平成十八年東京都議会会議録第四号

平成十八年三月二日(木曜日)
 出席議員(百二十四名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番宇田川聡史君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大沢  昇君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君

 欠席議員(二名)
 九十一番 三宅 茂樹君
百二十七番 渡辺 康信君
 欠員
十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

三月二日議事日程第四号
第一 第一号議案
  平成十八年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成十八年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成十八年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成十八年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成十八年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  平成十八年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
  平成十八年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
  平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成十八年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
  平成十八年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
  平成十八年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
  平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
  平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  平成十八年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
  平成十八年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成十八年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成十八年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成十八年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成十八年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成十八年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成十八年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成十八年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  平成十八年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  平成十八年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都民間事業者等が行う書面等の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例
第三十五 第三十五号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  長期継続契約を締結することができる契約を定める条例
第四十八 第四十八号議案
  東京オリンピック開催準備基金条例
第四十九 第四十九号議案
  東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都市街地再開発事業会計条例を廃止する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京ウィメンズプラザ条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都地方精神保健福祉審議会条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都障害者介護給付費等不服審査会条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  東京都動物の愛護及び管理に関する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都監察医務院関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
  東京都女性相談センター条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  東京都心身障害者福祉作業所条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
  東京都心身障害者生活実習所条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
  東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
  通訳案内業法関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
  東京都離島漁業再生支援基金条例
第九十七 第九十七号議案
  東京都植物防疫施設に関する条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
  東京都立技術専門校条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
  東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
  温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例
第百二 第百二号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
  高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
  液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
  東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
  砂利採取法に基づき河川管理者が行う事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
  東京都下水道条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
  歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例
第百十三 第百十三号議案
  風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
  性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
  都立石神井高等学校(H十七)改築工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
  都立世田谷地区総合学科高等学校(仮称)(H十七)改築及び改修工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
  都営住宅十七H―一〇六東(百人町四丁目第五)工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
  都営住宅十七H―一〇五東(高松三丁目第四)工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
  都営住宅十七H―一〇一東(新宿六丁目)工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
  都営住宅十七CH―一〇八東(江戸川二丁目・江戸川区施設)工事請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
  地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二四二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第百二十五 第百二十五号議案
  包括外部監査契約の締結について
第百二十六 第百二十六号議案
  全国自治宝くじ事務協議会への堺市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百二十七 第百二十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第百二十八 第百二十八号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第百二十九 第百二十九号議案
  平成十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十 第百三十号議案
  平成十八年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十一 第百三十一号議案
  公共下水道の整備工事を独立行政法人都市再生機構が施行することの同意について
第百三十二 第百三十二号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十三 第百三十三号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第百三十四 第百三十四号議案
  多摩川流域下水道秋川処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
第百三十五 第百三十五号議案
  平成十七年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十六 第百三十六号議案
  平成十七年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十七 第百三十七号議案
  平成十七年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百三十八 第百三十八号議案
  平成十七年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
  平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計補正予算(第一号)
第百四十 第百四十号議案
  平成十七年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百四十一 第百四十一号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第四号追加の一
第一 東京都教育委員会委員の任命の同意について(一七財主議第四五八号)
第二 東京都人事委員会委員の選任の同意について(一七財主議第四五九号)
第三 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一七財主議第四六〇号)
第四 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一七財主議第四六一号)
第五 東京都収用委員会委員の任命の同意について(一七財主議第四六二号)
第六 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(一七財主議第四六三号)
第七 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(一七財主議第四六四号)
第八 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(一七財主議第四六五号)
第九 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(一七財主議第四六六号)
第十 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(一七財主議第四六七号)
第十一 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(一七財主議第四六八号)
第十二 東京都公害審査会委員の任命の同意について(一七財主議第四六九号)

   午後一時開議

○議長(川島忠一君)これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君)この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君)次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件十一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君)昨日に引き続き質問を行います。
 二十五番高橋信博君。
   〔二十五番高橋信博君登壇〕

○二十五番(高橋信博君)昨日、羽田空港に関する質問がございましたが、最初に、羽田空港の再拡張・国際化について伺います。
 羽田空港は、都心から至近の距離にあり、しかも二十四時間運用が可能であるため、利便性の非常に高い空港でございます。しかも、国内航空旅客の六割が利用する国内航空ネットワークのかなめとしての役割を果たすだけでなく、貨物専用便が深夜に運航されるなど、物流においてもその役割が大であります。
 国の推計では、平成十四年に約六千万人だった羽田空港の国内航空旅客が、平成二十四年には約七千三百万人に増加するとされており、我が国の航空需要の高まりに対応するためには、羽田空港の再拡張が必要不可欠であります。したがって、羽田空港再拡張事業の早期完成を推進すべきでありますが、所見を伺います。
 さて、近年急速な成長を進めるアジア経済は世界的に重要な位置を占めてきており、それと呼応するように、近隣アジア諸国では、韓国・仁川国際空港、シンガポール・チャンギ国際空港など、国際活動の拠点とするための大規模な空港整備が進められています。日本が国際競争に勝ち抜き、国際的地位を再び高めるためにも、首都である東京と近隣アジア諸国とのネットワークを築くことが重要であり、平成十五年十二月の石原知事の英断により動き出した羽田空港の再拡張事業により、国際定期便の就航が実現することは、まさに時流に即したものであります。
 さらに、石原知事は、近年長く日本を覆ってきた閉塞感を打破すべく、東京オリンピック招致という、都民のみならず国民全体に希望を与える政策も打ち出されました。このように、首都東京における国際活動の重要性は従来の比ではないほど高まっております。こうした動きを踏まえ、羽田空港の国際化をさらに強く推進すべきと思いますが、所見を伺います。
 ところで、横田空域は一都八県にまたがる広大なものですが、米軍の管理下にあるため、羽田空港を発着する路線の航空路の設定が制約され、航空路の過密化を招いています。羽田空港の再拡張・国際化による効果を十分に発揮させるため、横田空域を返還させるべきですが、都の取り組みを伺います。
 次に、今後の多摩の振興の大きなかぎとなる横田基地の軍民共用化について伺います。
 昨年十月二十九日に、日米安全保障協議委員会が在日米軍再編に関する中間報告を発表いたしました。横田基地に関しては、府中市にある航空自衛隊航空総隊司令部が移転するとともに、日米の共同統合運用調整所を設置するとのことであります。
 また、都がかねてより主張していた軍民共用化については、横田基地の運用上の能力を損なってはならないことに留意しつつ、あり得べき軍民共用化の具体的な条件や態様を検討するとされ、実現に一歩近づいたと思われます。
 知事は、中間報告公表直後にワシントンで米政府高官と意見交換をするなど、横田基地の軍民共用化の実現に向けて精力的な活動をされております。
 この三月には在日米軍再編協議の最終報告が出されるとのことであり、現在これに向けた日米協議が行われているとのことですが、その中で軍民共用化がどのように扱われているかは情報がなく、大変わかりにくい状況にあります。
 知事は、横田基地の軍民共用についてどのような現状認識を持ち、今後どのように進めようとしているのか、知事の見解を伺います。
 また、横田基地の軍民共用化は、空港過疎地域ともいえる多摩に空の玄関を開くものであり、人と物の流れを活発化して、地元の産業の活性化や雇用の促進につながるものであります。
 昨年九月に開催された横田の民間航空利用の効果を検証する公開シンポジウムでは、軍民共用化が実現すれば、二〇二二年において年間千四百億円の経済波及効果があり、約八千人の雇用増が期待できるとしています。東京都においても、昨年一月に発表した多摩リーディングプロジェクトでは、横田基地の軍民共用化を視野に入れつつ多摩振興を図るとしています。
 地元では、軍民共用化に対してさまざまな意見がありますが、経済界を初め、軍民共用化による地域振興に期待する声は確実に高まってきています。都として、こうした地元の軍民共用化に期待する声に積極的にこたえて、軍民共用化の早期実現を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、玉川上水の保存管理について伺います。
 承応三年創設といわれる玉川上水は、羽村から四谷大木戸に至る延長約四十三キロメートルに及ぶ長大な土木構造物であり、都市への給水施設及び武蔵野台地の開発用水、かんがい用水として利用されてきました。特に、現在でも創設当時の素掘りの形態が多く残るといわれている中流部には、昭和六十一年の清流復活事業により、一度途絶えた流れが復活しているほか、その敷地両岸には、名勝小金井桜を初め、武蔵野の面影を今に伝える雑木林も多く残されており、都民に親しまれています。
 このように、玉川上水は、高い歴史的価値を持つとともに、水と緑の自然豊かな憩いの空間でもあることから、将来にわたり良好に保全していく必要があります。保全に当たっては、現在では都民の憩いの場になっていることを重視して、土木遺構である玉川上水の現状をいかに維持し、保存していくかという視点が求められるのではないかと思います。
 都では、玉川上水が平成十五年八月に国の史跡に指定されたことを受けて、昨年から保存管理計画の策定に着手したと聞いております。そこで、保存管理計画策定の進捗状況について伺います。
 国の史跡指定である玉川上水を次世代に確実に引き継ぎ、残していくことはもとより、片や玉川上水と調和した都市計画道路などの都道の整備を着実に進めていくことも、我々の重要な責務と考えます。
 私の地元、北多摩地域は、道路整備がおくれ、地域の核をなす南北道路が限られているため、府中所沢線は特に重要な道路であると考えております。府中所沢線の整備に当たり、玉川上水やその周辺の緑の保全に最大限配慮することはもとより、緊急時の広域避難場所である小平中央公園へのアクセスの確保や歩行者の保安上の問題等を踏まえると、事業中の調布保谷線のような平面交差が一番望ましいと考えております。
 現在、東京都は、多摩地域において南北道路を重点的に整備しており、その中で、調布保谷線及び府中所沢線などの都市計画道路が玉川上水と交差する計画となっております。今後整備する予定であるこれらの都市計画道路と玉川上水の交差方法に対する都の基本的な考えを伺います。
 地元小平市では、地域の幹線道路として、五日市街道が市の南部を東西方向に通過しています。この五日市街道は、地域の生活を支える基幹的な道路として、通勤通学はもとより、都民の防災拠点である都立小金井公園への主要なルートとなるなど、多様な交通需要に対応する役割を担っており、渋滞解消や歩行者などが安全に通行できる道路整備が求められています。
 このようなことから、道路ネットワークを早期に形成することも重要であるが、地域の生活を支える五日市街道の整備にも取り組む必要があると考えるが、所見を伺います。
 次に、小金井桜について伺います。
 名勝小金井桜は、八代将軍吉宗の時代、大岡越前守忠相の命により、大和の吉野山や常陸桜川から山桜の苗木を取り寄せ、玉川上水堤に植えつけて桜並木とした由緒ある土地であり、代々玉川上水近隣住民の努力で植え継がれてきました。大正四年には、地元四村の有志により小金井保桜会が結成され、東京市とともに桜並木保存事業を展開してきました。この地元の人々を含む官民一体となった協力体制があってこそ、大正十三年の国の名勝指定が実現し、現在も武蔵野における桜の一大名所です。
 近年は、都市化も進み、交通量もふえ、桜の周辺環境も大きく変化しました。また、山桜の老齢化が進んで衰えているものが見受けられ、住民は大変に心配しております。先人が守ってきた貴重な桜並木を復活するべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、東京都は、水と緑がネットワークされた風格都市東京の実現のため、公共はもとより、都民や民間事業者などのみどりづくりを誘導していく指針として、みどりの新戦略ガイドラインを作成されました。そこで、民間が活力を発揮できる緑豊かなまちづくりについて伺います。
 緑豊かなまちづくりの手法として風致地区制度があります。小平市内では、青梅街道や鈴木街道、さらには東京街道沿いが風致地区に指定され、街道筋の屋敷林の保全に一定の役割を果たしてきました。しかし、長い年月の経過に伴い、樹木は指定を受けた当時の半分も残っていません。このような状況の中、いまだに風致地区に指定されたままになっているため、幾つかの問題が出ています。
 まず、指定を受ける前から建っていた家が、建てかえ時期に来たにもかかわらず、各種の規制により前の家よりも小さな建物しか建たないという悩み、また、実態として全く樹林のない地域、近隣商業地域でありながら、風致地区に指定されているため、商店街としての町並みがつくりにくい地域があるなど、緑豊かなまちづくりにおける民間の活力の活用に課題があると考えています。そこで、小平における風致地区の現状と見直しについて伺います。
 次に、街道沿いの立地をもっと有効利用した緑豊かなまちづくりの方策として、ガイドラインにも示された環境軸を導入すべきと思いますが、見解を伺います。
 緑豊かなまちづくりを進めていくには、街道沿いの帯状の緑だけでなく、面的な緑を確保していくことも重要と考えます。面的な緑の確保においても、従前から図られてきた規制を中心とした制度の活用だけでなく、ガイドラインにも示された民設公園制度のような新しい仕組みを早期に活用することが有効と考えます。そこで、民間の力を活用した緑の創出のため、民設公園制度を導入すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、調布飛行場の航空管制官撤退に対する対応について伺います。
 調布飛行場は、多摩と大島、新島、神津島の各島を結ぶ離島航空路の拠点として、島の人々はもちろん、観光客にとってもなくてはならない存在であります。二月の新聞報道によれば、これまで調布飛行場に常駐していた国の管制官が三月末をもって撤退するが、空の安全は大丈夫かという報道がなされたところであります。国が管制官を配置しているのは羽田、成田などの主要空港のみであり、調布飛行場のような小型航空機用の空港、いわゆるコミューター空港では、設置管理者である自治体が、航空機に対して管制官と同レベルの情報提供を行っていると聞いています。管制官の撤退について都はどのように対応していくか、伺います。
 次に、都市農業の振興について伺います。
 東京の農業は、生産者の顔が見え、都民に新鮮で安全な農産物を供給しています。また、最近では、二次産業や三次産業の要素を取り込んだ新たな農業形態も見られます。例えば、私の住む小平市では、農家と酒販組合が連携し、特産のブルーベリーを発泡酒に加工して販売しています。こうした取り組みは、まさに新たな都市農業の芽吹きであり、農業をビジネスとしてとらえ、発展させていく契機といえます。
 都はこうした動きを見逃さず、地域の主要な産業である農業の一層の活性化を図るべきであると考えますが、見解を伺います。
 さて、都内には八千四百ヘクタールもの農地があり、生産の場としてのみならず、緑地として良好な都市環境の形成に役立っています。しかしながら、最近のように、農業生産の施設化が進み、少量で多品目の直売向けの栽培が主流になると、栽培管理に手間がかかるため、農地を十分に使い切れない状況も出てきます。小平市も、個々の農家の農地面積が広く、果樹や芋類などが大規模に作付されていましたが、十年ほど前からブルーベリーを栽培する農家がふえてきました。ブルーベリーは、栽培が容易で、消費者による摘み取りによって収穫作業を削減することが可能になるなど、すぐれた利点があります。最近では、ブルーベリーの摘み取り販売にトマトや枝豆などの直売を組み合わせ、さらなる所得向上を目指す農家も出ています。
 都は、このような農地の積極的活用に対し、農業振興の観点からどのように支援していくのか、伺います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)高橋信博議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、横田空域返還に向けての都の取り組みについてでありますが、我が国の航空政策をみずからの手で推し進めるため、横田空域の返還は不可欠だと思います。ともかく、国内線もほとんど飽和状態でありますし、国際線のアクセスは完全にパンクしまして、三十五カ国が乗り入れを希望しながら待たされている現況であります。
 横田空域を返還させることにより、合理的な航空路の設定が可能となりまして、安全の確保はもとより、航空路の容量拡大や経路の短縮が図れるなど、多くのメリットが見込まれます。
 もしあの空域の管制が日本の手に戻る、あるいは共同運営にしても、あそこを日本の飛行機が自在に飛べるようになりますと、大阪、福岡、あるいはソウルに向かう飛行機は十分から十五分飛行時間が短縮されまして、これは非常に大きな経済効果になるわけです。
 都は、これまで国に対して、米国ととにかく積極的に戦え、交渉しろといってきましたが、既に私、個人的に要望しまして、総理が引き受けてくれて、何年前になりますか、テキサスでのサミット会談でブッシュ大統領とじかに話をしてくれまして、これは日米間の協議事項にしようということで、向こうも引き受けてくれました。
 しかし、どうも外務省が、何といいましょうか、もたもたしておりまして、今度も在日米軍再編の中間報告に巻き込まれまして、その中では空域削減の検討にとどまっておりますが、いずれにしろ、アメリカはまだこの日本を占領したつもりでおりますから、実質的には。岸さんの時代に安保を片務条約から双務条約に近いものに戻しましたが、しかし、地位協定一つ見ても、彼らの意識は質的に変わっていないと思います。
 一回手にしたものは絶対に放さないというのは、アメリカの、何といいましょうか、強いエゴでありまして、森総理の時代に、ワールドカップが行われたときに、私は韓国の政府とじかに話しまして、CIQ抜きに横田と金浦空港の間にシャトルを飛ばして、選手や観客の行き来に便宜を図ろうと。向こうの政府も喜んで、そのつもりでおりましたら、何とアメリカは、日本のお金であそこの滑走路を五十年間もつように舗装し直すということで、このプロジェクトをつぶしました。本当に私は頭に来まして、一つの、大した仕返しになりませんけれども、災害対策の演習のときに、とにかく横田を一日使わせろということであけさせましたが、これは向こうも聞かざるを得なかったでしょう。
 聞きますと、そのおかげで当時の司令官は、非常にうまい取引をしたということで、勲章ですか、賞状をもらったそうでありますが、そういう事態の中で、私たちこれをできれば全面、いずれにしろ、とにかく私たちのイニシアチブで使うという事態に持ち込むのはなかなか至難だと思いますが、これはやはり、国民なり都民の意識が集中して、外務省もそれを把握すれば、積極的に動かざるを得ないと思います。いずれにしろ、ある段階まで来たことは間違いございません。
 この横田の軍民共用化という問題でもありますけれども、実はアメリカは、やはり何かの口実で、これをそう全面的に開放せずに、手放さずに済むためのヘッジとして、あそこを日本の航空自衛隊と一緒に使うという形で、軍軍民共用化というものを突然いい出しました。これは、日本の防衛庁は、実はそんなつもりはなかったんです。なかったんですけれども、巻き込まれてしまって、あそこに人間だけは配置するけれども、一体何のために、何をするのか知りませんが、聞きますと、まだ技術が開発されていない警備体制、ウオーニングシステムの本部をあそこに置くつもりだそうでありますけれども、これは大分先のことでありましょう。
 しかし、そんなものが技術的に完成される前に、私たちは、あいている滑走路ですから、積極的に使えばよろしいんです。後は、これは国の姿勢の問題だと思いますが、そのためにも、やはり日本の世論というものが沸き起こらなくちゃなりませんし、繰り返して申しますけれども、先般JALと――JALは今度社長がかわりましたが、全日空の社長を呼びまして、彼らの意向をただしましたが、彼らは彼らなりにリサーチしまして、少なくとも一日四、五十便の国内線の需要はあると。当然そうでありましょう。
 あの周りに、長野県、山梨県を含めれば、この問題に一番熱心なのは実は山梨の県知事さんでありますけれども、乗客の数を保証する人口のヒンターランドは非常にあるわけでありまして、そういう点で、私たちはやはりそういう需要というものを背景に、これからも具体的に主張していこうと思いますし、さきにも報告いたしましたが、交通経済学の泰斗の杉山一橋大学学長を委員長にしました杉山委員会をつくりまして、フィージビリティー調査をしました。
 これにこたえてアメリカは、この委員会をグレードアップして、アメリカのスタッフを入れて合議機関にしたらどうだといいましたが、いや、我々は我々でリサーチの機関をつくるといいましたので、これは一つの抵抗の姿勢でしょうけれども、いずれにしろその二つの委員会がこれから具体的な問題で合議するわけですが、しかし、軍の方が実は動きが早くて、米軍の方から、やるならターミナルビルをここにつくってほしいというような要望も具体的にございましたが、いずれにしろ、非常に使用度の高い横田の滑走路を軍民共用であろうと活用していくことは、明らかに国益につながることであると思います。
 昨年十一月に渡米しまして、この最高責任者のローレスと話しましたときも、米国も具体的な向こうの意向を実は示してきましたし、それも受けて、これから、抽象論ではなしに具体的に話し合いを積み上げていくつもりでおります。
 いずれにしろ、その二つの委員会の合同協議というものを早期に立ち上げまして、日米協議を具体的な問題として進展させることが必要だと思っております。その段階まで来たと思っております。改めて日米両政府に強く働きかけ、軍民共用化の早期実現を目指したいと思っております。
 いずれにしろ必要なことは、この問題に対して都民なり国民なりが関心を持って、国益につながる、自分の便宜にもつながるという世論というものをしっかりとつくって、これをぶつけていくことが、私はこういう外交交渉において不可欠な問題だと思っております。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)五点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港再拡張事業の推進についてでございますが、首都圏の逼迫する航空需要への対応を図るため、都は、平成十六年度から国に対し無利子貸付による資金協力を行うこととし、これにより再拡張事業がスタートいたしました。それ以降、国は、新滑走路の工法選定や工事コストの縮減、事業契約の締結などを行い、現在、着工を目前に控え、実施設計や環境影響評価手続などを進めております。
 この事業が完成いたしますと、羽田空港の発着枠が約一・四倍に拡大するとともに、国際旅客定期便や国際貨物便の就航が実現し、東京のみならず我が国全体の経済の活性が大いに期待されるところでございます。平成二十一年末までの供用開始を目指し、再拡張事業を精力的に推進していくよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。
 次に、羽田空港の国際化の推進についてでございますが、日本国内におきまして国際拠点空港の整備が立ちおくれている中で、首都東京の国際競争力を強化し、首都圏、ひいては日本の発展を図るためには、羽田空港の国際化が不可欠でございます。
 都といたしましては、再拡張後の羽田空港を世界に向けた我が国の玄関口として機能させていくために、そのポテンシャルを十二分に活用した国際化の推進を引き続き国に強く働きかけてまいります。
 次に、小平における風致地区についてでございますが、風致地区は、都市における自然的景観を維持するため、風致の特にすぐれた区域を都市計画の地域地区として定めるものでございます。小平市では、東京街道や青梅街道、あるいは鈴木街道や玉川上水などに沿って帯状に指定されているところが特徴でありまして、指定面積は合わせて約百四十八ヘクタールとなっております。
 お尋ねの風致地区の見直しにつきましては、国や区市と議論を重ね、平成十一年に東京における風致地区に関する見直し基本方針を公表し、これを受け、建築規制に関する許可の審査基準の改定を行い、地域の実情に合った運用ができることといたしました。今後とも、地元区市と連携し、風致地区の適切な運用に努めてまいります。
 次に、環境軸の導入についてでございますが、環境軸は、緑のネットワーク効果を高めるため、環境に配慮した広幅員の幹線道路等を軸に、その沿道を含め、良好な景観や広がりと厚みを持った緑を創出するものでございます。
 この環境軸は、小平の特徴でございます、街道等を軸とする帯状の緑豊かな街並みの形成や残された緑の保全に有効な施策の一つでございます。今後、地域の特性に応じ、地区計画や緑地協定等の制度を活用し環境軸の導入を図るなど、緑豊かなまちづくりに努めてまいります。
 最後に、民設公園制度についてでございますが、緑豊かなまちづくりを進めていくためには、都市計画公園・緑地の公共による整備だけでなく、民間の活力を活用した緑の創出が有効であります。そのため、みどりづくりの新しい取り組みとして、民設公園制度を創設することといたしました。
 この制度は、公共が都市計画の建築制限の緩和等を行い、これを受けて民間が一定の規模の公園を整備、管理することとしております。今後、区市など関係機関と連携しながら、民間事業者の協力を得て、この制度の早期実現に取り組んでまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)横田基地の軍民共用化についてでございますが、都はこれまでも、地元自治体への説明などを通じて、地元の理解と協力が得られるように努力を重ねてまいりました。
 昨年十一月には、東京都商工会連合会が中心となって、多摩地域の商工会、商工会議所二十六団体が横田基地軍民共用化推進協議会を設立いたしました。この協議会は、多摩地域の産業の活性化はもとより、首都圏全体の経済発展を見据えて設立されたものと聞いており、東京都としましては、大変力強い地元の方々の動きであると受けとめております。
 今後、周辺の基盤整備や騒音対策など、地元とより密接にかかわりのある課題への対応が重要となることから、引き続き地元の理解と協力を得るように努めながら、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君)玉川上水についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、玉川上水保存管理計画策定の進捗状況についてでございますが、本計画は、歴史的に貴重な土木遺産であります玉川上水について、保存と利用の調整を図りつつ、将来にわたり良好な状態に維持していくことを目的といたしまして策定するものでございます。
 現在、学識経験者等で構成する外部委員会を設置し、幅広い分野の専門的な立場から助言を受け、玉川上水の現状把握及び保存管理に関する諸課題の整理を行っております。
 今後、委員会の助言などを踏まえまして、計画の内容等について、教育庁、環境局、建設局など関係六局で協議を進め、平成十八年度中に計画を策定する予定でございます。
 次に、桜並木についてでございますが、国指定名勝小金井桜につきましては、現在、都教育委員会が剪定や病害虫の防除を行うなど、適切な管理に努めておりますが、周辺環境の変化に伴い、活力の低下が見受けられます。その主な原因といたしまして、玉川上水敷のケヤキなどによる桜への日照障害、土壌の固形化などが考えられます。
 こうしたことから、現在策定中の史跡玉川上水の保存管理計画の中に、桜が名勝として良好な状態に保たれるよう、将来にわたる保護措置についても盛り込むことを検討しております。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)道路整備に関する二点の質問にお答えします。
 まず、都市計画道路と玉川上水の交差方法についてでありますが、玉川上水は、国の史跡指定を受けており、交差する道路の整備に当たっては、現在策定中の保存管理計画との整合を図る必要があります。
 事業中の調布保谷線では、玉川上水への影響や沿道利用を考慮し、交差方法は平面形式による橋梁としております。整備に当たりましては、玉川上水などの景観に配慮し、橋梁の構造や色彩などを検討し、必要な手続を進めてまいります。
 また、事業化を検討している府中所沢線などの都市計画道路につきましても、周辺環境や沿道利用に配慮し、地域に適した整備方法を関係者と協議してまいります。
 今後とも、こうした取り組みを進め、多摩地域にふさわしい道路づくりを推進してまいります。
 次に、五日市街道の整備についてでありますが、都では、骨格幹線の道路ネットワークの早期形成に努めるとともに、交通渋滞の緩和に効果のある交差点すいすいプランや、歩行者の安全を確保するための歩道整備に取り組んでおります。
 五日市街道では、交差点すいすいプランにより茜屋橋付近の整備が完了し、引き続き、第二次のプランで喜平橋付近の事業に平成十七年度から着手しております。また、茜屋橋から喜平橋までの約一・一キロの区間では、平成十六年度から用地取得に着手するなど、歩道の整備を進めております。
 今後とも、地元自治体や関係住民の理解と協力を得て、事業を着実に進めてまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君)調布飛行場の航空管制官撤退後の対応についてのお尋ねでございます。
 来年度より、飛行場の設置管理者である都が、航空機に対して航空管制官と同レベルの情報提供業務を行うこととしております。具体的には、実施に際しまして、これまで全国の他のコミューター空港において的確に情報提供業務を行ってまいりました実績を有する財団法人小型航空機安全運航センターにこの業務を委託することとしております。
 さらに、円滑な業務移行のために、国の航空管制官を出向により調布飛行場管理事務所に配置するなど、航空交通の安全確保に万全を期してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)都市農業の振興についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな農業形態を踏まえた農業の活性化についてでございます。
 現在、都内農家でも、新技術の養液栽培を導入した完熟イチゴの直売や、高い付加価値を狙ったジャムやアイスクリーム、レトルト野菜カレーといった加工食品の開発、生産など、新たな経営に踏み出す動きが出てきております。こうした動きは、農業収入の低迷等に悩む多くの農業者たちにとって、経営の改善向上を図り、農業の活性化を図る契機となっております。
 都は、このような農業者を積極的に支援していくとともに、さらなる経営の向上を目指す農業者向けのセミナーを新たに開催するなど、産業としての農業の一層の活性化に努めてまいります。
 次に、農地の積極的な活用に対する支援についてでございます。
 農業者の中には、地域の特色を生かして、住民の理解や協力のもと、農地を積極的に活用する新たな農業経営に取り組む動きがございます。例えば、都民に農業体験の機会を提供する体験農園の開設、農業ボランティアとの共同作業による遊休農地の有効利用、都民が憩えるような地域で花や果樹の摘み取りができる観光農園の設置などが始められております。
 今後、農業者の新たな発想と知恵に着目し、こうした取り組みの拡大を支援するとともに、多くの都民が参加、利用できるよう、周知に努めてまいります。さらに、新たな農地活用についても検討してまいります。

