平成十七年東京都議会会議録第十七号

平成十七年十二月七日(水曜日)
 出席議員(百二十六名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番宇田川聡史君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番花輪ともふみ君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十一番三宅 茂樹君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番大沢  昇君
百番真木  茂君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員(一名)
七十番  近藤やよい君

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

十二月七日議事日程第二号
第一 第百八十七号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十八号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百八十九号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百九十号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百九十一号議案
  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百九十二号議案
  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十三号議案
  東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百九十四号議案
  東京都公債条例の一部を改正する条例
第九 第百九十五号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第十 第百九十六号議案
  旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十七号議案
  東京都学校経営支援センター設置条例
第十二 第百九十八号議案
  東京都教職員研修センター設置条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十九号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百号議案
  東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百一号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百三号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百四号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百五号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百六号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百七号議案
  東京都立高等学校の寄宿舎使用料徴収条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百八号議案
  東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百九号議案
  東京都市計画事業晴海四・五丁目土地区画整理事業施行規程
第二十四 第二百十号議案
  東京都国土利用開発審議会条例の一部を改正する条例
第二十五 第二百十一号議案
  多摩都市計画多摩土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第二十六 第二百十二号議案
  東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百十三号議案
  東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百十四号議案
  東京都国民健康保険調整交付金条例
第二十九 第二百十五号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第三十 第二百十六号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
第三十一 第二百十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
第三十二 第二百十八号議案
  東京都立産業技術研究所条例を廃止する条例
第三十三 第二百十九号議案
  東京都地域中小企業振興センター条例を廃止する条例
第三十四 第二百二十号議案
  東京都立食品技術センター条例の一部を改正する条例
第三十五 第二百二十一号議案
  東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第三十六 第二百二十二号議案
  東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例
第三十七 第二百二十三号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第三十八 第二百二十四号議案
  東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第二百二十五号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第四十 第二百二十六号議案
  東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第二百二十七号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第二百二十八号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十三 第二百二十九号議案
  性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第二百三十号議案
  東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第二百三十一号議案
  地下車路出路築造工事(十七汐留―四)請負契約
第四十六 第二百三十二号議案
  都立板橋地区単位制高等学校(仮称)(H十七)体育館改築及び校舎改修工事請負契約
第四十七 第二百三十三号議案
  平成十七年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その一)請負契約
第四十八 第二百三十四号議案
  平成十七年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その二)請負契約
第四十九 第二百三十五号議案
  神田川・環状七号線地下調節池(第二期)善福寺川取水施設設備工事(その六―二)請負契約
第五十 第二百三十六号議案
  公立大学法人首都大学東京が徴収する料金の上限の認可について
第五十一 第二百三十七号議案
  東京都人権プラザの指定管理者の指定について
第五十二 第二百三十八号議案
  交通信号機等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
第五十三 第二百三十九号議案
  神宮前一丁目民活再生プロジェクト事業契約の締結について
第五十四 第二百四十号議案
  当せん金付証票の発売について
第五十五 第二百四十一号議案
  東京都江戸東京博物館外五施設の指定管理者の指定について
第五十六 第二百四十二号議案
  東京都立大島セミナーハウスの指定管理者の指定について
第五十七 第二百四十三号議案
  東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
第五十八 第二百四十四号議案
  東京体育館の指定管理者の指定について
第五十九 第二百四十五号議案
  駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第六十 第二百四十六号議案
  東京武道館の指定管理者の指定について
第六十一 第二百四十七号議案
  東京辰巳国際水泳場の指定管理者の指定について
第六十二 第二百四十八号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第六十三 第二百四十九号議案
  東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第六十四 第二百五十号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第六十五 第二百五十一号議案
  東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
第六十六 第二百五十二号議案
  東京都立心身障害者口腔保健センターの指定管理者の指定について
第六十七 第二百五十三号議案
  東京都網代ホームきずなの指定管理者の指定について
第六十八 第二百五十四号議案
  東京都品川景徳学園外七施設の指定管理者の指定について
第六十九 第二百五十五号議案
  東京都伊豆長岡学園の指定管理者の指定について
第七十 第二百五十六号議案
  東京都新生寮の指定管理者の指定について
第七十一 第二百五十七号議案
  東京都障害者総合スポーツセンター外一施設の指定管理者の指定について
第七十二 第二百五十八号議案
  東京都八王子自立ホームの指定管理者の指定について
第七十三 第二百五十九号議案
  東京都視覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第七十四 第二百六十号議案
  東京都聴覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第七十五 第二百六十一号議案
  東京都清瀬園の指定管理者の指定について
第七十六 第二百六十二号議案
  東京都多摩療護園の指定管理者の指定について
第七十七 第二百六十三号議案
  東京都清瀬療護園の指定管理者の指定について
第七十八 第二百六十四号議案
  東京都日野療護園の指定管理者の指定について
第七十九 第二百六十五号議案
  東京都練馬就労支援ホーム外一施設の指定管理者の指定について
第八十 第二百六十六号議案
  東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第八十一 第二百六十七号議案
  東京都七生福祉園外四施設の指定管理者の指定について
第八十二 第二百六十八号議案
  東京都日の出福祉園の指定管理者の指定について
第八十三 第二百六十九号議案
  東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
第八十四 第二百七十号議案
  東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
第八十五 第二百七十一号議案
  東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
第八十六 第二百七十二号議案
  東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
第八十七 第二百七十三号議案
  東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
第八十八 第二百七十四号議案
  東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
第八十九 第二百七十五号議案
  東京都立東大和療育センターの指定管理者の指定について
第九十 第二百七十六号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(仮称)に承継させる権利を定めることについて
第九十一 第二百七十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター定款について
第九十二 第二百七十八号議案
  東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定について
第九十三 第二百七十九号議案
  東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について
第九十四 第二百八十号議案
  東京都しごとセンターの指定管理者の指定について
第九十五 第二百八十一号議案
  晴海客船ターミナル外二施設の指定管理者の指定について
第九十六 第二百八十二号議案
  竹芝客船ターミナルの指定管理者の指定について
第九十七 第二百八十三号議案
  竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設の指定管理者の指定について
第九十八 第二百八十四号議案
  東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
第九十九 第二百八十五号議案
  東京都立若洲海浜公園の指定管理者の指定について
第百 第二百八十六号議案
  東京都立有明テニスの森公園の指定管理者の指定について
第百一 第二百八十七号議案
  東京都立お台場海浜公園外十七公園の指定管理者の指定について
第百二 第二百八十八号議案
  東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十七公園の指定管理者の指定について
第百三 第二百八十九号議案
  東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
第百四 第二百九十号議案
  二見漁港岸壁(公用岸壁)外九施設の指定管理者の指定について
第百五 第二百九十一号議案
  東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第百六 第二百九十二号議案
  東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
第百七 第二百九十三号議案
  東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第百八 第二百九十四号議案
  東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第百九 第二百九十五号議案
  東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第百十 第二百九十六号議案
  東京都立木場公園外七公園の指定管理者の指定について
第百十一 第二百九十七号議案
  東京都立芝公園外十九公園の指定管理者の指定について
第百十二 第二百九十八号議案
  東京都立狭山公園外三公園の指定管理者の指定について
第百十三 第二百九十九号議案
  東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
第百十四 第三百号議案
  東京都立陵南公園外十六公園の指定管理者の指定について
第百十五 第三百一号議案
  東京都立浜離宮恩賜庭園外八公園の指定管理者の指定について
第百十六 第三百二号議案
  東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
第百十七 第三百三号議案
  日比谷公会堂外一施設の指定管理者の指定について
第百十八 第三百四号議案
  東京都立潮風公園外一公園の指定管理者の指定について
第百十九 第三百五号議案
  東京都立駒沢オリンピック公園の指定管理者の指定について
第百二十 第三百六号議案
  恩賜上野動物園外三施設の指定管理者の指定について
第百二十一 第三百七号議案
  東京都多磨霊園外七霊園の指定管理者の指定について
第百二十二 第三百八号議案
  東京都青山葬儀所の指定管理者の指定について
第百二十三 第三百九号議案
  東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第百二十四 第三百十号議案
  東京都中野駐車場の指定管理者の指定について
第百二十五 第三百十一号議案
  東京都三田駐車場の指定管理者の指定について
第百二十六 第三百十二号議案
  東京都八重洲駐車場外四施設の指定管理者の指定について
第百二十七 第三百十三号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び府中市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第百二十八 第三百十四号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び小平市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第百二十九 第三百十五号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び東大和市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第百三十 第三百十六号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び東久留米市公共下水道使用料徴収事務の受託について

   午後一時開議

○議長(川島忠一君)これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君)この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君)これより質問に入ります。
 百十二番新藤義彦君。
   〔百十二番新藤義彦君登壇〕

