して子どもを産み育てられる環境を整える上で、生活の基盤である住宅の果たす役割は重要でございます。
 都営住宅では、ひとり親世帯や、子どもが三人以上いる多子世帯向けに、当せん確率が高くなる優遇抽せん、住宅の狭さや家賃負担などの住宅困窮度に応じて入居者を選定するポイント方式による優先入居などを実施してまいりました。昨年には、若年ファミリー世帯向け期限つき入居制度の対象地域を区部十二区から都内全域に拡大するとともに、新たに多子世帯向けにも期限つき入居制度を導入いたしました。
 今後とも、子育て世帯向けに募集戸数の拡大を図るなど、都営住宅の一層の活用に努めてまいります。
 次に、違法駐車に対する駐車施設対策についてでございますが、道路上での違法駐車は渋滞や事故の原因ともなっており、こうした違法駐車をなくすためには、駐車場が不足している地域の解消や空き駐車場の情報提供など、駐車施設対策を行っていくことが重要でございます。
 そのため、都は、地区特性に応じた駐車施設対策の促進や、既存駐車場の有効活用を柱とした新たな駐車施設対策の基本方針案を策定したところでございます。
 基本方針案では、区市町村が行う総合駐車対策基本計画の策定支援や、大規模開発に合わせた駐車場の整備促進、高架下を活用した荷さばき駐車施設の確保、また、既存駐車場へのITカーナビによる案内誘導策の充実などを推進することとしております。
 今度とも都は、地域の実態を調査し、警視庁や関係区市町村とも連携しながら、総合的な駐車施設対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、都営住宅の使用承継の見直しについてでございますが、現在、都営住宅の使用承継の範囲は、原則として配偶者及び一親等親族としております。
 先日の東京都住宅政策審議会の答申では、都営住宅の利用機会の公平性を確保する観点から、使用承継のさらなる厳格化を図るべきと提言されており、これを踏まえ、使用承継の見直しを進めてまいります。
 見直しに当たっては、現在、例外として三親等まで認めている高齢者、障害者及び病弱者の居住の継続や、居住者への周知について十分配慮してまいります。
 次に、シンドラー社製エレベーターの実態調査についてでございますが、都民が安心してエレベーターを利用できるようにするため、過去のふぐあいや点検整備の状況を把握するとともに、現地調査を実施することが重要と考えております。
 このため、都は、事故発生後、直ちに都営住宅を初めとした都有施設において、シンドラー社製を含むすべてのエレベーターの点検を開始いたしました。
 また、民間施設のシンドラー社製のエレベーターについては、区市とも連携し、管理者などに対し、緊急点検と結果報告を早急に行うよう要請をいたしました。
 今後、それらの調査結果を踏まえ、それぞれの管理者から利用者への周知が図られるよう、都民の不安解消に向けて適切に対処してまいります。
 次に、エレベーター事故の再発防止に向けた業者への安全指導についてでございますが、エレベーターは都民の日常生活に必要不可欠な設備であり、設置時のみならず、日常点検により安全性を確保していくことが重要であると考えております。
 現在、事故の原因究明が行われており、その結果を踏まえて、国や区市、エレベーター業界など関係団体と連携し、エレベーターの安全確保に向け万全を期してまいります。
 次に、都市計画道路の整備状況と事業化計画の見通しについてでございますが、都市計画道路は都市を形成する最も基本的な都市基盤であり、東京の魅力づくりと国際競争力の強化の観点からも、その整備を図ることが不可欠でございます。
 このため、社会経済状況の変化を見据えた事業化計画を策定し、整備を進めてきておりまして、本年三月末の完成率は、都市計画道路全体で五六%、骨格幹線道路については六六%となっております。
 現在進めている第三次事業化計画では、区部の放射、環状道路、多摩の南北道路などの整備を重点的に進め、二〇一五年までに骨格幹線道路の整備に一定のめどをつけることとしており、そのネットワーク化の実現を図ってまいります。
 最後に、環境軸の形成に向けた取り組みについてでございますが、東京の都市空間を魅力あるものにしていくためには、幹線道路などを軸に、その沿道を含め、良好な景観や広がりと厚みを持った緑を創出する環境軸を形成していくことが重要でございます。
 このため、本年四月に策定した環境軸基本方針に基づき、関係区市と連携し、調布保谷線や環状五の一号線などのパイロット地区で、沿道での地区特性に配慮した施策の検討を進めてまいります。
 また、検討結果を踏まえ、地区計画の活用による沿道建物のスカイラインへの配慮や、道路や公園などの緑のネットワーク化方策など、環境軸形成に向けたガイドラインを策定し、緑豊かで快適な都市空間の創出に積極的に取り組んでまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君) 駒込病院と粒子線治療を実施する民間医療機関との連携についてでございます。
 このほど、粒子線治療を実施している兵庫及び静岡の二つの医療機関に直接赴いて調査いたしましたところ、医療スタッフの確保、照射機器の維持管理の困難性に加えて、治療法の改善や高額な自己負担などの課題を抱えてはいるものの、前立腺がんや肝臓がんなどの症例数は増加してきております。
 今後は、こうした課題への取り組み状況や診療実績に加えて、都民の医療ニーズの実情などを勘案しながら、民間医療機関との連携につきまして検討を進めてまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君) 若年者就業支援など六点のご質問にお答えいたします。
 まず、若年者就業支援に係る広報の強化とわかりやすい窓口の設置についてでございます。
 都はこれまで、東京都ホームページのトップページに若者を応援するサイトを設け、若者の就業支援に係る最新情報を提供するとともに、深夜帯のテレビコマーシャルなど、広報の効果をより高める工夫を行ってきたところでございます。
 また、わかりやすい窓口として、平成十六年七月にワンストップサービスを行うしごとセンターを開設いたしましたが、この七月には若者しごとホットラインを開設し、電話一本で気軽に仕事に関するあらゆる相談ができる体制を整備いたします。
 さらに、今後は、若者に身近な電子メールを活用した登録者への適時的確な情報発信等、双方向のコミュニケーション方法の導入など、広報の強化を図ってまいります。
 次に、若年者就業支援における連携についてでございます。
 都はこれまで、高校生向けのセミナー等の実施を通じ、しごとセンターと教育機関との連携を図ってまいりました。しかし、高校の卒業や中退を機に、就業に関する相談の機会や場を失う若者も少なくございません。したがって、若者に接する機会の多いさまざまな機関が緊密な連携を図り、適時適切な就業支援を行っていくことが重要でございます。
 このため、今後は、教育機関と連携の上、生徒の卒業後にもしごとセンター等の就業支援メニューを引き続き利用できる仕組みづくりを進めてまいります。同時に、進路未確定のまま卒業した若者や中途離職した若者に対しては、区市町村やNPOなどを含めた関係機関とのネットワークづくりを進め、総合的な就業支援に取り組んでまいります。
