平成十七年東京都議会会議録第十六号

平成十七年十二月一日(木曜日)
 出席議員(百二十六名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番宇田川聡史君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番花輪ともふみ君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十一番三宅 茂樹君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番大沢  昇君
百番真木  茂君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員(一名)
四十七番 野島 善司君

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

十二月一日議事日程第一号
第一 第百八十七号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十八号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百八十九号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百九十号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百九十一号議案
  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百九十二号議案
  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十三号議案
  東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百九十四号議案
  東京都公債条例の一部を改正する条例
第九 第百九十五号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第十 第百九十六号議案
  旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十七号議案
  東京都学校経営支援センター設置条例
第十二 第百九十八号議案
  東京都教職員研修センター設置条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十九号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百号議案
  東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百一号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百三号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百四号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百五号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百六号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百七号議案
  東京都立高等学校の寄宿舎使用料徴収条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百八号議案
  東京都立学校校外教育施設設置条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百九号議案
  東京都市計画事業晴海四・五丁目土地区画整理事業施行規程
第二十四 第二百十号議案
  東京都国土利用開発審議会条例の一部を改正する条例
第二十五 第二百十一号議案
  多摩都市計画多摩土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第二十六 第二百十二号議案
  東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百十三号議案
  東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百十四号議案
  東京都国民健康保険調整交付金条例
第二十九 第二百十五号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第三十 第二百十六号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
第三十一 第二百十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
第三十二 第二百十八号議案
  東京都立産業技術研究所条例を廃止する条例
第三十三 第二百十九号議案
  東京都地域中小企業振興センター条例を廃止する条例
第三十四 第二百二十号議案
  東京都立食品技術センター条例の一部を改正する条例
第三十五 第二百二十一号議案
  東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第三十六 第二百二十二号議案
  東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例
第三十七 第二百二十三号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第三十八 第二百二十四号議案
  東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第二百二十五号議案
  東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第四十 第二百二十六号議案
  東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第二百二十七号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第二百二十八号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十三 第二百二十九号議案
  性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第二百三十号議案
  東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第二百三十一号議案
  地下車路出路築造工事(十七汐留―四)請負契約
第四十六 第二百三十二号議案
  都立板橋地区単位制高等学校(仮称)(H十七)体育館改築及び校舎改修工事請負契約
第四十七 第二百三十三号議案
  平成十七年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その一)請負契約
第四十八 第二百三十四号議案
  平成十七年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その二)請負契約
第四十九 第二百三十五号議案
  神田川・環状七号線地下調節池(第二期)善福寺川取水施設設備工事(その六―二)請負契約
第五十 第二百三十六号議案
  公立大学法人首都大学東京が徴収する料金の上限の認可について
第五十一 第二百三十七号議案
  東京都人権プラザの指定管理者の指定について
第五十二 第二百三十八号議案
  交通信号機等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
第五十三 第二百三十九号議案
  神宮前一丁目民活再生プロジェクト事業契約の締結について
第五十四 第二百四十号議案
  当せん金付証票の発売について
第五十五 第二百四十一号議案
  東京都江戸東京博物館外五施設の指定管理者の指定について
第五十六 第二百四十二号議案
  東京都立大島セミナーハウスの指定管理者の指定について
第五十七 第二百四十三号議案
  東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
第五十八 第二百四十四号議案
  東京体育館の指定管理者の指定について
第五十九 第二百四十五号議案
  駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第六十 第二百四十六号議案
  東京武道館の指定管理者の指定について
第六十一 第二百四十七号議案
  東京辰巳国際水泳場の指定管理者の指定について
第六十二 第二百四十八号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第六十三 第二百四十九号議案
  東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第六十四 第二百五十号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第六十五 第二百五十一号議案
  東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
第六十六 第二百五十二号議案
  東京都立心身障害者口腔保健センターの指定管理者の指定について
第六十七 第二百五十三号議案
  東京都網代ホームきずなの指定管理者の指定について
第六十八 第二百五十四号議案
  東京都品川景徳学園外七施設の指定管理者の指定について
第六十九 第二百五十五号議案
  東京都伊豆長岡学園の指定管理者の指定について
第七十 第二百五十六号議案
  東京都新生寮の指定管理者の指定について
第七十一 第二百五十七号議案
  東京都障害者総合スポーツセンター外一施設の指定管理者の指定について
第七十二 第二百五十八号議案
  東京都八王子自立ホームの指定管理者の指定について
第七十三 第二百五十九号議案
  東京都視覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第七十四 第二百六十号議案
  東京都聴覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第七十五 第二百六十一号議案
  東京都清瀬園の指定管理者の指定について
第七十六 第二百六十二号議案
  東京都多摩療護園の指定管理者の指定について
第七十七 第二百六十三号議案
  東京都清瀬療護園の指定管理者の指定について
第七十八 第二百六十四号議案
  東京都日野療護園の指定管理者の指定について
第七十九 第二百六十五号議案
  東京都練馬就労支援ホーム外一施設の指定管理者の指定について
第八十 第二百六十六号議案
  東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第八十一 第二百六十七号議案
  東京都七生福祉園外四施設の指定管理者の指定について
第八十二 第二百六十八号議案
  東京都日の出福祉園の指定管理者の指定について
第八十三 第二百六十九号議案
  東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
第八十四 第二百七十号議案
  東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
第八十五 第二百七十一号議案
  東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
第八十六 第二百七十二号議案
  東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
第八十七 第二百七十三号議案
  東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
第八十八 第二百七十四号議案
  東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
第八十九 第二百七十五号議案
  東京都立東大和療育センターの指定管理者の指定について
第九十 第二百七十六号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(仮称)に承継させる権利を定めることについて
第九十一 第二百七十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター定款について
第九十二 第二百七十八号議案
  東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定について
第九十三 第二百七十九号議案
  東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について
第九十四 第二百八十号議案
  東京都しごとセンターの指定管理者の指定について
第九十五 第二百八十一号議案
  晴海客船ターミナル外二施設の指定管理者の指定について
第九十六 第二百八十二号議案
  竹芝客船ターミナルの指定管理者の指定について
第九十七 第二百八十三号議案
  竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設の指定管理者の指定について
第九十八 第二百八十四号議案
  東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
第九十九 第二百八十五号議案
  東京都立若洲海浜公園の指定管理者の指定について
第百 第二百八十六号議案
  東京都立有明テニスの森公園の指定管理者の指定について
第百一 第二百八十七号議案
  東京都立お台場海浜公園外十七公園の指定管理者の指定について
第百二 第二百八十八号議案
  東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十七公園の指定管理者の指定について
第百三 第二百八十九号議案
  東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
第百四 第二百九十号議案
  二見漁港岸壁(公用岸壁)外九施設の指定管理者の指定について
第百五 第二百九十一号議案
  東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第百六 第二百九十二号議案
  東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
第百七 第二百九十三号議案
  東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第百八 第二百九十四号議案
  東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第百九 第二百九十五号議案
  東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第百十 第二百九十六号議案
  東京都立木場公園外七公園の指定管理者の指定について
第百十一 第二百九十七号議案
  東京都立芝公園外十九公園の指定管理者の指定について
第百十二 第二百九十八号議案
  東京都立狭山公園外三公園の指定管理者の指定について
第百十三 第二百九十九号議案
  東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
第百十四 第三百号議案
  東京都立陵南公園外十六公園の指定管理者の指定について
第百十五 第三百一号議案
  東京都立浜離宮恩賜庭園外八公園の指定管理者の指定について
第百十六 第三百二号議案
  東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
第百十七 第三百三号議案
  日比谷公会堂外一施設の指定管理者の指定について
第百十八 第三百四号議案
  東京都立潮風公園外一公園の指定管理者の指定について
第百十九 第三百五号議案
  東京都立駒沢オリンピック公園の指定管理者の指定について
第百二十 第三百六号議案
  恩賜上野動物園外三施設の指定管理者の指定について
第百二十一 第三百七号議案
  東京都多磨霊園外七霊園の指定管理者の指定について
第百二十二 第三百八号議案
  東京都青山葬儀所の指定管理者の指定について
第百二十三 第三百九号議案
  東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第百二十四 第三百十号議案
  東京都中野駐車場の指定管理者の指定について
第百二十五 第三百十一号議案
  東京都三田駐車場の指定管理者の指定について
第百二十六 第三百十二号議案
  東京都八重洲駐車場外四施設の指定管理者の指定について
第百二十七 第三百十三号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び府中市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第百二十八 第三百十四号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び小平市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第百二十九 第三百十五号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び東大和市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第百三十 第三百十六号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び東久留米市公共下水道使用料徴収事務の受託について

   午後一時開会・開議

○議長(川島忠一君)ただいまから平成十七年第四回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君)まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。

○議長(川島忠一君)次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
 三番   田中たけし君 及び
 六十六番 神林  茂君
を指名いたします。

○議長(川島忠一君)次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松原恒美君)平成十七年十一月二十四日付東京都告示第千三百六十三号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、平成十七年十一月二十四日付で、本定例会に提出するため、議案百三十件の送付がありました。
 次に、平成十七年第三回定例会の会議において同意を得た人事委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、東京都人事委員会より、平成十七年十月十四日付で、都の一般職の職員の給与について勧告等がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
 次に、包括外部監査の結果に基づき知事が講じた措置の通知内容について、提出がありました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君)この際、平成十七年十一月三日付をもちまして藍綬褒章を受章されました方々をご紹介いたします。
  佐藤 裕彦君
  樺山たかし君
  山田 忠昭君
  神林 茂君
ここに敬意を表し、心からお祝い申し上げます。
   〔拍手〕

○議長(川島忠一君)次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。

○議長(川島忠一君)次に、閉会中の平成十六年度各会計決算特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長においてそれぞれこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
 なお、ただいまご報告いたしました特別委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、それぞれ議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、本件は、それぞれ議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

   平成十六年度各会計決算特別委員辞任・選任名簿
○辞任
 鈴木 一光君(自民)
〔以上 平成十七年十月七日付〕
 松村 友昭君(共産)
〔以上 平成十七年十月二十五日付〕
 渡辺 康信君(共産)
〔以上 平成十七年十月二十七日付〕
○選任
 串田 克巳君(自民)
〔以上 平成十七年十月七日付〕
 渡辺 康信君(共産)
〔以上 平成十七年十月二十五日付〕
 松村 友昭君(共産)
〔以上 平成十七年十月二十七日付〕

○議長(川島忠一君)次に、東京都議会友好代表団について申し上げます。
 本議会を代表いたしまして、去る十一月十三日から十九日まで、北京市及びソウル特別市へ友好代表団を派遣いたしました。
 友好代表団を代表いたしまして、報告のため発言の申し出がありますので、これを許します。
 北京市及びソウル特別市訪問東京都議会友好代表団団長木内良明君。
   〔八十五番木内良明君登壇〕

○八十五番(木内良明君)東京都議会友好代表団の北京市及びソウル特別市訪問についてご報告いたします。
 各会派の代表から成る友好代表団十名は、北京市人民代表大会常務委員会及びソウル特別市議会の招聘を受け、十一月十三日から十九日までの七日間、北京市、上海市及びソウル特別市を訪問いたしました。
 この代表団は、東京都と北京市並びにソウル特別市との友好交流を一層促進するとともに、これらの都市に共通する都市問題等に関して、視察及び意見交換を行うことを目的としたものであります。
 その概要についてご報告申し上げます。
 まず、北京市への訪問ですが、十三日、北京市人民代表大会常務委員会の金生官副主任を、さらに翌日、北京市人民政府の張茅副市長をそれぞれ表敬訪問いたしました。
 ここでは、東京、北京両都市が一九七九年に友好都市締携を結んで以来の二十六年間にわたる文化、経済、教育など広範な分野における交流の成果を確認し合うとともに、急速な発展と拡大を続ける両都市が抱えるさまざまな課題について意見交換を行いました。
 北京市は、二〇〇八年に初のオリンピック開催を控えており、オリンピック施設や道路等の都市基盤の整備が急ピッチで進んでいるところであります。
 ちょうどオリンピックのマスコットが発売された直後ということもあり、オリンピックに沸く市民の熱気にじかに触れることができ、また、鳥の巣と呼ばれる斬新なデザインのメーンスタジアム等の建設現場を視察し、施設の整備状況について説明を聞くなど、時宜を得たプログラムとなりました。
 十五日からは、二〇一〇年の万博開催に向け著しい経済発展を遂げている上海市へと移動し、上海市人民代表大会常務委員会の朱暁明副主任を表敬訪問しました。
 同主任からは強い歓迎の意が表明され、その後、上海市都市計画展示館を訪れ、浦東空港の拡張計画など上海市の都市計画について具体的な説明を受けました。
 北京市及び上海市は、ともに都市計画展示館を建設し、先進的な技術による模型や映像などを駆使して、都市計画の全体像を視覚的に示すとともに、幅広い市民が理解できるよう工夫がされており、同じ大都市として大変参考になるところでもありました。
 また、上海では、日中合弁会社である上海索広映像有限公司を視察し、日中の緊密な経済関係の実態を改めて肌で感じた次第です。
 次に、友好団は十七日からソウル特別市を訪問いたしました。
 最初に、ソウル特別市議会の林東奎議長を表敬訪問し、両都市の十七年間にわたる友好関係のさらなる推進を確認するとともに、首都移転問題などについて活発な意見交換を行いました。
 その後、ソウル特別市の鄭泰根政務副市長を訪問し、都心部に清流を復活させる清渓川復元事業がこの十月に完成したことへの祝意を述べるなど、和やかな雰囲気で意見交換を行いました。また、清渓川については、実際に現場を視察し、河川そのものだけではなく、朝鮮王朝時代の橋も復元するなど、観光、文化政策の一面もあわせ持つ、この事業の多面的効果に大いに感銘を受けました。
 折しも、覆蓋化した東京の日本橋の原状回復への問題提起もある今、清渓川の見事な景観は、一定の示唆を与えてくれるものでもありました。
 七日間で三都市の訪問という多忙なスケジュールでありましたが、各都市における充実した意見交換などを通じて、都市間相互の友好関係を一層推進するという当初の目的を達成するとともに、発展する北京市、上海市、ソウル特別市のありのままの姿を実際に体感できるなど、充実した日程のもと、学ぶところの多い訪問でした。
 高島なおき副団長を初め、各会派からの団員各位の真摯なご協力を得、また、事務局スタッフの皆様の多大な労苦によって、このたびの訪問が大きな成果を上げ得ましたことを感謝申し上げます。
 もとより、このたびの訪問に当たりお世話をいただきました北京市及びソウル特別市の皆様にも、心より厚く御礼を申し上げる次第であります。
 以上で東京都議会友好代表団の報告とさせていただきます。(拍手)

○議長(川島忠一君)以上をもって、東京都議会友好代表団の報告は終わりました。

○議長(川島忠一君)会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十五日までの十五日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、会期は十五日間と決定いたしました。

