平成十八年東京都議会会議録第三号

平成十八年三月一日(水曜日)
 出席議員(百二十四名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番宇田川聡史君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大沢  昇君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君

 欠席議員(二名)
 九十一番 三宅 茂樹君
百二十七番 渡辺 康信君
 欠員
十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

三月一日議事日程第三号
第一 第一号議案
  平成十八年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成十八年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成十八年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成十八年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成十八年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  平成十八年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
  平成十八年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
  平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成十八年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
  平成十八年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
  平成十八年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
  平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
  平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  平成十八年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
  平成十八年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成十八年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成十八年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成十八年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成十八年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成十八年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成十八年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成十八年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  平成十八年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  平成十八年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都民間事業者等が行う書面等の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例
第三十五 第三十五号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  長期継続契約を締結することができる契約を定める条例
第四十八 第四十八号議案
  東京オリンピック開催準備基金条例
第四十九 第四十九号議案
  東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都市街地再開発事業会計条例を廃止する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京ウィメンズプラザ条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都地方精神保健福祉審議会条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都障害者介護給付費等不服審査会条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  東京都動物の愛護及び管理に関する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都監察医務院関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
  東京都女性相談センター条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  東京都心身障害者福祉作業所条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
  東京都心身障害者生活実習所条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
  東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
  通訳案内業法関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
  東京都離島漁業再生支援基金条例
第九十七 第九十七号議案
  東京都植物防疫施設に関する条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
  東京都立技術専門校条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
  東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
  温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例
第百二 第百二号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
  高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
  液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
  東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
  砂利採取法に基づき河川管理者が行う事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
  東京都下水道条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
  歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例
第百十三 第百十三号議案
  風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
  性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
  都立石神井高等学校(H十七)改築工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
  都立世田谷地区総合学科高等学校(仮称)(H十七)改築及び改修工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
  都営住宅十七H―一〇六東(百人町四丁目第五)工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
  都営住宅十七H―一〇五東(高松三丁目第四)工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
  都営住宅十七H―一〇一東(新宿六丁目)工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
  都営住宅十七CH―一〇八東(江戸川二丁目・江戸川区施設)工事請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
  地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第百二十五 第百二十五号議案
  包括外部監査契約の締結について
第百二十六 第百二十六号議案
  全国自治宝くじ事務協議会への堺市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百二十七 第百二十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第百二十八 第百二十八号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第百二十九 第百二十九号議案
  平成十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十 第百三十号議案
  平成十八年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十一 第百三十一号議案
  公共下水道の整備工事を独立行政法人都市再生機構が施行することの同意について
第百三十二 第百三十二号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十三 第百三十三号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第百三十四 第百三十四号議案
  多摩川流域下水道秋川処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
第百三十五 第百三十五号議案
  平成十七年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十六 第百三十六号議案
  平成十七年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十七 第百三十七号議案
  平成十七年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百三十八 第百三十八号議案
  平成十七年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
  平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計補正予算(第一号)
第百四十 第百四十号議案
  平成十七年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百四十一 第百四十一号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開議

○議長(川島忠一君)これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君)この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君)昨日に引き続き質問を行います。
 百十六番佐藤裕彦君。
   〔百十六番佐藤裕彦君登壇〕

○百十六番(佐藤裕彦君)まず最初に、医療の問題についてお伺いをいたします。
 道路公団の分割民営化、昨年の郵政民営化と続きましたいわゆる小泉改革路線は、本年九月の小泉総裁の任期切れを前に、最後の目標を医療制度改革へ的を絞ってまいりました。
 私が申し上げるまでもなく、現在、我が国の国民医療費は年間三十一兆円以上に達しており、増加の一途をたどっている現状であります。そして二十年後には、医療給付費が五十六兆円に達するといわれております。政府・与党も、昨年暮れに医療制度改革大綱を発表し、今国会では、医療改革関連法案も審議されようといたしております。
 こうした論議が深まっていくこと自体は大変結構なことと思いますが、私は、医療費を抑制しろ、医療制度を改革しろという前に、決めておくことがあるのではないか。すなわち、日本に、東京に必要な医療とは何か、それを維持するための適正な医療費とは一体幾らなのかをしっかりと議論しておくべきと考えるのであります。にせメールで騒いでいる場合ではありません。
 国は、とかく財政面からだけで医療費を減らそうとする姿勢が見え見えであります。どこまで医療費を削れば気が済むのか、全くわからない。あたかも今の日本で行われている医療が過剰であり、お金をかけ過ぎているという基本的な考えに基づいて現在の医療問題を考えているような印象を受けてしまうのは私だけでありましょうか。ただ単に財政が苦しいから医療費を削り続けるという発想は改めるべきであります。
 我が国の医療費の対GDP比は約七・九%、先進二十九カ国中十七位であります。率でいえばハンガリーやチェコとほぼ同じレベルだそうです。そして、国民一人当たりの平均受診回数は年間十四回で、アメリカ、イギリスの五回前後に比べて格段に多い。また、受診一回当たりの医療費は、アメリカ、イギリスに比べても一けた安い、これが医療費の実態であります。
 結果として、国民一人当たりの年間医療費は、日本三十万円、アメリカ六十六万円、イギリス二十五万円と、我が国は決して高い数字とはいえません。ちなみに、百ベッド当たりの医師の数は、日本十五・六人に対し、アメリカは七十七・八人、看護職員数は、日本四十二・八人に対し、アメリカは何と二百三十人であります。
 私は、このような現実も踏まえた上で再度申し上げます。財政的な意味だけで目標もなく、ただやみくもに金額だけを抑えていけばよいという現在の国の医療に対する考え方には反対といわずにはおられません。
 ただ、従前に比べて、医療システムの効率化や健康増進などによって医療提供の構造を変えていこうという姿勢は評価できるものとは思いますが、まだまだ金目の問題を隠す小細工のような感じがいたします。今こそ、東京に必要な医療と適正な医療費とは何かを具体的に検討を加えるべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
 そこで、国に先駆けて東京発医療改革を発信し、都民の健康と福祉をこの七年間守ってこられた知事に伺います。
 今東京で行われている医療は過剰なのか、いいかえれば、現在国が打ち出しているように、医療費を減らし続ける必要があるのかどうか、二十一世紀に必要な東京のあるべき医療の姿とはどんなものとお考えなのか、ざっくりとしたお話をいただければ幸いであります。
 次に、またもや国がその責任を放棄して地方に押しつけようとしている新たな高齢者医療制度について伺います。
 約三十一兆円の医療費のうち、高齢者に係る老人医療費は約十二兆円、医療費全体の四割を占めております。私は、人口構成が変化している、すなわち高齢化が日々進んでいることを考えれば、老人医療費がふえていくことは、ある意味では自然増であるのではないかと考えます。ですから、老人医療費がふえることはあたかも罪悪であるかのごとき論調には違和感を覚えます。
 予防の重視、いわゆる生活習慣病の予防等を前面に打ち出していくことは賛成でありますが、ただ老人医療費を減らせ、負担を上げろ、後期高齢者は新しい保険に入れでは、余りにも年寄りいじめ、我が国の年配者を敬う美風はどこへ行ったのかと、まことに情けない限りであります。
 そこで、国が平成二十年を目途に創設しようとしている新たな高齢者医療制度についてこの制度が実施された場合、東京都に生ずる新たな負担はどんなものがあるのか、都としてはどのように受けとめておられるのか、ご見解を伺います。
 この制度では、保険料徴収は区市町村、財政運営は当初は区市町村ということでしたが、全国市長会等の反対により、都道府県単位で全区市町村が加入する広域連合が行うとあります。しかし、財政運営の主体がどこにあるのかよくわからない。後期高齢者医療費が増大したときに、その財政負担のリスクはどこが負うのか、不明瞭なことがあります。さらには、広域連合に対し、国や都道府県がどのような支援をするのかも不明確であります。
 今般、国会に提出された医療制度改革法案には、都道府県内のすべての区市町村が広域連合に加入してこの制度を運営していくことが盛り込まれましたが、この新たな広域連合を設立することについて、都としてのご見解をお示しください。
 ところで、去る二月七日、与党は突然、長期入院の高齢者が入る療養病床を、たった六年で何と六割も削減することを了承しました。全国に約三十七万床ある療養ベッドを十五万床まで減らすというものであります。この方針により東京都が受ける影響はどのようなものが出てくるのか、それに対する都の対応を伺います。
 私は、療養病床に入院している高齢者の方の実態を考えると、この方針はかなり乱暴であると思います。どういう手法で現在入院中の高齢者を他の施設や自宅に移すのか、受け皿になる施設の整備や住宅政策など、具体的な問題を先送りしてこの問題を論ずるべきではないと考えますが、いかがでありましょうか。
 いずれにせよ、その内容はともかく、医療制度改革は走り始めております。東京都として、国の冷たい仕打ちに都民が将来に向け不安が生じることのないように、都民の生命と健康を守る医療とはいかにあるべきかを、確固たる信念のもとに一日も早く具体的に築き上げていただくことを期待いたします。
 次に、先日の知事施政方針演説にもありました、首都圏三環状道路の一つであります中央環状品川線について質問をいたします。
 この問題は、かつて私も、我が党の代表質問の中で促進の発言をいたしたこともございました。今回は、品川区五反田付近の抱える具体的な幾つかの問題について伺いたいと存じます。
 平成十五年の暮れに、まるで墓石のような形の巨大な換気所、高速道路の出入り口が、約十年後に完成予定で建設されることが五反田地区の住民に説明をされました。これに対し地区関係住民は、近隣三十町会九団体で構成する高速道路品川線問題近隣町会合同連絡会を設立し、品川線を世界に誇れる無公害道路にをスローガンに、三万名を超える署名が添えられ、計画の見直しを求める請願を、都議会の改選を経たために二度にわたって提出をしております。
 誤解のないように申し添えますが、この団体は、どこかの政党のように高速道路建設反対ではありません。つくる以上は、将来に禍根を残さないように、環境や景観に配慮してほしいと主張する団体であります。
 現在の計画では、知事も最初にごらんになったときに、思わずひどいと感想を漏らされたと伺っておりますが、当初は路外に計画されていたものが、山手通り、環状六号線の中央分離帯に、先ほども申し上げましたように、まるで墓石のような形の約四十五メートルの高さの換気所をつくり、そこから粉じんを取っただけの排ガスを百メートルの高さまで吹き上げ拡散処理することになっています。なぜ粉じんを取っただけの排ガスをまき散らすのか、すぐ近くには三十階、すなわち高さ百メートルを超える区民住宅が既に建っているにもかかわらずであります。
 なぜこのような浄化装置もない異様な形の建造物を、環状六号線と国道一号の交差点のど真ん中に計画するのか、現地の様子を見れば絶対に許せないものであります。
 石原知事が断行したディーゼル排ガス規制、その名も環境確保条例により、東京都の空、品川の空、もちろん五反田の空も、残念ながらきょうは雨が降っておりますけれども、青く澄み渡っております。そのせっかく取り戻した青い空へ、地下高速道路から出る排気ガスを、粉じんをフィルターで取っただけでまき散らす計画、これはいただけません。石原都政の環境政策や都市景観政策に沿った品川線の計画とすべきではないでしょうか。知事のご見解をお伺いいたします。
 私は、都民の将来にわたっての健康と環境を確実に担保するために、必要な経費はしっかり予算化し、住民の不安に対しては、排ガス浄化装置の設置などで具体的に一つ一つ対応していただくことを強く要望するものであります。
 きょうび、火葬場でさえ煙突がありません。完全に浄化した空気を放出することは可能なのであります。都民の健康と環境を、お金がかかるからといって犠牲にするべきではないと考えます。五反田換気所については、ぜひとも健康と環境と景観を守るために、でき得る限り、浄化装置も含めて地下施設で処理をする方向で努力を続けていただきたいのであります。
 新宿線で採用された低濃度脱硝装置以上の性能を持ったものが、ここ数年の技術の進歩で必ず設置可能になると考えます。一日も早く導入を決定していただきたいと存じます。見解を伺います。
 次に、トンネルの掘削について伺います。
 まず、品川線の掘削は、シールド工法で行うことが決定したのかどうか。決定したとするならば、海側からシールドを掘り始め、中目黒方向へ、五反田で立て坑などをつくらずに一気に掘り進むと考えてよいのか、そして、その際出る土は海側からのみ搬出されると理解してよいのか、お答えをいただきたいと存じます。
 さて、都並びに首都高の煮え切らない態度にしびれを切らした高速品川線問題近隣町会合同連絡会では、五月十日から三十一日まで、品川線を世界に誇れる無公害道路にするための技術アイデアを公募することになりました。その内容は、換気塔が全く不要になるアイデア、もしくは五反田換気所施設がすべて地下で処理され、一切地上工事は行わない工法のアイデアを広く募り、優秀賞には賞金総額五十万円というものであります。財政的基盤のない地元有志の会にとっては大変な事業であると思います。これほど地域の品川線に対する関心は深いものがあり、我がまち五反田の将来に今の世代が責任を持っていこうという、こういう決意をしているのであります。このような地域の取り組みを、都はどのように感じておられるのか伺います。
 また、今後、この地域の熱意を受けとめていくために、どのような体制で臨んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
 近々、環状八号が完成いたします。首都高中央環状線が実現し、環三、環四が開通すれば、東京は世界に例のない機能的な都市になります。品川線の開通予定は、時あたかも、去る二十二日に招致議連が発足した東京オリンピックの開催時期と相前後いたします。我が党の野村幹事長いわく、世界平和と地球環境をメーンテーマとするオリンピックであります。その開催時に開通するであろう品川線を、世界に発信できる環境に優しい高速道路、二十一世紀型の新しい都市モデルの一つとして完成させていただくことを切望いたします。
 最後に、もしこの品川線が現行計画のまま推し進められるならば、私は地元住民の一人として、体を張って阻止する覚悟であります。工事を強行するときは、私のしかばねを越えて着工することになるということを申し添え、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)佐藤裕彦議員の一般質問にお答えいたします。
 東京のあるべき医療の姿についてでありますが、基本的には、人口減少時代がいよいよ現実のものとなった今、右肩上がりを前提とした我が国の社会システムを新しい時代に見合ったものへと変革することは不可欠であろうと思います。国民皆保険を実現し、平均寿命世界一という成果を上げている我が国の医療制度についても、これもやはり同様であると思います。
 現在、国で医療制度改革について議論されておりますが、お話のように財政的な側面ばかりが優先されて、医療はどうあるべきかという本質的な視点がいささか欠けている感は否めません。
 しかしながら、医療もまた社会事業の一つでありまして、採算を無視はできないと思います。ゆえにも負担と給付のバランスや非効率な面の是正も重要でありまして、これらなくして医療保険を支える国民の理解は到底得られないと思います。
 二十一世紀においても我々が東京で目指すべきは、透明性、信頼性、効率性を兼ね備えた、都民が安心できる患者中心の医療の実現と考えております。
 次いで、中央環状品川線の計画についてでありますが、品川線は都の重要な施策でありまして、首都圏三環状道路の一つとして心血を注いできている路線であります。この路線を整備することにより、中央環状線のリングが完成しまして、首都高速道路全体のネットワークが効率よく機能するようになります。
 整備に当たっては、沿道環境に配慮し、地下道路として建設するため、新宿線と同様に、換気所は物理的にも必要であります。
 平成十六年六月に五反田の地元の方々が訪れられた際に換気所の絵を見ましたが、これはやはり問題であるなと痛感いたしました。地元にとって目ざわりとならないよう、デザインにも気を使い、もっとスマートにすべきだと感じました。
 ただ、これからさらに新しい技術がどれぐらいのタイムスパンで改良、開発されるかどうかは未知でございますけれども、いずれにしろ魅力のある東京を実現するためには、公共事業においても良好な景観を形成していくのは当然のことであります。
 今後、地域の景観と調和した建造物とするための技術的検討を行い、地元の皆さんや専門家などの意見を踏まえて結論を出すように指示しております。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)医療政策に関し、三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者医療制度についてでございます。
 国は、高齢化が進行する中で、高齢者の心身の特性や生活実態を踏まえた新たな医療制度を平成二十年度に創設することとしております。
 都道府県は、現行の老人保健制度においても医療費の一定割合を負担しているところですが、新制度では、こうした負担に加え、後期高齢者医療制度における財政安定化基金の設置及び拠出、都道府県単位での医療費適正化計画の策定などの役割を担うこととされております。
 今後、新制度が導入されるに当たりましては、制度の設計、維持に責任を負うべき国がその責任を果たし、地方への単なる負担転嫁を行わないよう、都としてもさまざまな機会をとらえて働きかけてまいります。
 次に、広域連合についてでございますが、新たな後期高齢者医療制度を安定的かつ円滑に運営していくためには、これまで国民健康保険制度や老人保健制度の運営主体となってまいりました区市町村が中心となって保険料徴収などの事務を処理する一方、財政運営につきましては、より広域的な単位でリスクを分散させることが有効であると考えられます。
 このことから、今般、国会に提出された医療制度改革関連法案では、都道府県の区域ごとにすべての区市町村が加入する広域連合を設置することとされたものと理解しております。
 広域連合は、区市町村が主体的に結成するものでございますが、新制度の導入に当たりましては、高齢者医療が滞りなく提供されるよう、都としても必要な役割を果たしてまいります。
 最後に、高齢者の療養病床についてでございます。
 今回の国の療養病床削減方針は、高齢者の生活の質の向上や医療費適正化の観点から課題となってまいりました、いわゆる社会的入院の解消策の一つとして提案されたものと理解しております。
 この社会的入院の解消のためには、ご指摘のとおり、高齢者が適切にケアを受けられる地域での介護体制が重要でございまして、都はこれまでも、高齢者が地域で暮らし続けられるよう、在宅サービスの充実に努めてきたところでございます。
 国の方針が、今後、地域の実態にかかわらず一律に適用されるようなことがあれば、高齢者に必要な医療サービスが十分に提供されないことも危惧されますので、都といたしましては、このような事態が起こらないよう、サービス基盤整備の役割を担う都道府県との間で十分な議論の場を設けることを国に対して早急に働きかけてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)中央環状品川線に関する四点の質問にお答えします。
 まず、中央環状品川線の換気施設についてでありますが、トンネルの換気技術は、これまで官民一体となって開発に取り組み、ようやく二酸化窒素を除去する低濃度脱硝技術が実用化される状況でございます。
 一方、トンネル内の火災など防災面を考慮しますと、換気機能は必要でありまして、換気塔自体をなくすことにつきましては困難であると考えております。
 また、低濃度脱硝装置の設置につきましては、品川線の環境影響評価におきまして、供用直前の環境基準達成状況などを踏まえて検討することになっておりますが、換気所構造物の工事はそれ以前に着手するため、この装置を導入することになった場合でも対応が可能な設計を考えてまいります。
 今後とも技術開発の動向を注視し、必要に応じ、実行可能な換気技術の適用について検討してまいります。
 次に、トンネルの掘削方法についてでございますが、現在の計画では、延長約八キロのトンネル工事の区間を二つに分け、大井と五反田にシールド発進立て坑を建設する予定でございます。
 しかし、最新の土木技術によりまして、大井から一気に八キロのトンネルを掘削できる可能性があり、都と首都高速道路株式会社で、現在その方策を検討しております。
 この工法を採用した場合、シールド工事に必要な立て坑は、大井に建設する一カ所だけになりまして、トンネルの掘削土砂はそこからすべて搬出されます。
 これにより、例えば五反田換気所建設地においては、トンネルの掘削に伴う工事車両がなくなるとともに、工事期間が短縮されるなど、地域の住民に対する工事の影響を大きく低減でき、都としても今月末には結論を出せるよう検討を急いでいるところでございます。
 次に、品川線に対する地域の方々の取り組みについてでございますが、五反田を初めとする沿道住民の方々が品川線の計画に深い関心を寄せられ、真剣に取り組んでおられることにつきましては十分承知しておりまして、都としても真摯に受けとめております。
 今後とも、地元の意見に対しましては十分に耳を傾けるとともに、話し合いを重ねることで、地元の理解と協力が得られるよう努力してまいります。
 最後に、品川線の事業に臨む都の体制についてでありますが、都は、道路整備を進めるに当たり、例えば環状第八号線では、現地にインフォメーションセンターを設置し、そこを拠点として住民との話し合いを行ったほか、換気塔のデザインについて完成予想図や模型を住民にお示しするなど、地元の意見も伺いながら事業を進めてまいりました。
 品川線におきましては、新たに執行体制を整えるとともに、首都高速道路株式会社と共同でインフォメーションセンターを現地に設置し、五反田地域を初めとする沿道の住民の方々に対しましては、これまで以上の情報提供をするなど、会社と一体となってきめ細やかな対応に努めてまいります。

〇議長(川島忠一君)百三番馬場裕子さん。
   〔百三番馬場裕子君登壇〕

○百三番(馬場裕子君)まず、男女共同参画社会の推進についてお伺いいたします。
 日本のよき伝統、家族制度を守るべきという考え方のもと、男女差別に対する人権の視点からの問題提起がされにくくなってきております。いわゆるバックラッシュです。どの時代までさかのぼれば伝統になるのかわかりませんが、よもや戦前の家族制度に戻したいわけではないと理解をし、話を進めさせていただきます。
 六十年前、現在の憲法のもと、女子どもと一くくりにされていた立場から解放され、やっと女性にも基本的人権、選挙権、財産権など、法のもとの平等が明記されました。この間、先輩女性たちの生活を守るための政治活動が、現在の消費者や女性の地位向上の礎となっております。私は、戦後を支えてきた高齢女性が尊厳を持って暮らせる東京でなければならないと考えております。
 今回、男女雇用機会均等法の改正により、雇用の場での間接差別をなくすためのジェンダーの視点を盛り込むことができそうです。働き方の多様化のもとでの均等待遇法制化や、税制、年金制度の改正などジェンダーの視点で進めなければならない多くの課題があります。
 十七年十二月末に閣議決定された第二次男女共同参画基本計画では、ワーク・ライフ・バランス、仕事と家庭生活の調和の実現や女性の地位向上に向け、今後五年間の方針が決定されました。二〇二〇年までに、指導的地位に占める女性の割合を三〇%にする、この理事者席もぜひそうなっていただきたいと思っておりますが、一度家庭に入った女性の再チャレンジ支援など、女性の参画を強化する取り組みが盛り込まれました。
 ジェンダーについても、社会的性別という簡潔な日本語の表現といたしました。男は仕事、女は家庭といった社会的につくられた固定的役割分担を意識するには不可欠な視点です。諸外国や国際機関でも使われており、ほかの言葉ではいいかえられないとして、ジェンダーの視点をはっきり定義しました。知事のご要望どおり、日本語で定義されたわけです。
 東京はこれからですが、猪口大臣の全国キャラバンが、第二次基本計画の説明とジェンダーに関する誤解の解消のために回っております。
 そこで伺いますが、都においては、ジェンダーの視点についてどのような見解をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
 国は、人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行うとして、十六年度より、委託事業、人権教育推進のための調査研究事業を実施しております。新たに国分寺市で委託する予定だったモデル事業が、市の取り下げという形で実施できなくなりました。準備会として取り組んでいた皆さんから出た公開質問状に、都は、ジェンダーフリーの用語使用に関する都の見解を踏まえたものであるかと問い合わせたところ、市がみずから取り下げをしたと答えております。
 都並びに都教育委員会は、十六年八月に、ジェンダーフリーという用語は、使用する人によりその意味や主張する内容がさまざまであり、定義されていないことから、用語をめぐる誤解や混乱が生じているとして、ジェンダーフリーという言葉は使わないとする見解を示しています。私は、このこと自体が果たして適切であるかどうか、混乱を逆に招いているのではないか、そんな大きな疑問を抱いております。
 しかし、このことはひとまずおくとして、都自身が、行政文書などでジェンダーフリーという言葉を使わないということと、都がジェンダーフリーという言葉を使う可能性があると考える人を講師に呼ぶことすら認めないということは、全く意味が違ってきます。単にこの言葉を使う可能性があるということで事業ができなくなるとすれば、それは本末転倒と思います。
 内閣府の第二次基本計画では、社会的性別(ジェンダー)、この視点が定義されました。それを受け、文部科学省からも十八年二月十四日付で、社会的性別(ジェンダー)の視点の定義及びジェンダーフリーという用語についてという文書が出されております。都教育委員会からも、二十二日、この文書を関係各所に周知したと聞いております。
 そこで、改めてお聞きいたしますが、国の男女共同参画基本計画(第二次)が示された今、都教育委員会の今後の男女平等教育について考えをお聞かせください。
 東京ウィメンズプラザは、平成十三年に女性財団から都の直営化にして既に五年が経過しようとしています。東京ウィメンズプラザの予算は、九億一千四百万円とかなり大きく見えますが、そのうちの八億一千三百万円、九〇%が賃借料であり、事業費は減少する一方です。
 男女平等参画社会の実現に当たっては、都の男女平等施策を具体的に実施するための拠点として、また、区市町村のセンター・オブ・センターズの機能としても、さらに重要な役割を担っていく必要があります。
 今後の東京都の男女平等施策をさらに推進するために、東京ウィメンズプラザをどのように活用するおつもりか、お伺いいたします。
 次に、東京都の外国人支援施策について伺います。
 東京都には、仕事や研修、留学や結婚など、さまざまな目的を持って生活している約三十六万人の外国人がいらっしゃいます。これは東京都の人口の約三%に当たる数字であり、国籍も百七十カ国以上に及んでいます。実に多種多様な国々から来られた外国人が、この東京を生活の場としているのです。
 外国人が地域の住民として、日本人と同じように生命の安全や快適な生活を保障され、豊かな生活を送れる都市東京をつくっていくことは、東京が都市としての活力を維持し、アジアや世界の中心都市としての魅力を発信していくため、必要不可欠な基盤です。多文化共生は、オリンピック招致にとっても大きな要件ではないでしょうか。
 しかし、現実には、言葉のハンディによる情報不足や、文化的背景、生活習慣の違いによる相互理解、特に日本人側の理解不足によって、外国人が日本で生活していく上でさまざまな苦労があることは、想像にかたくありません。
 先日、私は、地元の品川区で、在住外国人に関するさまざまな問題について討論するフォーラムに出席してまいりました。そこで、日本語習得を必要とする子どもたちへの教育支援や在住外国人のための防災を考えるといったテーマで、外国人と日本人がお互いの多様な価値観を尊重し合い共生していくための仕組みづくりについて、活発な討論が行われていました。日本人と外国人が地域で生活していくための言葉や相互理解のための障壁、バリアを取り除くためのさまざまな課題を市民レベルで真剣に考え、解決していこうとする参加者の皆さんの熱心なご様子を見て、大変心強く感じました。
 在住外国人を取り巻く問題は、教育、就労、住居、医療などさまざまな分野に及びますが、まずは災害時の生命の安全の確保、特に日本が地震大国であることを考慮すべきです。地震の予備知識がなく、地震が発生してもどのように行動したらいいか全くわからない外国人は、逃げおくれたり、的確な行動がとれないおそれがあります。
 また、無事に避難できたとしても、避難所でのルールがわからず、日本人とトラブルになったりする可能性もあります。言葉のハンディから十分な情報が伝わりにくい外国人に対しては、災害弱者となることを防ぎ、安心・安全に暮らせるための支援対策が必要です。
 東京都は、平成十八年度の重点事業として、外国人に対する防災情報提供対策の強化に取り組んでいくとしていますが、この事業の意義と効果について伺います。
 また、在住外国人が抱える問題は、身近な自治体である区市町村や地域で外国人向けの日本語教室を開催したり、外国人から相談を受けたりしている団体やグループが一番よく理解しています。防災対策に限りませんが、日本語能力が十分でなく、必要な行政情報や生活関連情報が伝わりにくい外国人にとって、区市町村やこうした民間団体が果たす役割は大変大きいものです。しかし、現状では、区市町村や民間団体が行っている支援活動の情報が外国人に十分伝わっていないという問題があります。
 こうしたことから、東京都は区市町村や民間団体と連携し、広域的な見地から施策を推進していくことが重要です。区市町村や民間団体との連携ネットワークをどう強化していくのか、ご所見を伺います。
 都は、また広域自治体としての機能を発揮して、国も含めて、区市町村や民間団体と連携していくための総合的な体制をつくっていくことを強く要望いたします。
 次に、水辺空間の魅力向上と水質改善について伺います。
 このたび、東京都は、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想を発表しました。同日、運河ルネッサンス推進地区に指定されている品川の天王洲地区に水上レストランがオープンし、水辺のにぎわいに大きな成果を上げつつあることを実感いたしました。
 しかし、東京の水辺に不快感を抱かせないためには、一日も早い水質の改善が求められています。
 昭和三十六年ころから、東京の下水道を早期に整備するため、直接海に注ぐ独立水系と呼ばれる城南地域の二級河川のほとんどは、上流を下水道施設とされ、名称は川でも上流からの流水はなく、降雨時の放流場とされてきました。
 現在、BODの環境基準を達成するまでに水質が改善されてきていると聞いておりますが、悪臭に対する環境基準は定められておらず、今でもスカムが浮き、雨の後や夏場には特に悪臭に悩まされております。
 古川、目黒川、呑川など、再生水利用の設備ができている水域はもとより、築地川、汐留川、立会川、内川についても、水質改善に向けた取り組みが必要です。
 特に私の地元の勝島運河のような閉鎖性水域では、自然による浄化が進みません。その対策の一つとして、雨天時に放流される水質の改善が望まれております。
 そこで、下水道局は、合流式下水道の改善のためにどのような対策を実施しているのか、伺います。
 また、勝島運河の水質改善に向けて勝島ポンプ所の整備を行っていますが、その整備目的と今後の予定について伺います。
 こうした水質改善とあわせて、河川や運河に接することができる遊歩道などの確保にも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 特に、運河ルネッサンスの第一号でもある天王洲地区などを含め、運河筋に遊歩道等を整備する場合には、水辺を回遊できる親水空間や災害時の臨時船着き場として、海側からも陸側からも利用しやすい護岸の整備を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想では、舟運ネットワークとして、浅草・両国から臨海副都心、あるいは羽田空港から都心を結ぶための拠点整備やネットワーク形成を挙げていますが、内陸部に入り込んだ河川との連携などについても着目していただきたい。
 中でも目黒川は、運河ルネッサンスの柱となっている天王洲地区の北に位置しておりますが、現在は、この目黒川沿いに位置する大崎駅周辺地域の整備において、親水空間の整備などが検討されております。
 昨年、私も目黒川河口から五反田まで、Uボートでこぎながら行ってみました。川面からの景色を楽しみながら、桜の季節に川下りをするといった新たな観光ルートをつくりたいねと、品川観光協会の皆さんと思いを一つにしたところでございます。
 地域のポテンシャルを生かし、観光の視点に立って行うまちづくりを、都としても積極的に推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、百十五億かけて建造したTSLは、海上試運転までしながら、就航が中止されてしまいました。島民とともに、今後の対応を図っていただきたいと願うものでありますが、次の大きなテーマである小笠原諸島の世界自然遺産の登録について伺います。
 新年早々、新聞各紙で、環境省は、小笠原諸島を世界自然遺産として、ユネスコ・国連教育科学文化機関に推薦する方針を決めたとの報道がなされました。
 小笠原諸島が世界自然遺産に登録されることは、地域振興にとっても大変有効なことです。地域振興においては自然環境との調和が大切ですが、世界自然遺産の登録に当たっては幾つかの課題があります。その主なものに、固有種の生存を脅かす外来種の問題があります。
 そこで、小笠原諸島における都の外来種対策の取り組みについて伺います。
 また、さきに登録された屋久島や知床などでは、世界自然遺産になったことにより観光客が増加し、かけがえのない自然が損なわれている事例も見受けられます。
 小笠原諸島の自然環境を守りながら活用を図るため、地元では小笠原エコツーリズム協議会を立ち上げ、自然の適正な利用について検討を開始したと聞いております。小笠原におけるエコツーリズムの取り組みについて伺います。
 南島では、白い砂浜、入り江などの独特の景観を見ることができ、母島の石門では、そこでしか見ることのできない固有植物が生育しています。
 小笠原の自然を代表する南島と母島石門の現状について伺います。
 自然環境の保護には、最もその自然を知るそこに住む人の支えが極めて重要です。父島、母島には多くの人々が生活しています。自然環境と調和したそこに住む人々がしっかりと住み続けられるような地域振興もぜひ実現していただきたいと要望して、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)馬場裕子議員の一般質問にお答え申し上げます。
 今後の男女平等教育についてでありますが、昨年十二月に策定されました国の男女共同参画基本計画(第二次)では、お話のとおり、社会的性別(ジェンダー)の視点について明確な定義を示しますとともに、ジェンダーフリーという用語をめぐります不適切な事例を示しまして、誤解や混乱の解消に努めるなど、男女共同参画の趣旨を広く国民に普及しようというものでございます。望ましい男女平等参画社会の実現に向けた都教育委員会の考え方と一致するものでございます。
 したがいまして、今後とも、都教育委員会といたしましては、男女が互いの違いを認めつつ、個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を広く社会に定着させ、その具現化を図るという考え方のもとに、適正な男女平等教育を推進してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君)四つの質問にお答えいたします。
 まず、ジェンダーの視点、すなわち社会的性別の視点についてでございます。
 東京都は、男女を問わず一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、固定的な役割を強制されることなく、自己の意思と責任により多様な生き方を選択することができる社会を、男女平等参画社会の基本理念の一つとしております。
 社会的性別の視点とは、社会的性別それ自体によい悪いの価値を含むものではありませんが、性差別、性別による固定的役割分担、偏見等につながっている場合もありまして、これらが社会的につくられたものであることを意識していこうという、そういうものでございます。
 このような認識のもと、今後とも、男女平等参画社会の実現に向け取り組んでまいります。
 次に、東京ウィメンズプラザの活用についてでございます。
 東京ウィメンズプラザは、都の男女平等参画施策の推進拠点であり、区市町村を支援する広域センターとして、また、都の配偶者暴力相談支援センターの機能を担うなど、役割を果たしているものでございます。
 今後とも、男女平等参画社会の実現にとって重要課題である、雇用の分野における参画の促進、子育てに対する支援、家庭内等における暴力の防止などの施策を展開するため、講座、研修会等の実施、相談事業、施設の提供などを行い、その活用を図ってまいります。
 次に、外国人に対する防災情報提供対策の強化でございます。
 この事業は、言葉や生活習慣が異なる外国人が、大規模地震等の災害発生時に、迅速的確な行動がとれるようにするための施策でございます。
 具体的には、ホームページを多言語化して防災情報を提供したり、防災リーフレットやDVDを作成し、外国人への防災知識の普及啓発を図るものでございます。
 さらに、実際の災害発生時を想定しまして、区市町村や防災(語学)ボランティアなどの参画を得て、ロールプレイ方式による合同防災訓練を実施し、実践的な体制を整備いたします。
 これらの事業を推進することによりまして、外国人への情報提供と支援体制を強化し、外国人も安全・安心に暮らせる都市東京を実現してまいります。
 最後に、外国人支援のための区市町村や民間団体との連携についてでございます。
 都では、区市町村との連絡会議を活用し、情報の共有化を積極的に進めてまいりました。また、地域で外国人を支援している十九団体と、平常時及び緊急時における外国人への効果的な情報提供について検討して、施策に反映させたところでございます。
 さらに、平成十七年三月からは、在住外国人向けメディアとの連絡会を設置いたしまして、十三言語、四十メディアの協力を得て、外国人の母国語で生活関連情報や防災情報を提供していただいております。
 今後とも、こうした取り組みを一層推進し、広域自治体としての立場から、区市町村や民間団体とのネットワーク強化に努めてまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君)水辺の水質改善についての二点のご質問にお答えいたします。
 合流式下水道の改善についてでございますが、雨天時に雨水で希釈された汚水の一部が河川などに流れる量を減らすため、幹線管渠の増強や降雨初期の雨水を一時的にためる貯留池の整備を図り、水再生センターでの処理量をふやすなどの対策を鋭意実施しております。
 また、ごみや油などの流出を抑制するため、雨水のはけ口にろ過スクリーンやオイルフェンスなどの設置も進めております。
 今後とも、こうした対策を着実に推進するとともに、雨水の浸透や貯留などに取り組んでいる地元自治体や地域の方々と連携して、公共用水域の一層の水質改善に努めてまいります。
 次に、勝島ポンプ所の整備目的と今後の予定についてでございます。
 勝島ポンプ所は、近隣の浜川ポンプ所や鮫洲ポンプ所の放流先を勝島運河から京浜運河に変更し、勝島運河の水質改善を図るために整備するものでございます。
 現在、平成二十三年度からの稼働を目指し、鋭意、整備を進めているところでございます。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君)利用しやすい護岸の整備についてのお尋ねでございます。
 護岸の整備に当たりましては、これまでも、運河沿いなどの護岸上に緑豊かな遊歩道を整備しますとともに、階段式や緩傾斜型の護岸構造を採用するなど、水辺を身近に感じられるようさまざまな工夫を行ってきておりまして、これらの延長は約二十二キロメートルに及んでおります。また、災害時に小型船が接岸可能な護岸も整備しており、その数は百カ所を超えております。
 現在推進しております運河ルネッサンスでは、これらの取り組みを一層充実させるほか、運河クルーズなどのための観光桟橋の設置を可能とするなど、海側からも陸側からも利用しやすい護岸整備に取り組んでおります。
 今後とも、水辺の回遊性や親水性の確保に努め、都民に身近で利用しやすい護岸の整備を積極的に推進してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)地域のポテンシャルを生かした観光まちづくりについてでございますが、今日、体験や交流を重視した旅行への需要が高まる中で、地域ならではの観光資源を活用した取り組みが重要になっております。お話のありました大崎駅周辺でも、目黒川での親水護岸の整備が予定され、新たな水辺の活用が期待されていると聞いております。
 都では、地域が主体的に取り組む観光まちづくりを広く推進するため、リーダーとなる人材の育成、さらには、上野や日野市などにおける推進組織の設立を支援してまいりました。
 今後とも、地域による取り組みの状況も踏まえながら、アドバイザーの派遣や観光情報の発信など、必要な支援を行ってまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)小笠原に関する三つのご質問にお答えします。
 まず、小笠原諸島における外来種対策についてであります。
 小笠原諸島の世界自然遺産登録を目指す上で、外来種対策は重要な課題であると認識しております。
 そのため、都は、植物の生育に大きな被害を与えているノヤギについて積極的に排除を行うとともに、侵略的な外来植物であるアカギの駆除を国に対して要望しているところでございます。
 また、専門家を交え、国と協力し、外来種の駆除方法の検討を行っております。
 さらに、外来種の新たな拡散を防ぐため、島に上陸する際に、靴の泥や植物の種を落とすなどの細部にわたるルールづくりにも取り組んでいるところでございます。
 次に、小笠原におけるエコツーリズムの取り組みについてでございます。
 南島と母島石門において、自然ガイドの同行を義務づけ、人数制限や利用期間等のルールを定めた東京都版エコツーリズムを平成十五年四月から実施しております。
 また、人が立ち入ることによる自然環境への影響を把握するため、継続的にモニタリングを実施しているところでございます。
 今後とも、観光客や住民に小笠原の自然の大切さを伝え、自然の保護と適正な利用を図るため、エコツーリズムを推進してまいります。
 最後に、南島と母島石門の現状についてであります。
 南島では、エコツーリズムによる入島制限により、クサトベラなどの植生が順調に回復しつつあります。また、母島石門では、ガイドが同行することにより、利用者が登山道を外れることがなくなり、植生の踏み荒らしが解消されております。
 今後、モニタリングの結果を踏まえ、エコツーリズムのルールの見直しを行うなど、小笠原の自然の保護と利用の両立を推進してまいります。

