平成十八年東京都議会会議録第一号

平成十八年二月二十二日(水曜日)
 出席議員(百二十三名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番宇田川聡史君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大沢  昇君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君

 欠席議員(三名)
 三十五番 村松みえ子君
 九十一番 三宅 茂樹君
百二十七番 渡辺 康信君
欠員
十一番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監伊藤 哲朗君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員長会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員長会事務局長嶋津 隆文君
包括外部監査人園  マリ君

二月二十二日議事日程第一号
第一 第一号議案
  平成十八年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成十八年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成十八年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成十八年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成十八年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成十八年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  平成十八年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
  平成十八年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
  平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成十八年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
  平成十八年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
  平成十八年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
  平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
  平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  平成十八年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
  平成十八年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成十八年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成十八年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成十八年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成十八年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成十八年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成十八年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成十八年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  平成十八年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  平成十八年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都民間事業者等が行う書面等の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例
第三十五 第三十五号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  長期継続契約を締結することができる契約を定める条例
第四十八 第四十八号議案
  東京オリンピック開催準備基金条例
第四十九 第四十九号議案
  東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都市街地再開発事業会計条例を廃止する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京ウィメンズプラザ条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都文化財保護条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都地方精神保健福祉審議会条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都障害者介護給付費等不服審査会条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  東京都動物の愛護及び管理に関する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都監察医務院関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
  東京都女性相談センター条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  東京都心身障害者福祉作業所条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
  東京都心身障害者生活実習所条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
  東京都立精神病院条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
  通訳案内業法関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
  東京都離島漁業再生支援基金条例
第九十七 第九十七号議案
  東京都植物防疫施設に関する条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
  東京都立技術専門校条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
  東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
  温泉法に基づく温泉の保護に係る手数料に関する条例
第百二 第百二号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
  高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
  液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
  東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
  砂利採取法に基づき河川管理者が行う事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
  東京都下水道条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
  歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例
第百十三 第百十三号議案
  風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
  性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
  都立石神井高等学校(H十七)改築工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
  都立世田谷地区総合学科高等学校(仮称)(H十七)改築及び改修工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
  都営住宅十七H─一〇六東(百人町四丁目第五)工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
  都営住宅十七H─一〇五東(高松三丁目第四)工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
  都営住宅十七H─一〇一東(新宿六丁目)工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
  都営住宅十七CH─一〇八東(江戸川二丁目・江戸川区施設)工事請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
  地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
第百二十五 第百二十五号議案
  包括外部監査契約の締結について
第百二十六 第百二十六号議案
  全国自治宝くじ事務協議会への堺市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百二十七 第百二十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第百二十八 第百二十八号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第百二十九 第百二十九号議案
  平成十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十 第百三十号議案
  平成十八年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十一 第百三十一号議案
  公共下水道の整備工事を独立行政法人都市再生機構が施行することの同意について
第百三十二 第百三十二号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十三 第百三十三号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第百三十四 第百三十四号議案
  多摩川流域下水道秋川処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
第百三十五 第百三十五号議案
  平成十七年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十六 第百三十六号議案
  平成十七年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十七 第百三十七号議案
  平成十七年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百三十八 第百三十八号議案
  平成十七年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
  平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計補正予算(第一号)
第百四十 第百四十号議案
  平成十七年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百四十一 第百四十一号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開会・開議

○議長(川島忠一君)ただいまから平成十八年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君)まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、花輪ともふみ君を十一番から九十九番に、大沢昇君を九十九番から百番に、それぞれ変更いたします。

○議長(川島忠一君)次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
四番   鈴木 隆道君 及び
六十七番 秋田 一郎君
を指名いたします。

○議長(川島忠一君)この際、謹んでご報告を申し上げます。
 名誉都民三田政吉氏には、去る一月二十五日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(川島忠一君)次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松原恒美君)平成十八年二月十五日付東京都告示第百五十号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、平成十八年二月十五日及び二十二日付で、本定例会に提出するため、議案百四十一件の送付がありました。
 次に、知事及び監査委員並びに各行政委員会より、平成十八年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成十八年二月十七日付で、平成十七年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が三件ありました。
 内容は、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例の報告について、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について、並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、平成十七年行政監査、平成十七年工事監査、平成十七年財政援助団体等監査及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君)次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成十七年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一七ページ)に掲載〕

○議長(川島忠一君)次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
 去る二月十日付をもって、町田市選出真木茂君より、議員を辞職したい旨届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。

○議長(川島忠一君)次に、警視総監奥村萬壽雄君の退任に伴い、新たに伊藤哲朗君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介いたします。
 警視総監伊藤哲朗君。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君)去る一月十九日付で警視総監を命ぜられました伊藤哲朗でございます。
 東京都議会の皆様方には、平素から、警視庁の運営につきまして格別のご理解とご高配を賜り、この機会に厚く御礼を申し上げます。
 さて、都内の治安情勢につきましては、警視庁が組織を挙げて取り組んでまいりました犯罪抑止総合対策の推進や、都議会のご支援、また東京都を初めとする関係機関、及び都民の皆様のご協力によりまして、着実に回復してきているところでありますが、子どもの安全対策を初め、重要未解決事件の捜査、暴力団並びに来日外国人犯罪者対策、震災対策や国際テロ対策等、さまざまな重要課題が山積いたしております。
 警視庁といたしましては、今後とも、安全・安心なまち東京の実現に向け、組織の総力を挙げて精いっぱい努力する所存であります。
 都議会の皆様方には、今後とも一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○議長(川島忠一君)以上をもって紹介は終わりました。

○議長(川島忠一君)次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る二月十四日付をもって柿沢未途君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしましたので、ご報告をいたします。
 なお、ただいまご報告いたしました委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって門脇ふみよし君を指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君)会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月三十日までの三十七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、会期は三十七日間と決定いたしました。

○六十七番(秋田一郎君)この際、議事進行の動議を提出いたします。
 平成十七年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、平成十七年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定いたしました。
 ここで、園マリ包括外部監査人の出席を求めます。
   〔包括外部監査人園マリ君入場、着席〕

○議長(川島忠一君)ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 園マリさんでございます。
   〔包括外部監査人あいさつ〕

○議長(川島忠一君)本日は、ご多忙のところ、監査結果報告の説明のためご出席をいただき、まことにありがとうございます。

○議長(川島忠一君)この際、知事より、平成十八年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)平成十八年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 去る一月二十五日、名誉都民である三田政吉さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 さて、今からちょうど半世紀前、もはや戦後ではないと高らかに宣言した我が国は、経済成長の階段を一気に駆け上がり、世界第二位の経済大国にまで上り詰めました。その後、幾たびかの浮沈を繰り返し、今日、バブル崩壊後の長いトンネルをようやく抜け、景気回復の足取りに本来の力強さが戻りつつあるように見えます。
 この間、少子高齢化が先進国の中でも異例のスピードで進展し、日本の総人口は昨年、明治維新以来初めて自然減に転じるなど、社会構造は大きく変化いたしました。経済的な繁栄を手にし、成熟社会に到達した私たちは、一体何を得て何を失ったのか、両者をてんびんにかけたとき、喪失したものの大きさに慄然とせざるを得ません。現在、私たちの眼前で繰り広げられているのは、拝金趣味に染まった利己主義と、合理主義の仮面をかぶったご都合主義の狂態でしかないのであり、社会の肝心な部分で心柱がすっかり溶けてしまったように感じられます。
 こうした日本のありさまは、物質的な豊かさを極めた文明社会が行き着く当然の帰結にほかなりません。消費におぼれ、物に囲まれた生活と引きかえに、私たちは大きな価値的な混乱の渦に巻き込まれ、時代、立場を超えて持ち続けるべき鉛直な価値の基軸、いいかえれば、日本人としての志をどこかに置き去りにしてきたのであります。
 日本は数千年に及ぶ歴史の中で、その時代時代の大国、強国と真正面から向き合い、その時々のグローバルスタンダードをそしゃくしてみずからの体内に取り込んできました。そして、そこからさらに、世界に類を見ない固有の文化、感性、価値観を生み出してきたのであり、はるか先祖から続く営みをもう一度ここで思い返す必要があります。
 今なすべきは、他国のこうかつな収奪や隷属の強要によって国益が損なわれようとしている現実から目をそらさずに、国家、民族として真に向かうべき方向を見定めて、みずから立つ国としての自己を取り戻していくことであります。
 そうした意味からも、二〇一六年の開催を目指す東京オリンピックは、日本の底力と成熟都市東京の存在を、世界に対してはっきりと示す大きなよすがとしなければなりません。
 東京は、他の追随を許さない都市機能の集中や、縦横に整備された正確無比な公共交通網、そして安全で清潔な都市空間など、どの都市にもまねのできない魅力を備えております。また、日本独自の文化と各国の文化が溶け合った多様な食文化や芸術にだれもが接することのできるのも、東京ならではの特徴といえます。
 日本の縮図でもある東京のさまざまな優位性が、オリンピックを契機として世界の大都市問題の解決に大いに貢献し、二十一世紀の新しい都市モデルを提示できるものと確信しております。
 開会に当たっては、都心部を中心とする半径十キロ圏内に競技場や関連施設を集中的に配置するとともに、近隣自治体の協力も得て、首都圏全体が有する競技施設などを最大限に生かしていきたいと思っております。既存施設の有効活用などにより、環境への影響を極力抑え、選手の移動距離を短くするなど、コンパクトな大会を目指してまいります。さらには、世界最先端のハイテク技術を駆使して、これまでにない近未来的な大会を演出したいと構想を練っております。
 開催都市に欠かせないのが、もてなしの精神であります。東京には、百万都市江戸で醸成された江戸しぐさという他人を思いやる伝統があります。雨の日に狭い道で行き交う際に傘をかしげる何げないしぐさの中に、過密都市ならではの気配りが表現されております。私たち自身が忘れかけているこうしたよき文化を再認識し、日本人のもてなしの心で、選手はもとより、東京に集うすべての人々を歓迎したいと思っております。
 オリンピックは、中長期にわたる国家的な一大プロジェクトであり、粘り強い継続的な取り組みが不可欠であります。国も相応の覚悟を持って五輪招致に取り組むべきであると思います。都は、来年度予算において開催準備基金を立ち上げ、一千億を積み立てるとともに、来年二月に開催する東京大マラソン祭りをオリンピックのプレイベントとして位置づけ、準備に全力で取り組んでまいります。
 日本が誇るITなどの高度技術と長い歴史が培ってきた独自の文化、そして日本人ならではのホスピタリティーを融合し、唯一無二の東京五輪を実現したいと熱望しておりますので、都民、都議会の皆様のご賛同をよろしくお願いいたします。
 五輪開催に向けては、幹線道路ネットワークなどの広域的な交通基盤の集中的な整備や羽田空港の再拡張、国際化、横田基地の軍民共用化による空のアクセスの拡充、さらには世界に誇れる都市空間の創出など、前世紀に積み残してきたさまざまな問題を解決する必要があります。
 来月、「ゆりかもめ」の延伸部、有明─豊洲間が開業し、同時に、晴海と有明地区が都道で結ばれます。都心と臨海部のアクセスがさらに充実することで、臨海副都心の開発に一層の弾みがつくものと期待しております。
 構想から二十年を経た臨海副都心開発は、来年度から仕上げの十年に入ります。今後、青海地区北側に新しいビジネス・商業地域を整備するとともに、土地売却方法に新しい手法を取り入れるなど、財政基盤の強化に一層努めながら、平成二十七年のまちづくりの完成を目指してまいります。
 五月には、環状八号線が全線開通いたします。都市計画決定から六十年、最後の未完成区間であった住宅密集地に半地下式のトンネルを通す難工事を経ての完成であります。都が今年度、街路事業に先行着手した中央環状品川線では、来年度から有料道路事業者と共同で整備に取り組み、早期完成を目指して事業を進めてまいります。多摩地域の道路についても、今後十年間で優先的に取り組むべき路線を関係自治体と協力して選定し、集中的に整備を進めてまいります。
 しかし、こうした長期にわたる都市基盤整備にもかかわらず、首都圏の道路ネットワークは、その機能をいまだに十分に発揮できない状況にあります。十年後の五輪開催に向けて、三環状道路を初めとする骨格的な道路ネットワークの整備に全力で取り組んでまいります。
 先進的な環境政策は、東京が世界に誇るべきものの一つであり、五輪招致の重要な要素でもあります。国内外を問わず、多くの大都市が大気汚染で悩まされる中、都は、都民、事業者の幅広い理解と協力を得て、ディーゼル車排出ガス規制を実施し、大気汚染を大幅に改善いたしました。また、ヒートアイランド対策や地球温暖化対策について、先駆的な取り組みを全国に波及させるなど、我が国の環境行政を先導してまいりました。
 しかし、東京の環境は、異常気象の頻発などの温暖化の影響が顕在化するとともに、緑の減少に歯どめがかからないなど、依然として重い課題に直面しております。このため、東京が都市として存立し続けるための新しい戦略プログラムを先日策定いたしました。
 深刻化する温暖化へのさらなる挑戦として、より多くの大規模事業者にCO2削減計画の策定を義務づけるほか、再生可能エネルギーへの転換を図るため、都の大規模施設での導入に向け、ルール化を進めてまいります。
 民間の金融機関との連携により、環境改善への取り組みが優遇される金融商品の開発を進めるなど、金融や税財政手法を環境問題の解決に生かす手だてを検討してまいります。東京に緑をよみがえらせる取り組みとして、一定規模以上の建築や開発に対してより厳しい緑化義務を課すなど、有効な対策を講じてまいります。
 また、先月策定したみどりの新戦略に基づき、これまでの公園整備の手法に加え、企業のグラウンドや屋敷林などの民有地を活用した民設公園制度を創設し、公共と民間の緑が一体となったネットワークに広がりと厚みを増していきたいと思います。今後とも、都独自の工夫を加えながら、東京を緑の首都につくりかえる努力を続けてまいります。
 都はこれまで、観光こそ都市の活力の源泉であるとの認識に立ち、シティーセールスの展開や、民間と連携した観光案内窓口の整備など、東京の観光振興を進めてまいりました。オリンピック開催をにらみ、都内に眠る観光資源をさらに発掘し、東京の魅力を一層向上させる必要があります。
 特に、水辺の再生は重要な課題であり、先週、水辺空間の魅力向上に関する全体構想を策定いたしました。隅田川テラスの連続化や、江戸時代の塩の道であった小名木川の整備を進めるとともに、運河地域で商業施設や遊歩道の整備を促進してまいります。
 一昨日、天王洲地区に水上レストランがオープンしましたが、今後とも、水辺のにぎわいの創出に努めるとともに、水辺を生かした観光ルートの開発や水上から見た景観の向上に取り組むなど、水の都の復活を目指してまいります。
 続いて、都民生活の向上を目指す主な政策について申し上げます。
 災害がもたらすさまざまな被害を最小限に抑え、都民の安全の確保と都市機能の速やかな復旧、復興を図るには、日ごろからの備えはもちろんのこと、防災体制を常に見直していく必要があります。
 近年、全国各地で発生した大規模地震によって、エレベーターによる閉じ込めなど新たな課題が顕在化いたしました。こうした事態も踏まえ、都民の生命と財産を守る立場から、新たな首都直下地震の被害想定を今年度じゅうに作成いたします。
 被害の集中する地域を鮮明にするために、マグニチュード六クラスの地震を想定に加えるとともに、国の想定より詳細なデータに基づき、区市町村別の建物の倒壊数やターミナル駅ごとの帰宅困難者数などを明らかにいたします。来年度、これらをもとに地域防災計画を見直すなど、より実態に即した防災対策に取り組んでまいります。
 災害時の困難な救出活動に携わるハイパーレスキュー隊については、一昨年の新潟県中越地震において、その高い能力と活躍ぶりを、都民のみならず全国に示すことができました。現在、都内には三部隊が配置されており、来春、建物倒壊や火災発生の危険性が高い区部東北部の災害対応力を強化するため、新たな部隊を配備いたします。
 大規模交通事故などの都市型災害が発生した場合、早急の救命処置が重要であります。一昨年発足した災害医療派遣チーム東京DMATは、現在、都立病院を初め十三カ所の病院に配置されておりますが、来年度、さらに四カ所の病院を指定し、テロや航空機事故、多摩山間部における災害などにも対処できるようにしてまいります。
 都内には、約二万三千ヘクタールの木造住宅密集地域が存在しております。震災時、建物の倒壊や火災の延焼など甚大な被害が想定されており、木造住宅の耐震化が喫緊の課題となっております。
 来年度、震災時の避難路を確保するため、地域危険度が高く、特に老朽木造建築物が集積する都内二十七地域を対象に、木造住宅の耐震診断や改修に対する助成を地元自治体と連携して実施いたします。
 また、昨年公募を行った耐震改修工法の実例や関連装置について、経済性や使い勝手のすぐれたものを、ホームページなどを通じて広く都民に情報提供するとともに、耐震診断技術者や改修施工者の育成などに取り組んでまいります。
 マンションの耐震化も緊急の課題であります。昭和五十六年の新耐震基準以前に建築確認を受けたすべての分譲マンションを対象に、来年度から三年間、耐震診断の助成を行ってまいります。
 今後とも、自助、共助、公助の精神を基本に、都民の皆さんと連携しながら、いつ起きてもおかしくない災害に万全の備えで臨んでまいりたいと思います。
 昨年十一月に発覚した構造計算書の偽装事件では、耐震強度が不足するマンションやホテルが次々に判明し、居住者のみならず、社会全体に大きな不安を招来しております。
 そもそもこの問題は、国の建築確認、検査制度自体の欠陥に起因するものであって、国の責任は極めて重大であります。本来であれば、国において特別法などで対応するのが筋でありますが、都民の生命がじかにかかっており、都としては、国や関係自治体と連携し、耐震性に著しく問題がある分譲マンション居住者への公的支援を行うことといたしました。
 今回の事件で損なわれた建築行政の信頼を回復するには、制度全般にわたる徹底した検証と見直しが不可欠であります。このため先週、国、特定行政庁、民間確認検査機関、それぞれの役割と責任を明確にし、実効性のある再発防止策を講じるよう、関係自治体と連携し、国に要求をいたしました。引き続き国に対して強く働きかけてまいります。
 鳥インフルエンザが世界各地で発生し、大きな脅威となっております。
 都でも、流行が懸念される新型インフルエンザの対策の一環として、都民への情報提供や医療体制の整備など、具体策を示した行動計画を昨年末に策定いたしました。先月末には、アジア各都市の行政機関、研究・医療機関をインターネットで結び、感染症の発生情報や診療情報等を迅速かつ効率的に共有化するネットワークシステムの運用を開始いたしました。
 今後とも、治療薬の確保に努めるなど、新興感染症の予防と拡大防止に万全を期してまいります。
 国の対応のおくれが目立つアスベスト対策については、これまで、解体工事現場への立入指導の実施や相談窓口の充実など、都民の不安解消に全力を挙げてまいりました。今月から、都内で発生しセメント固化された飛散性アスベスト廃棄物について、都の処分場への受け入れを開始いたしました。さらに来年度、アスベストを含む飛散性の少ない建材についても、専門家や関係業界と連携した検討会を設置し、解体マニュアルの充実を図るなど、現場に即したきめ細かい対策を講じてまいります。
 花粉症は、首都圏でおよそ四人に一人が苦しみ、経済損失が全国で年間二千九百億ともいわれており、その蔓延が国の怠慢に起因していることは明白であります。今年は例年に比べ花粉の飛散が少量と予測されていますが、罹患されている方々の苦しみが消えるわけではありません。
 都では、昨年設置した全庁的な対策本部において、総合的な対策を進めております。来年度、根本的な治療方法である舌下減感作療法の実用化に向けた研究を臨床医学総合研究所などで実施するとともに、杉の伐採や植林に必要な基金を創設するため募金運動を活用するなど、都民、企業などから幅広い協力を得る仕組みを構築してまいります。
 引き続き、八都県市とともに連携を図りながら、花粉症対策に取り組んでまいります。
 この七年間、治安の維持回復こそ最大の都民福祉であるとの考えに基づき、全国に先駆けて都独自の対策を展開してまいりました。その成果もあり、街頭犯罪や侵入犯罪など、都民の身近なところで発生する犯罪は、平成十二年をピークに減少傾向を続けております。
 この二年間で実質一千人以上の増強を行った警察力について、来年度、さらに警察官を二百八十人増員するほか、六月から、都内十二区四十三署において違法駐車事務を民間に委託するなど、実質的な強化を図ってまいります。
 また、引き続き警察官OBによる交番相談員の拡充に取り組むとともに、来春、町田市西部地域に大規模な地区交番を設置し、広範囲な管轄地区をカバーしてまいります。
 街頭防犯カメラについては、五十台を設置した歌舞伎町で犯罪の認知件数が二割以上も減少する効果が報告されており、来年度、新たに六本木地区に設置し、繁華街の防犯力の向上を図ってまいります。
 子どもを取り巻く環境は、昨今の連れ去り事件の多発など、大変憂慮すべき状況にあると思います。
 これまで、小中学校でのセーフティー教室の開催や警察官OBによるスクールサポーターの派遣などの対策を講じてきましたが、来年度、社会全体で子どもを守る取り組みをさらに強化いたします。全公立小中学校への防犯カメラの設置を促進するとともに、子どもたち自身が通学路などの安全を点検し、地域安全マップを作成する活動を授業に取り入れてまいります。
 また、小学校ごとに保護者や町会などから募った子ども安全ボランティアを結成し、登下校時に通学路や地域のパトロールを実施いたします。これに加え春からは、三十校以上の都立高校において、各地域の高校生が小学生の集団下校をサポートする取り組みも開始いたします。
 今後とも、行政、警察、学校、地域住民の総力を結集し、次代を担う子どもたちを卑劣な犯罪から守っていきたいと思います。
 次に、福祉保健施策についてであります。
 都はこれまで、だれもが必要なサービスをみずから選択し、地域で安心して生活できるよう、さまざまな施策を展開してまいりました。しかし、少子高齢化が進行し、人口減少時代が現実のものとなった今、将来に向けてサービスの水準や制度の安定性を確保するには、福祉保健サービスの提供システムをさらに変革していく必要があります。
 このことから、先日、福祉・健康都市東京ビジョンを策定いたしました。今後は、都が事業者に対する指導、監視や利用者支援を担うレフェリー役となり、サービスの直接の提供者からシステム全体の調整者へと役割を転換させ、より効率的、効果的に福祉保健施策を展開することで、サービス提供の力を社会全体で高めてまいります。
 あわせて、官民の役割分担をさらに徹底し、現在民間移譲などを進めている都立施設改革をさらに推進していくなど、確かな安心を次世代に引き継いでいきたいと思います。
 十年後には都内人口の四人に一人が六十五歳以上の高齢者で占められると予測されており、高齢者が地域でさまざまな支援を受けながら、健康で自立した生活を営める期間をできるだけ延ばすことがますます重要になっております。
 来年度、介護予防サポートセンターを創設し、老人総合研究所などの協力を得て、効果的な介護予防プランを検証するなど、区市町村の取り組みを支援いたします。また、かかりつけ医による認知症の早期発見や専門医療機関との連携促進などにも取り組んでまいります。
 すべての障害者が可能な限り地域で生活を送るためには、生活基盤の重点的な整備など、障害者の自立を総合的に支援していく必要があります。先月策定した三カ年プランに基づき、グループホームを千三百人分増設するとともに、日中の活動場所である通所施設などを千六百人分ふやすなど、障害者の地域での生活支援と就労促進を積極的に進めてまいります。
 児童虐待の多発など、子育てをめぐる環境は深刻な状況にあります。子どもと子育て家庭を、福祉、保健、医療の領域にとどまらず、教育機関や警察などとも連携して総合的に支援するために、子ども家庭総合センターを平成二十一年度を目途に整備いたします。あわせて、来年度、子育て推進交付金や包括補助制度を創設し、区市町村が地域の実情に沿って独自の子育てサービスを充実できるようにしてまいります。
 東京には、すぐれた人材、技術が集積し、旺盛な経済活動が展開されております。東京の産業が持つ可能性を最大限に引き出し、日本経済を牽引していくには、さらなる技術力の向上や商店街などの持つ地域力の発揮を行政が支援するとともに、物流改革や観光振興など都市政策との連携により産業活動を支える基盤の強化に向けた方策を検討する必要があります。
 今月、東京発の物流改革を進める総合物流ビジョンを策定しました。今後十年間で物流コストの二割削減を目指し、三環状道路の早期整備はもとより、東京港のコンテナターミナルの整備や羽田空港の再拡張・国際化に伴う物流の効率化などに取り組み、陸海空の広域ネットワークを構築してまいります。
 また、企業の経営や技術開発をより効果的に支援するため、独立行政法人化する産業技術研究所や多摩中小企業振興センターを整理統合するなど、区部及び多摩地域の産業支援拠点の再整備を進めてまいります。
 来年度、中小企業への制度融資の目標を今年度と同額の一兆七千五百億円とするとともに、研究開発から事業化に至る取り組みを総合的に支援するため、さらに中小企業事業化支援ファンドを創設いたします。
 産業を支える人材の育成では、働くことに踏み出そうとする前向きな若者への支援を拡充いたします。来年度、就労に向けた基礎訓練や就労体験を提供する新プログラムを展開するほか、若者が活動主体となっているNPOから企画、提案を募集し、助成を行うなど、就業による自立を促進してまいります。
 この春、両国、小石川など三つの中高一貫六年制学校が新たに設置されるほか、総合学科や単位制などの新しいタイプの高校が相次いで開校いたします。日比谷高校の応募倍率が過去最高を記録し、また中高一貫校四校の平均倍率は十倍近くなりました。これまで進めてきた都立高校改革が都民の理解と支持を得つつある証左であり、都立復活の手ごたえを感じております。
 来年度、すべての公立小中学校で実施している一斉学力調査に加え、教科の枠を超えて、児童生徒の応用力や問題解決能力を測定する調査を導入いたします。また、四月に開設する東京教師道場では、二年間にわたり、優秀な先輩教師が中堅教員に指導技術を伝授し、学習指導のリーダーとなる教員を育成してまいります。
 この一年間、有識者による文化施策を語る会において、東京の新しい文化政策の方向性について議論してまいりました。先月発表された提言でもうたわれているように、文化への投資は未来への投資そのものであります。都では来年度、新進若手芸術家の滞在、交流のための活動拠点となるアートヴィレッジIN東京の整備に着手するとともに、トーキョーワンダーウオールの取り組みを通じて海外進出をバックアップするなど、若手アーチストの創造活動を支援してまいります。
 今後、語る会の提言を踏まえ、本年五月に新たな文化振興指針を策定し、東京ならではの戦略的な文化政策を打ち出していきたいと思います。
 避難指示解除から一年、三宅島では火山ガスの噴出がいまだ続く中、復興に向けた懸命な取り組みが続けられております。四年五カ月に及ぶ全島避難の間とまっていた時計の針を再び動かし、島に活気を取り戻すには、なお多くの困難が予想されますが、村民の皆さんが知恵と力を出し合って取り組んでいかれることを期待しております。
 都としては、来年度も生活再建支援など一連の支援策を継続するとともに、空港の再開に向け、準備を早急に進めてまいります。
 貴重な自然環境の宝庫である小笠原諸島においては、世界自然遺産登録を目指し、ヤギなどの移入種対策など必要な手だてを講じるとともに、航空路を含めたアクセスの改善や観光振興など、直面する課題に積極的に取り組んでまいります。
 また、豊富な海洋資源に恵まれた沖ノ鳥島周辺の海域で、カツオ、マグロ漁の操業を支援するため、魚礁の設置や漁場調査を進め、経済活動の場としての価値を高めてまいります。あわせて、周辺海域の監視を強化するため、来年度、調査指導船を建造いたします。
 多摩・島しょ地域は大きな可能性を秘めた地域であり、区部地域とともに首都東京を担う両翼の一つであります。市町村がみずからの創意工夫で地域の発展を進めることができるよう、来年度、新たな交付金制度を創設し、市町村の自主性、自立性をさらに向上してまいります。今後とも、多摩・島しょ地域の一層の振興を図ってまいります。
 続いて、来年度の都政の執行体制について申し上げます。
 昨年来、景気回復の影響で、都税収入は大幅に増加する見込みでありますが、こうした時期だからこそ、目先の活況に浮かれることなく、気を引き締めて都政運営に臨んでいきたいと思います。
 まず、平成十八年度予算についてであります。
 編成に当たっては、財政の健全性の回復に全力を注ぎ、その上で、今後の新たな都政の発展を目指すことを基本に据えました。予算の眼目を、財政再建を徹底して進め、強固で弾力的な財政基盤を構築することと、都民の負託に積極的にこたえることの二つに定め、都民福祉の一層の向上を図るとともに、東京の活力をさらに高めるよう努力をいたしました。重点事業を一〇〇%予算化するなど、直面する課題への対応はもちろんのこと、オリンピック開催に向けた取り組みを初め、将来に対する布石もしっかりと打ったつもりであります。
 来年度は、第二次財政再建推進プランの最終年度となりますが、プランの目標である巨額の財源不足の解消を達成するとともに、隠れ借金を大幅に圧縮し、さらに、隠れ借金を上回る水準まで基金を積み増すなど、将来に向けた十全の備えを講じました。これにより、念願であった財政再建に一つの区切りをつけることができたと考えております。
 こうして編成した予算は、五年ぶりに一般会計ベースで六兆円を超えましたが、政策的な経費である一般歳出の増加を都税収入の伸びよりも低く抑えるなど、全体としては抑制をきかせたものといたしました。
 国は、来年度の国債発行額を三十兆以下に削減したと誇らしげに発表しておりますが、依然歳入の四割近くを借金に依存し、国債の残高は税収の十二倍に達するなど、常軌を逸した財政状況であることに変わりありません。それに比べ、都債残高は税収の一・五倍にすぎず、これまでの財政再建の取り組みの違いは一目瞭然であります。
 知事に就任した当初、都財政はまさに徳俵に足がかかり、土俵を割る寸前であったものの、何とか土俵中央まで押し返すことができました。今回の予算は、都政にとって大きな節目となる予算に仕上がりましたが、この先を考えれば、決して順風満帆というわけにはまいりません。全く道理のない法人事業税の分割基準の見直しに続き、法人住民税にも手をつけようとする動きがいまだに国にはくすぶっており、いわゆる三位一体改革もまた、その本質は国から地方への負担の転嫁にすぎないのであります。
 このような状況に加え、人口減少社会の到来が及ぼす影響などを考え合わせれば、これまでの財政再建の成果に決して安住することなく、今後さらに一層、財政構造改革を推進していく必要があると考えております。
 職員の定数については、重点事業等の実施に必要な人員を措置する一方、全体で一千九百八十四人の削減を行い、第二次財政再建推進プランに掲げた四千人の削減目標を一千六百人余り超過して達成いたしました。
 今後とも、行財政改革の新たな指針に基づき、職員定数のさらなる見直しを継続することは当然であり、事務事業の執行体制を徹底して見直し、これまで以上に効率的な行政サービスの実現に努めるとともに、監理団体を含めた人件費総体の抑制にも積極的に取り組んでまいります。
 主な組織改正についてでありますが、知事本局に東京オリンピック招致担当理事及び東京マラソン事業担当参事を新たに設置するほか、産業技術研究所を地方独立行政法人化するなど体制を整備いたします。
 国に先駆け我が国で初となる複式簿記・発生主義会計の新年度からの導入が間近に迫ってまいりました。新しい公会計制度により、都の財務状況をより明確に把握できるようにするとともに、金利感覚やコスト意識の醸成など、職員の意識改革を推進してまいります。今後、強力なツールであるこの制度にさらに改良を加え、不断の行財政改革につなげていきたいと思っております。
 なお、平成十八年度の都区財政調整については、先日、今後の都と区のあり方を共同で検討していくことを含め、合意に至りました。首都東京の発展と都民生活の向上を図るには、都区双方の協力が欠かせません。今後、東京の将来を見据えて、都と区の新しい関係の構築、さらには行政区分の再編などについて、根本的かつ発展的な議論を行ってまいりたいと思います。
 申すまでもなく、東京は日本の頭脳部、心臓部であります。この東京を立ち直らせることが、世界に存在感を示し得ないこの国を、まさに日はまた上るという形でよみがえらせるのでありまして、この思いこそが首都東京を預かる者の志であります。
 今後とも、重要施策を初めとする独自の政策展開と行財政改革の新たな指針に基づく改革を都政運営の二本柱として、首都東京のかじ取りを担ってまいりたいと思います。国内にあっては八都県市を中心に、また国際的には、思いを同じくするアジア大都市ネットワークに集う都市との連携を通じて、東京、そしてこの国の未来を切り開いていきたいと思います。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案三十四件、条例案九十件など、合わせて百四十一件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして施政方針を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君)以上をもって知事の発言は終わりました。