○議長(川島忠一君)この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君)平成十七年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 十一月十五日、紀宮様が黒田慶樹さんとご結婚されました。心よりお喜びを申し上げます。若いお二人が力を合わせて、これからの人生を歩んでいかれることを祈念しております。
 さて、先月初め、ニューヨークシティーマラソンを視察してまいりました。世界最大規模のこの大会には、百余りの国々から四万人近いランナーが参加し、二百五十万人もの観衆が沿道を埋め尽くすなど、期間中、ニューヨークのまち全体は祭りの一体感に包まれておりました。大会の雰囲気を肌で感じることができまして、大変参考になりました。
 東京においても、東京国際マラソンと東京シティーロードレースを統合した東京マラソン、大マラソンを平成十九年二月に開催いたします。事前イベントや沿道の地域色豊かな応援など、今回の視察で得たノウハウを十分に生かしながら、トップアスリートから市民ランナーまで三万人が参加するアジア最大の大会に育てていきたいと思っております。
 記録をねらえる魅力的なコースを設定するとともに、皇居前や銀座、浅草など都内の名所をつないで、観光都市東京を世界に向けてアピールし、どこにも負けない大マラソン祭りを実現してまいりたいと思います。
 スポーツイベントは、マラソンに限らず、都市の発展と密接な関係にあります。かつての東京オリンピックがそうであったように、都市に住み集う人々に高揚感をもたらすとともに、都市の姿を一変させる力をも持っております。
 先月、二十一世紀の東京オリンピック開催を目指す基本構想懇談会を立ち上げましたが、五輪招致が実現すれば、東京、ひいては日本の可能性を世界の人々に披瀝する絶好の機会となります。十人の委員の方々には、世界的にも類を見ない集中、集積の進んだ東京ならではの独創的なコンセプトを提言いただけるものと大いに期待しております。
 都では、必要となる資金の一部をあらかじめ基金に蓄えておくことで、国家的プロジェクトであるオリンピックに対する十全の備えを講じておきたいと考えております。
 先般、関東地方知事会議や八都県市首脳会議においても、五輪招致に全面的な賛同をいただきました。近隣自治体からの支援、応援は大変心強く、さまざまな面で連携を図ってまいります。
 再来年の東京マラソンの開催に続き、平成二十五年には、多摩・島しょ地区を中心に行われる東京国体も予定されております。今後、あらゆる機会を通じて機運を盛り上げ、都民、国民に夢と感動を与えるオリンピックの実現に全力で取り組んでまいりますので、都民、都議会の皆様のご支持、ご協力をよろしくお願いいたします。
 続いて、都が進める政策について申し上げます。
 初めに、国際都市にふさわしい都市整備についてであります。
 先月、渋谷駅周辺の約百四十ヘクタールを都市再生緊急整備地域に指定するよう国に申し入れを行いました。渋谷は、平成十九年度に地下鉄十三号線が開業し、その五年後には東急東横線との相互乗り入れも計画されるなど、大きなポテンシャルを持っておりまして、今回の指定によって民間主導の再開発に弾みをつけていきたいと思います。駅周辺の再編や機能更新を通じて、このまちが大人も楽しめるにぎわいと回遊性のあるまちに生まれ変わることを期待しております。
 東京の貴重な観光資源である水辺空間の魅力向上も重要であります。景観や水面利用などの観点を重視し、東京の河川、運河等の魅力を高めるため、来年二月、全体構想を策定いたします。隅田川を挟んだ浅草・両国地域、小名木川を軸とする江東内部河川や臨海部で、地域特性を踏まえた景観づくりを進めるとともに、水上レストラン、商業施設の整備や船着き場の民間利用を促進するなど、水辺に新しいにぎわいを創出してまいりたいと思います。
 東京を中心とする首都圏の交通渋滞は、依然として慢性的な状況が続いております。道路整備のおくれは、経済活動の非効率による高コスト構造をもたらし、CO2の排出などにより環境負荷を増大させるなど、都市の存立にとって致命的な問題であります。国際競争力を高め、首都圏の再生を実現するには、オリンピック招致も視野に入れながら、首都圏全体を見据えた効率的な道路ネットワークを集中的に整備する必要があります。
 現在、国では道路特定財源の一般財源化が検討されていますが、大都市における道路整備の需要は非常に大きく、引き続き必要不可欠な財源であることは論をまちません。
 先日、八都県市首脳会議で共同声明を発表したとおり、道路特定財源は、用途拡大を図りながら道路関係の施策に重点的に投資されるべきであります。
 首都圏の道路整備は、ここ十年間が正念場でありまして、都は今後とも、関係自治体と連携しつつ、財源の確保と着実な整備に努めてまいります。
 首都圏のもう一つの弱点は、空のアクセスが著しく不足していることであります。世界が時間的、空間的に狭小になった現在、人や物の国際的な交流に不便を来す国家が脱落を余儀なくされることは至極当然であります。
 このため都は、羽田空港の再拡張、国際化や横田基地の軍民共用化を積極的に促進してまいりました。羽田については、平成二十一年末の供用開始を目指して着実に事業が進められているものの、横田の共用化は、緩慢な国の動きのために必ずしも順調とはいえません。
 先般、日米両政府による在日米軍再編協議の中間報告が発表されましたが、本来、全く別物である横田の軍民共用化が米軍再編の動きに巻き込まれてしまったことは、まことに遺憾であります。我が国の防衛力強化の観点から軍軍共用化はやむを得ないとしても、並行して横田基地の滑走路を軍民が共同で利用することは、国益総体を考えれば当然でありまして、日本の外交力の貧しさゆえに、要らぬ回り道をさせられたといわざるを得ません。
 そもそもこの問題は、一昨年、日米両国首脳により実現可能性を検討することが合意されたものでありまして、日米協議を米軍再編とは切り離して加速させるべきであります。
 先月渡米した折、国防総省高官と会談し、米国も軍民共用化について具体的な協議に応じる意向があることを確認いたしました。今後、早急に具体的な検討を行い、早期実現を達成するよう、改めて日米両政府に強く求めてまいります。
 住宅政策の推進も、都市整備にとって大きな課題であります。
 これまで都は、公的住宅の建設を中心とする取り組みから、市場を重視し、ストックを活用する仕組みづくりへと政策を転換するため、民間と連携した南青山一丁目団地の建てかえや、東村山市本町地区での高品質で低価格な戸建て住宅の実証実験など、先進的政策を打ち出してまいりました。
 今後、こうした方向性をより確かなものとするため、既存住宅の耐震化を初め、増大する老朽マンションの建てかえを円滑に促進するなど、東京の将来を見据えた課題に率先して取り組んでまいります。
 次に、中小企業の振興についてであります。
 国の力を示すのは経済力や軍事力だけではなく、技術の力こそ、その最たるものであります。今年度のベンチャー技術大賞に接して、この思いを改めて強くいたしました。一千兆分の一秒単位でレーザーを点滅させて物質を分析する装置を初め、いずれも独自の技術を実用化したものばかりであり、東京に集積する中小企業の水準の高さを見事に証明しております。
 東京の産業力を維持、発展させるには、中小企業のすぐれた技術力をさらに伸ばしていく必要があります。そのため、産業技術研究所を地方独立行政法人化し、産学連携の強化により新たな技術の開発や普及に取り組むなど、中小企業への技術支援の中核機関としての機能を拡充いたします。あわせて、区部及び多摩地域に産業支援の拠点を再編整備してまいります。
 次に、環境行政についてであります。
 これまで都は、ディーゼル車排出ガス規制により大気汚染の大幅な改善を実現し、地球温暖化対策計画書制度や屋上緑化を初めとする先駆的な取り組みを全国の自治体に波及させるなど、環境行政を先導してまいりました。
 しかし、温暖化の影響が懸念される異常気象が世界各地で猛威を振るい、国内ではダイオキシン類などの土壌汚染やアスベストによる健康被害など、環境の負の遺産ともいえる問題も顕在化しております。
 今後とも、これまでの取り組みを継承しつつ、東京の環境再生に向けた多角的な取り組みを進め、その成果を全国に発信してまいります。
 とりわけ産業廃棄物対策は喫緊の課題であり、総合的な対策を速やかに実施してまいります。
 東京で発生する有害な産業廃棄物の約六割が他県に持ち出されており、都内での処理体制の確立が急務であります。今後、セメント固化したアスベスト廃棄物を都の処分場に埋め立てる一方、感染性廃棄物については、来年度から都内の施設で全量を焼却するなどにより処理いたします。また、スーパーエコタウンに完成した専用施設において、一都三県のPCB廃棄物を受け入れ、無害化処理を進めてまいります。
 不法投棄も後を絶ちません。中でもその七割を占める建設廃棄物については、解体から最終処分まで廃棄物の流れを総合的に管理する仕組みを八都県市から国に提案し、その実現を迫ってまいります。あわせて、来年度、都独自の実証実験を開始するなど、不法投棄の撲滅に取り組んでまいります。
 また、リサイクルの一層の推進を図るため、産業界と協力して、廃プラスチックのリサイクルを進め、埋め立てゼロを目指してまいります。
 次に、福祉と保健医療についてであります。
 本格的な少子高齢社会に加えて、人口減少時代の到来を迎えた現在、社会保障全般に対する漠然とした不安が都民、国民の間に広がっております。しかし、国の改革は遅々として進んでおりません。
 都はこれまで、認証保育所の設置やグループホームの拡充、小児救急医療体制の整備など、大都市のニーズを的確にとらえた施策を展開し、独自の福祉改革と医療改革を進めてまいりました。都民、国民の不安を解消し、これまでの改革をさらに進めるため、改めて福祉と保健医療に対する基本姿勢を明らかにしていきたいと考えております。
 確かな安心を将来世代に引き継ぐには、より効率的、効果的に施策を展開しなければならず、そのためには、都民の率先した健康づくりや障害者の就労などを積極的に支援し、一人一人の自立を促すことが不可欠であります。
 こうした視点に立ち、今後、民間の力と地域の協力、行政の支援を基本に据えて、福祉と保健医療の施策を総合的に推進してまいります。
 花粉症は、今や国民の六人に一人、首都圏では四人に一人が苦しむれっきとした国民病であります。ここまで事態を悪化させた原因が国の無為無策にあることは明白であり、国は省庁の枠を超え、本腰を入れて対策に取り組むべきであります。
 都は先日、関係十四局を束ねる対策本部を設置しました。今後、八都県市などとも連携を深め、総合的かつ抜本的な対策を進めてまいります。
 発生源から花粉を減らす対策として、多摩地域の人工の杉林など三万ヘクタールを対象に、花粉の少ない品種への植えかえや広葉樹との混交林への転換を図るとともに、住宅建設や公共施設などで多摩産材の利用を促進してまいります。あわせて、臨床医学総合研究所などと連携し、根本的な治療方法の研究に取り組むなど、さまざまな角度から対策を講じてまいります。
 鳥インフルエンザの被害が、アジア地域にとどまらずヨーロッパにも広がりを見せており、ウイルスの変異による人から人への感染リスクが急速に高まっております。
 都では、新興感染症対策会議を一年前に設置し、新型インフルエンザ対策の準備を進めてまいりました。都内で流行した場合、最大で都民の三割が感染し、死者は一万四千人に達すると予測しており、今月中に具体的な対策を取りまとめた行動計画を策定いたします。
 流行期に、知事が不要不急の外出や催し物の自粛を呼びかける流行警戒宣言を出すとともに、大規模流行期には緊急事態宣言を発し、公共交通機関の運行縮小や、劇場などの集客施設等に対する事業活動の自粛を要請してまいります。
 次に、地域の課題についてであります。
 ひったくりや空き巣など身近な犯罪が減少傾向にあります。これは警察、行政だけではなく、町会や自治会も含め都内に二千以上ある防犯ボランティアの自主的な活動による大きな成果であると思います。
 地域での自助努力を支援するため、防犯ボランティアがコンビニエンスストアの店舗や敷地を活動の拠点として利用できるよう、先月、業界団体と協定を締結いたしました。パトロールの際の集合、解散場所として利用するなど、店舗数が多く営業時間も長いコンビニを積極的に活用することで、地域の防犯力を一層強化してまいります。
 また、都内では公用、業務用の車が地域の隅々で数多く稼働しており、こうした車両を地域の「動く防犯の眼」として活用していきたいと思います。庁有車はもとより、民間事業者の協力も得て宅配便などの車に防犯ステッカーを掲示し、不審者や犯罪発生現場を見かけた場合には率先して通報してもらえるようにいたします。地域の防犯力のさらなる向上を目指し、今月中旬にも取り組みを開始いたします。
 二十三区内のホームレスは、ことし八月時点で、前年に比べ千人以上減少し四千二百人余りになりました。これまで地元区や関係団体と協力して進めてきた地道な取り組みが結果に結びついたのだと思います。
 昨年九月に開始した民間アパートの借り上げ事業では、既に約九百人が公園などから移り住み、今年度末までにさらに三百人が入居する予定であります。引き続き、入居後のフォローアップや公園、河川の適正利用の推進などにも取り組み、ホームレスの自立を支援してまいります。
 続いて、国のいわゆる三位一体改革についてであります。
 地方への税源移譲をめぐっては、国と地方の役割分担を抜本的に見直す本質的な議論はほとんど行うことなく、政府・与党は昨日、児童手当などの国負担を切り下げ、地方に負担を押しつける案で決着を図りました。
 しかし、幾ら省益あって国益なしの数字合わせで取り繕ってみても、地方が独自性を発揮する余地はないに等しく、地方分権には何らつながらないのであります。
 また、三位一体改革を隠れみのに、大都市や都財政をねらい撃ちにしたさらなる措置が実行される可能性も出てまいりました。
 これまでも国は、文明工学的に見て常軌を逸した理由を持ち出し、大都市から税源を奪い取るための法人事業税分割基準の見直しを繰り返し行ってきました。今年度の措置では、都は来年度から六百億円の減収が見込まれ、これまでの措置と合わせれば一千百億円に上る減収を強いられることとなります。さらに新たな動きとして、全く道理のない法人住民税の分割基準の見直しまで浮上してきているのであります。
 東京ひとり勝ち論といった根拠のない空論を振りかざし、都から税源を吸い上げようとするのは、東京の財政需要を無視した暴挙といわざるを得ません。不合理きわまりない措置を二度と許してはならず、都から搾り取ることしか考えない国の動きに対しては、都議会の皆様と力を合わせ、徹底抗戦の構えで臨んでまいります。
 最後に、行財政改革について申し上げます。
 かつて司馬遼太郎氏は、明治の太政官制度以来、この国は何も変わっていないと慨嘆しておりました。しかし、近代日本を百数十年にわたって支えてきた中央集権・官治の統治システムが、もはや限界に来ていることはだれの目にも明らかであります。
 これからは、官が公のすべてを担うのではなく、民間を初め多様な主体が公の役割を分担し合い、その中で都が担うべき守備範囲を明らかにしていく必要があります。このため、行財政改革基本問題特別委員会の報告も踏まえ、「行財政改革の新たな指針」を策定しました。
 みずからの役割を原点から見直し、スリムで効率的な都政を実現するため、公営企業改革や監理団体改革の一層の推進はもとより、地方独立行政法人や指定管理者制度など新しい経営改革手法を積極的に導入してまいります。
 また、新たな取り組みとして、官も民も同じ土俵で競い合う東京都版市場化テストの早期実現に向け、来年度、モデル事業を選定いたします。官から民への流れを確かなものとし、さまざまな主体が責任を持って公を担う仕組みづくりに取り組んでまいります。
 同時に、複式簿記・発生主義の会計制度を国に先駆け来年度から導入し、事業別のバランスシートを活用した事後検証の仕組みを充実させるとともに、少数精鋭で仕事のできる執行体制の確立に取り組むなど、新しい都庁マネジメントを構築してまいります。
 職員の人事給与制度についても、抜本的な見直しに着手いたしました。今回の改革は、国や他団体に先駆けて年功的な給与体系を見直し、仕事ぶりに応じためり張りのある処遇を実現するための基礎となるものであり、団塊の世代の大量退職をにらんだ給与構造の改革であります。これを契機に、職員の士気を高め、都庁全体が持つ組織の力をさらに強化してまいります。
 来年夏を目途に、新たな指針に基づく実行プログラムを策定し、行財政改革の具体的な取り組みを明らかにしてまいります。
 自治制度のあり方についても、時代にそぐわなくなっております。従来の制度では大都市の役割が明確に位置づけられているとはいえず、大都市が地方を牽引し、国を動かす時代にあっては、東京から大都市の自治モデルを全国に発信していく必要があります。行政の簡素効率化を基本に据えつつ、総合的で一体的な大都市経営の実現が不可欠であると考えております。
 東京における大都市制度である都区制度についても、変革が求められております。都が今後とも大都市経営の主体として役割を果たすのか、特別区が都にかわっていかなる役割を担うのかを徹底的に検証し、現行制度の枠にとらわれない抜本的な見直しを行うべきであります。
 今後、指針の中で明らかにした考え方を踏まえ、都として骨太な制度論を展開してまいります。国の動向も見きわめながら、東京自治制度懇談会での検討を進め、二十一世紀にふさわしい行政のあり方を提示していきたいと思います。
 なお、本定例会には、公の施設に関する指定管理者の指定のための議案を提案しております。来年度からの本格導入に向け、二百十施設の候補者を選定したものであります。
 ただいま申し上げた事項を含め、条例案四十四件、契約案五件など、合わせて百三十件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君)以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(秋田一郎君)この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二日から六日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(川島忠一君)お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君)ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二日から六日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月七日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十五分散会


文書質問趣意書及び答弁書

一七財主議第三七〇号
平成十七年十一月二十二日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十七年第三回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
後藤雄一議員
福士敬子議員
河野百合恵議員
たぞえ民夫議員
植木こうじ議員
石毛しげる議員
清水ひで子議員
古館和憲議員
曽根はじめ議員

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 後藤雄一

質問事項
 一 地下道に設置されているコインロッカーについて
 二 水道特別作業隊について
 三 式根島野伏港の伝え波について
 四 都民の身近な危険箇所について
 五 島嶼の廃棄物(ゴミ)対策について
 六 財務局の「東京都契約事務規則違反」について
 七 公用車の管理、及び、運転手の健康管理について

一 地下道に設置されているコインロッカーについて
  新宿地下通路にはコイン・ロッカーが多く設置されている。他の大規模な主要駅地下通路にも同様のコインロッカーが設置されている。東京都はテロ対策に力を入れており警視庁は、9月11日、テロを予想し厳戒体制を取り、コインロッカー管理者に対し、所轄警察署担当者が口頭で指導をした、と聞く。
  新幹線内のゴミ箱は使用禁止、都営地下鉄のゴミ箱も改札口駅員の見える範囲以外は撤去等々が行われている。しかし、地下通路利用客が非常に多い新宿駅地下通路のコインロッカーは閉鎖されることなく利用されていた。
 1 警視庁は9月11日のテロ対策として、新宿駅の地下通路に設置されているコインロッカー管理者に対しては口頭で指導をしている、と聞くが、いつ、誰が、誰に、どのように指導したか、そして、指導内容について伺う。
 2 行革110番が都交通局に対し、警視庁からどのような指導がきているのかとヒヤリングしたが、現場から指導があったという報告はない、と聞く。そこで、指導を徹底させるためにも、警視庁は文書で指導すべき、と考えるが、見解を伺う。
 3 交通局が管理する地下鉄駅、同通路に設置しているコインロッカー・ゴミ箱のテロ対策について、今後の対策について伺う。
 4 利用客が多い地下通路のコインロッカーを撤去・移動させるよう指導すべき、と考えるが、警視庁の見解を伺う。
二 水道特別作業隊について
  水道局には昭和40年代初頭に設立された「水道特別作業隊」が杉並区永福町にある西部支所に設置している。
  この組織は、高度経済成長期、東京に工場や人口が集中し、水道事業は拡張に次ぐ拡張の上、当時の水道管は脆く、水道技術も未熟で水道管の破裂事故や漏水事故が多発していた時代、突発事故時に「断水・濁水区域への広報・給水」の役割を背景に発足した、と聞いている。
  現在は科学技術の進歩とともに水道技術の向上や水道管も丈夫になり、突発的な破裂事故はほとんどなくなった。
  しかし、水道策別作業隊は発足当初と同じ勤務形態を踏襲しており、隊は74名(16年8月現在)、5班(1班=13人)で編成され、日勤及び夜勤の以下の2交代により勤務時間により24時間体制で勤務している。また、隊には調理場が設けられ発足時から朝夕の食事は職員がつくっている、と聞く。
   日勤…8時30分-17時15分(実働8時間、休憩45分)
   夜勤…16時15分-翌朝9時45分(実働16時間、休憩90分)
  水道特別作業隊の16年度の決算でみると、7億9286万、人件費は6億6576万円である。
  また、出動した地域を水道局支所館内別に調べると、隊が設置されている西部支所(杉並区永福町)の近い地域が多く、東部第一支所(江東区)、東部第二支所(荒川区)方面の出動件数が少なく、交通事情が原因であることが想像され、裏付ける関係者の証言もある。
  以上のように、水道特別作業隊は、現状とあまりにもかけ離れ、管理面から見ても早急に改革する必要があることは、明白である。
  行革110番は、水道特別作業隊の問題点を指摘し、水道局の見解を求める。
 1 行革110番は、水道特別作業隊の本来業務を、「緊急時の応急給水・広報の業務」と考える。しかし、緊急対応を必要としない時、日勤の職員は、「給水装置の検査、道路占用工事の自主監察、他企業工事パトロール」を、夜勤は2グループに分け1グループは待機、1グループは「夜間パトロール」を行っている、という。なぜ、緊急性のない業務を、2交代・24時間体制の水道特別作業隊に行しているのか、伺う。
 2 水道局には、東京都水道局待機勤務規程があり、「(1)給水待機、漏水の修理、事故時等の応急措置及び料金に関する対応等、(2)配水保全待機、事故時等の応急措置、(3)水質待機、水質事故等の処理。(4)多摩ニュータウン水道待機事故時等の応急措置、漏水の修理及び水道使用に関する業務」を「待機勤務」としている。つまり、事故時等の応急対応が待機勤務になっている。なぜ、「水道特別作業隊」の勤務体制を「待機勤務」にしないのか、伺う。
 3 水道特別作業隊の本来業務は「災害・事故等の緊急時の広報・応急給水」である。東京都の交通事情、そして、災害時・緊急時の交通事情を考慮すれば、江東区の東部第一支所、又は、荒川区の東部第二支所に、水道特別作業隊の本来業務である「緊急時の広報・応急給水機能」を分割して配置すべき、と考えるが見解を伺う。
 4 水道特別作業隊の勤務体制は、日勤が8時30分から17時15分だが、夜勤の出勤時間が日勤の退出時間となぜ1時間もダブル必要があるのか?
   同様に、夜勤の退出時間が日勤の出勤時間となぜ1時間もダブル必要があるのか、効率的行政運営の観点から不適切な人事管理と考えるが、見解を伺う。
 5 上記2および3の体制に改革すべき、と考えるが、改革までの間、夜勤の勤務体制を日勤の勤務時間のダブリの2時間をカットし、夜勤の勤務時間を17時15分-翌朝8時30分にすべき、と考えるが見解を伺う。
 6 ダブリの時間をカットすると、変則勤務手当の支給額が16時間未満となり、1,000円から750円にダウンし、休息時間も15分カットすることになる、と考えるが、見解を伺う。
三 式根島野伏港の伝え波について
  平成17年3月で「式根島野伏港の伝え波対策を早急に行うように」という請願が提出され「平成16年1月から行われた野伏漁港の改良工事で、漁港入口が拡幅された。上記工事説明会で、漁業関係者が『岸壁の伝え波が湾内に入り湾内の波が高くなる』との指摘したところ、港湾局・新島村工事責任者(片桐係長等)は、コンピューターによるシュミレーション図を示しながら、『湾内への伝え波による影響はない』と説明した。しかし、拡幅工事が行われた以降、湾内は波が高くなっており、漁船が繋留できない日があるほどであるほか、漁船などに被害がでているほどである。この嘘の説明は何だったのか?」との文言で早急に伝え波対策を求める趣旨の請願が出された。
  上記請願に対しての港湾局からの説明は「事実無根」であるとの趣旨が書かれており、請願内容と食い違うものであった。
  しかし、新島村議会「平成17年第1回定例会の議事録」の30ページには「式根島支所長・・青沼議員さんもご存じのように、野伏港内の状態が非常に悪くなっております。それで16年度におきましても、やはり防舵材を2本取り替えております。
  青沼議員・・港内の状況が悪くて本当に「にしき」も困っているので、港内のほうもなるべく早くするように、ここで行政の方にお願いしたいと思っています。」
と議論がなされ、「野伏港内の状態が非常に悪く連絡船にしきまでが困っている」と記載されている。
  港湾局の請願に対する説明は、地元関係者の請願内容及び新島村議会議事録との食い違い、港湾局は調査し説明する責任があると考える。よって、式根島野伏港の港内の現状は、港湾局の認識・説明と新島村村議会議事録とどちらが正しいのか伺う。
四 都民の身近な危険箇所について
1 都内には、十字路の交差点で「止まれ」の道路標識のない箇所(以下「本件交差点」という)が多く存在するのに驚かされる。本件交差点付近には「注意-事故多し」等の立看板があり、事故が発生したか、又は、近隣住民が危険を感じケースが存在したことを物語っている。しかし、地元警察に相談すると、
  ア 地元自治体が「看板」「ストップマーク」等で対応している、
  イ 交差点は、注意が原則、そして、左優先である、
  として取り合わないのが現状である。
   警視庁は交通事故を減らすために様々なキャンペーンを行っているが、本件交差点に「とまれ」の道路標識を積極的に設置しないのは理解できない。
   今後、高齢者社会は加速し、高齢者の交通事故が増大することが予測される。よって、裏通り・生活道路の交通安全確保が重要になっている。本件交差点の危険箇所に交通標識を積極的に設置すべき。と考えるが、警視庁の見解を伺う。また、警視庁が把握している本件交差点の場所・数を示せ。
 2 墨田区枕橋たもとに、地元屋台船業者が東京都(管理者)に無断で船着き場を設置(以下「本件船着き場」と言う)している。
   行革110番が本件船着き場を調査したところ、入り口には鍵が壊れたドアがついており、そのうえ、川におりる階段の板等は朽果て危険な状態である。
   行革110番は今年4月に建設局に本件船着き場の撤去を申し入れたが未だに放置されたままである。子どもが入って遊び事故を起こしたときは、東京都の管理責任が問われることは明白である。
   地元では、建設局と屋台船業者との関係を噂する声も聞こえる。早急に本件船着き場を撤去すべき、と考えるが、見解を伺う。
 3 墨田区北十間川には廃船(以下「本件廃船」と言う)が放置され、地元から治安等の理由から撤去するよう東京都へ申し入れがなされている。建設局は所有者も確認しているにも関わらず、放置している。子どもが入って遊び事故等を起こしたときは、東京都の管理責任が問われることは明白である。
   東京都は治安対策に力を入れているが、治安対策は警察にだけ任せておくものでなく、関係局も連携し治安対策につとめる必要がある。
   本件廃船を早急に撤去させるべき、と考えるが見解を伺う。建設局が把握している廃船の数はどのくらいあるのか、伺う。
五 島嶼の廃棄物(ゴミ)対策について
  東京都は今年から「観光プロデューサー」を八丈島・神津島に派遣し、観光振興に力を入れている。しかし、行革110番が現地調査したところ、島嶼はゴミの処分が後手にまわり散々たる状況であり、観光客がゴミの現状を知ったら、島に行くのが嫌になるのではないか?と心配するほどである。
  島嶼のゴミ処分場を担当する環境局も努力しているのだろうが、環境汚染も心配され一刻の猶予も許されない。地元行政の意識の低さも問題だが、島はゴミ処理にかかる費用に頭を抱えているのが現状だ。
  東京都は離島振興法をうけ、伊豆諸島地域(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島及び青ヶ島)の今後の10年間(平成15年度~24年度)の振興の方向性を示す「東京都離島振興計画」を策定している。事業費用は、離島振興法に基づき東京都が国に1/3、1/2、85/100等の補助金を申請し、残額は東京都の負担で事業は行われている。
  「東京都離島振興計画」は観光立島を目玉に島の自立的発展を目標にし、「農水産業との連携による潜在型・体験型・通年型観光への転換、島ごとの戦略的行動計画の策定」を重要施策としている。
  島嶼部の適正なゴミ処分には「管理型処分場」が不可欠である。大島には「管理型処分場」が18年度から共用開始とされているが、建設が予定されていた八丈島は頓挫している状態である。また、式根島には、新島村が承知で埋めた消却灰が数十トンある。埋めた付近の海岸に続く崖には、崩落防止ネットがかけられ草が植えられているが、黒くなって育っていない状態で土壌汚染が心配される。
  東京都離島振興計画にある「観光立島」の本旨を積極的に行うために、
 1 ゴミ処理の適正化を積極的に指導監督すべき、と考えるが見解を伺う。
 2 管理型処分場を各島に設置すべき、と考えるが、見解を伺う。
 3 資源ゴミの搬送費用を東京都が負担することも必要と考えるが、見解を伺う。
 4 上記資源ゴミ等の搬送に、港湾局発注工事等で使用するガット船等を利用することを提案するが、見解を伺う。
 5 式根島には、消却灰が数十トン適正処理されず埋められている事実を環境局も把握している。土壌汚染が心配され撤去するよう積極的に指導すべき、と考えるが見解を伺う。
 6 長年、離島振興計画がたてられているのに、島民の生活に密着する廃棄物(ゴミ)処理が放置され、港湾局関連工事を優先してきた理由は何か?今後、生活に密着するゴミ等に予算配分を転換すべき、と考えるが、見解を伺う。
六 財務局の「東京都契約事務規則違反」について
  行革110番が「平成16年大島支庁神津島出張所改築工事」について調査したところ、担当した財務局建築保全部は、契約締結日から8か月後に契約書を製本している事実が判明した。その8か月の間に、金銭に関わる設計変更が行われているにも関わらず、正規の変更手続きをとらず業者に損害を与えていた事実も判明した。東京都契約事務規則第36条には「契約担当者は・・・遅滞なく次に掲げる事項を記載した契約書を作成しなければならない」と定められている。にも係わらず、「入札の際の工事仕様書」と「契約書に綴られた仕様書」が異なっている、という行政としてあってはならない違法行為を行っていたのである。
  行革110番が財務局建築保全部に16年度の工事契約で、契約締結日から製本完了までの日数を調査するよう求めたところ、3か月/38件、4か月/17件、5か月/14件、6か月/17件、7か月/3件、8か月/4件、とあきれた数字が出てきた。この数字は、建築保全部の違法行為が慢性化していたことを物語っている。
  平成16年大島支庁神津島出張所改築工事において、受託した業者は発注者である都庁役人に是正を求めたが、認められなかったという。それ以上の抗議を行い仮に工事契約を破棄すれば、契約不履行として2年間の指名停止となり、不利益を被り、請負い業者としては自殺行為になる。
 1 今後の改善計画を具体的に示せ。
 2 建築保全部は全ての契約で内容を調査し直し、業者に損害を与えている場合は、業者に与えた損害を支払い補填すべき、また、業者が不当利益を得ている場合はすみやかに業者より返還させるべき、と考えるが、見解を伺う。
 3 他局では、本件同様の違法行為が行われていた事実があるのか、伺う。
七 公用車の管理、及び、運転手の健康管理について
  行革110番は、先月、議会公用車の優先配車1台(以下「本件公用車」という)の使用実態を追跡調査し本件公用車が、乗車した都議の選挙応援の足に、選挙演説会場にきていた人物をのせて移動に、そして、党本部への移動に使っていることが判明した。(優先配車・・都議会に配車されている公用車で、会派別に割り振られ、40人以上の会派には3台まで。30人以上の会派には2台までとなっている、と言う)選挙応援の足に公用車を利用することは、認められないことは明白である。
  運転手は東京都の職員であり公務員である。公務員である以上、地方公務員法・地方自治法を守る義務がある。運転職員は利用者である都議の命令(依頼)で運転するのであるが、利用する都議から違法に公用車の運転を依頼された場合は、断らなければならないはずである。
  本件の場合、仮に公用車の使用目的を知らされていなかったとしても、本件公用車を運転する職員は本件公用車が「選挙応援の足」に使用されていることは認識できたはずである。よって、業務終了後、すみやかに輸送課の責任者に「本件公用車が選挙応援の足」に使用した事実を報告する義務があるはずである。行革110番が輸送課担当者に確認したところ、報告はなかったとのことである。
  また、調査期間中の本件公用車の利用実態を担当者に電話で確認したところ、
  月日    公用車使用時間         使用経路
9月5日・・・7時45分から0時45分(17時間)・・・・都庁-千代田区-都庁
9月6日・・・6時45分から22時00分(15時間15分)・ 都庁-千代田区-都庁
9月7日・・・9時15分から22時45分(14時間15分)・ 都庁-千代田区-東大和-目黒-千代田区-都庁
9月8日・・・9時45分から1時45分(17時間15分)・・都庁-千代田区-都庁
9月9日・・・10時15分から21時45分(13時間15分)・都庁-千代田区-港区-千代田区-都庁
と、公務員の労働時間として異常な状態である。運転職員が交通事故や健康を害したときに公務災害で訴えられれば、使用者責任が問われる可能性がある。
 1 公用車の利用が違法・不当に行われた時、運転手は輸送課責任者に報告するように義務づけるべき、と考えるが見解を伺う。また、公用車の管理を適正に行うべき、と考えるが見解を伺う。
 2 運転手の健康管理を留意すべき、と考えるが見解を伺う。
 3 運転日誌に利用経路を詳細に書かせるべき、と考えるが見解を伺う。