〇議長(川島忠一君)四十二番山加朱美さん。
   〔四十二番山加朱美君登壇〕

○四十二番(山加朱美君)東京都が招致を目指す二〇一六年のオリンピックは、福祉の発展に大きく寄与するものであり、障害者団体も東京招致に大きな期待を寄せて、その成り行きを見守っているところが多いようであります。
 オリンピックと同じ都市で開催されることを義務づけられた障害者スポーツの祭典、パラレル、すなわち、もう一つのオリンピックといわれるパラリンピックについて伺います。
 そもそも脊髄損傷の治療にスポーツによるトレーニング効果を試したことから始まった障害者のスポーツ大会、発祥の地はイギリス・ロンドンでありますが、その名称は、一九六四年、東京オリンピックに伴う東京大会において、下半身麻痺を意味するパラプレジアとオリンピックを組み合わせ、初めてパラリンピックという大会愛称が使用されています。オリンピックにおけるトップアスリートの世界最高水準の競技同様、障害者が数々の障害を克服し、自分の持つ力、体力を最大限に高め、自立と社会参加を見事に果たしながら、自分の限界に挑戦する努力とそのプロセスは、都民、国民に大きな感動と新しい活力、勇気をもたらします。
 また、障害者自身にとっても、パラリンピックは重要な自己表現の場でもありましょう。今月十日からはトリノ冬季パラリンピックが開催されます。先日、日本選手団代表は、その決意の中で、だれもが住みやすい社会が世界じゅうに広がることを願い、その一助となるよう自己表現に努めると力強く語っていました。
 パラリンピックの精神は、参加することにこそ意義があるという、すべてのスポーツ精神の礎であります。福祉配慮が内在化されたオリンピックシステムの構築、東京都がオリンピックを開催するに当たっては、全世界に向けて東京ならではの新しいパラリンピックを発信し、そして障害者がスポーツに親しむ起爆剤にしていくべきと考えます。
 そして同時に、世界に類を見ない速さでいち早く高齢社会を迎えた日本が、その体験を持って、今後世界共通の高齢化に向けて、首都としてのノーマライゼーションの新たな方向を全世界に示すことに大きな国際貢献があると思います。
 都は、二〇一六年東京オリンピック招致に伴うパラリンピックをどのように位置づけているのか、知事の見解を伺います。
 次に、福祉保健施策について伺います。
 人口減少社会の到来、少子高齢化の進展により、これまでの社会保障制度を持続可能にしていくには、今まで以上にそれぞれがみずからの生活について主体的に考え、行動することが求められ、同時に社会がその取り組みを支援していく必要があります。
 今回発表された福祉・健康都市東京ビジョンにおける新たな施策展開の基本的な考え方にある目的「新しい自立」は、これからの社会保障制度を維持発展させていく上で、なくてはならない重要なキーワードであると思います。障害者や高齢者も、可能な限り、それまでの人間関係を大切にしながら地域で生活を続けていくことは、人間本来のあり方であり、まただれもが望むことであり、まさに新しい自立が目指すものでもあります。
 そこで、改めてこの新しい自立について所見を伺います。
 障害のある人もない人も、お互いに人格と個性を尊重してともに生きる共生社会を実現するためには、障害者が地域で利用できるサービスが十分に整備されていることが不可欠であります。
 都は、十八年度から、新たな障害者地域生活支援・就労促進三カ年プランを策定しました。このプランの考え方については、昨日、我が党の代表質問で伺いましたが、障害者が地域で自立して生活していくためには、何よりもまず生活の基盤となる住まいが確保されていることが前提です。今後のグループホームの整備がとりわけ重要であります。
 養護学校からは毎年約千人の卒業生が見込まれます。知的障害者の入所施設には約六千人が入所しています。現在、グループホームの定員は入所施設の三分の一程度ですが、将来的にはこの差をできる限り縮めていくことを目指すべきであります。知的障害者のグループホームは、あと千人分を整備すれば、入所施設の定員の半分になります。現行の三カ年プランにより、その整備は大幅に進みましたが、しかし、依然として整備状況には地域間の格差が見られます。さらに、精神障害者のグループホームも、社会的入院患者の受け皿として今後積極的に整備していく必要があります。
 都として、今後、グループホームの整備にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、障害者自立支援法では、制度を安定的に運営していくために定率負担を導入することとしておりますが、所得の少ない障害者に対しては影響が大きく、きめ細やかな配慮が求められます。我が党は、昨年の四定において、ホームヘルプサービスについては、都としてさらに踏み込んだ独自の軽減措置を講ずる必要があることを申し上げ、今後、検討していくという答弁でした。都はどのような負担軽減措置を行う予定か、所見を伺います。
 次に、認知症高齢者対策について伺います。
 都内でおよそ十六万人と推計される認知症高齢者対策の充実は、今後の高齢者施策における大きな課題の一つであります。だれもが老いることは人生の条理であります。認知症は年とともにだれもがなり得る病気であり、早期の適切な治療やケアを受けることで、地域での自立した生活が十分に可能といわれます。しかし、認知症高齢者本人やご家族には、周囲の人々の無知による誤解や偏見などもあり、必要以上の大変なご苦労があると聞きます。
 特に認知症の代表的な症状とされる徘回などの行動障害については、家族だけの対応には限界があり、地域ぐるみ、まちぐるみの取り組みが求められるものと思います。例えば、認知症の高齢者が外出先で道に迷ったりトラブルに巻き込まれたようなときに、一般の都民の方々や地域生活に密着した仕事をしている方々が、認知症に対する基礎的な知識や、ちょっとした手助けのスキルを身につけているだけで随分違うと思います。
 そこで、都として広く都民に対し認知症に関する知識を普及するための取り組みを進め、日常生活の中でだれもが気軽に認知症高齢者の支援にかかわることができるような取り組みを促進するなど、認知症に優しいまちづくりを推進することを求めるものですが、所見を伺います。
 次に、成年後見制度について伺います。
 判断能力が不十分な方々の権利を擁護する制度として平成十二年に創設されてから、六年が過ぎました。昨年度、都内での申し立て件数は約二千件と聞いております。この制度の対象と推計される方々が都内およそ二十三万人、まだまだごく一部の方が利用しているにすぎません。この背景には、制度そのものが一般の人々に十分周知されていないこと、また、区市町村の体制や後見人等の候補者の不足など、さまざまな要因があるかと思います。
 さらに、制度の活用を阻む壁として費用負担の問題があります。制度の利用者は、身近に頼れる親族がいる方、経済的にゆとりのある方ばかりではありません。申し立て費用等を負担する能力が乏しい方に対しては、国が区市町村への補助制度を設けていますが、補助要件が限定されていて、使い勝手がよくないと聞いております。また、生活保護費の算定に申し立て経費は算入されていないのが現状で、約十万から二十万ともいわれる申し立て経費を、月々の生活扶助の中から工面するのは相当に困難だと思われます。
 こうした課題を解決するため、都は、申し立て経費についても、国の事業では対象とならないケースも補助するなど、積極的に施策の展開を図っていることは高く評価いたしますが、生活保護の世帯が百万世帯の大台に乗り、半数は高齢者世帯といわれる昨今、さらに区市町村の取り組みに対するサポートを積極的に行っていくべきであります。
 制度が積極的に活用されるかどうかが、ひとえに区市町村の取り組み次第であるという状況では、せっかくの支援策を講じる都としても、まさに隔靴掻痒の感と思います。そういう現状から一歩踏み出し、今後、制度のより一層の活用を期待するためにも、都は新たな視点で行動するべきであり、またそれが都道府県行政を担う都の役割であると考えます。
 そのためには、成年後見制度の利用を本当に必要としている方々が支障なく制度を活用できるよう、改善が必要な事項について積極的に国への働きかけを行っていくべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、税源移譲について伺いますが、初めに、主税局のここ数年の都税の徴収確保への取り組みについて一言申し上げます。
 創意工夫を凝らしたさまざまな先駆的な取り組みにより、平成十六年度の徴収率は九六・八%と、過去最高の実績を上げました。財政再建推進プランの歳入確保の目標も大幅に上回り、現場で苦労されている主税局職員の努力に心から敬意を表します。
 ところで、いわゆる三位一体の改革における国庫補助負担金改革をめぐっては、義務教育費や国民健康保険など、国と地方の負担割合の変更にとどまるという、単なる数字合わせに終始し、地方の自主性の発揮という観点が忘れ去られたことは否めない事実であります。
 しかし、地方税の充実確保という側面では、全国の自治体が待望した、基幹税である所得税から個人住民税への三兆円規模の税源移譲が平成十九年度からようやく実現することになったわけであります。こうした税源移譲による地方税の充実は、地方の自主、自立的な行財政運営を確保し、真の地方自治を確立するためには不可欠であります。
 そこで、今回の税源移譲について、都の税務行政を執行する立場からどのように評価しているのか伺います。
 次に、今回の税源移譲の実現により、納税者の数という点に着目すれば、所得税よりも個人住民税を多く納める方の方が多くなります。それだけに地域住民が都や区市町村の行政に向ける目は、単に関心が高まることにとどまらず、一段と厳しいものとならざるを得ず、それに伴って自治体の地域住民への説明責任もますます重くなっていくものと考えます。
 また、地方の税務行政の運営面においては、個人住民税を含めた地方税をこれまで以上に適正に課税し、徴収していくことが、税の公平性を確保し、さらには住民の理解を求める上で極めて重要であります。
 そこで、今回の税源移譲の実現を受け、都税の徴収確保に今後どのように取り組んでいくのか伺います。そして、今後より一層住民の期待にこたえる都政を構築されるよう強く要望いたします。
 次に、大都市東京が地球温暖化の克服に向けて先導的役割を果たしていく必要があることはいうまでもありません。
 都内の温室効果ガス排出量は、家庭部門における増加が著しくなっています。そのエネルギー消費は約六割が家電製品などによる電力消費が占めています。いかに省エネ型の家電製品の普及を図るかが課題ですが、この実現に向け、都は昨年条例を改正し、七月から省エネラベリング制度を施行しています。家電製品の販売店に、省エネ性能の相対評価、電気料金等の表示を義務づけ、消費者の環境配慮行動を促すものでありますが、しかし、消費者に対しこのような情報を確実に伝えるためには、販売店がしっかりと表示義務を果たす必要があります。今後の取り組みをどのように促進するのか伺います。
 そして、せっかく省エネ型の家電を購入しても、例えば暖房温度を二十度ではなく、二十八度に設定してしまえば、省エネ効果は何ら発揮されません。地球温暖化の問題は、住まいのあり方やライフスタイルの見直しなど、都民一人一人が常に意識を持って行動を実践する社会の実現が求められます。都民が温暖化対策にさらに積極的に取り組むよう、継続して普及啓発を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、私は、一昨年四定の質疑で、ニートと呼ばれる若者の増加に対し早期取り組みの重要性について指摘いたしましたが、このニートには高校中退者が多く含まれているといわれています。平成十六年度の都内高校中退者数は約八千人と聞いていますが、彼らがニート等にならないための取り組みの一つとして、やり直し、学び直しができる社会を構築することが必要です。都では高校中退者に対しどのような支援を行っているのか伺います。
 そして、高校中退の理由は多様であり、一律な支援では対応し切れないと思いますが、さまざまな機関との連携や民間活力の活用が大切です。今後の連携の取り組みについて伺います。
 最後に、私の地元練馬区内では、都市計画決定から六十年、大変長い間完成が待たれていた環状八号線が五月に開通の予定です。この環状八号線と新大宮バイパス、川越街道を結んでいるのが放射三五号線ですが、この路線は平成十六年十二月に事業許可がなされ、本年度は本格的に用地取得に着手していると聞いております。早期整備のためには用地の確保が重要ですが、どのように取り組んでいるのか、取り組みを伺います。
 そして、都市計画事業には多くの関係権利者の協力が必要です。この放射三五号線沿線は古くからの住宅街で、大変長く居住している方々も多く、整備を進めるに当たっては、どうか生活者の目線を大切にし、事業に協力する関係権利者に十分配慮しながら事業を進めていただきたいと思います。
 そこで、生活再建の面において東京都はどのような努力をしているのか伺い、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)山加朱美議員の一般質問にお答えいたします。
 パラリンピックの位置づけについてでありますが、パラリンピック大会は、オリンピックと理念を共有する障害者のスポーツの祭典でありまして、そこに集い競う選手の姿は、より人間的で感動的でもあると思います。
 東京パラリンピックにおいては、競技会場や選手村などのバリアフリーを徹底することはもちろんのこと、東京のITやすぐれたものづくり技術の集積などの優位性を生かして、夢と感動を与える、東京ならではの大会を実現したいと思っております。
 大会を契機に障害者のスポーツの振興を図り、さらには障害者の自立と社会参加を進め、障害者に対する理解を深めていきたいものだと思っております。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)福祉に関連して五点の質問をいただきました。
 まず、福祉・健康都市東京ビジョンについてでございます。
 このビジョンが掲げる新しい自立でございますが、これは、積極的な健康づくりへの取り組み、就労や地域生活への移行を目指した主体的な行動など、個々人の状況や環境のもとでの、その人らしい自立へのチャレンジにより実現される、都民一人一人の自立を基本に据えた考え方でございます。こうした都民行動はみずからの生活の質を向上させるのみでなく、周囲の人々や社会を支える力ともなり、社会保障制度を含め、より豊かで力強い社会システムの礎となるものでございます。
 今後、こうした視点に立ちまして、民間、地域、行政の持つ力を最大限に生かしながら、効率的、効果的に各種施策を展開し、将来世代にわたる確かな安心を実現してまいります。
 次に、今後のグループホームの整備についてでございますが、ご指摘のように、障害者が親元からの自立や地域生活への移行を進めるためには、居住の場でございますグループホームの整備が極めて重要な課題でございます。このため、今回策定いたしました障害者地域生活支援・就労促進三カ年プランにおきましては、精神障害者を含むグループホーム千三百人分の整備を目標に盛り込んだところでございます。
 今後は、グループホームの質の一層の向上を図るため、世話人研修の充実、あるいはグループホーム事業者間での情報の共有化などに取り組むことによりまして、障害の種別にかかわらず、希望するすべての障害者が地域で自立して生活していくことができますよう支援してまいります。
 次に、ホームヘルプサービスの負担軽減措置についてでございますが、障害者自立支援法では、既に月額負担上限額の設定や社会福祉法人等による負担軽減制度の実施など、低所得者に対する配慮がなされておりますが、都はこれらに加え、障害者が地域において自立して生活していく上で基幹的な役割を果たしておりますホームヘルプサービスに関して、さらにきめ細かい配慮が必要と判断し、独自の取り組みを行うことといたしました。
 具体的に申し上げますと、平成十八年度から二十年度までの三年間、社会福祉法人等による負担軽減制度を、民間事業者などすべての事業者に拡大するとともに、低所得者を対象とした激変緩和措置といたしまして、原則一〇%の利用者負担を三%に軽減するものでございます。
 次に、認知症に優しいまちづくりについてでございます。
 高齢者が認知症になっても地域の中で暮らし続けられるようにするためには、多くの都民による認知症に対する正しい理解と、声かけや見守り、手助けなど、日常生活におけるさまざまな支援が必要でございます。
 このため、都は、来年度、仮称でございますが、認知症高齢者を地域で支える東京会議を設置いたしまして、支援の担い手となる都民を初め、区市町村、公共交通機関や、小売店、飲食店など生活関連企業の参画も得まして、認知症高齢者の生活を地域で支えていく機運を高めることとしているところでございます。こうした取り組みにより、東京が、ご提案の認知症に優しいまちとなるよう努めてまいります。
 最後に、成年後見制度の活用に向けた取り組みについてでございますが、都では、本年度、成年後見活用あんしん生活創造事業を新たに実施いたしまして、制度の担い手でございます後見人等を養成するとともに、国が対象としていない方の申し立て経費などを独自に補助するなど、制度の普及促進に積極的に取り組んでまいりました。
 しかしながら、本来、負担能力がない方に対する支援策など、制度を普及するための環境整備につきましては、国が責任を持って実施すべきものと考えております。このため、都といたしましても、ご提案の国の成年後見制度利用支援事業の対象要件の拡大や、生活保護制度の改善など、制度利用促進のための支援策を拡充するように国に対し提案してまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君)税源移譲に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、今回の税源移譲についてでございますが、いわゆる三位一体の改革における国庫補助負担金の見直しは、国と地方の負担割合の変更によって削減目標数値を達成しようとするなど、数字合わせに終始しておりまして、地方の行財政運営の自由度は一向に増しておりません。
 また、法人事業税の分割基準の見直しに名をかりました都に対するさらなる財源調整の強化が行われまして、あるべき地方税制の姿がゆがめられる側面もあったことは事実であります。
 しかしながら、今回実現される税源移譲そのものにつきましては、個人住民税という、受益と負担の関係が明確な地方の基幹税が充実されること、三兆円規模という、現行地方税法制定以来初めての大規模な税源移譲でありまして、地方の自主財源の拡充に大きく寄与するものであり、画期的なことと考えております。
 次に、今後の都税の徴収確保への取り組みについてでございます。
 税源移譲による地方税源の充実に伴いまして、今後、地方税に向けられる住民の厳しい目を意識して地方税の徴収確保に努めることが強く求められるものと考えております。とりわけ個人住民税は、今回の税源移譲によりまして、基幹税としてますます重要な役割を担うこととなり、賦課徴収を行う区市町村には、ご指摘の税の公平性あるいは住民の理解の確保のためにも一層の徴税努力が求められております。
 したがいまして、今後とも都内区市町村との緊密な連携を図りつつ、個人都民税の確保と区市町村への支援等に努めてまいります。
 また、唯一の歳入所管局といたしまして適正、公平な課税に努める一方、全国の模範となりますよう、創意工夫を凝らしながら、さらなる徴税努力に向けまして全力を尽くしてまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)地球温暖化対策に関する二つのご質問にお答えします。
 まず、省エネラベルの表示促進についてでございます。
 省エネラベルは、消費者に対し、省エネ性能の高い家電製品の選択を促すことを目的としております。都はこれまで、家電販売店での省エネラベルの表示が促進されるよう、ラベルの印刷ソフトを提供するなど、店舗での負担軽減を図っているところでございます。
 都が始めたラベル表示は、二十二の都道府県で実施されております。このような都の先駆的な取り組みを踏まえ、現在、国では、全国展開できるよう表示方法などを検討しているところでございます。
 今後とも販売店における表示の実施状況を確認しながら、表示の徹底を指導してまいります。
 次に、都民に対する温暖化対策の普及啓発についてでございます。
 関係各局が連携して実施するテーマ広報の一つとして、今年度は地球温暖化対策を取り上げ、テレビ、ラジオ、新聞など、さまざまな媒体を活用し、省エネの取り組みを広く都民に呼びかけてまいりました。その一環として、住宅情報誌などの雑誌に、マンションの環境性能を購入者に伝える新たな仕組みである、マンション環境性能表示制度の広告を今月掲載する予定でございます。
 今後とも、都の広報紙の活用や、都民向けに省エネ対策のシンポジウムを開催するなど、あらゆる機会を通して温暖化対策のさらなる普及啓発を図ってまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君)高校中退者に対する二つの質問にお答えをいたします。
 まず、高校中退者に対する支援についてでございますが、高校を中退した生徒の再スタートを支援するため、都では、昨年四月に、青少年リスタートプレイスを開設いたしました。青少年リスタートプレイスでは、高校中退者や保護者に対し、高校への再入学などの相談や、東京しごとセンターと連携をした就職相談を現在行っております。
 また、現在、高校中退者へのアンケートを実施しておりまして、その結果などを踏まえ、今後とも、高校中退者が新たな目標を見出し社会に参画していくことができるよう、積極的に支援していきたいと思います。
 次に、高校中退者を支援するための今後の連携の取り組みについてでありますが、ご指摘のとおり、高校を中退する理由はさまざまでありますので、関係機関連携は重要であると考えております。
 都では、その一環としまして、この二月に、NPO団体を含む関係機関の参加を得まして、高校中退者支援のためのフォーラムを開催し、意見交換を行いました。
 今後、高校中退者を支援している、いわゆるサポート校や通信制高校との連絡会の一層の充実、またサポート校のネットワーク化など、関係機関、NPO団体などとの連携をさらに深めていきたいと考えております。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)放射第三五号線に関する二点のご質問にお答えします。
 まず、放射第三五号線の用地取得についてでございますが、この路線は、新大宮バイパスと池袋につながる放射第三六号線を結び、道路交通の円滑化とともに、地域の発展に寄与する重要な路線でございます。現在、練馬区北町五丁目から環状第八号線付近の早宮二丁目までの約一・四キロメートルの区間で事業を進めております。
 本路線の用地取得につきましては、東京都道路整備保全公社に委託し、重点的、集中的に取り組んでおり、委託初年度に当たる平成十七年度は、全体の三〇%、約一万平方メートルを取得いたします。
 今後とも、財源の確保に努めるとともに、地域住民の理解と協力を得て、早期整備を目指してまいります。
 次に、生活再建への取り組みについてでございますが、事業用地の取得に当たっては、適正かつ公平な補償を行うとともに、代替地や都営住宅のあっせん、移転資金の貸し付け、民間の物件情報の提供など、関係権利者の生活再建に向け、さまざまな取り組みを行っております。
 本路線におきましても、七件の代替地の売り払い、三件の移転資金の貸し付けを進めているほか、物件のあっせんや専門家による用地相談の活用など、積極的な支援を行っております。
 引き続き、折衝に当たりましては、関係権利者の生活再建に十分配慮し、きめ細かな対応に努めてまいります。

