平成十七年東京都議会会議録第十四号

平成十七年九月二十八日(水曜日)
 出席議員(百二十七名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番後藤 雄一君
六番福士 敬子君
七番宇田川聡史君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番花輪ともふみ君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十一番三宅 茂樹君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番大沢  昇君
百番真木  茂君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

九月二十八日議事日程第三号
第一 第百六十四号議案
東京都組織条例の一部を改正する条例
第二 第百六十五号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百六十六号議案
東京都公立大学法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第四 第百六十七号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十八号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百六十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百七十号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百七十一号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百七十二号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十 第百七十三号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第十一 第百七十四号議案
東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第十二 第百七十五号議案
東京都ユース・ホステル条例を廃止する条例
第十三 第百七十六号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十七号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十八号議案
日暮里・舎人線日暮里駅(仮称)建築工事請負契約
第十六 第百七十九号議案
日暮里・舎人線西日暮里駅(仮称)建築工事請負契約
第十七 第百八十号議案
都立八王子地区産業高等学校(仮称)(H十七)改築及び改修工事請負契約
第十八 第百八十一号議案
道路標識設置等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
第十九 第百八十二号議案
土地の売払いについて
第二十 第百八十三号議案
再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第二十一 第百八十四号議案
再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第二十二 第百八十五号議案
東京都道路公社の道路の整備に関する基本計画の変更に係る国土交通大臣への認可申請について
第二十三 第百八十六号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第二十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)の報告及び承認について
第二十五 平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二十六 平成十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都人事委員会委員の選任の同意について(一七財主議第二八七号)

   午後一時一分開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都人事委員会委員の選任の同意についてが提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君) 昨日に引き続き質問を行います。
 九十五番立石晴康君。
   〔九十五番立石晴康君登壇〕
〇九十五番(立石晴康君) 都庁第一庁舎の正面に、千客万来の大熊手が飾ってあります。文字どおり大勢の観光客が内外から訪れる、魅力ある東京を目指す石原知事の意気込みが感じられます。
 さて、過日、私は、浅草浅草寺の境内で、ICタグを活用した国の実証実験を体験しました。ICタグは、トレーサビリティーや物流などの分野で実用化に向けた取り組みがなされており、最近では福祉分野での実験も行われております。愛知万博の会場で自立移動支援プロジェクトを体験して、この実験は、点字ブロックにICタグを埋め込み、つえに取りつけた読み取り機で信号をやりとりして、目の不自由な方への道案内を行うものです。
 ICタグの大きな可能性は、各方面で利用されます。東京を訪れる観光客にも有効な手段であると改めて実感いたしました。さらに、だれもが持っている携帯端末で利用可能ならば、より普及すると考えます。
 今後、ユビキタス社会の実現に向けた取り組みが着実に行われることと期待しますが、まず、都が実験を開始するに当たっての知事のご所見をお伺いします。
 今回、都は、観光や商業振興の観点から、上野公園での実験や秋葉原での技術展示などを行うとのことですが、どのような内容なのかお伺いをいたします。
 知事は、銀座のような多くの店舗が集積する商業地で、ICタグなどの先端情報技術を活用していくことが有効であると発言されています。銀座は、文字どおり日本を代表する商業地であり、ICタグの実用化に向けた実験を東京都が率先して行うことは、都市のIT化、ユビキタス社会の実現に向け、大きな一歩となるとともに、観光のみならず、各地の商店街をも元気づけることと思います。その意味で、都の実験に期待するとともに、具体的な成果に結びつけていくことが大切であると考えます。
 今回の実験の成果を、今後のユビキタス社会における都市観光東京のまちづくりにどのように生かしていくかの見解をお伺いいたします。
 次に、水辺の魅力向上についてお伺いいたします。
 かつて、東京の川沿いは舟運が活発で、人々の生活に密着したにぎわいのある空間として、世界でも有数の水の都の一つでした。今でも当時の雰囲気を残す多くの名所旧跡、また食文化などが継承されており、観光資源として大きなポテンシャルを持っています。
 隅田川ではスーパー堤防やテラスの整備が進み、聖路加ガーデン前のテラスなどでは食事を楽しむ風景が見られます。また、浅草では、本年八月から親水テラスでライトアップやオープンカフェが開催され、新たな観光スポットとして注目を集めています。都民のみならず、内外の観光客も楽しめる河川空間を創造していくべきと考えます。
 そこで、隅田川、神田川、日本橋川など、河川における水辺空間の魅力向上についてお伺いいたします。
 来月一日には、荒川ロックゲートが開通し、扇橋閘門を経由して隅田川と荒川との間で船の行き来ができるようになります。その主な航路となる小名木川は、かつて行徳で生産された塩を江戸に運ぶ塩の道でした。今回の開通により船の往来がふえることが予想されます。江東内部河川では、川に親しむ人々の安全を図り、塩の道の再生を目指して、かつてのにぎわいを取り戻す施策を進めていくべきと考えますが、所見をお伺いします。
 さて次に、浜離宮庭園のアクセスとして、汐留シオサイト方面、銀座方面からのアプローチに汐先橋交差点があります。この交差点は、首都高速都心環状線の橋脚があることから、右左折車線が分離されるなど、複雑な形となっています。このため、浜離宮庭園を訪れる観光客や歩行者が交差点の海岸通りを横断するにも、車道を何回かに分けて横断しなければならないなど、利用しにくい交差点であります。
 そこで、歩行者がより安全で利用しやすい交差点に改良すべきと考えますが、所見をお伺いします。
 次に、現在、環状二号線築地―晴海間の二・一キロ整備計画が見直されています。現在の都市計画決定どおり、地下トンネル方式で建設すべきと考えます。築地市場移転決定後に、にわかに都は地上化の変更素案を提案しています。変更理由として、都は建設コストの安さをいいます。また、築地市場移転跡地と勝どき・晴海の一体化を挙げています。このことは、名橋日本橋の上部首都高速道路による水辺景観の過ちを再び繰り返し、広大な築地市場跡地を道路でわざわざ細分化することになります。
 近年、土木技術の進歩は目を見張るほどであります。十年前、初めて本格的に道路土木にシールド工法を用いました。アクアライン建設時のシールド工法です。その当時より工事費は今、三割から四割程度のコストが下がっていると専門家はいっております。この路線の虎ノ門―築地間でも完全地下式です。
 次期東京オリンピックを目指す東京都は、都市インフラでも幹線道路建設の選択肢が多様になったことから学ぶべきものであります。現に、東京でも大深度トンネルを利用する外環道計画の例や、中央環状新宿線などの事例があります。また、海外でも、高架道路を撤去して地下化した、ボストンの、ローガン空港から市心に向かう、かつてセントラル・アーテリーと呼ばれたビッグディグや、高架道路を撤去したことで清流が復活したお隣のソウル都心の川、清渓川など、事例は枚挙にいとまがありません。
 一方、この変更素案では、築地市場から晴海まで地上道路となり、隅田川と朝潮運河の横断は橋梁として計画されています。ウオーターフロント東京の玄関口である隅田川など、河口の道路計画のあり方について、知事のご所見をお伺いいたします。
 今後の計画として、変更素案では、環状三号線(清澄通り)と交差することになり、交通渋滞を誘発させることになります。一日の交通量が、環状二号線では六万台、環状三号線との交差により、約十万台の交通量が見込まれると予想されています。それだけの車が交通信号により停止から発進まで排出するガスの量は、想像するに余りあります。これらの交差点は、大気汚染の要因をつくるもとになります。特に環境、水辺景観からも、環状二号線は地下化してつくるべきです。
 また、コスト面についていろいろ検討を重ね、極力廉価で建設する方法も残されていると思います。まちづくりは、今後の百年を見据えて考えるべきです。所見を伺います。
 次に、地震対策について質問いたします。
 近ごろ、規模の大きい地震が頻発しています。こうした中、東京直下型地震が起きる確率は、三十年以内に七割、十年以内に三割と、中央防災会議により発表されています。この東京の防災、減災対策について再検討する必要があると思います。そこで、何点かお伺いします。
 超高層ビルの地震時におけるエレベーター早期復旧のため、エレベーター保守会社だけに頼るのではなく、建物管理者などによる復旧作業が有効になるよう考えるべきです。都の所見を伺います。
 過日、中央区の超高層マンションでの震災訓練に参加して、水、食料等の備蓄が必要であることを痛切に感じました。そのため、高層マンションの建設には、自助において備蓄すべきだと考えますが、所見を伺います。
 次に、震災時の備蓄用品の再点検についてでありますが、中央防災会議の発表によると、大震災時の死者は一万一千人を超えると予想されています。速やかな復興を成し遂げるためにも必要なのは、死亡者のご遺体をどう保存するのか、どう取り扱うのかということではないかと思います。阪神・淡路大震災の教訓からもこのことを強く感じました。ご遺体は時間が経過すると腐敗も進行し、疫病の源となります。また、個人のプライバシー、尊厳を保つためにも、遺体保存袋、ボディーバッグのことも急ぐべきであります。この点、今どのようになっているか、所見をお伺いいたします。
 また、阪神・淡路では、死亡者の八割以上が家屋や家具の倒壊による圧死といわれています。そこで、いわゆる昭和五十六年以前の旧耐震設計の建築物のリフォームや、木造建築物の耐震補強は特に大切です。
 近年、悪質リフォーム業者による被害が後を絶たない現況から、地域の工務店のノウハウを活用した耐震リフォームが急がれます。そのために、都民が安心してリフォームや建てかえを行えるよう、地域に密着した、顔の見える中小工務店を生かす情報提供の仕組みを整えることが重要であると考えますが、所見を伺って、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 立石晴康議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、ICタグを活用した実証実験についてでありますが、私、大分以前に、丸の内のあるビルを訪ねていきましたら、街角で、つえをついた、目の不自由な方が立ちどまって、どなたか、どなたかと周りの人に声をかけているんですけれども、だれも立ちどまらない。私は気がつきまして、どこへお行きですかといいましたら、たまたま私が行くビルと同じだったんですね。手を引いて案内しましたが、その人にいわせると、やっぱり丸の内というのはワンブロックの距離が長過ぎて、目の不自由な人の感覚では、普通のまちと違って、何ていうんでしょうね、予測に誤差を来して完全に行方を失ったようでありますけれども、そういう事例もございますし、もしああいう街角にもICタグというものが利用されて、一々案内板を読まなくても番地なりビルの所在がわかるようになれば非常に便利だなと、そのときも思ったものですけれども。
 我が国には、トロンとかICタグなどの非常にすぐれたIT技術が存在しております。トロンは、一回アメリカの手でつぶされましたけれども、トヨタがコンピューターによるエンジンの管理に活用することで、今日の携帯電話の普及に相まって復活いたしましたけれども、こうしたすぐれた技術というものを、これから環境や、観光や商業の振興など、まちの活性化に生かしていくことが重要だと思っております。
 今回の実験のねらいは、まちづくりにおける情報技術の新しい活用方法を提唱することでありまして、この実験を通じて、我が国のすぐれた技術を東京から世界に向けて発信し、国際的な競争力の強化につなげていきたいと思っております。
 次いで、ウオーターフロントにおける道路計画のあり方についてでありますが、いずれにしろ、道路というものは、人や物の活発な交流を支えるアクセスでありまして、都市を形づくる非常に大切な要素であると思っております。道路計画は、こうした機能を十分に踏まえるとともに、地域の状況やコストなどを総合的に勘案して定めるべきものと思っております。
 都市の玄関であり顔ともいえるウオーターフロントにおいては、ニューヨークのイーストリバーの例を見るまでもなく、景観形成の視点が重要でありまして、東京の例でいえば、お台場をつなぐあのレインボーブリッジもそうでありますし、また、勝鬨橋は、かつては東洋一のはね橋として日本の技術の粋を集めて建設され、あの地域、下町の風景を彩る名橋ともなりました。
 隅田川の河口における今後の道路整備については、首都東京の新たなシンボルともなり得るような合理的な計画としても推進していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、ICタグを活用した実証実験の内容についてでございますが、上野公園では、ICタグなど先端のIT技術を用いて、外国人を含めた来訪者に、目的地までの道案内やモデルルートの紹介、名所の由来、動物に関する情報などを提供いたします。この実験により、まちの中で活用する場合の技術的な検証と利用者のニーズの把握を行ってまいります。また、実験に使用される機器や仕組み、ユビキタス技術などを紹介する展示を秋葉原ダイビルで行うとともに、シンポジウムを開催し、この実験の意義を積極的に発信してまいります。
 次に、実験成果の今後の活用についてでございますが、今回の実験は、いわゆるユビキタス社会の実現に向けた第一歩でございます。このシステムは、観光や商業振興に加え、ユニバーサルデザインや安全・安心のまちづくりなど、さまざまな分野での活用が期待されます。都といたしましては、今回の実験が、技術的仕様の標準化や、利用者にとってよりよいシステムの構築などにつながるよう、専門家や国等の関係者の意見も聞きながら取り組みを進めてまいります。今後、住む人にとっても訪れる人にとっても魅力ある東京のまちづくりにこの実験の成果が幅広く生かされるよう努めてまいります。
 次に、環状第二号線の整備についてでございますが、環二は、臨海部の生命線となる道路であり、早期整備が必要でございます。従来、築地市場を現在地で再整備する計画であったため、環二は、地下を通過する計画としておりました。しかし、市場の移転に伴い、地上化が可能となり、課題であった勝どき地区へのアクセス問題が解消するとともに、市場跡地の有効利用にも資することとなります。今後、さまざまな工夫を加えながら、ご指摘のように百年先を見据えた道路として早期に整備してまいります。
 次に、地震後のエレベーターの復旧についてでございますが、超高層ビルの利用者にとってエレベーターは不可欠な施設であり、地震時に停止したエレベーターを早期に復旧することが必要であります。都は、既に、エレベーター業界に対し、緊急システムの改善や復旧体制の整備について対策を講じるよう働きかけております。ご指摘のような保守管理者以外の建物管理者などによるエレベーターの復旧については、今後、国等と連携しながら検討してまいります。
 最後に、都民への中小工務店の情報提供についてでございますが、都民が安心してリフォーム等を行う上で、地域に密着した中小工務店に期待される役割は大きいと考えております。これまで、都は、中小工務店等で構成される東京都地域住宅生産者協議会と連携し、講習会による技術力の向上やリフォーム相談窓口の開設などに取り組んでまいりました。しかし、中小工務店の技術力や事業活動などは、必ずしも都民に十分周知されていない状況にございます。今後、都は、関係団体と連携し、実務経験や技能士などの資格を持つ地域の中小工務店の情報を都民に身近なところで提供するなど、都民が安心してリフォームなどを行うことのできる仕組みづくりに取り組んでまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 河川の利用など三点の質問にお答えします。
 まず、水辺空間の魅力向上についてでありますが、これまでも都は、隅田川などにおきまして、良好な水辺空間の形成を目指し、スーパー堤防や親水テラスなど、治水と親水に配慮した河川整備を進めてまいりました。今後はさらに、川沿いの豊富な観光資源を生かした河川の利用を促進してまいります。具体的には、携帯電話を活用した観光情報の提供を進めるとともに、川を周遊する催しを誘導するために、防災船着き場の平常時の利用を図ってまいります。また、オープンカフェなど憩いの場が多くの地区で展開されるような仕組みづくりも進めてまいります。引き続き、地元との連携を図り、東京の歴史と文化が感じられる、魅力あふれる水辺の創出に努めてまいります。
 次に、江東内部河川でのにぎわいの創出についてでありますが、この地区では、水辺を利用する人々の安全を図りながら、下町特有の歴史や自然景観を生かしたにぎわいを創出することが重要でございます。このため、船舶の通航ルールを来月一日から施行するとともに、旧中川では、岸辺の自然を生かした散策路の整備や、ボート遊びなどが楽しめる環境づくりを進めてまいります。また、小名木川では、江戸情緒を醸し出す護岸の修景や扇橋閘門の活用などにより、かつての塩の道にかわる魅力ある水辺空間を創造してまいります。今後とも、地域の特色を生かしながら、多くの人が親しみ憩える水辺の実現に取り組んでまいります。
 最後に、汐先橋交差点の改良についてでありますが、浜離宮恩賜庭園へのアクセスにつきましては、利用者も増大しており、その改善は重要であると考えております。汐先橋交差点につきましては、お話のとおり、首都高の汐留出入り口が近接し、交通量も多いため、さまざまな制約がありますが、その改良案につきまして、現在、関係機関と連携して調査検討を進めており、年内に取りまとめる予定でございます。今後とも、歩行者が安全で利用しやすい交差点の改良に努めてまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕
〇総務局長(高橋功君) 中高層マンションの備蓄対策についてお答えをいたします。
 大規模な地震では、エレベーターの停止や断水などの発生によりまして、マンションでの生活が困難となる事態が想定されます。このため、マンションの管理組合や住民が、みずからの備えとして水や食料等を備蓄するというご提案は、大変有効な対策であると考えております。こうした働きかけは、身近な区市町村が主体となって行うものと考えますが、都といたしましても、中高層マンションの被害想定を行いまして、その対策を地域防災計画に盛り込むなど、市町村を支援してまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 災害時における遺体の保存、取り扱いについてでございますが、東京都地域防災計画において、遺体収容所の設置・運営及び遺体の保存に必要な機材等の確保は区市町村の役割とされておりますが、都は、被災区市町村から協力要請があった場合には必要な支援措置を講ずることとしており、例えば、ひつぎなどの葬祭用品や遺体保存用ドライアイスの供給に関する協定を、現在関係業界と締結しておるところでございます。
 今後、都は、地域防災計画を見直す中で、適切な遺体保存方法についても検討してまいります。

〇議長(川島忠一君) 九十八番酒井大史君。
   〔九十八番酒井大史君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕
〇九十八番(酒井大史君) まず初めに、犯罪被害者支援について伺います。
 この問題については、過去三回の一般質問でも取り上げさせていただき、石原都知事からも、「国や区市、民間団体などと一層連携、協力して、痛ましい犯罪に遭遇して被害をこうむった方々の肉体的にも精神的にも立ち直りというものを、都としても支援していかせていただきたいと思っております。」など心強いご答弁をいただいておりますが、現在、犯罪被害者支援に向けて国の動向にも進展がある中で、改めてこの課題の重要性を踏まえ、質問をさせていただきます。
 さて、繰り返しになりますが、この国においては、従来、犯罪被害者の権利を守り、立ち直りに向けての支援を行っていくための基本法は存在せず、そのため、犯罪被害者への支援は立ちおくれた状況にありました。このことは、犯罪被害者支援先進国であるアメリカと比べても、あの九・一一同時多発テロの五千人を超える被害者ほとんどすべてに、合衆国政府並びに地方政府が経済的支援を初めとする支援を行っているにもかかわらず、我が国においては、十年前に起こった、同じく五千人を超える被害者を生んだ地下鉄サリン事件の被害者に対し行った国の経済的支援の対象者が、たった二人であったことからも明らかであります。
 このような状況の中、昨年十月、都議会からも意見書を出し、結果、十二月に犯罪被害者等基本法が制定され、ことし四月から施行されたことにより、ようやくこの国においても、犯罪被害者支援のスタートラインに立ちました。
 東京都においても、この間、警視庁における相談窓口や被害者の初診料一部負担制度の導入、社団法人被害者支援都民センターを通じた心のケアへの対応、また、私がお願いした、犯罪被害者への二次被害防止のための医療機関向け被害者対応マニュアルの作成並びに周知、被害者への無用な差別意識を持つことがないよう、学校教育において取り組むための人権教育プログラムの中に、被害者とその家族の項目を掲載するなど、数々の取り組みを行っていただいています。
 しかし、東京都には、まだまだ支援を拡充していける可能性があると思います。例えば、経済的支援の一環としての医療費助成や生活再建資金貸付制度の創出、被害者の一時避難場所としての都営住宅の弾力的な活用、犯罪被害者支援体制や支援団体の周知を行うために警視庁の協力を仰ぐことなど、さまざまな施策展開が可能であると思います。そして、これらを担保するための条例制定も不可欠な課題です。
 ちなみに、都内、日野市では既に条例が制定され、杉並区では、現在行われている定例区議会に条例提案し、可決される見通しです。
 そこで、犯罪被害者等基本法施行後、東京都として、条例の制定を含め、犯罪被害者やその家族の立ち直りに向けてどのような施策展開を検討されているのか伺います。
 現在、政府においては、内閣府を中心に、この四月に施行された犯罪被害者等基本法に規定されている犯罪被害者等基本計画の策定作業を、十二月を目途に行っています。八月には基本計画案の骨子が発表され、パブリックコメントも行われておりました。
 この基本計画案を見ると、四つの基本方針を示すとともに、重点課題として、損害回復、経済的支援等への取り組み、精神的、身体的被害の回復、防止への取り組み、刑事手続への関与拡充への取り組み、支援等のための体制整備への取り組み、国民の理解の増進と配慮、協力の確保への取り組みの五点を掲げる中、重点課題にかかわる具体的施策について、まだ詳細について詰められていないものの、国としては珍しく、結論を出す年次を一年から三年と項目ごとに示して記載されています。
 その中でも、公営住宅への優先入居に関しては今年度中とし、また、警察庁において、基本計画案の中では一年以内を目途に結論を出すとしていた性犯罪被害者の緊急避妊や中絶手術の費用などを、来年度より全額支給する方針を固めるなど、前倒し実施も検討されています。
 この基本計画案について、都はどのように評価をされているのでしょうか。
 また、犯罪被害者等基本法の中で、実施主体は国及び地方公共団体とされています。現在、国主導で基本計画が策定されていますが、この計画が確定されると、当然都としても、財政負担を含め一定の役割を担うことになります。
 私は、実施主体である都道府県や市区町村も、国が決めた計画をただ押しつけられるのではなく、それぞれの役割分担を想定して、基本計画策定段階において意見を述べる機会があってしかるべきだと思います。都として、国に対し要望していく考えがないのか。
 以上、都としての主体的な取り組みについて、石原都知事のご見解を伺います。
 次に、自殺者対策と自死遺児対策について伺います。
 警察庁生活安全局の資料によると、平成十六年中における自殺者の総数は三万二千三百二十五人で、前年に比べると二千百二人減少しているものの、平成十年以降、三万人台を推移しています。この数は、近年一万人を切っている交通事故死亡者数の三倍以上であり、数字を置きかえると、二十分に一人の割合でみずから命を絶っている方がいることになります。
 自殺の原因については、遺書ありの自殺が全体の約三分の一であることから、すべてを把握することはできませんが、遺書ありの自殺者のうち、健康問題が約三九%、経済・生活問題が約三三%、家庭問題が約一〇%、勤務問題が約六%となっています。
 また、年代別自殺者数においては、六十歳以上の方が年齢区分としてトップになっているものの、四十代から五十代という子育て真っ最中、働き盛りの世代の方が、平成十六年中で一万二千八百七十四人と、全体の四〇%を占めています。
 また、職業別では、夫、妻両方の「シュフ」や、また、学生を除いた純粋な無職者が一万五千四百六十三人と、全体の約四八%を占めています。このことからも、働き盛りの方々の経済的な問題が自殺の大きな要因になっていることがうかがわれます。
 これ以上自殺者をふやさないため、首都東京において、自殺予防に向けた取り組みを強化していくことが急務の課題であると考えます。
 そこで、都においては、平成十五年度、十六年度において、西多摩地区におけるうつ病対策、自殺防止プロジェクトを実施していますが、このプロジェクトについてどのように評価をしているのか。また、このような取り組みを全都的に継続して行っていくことも必要と考えますが、今後の対応について伺います。
 さらに、自殺予防については、専門医等によるうつ病対策のみならず、経済的な問題を解決するため、特に中高年世代に向けたきめの細かい就業支援や労働相談、さらには健康相談等、局を横断した取り組みと、利用者が相談しやすい体制整備、自殺予防に向けた施策の周知方法の改善など、取り組むべき課題は多いと思います。これらを含め、都の自殺防止に向けた総合的な取り組みについて伺います。
 また、これら自殺者の残された家族である自死遺児への対策も必要な課題です。交通遺児への取り組みは、長年の歴史もあり、民間団体等における支援体制もある程度確立しつつあると思いますが、一方、自死遺児については、心のケアや経済的な支援についても、まだ十分な体制が確立されているとはいえない状況にあると思います。
 自死遺児のみならず、不慮の事件事故で肉親を失った遺児たちを含めて、適切な相談を行える体制を区市町村とも連携しながら整備していく必要があると思いますが、ご見解を伺います。
 さらに、学校教育においても、不慮の事件事故や自殺等で親を失った遺児たちに対する心のケアを行っていく必要があると考えますが、現在の取り組み状況を伺います。
 最後に、都の少子化対策について伺います。
 少子化対策の問題については昨日の代表質問の中でも取り上げられており、一部繰り返しになりますが、平成十六年における特殊合計出生率が全国平均で一・二九人と、前年と同数であり、この東京は、全国でワーストワンとなる一・〇一人と、前年の一・〇人を切るという状況からは若干改善されたものの、いまだ危機的な状況にあります。
 こうした状況を受け、都を初め各区市町村においてもさまざまな少子化対策、子育て支援策を提供しておりますが、子どもを産み育てやすい環境をつくるため、小児医療体制の整備や保育環境の整備、子育て相談や若年世帯への経済的支援、就業支援等、さまざまな施策の充実が求められます。
 さて、一般に行われている少子化対策は、子どもを産み育てやすい環境を構築することにより、夫婦や未婚者にインセンティブを与えるものです。しかし、これらの対策がなかなか実を結ばない状況の中で、これらの施策とあわせて取り組んでいくべき施策として、子どもを産みたいと考えているにもかかわらず、なかなか子どもを授かることができない夫婦に対する不妊治療への取り組みがあります。
 現在、妊娠可能年齢にあり、妊娠を望み、二年以上夫婦生活を営んでいる夫婦の一〇%が不妊症の状況にあると想定されています。
 そして、このような不妊症と思われる夫婦のうち、七割から八割の方が何らかの形で医療機関を受診し、そのうち四三%ぐらいの方は、一般不妊治療にて二年以内に妊娠に至っているという統計があります。
 そして、この一般不妊治療では妊娠に至らなかった五〇%以上の方が、不妊治療の次の段階である体外授精や顕微授精といった、いわゆる行政用語でいう特定不妊治療に移行するか、不妊治療をあきらめる状況になっています。現実に、平成十五年中、全国で約五万人の方が体外授精並びに顕微授精による治療を受けられています。
 近年、特定不妊治療の技術も向上し、少し古い数字ですが、一九九九年における体外授精の妊娠率は二四・九%、流産率は二二・一%、生産分娩率は一六・九%となっています。この数字は、明らかに特定不妊治療によって新しい命が生まれていることを物語っています。
 しかし、この特定不妊治療の最大の問題点は治療費の高さです。このような状況を受け、各都道府県においても特定不妊治療費助成制度が導入され、東京においても、国の制度を準拠する形で、一年度当たり十万円を限度とし、通算二年度まで助成する制度がつくられていますが、兵庫県や石川県では、県費によって、通算三年度や四年度まで延長して助成しているところもあります。
 しかし、この助成制度は、夫婦の前年度の所得合計額が六百五十万円未満の場合を要件としており、そのような所得の方々にとって、実際には、都内標準額で一回当たり四十万円から五十万円もかかる特定不妊治療費の負担は過大であると思います。また、平均すると年一・五回の治療を受けている方が多い実態から、一年度間に続けて治療を受ける方も多いことが想定されます。
 そこで、より多くの方がこの助成制度を活用し、妊娠する機会をふやしていくため、助成額の増額、年度ごとの助成制度などを改め、弾力的な運用を行うこと、さらに、所得制限についても緩和していく必要があると考えます。
 この治療を受けた十人に一人から二人が確実に出産し、二〇〇一年には全国で約一万三千人が生まれている現状を考えると、国への制限改正の要望とあわせ、多少都の持ち出しが膨らんだとしても、未来への投資として決して高いものではないと思いますが、お考えを伺います。
 この特定不妊治療費の問題は、一般不妊治療費を含め、本来、医療保険の適用があれば一挙に解決される問題です。首都東京として、知事会とも連携をし、国に対し医療保険の適用を求めていく必要もあると思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、不妊治療について、治療費への不安のみならず、治療自体に対する不安や、医療施設によりばらつきがある治療への不安もあります。都においては、社団法人家族計画協会に委託し、不妊ホットラインや東京都女性のための健康ホットラインを開設していますが、相談機能のさらなる充実を図っていただきたいことを要望いたします。
 以上、不妊治療を中心に質問してまいりましたが、最後に、都が取り組むべき少子化対策の進め方について知事のご所見を伺い、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 酒井大史議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、犯罪被害者支援についてでありますが、犯罪については犯人個々の責任が問われるべきものだと思いますけれども、犯罪の温床としての社会のひずみ、ゆがみというものについては、やはり国家社会の責任が存在すると思います。
 そういう意味で、先般、国が公表しました犯罪被害者等基本計画案の骨子は、かなり遅きに失した感はありますが、痛ましい犯罪に遭遇し、被害をこうむった方々を支援する上では、一つの前進と評価できると思います。
 都としては、被害者への支援を進めるに当たりまして、国の動向を踏まえ、必要に応じて意見を述べるとともに、区市町村、関係団体とも連携協力しながら、被害者の立場に立って支援活動を推進していきたいと思っております。
 次いで、少子化対策の今後の進め方についてでありますが、昨日も申しましたけれども、少子化は、ある程度社会が豊かになり、成熟し、高齢化が進んだ先進国においては、長期的に見ますと、例外なく進行している状況だと思います。
 そうした点では、個々の人たちの人生そのものに対する価値観の変化にもよるものだと思いますが、私自身はやっぱり子どもあっての親だと思いますけれども、そういう価値観が通用しなくなった現代では、少子化がやむなく進んでいくわけでありますが、そういう点でも、これを行政の関与によって阻止するということは、かなり限界があると思います。
 しかし、日本や東京の将来に重大な影響を与える問題でありますことは事実でして、都はこれまでも、独自の認証保育所の創設や、周産期・小児医療体制の充実など、さまざまな施策を展開してまいりました。
 今後とも、子どもを産み育てたいと望む方々が安心して出産や子育てのできる環境を驥尾に付して整備するなど、すべての子どもと家庭を対象とした取り組みを積極的に推進していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 不慮の事故等で親を失った児童生徒への対応についてでございますが、当該児童生徒が精神的な衝撃から立ち直り、心の安定を取り戻すためには、学校教育におきましても、きめ細かく心のケアを行っていくことが極めて重要でございます。
 現在、学校におきましては、担任や養護教諭等が、臨床心理士の資格を有するスクールカウンセラーや、東京都教育相談センター等の専門職と連携を図り、当該児童生徒の不安や悩みを受けとめ、カウンセリングなどを行っております。
 都教育委員会は、今後とも区市町村教育委員会と連携を図りまして、各学校が親を失った児童生徒の心の安定に向けて取り組むことができるよう、適切に対応してまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕
〇総務局長(高橋功君) 犯罪被害者支援の施策展開についてお答えをいたします。
 被害者は、直接的な心身の被害を受けますとともに、被害者への無理解などによる二次的な被害を受けることも多く、その回復には、多岐にわたる継続的な支援が必要と考えております。
 このため、都では、警視庁が設置しました犯罪被害者支援連絡会を中心に、関係局や関係団体が連携協力しまして、相談、保護、都民への啓発等、被害者の支援を行っております。
 今後さらに国や区市町村、民間団体との連携強化を図りますとともに、犯罪被害者等基本法の基本理念や国の基本計画策定の動向等を勘案しながら、被害者の方々の必要とする支援が適切に受けられるよう取り組みを進めてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 自殺者対策など五つのご質問にお答えいたします。
 まず、自殺防止プロジェクトの評価と今後の対応についてでございますが、このプロジェクトは、西多摩保健所が中高年男性の自殺死亡数の増加に着目いたしまして、職場におけるうつ病対策を中心とした心の健康づくりに取り組んだものでございます。
 具体的には、民間事業者や国の地域産業保健センターとの連携を図りながら、うつ病予防リーフレットの配布、健康管理担当者向け研修会の開催など、きめ細かな普及啓発や相談活動を実施しており、職場における心の健康づくりの一つのモデルとなる取り組みとなったものと考えております。
 今後は、こうした事業の成果も踏まえ、区市町村や職域保健等との連携を図りながら、心の健康づくり対策を進めてまいります。
 次に、自殺防止に向けた総合的な取り組みについてでございますが、自殺は、本人や残された家族、周囲にとってこの上ない悲劇であるとともに、労働力の喪失など、社会的、経済的な損失も大きいものでございます。
 こうしたことから、自殺防止のためには、直接的な要因となっていることが多いうつ病の予防治療や、その正しい知識の普及を初め、自殺の背景にある孤独、リストラ、多額の負債といった社会的、経済的な問題への対応など、社会全体での幅広い取り組みが重要と考えております。
 都はこれまでも、精神保健福祉センターや労働相談情報センターなどにおける相談体制の整備を初め、リーフレットなどによる普及啓発、保健医療従事者への研修など、心の健康づくりに取り組んでまいりました。
 今後とも、関係各局と連携いたしまして、総合的な取り組みを推進してまいります。
 次に、遺児たちに対する相談体制についてでございますが、不幸にして家族の突然の自殺などにより遺児となった子どもたちは、心に深い傷を抱えており、こうした子どもたちを支援していくことは非常に重要でございます。
 都では、児童相談所において、児童心理司による専門的な知識と技術を活用したカウンセリングなどを実施しており、その中で、お話のような子どもたちのケアにも的確に対応しているところでございます。
 今後も、地域の相談機関である子ども家庭支援センターなどと密接に連携いたしまして、相談の充実を図るとともに、広く窓口の周知にも努めてまいります。
 次に、特定不妊治療費助成制度についてでございますが、本事業は、子どもを欲しいと望んでいるにもかかわらず、恵まれない方々が不妊治療を行う場合に、その治療費の一部を助成する事業であり、平成十六年度に国が開始したものでございます。
 不妊治療については、治療を受ける方の身体的、精神的負担や治療の安全性など、さまざまな意見がある中で、国は、現在、助成期間を二年間から五年間に拡大することを概算要求している段階でございます。
 このような状況のもと、お話のような都単独の措置については慎重に対応していくべきと考えております。
 最後に、不妊治療に対する医療保険適用についてでございますが、都は、従来から、大都市衛生主管局長会などを通じまして、不妊治療を医療保険適用の対象とするよう要望してきております。
 引き続き、他県等と連携を図りながら、国に対して働きかけてまいります。