○議長(川島忠一君)次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
 警視総監伊藤哲朗君。
   〔警視総監伊藤哲朗君登壇〕

○警視総監(伊藤哲朗君)都内の治安状況についてご報告いたします。
 昨年は、治安回復三年計画の最終年として、犯罪抑止総合対策を強力に推進したほか、紀宮殿下ご結婚に伴う警衛警護警備、新宿歌舞伎町を中心とする三地区特別対策及び重大交通事故防止対策等、さまざまな重要課題に取り組み、首都東京の治安維持と都民生活の安全確保に努めてまいりました。
 以下、その状況についてご説明申し上げます。
 第一は、犯罪抑止総合対策と各種犯罪捜査活動の推進についてであります。
 警視庁では、年々悪化する治安を回復するため、平成十五年から三年計画で、検挙、防犯両面において犯罪抑止総合対策を推進してまいりました。特に都民の身近で発生し、大きな不安要因となっている強盗、侵入窃盗、ひったくり及び性犯罪の四つの犯罪を指定重点犯罪とし、その発生総数を、対策開始の十年前に当たる平成四年の水準に戻すことを目標に、組織の最重要課題として取り組んでまいりました。
 その結果、昨年の指定重点犯罪の発生総数は約二万四千六百件で、目標である平成四年の水準を約二割も下回るという大きな成果をもって、所期の目的を達成することができたところであります。
 さらに、これを犯罪ごとに一昨年との減少率で見ますと、侵入窃盗が約二五%減少し、戦後最も少ない発生件数となったほか、強盗が約一六%、ひったくりが約二五%、性犯罪が約一八%と、いずれも大幅に減少しており、こうしたことからも、都内の治安情勢は着実に回復を見せているところであります。
 また、本年一月一日には、独立した所属として警視庁犯罪抑止対策本部を設置するとともに、新たに車上ねらいと振り込め詐欺の二つを指定重点犯罪に加え、これらの犯罪を抑止することにより、都民が望む安全・安心なまち東京の実現を目指してまいりたいと考えております。
 来日外国人犯罪組織は、時には暴力団と結託しながら、殺人、強盗等の凶悪犯罪や侵入窃盗、偽造カード事犯、薬物事犯等、多種多様な犯罪を引き起こし、都内の治安に著しい悪影響を与えております。
 警視庁では、昨年、これら来日外国人犯罪組織に対する重点的な検挙対策を推進した結果、資産家をねらった中国人緊縛強盗グループの検挙など、全国の検挙人員の半数に近い約九千人の来日外国人を検挙したほか、不法滞在者等を多数摘発いたしました。
 これらの効果により、来日外国人によると見られる侵入強盗が一昨年に比べ約四五%減少し、中国人犯罪組織による犯行が大半を占めていたピッキング等を手口とした侵入窃盗も、これまで被害が最多であった平成十二年に比べ、約八分の一に減少したところであります。
 薬物事犯につきましては、依然として第三次覚せい剤乱用期といわれる状況が続いており、最近は、MDMAなど錠剤型麻薬等を含む薬物が暴力団等の格好の資金源となっている情勢にあります。
 警視庁では、昨年、税関、入管等の関係機関との連携のもと、水際での摘発やコントロールド・デリバリー等を活用した取り締まりを推進した結果、一昨年に比べ約一四%増加の約三千三百人を検挙し、大量の覚せい剤、大麻、MDMA等を押収いたしましたが、引き続き取り締まりを徹底し、需要の根絶と供給の遮断に努めてまいります。
 少年犯罪につきましては、路上強盗やひったくりなど、いわゆる街頭犯罪で検挙した被疑者のうち、少年が約三六%を占めるなど、依然として厳しい情勢にあります。
 加えて、少年が暴力団の手先となって振り込め詐欺の犯行に加担していた事件や、高校生が両親あるいは同級生を殺害するといった凶悪事件など、悪質な事案も目立ってきております。
 警視庁では、少年犯罪が特に多発する地域を中心に、検挙活動を強力に推進した結果、昨年一年間で百十六の非行集団を解体するとともに、約一万五千人の非行少年を検挙、補導いたしました。
 一方、学校の安全や少年の健全育成を目的として、警察OBを起用したスクールサポーターや警察と学校との相互連絡制度等を効果的に運用し、学校及び地域との連携を強化したほか、少年の再非行防止や立ち直りを支援する諸対策も推進いたしました。
 今後とも、次代を担う少年を健全に育成するという観点から、非行少年対策をさらに推進してまいりたいと考えております。
 昨年は、広島県及び栃木県において、下校中の小学生の女児が犠牲となる痛ましい事件が相次いで発生し、都内においても、子どもに対する声かけ事案等が続発するなど、都民に強い不安を与えております。
 警視庁では、学校周辺や通学路のパトロール活動を強化するとともに、被害防止教室や不審者侵入時の対応訓練等、学校における安全対策を推進したほか、東京都との共催による子どもの安全対策緊急会議において、区市町村に対し、学校を中心とした保護者や地域住民、警察等による協議会の立ち上げなどを要請いたしました。
 また、子どもに対する声かけ事案等、都内各地域で把握した不審者に関する情報は、これまで行ってきたメールマガジンや広報紙等による情報提供に加え、警視庁ホームページに登載することで、より多くの方々に迅速に提供できるようにいたしました。
 今後も、区市町村、学校、保護者及び地域との連携を強化して、子どもを犯罪から守るための諸対策に万全を期してまいります。
 ここ数年、都民の皆様の防犯に対する関心が大いに高まっており、これまでに二千二百を超える防犯ボランティア団体が結成され、約十三万七千人の方々に防犯パトロールなどの地域安全活動を展開していただきました。
 また、道路、公園、駐車場等への街路灯、防犯カメラの設置など防犯環境の整備のほか、青色回転灯を装備した車両による防犯パトロールが実施されるなど、自治体等による各種防犯活動も活発に行われております。
 警視庁では、これらの活動を支援するため、犯罪や防犯対策に関する情報の積極的提供、合同パトロールの実施などを行ってまいりましたが、今後も引き続き、さまざまな支援を通じて自治体との連携を強化し、都民の皆様が安全で安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。
 警視庁では、日本を代表する盛り場である新宿歌舞伎町、池袋、六本木の三地区における盛り場環境の浄化を推進するため、一昨年の四月から三地区特別対策本部を設置して、違法風俗店、暴力団、不良外国人等に対する重点的かつ戦略的な対策を進めてまいりました。
 その結果、数多くの違法風俗店や違法カジノを閉鎖に追い込んだほか、昨年四月に施行されました改正迷惑防止条例を適用した取り締まりにより、路上での客引きを激減させるなど、相当な成果を上げたところであります。
 また、昨年十二月からは、渋谷地区を新たに加えた四地区特別対策として諸対策を推進することとしたほか、本年四月一日から施行されるビルオーナー等に対する新たな規制を盛り込んだ改正ぼったくり防止条例の積極的な活用等により、盛り場環境のさらなる浄化に努めてまいります。
 昨年中の特別捜査本部の開設は十七件であり、検挙は、前年以前に開設した事件を含め十四件でありました。しかしながら、事件発生から五年を経過した世田谷の一家四人強盗殺人事件を初め、八王子のスーパー強盗殺人事件、東村山の警察官殺害事件など、幾つかの重要事件が未解決のままであり、これらについては、一日も早い犯人検挙に向けて、引き続き粘り強い捜査を展開してまいります。
 また、マンション等の耐震強度偽装事件については、千葉、神奈川両県警察との合同捜査本部を設置し、全国の関連施設百カ所以上を一斉に捜索し、現在、全容解明に向けた徹底的な捜査を推進しているところであります。
 問題となっている振り込め詐欺については、昨年、都内だけでも約二千九百件発生し、被害総額も約五十二億円に及ぶなど、依然として多発傾向にあります。こうした中、昨年は、一昨年の約八七%増加の九百五十六件を検挙したほか、当庁と東京都、弁護士会、銀行協会、通信協会等による振り込め詐欺抑止総合対策会議を開催し、ATMの引き出し限度額の低額化を図るなど、一層の取り締まりと被害防止対策を強化したところであります。
 第二は、暴力団対策の推進についてであります。
 全国で最大の勢力を擁する指定暴力団山口組は、昨年、組長を初め幹部の交代等による体制変更を行うとともに、都内の繁華街を勢力範囲とする指定暴力団國粹会を傘下におさめたほか、住吉会、稲川会等の在京暴力団との間で資金源等をめぐって緊張が続くなど、情勢は不安定化しております。
 このため、警視庁では、昨年九月に山口組集中取締特別捜査本部を設置して取り締まり体制を強化し、國粹会組員を初め多数の山口組組員を検挙するなど、昨年一年間で約七千人の暴力団構成員等を検挙しております。
 今後とも、暴力団に関する動向把握を徹底し、対立抗争の未然防圧を図るとともに、引き続き検挙対策を推進してまいります。
 第三は、大規模災害等に対する迅速的確な対応についてであります。
 昨年七月には、千葉県北西部地震により都内で十三年ぶりに震度五強を観測し、広い範囲で交通機関が麻痺したところであり、九月には、台風十四号の影響による局地的な豪雨により、杉並区や中野区などにおいて床上浸水などの被害が発生いたしました。
 首都直下地震が発生した場合には、阪神・淡路大震災に劣らぬ大惨事になるとの予測もされております。
 警視庁では、九月の震災警備総合訓練に加え、職員約四万人が参加した総員参集訓練など、より実践的な訓練を実施するとともに、より高度な救助能力を有する特別救助班の設置等を行ってまいりましたが、今後とも、継続的に有事即応の態勢を整え、震災警備の万全を期してまいります。
 第四は、国際テロを初めとする警備情勢についてであります。
 昨年七月の英国・ロンドンにおける同時多発テロ事件、十月のインドネシア・バリ島における同時多発テロ事件の発生など、イスラム過激派によるとされる国際テロの脅威は依然として高く、我が国に対するテロの発生も懸念されているところであります。
 警視庁では、平成二十年に我が国で開催が予定されているサミット会議も視野に入れ、テロ関連情報の収集、分析を強化するとともに、政府関連施設などの重要施設に加え、公共交通機関、繁華街、地下街等のいわゆるソフトターゲットの警戒強化や管理者等との連絡体制の確立など、国際テロ等の未然防止に万全を期してまいります。
 極左暴力集団及び右翼についてでありますが、昨年、警視庁では、極左暴力集団の活動家二十六人、右翼構成員ら百二十六人を検挙いたしました。
 しかしながら、極左暴力集団は、依然としてイラクへの自衛隊派遣、成田国際空港の滑走路延伸等をめぐり、実力武装闘争を主張しており、今後もテロ、ゲリラ事案を引き起こすことが懸念されております。
 一方、右翼は、社会情勢から派生する諸問題に敏感に反応し、昨年は、特に中国国内における反日デモ等をとらえ、活発な抗議・要請行動を展開しており、本年も、領土問題、憲法改正問題等に取り組むことが予想されます。
 引き続き、極左暴力集団、右翼によるテロ、ゲリラ事件等の防圧検挙を強力に推進してまいります。

 北朝鮮による日本人拉致容疑事件の捜査につきましては、久米裕さん拉致事件の被疑者である北朝鮮工作員金世鎬を国外移送目的拐取罪で、原敕晃さんに成り済ましていた北朝鮮工作員辛光洙を旅券法違反等で、それぞれ逮捕状の発付を得て、警察庁を通じて国際手配中のところ、昨年十二月、辛光洙については、他の日本人拉致容疑事件にも深くかかわっていたことが新たに判明したことから、現在、関係県警察との共同捜査により、一連の拉致事件の解明を進めているところであります。
 また、昨年十月、医薬品を無許可販売した薬事法違反で、朝鮮総聯傘下団体顧問を通常逮捕し、関係施設十一カ所を捜索いたしました。今後とも、拉致事件等の真相を究明するため、強力に捜査を進めてまいります。
 オウム真理教につきましては、全国十七都道府県に二十九カ所の主要施設と約千六百五十人の信者を擁し、うち都内には主要活動拠点が七カ所あり、約六百三十人の信者が居住しております。
 昨年、警視庁では、教団の幹部以下、教団財政を支える関係者八名を職業安定法違反で逮捕いたしましたが、教団によるサリン事件等の被害者賠償に藉口した教団運営資金の確保工作、松本被告に対する強い帰依意識や教義を浸透させるための活動等の実態が明らかとなり、依然としてその潜在的危険性が払拭されない現状にあります。
 今後とも、関係機関、自治体等と緊密な連携を図りつつ、教団に対する監視体制の継続、違法行為に対する厳正な取り締まり等、総合的な対策を推進してまいりたいと考えております。
 第五は、交通対策についてであります。
 警視庁では、平成十五年から年間の交通事故死者数を三百人未満に抑止すべく、「交通死亡事故連続減少 チャレンジ・アンダー三〇〇」をスローガンに掲げ、高齢者及び二輪車の事故防止と、悪質、危険な交通違反の指導取り締まりを重点に諸対策を推進してまいりました。
 その結果、昨年の死者数は、統計を始めた昭和二十九年以降二番目に少ない二百八十九人となり、三年目にしてチャレンジ・アンダー三〇〇の目標を達成することができたところであります。
 しかしながら、依然として交通事故により多数のとうとい命が失われている現状にかんがみ、引き続き交通死亡事故抑止のための各種対策を強力に推進し、より安全で快適な交通社会の実現に努めてまいります。
 第六は、都民の視点に立った警察活動についてであります。
 犯罪による被害者やその遺族等は、犯罪行為による直接的な被害にとどまらず、精神面や経済面でも大きな打撃を受けております。
 このため、警視庁では、被害認知直後から犯罪被害者に対して、刑事手続の説明や病院への付き添い等を行う初期支援活動、検挙状況等の情報提供を行う被害者連絡活動、あるいは被害状況を明らかにする診断書の作成費用や診察料等の公費負担など、さまざまな施策を推進しております。
 今後とも、自治体を初め、東京都犯罪被害者支援連絡会や警察署犯罪被害者支援ネットワークなどの関係機関、団体との連携を一層強化しながら、被害者支援の充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上、都内の治安状況について申し上げましたが、警視庁では、昨年お認めいただいた警察官三百名の増員や交番相談員等再雇用職員の増員などにより、多くの警察官を現場警察活動に充てることができました。
 しかしながら、犯罪抑止対策を初め、空き交番解消のための交番機能の強化対策等、都民の体感治安を向上させる施策を充実していくためには、人的基盤のさらなる強化が重要であり、今定例会におきましても、警察官増員のための条例の改正や必要な予算の確保をお願いしているところであります。
 警視庁といたしましては、今後とも、都民が期待する安全・安心なまち東京の実現に向け、全力を尽くしてまいります。
 議員の皆様方におかれましては、なお一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、治安状況報告といたします。(拍手)

○議長(川島忠一君)以上をもって警視総監の発言は終わりました。

○議長(川島忠一君)次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。
 監査委員樺山たかし君。
   〔九十二番樺山たかし君登壇〕

○九十二番(樺山たかし君)監査委員を代表いたしまして、過去一年間に実施した監査の結果についてご報告を申し上げます。
 なお、報告の前に一言申し上げます。
 私ども四名の監査委員は、地方自治法に基づいて、議会の承認のもと、信頼する石原都知事の選任をいただき、年間十二兆円をも上回る膨大な予算と千二百万都民を擁する世界的大都市東京の行財政の執行状況を、監査事務局の確かな業務にも支えられ、公平、公正、中立の観点から厳しくチェックし、あわせて、寸分の停滞も許されない都政の中で、この制度があってこそ都政が正しく進捗するとの強い使命感を背景に、まさに三百六十五日、膨大な資料とも格闘を続けながら、ただひたむきに頑張っていることを冒頭申し述べて、本論に入ります。
 さて、昨年我が国では、明治以来初めて出生人口が死亡人口を下回りました。いわゆる人口が減少する社会の到来であります。一方、日本経済は活気を取り戻しつつあって、都の税収も増加に転じたところであります。こうした社会経済の大きなうねりを見きわめ、東京都は都民ニーズに的確にこたえる必要があります。
 ご承知のとおり、監査委員の役割は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されるよう、誠実に監査することであります。この一年間は、九百五十三カ所で監査を実施し、問題点の指摘は二百五十三件、不経済支出等の合計は約十五億円でありました。
 それでは、個別に監査結果の報告に入ります。
 定例監査、工事監査、行政監査など多岐にわたる監査のうち、まず、定例監査からご報告を申し上げます。
 これは、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査であります。本庁のすべての部と事業所の半数、計四百九十九カ所を監査いたしました。
 指摘事項の一例を申し上げます。
 現在、都立高校ではパソコン教室を設置しております。そこのOAフロアや机は、リース期間が終わった後も低価格で利用できるにもかかわらず、新品に取りかえられていました。一校当たり五百万円から六百万円もの余分な支出となって、これが長年にわたり見過ごされていたところであります。
 また、身近な話でございますけれども、この議会棟の一階には、十年以上前から全く使っていない幻のエスカレーターがあります。ご存じの方もいらっしゃるはずであります。ところが、稼働を停止した後も、保守業務委託の内容を一向に見直さなかったために、停止前と同じように保守経費を支払い続けていたのであります。
 毎年継続的に行っている契約であっても、その内容が適切だとは限りません。むだや誤りがないか、よりよい方法がないか、強い問題意識を持って事務を見直すことが重要であります。
 次に、工事監査について申し上げます。
 今回は、百万円以上の工事の約一割、千六百四十件を監査いたしました。
 指摘した内容は、工事費の積算を誤ったものが大半を占め、単純な不注意やチェック不足によるミスが少なくなかったところであります。
 また、工事費の積算プログラムのミスによる事例も複数ありました。例えば下水道管に光ファイバーを取りつける工事においては、入力する必要の全くない項目がプログラムに組み込まれていたために、十二件、約八百五十万円が過大に積算をされていました。システム上の誤りは影響が極めて大きいため、早急に改善するように求めたところであります。
 また、ある工事で発生した土砂を、請負業者のダンプカーの何と三割以上が積載オーバーで搬出していた事例がありました。とんでもないことであります。これは道路交通法上も問題であって、請負業者への指導監督を適切に行うように強く求めたところであります。
 次に、行政監査について申し上げます。
 今回は情報システムをテーマとして取り上げました。今や行政の運営に情報システムは欠かせません。しかし、システムの有効活用や維持管理コストなど、さまざまな課題があります。
 監査の結果でも、学校給食の予約システムを導入した際、既存の機器が使える学校もあったのに、各校一律に集計用の新しいパソコンを配備したという事例がありました。事前の調査や経費への配慮が全く不十分でございました。
 平成十五年度に導入された文書の管理システムは、意思決定の迅速化が目的の一つではありますが、電子決定率は一三%程度にとどまっております。現時点では、まだまだ電子決定になじまない文書が多く、また、意思決定の迅速化につながらないケースもあるためと思われます。導入三年の経験を踏まえた検討を強く求めたところであります。
 このほか、基本的な事項として、システム構築に当たっては、徹底したニーズ分析、業務分析が重要であって、システム化の対象となる業務の改善を何よりもまず先に行うべきこと、個人情報等のセキュリティー対策に細心の注意を払うべきことなどを付言したところであります。
 次に、都の出資団体や補助金交付団体に対する監査について申し上げます。
 監査を実施したのは、出資団体が三十カ所、補助金交付団体四百二十三カ所であります。出資団体の監査では、経営に重点を置き、詳細に検証をいたしました。
 例えば東京都保健医療公社では、運営している病院の経営分析を行った結果、民間と比べて高コスト体質であることがわかりましたが、都の補助金は収支の不足分を全額補てんしているため、経営努力を促す仕組みとなっておりません。局及び公社には、経営改善に向けた一層の取り組みを強く求めたところであります。
 また、今回の監査対象には、来年度以降、指定管理者として都立施設の運営を担う団体が多く存在いたしております。これらの団体が今後指定管理者であり続けるためには、民間団体との競争に勝ち抜く必要があります。そのためには、より一層の効率化などの経営努力を求めたところであります。
 次に、決算審査について申し上げます。
 平成十六年度決算について、計数を確認するとともに、予算執行や資金管理、財産管理の面からも検証をいたしました。
 特に財産管理については、本年四月から始まる新公会計制度を円滑に導入し、機能させていく上で重要であるため、特に重点的に審査をしたところであります。その結果、財産の登載の誤りが二十一件もあったことから、現在高の把握を適正に行うように求めたところであります。
 このほか、平成十七年には十四件の住民監査請求があって、このうち、請求が法的要件を満たしている式根島における泊地整備工事に関するものなど二件について監査を実施いたしました。
 最後に、監査結果のフォローアップ、つまり事後改善について申し上げます。
 これまで述べてきた監査は、指摘した問題点が改善されて初めて目的を達成します。このため、各局には、指摘を受けてどのように改善したかの報告を求めております。
 過去三年間に行った指摘について見ると、これまでに八割以上が既に改善をされているようであります。昨年指摘した試験問題の印刷の事例では、特命随意契約から競争による契約に改めた結果、従来より約四割、千三百万円も経費削減ができたとの報告がございました。
 以上、この一年間に実施した監査について述べてまいりました。
 監査の結果、総じていえることは、多くの指摘の背後に、担当者が現状の問題に一向に気づいていない例、問題を放置し、先送りしている例が少なくないことであります。これは、前例踏襲やいわゆる事なかれ主義の旧弊がまだ依然として根強く残っているためではないかと思われます。
 何事にも問題意識やコスト意識を持って取り組む都庁であってほしいと強く思います。と同時に、管理者の皆様には、職員にプロの公務員としての自覚を徹底して促すようにお願いいたします。
 いよいよことしは複式簿記・発生主義会計が導入をされます。職員のコスト意識を高め、行財政改革をさらに進める絶好の契機とすべきであります。監査委員といたしましても、新たな公会計制度を監査の立場から有効に活用し、これまで以上に監査の充実を図ってまいります。
 最後に、私ども四名の監査委員は、都政が公平公正かつ効率的に運営されるよう、冒頭申し述べましたとおり、信頼する石原都知事のご期待にしかとこたえるべく、監査委員としての使命を全身全霊を傾けて果たしていく決意であることを申し上げ、監査報告といたします。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君)以上をもって監査委員の発言は終わりました。