〇議長(川島忠一君)三十七番上野和彦君。
   〔三十七番上野和彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十七番(上野和彦君)初めに、ユビキタスネット社会の実現を目指す観点から、就学児童の安全を守る取り組みについて伺います。
 昨年二月の寝屋川市立小学校の事件や十一月の広島市、十二月の今市市、ことし二月の長浜市の事件など、学校の内外で子どもが巻き込まれる事件が多発しており、子どもの安全確保は国民の大きな課題となっております。
 こうした中で、最先端のIT技術を活用して子どもの安全を守る取り組みが進められております。
 都内のある私立小学校では、昨年四月からICタグを活用した児童の安全対策システムを導入しております。先日、同校を訪れ、児童の登下校管理システムの運用状況を見てまいりました。そこでは、児童が校門を通過すると、校門に設置されたセンサーがランドセルにつけたICタグの情報を感知して、各児童の登下校時刻を記録し、ほぼ同時に、保護者の携帯電話などにメールで送信されます。保護者からは、安心して下校を待っていられるなど、喜びの声も上がっているとのことでありました。
 さらに、現在のIT技術の能力は、例えば子どもが危ない目に遭ったときに、緊急ボタンを押すと、最寄りに設置されたセンサーが感知し、その情報がセンターを経由して警察や防犯ボランティア、保護者にまで即時に伝わり、現場に駆けつけることも可能だと伺いました。
 また、東京都でも、産業技術研究所がICタグを子どもの犯罪被害防止や災害対策に役立てようと、システムを開発しました。今後、実用化へ実験が開始されると聞いております。
 こうしたICタグのシステムを初め、さまざまなすぐれたIT技術が生まれ、子どもの安全に活用できるようになってきております。少子化を迎える中、かけがえのない子どもの命を守ることは何よりも大事であります。安全は、さまざまな施策を幾重にも講じてこそ確保できるものです。
 知事は施政方針の中に、来年度、社会全体で子どもを守る取り組みをさらに強化いたしますとの力強い表明をされました。ユビキタスネット社会の実現を目指す観点からも、急速に普及しているICタグなどIT技術を活用して、子どもたちの安全確保を重層的に進めるべきであります。知事の所見を伺います。
 文部科学省では、平成十八年度から、このようなITを活用した学校安全情報共有システムに関するモデル的取り組みを全国四十七地域で実施する事業を行う予定であります。都教育委員会でも、この事業を活用し、家庭及び地域の警察を初め関係機関との円滑な連携のもと、就学児童の安全確保のため、ICタグなどのIT技術を活用した実証実験に今こそ取り組むべきであります。所見を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 江戸川区では、区独自の施策すくすくスクール事業が区内七十三校すべての小学校で行われています。これは、放課後から夕方まで、学校の教室や校庭、体育館などで、すべての児童を対象に、一年生から六年生までの子どもたちが一緒に遊んだり、さまざまな活動をするというものであります。この取り組みの特徴は、かかわる大人も、指導員だけでなく、幅広い地域住民が積極的に参加しているという点です。この事業を通して、かつて地域に存在し、今失われようとしているさまざまな社会的教育を豊富に体験でき、子どもたちが社会の知恵やルール、遊び、文化を学び、人間として大きく成長しております。
 この事業は、文部科学省が子どもの居場所づくりとして平成十六年度から緊急三カ年計画で取り組んでいる地域子ども教室推進事業と連携して実施されております。こうした国の事業を活用した取り組みは、東京都においても全都的に実施されていると思いますが、江戸川区の事業も含めたこの事業の評価について、都教育委員会に伺います。
 この国からの支援は、残念ながら平成十八年度で終了することになっています。すくすくスクールを初め、子どもの居場所づくりのこうした事業は大変に評判もよく、成果も出ているところであります。都は、地域子ども教室推進事業の継続実施を国に要望するとともに、地域での取り組みに対して支援を図っていくべきであります。所見を伺います。
 地域子ども教室推進事業をより効果的に進めるには、人材養成や活動の場の確保及び人材のネットワークづくりが必要であり、特に、薬物乱用の怖さやフリーターと正規雇用の生涯賃金の違いなどをわかりやすく学習し、健全な青少年を育成するためにも、薬剤師、社会保険労務士などの専門資格を有する人材の積極的な活用が重要であります。
 都教育委員会では、今年度から、学校、家庭、地域が協働した子どもの健全育成の取り組みとして、地域教育連携推進事業を都内四地区でモデル事業として実施しております。加えて、その活動を支援するため、地域教育推進ネットワーク東京都協議会において、コーディネーターの養成、研修などのプログラムづくりや人材のネットワーク化を進めております。
 そこで、都は、地域教育推進ネットワーク東京都協議会の仕組みを生かし、地域教育力を総合的に向上させるために、専門資格を有する人材を活用するなど、地域のさまざまな活動に積極的にかかわるべきであります。所見を伺います。
 こうした地域における子どもの居場所づくりには、さまざまな基盤整備を伴います。都は、次世代育成支援のための子育て支援基盤整備包括補助金により、子どもの居場所づくりについても区市町村への積極的な支援を行っていくべきであります。所見を伺います。
 次に、江戸川架橋の整備について伺います。
 道路や橋梁は、自動車交通のみならず、歩行者や自転車の移動を支えるとともに、地域の防災性や安全性の向上のために必要不可欠な都市基盤施設であります。
 江戸川区においては、隣接する千葉県との都県境に江戸川があることから、地域間の連携を図る上で、特に橋梁の整備が重要であります。
 一般に、交通渋滞の解消や防災性、利便性の向上を図るには、橋梁と橋梁の間隔は二キロメートル以下が理想とされております。そこで、都内の主要河川の平均橋梁間隔を調べてみますと、多摩川が一・九キロメートル、隅田川が〇・九キロメートル、荒川が一・八キロメートル、江戸川は何と二・七キロメートルあります。特に、区内における江戸川の平均橋梁間隔は約三・五キロメートルあり、他と比較してもかなり広くなっていることから、JR総武線と並行する市川橋では慢性的な交通渋滞が発生するなど、人や物の交流に支障を来しております。
 そこで、第三次事業化計画に位置づけられた放射一六号線や補助一四三号線について、交通渋滞の解消や防災上の観点からも橋梁の整備を急ぐべきであります。所見を伺います。
 また、千葉街道の市川橋から新大橋通りの今井橋までの区間、約八キロメートルにわたり、人が通行可能な橋梁がありません。これは、地域間連携や防災上の観点から、まことに重大な問題であります。
 そこで、この区間に江戸川を渡る橋梁が計画されている補助第二八六号線について伺います。
 本路線は、区部の第三次事業化計画に位置づけられなかった路線であります。しかし、江戸川を挟んで、江戸川区の篠崎公園、対岸の市川市には大洲防災公園があり、両方ともに広域避難所として指定されており、この両公園の連携は極めて重要であります。すなわち、周辺地域の防災性向上や低地帯である江戸川区での水害時の避難路、また震災時における帰宅困難者のルート確保の観点からも、本来、優先的に整備が望まれる路線であります。
 私は、歩行者だけでも渡ることのできる橋梁を暫定的でも整備すべきと思うほど、この補助二八六号線の整備の必要性を感じております。
 本路線の整備に当たっては、地元区の主体的な取り組みはもとより、市川市の協力が不可欠であることは十分理解しておりますが、都は防災都市づくりの観点から、地元区のまちづくりが具体化した機会をとらえて、事業化や整備に向けた支援を行うべきであります。見解を伺います。
 次に、都立篠崎公園の今後の整備方針について伺います。
 都立公園は、市街地か郊外かといった地域性や地形、自然条件などに応じて特徴ある整備をしていく必要があります。篠崎公園は、野球場やテニスコート、バーベキュー広場などがあり、日常的な利用はもちろん、江戸川区最大の催しの区民まつりの会場となるなど、広く地元に愛着を持たれている公園であります。しかし、全体の整備基本方針が今もって明らかにされておりません。そのため、点在して開園している用地があるものの、全体がどのような公園になるのか、なかなか見当もつきません。
 篠崎公園の整備には予算も重点的に配分されていると聞いており、実際に順次整備が進んでおりますが、計画に対する開園率は三三%であり、まだ五十八ヘクタールが未開園となっております。この十年間での開園実績が六ヘクタール、このペースでは、単純に計算してもあと百年はかかります。
 このような状況では、明確な将来の整備予定を語れる時期ではないのかもしれませんが、用地買収など地元の協力を得て整備を進める以上は、全体の整備基本方針を都民に明らかにするべきであります。所見を伺います。
 また、篠崎公園では防災関係施設の整備が行われており、災害時にも使えるトイレ、緊急時にヘリポートとなる野球場、救援活動や支援物資輸送の大型車両に対応した園路の改修など、開園部分では、十七年度でこれらの整備が終了すると聞いております。地域の安心感は大いに高まっており、防災訓練などでの活用が期待されます。
 しかし、災害に対しては、備えをし過ぎるということはありません。そこで、篠崎公園の整備の基本方針を踏まえて、さらに災害に強いまちをつくるために、避難や救援活動にも使える公園の整備拡張をすべきであります。
 防災の観点も含めた、次の十年間の具体的な整備スケジュールについて伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)上野和彦議員の一般質問にお答えいたします。
 子どもの安全対策についてでありますが、昨今頻発する子どもに関する痛ましい事件の報道に接するたび、実に暗たんたる気持ちになります。子どもの安全確保はまさに喫緊の課題であると思います。
 次代を担う子どもたちを卑劣な犯罪から守るには、ご指摘のIT技術の活用も含めて、実効性のある具体策をさまざま講じる必要があると思います。
 今後とも、都は、子どもの安全を確保するため、子どもたちがみずから危険を回避する取り組みや、先日作成いたしました、子どもを見張る社会の目を象徴する車に張る防犯ステッカーなどを利用しまして、地域住民が協力して子どもを守る取り組みを強力に支援していくつもりでございます。
 ちなみに、これですが、(実物を示す)これは非常に好評で、二万部つくりましたけれども、既に配布し尽くしまして、さらに一万部つくりました。小型はバイク用のがございますから、ぜひ皆さんもひとつ車にこれを張っていただきたいと思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、就学児童の安全確保のためのIT技術の活用についてでございます。
 都教育委員会といたしましては、ご指摘のように、小学校等における子どもの安全対策のためにさまざまなIT技術の活用を図ることは、一つの方策であると認識しております。
 文部科学省の学校安全情報共有システムに関するモデル的取り組みの詳細は、現時点では明らかにはなっておりませんが、都教育委員会といたしましても、本事業の趣旨にかんがみ、子どもの安全対策の方策として、このモデル的取り組みの活用を図ってまいります。
 次に、地域子ども教室推進事業の評価についてであります。
 本事業の都内区市町村の実績を見ますと、十六年度に二十七団体、二百二十九カ所、十七年度には三十一団体、三百四十五カ所と規模が拡大しております。
 お話の江戸川区のすくすくスクールの事業につきましても、学校、地域、家庭等の協力のもとに、子どもたちがさまざまな活動をしておりまして、健全育成に向けた新しい取り組みを目指していると聞いております。
 このように、この事業は、各地の地域子ども教室の活動を通じまして、学校や家庭、地域など、社会全体で子どもたちをはぐくむ環境が醸成されつつありまして、地域の教育力の再生につながるものであります。
 次に、国への要望等についてでございます。
 本事業を実施しております区市町村の関係者から、子どもと大人との交流が盛んになった、あるいは大人の連帯感が強まったなど高い評価とともに、十九年度以降の継続実施の要望も寄せられております。
 都教育委員会といたしましても、本事業の意義については十分認識しておりまして、本事業の継続実施を国に要望してまいります。
 さらに、都教育委員会は、昨年八月に設置いたしました地域教育推進ネットワーク東京都協議会を活用いたしまして、活動事例の紹介等の情報提供や研修の実施を行うなど、区市町村の取り組みを支援してまいります。
 最後に、専門的人材の積極的な活用についてでございます。
 子どもたちの健全な育成を図るには、ご指摘のように、専門的人材の積極的な活用なども必要であると認識しております。
 都教育委員会は、地域教育推進ネットワーク東京都協議会に、多様な能力を有する人材の積極的な参加を呼びかけるとともに、本協議会を活用いたしまして、コーディネートを担う人材の育成や紹介、地域での活動実践のプログラム開発などを行ってまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)子育て支援に関しまして、子どもの居場所づくりの基盤整備に対する支援についてのお尋ねでございます。
 子育て支援基盤整備包括補助は、区市町村が、子育て環境の充実を図るため、地域の実情に合わせて子育て支援施設などの基盤整備を行う場合に、柔軟かつ広範に財政支援を行うものでございます。このため、対象事業を限定せず、幅広く支援していくものとしております。
 お話の子どもの居場所づくりにつきましても、学校に限らず、児童館や商店街など地域のさまざまな資源を活用し、区市町村が創意工夫して整備を行っていくものにつきましては、可能な限り支援をしてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)三点のご質問にお答えします。
 まず、放射第一六号線及び補助第一四三号線の橋梁の整備についてでございますが、これらの路線は都市間の連携を強化する重要な路線でありまして、第三次事業化計画における優先整備路線に位置づけております。
 特に放射第一六号線につきましては、都心と千葉県臨海部を最短ルートで直結する骨格幹線道路でありますが、旧江戸川にかかる橋が未整備区間となっております。
 放射第一六号線及び補助第一四三号線の橋の整備に当たりましては、事業手法や取りつけ部の整備時期の調整など、都県境の橋梁整備特有のさまざまな課題があります。
 このため、千葉県との連絡調整会議を定期的に開催し、事業化へ向け、それぞれの課題について検討を行っております。
 次に、篠崎公園の整備の基本方針についてでありますが、篠崎公園は、東京における防災公園ネットワークの一翼を担うとともに、各種スポーツ競技など、広く都民のレクリエーション需要に対応した区部の大規模公園として、その整備に取り組んでまいりました。
 都は現在、公園ごとの立地条件や求められる機能を踏まえ、整備の方向性や管理のあり方を示す公園別マネジメントプランの作成を進めております。お話の篠崎公園の整備方針につきましても、このマネジメントプランの中で明らかにしてまいります。
 最後に、篠崎公園の整備スケジュールについてでありますが、都はこれまで、災害時にヘリコプターの離着陸ができる広場を整備するなど、防災上の観点から公園の改修を進めてまいりました。
 今後、防災機能をさらに向上させるため、公園の拡張整備に重点的に取り組む必要があります。
 具体的には、開園区域と柴又街道を結ぶ区域を優先的に整備するとともに、道路に沿った緑豊かな園地を拡大し、災害時の避難路や延焼遮断帯の機能を強化してまいります。
 引き続き、住民の協力を得て、防災性の向上とレクリエーション利用の拡充を図り、都民に親しまれる公園づくりに努めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)都市計画道路補助第二八六号線の整備についてのお尋ねですが、本路線は、江戸川を渡り、対岸の市川市との連携強化など、都県境周辺における道路ネットワークの形成に資する路線でございます。
 また、地元江戸川区では、都市マスタープランにおきまして、災害時の避難路や延焼遮断帯としての機能を担う地域幹線道路と位置づけており、現在、本路線の周辺地域におきまして、国のスーパー堤防の計画とあわせたまちづくりを検討しているところでございます。
 本路線は、地元区が主体となる路線でございますが、都といたしましても、千葉県側との広域的な協議、調整を進めるなど、整備に向けた地元区の取り組みに対し、必要な支援を行ってまいります。

〇副議長(木内良明君)七十六番小沢昌也君。
   〔七十六番小沢昌也君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○七十六番(小沢昌也君)まず、防災対策について伺います。
 さる二月十六日、東京都防災会議地震部会が首都圏直下地震の被害想定の中間報告を公表しました。この結果によれば、東京湾北部を震源とするマグニチュード六・九の地震では、私の地元である墨田を含む区部東部において建物やライフラインの受ける被害が最も大きくなっており、ハード面での対策が急務であると改めて強く認識しました。
 来年度より、都では、旧耐震基準の木造住宅の耐震診断、耐震改修、旧耐震基準のマンションの耐震診断に対する補助事業が新規に実施されることとなっております。その対象や金額など内容面においてやや不満の残る点もありますが、一定の評価をいたします。ハード、ソフトの両面において防災対策を充実させていくためにも、この被害想定の中間報告をどのように受けとめ、今後それをどのように施策へ反映させていくのかが重要と考えます。
 そこで、被害想定の中間報告の評価と今後の方針について、知事の所見を伺います。
 地域の防災、救援活動のリーダーの担い手として、防災士という民間資格が注目を集めつつあります。平常時には地域や職場において救助訓練など防災意識の啓発を図るとともに、災害時には消防などをバックアップする役割が期待されるものであり、NPOが平成十五年十月から認証を開始しています。
 現在、全国で一万名を超え、都内では千三百余名の方が、この防災士の認証を受けています。愛知、三重、兵庫など八つの自治体では、みずから防災士養成研修を実施するなど、防災士の養成に向けた支援に先進的に取り組んでいます。
 知事は、本会議初日に、自助、共助、公助の精神を基本に、都民の皆さんと連携して災害対策に取り組むとの決意を表明しています。私は、地域の防災力向上のため、特に共助の部分を担う人材として防災士の積極的な活用を検討すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 地元墨田区を歩いておりますと、木造住宅の密集地域が多く、しかも道路が狭く、公園など公共施設が不足しているなど、地震が起きた場合の危険性を改めて実感いたします。
 都では、平成十五年度に防災都市づくり推進計画を改定し、墨田区鐘ヶ淵周辺地区を十一の重点整備地域の一つに指定しました。この計画が改定されてから二年が経過したわけですが、特に鐘ヶ淵地区のまちづくりへの取り組みについて、四点伺いたいと思います。
 この地区は大地震に備えることがとりわけ必要な地区であり、それは切なる住民自身の願いでもあります。こうした観点から、今後のこの地区のまちづくりについて、都として基本的な考え方とその取り組み方針について伺います。
 次に、この地区の状況ですが、築年数のたった住宅や店舗、作業所を併用した住宅、工場などが密集しており、防災上さまざまな問題を抱えた市街地となっています。一方で、高齢者が多く、人情豊かなコミュニティが存在する地域でもあり、私は、こうした地域では大規模な改造を伴うような事業はなじまず、むしろ残すべきよいものは残し、まちの個性を生かしながら整備を進めるべき地域だと考えております。
 そこで、本地区ではどのような整備を考えているのか、伺います。
 ところで、整備を進めるためには地元住民の協力が必要不可欠です。幾らすばらしい計画を策定したとしても、住民の協力が得られなければ画餅に帰してしまいます。地域の人が住み続けながら整備を円滑に進めるためには、都、区、地元住民の連携と協力が重要と考えますが、都はどのような取り組みを考えているのか、伺います。
 次に、補助第一二〇号線の整備について伺います。
 本路線は、当地区の主要な延焼遮断帯となるものであり、白鬚地区、亀戸・大島・小松川地区を結ぶ避難路、緊急物資の輸送路という重要な役割を担っている道路と認識しております。この道路の整備に当たっては、沿道のまちづくりを一体的に進めていく新たな事業手法で展開していくとのことです。具体的には、単なる道路の整備だけでなく、沿道の建物の共同化や不燃化などを支援し、道路整備とあわせたまちづくりを積極的に後押ししていく事業と聞いております。
 昨年十一月には一部区間において道路の事業認可を取得し、この沿道まちづくりに本格的に着手したようですが、現在の進捗状況と今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、先日公表された、安価で信頼できる耐震改修工法・装置の募集結果について伺います。
 一昨年十月の新潟県中越地震や、昨年三月の福岡県西方沖地震など、大規模な地震が立て続けに起こり、昭和五十六年以前の木造住宅に大きな被害が発生いたしました。文部科学省に設置された地震調査研究推進本部において、今後三十年以内に南関東でマグニチュード七程度の地震が発生する確率が七〇%、今後五十年以内に発生する確率は九〇%と推定しており、古い木造住宅の耐震化は、まさに喫緊の課題となっています。
 都は、これまで木造住宅の耐震診断などについて都民への普及啓発を行ってきておりますが、耐震改修工事の費用が高いという意識や、適切な耐震改修方法がわからないという理由から、木造住宅の耐震化は進んでいないというのが現状です。
 都は、このような状態を受け、昨年十月に耐震改修工法実施事例などを公募し、先日、その選定結果を公表しました。選定に当たっては都民のニーズなどを考慮したと思いますが、どのような評価の視点で選定したのか、伺います。
 次に、構造計算書偽装問題について伺います。
 我が会派の代表質問でも触れましたが、事件の発覚以来三カ月余りが過ぎたにもかかわらず、真相の完全な解明にはいまだ至っておりません。今回の事件で被害に遭われた方々は、賃貸マンションの住民、分譲マンションの住民、そしてホテル、マンションの建て主です。
 その中で最も深刻な問題を抱えているのは分譲マンションの住民で、建てかえのめどすら立たない状況です。私の地元でも、最も最初に偽装により取り壊さざるを得なくなった分譲マンションが判明しており、被害に遭われた方々の声を直接聞いております。一級建築士の方からも、自分が購入する立場でも見抜けなかっただろうとの意見も聞いております。
 私は、こうした分譲マンションの被害者の生活再建に向け、都としても区市と協力して全力でサポートすることを強く要望しておきます。
 また、現在、法令違反の当事者である元請設計事務所、建設会社、ディベロッパー等に対し、国では参考人招致や証人喚問、関係者への聴聞などが行われています。警察による捜査も行われています。都でも元請設計事務所への立ち入り調査などを行っており、建築士事務所登録取り消し処分なども行っていますが、事件の全容が一刻も早く明らかになるよう、都で可能なことはすべて実施することも、あわせて求めておきます。
 その上で、都としても事件再発の防止に向けた取り組みが求められます。わずか一件とはいえ、都が建築確認をおろした物件で偽装が明らかになっている以上、建築確認事務の業務内容についての見直しが必要です。
 建築確認審査の手続や体制のみならず、中間検査や完了検査の手続や体制などについて抜本的に見直し、チェック体制に万全を期すことが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、水辺空間の魅力向上について伺います。
 江戸・東京は、隅田川や町中を網目のように走る水路など、水辺とともに都市が発展し、現在も墨堤の桜や向島百花園、安田庭園など、江戸以来の数々の名所が隅田川に沿って存在しています。
 錦糸町の名前の由来ともなった錦糸堀は、落語でも有名なおいてけ堀の伝説の発祥地として語り継がれるなど、水辺は多くの江戸市民の日常生活に溶け込んでいました。両国の江戸東京博物館では、現在、東京の水辺をテーマとした展覧会が開催されるなど、東京の水辺を再生しようとする動きが都民の間でも広がりを見せています。
 二月十四日に発表された東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想は、観光の視点に立って、関連施策の総合的な展開により東京の多様な水辺空間の再生を目指すものとして、時宜を得た取り組みと考えています。
 水辺は、都民のすぐれた共通財産である一方で、町と町を分ける境界としての役割も担っています。両国と浅草は、ともに江戸市民の娯楽の場として栄え、隅田川を介して両地域を行き来する人々の流れが絶えない一大広域観光拠点でありましたが、現在は観光客の流れもほとんどない状況になっています。
 新東京タワーの候補地として墨田区の押上・業平橋周辺地区が選定されていますが、新東京タワーという施設だけでなく、将来に向けて、観光施設に訪れた人たちが地域をめぐることができる人の流れの創出も重要な課題です。東京都は、構想において、浅草と両国が一体となった観光まちづくりを推進することとしていますが、墨田・台東両区の連携は、新東京タワーの誘致に向けて一つの大きな条件ともなっています。
 私は、区が異なる両地区の連携を促進し、隅田川や、その両岸に広がる観光資源を共通の財産として有効的に活用する取り組みは、水辺空間の魅力向上にとって重要であり、着実に推進を図るべきと考えます。
 かつては隅田川の長堤で散策を楽しみ、また、時には向島を初め隅田川の各地を船で往来することが江戸市民の娯楽でもありました。しかし、現在、隅田川沿いに観光資源があるものの、これらが有機的に結びついているわけではなく、例えば、隅田川の定期船も、下町情緒を楽しむための浅草―両国間といったルートはありません。
 今後、浅草・両国における観光まちづくりを推進し、水上バスの周遊なども視野に入れながら、隅田川沿いの主な観光資源を結ぶ魅力的な観光ルートの構築を推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 昨年十月、荒川ロックゲートが開通しました。私も同僚とともに、両国から扇橋閘門、荒川ロックゲートを経由し、葛西臨海公園に至るルートを船で視察しましたが、東京の重立った観光資源が水辺に集積しているとの印象を強く受けました。
 今後、運河や臨海部など都内各地に広がる観光資源を水辺により結びつけるとともに、さらには、東京湾を通じて横浜や東京ディズニーリゾートなど観光拠点ともつなぐことで、観光地としての東京の魅力が一層高まるものと考えます。
 所見をお伺いいたしまして、以上で私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)小沢昌也議員の一般質問にお答えいたします。
 首都直下地震の被害想定についてでありますが、国が公表した直下地震の被害想定は非常に粗削りでありまして、都や区市町村の震災対策には活用できないと評価しております。
 このため、今回の想定では、被害の大小がより明確になるマグニチュード六・九も加えまして、実態に即したデータを用い、区市町村別に被害を想定いたしました。これにより、優先順位をつけた震災対策の推進や、地域住民、企業と連携した地域防災力の向上に大いに活用できると思っております。
 来年度には、この想定をもとに地域防災計画を見直すなど、さらに震災対策を強化していくつもりでおります。
 他の質問については関係局長から答弁します。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)防災士の活用についてでございますが、地域の防災力の向上には、防災に関する知識を持ち、災害時に行動できる人材の確保が重要でございます。このため、これまで都は、総合防災訓練に地域の住民の参加を求め、また、リーダー養成研修を開催し、地域の防災組織の育成に努めてまいりました。
 防災士は、NPOが付与する個人の資格でございますが、防災知識や応急手当などの講習を受けており、防災士が地域住民と活動することは、地域防災力の向上に寄与するものと考えております。
 今後、区市町村と連携し、防災士に対しまして防災訓練や研修会など地域の防災活動への参加を呼びかけ、技能の向上を図るとともに、住民との協力関係が強化されるよう努めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)防災対策など六点のご質問にお答えいたします。
 まず、鐘ヶ淵地区のまちづくりの考え方についてでございますが、当地区は、老朽化した木造住宅が密集し、細街路も多いことなどから、地域危険度が高く、早期に整備すべき地区として、防災都市づくり推進計画におきまして重点整備地域に位置づけてございます。
 この地区の防災まちづくりの基本は、地区の中央部を走る都市計画道路を整備し、延焼を遮断する機能を持たせるとともに、老朽木造住宅の建てかえなどにより、地区全体の不燃化を図ることでございます。
 取り組みに当たりましては、都区連絡会を設置するなど区との連携を強め、防災上不可欠な道路や広場などを先導的に整備いたします。また、これを契機に、地区計画などの規制誘導策を活用して、木造住宅の建てかえを促進してまいります。
 次に、鐘ヶ淵地区の整備の内容についてでございますが、地域の防災性を効果的に高めていくためには、そこに生活している人々の目線で整備を進めていくことが大切でございます。
 当地区におきましては、平成十八年度に修復型の事業である木密事業を導入し、既存の道路を生かした主要生活道路の整備や、防災上有効な広場の設置を優先的に進めてまいります。あわせて、建てかえ相談に応じるアドバイザーを派遣し、老朽木造住宅の不燃化、共同化を支援するなど、地域の実情に即した防災まちづくりを促進してまいります。
 次に、地元住民との連携と協力についてでございますが、整備を円滑に進めていくためには、地元住民が災害に対する地域の実態を把握し、防災まちづくりへ向けた認識を共有化することが重要でございます。このため、都は、住民の防災意識を高めるよう、これまでも地域危険度調査を実施し、その結果を広報などにより情報提供を行ってまいりました。
 今後は、関係者が主体的に参加するワークショップの開催、道路拡幅や建物の不燃化などの整備効果をわかりやすく示すための延焼シミュレーションの活用などによりまして、まちづくりの機運を高めてまいります。こうした活動の積み重ねにより、都、区及び地元住民との信頼関係を構築し、防災まちづくりを進めてまいります。
 次に、補助第一二〇号線の道路整備と沿道まちづくりについてでございますが、この取り組みは、道路の整備と沿道まちづくりを一体的に進めることにより、延焼を遮断する機能の早期確保を図るものでございます。
 道路整備につきましては、昨年の十一月に事業認可を取得し、精力的に用地の買収を進めてきております。これにあわせ、道路の拡幅によって生じる狭小な残地とその周辺の土地を対象に、建物の不燃化、共同化を図るため、関係権利者と建てかえ計画についての話し合いを重ねております。
 今後、区と連携し、より具体的な整備手法の提案など技術的な支援を行い、鐘ヶ淵地区の防災まちづくりに取り組んでまいります。
 次に、木造住宅の耐震改修工法を選定するに当たっての評価の視点についてでございますが、都民みずからが住宅の耐震化に取り組んでいくためには、多様なニーズに応じた工法等を選択できるよう、適切な情報を提供していくことが重要でございます。
 このため、選定に当たりましては、耐震改修工法及び地震時に命を守るための装置について、経済性や強度を初め施工の難易度といった視点から、学識経験者等により評価を行ってまいりました。
 今後は、こうしたすぐれた特色を持つ工法等の普及に努め、住宅の耐震化をより一層促してまいります。
 最後に、建築確認事務におけるチェック体制についてでございますが、今回のような偽装問題の再発を防止するためには、確認検査制度全般にわたる徹底的な検証と見直しに取り組む必要がございます。
 都は、これまで国に対して建築行政の現場に携わる立場から、国、特定行政庁及び指定確認検査機関の役割と責任の明確化や、信頼性の高い構造計算プログラムの開発、建築士制度の見直しなど、具体的な提案を行ってまいりました。
 今後とも、都の提案の実現に向けて、国へ強く働きかけてまいります。あわせて、国の制度改正を待つことなく、都独自の取り組みとして、構造計算ソフトの活用や、構造計算審査マニュアルの作成などにより確認審査の充実を図り、建築物の安全性の向上に努めてまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)水辺空間の魅力向上についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、浅草・両国における観光まちづくりと隅田川沿いの観光ルートについてでございます。
 浅草と両国が一体となった観光まちづくりの推進には、隅田川沿いの観光資源を有機的に結びつけ、新たな人の流れやまちのにぎわいを創出することが重要であります。
 都は、こうした広域的な観光まちづくりを推進するため、平成十八年度より新たに、江戸切り子や茶の湯など伝統産業や文化を体験できる観光交流拠点の整備や、観光ボランティアの育成など、地域の取り組みを支援してまいります。
 また、船による周遊の視点も加えた水辺の広域観光マップを作成するほか、イベントの開催に合わせて地域間を結ぶ舟運の取り組みを支援するなど、隅田川の観光資源を結ぶ魅力ある周遊の実現を目指してまいります。
 次に、東京湾における観光資源を結ぶ取り組みについてでございます。
 東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想では、個々の地域の特性を生かした取り組みを推進するとともに、観光地をつなぎ、広域的な水辺空間の魅力向上を図ることとしております。
 運河・臨海地域では、観光まちづくりの推進や運河ルネッサンスの拡充等により、地域間を結ぶ魅力ある舟運ネットワークを形成するなど、観光拠点間の連携を促進してまいります。
 また、東京湾には横浜港や東京ディズニーリゾートなど魅力的な観光資源が立地しておりまして、相互の連携を進めることが必要でございます。今後、八都県市首脳会議などを通じまして近隣県とも連携を図りながら、都県域を越えた新たな舟運ルートの実現に向けた検討を進めてまいります。