 次に、農業振興の地域別取り組みの考え方についてでございます。
 平成十三年度に農業振興プランを策定した後、都内の農地面積や農家数は急速に減少いたしました。こうした中で、農業経営を活性化するには、各地域の特性を最大限発揮することが不可欠の課題でございます。
 このため、これまでの振興プランの四つのゾーンを、改めて十の地域に再区分し、各地域の特徴と課題を踏まえたきめ細かな振興方策を明らかにいたしました。
 例えば、都内全域での安全・安心な農産物生産を行うエコファーマーの認定促進に加え、北多摩地域では、価格が低迷している大根などの根菜類から、収益性の高いホウレンソウへの転換などを打ち出しております。
 今後は、地域別の振興方策に基づき、各地域の特性を生かした取り組みを展開してまいります。
 次に、地域別取り組みの具体的進め方についてでございます。
 都は現在、農業経営の安定に向け、収益の改善などを目指す意欲的な農業者の取り組みを重点的に支援しておりまして、高級量販店向けの完熟イチゴを栽培するなどの成功事例があらわれつつあります。
 今後は、農業改良普及指導員が中心となりまして、このような成功事例を地域の農業者に周知し、地域全体に経営改善の輪を広げていくとともに、こうした経営改善に必要な施設整備も支援してまいります。
 次に、農地制度や税制についての課題の整理と、その際の農業者からの意見の聴取についてでございます。
 東京の農地は、地価が高く、固定資産税や相続税などの税負担のみならず、相続税納税猶予を受けるためには終生の営農を義務づけられるなど、その負担が重く、農地を手放さざるを得ないという実態がございます。こうした東京農業の実情に合わない農地制度や税制度が大きな要因となって、農地の減少が進んでいるわけでございます。
 今後、農業者や学識経験者などの意見を聞き、農地保全策について速やかに検討を行うとともに、国に対し、都市農地を保全するための対応を強く求めてまいります。
 最後に、農林総合研究センターの研究内容の充実等でございますが、都は、平成十七年四月に、農業、畜産、林業に係る研究力の総合的な向上を図るため、これら三試験場を統合し、新たに農林総合研究センターを設立いたしました。同センターでは、技術力とマネジメント力にすぐれた人材を招聘し、産学公の連携による共同研究の拡大を図っております。
 また、研究課題につきましては、外部評価により、一般都民や農業者、学識経験者などの意見を反映し、現在、農薬を減らす安全・安心な栽培技術の開発や、味のよい大粒ブルーベリーなどの高付加価値品種の育成等、農業者に役立つ研究開発に取り組んでおります。
 今後、同センターのこうした取り組みを、ウエブサイトや普及情報誌等により農業者に十分に伝えてまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、震災対策における復興市民組織育成のための訓練についてでございますが、震災後の地域の復興に当たりましては、被災住民の主体的な取り組みが重要でございます。
 都はこれまで、区市町村と連携し、町会などの地域住民が復興の手順やまちづくりなどを検討する復興模擬訓練を支援してまいりました。
 今後は、まちづくりを中心とする訓練に加えまして、震災後も高齢者や障害者などが地域で生活し続けられるよう、暮らしを支え合う訓練などにつきましても事業の対象にしてまいります。
 また、先進事例の紹介を行うなど、あらゆる機会を通じまして未実施の区市町村に対し積極的に働きかけ、実施団体の拡大に努めてまいります。
 次に、小笠原諸島への航空路についてでございますが、現在、都は、洲崎地区活用案、水上航空機案など四つの案に関しまして、自然環境との調和を初め、運航の安全性や採算性の確保などの検討を行っております。
 平成十五年以降、新たな空港整備に当たりましては、合意形成の手段としてPIを実施することとされております。このPIにおきまして、都と村が連携して、複数候補地の中から一つの候補地を選定することになります。
 今後、都は、PIの早期実施に向け、それぞれの案につきまして引き続き諸課題の調査、検討を行い、小笠原村と十分連携しながら積極的に取り組んでまいります。
 次に、国への働きかけと村との連携についてでございますが、小笠原への航空路開設には、自然環境との調和とともに、村民の合意形成が不可欠でございます。
 このため、先般、都は国に対し、技術面等に関する指導助言などの支援、協力を要請いたしました。
 また、村民の合意形成に向け、まず、村民の意向を十分に踏まえた取り組みを進めるため、総務局、環境局、港湾局の三局と小笠原村による実務的な協議の場を設けたところでございます。
 今後とも、国に対して積極的な働きかけを行うとともに、村との情報交換を十分密にし、連携して必要な調査、検討を進めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君) テレビゲームの問題についてお答えをいたします。
 まず、テレビゲームの問題に関する実態の調査研究についてでありますが、残虐ゲームや長時間にわたりゲームをすることは、青少年の健全育成を阻害するおそれがあります。
 都は、昨年十月に、ゲームソフトメーカーなど関係団体で構成しますテレビゲームと子どもに関する協議会を設置し、議論を重ねた結果、残虐なゲームについて、新たに十八歳未満販売禁止の表示をし、それらを子どもたちに販売しない旨の合意に至りまして、五月末から全国で実施されております。
 都としましては、長時間ゲームの問題を初め、テレビゲームが子どもたちに与える影響につきまして、この協議会においても議論することはもちろんですが、その実態の調査研究について鋭意検討してまいります。
 次に、ゲームの問題点などに関する情報提供についてでありますけれども、ゲームといわば上手につき合うには、何よりまず、家庭においてしっかりとしたルールをつくる必要があると考えます。
 そのため、都では、子ども応援協議会の部会となっております心の東京革命推進会議におきまして、インターネットやテレビゲームに関する家庭でのルールづくりを推進するプロジェクトチームを七月に設置する予定でおります。
 このプロジェクトチームにおきましては、インターネットやゲームの適切な使用方法などに関する教材を作成しまして、保護者などを対象とした講座を開くなど、家庭におけるルールづくりを支援するための情報提供に努めてまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君) 環境に関する三点のご質問にお答えします。
 まず、再生可能エネルギーの需要を拡大する仕組みづくりについてでございます。
 我が国では、電気事業者に再生可能エネルギーの導入義務が課されてはおりますが、目標値が極めて低いことなどから、需要の拡大は十分ではないと考えております。