○議長(川島忠一君)次に、包括外部監査人より、平成十七年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人園マリさん。
   〔包括外部監査人園マリ君登壇〕

○包括外部監査人(園マリ君)平成十七年度包括外部監査人の園マリと申します。
 平成十七年度は、港湾局の業務である東京港、臨海地域開発及び海上公園に関する事業の管理と財務事務の執行、並びに財団法人東京港埠頭公社の経営管理について監査を行い、二十一件の指摘と六十七件の意見を監査報告書に記載いたしました。
 本日は主な事項についてご説明申し上げます。
 第一に、東京港、臨海地域開発及び海上公園に共通する事項について申し上げます。
 まず、港湾局は多くの財産を所管していることから、土地建物の管理と有効活用に関する事項を取り上げました。
 品川区八潮にある東京港防災事務所南部庁舎は、土地三千九十四平方メートル、建物千三百五十六平方メートルの施設ですが、建築後約十六年が経過した平成十五年四月以降、二年以上実質的に遊休となっております。社会経済状況の変化などにより本来目的での使用が困難になった施設については、もとの所管部署にとどまらず、利活用を推進する必要があります。
 また、港区港南に、平成七年に工費約七十四億円で竣工した東京港建設事務所庁舎は、職員一人当たりの使用有効面積が、都庁新宿本庁舎における部長級職員の割り当て目安の二倍近い二十八平方メートルであるなど、経済性の観点から利用状況を改善する余地があります。
 さらに、平成三年に竣工した晴海客船ターミナルの平成十六年度の寄港実績が、当初の需要予測の約十分の一である三十八隻と低迷しております。約九十一億円の工費が投じられたものであり、銀座などに近いことからも、東京都として一層の振興努力が必要であることを申し述べました。
 なお、行政が保有する財産は、一般会計において貸借対照表が作成されていないことなどから、投下資本に対するコスト意識を伴った管理が難しいとされていますが、港湾局が所管する財産は、例えば同じ事務所庁舎でも、東京港建設事務所が一般会計で処理されているのに対し、東京港防災事務所は臨海地域開発事業会計で処理されているなど、財産全体の情報が把握しにくくなっております。
 東京都では、平成十八年度から、一般会計、特別会計に複式簿記と発生主義に基づく会計処理方式が戦略的に導入されますが、この会計が、港湾事業会計及び臨海地域開発事業会計と相まって、港湾局が所管する財産全体とその保有に伴うコストの状況などを明らかにし、コスト意識を伴った財産管理と都民への財産に関する情報提供に資するよう機能させることは極めて重要であることを意見としております。
 次に、監理団体との取引について取り上げました。
 まず、東京夢の島マリーナは、株式会社東京テレポートセンターが、公募によることなく管理していますが、民間のノウハウが生かされる可能性が大きい事業であることから、少なくとも管理者を公募し、応募があった場合には、コスト、サービスの両面で比較検討することが望ましいと考えます。
 また、その施設は東京都から無償で貸し付けられていますが、同社が平成十六年度において、この施設管理事業から二億二千四百万円の事業総利益を経常していることに照らして、施設使用料の徴収を検討する必要があります。
 また、財団法人東京港埠頭公社が収益事業として営む駐車場事業は、平成十六年度において、東京都から一億二千万円の地代が減免されているのに対し、公社は一億二千八百万円の税引き前利益を計上しています。こうした状況を踏まえ、地代の減免が適正と認められるかを見直す必要があります。
 さらに、財団法人東京港埠頭公社に委託する建設発生土処理事業については、公社が当該事業の剰余金から一部事業資産を取得して保有しており、東京都の資産と混在していることにより、事業に資本投下された総額を東京都が把握できておりません。この状況を改めると同時に、平成十六年度末で約七十三億円という多額の剰余金が公社に蓄積されていることから、公社の剰余金は原則として毎年東京都に納付させる必要があることを申し述べました。
 第二に、東京港の整備運営に関しましては、船会社が東京港を利用する場合には、東京港内だけでなく、東京湾内コストを含んだトータルコストが経営戦略上重要であると考えられますが、現在のところ、全容がわかりやすいとはいえないため、わかりやすく情報提供することが望ましいことのほか、東京港港湾情報ウエブシステムの利用促進の働きかけにより、東京港管理事務所の業務効率化を図る必要があることなどを意見、指摘としております。
 第三に、臨海地域開発に関しましては、都民の大きな関心を集めるものであり、公営企業会計による効率的な執行や遂行状況の説明責任を果たすことが必要です。
 また、企業債の発行に関する資金の効率化も重要です。臨海地域開発事業会計では、臨海副都心基盤整備に係る転貸債の償還が開始されたことに伴い、建設元利金債が発行されており、平成十六年度では、千四百五十五億円の転貸債償還に対して、同額の建設元利金債が発行されています。しかしながら、年度末の現預金残高は千四百六十八億円であり、当面は企業債を新規に発行しなくても償還が可能な資金状況となっています。
 企業債の発行は、土地売却や開発事業費の推移、金利動向などを総合的に勘案して行うものですが、一方で資金を効率的に使用することによる金利削減効果も大きいため、少なくとも今後の建設元利金債の発行については、資金需要と金利負担の状況を十分勘案した上で、発行金額、期間をより精緻に管理し、資金の効率化と金利の節減を図る必要があることを意見としております。
 第四に、海上公園の整備運営につきましては、海上公園の性格が、収益性の期待できる若洲ゴルフリンクス、野鳥と自然の保護を目的とする東京港野鳥公園、スポーツ施設としての性格が強い有明テニスの森公園と多様であることから、より公園の性格に即した管理運営が必要です。
 例えば若洲ゴルフリンクスは地理的にも恵まれたゴルフ場ですが、利用料で施設整備費の回収を図る運営がなされていません。民間事業者が経営するゴルフ場は、固定資産税を負担した上で、施設に投下した資本費の回収を目指して経営されていることを念頭に置き、施設整備費を負担した東京都に帰属するべき金額を十分意識した上で、営業日数の拡大の検討を含めて、最大限効率的に管理運営する必要があることを申し述べました。
 第五に、財団法人東京港埠頭公社の経営管理につきましては、公社が指定管理者制度の導入などにより、民間事業者との厳しい競争に直面している現状を踏まえ、本社社屋賃借料の削減を図る必要があるほか、一部の経費についてあり方を見直すべき点があることを指摘、意見としております。
 以上をもちまして、平成十七年度包括外部監査の結果のご説明といたします。(拍手)

○議長(川島忠一君)以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。

○六十七番(秋田一郎君)この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十三日から二十七日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十三日から二十七日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、二月二十八日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時三十七分散会


文書質問趣意書及び答弁書

十七財主議第四五五号
平成十八年二月十四日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 川島忠一殿
文書質問に対する答弁書の送付について
 平成17年第四回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
   記
後藤雄一議員
そなえ邦彦議員
山口文江議員
たぞえ民夫議員
村松みえ子議員
かち佳代子議員
石毛しげる議員
清水ひで子議員
古館和憲議員
松村友昭議員
吉田信夫議員

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 後藤雄一

質問事項
 一 港湾工事の事故対応について
 二 病院の検査システムの契約について
 三 東京消防庁自動車の買い換えについて
 四 公用車のETCカードの管理について
 五 出勤の管理について
 六 職員食堂の利用方法について
 七 水道局の電話交換業務について
一 港湾工事の事故対応について
  式根島において、東京都が発注した同じ港湾工事で前抗建設株式会社は35日の間に2回も以下の大きな事故を起こした。
  ・平成17年8月10日、午後4時50分、小浜港。
   起重機船の上で、16t型のテトラポット(コンクリートブロック)に舫ロープをかけていたところ、ロープが外れて作業員の足の付け根に当たり、大腿骨折した。
  ・平成17年9月14日、午後4時40分、野伏漁港岸壁の上で。
   16tのテトラポット(コンクリートブロック)を岸壁に仮置きした時、テトラポットが転回し、作業員の腹部に当たった。
 1 作業員の怪我はどの程度か?回復したか?
 2 35日の間に2回大きな事故を起こしたが、業者の安全対策は十分であったか?発注者としての検査はおこなわれていたのか?
 3 業者への指導、処分は行ったのか?どのような処分を行ったのか?
 4 今後の対応を伺う。
二 病院の検査システムの契約について
  都立病院・医療センター等には血液などの検査を担当する検査科というセクションがあり、検査の合理化・スピードアップ等を目的にIT化が進んでいる。
  検査システムは「賃貸契約(リース契約)」、5年毎の指名競争入札で1円でも安い業者に落札する。
  契約相手は「ファイナンス会社」等で、実際にシステムの保守・管理する業者は契約書に書かれていない。
  病院関係者は「検査システム等は更新して1年間ほどは、軽微なミスが付きもの。職員がチェックしているから大丈夫」という。しかし、システムを管理・運営する会社のレベルには差があることも関係者は認めている。
  行革110番が調査したところ、ID番号と患者名が違う。検査していないAB型の結果が登録されたれ、と書かれた障害票等が残されている。システム導入の準備期間で解決しておいてもらわなければ患者は恐くてたまらない。
 1 病院検査システムの契約には「保守・管理を行う業者名」を記載するよう改めるべき、と考えるがいかがか?
 2 障害票は重要なものと考えるが、保管方法もいい加減で記録をとらない病院もある。保存を義務ずけるべき、と考えるがいかがか?
三 東京消防庁自動車の買い換えについて
 1 消防署・本面本部ごとに黒塗りの乗用車である「署長専用車(査察広報車)」が配車されており、平成18年度の予算要望に10台の更新がある。
   以前、行革110番が消防署長の署長専用車私的利用を監査請求し追求したところ、査察広報車と名称を変えたが、相変わらず行革110番には私的に利用しているとの情報が多く寄せられている。
   査察広報車の運転は現場消防官が行い、効率的な職員の配置を目指す消防庁として査察広報車を廃止し更新を行うべきでない、と考えるが、見解を伺う。
 2 どうしても必要というのなら、理由を明確にせよ。
   必要であるとして更新する場合は、東京消防庁の車であることを車の側面にペイントし、火災予防のステッカー等を張るべき、と考えるが、見解を伺う。
四 公用車のETCカードの管理について
  公用車にはETCの装置がつけられ、利用されている。
  ETC装置はカードが装着されており、このカードの番号が高速道路等の入り口で認識され、後日カード決済で支払いが行われている。
  現在、ETCカードは運転手が運転業務使用終了後にETCの装置から抜き取り、運転手控え室で保管されている、という。
  以前はETC請求書と運転日誌とを照合していたが、不正はなく、照合事務が煩雑だったので現在は行っていない、という。
  ETCの利用は「カード」であり、不正使用がおこる可能性は十分考えられる。公金の支出に伴う行為であることをふまえ、照合を行っていない、と宣言するのでなく、抜き取り調査等の手法を用いてチェックを行うべき、と考えるがいかがか?
五 出勤の管理について
  行革110番が出勤状況をチェックしたところ、相変わらず通勤経路に近い庁舎1階のテンキー付きカードリーダーを使い入力している職員がいる。
  本来は職場のある階のカードリーダーを利用すべきである。しかし、職場階のカードリーダーは台数も少ないことから実現不可能と聞く。
  そこで、カードを忘れてきた職員は、職場階のテンキー付きのカードリーダーを利用させることにし、1階に設置してあるテンキー付きのカードゲートを廃止すべき、と考えるがいかがか?
六 職員食堂の利用方法について
  新宿都庁の職員食堂は、都庁の第一庁舎32階、第二庁舎4階にそれぞれ2つあり、(財)東京都福利厚生事業団が都から職員の福利厚生という名目で無償で借り受け、民間業者計4社に委託している。
  職員食堂は17時30分からは「酒」が並べられて宴会OKの居酒屋さんに変身する。
  最近、第2庁舎職員食堂の壁にはり出された3枚のポスターがある。
  1枚が「忘年会得得メニュー お一人様2000円 2時間」、料理は、おつまみ・お刺身・中華大皿・揚げ物3品盛り・ジンギスカン大皿盛り・五目焼そば!!2枚目が「飲み放題ドリンクメニュー 1300円」、瓶ビール・日本酒・焼酎・ウイスキー・ソフトドリンクとある。そして最後に「忘年会 早期予約早割トクトク情報 ※12月の忘年会・飲み会に限ります。お会計の際10%又は5%割引します。さらにお一人様、1本瓶ビールがつきます。」
  良く見ると、10月20日から11月18日までの予約には10%、11月21日から12月9日が5%割引。しかし、ご予約は一人2500円以上、10人以上の宴会でお願いします。」と但し書きまである。
  職員の勤務時間はご承知のとおり、A勤が8時30分から17時15分、B勤が9時から17時45分、C勤が9時30分から18時15分の3班に分けられている。
  このうちA班は2割程度と決められているので、残りの8割の職員は食堂が居酒屋に変身する17時30分には勤務時間中!ということになる。
  そのうえ、職員は退庁時にカードゲートを通さなくて良いことになっており、管理されていないのだ。ということは、誰が勤務時間中なのか分からない!
 1 職員の勤務時間が終わる前から酒が飲める職員食堂は改めるべき、と考えるがいかがか?
 2 飲み放題とかかれたポスターは職員食堂として不適切と考えるが、いかがか?
七 水道局の電話交換業務について
  「水道局の支所・営業所の電話交換業務」は「(財)東京都弘済会」と以下の理由で特命随意契約している。
  ・当局は支所及び営業所における事務は、電話による受付および問い合わせ等への対応が高い比重を占めている。本件電話交換業務は、交換台において、お客さまからの多数の電話に迅速かつ的確に対応し、必要な取次ぎ等を行うものであり、水道事業の円滑な運営とお客さまサービスにとってきわめて重要な処理業務で、高い信頼性が要求される。
  ・これらの処理業務を支障無く行なうには、接遇の知識と実践力を備えているだけでなく、当局の事業内容や業務・組織等の内容を熟知し、様々な電話の用件に対応できる人材を擁する業者が求められる。当局事業に精通していない企業がこの業務を受託した場合、当局業務に多大な混乱、支障が生じる可能性が高く、水道局への信頼を大きく失うおそれがある。
  ・昭和39年度から当局の電話交換業務を受託している(財)東京都弘済会は、豊富な経験と十分な履行能力を有し、水道局業務及びお客様への対応を十分に熟知しており、優秀な業務成績も残している。また、東京都をはじめ、官公庁からの受注実績も多く、信頼性が高い。
 1 水道局の支所・営業所の電話交換業務を「(財)東京都弘済会」に特命随契で契約する理由などない、と考えるがいかがか?
 2 水道局は今年から「お客さまセンター」を開設し、水道局グループ企業の株式会社PUCに委託したので、支所・営業所への電話交換業務は激減しているはずだ。当然、来年からはこの電話交換業務委託は廃止すべき、と考えるがいかがか?

平成17年第四回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 港湾工事の事故対応について
  1 都が発注した式根島港湾工事で、前抗建設株式会社は、35日間に2回も大きな事故を起こした。作業員の怪我はどの程度か、回復したのか伺う。

回答
 式根島の港湾工事で発生した作業員のけがは、平成17年8月10日と9月14日に、新島村式根島にある小浜漁港の防波堤建設に必要な消波ブロックの運搬・据付け中に起こったものです。
 8月10日の事故にあった作業員は、右大たい骨の一部骨折により病院に入院・加療の後、9月14日に退院しています。現在はリハビリを実施しており、平成18年1月中には職場に復帰する予定と聞いています。
また、9月14日の事故にあった作業員は、下腹部打撲による内出血により病院に入院しましたが、10月1日に退院、10月29日には職場に復帰しています。

質問事項
 一の2 35日の間に2回大きな事故を起こしたが、業者の安全対策は十分であったか、発注者としての検査は行われていたのか伺う。

回答
 都は、工事に先立ち、請負者から施工計画書を提出させ、監督員により施工方法、安全対策、施工体制、安全管理体制等について十分に確認した上で工事を施工させています。
 工事着手後は監督員が現場等で、その都度、安全対策等についての指導を行うとともに、工事施行に当たっての安全確保と労働災害等の防止を目的とした定期的な工事安全連絡協議会を開催しています。
 今回の二度にわたる事故の発生要因は、当該作業員の作業の慣れ等による一瞬の不注意から起こったものであり、請負者は、上記施工計画書に基づき、作業前に、現場の状況や潮流の状況等を、その都度、作業員に周知徹底を図るなど、安全対策に十分配慮した施工を実施していたと報告を受けています。

質問事項
 一の3 業者への指導、処分は行ったのか。どのような処分を行ったのか伺う。

回答
 請負者への指導については、両件とも事故発生直後から、それぞれ19日間及び22日間の工事一時中断を指示し、総合的な安全管理体制の改善策等を書面で提出させるとともに、安全対策の周知徹底を図るよう指導するなど、工事安全対策のなお一層の徹底に努めました。
 また、工事全般にわたる緊急総点検の実施と工事安全対策の一層の徹底については、当該業者はもとより管内の他の請負者に対しても両件の事故発生の翌日に、書面をもって周知徹底を図りました。
 請負者に対しては、契約事務の適正な執行を確保するため、東京都契約事務規則及び東京都競争入札参加資格者指名停止措置要綱等に照らし、必要に応じて厳正に処分等の措置を行うこととしていますが、今回の事故は、両件とも工事作業中の社内事故であったこと、また、幸いにして死亡事故にならなかったことから指名停止に至らないものの、より安全な工事の施工を図る観点から口頭による厳重注意と文書をもって厳正な指示を行っています。

質問事項
 一の4 今後の対応を伺う。

回答
 都では、今後とも、契約事務の適正な執行を確保するため、東京都契約事務規則及び東京都競争入札参加資格者指名停止措置要綱等に照らし、必要に応じて厳正に処分等の措置を行っていきます。
 また、工事の安全対策については、すべての離島の港湾工事の契約請負業者に対し、労働安全衛生に関する関係諸法令を遵守した安全管理体制の確立と施工を実施するよう、日常的な監督業務を通じての安全指導及び定期的な工事安全連絡協議会や、安全講習会の開催などにより事故防止に努めていきます。

質問事項
 二 病院の検査システムの契約について
  1 都立病院等の検査システム賃貸契約書では、契約相手の記載はあるが、保守・管理業者の記載はない。病院検査システムの契約には、「保守・管理を行う業者名」を記載するよう改めるべきだが、所見を伺う。

回答
 都立病院等の検査システムの賃貸借契約は、東京都契約事務規則等にのっとり、今後とも、適正な契約を実施していきます。

質問事項
 二の2 システム障害票は重要なものだが、保管方法もいい加減で記録をとらない病院もある。保存を義務づけるべきだが、所見を伺う。

回答
 検査システムのシステム障害は、賃貸借契約の相手方が直ちに修復すべきものです。いわゆるシステム障害票は、システム障害の修復において必要な場合に作成される任意の様式の連絡票です。システム障害を修復した後は、こうした連絡票を適切に処理しています。

質問事項
三 東京消防庁自動車の買換えについて
  1 消防庁では、消防署・方面本部ごとに査察広報車があり、18年度予算で10台の更新を要求している。運転は現場消防官が行い、査察広報車を廃止し更新すべきでないが、見解を伺う。

回答
 査察広報車は、立入検査、各種調査、官公庁・事業所等との業務連絡など、消防行政事務全般に多目的に使用しており、消防業務を円滑かつ効率的に行うために、更新は必要です。

質問事項
 三の2 必要とするなら、理由を明確にすべき。また、更新する場合は、東京消防庁の車であることを側面にペイントし、火災予防のステッカー等を張るべきだが、見解を伺う。

回答
 査察広報車は、立入検査や関係機関等の業務連絡など消防業務全般に多目的に使用していることから、一般車と同様の仕様で整備しています。

質問事項
 四 公用車のETCカードの管理について
   公用車のETCカードの請求書と運転日誌との照合は、現在行われていない。公金の支出であることを踏まえ、抜き取り調査等を用いてチェックすべきだが、見解を伺う。

回答
 ETCカードについては、従来より、抽出して使用実績を確認しています。今後とも、ETCカードの管理を適切に行っていきます。

質問事項
 五 出勤の管理について
職員出勤時の入力は、本来は職場階で行うべきである。カードを忘れた職員は、職場階のカードリーダーを利用させ、一階のテンキー付きのカードゲートを廃止すべきだが、見解を伺う。

回答
 出勤時のカード操作については、知事部局では「東京都カードシステム出退勤関係事務処理要領」で、自分の所属のある庁舎1階又は各階事務室の主要出入口にあるカードゲートでカード操作を行うものと定めており、従来から、職員に対し周知してきています。他任命権者についても同様の規定があり、周知してきています。
 1階に設置してあるテンキー付きのカードゲートには、身体障害者用のものが含まれており、身体障害者のカード操作に支障が生じるため、そのすべてを廃止することは困難です。
 カード操作については、自分の所属のある庁舎で操作を行うよう、引き続き、職員に対し周知・徹底していきます。

質問事項
 六 職員食堂の利用方法について
1 新宿都庁の職員食堂で飲酒可能となる17時30分は、大半の職員が勤務時間中である。職員の勤務時間が終わる前から酒が飲める職員食堂は改めるべきだが、見解を伺う。

回答
 職員の勤務態様は「時差勤務型」となっており、A班・B班・C班とそれぞれ勤務時間が分かれています。
 職員食堂において酒類を提供するのは17時30分以降となっていますが、各職員がアルコールを伴う飲食をするのは時差勤務終了後からであり、問題はないと考えています。

質問事項
 六の2 職員食堂には、「飲み放題」などと書かれたポスターがはり出されている。飲み放題と書かれたポスターは職員食堂として不適切だが、見解を伺う。

回答
 「飲み放題」については、民間の飲食店においても一般的に提供されているサービスであり、ポスターによるPRについては、受託業者の営業活動の一環と考えています。

質問事項
 七 水道局の電話交換業務について
  1 水道局の支所・営業所の電話交換業務は、信頼性が高いなどの理由で、(財)東京都弘済会と特命随意契約している。特命随意契約する理由などないと考えるが、見解を伺う。

回答
 支所・営業所の電話交換業務は、水道事業の円滑な運営のため、お客さま等からの多数の電話に迅速かつ的確に対応し、必要な取次ぎ等を行うものです。
 この業務を確実に履行するためには、接遇の知識と実践力を備えていることに加えて、水道事業の業務内容等を熟知していることが肝要です。
 このため、支所・営業所の電話交換業務については、前記条件を満たしている(財)東京都弘済会と特命随意契約しているものであり、適切であると考えています。

質問事項
 七の2 今年からお客さまセンターを開設したため、支所・営業所への電話は激減しているはずである。来年からは電話交換業務委託は廃止すべきだが、見解を伺う。

回答
 お客さまセンターの業務範囲を平成18年度に拡大することとしており、電話交換業務委託については、移行期の混乱を招かないよう、平成19年度から廃止する予定です。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 そなえ邦彦

質問事項
 一 地球温暖化対策について
 二 学校での部活(中学)の位置付けと方向について一 地球温暖化対策について
  日本も地球温暖化に対応するため「京都議定書」を批准し、いよいよ実質的な対策に取り組む段階に入ってきております。
  都としても、重点的な施策の中に、地球温暖化の防止、ヒートアイランド対策の展開をかかげております。
  そこで、さらに温暖化対策を展開していく上での課題等について伺います。
 1 都の施設で、屋上緑化をしている所は何ケ所くらいで、主なものはどういうものですか。
 2 区市でも屋上緑化に取り組んでいるが、補助支援は、どの様になっているのですか。
 3 大規模建築物に対し、屋上緑化等を義務化する必要があると思うが、どうなっているのですか。
 4 都バスや、都の公用車のアイドリング・ストップの実施の状況は、どうなっていますか。
 5 排ガス不適合ディーゼル車の、都への乗り入れ規制については、どうなっていますか。
 6 平成18年度予算の事業の中に、温暖化の防止対策として、中、小規模事業者における温暖化対策の推進とあるが、どういう内容なのか、教えて下さい。
二 学校での部活(中学)の位置付けと方向について
  都教育委員会では、これまで各学校における、生徒の豊かな心の触れ合いと健康の増進や、体力の向上を目指した「心とからだの健康づくり」を推進するために、各学校での部活動を奨励して来ております。
  ところが、現場の中学では、その「位置付け」が曖昧であり、又、顧問教諭の問題等もあり、生徒達が希望しても、その種目が部活で無い様な状況である。これは単なる少子化の問題では無いと思います。
  都教育委員会では、この10月に「部活動基本問題検討委員会」を設置 し、検討し「報告書」を出しております。
  今後は、各区市町村の教育委員会が部活動の振興に全力で取り組んで行く仕組みと、方向付けが必要だと考えます。
  そこで、改めて、問題点、課題についてお聞きしたいと思います。
 1 最終的には校長の部活に対する意識の問題があると思うが、校長会等で真剣に議論されているか疑問である。その辺の指導についてはどうですか。
 2 顧問教諭になりたくない先生達のネックになっている点があるとするなら、どういう問題であるのか、その解消には、どうしたら良いのでしょうか。
 3 教諭の仕事が忙しいと言うが、立派に両立させて、生徒を指導している先生方も多い。直接指導しなくても、顧問に付く事は出来ないのですか。
 4 外部指導者の導入には、校長の判断が必要だが、学校によって、バラバラである。都や各市町村の体育協会やスポーツクラブ等の体系的な支援体制を組まなければならないと思うが、体協等への協力要請をしているのでしょうか?
 5 今後この「報告書」の中身を、各、区市町村へどの様に徹底させていくつもりでしょうか?