〇議長(川島忠一君)二十九番佐藤広典君。
   〔二十九番佐藤広典君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○二十九番(佐藤広典君)都財政を持続可能なものにするためには、税金の使い方を効率的、効果的なものに改めていく必要があります。
 そのためには、契約方法を検証し、見直すことは極めて重要な課題ではないでしょうか。さらなる公正な競争を促し、契約方法自体の検証と見直しを行うことで、税金の使い方が節約できると考えております。
 契約の検証を行うに際して不可欠であるのが情報公開です。契約の一つ一つを検証することも大事ではありますが、契約の情報公開を行い、多くの都民のチェックを受け、契約する関係者に緊張感を持たせることで、契約のさらなる透明化を実現することができます。
 私は、半年余り、財政委員会におきまして契約案件の調査を行ってまいりました。都の契約案件を調査する過程で疑問を覚えたことは二つあります。
 一つは、調査を行う過程で、契約案件の過去の資料を探そうとした場合であっても、既に保存年限を過ぎて廃棄されているものもありました。契約の検証を行い、情報公開を進めるためには、契約資料の保存が不可欠ではないかと考えます。
 もう一つは、事業主体が民営化された途端、情報開示の対象から外れるということです。行っている業務は同じであっても、組織が民営化された途端に情報公開ができなくなるのはおかしいのではないでしょうか。運営主体が行政か、特殊法人か、民営かということではなく、使われているのが税金であり、お金の出どころが都民が納めたものである以上、どのように使われているかという視点で情報公開するべきではないでしょうか。
 その中でも、今回の質問では、補助金を使った契約についての情報公開についてお話させていただきます。
 まず、情報公開の理念についてお伺いいたします。
 現在、都からの情報公開は、都がみずから提供している情報と、情報開示請求を受け公表している情報の二通りがあります。情報公開条例では、都政に関する正確でわかりやすい情報を、都民が迅速かつ容易に得られるよう努めるものとしています。待ちの姿勢で情報開示請求が来たものに対して公開をすることにとどまるのではなく、できる限り都がみずから積極的に情報公開の枠を広げる必要があります。
 防衛庁の官製談合問題などで、契約に対して都民の厳しい目が向けられております。情報開示請求を受けているから十分に情報開示ができているとみなすのではなく、都民の納めた税金の使い方、特に契約情報や補助金の使い方に関しては、積極的な情報公開を行うことにより、都民の納得を得られるようにしていくべきではないでしょうか。
 そこで、伺いますが、情報公開条例制定後、一定の運用を積み重ねてきた今、改めて情報公開に対する知事の考え方を伺います。
 次に、監理団体について質問いたします。
 都から監理団体に対しては、平成十七年度で千五百五十三億円と、実に多額の補助金が出ております。それは、監理団体は、都の事業を補完、代行する性格からこれほど多くの補助金が出ているわけであり、公的な意味合いの強い組織であるからこそ、その財政支出は東京都と同じ基準による説明責任が求められます。都は、納税者である都民に対して、税金の使い方を説明する責任があります。
 一方で、都は、監理団体に対して補助金を出しておりますから、監理団体は、都に対して補助金の使い方を説明する責任があります。つまり都は、都民に対して補助金の使われ方を説明する義務があるのです。
 監理団体の補助金の使い方、つまり、契約情報を都民に対して説明することが必要であると考えます。情報公開の理念から申し上げて、公開できない少しの情報があるからといって、その他の公開できる情報について情報公開しないことは間違っていると考えます。
 契約情報を公開し、多くの都民のチェックを受け、契約内容を公開しているという緊張感から、内部の経営改善努力を促すことが大事ではないでしょうか。
 現在、監理団体の契約情報は、情報開示請求をすれば公開されますが、情報が公開されたとしても、その情報は請求者にしか提供されません。これでは、都民の税金を使った事業を行っているにもかかわらず、情報公開の成果は限定的なものになってしまいます。
 情報開示請求を受けてから公開するという待ちの姿勢ではなく、契約情報、つまり税金の使い方についてみずからが積極的に情報公開をする仕組みをつくることが必要なのであり、その姿勢が都民の信頼を得るものと確信しております。
 また、監理団体の中でも、積極的に情報公開に取り組んでいる団体もあります。その中でも、ホームページ上で契約情報を公開している東京都住宅供給公社の取り組みは非常にすばらしいものです。
 都民から、税金の使い方に対する非常に厳しいご意見がふえております。だからこそ、補助金の使い方、税金の使い方について、情報公開の拡大を、ぜひすぐにでも取り組んでいただきたいと思います。各団体によって事情は異なるとは思いますが、東京都住宅供給公社と同じ情報開示の基準を求めて各監理団体に指導することが求められます。
 そこで、伺いますが、補助金の適正執行を監督する責任上、監理団体の契約情報を報告させ、情報公開することについてどう取り組むのか、お伺いいたします。
 次に、報告団体の情報公開について伺います。
 報告団体とは、都が出資等を行っていて監理団体として指定されていない団体のことですが、これら報告団体に関しても多額の補助金が出ており、補助金の適正執行について指導監督する必要があります。
 補助金を出している事業に関して、契約情報を都に報告すべきであると考えます。報告団体に関しては、都は報告を受ける立場でありますから、その報告に、都の補助金によってなされる契約情報を加えることは差し支えないわけです。監理団体と同じように、現行の制度のもとで十分に契約情報の報告及び公開ができると考えております。
 そこで、伺いますが、東京都は、報告団体の契約情報を情報公開することについてどう取り組むのか、お伺いいたします。
 監理団体、報告団体の契約情報公開について申し上げてまいりましたが、平成十七年には、監査の対象となる財政援助団体が二千八百十八、そのうち補助金等交付団体が二千七百六十三に上っておりました。このように、財政援助団体についても多額の補助金が出ております。財政援助団体に関しても、補助金が出ている事業に関して契約情報の公開を行うべきだと要望しておきます。
 次に、再開発事業に関する補助金の情報公開について伺います。
 民間による再開発事業が都内各地で実施されております。そこには、区市や国の補助金を受けているものもあり、多摩地域においては、都が補助金を出している事業もあります。私の地元、東村山市にも、市が組合と計画を進め、都から市に対して補助金が出ているものもあります。
 平成十五年の包括外部監査報告書では、都の農村総合整備補助事業で、都から補助金を受けて公共事業の契約を行った地元自治体の入札手続きが適切、適正に行われるよう指摘を行っています。
 なぜ、一地方自治体が発注している事業に対して、都の監査が入札のあり方にまで指摘をしているかといいますと、都民の税金を使っているからこそ、その補助金の適正な執行はもとより、より効率的にむだなく使われているかどうか監督する義務があるためです。また、出どころが都民の納めた税金であるからこそ、その指摘ができるわけです。
 都は、再開発事業に関しても補助金を出しているわけであり、都が補助金の適正執行を監督するとともに、補助金を出した後の執行状況や契約を情報公開し、都民の皆さんに納得いただくことが必要であると考えます。
 再開発組合の定款によれば、競争入札が原則になっております。しかしながら、組合施行の開発の場合、組合の定款には随意契約の規定があり、随意契約で契約される場合もあるわけです。地方自治法によれば、随意契約は例外的な契約規則と規定されております。補助金を使った事業を行う以上、一般競争入札の徹底と契約情報の積極的な情報公開が必要だと考えております。
 そこで、伺いますが、民間再開発事業については、公的な支援がある以上、その執行に当たっては、公平かつ透明性を確保していくことが求められます。そのため、計画内容、事業費、施工者の選定などが適切に行われているかどうか、都としてどのような関与をしているか伺います。
 現在、都市再開発法及び都の市街地再開発事業補助金交付要綱及び補助金等交付規則に基づいて、都は、補助金を出している組織から状況報告及び実績報告を受けることができます。だからこそ、現在の制度の運用で十分に都への契約情報の報告と情報公開を行うことができると考えております。
 各地方自治体でも、都や国と共同で補助金を出している事業に関して、積極的に情報公開されることが望ましいといえます。各地方自治体が住民に対して契約の情報公開を進めると同時に、都は、税金を納めた都民に対して、補助金の効率的執行について説明責任を果たすべきであると考えます。そのためには、再開発の主体である民間各組合からの報告を受け、契約情報を公開する必要があると考えます。
 組合が入札を行っているわけでありますが、組合の中には、区市の職員が開札に立ち会うなどして、入札が適切になされるように取り組んでいる事例もあるようです。都の補助金事業のすべてについて都の職員が立ち会うことは物理的にも困難でしょうが、ぜひともこういった入札の適正化に向けた意気込みを見習っていただきたいと思います。
 現行の制度のもとで十分に契約情報の東京都への報告と公開が可能ではありますので、ぜひ実現していただきたいと考えます。
 そこで、伺いますが、組合施行の再開発を監督する立場から、積極的に契約情報の公開を進め、都民の理解を得るために契約情報を東京都が公開するのかどうか、見解を伺います。
 次に、情報公開期間の延長とそのための文書保存年限についてお伺いします。
 現在、都の公文書の多くが情報開示請求の対象になっておりますが、公文書の保存年限の限界があるために、過去の契約情報を検証できないことや、情報公開ができないわけです。文書が残っていないために、行政としての説明責任を果たせていないわけです。
 入札経過調書の公開延長とともに、契約文書の保存期限を延長し、契約内容の見直しを行うことができる環境を整えるべきだと考えております。そのためには、現在、文書管理規則によって一定年限で廃棄されている契約文書の長期保存を進める必要があると考えております。
 今まで、都の事務効率を考慮し、都の選定基準で文書の保管年限を決めてまいりました。しかし、情報公開の対象は都民であるわけですから、都民の視点から文書管理規則を見直し、都民ニーズに対応できるような保存のあり方を実現すべきです。ぜひ、情報公開に重きを置き、保存、保有期間の延長に取り組むべきと考えます。
 そこで、伺いますが、契約文書を長期保存するよう取り組むために、文書管理規則を見直すことについてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 また、現在、都のホームページで運営しております入札情報サービスでは入札経過調書が公開されておりますが、その公開期間は、入札が終わってから十五カ月と短いのが現状です。
 昨年、都では大規模談合事件が発生し、業者が逮捕されるという事件が起きました。事件の教訓を忘れることなく、このような事件が再発しないよう、契約内容が妥当であったのかどうか振り返って検証し、その内容を精査する必要があります。そのためには、入札情報サービスにおいて十五カ月間公開されている入札経過調書の公開期間延長を要望しておきます。
 情報公開制度の理念と各局の制度運用のあり方、そして資料そのものの保存について質問を行ってまいりましたが、補助金の効率的執行を進め、都の監督責任を果たすためには、都の基本的な条例、規則であります情報公開条例や補助金等交付規則を、都民ニーズの変化にあわせて見直していくことも今後の課題ではないかと考えています。
 今後の都政運営を行っていくに当たっては、積極的な情報提供、説明責任の徹底を図って都民から信頼されることが極めて重要であることを改めて主張いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)佐藤広典議員の一般質問にお答えいたします。
 情報公開に関する考え方についてでありますが、基本的には、都政に関して都民に説明する責務を全うし、公正で透明な都政を推進するためには情報公開を進めることが必要であると認識しております。
 都は、情報公開条例に基づきまして、公文書の開示のほか、重要な基本計画や主要事業の進行状況などについて、情報の公表や提供を行っております。
 都政に関する正確でわかりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるよう、今後とも引き続き情報公開を総合的に進めてまいります。
 ただ、宮城県でありましたように、前の知事と警察との対立、あれは情報開示についてでありますけれども、これは、詳しくは申しませんが、しかし、業務によっては、情報が一〇〇%開示されることで、例えば犯罪の捜査、摘発というものが非常に阻害されるケースもあるわけです。
 ですから、私は、そういったものを基本的に認識した上で、都民が納得する形の情報開示というものを進めていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、監理団体の情報公開についてでございますが、監理団体は、都の継続的な財政支出などを受け、行政運営を支援、補完するために、自立的、弾力的な事業運営を行っている団体でございます。
 監理団体につきましては、これまで、経営状況、経営評価に関しまして、毎年度都議会への報告、公表などを行うとともに、都に準じた情報公開要綱を全団体で整備するなど、着実に情報公開の取り組みを推進してきております。
 契約に関する情報につきましては、取引条件など団体の経営と密接な関連があり、一律に情報開示の対象とするのは困難なため、その範囲、内容は各団体の自主的な判断により決定するものでありますが、今後とも、可能な限り情報公開が行われるよう各団体に働きかけてまいります。
 次に、報告団体の情報公開でございますが、報告団体は、都の財政支出等が少なく、特別な関与を行わず、運営状況の報告を受ける団体でございまして、基本的に各団体が自主的な経営を行っております。
 報告団体のうち、都の出資割合が一定以上の団体等につきましては、詳細な運営状況の都議会への報告、補助金等を交付している団体については、監査委員等による監査結果など、都として必要な情報の把握、公表を行っております。各団体の情報公開につきましては、原則としてそれぞれの経営責任のもとで判断するものと考えております。
 最後に、契約文書の保存についてでございますが、都における公文書の保存期間は、文書管理規則におきまして、文書の重要度、利用年数等に応じて、永久保存から一年未満まで六種類の基準を定めております。
 契約文書につきましては、公有財産の売り払い契約は永久保存とし、請負工事契約についても、予定価格の金額が大きいものにつきましては十年の長期にわたる保存としております。また、これらの文書も含めまして、保存文書はすべて情報公開の対象としております。
 今後とも、行政執行上の必要性、保存コストの縮減、情報公開や都民利用への対応等を総合的に勘案し、適切な文書管理に努めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)民間再開発事業に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、民間の再開発事業における都の関与についてでございますが、組合などが行う再開発は、地権者みずからが利害関係者の合意形成や資金調達などを行う民間主体の事業であります。
 都は、事業の認可に当たり、適正かつ円滑な事業の執行を確保する観点から、地権者の同意状況や設計、資金計画、定款などの内容について審査を行っております。また、認可後、事業計画に変更が生じた場合には改めて審査するとともに、完了時におきましても、適正に事業が執行されたことを確認しております。
 次に、組合施行の再開発事業における契約情報の公開についてでございますが、再開発組合に対する補助金の直接の交付者は区及び市でありまして、都は市に対し補助を行っております。したがいまして、契約情報の公開につきましては、基本的には、直接の当事者である区及び市と組合の判断により行われるべきものと考えております。
 都といたしましては、今後とも、区市に対し、事業の適正な執行が図られるよう指導してまいります。

〇副議長(木内良明君)五十八番植木こうじ君。
   〔五十八番植木こうじ君登壇〕

○五十八番(植木こうじ君)近年、マグニチュード七から八規模の大地震が次々と発生し、日本は地震の活動期に入ったといわれ、地震対策は文字どおり待ったなしの課題となっています。
 そこで、地震の被害を最小限に抑えるための課題に絞って提案するものであります。
 まず、住宅の耐震化ですが、住宅の倒壊から人命と財産を守るための取り組みは、全国の自治体で耐震改修制度や家具の転倒防止など先駆的な取り組みが開始されており、東京都もこれにおくれることなく施策を拡充することが必要です。
 都が来年度から国の制度を活用した木造個人住宅の耐震補強に踏み出すことは、一歩前進です。しかし、対象が木造住宅密集地域に限られ、しかも、倒壊により道路を閉鎖するおそれのある住宅とされているように、実際に利用できる人は限られています。
 現在都内には、一九八一年の耐震基準改正以前に建てられた戸建て木造住宅は約百三十万戸に上り、そのうち、耐震工事をしていない木造住宅は百二十万戸にも及んでいます。
 この点で、地震多発地帯であるアメリカのシアトル市が行っている、災害に強いまちづくり作戦と呼ばれるプロジェクトが参考になります。これは、個人住宅の補強、学校などの公共施設の耐震化を初め、重点項目を掲げ、市が対策を進めているものです。このうち個人住宅の補強は、住宅の基礎と家屋を大きなボルトでとめたり、柱や壁の傷んだ部分を取りかえたりといった範囲で耐震補強を行うものでありますが、二〇〇一年に発生したマグニチュード六・八の大地震の際にも、補修を終えていた二百五十軒の住宅はほとんど被害を受けず、対策の効果が実証されたといわれています。日本の場合と住宅のつくり方などは違いますが、参考となるものです。
 現在、国制度にとどまらず、独自の予算で何らかの耐震助成に踏み出しているのは、十五県二十八区市町村に広がっています。
 知事、地震による倒壊の被害ははかり知れないものがあります。失われる人命と経済的損失を考えるならば、木造住宅密集地域以外の旧耐震基準の一般の戸建て住宅の倒壊を防ぐ対策が急がれていると考えますが、いかがですか。
 次に、木造住宅、木造アパートなどの賃貸もしくは共同住宅の対策です。
 現在、旧耐震基準で何らかの耐震補強が必要とされる木造賃貸住宅は、都内に二十一万棟以上も残されています。その多くは個人が経営するもので、改善は進んでいません。ある資産活用のホームページでは、旧耐震基準の木造アパートについて、危険な家屋といわざるを得ないと指摘しています。
 こうした中で、中野区は来年度から木造共同住宅への支援をスタートさせる予算案を提案しています。都としても、既存不適格といわれる旧耐震基準時代の木造賃貸住宅の耐震診断、耐震補強を促進する仕組みづくりが急がれていると思いますが、どうでしょうか。
 また、住宅建設関係者は、自治体の支援が不人気なのは、補修を急ぐことの利点が見えにくいのが一因として、耐震補強を行った住宅の減税を行うなどのインセンティブを与えることを提案しています。
 そこで、耐震補強の誘導策として、防災対策を実施した住宅の固定資産税を減免することが考えられますが、見解を伺います。
 高齢者や障害者のためのグループホームがふえています。しかし、これらの人は、地震で家が倒れたり火災が発生したときには逃げ出すことができず、多数の被害者を出す危険性があります。本年一月、長崎県で認知症高齢者のグループホームの火災が発生しましたが、その防災性について改善すべき課題があることが指摘されています。
 都として、グループホームの耐震性、防火性について何らかの対応をとるべきと考えますが、いかがですか。
 グループホームで生活する人たちは、自力で自分を守ることは困難です。グループホームで生活する災害弱者のために、災害時の都、区市町村による公助、地域、ボランティアなどによる共助のシステムづくりが欠かせないと思いますが、答弁を求めます。
 マンションの耐震構造偽装事件の再発防止が急がれています。そのため、構造設計士の資格を国家試験とすることを国に求めること、中高層マンションの設計を客観的に審査する第三者機関を都として設置することを提案するものですが、いかがですか。
 次に、高度に都市機能が集中している東京などの場合の都市型災害の対応についてです。
 第一に、エレベーターの安全問題ですが、この問題では、新潟県中越地震や千葉県北西部地震などで、長周期地震動による六本木ヒルズのエレベーターの機能停止、マンションなどでの閉じ込めなど、便利であるが災害時には危険な乗り物となりかねないエレベーターの問題が浮上しました。
 超高層住宅ビルや高齢者が多く居住する公共住宅などのエレベーターの復旧は敏速な対応が求められます。そのため、エレベーター協会は、災害時のエレベーターの復旧のための車両については、他のライフラインと同様の緊急車両扱いすることを強く要望していますが、これに積極的にこたえることを提案するものであります。
 また、エレベーター協会や業界と連携して、マンション管理人、オフィスビル管理者、防火管理者などが、緊急時に閉じ込められた人を救出できるように、講習、訓練を実施することなどが急がれています。
 帰宅困難者の対策も極めて重要です。多摩地域や近県から都心に通勤する通勤都民の場合、家までの距離が離れていることから、帰宅途中の休憩や宿泊、必要な食材、飲料水を調達すること、安全な場所から各自の家までの運送などが、安全な帰宅を保障する上で欠かせません。
 しかし、帰宅の経過地となる自治体は、自分のところの住民の救済だけで手いっぱい、通過する帰宅困難者まで面倒を見る余裕はありません。ある区の防災担当者は、オフィス開発で昼間人口がふえ続けているので、帰宅困難者まで把握するのは困難、東京都が責任を持つべきだと訴えています。基礎自治体には滞在者の安全について責務を負わされていますが、地元住民の救済だけで手いっぱいとなることは目に見えています。
 東京だけで三百九十二万人発生するといわれている帰宅困難者を安全に帰宅できるようにすること、職場に踏みとどまって頑張る社員の安全と生活を守ることは、広域行政としての東京都が第一義的な責務を負っていると考えますが、いかがですか。
 また、都が帰宅困難者が通過する自治体と協定を結び、都が財政負担も行うことで、帰宅困難者のための食料や飲料水、情報提供などを行えるようにすることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 安全に早く帰宅できるようにするために、都として首都圏のバス会社や輸送業者と協定を結び、安全の確保ができた周辺主要駅や周辺地域の防災拠点から遠隔地までのシャトルを運行することは有効な方法と思いますが、どうでしょうか。
 山手通りと環状八号線の間の帯状のスプロール地域に広域の大規模防災拠点を確保し、帰宅困難者のための仮設の仮眠・休憩施設や備蓄倉庫を設置することなどは、広域行政としての東京都の仕事の一つだと考えますが、答弁を求めます。
 また、中野駅前の警察大学校移転跡地についても、この大規模防災拠点として利用計画を見直すことを強く求めておくものであります。
 最後に、地域防災計画について伺います。
 関東平野に地震が集中する原因として、最近の調査や研究の成果から、複雑に入り組んだプレート構造に加え、地下に眠る幾つもの活断層、新潟県から関東に抜ける深さ千メートルから五千メートルに及ぶ大きな帯状の陥没地帯と、その上を覆う不安定な堆積層があることが指摘されています。このため、その中心に位置する東京を襲う地震は、関東大震災のようなプレート型の被害、阪神大震災のような直下型の被害、さらには、東京から遠く離れた東海沖地震での長周期地震動の被害など、他の地震からは想像できないような、複雑で巨大な破壊力を持ったものとなることが予想されています。
 知事、都がことしじゅうに策定するとしている地域防災計画は、国や都の被害想定を踏まえるのは当然ですが、今指摘したような関東平野の特殊な地震特性を踏まえること、また、長周期地震動や側方流動などの最近の地震科学の成果や研究を踏まえたものとすることが必要であると考えますが、答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)植木こうじ議員の一般質問にお答えいたします。
 最新の地震学を踏まえた地域防災計画の見直しについてでありますが、最新の地震学とはいえ、地震学というのは非常に困難な分野でありまして、まだまだ未知の知見がたくさんございます。
 今回の被害想定は、日本で有数の地震学や建築学などの専門家により、最新の地震学の成果などを踏まえて予測したものであります。例えば震度についても、阪神・淡路大震災や十勝沖地震などの実際に起こった地震をモデルとして、断層の破壊により出されるエネルギーを計算し、地盤の揺れやすさを加えて算出しております。
 このように、今回の被害想定は、最新の知見を用いてあらゆる角度から詳細な検討を行ったものであります。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)四点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅密集地域以外の住宅の倒壊防止対策についてでございますが、住宅の耐震性の向上は、自助、共助、公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本でございます。
 しかしながら、木造住宅密集地域のうち、建物の倒壊による道路閉塞を防止するなど公共性が高い地域につきましては、より一層の耐震化の促進を図る必要があるため、耐震診断・改修に関する助成制度を創設することといたしました。
 次に、新耐震基準以前に建てられました木造賃貸住宅の耐震化についてでございますが、今ご答弁いたしましたとおり、今回創設する制度は、木造住宅密集地域のうち、建物の倒壊による道路閉塞を防止するなど公共性が高い地域について、耐震診断・改修に関し助成するものでございまして、こうした地域におきましては、当然、木造賃貸住宅も対象としております。今後は、区と協力して本制度の定着を図り、一層の耐震化を促してまいります。
 次に、構造計算書偽装事件の再発防止策についてでございますが、今回のような問題の再発を防止するためには、確認検査制度全般にわたる徹底的な検証と見直しに取り組む必要がございます。
 都は、建築行政の現場に携わる立場から、国、特定行政庁及び指定確認検査機関の役割と責任の明確化、建築士制度の見直し、さらには構造計算書等の第三者によるチェックの仕組みなどについて、既に国に要求してきております。今後とも、建築物の安全性の向上に努めてまいります。
 最後に、エレベーターの閉じ込め対策についてでございますが、現在、国の社会資本整備審議会におきまして、エレベーターの地震防災対策が検討されております。この中で、保守管理者以外の建物管理者等が閉じ込められた人を救出できるよう講習を実施するなど、救出体制の整備を図ることが検討されております。
 今後、この結果を踏まえ、国等と連携しながら適切に対処してまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君)耐震補強に係る固定資産税の軽減措置につきましてご答弁を申し上げます。
 現在、国会で審議中の地方税法の改正案によりますと、自発的な耐震改修を促すことを目的といたしまして、平成十八年度から十年間に限りまして、固定資産税を原則として三年間二分の一に軽減する措置を創設することとされております。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)グループホームの防災対策に関しまして二点のご質問にお答えいたします。
 まず、認知症高齢者グループホームの防災対策についてでございますが、都は、事業開始の際の届け出におきまして、建築基準法による検査済み証の添付を求めており、これによりグループホームの耐震性や防火性につきましては確保されているものと認識しております。
 また、従来から、事業者に対する開設支援セミナーやグループホームの管理者研修などにおきまして、防災体制の確保について指導を行ってまいりました。これらに加えまして、今回の長崎県での火災を受けて、直ちに、グループホーム管理者に対しまして、防火管理について再度の点検を実施するよう通知したところでございます。
 なお、国においても、本年四月の介護報酬改定において、夜勤体制を義務づけるなど、安全確保のさらなる強化を図っておるところでございます。
 次に、災害要援護者対策についてでございます。
 グループホームに暮らされます高齢者など災害要援護者に対する災害対策は、従来から、区市町村が中心となり、啓発活動や安全確保策などを行ってきております。
 都は、これらの方々の安全確保のため、地域住民や民生・児童委員などの協力を得まして、平常時から所在の把握や災害時におけるボランティアによる見守りなども含め、災害時の要援護者対応に関する指針を示し、区市町村に対し、その取り組みを支援してまいりました。
 区市町村においては、この指針を踏まえながら、地域の実情に応じた適切な対応が図られているものと考えております。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)防災に対する五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、エレベーター保守車両に対する緊急車両の指定についてでございます。
 今回の被害想定で、都は初めてエレベーターの閉じ込め台数を予測いたしました。その結果、マグニチュード六・九でも、閉じ込めは七千五百台に上ることが明らかとなりました。既に、昨年の千葉県北西部地震を踏まえまして、都においては、救出救助体制や設備の改善など、閉じ込め対策について関係機関と協議を行っておりますが、今回の想定も踏まえまして、今後、総合的に検討してまいります。
 次に、帰宅困難者に対する都の責務についてでございますが、災害対策基本法におきましては、地域の居住者、滞留者及び通過者に対する保護、避難誘導等を行うのは区市町村の役割としております。一方、帰宅困難者が的確な行動がとれるよう情報を提供するなど、広域的な支援は都が行うものとされております。こうした役割分担に基づきまして適切に対処してまいります。
 次に、帰宅困難者に対する食料、水など都の支援についてでございますが、既に都は一定の食料を備蓄するとともに、飲料水につきましても、飲料水業界との協定によりまして確保に努めております。また、都立学校に加えまして、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどを帰宅支援ステーションに指定し、徒歩帰宅者に対し、水、トイレ、情報を提供することとしております。
 今後とも、帰宅困難者に対する支援に努めてまいります。
 次に、帰宅困難者の輸送方法についてでございますが、都は既に、東京バス協会と契約し、災害時の代替輸送手段を確保しております。この契約では、都の要請に基づき、指定した場所にバスを配車することとなっております。このほか、船舶業界などとも協定を締結しており、今後とも代替輸送手段の確保に努めてまいります。
 最後に、帰宅困難者のための休憩施設や備蓄倉庫等の設置についてでございます。
 ご指摘の地域は、今回の被害想定でも火災の延焼による被害が大きいとされておりまして、また、地域の住民の方の救出救助が最優先されますことから、発災直後に帰宅困難者が立ち寄ることは適当でないと考えております。
 帰宅困難者は、むやみに移動を開始せず、事業所等にとどまってもらうことを原則としておりまして、安全確認後の帰宅に際しましては、都立学校やガソリンスタンド、コンビニエンスストアなどの帰宅支援ステーションで支援を行ってまいります。