 今後、法による導入目標値の引き上げなどを国に求めるとともに、都は、大規模開発に当たって再生可能エネルギーの利用を促す仕組みづくりなどについて検討を進め、独自の施策の実現を図ってまいります。
 次に、バイオマス燃料についてでございます。
 東京において再生可能エネルギーの利用を飛躍的に拡大していくためには、自動車燃料にもバイオマス燃料を導入していくことが必要であります。
 都は、ディーゼル車対策の実施に当たって、低硫黄軽油の導入を国に先駆けて実現した経験を有しております。こうした経験を生かしつつ、バイオマス燃料の環境性能や経済性などの課題について整理を行い、導入に向けて取り組みを進めてまいります。
 最後に、小笠原諸島の自然環境の保全についてでございます。
 都はこれまで、無人島のノヤギの排除を実施するとともに、外来種の新たな侵入や拡散を防ぐためのルールづくりなどに取り組んでまいりました。
 今後、ご指摘の点を踏まえまして、自然環境の保全対策についてさらに詳細な調査を行い、観光、漁業、地元NPOなどの関係者と綿密な連絡を図り、国や村と連携しながら、かけがえのない小笠原の自然環境を保全していくための管理計画の策定に取り組んでまいります。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) オリンピック及び東京大マラソン祭りに関します二点についてお答え申し上げます。
 まず、招致機運の盛り上げでございますが、オリンピック招致を成功させるためには、都民、国民の幅広い支持が必要でございます。適宜適切に機運の盛り上げを図っていくことが重要であると考えております。
 このため、八月の国内立候補都市の選定に向けまして、七月二十日には、広く都民の参加を得て、二〇一六年東京オリンピック都民集会を開催いたします。
 また、その後は、都民からのアイデアも取り入れた広範な招致活動を展開したいと考えております。多摩はもとより、全国におきまして地域色豊かな招致イベントを展開し、オリンピック招致機運を高めていきたいと思います。
 次に、東京大マラソン祭りにおけますバリアフリー化の取り組みについてでございます。
 東京大マラソン祭りにおきましては、障害者を含めたすべての市民が参加できる環境づくりが大切であり、ご指摘のように、バリアフリー化の推進は重要であると考えております。
 現在、イベント会場等の使用につきまして関係者と調整を進めているところであり、その中で、車いす応援者の応援ゾーンの整備など、どういう対応がとれるかを鋭意検討してまいります。
 また、トイレにつきましては、コースに面する都立公園のトイレの改修にあわせて、その洋式化を図るなど、だれもが清潔で快適に利用できるトイレづくりを行ってまいりたいと思います。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 道路整備に関する情報提供についてでありますが、都市計画道路の整備に当たりましては、都民の理解と協力を得るための情報提供が不可欠でありまして、事業の進捗状況などにつきましても、適切な時期に都民に明らかにすることが重要であると考えております。
 これまで都は、事業の各段階で地元説明会などを行うとともに、都道の事業認可に際しましても、事業の概要や効果などの情報を報道機関などを通じて提供してまいりました。
 今後は、さらに、ホームページ上で優先整備路線全体の進捗状況に関する情報を集約し、容易に検索できるよう工夫を凝らすとともに、事業認可前の段階から測量などの情報を都民に提供するよう努めてまいります。

○副議長(木内良明君) 百五番大山とも子さん。
   〔百五番大山とも子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百五番(大山とも子君) 日本共産党を代表して質問します。
 まず、オリンピック問題です。
 五月半ばにようやく東京オリンピック基本方針が発表されました。
 石原知事が示した方針には、今わかっていることだけでも、見過ごすことのできない重大な問題があります。
 第一に、世界一コンパクトな大会というごまかしです。あたかも財政投資の規模もコンパクトであるかのようですが、コンパクトの根拠として挙げているのは、半径十キロメートル圏内にほとんどすべての競技施設と関連施設を配置することです。その一方で、オリンピックをてこに都市と社会を変革するとし、環状道路ネットワークの整備とか空のアクセス充実、臨海地域の機能強化などということが殊さら強調されています。
 これらを実行すれば、コンパクトどころか、途方もない財政投資が強行されることは明らかです。
 まず、道路建設です。オリンピックに間に合わせるという三環状道路だけでも、首都高速中央環状品川線で四千億円、圏央道で三千九百億円、外かく環状道路には、大深度地下方式にした場合、一兆三千五百億円、その上部につくる四十メートル幅の都道の建設は、住宅密集地の立ち退き買収費用がかかり、推計では六千億円程度の費用がかかります。
 その上、この環状道路とネットワークを結ぶ放射五号、放射七号、新滝山街道などもあわせて促進することになりますから、この三本だけでも約七百億円の事業費です。
 さらに、知事が、オリンピックに向けて軍民共用化による民間機導入を主張している横田基地と都心を結ぶ高速道路多摩新宿線を建設すれば二兆二千億円、知事がいい出した、羽田空港と築地を結ぶ地下トンネル道路という、都市計画にもない道路までつくれば一兆円規模になります。このように、道路だけでも、合わせると六兆円を大きく上回る規模になりかねません。
 オリンピックに向けた公共交通の整備も莫大な費用がかかります。晴海にメーンスタジアムをつくっても、八万人の観客を会場に直接運べる公共交通はありません。知事が言及したように、バスや船を使ったり、大江戸線や「ゆりかもめ」の延伸を行っても、せいぜい半分しか運べません。三・五キロ離れた東京駅などターミナルからの地下鉄による大量輸送ルートをつくる可能性が強いと思われ、全体で二千億円ぐらいの投資が予想されます。公共交通が整っていない臨海部に主な施設を集中させることで、都市計画にもない新たな投資が必要となるのです。
 オリンピック施設の建設費にも大きなごまかしがあります。先ほど、メーンスタジアムなどの施設整備関連経費が五千億円かかるとの答弁がありました。これに加えて用地取得費があります。知事は、これらの施設は都有地につくるから、用地を一切取得する必要もないといっていますが、事実は違います。臨海部のメーンスタジアムと選手村の予定地は、都有地とはいっても臨海開発事業会計の所有であり、メディアセンターの予定地は市場会計の所有です。臨海開発は、これらの土地を売却しなければ財政が破綻するし、市場会計も、その用地を売って豊洲への移転費用に充てる計画ですから、有償で買い取らなければなりません。違いますか。知事の答弁を求めます。
 これらの土地を時価で買い取るとすれば、約七千億円の費用が必要になることを指摘しておきます。
 加えて、知事は、オリンピックの主要な舞台となる臨海地域の機能強化するためといって、臨海部を活動基盤とする第三セクターについては、破綻した三セクも含めて統合し、臨海地域の開発、運営をゆだねようとしています。これは破綻処理を先送りするもので、傷口をますます広げ、さらなる財政投入に道を開くことにつながります。オリンピックにかこつけて臨海開発の救済を行うことは許されません。