平成17年第四回都議会定例会
そなえ邦彦議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 地球温暖化対策について
  1 都の施設で、屋上緑化をしている所は何か所くらいで、主なものはどういうものか伺う。

回答
 平成17年12月現在、屋上緑化をしている都の施設は63か所で、主な施設は都議会議事堂、都立学校、都立病院、都営住宅、警察署などです。

質問事項
 一の2 区市でも屋上緑化に取り組んでいるが、補助支援はどのようになっているのか伺う。

回答
 都では、ヒートアイランド対策推進エリアの7区などと連携して、屋上緑化等の建築物被覆対策を推進するため、クールルーフ推進協議会を設立しました。
 この協議会では、国の交付金を活用し、民間事業者等が行う屋上緑化について、平成17年度から3年間、財政及び技術的支援を行います。

質問事項
 一の3 大規模建築物に対し、屋上緑化等を義務化する必要があるが、どうなっているのか伺う。

回答
 都では平成13年4月より、「東京の自然の保護と回復に関する条例」に基づき、1,000平方メートル以上、公共施設については250平方メートル以上の敷地において建築物の新築、増改築を行う場合、敷地や屋上の一定基準以上の緑化を義務付けています。

質問事項
 一の4 都バスや、都の公用車のアイドリング・ストップの実施状況はどうなっているのか伺う。

回答
 都は、大気汚染や地球温暖化を防止するため、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」により自動車を駐停車したときのエンジン停止(アイドリング・ストップ)を義務付けています。
 このことから、公用車や都バスについても、運転手に対しアイドリング・ストップの遵守を指導徹底しています。
 また、都営バスにおいては、平成5年度よりアイドリング・ストップ装置(バスの停車・発進に併せてエンジンを自動的に停止・再スタートさせる装置)の導入を開始し、平成17年12月1日現在、ディーゼル車の約9割に装着するなど、排出ガスの低減に努めています。

質問事項
 一の5 排ガス不適合ディーゼル車の都への乗り入れ規制は、どうなっているのか伺う。

回答
 都は、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」を平成12年12月に制定し、平成15年10月より規制不適合ディーゼル車走行規制を実施しています。
 都外から乗り入れる排出ガス不適合ディーゼル車に対しては、東京都自動車公害監察員(通称、自動車Gメン)による都県境での路上取締り、物流拠点での取締り及びビデオカメラを活用した取締りを実施しています。
 なお、規制開始から平成17年11月末日までの取締箇所は、路上・物流拠点での取締実施箇所が延べ439か所、ビデオカメラでのナンバープレート撮影による調査実施箇所が延べ261か所となっています。

質問事項
 一の6 18年度予算の事業の中に、温暖化の防止対策として、中、小規模事業者における温暖化対策の推進とあるが、どういう内容なのか伺う。

回答
 地球温暖化対策については、社会を構成するすべての主体が取り組まねばなりません。大規模事業者に対しては、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」に基づき、CO2の削減対策の提出を求めています。一方、地球温暖化対策に取り組む中小規模事業者に対しては、専門家による省エネ対策の現場相談や研修などを実施していきます。

質問事項
 二 学校での部活(中学)の位置付けと方向について
  1 都教委は部活動を奨励しているが、現場の中学では、生徒が希望する種目の部活がない。校長の意識の問題があるが、校長会等で真剣に議論されているか疑問である。その辺の指導について伺う。

回答
 部活動の振興を図るためには、校長の課題意識やリーダーシップが重要です。
都教育委員会は、部活動の振興について中学校校長会と連携して実態調査を行うとともに、中学校長の代表を含む部活動基本問題検討委員会を設置し、部活動の位置付けの明確化や校長のリーダーシップの重要性についても協議を行いました。
今後は、その検討結果を踏まえ、区市町村教育委員会と連携し、校長の意識啓発を図っていきます。

質問事項
 二の2 顧問教諭になりたくない先生達のネックになっている点があるとするなら、どういう問題なのか、その解消にはどうしたら良いのか伺う。

回答
 部活動の顧問を引き受けたがらない理由として、部活動指導に対しての負担感や処遇を巡る問題などが考えられます。
このような問題を解消するためには、部活動指導と顧問教諭の勤務との関係を見直すとともに、指導の実績を適切に評価し、その結果を処遇に反映させることなどにより、顧問教諭の士気を高めていくことが重要です。
今後は、教員の勤務条件について、専門委員会を設置して検討していきます。

質問事項
 二の3 教諭の仕事が忙しいと言うが、立派に両立させて、生徒を指導している先生方も多い。直接指導はしなくても、顧問につくことはできないのか伺う。

回答
 部活動の顧問教諭には、技術的な指導のみならず、人間性の育成や安全管理、事故防止などの役割があります。
したがって、直接技術的な指導ができなくても、外部指導者の導入等により、顧問に就くことはできると考えています。

質問事項
 二の4 外部指導者の導入には校長の判断が必要だが、学校によってバラバラである。都や各市町村の体育協会やスポーツクラブ等の体系的な支援体制が必要だが、体協等への協力要請をしているのか伺う。

回答
 都教育委員会では、東京都生涯学習文化財団に委託している指導者派遣事業の中で、外部指導者の紹介・派遣を行う一方で、東京都体育協会や地域スポーツクラブ等に対しても、所属している各スポーツ種目の指導者の紹介や派遣による、学校運動部活動への支援を要請しています。

質問事項
 二の5 今後、部活動基本問題検討委員会の報告書の中身を、各区市町村へどのように徹底させていくつもりなのか伺う。

回答
 都教育委員会では、部活動基本問題検討委員会の報告書を各区市町村教育委員会、全公立中学校に配布するとともに、区市町村教育委員会への説明会や都教育委員会のホームページへの公開等を通して、周知を図っています。
 今後は、中学校校長会等を通じて、一層の趣旨の徹底を図っていきます。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山口文江

質問事項
 一 利根川水系河川整備基本方針の策定について 一 利根川水系河川整備基本方針の策定について
  1997年に河川法が改正され、河川管理者は水系ごとに河川整備基本方針及び河川整備計画を定めることになりました。しかし、日本一の水系である利根川水系においては、改正から8年も経過したにもかかわらず、河川整備基本方針も河川整備計画も策定されないままに、八っ場ダムなどのダム事業が進められてきました。
  ところが、これまで策定の動きも見えなかった利根川について、現在、国土交通省は社会資本整備審議会河川分科会の河川整備基本方針検討小委員会において、超スピードで審議を進めています。10月3日の第1回以来、わずか2ヶ月、5回の審議で結論が出されようとしています。
  「河川整備基本方針」は川のあり方の根幹を決めるものであり、多くの河川で無駄なダム計画を発生させている過大な基本高水流量は、研究者や市民の批判を浴びてきています。基本高水流量は、全ての計画の前提となる最大の洪水規模を示すものであり、利根川では25年前に策定された利根川水系工事実施基本計画において、群馬県の八斗島(ヤッタジマ)地点で毎秒22,000立法メートルとされ、そのうちの6000立法メートルを上流のダム群で調節することとされてきました。しかし、現実には利根川上流では治水目的を含む多目的ダム計画が次々と中止され、国土交通省はこれを容認してきました。治水ダムがどうしても必要ならば、ダム計画を再構築して利根川上流のダム治水容量の大幅増強を図るはずですが、国土交通省はそのような検討もしていません。この事実は、まさしくダム治水容量の増強には緊急性も必要性もなく、新たな治水ダムの建設は困難であり、事実上不可能となっていることを物語っています。
  今回の事務局案でも、基本高水流量は、降雨確率で200年に1度といわれる1947(昭和22)年のカスリーン台風時の洪水流量を基準に机上の計算で求めたものであり、当時の洪水が戦時中の乱伐による利根川流域の山の保水力の著しい低下に起因するという特殊な一面もあることから明らかに問題があります。戦後60年間にわたって蓄積されてきた現実の流量観測データを用いて、最新の解析手法で基本高水流量の算定をやり直し、実現可能な利根川の将来像を見据えるべきです。
  そこで以下質問します。
 1 河川分科会や小委員会のメンバーはどのように決められ、どのように構成されたのか?市民代表の参加はあったのでしょうか。
 2 この検討小委員会の正式メンバーとなっている東京都は、誰が出席され、どのような意見を出されたのでしょうか。またこれについて庁内では事前にどのような検討をされたのでしょうか。
 3 この審議の場で国土交通省から示された内容は、旧河川法に基づき昭和55年に策定された、利根川水系工事実施基本計画をほぼそのまま踏襲しており、計画策定後の25年間に得られているはずの最新の諸データを用いた科学的検討が欠落しているのではないかと考えられますが、今回改めて国が示したデータや調査結果はあったのかうかがいます。
 4 国土交通省河川局に、基本高水流量の算定のやり直しを求めるお考えはありませんか。
 5 都の委員は、12月6日の検討小委員会で計画高水流量についての意見を聞かれて、「上流・下流のバランスからも妥当」と答えられたと聞きますが、どのような根拠によるものでしょうか。都の独自の専門的調査・検討によるものならば、どのような調査を行ったのか回答願います。
 6 また基本方針を確定する前には、パブリックコメントや公聴会を開くなど、流域住民と議論する場を設けるべきではないでしょうか。国に、慎重な審議と情報の公開を求めていくべきと考えますが、見解をうかがいます。
 7 今後の利根川河川整備基本計画の策定には、自治体の長や流域住民の意見が反映されると聞いていますが、都はどのような準備を行うのでしょうか?例えば、審議会においての審議検討を行う準備があるのでしょうか、また、その際の都民参加についてどのように考えられているのか伺います。
 8 東京都のHPには、今回の基本方針の検討状況についても都民への情報公開が全くありません。国の審議会へ参加して、東京都としてどのような意見を表明しているのか都民に明らかにすべきですが、見解を伺います。
 9 今回の善福寺川や妙正寺川の水害対等など、東京の治水対策にもっと根本対策と予算を集中すべきと考えますが、見解をうかがいます。

平成17年第四回都議会定例会
山口文江議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 利根川水系河川整備基本方針の策定について
  1 国土交通省の社会資本整備審議会河川部会や河川整備基本方針検討小委員会のメンバーは、どのように決められ、どのように構成されたのか、市民代表の参加はあったのか伺う。

回答
 平成9年に河川法が改正され、河川管理者はその管理する河川について、計画高水流量、その他当該河川の河川工事及び河川の維持の基本となる河川整備基本方針を定めること、また、この方針を国土交通大臣が定めるときには社会資本整備審議会の意見をあらかじめ聴くこととされました。
 当該審議会に河川分科会が、また、河川分科会の下に河川整備基本方針検討小委員会が置かれ、河川分科会の委員は審議会の委員等から国土交通大臣が指名し、小委員会の委員は分科会の委員等から分科会長が指名しています。
 委員は、河川に関する学識経験者、新聞論説員や民間企業代表者、さらには、流域の市長や1都5県の知事など幅広い層の方々から構成されています。

質問事項
 一の2 検討小委員会の正式メンバーとなっている東京都は、誰が出席し、どのような意見を出したのか。また、庁内では事前にどのような検討をしたのか伺う。

回答
 社会資本整備審議会の臨時委員として都知事が任命され、河川分科会及び河川整備基本方針検討小委員会の委員としても都知事が指名されており、建設局職員が代理で出席しています。
 小委員会では、ダム容量の再編、高潮防御施設の耐震強化、観光の視点を取り入れた河川空間の利用などに関して意見を述べています。
 小委員会の出席に当たり、都が管理する河川の流量配分など基本的な考え方を整理し、臨んでいます。

質問事項
 一の3 審議の場で国が示した内容は、昭和55年策定の計画をほぼ踏襲しており、最新のデータを用いた科学的検討が欠落していると思われる。今回改めて国が示したデータや調査結果はあったのか伺う。

回答
 小委員会では、昭和18年から平成14年までの約60年間の雨量や流量のデータが示され、その流量データを確率統計処理した検証や既往洪水による検証などの検討結果が提示されました。

質問事項
 一の4 国土交通省河川局に、基本高水流量の算定のやり直しを求める考えはあるのか伺う。

回答
 今回、小委員会に提示された基本高水流量は、平成14年までのデータを踏まえた最新の検証結果に基づくものと判断しており、都は、算定のやり直しを国に求める考えはありません。

質問事項
 一の5 都は検討小委員会で、計画高水流量は上流・下流のバランスからも妥当、としたが、どのような根拠によるのか。都独自の調査・検討によるものならば、どのような調査を行ったのか伺う。

回答
 小委員会で提示された計画高水流量については、上流域のダムの調節量と、下流域の市街化状況などを勘案した河道の洪水処理量とを、適切に配分する検討が行われており、水系全体のバランスから見て妥当と考えています。

質問事項
 一の6 基本方針確定前には、パブリックコメントや公聴会など流域住民と議論する場を設けるべきである。国に、慎重な審議と情報の公開を求めていくべきだが、見解を伺う。

回答
 社会資本整備審議会や河川分科会、河川整備基本方針検討小委員会は幅広い層の委員から構成されており、配付資料や議事録も、国土交通省のホームページで適宜公開されています。

質問事項
 一の7 今後の基本計画策定には、自治体の長や流域住民の意見が反映されるとのことだが、都はどう準備するのか。審議会での検討を行うのか。また、その際の都民参加をどう考えているのか伺う。

回答
 河川管理者は、河川整備基本方針に沿って河川整備計画を定めようとするとき、あらかじめ関係都道府県知事または関係市町村長の意見を聴くとともに、必要があると認めるときは公聴会の開催等、関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならないとされています。
 これに基づき国土交通省は、利根川河川整備計画を策定するに当たり、学識経験者や関係自治体からなる協議会を開催するとともに、必要があると認めるときは公聴会を開催する予定である、と聞いています。

質問事項
 一の8 都のHPには、今回の基本方針の検討状況の情報公開が全くない。国の審議会に参加し、都としてどのような意見を表明しているのか都民に明らかにすべきだが、見解を伺う。

回答
 審議会や分科会、小委員会における配付資料や議事録等については、都の発言内容も含め、国土交通省のホームページで公表されています。
 なお、都のホームページからも国土交通省の当該ホームページにリンクしています。

質問事項
 一の9 今回の善福寺川や妙正寺川の水害対策など、東京の治水対策にもっと根本対策と予算を集中すべきだが、見解を伺う。

回答
 都はこれまでも治水対策として、護岸や調節池の整備に重点的に取り組んできました。
平成17年9月の集中豪雨で被害の大きかった妙正寺川と善福寺川では、50ミリ対応護岸の早期整備を図るため、河川激甚災害対策特別緊急事業として平成17年度から概ね5か年で集中的に施設の整備を行うこととしました。
 今後とも、財源確保に努め、重点的かつ効率的に河川整備を進めるとともに、浸水予想区域図の公表などソフト対策もあわせ、治水対策に取り組んでいきます。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 たぞえ民夫

質問事項
 一 中小企業者にたいする信用保証協会の強制的回収の是正について
一 中小企業者にたいする信用保証協会の強制的回収の是正について
  政府のおこなっている『構造改革』は、中小零細企業と地域経済に深刻な打撃をあたえています。
  『不良債権処理』の号令での貸し渋り、貸しはがしの横行や、「規制緩和」による大型店の野放図な出店、大企業による下請け切捨て、消費落ち込みによる経営への圧迫などのもとで、年間四千人をこえる中小零細企業の経営者が、経済苦などから自殺に追い込まれていることは痛ましい異常な事態です。
  また、景気が長期にわたって低迷するもとで、多くの業者が融資の残高を返すための借りかえ融資を必要とするなど、融資をめぐる状況は大変です。この業者を支援し、経営の発展につくすことこそが求められています。
  東京の業者の多くは、材料の高騰や価格競争、低単価の押し付けなどさまざまな困難が増す中で、「お客さんの喜ぶ姿を励みに地域社会に貢献したい」「自分の技術が評価されるものづくりに誇りをもちたい」と、売り上げを確保し利益を出そうと必死に経営努力を続けています。
  しかし、実態は政府の「景気の踊り場脱却」宣言とはかけはなれ、相次ぐ規制緩和と、「弱肉強食」の構造改革で『売上・利益の確保』の困難や、実績・信用不足から単価たたきや資金繰りの悩みをかかえて、不安定な経営に追い込まれているのです。
  こうした時、都内の中小業者の金融の円滑化と、都の制度融資の発展などのために、金融機関と協調して東京信用保証協会は制度融資を実施してきました。制度融資など信用保証による融資については、その融資がこげついた場合など、代位弁済の手続きがとられ、その債権についての残債を、債務者になりかわって信用保証協会が保証する仕組みになっています。
  こうして、制度融資の場合は、保証協会が保証することで、金融機関は中小企業に貸しやすい仕組みがととのい、中小企業の4割が利用しています。
  同時に、保証協会は代位弁済後の債務者から残債を回収したり、債権回収がむずかしい無担保債権などについて、債権回収の専門業者である保証協会債権回収株式会社に委託して、債権回収をおこなっています。こうした中には、業者の返済への努力を頭ごしにふみにじるものも少なくありません。
  ある中小業者は、得意先が倒産になったことから、融資の返済ができなくなり、代位弁済の手続きがおこなわれました。その後、業者は残債の返済条件について保証協会と話し合いを継続しています。ところが、保証協会は業者が返済計画を誠実に作り話し合いをおこなっているにもかかわらず、競売決定通知を送りつけました。業者は途方にくれています。
  業者は、このような措置に、話し合いの継続を主張していますが、協会は、「銀行の債務を短期で返済しても保証協会の競売は撤回しない」「ぐずぐずしていたら競売だ。月々の返済額を持参しても無駄だ。任意売却で楽になれ。ゼロから出発しろ」と、強引な姿勢をとっています。また、ある方の場合は、「一括返済か担保の売却だ。協会の遅延損害金は年14パーセントだから」と、まち金を紹介され、別の方は、「自宅を売却するなら、減額の相談に応じる。不動産屋を紹介する」と迫るなど、協会の対応は借り手にたいして異常な様相です。
  このように協会が一方的に「一括返済か担保の売却か」を求めたり、債務者の不動産の競売をおこなうなど、返済をめぐるトラブルが多発しているのです。
  そもそも、求償権の回収については、保証協会は「債務者の実情に配慮しつつ、きめ細かな求償権管理をおこない、公平かつ厳正な回収の促進に努める」「個々の回収にあたっては、債務者の実情に即して対応し、再起と返済意欲を促進させます」と書いています。
  また、保証協会債権回収株式会社の案内では、「威迫的行為等が禁じられています」としています。
 1 しかし、実態は業者の実情を無視した乱暴なやり方が指摘されているのです。保証協会の監督や全般的な政策責任を負う東京都として実態を調査し、即刻改善させるべきではないでしょうか。
  保証協会が、誠実に対応している業者について、融資残高の一括返済を強要するいわゆる貸しはがしをおこなうなど、到底認めることはできません。
 2 都として、東京信用保証協会、保証協会債権回収株式会社の債権回収のトラブルにたいして、相談者の債務についての代位弁済の経過、強引な回収のあり方に関するトラブル解決、返済方法にたいする相談など、専門の相談窓口をつくるべきと考えますが、見解を伺います。
 3 善意の業者にたいする東京信用保証協会、保証協会債権回収株式会社の強制的な債権回収方法を改善するよう都として指導を徹底する必要があると考えますが、答弁を求めます。
 4 代位弁済など、債務返済の負担が重い中小業者などを対象に、業者が営業を継続・再生することが可能な場合、債務を返済できる融資の仕組みづくりを検討すべきと思いますが、答弁を求めます。
 5 同じく代位弁済後、債務者と保証協会の間で合意した返済計画について、長期にわたって計画を守って返済している場合には、それを評価し、これらの人々が利用できる新たな制度融資をつくることを求めますが、見解をうかがい質問を終わります。

平成17年第四回都議会定例会
たぞえ民夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 中小企業者に対する信用保証協会の強制的回収の是正について
  1 信用保証協会の求償権回収に関し、債務者の実情に配慮するとされながら、実態は業者の実情を無視した乱暴なやり方が指摘されている。都として事態を調査し、即刻改善させるべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、信用保証協会の個別の債権回収方法について、指導する立場にはありません。
 また、中小企業信用保険法第7条により、信用保証協会は債権回収に努めなければならないことが規定されています。
 信用保証協会による債権回収は、法令を遵守し、適正に行われていると認識しています。
 なお、都としては、御指摘のような事実は承知していません。

質問事項
 一の2 都として、信用保証協会、債権回収会社の債権回収のトラブルに対して、代位弁済の経過、強引な回収に関するトラブル解決、返済方法の相談など、専門の相談窓口をつくるべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、信用保証協会の個別取引に関して、指導を行う立場にはありません。
 また信用保証協会では、各支店において随時、相談を受け付けています。
 都に信用保証協会に関する相談が寄せられた場合は、申出者の了解を得た上で、相談内容について協会に伝えています。

質問事項
 一の3 善意の業者に対する強制的な債権回収方法を改善するよう、都として指導を徹底すべきだが、答弁を求める。

回答
 信用保証協会に対する監督は国の権限であり、都は指導を行う立場にはありません。
 また、保証協会債権回収株式会社の監督は、法務大臣が行っています。
 なお、担保の競売等の実行は、法令に基づき行われるものと認識しています。

質問事項
 一の4 代位弁済など、債務返済の負担が重い中小業者などを対象に、営業の継続・再生が可能な場合、債務を返済できる融資の仕組みづくりを検討すべきだが、答弁を求める。

回答
 都の制度融資では、営業の継続・再生が可能な中小企業については、一定の要件のもとで再建企業向融資が利用できます。

質問事項
 一の5 代位弁済後、債務者と保証協会とで合意した返済計画を、長期にわたり守り返済している場合には、それを評価し、これらの人々が利用できる新たな制度融資をつくるべきだが、見解を伺う。

回答
 都の制度融資では、営業の継続・再生が可能な中小企業については、一定の要件のもとで再建企業向融資が利用できます。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 村松みえ子

質問事項
 一 都立日野高校への冷房設置を
 二 多摩都市モノレールへのシルバーパスの適用について
一 都立日野高校への冷房設置を
  先日、都立日野高校の保護者から「子どもが学校で異臭がすると言っている」とお聞きしました。他の生徒や卒業生に聞くと、やはり友達と「今日はくさいね」と言いあっているとのことです。
  都立日野高校は、隣接した敷地に、日野市で収集したごみや下水道未整備地域のし尿の処理をする「浅川クリーンセンター」と、下水処理をする「東京都下水道局流域下水道本部浅川水再生センター」があります。
  校長先生は、「浅川クリーンセンターからの臭いか都の下水処理施設の臭いかわからないが、臭いがする。梅雨時のようにじめじめと蒸し暑い時や、風のないどんよりした日が多い。特に北校舎の4階の普通教室で臭いがするという声が多い」と言い、「すぐに浅川クリーンセンターと浅川水再生センターに連絡して来てもらい、どんな作業が行われていたのかを聞く」とのことでした。
  そして、「日野高校は、前に浅川が流れとてもよい教育環境だと思っているが、この臭気の問題では、毎年、東京都教育委員会に教室への冷房化をお願いしている」とのことでした。
  都の浅川水再生センターの担当者によれば、「1年に10回ぐらい都立日野高校を含む近隣からの苦情が寄せられる」とのことです。下水処理施設を見学させていただきましたが、説明では、汚水と一緒に出る汚物を焼却する焼却炉がとまっているときに臭いが発生しやすいとのことです。そして、この焼却炉からの臭いをなくすために、汚泥焼却脱臭設備改良工事を行う予定で、現在設備を発注しているとのことでした。
  先ほどの校長先生も、「都の浅川水再生センターでは、臭いがしないように予算を組んで手を打ってくれていると聞いているので、それに期待したい」と言っておられました。
  都の下水処理施設での汚泥焼却脱臭設備の改良工事は、近隣住民への臭気を除去する意味からも重要な措置と考えます。しかし、日野市の家庭ごみと下水未整備地域の家庭のし尿処理を扱っている浅川クリーンセンターの臭いは、解決がむずかしい状況です。毎年の日野高校から都教委への要望のなかでも、「風のない日に下流のし尿処理場の臭気が蔓延し、河川際の高温多湿な状態に加えて耐えがたい状態にある」とあり、この問題も深刻です。
  日野高校近隣の30件の家からお話を伺うと、トイレの臭いがすると言う人と、残飯のにおいがすると言う人がいました。要するに2つの施設の臭いがするというのです。中には、家のトイレが古くて臭うのかと便器一式取り替えたが、2、3日前にまた臭いがしておかしいと言う人もいました。自分たちは窓を閉めて冷房するが、生徒は暑いなか勉強するので窓を閉めるわけにもいかず気の毒だと言う方もいらっしゃいました。
  八王子市の気象台の調査によると、日中の最高気温が30度を超える真夏日が、昨年は68日と、23区の70日と並ぶ暑さを記録しています。都公立高校PTA連合会をはじめ、都内各地の高校のPTAなどが、暑くて勉強に集中できないうえ、気分が悪くなる生徒も出るなど健康面からも普通教室の冷房化を要望していますが、日野高校の場合、それに加え臭気も深刻なのですから、早急に対応する必要があります。
  昨年1月に文部科学省が発表した「高等学校施設整備指針」は、学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために、計画および設計にあたっての留意事項を示したものとして、「既存施設の改修を含めた学校施設の今後の整備にさいし、『高等学校施設整備指針』が活用され、設置者の創意工夫の下に、教育の場にふさわしい豊かな環境が全国で形成されていくことを願う次第である」としています。
  そして、「周辺環境が騒音、振動、臭気等を発生する工場その他施設が立地していないことが重要である」としています。この点からも、臭気がある環境をこのまま放置してよいはずがありません。
  「学校整備指針」で求めている生徒の教育の場にふさわしい豊かな環境を保障するためにも、周辺環境からくる臭気を防ぐために、都立日野高校への冷房設置を求めるものですが、答弁を求めます。
二 多摩都市モノレールへのシルバーパスの適用について
  「多摩都市モノレールにシルバーパスの適用を」の願いは、ますます大きく広がってきました。
  私は、これまで日野市民の皆さんから「シルバーパスをモノレールに使えるようにして欲しい」と言う要望を幾度となく受け、都議会の場でもたびたび取り上げてきました。
  京王線高幡不動駅から多摩動物園まで1日37往復していたバスが、モノレールの開通と同時に平日廃止されたことや、高幡不動駅からJR立川駅までのバス路線も大幅に削減された問題など、市民の皆さんの暮らしの実態から東京都に実現を迫ってきました。また、23区には、4本の都営地下鉄と都電、都バスがあり、シルバーパスが当然使えていることを示し、多摩格差解消の立場からも、多摩都市モノレールへのシルバーパス適用の問題を取り上げてきました。
  しかし、東京都は「東京都シルバーパス条例により、パスの利用交通機関は都営交通と路線バスとなっており、新たな対象の拡大は考えていない」と答えるのみでした。当然この答弁で納得できるはずがありません。
  全日本年金者組合の多摩・稲城支部ニュースには「多摩地域の高齢者の長年の念願であった『多摩モノレールにもシルバーパスが使えるようにして欲しい』の思いがようやく市長会にも届き、市長会としても東京都に適用実現の要望書を出すことになりました。高齢期運動連絡会と多摩市との交渉・懇談の中で、市の担当者が明らかにしたものです」とあります。これは、多摩市の高齢者と多摩市との交渉で明らかになったものですが、同じように八王子市でも「シルバーパスの多摩モノレールへの使用については、機会をとらえて都へ伝えていきます」と高齢者支援課が答えています。
  また、東京都へは今年だけでも都民生活要求大行動実行委員会、全日本年金者組合東京都本部、などの団体からも要望が出されているところです。
  こうした背景もあり、東京都市長会から平成18年度東京都予算編成にかかる重点要望事項では、「シルバーパスの利用区域について、隣接県バス路線及び多摩都市モノレールへの拡大を図ること」と取り上げられています。
 1 この東京都市長会の重点要望をどのように受け止めますか。
 2 東京都は、高齢者の自立と介護予防につながる役割を大いに果たしているシルバーパスを多摩都市モノレールに使えるようにすべきと考えるがどうですか。