〇副議長(木内良明君)八十八番遠藤衛君。
   〔八十八番遠藤衛君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十八番(遠藤衛君)最初に、多摩川の清流復活についてお伺いいたします。
 「多摩川に曝す手作さらさらに」と、これは万葉集東歌に歌われたものです。多摩川に手づくりの布、これは生糸で織った布でありますけれども、これを白くするために清流にさらしている風景を歌ったものです。この布を朝廷に納めたことから、私の住んでいる調布という地名がついたとされております。
 清流多摩川は、また古くからは飲料水や農業用水として利用され、その流域には、豊かな土壌に恵まれた農地として、自然環境とともに人々の暮らしがあります。このように、多摩川は私たちの生活に欠かすことのできない大切な役割を果たしてきております。
 江戸時代には、清流多摩川で育ったアユが幕府に献上されたともいわれております。私も若いころ、今から五十年くらい前に、もう少し前になりますか、先輩に連れられて投網を打ち、アユをとった記憶がございます。それから数十年を経て、都市化の波が一気に多摩地区にも押し寄せて、あののどかな田園風景が一変いたしました。自然環境も大きく変化し、川の果たす役割も大きく変わってまいりました。
 私たちは今、多摩川を万葉集に歌われたあのときのような川に戻そう、そして京都の桂川のようにしてみようと、多摩川のアユを夢見て、それを実現させようと活動を始めました。
 夢を、そして多摩川の復活をさせる具体的な手段として、まず初めに、多摩川の水質、水量、川魚の生態を調べました。多摩川に清流を復活させ、多摩川のアユを再び呼び戻し、全長百三十八キロメートルに及ぶ多摩川を千二百万都民の憩いの場に、そして観光資源にと考えているところでございます。
 多摩川は都心からも近く、春には川土手に桜が咲き誇り、夏には川魚料理の屋形船が、秋や冬にはススキが揺れ、シラサギが舞う風景の楽しめる、脚光を浴びる多摩川によみがえらせたいものであります。
 現在、多摩川の水質は、かつての多摩川と比べれば、下水道の普及に伴って著しく改善はされてきておりますが、残念ながら清流と呼べる水質にはなっておりません。数年前ですが、同僚の議員のアユを食う会に参加しましたけれども、多摩川でとったアユを焼いて食べましたけれども、においがあって、まだまだ美味にはほど遠い感じがいたしました。
 この多摩川を以前のような清流に復活させることは不可能ではないと考えます。
 国も、水質基準を改善すべく、それなりの努力がうかがえます。平成元年には水質汚濁防止法の改正、平成二年には生活排水対策を制度化するための水質汚濁防止法の改正を、平成八年には汚濁された地下水の浄化措置などを盛り込んだ水質汚濁防止法の改正を、翌平成九年には地下水の水質汚濁にかかわる環境基準の制定がなされ、さらに、平成十一年にはダイオキシン類対策措置法が成立しております。しかし、多摩川を観光資源として復活させるには、自然水循環の確保という面からはまだまだ不十分に思います。
 多摩川が脚光を浴びるには、大いなる改善が必要であります。水は、一般的には森林、農地、宅地などへの降雨によって土壌に保水され、それが地下水になって、栄養豊富な水となって、河川、海に流れ込んで魚介類の生育にも大いに役立ち、良質な水の確保につながるものであります。それぞれの過程で大気中に蒸発し、再び降雨となって地下水になる、これが自然水循環の形成であります。人間の生活の営み、自然の営みに必要な水質の確保と水質浄化は不可欠であり、多様な生態系の維持等さまざまな機能を含んでおります。
 そこで、私たちは、先ほど申し上げましたように、多摩川を京都の桂川のように、また多摩川のアユを復活させようと、夢のまた夢のような思いから、都議会自民党では、会長を比留間都議に、多摩川に親しみ多摩川を活かす議連をつくり、これまで三回の視察を行ってまいりました。その結果、今こそ健全な水循環の確保に向けて施策を展開することが最も重要な課題であると考えております。
 こうした中、都ではこのたび多摩川を中心とした水産業振興プラン(川編)を策定し、豊かな川の復活に向けてさまざまな施策に取り組もうとしており、大いに期待をしているところでございます。
 さて、多摩川の水量、水質の確保には、次の二点が考えられます。
 一点目は自然水の確保、二点目は多摩川の水質のさらなる改善であり、そのことが多摩川のアユの復活の方策でもあります。
 一点目の自然水の確保についてですが、多摩川水系における安定した水量を確保していくためには、山に降り注いだ雨が一気に流れてしまうのでなく、土壌に一時的に蓄えられ、時間をかけ一定の水量を保って河川に流出していくということが重要であります。山梨県の小菅村、丹波山村等に及ぶ多摩川上流域の水道水源林におきましては、都として百余年にわたり緑のダムともいわれる森林の保水力を高めるべく、その保護育成に努められております。また、新たに実施する花粉症対策の森林再生事業などにおいても、針葉樹を伐採して広葉樹との混交林化を進めていくということも、山の保水力を高める手段として有効であると考えます。
 さまざまな施策を駆使し、山、そして森林を保全することが、多摩川の安定した水量を確保するために不可欠であり、こうした観点から森林整備を積極的に進めていただきたいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、水質改善についてですが、先ほど申し上げましたように、確かに、下水道の普及により多摩川の水質は改善が図られておりますが、逆に処理水の流入の多いところでは五五%ぐらいある。このことを考えると、さらに水質を向上させることが今後の課題ではないでしょうか。まず、下水の高度処理や合流式下水道の改善などの推進に努めるよう要望しておきます。
 また、アユのにおいへの対策については、脱臭、脱色に大きな効果があるといわれている木炭の活用を図ってみてはいかがでしょうか。アユの主食であるコケもきれいになり、アユの風味も取り戻せることができるのではないでしょうか。西多摩、奥多摩の間伐材を活用すれば一石二鳥と考えますが、ご見解をお伺いいたします。
 次に、多摩川のアユの復活についてお伺いいたします。
 現在、多い年で約百万匹のアユが調布取水堰まで遡上しているといわれておりますが、堰によっては魚道が十分な役割を果たしていないところがあり、こうした状況を踏まえ、アユが遡上できるような魚道のあり方と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 昔から川は上流から砂利や石を下流に運び、蛇行して瀬やふちを形成し、自然に魚の育成の場となっておりました。
 今日、川の源となる山林の荒廃により、昔より多くの砂利が川に流れ込み、さらに治水や利水の目的でつくった堰堤により砂利や石をせきとめ、反対にその下流は土砂の供給がないため河床が下がる現象を引き起こしております。
 多摩川上流の支流である秋川には多くの堰堤がありますが、砂利がたまり、せっかくの魚道が機能しなくなっているという箇所も見受けられます。魚道の機能確保などの豊かな川を復活させる有効な対処方法についてお伺いします。
 昨年十一月に多摩川上流を視察した際、秋川が多摩川と合流するあたりで木工沈床を見学いたしました。これは、木で枠を組んで、その中に玉石を入れて河床に並べることによって、洪水の勢いを弱め、堤防や護岸を守る伝統工法の一つと聞きました。
 伝統工法は、コンクリートなど材料がない時代、先人が自然界にある材料を使って苦労して編み出した工法です。平常時では玉石の中を水が流れる際にさざ波が発生し、魚がカワウから身を守ることができる生育空間として、また、安心して産卵等ができるすみかとしてもすばらしい効果があるといわれております。
 多摩地区の自然豊かな河川には、景観上もよく調和するこの工法を、間伐材など地場産の材料を十分活用して積極的に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 さらに、自然資源である巨石を川に置くことによって魚の隠れ家ができ、安住の場所となると、秋川の漁業組合の方からお話をお聞きしました。有効な取り組みと考えますが、お尋ねします。
 次に、野川の水量確保についてお尋ねいたします。
 私が、平成十六年、野川流域における浸透ますなどの雨水流出抑制施設などによる水量確保について質問した際、野川の沿岸だけでなく、範囲を広げ、庁内及び地元区市などと連絡会を設置し、水循環の回復に向けた取り組みをするとの答弁がありました。
 浸透ますの設置は、水の確保だけでなく、降雨が一気に川に流れ込む量を減らすなど水害防止等大きな役割を果たすものと思います。その後の取り組み状況を聞きましたところ、努力がされておりますが、さらなる努力が必要と思いますが、所見をお伺いします。
 先日発表された水産業振興プラン(川編)にもあるように、川の恵みをはぐくむ環境をいかにつくるかが今日の最も重要な課題であり、東京を世界に誇る水辺の観光都市にと知事もいわれているように、水がいかに私たちの生活に密着しているか、太陽と適度な湿気と美しい水を好む、万葉集や古今和歌集にも歌われた幻の花ムラサキソウが咲き誇ったこの地、何とか石原知事のもとで、美しい水をたたえる多摩川を、アユが躍り、都民が憩う日本一のすばらしい川に再生していただき、多摩最大の観光資源として生かしていきたいものですが、知事の思いをお聞かせください。
 次に、教育問題についてお伺いします。
 現在、子どもたちの規範意識や道徳心、自律心の低下や、学ぶ意欲の低下、さらに家庭や地域の教育力の低下など、教育をめぐる多くの課題が指摘されております。
 東京都において、平成十六年に策定した東京都教育ビジョンにおいて、目指す人間像として、お互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間像を掲げ、子どもたちの規範意識や公共心を確かなものにすることが取り組みの方向性として示されていることは、我が党としても評価をするところであります。
 ところで、先日、私が車を運転中、ある小学校下校時に、児童がふざけながら、また後ろ向きにスキップをするなど道路いっぱいに歩いている姿に直面し、大変危険な思いをいたしました。一日の勉強から解放された気持ちかもしれませんが、このような児童の通学態度は、学校において社会のルールを守ることがきちんと指導されていない結果のあらわれではないかと思います。
 生涯にわたって交通安全ルールを守るということは、一つには、社会生活を営んでいく上でだれもが身につけていかなければならない大変重要なことであり、小学校に限らず、中学校や高等学校においても重要な課題であると考えます。小学生、中学生、高校生に対する通学時の交通マナーについて、現状をどのように認識し、どのように指導されているか、お伺いいたします。
 次に、交通ルール遵守については、不慮の事故を防ぐなど学校において指導するのは当然ですが、子どもに対する責任は保護者を初めとする大人にあります。保護者を初め、地域の大人が全体で小学生のルール、交通マナーを教えていく必要があると考えますが、所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)遠藤衛議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩川再生と観光資源としての活用についてでありますが、私も大田区に住んでおりまして、家のすぐそばを多摩川が流れておりますので、非常にいつも親しみを感じ、また関心ございますが、記録によりますと、多摩川は、江戸時代以降、明治、大正のころまでアユの川とも呼ばれていたそうであります。下流の丸子より上流は、氷川、丹波までアユが遡上して、都市近郊の清遊地として、屋形船が浮かび、ウ飼いや投網を楽しみながら、アユ料理に舌鼓を打った人々で活況を呈していると記されております。
 その姿は、その後、都市化の進展による河川環境の大きな変化に伴って影を潜めておりまして、今日ようやく水質の改善によって、往時ほどではありませんが、天然のアユが戻り、遊歩道の整備により、川沿いに憩う人々の姿が見られるまでになりました。
 奥多摩の山々に源を発し東京湾に注ぐ多摩川は、上流域の美しい渓谷や中下流の見事な桜堤など、四季折々の景観にも非常に趣がございます。
 こうした景観に加えて、天然のアユをはぐくむ清流を取り戻すことは、かつてのにぎわいを呼び戻す決め手となり、観光資源としての多摩川の魅力をさらに増すものと確信しております。
 アユの再生だけではなくて、観光ということになれば、あちこちに堰がありますけど、あの堰をもうちょっと改良すれば、上流から下流、海に向かってまでかなり長い距離カヌーで下ったり、ラフトで下ったり、そういうスポーツが楽しめると思うんですけれども、何カ所かかなり厄介な堰がございますので、あれをちょっとつくりかえますと、危険を冒さずにその堰を、ボートを引っ張っておりて、それで次のまたスパンを走るということができるんじゃないかと思います。建設局にちょっと検討させてみます。
 それから、ルールを守らない子どもを厳しくしかる社会の取り組みの必要性についてでありますが、自己中心的で社会性を備えない子どもたちが非常に昨今ふえております。これは、とにかく子どもを大人がしからないという困った傾向の一つの所産だと思いますが、もともと子どもには大人からしかられる権利があると、あるキリスト教の伝道者がいっておりました。裏返せば、大人は子どもをしかる義務を負っているわけでありまして、きちんと子どもをしかる大人が極めて減ってまいりました。
 うっかり注意するとナイフで刺されたりするんで、ある年齢以上の子どもは、大人が敬して遠ざかっている傾向もございますが、いずれにしろ、子どもに必要なのは、しかられることによって、耐性、こらえ性を培っていくことだと思います。地域の親や大人が、他人の子どもに目を向け、きちんとしかることも含めて、連携して次代を担う子どもたちの育成に取り組むことが必要であると思います。
 これは、幼いころから、ごく幼いころから親が子どもをしかってしつければ、そういう習慣というのは身について、少し長じても、町中で知らない大人から注意されても、子どもはそれを受け入れる素地が培われると思うんですが、要はやっぱり家庭で、子どもを大人が、親が自分の責任で厳しくしつけるという習慣というものを各家庭に取り戻していくことが肝要だと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)児童生徒の交通マナーについてでございます。
 ご指摘のように、児童生徒が下校時に道路をふさぐように横に並んで歩くなどしまして、近隣の住民から学校に苦情が寄せられることは承知してございます。
 各学校におきましては、児童生徒の発達段階に応じまして、交通安全教室や生活指導等の中で、道路の安全な歩行の仕方や交通法規の正しい理解などについて指導しておりますが、まだまだ十分身についているとはいえません。
 今後は、区市町村教育委員会とも連携しまして、みずからの身を守るだけではなくて、思いやりを持って他の人々にも配慮する態度を育てる交通安全教育を積極的に推進してまいります。
 都民の皆様、議会、議員の皆様も、このような子どもを見つけましたら、ぜひどんどんしかってくださるようお願い申し上げます。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)多摩川の水量確保のための森林整備についてのご質問にお答えします。
 ご指摘のように、森林は雨水を地中に蓄え、ゆっくりと流出させ、川の流量を安定させる働きがあります。しかし、森林が荒廃すると、下草の消失や土壌の流出が進み、保水力が失われてしまいます。
 川の安定した水量を確保するためには、多摩の森林全体の適切な整備や、針葉樹と広葉樹の入り混じった針広混交林化を進めていくことが重要であると考えております。
 このため、水源涵養など広域的機能を重視する保全型の森林において、具体的な森づくりのあり方を検討してまいります。
 また、治山事業や水道水源林の保護育成、森林再生事業による間伐や枝打ちなどを実施してまいります。
 多摩川の清流復活には、保水力に富む森林の再生が不可欠であり、今後とも関係局とともに森林整備を積極的に進めてまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)多摩川の清流復活についての三点のご質問にお答えします。
 まず、アユの香りについての取り組みでございます。
 アユは香魚ともいわれておりますように、豊かな香りがあってこそ価値がございます。しかし、多摩川の中下流域でとれたアユの香りが本来のものと異なるという声も寄せられております。このため、平成十八年度から、アユ本来の香りを取り戻すため、産学公連携により、多摩産材を利用した木炭の活用などによる水質改善の調査研究に取り組んでまいります。
 次に、魚道のあり方と今後の取り組みでございます。
 多摩川水系には、治水や利水などさまざまな目的を持った堰などが構築され、その多くには魚道が設置されております。しかし、一部には土砂の流入などによりまして本来の機能を果たしていない魚道があり、アユの遡上に影響を及ぼしております。
 現在、これらの魚道は複数の異なる管理者によって維持管理されておりますが、今回の水産業振興プラン(川編)の策定を通じまして、管理方法の違いにより、魚道の機能に相違があることが明らかになったところでございます。
 このため、国を初めとする関係機関で構成する連絡会を早急に設置いたしまして、統一的な管理方策を検討するなど、多摩川水系を一体的にとらえた管理体制の整備に努めてまいります。
 次に、魚の隠れ場づくりについてでございます。
 多摩川や秋川では土砂の堆積による河床――川底でございますが、その平坦化が進み、魚の隠れ場所が失われた結果、カワウによる被害が深刻化するなど、魚の生息環境が悪化しております。
 都はこれまでも、漁業協同組合による隠れ場づくりなどカワウ対策などを支援しておりましたが、お話しの、大きな石を川に配置することは、瀬やふちの創出や、カワウによる被害対策として有効な取り組みの一つと考えております。
 平成十八年度には、大きな石の配置による治水上の影響を検証する予定でありまして、この結果を踏まえ、速やかに関係機関と調整の上、川魚の良好な生息環境を確保してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)河川に関する二点のご質問にお答えします。
 まず、魚道の機能確保など豊かな川づくりについてでありますが、都はこれまでも秋川や平井川などの河川におきまして、自然環境の保全や魚道の整備など、魚の生育環境にも配慮した川づくりに努めてまいりました。
 お話しのように、堰堤付近の砂利が堆積する箇所では、治水対策としてしゅんせつを行い、また、発生した玉石や砂利につきましては、河床の低くなっている箇所に埋め戻して再利用しております。
 また、魚道においては、適宜、砂利の除去を行っておりますが、今後は他の管理者とも連携し、その機能確保に向けた取り組みを強化するなど、河川の適正な維持管理に努めてまいります。
 次に、木工沈床などの伝統工法についてでございますが、都では、自然環境に配慮しながら、護岸の補強や河床の安定を図るため、平成十三年度から、秋川など十二カ所で伝統工法を採用し、今年度も平井川で木工沈床を施工しております。
 こうした木工沈床の施工箇所では、魚類などの生育が確認され、良好な生息環境を形成しております。
 今後とも、多摩産材などを活用した伝統工法を河川の特性に応じて採用するなど、周辺の景観や生態系に配慮した川づくりを積極的に進めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)野川における水量確保の取り組みについてのお尋ねですが、総合治水対策の一環として浸透ますや透水性舗装などを設置することは、治水上有益であるとともに、地下水の涵養にも効果が期待できると認識しております。
 野川流域におきましては、都市化の進展などにより、地下水の涵養機能が低下し、河川の平常水量が減少しております。このため、大規模な民間施設や個人住宅に対し、浸透ますなどの普及に努めてまいりました。その結果、平成十六年度における年間の地下浸透量は、十四年度に比べ、約二五%増加したと推計してございます。
 今後とも、庁内及び地元区市との連絡会を活用し、透水性舗装などの雨水地下浸透施設の拡充による地下水の涵養や水量確保の取り組みをより一層深めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君)交通ルール、交通マナーの問題についてでございますが、ご指摘のとおり、地域全体で大人が子どもたちに教えていくことが極めて重要でございます。
 都では、これまで、祖父母・親・子の三世代が一緒に交通安全を考える交通安全ふれあいフェアを実施するなどの取り組みを行ってきたところでございます。
 また、本年五月には、交通安全協会などと連携しまして、保護者等を通じて、小学生に対し、自転車の運転マナー、安全利用を促すキャンペーンを実施することとしております。
 今後とも、保護者を初め地域全体で子どもたちに交通ルール、交通マナーを教えるという機運の醸成に一層努めてまいります。