○百十二番(新藤義彦君)平成十七年第四回東京都議会定例会に当たり、都議会自民党を代表して質問いたします。
 質問に入る前に、先月十五日に挙式された清子内親王殿下と黒田慶樹さんのご成婚を心よりお喜び申し上げます。一都民として、今後の心安らぐお暮らしを願うものであります。
 その同じ十五日は、自由民主党五十周年の記念すべき日でもありました。我が党は、過去幾多の変遷を経て五十年の節目を迎えたわけでございますが、一貫して国民の視点から、空理空論ではなく現実的な政治選択をしてきました。
 これから我が国は、初めて人口減少社会に突入していきます。今こそ、将来世代を見据えて、明治維新、戦後の改革に続き、この国の新たな形をつくっていく時代です。
 過日の記者会見で、知事は、自民党東京都連は役に立たないと申されましたが、石原伸晃氏がその都連会長に就任されました。今後、内田幹事長と相携えて、我が都議会自由民主党は国政に都政の息吹を吹き込んでまいります。
 国会議員には、都政の抱える課題解決に力を十分発揮してもらい、理不尽な国政に対してノーといえる強力な体制をつくってまいります。
 国は、三位一体改革を旗印に、地方への権限移譲を進める姿勢を示しています。しかし、その実態は、約八百兆の公的債務残高を抱えた国の財政再建にすぎません。血のにじむような東京の努力を範とすべきであります。
 都としても、座して待つのではなく、東京から地方自治のありようを発信し、徹底的に抵抗する覚悟が必要です。
 都においても重要課題が山積しています。着実に財政再建を進める一方、都民生活や経済のボトルネックになっている環状道路等の整備をスピードアップし、都市再生を促進する必要があります。
 一方では、都民の生命と暮らしを守るため、都が独自に築いてきた福祉施策等の維持発展にも意を用いるべきであります。
 また、防災、防犯、中小企業の振興、環境対策、教育改革など、積極果敢に取り組んでいく必要があります。
 我が都議会自由民主党は、石原知事としっかり意思疎通を図り、責任政党として、これらの課題解決に誠心誠意取り組んでいくことをお約束して、質問に入ります。
 最初に、「行財政改革の新たな指針」について伺います。
 今、我が国は、社会経済構造の大きな転換期にあり、歴史的な改革を断行すべきときを迎えています。他国にも例を見ない急速な少子高齢化が進み、初めて人口減少社会を迎える中で、国と地方の債務は増加の一途をたどっています。今後も、我が国の経済や社会の活力を維持するためには、単なる行政の効率化だけでなく、行政や国のあり方まで踏み込んだ改革が喫緊の課題であります。
 小さな政府と地方分権の確立を目指し、官から民への流れを促進し、公務員制度改革などを強力に推進していくためには、我が国を牽引する大都市東京の存在を踏まえた議論が不可欠であります。
 国においては、国と地方のあり方を見直す議論がなされている今こそ、都は、国に先んじて国を動かす改革を具体的に発信していく必要があります。
 昨年九月に、我が党が中心となった行財政改革基本問題特別委員会は、大都市行政や首都圏全体を見据えた広域行政のあり方などについて報告するとともに、執行機関に対して、行財政全般にわたる新たな改革の大綱の策定を求めました。
 都はこれを受けて、さきの定例会で行革大綱の指針を策定することを知事が表明し、去る十一月二十九日に「行財政改革の新たな指針」を公表しました。
 指針では、東京発の自治論を展開するとともに、行財政システムの改革においても、官から民への流れを確かなものとする方向性がより鮮明となるなど、我が党のかねてからの主張と軌を一にする内容となっております。今回の指針の基本的な考え方と、抜本的な行財政改革の推進に向けた決意について、知事に伺います。
 二十一世紀にふさわしい新しい行政システムの構築には、この指針に示された改革の方向性を踏まえ、より具体的な行動を都庁全体が速やかに行っていく必要があります。今後、自治制度や行財政システムの改革などをどのように進めていくのか、伺います。
 次に、都財政について伺います。
 都財政は、財政再建に向けたこれまでの懸命な取り組みに加え、景気回復を受けた都税収入の増加もあり、再生に向けた確かな道のりをたどりつつあります。こうした機運を逃すことなく、隠れ借金の解消や基金の残高不足解消など、都財政が抱える負の遺産を早急に清算する一方、オリンピックへの基金積み立てなど将来需要に対応することも肝要です。
 これから迎える少子高齢、人口減少社会に柔軟に対応し、新たな施策の積極的な展開は都民共通の願いであり、安定した財政基盤の確立が何よりも重要です。
 しかし、現在進行中の三位一体改革は、地方の猛烈な反対により、生活保護費への都道府県負担の導入は撤回されたものの、地方には全く裁量の余地のない児童手当が新たに標的とされるなど、地方に負担をつけ回しするものとなっています。
 法人事業税の分割基準は、十七年度の税制改正で見直され、十八年度以降の都税収入への影響額は六百億円を上回ることは必至です。加えて、法人住民税の分割基準まで見直されれば、その影響額は七百億円に上ると推計されます。
 こうした国の動きは、都や特別区の貴重な財源である法人住民税を財源調整の手段とするもので、断じて認めるわけにはいきません。
 また、地方特例交付金は、十一年度の恒久的な減税に伴う地方税の減収額を補てんするものですが、個人住民税の定率減税廃止の議論が進む中、交付金制度そのものを廃止しようとする動きが懸念されています。
 法人関係税の減税は継続しながら、その補てん措置である交付金を一方的に廃止されれば、千四百億円もの収入減が見込まれており、まさに理不尽というしかありません。
 さらに、国では、道路特定財源を一般財源化しようとする動きもあります。
 そもそも道路特定財源は、自動車の利用者が負担し、その財源を道路整備に充てる受益者負担の制度です。首都圏の道路整備は、交通渋滞の解消による経済効果はもとより、環境改善効果や防災性の向上といった大都市特有の課題解決に向け、ますます重要となっております。
 知事も述べているように、道路特定財源は道路関係の施策に重点的に投資されるべきです。道路整備の重要性を一貫して主張してきた我が党としても、首都圏が抱える切迫した道路需要を考慮することなく一般財源化を進めることは、決して許すことができません。
 東京富裕論といった誤った認識に基づくこれらの措置は、数千億円規模で都の貴重な財源を奪うものであり、到底容認できません。都財政に大きな影響を与える一連の国の動きに対してどのように対処していくのか、知事の所見を伺います。
 真の地方分権を目指し、地方税財政制度の抜本的見直しを行うという、あるべき姿から逸脱したこうした動きに対しては、毅然と反論していくことが必要です。我が党も反対の姿勢を明確にし、都議会はもとより衆参の国会議員も含め、責任政党として行動していく覚悟であります。
 次に、都区制度改革について伺います。
 都区制度は、東京の自治システムとして機能してきましたが、行財政改革基本問題特別委員会の報告でも述べたように、今日の社会経済情勢の変化を踏まえ、首都東京の大都市経営にふさわしい自治制度が求められています。
 そのためには、東京における大都市行政のあり方、広域的な課題への対応などを根本から議論し、都区の役割分担などを改めて見直すことが必要であります。
 先般、特別区制度調査会が報告書を発表し、都も「行財政改革の新たな指針」を公表しました。双方とも現行の都区制度を抜本的に見直すべきとしております。今後、都と特別区は、ともに次の改革を視点に置いて、さらに活発な議論を行うことを期待しますが、将来に向けた都区制度の見直しについて、知事の所見を伺います。
 次に、五項目の課題についての都区協議ですが、議論の入り口となる都区の役割分担と財源配分の問題、いわゆる大都市事務の問題については、現時点でも都区の意見は平行線で、解決の糸口は見出せませんでした。
 これまでの議論では、政令指定都市が行う事務をどう扱うのかが最大の争点となっていますが、都区の役割分担を議論するためには、双方が東京をどうするのかという大きな観点に立った議論が必要です。我が党としても、特別区の区域が大阪、横浜などの大都市とも比較にならないほどさまざまな機能が集積し、膨大で複雑な行政需要があると理解しておりますが、これまでのように事務の範囲の議論に終始せず、より大きな観点での議論が必要であると考えます。
 大都市事務の問題は、まず双方が歩み寄り、次の制度改革を視野に置いた議論の中で整理してもよいと考えますが、都はどのように対応しようとしているのか、お伺いします。
 もちろん都区の役割分担と財源配分という課題は、都区制度の根幹にかかわる重要な問題でありますが、十分に議論を行った上でも結論が出ませんでした。
 一方、先月の政府税調では、今後の税制のあり方で、所得税を個人住民税に移行する新しい税制のあり方が議論されたとのことであり、都道府県と基礎的自治体との税配分については今後の議論にゆだねられております。
 したがって、この問題については、政府税調の議論も見定めつつ、今後の議論の中で整理することを都区で確認し、これを出発点として、十八年度財調協議において具体的な協議を進めていくべきです。
 都も区も予算編成作業が大詰めを迎えており、今後は、清掃関連経費、小中学校改築経費、都市計画交付金についての財調協議を急ぎ、十八年度予算に間に合うよう結論を得るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、指定管理者制度について伺います。
 地方自治法の改正により、公の施設に指定管理者制度が導入されます。都は、平成十八年四月から、これまで監理団体などに管理を委託していた二百十の施設に制度を導入するため、本定例会に、管理者の指定の議決に係る議案が七十一件提案されました。
 指定管理者の候補者の選定を通じて、民間の力も活用しつつ都民サービスの向上と経費の削減を実現するという制度の趣旨が達成できたのか、また、結果をどのように評価しているのか、伺います。
 次に、人事給与制度について伺います。
 公務員の総人件費削減は、小泉内閣が掲げる重要課題の一つであります。これまで都は、民間の厳しい情勢や都財政の状況を踏まえ、当時、全国で最も厳しい給与削減を実施するなど、人事給与制度については常に先駆的な取り組みを進めてきました。今回の見直しでは、労使交渉が難航し、組合側も苦渋の決断であったと聞いております。
 知事は、これまで、都政の先頭に立ってさまざまな課題の解決に努めてこられましたが、知事を支える職員のやる気と意欲を高める人事給与制度を構築することも重要であります。今回の人事給与制度改革は抜本的な見直しといわれていますが、その基本的な考え方について、知事の所見を伺います。
 今回の見直しが、職員の士気を高め、都庁の組織力を強化することになることを期待する一方、公務員給与への厳しい視線に対して、都民の理解が得られるような努力も重要です。その具体的な取り組み内容と人件費削減効果について伺います。
 次に、産業廃棄物対策について伺います。
 産業廃棄物の適正処理やリサイクル推進は、都の環境行政にとって大きな課題であります。これまで、都内で発生する産業廃棄物の多くが他県に持ち出されていましたが、先般発表した今後の産業廃棄物対策の方針では、飛散アスベストの溶融技術が未熟なため、セメントで固めて都の処分場で受け入れる方針を定め、全国の産業廃棄物問題を先導的に解決する姿勢が打ち出されました。
 また、従来から我が党は、有害なPCB廃棄物の長期保管や紛失等による環境汚染を指摘し、適正処理施設の整備を主張してきました。先月、PCB廃棄物無害化処理施設が稼働しました。二十世紀の負の遺産を解消することが期待されています。
 こうした有害廃棄物対策のほか、建設廃棄物などの不法投棄対策や廃プラスチックなどのリサイクル推進の三つの柱が打ち出されていますが、これらの産業廃棄物対策の推進に関する知事の見解を伺います。
 全国各地で建設廃棄物の不法投棄や不適正保管が後を絶ちませんが、都は、これらを抜本的に防止するため、建設廃棄物を総合的に管理する新しい仕組みの構築を首都圏サミットで提唱しました。この実現に向け今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
 廃プラスチックは、もともとエネルギーの塊であり、我が国の産業にとって大変貴重な資源でありますが、多くが利用されず埋め立て処分されてきました。これを有効利用することにより、化石燃料の消費量と廃棄物の処分量を同時に削減することが可能となります。この廃プラスチックのリサイクルにどのように取り組んでいるのか、伺います。
 次に、スギ花粉症について伺います。
 首都圏では、約四人に一人がスギ花粉症患者となっております。社会的、経済的な影響は看過できない状況にあります。杉林は、戦後間もなく、大規模な伐採により荒廃した林地の復旧と将来の木材供給のため、国の政策として、自然林を人工林へと転換し、拡大造林されたものであり、今では多摩の森は杉林に覆われています。
 一方、昭和四十年代から木材輸入自由化などにより国産材の価格が下落し、今では伐採や搬出する経費すら賄えない状況になっています。その結果、杉林が長期にわたって放置され、花粉を大量に発生する森へとさま変わりしてしまいました。
 知事は、今回、総合的かつ抜本的な花粉症対策を講じていくと表明されました。実施に当たっては、従来の間伐に加え、杉を主伐する抜本的な対応が必要であり、主伐後の木材の活用を視野に入れた林業再生とともに、人工林と自然林の調和した色彩豊かな森に回復する取り組みが必要です。今後の花粉発生源対策の取り組みについて、知事の所見を伺います。
 また、都は、国に先駆けて花粉症対策本部を設置し、総合的取り組みを開始するとしましたが、同本部の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、危機管理への対応について伺います。
 アジアで限定的に発生していた鳥から鳥へ感染する鳥インフルエンザは、中東からヨーロッパ等へ急速に広がりつつあります。二〇〇三年以来、鳥から人への感染による死者は既に六十人を超え、WHOでは、このウイルスが変異して人から人へ感染するようになれば、大流行するとの警告を発しています。
 このため米国では、十一月、新型インフルエンザの世界的流行に備えて七十一億ドルの国家戦略を立て、EUでも、感染拡大を防ぐため、アジアの途上国に三千万ユーロの資金を拠出すると発表しました。我が国においても十一月に行動計画を発表したところです。新型インフルエンザがいつ出現してもおかしくないといわれる状況において、都は新型インフルエンザにどう取り組んでいくのか、伺います。
 また、新型インフルエンザが発生した場合、ワクチンが完成するまでの間、有効な治療薬として抗インフルエンザウイルス薬タミフルが注目されています。先般公表された国の行動計画では、タミフルの備蓄については、行政が二千百万人分を備蓄するとし、その半分を都道府県が負担、備蓄することとなっています。
 ワクチンの開発や治療薬の備蓄は、国家レベルの危機管理として国が責任を持って主体的に行うべきですが、都はタミフルの備蓄についてどのように考え、また今後どのように備蓄を進めていくのか、伺います。
 次に、防火安全対策について伺います。
 新宿歌舞伎町の雑居ビル火災は記憶に新しいところですが、東京の都市部では、高層建物の中にさまざまな用途の事務所が複合的に入居し、万が一の場合の避難、初期消火等が困難なところが多いと聞いています。都民だれもが安心して建物を利用できるようにするためには、事業者とともに、行政からも建物の防火安全に関する情報を提供する仕組みをつくることが非常に重要であると考えますが、消防総監の見解を伺います。
 次に、姉歯建築設計事務所による構造計算書偽造問題について伺います。
 今回の問題は、一級建築士が構造計算書を偽造するという、職業倫理のみじんも感じられない許されざる行為が招いたものです。
 建築物は、そこに住まう人間の生活の根幹であり、安心して暮らしていくためのいわばとりででもあります。その安全性が担保されないという事態は、当該マンションの住民だけではなく、周辺住民をも巻き込んだ重大な社会問題を引き起こします。我が党は、この件に関して、当面の緊急対策とあわせて問題の全容解明と再発防止を図り、都民の不安を一日も早く解消するため全力を挙げて取り組む決意であります。
 そこで、社会不安ともなっている今回の問題に関し、知事はどのように認識し、またどのように対応していくのか、所見を伺います。
 また、昨日、国は、住民の安全確保を図り、円滑な生活再建に資するため、公的支援策を発表しました。緊急な対応が求められる居住者の移転費用の助成や転居先の賃貸住宅の家賃補助について、都はどのように対応するのか、伺います。
 今回の問題は、一級建築士としてのモラルの問題に端を発したものでありますが、それだけにとどまらず、指定確認検査機関、施工者、売り主、そして行政に至るまで、多くの問題点が浮き彫りになってまいりました。すべての関係者、関係機関が社会的に深刻な影響を与えている現状を深く受けとめなければなりません。
 国民、都民の信頼を回復するために何よりも必要なことは、実効性のある再発防止策を早急に打ち立てることであります。検査、確認業務など建築確認制度全般にわたり、再発防止策をできるだけ早期に講じるべきと思いますが、都はどのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、現在都内で、戦後形成された住宅ストックが更新期を迎え、少子高齢社会が進展する中、都民の住まいの安心を確保することがより一層重要になっています。
 国では、社会資本整備審議会の答申を受け、公的住宅の新規建設中心から、市場の活用やストックの有効活用を重視し、地域が主体性を発揮できるよう、基本法制の整備に取り組んでいます。
 都は既に、市場重視、ストック重視の政策へと転換していますが、その方向をより確実なものにする東京都住宅政策審議会の中間のまとめが発表されました。そこで、中間のまとめにおける今後の都の住宅政策の基本的な考え方を伺います。
 本年八月に発行された平成十七年版国民生活白書では、大都市における住宅事情と少子化の相関関係が指摘されております。少子化の要因については、さまざまな議論はありますが、住宅事情もその一つであります。
 少子化対策の観点から、安心して子どもを産み育てられる住まいの確保に積極的に取り組むべきですが、所見を伺います。
 住宅は、生活の基盤であり、都市を形づくる基本的な要素ですが、東京ではマンションが広く普及し、都民の居住形態として定着しています。その一方で、都心部や駅の近くなど利便性の高い地域を中心に老朽マンションが増加しております。このまま放置すれば、スラム化し、犯罪、災害の危険性、景観の悪化など、周辺地域までも悪影響を及ぼすものとなります。
 都市の活力の維持向上の観点からも、マンションの長寿命化や建てかえの円滑化が重要な課題であると考えますが、今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、民間活用型都民住宅について伺います。
 公的住宅の一つである都民住宅は、バブル期に中堅所得者が賃貸住宅に入居できないという深刻な事態を解消するために導入され、民間との連携による住宅政策として大きな役割を果たしてきました。しかし、地価や家賃が全体的に下落する中で、バブル期当時の高額な建築費を償還している都民住宅は、家賃が高どまりせざるを得ず、その結果として空き家を抱えています。都民住宅のオーナーは、血のにじむ努力で空き家の解消を図っていますが、いずれ経営が行き詰まるのは明白です。
 そこで、これらオーナーの経営状態を立て直すために、都としてどのような方策をとろうとしているのか、所見を伺います。
 次に、東京の都市再生について伺います。
 都内では、平成十四年七月に七地域が都市再生緊急整備地域の指定を受け、東京駅周辺や秋葉原駅周辺などでは、地域特性を生かした民間プロジェクトによって国際ビジネス拠点が実現しつつあります。
 一方、緊急整備地域の一つである新宿駅周辺では、北新宿地区の再開発や地下鉄十三号線整備など都市の開発事業が進んでいます。この地域は、一日約三百五十万人が利用する新宿駅を中心に、デパートや飲食店が集積する日本有数の商業地を形成しており、さらなる発展が期待されています。また、歌舞伎町においては、治安回復を契機として、地元区や地権者などによるまちづくりの動きも見られます。
 そこで、新宿駅周辺の再生を含めた地域全体のまちづくりを一層推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 インフラ整備の面では、新宿駅とその周辺の歩行者ネットワークを充実することが、新宿駅周辺を活力と魅力あるまちへと再生する上で重要な施策であります。特に新宿駅では、東西に分断された西口と東口広場を結ぶ自由通路を整備することが長年の課題となっています。実現すれば、東西の回遊性が確保され、駅周辺全体を再生、活性化させていくことが可能となります。しかし、これまでの関係者の間での協議では、幅員をめぐってJR東日本との調整が難航していると聞いています。
 現在、駅構内にある、十分な幅員を有する通路を活用すれば、建設コストを削減し、幅員二十五メートル程度で東西自由通路ができるのではないでしょうか。早急かつ経済的に東西自由通路を整備するには、この既存の空間をまず有効活用することが重要だと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、中央環状新宿線について伺います。
 首都圏三環状道路を初めとする高速道路ネットワークの整備は、首都圏の広域連携を実現し、日本経済の中枢である首都圏経済の活性化に大きく寄与するものであります。その一つである中央環状新宿線も、高速道路ネットワークをつなぐ極めて整備効果の大きい事業であり、都民もその一日も早い完成を待望しておりますが、先日、当初予定の平成十八年度末完成が、最大で三年程度おくれるとの報道がありました。そこで、中央環状新宿線の開業時期と都の対応について伺います。
 次に、小笠原への交通アクセスについて伺います。
 小笠原村は、本土への交通手段として、片道二十六時間の「おがさわら丸」のみに頼る、極めて不便な状況に置かれています。テクノスーパーライナー、TSLは、所要時間の大幅な短縮を目指して国家プロジェクトとして技術開発された超高速船で、本年秋、小笠原航路に就航する予定でした。
 しかし、昨今の原油価格の急騰などにより、年間二十億円にも上る巨額の運航赤字が見込まれる状況となり、国も都も、運航への支援を断念せざるを得ない事態となりました。大変残念な結果でありますが、唯一の生活航路である小笠原航路の長期的、安定的運航の確保こそ重要であり、都の判断はやむを得ないと考えます。
 ただ、都には今後の課題があります。まず、TSL断念の結果、村民等に生じた影響への対応であります。
 TSLによる観光客の増加を見込んで、宿泊施設や飲食店などの受け入れ施設を整備した村民が少なからずいると聞いております。今後の動向によっては、さまざまな問題の発生が予想され、TSL導入にかかわった当事者の一員として、東京都もこうした村民等に対し適切に対応していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 中長期的には、TSL断念後の交通アクセスをどう向上させるかであります。
 現在取り組んでいる世界自然遺産への登録は、小笠原諸島の自然の魅力を世界にPRするまたとない機会となりますが、交通アクセスの改善が大きな課題となります。今後、自然環境との調和にも配慮しつつ、村民生活の安定と観光振興を中心とした経済の活性化を図るためには、返還以来の村の悲願である航空路開設を早期に実現すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、多摩地区水道の経営改善について伺います。
 都では現在、平成十五年度に策定した多摩地区水道経営改善基本計画に基づいて、多摩地区二十五市町への事務委託を順次解消しており、今定例会に四市の事務委託廃止の議案が提案されています。事務委託の解消に当たっては、これまで市町が行ってきた業務を円滑に都に引き継ぐとともに、効率的な業務執行を図ることが重要であります。
 今後も民間委託を推進する必要がありますが、一方では、民間業者の指導監督や、水道供給の安全性、安定性に直接かかわる業務など、競争入札による委託になじまない業務もあるかと考えます。水道局では、こうしたことを考慮して、多摩地区水道の経営に第三セクターを活用していますが、包括外部監査では、第三セクターの活用に当たって、位置づけの明確化や透明性の確保が強く求められました。
 そこで、今後の多摩地区水道の業務について、第三セクターをどのように活用していくのか、あわせて、第三セクターの位置づけの明確化と透明性をどのようにして確保していくのか伺います。
 次に、都内ものづくり産業の支援について伺います。
 景気は回復基調にあるといわれていますが、東京の中小ものづくり産業は、いまだ業績の回復には至っていません。バブル崩壊後の景気低迷が中小企業の体力を長期にわたり弱めた上、アジア諸国との国際競争の激化や経営者の高齢化などの構造的問題が生じています。
 東京の製造業は、平成二年と平成十五年を比較すると、工場数で六三・四%、従業員数で五八・三%に低下するなど、このままでは、東京の宝である、世界に誇る技術力を持った中小ものづくり産業の一大集積が失われてしまうおそれがあります。悪循環に陥る前に、都内ものづくり産業の衰退に歯どめをかけ、大都市の活力を維持できるよう、強力な支援体制を整備していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩の産業支援拠点の整備について伺います。
 多摩地域の製造業は、平成十五年の出荷額で二十三区を上回るまでになりました。電子部品や電気機械の製造業など、時代の先端を行く中小企業の集積は、圏央道の整備により加速するものと期待されます。多摩地域の産業の特質をさらに伸ばし、地域の力強い発展につなげていく必要があります。
 都は、産業支援拠点として多摩中小企業振興センターを設置していますが、暫定の施設であり、最新の技術や先端企業のニーズに対応できる設備が十分とはいえません。多摩における本格的な産業支援拠点の早急な整備が、多摩の産業活性化にとって必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、商店街振興について伺います。
 都内の多くの商店街では、さまざまなコミュニティ活動を展開し、地域の課題解決に積極的な役割を果たすようになっております。商店街の地域貢献活動を都がより強力に後押しすれば、商店街振興のみならず、防犯・防災、高齢者福祉、リサイクルなどの行政施策を一層効果的に推進することができます。
 そこで、商店街の役割や機能についての情報を関係各局が十分に共有して連携体制をつくり、商店街のこうした公共的な取り組みを積極的に集中的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 商店街を振興する上で、商工会議所等の果たす役割も大切です。今回の三位一体改革で、商工会議所等が実施する各種事業の国の補助金が廃止されると聞きました。都は、商工会議所等の果たす重要な役割にかんがみ、経営改善普及事業の財源を確保し、小規模事業者への支援を図るよう要望します。
 次に、中小企業金融ですが、現在、国では、部分保証の導入や保証料率の弾力化などの信用補完制度の見直しを進めていますが、これは都の制度融資にも大きく影響します。見直しに当たっては、中小企業の振興という視点に軸足を置き、適切な配慮が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、中小企業者等への固定資産税の減免措置です。
 景気が回復基調にあるとはいえ、中小企業者は依然として重い税負担感を抱いております。景気等に配慮するとともに、商業地に対する条例減額制度など、都独自の四つの軽減措置を来年度も引き続き継続すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、東京の水辺空間の魅力向上について伺います。
 かつての東京は、西欧の水の都ベネチアに例えられるほど美しい水辺が広がっていました。しかし、現在の川や運河は、水辺を背にして建物が建ち並び、人々の意識から遠ざかって久しい状況です。
 都市における水辺の再生は、世界的潮流になっております。韓国のソウルでは、都心部の河川を覆う高架道路が撤去され、かつての水辺空間がよみがえりました。
 知事は、オリンピックの東京招致を表明されましたが、前回のオリンピックでは、緊急的な整備の必要から、日本橋川などを覆う形で高速道路が建設されました。今回の招致を機に、東京の顔となる水辺景観の回復に向けた期待も高まっています。
 先般、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想の中間のまとめが公表されました。国際観光都市東京の魅力を高める上で重要な取り組みであると考えますが、本構想の実現に向けた知事の所見を伺います。
 次に、青少年の健全育成について伺います。
 昨年一年間に、都内で小中学生が被害者となった犯罪が約一万件も発生している一方、本年六月までに検挙された少年が約七千人に上るなど、少年による犯罪も深刻な問題となっています。
 都は、改正された青少年健全育成条例の運用により、繁華街における少年の深夜徘回の防止や、インターネット、携帯電話へのフィルタリングの導入などの施策を進めています。
 昨今の青少年を取り巻く問題を解決するためには、改正条例の適切な運用を図るとともに、不断の見直しが必要です。その一つに、有害玩具の問題があります。
 九月に、和歌山県の高速道路で改造エアガンの発砲事件が発生し、また最近、都内においても、通行人への銃撃や都バスの窓ガラス破損事件が発生しております。現在市販されているエアガンには、特段の改造をしなくても、けがをさせる威力を持つものがあると聞いています。都は、現状を把握し、条例に基づき、青少年の健全育成を阻害するおそれのある有害玩具に指定するなどの適切な対応を図るべきと思いますが、見解を伺います。
 子どもの犯罪被害や少年犯罪が増加する背景には、人間関係の希薄化やテレビゲーム、過度の塾通いなど、子どもが地域の人々と接する機会が減少し、地域の教育力が弱まっていることが指摘されています。犯罪の被害や有害な環境から子どもを守るためには、地域社会が一体となった取り組みを徹底すべきであります。それには、行政が、地域社会の中核である商店街、町会、自治会などと連携を深めていくことが重要であります。
 都は、地域団体とどのような連携を図りながら青少年の健全育成に取り組んでいくのか伺います。
 次に、個人情報保護について伺います。
 個人情報の保護に関する法律が全面施行されてから八カ月が過ぎました。都民の関心が高まっており、事業者も個人情報保護に関する方針や個人情報の利用目的を公表するなど、個人情報の保護対策が一般的に行われるようになってきました。
 しかし、個人情報保護法や条例が施行されてもなお情報の流出事故が後を絶たない一方で、国勢調査への協力が得られにくくなったり、町会、自治会の名簿や学校の緊急連絡網が作成できないなどの過剰反応による問題も指摘されています。
 そこで、条例施行後に扱ったさまざまな相談や苦情の実態を踏まえて、都民が法律や条例の解釈を誤解したり混乱したりすることのないよう、個人情報保護の適切な取り扱いについて普及、浸透させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 都立病院改革は、限られた医療資源を最大限有効活用し、患者中心の効果的な医療提供体制の実現を目指すものであり、この十月末に結論が出された都立豊島病院の板橋区移管問題も、その一環と理解しています。
 我が党は、この問題を含め、地域医療の充実に果たす基礎的自治体の役割の重要性について繰り返し主張し、板橋区の積極的な取り組みに期待を寄せていました。残念ながら、豊島病院の板橋区移管は断念する結果となりましたが、地域医療の充実に関する区の役割は今後とも変わるはずのないものと考えます。
 都との協議を継続する間にも、板橋区は、区民に必要な医療のあり方を独自に協議、検討しており、区移管断念後に提出された要望書でも、地域医療充実に向けたみずからの努力について言及していると聞いています。今後の豊島病院のあり方について、こういった区からの要望も踏まえながら検討すべきと考えますが、都の基本的な考え方を伺います。
 次に、都立駒込病院の改修計画について伺います。
 駒込病院は、がん医療において国内トップクラスの診療実績を持ち、国内屈指の技術を持つ病院として高く評価されています。しかし、建物は、建築後三十年を経過して老朽化が進み、狭隘で、患者ニーズの変化や医療技術の進展への対応が困難になっているとの指摘があり、このたび、診療を継続しながら駒込病院を全面的に改修する計画が発表されました。
 そこで、駒込病院を、がん・感染症医療センターとして今後どのように機能強化を図っていくのか、都の具体的な考え方を伺います。
 また、改修に当たってはPFI手法の導入を計画していますが、なぜPFI手法を活用しようとするのか伺います。
 次に、福祉保健施策について伺います。
 さきの第三回定例会で、我が党は、昨年八月の福祉保健局発足以来これまでの取り組みをなお一層強力に推進するために、今後の施策について新たな方向性を示すべきであると指摘しました。本定例会では、知事は、改革をさらに進めるため、改めて福祉と保健、医療に対する基本姿勢を明らかにしていきたいと述べております。
 都は、今後も、利用者本位の福祉実現と、都民の生命と健康を守る保健、医療の充実に努めていくことが求められております。これまでの成果を礎に、福祉改革と医療改革をさらに推し進めるために、都立施設改革も重要な柱の一つと考えています。
 民間でできることは民間に任せるという考え方を基本に、福祉、保健、医療に関する都立施設改革をさらに徹底する新たな方針を示すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、障害者福祉について伺います。
 衆議院解散により一度は廃案になった障害者自立支援法が、さきの特別国会において可決成立しました。既に先月公布され、一部を除いて来年四月から施行されます。
 障害者自立支援法は、障害者の地域での自立を支援する観点から、身体、知的、精神の三障害のサービスの一元化、障害者の状況に応じたサービスを提供するための事業体系の再編、就労支援の強化など、これまでの障害者福祉のあり方を抜本的に変革するものです。
 障害者自立支援法の成立を受け、その目指す理念を実現するために、都は今後の障害者福祉にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 また、障害者自立支援法は、制度を安定的に運営していくために定率負担を導入していくこととしています。利用者の増加に対応し、みんなで制度を支えていくためには、利用者にも応分の負担をお願いすることはやむを得ないと考えます。
 しかし、地域での自立生活を支える基幹的なサービスであるホームヘルプサービスは、これまで、国制度に加えて、都は独自の減免策を講じてきた経緯があります。今回の定率負担の導入により、生活保護世帯以外の障害者は、現行に比べ負担がふえてしまいます。低所得者に対する減免制度はありますが、所得の少ない障害者には影響が大きく、きめ細かな配慮が求められます。
 これまでの都独自の減免制度により、多くの障害者が必要なホームヘルプサービスを受けながら地域での自立生活を送っている現状を踏まえ、所得の少ない障害者に対しては、都としてさらに踏み込んだ独自の負担軽減措置を講ずる必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、国民健康保険制度における都道府県調整交付金について伺います。
 今年度から新たに導入された都道府県調整交付金は、都道府県が制定する条例に基づき、国民健康保険の財政を調整するため、区市町村に対して交付するものであります。
 都からの調整交付金の総額は、平年度ベースで五百億円を上回ると見込まれており、都が行う財政調整の方法によっては、区市町村の国民健康保険の財政に大きな影響を与えることが懸念されます。そこで、条例案における財政調整に関する都の基本的な考え方を伺います。
 次に、文教政策について伺います。
 十月二十六日、中央教育審議会の答申では、学級編制にかかわる学校や市区町村教育委員会の権限と責任を拡大する必要があると提言されています。今後、この答申の方向で制度化が図られれば、区市町村教育委員会に学級編制権が移譲されることも想定されます。こうした中で、都教育委員会では学級編制についてどのように考えていくのか、改めて伺います。
 また、調査研究協力者会議報告書は、授業中にじっとしていられない、いわゆる小一問題の対策について触れています。
 小一問題は家庭のしつけに要因があると思いますが、幼児期に基本的な生活習慣や規範意識を十分身につけ、小学校入学時から落ちついて学習することが必要です。このことが学力向上にもつながります。都教委は今後どのように学校を支援しようとしているのか伺います。
 次に、東京オリンピックについて伺います。
 我が党は、さきの定例会における石原知事の招致表明に対し、直ちに先頭に立って積極的に取り組むことを表明しました。
 都は現在、オリンピックの基本理念の検討を進めていますが、オリンピックは、単なるスポーツの祭典にとどまらず、都の未来を開くための重要な契機であります。まず、東京、日本の存在感を示し、東京、そして日本の魅力、すなわち文化や風土の多様性、さらには技術、産業の先駆性を世界にPRすべきです。
 そこで、これらの情報を積極的に発信することにより、意義ある東京オリンピックの実現に向けて、招致に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 知事は、所信表明で、オリンピック準備に向け、基金の積み立てを行うと表明しました。今後の資金需要を考えた場合、先見の明ある取り組みであると賛意を示すものでありますが、改めて知事のねらいをお伺いします。
 オリンピックの招致は、交通渋滞や大気汚染などを解消するための基盤整備を促進する契機でもあります。例えば「ゆりかもめ」は、今年度末に豊洲まで開業する予定ですが、勝どきまで延伸する構想があるとのことです。臨海部と都心部との交通アクセスを向上させるために、さらに新橋まで延伸し、環状交通とすることが有効であると考えます。
 「ゆりかもめ」など公共交通ネットワークのさらなる充実を要望し、次の質問に移ります。
 次に、東京マラソンについて伺います。
 知事は、平成十五年に大規模な市民マラソンの構想を発表して以来、実現に向けて精力的に取り組み、十月二十日、日本陸連と基本的な事項の合意書を取り交わしました。
 東京マラソンは、平成十九年二月に開催し、皇居、銀座、浅草、臨海副都心などの都心の観光名所をコースとし、トップランナーとともに市民ランナーが三万人規模で参加するアジア最大級の大都市東京マラソンとなります。
 この大会は、観光都市東京を世界にアピールする絶好の機会であるとともに、障害者を含めた一般ランナーにとっては、都心を走るという長年の望みをかなえるものです。
 知事は先月、ニューヨークシティーマラソンを視察し、今回の視察で得たノウハウを十分に生かして、アジア最大のマラソン大会に育てていきたいと述べました。知事は、今後どのような点に力を入れて東京マラソンに取り組んでいかれるのか、意気込みをあわせて伺います。
 交通規制や運営ボランティアの確保など、今後解決すべき課題を乗り越えていくためにも、知事の強いリーダーシップが必要です。同時に、大会を盛り上げるためには、都民が東京マラソンを支え、つくり上げていくような取り組みが必要です。
 こうした観点から、子どもたちに、本大会で走ることができなくても、参加意識を持たせることはとりわけ重要だと考えます。そこで、我が党では、小中学生が参加できるボランティア体験の実施やミニマラソンの開催など、子どもも対象にしたイベントを実施することを提案しますが、これについての見解を伺います。
 先ほど触れましたが、建築強度偽装問題は、安全性より、採算性や経済至上主義に走る余り発生した事件だと考えます。これを契機に、建物の本来のあるべき安全を確保するため、必要な法整備や行政指導を行い、信頼される住宅施策に努めるとともに、今後、退去を求められた方々の転居に伴う学校や保育園への受け入れについても、配慮を強く要望します。
 倒壊すれば何百人もの命が失われることへの配慮が欠如していることに慄然としましたが、同時に、日本人の誇るよき気質が失われた思いで、暗たんたる気持ちです。日本の技術者や職人は、目に見えない部分に精魂を傾け、磨きをかけてきました。人間としてやっていいことと悪いこと、当たり前のことを、家庭や学校、地域の社会から日ごろから教え込ませることが大切だと思います。都市再生だけではなく、人間再生も必要だと痛感したわけです。
 都議会自由民主党としては、このような視点からも改革を積極的に進めていくことを申し上げて、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)新藤義彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、「行財政改革の新たな指針」についてでありますが、かつて田中角栄総理が提唱した日本列島改造論が大きな引き金になってもたらされました国土の均衡のある発展という全国一律の画一的な価値観は、大都市の活力が国の命運を左右する都市の時代にあって、既に矛盾しておりまして、意味はなくなったと思います。国家全体の利益という視点に立てば、都市の自治や大都市の経営という観点から、国や地方のあり方を考えていく必要があります。
 今後の自治制度改革に当たっては、国の発展を牽引する大都市の役割を明確に位置づけまして、大都市がその潜在力を十分に発揮できる仕組みをつくっていかなければならないと思います。
 また、東京から分権改革を進めていくためにも、都みずからのさらなる行政改革が不可欠であります。行政は公の担い手の一つにすぎないという原点に立ち返りまして、新たな経営改革手法を積極的に導入しながら、スリムで仕事のできる効率的な都庁を実現していきたいと思っております。
 今回の指針を起点として東京発自治論を展開するとともに、公を多様な主体が担う仕組みを提起して、二十一世紀にふさわしい行政システムを構築していきたいと思っております。
 次いで、税財政をめぐる国の動きへの対応についてでありますが、国では、東京ひとり勝ち論という極めて誤った見解が展開されております。都から財源を吸い上げようとする身勝手な動きが依然として絶えません。例えば、大都市から税源を奪い取るために、このIT時代に、ITというものの普遍によって本社の業務が極めて軽減されたという、非常に文明工学的にも常軌を逸した理由を持ち出しまして、法人事業税の分割基準をまた見直して、繰り返し、一方的に決めてしまいましたが、さらに、法人住民税の分割基準の見直しまで浮上させている現況であります。
 これらは、首都東京の巨額な財政需要、また大都市の特性を顧みない暴論であると思います。いかにも場当たりな、目先だけを考えたやり口でありまして、東京が活力を失えば、我が国全体の活力も低下するという悪循環に陥ることは、火を見るより明らかであります。ようやく上昇軌道に乗った我が国の景気にも悪影響を与えかねない危険があるにもかかわらず、国はそうした認識が全く欠落していると思わざるを得ません。
 道路特定財源についても、整備効果の大きさを考えれば、首都圏に重点的に投資すべきでありまして、国は、その必要性、重要性をほとんど理解をしていないと考えざるを得ません。
 いよいよ来年度予算に向けた取り組みが正念場になりますが、国の不合理な動きに対しては、都議会の皆様、また東京都出身の与党国会議員などと力を合わせながら、徹底抗戦の構えで臨んでいくつもりでございます。
 次いで、都区制度改革についてでありますけれども、国全体でも、都道府県の今のあり方について、道州制という問題が積極的に提起されておりますが、この現在の自治制度は、すべて時代にそぐわなくなっておりまして、東京を初めとする大都市の役割を明確に位置づけた新たな制度を、都区制度についても構築する必要があると思っております。
 中でも、東京は日本の首都でありまして、頭脳部、心臓部でもありますから、都区制度についても、この集積のメリットを最大限に生かして、東京の発展を支えるシステムとして改革すべきであると思います。
 その際、特別区の区域を総合的、一体的にとらえた大都市経営の視点が不可欠であると思います。
 都が今後とも大都市経営の主体としての役割を果たすのか、区が都にかわっていかなる役割を担うのか、徹底的に検証しまして、議論を積み重ね、行政区分も含め、現行制度の枠にとらわれない抜本的な見直しを行っていきたいと思っております。
 次いで、都職員の人事給与制度についてでありますが、今後、団塊の世代の多量退職などによりまして、マンパワーの大幅な減少が見込まれる中、限られた人材の力を最大限に生かしていく必要がございます。
 今回の取り組みは、国や他団体に先駆けまして、これまでの一律的、年功的な給与構造を見直す大きな改革でありまして、仕事ぶりに応じためり張りのある処遇を実現することによって、職員一人一人の力を引き出して、都庁の組織力を強化するものであると思っております。
 これを行いますと、現場での上司の責任というのは極めて重大になってくると思いますが、ともかく、これを契機にさらなる改革に取り組みまして、少数精鋭で仕事のできる執行体制を確立していきたいと思っております。
 次いで、今後の産業廃棄物対策の推進についてでありますが、東京の持続可能な発展には、産業活動から生じる廃棄物の適正処理や、リサイクルを推進するための社会システムの確立が不可欠であります。
 東京の産業廃棄物の処理は、多くを他県に依存しておりまして、有害廃棄物の処理や不法投棄の問題は、長い間の懸案として残されております。このために、都は、PCBなどの有害廃棄物の都内処理を率先して進めることや、廃プラスチックのリサイクルの推進など、産業廃棄物対策について総合的に取り組んでいくことといたしました。
 特に、飛散性のアスベストについては、今年度中に都の処分場に受け入れを開始いたします。
 今後とも、不法投棄の撲滅など産業廃棄物問題の解決に向け、八都県市と連携しながら、国に先駆けた果断な取り組みを東京から全国に発信していきたいと思っております。
 次いで、今後の花粉発生源対策の取り組みについてでありますけれども、首都圏では、四人に一人が花粉症に悩んでいる現況であります。
 かつての日本の森林は、杉や広葉樹が調和した美しい景観を呈しておりました。ちなみに、日本の森林率は六四%という高率でありまして、世界の平均が三〇%に比べますと、いかにも日本は森の国であります。しかし、戦後の国の拡大造林政策の失敗と、その後、長期にわたり森林が放置されたことによりまして、花粉症問題が深刻化してきました。
 古来、日本人は、豊かな木の文化をはぐくみ、林業を営む中で、木材の活用と森林の整備をあわせて行ってまいりました。しかし、今日、我が国は、世界有数の森林国でありながら、安易に木材を海外に求め、木の文化を忘れたばかりか、森林そのものへの関心も薄らいでしまった現況であります。今こそ木の文化に思いをいたして、林業の再生による木材の活用と森林整備の調和を取り戻すべく、花粉発生源対策に臨むべきときだと思っております。
 都県境を越えて飛散する花粉の対策について、過日、八都県市や関東知事会とともに、国に対して責任のある対応を要請する一方、都は、国や他県市に先駆け、根本的な花粉発生源対策に踏み出すことといたしました。
 次いで、構造計算書偽造の問題についてでありますけれども、この問題の背景には、国が指定した民間確認検査機関の審査に自治体が関与できない仕組みとなっていることでありまして、国による確認検査機関への指導監督が不十分であったこと、こうした中で起きた事件で、国の責任は極めて重大であります。
 ちなみに、この間も記者会見でお見せしましたが、こういう分厚い書類を、要するに要約して、この裏表一枚紙で持ってきて、東京都なりいろんな自治体が審査しなくちゃいけない。これは基本的に無理なことだと思いますが、こうした中で起きた事件でありまして、これは基本的に国の責任は非常に重大だと思います。
 偽造の当事者や瑕疵担保責任を有する売り主は当然のこと、元請の設計事務所や国の指定確認検査機関など、関係者の責任追及も必要であります。
 居住者はもとより、社会全体に大きな不安を与えたことについて、都としても強い怒りを覚えるわけであります。
 ただ、今般、この問題が厄介なことは、問題のてんびんに人の命がかかっているわけでありまして、これはやはりすべてに優先して配慮されるべき問題であります。ゆえにも、都は、国が、いわゆる地域住宅交付金制度を踏まえて、結果として国が四五%の負担、地方自治体が五五%の負担という、このスキームの中で事を解決していこうという基本姿勢に、本当は反対しなくちゃいけないと思います、これは。
 例えば、この根底には、平成十七年に、最高裁の判例で、民間の指定確認検査機関による建築確認事務は、区域を所管する特定行政府である自治体の事務である、これが判例でありますが、ここに、事務かもしれませんけれども、こんな紙一枚で、事が、事務が完璧に果たせるわけがないんです。ですから、これは、事務でありましても、自治体の責任であるとはいっていないわけですね。
 この問題について、基本的に私は国と対決するつもりでした。しかし、片っ方に人間の生命のてんびんがかかっている。過去に、日本の経済の命運を決するかもしれない金融機関の破綻に対処するために、あれは一九九八年でしたか、私の息子も含めて、塩崎君とか根本君とか、民主党の枝野君とか、若い国会議員が、これは大変なことになるというので、公金、いわゆる真水の、要するに投与というものを提唱して、これは大蔵省が反対して、結局つぶされたんです。それから四年たって、これはやっぱりこのまま済まぬぞということで、かなり時間がかかって実現して効果を上げましたが、本当はもっと早くやっていればよかった。
 この問題も、本当は、基本的にそうした時点で討論さるべきことですけれども、銀行の命運よりも人間の命の方が大事でありますから、これは国の提唱を受けざるを得ないということで、都も不本意ながらある負担を背負うわけでありますけれども、本来、やはり基本的に国の責任、それが非常にずさんだったということを、私たちはここでもう一度繰り返して国に、要するに主張もしております。
 都としては、何よりも都民の安全を確保する必要から、緊急措置として、都民住宅の活用を決定、また固定資産税及び都市計画税の減免も決定いたしました。
 国に対して、支援の統一的な見解を示すよう強く求めてきましたが、昨日、国は、公的な支援方策を発表いたしました。この内容は、今、実質的に申し上げたとおりであります。
 都としては、都民の安全を緊急に確保する観点から、国の支援策を踏まえながら、区市と連携を図り、居住者の速やかな退去と円滑な生活再建に向け、必要な対策を講じていくつもりであります。
 重要なことは、速やかに社会全体の不安を解消していく、国はその責任において徹底的な制度の検証と見直しを行うべきでありまして、国に早期の改正を求めてまいります。
 次いで、小笠原への交通アクセスについてでありますけれども、小笠原諸島は、本土から非常に離れた離島でありまして、島民の生活の安定と観光振興を図る上で、交通アクセスの改善が大きな課題であります。
 残念ながら、本年就航予定であったTSLについては、原油価格の急騰ということで断念せざるを得ない状況になりました。
 航空路の開設については、自然環境との調和など、解決すべき課題は多うございますけれども、小笠原の振興を図る上で極めて重要だと考えております。最小限の三種空港は必要じゃないか。かつてのように、谷を二つ埋めるようなあんな膨大な計画は、ちょっと現実性は私はなかなかないと思います。ですから、今ある地形を利用しまして、最低限三種空港を、緊急対策のためにも観光のためにも必要だと思っております。
 今後、その実現に向けて所要の調査を行うなど、国と協議しながら検討を進めてまいりたいと思っております。
 次いで、固定資産税などの軽減措置についてであります。
 都はこれまで、その時々の社会経済状況の変化を踏まえて、商業地等の負担水準の不均衡是正、中小企業支援、景気対策、定住確保などの観点から、負担水準の上限引き下げや小規模非住宅用地に対する減免措置など、都独自の四つの軽減措置を実施してまいりました。
 これらの都独自の四つの軽減措置の平成十八年度の取り扱いについては、国の税制改正の動向、景気の状況などを踏まえつつ、都民の負担感等を十分に勘案しまして、今後、積極的に検討してまいります。
 次いで、東京の水辺空間の魅力向上についてでありますが、おっしゃるとおり、東京にはかつて水路が縦横に広がっておりまして、遊びや憩いの場として多くのにぎわいがありましたが、現在は、川を背にして連なるビル群や、舟艇が自由に接岸しにくい護岸など、水辺の持つ魅力が一向に生かされておりません。
 例えば、現代美術館があります、そばの、かつての木場のあたりの運河は非常にうまくできておりますけれども、そこに橋をかけましたら、これは手こぎのボートでも満潮のときには頭を下げなきゃ下を通れないんです。こういう川の実態を無視した、要するにインフラの整備というのは全く意味がないと思いますが、そういった事例を踏まえまして――前回のオリンピックには、待ったなしということで、江戸の象徴であります日本橋の上に高架道路が通って、どこに日本橋があるかわからないようなことになりましたが、そういうものも反省いたしまして、こうした状況を改善し、都市そのものが、住む人だけではなくて、海外から来られる方々にも魅力を備えるような、川や運河などの水辺と人間をつなぐ取り組みが必要であると痛感しております。
 今後、オリンピック招致も視野に入れながら、水上レストランによる水域の活用や、魅力のある舟運ルートの開発、水辺から眺める景観の向上などによりまして、東京の水辺空間を観光資源として再生していきたいと思っております。
 次いで、福祉、保健、医療の新たな方針についてでありますけれども、都はこれまで、国に先駆けた独自の施策を展開し、福祉改革と医療改革を推進してまいりました。
 社会保障全般に対する都民の不安を解消し、この改革をさらに推し進めるために、福祉と保健医療の両分野を貫く都の基本姿勢を早期に示していきたいと思っております。
 都民一人一人の自立を促すことを基本に据えまして、民間、地域、行政、それぞれの力を最大限に生かした効率的、効果的な施策をこの中に盛り込むつもりでございます。
 都立施設改革についても、すべての施設を対象に、民間にできることは民間にゆだねるとの原則を徹底させた、利用者本位の新たな改革方針を明らかにしたいと思っております。
 次いで、オリンピック招致への取り組みについてでありますが、オリンピックの招致戦略の中で、情報発信は重要な手法の一つであります。東京にはITなど世界に冠たる先進的な技術や産業の集積、江戸から今日の東京にはぐくまれてきた多様で独創的な文化、伝統というものがございまして、世界に類を見ない集中、集積の進んだ都市の充実した機能など、誇るべき多くの資源がございます。
 これらの東京の魅力により、東京・日本の存在感を広く世界に示しまして、都市間の競争に打ち勝ち、オリンピックの招致を実現させたいと思っております。
 なお、オリンピックに関連した基金への積み立てについてでありますが、一部のメディアに途方もない金額が一方的に出ておりましたが、これは別に根拠のあるものではございませんが、いずれにしろ、オリンピックの開催はまさに国家的プロジェクトでありまして、財政面を含め、国を挙げてのバックアップが不可欠であります。
 都としても、オリンピックに関連したさまざまな財政需要に対応するため、十全の備えを講じておく必要がありまして、将来の財政運営をも勘案して、基金への積み立てを行うものであります。これによりオリンピック招致をより確かなものとしていきたいと思っております。
 最後に、東京大マラソンの取り組みについてでありますけれども、去る十一月、ニューヨークシティーマラソンを視察して、改めて我が国の既存のマラソン大会との違いを痛感いたしました。
 ちなみに、もう一つ申しますと、ニューヨークに比べて、東京の道路ははるかにましですな。私は、非常にあのニューヨークの道路は凸凹が多過ぎて、野口みずきさんですが、来ておられました、表彰を受けるために。彼女に聞きましたけれども、非常に怖いと。けがしやすいですね。高速道路もなお非常にギャップが多くて、私、先導車に乗せてもらって、ランナーの走る道をずっとたどりましたけれども、確かに、本当に東京に比べて非常にニューヨークは道路そのものは質は劣悪だと思って、そういう点では、私は、東京でやるマラソンというのは、非常にニューヨークになれているランナーにとっては格好のものとなると思っております。
 いずれにしろ、何よりも、単なるマラソン大会にこれをとどめずに、エキスポを初めとしたイベントや、沿道のバンド演奏とか、市民による趣向を凝らした応援など、さまざまな行事を含めた大マラソン祭りというものを、ニューヨークにも倣って、それ以上の盛況として東京で催したいと思っております。
 こうしたニューヨークで学びました長所をさらに拡大して、単なる大規模マラソンにとどめることなく、東京の魅力を、これもまた一つのメディアとして、マラソンをメディアとして世界に発信できる祭典にしていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)学級編制についてでありますが、学級は、学校の教育活動を行う基礎的な集団でございまして、児童生徒が社会性を養う生活集団としての機能と、児童生徒の確かな学力を育成する学習集団としての機能とがございます。
 都教育委員会といたしましては、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定規模が必要であると考えております。
 一方、学習集団といたしましては、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であると考えておりまして、基礎学力の向上に配慮いたしましてきめ細やかな指導を行っていくためには、少人数指導の充実に努める必要があると考えております。
 なお、文部科学省では、現在、学級編制に関しまして、都道府県及び区市町村の権限につきまして検討を進めているというふうに聞いております。
 今後とも、国の動向を注視しまして、都教育委員会として適切に対応してまいります。
 次に、いわゆる小一問題にかかわる学校への支援についてでございます。
 小一問題とは、お話のように、小学校に入学したばかりの一年生が、集団行動がとれない、授業中に座っていられない、話を聞かないなどの状態が数カ月継続する状態をいいます。
 こうした問題は、家庭のしつけに負うところが非常に大きいわけでございますが、その解決には、基本的な生活習慣や規範意識を幼児期から育成すること、小学校入学前と入学後との急激な生活環境の変化を緩和することなどが有効でございます。
 このため、都教育委員会は、モデル地区を指定しまして、家庭や地域との連携、協働した幼児期からの規範意識を高める研究や、小学校への円滑な接続を図るためのカリキュラム開発を実施するなどいたしまして、区市町村教育委員会や保育所、幼稚園、学校を支援しているところでございます。
 今後は、研究の成果を広く普及啓発するとともに、法改正の動向や国の教職員定数改善計画の動向も踏まえまして、人的支援を含めた小一問題へのより一層効果的な対応を検討してまいります。
 次に、東京マラソンについてでございますが、都民が一丸となって大会を応援しまして支える仕組みづくり、これは東京マラソンを成功させる上で大変重要なことでございます。こうした仕組みには、大人だけでなく、お話のように、子どもたちも参加することが必要であるというふうに考えております。
 ご提案の趣旨も含めまして、国内外の人々と交流する場や、三万人のランナーを支えるボランティアへの参画など、大マラソン祭りに子どもたちが参加する仕組みづくりを今後検討してまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)「行財政改革の新たな指針」を踏まえた改革の進め方についてお答えいたします。
 今回の指針は、都議会の行財政改革基本問題特別委員会の報告を踏まえ、自治制度から行財政システム全般にわたる改革の方向性を明らかにしたものであります。今後、この指針に基づき、改革の内容を具体化し、早期に実行していく必要があります。
 このため、自治制度については、東京自治制度懇談会で、平成十八年中を目途に、道州制を含む広域的な自治体や東京における大都市制度のあり方などの検討を進め、国の動向などに適切に対応しながら、東京発自治論を展開してまいります。
 また、行財政システムにつきましては、来年七月を目途に、今後三カ年にわたる改革全般の具体的な内容を明らかにした行財政改革実行プログラムを策定し、都庁全体で迅速に取り組んでまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)行財政制度など六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、いわゆる五項目の課題のうち、大都市事務の議論についてでございます。
 これまでの協議におきまして、都区で真摯な議論を重ねてまいりましたが、大都市事務のとらえ方につきましては、見解が大きく異なっております。都といたしましては、東京が将来どうあるべきかという観点に立ちまして、都と区がどのような事務を担っていくか、十分に議論をしていく必要があると考えております。
 さきに発表されました特別区制度調査会の報告でも、また、今回都が策定いたしました「行財政改革の新たな指針」におきましても、現行の都区制度は抜本的な見直しが必要であるという点で一致をしておりまして、将来に向けたより大きな議論が必要となっております。
 したがいまして、ご指摘のように、大都市事務の問題につきましても、次の制度改革を見据えて、より大きな視野に立って特別区と議論をしてまいります。
 次に、五項目のうち具体的な課題の協議についてでございます。
 ご指摘の小中学校改築経費など具体的な課題は、特別区における現実の財政需要にかかわるものでございまして、速やかな協議が必要であると考えております。
 十八年度の都区財政調整に関する協議は今月二日から始まっており、これまでの検討結果を踏まえながら、小中学校改築経費、清掃関連経費などの具体的な算定内容や、特別区都市計画交付金の取り扱いにつきまして、特別区との協議を進め、早期の解決を図ってまいります。
 次に、指定管理者制度についてでございます。
 都が有する公の施設につきまして、個々の施設の目的や性格を踏まえ、百四十八施設を公募といたしましたが、その結果、民間事業者が参入した施設は三割を超える四十六施設となりました。
 事業者からの提案を、外部委員を含む選定委員会におきまして厳正に審査した結果、二十四時間有人管理などのすぐれたサービス向上策を提案した事業者が選定されるとともに、公募した施設の平均で、管理経費が約一割縮減されるなど、具体的な成果が得られました。
 また、競争によりまして、監理団体は危機意識を強め、より質の高い提案が示されるなど、総体として都民サービスの向上が図られており、制度導入段階の目的はおおむね達成できたものと評価をしております。
 次に、人事制度改革の具体的内容と効果についてでございます。
 今回の改正は、人事給与制度全般を、職責、能力、業績を重視した方向へ見直すものでございます。
 具体的には、給料表について、年功的に上昇する給与水準の抑制を図るとともに、職員の仕事ぶりを最も身近なところで把握をしている所属課長の意向がよりきめ細かく処遇に反映される新たな昇給制度を導入いたします。また、特別給につきましても、職責や勤務実績をより徹底する観点から見直しを行いました。
 人事委員会の勧告に基づく今回の給与改定の結果、教員や警察、消防を含む都の全職員の人件費は、平年度ベースで百二十五億円の削減となる見込みでございます。
 次に、新型インフルエンザ対策についてでございます。
 人口の集中する東京の特性を踏まえますと、感染が拡大してからの対応では遅く、発生や流行の前に十分な備えをしておくことが重要であると考えております。
 このため、都は、昨年末に東京都新興感染症対策会議を設置し、流行予測、情報提供、大規模発生時の対応等の検討を進め、本年十月二十日に新型インフルエンザ対策の取りまとめを行いました。
 今月中には都の行動計画を策定し、全庁的な取り組みを強めますとともに、今後、国及び医師会等関係機関と連携し、予防策の周知、監視体制、医療体制の整備、治療薬の確保を図ってまいります。また、流行期におきましては、社会活動及び事業活動の自粛要請などに努めてまいります。
 最後に、小笠原への交通アクセスについてでございます。
 小笠原村におきましては、TSL就航による観光客の増加に対応するため、受け入れ態勢の整備、充実に努めてきておりました。TSLが就航できなくなったことによる村民への影響につきましては、宿泊施設等の整備件数や資金の借り入れ状況など、村を通じて実情の把握に努めており、その対応策につきまして、村と連携の上、具体的な検討を始めております。
 また、現在、村では、観光客確保に向け、モニターキャンペーンを実施しておりますが、整備された宿泊施設等が有効に活用されるよう、都といたしましても、村及び関係機関と連携しつつ、観光客の増加に向けた振興策に取り組んでまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)産業廃棄物対策について二点のご質問にお答えします。
 まず、建設廃棄物を総合的に管理する新たな仕組みの実現に向けた取り組みについてでございます。
 先日、八都県市首脳会議において都が提唱いたしました不法投棄等を根本的に防止する新たな取り組みづくりについては、ほかの県市からも多くの賛同がありました。
 今後、建設廃棄物を解体工事から処分に至るまで総合的に管理する仕組みについて、都が独自に実証実験を行うとともに、八都県市で検討を進め、法改正など共同で国に提案してまいります。
 次に、産業廃棄物の廃プラスチックのリサイクルについてでございます。
 埋立処分量の削減や化石燃料の節減のためには、廃プラスチックのリサイクルを進めることが重要でございます。都内の事業所から排出される廃プラスチックは、分別されずに、少量ずつ排出されていることなどから、リサイクルすることが困難になっております。
 このため、都は、産業界と連携しながら廃プラスチックの効率的な分別回収システムを構築し、産業用資源としての有効利用を促進するための仕組みづくりを進めているところでございます。これらの取り組みによりまして、廃プラスチックの埋立処分量ゼロを目指してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)産業振興等五点のご質問にお答えいたします。
 まず、花粉症対策本部の具体的な取り組みについてでございますが、花粉症対策に当たりましては、長期にわたる抜本的な花粉発生源対策や保健医療対策等、幅広い取り組みが必要となります。
 そこで、本年十一月に副知事を座長とし、関連十四局から成る東京都花粉症対策本部を設置し、全庁を挙げた取り組みを開始したところでございます。
 対策本部では、関係局から構成される森林整備、多摩産材の流通、森林整備のための試験研究調査、都民からの支援を検討する都民協働等の部会を設置し、具体的な検討を行うとともに、得られた成果につきましては、速やかに可能なところから反映させてまいります。
 次に、ものづくり産業の支援体制の整備についてでございます。
 ご指摘のとおり、東京の製造業は長期減少傾向にございますが、一方で、高い技術力を持った中小企業は数多く存在し、その中には世界に通用する製品を生み出している企業もございます。こうした技術力を承継し、企業活動をさらに促進することにより、ますます激しくなる国際競争に打ち勝っていける中小企業群を育てていくことが重要でございます。
 今後、都は、中小企業に対する技術支援機能を一層高めるとともに、販路開拓支援の充実や、来春開設する産業技術大学院大学との協同による産学公連携の拡大など、支援体制の強化に積極的に取り組んでまいります。
 次に、多摩地域の産業支援拠点の整備についてでございます。
 多摩地域には、電子回路の製造装置で世界の五〇%以上のシェアを持つハイテク企業があるなど、製品開発、設計、試作機能を持つ企業が数多く存在しております。このような企業活動においては、高価な機器や一時的使用の機器など、中小企業では保有が困難なものが多数あり、こうした点からも技術支援機関の果たす役割は大きいと認識しております。
 しかし、現在の多摩中小企業振興センターは暫定施設のため、機器設置上の制約や障害があり、最新の技術開発などを行う企業ニーズに十分こたえられていない状況にあります。多摩地域に本格的な産業支援拠点を早期に整備する必要があるわけでありまして、具体化に向けた作業を精力的に行ってまいります。
 次に、商店街の振興についてでございますが、近年、商店街は、コミュニティの核として、地域に貢献する有意義な取り組みを数多く実施しております。こうした活動の中で、商店街は、防犯・防災、環境・リサイクル、高齢者福祉など、緊急かつ重要な行政課題を解決していく上でも、地域における行政のパートナーとして積極的な役割を果たすようになっております。
 今後、産業力強化会議などを通じまして、各局の施策と商店街振興施策との緊密な連携協力体制を構築し、都の施策推進に寄与する商店街の取り組みへの支援を強めるなど、新・元気を出せ商店街事業の一層の充実を図っていくことが重要であると考えております。
 最後に、信用補完制度見直しへの対応についてでございます。国において検討されている部分保証の導入は、金融機関に適切な責任分担を求めるものでありますが、貸出姿勢の消極化を招くことも懸念されるところでございます。
 また、保証料率の弾力化により、経営改善の努力が保証料の引き下げという形で報われる一方、企業の経営状況によっては、保証料負担が増加する場合も想定されます。このため、制度見直しに当たりましては、経営基盤が脆弱な中小企業に悪影響が生じないよう十分に配慮すべきことを、今後とも国に対し強く求めてまいります。
 都といたしましても、信用保証協会と連携しながら、中小企業の資金調達に支障が生じないよう、積極的な対応に努めてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)福祉保健施策について四点のご質問にお答えいたします。
 まず、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄についてでございますが、お話のタミフルは、インフルエンザの治療薬として広く使われておりまして、新型インフルエンザ発生時にも、その効果が期待されているものでございます。
 新型インフルエンザ対策に必要なタミフルの確保は、本来、国の責任において取り組むべきものでございますが、国際的な需給逼迫の中、現時点では備蓄に向けた新たな調達は困難であると聞いております。
 このたび、国が、来年度からの輸入備蓄の見通しを明らかにしたことから、都は確実な調達を国に求めるとともに、必要な備蓄を進めてまいります。
 なお、この間、万が一の新型インフルエンザの発生に備えては、都医師会や都薬剤師会とも連携いたしまして、この冬のインフルエンザ治療用のタミフルを活用するなど、適切な対応を図っていくこととしております。
 次に、今後の障害者福祉についてでございますが、障害者自立支援法は、障害の種別にかかわらず、区市町村を主体とした福祉サービスを一元的に提供する仕組みの創設や就労支援の強化などにより、障害者の自立した生活を支援することを目的としております。
 法の目指す理念は、これまで都が進めてまいりました利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の考え方や取り組みと合致するものでございます。
 法の施行に当たりましては、都と区市町村とが一体となって移行準備を進め、利用者が安心して新たな制度を利用できるよう、万全を期してまいります。
 次に、ホームヘルプサービスの利用者負担についてでございますが、障害者自立支援法では、一割の定率負担を原則とした上で、月額負担上限額の設定や、社会福祉法人が行うサービス提供についての減免措置の実施など、低所得者に対する配慮がなされております。
 これらに加え、障害者が地域において自立して生活していく上で基幹的な役割を果たすホームヘルプサービスに関しましては、さらにきめ細かい配慮が必要であると考えられることから、国に対して激変緩和措置の実施を提案してまいりました。
 今後とも国に働きかけるとともに、その動向を見きわめながら、都独自の負担軽減措置も含め検討してまいります。
 最後に、国民健康保険調整交付金についてでございますが、区市町村における国民健康保険事業は、多額の一般財源を投入して運営している実態がございまして、その財政は大変厳しい状況にございます。
 今回新たに導入された調整交付金は、平成二十年度に予定されております医療保険制度の改革に先立ちまして、都道府県が地域の実情に応じて保険者間の財政調整を行うことにより、国民健康保険制度の財政基盤を強化することを目的とするものでございます。
 都は、この調整交付金を有効に活用して、区市町村間の財政力の格差調整を図るとともに、健康増進施策を通じた疾病予防や、保険料の収納率向上などの取り組みを支援することによりまして、健全で安定的な事業運営を実現するよう努めてまいります。
   〔消防総監関口和重君登壇〕