○議長(川島忠一君)この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時三十六分開議

○議長(川島忠一君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十六番神林茂君。
   〔六十六番神林茂君登壇〕

○六十六番(神林茂君)私は、これより、今後の羽田空港が抱える諸課題について何点か質問いたしますので、石原知事並びに関係理事者の誠意ある答弁をお願いいたします。
 羽田空港再拡張事業については、平成十八年度、国の予算案において千六百二十四億円が計上されており、二〇〇九年十二月の供用開始に向けて、いよいよ本格的な取り組みが始められようとしております。国際ターミナルビルのPFI事業者もこの四月には決まり、その全容が明らかになると、その後には空港跡地の範囲や、その取り扱いについても早急な対応が迫られることになります。今こそ空港に対するしっかりとしたポリシーのもとに、長期的なビジョンを持ち合わせた効果的な対応が必要な時期といえます。
 そこで、まず初めに、羽田空港の再拡張事業の意義と空港の跡地利用に関する基本的な考え方について、石原知事の見解をお聞かせください。
 羽田空港の再拡張事業が完了すると、離発着容量が現在の一・四倍にもふえ、国際定期便も行き交う、経済大国日本の首都東京にふさわしい空港が実現します。しかし、空港だけがいかに立派になっても、空港機能を十二分に支え、活用し得るように、空港運用の工夫と広域的な社会資本が整備されなければ、宝の持ちぐされになってしまいます。
 再拡張後の離発着容量年間四十万七千回は、管制機能などの向上により段階的に増加されていくものと考えられます。ところが、国内線の需要は、人口の減少や少子高齢化などの要因があるため、余り高くは見込めず、その結果、近距離路線で年間約三万回と当面設定された国際定期便について、増便や新たな路線設定が検討されるものと推測できます。
 特に、今後、中国を初めとする東アジア隣国の経済発展による旅客、貨物の日本との往来が飛躍的に増大することが予想されます。羽田空港の国際化による経済波及効果を一層大きなものとし、首都圏全体の国際線航空需要への対応からも、せめて台北や北京までも運航空港にするべきであります。シンガポールなどへの長距離は国際チャーター便として、近距離は韓国、中国、台湾までを含めた少し広い地域までの国際定期便として、羽田と成田空港の機能分担をするべきと考えられます。
 また、昨今、急速に時代はグローバルにスピードを求めることとなり、国際航空貨物の需要は特段に増大することが必定であります。特に、羽田空港での二十三時から六時までの深夜・早朝時間帯に、市街地への騒音影響を考慮して、飛行ルートを海上ルートに限定し、C滑走路及び四本目のD滑走路を運用すれば、さらなる増便の可能性が出てまいります。その際、課題となるのが物流施設であり、神奈川県だけでなく、東京での立地を図ることが、空港の国際化による経済効果をより確実なものにするはずです。
 それに伴って国際線旅客車両と国際貨物の物流車両が相当増加することが想定されるため、市街地に影響を与えないよう、いかに道路網を構築していくかが重要であり、空港施設や発着容量の拡大に合わせた一体的な交通基盤の整備を進めなければなりません。
 例えば、現在、東京臨海部における東京湾岸道路、東京臨海道路の整備により、この地域の交通量が増大しております。しかしながら、その延長である多摩川を横断する国道三五七号の延伸に具体的な見通しが立っていないため、迂回する大型車などで、空港周辺地域に交通渋滞を引き起こしています。この国道三五七号は、東京湾岸地域を結ぶ首都圏の大動脈であり、一日も早い川崎方面への延伸を実現すべきです。
 また、横浜から羽田空港、東京臨海部、千葉に至る東京ベイエリアを結ぶ水上交通網の整備も検討すべきです。
 ところで、羽田空港の再拡張事業への資金協力として、東京都は一千億円、神奈川県、横浜市、川崎市がそれぞれ百億円を国に無利子貸付することになっています。神奈川県、横浜市、川崎市は、この無利子貸付とセットにして神奈川方の都市再生を進める神奈川口構想実現に向けて国の全面的な協力を求めており、国も一定の対応を進めている模様です。しかしながら、東京都では、現時点で具体的な要望を出しているとはお聞きしておりません。
 東京都は、一千億円の無利子貸付という再拡張事業に対する資金協力をしているわけですから、それとセットで、以上述べたような事柄を国に要望しても決しておかしいものではありません。招致活動を活発化する二〇一六年東京オリンピックの視点も加えれば、社会資本整備の必要性はなおさらです。東京都のご所見を伺います。
 ところで、こうした社会資本整備の中でも、私は、特に、JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅を接続するいわゆる蒲蒲線が、再拡張後の羽田空港へのアクセス改善の観点からも重要であると考えています。現在、両駅は、その間わずか八百メートルが欠落しているため、東京都西南部及び多摩地区や埼玉県西南部の環状方向から羽田空港へのアクセスが不備となっています。地元大田区では、蒲蒲線について既に調査を実施し、その必要性、線路幅などの課題解決手法、採算性に至るまでの整備計画素案を作成しております。
 また、国においては、平成十五年度から十六年度にかけて都市鉄道整備等基礎調査を実施し、蒲蒲線を検討対象と位置づけ、平成十七年度には都市鉄道等利便増進法を公布して、既設線同士を結ぶ短路線の整備をより実現性の高いものにしています。
 つきましては、東京都としても、空港の再拡張事業やオリンピック開催に合わせて、大田区や国と連携して、蒲蒲線の実現に向けた一日も早いスタートを切っていただきたいと存じますが、ご所見を伺います。
 次に、羽田空港の跡地についてですが、隣接する国際旅客ターミナルや貨物ターミナルなどのPFI事業の内容が明らかになる今春以降、具体的に跡地に対する取り組みが動き出すものと考えられます。今日まで知事は、跡地について、空港機能をサポートし、空港の持つ可能性を活用した利用計画を立てる必要があり、東京都が地元自治体とも調整しながら主体的に取り組んでいくと答弁されております。そこで、これより、跡地に関する懸案となる諸課題を踏まえ、提案をさせていただきます。
 東京の水辺の護岸はコンクリートで覆われていて、交通手段を初め人々の憩いの場や観光の観点からは、立ちおくれが目立っております。そこで、国土交通省が提示した五十三ヘクタールの跡地に加え、多摩川、海老取川水際線のさらなる充実を要請して、水と緑の豊かな空間を基軸に、レストランやショッピングなどの人のにぎわいを創出する施設や、水上交通拠点などを整備していくべきであります。
 このような水際線を実現することによって、地元における長年の悲願である空港から発生する騒音や大気汚染が緩和されるだけでなく、空港に訪れる多くの方々がそこに集い、楽しみ、安らぎと潤いを感じられる貴重な空間を創出することができます。
 さらに、まとまった緑地スペースの中には、地元住民の災害避難場所としての機能も忘れずに盛り込んでいただきたいと存じます。
 また、空港周辺地域には、知事もよくご存じである、世界に冠たるものづくりの中小企業の集積があります。空港跡地に隣接する市街地には跡地開発の動向をまつ羽田旭町地域があり、昭和島、平和島、京浜島、城南島などには、中小運送業の物流基地や工場跡地、未利用地などが点在しています。したがって、跡地開発の策定に当たっては、跡地周辺地域との一体的な開発を図り、こうした地場産業の活用を視野に入れた幅広い検討が進められるべきであります。
 このようなことを踏まえ、国と都、地元関係区で構成する三者協議会を再開し、東京都として迅速に利用計画を策定していただきたいと考えます。
 羽田空港跡地については、国と東京都で交わされた昭和五十六年の確認書で、沖合展開により空港用地外となる土地、すなわち跡地は東京都が取得し、地元区の要望を十分配慮するものとするとされております。こうした提案をしっかりと計画に織り込みながら、跡地がよりポテンシャルの高い土地として開発され、空港と地元地域の共生が実現されるよう、ぜひとも、まず初めに東京都が一括して跡地を取得するべきであります。その上で、東京都がリーダーシップを持って、国土交通省や大田区とともに民間企業の資金力や英知も結集して開発に取り組むべきと考えますが、東京都のご所見を伺います。
 羽田空港には、現在の空港敷地内に居住していた鈴木町、穴守町、江戸見町の二千八百九十四名といわれる方々が、戦後のアメリカ軍による強制退去命令によって、四十八時間以内に住みなれた土地や家を強制的に追われ、空港周辺地域に移り住んだ悲しい歴史があります。
 さらに、その後にも空港周辺住民は、耐えがたい航空機騒音などに長年にわたって悩み苦しんでまいりました。そして、市街地からの騒音除去を主目的とした羽田空港沖合展開事業がようやく進展したのもつかの間、今日においては、ハミングバードという、地元住民の気持ちを逆なでする呼称をつけて実施されている、A滑走路から北側離陸して低空で市街地上空を左旋回する飛行方式によって朝の静寂が破られています。平成十六年度実績でも、騒音に対する抜本的な改善が見られぬまま、年間千七十一回実施されています。
 この左旋回飛行は、地元民家の真上わずか数百メートル上空を飛行するため、安全への恐怖と八〇デシベルを超える轟音には、人間の受忍限度をはるかに超えるものがあり、実施と同時に地元住民からは即時廃止を求める切実な訴えが、悲鳴のごとく立ち上がっています。
 そして、昨年の六月には、羽田空港周辺地域の住民約十八万人で組織する東京国際空港移転騒音対策連合協議会が、A滑走路北側離陸左旋回の即時廃止を求める決議を満場一致で採択し、この決議を受け、翌七月に国土交通大臣あてに決議文を提出し、即時廃止の要望を国に強く求めてまいりました。
 当然のこととして、飛躍的に航空機需要が増大する中で、どこかに飛行コースを求めていかなければならないことは理解しておりますし、千葉県などから、騒音解消のため飛行コースの変更や飛行回数の削減などを強く求められていることは、十分承知しています。
 しかしながら、この左旋回飛行による航空機騒音の解消については、長い年月にわたって航空機騒音に苦しめられた歴史を持つ地元住民として、決して譲ることのできない事柄であります。また、今日まで地元住民は、空港との共生を図るため、沖合展開事業や、今進められている再拡張事業計画に全面的に協力してまいりました。
 今後とも羽田空港を日本の表玄関としてより効率的に活用していくためには、地元地域の協力は不可欠であります。
 東京都としても、円滑な再拡張事業の推進に向けて、ぜひとも、この都民でもある地元の方々の切なる願いを、思いやりの心を持ってお酌み取りいただきたいと存じます。
 二〇〇九年十二月に四本目の滑走路が完成して、朝七時から九時までの二時間で八十便の出発枠が確保されれば、従前に比べて十六便の増加となり、それ以外に五便の左旋回飛行を設けなくても、将来の航空需要にも十分対処できると考えます。私は、一日も早い左旋回飛行の廃止を切望するものですが、少なくともこのD滑走路完成の際には、大田区と協力して、国土交通省に強力に申し入れて、左旋回飛行を廃止に持ち込んでいただくことを心よりお願いいたします。
 見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)神林茂議員の一般質問にお答えいたします。
 羽田空港再拡張事業の意義と跡地利用に関する基本的な考え方についてでありますが、逼迫する首都圏の航空需要に対応し、日本経済の活性化や国際競争力の向上を図るため、羽田空港の再拡張・国際化は必要不可欠と思っております。
 跡地は、国際線ターミナルなど、国際化の拠点施設に隣接する重要な空間でありまして、空港機能をサポートするとともに、空港の持つ可能性を活用した利用計画を立てることが重要だと思います。
 都は、国や地方自治体とも調整し、跡地利用に主体的に取り組むつもりでおります。
 他の質問については、都市整備局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)羽田空港など四点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港の国際化及び社会資本整備に関する国への働きかけについてでございますが、都が無利子貸付による総額一千億円の資金協力を行いましたのは、緊急性の極めて高い再拡張事業の早期事業化が可能となること、協力の方法が貸付金方式であること、さらには再拡張や国際化による経済波及効果が相当見込まれることなどを総合的に勘案したためでございます。
 羽田空港を世界に向けた我が国の玄関口として機能させていくためには、羽田空港の持つポテンシャルを十二分に活用した国際旅客定期便や国際貨物便の就航を図るとともに、道路ネットワークなどの広域的な社会資本整備が必要でございます。
 今後ともこれらの実現について引き続き国に対し強く要求してまいります。
 次に、蒲蒲線についてでございますが、本路線は、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、鉄道整備にかかわる熟度、投資能力等の解決すべき基本的な課題があり、開業時期は特定できないが、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられております。
 しかしながら、本路線は、空港アクセス機能としての必要性のほか、整備主体や事業採算性、東急線と京急線の線路幅が異なるなど、解決すべき課題がございます。こうしたことから、都といたしましては、これらの課題について地元区と議論を重ねるなど、必要な対応を図ってまいります。
 次に、跡地利用に関する取り組みについてでございますが、羽田空港を取り巻く状況は、沖合展開事業開始時から今日の再拡張・国際化に至る間で、財源スキームや跡地の範囲などが大きく変化してきております。そうした中で重要なことは、空港に隣接しているという特性を踏まえた跡地利用計画を立てることでございます。地域の状況を踏まえたご指摘、ご提案も参考にしながら、今後、都がリーダーシップを持って、国や地元自治体とも調整し、跡地利用を検討してまいります。
 現在国が所有しております跡地の今後の取り扱いにつきましては、その跡地利用の内容に応じて適切に対応していくべきものと考えております。
 最後に、左旋回飛行に関する国への対応についてでございますが、再拡張後の飛行ルートにつきましては、低騒音化や騒音の分担などのさまざまな議論を行い、都が主張してまいりました海上ルートの利用や新しい管制方式の導入などを取り入れた国の最終提案に対しまして、関係都県において一定の合意がなされたものであります。
 もとより、騒音の低減化は、地域の人々にとって重要な課題であると認識しております。再拡張後の左旋回飛行につきましては、国はその対策として、需要動向を考慮するとともに、機材の低騒音化について検討することとしております。
 都といたしましては、国に対し、こうした対策をしっかり進め、騒音の低減が図られるよう、今後とも強く働きかけてまいります。

〇議長(川島忠一君)三十四番たぞえ民夫君。
   〔三十四番たぞえ民夫君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十四番(たぞえ民夫君)初めに、小児医療の拡充について伺います。
 全国的に小児医療は危機的な状況にあり、東京も例外ではありません。診療報酬が低く不採算のため、小児科を縮小、閉鎖する病院が相次いでいます。東京で小児科がある病院は、九八年からの五年間で、四十九カ所、二割も減りました。
 一方、子どもの救急患者はふえており、小児科医は多忙をきわめ、朝から晩まで診療の後、当直とは名ばかりの救急患者への対応で一睡もできないまま翌日も働く連続三十二時間労働が常態化し、もう限界との声が上がっています。
 こうした過酷な実態のため、小児科医のなり手が減る悪循環が続いています。新卒医師に臨床研修が義務づけられましたが、現場の深刻さを体験し、逆に小児科希望者が激減する事態を招いています。
 まず、このような小児救急の危機的な現状に対する知事の認識を伺います。
 私の地元、人口八十万の世田谷では、内科、外科の夜間・休日救急は十七病院が実施していますが、小児科は、都立母子保健院が廃止された後、国立成育医療センターただ一つになりました。毎晩百人近い子どもが急病などで来院して、混雑しているときは一時間も二時間も待たされる状況で、いつでも駆け込める病院をふやしてほしいという声が広がっています。
 子どもの病状は急変しやすいため、二十四時間三百六十五日小児科医がいて、軽症から重症まで受け入れ、検査も入院もできる小児救急センターが身近なところに必要です。ところが、世田谷、杉並や江東区など区東部地域、西多摩を初め、小児救急医療体制の不足地域が少なくありません。都は、二次医療圏で見ると充足しているといいますが、全国の二十一府県は、二次医療圏とは別に小児救急医療圏を設定し、実態に合わせた整備を進めているのです。
 二次医療圏にこだわることなく、不足している地域に、二十四時間三百六十五日対応できる小児救急病院を整備することを検討していただきたい。
 また、国が制度化を予定している医療対策協議会を都として立ち上げ、現場の医療機関、小児科医、都民及び区市町村が知恵を出し合って、小児医療の危機的状況の打開策を検討し、協力し合える体制をつくることを提案するものですが、見解を伺います。
 医師の確保も大事です。都は、離職小児科医再就職支援事業を行っていますが、実績はわずか二人です。国が行った医療報酬の改善もささやかなものにすぎません。深刻な小児科医不足の打開に向け、女性医師の働く条件の改善に取り組む医療機関への支援、小児科医育成奨学金の創設など、今までにない対策に踏み出すときではないでしょうか。
 また、都立病院の小児科医の労働時間短縮も重要だと思いますが、見解を伺います。
 次に、梅ケ丘病院についてです。
 小児精神科の専門病院は全国で二カ所しかなく、その中でも、創立六十年を超え、最大規模の都立梅ケ丘病院は、初代院長は歌人の斎藤茂吉氏という、歴史も古く、名実とも日本を代表する病院です。
 外来患者は年間四万人、子どもの自閉症や統合失調症など、症状の重い人が少なくありませんが、長い歴史の中で、まち全体が温かく患者を受け入れてくれる雰囲気がつくられています。患者の母親は、入院しても、隔離でなく、緑多い公園や町に外出し、院内学級もあって、安心して入院生活を送れていますと語っていました。入院しても気軽に外出でき、周囲の理解が何よりも回復の手助けになっていると、患者家族から、ぜひこの地に残してほしいという切実な声が上がっています。
 梅ケ丘病院を中心にして、区の総合福祉センター、福祉作業所など、福祉のまちが形成されています。病院自身の環境も、駅から歩いて五分という便利な町の中にあり、広い敷地に二階建ての落ちついた病棟、グラウンド、プールなど、いやしの環境が整っています。また、幼児や思春期専門の通所リハビリは、周辺地域に住む人が多く利用しています。
 病院は、医療人材、敷地・建物、周辺地域の環境の三つがそろってこそ、よい医療が行えます。小児精神科専門病院である梅ケ丘病院にとって、病院自身の便利で落ちついた環境、そしてその周辺地域との温かい関係が何よりも大事だと思いますが、見解を伺います。
 東京都は、梅ケ丘病院のほかに八王子、清瀬小児病院、府中病院の四つを一つにまとめて高層建築の病院をつくるといっています。しかし、九七年五月の都立病院小児医療検討委員会最終報告では、梅ケ丘病院について、小児精神医療の特性や、ますます高度専門化する医療の動向を踏まえ、良好な治療環境や的確な治療体制を確保するために、成人を対象とする精神病院や小児病院とは組織的にも物理的にも独立していることが望ましいと明記していました。伺いますが、この内容は間違っていたのですか、どうですか。
 今、子どもたちの心の問題が大きな社会問題になる一方、小児精神科の病院は余りにも少ないのが実態です。小児精神医療機関をふやすことこそ必要です。府中につくるからといって、梅ケ丘病院を廃止する理由にはなりません。現在地で存続することを強く要望するものです。
 あわせて、都は、患者家族会とこれまで二度の話し合いを行っていますが、これを継続させることを求めておきます。
 次に、がん対策について伺います。
 がんは、全国的にも東京においても死因の第一位で、男性の二人に一人、女性の三人に一人はがんにかかる状況となっています。国は、三次にわたるがん戦略を策定し、推進していますが、その取り組みは欧米諸国に比べて立ちおくれており、大きな社会問題になっています。多くの人ががんになることを恐れ、患者さんは残された時間と向き合い、抗がん剤の副作用や病状の進行に伴う痛みと闘っています。
 都民の命と健康を守り、患者、家族の皆さんの不安と痛みを減らしていくために、がん対策は極めて重要な課題だと思いますが、知事の認識を伺います。
 予防、検診、医療体制の充実、在宅療養に対する支援や相談窓口の整備、がん発症率などのデータの把握など、がん対策の総合計画を都としてつくることが必要ではありませんか。答弁を求めます。
 さまざまな課題がありますが、特に急がれるのは、患者さんの痛みや苦しみを軽減し、人間らしい生活ができるようにするための支援です。例えば広島県は、県立病院に緩和ケア支援センターを整備し、総合相談、デイホスピス、すなわち、在宅療養のがん患者さんが通うデイサービス、人材育成などを実施しています。痛みを減らす緩和ケアは、末期になってからでなく、がんと告知された直後から始まるという考え方が徹底されています。
 デイホスピスでは、がん患者同士の交流を通して、悩みに共感したり、生きる意欲を引き出すなどの取り組みがされています。利用された方から、激しい痛みに不安が募っていました、でも、デイホスピスに来て笑顔をもらいましたなどの声が寄せられています。
 人材育成は、医師を県外の先進的な病院に派遣するコース、看護師対象に実践研修を行う専門コース、福祉関係者のコースなど、県の役割として重視しており、緩和ケアの担い手を育てています。
 都は、ターミナルケア従事者研修を行っていますが、年に数回、その都度受講者がかわるというもので、充実が必要ではないでしょうか。医師、看護師、福祉関係者に対して、緩和ケアの系統的な人材育成に踏み出すことを提案するものですが、見解を伺います。
 在宅で療養しているがん患者に対する訪問看護や訪問診療、ヘルパー派遣、デイホスピスなどの支援システムをつくることも切実な課題であり、ぜひ検討してください。
 また、都立駒込病院に新たに緩和ケア病床を整備する計画ですが、広島県が取り組んでいるような緩和ケア支援センターを駒込病院にもぜひ整備していただきたい。見解を伺います。
 最後に、医療体制の整備です。
 国は、地域におけるがん拠点病院の機能強化と同時に、それを広域的に支援する都道府県がん診療連携拠点病院を都道府県に一カ所ずつ整備する方針を打ち出しました。都立駒込病院でも実施することを提案するものです。
 答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)たぞえ民夫議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、小児医療についてでありますが、次代を担う子どもたちを心身ともに健全に育成することは、親はもとより、我々大人に課せられた責務であります。
 子どもの健康を守り、子どもを持つすべての家庭が安心して子育てをしていくためには、小児医療の充実が重要な課題であると認識しております。
 都はこれまでも、夜間における相談体制の充実や、常時、小児科医師が診察に当たる救急医療体制の整備など、都全体の小児医療水準の向上に努めてまいりました。
 今後とも、小児医療の充実に積極的に取り組み、子どもが健やかに成長し、未来に希望の持てる社会を東京に実現していきたいと思っております。
 次いで、がん対策についてでありますが、人間はいずれ死ぬ存在でありますけれども、がんは、無情にも、また非常に多くの人の生命を奪うものでありまして、現代社会を生きる我々の健康を脅かす重大な脅威であります。この病気の克服は、人類の積年の願いであります。革新的な予防、診断、治療法の開発をだれもが切望しておりまして、国を挙げて取り組むべき課題であると思います。
 既に都は、予防から早期発見、早期治療、患者の生活の質を向上させるケアに至る、病態を通じたがん対策に取り組んでおります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)医療について七点のご質問にお答えいたします。
 まず、小児救急医療体制についてでございますが、都は、急病の子どもが地域で症状に応じた適切な医療を受けることができますように、入院を必要としない軽症患者に対応する初期救急は区市町村、入院を必要とする中等症や重症の患者に対応する二次救急は東京都という役割分担のもとに、体系的な整備を進めてまいりました。
 この中で、二十四時間三百六十五日、常時、小児科医師が救急患者に対応する二次救急体制につきましては、二次保健医療圏を単位として、五十二病院が確保されているところでございます。
 次に、医療対策協議会による小児医療の確保についてでございますが、今、国会に提出されております医療法改正法案に基づく医療対策協議会は、救急医療の医療従事者確保などに関して、都道府県と大学病院、地域中核病院等が協議する場として制度化されるものでございます。
 都におきましては、これまでも、区市町村、東京都医師会、地域中核病院、大学病院等が連携協力して小児科医の確保に努め、初期から三次に至る小児救急医療事業などを実施してまいりました。
 なお、医師の養成確保は本来国の責務であり、医師の地域偏在、診療科偏在の解消などは、地域における独自の取り組みでは限界がありますことから、全国知事会と協働し、国において実効性のある抜本的な対策に取り組むよう要請を行っております。
 次に、小児科医師確保のための方策についてでございます。
 地域における小児科医療基盤を確保するため、都は、現在、内科医などの開業医に対する小児医療研修や、離職した小児科医師の再就職支援などの独自の取り組みを進めております。
 また、国に対して、小児科医の養成確保策の充実や、小児医療における診療報酬制度の抜本的改善を提案要求してまいりました。
 こうした中、平成十八年度の診療報酬改定では、深夜の診療加算額が引き上げられるなど、改善が図られることとなりました。
 次に、がん対策の総合計画についてでございます。
 都は、保健医療分野全体にわたる基本計画でございます東京都保健医療計画及び都民の健康づくりを総合的に推進するための指針でございます健康推進プラン21におきまして、がん対策に関する施策の方針を定めているところでございます。
 具体的には、がん検診の充実や喫煙による健康影響防止などの予防対策、緩和ケア病棟や地域がん診療拠点病院の整備とその人材育成などの医療対策を計画に位置づけ、総合的な推進に努めております。
 次に、緩和ケアに関する人材育成についてでございますが、都はこれまでも、病院の医師、看護師や、診療所の医師、ボランティアなど対象者別に、痛みの管理でございますが疼痛管理や、精神的ケアに関する最新の知識の普及を図るため、講習会を独自に行ってまいりました。
 また、緩和ケアの導入に積極的に取り組もうとなさっております病院の医師、看護師等を対象に、緩和ケア病棟への派遣研修を実施するなど、さまざまな人材育成の取り組みを行っております。
 次に、在宅療養中のがん患者に対する支援についてでございますが、在宅ターミナルケアの充実に向け、平成十八年度の介護保険法改正や診療報酬改定におきまして、六十五歳未満の末期がん患者に対する介護保険の適用や、在宅療養支援療養所に対する診療報酬の新設など、在宅療養を支える基盤の整備が盛り込まれました。
 これらの制度改正により、がん患者に対する在宅療養の基盤整備が進むものと考えております。
 最後に、がん診療の拠点病院についてでございますが、現在、都内では、都立の駒込病院を初めとしまして、十カ所の地域がん診療拠点病院が指定されております。国は、十八年度からその指定要件を見直すこととしており、現在の拠点病院は、今後二年間の経過期間内に新たな制度への移行準備に取り組むこととなります。
 なお、今回の見直しにより、地域の拠点病院を支援するものとして創設されます都道府県がん診療連携拠点病院の指定につきましては、こうした地域の拠点病院の移行状況も踏まえ、行われるものと考えております。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)都立病院にかかわる四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院における小児科医師の勤務環境についてでございますが、臨床研修システムの充実等により、小児科医の育成確保に取り組むなど、今後とも働きやすい環境づくりに努めてまいります。
 次に、小児精神医療に必要な環境についてでございますが、新たに整備する小児総合医療センターでは、高度専門的な医療を提供する小児専門病院として、医療内容の充実を図ることはもちろん、周辺の恵まれた自然環境を生かすとともに、地域のご理解もいただいて、子どもにとって、より一層快適な療養環境を提供することを目指してまいります。
 続いて、梅ケ丘病院整備の考え方についてでございますが、近年、心の病を持つ小児患者が増加するとともに、小児科領域における医療が多様化するなど、小児精神医療を取り巻く環境は大きく変化しております。このため、こころとからだを総合した高度専門的な医療を提供することがこれまで以上に重要となっており、平成十三年の都立病院改革会議報告を受けて、新たに三つの小児病院を統合し、小児総合医療センターとして整備することにしたものでございます。
 最後に、駒込病院の整備に伴う緩和ケア医療についてでございますが、昨年十一月に策定したがん・感染症医療センター整備計画におきましては、緩和ケア医療を重点医療課題としております。
 施設の改修に当たりましては、患者の療養環境に配慮した専門病棟を整備することにしており、緩和ケアの推進に努めております。