〇議長(川島忠一君)一番遠藤守君。
   〔一番遠藤守君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○一番(遠藤守君)公明党の遠藤守でございます。
 初めに、不登校対策についてお伺いいたします。
 都内の公立小中学校における平成十六年度の不登校の児童生徒数は、小学生が千八百三人、中学生が六千八百九十三人で、平成十三年度以降、徐々に減少してきておりますが、不登校は依然として大きな教育課題であり、社会問題ですらあります。
 ちなみに、私の地元大田区における不登校の児童生徒は、同じく平成十六年度時点で、小学生が百二十五人、中学生が四百十一人と、残念ながら二十三区内でも上位を占めております。とりわけ小学生については、不登校児童の発生割合を示す出現率が最も高い数値を示しており、強い危機感を持っております。
 そこでまず、東京都におけるこれまでの不登校対策の現状と今後の都教育委員会の取り組みについて見解を求めます。
 ところで、文部科学省は、昨年七月、全国の都道府県に対し、不登校の児童生徒が自宅においてITなどを活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取り扱い等についてと題する通知をいたしました。非常に長いタイトルではありますが、その内容は、あくまで学校への復帰に向けた取り組みが前提であるものの、不登校の子どもたちが自宅でインターネットや電子メール、テレビなどのITを活用した学習を行った場合、一定の条件を満たせば、校長の判断で出席扱いにするというものであります。
 この制度は、国の構造改革特区制度を利用し、昨年までに一県六市で実施されたもので、これらの先行事例を検証し、学校復帰や就職に効果があると判断したことから、全国展開されたものであります。
 児童生徒の学習効果に十分配慮した計画が立てられ、かつ保護者と学校の間に緊密な連携協力関係が保たれるなど、運用が適切に行われれば、不登校のさらなる減少につながり得る画期的な制度と考えるものでございます。
 制度に関して、先日、不登校児を抱える複数の保護者に直接ご意見を伺ったところ、登校はできないものの学習意欲はある我が子にとって、目の前がぱっと明るくなる朗報ですといった声が即座に返ってきました。また、わらをもすがる思いの我々にとって、こうした新しい制度について迅速的確に情報を伝えてほしいと、情報の周知徹底に関する要望も出されました。
 一方で、小中高校の校長ら管理職の方からは、実際の制度運用についてわかりにくい点があるため、ガイドラインがあるとありがたい、このような声も上がりました。
 そこで伺います。
 こうした現場の切実な声を踏まえ、この制度の趣旨について、いま一度、各学校に対し丁寧に周知を図っていくべきと考えます。所見を伺います。
 あわせて、不登校に関する新しい制度や制度改定が行われた場合、その情報が迅速確実に児童や生徒、保護者に伝わるよう周知すべきであると考えます。所見を伺います。
 次に、都職員の特殊勤務手当について伺います。
 昨年末の給与改定で、都は、国や他団体に先駆けて年功的な給与体系を見直し、仕事ぶりに応じためり張りのある処遇を実現するなど、大胆な構造改革に着手いたしました。この点、高く評価するものであります。
 一方、特殊勤務手当についても、知事部局で平成九年度に四十一種類あったものを現在の十四種類にまで削減するなど、これまでも大胆に見直しを行ってきました。しかし、昨今の経済社会情勢をかんがみるに、中には、手当支給に妥当性があるのかどうか、都民の感情、納税者の視点からは納得しづらいものもあります。
 具体例を挙げます。土日や年末年始の勤務に対して、他に振りかえて休みをきちんと取得しているにもかかわらず手当が支給されている場合があり、その額は年間で約一億に上っています。さまざまな業種で年中無休の営業が拡大する中、今なお手当を支給するほどの特殊性があるか、疑問であります。現に、新宿、葛飾など多くの特別区では軒並み見直しが進んでおり、都も廃止すれば一定の財政効果を上げることができるわけであります。
 また、特殊勤務手当はそもそも特殊性の高い勤務についた場合ごとに日額や件数当たりで支給するのが趣旨でありますが、職業訓練指導員手当はいまだに月当たりで上限三万二千円が定額支給され、月のうちに勤務しない日があっても支給額は変わりません。
 こうした都の特殊勤務手当については、昨年度総務省が実施した調査においても指摘を受けております。そして何より、公務員の給与は都民の理解が得られることが第一であります。
 そこで提案いたします。
 職員にとって真に必要のある手当は残しつつも、必要性の薄れた手当は思い切って廃止するなど、大胆に見直すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、この際、公営企業局においても多くの種類の特殊勤務手当が支給されていますので、関係局長におかれましても同様に見直しが必要であることを指摘しておきます。
 次に、都立荏原病院の公社化について伺います。
 荏原病院は、大田区や品川区など城南地域の住民にとって、古くから身近な病院として、多くの利用者の命と健康を支えてまいりました。私は大田区で生まれ育ちましたが、荏原病院がいかに地域の住民に親しまれ、安心の灯台として頼りにされてきたか、理屈抜きで実感をいたしております。
 本年四月の公社移管に関し、公明党は、これまでの都議会での審議において何度も質問を行ってきましたが、当局からはその都度、現在の荏原病院が提供している医療の継続にとどまらず、医療水準の一層の向上を図っていくという前向きな答弁をいただいております。
 しかし、これまでの都や地元関係者の懸命な努力にもかかわらず、移管を直前に控えた今なお、移管により医療サービスが低下するとか、経営優先で患者負担がふえるといった全く根拠のない誤った情報を流し、移管自体があたかも大きな問題を抱えているかのごとき主張を繰り返す動きが一部に残っているのは極めて遺憾であります。そもそも、病気やけがによってただでさえ心配の多い利用者や地域住民の不安をいたずらにあおるのは不謹慎であり、不誠実であります。こうした言動は直ちにやめるべきであります。
 私は、公社の評議員会のメンバーであり、昨年九月の評議員会で、患者サービスの向上のため、送迎バスの運行や院内コンビニの設置を要望してきたところであります。こうした患者サービスにも十分配慮の上、医療水準を一層向上させることにより、移管後の荏原病院は、これまで以上に地域で信頼される病院となっていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 公明党はかねてより、女性医師が女性特有の疾病や健康問題にきめ細かく対応する女性専門外来の設置を要望し、その結果、都立病院及び公社病院に女性専門外来が設置されてきました。荏原病院についても、女性専門外来を初めとする住民ニーズを踏まえた専門外来の充実を図るべきと強く要望いたします。
 最後に、文士村の支援について伺います。
 大正末期から昭和初期を中心に、大田区の馬込、山王かいわいには多くの作家、芸術家が住んでいて、石坂洋次郎、尾崎士郎・宇野千代夫妻、川端康成ら、そうそうたるメンバーが互いの家々を往来しながら交流を深めていました。そして、いつごろからか、この一帯は馬込文士村と呼ばれるようになりました。
 現在、この地域には文士村をめぐる散策コースが設定され、文士、芸術家の解説板や記念館なども点在しております。最近では、有志によるボランティアガイドも誕生し、全国から訪れる文学ファンを魅了しております。
 こうした文士村は、馬込以外にも、規模が大きいものだけで、新宿区の落合、杉並区の阿佐ヶ谷、北区の田端の三カ所あり、各区はそれぞれ散策路や拠点の整備に力を入れておりますが、区単独では財政的にも限界があります。
 こうした事情を踏まえ、公明党は一昨年十月に、一つ、都の整備支援計画の策定、二つ、各区が進める整備事業への助成制度の確立などを都に要請いたしました。
 また、昨年の予算特別委員会で、知事は、我が党の大木田議員の質問に対し、個々の文士村の保存は難しいものの、東京都がイニシアチブをとって東京全体の文学地図のようなものをつくることは観光のために有益との認識を示しました。これまで都が、江戸東京博物館での展示やホームページの掲載などで各区の取り組みを支援してきたことは、高く評価いたすものであります。
 一昨日の我が党の石井幹事長の代表質問に対し、文化に関する情報提供を充実させていくとの答弁がありました。新たに構築される文化に関する総合ホームページでの情報提供や、東京観光情報センターでの資料配布など、さらに文士村についてのPRを強化すべきであります。
 折しも二〇一六年のオリンピック招致に向け、都は、このほど公表したオリンピック基本構想懇談会の報告の中で、東京の文化力、また、文化と技術が融合する都市を前面に打ち出す戦略を描いています。
 文士たちの日本文学と社会に与えた強い影響をかんがみるに、これらの文士村は各区固有の遺産であるのみならず、オール東京、否、オールジャパンの文化・観光資源であり、そして何より東京の高い精神性を発信する絶好の媒体であります。
 活字文化は文明の根っこであり、人間のあかしの一つともいわれております。その復興に精力的に取り組んでこられた、高名な文士でもある石原知事の文士村支援に対するご所見をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)遠藤守議員の一般質問にお答えいたします。
 文士村についてでありますが、私も文士の一人として、今の提案を聞きまして、涙が出るほどうれしゅうございますが、しかし残念なことに、歌は世につれ世は歌につれと申しますけれども、文学もそうでありまして、小説もそうでありまして、このごろは森鴎外なんて知らない人が出てきまして、この間学生と会話したら、永井荷風のことを「ナガイニフウ」といったり、本当にそういう点では、文学という活字の文化というのが本当に廃れてきたという気がいたします。
 文学の世界にも、昔は文壇というのがありましたが、このごろそういうものも淘汰されまして、本当にみんなばらばらに辛うじて生きているという感じですけれども、特に東京は何があってもおかしくないところですから、確かに東京には有名な文士がたくさんおられましたし、それは非常に遺産としてもとても大変なものだと、大事なものだと思いますが、これをどうやって残すかということも、日本の文化全体にとっても大事なことだと思います。
 ただ、都内には作家のゆかりの地や文学館が幾つかありますが、余り、どの文学館をのぞいてもお客は来てないんですね。そういう点で、文学そのもののあり方がかなえの軽重を問われ出していますが、ただ、ここのところ、ありがたいのは、文字離れしていた若い人たちが、携帯電話でメールを送るということ、インターネットの書き込みで、自分では書かなくても、キーボードを打つことで字を自分で操作する、そういう習慣を取り戻してきたので、文学にちょっと復活の兆しがございますが、そういう点で、これから出てくる若い作家のためにも、先人の業績というものを、まず目で見てわかりやすく残すということも大事なことだと思います。
 いずれにしろ、各区市町村が作家などのゆかりの場所を地域の文化資源、観光資源として発掘し、発信することは、大変意義のあることだと思います。
 文士村については、これはあくまでも地元の熱意と工夫、地域が一体となった取り組みが重要でありまして、それが東京の魅力向上につながると期待しております。
 東京都としてできることは、この間申し上げましたように、案内図とかそういう情報を東京全体の情報としてお伝えすることはできますけれども、個々の文士村に財政も含めて支援を入れるということはなかなかちょっと難しいと思いますし、地域地域で、地域の一つのある意味のシンボルとして頑張っていただきたいと思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、不登校対策についてでありますが、不登校の解消は、学校教育におきます重大な課題の一つでございまして、これまで学校におきましては、不登校児童生徒の早期発見、予防に努めますとともに、保護者の相談に応じたり、家庭訪問や学習支援を行ったりするなど、原因や状況に応じた対応をしてまいりました。
 また、都教育委員会におきましても、教育相談などに関する研修の実施や公立中学校全校へのスクールカウンセラーの配置など、区市町村教育委員会と連携しまして、学校における不登校への取り組みを支援してきたところでございます。
 こうした取り組みの結果、ご指摘のとおり、不登校児童生徒数は減少傾向にあるものの、依然として大きな教育課題でございます。このため都教育委員会は、今後、これまでの取り組みを一層充実させるとともに、区市町村における不登校児童生徒が通う適応指導教室や教育相談室、児童相談所等の関係機関によりますネットワークの構築の促進を支援するなど、児童生徒の実態に応じた不登校対策を推進してまいります。
 次に、出欠の取り扱いに関します制度の趣旨の徹底についてでございます。
 不登校の原因は多様でありまして、一人一人の児童生徒の状況に応じた対策を講ずる必要があります。ご指摘のITを活用した学習活動を出席扱いとする制度は、引きこもりがちな児童生徒が学校復帰や社会的自立に向けた進路選択を目指すための支援策の一つでございます。
 都教育委員会は、都立学校長及び区市町村教育委員会に本制度の趣旨を徹底し、適切に活用するよう指導助言してまいります。
 次に、新制度や制度改定の周知についてであります。
 都教育委員会はこれまでも、不登校に関する新しい制度等につきまして、区市町村教育委員会や校長に周知してきたところであります。不登校児童生徒を支援するためには、その原因や状況に応じた対応が不可欠でありまして、さまざまな制度や方法について、保護者等になお周知する必要がございます。
 このため、今後は、区市町村教育委員会や校長を対象とした連絡会等を通じまして、不登校児童生徒の保護者等に各制度の趣旨の徹底を図るよう改めて指導するとともに、都教育相談センターが実施いたします不登校生徒と保護者等を対象としました相談会の場において、情報提供に努めてまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)職員の特殊勤務手当の見直しについてでございますが、都におきましては、これまでも手当の必要性や支給額等につきまして適宜見直しをしてきておりますが、平成十五年度には、知事部局で支給額を約三割削減する抜本的な見直しを行いました。
 しかし、特殊勤務手当の支給の対象となる業務の困難性や特殊性は、社会情勢の変化や設備の改良を通じた職場環境の改善などによりましてその評価が変わるもので、不断の検証が必要であると考えております。
 ご指摘のとおり、昨年度の総務省の調査結果や報道等を契機に、都民の目線はますます厳しくなっております。こうした状況を背景に、現在、四月中を目途に、すべての手当を対象とした現場調査を実施しております。
 今後、調査の結果等を踏まえまして、都民の理解が得られるよう、具体的に見直しを行ってまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)荏原病院の公社移管に向けた取り組みについてお答えいたします。
 昨年十一月、総合脳卒中センターを開設し、脳血管疾患に対する取り組みを強化したほか、四月からは、内科、外科、放射線科の医師などが協力して診療を行う集学的がん医療を実施する予定でございます。
 公社移管後も、医療水準を一層向上させ、具体的な患者サービス向上策につきましても十分に検討するなど、地域における中核病院としての役割を果たしてまいります。

〇副議長(木内良明君)十三番原田大君。
   〔十三番原田大君登壇〕

○十三番(原田大君)私からは、行政評価とIT調達について質問をいたします。
 この二つのテーマは、いずれも、今後の戦略的な都政経営を考える上で欠かすことのできないテーマです。時代の変化が劇的なスピードで進み、かつ社会の多様化がこれまでになく進行している状況の中、都としても、その変化に迅速に的確に対応できるよう組織を動かしていくことが、都政を預かる者の責務であります。
 特に、経済的に成熟し、また少子高齢化社会を迎えるなど、過去のように資金や人材がどんどんふえる状況ではない今日、現在の都民にとって、また、この国の将来にとって何が本当に重要なのかを見きわめ、そこに向かって突き進んでいく力を高めることが何より大切です。
 行政評価とは、そのための経営判断に必要な情報を整備することであり、また、判断基準を明確化することで、都政の経営者と職員、そして都民の間のコミュニケーションを円滑にし、説明責任を全うするための手段であります。
 そして、ITは、これまでの組織のあり方を根本から見詰め直し、変化に即応できる体制を整えるためのツールであります。
 私は、この行政評価とITに真正面から取り組むことが、都庁の組織としての能力を高めること、ひいては、現在ここに生きる都民とこの国の将来を豊かにするものと信じております。
 そこでまず、都政を預かる者の総責任者であり、先頭に立って都の組織を動かしていくべき知事に、現在の東京都が置かれている状況についての時代認識を伺います。そして、現在の都民とこの国の将来を守り、切り開いていくためにどういう戦略をお持ちなのか伺います。
 次に、行政評価について質問いたします。
 そもそも行政評価の目的は、あいまいもことしてわかりにくい行政の成果を目に見える形にすることです。営利企業の場合は、活動の成果は売り上げ、利益といった形で明瞭に出てきます。しかし、行政の場合には、活動の成果を一律には数値であらわせないために、成果の程度を把握するには工夫が必要です。その工夫こそが行政評価であります。限られた財源で最大限の成果を求めなければならない今日の状況では、事業の取捨選択と集中投資を実現するために、成果情報を把握する必要性が以前にも増して出てきております。
 さて、東京都では、従来、事務事業レベルの評価については知事本局が実施してきましたが、ごく一部の事業の評価にとどまるなど、必ずしも十分なものとはいえませんでした。しかし、昨年十一月に示された行財政改革の新たな指針の中では、事務事業評価に関する事務を財務局に移管し、事業別バランスシートなどとあわせて事後検証の徹底を図るとしています。
 そうした中で、知事が着任早々取り組みを指示した公会計改革がこの四月にスタートします。企業会計的手法を取り入れ、財務諸表が作成されるわけでありますが、こうした取り組みは日本で初めてのことであり、行政改革を進めるための一つのツールとして大いに活用できるものであると私は期待しています。しかし、同時に、コスト情報の整備ばかりが先行し、成果情報の整備が進んでいない状況に対して懸念を持つものであります。コスト情報と成果情報がセットとなって初めて有意義な都政経営の判断材料になるからであります。
 そこでまず、こうした公会計改革の結果、新たに作成される財務諸表が事務事業評価にどのように活用され、また、事務事業評価が財務局に移管されることによりどのような効果が見込めるのか伺います。
 あわせて、成果情報の整備、すなわち事務事業評価制度の確立をどのように進めていくのか伺います。
 事務事業評価によって個々の事業を見直していくことは、事業コストの削減、事業の効率性の向上にはつながります。しかし、一つ一つの事業を最適化していくことは、都庁全体の活動の効率化、そして成果の最大化には必ずしもつながりません。全体としての成果の最大化を目指すには、各事業が一つのまとまった方向性を向いているかどうかを俯瞰的に眺め、把握する必要があります。
 事業によっては、そもそも時代状況に合わなくなる、あるいはほかの事業が向いている方向性とのずれが生じている等の理由で抜本的な見直しを迫られるものも当然出てきます。そうした事業の抜本的見直しを説明するためには、個々の事業レベルの評価だけでは不十分なことは明白です。
 都政全体の経営判断のためにも、職員や都民に事業の抜本的見直しが政策目的に基づいたものであると説得力を持って説明するためにも、都政全体を見渡し、評価する仕組みが必要であると考えますが、見解を伺います。
 都庁のマネジメント機能の強化の議論の中で、PDCAサイクルという言葉が頻繁に登場します。PDCAサイクルとは、計画を立てそれを実行し、結果を評価し改善につなげていくというものですが、まずはきちんとした計画、つまりPDCAのPの部分がなければ、評価、つまりPDCAのCの部分がそもそも成り立ちません。評価の基準は、当初計画の目的を達成できたか否かによって定められるものであり、計画によって方向性が明示されなければ、評価基準の設定のしようがないからです。つまり、都政全体を見渡した評価を行うためには、都政全体の目標設定と実行計画、すなわち都のビジョンが不可欠なのです。
 また、PDCAサイクルは、サイクルであることに意味があります。つまり、評価結果を次の計画立案に結びつけてこそ意味があるわけです。今般の企業会計的手法を取り入れた公会計制度改革、そして事務事業評価制度の改革により、事業のチェックを行うためのツールの準備が進んできました。
 これらのツールを生かすという観点からも、マネジメントサイクル全体を完成させるためにも、この機会に東京都の進むべき方向性を示すビジョンを策定する必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、都庁におけるIT調達について質問いたします。
 ITは、都庁内での情報伝達、意思決定の流れなど、今までの業務プロセスを見直すために大変有効なツールであります。しかし、旧来型の思考回路から抜け出せないがために、むだ遣いが見過ごされている分野でもあります。よって、まずは調達時のむだを省き、そしてITというツールを生かす体制を築いていくという観点から幾つか質問いたします。
 現在、都庁全体では約五百億円がIT関連に投資されています。ITの分野では、技術の進歩とともに価格の低下も急激に進んでおりますが、まだまだ多額の予算が必要な状況です。
 国や自治体のIT化は、これまで大型の汎用機といわれるコンピューターを利用した大規模なシステムを、大手のシステム開発業者が大きな金額で開発、運用を請け負うことで進められてきました。その過程で、職員の、ITはよくわからない、専門家しか扱えないといった意識からか、業者側のいい分をうのみにし、開発業者のいい値で契約が行われてきた事例が数々あります。こうしたむだ遣いがあるとすれば、これは徹底的に改めていかなくてはなりません。
 大手業者主導のIT調達の状況を見直していこうという取り組みは、国や他の自治体でも始まっています。例えば会計検査院では、基幹業務を支える決算確認システムについての運用委託の見直しを行い、システム運用経費を三十分の一以下に削減しました。このような削減が可能になったのは、ITはわからないという前提を捨てて契約内容を見直し、運用マニュアルを職員が見ても第三者が見てもわかりやすいものにつくり直すなどの努力があったからです。
 すなわち、開発業者に運用についても頼らざるを得ない状況から脱却したからです。その結果、これまで随意契約だった運用の部分で競争入札を実施できるようになり、運用委託費が、当初の年二億四千三百万円から、二年後には年七百三十万円と実に三十分の一に削減されたのです。
 ここでさらに注目すべきは、この三十分の一の金額で落札した業者が、以前、高額で随意契約を行っていた開発業者だったということです。ITはわからないという前提を捨て、業者任せを脱却することで、適正な調達コストを達成できたわけです。
 ここで、東京都のIT調達の実態を見てみますと、都でも大規模システムの開発が多く、大手数社の寡占という状態が現状としてあります。また、開発業者がその後の運用を継続して請け負うことが一般的であるとも聞いています。まだまだ業者側が優位に立つ構造が見てとれるのが現状です。都では、財政構造改革にあわせて、IT調達に関してもコスト削減の努力がこれまでなされてきたことは評価しますが、さらなる取り組みが必要です。
 そこで、都庁のIT調達能力を高めるという視点から、IT調達の一元化について質問いたします。
 都庁のIT調達では、IT推進室で全庁的に検討しているものもありますが、各局、各部ごとに調達している例も多いようであります。その際、重複投資が行われるなど、都庁全体のIT投資が整理されていないのが現状であります。実際、本定例会の冒頭行われました監査委員報告の中でも、むだが指摘されています。学校給食の予約システムを導入した際、既存の機器が使える学校もあったのに、各校一律に集計用の新たなパソコンを配備したなどであります。都庁全体での整理が必要です。
 また、技術の進展の早いIT分野においては、最新の技術動向を踏まえた調達を行う必要があります。都では、知事部局と公営三企業、警視庁、東京消防庁が個別にIT調達を行っております。それぞれ独自性を保つべき部分は当然あるにしても、例えば人事管理システムや給与計算システム、あるいは管理部門の事務所で使用するパソコンそのものなど、共通化できる部分も多くあるはずです。
 そこで、より適正な調達を行うために、IT推進室などを活用しながら、共通化できるシステムは共通の仕様を設定する、あるいはハードについては調達を一元化するなど、総合的な視点で調達を行う取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 IT化による改革とは、情報伝達、そして意思決定の流れなど、今までの業務プロセスを最新の技術を駆使して根本的に見直すことであり、既存の業務プロセスを単純にコンピューターを利用したプロセスに置きかえるということではありません。すなわち、IT化を担当する責任者は、単にコンピューター技術者のトップではなく、組織全体を見渡して、情報化戦略を組織全体の経営戦略に組み込んでいく役割を果たすべきであり、これはトップレベルの経営者が果たすべき役割なのであります。
 我が国においては、各府省においては、情報化を統括する責任者、通称CIOが既に設置されました。また、民間企業などからCIOを実務的に補佐する人材を採用、配置するCIO補佐官制度が二〇〇三年からスタートしています。都においても、行財政改革の新たな指針では、CIOの設置や民間の専門家の活用を図っていく旨が盛り込まれました。
 改めて申し上げますが、IT投資は、ITという一つのツールを活用することで経営戦略全体をよりよくしていくものでなくてはなりません。企業同様、自治体においても、ITを活用し、より効率的で成果を生み出す組織経営を行うことは時代の要請であります。東京都においても、単に技術的な一部門ということではなく、都政全般にかかわるものとして戦略的にITの活用をしていくべきであります。
 今後の東京都のIT化についてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 IT投資は、当然目的があって行うものであります。よって、投資を行う前には投資の目的を明確化し、投資後には当初の目的が達せられたかを判断し、次の投資をどのように行うのか決めていかなくてはなりません。
 企業では、この投資判断の材料として、管理会計手法の導入が進んでおります。これは、企業外部への報告を目的とする財務会計とは異なり、経営者や管理者などが自社あるいは部門の内部の経営状況を把握し、戦略立案や経営計画策定などの意思決定を行う材料として作成される会計情報であります。
 自治体においても、売り上げや利益に相当する成果の部分を数字であらわしにくいなど、難しい側面はありますが、IT投資を計画的に行い、その結果を踏まえて次の投資を考えるべきであることはいうまでもありません。
 東京都としても、こうした動きを参考にして、客観的な新たな評価手法の導入も検討すべきであると考えますが、見解を伺います。
 純粋に都民の目から見れば、東京都として予算を使う以上、何らかのサービス向上があることを期待するものです。IT投資もその例外ではありません。そのために、例えば教育や医療の分野など、身近に効果が実感できるような取り組みを進めることが考えられます。あるいは、自治体共通のプラットフォームをつくることで余分なシステム開発コストを削減し、より身近な行政サービスを担う区市町村にサービスレベルの向上に集中してもらうことも考えられます。
 あるいは、都庁の内部でいえば、団塊の世代の大量退職によって人材不足に陥るという、いわゆる二〇〇七年問題に対処するためには、ITを活用して業務の効率化を徹底的に進めることにより、職員一人当たりの生産性を向上させるといった取り組みも必要になってきます。
 これらのことを踏まえ、東京都のIT投資戦略を今後明確に打ち出していくべきと考えますが、都のIT投資に対する考え方、理念を伺います。
 以上、行政評価とITについて質問してまいりました。
 冒頭申し上げましたとおり、変化し多様化し成熟した社会にあって、都政の戦略的経営を行うことで、現在の都民とこの国の将来を豊かなものにしていくという使命にこたえていかなくてはなりません。最後にそのことを改めて申し上げ、都政を預かる者の真摯な取り組みを願って、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)原田大議員の一般質問にお答えいたします。
 時代認識と将来に向けての戦略についてでありますが、戦後六十年を経た現在、我が国は、世界第二の経済大国の地位を保ちながら、さまざまな基本的条件の本質的変化に直面して、歴史的な転換期に差しかかっていると思います。
 こうした中、首都東京は、日本の頭脳部、心臓部として我が国を牽引しておりますが、今後とも日本のダイナモとして機能していくためには、みずからの持つ潜在力の大きさを冷静に把握して、その力を存分に発揮する必要があると思います。そのためにも、正確な時代認識とそれに沿った戦略が必要だと思います。
 その時代認識として、世界全体が、日本全体が、時間的、空間的に狭小化された今、グローバライゼーションであるとか、あるいはハンチントンのいった文明の衝突というものもその結果としてもたらされておりますが、また、日本の治安の不安要因の多くが、経済格差という情報の安易な伝播によって不法入国や不法滞在者の外国人の存在という要因を抱えたということも、新しい実態だと思います。
 IT技術は結構でありますが、これがいたずらに進展したために、情報の過剰なはんらんがもたらされて、その判断、選択そのものも、自分ではなく、他のツールによるという個人の主体性の喪失、これは一つの大きな傾向で、人間が人間としての本質的な貧困に差しかかったと、これはフランスのある哲学者がこのごろいい出したものでありますが、確かにその兆候があると思います。
 例えば、統計の数字にだけ頼るということは、その底にある本質的なものを見逃しかねません。大事なことは、現場を預かるこの目で見届けて問題の本質を理解する、そしてその事案について合理的なプライオリティーを構えていくということだと思います。
 少子化であるとか世界環境の悪化といった基本的な条件の変化の中で、今度、これから日本は、質の高い低成長を望むのか、質の悪い高度成長かと、中国も今その選択に迷っているようですけれども、日本はあくまで、私は、質の高い、しかし低成長の中で、その成熟というものを期待していくべきだと。東京がやっぱりその引き金を引いていくべきだと思っております。
 他の問題については、関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)財務諸表を活用した事務事業評価の取り組みについてでございますが、事務事業評価は事業の見直しを行うための有効なツールであり、新年度から予算編成の中に組み込むことで、その結果をより的確に次の予算に反映させることが可能となるものでございます。
 また、新たに作成する事業別財務諸表により、人件費や減価償却費等を含む事業のフルコストが把握できるようになりますことから、分析の精度を高めることができ、実効あるPDCAサイクルが構築できると考えております。
 現在、最初の財務諸表が作成される十八年度決算に向け、事業の目標設定のあり方やその成果を評価する手法、基準などについて検討しているところでございます。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)行政評価についてのご質問ですが、まず、都政全体を評価する仕組みについてでありますが、都の施策を検証しつつ時代に合った政策を展開するため、昨年十二月に重要施策及び平成十八年度重点事業を策定いたしました。
 重点事業は、重要施策の実現に向け、現場からの視点でボトルネックを発見し、改善、解消することなど四つの改革の視点から、新規事業、既存事業の再構築などについて各局との調整の上、選定いたしました。
 重要施策及び重点事業につきましては、行財政改革の新たな指針におきまして検証機能を強化する方針が示され、現在、検証方法について検討を進めているところでございます。事業の遂行状況を管理するだけでなく、施策効果の向上に結びつく仕組みの構築を目指してまいります。
 次に、評価の前提となるビジョンの策定についてでございますが、急速な少子高齢化やグローバリゼーションなどの進展など、社会経済の構造的変化の中にあっては、長期的な視点から時代の潮流をとらえ、将来展望を持つと同時に、状況変化にも対応した政策展開が重要でございます。
 このため、重要施策におきまして、政策課題、取り組みの方向を示し、重点事業については、三カ年の展開を示した上で、毎年度検証し改定していくこととしました。重要施策、重点事業の検証、改定を通じ、都政の方向性を示してまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)ITに関する四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、総合的な視点でのIT調達についてでございますが、都庁全体で統制のとれた調達を行うことは、経費の節減に有効な方策であると考えております。
 IT推進室では、これまでも最新の技術動向や標準仕様など適正な調達に必要な情報を、知事部局はもとより、公営企業や警視庁、東京消防庁へも提供してまいりました。
 今後、こうした情報提供とともに、事務用パソコンの一括調達や、ハードウエア、ソフトウエアの共有化など、都庁全体のシステムの最適化を目指し、より的確な調達が行えるよう、各情報システム部門を支援してまいります。
 次に、今後の都のIT化の取り組みについてでございますが、IT化は業務運営の効率化において欠かせないものとなっており、都は、電子都庁推進計画に基づき、TAIMS情報基盤の整備、都内区市町村との電子自治体共同運営サービスなど、行政分野における先導的な取り組みを展開してまいりました。
 IT関連の技術の進展は目覚ましく、こうした技術を生かして、一層自治体経営に資する形で、引き続き業務のIT化を進めていく必要がございます。
 今後、昨年十一月に策定しました行財政改革の新たな指針で示す改革の方向に沿いまして、都のIT化方針やシステム評価方法を検討するとともに、情報化を統括するCIOの設置、民間の専門家の活用、情報セキュリティーの強化などに取り組んでまいります。
 次に、新たな評価手法の導入についてでございますが、これまで都では、情報システムの点数評価を行う都独自のシステムアセスメント手法により、費用対効果や運用体制などについて評価し、開発の可否を判断してまいりました。
 また、平成十六年度からは、システム監査技術者など民間の専門家を活用し、システム規模や運用、保守作業などが適正であるかを検証して、評価内容の向上に努めております。
 今後、さらに顧客満足度を高めるために有効とされております業績評価指標など、民間における先進的な事例も参考にしながら、より実効性が高く、客観的で都民にもわかりやすい評価に努めてまいります。
 最後に、都のIT投資の考え方についてでございますが、少子高齢化に伴う人口減少や、団塊世代の大量退職による労働力の減少など、都政を取り巻く社会経済環境は今後大きく変化していくことが予想され、行財政システムの再構築と、効率的で質の高いサービスの提供が一層強く求められております。
 急速な進展を見せるITは、こうした都政の変革を進める大きな力として期待できるものであり、万全のセキュリティー確保のもとに積極的に活用していくことが重要と考えております。
 今後、費用対効果を十分検証しながら、ITを戦略的に行うことにより、業務の効率化、迅速化を進めるとともに、事務事業そのもののあり方についても見直しを進め、都民サービスの一層の向上を目指してまいります。

