平成十七年東京都議会会議録第十三号

平成十七年九月二十七日(火曜日)
 出席議員(百二十七名)
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番田中たけし君
四番鈴木 隆道君
五番後藤 雄一君
六番福士 敬子君
七番宇田川聡史君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番原田 恭子君
十一番花輪ともふみ君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番早坂 義弘君
二十一番高木 けい君
二十二番崎山 知尚君
二十三番坂本たけし君
二十四番石森たかゆき君
二十五番高橋 信博君
二十六番村上 英子君
二十七番鈴木あきまさ君
二十八番山口 文江君
二十九番佐藤 広典君
三十番尾崎 大介君
三十一番山口  拓君
三十二番伊藤まさき君
三十三番松下 玲子君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番矢島 千秋君
四十一番高橋かずみ君
四十二番山加 朱美君
四十三番串田 克巳君
四十四番吉原  修君
四十五番山田 忠昭君
四十六番臼井  孝君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番大西由紀子君
五十番野上ゆきえ君
五十一番西岡真一郎君
五十二番吉田康一郎君
五十三番斉藤あつし君
五十四番泉谷つよし君
五十五番くまき美奈子君
五十六番大西さとる君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番東野 秀平君
六十四番松原 忠義君
六十五番田代ひろし君
六十六番神林  茂君
六十七番秋田 一郎君
六十八番林田  武君
六十九番きたしろ勝彦君
七十番近藤やよい君
七十一番高島なおき君
七十二番鈴木 一光君
七十三番増子 博樹君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番山下 太郎君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番倉林 辰雄君
九十番川井しげお君
九十一番三宅 茂樹君
九十二番樺山たかし君
九十三番宮崎  章君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番大沢  昇君
百番真木  茂君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番石川 芳昭君
百七番中嶋 義雄君
百八番石井 義修君
百九番桜井良之助君
百十番比留間敏夫君
百十一番吉野 利明君
百十二番新藤 義彦君
百十三番野村 有信君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番相川  博君
百二十一番柿沢 未途君
百二十二番中村 明彦君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大崎 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

九月二十七日議事日程第二号
第一 第百六十四号議案
東京都組織条例の一部を改正する条例
第二 第百六十五号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百六十六号議案
東京都公立大学法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第四 第百六十七号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十八号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百六十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百七十号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百七十一号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百七十二号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十 第百七十三号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第十一 第百七十四号議案
東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第十二 第百七十五号議案
東京都ユース・ホステル条例を廃止する条例
第十三 第百七十六号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十七号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十八号議案
日暮里・舎人線日暮里駅(仮称)建築工事請負契約
第十六 第百七十九号議案
日暮里・舎人線西日暮里駅(仮称)建築工事請負契約
第十七 第百八十号議案
都立八王子地区産業高等学校(仮称)(H十七)改築及び改修工事請負契約
第十八 第百八十一号議案
道路標識設置等工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
第十九 第百八十二号議案
土地の売払いについて
第二十 第百八十三号議案
再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第二十一 第百八十四号議案
再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
第二十二 第百八十五号議案
東京都道路公社の道路の整備に関する基本計画の変更に係る国土交通大臣への認可申請について
第二十三 第百八十六号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第二十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)の報告及び承認について
議事日程第二号追加の一
第一 平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二 平成十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について

   午後一時一分開議

○議長(川島忠一君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川島忠一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。
〇議事部長(松原恒美君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成十六年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) この際、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川島忠一君) これより質問に入ります。
 百十三番野村有信君。
   〔百十三番野村有信君登壇〕