〇副議長(木内良明君)四十七番野島善司君。
   〔四十七番野島善司君登壇〕

○四十七番(野島善司君)〇七年問題、この年を皮切りに、戦後の第一次ベビーブーム生まれの、いわゆる団塊の世代が定年を迎え、社会の第一線から続々と引退いたします。私もその世代の一人です。
 思い起こせば、高度成長に象徴される右肩上がりの時代に社会に出、家庭を持ってはニューファミリーと呼ばれ、そしてバブル崩壊後はリストラの対象としてねらわれ、今日、ポスト団塊の社会、組織のありように関心が高まっております。
 さらに、この後、年金、介護、医療等の社会保障制度の受益者として、制度の根幹を揺るがす存在にもなりかねません。
 私が後期高齢世代に仲間入りする二〇二五年は、高齢化率のピークと想定され、まさに他人ごとではないのであります。
 日本総合研究所の寺島理事長の言をかりれば、団塊の世代が傘の雪となって次の代にのしかかるのか、社会を支える側に回るのかで、今後の社会は大きく変わるとのことであります。私も傘の雪とならないよう、早目に解けて消えようか、いや、生涯現役、生涯青春の気概、ぎらつかないシルバー世代の輝きを持ってパブリックな生き方をもと思い悩む年齢となりました。
 そこで、団塊の世代に対する評価と今後のありよう、社会は、公共は何を求めるかについて、知事のご所見を伺います。
 次に、大量退職期以降の都政を支える人材、いわば都庁版二〇〇七年問題について伺います。
 政府の二〇〇五年版ものづくり白書では、団塊世代の大量退職に伴うさまざまな影響が指摘されました。企業においては、業務ノウハウや技能の継承のみならず、企業文化、風土のようなものまで失われてしまうのではないかとの懸念もあり、対応が迫られております。
 こうした課題は、都庁組織でも同様と思われ、事務職に限っても、今後十年間で約四割、七千三百人もの方が退職されると聞いております。
 今日、官から民、公の担い手の多様化の中、小さな政府を目指す行政組織のスリム化は当然です。が、その前提として、ますます複雑高度化する行政運営に対応し得る人材を確実に確保育成していかなければなりません。
 都政を支え、日本を牽引し、全国の公務員のトップランナーとなる気概を持ち、公務社会の中での自己実現の意欲に燃えた人材を一人でも多く輩出していく人事制度が求められるわけであります。
 さきの定例会で、知事は、団塊世代の大量退職などによってマンパワーの大幅な減少が見込まれる中、限られた人材を最大限に生かし、一人一人の力を引き出して都庁の組織力を強化する旨、述べられました。
 また、昨年十一月の行財政改革の新たな指針の中で、新たな都庁マネジメント構築の一環として、人材育成を基軸に据えた人事管理という視点も示されました。
 そこで、現在、人材育成基本方針を検討中と聞いておりますが、これからの都政を支える人材育成の基本的な考え方についてお伺いをいたします。
 次に、介護施策について伺います。
 医療、介護制度とも予防重視型システムへの転換が大きな流れであります。四月から施行される改正介護保険においても、介護予防という考え方が本格的に制度の中に位置づけられました。
 一つは、軽度の要介護者が中重度化するのを防止するための保険給付の内制度としての新予防給付であり、一つは、要介護になる前の高齢者を対象に、要介護状態になることを防止するための保険給付の外制度としての地域支援事業です。
 介護予防については、これまでも区市町村が取り組んできたところでございますが、今後は、地域包括支援センターを設置し、介護予防のための検診体制の整備、対象者へのケアプランの作成、プログラムの提供、効果の検証、評価も求められ、地域に密着したサービス体系を確立していかなければなりません。
 これらの区市町村の取り組みに対し、豊富な研究成果や優秀な人材を擁する東京都老人総合研究所を、区市町村のセンターを支援していく中核として活用すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 私は、平成十六年第四回定例会で、障害者福祉の究極の目的は、障害者が納税者になることだとの言葉を用いまして、障害者の就労の重要性を申し上げたところであります。障害者が福祉サービスの提供を受けて、地域で自立して生活する社会はすばらしいが、就労という社会参加はもっとすばらしい、こんな思いからであります。
 さて、障害者自立支援法は、就労支援を大きな命題としております。現在、都内に本社のある民間企業で働く障害者は六万七千人、実数では全国の三分の一以上を占めているものの、率では一・四%と、法定雇用率の一・八%に達してはおりません。また、養護学校卒業時に一般就労した知的障害者は三割弱、多くは授産施設や福祉作業所に就労されていると承知しています。
 支援法の理念に照らし、なお一層企業等での就労、経済的な自立を目指す障害者を支援していく取り組みを、区市町村や関係機関と連携し進めるべきと考えます。ご見解をお聞かせください。
 また、教育現場における取り組みについてもお伺いいたします。
 次に、国民保護計画について伺います。
 去る二月三日、私の地元清瀬市において、消防団等の地域防災機関も参加して、消防庁による化学物質テロを想定した迫真の演習が行われました。私もその演習を拝見し、改めてテロへの対応を考えさせられた次第でございます。
 さて、国民保護法が施行され、同法では、テロや武力攻撃から国民の安全を確保するために、国、地方公共団体がそれぞれの役割を果たし、一体となって対処することとしており、都、区市町村は、それぞれに国民保護計画の作成をすることとなっております。
 現在、都は、既に国民保護計画を立案し、本年度中の作成に向けて国と協議中、区市町村計画については次年度中とされ、総務省からは指針も示されていると承知をいたしております。
 区市町村にとっては初めて作成する計画でもありますので、対処方法や手段等に不明な点も多いと思われます。そこで、都は、区市町村に対し、計画の円滑な作成に向けての指導助言を積極的に行っていくべきと考えますが、ご答弁をお願いいたします。
 次に、多摩振興について伺います。
 最初に、財政支援についてです。
 昨年十一月、いわゆる三位一体改革について一定の決定がなされ、十八年度の地方財政計画では、地方税などを中心に一般財源総額を確保するとともに、一般歳出を厳しく抑制する方向が示されました。自治体の行財政基盤の強化が、なお一層求められております。
 十八年度の多摩の各自治体の予算、景気回復の波及効果や税制改正による税収増も極めて限定的なものであり、厳しい財政事情に変わりはないようであります。
 また、自治体財政の〇七年問題も深刻です。現役世代の減少に伴う担税力の脆弱化と高齢社会を支える歳出増圧力に直面をするわけであります。特に、住宅都市的な色彩の強い、私の住む東久留米を含む北多摩北部地域に顕著にあらわれてくるものと予測されます。
 こうした中、各自治体とも、職員数の削減、給与制度の改革、例えば清瀬市では、特殊勤務手当の全廃等、経常費の圧縮に努め、新規投資財源の捻出に努めております。
 私は、十六年第一回定例会においても、各市の財政力の差異、改革への取り組みの実例を挙げ、市町村の自助努力を前提とする不断の行財政改革を支援する財政支援であってほしいと申し上げました。
 そこで、今日までの調整・振興交付金制度の評価を踏まえ、新たに創設される市町村総合交付金制度が特に目指すものについて伺います。
 次に、都市基盤整備について伺います。
 その一つは、多摩の丘陵に広がる緑の保全についてでございます。
 失われ行く自然環境を守るためには、従来の用地買収方式による都立公園整備に加え、平成十六年の都市公園法改正により、借地方式による公園整備の可能性が広がったと聞いております。
 借地の場合、返還あるいは相続時の課税、その際の事業化への柔軟な対応等の可能性のいろんな課題もございますが、具体的な取り組みがございましたら、お伺いをするところであります。
 その二つは、道路、鉄道整備についてであります。
 多摩は一つ、多摩都民のモビリティーを高める道路整備の重要性は申し上げるまでもなく、多摩地域における都市計画道路の整備に大きな期待を寄せているところであります。
 ところで、平成十六年度に事業延伸され、二十年度完成を目指して、みちづくり・まちづくりパートナー事業が執行されております。この事業も道路ネットワークに大変重要です。その進捗状況と完成の見通しを伺います。
 また、事業採択時とは、周辺事情も変わってきました。整備水準については、環境、景観への配慮や周辺地域の関連整備への好影響にも配慮をいただくことを要望しておきます。
 次に、大江戸線は光が丘までです。平成十二年一月の運輸政策審議会答申第十八号では、光が丘から大泉学園町間は平成二十七年までに整備着手することが適当な路線、その先、武蔵野線方面への延伸が、今後整備について検討すべき路線として位置づけられております。この方面は都県境であり、整備のおくれがちな地域であります。
 清瀬市、埼玉県新座市を初め関係市区は、都県の行政域を超えて都市高速鉄道十二号線延伸促進協議会を結成し、平成九年以来、都への要請行動を継続しております。大江戸線の大泉学園町以西の延伸について所見をお伺いいたします。
 その三つは、商店街の振興についてであります。
 多摩地域には、高度に商業集積した吉祥寺、立川、八王子等、ターミナル的なところ以外、商店街は地域の消費生活の停車場でございます。厳しい事業環境の中、新・元気出せ商店街事業などを活用し、商店街のにぎわいはまちの元気との思いで、さまざまにその振興に取り組んでおります。
 さて、商店街振興施策として、十八年度は、各局の施策と商店街の活動を結びつける新規事業に取り組まれると聞いております。例えば、治安対策、高齢者の生活支援、環境負荷の低減などなど、私たちの生活の中でしっかり取り組んでいかなければならない東京の課題を、生活の停車場である商店街に具体的に発信、整備していくことは、行政と生活者としての都民が出会い、地域の力を結集する停車場として、大きな役割を果たすものだと期待をいたします。
 都は来年度、こうした新規事業も含む商店街施策をどのように展開されるのか、基本的な方針を伺います。
 最後に、食育について伺います。
 私は、厨房に入ることを趣味としております。食材に思いをはせ、いささかの創造性を発揮し、調理し、家族と楽しむ。うまいまずいは別といたしまして、結構会話は弾みます。ただし、妻からは、後片づけも料理のうちよとしかられております。
 衣食足りて礼節を知るとの格言があります。豊かな食生活が楽しめ、飽食の時代ともいわれる今日ですが、反面、核家族化、単身、共稼ぎ世帯の増加や子どもの塾通いなど、ライフスタイルの変化に伴い、朝食の欠食や孤食、バランスを欠いた食生活など、命を長らえ、心を満たし豊かにする食の機能が低下しております。
 さきに成立した食育基本法に基づき、内閣府の検討会は、国民の食生活の改善と健康増進を目指し、来年度からの五年間を対象にして、国や自治体を中心に啓発活動など改善に向けた取り組みを進めるとしております。
 食は、生産、流通、消費にわたり、家庭、学校等舞台もさまざまであり、都においても各局連携が重要であります。
 そこで、食育に関する基本的取り組みについて、また家庭の食の大切さを踏まえどのように支援していくのか伺います。
 東京の農業生産物は軟弱野菜や根菜類で、約七十五万人の胃袋を満たすといわれております。食材の情報提供や地産地消等の流通において卸売市場の果たす役割についてもお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕   

○知事(石原慎太郎君)野島善司議員の一般質問にお答えいたします。
 団塊の世代についてどう思うかということでありますが、高度成長を支えてきた団塊の世代が、ここ数年のうちに定年退職の時期を迎えるということでございますけれども、それにしても、老け込むのはまだまだ早いと私は思います。
 六十五歳以上が高齢者と定義されたのは、平均寿命が七十歳に満たない時代のことでありまして、人生八十年時代となった今、個人的には、この定義はいささか違和感を感じさせられます。
 今や、いわゆる高齢者は、時間的にも財政的にも一番余裕がありまして、最も充実した世代であると思います。団塊の世代の皆さんは、これからの生涯を第二の人生などと小さなことをいわずに、人生そのものの総仕上げの時期と心得て、世のため人のために何をなすべきか、じっくりと考えていただきたいと思います。
 この世代の真の成熟が、日本という国家社会のさらなる成熟につながるものと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)障害者の企業就労に向けた教育面の取り組みについてであります。
 障害のある生徒に対します就労支援は、将来の社会参加、自立を図ります上で極めて重要でございます。
 都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画の第一次実施計画におきまして、知的障害が軽い生徒を対象といたしました養護学校高等部を三校設置していく予定でありまして、その第一校目であります、仮称でございますが、永福学園養護学校を平成十九年度に設置し、生徒全員の一般企業への就職を目指してまいります。
 さらに、来年度より、新たに企業OB等により企業開拓や職場定着支援などを行う就労サポーターを、既存の養護学校高等部を含め導入するなど、養護学校で学ぶ生徒の社会参加と自立に向けた就労支援を充実してまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕 

○総務局長(高橋功君)三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都政を支える人材の育成についてでございますが、今後ともスリムな執行体制で複雑多様化する政策課題に対応していくためには、お話のように、さらなる人材の精鋭化を進めていく必要がございます。
 このため、これからの人材育成に当たりましては、職員に対して改めて都庁の求める人材像を明確にし、目指すべき到達目標を具体的に示してまいります。
 その上で、例えば人事配置につきましては、職員が挑戦したい職務や組織として経験させたい職務に従事させるなど、これまで以上に職員の意欲と能力を引き出し、強みを育て、持てる力を最大限に発揮できる仕組みが重要と考えております。
 このような考え方に基づき、現在、東京都職員人材育成基本方針の策定を進めております。今後、この基本方針をもとに、人材育成を基軸に据えて、採用、配置管理、昇任選考、さらには人事考課、処遇、研修など、あらゆる人事施策の改革を進めてまいります。
 次に、国民保護計画を作成する区市町村への支援についてでございます。
 区市町村は、それぞれの地域特性を踏まえるとともに、東京都の計画との整合性を図りながら、国民保護計画を速やかに作成することが求められております。
 このため、都は、これまで区市町村職員の理解を深めることを目的に、研修会、意見交換会等を実施してまいりました。三月末には、区市町村へ記載すべき事項を定めたモデル計画を提示いたしますが、作成に当たりましては、各地域の実態を踏まえた避難誘導や、安否情報の収集、提供等が課題となります。
 今後は、各区市町村が計画を円滑に作成できるよう、相談窓口の開設や研修会等の充実を図り、積極的に支援をしてまいります。
 最後に、市町村総合交付金についてでございますが、市町村の厳しい財政状況を踏まえ、都はこれまでも振興交付金、調整交付金等により各団体の財政力に応じた支援を行い、市町村の行政水準の向上に努めてまいりました。
 このたび創設いたします市町村総合交付金では、それに加えて、市町村の行財政改革に関する努力を算定に反映させるとともに、創意工夫に基づくまちづくりへの支援をこれまで以上に強化することといたしました。
 今後とも、ご指摘のように、各団体の自助努力を前提として、行財政運営の自主性、自立性の向上に資するという観点から、きめ細やかな支援に努めてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)福祉施策に関連して二点のご質問をいただきました。
 まず、介護予防についてでございます。
 介護予防事業を効果的に展開するには、事業の実施主体でございます区市町村の取り組みが重要でございます。
 このため、都は、東京都老人総合研究所がこれまで培ってまいりました介護予防の実践的ノウハウを引き続き全面的に活用し、区市町村に対する支援をさらに強化していくこととしております。具体的には、現在行っております人材養成を地域包括支援センターの職員にも拡大するほか、仮称でございますが、介護予防サポートセンターを設置いたしまして、人材やノウハウの不足する地域について、専門スタッフによる重点的な支援を行ってまいります。
 これらの取り組みによりまして、区市町村における介護予防事業の円滑な実施と、都総体としてのレベルアップを図ってまいります。
 次に、障害者の就労支援についてでございます。
 ご指摘のように、障害者が企業等での就労に積極的に挑戦し、経済的な自立を目指すことは、障害者の地域での自立した生活を実現する上で極めて大切でございます。
 このため、都が独自に実施しております区市町村障害者就労支援事業におきましては、ハローワークや企業、養護学校などと連携しながら、職場の開拓や定着支援などに努めているところでございます。
 また、あわせて、地域の関係機関の参加を得まして開催するネットワーク会議等を通じまして、連携の強化と就労機会の拡大を図っているところでもございます。
 今後は、新たに策定いたしました障害者地域生活支援・就労促進三カ年プランにより、この就労支援事業のすべての区市町村での実施を目指すなど、経済的な自立を目指す障害者の就労について積極的に支援してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)二点の質問にお答えします。
 まず、借地による都立公園の整備についてでありますが、平成十六年の都市公園法の改正により借地に関する取り扱いが緩和され、借地公園の事業化が容易になりました。
 こうした状況を踏まえ、多摩の丘陵地などにおきまして、従来の買収方式に加え、借地公園の手法により都立公園を早期に整備することは、豊かな自然環境の保全と活用を促し、都民の期待にこたえるものであると考えております。
 都は、平成十八年度に地権者の理解と協力を得て、丘陵地の公園を中心に、長沼公園など六公園で約八ヘクタールの土地を無償で借り受け、公園整備を行ってまいります。
 今後、この借地方式も積極的に活用しながら、東京の緑を育て、都民に親しまれる都立公園の拡充に努めてまいります。
 次に、みちづくり・まちづくりパートナー事業についてでありますが、本事業は、駅周辺のまちづくりや公共施設への連絡など、地域にとって重要な役割を果たす都道について、都と市、町が協力して整備するものであります。
 平成十一年度から、多摩の十二の市や町が十六路線で事業を実施しており、今年度末までには六路線が完成し、残る路線につきましては、用地の取得率が七割となる見込みであります。
 既に完成した路線につきましては、交差点改良や歩道の拡幅などにより、交通混雑の緩和、歩行者の安全性と利便性の向上に大きく寄与しております。
 今後とも、関係市と一層の連携を図り、平成二十年度までの完成を目指してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)都営大江戸線の大泉学園町以西への延伸についてのお尋ねでございます。
 本路線は、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号におきまして、光が丘から大泉学園町間が平成二十七年までに整備着手することが適当である路線、大泉学園町から武蔵野線方面への延伸が今後整備について検討すべき路線にそれぞれ位置づけられております。
 大泉学園町以西への延伸につきましては、光が丘から大泉学園町間の整備が前提となりますが、事業費や需要の確保など、さまざまな課題があることから、練馬区や清瀬市など沿線四区市が調査研究を実施しているところでございます。
 都といたしましては、こうした地元区市の取り組みに対し、技術的な支援を積極的に行ってまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)二点のご質問にお答えいたします。
 まず、来年度の商店街振興施策についてでございます。
 今日、商店街はコミュニティの核として、また、地域における行政のパートナーとして重要な役割を果たしております。このため、都は、来年度も引き続き商店街の自主的で意欲的な取り組みを幅広く支援するほか、浅草伝法院通りの江戸まちづくり景観整備事業などの地域連携型モデル商店街事業の規模を拡大いたします。
 また、防犯、防災など都の緊急かつ重要な行政施策に協力して行われる商店街の取り組みを、各局とも連携し、重点的に支援していくため、新たに特定施策推進型商店街事業を開始いたします。
 さらに、商店街の会員がつくる株式会社やNPO法人による商店街活性化事業等を支援する基金を創設するなど、商店街振興施策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、家庭における食の大切さを踏まえた食育に関する基本的な取り組みについてでございます。
 子どもが健全な食習慣を身につける食育の場としては家庭が最も重要で、基本的な役割を果たすと考えております。しかし、ここ数年、児童の孤食や欠食が増加するなど、家庭での食育の機能の低下が懸念されております。
 このため、都は、学校や地域を通じまして、家庭での食育を支え、推進することを目指し、各局の連携のもと、食に関する情報の発信、人材の育成、生産者との交流と体験の場づくりを柱とする食育推進計画を策定しております。
 この中で、子どもたちが食の大切さや感謝の心を学べるよう、農業や漁業の体験の場を広げてまいります。また、家庭での食育機能が高められるよう、地域との連携の上、さまざまな活動を支援していきたいと考えております。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕

○中央卸売市場長(森澤正範君)卸売市場における食育の取り組みについてでありますが、卸売市場では、これまでも市場取引や食材に関する情報提供、また、市場まつりなどを通じて、消費者に対して食に関する普及啓発に努めてまいりました。
 今後、健全な食生活の実現に向けた食育を一層推進する観点から、ご指摘の地産地消が可能となる流通の仕組みづくりや、生産流通現場を体験することによる食に関する理解の向上、しゅんの食材の消費拡大につながる料理方法や食べ方の知識の伝達など、市場ならではの取り組みを行ってまいります。

〇副議長(木内良明君)十七番大松成君。
   〔十七番大松成君登壇〕

○十七番(大松成君)まず、教育改革について伺います。
 犯罪の凶悪化など、昨今の世相を見ていると、法律や制度の問題以前に、社会に大きな心のやみが広がっていることを実感させられます。まさに、石原知事がいわれる心の東京革命が今求められているのではないでしょうか。そして、その心の東京革命を進める有効な施策の一つが教育であると訴えるものであります。
 教育が話題になるとき、よく聞かれる声が教員の資質向上であります。教員は最大の教育環境であり、いい先生を育てることは教育改革の骨格であります。
 教員は子どもの人格形成に携わることから、医師は人の生命を救うが、教員は子どもの生涯に深くかかわるといわれます。教員は、医師にも増して専門的な能力、人間への深い愛情が求められる職業であります。
 ところが、その養成期間は医師に比べて短いわけであります。医師は大学で六年間学び、さらに二年間、臨床研修医として患者と接しながら医学を勉強します。一方、教員の場合、大学で四年間学びますが、その間、子どもと触れ合う教育実習はわずか四週間です。
 多くの医師は、臨床研修医の時代に、患者の死という最も尊厳な場面に遭遇しますが、教育実習の四週間では、いじめなどへの対応も十分に経験できません。現場経験が乏しいまま教壇に立たされることが、指導力不足の大きな原因の一つであります。
 そこで伺います。東京都は、平成十六年、学生に教育現場を経験させる東京教師養成塾をスタートしました。現在の教員養成の急所を突く先駆的な取り組みは、全国の注目を集めています。その成果と今後の取り組みについて所見を伺います。
 また、東京都は、来年度から、先輩教師が後輩に指導技術を伝授する東京教師道場を始めます。ある師範学校の出身者から、私たちは同僚同士で授業を見せ合い、互いに厳しく指摘し、切磋琢磨しましたとの話を伺ったことがあります。東京教師道場は、そうした気風を学校内にみなぎらせるものと期待いたします。
 そこで伺います。東京教師道場の取り組みで、現職教員の模範となる実践例をビデオなどで記録に残し、広く活用できるようにするべきです。教員を養成する大学の教材としても活用できます。都の所見を伺います。
 次に、教員養成大学との連携について伺います。
 昨年、中教審が発表した中間報告には、教職大学院の創設や、教員免許更新制の導入が盛り込まれました。その主眼は、教員の実践的指導力を育てる実習重視であり、都が既に実施している施策と一致するものであります。
 もとより、教員養成は大学の任務であり、東京都には、いい教員を採用する責任があります。そして、教員養成の実習が行われる学校現場を管理しているのは、東京都を初め地方自治体です。
 こうした関係の中で、今後、大学の教員養成強化を展望したときに、大学と東京都の連携をより緊密にすることが必要です。大学と東京都で教員の養成、研修のあり方について検討する組織をつくるべきです。都の所見を伺います。
 さて、二〇〇七年問題は教員にも訪れ、大量退職時代を迎えます。ベテランが減り新人がふえる、こうした世代交代の時代に教育力をどう向上させるのか、重大な課題です。
 そこで伺います。結婚などを機に退職した教職経験者を採用する選考方法を、現職時代の実績や人物をより重視するものに見直し、即戦力のある優秀な人材の確保に努めるべきです。また、四十歳未満という年齢制限も緩和するべきです。都の所見を伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 一昨年、政府の中央防災会議が直下型地震の切迫性を指摘して以来、東京都においても対策が急がれています。本日は、そのうち、避難所の環境整備について伺います。
 六千人以上の犠牲者を出した阪神大震災では、多くの被災者が学校などに避難しました。首都直下型地震でも未曾有の避難者が想定され、避難所生活の長期化も必至です。
 私は、阪神大震災当時、公明新聞の記者として被災地で取材をしていましたが、その中で、生活環境が整っていない体育館や教室で多くの被災者が集団生活をし、コンクリートの廊下にも高齢者が段ボールを敷いて寝ていました。その光景は今も目に焼きついて離れません。
 地震発生は一月十七日、外気の気温は氷点下近くまで下がり、避難所内も寒い。ところが、火災による二次災害の懸念から、ストーブなど暖房設備が不十分でした。厳しい寒さの中で、避難所肺炎という言葉が生まれたほど、多くの被災者が健康を害されたわけであります。
 そこで伺います。避難所の運営指針は東京都が定めていますが、そこには、暖房について明確な記述がありません。これでは、避難所を運営する区市町村が、暖房を入れるべきか火災予防を優先するべきか、判断に迷います。最近は、屋外から温風を送り込める暖房器具が普及しています。運営指針に暖房を入れるよう明記するべきであります。
 また、避難所は、乳幼児を抱える家族にとっては特に厳しい環境です。新潟市のNPOが実施した中越地震の被災者アンケート調査では、不便に感じたこととして、トイレやプライバシーに関すること、子どもの夜泣き、授乳する場所がないなどの声が寄せられました。授乳スペースの確保や乳幼児用トイレ、紙おむつの備蓄は必要不可欠です。乳幼児を抱える家族へのきめ細かい配慮も、避難所の運営指針に明記するべきです。暖房対策とあわせて、所見を伺います。
 また、避難所の衛生管理や炊事には水が不可欠です。避難所に給水が十分に行われるよう、水道局として避難所対策をマニュアル化するべきです。所見を伺います。
 さて、東京オリンピックの招致へ向けて、都議会の議員連盟が発足し、大きな第一歩を踏み出しました。私も連盟に参加させていただきました。
 石原知事は、施政方針演説で、東京オリンピックを契機に世界の大都市問題の解決に大いに貢献し、二十一世紀の新しい都市モデルを提示できると訴えられました。また、関連施設の集中配置や既存施設の有効活用など、コンパクトな大会を目指す方針も示され、高く評価するものであります。
 ところで、私の地元である北区西が丘には国立スポーツ科学センターがあり、それに隣接してナショナルトレーニングセンターが整備されることになっています。ともに国家戦略としてオリンピックのメダル獲得を目指し、世界最先端のスポーツ科学の粋を結集して、日本のトップアスリートが強化訓練を行う場所です。
 こうした特色のあるスポーツ関係施設は、議員連盟設立総会で示された主要施設の検討図には示されておりませんが、オリンピックの招致や大会を成功に導くためには、こうした施設を積極的に活用していくべきであると考えます。石原知事の所見を伺います。
 私は、この施設を二度視察いたしましたが、テレビでしか見たことのなかったメダリスト、トップアスリートの姿を間近で見ることができ、その力強く、美しい姿に目を見張りました。しかし、残念なことに、西が丘の施設のことは、地元でも余り知られておりません。
 そこで伺います。オリンピックの東京招致の機運を盛り上げるために、西が丘の施設を活用できるよう、都としての取り組みを求めるものであります。所見を伺います。
 さて、この施設には国内外の多くのスポーツ関係者が訪れますが、最も便利な交通機関はJR新宿駅から約十分、埼京線赤羽駅と十条駅であります。特に、十条駅からは道一本で距離も近い。十条駅はナショナルトレーニングセンターの玄関口となります。
 ところが、十条駅周辺のまちづくりがおくれています。防災上危険な木造密集地域、まちを分断する六つの踏切、そして慢性的な交通渋滞、都市問題の宿題が山積しています。
 昨年、地元の住民の皆様方は、十条地区まちづくり全体協議会を立ち上げ、にぎわいと安らぎを奏でるまちづくりを進めておられます。その中で、ナショナルトレーニングセンターは貴重な地域資源として位置づけられています。いいまちをつくりたいと、地元では駅前の駐輪対策にも懸命に取り組んでおられます。
 こうした住民の皆様方の思いにこたえられるよう、ナショナルトレーニングセンターを貴重な地域資源として生かし、十条地区のまちづくり、そして十条駅の踏切解消、立体化へ向けた東京都の特段の取り組みを強く求めるものであります。所見を伺います。
 最後に、アスベスト対策について伺います。
 昨年、アスベスト問題が再び大きな社会問題となりました。私も、北区内の小学校のアスベスト撤去現場を視察し、完全密封で行われる工事現場を見て、問題の深刻さを改めて実感いたしました。
 そこで、まず、昨年来東京都が取り組んできたアスベスト対策の概要を伺います。
 次に、建築物の解体時にアスベストが飛散する問題で、東京都は、国に先駆けて、より厳格な対策を講じてきましたが、その実効性を増すために都として国に対策強化を求めるべきであります。所見を伺います。
 また、現在の大気汚染防止法や都の環境確保条例は、飛散性の高い建材だけを対象にしています。飛散性の低いアスベスト建材は対象に含まれず、その実態や解体時の飛散状況もよくわかっていないのが現状です。
 東京都は、飛散性の低い建材の実態を早急に把握し、住民の皆様方に安心していただけるよう、的確な対策を行うべきであります。都の所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)大松成議員の一般質問にお答えいたします。
 北区のこういうスポーツ施設について、私、不明にして存じませんで、質問を受けて資料を取り寄せてみましたが、非常に強い印象を受けました。オリンピックに向けた選手強化は、今回のトリノの結果を見ましても、十年後のオリンピックに備えて非常に大事な、大会を成功させる上でも極めて大きな要素だと思います。
 日本におけるトップアスリートの強化の拠点であるこういうナショナルトレーニングセンターなどは、選手の育成強化のための重要な施設であると思います。こうしたものの存在が、競争者の福岡もあるようでありますけれども、実は国内での選考にも非常に大きなプラスの要因になると思います。
 今後は、主要競技施設だけではなく、こうした特色のある施設をオリンピック関連施設として位置づけて、有効に活用できるよう関係機関の協力を得てまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京教師養成塾の成果と今後の取り組みについてであります。
 東京教師養成塾では、一年間の特別教育実習等を通しまして、児童理解を深め、実践的な指導力や柔軟な対応力を身につけさせるとともに、高い志を持った教員の養成に努めてまいりました。
 昨年の四月から教壇に立っております第一期生につきましては、児童の実態を踏まえて学習指導や生活指導に取り組むことができることなど、学校から肯定的な評価を得ているところでございます。
 今後とも、大学、区市町村教育委員会との連携を深めますとともに、塾生の指導育成をより計画的、継続的に行うために教師養成指定校を新たに設置し、実践的な指導力を備えた教員の育成に努めてまいります。
 あわせて教員志望の大学生等に対しましても、この養成塾の講座の一部を公開いたしまして、塾生とともに学ぶ場を設けるなど、資質向上の機会を提供してまいります。
 次に、東京教師道場の実践例の活用についてでありますが、東京教師道場は、豊かな経験と高い指導力を持つ先輩教員が二カ年間にわたって中堅教員に指導技術を伝授し、学習指導のリーダーとなる教員を育成する場であることから、すぐれた実践例の蓄積が期待できます。このような実践例を東京教師道場だけで活用するのではなく、広く教員の資質向上に役立てることが重要でございます。
 都教育委員会は、東京教師道場で蓄積された実践例を教員養成や現職教員の研修に生かすため、お話の映像資料による情報提供も検討しつつ、有効活用に努めてまいります。
 次に、大学との検討組織の設置についてでございます。
 質の高い教員の養成や教員の現職研修の充実を図る上で、大学と東京都教育委員会が連携を図ることは重要でございます。都教育委員会は、平成十三年度から教員養成課程を有する大学との懇談会を開催しまして、教員の養成、選考、研修の充実を図ってまいりました。
 都教育委員会は、中央教育審議会におきます今後の教員養成・免許制度の在り方についての中間報告等の動向を踏まえまして、新たな視点を加えた検討組織を設置してまいります。
 最後に、教職経験者の採用と年齢制限の緩和についてでございます。
 いわゆる団塊の世代の大量退職に伴いまして、採用する教員の質の確保や教員の年齢構成の不均衡の是正が重要な課題であると認識しております。
 そのため、都教育委員会では、学校関係者や区市町村教育委員会関係者を交えまして、教員の任用制度等のあり方に関する検討委員会を設置し、採用選考全般について一月下旬に中間のまとめを公表し、見直しの検討を進めているところであります。
 お話の教職経験のある者を対象としました特別選考の実施や年齢制限の緩和につきましては、優秀な人材の確保を図る上で有効な方策と考えておりまして、今後ご指摘の点を踏まえまして、来年度の実施に向けまして、早急に具体策を取りまとめてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)災害対策に関しまして、避難所の運営指針についてのお尋ねでございます。
 災害発生時に避難所を設置することは区市町村の役割となっておりまして、その運営は、被害状況や地域の実情に応じて弾力的かつ柔軟に行われるべきものでございます。
 都は、避難所の適切な運営に資するように、平成十二年に管理運営指針を策定いたしましたが、現在、さきの新潟県中越地震などの災害時における避難所運営で生じましたさまざまな課題を整理いたしまして、見直しを行っているところでございます。
 今後、ご指摘の暖房器具の取り扱いや、乳幼児など特に支援が必要な方々などに対するきめ細かい配慮につきましては、この指針に盛り込むよう検討してまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君)避難所における給水の確保についてでございますが、水道局は、発災後一日も早い復旧に向けまして直ちに応急復旧に取り組んでまいりますが、それまでの間、必要に応じて区市町などの関係機関と連携しながら、給水拠点から地域の学校などの避難所まで水を輸送し、応急給水を実施することとしております。
 現在見直しを行っております震災応急対策の中で、関係機関との連携方法などに関し、マニュアル化を行い、避難所への応急給水をより実効性のあるものにしてまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)オリンピックに関する施設の活用についてのご質問でございますが、お話のように、トップアスリートがトレーニングを行う国立スポーツ科学センターと、今後整備されるナショナルトレーニングセンターは、既に国内外の専門家の注目を集めております。
 オリンピックの招致機運を醸成していくためには、一般の方々にも、これらの施設においてスポーツに親しみ、理解を深めていただくことが効果的であると考えております。
 今後、トップアスリートと子どもたちとの触れ合いの機会をつくるなど、活用策について関係機関と協議、検討してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)十条地区の整備に向けた都の取り組みについてのお尋ねですが、十条地区は、老朽木造住宅が密集し、都市基盤が脆弱であるなど、防災上の課題が多いため、防災都市づくり推進計画におきまして、重点整備地域に位置づけられております。
 このため、都は、地元区とともに連絡会を設置し、木造住宅密集地域の改善、道路と鉄道の立体化など、十条地区のまちづくりの検討を進めております。
 こうした中、十条駅西口では、組合施行による再開発の事業化に向け、地権者主体の協議会が発足するなど、駅前整備の具体的な動きが出てきております。
 お話のナショナルトレーニングセンターも地域の貴重な資源の一つととらえ、区と連携し、その玄関口となる十条駅周辺のまちづくりを推進してまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)アスベスト対策に関する三点のご質問にお答えします。
 まず、都のこれまでの取り組みについてでございます。
 昨年六月のアスベストに関する報道をきっかけとして、この問題に対する都民の不安が広がり、都の窓口にも多くの相談が寄せられました。このような状況を受け、都は、アスベスト対策推進会議を核として、全庁的なアスベスト対策を実施してまいりました。
 アスベスト問題は、都民の不安を解消するための正確な情報発信や、新たな被害を生じさせないための飛散防止対策を重要な課題ととらえております。
 そのため、都といたしましては、都民への的確な対応、建築物対策、区市町村との連携などを対策の柱として、都民向けQ&Aの策定や建築物解体時の対策強化など、時期を逸することなく実施してまいりました。今後とも、全庁一丸となり、必要な対策を進めてまいります。
 次に、建築物解体時の飛散防止対策に関する国への要望についてでございます。
 都は、解体現場への立入検査や現場周辺大気中の濃度測定、並びに関係団体に対して飛散防止の徹底を要請するなど、アスベスト対策を進めてまいりました。
 国に対しては、すべての解体工事において確実に飛散防止対策が実施されるよう、法改正を要請してまいりましたが、ようやく対象を拡大する改正がなされました。
 今後とも、条例が既に規定している建築物解体時のアスベスト濃度測定義務を法に盛り込むことや、公共施設のアスベスト対策に必要な財源措置を講ずることなど、国に対して対策強化を強く要望してまいります。
 最後に、アスベストを含む飛散性の低い建材の対策についてでございます。
 これらの建材は、屋根のスレート、壁のボードなどさまざまな種類があり、これまで解体時の実態把握が不十分であったため、平成十八年度においてその実態調査を行ってまいります。調査の結果を踏まえ、専門家や関係業界と連携した検討会などを設け、建材の種類に応じた適切な解体方法のマニュアルを作成するなど、現場に即したきめの細かい対策を講じてまいります。