平成17年第四回都議会定例会
村松みえ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都立日野高校への冷房設置を
    国の「高等学校施設整備指針」で求めている生徒の教育の場にふさわしい豊かな環境を保証し、周辺環境からくる臭気を防ぐため、都立日野高校への冷房設置を求める。答弁を求める。

回答
 特定の発生源からの臭気対策は、本来その発生源である施設の管理者が適切に対応すべきものです。
市のクリーンセンターについては、定期的に行っている環境測定の結果、敷地境界の臭気についても法規制値内であると聞いています。
 浅川水再生センターにおいても、従来から汚泥焼却炉による燃焼脱臭を行ってきており、定期的な環境測定の結果、法規制値以内となっていますが、平成17年度は、汚泥焼却炉停止時の臭気についてもさらに改善するため、新たに生物脱臭設備と活性炭脱臭設備を増設しているところであると聞いています。
 なお、都立高校では、音楽室やパソコン教室など一部の特別教室に全校で冷房装置を設置しています。
 また、騒音対策として、一部の学校の普通教室へも冷房装置を整備していますが、その他の学校の普通教室の冷房化については、財政負担の問題のみならず、環境への配慮など様々な課題があり、これらの課題について総合的な検討が必要と考えています。

質問事項
 二 多摩都市モノレールへのシルバーパスの適用について
  1 東京都市長会の18年度予算重点要望では、シルバーパスの利用区域について、隣接県バス路線及び多摩都市モノレールへの拡大を図ること、とされているが、どう受け止めるか伺う。

回答
 シルバーパスは、高齢者の社会参加活動を促進するために、利用を希望する方に社団法人東京バス協会がパスを発行し、都が補助を行っている事業です。
 東京都シルバーパス条例及び同条例施行規則により、シルバーパスの利用交通機関は都営交通及び路線バスとなっており、また、路線バスの利用区域は東京都の区域内となっています。
 東京都市長会からの要望については、高齢者福祉に係る各種施策の充実に関する様々な要望の一つとして受け止めています。

質問事項
 二の2 都は、高齢者の自立と介護予防につながる役割を果たしているシルバーパスを、多摩都市モノレールに使えるようにすべきだが、見解を伺う。

回答
 シルバーパスの利用交通機関については、新たな対象の拡大は考えていません。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 かち佳代子

質問事項
 一 障害者自立支援法への対応について
一 障害者自立支援法への対応について
  10月に成立した障害者自立支援法は、これまで応益負担だった障害者福祉サービスの利用者負担を応能負担の原則にかえ、利用者に定率の1割負担をおしつけるもので、これまでの障害者福祉の根本をこわすものです。
  そもそも障害者が利用する福祉サービスは、生きていくうえで不可欠なものであり、社会参加や自立という障害者が人間らしく暮らしていくうえで、なくてはならないものです。それが定率負担となれば、障害者の生活とサービス利用そのものが困難に追い込まれ、障害が重い人ほど負担が重くなるという、福祉の理念に逆行する事態になります。
  それだけに、来年4月からの定率負担の導入を前に、障害者と家族から「サービスが利用できなくなる」「人間らしい生活が奪われる」「障害者の生存権を奪うもの」など、怒りと不安の声があがっています。また、各種施策や施設運営をめぐっても、自立支援法のもとで運営の継続が可能なのか、これまでのサービス水準が維持できるのか、都独自の施策や加算が継続されるのかなどの不安も、関係者のあいだに高まっています。
  東京都ではこれまで、障害者団体をはじめとした都民の長年にわたる運動によって、ホームヘルプサービスなどの自己負担の軽減や、精神障害者の通院医療費については、低所得者には自己負担分を支援し無料とするなど、国の障害者施策の不十分さを補う独自のとりくみが行われてきました。
 1 いま、自立支援法による定率負担の導入という重大な事態のもとで、都が住民の福祉の増進をはかるという自治体本来の役割を発揮し、障害者と家族の新たな負担増を軽減し、サービス利用の低下をまねかないことや、これまでの施設運営や施策の水準が維持・拡充されるよう、全力をつくす必要があると考えますが、都としての基本姿勢を伺います。
 2 ホームヘルプサービス負担について
   障害者が地域のなかで自立した生活をつづけていくうえでホームヘルプサービスは欠かせない役割をもっており、1万1千人の障害者が利用しています。都は、3年前の支援費制度の導入にあたって、新たな利用者負担がうまれないよう、独自の負担区分を設定し、利用者の94%が無料でホームヘルプサービスを継続できるように努力してきました。
   しかし自立支援法では、低所得者への上限額の設定はあるものの、生活保護世帯をのぞけば無料は廃止され、1万人近い利用者に新たな自己負担がうまれます。
   ホームヘルプサービスは、障害者の日常生活を支える基礎的なサービスであり、継続できなければ、たちどころに人間らしい生活をつづけることは困難となります。それだけに、負担の軽減は切実に求められています。
   これまでどおり、ホームヘルプサービスが新たな負担なしに利用できるよう、都として独自の負担軽減措置をとる必要があると考えますが、答弁を求めます。
 3 精神障害者の通院医療費負担について
   精神障害者の通院医療費も、自立支援法によって5%負担から10%負担にかわります。都は5%負担についても、住民税非課税者にたいしては無料にしてきました。一定の低所得者の限度額の設定や、社会福祉法人減免があっても、多くの通院者に新たな自己負担が生じます。精神障害者の多くは定期的な通院と投薬が不可欠です。新たな負担によって通院が継続されなくなれば症状の悪化、ひいては入院という、逆行する事態をひきおこします。
  ア 精神障害者の通院医療費は、これまでどおり、少なくとも住民税非課税者にたいしては無料となるよう都としての負担軽減策をとるべきです。
  イ 通院医療費無料化の対象を、現在の「非課税者」から「非課税世帯」とすることが検討されていますが、その結果、負担増となる対象者は何人ですか。また、どれぐらいの負担増となるのか、明らかにしていただきたい。
  ウ 都はこれまで、20歳以上の障害者にたいしては、障害者本人の所得に着目し、負担額を設定してきました。これは障害者の自立と人権を尊重した判断によるものです。世帯ではなく、本人所得でみるべきです。お答えください。
 4 補装具への新たな負担について
   これまでは車いすや義足・義手などの補装具は、多くの障害者が自己負担なしで利用することができました。しかし、自立支援法によって補装具も応益負担の原則によって、来年10月からは原則1割負担が求められます。
   しかし、身体障害者にとって、補装具は生きていくうえで欠かせないものであり、一人ひとりの利用者の身体にあわせて作成しなければならず、高額とならざるをえません。とりわけ電動車いすの場合、重い負担になります。しかも、車いすや義足・義手などの補装具は、身体の成長や変化に応じてつくり直さなければならず、そのたびごとに1割負担となれば、負担ができず、適切な補装具が使えなくなる事態もおきかねません。
   これまでどおり、多くの障害者が補装具を自己負担なしで利用できるよう、国に働きかけるとともに、都として独自の軽減措置を検討すべきです。
 5 都独自施策の継続
   都は、施設運営にあたって人的配置を独自に加算し利用者サービスの向上をはかるためのサービス推進費や、都独自の短期入所事業や重度脳性麻痺者介護事業をはじめ、国の不十分さを補うための施策をすすめてきました。それだけに、自立支援法の成立後も、都の独自施策が継続されるのかどうかに、関係者から不安の声が寄せられています。
  ア 自立支援法のもとでも、これまでの福祉水準が確保、継続されるよう努力することが求められています。法施行後も、都独自の施策や加算は継続されるべきです。
  イ 民間社会福祉施設にたいするサービス推進費についても継続されるべきと考えますが、答弁を求めます。
 6 各種施設運営の継続
   自立支援法のもとでも、これまでの各種の障害者施設やサービスの提供が継続できるのかどうか、関係者から不安の声が寄せられています。また、小規模作業所など法対象外の施設運営が安心して継続できることも強く要望されています。
   とりわけ東京の小規模作業所は、法内の通所授産施設整備の遅れを背景に、当事者の努力で設置がすすめられ、法内施設を含めた通所施設全体の約7割を占めるにいたっています。しかも、仕事確保の困難さをはじめ、きびしい条件のもとで、さまざまな努力をおこない運営が継続されています。それだけに、自立支援法のもとでも、都としての支援の継続、また法内施設移行への支援も重要となっています。
  ア 自立支援法に適応した施設への移行に5年の経過期間が設定されていますが、これまでの各種施設の運営継続が困難にならないよう、都としての支援が求められていますが、見解を伺います。
  イ 小規模作業所が事業を継続するとともに、法内施設へ移行できるよう必要な支援策をとるべきです。お答えください。
 7 施設整備の促進
   都がすすめてきた「障害者地域生活支援3カ年プラン」にもとづく施設整備は、今年度で終了となります。しかし、グループホームや入所更生施設など、目標を達成できなかった分野もあり、全体として、要望にこたえる水準ではありません。
   9月にまとめられた障害者施策推進協議会の「中間まとめ」では、グループホームなどのいっそうの整備促進、精神障害者の地域での受け皿の整備など、身体、知的、精神の3障害を一体とした整備の必要性を強調しています。
   障害者施策推進協議会の「中間まとめ」をうけとめ、身体、知的、精神障害者施設整備の新たな年次計画をつくり、整備促進をはかるべきです。答弁を求めます。
 8 区分判定とケアマネージメントについて
   自立支援法によって、新たに障害程度区分の認定と支給決定、さらに相談支援事業者による計画の作成と利用のあっせん調整、契約の援助が行われることになります。
  ア 認定にあたっては、障害の状態が適切に反映されるよう、行政がその責任をはたすとともに、審査会に当事者の参加が保障するなどの努力が求められていると考えますが、いかがですか。
  イ 障害種別など個別の状況に対応したケアマネージメントがおこなわれるよう、研修や養成をすすめることを提案するものですが、見解を伺います。

平成17年第四回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 障害者自立支援法への対応について
  1 定率負担が導入されるが、都は、障害者と家族の負担増を軽減し、サービス利用を低下させず、施設運営、施策水準が維持・拡充されるよう全力をつくすべきだが、都の基本姿勢を伺う。

回答
 障害者自立支援法は、平成15年度から導入された支援費制度の「自己決定と自己選択」及び「利用者本位」の理念を継承しつつ、障害福祉サービスの一元化、施設・事業体系の再編、利用者負担の見直し、地域生活支援事業の創設など新たな障害保健福祉体系を構築し、障害者の地域における自立した生活を支援する体制をより強固なものとすることを目指しています。
 法の理念は、これまで都が進めてきた利用者本位の新しい福祉を目指す福祉改革の考え方や取組と合致します。
 都としては、利用者が安心して新たな制度を利用できるよう、平成18年4月の法施行に向けて、区市町村と一体となって移行準備を進めています。

質問事項
 一の2 これまでどおり、ホームヘルプサービスが新たな負担なしに利用できるよう、都として独自の負担軽減措置をとる必要があるが、答弁を求める。

回答
 障害者自立支援法では、負担の公平化と制度の安定的運営を図る観点から、1割の定率負担を原則としています。
 その上で、月額負担上限額の設定や、社会福祉法人が行うサービス提供についての減免措置の実施など、低所得者に対する配慮がなされています。
 これに加え、都としては、ホームヘルプサービスが障害者の自立生活を支える最も基幹的なサービスであることから、平成17年第四回定例会における議論などを踏まえた上で、社会福祉法人が行う負担減免制度の独自拡大措置を平成18年度東京都予算(原案)に盛り込んでいます。

質問事項
 一の3 精神障害者の通院医療費負担について
ア 精神障害者の通院医療費は、これまでどおり、少なくとも住民税非課税者に対しては無料となるよう、都としての負担軽減策をとるべきである。答弁を求める。

回答
 障害者自立支援法において精神障害者に対する通院医療費公費負担は、自立支援医療として位置付けられ、必要な医療を確保しつつ、制度運営の安定性を図るため、1割の定率負担を原則としています。
 その上で、月額負担上限額の設定など、低所得者等に対する配慮がなされています。
 これに加え、都としては、自立支援医療が精神障害者の地域での安定した生活に果たす役割の重要性を考慮し、平成17年第四回定例会における議論などを踏まえた上で、住民税非課税世帯に対する独自の負担軽減策を平成18年度東京都予算(原案)に盛り込んでいます。

質問事項
 一の3のイ 通院医療費無料化の対象を、現在の非課税者から、非課税世帯とすることが検討されているが、負担増となる対象者は何人か、また、どれぐらいの負担増となるのか伺う。

回答
 精神障害者に対する都独自の医療費助成対象者を区市町村民税の非課税者から非課税世帯とした場合の影響人数や影響額については、現時点で、世帯単位の医療保険の加入状況や所得状況等を把握していないため、算定は困難です。

質問事項
 一の3のウ 都は、20歳以上の障害者は本人所得に着目し負担額を設定してきたが、これは、障害者の自立と人権を尊重した判断によるものである。世帯ではなく本人所得でみるべきである。答弁を求める。

回答
 障害者自立支援法の自立支援医療は、各種医療保険制度による保険給付と、公費により医療費の9割を負担するものです。
 医療保険制度は、世帯を単位として制度が構築されており、これを基礎としている自立支援医療も世帯単位で制度構築されることは、合理性があると考えています。
 また、都が独自に行う予定の負担軽減策についても、国の制度を前提として実施することから、世帯を単位とすることは妥当であると考えています。

質問事項
 一の4 これまでどおり、多くの障害者が補装具を自己負担なしで利用できるよう、国に働きかけるとともに、都として独自の軽減措置を検討すべきである。答弁を求める。

回答
 障害者自立支援法では、負担の公平化と制度の安定的運営を図る観点から、1割の定率負担を原則としています。
 その上で、補装具についても、低所得者に配慮した月額負担上限額を設定することとしているため、都として、独自の軽減措置を行うことは考えていません。

質問事項
 一の5 都独自施策の継続
ア 自立支援法のもとでも、これまでの福祉水準が確保、継続されるよう努力すべきである。法施行後も、都独自の施策や加算は継続されるべきだが、答弁を求める。

回答
 障害者自立支援法の目指す理念は、これまで都が進めてきた利用者本位の新しい福祉を目指す福祉改革の考え方や取組と合致するものです。
 このため、都はこれまでも様々な機会を通じて、同法に基づく新たな制度が、真に障害者の自立を支援するものとなるよう、国に対して提案してきました。
 平成17年第四回定例会における議論なども踏まえた上で、今度とも制度実施に向けた国の動向を見極めながら、対応を検討していきます。

質問事項
 一の5のイ 民間社会福祉施設に対するサービス推進費についても継続すべきだが、答弁を求める。

回答
 民間社会福祉施設に対するサービス推進費については、平成16年度から、これまでの画一的な仕組みを改め、サービス向上に向けた努力が真に報われる制度に再構築しました。今後、障害者自立支援法に基づく制度の実施に向けた国の動向を見極めながら、適切に対処していきます。

質問事項
 一の6 各種施設運営の継続
ア 自立支援法に適応した施設への移行に5年の経過期間が設定されているが、これまでの各種施設の運営継続が困難にならないよう、都としての支援が求められている。見解を伺う。

回答
 障害者自立支援法では、現行の障害種別ごとの体系を、障害者の状態やニーズに応じた適切な支援が効率的に行われるよう、新たな事業体系に再編することとしています。
 今後、国から示される運営基準等を踏まえ、地域のニーズに応じて、各種施設が新体系へ円滑に移行するよう、都としても適切に対処していきます。

質問事項
 一の6のイ 小規模作業所が事業を継続するとともに、法内施設へ移行できるよう必要な支援策をとるべきである。答弁を求める。

回答
 都は、多くの障害者が利用する法定外の小規模作業所等を訓練等給付や地域生活支援事業など、新サービス体系に可能な限り移行させ、法内施設として位置付けるとともに、必要な財源支援を行うべきであると国に対して提案しています。
 都としても、良質なサービスを提供する小規模作業所が法内施設へスムーズに移行することは重要と考え、平成17年第四回定例会における議論なども踏まえた上で、法内施設へ移行するための支援策を平成18年度東京都予算(原案)に盛り込んでいます。

質問事項
 一の7 障害者施策推進協議会の中間のまとめを受け止め、身体、知的、精神障害者施設整備の新たな年次計画をつくり、整備促進を図るべきである。答弁を求める。

回答
 東京都障害者施策推進協議会の中間のまとめでは、精神障害者の福祉サービスも含め、区市町村が主体的に取り組むサービス基盤の計画的整備を積極的に支援していくことが必要とされています。
 都としては、同提言も踏まえた上で、既に平成17年12月に策定した「重要施策及び平成18年度重点事業」において、「障害者の地域生活を支える基盤づくり」を盛り込んでいます。

質問事項
 一の8 区分判定とケアマネージメントについて
ア 障害区分の認定にあたっては、障害の状態が適切に反映されるよう、行政が責任を果たすとともに、審査会に当事者の参加を保障するなどの努力が求められているが、見解を伺う。

回答
 障害程度区分の認定調査は、区市町村職員が行うほか、区市町村は中立かつ公正な立場で調査を行える指定相談支援事業者等に委託することができるとされています。
 また、区市町村審査会委員の任命について、国は、「障害保健福祉の学識経験を有する者であって、中立かつ公正な立場で審査が行えるものであれば、障害者の実情に通じた者や障害者を委員に加えることが望ましい」との見解を示しています。
 都は、制度の適正な運用が行われるよう、区市町村に対して助言等を行っていきます。

質問事項
 一の8のイ 障害種別など個別の状況に対応したケアマネージメントが行われるよう、研修や養成を進めるこを提案するが、見解を伺う。

回答
 障害者自立支援法においては、様々な種類のサービスが適切に組み合わされ、計画的に利用されるための仕組みとして障害者ケアマネジメントが制度化されました。
 都は、こうした障害者ケアマネジメントの普及とケアマネジメント従事者の人材養成のため、これまでも障害者ケアマネジメント従事者研修を実施してきており、今後ともその充実を図っていきます。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 石毛しげる

質問事項
 一 学校における小動物の飼育について
 二 都立霊園のあり方について
 三 調布飛行場の管理運営形態変更の見直しについて
一 学校における小動物の飼育について
  今、子殺しや幼児虐待のニュースが絶えない中、法務省は11月8日、少年非行を特集した2005年版犯罪白書を公表したが、その中で少年非行の深刻な状況が続いていることを、刑事政策上の最重要課題の一つと指摘している。
  刑法犯で検挙・補導される少年の、(全少年人口に占める)比率は上昇傾向にあり、しかも手口が凶悪で罪悪感もなく、何が動機なのか理解しがたいような少年事件も後を絶たない。
  先頃の、タリウムを使って母親を殺害しようとした少女、板橋の高校生による社員寮両親殺害事件、また、町田市の高校1年生が同級生を30分も追い回して50カ所もさして殺した事件などは想像を絶するものがある。恐ろしいことに、この子達の共通点は、事件を起こした後で改悛の情を示さないことである。また、冒頭の犯罪白書では、少年院の経験がある教官たちは「最近増大している少年の問題は、「思いやりや人の痛みへの理解力・創造力に欠ける」(63%)「対人関係を円滑に結べない」(58%)「感情をコントロールできない」(55%)などを挙げている。
  この結果、改正少年法が施行された2001年4月から2004年末までに、故意の犯罪行為で人を死亡させたとして家裁送致された16歳以上の少年のうち、重大事件として、検察庁に逆送されたのは61%になり、その内57%が殺人、55%が傷害致死である。この逆送率は法改正前5年間の平均(24%)と比べ大幅に増えている。まさに憂慮すべき時だと言える。
  この「思いやりや人の痛みへの理解力・想像力に欠ける」、「対人関係を円滑に結べない」、「感情をコントロールできない」、そして殺しても改悛の情を示さないと言うことを改善するためには、道徳などの言葉による授業では限界がある。この対策には、幼稚園・小学校の人格形成に重要な時期に、命の大切さ、相手への思いやり、優しさなどを体験を通して培い、人間の土台を創ることが必要だと言われている。また最近、このような問題を起こすような青少年は、それを感じる脳神経を幼少時期に養うことが出来なかったのではないか、つまり脳神経が欠損している、と脳科学者は推測している。
  実は、従来はこのような脳神経は、親の愛情のもとで自然や動物との交流を持つことで養うことができていた。特に抱くことができ、また目を見つめあうことができて情を沸かせ、心を通わすことができる小動物を大事に飼うことで、子どもたちは弱いものを愛して庇うことを覚えてきた。つまり、言葉を持たない動物をかわいがる人は常に動物の気持ちを、動物のしぐさや目の色で読み取る努力をしている。それで自然に人の気持ちも思いやれるようになる、共感する心である。また、世話が面倒で嫌だと思うときでも、動物に愛情がわいていれば、汚れたところでお腹をすかせる動物を放って置けずに頑張って世話をするようになる。このことは、将来の子育ての疑似体験にもなる。また、感情をコントロールしながら、我慢しながら汚れた仕事も進んで行い、その結果、「きれいになったところで、喜んで餌を食べる様子に喜びを感じる」など、責任感や勤勉性を養うことにもつながる。今、ニートが騒がれているが、勤勉性は小学校中学年頃に培われると言われている。
  このような、子供の成長に有用と思われる動物飼育体験は、現在は家庭でのそれが難しいということになってきている。たとえば、西東京市と小平市の12校での調査では、家庭で何の動物も飼っていない子供は『53%』と一番多く、そして次に多いのは、抱けない魚を飼っている子が『19%』、犬や猫を飼っているのが『16%』である。実に貧弱な飼育体験と言わざるを得ない。それで昨今のように、電子ペットのタマゴッチや、ムシキングなどが爆発的に流行り、子供たちの本能的な飼育欲求を慰めているのである。しかし、これらには生命の躍動がないので、生命体験にはならない。動物を好きという子は多いが、実際には抱いた経験を持たないまま大人になる子は多く、生きたウサギを抱いた後に初めて動物を実感したとか、「動物は何で出来ているの?どうして動くの?」という生徒も度々見られるとの報告もある。まさに実態をともなわない知識と、現実の行動の乖離である。佐世保の事件では、殺した相手に「悪いことをした。(殺した相手に)会ったら誤りたい」と言っているが、道徳の勉強で知識として謝罪の言葉をのべているのであって、実際には、命も思いやりも感じることが出来ないと言わざるをえない。恐ろしいことである。
  そこで、学校教育の中で動物体験をさせることを提案したい。子どもたちの心の教育・生命尊重の教育、また人も動物であり、動物を知ることは人への理解につながる。生物など科学教育などを、子どもたちが体得できるように、学習指導要領(平成4年完全実施)にも、「学校での動物飼育」が明記されている。しかし、昨今の鳥インフルエンザ騒ぎなど、世話の手間を敬遠して、学校では動物をよそに出したり、あるいは世話不足で餓死させたり、との話しも聞かれ、実際にはどの程度の学校で飼育されているのか、また心の教育は何で行っているか、などについて、実態を把握する必要があると思われる。
  人格形成時期に、子供たちに命を理解させ、愛情や他への共感を養うことが急務になっている。犯罪を起こす時に相手の気持ちに立つことができれば、確実に犯罪が減少するであろう。学習指導要領でも「心の教育」として動物飼育を奨励している。
  そこで質問をします。
 1 動物飼育を活用した心の健康教育の実施状況を把握し、推進していく必要があると考えるがどうか。
 2 児童・生徒に、自他の生命を尊重する心を育むには、学校における動物飼育が大きな役割を果たす。誕生から死別まで、動物はその温もりを通して子供たちに「生命」を実感させ、思いやりや慈しみの心を育ててくれる。校長や副校長などの管理職なども含め、教職員は動物飼育がもたらす教育効果や意義を十分理解し、適正な飼育が行われるよう、研修をするべきと考えるが、教職員の動物飼育に関する研修はどのように行われているか伺う。
 3 学校における飼育動物の管理の徹底や、指導の充実を図るためには、専門的な知識や技能を有する獣医師などとの連携が必要と考える。一方、獣医師が学校に対し、丁寧に対応するためには、指導主事など学校教育の専門家が獣医師の研修会に協力するなど、双方向の連携が必要と考えるが、都教育委員会はどのように連携をしているのか伺う。
二 都立霊園のあり方について
  都民の墓地需要は高いものがあるが、一方で核家族化や少子化の進展に伴い、家族の形態さらには墓地に対する都民の意識は多様化している。
  霊園行政を取り巻く環境が著しく変化する中、既存霊園を活用して納骨堂方式や合葬式の墓地をいち早く供給するなど、都は先駆的な役割を果たしてきている。
  このように、新たな墓地ニーズを先取りする一方、区部にあり長い歴史を持つ都立霊園について、墓地使用者だけでなく、広く都民が利用できる空間として再生しようという霊園再生の施策は、都立霊園を公共の施設として見直し、さらに積極的に都民に開放するという点で、成熟した都市東京にとって相応しいものである。
  区部の4箇所の都立霊園は、いずれも明治7年に開設されたもので、江戸から明治にかけて政治、文化、芸術などの分野で活躍し、まさに歴史に名を残した方の墓も多く見られる。
  私は、霊園は単に死者を祀るだけの施設ではなく、先人に思いを馳せ、その時代を身近に感じるとともに、今の東京へと連なる近代史を再確認する意味でも、貴重な空間であると考えている。
  都心にあり、緑に囲まれた落ち着いたたたずまいの中、歴史的にも著名な方の墓地が集まる区内の都立霊園は、東京ならではの観光資源として他にない魅力的なものである。
  区部霊園の再生事業の中で、そうした観光という視点を積極的に取り入れるべきという立場から伺う。
 1 まず、再生事業が先行している青山霊園では、緑も多く著名人の墓地、外人墓地もある。このような資源について、再生事業では観光という視点から具体的にどのような取り組みをしているのか。
   また、なるべく多くの著名人の墓地を広く来園者に紹介することが良いと考えるが、一方、個人情報保護との関係に留意する必要がある。青山霊園では、この点をどのように整理しているのか。
 2 谷中霊園について伺う。本年5月、青山霊園に引き続き、再生整備を進めていくよう、公園審議会からの答申が出た。
   谷中霊園には、下町ゆかりの著名人の墓地が多くあり、たとえば著名人の墓めぐりの案内をする地元ボランティアを育成するなど、観光面でも地域との連携が期待できる霊園である。
   地域に根ざした観光の拠点として、早急に再生事業を開始すべきと考えるが、答申後の取組状況はどうなっているのか。
三 調布飛行場の管理運営形態変更の見直しについて
  調布飛行場は、飛行場の周辺が市街地という特性や、騒音などの問題もあることから、都が国から調布場外離着陸場の管理業務を引き継ぐ平成4年に引き続き、都営コミューター空港として正式飛行場化した。そして、平成13年に都と三鷹・調布・府中の地元三市との間で受け入れのための協定を結び、「2万3千回を上限として、さらに削減に努めること」とする離着陸回数の制限や「飛行場の利用時間は日没までとする」・「自家用機は積極的に分散移転させること」とする飛行場機能の制限など、27項目の厳しい制約条件の下に使用を許されている飛行場である。
  今回、国土交通省から都に対して、平成18年3月末をもって調布飛行場の完成業務廃止をし、管制官を撤退させるとの通知が出されているが、管制官は離発着機の安全が保たれているかを判断するなど、安全運航の要をなす重要な役割を担っている。
  都は、管制業務の代わりに平成18年4月より、情報提供業務(フライトサービス)を行い航空交通の安全を確保するとしているが、横田・立川・入間などの調布飛行場の周辺の飛行場の位置関係に見られる通り、調布や田無などの上空は多くの航空機が飛んでいるうえ、フライトサービスになることで、調布飛行場への離着陸が今までよりスムーズにいかなくなり、離着陸の順番待ちとなるホールド(空中待機)が同一高度上に頻繁に起きるなど、非常に危険な状態が生じる可能性が強いと懸念されている。これは調布飛行場周辺の住民の安全性を損ねるだけでなく、パイロットなど調布飛行場の利用者の安全性も低下させることになる。
  国民の生活の安全確保が求められている今、市民や利用者の安全性を損なう管制業務の廃止を易々と認めるわけにはいかない。是非再考願いたい。
  そこで質問します。
 1 調布飛行場と広島西空港・岡南空港の飛行可能1時間あたりの離着陸回数(密度)はどのようになっているか。
 2 広島西空港・岡南空港の離着陸回数には、いわゆるタッチアンドゴーが含まれているのか。
 3 調布飛行場上空を通過する飛行機数はどの程度か。
 4 情報提供業務になると、管制官が存置している場合に比して、飛行機の上空待機が多くなると考えるがどうか。
 5 国に対し、もう一年程度管制官撤退を延期するように要請すべきであるがどうか。