〇副議長(木内良明君) 四十一番高橋かずみ君。
   〔四十一番高橋かずみ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕
〇四十一番(高橋かずみ君) 当面する都政の課題について、何点か質問をさせていただきます。都知事並びに関係局長の誠意あるご答弁をお願いいたします。
 最初に、テロ対策についてお伺いいたします。
 去る七月七日と二十一日にロンドンで連続爆破テロが発生するなど、世界の大都市にテロの脅威が広がっており、今やテロ対策は世界共通の重要課題であります。
 かつて、東京でも地下鉄サリン事件を経験しております。以降、我が国でも危機管理体制の整備が叫ばれ、こうしたテロなどに対応するために、ようやく国も本格的に立ち上がり、現在、都でも国民保護計画の作成を進めているところであります。
 国民保護法の仕組みでは、まず、国がテロであるとの事態の認定を行い、被災者の避難や救援などについての方針を示し、それに基づいて知事が具体的な措置を行うことになっております。しかし、こうした仕組みで果たして都民の安全を守れるか、疑問に感じざるを得ません。
 そこで、お伺いいたします。
 ロンドンのようなテロが起きた場合、知事としてどのような考えで対応するのか、ご所見をお聞かせください。
 また、都は現在、東京都国民保護計画の作成を進めておりますが、今後どのようにテロへの対処の実効性を高めていくのか、伺います。
 次に、東京外かく環状道路の整備促進についてお尋ねいたします。
 外環の計画については、これまでも首都東京の再生のため、一貫して事業促進の立場から、機会あるごとに質問をしてまいりました。
 私の地元練馬区では、八月十日に練馬区の外環建設促進議員連盟主催で練馬区外環整備促進大会を開催し、大深度方式による早期整備、青梅街道、目白通りへのインターチェンジ設置などについて決議し、国土交通大臣と都知事に要請を行ったところであります。
 また、国と都は、関係する区市とともに、これまで三年以上にわたり住民との話し合いを続け、八月二十三日には、外環の必要性の議論について区切りをつけたと仄聞しております。
 さらに、九月十六日には、国土交通大臣と都知事が計画の具体化に向けた国と都の考え方を公表するなど、外環の早期整備に向けた取り組みは着実に前進しております。
 ところで、外環には高速道路の本線だけでなく、地上部に都市計画道路外環ノ2が計画されております。しかしながら、練馬区の西部地域における南北方向の都市計画道路は、この外環ノ2を含めて四路線計画決定されておりますが、その整備は著しくおくれており、大地震の際の避難など、防災面が脆弱であります。また、外環ノ2が計画されている上石神井駅周辺では、地域の活性化に向けたまちづくりの検討も進められております。
 そこで、この地上部の都市計画道路外環ノ2について、今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。
 また、地上部の都市計画道路を整備するに際して、広い歩行者空間の確保や自転車通行レーンの設置、緑豊かな道づくりなど、人間優先の視点に立った道路整備が必要であると思いますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、地下鉄大江戸線の導入空間である補助第二三〇号線の笹目通りから大泉学園通りまでの整備について、お尋ねいたします。
 本路線は、地元住民が待ち望んでいる都営地下鉄大江戸線の大泉学園町方面への延伸に際し、その導入空間ともなる路線であり、早期の整備が期待されているところであります。
 笹目通りから土支田通りまでの道路整備については、一部の区間において、ことしの三月に事業計画決定された練馬区施行の土地区画整理事業によって具体的に動き始めたと聞いております。
 また、そのほかの区間についても、機会あるごとに、地域の熱き要望を受けて質問をしてきたところでありますが、改めて、この笹目通りから土支田通りまでの区間で行われている、いわゆる沿道一体整備について、現在の取り組み状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
 さらに、その西側である土支田通りから大泉学園通りまでの区間については、まちの将来像に関する意向調査を実施していると聞いております。そこで、今後の整備に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 次に、都市農業の振興対策についてお尋ねいたします。
 都内には、農産物を販売している農家が約八千戸あります。これらの農家の多くは、消費者に近いという立地上のメリットを生かし、付加価値の高いブランド野菜や果樹をつくり出したり、少量多品目型生産に取り組むなど、創意と工夫を重ねた経営を展開しております。
 しかしながら、こうした努力にもかかわらず、サラリーマン並みの所得を家族全体で稼ぎ出しているのは、このうちの一〇%にも及びません。それだけ農業で生計を立てることが厳しいということであります。
 我が党は、農業者の努力が報われ、経営的に魅力ある都市農業にならなければ東京農業の維持発展はないとの危機感から、これまで以上に東京の農業者を支援する事業を拡充するよう提案し、その実現を図るよう、強く求めてまいりました。
 そこで、都は、厳しい生産環境の中で汗をかいて農業を続けていこうとする農業者の思いを酌み、東京農業の維持と活性化のために、次代を担う農業者をどのように支援していくのか、お伺いいたします。
 さて、先日、都内二十三区の緑被率が減少しているとの新聞報道がありました。都内には、現在約八千四百ヘクタールの農地があります。これは東京の公園面積約七千ヘクタールを大きく上回り、都民にとって大切な緑地となっております。
 農地は、都民に新鮮で安全な農産物を提供する生産機能のみならず、ヒートアイランド現象の緩和や雨水浸透による洪水防止機能、さらには災害時の避難場所など、多くの公益的機能をあわせ持っております。
 しかし、こうした貴重な東京の農地が、最近五年間で約一千ヘクタールも減少しております。さらに、農家の高齢化に伴う農地の遊休化も進んでおります。将来にわたって東京の農地を確実に保全していくことが、東京の緑を守る点からも不可欠であります。農業の後継者を確保することはもちろんのことでありますが、広く一般都民の参画と協力を得ることが必要ではないかと思います。
 練馬区では、全国に先駆け、農家が区民に農業を教える体験農園を開園して、高く評価されているところであります。このシステムは、わずか十年で都全体に広がり、現在では十五区市、三十四農園、二千区画を超えております。多くの都民が農業に興味を持ち、携わってみたいと考えているのであります。
 都は、こうした中、今年度から貴重な農地と多様な担い手をマッチングさせる事業を開始したとのことでありますが、事業の趣旨と具体的な内容をお伺いいたします。
 新たな担い手をはぐくみ、広範な都民の支持を得なければ、将来にわたる東京農業の発展はあり得ません。これからもさまざまな工夫を凝らし、東京農業をより盤石なものにしていただきたいと思います。
 次に、東京の住宅施策についてお尋ねいたします。
 公営住宅を初めとする公的住宅は、地域に暮らすすべての住民の共有財産であります。そうした観点から、東京の住宅施策の推進に当たっては、総合的かつ体系的な取り組みとともに、地域に配慮したきめ細かな施策の展開が求められます。
 そのためには、地域の実情や地元住民の要望等に通じており、福祉施策やまちづくりの中心的担い手である区市町村との連携が極めて重要であります。
 こうした中、区市町村においては、公的住宅の管理戸数が増加しているにもかかわらず、一部には管理体制等が脆弱な面も見受けられます。このため、区市町村に対する都の積極的な支援が不可欠であると考えます。
 そこで、お伺いいたします。
 今年度から、地域の自主性や創意工夫の活用に配慮した地域住宅交付金制度が、国において新たに構築されたと聞いております。そうした制度も活用しながら、都は、区市町村との連携を密にし、必要な支援をしていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、高齢者の民間賃貸住宅への入居支援策についてお尋ねいたします。
 最近の調査結果によりますと、世帯主が六十五歳以上の都内の高齢者世帯のうち、毎年五千世帯を超える世帯が、民間賃貸住宅に新たに入居しているとのことであります。高齢社会がますます進展する中、今後も民間賃貸住宅に入居する高齢者世帯の増加が予想されることから、都はこれまで、高齢者が民間賃貸住宅に入居しやすいよう日常の見守りサービスなどを行う、あんしん入居制度により支援を行ってまいりました。
 しかしながら、窓口が東京都防災建築まちづくりセンター一カ所であることから、高齢者が利用しにくい状況にありました。こうしたことから、都は、この十月から利用拡大に向けて、申込窓口を地域の不動産業者に広げていくと仄聞しております。地域の不動産業者は、家主との関係など地域社会でのつながりも深く、これまでも高齢者の入居の仲介に努めるなど、重要な役割を果たしてまいりました。
 地域の不動産業者をあんしん入居制度の申込窓口として活用することは、高齢者などを地域で支えていく仕組みの一つとして、大変意義のあるものだと思います。高齢者等の居住の安定確保を進めていくためには、より多くの不動産業者でこの制度が取り扱えることが重要だと思います。そのために都はどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
 最後に、水道事業についてお尋ねいたします。
 水道事業の使命は、安全でおいしい水を安定的に供給することであります。そのためには、これまでの事業運営を通して蓄積してきた職員の経験や技術を十分に活用し、施設の運転や維持管理を適切に実施していくことが不可欠であると思うのであります。
 東京都水道局では、これまでもアウトソーシングの拡大等による職員定数の削減に努めており、このことは評価しておりますが、一方では、職員が現場での経験を積む機会が少なくなっていると聞いております。効率化に向けた取り組みを今後ともさらに進めていく中で、これまで蓄積してきたノウハウや技術をいかに維持し、将来に伝えていくかが、喫緊の課題となっているのであります。
 さらに、水道事業が直面する新たな課題に対応していくための技術開発についても、我が国最大の水道事業者として、東京都水道局の積極的な取り組みが求められております。
 こうしたことを踏まえ、水道局では新たに研修・開発センターを設置し、本格的な研修開発体制が整うと聞いております。将来に向けた研修開発機能の充実は、東京都のみならず、日本の水道界全体に及ぶ重要課題であると考えます。
 そこで、研修・開発センターを核として、今後どのような取り組みを展開していくのか、お伺いいたします。ぜひ、将来に禍根を残すことのないよう、遺漏のない万全の体制を整えていただきたいと思います。
 これで私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 高橋かずみ議員の一般質問にお答えいたします。
 テロへの対応についてでありますが、テロの未然防止は基本的には国の役割でありますけれども、日本の首都であり、頭脳部であり、心臓部であります東京でのテロへの備えは、国はもとより、東京都の重要な課題でもあります。
 万が一テロが起きた場合、人的、経済的にも甚大な被害を招きかねず、都としては、迅速な初動対応により被害の最小化に努める必要があると思います。
 どういう形で大きな暴力行為が現出するかはわかりませんが、それについて国がテロと認定する前であろうとも、既存の法律や制度に拘泥することなく、首都東京を守るため、知事の判断によりまして直ちに自衛隊の出動を求めるなど、被害者の救出、救助に当たるなど、全力を挙げて緊急事態に対処していくつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔総務局長高橋功君登壇〕
〇総務局長(高橋功君) テロへの対処の実効性についてお答えをいたします。
 世界の大都市でテロが相次いでおり、今回公表しました国民保護計画の素案では、テロへの対処も重点課題の一つとして位置づけをしております。
 素案では、都がこれまで実施してまいりましたNBCテロ災害を想定した訓練などの成果を踏まえまして、特に、不特定多数の人々が利用する鉄道や劇場等の施設における警戒や、避難誘導などの体制強化を図っていくこととしております。
 現在、事業者と意見交換をしておりまして、今後は、さらに計画に基づくテロ対応のマニュアルの整備や訓練の実施を事業者に働きかけるなど、実効性を高めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、外環地上部の道路についてでございますが、外環本線にあわせて計画されている都市計画道路外環ノ2は、東京の幹線道路のネットワークを形成し、交通の円滑化を図るとともに、地域の利便性向上や沿線のまちづくりに寄与する道路でございます。
 これまで都は、外環本線を地下化した場合の外環ノ2の取り扱いについて、緑豊かな道路とするなど、検討の方向を地元に示してまいりました。
 今後は、本線の計画の具体化にあわせて、国や沿線自治体などとともに検討を進めてまいります。
 次に、人間優先の視点に立った外環ノ2の道路整備についてでございますが、都市計画道路は、都市の活力や防災機能の向上のみならず、質の高い生活環境の実現など、都民生活を支える重要な都市施設でございます。
 これまで都は、高齢者の増加や人々の意識、ニーズの多様化への対応など、利用者の視点に立ち、道路整備の推進に努めてまいりました。
 外環ノ2の検討に当たりましても、ご提案の広い歩行者空間の確保や、緑豊かな道路づくりについて、国や沿線自治体など、関係機関と協議、調整を図ってまいります。
 次に、補助第二三〇号線の笹目通りから土支田通りまでの区間の沿道一体整備についてでございますが、この事業の目的は、道路の整備にあわせて沿道の民間開発を促進し、良好な市街地が早期に形成されるよう誘導するものでございます。
 このため、練馬区と連携しながら地区計画などのルールづくりを進め、この九月には関係権利者に対する相談会を開催するなど、土地利用の意向把握に努めてまいりました。
 今後は、本年七月に着手した用地測量を年度内に完了させ、沿道のまちづくりに向けて、早期事業化を目指してまいります。
 次に、区市町村の住宅施策への支援についてでございますが、東京の住宅施策を推進する上で、福祉や地域のまちづくりの担い手である区市町村との連携は重要であると思っております。
 都は、これまでも実務研修会などを通じ、適正な公的住宅の管理に向けた情報提供や技術支援を行うとともに、老朽化した区市町村の公営住宅の建てかえに対しても、財政支援を行っております。
 今後は、こうした取り組みに加え、今年度創設された地域住宅交付金制度を活用し、この制度に基づく地域住宅計画の策定を通じて、区市町村の住宅施策の推進を支援してまいります。
 最後に、あんしん入居制度の拡充についてでございますが、この制度は、高齢者の民間賃貸住宅への入居支援を目的とするものでございます。その利用拡大を図る上で、地域に密着して活動している不動産業者の協力を得ることは、大変重要だと思っております。
 このため、不動産関係団体と連携し、この十月から、地域の不動産業者を窓口として申し込みを受け付ける新たな制度を開始することといたしました。現在、円滑な導入に向け、不動産業者への説明会や研修をきめ細かく実施しております。
 今後とも、より多くの地域の不動産業者の参加が得られるよう、関係団体と連携して積極的に取り組んでまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 補助第二三〇号線の土支田通りから大泉学園通りまでの区間の取り組みについてでありますが、平成十五年度に練馬区と検討会を設置し、これまで沿道の土地利用の現況調査などを実施しております。
 今年度は、練馬区におきまして、まちづくりに関するアンケート調査を沿道の方々を対象に実施し、対象者の三割に当たる約千通の回答をいただきました。現在、十一月のアンケート結果の公表に向け、取りまとめを行っております。
 今後、この結果を踏まえ、歩行者の安全や沿道の環境に配慮し、街路整備とあわせた地区計画の策定など、沿道のまちづくりについて練馬区と検討を進めてまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 都市農業の振興対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、次代を担う農業者への支援についてでございますが、都は、担い手の確保、育成のため、新たに就農する後継者を対象に、栽培方法や経営等の研修を実施しております。また、農家の女性の農業経営への参画意欲が高まっておりまして、農産物の加工や販売等の研修を実施してまいりました。
 一方、農業経営の活性化のために、これまで収益を向上させる栽培施設や直売所の設置等に集団で取り組む農業者を支援してまいりましたが、今年度からは個別の農業者も対象に加え、減農薬栽培に取り組むエコファーマーや、経営改善に意欲的な認定農業者等を重点的に支援しております。
 今後とも、次代を担う農業者を積極的に支援し、東京農業の維持と活性化に努めてまいります。
 次に、農地と担い手のマッチング事業についてでございます。
 本事業は、農地の遊休化を防ぐため、就農を希望する都民と遊休農地とを取り持つことを目的としております。本年九月からデータベースの構築を開始し、当面、都内遊休農地の約一割に当たる二百カ所と、就農を希望する都民千人の登録を目指しております。
 今後は、地元の区市町村や農業委員会と協力しまして、遊休農地の円滑な貸借関係の形成に向けた働きかけや、荒廃した農地の整備など、マッチングに向けた条件を整えてまいります。
 これにより、新規の就農希望者や農作業の受託を望むNPO等の多様な担い手を確保し、遊休農地の最適な活用を図ってまいります。
   〔水道局長御園良彦君登壇〕
〇水道局長(御園良彦君) 水道局研修・開発センターにおける今後の取り組みについてお答えいたします。
 ご指摘のとおり、水道は都民生活と都市活動を支える重要な基盤施設でございまして、絶えることなく安定した給水を行うという使命を果たしていくためには、これまでの事業運営を通じまして培ってまいりましたノウハウや技術の継承が不可欠であると考えております。
 このため、研修・開発センターを核といたしまして、実習フィールド等を活用いたしました実践的なトレーニングを充実するなど、人材育成に積極的に取り組むとともに、水道固有のニーズに対応した技術開発を行ってまいります。
 また、日本水道協会や大学、民間企業等と連携いたしまして、我が国水道界全体の技術の維持向上に努めてまいります。

〇議長(川島忠一君) 十九番高倉良生君。
   〔十九番高倉良生君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕
〇十九番(高倉良生君) 初めに、水害対策について伺います。
 今月四日から五日にかけ東京を襲った集中豪雨は、これまでの水害対策の想定をはるかに超えるものでした。
 私は、あふれ出た水で川幅が大きく広がった妙正寺川で、暗やみの中、腰まで水につかりながら、ひとり暮らしの高齢者を避難させたり、一軒一軒安否を確認して回るなど、全力で救援活動に当たりました。集中豪雨の恐ろしさを嫌というほど痛感した一夜でございました。
 昨日、知事は、公明党の代表質問に対し、妙正寺川や善福寺川の未整備区間の早期整備を指示したと答弁されました。大変心強い限りであります。知事の対応を高く評価するとともに、今後の取り組みに強く期待いたします。
 時間一〇〇ミリを超える大雨は、そう頻繁に降るものではないとの見方もありますが、昨年、全国で五〇ミリ以上の激しい雨は四百七十回も降っております。今回も、東京では八月、九月と二度の豪雨が襲い、今月の豪雨では被災住宅が五千棟にも及ぶ甚大な被害が発生いたしました。都の水害対策を抜本的に見直すことが急務であることを強く訴えたいのであります。
 こうした異常気象現象は、アメリカでのハリケーン災害などとあわせて、地球温暖化の影響ではないかと指摘されており、水害対策を進めていく上で、都としても、地球温暖化対策を一段と強化すべきであることは論をまちません。
 都は、企業の温暖化防止の取り組みとして、本年三月に環境確保条例を改正し、大規模事業所にCO2の削減を求める地球温暖化対策計画書制度を強化するとともに、東京電力などの電気事業者を対象に、CO2の削減計画と再生可能エネルギーの導入計画の策定を求めるエネルギー環境計画書制度も創設しました。
 これに基づいて、電気事業者九社から初めてのエネルギー環境計画書が提出されたものの、九社のうち六社が、二〇一〇年度の再生可能エネルギー導入目標が一・三五%という、国の義務化している数値と同じ低い目標を掲げてきております。しかし、これでは電力事業者による実質的なCO2削減の効果は、到底期待できるものではありません。
 四十七都道府県で唯一東京都が導入した画期的なこの制度を実効あるものにするためには、国に対し再生可能エネルギーの導入目標値を高くするよう強く求めると同時に、事業者に対しても、目標を高くするよう求めるべきであります。
 都の対応について、知事の所見を伺います。
 さらに、都民についても消費行動を見直し、地球温暖化対策を一層推進していく必要があります。十月からは、大規模な新築マンションの販売広告に環境性能の表示を義務づける、マンション環境性能表示制度が施行されます。都民が環境に配慮したマンションを選択するためには、表示制度の意義と表示内容を理解することが必要であり、都民への啓発が欠かせないと考えますが、所見を伺います。
 さて、今回の集中豪雨による水害被害について具体的に伺います。
 第一に、環七地下に建設されている調節池の問題です。
 調節池は妙正寺川まで延びてきていますが、まだ妙正寺川の水は取水できません。一日も早い取水は、住民がひとしく望んでいることでございます。
 取水施設の設置は平成二十年とされていますが、十八年や十九年の出水に対する不安は解消されません。計画の前倒しなど、対応を急ぐべきであります。さらに、未整備区間の護岸改修も早期に推進することが不可欠であります。あわせて所見を伺います。
 第二に、妙正寺川と江古田川との合流地点では、都の新クイックプランに基づく第二妙正寺川幹線の設置が進められています。一部暫定利用されていますが、落合水再生センターに向け準備が進んでいる部分も早期に利用できるようにすべきです。見解を伺います。
 第三に、半地下の車庫や地下室などは、水没や下水の逆流などにより大きな被害が出ました。流域では、低層住宅地の環境保護から、高さを制限するなど用途地域の制限があります。しかし、今後の水害対策を考える上では、河川対策だけでなく、まちづくりの手法を活用しての取り組みが考えられます。危険地域における地下の利用を規制する、あるいは制限の緩和により地下を利用しないで済むようにするなど、規制と緩和の両面からアプローチし、都市計画と水害対策を効果的に連動させる取り組みを検討すべきであります。所見を伺います。
 第四に、妙正寺川が学校の真ん中を流れる都立中野工業高校は、これまでも再三にわたり水害発生のおそれが懸念されていました。今回の豪雨により実習室などが浸水し、授業用の機器に被害が出るなど、その懸念が現実のものになったわけであります。授業に支障のないよう、早期復旧と今後の対策に取り組むべきです。見解を伺います。
 次に、分譲マンションの管理について伺います。
 都内で着工される住宅のおよそ四割は分譲マンションです。そのストックはここ十年で二倍に増加して百二十万戸を超え、マンションは東京の主要な居住形態になっています。その一方で、維持管理においては、長期修繕計画の不備や修繕積立金の不足など、さまざまな問題が生じています。こうした状況が続けば、建物の劣化が進み、将来的には空き家の発生からスラム化の懸念が強まるなど、都市をむしばんでいくことが予想されます。
 新規に分譲されるマンションを良質なストックとしていくには、特に分譲のときから維持管理の体制を整えることが重要であります。良質なストックがふえれば、市場の活性化にもつながります。分譲マンションの問題について、これまで施策の空白領域だったのが新規分譲時の対応ですが、新たな取り組みとして、マンションの購入予定者に対し、分譲事業者や管理組合が行うべきことなどを明確にしたガイドラインを都として策定することが必要と考えます。所見を伺います。
 その際、管理規約の中に長期修繕計画の見直し事項を盛り込むことや、管理組合として長期修繕計画を策定すること、そのための修繕積立金をどう確保するのかなどを明確にすべきであります。あわせて所見を伺います。
 次に、障害者自立支援策について伺います。
 障害者が地域で自立して生活できる環境づくりを進めることは、これからの切実な課題であります。
 私は、本年五月、知的障害者や家族が実現を求めていた通所施設の設置を何とか促進させようと、厚生労働省を訪ね、西副大臣に要望してまいりました。
 都では、障害者地域生活支援緊急三カ年プランで単独の補助制度を設け、地域生活支援型の入所、通所施設やグループホームの設置を進めてきました。
 しかし、知的障害者に限っても、入所施設待機者はまだ千人ほどいることに加え、毎年養護学校を卒業する人が千人近くおり、そのうちかなりの人が施設の利用を必要としています。入所施設から地域に戻る人も含めると、新たな地域生活支援型の施設整備はますます必要となります。
 こうしたことから、緊急三カ年プラン後の新たな施設整備計画の策定が必要であります。また、緊急三カ年プランの対象外だった精神障害者についても、新たな地域生活支援の基盤整備が求められており、都は、知的障害、身体障害に加え、精神障害も含めたトータルな新計画を策定すべきと考えます。
 新たな計画では、施設整備だけでなく、障害者の就労支援を進めていくことも重要であり、区市町村の就労支援事業の拡大や、民間企業との連携なども含めたものとすべきであります。所見を伺います。
 最後に、警察大学校等移転跡地の整備について伺います。
 本年五月、東京都、中野区、杉並区の三者による警察大学校等移転跡地の土地利用連絡調整会が、中野駅そばの跡地約十四ヘクタールを含む土地利用計画案を発表いたしました。跡地利用では、にぎわいの核となるまちづくりが進められますが、周辺は十万人規模の広域避難場所に指定されており、防災公園を中心とする三、四ヘクタールの緑地空間を設けるとされています。
 広域避難場所であることの重要性を考慮するなら、都はその責務として、防災空間を確実に設置することを第一に取り組むことが大事だと考えます。所見を伺います。
 跡地に最初に建設される新東京警察病院についても、災害時の医療拠点として十分機能を発揮できるよう、都は取り組んでいくべきであります。所見を伺います。
 また、小児救急医療の機能や、現在同病院で実施されている女性専用外来について、思春期外来も含め、さらに充実した形での実施を強く要望いたします。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 高倉良生議員の一般質問にお答えいたします。
 地球温暖化対策としての再生可能エネルギーの導入についてでありますが、世界じゅうで干ばつや豪雨などの異常気象が頻発しておりまして、地球温暖化は人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題であります。再三申してきましたが、南太平洋では、間もなく国家として埋没するような、砂州でできた国が二つも三つもありまして、地球温暖化を防止するためには、省エネルギー対策の推進に加え、太陽光や風力発電など再生エネルギーの普及を進めることが重要であります。
 こういう観点から、都はみずからバイオマス発電や太陽光発電施設の設置など、先駆的な取り組みを進めるとともに、エネルギー環境計画書制度を創設しまして、電力業者に対しても再生可能エネルギーの導入目標の設定を義務づけました。
 一方、フランスやドイツなどEU諸国に比べますと、我が国の再生可能エネルギーの拡大に向けた姿勢はまだまだ消極的であるといわざるを得ません。再生可能エネルギーの利用を拡大していくため、都は、国に対して導入目標の引き上げを強く要求するとともに、各電力会社に対しても一層の導入を求めていくつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 都立中野工業高等学校の早期復旧と今後の対策についてでございます。
 先般の台風十四号の影響による集中豪雨によりまして、中野工業高校では、校舎の広範囲にわたりまして床上浸水したため、全館が停電し、特別教室や実習棟の備品が冠水するなど被害が発生しました。
 電気設備につきましては早急に復旧工事を行うとともに、床上浸水した校内を清掃、消毒の上、三日間の休校の後に授業を再開いたしました。現在も使用できない一部の備品、什器につきましては、修繕、購入などにより、教育活動への影響を最小限にとどめるよう迅速に適切な対応を進めております。
 また、中野工業高校の水害の予防対策につきましては、これを契機に、校舎内への水の流入を防ぐ止水壁の設置や電気設備のかさ上げなど改善を図るとともに、区、地域住民との連絡体制を強化するなど、万全の体制を講ずるよう努めてまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕
〇環境局長(大橋久夫君) マンション環境性能表示についてのご質問でございます。
 この制度は、大規模な新築マンションの販売広告に、建物の省エネ性や緑化の割合など、環境性能表示を義務づけ、都民がマンションを購入する際、環境に配慮した物件を選びやすいよう情報提供を行うものであります。
 ご指摘のように、この制度の効果を高めるためには、多くの都民に制度の周知を図ることが大切であります。今後、都の広報紙に掲載するほか、住宅情報誌の活用、シンポジウムの開催など、事業者団体と連携しながら普及活動に努めてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 妙正寺川からの取水と護岸整備についてでありますが、取水施設につきましては、環七地下調節池トンネル部の完成に引き続き、今年度から工事に着手し、平成二十年の完成を目指してまいります。
 その取水の時期につきましては、工事の安全確保や工程調整などを考慮しながら、十九年の出水期までに暫定的な取水が可能となるよう整備を進めてまいります。
 また、被害の大きかった未整備区間の護岸につきましても、緊急に整備できるよう、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施に向け、現在調整を進めております。
 今後とも、関係する区や住民の協力を得ながら、事業の推進に努め、水害対策に全力で取り組んでまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕
〇下水道局長(前田正博君) 第二妙正寺川幹線の暫定貯留利用についてでございますが、第二妙正寺川幹線は、練馬区、中野区、新宿区の浸水被害軽減を目的とした下水道幹線でございます。この幹線では暫定的に約二万二千立方メートルの貯留を行うこととし、このうち、中野区立江古田公園より上流部につきましては、既に平成七年度から容量九千立法メートルの貯留管として利用しております。
 九月四日の豪雨時にはこの部分が満水となり、中野区江古田、沼袋地区の浸水被害軽減に寄与できたものと考えております。
 残る一万三千立方メートルの貯留区間につきましては、平成十八年度末の貯留開始を目指し、鋭意整備を進めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、浸水対策とまちづくりについてでございますが、集中豪雨による河川のはんらんから都民の生命、財産を守るためには、河川や下水道の整備とともに、まちづくりの面からの浸水対策も重要であると認識しております。浸水が予想される地域での建物の地下利用に当たりましては、防水板を設けるなど、みずから対策を講ずることが基本でございますが、こうした地域においては、区市町村と連携し、地区計画を活用した地下利用規制などの方策を検討していく必要がございます。都といたしましては、こうした考えに沿って、区市町村とともに浸水対策の一層の推進に努めてまいります。
 次に、マンション管理のガイドラインについてでございますが、マンションは管理組合が主体となって管理を行うものでございますが、区分所有者の管理に対する知識不足や組合への参加意識の低さなどから、管理がおろそかになる状況も見られるところであります。マンションの適正な管理が行われるためには、区分所有者が、入居に当たりその重要性を認識していること。そのためには、売り主は販売時に入居後の管理に関して十分説明することが重要でございます。このため、都は、管理組合が実施することが必要な事項に加え、売り主が購入者に対し説明すべき事項などを盛り込んだガイドラインを早急に策定してまいります。
 次に、長期修繕計画などについてでございますが、マンションを良質なストックとして維持していくためには、実態に即した長期修繕計画の策定が重要でございます。このため、今回取りまとめるガイドラインでは、この修繕計画を建物の劣化状況に応じて一定期間ごとに見直す規定をあらかじめ管理規約に盛り込むことや、計画と連動した修繕積立金の見直しなどについて提示することを考えております。ガイドラインは、こうした適正な管理を行う上で、管理組合や売り主が実施することが望ましい事項を具体的に示すものであり、都は今後、関係団体と連携し、その普及に努めてまいります。
 最後に、警察大学校等の移転跡地整備における防災空間についてでございますが、都は、地震時の大火から都民の生命を守る重要な防災空間として避難場所を指定しております。このため、公共用地だけでなく、大規模民有地についても、所有者の協力を得て、その確保に努めております。当該跡地は避難場所に指定されていることから、土地利用転換後におきましても、その機能が引き続き担保できるよう、都は、関係区とともに、本年五月に発表した跡地利用計画案に盛り込んだところでございます。
 今後、地区計画などを活用し、必要な防災空間を確保してまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者に関する新たな計画の策定についてでございますが、現在、国は、知的、身体、精神の三障害に共通いたしました一元的なサービス提供体制の構築や、就労支援の強化を目的とした障害者自立支援法案の国会への再提出の準備を進めております。
 また、今月発表された東京都障害者施策推進協議会の中間提言におきましても、精神障害者も含め、区市町村が主体的に取り組む福祉サービスの基盤整備を積極的に支援していくことや、就労支援策を充実することが必要であるとされております。
 都としては、これらの動向や提言などを踏まえまして、障害者が地域で生き生きと暮らせる社会の実現に向けて、適切に対処してまいります。
 次に、東京警察病院についてでございますが、本病院は平成二十年春に千代田区から中野区へ移転する予定であり、新病院の整備に当たりましては、ヘリポートの設置や免震構造の採用など、災害時の医療確保にも配慮していく予定と聞いております。
 都は、現在、東京警察病院を災害発生時の医療機能確保のための災害拠点病院の一つに指定しておりますが、引き続き同病院を災害拠点病院として指定する予定でございまして、移転後もその機能が十分に発揮できるように努めてまいります。