平成17年第三回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 地下道に設置されているコインロッカーについて
  1 警視庁は、テロ対策として、新宿駅地下通路に設置されているコインロッカー管理者に対し、口頭で指導していると聞く。いつ、誰が、誰に、どのような指導をしたのか、そして、指導内容について伺う。

回答
  警視庁では、テロ対策の一環として公共交通機関等の管理者に対し、自主警備の強化要請などを行っており、個々の駅に対する要請は管轄の各警察署が行っています。
  新宿駅地下通路に設置されているコインロッカーについても、都内の治安に重大な影響を及ぼすおそれのある事象・事件をとらえて、その都度、管轄警察署の幹部が、駅管理者等に対し、警備員による巡回の励行等の自主警備態勢の強化のほか、不審者及び不審物件を発見した際の早期通報依頼などの要請を行っています。

質問事項
 一の2 交通局では、警視庁の指導があったという現場からの報告はない、としている。指導を徹底させるためにも、警視庁は文書で指導すべきだが、見解を伺う。

回答
  警視庁では、これまでも国内外の情勢に基づいて特にテロの危険性が高まっていると判断された際には、関係機関や事業所等に対し、文書により自主警備の強化等について要請を行っています。
  今後も、引き続き情勢に応じて文書による必要な要請等を行い、テロの未然防止に努めます。

質問事項
 一の3 交通局が管理する地下鉄駅、同通路に設置しているコインロッカー・ゴミ箱のテロ対策について、今後の対策を伺う。

回答
  現在、都営地下鉄ではテロ対策の一環として、駅構内では駅係員及びガードマンによる警備・監視を行っています。ゴミ箱については、駅係員が常時監視できる改札口付近に設置しています。コインロッカーについては、お客様の利便性を考慮し営業を行っています。
  今後とも、関係機関と連携しながら状況に応じて必要な措置を講じていきます。

質問事項
 一の4 利用客が多い地下通路のコインロッカーを撤去・移動させるよう指導すべきだが、警視庁の見解を伺う。

回答
  公共の場所におけるコインロッカー等の設置については、駅管理者と設置事業者との正規の契約手続に基づき設置されているものであり、警察の指導でこれを全面的に撤去・移動させることは、現状では困難であると考えています。
  しかしながら、テロの危険性が高いと判断した場合、個々の情勢に応じて必要によりコインロッカーの一時利用抑制の要請を行っていきたいと考えています。

質問事項
 二 水道特別作業隊について
  1 水道特別作業隊は、緊急対応を必要としない時には、給水装置の検査やパトロールなどを行っている。なぜ、緊急性のない業務を、2交代・24時間体制の水道特別作業隊に行わせているのか伺う。

回答
  水道特別作業隊は、突発事故や地震等災害の発生時において、初期の広報、応急給水、情報連絡及び二次災害防止作業等の業務を迅速に行うため、24時間勤務体制をとっているものです。
  いつ発生するか分からない事故や災害に対し、常に即時対応可能な体制を維持しつつ、限られた人材を有効に活用するため、給水装置の検査や他企業が行っている工事のパトロール、テロ対策の一環として水道施設への巡回警備などの業務を計画的に行っています。
  事故や災害の発生時には、これらの業務を即時中断して、現場に出動し広報、応急給水等の業務を行います。

質問事項
 二の2 東京都水道局待機勤務規程では、事故時等の応急対応が待機勤務になっている。なぜ、水道特別作業隊の勤務体制を待機勤務にしないのか伺う。

回答
  突発事故や地震等災害の発生時における医療機関、福祉施設等への応急給水などの初期業務を迅速に行うためには、24時間を通して出動体制を確保する必要があります。
  水道特別作業隊では、これら緊急出動に常時備えていることが本来業務であるため、交替勤務制としています。

質問事項
 二の3 江東区の東部第一支所、荒川区の東部第二支所に、水道特別作業隊の本来業務である、緊急時の広報・応急給水機能を分割して配置すべきだが、見解を伺う。

回答
  水道特別作業隊は、突発事故や地震等災害の発生時の初期の広報、応急給水、情報連絡、二次災害防止作業等という業務内容を踏まえ、機動性、合理性、効率性などを総合的に勘案した上で、配置したものです。

質問事項
 二の4 水道特別作業隊の勤務体制は、日勤と夜勤の出勤、退勤時間が、それぞれ1時間ダブっている。効率的行政運営の観点から不適切な人事管理と考えるが、見解を伺う。

回答
  水道特別作業隊においては、当日作業及び継続作業に係る口頭、書面による業務引継並びに車両、工作器具、情報連絡機器等の引継ぎなどを行うため、夜勤と日勤の勤務時間に引継時間として、一定時間の重複が必要です。
  なお、交替勤務体制は、一般的にも引継時間を設けています。

質問事項
 二の5 夜勤の勤務時間を、日勤とのダブリの2時間をカットし、17時15分から翌朝8時30分にすべきだが、見解を伺う。

回答
  夜勤と日勤の勤務時間に引継時間として、一定時間の重複が必要であると考えています。

質問事項
 二の6 ダブリの2時間をカットすると、変則勤務手当の支給額が16時間未満となり、1,000円から750円にダウンし、休息時間も15分カットすることになると考えるが、見解を伺う。

回答
  夜勤と日勤の勤務時間に引継時間として、一定時間の重複が必要であると考えています。

質問事項
 三 式根島野伏港の伝え波について
   式根島野伏港の伝え波対策を求める請願に対し、港湾局は事実無根の旨説明したが、新島村議会では「港内の状態が悪い」との議論がされている。野伏港内の現状は、港湾局の認識・説明と村議会議事録とどちらが正しいのか伺う。

回答
  野伏漁港の港内静穏度の向上については、静穏度解析の結果、東側に整備中の防波堤を早急に完成させることが必要であり、請願にある沿い波が生じる波浪方向では、静穏度に与える影響は少ないという結果を得ています。
  また、港口拡幅後、沿い波による漁船の被害実績はなく、沿い波対策についての地元漁業協同組合からの要望もありません。
  したがって、引き続き、東側防波堤の延伸工事を進めていきます。
  なお、指摘にある新島村議会での質疑において、沿い波を原因とする野伏漁港の状態に関する議論はされていません。

質問事項
 四 都民の身近な危険箇所について
  1 「止まれ」の道路標識のない十字路の交差点の危険箇所に、交通標識を積極的に設置すべきだが、警視庁の見解を伺う。また、警視庁が把握しているこのような交差点の場所・数を伺う。

回答
  交差点における一時停止規制の実施については、
 ・ 屈折、こう配、道路工作物等により、左右の見通しがきかない交差点
 ・ 斜め交差点、多岐交差点等その形状が複雑な交差点又はその直近の場所
 ・ 出会い頭等の交通事故が発生している、又は発生するおそれがある交差点
等を目安としつつ、交通事故の発生状況、交差点及びその周辺の地形・工作物、安全施設の整備状況、地域住民等の要望・意見等の要素を勘案し、個々の箇所についての規制の要否を判断しています。
  また、交通規制を実施していない交差点の場所・数については、統計をとっていません。

質問事項
 四の2 墨田区枕橋たもとに、地元屋台船業者が、管理者である都に無断で船着き場を設置しているが、階段等は朽ち果て危険な状態である。早急に撤去すべきだが、見解を伺う。

回答
  都は、これまで暫定係留施設を整備し、放置船対策を進めてきました。
  また、平成14年度からは、「東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例」により、旧江戸川など3河川の適正化を実施しました。
  屋形船等営業船については、豊洲貯木場に受け皿となる係留保管施設を整備するため、船の所有者や地域住民などと協議しながら調整を進めており、不法係留の解消に向けて積極的に取り組んでいます。
  墨田区北十間川の管理は墨田区が行っていますが、ご指摘の枕橋たもとの屋形船についても、係留保管施設の整備に合わせ移動を図るとともに、墨田区と連携し、船着き場が撤去されるよう指導していきます。

質問事項
 四の3 墨田区北十間川には、廃船が放置されている。早急に撤去させるべきだが、見解を伺う。また、建設局が把握している廃船の数はどのくらいあるか伺う。

回答
  北十間川の廃船については、現在、墨田区が船舶の所有者を調査し、所有者に対して事情を確認の上、撤去指導を行っています。
  今後、関係者の理解と協力を得ながら墨田区と連携を強化し、水辺空間の魅力向上に向け、放置船舶の早期解消に努めていきます。
  なお、外観だけでは廃船の判断が困難なため、正確な廃船数は把握できません。

質問事項
 五 島嶼の廃棄物対策について
  1 島嶼部のごみ処理の適正化を積極的に指導監督すべきだが、見解を伺う。

回答
  島しょ地域の生活環境を保全する上で、一般廃棄物の適正処理の確保が重要です。
  このため、都は、島しょ町村に対し技術的・財政的支援を行うとともに、廃棄物処理施設に対する維持管理上の指導を行っています。
  今後とも、都は、島しょ町村に対して支援等を行い、適正処理の促進を図っていきます。

質問事項
 五の2 管理型最終処分場を各島に設置すべきだが、見解を伺う。

回答
  島しょ地域における管理型処分場については、平成13年3月、島しょ町村会が大島町及び八丈町に共同設置する整備計画を策定し、現在、その整備が進められています。
  都は、2か所の管理型処分場の整備が円滑に進むよう、引き続き、技術的・財政的支援を行っていきます。

質問事項
 五の3 資源ごみの搬送費用を都が負担することも必要だが、見解を伺う。

回答
  島しょ地域においては、一般廃棄物の適正処理の確保とともに、リサイクルの推進が重要です。
  このため、都は、島しょ町村のリサイクルの仕組みづくりを支援するとともに、リサイクル事業に係る島外搬出用コンテナ等の購入経費やリサイクル関連施設の整備費に対し財政的支援を行っています。
  今後とも、都は、島しょ町村に対し必要な支援を行い、リサイクルの促進を図っていきます。

質問事項
 五の4 資源ごみ等の搬送に、港湾局発注工事等で使用するガット船等を利用することを提案するが、見解を伺う。

回答
  島しょ町村は、資源ごみを島外搬出するに当たって圧縮こん包し、飛散防止対策のためコンテナ等に収納して本土側へ搬出しています。
  ガット船は、石材等の工事用資材をバラ積み輸送する船舶であり、コンテナ等の積み込みに対応した構造となっておらず、活用は困難と考えています。

質問事項
 五の5 式根島には、焼却灰が適正処理されずに埋められている。撤去するよう積極的に指導すべきだが、見解を伺う。

回答
  焼却灰が埋められている場所には、すでに、新島村が当面の立入禁止措置として、仮設のフェンスを設置しました。
  今後の対応については、処理責任を有する新島村が検討しており、都は必要な助言を行っていきます。

質問事項
 五の6 長年、島民の生活に密着する廃棄物処理が放置され、港湾局関連工事を優先してきた理由は何か。今後、生活に密着するごみ等に予算配分を転換すべきだが、見解を伺う。

回答
  島しょ地域の住民の生活や産業活動を守る上で、港湾関連工事は、必要な整備事業です。
  また、都は、島しょ町村が行っている廃棄物処理施設の整備やリサイクルの促進事業に対して、技術的・財政的支援を行っています。
  今後とも、島しょ地域における一般廃棄物の適正処理やリサイクルを促進するために、必要な支援を行っていきます。

質問事項
 六 財務局の東京都契約事務規則違反について
  1 大島支庁神津島出張所改築工事に関し、設計変更が行われているにも関わらず、正規の変更手続きがとられていなかった。今後の改善計画について伺う。

回答
  本件契約においては、都と請負業者とで工事内容の変更について協議を行った上、その一部を変更して、工事をしゅん工させたものであり、契約上は問題ありません。
  今後、設計図面の変更を必要とする場合においては、適切に処理していきます。

質問事項
 六の2 建築保全部は、全ての契約で内容を調査し直し、業者に損害を与えている場合は支払い補填すべき、また業者が不当利得を得ている場合は返還させるべきだが、見解を伺う。

回答
  契約締結後、施工条件に変更があり、契約金額の変更を必要とするときは、これまでも契約条項に基づき、請負業者と協議の上、増額又は減額の契約変更をして、適切に処理しています。

質問事項
 六の3 他局では、本件同様の違法行為が行われていた事実があるのか伺う。

回答
  本件契約においては、違法行為はありませんが、他局で本件と同様の事例は聞いていません。

質問事項
 七 公用車の管理及び運転手の健康管理について
  1 公用車の利用が違法・不当に行われた時、運転手の輸送課責任者への報告を義務づけるべきだが、見解を伺う。また公用車の管理を適正に行うべきだが、見解を伺う。

回答
  公用車の利用及び管理については、東京都自動車の管理等に関する規則に基づき、適正に行っています。

質問事項
 七の2 運転手の健康管理を留意すべきだが、見解を伺う。

回答
  自動車運転職員については、労働安全衛生法に基づく定期健康診断、産業医による助言指導を行うなど、その健康管理に万全を期しています。

質問事項
 七の3 運転日誌に、利用経路を詳細に書かせるべきだが、見解を伺う。

回答
  公用車の運転日誌は、道路交通法施行規則に定められた必要な項目を記録しています。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 福士敬子