〇百十三番(野村有信君) 平成十七年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 去る七月の都議選に続き、この十一日には衆議院選が実施され、我が党は激しい選挙戦を戦い、いずれも都民及び国民の皆様から大きなご信任をいただきました。
 とりわけ衆議院選では、全議席の六割強の二百九十六議席を、また東京においても、小選挙区と比例を合わせ、全候補者を当選させていただきました。
 我が党は、選挙戦を通して、我が国の構造改革の本丸として郵政民営化を争点に掲げ、国民の全面的な支持をいただきました。大きな政府から小さな政府へと、我が国の経済、行政、金融の改革が待ったなしの状態であることを、国民が切実に感じているからこその結果だったと思います。
 さて、少子高齢化が進行する一方で、十年余に及ぶバブル経済崩壊後の長期低迷期に、国及び地方自治体は膨大な累積債務を背負い、呻吟しております。少子高齢社会において安定的な社会経済システムを維持するためには、これ以上の財政負担は極めて困難であります。
 民間の資本蓄積が不十分な時代には国営企業が重要な役割を果たしてきましたが、世界第二位の経済大国である我が国においては、政府の担ってきた役割の中で、民間にできることは民間に任せるのが自然の流れだと考えます。
 先行き不透明な三位一体改革の行方もしっかりと注視し、国から地方への税源や権限の移譲を着実に進めていかなければなりません。
 また、憲法や教育基本法の改正などの国家的懸案事項についても、国家のありようや民族の気概をきちっと踏まえ、課題解決に向け道筋を明示していくときであると考えます。
 ところで、今年度の経済財政白書によりますと、我が国経済は、バブル崩壊後の負の遺産を清算し、経済の重石となり長期停滞の大きな要因であった不良債権問題が正常化したとうたっています。
 こうした状況を反映し、近年の経済活動は活況を呈し、直近のGDPや設備投資などは軒並み好転し、株価も高値を更新するなど、景気は踊り場を脱し、明るい兆しが見えてきました。都も、この機をとらえ、財政再建を確固たるものとしていく一方、都民の生命と暮らしを守り、首都東京のさらなる発展と日本の変革を目指し、首都機能の強化や防災・防犯、循環型都市づくり、中小企業振興、福祉・医療対策、教育改革などの課題解決に着実に取り組んでいく必要があります。
 なお、先般知事は、平成二十八年オリンピックの東京招致を表明されました。前回の開催から既に半世紀がたち、今やバブル崩壊からも立ち直りを見せ、成熟した国家としてのありようを世界に示す絶好の機会になり得るものと考えます。
 我が都議会自由民主党は、責任政党として、将来に向けた明るい展望を現実のものとするため、今後とも石原知事としっかりと手を携え、都政の重要課題に果敢に取り組んでいくことをお約束し、質問に入ります。
 まず、財政問題について伺います。
 先日、都は、平成十六年度普通会計決算を発表いたしました。依然として赤字が継続しているものの、実質収支の赤字額は、前年度の四百四十九億円に対し、二百七十六億円に縮小し、財政の弾力性を示す経常収支比率も改善するなど、着実に回復の兆しを見せております。
 平成十一年当時の財政危機を知る我々にとっては、よくぞここまで回復してきたとの感があります。これは、まさしく、これまで石原知事と我が党がともに力を合わせ、財政再建推進プランを策定し、都財政の健全化に取り組んできた成果のあらわれであります。都財政は、財政再建という悲願を達成するまであと一歩のところまで来ていると我々は評価しております。
 庁内では、既に十八年度予算編成に向けた作業が開始されているとのことでありますが、来年度は、第二次財政再建推進プランの最終年度であり、これまでの取り組みを総括する重要な年であります。十八年度予算は、財政再建の成否を左右するばかりか、都政全般に対する明るい展望を都民に示すことが期待される予算ではないかと考えます。
 財政再建の手綱を決して緩めることなく、その一方で都民要望にも配慮し、しっかりと総仕上げをしていただきたいと思います。財政再建の達成に向けて、十八年度予算をどのように編成していくのか、知事の決意を伺います。
 財政運営においては、当面の課題に的確に対応することはもちろん、長期的な視点に立った戦略的な取り組みが不可欠であります。今後の都政が、社会構造の大きな変化に柔軟に対応し、より一層都民福祉の向上を図っていくためには、財政構造改革をこれからも間断なく進めなくてはなりません。
 公会計制度改革で都の取り組んでいる複式簿記・発生主義の導入は、財政構造改革のための強力なツールであり、我が国初の取り組みに対し、その先進性を高く評価するところでありますが、新たな会計制度を確実に機能させるには、企業会計の発想や利点を活用し、都政改革につなげることこそが重要なのであります。
 もとより、営利を目的とする民間企業と自治体とでは、その果たすべき役割やあり方は異なります。しかし、事業執行のスピードやコスト意識など、自治体の側が積極的に学び、取り入れていくべき部分も多いはずであり、そのことを都政を担う一人一人の職員がしっかり認識してほしいと思うのであります。
 知事は、所信表明において、この会計制度改革を契機として職員の意識改革を進めていくと表明されましたが、これを敷衍した新たな会計制度のより具体的な活用の考え方について伺います。
 次に、地方法人課税の分割基準の見直しについて伺います。
 平成十七年度の税制改正において、IT化の進展などを理由として、法人事業税の分割基準の見直しが行われました。しかし、これは、三位一体改革に伴う税源移譲を行うと、区市町村を含めた東京の地域が増収になるとして、東京都から六百億円を剥奪する、税の理屈を全く無視した、単なる数字合わせであります。
 加えて、最近、十九年度から実施される所得税から住民税への税源移譲によって、都や大都市に税収が集中することを殊さらに強調し、法人住民税を含めた地方法人課税の分割基準のさらなる見直しを検討する動きがあると聞いております。
 法人住民税は、都や特別区の貴重な財源であります。こうした国の動きは、分割基準の見直しに名をかりて都をねらい撃ちにする財源調整にほかならず、断じて容認することはできません。今後、国のこうした動きに都としてどのように対応していくのか、知事の所見を伺います。
 次に、自治制度から行財政システム全般にわたる改革の新たな指針について伺います。
 都は、石原知事の強力なリーダーシップのもと、職員定数の削減や監理団体改革を推進するなど、内部改革は大きな前進を見せております。
 また、庁内の改革だけでなく、ディーゼル車排出ガス規制や治安対策など、都民の安全・安心を確保するため、都政が直面する緊急の課題について、国に先駆けて新たな施策を実行してまいりました。しかし、現実の社会経済は、常にダイナミックな変貌を遂げております。現状にとどまることなく、より効率的、効果的な行政サービスを提供するという観点から、都の行財政運営の仕組みを不断に見直すことが不可欠であり、都政ある限り行革に終わりはないのであります。
 一方、我が国の地方自治制度は、昭和二十二年の地方自治法の施行から半世紀以上の歳月を経ていますが、国主導の中央集権的な性格を色濃く残したまま、今日に至るまで抜本的な見直しが行われていません。国と地方の役割分担を明確にしないまま依然として残されている国の関与と統制が地方分権の推進と自治の実現を妨げ、我が国の将来の発展にとって大きな障害ともなっております。