 これまで挙げたもろもろのオリンピック投資は、七兆円を大きく超えるものになりかねません。財政面で見れば、コンパクトどころか、とんでもない浪費型オリンピックになるではありませんか。
 オリンピック関連投資を一体どのくらい見込んでいるのか、計画の全体と財政見込みを一刻も早く都民に明らかにすべきと考えますが、あわせて知事の答弁を求めます。
 知事は環境最優先の大会をもう一つの目玉にしていますが、東京が地球温暖化対策において他都市を先導していると自賛し、世界最高水準の温暖化対策やヒートアイランド対策を推進するといっています。
 しかし、一体、石原都政で東京の環境は改善されたのでしょうか。世界をリードするような環境対策が進められたのでしょうか。地球温暖化の原因となる二酸化炭素についていえば、京都議定書に基づいて六%削減しなければならないのに、逆に二四%も増加しているのです。熱帯夜や集中豪雨など、ヒートアイランド現象による異常気象が相次いでいます。これは、石原都政が規制を緩和し、この間、東京ドーム百三十二個分の床面積の超高層ビルを乱立させることで、地球温暖化物質の二酸化炭素を六百六十万トンもふやしてきたことが大きな原因になっています。
 都市公園の整備を怠り、パリの二分の一、ロンドンの五分の一にすぎず、国内政令市と比べても最下位にとどまっていること、多摩の自然も開発で破壊され、温室効果ガスを吸収する緑がどんどん減少していることも指摘しないわけにはいきません。
 大気汚染についても、自動車排気ガスはディーゼルの浮遊粒子状物質こそある程度改善されましたが、二酸化窒素は横ばい、光化学オキシダントはどの測定局でも基準を達成していません。都は、大気中のダイオキシン類や二酸化炭素が大幅に減っているといいますが、これは、知事が改悪した旧公害条例による取り組みと、工場が減少したことによるものです。横田基地周辺では受忍限度を超える航空機騒音に住民が苦しんでいます。
 知事、「環境白書二〇〇六」は、二酸化窒素について、自動車排気ガス測定局で三十四局中十六局の適合にとどまりました、二酸化窒素は横ばいとはっきり書いています。しかも、六%削減すべき二酸化炭素を逆に二四%もふやしておいて、世界をリードする環境対策を進めてきたなどとよくいえますね。これでどうして世界最高水準の環境対策、ヒートアイランド対策を進められるというのですか。お答えください。
 とりわけ対策が急がれる二酸化炭素対策では、ロンドンが二〇五〇年までに二〇〇〇年比で六〇%削減する目標を持って取り組んでいるのに対し、基本方針は、大会までに、大会開催によって排出される二酸化炭素の総量を大幅に上回る二酸化炭素の削減を達成するとしているだけで、京都議定書の目標達成などは眼中にありません。
 地球温暖化対策というのであれば、事務所、事業所の過度な東京集中を抑えるとともに、自動車走行量や排ガスの規制を強化することが欠かせません。
 また、都市公園を欧米並みの水準に引き上げること、稲城の南山や青梅丘陵など多摩地域の里山や自然の保護に全力を尽くすことを基本に、総合的で実効性のある対策を確立することが不可欠であると考えますが、どうか。答弁を求めます。
 知事がオリンピックの名で加速しようとしている都市再生は、世界の大都市と比べても異常なものです。その典型は、知事が最優先に取り組むという環状道路です。
 そもそも東京には、首都高の内環状線と八本の環状道路がほぼ完成しています。その上、首都高中央環状線、外かく環状道路、圏央道の三つの環状道路が必要なのでしょうか。
 知事は、東京の環状道路は世界の大都市と比べておくれているといっていますが、事実と異なります。ニューヨークには、環状道路は一つもありません。そのかわりに、トラックの都心部への流入を抑制するトラックルートというやり方が導入されているのです。ロンドンは一環状だけで、何本もの環状道路をつくることはとっくの昔にやめて、かわりに、混雑緩和制度といって、環状道路内に入る車に料金を課す制度や、トラックの乗り入れ規制などを取り入れています。パリには確かに自動車専用の三環状道路計画がありますが、東京のように八本もの一般の環状道路はありません。自動車流入の抑制政策もなく、ひたすら集中を強め、やみくもに環状道路の建設に突っ走っているのは東京だけですよ。
 交通渋滞対策というのなら、もっとやるべきことがあります。東京大学の越教授は、日常の大都市内の渋滞の場合、現実には数%から十数%の超過需要が発生しているにすぎないとして、現在ある道路をより有効に使いこなすだけでも渋滞の大幅な削減あるいは解消は十分に可能ですとして、新規需要の抑制、トラック以外の物流手段の開発、信号改善や路上駐車の解消などを提案しています。
 幹線道路建設に重点を置くのではなく、都として公共駐車場の設置や商店街などが行う駐車場設置を積極的に支援すること、交差点改良やバスベイなどのボトルネック対策を抜本的に強化することこそが急がれると思いますが、どうか。
 とりわけ外環道については、都の理不尽なやり方に、これまで協力してきたPI協議会の委員から抗議の声明が出され、計画の中止を求める住民の声が巻き起こっています。三鷹市からは、環境への影響が大きいと判断した場合は計画をとめることもあり得るという都の態度の堅持を求める意見書も提出されています。
 国が公式に凍結解除もしていない、国幹会議で検討もされていない、費用の負担もはっきりしていない、住民も合意していない、こんな異常なやり方はかつてあったでしょうか。都市計画手続を停止するべきですが、知事、どうですか。
 オリンピックをめぐる知事の独断的手法は目に余るものです。基本方針に明記されたメーンスタジアムの位置すら、知事は一〇〇%決まったものではないと説明する無責任な態度をとりました。都民が最も心配している財政計画もいまだに示されていません。
 都民と都議会には大事なことを隠しながら、白紙委任を取りつけたかのようなやり方は、都民や都議会を愚弄するものであり、絶対許されないことを厳しく指摘しておくものです。
 次に、都民の福祉、暮らしの問題です。
 ところが、石原知事のもとで、これらの課題は都政の片隅に追いやられています。高齢者対策では、老人福祉手当などの経済給付的事業の徹底した切り捨てでした。少子化対策も、東京の出生率は全国最低、過去最低の〇・九八となったことが発表されましたが、知事は所信表明でこのことに一言も触れず、見るべき対策を進めようともしません。
 ヨーロッパではどうでしょうか。経済給付的事業は福祉の重要な柱になっています。知事が先日訪れたイギリスのほか、多くの国が、医療費の窓口負担は無料ないし少額です。高齢者の介護でも、イギリスでは月額三万円から五万円の介護手当が出されており、ドイツやオーストリアの現金給付や手当も高く評価されています。少子化対策でも、イギリスでは、児童手当など経済的支援の強化で、出生率を二〇〇〇年の一・六四から二〇〇三年には一・七一に前進させています。