質問事項
 一 国民保護計画素案について
 二 首都圏3環状道路整備に関して

一 国民保護計画素案について
  「国民保護法」および「国民の保護に関する基本指針」に基づいた「国民保護計画素案」が出された。
  計画づくりの段階で、一般に公開し都民も含めた意見を求めていることは、一応可とするものの、さまざまな疑問がある。
  まず、東京都国民保護協議会では、2回の審議で計画素案が了承され公開された。
  しかも、5月25日の1回目はわずか30分間で、知事のあいさつと「設置趣旨」「協議会運営規定の説明」および「計画作成の基本的考え方とスケジュール」が説明され、70名もの委員中、3委員から短い意見が出されたのみである。その意見でも都民の理解不足が心配されている。さらに学識経験者からも地域防災計画との同じ部分、違いについての説明が求められている。さらに2回目も1時間15分という短時間の審議である。その審議内容も疑問、質問が多く、積極的な提案はない。
 1 協議会について
  ア まず、協議会委員ですら国民保護に関する理解が十分とはいえない中で、いきなり素案を出して一般に理解され、真摯な意見が返ってくるだろうか。どう考えているか見解を伺う。
  イ 法律では計画策定の日程は定められていないと思うが、18年第一回定例議会までに定める理由および共同で活動すべき市区町村の策定に向けてはどのような提案をしているのか。
  ウ ちなみに我が杉並区では、民間に計画の基礎調査、計画策定の主要業務を依存する状況である。拙速な施策推進で各市町村の混乱、認識不足はないのか?
  エ また、国民保護法4条2項(国民の協力等)には、自発的な意思による協力が求められ、強制をしてはならないと規定されているものの自然災害への対策と武力攻撃災害への対策を誤解させ、住民の協力を求め、強制することのないよう具体的に記載されるべきだと思うが、どのような対策が行われるか伺う。
  オ 70名の委員においては、行政および関係機関が多くを占め、その中に自衛隊も陸海空代表がそろっている。しかし、一般的学識経験者はわずか6名であり、しかもその中には元自衛官の志方俊之氏が入っているが、人権を守る立場の弁護士は一人も入っていない。国民保護とはいえ、さまざまなデマ、差別を含めた人権対応が求められる。官主体の構成の中で、地域住民の実態把握はわずか一人入っている消防団代表にすべてを負わせて良いのだろうか?考えを伺う。
  カ また、現実に実務を担う消防団等への人権意識対策および啓発活動はどのように考えられているか伺う。
  キ 更に委員の中に弁護士を参加させなかった理由を伺う。
 2 国民保護計画素案について
  ア 素案によると必要以上に武力攻撃やテロ対策が掲げられているが、04年12月政府の「防衛計画大綱」において「見通し得る将来わが国に対する本格的な侵攻事態生起の可能性は低下している」と明言されている。今回の計画策定にあたり、「実際に武力攻撃」などの事態となる想定の根拠は何か?
  イ むしろ、このような事態とならないよう日頃の平和的友好外交政策に加え、知事も他国民を尊重した人権施策を進めるべきと考えるが、都の認識を伺う。
  ウ 素案の特徴として「武力攻撃や大規模テロ等への対処・平素の備え」とあるが、一方ではテロ等が国の事態認定前に突然起きる場合の補完対応として「災害対策のしくみを活用」とある。災害対策で活用できるのであれば国民保護計画の必要性は薄く、犯罪対策と合わせて活用することで可能と思われるが考えを伺う。
  エ なお、「事態」の認定を国が行う前に都が独自に行うことは違法ではないのか、合わせて伺う。
  オ 知事は協議会の冒頭のあいさつで、「知事としての責任として場合においては超法規的な措置をとりますし、みなさんもその覚悟をもっていただかないと」と発言している。超法規とは違法を承知の上でという解釈で良いか。
  カ 違法を承知の上でと勝手に対処を乱発する危険に対し、法律を遵守すべき立場の行政としてはどう考えるのか伺う。
  キ 国民保護指針でも、大都市での短期間における避難は困難であり「近くの建物に避難する」事があげられている。しかし避難後の対応が考慮されているとは思えない。8月の協議会でも企業と思われる委員から供給の継続と攻撃の中で、どこまで社員を頑張らせるか課題であり、指導を求めている。避難先の企業の協力を得るためにどうするのか。また、保障はどうなるのか伺う。
  ク 先に質問したように、国民保護法(国民の協力)4条2項では、国民の協力は自発的な意思にゆだねられるものであって、その要請にあたっては強制にわたることがあってはならないと定めている。さまざまな場面で強制をしないことをどう担保するか、合わせて対策についての考えを伺う。
  ケ アメリカでは、予測されたハリケーン災害に対する数十万人規模の避難すら不可能だったが、東京都から他地域へ避難する場合、数百万人から一千万人を超える大移動が可能と考えられるのか。どのような想定をされて計画を進めるのか伺う。
  コ さらに他県から進入しようとする自衛隊の部隊移動との整合性はとれるか伺う。
 3 人権について
   東京都は日本最大の港湾を抱え、空港もある。安易な武力攻撃を想定し、それを「兆候」と解釈し、警戒区域を設定、立ち入り制限等の措置などをすすめることのないようにすべきである。少なくとも「兆候」自体の定義も定かでない。いたずらに都民への恐怖感をあおり、他国への差別、緊張を高めてはならない。
  ア 立ち入り制限等の実施にあたり、人権侵害に到らぬような手続きを保障すべきであるが、見解を伺う。
  イ 東京都は石原知事の元、協議会においても陸海空を網羅する自衛官を委員とする他、職員研修も元自衛官の志方俊之氏が行ったと聞く。啓発、周知に名を借りた思想統制とならないための方策が求められるが見解を伺う。
  ウ 平素の備えの一つに、地方自治体への「訓練」「研修」等が行われると思うが、参加は職務命令となっているのか伺う。
  エ 特に学校教育においては、現在すでに現教育委員の自己思想の強権的押し付けを進める中で、目先の脅威論をあおりたてることがあってはならない。他国民を含めた命の尊重と平和こそ真の目的であることを、国際的視野と真実に則した歴史観をもった人材による教育が重要となるが見解と対策を伺う。
 4 国民保護法より平和的解決を
   国民保護法では国民を保護するといいつつ、一方で「武力攻撃災害」という概念が作られ、礒崎陽輔氏(現総務省自治行政局国際室長)により説明されている。
   しかし、武力攻撃は人為的に引き起こすものである。そのような事態をつくらず、平和的解決を求めることで攻撃を避けられる可能性は大きい。攻撃などされないよう、最大の努力を行うべきである。
   少なくとも都民の保護を本気で考えるのであれば、平和な社会づくりをめざすことこそ現実的と考える。軍事力を排した憲法9条の実現を追求することなく、9条不要論を声高に言うのではなく、その具体化を考えるべきである。
   その一つにジュネーブ条約追加第一議定書59条に規定された「無防備地域(非防守地区)」がある。これは自治体の宣言で実現でき、同宣言地区への攻撃は国際的に戦争犯罪として禁じられている。
   日本では長年批准されなかったジュネーブ条約追加第一議定書(1979年)であるが、昨年有事法成立に関連して批准したものである。議定書成立の審議過程で当初「国」と限定されていた「当局」が「国以外の『適当な当局』に広げられたことから、地方自治体も無防備地域宣言の主体となり得ると解釈されるようになった。防衛研究所教官の岩本誠吾氏も認めているところである。
  ア 都民の安全と財産を保護することを最優先とし、都民を戦禍から守ることを国際法として保障された「無防備地域宣言」を進めることこそ自治体の責務にふさわしいと考えるが見解を伺う。
  イ 今回の国民保護法の基となった武力攻撃事態対処法の第7条には「地方自治体は当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産の保護に関して国の方針に基づく措置の実施その他適切な役割を担うことを基本とする」とされている。この文面にある「その他適切な役割」については、立法作業に携わってこられた礒崎陽輔氏自身「国の方針に基づかない措置で、当該地方公共団体独自の判断で実施するもの」といい、このような「独自で判断する措置があり得るのではないか」と考え、かかる規定を挿入したといわれている。したがって立法作業の意を尊重し、都としても拙速な国民保護計画より独自の武力攻撃等に至らないための対策を講じるべきだと考えるが、見解を伺う。
  常々、地方から国を変えると声高らかに発言される知事の元、唯々諾々と国に追従し、無思慮のままあわてて国民保護計画を策定されることの無いよう、付記しておく。
二 首都圏3環状道路整備に関して
  首都圏の3環状道路整備は、2006年秋にあきる野インターチェンジから八王子ジャンクション、2006年度に首都高速中央環状新宿線の開通が予定されている。これに続く計画として、圏央道については、9月28日に八王子南インターチェンジから八王子ジャンクションまでの事業認定が申請され、東京外かく環状道路については、9月16日に計画案が発表された。
  PI協議会でも、外環の必要性は決定されたわけではない。それにも関わらず、先に推進ありの発言を知事も繰り返している。PI協議を行う場合、諸外国では計画取りやめを含めて検討される。住民の疑問に答えることなく推進するのであれば、PI協議会の意義はどう考えるのか伺う。その上で首都圏3環状道路に関しては、経済効果、交通量、環境への影響についての予測および評価が発表され、建設を進める根拠となっているが、これらの予測・評価に関して伺う。
 1 経済効果に関して
   道路が整備された場合の経済効果の予測は、移動時間短縮による時間便益、渋滞で浪費される燃料等の走行便益、交通事故減少便益を合計して算出されている。
  ア 経済効果においては、移動時間短縮により得られる時間便益の占る割合が比較的多い。基本的にこの時間便益は、車両ごとの短縮時間に時間あたりのコストを掛けて総和をとったものとなるが、時間あたりのコストは車両ごとに大きな差があると考えられる。
    営業目的以外の、観光・レジャー・通勤等に用いられる自家用車では、目的地に到着するまでの時間を元に出発時刻を調整することが容易であるため、時間あたりのコストの算出は困難であると思われる。また、営業目的で走行するトラック等においても、時間短縮が見られた分を他の仕事に充当することが出来ない場合には、経済効果としての算出は行いにくいと考えられる。これらを踏まえ、現在出されている環状道路整備における経済効果のうち、時間便益について車両の移動目的別の時間あたりコストおよびその算出にあたっての根拠を伺う。
  イ 現在、一般道に並走する形ですでに高速道路が整備されている区間においても、通過交通のすべてが高速道路に移行しているわけではない。これは、高速道路の通行料金が時間便益+走行便益を上回っていることが理由の一つとして考えられる。高速道路の料金設定と、一般道からの交通量の移行の実態を調査することが、時間便益・走行便益の算出の参考となると考える。
    料金設定にあたって、ドライバー側に対するアンケート調査等を行った事例があるか、伺う。
  ウ また、整備済みの環状道路において、高速道路に移行した通過交通の比率を伺う。
 2 交通量予測に関して
   道路整備においては、整備後の交通量を正確に予測することが最も重要なポイントとなる。しかし、過去に建設された道路では、実際の交通量が予測を大きく下回った例、大きく予測を上回った例などが見られる。
   また、交通量予測にあたっては、道路建設によって利便性が向上することで、これまで公共交通を利用していた層が自家用車を用いるようになったり、沿線に新たな施設が作られるなどで交通量が増加したりするといった、いわゆる誘発交通の問題を考慮する必要があると考えられる。
  ア 交通量の予測にあたっては、予想される交通量の上限と下限を算出し、精度が高い予測が可能なケースでは上限値と下限値の差を小さく、また、高精度の予測が不可能なケースでは、差を大きくとった予測を行うことができるのではないか。このような方法を取ることによって、経済効果や建設費の償還といった問題を考える場合には、予測の下限値を見ながら考慮を行い、環境への影響評価や渋滞の解消といった問題を考える場合には、予測の上限値を用いながら対策を考えるといったことが可能となる。
    こうした予測方法を用いることの可否について、見解を伺う。
  イ CO2削減効果等を測るためには、各ポイントにおける通過交通量をもとに、一般道を含めた地域内を移動する自動車台数×距離の概算値を算出する必要があると考えるが、現在、どのような算定がなされているか、伺う。
  ウ 環状道路整備済み路線の交通量調査の結果を見ると、整備された高速道路の交通量が、周辺の一般道の交通量減少分を大きく上回る地域も見られる。例えば、外環道浦和付近の交通量を見ると、国道463号線で一日あたり2千台、県道鳩ヶ谷蕨線・環状七号線足立区梅島でそれぞれ7千台の交通量の減少がみられたという調査結果が出ているが、外環浦和-川口西間の交通量は平日昼の12時間で7万台を超えている。こうした調査結果を見ると、環状線の建設によって誘発交通が発生し、地域の総交通量が増加しているのではないかという疑問が生じる。もしも地域全体の交通量が増加するならば、CO2の減少を効果としてうたうのは間違いではないかと考えられる。環状道路整備済みの地域において、全体の自動車交通量が増加しているか?また、増加しているならばどの程度の増加が見られたか、CO2等環境改善の数値を含めて伺う。
 3 その他
   交通量予測、経済効果予測等は、さまざまな要素が絡み合っており、正確な算出は容易ではないと思われる。現在得られている予測結果のみで、外環、三環状等の計画を拙速に進めるのではなく、2006年度の首都高中央環状線、八王子ジャンクションによる中央道と圏央道の接続による、交通量の変化を見て、あらためて計画の必要性を考えることが妥当であると考えるが、見解を伺う。
 4 経済効果の予測を行うに当たって、並走する一般道の状況を現状のままで考えるのではなく、ポイントを絞った渋滞対策を行うことを前提に比較を行うべきではないか。例えば環状八号線の渋滞は、現在行われている南田中のトンネル工事および、環八中の橋交差点の渋滞が大きなネックとなっており、この2点を解消することができれば大きく改善される可能性がある。外環の整備においては、将来の道路ネットワークを踏まえ、最小のコストで最大の効果が得られる方策を考えるべきであると考えるが、見解を伺う。
 5 PI協議会において、外環の必要性が決定されないうちから、知事は推進ありの発言を繰り返している。住民の疑問に答えることなく推進するのであれば、PI協議会の意義はどう考えるのか、見解を伺う。

平成17年第三回都議会定例会
福士敬子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 国民保護計画素案について
  1 協議会について
   ア 協議会委員ですら国民保護に関する理解が十分とはいえない中で、いきなり国民保護計画素案を出して、一般に理解され、真摯な意見が返ってくるだろうか。見解を伺う。

回答
  武力攻撃等に伴う避難や救援などの国民保護措置を円滑に行うためには、国民の理解と協力が重要です。
  このため、国は、平成16年6月の国民保護法の制定前から、ホームページや小冊子を通じて広く国民に情報提供をするほか、地方公共団体や民間機関に対する説明会などを実施してきました。
  都においても、法制定後、ホームページや広報東京都などにより、都民に国民保護のしくみや計画素案等について周知するとともに、区市町村や事業者への説明会を開催するなど普及・啓発に努めています。

質問事項
 一の1のイ 法律では、計画策定の日程は定められていないが、18年第一回定例会までに定める理由、および、市区町村の策定に向けてどのような提案をしているのか伺う。

回答
  国は、平成16年9月の通知「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律の施行について」で、都道府県は平成17年度、区市町村は平成18年度を目途に国民保護計画を作成することとしています。
  都は、既に区市町村に対して説明会を実施し、平成18年度における計画の作成スケジュール例を提示するとともに、計画素案においても作成基準を示しています。

質問事項
 一の1のウ 杉並区では、民間に計画の基礎調査、計画策定の主要業務を依存する状況である。拙速な施策推進で各市町村の混乱、認識不足はないのか、伺う。

回答
  都は、国民保護法の施行後、区市町村に対し、国民保護のしくみや内容について周知するとともに、都の計画の作成についても、説明会を開催するなどして理解の促進に努めてきました。
  また、区市町村計画の作成については、説明会の実施や作成基準の提示などを行っています。

質問事項
 一の1のエ 自然災害への対策と武力攻撃災害への対策を誤解させ、住民の協力を強制することのないよう、具体的に記載されるべきだが、どのような対策が行われるのか伺う。

回答
  国民保護法では、武力攻撃等において国民の生命、財産を守るため、地方自治体は避難住民の誘導、避難所での食料の提供、消火の援助などについて、住民に協力を要請できるとされており、計画素案は、これに基づき作成しました。

質問事項
 一の1のオ 70名の協議会委員は、行政及び関係機関が多くを占めている。地域住民の実態把握を、わずか1人の消防団代表にすべてを負わせて良いのだろうか。考えを伺う。

回答
  国民保護協議会の委員の構成は国民保護法に規定されていますが、地域からは消防団のほか、区市町村長、自主防災組織、福祉団体も加わっています。

質問事項
 一の1のカ 現実に実務を担う消防団等への人権意識対策および啓発活動をどのように考えているか伺う。

回答
  消防団は、武力攻撃やテロ等において、区市町村と連携し、避難住民の誘導や被災者の救急・救助などの重要な役割を担うこととなっています。
  このため、平素から訓練等を通じて、対応能力の向上に努めていきます。

質問事項
 一の1のキ 協議会委員に弁護士を参加させなかった理由を伺う。

回答
  国民保護協議会の委員は、国民保護法に規定されている国、都、区市町村の職員、公共事業者、学識経験者等から幅広く選任しています。
  このうち、学識経験者については、災害対策に関する専門知識を有する方を選任しています。

質問事項
 一の2 国民保護計画素案について
    ア 素案では、必要以上に武力攻撃やテロ対策が掲げられている。今回の計画策定にあたり、実際に武力攻撃などの事態となる想定の根拠は何か、伺う。

回答
  計画素案では、国民保護法に基づき国が定めた基本指針により、武力攻撃や大規模テロなどの8類型の事態を想定しています。

質問事項
 一の2のイ 武力攻撃などの事態とならないよう、日頃の平和的友好外交政策に加え、知事も他国民を尊重した人権施策を進めるべきだが、認識を伺う。

回答
  外交政策は、基本的には国の役割であると考えます。

質問事項
 一の2のウ 素案では、補完対策として「災害対策のしくみ」を活用とある。災害対策で活用できるのであれば国民保護計画の必要性は薄く、犯罪対策とあわせて活用することで可能と思われるが、考えを伺う。

回答
  国民保護計画は、国民保護法に基づき、武力攻撃やテロ等における住民の避難や救援などについて定めるものです。
  この避難や救援などは、災害対策と共通する部分が多いことから、計画素案は、地域防災計画のしくみを最大限に活用し作成しました。

質問事項
 一の2のエ 武力攻撃などの事態の認定を、国が行う前に都が独自に行うことは違法ではないのか、伺う。

回答
  国民保護法では、国が事態を認定するとともに住民の避難や救援等の方針を示し、都は、それに基づいて具体的な措置を行うことになっており、都が、独自に事態認定を行うことはありません。
  しかし、東京でテロ等が起き人的・経済的被害が発生した場合、都としては、国が事態を認定する前であっても、直ちに被災者の救出、救助にあたらなければならないと考えています。

質問事項
 一の2のオ 知事は協議会の冒頭「知事としての責任として、場合においては超法規的措置をとる」等と発言した。超法規とは、違法を承知の上でという解釈でよいか、伺う。

回答
  発言の趣旨は、東京でテロ等が発生した場合には、都民の生命・財産を守るため、直ちに被災者の救出・救助にあたるなど、全力をあげて事態に対処していく、という決意を表したものです。

質問事項
 一の2のカ 違法を承知の上でと勝手に対処を乱発する危険に対し、法律を遵守すべき立場の行政としてはどう考えるのか、伺う。

回答
  東京でテロが発生した場合など緊急事態には、国の事態認定を待つのではなく、都民の生命・財産を保護することを最優先に、直ちに被災者の救出・救助にあたるなど、全力をあげて対処していく考えです。

質問事項
 一の2のキ 国民保護指針では、近くの建物への避難があげられているが、避難後の対応が考慮されているとは思えない。避難先の企業の協力を得るためにどうするのか、補償はどうなるのか伺う。

回答
  計画素案では、弾道ミサイル攻撃やテロなど緊急の避難が必要な場合は、家の中や近くの堅ろうな建物内に避難するよう指示することを基本としています。
  その場合、住民等が最寄りの事業所等に逃げ込まなければならないことも十分に想定されることから、今後、都は、区市町村と連携し、事業者に対して啓発に努めるとともに協力を求めていきます。
  避難住民の受入れに伴い、事業所が受けた営業上の損失については、国民保護法上、補償の対象とはされていません。

質問事項
 一の2のク 法律では、国民の協力は自発的意思に委ねられ、強制にわたることがあってはならないと定めている。様々な場面で強制しないことをどう担保するか、あわせて対策についての考えを伺う。

回答
  国民保護法では、武力攻撃等において国民の生命、財産を守るため、地方自治体は避難住民の誘導、避難所での食料の提供、消火の援助などについて、住民に協力を要請できるとされており、計画素案は、これに基づき作成しました。

質問事項
 一の2のケ アメリカでは、ハリケーン災害に際し数十万人規模の避難すら不可能だった。都から他地域へ避難する場合、数百万から1千万人を超える大移動が可能なのか。どのような想定をして計画を進めるのか伺う。

回答
  都道府県の区域を越えた避難措置が必要な場合には、国全体としての調整が必要となります。
  計画素案では、事態に応じて国が定める総合的な方針に基づき、計画的に避難措置を実施することとしています。

質問事項
 一の2のコ 避難の際、他県から進入しようとする自衛隊の部隊移動との整合性はとれるか伺う。

回答
  武力攻撃やテロ等において、住民避難と国民の生命・財産を守るために活動する自衛隊の移動との間で、道路利用について調整が必要な場合には、特定公共施設等利用法に基づき、国は、知事の意見を聞いて利用指針を定め、混乱が生じることを防ぐことになっています。

質問事項
 一の3 人権について
    ア 立ち入り制限等の実施にあたり、人権侵害に至らぬような手続きを保障すべきだが、見解を伺う。

回答
  国民保護法では、武力攻撃等により住民の生命や身体に対する危険が切迫するなど特に必要な場合には、原則として区市町村長が、警戒区域への立入制限をすることができることとしています。
  このことは、住民の安全を守るために行うものであり、人権侵害にあたるとは考えていません。

質問事項
 一の3のイ 協議会では陸海空の自衛官を委員とするほか、職員研修も元自衛官の志方俊之氏が行ったと聞く。啓発、周知に名を借りた思想統制とならないための方策が求められるが、見解を伺う。

回答
  自衛官を国民保護協議会の委員としたのは、国民保護法の規定に基づいたものです。
  また、区市町村の担当者に対する研修については、国民保護計画策定に資することを目的に、専門的知識を有する東京都参与及び都の担当職員が講師となり実施したものです。

質問事項
 一の3のウ 平素の備えの一つに、地方自治体の訓練、研修等が行われると思うが、参加は職務命令となっているか伺う。

回答
  都の国民保護計画に基づき、職員を対象として実施する訓練や研修等も、防災訓練などと同様に、職務命令により業務の一環として行う考えです。

質問事項
 一の3のエ 学校教育においては、他国民を含めた命の尊重と平和こそ真の目的であることを、国際的視野と真実に即した歴史観をもった人材により教育することが重要となるが、見解と対策を伺う。

回答
  都教育委員会では、様々な教員研修や都内公立学校のすべての教員に配布する「人権教育プログラム(学校教育編)」などを通して、生命尊重の教育や、世界の多様な文化を尊重する教育を推進しています。

質問事項
 一の4 国民保護法より平和的解決を
    ア 都民の安全と財産を保護することを最優先とし、都民を戦禍から守ることを国際法として保障された無防備地域宣言を進めることこそ、自治体の責務にふさわしいと考えるが、見解を伺う。

回答
  ジュネーブ諸条約の第一追加議定書に基づき無防備地域を宣言できるのは、紛争当事者である当局とされています。
  東京都は該当しないことから、無防備地域の宣言を行うことはできません。

質問事項
 一の4のイ 武力攻撃事態対処法の立法作業の意を尊重し、都としても拙速な国民保護計画より独自の武力攻撃等に至らないための対策を講じるべきだが、見解を伺う。

回答
  武力攻撃事態対処法は、武力攻撃やテロ等が発生した場合、明白な危険が切迫していると認められる場合及び武力攻撃等が予測される場合の対処について定めたものです。
  武力攻撃事態に至らないための対策は、定められていません。

質問事項
 二 首都圏三環状道路整備に関して
  1 経済効果に関して
   ア 環状道路整備における経済効果のうち、時間便益について、車両の移動目的別の時間あたりコストおよびその算出にあたっての根拠を伺う。

回答
  道路整備による便益は、走行時間の短縮による便益、走行経費減少による便益並びに交通事故減少による便益などを国土交通省が定めた費用便益分析マニュアルに基づき算定しています。
  このうち、走行時間の短縮による便益は、移動目的を加味した車種別の時間価値原単位を設定し、算出しています。

質問事項
 二の1のイ 高速道路の料金設定と一般道からの交通量の移行実態調査が、
時間便益・走行便益の算出の参考となる。料金設定にあたり、ドライバー側に対するアンケート調査等を行った事例があるか伺う。

回答
  高速道路の料金設定と費用便益分析は、目的や考え方が異なりますが、料金設定に当たっては、ドライバーなど一般利用者や有識者の意見を聴取する仕組みとなっています。

質問事項
 二の1のウ 整備済の環状道路において、高速道路に移行した通過交通の比率を伺う。

回答
  交通渋滞を解消していくためには、特に都心に集中する通過交通を分散させることが重要であり、三環状道路の整備により、通過交通の高速道路への移行が期待されます。
  外環道の埼玉県区間では、整備前後の交通量を比較すると、周辺の一般国道463号や埼玉県道蕨・鳩ヶ谷線、足立区の環状7号線などで、整備前に比べ1割から3割の交通量が減少しています。

質問事項
 二の2 交通量予測に関して
    ア 予想される交通量の上限と下限を算出することで、より的確に、経済効果や環境対策などを考えることができる。こうした予測手法を用いることの可否について、見解を伺う。

回答
  将来交通量は、将来人口、国内総生産額(GDP)、自動車保有台数や道路整備の状況などについて適切に条件を設定し、推計しています。
  この推計した将来交通量を用いて、環境への影響予測や道路を整備した場合の経済効果などを算定しており、妥当なものであると考えています。

質問事項
 二の2のイ CO2削減効果等を測るためには、各ポイントにおける通過交通量をもとに、一般道を含めた地域内を移動する自動車台数×距離の概算値を算出する必要があるが、現在どのように算定しているか伺う。

回答
  環状道路の整備効果の一つの指標として、CO2の削減効果を示しています。
  CO2削減量の算定に当たっては、三環状道路が完成した場合の自動車の平均走行速度や総走行台キロなどをもとに、高速道路及び一般道路を走行する自動車による削減量を算出しています。

質問事項
 二の2のウ 環状道路整備済みの地域では、全体の自動車交通量が増加しているか。また、増加しているならばどの程度の増加が見られたか、CO2等環境改善の数値を含めて伺う。

回答
  平成11年に行われた広域的な交通量調査によると、環状道路の整備にかかわらず、一都三県の自動車の総走行台キロは、平成9年調査と比較して約5%の伸びであると報告されています。
  一方、外環道の埼玉県区間では、一般国道463号や、足立区の環状7号線などで、1割から3割の交通量が減少するなど交通状況の改善が図られ、二酸化窒素(NO2)など大気質については低減傾向にあると報告されています。
  外環道整備によるCO2など環境改善効果については、現状より交通量が増えることを前提としていますが、渋滞の緩和や走行速度の上昇などにより、年間20~30万トンの低減が見込まれると試算しています。

質問事項
 二の3 現在の予測結果のみで、外環、三環状等の計画を拙速に進めるのではなく、首都高中央環状線、中央道と圏央道の接続による交通量の変化を見て、あらためて計画の必要性を考えるべきだが、見解を伺う。

回答
  圏央道、外環道及び中央環状線の三環状道路は、首都圏の高コスト構造を是正し、首都圏全体を活性化させ、都市再生、日本の再生を図るため、極めて重要な道路です。
  この三環状道路の整備により、渋滞の緩和が図られ、首都圏の大気環境を大幅に改善するなど環境面でも大きな効果があります。
  したがって、都としては、三環状道路の早期完成を目指し、積極的に取り組んでいきます。

質問事項
 二の4 外環の整備においては、将来の道路ネットワークを踏まえ、最少のコストで最大の効果が得られる方策を考えるべきだが、見解を伺う。

回答
  外環道については、最少のコストで最大の効果が得られるよう、効率的に整備を進めていきます。
  このため、将来の道路ネットワークを踏まえ、インターチェンジ周辺の道路整備を本線とあわせて進め、沿線地域における交通の円滑化や利便性の向上を図っていきます。
  今後とも、外環道の早期整備に向け、積極的に取り組んでいきます。

質問事項
 二の5 PI協議会で外環の必要性が決定されないうちから、知事は推進ありきの発言を繰り返している。住民の疑問に応えることなく推進するのであれば、PI協議会の意義はどう考えるのか、見解を伺う。

回答
  PI協議会の規約によれば「沿線協議会は、結論を出すことを目的とするのではなく、沿線7区市の関係者、地元自治体、国土交通省、東京都の話合いの場とする。」と定められています。
  これまでPI協議会も含め約280回に及ぶ話合いなどを通じ、数多くの人に関心を持っていただき一定の理解を得たことや、国や都がPI協議会に提出した情報について、学識経験者の議論を経ることにより、その内容の妥当性が明らかになったことなど、大きな意義がありました。
  外環道は、首都圏の渋滞緩和や環境改善に効果を発揮し、ひいては東京の再生、都市再生に寄与する大変重要な道路であり、都としては、今後とも幅広く意見を聞きながら都市計画の手続を進めるなど積極的に取り組んでいきます。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野百合恵