○副議長(木内良明君)この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四十一分休憩

   午後四時二分開議

○議長(川島忠一君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十四番石森たかゆき君。
   〔二十四番石森たかゆき君登壇〕

○二十四番(石森たかゆき君)まず初めに、物流改革についてお尋ねいたします。
 東京都では、近年の物流に対する環境変化に伴い、関連する多くの企業からより低コストで高サービスを求められている現状、あるいは国際競争力の強化、環境問題への対応等を受けまして、昨年の秋に総合物流ビジョンを取りまとめ、パブリックコメントを経て、本年二月に改めて公表されました。
 物流の改善に向けては、民間側においてさまざまな対策が講じられているものの、行政側としては、道路、港湾、空港の物流基盤整備を加速させ、経営面の支援を含めて民間と公共とがより連携して取り組むと、物流ビジョンには記されてあります。
 かつて、日本経済の高度成長期は、大量生産、大量消費時代といわれておりましたが、時代の変化とともに、近年では、消費者ニーズの多様化によって多品種少量生産へと転換して、企業としても極力在庫を置かない形態となったことにより、物流自体にも大きな変化が生じたところであります。多頻度小口配送の増加により、必然的に物流コストの削減、物流システムの効率化が企業に求められるようになり、最近では、原材料の調達から生産、販売に至るまでの全体的な物の流れを一元的に、そして効率的に管理するロジスティックスという言葉も広く使われているところであります。
 特に東京及び首都圏においては、大消費地であると同時に、港、空港をあわせ持つ一大物流拠点地域でありますから、物流効率化推進は欠かせないところでありまして、そんな背景から物流ビジョンの策定に結びついたと思いますが、このたびの策定に至った経緯並びに物流改革に向けての決意について、まず所見をお聞きしたいと思います。
 物流ビジョンの効率化に向けては、公共側として三環状九放射の高速道路ネットワークの早期構築、あるいは港湾、空港の整備等のハード面とあわせて、企業における原材料の調達、生産、製品の保管、配達などに関するソフト面での効率化が必要不可欠であります。都は、中小企業に対し、これらのソフト面の効率化についてどのような支援策を検討されているのか、お示しいただきたいと思います。
 特に、中小企業の経営環境は、たび重なる規制緩和の影響で極めて厳しい状況にありますから、物流効率化に向けては、国との連携強化を図りながら、さらに一歩踏み込んだ中小企業への支援体制の充実を要望しておきたいと思います。
 また、ビジョン内に示されたさまざまな施策、対策の実現に向けては、それぞれ短、中、長期と取り組み目標時期が設定されておりまして、これらを着実に実施することが当然求められるところでありますが、各分野にまたがっている対策を都としてはどのような体制で進めていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
 そして、このビジョンを実現していくためには、東京を含めた首都圏内の各地域がその機能を高め、連携して取り組んでいくことが重要となります。中でも私どもの多摩地域は、さまざまな製造拠点が立地した、首都圏内でも重要な生産地であるとともに、区部に次ぐ一大消費地でありまして、日々活発な物のやりとりがなされている地域であります。
 今後、圏央道等の整備が進むことによって、北は東北、関越方面、東西は中央道、そして南には東名方面と、あらゆる方面へのアクセスが飛躍的に向上して、物流面においてもますます大きな役割を果たしていくことが期待されます。
 そのような状況を踏まえ、物流ビジョンにおいて多摩地域はどのような位置づけになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 そして、物流効率化に向けての大きな柱の一つに、物流拠点整備の推進があります。
 さかのぼること昭和三十年代後半、東京都では、日本の高度経済成長期の急激な人口流入、過密化によって、さまざまな業務機能の無秩序な集中立地を引き起こしたことから、一点集中型の都市構造を改善するため、流通業務団地構想を打ち出しました。その具体的な内容については、流市法に基づいて国が昭和四十一年に基本方針を定め、都市部に集中している倉庫、運輸施設等の流通業務施設を郊外の適地に再配置して、近代的な流通機能を整備することとしております。
 基本方針では、当初、流通業務地区として五カ所の拠点整備を計画しておりましたが、そのうち、西南部を除いた四カ所の整備は既に完了し、それぞれ物流の一大拠点として稼働しておりますけれども、これらはすべて区部に立地しております。
 西南部の物流拠点として位置づけられている多摩地域は、現在、約四百万人の人口を抱え、物流のニーズに対して高いポテンシャルを持っているにもかかわらず、首都圏の他の地域と比較しても、物流量に対して物流施設が相対的に少ない現状にあることから、輸送効率の低下などが課題となっております。
 そのような中、圏央道や多摩の南北道路などの道路整備が一定の進捗を見た今、総合物流ビジョンが公表されるなど、西南部物流拠点の整備に対する機運が高まっていることから、多摩リーディングプロジェクトの重点事業としても位置づけられたものと思います。
 候補地について、東京都は、平成十五年十二月に公表した東京西南部における物流拠点整備計画調査において、圏央道のインターチェンジ周辺に四カ所、中央道のインターチェンジ周辺に一カ所を挙げておりますが、これらの候補地はどのように選定されたのか、選定に当たっての考え方を伺います。
 五カ所の候補地のうち二カ所は八王子市内となりますが、私どもの八王子市は、首都圏の西の玄関口といわれ、中央自動車道、国道一六号、そして二〇号が結ばれる交通結節点でありまして、都内、山梨、神奈川、さらには、平成十八年度、圏央道が中央自動車道に接続されることから、関越、東北方面をも結ぶ道路系都市として、首都圏においては極めて重要な地域といえます。
 このように、交通の広域的な利便性にすぐれていることもあり、市内にはさまざまな分野の製造業や物流系企業が集積しておりまして、圏央道の開通によってさらに企業立地が進展するものと思われます。
 したがいまして、八王子市は西南部物流拠点として良好な立地条件を備えているものと考えますが、市では既に圏央道八王子北インター周辺地域での物流拠点整備の実現に向けての具体的な検討を開始し、同時に民間ベースでも、商工会議所が主体となって東京西南部物流研究会を立ち上げて調査研究を実施した結果、数多くの企業からこの地に進出したい意向が示されたところであります。
 これらの状況を受けて、将来的には物流系産業拠点整備を推進する目的で、都市再生機構で所有していた圏央道北インター周辺地域約百四十ヘクタールを市の住宅・都市整備公社で購入し、現在に至っております。また、工業団地が隣接し、産業の集積が進んでいる青梅インターチェンジ周辺などの候補地についても、市役所や地元地権者などによって積極的な検討が行われている状況にあります。
 西南部物流拠点整備に向けた地元関係者の熱心な取り組みに対し、都としては今後どのような対応をされていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
 圏央道八王子北インター周辺地域の拠点整備については、ハーフインターチェンジの問題、アクセス道路となる北西部幹線の整備、あるいは市街化調整区域における開発方法など、国、東京都の支援を仰がなければならない問題も数多く残されておりますので、ぜひこれからは東京都の積極的な支援を期待したいと思います。
 次に、ものづくり産業についてお伺いいたします。
 バブル崩壊後の失われた十年を経て、都内経済はやっと回復の途についてきたといわれておりますが、この間、都内中小企業の状況は大きく変化いたしました。バブル崩壊を契機にして、都内ものづくり産業につきましては、事業所数、従業者数、製造品出荷額等のいずれも大きく減少し、全国に占めるシェアも以前よりさらに低下している状況にあります。
 このような中、平成十五年の多摩地域の製造品出荷額等は六兆一千億円で、都内シェア五二%となり、初めて区部を上回りました。これは、多摩地域におけるものづくり産業が区部に比べ活発で、成長性のある企業が多いことによるものと思います。
 多摩地域には、企業経験は浅いものの、すぐれた技術を持ち、積極的な経営を行っている企業がたくさんあります。例えば、知事が昨年十月に表彰されたベンチャー技術大賞の受賞企業は、私の地元八王子に存在する、創業わずか二年目の新しい企業であります。
 その一方で、精密機器や特殊加工などの分野で世界に誇る技術を保有し、堅実な成長を続けている中堅企業も多数立地しております。まさに多摩地域は先端産業の一大集積地になりつつあるといっても過言ではありません。
 こうした多摩地域のものづくり産業について、知事はどのような将来像を描いていらっしゃるのか伺います。
 ところで、東京都では平成十八年度の重点事業の一つとして、都内ものづくり産業の活性化を図るために、これまでの支援のあり方を見直して、企業経営や技術開発をより効果的に支援するとして、産業支援拠点の再整備を打ち出しました。
 具体的には、産業技術研究所の地方独立行政法人化によって運営の弾力化を図り、企業との共同研究や民間との人材交流を活発化させること、そして、西が丘、駒沢、八王子の各庁舎並びに暫定施設である多摩中小企業振興センターを整理統合して、区部及び多摩地域に新たな産業支援拠点を整備するとあります。
 産業支援体制の充実を図る意味でも、今回の都の判断は理解できるところでありますが、ただ、先ほど申し上げたように、多摩地域には先端企業が数多く集積しておりますし、こうした分野を中心に、新たに事業を起こす人たちも数多く存在いたします。八王子市には、都の創業支援施設であるベンチャー・HACHIOJIがありますが、常に満室の状態で、あきを待っている方も大勢いる状況にあります。東京の産業の将来を考えるのであれば、こうした創業支援施設をもっと充実すべきでありまして、とりわけ先端企業の集積が進んでいる八王子には、その必要性は高いと思います。
 また、八王子市としては、このような企業に対しての支援として、商工会議所と共同でサイバーシルクロード八王子構想推進協議会を設置したほか、国の産業クラスター育成の一翼を担うTAMA協会の誘致など、さまざまな産業支援策に積極的に取り組んでおります。このような市の取り組みに対して都としても積極的に支援し、都と地元市との連携により、効果的な産業振興を図っていく必要があると考えますが、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。
 特に八王子市におきましては、都立産業技術研究所八王子庁舎の移転統合問題を受けて、昨年暮れに、八王子庁舎の存続を前提にした近代化及び機能強化を図るよう、東京都に対し要望書を提出したところでありまして、ぜひ都としても八王子の持つ豊かな産業資源、そして将来性を十分理解していただき、今後の産業政策に結びつけていただきたいと思います。
 それでは最後に、多摩メディカル・キャンパスの整備についてお聞きいたします。
 都では、平成十三年の都立病院改革マスタープランに基づき、平成十五年には都立病院改革実行プログラムが策定され、府中病院を多摩広域基幹病院に再編整備するとともに、都立小児病院三施設を統合して、小児総合医療センターを整備することとしました。
 その整備については、去る一月三十一日に清水建設株式会社が落札し、病床数、契約金額とも国内最大の病院PFI事業としていよいよ設計、工事へと移行し、平成二十一年度には開設されるに至ります。
 中でも、小児総合医療センターの整備によって、三多摩格差の一つとされてきた小児医療、周産期医療体制がより充実することになりますから、我々も大いに期待するところでありますが、この清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院の三つの病院を統合して小児病院の拠点となるこのセンターでは、具体的にはどのような医療を提供し、目指していくのか、改めてお示しいただきたいと思います。
 小児総合医療センターが建設されることによって、新たな拠点整備がなされるところでありますが、反面、移転統合される側の地域医療の配慮が重要でもあります。
 私の地元である八王子市の都立八王子小児病院については、小児専門病院として極めて専門性の高い外来診療を実施しておりまして、中でも、小児科医が同乗する新生児ドクターカーやNICUによる新生児救急システムは、八王子周辺地域の小児医療において大変重要な役割を果たしております。
 東京都としても、この移転計画が発表されてから、小児医療の充実に向けて、八王子市とさまざまな協議を実施してきたと聞いておりますが、協議では何が課題となっていて、どのような解決を図ろうとしているのか、お伺いいたします。
 八王子小児病院の移転によって地域医療の低下を招かぬよう、地元八王子市との具体的な協議を進め、早い段階で明確なる今後の方向性を示していただきますよう要望して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)石森たかゆき議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩地域のものづくり産業の将来像についてでありますが、多摩地域では、スペースシャトルにも搭載された高度な光学機器の技術を有するメーカーや、ナノテク分野で世界の最先端を行く精密加工機を開発した企業など、世界に誇るものづくり企業が数多く集積しております。
 加えて、大学や研究機関も多く、埼玉、神奈川県に及ぶ広範で多様な連携により、新たな技術開発が盛んに行われております。
 また、圏央道の整備や横田基地の軍民共用化の実現により、さらに広範なネットワークが形成され、高度で多様な先端ものづくり産業の集積地として、日本を牽引する大きな可能性を秘めていると思います。いわば日本のシリコンバレーというものでありましょうか、そうした将来性は非常に十分なものと思います。
 都としては、高度な技術支援や産学公連携を促進する本格的な支援拠点の整備に着手し、地元自治体とも連携して、多摩の産業の一層の活性化に努めてまいります。
 なお、その他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)物流に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、総合物流ビジョン策定の経緯並びに物流改革に向けての決意についてでございますが、近年、アジア諸国の台頭による国際競争の激化や、人々のライフスタイルの多様化、地球温暖化への対応など、物流を取り巻く状況は大きく変化してきております。こうした状況に的確に対応し、首都圏を見据えた物流効率化を推進するため、総合物流ビジョンを策定いたしました。
 策定に当たりましては、主要品目の流れを把握、分析するなど、民間による物流活動の実態を調査して、全庁的に物流対策の検討を行ってまいりました。
 物流の改革を進めるに当たりましては、このビジョンに基づき、交通インフラの整備など、公共としての役割を果たすとともに、民間の積極的な参画を引き出すことが必要でございます。
 今後、都は、国や関係自治体と連携し、ビジョンの実現に取り組んでまいります。
 次に、物流対策を進める体制についてでございますが、物流の効率化を進めるに当たりましては、道路や港湾、空港などの物流基盤の整備や産業振興など、さまざまな分野で協力して取り組んでいくことが重要でございます。このため、都は、関係八局及び警視庁から成る物流関係庁内連絡協議会において全庁的な連携を図ることとしております。
 また、運輸や倉庫などの民間の事業者団体と協力しながら、物流施設の高度化、集約化によるコストダウンやサービスの向上、地域でのスムーズな荷さばきなどを促進してまいります。こうした公共と民間の連携により、物流の効率化に取り組んでまいります。
 次に、総合物流ビジョンにおける多摩地域の位置づけについてでございますが、多摩地域は、都県境を越えた環状方向の広域連携により、核都市それぞれが相互に結びつくことで活力がさらに高まる地域でございます。
 物流の面でも、多摩地域は電気機器などさまざまな産業が数多く立地するとともに、埼玉や神奈川との物の輸送も活発な地域であり、効果的な物流施策の展開が必要でございます。そのため、圏央道や都市計画道路など、物流の骨格を形成する道路整備を推進するとともに、これらの整備にあわせて物流施設の高度化、集約化などを促していくこととしております。
 次に、物流拠点の候補地選定の考え方についてでございますが、多摩地域におきましては、物流の量に対して相対的に物流施設が少なく、輸送時間がかかり、輸送コストが高くなるなど、区部と比べて輸送効率が低くなっております。こうしたことから、多摩地域に新たな物流拠点の設置が求められております。
 その候補地は、高速道路インターチェンジ周辺であること、地域特性を考慮した機能別の分散配置ができること、圏央道整備の進捗に合わせた段階的な整備が可能であることなどの視点から選定いたしました。
 最後に、地元関係者の取り組みへの対応についてでございますが、物流拠点の整備につきましては、まちづくりの観点から、関係する市や町が住民の合意形成や物流事業者との調整に主体的に取り組むことが重要でございます。
 都はこれまで、物流拠点整備の具体化に向けた検討を進めている関係市町に対して、物流の将来動向や民間活力を生かした整備手法などについて幅広く情報を提供してまいりました。
 今後とも、市町を初め地元関係者の取り組みに対し、広域的な観点から支援してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都内中小企業の物流効率化の取り組みに対する支援についてでございます。
 物流の効率化によるコストの圧縮は、激しい価格競争にさらされている中小企業にとって重要な経営課題でございます。こうした中で、個々の中小企業を見てみますと、限られた物品の少量輸送が多く、非効率ですが、複数の企業が共同することによって、同一地域への配送業務などの効率化が期待できるところでございます。
 このため、平成十八年度に中小企業物流効率化推進事業により、複数企業のグループ化による共同配送など、創意工夫を凝らしたモデル事業の実施を支援し、効率的物流システムの形成と普及を図ってまいります。
 また、物流人材の育成や金融支援などの充実を図るなど、都内中小企業の取り組みを支援してまいります。
 次に、創業支援施設の整備や八王子市の取り組みについてでございます。
 創業支援施設の整備については、多摩の本格的産業支援拠点において新たな施設を設置するなど、今後とも創業者の支援に積極的に取り組んでまいります。
 また、八王子市では、ご指摘のように、ベンチャー企業の支援や産学公連携の推進など、先駆的な取り組みが行われ、成果を上げております。
 都といたしましては、こうした区市町村の取り組みに対しまして、産業技術研究所や中小企業振興公社などの支援機能を十分に活用し、経営と技術の両面から専門的で高度な支援を行ってまいります。
 さらに、産業振興に積極的に取り組む区市町村と連携しまして、産業集積を高める方策などの検討をしてまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)多摩メディカル・キャンパスに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小児総合医療センターで提供する医療についてでございますが、具体的には、がんや心臓病、骨髄移植を初め、小児ICUによる救命救急や多摩広域基幹病院と連携した周産期医療、さらには発達障害などに対応する精神医療など、こころとからだを総合した医療を提供してまいります。
 都としては、将来の小児医療の発展も視野に入れまして、こうした高度専門的な医療を提供することにより、我が国の小児医療をリードする拠点として整備してまいります。
 次に、八王子小児病院移転に伴う八王子市との協議についてでございますが、都立病院改革マスタープラン策定以降、市と都による検討会を設置し、地域の小児医療の実態を明らかにするなど、これまで協議を重ねてまいりました。この中では、八王子地域における小児医療の具体的な確保策が課題となっておりまして、市との役割分担を踏まえながら、その解決に向けて今後とも精力的に協議してまいります。