 おくればせながら国は、地方税財政制度の見直しや、自治の枠組みを抜本的に改革する道州制を検討しておりますが、必ずしも本質的な議論が行われているとは思いません。
 これらの改革は、国と地方のあり方を根本から見直すものであり、今後の都政運営のあり方や都民生活そのものに極めて大きな影響を与えるものです。首都東京の行政運営を預かるものとして、国に任せることなく、都の立場から具体的に発信をしていく必要があると考えます。
 そうした認識のもと、都議会では、我が党が中心となって行財政改革基本問題特別委員会を設置し、自治制度の根本にさかのぼり、中長期的視点から都政のあるべき姿、都政の果たすべき役割について検討を重ねてまいりました。昨年九月に取りまとめた報告書では、執行機関に対して、行財政全般にわたる新たな改革の大綱の策定を強く求めたところであります。
 今回、知事が自治制度から行財政システム全般にわたる改革の新たな指針を出されるということは、我が党の主張と軌を一にするところであると考えます。そこで、知事はどのような考えに基づいて指針を策定するつもりか、所見を伺います。
 自治制度のあり方を検討するに当たっては、都市がその生産や消費の拡大を通じて、日本経済を牽引する役割を果たしてきたことを忘れてはなりません。大都市、とりわけ首都東京の発展は、我が国の発展のためにも極めて重要であります。
 多彩な人材や企業などが高度に集積する東京のメリットを生かしつつ、過度の集中に起因するさまざまな都市問題を克服し、国際的な都市間競争を勝ち抜くことが、日本全体の発展のために必要なのであります。
 都市の興亡が国家の興亡を左右するといわれる現在、歴史的な考察に基づく都市のあり方や経済の実態を踏まえた都市経営のあり方などに関して、さまざまな見識に基づいた議論を得るためには、行政内部の検討にとどまることなく、専門家を交えた幅広い検討が不可欠であります。
 今回の指針の策定に当たって、具体的に外部の専門家を活用してどのように検討していくのか伺います。
 次に、都区制度改革について伺います。
 我が党は、昨年九月に都区制度改革推進議員連盟を設立して以来、都区間で最大の懸案事項となっている五項目の課題について、たびたび質問してまいりました。それは、この問題が小中学校改築経費などの具体的な課題ばかりでなく、都区の役割分担と財源配分という改革の根本にかかわる大きな課題が含まれているからであります。
 知事は、これまでの答弁で、東京の将来を見据えての改革、二十三区の行政区分のあり方も含めた都区の仕組みづくりなどを強調されてきております。地方自治制度が大きな変換期を迎えている今、都と区との関係を再構築するためにも、具体的な課題などは今年度中に仕切りをつけて、知事のいう将来展望を見据えた新しい都区協議に転換していくべきと思います。知事の所見を伺います。
 また、協議は、現在までのところ入り口でとどまっており、具体的な課題についても合意点が見出せない状況にあります。残された協議期間はわずかであり、膠着状態を打開するためには、都区双方の歩み寄りが必要です。まず、都が現実的な解決の糸口を見出し、協議をまとめていくべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 まず、水害解消に向けた取り組みについて伺います。
 今月四日夜半から五日未明にかけて東京を襲った集中豪雨は、杉並区や中野区を中心に大きな被害を与えました。浸水被害を受けた都民の皆様には、心からお見舞い申し上げますとともに、我が党としても、甚大な被害にかんがみ、集中豪雨による被害者の救済措置について都知事に申し入れたところであります。
 都においては、道路や護岸等の公共施設の早急な復旧にいち早く取り組むことと同時に、被害者の救済を迅速に行うことを切望いたします。
 さて、都は、これまで一時間五〇ミリの降雨に対処できるよう着実に河川整備を行ってきておりますが、今回の集中豪雨は、被害の大きかった杉並区内で、一時間最大雨量一一二ミリ、総雨量二六三ミリを記録しました。そのため、東京都全域で約五千棟に及ぶ浸水被害が発生しました。これは、整備水準をはるかに超える降雨であり、天災であったといわざるを得ません。
 テレビ、新聞などの報道によれば、局地的な集中豪雨の頻発は、地球温暖化に端を発する地球規模の異常気象が原因ともいわれております。
 そこで、最近の頻発する集中豪雨による都市型水害について、知事はどのような認識をお持ちなのか伺います。
 また、今回の集中豪雨では、神田川・環七地下調節池において、平成九年の供用開始以来、第一期区間が初めて満杯となり、緊急措置として、現場の機敏な判断により工事中の第二期区間への取水を行ったと聞いております。そこで、この地下調節池の効果と今後の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、三宅島空港について伺います。
 三宅島空港については、三宅村火山ガスに対する安全確保に関する条例により、空港敷地の北側半分が高濃度地区に指定されています。この結果、現在、緊急な場合におけるヘリコプターの使用を除き、使用できない状況になっています。
 一方で、避難指示解除後七カ月が経過し、三宅島では、二千五百人を超える方々が生活を営んでおります。これらの村民の方々の生活の利便性の向上と、三宅島の観光産業振興をさらに後押しするために、三宅島空港の再開検討を知事が指示いたしました。速やかな再開を望みますが、一方で、まだ火山ガスが噴出中であり、高濃度地区という制約下で、村民や観光客の安全の確保を忘れてはなりません。
 三宅島空港の再開に向け、どのように課題を乗り越えていくのか伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 本年二月、国の中央防災会議は、首都直下で大地震が発生した場合、最悪で死者一万三千人、約八十五万棟の建物が全壊、焼失すると公表しました。
 昨年来、新潟県中越地震を初め、福岡や宮城でも大規模な地震が相次いで発生し、大きな被害が生じています。首都東京に目を向けてみても、首都直下地震の切迫性が指摘される中、去る七月二十三日に発生した千葉県北西部地震では、都内で十三年ぶりに震度五強を観測し、都民は不安にかられました。
 幸いにも大きな被害はなかったものの、エレベーターの閉じ込め、鉄道の運行停止など、新たな課題が明らかになりました。今回の地震の教訓を生かした今後の対応の方向について、知事の所見を伺います。
 また、東京区部には、木造住宅密集地域のうち、震災時に甚大な被害が予想される区域が六千五百ヘクタールも存在し、その整備には莫大な費用と長期間を要することなどから、改善は余り進んでいないのが実態であります。
 都は、こうした地域において、新たな取り組みとして、避難路や延焼遮断帯となる道路の整備と一体的に進める沿道のまちづくり、いわゆる沿道一体整備事業を進めようとしていると聞いています。その事業の基本的な考え方と現在の取り組み状況について伺います。
 次に、木造住宅の耐震化についてでありますが、阪神・淡路大震災では、昭和五十六年以前の木造住宅が多数倒壊し、死者六千四百名余の約八割が、倒壊した住宅などによる圧死でありました。新潟県中越地震、福岡県西方沖地震でも、昭和五十六年以前の木造住宅に大きな被害が発生しており、東京においても、木造住宅の耐震化は喫緊の課題であります。
 都は、これまで木造住宅の耐震診断などについて都民に普及啓発活動などを行ってきていますが、知事もいわれるように、自分の家は大丈夫だろうという都民の危機意識の低下等もあって、木造住宅の耐震化は十分進んでいないのが現状です。このような状況にかんがみ、第二回定例会において、全会派の共同提案で、個人住宅の耐震化支援に関する決議を行いました。
