平成十八年東京都議会会議録第二号

平成十八年二月二十八日(火曜日)
 出席議員(百二十四名)
一番遠藤 守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番宇田川聡史君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田 大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松 成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口 拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘 正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原 修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井 孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林 茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田 武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井 一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤 衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎 章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井 武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大沢 昇君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田 茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川 博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中 良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君

 欠席議員(二名)
 九十一番 三宅 茂樹君
百二十七番 渡辺 康信君
 欠員
十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋 功君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山 修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田 浩君
建設局長岩永 勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本 馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤 広君
労働委員会事務局長押元 洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

二月二十八日議事日程第二号
第一 第一号議案
  平成十八年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成十八年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成十八年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成十八年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成十八年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  平成十八年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
  平成十八年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
  平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成十八年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
  平成十八年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
  平成十八年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
  平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
  平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  平成十八年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
  平成十八年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成十八年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成十八年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成十八年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成十八年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成十八年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成十八年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成十八年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  平成十八年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  平成十八年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都民間事業者等が行う書面等の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例
第三十五 第三十五号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  長期継続契約を締結することができる契約を定める条例
第四十八 第四十八号議案
  東京オリンピック開催準備基金条例
第四十九 第四十九号議案
  東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都市街地再開発事業会計条例を廃止する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京ウィメンズプラザ条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都地方精神保健福祉審議会条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都障害者介護給付費等不服審査会条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  東京都動物の愛護及び管理に関する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都監察医務院関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
  東京都女性相談センター条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  東京都心身障害者福祉作業所条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
  東京都心身障害者生活実習所条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
  東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
  通訳案内業法関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
  東京都離島漁業再生支援基金条例
第九十七 第九十七号議案
  東京都植物防疫施設に関する条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
  東京都立技術専門校条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
  東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
  温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例
第百二 第百二号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
  高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
  液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
  東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
  砂利採取法に基づき河川管理者が行う事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
  東京都下水道条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
  歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例
第百十三 第百十三号議案
  風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
  性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
  都立石神井高等学校(H十七)改築工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
  都立世田谷地区総合学科高等学校(仮称)(H十七)改築及び改修工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
  都営住宅十七H―一〇六東(百人町四丁目第五)工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
  都営住宅十七H―一〇五東(高松三丁目第四)工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
  都営住宅十七H―一〇一東(新宿六丁目)工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
  都営住宅十七CH―一〇八東(江戸川二丁目・江戸川区施設)工事請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
  地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第百二十五 第百二十五号議案
  包括外部監査契約の締結について
第百二十六 第百二十六号議案
  全国自治宝くじ事務協議会への堺市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百二十七 第百二十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第百二十八 第百二十八号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第百二十九 第百二十九号議案
  平成十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十 第百三十号議案
  平成十八年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十一 第百三十一号議案
  公共下水道の整備工事を独立行政法人都市再生機構が施行することの同意について
第百三十二 第百三十二号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十三 第百三十三号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第百三十四 第百三十四号議案
  多摩川流域下水道秋川処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
第百三十五 第百三十五号議案
  平成十七年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十六 第百三十六号議案
  平成十七年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十七 第百三十七号議案
  平成十七年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百三十八 第百三十八号議案
  平成十七年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
  平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計補正予算(第一号)
第百四十 第百四十号議案
  平成十七年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百四十一 第百四十一号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開議

○議長(川島忠一君)これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君)この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君)これより質問に入ります。
 百十三番野村有信君。
   〔百十三番野村有信君登壇〕