〇副議長(木内良明君) 五十三番斉藤あつし君。
   〔五十三番斉藤あつし君登壇〕
〇五十三番(斉藤あつし君) こんにちは。斉藤あつしでございます。私、もともと東京消防庁の消防官で、都の職員でございましたが、だからといって行政におもねることなく、地元の皆さん、そして都民の皆さんの期待にこたえるべく、それこそ、たとえ火の中水の中、頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、三点質問を出しております。
 一つは、精神保健福祉についてです。
 現在、精神医療、精神障害は、日本ではまだ研究及び制度整備が必要な分野と考えられます。精神障害者への支援体制については、区市町村において種々の事務手続の移管を初めとして、今後は地域での自立を目的とした、十年単位での、東京都においては社会的入院と目される五千人の入院患者の退院及び在宅化など、今後、自治体にとって多くの事業、そしてまた課題が存在しております。
 しかし、これまで東京都が中心となってこの分野に取り組んでまいりましたため、予算や経験、そして知識が十分ではない市区町村にとって、都立病院や保健所で実績を豊富に持っている都からのいろいろな形での支援がなくては、やはり対応や、そしてまた事業の継続、充実は難しいと考えられることがあります。
 そして、さらに今、国の制度改正が控えていることなどを考えると、まさに精神保健福祉の分野は転換点に来ているといえます。
 こういった中で、今後は、一般都民の皆さんにこの疾病や障害についていかに正しく理解をしていただくかが、これらさまざまな施策を順調に展開していく上で重要になってくると考えられます。特に前述のように、退院、そして在宅、つまり地域での自立を促すということが大きな目標になってくるのであれば、地域の方々に正しく、的確にこの疾病や障害、そしてその手助けの方法など、これを理解していただかなくてはならないと考えます。
 単にこれは差別をなくしていくという目的ではなく、周辺の人間関係によるトラブルを未然に防いだり、病状が悪化したときなど、地域の住民がそれに対して協力をする、そしてまた、地域自治体の展開するホームヘルパーや施設の協力者、こういったものを拡大していく、こういったことにつながってまいります。知識の広がりと偏見の撤廃によって促すことができるであろうということがたくさんあるわけです。逆に、このような一般都民に向けた啓発活動を省いて行政だけで努力をしてみても、恐らく限界があることは容易に想像がつくものであります。
 現在、学校や職場で、うつを初めとして精神疾患そして障害については、一般の方にも関心の高い分野であります。取り組みも必要だと考えられている課題でありましょう。しかし、実際には的確な予防策、対応策が構築しにくい課題であるのも事実であります。そのような状況の中で、東京都の役割は、この課題のリーダーシップをとることができる機関として大きく期待するものであります。
 以上のようなことを踏まえて、以下、三点質問いたします。
 一問目、今後の精神保健福祉施策について、疾病、障害に対する都の考え方を踏まえて、東京都はどのようにしていくか、どう考えているのでしょうか、お聞かせください。
 二点目、この辺が違います。さまざまな施策の上で、精神障害に対する一般の方への知識の普及、啓発活動は不可欠であります。今後の具体的取り組み、広報についての具体的な取り組みについて伺います。
 三点目、先ほどと少し重複するところもありますが、区市町村に対する都の支援についてどのように考えているか。これがなくては区市町村も動くのに大変厳しいものがあります。ぜひお聞かせください。
 では、大きな二点目でございます。
 現在、私の地元である小平市の花小金井南町三丁目の話でありますが、東京都水道局がそれまで資材置き場として使用していた所有地がございます。現在はこの目的については使っていないわけなんですが、ここの土地約六千平米を二十年間の定期借地として、いわゆるスーパー銭湯、ロードサイドの銭湯ですね、この企業に貸し出すことになりました。この場所の周辺は戸建て住宅の密集地であり、スーパー銭湯が完成した際には深夜までの営業になるということで、周辺住民からは、駐車場に入る車、これによる周辺道路の交通渋滞や騒音、そしてまた看板や駐車場のライトなどの光の害について懸念が出され、この事業に対する周辺住民の批判の声が多く寄せられました。その後、幸いにして、住民の相互の努力もあり、また事業者側の方の努力もあり、複数の自治会を横断する形で形成された周辺住民による住環境を守る会と銭湯の事業者間で、この住環境保全を目的とした具体的な協定の締結に向けて議論が進められ、東京都水道局としても、この協定の締結に向けた動きを十分確認した上で、現在、様子を見守っているということになっております。
 さて、現在、翻って都全体を見たときに、第二次都庁改革アクションプランにも見られるように、都有地の使い方についてはさまざまな形が今後あると思われます。そして、今後、このような事例と類似したものが出てくることは十分に考えられることです。都有地の貸し付けに当たって、借り受け者が周辺住民と協定を締結し、理解を確保するようにするなど、的確に地域との信頼関係を築くよう、土地所有者としての東京都は借り受け者に指導すべきと考えますが、東京都の見解を伺います。これにつきましては、都民と都の関係ですので、知事より答弁をいただきたいと思います。
 二点目、住環境保全については、本来、地元市町村がその地域の状況に応じたルールづくりをすることが原則とは聞いておりますが、近年問題となりました光の害やにおいの害など、市町村ではなかなか基準づくりに不安がある部分も大変多くなっております。そのため、市町村の規則づくりに対して、情報や研究実績豊富な東京都からの知識の提供などの支援が当然期待されるものでありますが、これについてどう考えるか伺いたいと思います。
 では、三点目でございます。
 三点目の一番、都市計画道路予定地の住民に対する都市計画道路の情報提供について伺います。
 既に都市計画道路が決定されているものの、現在未着手となっている路線の中には、二十年、そしてまた三十年もの間にわたって計画の進捗に関する情報が不十分な地域があります。そのため、地域によっては予定地住民の高齢化が進み、自発的な情報収集が難しい住民がふえている場合もあります。未着手の道路予定地は、事業主体が東京都か地元区市町村かが明確になっていないこともあり、計画の内容や当該地の整備時期の予測などの情報把握について十分ではない上に、予定地が都市計画法第五十三条によって、住宅の建てかえに関する幾つかの制約を受けているという、つまりは情報が少ない中で制約を受けているという中途半端な状況が道路予定地の住民から不安の声として聞いております。
 府中所沢線の国分寺市における住民説明会において、隣接する未整備区間の小平市、その市民の参加を認められ、予定地住民の計画に対する理解に効果があったということも聞いております。東京都として、さらなる予定地住民の不安解消のために、今以上の情報提供、広報に積極的に努めるべきと考えますが、所見を伺います。
 二点目。都市計画道路の予定地内では、法律上、二階までしか建てられないなどの建築制限がかかっております。特に多摩の都市計画道路は五割しか完成しておらず、さらにいえば、北多摩の地域では三割、四割といった状況です。既に未着手区間の住民への制限は、長期間かつ広域に及んでいます。それぞれの計画道路の必要性の確認については、整備方針の中間まとめで触れておりますが、必要とされた計画道路についても、着手までは相当の時間を要すと思われます。
 こうした中、区部では、昨年より一定条件のもと、建築制限の緩和を実施していると聞いております。多摩地区でも、今後十年間で優先的に整備すべき路線以外の路線については、こうした都市計画道路予定地内の建築制限の緩和を進めるべきと考えますが、東京都の所見を伺います。
 以上、大きく三点、よろしくお願いします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 斉藤あつし議員の一般質問にお答えいたします。
 都有地活用における周辺住民への配慮についてでありますが、都有地の民間貸付に当たりましては、借り受け者の事業が適法であることはもとより、あくまでも地域の理解を得ることが、借り受け者にとっても何よりも大切なことだと思います。
 いずこの事例にせよ、今後とも近隣との調和のとれた利用が行われるよう、十分な配慮を契約上求めてまいります。
 他の質問については関係局長が答弁いたします。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 精神保健施策について三つのご質問にお答えいたします。
 まず、今後の精神保健福祉施策の方向性についてでございますが、精神疾患はだれもがかかる可能性のある病気の一つでございますが、適切な医療の継続と福祉サービスの提供により、精神障害者が地域で安定した生活を送ることは可能でございます。
 精神保健福祉施策は、これまで入院医療を中心として実施されてきましたが、平成十四年度に改正された精神保健福祉法や、昨年国が示した精神保健医療福祉改革ビジョンにおきましては、区市町村をサービス提供主体とした地域生活中心の施策への転換が明確に示されております。
 都としても、精神障害者施策を地域生活中心のものへと転換していくため、地域における医療の確保やグループホーム等の福祉サービス基盤の整備に一層努めてまいります。
 次に、精神障害の普及啓発活動についてでございますが、精神障害者の安定した地域生活を支えていくためには、精神障害について都民の正しい理解を得ることが必要でございます。このため、都はこれまでもリーフレットの作成、配布や広報誌の発行等を通じて、精神障害についての知識の普及に取り組んでまいりました。
 今後とも精神保健福祉センターが中心となったシンポジウムの開催や、区市町村が実施する地域住民向け講習会への支援を行うとともに、民間団体とも連携して精神障害の幅広い普及啓発活動に努めてまいります。
 最後に、区市町村に対する都の支援についてでございますが、精神障害者の地域生活を支えるためには、住民に最も身近な区市町村がサービス提供の中心的な役割を担うことが大切でございます。
 都はこれまで、地域の相談拠点となる地域生活支援センターの整備や人材の養成を行うとともに、ホームヘルプサービス等の実施主体である区市町村を支援してまいりました。
 今後とも区市町村職員等を対象としたケアマネジメント従事者養成研修等を実施するとともに、広域的自治体として引き続きサービス基盤の整備や区市町村への情報提供、技術的支援を行ってまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕
〇環境局長(大橋久夫君) 住環境の保全についてのご質問でございます。
 住環境の保全に当たり、多くの自治体において、その地域の実情や特性を勘案した対応を行うため、条例や要綱の制定など、自治体独自のルールづくりが行われております。
 都といたしましては、このような地元自治体の対応を支援するため、要請に応じて技術的な助言などを積極的に行ってまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 都市計画道路に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、その情報提供についてでございますが、都市計画道路に関する十分な情報提供を行うことは、関係住民の不安を解消し、理解を得ていく上で重要でございます。
 このため、都はこれまでも相談窓口の設置や電話での個別対応、インターネットを通じた情報提供などに努めてまいりました。また、都市計画の決定や変更に際しては、地元区市町村と協力し、説明会の開催や地元住民との意見交換、パンフレットの配布などきめ細かく対応し、周知を図っております。
 今後とも地元自治体と連携しながら、関係住民への情報提供に積極的に取り組んでまいります。
 次に、多摩地域における都市計画道路予定地内の建築制限の緩和についてでございますが、多摩地域の都市計画道路を重点的かつ効率的に整備するため、現在、関係市町と共同で新たな整備方針を策定中であり、八月末には中間のまとめを公表いたしました。この中で、優先整備路線以外の路線において木造や鉄骨造などの三階建てを可能とする建築制限の緩和に関し、基本的な考え方を示しております。
 今後とも、関係市町の意向を踏まえながら、多摩地域における具体的な緩和のあり方についてさらに検討を進めてまいります。
〇副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時二十一分開議
〇議長(川島忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十六番臼井孝君。
   〔四十六番臼井孝君登壇〕
〇四十六番(臼井孝君) さきの総選挙で示された国民の意思は改革でありました。しかし、これは郵政の改革だけではなしに、知事がよくいわれるところの旧弊の打破にあり、明治以来の我が国の伝統的官僚政治による統制、規制が国民を支配してきたことに対する改革の意思表明であります。今こそこの改革の国民意思のもとに国のあり方を変えることです。
 官から民へ、そして中央集権から地方分権への潮流は、二十一世紀のとめることのできない流れとなってきました。
 さて、地方分権による三位一体の改革が進み、市町村はみずから財源を調達し、自立した経営が求められますが、果たして今の基礎的自治体のままで対応できるのでしょうか。自治体の行財政改革は待ったなしと思われます。
 この行財政改革の最大の方策は市町村合併であることから、平成の大合併が進められたと考えます。
 私も、旧秋川市と旧五日市町の合併に携わり、あきる野市を発足させ、ことしで十年がたちましたが、この経験から、市町村合併は、難しい局面はありましたが、大変意義あるものと認識しています。知事にお伺いいたしますが、今後の基礎的自治体のあるべき姿を踏まえて、市町村合併をどのように考えているか、率直な認識をお聞かせください。
 次に、多摩振興について幾つかお伺いします。
 まず、私の地元には、多摩川水系の秋川が流れていますが、この川は親水性の河川で、都民の憩いの場となっています。昔より魚族を育んできたこの母なる川も、山崩れの土砂や周辺の市街地などから流出する土砂が河床に堆積をして、岩や大きな石が埋まり、平坦になるなど、魚や水生生物にとって生息しにくい環境になってきました。
 そもそも、川は蛇行し、水を蓄え、瀬やふちをつくり、とろ場に多くの魚がすみつくのが本来の姿です。河床の平坦化は、魚のえさ場や隠れ家を奪い、最近ではカワウの格好のえさ場になってしまっています。地元漁協がアユの放流事業を行っていますが、放流と同時にカワウ被害に遭うことなど、その対策に苦慮しています。
 そこで提案ですが、水産振興の観点から、アユを中心とした川魚の回復を目指して、瀬やふちの再生など多様な河川形状を復元し、よりよい漁場を創出する事業を実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、カワウによる食害は、水産資源の枯渇だけでなく、魚の放流事業を行っている地元の漁業組合への打撃は少なくありません。都はカワウの被害防止等についてどのような対策をとっているか伺います。
 続いて、多摩の森林、林業について伺います。
 多摩の西部地域には、二十三区の面積に匹敵する約五万ヘクタールの森林があります。多摩の森林の六割は杉、ヒノキを主体とした人工林で、林業を通じて地域の人々の力で守り育てられてきました。今日、経営は極めて困難でありますが、将来にわたり林業を支えていくことが大切です。それはなぜかといえば、林業は、林業経営を通じ、森林を守る人材や技術、経営上の工夫と知恵を生み出してきたからであります。大切な都民の財産である多摩の森林を守るには、林業を中心とした森林整備への支援が必要です。都の支援の現状について伺います。
 次に、シカの食害による森林の荒廃が深刻です。去る九月十二日、自然環境保全審議会からシカ保護管理計画が答申されました。今後の具体的なシカの捕獲計画と、シカによる森林被害の復旧に対する都の取り組みについて伺います。
 続いて、多摩産材の住宅への活用についてであります。
 多摩産の木材利用を促進することで最も大きな影響力を持つのは住宅市場です。都民の木造住宅に対する志向は強いのでありますが、多摩産材の使用は少ないのであります。
 東京の森を育てるために、都民に多摩産の木材を使った住宅づくりを積極的にPRすることが必要です。都は、東京の木・いえづくり協議会を設立してPRするなどの取り組みは評価できます。しかし、都民の利用を促す仕組みが必要ではないでしょうか。そのための具体的、直接的な支援策を早急に検討していただきたいと思いますが、見解を伺います。
 次に、現在の林業は採算性の改善は難しい状況ですが、森林の再生、観光振興、災害対策のためにも林道整備を進めることが大切です。林道には木材搬出経費削減の効果があり、林業コスト削減に有効な手段であります。木材生産の基盤となる林道をどのように整備していくのか、都に伺います。
 五つ目として、先日の新聞によれば、ことしの都心部でのスギ花粉飛散量は史上最大規模と発表されました。知事もことしはスギ花粉症になられたようですが、多くの都民が花粉症に苦しめられました。どうしてもこれは退治しなければならないと思います。スギ花粉の増大は戦後の拡大造林政策により、花粉の多く発生する杉林を放置してきた国の責任であるといえます。国に対して発生源対策を強く求めるべきであると思います。
 また、飛散するスギ花粉は、広く関東圏から飛来しており、広域的対策も必要であります。
 ところで、現在行われている間伐では、スギ花粉の削減効果は極めて短期的です。スギ花粉を確実に削減するためには、伐採期を過ぎた杉を本格的に伐採をし、苗木を植えるなど、森林の循環を進めることが効果的といわれていますが、都は今後、森林の循環を回復するという視点を踏まえ、スギ花粉の発生源対策を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、次に、圏央道及びアクセス道路等の進捗状況と見通しについて伺います。
 圏央道の中央道八王子ジャンクションまでの工事については、地域住民は、圏央道が今年度中に中央道に接続されると大きな期待を持っていましたが、この残された工事区間は地下水など環境にも配慮をしたことにより、大変苦労して工事が現在進められていると聞いています。そこで圏央道の進捗状況について伺います。
 続いて、圏央道に関連する道路の進捗状況とその見通しについてですが、新滝山街道を初め、地元要望の強い秋多三・三・九号線や楢原あきる野線などの関連する都道の進捗状況、そして見通しについて伺います。
 次に、多摩地域における連続立体交差事業の進捗状況について伺います。
 多摩地域の道路交通の円滑化を図るためには、南北道路の整備や道路交通のボトルネックとなっている踏切の解消が不可欠です。これまで我が党は、連続立体交差事業の促進を強く求めてまいりました。この事業は、多額の費用と長い期間を要する事業でありますが、着実に一歩一歩前進しており、JR中央線やJR南武線など、工事が目に見えて進んでいることを実感しています。
 中央線では、三鷹駅から国分寺駅間において高架橋の柱が日に日に建ち並び、高架化への期待が一層高まってまいりました。西国分寺駅から立川駅間においても、この日曜日には上り線の仮の線路への切りかえ工事が無事完了し、着実に工事が進んでいます。
 また、南武線では、矢野口駅付近において近々高架化が完了すると聞いており、長年にわたる地域住民の協力と関係者のご努力の成果がようやく現実のものとなってまいりました。沿線住民が大きな期待を寄せ、一日も早い完成が望まれている中央線及び南武線の連続立体交差事業の今後の取り組みについて伺います。
 さて、市町村に対する財政支援について伺いますが、多摩地域は人口四百万人を超える地域であり、各市町村は地域住民の豊かな暮らしの充実を図るため、懸命に取り組んでいます。しかし、現実に財政的に厳しい状況を迎えており、さらに国の三位一体の改革の中で先行き不透明な状況に置かれています。今後、多摩地域の振興を一層図るためには、都みずからが行う事業を積極的に推進することと、市町村自身がその持てる力を発揮し、課題を解決できるように支援することが肝要です。
 都が広域自治体として行う市町村に対する財政補完は、市町村が今後とも十分な行政を行うための主要な柱であり、市町村振興交付金、調整交付金が果たす役割は極めて重要であります。
 そこで、両交付金を時代に合ったものとして、市町村に対する都の支援を一層充実強化すべきと考えますが、総務局長の所見を伺います。
 多摩振興の最後に申し上げます。
 旧都立秋川高校の施設で学んでいた三宅の子どもたちが、来年度をもって全員が巣立っていきます。さて、その後の旧都立秋川高校の跡地利用についてでありますが、元来、教育施設として設置されたものであり、今後も青少年育成のために活用すべきであると考えます。
 約十三万平方メートルの広大な敷地は、多摩地域の新たな拠点になり得るものです。多摩地域は、スポーツ・文化施設の整備が依然として脆弱な状態です。多摩地域にスポーツ・文化交流を通じて世界の青少年が触れ合い、理解と協力を深めることのできる場を持つことの意義は大きいと思います。
 知事は、さきの所信表明で、東京オリンピックの招致について触れられました。私は大賛成です。次代を担う青少年のスポーツ交流こそ世界の平和を象徴するものであります。この際、旧都立秋川高校の大きなキャンパスを国際的スポーツ交流や東京多摩国体の会場に利用できるよう要望しておきます。
 次に、個人都民税の徴収率の向上と区市町村への支援について伺います。
 三位一体改革、本格的な地方分権の到来に当たり、自主財源の確保は緊急の課題であります。そういう中において、歳入所管局である主税局は、さまざまな施策を講ずることにより、着実に徴収率を向上させていることは高く評価できます。さらに、税財源移譲を見据え、主税局では昨年四月個人都民税対策室を設置し、この設置により区市町村への支援を強化することで大変感謝をされていると聞いております。
 そこで、個人都民税対策室を設置した目的についてお伺いします。また、都は、区市町村に具体的にどのような支援を行っているのか、伺います。
 質問の最後になりますが、首都大学東京について伺います。
 都は、大学改革に積極的に取り組んだ結果、今年四月に公立大学法人を設立し、これまでの都立の四大学を再編統合して首都大学東京を開学しました。また、今般の組織改正により大学管理本部を廃止し、新たに総務局に大学改革の所管組織を設置したところであります。しかし、大学改革についてはまだ緒についたばかりであり、さらなる推進と努力が必要です。
 ここで改めて首都大学東京は、開学後、設置理念の実現にどう取り組んでいるのか伺います。
 これからの大学教育では、社会ニーズに的確に対応できる高度な知識、技術を有する人材の育成が不可欠といわれています。特に産業界から要望の強い高度専門職業人の育成のため、来年四月、産業技術大学院大学の開学が予定されていますが、産業技術大学院大学ではどのような教育に取り組むのか、または、開学に向けての準備状況について伺います。
 以上です。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 臼井孝議員の一般質問にお答えいたします。
 市町村合併についてでありますが、明治初期には実に七万以上も町村があったようでありますけれども、日本の近代国家としての形成が進み、戦後の地方自治の確立、そして近年の地方分権の推進を背景に、今年度末には千八百余りの市町村数になるという見込みだそうであります。
 こうした合併は、我が国における交通や通信の飛躍的な発達、生活圏の広域化、行政改革に対する国民の要請など踏まえた一つの歴史的必然と認識しております。
 市町村合併は、新たな行政需要の対応力を強化し、地方主権を確立していくための有効な手段だと思いますが、あくまで、やはり該当地の住民の意向というものを最大限そんたくする必要があると思います。
 また、皮肉なことに、道州制といわれておりますけれども、既存の都道府県の行政区分の区割りというんでしょうか、境界というものが邪魔になっていて、仄聞しますと、北陸でしょうか、東北でしょうか、ある山間の村では、互いに合併して町を形成したいんだけども、皮肉なことにそれを望んでいる二つか三つの複数の村が違う県に所属しているという、まあ皮肉な現象も起こっているようでありますが、いずれにしろ、これもかなりやっかいなバリアだと思いますけれども、住民の意思をあくまでもそんたくして、私は、しかも行政の合理性というものを追求するためにも有効な手段としてこれからも推進されるべき問題と心得ております。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 河川の機能回復についてなど六点のご質問にお答えします。
 まず、よりよい漁場の創出についてでございます。東京の河川を、魚を初めとする多くの生物が生息し、都民が親しめるものにしていくことは重要な課題であります。現在、河川を中心とした今後十年間の水産業振興プランの作成を河川管理者の協力も得ながら進めております。
 当該プランには、川魚の復活や、ヤマメ、マスなどの養殖生産量の増大、魚を育む水量や水質などの環境整備を盛り込むことが重要であると認識しております。これを踏まえ、遊漁者のみならず、都民が親しめる河川環境の創出に努めてまいります。
 次にカワウの被害防止対策についてでございます。カワウによる魚の捕食被害は、カワウの増加や河床の平坦化などが原因で拡大しており、川魚が減少するなど、水産業に深刻な影響を及ぼしております。
 都はこれまで、多摩川流域においてカワウの飛来状況調査や花火による追い払いなど防除方法の試験を行っているほか、漁業協同組合が行う魚の隠れ家づくり等への支援を行っております。
 また、カワウは都県境を越えて移動することから、国及び関係都県は広域連絡協議会を設置し、防止策の検討を行っております。さらに、水産業振興プランを策定し、カワウが魚を捕食しにくい河川の環境づくりを進めてまいります。
 次に、森林整備に対する都の支援の現状についてでございます。多摩の森林は木材の生産や水源の涵養、都民の憩いの場の提供などさまざまな役割を果たしていることから、総合的な整備が必要でございます。
 そこで、都では、森林所有者などが行う造林や間伐等の作業に対する補助、効率的伐採手法の普及指導、崩壊した山腹の復旧、合理的な林業経営の基盤となる林道整備や木材加工施設の設置などを支援しております。なお、間伐については、林業振興に加え、森林保全の視点からも積極的に支援を行っております。
 今後もこれらの事業を着実に推進し、適切な森林の再生、整備、育成が図られるよう支援してまいります。
 次に、シカの捕獲と、シカ被害により荒廃した森林の復旧についてでございます。
 東京都シカ保護管理計画では、来年度末までにシカの生息数を千頭以下に抑制することを目指しております。このため、本年度は、関係市町村と協力いたしまして、七百頭程度の捕獲を計画しております。
 森林の復旧については、土砂流出により崩壊のおそれがある奧多摩町オオダワ地区等の箇所において、昨年度より治山、砂防事業により復旧を図ってきているところでございます。
 また、土砂流出まで及んでいない箇所につきましては、シカ防護さく等を設置した上で造林を実施し、森林の復旧に努めております。
 次に、林道整備の進め方についてでございます。
 林道は、将来にわたる林業の維持発展のために必要不可欠な基盤となる施設であると認識しております。しかし、多摩の山は急峻かつ地形が複雑で、林道工事に多額の経費と時間がかかることから、十分な整備が進んでいるとはいえない状況にございます。
 日々の森林の管理と木材搬出を促進し、一層の林業振興を図るためには、幹線林道のみならず、支線となる作業道も含めた、きめ細かな林道整備が必要であります。
 そこで、現在、林道の配置、規格等を定めた整備計画を見直しているところであります。今後も積極的に林道の整備を進め、林業の振興を図ってまいります。
 最後に、スギ花粉の発生源対策についてでございます。
 花粉を減らすためには、間伐のみならず、杉林の本格的伐採が必要であります。このため、伐採後の木材活用に向け、搬出コストの低減や品質向上なども含めた、長期的かつ総合的な林業施策の展開を検討しております。
 また、関東地方全体の杉林面積に占める東京の杉林は六%にすぎず、花粉発生源対策には広域的な対応が不可欠であります。都は現在、八都県市と連携し、森林整備と木材流通の促進による抜本的な対策の検討を進めております。
 さらに、杉の造林の拡大を奨励してきた国に対し、花粉対策の取り組みの強化を強く要望してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 多摩産材の住宅への活用についてのお尋ねでございますが、都は、多摩産材を活用した木造住宅普及のため、木材供給者や住宅生産事業者などで構成する、東京の木・いえづくり協議会の設立や運営に対して支援を行ってまいりました。
 協議会では、今年度、住まい、森、環境をテーマにセミナーやイベントを開催し、都民に多摩産材を活用した住まいの魅力をPRしていく予定でございます。
 また、多摩産材を活用する家づくりに対し、現在、協議会と民間金融機関が提携した優遇融資などの支援策を検討しております。
 都といたしましては、今後とも、家づくりに多摩産材が活用されるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 道路整備に関する三点の質問にお答えします。
 まず、圏央道の進捗状況についてでありますが、本路線は、首都圏三環状道路の一つとして、首都圏の渋滞緩和と環境改善などに資するとともに、多摩地域の発展にも大きく寄与する重要な路線でございます。
 都内区間二十四・六キロのうち、現在、青梅インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの十・七キロが供用しております。残る十三・九キロのうち、中央道八王子ジャンクションまでの九・六キロにつきましては、用地取得を完了しており、工事につきましても約八割進捗しております。
 今後とも、来年秋の中央道との接続に向け、事業の促進に努めてまいります。
 次に、圏央道に関連する都道整備についてでありますが、新滝山街道は、全線七キロのうち三・三キロが開通し、残る高尾街道から東側の三・七キロで用地取得を進めており、順次、遺跡調査や切り土工事を行っております。
 秋多三・三・九は、あきる野市草花地区の二百五十メートル区間で事業中であり、今年度、用地取得及び擁壁工事を行っております。
 また、楢原あきる野線は、現在、秋川にかかる東秋留橋の下部工事を進めており、今後、雨間立体につきましても早期着手するなど、残る区間の整備を進めてまいります。
 今後とも、国費などの財源確保に努め、地元関係者の理解と協力を得て、事業の推進に努めてまいります。
 最後に、JR中央線と南武線の連続立体交差事業の取り組みについてでありますが、本事業は、多摩地域における南北交通の円滑化や沿線のまちづくりにも寄与する極めて重要な事業でございます。
 中央線の三鷹―国分寺間は平成十九年春に、西国分寺―立川間は二十年秋に下り線を高架化いたします。これにより、踏切の遮断時間や横断距離が短縮され、渋滞の緩和と安全性の向上が図られます。
 引き続き、上り線の工事を進め、三鷹―国分寺間は二十年秋に、西国分寺―立川間は二十二年春に立体化が完了する予定でございます。
 また、南武線では、来月九日に矢野口駅付近の立体化が完了し、鶴川街道など八カ所の踏切が除却されます。引き続き、稲城長沼―南多摩付近の第二期工事に着手いたします。
 今後とも、国費などの財源確保を図りながら、沿線住民の理解と協力を得まして、着実に事業を推進してまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕
〇総務局長(高橋功君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、市町村に対する都の支援についてでございます。
 多摩地区の振興に当たりましては、地域の発展を支える市町村の取り組みが不可欠であり、都が広域自治体として市町村の一般財源を補完する市町村振興交付金、調整交付金は大きな役割を果たしております。
 しかし、市町村が、今日のように極めて厳しい財政状況の中で、創意工夫を凝らした事業を適切に実施していくことができるようにするためには、これらの交付金が一層効果的な財源補完となるよう、改善を図っていく必要がございます。
 今後、多摩地域のさらなる振興と市町村の自主性、自立性の向上を促進する観点から、市町村振興交付金、調整交付金などの支援制度のあり方につきまして検討してまいります。
 次に、首都大学東京の開学後の取り組みについてでございますが、首都大学東京では、大都市のさまざまな課題を解決し、リーダーとして活躍できる人材の育成を目指し、現場重視の体験型インターンシップ、課題解決能力を高める基礎ゼミなど、新たな実践的教育を実施しております。
 また、社会に開かれた大学として、生涯学習の拠点となるオープンユニバーシティーのほか、地域産業の振興を図るため、産学公連携センターを開設しております。
 今後、さらに、新しい時代の要請にこたえ、公立大学としての使命を果たすため、インダストリアルアートコースや都市政策コースの新設など、東京の産業力の強化や発展に寄与する教育研究を充実してまいります。
 都といたしましては、首都大学東京の設置理念の実現に向けまして、公立大学法人に対し、評価委員会による大学運営の評価等を踏まえ、適切な指導や支援を行ってまいります。
 最後に、産業技術大学院大学についてでございます。
 産業技術大学院大学は、東京の産業を活性化する意欲と能力を持つ高度専門技術者の育成を目的とする専門職大学院として設置いたします。そのため、第一線で活躍する先端企業の実務家などを教員に招き、産業界のニーズを的確に即応させた実践的な教育プログラムを実施することとしております。
 本年六月には文部科学省に設置認可申請を済ませ、現在、主に中小企業や大学生などを対象とした広報活動を積極的に実施しております。十月からは受験生を対象とした説明会を開催するなど、来年四月の開学に向け万全を期してまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕
〇主税局長(菅原秀夫君) 個人都民税対策につきましての二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、個人都民税対策室の設置目的についてでございますけれども、個人都民税は、各区市町村が区市町村民税とあわせて賦課徴収しているものでございます。しかしながら、都税全体の徴収率と個人都民税の徴収率は大きく乖離しております。また、所得税から個人住民税へ税源移譲が見込まれる中、徴収率の向上が緊急の課題となっております。
 このため、都と区市町村が協力、連携を深めながら、徴収率の向上と税負担の公平の確保を図るため、他の道府県に先駆けまして、区市町村に対しさまざまな支援を行う個人都民税対策室を昨年四月に設置したものでございます。
 続きまして、区市町村への具体的な支援についてでございますけれども、現在、区市町村の困難な滞納事案を都が引き受けまして処理するという直接支援を行っております。対策室の設置以降、四十八団体から七百二事案、四十六億円の引き受け実績がございます。
 また、これまでに、都の職員を十六団体におのおの二カ月間派遣いたしまして、区市の職員とともに処理することで、都の滞納整理のノウハウを学んでいただく間接的な支援も行っております。
 さらに、区市から職員を延べ五十二人、おのおの一年間から二年間受け入れる支援も行っております。
 今後とも、本格的な分権社会の到来と、国から地方への税源移譲を見据えまして、各区市町村の徴収部門へのさまざまな支援を積極的に継続してまいります。