質問事項
 一 よりよいマンションライフのために

一 よりよいマンションライフのために
  分譲マンションは、全国で460万戸を超えて増え続けており、約1200万人が生活している場である。2003年度の「東京都住宅白書」によれば、「東京における分譲マンションの新規供給戸数の推移は、バブル期には低迷していたが、バブル崩壊後の1994年から急激に増え始め、1999年以降は供給量が毎年4万戸を超えるという史上空前のマンションブームが続いている。分譲マンション供給戸数はバブル期の1988年から1992年までの5年間には4万2千戸に過ぎなかったのに対し、1998年から2002年までの5年間では19万9千戸に達した」ことが明らかにされている。その後も、2003年度は46,888戸、2004年度は47,468戸と増加の一途にある。特に都心3区(千代田区、中央区、港区)の増加が著しい。分譲マンションは主要な居住スタイルの1つとなっている。
  マンションは「持ち家」ではあっても共同住宅であり、廊下や階段は居住者(区分所有者)全員の共有物であるなどの点で、戸建て住宅とは条件が異なっている。
  阪神淡路大震災や中越地震、福岡県西方沖地震など相次ぐ震災では、マンションに被害が出た。高齢化の進行によるバリアフリーへの対応も急がれる。「住まいは人権」の立場から、よりよいマンションライフ実現のために、以下、質問する。
 1 大規模改修と耐震性強化策の費用負担軽減について
   日本の住宅の「平均寿命」は欧米諸国に比較して極めて短い。建物の長命化をはかることは、居住者の資産価値を守ることと合わせ、省資源化という社会的要請になっている。また、耐震対策上も重要である。
   1981年建築の都内にある360余戸のマンションが、今年実施した大規模改修には、総額4億5600万円余の費用がかかった。
   外壁塗装、通路、玄関、ピロティ(駐車場の柱の補強に鉄板を巻いた)などの改修がされたが、耐震ドア1枚の費用だけでも、20万円近くになった。約10年に1回は必要になる大規模改修のために、このマンションでは、管理費以外に1世帯あたり月額1万8千円の積立金が徴収されており、居住者の負担は重いものがある。マンションの耐震対策、大規模改修工事に対する支援を強めることが求められている。
  ア 修繕積立金が行われていないマンション、建替えや改修のための修繕積立金が大きく不足しているマンションなどの実態調査を行い、専門家を交えた検討委員会の設置が必要と考えるが、都の考え方を示していただきたい。
  イ 計画的な修繕に欠かすことができない修繕積立金は、仮に数億円の残高があっても、1戸あたりではペイオフ限度額の1000万円をはるかに下回る100万円程度にしかならない。修繕に不可欠の資金である修繕積立金については、全額預金保護の対象になるよう、国に強く働きかけるべきと考えるが、いかがか。
  ウ マンションの耐震強化も喫緊の課題である。1981年の耐震基準改正前につくられたマンションで、1階が駐車場などのピロティ形式のマンションは、耐震性に問題がある場合が少なくない。現在の耐震基準は、「震度7以上では、建物の倒壊を免れればよい」というものでしかない。
    阪神淡路大震災では地球の重力の2倍の2000ガルの重力加速度が加わり、昨年10月の中越地震では場所によって、5000ガルの重力加速度が計測された。これまでにないエネルギーによる大地震が相次ぐ中で、福岡県西方沖地震では、最新の耐震基準を満たすマンションにも被害が生じた。首都直下型地震の発生確率が高くなっている今、被災後にも居住者が生活を継続できるように、建物の性能や安全にかかわる基準の総合的な見直しが必要と考えるが、都の見解をうかがう。
  エ 東京都は、共同住宅の耐震改修についての利子補給制度を設けているが、耐震診断や耐震改修への助成制度は未実施のままである。都として、マンションの耐震診断、改修にたいする助成制度を実施することを求めるが、いかがか。大規模改修の基本になるのは、建物の実態把握である。現在、一定規模以上のマンションは建築基準法で建物の定期報告が義務付けられている。その規模に満たないマンションについても、定期報告が必要ではないかと考えるが、合わせて、都の見解をうかがう。
  オ 近年発生した大地震での負傷原因の3割から5割は家具類の転倒、落下によるものとなっている。
    私は今年の第一回定例本会議で、家具類の転倒、落下防止対策について要望した。東京消防庁は、「家具類の転倒・落下防止対策推進委員会を設置し、転倒防止器具の有効性や性能評価の方法をはじめ、効果的なとりつけ方法の周知、関係業界等と連携した普及方策などを検討している」と答えた。今年3月に発表された推進委員会の検討結果では、転倒防止実施率は27.8%と10年前の阪神淡路大震災以降横ばい状態であるとされている。家具類の転倒・落下防止対策は依然として進んでいない状況である。推進委員会は、効果的な推進方策として、都民への啓発を掲げているが、実施率向上のためには、具体的な対策が必要になっている。現在、23区では実施予定を含め12区が転倒防止器具のとりつけ助成制度を設け、多摩の区市町村では、やはり実施予定を含めると16の自治体が助成制度を設けている。都内の全区市町村で、転倒防止器具のとりつけ助成制度が実施されるよう、都として啓発活動と合わせて、区市町村への支援を行うこと、また、高齢者や障害世帯へのサポート制度を創設するよう提言するものであるが、いかがか。
  カ 高齢社会の今、居住環境のバリアフリーは社会的要請だが、改修資金の捻出に苦労している場合が多い。
    京都市は、「建物が古くなると維持管理費が増える。高齢者が住めなくなると、空き部屋が発生し、スラム化にもつながりかねない」と、今年度、初めて高齢者マンションの実態調査に踏み出した。
    東京都では、介護保険と組み合わせて、専用部のバリアフリーへの助成は行っているが、エレベーター、廊下、スロープなどの共用部分への助成制度は設けられていない。国も助成していない今、都が共用部分のバリアフリー化に支援をすることが、時代の要請に応えた施策となるが、助成制度実施にむけての見解を伺う。
 2 増圧直結給水工事の助成について
   貯水槽による給水から、ポンプによる増圧直結給水に切り替えるマンションが急増している。費用負担は200戸程度のマンションで700万円から1000万円近くになると、言われている。
   東京都は、マンション改良工事助成制度による利子補給は行っているが、工事費は全額、管理組合などの自費負担になる。水圧が増し、水質も良くなる増圧直結給水工事の負担軽減が求められていると考えるが、いかがか。
 3 アスベスト対策について
   アスベストによる健康被害は大きな社会問題になっている。アスベストは1970年代から80年代にかけて大量に輸入され、8割以上が建材に使用された。吸音・断熱などのために、既存の分譲マンションでもエレベーター機械室やポンプ室に使用されてきた。築30年以上のマンションでは、エントランスホール全体に吹き付けられている例もあるとされている。非飛散性のアスベスト含有製品としてはビニール床タイルがあり、ベランダの隔壁板に使用されている場合もある。ほとんどのマンションにアスベスト含有製品が飛散性、非飛散性を問わず、使用されていると考えられる。マンションのアスベスト対策を強力に推進していくことは、都民の健康を守るうえで重要な課題になっている。
  ア アスベスト対策では、企業の社会的責任を明確にすることが欠かせない。分譲マンションを施工した事業者等に、アスベスト製品の使用について、資料の提供を求め、追跡調査などを行うことが、必要になっていると考えるが、いかがか。
  イ マンションに使用されていることが判明した場合、廊下、階段、ホールなどの共有部分については、除去をふくめた安全対策の工事費への支援を行うよう求めるものだが、見解を伺いたい。
  ウ また、個人の居住スペースについては、高齢者世帯などへの支援策など具体的な対応策が必要と考えるが、いかがか。
  エ アスベスト除去工事に際して、一時的な転居が必要になる場合について、都営住宅、公社住宅、都民住宅などへの住み替えができるよう、都の努力を要望する。答弁を求める。

平成17年第三回都議会定例会
河野百合恵議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 よりよいマンションライフのために
  1 大規模改修と耐震性強化策の費用負担軽減について
   ア 修繕積立金が行われていないマンション、建替や改修のための修繕積立金が不足しているマンションなどの実態調査を行い、専門家を交えた検討会の設置が必要であるが、見解を伺う。

回答
  都は、平成10年度に「分譲マンションの維持・管理に関する調査」、平成14年度に「築30年以上のマンションの実態把握のための調査」を実施し、修繕積立金などマンション管理の実態の把握に努めています。
  また、これらの調査結果を踏まえ、専門家を交えた検討会も実施するなど、大規模修繕の円滑な実施に向け取り組んでいます。

質問事項
 一の1のイ 修繕に不可欠の資金である修繕積立金は、全額預金保護の対象になるよう、国に強く働きかけるべきだが、見解を伺う。

回答
  ペイオフは、預金の種類に着目した制度であり、修繕積立金などの預金の使途で適用が決まる制度ではありません。
  なお、修繕積立金の運用、管理に当たり、どのような預金にするかは、管理組合の判断によるべきものと考えています。

質問事項
 一の1のウ 福岡県西方沖地震では、最新の耐震基準を満たすマンションにも被害が生じた。首都直下型地震の発生確率が高くなっている今、建物の性能や安全にかかわる基準の総合的な見直しが必要だが、見解を伺う。

回答
  建築物の耐震基準は、建築基準法で定められており、昭和53年の宮城県沖地震や平成7年の阪神・淡路大震災等における被害を教訓として、昭和56年及び平成12年などに改正、整備されてきました。
  今後とも、建築基準法を適切に運用し、建築物の安全確保に努めていきます。

質問事項
 一の1のエ 都として、マンションの耐震診断、改修に対する助成制度を実施すべきだがいかがか。また、建築基準法での定期報告義務のないマンションについても、定期報告が必要だが、見解を伺う。

回答
  マンションの耐震補強については、共用部分を対象として、マンション改良工事助成制度により支援しています。
  なお、耐震改修工事を行うために耐震診断を実施する場合には、その費用についても対象としています。
  また、定期報告制度は、不特定又は多数の人が利用する建築物の安全を確保するために調査・報告を求める制度であり、マンションについては、5階以上かつ延べ面積が1,000平方メートルを超える規模のマンションを対象として定めており、適切なものと考えています。

質問事項
 一の1のオ 都内の全区市町村で、転倒防止器具取付助成制度が実施されるよう、啓発活動と合わせて、区市町村への支援を行うこと、また、高齢者や障害者へのサポート制度の創設を提言する。見解を伺う。

回答
  東京都震災対策条例では、家具の転倒防止は都民の責務であると定めています。
  このため、都は、ホームページやキャンペーンなどにより、啓発や器具の紹介を行うほか、区市町村に対し、都民が安価で安心して取り付けられるようシルバー人材センターの活用を促すとともに、一人暮らし高齢者・障害者に対する支援事例などを紹介してきました。
  現在、シルバー人材センターの活用が進むとともに、耐震金具の支給・取付けなど、家具転倒防止の支援を行う区市町村も、34団体に拡大しています。
  さらに、宿泊を伴う福祉施設やホテルなどにおける転倒防止の実施についても、関係団体を通じて働きかけを行っています。
  今後とも、都民や事業者が身近にできる安全対策として、家具の転倒防止の普及に努めていきます。

質問事項
 一の1のカ 都では、介護保険と組み合わせて、専用部のバリアフリーへの助成をしているが、エレベーター、廊下など共用部分への助成制度実施に向けての見解を伺う。

回答
  エレベーター、廊下など分譲マンションの共用部分のバリアフリー化を目的とした改修工事は、マンション改良工事助成制度により支援しています。

質問事項
 一の2 増圧直結給水に切り替えるマンションに対し、都はマンション改良工事助成制度により利子補給しているが、工事費は自費負担となる。増圧直結給水工事の負担軽減が求められているが、見解を伺う。

回答
  共用部分の給排水管の付け替えなどの改修工事については、今後とも、マンション改良工事助成制度により支援していきます。

質問事項
 一の3 アスベスト対策について
    ア 分譲マンションを施工した事業者等に、アスベスト製品の使用について資料の提供を求め、追跡調査などを行うことが必要だが、見解を伺う。

回答
  現在、国や区市と連携して建築物に関するアスベスト使用の実態調査を進めています。
  なお、平成17年9月、国から不動産業関連団体に対し、分譲マンションでのアスベストの使用の有無について、マンション管理組合等への適切な情報提供に努めるよう通知されています。

質問事項
 一の3のイ 廊下などの共有部分については、除去を含めた安全対策の工事費への支援を求めるが、見解を伺う。

回答
  マンション共用部分におけるアスベスト除去などのリフォーム工事は、マンション改良工事助成制度の対象となっています。

質問事項
 一の3のウ 個人の居住スペースについては、高齢者世帯などへの支援策など具体的対応策が必要だが、見解を伺う。

回答
  居住スペースなど建築物内のアスベストについては、使用されているアスベストの施工方法や現在の状態などに応じた処理が必要なため、都では、「吹付けアスベスト等に関する室内環境維持管理指導指針」や民間建築物等のための「建築物アスベスト点検の手引」を策定しました。
  これらを活用し、保健所などの窓口で技術的な相談に応じるとともに、区市町村に対して情報提供しています。

質問事項
 一の3のエ アスベスト除去工事に際し、一時的な転居が必要な場合、都営住宅、公社住宅、都民住宅などへの住み替えができるよう、都の努力を要望する。答弁を求める。

回答
  現在、国や区市と連携して建築物に関するアスベスト使用の実態調査を進めています。まずは、その実態把握が必要であると考えています。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 たぞえ民夫

質問事項
 一 小児救急医療の拡充について

一 小児救急医療の拡充について
  小児医療は人手もかかり、薬も他科にくらべ大人の数分の1しか使わない、それにくらべて労力の割に診療報酬が低いために、各病院は不採算に追い込まれています。休日夜間救急を実施している病院に、多くの患者が集中し、医師にも重い負担となっています。昨年から始まった研修医制度の影響により、小児科医が大学病院に呼び戻されるという問題も生まれています。このため全国的に、小児病棟の縮小・閉鎖や、小児科医の不足が大きな問題になっています。
  乳幼児は、深夜に突発的に発病することが多く、急変しやすいため、いつでも対応し検査も入院もできる小児救急医療機関が、身近な地域にあることは欠かせません。言葉をしゃべれない乳幼児の症状を把握できる小児科医が24時間365日受け入れてくれる体制の整備が、つよく求められています。
  しかし、厚生労働省のまとめによれば、全国404の小児救急医療圏のうち、04年度までに体制が整ったのは221医療圏だけであり、深刻な実態におかれています。
  東京の現状も深刻です。東京では、小児科のある病院は1990年327病院にたいし、2001年には236病院と、3割近くも減少する事態となっており、小児医療・小児救急の危機打開にむけたとりくみの抜本的強化が急務となっています。
 1 都は、24時間365日の小児救急の入院に対応できる体制をもつ病院に委託費を出す小児休日・全夜間診療事業をおこなっていますが、参加している病院は、60か所の目標にたいし、今年8月現在で47か所にとどまっています。いつまでに60施設の目標を達成するのですか。
 2 小児休日・全夜間診療事業の都の委託費は、小児科医1名の人件費と空きベッド確保の支援だけであり、金額が実態に見合っていないことにたいし、民間病院からも批判の声があがっています。
   60か所の整備目標を早期に達成するためにも、患者数の実態に見合った加算をおこなうなど、委託費の増額、制度の改善・拡充をおこなう必要があると考えますが、見解を伺います。
 3 また、60施設という目標は、人口20万人あたり1施設という見当になります。地域のバランスに配慮し、できるだけ身近な地域に整備することも重要だと考えますが、答弁を求めます。
 4 東京都は、地域にかけがえのない役割をはたしてきた都立母子保健院を02年12月に廃止し、その結果、世田谷区内でただひとつ夜間救急を担当している国立成育医療センターには、毎夜100人あまりもの子どもの救急患者が殺到しています。このため、4200円の特定療養費を徴収することで、救急患者の抑制をはかるという事態になっています。
   世田谷区が「子ども初期救急診療所」を設置しましたが、22時30分までのかぎられた時間で、軽症対応のみであり、子どもの全夜間救急体制の拡充は切実な要求です。
   世田谷区では、マンション建設などの影響で子どもの人口は増え続け、14歳以下の人口は約8万5000人にものぼっています。
   東京消防庁によると、区内から救急搬送される子どもの数は年々増加し、昨年1年間だけで、0歳から2歳まで1269人、3歳から5歳まで662人、6歳から14歳まで1041人、あわせて2972人となっています。主な原因は急病、負傷、交通事故となっています。ところが、世田谷区内で小児科を設置している病院は、この10年間に、12病院から9病院に、診療所も257か所から220か所に減少しています。
   小児休日・全夜間診療事業を実施している医療機関は、世田谷区、目黒区、渋谷区の区西南部医療圏でみても、128万人の人口にたいし、わずか4か所にすぎません。なかでも世田谷区は、人口80万人で、しかも子どもの人口が増えているにもかかわらず、国立成育医療センターの1か所だけです。立地的にも同センターは区の西南端にあり、世田谷区の中央部と東部は、小児休日・全夜間救急事業の広大な空白地域となっています。このような現状を、どう認識しているのですか。
 5 世田谷区内に、小児休日・全夜間診療事業を実施する医療機関を増やすことを求めるものです。見解を伺います。
 6 先進的な小児救急医療にとりくんでいる北九州市八幡病院副院長の市川光太郎医師は、「小児は容態が急変しやすく症状を自分で言えないから、経験豊富な小児科医が診なければ重症患者を見逃してしまう」(「週刊東洋経済」05年9月17日号)と述べています。
   都が実施している小児初期救急運営費補助事業は軽症対応、小児休日・全夜間診療事業は、入院が必要な2次救急対応とされていますが、中野総合病院等で、同じ病院施設でこの2つを一体的に運営することにより、成果をあげています。このやり方を、いっそうひろげていくことは重要だと思いますが、答弁を求めます。
 7 地域の実態にあわせた工夫をおこなうことも必要です。小児初期救急診療事業と、隣接している病院における休日・全夜間診療事業が連携することにより、軽症から検査、入院対応まで一体に、24時間365日対応できるようにすることも有効なやり方ではないかと思いますが、所見を伺います。
 8 都立梅ヶ丘病院は、全国でただひとつの小児精神病院として、幼児期から青年期まで幅広い年齢層の子どもが通院や入院での治療を受けています。開院50年の歴史の中で、自然とふれあう豊かな医療環境が整っているだけでなく、医療・福祉・教育の3本の基盤が、梅ヶ丘病院は長年の努力で整い、築き上げられています。
   7500坪の敷地の中に、二階建ての病棟(264床)が点在し、空間も確保され、患者にとって自分自身が回復して元気になろうとする気持ちを育ててきました。精神障害がある子どもと家族にとって、かけがえのないオアシスのような存在となっています。10年前に入院し、現在も通院治療をうけている患者は、「入院中も町の中を歩くことができ、家族にとって病院は心の居場所です」と語っています。
   心の治療は、人の温かさ、結びつきが何よりも大切で、病院とまわりの地域環境が回復の手助けをしています。まさに、地域とのきずなは精神回復の特効薬です。この病院を存続させることは、都民のくらしに大きく寄与することは明らかです。
   梅ヶ丘病院の周辺は、隣接して区の「子ども初期救急診療所」が設置されているだけでなく、総合福祉センターなどの福祉ゾーンとなっています。都民の切実な願いをうけて、当面2010年まで存続が決まっているもとで、梅ヶ丘病院の施設と看護体制を活用して、小児科を併設すれば、子育て世代にスムーズな診療体制を提供できるにちがいありません。
   都立梅ヶ丘病院に小児科を設置し、隣接している区の「子ども初期救急診療所」と一体に、休日・全夜間の小児救急医療を実施することを提案するものです。都がやる気になれば直ちにできることです。見解を求めます。
 9 小児初期救急運営費補助事業は、06年度までに都内全域で実施することが目標とされており、世田谷区では、梅ヶ丘病院に隣接している「子ども初期救急診療所」が同事業の補助をうけています。しかし、面積が広く、人口も多い世田谷区に1か所では、とうてい足りません。
   現在の1自治体1か所という枠を緩和し、区内で2か所目、3か所目についても補助がうけられるようにしていただきたい。答弁を求めます。
 10 小児科医の不足は深刻な問題となっています。都内の大学医学部、医療機関など関係者による小児科医の育成・確保対策の検討会を都として立ち上げ、緊急対策と中長期的対策を早急に確立する必要があると思いますが、答弁を求めます。
 11 都立病院、公社病院における小児科の臨床研修医の受け入れ促進と、研修後の都内での定着支援、開業医の小児医療研修および離職女性小児科医の再就職支援(小児科ドクター・バンク)事業の拡充、さらに小児科医を希望する学生にたいする小児科医育成奨学金の創設などの具体策に、ただちにとりくんでいただきたい。見解を伺います。
   最後に、梅ヶ丘病院、および八王子、清瀬小児病院の存続をつよく求めて、質問を終わります。

平成17年第三回都議会定例会
たぞえ民夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 小児救急医療の拡充について
  1 都は、小児休日・全夜間診療事業を行っているが、参加している病院は、目標の60か所に対し47か所にとどまっている。いつまでに60施設の目標を達成するのか伺う。

回答
  休日・全夜間診療事業は、入院が必要な救急患者への二次救急医療体制を確保する目的で実施しており、小児科については、平成17年9月1日現在51医療機関が参画しています。
  引き続き、都内医療機関の協力を得て、参画医療機関の拡充に努めていきます。

質問事項
 一の2 整備目標の早期達成のためにも、患者数の実態に見合った加算を行うなど、小児休日・全夜間診療事業の委託費の増額、制度の改善・拡充を行う必要があるが、見解を伺う。

回答
  休日・全夜間診療事業の小児科の委託料は、病床確保料に加え、小児科医師の確保料についても対象としており、充実されています。

質問事項
 一の3 60施設という目標は、人口20万人あたり1施設という見当となる。地域のバランスに配慮し、できるだけ身近な地域に整備することも重要だが、答弁を求める。

回答
  休日・全夜間診療事業については、地域のバランスを勘案しながら、二次保健医療圏単位で体制整備を図っています。

質問事項
 一の4 世田谷区では、小児休日・全夜間診療事業を実施している医療機関は1か所だけであり、中央部と東部は空白地域となっている。このような現状をどう認識しているのか伺う。

回答
  休日・全夜間診療事業は、二次保健医療圏を単位として体制整備を図ることとしており、世田谷区を含む区西南部保健医療圏においては、4か所の医療機関で8床を確保し、小児科の休日・全夜間診療事業を実施しています。