〇議長(川島忠一君)四十番矢島千秋君。
   〔四十番矢島千秋君登壇〕

○四十番(矢島千秋君)経済の成長は大変難しいところがあります。拡大する資源外交をする国は、効率の悪さゆえの選択という見方もありますし、一方日本は、幾多の困難を英知と努力で越えてきました。こういう日本の社会は、多少の調整期間はあったとしても、経済発展の時代に生きてきただけに、社会の持続性の観点からも、人口減少が大きな危機として受けとめられております。
 この背景にある深刻な少子化には、東京都も積極的に取り組み、その施策は全国的に見てかなり充実しているといわれますが、諸外国の例に見るように、有効な手だてがまだまだ必要なことはそれでも確かであります。しかし、晩婚化を政策的に大きく改善することは容易でないだけに、ある程度の少子化、人口減少は現実として受けとめねばなりません。
 実際、日本の労働人口は、既に平成十年には頭を打っているのであります。経済成長阻害要因として語られることの多い少子化でありますが、経済の成長に労働者の数は絶対的条件ではなく、既に労働人口減少期に入っている日本など先進国にとって、それを支えるのは資本の蓄積と技術の進歩にあるといわれております。
 つまり、日本の将来のためにイノベーションに力を尽くしていかなければならないのであります。いわば東京都は日本のエンジンであり、フラッグシップであるだけに、その船長として日本をリードする知事にご見解をお伺いいたします。
 いつの時代にあっても取り組まねばならない課題は多く、緩い対応は必ず大きなツケが回るのであります。かような中にあって東京都は、ようやく財政逼迫を脱しつつありますが、知事のこれまで七年間の歳出見直しの奮闘は、困難な中でも新時代への理念を持ち、役割を果たしながら重点政策に取り組み、そこには自立する自治体新時代への見識がうかがえるのであります。
 つまり、都政再構築の根底には、自治体のあるべき姿を目指す知事のガバナンス、また、限られた資源の活用と付加価値を高めるマネジメントの有効性に息を吹き込む姿があるのであります。まさに日本のコンプリメンタリティーの実践であり、都区協議が新しい段階を迎えることも理解できるのであります。
 そして、時代の要請も、首都東京が持てる力を磨き、地域をつくり上げるところにあり、そのためには、おのずから行政のあり方、また公共サービスが一変し、公務員の求められる姿も大きく変わるのであります。
 現在、行政サービスの質を維持あるいは向上させながらコストの低減を図ろうと進められている各種改革の実施は、従来の単に人件費から物件費への移動では許されないのであります。公務員組織、そして公務員の役割の見直しが、質の高い自治体経営の基礎条件であります。たとえ業務の民間委託をしたとしても、その成果管理と質の維持のためには、それらに対応できる公務員の役割があり、必要な能力を明らかにし、組織的な教育がなされなければなりません。
 知事が十七万東京都職員と歩んできたこの間を通してご判断されている、これからの地方自治体のガバナンスとマネジメントのあり方、その実現を図るこれからの公務員像について、ご所見をお伺いいたします。
 人は歴史から多くのことを学んできたはずでありますが、実際、財政規律の維持は難しく、特に税収好調な時期ほどであり、現在の地方自治体の苦悩である平成初期の経済過熱の後始末がそれを示しております。
 しかし、自治体の財政逼迫化は現在に限ることではなく、昭和三十年制定の、戦後の混乱期自治体救済の法である地方財政再建促進特別措置法により、当時五百八十八にも上る自治体を再建団体として承認し、再建に当たりましたが、現在もその準用規定が破綻自治体の受け皿であります。
 しかし、これからは、自治体財政が歩まなければならない自立と財政責任の道が、市場メカニズムと表裏の関係である信用リスクとして問われることになるのであります。アメリカでは、オレンジ郡破産のチャプターナインが有名でありますが、政府が、大臣の私的諮問機関として、現在破産法の体系に位置づけられていない、自治体の破産法制の見直しに入ることは、今後、課税自主権を含めた地方分権をさらに進める代価であり、当然の帰着であります。
 東京都自身、財政再建団体転落の瀬戸際に立ったこともあり、また、都内市区町村がそれぞれの必死の努力で財政運営に努め、ようやく経済環境の好転を迎えておりますが、仮に冷え込みが続いたとすると、この問題について判断と対処が必要であったかもしれないのであります。
 不幸なことに都内自治体がこのような事態に陥ったときの対応は、既に検討されているでありましょうが、財政再建団体への認識、また政府の今回の見直しについて都としてどのように受けとめているか、お伺いをいたします。
 また、都の各種基金の積み立ては、平成十八年度末で一兆一千八百億円となります。このうち東京都の財政逼迫時の貯金である財政調整基金は、平成十一年には残高十五億円の首の皮一枚の状態でありました。今後積み増していく財政運営平衡化資金たる財政調整基金の目標水準は、東京都財政運営の基本的フレーム抜きには考えられませんが、それをどの程度に想定しているか、あるいはどのように考えているか、お伺いいたします。
 東京都が取り組んできました第二次財政再建プランの達成には、主税局の都税収入確保の努力が大きな役割を果たしてまいりました。確かに法人二税の大幅増収ということもありますが、その根底は、他の自治体に先駆け努力してきた各種徴税の取り組みという背景があります。これは知事が記者会見で、主税局が粛々と、厳正に、忠実に、また熱心に努めてきたからとの発言にもあらわれており、裏方に対するねぎらいのよい言葉であります。
 そこでお聞きいたしますが、都税たる個人都民税は、区市町村がその住民税とあわせて賦課徴収し、東京都は手数料七%を支払っております。しかし、ほかの都税に比較して徴収率が低いため、主税局では個人都民税対策室を設置し、区市町村と協力してその収入確保と徴収率向上に向けた取り組みを行っておりますが、これまでの成果をお伺いいたします。
 また、島しょ地域では、これまで、自治体への徴収率向上、滞納処理の支援は、研修や滞納の引き受け処理に終わっております。しかし、二十三区、多摩地域では、都職員の二カ月間派遣、研修生の受け入れ、各種研修を実施し、大きな成果を上げてきたとお聞きしております。今後、島しょ地域でも同様の取り組みを行い、地域の滞納処理ノウハウ向上に資すべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。
 知事はかねてより、首都圏の広域連携の必要性について言及されております。そこで培ってきた主税局の徴税ノウハウと、同じ課題を持つ首都圏内の自治体のノウハウの相互交流は、徴税の広域連携を可能とし、より税収の効果につながるものと思いますが、お考えをお伺いいたします。
 戦後の東京都の都市計画は、緑とまちの風格の計画を忘れてきたといわれております。しかし、緑の課題は、一月のみどりの新戦略ガイドラインに取り組まれ、緑の保全と創出に民間の力を生かすために、民設公園制度の仕組みが導入されているのであります。私は、人が人として住むにふさわしい東京の都市部の緑確保の方策の一つとして、この制度を評価するものであります。実際、現行ペースでは数百年かかるといわれている都市計画公園整備のため、容積率のボーナスなしに公園を創設することは、実に画期的なことであります。
 これを推進する立場から、まず民設公園制度導入の考え方を、次に、制度における民間事業者と都が負うべき責務について、最後に、公民それぞれが責務を果たし、良好なみどりが創出、維持されるため、どのような制度づくりをするか、お伺いいたします。
 関東大震災復旧の下町地区に始まる東京の都市計画は、戦前、放射状道路の整備にあわせ、渋谷、新宿、池袋、大塚などの交通ターミナル駅前広場整備が計画され、戦後、戦災復興事業として取り組まれましたが、経済成長とモータリゼーションの波に覆われ、現在見るように、構造的キャパシティーから、自動車交通処理を中心とした、人がわき役のまちの姿となったのであります。
 しかし、限られた財源の中でも積極的に進められる道路整備が、状況を変えつつあります。渋谷、新宿、池袋と、東京の大繁華街を貫く八・九キロの東京メトロ最後の路線建設といわれる地下鉄十三号線の導入空間で建設が進んでいる明治通りのバイパス、環五の一であります。
 この道路は、従来の明治通りをバイパスし、新宿は大木戸を抜け、池袋も駅前通過を避ける迂回路となるのであります。このことは、中高層ビルが連続して建ち、駅前を通過する明治通り自動車交通と雑踏がふくそう化している狭隘なターミナル、池袋駅前広場にとって、千載一遇の、まちづくりを見直す大きな天恵であります。自動車交通が中心の駅前広場を人中心のまちづくりとするために、この路線建設を有効に活用しなければなりません。
 現在、池袋駅前の明治通りを通過する自動車交通は一日約三万七千四百台、建設の進んでいる明治通りのバイパス、雑司が谷地区環五の一の地上部は、東京唯一の都電荒川線が通っており、このままでは地上交通も限られたものとなるのであります。この部分の自動車交通を地下化することにより、合わせて二万五千台の交通を処理することが可能で、従来駅前を通過していた自動車が大幅に迂回することになります。これにより、駅前自動車乗り入れは、場合によっては公共交通に限ることも可能でありましょうし、何よりも駅前は、人の歩みの時間に合わせた安心できるまちへと変貌し、東京の一つのまちづくりの答えをあらわした姿となるのであります。
 新しい東京へのまちづくりの取り組みとして、ぜひとも地下自動車道の建設を進めるべきであると考えますが、お考えをお伺いいたします。
 次に、超高層建物に与える関東地方の地下構造と長周期動の影響についてお伺いいたしますが、先ほども発言がありましたので、重なる部分は省き、質問をいたします。
 最近の研究によると、関東平野は地震の揺れが増幅される条件を形成しているといわれます。超高層ビルの固有周期と長周期地震動との共振が、東京の林立する超高層ビルを大きく揺らしやすいということになります。この点についての認識をお伺いいたします。
 そして、この多大な影響を与える長周期地震動は、超高層建物にとって大変重い問題であります。これは研究では、マグニチュード六・五以上の地震で発生するといわれております。実際、新潟中越地震では、東京の地上部ではそれほど大きな揺れを感じないにもかかわらず、超高層ビルを揺らし、予想外の影響を与えたことは記憶に新しいところであります。
 実際、長周期動で揺れる多くの超高層建物では、建物内の設備、照明器具などが大きく損傷し、備品は超高層ビルのカーテンウオールの窓に迫り、その被害は人に及ぶこともありましょう。これらの点について、認識と対策についてお伺いいたします。
 水道事業は、平成十六年度より東京の水の安全、水質の向上に積極的に取り組んでまいりましたが、その努力は評価をするものであります。しかし、ブラインドテストでミネラルウオーターと引けをとらない水道の高度浄水処理水、おいしい水も、給水経路の改善を進めなくては、都民にそのよさを知ってもらうことはできません。
 そのための取り組みの一つとして、都民の生活の安心・安全と質の向上を目的とした、貯水槽を経由しない直結給水を進める水道施策があると聞いております。マンションやビルなどの一部で、貯水槽水道の不適切処理から来る水質への不安などの問題への対応であります。
 実際、都として平成十六年度より五年間で、二十二万件もの貯水槽の調査点検と、貯水槽を介さない直結給水の宣伝を続け、この間課題も明らかになったことでありましょう。このクリーンアップ貯水槽作戦の調査実績についてお伺いいたします。
 次に、一日でも早く多くの人においしい水を喜んでもらうために、この計画を前倒しし、調査点検だけではなく、引き続いてフォローが必要と考えます。この点についてもお伺いいたします。
 また、貯水槽を介さない直結給水への切りかえは、設置者にとってメリットとともに費用など不安も大きいはずであります。そこで、貯水槽のまま維持管理した場合と直結給水へ切りかえた場合のコスト比較の周知、そして具体的な工事の見積もりについて、水道工事店など民間工事事業者に協力を求め、切りかえに向けた取り組みを強化すべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
 直下型大震災の到来の危険が増している中、全庁挙げてその対応への準備、見直しが進められております。そして、その最前線に立つ東京消防庁の三交代で待機する消防隊員一万二千人は、東京に直下型の大震災が発生した場合、原則として、たとえ分断された道路、不通の鉄道であろうとも、これを踏み越え、所属消防署等に駆けつけることになっております。驚くことに、この実効性は阪神大震災で証明され、士気の高さを物語っていることはご承知のとおりであります。
 また、日ごろ訓練に励み、体制を整えている地域に活動する二十三区定数一万六千人の消防団員も同じ原則によっております。しかし、生業を持つ団員は、仕事などで東京じゅうを行動し、震災発生時は、たとえ甚大な被害を受けている被災地にいようとも、消防隊員と同様に所属団に参集することになるのであります。
 この場合、東京消防庁モデルでは、原団に帰ろうという被災地にいる消防団員には、その問い合わせに対する情報提供と、自転車等手段の貸与が現地消防署の役割であります。そして、被害軽微で応援可能地域の消防団は、改めて派遣消防団を編成することになります。
 しかし、実際、甚大な被害の現地の人手は不足し、有効かつ迅速な対応が必要であります。人を救える貴重な時間をいたずらに失わせ、初期消火のチャンスを遠のかせてはいけません。緊急事態の被災地にいる消防団員は、所属団が違おうとも、日ごろ共通の基準で訓練を受け、消火、救済のしっかりした技能と知識を有しているだけに、今ある被災現地で活動が可能であるなら、現地消防団に組み入れ、消火、救助など、可能な限り人員を確保する体制を整えるべきではないか。予備の装備を用意し、受け入れの方法をマニュアル化し、貴重なマンパワーとして協力を仰ぐべきであります。お考えをお伺いいたします。
 以上をもちまして私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)矢島千秋議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、日本の将来を支える技術革新についてでありますが、日本は依然として世界第二の経済大国であるにもかかわらず、自分自身への冷静な認識を決定的に欠いていると思われます。膨大な金融資産や高い教養水準、独自の文化、伝統など、世界に伍していけるだけの力を持ちながら、いたずらに自信を喪失してしまっている感がございます。その最たるものは、技術力に関する認識不足だと思います。
 アメリカの国家的な威信をかけたプロジェクトの宇宙開発を見ましても、先般、かつて宇宙飛行士として活躍された毛利さんの話を聞きましたが、宇宙船に搭載されている頭脳部分の機材は、一応アメリカ製となっているけど、実はその重要なパーツはほとんど日本製であるということでもありまして、こういったことを私たちもう少し知った上で、持つべき自信を持ったらいいんじゃないかと思います。
 それゆえにも、東京に集積する高度な先端技術が持つ大きな可能性を存分に解き放ち、引き出し、日本経済をリードすることが必要でありまして、そうした取り組みを通じて、労働力不足が懸念される人口減少時代を乗り切っていくことができるとも思います。
 ただ、労働力の決定的な不足は、これはこれからどうなっていくかわかりませんが、技術革新だけでは補えない部分はあると思います。そういう点で私はかねてから、日本は思い切った移民政策をとるべきだと思っておりますが、そういう主張は場違いかもしれませんけど、そういう認識もぜひお持ちいただきたいと思います。
 さらに、これからの都政運営及び公務員像についてでありますが、いかなる時代、社会にあっても、官僚を必要としない国家、社会はあり得ません。これをうまく機能させれば、これほど有効なものはございませんが、放置すれば現状維持と自己保身に流れてしまうのが通弊であります。この官僚という制度を使いこなして直面する課題の解決に当たるのは、我々政治家の責任だと思います。
 これまでの七年間で、スピード感、コスト意識、そして現場感覚の徹底を図ってきたつもりであります。同時に、外部の目も活用しながら都政運営に当たってまいりましたが、おかげで職員も組織を挙げてこれにこたえてくれたと思います。
 先般、扇さんが国交大臣のころ、羽田の沖合移転について合同記者会見を行いました。そのときに、準備の部屋に入りましたら、私、いなれたところでありましたが、国交省からやってくる局長は、五、六人、こんな分厚い書類を抱えて、何だか並べていました。我々都庁の役人は、局長は、紙一枚二枚でありました。私は、それが君らの現場だろうといって笑いましたが、まさにそういうていたらくがあると思います。
 それからもう一つ、この二年間、手不足だといわれていますので、警察に百五十人、そして入管事務所に二十人、人を派遣して、お手伝いをしました。先般、入管に出向いた都の男女四人の代表の報告を受けました。これは実にすばらしい報告でありました。非常に冷静な現場の認識を持っていまして、これを整理した上で、法務大臣の杉浦君にその実態を伝えようと思いますし、その前提になる池袋の視察も、彼は行ってくれたようでありますが、こういったきちっとした現場感覚を持っている官僚というものは本当に不可欠でありまして、国は大いに、都のそういった感覚を持った官僚諸君を見習ってもらいたいなと思っております。
 四月からは新しい公会計制度が国に先駆けて導入されまして、さらに職員の意識改革と行政改革を加速させると思います。今後とも、東京から日本を変えるために、都全体でチームワークを存分に発揮させながら、首都東京のかじ取りを担っていきたいものと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)財政運営に関する二点のお尋ねでございます。
 まず、財政再建団体及び自治体破綻法制に対する認識についてでございます。
 平成十年度に一千億円を超える最悪の赤字を抱え、財政再建団体転落の危機に直面していた都は、万が一にも転落した場合、都民生活に大きな影響を与えることから、その回避を最重要課題ととらえまして、みずからの責任で徹底した財政再建を進め、十八年度予算においては一つの区切りをつけることができたと考えてございます。
 また、ご指摘の自治体破綻法制は、財政難に陥った自治体を民間企業と同じように再建させる枠組みとして、総務大臣の私的懇談会において議論が行われていると承知しております。
 ただし、こうした議論の前提といたしましては、自治体の自主、自立を促すさらなる税源移譲や課税自主権の強化など、実質的な地方分権の実現が必要であると考えております。都は、どのような枠組みのもとであれ、みずからの責任のもと、さらなる構造改革を進めていく必要があると認識しております。
 次に、財政調整基金など活用可能な基金の積立目標についてでございますが、都は、歳入の根幹をなす都税収入が構造的に不安定であることに加えまして、地方交付税の不交付団体でもあることから、他の自治体以上に基金残高の確保が求められてございます。
 財政再建に取り組んでまいりました結果、十一年度には八百六十九億円にまで落ち込んだ基金残高は、六千億円を超える水準にまで回復いたしました。基金積み立ての目標額につきましては、具体的な水準の設定は困難でございますが、税収が好調なこの時期、安定的な財政運営の構築を目指して、引き続き積極的な積み立てを行い、将来の財政需要や不測の事態に備えることが重要であると認識してございます。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)区市町村の財政運営及び自治体破産法制に対する認識についてでございます。
 区市町村が住民に安定的なサービスを提供していく上で、健全な財政を保つことは極めて重要でございます。現在、総務大臣の私的懇談会である地方分権二十一世紀ビジョン懇談会が設置され、自治体の破綻再建法制について検討がされていることにつきましては、よく承知をしております。今後ともその動向については十分に注視をしてまいりたいと考えております。
 地方分権が進展する中、区市町村は、みずからの財政責任を踏まえ、堅実な財政運営に努めるとともに、住民にその内容を開示し、説明責任を果たすなど、真剣な努力を重ねております。都は、広域自治体として各団体の財政状況を十分に把握し、仮にも財政破綻を招くことがないよう、適切な助言を行うとともに、将来を見通した主体的な行財政改革を促してまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君)歳入確保に関します三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、個人都民税対策室設置後の成果についてでございますが、対策室は、いわゆる三位一体改革により税源移譲が見込まれる中で、他の道府県に先駆けまして、区市町村に対しさまざまな支援を行う目的で、平成十六年四月に設置したものでございます。
 対策室を設置以降これまで、区市町村に対します直接的な支援として、高額滞納事案の引き受け、間接的な支援といたしまして、延べ二十四自治体に都職員を派遣するなどの取り組みをこれまで展開してまいりました。
 こうした取り組みの結果、個人都民税徴収率は、十六年度決算におきまして、対前年度比一・二ポイントアップ、額にいたしまして四十億円を超える増収効果を上げております。
 次に、島しょ地域の徴収率向上に対する支援についてでございますが、二十三区及び多摩地域の自治体に対しますさまざまな支援につきましては、派遣先自治体からも評価をいただいているところでございます。
 今後は、島しょ地域におきましても、二十三区及び多摩地域同様、島しょ地域の自治体と協議の上で、一定期間の職員の派遣を初めといたしまして、研修生の受け入れなど、徴収率向上に向けまして積極的にご支援を申し上げたい、このように思っております。
 最後に、滞納整理に関しますノウハウの首都圏自治体との相互交流についてでございます。
 都が提唱いたしまして開催をしております全国会議徴収サミットは、首都圏自治体も含めまして、参加自治体の滞納整理部門におけるレベルアップを図るため実施しているものでございます。この徴収サミットをさらに充実させるなど、首都圏自治体との連携をさらに深めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)民設公園など四点のご質問にお答えいたします。
 まず、民設公園制度導入の考え方についてでございますが、みどり豊かなまちづくりを進めるためには、都市計画公園・緑地の公共による計画的な整備だけでなく、民間の活力を活用した整備が必要であります。そのため、これまでの公共が主体となった公園整備の手法に加え、企業グラウンド等の民有地を活用した民設公園制度を創設し、公園の整備促進を図ることといたしました。
 この制度は、公共が都市計画の建築制限緩和等を行い、これを受けて民間が一定の規模の公園を整備、管理するもので、財政負担を伴わず、早期の公園整備を可能とするものでございます。
 次に、民間事業者と都の責務についてでございますが、民設公園制度の実現には、公民が連携し、適切な役割分担のもとにみどりづくりを進めることが必要でございます。この制度におきまして、民間事業者は、一定の規模、水準を持つ民設公園を整備し、適切な管理を行いながら、永続的に都民の利用に供することが義務づけられます。また、都は、民設公園制度の導入に当たりまして、都市計画公園区域内における都市計画制限の緩和などを行い、民間の円滑な事業の参入を図ってまいります。
 次に、民設公園制度の仕組みづくりについてでございますが、この制度を円滑に導入するためには、民間事業者の実情等を把握し、民間の事業参入を促すことが必要となります。そのため、地元区市等と連携し、民間事業者の協力も得ながら、具体的な仕組みをつくってまいります。
 その中で、制度の目的、対象、規制の緩和、管理の手法等についての基本方針を定め、平成十八年度からの制度導入が可能となるよう、早期に要綱等を整備してまいります。
 今後とも公民が連携し、東京を緑豊かな首都とするよう努めてまいります。
 最後に、超高層ビルにおける長周期地震動の影響と対策についてでございますが、超高層ビルは、構造安全性について国土交通大臣の認定が必要でございまして、一般の建築物を上回る構造上の高い安全基準が適用されております。また、建築設備につきましても、建築基準法により、機器類の固定や配管の支持、振れどめの設置などが義務づけられております。
 新たな課題であります長周期地震動のエレベーターなどへの影響や耐震対策につきましては、現在、土木学会及び建築学会が合同で検討を進めております。この中で、首都圏の地下構造は、堆積層を周辺の山地が取り囲む盆地構造となっておりまして、長周期の地震動特性に影響を与えるとされております。
 都といたしましては、これまでの安全対策に加え、学会の検討結果や国の動向を踏まえながら、適切に対処してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)環状第五の一号線についての質問にお答えします。
 本路線は、池袋、新宿など副都心の連携強化や、池袋駅東口周辺の渋滞緩和に寄与する重要な幹線道路であります。
 雑司が谷地区は、地下鉄十三号線の導入空間として整備が急がれることから、当面はグリーン大通りから目白通りに接続する二車線道路として、平成十年度から整備を進めております。
 本地区におきましては、将来的に幹線道路としての機能を確保する必要があり、整備中の二車線に加え、明治通りに直結する新たな車線を設置する方法について検討を行ってまいりました。
 現在、東池袋交差点の南側と千登世橋付近の明治通りを結ぶ二車線の地下道路を整備する案を基本に、関係機関との調整を行っております。
 今後、整備計画の具体化に向け、さらに検討を進めてまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君)貯水槽水道対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、クリーンアップ貯水槽の調査実績等についてでございますが、お客様に安全でおいしい水を供給するためには、貯水槽の適切な管理が必要不可欠でございます。このため、平成十六年度から五年間の計画で貯水槽の総点検を開始しており、昨年十二月末までに約三万件を点検いたしました。
 これまでの調査の結果では、適切に管理されていたものが六七%、ふたが施錠されていないなどの不備がありましたが速やかに改善されたものが二七%でございました。
 一方、貯水槽からの漏水など早期に修繕を要するものなどが五%、残留塩素濃度が基準に満たないなど水質上の問題が認められたものが約一%ございました。これらにつきましては、衛生行政と連携し、設置者に対して改善に向けた指導等を行っております。
 次に、点検調査の前倒しとフォローについてでございますが、貯水槽管理の一層の適正化を図るため、点検調査を可能な限り前倒しをして実施してまいります。特に老朽化が進んでいる旧式の地下式貯水槽につきましては、平成十八年度中に点検調査を終了いたします。
 また、調査の結果、管理に不備があった貯水槽につきましては、その後の改善状況を再調査し、指導を徹底するなど、フォローを行ってまいります。
 最後に、直結給水への切りかえ促進の取り組みについてでございますが、直結給水は、安全でおいしい水を貯水槽を介さずにお客様に供給することができるという利点があり、また、貯水槽の管理も不要となります。
 こうした利点や切りかえに要する工事費をお客様に正確に理解をしていただき、直結給水への切りかえを一層促進するため、水道工事店などの民間工事事業者にも協力を求めまして、さまざまな方策を講じてまいります。
 こうした取り組みとともに、貯水槽の適切な管理について徹底した指導を行うことにより、水道への信頼をより確かなものとしてまいります。
   〔消防総監関口和重君登壇〕

○消防総監(関口和重君)特別区消防団員の担当地域外活動についてのお尋ねでありますが、消防団は、みずからの地域はみずからで守るという精神に基づき組織されている公的機関であり、地域の安全を確保するため、災害活動を組織的に行うこととしております。特に震災時は、事前に定められた活動計画に基づき、担当地域において行動することが原則であります。
 しかしながら、消防団員が担当地域を離れている場合に震災が発生したときには、本人の申し出により、最寄りの消防署において消防団本部の支援、災害状況に応じた活動など、協力をいただきたいと考えております。

〇議長(川島忠一君)二十八番山口文江さん。
   〔二十八番山口文江君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○二十八番(山口文江君)初めに、これからの都政運営について伺います。
 知事は、施政方針表明の中で、平成十八年度予算について、財政の健全性の回復に全力を注ぎ、その上で今後の新たな都政の発展を目指すことを基本に据えたと述べています。一方、予算の内容、つまり施策の面において、知事は、直面する課題への対応はもちろんのこと、オリンピック開催に向けた取り組みを初め、将来に対する布石もしっかり打ったと述べています。
 しかし、直面する課題への対応はともかく、将来への布石という点では、残念ながら何がそれに当たるのかはっきりしません。これは、中期的、長期的な視点に立って知事がこの東京をどうしたいのかという基本ビジョンや、そのための政策の柱が明確に示されていないからです。単年度の予算だけで将来を展望するには、おのずから限界があります。
 都は来年度から、全国に先駆けて公会計に複式簿記・発生主義を導入しますが、その目的として、すべての職員に、将来を見通して都を経営するという視点を持たせるとか、成果主義を徹底するなどがうたわれています。しかし、職員に経営感覚を持てというなら、その前に全体の長期経営方針が示されていなくてはなりません。成果主義というなら、都全体の政策目標が必要です。
 二〇〇〇年以降、分権の進行、人口減少など、社会背景は大きく変わり、都は、それが都財政に及ぼす影響等についての研究、指針などをまとめていますが、これらをどのように生かしていくのかが重要です。この際、十年後、二十年後を見据えた長期計画を策定して都民の前に示すべきと考えますが、所見を伺います。
 十八年度の一般会計予算案では、税収の伸びを受けて、五年ぶりに六兆円を超える規模になり、隠れ借金の圧縮と基金残高確保に努め、ほっと一息ついた感があります。
 基金残高が底をついたころ、都有地が有効活用として相次いで売り払われたことは、財源確保策としての効果の裏側にさまざまな問題を残しました。これからの少子社会では、統廃合などにより、使われない学校施設や土地が多く見込まれます。
 一方、この一月に出された、みどりの新戦略ガイドラインでは、区部のみどり率を、二〇〇〇年に比べ、二〇一五年に一割、二〇二五年には二割増加を掲げており、目標達成に向けては相当の努力が必要になってきます。
 そこで、都有地は都民の貴重な財産として、初めに売却ありきではなく、各局の事業目標達成のため、例えば防災拠点や緑の確保のために一歩踏み込んだ有効活用をするべきと考えます。都有地活用の今後のあり方について見解を伺います。
 次に、帰宅困難者対策について伺います。
 昨年七月、都内で震度五強を記録した地震が発生し、首都圏のターミナル駅は、七時間も鉄道の復旧を待つ百四十五万人もの客であふれ返り、都市のもろさが露呈しました。さらに、耐震強度偽装問題や、都心では旧耐震基準のビルも多く、倒壊の危険性があり、一たび大地震となれば、膨大な数の人々が着のみ着のままでほうり出されることになります。
 平成十八年二月に、東京都防災会議地震部会は、首都直下地震による東京の被害想定の中間報告をまとめました。中間報告では、国の想定より詳細なデータに基づき、区市町村別の被害を明らかにしています。東京湾北部でマグニチュード七・三の地震が起こった場合には、死者約四千七百人、建物全壊約四十四万棟、帰宅困難者約三百九十二万人などの被害が生じると想定しています。
 そこで、今後の震災対策について知事の所見を伺います。
 この中間報告によると、震度五強の場合には、鉄道等ほとんどの交通機関が停止し、外出者が約千百四十四万人、そのうちの約三百九十二万人の帰宅困難者が発生すると予測しています。ターミナル駅や繁華街を抱える大都市東京の大きな問題として、自治体や事業者との連携は、広域行政を担う都の責任であり、早急に具体的な対策が必要です。
 平成十二年に、震災時における昼間都民対策推進モデル地区として、有楽町、日比谷、銀座地区で帰宅困難者対応マニュアル策定のためのガイドラインを策定し、この地域では現在も活動が継続されています。上野や浅草、巣鴨など観光客が多く集まる繁華街など、他の地域においても、この成果を対策に反映すべきと考えますが、見解を伺います。
 自治体の防災計画は、住んでいる人たちの計画はありますが、組織に属さない人への対策は含まれておりません。都では、震災時における帰宅困難者対策の基本原則として、組織は組織で対応する、すなわち、災害時には、事業者の責任において従業員や買い物客等への対応を図り、安全確保に留意して順次帰宅させるとなっています。
 一時宿泊所や避難所、食糧、水の確保については、帰宅困難者に見合う具体的な計画はありません。地震が夕方に起こった場合などには、組織に属さない人や被害に遭った事業所の人たちのような帰宅困難者のための一時宿泊所や避難所、食糧、水の確保が必要であり、都の今後の対策について伺います。
 また、帰宅困難者の中でも、特に女性や障害者は実態としての施策が不足しています。自治体の防災計画には、寝たきりの高齢者を含む要援護者が位置づけられています。女性や障害者の社会参加も進み、当然、妊娠中の女性、乳幼児を連れた人、高齢者、障害者が帰宅困難者にも含まれ、都としての広域的な対策が急がれます。十八年度中に東京都地域防災計画の見直しをすることになっていますが、要援護者を含めて計画を改定すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、若者の就労支援について伺います。
 二〇〇三年六月に、国は若者自立・挑戦プランを発表し、フリーターや若年失業者、無業者の増加に警鐘を鳴らし、人材対策の強化と若年者の職業的自立の促進を目指しました。三年経過した今、国は、若者の自立、挑戦のためのアクションプランを強化推進するため、改定が進められています。
 東京都においては、二〇〇五年十二月に出された雇用・就業対策審議会の答申を見ますと、ニート、フリーターといった不安定な立場に置かれる者が急増しており、若年者のこのような状態が続くことにより、今後、職業能力の形成が不十分なまま年を重ね、社会経済に影響を及ぼしかねないと報告され、さらなる対策の必要性を指摘しています。
 東京都では、二〇〇四年のしごとセンターの設置において、都独自の取り組みを展開してきましたが、さらに事業を推進させるための最大限の工夫が求められます。都の十八年度重点事業には、アクションプランとして三カ年の展開が示され、若者の働く意欲や能力を引き出す就業支援として、二十年度までの包括的な事業計画が上がっています。
 本来、アクションプランとは、集中的、計画的に取り組みを進めるため、達成する具体的目標と実施時期を定めたものとされます。特に工夫が求められる若者の就労支援は、実効性の高い施策を展開するため、検証が欠かせません。
 とらえにくい成果を効果的に検証するために、まずは数値などによる目標を設定し、事業を着実に推進することが必要です。また、事業実施に当たっては、関係局と連携した取り組みも重要と考えます。あわせて見解を伺います。
 しごとセンターでは、若者支援事業として、街角カウンセリングなど、実態に向かい合う施策を進めてきたことは評価するものです。東京には多くの若者が集まり、一方で事業者の数、種類の多さは他に類を見ません。さらなる施策の工夫として、事業者の意識改革や受け皿づくり、職業訓練やインターンシップのあり方、どのようなマッチングが望ましいかなど、ニーズを的確に受けとめていく必要があります。
 例えば、就労やSOHO、起業に関する情報交換ができる拠点づくりや、若者会議など若者の本音が聞けて、人と人とを結びつけられる取り組みを通じたボトムアップの仕組みや、若者自身が支援活動にかかわる方策が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、男女平等参画について伺います。
 国の第二次男女共同参画基本計画が昨年末に発表されました。かつて知事は、男女が同等でない現状を等しいものにすることは賛成と述べられましたが、今後一層女性に対する間接差別をなくし、男女平等を実質的に推進するため、国及び東京都には積極的な姿勢と取り組みが求められます。
 世界レベルで見ますと、女性の政策決定など指導的地位に女性が占める参画の割合を示す、二〇〇五年度国連開発計画のジェンダー・エンパワーメント指数によると、日本は世界八十カ国中四十三位です。
 また、ことし一月に発表された内閣府の審議会委員等の女性比率についての全国調査では、東京都の審議会等の委員への女性登用率が二一・七%と、全国都道府県レベルで最下位となっています。鳥取の四二・三%をトップに、全国的には上昇してきていますが、東京都は、平成十六年度までに三五%の目標値を掲げながらも、実態は年々低下してきました。このような状況について都の見解を伺います。
 こうした状況を全庁体制で打開し、目標達成に向けての登用計画の明確化や具体的な方策が急務と思われますが、達成に向け、どのように取り組みを進め、進行管理をどのように行うのか伺います。
 女性人口が六百三十万人を占める東京で、人材不足を理由として審議会等の人材の確保に工夫を惜しむべきではありません。
 多くの審議会委員の構成が学識経験者、議員、自治体代表などで占められ、一般の市民の参画が保障されていないことも課題の一つです。登用率の目標値を達成する具体策の一つとなることが期待され、また、都民に有益な開かれた審議会を構成するため、公募など多様な市民参画を目指すべきと考えますが、見解を伺います。
 都における男女平等参画行動計画であるチャンス&サポート東京プランは、平成十四年から十八年までの五カ年の計画となっています。十九年度以降の計画策定に向けた取り組みが必要な十八年度ですが、新たな計画をつくるに当たっては、現在の計画の課題別の検証が重要です。策定に向けた準備は具体的にどのように行われるのか伺います。
 男女平等参画条例をいち早く策定した東京ですが、推進状況は道半ばの状態にあることは否めません。全庁での推進体制の強化と男女平等参画審議会の常設化をもって、今後、行動計画等の検証と進行管理が着実に行われなければならないことを強く要望し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)山口文江議員の一般質問にお答えいたします。
 被害想定を踏まえた震災対策についてでありますが、日本は地勢学的にも最大の火山脈の上にある地震国でありまして、東京においても大地震が発生する可能性は極めて高く、自助、共助、公助に基づく備えを常に講じていくことが重要であると思います。
 その前に、まあ大丈夫だろうと思わずに、やはり大地震の到来というものの必然性を強く意識するという、そういう啓蒙がもっと必要ではないかという気がいたします。
 都はこれまで、全庁的な取り組みを強化し、実践的な訓練を積み重ね、防災力を高めてきました。
 今回の被害想定は、優先順位をつけた震災対策の推進などに活用できるよう、マグニチュード六・九を加えまして、実態に即したデータを用い、被害を想定いたしました。
 来年度には、この想定をもとに、木造密集地域の解消や初動態勢の強化などを定めた地域防災計画を見直し、さらに震災対策を充実していくつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)長期計画のご質問でございますが、少子高齢化の急速な進展、経済のグローバル化や産業技術の高度化など、社会経済が構造的に変化している現在、長期的な視点から時代の潮流をとらえ、将来展望を持って政策を展開することが重要であります。加えて、急速に変化する外部環境にも的確かつ柔軟に対応していかなければなりません。
 このため、東京の将来を見据え、政策課題を明確にした上で取り組みの方向を示し、取り組み状況と効果を検証していく新たな枠組みとしまして、重要施策及び平成十八年度の重点事業を策定したところでございます。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)都有地活用の今後のあり方についてでございますが、都有地の有効活用は、局や会計を超えた全庁的な視点が不可欠なことから、平成十六年九月に、公営企業を含めた都有財産利活用推進会議を設置し、各局保有の財産全般について、現況の調査、施設の効率的な統廃合、新たな施策への転用などを進めているところでございます。
 所管局で役割を終えた財産は、全庁的な視点から、各局と活用について協議しているところでございまして、売却を優先しているものではございません。
 今後とも、全庁的な財産情報の共有化や活用方法の多様化を図り、都民ニーズを踏まえ、効果的、効率的な活用を図ってまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、震災対策における帰宅困難者対策モデル事業の成果の活用についてでございます。
 都は、平成十二年に、銀座地区などで帰宅困難者対策モデル事業を実施し、混乱防止対策の基本ルールや業種別ガイドラインのまとめを行いました。
 これを機に、大勢の帰宅困難者が発生する都心区では、一時収容施設の確保などの対策を、また周辺区や市町村では、沿道支援としての休息所の設置などの対策を進めております。
 今後引き続きモデル事業の成果を一層活用した取り組みを進められるよう、区市町村に対し適切に働きかけてまいります。
 次に、帰宅困難者の一時宿泊所や食糧などの確保についてでございます。
 都は、都内の事業者に対し、事業所防災計画の中に、帰宅困難者への情報の提供や保護支援などの対策を盛り込むよう指導しております。また、身近な立場で住民の安全を守る区市町村に対しても、一時収容施設の確保や食糧などの備蓄を働きかけております。さらに、都みずからも、食糧の備蓄や容器入り飲料水の確保、帰宅支援ステーションの設置などを行っております。
 今後とも、事業者や区市町村と連携し、帰宅困難者が安全に混乱なく帰宅できるよう、保護対策に努めてまいります。
 次に、高齢者などの災害要援護者が帰宅困難となった場合の対策についてでございます。
 発災直後には、共助の考え方を基本に、災害要援護者への対策を講ずることが重要と考えております。
 モデル事業でまとめましたガイドラインでは、百貨店やホテルに要援護者の付き添いや受け入れなどの支援を求めており、これを踏まえて、都は、事業者に対し、事業所防災計画に災害要援護者の保護を盛り込むよう指導しております。
 また、現行の地域防災計画でも、帰宅に際し、バス等の代替輸送手段の確保を定めております。
 今後の地域防災計画の見直しに当たりましても、こうした点を踏まえ、災害要援護者への対応を検討してまいります。
 最後に、審議会の委員の公募についてでございます。
 審議会は、地方自治法におきまして、執行機関の附属機関の一つとして位置づけられており、法律または条例の定めるところにより設置することとされております。
 都は、附属機関等設置運営要綱の取り扱いにおきまして、附属機関の運営に当たっては、幅広く各方面の人の意見を聞くことが求められるものであり、可能な場合は、都民からの公募を積極的に行うように努めることと明確に定めております。
 今後も、この方針の考え方に沿いまして審議会の運営がなされるよう努めてまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)就労支援についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、若年者就業施策の着実な推進と関係局の連携についてでございます。
 都は、利用者の特性に応じて、相談から就業までのきめ細かな支援をワンストップで行うために、しごとセンターの開設や街角カウンセリングなど、独自の工夫を加えた若年者の就業支援策を展開してまいりました。
 また、高校へのカウンセラー派遣や福祉分野の就職面接会等、関係局と連携し、事業を実施してまいりましたが、この二月、庁内に推進会議を設置したところでありまして、連携施策の拡大と着実な事業実施に取り組んでまいります。
 現在、国のプランの数値目標に基づき、都独自の取り組みも加え、評価、検証を行っており、これを踏まえ、一層の事業の充実を図ってまいります。
 次に、若者のニーズを的確に受けとめるための工夫についてでございます。
 若年者の就業支援に際しましては、当事者である若者の目線に立った事業実施が効果的であると認識しております。このため、しごとセンターでは、利用者のアンケートやカウンセリングを通じ、若年者の声を受けとめ、事業の改善や施策に役立ててきたところでございます。
 十八年度には、若者自身が活動に加わる事業といたしまして、若者が活動主体となっているNPO等から企画、提案を募り、必要な経費を助成する、若者による若者就業支援プロジェクトを実施いたします。
 さらに、技術専門校の地域に根差した活動や、区市町村との連携を通じ、さまざまな若者の意見や要望についても把握することにより、事業の充実を図ってまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君)男女平等施策に関する三つの質問にお答えいたします。
 まず、審議会等における女性委員の登用についてでございます。
 審議会等の委員については、その設置目的に応じて、女性も含めて適任者を選任しております。
 女性委員の任用率が低い理由としては、専門分野によっては女性が少なく、委員を委嘱できる人材が限られていること、団体推薦により委員を委嘱する際に、代表や役職者に女性が少ないことから、男性が推薦される場合が多いことなどの状況がございます。
 毎年、任用計画を達成していない審議会等については、その理由について、各局からヒアリングを実施し、任用促進を働きかけているが、現状を踏まえまして、さらなる取り組みが必要であると考えております。
 次に、女性委員の任用計画達成に向けた取り組みについてでございます。
 女性委員の任用促進に向けて、学識経験者の委員については女性の登用に積極的に努める、団体代表の委員については団体の長等の役職に限定せず登用に努めるなどに取り組んでおります。
 本年度からは、審議会等女性委員名簿を作成しまして、的確な情報提供を行うとともに、関係団体へは、推薦の際に女性委員選任についての協力要請を行ってまいります。
 また、平成十八年度からは、毎年一回の調査に加えまして、委員改選時には、生活文化局への名簿の提出を義務づけ、進行管理を徹底してまいります。
 最後に、男女平等参画のための行動計画についてでございます。
 現在の計画であるチャンス&サポート東京プラン二〇〇二に基づき、雇用の分野におけるポジティブアクション実践プログラムの作成と活用、子育て支援策としての認証保育所の設置促進、配偶者暴力対策では、配偶者暴力相談支援センターの機能充実などに取り組んでまいりました。
 また、毎年、事業予定及び実績を把握しているところであり、平成十九年度以降の計画の改定に向けて、これらの取り組みや実績の検証に努めてまいります。