〇議長(川島忠一君) 三十五番村松みえ子さん。
   〔三十五番村松みえ子君登壇〕
〇三十五番(村松みえ子君) 質問に先立ち、石原知事に一言申し述べます。
 昨日、知事は、国連憲章なんてまともに信じているばかはいませんよと、国連憲章を否定し、侮辱する答弁をしました。
 国際連合は、第二次世界大戦の痛切な反省に立って設立されたもので、その目的の第一条に、国際平和及び安全を維持することを高らかにうたい上げ、掲げ、各国の内政には干渉しない、国際的な武力の行使は国連の決定によるなどの諸条件を定めています。この旗のもとに世界の国々が集い、世界平和のために力を合わせているのです。
 知事の発言は、多くの戦争犠牲者を出した首都東京の代表として許されるものではありません。厳しく抗議するとともに、都民に謝罪し、発言を撤回するよう強く求めるものです。
 安全で快適な学校づくりについて伺います。
 現在、多摩地域の小中学校には、三十万人近い児童生徒が通学しています。その日本の未来を担う子どもたちが安全で快適な学校生活を送れるよう教育環境を整備することは、行政が何をおいても進めなければならない大切な仕事となっています。
 日本共産党は、この間、学校施設の調査を進めてきましたが、そこで明らかになったことは、校舎の老朽化や耐震対策のおくれです。さらには、アスベストなど、子どもたちの健康被害や、一つ間違えれば大災害に結びつきかねないような状態に置かれている学校が少なくないことです。
 まず、アスベスト対策についてですが、アスベストは、吸引から三、四十年もたって発症し、短期間で死亡に至る中皮腫やじん肺などを引き起こすものです。そのような危険なものが、成長期の子どもたちが生活する学校で今日まで使用され続けてきたことに、学校関係者は驚きと怒りの声を上げています。
 学校のアスベストは、一九八七年に全国一斉調査を行い、除去対策を実施しました。吹きつけアスベストが対象外とされるなど、不十分、不徹底なもので、多くの学校にアスベストが残されました。また、かつては白墨の中にも含有されていたといわれています。さらに今回は、予想もしていなかった、給食のおかまなどの調理用具からアスベストが発見されています。
 しかし、アスベストを一つも見逃すことなく見つけ出すためには、空気中のアスベスト浮遊量を検査することも必要です。また、日野市の学校での給食用のおかまは、製造メーカーからの通知で発見されたものです。漏れなく掌握するためには、アスベストを製造、販売、使用した業者、すなわち川上からの追跡調査をすることが必要と考えます。
 また、市長会は、緊急要望として、公共施設のアスベスト除去にかかわる経費について、必要な財政措置を講じることを要望しています。学校のアスベストを機敏に撤去するために、この要望にこたえて都が支援することが必要と考えますが、それぞれ答弁を求めます。
 学校でのアスベスト吸引による健康被害も心配されます。過去の在校生や職員なども含め、学校でのアスベスト吸引と、それに起因する健康被害の発症の関係について調査研究するとともに、健康診断や、発症した場合の対策を講じることも求められていると思いますが、どうでしょうか。
 多摩地域には、一九六〇年代からの人口急増期に建設された学校が多くあり、大規模改修や建てかえ時期を迎えています。
 この問題について、日本共産党は改めて調査を行い、私自身、日野市、八王子市、小金井市などの学校を訪問し、この目で現場を見てきましたが、その結果は驚くべきものでした。
 ある学校では、プレハブ校舎がいまだに使われていて、すき間から青空がのぞけるとか、雨漏りがひどくて、バケツを幾つも並べて雨水を受けているという学校もありました。ある市では、十四校の小中学校のうち、雨漏りしない学校がわずかに四校だということです。生徒から、雨が降ると雨漏りで黒板が使えなくなるので、黒板にひさしをつけてほしいと訴えられたところもあります。
 また、非常階段が腐食していて使用できない学校も複数あり、過去には、老朽化がひどくて、天井のモルタルが畳一畳分くらいはがれ落ちた学校もあったということです。幸い生徒はいなかったために、けが人は出なかったということですが、子どもたちが学ぶ学校がこんなありさまでよいのかというのが私の率直な感想です。
 そこで、これら緊急の対応に迫られている学校については、大規模改修や建てかえ待ちにするのでなく、緊急整備期間を設定して集中的に改修、改善することなど、都として支援することが必要と考えます。見解を伺います。
 改修や建てかえなどの必要に迫られながら、市町村が必要な対策に踏み出せない原因として、厳しい市町村の財政状況を指摘しなければなりません。実際に、多摩地域の市町村の税収の規模は、二十三区の三分の二の水準で、財政力の差がそのまま学校施設の改修に反映しているといっても過言ではありません。
 耐震対策も同様です。耐震改修では、二十三区が約七割済んでいるのに、多摩地域は五割を超えた水準にとどまり、これも多摩格差の一つとなっております。
 一昨年の宮城県北部地震での河南町北村小学校の被害は、耐震補強の必要を改めて浮き彫りにしましたが、学校の耐震補強の支援については、静岡県、宮城県に続き、福井県が今年度から県単独の補助に乗り出しました。
 東京の場合は、震度七規模の直下型地震が予想されており、対策は待ったなしです。この際、東京都として、改めて区市町村と連携して、学校の老朽度や耐震性の実態を調査するとともに、財政支援について、多摩地域の市町村と率直に協議を行うことを求めるものですが、答弁を伺います。
 知事、改めて伺いますが、先ほど紹介したように、多摩地域の子どもたちが、雨漏りや、ひどく老朽化した施設で勉強しているというこの現実をどう受けとめますか。私は、一日も早く改善してあげたいと思いますが、答弁を求めます。
 さきの第二回定例会において、個人木造住宅の耐震助成を求める決議が全会派一致で採択されました。これは、昨年末、中央防災会議が発表した直下型地震の被害想定で、三十三万棟の住宅の倒壊が予想されていることなどを踏まえたもので、都はこれに早急にこたえる必要があります。
 都として、木造個人住宅の耐震診断と耐震補強に対する補助制度を創設することを提案するものですが、知事の決断を求めるものです。見解を伺います。
 次に、シルバーパスの問題です。
 シルバーパスは、高齢者の社会参加の促進と福祉の向上を目的としており、介護予防の効果も注目されています。ところが、年金課税強化に伴い、現在、千円パスを利用している人のうち、一割以上の七万七千人が来年九月には二万五百十円にはね上がります。シルバーパスがますます利用しにくくなる深刻な問題であり、負担増を招かない対策が必要です。
 第一回定例会で、福祉保健局長はこの問題で、税制改定に伴う高齢者への影響を認め、慎重に対処してまいりますと答弁されました。どう対応するのか、検討の内容を明らかにしていただきたいと思います。
 高齢者に負担増が押し寄せているもとで、所得に応じた三千円パスや五千円パスを導入することは重要になっています。都は、現行制度で多く高齢者がパスを利用しているといいますが、五年前の全面有料化に伴い、住民税課税者のシルバーパス利用は、十七万人から十一万人に大きく減っているのです。負担が重くて利用をあきらめていることは明らかです。
 都は、千円と二万五百十円の二種類だけでは差があり過ぎる、段階的な負担額にしてほしいという多くの高齢者の切実な要望をどう受けとめているんですか、お答えください。
 多摩都市モノレールへのシルバーパス適用も、沿線住民の切なる願いです。
 モノレールが運行されてから、バス路線が大幅に減少、廃止されています。例えば、多摩動物公園から高幡不動駅まで三十七往復していたバス路線が、平日は廃止、土曜もわずか三往復に減らされました。モノレールは往復で四百円かかります。
 同じケースの横浜市では、第三セクターの株式会社が運行する新交通金沢シーサイドラインが開業したとき、それまで走っていたバス路線が廃止されたため、敬老パス条例を改定し、代替手段として金沢シーサイドラインもパスを利用できるようにしています。千葉市、名古屋市、神戸市、広島市でも、第三セクターの新交通に敬老パスが使えます。
 多摩都市モノレールへのシルバーパス適用を提案した我が党の文書質問に対する都の答弁は、パスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例により都営交通と路線バスとなっているから適用できないというものでした。それなら、条例を変えればいいではありませんか。なぜそれができないんですか。
 多摩都市モノレールは、東京都が五割以上を出資している公共交通です。横浜市などの政令市と同じように、シルバーパスを使えるようにするのは当然のことだと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 村松みえ子議員の一般質問にお答えいたします。
 お答えの前に、国連憲章に関するご注意でございますが、国連憲章に何がうたわれていようと、あの内部が腐敗し切った国連の実態、それから、戦後六十年たってもなお戦勝国条項なるものがまかり通っているいびつな仕組み、運営とその実態、あるいはチェチェン、コソボなどの危機的状況の中での国連の無能ぶりを直視されたら、そろそろ国連信仰というのはお捨てになったらいいんじゃないでしょうか。
 学校施設の改善についてでありますが、各区市町村は、学校の設置者として施設等教育環境の整備に取り組んでおります。すべての学校が、お話のように劣悪な環境にあるものとは考えておりません。
 子どもたちの安全確保を第一として、その維持管理に取り組んでいくことは、設置者の責任であります。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、アスベスト使用状況の調査についてでございますけれども、現在、文部科学省では、全国の学校施設及び用具類のアスベスト使用状況について調査を実施しております。
 都教育委員会といたしましても、これらの全国調査に対応いたしまして、現在、都立学校及び公立小中学校について鋭意調査を進めているところでございます。
 都立学校においてアスベストの使用が判明した場合には、必要に応じまして空気中のアスベスト濃度を測定し、飛散の有無を確認するとともに、必要な工事を行います。
 給食調理機器につきましては、製造業者に問い合わせた結果、一部にアスベストが含まれていることが判明した回転がまにつきましては、直ちに使用を中止し、早急に交換を行うとともに、区市町村への情報提供を行うなど、既に適切な対応を進めているところであります。
 次に、学校のアスベスト除去に対する都の支援についてでありますが、アスベスト対策につきましては、その緊急性と、児童生徒に対する安全対策を徹底させることが必要であることから、各区市町村が学校施設の実態に応じて主体的な取り組みを進めているところであります。
 都教育委員会といたしましては、関連各局と連携を図りながら、都の取り組み状況や関連情報を提供し、担当者を対象としました研修会の実施など、区市町村への支援を行っていきます。
 次に、過去の在校生や職員なども含めた健康被害の発症について調査研究することについてでございますが、現在、アスベストの使用状況調査を進め、実態の把握に努めているところでございます。健康被害への影響につきましては、国がリスク評価に基づく健診対象やアスベスト暴露者に対する健康管理の方法に関して検討を始めたと聞いております。都教育委員会といたしましては、その動向を踏まえながら、関連各局と相談の上、適切に対応してまいります。
 次に、集中的な改修への都の支援についてでございますが、区市町村では、学校施設の老朽化の状況に応じまして、国の補助制度を活用して、計画的に施設の改築、改修を進めているところであります。
 都教育委員会といたしましても、国に対して、公立小中学校の改築、改修が促進できる財源を十分確保するよう引き続き要望してまいります。
 最後に、区市町村への財政支援等についてでございますが、公立小中学校の施設を良好な状態に保ち、児童生徒の身体、生命の安全を確保していくことは、設置者であります区市町村の責務であります。お話のような調査は、設置者が主体的に行うべきものと考えております。
 都教育委員会としては、区市町村が学校施設の耐震化等を適切に推進するよう、耐震化に関する講習会を実施するなど、必要な指導、助言を行ってまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 木造住宅の耐震化についてのお尋ねですが、都といたしましては、これまで簡易な自己診断方法の周知など、都民への普及啓発に努めてまいりました。今後は、耐震化を促進するため、安価で簡易な住宅の耐震工法等について、都民に広く情報提供していく予定でございます。
 また、避難の安全を確保するなど、公共性の高い地域につきましては、助成制度も含め、都民負担の軽減策を検討しております。
 今後とも、自助、共助、公助の原則を踏まえ、住宅の耐震化に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) シルバーパスについて三つのご質問にお答えいたします。
 まず、税制改正に伴うシルバーパスの対応についてでございますが、本事業は、市町村民税非課税の方には千円、それ以外の方には二万五百十円の利用者負担を求める制度となっております。市町村民税は、前年の所得をもとにしておりまして、シルバーパスの利用者負担への影響が生じますのは平成十八年になることから、税制改正の趣旨なども踏まえまして、今後、慎重に対処してまいります。
 次に、所得段階に応じたパスについてでございますが、本制度は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年度に見直しを行ったものでございます。現在、多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されており、パス本来の目的に十分沿っているものと考えております。
 最後に、多摩都市モノレールへのシルバーパスの適用についてでございますが、シルバーパスは高齢者の社会参加活動を促進するために行っているもので、利用を希望する方に社団法人東京バス協会がパスを発行し、都が補助を行っている事業でございます。東京都シルバーパス条例により、パスの利用交通機関は都営交通と路線バスとなっておりまして、新たな対象の拡大は考えておりません。

〇議長(川島忠一君) 六十九番きたしろ勝彦君。
   〔六十九番きたしろ勝彦君登壇〕
〇六十九番(きたしろ勝彦君) 環境に優しい花と緑のガーデンシティーのまちづくり、納税者が納得するむだのない行政、犯罪の少ない治安のよい東京をとの主張のもとで、今この場に立っているわけですが、この場を与えてくださった皆さんに感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。
 最初に、心の東京革命に関してです。
 最近の若い人を見ていると、個人が果たすべき役割や責任を軽視する自己中心的な行動が目につきます。その大きな原因として、戦後教育に問題があったのだと私は考えています。他人を尊重する、目上の人を敬うといった日本人の精神が受け継がれず、道徳や日本の伝統文化などの内容が軽んじられてきた結果、基本的人権の尊重と個人主義が履き違えられ、利己主義の傾向が強まっているのが現実です。このままで本当に日本は大丈夫なのかと心配をしているわけです。
 明治、昭和の良心を教育された世代が減っていく中で、よい点が引き継がれず、思いやりの心を持つ子どもが少なくなっています。
 このような状況の中で、心の東京革命を石原知事の発案で推進していることを知り、強く共鳴、共感をした一人です。人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取り組みは、心を持った子どもたちを育成していくことであり、まさに大切な視点であります。私は、精神的な価値を軽んじてきた戦後教育に警鐘を鳴らし、日本人のあるべき姿を取り戻すこと、日本人のアイデンティティーやモラルを大切にする心を見詰め直すこと、それが心の東京革命の原点なのだと思っております。
 都が取り組む総合的な青少年対策、あるいは心の東京革命を推進するに当たっても、日本人の心を大切にするという原点を忘れずに取り組んでほしいと考えているわけです。
 そこで、いま一度、青少年の置かれている現状と育成のあり方について、知事はどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
 次に、古川の整備についてです。
 先般、九月四日には、時間一〇〇ミリを超える集中豪雨が神田川流域等を襲い、河川からの溢水被害や護岸の崩壊など、大規模な災害をもたらしました。水害の被害を受けた皆様には心からお見舞いを申し上げます。
 こうした一〇〇ミリを超える集中豪雨は、平成十一年に、港区を流れる古川流域においても同じように、河川の溢水被害など、大規模な災害をもたらしました。
 首都東京の中心部に位置し、白金、南麻布、麻布十番などを流れる古川では、昨年も台風二十二号、二十三号と立て続けに浸水被害が発生し、つい最近の九月十一日には、短時間の集中豪雨により、護岸満杯まで洪水が達しており、地元では大雨のたびに土のうを積み上げて備えなくてはならず、再度、同様な浸水被害が発生するのではないかと絶えず不安を抱えているわけです。
 国際都市を標榜する東京の都心部で、絶えず集中豪雨の危険にさらされる地域が存在し、真の国際都市といえるのでしょうか。こうした現状を踏まえ、川沿いの住民の願望でもある古川の整備にすぐに取り組むべきと思います。
 そしてまた、古川においては、川沿いに高速道路の橋脚やビルが建ち並び、河川の拡幅が難しいことから、河川の整備に当たっては地下調節池の整備を先行して進めていくことが必要であると思っているわけです。
 現在、古川の整備について具体的にどのような検討を進めているのか、お伺いをいたします。
 次に、芝公園の一体管理についてです。
 芝公園は、増上寺、東照宮といった歴史的資源や民間ホテルなどを含む、計画面積三十三ヘクタールの公園です。そのうち、南側部分約八ヘクタールは、都立公園が約二・五ヘクタール、区立公園が約一・四ヘクタール、民間事業者区域等が約四・一ヘクタールに分かれ、それぞれの管理者が個別に管理をしています。これらの区域は、利用する都民の側から見れば一つの公園です。そのため、この部分を、ロンドンのハイドパークとかニューヨークのセントラルパークに比肩できる都心部にふさわしい公園にしていきたいと考えております。
 現在、東京都では、公園別のパークマネジメントプランを作成していると聞いていますが、芝公園では、周辺の区立公園等と連携を図り、都心部における緑の拠点を確保することが重要です。そのためには、当該区域約八ヘクタールを一体的に統合し、管理することで、すばらしいロケーションを提供することができるものと思います。
 そこで、都と区などの公園の管理者を一体化して管理をするべきと思いますが、考えをお伺いいたします。
 また、都立芝公園は、十二ヘクタールを超えて開園している公園ではありますが、俗にいう薄皮まんじゅうであります。そして、この地域には、グラウンド、テニスコートもあります。こうした状況から、南側区域の都管理の公園部分について、都と区の役割分担を踏まえ、区へ移管し、区が一体管理する手法も一つの方法として考えられるのではないでしょうか。これは要望をしておきます。
 次に、環状二号線新橋・虎ノ門地区についてです。
 東京都は、新橋・虎ノ門地区において、現在、都市計画道路の環状二号線を、地下道路を街路事業、地上部の道路を再開発事業により整備しています。この路線は、臨海部を含む沿道の開発を誘発するなど、都市再生の基軸となる重要な路線であるとともに、新橋・虎ノ門地区の根幹的公共施設であり、その早期整備は地元の悲願となっております。
 環状二号線の地下道路については、トンネル上部の開口部が地域分断の原因になるとして、換気塔を設置した上でふさいでほしいとの強い地元要望があります。この開口部についての方向性を早急に定め、整備に取り組んでいくべきと考えます。
 そこで、環状二号線の地下道路整備の進め方についてお伺いをいたします。
 次に、地元にとって最も関心が高い地上部の道路の整備形態についてお伺いをいたします。
 環状二号線の地上部は、将来、沿道住民が道路を横断して自由に交流でき、にぎわいが創出されるような道路空間として整備されるべきだと思います。また、ヒートアイランド対策の一環として、緑豊かな空間を確保するなど、環境に配慮した道路づくりも重要と考えます。
 そこで、地上部道路の整備イメージについて都の見解をお伺いします。
 次は、振り込め詐欺対策についてです。
 これまで振り込め詐欺対策については、警察を初め事業者においてもさまざまな取り組みが行われてまいりましたが、いまだに多くの被害者が後を絶っておりません。
 そこで、まず、知事の所信表明にありました振り込め詐欺総合対策会議について、いつから、どのようなメンバーで、どのような検討をしていくのか、お伺いをいたします。
 振り込め詐欺の被害が後を絶たない背景には、金融機関のATM設置台数の増加や、コンビニエンスストアへのATM設置等、容易に振り込みや引き出しがしやすい環境があると私は認識しております。これは利便性を求める都民のニーズにこたえたものでありますが、その裏側には犯罪の危険性の落とし穴があり、重要なのは、利便性と安全性のバランスをどのようにとっていくかということであります。犯罪の危険性をいかに最小限にしていくかを、金融機関のみならず、社会の中で議論していくべきではないでしょうか。振り込め詐欺の対策に関する会議には金融機関の参加も予定されているようですが、こうした点を踏まえて、まさにこのような議論がなされることが必要と考えますが、お伺いをいたします。
 振り込め詐欺については、これまで新聞等でも報道され、都民にも広く周知されているはずですが、これまで各種の啓発が行われてきたにもかかわらず、十分な成果が上がっていないのが現状です。振り込め詐欺対策を進めるに当たっては、何といっても被害防止のための都民への啓発は欠かせないところですが、今後はどのような形で啓発を行っていくことが必要と考えるのか、お伺いをいたします。
 次に、都内中小企業の国際化支援についてお伺いをいたします。
 グローバル化が進展し、大企業が生産拠点を海外に移転させたことなどにより、都内ものづくり企業の取引高は著しく減少してきております。意欲のある中小企業は、新たなビジネス機会を確保するため、海外展開を指向していますが、人、金、情報、ノウハウといった経営資源の不足や具体的なビジネスチャンスに恵まれないことから、いまだ海外展開を進められない中小企業が多数存在しています。こうした中小企業の課題を解決し、国際化によりビジネス機会を拡大させることは、中小企業の取引高の増加を図る上で非常に重要なことと考えます。
 さらに、外資系企業に対してビジネスや生活に関する情報をきめ細かく提供することで、東京への定着を図るとともに、新たな取引相手を海外から東京に呼び込むといった取り組みも必要であると考えます。
 そこで、都内中小企業と海外企業との取引拡大についての取り組み状況と今後の方向性についてお伺いをいたします。
 最後に、中小企業に対するデザイン活用支援についてお伺いをいたします。
 我が国製造業は、これまで小型化、軽量化、高速化といった製品自体の機能、性能の向上や低価格化を目指した技術開発を行い、強い競争力を誇ってまいりました。しかし、近年、中国を初めとするアジア諸国が、価格面のみならず品質面でも急速に競争力を高めております。こうした経済状況の中で、ものづくり産業では一層の高付加価値化、差別化を図ることが重要な課題となっており、企業戦略としてのデザイン活用が注目されております。大手の自動車メーカーや家電メーカー等では、デザイン戦略の見直しにより新たなブランド構築を進めてきておりますが、中小企業においては、まだまだ取り組みがおくれているのが実情であり、行政の支援が強く求められているところであります。
 都内中小企業がグローバルな経済競争を勝ち抜いていけるよう、デザイン活用支援を強化していくべきと考えますが、お伺いをいたします。
 これにて私の質問を終わらせていただきます。清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えいたします。
 今日の青少年の置かれた現況とその育成についてでありますが、さきに東京都はかなり思い切った改革を青少年健全育成条例についていたしました。これは、周囲の県からも評価されまして、埼玉県も神奈川県もこれにならった改正を行ったようでありますが、いずれにしましても、社会の基本は人であります。我々がこれからのこの国家社会を託する若い世代というもののあり方が実は国家の将来を決めるわけでありまして、思い返してみますと、明治時代には、非常に有為な人材が極めて若い世代から輩出したわけであります。比べて、現在の日本は物質的な豊かさを享受している反面、それが逆にあだになって、青少年を取り巻く状況は憂慮すべき状態にあると思います。
 学校もしっかりしなくちゃいけませんが、ともかく子どもが一番大きな、いろいろな、さまざまな影響を受ける場である家庭で、若い親たちが子どものしつけ、教育ができない。子どもをしっかりしかれない、育てられない親というものがふえていまして、親そのものが実は戦後の教育、しつけのゆがみから生じた、私たちから見れば、いささか物足りない親でしかない。こらえ性のない親がこらえ性のないままに子どもを育てて、結局、子どもがこらえ性という大事な要件というものを人間として欠いて、非常に放らつな風俗というものをしょうけつさせているわけでありますが、こうした状況を克服するためにも、地域の大人や親が連携して、子どもの育成にかかわることが肝要だと思っております。日本の将来を担う青少年を我々大人の責任で育成しなくちゃならないと思っております。
 警察庁に頼んで、主に治安対策の担当で招来しました竹花前副知事が、一年たった後で、やはり治安というものが行き着くと、青少年の健全育成に帰結しますということで、新しい組織も構築しましたが、これをこれからもフルに生かして、皆さんのお知恵とお力をかりながら、東京において日本の将来を担う青少年を我々の責任で健全に育成していきたいと思っております。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 河川整備など三点の質問にお答えします。
 まず、古川の整備についてでありますが、古川は、流域が市街化され、水害の危険性が高く、護岸の老朽化も進んでいることから、抜本的な治水対策が必要であると認識しております。しかしながら、川沿いにビルや高速道路の橋脚が建ち並び、拡幅による河川整備が困難であるため、現在、それにかわる整備手法について具体的な調査を行っております。
 お話の地下調節池につきましては、ボックス方式やトンネル方式など、貯留施設の形態や規模、洪水を取り込む取水施設の候補地などについて技術的な検討を進めております。
 最近の集中豪雨被害を踏まえ、引き続き検討を進め、水害対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、芝公園における都立公園と区立公園等の管理の一体化についてでありますが、芝公園は、日比谷公園や青山公園とともに、都心部における緑の拠点としての機能を有する公園であります。その管理につきましては、平成十八年四月から指定管理者制度を導入する予定であり、現在、その事業者を選定中であります。
 お話の芝公園の区域につきましては、都立公園の指定管理者による一体的な管理の手法を今後地元区などと検討してまいります。
 最後に、環状第二号線の汐留・新橋・虎ノ門地区における地下道路整備の進め方についてでありますが、本路線は、都心部の渋滞緩和を図るとともに、都心部と臨海部を結ぶ幹線道路ネットワークを形成する重要な路線でございます。
 当該区間につきましては、トンネルの一部区間に開口部を計画しておりましたが、このほど換気塔設置の見通しがついたことから、開口部を設けないトンネルとする方向で調整を進めております。
 今後、地元の理解と協力を得ながら、早期完成を目指し、事業を推進してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 環状第二号線新橋・虎ノ門地区の地上部の整備イメージについてでございますが、地上部の道路は、地下の本線部と異なり、地域内道路としての性格が強いため、地域の交流やにぎわいの創出、道路景観や環境への配慮が重要でございます。
 今後、緑豊かでゆとりある歩道の確保や、ヒートアイランド対策として保水性舗装を採用するほか、街路灯や舗装のデザインに工夫を凝らすなど、国際都市東京にふさわしい洗練された道路空間の創出に向け、関係者間で協議しながら整備内容を具体化してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 振り込め詐欺対策に関する三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、振り込め詐欺対策に関する会議についてでありますが、都と警視庁が中心となりまして、区市町村、金融機関、通信事業者、フランチャイズチェーン事業者及び弁護士会などの関係機関による総合対策会議を来月早々にも設置する予定であります。
 この会議におきましては、振り込め詐欺撲滅のための効果的な総合対策を打ち出していきたいと考えております。
 具体的には、ATMの対策としまして、容易に振り込めない、引き出せない対策、また、被害に遭いやすい高齢者や女性の被害防止対策、そして、被害者救済対策などを検討し、施策の具体化を図ってまいります。
 次に、ATMに関する問題、すなわち利便性と安全性に関する議論についてでありますが、この種の犯罪被害を最小にとどめるためには、何といいましても、金融機関やコンビニエンスストアに設置されているATMにつきまして、一回当たり、あるいは一日当たりの振り込みや引き出しの限度額を低く設定することが極めて効果的な対策であると考えています。したがいまして、利便性を念頭に置きつつも、ご指摘のとおり、都民の安全を確保するために、こうしたATM対策につきましても会議の場で具体的に議論してまいりたいと考えております。
 次に、都民への啓発についてでありますが、振り込め詐欺事件では、高齢者や女性の方が多く被害に遭われておりまして、特にこうした方々に対する啓発活動が被害防止に不可欠であります。これまでもいろいろな啓発活動がなされていますが、被害者になりやすい高齢者や女性に対して、より一層直接的に注意喚起できる方策を警察や区市町村などと検討し、その実施を図ってまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 中小企業対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業と海外企業との取引拡大についてでございます。
 国際競争が一段と厳しくなる中、都内中小企業の活性化を図るには、海外企業との取引拡大がこれまでにも増して重要でございます。
 都は、これまで海外貿易情報の提供、海外での展示商談会の開催等により、都内中小企業の海外展開を支援してまいりました。さらに、本年八月には、外資系企業の定着促進等を図るため、東京ビジネスエントリーポイントを開設し、ビジネス、生活の両面にわたる情報提供と相談対応を開始したところでございます。
 今後、都内中小企業と海外企業との一層の取引拡大に向け、効果的な施策展開を図ってまいります。
 次に、デザイン活用支援の強化についてでございます。
 デザインは、製品の魅力向上や企業のイメージアップに資するものであり、中小企業の競争力強化のための経営戦略として非常に重要なものであると認識しております。
 こうしたことから、都は、中小企業のデザイン開発力を強化するセミナーや、デザイナーと中小企業とのマッチングを図る商品デザイン特選マーケットなど、さまざまな支援事業を実施しております。
 今後とも産業技術研究所のデザイン支援機能を充実するとともに、中小企業振興公社の経営支援機能と一体的に活用することより、都内中小企業のニーズに合致した、より効果的なデザイン活用支援策を実施してまいります。