質問事項
 一の5 世田谷区内に、小児休日・全夜間診療事業を実施する医療機関を増やすことを求める。見解を伺う。

回答
  休日・全夜間診療事業については、地域のバランスを勘案しながら、二次保健医療圏単位で参画医療機関の確保を図っています。

質問事項
 一の6 中野総合病院等では、小児初期救急診療事業と、小児休日・全夜間診療事業を同じ施設で一体的に運営し成果をあげている。このやり方をいっそう広げていくことが重要だが、答弁を求める。

回答
  都は、区市町村が実施主体である小児初期救急医療体制の整備を支援するため、平成14年度から小児初期救急平日夜間診療事業を実施し、区市町村に対する補助を行っています。
  この中で、区市町村がその地域の実情に応じた体制整備ができるよう、二次救急医療機関等に地域の小児科医師が出向いて診療を行う方式についても補助対象としています。

質問事項
 一の7 小児初期救急診療事業と、隣接している病院での休日・全夜間診療事業の連携により、軽症から検査、入院対応まで一体に、24時間365日対応できるようにすることも有効なやり方だが、所見を伺う。

回答
  小児初期救急医療の実施に当たっては、休日夜間急患センターで実施する方式、二次救急医療機関を活用する方式など、区市町村がその地域の実情に応じた体制整備ができるよう支援しています。

質問事項
 一の8 都立梅ケ丘病院に小児科を設置し、隣接している区の子ども初期救急診療所と一体に、休日・全夜間の小児救急医療を実施することを提案する。見解を求める。

回答
  都立梅ケ丘病院については、「都立病院改革」に基づく再編整備の一環として清瀬小児病院及び八王子小児病院と統合し、「小児総合医療センター(仮称)」として、新たに府中キャンパス内に移転・整備します。
  「小児総合医療センター(仮称)」では、小児医療に関し、「こころ」から「からだ」に至る総合的で高度・専門的な医療を提供することにしており、高度な小児救急医療、障害児医療への対応などを可能とすることにより、都における小児医療の拠点として整備を進め、小児医療の充実を図っていきます。

質問事項
 一の9 小児初期救急運営費補助事業は、現在の1自治体1か所という枠を緩和し、区内で2か所目、3か所目についても補助がうけられるようにすべきである。答弁を求める。

回答
  小児初期救急平日夜間診療事業は、区市町村における小児初期救急医療体制整備を支援するため、区市町村に対し補助しているものです。
  都は、全区市町村での体制整備を目指し、未実施地域の区市町村に働きかけています。

質問事項
 一の10 都内の大学医学部、医療機関など関係者による小児科医の育成・確保対策の検討会を都として立ち上げ、緊急対策と中長期的対策を早急に確立する必要があるが、答弁を求める。

回答
  小児科医師の養成・確保は本来国の責務ですが、都は、地域における小児医療の基盤を確保するため、既に開業医小児医療研修や離職小児科医師の再就職支援事業などの取組を独自に実施しています。

質問事項
 一の11 都立病院、公社病院での小児科臨床研修医の受入促進、研修後の都内での定着支援、開業医の小児医療研修および離職女性小児科医の再就職支援事業の拡充、小児科医育成奨学金の創設などの具体策にただちに取り組むべきである。見解を伺う。

回答
  都立病院では、従来からの清瀬小児病院に加え、平成17年度から新たに八王子小児病院においても小児科臨床研修医を受け入れています。
  公社病院については、平成18年度に公社へ移管を予定している荏原病院において、小児科臨床研修医の公募を行っています。
  また、都は、地域における小児医療の基盤を確保するため、開業医小児医療研修や離職小児科医師の再就職支援事業などの取組を進めています。
  なお、小児科医師の養成・確保は、本来国の責務であることから、都はこれまでも国に対して必要な対策を講じるよう提案要求を行っています。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 植木こうじ

質問事項
 一 警察大学校等跡地を防災公園に

一 警察大学校等跡地を防災公園に
  中野区と杉並区の境にある13.7ヘクタールの広さを持つ警察大学校等移転跡地は、都内に残された貴重な大規模公共用地です。首都直下地震が予測され、それへの対応が急がれているとき、この大規模公共用地をどう活用するかはまさに今後の首都の都民の安全確保という点から避けられない重要課題です。
  7月23日におきた千葉県北西部地震は地震の規模マグニチュード6・0と推定され、都内では足立区で震度5強程度であったにもかかわらず、都内の交通網がほぼ全線がストップして150万人もの乗客の足がうばわれた。また、4万台近いエレベーターが停止し、本来最寄りの階にとまるはずが42箇所以上で閉じ込められるなど都内の影響は大方の予想をうわまわるものだった。首都の地震へのそなえが如何に不十分かということが、明るみになった。
  政府は昨年来、中央防災会議で首都直下地震の被害予測、対策をあいついで発表してきた。
  特に、国の都心西部直下地震での被害想定によると区部西部の被害が火災などにより死者12000名にも及びもっとも大きいといわれています。このような区部西部に位置する巨大な公共用地である警察大学校等移転跡地こそ、面積規模も地理的位置、交通の面でも地震発生直後からの地域住民や帰宅困難者の広域避難場所、防災拠点、避難住宅用地として確保するにふさわしいものです。
  もともと国は、「行政機関の移転跡地については、公用、公共用優先の原則」「区部の都市環境及び生活環境の改善に資するよう利用することを基本」とし、「防災性や快適性を高めるまちづくりに寄与」することを用途の第一に掲げている。
  この考えに基づき、東京都と中野区、杉並区が2001年にまとめ、財務省に提出した「警察大学校等移転跡地の土地利用計画」では「緑のオープンスペースの拠点」として4ヘクタールの防災公園を中心に位置づけてきた。
  東京都も、「新しい都市づくりビジョン」で「防災面から緊急を要する公園の迅速な整備を推進」するとして「環状七号線の周辺など救援、復興活動拠点となる大規模公園の迅速な整備を推進する」、そのために「都市の貴重なオープンスペースとして残されている大学移転跡地などの国有地を、公園用地として活用できるよう無償貸与等を国にもとめていく」と明確にうたってきた。
  しかも地球温暖化がすすみ熱帯夜や一時間雨量が100ミリ以上にもなる都市型水害が頻繁に起こるなかでこうした大規模な防災公園を確保することはヒートアイランド対策として大きな効果が発揮されるもので大いに期待されます。
  ところが、中野区は2001年の計画を反故にして警察大跡地13.7ヘクタールのうち、防災公園はわずか1.5ヘクタールでそれに民間開発による公開空地など不確定な2.5ヘクタールの防災空間を加えた合計3ヘクタールから4ヘクタールを緑地空間にする新たな「中野駅周辺まちづくり計画」を発表しました。この計画規模では防災公園としての役割は十分果たせず、周辺には超高層ビル建設を計画しており、ビル風によって呼び起こされる火炎旋風や地震による長周期振動の被害を考えると防災拠点になりえないばかりか危険でさえあり、周辺住民から反対の声が相次いであがっています。
  その後、財産管理者である関東財務局が中心となって東京都、中野区、杉並区の四者による新たな協議会が設置されました。その設置目標に「警察大学校跡地の有効活用を促進する」ことをかかげ、座長挨拶では「現実的な展望がないまま未利用の状態が継続すれば」「望ましい都市形成を阻害する」として「都市再生や経済活性化」の観点からの利用促進をうたっております。これは山手線内に集中的に整備してきた「都市再生」計画を山手線外側にまで拡大するものです。この四者協議がすすめられれば「都市再生」路線にいっそう拍車がかかり、住民が求めてきた「緑と防災公園を」という願いから離れたものにならざるをえません。
  このような段階で、都民の命と安全に責任を負うべき東京都が、二度と得られない大規模な公共用地を首都直下地震にそなえる視点から、主体的に取り組む必要があるのではないでしょうか。その立場から、いくつか質問します。
 1 東京都として首都直下地震の被害想定とそれに基づく東京都防災計画の見直しがすすめられていますが、中でも都心直下地震に備えた防災計画の具体化にあたって、被害想定が一番大きいとされている区部西部に、大規模公共用地である警察大学校移転跡地を活用した広域避難場所、防災拠点として防災公園の整備を位置付けるべきと考えるがどうか。
   また、総務局、環境局、都市整備局、建設局など関係各局が連携して多面的な検討をおこない、国に「公用、公共用優先の原則」の立場から公園用地として無償貸与等を求めていくべきです。
 2 「都市再生」路線をすすめる四者協議の場ではなく、防災公園の整備を要とした跡地利用の再検討をすすめるために東京都が中心となって中野区、杉並区とで住民の参加を保障した新たな協議会を発足させるべきです。

平成17年第三回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 警察大学校等跡地を防災公園に
  1 都心直下型地震に備えた防災計画の具体化にあたり、警察大学校移転跡地を活用した広域避難場所、防災拠点として防災公園の整備を位置づけるべきである。また、関係各局が多面的検討を行い、公園用地として国に無償貸与等を求めていくべきである。見解を伺う。

回答
  警察大学校等移転跡地は、現在避難場所に指定されていることから、平成17年5月に策定した「警察大学校等移転跡地土地利用転換計画案」の見直し案においても、引き続き避難場所の機能を担保できるようにしています。
  また、当該国有地の処分等に当たっては、この計画案を踏まえ、今後「国有財産関東地方審議会」の場で審議されるものと考えています。

質問事項
 一の2 防災公園の整備を要とした跡地利用の再検討を進めるため、都が中心となって中野区、杉並区とで住民の参加を保障した新たな協議会を発足させるべきである。見解を伺う。

回答
  「警察大学校等移転跡地土地利用転換計画案」の見直し案は、中野区が対話集会など様々な住民参加によって取りまとめた「中野駅周辺まちづくり計画」を基本に、杉並区の土地利用方針を加え、両区及び東京都が平成17年5月に策定したものです。
  これを踏まえ、平成17年8月に「警察大学校等移転跡地の有効活用を促進する四者協議会」を設置したところであり、再検討のための新たな協議会を設置する考えはありません。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 石毛しげる

質問事項
 一 船舶からの排出ガスと東京港の国際競争力強化について

一 船舶からの排出ガスと東京港の国際競争力強化について
 1 東京湾で測定されるNOxの1割が船舶に由来するものといわれている。
   近年の港湾地域における都市開発によって、人の住む地域と船舶が停泊する地域とが近づいている。また、都市排熱によるヒートアイランド現象の緩和の観点からも、都心から内陸部へ海風を取り込む風の道を創出していくことが必要だが、風の道ができればその海風に乗って大気汚染物質が内陸に運ばれることになり、船舶から排出される大気汚染物質削減は、港湾周辺だけの問題ではない。そこで、東京港における船舶排出ガスに含まれる大気汚染物質について伺う。
   東京港における船舶排出ガス量はどのようになっているのか。
 2 ロンドン条約・マルポール条約および両条約議定書の内容を踏まえ、海防法等関連法規が改正された。本年5月19日より、船舶からの大気汚染を防止するための新たな規制が始まっている。その内容は、NOx、SOx、VOCs及びオゾン層破壊物質の放出、廃棄物等の船上焼却、使用される燃料油の品質等に関する規制を行うものである。しかし、主要な規制の対象が新しい船のみとされていること、検査対象を400トン以上の船舶としていることなど、環境の視点から見ると国の規制に不十分の感は否めない。
  ア 先にも述べたとおり、船舶のディーゼルエンジンが排出するガスは、周辺の大気に加えて、都内の大気をも汚染している。例えば硫黄酸化物について船舶ディーゼル排出ガスは、ディーゼル車排出ガスと比べてどうなのか。
  イ 規制は東京港を利用するすべての船舶を対象とすべきだが、国の規制の対象となる船舶、また検査対象となる船舶は東京港を利用する船舶のうちどの程度を占めるのか。
  ウ 国の規制は不十分であり東京都独自にでもより厳しくすべきと考えるが、どのように取り組むのか。
 3 一方で、大気汚染物質を削減するためには、EIAPP証書の交付を受けたエンジンの搭載、品質基準に適合した燃料油の使用などが必要となり船舶側に経済的負担が生じる。従来から、東京港はリードタイムが韓国の倍以上、港湾コストの高さなど、国際競争力の低さが指摘されてきた。大気汚染物質や温室効果ガス削減の取り組みは積極的に行うべきだが、港湾としての力が低下することも懸念される。環境への取り組みと同時にさらなる効率化とコストダウンに取り組み、東京港の競争力を強化していくことが必要とされている。
  ア 港湾コストの低減やサービスの向上にどのように取り組むのか。
  イ 首都圏の物流拠点として横浜港とも連携した効率化にどう取り組むのか。

平成17年第三回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 船舶からの排出ガスと東京港の国際競争力強化について
  1 風の道により海風を内陸部に取り込むなど、船舶から排出される大気汚染物質削減は、港湾周辺だけの問題ではない。東京港における船舶排出ガス量はどのようになっているか伺う。

回答
  東京都が平成16年度に調査した結果、東京港に停泊した船舶から排出される大気汚染物質は、一年間に窒素酸化物が2,086トン、硫黄酸化物が1,898トン、ばいじんが145トン排出されているものと推計しています。

質問事項
 一の2 船舶からの大気汚染を防止する新たな規制について
    ア 本年より、船舶からの大気汚染防止のため新たな規制が始まっている。例えば硫黄酸化物について、船舶ディーゼル排出ガスはディーゼル車排出ガスと比べてどうなのか伺う。

回答
  ディーゼル車に使用されている軽油中に含まれる硫黄分は約10ppmです。
  船舶に使用されるC重油には29,000ppmの硫黄分を含むものがあり、同じ量の燃料を使用した場合、船舶からはディーゼル車の約3,000倍にあたる硫黄酸化物が排出されることになります。

質問事項
 一の2のイ 規制は、東京港を利用するすべての船舶を対象とすべきである。国の規制対象となる船舶、また検査対象となる船舶は、東京港を利用する船舶のうちどの程度を占めるのか伺う。

回答
  国の規制対象となる船舶のうち、窒素酸化物については規制対象が限られています。昨年度に実施した調査によると、この規制に該当するものは内航船ではありませんでした。また、外航船については不定期に入港する船舶などがあるため、規制及び検査対象の実数が把握されていません。

質問事項
 一の2のウ 規制対象が新しい船のみとされていること、検査対象を400トン以上の船舶としていることなど、国の規制は不十分であり、都独自にでもより厳しくすべきだが、どう取り組むのか伺う。

回答
  都では、平成16年度に学識経験者及び業界代表による「船舶等による大気汚染対策検討委員会」を設けて、船舶停泊時の排ガス対策についての検討を行い、報告書として取りまとめました。
  今後は、この報告書に基づき、良質燃料への転換など具体的な排ガス対策に事業者が取り組むよう促していきます。

質問事項
 一の3 東京港の国際競争力強化について
    ア 環境への取組と同時に、さらなる効率化とコストダウンに取り組み、東京港の競争力を強化していくことが必要である。港湾コストの低減やサービス向上にどう取り組むのか伺う。

回答
  東京港の国際競争力強化に向け、アジア主要港にごするサービス水準を確保し、国際基幹航路が寄港するメインポートの地位を堅持していくためには、港湾コストの低減や港湾通過時間の短縮等を進めていくことが重要です。
  そのため、東京港では、港湾の官民の関係者で組織する「東京港振興促進協議会」において、「新アクションプラン」を策定し、官民が一体となって、サービス水準の向上に向けた戦略的な行動計画の実現に取り組むとともに、日本を代表し国際競争力ある主要港湾を育成しようとする国家的プロジェクトであるスーパー中枢港湾の指定を契機にサービスアップ、コストダウンなど港湾物流の効率化の取組を進めています。
  具体的には、港湾施設の共同利用の推進による効率化や貨物取扱量の増加による物流コストの低減、構造改革特区提案による税関等の行政機関の土日開庁等による港湾通過時間の短縮などの取組を行っています。
  今後とも、港湾関係者の理解と協力を得ながら、東京港の国際競争力の強化と使いやすい港づくりに努めていきます。

質問事項
 一の3のイ 首都圏の物流拠点として、横浜港とも連携した効率化にどう取り組むのか伺う。

回答
  東京港が首都圏全体の生活と産業を支えていくためには、横浜港や川崎港との連携を進めながら国際競争力を強化していくことが重要です。
  そのため東京港は、横浜港、川崎港とともに、平成16年4月に「京浜3港広域連携協議会」を設置し、物流ネットワークの強化などについて、共同の取組を進めています。
  具体的には、3港間でのコンテナ輸送、いわゆる横持ち輸送の効率化を推進するための共同輸送のトライアルを実施するとともに、3港間及び背後圏をつなぐ幹線道路網の整備促進や水先料金の低減化等に関する国への共同提案等を行っています。
  今後も、共通の仕組みによる対応が有効な事項について連携して取り組んでいきます。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 清水ひで子

質問事項
 一 食育について

一 食育について
  現在様々な観点から食育の重要性が指摘されています。子供の食生活の乱れ、朝食をとらない子、栄養バランスの偏った食事、不規則な食事の増加、肥満、過度の痩身傾向など健康上の問題を抱える子供たちも増えていると伝えられています。大人になり生活習慣病につながるおそれも言われています。食を通じて地域の産物や文化を理解するとりくみなども求められています。また、都がおこなった「学力の向上をはかるための調査」では朝食を食べている子どもの方が学力があると言う結果になっています。
  2004年1月の中央教育審議会答申「食に関する指導体制の整備について」では、「望ましい食習慣の形成は今や国民的課題となっている、・・・成長期にある児童生徒にとって、健全な食習慣は健康な心身を育むために欠かせないものであり、極めて重要、・・・・H13年の国民栄養調査によれば20歳代男子の朝食欠食の割合は20.4%、肥満児傾向児は小学校6年生では、S52年に6.7%がH14年には11.7%とほぼ倍増している。・・・栄養と脳の発達や心の健康との関係も指摘されている。・・・外食や調理済み食品の利用の増大により、食の自己管理能力が必要となっている。食に関する自己管理能力の育成を通じて将来の生活習慣病の危険性を低下させるなど、こどもが将来にわたって健康に生活していけるようにするためには、食に関する指導を充実し、望ましい食習慣の形成を促すことが極めて重要である。」と食に関する指導の必要性を述べています。
  こうした中で、国において食育基本法が2005年に成立し6月に施行されました。この法律では、子供にとって「食」が生きる基本であること、成長と人格の形成に大きな影響を及ぼすものであることが確認されたのです。そして政府をあげて、食育にとりくむこととされており、地方公共団体も国と連携し、取り組んでいかなければならないとされています。
 1 今定例会で知事は「食育の推進計画を策定する」との答弁がされましたが、いつまでに東京都食育推進計画を作るのか伺います。
 2 都の食育推進計画は、学校、幼稚園の教職員、保育園の園長、職員、親、農業生産者など都民参加でつくることが重要だと思うがどうか。
 3 食育を総合的に推進するには庁内のさまざまな分野の連携が重要になります。全庁的な推進体制の確立、強化を求めるものだがどうか。
 4 群馬県ではすでに県の公式ホームページで食育に関する総合的情報提供をおこなっています。都のホームページにおいても食育に関する総合的な情報を都民にわかりやすくアクセスしやすい形で提供することを提案するものだがどうか。
 5 次に、学校における食育の推進について伺います。
   食育基本法第3章の第20条では「食育の指導にふさわしい教職員の設置・・」とあり、「指導体制の整備」が重要な問題として提起されています。
   2003年4月文部科学大臣から「子供の体力向上のための総合的な方向について」が諮問され、2004年9月に答申され、その中で「近年社会環境の変化などに伴う食に関する健康問題に対応するため、望ましい食習慣や栄養バランスのとれた食生活を形成する観点から、学校における食に関する指導の重要性を指摘し、「栄養教諭など学校栄養職員に係る新たな制度の創設を検討すべき」ことが提言されました。これに基づき、2005年4月には学校教育法が一部改正され、新しく栄養教諭免許制度が創設され、今年から開始されました。
   すでに、文部科学省より、各都道府県で認定講習を実施するよう通達がおろされ、それをうけて、各都道府県は認定講習の計画をすすめ、3年計画で全学校栄養職員から栄養教諭の切り替えのための認定講習を実施することとしました。
   栄養教諭は学校栄養職員として3年以上の経験をもつ栄養士が研修を受ければ免許を取得できる制度です。配置するかどうかは都道府県や学校設置者の判断となっています。約170の大学や短大が養成課程をもうけました。この養成課程を受講している栄養職員もいますが、時間の関係や費用の面で、受けられない栄養職員もいます。
   栄養教諭の仕事は学校給食の機能や役割に加えて、それを丸ごと生きた材料として活用できるような、食に関する指導と、学校給食の管理を一体のものとしてその職務とすることです。生活習慣病の予防や食物アレルギーヘの対応などの観点から児童生徒の食生活に関し、その専門性を生かしたきめ細かな指導・助言を行うということです。そしてきめ細かな個別対応ができる専門性を生かして食に関する指導をすすめることです。
 栄養教諭は栄養に関する専門的な教員として、全体を見渡し、食育の指導計画をたて、関係する教職員をつなぐ役目を果たす役目があります。
   栄養職員はこれまで、給食の時間に教室をまわってメニューを紹介し、その日の材料の特徴や、体にどんな効果があるのかなど解説し、時には授業を補助してきましたが、栄養教諭として授業を受け持つならば、個々のこどもの肥満やアレルギーなどの問題にきめ細かく対応する役割もできます。保護者と連絡をとり、関係を深めることもできるのです。
   地域社会や関係機関が主催する食に関する行事への参画などにおいて栄養教諭の専門性を発揮し、積極的に取り組んでいくことも期待されます。
   ある学校の児童が栄養教諭の食育の授業をうけた後に書いた感想文をよませてもらいました。「やさいを食べないといらいらしたりすることがわかった。畑には野菜をおいしく食べられるためにいろいろ知恵をだしていた。あしたからは全部たべるようにしたい」「野菜を食べないと病気やべんぴになりやすい。」「栄養のふくんでいる野菜をごはんにいれる」「野菜を食べないといろいろなことになるのでこれからもいっぱい野菜を食べようと思いました。」食の授業を行った結果、子供たちの食や健康に対する意識が確かに変化していることがわかります。
   すでに全国では福岡県10人、高知県5人が配置され、成果をあげています。さらに北海道、大阪府、茨城県、千葉県などで配置が予定されています。
   初年度の今春に配置された福井県の栄養教諭の声が新聞に紹介されていました。「これまでも給食の時間に教室を回ってメニューを解説してきた。時には授業を補助することもあった。4月以降は栄養士としての仕事もこなしながら月に数回授業も持つ。教諭になって児童や他の教諭との関係が変化してきた。子供の顔がわかるようになった。子供たちも教室や廊下で先生と声をかけてくれる。蚊帳の外だった先生方の会議や授業研究会にも招かれるようになりました。」と導入の成果をかたっています。
   食育の推進は都政の大きな課題であり、その中核となる栄養教諭の配置は不可欠です。しかし、ことし都が実施した認定講習は、対象を栄養職員の中ですでに教諭免許を持っているものだけに限定したものでした。今後の計画もうちだされていません。これでは栄養職員のごく一部しかうけられないことになります。
  ア 都としても、すべての学校栄養職員を対象に免許状認定講習を実施するべきだと考えるがどうか。
  イ 学校栄養識員が免許状認定講習を受講する際には研修扱いとする必要があると考えるがどうか。
  ウ 学校栄養教諭の配置について積極的に検討し、早急に配置すべきだがどうか。
  エ すでに配布されている食生活学習教材を、児童生徒が自ら食生活を考え、食に関する実践力を身につけるよう継続した食に関する指導を行う為に積極的に活用し、計画的に食の教育を行うことが必要だと考えるがどうか。
  オ 都教委としてこれまでの実践をふまえ、専門家の意見を聞いた「指導計画書案」など参考資料をつくり、各学校が指導しやすいよう支援すべきと考えますが、どうか。
    最後に学校給食の問題です。
  カ 学校給食の食材に地域の生鮮野菜等を購入する際の支援を行い、導入に積極的にとりくめるようにする必要があると思うが、どうか。