平成17年第四回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 学校における小動物の飼育について
  1 動物飼育を活用した心の健康教育の実施状況を把握し、推進していく必要があるが、所見を伺う。

回答
 動物に優しい心で接することにより、人に対する思いやりの心をはぐくむなど、動物とのふれあい体験を実施していくことは、意義あることと認識しています。
 学校における健康づくり活動に関する調査の中で、取組状況を把握していきます。

質問事項
 一の2 管理職も含め、教職員は動物飼育がもたらす教育効果や意義を十分理解し、適正な飼育が行われるよう、研修すべきである。教職員の動物飼育に関する研修はどのように行われているか伺う。

回答
 子どもたちに、生命尊重の態度を養うことは重要な課題であり、動物飼育が果たす教育的な役割は大きいと考えます。そのため、教員には、動物飼育の意義や、適正な管理について正しい知識と深い理解を持つことが求められます。
 都教育委員会は、平成15年度から教職員研修センターにおいて、動物飼育の教育的意義や、具体的な教育活動への活用法、また、適正な飼育方法等に関する研修を実施しています。
 今後とも、学校における動物飼育に関する研修を、管理職も含めた広範な教職員を対象に実施するなど、充実に努めていきます。

質問事項
 一の3 学校での飼育動物の管理の徹底などを図るには、獣医師などとの連携が必要である。指導主事などが獣医師の研修会に協力するなど双方向の連携が必要だが、都教委はどう連携しているのか伺う。

回答
 生命尊重や思いやりの心の育成など飼育活動を通した教育の推進や学校飼育動物の管理に当たっては、専門的な知識・技能を有する獣医師等と連携することが効果的であると考えます。
 都教育委員会では、獣医師等を動物飼育に関する研修会の講師として招へいしたり、全国学校飼育動物研究大会に指導主事を派遣したりするなど、双方向の連携に努めています。
 今後とも、こうした連携を図りながら、学校における飼育動物の適正な管理や、指導の充実に取り組んでいきます。

質問事項
 二 都立霊園のあり方について
  1 青山霊園には、緑も多く著名人の墓地など観光資源があるが、再生事業では観光の視点からどう取り組んでいるのか。また、個人情報保護との関係をどう整理しているのか伺う。

回答
 青山霊園再生に当たっては、巨樹などを生かした広場や歩きやすい園路を整備するほか、外人墓地の歴史的な空間としての保存や著名人墓所を紹介する探訪コースの設定など、観光に資する取組を進めていきます。
 青山霊園の著名人墓所の紹介については、従来、著名人とされていた方々を精査し、その中で、同意していただいた方をパンフレット等に掲載するなど、個人情報保護に配慮しながら霊園資源の活用を図っていきます。

質問事項
 二の2 谷中霊園は、下町ゆかりの著名人の墓地が多い。墓めぐり案内の地元ボランティア育成など、地域に根ざした観光の拠点として、早急に再生事業を開始すべきだが、公園審議会答申後の取組状況を伺う。

回答
 谷中霊園は、明治維新を契機に開設された霊園であり、歴史の証人として、昔と変わらない佇まいを残し、人々に親しまれてきました。
 公園審議会の答申においては、長い霊園の歴史に守られてきた緑の中で、東京の先人たちとその時代に思いをはせることができる場所として、また、地域と一体となってまちの魅力を作り出す空間として再生に取り組むべきとしています。
 谷中霊園の再生については、現在、地元自治体及び住民の方々と検討会を設置し、意見交換を行っており、その内容を踏まえ、著名人墓所など霊園の資源を最大限生かした再生計画を早期に策定していきます。

質問事項
 三 調布飛行場の管理運営形態変更の見直しについて
  1 調布飛行場と広島西空港・岡南空港の飛行可能1時間あたりの離着陸回数(密度)はどのようになっているか伺う。

回答
 着陸回数は、平成15年比較で、調布飛行場8,887回、広島西飛行場6,578回、岡南飛行場4,358回となっています。
 また、各々の飛行場における管理に関する条例及び同施行規則上の運用時間は、
・調布飛行場については、平日は午前8時30分から午後5時まで、日祭日は午前10時から午後5時まで、4月1日から8月31日まで(航空運送事業のための飛行に限る)は午前8時30分から午後6時まで、但し運用時間の終期より日没が早い場合は日没までとする。
・広島西飛行場については、午前7時30分から午後9時30分まで
・岡南飛行場については、午前8時30分から午後6時30分まで
となっていますが、天候等により飛行場の使用ができない時間を踏まえた実際の運用時間を年間通じて集計していないため、各飛行場とも時間当たりの離着陸回数を正確に把握することが難しい状況にあります。
 なお、調布飛行場と両飛行場とでは、飛行方式(IFR:計器飛行方式、VFR:有視界飛行方式)や就航機材等も異なり、離着陸回数だけでは管理運営形態を比較することはできないと考えます。

質問事項
 三の2 広島西空港・岡南空港の離着陸回数には、いわゆるタッチアンドゴーが含まれているのか伺う。

回答
 広島西飛行場と岡南飛行場については、両飛行場とも、調布飛行場において実施していない、滑走路に接地し、すぐまた上昇する離着陸訓練である、いわゆるタッチアンドゴーが着陸回数に含まれています。
 なお、岡南飛行場では都営空港では認めていない訓練飛行(タッチアンドゴーを含む)が離着陸回数の約40パーセントを占めています。

質問事項
 三の3 調布飛行場上空を通過する飛行機数はどの程度か伺う。

回答
 調布飛行場上空を通過する飛行機を把握することは難しい状況にあります。

質問事項
 三の4 情報提供業務になると、管制官が存置している場合に比して、飛行機の上空待機が多くなると考えるが、所見を伺う。

回答
 国(航空局)の見解によると、管制官の有無と上空待機の増減とは関係ないとされています。
また、調布飛行場を利用する航空機は、パイロットの責任で他の航空機や地表との間隔を設定する有視界飛行方式によるものであり、かつ、上空待機は交通量に関係するものであることから、管制業務と情報提供業務(航空機に対し、円滑な離着陸に必要となる、滑走路の離着陸方向、飛行場周辺における他の航空機の有無、気象情報等、管制官が航空機に提供する情報と同レベルの情報を提供する業務)の違いによる上空待機の増加は無いと聞いています。

質問事項
 三の5 国に対し、もう1年程度管制官撤退を延期するように要請すべきだが、所見を伺う。

回答
 国から、再三にわたり、調布飛行場からの航空管制官撤退の申入れがなされてきましたが、現在、航空管制官を置いているのは、成田・羽田などの主要空港のみであり、調布飛行場のようなコミューター空港で航空管制官を置いているところはないとして、今回の国の撤退申入れは強いものがあります。こうした状況のもと、国においては撤退を前提とした平成18年度予算案が昨年12月末に内示されています。
 なお、都においては情報提供業務の実施に当たり、現行の管制業務と同等に航空交通の安全性確保を図っていきます。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 清水ひで子

質問事項
 一 地域破壊の超大型店のルールづくりを
一 地域破壊の超大型店のルールづくりを
  この間、都内の大型店、なかでも超大型店舗の出店が相次ぎ、地元商店への影響のみならず、地域のまちづくりにとっても大きな問題となっています。
  2004年から2009年の5年間で出店し、計画・予定している2ヘクタールを超える超大型店は、足立区の丸井の3.5ヘクタール、江戸川の島忠ホームズが3.8ヘクタール、大田区のイトーヨーカドーの5.9ヘクタール、葛飾区のイトーヨーカドーの7.5ヘクタールの、そして2009年に計画されている日の出町のイオンショッピングセンター13.2ヘクタールなど実に14ヶ所、合計面積約92ヘクタールにも及んでいます。その一方で都内の従業員数4人以下の小売店は94年には9万7023店あったものが04年には7万3085店へとこの10年間で2万3938店も減少し、75%になっています。小売業の総売り場面積も94年には39.3%だったものが、02年には45.1%、多摩地域では49.6%と区部にくらべて多摩地域の大型店の占める割合が多くなっています。
  このような下で地域商業の活性化が重要な課題となっています。
 1 商店街がもっている機能について、商業活動はもちろん、24時間住民としての中小企業は社会性を発揮して地域の核になっていること、地域の文化の伝承、発展として果たしている役割、人間が健全に成長する顔の見える、地域コミュニティの形成の場として、いつも子供たちに目の届く、街のあかりとしての街路灯のもつ防犯としての役割など多面的な機能、値打ちに着目し、本格的な地域商店の再生にとりくむことを要求するものですがどうか。伺います。
  中でも日の出町で計画されている「イオン日の出ショッピングセンター」の超大型店が大問題となっています。建築床面積約15万8000平米、駐車場が約4690台、核店舗とサブ店舗そして専門店モール街で100店舗以上を予定しています。さらにシネマコンプレックス(1館300人単位の映画館)を10館、年間の利用者予定数は1300万人というまさに都内最大の巨大施設です。私が直接区画整理事務所を訪問し伺ったところによると、商圏は西多摩地域全体で約50万、自動車で30分と聞きました。予定地はもともとは農業振興地域となっていたところで、すでに農振地域解除が許可されています。近隣の青梅インター近くにはカインズホームが出店しており、その他東急、オザムなどが出店していて、これらをも飲み込んでしまうような計画となっているのです。すでに実施された「環境影響評価調査計画書」では、隣市のあきる野市長が大気汚染、騒音、振動への個別事項として、「病院、学校、福祉施設、住宅等が近接する中、市民の生活環境に影響を及ぼす要因のひとつとして捉えている」という意見も出しています。説明による自動車30分という商圏は他県まで含むことになります。ところが現在、出店の計画を把握できるのはほぼ日の出町、あきる野市民だけとなっていて、周辺市、八王子市民はもちろん、神奈川県民にも、埼玉県民にも知らされていません。
  東京工業大学の中井検祐教授は05年12月7日の日本経済新聞の中で、「大きな集客力を有し、広域に影響を与えるような施設は、もともと人と活動の集積した都市の中心部にしか立地しないと考えられてきた。しかし、モータリゼーションの進展により、このような前提は成立しなくなった。土地利用規制の第2の問題は広域調整の欠如である。市町村に多くの決定権限がある。しかし、大規模商業施設のような広域的都市機能の影響範囲は明らかに1つの市町村を超える。ある市町村が中心市街地の再生を図ろうと郊外の立地規制を厳しくしても隣接する市町村にその気がなければ厳しい規制の意味はない。問題は広域的な都市構造にあるからその解決も広域的な視点から行わなければならない。-まず広域土地利用計画の導入である。-市町村を超えた広域的な意思決定が担保されるよう、市町村の都市計画決定に当たって、関係市町村から申し出があれば都道府県が調整にのりだせるような手続きも求められる」として持続可能な地域社会と地域経済を構築するためには「都市機能の拡散に歯止めを」と主張しているのです。
  圏央道日の出インターから数分に位置する「イオン日の出ショッピングセンター」は、周辺市、八王子市内をはじめ三多摩、都内各地、山梨、神奈川、埼玉など幅広い地域に影響を及ぼすことが予想されます。
 2 都として、日の出町のイオン出店について、日の出町、あきる野市だけでなく、近隣市町はもちろん、都内区市、山梨、神奈川、埼玉など他県との協議を行うべきではないですか。
 3 このような大規模な超大型店の進出は都内、近県も含め大きな商業への影響が予測されることから、床面積の総量規制、ゾーン規制などで規制すべきではないですか。伺います。
  なぜこのような超大型店が全国に展開するようになったのでしょうか。少なくとも2000年まで大型店が出店する際に地元商業への影響を考慮し、店舗面積などで一定の調整を図る法律が存在していました。しかし、1985年アメリカが貿易赤字の解消を求め、小売業の規制が「貿易障壁」になっているとして緩和の圧力をかけ始めると、自民党政府は相次いで大型店の規制緩和策を実施したのです。95年行政改革推進委員会の「規制緩和の推進に関する意見書」によると、「規制緩和は構造改革の重要な手段のひとつで」あり、これを徹底して市場原理の導入をすれば「活気と魅力ある社会が実現できる」かのように言いました。そして「競争原理はとりもなおさず弱肉強食だ」とものべ「改革」の過程では「痛みや軋轢」が生じるがそれを乗り越えてすすむ。といって進めてきました。強いものが自由に行動できるようにし、痛みは自己責任だという論理で、徹底した規制緩和が進められ、まちの破壊が行われてきたのです。
  イオンモール株式会社は・事業展開1992年『イオン柏SC』以来、16期連続増収増益となっている。今年5月に20SC「イオン宮崎」がオープンし、2012年には50CS体制の確立を目指し、SC事業デベローオパーとして世界トップ10入りを目指しているとイオン社内誌で社長が語っているように7年間で30店CSの増設を目指しており、どこに展開しようとしているか定かではないが、もしそれが都内でも実施されるとすれば都内での影響は避けられない。
  しかし、各地で、もうこれでは街の商店はやっていけないという声が出され始め、福島県では県議会が00月に「商業街づくり推進に関する条例」を可決した。面積6千平方メートル超の出店に届出や地元説明会を義務付けている。県が目指す「歩いて暮らせるまちづくり」の方針に沿わない計画であれば修正を勧告でき、郊外出店を事実上拒否する内容となっています。この間福島県では県内の中心市街地では大型店の撤退、老舗デパートの倒産などで空洞化が進行し、2005年郊外に24時間営業の大型店が2つもオープンするなどの中で、県内の商工会からも条例制定を歓迎する声がよせられ、条例制定までにいたったのです。また、秋田県、能代市ではイオンが提出していた農業振興地域の指定解除を求める申し出にたいし、「イオンの申し出に沿った農業振興地域整備計画の変更は行わない」と文書で回答したことを明らかにしました。琴平能代道路・能代インターチェンジ付近の約9.5ヘクタールにショッピングセンターを計画していたもので、市長は回答書の中でコンパクトな街づくりが必要」と強調し、郊外への大型店の出店はあらたな社会資本整備や行政需要を生じさせる、高齢者が暮らしていける街づくりや中心市街地活性化を目指すまちづくりを阻害する。地元商店、地元商業に大きな打撃を与えるなどを上げて、「計画の変更は行わない」としています。さらに北海道の帯広では売り場面積1万2000平方メートルの核店舗、非物販店舗5000平方メートル、計20000平方メートル、駐車場1250台分の内容で『スーパーイオン』が出店を計画しています。出店予定地が第1種住宅地域で超大型店出店を禁止していたところですが、出店のために市の区画整理の大幅な変更を迫るなどしてきました。しかし、「イオンの進出をゆるしたら、もう中心市街地の活性化は無理だ」「地元デパートも倒産する」などの不安が商業者だけでなく、行政や消費からも出され、結局、市長が「環境配慮を求めた出店計画の詳細」の提出を求め、イオンは出店を断念したのです。
  一方、世界でも大型店規制の動きが出てきています。
  ドイツでは取り組みに温度差があるものの各自治体が「歩行者天国」や「環境保護地区」を作り既存の商店街の保護、活性化に努力し、同時に大型店による乱暴な開店攻勢から守っています。中部のユーブルク市では市中心部への大型店集出は禁止、市郊外への出店も市内の既存商店に影響が及ぶさいには出店を認めていません。北のフレンスブルク市でも当局によって同じような方針がとられています。
  また、アメリカのバーモント州バーリントン市では「環境影響評価制度」によって周辺小売店への影響と社会的コストなどの経済環境への影響をもっとも厳しく評価している。カリフォルニア州バークリー市ではファーストフード店、衣料品店、宝石店など業種別店舗数制限のゾーニングを商店街ごとに定め、地域住民の生活環境、住環境を保全しています。さらにアメリカでは、さまざまな方面から小売業の必要性が主張されはじめました。その内容は「コミュニティにおいては多様性を確保する必要がある、文化を創造するのに不可欠な要素としての多様性を確保すべきである」「教育上近隣小売店は不可欠である」「省エネルギー・大気汚染対策から必要である」が社会学者、都市計画家、市民運動化、環境保護運動家等によってなされているのです。
 4 都としても、このような世界の動向を調査して研究し、参考にし、都の施策にとりいれることを提案します。
  全国で超大型店にたいする商業者をはじめ、自治体から、消費者から出店反対が進む中で、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会など中小企業4団体も98年に大店法を廃止し、街づくり3法が制定された際に容認する立場に立っていた団体が初めて見直しを要求したのです。
  中小企業4団体の「要望」には「まちづくり三法は当初期待された効果は得られず、全国の中心市街地は活性化するどころか三法制定時よりさらに寂れている。」「現実は市場主義の行き過ぎによりコミュニティが衰退、伝統、文化の継承が困難となり、治安や青少年問題が深刻化し、また高齢者が生活の不便を強いられるなど、さまざまな社会問題が増大している」「既成市街地への官民投資が無駄になったり、大規模な農地転用や無秩序な郊外開発によって、良好な農地や田園風景が失われつつある」と指摘しています。
  いま「まちづくり三法」の下で大型店の身勝手な出退店によってまちづくりどころか「まちこわし」がすすんでいることが誰の目にもあきらかな現実として証明されてきており、地方から規制網、そして拒否の動きが強まっていますが、それは当然のことです。
  こうした動きが出される中で、国も「まちづくり三法」を見直すうごきが強まっています。11月18日 国土交通省は都市計画法を改正し、現在、都市計画区域を用途別に『商業地域』「第1種住居地域」など12区域に分類し、現在は3000平米以上の店舗の出店は一部の住居地域と、商業地域や工場地域などで可能だが、今回の改正で、1万平方メートル以上の店舗の立地を商業地域に限定する方針、さらに用途の制限がない「非線引き白地区域」についても大規模商業施設などが新規出店できない規制を導入する方向だといいます。国交省は大型店の出店などで都市機能の郊外への拡散が続くと都市そのものの衰退を招くと判断したと伝えられています。さらに社会資本整備審議会の報告書では「建設可能なたても種類をあらかじめ決めておく用途規制の強化、都道府県による広域的な調整制度の創設」をもりこんでいます。
 5 知事はわが党の本会議質問での「『まちづくり三法』の改正を国会に上程するよう、都としても強く要請するべきではないか」との質問に対し、「見直しの動向を注視していく」との答弁でしたが、動向をまっているのではなく、提案するべきだと言っているのです。改めて伺います。
 6 国に対し、〔1〕地方自治体への規制権限の委譲を要求すること。〔2〕商圏が複数県にまたがるショッピングセンターなどの規制のシステムを確立すること。〔3〕地域経済への影響を遮断する方策が不可欠であることを求めるべきと考えます。それぞれ、答弁を求めます。
 7 最後に、質問5及び6について都としてこれらの対策について講じるべきではないか伺い、質問を終わります。

平成17年第四回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 地域破壊の超大型店のルールづくりを
  1 商業活動はもちろん、社会性を発揮し地域の核になっていることなど、商店街の多面的な機能、値打ちに着目し、本格的な地域商店の再生に取り組むことを要求するが、見解を伺う。

回答
 商店街は、地域経済を支えるだけでなく、地域福祉の向上や防犯・防災、伝統文化の継承など、地域コミュニティの維持・発展においても大きな役割を果たしています。
 都はこれまでも「新・元気を出せ!商店街事業」により、こうした商店街の多種多様な取組を支援してきています。

質問事項
 一の2 都として、日の出町のイオン出店について、日の出町、あきる野市だけでなく、都内区市、山梨、神奈川、埼玉など他県との協議を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 日の出町のイオン出店については、大規模小売店舗立地法における届出はまだ行われていません。
 なお、同法では、地域的な需給状況は勘案しないこととされており、近隣自治体との協議の規定もありません。

質問事項
 一の3 大規模な超大型店の進出は、都内、近県も含め大きな商業への影響が予測されることから、床面積の総量規制、ゾーン規制などで規制すべきだが、見解を伺う。

回答
 大規模小売店舗立地法第13条において、地域的な需給状況は勘案しない旨規定しているため、床面積の総量規制等を行うことはできません。
 なお、現在国において、都市計画法の土地利用制限等の検討が進められていると聞いています。

質問事項
 一の4 ドイツ、アメリカなど世界でも大型店規制の動きが出ている。都としても、世界の動向を調査研究し、参考にし、施策に取り入れることを提案するが、見解を伺う。

回答
 いわゆるまちづくり三法に関する国の審議会において、欧米主要国の大型店の出店規制についても議論されてきました。
 都は、今後ともこうした動きを注視していきます。

質問事項
 一の5 国は、「まちづくり三法」を見直す動きを強めている。わが党の本会議質問で、「まちづくり三法」改正を都も強く要請すべきとした。国の動向を待つのではなく提案すべきだが、改めて見解を伺う。

回答
 都は、いわゆるまちづくり三法を一貫して運用できるよう、法運用主体のあり方の見直しについて、国に対して提案要求しています。
 現在、国において、この三法の見直しが検討されていますので、引き続き動向を注視していきます。

質問事項
 一の6 国に対し、地方自治体への規制権限委譲、商圏が複数県にまたがるショッピングセンターなどの規制システム確立、地域経済への影響を遮断する方策が不可欠であることを求めるべきだが、それぞれ答弁を求める。

回答
 都は、いわゆるまちづくり三法を一貫して運用できるよう、法運用主体のあり方の見直しについて、国に対して提案要求しています。
 また、大型店の郊外立地規制などについて、国において議論されており、その動向を注視していきます。
 なお、大規模小売店舗立地法では、地域的な需給状況は勘案しない旨規定されています。
 以上のことから、これらのことについて、国に対し、新たに提案要求する考えはありません。

質問事項
 一の7 質問5及び6について、都として、これらの対策について講じるべきである。見解を伺う。

回答
 都は、いわゆるまちづくり三法を一貫して運用できるよう、法運用主体のあり方の見直しについて、国に対して提案要求しています。
 また、大型店の郊外立地規制などについて、国において議論されており、その動向を注視していきます。
 なお、大規模小売店舗立地法では、地域的な需給状況は勘案しない旨規定されています。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 古館和憲