 都は、都民の負担軽減のためのさまざまな検討を行っていると聞いていますが、せめて寝室だけでも安全にするような安価で簡易な改修ができないものか、検討状況を伺います。
 次に、避難場所についてですが、地域の防災性の向上を図り、逃げないで済むまちを実現するには、長い期間を要することから、いざというときのために、避難場所の確保は極めて重要です。ところが、区部では、避難場所の約二割がグラウンドなどの民有地であることから、こうした土地が最近さまざまな開発にさらされていると聞いています。
 避難場所の確保という観点から大きな問題であり、都は、このような開発に際し、避難場所をどのように担保し、どう確保していくのか所見を伺います。
 次に、東京港の震災対策について伺います。
 一たび大規模地震により岸壁などの港湾施設が被災した場合、港湾の利用に支障を来し、経済活動に多大な影響を及ぼすこととなります。このため、東京港では、震災時における緊急救援物資の輸送や国際コンテナ物流等の機能を維持することが、非常に重要な課題となっています。
 また、防潮堤や水門等の海岸保全施設についても、液状化等に対する耐震強化策を万全にしておく必要があります。
 そこで、東京港における耐震強化岸壁の整備や海岸保全施設への耐震対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
 近年のモータリゼーションは、流通経済の発展に寄与する一方、交通機関における自動車のシェアは急激に拡大し、都心部を中心とした恒常的な違法駐車の大きな要因となっております。
 こうした違法駐車は、交通事故や交通渋滞を引き起こすなど、都民生活にも著しい弊害をもたらしているところであります。しかしながら、治安情勢が悪化している現状においては、違法駐車の取り締まりに投入できる警察の執行力にも限界があることから、新たな対応が求められてきました。
 こうした中、昨年の道路交通法の改正により、来年六月を目途に、違法駐車の取り締まり関係事務を民間に委託することができるとともに、放置車両についての使用者責任が拡充されることになったと聞き及んでおります。
 殊に民間委託につきましては、我が党が提唱する、民間にできることは民間にという規制緩和策の一環であり、大きな政府から小さな政府へ向けての画期的な取り組みであると期待しているところであります。
 これらを踏まえて、駐車取り締まり関係事務を民間委託することにより、どのような効果が期待できるのか、警視総監の見解を伺います。
 次に、町会、自治会等との連携について伺います。
 町会、自治会は、地域の人々の触れ合い、交流の場として、長い歴史と伝統を持つ日本独特のすばらしい組織であり、同時に、区市町村及び都政が行う地方自治の基盤でもあります。
 現在、都民の都政に対する最も多い要望は、治安、防災、環境、高齢少子社会等への対応となっていますが、これらの問題は、行政だけでは解決を図ることに限界があり、都民との協働が欠かせない分野であります。
 そうした意味で、町会、自治会の存在は今でも非常に重要であると考え、我が党は、去る八月一日、町会等と緊密な関係を持ち、都と連携して都民や地域の諸課題の解決を図っていくため、町会等振興議員連盟を立ち上げました。これにより、今後一層、町会、自治会が地域特性を高めるとともに、地方自治体が行う施策の方向を定めたり協働したりして、手をつなぎ合っていく足がかりとしたいと考えています。
 ともすれば区市町村の対応にゆだねるだけでなく、都としても地域の力を高め、都政の課題に積極的に取り組んでもらうためにも、町会、自治会等との連携を深めていく必要があると思いますが、所見を伺います。
 また、特に都民要望の高い治安対策については、町会、自治会等との連携が効果的であると考えますが、所見を伺います。
 次に、都市基盤整備について何点か伺います。
 まず、東京の都市再生に向けた取り組みについて伺います。
 東京の都市再生は、高コスト構造の改善を図るインフラ整備に加え、都や地元区、民間企業などの連携により、地域特性を生かした優良なプロジェクトが進展し、旺盛な活力と魅力あるまちづくりが進められております。
 例えば、東京駅周辺では、質の高い国際ビジネス拠点が形成されつつあり、また、六本木や汐留では、業務・商業など多様な機能の導入により新たなにぎわい空間が形成されています。さらに秋葉原や品川など、都内では多数のプロジェクトが進行しています。
 東京の都市再生が着実に進んでいる中、副都心の一つである渋谷地区は、地下鉄十三号線の整備や東急東横線の相互直通化など大規模な基盤整備が進められている一方で、敷地が小規模な上に建物の老朽化が進み、また駅周辺では、歩行者空間の不足や自動車の混雑、駅における複雑な乗りかえ動線などの課題を抱えており、土地利用、インフラの両面にわたるまちづくりへの抜本的な対応が求められています。
 知事は、本定例会でオリンピックの東京招致の決意を表明されましたが、渋谷周辺の国立競技場など既存ストックを活用することも十分考えられます。こうした状況のもと、大規模な基盤整備が進む今このときを千載一遇のチャンスととらえ、都としても渋谷地区の都市再生を積極的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、東京港第七次改訂港湾計画について伺います。
 我が党は、ことしの第一回定例会において、日本の国際競争力の強化のためにも、今後、羽田空港の再拡張に伴い、陸海空の物流結節点として一層重要性を増す東京港の将来に対する新たな戦略的道筋をつけるべきと主張しました。
 このたび、十年後の東京港の姿を見据えた第七次改訂港湾計画の策定に向けて中間報告がまとめられましたが、計画の方針に国際競争力強化が掲げられており、まさに時宜を得た内容であると考えます。
 そこで、東京港の国際物流機能強化に向けた戦略的取り組みが必要と考えますが、今回の改訂港湾計画で新たに取り組む計画内容について伺います。
 一方、東京港は、レインボーブリッジやお台場を中心に、水辺と街並みが融合した都民にとっての潤いの場であるとともに、巨大なコンテナクレーンや停泊する大型船がダイナミックな景観を展開する場であります。今後、羽田空港の再拡張に伴い、ますます多くの人々が東京を訪れることになりますが、船舶や飛行機から見た景観は、首都東京に対する第一印象となります。
 そこで、首都東京の玄関口として、世界に誇る美しい港づくりを目指し、新たな視点から良好な景観づくりを進めることが重要と考えますが、東京港の魅力的な景観づくりにどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、外かく環状道路の取り組みについて伺います。
 我が党は、東京の集積のメリットを生かし、激化する国際競争力に打ち勝ち、東京から日本を再生すべく、圏央道や中央環状線など三環状道路の整備促進に石原知事とともに全力で取り組んでまいりました。
 その結果、圏央道については、平成十八年に関越道と中央道の連絡が予定され、また、中央環状線のうち唯一未着手区間であった品川線についても、都が街路事業によって今年度から着手したところであります。
 残るのは外環です。首都圏の渋滞解消や、それによる物流の効率化、環境改善を図る上でも、外環の早期整備が必要不可欠であります。
 平成十一年の石原知事就任以降、地元との話し合いが始まり、大深度地下案を示すなど、広く意見を聞きながら検討が進められてまいりました。これまでの知事の積極的でかつ丁寧な取り組みについて、大いに敬意を表するものであります。