○百十三番(野村有信君)ただいま知事から、体は大丈夫かというお問い合わせがございましたが、不摂生であるとお答えしたところでございます。ご心配、大変ありがとうごございます。
 平成十八年第一回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 我が国の再生と発展に向けた小泉内閣の懸命な構造改革推進等の効果もあって、我が国経済は順調に回復し、新たな成長路線を歩まんとしております。
 今、何よりも重要なことは、景気回復の実感を都内産業の大多数を占める中小企業に及ぼし、都内経済、そして我が国経済を本格的な回復軌道に乗せていくことであります。そのためには、これまで東京に蓄積された技術や情報などの資源を最大限活用し、中小企業を初めとするさまざまな地域振興策に積極的に取り組む必要があります。
 また、幹線道路の整備、羽田空港の再拡張などのインフラ整備を初め、住宅などの耐震性の向上は、首都東京の国際競争力を高めるとともに、都民の利便性、安全性の向上に不可欠の施策であり、着実に進めなければなりません。
 こうした中で、オリンピックの東京招致は、東京の存在感を世界に示す絶好の機会であるとともに、都市インフラの問題解決を促進するよい機会でもあります。
 さらに、急速な少子化の進行に対する地域での子育て支援や仕事と家庭生活との両立など、次世代育成支援の促進は非常に重要な課題であり、都としても重点的に対策を講じていかなければなりません。
 しかしながら、こうしたさまざまな課題への対応を迫られる一方、昨年末には、法人事業税ばかりか、法人住民税の分割基準を見直す国の動きも明らかになるなど、財源問題に関連して非常に厳しい状況に直面しました。我々都議会自民党は、都選出の国会議員とも力を合わせ、強力な反対活動を行い、法人住民税の分割基準導入の見送りと、恒久的な減税の補てん措置である地方特例交付金には三カ年の経過措置を設けさせるなど、都にとって貴重な財源を確保してきたことは、特筆すべきことであります。
 我が党は、石原知事との緊密な連携のもとに、東京をねらい撃ちするこうした国の動きに対しては、今後とも反対の姿勢を貫いてまいります。
 さて、昨年、我が党は、立党五十年を機に、初めて正式に条文化した新憲法草案を発表しました。占領下という特殊な状況の中で制定された基本的法規を、国内外の情勢が大きく変化している中で、半世紀以上もそのままにしている国など一体どこにあるのでしょうか。同様に、教育基本法についても、日本人に生まれたことに誇りを持ち、国際感覚豊かな高い志を持った日本人をはぐくむ教育を目指し、改正を進めてまいります。
 今後とも、皆様に信頼される都議会自由民主党として、新しい時代づくりに邁進することをお約束し、質問に入ります。
 まず最初に、都政運営について伺います。
 これまで東京都は、石原知事の力強いリーダーシップのもと、日本の心臓部、頭脳部であるとの自負を持って、国に先駆け数多くの政策実現に取り組んできました。日本における東京都の存在は極めて大きく、人口や予算はいうに及ばず、経済だけをとってみてもカナダ一国に匹敵する規模を誇っています。こうした、東京都が地方自治体ではありながらも、ディーゼル車排出ガス規制など、国の政策が不十分な分野で独自の政策を展開したり、先駆的な取り組みを進めて国に影響を与えていくことの重要性はますます高まっていくものと考えています。
 また、外交のように国の専管事項であるとされる分野においても、知事は、都市同士が交流することも立派な外交であるとの考え方に立ち、アジア大都市ネットワーク21を形成して、アジアの大都市と共同事業を進めております。さらには、横田基地の軍民共用化について、東京を初めとする首都圏の航空需要を賄うことなどを目的として、知事は、日米両政府に対して積極的な働きかけを行ってきました。こうした動きは、自治体の枠をはるかに超えて、国の外交のあり方に問題提起し、日米両政府にも多大な影響を及ぼしていることは確かであると思います。
 こうした石原知事の発想や行動力のもと、東京都は引き続き国を牽引する大きな力となって、日本の発展に寄与していくことこそ重要であると思います。国の施策にさらに先駆け、東京の力を十分に引き出し、我が国の進むべき道筋をも示していく独自性を持った都政を引き続き展開していく姿勢が今なお求められていると思いますが、改めて知事のご所見を伺います。
 次に、東京オリンピックについて伺います。
 本定例会の初日に、東京都議会オリンピック招致議員連盟が発足いたしました。我が党の呼びかけに多くの議員から賛同が得られ、石原知事にも出席いただいて設立総会を開催したことで、都のオリンピック招致は新たな段階を迎えることになります。今後は、招致議連を中心とした私ども都議会と執行機関との強い連携により、文字どおり車の両輪となって、オリンピック招致の機運を盛り上げようではありませんか。
 二十世紀は戦争の世紀ともいわれ、さきの大戦を初め、国際紛争が絶えませんでした。また、経済の発展を優先する余り、環境の保全は二の次となってしまった世紀でもありました。その反省の上に立ち、今世紀のオリンピックは、世界平和を希求し、環境との共生を図っていくための象徴として開催されるべきでありましょう。
 先日、オリンピックの意義や基本的なあり方を検討してきた東京オリンピック基本構想懇談会が報告書を発表しました。そこには、日本人の持つ無類のホスピタリティー、卓抜した技術力や人材を活用し、志の高い日本を世界に示すという基本コンセプトが述べられています。知事はこれまで、オリンピックを機に、成熟都市東京の存在感を世界に示すと述べておりますが、まさにオリンピック招致には、まず志が何よりも大切であります。
 そこで、改めて、なぜ東京でオリンピックを開催するのか、知事の基本的な考え方を伺います。
 また、知事は、事あるごとに、最近のオリンピックにおいては会場をコンパクトに配置するのが重要と述べています。東京でオリンピックを開催する場合には、これまで以上にコンパクトにできると自信を示されていますが、競技会場などのオリンピックに関連する施設について、基本的な考え方を伺います。
 また、オリンピックや国体などのスポーツのビッグイベントでは、東京都出身選手の活躍は非常に重要であります。とりわけ、オリンピックに先立つ東京国体は、ぜひとも成功させなければなりません。この大会で東京都選手が大いに活躍し、都民の期待にこたえることこそが、大会成功のかぎであるといっても過言ではありません。そのためには、これまで以上に有望選手の発掘、育成等に積極的に取り組むなど、競技力の向上に努めることが必要であります。
 現在の競技力向上の取り組みと課題について、所見を伺います。
 ところで、さきの第六十回岡山国体において、東京都選手団は総合第二位という好成績をおさめましたが、少年の部の成績はいま一歩と伺っております。七年後の東京国体の成功を見据えれば、各地域においても、小学生段階から若い世代の選手を発掘し、その育成に全力を注ぐべきではないでしょうか。
 ちなみに、トリノオリンピックにおきましては、荒川静香選手は五歳からスケートの練習を始めたと聞いております。将来につながるジュニア期からの選手育成や強化の方策について、所見を伺います。
 いうまでもないことですが、オリンピックはまさに国家的プロジェクトであり、その準備には万全を期すことが必要であります。十八年度予算では、こうした基盤整備に備えて基金を創設し、一千億円が計上されております。
 オリンピック招致に向け、今回、基金を新たに創設するねらいについて、知事に伺います。
 オリンピックは、開催する都市にとって、中長期にわたるビッグプロジェクトです。そこで、我が党は、オリンピックを開催する平成二十八年を見据え、都が東京都の将来の姿を明確に示し、都市基盤の整備、都民生活の向上に着実に取り組んでいくべきと考えます。オリンピックを契機に、都が長期的な視点に立って、東京のあるべき姿、ビジョンを定めることを要望して、次の質問に移ります。
 行財政問題に関連して伺います。
 まず、平成十八年度予算案と都財政について伺います。
 十八年度予算は、日本経済の好転による税収増を有効に活用しながら、これまでの我が党の政策や主張を十分に踏まえ、治安対策、都市再生、福祉、保健、医療の充実など緊急課題への的確な対応を図っています。さらには、オリンピック招致など、東京の将来も見据えた取り組みが盛り込まれており、久方ぶりに明るさの見える内容となっています。
 都市基盤の拡充に充てるための投資的経費は、前年度予算に引き続き二年連続の増加となり、これは平成四年度以来、実に十四年ぶりのことです。中でも都の単独事業は、一三%増と二けたの大きな伸びとなっております。東京再生に向け、こうした積極果敢な取り組みが、日本全体の復活を力強く牽引していく原動力となるものと確信します。
 知事は、就任以来一貫して財政再建に全力を挙げて取り組まれてきましたが、十八年度予算は、二次にわたる財政再建推進プランを締めくくる節目の予算となります。我が党も、職員定数の削減や施策の見直しなど、知事の姿勢を全面的に支持し、関係者とともに最大限の協力をしてきたところです。
 知事は、今回の予算を、財政再建に一つの区切りをつけた予算であると述べられたように、我が党も、都民が明るい東京の将来に向かって前進していくことのできる予算と高く評価しております。
 そこで、石原知事二期目の締めくくりとなる十八年度予算に対する基本的な考え方を伺います。
 十八年度予算では、企業業績の順調な回復を反映し、特に法人二税については、十七年度当初予算を一一%も上回る大幅な増加が見込まれています。また、地道な歳入確保努力の積み重ねにより、都税の徴収率は年々向上していると聞いております。今後とも安定的な財政運営を図っていくためには、歳入確保に向けた取り組みを継続するとともに、税収動向を適切に見きわめていくことが重要なかぎを握っています。
 そこで、十八年度における都税収入はどのように見込んだのか、また、今後の都税収入の先行きをどのように見通しているのか、伺います。
 昨年末には、四兆円を超える国庫補助負担金の廃止、縮減や、三兆円の税源移譲などを内容とする三位一体改革がようやく一応の決着を見ました。しかしながら、その大半が義務教育国庫負担金など国庫負担率の引き下げによるものであり、地方の自由度を高めるという本来の趣旨からはほど遠い内容となっています。まことに残念なことであり、我が党としても、今後、真の地方分権確立に向けた改革が促進されるよう、国に対して強く求めていく覚悟であります。
 また、根拠のない東京富裕論に基づき、東京から財源を奪い取ろうとする国の動きは、再三申し上げているとおり、我が党としても到底容認できるものではありません。しかしながら、国においてこうした動きが再びあらわれないとも限らない状況であることは確かであります。
 そこで、三位一体改革など一連の税財政制度の見直しが都財政にどのような影響を与えたのか、伺います。
 次に、行財政改革の具体策について伺います。
 財政再建に一区切りがつき、財政面での危機感が薄れると、ともすれば、改革の手綱も緩みがちになるのが世の常です。しかし、行財政改革の取り組みは、一日たりといえどもとめることはできません。
 都では、昨年十一月の行財政改革の新たな指針に基づく行財政改革実行プログラムの策定を決め、既に作業に着手しておりますが、今後、都の行財政改革をどのような考えに立って進めていこうとしているのか、所見を伺います。
 次に、都区財政調整の問題について伺います。
 平成十二年に積み残された五項目の課題については、一月に都が示した最終提案を区が受け入れないという事態となっておりましたが、ようやく合意のめどが立ち、せんだっての都区協議会において、十八年度協議がまとまりました。
 我が党は、五項目の課題のうち、都区の役割分担を踏まえた財源配分の問題は今後の大きな議論の中で整理すべきであり、具体的課題である清掃関連経費、小中学校改築経費、都市計画交付金については十八年度予算に間に合うように結論を得るべきと申し上げてきました。今回の合意は我が党の主張に沿ったものと考えますが、このように取りまとめることとなった基本的な考え方を改めて伺います。
 次に、今回の合意には、都区共同で今後の都区のあり方を根本的に検討することが含まれています。今後の都区のあり方は最も基本的かつ重要な課題であり、この検討を始めることは、東京の将来の自治にとって大きな前進であると考えます。
 この検討を今後どのように進めていくのか、都の考えを伺います。
 さて、今回の合意は、都区双方の努力のたまものとは思いますが、今までの議論では都区の意見が大きく対立しており、協議がまとまったとはいえ、都区間であつれきも生じたのではないかと感じています。ぜひとも、揺るぎない信頼関係のもとで、今後も都区の連携を図り、大都市東京の発展にともに邁進してもらいたいと考えます。
 最後に、今回の都区の合意と今後の都区の関係について、知事の所見を伺います。
 次に、監査委員のあり方についてですが、知事は以前から、監査機能の充実強化を図るべきとの認識をお持ちのことと承知しております。
 さきの第二十八次地方制度調査会の地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申では、監査機能の充実強化を図る観点から、識見を有する者から選任する監査委員については、地方公共団体の実情に応じて条例でその数を増加することができる旨の提言を行っております。この提言を受けて、総務省では、地方自治法改正の準備に入っていると聞いています。
 我が党もこの提言を評価するものであります。法改正が実現した際には、東京都として、専門的な分野において識見を有する方々を委員として加えるよう積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、知事の所見を伺います。
 あわせて、監査委員の補助となる事務局の専門性の強化にも取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、道州制について伺います。
 本日、国の地方制度調査会が道州制に関する答申を行うと聞いております。地方分権を推進するなどの観点から道州制の導入が必要であるとされていますが、現在の地方自治制度では、都道府県域を越えた広域的な行政課題を解決できないという大きな問題があります。
 十六年九月に我が党が中心となって取りまとめた行財政改革基本問題特別委員会報告においては、深刻化する広域的行政課題に対する解決の方策として、八都県市の取り組みを高く評価する一方で、広域連合の問題点を挙げて、現行制度では限界があることも指摘しているところです。
 したがって、道州制に関しては、分権型社会の実現と広域的課題の解決という両面から、首都圏における導入の実効性の十分な検討が必要であること、また、いまだ醸成していない住民意識の面から見て時期尚早の議論であるとしたところですが、今後いや応なく道州制の議論が、国、地方を巻き込んで活発化するものと考えられます。
 答申の全容を把握できない現時点では、詳細な評価は難しいところでありますが、単なる国の出先機関からの権限移譲や、地域間の均衡の視点からの区域設定にとどまるのであれば、道州制の議論も、真の地方分権につながらないとの危惧の念を抱くものであります。
 こうした国等の動きを踏まえて、道州制をめぐる議論について、知事の所見を伺います。
 次に、震災対策に関連して何点か伺います。
 まず、被害想定についてですが、首都圏における直下地震の発生が切迫しているといわれている中で、首都直下地震は、東海地震のように予知の体制が確立されていません。このため、自治体や防災機関などが地震対策を具体化するためには、基礎データとして被害想定を示すことは重要なことであります。
 都は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成九年に直下地震の被害想定を作成し、これまで、区市町村などと連携して、木造住宅密集地域の解消や防災市民組織の育成など、震災対策に力を入れてきました。しかし、今回の想定でも、三十一万棟の焼失を含め、四十四万棟が全壊し、四千七百人が死亡、二百八十七万人が避難者となるなど、依然として大きな被害が示されております。
 そこで、知事に、この被害想定に対する所見と今後の震災対策への活用について伺います。
 次に、木造住宅の耐震化についてですが、昭和五十六年以前の木造住宅に大きな被害が発生していることから、古い木造住宅の耐震化は喫緊の課題となっています。昨年十一月には耐震改修促進法が改正され、一般の住宅についても、地域によっては耐震化の努力義務を課すことができるようになりました。
 都は、これまで、木造住宅の耐震診断などについて都民への普及啓発活動を行ってきておりますが、木造住宅の耐震化は十分に進んでいないのが現状です。都では、木造住宅の耐震化を平成十八年度の重点事業に位置づけ、今回の予算案に助成制度の創設を盛り込みましたが、この助成制度の内容について伺います。
 また、住宅の耐震化を促進するために、耐震改修工法などを公募し、興味を引くような提案も幾つかあったと聞きますが、これらを都民に広く普及していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 一方、マンションについても、昭和五十六年以前に建設されたものは問題です。マンションは多数の区分所有者の合意形成が必要なことから、被災した場合、マンションの再建は困難となることも多く、阪神・淡路大震災で被害を受けたマンションの中には、今もって再建のめどさえ立たないものもあると聞いております。
 昨年発覚したマンション構造計算書偽装事件以降、都民のマンションの耐震性能への関心が高まっていますが、費用が高額なこともあり、耐震診断や改修は遅々として進んでいないと聞いています。
 今後、マンションの耐震化促進に向け、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、先日発表されました持続可能な東京の実現をめざす新戦略プログラムなど、環境に関連して伺います。
 近年、巨大台風や記録的な大雪や寒波など、世界的にも異常気象が顕著になったり、工場周辺の健康被害に端を発したアスベスト問題など、さまざまな環境問題が生じてきています。これらの問題に取り組むため、総合的な戦略プログラムを取りまとめたことは大変意義があります。しかし、これらの事業が実効性のあるものになるのかどうかは知事の決意にかかっています。
 知事は、今後、環境施策にどのような姿勢で臨むのか伺います。
 また、この新戦略プログラムでは、緑地の回復や保全の施策を重要課題の一つに挙げています。緑地の保全や創出は、健全な東京の生態系を維持していくことや、ヒートアイランド対策としても必要不可欠なものです。さらに、都民に憩いの場を提供したり、景観を潤いのあるものにするなど、緑はさまざまな効用をもたらしてくれます。しかしながら、東京の緑は依然として減少を続けております。
 このような現状を踏まえると、今後、戦略的に新たな緑の施策を展開していくべきと考えますが、所見を伺います。
 都市の成熟化とともに、都市の機能性に加え、都市空間の美しさが求められる時代になりつつあります。都が行ってきたこれまでの景観のための施策には、規制の根拠となる法律がなかったため、有効な強制力を行使できないという限界がありました。こうした中で、昨年、景観法が全面施行となり、先月には、東京都景観審議会から、東京における今後の景観施策のあり方についての答申が出されました。
 そこで、都は今後、審議会の答申の提言を踏まえ、どのように対応していくか、見解を伺います。
 また、都市再生を促進する上で、良好な景観形成と都市づくりの推進が両立するような配慮が欠かせないと考えますが、今後の都市づくりにおける景観形成について、都の見解を伺います。
 次に、花粉症対策について伺います。
 ことしの花粉予想では、幸いにも花粉の飛散は少ないとのことですが、首都圏では約四人に一人が苦しんでおり、抜本的な対応が喫緊の課題となっています。都は、知事の英断により、国や他県に先駆けて、重点事業として総合的花粉症対策に踏み出しましたが、我が党は、それに敬意を表するものであります。
 確実に花粉を減らすために、杉林の本格的な伐採と、花粉の少ない杉への植えかえを進めるとのことですが、そのためには、切り出された木材の長期にわたる利用拡大が欠かせません。こうした取り組みは、広く都民や企業等の理解と協力を得て進めることが必要で、我が党の呼びかけにより、近々、議員連盟を立ち上げる予定であります。
 知事みずから陣頭指揮をとって、都民運動として展開していただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
 次に、まちづくりに関連して伺います。
 まず、道路ネットワークの整備についてですが、首都圏三環状道路や都内の骨格幹線道路を初めとする道路ネットワークの整備は、首都圏の広域連携を実現し、日本経済の中枢である首都圏の活性化に大きく寄与しております。都は、区部の環状道路や多摩南北道路の整備を初め、橋梁、新交通、ボトルネック踏切を抜本的に解消する連続立体交差事業などを推進しており、その成果も、都内各所で徐々に目に見える形となってきております。
 そこでまず、これまで都が渋滞解消に向けて取り組んできた成果が実を結ぶ具体的な箇所としてどのようなものがあるのか伺います。その成果により、それぞれの箇所でどのような効果が期待されるのか、伺います。
 前回の東京オリンピックでは、首都高速一号線や環状七号線西側、青山通りなど、今の東京を構成する骨格道路の建設が急ピッチで進められ、その後の高度経済成長をしっかりと支えてきました。今回のオリンピック招致を契機に、これまで以上に都市基盤整備を加速すべきであり、中でも、とりわけ重要な道路整備を今後どのように進めていくのか、知事の所見を伺います。
 次に、臨海副都心開発について伺います。
 臨海副都心開発は、平成元年に着手してから、ことしで十八年目に入りました。これまで、地域内の都市基盤施設はほぼ整備が終了し、台場地区がおおむね完成し、青海地区や有明南地区の開発促進で既存の土地の約七割が処分されるなど、まちづくりは大きく進んできております。広域交通基盤についても、来月末に「ゆりかもめ」が豊洲に延伸するなど、交通利便性も飛躍的に向上し、今後の開発が大いに期待されます。また、地価が下げどまり、一部では上昇傾向にあるなど、臨海副都心開発にも明るい兆しが見えてきました。
 今年度は、開発計画全体における二期目の最終年度であり、平成二十七年のまちづくり完成に向けて、来年度からはいよいよ総仕上げの十年である三期目に入ります。
 そこで、臨海副都心開発における節目の年に当たり、今後の開発に向けた知事の意気込みを伺います。
 また、まちづくりを進めるための財政基盤も、確固たるものでなければなりません。開発に要した経費を賄うために発行した都債約五千二百億円の償還が平成十八年度から始まるとのことであり、開発を支える財政面では、まさにこれからが正念場といえます。
 そこで、財政基盤をより強化するために、今後どのような取り組みを行うのか、それにより、臨海副都心開発の財政運営がどのような見通しになるのか、伺います。
 次に、多摩振興について伺います。
 多摩振興の基本施策である多摩リーディングプロジェクトが策定されて一年が経過しました。このリーディングプロジェクトは、都が重点的に取り組む事業を明確にした非常に具体的かつ実効性がある施策であり、四百万多摩都民に大きな期待を持って受けとめられております。
 そこでまず、多摩リーディングプロジェクトについて、十七年度の成果はどのようなものであったか、また、二年目となる十八年度はどのような姿勢で取り組むのか、その基本的な考え方について伺います。
 また、奥多摩町などは山間部にあるため、用地確保が困難な上、財政負担が大きいことなどから、下水道の整備は大きくおくれ、普及率は極めて低い状況にあります。このため、我が党は、檜原村や奥多摩町などについても、下水道による整備が望ましい地域においては、都が主体となって進めてきた流域下水道を活用することにより普及を促進するよう、強く要請してきました。
 そこで、これらの地域の普及促進に向けた流域下水道の取り組み状況について伺います。
 次に、市町村に対する財政支援の充実についてですが、これまで都は、市町村に対する都独自の財政支援制度として、市町村振興交付金、調整交付金を活用することで、多摩・島しょ地域の発展に重要な役割を果たしてきました。しかし、近年、市町村の財政状況がますます厳しさを増していることから、我が党は、市町村の行財政基盤をより強固なものとするため、これらの交付金制度を一層充実させるべきと主張してまいりました。
 こうした中、都は、財政支援をさらに充実強化するため、両交付金を統合して市町村総合交付金を創設し、また、その予算額についても、我が党の強い要望にこたえ、従前の振興、調整交付金の予算額を大幅に上回る三百十億円を計上しています。
 知事は、市町村総合交付金をどのように多摩・島しょ地域の振興に生かしていく考えなのか、所見を伺います。
 次に、横田基地の軍民共用化についてですが、昨年十月、日米安全保障協議委員会が発表した在日米軍再編協議に関する中間報告の中では、横田基地に関して、自衛隊との共同使用とともに、軍民共用化について具体的な条件や態様を検討すること、また、横田空域の削減などを検討することが明記されました。
 十一月末には、多摩の二十六商工会、商工会議所が、横田基地軍民共用化推進協議会を発足させました。また、横田基地周辺の自治体からは、在日米軍再編の動きを踏まえ、横田基地の軍軍共用の容認や軍民共用化の推進といった積極的な発言がなされるようになってきています。
 横田基地については、我が国の安全保障の確保という大命題にも寄与しながら、知事が提唱してきた、平時には軍民共用化により有効活用を図るという、極めて合理的であり、かつ多摩振興の起爆剤ともなる政策の早期実現を図ることが必要であると考えております。
 この三月にも在日米軍再編協議の最終報告が出されるとのことですが、地元の動きなども踏まえ、国に対し、横田基地の軍民共用化について一層明確な方向を出させ、早期実現を確固としたものにしていく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、東京の産業力強化について伺います。
 今日、東京の産業の現状といえば、製造業では世界に誇る高い技術力を持ちながらも、平成二年と平成十五年を比較すると、工場数は六三%、従業員数は五八%、製造品出荷額等は五七%にまで低下しています。また、地域コミュニティの中核的な役割を担っている商店街の衰退、空洞化にも歯どめがかかっておりません。
 我が国が将来にわたって豊かで希望が持てる社会を築いていくためには、産業力の強化が求められ、中でも高いポテンシャルを持つ東京の産業活力をさらに高め、日本経済を牽引していくことが、我が国全体の産業力を強化する条件といっても過言ではありません。東京の産業の足腰を強化し、国際競争力を高め、アジアの市場を視野に入れたインフラ整備に全力で取り組む必要があります。
 また、こうした課題を産業政策の目標として明確に位置づけ、首都東京の都市及び経済を再生していくために、産業政策と都市政策との連携をも踏まえた基本戦略を示し、施策を推進していくことが、ぜひとも必要です。
 今こそ、都は総力を挙げて、ものづくり企業や商店街等に対する支援策、産業を支える人材の育成や確保策など、東京の産業力強化についての基本戦略を新たな総合的ビジョンとして構築すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 この際、ビジョンの策定にとどまらず、その確実な実現を期すため、産業振興条例の制定についても要望しておきます。
 次に、中小企業金融について伺います。
 制度融資の前提となる信用補完制度の見直しが国において検討されていると聞いております。その一環として、本年一月には、企業再生への取り組みを後押しするため、過去に信用保証協会の保証つき融資の返済が不能となった経験を持つ中小企業であっても、一定の要件を満たせば、新規保証を受けられることになりました。また、導入が検討されている保証料率の弾力化は、個々の中小企業の経営状況に応じた料率を設定することにより、リスクが高く、これまで保証が困難であった層への保証を可能とする効果があるといわれています。
 しかしながら、一方で、経営状況が厳しい中小企業においては、保証料負担が増加する懸念があるため、その見直しに当たり十分な配慮が求められます。
 そこで、現在の国における信用補完制度見直しの状況と、都としての対応について伺います。
 なお、今回の三位一体改革で、商工会議所等が実施する経営改善普及事業等の国庫補助金が廃止されることとなりましたが、我が党の強い支援要望に対して、必要な措置がなされました。こうした都の対応を大いに評価するものです。
 次に、豊洲新市場建設について伺います。
 築地市場の移転について、地元は断固反対を主張されていましたが、このたび、中央区、場外市場団体、築地地区の自治会などで構成される築地市場移転に断固反対する会が方針を転換し、移転後の築地地区のまちづくりに取り組むことを明らかにしました。
 しかし、市場業者の中には、新市場における事業展開に不安を感じるなどから、まだ反対している人たちがおります。こうした市場業者の不安を解消するため、より具体的な対応策を講じ、事業の円滑な推進を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、福祉、保健、医療に関連して伺います。
 まず、新しいビジョンについてですが、大都市東京にふさわしい福祉、保健、医療サービスの実現を目指すこれまでの福祉改革と医療改革をさらに前進させ、確かな安心を次世代に引き継ぐため、都は、福祉・健康都市東京ビジョンを策定しました。
 少子高齢化、人口減少社会の到来など社会保障制度を取り巻く背景は、今、大きな転換点を迎えております。
 医療制度について見ると、制度運営を支えている現役世代からの保険料収入と高齢者の増加による医療給付費とのバランスが崩れており、制度を維持するためには、不公平感のないよう、できるだけ広い範囲から応分の負担を求めるなど、皆で支えるシステムにする必要があります。現役並みの所得者など、負担のできる高齢者には、やむを得ず相応の負担を求めることも避けられないところです。都においても、こういう状況を踏まえた上で、今、福祉、保健、医療施策の新たな方針を打ち出すことは、まさに時宜を得たものであります。
 そこで、このビジョンが示す理念と意義について、知事の所見を伺います。
 次に、少子高齢施策の拡充について伺います。
 現在の深刻な少子化の流れを変えるために、地域の子育て環境を整備していくことが喫緊の課題であり、子育て支援の要である区市町村が、地域のニーズに対応した取り組みを進めていくことが重要です。
 都は、十八年度予算案で、区市町村の取り組みをバックアップする仕組みとして、市町村を対象とした交付金制度の創設と区市町村に対する新たな包括補助制度を打ち出しましたが、両制度は、これまでの縦割りの補助制度と違い、区市町村の柔軟な取り組みを促すものとして期待しているところであります。そのためには、来年度の実施段階においても、区市町村が活用しやすい制度としていく必要があります。
 そこで、都は、これらの制度を実効性あるものとするため、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 また、高齢になっても心身ともに健康で、いつまでも元気でいられるための施策がますます重要と考えております。たとえ介護が必要な状態になったり、認知症になったとしても、できる限り地域で自立した生活を継続できるよう、身近な地域に根差した介護基盤の整備や、認知症に対する総合的な支援の仕組みづくりが重要であります。
 こうした観点を踏まえ、今後の高齢者施策を強力に推進すべきですが、具体策を伺います。
 次に、障害者の自立支援の推進策について伺います。
 いよいよ四月から、障害者自立支援法が施行されます。我が党は、利用者負担に関する障害者の方々の不安の声を受け、国会審議などを通じて各種の負担軽減策を盛り込むとともに、都に対しても、低所得者に対する独自の負担軽減措置をとるよう要望してまいりました。こうした我が党の要望を踏まえ、都がホームヘルプサービスや精神通院医療などについて独自の軽減策を導入することを評価しているところであります。今後は、同法の理念を実現するために、都としてどのように障害者施策を進めていくのかが、重要な課題となってきます。
 そこで、都としては、障害者自立支援法の理念を踏まえて、今後どのように障害者施策を進めていくのか、所見を伺います。
 先般、国は、障害者の自立に向けて、平成二十三年度までに施設入所者を一万人減らし、精神科入院患者を五万人退院させるという数値目標を設定したと聞いております。こうした目標を真に障害者の自立につなげていくためには、それを支える地域におけるサービス基盤の整備が何よりも重要な課題であることは、論をまちません。
 都は、障害者地域生活支援・就労促進三カ年プランを策定しましたが、このプランの基本的な考え方と今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、都立病院改革ですが、現在、都立病院では、病院再編整備の一環として多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備を進めています。
 整備は、都立病院としては初めてPFI手法を導入して取り組む意欲的事業です。我が党は、この事業が全国的に果たす役割の重要性に着目し、PFI手法を選択することの意義や医療環境の変化に対応する仕組み等を確認するとともに、多摩地域の一大プロジェクトとして、事業者の選定に当たっては、その力量を重視するよう要望してきたところであります。
 この一月末には、業務の質と価格を総合的に評価する総合評価一般競争入札により落札事業者を決定したと聞いています。そこで、落札事業者の決定に当たり、都はどのような観点から総合評価を行い、事業者を選定したのか、その選定の方法についてまず伺います。
 今後、病院の開設に向けた準備を本格化させる重要な時期を迎えることになりますが、PFIで行うメリットを生かしながら、将来にわたって都民の期待にもこたえ得るような高い水準の病院をどのようにして実現していくのか伺います。
 先日、ある医療関係者とお話をする機会がありましたが、産科の医師が危機的に減少しており、医療機関もその確保に大変苦慮しているという厳しい医療環境について、切々と訴えておられました。都としても、こうした現実をしっかりと受けとめ、二病院を一体的に整備するメリットを最大限に生かし、産科機能について効率的な体制づくりを目指すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、今後の少子高齢社会を支える人材の育成について伺います。
 我が国の発展を支えてきたものは、産業や福祉の発展であり、そこに従事する人々の努力であります。
 これから、我が国は初めて人口減少社会に突入していきます。今こそ、人は財産であるということを再認識し、子どもの成長過程や社会的な位置づけに応じた育成策を講じ、人という財産の有効活用を図っていくときであります。
 変化の激しい社会においては、基礎的な知識、技能を徹底して身につけるとともに、みずから学び、みずから考えるなどの確かな学力や、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、そしてたくましく生きる健康や体力など、生きる力を育成することが不可欠であります。また、こうした能力の育成や、精神、感性の涵養は、よき社会人としての資質形成の根幹をなすものとして極めて重要であります。
 そこで、都は、児童生徒に確かな学力を定着させ、伸長を図るために、どのような取り組みを進めるのか伺います。
 一方、子どもたちの生活を見ると、一部に睡眠時間の減少や食生活の乱れなど、基本的な生活習慣が十分身についていない状況がうかがえます。次代を担う子どもたちを育成する観点から、基本的生活習慣の確立を目指して、都民全体に強く働きかける取り組みを展開するとともに、子どもの状況を把握している学校から家庭へのより一層の働きかけも必要になると考えます。
 そこで、子どもたちの生活習慣の確立に向け、どう取り組むのか、所見を伺います。
 さて、我が国が経済大国として成長してきた要因に、勤勉で優秀な労働力が存在していたことは、だれもが認めるものです。若年人口の減少と戦後の高度成長を支えてきた団塊の世代の大量退職を背景として、深刻な人材不足と熟練技能の断絶が懸念されています。
 こうした中、東京の産業を活性化するためには、若者を初めとする多くの都民が職場で能力を発揮する機会を拡大するとともに、一人一人の職業能力を高め、生産性の向上と熟練技能の継承を図る対策が不可欠です。
 ところが、労働力の確保や技能後継者育成の必要を強く認識しているものの、実際には困難な中小企業が多くあることも事実です。東京の産業を活性化させるためには、高付加価値製品を初めとするものづくりや、高い要求水準にこたえるサービスの提供を図ることが必要です。そのため都は、技術、技能、ノウハウや管理能力を身につけた現場を支える人材を育成する仕組みをつくるべきです。
 そこで、東京の産業を支える人材育成に向けた今後の対応について伺います。
 近年、高度で専門的知識、技術を持った人材育成が急務となっており、大学における人材育成の期待は非常に大きくなっています。昨年四月開学した首都大学東京や、本年四月に開学を予定している産業技術大学院大学では、東京の産業の活性化や東京の将来を担い支える人材育成の観点から、教育研究への取り組みを進めることとしています。
 首都大学東京では、学生に対し、就業意識を高めるための、いわゆるキャリア形成支援の取り組みを始めていると聞いていますが、この取り組みを、次代を担う若者の働く意欲や能力を引き出す就業支援にも生かすべきと考えます。
 そこで、両大学では、東京の産業を担う人材育成や若者の就業支援にどのように取り組んでいくのか伺います。
 これからの東京が活力ある世界都市として評価されるためには、文化の果たす役割が重要です。若い才能ある芸術家が東京から育ち、世界に発信していくことが、東京という都市の魅力を高めることにつながります。
 石原知事は、就任以来、文化人ならではのユニークな発想で、文化のフロンティアともいうべき新しい施策を展開してきました。公園や地下鉄などの公共空間をアーチストに開放するヘブンアーチスト事業や、若手芸術家の発表、交流のための拠点の整備など、これらは文化を創造する側への支援であり、まさに人材育成の視点からの取り組みといえます。
 今後は、さらに、海外をも視野に入れ、国内外の才能ある若いアーチストの交流の中から世界に羽ばたく人材を育成することが求められています。
 今回、知事は、文化振興に関する新たな指針を策定することを表明されましたが、ぜひこの指針には人材育成の視点を盛り込むべきであります。
 そこで、今後とも芸術文化の創造を担う人材を育成するため、さらなる施策の充実を図るべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 さて、ことしはノーベル物理学賞を受賞した湯川、朝永両博士の生誕百年に当たり、記念事業が東京や京都で実施されると聞き及んでおります。思えば、私が小学生のころ、湯川博士が日本人として最初のノーベル賞受賞者として大きく報道され、当時、占領下の中で呻吟していた日本人を大いに勇気づけたものでございました。
 ノーベル賞に象徴される卓越した才能は、広いすそ野を持った国民の学力や知識の積み重ねの上に形成されるものといっても過言ではありません。もともと自然資源の乏しい我が国では、人材こそ資源です。科学技術立国を目指していく根幹となるのも人材であります。この広く厚みを持った人材の育成の成果が、我が国のものづくりを初めとする産業経済の担い手となって、世界第二位の経済大国を支えてきました。
 少子高齢社会の到来とともに、これからの社会の担い手一人一人に、専門教育はもとよりのこと、勤勉や公に尽くすという美徳をしっかりと教えていく必要があります。我が党は、石原知事と手を携えて、人材育成のための教育の振興に向け、しっかりと取り組んでいくことを申し上げたいと存じます。
 なお、二月二十二日には、東京オリンピック招致のための東京オリンピック招致議員連盟を設立、発足させていただきました。自民党四十九名、公明党二十三名、民主党さん五名、共産党さんゼロ、このような状況でございますが、ぜひ、議員連盟の活動が国内外に向けて東京オリンピックを招致することにつながるわけでございますので、今定例会において、議員連盟の有志の皆さんから東京オリンピック招致決議案が提出されます。まだ議員連盟に参加されていない会派の皆さん、どうか招致決議までには会派内の意思を統一され、あるいは議員一人の意思においてご決定をいただくよう、切に私からもお呼びかけを申し上げる次第でございます。
 ちなみに、昭和三十九年の東京オリンピックのときには、既に全会派が全会一致で都議会において東京オリンピック招致決議をしております。戦後の厳しい時代にもかかわらず、多くの都議会の先輩がこのようなすばらしい決議をしたこの歴史を、後世の都議会議員の私どもが高く尊重し、先輩の教訓を見習うべきであると強く主張申し上げまして、私の代表質問を終わらせていただきます。
 どうか皆さん、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)野村有信議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都政運営の基本姿勢についてでありますが、一国を代表する大都市の盛衰がそのままその国の力を表象しているのが国際社会の現実であると思います。しかし、こうした文明工学的な見識を国の政治家も官僚も余り持ち合わせておらずに、彼らは、この国の将来に対して、大都市に関して責任のある行動をとり得ないでいるのが残念でございます。
 私は、この七年間、東京が沈めば日本も沈むという危機意識を持って、独自の治安、青少年対策や福祉、教育改革を初め、首都圏に不可欠な骨格的な道路ネットワークの整備や先駆的な環境政策、さらには産業、観光振興など、さまざまな手だてを講じてきたつもりでございます。しかし、日本再生への道のりはいまだ道半ばといわざるを得ません。
 これからも、日本の頭脳、心臓部である東京の持つ大きな可能性を解き放ち、東京から日本を変えるための努力を積み重ねていかなければならないと思っております。ご指摘のように、この志を胸に、首都東京のかじ取りを引き続き担っていきたいと思っております。
 次いで、オリンピックの基本的考え方についてでありますが、総じて今日の日本人は、卓越した技術力や感性を持ちながら、みずからの可能性、ポテンシャルをどうも過小評価し、殊さらに萎縮してしまっております。というか、みずからが何であるかを正確にとらえ切れてないうらみがございます。
 先日、科学未来館の館長をしておられる、前の宇宙飛行士の毛利さんとあるところで対談いたしましたが、そのときに毛利さんが、自分が乗っていたアメリカの宇宙船の頭脳部、心臓部というのは、一応機械は外側にアメリカ製と表示があるけれども、ほとんど大事な部分は日本製だということをいっておりました。私も改めて強い印象を受けましたし、また、火星に着陸しようとしているアメリカの宇宙船の、これは無人でありますけれども、その着陸のとき、火星は非常に希薄ですが大気があるので、何ていうんでしょうか、パラシュートのような、周りを物で包んだ形で軟着をするそうですけれども、その特異な繊維なども全部日本製だということで、そういうことを余りに日本人は知らな過ぎるという気が改めていたしました。
 今なすべきは、こうした可能性を持って、国家として、また民族としての向かうべき真の方向というものを改めて見定めて、自己を取り戻し、みずから立つ国として再生した日本を子孫に残すことであると思います。
 オリンピックを契機とする東京の積極的な取り組みが、二十一世紀の新しい都市モデルを提示し、世界の大都市問題の解決に大いに貢献するとともに、日本のための大きな礎を築いていけるものと確信しております。この国において、国家を牽引し、日本の存在を象徴する都市は、東京こそが第一であると信じております。
 次いで、オリンピックのための基金についてでありますが、東京にオリンピックを招致するためには、国内各都市はもちろん、世界主要都市との熾烈な競争を勝ち抜いていかなければなりません。そのためには、東京ならではの理念やアイデアを打ち出していくことに加え、開催都市としてのインフラなどの整備が不可欠であります。国家的イベントであり、そこでは国や民間に対して負担や努力、協力を求めてまいりますが、都としても相応の負担が必要となります。
 今回の基金設置のねらいは、まず第一に、オリンピックに関連した基盤整備などの財政需要に早い段階から備えを講じ、負担の平準化を図ることであります。同時に、こうした積極的かつ現実的な行動により、オリンピック招致に向けた都としての強い意思表示を内外に表明することであります。
 後で述べますが、財政再建にもめどがついてまいりました。こうした東京ならではの財政力のこれが一つの証左であると思います。また、先般、トリノのオリンピックに横山副知事が参りまして、その折、何人かのIOCの委員と歓談いたしましたが、彼らの関心は、東京が既に年間一千億の積立金を始めたということに非常に強い関心を持っていたと聞いております。
 次いで、十八年度予算についてでありますが、十八年度は、第二次財政再建推進プランの最終年度として、財政の健全性の回復に全力を注ぎ、その上で今後の新たな都政の発展を目指すことを基本に予算編成を行いました。
 予算の第一の柱は、財政再建を徹底し、強固で弾力的な財政基盤を構築することであります。隠れ借金をピーク時の半分近くにまで圧縮するとともに、基金については大きく積み増しをしております。
 第二の柱は、都民の負託に積極的にこたえていくことであります。治安対策など直面する課題はもちろんのこと、オリンピックなど将来に対する布石もしっかりと打ったつもりであります。
 今回の予算により、就任以来の懸案でありました財政再建は一つの区切りがついたと考えておりまして、都政にとって大きな節目となる予算に仕上げることができたと思っております。
 次いで、特別区との関係についてでありますが、何よりも大切なことは、都と区が協力して、日本の首都であり、頭脳部、心臓部である東京をさらに発展させることであります。都民、区民の生活の向上を図ることであります。
 今回、特別区とは、財政調整の問題にとどまらず、今後の都区のあり方について都区共同で検討することを合意いたしました。これは、地方自治制度全般にわたって改革の議論が進められている今日、東京の将来にとって大きな意義があるものと考えております。
 国の動きを見ますと、相変わらず東京ひとり勝ち論といった根拠のない空論がまかり通っておりまして、都と区から税源を吸い上げようとしているのが実態であります。こうした動きにも都区が協力し対応を図る必要がございます。今後とも、都区ともに議論すべきは議論し、協力すべきは協力し合って、ともに力を尽くしていきたいと思っております。
 次いで、監査機能の充実強化についてでありますが、アメリカのエンロン社を初め、我が国の社会保険庁、あるいは最近のライブドアの例など、国内外、官民を問わず、不正な会計行為は後を絶ちません。
 かねてより、監査機能の充実、そのための専門家の活用を強く訴えてきましたが、現に外部監査も大きな成果を上げておりまして、今回の地方制度調査会の提言の趣旨は、私がこれまでいってきたことと全く同じでありまして、都では四月から複式簿記・発生主義会計を導入いたしますが、監査においても、コストやストックの情報を有効に使いこなす専門性がさらに必要であると思っております。法改正を踏まえて、都としても監査機能の充実強化に取り組むつもりでございます。
 次いで、道州制についてでありますが、現行の都道府県の制度は、日本が時間的、空間的に狭くなった今日において、直面する行政課題に十分に対応できない状況にございます。
 都はこれまで、首都圏において顕在化する広域的な課題を解決するため、八都県市の連携を通じて着実に実績を積み重ねてまいりました。道州制の検討に当たっては、こうした現実の行政課題と現場の実態を踏まえた、地に足の着いた検討が不可欠であると思います。先般、意見を求めてまいりました諸井君にも、そう首都圏の代表として、代表して伝えました。
 お話しの地方制度調査会は、道州間の規模均衡を第一に、地図の上での区割りに興ずるばかりで、表層的な議論に終始しているといわざるを得ません。このままでは、首都機能移転と同様、道州制が実質を欠いた空虚な国家目標になりかねないと思っております。
 そもそも道州制の意義は、真の分権改革に向けて、その形を抜本的に変えることにあるはずであります。これまでの改革のてんまつを見ますと、省益を墨守する国の各省庁の抵抗によって、地方分権一括法は骨抜きにされ、三位一体改革も数字合わせに終わってしまいました。この反省に立てば、まず国と地方の役割分担を徹底して議論すべきであると思います。都としては、今後とも、真の分権改革につながる広域行政のあり方についても議論を進め、東京発の自治論を国などに対して強く発信していく考えでございます。
 次いで、首都直下型地震の被害想定についてでありますが、国が発表した直下地震の被害想定はいかにも粗削りでありまして、都や区市町村の震災対策には活用できないと私は思います。
 このため、今回の想定では、発生頻度が高く、被害の大小がより明確になるマグニチュード六・九も加え、実態に即したデータを用い、区市町村別に被害を想定いたしました。これにより、優先順位をつけた震災対策の推進や、駅前滞留者対策など都市型災害への対応、地域住民、企業と連携した地域防災力の向上に大いに活用できると思っております。
 来年度には、この想定をもとに地域防災計画を抜本的に見直すなど、さらに震災対策を強化し、全力を挙げて都民の安全を守っていくつもりでございます。
 次いで、木造住宅の耐震改修工法などの都民への普及についてでありますが、住宅の耐震化は、あくまでも自助、共助、公助の原則に基づいて進めるべきだと思っております。住宅の耐震改修は重要でありますが、自己負担の問題でもありまして、まだまだ十分に進んでいないのが残念でございます。
 このため、安価で信頼できる耐震改修工法や装置を公募したところ、百件を超える応募がございました。この中から、経済性にすぐれた耐震シェルターや、窓をふさがずに金属製の枠で補強する工法など三十一件を選定いたしました。中には、わざわざ家を建てて、その中にシェルターをつくり、その家を崩してそれだけが確固として残るという実証もしたケースもございます。こうした工法などを広く都民に情報提供することは極めて大切であり、今後積極的に周知してまいります。
 先ほど申しました、寝室だけをとにかく守る経済性にすぐれたシェルターは、四畳半程度で三十万円という、かなりコストの安い、非常に有効な方法だと思われます。
 次いで、今後の環境施策の展開についてでありますが、都はこれまで、都民、事業者の幅広い理解と協力を得てディーゼル車排出ガス規制を実施し、大気汚染の大幅な改善も実現いたしました。また、地球温暖化対策などにおいて先駆的な取り組みを全国に波及させるなど、我が国の環境行政を先導してきたと思います。
 しかし、東京の環境は、異常気象の頻発など温暖化の影響が顕在化するとともに、緑の減少に歯どめがかからないなど、依然として重い課題に直面しております。環境の危機に挑む志を持つ人の輪を広げ、人間が人間として生き続けることのできる社会、安心して住み続けることの可能な都市を東京から実現していくため、先駆的な環境施策を一層果敢に展開していくつもりでございます。
 次いで、花粉の少ない森づくり運動についてでありますが、今日の花粉症問題の深刻化は、戦後国が行った大規模な拡大造林政策の失敗により、長年にわたり森林が放置されてきた結果であります。今手をつけなければ、人々の苦しみは永久に続くことになると思います。
 東京には関東近県から花粉が飛散してまいりますが、多摩地域の森林も、国産材の需要低迷によって伐採が進まず、花粉発生源の一つとなっております。花粉を削減するために、杉の本格的な伐採が必要であります。まず、一千二百万都民を擁する東京からスギ花粉発生源対策に踏み出し、花粉の少ない森づくり、色彩豊かな多摩本来の森づくりを進めていきたいと思っております。
 私も先頭に立ちまして、こうした森づくり運動を開始し、多摩の森林や木材の活用に対する都民や企業などの理解と協力を得るとともに、速やかに八都県市にも拡大していきたいと思っております。
 次いで、東京の今後の道路整備についてでありますが、東京の慢性的な交通渋滞は、大きな経済損失や環境負荷の増大を招くなど、都市の存立にとって致命的な問題であります。オリンピック招致に向けても、円滑な道路交通の確保は必須の課題であります。渋滞解消に向け、特に効果の高い首都圏三環状道路や都内の骨格幹線道路、連続立体交差など、十年後のオリンピックを目指して集中的に整備を進めるつもりでございます。
 また、成熟した都市を世界にアピールするためには、広く快適な歩行空間の整備や電線類を地中化するなど、景観にもすぐれた道路空間の形成を図りたいと思います。
 次の世代へと受け継がれる都市基盤の礎を築く首都東京の道路整備は待ったなしでありまして、まさにこの十年間が正念場であると思っております。さらなる道路財源の確保を図りながら、これまで以上に積極的に取り組みたいと思っております。
 次いで、臨海副都心部開発の取り組みについてでありますが、臨海副都心は、バブル崩壊の試練を受けながらも、今や都心とのアクセスも充実し、首都東京の活力を担う大きな可能性を有するまちに成長いたしました。今後十年間は、いよいよ青海地区の北側や有明北地区も含めた開発の総仕上げの時期に入ります。社会経済状況も好転しておりますが、手綱を緩めることなく、土地売却方法に新しい手法を取り入れるなど、財政基盤を一層強化することで今後の開発を確かなものとしていくつもりであります。臨海副都心は必ずや都民、国民の貴重な財産になるものと確信しております。
 次いで、市町村への財政支援についてでありますが、多摩・島しょ地域の魅力を高めていくには、厳しい財政状況にある市町村の行財政基盤の強化が不可欠でありまして、市町村みずからの努力とともに、適切な財政支援が必要と考えております。
 そのため、地域の発展に向け、市町村が行う事業を積極的に支援するとともに、行政改革の取り組みを促すことを目的として市町村総合交付金を創設し、財政支援の充実を図ります。これにより、市町村の自助努力と創意工夫が十分に発揮されることを通じて、大きな可能性を持つ多摩地域と、豊かな自然に恵まれた島しょ地域の一層の振興を図っていきたいと思っております。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、そもそも横田基地の軍民共用化は、平成十五年五月の小泉・ブッシュ会談において実現可能性を検討することが合意されており、本来、米軍再編とは別のものであります。それにもかかわらず、残念ながら、空のアクセスの文明論的な重要性というものを認識しない外務省の基本的な認識の欠如のおかげで、米軍再編の流れに巻き込まれてしまいまして、要らぬ回り道をさせられております。
 国は、軍民共用化は、横田空域のあり方とともに、在日米軍再編協議の最終的な取りまとめに向けた課題であるとしておりますが、米軍再編の枠組みの中で議論しているのでは時間がかかり過ぎます。ともかく、軍民共用専管の具体的な協議の場を早急に立ち上げ、日米協議を進展させることが必要不可欠であります。地元における機運の盛り上がりも踏まえ、改めて日米両政府に強く働きかけ、軍民共用化の早期実現を目指します。
 現に、今の段階では、交通経済学の泰斗であります杉山学長を委員長にしました杉山委員会において、フィージビリティースタディーがほとんど終わりつつありますが、これにこたえて、アメリカ側もそれに参加してはどうかとこちらから建言しましたが、いや、我々は我々側でカウンターパートとして委員会を構えるということで、この日米両方のスタディーグループによりまして具体案がこれから検討されていきます。
 既にアメリカ側からも、これは軍側の要望でしょうが、ターミナルをどこに設けるかなどという案も出ておりまして、いずれにしろ、早期の実現をあらゆる努力をして図っていきたいと思いますが、さきに、ことしに入りまして、日本航空と全日空の社長を呼びまして懇談しましたが、両者とも、あの地域を分析して、例えば埼玉県や神奈川県の北部あるいは山梨県、長野県の人たちにとっても、横田が非常に便利な飛行場であるという認識を持っておりまして、それを彼らも承知して、航空会社にとっても非常にお客の需要の高い一つのプロジェクトであるという認識を共通して持ってもらいましたので、こういったものも大いに我々の主張の要因としてアメリカ側に伝え、政府に伝えていきたいと思っております。
 次いで、東京の産業力強化についての基本戦略の構築についてでありますが、東京は、ほかにまねのできないすぐれた技術の集積など、高い可能性を持っておりまして、同時に、感度の高い、すぐれた大消費地でもあります。厳しい国際競争や人口減少社会の中でも、独自の発想と技術力によって日本経済を牽引していくことが可能であります。
 都はこれまで、CLO、CBOの発行や、秋葉原ITセンターの設置、アニメ産業の育成など、独自の産業振興策を実施するとともに、都市政策との兼ね合いで工業等の制限法の廃止など国を動かし、東京の産業力強化の基盤を形成してまいりました。
 今後、これを踏まえ、都市政策と連携し、高い技術を持つ企業の立地促進や、高度な技術を継承発展させる人材の育成に取り組んでいくつもりでございます。
 さらに、ハノイなどアジアとの交流や東京を中心とした八都県市との連携によりまして、首都圏全体の産業力を強化する必要がございます。
 このため、都の将来の産業施策の道筋を示す総合的なビジョンの策定に向けて検討を進めております。
 次いで、福祉・健康都市東京ビジョンについてでありますが、人口減少時代がいよいよ現実のものとなった今、右肩上がりを前提とした我が国の社会システムが早晩破綻を迎えることは明らかであります。にもかかわらず、社会保障を含めた国の構造改革は、目先の課題への対応に終始し、いまだに明確な将来像を国民に示してはおりません。
 こうした中、都として、現在の都民の不安を解消するとともに、確かな安心を次世代に引き継ぐため、先般、福祉・健康都市東京ビジョンを策定し、福祉と保健、医療の両分野を貫く基本姿勢を明らかにいたしました。
 今後は、都民一人一人の自立を促すことを基本に据え、民間、地域、行政それぞれの力を最大限に生かした効率的、効果的な施策展開を目指します。
 このビジョンに基づきまして、これまで都が先導的に取り組んできた福祉改革、医療改革をさらに前進させ、将来世代にわたって信頼できる、揺るぎない安心を実現していきたいと思っております。
 最後に、芸術文化における人材育成についてでありますが、東京には、文化芸術にかかわるさまざまな人材や文化資源が集積しておりまして、新たな創造的な文化を生み出す可能性を非常に豊富に持っております。しかるに、これは、世界の大都市の中で非常に希有なることでありますが、東京にはいまだにこういった、東京全体の芸術の可能性というものをどうまとめ、掘り出し、どう打ち出していくかという基本的な構想を打ち出すアートカウンシルなるものがございません。
 そういうことで、先般、東京都の文化施策を語る会を構築しまして、有識者に、未来社会への投資として人材育成を重視すべきですという提言もございました。それに沿って新しい文化政策を展開していきたいと思っておりますが、これまでも、トーキョーワンダーウォールやワンダーサイトなどの取り組みから、才能のある若い作家がもう既に育っております。
 今回新たに、青山の旧国連大学の施設を活用しまして、国際都市東京の特徴を生かしたアーティスト・イン・レジデンス事業として実施いたします。
 世界じゅうの新進気鋭の芸術家と東京の若い芸術家がかんかんがくがく切磋琢磨し合う中から、東京からもすばらしい、さらにすばらしい芸術が生まれ、世界に発信していくことを期待しております。
 新たに策定する指針の中でも、若手芸術家などの育成支援を重要な柱として位置づけていくつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、競技力向上の取り組みと課題についてであります。
 スポーツ競技力の向上を図りまして、その成果を国民体育大会などで発揮しますことは、競技者の自己達成及び自己実現につながるとともに、都民に夢や希望を与え、コミュニティの形成や郷土愛の醸成に寄与するなど、スポーツの振興に欠かせないものと認識しております。
 このため都は、東京都体育協会と連携し、国民体育大会におきます競技成績の向上を図ることを目的としまして、国体出場の候補選手や監督などを対象としました強化練習や強化合宿を行うなど、競技力向上事業を毎年実施し、成果を上げてきております。
 しかし、ご指摘のように、成年の部に比べまして、主に高校生が出場します少年の部におきまして予選を通過できない競技が多くあるなど、ジュニア選手の育成、強化が課題となっております。
 次に、このジュニア期からの選手育成や強化の方策についてであります。
 お話のように、東京都の選手がオリンピックや国体等で一層活躍するようにするためには、ジュニア期からの選手育成や競技力の強化が必要であると認識しております。
 このため、平成十八年度より、小学生から高校生に至る若い世代を対象としましたスポーツ教室や大会を開催するなど、各種の強化事業を区市町村や各地区の体育協会及び競技団体と連携して実施し、ジュニア期の競技人口のすそ野を広げ、各種の大会で活躍できる有望な選手を発掘し、育成、強化してまいります。
 次に、確かな学力の定着、伸長を図るための取り組みについてであります。
 確かな学力とは、知識の量だけではなく、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力までを含めたものでございます。
 都教育委員会ではこれまでも、児童生徒の学力向上を図るための調査を実施いたしまして、その結果に基づく授業改善を通して、各教科の基礎的、基本的な内容の定着を図ってきたところでございます。
 また、生涯を通じて活用できる確かな学力を身につけさせるためには、基礎的、基本的な内容に加えまして、教科で学んだ知識や技能等を効果的に活用して問題解決に当たる総合的な力の育成が必要であります。
 このため、今後は、現行調査に加えまして、児童生徒の問題解決能力を把握する調査を実施しまして、その結果を踏まえ、指導方法の工夫、改善を行いまして、確かな学力の一層の定着と伸長を図ってまいります。
 次に、子どもたちの生活習慣の確立についてであります。
 基本的な生活習慣を身につけさせるためには、家庭の役割が極めて重要であると認識しております。都教育委員会では、家庭における教育力が問われている現状を踏まえまして、区市町村教育委員会と連携し、これまでも家庭訪問や保護者会などを通しまして、睡眠時間などの生活リズムや食生活の向上について、家庭との連携に取り組んでまいりました。
 平成十八年度は、PTAや学校関係者、NPO団体、企業などによります協議会を設置しまして、学校、地域、社会が連携して実施いたします子どもの生活習慣改善プロジェクトによります、家庭を初め都民全体に子どもの生活習慣の大切さを働きかける運動を展開してまいります。
 また、あいさつができる、時間が守れるなど、学校における子どもの行動の記録を学校と家庭が双方で活用できるよう工夫するなど、きめ細かく対応していくとともに、学校保健委員会の活性化を図りまして、学校医と保護者などが連携し、子どもの健康づくりを推進することや、学校におきます食育のあり方を明確にするため、公立学校における食育に関する検討会を早急に設置するなど、子どもの生活習慣の確立に向けた取り組みを充実してまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)オリンピックに関連する施設についてのご質問でございますが、競技会場や選手村、プレスセンターなどの主要関係施設について、現在、候補地を挙げて検討を進めておりますが、幸い東京には、集中集積に伴い蓄積された既存施設や、都市の再生により生み出された用地がございます。
 これらの豊富なストックを最大限活用することにより、都心部を中心に、半径十キロメートルの円内に全体の八割以上の会場を配置し、世界最高レベルのコンパクトな会場配置を実現してまいります。コンパクトな配置は、近年のIOCの選考の大きな要素となっており、このような方針に基づく配置計画は、高い評価を得るものと確信しております。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君)十八年度の都税収入見込みについてお答えを申し上げます。
 我が国経済は、設備投資の活発化など、民間需要中心の着実な回復基調を続けておりまして、最近の政府経済報告も、景気は本格的な回復基調にあるとしております。
 こうした経済状況を踏まえるとともに、法人事業税の分割基準の見直しによる初年度の影響額一千三百億円の減収等を織り込みまして、十八年度の都税総額を四兆五千二十八億円と見込んだところでございます。
 都税収入の先行きについてでございますけれども、上場企業の十八年三月期決算の経常利益が三期連続で最高益を更新すると見込まれているなど、企業収益は引き続き好調に推移するものと予測されておりますけれども、原油価格や世界経済の動向など予断を許さない状況もございまして、今後の景気動向を注視しつつ、都税収入の動向を慎重に見きわめてまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)三位一体改革及び税制改正の影響についてでございます。
 ご質問にもありましたように、根拠のないまま東京から財源を奪い取ろうとするこの間の一連の見直しにより、都の財源は平年度ベースで一千四百億円ものマイナスになると見込まれております。今後の財政運営に大きな影響が生じると懸念されます。
 しかも、これにとどまらず、法人住民税の分割基準見直しなど、東京の財源をねらおうとする動きがいまだに残ってございます。このような動きに対しまして、引き続き都議会の皆様のお力添えをいただきながら、その阻止に向け、国に対し強く働きかけてまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)行財政問題を初め、五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、行財政改革についてでございますが、社会構造の変化に的確に対応し、活力ある東京を創造するために、不断の行財政改革に取り組む必要がございます。
 今後、行財政改革の新たな指針に基づきまして、多様な主体がかかわる新たな公を築く、スリムで仕事ができる効率的な都庁を実現する、都民の安全・安心を確保するために行政によるチェック機能を充実するとの観点に立って行財政改革を推進してまいります。
 七月には、三カ年の具体的な取り組みを明らかにする行財政改革実行プログラムを策定し、二十一世紀にふさわしい新たな行財政システムの構築に向けて、着実に改革を実施してまいります。
 次に、五項目の課題の都区合意についてでございます。
 都区間において重要なことは、都と特別区が連携協力して、東京の発展と都民、区民の生活の向上を図ることと認識をしております。
 今回の合意は、こうした見地から、第一に、中長期的視点に立ち、今後の都区のあり方の検討を共同で開始することとし、都区間の役割分担を踏まえた財源配分の課題につきましては、この大きな議論の場で協議を行う。第二に、当面の対応が求められておりました清掃関連経費、小中学校改築経費、都市計画交付金の具体的な課題につきましては、今年度の協議をもって終了する。さらに、三位一体改革への対応については、今年度の協議と切り離し、その影響の全体を見きわめて、来年度合意できるよう努力するという基本的な考え方のもとに取りまとめを行いました。
 次に、今後の都区のあり方の検討についてでございます。道州制の議論が進められるなど、地方自治制度全体に大きな改革が求められている中で、都と特別区のあり方を根本から検討することは、ご指摘のとおり、大変重要でございます。今回の合意により、これは都区の共通認識となりました。できるだけ早い時期に都区共同の検討組織を設置し、都区の事務配分、再編を含めた特別区の区域のあり方、税財政制度などについて検討を開始したいと考えております。
 次に、多摩リーディングプロジェクトについてでございます。
 平成十七年度は、都市計画道路整備方針案の取りまとめや、首都大学東京に産学公連携センターを開設するなど、二十の多摩重点推進事業について、市町村と十分連携しながら、全局一丸となって着実に目標を達成いたしました。
 十八年度は二年目を迎え、都市機能を拡充する観点などから、多摩南北道路五路線の整備や下水道整備事業などを中心に、確実な予算化を図りました。事業総額では七百十一億円となり、十七年度に比べ三三%の大きな伸びとなっております。
 今後とも、都議会のご支援を得ながら、圏央道整備など国への事業促進の働きかけや、市町村事業への支援とあわせ、大きな発展可能性を持つ多摩地域の一層の振興を図ってまいります。
 最後に、首都大学東京等における人材育成及び若者の就業支援への取り組みについてでございます。
 首都大学東京では、大都市の課題に立脚した教育研究を行い、広く国内外の実社会で活躍し、リーダーシップを発揮できる人材の育成を目指しております。
 本年四月には、デザイン分野で活躍する人材育成のための新コースを開設し、東京の多様な産業を支える人材の育成を進めております。
 さらに、学生に対するキャリア形成支援をより充実させ、若者の自己開発力を育成するプログラムを開発し、大学を初め都の関係機関で広く活用してまいります。
 また、同じく四月に開学を予定しております産業技術大学院大学では、産業界からの要請を踏まえ、実践的教育手法の導入により、IT分野の高度専門技術者の育成を目指してまいります。
 今後とも、首都大学東京及び産業技術大学院大学では、東京の産業を担う人材の育成や若者の就業支援に積極的に取り組んでまいります。
   〔監査事務局長高橋道晴君登壇〕