〇議長(川島忠一君) 七十八番岡崎幸夫君。
   〔七十八番岡崎幸夫君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕
〇七十八番(岡崎幸夫君) 私、岡崎幸夫は、都議会民主党、すなわち中村明彦幹事長、柿沢未途政策調査会長、相川博総務会長を先頭に活動している三十五名の会派の一員として質問をさせていただきます。
 今日の経済状況は、つい先日、IMFの公表した本年の世界経済見通しで、我が国のGDP伸び率予想を四月時点の〇・八%から二・〇%へと大幅上方修正されたり、株価も四年ぶりに一万三千円突破、出来高最高を記録したり、企業倒産件数もこの十年では最も少ない件数が予測されたりと、明るい報告も少なくないのですが、都区部の家計消費支出や都内の新設住宅着工戸数はほぼ横ばいか減少傾向にあり、完全失業率も、全国ではこの五年で約一%下がったとはいえ、都内は依然として五%前後と厳しい状態が続いております。さらには、ニートは五十二万人に上り、別の統計では約八十四万七千人ともいわれております。また、フリーターも二百十七万人と明らかにされております。
 こうした中で、人々の生活も多様になってきており、フレキシブルな労働形態や週休二日制の定着等で余暇の過ごし方も、どこかのだれかではありませんが、人生いろいろ、会社もいろいろ、余暇の過ごし方もいろいろ、きのうは靖国もいろいろ、歴史もいろいろでしたが、コンビニエンスストア花盛りの今日、大手スーパーも深夜営業に踏み切るところも幾つもある状態です。にもかかわらず、都民向けの公共施設の多くが午前八時半から午後九時ぐらいまでとなっていますが、これらの深夜、早朝等の有効活用を考えなければいけないと思います。
 そこで、就労対策やまちの楽しみを増大させるために、住宅や福祉施設等を除く公共施設の空地を、屋台や露店、朝市等に深夜、早朝、開放することを提案いたします。
 東京では、第二次大戦後には、新宿や新橋のやみ市に代表されるような露店が一時は一万四千軒存在していました。しかし、計画の多くが挫折をし、ほころびをつくろい続けるかのように進められてきた第二次大戦後の都市計画の過程で、昭和二十六年、この露店の撤去が断行されました。しかし、今日では公共施設が多く建設され、公共施設には可能な限り空地が多くとって建設されておりますので、こういうところを利用した屋台や露店、朝市等の出店が可能であります。
 屋台で有名な博多では、道路上に出店を許可していますが、どんどんと規制が厳しくなって、一時は四百軒あった屋台が今はその半分程度になっております。それでも文化として定着しておりますので、お客さんの中には、わざわざ大阪からも飛行機に乗って博多の屋台を楽しみに行く方もいらっしゃいます。このように、夜間、周辺環境が容認し得るのであれば、屋台や露店を許可すればまちににぎわいが生まれ、うまく育てられれば文化にもなっていくと思います。また、雇用の拡大につながるとともに、一家を養うことも不可能ではありませんで、中には、屋台から店舗経営へと移行した飲食業者もいらっしゃいます。ぜひともこのことをモデル事業として、どこかの駅前広場や公共空地とか、可能なところを利用して取り組むべきだと思っております。
 もちろん、いい面だけではありませんし、やかましい、汚いなどといった都民からの苦情も予想されますので、一定の歯どめを、貸与期間や迷惑改善努力等の条件を守らない場合は即許可停止といったことを決めておけばよいと思います。
 同じく朝市についても同様です。全国でも、不定期も含めて朝市や曜市を開催している地域は数百カ所あるでしょう。東京でも各地域で展開されております。
 今や東京の商店街は営業の苦しさにあえいでいるところが多いのですが、収入は少ない、後継者に跡を継がせるほどの売り上げもない、長時間労働は当たり前、週休二日などとんでもないといったありさまです。さらに、各地の朝市等でよく売られる生鮮食料品を扱う店もほとんどない商店街も増しております。そこで、都内でも数はそう多くありませんけれども、不定期な朝市を行っている商店街もありますが、こうした朝市などの支援等で、地域の商店街振興の強化をしてはどうでしょうか。
 さらに、これもモデル事業としてで結構ですけれども、朝市などの場所として、都有施設の空き地などを当該施設が使用していない時間帯に貸し出すことを実施してはいかがでしょうか。所見をお伺いします。
 次に、木材を活用した東京大改造についてお伺いいたします。
 毎年、記録的な暑さが続いておりますが、都市部でのヒートアイランド現象を伴う地球温暖化対策は、全世界で猛威を振るっておりまして、百年に一度の大干ばつや豪雨、史上最大級のハリケーン等々、今やテロとの闘いも人類生存の重要なテーマでありますが、地球温暖化との闘いも人類普遍の生存をかけた闘いになってまいりました。
 東京都でも、屋上緑化や保水性舗装等、ヒートアイランド対策に取り組んでおりますが、まだ緒についたばかりといえましょう。
 私は、それらに加えて、どうしてもコンクリートでなければならないものは別にして、都内のコンクリート建築を少なくして、鉄骨で結構ですから、多摩産材を多く使った木造建築を都内の施設に採用すべきと考えます。
 近代コンクリート工法に毒された我が国の建築行政は、コンクリートの建物では、例えば都営住宅等は七十年ぐらい耐用年数を見ているはずなのに、大体四十年ぐらいで建てかえざるを得ないものが多いわけですし、戦後、都内の建築物は、四十年維持すれば大変長い方だともいわれております。
 これに対して木造建築は、つくり方によっては、大田区の池上本願寺の五重塔を見るまでもなく、数百年も長もちするものも珍しくありません。百年、二百年は当たり前、最大の欠点は火事に弱いということであります。
 近代的な建築物は、金銭的には世界経済の約一割を占め、建築業界も含めるとそれ以外の経済分野が使う量の何倍もの木材、鉱物、水等を使っており、建築物に使用されるマテリアル、素材は、世界経済に毎年投入されるマテリアルのざっと四〇%を占めるといわれております。その廃棄物の量も、例えば一年間で東京都で出る産業廃棄物の中で建設関係の廃棄物は、下水汚泥を除けば、約七割を占めております。
 こういう大規模な消費を現代社会は繰り返しておりますが、過去百年の間に世界の森林被覆は五分の一減少し、それも熱帯雨林や周囲には余り森林のない地域の森林等、貴重な森林が多く占めております。中でも我が国は、一九八〇年代には七億五千万立方メートルの木造建築物を建てたが、その大半が熱帯雨林等からの輸入材であり、今日、世界で流通するあらゆる木材の実に三七%が日本に行き着いているといわれております。もはや今後こうしたことを継続することは許されないと思います。
 木造建築を使った建物のよさは随所で報告されておりまして、例えば特別養護老人ホームでは、木材の使用量の多い施設では、少ない施設に比べ、インフルエンザの罹患率が五%、転倒等の骨折四・一%、不眠の出現率も二・九%少ないことが報告されております。幼稚園でも風邪を引く子が少ない、けがも少ない、落ち着く、温かみがある、風通しがよくなって冷房を入れなくて済んだ、軽量なので耐震性も強い、採光が多くて明るい等、木を多く使う長所が指摘されています。
 先ほども申し上げましたが、最大の欠点は燃えやすいことですが、林野庁も意欲的で、加工技術も発達して、不燃性あるいは耐火性にすぐれた木材も、シックハウス、あるいはシックスクールを起こさない材料も開発されてきています。
 幸い東京都も区部、多摩合計で三〇%弱の森林面積があり、特に多摩地域の六〇%は杉やヒノキの人工林が広がっております。ぜひともこの多摩産材を活用していただきたいと思います。
 都でも都営住宅が毎年三千戸ぐらいの建てかえを実施し、都立校も大規模な増改修を本年度十四校も実施しております。これらに多摩産材の導入を拡大すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、道路施設への間伐材の利用についてお伺いいたします。
 都も、わずかではありますが、多摩産の間伐材を利用して、イギリス大使館前のガードフェンス等や、福生市の永田橋付近のガードフェンスや川づくりに取り組んでおりますが、さらに徹底してこの多摩産材の間伐材を活用すべきと思います。
 近年、森林の二酸化炭素の吸収量が注目をされておりますが、その量は、一トンの木をつくるために一・六トンの二酸化炭素を取り入れ、一・二トンの酸素を放出しております。これは、樹齢三十年ぐらいの直径が約二十五センチメートル、高さ約二十メートルの杉の木だと、一年間に二十から三十五キロの二酸化炭素を取り込み、十五から二十六キロの酸素をつくり出す。したがって、この木が十本から二十本もあれば、一人の人間の呼吸を賄えるということになります。
 しかし、この木材も朽ち果てさせたのでは、せっかく吸収した二酸化炭素がまた空中に放出されますから、意味がありません。使わなければいけません。使うことによって、吸収した二酸化炭素を固定し続けることができます。
 山が荒れる大きな原因の一つに、間伐が行き渡らないことが挙げられます。間伐不十分だと、木がやせ、下草も生じず、落ち葉もくさらず、大雨が降ると土砂が流出し、木の根っこがむき出しになり、大規模な土砂崩れを招き、土砂の流出で河川が荒れ、海が荒れてしまいます。
 杜の都仙台には、森は海の恋人という言葉があるように、森が豊かであれば、河川は豊かで、海も豊かであります。
 毎年、春になると、東京への新入生や新入社員の転居がふえますが、そうした方々の中にも、地方では花粉症には無縁であったのに、東京に来て花粉症になったとか、地方で花粉症は軽かったのに、ほとんどの人が東京でひどくなったという話を見聞きします。特にことしはひどかった。しかし、近年では花粉を余り出さない杉等も開発されてきております。
 道路施設の中には、長野県の小布施町は、葛飾北斎の記念館のあるところですが、ここは駅から記念館までの歩道のほとんどに木の舗装が施されております。これから行楽シーズンを迎え、平日もにぎわうであろうこういった観光客対策も視野に入れながら、道路施設に間伐材を使うことを求めますが、いかがでしょうか。
 このように、木材の活用を進め、切った跡には花粉の少ない木を植えることにより花粉症の発生源を減らし、東京人が春も生き生きと活動でき、医療費の抑制も進み、仕事の能率にも寄与すると思います。
 また、間伐を行うことによって地面まで日光が行き届き、下草も生え、豊かな山の栄養分が河川、ひいては東京湾に流れ、数多くの命をはぐくみます。しかし、現実は全く逆であります。日の差し込まぬ森、下草も生えず、土砂の流れる山になっているのです。
 このような状況をつくったのは、知事のいわれるとおり、むやみに拡大造林政策をとり、森林を荒廃のままに任せた国の責任であります。しかし、一千二百万都民のためにも、このまま放置することはできません。
 まず東京都がみずから多摩産材を活用するとともに、さらなる流通拡大を図り、森林を守る基盤である林業の振興に取り組んでいく必要があると思いますが、ご所見をお伺いします。
 さらに、適切に森を管理することによって、東京の大小の河川のはんらんを幾らかでも抑制することにつながると思います。森が雨を浸透させる能力は、草地の二倍、裸地の三倍以上あるといわれておりますが、東京の河川の上流部に降った雨が一度に河川に流れ出すのではなく、緩やかに流れ出す機能を強化することになります。
 今や、東京都区部の八割はコンクリートで覆われ、いつの間にやら世界的に見ても最も単調なコンクリートに囲まれたオフィスビルとマンション、派手なネオンの繁華街というまちに変わってしまい、日本的なよさがほとんど見られなくなってしまいました。しかし、我が国の文化の特質を最もあらわす一つである木を公共施設に数多く使うことによって、東京の大改造を果たし、世界にも日本の文化を発信し得るまちになることを希望して、私、岡崎幸夫の質問を終わりにします。(拍手)
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 岡崎幸夫議員の一般質問にお答えいたします。
 都立学校におきます多摩産材の活用についてでございますが、都教育委員会では、本年一月に策定されました多摩リーディングプロジェクトの一環といたしまして、都立学校における多摩産材の優先的な活用に取り組むことといたしました。今年度は増改築や改修工事に合わせまして、モデル的に三校を選定し、カウンセリング室や視聴覚室など、利用効果の高い教室の一部に木材を活用することといたしました。
 今後、木質化によります経済効果、木の持ついやし効果、精神的ゆとりの教育効果などを把握、検証してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街の朝市などへの支援についてでございますが、商店街が消費者ニーズにこたえた多様な取り組みを行うことは大切でございます。都内商店街の中には、地域住民だけでなく、来訪者にとっても魅力のある朝市などを実施し、まちのにぎわいづくりや活性化に役立っているところがございます。
 都は、新・元気を出せ商店街事業を通じまして、こうした商店街の創意工夫を凝らした取り組みを引き続き支援してまいります。
 次に、木材の活用促進による林業の振興についてでございますが、戦後の国の拡大造林政策のもと、かつての色彩豊かな多摩の森は、今日、一面杉とヒノキの青い山となっております。その後、木材価格の下落による林業の低迷を背景に、多くの森林が放置され、荒れるに任されてきました。その結果、現在では、土砂崩れや花粉の大量発生等のさまざまな問題が生じております。
 都はこれまでも多摩産材を活用してまいりましたが、今後、一層の生産コストの低減と新たな需要の開拓を図り、林業の振興を通じて森林の整備、それによる花粉量の削減を進めてまいります。さらに、国に対しても、林業基盤の整備や花粉症の発生源対策について、強く要望してまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕
〇財務局長(谷川健次君) 都有施設の敷地を朝市などに貸し出すことについてでございます。
 公の施設などの行政財産の目的外使用は、本来の用途や目的を妨げない限度で許可することができることとされております。都の施設の閉館時間などにおける敷地の使用については、これまでも休日に町会行事の実施場所や商業地域の駐車場として許可している例もございます。
 ご提案の朝市などにつきましては、実施主体の性格、開催の態様、周辺環境など事業内容の公共性や公益性に照らしながら、個別の事案ごとに判断していくこととなります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 都営住宅への多摩産材導入の拡大についてのお尋ねですが、都における多摩産材の利用拡大に向けた取り組みの一環として、都営住宅におきましては、外構整備工事などへの活用を進めており、平成十六年度には延べ二十一団地で使用しております。
 また、平成十六年十二月以降に発注した都営住宅におきましても、集会室の内装の一部に活用を始めたところであります。
 今後とも、多摩産材の利用拡大に取り組んでまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 道路施設への間伐材の活用についてでありますが、道路施設に間伐材を使用することは、ぬくもりのある歩行空間の形成や森林資源の有効活用などの観点から重要であると考えており、都はこれまでガードフェンスに間伐材を活用するモデル工事を施工してまいりました。
 本年度は井の頭恩賜公園周辺の吉祥寺通りを予定しており、これからも緑の多い空間に接している都道で順次実施してまいります。
 なお、お話しの歩道舗装への間伐材の活用は、安全性、耐久性、コストなど多くの課題があることから、今後、慎重に検討してまいります。

〇副議長(木内良明君) 十八番中山信行君。
   〔十八番中山信行君登壇〕
〇十八番(中山信行君) 初めに、観光振興についてお尋ねします。
 平成十六年に東京を訪れた外国人旅行客は四百十八万人、その経済効果は五千三百億円に及んでいます。これは、知事を先頭に、東京都観光産業振興プランを掲げ、外国人旅行客を五年間で二百七十七万人から六百万人にふやす取り組みの成果であり、高く評価するものであります。その上で、千客万来の世界都市東京の構築をさらに強力に推進していく立場から質問します。
 東京の魅力の一つに、和洋中のバラエティーに富み、洗練された食文化があります。しかも、衛生的で、夜道でも裏道でも安心して歩ける日本の社会においては、豊かな食文化そのものが無尽蔵で飽きのこない観光資源になる可能性があります。わざわざ来日する外国人観光客ほど自分の目や舌や鼻で日本の食を味わってみたいはずです。しかし、現状では、まだまちに外国語の標識が少なく、飲食店のメニューを紹介する外国語の表記もほとんど整備されていません。欧米からの旅行者の九割、アジア系でも半数以上が個人の旅行者です。外国人が一人でも歩きやすい環境を整備していくことが観光産業のさらなる発展を期す上で極めて重要な課題になります。
 今回、知事は、所信表明でICタグを使って観光情報を提供するユビキタスシステムの発展に向けて実験を開始する旨の決意を表明されました。この技術が実用化されれば、例えば商店街や観光協会の協力により、広域にわたってICタグを配置し、保証料を取って外国人観光客に携帯端末を貸し出し、その携帯端末から外国語で食べ歩き情報を提供できるようになることも考えられます。外国人観光客の中には、結局、ファーストフード店で食事を済ませて帰国してしまうという例もあります。そのような大変にもったいない現状は、何としても打開しなければなりません。
 二〇一六年の東京オリンピックの開催を目指し、東京の豊かな食文化を万人が利用できる観光資源に変えることが必要であります。
 そこで、東京の食文化の観光資源としての可能性について、知事の所見を伺います。
 第二に、飲食店等の外国人への対応能力であります。
 外国人にどのように店をアピールしたらよいかわからない、外国人が来店してきた場合でも、その接遇方法がわからないなど、外国人の受け入れに消極的にならざるを得ない飲食店が数多く存在します。都は、観光協会などと連携し、飲食店の情報提供や外国人の受け入れ体制の充実を支援していくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 第三に、ICタグなどのような先端技術を活用して、食文化などの情報を外国語で発信することについて、都の所見を伺います。
 次に、教育問題についてお尋ねします。
 現在はさまざまな教育課題が山積しており、まさに教育者の資質そのものが問われているといえます。子どもたち一人一人に、基礎的な知識理解にとどまらず、思考力や判断力、表現力など、確かな学力を身につけさせるためには、指導する教員の資質の向上が不可欠です。
 特に、教育活動の中心である授業において、子どもたちの学習意欲をはぐくむ工夫をどうするか、個々の教員の力量に負うところが大きいといえます。教員の指導力を向上させるためには、日ごろの研修が重要であることはいうまでもありません。また、開かれた学校づくりの中で、授業を保護者や地域住民などに公開し、その評価をもとに改善していくことも重要であります。
 国はこれまで、公立学校で行われる教育の質の向上を果たすため、学校評価システムの構築に取り組んできました。しかし、外部評価を担う学校運営協議会等の組織は、年に数回開かれる程度であったり、学校の意向をそのまま肯定するものであったりして、教育の質の向上には余り役に立っていないのが現状です。
 この点、足立区の五反野小学校では、全国初の地域運営学校として、保護者、地域、学校、行政の代表から構成される学校理事会を設置しており、理事会が校長に対し学校経営の方針を示し、その取り組みを評価する機能を担っています。保護者や地域の代表は、理事会を通じて子どもたちの学力向上に資する提案や要求を積極的に行って、学校の指導力の補完に努めるほか、個々の授業内容の診断も行い、その結果を教員との意見交換の場で率直に発表し、楽しく、わかる授業に具体的に結びつけています。
 そこで、伺います。第一に、とりわけ地域に密着した学校である小中学校においては、授業を公開し、保護者や地域住民の力を活用して、授業について外部評価を行うシステムを導入することが教員の資質向上につながると考えますが、所見を伺います。
 第二に、優秀な教員には、給与と権限の両面にわたり待遇を改善するべきであります。
 マイナス点だけをあげつらう減点主義では、かえってその意欲をそぐだけの結果になりかねません。国は、中央教育審議会における検討に基づき、来年度から、授業や生徒指導ですぐれた実績を示した教員を表彰する制度を打ち出しました。都は、今こそ、教員の資質向上のために、頑張った教員や優秀な教員には給与などの待遇を向上させるべきであります。所見を伺います。
 次に、中小企業支援についてお尋ねします。
 景気は踊り場状態を脱したとはいえ、依然として中小企業の倒産件数は高い水準にあります。また、原油、鋼材価格の高騰やアスベスト対応などの試練にあえぎながらも、光明を探し求めようと努力を続ける中小企業に対し、強力な支援策を打ち出すべきであります。
 最初に、新銀行東京についてであります。
 厳しい経営環境に置かれている中小企業を支えることを第一の使命として誕生したこの銀行が、その設立趣旨に沿った融資、保証を行っているかどうかをいま一度検証しておく必要があると思います。加えて、都としても常に利用者本位の経営を行うように働きかけていくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、中小企業の中には、大幅な黒字を望めるビジネスチャンスに恵まれながら、銀行から融資を断られ、窮地に陥っている場合があります。私が実際に相談を受けた例では、不況の中、借財を抱えたハンドバッグ業者が、親会社から仕上げ専門業者への業務展開を求められたケースがありました。大半が中国で製造されるようになって、苦境に追い込まれたのですが、やはり仕上げは日本で行わないと高く売れない。そこで、粗加工は中国、仕上げは日本というすみ分けに変更するため、腕のよい製造業者に白羽の矢が立てられたわけです。親会社は、粗加工された大量の中国製バッグを在庫に抱え、仕上げのみの工程に変更を求めてくる。しかし、大型のプレス機械を廃棄しない限り、新たな作業スペースが生まれない。機械を廃棄するのに二百万円の費用がかかるが、借財を抱えた身では銀行も色よい返事をしてくれず、税の未納もあるため、新銀行東京でも融資の対象にならないというのが現状です。新銀行東京は、こうしたさまざまな声も真摯に受けとめていただくことを強く要望しておきます。
 第二に、相隣関係のトラブルから立ち退きを迫られている町工場への支援策の実施であります。
 防音、防振、防臭などの必要から、費用をかけて設備や社屋を改善し、都内での営業を継続しようとする中小企業に対し、都はさらに積極的な支援策を講じるべきであります。特に準工業地域においては、不況や後継者不足から廃業する工場の跡地にマンション群が進出し、その苦情や環境の変化によって、次々と周辺の工場が移転を余儀なくされてしまうのが実情です。
 もとより相隣関係のトラブルは当事者間で解決するのが原則です。しかし、結果的に都内からどんどん町工場が移転してしまっては、都がどんなにものづくりを支援するといってみても、絵そらごとになってしまいます。やむなく都外へ移転する工場をこれ以上ふやさないためにも、より充実した金融支援策の構築が必要です。都の所見を伺います。
 最後に、地元竹ノ塚駅付近の鉄道連続立体交差化事業についてお尋ねします。
 四人の死傷者が出る不幸な事故の発生を受け、あかずの踏切を解消する検討がようやく本格化してまいりました。特に今回は、北側国土交通大臣の英断により、検討の場に最初から国が加わるという画期的な体制でスタートしており、現在、歩行者や自転車の安全通行をエレベーターやスロープで確保する横断橋の工事が進められています。
 そこで、第一に、鉄道事業者による対応を含めた緊急対策の現在の進進捗状況を伺います。
 第二に、都は今後、国と鉄道事業者が参加した検討会において、地元住民の期待にこたえた事業計画が立案されるよう、積極的なイニシアチブを発揮されるべきであります。地元住民の願いは、二度と事故を起こさないこと、そして、鉄道を高架化し、総合的にまちづくりを行うことです。
 しかし、住民には今、二つの心配があると思います。一つは、低地にある車両の車庫への勾配が、鉄道を高架化させる上で障害になるという不安です。もう一つは、その車庫の敷地が、東武鉄道ではなく、不動産事業部門が弱い東京メトロの所有であり、車庫の移転や立体化を含めた総合的なまちづくりの可能性を弱めてしまうという不安です。
 連続立体交差化事業においては、少なくても、その構造形式の決定と費用の負担は都が主体的に責務を担うべきであります。したがって、国と地元、そして鉄道事業者の間を調整し、この問題をしかるべき方向へと導く都の役割はまことに大であると考えます。車庫の課題も含め、踏切問題の抜本的な解決に向けた今後の都の取り組みを伺います。
 以上で私の質問を終了します。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
 食文化の観光資源としての可能性についてでありますが、まさに東京が自慢できるものの一つとして、総体的に世界を眺めて、極めて食べ物がおいしい点があると思います。
 ちなみに、訪日外国人旅行者満足度調査報告書なるものがありまして、それを読みますと、訪日前と後では日本の印象の肯定的なイメージがかなり変化ありますが、訪日前のデータでは、食べ物がどうもおいしいらしいというのが第四位でしたけれども、訪日後は、非常においしいというのが、満足度のランキングで第二位にこれが入っているわけであります。
 かつてワールドカップが行われましたときにイギリス大使館の高官から聞きましたが、めったに日本に来ることのないような、あるレベルに達しない、しかし熱烈なファンたちが無理して日本にやってきて、ごく場末の貧しい日本宿に旅装を解いて、とにかくそこから出かけて応援に行くと。次の試合まで四日か五日かあるんで、どこか旅行しようということでも、なかなかガイダンスがなかったそうですが、彼らが非常に四日間日本じゅうを歩いてみたいという衝動を起こしたのは、もともとイギリスというのは非常に飯のまずいところですけれども、そういう場末のちっちゃな旅館でも、近くの焼き鳥屋へ行ったりおでん屋へ行ったりすると非常に物がおいしいということでびっくりしまして、こういうバックパッカーが非常に日本の食文化に感動したという挿話が伝わってきました。
 いずれにしろ、日本独特の料理の中には、日本人の研ぎ澄まされた感性による独特のデザインがございます。かつてプロバンス地方を世界に紹介して有名になったイギリスのライターが、その後、日本に来まして、プロバンス地方よりもはるかに日本の方が飯がうまい、特に土瓶蒸しは、自分はこれに出会うのが非常に遅くて残念だったということを書いておりましたけれども、いずれにしろ、日本人は非常にティミッドで、おどおどしておりまして、日本の食文化のすばらしさというものを自分からなかなか人に伝えない。日本人同士ではそういう情報は伝わっても、外国人に、自慢も含めて、どうですか、ひとつということをいわずに、すしなどの世界の流行も、これは日本人が広めたんじゃなしに、アメリカ人が勝手に評価して書いて、今じゃハーバード大学にすしバーまでありますが、いずれにしろ、日本ならではの多様な食文化を観光資源として生かすように、今後とも積極的に宣伝していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 教育問題の二つのご質問にお答えいたします。
 まず、授業におきます外部評価の導入についてでございますけれども、授業を公開し、外部評価を導入するなど、教育活動をさまざまな面から評価し、改善していくことは、教員の資質向上を図る上で極めて有効でございます。
 現在、多くの小中学校で授業公開や外部評価を実施しておりますが、評価結果を授業改善に活用するためには、評価の内容、方法について一層改善を図る必要がございます。
 このため、都教育委員会では、今年度から、授業改善研究推進校において、保護者や地域住民などによる授業の外部評価について研究開発を進めているところでございます。
 今後は、区市町村教育委員会とも連携しまして、研究成果の普及啓発に努め、教員の資質向上を一層推進してまいります。
 次に、優秀な教員の処遇の向上についてでございますが、教員の資質向上のためには、努力し、成果を上げた教員を適切に処遇することが重要でございます。
 学校におけるさまざまな課題を解決していくには、教育改革を担うかなめであります教員の資質、能力の一層の向上が必要不可欠でございまして、そのためには、年功的、一律的処遇を見直しまして、職責、能力、業績をより適切に反映した給与制度等を構築する必要がございます。
 今後とも、関係機関と協議しつつ、その見直しを積極的に進めてまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 観光振興についてなど四点のご質問にお答えいたします。
 まず、外国人への飲食店の情報提供などについてでございます。
 都は、ホテルや飲食関係団体等が実施する外国人向け接遇研修を支援するとともに、応対に関する事例集や、意思表示を容易にする指差しシートを作成、配布し、受け入れ体制の充実を図ってきたところであります。
 今後、東京の食文化の情報については、観光協会等の窓口や観光ボランティアの案内と連携を図るとともに、都のホームページにおいて英語や中国語など多言語での効果的な情報提供を推進してまいります。
 次に、ICタグ等を活用した食文化などの情報の発信についてでございます。
 先ほど知事が申し上げましたように、東京の食文化は重要な観光資源であり、その積極的な情報発信が課題となっております。
 都は、本年十月から、上野公園においてICタグ等を活用した実証実験を行う予定であり、多言語による道案内、飲食店情報の提供などを行います。
 また、ICタグを初めとする先端技術を活用した飲食店の紹介や、日本独特の料理、食文化などの情報発信については、今後の技術の動向などを見定めながら、その可能性についてさらに研究してまいります。
 次に、新銀行東京についてでございます。
 去る七月から本格的に業務が開始され、融資・保証額は、七月末には約二百億円、九月末にはその二倍を大きく上回る見込みで、特にポートフォリオ型融資が順調であると聞いております。
 新銀行東京の融資先に対するアンケート調査では、約三割の事業者が他の金融機関からの借り入れが困難であったなどと回答しておりまして、資金繰りに苦しむ多くの中小企業への資金供給が着実になされているものと考えております。
 都は、今後とも、新銀行東京が、厳しい経営環境にある中小企業の実情を十分に把握し、設立趣旨に沿って、顧客本位の経営を行うよう、株主として働きかけてまいります。
 最後に、防音対策等に係る金融支援についてでございます。
 中小企業が近隣対策として行う防音、防振、防臭工事等は、設備資金として制度融資の対象となりまして、政策的に金利を低く抑えた優遇金利の融資メニューなどが利用できるところでございます。
 今後とも、都内で営業を継続しようとする中小企業を支援するため、制度融資の活用を促すとともに、一層利用しやすい制度とするよう、その充実に努めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 竹ノ塚駅付近の踏切対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、竹ノ塚駅付近の踏切における緊急対策の進捗状況についてでございますが、都は、本年三月に発生した踏切事故を受け、直ちに足立区、東武鉄道とともに竹ノ塚踏切対策会議を立ち上げ、歩行者や自転車への緊急対策を実施することといたしました。
 これら対策のうち、踏切道の拡幅や竹ノ塚駅のエレベーター設置につきましては、既に完了いたしております。
 また、東武鉄道では、人的要因による事故の再発防止を図るため、明日二十九日には二カ所の手動式踏切の自動化を完了いたします。
 現在工事中の歩道橋につきましても、引き続き関係機関と連携しながら、今年度内に完成するよう進めてまいります。
 次に、踏切問題の抜本的な解決に向けた都の取り組みについてでございますが、竹ノ塚駅付近における道路と鉄道の立体化や沿線のまちづくりにつきましては、足立区が設置する検討会において中長期的な視点から検討を進めております。
 鉄道を立体化する案につきましては、まちづくりの推進や車庫の取り扱い、複々線に加え、引き上げ線もあることなどから、さまざまな課題がございます。
 都といたしましては、今後とも、この検討会の中で、鉄道事業者などの関係機関と連携しながら、ご指摘の周辺状況や技術的課題も含め、道路と鉄道の立体化について総合的に検討を進めてまいります。
〇副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時二十四分休憩