○消防総監(関口和重君)建物の防火安全対策についてのお尋ねでございますが、首都東京は、建物の高層・深層・大規模化による避難の困難性や雇用形態の多様化による防火管理体制の低下など、火災危険要因が増大しております。
 さらに、火災事例を検証いたしますと、法令基準を形式的に満たしているだけで、実質的な防火安全性を有していないことにより、被害の拡大を招いた事例も見受けられます。
 また、多くのたっとい命が失われた火災の発生などにより、防火安全について都民の関心が高まり、アンケートによりますと、利用者からは、建物が防火上安全であるかどうか知らせてほしい、事業者からは、自分の建物が防火上優良な建物であることを表示できるようにしてほしいとの意見が多数を占めております。
 これらのことから、法令に適合しているほか、防火安全上一定の基準を満たしたものにつきましては、当庁が優良な建物と認定し、シンボルマークの掲出を承認するなど、都民に情報提供する新たな制度が必要であると考えております。現在、この制度の創設に向けて、火災予防条例の改正を視野に入れました具体的な検討を行っております。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)八点のご質問にお答えいたします。
 まず、構造計算書偽造問題にかかわるマンション居住者に対する経済的支援措置についてでございます。
 今回の事態は、制度の構造、運用に問題があって生じたものでありまして、都は、国に対し、国みずからの責任を明らかにするとともに、統一的な支援のあり方を示すよう求めてまいりました。
 昨日、国は、住民の安全確保や生活の安定を図るため、転居費用や転居先家賃の助成など、居住者に対する公的支援策を発表いたしました。公的支援を行うに当たりましては、国に設置された構造計算書偽造問題対策連絡協議会において、転居費用や家賃の助成について関係自治体間での統一的な取り扱いを検討することとされており、都といたしましては、その中で国や区市と十分協議し、適切に対応してまいります。
 次に、建築確認制度全般にかかわる再発防止策についてでございますが、今回のような問題が発生したことは、建築物の安全確保を所管する局長としてまことに残念でございます。既に元請設計事務所八社に対し、立入検査を実施したところであり、法に抵触することが明らかになれば、厳正に処分いたします。
 確認制度につきましては、国に対し、都の現場での実務経験を生かした提案を行いながら、制度の検証と見直しを強く求めてまいります。
 都においては、都が指定した確認検査機関に対する定期的な立入検査の実施、構造計算書の審査マニュアルの作成など、区市と連携をとりながら、実効性のある再発防止策を国の制度改正に先んじて実施してまいります。これらの取り組みを推進し、信頼される建築行政の確立を図ってまいります。
 次に、住宅政策審議会の中間のまとめについてでございますが、このまとめでは、住宅は生活の基盤であると同時に、都市を構成する基本的要素であり、居住の魅力の向上は、都市社会に活力と安定をもたらすものであるとしております。
 このような観点から、今後の住宅政策の展開の方向として、第一に、都市整備と一体となって住宅整備を推進すること、第二に、透明で競争性の高い住宅市場を構築すること、第三に、公的住宅はもとより、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネットを構築すること、以上の三つの基本的方向が示されております。
 次に、住宅政策に関する少子化対策についてでございますが、子どもを健やかに育てる上で、生活の基盤である住宅が果たす役割は極めて重要であります。都は、これまでも若年ファミリー世帯を対象に、都営住宅への期限つき入居制度を導入するなど、子育て世帯への良質な住宅供給に努めてまいりました。
 今年度は、多子世帯向けを新設し、来年度からは募集戸数を制度改正前の三倍にふやすなど、ファミリー世帯向けの期限つき入居制度の拡充を図ることとしております。
 また、まちづくりにおいても、都有地を活用し、子育て世帯のニーズに対応した民間賃貸住宅の供給等を行う勝どき一丁目地区プロジェクトに取り組んでおります。
 今後とも、こうしたハード、ソフト両面からの取り組みを一層促進するとともに、中古住宅の流通市場の整備等を通じ、都民が安心して子どもを産み、育てられる住まいを確保できるよう、総合的に取り組んでまいります。
 次に、マンションの長寿命化や建てかえの円滑化に向けた今後の取り組みについてでございますが、都は、先月、マンション管理ガイドラインを策定し、一般に販売いたしましたが、用意した千部が二日間で完売となるなど、マンション管理に対する関心は非常に高いものがございます。
 引き続き、情報提供の充実を図るとともに、関係団体との連携を強化することなどにより、マンションの適正な管理を誘導し、長寿命化を促進してまいります。
 一方、都内には建てかえ時期を迎えている老朽マンションも数多く存在いたします。建てかえに関しましては、都の提唱により法整備が進み、実績も上がりつつございますが、老朽マンションの中には、法定容積率を超えているものや、権利者の多い大規模な団地型マンションなど、建てかえに向けた合意形成が難しいものも多くございます。
 このため、こうしたマンションの円滑な建てかえを可能とする方策について幅広く検討し、さらなる法整備を国に求めていくなど、建てかえの円滑化に取り組んでまいります。
 次に、民間活用型都民住宅の経営改善についてでございますが、都民住宅の空き家発生の要因は、家賃だけでなく、入居者の収入や家族構成などに制限があることも影響しております。
 このため、都は、本年度、所得や同居親族要件などの運用について見直しを行ったところでございます。
 また国は、一定期間入居者を確保できない場合に、自治体の判断で入居者の資格要件を緩和できるよう、制度の弾力化を行ったところでございます。都は、これを柔軟に活用するなど、入居者を確保しやすくするための条件整備に努めるとともに、事業者の経営安定のための方策について引き続き検討してまいります。
 次に、新宿駅周辺のまちづくりについてでございますが、新宿駅周辺は、高層ビルのオフィス街を中心に業務機能の立地が進んでいる西口や、商業、文化、アミューズメント機能が集積している東口など、多様な魅力を備えたにぎわいのあるまちが形成されております。
 しかし、鉄道によってまちが分断されているため、駅を挟んだ東西地域の有機的な連携が阻害されるなどの問題が生じております。また、歌舞伎町や駅南口などのまちづくりが個々に検討されており、新宿の持つポテンシャルが十分に発揮されておりません。
 今後、新宿駅周辺をより一層魅力と活力にあふれた副都心としていくためには、地元区が主体となって地域特性を生かしたまちづくりに取り組むことが重要であり、都は、その取り組み状況を踏まえつつ、必要な支援を行ってまいります。
 最後に、新宿駅の東西自由通路についてでございますが、自由通路は、駅周辺の回遊性を向上し、にぎわいと活力あふれるまちの形成にとって必要な施設であると認識いたしております。
 現在、新宿駅では、国の事業として甲州街道の拡幅工事が行われており、駅構内において工事用通路が築造されております。お話の東西自由通路を早期に整備するためには、ご指摘の供用中の通路と、現在工事用として使われている通路とを有効に活用することが重要でございます。
 都は、東西自由通路の早期実現に向けて、国やJRとの協議、調整や技術的支援を行うなど、区の取り組みに対し、積極的に協力してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)首都高速中央環状新宿線の開業時期と都の対応についてでございますが、本路線は首都東京の再生にとって極めて重要な路線でありまして、これまで首都高速道路公団が、板橋区熊野町から目黒区青葉台に至る全長十一キロの区間におきまして、平成十九年三月の開通に向けて事業を進めてまいりました。
 しかしながら、本年十月の公団民営化後、新会社として事業計画を策定する中で、開通のおくれと事業費の増加について首都高速道路株式会社から報告がございました。
 これを受けまして、都では、会社とともに新宿線工程等管理委員会を設置し、現場調査を行うとともに、工程や事業費を精査いたしました。
 この結果、板橋区熊野町から中央道につながる四号線までの七・六キロを平成十九年十二月に先行供用し、残りの東名高速につながる三号線までの区間は二十一年度までに供用することといたしました。また、事業費の増加につきましては、会社の提示額から一割程度縮減するよう調整を進めております。
 今回このような結果になったことは大変残念でありますが、今後は、都と新会社が緊密に連携し、これ以上のおくれや事業費増が生じないよう努めてまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君)多摩地区水道における第三セクターの活用についてのご質問にお答えいたします。
 多摩地区水道の全体的な施設の整備や、広域的な水運用にかかわる計画の策定など、事業運営の根幹をなす業務につきましては水道局が実施してまいります。また、経営の効率性をさらに発揮するため、水道工事、メーター交換業務及び検針業務などの定型業務につきましては、一般の民間事業者への委託等をさらに拡大してまいります。
 これらの定型業務に係る監督指導など、これまで主に市町の職員が担ってまいりました業務や、浄水所、給水所等の監視及び水運用の調整など、事業運営上重要な業務につきましては、広域的かつ一体的な運営を図るとともに、水道事業体としての安全性、安定性を確保していくことが強く求められます。このため、こうした業務につきましては、水道事業全般にわたるノウハウを有し、都が経営にしっかりと関与できる第三セクターを活用し、実施してまいります。
 また、第三セクターの位置づけの明確化と透明性の確保についてでございますが、第三セクターにつきましては、今後、当局の関与を強化し、一体となった効率的、効果的な事業運営の担い手として明確に位置づけてまいります。
 こうしたことから、経営の効率性を担保するとともに、一層の透明性を確保し、そのあり方について都民からの批判を招くことのないよう、情報公開の推進や外部の専門家による定期的な監査の導入などを行ってまいります。
 今後、これらの措置を講じた上で、事業運営上重要な業務につきまして、第三セクターを活用し、多摩地区水道の安全性、安定性の確保と効率的な運営を実現してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(舟本馨君)まず、エアガンの現状と指定についてお答えをいたします。
 製造業者の組合では、自主的に年齢別に威力の上限を設定しておりますけれども、販売店での年齢確認は不十分でありまして、十八歳以上向けのエアガンであっても、青少年に販売されている実態がございます。さらに、組合に未加入の業者は、アルミの空き缶を貫通させるほどの高い威力を持つものを製造し、一般に販売しています。
 そこで、こうしたエアガンの危険性について周知を図るとともに、青少年への販売等を禁止するため、青少年健全育成条例の指定玩具とするよう、早急に青少年健全育成審議会に諮問したいと考えております。
 次に、青少年の健全育成を図る上での地域団体との連携についてでありますが、さまざまな地域団体と連携をし、一体的に取り組みを進めることは不可欠でありまして、これまでも、地域の商店街や町会、自治会の力添えを得まして、心の東京革命の事業や中学生の職場体験などを推進してきたところであります。
 今後とも、商店街振興組合連合会や町会連合会なども参画し、本年六月に立ち上げました東京子ども応援協議会を推進母体としまして、さまざまな地域団体と連携を強化しながら、子どもたちが地域で健やかに育つよう、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君)個人情報保護についてお答えいたします。
 東京都は、本年四月の法施行と同時に、個人情報保護に関する総合相談窓口を生活文化局に設置いたしまして、各局とも連携して今まで対応してきたところでございます。
 今までに寄せられた相談や苦情の事例といたしましては、道を尋ねられて個人宅の場所を教えたら法律違反になるのかとか、知らない会社からのダイレクトメールをやめてほしいなど、さまざまなものがございます。このように、まだ法施行後間がないこともございまして、個人の権利利益の保護と個人情報の適切な利用とのバランスがとれていない状況が一部に見受けられます。
 今後も引き続き実生活に即した事例を積み重ね、個人情報の適切な取り扱いについて広く都民、事業者の間に共通認識が得られるよう、相談窓口や説明会等を通じてより一層普及啓発に努めてまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)都立病院改革に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の豊島病院のあり方についてでございますが、豊島病院はこれまでも地域医療の充実に大きく貢献してきており、今後も、運営主体のいかんにかかわらず、その役割は変わらないものと考えております。
 今回提出された板橋区からの要望書は、地域医療の充実に向けた区の姿勢を明らかにした上で、区民の視点からの具体的な医療ニーズへの対応を求めているものでございます。
 今後の豊島病院のあり方につきましては、こうした地域の要望にも配慮しながら、関係局とも協議を行い、早急に結論を出してまいります。
 次に、駒込病院の機能強化についてでございますが、今回の計画では、一床当たりの病床面積を拡張し療養環境の改善を図るほか、手術室の拡充などによる総合診療機能の強化に加えて、がん化学療法のための外来治療センターの充実や最先端の放射線機器の導入など、専門性を一層高めていきます。
 こうした医療機能の強化により、駒込病院を都におけるがん・感染症医療センターにふさわしい施設として整備し、都民の期待にこたえてまいります。
 最後に、PFI手法活用の理由についてでございますが、設計施工など施設の整備に加えて、維持管理、医療事務などの医療周辺業務を長期包括的に委託することにより、事業コストの削減を図るとともに、一体的できめの細かい患者サービスの提供が可能であり、また、必要に応じて民間資金を活用することにより、経費の平準化も可能となると考えております。
 このようなPFI手法のメリットを生かしながら、駒込病院の効率的で効果的な改修、運営を目指してまいります。

○議長(川島忠一君)この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時二十六分開議

○副議長(木内良明君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十番相川博君。
   〔百二十番相川博君登壇〕