 イギリスを初めとしたヨーロッパの国々での医療、介護への経済的給付事業について学ぶべきです。切迫している高齢者の介護、医療の新たな負担増への軽減策を検討することこそ急がれていると思いますが、どうですか。
 また、介護保険制度の改定で、要支援の高齢者にホームヘルプサービスの時間削減、特殊ベッドなどの福祉用具の貸与打ち切りが始まっています。しかし、寝たきりを予防し、自立した生活にとって福祉用具は欠かせません。高齢者の状態に応じた福祉用具の貸与が継続されるよう、区市町村の独自努力への支援策などの検討を求めるものですが、答弁を求めます。
 知事、国内でも多くの県が、今年度予算の新規事業で少子化対策を戦略的課題に位置づけています。今こそ知恵と力を発揮して、少子化対策を一つ一つ具体化することが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 もう一つ、東京が解決を迫られている課題が、ものづくりの再生です。
 そもそも東京が急成長を遂げ、世界都市といわれるようになったのは、東京に機械金属を中心とした高度な技術を持った中小企業が集積され、強い経済市場が形成されてきたからです。
 ところが、石原都政は、この七年間中小企業予算を連続して削減し、六割の水準まで引き下げてきました。ものづくり支援を強めている大阪や兵庫、愛知などと違って、制度融資の改悪、工業集積支援や業種別支援の廃止、試験研究機関の統廃合を推し進めることなどによって、都内中小企業、とりわけ製造業対策を後退させたのです。
 周知のように、欧米各国ではものづくりの再評価が行われ、欧州製造業二〇二〇年の展望では、製造業の復活が提唱されています。
 日本でも最近、海外進出していた家電や自動車メーカーが生産拠点を国内に戻す、いわゆる国内回帰が見られるようになりました。このため、国も、ものづくりを支える基盤技術といわれる鍛造、プレス加工、メッキなどの再生を図るための、ものづくり基盤技術の高度化に関する法律を制定しました。
 この法律は、大企業の下請企業に対し国が直接支援するものですが、大阪府は、九カ所の中小企業支援センターや総合的なものづくり支援拠点などを整備してきた経験を生かして、この法律を先取りする形で、研究開発費の支給、協議会の設置や中小企業の巡回訪問など、府としての独自の支援を始めています。
 東京には、城南、城北、多摩地域など、この法律の対象となる機械金属を初めとする業種が多数集積されており、まさに東京のための制度といってもよいものです。ものづくり基盤高度化法を都内製造業も活用できるように国に働きかけること、都として同様の支援の仕組みをつくることも求めるものです。
 また、都が策定を表明した産業振興ビジョンにこれらの製造業の振興を位置づけ、系統的な支援策を確立することを提案するものです。
 最後に、教育の問題です。
 国会で審議されている教育基本法改定案の重大な問題点が浮き彫りになりました。教育の目標に、国を愛する態度など二十項目を挙げ、強制することによって、憲法で保障された内心の自由を侵すこと、戦前の軍国主義教育の痛苦の反省から、教育内容への国家権力の介入に歯どめをかけた第十条を変えて、国による無制限な介入に道を開くことなどです。
 東京都では、二〇〇一年に、都教育委員会が教育目標から「憲法と教育基本法の精神にのっとり」という言葉を削除し、「わが国の歴史や文化を尊重し国際社会に生きる日本人の育成」と書き込みました。米長教育委員は、このことで、事実上教育基本法を改正したと発言しました。
 実際、都政では、教育基本法改悪の先取りともいうべきさまざまな違憲、違法行為が行われています。
 その第一は、日の丸・君が代の強制です。
 二〇〇三年、都教委は、卒業式、入学式等における国旗掲揚、国歌斉唱の実施についてという一〇・二三通達を出しました。この通達に基づいて教師を懲戒処分でおどしながら、職務命令で日の丸・君が代を強制してきたのです。起立斉唱やピアノ伴奏に従わない教職員を、停職三カ月という重い処分も含め、これまでに三百四十五人も懲戒処分しました。
 そればかりか、起立斉唱しない生徒が多ければ、指導不足として、教員への注意、厳重注意を下すことによって、生徒の内心の自由をも踏みにじっています。生徒は、自分が立たなければ先生が処分されるということで、起立斉唱を強制されているのです。
 最高裁判決では、子どもの学習する権利を保障する憲法二十六条との関係で、教育内容に対する国家的介入はできるだけ抑制的でなければならないとし、さらに、たとえ法律に基づくものであっても、行政の裁量で行われる教育への介入は不当な支配に当たることがあると述べています。
 都教委が日の丸・君が代の強制や教師への処分の唯一根拠にしている学習指導要領は、法律のどこにも出てこないもので、文科省がまさに行政の裁量で行っているものです。
 日の丸の位置、生徒や教師の座る位置など、事細かな規定で学校を縛る一〇・二三通達は、文科省の裁量である学習指導要領からさえ逸脱するものです。しかも、もともと国旗・国歌法を制定するとき、野中官房長官は、学校現場での内心の自由の質疑の中で、起立する自由もしない自由もあるし、斉唱する自由もあれば斉唱しない自由もあると答弁しています。これが立法の趣旨なのです。
 都教委による日の丸・君が代の強制は、思想及び良心の自由を保障する憲法十九条にも、行政の不当な支配を禁じた教育基本法十条にも、国旗・国歌法の立法趣旨にも反し、違憲、違法なものです。知事、どう認識しているのですか。見解を伺います。
 都教委は、生徒の内心にまで立ち入って強制しようとするものではないといいますが、現実は違います。ことしの卒業式を前に、ある定時制高校卒業生は、三回にわたって副校長から起立斉唱を指導され、私は自分で考えて立たないといっているのに、何度もいわれて怖くなりましたと語っています。これを生徒の内心の自由を踏みにじっているといわずして何というのでしょうか。文字どおり憲法十九条違反であり、許されるものではありません。
 一〇・二三通達を初め、一連の不法な通達を直ちに撤回するべきではありませんか。見解を伺います。
 そればかりか、前、現生徒会長が、生徒会で作成した国旗・国歌反対のビラを全校生徒の机上に配布したことによって、校長と副校長が都教委に呼び出され、注意を受けています。高校生は意見表明の権利さえないというものであり、明らかに憲法二十一条で定める表現の自由まで侵すものです。絶対に許されません。どうですか。明確に答えてください。
 子どもたちを競争に追い立て、勝ち組、負け組に振り分け、差別と選別の教育をさらに進めていることも重大です。
 政府が、教育基本法の改悪で真っ先にやろうとしているのは全国一斉学力テストです。東京ではこれを先取りし、中学二年生と小学五年生に一斉学力テストを実施、区市町村ごとの成績を発表しています。その中で、子どもたちはどうなっているでしょうか。
 成績が悪かった区では、類似問題でテスト、昨年のテスト問題でテスト、冬休み明けには業者テストと、テスト漬けの中学校。成績を上げようと、校長が事前に問題を教員に見せる。みんなに迷惑をかけるからテストの日は休んだという子もいます。一斉学力テストの実施と公表が子どもたちをいかに傷つけているかは明らかであり、学力向上にも結びついていないのです。