   午後五時四十一分開議
〇議長(川島忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行します。
 二十番早坂義弘君。
   〔二十番早坂義弘君登壇〕
〇二十番(早坂義弘君) 生まれて初めて腰までつかる水害に遭いました。都市水害は、あっという間に水があふれ、そして一気に水が引くものだと、身をもって知りました。
 去る九月四日から五日未明にかけ、杉並区や中野区を中心に、一時間に一〇〇ミリを超す集中豪雨により、都民の生活に大きな被害が発生しました。まずもって、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 一度床の上まで水につかると、とりわけ日本家屋では、その後の生活が極めて不愉快になります。多くの自動車が水につかって動かなくなりましたが、自然災害だから保険はききません。
 今回の集中豪雨では、床上、床下浸水を合わせて五千棟もの大きな物的被害をもたらしました。大雨による治水事業は主に河川と下水道の管轄ですが、現在の対策はいずれも時間雨量五〇ミリ想定のもので、一〇〇ミリを超える雨は想定外だったとの報道がありました。
 しかし、平成十二年に六万棟以上の浸水被害をもたらした東海豪雨では、同じように五〇ミリ想定に一〇〇ミリの雨が降り、このような大雨は想定外だったと、今回と全く同じことがいわれました。平成七年以降、全国的に目に見えて集中豪雨が増加しており、百年に一度の大雨という例えが、もはや今日では通用しなくなっています。今回の大雨では、都市部における局所的な集中被害、災害という、五年前の東海豪雨や昨年の新潟豪雨での苦い経験が全く生かされませんでした。
 そもそも、この五〇ミリ想定は、昭和四十三年、ちょうど私が生まれた年ですから、今から三十六年前に東京都中期計画で立てられた計画です。この間、都内では農地が減少し、また、道路舗装が進んだことなどによって、降った雨が大地に浸透しなくなり、短時間に集中して下水道や河川に流れ込むようになりました。
 その結果、昔と同じ雨量でも、下水道や河川に流れ込む水の量がふえ、洪水のピーク時期が早まるようになりました。そこに地球温暖化やヒートアイランドの影響によって、五〇ミリ想定の二倍の雨が降るのですから、今の計画で対応できるわけがありません。
 そこで、考えなければならないことが二つあります。一つ目は、三十六年もかかって六割しか進んでいないこの五〇ミリ対策は、一体いつ整備が完了するのか、二つ目は、想定値の二倍の一〇〇ミリの雨には現実的にどう対応していくか、この二つであります。
 もちろん、環状七号線地下の神田川調節池や和田弥生幹線に代表される下水道の雨水貯留管といった大規模インフラの整備を着実に進めていくことが、水害への最も基本的な備えであります。
 インフラの整備なくして抜本的な治水対策はあり得ません。七月の都議選で初当選をさせていただいた後、真っ先に環七の地下調節池を視察いたしました。昨日の知事のご答弁にもありましたが、私はそれを見て、想像を超えた莫大なスケールに、人間の英知の結晶だなと、本当に感激をいたしました。
 そのほかにも、じっくり時間をかけて、例えば河川はんらんの常襲地や、水はけの極端に悪いところには、建築の制限をかけ、従来どおりのままの構造の建築物は建てられないようにして、水害に強いまちづくりに仕向けていくことも有効だろうと思います。あるいは、透水性の高いアスファルトや雨水浸透ますへの切りかえも大切です。これまで行ってきた治水整備事業を今後さらにしっかりと行うことの重要性は否定いたしません。
 しかしながら、先ほど申し上げたとおり、五〇ミリ想定のインフラ整備ですら、現実にはまだ六割の整備でしかありません。環七の地下調節池は、一期工事と二期工事を合わせると、二十一年間、一千億円を超える時間とお金をかけています。それをもってしても、今回のような大きな被害が出てしまうのです。
 河川そのものの整備でいえば、堤防を高くする、厚くする、川幅を広げる、川底を掘るといったことに、今度は一〇〇ミリを想定して、また莫大な時間とお金をかけて水を封じ込めようとすることには、もはや限界があると私は感じます。都市の景観や、自然との共生という新しい価値観もありますから、河川の整備にはとてつもないエネルギーが必要です。下水道の整備も同じです。
 そこで、今必要なのは、被害を一〇〇%抑え込もうとする努力ではなく、被害を我々の社会が許容できる範囲にまで小さくしていく努力ではないでしょうか。
 今後も現実に一〇〇ミリの大雨が予想されるならば、ある程度の被害は容認しながら、都民の生活への直接的な被害を最小限に抑えていく、つまり、被害そのものをコントロールしていく、この努力が今必要なのだと私は考えます。
 具体的には、公園や学校など、ある程度の面積を持った公的施設やゴルフの練習場などにあふれた水を誘導して、そこに貯水機能を持たせるのです。私のイメージでは、公園に貯水池をつくるのではなく、その公園全体を水没させてしまうのです。もちろん、それですべてが解決するわけではありませんが、被害を受ける場所や地域を限定していくことで、都市の機能がこうむるダメージをコントロールしていくことも、地下調節池のような大規模インフラの整備と並行で考えていくべきだと私は思います。
 このままでは、被害を予想しつつも、現実的な意味で、何ら有効な対策を講じていなかったという、アメリカ・ルイジアナでのハリケーン、カトリーナの二の舞になりかねません。
 そこで、都民の生活に直接影響を及ぼす洪水被害を最小限に抑えるために、川沿いの公的施設などでしっかりと洪水を受けとめるといった、思い切った発想の転換が必要だと私は考えますが、このような考え方に対しての知事の率直なご感想をお伺いいたします。
 私の提案は、下水道や河川だけで水を抑え込むのでなく、流域全体で洪水を受けとめ、被害をコントロールしようという、まさに総合治水に合致した対策であると考えますが、その実現可能性について、ご見解を伺います。
 同時に、治水事業の基礎である大規模インフラ整備、すなわち神田川、善福寺川、妙正寺川における五〇ミリ対応未整備区間の早期整備に関して、昨日の我が党代表質問に、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施に向け、国と調整を進めているとの建設局からのご答弁をいただきました。この激特事業は、事業期間がおおむね五年とされていますので、その後もペースを落とすことなく整備を行うものと私は考えますが、ご見解を伺います。
 また下水道では、和田弥生幹線の関連施設を早期に整備し、貯留量の増強を図ることが必要だと考えますが、ご見解を伺います。
 今回の豪雨災害のさなか、直ちに我が党の野村幹事長、新藤政調会長とともに現場を視察いたしました。そこで強く感じたのは、地下室の被害でありました。一方向しかない階段から水が一気に襲ってくる。その押し寄せてくる水の圧力でドアがあかなくなる。ドアがあいたと思ったら、あっという間に天井まで水につかる。人命に被害がなかったことの方が不思議でした。
 近年、一般のマンションや一軒家でも、地下室や半地下の構造を持つところがふえています。そこで、新築、既存の地下室あるいは半地下構造の建築物に対して浸水対策を進め、地下空間の安全性を今後さらに高めていく必要があると思います。ご見解を伺います。
 また、一定規模の人々が利用する地下空間に関しては、行政と施設管理者との連携により、避難や排水などの体制を整備する必要があると思います。ご見解を伺います。
 今回の大雨被害のピークは日曜日の深夜でした。対応する職員もほんのわずかしかおらず、杉並区役所の電話は全く通じませんでした。考えてみれば、一日二十四時間のうち、一般的な勤務時間は九時―五時の八時間。つまり、一日の三分の二が勤務時間外ということになります。これに、土曜、日曜、祝祭日に年末年始の休みを合わせると、年間ベースでは八割が勤務時間外ということになります。勤務時間外にこそ災害が起きると考えて、まずおかしくはありません。
 そこで考えなくてはならないのが、行政はすぐには現場に助けに来てはくれないということです。大規模な災害の場合には、同時多発的に被害が発生しますし、救援に向かう道路も通行できないかもしれない。肝心の行政自体も被災している可能性がある。そう考えると、みずからの安全は自分自身で、あるいはその地域で守らなければならないという結論になります。これが、自助、互助、協働であります。
 今回の大雨災害では、一千人の消防団員の皆さんが大変なご活躍をされ、被災現場で大きな貢献をされました。地域のことを一番よく知っているのは消防団だからこそ、災害時要援護者と呼ばれる高齢者などから信頼を得て、適切な避難誘導活動ができたのだと私は思います。
 しかしながら、一方で消防団の抱える問題も顕在化しています。一つは団員の高齢化です。多摩地区の平均年齢三十五歳に対して、区部では四十九歳と際立って年齢が高くなっています。もう一つは団員数の減少です。
 そこで、地域防災の担い手である消防団の活性化に、東京都としても努力すべきものと考えますが、ご見解を伺います。
 水害は、被災後の後片づけが大変です。ボランティアの若い力をかりたいというのが、今回の被災現場での声でした。
 今回のような災害救助法が適用されるほどの規模の災害であれば、例えば校長先生の判断で一日休校にして、中学校や高校の全校生徒が一斉に現場に飛び出して、後片づけや避難所運営などのボランティア活動に参加できたら、地域のためにも、また、その生徒さん自身のためにもよかっただろうと思います。
 そこで、今後はそのような活動を一層拡大し、具体的に社会のお役に立つことを教育の現場でも考えていくべきだと思いますが、ご見解を伺います。
 市民の生命と財産を守ることが、何よりも大切な政治の役割であります。歴史をひもとけば、水の被害から市民の安全を守ってきたことが我が国の政の歴史であり、その意味でまさに防災は政治の原点です。
 災害というと地震がまず思い浮かびますが、戦後の数字で見ると、水害による犠牲者の方が圧倒的に多いのです。
 来るべき東京オリンピックでは、ぜひともメーンスタジアムを防災基地としての機能を兼ね備えたものにしていただきますよう今からお願いをしておき、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 早坂義弘議員の一般質問にお答えいたします。
 洪水対策についてでありますが、きのうもお答えいたしましたけれども、治水は政治の根幹の一つでありますが、しかし、自然現象というのは私たちの人知を超えるものがありまして、このところの気象異変で、集中豪雨、雨量そのものが非常に一時ふえておりますけれども、それはそれなりにして、東京は、環状七号の地下の貯水池をごらんいただいたようですけれども、あれだけ画期的な災害対策をしている都市というのは、世界じゅう余りないと思いますね、それでもなお及ばぬということが事態として起こるわけですが。
 ご指摘の、川沿いの公的施設などで洪水を受けとめるといった提案というのは、これは、場所によって問題がありますね。例えば学校に、学校のグラウンドを貯水池にして一回水を入れちゃったら、それはもう水浸しになって、それを修復するのにどれぐらいかかるか。例えば教室までが水浸しになると、仄聞しますと、そういったものを消毒すると、消毒のにおいが二週間、三週間消えないそうでして、子どもの健康にそれがどういう影響があるか、それはまた……。
 今も新しい国際競技場云々とありましたけど、せっかくつくった競技場を貯水池にするわけにも、これ、いかないんでね。
 私は、それも一つのアイデアと思ってこれから大いに研究させますが、その地域によるでしょうけど、やっぱりすべてが舗装されて、東京の主な部分がもう吸水性がなくなったということに問題があると思いますね。ですから、全般的に舗装というものの吸水性というものをやっぱり取り戻すように、独特のペーブメントというものを考えて、コストがかかってもやっぱりそれを普及していくことが、東京全般で、どこに集中豪雨が来るかわかりませんが、水害を防ぐ最も効率のいい対処だと私は思います。
 いずれにしろ、ご提案ありましたけど、可能性について研究いたしますが、素人の考えの域を出ませんけれども、いずれにしろ、東京の舗装というものがもう少し吸水性を持つということが、私は東京全体にとってセコンドベストの策ではないかと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 災害時におきます中高生のボランティア活動についてでございますが、児童生徒が災害時に被災地の支援活動に参加することは、他人への思いやり、社会に奉仕する態度、これを培う上で極めて教育効果が高いものというふうに考えております。
 現在、一部の中学校や高等学校では、生徒会活動や部活動などにおきまして、生徒がボランティアとして災害復旧活動などを行っております。
 都教育委員会は、今年度改訂いたします学校防災マニュアルに、地域との日常的な連携のあり方、災害時における具体的な対応など、指導上の留意点を新たに示しまして、中高生が教育活動の一環として、これまで以上に災害復旧活動に参加できるよう取り組んでまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 洪水対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、川沿いの公的施設などで洪水を受けとめる方策についてでございますが、集中豪雨による都市型水害に対応するには、河川や下水道の整備とともに、流域対策を含めた総合的な治水対策が必要でございます。
 都市化の進んだ地域で、ご提案の趣旨を実現するためには、あふれた水の受け入れ対象となる施設の有無、受け入れた場合の効果と安全性の検証が必要なこと、学校や公園などを治水目的として利用することに対する地域の合意が必要なこと、さらには、受け入れる土地所有者の理解と協力及び損害補償などが必要なことなど、解決すべき多くの課題がございます。
 先ほど知事がお話ししたとおり、今後、こうした課題の対応策について調査研究してまいります。
 次に、地下室等における浸水対策についてでございますが、集中豪雨による河川のはんらんから都民の生命、財産を守るためには、河川の整備とともに、地下空間における浸水対策が重要でございます。
 都はこれまで、地下空間への浸水を防ぐための防水板の設置、避難経路の確保など、国が定めたガイドラインの普及啓発に努めてまいりました。
 今後、建築関係団体を通じその活用を図るとともに、都の主催する講習会の実施、ホームページへの登載等、新たな取り組みにより、既存建築物の所有者も含めて、積極的にガイドラインの周知徹底を図ってまいります。
 また、浸水が予想される地域につきましては、区市町村と連携し、地区計画を活用した地下利用規制の方策を検討するなど、浸水対策の一層の促進に努めてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 神田川などの今後の整備についてでありますが、神田川、善福寺川、妙正寺川につきましては、これまで一時間五〇ミリに対応する護岸の整備を進めるとともに、分水路や調節池の設置など、さまざまな手法を組み合わせ、治水対策に取り組んでまいりました。
 お話の妙正寺川や善福寺川の未整備区間につきましては、緊急に整備できるよう、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施に向け、現在国と調整を進めております。
 今後とも、これら神田川流域の水害軽減に向け、未整備区間の整備を着実に進めてまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕
〇下水道局長(前田正博君) 和田弥生幹線関連施設の貯留量の増強についてでございますが、和田弥生幹線は、杉並区、中野区、新宿区の浸水被害を軽減することを目的としました雨水貯留管でございます。
 この幹線は、関連施設を含め、総延長約七・五キロメートル、貯留容量十五万立方メートルに及ぶもので、平成九年度より既に一部貯留を開始しております。
 現在、平成十九年度末の完成を目指し、杉並区堀ノ内、中野区南台地区などにおいて、幹線に雨水を取り込む地区を拡大するための整備を鋭意進めているところでございます。
 なお、整備が終わり、取水が可能となった箇所から順次雨水を取り込み、浸水被害の早期軽減を図ってまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕
〇総務局長(高橋功君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地下空間の水害対策についてでございますが、高度に土地利用が進んでいる東京では、地下街などの地下空間の水害対策は極めて重要でございます。このため、都は地域防災計画におきまして、地下空間の利用者の避難誘導に当たる施設管理者の責務を定めるとともに、降雨情報などの提供を行っております。
 今後、地域防災計画を見直しを行いまして、地下空間における災害時の安全を確保するため、区市町村が果たすべき役割と、施設管理者による避難計画の作成などについて定め、万全を期してまいります。
 次に、消防団の活性化についてでございます。
 地域の安全・安心を守るためには、お話しのように、消防団の役割が大変重要でございます。団員の高齢化と、それから団員数の減少が進んでいるという状況も、また一方にございます。
 活性化を図るため、都は、すぐれた消防団員及び消防団の表彰や、東京消防庁による大学生等を対象とした募集を行い、また区市町村におきましても、町会、自治会等を通じた勧誘を強化するなど、団員確保に努めております。
 今後、これらの取り組みに加えまして、女性団員の一層の確保を図ってまいりますとともに、予備軍となります中高生を対象とした消防団の活動紹介や体験入団を促進するなど、区市町村とも十分連携して、消防団の活性化に取り組んでまいります。