質問事項
 一 都立豊島病院と老人医療センターをそれぞれ都立直営で存続を
一 都立豊島病院と老人医療センターをそれぞれ都立直営で存続を
  都と板橋区との間で三年にわたって、都立豊島病院を「板橋区に移管する」協議がなされてきました。結果は、都側との間での協議が整わず決裂してしまいましたが、その最大の要因は、都立豊島病院の移管にともなって、板橋区として負担可能な額が3億円。それに対して、都は約13億9000万円の負担を求めるとともに、建設費の残り3百億円の償還費についても区に負担を求めてきたことにありました。
  どのようにして「都民から信頼される医療機関」として、豊島病院を移管するかなどの問題で、協議が整わなかったのではなく、都が「採算性」を優先させてきた結果だということができます。
  しかも、板橋区と区議会は、これに先立って、都老人医療センターと都立豊島病院の統合民営化については、2001年(平成13年)11月、都に対して「〔1〕板橋区、板橋区議会、区民、医療関係者と事前に十分協議してほしい。〔2〕これまでの医療レベルを低下させないこと。〔3〕地域医療連携を後退させないこと」とする要望書を提出し、さらに、03年6月には「都立老人医療センターの存続」を、そして板橋区議会も「老人医療センターの存続」を都議会議長に要請するなど、都が打ち出した「統合民営化」に対して、率直にその根本的な見直しを求める意見表明をしていました。
  先に紹介した、板橋区長と板橋区議会が都知事に要望した事項-すなわち、「板橋区、板橋区議会、区民、医療関係者と(事前に)十分協議すること。これまでの医療レベルを低下させないこと。地域医療連携を後退させないこと」、-これが都民、とりわけ板橋区民の総体の声です。
 1 これらの要望は、これからいよいよ重要な課題として、その誠実な対応が求められていると考えるが、どうか。
  豊島病院の区移管について、板橋区が「区民に役に立つ医療機関にするにはどうしたらいいか」という立場で真剣に考え、検討してきたことを、ある幹部職員が語ってくれました。この方は、区への移管問題の過程で「区内医療関係者、医師会、豊島病院などと太いパイプができた」こと。そして、今後に生きることとして、「昨年10月1日から2次医療圏の地域リハビリテーション支援センター」として豊島病院が指定されたことをあげ、豊島病院がさらに区民や地域から信頼されていく病院になるためには、「医療と福祉が連携できる」システムを構築すること。また、退院した後の「在宅との連携」ができる医療機関にしよう-などとの構想ももっていたとの話でした。こうした点では、区医師会も強い関心を示していたことが、私どもと板橋区医師会役員との先日の懇談のなかでも明らかになりました。
 2 地域リハビリテーション支援センターに指定された豊島病院が『福祉と医療の連携』を推進していくためにも、板橋区や医師会などとも相談して、より実効性あるものに充実していただきたいがどうか。
 3 また新型インフルエンザの大流行がいわれているなかで、豊島病院が感染症指定医療機関としての位置づけを継続することを求めますがどうか。
  豊島病院の今後を考えたとき、豊島病院が建て替えられたときから、6階のフロアーが未利用になっていることは、問題だと指摘しつづけてきました。はじめからハンディをつけられてのスタートは、都立としての医療の果たす役割を十全に活用しないなど論外です。
  こうしたなかでの「統合民営化」などは、行政としての無責任さを示すものとして許せません。即刻改善すべきです。
 4 この6階フロアーを開所すべきと考えますが見解をお聞かせください。
  わが党は、本定例会で、深刻な看護師不足の打開を提案しましたが、豊島病院での看護師不足も例外ではありません。豊島病院の看護師の定数は299人ですが、この数年間をみると二ケタにのぼる看護師が退職し、16年度は22人が退職しました。さらに産休や病気による休職などであわせると42人が勤務につくことができない状況になっています。退職された方の理由は、「結婚」「サービス残業が多すぎる」「休みがとれない」「課題や役割が多すぎる」などであり、一刻の放置も許されない状況となっています。
 5 年度当初からの看護師の過員配置などを実行することを求めます。
 6 また、看護師確保の観点からも豊島病院の隣地にある豊島高等看護学校の再開を強く求めます。
  豊島病院での医師の配置も急ぎ改善がもとめられている重要かつ緊急課題です。99年の改築された初年度は、医師、看護師など病院スタッフがほぼ定数どおりの配置でスタートしました。ところが、翌年には腎臓内科医師が欠員になり、その後補充されていないため、透析患者は、他の病院で診てもらうことに。重点医療の一つであった糖尿病も医師がそろわず糖尿病治療が後退するなど、この他にも専門医の確保についても課題を多くかかえるなど、早急な改善が求められています。
 7 病院経営本部として、医師、看護師の定数配置について、重点としてその改善方策を確立し、万全を期すことを求めるがどうか。
  豊島病院との統合民営化の対象とされた都立老人医療センターは、研究機関やナーシングホームなど、日本の高齢者の福祉と医療が一体となった総合的なセンターとして日本でのさきがけとなってきました。この都立老人医療センターが、愛知県大府にある『国立長寿医療センター』開設に多大な貢献をしたことは、すでに私の質問で明らかにしました。問題は、都立老人医療センターが研究機関と福祉部門を兼ねたナーシングホームとの三位一体がばらばらにされ、本来の機能が果たされていないことです。東の都立老人医療センターを核とした養育院、そして西の国立長寿医療センターが、存在意義をいかんなく発揮することこそ、21世紀における『公』としての責任ではないか。
 8 したがって、都老人医療センターは、従前の三位一体の高齢者専門の総合センターとして拡充することを求めます。
  豊島病院と老人医療センターは、もともと役割と機能もまったく違うもので、「統合民営化」計画自体が無謀なものです。
 9 都立豊島病院と都老人医療センターとの統合民営化計画は、都として計画そのものを断念したものであり、その復活はありえないものです。都立豊島病院と都立老人医療センターについてはそれぞれ都立直営で存続させることを求めます。

平成17年第四回都議会定例会
古館和憲議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都立豊島病院と老人医療センターをそれぞれ都立直営で存続を
  1 豊島病院と老人医療センターに関して出された、板橋区と区議会の要望は、これからいよいよ重要な課題として、その誠実な対応が求められているが、見解を伺う。

回答
 板橋区長からは平成17年11月14日付けで、東京都知事あてに、「豊島病院と老人医療センターのあり方の検討に関する要望書」を新たに受けていますが、今後の両病院のあり方については、こうした地域の要望にも配慮しながら、検討していきます。

質問事項
 一の2 地域リハビリテーション支援センターに指定された豊島病院が、福祉と医療の連携を推進していくため、板橋区や医師会などと相談し、より実効性あるものに充実すべきだが、見解を伺う。

回答
 豊島病院では、平成16年度に地域リハビリテーション支援センターに指定されて以来、アンケート調査の実施、講演会の開催、区との共催による事例検討会の開催など様々な活動を行っています。

質問事項
 一の3 新型インフルエンザの大流行がいわれている中、豊島病院が感染症指定医療機関としての位置づけを継続することを求めるが、見解を伺う。

回答
  豊島病院が担っている感染症医療については、今後、豊島病院のあり方を検討していく中で、都における感染症医療体制の確保の観点から、関係局間で十分検討していきます。

質問事項
 一の4 豊島病院の建替時から、6階フロアーが未利用になっている。6階フロアーを開所すべきだが、見解を伺う。

回答
 未開設の6階病棟の利用については、今後、豊島病院のあり方を見極めた上で検討していきます。

質問事項
 一の5 豊島病院では、年間二ケタにのぼる退職や休職など、看護師が不足している。年度当初からの看護師の過員措置などを実行することを求めるが、見解を伺う。

回答
 都立病院では、年度当初に、退職者数も勘案して過員を配置しており、豊島病院においても同様です。

質問事項
 一の6 看護師確保の観点からも、豊島病院の隣地にある豊島高等看護学校の再開を求めるが、見解を伺う。

回答
 少子化が進行する中で、質の高い看護職員を確保していくためには、養成対策に加え、定着対策や再就業対策などを総合的に実施していく必要があります。
 都立看護専門学校については、こうした状況を踏まえ、養成規模の適正化及び教育内容の充実を図る再編整備計画を策定しています。
 この中で、都立板橋看護専門学校に地理的に近接している豊島看護専門学校を廃止しました。
 今後とも、この再編整備計画を着実に実施していきます。

質問事項
 一の7 豊島病院での医師の配置も早急な改善が求められている。病院経営本部として、医師、看護師の定数配置について、重点として改善方策を確立し、万全を期すことを求めるが、見解を伺う。

回答
 都立病院の医師、看護師の定数については、提供すべき医療に応じて必要な人員を配置しており、豊島病院についても同様です。

質問事項
 一の8 都立老人医療センターは、研究所と福祉部門を兼ねたナーシングホームとの三位一体がばらばらにされている。従前の三位一体の高齢者専門の総合センターとして拡充することを求めるが、所見を伺う。

回答
 老人医療センターは、高齢者の高度専門医療を行うモデル病院として、地域の医療機関や福祉施設との積極的な機能連携を図りながら、高齢者の生活の質の向上を図る医療を提供してきました。
 今後、老人医療センターが果たしている役割や医療ニーズなどを踏まえ、そのあり方について検討を進めていきます。

質問事項
 一の9 豊島病院と老人医療センターとの統合民営化計画は、都として計画を断念し、その復活はありえない。豊島病院と老人医療センターはそれぞれ都立直営で存続させることを求める。見解を伺う。

回答
 豊島病院と老人医療センターについては、「都立病院改革マスタープラン」に基づき、統合民営化を検討してきましたが、板橋区からの要望もあり、豊島病院の板橋区移管に関してこれまで協議を行ってきました。
 今回、豊島病院の板橋区移管を断念したことにより、豊島病院と老人医療センターの今後のあり方については、関係局間で協議を行い、結論を出していきます。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松村友昭

質問事項
 一 練馬区内における都市計画道路について
一 練馬区内における都市計画道路について
 1 区内の都市計画道路の事業化について
   練馬区内での都市計画道路が、同時多発的に矢継ぎ早に事業化を進める動きには本当に驚かされます。住民からも、「財政危機だ、お金がないと言いながら、そんなに道路にお金が使えるのか」、「このまちに本当に必要な道路なのかよく住民の声を聞いて検証されているのか」などの、疑問や質問が多く私のところにも寄せられています。
   現在事業化に向け動き出している、主なものをあげて見ても、放射7号線、放射35号線、補助230号線、補助135号線、補助232号線、補助132号線、そして、環状8号線、外環道路などがあげられます。これにくわえて、放射36号線など、「第3次事業化計画」で優先路線にあげられ、2025年度までに、完成もしくは着手する区内整備路線は13路線、約17,9キロメートルとされています。
   先日、計画道路沿線関係者や区民が集まって、道路についての意見交流会をやりました。
   そこで、出された意見は、「道路はまちをつくるということではやっていない。まち壊しをやっている」「道路が中心のまちづくりになっている」「住民の意見にもとづくまちづくりに転換すべきではないか」「まちづくりを上から強制する」「始めに計画ありき、計画があるからやるんだというしか受けとめられない」「どうすれば本当にいいまちづくりが出来るか、人に優しい、美しいまちをつくりたい」など、活発な意見が交わされました。
 2 総論的な質問
   私は、あらためて、今後の都市計画道路の整備の進め方において、区内で出されている住民の意見を踏まえ、まだ、緑や生産緑地も多く残されている、練馬らしいまちづくりを出来るように以下の点を強く要望し、その回答を求めるものです。
  ア 第一は、都と区は都市計画道路について、「今後ともその必要性が認められるか検証した」として、新たな整備方針を策定し、実施するとしています。しかし、住民参加での検討など何一つ行われていません。そもそも、この計画が立てられた40年以上前といえば、練馬は畑と田んぼ、林に覆われていたのです。そのときに引かれた計画を現時点で、実施しようなどということに無理があり、住民が声を上げているように、まち壊しになることは必死です。緑と自然環境がまだ多く残されている練馬らしいまち作りのために、どういう道路が必要かなど、根本からの見直しが求められています。国土交通省すら、この10月に出した「国土形成計画の策定について」で、「開発」を基調とした量的拡大を図る計画から、人口減少の成熟社会にふさわしい質的向上を図る計画へ転換を図ることが必要」としています。
    練馬の現状に立って、住民参加で都市計画道路の見直しをすべきだと思いますが、どうか。
  イ 第二に、それぞれの計画道路の必要性、現時点でどういう役割をになう道路なのかなど、「第3次事業化計画優先路線」について、最小限ともいえる説明責任すら果たしていません。住民説明会などでもこの点に質問が集中していますが、改めてその説明を求めるものです。
  ウ 第三に、放射7号線200億円、放射35号線368億円など、幾つかの路線で概算費用を明らかにしていますが、第3次の区内事業化にかかる路線ごとの費用と、全体事業費を示し、財政面からも住民がその道路の是非を判断できるようにすべきです。
  エ 第四に、現在の補償制度では、生活再建のための補償が十分ではありません。特に残地補償においては、生活再建が非常に困難をきたしている現状からも、残地部分を全て買い上げるような制度を都のマスタープランで位置づけるべきです。
  オ 第五に、残地を買い上げた部分はポケット公園のような緑地をつくり、クールランド対策を積極的に取り入れるべきではありませんか。
  カ 第六に、まちづくりを住民自らが主体として担えるためにも、まちづくりの対案を出せるよう、専門家のアドバイスが受けられるような支援を都としても行うべきではありませんか。
  以上、6点について、それぞれ答弁を求め、以下個別路線ごとに質問します。
 3 個別的な路線の質問
  ア 放射7号線について
    大泉学園通りから、西側の区界までの放射7号線は、15年前に、区画整理で実施しようとしたことに対し、住民の大多数の反対で、中止になりました。今回あらたに、街路整備として進めるとして、すでに測量説明会がおこなわれました。
   a 都は、この道路がなぜ必要なのか説明を明確にしていませんが、新たに建設する放射7号線は、現在、関越自動車道、外郭環状線の起終点となっている道路に接続します。この延長が西東京3・3・14号線をへて、調布・保谷線につながり中央高速道、東名道路に接続するネットワーク道路であることは推測されます。住民からは、「この部分の2キロメートルに、総事業費約200億円かけ、外環がわりのバイパスにしようとしているのではないか。外環建設を浮上させているとき、東名道、中央自動車道につなげるための2本の巨大な道路が同時に必要なのか」との声が起こっています。この道路の役割について、改めて再検討すべきではありませんか。
   b また、本路線は、緑や畑が多く残る閑静な住宅地を分断するようにとおることからも、周辺環境に与える影響は非常に大きいものがあります。交通量予測などを行い、周辺環境に与える影響を十分調査すべきだと思いますが、それぞれ答弁を求めます。
  イ 放射35号線について
   a 川越街道から平和台の環八道路までの区間の用地買収交渉に入っていますが、立ち退き住民の生活再建と幅員50メートルの巨大道路の環境問題が大きな課題となっています。
     立ち退き住民の生活再建の問題では、この道路が、現在の戸立て住宅を斜めに縦断する計画道路のため、ひし形の残地が残る権利者が多くでるなど、残地補償の問題の解決が急務です。今の制度では、残地を買い上げることは出来ず、わずかな残地補償だけです。3角地の15坪では家は建てられません。弱者のための生活再建ができる補償制度をつくるべきです。
   b この地域は、川越街道、環状8号線と大きな幹線道路で、環境悪化がひどくなっています。幹線道路の植樹帯もごくわずかです。新たな新設道路の残地にミニポケット公園を作って、緑を増やし、クールランドをつくることは重要で、その実現を強く求めます。
   c 放射35号線は、幅員50メートルの道路で、完全に地域が分断されます。とくに、小学校の児童の70%が道路の反対側から道路を渡っての通学となります。この対策をどうとるのか。又、平和台駅へのアクセスも大きな問題を抱えます。かの解決のため、駅の入り口を新たにつくるべきではありませんか。
   d この道路によって、既存の駐輪場がなくなります。3000台収容の地下駐輪場の計画と聞きますが、地下駐輪場では高齢者は使いづらいものになります。開削部分に蓋をかけ、そこの利用などの対策が必要ではありませんか。
   e 地域では、みずからのまちづくり計画をつくろうとしていますが、 素人がまちづくり案をつくるには、専門家の援助が必要との要望が出されています。都として、援助する体制をつくるべきではありませんか。
  以上、5点について答弁を求めます。
  ウ 230号線について
 地下鉄大江戸線延伸のためには、導入空間の道路が必要と言うことで、前期整備路線から、引き継ぐ路線ですが、当初の区画整理でやる手法が、住民の反対運動で、頓挫し、区画整理事業部分を大幅に縮小して、区の施工として、そのほかの区間を都が街路整備でやると言うことで、第3次事業化が始まっています。
   a そこで、大江戸線の延伸は、必ず、都の責任で実施するのか、実施時期はいつになるのか、そのみとおしについて、明らかにすべきです。多くの住民が反対している、区画整理や街路事業と切り離して、大江戸線延伸を急ぐべきではありませんか。
   b 駅予定地周辺の区画整理事業は区が実施するとしていますが、これまで、都も承知して出されていた、区画整理の支援策が有名無実になっています。都としても支援策については責任を持ち、区に対しても指導すべきではありませんか。それぞれ答弁を求めます。
  エ 232号線について
   a 石神井公園駅周辺の連続立体交差事業の都市計画決定と一体となって、今年、5月に都市計画決定が行われました。第3次事業化優先路線は石神井公園駅駅広部分と補助135号線の交差部分の2ヶ所で、5月の都計審で、改めて、環8から、区界までの232号線全体の車線数を決定したことは重大です。こうした、計画線があることを関係住民にきちんと説明をし、その必要性を議論すべきです。
   b また、石神井公園駅広場部分を含む第3次事業化部分の232号線は、高架連続立交事業と切り離し、石神井駅前地域のまちづくりと一体となって、住民参加で検討し、事業化を行うべきです。それぞれ答弁を求めます。
  オ 補助135号線について
    富士街道までの4000戸を対象にアンケートを今年4月におこない、その結果を1回説明したまま中断しています。年度内で、会の開催をする予定と聞きますが、この道路は、2つの小、中学校を分断し、特に中学校は完全に移転しなければならない重大な影響を与える計画です。大泉・石神井地域は児童生徒が急増し、プレハブ校舎をつくらなければならない事態が生まれている中、新たな学校用地の取得などこの地域では出来ません。道路計画先にありきではなく、こうした根本問題の解決策をきちんと示すべきではありませんか。答弁を求めます。
  カ 補助229号線について
    上井草道路と千川道路が、上井草駅西側踏切でクランク型に交差する部分です。現在、朝晩大渋滞し、この整備こそ急がれる大問題です。住民からは、外環の青梅インターに2000億円も使う前に、この改善こそ急務だと強い声が上がっています。ところが、住民の問い合わせや要望に、区も都もどうしたら言いかわからないなどとしています。
    解決策を示して、この整備に、都として全力をあげるべきですが、答弁を求めます。
  キ 補助132号線について
    3期事業として駅広場と一体として、ボート池までの140メートルを整備 するとしていますが、今、地域住民、商店街の関係者は、賛成の人も反対の人も石神井公園の緑を生かした、本当にいいまちづくりをしようと「会」をつくって運動しています。
    拙速を避けるためには、石神井公園の駅広などの補助232号線と切り離すべきです。答弁を求めます。
  ク 環状8号線について
    平成17年度末の本線使用開始を目指し、設備を今やっていて、引き続き舗装をおこなって、完成させるとしています。
    今、環八の課題は、環境問題が残されています。住民が求めている、騒音対策と大気汚染対策をキチンととってから使用を開始すべきです。答弁を求めます。
  ケ 外郭環状道路について
    外環の是非については、本来の住民参加での議論が行われず、PI協議会という非常に狭められた場での話し合いに終始しましたが、そのPI協議会でも必要性の結論を出すことが出来ませんでした。にもかかわらず、国土交通省と都が必要性を確認したなどと、「もっともふさわしい案」なるものを出し、現在住民の意見を求める話し合いなるものを行っています。
    このように行政側が一方的に必要性を確認したなどとの結論を押し付ける根拠はなにかをあきらかにすべきです。
   a 今回も、住民の意見を求めるなどといいながら、結局はガス抜きではないか、住民の意見はどう反映される担保があるのかとの声が上がっています。この声に、どう答えるのですか。
   b 特に、青梅街道インターと、練馬区内の上部道路について、反対の住民意見が大多数であるなど、提示された案とは、大きく意見が食い違っています。区の意志によって判断したといいますが、何時の時点の判断に基づくものなのか。
   c 練馬区が要求しているので、上部道路を建設するといいますが、多くの住民が上部道路の建設を望まないことが明確になるならやめるのですか。
   d 青梅街道のハーフインターチェンジについても要らないという意見が多く出されています。大深度と言いながら、この2つのことで、多くの住民の立ち退きや、莫大な財政、新たな環境破壊をもたらします。住民の多数の声にしたがって、やめるべきではありませんか。
     「八の釜憩いの森」は提示された案では完全に消滅します。その代替案はありえないと思いますが、どうか。それぞれ答弁を求めます。

平成17年第四回都議会定例会
松村友昭議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 練馬区内における都市計画道路について
  2 総論的な質問
   ア 都と区は、都市計画道路の必要性を検証したとして、新たな整備方針を策定し実施するとしている。練馬の現状に立って、住民参加で都市計画道路の見直しをすべきだが、答弁を求める。

回答
 区部の都市計画道路については、都はこれまでも、昭和25年、昭和39年(環6内側)・昭和41年(環6外側)、 昭和56年と、その時代の社会情勢の変化等を踏まえて、見直しを実施してきました。
 平成16年3月に都及び特別区が共同で策定した「区部における都市計画道路の整備方針」においても、近年の社会情勢の変化を踏まえつつ、区部の都市計画道路整備における基本目標である「活力」、「安全」、「環境」、「暮らし」に照らし、それらに対応した評価項目を用いて、必要性の検証を行いました。
 また、同整備方針の策定段階において、「中間のまとめ」、「整備方針(案)」を公表し、その内容を広く都民に周知するとともに、都民意見を募集し、寄せられた意見等も参考にしながら、整備方針の策定を行いました。

質問事項
 一の2のイ それぞれの計画道路の必要性など、第三次事業化計画優先路線について、最小限の説明責任すら果たしていない。住民説明会でも質問が集中しているが、改めて説明を求める。

回答
 平成16年3月に公表した「区部における都市計画道路の整備方針」の策定に当たっては、平成15年3月に同整備方針の「中間のまとめ」を公表し、広報東京都、各区の区報、インターネットなど、多様な媒体を通じて、その内容を広く都民へ周知するとともに、意見の募集に努めました。
 平成15年12月には、同「整備方針(案)」を公表し、この際も広報東京都、区報、インターネット、パンフレットなどを通じて、内容の周知や意見の募集に努めるとともに、意見募集期間から年度末までの間、専用電話を開設し、都民からの問い合わせに応じるなど、きめ細やかな対応を図りました。
 また、都民から寄せられた意見については、インターネットなどを通じて、都と区の考え方、それに対する今後の対応についても公表するなど、十分な説明を行いました。

質問事項
 一の2のウ 幾つかの路線で概算費用を明らかにしているが、第三次の区内事業化路線ごとの費用と、全体事業費を示し、財政面からも住民が道路の是非を判断できるようにすべきだが、答弁を求める。

回答
 都市計画道路の第三次事業化計画における優先整備路線の抽出に当たっては、計画の策定段階から優先整備路線選定の考え方や選定に当たっての評価項目について公表し、都民意見も聞きながら、抽出作業を進めたものです。
 なお、第三次事業化計画における優先整備路線のうち、東京都施行分については、過去の事業実績から概算事業費として約1.4兆円と想定していますが、既に事業認可を取得したものなどを除き、個々の路線の事業費については、算出していません。

質問事項
 一の2のエ 現在の補償制度では、生活再建のための補償が十分でない。残地部分を全て買い上げるような制度を都のマスタープランで位置づけるべきだが、答弁を求める。

回答
 公共事業用地の取得に伴い通常生じる損失については、損失補償基準に基づき、物件移転補償、動産移転補償など適正かつ公平な補償を行い、関係権利者の生活再建にきめ細かく対応しています。
 事業用地の取得に伴って生じる残地については、土地価格の低下、利用価値の減少等の損失が生じる場合に補償をしています。
 また、交通安全上、道路交差部の隅切りなどを設ける場合や、残地が著しく狭小となり、生活再建上支障となる場合には、道路管理の面も考慮に入れ、都市計画線外の用地の取得も行っています。
 今後とも、現行の公共用地取得の補償制度に基づき、関係権利者と十分話し合いながら、適切な補償に努めていきます。

質問事項
 一の2のオ 残地を買い上げた部分はポケット公園のような緑地をつくり、クールランド対策を積極的に取り入れるべきである。答弁を求める。

回答
 都市計画道路の整備に当たっては、これまでも、歩道に街路樹を植栽するなど、道路緑化に努めてきました。
 都市計画線外の用地を取得した場合は、その形状や周辺の土地利用などを踏まえ、歩道や緑地などとして有効活用を図っています。

質問事項
 一の2のカ まちづくりを住民自らが主体として担い対案を出せるよう、専門家のアドバイスが受けられるような支援を都としても行うべきだが、答弁を求める。

回答
 地域のまちづくりについては、住民のまちづくり活動に対する専門家の派遣等を含め、地域の実情に精通している区市町村が役割を担っています。
 都は、地域のまちづくりを行う区市町村に対し、必要に応じて助言や技術的支援などを行っています。

質問事項
 一の3 個別的な路線の質問
 ア 放射7号線について
   a 放射7号線について、住民からは外環がわりのバイパスではないか、2本同時に必要なのか、との声がある。この道路の役割について改めて再検討すべきだが、答弁を求める。

回答
 放射第7号線は、千代田区九段北を起点として練馬区西大泉に至る全長約19キロメートルの路線であり、練馬区など東京区部の北西部を東西に結ぶ、放射方向の骨格的な幹線道路です。
 一方、外環道は、都市における高コスト構造を是正し、首都圏全体の活性化に不可欠な路線であり、こうした高速道路と幹線道路を適切に組み合わせ、道路ネットワークを形成していくことが重要です。
 今後とも、道路のネットワーク形成のため、放射第7号線や外環道などの整備促進に努めていきます。

質問事項
 一の3のアのb 本路線は、閑静な住宅地を分断するように通る。交通量予測などを行い、周辺環境に与える影響を十分調査すべきだが、答弁を求める。

回答
 放射第7号線の大泉学園通りから西側の西東京市境までの区間については、平成16年6月に地元住民に対して事業説明会を実施し、その後、交通量予測を行うとともに周辺環境に与える大気(NO2,SPM)、騒音、振動の影響について予測調査を行いました。
 これらの調査結果については、平成17年7月の用地測量説明会において、地元の皆様に説明しています。また、地元の方々からの要望に応じて、個別説明も随時実施しています。
 今後とも、地域住民の理解と協力を得ながら、早期事業化に向けて積極的に取り組んでいきます。

質問事項
 一の3のイ 放射35号線について
   a 川越街道から平和台の環8道路までの区間では、ひし形の残地が残る地権者が多いが、今の制度ではわずかな残地補償だけである。弱者のための生活再建ができる補償制度をつくるべきだが、答弁を求める。

回答
 放射第35号線の練馬区早宮二丁目から北町五丁目までの区間については、平成16年12月に事業認可を取得し、現在、用地取得を進めています。
 用地の取得に当たっては、事業に協力いただく関係権利者の方々の生活再建などにも十分配慮した、きめ細かな補償を行っています。
 また、取得に伴って生じる残地についても同様で、狭小あるいは不整形となり損失が生じる場合は、その損失を補償しています。特に、生活再建上支障となる場合には、残地取得の基準により、都市計画線外の用地の取得も行っています。
 今後ともこのような考えに基づき、関係権利者の理解と協力を得ながら、事業を進めていきます。

質問事項
 一の3のイのb 新設道路の残地にミニポケット公園を作って緑を増やし、クールランドをつくることを求めるが、答弁を求める。

回答
 放射第35号線の整備に当たっては、広幅員の歩道を設け、街路樹を植栽するなど、道路緑化に努めていきます。
 都市計画線外の用地を取得した場合は、その形状や周辺の土地利用などを踏まえ、歩道や緑地などとして有効活用を図っていきます。