平成17年第三回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 食育について
  1 第三回定例会で知事は、食育の推進計画を策定すると答弁したが、いつまでに東京都食育推進計画をつくるのか伺う。

回答
  現在、計画の策定に向けて、関係局で検討の段階です。今後、これを踏まえ、外部有識者の意見聴取、パブリックコメントなどを実施したうえで、計画を策定することとしています。

質問事項
 一の2 都の食育推進計画は、学校、幼稚園の教職員、保育園の園長、職員、親、農業生産者など、都民参加でつくることが重要だが、見解を伺う。

回答
  食育を推進する活動は、家庭や学校、地域における様々な主体の参加と協力を得なくてはなりません。
  食育推進計画は、外部有識者からの意見聴取や、一般都民から幅広く意見を聴くパブリックコメントを経て策定していきます。

質問事項
 一の3 食育を総合的に推進するためには、庁内の様々な分野の連携が重要になる。全庁的な推進体制の確立、強化を求めるが、見解を伺う。

回答
  平成16年6月、関係6局の課長級からなる「食育推進部会」を設置し、総合的に食育を推進するための検討を重ねてきました。
  これを踏まえ、学校における農業生産の体験など、関係局が一体となって取り組むことができる体制を築いていきます。

質問事項
 一の4 都のホームページでも、食育に関する総合的な情報を都民にわかりやすくアクセスしやすい形で提供することを提案するが、見解を伺う。

回答
  現在、各局のホームページで、栄養指導や健康づくりなど個別分野の食育に関する情報を提供しているほか、「東京農業WEBサイト」などを通じ、食育に関する総合的な情報を都民に提供しています。

質問事項
 一の5 学校における食育の推進について
    ア 都は栄養教諭認定講習を実施したが、栄養職員の中で教諭免許を持つものに限定していた。すべての学校栄養職員を対象に免許状認定講習を実施すべきだが、見解を伺う。

回答
  学校栄養職員を対象とした免許法認定講習については、教員免許状を有している栄養職員に対して、文部科学省による育成講習事業を活用して、栄養職員の資質向上を図ることを目的として実施しています。
  なお、平成17年度は、8月1日から5日にかけて91名の栄養職員を対象に行いました。

質問事項
 一の5のイ 学校栄養職員が免許状認定講習を受講する際には、研修扱いとする必要があるが、見解を伺う。

回答
  免許状認定講習は、学校栄養職員の資質向上に寄与するものであり、都教育委員会が実施する同講習を受講するに当たっては、職務専念義務を免除しています。

質問事項
 一の5のウ 学校栄養教諭の配置について積極的に検討し、早急に配置すべきだが、見解を伺う。

回答
  学校栄養教諭の配置については、配置基準や給与負担など様々な課題があり、現在、慎重に検討しています。

質問事項
 一の5のエ すでに配布されている食生活学習教材を、児童生徒が自ら食生活を考え、食に関する実践力を身につけるよう継続した食に関する指導を行うために積極的に活用し、計画的に食の教育を行うべきだが、見解を伺う。

回答
  児童・生徒一人一人に望ましい食習慣を身に付けさせ、自らの健康管理ができるようにするためには、学校における食に関する指導の実施や、家庭との連携が重要なことと考えています。
  文部科学省が作成した食生活学習教材を、全児童・生徒に配布するとともに、都教育委員会は学校栄養職員を対象に、食生活学習教材を活用した食に関する指導の研修を実施しています。
  また、学級担任と学校栄養職員の専門性を生かしたティームティーチングによる授業を推進し、食に関する指導の充実を図っています。
  家庭に対しては、給食だよりの配布や保護者対象の給食試食会等を通じて、連携を深めていきます。

質問事項
 一の5のオ 都教委としてこれまでの実践を踏まえ、専門家の意見を聞いた指導計画書案など参考資料をつくり、各学校が指導しやすいよう支援すべきだが、見解を伺う。

回答
  都教育委員会は平成17年2月に「都立学校における健康づくり推進計画」を策定し、この重点項目に食に関する指導の推進を位置付けるとともに、学識経験者等の意見を取り入れ、指導計画例を含めた「食に関する指導資料集」を作成しました。
  「食に関する指導資料集」については、全公立学校に配布するとともに、保健主任や学校栄養職員等を対象として説明会を開催しました。
  また、今後は「食に関する指導研修会」を実施するなど、各学校において食に関する指導が充実するように支援していきます。

質問事項
 一の5のカ 学校給食の食材に地域の生鮮野菜等を購入する際の支援を行い、導入に積極的に取り組めるようにする必要があるが、見解を伺う。

回答
  学校給食の食材については、各設置者や学校長が、品質、安全性、栄養価、経済性、地域の状況などを総合的に判断し、選定しています。
  地域の生鮮野菜等を学校給食で使用することは、新鮮であることや生産者の顔が見えることによって感謝の心を育てるなど、学校給食を「生きた教材」として食に関する指導を行う上で、大変効果的と考えます。
  そこで、都は、都内産の野菜や魚を学校給食に活用できるよう仲介してきました。
  今後とも、都内で生産される農林水産物がより一層学校給食等で利用できるよう、生産者と給食関係者との間の情報交換を進め、地産地消の取組を拡大していきます。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 古館和憲

質問事項
 一 耐震補強工事への助成をただちに

一 耐震補強工事への助成をただちに
  震災対策の強化について趣意書を提出いたします。
  迫りくる東京直下型地震に対して、その被害をいかに最小限にくい止めるか。そのためには、予防を重点とした『減災』の立場に立った災害対策への転換が強く求められています。その要の第一が、木造個人住宅の耐震診断と耐震工事への補助制度の創設です。木造住宅の耐震補強工事の助成では、すでに、全国で静岡、宮城など15県5政令市が、また都内でも数区で足をふみだしています。墨田区では、「昭和56年5月31日以前に着工された区内に存する木造家屋を所有し、かつ居住する個人」にたいして、耐震改修工事で最高限度額が最高で一般は50万円、高齢者等には70万円の「木造家屋の倒壊防止助成」事業を、来年1月から実施することを明らかにするなど、独自の懸命な努力がはじまっています。
  日本共産党都議団は、阪神・淡路大震災の教訓に学び、1995年の第4回定例会での代表質問で「東京都独自での耐震補助」の創設を求めて以来、その後、いっかんしてとりあげ、2003年の第3回定例会では、知事も言及した静岡県の事例も紹介し制度化をくり返し求めてきました。こうしたなかで、先の都議会第二回定例会では、全会一致で「木造個人住宅の耐震助成を求める決議」が採択され、そして本定例会では、「避難の安全を確保するなど公共性の高い地域については、助成制度もふくめ都民負担の軽減策を検討している」と答えるなど、個人住宅の耐震診断、耐震助成などにふみだしていく意向がしめされたことは重要です。
  ただちに具体化されることをつよく要望するものですが、同時に、施策の対象が「避難の安全を確保するなど公共性の高い地域」、すなわち木造住宅密集地域に限られたり、今年度からスタートした国の「地域住宅交付金」および「住宅・建築物の耐震改修等の支援事業」の活用の範囲に限定されるならば、耐震化が必要とされている木造住宅が33万戸も存在する東京の施策としてはきわめて不十分なものになりかねません。
  例えば、「地域住宅交付金」は、その交付対象事業が「既存の補助対象事業」すなわち、公営住宅・高齢者向け住宅の整備、既存公営住宅の改善、密集市街地住宅整備などと、民間住宅の耐震改修・建替えや公営住宅等と社会福祉施設等の一体的整備など「地方公共団体の提案による地域の住宅政策に必要な事業等」とされ、一般の個人の木造住宅は対象とされていません。また、「住宅・建築物耐震改修等事業」は、「地震の際の住宅・建築物の倒壊等による被害の軽減をはかるため、住宅・建築物の耐震性の向上に資する事業について、地方公共団体に対し、国が必要な助成をおこなうもの」としていながら、2005年度の予算額は、わずか20億円に過ぎません。
 1 そこで、まず、都として、一般個人の木造住宅の耐震補強・耐震診断の助成にのりだすべきと考えますが、どうか。
 2 また、高知県は、2003年度から県独自で耐震診断を実施していましたが、くわえて今年度からは耐震改修事業の補助をはじめる計画をうちだしました。県の話では、国の「住宅・建築物の耐震改修等の支援事業」を取り入れることを前提に、5年間で1000件の耐震改修工事をすすめたとのことです。この事例からも明らかなように、この支援事業は「適用地域」が限られているとはいえ、全国の自治体に耐震診断と耐震改修事業を施策の中に取り入れる契機となっていることは重要です。都として、国制度を積極的に活用すること、あわせて同制度を活用する区市町村に対して、都としての上乗せ補助などを行うことを求めますが、どうか。
 3 今年の第一回定例会の文書質問で私は、「マンションの震災対策」について質しましたが、その後、東京都には、この問題の解決に真正面から挑むという姿勢はみられません。
   あらためて言うまでもなく、阪神・淡路大震災の特徴の一つが、マンションが受けた大きな被害でした。その際の教訓として、建築家などの専門家が、被害をうけたマンションについて、「事前にほんの少し補強されていたならば、被害をかなり少なくできたはずだ」とか、「耐震補強によってマンションの耐震性は大幅に改善できる」ことを強調しています。東京都内には100万戸をこすマンションがあるといわれ、このうち築30年以上たつマンションが30万戸以上もあると考えられています。マンションの耐震診断、耐震補強がきわめて重要であることは、いくら強調しても強調しすぎることはありません。
   また、横浜市では、マンション診断などでも大きな成果をあげていることは、文書質問でも紹介しましたが、これに比べ、東京都のマンション対策は、「管理組合などを基本に」との態度を崩さず、相談業務なども区や市の仕事だとして、区や市に事実上おまかせにするなど、大きく立ち遅れています。こうした姿勢を急いで転換することが求められています。
   今回の国の「住宅・建築物の耐震改修等の支援事業」のメニューにもマンションヘの耐震診断と耐震化の両面で補助をすることがかかげられていますが、都としての相談窓口の設置や耐震補強工事への助成など、マンションの耐震対策の支援にふみだすことなどを提案するものです。それぞれ、答弁を求めます。

平成17年第三回都議会定例会
古館和憲議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 耐震補強工事への助成をただちに
  1 今年度から国の地域住宅交付金がスタートしたが、都として、一般個人の木造住宅の耐震補強、耐震診断の助成にのりだすべきだが、見解を伺う。

回答
  住宅の耐震化を進めるために、避難の安全を確保するなど公共性の高い地域については、助成制度も含め、都民負担の軽減策を検討しています。
  今後とも、自助、共助、公助の原則を踏まえ、住宅の耐震化に取り組んでいきます。

質問事項
 一の2 都として、国の住宅・建築物の耐震改修等の支援事業を積極的に活用すること、あわせて同制度を活用する区市町村に対して、上乗せ補助などを行うことを求める。見解を伺う。

回答
  避難の安全を確保するなど公共性の高い地域については、助成制度も含め、都民負担の軽減策を検討しています。
  今後とも、自助、共助、公助の原則を踏まえ、住宅の耐震化に取り組んでいきます。

質問事項
 一の3 都としての相談窓口設置や耐震補強工事への助成など、マンションの耐震対策支援にふみだすことを提案する。答弁を求める。

回答
  マンションの管理等に係る相談については、一般的な事項は区市において対応し、専門的な事項は、建築士などによる都の専門相談において対応しています。
  耐震補強については、既に、マンション改良工事助成制度において支援しています。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松村友昭

質問事項
 一 水害対策と被害補償について

一 水害対策と被害補償について
  9月4日の豪雨災害は災害救助法が12年ぶりに都内で発動される大変な被害を都民にもたらしました。杉並区、中野区、練馬区など、14区、10市、1町で床上浸水2,596棟、床下浸水2,319棟、合計4,915棟、さらに店舗や事務所、道路冠水など、過去10年分ともいえる被害がでました。
  このように大きな被害をもたらした今回の水害の原因は、一つには、局地的な集中豪雨によるものですが、この異常な気象現象をつくりだす犯人は、ヒートアイランド現象との関連が推察され、この対策をしっかりとっていればこうした大被害を食い止めることができたのです。二つには、急激な都市化によってコンクリートに覆われて雨水が一挙に下水道や河川に集中するなど、降水流出条件が悪化して中小河川の負担増になって、大きな被害をもたらしています。まさに、東京における治水事業の進捗の遅れなどによる「人災」といえるものです。
 1 そこで、まず、今回の水害の原因の徹底的な解明と今後の被害防止対策を質します。
   その第一は、ヒートアイランド現象の影響です。
   知事は所信表明で、想定をはるかに超えた雨量といいましたが、都内で時間雨量100ミリ以上の記録はかっての10年に一度から、5年に一度になり、この10年間では3年に一度ぐらいに間隔が狭まっており、100ミリ以上の降雨地点も今回は、7箇所にも上っている現実を直視する必要があります。もはや異常気象が異常気象ではなくなりつつある原因の一端は、ヒートアイランド現象によるものであることはあきらかです。
   東京のヒートアイランド現象は、専門家の指摘によると、都心部のビルなどからの人口廃熱と自動車排気ガスによってつくられた熱い空気の塊が東京湾の海風が高層ビルにさえぎられ、弱まってしまうため、区部西北部の上空あたりで滞留して上昇気流を起こし、雨雲を発生させ、集中豪雨などを起こすとされています。
   9月4日も気象庁アメダスは、強い雨雲が中野区、杉並区、練馬区の上空から数時間動かなかったことを観測しています。
  ア 石原都政の進める「都市再生」によって、都心部の超高層ビル群と大型幹線道路優先の都市づくりがこれ以上進めば、ヒートアイランド現象をますます激化させることは必死です。このことからも、ヒートアイランド現象を引き起こす石原都政の「都市再生」は根本から見直すべきです。見解を求めます。
  イ また、現在顕在化しているヒートアイランド現象を緩和するために、クールランド対策が重要です。都心部の透水性舗装や屋上緑化、散水などにとどまらず、「風の道」を都市計画に取り入れ、さらに公園の増設、水路の復活などをおこなうべきです。見解を求めます。
   第二は、都市型水害への対応の遅れです。
   水害の原因が、急激な都市化によって東京の保水機能が著しく低下したことと、中小河川の改修など治水事業の進捗の遅れにあることはいうまでもありません。
   ところが、重大なことは、石原都政になって、東京の保水機能を回復し、治水を図る総合治水対策や中小河川整備が大型開発優先の犠牲となって、後退していることです。
   特に、今回の水害では、中小河川整備の遅れによる、人為的ミスともいえることが重なって被害を大きくしたことです。
   たとえば、新宿の被害では、「妙正寺川は以前、もっと深かったが、西落合周辺の工事で浅くなり、今回の水害につながった」「護岸の崩壊が水害の原因だが、ここ数ヶ月にわたり、同じ場所を掘ったり埋めたりを繰り返し、地盤がゆるんでいるところに大雨があったため崩壊した」「北原橋は、護岸より橋の下の梁が低い位置まで下がっているので、水がせき止められる状況になった。そのため、北原橋でせき止められた水があふれた」「葛橋の先にH鋼があり水がH鋼に当たって、逆流したと考えられる」「対岸の野球場は元の地盤より盛り土をして、2メートルも地盤を高くしてしまった。野球場を下げるほうが良いといったがまったく取り合わなかった」などの批判があがっています。
   北区船堀一丁目石神井川右岸堤防上に嵩上げされたⅠ型鋼が長さ20メートルにわたって、水圧により落下し、そこから溢れ出た川水が1キロ四方の広範囲にわたって濁流となって被害を出しました。
  ウ これら、指摘の箇所については、次の災害を防ぐためにも、直ちに補正予算を組んでその対策を図るべきです。
  エ さらに都内中小河川改修が年1%しか進捗しない現状を抜本的に改め、中小河川予算を大幅に増やすとともに、遊水地、調節池の計画を大幅に増やす目標を明らかにした取りくみを行うべきです。それぞれ見解を求めます。
  オ 保水機能を回復する手立てとして、雨水流出抑制型都市づくりの手法が極めて有効であるということはいくつかの事例で検証済みです。
    例えば、都は、練馬区の白子川、石神井川流域の下水道事業で、透水マス、透水管、透水U字溝、透水舗装など徹底した雨水流出抑制施設を取り入れたモデル事業を行いました。その結果、白子川は時間雨量30ミリの改修もできていないにもかかわらず、水害常習地が解消されたのです。今回の豪雨でも、練馬で水害の被害が出ているのは雨水浸透施設が設置されていない地域です。また、雨水利用に本腰を入れて取り組んでいる墨田区の実践でも実証済みです。
    練馬型公共下水道や墨田の雨水利用を全都に普及すべきではありませんか。見解を求ます。
  カ わが党は、これまで、こうした提案を行い、青島都政では、水循環マスタープランがつくられましたが、石原都政になって、総合治水対策予算を後退させています。
    とくに、都自身も貯留効果を認め、区市町村も存続を強く求めていた民間住宅貯留施設の補助を石原都政となってから廃止してしまいました。これでどうして水害が解消できるでしょうか。
    旧都市計画局が廃止した、民間住宅貯留施設に対する補助は復活して、区市町村の雨水流出抑制型都市づくりを支援すべきです。答弁を求めます。
  キ 練馬の中村の被害でも、「雨水クイックプランが完了したばかりなのに、大きな被害が出た。もう少し、貯留量が多い管を入れておくとか、広い南蔵院などの民間施設に貯留施設を設置するなどすれば被害は防げた」などの声が出ています。
    そこで、雨水整備新クイックプランを見直し、その際、貯留管のみに頼るのではなく、公園、学校、団地、民間施設などにも貯留施設を拡充すべきです。答弁を求めます。
  ク また、雨水流出抑制型都市づくりを都市計画にとり入れ、都内公共施設、民間施設の全てで、雨水流出抑制施設や雨水利用施設の設置目標を明らかにして取り組むべきです。見解を求めます。
 2 つぎに、一刻も猶予できない被災者救済について質します。
   知事は所信で、「災害救助法を適用するなど被災者の方々の生活再建や事業再建に迅速に対応」と表明しました。しかし、災害救助法の適用によって、被災者個人が、対象になる支援は、資金の貸付と融資、それに税や医療費の減免のみで、いま、被災住民が求めている被害に対する個人補償はありません。
   今回、これだけの水害被害をもたらした原因がヒートアイランドを激化させた都心開発や中小河川整備・総合治水対策の遅れなどによる都市型水害です。
  ア、イ 「完成したばかりの建具と工作機械が泥水をかぶって全部使えない」「自宅のスタジオが水をかぶり撮影に使うスクリーンなどがだめになった」「出荷予定の製本商品の冊子に被害」など、途方にくれる自営業者や、さらに「車が水に使ってすべてぐちゃぐちゃ」「クーラーの室外機が壊れた」「畳がすべてだめになった」などの被害に対して、都の責任で個人補償をおこなうべきです。
  ウ 税の減免で、床下浸水は固定資産税、都市計画税の減免対象としないことに対しても都民から批判の声が上がっています。床下浸水も対象にすべきです。
  エ また、「一階が住宅でないので免除されるものは何もないとのこと、被害の金額にしたら、大変なのですが」「家電リサイクル法に基づき被災住民に負担が求めれる冷蔵庫、テレビなどの引き取りに減免措置を講じてほしい」との要望に減免制度を拡充すべきではありませんか。それぞれ答弁を求めます。
  オ 各区市は、見舞金を出していますが、水害の後始末の費用としてはまったく足りません。
    「湿乾両用の掃除機と20メートルのホースとその先端、電気ブラシなど購入しましたが、何の援助もでないのですか」「片づけにかかるものを購入したりと、出費がすごい、ゴミ手袋や手袋など、配布して欲しい」など切実な訴えが出されています。
    福井県では、豪雨災害に緊急被災者支援金制度をつくり、床上浸水10万円、床下浸水2万円を支給しています。都としても見舞金を支給すべきではありませんか。答弁を求めます。

平成17年第三回都議会定例会
松村友昭議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 水害対策と被害補償について
  1 今回の水害の原因の解明と今後の被害防止対策について
   ア ヒートアイランド現象を引き起こす石原都政の都市再生は、根本から見直すべきである。見解を伺う。

回答
  東京の魅力と活力を高め、都民生活の質の向上を図るためには、遅れている幹線道路などの都市基盤整備や、民間プロジェクトにより必要な都市機能の更新を図るとともに、都市環境にも配慮した都市再生の取組が不可欠です。
  首都圏三環状道路等の整備促進により、慢性的な交通渋滞が緩和され、二酸化炭素が低減するなど大気環境の改善を図ることができます。また、優良な民間プロジェクトの推進により、オープンスペースや緑を確保するとともに、地域冷暖房システムによる省エネ化を図るなど、ヒートアイランド現象にも対応したまちづくりを進めています。
  今後とも、都市再生に積極的に取り組んでいきます。

質問事項
 一の1のイ ヒートアイランド現象緩和のため、風の道を都市計画に取り入れ、さらに公園の増設、水路の復活などを行うべきである。見解を伺う。

回答
  水や緑の空間とあわせて風の道を確保することは、ヒートアイランド対策の有効な手法と認識しています。
  例えば、東京の南の玄関口である品川駅周辺地区では、風の道の確保に向けた建物の配置計画のあり方や水と緑のネットワークの形成などについて検討を進めています。