〇議長(川島忠一君) 七十四番いのつめまさみさん。
   〔七十四番いのつめまさみ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕
〇七十四番(いのつめまさみ君) 私は、政治の基本は、命と暮らしを守ることと考えています。
 知事は、所信表明の中でアスベストの健康被害に触れ、ディーゼル車排出ガス規制と同様、国の対応のおくれが被害の拡大を招いていることを指摘せざるを得ません、国に猛省を促し抜本的な対策を求めてまいりますと、心強い発言をされており、都民の健康を大切にされている知事の姿勢に安心の色を濃くいたしました。
 しかし、二十一世紀は感染症の世紀といわれています。感染症の中でも、特に気になる三つの感染症についてお伺いいたします。
 初めに、結核対策についてお尋ねいたします。
 去る九月二十四日から結核予防週間が始まりました。財団法人結核予防会の広報活動が行われており、交通機関などでポスターを見かける機会があると思われます。
 また、ことし四月一日、およそ五十年ぶりに大改正された結核予防法が施行されました。乳幼児へのツベルクリン反応検査は廃止、BCG接種を生後六カ月までに行うこととし、定期結核健診の対象も変更され、日本の結核対策は新しい時代に移りました。
 しかし、依然として、結核は日本で主要な感染症です。全国の死亡者は、昨年は二千人を超えました。患者の高齢化、都市部への集中、重症発病の増加など、結核の抱える問題は多様化しています。
 結核の状況は一概にとらえにくいので、それだけに、私たちが知らない間に、身近なところまで結核が忍び寄っていることも多いのです。
 そして、現在の高齢者は若いころに結核流行時を経験していて、既に結核に感染している人が多く、体力、抵抗力が低下したときに、眠っていた結核菌が目を覚まし、発病しやすくなります。反対に、若い世代の多くは未感染のため、結核菌を吸い込むと感染しやすく、比較的早い時期に発病する危険があります。さらに、HIV感染者やエイズ感染者が結核菌に感染すると命取りになります。結核とエイズの合併は、今後新たな問題となる危険をはらんでいます。
 大都市の病として、新たなどうもうさでよみがえりつつある結核の脅威から都民を守る必要があります。結核対策を進める上での知事の所見をお伺いします。
 私の地元の新宿区では、路上生活者の結核感染が重要な政策課題となっております。結核の治療期間は半年から一年程度と、長期にわたっての服薬が中心です。この長期間の着実な服薬支援策が必要です。
 新宿区では、平成十二年六月から、一人一人の患者のニーズに合わせた個々の方法での服薬支援、いわゆるDOTSを取り入れています。そして、平成十四年は三十七人の路上生活者に二千百三十四回の面会をし、完全に治療をしています。
 在宅介護高齢者にも、訪問看護師が服薬確認を担当し、家族の不安や問題点解消など、一貫した対応と連携が図られています。
 世界保健機関、WHOも提唱するDOTS戦略を都ではどのように進めていくおつもりか、お聞かせください。
 次に、エイズ対策について伺います。
 八〇年代に初めて聞くエイズという病名に、日本じゅうがパニックになったのを覚えています。我が民主党の菅直人衆議院議員が厚生大臣であった一九九六年、薬害エイズの資料が旧厚生省から出され、薬害エイズ訴訟原告団に国が謝罪し、和解しました。
 その後、病状を進行させない治療薬の開発により、不治の病ではなくなってきたことと並行し、エイズという病気が人々の話題から遠ざかってしまいました。
 しかし、国の内外に目を向けますと、アフリカには感染率が三八%を超える国もあり、ジンバブエでは感染率は二五%で、このままでは国が滅びるほどの感染率に驚かされ、支援の必要性を改めて感じました。
 日本は、昨年、HIV感染者、エイズ患者報告数が初めて千人を超え、過去最高と報告されました。のど元過ぎれば熱さを忘れやすい日本人のよくも悪くもある体質が、エイズへの危機感を失わせています。今こそエイズ対策が重要なときと考えております。
 そこで、東京都の現状、特に若い世代の状況についてお伺いします。
 これからの社会を支え、未来の若者の命を大切にしていくために、主に若い世代に対する普及啓発が重要と考えています。
 東京都エイズ予防月間を中心に、歌舞伎町商店街振興組合が主催し、ストリートミュージシャンに代表されるアマチュア音楽家の参加によるイベントが開催される予定です。これは、音楽を通じて、若者同士でエイズ予防などを伝えるもので、若者の感性を生かした普及啓発と考えています。
 都は、こうした若者向けの普及啓発をどのように進めていくおつもりか、お伺いいたします。
 新宿駅南口に設置されている東京都南新宿検査室、相談室は、平日夜間、土曜、日曜でも匿名で検査が受けられるよう配慮されており、検査受診者が増加していると聞いております。検査結果でもし感染していた場合の告知に対して、若年者ほど感染を受けとめることは困難であると思います。自暴自棄に陥らないよう、感染イコール死ではなく、早期治療に当たれば克服も可能であるということを理解してもらうケアが必要です。
 そこで、感染していることを告知する際の配慮や、感染者の心理的なケアについて、具体的な取り組みをお伺いします。
 最後に、国民の二百万人が感染しているといわれるC型肝炎についてお尋ねします。
 こんなに多くの国民が感染し、苦しい治療に耐えています。肝臓がんで一年に亡くなる三万四千人の八〇%はC型肝炎感染者です。感染ルートは、手術時、出産時の止血、血友病患者に使用された血液製剤フィブリノゲンなど、多くは薬害であり、個人の飲酒などの生活習慣病が原因ではないと、まず申し上げます。
 平成十三年十月に、衛生局の東京都新たな感染症対策委員会が、東京都におけるウイルス肝炎対策報告書の中で、今後の東京都の総合的ウイルス肝炎対策として、一、普及啓発活動、二、肝炎ウイルス検査、三、医療体制、四、調査研究の四項目を挙げています。
 平成十四年十月、東京都はこの報告書を受け、C型肝炎を特殊疾病・難病指定から外し、医療費助成制度対象外としました。当時、医療費助成制度改正の根拠は、一、B型、C型肝炎はウイルスが原因と解明、診断や治療方法も進歩し、難病の定義に当てはまらない、二、感染に気づいていない人が多い現状に、難病対策では対応できない問題があるというものでした。
 この改正に伴い、ほとんどの市区町村で心身障害者福祉手当の対象疾病の一部改正を行いました。その上、改正と同時に減額補正予算を組み、心身障害者福祉手当を削減した市区町村がありました。今でも私は、百歩譲って、難病指定を外したことはいたし方ない、やむを得ないとしても、せめて予算化した十四年度中は心身障害者福祉手当を支給してほしかったと思っています。
 そしてこのとき、東京都は、罹患率がウイルス性肝炎より低い原発性硬化性胆管炎、肝内結石症、自己免疫性肝炎を新たに難病指定しました。C型肝炎が完治できるようになったからではなく、潜在的な感染者が発病する時期に差しかかり、患者数の増加を懸念して難病指定を外したとのうがった見方をするのは、私だけでしょうか。
 また、改正後は、精密検診、入院医療費助成制度が創設され、住民税非課税者に対してはそれまでと同様に医療費助成が行われ、四十歳以上の節目年齢者への検査実施等の新しい施策がとられるようになり、三年が経過いたしました。
 東京都は、平成十四年十月からウイルス肝炎総合対策を行っているが、この三年間の成果をどのように考えているのか、所見をお伺いいたします。
 この夏、まちを行く若者に入れ墨、いわゆるタトゥーを多く見かけました。ピアス、入れ墨などの施術についても、器具に付着した血液を介して感染が起こる危険があります。医療現場での感染をなくしても、新たな感染源を放置しておいては、手おくれになる危険があります。医療行為に相当する行為を無資格者が行っている場合については、それを排除するとともに、滅菌、消毒、その他の予防法の周知と遵守が重要です。また、外国で施術を受ける例もあるので、ファッション感覚だけでなく、衛生的に安全かどうか、怠った場合の危険性を周知させる必要があります。
 海外渡航者や若者たちへのC型肝炎などの感染の危険性について、広く普及啓発をすることが必要と考えますが、都はC型肝炎の普及啓発をどのように考えているか、お伺いします。
 本年八月、厚生労働省のC型肝炎対策等に関する専門家会議からの報告には、四十歳未満の無料検査の実施要望や地域検診の拡充、企業の健康保険組合の取り組みの強化を求めています。加えて、都道府県ごとに肝炎診療協議会を設置し、地域医療機関が連携を図ることも提唱しています。東京都においても、今後の肝炎対策の充実に向けた取り組みを大いに期待するものです。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) いのつめまさみ議員の一般質問にお答えいたします。
 結核対策についてでありますが、かつては結核は国民病、亡国病ともいわれて、我が国の死亡原因の一位を占めた業病でありました。私は、子どものころ逗子に過ごしましたが、逗子は、例の新派大狂言、浪子と武男、「不如帰」の舞台でありまして、そういういい伝えで親から、かつての時代にいかに結核がいろんな悲劇を生んだかと聞かされましたが、その後、国家的な取り組みの中で患者の大幅な減少が見られまして、一時は根絶が期待されました。
 都においては、近年、患者の発生は横ばい状態にありまして、若者の集団感染や住所不定者、外国人の発病が顕著なことなど、都市型の新たな様相を呈しております。
 ちなみに、調査によりますと、都の結核感染の特徴的な年代では、二十代から五十代までの新登録患者の数は、平成十五年には二千百六十一人、そのうちの一割が、ご指摘にもありましたけれども、二百五人が住所不定、いわゆるホームレスの方々ということになっております。ニューヨークでは、一九八〇年代の後半に、一たん封じ込められたはずの結核が急速に蔓延した事実もありまして、東京でこれを繰り返してはならないと思っております。
 結核などの感染症の克服は、本来国の責務でありますけれども、都も、都民の安全・安心を守るため、今後とも大都市の実情を踏まえまして、効果的な結核対策を推進していき、国にも具体的な進言をしていきたいと思っております。
 他の質問については、福祉保健局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 感染症対策について、六つの質問にお答えいたします。
 まず、都の結核対策におけるDOTS戦略についてでございますが、結核対策を進める上で、患者さんの治療中断を防ぐため、保健師が自宅を訪問し、服薬を確認するなどを通じまして支援を図る方法は、極めて有効なものでございます。
 都では、このDOTSの考え方を取り入れ、平成九年度から山谷地域において、また、平成十六年度からは都の保健所で、患者さんや地域の実情に応じた、きめ細かな服薬支援を行っております。今後は、住所不定者など治療中断を起こしやすい方々に対する服薬支援を効果的に行うため、特別区との連携を強化し、広域的なDOTS戦略を推進してまいります。
 次に、東京都のエイズの現状についてですが、平成十六年の都におけるHIV感染者・エイズ患者の報告数は過去最高の四百十一件で、全国の三分の一となっております。発生動向調査を開始した昭和五十九年以来、報告数は増加傾向にあり、昨年は十年前の三・三倍に達しております。なお、年代別に見ると、十代から三十代までの若い世代が全体の三分の二を占めております。
 次に、若い世代に対する普及啓発についてでございますが、エイズの知識や教育技法の研修を受けた大学生などが、同世代の仲間に対してエイズ予防や命の大切さを伝え、ともに考えるピア・エデュケーション事業を実施しており、また、東京都エイズ予防月間を中心に、若者向けのイベントやマスメディアを活用した普及啓発も行っております。今後とも、区市町村やNPOなどと連携し、地域における効果的な啓発活動を推進してまいります。
 次に、HIV感染者への告知に際しての配慮や、心理的ケアについてでございますが、都では、医師や医療従事者に対し講習会を実施し、告知やカウンセリングの知識、技法の向上に努めております。また、感染者には、保健師や臨床心理士などのエイズ専門相談員を派遣し、心理面や生活面でのさまざまな相談に応じております。感染者は、長期にわたる治療が必要であり、今後とも地域の医療機関との連携を深め、療養生活への支援の充実に努めてまいります。
 次に、ウイルス肝炎総合対策の成果についてでございますが、都は、都民にウイルス肝炎に関する正しい知識を普及するとともに、検査で陽性になった方への精密検診や、入院医療費助成制度の創設などにより、検査、診断から治療に至る総合的な仕組みを構築してまいりました。これらにより、早期発見、早期治療の取り組みを進めてきたところですが、さらに多くの感染者が治療に結びつくよう、都民や医療従事者に対し、ウイルス肝炎の検診や早期治療の重要性について、一層の普及啓発に努めてまいります。
 最後に、C型肝炎の普及啓発についてでございますが、ウイルス肝炎の基礎知識や予防方法などに関して、講演会の開催や、一般都民向け、検診受診者向けパンフレットの配布を行っており、また、医療行為における感染防止対策を徹底するため、院内感染予防対策マニュアルを作成し、その周知を図っております。
 今後、若者や海外渡航者に対しては、滅菌、消毒が不完全なピアスや入れ墨などによるウイルス感染の危険性や、海外での感染予防について、ホームページや海外渡航者向けのガイドブックなどにより注意を促してまいります。

〇副議長(木内良明君) 六十七番秋田一郎君。
   〔六十七番秋田一郎君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕
〇六十七番(秋田一郎君) 先般実施された衆議院議員選挙におきまして、自民党は国民から絶大なご支持をいただき、圧倒的な勝利をおさめることができました。国民は、小泉改革路線を強く支持するとともに、その行く先を非常な期待感を持って見守っています。
 殊に東京では、かつてない記録的な勝利をかち取ることができました。これは、都民も自民党の示した方向性に賛同の意をあらわしたものであり、首都東京の変革に向けて、我が都議会自由民主党も大いなる負託を受けたと、責任の重さをしっかりと認識しています。この負託にこたえ、東京の再生と都民生活の質のさらなる向上を図るという重責を果たしていくためには、何よりもまず真の地方分権を確立していかなければなりません。
 昨年十一月に示された三位一体改革の全体像は、みずからの省益を死守しようとする各省庁の激しい抵抗に遭って、国と地方の役割分担など本質的な議論をないがしろにしたまま、三兆円の国庫補助負担金削減額を積み上げることだけに腐心した結果、地方が求める分権改革からはほど遠いものといわざるを得ない内容となっています。
 現在進められているこの三位一体改革を、形ばかりのものではなく、日本全体の発展につながる真の改革としなければなりません。そのためにも、国民からの支持を受けた小泉総理が、強いリーダーシップを発揮して改革を推進することを期待しつつ、我々も、国がその改革の方向性を誤ることのないよう、その動向を注視していくことが必要です。
 地方自治体が国の過剰な関与から解放され、自主、自立的な行財政運営ができるようになれば、後ほど質問させていただく都市基盤整備や温暖化現象、ホームレス対策など、過度に産業や人口が集積した結果生じている大都市固有の問題に対して、機動的に対応することが可能となります。
 今こそ、国から地方への税源や権限の移譲を着実に進めるなど、真の地方分権の確立に向けて邁進すべきときと考えますが、知事の決意を伺います。
 次に、新宿駅の地下歩行者ネットワークの整備について伺います。
 品川駅や田町駅では自由通路が整備されており、駅周辺における歩行者の利便性や回遊性が確保されています。ところが、新宿駅は、一日約三百五十万人が利用する日本一のターミナル駅であるにもかかわらず、自由通路がありません。駅周辺の東西方向の歩行者通行は、鉄道により約五百メートルにわたり分断されており、地下のメトロプロムナードのほかには狭小な角筈地下道しかなく、東西自由通路の早期整備は二十数年来の地元の悲願であります。
 区では、昨年から新宿駅周辺整備検討会を設置し、実現に向け検討していると聞いておりますが、費用負担や具体的な計画を早期に確定することが重要と考えます。私は、新宿駅を活力とにぎわいのある拠点とし、区民や駅利用者にとって使いやすい東西自由通路とすべきと考えますが、その早期整備に当たって都はどのように取り組んでいくのか、伺います。
 一方、新宿駅周辺地区では、平成十九年度に地下鉄十三号線の開通が予定され、明治通りの下に通路が新たに設けられます。また、国道二〇号線下においても、南口地区基盤整備事業に伴い、新宿駅東南口から明治通りまでが地下通路でつながる予定と聞いています。このような事業が進む中で、新宿駅周辺の地上部は、歩行者のすれ違いや車いす、ベビーカーの通行が容易ではなく、地元住民からはサブナードの延伸が強く要望されています。
 区役所交差点から明治通りまでサブナードの地下歩道を延伸させることは、新宿駅周辺の歩行環境の改善につながることから、地下鉄十三号線の開業に合わせ、早急に整備すべきであると考えますが、東京都の思いをお聞かせください。
 次に、温暖化対策についてお聞きします。
 東京の年平均気温は、この百年間で約三度も上昇しました。この先もこのまま温暖化が進行すれば、百年後にはさらに三度、五百年後には十五度、千年後には三十度も上昇し、真夏日には何と六十度を超えてしまう計算になります。また、別の研究によれば、二〇三〇年ごろには、東京の夕方六時の気温が四十三度を超えるとの報告もあります。これ以上の気温上昇はただごとではなく、都民の生命にとっての危機であり、温暖化対策は待ったなしです。
 そこで、まず壁面緑化について質問します。
 小中学校では、夏の暑さ対策としてエアコンを設置する動きも出てきていますが、エアコンを使えば使うほど排熱によって外気温が高まり、悪循環です。夏の暑さをしのぐとともに温暖化を防止するためには、緑の力、自然の力を生かした壁面緑化が有効です。
 これが壁面緑化、通称緑のカーテンです。(写真を示す)ちょっと小さいかもしれませんが……。あるテレビ番組によれば、この緑のカーテンを設置し、教室の温度が何と六度も下がったとの結果も出ています。また、ヘチマやキュウリを育てることで、教育の面での効果も生んでいます。何よりストレスの多いといわれる子どもたちに潤いを与えています。壁面緑化をさらに広げていくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、この夏は、打ち水の取り組みが多くのマスコミでも取り上げられました。打ち水をすれば、気化熱を奪って気温が一度から二度も下がると聞いています。打ち水は、コンクリートジャングルにひとときの潤いを与えるとともに、情緒ある風物詩でもあります。墨田区では打ち水に雨水を利用しており、水資源の有効活用も図っています。この打ち水の取り組みを積極的に進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、ホームレス対策について伺います。
 一昨日、平成十七年八月の路上生活者概数調査の結果が公表されました。それによれば、東京二十三区内の路上生活者は四千二百六十三人となり、昨年の同時期と比べて約千二百人以上も減少しています。毎年八月の調査では、平成十一年度の約五千八百人をピークに、この間五千人台で推移し、今回大幅に減少したといえると思います。
 その要因の一つは、昨年六月から新宿区内の二公園を皮切りに始まった、ホームレス地域生活移行支援事業の成果です。この事業は都内の五公園で順次行われており、現在までに七百人を超えるホームレスがテントを撤去し、地域の借り上げ住居に移行したと聞いています。
 私の地元の新宿中央公園では、公園内のテント数が激減し、ことしの春には子どもと保護者が安心して遊べるちびっこ広場がオープンするなど、公園は区民の憩いの場として大きく生まれ変わりました。
 この事業の目的であるホームレスの自立支援と公園の機能回復に向けて、引き続き事業を着実に推進することを願っています。
 私は、都議会自由民主党のホームレス対策協議会の一員として、ホームレス問題の抜本的解決に向けて活動してまいりました。いうまでもなく、ホームレス問題は、先進国の大都市が抱える共通の問題であり、都市の解決能力が問われる課題です。そうした観点から見ると、東京都と特別区が共同で取り組んできた事業については、他の都市に例を見ない大きな成果を上げていると評価しています。
 ただ、二十三区全体に広く目を転じれば、まだまだブルーテントが林立している地域は数多く存在し、このままでは、首都東京の名にふさわしい状況とはとてもいえません。そこで、現在の都内のホームレスの状況について、都はどのように認識し、対応するつもりなのか、所見を伺います。
 次に、使用料等滞納金回収の取り組みについて伺います。
 先日行われたインターネット公売では、主税局に設置した都債権特別回収班が港湾局の債権回収で差し押さえた物件が出品されました。また、今月からは警視庁と連携して、違法駐車レッカー費用の回収を始めたと聞いています。
 知事は、日ごろから行政分野の縦割りを超えた横断的な取り組みを目指すとおっしゃっています。各局が一丸となって滞納金の回収に当たることは、住民負担の公平性確保に資するものであり、高く評価するものであります。
 そこで、昨年度の使用料等滞納金回収トライアルの実績及び今年度から開始した使用料等滞納金回収本格実施の目標について伺います。また、主税局のノウハウをどのように活用して今後取り組んでいくのか、あわせて伺います。
 最後に、商店街振興について伺います。
 最近、元気な商店街のさまざまな取り組みがマスコミにもたびたび取り上げられ、改めて商店街の魅力とその役割が注目されています。例えば新宿・神楽坂では、近隣の大学と連携したまちづくりフォーラムや、伝統を生かした芸能鑑賞会など、多彩な催しが実施されています。最近では、商店主や地元有志が、粋なまちづくり倶楽部というNPO法人を設立するなど、商店街と地域が一体になってまちづくりへの幅広い取り組みを進めています。
 地域の特性や資源を取り込み、活用することによって、商店街はまち全体を活性化する中心となるのです。にぎわいと活気のある商店街は地域の共有財産であり、商店街振興は、まさに地域振興の切り札ともいうべき重要な施策です。また、商店街は、防犯、防災、福祉や環境などの行政課題を地域で解決していく推進役として欠くことのできない公共的な団体となっています。
 我が党は、こうした商店街の活動を幅広く支援する、新・元気を出せ商店街事業の充実に力を尽くしており、今年度は予算規模が大幅に拡大され、地域との連携事業なども新設されました。そこで、今年度の新・元気を出せ商店街事業の取り組み状況と、今後の都の事業展開について伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 秋田一郎議員の一般質問にお答えいたします。
 いわゆる国の三位一体改革について、都はこれからどう対応していくかということでありますが、この改革は、政府が自分からいい出した骨太の方針なるものによりますと、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主自立の地域社会から成る地方分権型の新しい行政システムを構築するということでありました。
 しかし、具体的に国が持ち出したのは、いきなり義務教育費を、何というんでしょうか、地方に任せて勝手に使えということで、私は、これはやっぱり義務教育の危機だと思って反対いたしましたが、とにかくこういう本来の目的、理念からかけ離れた提案の仕方は非常に問題があると思いまして、私も真っ向から反対しましたし、総理にも建言しましたし、経済財政諮問会議ですか、その幹部たちにも、歴訪して、しっかりしてくれということを申したら、みんな同感でありましたが、いずれにしろ、その結果は、国の各省や政治家による目先の利害調整に終始して、地方分権の実現という目的がもう全くネグられたと。そこにおいて、政治のリーダーシップというものは全然感じられないていたらくでありました。
 今求められているのは、日本全体の発展につながる改革を実現することでありまして、今般の総選挙も、構造改革の一つの大きな引き金ということで、郵政にフォーカスされた選挙であったと思うんですが、しかし、やはりそれは改革の一部でありまして、これを一つの突破口にしてもう一回仕切り直しをして、明治以来続いているこの旧弊な現行の制度というものを根本的に改革する必要が、もう必要だと思っております。これはもう歴史的の必然、蓋然でありまして、これをしない限り、日本は、非常に硬直した官僚支配というものの体質を変えることができない。
 今後も、再三にわたって国に求めていくつもりでありますし、真の分権改革の実現に向けて、都議会と連携しつつ、積極的に、かつ具体的に建言もし、取り組んでいきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 新宿駅周辺の再編整備に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新宿駅東西自由通路の整備についてでございますが、自由通路は、新宿駅周辺における円滑な人の流れを確保し、にぎわいと活力あるまちの形成に必要な施設と認識いたしております。その早期整備に当たりましては、駅構内の通路や、駅改修のための工事用通路など、既存の空間を有効に活用することが必要でございます。
 都といたしましては、今後とも、地元区の取り組み状況を踏まえ、整備の具体化に向け、国や鉄道事業者との調整など、必要な協力を行ってまいります。
 次に、サブナードの延伸についてでございますが、新宿駅周辺における地下歩行者道ネットワークは、これまで公共と民間が役割を分担した上で整備を進めてまいりました。お尋ねの靖国通り地下歩道の延伸は、現在整備中の地下鉄十三号線とサブナードを接続することとなり、歩行者の利便性向上に資するものと認識いたしております。その実現には、周辺のまちづくりとの整合を図った上で、整備主体や事業スキーム等を検討することが不可欠でございます。これらの課題について、現在地元区が主体となって検討を進めており、都は区の取り組み状況を踏まえ、必要な協力を行ってまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕
〇環境局長(大橋久夫君) 地球温暖化対策の二点のご質問にお答えします。
 まず、壁面緑化の取り組みについてでございます。
 壁面緑化は、日射を遮るとともに、植物の蒸散作用により気温を引き下げる効果があるのはご指摘のとおりでございます。都におきましては、本年度、都立高校、新宿都税事務所などで壁面緑化のモデル事業を実施しております。
 また、壁面緑化を広く普及するには、区、市や民間での取り組みも必要でございます。このため、都では、現在壁面緑化のさまざまな技術や具体的効果を示したガイドラインを作成中であり、今後、このガイドラインに基づき、区、市や民間の施設による壁面緑化の取り組みを進めてまいります。
 次に、打ち水の取り組みについてでございます。
 打ち水は、先人たちの知恵により、だれもが手軽にできるヒートアイランド対策であり、市民団体が全国的に打ち水作戦を展開しております。都は、ここ三年、都民広場で行われるこの催しに協力をするとともに、都内の打ち水作戦に使用する水については、下水再生水を無償で提供するなど、積極的に支援しているところでございます。
 また、都では、丸の内地区などにおいて、保水性舗装の施工とともに、路面への散水を実施しております。今後とも、区や市民団体と連携して、打ち水など水を生かしたヒートアイランド対策に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) ホームレス対策についてのご質問にお答えします。
 都は、これまで、特別区と共同で緊急一時保護センターや自立支援センターを設置いたしまして、就労自立を図るとともに、お話の地域生活移行支援事業の実施により、地域での自立生活への移行を推進してまいりました。これらの独自の取り組みが功を奏しまして、ホームレスの数は前年に比べ約二割に当たる一千二百人以上も減少いたしました。
 しかしながら、現在でも河川や公園などで多くのホームレスが起居し、ブルーテントが残っているのはご指摘のとおりでございます。今後とも特別区と協力しながら、ホームレスが早期に路上生活から抜け出し、地域で自立が図れるよう支援に努め、あわせて施設管理者と連携して公園等の適正な利用を実現してまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕
〇主税局長(菅原秀夫君) 使用料等滞納金回収につきましての二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、使用料等滞納金回収の実績及び目標についてでございますが、各局及び警視庁との連携のもとに、都財政の再建と住民負担の公平性を図ることを目的といたしまして、昨年度のトライアルに引き続きまして、今年度から本格実施を行っております。
 平成十六年度に実施いたしましたトライアルにおきましては、六局九債権を主税局で引き受けまして、地方税法の滞納処分の例により処理できるいわゆる公債権につきましては、人員ベースで六五%の処理を、裁判所の関与が必要な私債権につきましては、二十件の支払い督促申し立てを実施したところでございます。本格実施に当たり、平成十七年度につきましては、公債権につきましては人員ベースで五〇%以上の処理を、そして私債権につきましては人員ベースで一〇%以上の支払い督促申し立て、及び数件の強制執行を目標としております。
 続きまして、今後の取り組みについてでございますが、平成十七年度は、主税局に専担係を設置いたしまして、対象債権も十二局及び警視庁の二十六債権へと拡大したところでございます。これらの滞納整理に当たりましては、主税局がこれまで培ってまいりました徴税ノウハウを活用いたしまして、公債権につきましては徹底した財産調査と速やかな滞納処分を行い、私債権につきましては、総務局とも緊密に連携いたしまして、支払い督促申し立て及び強制執行を行うことによりまして、主税局が引き受けた困難案件の早期解決を図ってまいります。
 また、今年度の本格実施への一連の取り組みの中で把握いたしました課題とその解決策につきましても、各局等と連携いたしまして研究し、新たな滞納を発生させない予防的視点からの事務改善についてご提言申し上げるなど、積極的に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 新・元気を出せ商店街事業についてでございます。
 今年度の交付決定件数は約二千三百件となっており、空き店舗を活用した多様な取り組みや、複数の商店街による共催事業などが増加しております。また、視覚障害者の買い物をサポートする音声誘導機器の設置や、食と健康をテーマに交流の場をつくるコミュニティレストランの運営など、先進的な取り組みも数多く見られるところでございます。
 都は、今後、商店街が地域と連携してまちづくりを進めるモデル事業を拡充するとともに、福祉や防災などの重要な行政課題に対応する商店街の取り組みを促進し、商店街が地域に果たす役割が一層高まるよう施策を展開してまいります。

〇議長(川島忠一君) 十番原田恭子さん。
   〔十番原田恭子君登壇〕
〇十番(原田恭子君) 都議会生活者ネットワークを代表し、質問させていただきます原田恭子です。
 まちづくりにおいての市民主権の確立が私のテーマです。これからもこの視点を大切に活動していきたいと思います。よろしくお願いします。
 さて初めに、ニュータウンの再生について伺います。
 一九五〇年代の高度成長期、多摩地域の乱開発に歯どめをかけ、良好な住宅確保のため、国と都の事業としてスタートした多摩ニュータウンですが、第一次入居から四十年経過した今、再生に向けてのさまざまな課題が浮上しております。特に分譲住宅の建てかえは、都市計画上の規制に加え、一つの管理組合の抱えている世帯数が多い、初期の入居から四十年も経過すると住んでいる人の状況が大きく変化しているなどの理由から、住民の建てかえに向けての合意をとっていくことが大変困難です。
 東京都も、住民とともに建てかえに向けての努力をしているという点では評価するものですが、まだまだ辛抱強い話し合いが必要です。また、エレベーターのない五階建ての上下移動、集合住宅から最寄りのバス停までの急な坂道での移動など、高齢化に伴う対応も緊急課題です。地域では、NPO、市民、自治体それぞれの立場で知恵を出し合い、問題解決に向けての努力が続けられていますが、その道のりは決して易しいものではありません。
 現在、国土交通省では、計画開発住宅市街地の今後のあり方検討委員会、また、東京都でも、東京都住宅政策審議会の中で、ニュータウンの再生について審議されています。これらの動きを踏まえ、ニュータウンの再生計画の新たなビジョンを、ニュータウン関連市と市民、まちづくりNPOも含めた協議の場を設定し、方向性を確認していく必要があると考えます。これからのまちづくりは、市民、基礎自治体の主体が重んじられるべきです。再生計画への市民参加をどのようにコーディネートしていくか、東京都の総合調整の役割が問われます。
 多摩ニュータウンの再生に向けての役割を東京都はどう考えているか、お聞かせください。
 また、ニュータウンのまちづくりへの市民及びNPOの参画をどのように考えているか、お伺いします。
 将来的に市民が自主的にまちづくりを進めていくために、東京都、都市再生機構、東京都住宅供給公社がそれぞれ持っているニュータウン事業の記録を一元的に保存し、公開していく必要があると考えますが、いかがですか。
 次に、臨海副都心開発と、これにかかわる東京ファッションタウン及びタイム二十四の二社の経営破綻について伺います。
 今回のこの二社は民間会社であり、ファッション関係や情報関連の貸しビル業ですが、東京都が全面的に計画し、臨海副都心開発の一環としてつくられてきたものです。したがって、今回の破綻についても、開発全体の危機の表面化としてとらえるべきです。この開発の最大の矛盾は、地下の巨大な共同溝に象徴的なように、一挙に巨額の投資をして、また一挙にまちづくりを進めることでした。バブル崩壊とともに、その矛盾は露呈し始め、ついに今回の二社の破綻としてあらわれたのです。
 二社の破綻処理は、個別経営責任としても、それを指導監督する立場としても、東京都の責任は重大であり、都及び都民の財産に多大な損害を与えることは事実です。このために、都民への責任は厳しく問われなければなりません。見解をお伺いします。
 私たち生活者ネットワークは、開発当初より、現実的な臨海副都心の開発見直しを提案してきました。今回の事態で、全体の事業の見直しはいよいよ不可欠となったと考えます。全体を見渡したとき、域内の整備は終わったとはいえ、アクセスのための広域幹線道路など、莫大な事業費約四千四百億円という計画は残されており、小手先の解決では都民の納得が得られません。環境配慮や事業リスクの減少、今後の基盤更新への配慮という点から、事業計画を市民参加型で抜本的に見直すことが都の未来への責任であると考えますが、いかがでしょうか、知事にお伺いします。
 最後に、食の安全確保について伺います。
 食料生産は、長いこと自然の中で営まれてきました。ところが、より高い経済効率を求め、食料の生産が行われる中で、使用される化学肥料や農薬、殺菌剤、加工段階では着色料や保存料、添加物など、おびただしい化学物質に依存するようになってきました。その結果、消費者の不安は解消されることなく次々と新たな不安が生まれ、BSE、遺伝子組みかえ食品は現代の食への不安を象徴するものといえます。
 このような状況において、食品及び飼料として安全性未審査の遺伝子組みかえトウモロコシBt10が二〇〇一年から二〇〇四年にわたって米国において栽培され、日本にも輸入されましたが、国の水際検査により、飼料安全法に違反するものとして積み戻しの措置がとられました。
 遺伝子組みかえトウモロコシBt10は、抗生物質耐性遺伝子として、EUでは取り扱いが禁止され、日本でも未審査の状態にありますが、二〇〇一年以来、既に国内市場に流通している可能性があり、消費者に新たな不安が広がっています。市場に流通する食品に対し、監視、検査は都道府県の責務であり、この未審査のものについて都の適切な対処が必要と考えますが、見解を伺います。
 また、飼料としての安全性が確認されていないBt10について、都の適切な対処が必要と考えますが、見解を伺います。
 消費者の不安を解決するために、東京都には独自の東京都消費生活条例第八条の規定に基づく申し出制度があり、その意義は大きいものです。今こそこの真価が問われているときと考えますが、消費者から疑わしきを未然に防止する観点で申し出があった場合、都の対応をお伺いします。
 東京都は、ことし一月、農業者、消費者及び学識経験者の外部委員で構成する遺伝子組みかえ作物の栽培に関する検討委員会を設け、国の制度の問題点を明らかにし、事前の情報提供や近隣住民等への説明を求めることなど、都の指導指針のあり方について検討を行ってきました。この検討委員会の報告を受け、速やかに遺伝子組みかえ作物の栽培に係る指導指針の策定を行う旨、今年第一回定例会で生活者ネットワークの一般質問に答弁をいただいております。
 改めて現在の進捗状況と今後の対応を伺い、一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 原田恭子議員の一般質問にお答えいたします。
 臨海副都心の開発と今後についてでありますけれども、十数年前のあのバブルというのは、何といいましょうか、今になってほぞをかんでも追いつかない節がたくさんありますけれども、しかし、国全体が浮かれて突っ込んでいって、それで泡がはじけて今日のていたらくになりました。都も国に乗せられて随分突っ走り、突っ込んでいって、あそこにはいろいろな隠れ借金といいましょうか、不良資産といいましょうか、抱えた結果になって往生していますけれども、これはうまく合理的に処理していかなきゃならないと思っていますが、いずれにしろ、しかし、結果としては、あの副都心は大変なにぎわいを示して、一つの東京の名所にもなりつつあります。
 そういう好条件もあるわけでありまして、結果として臨海副都心の開発の目的は色あせていないと思いますが、いずれにしろ、バブルの崩壊の後始末というものをこれからいかにきめ細かく合理的にしていくかということが都の抱えている難題の一つだと思います。
 今後も首都東京の魅力と活力を最大限に生み出すように創意工夫を重ねながら、すべき開発は続けていかなくてはならないし、すべきものだと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 多摩ニュータウンに関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩ニュータウン再生に向けた都の役割についてでございますが、多摩ニュータウンは、それぞれの時代の要請を踏まえ、先導的なまちづくりを進めてまいりましたが、今日では、開発者主体の建設の時代から、地域や生活者の視点に立った地域経営の時代を迎えております。また、四十年に及ぶ事業期間の中では、開発時期ごとに地域の特性やまちづくりの課題も異なっております。
 都といたしましては、地域経営の主体である地元市や関係機関と連携しつつ、多摩ニュータウン全体を視野に入れ、広域的な観点からまちづくりに取り組んでまいります。
 次に、ニュータウンのまちづくりへの市民やNPOの参画についてでございますが、多摩ニュータウンでは多くの市民やNPOが積極的に活動しており、まちづくりに対する意識は高いと認識しております。地元市と市民が協働して、多摩ニュータウンの魅力を高めるなど、まちづくりを主体的に進めていくことは望ましいことと考えております。
 最後に、多摩ニュータウン事業記録の公開等についてでございますが、多摩ニュータウン事業の主な資料は、既にパルテノン多摩の歴史ミュージアムや、東京都新都市建設公社のまちづくり支援センターにおいて体系的に整理し、公開されております。都は、従来からこれらの施設に対し資料提供を行ってまいりました。引き続き地元市等の要請に基づき協力してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、二社の再生計画についてでございます。
 二社は、民間主導で設立された会社でありますが、長引く景気低迷により不測の賃料相場の低落が続いたため、多額の負債を抱え、返済のめどが立たない状況にありました。そこで、都は、出資者といたしまして、ファッション及び情報関連産業の活動の拠点、交流の場としての機能を維持しつつ、事業の再生に向け抜本的処理を行うよう、二社及び関係者に働きかけてまいりました。その結果、金融機関等の債権放棄などにより事業継続が図られ、テナントへの影響を回避するとともに、都の財政負担が最小限に抑えられる再生計画案が策定できたものと考えております。
 次に、安全性未審査の遺伝子組みかえ飼料についてでございますが、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律では、規格基準に合わない飼料の使用が原因となって家畜に被害が生じる等のおそれがある場合には、必要な措置を講じていくこととされております。現在、農林水産省から国の食品安全委員会に対しまして、Bt10の飼料としての安全性評価を依頼しているところであり、その結果を見守り、適切に対応してまいります。
 最後に、遺伝子組みかえ作物の栽培に係る指導指針の策定についてでございます。
 本年一月から、外部委員で構成する遺伝子組みかえ作物の栽培に関する検討委員会において検討が進められてまいりました。その後、座長を中心に取りまとめがなされており、近々報告書が提出されることになっております。都では、これを受け次第、早急に指導指針の案を作成し、パブリックコメントを経た後に正式な指導指針として策定し、公表する予定でございます。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 遺伝子組みかえ食品への対応についてでございます。
 我が国において、安全性未審査の遺伝子組みかえ食品は、食品衛生法により輸入や販売が認められておりません。本年五月、輸入時に国が行う飼料用トウモロコシの検査において、安全性未審査の遺伝子組みかえ品種であるBt10の混入が判明いたしました。都では、市場流通食品について、安全性未審査の遺伝子組みかえ食品混入の有無を確認する検査を行っておりまして、Bt10も検査対象として実施しているところでございます。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕
〇生活文化局長(山内隆夫君) 東京都消費生活条例第八条に基づく申し出制度についてでございます。
 この制度は、消費者の権利が侵されている疑いがあるときは、知事に対して、適当な措置をとるべきことを求めることができるものでございます。都民より、この八条に基づく申し出があった場合には、関係各局と調整を行った上で、適切に対応してまいります。