 また、今般、知事は、新たに国と都の考え方を公表し、強力に事業推進に努めると発言されました。
 そこで、改めて外環の事業推進に向けた知事の決意を伺います。
 また、今回の国と都の考え方について、具体的な内容を伺います。
 なお、高速道路の利用に関連して、我が党は、過去何度となく、中央道の高井戸から八王子間の料金問題について是正を訴えてきました。中央道は、多摩地域の都民及び企業などにとって重要な道路でありますが、首都高速道路公団、日本道路公団と事業主体が異なることから別料金となっており、地域格差が長年にわたり生じております。来月には両公団がともに民営化されますが、都は、こうした機会をとらえ、料金体系の見直しに向けなお一層国に粘り強く働きかけることを要請し、次の質問に移ります。
 次に、環境問題に関連して伺います。
 本年六月末に、兵庫県の企業、株式会社クボタが、アスベストに起因する疾病について、死亡者を含め百名近い被害者が出ていることを公表して以来、多くの企業から同様な公表があり、マスコミ報道も連日アスベスト関連記事を取り上げております。しかも、被害が工場従事者にとどまらず、その家族や周辺住民に影響していることが報道され、アスベスト問題は、もはや労働災害にとどまらず、周辺環境へも広がり、国民全体の問題となっています。
 この間の経過を見ますと、アスベストの危険性にいち早く対応を進めてきたヨーロッパ諸国に比べ、我が国の対応は極めて遅く、そのことが今回の被害拡大の原因であるといわざるを得ません。多くの健康被害が明らかになってきたことによって、都民の不安は、これまでとは比較にならないほど大きなものとなっています。
 そこで、今回のアスベスト問題に関する国の取り組みと都の対応について、知事の所見を伺います。
 都内には、アスベストを原料とした製造工場は現在は一つもないと聞いていますが、アスベストを含む建材を使用している建物は多数存在することが見込まれています。これらの建物では、老朽化により建物内に飛散したり、建物の改修工事や解体工事の際に飛散するなどの危険性があり、従業員の生命、健康にかかわる喫緊の課題であるだけでなく、住民にも影響を広げる危険性を持っています。
 今後、建物のアスベスト除去のための改修工事や解体工事の増加が見込まれますが、周辺大気への飛散防止対策についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 景気が踊り場を脱したとはいえ、いまだに厳しい経営環境に置かれている中小企業にとっては、アスベスト除去対策は新たな負担を強いるものであり、都として適切な金融支援策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 都では、本年三月に環境確保条例を改正し、大規模事業所における温室効果ガスの削減対策を進めています。さらにこの八月には、地球温暖化対策都庁プランを策定し、東京都みずから排出する温室効果ガスの削減対策に取り組むこととしました。民間事業者の温暖化対策を促進する意味からも、都内最大規模の排出事業者である東京都がこのプランをしっかりと実行していくことが必要であると考えますが、知事の所見を伺います。
 また、本定例会の知事発言にもありましたように、これまで焼却していた下水汚泥を炭化して燃料とする下水汚泥炭化事業は、温暖化対策として大幅なCO2の削減が可能と聞いておりますが、この事業の内容と効果について伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 まず、金融施策について伺います。
 景気回復の本格化を期待する一方で、昨今の原油高による影響や鋼材価格の高騰の影響が、中小企業をめぐる経営環境を厳しいものにしております。東京の活力の源泉は、都内産業の大部分を占める中小企業であります。原油高騰の現下の経済情勢に適切に対処し、景気回復の足取りをより確かなものとしていくために、都の積極的な取り組みを求めるものであります。
 そこで、中小企業の資金需要が高まる年末に向けて、制度融資による支援強化策を打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。
 この四月に開業した新銀行東京は、七月から店舗が六カ所となり、いよいよ業務を本格的に展開するまでになってきました。既存銀行が無担保の中小企業融資を強化するなどの動きが生まれ、金融界によい意味での刺激を与えております。
 都の新銀行東京に対する出資者としての関与は、銀行法との兼ね合いもあり、一定の限界はありますが、一千億円もの都費が投入されており、その設立の趣旨も踏まえ、都は最大の株主として、新商品の開発など、新銀行東京が常に一歩進んだ中小企業支援に取り組むよう求めていくべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、ものづくり産業の支援について伺います。
 都内中小企業は、取引先工場の海外移転や産業構造の変化などの影響により、厳しい経営環境に置かれています。加えて、中国を初めとするアジア諸国が、低廉な労働コストと生産技術の向上を背景として、急速に競争力をつけてきております。都内のものづくり企業は、品質面においても優位性を維持していくことが課題となっています。
 このような状況においても高い受注率を確保しているのは、高い品質管理や製品開発を行っている企業であり、その取り組みを行政の最前線で支えているのが都立産業技術研究所であると考えます。
 現在、産業技術研究所は、平成十八年度の地方独立行政法人化に向けて準備を進めていると聞いております。地方独立行政法人となることにより、民間の経営手法の導入による機動的、効率的な運営や、すぐれた外部人材の積極的活用などが可能となり、一層充実したサービスの提供が期待できると考えます。
 こうした独立行政法人化により、ソフト面をどのように充実していくのでしょうか。また、最先端の技術開発に挑戦する中小企業を十分に支援していくためには、老朽化した機器の更新など、技術支援を支えるハード面の機能向上も重要であります。
 このたびの地方独立行政法人化にあわせ、今後、産業技術研究所の技術支援機能をどのように強化していくのか、所見を伺います。
 次に、食育の推進について伺います。
 さきの国会で、生涯にわたり健全な心身を養い、豊かな人間性をはぐくむため、食育を総合的、計画的に推進することを目的とした食育基本法が制定されました。
 今日の日本では、食生活の乱れによる肥満、生活習慣病の増加やキレやすい子の増加、食の安全・安心の関心の高まり、食の生産と消費の乖離など、食をめぐるさまざまな問題が生じています。
 特に東京では、調理済みの食品が手軽に買えるなど、便利さの一方、農水産物の生産現場と離れているため、農業など生産活動との触れ合いが少なく、都民は自然の恩恵や生産活動の苦労に対する理解が不足しがちです。次代を担う子どもたちの人間形成を考えたとき、大きな問題といえます。
 このような東京でこそ、食育に積極的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、中央卸売市場の整備計画について伺います。
 昨年六月の卸売市場法の改正を踏まえ、都では第八次卸売市場整備計画を策定すると聞いています。近年、卸売市場は、市場経由率の低下、市場関係業者の経営悪化、市場間格差の拡大等、流通環境が大きく変化しています。本年四月に東京都卸売市場審議会から答申のあった卸売市場整備基本方針では、卸売市場の活性化、競争力強化の観点から、卸売市場のあり方について抜本的な見直しが必要な時期に来ていると指摘しています。