○監査事務局長(高橋道晴君)監査委員の事務局の専門性強化についてでありますが、近年、監査においては、法令等に適合しているかという合規性だけでなく、経済性、効率性を重視しておりまして、監査スタッフの専門性が強く求められております。
 そのため、会計監査の専門職を設置したほか、経営分析などの専門研修を実施しております。
 四月からは複式簿記・発生主義会計の導入に合わせて、すべてのスタッフが新たな会計方式に基づく監査を行えるよう、組織体制を整備いたします。
 また、昨年度からの試みとして、会計の専門家と一緒に監査の基礎となる調査を行っておりまして、知識、ノウハウの習得に効果を上げております。現在、事務局では、公認会計士の任期つき採用についても検討しておりまして、これらを複合的に実施することによって専門性を一層強化してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)四点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅の耐震化助成の内容についてでございますが、住宅の耐震性の向上は、自助、共助、公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本でございます。
 しかしながら、建物の倒壊による道路閉塞を防止するなど公共性が高い地域につきましては、より一層の耐震化の促進を図る必要があるため、耐震診断・改修に関する助成制度を創設することといたしました。
 具体的には、木造住宅密集地域のうち、特に危険度が高い整備地域を対象に、国の補助制度等を活用して助成事業を行う区に対し助成を実施するものでございます。こうしたことによりまして、震災時の住宅の倒壊を防止するとともに、避難、救助活動等が速やかに行われるなど、地域の安全性が向上するものと考えます。
 次に、分譲マンションの耐震化促進についてでございますが、マンションは概して建物が大きく、被災時に周辺に与える影響も大きいことから、耐震性の確保が重要でございます。
 構造計算書偽造の発覚以降、マンションの耐震性に対する住民の関心の高まりなどから、区市での診断助成の利用申し込みが増加しております。
 都は、こうした機運をとらえ、来年度から三カ年の緊急事業として、新耐震基準導入以前のマンションを対象に耐震診断の助成事業を創設することといたしました。
 耐震診断の実施につきましては、多数の区分所有者による合意形成が困難であるなどの課題もございますが、今後、区市町村、関係業界団体やNPO等との連携を強化し、これまで実施してまいりました改修工事への助成事業とあわせて、マンション耐震化の事業に努めてまいります。
 次に、景観審議会の答申を踏まえた対応についてでございますが、答申では、長期的な都市づくりの目標や社会経済情勢の変化を踏まえ、今後の施策の方向として、美しさと風格を備えた都市空間の形成、歴史文化の継承と観光資源としての活用、景観の骨格となる緑や水辺の保全、再生、そして公共事業等と連携した地域の景観づくりを提言しております。
 今後、都は、提言の具体化を図るため、景観法に基づく届け出勧告制度の活用に加え、都市計画や建築行政と連携し、実効性のある施策の構築に取り組んでまいります。
 また、眺望の保全など、複数の区市町村に及ぶ施策における都の調整機能を担保し、広域自治体としての取り組みを強化してまいります。
 最後に、都市づくりにおける景観形成についてでございますが、国際競争力を備えた魅力とにぎわいのある国際都市東京を実現するためには、都市づくりを推進する中で、都市活力の維持を図るとともに、良好な景観を形成していくことが重要であると認識しております。
 このため、大規模な開発や公共事業を実施する機会などをとらえて、例えば、歴史的な景観資源を生かした都心部の機能更新、河川や運河沿いにおける緑化や公開空地の整備、さらには道路空間と沿道の土地利用が調和した町並みの形成など、景観の視点を重視した都市づくりを進めてまいります。
 こうした取り組みを、区市町村との連携はもとより、都民、事業者の協力のもとに積み重ねて、美しく風格のある東京を実現してまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)今後の新たな緑施策の展開についてでございます。
 東京を自然と共生し持続可能な都市としていくためには、東京の緑の減少を食いとめ、緑をよみがえらせることが早急な課題であると認識しております。
 そのため、緑を創出する新たな仕組みづくりや、自然と触れ合うことを通して都民に自然の保全への参加を促す自然の力・東京事業など、さまざまな施策を行ってまいります。
 また、長期的な緑施策の再構築に向け、緑に関する白書を作成し、緑の減少の要因や課題を明らかにしてまいります。
 さらに、平成十八年度に設置を予定しております環境経済施策調査会においても、緑が減少する要因の一つとなっている相続税の問題など、緑施策の幅広い検討を行うとともに、関係局と連携した緑づくりの戦略的な展開を図ってまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)道路整備に関する二点の質問にお答えします。
 まず、渋滞解消に向け取り組んできた成果についてでありますが、都はこれまで、区部の環状道路や多摩南北方向の幹線道路の整備、連続立体交差事業などに重点的に取り組んでまいりました。
 その結果、区部では、本年五月に、環状第八号線の最後の未開通区間である練馬区南田中地区及び板橋区北町・若木地区を交通開放いたします。これにより、羽田空港から北区岩淵町までの四十四キロ全線が、都市計画決定以来六十年の年月を経て開通することとなります。
 多摩地域では、四月に、多摩川原橋の完成により調布保谷線の調布―稲城区間二・七キロが四車線で開通いたします。
 また、東急目黒線では、平成十五年の不動前駅付近の立体化に続き、この七月には、残る洗足駅までの地下化切りかえによりまして、ボトルネック踏切など十六カ所が解消いたします。
 次に、道路整備による効果についてでありますが、例えば環状第八号線の全線開通は、都心に流入する通過交通を分散し、区部の交通渋滞の緩和に大きく貢献いたします。
 現在、杉並区四面道交差点から北区岩淵町までは、笹目通り経由で混雑時に約一時間ほど要しますが、本線の開通によりまして大幅に短縮され、所要時間は半分程度になると予測しております。
 また、調布保谷線の甲州街道から川崎街道までの区間は、踏切すいすい事業、多摩川原橋拡幅事業、南武線連立事業など、渋滞解消に向け、総合的に事業を実施しております。これらの事業に着手する前に比べ、混雑時の所要時間は二十七分から十五分程度に短縮すると予測しております。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、渋滞解消に向け、効果の高い道路整備を集中的に進めてまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君)臨海副都心開発における財政基盤強化のための取り組みと、それによる今後の財政見通しについてのご質問でございます。
 まず、財政基盤を一層強化するため、主に次の三点に取り組んでまいります。
 第一に、金利負担を軽減させるため、大量の都債残高を早期に圧縮してまいります。具体的には、昨年度末時点で積み上げることができました内部留保資金千四百五十億円の約二分の一を元金の返済に活用し、二百十億円の金利圧縮を行います。
 第二に、土地処分をさらに促進し、収入の確保を図るため、景気の上昇傾向を踏まえた価格競争の導入や、進出意欲のある企業のニーズに応じた処分地の区画の弾力化など、土地処分の方策を大幅に変革してまいります。
 第三に、道路等の基盤整備費のさらなる圧縮などを推進し、約四百億円の収支改善を図るなど、開発を進めるための資金収支をより強固なものにしてまいります。
 こうした取り組みにより、今後の五年間で都債五千二百億円全体の七割を償還し、まちが概成する平成二十七年度を待つことなく、平成二十六年度にはこれを完済することを目指してまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君)多摩地域における下水道普及促進に向けた流域下水道の取り組みについてでございますが、都はこれまで、関連公共下水道の整備に合わせ、着実に流域下水道事業を進めてきており、平成十七年度末の下水道普及率は九六%に達する見込みでございます。
 お尋ねの檜原村につきましては、この三月に下水の受け入れに必要なあきる野幹線が完成し、平成十八年度から村民待望の下水道が使用できる状況になります。
 また、奥多摩町及び青梅市の御岳地区などにつきましては、平成二十一年度の供用開始に向け、平成十八年度から多摩川上流幹線の延伸に着手いたします。
 今後とも、多摩地域の良好な水環境の創出に向け、市町村と連携して普及促進に取り組み、普及一〇〇%の早期達成を目指すとともに、高度処理の推進や合流式下水道の改善に努めてまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)二点のご質問にお答えいたします。
 まず、信用補完制度の見直しについてでございますが、ご指摘のように、本年一月に求償権に係る制度改正が行われ、過去に返済不能となった企業でも、一定の要件のもと、新規保証を受けられることになりました。
 また、この四月には、現在は一律である保証料率が、個々の経営状況に応じて〇・五%から二・二%の九段階に弾力化されると聞いております。これを前提にすれば、経営改善の努力が保証料の引き下げという形で報われる一方、経営状況が厳しい中小企業については、保証料負担が増加する場合がございます。
 このため、都といたしましては、経営基盤が脆弱な中小企業の実態を十分に踏まえ、その負担を緩和するよう、信用保証協会と連携して必要な措置を講じてまいります。
 次に、東京の産業を支える人材育成についてでございます。
 都はこれまで、技術専門校における公共職業訓練や学校における産業教育などを中心に取り組んでまいりました。しかし、人口減少社会の到来と団塊の世代の大量退職が現実となる中、産業の担い手となる人材の確保、育成と技術、技能の継承が重要な課題になっていると認識しております。
 今後、技術専門校におきましては、若年技能者を育成する名工塾の拡充や実技を重視した在職者訓練に重点的に取り組むなど、地域の企業における人材育成を積極的に支援するとともに、事業主団体、民間の専門学校、各種学校や、四月に開学する産業技術大学院大学なども加えた関係機関によるネットワークを構築し、企業ニーズを踏まえた基盤分野から高度専門分野まで幅広い人材の確保、育成と技術、技能の継承の取り組みを推進してまいります。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕

○中央卸売市場長(森澤正範君)豊洲新市場建設についてでありますが、中央区や場外市場団体などで構成する築地市場移転に断固反対する会が反対の旗をおろし、方針を転換したことは、新市場建設を円滑に進める上で大変意義のあることと受けとめております。
 現在でも、移転に対し不安を持ち、反対している市場業者の方々に対しては、経営基盤の強化策を初めさまざまな対策を講じながら、誠意を持って対応してまいります。
 また、市場業者の将来の経費負担を考慮し、新市場の実施計画の内容についても、事業費の縮減を目指し、精査を行ってまいります。
 今後とも、市場関係業者と十分協議を重ね、理解と協力を得られるよう努めてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)福祉に関する四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、新たな子育て支援策についてですが、子どもを健やかに産み育てる環境を整備するためには、それぞれの地域の実情に応じました区市町村の取り組みを幅広く支援していくことが重要でございます。
 子育て推進交付金と子育て支援基盤整備包括補助は、こうした考えに基づき、区市町村が主体的に施策を展開できますよう、ハード、ソフトの両面において柔軟かつ広範に財政支援する仕組みとして創設したものでございます。
 これら新たな制度の実施に当たりましては、区市町村が活用しやすいものとなるよう、交付要件の緩和や手続の簡素化などを工夫するとともに、先駆的な事例の紹介や積極的な取り組みを評価することなどにより、施策の実効性を最大限高めてまいります。
 次に、これからの高齢者施策についてですが、今後、高齢化のさらなる進行によりまして認知症高齢者の増加が見込まれる中、高齢者が自立し、尊厳を持って生活していくためには、健康を維持し、また、認知症になったとしても地域で暮らし続けられる社会の実現が極めて重要でございます。
 このような考え方から、介護予防、健康づくりの推進や地域における安心な生活の確保など、今後取り組むべき課題を盛り込んだ東京都高齢者保健福祉計画を本年度中に策定いたします。
 平成十八年度は、この計画を踏まえまして、介護予防システムの都内全域での展開を開始し、ショートステイなどの地域生活を支えるサービス基盤の充実を図るとともに、グループホームの緊急整備など、認知症高齢者に対する総合的な支援の取り組みを強力に推進してまいります。
 次に、今後の障害者施策の推進についてですが、障害者自立支援法は、障害者がその有する能力や適性に応じ、自立した生活を営むことができるよう支援を行い、障害の程度や障害の種別にかかわらず、安心して暮らすことのできる地域社会の実現を理念としておりますが、この理念は、これまで都が進めてまいりました福祉改革の取り組みや、先般策定いたしました福祉・健康都市東京ビジョンの考え方とも合致するものでございます。
 今後は、地域生活を支えるサービス基盤の重点的整備や障害者の就労促進に一層取り組みますとともに、専門性の高い相談の実施や人材育成を行うなど、区市町村と密接に連携して、だれもがみずからサービスを選択、利用し、地域の中で自立して生活できる社会の実現を目指してまいります。
 最後になりますが、障害者地域生活支援・就労促進三カ年プランの考え方と今後の取り組みについてでございます。
 障害者が地域で自立した生活を送るためには、居住の場や日中の活動の場など生活基盤の整備と、経済的自立に向けた就労の支援が特に重要でございます。
 このため、プランでは、平成十八年度から二十年度までの三年間で、精神障害者も含めまして、グループホームや通所施設など三千二百人分のサービス基盤の整備を重点的に進めることといたしました。
 また、障害者の経済的自立を促進するための施策についても初めてプラン化いたしまして、障害者就労支援事業をすべての区市町村で実施することを目指しております。
 今後は、区市町村や運営事業者に対するさまざまな働きかけを行いまして、プランの達成に全力で取り組んでまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)多摩メディカル・キャンパスに関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター整備における事業者選定方法についてでございますが、本事業は、設計、建設から長期間の業務運営に至るまで一貫したサービスの提供を求めることから、中核となる企業の業務実施能力を多面的かつ的確に見きわめる必要がございます。
 このため、外部委員を含めた審査委員会におきまして、入札価格のほか、設計施工能力、薬品、医療機器の調達能力、委託業務の統括能力、そして運営体制の妥当性など各項目について、具体性、継続性、実効性などの観点から総合的に審査したところでございます。
 次に、新しい病院の開設に向けた取り組みについてでございますが、今回の事業者の決定を受けまして、今後は、提案内容に基づいて、医師、看護師を初めとする病院のスタッフが、事業者と率直な意見交換を行いながら、具体的で詳細な協議を進めていくことになります。こうした取り組みを通じて現場の意見を十分反映するとともに、事業者の創意工夫を生かしたサービス水準の高い病院の実現を目指してまいります。
 最後に、効率的な産科体制についてでございますが、母子医療を取り巻く環境は、地域の産科の医師や医療機関が減少する中で、ハイリスク新生児の医療需要が増加するなど、お話のとおり大変厳しい状況にございます。このため、NICUを整備するとともに、地域の産科医師等の要望も踏まえまして、産科病床を拡充することにしております。
 今後は、隣接して二つの病院を整備するメリットを最大限に生かして、総合診療基盤と一体化した効率的な産科体制の実現を目指してまいります。

○議長(川島忠一君)この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時二十五分開議

○副議長(木内良明君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十一番柿沢未途君。
   〔百二十一番柿沢未途君登壇〕