〇副議長(木内良明君)五十六番大西さとる君。
   〔五十六番大西さとる君登壇〕

○五十六番(大西さとる君)よろしくお願いします。
 まず、子育て問題について質問いたします。
 少子高齢化が進んで大きな社会問題となっています。なぜ子どもを産む数が減ってきているのか。さまざまな理由があります。さまざまな理由がありますが、何といっても一番大きな理由は経済的な問題です。本当は子どもを多く持ちたいと熱望しているにもかかわらず、住居費や教育費などといった経済的な問題を感じて、これをあきらめてしまうことが多くなっているのが現実です。
 そこで、東京都の子育て世帯への経済的支援について伺います。
 東京における子育て環境の特徴を考えますと、自然環境は大変乏しくなってしまった反面、交通網が発達し、さまざまな文化施設や教育施設、医療施設が集約されるなど、経済的な支出により一定の便利さは享受できます。問題は、それら便利さの活用には経済的な負担が大きくなることです。特に子どもをたくさん持てば持つほど他府県よりも出費はふえてしまいます。
 出産費用の助成を増額することや、私立幼稚園に対する助成を私立小中学校並みに引き上げることにより、幼稚園でかかる費用を抑制したり、保育所の保育料などに対する支援を強化することや、医療負担の無料化の延長から、児童手当の充実など、まずは経済的な負担感をなくすことが子どもを産みやすい環境整備の第一歩だと考えます。他府県を凌駕するような支援策を打ち出すべきだと考えますが、都の所見を伺います。
 東京に住む子どもをふやすことは大切ですが、ただ、他府県から子育て中の家族が移り住む、要するに、日本の国内での人口移動では根本的な解決にはなりません。合計特殊出生率が日本一低い東京の出生率を上げることに大きな意味があります。
 では、どのようにしたら子どもの数がふえるのか。一つの提案ですが、三人以上子どもがいる家庭を手厚く優遇することです。世論調査の結果でも出ていますが、実際は何人子どもが欲しいかのアンケートに対し、理想は二・五六人となっています。これは、二人子どもがいる家庭の実に半分以上が、本当はもう一人か二人子どもが欲しいという理想を持っているということになります。
 だれもが子どもを産み、育てたいと思うような環境を整備することはもちろん大事なことですが、私は特に現在二人の子どもを育てている家庭が、さらに三人目、四人目を産んでもらうように働きかけることの方が、より大きな効果を生むと考えます。二人産んでいる家庭では、既に子育ての厳しさもわかっていますが、子育ての楽しさの方がまさっていると考えている家庭が多くいるということです。
 その理想を現実のものとするために、私は、三人以上の子どもを持つ家庭に対する重点的な支援として、児童手当を三人目から思い切って増額することも一つの方策であると考えています。例えば、今の児童手当を、三人目以降の子どもを持つ家庭には一人当たり三万円に増額するくらいが必要だと思います。
 出生率が回復したフランスでは、二人の子どもを持つ家庭には一万五千円、三人子どもがいる家庭には三万五千円が支給されています。十一歳以上には加算額もあり、所得制限もありません。フランスにおいて出生率が回復したのは、三人以上の子どもを持つ家庭に対し、手厚い手当を支給したことに加え、雇用、保育、教育、住宅、税制などあらゆる分野を包括する多角的な家族政策を展開したことが功を奏したといわれています。
 都においても、現在、二人の子どもを持つ家庭が、多様なライフスタイルを実現しながら、ちゅうちょすることなく、三人目の子どもを産み、育てることができるよう、経済的な支援を含め、総合的な子育て支援策を独自に進めていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 国政レベルでは、社会保障給付費全体の七割を高齢者関連が占めているに対し、児童関係の費用はわずか三・八%しかありません。このような国の政策では根本的な解決はなされないことは自明であり、ならば、東京都独自の子育て支援策を確立すべきです。
 東京都は〇六年度の少子化対策として、区市町村への支援強化に重点を置いています。確かに地域の裁量により、地域独自の最適な支援策を打ち出すことは大変大きな意味があります。
 しかし、その一方で、東京都が先進的な子育て支援策を確立することはさらに大きな意義があり、ディーゼル規制の先例のように、他府県に大きな影響を与えます。私は、ぜひとも石原知事家のようにたくさん子どもを持つ家庭がふえることを望みますが、少子化対策に取り組む知事の所見を伺います。
 次に、ディーゼル車規制について伺います。
 石原知事の強力なリーダーシップのもとで実施されたディーゼル車規制により、東京の空はどんどんきれいになっているという声が聞かれます。また、ことし四月からは第二段階の規制も始まることになっており、一層の大気汚染の改善も期待されるところであります。
 こうした成果は、厳しい経営環境の中で規制対応に努力していただいた運送事業者の方々、都の要請にこたえて国の規制より大幅に前倒しして、サルファーフリーの軽油などを自主的に供給していただいた石油連盟、そして連携して取り組みを行った八都県市など、多くの関係者の協力によりもたらされたものであります。
 国の大気汚染対策がなかなか進まない中、都が果敢に取り組んだディーゼル車規制は、多くの関係者が一丸となって、全国一深刻な状況にあった東京の大気汚染の改善に取り組んだ先駆的な対策の実例を示したものと考えます。今後さらに推進する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
 しかし、大変残念なことに、最近は、時折、黒煙をまき散らしながら、我が物顔で走り行くトラックを見かけます。そのほとんどが他府県、それも東京から遠い県のナンバーが多いのが現状です。東京都や近隣の県に登録するディーゼル車は相当高い料金を払って、環境のためにと浄化装置をつけています。
 都営バスなど都内を走る路線バスは、少しでも排気ガスを少なくするためにと、停留所ではもとより、信号にとまるたびにエンジンを切っています。大変な努力です。
 しかし、このような黒煙をまき散らすルールを守らない車によって、これらの多大な努力を効果のないものにしてしまっています。
 東京の大気汚染の一層の改善を図るとともに、真摯に規制に対応されている大多数の事業者の方々にとって、正直者がばかを見ることがないよう、黒煙ストップ一一〇番などの周知を広げることを含め、都外からの流入車を中心に取り締まりを徹底していくことが必要だと考えますが、見解を伺います。
 次に、早朝の国道等幹線道路の状況を皆様はどのように感じておられるでしょうか。一般の乗用車がほとんど走っていないまだ暗い国道を大型トラックが猛スピードで走っています。先日何人かの運転手に聞いてみたところ、本来は首都高を走るべきところではあるが、経費節約のために一般道路を走っているとのことです。一般道では当然信号待ちもあります。相当そのために速く走る必要があるとのこと。信号ごとのスタートダッシュの排気ガスのすさまじいことは、皆様もたやすく想像されると思います。
 そこで、環境改善という観点から、首都高速道路の料金について伺います。
 首都高では、平成十五年度からETC車の料金割引社会実験として、夜二十二時から翌朝六時までの二〇%の夜間割引を行っています。比較的首都高のすいている夜間の時間帯で料金割引を行い、もっと首都高を利用してもらうと同時に、一般道路の環境改善につなげていくというものです。この効果としては、平成十六年度では、騒音の低減など一般道路の沿道環境について改善傾向にあったと聞いています。
 私は、持論として、この夜間割引をさらに進め、首都高が最もすいている時間帯、例えば深夜零時から翌朝五時ぐらいまでは思い切って無料開放するべきだと考えています。首都高の無料化は、夜間に限っては交通量がさほどふえる可能性はないと考えます。さらに、今本当に苦しんでいるタクシー業界に需要を掘り起こすなどの経済効果も期待できます。
 しかしながら、現実には首都高の財務状況など、さまざまな課題があることも事実です。ただ、一気に夜間の無料開放というのは無理だとしても、さらにETCの社会実験を活用して環境改善を図っていくことは可能ではないでしょうか。料金割引社会実験を活用して、より一層一般道路の環境改善に取り組んでいくべきだと考えますが、所見を伺います。
 次に、この高速道路のネットワークについて伺います。
 現在の首都高を含む高速道路の形成状況は、都心から全国へ通じる放射方向にはおおむね整備されておりますが、外環を初めとする環状方向の道路は部分的にしかつながっていません。
 この結果、都心環状線を先頭に慢性的な渋滞が発生しているほか、私の地元では、常磐道や東北道から来る四つの路線が集中する小菅ジャンクションで、その合流による交通渋滞が大変なものとなっています。これらの渋滞を起因とした自動車からの排気ガスによる環境悪化は、都民生活に多大な負荷を与えています。
 そこで、都心を通り過ぎるだけの車両が使う迂回路など、渋滞解消による環境改善のためにも、外環を初めとする三環状道路などの整備を積極的に早急に進めていただきたいと考えますが、所見を伺います。
 次に、東京都及びその近郊での電車の料金について伺います。
 一つの例を挙げさせていただきます。京王線で新宿から東府中まで行ったとします。乗車距離は二十・四キロで、料金は大人二百七十円です。高尾駅まで行くと、乗車距離は四十三キロにもなりますが、料金は三百五十円です。ところが、りんかい線天王洲アイル駅から浅草線馬込駅まで行くと、五・七キロにもかかわらず、料金は四百九十円かかります。これは天王洲アイル駅から馬込駅まで行くには、りんかい線、東急線、そして都営線に乗りかえるため、それぞれ初乗り運賃が加算されるためです。
 理由については理解しているつもりですが、私を含め皆様もこれは高いなあと感じた経験あると思います。この割高感が少しでも解消されれば、都民の鉄道利用もふえていくのではないかと考えます。
 公共交通の利用促進は、環境問題の解決にもつながります。理想をいえば、どの鉄道会社を使っても、同じ距離を乗れば同じ料金になる共通運賃制が導入されるのがベストであると考えます。しかし、鉄道会社によって経営状態などがかなり異なりますので、それを共通運賃でというのは、なかなか難しいテーマであることは十分承知しております。
 現在、交通局では、東京メトロとの乗り継ぎの場合、大人の場合で運賃の合計から七十円といった割引制度を実施しております。共通運賃制度は難しいにしても、このように少しでもお客様に割安感のある乗り継ぎ割引制度をさらに推進していただき、この制度を広めていくべきであると考えますが、所見を伺います。
 交通問題は、物流問題や経済問題の解決といった側面と同時に、環境問題の解決といった大切な側面もあります。今の子どもたちや、これから生まれてくる次の世代の子どもたちの将来のためにも、環境面から考えていただきたいことを強く強くお願いいたしまして、私、大西さとるからの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)大西さとる議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、少子化対策についてでありますが、我が国の総人口は、昨年、統計上初めて自然減に転じました。少子化の進行は、社会がある程度豊かになり、高齢化が進んだ先進国では一つの必然であるとも思います。
 しかし、未来を担う子どもたちが健やかに育つ環境を整備することは、行政はもとより社会全体の責務であるとも思います。都はこれまで、認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備を初めとする福祉医療改革や教育改革など、国に先駆けて子どものためのさまざまな独自の施策を展開してもまいりました。
 今後とも、都民、企業、行政など、あらゆる力を結集しまして、すべての子どもと家庭を対象とした総合的な取り組みを推進していきたいと思っております。
 次いで、ディーゼル車規制についてでありますが、大気汚染対策は、本来、国が責任を持って取り組むべき課題でありますが、なかなかそうした危機意識が欠けておりまして、抜本的な対策を講じてきませんでした。
 一方、都は、地方自治体であるがゆえに、国が持ち得ない現場感覚とスピード感覚という強みを持っておりまして、それを生かして独自のディーゼル車規制という国に先駆けた果断な取り組みを推進してまいりました。
 これは、何といっても、同じ危機意識を共有する運送の事業者の方々、それから石油連盟、そして多くの関係者に支えられて初めて実現できたものであります。今後とも、これらの関係者や八都県市と協力連携を図りながら、東京の大気汚染の改善に取り組んでまいりますが、しかし、ご指摘のように、毎日チェックしているわけではありませんけれども、検問の網にひっかかれば罰金を取られる地方の車も入ってまいりますし、もっと卑劣なのは、大手の企業は、東京に来ればひっかかる車を、実は東京首都圏以外の地域に回しているということ。これは、やはり国がずさんでありまして、地方自治体がやった一つの成功例であって、国の役人のこけんにかかわるかどうか知りませんが、いいものはどんどん取り入れて、これを全国的に普遍することが私は必要だと思います。
 そういう点でもよき事例を示したと思いますけれども、あとは国が、国民全体がこの環境問題についてどういう意識を持ち、どういう形でこれを国に要求するかの問題だと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)子育て支援について二点のご質問にお答えします。
 まず、子育て世帯の負担感の軽減策についてでございます。
 都は、子育てに対するさまざまな負担感の軽減を図るため、子育ての悩みを気軽に相談できる地域の相談支援体制の構築や、育児疲れなどの際に利用できる一時保育など、在宅サービスの充実に努めてまいりました。
 お話の経済的負担の軽減につきましては、税制のあり方も含めて社会保障制度全体を視野に入れ、国民的コンセンサスを得て、基本的に国の制度として行うべきものと考えております。
 次に、総合的な子育て支援策についてでございますが、子どもを健やかに産み育てる環境を整備するためには、さまざまな分野での総合的な取り組みが必要でございまして、お話のフランスも、出生率の回復が多様な家族政策によるという点で、示唆に富んだものでございます。
 都は、昨年四月、次世代育成支援東京都行動計画を策定し、都民、企業、行政等が連携しながら、福祉保健、教育、労働等の各分野における取り組みの充実を図っているところでございます。
 今後、大都市の特性に応じた保育サービスのさらなる拡充を図るとともに、育児休業の取得促進について企業への普及啓発を行うなど、総合的な子育て支援の取り組みを一層推進してまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)ディーゼル車規制に関するご質問でございます。
 都外からの流入車に対する取り締まりについてでありますが、都では流入車対策が重要であることから、これまでも流入車の多い都県境の主要幹線道路やトラックターミナルなどでの取り締まりを重点的に実施してまいりました。
 加えて、八都県市で連携した一斉取り締まりなどの取り組みを進めているところでございます。
 今後とも、都が開設している黒煙ストップ一一〇番への通報を活用していただくとともに、都内の事業者団体や八都県市などとの連携を図りながら、都外からの流入車の取り締まりの一層の徹底に努めてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)首都高速道路の料金割引による社会実験についてでありますが、首都高速道路におきましては、平成十五年度から一般道路の渋滞緩和及び沿道環境改善を目的として、ETC車を対象とした夜間割引などの社会実験を実施しております。
 現在は、夜間や日曜、祝日について二割引き、平日のオフピーク時に一割引きとなっております。
 都としましては、料金割引の社会実験の活用により、首都高の利用促進と一般道路からの交通量の転換による環境改善が期待できることから、今後ともこうした取り組みを推進するよう、首都高速道路株式会社に求めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)三環状道路の整備についてのお尋ねですが、外環を初めとする三環状道路は、首都圏の円滑な交通の確保や環境改善に資する重要な路線であり、都は、その整備促進に積極的に取り組んでまいりました。
 三環状道路の整備により、首都高の都心部の渋滞はもとより、ご指摘の小菅ジャンクションで発生しているような日常的な渋滞も緩和され、あわせて二酸化炭素や窒素酸化物など自動車からの排出ガスが減少し、環境面で大幅な改善が図られると考えます。
 今後とも、首都圏の高速道路ネットワークの構築に向け、三環状道路の早期完成に積極的に取り組んでまいります。
   〔交通局長松澤敏夫君登壇〕

○交通局長(松澤敏夫君)乗り継ぎ割引運賃制度のご質問についてお答えをいたします。
 この制度は、鉄道を乗り継ぐ場合、各事業者ごとに初乗り運賃が加算されることから、運賃の割高感を緩和し、利用促進を図ることを目的として導入しているものでございます。
 都営地下鉄では、東京メトロとの間で大江戸線全線開業を機に割引額を七十円に引き上げ、また相互直通運転等を行っている私鉄各社とは、近距離区間の運賃の割引を行っております。
 ご指摘の乗り継ぎ割引の拡大につきましては、システム改修に多くの経費を要することや、割引に見合うお客様の増加が見込めるかなど、各社ごとの採算面などの課題がございます。
 今後とも、利用促進の観点から、鉄道各社と調整を図りながら検討してまいります。

○副議長(木内良明君)この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時四十三分休憩

   午後六時開議

○副議長(木内良明君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十三番串田克巳君。
   〔四十三番串田克巳君登壇〕

○四十三番(串田克巳君)初めに、総合物流ビジョンについてお伺いいたします。
 物流は、産業活動や消費生活など、あらゆる活動の基盤ともいうべき重要な機能です。特に、産業面において物流は我が国全体の国際競争力を左右する重要な要素です。中国を初めとするアジア諸国が急激な経済成長を遂げ、我が国の相対的な地位低下が懸念される状況にある中、国際的な競争力強化に向けて物流の改善が不可欠です。
 また、近年、人々のライフスタイルは大きく変化しているとともに、環境への意識も高まりつつあるなど、さまざまな観点から物流の改革が求められており、物流の効率化が不可欠です。
 東京都は、首都圏、さらに我が国の中心であります。東京こそが、周辺自治体と協力のもと、率先して改革に取り組み、国を動かしていくことが求められています。
 そういった中、東京都においては先月、物流効率化に向けた今後の取り組みを示した総合物流ビジョンを策定されました。まことに時宜を得たものである、物流改革に大きな一歩だといえます。
 一方で首都圏では、物流を支える基盤が不十分であるなど、その実現に向けてはさまざまな課題が山積しており、これらのさまざまな課題を乗り越え、都が改革を先導していくことが不可欠です。そこで、物流効果についての知事の所見を伺います。
 また、多摩地域は、生産拠点のある埼玉や群馬方面、神奈川方面を結ぶ重要な地域であり、圏央道の延伸により両方面との接続の強化が期待されることから、多摩地域におけるビジョンの具体化が、多摩地域振興はもちろんのこと、首都圏にとっても重要となります。
 特に、今後の首都圏の物流需要を賄い、快適な都民生活を保障するためには、圏央道周辺に物流拠点を設けることが不可欠であります。
 そこで、首都圏全体の発展を図るとともに、環境負荷を極力抑えるため、利便性の高い中央道とのジャンクション付近に物流拠点を整備すると同時に、例えば青梅インターチェンジ付近にも整備することを提案いたします。
 品目ごとの物流状況などをさらに調査した上で、品目別あるいは物流量に基づいて分散型の物流拠点を整備すれば、大規模な開発にはならないはずであり、輸送車両の集中による大気汚染や騒音への懸念も払拭できるのではないでしょうか。
 私見も申し上げましたが、総合物流ビジョンにおける多摩地域の取り組みについて伺います。
 次に、圏央道についてお聞きいたします。
 圏央道といえば、先週、東京高裁において事業認定と収用裁決取り消し訴訟の控訴審判決が出されたばかりであります。圏央道については、用地の取得や工事をめぐって依然として反対運動が展開されており、裁判上の争いも続いております。
 これまでの司法の判断も幾つか出されていますが、圏央道をめぐる裁判の影響は圏央道だけにはとどまりません。今後の首都圏全体の都市づくりのあり方を左右しかねない大きな意義を持つのではないかと考えております。
 このような観点で、圏央道事業をめぐる最近の裁判の動向とはどのようなものであり、収用委員会としてそれをどのように評価しているのか改めて伺います。
 次に、圏央道の進捗と収用手続についてお尋ねいたします。
 圏央道の整備については、八王子ジャンクションが完成することによって中央道と関越道がつながり、外環道を経由すれば、東北道、常磐道とも結ばれます。また、地元八王子市も含め、多摩地域の流通や産業にとって、企業の進出、物流拠点の整備、商圏の拡大など、複合的で非常に大きな経済効果が期待できます。
 このため、八王子ジャンクション完成後もその整備の速度を緩めることなく、東名高速道路に向かって着実に整備を進めていくことが必要なのであります。特に、八王子ジャンクションから八王子南インターチェンジまでの区間の早期整備に寄せる地元の期待は非常に大きいものがあります。
 しかし、都内で最後のステップになるこの高尾山トンネル部分についても、反対のためのトラスト運動が展開され、用地取得が難航していると聞いております。
 圏央道は、二〇一三年の東京国体や招致を目的としている二〇一六年のオリンピックにとっても欠くことのできない都市インフラとなることは間違いなく、その整備を決しておくらせるようなことがあってはなりません。
 そこで、高尾山トンネル部分における収用手続の進捗状況と収用委員会の今後の対応について伺います。
 また、圏央道のような都市のネットワークを構築する道路も重要ですが、同じように駅前の再開発や広場の整備、さらに区市町が進める生活道路といった身近な空間の整備も東京のまちづくりには不可欠であります。
 しかし、長年にわたって用地の取得が難航している状況も見受けられます。このような事業を担う区市町は、地元に身近であるがゆえに、これまで収用制度の活用に消極的な面があったことも否めません。
 そこで、まちづくりを敏速に進めるため、区市町における収用制度活用も含め、収用委員会の今後の取り組みをお伺いいたします。
 次に、子育て支援基盤整備包括補助について伺います。
 現在、区市町村は、今年度初めに策定した次世代育成支援行動計画に基づき、さまざまな施策に取り組んでいるところです。
 次世代育成支援は緒についたばかりであり、今まさに子育て不安を抱えている子育て家庭のために、親のリフレッシュでも利用できる一時保育や、相談や集いの場である子育てひろばを実施する施設をふやすなど、子育てしやすい環境の整備を促進していくことが必要です。
 これらの整備は、一義的には区市町村が行うことですが、一方、整備には一時期に多額の費用がかかり、財政状況の厳しい区市町村だけではなかなか取り組みが困難な実情があります。
 こうした中、都が子育て支援基盤整備包括補助を来年度創設し、区市町村の整備事業を支援していくことは評価できます。しかし、区市町村における子育て支援の取り組みはさまざまで、例えば私の地元八王子市は、来年度、親子が外出しやすい環境づくりに重点的に取り組んでいく予定と聞いておりますが、他の区市町村では、子育てひろばの箇所数を伸ばしていくところもあります。
 そこで、まず子育て支援基盤整備包括補助の目的、対象事業について伺います。
 対象事業は限定するものか、先ほどの八王子市の子育て環境のバリアフリーが対象になるかどうかも含めて伺います。
 次に、この補助金の効果を上げるためには、区市町村に積極的に使ってもらうことが必要です。昨日の我が党の代表質問に対し、区市町村が活用しやすいものとなる施策の実効性を高めていくと答弁がありましたが、区市町村が積極的に活用していくための方策として具体的にどのようなことを考えているのか伺います。
 また、在宅子育て家庭への支援を進めていくと同時に、五千人を超える待機児童が依然としている中、どうしても必要な場合は保育所の整備もしていく必要があります。
 平成十七年度から、国がこれまでの補助制度を交付金化にしたことにより、民間保育所への整備の主体が都道府県から区市町村に変わったところです。保育の実施主体である区市町村が、民間保育所も含めて整備計画をつくっていくことは当然の責務であると思いますが、都としても区市町村を支援していく方策をとるべきではないでしょうか。
 都は、十七年度に緊急対策として民間保育所に対する区市町村の単独補助に対する支援を行いましたが、十八年度も引き続き、この包括補助の中で支援していくことを強く要望しておきます。
 次に、水道局のお客様サービスの向上への取り組みについて伺います。
 多摩地区では、現在、窓口業務は各市町が個別に行っていることから、料金の支払い、引っ越し時の届け出などがそれぞれの市町域に限定され、広域的なお客様サービスができないなど、課題を抱えております。
 こうした課題を根本から解決するため、水道局では事務委託の解消を鋭意進めているわけですが、すべての市町において事務委託を完全に解消するまでには、まだ相当の期間が必要であります。
 そこで、事務委託解消前でも、できる限りサービスの向上を図るべく、料金支払いや問い合わせなどへの敏速な対応ができるように、オンラインによる多摩水道料金等ネットワークシステムを導入しており、こうした取り組みは評価ができます。
 そして、本年十一月には、多摩お客さまセンターが開設すると聞いており、多摩地区のサービスがまた一段と向上するものと期待しております。多摩のお客さまセンターの開設にあわせて、区部センターとの連携を図ることで都民の利便性を向上させることができるのではないかと思うのであります。
 そこで、今回開設する多摩お客さまセンターでは、区部との連携を含め、どのようなサービスを展開していくのか伺います。
 次に、水道局の効率的な事業運営を実現するための取り組みについて伺います。
 多摩地区二十五市町の水道は、全国で二番目の規模を持つ横浜市の給水人口をも上回る約三百七十万人もの都民に給水しており、約千百人の職員が業務を担っております。
 事務委託の解消に伴い、これらの市町職員が行っていた膨大な業務が都に移管されるわけであり、本来ならば職員を増員しなければ事業をやっていけないところですが、水道局では、民間委託を積極的に活用することで、逆に職員の総定数を削減していく中、より効率的な事業運営を確保していく、その努力は高く評価できます。ぜひ民間企業ができるものは民間にゆだね、効率的な事業運営に努めていただきたいと思います。
 しかし、市町の職員が行ってきた業務の中には、工事の監督のように工事の請負者と利害が重なる業務や、料金徴収業務の指導監理のような重要業務が含まれており、このような重要業務の担い手として第三セクターを活用すると聞いております。
 こうした多摩地区における第三セクターの活用は、公共性を確保しつつ、効率性を追求する水道事業の運営に必要なことであります。
 今後一層の効率化を推進し、少数精鋭で経営していくためには、多摩地区の事務委託解消のみならず、水道局全体として新たな事業運営体制を構築していくことが必要であると思います。
 そこで、昨年十一月に発表された行財政改革の新たな指針では、局は直営で行うべき業務に特化し、その他の業務は、第三セクターや民間企業を活用することなどにより、経営の一層の効率化を推進すると示されておりますが、この指針に沿って具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、世間では、第三セクターは悪とするような風潮も多々あるので、活用に当たっては透明性を向上させることが重要であり、局として十分な関与が必要と考えております。
 そこで、行革指針を見ると、第三セクターについては、今後の活用策を踏まえ、関与のあり方を検討すると示されておりますが、具体的にどのように関与していくのか伺います。
 次に、多摩地域の下水道事業について伺います。
 多摩地域の下水道に関しては、我が党の代表質問でも取り上げた奥多摩町等、未普及地域の解消に加えて、単独処理区の流域下水道への編入という課題があります。多摩地域の下水道普及率は今年度末に九六%に達する見込みですが、その普及に当たっては、都と市町村が連携をして整備に取り組む流域下水道事業が大きな役割を果たしてきました。
 ところで、流域下水道事業が制度化される前の昭和三十年代から市単独の下水道事業を進めてきた三鷹市、立川市、八王子市等では、それぞれ下水処理場を稼働させてきました。これらの市の単独による下水道事業は、この地域の生活環境の向上に大きく貢献してきました。
 しかし、例えば、昭和四十三年に稼働し、三十七年が経過した三鷹市の東部処理場において顕著に見られるように、狭い敷地に立地しているため、老朽化した施設の更新等が困難となっています。
 また、強化される放流水質基準に対応するための高度処理や合流式下水道の改善を進めることが難しい状況になっています。
 さらに、これらの三つの単独処理場はいずれも小規模なことから、処理水量当たりの維持管理費も流域下水道の水再生センターに比べ高く、運営にも苦慮しています。
 このため、我が党を初め市長会では、これら三市の抱える単独処理区の流域下水道への編入を以前から強く要望してきました。
 下水道局では、こうした要望を受け、東京都流域下水道事業経営計画二〇〇四で、これら単独処理区の流域下水道区域への編入を主要施策の一つとして掲げています。
 そこで、その施策の内容と今後の取り組みについて伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)串田克巳議員の一般質問にお答えいたします。
 物流の効率化についてでありますが、国際競争力の強化や、暮らしと環境の向上を実現していくために、物流の効率化は不可欠であります。じかに物価に響いてまいります。
 首都圏の物流基盤は、陸海空いずれも脆弱でありまして、我が国の国際的地位を揺るがしかねないものがございます。
 例えば、首都圏の高速環状線の整備率はわずか二割であります。ロンドンはちなみに十割、パリは八割という現況でありまして、東京湾の港湾コストも釜山の一・六倍、これは恐らくシンガポールはもっと廉価で多量のコンテナを扱っていると思いますが、世界一の扱い高になりましたシンガポールを見ますと、使われているソフトもハードも全部日本製でありますが、なぜかそれが日本では採用し切れないといういろいろ複雑な現況もあります。
 また、首都圏の三千メートル以上の国際線滑走路はわずか一本、ニューヨークは五本、パリは四本という現状であります。
 このため、三環状道路の整備、東京港、羽田空港の機能拡充など、物流基盤の強化を積極的に推進するとともに、企業の物流効率化の支援や弾力的な料金体系により、大型貨物車を高速道路へ誘導する仕組みを構築していきたいと思っております。
 こうしたハード、ソフト両面の取り組みにより、物流の効率化を強力に推進し、東京、ひいては我が国の再生につなげていきたいものだと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)総合物流ビジョンにおける多摩地域の取り組みのお尋ねでございますが、総合物流ビジョンは、国際競争力の強化や暮らしと環境の向上を実現するため、首都圏を見据えて物流効率化の推進を図るものでございます。
 多摩地域は、電気機器などさまざまな産業が数多く立地するとともに、埼玉や神奈川と
の物の輸送も活発な地域でございまして、効果的な物流施策の展開が必要でございます。
 そのため、圏央道や都市計画道路など、物流の骨格を形成する道路整備を推進するとともに、これらの整備にあわせて物流施設の高度化、集約化などを促してまいります。
 今後、国や関係自治体等と連携して、多摩地域の物流の効率化に取り組んでまいります。
   〔収用委員会事務局長嶋津隆文君登壇〕