 今回の整備計画では、卸売市場の競争力を強化するために、どのように市場の整備に取り組んでいくのか伺います。
 また、多摩地域には、中央卸売市場として多摩ニュータウン市場が唯一設置されていますが、取扱数量が著しく低迷しており、多摩地域における生鮮食料品の市場流通の大部分は、集荷力や販売力のある地方卸売市場が担っているのが実情であります。
 中央卸売市場の新設は認めないとする国の方針が明らかにされている中で、多摩地域の卸売市場の整備については、地産地消を促進するなど、地域の特性を生かせる地方卸売市場の機能強化に重点を置くべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、子育て、高齢者支援策について伺います。
 都の子育て支援関連の予算のうち、大きな割合を占めるものが、認可保育所に対するいわゆる都加算補助でありますが、一方で、一般の在宅の子育て家庭への支援策は必ずしも拡充されていないとの指摘があります。
 これらの都加算補助は、東京における保育サービスの充実をこれまで財政面から支えてきましたが、本来、市町村が対応すべき公務員保育士の人件費にも補助されているため、公立保育所の高コスト体質を温存する結果を招いているなど、今日では、地域の創意工夫を生かす仕組みとはなっていないとの批判もあります。
 少子化の進行に歯どめをかけるためには、子育て支援の中核的な役割を担う区市町村がみずからの創意工夫で地域のニーズに敏感に対応することを、都として強力にバックアップすることが重要と考えております。そのためには、既存の制度を抜本的に再構築して、自由度を持った財政支援の形に改めるとともに、ソフト、ハードを含めた区市町村支援策の拡充が重要であると考えますが、所見を伺います。
 あわせて、これまで手薄であった在宅の子育て家庭を経済的な面から支援するための取り組みを充実させることも必要ではないかと考えます。
 こうしたことから、少子化の進行を少しでも押しとどめるためにも、子育ての経済的負担を軽減する児童手当の対象年齢の拡大を、我が党の政策の一つとして提言したところであります。
 少子化の要因としては、未婚化、晩婚化、初産年齢の上昇などが指摘されており、背景には、価値観の変化や子育ての負担感の増大があるなど、さまざまな議論が展開されています。そして、その対応についても、税制や労働面からのアプローチなど、多様な議論がありますが、こうした中で、我が党の政策提言について都はどのように受けとめているのか、所見を伺います。
 次に、改正介護保険法への都の取り組みについて伺います。
 さきの通常国会において、介護保険制度改革関連法が成立しました。介護保険制度を将来にわたり安定的で持続可能なものとしていくために、介護予防を重視する仕組みへの転換を図るとともに、身近な地域で地域の特性に応じた多様かつ柔軟なサービス提供を可能とするための地域密着型サービスを創設することなどが、今回の改正の趣旨であります。
 しかしながら、大都市東京では、高齢化とともに、都市化や核家族化の進展により、ひとり暮らしの高齢者や高齢夫婦世帯が増加するとともに、認知症高齢者の増加も一層重要な問題となってまいります。こうした高齢者を地域で支えるためには、ショートステイなどの在宅サービスの充実や、新たに創設される小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスの普及が不可欠であります。
 今後、都としても、大規模広域型施設中心から発想を転換し、こうした小規模地域密着型サービスの基盤整備を行うことが最重要課題であると考えますが、所見を伺います。
 本格的な少子高齢社会を迎え、まさに人口減少社会が現実のものとなろうとしている今日、都は、我が党とともに福祉改革に全力で取り組んできた結果、さまざまな分野で大きな成果を上げてきました。また、昨年八月の福祉保健局発足以降、福祉分野と保健医療分野の融合による成果も幾つか出ております。
 これまでの取り組みをなお一層強力に推し進めるためにも、今後の施策について新たな方向性を示すべきであることをこの際指摘し、次に移ります。
 次に、都立病院の再編整備の一環として進めている多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備について伺います。
 この事業は、多摩の広域基幹病院として、がん医療や救急医療の一層の充実を図る府中病院と、NICUや小児ICUを整備する小児総合医療センターの二つの病院を一体的に整備するものであります。
 整備に当たっては、PFI手法を導入することで、設計や建設だけでなく、開設後十五年間以上の長期にわたり、医事事務や建物管理等、医療周辺業務を包括的に民間事業者に委託するものと聞いています。
 民間活力を活用するPFIは、官民の適切な役割と責任の分担のもと、民間でできるものはでき得る限り民間にゆだねることを法の基本理念としたものであり、いわゆる小さな政府を志向する動きに即したものでありますが、まず、病院事業においてこのPFI手法を選択する意義がどこにあるのか、改めて見解を伺います。
 我が国の病院PFI事業は、全国的にも緒についたばかりであり、都立病院としても初めてPFI手法を導入するということになります。社会経済状況はもちろん、医療をめぐっては、保険制度を初め環境の変化は大変目まぐるしく、また、医療技術の進歩も日進月歩であります。
 そこで、今回の病院PFI事業では、こうした状況も見据えて、十五年間の長きにわたり、医療環境の変化に適切に対応しながら、病院機能を維持することはもちろん、必要な患者サービスを日々向上させていくことが極めて重要となります。
 都としては、こうした変化に対応する仕組みを、病院PFI事業の中でどのように工夫をしているのか、取り組みを伺います。
 次に、東京オリンピックの招致について伺います。
 我が党は、先月、オリンピックの東京招致を衆議院選挙における東京独自の地域公約に掲げたところであります。今回の知事の所信表明には改めて賛意を表するものであります。
 思い返せば、昭和三十九年の前回の東京オリンピックにおいては、戦災から復興した新しい東京を世界じゅうの人々に見てもらおうと、全国民が一丸となって成功に向けた国民運動を展開しました。また、オリンピックを契機に進められた大規模な都市インフラの整備は、その後の高度経済成長の大きな原動力となりました。
 オリンピックは、経済や社会全体に大きな波及効果を有する世界的なビッグイベントです。もし東京で開催されることが決まった場合、オリンピックの準備に伴うさまざまな活動が、二十一世紀初頭の東京、ひいては日本経済を大きく飛躍させ、国民の意識を高揚させるまたとない契機になるでしょうし、開催期間中、国内で日本選手の活躍を目の当たりにすることは、国民全体に希望をもたらす明るいニュースとなることは間違いありません。
 ただし、オリンピックを東京に招致するためには、まず日本の代表都市に選ばれなければなりません。今後、都民や企業に賛同を求めながら、招致に向けた東京全体の機運を高めていくことも重要です。
 そこで、これからさまざまな取り組みを始めていくに当たり、オリンピック招致に向けた知事の意気込みを伺います。