○百二十番(相川博君)都議会民主党を代表して、都政の主要課題について質問いたします。
 最初に、平成十八年度東京都予算の編成にかかわる課題について何点か伺います。
 まず、三位一体改革について伺います。
 政府・与党は、去る十一月三十日、いわゆる三位一体改革に関する協議会を開き、平成十八年度予算で六千五百四十億円の補助金を削減することで合意しました。財務省が頑強に抵抗していた施設整備費約七百億円分が廃止され、その半額が税源移譲されることが決まりましたが、そのほかはほとんどが国庫負担率の引き下げという単なる自治体への負担転嫁にしかすぎません。これでは自治体の裁量の幅も創意工夫の余地も広がりません。
 これを痛み分けと称する向きもありますが、この国の将来を見据えるならば、目先の権限と予算にこだわる霞が関と、自主自立の道を阻害された地方自治体の双方の首を絞めるものであるといわざるを得ません。
 一方、全国知事会を初めとする地方六団体は、義務教育費国庫負担金や児童扶養手当の負担率引き下げについては分権改革の理念に沿わないとしているものの、生活保護費が削減対象とならなかったこと、施設整備費を対象としたことを評価し、三兆円という大規模な税源移譲を、これまでにない画期的な改革であり、大きな前進であると高く評価する声明を出しています。
 今回のいわゆる三位一体改革の内容と、それを評価する地方六団体の声明について、知事はどのように評価しているのか、伺います。
 一方、三位一体の改革と連動する形で、国の都に対する不合理な財源調整が来年度に向けても行われる公算が高まっています。法人事業税に続いて、法人住民税についても分割基準の見直しの動きがあるほか、小渕内閣当時の恒久的な減税による地方税の減収分を補てんするための地方特例交付金についても廃止の動きがあると聞いております。
 法人住民税の分割基準の見直しは、単に東京に税収が集まり過ぎていることを理由とする、全く理念のないものでしかありません。さらに、地方特例交付金の廃止が現実のものとなれば、都の減収は一千四百億円にも上り、都財政に大きな打撃を与えます。
 都においても、先日発表された東京都税制調査会の答申に、知事の肝いりでこうした都への財源調整の問題を取り上げるなど、国への反論を行っていますが、いかんせん、国への影響力となると疑問符がつきます。都の主張をどのように国に取り入れさせるのか、都の戦略が問われるところですが、知事の所見を伺います。
 次に、景気動向と税収見通しについて伺います。
 政府の月例経済報告では、八月に脱踊り場を宣言して以来、景気回復基調が続いており、十一月の報告においても、三カ月連続で緩やかに回復しているとの判断を示しています。
 内閣府の試算においても、景気回復を背景として、個人消費など需要が堅調にふえる一方、供給の面では過剰設備のスリム化が進み、日本経済の需給が引き締まってきているとしています。
 しかし、実質国内総生産、GDPの成長率の伸びは鈍化してきており、原油高による企業収益の悪化が雇用、賃金を引き下げ、さらに、政府・与党の進める増税や社会保障の負担増が個人消費を冷やすため、来年度の景気は一転して減速に向かうのではないかとの見方もあります。
 本年九月末の都税収入実績調べでは、累計収入額で昨年比一千九百八十六億円の増収となっていますが、本年度は一定の増収が見込まれるとしても、来年度は決して楽観することはできないわけであります。来年度予算全体のスキームを設定するに当たって、今後の景気動向と税収見込みをどのようにお考えか、伺います。
 また同時に、中長期的視点に立った財政運営も求められています。とりわけ、人口減少社会に入ろうとする今、持続的な都財政の運営は極めて重要な課題です。
 先月発表された人口減少社会における都財政運営のあり方では、財政運営に影響を与える外部環境の変化として、生産年齢人口の減少、高齢者の増加、社会資本の老朽化、都市間競争の激化を挙げ、今後都が目指すべき財政運営は、都税収入の伸びに過大な期待を抱くのではなく、財政構造改革に取り組むことによって新たな施策の実施に必要な財源を確保し、長期的に収支の均衡を維持することであるとしています。そして、今後の財政運営に対して、各局における責任の明確化、事後検証の徹底、財政規律を担保するためのルールの設定、中長期的視点を重視した予算編成の四点を提言しております。この提言を都としてはどのように受けとめているのか、伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 都は、先月二十九日、「行財政改革の新たな指針」をまとめました。この指針では、明治以来の中央集権・官治システムが歴史的な使命を終えたとし、地方の自主自立と、公を多様な主体が担う二十一世紀型の新たな行政システムを構築するとしていますが、その一方で、大都市の活力が国の命運を左右するなどと、大都市の役割を殊さらに強調しています。
 都市への人口や機能の集中という一般的傾向は理解しますが、東京の大都市化は、まさしく石原知事のいう明治以来の中央集権・官治システムによるものではないでしょうか。権力が一カ所に集中することによって、そこに人口や機能の強い集中圧力がかかってきたのであります。分権によって権力が分散すれば、そうした集中圧力は弱まり、ブロックごとの核となる都市に人口、機能が集まることになります。加えて、今後の人口減少によって、中長期的に見れば、東京も都市として縮小していくことは避けられないことであります。
 そこで伺いますが、知事は、東京の将来の姿をどのようなものととらえておられるのか、所見を伺います。
 また、この指針では、大都市経営の総合性、一体性もまた再三強調されていますが、地方の自主自立とどう整合性をとられようとお考えなのでしょうか。
 とりわけ特別区との関係では、都は、既に二十年前の時点で、都政は、府県行政あるいは広域的立場からの大都市行政に徹し切れないことを問題とし、新しい都は、基本的に府県事務及び大都市区域における広域自治体にふさわしい大都市事務を処理するという立場に立っていたのであります。今回の指針に書かれた都区制度の抜本的見直しに当たっても、いま一度こうした原点に立ち返って都の役割を考えるべきと考えますが、所見を伺います。
 一方、行財政システムの改革においては、官民の役割分担の見直し、新たな都庁マネジメントの構築について意欲的な取り組みが列挙されています。
 民主党は、七月の都議会議員選挙での東京マニフェストにおいて、官と民が対等のパートナーシップを結び、新たな公共空間をつくり出していくPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップの理念を打ち出しており、今回の指針はその理念に沿うものだと考えています。
 指針の中では、これからの都庁のあり方について、より少ない人材で中核業務を担い、その達成水準を向上させていく少数精鋭の体制づくりが求められるとして、職員採用チャネルの多様化が示されています。
 今後は、民間の専門家を任期つき職員として採用したり、高度な経営判断を要する局長級に民間人を採用するなど、官と民の垣根を取り払った人材登用を考えてもよいのではないかと考えますが、見解を伺います。
 また、指針では、平成十九年度から、都の直営の施設にも指定管理者制度を順次導入するとしています。本定例会には指定管理者指定の議案が多数提出されていますが、対象となっている二百十の施設の中で、実際に指定管理者を公募したのは百四十八施設、約七割、その中で民間事業者が選定された施設は四十六施設、約三割、これまでも民間に委託していた施設を除くと、三十二施設、約二割にしかすぎません。
 公の施設の管理であること、固有職員の雇用を考慮しなければならないこと、監理団体等のこれまでの努力もあるわけですから、一概に問題とはいえませんが、原則公募とした指定管理者の選定が約七割にとどまっていること、新たに指定管理者の候補となった民間事業者が二〇%程度にすぎないことなど、都がどれだけ民の力を本当に生かそうとしているのか、疑念を抱かせる点もあります。
 都は、今回の指定管理者の選定についてどう評価しているのか、所見を伺います。
 公営企業についても、既に多額の債務を抱えながらも、間もなく迎える施設更新期に巨額の投資費用が必要となることから、コスト構造を見直し、さらなる効率性の発揮や、長期的な経営見通しに立脚した抜本的な経営改革を行うとして、各局ごとに具体例が示されています。交通、水道、下水道各局は、こうした指摘を受けて、今後どのように経営改革を進めようとお考えか、各局長の見解を伺います。
 次に、談合防止策の強化と契約制度の見直しについて伺います。
 先月十一日、都が発注した河川の防潮堤の工事をめぐり談合を行ったとして、建設会社八社の合わせて十一人が逮捕されました。
 都が発注した工事をめぐっては、七月に、水道工事での談合事件で、上場企業の建設会社の役員が暴力団組長と組んで談合の仕切り役をやり、さらに、談合に応じなかった業者を脅迫したとして、五人が逮捕、起訴されたばかりであります。
 都の発注工事をめぐる談合事件の摘発は、過去五年間で十件に上っています。相次ぐ談合の摘発に対しては、先日、石原知事が記者会見で、私にいわせれば、談合が発覚した後の指名停止の期間が短過ぎる、あるいは、もうちょっと重いペナルティーを科さないと談合というのは後を絶たないと思います、と述べています。
 この指名停止期間の延長や、事件に応じた適用基準の見直しは都の裁量で決められます。相次ぐ談合の防止策として、この際、都が行う指名停止の期間の延長を提案しますが、知事のご見解をお伺いいたします。
 契約制度の見直しについては、監査対象だった二件の問題から提言をさせていただきます。
 まず、都立高校のパソコン教室のリース契約について、総額十億円を上回るむだ遣いが監査委員から指摘されています。
 これについては、先日の各会計決算特別委員会で、我が会派の伊藤ゆう議員が、昨年度リース契約を結んだ八校について調べたところ、平均落札率が九七%を超えており、うち五校では九九%台という異常な数値となっていること、異なる業者の落札金額が百円単位まで同じケースがあることなどを指摘し、談合の疑いがあると指摘をしました。
 その上で、こうしたリース契約について、入札が適正に行われたかをチェックするために、予定価格の事後公表を行うべきであると指摘しましたが、財務局は否定的な答弁に終始をしました。
 都では現在、工事の契約に関しては、二百五十万円を超える契約金額の予定価格を公表していますが、物品・委託契約の予定価格は全く公表していません。入札の適正化のため、予定価格の公表範囲を拡大すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 公営企業会計決算特別委員会では、花輪ともふみ議員が、水道局の第三セクター、PUCと東京水道サービスの二社との間で、都が特命随意契約で百十一件、百二十一億円余りという巨額の発注を行っている実態を指摘しました。
 東京水道サービスとの随意契約の中には、十三億円以上という巨額の契約すらあります。ことし二月に公表された包括外部監査でも随意契約の多さが指摘されているにもかかわらず、私たちの目から見て十分な取り組みが行われているとはとても思われません。
 随意契約はあくまで例外的に認められているものであります。少額以外の理由による随意契約に対して、より一層のチェックを行い、競争性を高めるため、入札方式を採用していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、オリンピックについて伺います。
 第三回定例会での我が会派の中村幹事長の代表質問でも伺いましたが、二十一世紀の東京にオリンピックを招致する意義、なぜ東京なのかを国際社会に訴える理念がいまだに全く見えてきません。
 外部の有識者による東京オリンピック基本構想懇談会で現在議論を進めているというものの、その委員に選ばれた乙武洋匡さんは、自身のホームページで、正直戸惑っています、一体何を期待されているのかなと、都民として生活してきた立場から、今このまちに本当にオリンピックが必要なのかという疑問も抱いていますと率直な心情を語っているのであります。
 また、招致費用、大会運営費、競技施設の整備に幾らかかるのか、競技施設や選手村がどこに配置されるのか、さらに、オリンピックを通じて東京がどのように変わるのかなど、オリンピック開催計画の基本的な部分も何一つ明らかになっていません。このような状況の中でオリンピック開催の是非を問われても、その判断は下せないと私たちは考えています。
 以上のような問題意識から、先月二十九日には、都議会民主党として、東京オリンピックの全体像を速やかに都議会に示すことを申し入れました。その後、知事は記者会見において、オリンピック計画のラフスケッチ、ドラフトを春には出すと述べましたが、基本構想策定に向けた知事の所見を伺います。
 ちなみに、前回、昭和二十七年五月十九日の都議会における東京オリンピック招致決議は、全会一致で採択されています。今回のオリンピック招致に当たっても、議会はもとより都民の幅広いコンセンサスを得ることが、招致の成功にとって不可欠であると考えますが、見解を伺います。
 石原知事は、さきの所信表明において、必要となる資金の一部をあらかじめ基金に蓄えておくことで、国家的プロジェクトであるオリンピックに対する十全の備えを講じておきたいと述べました。しかし、都財政は約九千億円の隠れ借金を抱えており、国による不当な財源調整の影響などもあって、決して潤沢な財政状況でないのは、それこそ都が一番よく知っているはずです。そのような状況の中、一説には一兆円ともいわれるオリンピックのための基金の原資がどこから出てくるのか、伺います。
 東京オリンピックの前には、多摩国体といわれている、多摩・島しょ地区を中心に行われる東京国体が平成二十五年に予定されています。東京国体のメーン会場に有力視されている味の素スタジアムは、国体の会場とするには、雨天のときのための体育館を新たに整備しなければなりません。そのほかにも、三十八にも上る競技の施設や関係者の宿泊、輸送システムの整備も求められており、ハード面での課題は山積みであります。平成二十五年の東京国体に向けた開催準備の今後の見通しについて伺います。
 次に、耐震データ偽造問題についてであります。
 姉歯建築設計事務所によるマンション構造計算書の偽造が発覚してから二週間余りが経過しました。地震国日本において厳格に守られるべきである耐震強度の計算書が偽造され、それを検査機関がやすやすと見過ごしてきた驚くべき実態が明らかになり、重大な社会事件となっています。
 都議会民主党では、先月二十四日に耐震データ偽造プロジェクトチームを設置し、翌二十五日には渋谷区のフォルトゥナ代々木初台、二十七日には江東区のグランドステージ住吉を視察し、被害に遭われた住民の声を聞いてまいりました。それを受けて、先月二十八日、知事に六項目の申し入れを行いました。その基本は、被害をこうむったマンション住民がこれまでどおりの生活を取り戻すために負うべき負担をゼロにすることであります。
 今、行政に求められているのは、何の落ち度もないのに突然自治体から退去勧告を受け、我が家からほうり出されるマンション住民の生活を全力で支援していくことだと考えています。国会では、ヒューザーが悪いとかイーホームズが悪いとか、派手な議論ばかりが繰り広げられておりますが、そのような責任の所在を云々するのは、突然の被害に遭った住民たちの救済が済んだ後の問題ではないでしょうか。
 被害者に対する都としての支援の基本的考え方について知事の所見を伺います。
 災害とは違い、被害住民を無条件で都営住宅に入れるわけにはいかないと当初は述べていた知事も、先月二十五日には一転して、緊急措置として、都営住宅、都民住宅、公社住宅、計五百戸の提供に踏み切りました。
 さらに、被害マンションに係る固定資産税や都市計画税については、私たちの申し入れを受け、今年度分の免除が決まりました。申し入れのときに横山副知事は、固定資産税等については全くの盲点だったと語っていましたが、申し入れを受けての都の迅速な対応は大いに評価をさせていただきたいと思います。
 しかし、受け入れ先となる都営住宅等の家賃については、三十日の都市整備委員会の集中質疑で、都市整備局が、都が負担するのは適切ではないと否定的な答弁を繰り返すなど、消極的な姿勢に終始しています。私たちは、区から退去勧告を出され、ローンと家賃の二重苦に苦しむ人も出ている中で、このような都の姿勢は問題だといってきました。
 こうした中、国は昨日、当面の被害者支援策を正式に打ち出しました。住民の引っ越し費用、さらに分譲マンションの解体や建てかえ費用についても、地方自治体と連携して補助を行うというものになっています。都が消極的姿勢を見せているうちに、国が一歩も二歩も先を行ってしまった格好であります。
 国費だけでも八十億円に上る支援策が、負担を求められる地方自治体に何の相談もないまま決められてしまうのは問題というわけでありますけれども、しかし、こうなった以上、都としても、都営住宅等の家賃減免など、被害に遭ったマンション住民への経済的支援を決断すべきときだと考えます。所見を伺います。
 そもそも今回の事件が発覚したのは、国土交通大臣指定の指定確認検査機関であるイーホームズ社が、内部監査で構造計算書の偽造に気づいたことが発端でした。イーホームズ社は、検査業務は適正だったと説明していましたが、国土交通省の調べでは、同社が建築確認を行った九十八件の構造計算書のうち、八十九件までが建築基準法の規定どおりに検査が行われていなかったとのことであります。しかも、二十九日の国会質疑においては、民間指定確認検査機関の最大手である日本ERIまでが偽装を見逃していたという事実が明らかになっています。
 このようないいかげんな検査業務を行っていた指定確認検査機関について責任が問われるのはいうまでもありませんが、十分に指導監督できていなかった国の責任も問われなければなりません。国の指定確認検査機関に対する監督責任を追及していくべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、姉歯建築士に構造計算を下請に出していた元請の設計事務所の責任も重大であります。都は既に、耐震データ偽造マンションの設計元請となった八社に緊急の立入検査を行っており、石原知事も会見で、都がその資格を認定するような立場にあるなら、そういったものも改めて問い直す必要はあると思うと、設計事務所に何らかの処分を行う考えを語っていますが、設計事務所八社の立入検査の結果と今後の対応について所見を伺います。
 国土交通省はこの五日、姉歯建築士を建築基準法違反で刑事告発し、それを受けて、警視庁などによる合同捜査本部が発足しました。ほかの関係者にも刑事責任を追及する方針であります。しかし、今回の耐震データ偽造問題で危険な建築物を設計した姉歯建築士について建築基準法違反を問うとすれば、その罰則は罰金五十万円と、事件の重大さに比べれば信じられないくらい軽いもので済んでしまいます。
 規制緩和、民間開放の基本である事後チェック行政の考え方は、例えば今回の建築確認事務でいえば、民間が適正な検査を行うものと信頼するかわりに、その信頼を裏切った検査機関には厳しいペナルティーが科されるものでなければなりません。先ほどの談合に関する指名停止期間の延長とも相通じるものでありますが、事後チェック行政における罰則強化の考え方について見解を伺います。
 ところで、神戸市では、阪神・淡路大震災で違反建築物の倒壊が被害を大きくしたとの教訓から、市に違反建築対策室を設置し、ホームページで違反建築の告発の受け付けなどを行っています。設計業界では、神戸市は厳しくなったと評判で、多くの設計士が、神戸市内での仕事では、より緊張感を持って取り組むといわれています。このような違反建築対策の強化が都においても必要であると考えますが、所見を伺います。
 マンションを安く建てられることでだれにメリットがあるかといえば、まずヒューザーのような建築主であり、次いで施工業者ではないかと思われます。しかも、今回の事件で耐震性に問題があるとされた物件リストを見れば明らかなように、建築主、設計者、施工者の組み合わせはほぼ同じであります。これらの会社が建設にかかわったマンションは、そのすべてに耐震強度の偽造のおそれがあると考えるべきではないでしょうか。その検証のためにも、そうしたマンションを施工した建設会社の施工物件を初め、都内で施工されたマンションの耐震強度の再点検を早急に行うべきと考えますが、所見を伺います。
 今回の事件によって、マンション住民の多くが、自分の住んでいるマンションは本当に安全なのだろうかという疑問や不安を感じるとともに、マンション業界や建築業界全体に強い不信感を抱いています。そうした不安を解消するため、マンション等の耐震性の問い合わせに応じる専門の相談窓口を都において設けるべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、景観施策について伺います。
 知事はよく、東京の街並みを、ごみ箱をひっくり返したようなひどいものであると表現されます。このような問題意識から、知事は本年一月に、東京都景観審議会に対して、東京における今後の景観施策のあり方について諮問をされ、これに対して、先月十四日、今後の景観施策のあり方について中間の取りまとめが発表されました。
 この中では、美しさと風格を備えた都市空間の形成、歴史、文化の継承と観光資源としての活用、景観の骨格となる緑や水辺の保全、再生、公共事業等と連携した地域の景観づくりの四つの政策課題が示され、それぞれに対して施策の方向が提言をされています。
 この中で注目すべきは、眺望の保全、地域特性に応じた建築物の高さ等の誘導のほか、大規模建築物や大規模工作物、公共サインや屋外広告物など、全体として規制や制限をかける方向でなければ良好な都市景観は形成されないという論調で統一されていることであります。私たちも、東京の都市づくりについて、これまで進められてきた規制緩和一辺倒ではなく、一定の規制や歯どめを組み合わせていくべきだと再三主張してきたことでもあり、歓迎すべきものと考えています。
 しかし、このような方向性は、これまで知事が進めてきた規制緩和を中心に据えた都市再生に軌道修正を求めるものとも解釈できますが、今後の景観施策のあり方について知事の所見を伺います。
 中間のまとめでは、歴史的建造物を、都市の記憶を次世代に伝える重要な手がかりと位置づけ、その保全、活用を積極的に図っていくことを提言しています。そのための具体的方策として、税の減免による都選定歴史的建造物の保存支援の検討、都市計画制度を活用した近代洋風建築の保存、復元などが提案されております。
 中でも、個人や企業が所有する都選定歴史的建造物について固定資産税、都市計画税の減免制度を創設することは、公的所有の建造物だけに非課税措置が講じられている現状の是正のためにも、ぜひ実現に向け検討すべきであると考えます。
 しかしながら、それらの建造物をさらに確実に都民の共有財産として残していくためには、単に建造物を保存していくのみならず、その姿を保ちながら、都民が協力し、積極的に建造物を活用していく方策を検討していく必要があると考えます。
 歴史的建造物の積極的な活用の今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 都は、平成十三年十二月に策定した都立病院改革マスタープランに基づき、将来にわたる都民の医療ニーズに的確に対応し、医療サービスの向上を図るため、都立病院の再編整備を進めてきました。
 この中で、都立豊島病院は、高齢者医療センター併設地域病院として老人医療センターと統合後、民営化としていましたが、昨年三月に板橋区からの要望を受けたため、改めて区立病院化に向けた協議を開始することになりました。協議の結果、資産の取り扱い等に関して両者の考え方の隔たりが大きく、本年十月二十六日、東京都、板橋区双方から断念の表明がなされたのは周知のとおりであります。
 この間の検討に一年半を要しましたが、そもそも板橋区側は、独自に病院を運営していく上で、財政的基盤など、当初から大きな問題を抱えていたといわざるを得ません。
 そこで、豊島病院の板橋区移管をめぐる今回の区との協議結果について、都としてどのように評価しているのか、改めて伺います。
 いずれにしても、今回の結論が出た以上、今後は、住民が安心して医療サービスを受けられるよう、新たな病院運営のあり方を再構築することが求められています。その際、地域の要望にも配慮するとともに、運営主体としては、民営にとどまらず、公社、公営企業法全部適用や独立行政法人など最近の医療経営環境の動向を踏まえ、幅広く検討すべきと考えます。
 そこで、今後の豊島病院について現段階でどのように考えているのか、所見を伺います。
 一方、マスタープランで豊島病院との統合対象であった老人医療センターのあり方も十分考慮すべきであります。老人医療センターは、急速に進展する高齢社会に対応するために、高度で専門的な医療水準を備えた医療機関であり、将来ともこうした医療水準を安定して確保できる体制の構築が重要と考えます。この点も踏まえて早急に検討することを要望しておきます。
 次に、障害者福祉について伺います。
 さきの特別国会で成立した障害者自立支援法は、国が義務として障害者の自立を支援するとしており、これまでなかった障害者福祉の基本的大前提が定められました。これは、支援費制度による契約概念の導入よりずっと大きな、ある意味では革命的変化であるといえます。しかし、実際には、障害者が自立できるためのサービスが提供され、社会参加が進むような制度にはなっておりません。
 例えば、自立支援法では、入所施設への支援費の支払いが日割り計算となっています。利用実績に応じて支払うというのは、一見、当然に見えるかもしれません。しかし、入所者が週末や年末年始に外泊したらどうなるのでしょうか。休みの日に実家に泊まりに行って親孝行したり、友達と遊びに出かけたりというのは、一般的にいってごく普通のことだと思います。しかし、このごく普通のことが、自立支援法のもとでは普通でなくなってしまうのであります。
 二十人が暮らす入所施設で、週末に十人が外泊するとします。日割り計算だと、十人掛ける二日分の支援費は支給されなくなり、施設の収入は半減するわけであります。入所者の外泊が施設の収入減に直結し、施設側としては、外泊を制限するか、それとも外泊を認めて施設がつぶれるかしかなくなるわけであります。
 このように、障害者が普通のことを普通にしようとすると施設経営が成り立たなくなってしまうのが今回の自立支援法なのであります。どうしてこのような不合理が起きるのでしょうか。施設経営の実態や、そこに暮らす障害者の生活を考慮せずに、ただただ財政支出を減らすことを目的として制度設計をしたからにほかなりません。
 こういった自立支援法の問題点について、民主党は国会審議において再三指摘をしましたが、一向に改善されないまま政府・与党によって可決、成立を見てしまったことは、将来にとって大きな禍根を残すものだと思います。
 自立支援法では、障害者の多くが低所得者であるという実態を無視し、障害福祉サービス利用と自立支援医療について応益負担、すなわち原則一割の定率負担を導入しています。この定率負担の導入により、障害者のサービス利用の抑制や生活の質の低下を招いてしまっては、本末転倒といわなければなりません。
 国が行う負担軽減策に加え、都としても独自に低所得者に対する負担軽減策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 そもそも一割負担の導入は、負担ができるような障害者の経済的自立をバックアップすることとセットされています。経済的自立があって初めて自己負担が議論できるのです。その点は極めて重要です。
 障害者の経済的自立を実現するには、一般企業等への就労を進めることが何よりも重要です。民間企業における障害者の法定雇用率は一・八%ですが、東京労働局の調査によれば、平成十六年六月現在の民間企業の実雇用率は一・三五%で、前年度より〇・〇二ポイントふえたものの、依然として東京が全国最下位であります。
 さらに、障害者雇用促進法の改正により、今後は精神障害者も雇用率の算定対象とされ、精神障害者の雇用対策の強化が打ち出されました。精神障害については、医療や生活面での支援が必要ですが、働く場での取り組みが一層重要となっています。
 このように、今、東京の企業には、これまで以上の障害者雇用の取り組みが求められているといえます。こうした状況下でも障害者雇用が進まないのは、企業が雇用管理上の配慮など条件整備に消極的であったり、障害者雇用に関する理解が不足しているからにほかなりません。受け入れる側の条件さえ整えば、心身障害者の多くは一般就労が可能です。障害者の一般就労拡大に向けての企業への働きかけと支援について見解を伺います。
 次に、花粉症対策と森林再生について伺います。
 本年三月二十五日の予算特別委員会で、私は、今にも花粉が飛び散りそうな朝どりの杉の枝を委員会室に持ち込み、委員の皆様から嫌悪のまなざしを向けられました。それが功を奏したというわけではありませんが、石原知事も人生で初めて花粉症にかかられたということで、都も俄然、花粉症対策に力が入り始めているようであります。くしくも先月十四日、私の誕生日には、花粉症対策本部を立ち上げ、多摩地区で発生するスギ花粉の量を十年間で二割削減するという数値目標を決めましたが、私も二十年来の花粉症患者の一人として、東京都の取り組みを大いに期待するものであります。
 また、先月十八日、私たち都議会民主党も西多摩地域に赴き、製材施設やシカ被害地、林道や間伐の状況、そして多摩産材を活用した檜原中学校などを視察しましたが、地道な努力なくしては森林再生はなし得ないということを改めて痛感いたしました。
 花粉症対策としては、十八年度予算編成に向けて積極的な対応が期待できそうですが、森林再生というものは短期間でなし得るものではなく、十年、二十年、百年先を見据えた取り組みが必要であります。また一方で、私を含む花粉症患者の多くは、一日でも早く花粉症の苦しみから解放されることを心から願っています。石原知事の花粉症対策への意気込みを伺います。
 花粉症といえば、スギ花粉ばかりが脚光を浴びておりますが、実は夏から秋の花粉症、稲やブタクサ、ヨモギなどによる花粉によって苦しんでいる人も意外に多いものです。特にブタクサは、杉が騒がれる以前の花粉症の代表格で、空き地や河原など、雑草が生えているところであればどこにでも見ることができます。
 このように、花粉症の治療、予防を進めていく上では、スギ花粉だけでなく、ブタクサや稲、ヨモギなどさまざまな植物の花粉による影響を調査し、それらすべてを視野に入れた対策を講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
 花粉症対策として森林再生に取り組んでいくためには、これを安定的に継続させていくための財源確保が不可欠です。近年、都道府県の中には、環境森林税を導入する動きが活発になっており、既に高知県や岡山県など六県が実施し、近県では神奈川県や埼玉県でも検討が進んでいます。私も一昨年の予算特別委員会で森林管理の財源確保の手法について質問したところですが、現在、都としては、環境森林税ではなく、基金を設立し、都民や企業への募金を呼びかけようとしているようであります。
 私は、花粉症対策を着実に実施していくためにも、基金の目的を花粉症対策に特化するなど、より多くの都民や企業から理解と協力が得られるような工夫をしていくべきと考えます。花粉症対策としての基金の設置について見解を伺います。
 次に、木材の利用促進についてであります。
 都議会民主党の視察では、教室などが木でできている檜原中学校を視察し、そこで学ぶ生徒たちの声も聞くことができました。生徒からは、掃除のときに机を運ぶのが重いといった声も聞かれましたが、おおむね好意的な意見が多く、生徒たちの顔もどこかしら輝いているようでもありました。
 木でできた空間は健康にもよいといわれ、老人ホームや学校での調査では、木がたくさん使われている施設の方がインフルエンザやけがなどの発生率が低いという報告もあります。また、十月の林野庁のプレスリリースでは、森林の力で人間の抗がん能力を高めるナチュラルキラー細胞が活性することも報告されています。こうしたことから、私たちの身近なところが木に囲まれるということは、林業支援だけでなく健康にも大きなプラスであるといえます。
 都が発表した総合的な花粉症対策の中では、多摩の杉林を百年がかりで伐採していくとしていますが、同時に、伐採した杉をどう使うのかという観点から、木材流通と使用の拡大が打ち出されています。
 私は、この際、都において、学校など公的施設での木材利用の数値目標を定めるなど、木の活用を積極的に推進していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 森林づくりに関連して、里山の保全について伺います。
 昨年四月に策定された森づくり推進プランでは、森の再生、保全の一環として、里山林の保全施策の推進が掲げられているところであります。十一月二十四日の東京都自然環境保全審議会の答申を受け、今年度中にも、横沢入地区が里山保全地域に指定されることになるようですが、今後、さらに多くの里山が保全地域として指定されることを求めるものであります。
 また、横沢入地区では、今後、間伐や下草刈り、あるいは水路等の整備など、継続的に人の手を入れていく方針となっていますが、私は、里山の景観を復元し、保全していくためには、都民と十分な連携をしていく必要があると考えています。
 最後に、横沢入地区の里山保全について、今後どのように取り組んでいくのか見解を伺い、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)相川博議員の代表質問にお答えいたします。
 国のいわゆる三位一体改革の評価についてでありますが、この改革は、もともと政府がみずから決めた骨太の方針なるものによりますと、国と地方の明確な役割分担に基づいた、自主自立の地域社会から成る地方分権型の新しい行政システムを構築することであったはずであります。しかし、今回の政府・与党合意は、こうした理念からおよそかけ離れた、国庫補助負担金削減の数字合わせと地方への負担転嫁以外の何物でもなく、真の地方分権にはつながるものでないと思います。
 地方六団体を初め各県の知事などが、ばらばら、いろいろ評価をしておりますけれども、確かに一歩前進かもしれませんが、しかし、今求められているのは、日本全体の健全化、発展につながる根本的な改革でありまして、この国の形をどう変えていくかを見据えた国と地方の役割分担を徹底して議論することから始めまして、明治以来の旧弊な現行制度を根本的に改造することが必要だったと思います。
 次いで、不合理な財源調整への対応についてでありますが、国は、首都であり、他に例を見ない大都市であります東京の巨額な財政需要や大都市の特性を考慮せずに、一方的に都から財源を吸い上げようとしております。ようやく上昇軌道に乗った我が国の景気をさらに発展させていくためには、東京の活力を高めていくことが不可欠でありますが、国には、こうした首都東京の重要性に関する社会工学的な認識が全く欠落しているといわざるを得ません。
 来年度予算に向けた取り組みが正念場を迎えるわけですけれども、都議会の皆さんなどと力を合わせまして、国の不合理な働きに対して徹底抗戦の構えで臨んでいきたいと思っております。
 次いで、東京の将来の姿についてでありますけれども、東京の将来を考える上で大切なことは、抜本的な権限移譲など地方分権改革を強力に進めながら、東京が首都であり続け、東京の持つ潜在的な力を十二分に発揮させることだと思います。東京を中心とする首都圏には、多彩な人材と質の高い情報、そして高度な技術が集積しておりまして、三千三百万人を擁する広大な経済圏、生活圏が形成されております。今後、我が国の人口減少の時代を迎えてもなお、首都圏への人口や諸機能の集積は総体的に進んでいくと思います。
 また、世界に目を転じますと、大都市圏の集積が国境を越えて経済発展をリードするという二十一世紀の都市文明に直面するとともに、東アジアの発展などにより、日本は熾烈な国際競争に巻き込まれていくわけです。国家全体の利益という視点に立ちますと、日本を牽引する大都市の役割を明確に位置づけ、そうした観点から東京の将来をとらえ、国と地方のあり方を考えていかなければならないと思っております。
 次いで、談合防止の強化でありますけれども、都は、これまでも、一般競争入札の実施範囲の拡大を初めとする各種防止策を講じてまいりました。しかしながら、今般の河川工事の談合事件に見られるように、いまだに談合が行われている実態があります。このような談合をなくすために、前にも申しましたが、今まで以上に、例えば応札停止期間の延長など、重いペナルティーを科す必要があると思います。既に指名停止措置強化の方針を決定し、具体的な方策の検討を指示いたしました。
 次いで、予定価格の公表範囲の拡大についてでありますけれども、入札には、競争性と透明性という二つの要因があると思います。予定価格は、競争性の確保を図る観点から、非公表とするのが原則であります。しかしながら、工事請負契約について、予定価格の情報をめぐるさまざまな不正行為を防止するために、競争性よりも透明性の確保を優先し、国に先駆けて予定価格を公表しております。
 一方、物品購入や業務委託契約については、工事請負契約と同じような問題が発生するおそれが少ないことから、契約の原則である競争性の確保を図るため、予定価格を公表することは考えておりません。
 次いで、オリンピックの基本構想策定についてでありますけれども、招致を実現するためには、他都市との競争に打ち勝つ、東京ならではの独創的なオリンピックのあり方を示すことが必要であります。基本理念や大会運営のあり方について、現在、各界有識者をメンバーとした東京オリンピック基本構想懇談会で活発な議論が行われておりまして、私も立ち会っておりますけれども、非常にとっぴなようで実は将来性のある意見も出ておりまして、この会議では、IT技術の活用や日本の文化の発信など、さまざまな提言をいただいております。
 乙武さんはそういう見解をお持ちかもしれませんが、しかし、彼も含めてですね、外側の方々も含めて、いろんな論というものをいただいて、それを収れんし、立派なオリンピックを実現していきたいと思っております。
 しかし、このオリンピックをやるべきか、べからざるか、そんなことを基本的に論じていると、大きなプロジェクトは足踏みするだけで、一向に進んでいかないものです。今の日本にオリンピックがふさわしくないか、ふさわしいかという議論もあり得るでしょうけれども、しかし、私は、今の日本にオリンピックの招致がふさわしくないという日本人は、そうたくさんいないと私は思います。
 この懇談会の検討結果を踏まえて、東京オリンピックの基本的な考え方について、できるだけ早く議会にも示していくつもりでございます。
 次いで、構造計算書偽造問題にかかわる居住者支援についてでありますけれども、これは、先ほど新藤さんの質問にもお答えしましたが、構造的に、基本的にこれは国に責任があるんですよ。しかし、てんびんに人の命がかかっているから、まあ国に泣きつかれて、要するに、今ある制度の中で、国も出し惜しみをしながら地方自治体に協力してということで、まあ応諾しましたが、もともとこれは、かつての金融機関の救済と同じく、国の責任で要するに救済されるべきものだと私は思います。国がそういってきて、都が負担する経済的な要するに負担というものは、都民の税金ですからね。これはやっぱり私は考えませんとね。ここで人の名前を挙げるつもりないけれども、横浜の親しい松沢知事が、全部負担するということを明言しましたが、私はやっぱりちょっとそれはフライングじゃないかというコメントを添えました。
 これは、この間も国交省の次官が来て、いろいろ説明しましたが、要するに、私はそのとき申し上げたのは、国交省の中にもいろいろ異論があるじゃないか、早く統一見解を出してもらいたい、そうしなければ、こちらは態度を決められないんだということをいいまして、要するに、遅まきですけれども、今週の火曜日ですか、ああいうスキームというのができた。
 しかし、なお私たちは、これにだってかなり不満ですな。やっぱりね、これは本来国の責任ですよ。しかし、人の命がかかっているから、私たち、仕方なしに、国の要するに協力の要請に応じますけれども、あくまでも今回の問題の背景は、国が指定した民間確認検査機関の審査に自治体が関与できない仕組みとなっていること、国による確認検査機関への指導監督が不十分であったこと、こうした中で起きた事件でありまして、繰り返して申しますけれども、国の責任は極めて重大だと思います。
 偽造の当事者や瑕疵担保責任を有する売り主は当然のことでありますが、元請の設計事務所や国の指定確認検査機関など関係者の責任追及も必要だと思います。
 しかしながら、繰り返して申しますけれども、都としては、何よりも都民の生命の安全を確保する必要から、とにかく地震があす来てもおかしくない要するに状況でありますから、緊急措置として、都民住宅などの活用を決定し、また、固定資産税及び都市計画税の減免も決定いたしました。
 都としては、都民の安全を緊急に確保する観点から、国の支援方策を踏まえながら、区市と連携を図り、居住者の速やかな退去と円滑な生活再建に向け、必要な対策を講じてまいります。
 次いで、今後の景観施策のあり方についてでありますけれども、数十年前に英国の写真家が撮った、あれは愛宕山の上から撮った江戸全体のパノラマの写真がありますが、お寺の伽藍を除けば高層建築はほとんどなくて、屋根は濃い灰色のかわらでふかれ、壁は白、実にしょうしゃなモノクロームの町並みでありました。
 これは、明治政府に近代ホテルをつくってほしいという依頼で来日しましたフランク・ロイド・ライトの日記を読みますと、彼は来てみて、江戸の美しさに心を打たれまして、コンセプトを変えて、コンクリートを使わない、日本らしい素材でホテルをつくろうということで、この間取り壊しになりましたが、大谷石を使った、有名な建築物の帝国ホテルをつくったわけであります。
 それに比べて今日の東京を見ますと、個々の建築のデザインにはいろいろ工夫が凝らされておりますが、色彩や形態がばらばらで、町並みの統一感に欠け、都市全体の景観に対する配慮があるとは、とてもいえません。
 しかし、国際競争力を備えた、魅力とにぎわいのある東京を実現するためには、都市再生を推進する中で、良好な景観を形成していくことが不可欠であると思っております。このため、都心部の機能更新などの機会をとらえて、例えば、東京を代表する建築物と周辺の眺望の保全、あるいは国際ビジネスセンターのスカイラインの統一、そして、水辺空間など自然を意識した景観形成など、景観の視点を重視した都市づくりを進めていくことが肝要であると心得ております。今後とも、こうした取り組みを積み重ねて、美しく風格のある東京の実現に何とか取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、花粉症対策の取り組みについてでありますが、花粉症患者は近年増加しておりまして、首都圏では四人に一人が患者といわれております。患者の苦痛はいうまでもありませんが、社会的、経済的にも大きな損失がございまして、ちなみに、科学技術庁の平成十二年の発表では、花粉症による社会的、経済的損失は二千八百六十億円ということでありますが、これは大変な数字だと思います。
 花粉症の問題が深刻化した背景には、戦後の国の拡大造林政策の失敗と、その後の長期にわたる森林の放置というものがありますが、先般、八都県市の長や関東知事会とともに、国に対して責任のある対応を要請しました。また、隣接の県市に対して、都の花粉発生源対策のスキームを提示し、理解と協力を求めるなど、広域的な取り組みもあわせて行っていくように指示をいたしました。
 かけがえのない多摩の森林を花粉の少ない森としてよみがえらせるためには、木材の活用による林業と森林の再生が不可欠でありまして、五十年、百年単位での取り組みが、とにかくはっきりと示されることが必要だと思います。多くの都民をうつうつたる気分にさせる花粉症への対策に、時を移さず積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)東京国体に向けました開催準備の今後の見通しについてであります。
 本年六月に区市町村の代表及び関係部局で構成いたします東京国体準備推進会議を開催いたしまして、大会開催方針等を検討するとともに、区市町村及び競技団体に対しまして、競技会の開催意向や施設の調査を実施しているところであります。
 今後、平成十八年度には会場地選定案を策定いたしまして、十九年度早々に、各界各層の方々から成ります東京国体準備委員会を設立の上、メーン会場を含む会場地や施設整備に関する方針を決定するなど、開催に向けまして万全を期してまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君)都税収入見込みについてお答え申し上げます。
 十七年度の都税収入は、十一月末の法人二税の中間申告等を見きわめる必要がございまして、現時点で確たることを申し上げる状況にはございませんけれども、最近の好調な企業業績等を反映いたしまして、堅調に推移するものと考えております。
 また、十八年度の都税収入につきましては、法人事業税の分割基準の見直し、あるいは一般外形標準課税の平年度化に伴う影響によりまして、一千億円を超える減収が見込まれます。
 加えまして、景気は引き続き回復基調にあるといわれているものの、原油価格の動向などの懸念材料もございます。今後、こうした景気動向などの諸事情を十分勘案いたしまして、的確に算定してまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)二点のご質問にお答えいたします。
 今後の財政運営に関する提言についてでございますが、人口減少社会や少子高齢社会の本格化による社会構造の大きな変化は、経済活動の停滞や国際競争力の低下など、社会全体に対し大きなマイナスの影響を与えることが懸念されており、これは東京においても例外ではありません。
 社会構造が大きく変化し、長期的には都税収入の大幅な伸びが期待できない中にあっても、都民の負託にこたえ、安定的に行政サービスを提供していくためには、財政構造改革をさらに一層推進し、強固で弾力的な財政体質を確立することが不可欠でございます。
 今回の研究会の提言には、財政構造改革を推進していく上で幾つもの重要な視点が盛り込まれており、この提言の考え方を今後の財政運営の中で十分に活用してまいります。
 次に、オリンピックのための基金についてのお尋ねでございますが、現時点では、その所要額を初め詳細が未定であります。オリンピックに係る財源の確保は非常に重要な課題であると認識しております。オリンピックは、まさに国家的なプロジェクトであり、国からのバックアップも得ながら、必要な資金について適切に対処してまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都区制度の見直しについてでございます。
 特別区の区域を中心とする東京の大都市地域は、一体として首都機能を担い、日本の発展をリードしてまいりました。新たな自治制度の構築に当たりましては、東京の将来を展望し、責任を持ってこの地域を総合的、一体的に経営する主体が不可欠でございます。これまで、この役割は都が担ってきましたが、今後、広域的な自治体である都と、住民に身近な事務を処理する基礎的な自治体である区が、それぞれどのような役割を果たしていくのかを徹底的に検証し、議論をしていく必要がございます。
 都といたしましては、こうした考え方に立ちまして、幅広い観点から都区制度の抜本的な見直しを進めてまいります。
 次に、都における人材登用についてでございます。
 職員の大量退職によりマンパワーが減少する中で、複雑多様化する行政需要への対応をしていくためには、少数精鋭の体制づくりが求められております。都は、これまでも、産業技術研究所の所長に民間出身者を迎えるなど、専門性の高い管理職ポストへの民間人の登用や任期つき職員制度を活用してまいりました。
 今後とも、時代の流れを踏まえ、必要な人材を労働市場から適時に確保するため、新規学卒者に偏らず、多様な採用手段を講じてまいります。
 なお、局長級職員は、局長、技監、理事など、その職ごとの職責、求められる能力等は異なりますが、特定の分野におきまして高度の専門的能力を必要とする場合、民間人を含め、その職にふさわしい人材の登用を検討していく必要があると考えております。
 最後に、指定管理者の選定についてでございます。
 例えば、島しょに設置されている海のふるさと村のように、施設の性格や目的などから競争の効果が得にくい場合に限り、一部を特命といたしましたが、公募、特命ともに、すべての事業者から事業計画書や財務諸表、活動実績書などの提出を求め、外部委員を含む選定委員会におきましてさまざまな項目を詳細に審査し、厳正に選定を行いました。
 この結果、監理団体も危機意識を強め、より質の高い提案が示されるなど、全体として創意工夫を生かしたサービスや経費節減といった具体的な成果が得られました。制度導入段階の目的はおおむね達成できたものと評価をしております。
   〔交通局長松澤敏夫君登壇〕