○収用委員会事務局長(嶋津隆文君)三点にお答えをいたします。
 初めに、圏央道をめぐる最近の裁判の動向でございますが、まず、あきる野のインターチェンジ付近のいわゆるトラスト事件についてでございます。
 事業反対者から事業認定と収用裁決に対する取り消しの訴えが提起され、平成十六年の四月には、東京地裁で、遺憾ながら取り消しの判決が出されました。しかし、先月の二十三日、これがひっくり返りまして、控訴審である東京高裁で、収用は適法であるとの逆転判決が出されたところでございます。
 また、八王子ジャンクションに関するトラスト事件についてでございますが、これも同様に反対者から訴訟が提起されました。しかし、昨年の五月に、東京地裁におきまして、事業認定及び収用裁決は適法であるとの判決が出されました。
 これらの判決で、収用委員会が圏央道の事件に対し土地収用法に基づき適正に審理を行い、裁決を出したことが明確に認められたものと評価しております。
 次に、高尾山トンネルについての収用手続の進捗状況でございますが、トンネルを挟んでの八王子ジャンクションから八王子の南インターチェンジの間につきましても、事業反対のためのトラスト運動により、用地取得が大変困難になってございます。
 そのことから、起業者である国等は、土地収用法に基づきまして、昨年の九月に、国土交通大臣に対しまして事業認定の申請を行いました。これを受け、国土交通大臣は、十一月に、三日間にわたり、八王子市で利害関係人から幅広く意見を聞く公聴会を開催しております。そして、今後は、専門家でつくる社会資本整備審議会の意見聴取を経て、事業認定が早晩判断されることになるという手順になってございます。
 収用委員会といたしましては、今後、国等から収用裁決の申請が出されたならば、土地収用法に基づき迅速かつ的確に対処してまいりたいと考えてございます。
 最後に、収用委員会の今後の取り組みでございますが、何よりもまちづくりにとって収用制度が果たす役割は大きいと考えております。このため、収用制度の活用にともすれば慎重でございました区市町村について、この一年間、すべての首長さんに直接にお会いして収用制度のPRを図ってまいりました。そして、要望のございました二十七の区市を対象に出前講座を実施するなど、実務的なサポートを行ってまいりました。こうした取り組みにより、本年度の区市からの申請は例年の三倍程度の三十四件と、過去最大になってきております。
 収用委員会は、今後とも、国や都、区市町村に対し、収用制度活用の促進に努めるとともに、関係者の声にもよく耳を傾け、和解による解決も含め、収用手続の適正・迅速化を図り、そのことで東京のまちづくりに貢献してまいりたいと思っております。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)子育て支援につきまして二点のご質問をいただきました。
 まず、子育て支援基盤整備包括補助の目的及び対象事業についてでございます。
 本事業は、区市町村が行う子育て支援施設などの整備を柔軟かつ広範に財政支援することによりまして、地域の実情に合わせた取り組みを促進し、子育て環境の充実を図ることを目的としております。
 対象事業につきましては、都が限定することはせず、区市町村がみずから取り組む子育て支援に関する基盤整備全般について支援を行う考えでございます。
 お話しの子育て環境のバリアフリーにつきましても、公共施設等へのベビーベッドや授乳室の設置など、子育て支援に資するものでございますれば、幅広く支援してまいります。
 次に、区市町村が積極的にこの包括補助を活用していくための方策についてのお尋ねでございますが、本制度の運用に当たりましては、区市町村の主体的な提案に可能な限りこたえるとともに、通常の施設整備に対する補助制度のように煩雑な事務手続を極力排除いたしまして、事業採択までの期間を短縮するなど、迅速な執行に努めていく所存でございます。
 また、事業の円滑な実施のために、できる限り早期に要綱案を策定し、事業説明会などの機会を持って区市町村への制度周知にも万全を期してまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君)水道事業についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩お客さまセンターにおけるサービスの展開についてでございますが、現状では、市や町の区域を越えて転居する場合、お客様は、それまで居住していた市や町への使用中止の届け出と転居先での使用開始の申し込みを別々に行う必要がございます。お客さまセンターの開設後は、区部のセンターとも連携を図り、一回の連絡で転出入の手続が完了するワンストップサービスが可能となります。
 また、料金など各種問い合わせや相談などにつきましてもこのセンターで対応していくとともに、受け付け時間を二十時まで延長いたしまして、土曜日にも受け付けを実施いたします。
 なお、漏水事故等の緊急受け付けは、二十四時間三百六十五日行ってまいります。
 こうした取り組みにより、お客様サービスの一層の向上を推進してまいります。
 次に、経営効率化への取り組みについてでございますが、さきに公表されました行財政改革の新たな指針では、官民の役割分担のあり方や業務の抜本的な見直しによる効率性、公共性の発揮などを内容とする公営企業改革の方向性が示されております。
 水道局では、従来から、検針業務など積極的に民間委託を推進し、経営の効率化に努めてまいりました。今後もこの指針に沿って、施設整備計画の策定や広域的な水運用など、水道事業運営の根幹にかかわる業務は引き続き直営で実施してまいりますが、定型的な業務につきましては、民間事業者への委託をさらに拡大してまいります。
 また、民間事業者に委託した業務の監督指導など事業運営上重要な業務は、水道事業全般にわたるノウハウを有し、都が経営にしっかり関与できる第三セクターを活用してまいります。
 最後に、第三セクターへの関与についてでございますが、水道局といたしましては、事業運営上の重要な業務を担わせる第三セクターについては、その経営にしっかり関与していくことが必要であると考えております。
 このため、当該第三セクターへの出資割合を過半数に引き上げることにより、当局の関与を強め、業務改善を促すなど、局の方針を第三セクターの経営に反映させてまいります。
 また、出資割合を引き上げることにより、地方自治法に基づき経営状況についても議会への報告が義務づけられるとともに、監査委員による監査などの対象となります。さらに、経営情報の公開などを積極的に進めてまいります。
 こうしたことにより、第三セクターの透明性の向上と効率性の発揮を図るとともに、局と一体となった事業運営体制を構築し、水道の安全・安定性に万全を期すとともに、一層効率的な水道事業運営を推進してまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君)単独処理区の流域下水道編入に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、その施策の内容についてでございますが、老朽化した施設の更新が困難など、ご指摘のような課題を抱えていることから、下水道局の経営計画二〇〇四におきましては、三鷹市、立川市、八王子市の単独処理区の受け入れについて検討を進め、流域下水道区域に編入していくこととしております。
 これにより、施設更新はもとより、高度処理や合流改善を推進し、多摩川の一層の水質改善を目指すとともに、広域化によるスケールメリットを生かしまして維持管理費を縮減するなど、多摩地域全体の下水道事業の効率化を図るものでございます。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、まず、単独処理区の下水を受け入れるための管渠の整備や水再生センターの機能拡充などを行う必要がございます。
 また、単独処理場の廃止などにより処理水の放流先が変わるため、これまで放流していた河川の水量を確保し、水環境を維持していくことが求められます。
 このほか、施設整備に伴う国庫補助金など財源の確保や関係市町村間の負担の調整を図る必要がございます。
 今後、国など関係機関との協議を進め、事業化が可能となるように努めてまいります。

〇副議長(木内良明君)三十一番山口拓君。
   〔三十一番山口拓君登壇〕

○三十一番(山口拓君)まず、少子化対策と子育て支援についてお伺いいたします。
 先日、厚生労働省が人口動態統計の速報値を発表し、一八九九年の統計開始以来初めて人口の自然減が確定したことが明らかになりました。少子化は、今や日本の社会保障制度や経済成長を左右する深刻な課題としてだれもが認識をしているのは、紛れもない事実であります。
 さて、東京の少子化対策の現状としては、国の方針に呼応した形で区市町村が独自で打ち出された対策が中心でありました。
 昨年、次世代育成支援の行動計画が練られたものの、残念ながら都の明確なメッセージは伝わってきません。新年度の予算案を見ても、少子化対策と銘打った事業は一つとして見当たらないのがこのあらわれであります。
 都は、少子高齢化が加速する日本の首都として、人口問題までを含めた少子化対策を、都民に、区市町村に、さらにいえば全国に示すべきではないでしょうか。
 そこで、お伺いいたします。都は現在の少子化問題についてどのように向き合っていくおつもりか、改めて所見をお伺いいたします。
 自治体にとって少子化対策にいかに取り組むかは、極めて難しい課題であります。都内でも、区市町村が、まるで競うかのように医療費助成の拡大や子育て手当の拡充など、新年度予算の目玉として盛り込んでいます。家庭支援としては大変な助けとなりますが、少子化対策や効果という点で考えると、確証には至りません。単に他の地域から子育て世帯を呼び込むだけに終わり、我が国全体としては、結局、少子化対策としては効果を生まないのではないかと危惧すらされています。
 基本は、国を挙げての取り組みが必要なことはいうまでもありません。私も、産めやふやせやという強要まがいの施策の充実は絶対になされるべきではないと考えております。
 少子化問題は、個人の価値観による部分が大きく、多くの議論を通じても、今の危機的状況を劇的に変えるような特効薬はなかなか見えてこないことも承知をいたしております。だからこそ、明確なビジョンを都が打ち出し、基づいて子どもを安心して産み育てやすい環境を着実に整備し、その地道な積み重ねの総和が結果として少子化の進行の歯どめにつながるのが理想なのではないでしょうか。
 こういった点から、都が新年度予算に新たに盛り込んだ子育て推進交付金は、地域に根づいた子育て家庭への支援を推進するものにつながるよう期待をしているところです。
 そこで、お伺いいたします。この交付金は、地域の創意工夫や主体的な発想を生かすために、市町村に対する財政支援の仕組みをどのように変えていくものなのか、お伺いいたします。
 地域において次世代育成支援策をより効果的に展開していくためには、区市町村が住民ニーズを的確にとらえて、従来の施策を根本から見直し、再構築することが必要であります。例えば高コスト体質の公立保育園を民間委託するなど、運営方針を見直すことにより、現行のサービス水準を維持しながら、より効率的な運営が可能となれば、その財源の一部を在宅で子育てをしている家庭に対するサービス等に振り分け、地域全体の子育てサービスや支援の拡充につながっていくと考えます。
 そこで、お伺いいたします。今回、都が、対象や使途を細かく限定した既存の補助制度を再構築し、区市町村の主体性を重視した財政支援とした背景には、地域においてこれまでの事業のあり方を一から見直し、より効果的な事業展開を促すという側面もあったと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 最後に、少子化対策を実行し、子育て支援の一層の充実のための提案をいたしたいと思います。
 それは、子ども局の創設であります。子ども局とは、子どもにかかわるあらゆる問題、具体的政策を扱う部署であります。少子化も、子育てをしにくい職場環境や生活環境、住環境などさまざまな要因が絡み合っており、一つの要因を解決すれば改善が見込めるものではありません。都の少子化対策も例に漏れず、家庭や地域の養育力向上策の実行レベルにおいては、教育庁、福祉保健局、生活文化局などの複数の部局がかかわっているのが実態です。子どもに関するあらゆる施策を横断的に扱う部署を創設することで、現実に有効な政策の立案や、さらには政策の効果的な実行が望めると思われます。
 さらに、こうした実利的な効果だけではなく、首都である東京が画期的な政策を打ち出すことで、さきに述べたように少子化対策への規範を国や各自治体に対して示すことができることでしょう。
 どの先進国でも設置されている専門の組織を、都として全庁横断的に子ども局として設置することを提案いたしますが、都のご所見をお伺いいたしまして、次の質問に移ります。
 続いて、子どもを犯罪から守る取り組みについてお伺いいたします。
 昨年末から全国で子どもが犯罪に巻き込まれる事件が相次いでいます。凄惨な事件の被害者が何の罪もない子どもたちとなることは、どんなことがあっても防がなければなりません。子どもたちがねらわれやすい小学校では、学校施設整備指針における防犯対策関係規定も充実され、校門の閉鎖、低学年教室の一階からの配置がえ、オートロックつきドアの導入、防犯カメラや通報設備の設置などの積極的な防犯措置がとられるようになりました。
 また、直接的に子どもたち自身の個人の見守りや安全策として、携帯用防犯ベルやGPS機能つき携帯電話の普及が急速に進み、学校の安全や防犯、子どもの安全に対する認識が改められ、確実に変わりつつあります。
 しかしながら、学校における刑法犯罪数は、平成十六年度で四万三千五百十六件と、ここ十年で二倍近くに増加し、さらに小学生が犯罪被害者となるケースが二万六千六百九十九件と多発をしていることがわかります。
 こういった現状から考えると、いわば道具に頼った措置だけで本当に児童の身を守ることはできないのは明らかであり、防犯教育の充実などのソフト面とハード面をあわせて総合的に取り組んでいくことがまさに重要になってまいります。これまでの防犯対策と並行して、小学生にみずからの身を守るためのカリキュラムなどを用いて、改めて教育に取り入れる必要があるのではないでしょうか。
 そこで、お伺いいたします。子どもたちを犯罪から守るために、各小学校では具体的にどのような指導が行われているのか、まずお伺いいたします。
 子どもたちがさらされている危険は、目につきにくいところでの暴力、虐待、いじめを初め幅広く、より身近なところで続発する事件への対策も大いなる課題であり、一日も早い対策や実践的な解決が求められています。当然のことながら、都教育委員会は、学校、教職員を指導すべき立場にあり、教育現場における子どもたちを守る責任があります。いかように子どもたちを守っていくか、的確に、かつ総合的に対策を練り、その都度確実に実行していかなければなりません。
 続けてお伺いいたします。今後は、子どもたちが犯罪に巻き込まれないよう、みずからの身を守れるよう、危険を予測し、回避する能力を身につける指導も一層推進していくべきと考えますが、都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
 しかし、最終的には、いかなる場面であっても、子どもたちを常に見守り、守り抜かなければいけないのが大人の責任と義務であります。
 最近、諸外国や、国内でも自治体や民間において、CAPを初めとする先進的な教育プログラム等が取り入れられています。総合的に犯罪と子ども、大人、地域の関係性を考え、子どもを多方面から守っていくために必要なプログラムやカリキュラムなどを導入、習得、実践をしていくことによって、より具体的な対応策として飛躍的に安全性も高まっていくことが実証されています。
 今後、学校では、ワークショップを行う資格を持った教師の育成、あるいはそれを専門とする民間人を積極的に登用するなど、実践を最優先したさまざまな取り組みが必要不可欠となるはずです。
 また、あわせて地域全体で子どもを見守る環境をつくることができれば、犯罪を防ぐ抑止力につながります。
 子どもがみずから身を守ることには限界があります。大人が子どもを守る観点から、教育現場における教職員の意識改革や指導力向上も不可欠でありますが、地域もあわせ、今後どのように取り組んでいくつもりか、お伺いいたします。
 将来を担う子どもたちの安全確保は、自治体、保護者、教育者、地域、それぞれが共通の認識として確実に取り組むべき課題です。都の強い決意を込めた答弁を期待し、次の質問に移ります。
 治安対策についてお伺いいたします。
 都では、東京の治安回復をさらに確かなものとするため、昨年八月、これまでの緊急治安対策本部を青少年・治安対策本部に改編し、取り組みが進められています。
 知事も治安回復への意気込みは強く、かつて、治安維持対策を専門に、現職の警察官僚として初めて竹花副知事を起用したあたりは、犯罪都市で有名であったニューヨークを安全な都市に変貌させたジュリアーノ前市長と、そのもとでニューヨーク市警の総監となったウイリアム・ブラットン氏の関係と重なって見えました。その意思は舟本対策本部長に引き継がれ、さまざまな取り組みの効果もあって、都の犯罪発生数についても、先月の治安状況報告において、減少傾向にあることがわかりました。
 しかし、青少年がかかわる犯罪が減少しないことも、緊急の課題として示されました。割れ窓理論を実践、すなわち小さな犯罪を見過ごすことなく対処することで大きな犯罪の誘発を防止するという考え方に基づき、都もこれまでさまざまな施策に取り組んでいるところであります。
 そこで、都民の目に余る犯罪、落書き問題について数点お伺いいたします。
 今やスプレー等を使った町中の景観を壊す落書きは、日本じゅうに限らず世界じゅうに広がる問題でもあります。
 私はこれまで、NPO法人を設立し、地元でもある世田谷区を初め都内各地で美化活動を行うとともに、地域団体の落書き消去活動にも積極的に参加をすることで、地域の環境浄化に取り組んでまいりました。
 これまでの活動を通じ、落書き消去を初めとした環境美化活動と安全で安心なまちづくりは、切っても切れない密接な相関関係があることを実感いたしております。
 地域の人の目が行き届いた美しいまちをつくることで管理の行き届いたイメージをつくり、防犯や治安の基礎となるのです。つまり、安全・安心を提唱し、治安を守り、都民を守っていく姿勢を示す都には、ぜひとも落書きを都内から一掃し、維持していくくらいの意気込みで取り組んでいただきたいと切に願うところであります。
 対処、処理に苦慮している、また、気づきながらも見て見ぬふりになりがちになっている身近な犯罪への取り組みこそが、地域における目に見える安全・安心への都の姿勢として都民に示すことができるのではないでしょうか。
 そこで、まずお伺いいたします。
 知事、私は、この落書き対策を初めとした割れ窓理論の実践に基づく治安回復の取り組みは有効であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 また、都においてはこれまで、治安対策の一環として落書き対策を実施しているようでありますが、平成十七年度の実績と今後の展開についてお伺いいたします。
 地域において苦労を重ねながら地道な落書き消去活動を行っている人が都内には大勢いらっしゃいます。また、この問題に悩み、今後、落書き消去に取り組みたいと考えていても、実際には専門的な技術や道具を必要とするところから、どのように取り組んだり、現場で消去したらよいかわからないという都民の皆様が多いことも、落書きが一向に減らない要因として考えられます。
 そこで、最後にお伺いいたします。
 こういった活動を支援することは、ひいては都民の身近なところでの防犯活動ともつながり、また、都も推奨する防犯マップにも挙げられている、いわばまちの陰となる場所をなくしていく活動としても推奨されるものとなるはずです。
 こういった生きた情報収集にも直結するであろう活動は、都は積極的に支援をしていく必要があると考えますが、そのための対策としてどのようなことを行っていくのか、お伺いいたします。
 世界に東京をアピールするおつもりならば、中身はもちろんのことでありますが、装い、いわば景観は最も気にしなければならないところであります。
 犯罪に強い、そして美しいまち東京をいま一度取り戻すため、また、都民が安全・安心を目で確認できるようになることを願い、力強い答弁を心より期待申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)山口拓議員の一般質問にお答えいたします。
 割れ窓理論に基づく治安回復についてでありますが、軽微な犯罪を見逃すことなく取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとするこの理論の実践は、犯罪対策上当然のことでありまして、極めて効果的であると思いますが、しかし、そのためには、やっぱり手が要るわけですね。ということで、東京都も過去二年間、警察に百人、それから、手不足で困っておりました入管に十五人の職員を派遣しまして、手助けをしてまいりました。
 その分、特に治安に関しては、警察官の諸君はデスクワークを離れてまちに出て、驥尾に付した対策をとっていただいたわけでありますが、ニューヨークでもコンピューターを積極的に入れることで執務時間を短縮し、その分余った時間を警察官を外へ出して小さな犯罪の摘発に努めたことで、ニューヨークも幾分、治安が好転したようでありますが、都においても、万引き、落書きなどの軽微な犯罪に対しても、抑止のための仕組みづくりを進めてきました。こうした取り組みも東京の治安回復に大いに寄与してきたものと考えております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)二点にお答え申し上げます。
 まず、子どもたちを犯罪から守るための指導の現状についてでございます。
 学校におきます犯罪被害防止教育は、家庭や地域の関係機関等と密接に連携いたしまして、組織的、計画的に行うことが重要でございます。
 このため、各小学校においては、警察署等と連携いたしまして、保護者や地域の方々の協力のもとに、犯罪の被害に遭わないための指導を行うセーフティー教室や緊急事態を想定した防犯訓練を実施し、子どもたちが犯罪からみずからの身を守るための具体的な対処方法などについて、発達段階に応じた指導をしております。
 次に、都教育委員会の今後の取り組みについてでございますが、児童が学校や地域等で安全に生活する上で、犯罪等の危険を予測し、回避する能力や態度を身につけることは極めて重要でございます。
 これまで都教育委員会は、すべての小中学校及び盲・ろう・養護学校を対象とした防犯教室指導者講習会を実施し、犯罪被害防止の先進的な指導事例を紹介するなどいたしまして各学校を支援してまいりました。
 今後は、区市町村教育委員会とも連携し、児童が実際に地域を歩きながら犯罪が起こりやすい場所を確認する地域安全マップづくりなどの実践的な安全教育を推進し、子どもたちの危険を予測し、回避する能力や態度を育成してまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)少子化対策に関連し、四点のご質問にお答えいたします。
 まず、少子化問題についてでございますが、少子化の要因といたしましては、未婚率の上昇や晩婚化などが指摘されておりますが、結婚や出産は個人の価値観や人生観に深くかかわるものでございまして、行政の関与にもおのずと限界がございます。
 しかしながら、子どもを産み育てたいと望む人たちが安心して子育てできる環境、次代を担う子どもたちが健やかに成長していく環境を整備することは、行政を初め社会全体の責務と考えております。
 こうした認識のもとに、都は昨年四月、次世代育成支援東京都行動計画を策定したところでございます。今後、この計画に基づき、区市町村や民間企業などとも連携し、総合的な視点から、すべての子どもと家庭が安心して生活できる社会の実現に取り組んでまいります。
 次に、子育て推進交付金についてのお尋ねでございますが、現行の子育て支援に関する都の補助制度は、対象や補助金の使途などの補助要件を細かく規定いたしまして、また、市町村が一律に事業を実施する仕組みでございますため、地域のニーズに応じて必要な施策展開を行うなどの裁量の余地が少ないものとなっております。
 今回創設いたしました子育て推進交付金は、市町村が自主的な判断で望ましいサービスを実現するための多様な事業実施が可能となる仕組みに転換していくものでございます。
 次に、子育て支援に関する補助制度の再構築の効果についてでございますが、今回の再構築は、都が実施手法も含め、細かく限定しておりました従来の財政支援のあり方を改め、区市町村の創意工夫を生かした取り組みを可能とするために行ったものでございます。
 区市町村におきましては、地域の多様なニーズに的確に対応し、限られた社会資源を有効に活用した施策展開により、効果的、効率的な事業実施に努めていただけるものと期待しているところでございます。
 今後、この新たな子育て推進交付金を活用いたしまして、区市町村の主体的な取り組みを促進し、都全体として子育て支援サービスの充実に努めてまいります。
 最後に、子ども局設置のご提案についてでございますが、都はこれまで、独自の認証保育所の創設や小児緊急医療体制の整備を初めといたしまして、福祉・医療改革など、各分野において子どものための先駆的な施策を実施してまいりました。
 こうした取り組みをさらに進めるため、昨年四月、福祉、保健、教育、労働など、さまざまな分野における子育て支援策を総合的に示しました次世代育成支援東京都行動計画を策定したところでございます。
 今後とも、次世代の健全な育成を図り、すべての子育て家庭を支援していくために、関係各局と連携し、総合的な取り組みを進めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君)三つの質問にお答えをいたします。
 まず、地域における子どもの安全対策についてでありますが、教職員や保護者だけで学校やすべての通学路の安全対策を実施することは困難であります。こうしたことから、町会、自治会、警察署、区市町村など、地域全体で子どもを守る仕組みを構築することが極めて重要であります。
 都としましては、例えば、保護者とともに地域の人たちも参加して子ども安全ボランティアを結成し、これらのボランティアが通学路などのパトロールや見守り活動を行うといった地域を挙げてのさまざまな取り組みを強力に支援してまいります。
 次に、落書き対策の実績と今後の展開についてでありますが、平成十七年度は町田地区、青山地区の二カ所で、子どもたちも参加してもらい、地域の人たちと一緒に落書き消去の実践活動を行いました。
 また、昨年十一月には、塗装関係団体と連携をしまして落書き消去のキャンペーンを行いまして、治安面での落書き対策の重要性をアピールいたしました。
 十八年度は、これまでの取り組みを踏まえ、落書き消去の実践活動をさらに拡大することなどにより、地域の防犯力の一層の向上を図ってまいりたいと思っております。
 次に、落書き消去活動に対する都の支援についてでありますが、落書き対策は、地域住民が区市町村と連携を図りながら粘り強く継続的に取り組んでいただくことが一番効果的な対策であり、都としてもこうした取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えています。
 具体的には、落書き消去マニュアルの普及啓発でありますとか、あるいはインターネットも活用して、落書き消去活動の事例紹介を初め具体的な情報提供などを行ってまいりたいと思っています。
 さらには、引き続き区市町村に対し、落書き消去活動の意義を訴え、その取り組み強化を促していきたいと考えております。