○百二十一番(柿沢未途君)都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず、オリンピックについてです。
 まず、我が会派の基本的な考え方を申し上げます。
 石原知事による東京オリンピック招致の意思表明を受けて、今定例会には、都議会でのオリンピック招致決議が上程されることになると思われます。オリンピック招致問題は、今定例会の最大のテーマであるといっていいでしょう。
 昨年九月の本会議で石原知事が招致の意思表明をして以来、私たちは、オリンピック招致に向けた基本構想や財政計画を早期に示すよう求めてきました。そして、第一回定例会の開会直前の今月十七日になってようやく基本構想懇談会の報告書がまとまり、公表されるに至りました。
 私たちは、この報告書をベースに、なぜ今東京がオリンピックを招致するのか、どのようなオリンピックを考えているのか、都の財政は大丈夫なのか、こういった点についてさまざまな角度から都の考えを聞くとともに、私たちの考えも述べた上で判断を下したいと考えております。そうした議論を経ることもなく、ただただもろ手を挙げてオリンピック賛成というのでは、言論の府である議会として、責任放棄であるといわざるを得ません。
 私は、NHK長野放送局の記者として、一九九八年の長野オリンピックを、まさに最前線で取材をしました。オリンピックのすばらしさは、私が一番わかっているつもりであります。しかし、同時に、オリンピックだからといってすべてがバラ色になるわけではないことも知っています。オリンピックは、都市が抱える問題を解決する魔法のつえでは決してありません。オリンピックの招致や開催を行った都市で、残された巨大な負の遺産に今なお苦しんでいるところもあるのです。
 都議会民主党は、無条件賛成でも無条件反対でもなく、未来に向けた責任ある議論を十分に行った上で、最終的な判断を下したいと考えております。質問に先立ち、そのことをあえて申し上げておきます。
 さて、今月十七日、オリンピック基本構想懇談会から報告書「東京オリンピックの実現に向けて」が公表されました。しかし、報告書を見る限り、東京で再びオリンピックをと国内外に訴えかける理念は、いまだ不十分であるという印象を持ちます。
 前回、一九六四年の東京オリンピックは、世界じゅうを巻き込んだ戦争の後、一度は中止となったオリンピックを再び東京に誘致し、敗戦後の荒廃から力強く復興した日本の姿を国際社会に見せようという理念がありました。
 それに対して、今回の報告書では、日本全体を覆っている閉塞感を打開するためにオリンピックを開催したいということが書かれています。しかし、これだけでは、国際社会に向けたオリンピックの理念としては不十分なのではないでしょうか。内向きの、ドメスチックなメッセージという印象がぬぐえません。
 世界の平和や民族間の相互理解に、オリンピックを通じて日本がどのような貢献をしていくのか。今後、招致活動がIOCの場に移り、世界の支持を獲得していくには、国際社会に通じるもう一段のメッセージが求められるのではないでしょうか。
 いずれにしても、今回の報告書は、あくまでも有識者懇談会の報告書であって、都としての基本理念がこれによって打ち出されたわけではありません。
 そこで、なぜ再び東京にオリンピックを招致するのか、都としての基本理念を明らかにすべきと考えますが、石原知事の所見を伺います。
 夏のオリンピックは、一八九六年のアテネ大会以来、過去二十八回開催され、開催国は十七カ国を数えるまでになっています。わずか十四カ国三百人の参加で始まったオリンピックは、今や二百二の国と地域、そして一万人の選手が参加する大会へと肥大化しています。
 それに伴って、オリンピックを招致する都市も世界的な大都市に限られるようになっています。現に二〇一二年の夏のオリンピックの最終選考に残った都市は、ロンドン、パリ、ニューヨークなど、すべて先進国の首都クラスの大都市でした。世界じゅうでオリンピズムを推進するというオリンピック憲章の理念を考えたとき、開催経験のある先進国の大都市ばかりがたらい回しのようにオリンピックを開催することが果たしていいのか、むしろ開催したことのない国や都市にチャンスを与えるべきではないかという意見もあります。
 国内候補地についても同じことがいえます。二〇一六年オリンピックについて、JOCは、多くの国内候補地が手を挙げるよう、広く立候補を呼びかけました。それにこたえて昨年四月に福岡市が招致を表明しましたが、続いて九月、石原知事が招致を正式に発表し、東京以外にあり得ないと主張をされました。
 後追いの形で招致を宣言いたしましたけれども、東京は既に四十年前にオリンピックを開催しています。オリンピックによって日本の閉塞感が打開されると考えるのであれば、地方都市での開催であってもそれは同じなはずです。そうした状況の中、東京がなぜ招致に名乗りを上げたのか、伺います。
 石原知事は施政方針演説で、オリンピックで示す東京と日本の存在感を述べましたが、その内容は、待ったなしの都市基盤整備とか快適な環境、都市空間の創出など、都市機能の集中による弊害の克服が主で、オリンピックそのものについては余り言及をされていません。
 とりわけオリンピックの競技施設や選手村がどこに配置されるのかについては、昨年末からマスコミを通じて、整備原案だとか青写真、構想だとか、そういった報道が続いています。いずれにしても、六月にはJOCに対して開催概要計画書を出すことになるわけで、そのときには、主要施設が都内のどこに配置されるのか明らかにしなければなりません。
 そうした中で、先日のオリンピック招致議員連盟の設立総会では、主要関係施設検討候補地図が示されたと聞いています。この検討候補地図はどういう位置づけのものなのか、見解を伺います。
 さて、この検討候補地図では、都心部から十キロ圏内に、主要な施設の候補地として五十カ所に上る地点が示されています。懇談会の報告書では、世界一コンパクトな大会という考え方が打ち出されており、石原知事の施政方針演説でも、都心部を中心とする半径十キロ圏内に競技場や関連施設を集中的に配置するとしています。
 ロンドンが二〇一二年オリンピック招致に成功したのは、コンパクトオリンピックという考え方を前面に押し出したことが勝因になったといわれています。その意味で、東京が世界一コンパクトな大会というコンセプトを打ち出すことは、時宜にかなったことだといえると思います。
 しかし、そのコンパクトさとは何でしょうか。施設の八〇%以上が十キロ圏内に配置されていることをもってコンパクトオリンピックと呼ぶのでしょうか。それだけでなく、オリンピックを開催することで都市にかかる負荷が少ないことがコンパクトオリンピックの条件であると私たちは考えています。
 先日、国内候補地に名乗りを上げている福岡市に視察に行ってまいりましたが、オリンピックを名目とした鉄道や高速の建設は一切行わないと話していました。五年前の福岡世界水泳では、世界初となる屋内の仮設プールを設置し、数百億かかるといわれる施設整備費をわずか三億円にコストダウンし、世界から高く評価された実績もあります。これこそがコンパクトオリンピックの考え方にかなうものなのではないでしょうか。
 都は、コンパクトな大会の意味するものはどのようなものだと考えているのか、所見を伺います。
 東京がオリンピック招致に立候補すると聞いて、都民が最も気がかりに感じているのは、決して潤沢ではないはずの都財政は本当に大丈夫なのかという点です。財政的なサスティナビリティーについて十分な説明責任を果たさなければ、幾らたきつけても、招致に向けた都民の機運は盛り上がることはないと思います。
 前回の東京オリンピックの総経費は一兆八百億円に上りました。今の貨幣価値は当時の約十倍です。最近行われたオリンピックでは、二〇〇四年のアテネ大会が一兆二千百五十億円、九八年の長野大会が一兆五千億円でした。二〇一六年のオリンピック招致を検討した札幌市は、アテネオリンピックを参考に、概算経費を一兆八千三百二十八億円とはじき出しました。その結果、札幌市長はオリンピック招致の断念を表明しているのです。
 東京は、二〇一三年多摩国体に続く二〇一六年東京オリンピックに係る巨額の財政負担にどう対応していくのでしょうか。
 本定例会に都は基金条例を提案し、来年度、まず一千億円の基金を積み立てる予定と聞いておりますが、オリンピックの招致と開催に伴う財政的なサスティナビリティーについてどのように考えているのか、伺います。
 なお、本来であれば、招致に踏み出すに当たって、オリンピックの招致と開催にかかわる具体的な財政計画を明らかにすべきです。六月には開催概要計画書をJOCに提出し、そこでは財政計画が盛り込まれるわけですから、今定例会の段階で一定の見通しを明らかにすることは可能なはずであります。我々が態度を決める上でも、一定の財政計画を速やかに明らかにすることを求めておきます。
 さて、オリンピック招致の推進には、各関係団体からあらゆる支援を仰ぐ必要があります。先日の視察では大阪市にも行ってきましたが、オリンピック招致に関して大阪は、国や大阪府のバックアップを十分に受けることができなかったという印象でした。その結果、国際社会に大阪をアピールできず、最終選考においてわずか六票という大敗をしてしまったと考えています。
 一方、九八年の長野オリンピックでは、長野市と長野県が一体となって招致運動に取り組み、当時JOC名誉会長だった堤義明氏がIOC初め国内外との関係をバックアップし、招致に成功しました。
 オリンピックの招致と開催に当たって、石原知事は、国も相応の覚悟を持って取り組むべきと述べていますが、それだけいい放っていても始まりません。都は、国から全面的バックアップを得るためにどのような働きかけを行っていくのでしょうか、所見を伺います。
 東京オリンピック招致を石原知事がいっていますが、そこでいう東京とは、東京都のことなのでしょうか。本来ならば、オリンピックは都道府県でなく都市が開催するものであり、東京における基礎的自治体である特別区や市町村が招致に賛同することが、立候補の条件になってもいいはずです。
 都は既に特別区などに対して、オリンピック招致への賛同と議会での決議を内々求めているとも聞きますが、特別区や市町村の賛同、協力を得る必要をどう考えているか、そして、その見通しについて所見を伺います。
 招致活動についても、いたずらに華美で派手な招致活動を行うべきではありません。長野オリンピックの招致活動費は総額二十八億三千四百万円でしたが、その後、会計帳簿を焼却処分したと説明し、何に幾ら使われたかはずっとやみの中でした。この帳簿問題について調べてきた長野県の調査委員会は、過剰接待と九千万円の使途不明金を認定し、それを隠ぺいするために招致委員会の会計帳簿を廃棄したと結論づけています。
 ちなみに、過剰接待といわれる内訳は、一人当たり約五百四十万円の接待と約六十六万円のお土産です。後に外国メディアは、長野を、箱ごと資料を焼いた長野の面々は一国の恥であると書きました。オリンピックを成功させた長野市民が、オリンピック招致によって世界から非難されたのです。
 さらに、招致に失敗した大阪市は、長野を上回る約四十八億円の招致活動費を投じたにもかかわらず、最終選考で百二票中わずか六票しか獲得できず、莫大な招致費用は水の泡になってしまいました。
 そうした教訓を踏まえ、招致活動は簡素にすべきです。これから東京が招致活動に向かっていくとしたら、長野や大阪の招致活動の問題点を教訓化し、東京オリンピック招致活動に生かしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、今後の都政運営について伺います。
 ただいまオリンピックについてるる伺ってまいりました。私は、石原知事の強烈なアピールにもかかわらず、オリンピック招致の機運がいま一つ現段階で盛り上がらない原因の一つに、東京都の長期計画、東京の将来ビジョンの欠如があるのではないかと思います。昨年の第三回定例会でも触れましたが、二〇一二年オリンピック開催予定のロンドンにロンドンプランがあるように、東京にもまた、東京の将来ビジョンが必要なのではないでしょうか。
 財政再建に一つの区切りがついたと語っているように、これまでの緊縮財政一辺倒から、新しい都政の積極的な展開を考える時期が来ているように思います。
 今までの石原都政の施策は、緊縮財政の中、派手な打ち上げ花火を単発的に打ち上げる式のものだったように思います。閉塞状況を打破するための一点突破もあながち否定はしませんが、十年後、二十年後の東京の姿を明示し、それに至る具体的な道筋を示していくこともまた重要です。
 本格的な都政の長期計画は、東京構想二〇〇〇以来、策定されておりません。今こそ東京の将来ビジョン策定に取りかかるべきだと考えますが、所見を伺います。
 そうしたビジョンの中で、都と特別区との関係をどう位置づけていくのかも重要な課題です。
 都区財政調整にかかわる主要五課題については、都の最終回答が区長会から受け入れを拒否され、一時、決裂状態に陥っていましたが、今月十六日の都区協議会において、高橋区長会長が都の提案の受け入れを表明し、一応の決着を見ました。
 その中で、今後の都区の事務配分、再編を含めた区域のあり方、税財政制度などを根本的かつ発展的に都区共同で検討し、その結論に従い整理するという合意がなされ、この合意に沿って、今後、都区共同の協議機関が立ち上げられることになります。主要五課題の調整率での解決を求めてきた私たちには、多少の不満も残りますが、都区制度の抜本的な見直しに向けて議論のテーブルがつくられることになったのは、評価をしたいと思います。
 しかし、この間の都区協議における都の姿勢には、一言申さなければなりません。
 先月、横山副知事への申し入れの際にも述べましたが、都は、国に対しては、地方自治体がみずからの責任と権限により行財政運営が可能となる基盤を確立すべきであると、権限や財源の移譲を強く国に求めているにもかかわらず、都区協議においては、調整三税は都税であり、交付金は都が区に交付するものであるから都が算定するのだという立場に終始しています。国には分権を求めながら、区には権限や財源の移譲を拒むかのような姿勢を見せるのは、ダブルスタンダードであるといわざるを得ません。
 今後、都区のあり方を検討するに際しては、基礎的自治体としての特別区の自立、自治権拡充に十二分に配慮する立場で臨むべきだと考えますが、所見を伺います。
 さて、まさに本日、第二十八次地方制度調査会が道州制のあり方に関する答申を提出することになっています。この道州制に対してどのように取り組むのかも、東京の将来ビジョンにとって重要な課題であります。
 私たちは、これまでにも再三、道州制の導入に向けた取り組みを求めてきましたが、石原知事は、今月十七日の定例記者会見で、東京を核にした新しい一つの自治体をつくるべきだと述べるとともに、地方制度調査会の諸井会長に八都県市の取り組みを伝え、こういうものを参考にしてほしいと要請したことを明らかにしました。これは、道州制に移行する場合の東京の扱いについて、東京を周辺の県と統合させる案と、特例として東京だけ独立させる案の二つのパターンが併記されていることに対して述べられたものです。
 石原知事のこの発言については、首都圏や関東といった、より広域的な行政単位に再編することが望ましいとの考え方を示したものだと受けとめられていますが、石原知事の真意はどこにあるのでしようか、所見を伺います。
 次に、市場化テストについて伺います。
 市場化テストについては、一般的には官業の民間開放と受けとめられているようですが、市場化テストは必ずしも官から民へ、あるいは小さな政府、小さな自治体を目指すものではありません。むしろ市場化テストは、効率的な政府、そして強い自治体を目指すものであるはずです。
 官の事務事業を民間に開放するだけであれば、民民の競争入札で受注者、受託者を決めればよいのであって、これをあえて官民競争入札とするのは、その過程を通じて、官の側の意識改革を図り、効率的な政府、強い自治体の形成に役立てていくためであります。
 また、ある事業を市場化テストの対象とするならば、官と民との競争条件を同一とするため、官の情報を適宜適切に公開していかなければなりません。そのことは同時に、官の説明責任をよりよく果たすことにもつながります。
 そこで伺いますが、都は、この市場化テストの意義をどのようにお考えか、所見を伺います。
 この市場化テストの成功事例としてしばしば取り上げられる、人口約八十万人のアメリカ・インディアナポリス市では、一九九二年からの八年間で七十にも及ぶ公営事業で市場化テストによる改革がなされました。その結果、累計約五百億円の財政負担が軽減されるとともに、公営事業のサービス水準は大幅に改善をし、周辺自治体からも受注を獲得するセクションもあらわれたといわれています。
 例えば、下水道料金徴収システムの例を見ますと、市当局が、民間会社ではありますが独占的に水道事業を行っている水道会社に下水道料金の料金徴収業務の委託を打診したところ、当初、水道会社が要求した事務手数料は、当時の市の徴収コストに対しわずか五%低いだけのものでした。そこで、市の当局が複数の会社による競争入札の導入を検討したところ、水道会社は、従来に比べ三〇%のコスト引き下げを約束したということです。市場化テストの実施に当たっては、これらの事例も当然参考にされることと思います。
 また、さきの指針では、職業訓練分野を例示し、来年度中に東京版市場化テストのモデル事業を選定し、早期に実施するとしていますが、都で市場化テストを実施する場合に最も適した事業は、公営企業局の行っている事業なのではないでしょうか。
 こうした先行事例、モデル事業選定と市場化テストの実施についてはどのようにお考えか、所見を伺います。
 次に、木密・マンション耐震改修について伺います。
 都は、来年度から、地震災害時に木造住宅が多数倒壊し、道路閉塞により避難、救急活動等に支障を来すおそれがある地域については、避難の安全を確保するなど公共性が高いと判断し、耐震診断、耐震改修助成を行い、耐震化の促進を図ることとしました。
 都議会民主党が東京マニフェストで掲げた主張が実現した形で、一歩前進ではありますが、地域を限定し、さらには、道路閉塞を起こす可能性が高い木造住宅だけを対象としているため、対象地域の旧耐震基準の木造住宅約十一万戸のうち約二・二万戸しか対象になりません。旧耐震基準の木造住宅は都内全体で七十二万戸あり、そのわずか三%にしかならないわけです。
 私たちの試算では、これら七十二万戸すべてを無償で耐震診断を行って、さらに平均百六十二万円の耐震改修工事費に十五年間の無利子貸付を行っても、四千三百億円の公費負担が必要ということになります。四千三百億円の公費負担というと莫大に聞こえますけれども、都が現在行っている新築住宅への固定資産税、都市計画税の減免措置の影響は単年度で約二百二十億円であり、これを仮に十五年間続けていけば、影響額は三千三百億円になります。先ほどの四千三百億円と遜色ない数字になるわけであります。
 新築住宅に対するこのような減免制度との対比で見るならば、首都直下地震があすにも起きるかもしれない今、旧耐震基準の木造住宅の耐震診断、耐震改修について、対象の拡大など、もう一歩踏み込んだ対策が必要と考えますが、所見を伺います。
 倒壊した場合の道路閉塞等の危険性をいうなら、木造住宅以上に危険なのが、旧耐震基準のマンションではないでしょうか。
 都は、旧耐震基準で建てられた分譲マンションについて、十八年度から三年間で約五千五百棟、二十二万戸を対象として耐震診断補助の実施を決めました。都議会民主党が来年度予算要望の筆頭に挙げた項目であり、それが実現したことは評価をします。しかし、補助されるのが耐震診断だけで、耐震改修が対象となっていないのは残念です。マンションの耐震改修には、都独自の制度としては一%の利子補給しかありません。
 木造住宅の耐震性がとかく注目をされていますが、旧耐震基準で建てられた都内の鉄骨鉄筋コンクリートの住宅は九十二万戸に上り、都内の鉄骨鉄筋コンクリートの住宅全体の三六%を占めています。これらのうち、規模の大きいマンションが大地震で倒壊することは、木造密集地域と同じぐらい、いやそれ以上に大きな被害をもたらすことになるはずです。放置しておくわけにはいきません。
 旧耐震基準のマンションについても、耐震診断だけでなく、診断後の耐震改修等への支援が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、違法建築物問題についてです。
 姉歯建築士によるマンション、ホテルの構造計算書の偽造が発覚してから、早くも三カ月以上が経過しました。当面の対応策が一応は整えられつつある状況ですが、姉歯元建築士がかかわった物件や木村建設などの関係物件の調査はまだ終了しておらず、いわゆる姉歯物件以外でも偽装の疑いが出てきているなど、事件は今なお拡大しています。
 そうした中、被害者への対応、制度上の欠陥を放置してきた国への対応など、都が取り組むべき課題は山積をしています。現在、マンション建てかえに向けての協議が進められていますが、示されているプランでは部屋の面積が二割狭くなる、さらに二千万円の追加負担が必要など、建てかえの合意形成が可能であるとはとても考えられません。
 引き続き、都としても支援を継続する必要があると考えますが、マンション住民への支援に関する都のこれまでの対応と今後の方針について、知事の所見を伺います。
 国に対しては、建築基準法における制度上の欠陥があったことは明白であり、その責任を追及する必要があります。この件については、都議会も昨年の第四回定例会で全会一致で意見書を提出し、石原知事も記者会見で一貫して主張しています。
 現在、建築基準法の改正が検討されていますが、社会資本整備審議会の中間報告案について、都は関係自治体と共同で、特定行政庁と指定確認検査機関の役割と責任を明確にすべきという意見書を国に提出しています。
 今後、国に対してどのような対応あるいは働きかけを行っていくのか、所見を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 地球温暖化の影響はとどまることを知らず、巨大なハリケーンや熱波など異常気象が世界各地で猛威を振るっています。日本においても、集中的な豪雨や積雪などが各地を襲い、今や、観測史上初めてという言葉さえ聞きなれたものとなってしまいました。
 このような中、都が発表した持続可能な東京の実現をめざす新戦略プログラムでは、これまでの施策のさらなる強化とともに、環境配慮が内在化された社会システムの構築に向けて多くの提案をしています。
 私たち都議会民主党も、かねてから、都市づくりや産業、教育、税制など、あらゆる分野で環境配慮を内部化、内在化していくべきだと主張してきましたが、新戦略プログラムにおいても、例えば、都市づくりにおける環境ルールの配慮化について検討する環境都市づくり調査会の設置や、税財政手法の活用などを検討する環境経済施策調査会の設置などが示されています。
 私は、こうした調査会での検討を進め、東京の活力を維持していくためにも、環境への配慮を積極的に経済や都市づくりのシステムの中に取り入れていく必要があると考えますが、石原知事の見解を伺います。
 環境経済施策調査会では、緑関連税制の改正を検討するとしています。都はこれまでも国に対して、樹林地などにかかわる相続税の納税猶予制度の創設や屋上緑化など緑化施設に対する固定資産税の非課税化などを要望してきたところです。
 特に、樹林地については、保全地域内の土地売却のうち、相続を理由にしたものが、件数で六五・八%、面積にして七四・三%に上っており、相続税を納めるために都心の貴重な緑が失われていく現状が見てとれます。今日までに残された貴重な緑を将来に向けて残していくためには、少なくとも生産緑地並みの取り扱いが求められます。
 環境経済施策調査会においてどのような課題を検討し、どのように施策展開を行おうとしているのか、伺います。
 環境配慮が内在化された社会システムは、行政の取り組みだけでなく、企業やNPOなど民間団体による自主的な取り組みとの連携、協働なくしては実現することはできません。
 このような認識のもと、都は、昨年一月に連携プロジェクトとして、金融や物流、キッズISO、再生可能エネルギーの導入やコンビニ等の省エネなど、多様なプロジェクトを打ち上げました。私たち都議会民主党も、これらのプロジェクトに対してさまざまな提案を行ってきたところであり、今後、より一層の取り組みの充実を求めるものです。
 これまでのプロジェクトの主な成果及び今後の取り組みについて見解を伺います。
 企業やNPOなどの環境配慮行動を積極的に促していく上で、経済活動の血液ともいえる金融が果たすべき役割は重要です。地球温暖化などによる異常気象の発生は、金融機関においても投資に伴う重大なリスクとして認識されつつあり、このため金融機関には、環境配慮という視点が大きく浸透しつつあります。
 このような中、都は環境金融プロジェクトを新たに開始し、金融機関に対して環境に配慮した企業の取り組みを支援する金融商品の開発を求めるなどしています。既に一定の成果を上げつつあるようですが、経済全体における金融が果たす役割からすれば、これを大きく育てていくことが必要です。
 私は、他の自治体との連携を図ることや、金融機関の環境配慮行動をさらに促す仕組みづくりの検討などを通じて、環境金融プロジェクトの取り組みをさらに拡大すべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、廃棄物対策について伺います。
 今月九日、東京都廃棄物審議会は、廃棄物処理計画の改定について中間のまとめを発表しました。中間のまとめでは、来年度からスタートする新たな東京都廃棄物処理計画でも、循環型社会への変革という基本理念を引き続き掲げ、リデュース――発生抑制、リユース――再使用、そしてリサイクルという、いわゆる三つのRを推進していくべきであるとしています。
 また、計画の目標値として、ごみの最終処分量を平成二十二年度には平成十二年度の半分とするとしていますが、私は、単に最終処分量を減らせばよしとするのではなく、循環型社会の基本原則を踏まえながら、先ほど申し上げた三つのRを推進していくことが重要ではないかと考えます。
 都は、循環型社会への変革に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 廃棄物の中でも、プラスチック廃棄物については、一般廃棄物も産業廃棄物もともに埋立処分される率が高くなっています。
 私たち都議会民主党が、平成十六年十二月の代表質問でも、一般廃棄物の廃プラについて焼却処分を進める、いわゆるサーマルリサイクルの導入を求め、今回の中間のまとめでも、サーマルリサイクルを進めていくべきだとしています。
 多摩地域では、既に廃プラのサーマルリサイクルを行っている自治体があります。また二十三区においても、昨年十月の特別区長会の決定を受け、平成二十年度には廃プラのサーマルリサイクルを本格実施する計画を発表しております。
 プラスチックは化石燃料の塊です。それをそのまま埋立処分することは、環境面から見ても、資源の有効利用の観点からも望ましくありません。サーマルリサイクルに関しては不安を感じる都民がいるものと思われますが、私は、都として正しい情報を提供し、都民の不安の解消に取り組むなど、サーマルリサイクルの積極的推進をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 中小企業への貸し渋りが横行する中、石原知事の肝いりによってスタートした新銀行東京は、既に開業から十一カ月、本格開業から半年が経過をしました。
 石原知事も、年末十二月二十二日の定例会見において、思ったようにうまくはいっていないとして、決して今の段階で満足はしていないと述べられました。その後、一月三十一日に発表された平成十七年十二月末の実績でも、融資保証残高は八百八十九億円と、今年度の計画二千五百八十億円の三四%にとどまっています。しかも、二千五百八十億円という計画の数字は、昨年八月に大手銀行が中小企業向けの融資を拡大し始めたなどとして下方修正した目標なのです。その三四%しか達成できていないという実情があるわけです。
 金融検査マニュアルの改訂に伴う大手銀行の中小向けの融資の拡大は、議会でもさんざん議論をされましたし、都としてもこうした事態は想定外ではなかったはずです。一方で、都は、ポートフォリオは順調で、資金繰りに苦しむ多くの中小企業への資金供給が着実になされるなど前向きな評価をしていますが、現状を冷静に見詰める必要があるのではないでしょうか。
 新銀行東京は開業してまだ間もないところではありますが、現時点における石原知事の評価について伺います。
 新銀行東京は、一千億円もの都民の税金を投入して設立されました。このことを踏まえるならば、技術力や将来性にすぐれた中小企業を総合的に支援するという本来の目的を追求し、出資に見合うだけの成果が得られなければなりません。新銀行東京の資本調達については、都の一千億円に加えて、企業などから当初五百億円、将来は一千億円を集めるとしていましたが、企業の反応は決して芳しくはないようです。
 新銀行東京の資本調達について、現在まで何社、何億円の参加があるのか、また、今後の見通しについて見解を伺います。
 新銀行東京は、低コスト体質を追求するために、ATMやコールセンター、インターネットなどを最大限活用していくとしていました。中でもATMは重要なキャッシュポイントと位置づけられ、自行ATM二百台が、一日の利用が百二十件以上見込まれる都営交通の駅などを中心に設置される予定です。
 しかし、ATMの利用は極めて少ないのが実情のようです。私も大江戸線で都議会まで通っていますが、ATMが使われているのを見たことがないと思ったので、ちょっと調べてみました。新宿三丁目駅において、お昼と夕方に二時間ずつ、計四時間調査をしてみましたが、新銀行のATMを利用したのは、お昼に一人、夕方に八人の計九人でした。同じ駅にある新生銀行のATMは六十四人の利用がありましたから、新銀行のATMがいかに利用されていないかがわかる数字だと思います。
 さらに、新銀行のATMを利用した九人にインタビューをしてみたところ、都市銀行のカードを使いたかったのだが使えなかったという人が六人、残り三人は郵貯のカードを使ったということで、新銀行のATMとしては全く意味をなしていないように思われます。
 新銀行のATMは、都営地下鉄のほとんどの駅で見ることができます。その設置やシステム構築には多大なコストがかかっていると思いますが、どれだけの投資をし、どれだけの利用があるのか、現状を伺います。
 新銀行のATMがこれだけ利用されていないのは、そもそも新銀行東京が全銀協、全国銀行協会への入会を認められておらず、そのために、全国の金融機関の大部分のATMを利用して現金の引き出し、残高照会などができるBANCSネットワークに接続できていないことが挙げられます。この問題も、既に新銀行設立前から都議会でさんざん指摘をされており、会社に申し伝えるというだけでは解決できません。
 新銀行東京が、都市銀行などとのネットワークに参加していくために、都としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 石原知事は、一月十八日の定例会見の中で、ニートについて、親が甘やかしてサボっているのがほとんどだ、そんな者はけ飛ばして家から出して働かせたらいい、ニートなんてふざけたやつがほとんどだと放言をしています。
 そういう人も中にはいるかもしれません。しかし、ニートには、意欲がないわけではなく、漠然とした意欲を持ちつつも一歩踏み出せない人たちも多いのです。バブル崩壊後の不況の中で、就職の面接で何回も落ちたり、希望した職業につけないことによってうまくいかない自分を過度に責め、その結果、ニートになってしまう人もいます。そして、その後も、働かなくてはならないと考えながらも、それができない自分を責め続けているのです。
 小中学生の職業観を育成することはもちろんのこと、既にニートになってしまった人たちに対しても、身近にいる親や地域の人たちと連携しながら、彼らが社会とつながりを持ち、また自信を深め、そして社会に貢献できる一員となるよう社会全体で解決していくことが求められていると考えますが、ニートに対する認識とその対策の基本的方向性について、石原知事の見解を伺います。
 また、こうした若者は、求職活動に希望を持てず、働くきっかけを失っており、一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援が必要です。都は、しごとセンターヤングコーナーにおいて若年者に対する就業支援を行っていますが、地域では、NPOなどの民間団体が、若者と同じ目線に立って、時間をかけてじっくりと若年者の就労に取り組んでいます。
 例えば立川市では、ニートを支援しているNPO「育て上げ」ネットと立川市高松町商店街が協力して、ニートの自信を取り戻すために、ボランティア活動を通じて、商店街から頻繁に感謝の言葉を受けることで、落ち込んでいるニートが社会とのきずなを実感し、自信を深め、やがては職場への復帰を果たしていくという活動を行っております。
 都は、このような活動を行うNPO等の民間団体の活動を支援し、また連携をし、官民の力を合わせて若者を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 若年者の就業を促進するためには、職業能力の向上も効果的です。昨年十二月の雇用・就業対策審議会の答申で示された施策として、今定例会には、都立技術専門校の授業料の一部有料化が提案されていますが、それよりも、同じ答申で打ち出された、子育て後の再就職支援や団塊の世代の人材活用制度の構築などについて、より積極的な事業展開が求められていると思います。
 特に、公共職業訓練は、雇用対策におけるセーフティーネットとしての機能が重要であるとの認識のもと、若年者にかかわる具体的な施策を提案しており、私も、フリーターなどの若年者を支援するための職業訓練の役割は重要であると考えます。セーフティーネットとしての若年者向け訓練の充実について見解を伺います。
 次に、いわゆる非正規労働者の問題について伺います。
 現在、パート、アルバイト、派遣労働、業務請負といったいわゆる非正規労働者、非典型労働者ともいいますが、これは全雇用者の約三分の一を占めるまでになっています。しかし、こうした非正規労働者の多くが、雇用が不安定、長期的な生活設計ができないなど、雇用環境面での不安を抱えています。
 労働相談情報センターには、パート、派遣、契約社員などからの相談も多いと聞いていますが、その中には、正社員と同じ仕事をしているのに待遇に大きな開きがあるとか、また、要件を満たしていても社会保険や雇用保険の適用がなされないなど、法令遵守がなされていない企業も見られるようです。
 いうまでもないことですが、正社員であろうが非正規労働者であろうが、同一労働同一賃金同一待遇が本来の原則であるはずです。今後、労働力不足が進む中で、非正規労働者にとっても働きやすい環境を整備し、労働力人口全体として就業率を高めることが必要であり、まずもって、雇用者である企業に法令を遵守させるとともに、各企業において非正規労働者の処遇改善を図ることが重要であると考えますが、雇用環境の整備に向けた都の取り組みについて見解を伺います。
 また、企業における取り組みを促進させるためには、企業に対するインセンティブの付与が不可欠であると考えますが、見解を伺います。
 次に、臨海地域のまちづくりについて伺います。
 都は、平成十三年二月に、臨海地域のまちづくりに関して、東京ベイエリア21を策定しています。しかし、その後、臨海地域を取り巻く状況は大きく変わり、平成十四年三月の都市再生特別措置法の制定を初め、最近では、二〇一六年の東京オリンピック招致と相まって、築地市場跡地や晴海ふ頭、あるいは有明地域での土地活用がマスコミをにぎわしています。また、総合物流ビジョンに基づく基盤整備や水辺空間を活用した観光まちづくり、あるいは都市開発での環境配慮への要請は当時よりさらに高まっています。
 現在進められている臨海地域での開発は、どこを見ても同じような姿をしており、地域の個性や機能に応じた特色のあるものになってはおりません。そもそも五年前に策定されたベイエリア21が総花的ともいわれ、三会計統合の方便であったともいわれています。
 私は、物流や環境など今日的な課題を踏まえて、改めて臨海地域の戦略的なビジョンを示すべきと考えますが、見解を伺います。
 臨海地域、とりわけ臨海副都心開発は、都が主体的に取り組んできたことでもあり、私たち議会としても、引き続きそのあり方をチェックする必要があります。
 臨海副都心開発は、四つの段階的な開発を行うことになっており、平成十八年度から二十七年度は第三期と位置づけられております。石原知事も、施政方針で、平成二十七年のまちづくりの完成を目指していくと述べられましたが、私は、このような開発の節目において、改めて財政見通しを明らかにすべきと考えます。
 平成九年三月に策定された臨海副都心まちづくり推進計画でも、おおむね五年ごとに開発の内容を見直すとともに財政見通しを作成するとしており、これらについては、当然、新たなものが策定されると思います。臨海副都心開発の今後の財政見通しについては、さきの包括外部監査報告でも決算書の内容がわかりにくいと指摘されており、私は、臨海副都心開発の新たな節目を迎えるに当たり、都民にもわかりやすい形で新たな財政見通しを早急に明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、東京テレポートセンターを初めとする臨海三セクについては、都議会民主党は、昨年の第三回定例会においても主張しましたが、法的整理、民間事業者への売却を含めた抜本的見直しをこの場で改めて求めておきます。
 次に、新木場地域のまちづくりについて伺います。
 新木場は臨海副都心の東に位置し、貯木場など二つの大きな内水面を囲んでいることから、水辺に親しめるまちづくりを進める上で格好のロケーションとなっています。また、JR京葉線や有楽町線、臨海高速鉄道など交通の利便性もよく、開発のポテンシャルが高い地域です。さらに、二〇一〇年度に完成が見込まれる東京港臨海道路によって交通量の増大が見込まれ、同時に、国道三五七号線との交差部分の立体化など、道路交通を初めとするまちの姿が大きく変容しようとしています。
 都はこれまでも、有明北地区や豊洲一―三丁目地区など、大規模な土地利用転換が見込まれる地域においてまちづくり方針を策定してきたところですが、私は、このような土地利用の転換が見込まれる新木場地域においても、良好なまちづくりを誘導する観点から、都として積極的にまちづくり方針を策定すべきと考えます。新木場のまちづくり方針の策定について、都の見解を伺います。
 次に、築地市場の移転について伺います。
 二月十七日、築地市場移転に断固反対する会の総会が開かれ、会の名称を新しい築地をつくる会に変更するとともに、今後は、市場跡地の利用などについて都と協議していくことを決めました。今後、跡地利用の計画で中央区と都の協議が進んでいくことと思われますが、既に一昨年十二月には、中央区から鮮魚マーケットの設置などを記載した築地市場地区の活気とにぎわいビジョンが公表されています。二〇一二年の豊洲新市場への移転に伴い、仮に鮮魚マーケットなどが整備されることになっても、二〇一六年の東京オリンピックにかかわる石原知事の発言などもあり、跡地利用がいつになるのか、関係者の不安はぬぐえません。
 今後は、築地地域のまちづくりは、都がイニシアチブを持って進めることになると思われますが、地元区の意見なども十分考慮していく必要があると思います。特に中央区が計画している鮮魚マーケットについては、市場のこれまでの鮮魚の取り扱いのノウハウを生かした支援が可能なのではないでしょうか。見解を伺います。
 また、二〇一二年の豊洲新市場の移転が一層現実的なものとなる中、長年築地市場で営業してきた市場業者にとって、ただでさえ厳しい経営状況のもとで、移転に伴う経済的、また精神的な負担ははかり知れないものがあります。卸や仲卸などの業界団体は、みんなで一緒に豊洲に行けるかどうかを非常に心配しています。豊洲新市場への移転が零細市場業者の大量廃業の引き金を引くようでは、移転計画への理解も得られません。豊洲新市場への移転に伴う市場業者へのさまざまな負担に対して、都としても積極的な支援を講じていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、福祉・健康都市東京ビジョンについて伺います。
 今月六日、都は、今後の福祉施策及び保健医療施策を展開する上での基本指針として、福祉・健康都市東京ビジョンを発表しました。ビジョンにおいては、都はみずからの役割をニーズとサービスの調和を図っていくシステム全体の調整者とし、区市町村の主体的な施策展開を支援していくこととしています。このことは、分権の観点からも評価できます。
 高齢化・人口減少社会の時代に入り、行政がすべてをする建前は成り立たない、この厳しい現実を直視した的確な施策を構築していかなければなりません。そのためには、真に必要なサービスは何か、どのように提供するかを地域主体でつくり上げていかなければなりません。そこで、地域を主体とした施策展開という観点から、分野ごとの取り組みについて伺います。
 人口減少社会に入ったと報じられ、次世代育成支援の重要性が一層注目をされています。中でも待機児童は大きな問題です。東京の待機児童数は、十七年十月現在で約一万人ですが、役所が決めた基準に当てはまらない潜在的な待機児童数ははかり知れません。また、保育所ニーズを持つ人たち以外にも、子育ての悩みを抱えている若い母親がたくさんいるなど、ほとんどの子育て家庭が何らかのニーズを抱えているといっていいでしょう。同じ都民でありながら、何のサービスも受けられず孤軍奮闘中の親が圧倒的に多いのに、そこには手を差し伸べていない、これが現実です。この現状こそ変えていかなければなりません。
 家族形態や就業形態により必要なサービスはさまざまであり、また、区市町村によっても特徴があって、必要な施策は必ずしも同じではありません。ですから、都が一律に事業を決めて行うよりも、住民に近い区市町村が施策を構築することが必要なのです。現にサービスを利用している人だけでなく、いまだ顕在化していないニーズを持つ人々も含めて、さまざまな声を聞きながら合理的な施策のあり方を検討し、つくり上げていかなければなりません。
 私たちは、今回の子育て関係の交付金制度、包括補助制度は、こうした地域主体の流れをつくるものと考えます。この新たな制度により、今後、区市町村がどのような施策展開を行っていくことを期待しているのか、伺います。
 次に、高齢者施策にかかわる地域密着型サービスについて伺います。
 昨年六月に介護保険法が改正され、四月から本格的に施行されます。改正では、地域サービス基盤の充実を図るため、新たに地域密着型サービスが創設をされました。要介護高齢者の地域の生活を二十四時間体制で支えるという観点から、小規模多機能型居宅介護や地域夜間訪問介護などのサービスが介護保険の対象となりました。こうした地域密着型サービスでは、事業者指定などの権限が都道府県から区市町村に移譲されるなど、区市町村の役割が強化されたことから、地域における利用者の状況を踏まえたサービスの実現が期待をされています。
 今後一層の高齢化の進展が見込まれる中、区市町村は地域特性を踏まえてサービス基盤の整備を進めることが必要になってきます。しかし、地価が高い東京では、全国一律の介護保険制度の枠組みでは、新たなサービス基盤の整備は困難です。高齢者の地域生活を支える地域密着型サービスを軌道に乗せるには、都の支援も必要だと思います。都としても、区市町村を積極的に支援をし、地域で必要なサービスを利用できるよう基盤の整備を促進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者施策に係る地域生活の推進について伺います。
 昨年十月、障害者自立支援法が成立し、ことし四月から一部施行されますが、地域生活基盤の整備はまだ途についたばかりですし、特に、一・四〇%と東京が全国四十五位である障害者の実雇用率は放置できない問題です。
 都は、一月に障害者地域生活支援・就労促進三カ年プランを発表し、障害者の地域での自立生活を支援する姿勢を示しました。これに基づき、今後、グループホームなど地域居住の場の整備に取り組んでいくとしていますが、障害者が住まいから出かけて、さまざまな活動をするための場を整備することも重要です。
 そうした場の整備には、親の会など、何の制度もなかった時代から、地域の人々がみずから運営してきた作業所を初めとした地域の力を活用しながら促進していくことが重要です。身体、知的、精神の種別にかかわらず、障害を持つ方々が地域の一員として暮らし、活動することができるよう、新たな三カ年プランにおいて、今後都がどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、ビジョンでは、各分野の施策展開とあわせて、民間にできることは民間にゆだねるとの基本的考え方のもと、都立施設改革をさらに加速していく方針を盛り込んでいます。限られた資源を有効活用し、福祉・保健サービスをより効率的、効果的に提供していくためには、これまでの行政中心のサービス提供の手法を改め、民間の力を活用するとの方針は利にかなっています。しかしながら、無条件に民間にゆだねることになれば、行き過ぎた競争によるサービスの悪化や、あってはならないことですが、不正行為の危険性も出てくるわけです。
 今後、都は、レフェリー役として事業者に対する指導監視体制の強化を進めるとうたっておりますが、この部分をおろそかにしては、真の意味での都民の安心は築けません。福祉、保健、医療の分野において民間の力を今以上に活用するためには、指導監督などのサービスの適正化や不正防止に強力に取り組むことが不可欠と考えますが、所見を伺います。
 次に、文化施策について伺います。
 都は、今月十六日に東京都文化振興指針の素案を発表しました。素案では、世界が文化的魅力を感じる都市、都民が文化的豊かさを誇れる都市、文化創造の基盤が充実する都市の三つの基本目標を掲げています。
 ところで、石原知事は、行政が感覚をいじくることはできっこない、行政の責任は、芸術家の創造の場や発信のチャンスを広げていくことであるとたびたび述べています。これは一つの明確なコンセプトであり、既にワンダーウォールなどで実現をされています。都は、さらに各国の若手芸術家に交流の場を提供する、仮称アートヴィレッジIN東京の整備を明らかにしているところであります。しかし、都は、都立の美術館、博物館六館を擁し、年間五百万人がそれを利用しています。その役割には、若手の活躍の場というだけでは語り切れない部分も相当あると思います。文化振興指針の策定に先立ち、東京の芸術文化振興における都の役割について、改めて石原知事の基本的考え方を伺います。
 二十一世紀はアジアの時代といわれますが、アートの世界でもアジアの台頭が著しくなっています。特に東アジアの各国では、上海、韓国・光州のビエンナーレ、釜山の映画祭などを行っており、経済だけでなく、文化でも世界の注目を集めております。私がかかわってきたショートショート・フィルムフェスティバル・アジアも、アジアに焦点を絞った短編映画祭として、都の支援もいただき、四百作品以上の応募があるなど、ショートフィルムの世界的な見本市に成長しつつあります。さらに、日本の若手監督の作品を紹介するジャパンショートショート部門を設け、次世代のクリエーターを紹介をしています。
 アートヴィレッジ事業も、アジアから世界への文化発信の場として位置づけ、アジアのアーチストを積極的に受け入れるべきだと考えますが、見解を伺います。
 私は、東京が、まずはアジアアートシーンのハブとしての地位を確立していけるよう、今後の施策展開に期待をしています。ところが、都の文化振興予算は総額でも八十二億円余りと、余り多くはないのが実情です。アジアはもとより世界を引きつける文化都市を標榜するには、余りに寂しいのではないかと思います。
 また、青山に整備する新たな拠点は滞在・交流施設ということですが、既存の宿泊施設の改修ですからスペースにも限りがあり、大きな作品の制作などは難しいのではないでしょうか。また、パフォーマンスや音楽などジャンルを融合した活動がふえており、こうした活動が可能な場も必要です。限られた文化振興の予算の中では、なかなか難しい面もあるかもしれませんが、青山以外の場所でも多様な分野の制作、交流の場を整備すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都内の盛り場対策についてお伺いします。
 本定例会開会日に、警視総監から都内の治安状況報告がありました。それによりますと、警視庁が総力を挙げて取り組んだ犯罪抑止総合対策では、強盗、侵入窃盗、ひったくり、性犯罪の四つの重点犯罪で、その発生件数を平成四年の水準に戻すという目標が達成されています。しかしながら、最近では、他県において子どもが犯罪に巻き込まれ、痛ましい被害を受けるというような事件も起きています。
 都内でも、一歩間違えれば誘拐に発展するような子どもに対する声かけ事案が発生しているほか、振り込め詐欺や貸します詐欺など新手の犯罪が発生するなど、まだまだ都民の体感治安がよくなったと実感するには至っていないのではないかと思います。また、一部の盛り場では悪質な客引きは減少したものの、はでな看板を掲げた風俗案内所なるものが目立っており、これも今回条例で規制対象となるようですけれども、安心して夜の東京を楽しめるとはいいがたいのが実情です。
 そうした中、警視庁では、日本を代表する盛り場である新宿歌舞伎町、池袋、六本木の三地区に新たに渋谷地区を加え、四地区特別対策として環境浄化を進めているということです。そうした対策について、新たに渋谷を対策地区に加えた経緯と四地区の環境浄化の基本的な取り組みについて、警視総監に伺います。
 また、これら四地区の繁華街に対して局所的に集中取り締まりを行った結果、例えば歌舞伎町はよくなったかもしれませんが、逆に御茶ノ水や立川などと思いがけないところに風俗営業店が進出し、悪質な客引きが見られるようになっています。四地区以外に風俗営業店などが拡散する、いわゆるドーナツ化現象が生じているのです。
 そこで警視総監に伺います。これからの繁華街対策に向けた決意と、このようなドーナツ化現象、つまり四地区以外への犯罪の拡散に対して、今後どのように取り締まり、あるいは対策を講じていくのか伺います。
 以上で、都議会民主党の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)柿沢未途議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、なぜ再び東京にオリンピックを招致するかについてでありますが、繰り返して申しますけれども、今日の日本人は、みずからのポテンシャルを過小評価といいましょうか、正式に把握せずに、殊さらに萎縮してしまっていると思います。今なすべきことは、国家、民族としての向かうべき方向を定めて、みずから立つ国としての自己を取り戻すことだと思います。オリンピックを契機とする東京の積極的な取り組みが二十一世紀の新しい都市モデルを提示し、世界の大都市問題の解決に大いに貢献するものと確信しております。この国において、国家を牽引し日本の存在を象徴する都市は、東京が第一だと私は信じております。
 ゆえにも、この東京にオリンピックを招致したいわけでありますけれども、今日の日本の閉塞感というものに対する認識は、私は、党派を超えて、ほとんどの日本人に共通してあるんじゃないかと思います。そういったものを突破する一つのよすがとして、地域に限られていても、やはり大きなナショナルイベントが必要だと思いますし、そのナショナルイベントとしての効力が最大のものは、私はオリンピックではないかと思います。
 これから関係の職員が、局長を含めて、東京オリンピックの、まだ決して一〇〇%できているものじゃございませんけれども、かなりの具体的な案件について説明に上がりますが、その結果、民主党、東京都における民主党が賛否どうされるかわかりませんし、また、東京における民主党と、これはやはりナショナルイベントでありますから、国もまたこれ協力せざるを得ないし、またそれで初めて完成できるものでありますが、その段階で、国政において、国政の民主党がこれをどうとらえるか、これも私たち刮目して見守るところであります。
 東京オリンピックのコンパクト性について先ほど尋ねられましたけれども、これは、詳細な報告が後であると思いますが、第一に、既存の施設というものをほとんど多く使える。例えば東京ドームでありますとか、武道館でありますとか、あるいは国際フォーラムでありますとか、あるいは駒沢の諸施設でありますが、ただ、あの神宮のメーンスタジアムは、IOCの規格にもはや合いませんから、どこかに新規に構築する必要があります。
 それから、加えて、ちょうど十年先の我々が目指しているころ、東京にはかなりたくさんの空き地ができる。築地は、市場は豊洲に移転しまして、その跡があきます。それから、臨海副都心の幾つかの埋め立てが完成します。例えば有明の北側であるとか、中央防波堤の内側とか、そういうものを活用しまして、ありがたいことに、東京オリンピックの開催に際して新規に土地を購入する必要は全くありません。これは後で係が図面を持って説明に上がりますけれども、半径十キロ以内という非常に限られた地域に、実に見事に行事の開催場所がおさまるということになります。
 加えて、この二十三区をとりましても、これだけの限られた地域の中に、これほど便利な、地下鉄を含めて列車、電車が縦横無尽に、左右、とにかく縦横に走っている。その駅の数がこれほど稠密にある首都というものは世界に例を見ません。
 それから、有識者の懇談会の報告について言及されましたが、これはあの限りのことでございまして、決してあれをもって私は十全としておりませんし、またそこから啓発されまして、日本の独特の最も進んだ技術の一つでありますIT関係のベンチャーテクノロジーを、これからさらにどう開発し、どう利用するかということの、オリンピック開催にかかわるITの専門家のコミッティーもつくりまして、いろいろ近未来的なサジェスチョンをいただくつもりでおります。
 そういうことでひとつ十分ご理解いただきまして、可能性を信じて、東京都においても民主党がオリンピック反対の政党であるというようなイメージをお持ちにならないように、ひとつご配慮願いたいと思います。
 次いで、道州制についてでありますが、現行の都道府県の制度は、直面する行政課題に十分対応できない状況にあります。都は、これまで首都圏における広域的課題を解決するため、八都県市の連携を通じて着実に実績を積み重ねてまいりました。道州制の検討に当たっては、こうした現実の課題と現場の実態を踏まえた検討が必要だと思います。
 諸井会長にも申しましたが、我々が現在行って非常に効果を上げている、八都県市によるこの首都圏の広域行政というものを大いに参考にしていただきたい。あくまでも都市や県の機能論というものを踏まえて道州制を考えていただきたいということを申しました。その小さな一つの証左としても、あの県境を挟んで密接しております東京の町田市という大きな町、それから相模原市という発展中の町、この町が実は合併したいという機運もあるようでありますけれども、これは県境が挟んであるので非常に困難なことでありますが、こういう要望が限られた地域でも非常に強くあるということも、一つの大きなサジェスチョンになるんじゃないかと思います。
 しかし、地方制度調査会では、道州間の規模の均衡をもとにして区割りを示すなど、表層的な議論に終始しているといわざるを得ません。道州制の意義は、真の分権改革に向けて国の形を抜本的に変えることでありまして、そのためには、まず国と地方の役割分担を徹底して議論すべきであると思っております。都としても、今後とも広域行政のあり方について議論を進め、東京発の自治論を国などに対して強く発信していく考えであります。
 次いで、居住者支援に関するこれまでの対応と今後の方針についてでありますが、今回の事件は、国の建築確認の制度や仕組みそのものに起因して発生したもので、国の責任は重大だと思います。しかし、こういう地震国でありまして、世界最大のファイアリングの上にある地勢的な条件からいっても、いつ地震が来てもおかしくない。そういう中で、人の命がてんびんにかかっているわけでありますから、都民住宅のあっせんを緊急に行うとともに、昨年十二月には移転費や家賃の補助などの支援策を発表し、現在では居住者の移転も進んでおります。
 そもそも今回の事件については、本来特別法を制定して対応すべきという考えには変わりありませんが、国において省令改正などがなされたことから、都としては建物の解体と建てかえの実施に向け、速やかに居住者の支援を進めてまいります。
 しかし、これは何も建築業務に限っても、マンション、アパートだけではなしに、調べましたが、幾つか自治事務に要するに突然転嫁されて、しかもその責任の所在が非常にわからない。同時に、自治事務としてそれを背負わされた自治体に決して専門性の高い有識者がいるわけでもないというような事態があちこちにございまして、私は、やはり今度のケースなども、国が資格づけした専門家の人間としての性善説というものを過剰に信じたためにこういう事件が起こったと思いますが、それが崩壊した現在、やはりそういう本質的な現況に応じて特別措置法というものが早急につくられることが必要だと思っております。
 次いで、経済活動や都市づくりに当たっての環境への配慮についてでありますが、効率性優先の経済成長と資源の多量消費社会システムを続けてきたことによりまして、人類は地球規模での環境の危機に直面していると思います。文明の便益を享受してきた東京においても、温暖化や緑の減少など、環境の危機によって都市としての存立の基盤が脅かされかねない事態を招いております。従来の価値観を転換し、環境への配慮の視点に立った経済政策や都市づくりを進めていくことによりまして、都民が人間として心地よく住み続けることのできる東京を実現していきたいものだと思っております。
 次いで、新銀行東京の評価についてでありますが、決して逃げ口上で申すわけではありませんけれども、とにかくこの七月につまり本格開業したわけでありまして、最初この設立を思い立ったころと違って、金融の市場の状況もかなり変わってまいりました。そういうことで、思惑どおりの実績を上げるに至っておりませんけれども、しかし私はやはり、今後どういう形で金融事情がまた変転するかもわかりませんが、これはやはり東京においてたくさんありながら、しかも有能な技術を有しながら優遇されなかった中小企業が、また再び冷遇される時期が来ないとも限らない。そういうことのためにも、非常に限られた目的というものをまず第一義にかざして発足した銀行の存在は、将来も必ず必要だと思いますし、そういう点で知恵を出し合って、この銀行を盛り立てていきたいと思っております。
 既存金融機関が不良債権の処理に追われて、貸し渋り、貸しはがしが横行する中で、苦境に立たされている中小企業の資金需要にこたえるため新銀行東京を設立したわけでありますが、ポートフォリオ型融資を定着させるなど、中小企業の融資のあり方を少しは変えてきたと思います。
 一方で、その後、メガバンクなどの既存の金融機関が、これはあくまで国民の税金の真水を投入されることで財務内容を改善したことになって、今度は手のひらを返すように中小企業融資に積極的に取り組み始めたことになったわけです。これは歓迎すべきことでありますけれども、さらに金融機関相互の競争が激化したわけであります。
 新銀行東京は、開業当初からこうした厳しい環境にさらされたわけでありますが、今後とも中小企業のニーズにかなった新商品の開発やサービスを積極的に開発するなど、中小企業のために存在感のある銀行として発展していくことを期待しておりますし、また、その努力をいたします。
 次いで、ニートに対する認識とその対策の基本的方向についてでありますが、次代を担うべき若者が学校にも通わず働いてもいないということは、本人はもちろん、社会全体にとって大きな損失になっております。しかし、こんなことは発展途上国にあり得るんでしょうか。そういう点では、非常に豊穣な日本という国家社会の中での、私はやはり甘えの一つの露呈がこういう形で出ているんじゃないかと思うんです。落ち込んでいる、落ち込んでいるといわれますけれども、落ち込む暇もない、余裕もない人たちがたくさんほかの国にはいるわけでありまして、これはやはり落ち込む、落ち込むといったって、それは個人の精神状況の問題でしょう。それで周りに保護者もいて、それが学校にも通わず働きもせず、とにかくのうのうとして暮らして生きていけるということは、ありがたいといえばありがたいことですが、しかし、同時に、私はばかばかしいことだと思います。
 これは、このごろやはり求人倍率が好転してきまして、日本全体が手不足になっているんですよ。働こうと思ったら職場は縦横にありますよ。じゃ、何で働かないんですか。これは、周りからやはりその手だてを講じる必要があるかもしらぬけれども、やはりこれは当人の自覚、それから保護者の自覚だと思いますね。都としても、子どもたちの社会性や職業観の育成に取り組んでまいりますし、また、若者の就業や自立に関して、都としてもさまざまな支援を行っていきますが、これはやはり何といっても当人の自覚、それから、その保護者のやはり自覚の問題ではないかと私は思います。
 次いで、芸術文化振興における都の役割についてでありますけれども、都の役割は、新しい創造的な文化を生み出し、発信するための環境を整備し、都の魅力と都市のイメージを高めることであります。都民が東京の文化に触れ、誇りにできるよう、区市町村や民間とも連携し、江戸開府以来四百年の歴史と文化を次代に継承し、発展させていくことも重要であります。
 同時に、新しい芸術の可能性というものを、要するに大きく開花させる手だても必要だと思います。
 そういう点で、先ほど申しましたが、不思議なことに今までこの大東京に存在しなかったアートカウンシルを設置しまして、いわばアート行政の発信塔として動いてもらい、今後とも東京の豊富な文化資源や人材を生かし、東京ならではの先進的な文化政策を展開していきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君)私からは、盛り場対策についてお答えいたします。
 初めに、新たに渋谷を対策地区に加えた経緯についてでありますけれども、警視庁では、これまで新宿歌舞伎町、池袋及び六本木の三地区における盛り場環境の浄化を、三地区特別対策として推進してまいりました。渋谷地区については、これらに準ずる形で少年対策を中心とした諸対策を推進してきたところでありますが、先般、渋谷地区が政府において繁華街の再生に取り組むモデル地区に指定されたことや、性風俗関連特殊営業が増加傾向にあることなどから、対策地区に加えることとしたものであります。
 次に、この四地区の環境浄化の基本的な取り組みについてでありますけれども、一つが悪質な客引きや違法風俗店等の迷惑違法行為に対する防圧検挙、また一つが暴力団、国際犯罪組織の資金源の取り締まり、そして青少年の健全育成を阻害する有害環境の浄化を取り組みの重点といたしております。このため、本部捜査員を投入した一斉摘発や周辺警察署との共同捜査、あるいは入国管理局等との合同摘発などを集中的かつ波状的に推進することとしております。
 また、東京都を初め、関係機関、団体及び地元商店街等との連携を図りながら、町ぐるみの環境浄化活動や効果的な違法駐車対策の推進など、より安全で安心なまちづくりにも積極的に参画しているところであります。
 次に、繁華街対策へ向けた決意と、四地区以外における盛り場対策についてお答えします。
 四地区のみに取り締まりを集中させることにより、他の地域の盛り場環境が悪化するようなことがあってはならないことは、議員ご指摘のとおりであります。警視庁では、平成十四年に盛り場総合対策推進本部を設置しまして、四地区以外の盛り場についても環境を浄化するための諸対策を総合的に推進しております。
 具体的には、それぞれの盛り場の規模、犯罪発生実態などを勘案して集中取り締まりを行い、違法風俗店や客引きなどを鋭意検挙するとともに、地元商店街等との連携を図りながら、合同パトロールなどの浄化活動を推進しているところであります。
 また、本年四月一日から施行される改正ぼったくり防止条例では、四地区に限らず、違法性風俗店が多い区域を指定して、ビルオーナー等に対する規制を行うことといたしております。
 さらに、今回議案として提出されております風俗案内所を規制する条例案では、都内全域をその対象といたしております。
 警視庁といたしましては、引き続き、さまざまな施策や取り締まりを総合的に推進いたしまして、都内全域の盛り場環境の浄化に一層努めてまいる所存であります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)東京オリンピックなどの七点の質問でございますが、先ほどの知事答弁に重なる部分もありますけれども、ご質問に沿ってお答えさせていただきます。
 まず、オリンピック、東京がなぜ名乗りを上げたのかについてでございますが、オリンピックは、成熟した都市の姿を世界に示し、改めて日本の存在をアピールする絶好の機会であります。東京は、都市機能の高密度な集中集積、正確で安全な公共交通網、日本独自の技術や文化の力、オリンピック開催にたえる健全な財政力などを備えております。これら東京の底力を総合的に考えると、日本を牽引する都市はこの東京こそふさわしく、オリンピック開催に最もふさわしい都市であると考えております。
 次に、主要関係施設検討候補地図の位置づけについてでございますが、この図は、オリンピックの主要施設の配置を検討するに当たって、コンパクトな配置、既存の施設、都有地の有効活用などを念頭に置いて、その候補となる場所を図示したものでございます。今後さらに検討を重ね、競技会場、選手村、メディアオペレーションなどの主要施設の位置を確定してまいります。後ほど各会派にご説明します。
 次に、コンパクトな大会の意味についてでございますが、都は、競技場や選手村などの主要施設を集中的に配置し、環境への影響を極力抑え、選手や大会関係者、さらには観客の移動時間の軽減や安全面の強化を図るなど、コンパクトな大会を目指しております。東京は、こうした配置を可能にする既存施設などの集積や、都市の再生が生み出した用地があります。半径十キロメートルの円内に八割以上の施設を配置することが可能であります。このようなコンパクトな大会は、IOCによる開催都市の選考でも高い評価が得られるものと確信してございます。
 次に、国への働きかけについてでありますが、オリンピックは中長期にわたる国家的な一大プロジェクトでありまして、国の全面的なバックアップは必要不可欠でございます。今後、都議会における招致決議を契機に、国や関係団体との情報交換を活発に行うとともに、八月に東京が国内候補都市として決定した後には、都議会のご協力を得て、速やかにオリンピック招致の閣議了解を求めるなど、積極的に国に働きかけてまいります。
 オリンピック招致に当たっての区市町村の賛同、協力についてでございますが、多くの自治体から幅広いコンセンサスを得ることは、オリンピック招致機運を盛り上げるために重要であり、開催都市選考の大切な要素でございます。既に昨年十月には関東地方知事会議、十一月には八都県市首脳会議、多摩・島しょの市長会、町村会から、招致に賛同する旨の決議をいただきました。
 今後とも都議会とも連携を深めながら、さまざまな機会をとらえて、区市町村や多くの都民、国民にオリンピック招致の理解を求め、賛同の輪を広げてまいりたいと考えております。
 オリンピック招致の活動についてでございますが、国際的な都市間競争に打ちかつオリンピック招致を実現するためには、綿密な大会計画の策定、招致機運の盛り上げ、都市の魅力の向上、平和、人権、環境への取り組みなど、さまざまな活動が必要であります。これらの多岐にわたる招致活動を効果的に展開するため、長野オリンピック、大阪市、ロンドンなどの招致活動などさまざまな事例を十分に研究し、オリンピック憲章及び国際オリンピック委員会・IOCの倫理規程を遵守し、招致活動を行ってまいります。
 最後に、東京の将来ビジョンについてのお尋ねでございますが、少子高齢化の急速な進展、経済のグローバル化や産業技術の高度化、あるいは公共分野を担う多様な主体の成長など、都政を取り巻く社会経済環境は大きく変化しております。こうした社会経済の構造的変化の中にある現在、長期的な視点から時代の潮流をとらえ、将来展望を持って政策を展開することが重要であります。加えて、急速に変化する外部環境にも的確かつ柔軟に対応していかなければなりません。
 このため、東京の将来を見据え、政策課題を明確にした上で取り組みの方向を示し、取り組み状況と効果を検証していく新たな枠組みとして、重要施策及び平成十八年度重点事業を策定しました。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)オリンピックに伴う財政の持続可能性についてでございます。
 オリンピックに係る財政面の課題は、都として必要となります財源を安定的に確保し、オリンピックの前後を通じて堅実な財政運営を行うことでございます。
 今定例会に提案しております基金には、今後見込まれる財政需要に対しまして、早い段階から備えを始めることで年度間の負担を平準化する目的があり、基金を有効に活用することにより、議員ご指摘のサスティナビリティー、すなわち持続可能な財政運営をできると考えております。
 オリンピックは息の長い取り組みでございまして、国や民間に対し負担や協力を求めるとともに、都としては、基金のみならず都債なども適切に活用することで負担の平準化を図り、財政の健全性を維持できるものと考えております。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、今後の都区協議についてでございますが、都は、これまでも都区財政調整を初め、さまざまな課題につきまして、特別区と対等、協力の関係に立ち、真摯に協議を進めてまいりました。これから都区共同で開始する今後の都区のあり方の検討は、事務配分、再編を含む区域のあり方、税財政制度など特別区の区域における将来の自治について、次の制度改革までも視野に入れた大きな議論になると考えております。
 今後の検討に当たりましては、住民に身近な行政を担う基礎的自治体の役割を十分尊重するとともに、特別区の区域における大都市としての一体性確保の視点を持つことが重要でございます。大切なことは、広域自治体である都と基礎的自治体である特別区が連携協力して、東京の発展と都民、区民の生活の向上を図ることであり、こうした考え方に立ち、今後特別区と議論に臨んでまいります。
 次に、市場化テストの意義についてでございますが、昨年十一月に策定しました行財政改革の新たな指針では、公共サービスの提供について、サービス向上と経費削減を一層進めるため、市場化テストを導入することといたしました。市場化テストは、官民競争入札を実施することで、価格と質の面でよりすぐれた主体が落札し、当該サービスを提供していく制度であり、行政分野に競争原理を導入するものでございます。民間企業に新たな参入機会を与えるとともに、あわせて都が引き続き業務を継続する場合にあっても、コストや仕事の進め方を見直すことで行政の体質改善の契機になるものと考えております。
 今後、都における新たな経営改革手法として活用してまいります。
 最後に、都における市場化テストの実施についてでございます。
 市場化テストは、海外において公共施設の管理運営、廃棄物収集など、さまざまな分野で実施されております。いずれも官民競争により経費削減やサービスの向上に資するものとして導入がされております。
 都におきましては、民間事業者が存在しているにもかかわらす、法令などにより民間開放が困難とされていたもののうち、官民の競い合いが可能であると判断した職業訓練分野などについてモデル事業を選定し、実施することといたしました。また、モデル事業と並行して、十八年度中に官民の競い合いが可能な事業を全庁的に洗い出し、速やかな制度導入を図ってまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)四点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅の耐震診断・改修助成についてでございますが、住宅の耐震性の向上は、自助、共助、公助の原則を踏まえ、所有者によって行われることが基本でございます。しかしながら、建物の倒壊による道路閉塞を防止するなど、公共性が高い地域につきましては、より一層の耐震化の促進を図る必要があるため、耐震診断・改修に関する助成制度を創設することといたしました。
 今後は、区と協力して耐震診断・改修の実施を住民に働きかけ、制度の定着を図っていくことが重要であると考えます。こうしたことにより震災時の住宅の倒壊を防止するとともに、避難、救助活動等が速やかに行われるなど、地域の安全性が向上するものと考えております。
 次に、分譲マンションの耐震診断後の支援についてでございますが、改修や建てかえの検討が必要となった場合、管理組合には、資金の確保を初め改善手法の選択や合意形成など、さまざまな課題が発生いたします。都は、これまでもマンションの耐震改修などを行う管理組合に対して利子補給の支援を行うとともに、建てかえ改修アドバイザー制度などにより相談や情報提供を行ってまいりました。今回創設いたします耐震診断の助成制度の実施に当たりましては、これらの事業との一体的な運用を行うなど、十分な連携を図り、マンションの耐震化の促進に努めてまいります。
 次に、建築確認制度改正の国への働きかけについてでございますが、これまで都は、国が設置した社会資本整備審議会の基本制度部会のメンバーの一員として、建築行政の現場に携わる立場から、確認検査制度全般にわたる徹底的な検証と見直しを国に強く要請してまいりました。その結果、信頼性の高い構造計算プログラムの開発、建築士制度の見直し、行政処分の一層の厳格化や罰則の強化など、都の主張が中間報告に盛り込まれたと考えております。
 しかしながら、特定行政庁が指定確認検査機関の審査に関与できないにもかかわらず、当該機関が行った確認について法的責任を問われかねないという不合理な仕組みについては何ら触れられておらず、根本的な問題は解決されておりません。このため、都が率先して埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市に呼びかけ、五都県市の知事及び市長の連名で建築基準法の見直しの要求書を国に提出いたしました。
 今後とも建築行政への都民の信頼を回復するため、都の要求が実現するよう国に強く働きかけてまいります。
 最後に、臨海地域の戦略的なビジョンについてでございますが、平成十三年に策定いたしました東京ベイエリア21は、おおむね二十年から二十五年後を目標年次として、東京臨海地域の役割や目指すべき方向性を示したものでございます。都は、有明地区における広域防災拠点、晴海地区における親水護岸の整備と一体となったまちづくり、豊洲地区でのドック跡を生かした商業施設の整備など、本指針に基づいたまちづくりを進めております。今後とも社会状況の変化を踏まえながら適切に対応してまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)環境に関する五点のご質問にお答えします。
 まず、環境経済施策の検討についてでございます。
 持続可能な東京の実現のためには、金融や税財政手法を活用した環境施策を構築し、展開していくことが必要であります。このため、平成十八年度に設置を予定している環境経済施策調査会では、緑が減少する要因の一つとなっている相続税の問題や、グリーン購入等の環境に配慮した契約手法の活用など、幅広い検討を行ってまいります。これらの検討結果を踏まえ、国への提案要求の実施、企業、NPOなどとの連携強化などにより、新たな施策の実現を図ってまいります。
 次に、環境施策に関する民間団体などとの連携プロジェクトについてでございます。
 都はこれまで、交通量の削減を目指した都内百貨店での納品共同化の取り組み、気象キャスターが地球温暖化問題を教える出前授業の実施、気候変動をテーマにした写真展などのイベント開催など、さまざまな連携プロジェクトを展開してまいりました。
 今後、再生可能エネルギーの導入拡大や、緑の保全と再生などの課題も含め、多くの企業、NPOなどの参加を得て、連携プロジェクトの一層の拡大を図ってまいります。
 次に、環境金融プロジェクトについてでございます。
 これまで、都の呼びかけにこたえ、地球温暖化対策に積極的な企業への優遇金利の適用など、さまざまな環境金融商品の開発が進んでまいりました。本年二月には、こうした動きに呼応して、先進的な金融機関の取り組みや国際的な動きを紹介するシンポジウムを開催したところでございます。
 昨年末、全国の道府県、政令市を対象として都が実施した調査では、約八割の自治体が金融機関と連携した環境施策の展開に何らかの関心を示しております。今後、これらの自治体に呼びかけるなど、環境金融プロジェクトの拡大を図ってまいります。
 次に、循環型社会への変革に向けた取り組みについてでございます。
 持続可能な社会を実現していくためには、都が、都民、NPO、事業者など、さまざまな主体と連携して廃棄物の発生抑制、リサイクルと適正処理に先導的に取り組み、全国に発信していくことが重要と考えております。このため、今回の東京都廃棄物審議会からのご提言などを踏まえ、廃棄物の発生抑制、リサイクルの促進、有害廃棄物などの環境リスクの軽減、廃棄物処理・リサイクルビジネスの健全な発展の三つを柱に据え、循環型社会への変革を積極的に推進してまいります。
 最後に、プラスチック廃棄物のサーマルリサイクルについてでございます。
 サーマルリサイクルの導入に当たっては、都民の信頼にこたえるため、環境保全対策などに関するコミュニケーションが不可欠であります。このため、都は、廃棄物処理施設を持つ区市町村に対し、環境負荷の低減の取り組みなどをまとめた環境報告書を作成し、都民に向けて情報をわかりやすく発信するよう働きかけているところでございます。
 今後とも、区市町村との連携を密にして、サーマルリサイクルの有効性や処理施設の安全性に関する正確な情報の提供などに努め、サーマルリサイクルの推進を支援してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)新銀行東京など七点のご質問にお答えします。
 まず、新銀行東京の資本調達についてでございます。
 新銀行東京では、業務開始後、業容の拡大にも留意しながら増資を行ってきておりまして、現在、普通株式による民間からの出資は三十七社、百八十七億円となっております。また、中期経営目標に基づきまして、平成十九年度に一三%を超える高い自己資本比率を目指すこととしており、今後とも経営の安全性・安定性を確保するため、市場の活用も含め、適切な資金調達を進めていくと聞いております。
 次に、新銀行東京のATM設置コスト等についてでございます。
 金融機関におきましては、ATMに係る設置費用や利用状況等は、他の金融機関との競争条件にかかわる事項であり、一般的には公開されておりません。新銀行東京におきましても、同様の理由で公にしていないと聞いております。
 次に、新銀行東京の都市銀行などのネットワークへの参加の取り組みについてでございます。
 新銀行東京では、セブン銀行や郵便局、JRビューアルッテのATMとの接続に加え、本年一月から全国二百九十二の信用金庫のうち二百六の信用金庫と提携してネットワーク接続を行い、ATMの相互利用が可能となっております。今後も、顧客の利便性のさらなる向上のため、引き続き都市銀行を初めとする他の金融機関との提携を進めていくこととしていると聞いております。
 次に、NPO等の民間団体を活用した若年者就業支援についてでございます。
 若年者の就業支援におきましては、独自の取り組みにより成果を上げている民間団体との連携が効果的であると認識しております。十八年度には、若年者が主体となって支援活動を行っているNPO等から提案を募集し、効果的な事業に対して補助を行う、若者による若者就業支援プロジェクトを実施いたします。こうした事業等を通じまして、関係者の力を合わせて若年者の就業を推進してまいります。
 次に、セーフティーネットとしての若年者向け訓練の充実についてでございます。
 就業困難な若年者の早期就職を支援するためには、若年者の特性を踏まえた方式による職業訓練の導入が効果的であります。このため、就業経験が乏しい若年者を対象に、施設内訓練と企業内実施を組み合わせたデュアル訓練を昨年から開始したところであります。
 今後は、常用雇用を目指すフリーターを支援するため、カリキュラムの選択を可能とした単位制の夜間パソコン訓練を開始するなど、若年者訓練の充実を図ってまいります。
 次に、いわゆる非正規労働者の雇用環境の整備についてでございます。
 都は、これまでも、労働セミナー、普及啓発資料の作成など、さまざまな機会をとらえ、事業主に対して、労働関係法令の遵守はもとより、労働条件の改善向上を働きかけてまいりました。
 今後は、こうした取り組みに加えまして、中小企業に専門家を派遣して、雇用管理についてきめ細かな支援を行うなど、非正規労働者の処遇改善を図ってまいります。
 最後に、企業に対するインセンティブの付与についてでございます。
 非正規労働者の処遇を改善するためには、就業規則の整備など、企業の主体的な取り組みを促すことが重要であります。このため、正規労働者と均衡のとれた人事給与制度の導入や、能力開発の機会付与など、一定水準以上の処遇の改善に取り組む中小企業につきましては、都の制度融資のチャレンジ支援で最も低利な金利が利用できることとするほか、モデル企業として広く紹介するなど、非正規労働者の処遇改善に向けた企業の取り組みを促進してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君)臨海副都心開発の新たな財政見通しについてでございますが、昨年十月、有明北地区の埋め立てが竣工し、臨海副都心も総計画面積である四百四十二ヘクタールになりました。
 来年度は、総仕上げの十年の初年度に当たることから、この節目の時期に、開発を着実に進めるため、財政基盤強化に向けたさらなる取り組みを行うことにいたしました。
 具体的には、主に次の三点に取り組んでまいります。第一に、内部留保資金を活用し、都債残高の早期圧縮を図り、二百十億円の金利負担の軽減を図ります。第二に、価格競争の導入、処分地の区画の弾力化など、土地処分方策の大幅な変革に取り組んでまいります。第三に、道路等の基盤整備費のさらなる圧縮を進め、約四百億円の収支改善を図ってまいります。
 これにより、今後の五年間で都債残高の七割が償還できるなど、財政に一定の見通しがつくものと考えており、こうした取り組みについて、都民に対してもわかりやすい形で明らかにしてまいります。
 次に、新木場地域のまちづくりについてのお尋ねでございますが、本地域は、平成十一年に策定した地区計画において、都心への近接性や臨海部の立地特性を生かし、木材関連を初めとする生産・流通機能と商業・業務機能などが共存できる複合地域の形成を目指すこととしております。このため、これまで用途地域や臨港地区を変更することにより、目指すべき土地利用を誘導する条件整備を行ってきたところでございます。
 今後のまちづくりにつきましては、地元の開発動向を勘案しながら、区とも連携して対応を検討してまいります。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕

○中央卸売市場長(森澤正範君)築地市場の移転に関するご質問にお答えいたします。
 まず、築地市場の跡地を利用したビジョンについてでありますが、平成十六年に中央区が公表した築地市場地区の活気とにぎわいビジョンの中には、ご指摘の鮮魚マーケットの構想が示されておりますが、その具体的な内容については、今後検討していくと聞いております。
 鮮魚マーケットの構想については、築地市場移転後の道路などの基盤整備や跡地利用方策などとの整合性を踏まえるとともに、卸売市場のノウハウが生かせるものに関しては協力していくなど、適切に対応をしてまいります。
 次に、築地市場の移転に伴う市場業者への支援についてであります。
 長年築地市場で営業している市場業者の方々が、豊洲新市場で事業を安定した経営のもとで発展的に展開していくためには、経営基盤の強化が重要でございます。このため、財務体質の強化とともに、収益力の向上が図れる事業などに早期に取り組んでいくことが必要であります。
 都としても、これまで公認会計士による特別指導や消費者ニーズにこたえる新たな取り組みへの支援など、さまざまな経営基盤強化のための対策を講じてまいりました。
 今後とも、新市場への移転に向けた市場業者の自主的な経営努力に対して、きめ細かな支援をしてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)福祉に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな子育て支援策についてでございます。
 地域の子育て環境を整備するためには、区市町村がそれぞれの地域の実情に応じまして主体的な取り組みを行っていくことが重要と考えております。
 しかしながら、現行の子育て支援に関する都の補助制度は、大半が認可保育所を対象としていることや、その使途や補助条件が細かく限定されていることから、区市町村に裁量の余地が少なく、また創意工夫を促す仕組みになっていない面がございます。
 新たな制度では、子育て支援の主体である区市町村が地域のニーズを敏感にとらえ、柔軟な対応を行うことが可能となり、すべての子育て家庭を対象とした効果的、効率的な施策展開につながるものと考えております。
 次に、介護サービス基盤の整備についてですが、高齢者の地域での生活を支えていくためには、通所サービスを中心に、利用者の希望による泊まりや自宅への訪問の機能を有する新たな小規模多機能型サービス拠点など、地域に密着したサービス基盤の整備を促進することが重要です。
 このため、都は、来年度、地域密着型サービス等重点整備事業を創設いたしまして、区市町村に対して、国の交付金に加え、大都市特性を踏まえた独自の補助を行うとともに、不足するショートステイの整備促進を図るため、小規模な特別養護老人ホームに併設する場合についても補助対象といたします。これらにより、地域の実情に応じた介護サービス基盤の一層の整備促進に取り組んでまいります。
 次に、障害者地域生活支援・就労促進三カ年プランによる今後の取り組みについてですが、障害者が地域で自立した生活を送るためには、グループホームなどの居住の場とともに、日中の活動の場の充実や就労支援を促進することが重要であり、プランでは、平成十八年度から二十年度までの三年間で、通所施設などの日中の活動の場、千六百人分を含めた地域生活を支えるサービス基盤を整備するとともに、地域で障害者の福祉的就労を支えている小規模作業所等の経営安定化を図るための法内施設への移行など、障害者の就労支援にも取り組むこととしております。
 今後、区市町村や運営事業者に対するさまざまな働きかけを行いまして、プランの達成に全力で取り組み、障害者の福祉の増進に努めてまいります。
 最後に、サービスの適正化や不正の防止についてでございますが、福祉、保健、医療分野におきまして、民間によるサービス提供が増加する中、都民の安心を確保するためには、法令等を遵守した適正なサービス提供が行われることが不可欠でございます。
 今後、事業者を指導監督するレフェリー役としての都の役割はますます重要になっていくと認識しており、サービス提供者へのルールの徹底を図っていくこととしております。
 このため、サービス評価結果を活用した指導検査の重点化、区市町村と連携した不正防止対策の実施、検査結果の公表など、事業者に対する指導監視を強化することとしたところでございます。
 これらの取り組みにより、行政としての責任を果たすとともに、民間、地域の力を最大限に活用し、東京における福祉、保健、医療サービスの一層の充実を図ってまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君)文化政策についての二点のご質問にお答えいたします。 まず、アートビレッジ事業についてでございますが、アジアの国々はそれぞれ映像や美術などの振興に力を入れておりまして、独自の文化に根差したアジアの芸術文化は世界から注目されております。
 また、日本、中国、韓国の合作映画が話題となるなど、アジアの国々相互の文化面での交流も盛んになっております。
 東京都は、これまでもトーキョーワンダーサイトの事業として、タイや韓国のアーチストを招くなど、アジアの新進アーチストとの交流を行ってまいりました。
 新たに整備するアートヴィレッジIN東京では、韓国のアーチスト支援施設などとも連携し、アジアの、さらには世界の若いアーチストとの交流と発信の場としてまいります。
 次に、多様な分野の制作・交流の場についてでございます。
 アートヴィレッジIN東京事業では、旧国連大学高等研究所を活用いたしました美術を中心とする滞在・交流拠点のほか、平成十九年度以降、都の遊休施設を活用いたしまして、ダンスや演劇などを含む制作・交流拠点を整備する予定でございます。
 この制作・交流拠点では、アジアなどの海外も視野に入れまして、多様なジャンルの制作・交流、スタッフなどの文化を支える人材の育成にも取り組んでまいります。

○副議長(木内良明君)この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時十五分休憩

   午後五時三十分開議

○副議長(木内良明君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番石井義修君。
   〔百八番石井義修君登壇〕