○交通局長(松澤敏夫君)交通局の経営改革についてのご質問にお答えいたします。
 地下鉄やバスなど都営交通の経営は、乗客数の大幅な伸びが期待できない一方、民間事業者とのサービス競争が激化する中で、多額の累積欠損金を抱えるなど、大変厳しい状況が続いております。このため、現在、平成十六年度に策定しました三カ年の経営計画、チャレンジ二〇〇四に基づきまして、地下鉄各駅やバス営業所の民間委託などによる人件費コストの削減を初めとした経営の効率化を積極的に進めているところでございます。
 今後は、今回策定された行財政改革の新たな指針を踏まえまして、さらに民間並みの効率性を発揮するよう業務全般にわたる徹底した見直しを行うなど、局を挙げて経営の抜本的な改革に取り組んでまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕

○水道局長(御園良彦君)水道局の今後の経営改革についてのご質問にお答えいたします。
 水道事業は、都民生活と都市活動を支えるライフラインとして、安全性、安定性を最重要の事業運営方針としていくことはもとより、経営のさらなる効率性を追求していく必要があると認識しております。このため、平成十六年に東京水道経営プラン二〇〇四を策定し、首都東京にふさわしい水道サービスの実現に向けまして、民間委託の推進や職員定数の削減等に努め、効率的な経営を推進しております。
 今後は、行財政改革の新たな指針を踏まえまして、施設整備や全体的な水運用にかかわる計画策定など事業運営の根幹をなす業務につきましては、局がみずから行ってまいりますが、その他の業務につきましては、第三セクターや民間企業を積極的に活用するなど一層の効率化を進め、経営改革に取り組んでまいります。
 次に、随意契約の見直しについてでございますが、昨年度の包括外部監査における意見を受けまして、すべての随意契約について契約内容の精査を直ちに行い、競争入札の拡大を図ってまいりました。今後とも、受託市場の動向を勘案いたしまして、可能な限り競争入札を導入してまいります。
 しかしながら、民間に委託した定型業務に係る監督指導や全体的な水運用の調整など、事業運営上重要な業務につきましては、広域かつ一体的な運営の確保が強く求められます。こうした業務は競争入札により民間事業者に委託することは困難であると考えており、都の水道事業全般にわたるノウハウを有し、都が経営にしっかりと関与できる第三セクターを活用してまいります。
 このことによりまして、水道事業の安全性、安定性を確保するとともに、さらなる効率的な運営を実現してまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君)今後の経営改革についてのお尋ねでございますが、下水道事業は、多発する都市型水害への対応が求められているとともに、明治期の建設以来、時を経て老朽化が進みます施設の更新など、大きな課題を抱えております。このため、将来にわたり安定したサービスを提供し、都民生活の安全・安心を確保するとともに、現行の料金水準を維持していくことを目的として、経営計画二〇〇四を策定いたしました。
 現在、経営計画に基づきまして、徹底したコスト縮減や出張所業務の民間委託など、業務の効率化を進めております。策定された指針を踏まえまして、今後とも、さらなる業務の効率化などの経営改革に取り組んでまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)オリンピック招致に当たっての都民のコンセンサスについてのご質問にお答えいたします。
 都民から幅広いコンセンサスを得ることは、日本オリンピック委員会や国際オリンピック委員会における立候補都市の選考におきましても極めて重要な要素でございます。そのために都は、東京におけるオリンピックの開催について、今後積極的な広報活動や各種団体への働きかけを行い、より多くの都民、国民の共感、賛同を得て、オリンピック招致を実現してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)構造計算書問題など八点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンション居住者に対する経済的支援措置についてでございますが、今回の事態は、制度の構造、運用に根本的な問題があって生じたものであり、都は国に対し、国みずからの責任を明らかにするとともに、国が統一的支援のあり方を示すことが国の責任であるとして強く求めてきたところでございます。
 十一月三十日の都市整備委員会での対応は、そうしたことを考えてのことでありまして、消極的な対応ではないということを申し述べさせていただきます。
 そういうことでございますが、昨日、国は、住民の安全確保や生活の安定を図るため、転居費用や転居先家賃の助成など居住者に対する公的支援策を発表いたしました。
 公的支援を行うに当たりましては、国に設置されました構造計算書偽造問題対策連絡協議会において、転居費用や家賃の助成について、関係自治体間での統一的な取り扱いを検討することとされており、都としては、その中で国や区市と十分協議し、適切に対応してまいります。
 次に、確認検査機関に対する国の監督責任についてでございますが、指定確認検査制度は、建築物の違反取り締まりや検査の実効性を確保するため、平成十年の建築基準法の改正により導入されたものでありまして、民間機関の指定に当たり、建築物の安全性が低下することのないよう適切な指導をすることなどの附帯決議とともに、可決成立したものでございます。
 今回の問題の一因は、民間機関に対する国の指導が不十分であったことにあり、国の監督責任は極めて重いと考えます。都といたしましては、制度の信頼回復に向けて、国に対し、確認検査機関への監督強化など制度の改善を強く要望してまいります。
 次に、元請の設計事務所に対する立入検査の結果と今後の対応についてでございますが、立入検査は、今回の問題についての責任の所在を明確にし、再発を防止する上で重要なことと認識いたしております。
 このため、これまでに都に登録のある元請の設計事務所八社に対し、事情聴取と立入検査を完了いたしました。現在、その内容を精査中でございますが、法に抵触することが明らかになれば、厳正に処分いたします。今後とも、公正な建築行政の推進に積極的に努めてまいります。
 次に、建築確認検査制度の罰則強化についてでございますが、今回の構造設計にかかわる不正について、その再発を防止することは、建築物の安全性の確保にとって極めて重要でございます。
 現行制度では、設計者が法に抵触する行為を行った場合、五十万円以下の罰金とあわせ、建築士法上の行政処分により資格を取り消されることもございます。また、確認検査機関が法に抵触する行為を行った場合、業務の停止や指定の取り消しなどの処分の規定がございます。
 今回の事件の重要性を考え、都としては、確認検査制度の実効性確保の観点から、行政処分の一層の厳格化や罰則規定の強化を国に強く要望してまいります。
 次に、違反建築対策の強化についてでございますが、建築物の安全性を確保するためには、建築確認制度の適正な運用とともに、違反建築対策を強化し、建築規制の実効性を担保することが重要であると認識しております。
 都はこれまで、建築物安全安心実施計画を策定し、警察や消防との連携強化を図るなど、違反建築物の総合的対策を推進してまいりました。また、区や市と連携し、毎年、違反建築防止週間を設け、重点的な違反建築物の取り締まりを行ってきたところでございます。
 今回の問題を真摯に受けとめ、工事途中のパトロールを充実するなど違反建築対策に積極的に取り組み、建築物の安全性の確保を図ってまいります。
 次に、マンションの耐震強度の再点検についてでございますが、今回の一級建築士による構造計算書の偽造を設計段階、建築確認段階で見抜けなかったことで都民に与えた大きな不安は、一刻も早く解消しなければならないと考えます。都は、特定行政庁である区市と連携し、現在、姉歯建築士が関与したとされるマンション等について、総力を挙げて点検に取り組んでいるところでございます。
 都内で施工されたマンションの再点検につきましては、売り主などが社会的責任として行うことが望ましいと考えており、都として、このことを速やかに業界に要請してまいりたいと思っております。
 次に、耐震性に関する相談窓口の設置についてでございますが、建築物の強度につきましては、専門家によるわかりやすい説明を行うことが重要でございます。このため、現在、都及び多くの区市並びに建築関係団体等におきまして、専門の相談窓口を設置し、都民からの建築物に関する相談に当たっております。
 今後とも、これらの区市や建築関係団体等との連携を強化し、相談窓口の一層の充実を図りながら、都民が安心できるよう適切に対応してまいります。
 最後に、歴史的建造物の積極的な活用についてでございますが、東京には歴史と文化を今日に伝える数多くの建造物がございます。これらは、長く都民に親しまれ、都市に潤いをもたらす貴重な景観資源となっております。
 歴史的建造物につきましては、その保存はもとより、都市づくりや観光政策に活用することが重要でございます。このため、景観審議会の中間のまとめでは、都が情報を収集、発信し、所有者と利活用希望者をコーディネートする仕組みの検討について提言しております。
 今後、最終答申を受け、提言の具体化に向け取り組んでまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)豊島病院関係の二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊島病院の移管に関する板橋区との協議についてでございます。
 資産の取り扱いにとどまらず、運営形態や行政的医療の取り扱いなど、さまざまな観点から協議を積み重ね、結論を得るまでに長期間を要したことはご指摘のとおりでございます。
 しかし、一方では、協議の過程で、リハビリテーション医療の充実など具体的な地域のニーズも明らかになりました。今後の検討に当たりましては、これらの経緯を十分踏まえて対応してまいります。
 次に、今後の豊島病院の方向性についてでございますが、マスタープランで統合対象でございました老人医療センターとの関係も含めて、改めて検討する必要があると考えております。
 地域の要望にも配慮しながら、関係局と協議を行い、早急に結論を出してまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)まず、障害者自立支援法の施行に伴う低所得者への対応についてのお尋ねでございますが、障害者自立支援法では、負担の公平化と制度の安定的運営を図る観点から、一割の定率負担を原則としておりますが、その上で、月額負担上限額の設定や社会福祉法人が行うサービス提供についての減免措置の実施など、低所得者に対する配慮がなされているところでございます。
 今後、制度の実施に向けた国の動向を見きわめながら、サービスの利用状況等も踏まえ、都として適切に対処してまいります。
 次に、花粉症対策についてですが、花粉症の原因となる植物といたしましては、杉以外にも、稲科の植物や、ブタクサ、ヨモギなどが知られており、それぞれの花粉の飛散時期などに合わせ、適切な予防行動をとることが必要でございます。
 このため、都では、従前から、これらの植物の花粉飛散状況を年間を通じて観測し、そのデータを広く提供するとともに、予防、治療について保健所などでの相談対応や、パンフレット、ホームページによる普及啓発を行っております。
 今後とも花粉症の実態把握に努め、必要な情報提供を行うなど花粉症対策に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)障害者の就労について等三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者の一般就労拡大を図るための取り組みについてでございます。
 障害者雇用の促進は重要な課題でございまして、企業の障害者雇用に対する理解を促すとともに、企業の行う条件整備への支援が求められていると認識しております。また、障害の状況に応じて、医療や生活面も含めた関係機関の連携も必要でございます。
 都はこれまで、障害者雇用に関する理解の促進と、国が実施する賃金や施設整備に関する助成金など各種支援制度の周知に努めてまいりました。
 今後とも、関係機関と一層の連携を図り、障害者の一般就労の拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、花粉症対策における基金の設置についてでございます。
 花粉発生源対策では、杉の本格的な伐採を軌道に乗せることが不可欠でございます。一方、杉林の針広混交林化や花粉の少ない杉への転換は、長期にわたり計画的に進めることが肝要でございます。
 花粉症対策の一環として、都民共有の貴重な財産である森林を守り、子孫に受け継ぐ息の長い取り組みは、広く都民の理解に基づく都民運動として展開していく必要がございます。
 こうしたことから、将来にわたり花粉症対策を着実に進めるに当たり、多くの都民や企業の善意に支えられた基金を設置することは、有力な手法と考えております。
 最後に、木材の活用の積極的な推進についてでございます。
 現在の森林の荒廃と花粉の大量発生は、国産材の需要の低迷により、杉林が長期にわたり放置されてきたことに原因がございます。花粉の発生を抑制するとともに、本来の森林を取り戻すためには、何よりも杉の本格的な伐採を可能にする木材の需要の確保と拡大が不可欠でございます。
 このため、まず、公共の施設、事業が率先して木材を利用することが必要でありまして、今回設置いたしました花粉症対策本部の木材流通部会におきまして、さまざまな方策を検討してまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)横沢入地区の里山保全の取り組みについてのご質問でございます。
 里山保全地域は、森林や谷戸に人の手を入れ、里山の自然を回復し、活用を図っていこうとする地域でございます。
 当地域におきましては、都民、ボランティア団体、企業などと協働して、湿地や水田の復元、森林の間伐作業などの保全作業を実施していくほか、小中学生の環境学習や都民の農林業体験の場として利活用を図ってまいります。
 また、地元住民など関係者で構成される協議会を設けまして、具体的な保全方法の検討を行い、多くの都民と連携しながら、横沢入地区の里山保全に努めてまいります。