〇副議長(木内良明君)六番後藤雄一君。
   〔六番後藤雄一君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六番(後藤雄一君)監査制度について調べてみました。
 監査制度は、昭和二十二年、地方自治法の中に制定され、その後、時代の要請を得て、平成九年には外部監査の条項が追加され、外部の目が導入されました。
 石原知事が、二月三日の記者会見で述べられた、内部監査なんか限界があるからね、外部監査を入れるようになった、とにかく監査はでたらめだよ、でたらめとはいわないよ、かなりずさんだよとの見解に、私も二十年間のオンブズマン活動の経験から同感です。
 行革一一〇番は、平成八年、監査事務局の架空の会議を裁判で明らかにし、都庁の幹部から八億一千万円を返還させたのがきっかけです。都庁内部でも、平成十二年七月三十一日に出された、都における監査委員監査のあり方についての検討委員会報告書の最後に、職員が都全体の人事ローテーションに組み込まれているから、事務局職員の実施している監査対象を委託する方法が挙げられると指摘していることからもわかります。
 内部監査と外部監査の経費を十六年度決算で比べると、内部監査は、監査委員が四名、事務局員が四十五名で経費が十億七百万円です。外部監査は、監査委員は一名、補助監査人が十一名で事務局員が二名、経費は三千五百二十八万円です。
 外部監査は一定の評価を得ています。さらなる、さらなる成果を上げるためには、内部監査の予算の一部を外部監査に回すのも一つの方法です。しかし、石原知事が、外部監査委員として実績を上げた委員の方を、内部監査委員になっていただいたことは、大きな進歩、改革だと思います。しかし、この監査委員の方だけではさらなる成果は上げられません。補助をするために、民間の会計監査のプロに入ってもらう必要があります。
 代表質問の答弁で、監査事務局職員に会計監査のプロを任期付職員として導入を検討していると聞きました。監査事務局職員の定員は、現在九十一名です。三分の一の三十名ほど採用してはいかがでしょうか。もちろん管理職も含めてです。見解を伺います。
 監査委員について、東京都は条例で、監査委員四人のうち二人を議員選出として規定しています。しかし、地方自治法は、議員選出は二人または一人となっています。条例を改正すれば、議員選出の監査委員を一人にすることができます。
 また、監査委員に天下りなどとんでもない話です。内部に甘い監査から脱皮するためにも、自治体OBの採用をやめるべきです。
 石原知事は、国に先駆けて公会計制度に民間並みの複式簿記・発生主義を四月から導入します。監査委員の民間枠を広げ、都民の生命、財産を守るため、外部の、そして民間の視点に立って、東京発の監査制度改革を確立するのに絶好のチャンスです。知事のお考えをお聞かせください。
 財務局の所管する公用車は、現在六十台ほどあります。この公用車の運行管理について監査を行ったことがありますかと監査事務局に尋ねると、財務局の定例監査は行っているが、過去十年、公用車に関する記述、指摘はないということです。
 しかし、行革一一〇番には、局長、副知事、出納長、議会が使用する公用車についての告発が多く寄せられています。
 そこで、出納長の公用車を調べてみました。一月十六日、神田イタリアンレストランの前の路上で、十八時二十二分から二十二時三十分まで、四時間以上も出納長専用車が駐車をしていました。
 また、二月三日、出納長専用車は十八時二十七分に都庁を出てから五分ほど走り、台湾料理店のそばまで行き、出納長をおろし、一たん都庁の駐車場に戻り、四時間後に再び出納長を迎えに台湾料理店まで行き、出納長を乗せて帰途につきました。運転日誌には、出納長を自宅に送り届けた時間が書かれています。
 運転手の残業時間を調べるため、十七年七月から十八年一月の七カ月の間の運転日誌を集計してみました。公用車が稼働した百四十一日間のうち、二十三時以降に出納長を送り届けたのは四十八日間、全体の三分の一です。そのうち二十四時を過ぎて出納長を送り届けたのは十八日間もあります。九月二日の運転日誌には二十八時、つまり翌朝四時に出納長を送り届けたという記載もあります。残業時間をトータルすると、実働で五百十時間です。一カ月当たり七十二時間です。運転手の健康管理をどのように行っているのか、伺います。
 また、平成十八年二月二十三日、多摩センター駅前のホテルの前に十台以上の都庁公用車が並び、駐車場に入らず、道路にまで並んでいました。都議の新春の集いに出席した都庁幹部、議員が使用したものです。
 これらは行革一一〇番が追跡調査をして事実を確認しています。レストランの会食、新春の集いが、仮に公用、または公用に準じるとしても、公用車が待機している時間は運転手の残業代が支払われます。タクシーチケットに変更すれば、残業代はカットできます。見解を伺います。
 現在、公用車運転手の民間委託が進んでいますが、公用車のあり方から抜本的に考えるときではないでしょうか。
 そこで、局長公用車の運転日誌を調べると、都庁から自宅まで片道八十キロを公用車で送迎をさせている局長から、たった片道五キロを送迎させている局長までいます。緊急時に対応するために公用車が必要というのですが、本当でしょうか。行政委員会の事務局長、各局長、副知事、そして出納長を専用の公用車で送迎する必要があるでしょうか。具体的な理由を伺います。
 監査委員は、なぜ今まで監査を行わなかったのでしょうか。理由を伺います。
 議会公用車を含め、必要最低限の台数に減らすべきです。知事の見解を伺います。
 東京都は、大災害や国民保護計画での武力攻撃、大規模テロを想定してさまざまな計画を策定していますが、災害、テロはいつ起こるかわかりません。本部長の知事が自宅にいて交通機関が麻痺しているときは、ヘリコプターで迎えに行くといいますが、知事が不在のとき、副本部長である副知事はどのように迎えに行くのか、お伺いをします。
 また、局長の自宅を調べてみました。災害対策のかなめである局長の家が、都庁から七十キロ以上も離れている方が何人もいらっしゃいます。どのように都庁まで来るのか、お伺いをします。
 幹部職員は、緊急対応として公用車に乗っています。しかし、都庁本体のセキュリティーは大丈夫なんでしょうか。東京都が大規模テロを受けたとき、司令塔になるのが都庁第一庁舎八階にある防災センターです。この防災センター司令室が、大規模テロの指揮命令系統の混乱をねらった標的になる可能性もあります。
 都庁の玄関には、十八時三十分から守衛さんが入り口に立って部外者の入場を規制しています。これで十八時三十分以降のセキュリティーは万全のはずです。しかし、都庁第一庁舎三十二階には職員食堂があり、この食堂は十七時三十分から二十一時までは居酒屋に変身をします。
 二月三日の金曜日、食堂わきの喫茶室が貸し切りの宴会場になっていて、酒が進み、盛り上がっている集団がありました。○○ファイナンス、○○同窓会と書かれた民間の方々が宴会をしているんです。もちろん宴会だけではなく、食堂内では多くの民間の方たちがお友達とお酒を飲み交わしています。
 確かに十八時三十分からは部外者は入りません。しかし、宴会をやっている民間の方がおくれて来たらばどうするのかと聞くと、三十二階の食堂から、担当者が一階受付までわざわざ迎えに行くというのです。お酒を飲みに来る部外者をわざわざ迎えに行くのです。これがセキュリティーといえるでしょうか。お答えください。
 また、十八時三十分までに入れば、宴会の帰りに酔っぱらって、知事が執務をする七階へ、都民の個人情報が詰まっている執務室のある各階へ、八階にある防災センターにまで、階段、エレベーターを使い自由に行くことができるのです。ゲリラが簡単に紛れ込むこともできるんです。都民の個人情報が詰まっている都庁舎の居酒屋をオープンすること自体が異常です。国民保護計画の本部長として、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、病院の検査システムの契約です。
 平成十七年十二月、都立老人医療センター検査システムの入札があり、業者がかわったがトラブルが多く困っているという告発です。契約書を調べると、契約相手はファイナンス会社です。リース契約だったのです。
 検査システムの契約は、パソコンなどのIT機器のハード部分、そしてデータの管理、プログラムの修正、機器の運用などのソフトの部分があり、システム設計をしたシステム管理会社が作業を行っています。しかし、契約書、仕様書にも、実際に作業しているシステム管理会社の社名は記載されていないのです。
 歌舞伎町にある福祉保健局が所管する都保健医療公社の大久保病院で、検査システムで事故がありました。事故報告書を抜粋すると、平成十六年六月、○○さんの検体について、本来検査していないにもかかわらず、AB型の検査が登録され、登録ボタンを押して医事システムに送信されており、ドクターからの指摘により発覚をした、今後の処置、このたび不注意により大久保病院検査科及びドクターに対しまして多大な迷惑をおかけしました、まことに申しわけなく、おわびを申し上げますと、システム管理会社の担当者の印鑑が押された事故報告書です。
 このシステム管理会社と病院は契約していないにもかかわらず、事故報告書が存在するんです。都民の生命にかかわる病院の検査業務を、このような実態とかけ離れている契約を行ってよいものなのか。また、都立病院の検査システムでトラブルが起きたときに、業者と取り交わす障害票も、契約していないシステム管理会社の社名で提出されています。
 監査委員は、契約手続や契約金額の監査を対象にしているようですが、契約の内容についても監査の方針を伺います。
 また、病院の契約方法を見直すべきと考えます。病院、そして契約をまとめる財務局の見解をお伺いいたします。
 質問は以上です。ありがとうございます。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)後藤雄一議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、監査機能の充実強化についてでありますが、さきの代表質問でもお答えいたしましたが、私はかねてより監査機能の充実強化、そのための専門家の活用を訴えてまいりました。現に外部監査も大きな成果を上げております。
 同様の趣旨で、専門家の監査委員を条例で増員できるようにする自治法の改正の準備が行われております。これは大変結構なことだと思います。
 また、都では、新たに複式簿記・発生主義会計が導入されることから、監査においてもコストやストックの情報を有効に使いこなす専門性が必要であると思っております。
 法改正を踏まえ、都としても監査機能の充実強化に取り組んでまいるつもりです。
 次いで、職員食堂と都庁舎のセキュリティーについてでありますが、職員食堂は、職員の福利厚生と公務能率の増進の観点から都庁舎内に設けているものでありまして、開かれた都庁として、一般都民にも利用していただいております。
 現在、勤務終了後においてアルコールの提供が行われておりますが、都民の心身のリフレッシュや職員同士の歓談を促進する上で、一杯やるのは有効なことじゃないですか。社会通念上も認められるものと考えます。
 もとより、都庁舎には個人情報や都政に関する重要な情報が蓄積、保存されております。今後も、職員食堂については庁舎のセキュリティー体制に十分配慮して、適正な運営に努めてまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔監査事務局長高橋道晴君登壇〕

○監査事務局長(高橋道晴君)三点についてお答えをいたします。
 まず、任期付採用の職員についてであります。
 先ほどのご質問をお聞きしていますと、後藤議員のご質問の前提には、監査委員監査に対する偏見がおありのように思います。
 平成十七年の監査結果につきましては、本定例会の開会日に樺山監査委員がご報告されましたが、一年間の膨大な報告書をぜひ一度じっくりとごらんいただきまして、ご理解をいただければと思います。
 任期付職員の採用は、監査において今後ますます専門性が求められる中で、職員を実践的に指導してもらうためでありまして、事務局で想定している人員は一名であります。
 次に、公用車に関する監査についてであります。
 公用車に関する監査は、毎年、財務局に対する定例監査の中で行っており、車両の借り入れなど百二十件余りの契約を中心に監査しております。
 何をどのように監査するかは、監査委員が決めることではありますが、通常、重要と思われるものを中心に監査しております。
 最後に、契約に関する監査についてであります。
 契約は、重要な監査対象の一つであります。定例監査、工事監査、出資団体監査など、ほとんどの監査で対象としております。
 当然ながら、病院の検査システムにつきましても、契約の手続、金額、内容に至るまで、監査の対象となっております。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)まず、公用車に関する五点のお尋ねでございます。
 初めに、専用車の運行についてでございますが、専用車は、都政において重要な職責を担う者がその職責を全うするため、各所への移動時にあっても、常に連絡をとれるなど万全を期す必要があることから、運行しているものでございます。危機管理の一環でもございます。
 次に、自動車運転職員の健康管理についてでございますが、自動車運転職員につきましては、定期健康診断、産業医による助言指導など、日ごろよりその健康管理について十分配慮しております。
 一方、利用する側におきましても、運転職員の健康管理が安全運行の確保に欠かせないことを踏まえまして、その利用方法について意を用いていただいていると考えております。
 次に、専用車の待機時間についてでございますが、専用車は、先ほどもお話ししましたとおり、職責の全うに万全を期す必要があることから運行しているものでございます。専用車の待機時間は、やむを得ないものと認識しております。
 次に、専用車の必要性についてでございますが、公用車による副知事、出納長、局長等の送迎は、都政における重要な職責を担う者が、緊急時等において迅速かつ適切な行動がとれるなど、その職責を全うする必要から行っているものでございます。
 次に、公用車の台数についてでございますが、公用車につきましては、これまで順次見直しを図ってきております。現在、専用車を含め五十九台を効率的、効果的に運行しており、台数が過大であるとは考えておりません。
 今度とも、公用車の安全かつ効率的な運行に努めてまいります。
 最後に、病院における契約方法についてでございますが、定められた手続に従って契約され、所管局において適切に履行されていると聞いております。
 今後とも、適切な契約事務の確保に努めてまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、災害発生時における副知事等の参集方法についてでございますが、都では、災害対策本部条例等によりまして、災害時における組織や体制、運用方針を定めております。
 災害対策本部の本部長である知事が出張等で不在のときは、副本部長である副知事、出納長、警視総監が、職務代理順位に従いまして本部長の職務を代理することになっております。
 この場合における職務代理者の参集手段は、警視庁パトカー等を基本としておりますが、被害状況や緊急性を勘案し、ヘリコプターによる参集も必要と考えております。
 次に、局長級職員の参集方法でございますが、災害の発生が平日で、通常どおり庁有車が配車可能な場合にはこれを利用いたしますが、休日あるいは深夜など、庁有車の利用が困難な場合には、自家用車を初めあらゆる手段で参集することとしておりまして、このための緊急車両通行証が交付されております。
 なお、局長が参集するまでの間は、あらかじめ指定している幹部職員が代理として対応いたします。
 最後に、都庁舎のセキュリティーについてでございますが、都庁舎は一日二万人以上が訪れる都民に開かれた庁舎であり、建物の構造も複雑であることから、多岐にわたるセキュリティー対策が必要でございます。
 現在、巡視及び警備員の常時庁内巡回、出入り口の一部閉鎖、手荷物検査、防犯カメラの設置など、二十四時間体制で警備をしております。また、必要に応じまして、警視庁と緊密に連携して警戒に当たるなど、庁舎の安全確保に努めております。
 一般都民の庁舎への入室につきましては、午後六時三十分以降は、面会先の承諾がある場合や展望室を除き制限をしております。過去におきまして、職員食堂を利用する一般都民の方が午後六時三十分以降に入庁していた事例もございましたが、直ちに是正するとともに、セキュリティー対策の徹底に努めております。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)都立病院の検査実施システムの契約方法についてお答えします。
 検査実施システムの賃貸借契約は、東京都契約事務規則等に定める手続にのっとり、適正に実施してまいりました。今後とも必要な改善を行いながら、引き続き適正な契約に努めてまいります。