○百八番(石井義修君)都議会公明党を代表して質問いたします。
 かつて日本のバブル崩壊を予測し、一九九〇年に「日はまた沈む」のベストセラーを書いたイギリスの経済雑誌「エコノミスト」の編集長ビル・エモット氏は、日本は債務とデフレに悩まされた十五年に及ぶ景気低迷から今度こそ本当に回復しているとして、日本の復活宣言「日はまた昇る」の著書を発行しております。
 書店の店先には、いずれも日本経済の復活を予見する書籍が数多く並べられております。立ちはだかる課題は数多くありますが、冬来たりなば春遠からじ、厳しい冬を乗り越えて、早春の陽光が確実に差し始めております。
 世界的にすぐれた東京の中小企業の先端技術、地球規模の環境破壊に貢献可能な東京の環境技術など、東京の持つ力強さ、優位性に自信を持って私たちは今再び進むべきときが来たと信じます。
 その意味で、知事が提案された二〇一六年の東京オリンピック開催は、世界の平和と繁栄に貢献する成熟都市東京を創造し、千客万来、世界じゅうの人々に見てもらう絶好のチャンスであると思います。知事の提案に賛同するとともに、改めて感想を伺います。
 また、東京オリンピック招致に伴い、パラリンピック大会への取り組みも重要であります。パラリンピック大会の名称は、一九六四年、東京オリンピックにあわせて開催された大会が初めてであります。東京パラリンピック大会では、障害者団体のみならず、ライオンズクラブなどさまざまな団体が積極的な貢献を果たし、日本社会が総力を挙げて大会の成功を目指したのであります。
 半世紀前の大会が日本の障害者スポーツの夜明けを告げる役割を果たし、その後の障害者の社会参加を促進させる大きなきっかけとなったのと同様に、新たに招致を目指す東京オリンピック直後に開催されるパラリンピック大会においては、東京の産業力を結集し、先端技術を駆使しながら、バリアフリー都市東京、新しい福祉社会モデルを世界に示す絶好の機会としていくべきであると考えます。知事の所見を伺います。
 都財政について伺います。
 知事は、平成十八年度予算の発表に当たり、この予算を財政再建に一つの区切りをつけた大きな節目となる予算と総括しております。新年度予算案は、財政基盤の強化に取り組みつつも、一般歳出が五年ぶりに増加に転じ、都民生活の安全・安心の確保、少子高齢化対策、景気、中小企業支援など、直面する東京の諸課題の対応に加え、オリンピック開催に向けた取り組みや都市基盤の整備など、財政の本来の機能を発揮し、都民ニーズに対応したものと評価をいたします。
 予算編成に先立ち、公明党として、東京商工会議所、私立中高協会など百を超える各種団体から予算要望を受け、これに基づき、十八年度予算要望書を知事に提出をいたしました。これらの要望にも的確にこたえる予算案となっており、高く評価するものであります。
 知事就任当初、一千億円を超える過去最悪の赤字を計上し、財政再建団体への転落の瀬戸際まで追い込まれておりましたが、二度にわたり財政再建推進プランを策定し、この七年間、一貫した姿勢で財政再建に懸命に取り組まれてまいりました。
 私たちも知事と連携し、行財政改革を最重要課題として位置づけ、その強固な財政基盤の上に立って、諸課題解決に全力で取り組んできたところであります。今回の予算はこうした努力が実を結んだものと評価するものであります。
 特に、公認会計士である私たち公明党の東村邦浩議員が提案した複式簿記・発生主義会計を我が国で初めて導入した石原知事の決断に快哉を叫ぶものであります。
 我が国の公会計制度は、明治二十二年にプロイセンから単式簿記・現金主義会計が導入されて以来、百年以上にわたって抜本的な改革が行われないまま、現在に至っております。行政は最少の経費で最大の効果を上げるよう努めなければなりません。その意味からも資産やコストを正確に把握する新しい会計制度の導入は、高コスト構造を改め、一層質の行革を進め、まさに税金のむだ遣いをなくす決定打であります。ぜひとも知事の立場で国や他の自治体にも導入を働きかけることを望むものであります。
 財政再建の成果に立って編成された新年度予算への思いと、今後の財政運営の方針を含め、知事の所見を伺います。
 包括外部監査の報告に関連して一言申し上げます。
 外部監査では港湾局が対象となり、多くの指摘がなされております。しかし、議論の前提となるデータとしての数字に着目する監査の結果と、良質な公共的サービスを提供すべき行政では、価値観と事業効果の判断にはおのずと違いがあります。
 したがって、局には局の判断があってしかるべきでありますが、それを認めてもなお港湾局は今回の外部監査の指摘にこたえるべきであります。埠頭公社の事業を初め、施設の有効利用など、具体的な改善策を提示すべきであります。所見を伺います。
 震災対策について伺います。
 まず、このたび発表された首都直下地震の被害想定と地域防災計画の見直しについてであります。
 昨年、国はマグニチュード七・三クラスの被害想定を発表し、耐震化などの対策に乗り出しました。しかし、より切迫性が高く、発生頻度も高いのが実はマグニチュード六クラスの地震であります。都の今回の被害想定は、国の想定よりも被災地が詳細に分析され、対策の優先順位や被害状況に応じた具体策を示しております。
 今回の被害想定によれば、東京湾北部地震の発災によって、東京東部地域は家屋倒壊、人命、ライフラインが決定的なダメージを受けることになります。また、多摩直下地震でも、多摩地域より区部の地域がダメージを受けることを示しております。
 まず初めに、この被害想定、中間報告の評価と今後の地域防災計画の見直しについて、知事の所見を伺います。
 次に、具体的課題について伺います。
 第一は、震災発生時の滞留者対策であります。
 被害想定では、外出者の行動に関するアンケート調査を初めて実施し、発生直後の外出者の行動別人数を推計しております。外出者約千百四十四万人のうち、何としても自宅に帰ろうとする人が約三百七十万人、しばらくその場にとどまって様子を見る人が四百二十万人、近くの駅に行って様子を見る人が約九十五万人などとなっており、しばらくとどまって状況を見て行動する人が予想外に多いという傾向が明らかになりました。
 この外出者を適切に誘導しなければ、企業、学校、集客施設、駅など、都内至るところで滞留者の大量発生と混乱が予想され、都や区市町村による避難誘導体制、救援支援に大きな支障を及ぼしかねません。
 そこで、震災発生直後の外出者の行動予測を踏まえ、新たな課題の明確化や今後打つべき対策を早期に検討すべきであります。所見を伺います。
 第二は、震災時における企業の役割の明確化であります。
 国の中央防災会議が昨年九月に発表した首都直下地震対策大綱は、帰宅困難者対策について、むやみに移動を開始しない、つまり帰宅困難者の多くを占めると見られる企業の社員などを企業にとどめるとの方向性を打ち出し、企業が果たすべき社会的責任の考え方について検討するとしております。
 また、東京都震災対策条例では、事業者は周辺住民に対する震災対策活動の実施など、周辺住民等との連携及び協力に努めなければならないと、震災時に地域住民の避難支援、救助活動などへの企業市民としての貢献を求めております。
 一方、今回の被害想定では、最大で約四十七万棟の建物が全半壊し、多くの人々が倒壊家屋に閉じ込められ、自力での脱出が困難と予測されております。阪神・淡路大震災の六千五百人の死者の八割が第一撃の家屋の倒壊が原因であったことを考え合わせれば、初期段階の共助体制は重要な課題であります。
 そこで、地域内にある町会や自治会、さらに企業、事業所等の間で、支援協定、支援確認、支援協議会といった形で協力体制をつくっていくことは喫緊の課題であります。既に都心部の企業の中には、災害備蓄や非常用井戸を設け、社員の緊急招集体制まで整備し、本社ビルを避難拠点として活用できるよう準備を整えているありがたい企業も存在しております。
 したがって、都は、こうした協力してくださる企業の意向を十分に踏まえ、さらに積極的に災害時における地域と企業との支援、救援協定の締結を拡大すべきであります。見解を伺います。
 第三は、都立建築物の一〇〇%耐震化実現であります。
 本年一月に改正耐震改修促進法が施行され、倒壊の危険性の高い特定建築物に対して改修を命令したり、指示に従わない場合は公表するなど、地方公共団体の権限が強化されたのであります。
 一方、この法改正に伴って策定された耐震診断、耐震改修に関する国の基本方針では、自治体が策定する耐震改修促進計画の中に、学校や病院、庁舎などの公共建築物は、耐震診断を速やかに実施して結果を公表するとともに、耐震化の目標を設定することも定めたところであります。
 都が所管する都立建築物の耐震化の実態を見ると、耐震化率は約九割と聞いており、都が今後、特定建築物の改修を強力に推進していくには、まずみずから模範を示すことが重要であります。そのために、都が十八年度じゅうに民間施設を含めた耐震改修促進計画を作成するとしていますが、ここに照準を合わせ、災害避難所となる学校、病院などの都立建築物について、震災、災害時の機能確保という観点から、早期にすべてを耐震化するための具体的な目標を設定すべきであります。所見を伺います。
 公明党が一年間にわたって粘り強く提案してきた木造住宅の耐震診断、耐震改修の助成制度がいよいよ十八年度から実施に向けて動き出しました。助成制度創設を決断した知事の姿勢を高く評価するものであります。
 しかしながら、耐震診断は十年間で五万棟、改修が二万二千棟の助成を見込んでおりますが、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建築された木造住宅は、助成制度の対象となる二十七の整備地域では十一万棟、さらに都内全域では七十二万棟と推計されているのであります。
 都の被害想定でも、都内の木造家屋の壊滅的被害が発生することを予測しており、今後、第二段階として、木密地域は当然として、それ以外の地域でも既存不適格な住宅、あるいは緊急輸送道路や避難所周辺の木造住宅についても助成制度の対象とすべきであります。都が作成する耐震改修促進計画の中では、ぜひともこうした課題への取り組みと個人や関係区市等への支援策を盛り込むべきであります。所見を伺います。
 特に、簡易耐震改修については知事も大変に関心を持っておられます。ぜひともこれを広く都民に周知すべきであります。そこで、最有力の都政のスポークスマンであります石原知事が、メディアなどを使って、かつてペットボトルを振りかざし、ディーゼル対策を訴えたあの手法で都の耐震化への取り組みをアピールすれば、極めて効果的であると思います。
 また三月には、議会棟一階で簡易耐震工法の展示が開かれますが、それとは別に常設展示場などを設け、わかりやすく都民に提示すべきであります。知事の所見を伺います。
 白鬚東の防災拠点について伺います。
 第一に、都が二年前に打ち出した防災設備の見直しについてであります。
 東京東部の広域避難場所として建設され二十五年経過しましたが、隣接する荒川区の白鬚西地区も広域避難場所として整備され、また周辺の木造市街地の不燃化も進んだとの理由から、都は、更新時期を迎えた防災設備の見直しと再検討を墨田区と地元自治会に打診しているのであります。特に、防災拠点の避難人口が四万人に変更になったので、当初十万人を想定した三千トンの貯水は不要で、その貯水槽の削減を検討していると聞いております。
 しかし、私はそもそも避難人口を四万人に削減したことに疑問を持っております。すなわち、隣接する墨田区北部の荒川右岸に三万七千人が避難することにしておりますが、単なる土手があるだけで、水、トイレ、避難設備は何もないのであります。目の前に白鬚東の広域避難場所が完備されていれば、被災者はおのずとどっと押し寄せてくることは目に見えているのであります。その上、さきに発表された東京都の被害想定では、東京湾北部地震の発生で、墨田区を含む東京東部九区の上水道、下水道は甚大な被害を受け、復旧までに相当数の期間を要すると報告しております。
 水とトイレの完備は震災対策の必須条件であります。備えあれば憂いなし、想定外の有事に備え、都の責任で白鬚東防災拠点に十万人分の貯水施設を引き続き完備しておくことは絶対に必要であります。知事が施政方針で、十八年度に地域防災計画の見直しを行うことを表明しましたが、こうした視点に立って検討すべきであります。
 この際、水道局長に申し上げます。
 都の被害想定が予測する震災時の水道設備の被害に備え、すべての東京東部地域の広域避難場所、学校、病院を含めた重要施設が機能するよう、新たな対策を講ずるべきであります。震災時の復旧体制の整備状況とあわせ、所見を伺います。
 第二には、非常用トイレについてであります。
 昨年、私の質問で白鬚東避難所に四十三基の非常用トイレの新設がなされたことを評価いたしますが、果たして四万人の避難者に対して、これで十分なのか心配されております。拠点内の他の施設での利用を含め、万遺漏なきよう完備すべきであります。
 また、拠点内の忍岡高校の仮校舎と使っていた元墨田川高校堤校舎、この三月で不要となりますが、それを更地に戻すのではなく、避難施設として活用すべきであります。
 第三に、有事の際に災害医療拠点となる都リハビリテーション病院についてであります。
 十八年度予算では東京DMATの増強が計上されておりますが、防災拠点での医師の配置を含め、医療体制を改めて確認するとともに、あわせてヘリコプターの発着基地はどこを想定しているのか、伺います。
 第四に、災害時に四万人の避難民を受け入れる地元自治会との連携についてであります。
 地元自治会の皆さんは、有事の際、行政に協力し、手抜かりなく四万人の避難誘導体制を行うべく、平素から事あるごとに涙ぐましい訓練を行っているところであります。
 しかしながら、肝心の地元墨田区や都の関係各局との連携、それに基づく地元自治会との役割分担がいま一歩明確でないのであります。地元区、そして都の関係局、さらに地元自治会との役割分担を明確にした災害時行動マニュアルを策定し、定期的な協議の場を設定すべきあります。所見を伺います。
 東京の産業力を支える中小企業の支援について伺います。
 現在、中国、インドなどアジア諸国の経済成長が著しく、日本の製造業は厳しい国際環境の波にさらされております。しかし、都内の中小企業には、宇宙ロケットの部品製造や極小周波数の電磁波による解析技術など、他国の追随を許さぬ高度先端技術を有する企業が少なくありません。こうした高い技術力を持った中小企業を東京ブランドとして顕彰し、国の内外に情報発信していくことが重要であります。
 知事は、施政方針の中で、オリンピック招致に関連して、日本が誇るITなどの高度技術と長い歴史が培った文化を強調しております。日本の環境関連技術やITとロボットの福祉介護分野での活用はまさにそのあらわれであります。高い技術力は、ものづくりにとどまらず、バリアフリーやユニバーサルデザインの製品づくり、環境、教育、農業、安全・安心などの広範な分野で新たな可能性を開く力を有しております。
 こうした産業界、とりわけ中小企業の持つ力と社会に果たす役割や貢献を明らかにして、一層の振興策を講ずるための総合的なプランを策定すべきであります。所見を伺います。
 第二に、中小企業にとってのセーフティーネットである金融支援策の充実についてであります。
 初めに、小規模企業等活性化事業についてであります。
 この事業に対する補助金は、商工会議所などが実施する地域活性化事業の重要な財源ですが、三位一体改革による税源移譲に伴って廃止される方向が示されております。
 このたび都は、これを一般財源化し、国が補助金を廃止した後も支援を継続する方針を示しました。都内各区市の商工会議所がこぞって歓迎しているところであります。
 また昨今、民間金融機関による中小企業向け融資の積極化が報道されておりますが、貸し出しは一部の優良な中小企業に限られております。経営状況の厳しい零細企業では金利格差が拡大するなど、その資金調達の環境は一向に改善されておりません。
 加えて国は、いよいよ保証料率の弾力化に踏み出しました。今後は、経営状況の優劣に比例して保証料率が決定されることになり、経営状況の厳しい零細企業に対しては高い保証料率が適用されることになります。
 公的融資といえども、リスク対応という点から一定の制約を設けるのは当然でありますが、一たん経営が厳しくなると、保証料負担が大幅に増加し、資金を借りることも困難になってしまうということは、セーフティーネットとして問題であります。
 そこで、保証料率の弾力化の実施後も都内の中小企業が安心して制度融資を利用できるように、都は独自に保証料率の緩和措置を講ずるべきであります。見解を伺います。
 第三に、団塊の世代の大量退職に備える技能継承問題であります。
 いわゆる二〇〇七年問題への対応について、都は昨年、しごとセンターと都立技術専門校の連携により、技術、技能継承への対策を強化する方針を明らかにしました。
 しかし、多くの中小企業では、団塊の世代の熟練技能者が退職した後でなければ新規採用ができず、技能の継承が困難であります。二〇〇七年問題に限らず、中小企業の技能開発、技術継承は、強力な公的支援なくしてはその進展が望めない現状であります。
 国は、公明党の要請にこたえ、十八年度予算案の中で、中小企業雇用創出等能力開発助成金を拡充し、事前に知事の認定を受けたプランによって計画的に教育訓練を行う経費を助成対象に含めると発表いたしました。
 都は、今こそ、こうした新しい制度も活用して、技術、技能の継承対策に力を入れるべきであります。
 また、能力開発や技能継承に取り組む中小企業を支援するため、相談窓口を設けるべきであります。具体的には、その窓口として、都立技術専門校などを活用し、できる限り地域に密着した活動が展開できるようすべきであります。
 さらに、中小企業の個別事情に応じて、技術専門校の教室、機器、講師等を柔軟に組み合わせ、技能継承訓練の実施に取り組むべきであります。所見を伺います。
 第四に、育児休業の取得者の拡大策についてであります。
 改正育児・介護休業法が施行された現在も、都の調査では、育児休業制度を実施している中小企業は全体の六三・六%にとどまっております。
 そこで、国は、十八年度から、育児休業の取得者を初めて出した中小企業に対して百万円、二人目の取得者が出た場合には六十万円を支給する中小企業子育て支援助成金を創設いたしました。
 助成の対象となる従業員百人未満の中小企業は、企業数で全事業所の九七%、従業員数で七五%を占めております。育児休業の取得促進という観点から、中小企業を支援することは、少子化対策として有効であるだけでなく、雇用環境の整備においておくれをとりがちな中小企業に対する支援策として極めて有効であります。
 したがって、都は、中小企業の事業主に対し、育児休業制度の普及と利用の促進を図る実効性のある方策を講ずるべきであります。とりわけ新しい中小企業子育て支援助成金などの活用を地域の中小企業主にアピールすべきであります。見解を伺います。
 都市農業の振興について伺います。
 大都市の農業は、安全で新鮮な食物の供給、土と緑の環境の保全、そして防災空間としての機能など、多面的な意義と価値を有しております。
 現在、都内には、全東京の公園面積を上回る八千四百ヘクタールの農地があります。このうち生産緑地法の規制を受ける市街化区域内の農地だけでも五千二百ヘクタールにもなり、東京ドーム一千個分以上に相当する広さを持っております。この農地がどれほどゆとりや防災、かん水の機能を果たしているか、はかり知れないのであります。
 八千四百ヘクタールの農地が雨水を貯水する能力は約三百六十万トン、これは水害対策のために整備している環状七号線地下調整池の六個半分に相当いたします。また、農作物が一年間に吸収する二酸化炭素の量は約三十万トンで、ガソリン自動車十四万台分に相当いたします。
 さらに、こうした農地は都市の緑地空間として人々の気持ちにゆとりを与え、その空間が防災機能まで発揮しております。こうした農業と農地の役割を広く都民に周知し、総合的な取り組みを進めるため、農地保全の取り組みを明確にしたビジョンを打ち出すべきであります。
 また、ビジョンの検討に際しては、教育との連携や商店街や企業との連携など、大都市ならではの工夫を盛り込んだトータルな内容とすべきであります。見解を伺います。
 第二は、学校教育における食育との連携であります。
 国は、平成十八年度予算案において食育推進プランを示し、地域に根差した学校給食の実現のため、給食における地場産物の使用を促進させる事業や、栄養教諭を中核に学校、家庭、地域の三者の連携を図る食育推進事業を新たに予算化しております。
 中でも特筆すべきは、学校給食における地場産物の使用目的を明確にし、食材数ベースで現在の二一%から平成二十二年度を目途に三〇%に向上させるとしているのであります。
 児童生徒が直接農業と触れ合い、また学校給食で新鮮な地場産の食べ物を食べることは、何よりも効果的な食育であります。学校給食への地場産物の安定的な供給など、食育推進への支援策について所見を伺います。
 都内における食育の現状は、平成十六年度の調査によると、都内の公立小学校千三百四十一校のうち、学校給食で地場産野菜を使用している割合は約四割、また、学童農園については、設置している学校の割合が約四割、設置数は七百四農園にとどまっており、その数が伸びつつあるとはいえ、いまだ不十分であります。
 したがって、都は、周辺区市の教育委員会に対して積極的に働きかけ、学校給食における地場産野菜の使用の推進や学校と農家の交流、学童農園の確保などを図るべきであります。見解を伺います。
 少子化対策について伺います。
 まず、乳幼児医療費助成制度の所得制限の緩和についてであります。
 昨年、公明党は、児童手当制度の所得制限が大幅に緩和された場合、乳幼児医療費助成制度の所得制限についても、当然これに準拠して緩和すべきであると提案をいたしました。これに対し福祉保健局長は、これまで児童手当に準拠してきたという経緯を踏まえた上で、今後とも制度の趣旨に沿うよう適切に対処するとの答弁がありました。
 国会における公明党の強い推進により、国の平成十八年度予算では、児童手当が小学校三年生から六年生へと拡大され、あわせて所得制限が緩和されることになりました。したがって、現実の問題として、都の乳幼児医療費助成制度の所得制限の緩和を実施すべきであります。今後の対応、その実施時期について所見を伺います。
 また、少子化対策の推進体制でありますが、現在各局がばらばらで実施している子育て施策を一本化し、保育、教育、住宅、就労、税制など、東京都ならではの効果的な総合的な子育て支援策を打ち出すべきであります。
 そのために、全庁的な取り組み体制として、仮称少子化対策総合推進室など、支援体制を設けるべきであります。青少年・治安対策本部を立ち上げ、大きな成果を上げた知事であります。決意を伺います。
 高齢者施策について伺います。
 在宅介護を支える最も重要なサービスがショートステイであります。しかし、このショートステイは利用しにくいサービスであることも事実であります。常にベッドが満杯のため、必要なときに利用ができない状況が続いております。また、たんの吸引など医療的ケアを伴うショートステイ事業も、その必要性が高まっております。
 新年度予算案においては、公明党の復活要求の結果、安心して利用できるショートステイ支援事業が盛り込まれました。これを評価いたしますが、問題は内容であります。モデル事業として利用しやすいショートステイ事業を展開するとしていますが、事業の具体的な内容を明示すべきであります。所見を伺います。
 次に、認知症高齢者を地域で支えるための医療体制の整備についてであります。
 高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の増加が見込まれておりますが、最近の研究や認知症ケアの実践の積み重ねによって、たとえ認知症になったとしても、早期に適切な治療やケアを受けることにより、地域で自立した日常生活を送ることが十分可能であるとされております。
 認知症の早期発見は、本人や支える家族にとって極めて重要であり、その担い手として期待されるのが、日ごろから高齢者と身近に接するかかりつけ医であります。ところが、地域のかかりつけ医は、主に内科や整形外科などを専門とする医師が多く、精神系の疾病である認知症に十分に対応できない場合があります。
 そこで、認知症の早期発見、早期対応に向け、精神科などによるかかりつけ医への支援体制を整備し、かかりつけ医を中心とした地域における医療的ケアシステムを整備すべきであります。所見を伺います。
 次に、介護予防拠点の整備についてであります。
 四月から改正介護保険制度が施行され、予防重視型システムへの転換が図られます。しかし、言葉の上で幾ら介護予防を強調しても、そのための拠点の整備が進まなくては、絵にかいたもちにすぎません。
 当面、中学校区に一カ所の拠点整備の方針が明示されています。民間施設の活用だけでなく、近い将来、学校の統廃合によるスペースの確保や、現状でも空き教室の活用などが考えられます。中学校区に一カ所の介護予防拠点整備について、都も具体的に区市と協議し、方針を明らかにすべきであります。所見を伺います。
 高齢者施策の最後になりますが、昨日、公明党は、福祉保健局長に対し、このたびの税制改正によって軽費老人ホーム利用料が増加する方々への軽減措置を講ずるよう申し入れを行いました。申し入れの趣旨に沿った対応が行われるよう、改めて要望しておきます。
 障害者の就労支援について伺います。
 障害者自立支援法が成立し、障害を持つ人の一般就労が促進することになります。民間企業での障害者の雇用を進めていくには、まず都が率先して模範を示すべきであります。つまり、都庁内において障害者が働く場をさらに拡大していくことが重要であります。
 都庁では現在、身体障害者の採用はあるものの、知的障害者の採用が皆無であり、これまでも障害者団体から幾度も指摘を受けております。都の職員への採用や、都庁及び都の施設への障害者団体の出店など、工夫を凝らして、障害者、とりわけ知的障害者の就労を進めていくべきであります。見解を伺います。
 都立病院改革について伺います。
 平成十三年、都立病院改革マスタープランでは、都立豊島病院の運営は、老人医療センターと統合した上で民営化する方針が示されました。一方、都は、同病院の板橋区移管を検討していましたが、結果的にはそれも不可能になりました。都は現在、豊島病院と都老人医療センターの運営形態について改めて検討していると仄聞いたします。
 両病院の今後のあり方について、都の検討状況を明らかにすべきであります。都老人医療センターは、すぐれた研究機能を持ち、介護予防の分野でも世界をリードする役割を果たし、ますます重要性が高まると判断しております。したがって、その特徴を損なうことなく、今後の運営形態を考えるべきであります。
 一方、豊島病院に関しては、終末医療、ホスピスの分野で実績があります。これも公立病院としては貴重な存在であります。このような特色を生かし、今後の運営形態を決定すべきであります。所見を伺います。
 教育問題について伺います。
 子どもの学力低下とゆとり教育のあり方が注目されております。また、最近では、小学校一年生が、授業中に歩き回ったり、教室外に出歩いてしまって、集中して学習に取り組めないという小一問題、いわゆる小一プロブレムが課題となっております。
 現在、都内では、一定の学級規模を維持しつつ、少人数指導を充実させたり、区市によっては学生ボランティアなどを活用して成果を上げている例があります。
 このように、複数の教員が協働して指導するチームティーチングや、担任を補佐する補助員的な人材の活用は、小一問題に対しても効果があると思います。所見を伺います。
 また、小一問題対策には、幼稚園や保育園などとの連携が必要であります。児童生徒の個性と能力を伸ばすという観点からも、幼児教育と小学校が緊密に連携すべきであります。教育長の所見を伺います。
 こうした新たな教育課題に取り組むため、国は第八次教職員定数改善計画の策定を検討しておりますが、十八年度の策定は見送られると聞いております。
 しかし、都は、厳しい財政状況にあっても、少人数指導の充実、また小一問題など喫緊の課題については、既存定数の再配置や非常勤講師の活用など、工夫を凝らして対応すべきであります。所見を伺います。
 学校教育の本格的なスタートは小学校一年生であります。学校教育だけでなく、社会生活の本格的な第一歩でもあります。希望あふれる人生の第一歩を踏み出せるよう、自立の基礎を養うことが大切であると考えますが、教育長の所見を伺います。
 都立高校普通教室の冷房化について伺います。
 平成十四年度に公明党は、夏の学校教室内の温度の実態把握を提案いたしました。保護者からも、教室内の温度が四十度を超すことがあると指摘されております。改めて都立高校の夏季における教室内温度の実態把握を行うべきであります。
 既に区部の公立小中学校では普通教室の冷房設備の設置が実施されつつあります。また私たちには、保護者やPTAから、自分たちが費用を負担してでも子どもたちが通う高校に冷房を設置したいという声が寄せられております。
 全都立高校に空調設備を整備すれば温暖化を助長するとの指摘がありますが、家庭や企業に認めて高校には認めないというのはおかしな話であります。また、今では省エネ等の技術も進歩し、環境負荷の低い空調設備もあります。
 一方、後年度にまでわたるコスト面での問題もありますが、大阪府や和歌山県などの公立高校では、冷房経費の一部を保護者に負担していただき、全校空調設備を整備しております。
 都立高校においても、温暖化への配慮や必要な経費の負担のあり方も含め、冷房化の実現に向け具体的な検討を行うべきと考えます。所見を伺います。
 都民住宅制度について伺います。
 都民住宅制度は、バブル経済下の地価高騰期に創設された制度であり、住宅に困窮する中堅所得者層のファミリー世帯に適切な家賃で良好な住宅を提供し、大きな成果を上げてまいりました。
 しかし、バブル経済の崩壊後、地価の下落や家賃水準の低下などにより、毎年上がる都民住宅家賃に対する割高感が高まって、空き家が急増しております。空き家は、都民住宅全体の六割以上を占める民間活用型都民住宅に目立ち、ここ五年間で倍増し、空き家率は七%を超えております。まさに制度本来の意義が失われつつあるのが現状であります。
 これは、住宅政策がストックの活用を重視する中で、補助金も投入して建設された良好な住宅が有効に活用されていない現状であり、早急に抜本的な制度の改善を図る必要があります。
 そこで伺います。深刻な空き家対策として、管理開始後、時間が経過し、家賃補助が少なくなったために空き家になった住宅については、共働き世帯や単身世帯の割合が高い東京の特性に応じて、収入制限の撤廃や単身入居を認めることで制度の有効活用を行うべきであります。
 また、都の取り組みとして、都内への転入者も視野に、都内在住在勤要件を撤廃すべきであります。入居を希望する人の間口を広げることは、空き家対策としてだけでなく、周辺区の人口回復対策、そしてとりわけ子育て対策としても有効であります。見解を伺います。
 さらに、より抜本的な対策として、管理開始後一定期間を経過し、政策的な役割を果たしてきた住宅については、一定の要件のもとで引き続き都民住宅として活用するか、通常の民間賃貸住宅と同様の条件で募集するかの選択を可能とし、せっかくの良質な賃貸住宅ストックを都民のために有効に活用できるようにすべきであります。このことを国に強く求めるべきと考えます。見解を伺います。
 国も現在、三位一体改革の一環として、都民住宅制度の基礎となっている特定優良賃貸住宅制度において、地方公共団体の自由度、裁量性を拡大するとしております。都は、こうした動向を踏まえ、今後、少子化や高齢化への対応など、政策的な観点から、都民住宅ストックを一層活用する方策についても検討を進めるよう強く要望するものであります。
 自動車NOχ・PM法に関連し、使用過程車対策について伺います。
 平成十四年に施行された国の自動車NOχ・PM法により、法対策地域内では、ことし車両代替のピークを迎えます。
 初年度登録から九年を超えたディーゼルトラックは、次の車検までと使用期限が決められているため、いや応なく廃車するか、代替するしかありません。
 国は、日本政策投資銀行など政府系金融機関による融資あっせん制度を設けて買いかえ支援を行っていますが、これらの金融機関は店舗も限られており、十分な支援とはいえません。
 加えて、都のディーゼル規制では後づけのDPFや酸化触媒で対応してまいりましたが、国の場合、後づけのNOχ・PM低減装置の開発、普及が大幅におくれ、わずか四機種しかできていないのであります。
 しかも、後づけ装置の認定検査機関は、関東運輸局管内で三カ所しかなく、東京都の環境科学研究所を加えても四カ所と限定され、その上、排ガス測定作業に大幅な時間がかかり、装置装着を希望するユーザーに十分こたえられない現状にあります。
 私は先日、運送事業者の代表の皆さんとともに、公明党幹事長代行太田昭宏衆院議員を介し、国土交通省自動車交通局技術安全部長に面談し、この点の改善を強く訴え、関東運輸局管内三カ所の検査機関での受け入れ枠を倍増する確約を得てまいりましたが、これでも十分とはいえません。多くの課題が残されております。
 そこで、伺います。
 第一に、この問題は、NOχ・PM法を制定しながら、その条件整備を怠ってきた国に責任があります。運送事業者の方々が利用しやすい融資制度の創設や後づけ装置の開発、普及、さらに万全な検査体制を確立すべきであり、改めて都の立場から国に強く求めるべきであります。また、国の足らざるところを補う都の対策を運送事業者の方々は求めております。あわせて知事の所見を伺います。
 第二に、都の環境科学研究所でもさまざまな環境調査研究に取り組む傍ら、後づけ装置の公的試験機関の一翼を担い、排ガス計測試験の受け入れを行っておりますが、現状は施設の老朽化等によって、将来に向けて排ガス試験機関として十分な役割を果たすのが困難な状況になっております。新長期規制以降の排ガス規制も視野に入れ、公的検査機関として機能するよう早急に整備すべきであります。所見を伺います。
 最後に、文化振興について伺います。
 公明党は、文化芸術立国日本を目指して平成十三年に文化芸術振興基本法の制定を実現するなど、党を挙げて文化施策の充実に取り組んでまいりました。今定例会における知事の施政方針でも、本年五月を目途に文化振興に関する指針を策定すると明らかにされたことを高く評価いたします。
 こうした基本法や条例などの制定とあわせて、公明党は文化振興に関するさまざまな施策を提案してまいりました。具体的には、文化施策に関する総合窓口、いわゆるワンストップサービスの設置や、文化に関するボランティア活動の支援、子どもたちが芸術家と直接触れ合う機会の拡充などであり、これらの施策は、今回策定される文化振興指針の中でもきちんと位置づけられるべきです。
 とりわけワンストップサービスについては、都庁の中に窓口を設置するだけでなく、インターネットなども活用して、都民がいつでも、どこでも文化に関する情報を得ることができる情報提供サービスを構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都民が東京の豊かな文化に触れる場として、都立文化施設の果たす役割も重要であります。都は、厳しい財政状況の中、この七年間、都立文化施設における作品の購入を中止してまいりました。しかし、作品の収集、保管、展示は、美術館、博物館の基本的な機能であり、作品収蔵を寄贈に頼らざるを得ない状況では、コレクションに偏りが生じ、質の高い展示ができなくなることも心配であります。
 東京都の文化施策を語る会においても、文化芸術は人類共有の財産であり、美術館、博物館は文化芸術の成果である作品を未来の社会に継承していく重い責任があるとの指摘がなされております。語る会の貴重な提言も踏まえ、都立文化施設の果たすべき本来の機能を明確にすることを初め、これらの施策を実施していくことが必要と考えます。所見を伺います。
 新たな文化振興指針は、石原知事が就任以来取り組んでこられた先進的な文化施策の集大成であり、将来への道しるべともなるものと期待しております。そこで、指針における今後の文化振興策の方向性について、知事の見解を伺います。
 以上をもちまして代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)石井義修議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、オリンピックについてでありますが、質問の中でも言及されました、ビル・エモットと私、バブル崩壊の兆しが見え出したころ対談したことがございます。そのときに、彼はまさに「日はまた沈む」という本をかざして日本にやってまいりましたが、しかし、私は同じ予感を持っておりましたけれども、日はまた上るといい返したのを覚えていますが、おかげで日本はまた経済が順調になってまいりました。日はまさにまた上りつつあるわけでありますが、この再び上りつつある日本という国家のアピールのためにも、この存在をアピールするために、オリンピックは絶好の機会だと思っております。
 東京には、都市機能の集中や非常に正確な交通網がありますし、また、安全で清潔な都市空間もございます。また、多様な食文化や芸術など、極めて強い底力がございますし、観光としての商品に事欠きません。ゆえに、オリンピックを契機として、東京の優位性を生かした積極的な取り組みが、二十一世紀の新しい都市モデルを提示し、世界の大都市問題の解決に大いに貢献するとともに、今後の日本の大きな礎を築くものと確信しております。
 繰り返して申しますが、東京を牽引し、その存在を象徴する都市は、東京が第一だと信じております。
 次いで、パラリンピックについてでありますが、これはもう当然のことだと私は思います。もう一つのオリンピックといわれるパラリンピック大会は、オリンピック大会と理念を共有する、障害者のスポーツの祭典であります。しかし、ある意味で、身体の不自由な方々が渾身努力しておられる姿は、なまじのオリンピックのゲームよりももっと感動的な、人間的なものを感じさせます。そういう意味で、オリンピックと同一の競技場や選手村を使用することから、施設の整備に当たってはバリアフリーを徹底するつもりでございます。
 さらに、東京パラリンピックを契機に、東京のはかり知れない可能性を引き出し、活用し、障害者はもとより、子どもから高齢者まで、だれにとっても住みやすい、使いやすい社会基盤の整備や、お互いに尊重し、支え合う社会づくりなどに取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、十八年度予算と今後の財政運営についてでありますが、十八年度予算では、巨額の財源不足を解消するとともに、隠れ借金を圧縮し、さらに基金を大幅に積み増すなど、財政再建に一つの区切りをつけることができたと思います。
 また、先日は、発生主義に基づく新たな会計システムが稼動し始めまして、財政再建と公会計制度改革を相次いで実現できたことは、都政にとっても大きな転機になると考えております。ちょっと時間はかかりましたが、都民に公約したこの二つを何とか形にすることができまして、正直ほっとしているところであります。
 ただ、不安定な税収構造などを考えますと、この先、安定した財政運営が約束されているわけでは決してございません。これまでの成果に決して安住せずに、今後とも先頭に立って、都財政の構造改革をさらに一層進めていきたいと思っております。
 次いで、首都直下地震の被害想定についてでありますが、国が公表した直下型地震の被害想定は、いわば最悪というか最高のケースを想定したものでありまして、いかにも粗削りでありまして、都や区市町村の震災対策には余り活用できないと思います。
 ゆえにも、このため、今回の想定では、ご指摘のように、発生頻度が高く被害の大小がより正確になるマグニチュード六・九を踏まえまして、実態に即したデータを用い、区市町村別に被害を想定したわけでございます。
 これにより、建物の倒壊や焼失する地域が鮮明になりまして、地震に弱い地域の特性が浮き彫りになるなど、都や区市町村の震災対策に反映しやすいものとなっていると思います。
 来年度には、この想定をもとに、木造住宅密集地域の解消や耐震補強、初動態勢の強化などを定めた地域防災計画を抜本的に見直していくつもりでございます。
 次いで、木造住宅の耐震改修工法等の周知についてでありますが、住宅の耐震度は、あくまでも自助、共助、公助の原則に基づいて進むべきだと思っております。
 住宅の耐震改修は重要でありますが、自己負担の問題もありまして、まだまだ十分に、徹底進んではおりません。
 このため、安価で信頼のできる耐震改修工法、装置を広く公募しましたが、非常に興味の深い案が多く集まってまいりました。
 繰り返して申しますけれども、選定した中では、例えば、家が倒れても、寝室だけは安全が確保される一種のシェルターがあったり、その費用も四畳半程度で三十万円ということであります。
 実は、この実験をやりました業者が、わざわざ家を建てて、その中にこのシェルターを組み込みまして、家をつぶしまして、それでも中にこのシェルターが残っている映像を送ってきましたが、恐らくビデオに撮ってあると思いますので、こういうものをやはり敷衍することで、これならおれも手をつけようというふうな一つの情報提供になると思います。
 こうした工法等を広く都民に情報提供することは極めて大切でありまして、今後、継続的な取り組みを通じて積極的に周知徹底していきたいと思っております。
 次いで、産業振興のための総合プランの策定についてでありますが、東京には、日本の産業の中核であるすぐれた中小企業が集積しております。ご指摘のとおり、まさに世界の技術の粋を集めた航空機やロケットなどの最初の最初の試作品をつくるときの、欠かすことのできない、へら絞りなどの技術がありまして、他国にはまねのできない重要な部分を日本が、東京の技術が支えているわけであります。
 日本は、都市環境問題など深刻な危機に直面してきましたが、こうした事態にも、独自の発想や技術力をそれぞれ発揮して対応してきたわけでありまして、今後も、東京に集積する産業力を維持発展させ、国内外への発信力を高めることが、世界的に困難な課題の解決に貢献するとともに、日本経済のさらなる発展につながるものと確信しております。
 このため、産業力の一層の強化に向け、都の新たな産業施策の総合的なビジョンの検討に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、総合的な子育て施策の推進についてでありますが、いかなる時代にありましても、次代を担う子どもたちの健やかな育ちを支えることは社会全体の責務であります。
 都はこれまで、大都市の特性を踏まえました認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備を初めとする福祉・医療改革あるいは教育改革など、国に先駆けて子どものための施策として推進してまいりました。
 こうした取り組みをさらに進めるために、昨年四月、福祉、保健、教育、労働など、さまざまな分野における子育て支援策を総合的に示した次世代育成支援東京都行動計画を策定いたしました。
 今後とも、次世代の健全な育成を支援するため、組織を超えた連携体制を築き、横断的、複合的、総合的な取り組みを進めていきたいと思っております。
 次いで、自動車NOχ・PM法についてでありますが、この法律は、大都市部の深刻な大気汚染の改善を目的としておりまして、その規制の実施は、本来、国の責任で行われるべきであります。
 しかし、国はどうも現場意識に欠けておりまして、規制の円滑な実施に向けて、中小事業者に配慮した十分な対策を講じておりません。そのため、法の対策地域内の事業者は、原則、新車への買いかえが必要でありまして、大きな負担を強いられているのが現況でございます。
 都は、そうした国の対策の不十分さを補うため、独自の買いかえ支援制度などを設けるなど、都内事業者への支援を行ってまいりました。
 今後とも、首都圏八都県市とともに、支援策の充実やNOχ・PM低減装置の開発、普及などについて、事業者に配慮した対策が講じられるよう、国に強く求め続けてまいります。
 最後に、文化振興策の方向性についてでありますが、東京は、さまざまな人材や資源が集中、集積し、文化芸術に関する大きな潜在能力を有しております。
 端的に、都庁舎からこの議場へ渡ってきます渡り廊下のスペースに飾る若い人たちの絵を募集しましたが、驚くほどヒンターランドが広いのに感心いたしました。また、非常にすぐれた作品もございます。
 そういう意味で、非常に他の自治体に比べて、東京にはそういう可能性が集積していると思いますが、これも踏まえまして、東京都の文化施策を語る会では、民間の第一線の方々から、観光と文化芸術との連携など、東京の潜在力を引き出すためのさまざまなアイデアをいただきました。
 今後も、東京の豊富な文化資源や人材を生かして、東京ならではの先進的な文化政策を展開していきたいと思っております。
 他の質問に関しては、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、学校給食におきます地場産野菜の使用の推進や学校と農家の交流、学童農園の確保についてであります。
 学校給食への地場産物の使用を通じました生産者との交流や、学童農園での生産体験は、生産者への感謝の気持ちや食の大切さをはぐくむ上で、教育的効果があるというふうに認識しております。
 都教育委員会では、関係団体と連携いたしまして、都内の地場産物情報を学校等へ提供し、学校給食における地産地消に取り組んでいるところでございます。
 今後、校庭や近隣の農地を活用しました学童農園の取り組みにつきまして、区市町村教育委員会への情報提供をするなど、その推進に努めてまいります。
 また、農地、農家が少ない地域の教育委員会に対しましては、都内の農業生産者の紹介を通じまして、都内産野菜の使用や農家との交流を促進してまいります。
 さらに、学校栄養職員を対象といたしました研修会などにおきましても、農業関係者を講師とした研修を実施するとともに、生産者と交流した事例を広く紹介するなど、学校における食育を一層推進してまいります。
 次に、小一問題についてでございます。
 お話のとおり、都内では、チームティーチングなど複数の教員によります指導体制を組んだり、必要に応じて専科教諭や養護教諭が担任を補佐したりするなどの工夫をいたしまして、効果的に対応している例がございます。
 このように、小一問題の対応には、担任が一人で抱え込むことなく、組織的に取り組むことが大変重要でございまして、都教育委員会は、今後、区市教育委員会の取り組み等も参考にしながら、小一問題の実践的な研究を行う地域を新たに指定し、教職経験者やボランティアなどの人材を、学習指導や生活指導の補助員として効果的に活用する方法について検証するなど、区市町村教育委員会と連携して各学校を支援してまいります。
 次に、幼児教育と小学校教育の連携についてでありますが、小一問題は、就学時における基本的な生活習慣が確立されていないことや、指導の内容や方法の変化に十分適応できないことなどが原因であることから、幼児教育と小学校教育との緊密な連携が求められております。
 このため、都教育委員会は、平成十七年度から、就学前の教育と小学校教育の接続を図るためのモデル事業を実施し、我慢することや粘り強さなど、基本的な生活習慣の定着を図るための指導プログラムの作成や、幼児教育と小学校教育の指導内容の連続性に配慮した教材や指導方法の開発を進めているところでございます。
 今後、平成十八年度中には、全都の幼稚園、保育所及び小学校へこれらの成果を提供いたしまして、幼児教育と小学校教育との緊密な連携を図るとともに、家庭への啓発を行うなどいたしまして、小一問題へ対応してまいります。
 次に、いわゆる小一問題などの喫緊の課題への人的措置についてでございます。
 お話のように、国の第八次教職員定数改善計画の策定が平成十八年度見送られる中で、こうした教育課題に対応するため、来年度について新たな定数配置を行うことは困難ではありますが、都教育委員会といたしましては、ご提案の趣旨を踏まえ、既存定数の再配置や非常勤講師の活用など、人的措置について一層創意工夫を図ることによりまして、今後とも教育水準の維持向上に努めてまいります。
 次に、学校教育のスタートについてでございます。
 小一問題などの課題はあるものの、小学校一年生は、本来、希望にあふれ、社会における集団生活の第一歩を踏み出す時期であります。期待に胸を膨らませて入学する子どもたちが、学習の基礎、基本を着実に身につけ、学ぶ楽しさを実感し、人との触れ合いを深めながら、元気で豊かな学校生活を送れるようにすることは、我々教育に携わる者の責務でございます。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携して、小学校第一学年の段階から、各学校が子どもの自立に向けて、個性や能力を伸ばす教育を一層充実するよう指導してまいります。
 最後に、都立高校の冷房化実現に向けた検討についてであります。
 区部の小中学校で普通教室の冷房化が進んでいることや、都立高校において保護者から普通教室の冷房設置に関します要望があることは承知しております。
 また、二学期制の導入や講習、補習の実施などによりまして、夏季の教育活動が変化してきているところでもございます。
 一方、冷房設備の導入につきましては、経費面はもとより、温暖化やヒートアイランドに対する影響など、検討すべき課題も多いと認識しております。
 ご指摘の環境への配慮や必要な経費の保護者負担のあり方なども含めまして、教室内の温熱環境改善につきまして、新たに十八年度に検討委員会を設置いたしまして、総合的に調査検討してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕

○港湾局長(津島隆一君)包括外部監査の指摘についてのお尋ねでございます。
 港湾局では、これまでも、事業の効率的、効果的執行を基本とするとともに、東京港の国際競争力の強化や臨海副都心開発など、多様で複合的な要素を持つ事業については、よりよい都民サービスを提供するため、長期的、経営戦略的観点から取り組みを進めてまいりました。
 しかし、社会経済状況の変化等により、現在では見直しが必要なものもあることは事実でございます。
 今回、包括外部監査を契機として、直ちに局を挙げて事務事業全般にわたる改善の取り組みを推進することとし、港湾局事務事業改善委員会を設置いたしました。
 施設の有効利用や埠頭公社の事業を初め、外部監査の指摘内容一つ一つを真摯に受けとめ、改善すべきところは速やかに改善し、都民サービスのさらなる充実に努めてまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)震災対策に関する三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、震災時における外出者の行動と対策についてでございますが、大地震が起こったとき、大勢の外出者の安全を確保するには、その行動を把握し、混乱を防止することが極めて重要でございます。
 都は、今回の被害想定で、初めてアンケート調査により外出者の行動を予測いたしました。その結果、駅周辺や道路に多くの滞留者があふれ、また、通信障害が生じ、不安からパニックを誘発し、危険な状態になるおそれがあることが裏づけられました。
 このため、外出者への適切な情報の提供や避難場所への誘導、災害伝言ダイヤル等、安否確認システムの周知などの対策が課題であることが改めて浮き彫りとなりました。
 今後、最終報告でまとめるターミナル駅別の帰宅困難者数の想定結果も踏まえ、区市町村や関係機関、事業者と連携して具体的な対策を検討し、地域防災計画に盛り込んでまいります。
 次に、震災時における地域と事業所との協力体制についてでございます。
 地震が発生した場合には、自助、共助の考え方に基づき、事業所も地域の住民等と協力して被害の拡大を防ぐことが重要でございます。
 既に、町会の会員として地域の防災活動に参加している事業者もございますが、都も、事業所が震災対策条例に基づく事業所防災計画を作成する際には、防災市民組織や町会などと協定を締結することを指導しております。この結果、現在、約六百の協定が締結されております。
 今後は、経団連や東京商工会議所などの協力を得るとともに、区市町村とも連携し、事業所への働きかけを強め、協定の拡大を図るなど、事業所と地域との連携協力体制の一層の強化に努めてまいります。
 最後に、白鬚東防災拠点の災害時行動マニュアルの策定などについてでございます。
 本拠点は、周辺の木造住宅密集地域の住民を災害から守るための避難場所であり、また、区部東部における防災活動の拠点でもございます。こうした機能を十分に果たし、避難誘導や避難者への支援を適切に行うには、区や施設管理者と拠点内の住民の役割分担を明確にし、連携協力体制を構築していくことが重要でございます。
 そのため、今後、ご指摘の趣旨を踏まえ、関係者による協議の場を設けるとともに、災害時行動マニュアルの策定に向け、住民に身近な地元区や関係局に強く働きかけてまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)都が所有する公共建築物、いわゆる都立建築物の耐震対策についてでございますが、都立建築物の耐震対策は、都民の安心・安全の確保のため、極めて重要であると認識しております。
 これまで、旧耐震基準に基づき建設された災害時に重要な役割を担う都立建築物について、順次耐震診断を行い、必要に応じ耐震改修工事等を実施してまいりました。その結果、現時点で耐震化率は、ご指摘のとおり、約九割となってございます。
 今後、学校、病院等の施設を重点に、耐震化の具体的な目標年次や優先順位等を盛り込んだ実施方針を策定し、都民の避難所となる都立建築物のすべてについて早期に耐震化を図るべく、鋭意取り組んでまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)五点のご質問にお答えいたします。
 まず、建築物の耐震改修促進計画についてでございますが、地震による建築物の倒壊等の被害から都民の生命を守るためには、建築物の耐震改修を促進することが重要であると認識しております。このため、都は、平成十二年に耐震改修促進実施計画を策定し、耐震化の促進に取り組んでまいりました。
 今回の法改正を踏まえ、国が本年一月に告示いたしました基本方針に基づき、平成十八年度の早期に耐震改修促進計画を策定し、耐震化の目標や、避難する人などの通行を確保すべき道路沿道建築物の耐震化を進める施策等について明らかにしていく予定でございます。
 また、平成十八年度に創設される耐震診断・改修の助成については、区と協力し、制度の定着を図っていくことが何よりも重要であると考えております。
 今後とも、区市等と連携を図りながら、首都東京の一層の安全性を目指して、災害への備えに万全を期してまいります。
 次に、白鬚東の防災拠点の貯水施設についてでございますが、この拠点は昭和五十七年に完成し、これまで墨田地区の防災拠点として機能してまいりましたが、墨田区役所一帯などの新たな避難場所の指定による想定避難人口の大幅な減少、周辺市街地の不燃化の進展や、白鬚西地区の防災拠点の完成などによる周辺環境の変化に伴い、拠点内の各種施設のあり方について見直しが必要となってきております。
 ご指摘の貯水施設は、白鬚東の防災拠点の完成時の想定に基づく水量を確保してきておりますが、平成十八年度に見直しを予定しております東京都地域防災計画における位置づけを踏まえて、適切に対応してまいります。
 次に、元墨田川高校堤校舎の避難施設としての活用についてでございますが、当校舎は、昭和六十一年四月から高校校舎として使用を開始し、平成十七年度末に使用を終了する予定でございます。
 校舎のうち体育館につきましては、地元墨田区からも、これを存続し、防災機能の一部として非常時の際の備えとする一方、平常時においては地元区民への開放利用に供するなどの活用を図りたいとの要望もあり、今後、区及び関係機関と調整しながら適切に対応してまいります。
 次に、都民住宅の空き家対策についてでございますが、都民住宅は、中堅ファミリー世帯向けの賃貸住宅として良質なストック形成に寄与してまいりました。しかし、近年の社会経済状況の変化の中で、一部の住宅で空き家が発生するようになってきております。
 その要因といたしまして、入居者の家賃負担額が毎年上昇することに加え、収入や家族構成などに制限があることなども挙げられます。このため、都は、今年度から、一定期間入居者を確保できない場合に、収入制限の緩和や単身者の入居を認めるなどの取り組みを開始いたしました。
 今後、都は、これらの周知に努めていくとともに、都民の入居を優先することを担保しつつ、都内在住在勤要件の見直しを行ってまいります。
 最後に、都民住宅制度の見直しについてでございますが、土地価格の下落や民間賃貸住宅の家賃水準の低下など、制度創設当初と比べまして社会経済状況が大きく変化した現在、一部の住宅では、中堅所得者向けの住宅としての制度本来の意義が薄れてきております。
 本制度につきましては、国の特定優良賃貸住宅の制度を活用しており、さまざまな制約があることから、抜本的な見直しに当たっては国との調整が必要でございます。
 このため、都は、今後、都民住宅ストックの有効活用に向けて、実情に応じて制度の適用期間の短縮を可能とするなど、制度の見直しを国に要望してまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君)震災時における東京東部地域の重要施設への給水の確保策についてでございますが、これまで水道局では、配水池の耐震補強や経年管の取りかえ、送配水管の二系統化など、施設の耐震性強化を進めるとともに、給水拠点の整備を図るなど、震災時の水の確保に努めてまいりました。
 今回の都の被害想定で大きな被害が予想されております東部地域におきましては、初期のダクタイル管の取りかえを重点的に行うなど、積極的に震災対策を推進していくとともに、発災時の応急給水体制につきましても万全を期してまいります。
 また、三次医療機関等の人命にかかわる施設に供給しております管路等につきましては、優先して早急に耐震化を図ってまいります。
 あわせて、震災時の復旧体制の整備状況についてでございますが、今回の都の被害想定も踏まえまして、一日も早い復旧の実現に向け、機動性や実効性を高めるよう、職員の参集態勢や民間事業者の確保策、資材の調達方法などの見直しを行っているところでございます。
 こうしたことで、東部地域の広域避難場所などの重要施設が震災時においても機能するよう、給水の確保や復旧に万全を期してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)東白鬚公園の非常用トイレについてでありますが、都は、平成十七年度に、既設の非常用トイレのふた部分を四十三基改善いたしました。震災時には、地元区が小中学校などに備蓄しております仮設トイレなどとともに、区と連携して避難者に提供してまいります。
 また、同公園の非常用トイレの効率的な活用につきましては、平成十八年度に見直しを予定しております東京都地域防災計画を踏まえ、今後検討してまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)高齢者福祉など六点のご質問をいただきました。
 まず、災害時の東京都リハビリテーション病院の医療体制についてでございます。
 白鬚東防災拠点内に所在いたしますリハビリテーション病院は、災害時におけるこの地域の医療救護活動の拠点としての役割を担っておりまして、災害発生時には、病院の常勤職員に加え、地区医師会から第一次医療救護班として医師三名を含む九名の職員派遣を受け、計百七十九名の体制で傷病者の応急処置や仮収容等を行うこととしております。
 また、患者搬送の必要が生じた際のヘリコプターの発着につきましては、東墨田運動場をヘリポートとして利用するほか、新たに整備されました白鬚西地区の多目的広場の活用につきましても関係局等と調整してまいります。
 次に、乳幼児医療費助成制度についてでございますが、本制度における所得制限の基準は、ご指摘のとおり、制度発足以来、国の児童手当に準拠してきたものでございまして、来年度、児童手当の所得制限の基準額が引き上げられることに伴いましても、これまでの経緯を踏まえ、都の乳幼児医療費助成制度の所得制限の緩和を行うことといたしました。
 なお、実施時期は、本制度の医療証の更新時期に合わせまして、平成十八年十月を予定しております。
 次に、ショートステイ支援事業についてでございますが、要介護高齢者の在宅生活を支えるためには、本人や家族のニーズに応じまして、必要なときにいつでもショートステイを利用できることが重要でございます。
 しかしながら、現状では、予約でいっぱいのため、緊急時に利用できないなどの課題が指摘されております。このため、例えば、特定の地域におきまして一定数のベッドを緊急枠として一元管理し、効率的に活用するなどの対応策について、その有効性を検証する安心して利用できるショートステイ支援事業を、来年度、三地区でモデル実施することとしております。
 今後、この検証結果を取りまとめ、その成果を全都へ普及することによりまして、ショートステイを安心して利用できる環境の整備に努めてまいります。
 次に、認知症高齢者への医療的な支援についてでございます。
 認知症は、早期発見、早期対応が非常に重要でございまして、そのためにも、高齢者と身近に接する機会の多い、地域のかかりつけ医の役割が大切でございます。
 このため、都は、かかりつけ医に対し、認知症の早期診断や認知症高齢者とその家族に対する適切な相談、援助のノウハウについての研修を、東京都医師会の協力を得まして、平成十八年度からの三年間で、都内すべての地区医師会において実施することとしております。
 また、かかりつけ医への専門的立場からの支援や地域の関係機関との連携の推進などを行う認知症サポート医の養成にも今年度から着手しておりまして、こうした取り組みにより、認知症になっても地域で安心して暮らし続けられるための医療的な支援体制を構築してまいります。
 次に、介護予防拠点の整備についてでございますが、運動機能の向上などの介護予防の普及を図るためには、身近な地域で拠点の整備を促進していくことが非常に重要でございます。このため、都は、平成十八年度から、新たに区市町村に対し、建物の新築、改修による介護予防拠点の整備について補助するとともに、国の交付金の対象とならないトレーニング機器等の設備設置に要する経費につきましても、引き続き補助することとしております。
 こうした取り組みにより、既存の社会資源の有効活用などを進め、平成二十年度までの三年間で、中学校区などを単位として設定されるすべての日常生活圏域において介護予防拠点の整備が図られるよう、区市町村に積極的に働きかけてまいります。
 最後に、障害者の就労促進についてでございますが、障害者の地域での自立した生活を実現するためには、障害者が職業を通じて社会参加を進めていくことが重要でございまして、都庁や都の関係施設においても、障害者の就労拡大を進めていく取り組みが必要であると考えております。
 都はこれまで、法定雇用率を上回る独自の目標を設定し、障害者の計画的な採用に努めますとともに、都の関連団体を通じた知的障害者等の雇用や作業所等への業務委託、障害者を多数雇用する福祉工場への積極的な発注などに取り組んでまいりました。
 今後とも、ご指摘の趣旨を踏まえまして、関係局や関連団体等とも連携し、さらに業務委託を進めるなど、障害者の就労促進に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)中小企業支援など五点のご質問にお答えいたします。
 まず、保証料率の弾力化についてでございます。
 信用補完制度見直しの一環として、本年四月に、現在は一律である保証料率が、個々の経営状況に応じて九段階に弾力化されると聞いております。これを前提にすれば、経営改善の努力が保証料の引き下げという形で報われる一方で、経営状況が厳しい中小企業については保証料負担が増加する場合があります。
 このため、都といたしましては、経営基盤が脆弱な中小企業の保証料の負担を緩和し、制度融資のセーフティーネットとしての機能が十分に果たせるよう、信用保証協会と連携して必要な措置を講じてまいります。
 次に、中小企業における技能継承の支援についてでございます。
 都内産業の活力を維持するためには円滑な技能承継が必要でありますが、特に中小企業においては困難な状況にあると認識しております。二〇〇七年を間近に控え、都としましても技能継承支援に本格的に取り組むこととし、拠点となる技術専門校に新たに技能継承の相談窓口を設置するとともに、今回拡充される助成金を初め、国の制度の活用を促す一方、都の制度により講師として登録した団塊世代の熟練技能者の紹介や、訓練施設や機材の貸し出しなど、総合的な相談に応じてまいります。
 また、個々の企業により継承すべき技能は異なることから、個別のニーズにきめ細かく対応した在職者訓練を技術専門校が実施するなど、効果的な技能継承支援策に取り組んでまいります。
 次に、育児休業の取得者の拡大策についてでございます。
 子育てをしながら働き続けられるようにするためには、育児休業制度を普及し、従業員の取得を促進することが必要であります。これまで都は、事業主に対する制度の周知を目的にしたセミナーの実施など、普及啓発に努めてきたところでありますが、今後さらに実効性を高めるためには、育児休業の普及に重要な役割を果たす中小企業の個々の事業主に対しまして、新たな国の助成制度の活用も含めた的確なアドバイスを行うことが効果的であると考えます。
 このため、従来の参加型セミナーに加えまして、人事管理や経営面で助言、指導を行っている社会保険労務士等による事業主への直接的な働きかけを図るなど、制度の普及と利用促進に向けた新たな取り組みを開始してまいります。
 次に、農業の振興と農地の保全に向けた総合的な農業ビジョンの策定についてでございます。
 東京の農業と農地は、新鮮で安全な農産物を都民に提供するだけでなく、農業との触れ合い、体験の場の提供や都市環境の保全、防災など多面的な機能により、都民生活上、重要かつ不可欠な役割を果たしております。
 しかし、農産物の価格低迷、市街化の進展に加え、高い地価や税負担など、厳しい環境の中、深刻な経営状況にありまして、相続時に農地を手放す人も多く、この十年間で千三百ヘクタールもの農地が減少しております。
 この状況を打開するためには、東京の農業に固有の課題や機能と役割、今後の展望を明らかにする必要があり、広範な都民の理解のもと、農業の振興と農地の保全を図るためのビジョンの策定について検討してまいります。
 最後に、農業との触れ合いによる児童生徒への食育の推進についてでございます。
 学童農園での農業体験や地元の農産物を使った給食は、生産現場との触れ合いが少ない子どもの健全な成長にとって極めて重要であります。このため、都では、学童農園の整備や運営支援、さらには地元の農産物の学校への紹介などに取り組んでまいりました。
 今後は、農業者と学校との交流を深め、農業者による学校での児童生徒への農業体験指導や、学校栄養職員との意見交換の機会の確保などの支援を進めてまいります。
 また、学校の要請に応じた地元の農産物の円滑で安定的な供給が図れるよう、農業協同組合の協力を得まして、複数農家による共同出荷や、出荷する農産物の規格の調整などを支援してまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)都立病院改革に関する二点のご質問にお答えいたします。
 豊島病院及び老人医療センターの運営形態に関する検討状況についてでございますが、昨年十月、豊島病院の板橋区への移管を断念した後、直ちに両病院の今後の方向性について関係局との協議を開始いたしました。
 現在、病院経営を取り巻く環境の変化なども踏まえまして、幅広く検討しているところでございます。
 次に、両病院の特色を生かした運営形態のあり方についてでございますが、老人医療センターは、高齢者の高度専門医療を行うモデル病院として、高齢者の生活の質の向上を図る医療を提供しております。一方、豊島病院は、地域医療を担う中核的病院としてその役割を果たしております。両病院が実際に果たしているこうした役割や機能を踏まえまして、関係局と検討し、結論を出してまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)環境科学研究所の排出ガス計測設備の整備についてのご質問でございます。
 環境科学研究所では、新長期規制以降の排出ガス規制にも対応した高精度の排出ガス計測を可能にするため、排出ガス計測システムなどの更新工事を今年度から実施しております。
 今後、この新しい設備を用いて、国の排出ガス規制の効果などの検証を行い、自動車排出ガス対策の一層の推進に役立てるとともに、ご指摘の点を踏まえ、装置メーカーなどの依頼にこたえ、排出ガス計測試験を積極的に受け入れてまいります。
 また、平成十八年度には、設備更新工事の実施という制約はありますが、工事期間を除いた時期において、休日の活用などの工夫を行うことにより、計測試験の受け入れをでき得る限りふやすよう努めてまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君)文化振興に関する二つの質問にお答えいたします。
 まず、文化芸術に関する情報提供サービスについてでございます。
 現在、都では、文化芸術の支援サイトである東京アートインデックスを運営していまして、アーチストがみずから投稿できる情報発信の場を提供するとともに、助成金などのアーチスト支援情報の収集、提供を行っております。
 平成十八年度には、東京アートインデックスを抜本的に見直しまして、都立文化施設のお客様向けホームページへの入り口ともなる新たなホームページを構築します。このホームページは、アーチストの作品を紹介するバーチャル見本市機能など、新たな機能を付与するとともに、文化施設の収蔵品情報や民間の文化情報を充実させるなど、東京の文化に関する総合的な情報提供を目指してまいります。
 次に、都立文化施設の機能についてでございます。
 都立文化施設は、都の文化施策を実現する拠点として、人類の文化遺産である芸術作品や貴重な資料の次世代への継承を行うなど、重要な役割を担っております。
 都はこれまで収蔵品の購入を中止しておりましたが、東京都の文化施策を語る会の提言も踏まえまして、七年ぶりに購入を再開することといたしました。今後、計画的かつ継続的に作品収蔵を行うとともに、他の美術館等との連携を強化しまして、効果的に活用してまいります。
 今後策定する文化指針において、こうした都立文化施設が果たすべき機能を明確にするとともに、各施設の評価等の仕組みを検討してまいります。