〇副議長(木内良明君)百七番中嶋義雄君。
   〔百七番中嶋義雄君登壇〕

○百七番(中嶋義雄君)都議会公明党を代表いたしまして、知事並びに関係局長に質問をいたしたいと思います。
 最初に、国と地方の税財政を見直す三位一体改革について伺いたいと思います。
 政府と地方六団体は、このほど補助金削減と税源移譲について正式に合意いたしましたが、内容は依然として問題があります。
 まず、地方の側が強く反発していた生活保護費削減を見送ったのは極めて当然であります。生活保護は、国が憲法で定めた国民の生存権を保障するための制度であり、国の責任で堅持すべきであります。ところが、今回、この生活保護費削減を見送ったことの代替措置として、児童扶養手当と児童手当の削減を打ち出してまいりました。
 児童扶養手当は、国の負担割合を現在の四分の三から三分の一に引き下げ、児童手当も三分の二から三分の一に引き下げられます。したがって、新たな財源移譲がなければ、一方的に地方の負担増を強いるものとなり、地方分権を推進する改革の趣旨に逆行いたします。少子化対策は、国の責任として取り組んでいくべき最も重要な政策テーマであります。児童扶養手当と児童手当については、必要な財源を間違いなく確保し、事業の推進を図るべきであります。所見を伺います。
 また、国土交通省の公営住宅家賃補助金が約六百二十億円削減されます。東京都など多くの公営住宅を抱えている自治体には影響が懸念されます。補助金が削減され、一般財源化されることによる家賃の上昇、また、家賃減免策や修繕、建てかえへの影響など、都の住宅政策を後退させてはなりません。今後とも財源確保に努め、都の住宅政策を拡充すべきであります。所見を伺います。
 今後も、いわゆる三位一体改革の議論が続きます。真の地方分権の達成、あるいは大都市行政の充実、都市再生のさらなる推進につながる議論となるよう、知事初め都当局の一層の努力を求め、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、いよいよ平成十八年度から実施される公会計制度改革について、とりわけ発生主義会計の適用による行財政改革について、提案を行いたいと思います。
 公会計に発生主義の考え方を適用することにより新たに生じる概念が減価償却であります。行政であれ、企業であれ、一たん取得した有形固定資産は、時の経過や施設の利用によって必ず減価してまいります。したがって、その有形固定資産の将来の更新をにらんで、各年度に必要な経費を配分していかなければなりません。これが減価償却費であります。こうして一般の企業では、支出を伴わない経費として減価償却費相当分を内部に留保することができ、その資金を資産の維持更新に活用することが可能であります。
 ところが、行政の場合は、利益を生むことを第一義としないため、減価償却を実施しても、維持更新のための資金を内部に留保することができません。行政は、民間の企業以上に、都庁舎を初めとする教育、福祉、医療等のさまざまな施設を保有しており、都民へのサービスを考えた場合、施設の適切な維持管理や更新は不可欠であります。しかし、現状では、その財源は特に手当てされておりません。
 一時的に多額の財源を捻出することが難しい昨今の財政事情を考えた場合、これでは教育、福祉、医療等のさまざまな施設の更新が困難になります。都民サービスを後退させないためにも、発生主義会計の活用策の一つとして、減価償却費相当分を各年度に積み立てる新たな仕組みを構築すべきであります。知事の所見を伺いたいと思います。
 次に、東京都独自の減税政策について伺います。
 東京都は、現在、新築住宅の取得を税制面から支援するため、平成十二年一月二日から平成十八年一月一日までの間に新築された二十三区内の住宅について、固定資産税及び都市計画税を三年度間減免いたしております。平成十七年度においても、減免対象件数は約二十八万件、減免額は二百三十億円を見込んでおります。これまでも、住宅建設の景気に与える影響等を考慮して、一年ごとに延長をしてまいりました。
 そのような中、たび重なる地震の被害とマンションなどの耐震構造設計偽装事件により、今日ほど都民の住宅耐震化への関心が高まっているときはありません。当然、新築住宅の耐震構造が強固になればなるほど、実は固定資産税や都市計画税の評価額も上昇することになり、都民への負担が増大いたします。
 都の財政状況、国の税制改正の動向、経済効果だけでなく、今、最も注目されている住宅の耐震化の観点からも、十八年度も引き続き、新築住宅の取得に際しての固定資産税及び都市計画税の減免を継続すべきであります。都の見解を伺いたいと思います。
 続いて、既に繰り返し出ておりますが、耐震構造設計偽装問題について伺います。
 今回の事件は、まず第一義的に、設計事務所を初めとする施主、施工者など関係者の倫理観の致命的な欠如が原因であります。現在進められている国、自治体の調査の徹底はもとより、司法当局の厳正な捜査、責任の追及が不可欠であります。さらに、被害者の救済策の確立を急ぎ、それとともに強力で効果的な再発防止策を早急に構築する必要があります。そうした観点から、以下、質問したいと思います。
 十一月二十一日、国土交通省は、震度五の地震によって倒壊のおそれがあるマンションやホテルが多数存在すると発表いたしました。これを受けて都議会公明党は直ちにプロジェクトチームを発足させ、二十四日には墨田区の該当マンションの緊急視察を行いました。その結果、まずはマンションの居住者の安全を守るために都民住宅等の提供を行うべきであると石原知事に申し入れを行い、翌二十五日、都が最大五百戸の都民住宅等のあっせんを行うと表明したことは、迅速な対応として高く評価したいと思います。
 昨日、政府は、構造計算書偽装問題について公的支援策を取りまとめました。さまざまな評価と判断は確かにございます。しかし、都は、この公的支援策を踏まえながら各区市と緊密に連携をとり、居住者の安全と居住の安定の確保に、まずは万全の対策を講ずるべきであります。知事の所見を伺います。
 被害者の支援に当たっては、きめの細かな配慮が必要であります。多額のローンを抱えた人などに対しては、国と協議して家賃負担の減免策を実施すべきであります。
 さらに、障害者や高齢者を有する家庭に対しては、福祉保健サービスと連携した支援策が必要であり、転居に伴う転校や保育園、幼稚園の再入所等に対しても、弾力的な支援策を区市と連携して実施すべきであります。都の見解を伺います。
 次に、こうした居住者の安全対策や事実確認のために、都が構造計算偽装問題対策本部を設置し、取り組みを開始していることは、当然のこととはいえ評価いたします。しかし、真相究明や再発防止策の検討を進めるためには、弁護士や建築士などの専門家を加えた第三者機関が必要であります。
 建築の専門家によると、建築確認の審査機関に構造設計がわかる専門家が極めて少なく、時には全くいない場合もあると指摘しておりました。また、構造設計は意匠設計士の下請にすぎず、立場が弱くなることもたびたびあるとも指摘をしておりました。さらに、設計士そのものが施主や施工者に対して下位に当たり、一つの仕事に一年以上拘束されながら、収入が四百万とか五百万のレベルにとどまることが少なくなく、このままでは設計士のモラルの低下から、いずれこのような事件が発生するのではないかと危惧していたともいっておりました。
 今回の事件の原因は、一部の悪質な建築業者の慣行や体質にまでさかのぼるかもしれず、専門家を含めた検討が不可欠であります。所見を伺います。
 また、建築士の責任を明確にするためには、確認をおろす際、構造の設計技術者の氏名を公表するよう制度を改めるべきであります。あわせて、民間の指定確認検査機関のあり方についても、根源から再検討すべきであります。所見を伺います。
 いわゆる経済的規制と安全・安心に関する社会的規制は、その取り扱いは当然異なるべきであります。社会的規制については、例えばヨーロッパの厳格な都市計画などを参考に、今後は改めて考え直すべきであります。
 特に安全・安心のまちづくり、防災に関心が高まっている現在、今後の都市計画や都市整備のあり方に対して、たとえ時間がかかっても根源的な検討を行うべきであります。経済的規制は、基本的には緩和の方向にありますが、安心・安全にかかわる社会的規制に対して、改めて都の見解を伺いたいと思います。
 次に、住宅、建築物の耐震対策について伺います。
 公明党は、さきの第三回定例会において、石原知事に対して、震災対策の最大の眼目は住宅の耐震化である、今こそ住宅の耐震助成制度を設けるべきであると訴えました。これを受け、石原知事は、初めて耐震化助成に取り組むことを明言されました。
 また、本年十月には、改正耐震改修促進法が成立し、国は、住宅、建築物の耐震化の目標を九〇%と定め、所有者等が耐震診断や耐震改修を行うための環境整備、負担軽減のための基本方針を定めるとしております。
 一方、都道府県に対しては、耐震改修促進計画の策定を義務づけており、いずれ都も促進計画を策定して目標を示し、具体策を実施していく必要があります。都の所見を伺いたいと思います。
 第二に、木造住宅の耐震化のための助成制度についてであります。
 大きな地震が発生した場合、木造住宅密集地域では多くの家屋が倒壊し、避難路が遮断され、救急活動等にも多大な支障を来すおそれがあります。そこで、これらの地域については、国の住宅・建築物耐震改修事業補助制度とともに地域住宅交付金制度を活用して、耐震診断、耐震改修事業を早期に推進する必要があります。実施主体である区に対して、都としても助成を行うべきでありますが、都の所見を伺いたいと思います。
 また、木密地域における建物の共同化が進展せず、細街路の解消やオープンスペースの確保が困難になっております。この問題の解決策の一つが、いわゆるテラスハウス型の建築物による住宅の共同化であります。これによって敷地の有効利用が促進され、かつ耐火壁を建設することにより耐震性も向上し、延焼防止にも効果を発揮いたします。早急に具体的な推進策を検討すべきであります。見解を伺います。
 第三に、学校や病院、百貨店などの多数の人が利用する建築物については、耐震性の状況を情報開示する仕組みを策定すべきであり、同様に、建築物の売買や賃貸借時に耐震診断の有無等について情報開示する仕組みが必要であります。あわせて見解を伺いたいと思います。
 関連して、特に病院の耐震対策について伺います。
 震災など大災害時には、病院における防災マニュアルの策定、災害医療を実施するスペースと機能の確保、さらに医師、看護師、職員の参集体制の整備、水、食料、医薬品などの備蓄、また発災後の時間の経過や被害者の状況に合わせた対応体制の整備などが強く求められています。こうした課題にこたえるために、まずは都は、都内の病院の耐震対応の状況を把握すべきであり、そのための実態調査を実施すべきであります。所見を伺いたいと思います。
 少なくとも公立病院と災害拠点病院については、都がマニュアルの内容や訓練の実施について点検し、必要に応じて改善を助言するような仕組みづくりが必要であります。あわせて所見を伺いたいと思います。
 次に、水害対策について質問いたします。
 本年九月四日、都内全域で約六千棟にも及ぶ集中豪雨による被害が出ました。広範囲にわたった浸水被害に対して、公明党は、再発防止対策を強く求めてきたところであります。今回の水害では、河川から離れた箇所での浸水被害が発生いたしました。これは、河川からの溢水による水害だけでなく、雨水を河川や下水道が吸収し切れないために発生する浸水被害、いわゆる内水被害が発生したことを意味しております。
 現在、河川、下水道ともに一時間五〇ミリの降雨に対応すべく整備が進められておりますが、河川の未改修区間に下水道から大量に水が放流されると、たちどころに洪水被害が発生します。したがって、下水道の河川への放流量には一定の制限が加えられています。そのため、既に河川改修が進み流下能力が向上しているにもかかわらず、五〇ミリ改修が完了していないことを理由に、下水道放流が三〇ミリに制限されている場合が存在いたします。これは再検討すべきであります。つまり、改修途中であっても、流下能力が高められた段階で、それに応じた制限の解除を行うなど、きめ細かな調整を進めることで被害の軽減が可能になります。局の見解を伺いたいと思います。
 河川の整備は、用地買収やさまざまな調整を経て、下流から徐々に進めていく事業であり、莫大な時間と費用がかかることはいうまでもありません。それだけに、着実に治水安全度を向上させるためには、河川整備の中長期的計画を見据えた上で具体的な事業方針を策定し、効率的に事業を進めていくべきであります。あわせて都の見解を伺いたいと思います。
 次に、アスベスト対策について質問いたします。
 有害廃棄物である飛散性アスベストが、依然として他県で処理されている不安定な状況の中で、今回発表されたセメントで固化して都の処分場で受け入れる方針は、技術が未成熟な現在の段階では最善の策といっても過言ではないと思います。
 本来なら、アスベストを高温で溶かして無害化することが、埋立地に負荷を与えず、有効利用できる最良、ベストの方法であります。しかし、技術の開発は決して容易ではなく、時間がかかります。有害廃棄物であるPCBにしても、三十年間も保管した後、ようやく最近処理が始まったばかりであります。国や産業界と連携し、一日も早くアスベストの無害化技術の開発を行うべきであります。技術開発の現状と今後の見通しを明示していただきたいと思います。
 また今後、環境局の調査結果のほかでも、改修工事中などにアスベストが発見される可能性が少なくありません。その場合、これに対する除去、処理に関するコストの問題が発生いたします。少なくとも都施行の工事等に関しては、都が責任を持って工期への配慮や費用負担を行うべきであります。都の所見を伺いたいと思います。
 次に、介護保険制度について質問したいと思います。
 介護保険制度については、要介護者の増加に対応して、サービスの質の向上や、より安定した制度の維持を図る観点から、必要な改正が本年行われたところであります。しかし、そうした中で、許しがたいのが、一部の悪質な事業者による介護報酬にまつわる不正であります。
 今年九月に厚生労働省が発表した調査結果によると、不正が指摘され、業者指定の取り消し等の対象となった事業所は、全国四十一都道府県で三百十三事業所に上っております。東京都においても、介護保険制度がスタートして以来、指定取り消し件数が十五事業所、返還請求総額は一億六千万円に達しております。
 改正介護保険法では、これまでの都道府県に加え、新たに区市町村にも、介護給付に関して疑義のある介護サービス事業者等に対し、立入調査権限を付与いたしました。
 そこで、第一に、法改正の趣旨を踏まえて、優良な事業者を正当に評価するためにも、早急に区市町村と連携した不正防止策の強化を行うべきであります。まず都の見解を伺います。
 第二に、今回の介護保険法の改正の中では、これまで無期限だった介護サービス事業者の指定に有効期間を設け、六年ごとの更新制が導入されました。また、新たに利用者の選択に資する事業者情報を公表する介護サービス情報の公表の仕組みが導入されます。サービスの質の向上を図るのみならず、不正を防止する観点からも、これらの新しい仕組みを効果的に活用すべきであります。都の所見を伺います。
 第三に、区市町村独自の不正防止対策への支援であります。
 不正請求防止対策を効果的に実施するためには、保険者である区市町村の主体的な取り組みが重要です。例えば足立区では、区独自に専門調査員を派遣して、介護サービスを利用している高齢者への訪問調査を行い、事業者の不正請求の発見に大きな効果があらわれたと聞いております。都としても、こうした区市町村の多様な取り組みを積極的に支援すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、介護保険におけるケアマネジメントについて質問いたします。
 明年四月から新たに予防給付制度が実施されることになります。今後は従来にも増して介護サービスの質の向上が求められ、そのためにはケアプランを作成するケアマネジャーの果たす役割が重要になってまいります。しかし、現状では解決すべき課題が少なくありません。
 ケアプランの大きな課題の一つが医療との連携であります。都は現在、ケアマネジャーがケアプランの作成について気軽に医師と相談できるよう、区市の医師会の協力を仰ぎ、ケアマネジャーからの電話相談を優先的に受け付けるケアマネタイム制度をモデル事業として実施し、好評を博しております。医師との良好な協力体制を築くことがどれほど困難か、多くのケアマネジャーが同様に口にする悩みであります。そこで都は、ケアマネジャーが適宜適切に医師の見解をケアプランの作成に反映できるよう、都内の全域でこのケアマネタイム事業を実施すべきであります。局の所見を伺いたいと思います。
 次に、ケアマネジメントの中立性、公正性を確保することが重要であります。
 都の調査によれば、都内の居宅介護支援事業所の実に九四%が介護サービス提供事業者に併設されております。このことが、自社サービスのみでケアプランを立てるサービスの囲い込みや、必要以上のサービスを組み込む利益優先の過剰なケアプランなどの温床になっているとの指摘があります。
 そして、その背景には、介護支援事業者の経営体力の脆弱性が存在いたします。厚生労働省の調査でも、介護支援事業者は飛び抜けた赤字を示しております。このような状況下では、ただひたすら数多くのケアプランをこなす以外になく、個々の利用者の状況に応じたケアプランの丁寧な作成も、あるいは利用者を訪問してサービスの利用状況を綿密にモニタリングすることも、法制度上は義務づけられているにもかかわらず、現実には実施することが困難であります。
 そこで、明年四月の介護サービス単価の見直しに際しては、ケアマネジャーの中立性、公正性を強化していくため、ケアマネジメント報酬の単価の見直しを強く国に要請すべきであります。局の所見を伺いたいと思います。
 次に、障害者福祉について質問いたします。
 さきの特別国会において、障害者の自立した地域生活を支援する障害者自立支援法が可決成立いたしました。この法律は、知的、身体、精神の三障害が縦割り状態にあった障害者福祉を一元化するものであります。
 しかし、障害者福祉サービスと自立支援医療に一割の定率負担が導入されることに対し、障害者の一部から不安の声が上がったことは事実であります。障害者は経済的基盤の弱い人が多く、収入が障害基礎年金と、いわゆる福祉的就労の工賃だけという人も少なくありません。また、企業等への一般就労も思うように進んでおりません。
 過日、この法律にかかわった厚労省の審議官がこのように話しておりました。この法律が通ったことで、いよいよ本格的に障害者の一般就労に力を入れなくてはなりません。厚生省と労働省が一体となった意味もそこにあります――全くそのとおりであります。事実の上で自立を支援していかなくてはなりません。今後は、一般就労への移行の取り組み等をより一層推進することにより、障害者の経済的基盤の強化と社会参加の道を積極的に切り開いていくことが重要であります。まず都の認識を伺いたいと思います。
 次に、自立支援医療についてであります。現在の精神通院公費医療、更生医療、育成医療は、新たに自立支援医療として自立支援法の中で位置づけられることになりました。家計に与える影響が大きいケースに対しては、所得に応じた負担上限が設定されるものの、原則としてここでも一割の定率負担となります。
 都はこれまで、独自に心身障害者医療や、精神障害者医療における低所得者対策などを実施し、更生医療や育成医療についても引き続き一定の配慮が行われることになっています。しかし、精神障害者の通院医療費公費助成については、低所得者対策の対象者が約五万人に上り、今後ともこの制度が維持されるのかどうか、多くの精神障害者が不安を感じております。都は、早急に新たな低所得者対策の具体的方策を明示し、不安解消に努めるべきであります。所見を伺います。
 次に、中小企業支援について伺います。
 現在、政府系金融機関の再編が議論されております。公明党からの強い要請もあり、中小零細企業に対する政策金融機能は堅持されることになりましたが、現状では一機関に統合される方向にあるようであります。しかし、統合後の新たな機関は、中小企業のみならず国際金融まで幅広い分野をカバーすることとなり、果たして十全な機能が発揮できるかどうか危惧があります。
 特に中小企業金融は、おのおのの企業の状況に応じて小口の融資を積み上げていく分野であり、きめ細かな対応が不可欠であります。また同時に、経営ノウハウが十分でない中小企業に対して、成長を促していくソフト面での経営支援が重要であります。政府系金融機関の再編問題に対して、こうした点への十分な配慮を強く求めたいと思います。
 そこで、中小企業の資金調達のセーフティーネットとして都の制度融資の役割がますます重要になり、制度の充実がより一層強く求められます。まず都の所見を伺います。
 一方、国は、現在の信用保証制度について見直しの動きを強めております。具体的には、部分保証等の導入や、保証料率の弾力化などが俎上に上っているそうであります。前者は銀行の貸し渋りにつながらないか心配であり、後者は企業の選別強化とならないか危惧があります。
 したがって、都は、こうした見直しに当たって、制度融資による中小企業への資金供給に支障を生じさせないよう、国に強く働きかけるべきであります。また、信用保証制度の改革による貸し渋り等の危惧に対して、都としても適切な対応策を講じるべきであります。所見を伺いたいと思います。
 なお、三位一体改革により、商工会議所等が実施する地域活性化事業の重要な財源である小規模企業等活性化補助金が、地方への税源移譲により廃止される方向にあります。しかし、国の動向はどうあれ、都は責任を持ってこれらの団体に対する支援を維持すべきであり、強く要望しておきます。
 さて、中小企業支援と表裏一体をなすのが雇用就業対策であります。とりわけ、若年者雇用の問題は重要であります。ニート、フリーターの問題に対しては、行政はもとより、関係者が連携して取り組むことが重要であります。最近では、NPO法人との連携により就業支援に乗り出している区も存在いたします。
 一般に、行政施策の対象としてはとらえにくい若年者に対して、NPOなどの民間団体を通じてのアプローチが効果的であると判断できます。都としても、若年者の就業支援に総力を挙げて取り組むべきであり、特に地域のNPOなどとの連携を今後は強化すべきであります。都の所見を伺いたいと思います。
 また、若年者の支援には、しごとセンターやさまざまな都の資産などを活用した総合的な仕組みが必要であり、そこで着目したいのが都内十六カ所の技術専門校であります。既に学校中退者などが訓練に励んでおりますが、これをさらに進めて、地域における若年者の就業支援の場として活用を検討すべきであります。都の見解を伺います。
 次に、学校における外部講師による専門教育について伺います。
 若者を取り巻く新たな課題に学校が適切に対応していくためには、教員の資質や指導力の向上はもとより、専門的な知識や能力を有する外部指導者が必要であります。
 先日、ある学校で実施した外部講師による授業の中で、フリーターと正規雇用では生涯賃金は幾ら違うのかという生徒への質問がありました。二百万円、二千万円、二億円という三つの解答の選択肢に対して、多くの生徒が二千万円と答えていましたが、実は正解が二億円という結果を聞いて、大変に生徒は驚いておりました。
 また、健康保険料を納めていないと、仮に風邪を引いただけでも負担が一万円に上るという話を聞いて、それほどお金がかかるのでは風邪も引けない、私は決してフリーターにはならないとの感想を漏らした子どももおりました。たった一時間の授業で、見事に仕事や健康保険に対する考え方が変化したのであります。
 公明党が提案した社会保険労務士による社会保険制度や年金制度についての授業は、このように着実に成果を上げております。こうした外部講師による授業を積極的に学校教育に取り入れていくことが必要であります。所見を伺います。
 次に、中学生の職場体験について伺います。
 都は現在、都内の公立中学校で年間五日間程度の職場体験を行うわくわくウイーク東京事業を実施しております。参加した生徒は、有意義だった、また参加したいなどの声が数多く上がっております。このわくわくウイーク東京の事業を拡大し、実施校をふやすべきであります。これについても所見を伺いたいと思います。
 次に、臨時的任用教員候補のデータベース化について伺います。
 公立学校においては、正規の教員が妊娠出産休暇や育児休業を取得する場合などに、その代替として臨時的任用教員が配置されますが、その臨時的任用教員を確保するための事務作業が大変膨大であり、副校長の大きな負担となっております。こうした副校長の負担を少しでも軽減するために、臨時的任用教員の名簿をデータベース化し、副校長が容易に検索できるシステムを開発すべきであります。見解を伺います。
 次に、都市農業の振興について伺います。
 東京の農地は、都市の潤い、防災性の向上、都民と農の触れ合いなど、都市にとって極めて貴重な空間であります。しかし、その都市の農地は、残念ながら年々大幅に減少いたしております。この十年で約二千ヘクタール、東京ドーム四百五十個分の都内の農地がなくなってしまいました。一方、宅地等に転用できない生産緑地は、最近は減少を示しておりませんが、各自治体による新たな生産緑地の指定はほとんどありません。
 農地の急速な減少の原因は二点であります。一点は生産緑地制度の欠陥であり、もう一点は税制度の欠陥であります。
 国は、本年九月から農地制度を改正し、生産緑地における定期借地権の設定を可能にしました。つまり、農家自身が市民農園を開設できるよう制度を変更しましたが、もう一方の問題である税制度の改正を伴っておりません。したがって、相続時に農地を他の農業者に貸している場合には、農地としての税の軽減が受けられず、重い税負担が発生します。このため市民農園はふえず、生産緑地の追加指定も滞っているのが実態であります。
 そこで、都は、東京の農地の急速な減少に歯どめをかけるため、今後の五年ないし十年ほどの期間を都市農業を沈滞から活性化に方向転換させる強化期間ととらえ、一方で、一千万都市という大消費地を擁する大都市東京の農業の強みを生かし、都市農業が抱える課題を整理して将来展望を示すべきであります。
 それと同時に、国に対する要望、提案を強化すべきであります。その第一は、五百平方メートル以上という生産緑地指定にかかわる面積要件の大幅緩和であります。そして第二には、農地内の必要な施設の設置を規制し、農業経営の企業化、法人化を阻む宅地並み課税や相続税などの税制度の改正であります。さらに、生産緑地指定の際の三十年間営農の要件緩和、農地貸与の制度化、営農を断念した場合の過重な課税制度の改正などを改めて国に強く求め、都市農地を守るべきであります。所見を伺います。
 また、農業従事者のすそ野の拡大も不可欠であります。現在、都内十五区市で三十五の農業体験農園が開設されていますが、この体験農場を通じて本格的に農業を目指す人が増加しております。多様な担い手の確保、あるいは育成という観点からも、こうした体験農業を都内全域に拡大すべきであります。
 あわせて、都は現在、都民のためのモニター農業研修を八王子の三宅島げんき農場跡地で実施していますが、ここで体験農園の修了者等を受け入れるなど、実践的農業研修の場として位置づけるべきであると考えます。見解を伺います。
 次に、三宅島の住宅再建について伺います。
 三宅島では、本年二月の避難指示が解除されてから、現在までに千二百世帯以上の村民が帰島し、今も火山ガスの排出が続く中、復興に向けて汗を流しています。しかし、子どもたちの学校などの都合によりこれから帰島する人や、また、家屋の改修などが人手不足のために大幅におくれている人も多数存在いたします。三宅島の生活再建は、いよいよこれからであるといっても決して過言ではありません。
 住宅の再建を支援するため、時限措置として都が独自に制定した東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の有効期限は来年の三月であります。このままでは、島の復興が完了しないまま支援が終わってしまうのではないかと心配する声が寄せられております。都の条例制定に当たっては、有効期間に関しては見直しを行うとの付帯決議が付されております。さらに、災害援護資金の申請期限も来年三月に迎えます。自民党からも要請が出ておりますが、三宅島の復興を完遂できるよう、住宅再建支援措置の適切な期限の延長が必要であります。所見を伺います。
 次に、小笠原空港対策について伺います。
 国土交通省と東京都は、東京と父島を十六時間で結ぶ高速航路として期待された超高速船テクノスーパーライナーへの支援を断念しました。TSL就航を待ち望んでいた小笠原村民ばかりでなく、多くの都民を失望させる結果となり、まことに残念であります。小笠原では、TSL就航により観光客がふえると期待し、借金までして民宿等を整備した村民もおり、融資の焦げつき等が心配されております。こうした事態が生じることのないよう、都は村と連携して的確に対応すべきであります。所見を伺います。
 また、公明党は、かねてから小笠原に空港を整備するよう主張してまいりましたが、TSL就航を断念せざるを得なくなった今日、都は早急に小笠原に空港を整備すべきであります。これは知事の所見を改めて伺いたいと思います。
 最後に、東京オリンピックについて伺います。
 公明党は、東京における二度目のオリンピック開催は、都市の再生、安全・安心のまちづくり、千客万来の観光都市東京などを実現する絶好のチャンスであると考え、賛成を表明しております。また、それに先立つ二〇〇七年には東京マラソン、二〇一三年には多摩国体が開催されるなど、大規模スポーツイベントが相次いで予定されております。
 一九六四年の東京オリンピックの際にも、都民の機運の盛り上げの一環として、第三回アジア競技大会を開催し、オリンピックに向けて、徐々に都民の熱意と一体感を高めていったことはよく知られております。東京オリンピック招致を実現させるためにも、多摩国体や東京マラソンを通じて都民の機運を盛り上げていくことが重要であります。所見を伺います。
 また、東京オリンピックの開催に当たり、成田、羽田空港とともに、首都圏の空港機能を補完し、国内外から民間飛行機を受け入れるため、横田飛行場についても早期の軍民共用化が必要であります。あわせて所見を伺います。
 費用などの面でオリンピックに慎重な意見もありますが、オリンピックへの投資にはすそ野の広い経済効果が見込めます。また今後、東京は徐々に都市施設の更新時期を迎えます。したがって、投資は不可避であります。
 かつて知事は、東京には都市計画がないと嘆かれましたが、そうであるならば、オリンピックを契機に、改めて明確な意思と目的を持って東京の都市計画を策定し、世界をリードする首都東京の近未来像を知事として提示すべきであります。
 安全・安心、快適、健康などのテーマは当然として、次代を開き、世界的モデルとなる成熟都市東京の展望を示していただきたいと思います。広大な海域、多摩の自然、集積した機能と文化、東京には素材は事欠きません。オリンピックと東京の都市構想について、さらにはその経済効果について知事の所見を伺い、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)中嶋義雄議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新たな公会計制度の活用についてでありますが、大概、日本のどの家庭にも家計簿があると思います。一種のバランスシートでありますけれども、国にこれがない、いかなる地方自治体にもこれがないというのは本当におかしな話でありまして、そういう意味でも複式簿記の導入というものを試みました。私は、経営感覚という民間企業では至極当然の意識というものを都庁に根づかせて、職員の一人一人が時間も含めてコスト意識というものを持ち、また金利感覚を持って行政運営を行うために公会計制度の改革を進めてまいりました。
 今後増大が見込まれる維持更新費用の財源確保のために、この改革の中でも明らかになる減価償却費という新たな情報を活用して、あらかじめ基金に財源を留保しておくことは大切な視点であると思っております。
 新たな公会計制度を導入する中で、その利点を実際に活用して初めて仏に魂が入るものでありまして、ご指摘の点も踏まえて、今後、活用策を十分に検討していきたいと思っております。
 次いで、構造計算書偽造問題にかかわる居住者支援についてでありますが、繰り返して申しましたけれども、今回の問題の背景は、国が指定した民間確認検査機関の審査に自治体が実質的には関与できない仕組みとなっていることでありまして、国による確認検査機関への指導監督はいかにも不十分であったこと、こうした中で当然起こった事件ともいえるようですが、国の責任は極めて重大であると思います。
 偽造の当事者や瑕疵担保責任を有する売り主は当然でありまして、元請の設計事務所や国の指定確認検査機関など、関係者の責任追及も必要だと思っております。
 しかしながら、繰り返して申しましたが、都としては、何よりも都民の生命の安全を確保する必要から、緊急措置として都民住宅などの活用を決定し、また固定資産税及び都市計画税の減免も決定いたしました。
 事件発生以来、国交省といろいろ接触がございましたが、都から国に対して、とにかく一刻も早く支援の統一的な見解を示すように求めてまいりました。それが昨日ああいう形で出てまいりましたが、基本的には都は非常に不満でありますけれども、しかし、先ほど申しました、地震があす来るかもしれないという実態の中で、都民の安全というものの確保のために、国の支援方策を踏まえながら、区市とも連携を図り、居住者の速やかな退去と円滑な生活再建に向け、必要な対策を講じていくつもりでございます。
 次いで、小笠原への空港整備についてでありますけれども、小笠原諸島は本土から非常に離れた離島でありまして、島民の生活の安定と観光振興を図る上で、交通アクセスの改善が大きな課題であります。今までも、緊急事態には自衛隊に協力してもらって急患を運んだりしておりましたが、いずれにしろ、観光のためにも、TSLが断念せざるを得ない状況になりました中で、新しい空港というものを積極的に考える時期に来たと思っております。
 私自身も、代議士時代、小笠原は選挙区でございましたので、何度も行きましていろいろなところを調べ、また友人の小型飛行機で、八丈で給油した後、小笠原と往復の飛行も二度ほどしたことがございますが、その代案としてTSLに期待してまいりましたけれども、これが挫折ということになりました。今後は航空路の開設ということで、これは自然環境との調和など解決すべき課題は多うございますが、小笠原の振興を図る上で重要な一つのかぎだと思っております。
 今後その実現に向け、所要の調査を行うなど、国と協力しながら検討を進めてまいりたいと思います。何といっても最大の問題は、環境省がどういう時点でこれを是とするかという、これが一つの大きなかぎになると思います。
 次いで、オリンピック招致に向けた都民の機運の盛り上げについてでありますが、オリンピックの招致を成功させるには、都民、国民の幅の広い共感や賛同も得、息の長い招致活動を重ねることが必要だと思います。中には、少数の方々は、オリンピックは要らないという人もいるかもしれません。私は、やはりこれは、国民のほとんどの方々がこの日本に必要なイベントであると理解してくださると思っております。
 東京国体や東京マラソンはその一つのプレイベントとして、スポーツの感動を改めて人々に与えるだけでなく、それによってオリンピックを支える一つの大きなモメントになると思います。大会にかかわる選手、ボランティア、都民などの交流、観光客の増加など、スポーツイベントの広範な魅力を都民が実感する機会となり、これがまたオリンピックに対する機運の盛り上がりにつながるものと思います。これらの大会をスポーツイベントとして成功に導いて、オリンピックの実現に向けた着実な踏み台として大いに機運を盛り上げていきたいと思っております。
 次いで、横田基地の軍民共用化でありますが、オリンピックのような国内外の大勢の人々の交流が行われるイベントには、人の移動を支える交通インフラの条件整備が必要不可欠であります。
 首都圏の航空需要は逼迫しておりまして、既に国内線もまたパンクをしてしまいました。何とか羽田の沖合展開も端緒につきましたが、しかし、それでもなお航空需要にとてもこたえることはできません。その点で、日本で一番長い、しかもほとんど使われていない滑走路を持つ横田の共用化は、オリンピックを待つことなく、今すぐにも実現しなくてはならない喫緊の国家的課題であると思います。にもかかわらず、米軍再編の動きに巻き込まれ、要らぬ回り道をさせられたことは、ちょっと国の認識不足によるものといわざるを得ません。
 しかし、先月渡米した折、国防総省のトランスフォーメーションの最高責任者のローレスと会いまして、長いこと話しましたが、米国もこの共用化については具体的な協議に応じる意向があるということを確認しましたし、日本の政府よりもむしろ米国の当事者の方が、今依頼しております一橋の学長の杉山さん、これは交通経済の専門家ですけれども、杉山委員会の答申を非常に注目して見守って、待ってくれておりますので、近々出るその答申を踏まえて、具体的にまず一体何便を飛ばすか、それによってどれだけの経済効果があるかということを国の内外に明示して、このプロジェクトを着実に展開していきたいと思っております。
 一刻も早く横田飛行場の民間航空利用を可能としまして、オリンピック開催時に十分活用できるようにするためにも、早急に具体的な協議を進め、軍民共用化の早期実現を達成するよう、改めて日米両政府に強く求めてまいります。
 次いで、オリンピックと東京の都市構想、経済効果についてでありますが、オリンピックを契機に、都市インフラの整備はもとより、自然環境の保全、都市景観の回復、治安の確保、観光や文化施策などを推進することは、二十一世紀にふさわしい大都市東京の創造に大きく寄与するものになると思っております。また、これらの施策を展開することによりまして、投資や消費の拡大、雇用の創出といった広範な経済への波及効果も期待できると思います。
 こうした都市の姿を一変させるオリンピックの力を、大都市東京の新たな発展のためにも大いに活用していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君)四点についてお答え申し上げます。
 まず、耐震構造設計の偽造問題に伴います子どもの転校等についてでございます。
 都教育委員会は、耐震構造設計偽造にかかわります建物に入居している幼児、児童生徒の転居に伴う転校等につきましては、弾力的かつ速やかに取り扱うよう、区市町村教育委員会に働きかけてまいります。
 次に、外部講師の導入についてでありますが、お話の社会保険労務士等、専門的な知識や能力を有する外部の人材を教育活動に生かすことは、教育内容や方法の充実、改善を図る上で極めて有効でございます。
 各学校は、それぞれの特色を生かしまして教育課程を編成し、年間の指導計画に基づきまして、必要に応じて専門家や地域の方々など多くの外部の人材を授業に招き、学習効果を上げております。
 今後、都教育委員会は、このような取り組みがさらに拡充するように、すぐれた実践事例等につきまして普及啓発を図るとともに、本年八月に設置いたしました、企業や経済団体、NPO団体などから成ります地域教育推進ネットワーク東京都協議会などと連携いたしまして、福祉関係者や伝統文化の継承者等、外部の人材を学校の教育活動に有効に活用していきたいと考えております。
 次に、中学生の職場体験についてでございます。
 中学生の職場体験、お話のわくわくウイーク東京、これは生徒に望ましい社会性や勤労観、職業観を育成しまして、自立や社会参加を促す上で極めて重要な教育活動でございます。
 今年度、都内公立中学校三百四校で、地域の商店や工場、福祉施設等を受け入れ先といたしまして、生徒が一日から五日間の職場体験に取り組んでおりまして、このうち杉並区、江戸川区、町田市など八十二の学校では、連続五日間の実施をしております。本事業は、生徒に働くことの大切さや厳しさを体験させるとともに、社会の一員としての自覚を促すなど成果を上げております。
 今後、都教育委員会は、関係部局と連携の上、体験発表会を開催するなど、広く本事業の普及啓発を図りながら実施校を拡大してまいりまして、平成二十年度までに都内全公立中学校で五日間の職場体験の実施を目指してまいります。
 次に、臨時的任用教員の候補者名簿のデータベース化についてでございます。
 臨時的任用教員の採用に当たりましては、都立学校の副校長や区市町村教育委員会の担当者が新宿あるいは立川の庁舎に出向きまして、私ども都教育委員会が保管しております候補者名簿を検索しておりまして、必要な情報を収集するまでに相当長時間を要しているのが実情でございます。お話のように、これら一連の業務は担当者にとって大きな負担となっておりますので、早急に改善すべき課題と認識しております。
 このため、都教育委員会といたしましては、候補者名簿をデータベース化いたしまして、都立学校はもとより、区市町村教育委員会においても活用が可能となるよう、インターネットによる検索システムを来年度早期に稼働できるよう取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)介護保険制度など十二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、児童手当及び児童扶養手当についてでございますが、これらの手当は、次代の社会を担う子どもの健全な育成や資質の向上を図るとともに、母子家庭などの生活を支える上で大切な役割を果たしております。少子化が急速に進行する中、子育て家庭に対するこうした経済的支援は、国の主要な政策課題の一つとして、制度設計はもとより、その財源確保については国が責任を持って行うべきものでございます。
 今後、必要な財源について確保するよう国に対して強く要望するとともに、都としても確実な事業実施に努めてまいります。
 次に、構造計算書偽造による転居者への対応についてですが、高齢者や障害者の中には、生活の場を移すことにより、ホームヘルプサービスやデイサービスなどについて、事業者やサービスを利用する場を変更せざるを得ない状況が生じることは認識しております。また、子どもを抱える家庭では、保育所の再入所が必要なケースも想定されております。こうした場合にあっても、転居を余儀なくされる方々の日常生活に支障が生じることのないよう、関係区市町村に要請してまいります。
 次に、都内病院の防災対策についてでございますが、都は、都内すべての病院がみずから防災対策に取り組めるよう、標準的な防災訓練マニュアルや施設設備自己点検チェックリストを配布するほか、防災訓練説明会などを通じまして災害発生時の適切な対応を指導し、防災訓練の実施状況などについて報告を求めてまいりました。
 今後、都内病院の災害発生時の対応を一層向上させるためには、各病院のマニュアルの内容などについてより詳細な把握が必要でございますので、東京都医師会の協力を得て調査を実施してまいります。
 次に、災害拠点病院などの防災対策についてでございますが、都はこれまで、災害発生時の医療体制の中核を担う災害拠点病院を指定し、自家発電装置や受水槽、耐震補強などの施設整備補助を行ってまいりました。また、防災訓練の実施状況や備蓄資器材の点検結果等について報告を求め、防災対策の確認も行ってまいりました。
 今後、公立病院や災害拠点病院に関しましては、先ほど申し上げた調査を通じてマニュアルの内容や訓練の状況を点検した上で、毎年開催しております災害拠点病院連絡会を初め、さまざまな機会を通じて改善点についての助言を行うなど、各病院が一層実効性ある対策を確立できるよう、指導を徹底してまいります。
 次に、介護サービス事業者への指導強化についてでございますが、都はこれまでも区市町村と連携して、事業者への法令遵守の徹底や不正防止対策に努めるとともに、区市町村が行う事業者への指導、調査権限を強化するよう、国に対し提案してまいりました。今回の法改正では、この提案の趣旨に沿いまして、区市町村に立入調査権が付与されたところでございます。
 都は、区市町村が効果的に指導、調査をできるよう、不正事例についての情報交換を初め、共通のチェックリストを今年度内に作成するなど、必要な支援を行ってまいりますが、さらに、都と区市町村との合同による指導検査の実施についても検討を進めているところでございます。
 今後とも、広く不正防止の徹底に向け、このチェックリストを活用し、区市町村と連携して事業者を強力に指導してまいります。
 次に、不正防止への新たな仕組みの活用についてでございますが、都は、今回の法改正により導入された事業者指定の更新に当たっては、指導検査結果や苦情等の情報も活用いたしまして、人員、設備などの基準への適合性を厳格に審査いたします。
 また、来年度からの実施に向けて準備を進めている介護サービス情報の公表事業は、都内の全介護サービス事業者を対象に、毎年一回、指定調査機関が調査を行い、その結果を公表する点において利用者の選択に資するとともに、事業者の不正を抑止する上でも有効なものと考えております。
 今後とも、こうしたさまざまな取り組みを通じまして、実効性のある不正防止対策を推進してまいります。
 次に、区市町村の独自の不正防止対策についてでございますが、不正請求などを防止していくためには、都の指導検査の充実とともに、保険者である区市町村が、地域の実情を踏まえ、創意工夫を凝らした多様な取り組みを進めることが重要でございます。
 今回の介護保険法の改正により創設される地域支援事業におきましては、区市町村は、介護給付等に要する費用の適正化のための事業を行うことができるものとされました。都としては、法改正の趣旨も踏まえ、お話の専門調査員による実地調査など、不正防止に関する区市町村の主体的な取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、介護保険のケアマネジメントにおける医療との連携についてでございます。
 ケアマネジャーが適切なケアマネジメントを行う上で主治医との連携強化を図ることは大変重要でございまして、このため、都は昨年度、都内の三区市において、医師がケアマネジャーと相談を行う時間帯をケアマネタイムとして設定いたしまして、これを公表する取り組みをモデル実施いたしましたところ、ケアプランの改善が円滑に進むなど、その有効性が実証されたところでございます。
 今年度はさらに医師会との調整を進め、十六区市町村で実施予定でございますが、今後、全区市町村に拡大するよう、普及に努めてまいります。
 次に、ケアマネジメントの公正、中立性の確保についてでございますが、都は先月、国に対し、来年四月の介護報酬等の改定に向けた提案要求を行いました。その中で、公正、中立で質の高い利用者本位のケアマネジメントの実現を図る観点から、適切な報酬水準を確保した上で、ケアマネジャー一人当たりの担当件数を減らすことや、サービス提供事業者から経営的に独立している居宅介護支援事業者を介護報酬上優遇すべきことなどを求めております。
 今後、こうした提案内容の実現に向け、強く国へ働きかけてまいります。
 次に、障害者の一般就労への移行についてでございますが、障害者自立支援法におきましては、一般就労へ移行することを目的とした事業を創設するなど、働く意欲と能力のある障害者が企業などで働けるよう、支援を強化することとしております。
 都はこれまでも、独自に区市町村障害者就労支援事業などを実施し、希望する障害者が一般就労へ移行できるよう積極的に支援してきたところでございますが、今後とも本事業の拡充に努めるとともに、本年度から新たに開始いたしました企業への通所による授産事業などの取り組みを展開いたしまして、障害者がより働きやすい社会の実現を目指してまいります。
 次に、精神障害者の通院医療費公費負担についてでございますが、この制度は、精神障害者が地域で安定した生活を送る上で極めて重要な医療的サポートでございまして、都はこれまでも独自の負担軽減を行ってまいりました。
 通院医療費公費負担は、障害者自立支援法では自立支援医療として位置づけられまして、一割の定率負担を原則としつつ、低所得者等に対しては月額負担上限額を設定するなど、一定の配慮がなされております。
 都としては、自立支援医療が精神障害者の地域での安定した生活に果たす役割の重要性を考慮いたしまして、住民税非課税世帯に対して負担増加とならないよう、独自の負担軽減策を検討しております。
 最後に、三宅島の住宅再建に対する支援策についてでございますが、三宅村の発表によれば、避難指示解除以降、千二百四十七世帯の方々が帰島されておりますが、諸事情から帰島されていない方もいまだ多いとのことでございます。また、島内の技術者や資材の不足などから、住宅の改修等が思うように進んでいないという事実もございます。このため、先月末現在で、被災者帰島生活再建支援金の申請実績は、当初想定しておりました千三百世帯の四割に満たないのが現状でございます。
 このような状況や都議会における付帯決議なども踏まえまして、条例の有効期限の延長の実施について検討していくとともに、災害援護資金の申請期限の延長についても国と協議してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)構造計算書偽造問題及び建築物の耐震対策など九点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅政策についてでございますが、三位一体改革の中で、公営住宅家賃対策補助金が削減され、税源移譲とする方向で政府・与党が合意いたしました。詳細につきましてはまだ不明確なところがございますが、住宅は都民生活の重要な基盤であると認識しており、都営住宅入居者が安心して居住できるよう、引き続き必要な施策を講じてまいります。
 今後とも、公的住宅を初め住宅セーフティーネット機能の充実に努めるなど、住宅政策の積極的な展開を図ってまいります。
 次に、構造計算書偽造問題にかかわるマンション居住者に対する経済的支援措置についてでございますが、今回の事態は、制度の構造、運用に根幹的な問題があって生じたものでありまして、都は国に対し、国みずからの責任を明らかにするとともに、国が統一的支援のあり方を示すことが国の責任であるとして、強くこれを求めてまいりました。昨日、国は、住民の安全確保や生活の安定を図るため、転居費用や転居先家賃の助成など、居住者に対する公的支援策を発表いたしました。
 公的支援を行うに当たりましては、国に設置されました構造計算書偽造問題対策連絡協議会において、転居費用や家賃の助成について関係自治体間での統一的な取り扱いを検討することとされており、都といたしましては、その中で国や区市と十分協議し、適切に対応してまいります。
 次に、偽造問題に対する第三者的な調査機関の設置についてでございますが、今回の偽造問題におきましては、都民の安全確保のため、国や特定行政庁である区市と連携し、機動的な対応を図っていくことが何よりも重要でございます。そのため、都は十一月二十一日、局内に構造計算書偽造問題対策本部を設置し、元請設計事務所への立入検査や都民住宅等への受け入れなどを行ってまいりました。
 第三者機関の設置につきましては、国において法改正等を行う際には極めて有効であると考えます。実務を担当しております都におきましては、現場を熟知している建築士の資格を持つ職員や顧問弁護士等を十分活用しながら、構造計算書偽造の真相解明や再発防止策の検討に全力で取り組んでまいります。
 次に、構造設計者の氏名公表と民間の確認検査機関のあり方についてでございますが、元請設計者の氏名につきましては、建築計画概要書の閲覧制度や工事現場の表示板により知ることができるようになっております。一方、下請の構造設計者につきましては、閲覧制度等の対象外となっておりますが、構造設計に対する責任の所在を明確にするため、氏名の公表は必要であると考えます。
 また、民間の確認検査機関のうち、国が指定した確認検査機関に対しましては、都の指導監督権が及ばないほか、確認検査機関の審査に自治体が関与できない仕組みとなっております。
 都といたしましては、構造設計者の氏名公表と指定確認検査機関への監督強化などについて、国の責任において徹底的な制度の検証と見直しを行うよう強く求めてまいります。
 次に、安全・安心の都市づくりについてでございますが、東京を災害に強いまちにしていくことは、都市づくりの最も基本的な課題でございます。
 都は、これまで、避難場所の確保や個々の建築物の耐震性及び耐火性の向上に取り組んでまいりましたが、地域全体として見た場合、例えば木造住宅密集地域では、いまだ危険な建物も多く、また、道路等の公共空間が不十分なこともあって、必ずしも安全なまちとなっていないのが実情であります。
 このため、今後、延焼遮断帯となる幹線道路と周辺市街地を一体的に整備することや、細分化された敷地を統合しながら共同化を段階的に行う街区再編まちづくり制度、あるいは細街路の整備を促進する地区計画などを積極的に活用してまいります。
 こうした都市整備の施策を重層的に講じていくことで、都民の生命、財産を守る安全・安心のまちづくりが実現されると考えます。
 次に、建築物の耐震対策に関する耐震改修促進計画の策定についてでございますが、地震による建築物の倒壊等の被害から都民の生命を守るためには、建築物の耐震改修を促進することが重要であると認識しております。このため、都は、平成十二年に耐震改修促進実施計画を策定し、耐震化の促進に取り組んでまいりました。
 今回の法改正を踏まえ、耐震化の目標や、優先的に指導を行う建築物等を明らかにし、平成十八年度の早期に耐震改修促進計画として策定する予定でございます。今後とも、区市等と連携を図りながら、地震に強いまちづくりを着実に推進してまいります。
 次に、耐震診断、耐震改修の助成についてでございますが、木造住宅密集地域などにおきまして木造住宅の耐震化を進めることは、都市防災を進める上で極めて重要でございます。
 このため、都は、建物の倒壊による道路閉塞を防止するなど公共性の高い地域を対象に、国の補助事業や交付金制度を活用して耐震診断や耐震改修に関する助成事業を行う区に対し、新たに助成を行うことを検討しております。
 次に、テラスハウス型建築物による共同化の推進についてでございますが、木密地域における建物の共同化は、耐震性の向上や延焼防止に効果があると認識しており、ご指摘のテラスハウス型建築物による共同化も、防災性向上の観点から有効な方策の一つと考えております。一方、建物の共同化には、合意形成の困難性や事業採算性の確保など、多くの課題がございます。
 今後は、こうした課題解決に効果的な街区再編まちづくり制度や密集市街地整備法に基づく防災街区整備事業などの多様な手法を活用し、建物の共同化を一層進めて、地域の防災性の向上を図ってまいります。
 最後に、建築物の耐震性に関する情報開示についてでございますが、耐震性の情報を提供することは、都民に安心感を与えるとともに、建築物の所有者の耐震化に対する意識を高めるものと考えております。このため、都は、病院や百貨店など多数の人が利用する建築物のうち、一定レベル以上の改修を実施した建築物に対し改修済み証を交付し、建築物への掲示を指導しております。
 今後は、これらに加え、都の耐震化の指示に従わない場合には、その内容を公表することも検討してまいります。
 また、建築物の売買や賃貸借時の情報開示につきましては、現在、国において、契約に際し宅地建物取引業者が交付する重要事項説明書の中に、耐震診断の有無及び耐震性の状況について記載することを検討しているところでございます。
 都といたしましては、国の動向を踏まえ、都民への情報提供について適切に対応してまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君)新築住宅に係る固定資産税等の減免についてお答え申し上げます。
 新築住宅に係る減免は、景気対策及び良質な住宅ストック形成に資することを目的といたしまして、平成十二年度に三年度間の時限措置として創設したものでございます。この措置の継続につきましては、適用期限到来後におきまして景気に与える影響等を考慮いたしまして、一年ごとに減免措置を延長しているものでございます。
 なお、新築住宅への建てかえにつきましては、耐震化にも寄与するものと考えております。
 来年度の取り扱いにつきましては、その経済効果、景気動向、都の財政状況等を勘案いたしまして、今後、積極的に検討してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君)水害対策に関する二点のご質問にお答えします。
 まず、下水道から河川への雨水の放流についてでございますが、河川の整備は、原則として下流から順次進めておりまして、下水道からの放流につきましては、それぞれの河川の整備状況を十分考慮して対応する必要がございます。このため、これまでも、護岸の改修や調節池の設置など、河川整備の進捗に応じ放流量の調整を行ってまいりました。
 今後は、さらに、個々の水害の発生状況も踏まえ、河川と下水道とが緊密に連携し、お話しのように、放流量につきましては、よりきめ細かく調整を行い、流域の水害の軽減に努めてまいります。
 次に、今後の河川整備の進め方についてでございますが、都では、四十六河川、三百二十四キロを対象に、一時間五〇ミリの降雨に対応する河川整備を進めております。中でも、神田川や空堀川など、浸水被害が多く、流域の市街化の進展が著しい十三河川を重点河川と位置づけ、整備しております。
 今後、妙正寺川などにおきまして河川激甚災害対策特別緊急事業を着実に進めるとともに、これまでの集中豪雨による浸水被害や整備効果などの検証を行うなど、ご提案の趣旨も踏まえ、五〇ミリ対策をより効果的に進めるための整備方針を検討してまいります。
 あわせて、浸水予想区域図の拡充などソフト対策も進め、都民生活の安全確保に積極的に取り組んでまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕

○環境局長(大橋久夫君)飛散性アスベスト廃棄物の処理についてのご質問にお答えいたします。
 安全で安定的にアスベスト廃棄物を無害化処理していくためには、信頼性の高い技術の開発が必要であります。
 現在、他県において、飛散性アスベスト廃棄物を溶融処理している民間の施設がありますが、処理能力や技術的にも課題が多いと聞いております。
 こうした中で、民間の研究機関等において、飛散性アスベスト廃棄物の無害化に関する研究開発が進められておりますが、今後、都においても、処理方法などについて調査研究を重ね、国や産業界などと連携して、できるだけ早い時期に無害化処理が実現できるよう努めてまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕

○財務局長(谷川健次君)工事中のアスベストの処理についてでございますが、改修、解体時のアスベスト除去工事においては、周辺への飛散防止と作業従事者の安全確保が重要であり、その対策に万全を期しているところでございます。
 また、工事中に新たにアスベストが確認された場合は、こうした対策に加え、その処理に要する工事費の増額や、必要に応じた工期の変更を行っております。
 今後とも、工事に伴うアスベスト処理については適切に対応してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)中小企業支援等六点のご質問にお答えいたします。
 まず、制度融資についてでございますが、国におきましては、政府系金融機関の大幅な整理統合等を進める方針でありますが、これが中小企業に対する資金供給の縮小や経営支援機能の後退につながらないよう、今後の動きを注視してまいります。
 このような状況の中で、中小企業金融を担うもう一つの公的金融システムである都の制度融資につきましては、中小企業を金融面から支えるものとして、その役割は、ご指摘のように、一層重要なものになると考えております。このため、資金調達力が脆弱な中小企業への円滑な資金供給の確保など、制度融資のセーフティーネット機能の一層の充実に努めてまいります。
 次に、信用補完制度の見直しについてでございますが、国において検討されております部分保証等の導入は、金融機関に適切な責任分担を求めるものでありますが、一方で、貸出姿勢の消極化を招くことも懸念されるところでございます。また、保証料率の弾力化により、個々の中小企業の経営状況によって保証料に差異が生じることとなり、企業の経営状況によっては保証料負担が増加する場合も想定されます。このため、制度見直しに当たりましては、経営基盤が脆弱な中小企業に悪影響が生じないよう十分に配慮すべきことを引き続き国に強く求めてまいります。
 また、都といたしましても、中小企業の資金調達に支障が生じないよう、信用保証協会とも協力しながら、適切な対応に努めてまいります。
 次に、若年者就業支援におけるNPO等との連携についてでございますが、若年者の就業支援には、都や国、区市町村、NPO等の民間団体など関係者の総力を挙げた取り組みが必要でございます。都におきましては、若年者就業推進を産業力強化会議の課題として位置づけ、今後、各局が連携して取り組むほか、経済団体や教育機関等を交えた協議の場の設置も検討しております。
 また、いわゆるニートなど就業経験の少ない若年者には、NPO等が実施する、就労に向けた基礎訓練などが効果を上げておりまして、これらの団体との連携が必要と認識しております。
 今後、新たにNPO団体等と幅広く意見交換を進め、事業の具体化に向け検討してまいります。
 次に、技術専門校を活用した若年者の就業支援についてでございます。
 ご指摘のように、若年者の就業支援のためには、関係者との連携に加え、技術専門校や職業訓練のノウハウなど、都が保有します有形無形の資産の有効活用が不可欠であると考えております。現在、技術専門校におきましては、高校中退者等を対象とした訓練、アルバイトなどで働く若年者向け訓練など、いわゆるフリーター、ニートなどの若年者に効果が期待できる新たな職業訓練の実施を検討しております。
 今後は、このような取り組みなどを通じて、NPOやしごとセンターのカウンセリング機能等との連携のもと、地域における若年者就業支援の場として技術専門校の一層の活用を図ってまいります。
 次に、都の農業振興策及び国への要望等についてでございます。
 東京の農業は、宅地化に伴う生産環境の悪化や高い地価など、他の都市とは異なる固有の課題がございます。一方、東京の農業には、大消費地の中で営まれるというメリットがありまして、直売所の設置による地産地消や、減農薬栽培による安全・安心の追求など、独自の事業を実施しております。
 今後とも、農業者や農業団体等の意見を踏まえ、振興施策の充実を図るとともに、東京の特性に即した新たな展望を切り開いてまいります。
 また、ご指摘のとおり、農地を保全するためには、生産緑地制度や相続税納税猶予制度などにつきまして、都の実情に即した制度となるよう、関係省庁に粘り強く制度の改正を求めてまいります。
 最後に、体験農園の拡大と実践的農業研修についてでございますが、体験農園は、農と触れ合う機会の提供や、新たな担い手の確保、育成の契機となるなど、多様な利点がございます。このため、区市町村や農業団体等と連携し、普及を図ってまいりましたが、今後ともさらなる拡大に努めてまいります。
 また、都民のためのモニター農業研修は、農業ボランティアや本格的な就農希望者等を対象に、みずから耕作できる技術を持った人材を育成するため、八王子市の三宅島げんき農場跡地でモデル事業として実施しているところでございます。
 今後、この成果を踏まえまして、多様な担い手を確保、育成していくための実践的農業研修の場として位置づけていきたいと考えております。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)TSLの就航断念に伴う対応についてお答えをいたします。
 小笠原村では、TSLの就航を見込みまして宿泊施設等の整備が進められてきました。
 お話しの融資に関しましては、村が村民に対する利子補給等を実施しておりまして、これまでに二十件の申請があったと承知をしております。
 村民への影響につきましては、現在、村を通じまして実情の把握に努めており、都といたしましては、村と連携しながら、必要な対応策について具体的な検討を始めております。
 また、整備されました宿泊施設、飲食店等が有効に活用されるよう、村及び関係機関と連携しつつ、観光客の増加に向けた振興策に取り組んでまいります。

○副議長(木内良明君)この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時十六分休憩

   午後六時三十一分開議

○議長(川島忠一君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百四番曽根はじめ君。
   〔百四番曽根はじめ君登壇〕