 国際的な学力調査で連続世界一になったフィンランドでは、どのような教育が行われているでしょうか。
 特徴は、第一に競争主義を教育から一掃したことです。一九八五年に習熟度別授業をやめ、勉強ができる子もできない子も、ともに同じグループで学習するようにしています。できる子はできない子を教えることでますます学力が向上し、できない子の学力も向上するようになった。こうしたフィンランドの教育は、東京の習熟度別授業、一斉学力テストなど、差別と選別を強めることでできない子をふやしている教育とは正反対ではありませんか。
 第二に、学校と教師の自由と自立性が尊重されたこと、第三に、行政は不当な介入をやめ、教育条件の整備という本来の役割を果たすようになったことです。そして、二十人程度の少人数学級が確立されました。
 このフィンランドの教育には、日本の教育基本法の、人格の完成を目指し、一人一人の人間としての成長を願う精神が生かされているのです。知事、フィンランドのすぐれた教育にこそ学ぶべきだと思いますが、見解を伺います。
 東京でも、学力テストや習熟度別教育などの競争教育から抜け出し、すべての子どもたちの発達を保障する教育を進めることが必要だと思いますが、どうでしょうか。
 さらに、少人数学級の問題では、私たちの調査では、ことし都内で三十一人を超える学級は、小学校で五九%、中学校では八四・七%も占めています。今や、少人数学級に踏み出していないのは東京だけです。文科省の調査でも、習熟度別指導より少人数学級の方が効果的と答える学校は八割を超えています。来年度から都として三十人学級に踏み出すことはもう待ったなしであり、直ちに踏み出すべきです。少なくとも、区市町村に対する四十人学級の押しつけはやめ、他県のように、速やかに区市町村が加配教員を活用した少人数学級を選択できるようにすべきです。
 また、今年度からは、区市町村が経費を負担して独自に教員を任用できるようになりました。区市町村が任用する教員で少人数学級の実施を希望する区市町村にはそれを認めることは当然です。
 それぞれ答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大山とも子議員の代表質問にお答えいたします。
 質問というより、非常に危険なデマゴーグという感じがしますがね。
 あなた方ね、共産党さん、オリンピックに反対のようですけどね、もし仮にですよ、努力しますけど、東京オリンピックが実現して成功したときは、共産党も賛成したなんていわぬでしょうな。これはみんなで覚えておこうね。
 オリンピックに関する経費についてでありますが、三環状道路の整備や横田基地の軍民共用化、羽田空港の再拡張・国際化などの施策は、オリンピックの開催の有無にかかわらず、東京の、ひいては国家の機能をさらに向上させ、国際都市間競争に打ち勝つためには必要な将来への投資であります。
 二〇一六年のオリンピック開催に向けてインフラ整備を一層促進し、都市問題の解決に大いに貢献していく有力なよすがでもあると思います。
 あなた、先ほどしきりにロンドンのことをいいましたが、私は最近、ごく最近、ヘリコプターでロンドンを飛び回りましてくまなく見てみましたが、東京以上にひどい渋滞ですな。環状線はできているけれども、足りないんですよ。一本じゃ足りないから、あんなことになるんですよ。道路をつくることが共産党にとってはよほど罪なようですけど、私は全くそうは思わない。
 オリンピックの招致、開催に当たっては、民間活力、資金などを積極的に導入するとともに、既存の施設を活用するなど、効果的で効率的な運営を徹底し、過大な経費をかけない方針であり、ご指摘の浪費型オリンピックは全く当たりません。
 次いで、環境対策についてでありますが、都は、ディーゼル車排出ガス対策において、世界的にもほとんど前例のない使用過程車の走行規制を実施し、都民の健康影響が最も懸念された浮遊粒子状物質について大変な大幅な削減をいたしました。
 これは、先日会いましたリビングストンも非常に評価して、東京のまねをぜひしたいといっておりました。
 国が示す環境基準が設定されているその他の大気汚染物質についても、私が知事に就任する前の平成十年度と直近のデータを比較しますと、光化学オキシダントを除き、八つの物質すべてで改善をしております。とりわけダイオキシン類は約八割、二酸化硫黄は約七割の大幅な削減を実現いたしました。
 また、地球温暖化対策については、事業者により高い二酸化炭素削減目標設定を求めておりまして、先駆的な制度を創設するなど、対策を強化しております。
 今後、さらに東京を安心して住み続けることのできる都市としていくために、一層強力に環境施策を展開していくつもりでございます。
 そのためにも、世界最高水準の地球温暖化対策として、より厳しい二酸化炭素の排出抑制や再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大など、国に先駆けた新たな方策を検討してまいります。
 次いで、外環道についてでありますが、外環道は、日本社会全体のダイナミズムを高め、我が国の国際競争力の向上、国家の繁栄、東京の発展に不可欠な道路であります。これまで、地元との話し合いも三百四十回以上に及び、先般、沿線の区長、市長からも意見を聴取いたしました。このような取り組みを重ね、今般、大深度地下への都市計画変更に着手いたしました。
 引き続き、外環道の早期完成に向け国を動かし、総力を挙げて一日も早い完成を目指しますし、また、その大きな引き金にもオリンピックはなると思っております。
 ちなみに、私が先日会いました、大ロンドン市制になってから初めて選挙で選ばれた市長のリビングストンは、レッド・ケンといわれて、真っ赤っ赤の真っ赤っ赤の政治家で、労働党が愛想尽かしてほうり出したそうですが、市長に選挙で当選しまして、どういう思惑か、また労働党はこれを抱えたようでありますけれども、彼の前歴、考え方については知りませんが、しかし、この人は非常に熱心にオリンピックを利用し、ロンドンの都市整備を、インフラの整備を含めて考えていますよ。少し共産党もこれを参考にして、もうちょっと合理的になったらどうでしょうか。
 次いで、少子化対策についてでありますが、我が国の総人口は、昨年、統計上初めて自然減に転じましたが、少子化は、社会がある程度豊かになり、高齢化が進んだ先進国では、長期的に見れば例外なく進行しているものと認識しております。
 しかし、フランスはそれに懲りて、この回復策をいろいろ講じておりますが、いずれにしろ、どのような状況にあっても、未来を担う子どもたちの健やかな育ちを支えることは、行政はもとより社会全体の責務であります。
 都はこれまでにも、子どもとその家庭を支援するため、福祉・医療改革や教育改革など、国に先駆けてさまざまな独自の施策を推進してまいりました。
 今年度も、区市町村の子育て支援策への主体的な取り組みを促すため、新たな補助制度を創設するなど、次世代の健全な育成のために必要な施策は既に実施しております。