〇副議長(木内良明君)八十番清水ひで子さん。
   〔八十番清水ひで子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十番(清水ひで子君)日本共産党都議団を代表して質問します。
 今、貧困と格差の新たな広がりが日本の深刻な社会問題となっています。ところが、石原知事は、昨年の第四回定例会で我が党が知事の認識をただしたのに対し、全く的外れとまでいって、貧富の格差が拡大していることを認めようとしませんでした。
 その後、どうでしょうか。今では、国会では与党側からも格差拡大を懸念する声が上がり、新聞各紙が相次いで特集を組んでいます。政府の各種統計では、所得格差を示すジニ係数は過去最高に上昇し、とりわけ高齢者世帯と若者層での所得格差が深刻化していることは、専門家からも共通に指摘されています。国民生活白書も、若者層でパート、アルバイトが増加し、所得格差が拡大していると述べ、新聞の世論調査でも、七割を超える人が所得の格差が広がっていると答えています。
 重大なことは、貧富の格差拡大が東京でとりわけ進んでいることです。ヒルズ族に象徴される勝ち組が家賃数百万というマンションに住み、豪華な生活を送っていますが、都の生計分析調査によれば、勤労世帯でも格差が広がっています。一九九八年と二〇〇四年を比較すると、勤労世帯で収入が最も高い階層である第七段階の平均月収は約百三十万円で、ほとんど減額していません。他方、最も低い第一段階は、もともと低かった平均月収十八万八千円が十一万六千円へと約四割も激減しているのです。
 しかも、東京都は住宅家賃が全国の二倍、大阪と比較しても一・五倍と高いなど、最も生活費の高い都市です。それだけに、収入や年金の低下、増税と負担増はストレートに都民生活を直撃します。このため、国民健康保険料が払えず滞納する世帯は四世帯に一世帯と全国最悪、学用品や給食費などの就学援助を受ける児童生徒の比率も、全国の二倍の二五%にも及んでいます。
 知事、貧富の格差拡大についての、全く的外れ、日本は公平な社会などという知事の認識が事実に反することは明白です。前定例会での発言の撤回を求めるものです。
 貧富の格差拡大の原因は、小泉内閣が弱肉強食の市場原理と規制緩和万能の構造改革路線を進めてきたことにあります。大企業の利潤追求を最優先し、リストラ応援による雇用の破壊、非正規雇用の拡大、中小零細企業への貸しはがし、貸し渋りを進めたばかりか、庶民増税と社会保障の連続改悪で、所得の再配分を大後退させた結果にほかなりません。
 同時に見過ごせないことは、東京では石原知事がこれに追い打ちをかけてきたことです。
 例えば、都民が低家賃の住宅を求めていながら、都営住宅の新規建設は中止し、低所得者のための都営住宅家賃免除も廃止してしまいました。高齢者は裕福だとして、老人福祉手当の廃止、老人医療費助成の段階的廃止など、経済給付の軒並み切り捨てを進めてきました。寝たきり高齢者を抱えた家庭では年間六十六万円の給付減、老人医療費助成、シルバーパスの見直しの三つの事業全体でも、九九年度と比べ削減額は約六百十七億円、東京の高齢者一人当たりでも年間三万円近い給付が削減されたのです。こうした結果が、生活保護世帯の急増や高齢者の外来受診率の低下につながり、シルバーパス利用率の七割台から五割台への後退を引き起こしています。
 知事、貧富の格差に心を痛め、それを是正するのが政治の役割ではありませんか。今こそ自治体として所得の再配分機能を発揮するときです。そのために重要な役割を持っている経済給付的事業の充実を初め、あらゆる努力を尽くす必要があると思いますが、見解を伺います。
 住民税などの増税に伴い、国保料、介護保険料、都営住宅家賃など、雪だるま式の負担増となって襲いかかろうとしています。軽費老人ホームの家賃も、住民税課税になると、五万円前後の値上げになる人が少なくありません。こうした増税に連動した負担を抑えることは急務になっていますが、どうでしょうか。
 また、私たちが、住民税課税によって一気に二万五百十円にはね上がるシルバーパスの負担軽減を求めたことに対し、都は慎重に対処すると答弁をしてきましたが、どのように対応するのですか、伺います。
 さらに、シルバーパスの負担については、多くの高齢者から、二万五百十円は高過ぎる、もっと下げてほしい、収入に応じた負担にしてほしいなどの声が上がっており、東京都バス協会にも同様な要望が寄せられていると聞きました。
 多くの高齢者が利用できるよう、住民税課税者に対して三千円パスの導入など、所得に応じた負担軽減を検討する段階を迎えていると思いますが、いかがでしょうか。
 小泉内閣が国会に提出した医療改悪法案は、七十歳以上の高齢者の窓口負担を倍増させて、お金のない人は医療を受けられない事態を招くだけでなく、保険でかかれる医療を縮小し、国民皆保険制度を土台から壊すものです。
 法案について知事はどのように認識していますか。法案の撤回を政府に求めるとともに、都の老人医療費制度マル福は、六十八、六十九歳の現行制度を継続することを求めるものです。それぞれお答えください。
 失業と不安定雇用に苦しむ若者たちに都として手を差し伸べることも急務です。東京でも、二十九歳までの青年の四割が非正規雇用です。非正規雇用者の平均賃金はわずか月額十一万円、しかも一方的な解雇が行われるなど、無法状態が広がっています。こうした事態は、若者の生活と未来を破壊するとともに、少子化をさらに進め、東京と日本の将来にも深刻な問題を引き起こします。事態の深刻さにふさわしく、都が対策を強化拡充することが求められています。
 既に静岡、兵庫、石川県などで、若者向けの就労相談や支援の窓口を県内各所に設置する努力が始まっています。東京でも、若者が人間らしく働ける職場の開拓、気軽に相談できる窓口、専門的技術や知識が習得できるような機構を、多摩地域を含めてふやしていくことが必要と思いますが、どうですか。
 鳥取県では、来年度から、正社員と非正社員の処遇の格差是正を事業所に働きかけることになりました。新規事業として予定しています。都としても、経済団体に対し、若者の正規雇用の拡大を初め、非正規労働者の賃金など労働条件の格差是正、法律の厳格な適用を働きかけることを求めます。
 若者が安心して住める住宅の支援も求められています。都営住宅の建設促進を図るとともに、単身用住宅を若者にも提供することが求められています。また、所得の低い若者に安い家賃の借り上げアパートを提供することや家賃補助を行うなどの対策が急がれています。答弁を求めます。
 次に、石原都政七年の都政運営と予算編成について伺います。
 石原知事は、この七年の間に、都財政は厳しいなどといって、二次にわたる財政再建推進プランを策定し、都が全国に先駆けて実施してきた福祉を初めとするすぐれた都民施策に大なたを振るってきました。
 とりわけ、福祉はぜいたくだといって切り捨ての中心に置き、シルバーパスや老人医療費助成、老人福祉手当などの経済給付的事業、さらには、特別養護老人ホームの都加算補助や認可保育園の職員給与の公私格差是正制度など、都独自の福祉施策の切り捨てを行ってきました。
 都は、保育を除くこれらの事業の見直しだけで九百二億円もの財源を捻出したと誇っています。弱い者いじめをしたことを誇る。本当に異常です。
 都立施設の廃止も次々と行われました。こうした切り捨ての結果、福祉保健費は、知事が最初に編成した二〇〇〇年度からの四年間の決算で五百三十九億円も減らされ、一般会計に占める構成比も一〇・七%から一〇・一%へ後退しています。知事がいかに福祉を軽視したか明白です。
 しかも、この間、都税収入は、財政再建推進プランの見込み額よりも一兆三千億円も多かったのです。福祉切り捨ての理由は全く成り立ちません。切り捨てどころか拡充できたではありませんか。
 今、知事は、来年度予算案では福祉予算を額、率ともに大幅にふやしたと宣伝しています。しかし、これにも重大なごまかしがあります。国が国民健康保険に対する負担金を都道府県に押しつけてきたことや、国の制度である介護保険、児童手当などの事業費がふえたことを除けば、実質、今年度より減額であり、しかも、年度末には毎年三百億円前後も使い残しているように、決算では大幅に減ることは確実です。
 しかも、今年度最終補正と来年度予算を合わせて五千七百億円もの税収増となるのに、子どもの医療費拡充など切実な都民要求のほとんどは取り入れられませんでした。増収を都民のために使うことをまたまた拒んだのです。
 福祉費の削減で、とりわけ高齢者の福祉水準が大後退しています。高齢者介護の重要な施設である特別養護老人ホームでは、東京都は七年前には全国の中で二十五位でしたが、今では三十一位と後退しました。来年度予算でも、埼玉県が二千五十八床ふやすのに、東京はその半分程度しかふやさないのです。老人保健施設は相変わらず全国最下位で、知事がふやしたという認知症グループホームの整備率も依然全国最低水準です。
 政令市との比較でも、シルバーパスは、東京都が全面有料化したのに対し、札幌、千葉、京都、大阪で所得制限なしで無料、広島、福岡では所得制限はありますが、いずれも無料が守られています。七十歳以下の老人医療費助成も、札幌、さいたま、京都、大阪、福岡など八つの政令指定都市で存続しているのです。
 この七年間の東京の福祉のあり方を見ると、知事のいう福祉改革とは、国の基準以上のことはやらないという方向に東京の福祉を変質させていくとしか思えません。知事が鳴り物入りで導入した認証保育も、施設や職員の配置の基準は、認可保育所に比べて極めて不十分なものです。
 知事、保育のように国基準以下のことしかやらないというのであれば、自治体の存在意義はありません。福祉費を抜本的にふやし、介護保険の保険料や利用料の減免、障害者の自立支援法の施行に伴う負担増に対する本格的な減免制度、子どもの医療費助成の中学生までの拡大や所得制限の撤廃など、都独自の上乗せや単独事業などを拡充することが求められていると思いますが、答弁を求めます。
 もちろん、借金返済や将来のための財政調整基金などは必要ですが、ふえた税収の一部を福祉に使うだけで、都民の切実な要求をたくさん実現することができます。
 私はこの際、高齢者のための介護基盤整備について三点伺います。
 第一に、ひとり暮らし高齢者が多い東京では、施設整備の重要性は特に大きいという認識を明確にして、特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホーム、地域に密着した小規模多機能施設などを思い切ってふやすことです。
 第二に、重い介護度の人、医療の必要な人も在宅で生活できるよう、訪問看護や在宅医療、とりわけ夜間の体制を拡充することです。二十四時間対応型訪問看護ステーションモデル事業の実施、医療型多機能サービスに向けた訪問看護の充実強化、有床診療所や小規模病院を医療型小規模多機能施設として利用する補助制度の創設を初め、都独自施策の検討を求めるものです。
 第三に、リハビリテーションの充実です。病院を退院した患者さんが集中的なリハビリを行うことで在宅生活ができるようにする回復期リハビリテーション病床は、人口十万人に対し五十床必要とされていますが、東京は十二床にすぎず、全国最低水準です。自力で歩けない患者さんの多くが、退院時は歩いて帰ることができるなどの成果を上げている回復期リハビリテーション病床の役割を重視し、整備促進に取り組むことを提案するものです。それぞれ見解を伺います。
 石原都政の七年は、こうして全国最悪の福祉切り下げを進める一方、都財政に困難をもたらした最大の要因である大型開発を、都市再生の名のもとに温存し、拡大してきました。それは、羽田の国際空港化や首都高速道路中央環状品川線など、本来、東京都が負担する必要のない事業にまで大盤振る舞いするなど、異常なものです。
 このため、都の投資型予算は、都営住宅や公園、生活道路の整備など生活改善型投資の削減などにより、バブル時より減らされましたが、大型開発に支えられ、いまだに一兆円規模で高どまりしています。過去の借金の返済である公債費と合わせると、一般会計の四分の一を占め、福祉などを大きく圧迫するものとなっているのです。
 二〇〇〇年度から四年間の決算では、土木費と都市計画費だけでも五百七十九億円もふやされ、一般会計に占める比率も一・三%上昇しています。この結果、二〇〇〇年度には福祉関係費の方が土木関係費より多かったのに、二〇〇四年度には土木関係費の方が百二十六億円多くなりました。まさに予算の使い方が逆立ちしてしまったのです。
 知事は、来年度予算案について、十四年ぶりに投資的経費が二年連続増額などと誇らしげにいっていますが、とんでもありません。投資的経費の増加の陰で、どれだけの都民が痛みに耐えているのか、考えたことがありますか。新聞でも、ハード系偏重の傾向が強まり、都民生活への目配りが足りないと指摘されているではありませんか。しかも、都市再生のための財政負担はこれからどんどんふえ続けます。
 東京都が財政負担する大型道路の今後の計画は、知事が強調する三環状道路に加え、新たに二兆六千億円の事業費で計画された区部と多摩の都市計画道路、さらには、オリンピックとの関連で浮上している二兆円規模の高速道路多摩新宿線など、巨額の道路建設がメジロ押しで、都の負担も莫大なものになります。この方向を進めれば、ますます福祉などが削られ、既に七兆円規模に達している都の借金もさらにかさむことになります。
 三環状道路を中心とした大型道路の建設は、知事がいっているように決してバラ色のものではありません。都市再生は、大型開発を推進しながら幹線道路をつくるのですから、新たな自動車交通を呼び込み、道路と車のイタチごっこを続けることになるからです。
 我が党は、センター・コア内の開発が進めば、十四万台の自動車交通がふえ、渋滞が解消しないことを明らかにしました。実際、圏央道の場合、国や都は、埼玉と青梅間の開通で周辺の交通量が減ったと宣伝していますが、実は逆に自動車交通を呼び込み、圏央道と並行して走る国道一六号線では、開通後、交通量はふえています。
 知事、大型開発や幹線道路計画のあり方を抜本的に再検討することも必要です。そして、都市計画を、人口減少時代にふさわしい身の丈に合ったものに抑制するとともに、投資の規模を現在の半分程度のバブル前の水準に戻していくことが必要であると考えますが、どう考えますか。
 また、投資の中身も、大型開発一辺倒から、都営住宅や生活道路、公園、産業基盤などの生活改善型に切りかえていくことも重要ですが、あわせて答弁を求めます。
 都市再生のゆがみは、都財政だけでなく、さまざまなところにあらわれています。その最大のものは環境破壊です。
 都市再生によるオフィスビル中心の再開発は、センター・コア内だけで敷地面積で五百ヘクタールを超え、東京ドーム百個分以上の開発計画が立てられ、この七年間だけで、高さ百メートルを超える超高層ビルが百三十四棟、延べ床面積千百四十万平方メートル、地上五十五階の新宿三井ビル六十三棟分も建設され、ビル排熱や二酸化炭素の排出とともに、自動車交通の増大をもたらしています。
 知事は、国際的な都市競争に勝つために都市再生を進めるといいますが、このような大型開発一辺倒の都市開発は、世界の流れにも逆行するものです。
 人口減少に直面し、地球温暖化対策への取り組みを強めているヨーロッパの都市再生は、環境との共生による持続可能な都市づくりであり、社会的格差を是正しようとするものです。アメリカでも、サンフランシスコやシアトルなどの都市で成長管理政策がとられ、メリーランド州でも、スモール・グロース政策といって、都市の成長を穏やかなものにコントロールする努力を行っています。
 知事、都市のあり方を転換し、都市部に業務機能を集中するのではなく、環境に優しく、地域ごとに職住近接を目指す地域再生にこそ取り組むことを求めます。
 そして、交通政策は公共交通中心へ転換し、専らトラックに依存している貨物輸送についても鉄道に戻していくこと、水運の復権を目指すことなど、長期的視点から見直しを検討することが求められています。それぞれ答弁を求めます。
 石原都政の逆立ちした財政運営は、中小企業対策にもあらわれています。すなわち、中小企業対策予算は、石原知事の七年間だけでも約四割減らされ、ピーク時の四七・六%の水準にまで後退させられてしまったのです。
 その一方で、困っている中小零細企業には役に立たない新銀行東京には一千億円もつぎ込んでいます。しかも、その新銀行は、貸し出しが預金の三割程度にとどまるなど、経営が成り立つ状態にはありません。本当にひどい話です。
 知事、中小企業の困難をどう認識しているのですか。苦しんでいる中小企業を救済し、支援を強めるために、中小企業予算を抜本的にふやすことを求めます。
 石原都政は、官から民へ、小さな政府のかけ声で住民サービスから撤退し、営利企業にそのサービスをゆだねていく方向を強めています。その結果、利用料が高い認証保育に見られるように、収入が少なく生活の苦しい都民は、子どもを預けることができなくなったり、民間企業が参入したスポーツ施設では体育館やプールが利用できなくなるなどの状況が広がるのは必至ではありませんか。その一方で、民間企業が受け持っている銀行経営にわざわざ東京都が乗り出す、こんなおかしな話はありません。
 知事、知事は新銀行の経営についてどう認識しているのですか。新銀行は傷が深くならないうちに処理し、出資した資本金を回収することが必要になっていると考えますが、いかがでしょうか。
 東京の産業の九割以上を占めている中小企業は、それこそ東京と日本の経済を下支えしている重要な産業です。経済を活性化するというのならば、何よりも中小企業への支援こそ全力を尽くすべきです。
 そのために、中小企業を支援する条例を制定することが極めて重要です。既に茨城、埼玉、群馬、山梨、三重などが、中小企業や地域経済の振興に着目した条例を制定し、予算の確保や施策の拡充に踏み出しています。都道府県段階のこのような条例は、国が中小企業法を改悪し、中小企業支援の仕事から手を引いていこうとしているもとで、その意義は大きなものがあります。それは、都道府県が中小企業の生き残りと振興に積極的役割を果たす決意を示し、かつ、みずからの責務を条例として定めることで、地域経済の振興と中小企業の振興を推進することは極めて重要です。
 知事、中小企業を支援する条例の制定を検討することを提案するものですが、いかがですか。
 我が党は、策定に当たっては、予算の確保の義務づけ、分野別の振興プランの策定、東京のものづくりの振興、地域商店街の活性化と大型店の出店のルールづくりと商店会加盟の義務づけ、商工指導所や各種試験研究機関の設置など、東京都が果たすべき役割をはっきりと都民に約束する内容とすることが必要と考えています。
 また、工業、商業、建設業、アニメなどの分野別の振興プランの策定は、国が分野別、業種別の支援の仕組みを投げ出したもとで欠かせません。早急に振興プランを策定されるよう求めておくものです。
 中小企業対策予算の減の最大の要因は、業者の命綱といわれている融資制度の後退です。都はこの間に、制度融資の担保となる原資を最高時の五四%まで引き下げた結果、銀行の通常の利息が取られる融資が大半を占めることになったのです。このため、貸出実績は減り続け、一番多かった一九九二年度の半分の水準という異常な事態を迎えています。
 知事、制度融資を受ける人は、債券発行による資金調達の対象とならない、経営の厳しい小零細の業者なのです。せめて低利の政策金利を柱に据えることや、国のセーフティーネットを活用した京都府並みの借りかえ融資を行うなど、切実な業者の要望に耳を傾けることを求めますが、いかがでしょうか。
 我が党は、このような逆立ちを転換し、切実な都民要望にこたえる予算を実現するために全力を尽くすことを申し述べておきます。
 次に、教育の問題です。
 すべての子どもたちに確かな学力と生きる力をつけることは、多くの都民の願いです。学級の中には、勉強がおくれがちな子、授業に集中できない子などがふえています。子どもたちは以前にも増して行き届いた教育を必要としています。
 そのためには、まず三十人学級を初めとした少人数学級を実現することです。全国では少人数学級の実践が始まり、学力も生活習慣も身につくと歓迎されています。
 文科省も昨年、少人数学級に踏み出す立場を示しました。ところが、安上がりの教育を推進する経済財政諮問会議と財務省からの圧力によって、来年度は見送られたのです。私は、未来を担う子どもたちに必要なお金を使わないという政府の姿勢に強い憤りを覚えます。
 しかし、その中でも、東京都とともに少人数学級を実施していなかった香川県は、来年度から、主に生活指導の面から必要性を認め、中学校で少人数学級に踏み出すことになりました。また、既に少人数学級を実施している道府県も、実施学年を拡大するなど、年々規模と内容を拡充しています。
 東京都内でも、既に半数近くの私立中学校で三十五人以下の少人数学級を実施しています。実施している学校は、よりきめ細やかな指導を実現する学級二十八人など、少人数学級をセールスポイントにしているのです。生徒や保護者から喜ばれています。
 また、少人数学級が小一プロブレムの対応で効果を上げていることが、各地の取り組みで示されていますが、都教委自身も小一プロブレムへの対応の必要を認めているではありませんか。
 知事、県段階で少人数学級に踏み出していないのは、とうとう東京都だけとなってしまいました。他県では、子どもたちの教育のために優先してお金を使っているのです。東京都として三十人学級を初めとした少人数学級に踏み出すことを改めて求めます。
 来年度からの香川県もそうですが、他県では加配教員を活用して少人数学級を実施しています。少なくとも区市町村が加配教員を活用した少人数学級も選択できるようにすることを検討すべきだと思いますが、見解を伺います。
 各自治体がみずからの予算で少人数学級を実施することを認めるのは当然ですが、いかがですか。答弁を求めます。
 また、教員が置かれた状況を改善することも急務です。
 これまでも教員の勤務は、休憩時間がほとんどとれないほど過密でした。小学校の教員の場合は、出勤して直ちに教室に行き、子どもを迎える。連絡ノートに目を通したり、子どもの話に耳を傾けたり、提出物を整理したり、朝自習の指示をしたり、学習プリントの印刷など大忙しです。
 それに加え、最近は、研修のレポート提出がふえ、会議も毎日のようにある。また、用務、警備、事務などの職員がどんどん削減され、その分の仕事も教員がやらざるを得ません。さらに教育改革の名で、絶対評価や観点別評価のための仕事がふえ、入試制度の変更や進路指導の複雑化による事務量の増大など、私が小学校の教員をしていたころには考えられない忙しさとなっています。
 今、教員は、子どもを引きつける授業をしたくても教材研究の時間がとれない、放課後勉強を教えたくてもできないと訴えています。教員は、子どもとかかわったり授業の質を上げることに時間を割きたくても、それができないのです。
 このような過酷な条件のもとで、教員の健康はむしばまれ、ストレスが原因での病気がふえています。また、定年前に退職する人がふえ、小中学校では定年退職者の一・七倍にも上っています。
 足立区の教職員の組合が行った勤務実態調査では、小中学校の教員の五人に一人が月八十五時間を超える超過勤務をしていることが明らかになりました。厚労省がいっている過労死の危険ラインは月八十時間ですから、多くの教員が過労死の危険と隣り合わせの状況にあり、実際に過労死も出ています。
 私の子どもが通っていた中学校の三十四歳の先生は、二年前に亡くなり、過労死と認定されました。担当の授業のほか、学年主任、指導主任としての職務、複数のクラブの顧問としての活動、生徒や保護者との対話も積極的に進め、学年通信も頻繁に発行していました。このため、週休日や振りかえ休日にも出勤し、時間外勤務は百二十八時間、四十一日間連続勤務をしていました。子どもたちによりよい教育がしたいと全力で努力していた教師の生命が失われてしまったのです。生徒の心もどんなに傷ついたでしょう。
 だからこそ、中学校長会でも、教員の過酷な実態を指摘し、その改善を強く要望しているのです。管理者の目から見ても、教員の長時間過密労働は一刻も早く改善しなければならない事態に直面しています。
 このような小中学校の教員の過酷な勤務実態についてどのように受けとめているのですか。また、都として教員の勤務実態調査を行い、改善することが必要と考えますが、答弁を求めます。
 文科省が目安としている、一時間の授業に一時間の準備ができるだけの教員配置を実質的に実現するために、教員配置を抜本的に改善することが必要ですが、どうですか。
 また、警備員や用務員などの職員を増配置するために、都として必要な支援を行い、促進することが求められています。答弁を求めます。
 最後に、東京オリンピック招致についてです。
 我が党は、オリンピックそのものには反対ではありませんが、巨大開発の口実とされたり、環境破壊につながるような計画とセットにされることになるなら、招致には賛成できません。
 もちろん、オリンピックの開催に当たって、一定の施設や基盤整備は必要となります。しかし、それが過大であったり、環境に大規模な影響を与えるものであってはなりません。
 だからこそ、JOC会長の竹田恒和氏も、オリンピックの開催は、開催都市並びに開催国に財政問題、環境問題、大会終了後における競技施設の維持管理を含めた後利用問題など大きな問題を残していることも残念ながら事実であると述べているのです。
 また、オリンピックの招致は、施設面、環境面、財政面などの検討課題、さらには市民の合意や熱意、国を挙げての支援などが不可欠で、その実現には周到な準備が必要とされます。
 市議会が招致決議を行った札幌市では、札幌開催の経費の試算を公表し、市民アンケート調査を行いました。その結果は、賛成、反対ともに三分の一で、市長はこの結果を受け、市の財政状況も勘案し、札幌開催を見送る決断を行ったのです。
 ところが、石原知事はどうでしょうか。本定例会の施政方針では、五輪開催に向け、三環状道路などの集中的な整備、羽田空港の再拡張、臨海副都心開発の促進など、専ら都市基盤整備の推進を表明しました。また、昨年、みずからが氏子総代を務める明治神宮周辺の大再開発構想に言及しています。知事の一連の発言はすべて、オリンピックをてこに大型開発を進めようとするものです。しかも、都民とともに計画を練り上げていくという立場も見受けられません。
 知事、招致するというなら、まず、どのくらいの規模の建設や開発が必要なのか、財政はどのくらい必要になるのかを都民の前に明らかにすることこそ必要ではありませんか。いまだに公表されていない東京オリンピック基本構想懇談会への提出資料や審議内容の議事録を速やかに提出していただきたい。
 都としての東京オリンピック開催計画、開催に向けての基盤整備や関連する開発計画の全容を明らかにすることを求めます。
 同時に、それらに必要な事業費、都の負担額、招致経費も含めて、一体どれくらいかけるのか明らかにすべきです。
 来年度一千億円の基金を積み立てるとしていますが、なぜ一千億円なのか、その根拠と、最終的に基金を幾らまで積み立てるのか、それぞれ知事の明確な答弁を求めます。
 石原知事は、招致表明以来、オリンピックの根本精神である平和について発言がないばかりか、オリンピックの基本理念についての言及すらありません。本当に不可解なことです。
 我が党は、オリンピックが平和の祭典と呼ばれるように、オリンピック憲章の平和の基本理念の実現に貢献するものでなければならないと考えます。そして、できるだけ簡素で、環境に配慮したものでなければならないことを申し述べ、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)清水ひで子議員の代表質問にお答えいたします。
 世界に格差のない社会というのは存在しないと思います。当然、日本にも格差はあるでしょう。しかし、私、その格差がいまだに危機的なものと思っておりませんから、前回の発言について撤回するつもりはございません。
 次いで、経済給付的事業の充実についてでありますが、共産党が望んでやまない貧困も格差もない社会なるものが、いかに悲惨で非人間的であるかは、崩壊した共産主義社会というのが証明してきたわけですけれども、しかし皮肉なことに、残っている、あなた方の元祖か何か知りませんが、中国は、モーターショーで一億円の車を買うばかみたいな成金が四十人もいたと思うと、一日働いても働いても、年間通じての所得を三百六十五日で割りますと、何と一元、一元って、私、数百円かと思ったら、日本円にして十四、五円だそうですね。それにも及ばない貧農がはんらんしている。
 まあ、そういう現況というのはあるわけでありますが、元来、人間が構成する、造成する社会にある程度の幅があるのは当然でありまして、そこから社会のダイナミズムも生まれてくると思っております。その意味で、私は、日本にはまだまだ格差の生むダイナミズムというのは十分にあると思っております。
 さらに、経済給付的事業を充実しろという主張は、都政を共産党好みのばらまき行政の時代に逆戻りさせるということでありまして、東京から人間の意欲を失い、かつ活力を奪おうとするものでありまして、これは決して受け入れられるものではございません。
 医療制度改革についてでありますが、人口減少社会がいよいよ現実のものとなった今、右肩上がりを前提とした我が国の社会システムを、新しい時代に見合ったものへと変革することが急務でありまして、医療制度改革についても、その一環として行われるものと認識しております。
 なお、老人医療費助成制度については、介護保険制度の成立などを踏まえ、七年間にわたる十分な経過措置を設けて廃止することが都議会で議論を経た上でまず決定されており、これを覆して存続することは考えておりません。
 福祉施策についてでありますが、多様化する都民の福祉ニーズに的確にこたえるため、都は、地域で自立を支える新しい福祉を目指す福祉改革を推進し、必要な施策に財源を集中投入してきました。都民の広範な支持を得て、既に三百カ所を超えた認証保育所の設置など、これまでの都独自の施策展開に加え、今回は、障害者自立支援法の施行に伴い、新たに発生する利用者負担の軽減措置を行うなど、真に必要なサービスについて拡充を図っております。
 これまでの改革をさらに前進させ、将来世代にわたって信頼できる、揺るぎない安心を実現するため、先般、福祉・健康都市東京ビジョンを策定いたしました。今後は、このビジョンに基づき、民間、地域、行政、それぞれの力を最大限生かした効率的、効果的な施策を展開し、大都市東京にふさわしい福祉、保健、医療サービスの一層の充実を図ってまいります。
 次いで、投資の規模についてでありますが、平成十八年度予算では、投資的経費が二年連続の増となるなど、投資的経費にも財源を配分できる体力が戻りつつありますが、東京の都市基盤は依然として立ちおくれた状況にあり、現在の投資水準が過大であるとは全く考えておりません。
 都市基盤の整備は、都民生活を安定的に支え、その質を高めるために極めて重要でありまして、東京の再生のため、引き続き積極的に投資的経費を確保してまいります。
 投資の中身についてでありますけれども、都は、決して大型開発に偏重した投資を進めているわけではなく、これまでも、生活福祉関連事業を初めとするさまざまな基盤整備に着実に取り組んでまいりました。都が行ってきた基盤整備は、すべて都民の生活改善を目指したものであり、今後とも、これまで同様、都民が真に必要とする事業を引き続き進めてまいります。
 こうした点は、都民に十分に理解されていると思います。これまでの方針を改めるつもりはございませんし、その必要もないと心得ております。
 中小企業予算についてでありますが、都内中小企業は、景気が回復しつつあるものの、いまだに厳しい状況にあると認識しております。
 都はこれまで、新銀行東京や債券市場の創設のほか、中小企業再生支援などの都独自の施策を全国に先駆けて実施するなど、中小企業の支援策の拡充に努めてきました。また、来年度は、企業の物流効率化の支援や中小企業事業化支援ファンドなど、新規施策に取り組むこととしております。
 予算額の減少は制度融資預託金などの減少によるものでありまして、制度融資の目標額については逆に大幅に増加し、一兆七千五百億円となっております。単なる予算額の推移、多寡のみで事を評価することは、本質論から外れて、適当ではないんではないでしょうか。
 今後も都は、先進的かつ独自性を持った効果的な取り組みを講じ、中小企業の振興に努めてまいります。
 ちなみに申し上げますと、私、最初の選挙のときに、いわゆる中小企業の支援のためのCLO、CBOの提案をいたしました。そのときに真っ先に強烈に反対したのは共産党の指導者でありましたが、これが成功することで、現にその中から、都下から四十三の会社が上場にこぎつけております。
 次いで、中小企業を支援する条例の制定についてでありますが、東京の産業振興のためには、物流改革など都市政策との連携により産業活動を支える基盤の強化に向けた取り組みが不可欠であります。
 中小企業はもとより、東京の産業力の一層の強化を図るため、共産党の主張とは異なる立場から、既に申し上げたように、将来の産業施策の骨格となるビジョンの策定等に向けた検討に取り組んでおります。
 次いで、三十人学級についてでありますけれども、学級編制基準をどう定めるかについては、教育行政の根幹にかかわることであり、法的にも、所管する教育委員会がその専門的な立場から判断すべきものであります。
 児童生徒が集団生活の中で社会性を養うという観点から、生活集団としての学級には一定規模が必要とする教育委員会の判断は妥当であると考えております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず区市町村の判断によります加配教員を活用する少人数学級についてでありますけれども、限られた教員定数の活用につきましては、教育効果という観点から、都教育委員会が主体的に判断すべきものと考えておりまして、これまで少人数指導につきまして、国の教職員定数改善計画を踏まえ、着実にその充実を図ってまいりました。
 都教育委員会といたしましては、学級には一定規模が必要である一方、基礎学力の向上に配慮して、きめ細かな指導を行っていくために、少人数指導の充実に努めていくという従来の方針に変わりはございません。
 次に、各自治体がみずからの予算で少人数学級を実施することについてでありますが、都教育委員会といたしましては、児童生徒が社会性を養うための教育効果の点で、生活集団としての学級には、一定の規模が必要であると考えております。
 なお、現在、区市町村が経費を負担して独自に教員を任用することができる構造改革特区制度を全国化する法案が、国会に提出されていると聞いております。今後、国の動向を注視してまいります。
 次に、小中学校の教員の勤務実態についてですが、教員の勤務につきましては、第一義的に、服務監督権者であります学校長が適切に管理するものでありますが、時代によって学校を取り巻く課題は変化しておりまして、近年では、いじめや不登校、学力向上、安全確保などの課題がありまして、個々の学校や教員によってさまざまな勤務実態があると認識しております。
 次に、教員の勤務実態調査についてであります。
 文部科学省は、来年度に教員の勤務実態調査を行うための予算を計上しておりまして、都教育委員会としましては、今後、国の動向を注視しながら対応してまいります。
 次に、小中学校の教員配置の抜本的な改善についてでありますが、都教育委員会は、いわゆる義務標準法に基づきまして、学級数に応じて教員を配置するとともに、国の教職員定数改善計画を踏まえ、少人数指導の充実に向け、必要な定数措置を講ずるなど、教職員定数の改善に取り組んできたところであり、お話のような教員配置の抜本的な見直しは考えておりません。
 最後に、区市町村への支援についてでありますが、区市町村立学校の運営につきましては、設置者であります区市町村の責任において対応すべきものでありまして、お話のような警備員等の職員の増配置は、区市町村がそれぞれの実情に応じまして主体的に行うべきものと考えております。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)四点のご質問にお答えいたします。
 まず、税制改正に伴う都営住宅家賃の負担の抑制についてでございますが、平成十六年度の公的年金や老年者の控除にかかわる税制改正は、世代間及び高齢者間の負担の公平を確保するため実施されたものでございまして、これに伴う法令の改正により、都営住宅の家賃算定方式が変更されたところであります。
 法令では、老年者控除の廃止により都営住宅家賃が引き上げとなる場合、激変緩和のため三年間の経過措置が設けられ、既に実施されているところでございます。
 次に、若者への住宅支援についてでございますが、現在、都内の住宅ストック数は世帯数を一割以上上回っており、中でも若者が多く入居している小規模な民間賃貸住宅は、十分に供給されております。また、セーフティーネットとしての住宅施策の実施に当たりましては、民間賃貸住宅に入居しにくい高齢者世帯や子育てファミリー世帯など、より困窮度の高い世帯を優先すべきであると考えます。したがいまして、都営住宅の新規供給を含め、ご指摘のような若者に対する住宅支援を実施する考えはございません。
 次に、都市のあり方の転換についてでございますが、世界的な都市間競争が激化している現在、東京に必要なことは、首都東京の国際競争力を向上させるとともに、都民生活の質を高めることでございます。そのためには、都心部において、業務のみならず商業や文化機能などの集積を図ることや、ビルの機能更新により、国際水準の就業環境を整えることが不可欠でございます。
 また、開発プロジェクトの推進に当たりましては、水や緑の空間とあわせて風の道を確保するほか、ビルの省エネ化を誘導するなど、良好な都市環境を創出してございます。さらに、都市型住宅の供給による都心居住の推進や、立川など核都市の育成を進め、職住近接を図ってございます。
 今後とも、活力や魅力に満ちた首都にふさわしい都市の実現を目指し、こうした取り組みを積極的に進めてまいります。
 最後に、貨物輸送の長期的視点からの見直しについてでございますが、都はこのたび、総合物流ビジョンを策定し、国際競争力の強化や暮らしと環境の向上の実現に向けて、今後の物流対策の基本的な考え方を取りまとめたところでございます。
 このビジョンでは、輸送の効率化を推進するため、陸海空の物流ネットワーク化を図り、トラックを初めとする各種の輸送機関を有効に活用することとしております。中でも、国内輸送の約九割を担うトラック輸送につきましては、輸送の効率化を進め、環境負荷を低減するために、道路網の整備促進や大型貨物車の通行上のボトルネックの解消を図ってまいります。
 今後とも、輸送の骨格となる道路整備を推進するなど、物流機能の向上を図ってまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)六点のご質問にお答えいたします。
 まず、住民税の税制改正についてでございますが、今般の税制改正は、世代間及び高齢者間の負担の公平の確保を目的としたものでございます。これにより、平成十八年度以降、公的年金のみを収入とする高齢者につきまして、住民税課税となる範囲は拡大するものの、現役世代と比較いたしますと、改正後においても、なお課税対象となる所得水準は高く設定されておりまして、住民税の課税、非課税を基準として賦課が決定される各種制度におきましても、結果として、現役世代よりも高齢者の方が負担が抑制されることとなっております。
 したがって、今回の税制改正が、直ちに高齢者の生活に影響を及ぼすものとはいい切れないと考えております。
 次に、シルバーパスの税制改正への対応についてですが、平成十七年度に千円パスを利用している高齢者のうち、税制改正の影響で二万五百十円パスの該当となる方につきましては、引き続き千円の負担に据え置くよう経過措置を講じることとしております。
 次に、所得に応じたパスについてですが、本制度は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年度に見直しを行ったものでございます。現在、多くの高齢者がパスの発行を受けまして、社会参加と生きがいの活動に活用されており、現行の仕組みは、パス本来の目的に十分沿っているものと考えております。
 次に、高齢者施設の整備についてでございますが、介護保険制度は、すべての高齢者が介護を必要とする状態になっても居宅で自立した生活を実現するという在宅重視の理念を掲げておりますが、都は、これまでも、家庭的な環境の中で共同して生活しながら介護や日常生活上の世話を受けることができる認知症高齢者グループホームの緊急整備に全力で取り組んでまいりました。
 また、平成十八年度からは、地域の特性に応じた多様で柔軟なサービス提供が可能な小規模多機能型居宅介護拠点の重点整備にも取り組むこととしております。
 なお、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の整備についても、計画に基づき、着実に進めているところでございます。
 次に、在宅高齢者への医療的な支援についてでございますが、本年四月から、早朝、夜間、深夜における短時間の訪問看護やデイサービスセンターが医療機関や訪問看護ステーションなどと連携して行う療養通所介護が、介護報酬上新たに導入されることとなりました。
 また、都はこれまでも、訪問看護師を対象といたしました難病やターミナルケアに関する研修等を実施し、医療ケアの必要な在宅の高齢者の支援に努めてまいりました。これらのことから、重度の要介護者や医療の必要な方の在宅での生活を支援する体制が整うものと考えております。
 最後に、回復期リハビリテーション病床についてでございますが、都は、これまでも回復期リハビリテーション病床の整備に取り組んでまいりましたが、リハビリテーション医療が有効に機能するためには、回復期のみならず、発症直後の急性期や地域での維持期など、それぞれの段階で適切な医療が連続的に提供されることが必要でございます。
 このため、都は、東京都リハビリテーション協議会を設置し、こうしたそれぞれの段階に応じたリハビリテーション医療が地域ごとに提供されるよう、総合的な施策の充実に努めているところでございます。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)四点のご質問にお答えいたします。
 まず、若者の仕事をめぐるさまざまなニーズへの対応についてでございますが、都では、既存のしごとセンターを初め、労働相談情報センターや技術専門校におきまして、各区市町村とも連携し、若年者を含むあらゆる年齢層のニーズに適切に対応しているところでございます。
 次に、若年者雇用等に関する経済団体への働きかけについてでございますが、国では、各種法令や指針等に基づき、企業に対し雇用の確保や労働条件の整備等に向けた取り組みを求めております。都といたしましては、雇用形態を問わず、引き続きこれらの法令等の周知徹底を図ってまいります。
 次に、新銀行東京についてでございます。
 新銀行東京の設立は、中小企業の潜在力を発揮させ、東京の地域経済を再生させる画期的な取り組みでありまして、新銀行東京は、今日の厳しい環境下にあっても、設立目的の達成に向けた経営に努めております。都は出資者として、新銀行東京が中小企業のニーズにかなった新商品やサービスを積極的に開発するなど、存在感ある銀行として発展していくことを期待しております。
 最後に、制度融資についてでございます。
 都の借りかえ融資では、セーフティーネット保証の対象者に限定せず、都と区市町村の制度融資の利用者すべてを対象としております。また、都は、小規模企業や経営状況が悪化している中小企業向けの融資で政策金利を設定する一方、クイック融資等については、迅速な融資実行の観点から金融機関所定金利とし、円滑な資金供給を促しているところでございます。
 なお、今年度の融資実績でございますが、昨年十二月末時点で、前年同月比一八%増と大幅に増加しているところでございます。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)東京オリンピックに関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京オリンピック基本構想懇談会への提出資料などについてでございますが、懇談会の審議内容につきましては、今後の国内外他都市との競争などのため、アイデアを秘匿しておく必要がありますことから非公開としているものであり、懇談会への提出資料や議事録については公表できませんが、懇談会の報告では、具体的な大会イメージとして、世界一コンパクト、環境フレンドリー、ホスピタリティーあふれる大会などを提言しております。
 次に、東京オリンピックの開催計画などについてでございますが、現在、六月にJOCに提出する開催概要計画書に盛り込む主要施設の配置計画を鋭意検討しているところでございますが、現在ではお示しする段階ではございません。東京に集積する既存施設などの有効活用により、環境への影響を極力抑えたコンパクトな大会を目指しております。
 最後に、東京オリンピックの経費についてでございますが、先ほどご答弁しましたように、六月にJOCに提出する開催概要計画書に盛り込む大会運営経費などを現在検討しているところであり、お示しする段階ではございませんが、過大な経費をかけず最大の効果を上げたいと考えております。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)オリンピックのための基金についてでございますが、東京にオリンピックを招致するためには、東京ならではの理念やアイデアを打ち出していくのはもちろんのこと、オリンピック開催に十分たえ得る財政力があることをアピールする必要がございます。
 また、このオリンピックは全体としてコンパクトな大会を目指しますが、開催都市としての負担額は、それなりの額となることも見込まれます。
 これらの点を重ね合わせ、今回、一千億円を基金に積み立てたものでございます。最終的な積立目標につきましては、今後全体計画を策定する中で考えていく問題であり、現時点では未定でございます。
   〔八十番清水ひで子君登壇〕

○八十番(清水ひで子君)知事に二点について再質問します。
 知事は、格差があることは渋々認めましたが、危機的でないとして、撤回はしない、大したことはないという態度です。しかし、都の産業労働局が発行した「東京の産業と雇用就業」二〇〇四年版ですが、「拡がる若年者の賃金格差」と見出しまでつけて指摘し、この格差拡大は、一層の拡大が予想されますと述べているではないですか。危機的でないとはいえない事態です。
 また、企業規模別の賃金を分析して、企業規模が大きいほど格差が広がっていますと書いています。これは、東京都の産労局が発行した資料です。知事、そんなことも知らないんですか。都民の実態に無関心だといってもほどがあります。少しは勉強してください。
 知事、「拡がる若年者の賃金格差」という、この事実も認めないのですが、答えていただきたいと思います。
 オリンピックについて聞きます。知事は記者会見で、具体的な話は議会でといっていました。私は知事の答弁を求めています。きちんと答えてください。局長の答弁でも、話せる段階ではないと一般論を繰り返すだけではないですか。既に終了した懇談会の記録や資料さえ公表しないというのでは、都民は納得しません。ちゃんと答えていただきたいと思います。
 先ほど、オリンピック招致に当たって、平和を希求することについて質問がありましたが、これにも答えていません。そんなことでは世界から相手にされません。
 二点について質問します。
 最後に、中小企業の答弁ですが、制度融資の実績が一番多かった一九九二年のわずか五二%、半分にすぎない、こう指摘をしているのです。
 以上、二点について伺い、再質問を終わります。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)都の産業労働局がどんな数字を発表しようと、数字は数字だけでしかありません。やはり数字の字面だけを取り上げて議論すれば、本質論にならない。私は、それにあらわれた数字の背景というものを皆さんに考えていただきたい。例えば、ニートとかフリーターのはんらん、こういったものがまかり通る社会というものは、やはりある程度豊穣になってきたからそういう甘えが出てくるんでしょう。
 こういう問題、あるいはこのごろ急に下流なんていう言葉が出てきましたが、メディアがこういうものを取り上げると、まさに一犬実をほえて万犬虚をほえるといいますか、政治全体がこういったものをまともに取り上げて、本質というものを論じない。私、非常にこれは危険な傾向だと思います。
 現に、どの企業も収益を上げて、春闘などはほとんど労働組合のいい分がまかり通る、そういう経済事情になってきている。しかも、有効求人倍率は好転していて、東京も人手不足になっているんですよ。
 オリンピックについては、担当の局長から答えます。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)先ほどお答えしましたが、まず、オリンピックに東京で手を挙げるためには、オリンピックの基本精神を遵守するのは当然のことでございます。その上で東京都として手を挙げたことであります。
 審議内容の結果については、懇談会との約束事でございまして、先ほどもいいましたように、国の内外の他市との競争のためにアイデアを秘匿しておく必要があることから非公開とすると決めてございます。そのために懇談会への提出資料や議事録については公表できないのであります。
 それで、ご判断に当たりましては、世界一コンパクト、環境フレンドリー、ホスピタリティーあふれる大会などを提言しているところでございます。

○六十七番(秋田一郎君)この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時九分散会

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