〇副議長(木内良明君)二十二番崎山知尚君。
   〔二十二番崎山知尚君登壇〕

○二十二番(崎山知尚君)昨年秋に、我が国では、政府の予測よりも二年早く人口減少社会に突入したことが発表されました。明治期から今日までの間、戦争の影響を受けた一時期を除いて常に増加し続けた日本の人口が減少するという、ある意味では未知の領域に入ったといっても過言ではありません。都でも、人口減少社会における財政運営のあり方について、報告書が昨年発表されました。
 しかし、人口減少社会とはいっても、これはどうも東京には当てはまらないようで、政府、民間のシンクタンクでも、東京への一極集中は今後もさらに加速し続けるとの予測がなされています。ちなみに、私の荒川区では、この五年間で五・九%、一万一千人もの人口が増加したことからもうなずけます。
 また、先ほど来議論がありました少子化の問題でいえば、東京の合計特殊出生率は一・〇一と全国最低ですが、それでは東京から子どもがいなくなるのかというと、そうでもなさそうです。平成十二年の就学前の児童数は五十七万四千五百人から増加し続け、十七年には五十九万人へと、一万五千人以上もふえています。
 東京への住みかえ現象は、私の考えるところ、生まれる子どもの数は減っても、多様な子育て支援メニューを初め、就業機会が多く、交通の利便性やさまざまな文化に触れることができることなど、東京の持つポテンシャルの高さからだと思います。
 ここで一番心配なのは、東京ひとり勝ち論が喧伝され、不当に財源を地方にばらまこうという動きがあります。私も、東京にだけ一極集中することが必ずしも好ましいとは思いませんが、必要な財源確保のための主張はしていただきたいと思います。
 高齢化社会を迎え、医療、年金問題など社会保障に係る国としての課題、そして、東京では、高度経済成長を経て老朽化したインフラの再整備、また木造密集地域解消のための対策、労働力の問題など、課題は山積していますが、現状を後ろ向きに悲観的にとらえるばかりでは、何の問題解決にもなりません。
 施政方針の中で知事が、オリンピックを契機として成熟都市東京の存在を世界に示すと述べられているとおり、東京の力があれば、こうした問題を解決できないはずはないのであります。そこで、ぜひ将来に期待と夢の持てる都市像を石原知事に語っていただきたいと思います。
 成熟した都市東京のあり方についての知事の所見を伺います。
 次に、歩行者や自転車に配慮した道づくりについて伺います。
 車の問題は、知事がおっしゃるように、外環道路を初めとする幹線道路の早期整備、また、あかずの踏切解消など、自動車の平均速度アップを図ることには全く異を立てるつもりはありません。でも、余りに車優先に走り過ぎたのではないか、車社会に歩行者も自転車もつき合わされ過ぎではないかと疑問を持つ一人です。自動車と歩行者及び自転車とをすみ分けたまちづくりが今後必要ではないでしょうか。
 下町の中心市街地は、再開発によってしか前面歩道の空間確保は得られない状況にあります。私の地元の町屋駅周辺は、自転車に歩行者、その上駅前の放置自転車と、夕方の混雑ぶりは、にぎわいとはとてもいえる状況ではありませんし、自転車で追い抜こうものなら、目を三角にされることもあります。とても傘でかしげる状況にはありません。
 欧米では車の通行を規制するトランジットモールも各地に見られます。それにそっくり倣えと申し上げるつもりはありませんが、それぞれのセクションが横断的に、都道、区道を含めた面的な動線の整備がある程度必要と考えます。具体的な実現に向け、ぜひ研究していただきたいと思います。
 しかし、このような試みも、地域の合意形成など一朝一夕には成らないということも理解しているつもりであります。次善の策として、混雑する尾竹橋通り、町屋駅周辺などのような箇所を快適な空間にするため、無電柱化を進めるべきと考えますが、その取り組みについて伺います。
 続いて、墓地対策について伺います。
 これから団塊の世代と呼ばれる皆さんが還暦の時期を迎えます。その皆さんのライフサイクルは、若年期から壮年期にかけてモータリゼーションが進み、耐久消費財の普及率も大幅に上昇しました。そして、農業、自営業中心社会からサラリーマン中心社会へと変化し、それと同時に、地方から都市部への人口移入も顕著な世代であります。常に時代のフロントランナーの役割を担ってきました。
 そして、人生の最後はお墓の問題です。墓制、つまり埋葬に関する考え方については、それぞれ個々人の信仰や風習に基づいたものと理解していますが、何しろ絶対数が足りないのです。
 民俗学者の柳田國男氏によれば、現在の一区画一墓石の歴史は三百年ほどで、それ以前には、祖先の祈念は、文字を刻んだ石の塔ではなく、亡きがらは朽ちゆくものとして自然の懐に返していたと「霊魂と土」のくだりでおっしゃっています。そして、さらにその末文では、人が数多くの位牌を背に負いつつ、いかにその祈念を次の代へと結ぶべきかに苦慮しなければならない時代は到来していると書いています。
 新規の霊園造成については首都圏全体での検討が必要と思いますが、都内においては、限られたキャパシティーで、官民それぞれの役割で需要にこたえなくてはなりません。
 今回、この質問の準備をしていたところ、ちょうどタイミングよく、先月に生活文化局で行った霊園についてのアンケート調査が報道されました。それによると、墓地を持っていない人四一%、このうち約六割の方が今必要としていると答えています。また、都立霊園でも既に導入している合葬式墓地を利用してもよいとする方は約六割もあり、合葬式墓地は認知されつつあります。
 既存の都立霊園を活用した墓地の供給を考える必要がありますが、都が先駆けて取り組んできた合葬式墓地の今後の供給の見通しを伺います。
 また、さきのアンケート結果では、都立霊園での散骨用墓地についても六割が容認し、特に五十代では七八%と高くなっています。アンケートの結果だけから今すぐ散骨を行うのは私もいかがなものかとも思いますが、その趣旨を酌み取った都立霊園での新たな埋葬方式の検討が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、日暮里・舎人線について伺います。
 荒川区の日暮里から足立の舎人までを結ぶ延長約十キロの新交通システムですが、当初は平成十一年開業、次に十五年度、そして最終的には十九年度開業を目指して現在建設が進められています。
 計画当初は、地元荒川区の沿線住民からは、何とか地下化してほしいなど、沿道に影響の少ない整備方法を求める声もありましたが、最終的には、都の関係者や荒川区も尽力し、沿線住民のご理解をいただくことができました。
 建設工事が始まって、地元としても、工期や地元に与える負荷を縮減できるようにと進んで警察に出向いたりし、休日の工事にも協力してきました。そして今、支柱や橋げたなども姿をあらわし、インフラ工事も着々と進んでいる様子がうかがえ、いよいよ開業間近と実感できるようになり、地元の関心や期待も高まっています。
 また、日暮里・舎人線の工事とあわせ、日暮里駅周辺の再開発事業も進捗しつつあります。成田空港と都心とを三十六分で結ぶ成田新高速鉄道も、平成二十二年開業に向けて先月着工式を迎えるなど、日暮里駅は、交通の結節点として駅周辺の活性化への期待も膨らんでいます。
 先ほども申し上げましたように、当初はさまざまな意見や否定的な声もありましたが、一日も早い開業が待ち望まれています。今後、駅の設備などインフラ外工事が本格化すると考えますが、その進捗状況と開業に向けての決意を伺います。
 次に、機能するバランスシートの報告後の取り組みについて伺います。
 平成十五年六月に報告があったものです。これは、「ゆりかもめ」、多摩都市モノレール、そして日暮里・舎人線の三つの新交通事業の収支について、それぞれに指摘がされています。平たくいえば、利益追求の民間企業とは区別しなくてはならないが、しかし、コスト意識を持って当たらなくてはならないということを示唆するものと理解しています。
 需要予測を過大に見積もった施設整備や事業費の追加工事など、投資額が当初の計画からかけ離れ、将来の経営を圧迫することにもなりかねません。確実な需要予測は収支を左右する重要なポイントになると考えますが、機能するバランスシートを踏まえ、どのような取り組みがなされてきたのか伺います。
 次に、沿線のバス路線のあり方について伺います。
 先ほども申し上げたように、橋脚、橋げたを目の当たりにして、地元の皆さんからも開業に向けた話題が出つつあります。特に皆さんの関心は、開業後のバス路線の再編についてであります。
 現在、日暮里から舎人間と北千住から駒込病院間を運行する路線など、多くの都バス路線が日暮里・舎人線と並行、交差しております。鉄道など新線が開業するとバス路線の見直しが行われますが、その結果、地元の利便性が大きく低下することがあってはなりませんし、都バスと新線が競合し合い、アブハチ取らずになってもいけません。利用者の状況等も踏まえた上での再編をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、沿線の歩道整備についてです。
 日暮里・舎人線建設工事に伴って、新交通建設事務所と地元の皆さんで歩道整備車座会議を設けていただきました。平成十四年から五回にわたって、行政、町会、福祉団体の皆さんとそれぞれの立場で意見交換し合い、一定の方向性が見出されたとの感想を持っています。参加メンバーからは、事務所の皆さんには真摯に耳を傾けていただいたと、高い評価を得ています。
 その車座会で話されたことに関連するのですが、もともと比較的道路幅員が広く低層の建物が多い足立区と異なり、荒川区側はビルやマンション等の中高層ビルが建ち並び、新交通システムの建設工事による圧迫感をより大きく感じます。早期の開業を待ち望んでいるいま一つの理由は、歩道整備を含めた工事が速やかに終了し、明るい都会的景観を一日も早く取り戻したいと、沿道の住民の方々が切望しているからであります。
 歩道整備に当たっては、無電柱化や植栽帯の整備、そしてカラー舗装を施すなど、橋げたの圧迫感を感じない空間の創出とともに、バリアフリーにも配慮した整備となるよう、改めてお願いしたいと思います。
 日暮里・舎人線建設に伴う工事規制が終了するのと同時に歩道整備に着手できるよう、万全の体制で準備願いたいと思いますが、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、白鬚西地区再開発事業について伺います。
 地元荒川では汐入という地名で呼んでいます。先月十八日に防災拠点完成記念式典が行われました。当日は、川島議長を初め関係議員の皆さん、そして主催者側として横山副知事出席のもと、盛大に挙行されました。
 この事業は、構想から今日まで、実に三十六年をかけて一つのまちのすべてをクリアランスしたことになります。開発前の雑然としたまちから現在のまちへの変わりようを振り返って当時を思い起こすと、隔世の感がいたします。
 都では、本年度をもって、白鬚西地区の事業予算を計上してきた特別会計である市街地開発事業特別会計の財布を閉じることになります。しかし、地元や区としても、都に対して最後の仕上げに大きな期待をしています。
 それは、当該地区内に三C街区三千二百平米と十街区一万二千平米の二つの街区が残されています。最後に残された更地です。とりあえず防災拠点は完成しましたが、残された街区の整備に当たっては、最後まで事業の進捗に責任を持って当たることを求めます。
 さて、地域の状況を申し上げますと、平成に入って権利者の入居が随時始まり、道を一本隔てた隣接地に約千三百戸の住宅、そして昨年も六百二十戸の民間分譲マンション等が新たに建設されました。
 そんな中、地域では、保育園や幼稚園の受け入れが難しい状況になり、その影響は周辺へも広がりつつあります。ファミリー世帯の需要は一過性のものとはいえ、公益施設の受け皿については、しっかりとこたえていかなくてはならないものと考えます。
 また、汐入地域には病院がありません。地域の皆さんが今最も望んでいるのは病院であります。残された二つの街区についても売却するという方針は理解していますが、地域内の最後に残された土地です。少なくとも今後半世紀近くは、まちをつくり変えることはできないと思います。
 売却に当たっては、病院の誘致や幼稚園等の公益施設の導入など、地域の声にこたえていくべきと考えますが、見解をお伺いして、私の質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)崎山知尚議員の一般質問にお答えいたします。
 成熟都市としての東京のあり方についてでありますが、この議会棟から庁舎に渡る渡り廊下に、一番庁舎側に近いところに二つパノラマの写真があります。一つは、たしか一八六〇年代でしたか、イギリス人が愛宕山から撮った当時の江戸のパノラマの写真で、片方は、この庁舎の屋上から撮りました三百六十度の今日の東京でありますが、余りにもその印象の違いに愕然とされます。
 江戸というのは、当時、最も成熟した世界の代表的な首都でありました。明治開化になりまして、近代ホテルをつくってくれということで来日しましたフランク・ロイド・ライトが、帝国ホテルを設計するために、この江戸の景観を見て、自分の考え方が間違っていた、コンクリートはやめて、この風景にふさわしいホテルをつくろうということで、日本じゅうを探して、大谷石のあの帝国ホテルをつくったわけでありますが、これはライトだけじゃなしに、もっと前に日本に難破して収容されたスペインの艦隊の司令官のフェルナンド・ロドリゴという人の本国の報告にも、マドリードにまさるとも劣らない、すばらしい町だというふうに報告がありますが、それに比べますと、いささかこの東京の今日の景観は残念なものがございます。
 私は、やっぱりモノクロームのしっとりした、とにかく落ち着いた印象というものは、成熟の一つの証憑だと思いますが、いささか東京はそれに欠けるものがあります。特にあのけばけばしい、代表的なのは新宿の歌舞伎町でしょうけど、あの極彩色の看板のはんらんというのは本当に目に余るものがありまして、ドゴールの政権下、文化担当相になったアンドレ・マルローが、裁断して、パリのネオンサインの色というものをほとんど二種類に規制してしまいました。その結果、パリの印象はかなり変わりましたが、私はやっぱりこれから少し手を尽くして、この東京をモノクロームのまちに仕立てていくことが、成熟というものの印象を深める大きなよすがになると思っております。
 同時に、東京にはいろんなものが集中、集積して、すばらしい、そういう意味では豊穣な都市でありますけど、ただやっぱり、かつて美濃部さんの時代に、環状線の、要するに工事というものが中断してしまったがゆえに、非常に半身麻痺したような都市になりまして、これだけ集中、集積していろんなものが都内にありながら、ちょっとそれを見物しようとか、鑑賞しようとか、東京の持っているコンビニエンスを享受しようと思っても、行くのに時間がかかり過ぎますね。先ほどの質問に答えましたが、環状線がかかる不整備な大都市というのは、世界に例がないような気がいたします。
 そういう点で、私はやはり、東京の本当の成熟というものを達成するためには、外環というものの整備と、それからもう一つ不可欠な要件として、どこかの政党は反対のようでありますけれども、確かに社会資本のこういった環状線という大事な整備というものは絶対に不可欠だと思っております。それがなくして東京の成熟はあり得ない。そういう点で、オリンピックという一つの指標を目指して、こういうものの整備に努力していきたいと思っております。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)四点の質問にお答えします。
 まず、尾竹橋通りの無電柱化についてでありますが、町屋駅周辺は、荒川区の中心に位置する商業地域で、地下鉄千代田線や京成線、都電荒川線の三線が交差する重要な交通の結節点であります。このため、昭和六十年代から、防災性の向上や地域の活性化を目指して、再開発事業によるまちづくりが行われてきました。
 都は、こうした状況を踏まえ、快適な歩行空間の創出やバリアフリー化に向けて、平成十八年度から、町屋駅周辺における尾竹橋通りの無電柱化事業に取り組んでまいります。事業化に当たりましては、関係機関と十分調整し、地元の理解と協力を得て着実に進めてまいります。
 次に、都立霊園における合葬式墓地の供給についてでありますが、合葬式墓地は、増大する墓地需要にこたえるとともに、将来の管理や承継の心配がない新しいタイプの墓地を供給することを目的としております。
 現在、小平霊園と多磨霊園の二カ所に設置しており、これまでの募集数は約六千体であります。小平霊園につきましては既に募集が終了しており、また、多磨霊園も平成十九年度に終了いたします。このため、平成二十年度の募集に向けて、現在、三カ所目となる合葬式墓地の基礎調査を実施しており、平成十八年度には基本設計と実施設計に着手する予定であります。
 次に、都立霊園における新たな埋葬方式の検討についてでありますが、散骨は、遺骨や遺灰を海、山などにまいて弔う方法であり、その趣旨は、人は最後に自然に返ることにあるといわれております。しかしながら、市街地に立地する都立霊園では、環境への配慮などさまざまな課題があり、散骨を行うことは困難であると考えております。
 今後、都立霊園では、遺骨を直接土にまくのではなく、散骨の趣旨を酌み取り、遺骨が土に返るような新たな埋蔵施設のあり方について、有識者の意見を聞きながら検討してまいります。
 最後に、日暮里・舎人線沿線の歩道整備についてでありますが、日暮里・舎人線につきましては、現在、平成十九年度の開業に向け、インフラ部の工事を精力的に進めております。このため、その導入空間である放射第一一号線の歩道は、多くの区間で暫定的な形態になっております。
 今後、日暮里・舎人線の工事の進捗や沿道の利用状況を見ながら、区間ごとに歩道の整備時期を定め、順次実施してまいります。
 整備に当たりましては、これまでの地元との意見交換を踏まえ、新交通システムの導入空間としてふさわしい道路となるよう、沿道環境やバリアフリーに配慮してまいります。
 引き続き財源の確保を図り、沿線住民や関係機関の理解と協力を得ながら、事業の推進に努めてまいります。
   〔交通局長松澤敏夫君登壇〕

○交通局長(松澤敏夫君)日暮里・舎人線に関する三点のご質問についてお答えいたします。
 まず、日暮里・舎人線のインフラ外工事の進捗状況と開業についてでございますが、車両基地や駅舎の整備等のインフラ外工事につきましては東京都地下鉄建設株式会社が施行しておりますが、このうち車両基地については土木工事が既に完了し、現段階では、電気、機械設備工事などを行っており、全体の完成率は約九割となっております。
 また、駅舎の設備工事や車両製作等に着手するとともに、車両が走行する軌道の工事は今月から順次施工するなど、現在のところ、計画に沿って予定どおり進んでいる状況でございます。
 交通局といたしましては、今後とも、東京都地下鉄建設株式会社やインフラ工事を所管している建設局とも密接な連携を図りながら、工程の管理、調整を徹底しまして、平成十九年度開業に向け全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、機能するバランスシートを踏まえた取り組みについてでございますが、日暮里・舎人線の乗客数の需要予測に当たりましては、当初計画段階では一日当たり約十万人を想定しておりましたが、平成十一年の事業見直しの際には、乗客数の見込みを、一般的な算定基礎に用いられております駅から半径約二キロメートルの範囲を対象としまして、一日当たり約七万人と見込んだところでございます。
 その後、機能するバランスシートにおいて確実な需要予測を行う必要があるとの指摘を踏まえまして再度見直しを行いました結果、半径約一キロメートルの範囲に限定することにより、一日当たり約五万九千人としたものでございます。
 この需要予測に基づきまして乗車料収入を確実に見積もる一方、車両数や車両基地の規模を縮小し事業費を圧縮するなど、経営の安定化が図れるよう取り組んできたところでございます。
 最後に、日暮里・舎人線開業後のバス路線の再編成についてでございますが、日暮里・舎人線の開業に伴い、並行して運行しております既存バス路線につきましては、乗客数の減少により採算面で大きな影響を受けることが予想されるところでございます。
 しかしながら、一方で、都営バスは、高齢者などだれにとっても円滑な移動手段として利用しやすく、また、地域をきめ細かく回る公共交通機関としての役割を果たしていかなければならないと考えております。
 したがいまして、本バス路線の再編に当たりましては、開業時の乗客需要を見据えながら、当該地域の交通網整備の状況を踏まえまして、利用者の利便性に資する方向で十分に検討してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)白鬚西地区再開発事業に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、白鬚西地区再開発事業における残された街区の整備についてでございますが、これまで進めてまいりました公共施設の整備がおおむね完了することから、特別会計である市街地再開発事業会計は平成十七年度をもって閉鎖し、来年度以降の一般会計への移行を今定例会に提案しているところでございます。
 しかし、再開発事業は公共施設の整備だけでなく、すべての街区における再開発ビルの完成をもって完了することとなります。
 現在、事業区域内には、敷地を売却し再開発ビルの建築を予定している街区が二区画残っております。このため、これらの敷地の売却を進め、再開発ビルの早期完成に努め、事業の収束を図ってまいります。
 次に、白鬚西地区再開発事業における病院や公益施設の誘致についてでございますが、かねてより地元住民並びに荒川区から強い要望が寄せられていることは承知しております。今後売却を予定しております敷地は二区画残っておりますが、その用途はコミュニティ施設及び住宅として都市計画で定められているところでございます。このため、地元要望に沿った施設の導入を図っていくには、用途などに関する都市計画変更手続や再開発事業の収支への影響について十分な検討が必要でございます。
 今後、こうした課題の整理を行いつつ、関係機関との調整を図り、適切に対応してまいります。

〇副議長(木内良明君)二番伊藤興一君。
   〔二番伊藤興一君登壇〕

○二番(伊藤興一君)初めに、少子化対策の一環としての子どもの安全対策について伺います。
 私は、約二十年間、品川区立児童センターを中心に、指導員として青少年の健全育成に携わってきました。その中で痛感したことは、子どもの目線に立つことの大切さであります。
 また、公明党はチャイルドファースト社会の実現を目指していますが、そのためには、ただ単に子ども優先と口にするだけでなく、大人の目線では見えない問題、つまり、子どもの目線を持って初めて発見できる問題の解決にも取り組んでいかなければなりません。
 そこで、子どもの目線に立った子どもたちの安全対策について質問します。
 私は、幼くして子どもを亡くしたご家族の悲しみに何度も出会ってきました。そして、そのたびに、一体何が原因でこんなことになってしまったのかと考えさせられました。
 では、子どもが死亡に至る最大の原因は何かといえば、実は、厚生労働省の人口動態統計、子どもの死亡率の比較によると、交通事故や小さなボールなどの誤飲事故、ふろでの溺水事故など、いわゆる不慮の事故が子どもの死因の第一位に挙げられています。その数は小児がんで亡くなる子どもの二倍に上り、こうした傾向は一九六〇年代から今日まで四十年以上も続いています。この事実は驚くほど知られておらず、乳幼児を持つ保護者でさえも知っているのは全体の五割から六割にすぎないとの調査結果もあります。
 一方、欧米では、既に三十年ほど前から国を挙げて不慮の事故対策に取り組んでいます。病は医学で治療が可能、子どもの事故死を防ぐ対策も急ぐべきであるとし、専門的な調査研究が進められてきました。その結果、今では、子どもの発達や行動パターンをよく分析、理解し、早期に的確な対応をとることで、事故死の大半は防止できるとされています。しかし、我が国では、運が悪かった、親が不注意だったで終わってしまうのが現実です。
 さて、これは幼児視野体験眼鏡といわれるものです。(実物を示す)これを入手したのは、京都市の(京)みやこあんしんこども館においてです。ここは、小児医療の専門的立場から、子どもの事故防止対策に取り組んでいる施設です。私は、先月、視察に行ってまいりました。
 実は、私たち成人した大人は、左右百五十度、上下百二十度の広さの視野があります。しかし、五、六歳の子どもは、左右が九十度、上下は七十度までと、大人の約半分の視野しかありません。そこで、この眼鏡をつけると、大人でも五、六歳の幼児と同じ視野を体験することができます。
 例えば、子どもを連れたお母さんが、横断歩道で、ほら、危ない、車が来ているでしょうとしかる姿をよく見かけます。実は、お母さんに見えている車は、子どもには見えていないのです。
 こうした視野の違いを前提に事故防止策を講じなければなりません。大人と子どもの精神的、身体的な違いをよく認識し、子どもの目線に立って、不慮の事故を防ぐための対策に取り組んでいく必要があります。
 そこで伺います。
 第一に、都は、平成十四年に乳幼児の事故防止指導マニュアルを作成し、事故防止策を講じてきたと聞いていますが、今後は、これらの成果も生かして、総合的な子ども事故防止実践マニュアル等を作成し、あらゆる機会で配布するなど、普及啓発に全力で取り組むべきであります。所見を伺います。
 第二に、現在、各局が個別に行っている不慮の事故対策を一元化し、情報の収集と発信、専門家による子どもの行動の分析と研究、対策の立案などを行う、局横断的な子ども事故防止センターとでもいうべき機関を設置し、具体的な施策を実施すべきであります。所見を伺います。
 第三に、子どもの目線に立って、子どもの安全を阻む死角を東京から取り除くべきであります。まずは公共施設や公園、通学路、交通機関など、まちの全体を子どもの目線から見直し、不慮の事故から子どもたちを守るための環境を整備すべきであります。国に先駆けての子どもの不慮の事故対策を含め、子どもの安全対策全般について知事の所見を伺います。
 次に、発達障害者支援について伺います。
 昨年四月に発達障害者支援法が施行され、これまで制度の谷間にあり、十分な対応がされてこなかった自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、LD、ADHDなどの発達障害に対する支援の充実が期待されています。この支援法では、各都道府県に設置される発達障害者支援センターを核とし、発達障害の早期発見から自立に至るまで、切れ目のない支援体制を整備することとされています。
 私は、先日、都立梅ケ丘病院及び都内の発達障害者支援センターを視察しました。センターでは、四人の職員の方が、東京都全域からの相談を初め本人及び家族に対する直接支援など、各種事業に懸命に取り組まれておりました。しかも、開設当初より日を追うごとに利用者が増大し、一件一件が深刻かつ継続的な相談内容であり、その件数も昨年度で千二十件に及び、とても手が回らない状況でありました。
 一千二百万人都市東京において、増大する発達障害者の支援のために、多摩地域にも支援センターの設置を検討したり、嘱託職員の増員など、センターの体制強化を強く望むものであります。
 また、発達障害児の保護者の方々からは、身近な地域で気軽に相談ができ、支援を受けられる体制が必要との要望が数多く寄せられております。
 そこで伺います。
 第一に、都は、発達障害者支援センターを中核とし、区市町村単位で学校、医療機関、就労支援センター等から成るネットワークを構築し、発達障害者が身近な地域で総合的な支援を受けられる体制の整備に取り組むことが急務であります。所見を伺います。
 第二に、区市町村の支援体制充実のためには、各地域で核となる人材の育成と配置が重要であります。医療、福祉、教育関連など、各分野における発達障害に関する専門的知識を有する人材を育成、配置していくため、知識、理解を深めるための研修や療育を含む具体的、実践的な研修など、多様な研修を実施していくことが必要であります。所見を伺います。
 次に、交通バリアフリー化の促進について伺います。
 本格的な少子高齢化社会を迎えるに当たり、だれもが安心して自由に行動し、暮らすことができる福祉のまちづくりの着実な実現が求められています。特に移動手段である公共交通のバリアフリー化と防災対策は極めて重要であります。
 一方、都営地下鉄では、ホームから地上までエレベーターが利用可能な駅は十六年度末で百六駅中六十四駅であり、整備率は六〇%です。
 そこで伺います。
 第一に、残る駅のバリアフリー化を早期に推進するとともに、火災対策についても取り組みを開始すべきです。所見を伺います。
 第二に、都営浅草線については、特にバリアフリー化が進んでおりません。私の地元である品川区内の都営地下鉄の駅は、都内でも有数な商店街を抱える中延駅や戸越駅があり、他線との乗りかえ駅でもあります。また、JRとの乗りかえ駅となっている五反田駅は一日当たり六万人の利用者があり、高齢者や障害者、子ども連れの人たちからは、一日も早くエレベーターとエスカレーターの設置をとの要望が長年にわたり寄せられています。利用者や地元の方々の意見を尊重しながら、これらの駅のバリアフリー化を早急に実現すべきでありますが、所見を伺います。
 次に、オリンピックに向けた江戸東京の魅力の活用について伺います。
 オリンピック招致に向けては、国内はもちろん、国際的な大都市とも争うこととなるため、東京らしいコンセプトや事業計画を示すことが重要であり、ぜひとも観光都市東京という側面を大いにアピールすべきであります。
 東京の魅力は、一言でいうと多様性です。お台場や六本木という最先端の町並みとともに、浅草や旧東海道の品川といった伝統的な町並みもあります。また、アニメ、漫画といったポップカルチャーに対して、歌舞伎や相撲といった文化もあります。さらに、ロボットや電子製品といった最先端のものづくりとともに、扇子や日本人形といった伝統工芸もあり、こうした東京の歴史と未来のコントラストや調和の魅力を大いにアピールすべきであると思います。
 知事は、施政方針表明の中で、江戸で醸成された江戸しぐさについて述べられ、他人を思いやる江戸の人々の心の伝統について触れられました。それに加えて、東京が江戸と呼ばれていた時代を今に伝える町並みを保存し、そこで伝統的文化に直接触れる機会を提供できれば、大変にすばらしいことであります。
 そのために、日本をリードする近未来型の都市整備を重点的に進めるとともに、江戸の歴史を今に伝える町並み、文化、ものづくりなど、生きた江戸の保存と再生を図るため、江戸再生プロジェクトを立ち上げるべきであります。オリンピック招致のため、生きた江戸、多彩な東京の魅力を際立たせる局横断的な取り組みが必要と考えます。
 知事に所見を伺い、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔伊藤興一議員、知事に実物を渡す〕
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)伊藤興一議員の一般質問にお答えいたします。
 子どもの安全対策についてでありますが、この箱眼鏡、本当に思いますね、経験を踏まえた非常に具体的な事例を挙げて、大変暗示的な質問でありました。こういうものは、簡単ですが、親は知らないんですからね。こんなものは情報としてこれからも定期的に伝えていったらいいと思いますね。これは本当に案外盲点だと思いますよ。
 いずれにしろ、次の時代を担う子どもたちは社会の宝でありまして、そのとうとい命を、まさに不慮の事故を初め親の無知もあることなんでしょうけれども、あらゆる危険から守ることは、親はもちろん、我々大人に課せられた責務であると思います。
 大都市東京は非常に複雑な都市構造を有しておりまして、また、交通量が極めて多いなど、子どもにとって、大人が想像し得ない危険が存在していると思います。
 都はこれまで、子どもたちの安全を確保するため、安心して外出できるまちづくりの推進や、先日作成しました車に張る防犯ステッカーの取り組みなど、地域と連携した施策を総合的に展開してまいりました。
 今後とも、地域住民や行政、学校、警察、企業の総力を結集して、この東京を、将来を担う子どもたちが安心して行き来し、暮らせるまちにしていきたいと思っております。
 次いで、オリンピック招致に向けた取り組みでありますが、IOCのオリンピック開催都市の選考に当たっては、競技環境のみならず、開催する都市の魅力も大きな要素となっております。そういう意味で、東京は、高度な都市機能の集積や極めて正確な交通網、安全で清潔な都市空間、さらにはご指摘のように、江戸から今日まで続いて育まれてきました独創的な文化や他人を思いやる伝統など、他の都市にもない多彩な特徴を有しております。
 広範囲にわたる東京の魅力をさらに高めて発信していくため、まちづくり、産業、文化、観光などさまざまな視点から施策に取り組み、オリンピックの招致を実現していきたいと思っております。
 他の質問については関係局長から答弁します。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)子どもの安全対策など四点のご質問にお答えいたします。
 まず、子どもの不慮の事故防止についてでございます。
 子どもの死亡原因の上位を占める不慮の事故を未然に防ぐためには、子どもの年齢や発達段階に応じたきめ細かな事故防止策が必要でございます。
 都は、これまで年齢別事故防止リーフレットを作成いたしまして、乳幼児健診等の機会に保護者に配布いたしますとともに、指導者用マニュアルを作成するなどの普及啓発にも努めてまいりました。
 また、小児救急電話相談シャープ八〇〇〇番を実施するなど、広く都民に対する相談支援体制を整備してきたところでございます。
 今後、ご指摘の保護者向けマニュアルにつきましても検討を行いまして、リーフレットの配布を子ども家庭支援センターや児童館などへ広げるとともに、不慮の事故を防止できる有益な情報を新たにホームページに掲載するなど、これまで以上に積極的な普及啓発に努めてまいります。
 次に、安全確保に対する局横断的な取り組みについてでございますが、子どもの健やかな成長のためには安全が十分に確保されていることが不可欠でございまして、そのためには、ご指摘のとおり、福祉保健分野にとどまらず、都市整備や教育などさまざまな行政部門による総合的な取り組みが必要でございます。
 都はこれまでも、子どもの安全確保に関しまして、ユニバーサルデザインを基本としたまちづくりや保健所による普及啓発など各種施策を積極的に推進してまいりました。現在、福祉保健、教育、警察の各部門が連携し、子どもと家庭を総合的に支援する拠点といたしまして、仮称でございますが、子ども家庭総合センターの整備を予定しているところでございまして、その中で、お話の子どもの安全確保に向けた対応についても検討してまいります。
 次に、区市町村における発達障害者の支援体制の整備についてでございますが、乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援を発達障害者に対して行うためには、ご指摘のとおり、区市町村単位で関係機関がネットワークを構築することが重要でございます。このため、都は、日常的に利用が可能な学校、保健所、医療機関、就労支援センター等が連携し、個々の発達障害の状態に応じましたきめ細かな支援を行うモデル事業を昨年十月から世田谷区で開始したところでございます。
 今後、ネットワーク構築のためのノウハウや、個別支援計画の作成手法など、モデル事業で得られました成果を取りまとめ、広く紹介することにより、他の区市町村での取り組みを働きかけてまいります。
 最後に、多様な研修の実施についてのお尋ねでございますが、発達障害者の支援のためには、保健所、学校、保育所等、関係機関における職員の知識と技術を向上させることが重要でございます。
 都は、現在、保健師や保育士などを対象といたしました母子保健研修の中で、発達障害を正確に理解するための基礎的な研修を実施いたしますとともに、発達障害者支援センターにおきまして、区市町村等からの個別の要望に対応して、普及啓発研修を開催しておるところでございます。
 今後は、こうした取り組みに加えて、具体的な療育相談の事例を取り入れました実践的研修を充実するなどによりまして、体系的かつ多様な研修を実施してまいります。
   〔交通局長松澤敏夫君登壇〕

○交通局長(松澤敏夫君)都営地下鉄駅のバリアフリー化の促進に関する二点のご質問についてお答えいたします。
 まず、都営地下鉄駅のバリアフリー化と火災対策についてでございますが、交通局では平成二十二年度までに全駅でエレベーターによるホームから地上までの一ルート確保を目指しまして、整備条件の整った駅から順次事業を進めてきております。
 残る駅の整備に当たりましては、主にエレベーター出入り口の用地確保が課題であることから、公園等の公共用地を利用するほか、民有地の取得やビルの合築など、多様な手法を通じて事業を推進してまいります。
 また、火災対策につきましても、排煙口など地上施設が必要なことから、エレベーターとの一体的な整備を進め、工期短縮やコスト縮減を図るなど、両事業の効率的な執行に努め、今後とも早期完了に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、都営地下鉄浅草線戸越駅外二駅のバリアフリー化についてでございますが、お尋ねの戸越駅は本年度末、中延駅は平成十八年度中に、それぞれホームから地上までのエレベーター二基の設置工事に着手いたします。また、五反田駅につきましては、既にホームからコンコース階までのエレベーターは設置済みでございますが、未整備のコンコース階から地上へのエレベーターにつきましては、JR五反田駅東口のJR用地内に設置する計画となっております。
 現在、JR五反田駅の整備計画との整合を図りながら、道路管理者や品川区と協議を進めているところでございまして、ご指摘のとおり、近々、地元の方々にも計画案を提示し、早期の事業化を図ってまいります。

○六十七番(秋田一郎君)この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○副議長(木内良明君)お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(木内良明君)ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時四十四分散会

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