〇議長(川島忠一君)七番福士敬子さん。
   〔七番福士敬子君登壇〕

○七番(福士敬子君)まず、首都高中央環状線ですが、新宿線の事業費は、当初見込み五千二百億円から一兆二百億円と約二倍に膨らみ、昨年度の予算特別委員会でも問題となりました。不測の事態であったとしても、幅が大き過ぎ、当初計画の意味がなくなります。また、建設費だけではなく、維持運営に関しても際限なく増加することのないよう、計画内に取り込むべきです。
 そこで、首都高速道路事業の進め方について伺います。
 東京都は、首都高速道路公団に対して、二千億円を超える出資を行ってきました。出資金は昨年十月の公団民営化により、首都高速道路株式会社及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の資本金となり、会社に株式が割り当てられました。今後、都は株主として、首都高の経営について積極的に関与し、サービス向上や新規路線建設の判断など、経営情報を都民に対してきちんと説明すべきと考えます。会社の株主となった都のお考えを伺います。
 また、工事費及び工期についても、当初見積もりから際限なく増加することは防がねばなりません。やむを得ず変更が生じた場合には、速やかに都民に対して説明を行う必要があると考えます。新宿線の開通予定は、当初予定から大幅におくれることが確実な情勢であったにもかかわらず、開通予定の変更が発表されたのは昨年十二月でした。今後は、都としても、工事費及び工期の変動については、可能な限り速やかに公表させるべきであると思いますが、お考えを伺います。
 次に、人口減少社会における公共事業のあり方に沿って何点か伺います。
 厚生労働省の人口動態統計速報によると、日本の人口ピーク予想はまたもや二年早まり、二〇〇五年から人口減少時代に入ったと推測されています。
 東京都の人口減少の始まりは、地方に比べてややおくれるものの、高齢化率は二十年後に三〇%弱と、全国レベルより早いスピードで進むことが予測されています。人口減少時代の施策は、これまでとは異なった視点で考えなければなりません。公共事業が景気の下支えをする時代は既に終わっており、逆に施設維持費がかさむ事態を避けるべきです。都民にとって不可欠な施設や都市インフラは、資産ではなく、維持経費のかかるコスト要因です。このことは、人口減少による利用率が低下すれば一層顕著になります。
 都は、財務諸表を活用した都政改革の推進において、ストックやコストに関する情報の不足を補うことを目的に、事業別に財務諸表を作成するとしています。私は、公会計に複式簿記・発生主義を導入し、財務諸表をつくることが無意味だとは思いませんが、例えばバランスシートの資産の部に、転売が不可能で、なおかつ維持更新費用が必要となる道路、橋梁が計上されることなどを考えると、公会計の財務諸表は必ずしも民間と同じ手法で解釈、分析ができるとは思えません。
 冊子でも、行政施策の分析にふさわしい手法の整理、研究をより実践的な観点から行っていくと述べていますので、問題意識は共有していると思います。せっかく導入する財務諸表がつくっただけに終わらないよう、しっかり検討されることをこの機会に要望しておきます。
 これらをもとに、まず外かく環状道路について伺います。
 道路整備の是非は、人口減少、高齢社会や将来道路ネットワークを踏まえた交通需要予測を行い検討すべきです。現在、自動車通行量予測は当分増加傾向が続くといわれていますが、高齢社会の到来は、自家用車による交通から公共交通に移ることが考えられます。また、高齢社会における自家用車の使用状況は、東京と地方では大きく異なると思われます。
 さきに述べたとおり、日本の人口減少時代の到来は、従来予測に比べて早まってきています。さらに、環八や首都高中央環状線など、外環を補完する道路の完成で、渋滞は大幅に解消できると思われます。また、現在の環八や首都高の工事が行われている地域の渋滞は、一時的なものとして無視できる状況ではありません。経済効果を算出する場合は、何年にもわたる周辺道路の工事渋滞等のデメリットを含めて考えるべきです。
 外環に関連する長期的な交通需要及び費用対効果については、ただいま述べた状況を考慮し、より実情に合ったものとなるよう、必要に応じて算定根拠の見直しや最新データを用いた再計算を行う必要があると思います。
 お考えを伺って、八ッ場ダムに移ります。
 近年、水の需要に関して、実際には減少傾向が見られているにもかかわらず、都は増加傾向の予測を立て、それに基づいてダム建設を行おうとしています。
 ダム建設は、単に建設費だけではなく、維持管理費についても後世にツケを回すことになります。国の事業であっても、建設の是非を決めた責任は都にもあるはずです。既存の一般的社会資本の維持更新の費用は、二〇二三年に公共事業の許容量を上回るという分析があります。維持管理に多額の費用がかかり、簡単に破棄できない施設の建設はもうやめるべきです。
 ちなみに、一人当たり一日最大配水量は、九二年の五百二十二リットルから、二〇〇三年以降は四百十リットル前後に減少しています。東京都水道の一日最大配水量も、一九九〇年代前半をピークに減少傾向に転じています。今後、都の人口増加を加味しても、千三百万人掛ける四百二十リットルとして五百四十六万立方メートル、現在の保有水源量六百二十三万立方メートル以下です。滝沢ダムも完成すれば、さらに余裕ができます。将来の水需要が増加すると見積もる根拠を伺います。
 都民に対する説明責任を果たすためには、ダム建設費の負担だけではなく、将来にわたっての維持運営費なども考慮した上で、負担と便益のバランスを示さねばなりません。国の事業とはいえ、都としても維持運営費について検討する必要があると考えます。八ッ場ダムの維持運営費は、年当たりどの程度と見積もられているのか、ダム維持運営費の総額及び東京都の負担分について伺います。
 事業の必要性は、便益やコスト要因について総合的な検討を行って判断すべきです。事業費の増加を防ぐためにも、財務諸表活用も含め、徹底したコスト管理を行うことを要望いたします。
 続いて、オリンピックに関してですが、一九六四年の東京オリンピックは、戦後復興期と団塊の世代の成人を控えた時期に行われ、確かにインフラの整備が大きな経済発展をもたらしました。しかし、人口減少時代を迎えた現在、都市インフラへの過大な投資は必ずしも経済発展につながるとは限りません。特にオリンピックを口実とした過大な投資は、維持管理に費用のかかる施設を過剰に抱え込み、維持費の面からも後世にツケを回しかねません。
 八〇年代のバブル期が一過性のものですぐにしぼんだように、オリンピックは何十年に一回の一過性の高揚策で、知事がおっしゃるように日本が元気になるのでしょうか。むしろ日々努力する文化、スポーツ振興など、継続的に行えるものを考えるべきです。
 長野冬季オリンピックの招致状況をホームページで見ることができますが、経費のつけかえや接待など、招致活動はスポーツの祭典とは裏腹の醜いものでした。スポーツマンシップに沿った招致が可能であるのか、その点をどう考えておられるのか伺います。
 オリンピック終了後の考慮も必要です。人口減少で施設が過剰となりつつある今、オリンピックで使用される巨大施設などの維持管理といった面をどのように考えているのか伺います。
 最後に、国民保護計画です。
 有事関連法の一つである武力攻撃事態対処法の制定に関連し、国民保護計画が都でも作成されようとしています。都の計画の目的には、都民等の生命、身体及び財産を保護しと書かれています。しかし、二〇〇四年十二月に、防衛大綱では、見通し得る将来において、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下していると判断しています。この状況下で、あえて武力攻撃事態を想定し、対処法をつくったこと自体にまず大きな疑問を持ちます。
 現に、世界各地の紛争事例でも、侵略との戦いから隔離された国民保護ができるとは思えません。武力攻撃が起きれば、あちこちで衝突し、矛盾と混乱の中で都民を保護しなければならないことが想定されます。その際に、都民保護をどのように優先できるのか、この計画では明確にされていません。むしろ、国という漠然とした観念を優先し、そこに存在する人々に目を向けていないのではないかと、武力攻撃事態対処法に至る発想や都の対応で考えさせられています。
 都の国民保護計画は、ほとんど事務的な形です。そのことを否定はいたしませんが、人々を保護するときに一番重要な人権意識が希薄です。この計画は災害対策を下敷きにされたようですが、自然災害と武力攻撃災害とは敵意識のあるなしという根本的な違いがあります。したがって、消防庁のモデル計画の基本指針に掲げられている国際人道法の確実な実施が重要であり、この精神が理解されなければ、その違反、逸脱行為が大きくなる危険性をはらんでいます。
 国民保護計画の周知度ですが、素案に対する意見は二百二十八の人及び団体からで、中でも都民はわずか四十四人です。その他は協議会委員と区市町村及び公共事業者など関係者です。協議会委員の意見には、自主防災組織やボランティア等の役割分担まで記載要求がありました。素案づくりの会議はわずか三回、幹事会を入れても四回です。協議会の中でさえ、活動は自発的な意思によるものであることが理解されていないようです。
 国民保護計画を見ると、有事における住民の避難や救援に当たって、実際にかかわるのは、大方地域の消防団や自主防災組織などの住民です。こういった地域の担い手に対し、誤解のないよう人権意識対策及び啓発が必要と考えます。
 そこで、消防団や自主防災組織に対して啓発を行う区市町村の対応が重要になりますが、都は、基本的人権の尊重に対し、どのように指導するのか伺います。
 国際紛争時に適用される戦時国際人道法では、文民や民間施設は、敵対行動に参加しない限りにおいて保護される。また、この人道法上の文民保護規定は、軍との分離を基本として条項が定められています。したがって、人々が保護されるためには、侵害排除活動からの隔離を明確にしていなければなりません。
 ところが、計画の中で、軍事基地に関する部分では、その施設が攻撃目標になる危険に何ら触れず、単に基地内通行その他連携しか検討されていません。米軍基地の作戦行動と周辺住民の安全性との整合性はどのように考えているのか伺います。
 人々を守るためには、武力攻撃に至らないための努力をすることこそ重要と考えます。この意見に対する先般の文書質問のご答弁では、そのための対策は定められていないとのことでした。計画に書かれた平素からの備えや予防の観点でいえば、近隣諸国との平和策こそ最大の人々の保護策であると再度申し入れておきます。
 平和への努力や外国人への配慮を示さず、計画どおりの行動を訓練することは、かえって住民間の監視を強め、人権軽視、弱者、外国人などへの差別を助長することになるのではないかと、そういう危険性をはらむことも指摘して、質問を終わります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)三点のご質問にお答えいたします。
 まず、首都高速道路株式会社への関与と都民に対する説明についてでございますが、新会社の経営情報につきましては、都の出資比率が二五%を超えていることから、これまでと同様に定期的に議会に報告を行ってまいります。
 また、事業の運営は民間となった会社の責任において行われますが、その事業内容が都民生活にかかわるものであることから、利用者に対して適切なサービスが行われるよう、都としても機会をとらえ会社に申し入れをしてまいります。
 次に、外環の交通需要及び費用対効果についてでございますが、交通需要と費用対効果は、平成十四年に公表された国立社会保障・人口問題研究所の中位推計を用いて予測しておりまして、将来の人口減少や少子高齢化の傾向を見込んだものとなっております。したがいまして、現時点の算定根拠やデータは実情に適したものであり、算定結果は妥当なものであると考えております。
 都といたしましては、首都圏の交通の円滑化や環境負荷の軽減を図るとともに、東京の都市再生のため、外環の早期事業化に向け、国とともに積極的に取り組んでまいります。
 最後に、八ッ場ダムの維持運営費についてでございますが、このダムは、利根川流域の治水安全性の向上や水資源確保を目的として国が建設しているダムでございます。現在、水没地区の地権者の理解を得て、移転予定地の整備や道路、鉄道のつけかえなどの準備工事を進めております。
 お尋ねの維持運営費につきましては、ダムの完成までに国が運営システムや管理の体制などを明らかにし、算定することになっております。都といたしましては、維持運営費につきましても徹底したコスト縮減を求めるなど、適正な負担となるよう、国に対し強く申し入れてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)首都高速道路の事業費と工期についてでありますが、首都高速道路株式会社の路線は、新宿線、品川線など、いずれも整備効果が高く、一日も早い整備が必要であります。昨年十月の公団民営化後、新会社として事業計画を策定する中で、新宿線の開通のおくれと事業費の増加などについて、首都高速道路株式会社から報告がありました。
 これを受け、都では直ちに会社とともに設置した中央環状新宿線工程等管理委員会におきまして、開通時期と事業費を精査し、会社の合意のもと昨年の十二月に公にするなど、首都高速道路の事業に積極的にかかわってまいりました。
 都が既に事業着手している品川線につきましても、今後、共同事業者となる会社と緊密に連携し、情報提供に努めるなど、都民の理解と協力を得ながら事業を推進してまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君)将来の水道需要予測についてでございますが、平成十五年に行いました予測では、東京構想二〇〇〇に示された人口想定や、経済成長率等の基礎指標を踏まえ、使用水量実績やさまざまな社会経済指標を用いて重回帰分析手法により予測した結果、経済動向や平均世帯人員の減少等によりまして、一人当たり使用水量が緩やかに増加し、平成二十五年度の一日最大配水量が六百万立方メートルになると予測いたしております。
 なお、都の現在の保有水源量は日量六百二十三万立方メートルであるものの、その八割を占める利根川水系は、他の水系に比べまして利水安全度が低いことや、近年の少雨傾向などにより水量が減少してきていることから、渇水時にも対応できますよう、引き続き水源の確保が必要であると考えております。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)オリンピックに関するご質問ですが、まずオリンピック招致活動についてでございますが、オリンピック招致を実現するためには、綿密な大会計画の策定、招致機運の盛り上げ、都市の魅力の向上、平和、人権、環境への取り組みなどさまざまな活動が必要でございます。
 都は、フェアプレーの精神などを盛り込んだオリンピック憲章及び国際オリンピック委員会(IOC)倫理規程を遵守し、広く都民の支持を得られるよう効果的な招致活動を行ってまいります。
 次に、施設などの維持管理についてでございますが、オリンピック終了後における施設等の利用や維持管理は、開催概要計画書に盛り込む後利用計画の一つとして、開催都市選考の大きな要素にもなっており、重要であると認識しております。
 計画の策定に当たりましては、大会終了後の施設の利用方法やコストを考慮した適正な維持管理を念頭に入れて検討してまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)二点のご質問にお答えいたします。
 まず、国民保護計画を作成する区市町村への指導についてでございますが、区市町村計画は、国民保護法及び都の計画に基づき作成することとされております。
 基本的人権の尊重につきましては、国民保護法第五条に規定されており、都の計画案でも特に配慮すべき事項として位置づけをしております。
 区市町村計画にも当然明記されるものと考えておりますが、これまでも区市町村に対し説明会や研修会を通じて法の趣旨等を伝えてきており、今後とも必要に応じて指導してまいります。
 次に、武力攻撃発生時における米軍基地の作戦行動と周辺住民の安全性との整合性についてでございますが、武力攻撃発生時における周辺住民の安全を確保するには、米軍基地との情報連絡体制を強固にすることが重要でございます。
 都の計画案では、都と基地との連携体制を構築するため、連絡調整窓口を確保するとともに、平素から避難、救援について意見交換を行うこととしております。
 これらの内容につきましては、現在、在日米軍との交渉窓口である国が調整を進めておりまして、都としては、この調整結果を踏まえて計画を実施してまいります。

○議長(川島忠一君)以上をもって質問は終わりました。

〇議長(川島忠一君)これより日程に入ります。  日程第一から第百四十一まで、第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算外議案百四十件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事横山洋吉君。
   〔副知事横山洋吉君登壇〕

○副知事(横山洋吉君)ただいま上程になりました百四十一議案についてご説明申し上げます。
 まず、第一号議案から第二十九号議案までは平成十八年度当初予算でございまして、一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせました二十九会計で、総額十二兆四千三百二十二億円でございます。
 第一号議案は一般会計予算で、総額六兆一千七百二十億円を計上いたしております。
 歳出予算の主な内訳は、教育と文化九千四百四十四億円、警察と消防八千五百七十七億円、福祉と保健七千六百億円でございます。
 次に、歳入予算の主な内訳でございますが、歳入の大宗を占める都税収入は四兆五千二十八億円でございます。
 平成十八年度予算は、税収の大幅な増加という状況にも決して浮かれることなく、財政の健全性の回復に力を注ぎ、その上で、今後の新たな発展を目指すことを基本に編成いたしました。
 次に、第二号議案から第十八号議案までの十七議案は特別会計予算でございます。それぞれの事業に必要な経費として、総額四兆三千百七十七億円を計上いたしております。
 次に、第十九号議案から第二十九号議案までの十一議案は公営企業会計予算でございます。病院、交通、水道、下水道などの経営に要する経費としまして、総額一兆九千四百二十五億円を計上いたしております。
 次に、第三十号議案から第百十七号議案まで並びに第百四十号議案及び第百四十一号議案の九十議案は条例案でございまして、新設の条例が八件、全部を改正する条例が一件、一部を改正する条例が八十件、廃止する条例が一件でございます。
 まず、新設の条例についてご説明申し上げます。
 第三十四号議案、東京都民間事業者等が行う書面等の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例は、民間事業者等に対して書面等での保存等を義務づけておりますものを、電磁的記録でも足りることといたしまして、負担の軽減及び利便性の向上を図るものでございます。
 次に、第四十八号議案、東京オリンピック開催準備基金条例は、オリンピックの招致に向けまして、今後の社会資本等の整備に要する資金に充てるため、新たに基金を設置いたすものでございます。
 このほか、平成十七年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関するものなど、新設の条例は八件でございます。
 次に、全部を改正する条例でございます。
 第八十三号議案、東京都動物の愛護及び管理に関する条例は、動物の愛護及び管理に関する法律の改正に伴い、条例の全部を改正するものでございます。
 次に、一部を改正する条例でございます。
 まず、第五十二号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、災害被害者に対する都税の減免規定を設けますほか、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置を継続するなどの改正を行うものでございます。
 次に、第八十七号議案、東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例は、三宅島災害に伴う帰島の状況等を考慮いたしまして、条例の有効期限を一年間延長するものでございます。
 このほか、受益者負担の公平を図る観点などから、使用料、手数料の改定等を行うもの、特別職等の報酬等の額の改定を行うもの、都職員の定数を改めるもの、法令等の改正に伴い規定を整備するものなど、一部を改正する条例は合計八十件でございます。
 条例につきましては、このほかに廃止する条例が一件でございます。
 次に、第百十八号議案から第百二十三号議案までが契約案でございます。都営住宅建設工事など合計六件、契約金額は総額で約八十四億六千万円でございます。
 次に、第百二十四号議案から第百三十四号議案までが事件案でございます。
 このうち、第百二十五号議案は、地方自治法の規定に基づき、包括外部監査契約を締結するものでございます。
 次に、第百三十五号議案から第百三十九号議案までが平成十七年度最終補正予算でございます。一般会計、特別会計及び公営企業会計を合わせまして、総額は五千四百三十四億円でございます。
 上程になりました百四十一議案の説明は以上でございますが、このほかに人事案を送付いたしております。
 まず、東京都教育委員会委員でございます。三月十二日に任期満了となります内館牧子氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都人事委員会委員でございます。三月三十一日に退任いたします檜垣正已氏の後任には、佐々木克已氏を選任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会委員でございます。三月三十一日に任期満了となります内山忠明氏、藤重由美子氏の各氏及び四月九日に任期満了となります関哲夫氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。三月三十一日に任期満了となります宮崎治子氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都固定資産評価審査委員会委員でございます。三月三十一日に任期満了となります喜多三枝子氏の後任には、中村京氏を選任いたしたいと存じます。また、同じく三月三十一日に任期満了となります遠藤隆氏、柴田徹男氏、高木祥勝氏、中川貞枝氏の各氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都公害審査会委員でございます。谷口茂昭氏の死亡によりまして一名の欠員となっておりましたが、四月一日付で鈴木健司氏を任命いたしたいと存じます。
 同意につきましてよろしくお願い申し上げます。
 以上で説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(川島忠一君)以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会及び教育委員会の意見をそれぞれ徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(松原恒美君)人事委員会の回答は、第三十九号議案、第四十号議案及び第六十一号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。
 また、教育委員会の回答は、第五十九号議案及び第六十五号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

一七人委任第一二六号
平成十八年二月二十一日
   東京都人事委員会委員長 内田公三
 東京都議会議長 川島忠一殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成十八年二月十五日付一七議事第三七七号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。

   提出議案
一 第三十九号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
二 第四十号議案
  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
三 第六十一号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
    意見
異議ありません。

一七教総総第一八九八号
平成十八年二月二十二日
 東京都教育委員会委員長 木村孟
 東京都議会議長 川島忠一殿
   「都道府県教育委員会の権限に属する事務の一部を、市町村が処理することとする条例」に対する教育委員会の意見聴取について(回答)
 平成十八年二月十五日付一七議事第三七八号により照会があった議案に係る教育委員会の意見は左記のとおりです。

一 提出議案
   第五十九号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
   第六十五号議案 東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
二 意見
 一の(一)、(二)とも異議ありません。

○六十七番(秋田一郎君)この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、日程第一から第二十九までについては、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十九までは、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第三十から第百四十一までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、日程第三十から第百四十一までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君)これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都教育委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都教育委員会委員の任命の同意について一件

一七財主議第四五八号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都教育委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年三月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 内館牧子

 略歴
現住所 東京都港区
 内館牧子
昭和二十三年九月十日生(五十七歳)
昭和四十六年三月 武蔵野美術大学卒業
昭和四十六年四月 三菱重工業株式会社入社
昭和五十八年七月 同社退職
現在       脚本家

○議長(川島忠一君)本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君)起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君)追加日程第二、東京都人事委員会委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都人事委員会委員の選任の同意について一件

一七財主議第四五九号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都人事委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都人事委員会委員檜垣正已が辞任するため、後任として左記の者を選任したいので、地方公務員法第九条の二第二項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 佐々木克已

 略歴
現住所 東京都葛飾区
 佐々木克已
昭和十五年三月十六日生(六十五歳)
昭和三十八年三月 中央大学法学部卒業
昭和三十八年四月 東京都入都
昭和六十二年六月 企画審議室調整部庶務課長
平成五年七月   企画審議室調整部長
平成六年八月   清掃局理事
平成七年六月   企画審議室長
平成八年七月   政策報道室長
平成十一年五月  東京都出納長
平成十三年七月  東京都地下鉄建設株式会社代表取締役社長
平成十四年八月  東京都住宅供給公社理事長
平成十五年六月  首都高速道路公団副理事長
平成十七年十月  首都高速道路株式会社専務取締役
現在       首都高速道路株式会社専務取締役

○議長(川島忠一君)本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君)起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君)追加日程第三から第五まで、東京都収用委員会委員の任命の同意について三件を一括議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について三件

一七財主議第四六〇号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年四月九日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 関哲夫

 略歴
現住所 埼玉県志木市
 関哲夫
昭和八年二月十八日生(七十三歳)
昭和三十年三月  東京大学法学部卒業
昭和三十年四月  東京都入都
昭和三十九年四月 東京都総務局法務副主幹
昭和四十五年四月 東京都総務局法務部法務第一課長
昭和四十八年七月 東京都総務局主幹
昭和四十九年七月 東京都総務局法務部長
昭和五十六年六月 東京都退職
昭和五十六年七月 静岡大学人文学部教授
昭和五十六年十月 東京都主任訟務員
昭和六十年八月  日本大学法学部教授
昭和六十年十一月 弁護士登録
昭和六十三年四月 東京都収用委員会予備委員
平成九年四月   東京都収用委員会委員
平成十六年四月  日本大学大学院法務研究科
現在       弁護士(日本大学大学院法務研究科教授)

一七財主議第四六一号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 内山忠明

 略歴
現住所 東京都北区
 内山忠明
昭和二十一年八月十九日生(五十九歳)
昭和四十五年三月 一橋大学法学部卒業
昭和四十八年四月 東京都入都
昭和五十一年四月 司法修習終了
昭和五十四年四月 特別区人事厚生事務組合法務副主幹
平成元年四月   特別区人事厚生事務組合主幹
平成二年四月   特別区人事厚生事務組合法務部長
平成十二年三月  特別区人事厚生事務組合退職
平成十二年四月  弁護士登録
平成十二年四月  日本大学法学部教授
平成十四年四月  東京都収用委員会予備委員
平成十五年四月  東京都収用委員会委員
平成十六年四月  日本大学大学院法務研究科教授
現在       日本大学法学部教授日本大学大学院法務研究科教授

一七財主議第四六二号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 藤重由美子

 略歴
現住所 東京都板橋区
 藤重由美子
昭和二十四年八月九日生(五十六歳)
昭和五十年三月  明治大学第二文学部卒業
昭和五十四年三月 明治大学法学部卒業
昭和六十年四月  弁護士登録
平成九年四月   板橋区法律相談員
平成十二年六月  女性法律家協会副会長
平成十四年四月  第二東京弁護士会研修センター副委員長
平成十四年四月  日本弁護士連合会研修委員会委員
平成十五年四月  東京都収用委員会委員
現在       弁護士

○議長(川島忠一君)本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君)起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君)追加日程第六、東京都収用委員会予備委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について一件

一七財主議第四六三号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 宮崎治子

 略歴
現住所 東京都文京区
 宮崎治子
昭和十六年四月十九日生(六十四歳)
昭和三十九年三月 中央大学法学部卒業
昭和四十三年四月 弁護士登録
昭和五十七年四月 東京弁護士会税務特別委員会副委員長
昭和五十九年四月 東京家庭裁判所調停委員
昭和六十三年四月 文京区役所法律相談員
平成九年四月   法律扶助協会評議員
平成十一年六月  日本女性法律家協会副会長
平成十四年四月  日本文化大学法学部教授
平成十五年四月  東京都収用委員会予備委員
現在       弁護士

○議長(川島忠一君)本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君)起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君)追加日程第七から第十一まで、東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について五件を一括議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について五件

一七財主議第四六四号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都固定資産評価審査委員会委員喜多三枝子は平成十八年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 中村京

 略歴
現住所 東京都世田谷区
 中村京
昭和三十三年十一月三日生(四十七歳)
昭和五十八年三月  早稲田大学法学部卒業
昭和六十三年十一月 財団法人日本不動産研究所入所
平成四年二月    不動産鑑定士登録
平成十六年八月   不動産鑑定士中村京事務所設立
現在        不動産鑑定士中村京事務所経営

一七財主議第四六五号
平成十八年二月二十二日
  東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年三月三十一日任期満了となるため、再び選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 遠藤隆

 略歴
現住所 東京都練馬区
 遠藤隆
昭和十三年十一月二十七日生(六十七歳)
昭和三十七年三月 日本大学理工学部建築学科卒業
昭和三十七年四月 東京都入都
昭和四十二年一月 一級建築士免許取得
昭和五十一年八月 北区建築公害部営繕課長
昭和六十一年四月 港湾局計画部副主幹
平成元年八月   住宅局計画部住環境計画課長
平成六年七月   住宅局建設部長
平成七年六月   住宅局開発調整部長
平成九年七月   住宅局理事
平成九年七月   東京都退職
平成九年九月   財団法人東京都建築防災センター常務理事
平成十年六月   東京都臨海副都心建設株式会社常勤監査役兼竹芝地域開発株式会社常勤監査役
平成十一年六月  東京都住宅供給公社理事(事業担当)
平成十四年十月  三井住友海上火災保険株式会社顧問
平成十五年四月  東京都固定資産評価審査委員会委員就任
平成十六年十月  安藤建設株式会社顧問
現在       安藤建設株式会社顧問

一七財主議第四六六号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都固定資産評価審査委員会委員の
   選任の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年三月三十一日任期満了となるため、再び選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 柴田徹男

 略歴
現住所 東京都世田谷区
 柴田徹男
昭和九年三月二十九日生(七十一歳)
昭和三十四年三月 中央大学法学部法律学科卒業
昭和三十八年十月 司法試験合格
昭和四十一年四月 弁護士登録
昭和四十一年四月 江川六兵衛法律事務所勤務
昭和四十二年三月 平井博也法律事務所勤務
平成二年四月   柴田・篠崎法律事務所所長
平成十五年四月  東京都固定資産評価審査委員会委員就任
現在       柴田・篠崎法律事務所所長

一七財主議第四六七号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都固定資産評価審査委員会委員の
   選任の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年三月三十一日任期満了となるため、再び選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 高木祥勝

 略歴
現住所 東京都板橋区
 高木祥勝
昭和十四年一月二日生(六十七歳)
昭和三十六年三月 東京大学教育学部卒業
昭和三十六年四月 東京都入都
昭和四十九年八月 東京都渋谷都税事務所固定資産税課長
昭和五十八年六月 生活文化局国際部外事課長
昭和六十二年六月 総務局主幹
平成三年六月   生活文化局文化施設担当部長
平成四年六月   生活文化局国際部長
平成六年六月   東京フロンティア本部理事兼東京フロンティア協会事務次長
平成八年六月   教育庁次長
平成九年七月   東京都退職
平成九年七月   財団法人自治体国際化協会常勤監事
平成十三年四月  中央大学大学院経済学研究科客員教授
平成十五年四月  東京都固定資産評価委員会委員就任
平成十五年八月  日本生命相互会社顧問
現在       中央大学大学院経済学研究科客員教授

一七財主議第四六八号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十八年三月三十一日任期満了となるため、再び選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 中川貞枝

 略歴
現住所 東京都荒川区
 中川貞枝
昭和三十五年七月二十日生(四十五歳)
昭和五十七年三月  東京商科学院専門学校卒業
昭和五十九年九月  坂田公認会計士事務所入所
昭和六十一年十一月 税理士登録
昭和六十二年三月  坂田公認会計士事務所退職
昭和六十二年四月  中川貞枝税理士事務所開業
平成十年九月    日本女子大学通信教育課程家政学部児童学科卒業
平成十五年四月   東京都固定資産評価審査委員会委員就任
現在        中川貞枝税理士事務所経営

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選任に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君)追加日程第十二、東京都公害審査会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都公害審査会委員の任命の同意につ
  いて一件

一七財主議第四六九号
平成十八年二月二十二日
 東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島忠一殿
   東京都公害審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都公害審査会委員谷口茂昭が死亡したため後任として左記の者を任命したいので、公害紛争処理法第十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。

 鈴木健司

 略歴
現住所 東京都西東京市
 鈴木健司
昭和二十五年六月六日生(五十五歳)
昭和四十八年三月 青山学院大学法学部卒業
昭和五十五年四月 弁護士登録(第二東京弁護士会)
平成四年四月   関東弁護士連合会公害対策委員会副委員長
平成九年四月   第二東京弁護士会公害対策・環境保全委員会委員長
平成十二年六月  日本弁護士連合会公害対策・環境保全委員会委員
平成十四年四月  東京簡易裁判所民事調停委員
現在       弁護士(第二東京弁護士会所属)

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君)請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願二件及び陳情二十件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 明三日から七日まで五日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、明三日から七日まで五日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、三月八日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時三十二分散会

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