 次いで、国旗・国歌の問題でありますが、これは既に教育基本法云々の前に、学習指導要領の中に、国旗は日の丸とする、国歌は君が代とするというきちっとした規定があるわけでありまして、これは最高裁の要するに判例でも、法律と同じような規制力を持つという裁定が下っております。
 いずれにしろ、その後に教育基本法が云々されているわけでありますが、私は、国旗・国歌の指導は違憲、違法なものでないとする都教育委員会の判断は、至極妥当なものと考えております。
 次いで、フィンランドの教育についてでありますが、私は、これを称賛するあなた方と全く考え方が反対でありまして、首都大学の学長の西澤さんも持論としておっしゃっておりますが、まさに同じ意見でありますけど、小中学校における教育は詰め込みでなきゃだめだと思います。徹底して詰め込まなきゃだめです。
 そして、そこでやっぱり競争の意識を持たせ、人間、十全万能な人間はおりませんから、この点ではおれは劣る、この点ではまさるという、そういう相対的な人間観というものをきちっと備えて、その先、高校に行って感性、情念というのが育成されていく段階で、カリキュラムの選択の幅を与えるべきだと私は思いますが、いずれにしろ、フィンランドがどうか知りませんけれども、私は、それをそのまま日本に踏襲する必要は全くないと思いますし、戦後日本の教育は、行き過ぎた平等主義による画一的な教育が、子どもたちのさまざまな成長の可能性の芽を摘んできたと思います。
 個性、能力を重視し、それぞれが持つ可能性を存分に発揮させるような教育こそ大切であると思います。学校では互いに切磋琢磨し、競争しながら成長していくための、そういう試練が必要であると思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、国旗・国歌の指導についてでございます。
 学校における国旗・国歌の指導は、児童生徒に我が国の国旗・国歌の意義を理解させ、それを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるために行っております。
 国旗・国歌について指導することは、生徒の思想、良心の自由を侵すものではなく、あくまでも教育指導上の課題として行っているものであり、通達を撤回する考えはありません。
 次に、校長、副校長への指導についてでございますが、ご指摘の事例については、校長、副校長が教員に対して十分な指導監督を行っていなかったため、都教育委員会が管理職に対して教職員への指導を徹底するよう注意をしたものでございます。
 次に、学力向上を図るための調査や習熟の程度に応じた教育についてでございます。
 児童生徒の学力の現状を把握することや、習熟の程度に応じた指導の充実を図ることは、児童生徒に確かな学力を身につけさせる上で必要不可欠なことでございます。
 都教育委員会は、今後もこれらの施策を継続して実施してまいります。
 次に、少人数学級についてのお尋ねでございます。
 限られた教員定数の活用につきましては、教育効果という観点から都教育委員会が主体的に判断すべきものと考えておりまして、これまで、少人数指導について、国の教職員定数改善計画を踏まえ、着実にその充実を図ってきたところでございます。
 都教育委員会としましては、学級には一定規模が必要である一方、基礎学力の向上に配慮してきめ細かい指導を行っていくため、少人数指導の充実に努めていくという方針に変わりはございません。
 最後に、区市町村が任用する教員をもって少人数学級の実施を希望する場合についてでございます。
 都教育委員会として、現在、みずからの経費負担により独自に教員を任用してまで少人数学級を実施したいとする区市町村の具体的な意向は伺っておりません。
 今後、仮に区市町村から具体的な意向が示された場合、その時点で当該区市町村から個別にお話を伺ってまいりますが、都教育委員会といたしましては、従前どおり、児童生徒が社会性を養うための教育効果の点で、生活集団としての学級には一定の規模が必要であると考えております。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) オリンピックに関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、オリンピック関連施設についてでございますが、メーンスタジアム、選手村及びメディアセンターの整備につきましては、民間活力の導入などを検討しており、現時点において新たに土地を取得する予定はございません。
 次に、オリンピック関連経費についてでございますが、仮設施設費を含む大会運営費につきましては、ロンドンと同程度の三千億程度を見込んでおります。また、施設整備につきましてはおおむね五千億円程度、そのうち都の負担額は約五百億円程度と見込んでおります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君) 環境に関する二点のご質問でございます。
 まず、地球温暖化対策についてでございます。
 二〇〇三年度に二酸化炭素排出量が約二四%増加している主な原因は、原発の長期停止に伴い、排出量が多い火力発電による電力供給がふえたためでございます。この影響を除けば増加率は約四%程度になりますが、削減目標の達成にはさらなる対策の強化が必要であることはいうまでもございません。
 このため、都に対して実効性のある対策の早急な実施を求めるとともに、都においても地球温暖化対策計画書制度の改正、運用強化などにより、事業所等から排出される二酸化炭素の削減に取り組んでいるところでございます。
 また、新自動車環境管理計画書の活用により、自動車からの排出量の抑制についても対策を強化いたしましたが、今後ともこれらの取り組みをさらに推進してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 交通渋滞についてでありますが、放射、環状道路などの幹線道路の整備は、交通渋滞の解消や環境改善に寄与し、首都東京の発展に必要不可欠でございます。
 このため、特に効果の高い首都圏三環状道路や都内の骨格幹線道路などの整備を集中的に進めております。
 また、ボトルネック対策といたしまして、連続立体交差事業を初め、バスベイや荷さばき場などを設置するスムーズ東京21、右折レーンを整備する交差点すいすいプランなどの事業を積極的に実施しております。
 こうした総合的な取り組みによりまして、都内の走行速度が向上し、交通渋滞が緩和されるなど、着実に成果を上げておりまして、引き続き事業を推進してまいります。
 なお、先ほどのご発言で、一言だけつけ加えさせていただきますけれども、渋滞の問題に触れられまして、現状の道路を有効に使いこなせば足りるというご発言がありましたけれども、私どもの認識は全く逆でございまして、ネットワークの形成がいまだ不十分であるがゆえに道路を有効に使いこなすことができない、このように考えております。