質問事項
 一の1のウ 北原橋などの被害箇所は、次の災害を防ぐためにも直ちに補正予算を組んで対策を図るべきである。見解を伺う。

回答
  都はこれまでも、治水対策として、護岸や調節池の整備に重点的に取り組んできました。
  今回の集中豪雨は、1時間に100ミリを超え、短時間で260ミリを上回る記録的な降雨でした。
  妙正寺川の被害が発生した箇所については、9月6日未明までに応急復旧を実施するとともに、今年中に北原橋上流部の改修工事に着手します。
  さらに、石神井川の被害が発生した箇所については、施行者である首都高速道路公団(現在の首都高速道路株式会社)へ再発防止を図るよう指示しました。
  また、都は今回特に浸水被害の大きかった妙正寺川や善福寺川の未整備区間の護岸については、緊急に整備できるよう、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施に向け、国と調整を進めています。
  今後とも、50ミリ護岸の未整備区間の解消や、流域の特性に応じた調節池の効果的な整備など、治水対策に取り組みます。

質問事項
 一の1のエ 中小河川予算を大幅に増やすとともに、遊水地、調節池の計画を大幅に増やす目標を明らかにした取組を行うべきである。見解を伺う。

回答
  今回、神田川・環七地下調節池では、工事中の二期区間も合わせて、42万立方メートルの洪水を貯留し、約30ヘクタールの区域が浸水を免れたものと考えます。
  今回の被害状況を検証すると、1時間50ミリの降雨に対応する護岸や調節池が整備された箇所では、比較的被害が少なく、減災効果が発揮されています。
  このため、50ミリ対応の護岸が未整備の箇所について、着実に事業を進めていくことが重要であり、今後とも、重点的かつ効率的に河川整備を進め、水害対策に取り組んでいきます。

質問事項
 一の1のオ 都は、練馬区の下水道事業で雨水流出抑制施設を取り入れたモデル事業を行った。練馬型公共下水道や墨田の雨水利用を全都に普及すべきである。見解を伺う。

回答
  下水道局では、1時間50ミリの降雨に対応するため、幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を計画的に進めています。
  しかし、練馬区などを流れる白子川、石神井川は、1時間50ミリの降雨に対応する河川整備が途上であったため、これらの流域では、雨水浸透の機能を併せ持った雨水流出抑制型下水道の整備を行ったものです。
  なお、雨水の貯留などについては、都は区市町村と連携し、民間の大規模施設への貯留浸透施設の設置指導及び公共施設での雨水流出抑制対策を進めています。

質問事項
 一の1のカ 旧都市計画局が廃止した、民間住宅貯留施設に対する補助は復活して、区市町村の雨水流出抑制型都市づくりを支援すべきである。答弁を求める。

回答
  都は、平成4年度から区市が行う個人住宅への貯留浸透施設等助成事業に対し補助してきましたが、平成13年度に地域住民へ普及啓発するという都の先導的役割は達成したと考え、制度の見直しを行い、現在、区市が引き続き事業実施しています。
  都としましては、広域行政の立場から民間の大規模施設への貯留浸透施設の設置指導及び公共施設での雨水流出抑制対策に一層努めていきます。

質問事項
 一の1のキ 雨水整備新クイックプランを見直し、貯留管のみに頼るのではなく、公園、学校、団地、民間施設などにも貯留施設を拡充すべきだが、答弁を求める。

回答
  新・雨水整備クイックプランでは、浸水対策の緊急的な対応を図るため、「できるところから、できるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させる」という整備方針のもと、ソフト、ハードの両面から対策を講じており、「東京アメッシュ」の精度向上などソフト対策の充実とともに貯留管や雨水調整池の整備に取り組んでいます。
  なお、雨水調整池を整備する際には、必要に応じて、公園にも設置しています。

質問事項
 一の1のク 雨水流出抑制型都市づくりを都市計画に取り入れ、都内公共施設、民間施設の全てで、雨水流出抑制施設や雨水利用施設の設置目標を明らかにして取り組むべきである。見解を伺う。

回答
  都はこれまで、関係局及び区市町村で構成する協議会において、流域別の治水計画を定め、その中で雨水流出抑制施設の設置目標量を設定し、浸透マスや透水性舗装の設置などを推進してきました。
  今後とも、区市町村と連携し、雨水流出抑制対策を計画的に推進していきたいと考えています。

質問事項
 一の2 被災者救済について
    ア 災害救助法適用による支援は、被害に対する個人補償はない。建具や工作機械が使えなくなるなど、途方にくれる自営業者の被害に対して補償を行うべきだが、答弁を求める。

回答
  被災者の個人資産に対する公的補償はありませんが、災害により事業活動に影響を受けている中小企業者や組合等に対しては、都の制度融資において、長期かつ低利な融資である「経営支援融資」で対応しています。
  さらに、今回の災害については、通常の制度融資に加え、より有利な制度である「災害復旧資金融資」を適用しています。

質問事項
 一の2のイ この水害で、「車が水につかってすべてぐちゃぐちゃ」「クーラーの室外機が壊れた」「畳がすべてだめになった」などの被害に対して、都の責任で個人補償を行うべきである。見解を伺う。

回答
  個人資産に対する公的補償はありませんが、都は、今回の水害にあたり、中野区と杉並区に災害救助法を適用するとともに、都内全域の被災者に対しても、都独自の支援策として、生活資金の貸付け、税の減免、都営住宅の無償提供などを行っています。

質問事項
 一の2のウ 床下浸水は、固定資産税、都市計画税の減免対象としないことに対し、都民から批判の声がある。床下浸水も減免対象にすべきだが、答弁を求める。

回答
  地方税法では、天災その他特別の事情がある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者等について、固定資産税を減免することができるものとされています。(地方税法第367条)
  この天災その他特別の事情がある場合とは、震災、風水害、火災その他の災害によって納税者がその財産に甚大な損害を被った場合をいい、こうした損害に該当する固定資産の具体的程度については、自治事務次官通知「災害被害者に対する地方税の減免措置等について」に示されています。
  都では、法の趣旨、通知で示された基準等を勘案し、23区内の固定資産税の取扱いについて、床下浸水について減免対象としていません。
  なお、地方税法第702条の8の規定により、都市計画税についても固定資産税と同様の取扱いとしています。

質問事項
 一の2のエ 家電リサイクル法に基づき被災住民が負担する、冷蔵庫、テレビなどの引き取りに減免措置を講じてほしい、との要望がある。減免制度を拡充すべきだが、答弁を求める。

回答
  水害等により廃棄物となった家電リサイクル法の対象機器については、被災者から依頼があった場合、区市町村が収集して製造事業者に引き渡すことができます。
  これらの区市町村が負担した経費については、災害廃棄物処理事業として、国が区市町村に対して2分の1を補助する制度があります。
  都は、この制度について区市町村に対して周知を行っています。

質問事項
 一の2のオ 各区市は見舞金を出しているが、水害後始末の費用としては足りない。福井県では、豪雨災害に緊急被災者支援金制度をつくった。都としても見舞金を支給すべきだが、答弁を求める。

回答
  平成17年9月4日に発生した大雨災害による被災者の生活再建支援については、国の災害援護資金の貸付制度に加え、都独自に150万円を上限とする貸付制度を実施しています。
  また、その利子についても、被災者の方が利用しやすい制度とするため、いずれの制度とも都及び区市で全額負担することとしております。
  さらに、医療費助成の一部負担金を減免するなど、被災者それぞれの事情に応じた支援に努めており、今回の災害に対し一律に見舞金を支給するということは考えていません。

平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 曽根はじめ

質問事項
 一 北区の水害被害及びダイオキシン問題について

一 北区の水害被害及びダイオキシン問題について
 1 北区の水害被害について
   さる9月4日の午後10時25分ごろ、北区の堀船1丁目で施工中の高速道路王子線工事に伴う石神井川仮設護岸の一部が、台風14号の集中豪雨による石神井川の水位上昇に耐え切れず、幅20メートル以上にわたって崩壊しました。
   これにより石神井川の濁流が一気に流れ出し、堀船一丁目から三丁目にかけて床上浸水133棟、床下浸水253棟という近年にない水害被害をもたらす結果となりました。
   工事現場の正面で腰まで泥水に浸かり、乗用車も使い物にならなくなった住民の方がたは「王子線開通後の3年近く橋脚の継ぎ目などからの騒音で悩まされたあげく、今度は狙い撃ちするような水害被害で散々だ」と憤りをあらわにしており、また明治通りを越えて水害に襲われた堀船三丁目の住民からは、「まさかここまで石神井川の水が押し寄せてくるとは思わなかった」と嘆きの声が上がっています。
   堀船地域の連合町会による「九・四堀船地区水害対策協議会」が結成され、その主催で9月15日にようやく首都高速道路公団の住民説明会が行われました。
   公団側は、説明会当日には今回の水害の責任を認め、被害補償についても「誠意を持って対応したい」と交渉に応じる意志を示したにもかかわらず、その後の自治会との協議では一転して「この水害は天災であり、公団にはいっさい責任はない。よって補償交渉には応じられない。見舞金で対応する」と、公団理事長名で通告してきたとのことです。地元住民が公団のこうした対応に憤りを覚えるのはきわめて当然です。
   10月3日には、対策協議会長を代表に、河川管理者である東京都の建設局長と地元の北区に対して、首都高速道路株式会社(旧首都高速道路公団)が被害に苦しむ住民の声を真摯に受け止め、被害救済に善処するよう強く指導を求める要望書を提出したところです。
  ア 私は、住民の皆さんの要望を全面的に支持し、今回の水害被害の原 因と責任の究明、再発防止とあわせ、住民被害の全面的な補償と救済が実現するよう求める立場から質問します。
    首都高速株式会社(旧公団)の被害住民への態度は、いったんは「関係機関と調整し、皆様とお話をさせていただきながら誠意ある対応をしてまいります」と表明しながら突然一方的に「被害に対する責任はない」と居直り、見舞金でしか対応しないというきわめて埋不尽なものです。
    工事期間中について護岸の安全管理責任を旧公団にゆだねてきたとはいえ、河川管理者である都としても首都高速株式会社任せにすることなく、被害救済に誠意を持って当たるよう強く指導し助言することが必要であると考えますが、所見を伺います。
  イ 首都高速株式会社は、「上流での集中豪雨により1時間当たり50ミリ降雨に対応できるように想定した計画水量を超える状況が発生した」として、あたかもこれが護岸崩壊の原因であるかのように主張していますが、今回の水害は河川の水位が仮設護岸を越えたためではなく、その前に仮設護岸をとめていた直径12ミリメートルのボルトが水圧に耐え切れなかったために護岸自体が壊れておきたものです。
    ある土木工事技術者は、90センチメートルの高さのⅠ型鋼を設置するには通常なら20ミリメートル程度の太さのボルトが必要であり、12ミリメートルのボルトでは不十分ではないかと指摘しています。
    また復旧工事でボルトを16ミリメートルに切り替えた上に新たに筋交いの鋼材を取り付けたことも、仮設護岸の強度がいかに不十分だったかを物語っています。
    首都高速株式会社の言い分を鵜呑みにするわけにはいきません。今 水害の原因究明のため、仮設護岸の強度について徹底した検証が行われるべきと考えますが、どうですか。
  ウ また仮設護岸の不備が明らかになった場合には、首都高速株式会社には重い補償責任が問われるのは当然ですが、合わせて都の見解を求めます。
  エ 現場周辺の住民は2002年12月の高速道路開通以来、橋脚の継ぎ目からの騒音に悩まされ、とりわけ深夜に多く通過する大型トラックの騒音振動には「まともな睡眠が取れない」と苦情が殺到し、旧公団の責任で8月から本格的な実態調査が行われていた矢先に今回の水害が発生しました。
    飛鳥山公園とJR京浜東北線王子駅をはさんで住宅や商店街の密集した地域の地下をトンネルで通すという難工事を、かつて水害を繰り返した石神井川の大規模な河道付け替え工事まで行ってすすめてきたことが、いかに大きな住民被害をもたらす結果となったか、厳しく指摘せざるを得ません。
    都として、今後再び高速道路工事によって住民への環境悪化や事故・災害をもたらすことの無いよう、工事中や工事後の安全対策と騒音はじめ環境被害の防止に万全を期すべきですが、答弁を求めます。
 2 豊島地区のダイオキシン問題について
   本年4月に、豊島五丁目団地内の区立保育園の園庭と、同じく団地内の公園の表土から基準値を超えるダイオキシンが発見されて以来、団地内の各所からはもちろん、団地周辺の民間企業跡地などから次々と高濃度のダイオキシンが発見され、五千戸近い団地の居住者をはじめ地域住民の健康と安全をいかに守っていくかが問われる深刻な事態となっています。
   この間の調査により、ダイオキシンの土壌汚染は団地周辺も含めて豊島五丁目六丁目にかけて広範囲に広がっており、しかも環境基準の1千ピコグラムを超える濃度が随所から発見されるなど、地域全体の抜本的な汚染対策が必要であることが明らかになりつつあります。
   北区は都に対しダイオキシン類対策特別措置法に基づく抜本対策を申請する意向と聞いています。これは当然ですが、同時にこれまで同法の適用対象となった事例とまったく異なり、人口が密集する団地全域にわたる汚染の対策として、一定の時間がかかる抜本対策の確立と平行し、地域住民の健康と安全に配慮した緊急対策や団地居住者の健康への影響調査など、今回の汚染問題の実情に即した対策が求められています。
   そこで私は、特に豊島五丁目団地における課題を中心に、今後ダイオキシン対策の中心となるべき東京都としての取り組みについて質問します。
   これまでの汚染状況の調査によれば、40年程前にニッサン化学の肥料工場跡地に1メートル土盛りし公団住宅として建設された豊島五丁目団地及び周辺の地下1メートル以下の土壌からは、ほぼ全域から高い濃度でダイオキシンが検出され、しかも地表に土が露出している公園や道路の植樹帯、保育園園庭の表土などからも基準値を超えるダイオキシンが発見されています。このことからかつての化学工場の土壌にダイオキシンが含まれているだけでなく、これまでの予想に反してダイオキシンが何らかの原因で地表まで上昇してきている可能性を否定できなくなっています。
   ダイオキシンの猛毒性からすれば、できるだけ速やかに地表に存在するダイオキシンに乳幼児をはじめ団地住民が接触するのを避ける緊急対策が必要です。
   この点で団地を管理する都市再生機構は、自らの所有地について、地上の土をすべて不織布で覆い20センチメートル土盛りして芝生を植える緊急対策を団地全域で行いつつあります。しかし一方で北区の管理する区立公園や学校の敷地などは臨時的にシートで覆われたままの状態で、保育園の園庭だけがようやく簡易アスファルト舗装されました。
  ア 同じ団地内で緊急対策にくい違いが生じないよう、都として少なくとも都市再生機構と同等の緊急対策を北区が実施するよう指導するとともに、財政的な支援も検討する必要があると考えますが、所見を伺います。
  イ 今後の抜本対策について、過去の特別措置法による対策の場合には長期の時間が費やされていますが、今回は居住者の住宅や保育、教育など暮らし全体の場が汚染されているだけに、汚染範囲の確定や汚染土壌の処理対策の検討などをできるだけ速やかに進めるため本格的な体制で臨む必要があります。
    北区の申請があり次第、都として直ちに対応するとともに同法の対象として都市機構の所有地もふくめ団地全域に適用するようにすべきですが、見解を伺います。
  ウ 北区は独自にダイオキシン類の健康影響評価検討委員会を設置し、この委員会では住民の要望を受けて、会議の公開はもちろん住民からの意見や質問も積極的に受け入れ対応していくことが表明されました。ある委員は「子どもたちが保育園でどんな土遊びをしているか、公園がどんな風に利用されているかなどは、住民の方から直接聞かなければわからない」と述べて、積極的に住民の協力も得ながらダイオキシンの健康調査に取り組むことを表明しています。
    都として北区の健康影響調査と連携し支援を行うとともに、今後都のダイオキシン対策における汚染処理の検討についても、北区の委員会の考え方を生かして専門家による検討の場を住民に全面的に公開するとともに住民との意見交換にも積極的に応じるようにすべきですがどうか、答弁を求めます。
  エ ダイオキシン処理の抜本策についても、住民の立場に立った対策を講じることが求められます。
    昨年暮れにダイオキシン汚染が発見された団地に隣接した民間企業の所有地では、特別措置法対象外のため企業の責任と負担で、本格的な土壌の入れ替え処理が行われました。今後、都市再生機構が買い取って住宅開発を進めると聞いていますが、これから入居者を募集する上で本格的な対策を行うのは当然です。
    一方、豊島5丁目団地の汚染土壌の処理方策については公共の責任で処理方策が決められ実施されていくことになりますが、同じ住宅団地の用地として、民間企業の行った土壌入れ替え処理と比べて実効性の低い処理方法を選択することが許されないのは当然です。
    既存の高層住宅や学校や保育園、幼稚園など公共施設が立ち並ぶ敷地内での処理対策という困難さをどう克服するかも含め、あくまで住民の健康と安全を優先する立場に立った処理方策とすべきですが、都の所見を伺います。
  オ ダイオキシン汚染の原因者の究明も避けて通れない課題です。かつてニッサン化学が戦前から肥料工場を操業していた当時、この地域は鼻をつく臭気がただよい、地面は赤く変色しているほどだったとの住民の証言もあるように、原因者としてニッサン化学の関わりを抜きに考えるのは困難です。
    都は北区や都市再生機構とも連携し、汚染原因者の特定とともにダイオキシンがなぜ地表からも広範に検出されたのかも含め、汚染メカニズムの解明に全力を挙げるべきと考えますが、答弁を求めます。
  カ また都内に存在する化学工場跡地などの住宅団地について同様の汚染が起きている可能性があることから、何らかの方法で調査を行うことを検討すべきですが、お答えください。

平成17年第三回都議会定例会
曽根はじめ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 北区の水害被害及びダイオキシン問題について
  1 北区の水害被害について
   ア 工事期間中の護岸の安全管理責任を旧公団に委ねてきたとはいえ、都としても、首都高速株式会社任せにするのではなく、被害者救済に誠意を持って当たるよう強く指導し助言すべきだが、所見を伺う。

回答
  都はこれまでも、治水対策として、護岸や調節池の整備に重点的に取り組んできました。
  今回の集中豪雨は、1時間に100ミリを超え、短時間で260ミリを上回る記録的な降雨でした。
  石神井川流域においても、整備計画降雨量である1時間当たり50ミリを大幅に超える激しい集中豪雨でした。
  都は、速やかに現地の状況を把握するとともに、被害を受けた方々に誠意を持って話合いをするよう首都高速道路公団(現在の首都高速道路株式会社)に指示しました。

質問事項
 一の1のイ 今水害の原因究明のため、仮設護岸の強度について徹底した検証が行われるべきだが、見解を伺う。

回答
  発災後、都は、水害の再発防止に向け、損壊した仮設護岸の復旧とその原因究明を首都高速道路公団(現在の首都高速道路株式会社)に指示しました。
  原因については、現在、首都高速道路株式会社において調査中です。

質問事項
 一の1のウ 仮設護岸の不備が明らかになった場合には、首都高速株式会社には重い補償責任が問われるのは当然だが、見解を伺う。

回答
  都は、発災後、被害を受けた方々に誠意を持って話合いをするよう、首都高速道路公団(現在の首都高速道路株式会社)に指示しました。
  首都高速道路株式会社は、地元説明会の場において、原因究明とそれに基づく再発防止策の立案及び被災された方々に対する誠意ある対応を表明しました。
  都は、首都高速道路株式会社の今後の対応を見守っていきます。

質問事項
 一の1のエ 今後再び高速道路工事によって住民への環境悪化や事故・災害をもたらすことがないよう、工事中や工事後の安全対策と騒音はじめ環境被害の防止に万全を期すべきだが、答弁を求める。

回答
  都は、首都高速道路株式会社が施行する石神井川の河川工事の安全対策等について工事の安全性や水防対策への万全の措置など、これまでにも増してきめ細かく指導していきます。

質問事項
 一の2 豊島地区のダイオキシン問題について
    ア 同じ豊島五丁目団地内で、緊急対策に食い違いが生じないよう、都として都市再生機構と同等の緊急対策を北区が実施するよう指導するとともに、財政的な支援も検討すべきだが、所見を伺う。

回答
  土壌汚染に係る対策の実施主体は、土地所有者である北区及び都市再生機構です。
  今回の北区及び都市再生機構による措置は、いずれも住民の健康を守るという観点から実施されたものであり、都は、こうした措置が適切に行われるよう引き続き必要な指導・助言を行っていきます。

質問事項
 一の2のイ 北区からダイオキシン類対策特別措置法に基づく抜本対策の申請があり次第、都として直ちに対応するとともに、都市再生機構の所有地も含め団地全域に適用すべきだが、見解を伺う。

回答
  ダイオキシン類対策特別措置法においては、市町村長は、汚染が環境基準を超え、かつ人が立ち入ることができる地域について、対策地域として指定すべきことを知事に要請できることになっています。都は、区の要請があれば、同法に基づき対応していきます。

質問事項
 一の2のウ 北区の健康影響調査と連携し支援するとともに、都の汚染処理の検討についても、専門家による検討の場を住民に全面的に公開するとともに意見交換にも積極的に応じるべきだが、答弁を求める。

回答
  住民の健康影響調査については、地域保健対策を担う北区が主体的に実施していくものですが、都としても、必要に応じて技術的支援や助言を行っていきます。
  都は、対策地域を指定する段階で、東京都環境審議会の意見を聞くとともに、対策計画の策定の段階では、公聴会を開催するなど住民等の意見を聞いて対応していきます。

質問事項
 一の2のエ 既存の高層住宅や学校など公共施設が立ち並ぶ敷地内での処理対策という困難さをどう克服するかも含め、あくまで住民の健康と安全を優先する立場に立った処理方策とすべきだが、所見を伺う。

回答
  対策の実施に当たっては、汚染の拡散による健康影響を未然に防止することが重要です。
  このため、都は土地所有者である北区及び都市再生機構に対し適切な対策が講じられるよう指導していきます。

質問事項
 一の2のオ 都は北区や都市再生機構とも連携し、汚染原因者の特定とともに、ダイオキシンがなぜ地表からも広範に検出されたのかも含め、汚染メカニズムの解明に全力を挙げるべきだが、答弁を求める。

回答
  北区及び都市再生機構が行う汚染原因の究明に当たっては、都は技術的支援をしていきます。

質問事項
 一の2のカ 都内に存在する化学工場跡地などの住宅団地について、同様の汚染が起きている可能性があることから、何らかの方法で調査を行うことを検討すべきだが、答弁を求める。

回答
  ダイオキシン類による土壌汚染の有無に関する調査は、土地所有者等により、土地の履歴等を勘案しながら、必要に応じて行われています。
  都としても、こうした調査について、土地所有者等から相談があれば適切な指導、助言を行っていきます。

ページ先頭に戻る