質問事項
 一の3のイのc 小学校児童の70%が道路の反対側からの通学となるが、この対策をどうとるのか。また平和台駅へのアクセスのため、駅の入口を新たにつくるべきだが、答弁を求める。

回答
 放射第35号線の整備に当たっては、児童の通学や駅へのアクセスについて、練馬区など関係機関と十分協議し、必要な横断歩道を確保するなど、歩行者の安全性や利便性に十分配慮していきます。

質問事項
 一の3のイのd 既存駐輪場の代わりに、地下駐輪場を計画しているが、高齢者は使いづらい。開削部分に蓋をかけて利用するなどの対策が必要だが、答弁を求める。

回答
 放射第35号線は、環状第8号線をくぐる立体交差となっており、交差部の両側を掘割構造で整備することとしています。
 この整備に合わせ、練馬区が駐輪場を計画しており、都は既に練馬区から依頼を受け、駐輪場の設置に必要な掘割構造のふた掛けについて、検討を行っています。

質問事項
 一の3のイのe 地域では自らのまちづくり計画をつくろうとしており、専門家の援助の要望が出されている。都として援助する体制をつくるべきだが、答弁を求める。

回答
 地域のまちづくりについては、住民のまちづくり活動に対する専門家の派遣等を含め、地域の実情に精通している区市町村が役割を担っています。
 都は、地域のまちづくりを行う区市町村に対し、必要に応じて助言や技術的支援などを行っています。

質問事項
 一の3のウ 230号線について
a 多くの住民が反対している区画整理や街路事業と切り離して、大江戸線延伸を急ぐべきだが、答弁を求める。

回答
 大江戸線の大泉学園町方面への延伸については、これまで地質調査などを実施するとともに、補助第230号線の地下利用について国の地下空間利用計画に位置づけるなど、諸準備を進めてきました。
 今後も、区画整理事業や沿道まちづくりと一体となった街路整備などによる導入空間確保の状況等を踏まえ、地元区や関係局と連携して、事業化についての検討を引き続き進めていきます。

質問事項
 一の3のウのb 駅予定地周辺の区画整理は区が実施するとしているが、都も承知して出されていた支援策が有名無実化している。都は支援策に責任を持ち、区に対して指導すべきだが、答弁を求める。

回答
 練馬区施行の土支田中央地区土地区画整理事業の推進に当たって、都は、平成14年度より区画整理事業に精通した技術職員などを区に派遣・紹介し、技術的な指導・支援を行ってきています。
あわせて、国庫補助金や区画整理事業に対する都の補助金の導入による財政的支援を図っています。
 こうしたことにより、区画整理事業は、現在、建物移転や工事の着手に向けた取組が着実に進められています。
今後とも、区施行の区画整理事業に対する指導・支援を積極的に進めていきます。

質問事項
 一の3のエ 232号線について a 今年5月の都計審で、環8から区界までの232号線全体の車線数が決定された。こうした計画について関係住民に説明し、必要性を議論すべきだが、答弁を求める。

回答
 補助第232号線の都市計画変更に当たっては、都市計画素案、環境影響評価書案の各段階でそれぞれ2回ずつ住民説明会を実施するとともに、区報への掲載や都市計画に関するパンフレットを作成するなど、計画内容の周知に努めました。
 また、練馬区議会及び練馬区都市計画審議会においても、合意を得ています。
なお、現在、補助第232号線の整備主体である練馬区において、沿道地権者の方からのまちづくりの要望に応えて、建て替え時の共同化を支援しており、地元住民の方との協働による道づくりが進められています。

質問事項
 一の3のエのb 第三次事業化部分の232号線は、高架連続立体事業と切り離し、石神井駅前地域のまちづくりと一体となって、住民参加で検討し事業化すべきだが、答弁を求める。

回答
 道路と鉄道の連続立体交差事業は単に踏切の解消だけでなく、まちの分断解消による良好な市街地の形成を目的としており、周辺街路の整備や駅前広場など地域のまちづくりとの一体的整備により、高い事業効果を発揮します。
 こうした観点から、西武池袋線(練馬高野台駅~大泉学園駅間)連続立体交差事業と併せて石神井公園駅周辺の補助第232号線、駅前広場、補助第132号線を整備することは、南北に分断されていたまちの一体化はもとより、駅周辺の道路ネットワークの拡充、石神井公園駅における交通結節機能の強化や駅アクセスの向上を図るなど、地域のまちづくりに欠くことのできない事業と考えています。
 このため、平成16年3月に都と特別区が共同で策定した第三次事業化計画において、本路線と補助第132号線を区施行による優先整備路線として位置付け、その整備促進を図ることとしています。
 なお、平成16年11月に練馬区が地元住民の代表者を中心とした「石神井公園駅南口まちづくり懇談会」を設置し、地域住民と連携しながら、本路線等の整備を契機とした石神井公園駅周辺地域の具体的なまちづくりのルール等を検討しています。

質問事項
 一の3のオ 補助135号線は、二つの小・中学校を分断し、中学校は移転が必要だが、新たな学校用地の取得などこの地域ではできない。こうした根本問題の解決策を示すべきだが、答弁を求める。

回答
 補助第135号線は、練馬区内で不足している南北方向の幹線道路です。
 石神井公園駅周辺では、当該区間が未整備となっていることに起因する交通渋滞の解消や、地域のまちづくりを進める観点から、第三次事業化計画において区施行路線として位置付け、その整備促進を図ることとしました。
 本路線の整備に当たっては、事業主体である練馬区が、練馬区立大泉第二中学校の近隣適地への移転を基本としながら、今後区が設置を予定している地域住民の方々との懇談会等の意見を踏まえ、道路整備に向けた具体的な検討を進めていくこととしています。

質問事項
 一の3のカ 補助229号線のうち、上井草道路と千川道路が上井草駅西側踏切でクランク型に交差する部分では、朝晩大渋滞し問題である。解決策を示し、整備に都として全力をあげるべきだが、答弁を求める

回答
 千川通りと西武新宿線とが交差する踏切については、ピーク時間帯1時間当たりの遮断時間が40分以上であることなど、地域交通阻害の要因となっています。
 このため、練馬区では、この踏切を含めた区内の踏切を対象として、踏切対策及びまちづくりに関する勉強会を平成15年1月より設置しており、都及び鉄道事業者もこれに参画し、道路と鉄道の立体化やまちづくりについての検討を行ってきています。
 都としては、引き続き、沿線まちづくりと一体となった道路と鉄道の立体化について、地元区など関係者とともに議論を重ねていきます。

質問事項
 一の3のキ 補助132号線は駅広場と一体で整備するとしているが、地域住民などはいいまちづくりをしようと運動している。拙速を避けるためには、補助232号線と切り離すべきだが、答弁を求める。

回答
 西武池袋線石神井公園駅周辺の補助第132号線については、旧早稲田通りから石神井公園駅へのアクセス性を向上させるとともに、補助第232号線と併せて整備することにより、地域のネットワークを形成し、石神井公園駅近傍の渋滞解消を図るなどの効果があります。
 このため、都と特別区が共同で策定した第三次事業化計画において、本路線と補助第232号線を区施行の優先整備路線として位置付け、その整備促進を図ることとしています。
 なお、平成16年11月に練馬区が地元住民の代表者を中心とした「石神井公園駅南口まちづくり懇談会」を設置し、地域住民と連携しながら、本路線等の整備を契機とした石神井公園駅周辺地域の具体的なまちづくりのルール等を検討しています。

質問事項
 一の3のク 環状8号線は、17年度末の本線使用開始を目指しているが、住民が求めている、騒音対策と大気汚染対策をとってから使用を開始すべきである。答弁を求める。

回答
 環状第8号線は、都心方向への通過交通を分散し、都内の慢性的な交通渋滞を緩和するとともに、都市活動や都民生活を支える重要な路線であり、現在、練馬区及び板橋区内の4.4キロメートルで事業中です。
 練馬区内の事業中区間では、環境影響評価条例に基づいた環境影響評価を行っており、ほぼ全線にわたる低騒音舗装や遮音壁の設置とともに、北町若木トンネルに換気所を設けるなど、必要な対策を実施することで、環境基準を下回ると予測しています。
 当該区間の整備に当たっては、既に、これらの対策に取り組んでいます。

質問事項
 一の3のケ 外郭環状道路について a 外環に関し、現在、住民の意見を求める話し合いを行っているが、結局はガス抜きではないか、住民意見が反映される担保があるのか、との声がある。この声にどう答えるのか伺う。

回答
 外環道に限らず、都市計画道路などの計画に当たっては、住民説明会などを開催し、住民の意見等も踏まえて計画案を作成しています。

質問事項
 一の3のケのb 青梅街道インターと練馬区内の上部道路について、区の意思によって判断したとしているが、いつの時点の判断に基づくものか伺う。

回答
 青梅街道インターチェンジの設置については、都民の利便性確保や時間短縮効果などの観点から検討し、区の意思のみならず、地元の意向も踏まえた上で、国と都が平成17年9月16日に「東京外かく環状道路についての考え方」において必要と判断したものです。
 また、上部道路については、緑豊かな道路とするなど検討の方向を地元に示してきました。今後、本線の地下化の動向を踏まえて、国や沿線自治体などと検討を進めていきます。

質問事項
 一の3のケのc 練馬区が要求しているので上部道路を建設するとしているが、多くの住民が建設を望まないことが明確になるならやめるのか伺う。

回答
 外環本線を地下化した場合の都市計画道路「外環ノ2」の取扱いについては、緑豊かな道路とするなど検討の方向を地元に示してきました。今後、本線の地下化の動向を踏まえて、国や沿線自治体などと検討を進めていきます。

質問事項
 一の3のケのd 青梅街道ハーフインターチェンジは、住民の多数の声に従い止めるべきである。また、「八の釜憩いの森」は提示案では完全に消滅する。代替案はありえないが、答弁を求める。

回答
 青梅街道インターチェンジの設置は、都民の利便性確保や時間短縮効果などの観点から検討し、地元の意向も踏まえた上で、国と都が必要と判断しました。
 また、八の釜憩いの森は、地域における貴重な自然環境であり、外環の整備に当たってはその取扱いについて、国や練馬区とともに検討していきます。

平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 吉田信夫

質問事項
 一 鉄道事業者による系列書店の展開から中小書店を守るために
 二 外かく環状道路計画について
一 鉄道事業者による系列書店の展開から中小書店を守るために
  近年、青少年の学力低下や活字離れが指摘されているもとで、文字文化の活性化があらためて注目されています。地域の本屋さんは、身近に本に親しむことができ、学校教科書の取り扱いや宅配など、地域に欠かせない役割を果たしています。商業主義にとらわれることなく良書を提供したり、青少年から有害図書を遮断し、地域文化の担い手としての役割を果たしています。
  ところが、地域の中小書店が、いま大型書店やチェーン店などの無秩序な出店によって経営危機に追い込まれています。10年間で都内で書店556店が廃業や転業に追い込まれており、都の「中小企業経営白書」でも、生活悪化による「買い控え」(48.8%)についで「大型店志向」(29.3%)があげられています。地域から書店の灯が年々減っていくことは、見過ごせない事態です。
 1 中小書店の存在と役割をどのように考えますか。
  そのうえ中小の書店にとって、営業をおびやかす新たな脅威の一つとなっているのが、大手鉄道事業者が、駅舎改築などとあわせ系列書店をつぎつぎと開店させていることです。その結果、通勤客など駅利用者が駅舎内の系列書店に流れ、駅周辺の中小書店がそれまでの顧客を奪われ、つぎつぎと書店をたたまざるをえない事態に追い込まれています。
  杉並区内でも、京王井の頭線久我山駅の駅舎改築とともに、駅舎3階に系列書店が、駅周辺の書店の反対をおしきって出店しました。京王電鉄の場合、京王線の駅舎改修とともに、系列書店である啓文堂書店を沿線につぎつぎ出店してきましたが、その結果、駅周辺で31の書店が閉店しています。京王電鉄では書店でもポイントカードが利用できることを強調し、カードの普及拡大をはかっています。したがって個々の書店では赤字であっても、グループ企業全体の売り上げ拡大の観点から書店の展開をはかっていると考えられます。また、テナントは公募するが高い設定で周辺の商店では手がだせずおのずと系列書店が出店するしくみとなっています。
 2 こうした鉄道事業者による系列書店の駅舎への連鎖的出店と周辺書店への影響という新たな事態について、調査を求めます。
  国鉄が民営化された際にだされた「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」では、中小企業への配慮に関する事項で「地域における経済活動に与える影響にかんがみ、その地域において当該新会社が営む事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、又はその利益を不当に侵害することがないよう特に配慮するもの」と定めています。
  地域住民の生活にとっても、特定の業種や店舗形態に特化するのでなく、地域のなかで各種の小売業がバランスよく展開し、住民のニーズにこたえることが求められています。街のなかの中小書店は、住民の生活と文化にとって欠かせない存在です。
 3 鉄道事業者にたいして、駅舎での事業展開にあたっては、周辺の書店などの経営を圧迫することのないよう配慮を求めるべきです。
  書籍は、他の商品とくらべても利益率が低く、書店の経営は容易ではありません。そのうえ、中小書店は、大手書店とくらべ大きな格差があります。大手書店は売れ筋の新刊書を優先的に確保し平積みで販売する一方、中小書店では新刊書の確保が容易でなく、売り上げ減少が資金繰りを圧迫しています。都の「白書」でも中小書店にとって経営上の課題として「売れ筋商品が揃わない」が68.3%と第1にあげられています。そのうえ京王系列の書店の場合、ポイントカードによる事実上の値引きまで行っています。
 4 中小書店と大手書店との不公平な扱いが是正されるよう、流通のあり方やカードによる値引きの禁止など、業界や国に働きかけるべきです。
 5 中小書店の振興策の調査策定など、都として業種別支援を行うべきではないですか。
二 外かく環状道路計画について
  国と東京都は、東京外かく環状道路計画について、PI協議会での議論でも住民から反対の意見が出され、建設の合意はされてないにもかかわらず、建設を前提にした手続きをすすめています。最近では、構想段階から計画段階に入るとし、本線は大深度地下を活用した地下道路とし、3箇所のジャンクション以外に3箇所のインターチェンジ設置計画をうちだしました。地上部も街路とする方向で準備をすすめています。
  そもそも外環道路は、すでに熟成した既成市街地で、既存の道路もない地域で建設しようとする計画で、地域住民の反対があり本線の地上方式をやめ大深度地下方式にしました。しかしジャンクションやインターチェンジなど地域住民の立ち退き、新たな車の流入、換気塔による排気ガスの放出など周辺の生活と環境に深刻な影響を及ぼすことは必至です。また地下道路建設による地下水脈切断なども危惧されています。
  さらに国と都は、地上部についてもあくまで街路の建設を計画しており、そうなれば、5000戸といわれる住宅の立ち退き、環境破壊など、深刻な影響をもたらします。とりわけ、杉並区などの地域は閑静な住宅街であり、道路幅数十メートルの道路建設となれば、まちそのものの破壊につながりかねません。
  投資される資金も軽視できません。都内の中央環状新宿線の場合10キロで約1兆円も投資され、外環道路計画の場合、国土交通省の試算でも1兆3000億円といわれています。圏央道の場合を見ても都にも一定比率での負担が押し付けられかねません。こうした莫大な財政負担は、都財政、都民サービスにも犠牲をしいる危険性をはらんでいます。
  さらに重大なことは、国や都が全線地下でインターチェンジなし、地上路線なしの構想を示して合意を求め、住民がテーブルについて話しあいを進めるなかで、突然インターチェンジ3箇所計画を提示し、さらに地下道路だけでなく地上も街路として建設することを打ち出すなど、なしくずし的に計画を押しつけて具体化をはかろうとしていることです。こうした進め方は、見過ごせません。
  このように、住民の生活と環境はもちろん、東京の都市づくりや都財政にとっても重大な問題をはらむ計画を、いまだ周辺住民、都民との合意も得られないままごり押しをすることは許せません。
  あらためて、今年9月に計画の具体化のためのとして、打ち出した「考え方」を中心に何点かただしたい。
 1 事業者について
   国と都は外環道路計画を強引にすすめているが、これまで事業主体だった日本道路公団が分割民営化され、計画はすすめても、実際に事業化されるかの保障は不明確です。
  ア 東京外環道・関越東名区間の事業者は誰なのか。道路公団から分割民営化された企業で建設の意思は表明されているのですか。
  イ 都は国土開発幹線道路であり国がその責任において整備する路線だと説明してきた。分割民営化された事業者主体が、採算上整備を拒否した場合、国が全線国直轄事業として整備することもありえるのですか。
  ウ 首都高品川中央環状品川線の場合、都は約半分の区間を都の直轄街路事業として建設をすすめるという異例の措置をとりました。本来、国が責任を負うべき道路に都が投資することはあってはならないが、外環道路において都が直接整備するということはありえないと断言できるのですか。
 2 事業費について
  ア 地下構造とした場合の建設費、及び3箇所のジャンクションとインターチェンジの建設費の総額はどの程度に推計されていますか。
  イ 推計される建設費は、現在の高速料金を前提にし、採算上なりたちうると判断しているのか。どのように計算していますか。
 3 都の財政負担について
   圏央道の場合、一定区間を国直轄道路事業とし建設が進められており、その場合、建設費の4分の1が直轄道路負担金とし自動的に都に課されています。
   圏央道での都の直轄負担金は、総額どの程度となりますか。外環道路の場合も同様な負担になりえると思いますがどうか。最悪、全線国直轄となった場合、国直轄負担による都の負担額はどの程度と推計されますか。
 4 上部の計画について
   都は、外環道路は大深度地下とし、現在の都市計画決定の位置を基本として地下化することを打ち出しています。同時に、地上部も街路化する計画を放棄していません。
  ア 都市計画上では、大深度地下での整備は、現在の都市計画決定の地下構造への変更ですすめるのではないのですか。それなら地上部の活用が同時平行的に検討される必要はありません。
  イ 都市整備局は、委員会での答弁でも「地上部の街路について」沿線自治体と協議とのべているが、都としての構想はあくまでも街路ということですか。複数の行政区をつなぐ街路なら都道として都が整備することになるが、いかがですか。
  ウ 外環道路本体の整備による立ち退き戸数及び、上部も街路として利用した場合の立ち退き戸数はそれぞれどの程度ですか。
 5 インターチェンジ計画について
   国と都は、整備促進のためにインターチェンジなしの計画を打ち出し、その後インターチェンジについては関係住民、自治体の意向を尊重するとの姿勢を示しました。杉並区は、国が行ったアンケートでも多数が反対であり、区としても反対を表明しました。
   しかし9月に発表した「考え方」では3箇所のインターチェンジの1つとして青梅街道インターチェンジがハーフインターとして打ち出されました。たとえ設置場所が行政区として練馬区であっても杉並区と隣接する位置にあり、区内を通る青梅街道への新たな車の流入、流出が増加することは明らかです。
  ア なぜ杉並区、杉並区住民の多数の意思を無視して青梅街道インターチェンジ構想を打ち出したのですか。
  イ 設置場所が練馬区なら、今後も杉並区及び住民が反対しても、設置をすすめるという姿勢ですか。
  ウ 青梅街道インターチェンジの機能はどのようなものですか。青梅街道の自動車交通量が現在とインター設置でどのように変化するのか。またインター利用自動車数の推計を流入、流出、かつ新宿及び西東京市方面で明らかにしてください。

平成17年第四回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 鉄道事業者による系列書店の展開から中小書店を守るために
  1 地域の中小書店が、大型書店やチェーン店などの無秩序な出店により経営危機に追い込まれている。中小書店の存在と役割をどのように考えるか伺う。

回答
 地域の書店は、規模の大小に関わらず、書籍販売を通じて、地域住民のニーズに応え、地域の活性化に貢献するという役割を果たしていると認識しています。

質問事項
 一の2 鉄道事業者による系列書店の駅舎への連鎖的出店と周辺書店への影響という新たな事態について、調査を求める。見解を伺う。

回答
 都は平成5年以来、都内の書籍小売業の現状を調査・分析し、中小企業経営白書において公表しています。
したがって、別途新たな調査をする考えはありません。

質問事項
 一の3 鉄道事業者に対し、駅舎での事業展開にあたっては、周辺の書店などの経営を圧迫することのないよう配慮を求めるべきだが、見解を伺う。

回答
 都はこれまでも、中小企業に対する様々な支援策を実施していますが、地域的な需給状況を勘案した規制などを行う考えはありません。

質問事項
 一の4 中小書店と大手書店との不公平な扱いが是正されるよう、流通のあり方やカードによる値引きの禁止など、業界や国に働きかけるべきだが、見解を伺う。

回答
 カードなどによるポイントサービスについては、公正取引委員会において、平成11年12月に「消費者利益に資するものと考えられる」という見解が公表され、また、平成16年10月には「ごく低率のポイントサービスまで禁止するのは一般消費者の利益を不当に害することになるおそれがある」という指摘がされています。
 流通については、市場における当事者間の取引にゆだねることが原則であるため、業界や国に働きかける考えはありません。

質問事項
 一の5 中小書店の振興策の調査策定など、都として業種別支援を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、これまでも様々な状況にある中小企業のニーズに対応できるよう、必要に応じて業種にかかわらない多様な支援策を実施しています。

質問事項
 二 外かく環状道路計画について
  1 事業者について
   ア 東京外環道・関越東名区間の事業者は誰なのか。道路公団から分割民営化された企業で建設の意思は表明されているのか伺う。

回答
 外環道は、国土開発幹線自動車道の予定路線に位置付けられており、現段階においては国土交通省が事業予定者とされています。また、現時点では、道路公団から分割民営化された会社が、どの新規路線を整備するかは決まっていません。

質問事項
 二の1のイ 都は、国がその責任において整備する路線だと説明してきたが、分割民営化された事業者主体が、採算上整備を拒否した場合、国が全線直轄事業として整備することもあり得るのか伺う。

回答
 外環道は、現段階で整備手法は決まっていませんが、国土開発幹線自動車道の予定路線に位置付けられており、国がその責任において整備すべき路線です。

質問事項
 二の1のウ 本来、国が責任を負うべき道路に都が投資することがあってはならないが、外環道路において都が直接整備することはありえないと断言できるのか伺う。

回答
 外環道は、国土開発幹線自動車道の予定路線に位置付けられており、国がその責任において整備すべき路線です。

質問事項
 二の2 事業費について
ア 地下構造とした場合の建設費、及び三箇所のジャンクションとインターチェンジの建設費の総額は、どの程度に推計されているのか伺う。

回答
 国土交通省は、類似の道路整備事例を参考に、本線とジャンクションの事業費を約1兆2千億円、インターチェンジは約1千5百億円と推計しています。

質問事項
 二の2のイ 推計される建設費は、現在の高速料金を前提にし、採算上なりたちうると判断しているのか、どのように計算しているのか伺う。

回答
 現段階で整備手法は決まっていませんが、採算性は整備手法と併せて検討すべきものです。

質問事項
 二の3 都の財政負担について
 圏央道の場合、一定区間を国直轄道路事業とし建設が進められており、その場合、建設費の4分の1が直轄道路負担金とし自動的に都に課されている。
 圏央道での都の直轄事業負担金は総額どの程度となるのか。外環道路の場合同様な負担になるのか。全線国直轄となった場合の都の負担額はどの程度と推計されるのか伺う。

回答
 圏央道は、一般国道の自動車専用道路として、直轄事業と有料道路事業の合併施行により整備が進められています。都の直轄事業負担金の割合は、道路法により3分の1と定められており、平成16年度末までに支払った総額は約858億円です。
 一方、国土開発幹線自動車道の予定路線である外環道の整備は、民営化された会社による有料道路事業とするかなど、整備手法については現段階では決まっていません。
 なお、高速自動車国道法では、国が直轄事業として整備する場合の都負担は4分の1と定められています。

質問事項
 二の4 上部の計画について
ア 都市計画上、大深度地下での整備は、現在の都市計画決定の地下構造への変更で進めるのではないか。それなら地上部の活用が同時平行的に検討される必要はないが、見解を伺う。

回答
 外環本線を地下化した場合の都市計画道路「外環ノ2」の取扱いについては、緑豊かな道路とするなど検討の方向を地元に示してきました。今後、本線の地下化の動向を踏まえて、国や沿線自治体などと検討を進めていきます。

質問事項
 二の4のイ 都としての構想はあくまでも街路ということか。複数の行政区をつなぐ街路なら都道として都が整備することになるが、見解を伺う。

回答
 「外環ノ2」については、今後、本線の地下化の動向を踏まえて、国や沿線自治体などと検討を進めていきます。

質問事項
 二の4のウ 外環道路本体の整備による立ち退き戸数及び、上部も街路として利用した場合の立ち退き戸数はそれぞれどの程度か伺う。

回答
 国土交通省は外環本線の立ち退き戸数を約1,000棟と公表しています。
 一方、上部街路としての「外環ノ2」については、現在、緑豊かな道路とするなど検討の方向を地元に示している段階で、今後、国や沿線自治体などと検討していくこととしておりますので、立ち退き戸数は推計していません。

質問事項
 二の5 インターチェンジ計画について
ア なぜ杉並区、杉並区住民の多数の意思を無視して青梅街道インターチェンジ構想を打ち出したのか伺う。

回答
 青梅街道インターチェンジの設置については、都民の利便性確保や時間短縮効果などの観点から検討し、地元の意向も踏まえた上で、国と都が平成17年9月16日に「東京外かく環状道路についての考え方」において必要と判断したものです。

質問事項
 二の5のイ 設置場所が練馬区なら、今後も杉並区及び住民が反対しても、設置を進めるという姿勢なのか伺う。

回答
 青梅街道インターチェンジの設置については、都民の利便性確保や時間短縮効果などの観点から検討し、地元の意向も踏まえた上で、国と都がその必要性を判断したものです。
 今後とも、この公表した「東京外かく環状道路についての考え方」に基づき、沿線自治体等の意見を聴きながら、国とともに計画の早期具体化を行っていきます。

質問事項
 二の5のウ 青梅街道インターチェンジの機能、インター設置による青梅街道の自動車交通量の変化、インター利用自動車数推計の流入、流出、かつ新宿及び西東京方面について伺う。

回答
 青梅街道インターチェンジを設置することにより、10分以内にアクセスできる地域住民が21万人増加すること、高速道路利用者の旅行時間が短縮されることなどの利便性の向上や環八、吉祥寺通りなど一般道路の交通量が減少することなどの効果があります。
 一方、同インターチェンジ設置による青梅街道の交通量は、将来も現在と同程度のものと推計しています。
 また、将来の青梅街道インターチェンジの流入・流出交通量は1日当たり約1万1千台と推計しており、杉並区及び練馬区住民の利用が約半数で、残り半分が西東京市など多摩東部地域住民の利用となるものと見込んでいます。

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