〇議長(川島忠一君) 九番そなえ邦彦君。
   〔九番そなえ邦彦君登壇〕
〇九番(そなえ邦彦君) 九番そなえです。大分長時間にわたって、皆さんお疲れだと思いますけれども、しばらくおつき合い願いたいと思います。
 平成十五年に東京都では、東京都安全・安心まちづくり条例を制定し、増加し続ける犯罪を行政、区市町村が協力して防止するため、条例に基づきいろいろな事業を展開してきております。本会議の冒頭の知事の所信表明の中にも、直面するさまざまな課題の重点的取り組みの一つとして、治安問題への取り組みを挙げ、平成十五年八月に緊急治安対策本部を設置し、この八月には、新たに青少年・治安対策本部を立ち上げ、体制の強化に取り組もうとしております。これまでも多くの議員が治安対策について言及をしていると思いますが、やはり都民の関心の高いこの問題について、新人議員として改めて今回知事の基本姿勢をお聞きしたいと思います。
 府中市でも、都の条例を受け、市民生活の安全確保に関する条例を制定し、警察署と連携を図り、犯罪のない、安全で明るいまちづくりを目指しており、また、各行政区でも同様の条例が制定されつつあると思います。
 そのような中、本年二月十四日に、府中駅近くの信用金庫駐車場で殺人事件が発生し、いまだに未解決であります。市民としては大きなショックを受け、警察としても最大限の努力をされていると思いますが、二度とこのような犯罪が起こらないよう、体制づくりを早急にしていかなければならないと思います。その意味では、交番の果たす役割は大であると考えます。
 この九月十四日に、府中市の防犯支部長会議が行われ、質疑の中で、市民から空き交番のことに触れられ、警察としても、OB等を含め、今後解消のため努力をしていくとの答弁がなされておりました。事実、警視庁では、限られた人員の中で、交番の統廃合も含め解消に努力をされておりますが、さらに住民の意見を聞きながら、今後も、新設を含めご努力をお願いしたいと思います。警視庁発行の「グラフ警視庁」の中にも、交番、駐在所は、安全・安心のよりどころとして二十四時間体制で活動を行いとありますので、ぜひその方向でいくようよろしくお願いします。
 また、知事の所信表明にも触れられている、犯罪は、警察、行政の対策はもとより、地域での自主的な取り組みが大きな威力を発揮すると地域の協力に期待しており、私も当然のことと思います。また、昨日の青少年・治安対策本部長の答弁にも、町会、自治会への支援を約束しておりました。その意味からも、地域の方々が防犯パトロールや防犯キャンペーン等の取り組みをする際の連絡場所や地域安全活動の拠点としての安全センター的な場としてより一層交番を活用できるよう、ご検討をお願いしたいと思います。
 府中市では、殺人事件発生以来、不安が高まり、地域の要請で防犯カメラを三十一基設置することにしました。このような動きを行政としてサポートしていくことは、犯罪抑止には必要と考えます。
 そこで、青少年・治安対策本部長にお伺いします。
 都は、安全・安心まちづくりアカデミーを実施し、防犯ボランティアリーダーを養成するなど、犯罪に強いまちづくりをソフト面から支援し、その結果、都内各地において多くのボランティア団体が組織され、防犯パトロールなどの防犯活動が積極的に展開され、地域における防犯力の向上に大いに貢献していると考えております。
 そして、ソフト面だけでなく、ハード面の防犯まちづくりについても、防犯カメラ等の防犯設備の設置について支援を行っていると聞いておりますが、これまでの実績をお伺いいたします。
 また、都内の治安状況は改善しつつあるとはいえ、繁華街などでは、依然として多くの犯罪が発生して都民生活を脅かしております。このような状況の中、防犯カメラの設置による犯罪の抑止効果は大いに期待できるものと考えますが、所見をお伺いします。
 東京都では、東京の新しい都市ビジョン構想で、通勤、通学などで市区民が安心して通行できるよう、また、事件事故等の発生時の緊急通報手段として、スーパー防犯灯というものがあります。これは、正式には街頭緊急通報システムというもので、非常用赤色灯、非常ベル、防犯カメラ、インターホン等を備えた防犯灯で、緊急時には警察への通報や映像の伝送をすることができるもので、地域の路上犯罪の発生状況等を勘案して設置されるものと承知しております。
 平成十三年度及び十四年度には国費によるモデル事業として、十五年度からは国からの補助事業として整備され、現在までに都内八地区、百九台が設置されており、犯罪の抑止に効果を発揮しているということであります。
 安全の確保には必ず予算がつきもので、このシステムも例外ではなく、決して安価なものではないようです。しかしながら、女性や子どもなどの社会的弱者であっても安心して歩けるまちであるためにも、厳しい都財政ではありますが、引き続きスーパー防犯灯の設置計画を推進されますよう強く要望するものであります。
 次に、警視総監にお伺いします。
 ところで、警視庁では、治安回復三年計画ということで頑張っておられ、ことしはその三年目に当たるということであります。治安水準を十年前に戻すということで、いろいろな施策の展開、努力をされていることと思いますが、これまでの犯罪抑止対策の推進状況と今後の課題について伺いたいと思います。
 次に、繁華街の治安対策について伺います。
 新宿、渋谷、池袋などを中心とした繁華街の環境も、各種条例の制定により徐々によくなっているようではありますが、相変わらず違法風俗営業、ピンクチラシ、女性に対するつきまとい、風俗店の客引き等も現存しており、薬物の街頭販売も行われているようです。これらの環境の浄化に向け、さらなる取り組みが望まれているのではないでしょうか。
 そこで、繁華街対策のこれまでの成果と今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 最後に、都としての教育的責任者である教育長にお伺いします。
 平成十三年に発生した大阪教育大学附属池田小学校の事件、さらには本年二月の大阪府寝屋川市立中央小学校の事件は、多くの保護者や学校関係者に強い衝撃を与えました。これらの事件も踏まえ、現在、各区市町村教育委員会では、小中学校の防犯対策にいろいろと取り組んでおります。府中市でも、市内二十二小学校すべてに警備員を常駐させることとしました。まさに児童生徒の安全の確保は急務であります。
 都教育委員会としても、スクールガードについて、区市と連携し、推進をしつつありますが、さらに小中学校の防犯対策に積極的に取り組み、不安を一日も早く払拭していくべきと考えますが、教育長の所見をお伺いします。
 以上、私の質問といたします。ご答弁よろしくお願いします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) そなえ邦彦議員の一般質問にお答えいたします。
 治安対策についてでありますが、私の知事選の再選の直前に行われました世論調査によりましたら、都民の最大の関心はやはり治安の悪化にありました。ということで、再選されました後、警察庁から治安担当の副知事を招きまして努力してまいりましたが、まさに治安の維持こそ最大の都民福祉であるという観点で、これまで都は、安全・安心のまちづくりの推進、不法滞在外国人対策などの施策も展開してまいりました。
 不法滞在外国人に関しましては、入管にもかけ合いまして、都の職員も協力しまして、あそこに、歌舞伎町という最悪のスポットに出張所もつくりまして、いろいろチェックをいたしましたが、こうした警察活動の強化と地元住民の協力、発奮によって、結果として東京の犯罪は目に見えて減少してはまいりました。
 現在、各地域では防犯パトロールや防犯カメラの設置が進められていますが、こうした自助、共助の精神に基づく取り締まりが、やはり治安を回復する上で極めて重要だと思います。
 今後とも、地域住民と警察、行政との連携によって治安の維持回復のための地域力を高め、都民の安全と安心を取り戻していきたいと思っておりますが、東京の力にも限度がありまして、またこれやはりどうにもならない問題が、それは著しい治安の悪化、それから、今まで類例のなかった犯罪のばっこの、すべてとはいいませんけど、大きな要因の一つに、不法入国、不法滞在の外国人の存在がありますね。
 これは、一番多いのは中国人でありますけども、池袋に行ってもらうとわかりますが、あそこでは一つの、まあ何といいましょうか、中国の分身のような一角ができていまして、部数の多い新聞などが発行され、しかし、そこで泥棒の見張りの求人広告などがあるような始末でありまして、これも今日、世界が時間的、空間的に狭くなりますと、情報というのは簡単に伝達していく。しからば、いかなる情報がそういう不法入国、不法滞在の外国人の吸引力になっているかといいますと、これは経済格差ですね。
 ちなみに、中国では、モーターショーで一億円の車を買うばかもいますけども、私にいわせると、ぼられて、大した車じゃないんですが、それを払って、高級品はステータスシンボルだとうそぶく中国人もいる一方、奥地に行けば、一日の稼ぎが一元に及ばない。一元というのは、私、何百円か知らなかった。調べたら十四円ですな。そういう経済格差が存在するということが、やはりあれだけ膨大な人口を抱えて、非常に経済そのものが膨張しているけど、大きなひずみを見せているああいう国から多くの不法入国者を招致しているわけで、吸引しているわけです。
 これは何も中国に限りませんが、かつて私の友人でもありましたラモス・フィリピン大統領が私の議員時代に来まして、苦笑いしていっていましたけど、彼にくっついてきた二十数人の新聞記者が、次の日に十数人いなくなりまして、そのまま不法滞在していなくなっちゃった。これぐらい経済格差というのは、やっぱりいろいろな人たちの吸引力になるわけですね。
 それが結局、不法滞在ということになれば、正式に就業できませんから犯罪に結びついていくということで、ここら辺のことは、どうやってその格差を埋めるかというのは相手側の努力でしょうが、やっぱりぬぐいがたい、しかし、なかなか対処できない東京の治安の悪化の要因になっているということも私たちは承知した上で、努力していかなくちゃいけないと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長及び青少年・治安対策本部長から答弁いたします。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕
〇警視総監(奥村萬壽雄君) 犯罪抑止対策と盛り場対策の推進状況等についてお答えをいたします。
 まず、犯罪抑止対策の推進状況でありますけれども、警視庁では、近年の治安の悪化にかんがみまして、平成十五年を治安回復元年と位置づけて、犯罪抑止のための検挙、防犯両面の総合対策を、都庁を初めとする関係機関、団体、そして都民の皆様方の幅広いご協力をいただきながら、全庁を挙げて推進してまいりました。
 特に、都民の身近で発生し、大きな不安要因となっております強盗、侵入窃盗、ひったくり、性犯罪、この四つの犯罪を重点犯罪に指定いたしまして、それらの発生の総数を、本年末までの三年間で平成四年の水準に戻すことを目標に、犯罪抑止に取り組んでまいりました。
 その結果、本年八月末現在、都内におけるこれら指定重点犯罪の認知件数の合計は約一万六千件で、これは、対策を始める前の平成十四年の同期に比べまして四一%のマイナスと大幅に減少しており、目標としております平成四年に比べましても一四%下回っているところであります。また、これら指定重点犯罪の検挙率も六〇%にまで回復しておりまして、全国平均の三九%を大きく上回っております。
 さらに、こうした全体的な犯罪抑止対策の効果といたしまして、殺人等の重要凶悪事件の発生も減少しております。とりわけ捜査一課が担当しております殺人、強盗などの重要事件の特捜本部の設置につきましては、従前は二十件を超える年がほとんどでありましたけれども、中には平成十一年のように三十三件も設置された年もありますが、おととしはこれが十二件、昨年は十七件、本年はこれまでのところ八件と、相当少なくなってきておりまして、全体として都内の治安は着実に回復してきているところであります。
 引き続き、さらなる治安の回復に向けまして努力をしてまいりたいと思っておりますが、他方で、いわゆる振り込め詐欺等が依然として多発しておりますことから、現在、警視庁で身近な知能犯罪緊急対策本部を設置して、強力に検挙対策を推進しておりますほか、さまざまな広報手段を用いて都民、国民に注意喚起を図るなど、こうした新手の犯罪の抑止対策にも鋭意取り組んでいるところであります。
 次に、盛り場対策のこれまでの成果と今後の取り組みについてでありますが、警視庁では、昨年四月から、特に問題の多い新宿歌舞伎町、池袋及び六本木を最重点地区とする三地区特別対策本部を設置しまして、この三地区に対する戦略的かつ総合的な取り組みを強力に行ってまいりました。
 特に歌舞伎町におきましては、対策を強化した昨年四月からこれまでの間に、違法個室マッサージ店約百店舗、わいせつビデオ店約百五十店舗、カジノ等の賭博店約三十店舗を摘発いたしまして、これらの店舗を閉鎖に追い込みましたほか、本年四月に施行されました改正迷惑防止条例に基づく集中的な取り締まりを行った結果、従前、相当数路上を徘回しておりました客引きが、現在、ほとんど見当たらなくなってきております。
 加えまして、路上の違法駐車や立て看板、置き看板のたぐいは徹底的に排除あるいは撤去しておりまして、歌舞伎町の状況は大幅に改善されてきているものと考えております。また、歌舞伎町以外の盛り場におきましても同様の取り組みを推進しており、着実に成果が上がっているところであります。
 警視庁といたしましては、引き続き、盛り場における強力な取り締まりを継続いたしますとともに、その成果の定着を図るためにも、都庁を初め関係機関、団体、それから地元商店街等との連携を図りながら、これらの盛り場がより安全で安心なものとなるよう、そのまちづくりにも積極的に参画をしてまいりたいと考えております。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 小中学校の防犯対策についてでございますけれども、学校は、本来、児童生徒が安心して学ぶ場でございまして、生命が脅かされるようなことは絶対あってはならないことから、学校におきます防犯対策に万全を期すことは極めて重要でございます。
 平成十三年に発生いたしました大阪教育大学附属池田小学校の事件を受けまして、東京都では、警視庁の協力を得て、都内のすべての小中学校等に緊急通報体制、学校一一〇番を設置しました。
 また、本年の寝屋川市立中央小学校の事件を受けまして、各区市町村におきましても、警備員の配置や防犯設備の配備など、さまざまな安全対策に努めてきているところでございますが、東京都におきましても、緊急に区市教育委員会の担当者連絡会を開催いたしまして、学校の安全管理の総点検を改めて行うよう指導したところでございます。
 さらに、本年度より、すべての公立小中学校を対象といたしまして防犯教室指導者講習会を実施するとともに、地域のボランティア、いわゆるスクールガードを活用するために、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を実施しているところでございます。
 今後とも、区市町村教育委員会と連携しつつ、学校の防犯対策の強化に一層取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 防犯カメラ等につきましての二点のご質問についてお答えをいたします。
 まず、防犯カメラなど防犯設備の設置に関する支援についてでありますが、都は、街頭での犯罪を減らすために、商店街などの地域団体が防犯設備を充実させる場合、これを支援しております。
 その実績ですが、平成十五年は十三、十六年度は二十六の地域団体に補助金を交付しています。
 平成十七年度は、現在までに府中市など六自治体の九つの地域団体から補助金の申請を受けているところであります。
 次に、防犯カメラによる犯罪の抑止効果についてでありますが、防犯カメラは、犯罪を行おうとする者に見られているという意識を与え、犯罪を思いとどまらせる効果が期待できます。
 また、防犯カメラの設置を契機として、住民の防犯意識が高まり、防犯パトロールが実施されるなど、地域の防犯力が高まるという効果があると考えています。
 こうしたことから、引き続き、商店街、町会、自治会等が行う防犯カメラ等の設置に対する支援を行ってまいります。
〇議長(川島忠一君) 以上をもって質問は終わりました。

〇議長(川島忠一君) これより日程に入ります。
 日程第一から第二十四まで、第百六十四号議案、東京都組織条例の一部を改正する条例外議案二十二件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事横山洋吉君。
   〔副知事横山洋吉君登壇〕
〇副知事(横山洋吉君) ただいま上程になりました二十四議案につきましてご説明申し上げます。
 初めに、第百六十四号議案から第百七十七号議案まで、及び第百八十六号議案が条例案でございまして、一部を改正する条例が十四件、廃止する条例が一件でございます。
 まず、一部を改正する条例についてご説明申し上げます。
 第百六十六号議案の東京都公立大学法人評価委員会条例の一部を改正する条例は、都立産業技術研究所を地方独立行政法人とすることに伴いまして、都が設置する地方独立行政法人を適用対象としますよう条例名を改めますほか、所要の改正を行うものでございます。
 第百六十七号議案の学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例から第百七十三号議案までの七議案は、都立中等教育学校の新設など、都立学校の新設及び廃止に伴いまして関係条例の改正を行うものでございます。
 第百七十四号議案の東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例は、介護保険法の改正に伴いまして、都立ナーシングホームの使用料等にかかわる規定を整備するものでございます。
 なお、本件につきましては、十月一日施行予定の改正介護保険法と同時に施行する必要がございますので、本定例会中途での議決をよろしくお願い申し上げます。
 第百八十六号議案の東京都海上公園条例の一部を改正する条例は、都立若洲海浜公園キャンプ場を区に移管いたしますことなどに伴いまして、所要の改正を行いますほか、規定の整備を行うものでございます。
 このほか、法令等の改正に伴い規定を整備するものなど、合計十四件でございます。
 次に、廃止する条例でございます。
 第百七十五号議案の東京都ユース・ホステル条例を廃止する条例は、東京国際ユース・ホステルの施設を普通財産といたしまして民間事業者等に貸し付け、より弾力的で効率的な運営による利用者サービスの向上を図るため、条例を廃止するものでございます。
 次に、第百七十八号議案から第百八十号議案までが契約案でございます。
 第百七十八号議案の日暮里・舎人線日暮里駅(仮称)建築工事請負契約など合計三件、契約金額の総額は約三十八億一千七百万円でございます。
 次に、第百八十一号議案から第百八十五号議案までの五件が事件案でございます。
 このうち、第百八十一号議案の道路標識設置等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起については、当該工事に係る談合行為により、都がこうむりました損害の賠償を求めて訴訟を提起するものでございます。
 次に、専決でございます。
 九月十一日に執行されました衆議院議員選挙等の経費につきまして、執行までの間に議会を招集するいとまがありませんでしたので、専決処分により一般会計予算を補正したものでございます。補正の額は六十六億三千三百万円。財源につきましては、全額国庫支出金を充当いたします。
 上程になりました二十四議案につきましての説明は以上でございますが、このほかに人事案一件を送付いたしております。
 東京都人事委員会委員でございますが、定員三名のうち、十月二十七日に任期満了となります内田公三氏を再任いたしたいと存じます。
 同意につきまして、よろしくお願い申し上げます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)
〇議長(川島忠一君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。
〇議事部長(松原恒美君) 人事委員会の回答は、第百六十八号議案、第百六十九号議案及び第百七十一号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

一七人委任第六五号
平成十七年九月十四日
 東京都人事委員会委員長 内田 公三
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成十七年九月十三日付一七議事第一六三号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
提出議案
一 第百六十八号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
二 第百六十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
三 第百七十一号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
意見
  異議ありません。

○六十七番(秋田一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、第百七十四号議案については、委員会付託を省略されることを望みます。
〇議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、第百七十四号議案については、委員会付託を省略することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 五十七番かち佳代子さん。
   〔五十七番かち佳代子君登壇〕
〇五十七番(かち佳代子君) 日本共産党都議団を代表して、第百七十四号議案、東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例について、反対の立場から討論を行います。
 介護保険法改悪に伴い、十月から特別養護老人ホームなど施設利用者の居住費と食費が全額自己負担になることは、都民生活を脅かす深刻な問題です。ところが、石原知事は、我が党への答弁で、在宅サービスとの負担の公平や年金給付との調整のための見直しだなどという国のいいわけをそのまま繰り返すだけでした。
 在宅サービスとの負担の公平といいますが、今回の見直しで在宅介護になくてはならないショートステイやデイサービスも大幅な負担増になります。また、年金給付との調整とは、居住費や食費は年金から払えるはずだということですが、国民年金の水準が低過ぎる現実を無視したとんでもない話です。
 低所得者に配慮されているというのも通りません。年金額六万七千円の高齢者が、相部屋の場合でも年間十八万円もの負担増になるのです。もうこれ以上の負担はできない、払えない人は出ていけというのかという声が広がっているのは当然のことです。
 千代田区、荒川区、港区は、国の低所得者対策では不十分だとして、デイサービスの食費について区独自助成の実施を表明しています。これが自治体として当然の姿勢ではありませんか。
 ところが、石原知事がやったことは、板橋と東村山の都立ナーシングホーム利用者に、国が決めたとおり居住費、食費負担を求める条例提案でした。しかも、六月末に法改定が成立し、十月に大幅負担増を強行する国のやり方もひどいものですが、きょうの都議会本会議に条例案を提出し、委員会付託を省略して即日議決、三日後の十月一日から実施という都のやり方も余りにも無理があります。
 ナーシングホーム利用者のうち、来月幾らの負担になるのかわからない人がいまだに多数残されているのです。老人保健施設の利用者については、ふたをあけてみなければ全くわからないという実態です。
 よって、中身もやり方も重大な本条例改定案に反対するものです。
 今回の国の制度改定で、特別養護老人ホームなどの施設は軒並み大幅減収となり、都立ナーシングホームも年間七千万円の減収になります。利用者サービスの低下を招くことがないよう、都としてあらゆる努力を尽くすことを求め、討論を終わります。(拍手)
〇議長(川島忠一君) 四十四番吉原修君。
   〔四十四番吉原修君登壇〕
〇四十四番(吉原修君) 都議会自由民主党を代表して、知事提出の第百七十四号議案、東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例について、賛成の立場から討論を行います。
 我が国は、どこの国も経験したことがない急速な勢いで高齢化が進行しております。最近の統計では、総人口に占める高齢者の割合が二〇%に達し、今や五人に一人は高齢者という時代を迎えました。
 さらに、戦後のベビーブーム世代である団塊の世代といわれる方々が高齢期を迎え、十年後には四人に一人が高齢者という超高齢社会が到来をいたします。
 今日の高齢化の進展に伴って、介護を必要とする高齢者がますますふえ、認知症の高齢者も今後急速にふえていくことになります。
 平成十二年に、高齢者の介護を社会全体で支え合う目的で介護保険制度がスタートいたしましたが、制度創設以来、介護給付費が増加の一途をたどり、保険料も上昇し続けております。
 このために、さきの通常国会での自由民主党、公明党を初め民主党などの賛成による介護保険法が改正されました。給付の効率化、重点化を図り、介護保険制度を将来にわたり持続可能なものにしていくために、必要不可欠な改正であると理解をしております。
 今回の改正により、来年四月からは効果的な介護予防サービスの提供が本格的に開始されるとともに、認知症やひとり暮らしの高齢者を身近な地域で支えるための新たなサービスもスタートいたします。
 そして、それに先駆けて、本年十月より在宅と施設との利用者負担の公平性や、年金給付と調整の観点から、施設における居住費、食費について、給付と負担のあり方が見直されることになったものであります。
 今回の条例改正は、こうした法改正を受け、都立ナーシングホームにおける居住費、食費の利用者負担についての規定を整備するものであります。
 ところで、施設に暮らす方々の中には、所得の低い方もいらっしゃいます。こうした方々にも安心して施設で暮らし続けることが重要であり、今回設定された所得区分の下限に近い収入の方々にとって重い負担とならないよう、十分な配慮が大切だと思います。この点では、今回の居住費、食費の見直しに合わせて、所得に応じた負担上限額が第二段階では引き下げられるなど、所得の低い方々にもきめ細かい対応がなされております。
 このことについて、去る十五日に開催された厚生委員会においても、我が党の野島副政調会長などの質疑を通じ、ナーシングホームの利用者の居住費、食費は、年金収入等の範囲内で無理なく負担できる妥当な金額に設定されることが明らかにされております。
 また、食費のうち、今回の見直しで保険給付の対象外となる調理コストについては、効率的な施設運営により利用者サービスに影響のないよう、適切な対応をお願いするものであります。
 以上のとおり、本議案につきましては、その趣旨、内容ともに極めて妥当なものであり、我が党は良識ある都議会各会派とともにこれに賛成するものであることを改めて表明し、討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(川島忠一君) 以上をもって討論を終了いたします。

○議長(川島忠一君) これより採決に入ります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第十まで及び日程第十二から第二十四までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第十まで及び日程第十二から第二十四までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) 日程第二十五、平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について

一七財主義第二九八号
平成十七年九月二十日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
 このことについて、地方自治法第二百三十三条の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。
       記
一 平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算書
二 平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算事項別明細書
三 平成十六年度実質収支に関する調書
四 平成十六年度財産に関する調書
五 平成十六年度決算審査意見書
六 平成十六年度主要施策の成果
七 平成十六年度東京都決算参考書
(決算書等省略)

○六十七番(秋田一郎君) 本件は、三十一人の委員をもって構成する平成十六年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。
〇議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) 異議なしと認めます。よって、本件は、三十一人の委員をもって構成する平成十六年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第十二委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
   〔平成十六年度各会計決算特別委員名簿は本号末尾(九九ページ)に掲載〕

○議長(川島忠一君) 日程第二十六、平成十六年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、平成十六年度東京都公営企業会計決算の認定について

一七財主議第二九九号
平成十七年九月二十日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   平成十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について
 このことについて、地方公営企業法第三十条第四項の規定に基づき、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定についてよろしくお願いいたします。
       記
一 平成十六年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書
二 平成十六年度東京都中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書
三 平成十六年度東京都都市再開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
四 平成十六年度東京都臨海地域開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
五 平成十六年度東京都港湾事業会計決算書及び同決算審査意見書
六 平成十六年度東京都交通事業会計決算書及び同決算審査意見書
七 平成十六年度東京都高速電車事業会計決算書及び同決算審査意見書
八 平成十六年度東京都電気事業会計決算書及び同決算審査意見書
九 平成十六年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十 平成十六年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十一 平成十六年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
(決算書等省略)

○六十七番(秋田一郎君) 本件は、二十三人の委員をもって構成する平成十六年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。
〇議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する平成十六年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第四委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
   〔平成十六年度公営企業会計決算特別委員名簿は本号末尾(九九ページ)に掲載〕

○議長(川島忠一君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都人事委員会委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕
一、東京都人事委員会委員の選任の同意について一件

一七財主議第二八七号
平成十七年九月二十日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都人事委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成十七年十月二十七日任期満了となるため、再び選任したいので、地方公務員法第九条の二第二項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     内田 公三

      略歴
現住所 東京都江東区
内田公三
昭和十年十月二十九日生(六十九歳)
(経歴)
昭和三十三年三月 東京大学経済学部卒業
昭和三十八年三月 東京大学大学院社会科学研究科博士課程修了
昭和三十八年四月 社団法人経済団体連合会入局
昭和四十六年四月 同 産業部調査役
昭和五十一年四月 同 産業部次長
昭和五十四年四月 同 産業部長
昭和五十九年五月 同 常務理事
平成七年五月   同 専務理事
平成九年五月   同 事務総長
平成十三年五月  同 参与
平成十三年十月  東京都人事委員会委員
平成十四年五月  社団法人経済団体連合会参与退任
平成十五年七月  東京都人事委員会委員長
現在       常勤の現職なし

○議長(川島忠一君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願四十三件及び陳情十四件は、お手元に配布の請願陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 明二十九日から十月五日まで七日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、明二十九日から十月五日まで七日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十月六日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時五十一分散会

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