○百四番(曽根はじめ君)日本共産党を代表して質問します。
 今、都民の中に貧困と格差が増大しています。
 東京の生活保護は、九五年の九万六千人から十九万人へと増大しています。就学援助は、この六年間に一・三倍にふえて、小中学生の二四%に達し、都立高校の授業料減免も、九九年の四・九%から、昨年度は一二・四%に激増しています。無職高齢者世帯の実収入は、二〇〇〇年からの四年間で月四万八千円も減り、さらに減り続けています。九七年に約一割だった貯金ゼロの人が、今では二四%、三十代の四人に一人、二十代では四割近くが貯蓄ゼロです。
 国民生活白書は、九七年を境にすべての年齢で所得格差が開いており、パート、アルバイトが増加している若年層で顕著だと指摘しています。
 こうした貧困層と社会的格差の広がりは、小泉構造改革による新自由主義経済路線で大企業の利潤追求を最優先し、規制緩和万能、市場原理主義、弱肉強食を進める政策をとってきたことにその原因があります。
 しかも、暮らしを支えるべき社会保障は、連続改悪によって、人間らしく暮らす権利すら奪われつつあります。勝ち組、負け組を当然視し、子どもや高齢者の虐待、犯罪の増加など社会の病理現象が広がっています。知事は、貧困と格差が広がっている現状をどう認識しているのですか。
 石原知事は、いたずらに結果の平等を追求するのではなく、自由な競争を保障する、すなわち機会の平等を重視することが必要といって都政を進めてきました。その結果、富める者はますます富を拡大する一方、圧倒的多数の都民は所得を減らし、貧困が拡大する格差社会が進行しています。貧困層は機会の平等すら奪われ、階級社会が固定化してきているという指摘も行われています。
 知事、自立自助や競争原理などを殊さら強調し、都民への支援を縮小、廃止することはやめて、都政が都民の貧困と格差の是正に全力を尽くすことが求められています。所見を伺います。
 例えば、来年四月には介護保険料の大幅値上げが予定されており、島しょでは月額七千円にはね上がるところさえあります。わずかな年金収入のお年寄りにとって耐えがたい負担です。今こそ介護保険料の減免に踏み出すこと、島しょを初め介護保険料が特に高くなってしまう自治体に個別支援も必要だと考えますが、答弁を求めます。
 若者の失業率は他の世代の二倍と高く、東京の二十歳代前半の非正社員は、九七年の三七%から、二〇〇二年には四六%と急増しました。見過ごせないことは、月収十万円程度の低賃金や平均十一時間を超えるような長時間労働、さらに一方的な解雇や雇いどめ、短期契約の雇用を反復するなど、無法状態が広がっていることです。
 職場における無法状態を一掃し、若者の生活と雇用を守るために、都として、サービス残業の一掃はもちろん、若者の正規雇用の拡大や、まともな雇用のルール確立などを経済団体にも求めるべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、今、政府税調が定率減税の廃止などサラリーマン大増税を打ち出し、政府・自民党と民主党によって、消費税の二けた増税の方向が強まっています。強行されれば、合わせて二十四兆円という空前の庶民増税となり、年収五百万円の世帯では一カ月分の給与が吹き飛びます。
 知事は、サラリーマン増税など庶民増税が都民の暮らしや経済に与える影響についてどう認識していますか。私は、知事が国に対して定率減税を継続するよう求めるべきと考えますが、見解を伺います。
 私がとりわけ重大だと思うのは、石原知事が十月二十八日の記者会見で、消費税の増税について、やっぱり消費税をやる以外にないと思いますね、これは一番公平な税じゃないですかなどと、増税を後押しする発言を行ったことです。消費税が一番公平な税どころか、庶民にとって最も不公平な税制であり、逆累進性が強いということは政府でさえ認めざるを得ない事実じゃありませんか。ましてや、買いたくなきゃ買わなければいいなどとよくいえたものです。
 知事、記者会見での消費税に関するこの発言を撤回し、庶民の暮らしを守る立場にきっぱりと立つことを求めるものですが、答弁願います。
 今、日本の税収をゆがめている最大の問題は、大企業法人税に対する恒久的減税に手がつけられていないことです。大企業は、バブルの時期を上回る史上最高の利益を享受しており、都政が行うべきは、これらの大企業に適正な負担を求めることではありませんか。多くのマスコミも、今、好景気に沸く大企業は優遇され続け、サラリーマンにはひとしく大増税が待っている、増税するというなら、むしろ法人税だと書いています。
 東京都は、大企業への恒久減税などで三千億円もの減収を強いられています。知事は、こうしたゆがんだ現状をどう認識していますか。大企業への恒久減税をやめ、適正な課税を国に求めるべきです。
 また、都として、一千五百億円の増収が可能となる大企業への法人事業税の法定限度額までの引き上げを初め、大きな利益を上げながらわずかな税金しか納めていない大企業に対し適正に課税できる制度を検討し、都民施策を充実すべきです。あわせてお答え願います。
 私は、貧困と格差が広がっている今こそ、都政が都民の暮らしを守るために力を尽くすべきとの立場から、以下、問題を絞って質問します。
 政府・与党は、先日、七十歳以上の高齢者の医療費負担を現行の二倍に引き上げるなど、患者負担を大幅にふやす方針を決定しました。本当にひどいことです。医療関係の三十八団体でつくる国民医療推進協議会は、国民集会を開き、患者負担増に反対する決議を採択しています。ここで日本医師会の会長は、高齢者の負担増について、長生きが申しわけないという声が聞かれる社会にしてはならないと厳しく批判しました。
 東京の高齢者が受け取る国民年金の平均額は、年にわずか六十三万七千円余りです。二割負担になれば、七十歳以上の人の年間医療費の平均は七万円から十四万円にはね上がります。知事、医療制度改革の名で高齢者を初め患者負担をふやす方針には断固反対すべきであります。
 また、今こそ都は、マル福の存続を初め、七十歳以上の高齢者の医療費助成に踏み出すなど、高齢者に対する新たな支援策を検討すべき時期に来ていると考えますが、それぞれ答弁を求めます。
 医療については、深刻な看護師不足の打開も急務です。
 政府は、患者負担をふやす一方、医療機関に支払う診療報酬の削減を進めており、そのため病院は看護師をふやすことができないのです。その一方で、医療の高度化や、入院から退院までの日数が短くなっているため、医療、看護の現場では、看護師が余りにも忙しくて疲れ切っている、いつだれが事故を起こしても不思議ではないという深刻な状況が広がっています。
 医療従事者の団体が全国一万七千人の看護職員に行ったアンケート調査によると、十分に看護を提供できていると答えた人は八・六%にすぎず、できない理由として、人員が少な過ぎる、業務が過密になっていると答えています。医療ミスを起こしたり、起こしそうになったことがあるのは八六%に及んでいます。
 もともと、病床百床当たりの看護師の数は、アメリカ二百三十人、イギリス百二十九人、ドイツが百二人、フランス七十人に対し、日本はわずか四十三人と、欧米の水準から大きく立ちおくれています。医療法の基準では、看護師一人が受け持つ患者数は、昼間が十人、夜間は二十人というのが実態で、患者さんの話を十分に聞く時間がない、ナースコールに対応し切れないという声が現場から上がっているのは当然のことです。看護協会は、医療の質と安全を確保するため、看護師一人が受け持つ患者を、昼間は五人、夜間は十人へと配置基準の改正を求めています。
 こうした医療現場の実態をご存じでしょうか。医療の質と安全の確保のため、看護師の配置基準の改善と診療報酬の引き上げを国に強く要請すべきです。答弁願います。
 病床百床当たりの東京の看護師数は、全国で三十二位と低い水準です。ところが、都の看護師確保対策予算は毎年減らされています。都立看護専門学校は四校が廃止され、定員数は、六年前の千三百六十人から、わずか六百四十人へと激減しています。現場は看護師不足にあえいでいるのに、都立の看護師養成校を次々廃止というのはとんでもない話ではありませんか。都立看護専門学校の統廃合計画は再検討し、拡充こそ必要です。
 また、都として、東京における看護師不足、多忙化の実態調査を行い、看護師を本格的にふやす計画を策定することを求めるものです。所見を伺います。
 都立病院の現状も深刻です。この二年間に退職した看護師は八百人に及びます。定年退職はわずかで、二十代、三十代のこれからという人が次々やめているのです。職員団体の調査による退職理由の一位は、とにかく疲れた、二位は、サービス残業が多過ぎるという回答です。職員定数がいつも確保できない状態となっており、夜勤が月十回を超える、妊婦の夜勤免除ができないという状況が広がっています。こんなことを放置していていいのでしょうか。
 都立病院の看護師が希望を持って働き続けることができ、質の高い看護ができるよう、看護師をふやすことは急務です。答弁を求めます。
 また、サービス残業などは、都立病院のみならず、都の職場から根絶することが必要です。お答えください。
 次に、保育所などの都加算補助の問題です。
 東京都は、第二次財政再建推進プランに基づき、認可保育所及び学童クラブ運営費の都加算補助に加え、三歳児健診などの十三の事業を来年度廃止し、子育て推進交付金に再構築することを提案しています。
 認可保育所に対する都加算補助は、ゼロ歳児保育の看護師の配置や、離乳食を初め質の高い給食をつくるための調理員の増配置、給食で温かいご飯を出せるようにする主食費の補助、延長保育や障害児保育の質を充実する保育士の増配置など、いずれも根拠が明確で、保育内容の充実に直結しており、子どもたちの豊かな成長、発達を保障するためになくてはならないものばかりです。これらの都加算補助は、余りにも不十分な国の基準を補い、望ましい保育水準を確保するため、現場の要望に基づき、長年にわたり一歩一歩積み上げてきたものです。
 だからこそ、保育団体はこぞって、都加算補助は現行どおり維持してほしい、都加算補助を廃止したら、東京都において独自に積み上げてきた保育水準を破棄してしまうことにつながりかねないと訴えています。
 都加算補助によってつくり上げてきた東京の保育水準を維持するのは東京都の責務です。これを廃止して包括的な交付金に変えることは、都の責務を放棄するものであり、自治体間格差は拡大し、保育の現場に大きな混乱を招くことは明らかです。
 また、都の提案では、新たに創設する交付金の総額は、十三事業の現在の総額に据え置くとされており、経費のかかるゼロ歳児保育や延長保育、障害児保育などを伸ばせば伸ばすほど市町村は財源不足に陥ることになります。その上、積算の根拠も目的も不明確な交付金では、今後は、都の財政事情や政策判断により、いかようにも削減可能なものとなります。
 我が党は、都内の私立保育園及び全市町村に対する緊急アンケートを行いました。保育園から寄せられた回答には、都加算補助がいかに保育の質の向上のために役立っているかが切々と書かれています。例えば乳児保育では、専門的知識に基づいて子どもの小さな変化にも判断がつく看護師がいることは必要不可欠、また、調理員加配があるからこそ、アレルギー食のきめ細かい対応ができる、こういう声が寄せられているのです。市町村も、ゼロ歳児保育や延長保育を広げるためには、都加算補助の維持、拡充こそ必要との声が多数を占めています。都の、都加算補助が必ずしもサービスの向上を促すものになっていないなどといういいわけが成り立たないことは、これらの回答を見ても明らかです。
 認可保育所及び学童クラブの都加算補助を維持し、都加算の対象経費及び単価の基準を堅持することを強く求めるものですが、見解を伺います。
 全国一深刻な東京の少子化を打開するためには、子育て支援の予算全体をふやすことが必要ではありませんか。保育の都加算補助を削って子育て支援に回すというやり方では、問題は打開できません。答弁を求めます。
 都民の暮らし、福祉を守ることは、予算の使い方を変えれば十分可能です。ところが、石原都政は、福祉、教育、中小企業、住宅、消費者行政、文化・スポーツ、環境など、都民生活のあらゆる分野を切り捨ててきました。とりわけ福祉については、医療費助成や各種手当の施策や都立施設などの廃止縮小を行った結果、福祉費の一般会計に占める比率は、この六年間で八・四%から七・九%へと後退させられました。東京より厳しい財政の首都圏の各県が皆、福祉費の比率をふやしていることと比べて、本当に異常です。知事、この福祉費の削減という事実を率直に認め、福祉の拡充に踏み出すべきだと考えますが、答弁を求めます。
 石原知事は、暮らし、福祉の切り捨てを、専ら財政危機を強調することで進めてきました。しかし、財政の実際はどうだったのでしょうか。財政再建推進プランが策定された二〇〇〇年以降、来年度までの期間、財源不足がさんざん強調されましたが、実際の都税収入は、この二次にわたるプランの見込み額より二兆円も多いのです。
 一体、この税収増は何に使われたのか、毎年の補正予算を見れば一目瞭然です。ふえた税金は専ら知事の進める都市再生のための幹線道路や都市再開発や臨海副都心開発の支援などにつぎ込まれました。二〇〇四年度最終補正予算では、福祉や教育、中小企業には一円も使われなかったではありませんか。
 さらに重大なことは、今後、この方向が新たな規模とスピードで強められようとしていることです。例えば、首都高速道路中央環状品川線では、無利子貸付から、都の直接の道路街路事業として都の資金が千二百五十億円つぎ込まれます。本来、国の責任で行うべき羽田空港国際化にも一千億円、外かく環状道路は、圏央道と同じように国直轄で行われれば、それだけで数千億円、さらに地上部を都道として整備することになれば、さらなる莫大な資金が投入されることになります。
 都がこの十月に発表した総合物流ビジョンに基づき、物流拠点や橋のかけかえ、港湾機能の強化などが加われば、さらなる巨額の資金が必要となります。しかも、知事が突然表明したオリンピック招致の名で、毎年一千億円、十年で一兆円の基金が積み立てられると報道されていますが、これが事実とすれば、関連施設のリニューアルやインフラ整備などにこれまた膨大な資金が必要となることは明らかです。
 知事、このような開発一本やりのやり方は見直すべきときに来ていることは、世界の流れ、全国の自治体の流れを見れば明らかです。人口減少社会を迎え、東京都も二〇五〇年には人口が二割も減少する見込みです。経済活動や社会資本整備もそれに見合ったものに修正することは当然の流れです。
 国も今、国土総合開発法を見直して制定した国土形成計画法に基づく計画の見直しを進めていますが、その中で、第一次全国総合開発以来の五次にわたる全総計画が、開発を基調とした量的拡大を図る計画であったとして、今後は、人口減少下の成熟社会にふさわしい、国土の質的向上を図る国土計画への転換を図ることが必要として、今後は、新規投資から既存ストックの有効活用に重点をシフトしていくことが必要としています。至極当然の考え方ではありませんか。
 知事、高度成長型の都市改造はやめ、人口減少時代にふさわしい都市のあり方を目指して再検討する時期に来ているのではありませんか。
 とりわけ、不要不急の投資に大胆にメスを入れることが緊急の課題であると考えますが、知事の見解を求めます。
 都市再生のゆがみは、都財政だけにあらわれているわけではありません。国際的な都市間競争に勝つという財界や多国籍企業の要求によって知事が国と一体となって進めてきた都市再生、規制緩和、官から民への大合唱は、環境問題などを深刻化させただけでなく、今問題となっているマンションなどの耐震設計偽造問題のような重大な社会問題を引き起こしています。
 そもそも建築確認は、市場原理だけに任せれば、手抜きや欠陥建築物がまかり通る危険があることから、それを公的にチェックすることを目的につくられた制度です。その建築確認の仕事を市場原理に基づく民間企業に開放すればどうなるのかは自明の理ではありませんか。
 この問題について、青山元副知事は、建築確認は、行政が十分な体制を整備して、みずから行うべきだと表明しています。問題なのは、東京都が、法改正をよいことに、官から民へのかけ声のもとに、民間任せの姿勢を強めてきたことです。四年前には九対一であった公民の比率が、昨年には、民間など指定機関の検査確認数が東京都などの特定行政庁のものを上回るに至っています。
 知事、一定規模以上の建築確認は行政の責任で行うべきです。また、形骸化している工事の中間検査や完了時の検査を義務づけること、第三者によるチェックなどリスクマネジメントの導入、違反者の厳罰などの再発防止策を直ちに講じることは最低限の改善策であり、国に強く求めることが必要であると考えますが、見解を伺います。
 都としても、この立場から建築確認と検査に当たること、そのためにも、職員を減らし続けるのではなく、必要な職員を十分確保し、体制を抜本的に強化することを提案するものです。
 被害者救済については、当該企業のみならず行政の責任は重大であり、当該企業に責任をとらせるとともに、行政の責任で公的支援を行うべきです。マンションの建てかえやローンの負担軽減、返済の猶予などの支援については、金融機関や不動産や建設業者など関係業界の協力、負担も含めて、手だてを尽くすことが必要です。また、都として、都営、公社、都民住宅の入居者に対する家賃の減免に直ちに踏み出すこと、住宅、金融、生活、教育、心のケアなど、総合的な相談窓口を設置することを求めるものです。
 さらに、都民の不安にこたえ、マンションなどの耐震診断を促進するための助成を行うことが必要です。それぞれ答弁を求めます。
 最後に、在日米軍再編計画について伺います。
 アメリカの世界戦略のもとで、地球的規模での米軍再編が進められています。その中でも異常な突出ぶりを示しているのが日米同盟であり、重大なことは、アーミテージ前米国務副長官が、九条は日米の邪魔者といってはばからなかった憲法九条の改悪の策動が、この米軍再編と密接に結びついて進行していることです。
 日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2の共同文書では、日米同盟の地球的規模への拡大という内容が盛り込まれ、イラク戦争のようなアメリカの先制攻撃の戦争が行われた際、日米が共同で軍事行動を進めることが共通の戦略目標とされました。そして、米軍と自衛隊の司令部機能の統合、基地の共同使用など、米軍と自衛隊が一体となって海外での共同作戦を可能にする態勢づくりや、在日米軍基地の機能の強化、永久化が打ち出されたのであります。
 それは、沖縄の海兵隊のための新基地の建設、キャンプ座間への米陸軍の新しい司令部の移設、横須賀基地への原子力空母の配備、岩国基地への空母艦載機の移転、横田基地の在日米軍司令部に航空自衛隊の戦闘部隊を統括する司令部の併置など、日米安保締結以来の最も重大な内容を持つものとなっています。
 地域住民にこれ以上苦しみを強いることはできない、基地の恒久化は容認できないと、関係自治体首長は一斉に反対しています。相模原市長は、戦車にひかれたって、命をかけても反対するとまで表明しています。ところが、石原知事はただ一人、軍軍共用化はやむを得ないと、横田基地の再編計画を容認する態度を表明しました。驚くべき態度といわなければなりません。
 今回の米軍再編計画は、額賀防衛庁長官が、座間市長に対して百年の計画と明言したように、米軍基地の恒久化をねらったものであることは明らかではありませんか。知事、軍軍共用化を容認する発言を撤回し、横田基地の機能強化、永久化につながる米軍再編計画にきっぱり反対すべきであります。明確な答弁を求めます。
 石原知事が、軍軍共用化を容認した上で、平行して横田基地の滑走路を軍民が共用で利用することは当然と表明したことも極めて重大です。
 知事は、基地周辺住民の苦しみに思いをはせたことがありますか。横田基地では、飛行回数が年間約四万回に達し、騒音七〇デシベルを超えるものが、そのうち二万八千回近くにも及んでいます。
 去る十一月三十日に、東京高裁が新横田基地騒音公害訴訟の控訴審判決を下しました。判決は、国に三十二億円の賠償を命ずるとともに、違法な基地騒音の補償制度すらないのは怠慢のそしりを免れないと、国の姿勢を厳しく批判しました。また、改めて、うるささ指数七五以上の区域の住民の騒音被害は、受忍限度を超えて違法と断じました。
 周辺六市町が共同して掲げている基地の整理、縮小、返還は、こうした基地被害で苦しむ周辺住民の切実な願いです。瑞穂町長が、軍民共用化も軍軍共用化も基地の恒久化につながる、整理、縮小、全面返還を求めることに変わりはないとの態度を表明していることは極めて当然であります。知事、受忍限度を超えて違法との判決をどう受けとめているのですか。
 今回の再編計画によって、米軍機に加え自衛隊機がふえ、さらに民間機がふえたらどうなるのでしょうか。騒音被害が拡大することはだれでもわかる話ではありませんか。知事、なぜ共用化に固執するのですか。周辺住民と自治体の軍軍民共用化に反対する声にこたえるべきではありませんか。見解を求めます。
 首都圏の米軍再編計画には、関係知事、市町村長がこぞって反対を表明しています。石原知事は、八都県市との協力、共同などといっていますが、であるなら、神奈川県を初め関係自治体と足並みをそろえて基地強化に反対し、縮小、返還を求めて行動することこそとるべき態度だと思いますが、見解を伺い、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、貧困と格差の拡大についてでありますが、貧困だ、格差だということでありますけれども、都合のいい数字だけをピックアップして並べて、我が国があたかも貧困にあえいでいるかのように喧伝するのは、古めかしいプロパガンダとはいいながら、いかがなものでありましょうか。
 日本が、戦後六十年を経て世界第二位の経済規模を維持する中で、極めて公平な社会を築いてきたことはだれも否定できない事実であります。少子高齢化社会となり、成熟社会を迎えた現在、さまざまな価値観、生き方があることは当然でありますが、これも多様性を認める自由主義社会の一つのあらわれだと思います。ゆえにも、ご指摘は全く的外れだと思います。
 次いで、都民生活と都政運営についてでありますけれども、共産党が主張する結果の平等が何をもたらすかは、社会的なダイナミズムを欠いてしまったかつての共産主義国の幾つかの崩壊を見れば明らかなように、歴史が既に証明しております。
 私は、これまでの七年間と同様に、今後とも、自助、共助、公助の精神を基本に据えて、福祉改革、教育改革はもとより、治安の回復、都市の環境再生や中小企業振興、都市インフラの整備などに率先して取り組んでまいります。
 同時に、これまで以上に徹底した行財政改革を進め、スリムで効率的な都政を実現するとともに、多様な主体が公の役割を担う仕組みづくりに取り組んでまいります。
 こうした取り組みを徹底させることこそが、首都東京を預かる者の責務であり、都民福祉の向上を図るための最良の道であると確信しております。
 次いで、消費税についてでありますが、少子高齢化が進展する中で、国、地方の行政サービスに必要な財源をどのように確保していくかは極めて重要な問題であります。政府税制調査会の答申によれば、消費税はあらゆる世代が広く公平に負担を分かち合い、安定的な歳入構造を構築する上で重要な税であるとされておりますが、消費税のあり方については、我が国の歳入歳出の先行きを見通しつつ、国民的な議論を重ねていくべき課題であると思います。
 しかし、私は個人的に、これはやはり、課税をする品目についての差別というものを講じて、例えば日本人がやたらに好きな、しかも日本人向きの価格がついているというブランド製品などと、生活に必要な食品などの課税は当然違ってくると思いますし、そういったものを含めて、私たちはやっぱり税制そのものの立て直しをする時期に来ているのではないかと思います。
 平成十一年度に導入されました法人に対する恒久的な減税についてでありますが、この恒久的な減税は、我が国の企業が国際競争力を十分発揮できるようにするとの観点から実施されたものでありまして、法人課税の税率については、国際競争力の維持の観点から、当面、現在の水準を維持することが適当であるとされており、国に対処を求めるつもりはありません。
 法人事業税の超過税率の引き上げについてでありますが、法人事業税の超過課税は、大都市特有の財政需要に対応するため、一定の法人に対し、標準税率による通常の負担を超えた特別の負担を求めるものであります。
 超過税率の引き上げについては、法人負担の状況、国際競争力の維持等の観点にかんがみまして、現在のところ考えてはおりません。
 医療制度改革についてでありますが、現在我が国は、世界的に見ても豊かで平等な社会を実現し、高い生活水準を維持しております。これは、基本的に国民が、自助自立を前提として努力を積み上げた結果でありまして、また、国民皆保険、皆年金などの社会保障制度が有効に機能し、さまざまな社会的リスクに対応してきたからであります。
 しかしながら、人口減少社会の到来を目前にして、こうした社会保障制度全体を将来世代に安定的に引き継ぐためには制度の構造改革が急務であり、医療制度の改革についてもその一環として行われるものと認識しております。
 次いで、福祉の拡充についてでありますが、これまで繰り返し申し上げてきましたけれども、都が果たすべき役割は、福祉サービスの基盤整備など、福祉水準全体の向上を図ることであります。
 多様化する都民の福祉ニーズにこたえるため、都は、長期的、歴史的視野に立って、見直すべき事業は見直し、必要な施策には財源を集中投入して、利用者本位の福祉改革を推進してまいりました。
 平成十一年度以降、都独自の認証保育所制度の創設や認知症高齢者、知的障害者のグループホームの増設など、都民が真に求める福祉施策は大幅に拡充しております。また、こうした都の取り組みには、既に多くの都民から十分ご理解をいただいていると思っております。
 次いで、建築確認制度に係る改善策についてでありますが、今回の問題の背景は、国が指定した民間確認検査機関の審査に自治体が自主的に関与できない仕組みとなっていること、国による確認検査機関への指導監督が不十分であったこと、こうした中で起きた事件でありまして、国の責任は重大だと思います。
 国は、その責任において、徹底的な制度の検証と見直しを行うべきであり、国に早期の改正を求めてまいります。
 次いで、米軍再編計画についてでありますが、米軍再編の目的は、冷戦終結後の世界情勢の変化を踏まえ、核兵器拡散やテロなどの新たな脅威に対抗できるようにすることであると認識しております。
 我が国を取り巻く国際情勢の現状からすれば、日本の安全を確保するため、日米の連携と協力が依然として必要であると思います。
 我が国の安全保障を図る観点に立てば、国民の生命、財産をどのようにして守るかという展望を欠いたまま、単に米軍基地の必要性を否定するだけでは、極めて非現実的であり、無責任といわざるを得ないと思います。
 次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、軍民共用化は、既存の施設の有効活用により首都圏の空港機能を補完し、多摩の振興はもとより、日本経済の再生を含めて、将来の国力の充実を図るものであります。現に、ほとんど使われていない日本最長の横田の滑走路を軍と民と共用して活用していくことは、国益を考えれば当然のことであります。
 また、この軍軍共用によって、国が軍用機をあそこにふやすということは全くありません。また、民間機の騒音は米軍機と比べ極めて小さいことから、騒音に配慮した軍民共用化は可能であります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、軍民共用化の早期実現を達成するよう、日米両政府に強く求めてまいります。
 その他の質問については、関係局長から答弁いたします。
 失礼、一つ抜けました。
 人口減少時代における都市のあり方についてでありますが、人口が減るから都市への投資をやめようというのは、都市の持つ文明工学的な意味合いを全く理解していない一つの証左だと思います。今後、我が国の人口が減少に転じても、東京を初めとする首都圏に、人口や都市の諸機能が総体的に集積し続けることは必至であります。
 今必要なのは、国の発展を牽引する大都市の役割を明確にし、全国一律の不要不急の投資を改めて大都市圏に集中的に投資することだと思います。話が全く逆であるといわざるを得ません。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕

○福祉保健局長(平井健一君)七点のご質問にお答えします。
 まず、介護保険料の減免についてでございますが、介護保険料は、所得に応じて五段階または六段階に設定されておりまして、制度上、低所得者に対する配慮がなされております。さらに、平成十八年四月からは、市町村民税世帯非課税者のうち、負担能力の低い層につきまして、より低い保険料率を設定することが予定されております。こうしたことから、都として独自に減免制度を創設する考えはございません。
 また、各区市町村の保険料は、給付費の見込み額と所得段階別の被保険者数などに基づき設定することとされているものでございます。
 次に、老人医療費助成制度についてでございますが、この制度は、社会保障制度の充実や介護保険制度の創設などを踏まえまして、七年間にわたる経過措置を設けて廃止することが、都議会における議論を経た上で、既に決定されております。また、現在、国で議論されている高齢者の医療費自己負担の見直しは、現役世代との負担の公平性などの観点から行われるものと理解しております。
 こうしたことから、老人医療費助成制度の存続や、七十歳以上の高齢者に対する新たな医療費助成を行うことは考えておりません。
 次に、看護師の配置基準と診療報酬についてですが、看護職員の配置につきましては、医療法に定める標準数に加え、例えばICUなど、集中的なケアを必要とする部門について、これに必要な診療体制が確保されるよう、診療報酬面において配慮がなされております。
 なお、不採算性の高い小児医療や救急医療の充実、患者中心の医療の促進に資するセカンドオピニオンやIT化の推進など、診療報酬の改善などが必要な事項につきましては、既に国に提案要求しているところでございます。
 次に、都立看護専門学校の再編整備計画についてでございますが、少子化が進行する中で、医療技術の高度化や看護ニーズの変化に対応できる質の高い看護職員を確保していくためには、養成対策に加えまして、定着対策や再就業対策などを総合的に実施していく必要がございます。
 都立看護専門学校の養成規模につきましては、こうした状況を踏まえて設定したものでございます。今後とも、教育機能の充実強化とあわせ、この再編整備計画を着実に推進してまいります。
 次に、看護職員に関する計画の策定についてでございますが、都は、これまでも医療機関等における看護職員の就業状況等について調査を行い、都における看護職員需給見通しを策定してまいりました。平成十九年から五カ年の第五次看護職員需給見通しにつきましても、今後、同様に策定することとしております。
 次に、認可保育所などへの都加算補助についてでございますが、安心して子どもを産み育てる環境を整備するためには、区市町村が地域の実情に応じて行う多様な取り組みを支援していくことが重要です。しかし、認可保育所や学童クラブ等への既存の補助制度は、対象者やその使い道が細かく限定されているなど、必ずしも区市町村の柔軟な対応を促す仕組みになっていない面もございます。
 こうしたことから、区市町村が地域の特性や創意工夫を生かした独自の取り組みが行われるよう、柔軟な財政支援の仕組みに再構築していくことが喫緊の課題と考えているものでございます。
 最後に、子育て支援予算についてでございますが、都は、これまでも、大都市特有の保育ニーズに対応した認証保育所制度の創設を初め、一時保育や病後児保育、子育てひろばなど、さまざまな在宅サービスの拡充、次世代育成緊急対策総合補助制度の創設など、積極的に地域の子育て環境の整備に努めてまいりました。
 今回の交付金は、子育て支援をさらに進めるため、市町村への財政支援の仕組みについても、先ほど申し上げましたとおり、地域の特性や創意工夫を生かした独自の取り組みを効果的に行うことのできるよう再構築を図るものでございます。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕

○産業労働局長(成田浩君)若年者雇用等に関する経済団体への働きかけについてでございますが、国では、各種法令や指針等に基づき、企業に対して、雇用の確保や勤務時間等、労働条件の整備等に向けた取り組みを求めております。
 都といたしましては、引き続き、雇用形態にかかわらず、これらの法令等の周知徹底を図ってまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕

○主税局長(菅原秀夫君)定率減税につきましてお答え申し上げます。
 去る十一月二十五日に公表されました政府税制調査会の答申におきましては、定率減税は、著しく停滞した経済活動の回復に資する観点から緊急避難的に講じられた景気対策のための措置でございまして、経済状況を見きわめ、廃止すべきであるとされております。
 定率減税のあり方につきましては、景気の動向や個人所得課税の基幹税としての性格を踏まえ、国民的な議論を重ねることが重要であると考えております。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕

○病院経営本部長(大塚孝一君)都立病院における看護師確保についてお答えいたします。
 看護師の確保につきましては、計画的な教育指導体制を充実するなど、定着に努めているとともに、病棟等の医療機能や病床数、業務量などに応じまして、必要な体制を確保しております。
   〔総務局長高橋功君登壇〕

○総務局長(高橋功君)職員の超過勤務についてお答えいたします。
 都における職員の超過勤務時間は、超過勤務命令簿により適正に管理しております。超過勤務の縮減につきましても、さまざまな機会をとらえ、各局に対して通知、指導をしております。
 今後とも、管理職による事前命令、事後確認を徹底していくとともに、全庁一斉定時退庁日やノー超勤ウイークの効果的な実施など、超過勤務の縮減に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君)構造計算書偽造問題に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、建築確認と検査に関する都の体制についてでございますが、確認と検査を適切に行うことは、建築物の安全確保の上で重要でございます。都は、建築法規や建築構造に関する知識のある職員を適正に配置し、確認等の業務を行っております。
 今後とも、職員の計画的な育成を図り、確認等の業務を適正に執行し、安全なまちづくりに努めてまいります。
 次に、居住者支援についてでございますが、今回の問題について、都は、都民の安全を確保するため、緊急措置として都民住宅等を確保いたしました。
 また、偽造の当事者である建築士や瑕疵担保責任を有する売り主などの関係者の責任追及と、制度の仕組みをつくった国がみずから責任を明らかにすることを求めてまいりました。
 昨日、国は公的な支援方策を発表いたしました。今後、都といたしましては、それらを踏まえながら、マンション居住者の速やかな退去と円滑な生活再建に向けて区市と連携し、必要な対策を講じてまいります。
 最後に、居住者に対する家賃の減免などについてでございますが、公的支援を行うに当たりましては、国に設置されました構造計算書偽造問題対策連絡協議会において、転居費用や家賃の助成について、関係自治体間での統一的な取り扱いを検討することとされており、都としては、その中で国や区市と十分協議し、適切に対応してまいります。
 また、都民の日常生活に伴う相談につきましては、第一義的には、居住者に身近な地元区市で行うことが効果的であると考えております。したがいまして、都としては、これまでと同様、区市と連携しながら、相談窓口を適切に紹介することなどによりまして、マンション居住者が速やかに必要とする相談を受けられるよう図ってまいります。
 また、マンションの耐震診断につきましては、都はこれまでも耐震改修工事を実施する場合には、マンション改良工事助成制度の対象としており、この制度により引き続き支援してまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕

○知事本局長(山口一久君)横田基地に関する二つのご質問にお答えいたします。
 新横田基地騒音公害訴訟高裁判決についてでございますが、今回の判決は、基本的には、一定の騒音レベルを超える居住者に対し損害賠償を認めるという従来の判決と同趣旨の判決であります。
 基地に起因する騒音対策は、国が責任を持って対処するという法律的な枠組みに基づき、国が適切に対処すべきものであります。
 都としましても、国への提案要求や渉外知事会による基地対策に関する要望などにより、今後とも基地周辺の騒音被害の軽減を図るよう国に求めてまいります。
 次に、首都圏の米軍再編計画についてでありますが、八都県市首脳会議は、大気汚染など八都県市共通の課題を討議する場でありますので、米軍再編計画については八都県市首脳会議の対象にはならないと考えております。
 なお、軍民共用化につきましては、平成十六年五月の関東地方知事会議におきまして、横田飛行場の民間空港利用等の早期実現が、国への提案・要望事項として合意されております。
   〔百四番曽根はじめ君登壇〕

○百四番(曽根はじめ君)知事答弁に絞って再質問いたします。
 知事は、日本は豊かで平等な社会だといいましたが、今やそうじゃなくなってきた、むしろ貧困と格差が広がっていることがなぜわからないんでしょうか。特に東京は格差が大きくなっており、一部の超高額所得の人がいる一方で、生活保護率は全国の一・三倍、就学援助を受けている児童の率も二倍にも及び、若者の多くも月十万円前後の収入しか得ていないんです。
 知事、こうした庶民の暮らしの実態を知らないのですか。知事も、たまには庶民の暮らしの現場に足を運んで、暮らしの実態をつかむべきではありませんか。改めて答弁を求めます。
 次に、米軍基地再編問題ですが、知事、アメリカが日本に求めていることは、アメリカの地球規模の戦争に日本を参戦させることなんです。アーミテージ氏も、先日ある新聞で述べているように、日本がアメリカの地球規模でのパートナーとして軍事的役割を果たせるかどうかが問題だといっているわけです。そのために基地機能を強化するのが今度の再編計画であって、基地の返還に向けて、前に進むどころか、恒久基地化を進めるものであることは明白です。だからこそ、自治体の長も、石原知事以外はすべて反対しています。
 今、長年紛争が絶えなかったアジアで、国連憲章に基づく平和の共同体を目指す動きが、中国を含めて大きく広がっているところです。この流れに日本が加わって、この流れを促進することこそ、日本の安全と国民の命を守るべき道ではないでしょうか。
 ですから、私は、八都県市の課題に加わらないというのではなく、八都県市と共同、協調の中で、この問題については、当然、石原知事も反対の立場に立つべきだということで、改めて答弁を求めたいと思います。
 以上です。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
   〔「答える必要ないよ」と呼ぶ者あり〕

○知事(石原慎太郎君)答える必要ない。――まず、第一点、貧困と格差の問題でありますけど、私は私なりに、多分あなた方よりいろんな部分の現場を見て、総体的に、私は決してこの東京、日本は貧困でもないし、著しい格差があるとは思っておりません。
 それから、基地の問題ですけど、私はあくまで横田の話をしているのでありまして、ここでいっていいかどうかわかりませんけど、この間、ワシントンの感触では、ある高官が、石原さん、結局横田は返りますよというぐらい、彼らはその利用性というものが軽減していることを知っている。
 ただ、これはやっぱりほかの基地と同列に扱っては違います。やはり、日本には幾つかの基地があります。その基地によって日米関係にとっての意味合いも価値も違うわけでありまして、これがほとんど価値がなくなった、ユーティリティーがないから私は返還を迫っている、それだけのことであります。

○六十七番(秋田一郎君)この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時二十二分散会

ページ先頭に戻る