 渋滞がわかっていながら代替の経路が選択できない、ここに問題があるのでありまして、私は、先ほど来申しましたように、三環状道路を初めとする骨格幹線道路の整備、これが不可欠でありまして、引き続き積極的に推進してまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君) まず、高齢者に対する経済的支援についてでございますが、我が国の医療保険制度や介護保険制度は、国民の生活を支える上で重要な役割を果たしておりまして、平均寿命世界一という成果は、これらの社会保障制度が有効に機能しているあかしでございます。
 しかしながら、本格的な少子高齢社会を迎えた現在、こうした大切な制度を将来にわたって安定的に維持していくためには、負担と給付のバランスの確保が必要不可欠でございます。
 したがって、今必要なのは、新たな経済的支援を実施することではなく、年齢にかかわらず社会保障制度を国民全体で支え、信頼されるものへと改革していくことと考えております。
 次に、介護保険による福祉用具の貸与についてでございますが、今回の介護保険制度の改正により、要支援・要介護一の軽度者に対する特殊寝台などの貸与につきましては、心身の状態から見て利用が想定しにくいことから、原則として保険給付の対象外とされました。
 ただし、軽度者であっても、日常的に起き上がりが困難であるなど、福祉用具の利用が必要と認められる方につきましては、引き続き保険給付の対象となります。
 また、経過措置として、現に貸与を受けている軽度者については、六カ月間の継続利用が認められております。
 こうしたことから、都として特段の対応は考えておりません。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の基盤技術の高度化についてでございますが、お話の中小ものづくり高度化法は、都内製造業でも活用が可能でありまして、既に都といたしましても説明会で周知するとともに、中小企業振興公社の経営相談や企業巡回などにおいても対応できるようにしているところでございます。
 また、都は、これまでも独自の支援策といたしまして、基盤技術の高度化を目指す中小企業等に対しまして、新製品・新技術開発支援事業や中小企業事業革新支援事業などを実施してきております。さらに、本年四月に地方独立行政法人化した産業技術研究センターにおきましても、基盤技術の支援強化を打ち出しているところでございます。
 次に、製造業の振興でございますが、東京の産業振興のためには、創業、研究開発支援などによる新産業の創出とともに、それらを支えるものづくり技術の強化が重要でございます。
 これまでも中小製造業に対し、技術、経営両面において、創業から事業再生まで総合的な支援を行ってきたところでございます。
   〔百五番大山とも子君登壇〕

○百五番(大山とも子君) 三点、知事に質問します。
 私たちはオリンピック自体を否定しているのではありません。オリンピックをてこに大規模開発を行う、これを反対しているんです。大変なことになるよといっているんです。
 知事は、三環状道路の整備などはオリンピックのためではないといわれましたけれども、オリンピックに間に合わせるために、首都高速品川線は都の直轄道路部分をつくり、一千億円も負担増となっています。外環道も無理やり決定に持ち込もうとしています。ここでも莫大な都負担が発生することになります。
 大体、羽田―築地間の地下道路、会場アクセスのための地下鉄などは都市計画にもなかったものです。
 では聞きますけれども、知事がいっていた、毎年一千億円ずつ積み立てるというオリンピック開催準備基金は何に使うんですか。十年で一兆円にもなるではありませんか。お答えください。
 次は、環境対策についてです。
 知事は、いかにも東京の環境が改善されているかのように答弁されましたが、都合のいい数字ばかりを並べています。大気汚染は、浮遊粒子状物質を除いては、全体としては横ばいです。ダイオキシン類、二酸化硫黄の減少は、工場の減少と旧公害防止条例の取り組みによることであることは環境白書に書いてあります。二酸化炭素は二四%もふやしています。
 一方、イギリスは、既に六%も削減しているんですよ。これで地球温暖化対策で東京が他都市を先導しているといえるんでしょうか。
 大体、知事自身、地球温暖化対策もヒートアイランド対策もうまくいっていない、ついさっき認める答弁をしたではありませんか。東京集中政策を進めて、どうやって世界最高水準の環境を実現できるというんですか。お答えください。
 国旗・国歌について、あの卒業式で三度も強制したこと、それは生徒の内心の自由を踏みにじっているではありませんか。(発言する者多し)

○議長(川島忠一君) 発言時間は既に満了しております。

○百五番(大山とも子君) それが違憲でないというなら、その理由を答えてください。(拍手)

○議長(川島忠一君) 速やかに終えてください。
   〔東京オリンピック招致本部長熊野順祥君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(熊野順祥君) お話のインフラ整備につきまして、既存の計画がある事業につきましては、オリンピックを契機に加速することはあっても、オリンピックの開催の有無にかかわらず、将来の東京、ひいては日本にとって必要な事業であるということは知事が答弁されたとおりでございます。
 また、それ以外におっしゃった事業につきましても、結果としてオリンピックの開催に資するということは多々あろうかと思いますが、東京全体の将来像あるいは都市戦略の中でその必要性を検討されるべきものでございます。
 いずれにいたしましても、こうした事業でオリンピックに関係が深いものにつきましては、現在積み立てておりますオリンピックの基金を使って整備をしていくこともあろうかと思いますが、いずれにしても、十年間積み立てるともうオリンピック開催になってしまいますので、そこまでは積み立てられないと考えております。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君) 先ほど知事が申し上げましたように、国が示す環境基準が平成十年度と比較いたしまして、十六年度の直近の数字でございますけれども、これは一般環境大気測定局の数字でございますけれども、例えば二、三申し上げますけれども、浮遊粒子状物質では三六%の減、それから二酸化窒素は一三%の減、一酸化炭素は二九%の減、それからダイオキシン類七九%の減、ベンゼンは約六〇%の減、それからトリクロロエチレンは約五〇%の減、二酸化硫黄は六七%の減、まだございますけれども、このような数字が厳然とあるわけでございます。
 したがいまして、知事が申し上げた環境基準すべての大気汚染物質について、平成十年度と比べ、すべてにおいて減少しているということについて、正しい数字でございます。
 以上でございます。

○六十七番(秋田一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議は、これをもって散会されることを望みます。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は午後一時より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後七時五十分散会