 オリンピックの招致には、当該都市の議会の議決が必要であり、議会と執行機関が一体となった取り組みが必要であることはいうまでもありません。知事の発言をしっかり受けとめ、我々都議会も一致協力していくことが重要です。我が党は、都議会の先頭に立って、執行機関とともに招致に取り組んでいくことを表明しておきます。
 次に、平成二十五年に開催予定の東京多摩国体について伺います。
 オリンピックは世界最大のスポーツの祭典であり、国体は我が国最大のスポーツの祭典であります。東京においては、東京オリンピックの五年前、昭和三十四年の第十四回国民体育大会以来、五十四年ぶりの開催となります。今回の第六十八回大会は、多摩・島しょ地区を中心に開催することとなっており、大会開催に当たっては、東京、とりわけ多摩・島しょ地域の発展に資すると同時に、二十一世紀にふさわしい時代に即応した魅力ある国体としていくべきと考えます。
 そこで、平成十九年度には都議会の開催決議を行う必要があるなど、いよいよ本格的な準備段階に入りつつありますが、具体的な準備状況はどうなっているか伺います。
 また、我が党には、この競技を誘致したいといった区市町村からの声も届き始めています。国体で行われる予定の三十七競技それぞれの競技会開催に当たっては、会場となる区市町村がその運営主体となるため、都との十分な連携なしには競技会は成り立ちません。
 そこで、開催の前提となる会場地選定や競技施設の整備などについて区市町村との連携をどのように図っていくのか伺います。
 さて、知事は、老人週間にちなんで、この十四日、ことし百歳を迎えた台東区在住の正木義久さんを訪問し、長寿を祝福されました。
 都内の百歳以上の長寿者は、ことし三千七十九人と初めて三千人を超え、少子化と同時に高齢化が一段と進行しています。
 現在、保育、労働、経済支援などさまざまな少子化対策を強力に推進していますが、残念ながら出生数の減少を食いとめるには至っておりません。
 その一方、増大する高齢者に対しては、シルバー人材として積極的な社会参加が重要であります。
 一国の経済成長は、労働、資本、技術の三つの要素から成りますが、我が国では、労働力よりも技術力や資本の寄与度が高いとされています。問題は、人間の頭数ではなく、一人一人の労働力の質にあります。
 団塊世代の大量退職が数年後から一気に始まりますが、大量退職者の中から、長年にわたり身につけた確かな技術や技能を中小企業に役立てたり、また、さまざまな経験や体験を、地域の福祉問題や教育、健全育成などにNPOやボランティアとして生かせれば、今後、大きな力となっていくはずであります。
 また、大量退職は、若者の就業機会を拡大するとともに、企業のコストを引き下げます。企業や地域社会に貢献する元気老人がどんどんふえていけば、高齢者に関連した財政コストも少なくて済み、その分、次世代育成施策の充実に振り向けることも可能となります。
 いたずらに少子高齢化に憶することなく、また、口当たりのよい無責任な幻想を振りまく一部の政党などと違い、我が党は、安心子育て、安心老後の社会システムを構築すべく邁進していることを申し上げ、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 野村有信議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、十八年度予算編成についてでありますが、都財政は、財政再建に向けた懸命の努力がようやく実を結び始めておりまして、就任したころに比べれば、状況は大分好転してきたと考えております。
 しかし、依然として巨額のいわゆる隠れ借金を抱えておりまして、決算でも赤字が続いており、加えて、少子高齢化の進展など今後の社会構造の大きな変化を考えますと、このところの税収の増加を考慮してもなお、まだまだ安心できる段階ではございません。
 そのため、十八年度予算では、第二次財政再建推進プランの最終年度として、財源不足の解消など、プランの目標を確実に仕上げ、さらに隠れ借金の圧縮に努め、財政再建の足取りを確固たるものとしていきたいと思っておりまして、同時に、まちづくり、福祉、安全対策など喫緊の課題に対しては、限りある財源を重点的に配分し、東京のさらなる発展に向けた礎を築いていきたいと考えております。
 次いで、分割基準の見直しについてでありますが、これは東京にとってはまさに法外、論外の国のやり口でありまして、既に法人事業税を既存の分割に決めたときも、全くこれは東京の立場、大都市の立場をしんしゃくせずに、ああいう乱暴な措置をとったわけですが、さらにこれが、IT化の時代に、ITを駆使して働いている本社の社員というものの、実質的に仕事の分量というのが逆にふえても、減っているわけじゃないんですが、それをどう解釈してか、地方の工場とかその他支店で働く人間たちの労働力というものをどういうふうに過剰に評価したのか、いずれにしろ、さらに一方的な分割基準を国が一方的に決めまして、東京の収奪を行っているわけです。
 十七年度の法人事業税の分割基準の見直しは、これは税の理念や大都市の財政需要を全く無視した、地方交付税の不交付団体である東京をまさにねらい撃ちにした一方的な財源調整にほかならないと思います。
 最近、さらに法人住民税の分割基準についても見直す動きがあるようでありますが、住民税は、地域の構成員に広く負担を求める性格の税でありまして、今、分割基準を見直さなければならない理由はどこにも見当たりません。
 こうした不合理な財源調整を重ねて行うことは、公平であるべき税制を大きくゆがめるものでありまして、断じて認めるわけにはならないと思います。
 都としても、都議会の皆様のご協力をいただきながら、理念のない国のこうしたその場しのぎの動きに対して、断固として対応を図っていきたいと思います。
 そもそも、これはやっぱり、私の私見でありますけど、憲法違反の疑義も私はあると思いますし、まずとにかく、段階としては、都の税調でこの違法性について審議していただき、国とどういう形で争うかということを積極的に論議していただいて、対案をできるだけ早く出していただきたいと思っております。
 次いで、新たな改革の指針についてでありますが、地方自治体の現況、現場というものを実態としてとらえていない国が、まさに机上の空論としかいいようのない、現実性を欠いた物の考え方を進めようとしておりまして、道州制をめぐる議論を見ましても、現行制度を維持したままの、地図の上での区割りに興じている印象を否めません。国と地方のあり方、ひいては我が国の形をどう変えていくかということを本質的に考えていないのが実情であります。
 世界もそうでありますが、日本も、やはり時間的、空間的に非常に狭小な社会になりました。そういう中で、従来になかった行政というものがそれぞれの地域で求められているわけでありますけれども、それをいかに地域性、地域性というものを核に据えながら束ねていくかが地方の責任であると同時に、それを理解し、受け入れ、手を添えるのが国の責任だと思いますけれども、いずれにしろ、有効な手だてを一向に示さない国に先駆けまして、都は、地方分権改革に関する基本的見解を明らかにするとともに、八都県市の連携を駆使して、従来やってまいりました広域的な課題の具体的解決を図るなど、これまでも独自の取り組みを続けて、重ねてまいりましたが、そういった実態が国に伝わっていない。
 先般も、私の古い友人であります、今、地方制度調査会の会長ですか、諸井君が訪ねてきまして、東京がイニシアチブをとってやってきました首都圏の広域行政の話をしまして、非常に参考になったといって帰りましたが、いずれにしろ、私たちが地道にやってきたこういった実績を生かしながら、自治制度のあり方について、地に足のついた検討を進めていくつもりでございます。
 また、この改革にあわせて、公民の役割分担を原点から見直すなど、都みずからの行政改革をさらに進めていく必要があると思っております。
 今後、都議会の行財政改革基本問題特別委員会の報告も踏まえて、自治制度から行財政システムの全般にわたる改革に一体的に取り組むための指針を明らかにし、国や他の地方自治体に対して強く発信していくつもりでございます。
 次いで、都区制度改革についてでありますが、日本の首都であり、頭脳部であり、心臓部でもあります東京の将来を見据えて、今後、抜本的な自治改革が必要であると思っております。そのためには、東京の行政を担う都と区の新たな関係の構築について、都区双方が根本的に考え直していくことが必要である、重要であると思っております。
 都区の仕事の分担だけではなく、行政区分の問題なども、お互いに考えを出し合って議論していくことが、将来の東京の発展、日本の発展につながっていくと思っております。
 今後、そうした議論を進めるためにも、現在、都区で協議中の小中学校の改築経費等の具体的な課題については、今年度じゅうの合意形成に向けて精力的に取り組んでいくつもりでおります。
 次いで、都市型水害についてでありますが、治水は、前から申し上げていましたように、政の根幹でありまして、都はこれまでも、治水対策として、護岸や調節池の整備に具体的に取り組んでまいりました。
 今回の集中豪雨では、一時間に一〇〇ミリを超え、短時間で、場所によっては二六〇ミリを上回るという記録的な降雨、豪雨でありました。
 神田川・環七地下貯水池において、完成間近の二期区間にも、現場の判断で急遽水を取り込みまして、被害の広大化を阻止するために総力を挙げて対策を講じました。これは非常に現場の果断な判断で、大きな結果を生んでくれたと思っております。
 新人の議員の皆さん、ご存じないでしょうが、東京は既に、長年かけて膨大な、はんらんを防ぐための地下の貯水池をつくっているんです。二期工事もほとんどできたところへ今度のあれが起こったわけですが、ぜひあれをごらんいただきたい。
 これに比べれば、海抜ゼロメートルが州土の大部分を占めているルイジアナにしろ、今回の被害地のテキサスですか、あの部分にしろ、私は、何で今までそういう整備をしなかったのか疑義にたえませんが、アメリカは自業自得で、ほったらかしにしてきたので、こういう災害に遭ったわけで、それに比べれば、これは本当に東京は万全に近い対策をして、今度、あの神田川の、要するに貯水池というものがいかに役に立ったかということを、私たちは改めて評価するわけでありますけれども、また、あの被害が多かった妙正寺川や善福寺川の五〇ミリ護岸の未整備区間の早期整備も指示いたしました。
 自然現象にはとても人知で及ばぬものがございまして、設備の整備で対応するにはおのずと限界があるわけであります。水害に限らず災害には、都民の皆様に常に申しておりますが、まず自助、共助の精神で取り組んでいただくことが肝要であると思っております。
 今後とも、区や、区市町村と十分に連携し、浸水予想区域図の公表などソフト対策も進め、都民生活の安全確保に努めてまいります。
 次いで、震災対策の今後の方向についてでありますが、今回の地震で、都市機能が集中、集積している東京ゆえに、交通機関の混乱やエレベーターの閉じ込めなど、都市型災害が顕著にあらわれました。
 都は、既に関係機関、業界へ改善を働きかけておりまして、また今後は、顕在化した課題を被害想定に取り込むとともに、地域防災計画の抜本的見直しを行ってまいるつもりであります。
 さらに、訓練や啓発を通じ、都民の災害対応能力の一層の向上に努めていくつもりであります。
 今回の地震を天の配剤ととらえて、都市型災害に強い都市づくりに取り組み、全力を挙げて都民の安全を守っていきたいと思っております。
 このところ、ちょっと地震が頻発しておりまして、国も何か慌てて直下型災害対策の委員会なるものをこしらえて、わけがわかっているのかわからないような学者も集めて会議をしておりますが、東京からも危機管理監と災害対策の志方参与が出席しておりますが、二人の報告を聞きますと、至るところピントがずれていて、行われている議論に現実性がないと。これはしようがないですが、やっぱり都は都で、みずからをみずから助けるという努力をこれからも重ねていくつもりでございます。
 次いで、外かく環状道路の事業推進についてでありますが、外環道は、日本社会全体のダイナミズムを高め、我が国の国際競争力の向上、国家の繁栄、東京の発展に不可欠な道路であります。
 私は、就任以来一貫して、早期完成に向けて外環道の意義を主張してまいりました。あの扇国交大臣の代に、ようやく国も動いてくれまして、凍結を解除し、いろいろその後進展がございますが、今般、外環道の具体的な計画をまとめる時期と判断して、構造やインターチェンジなど基本的な考え方について、国とすり合わせをして、ともに公表いたしました。
 外環道の一日も早い完成に向け、総力を挙げて取り組むつもりであります。
 オリンピックの東京誘致が決まりましたら、これも一つの刺激になって、こういった大都市、特に首都にとって不可欠の環状線というものが一日も早く完成されることを熱願しております。
 次いで、アスベスト問題についてでありますが、私、先般、ある生命保険の関係者から聞きましたが、驚くことに、日本の生命保険会社も、これが問題になった八〇年代、既に外国の情報を受けて、生命保険の対象で、私、保険のことは詳しくわかりませんが、保険率というんでしょうか、そういうものを、アスベストに関しては、要するに考え直したということでありました。ところが、民間のそういう生保の企業がそういう措置を講じているのに、国は、つまり厚生省は全く動かなかったということで、今日のていたらくになったわけであります。アスベストの被害が拡大したのは、ともかく、要するに国の怠慢以外に何物でもないと思っております。
 国もようやく、被害者の救済や飛散防止対策の強化などの検討に着手したところでありますが、こうした対策を早急に実施するように、これからも強く求めてまいります。
 都は、平成元年に既にアスベスト対策推進会議を設置し、都施設の安全対策を実施するとともに、建物を解体する際のアスベスト飛散防止を条例で義務づけるなど、先駆的に取り組んでまいりました。
 今後とも、都民の不安解消と被害発生の防止に向け、全庁的に取り組んでまいります。
 次いで、地球温暖化対策でありますが、世界じゅうで干ばつや豪雨が頻発し、島しょ国家は水没の危機に瀕するなど、これはマーシャルとキリバチがそうでありますが、彼らは既に、国が沈んで埋没したときに逃げていくところはオーストラリアだと決めているようですけれども、これも本当に有史以来の悲惨な、非常に危険な状況の到来を意味していると思います。地球温暖化は、人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題であると認識しております。
 気候変動による深刻な影響を防止するためには、社会を構成するすべての主体が、早期かつ永続的に温暖化対策に取り組まなければならないと思います。
 都は先月、地球温暖化対策都庁プランを策定し、今後五年間で温室効果ガス排出量を一〇%削減するという、極めて高い目標を掲げました。
 今後、大規模な都有施設における省エネ改修や、太陽光発電を初めとした再生可能エネルギーの導入などを率先して進めることによりまして、民間事業者のさらなる取り組みを誘導し、地球温暖化対策を一層強力に推進していきたいと思っております。
 次いで、食育への取り組みについてでありますが、健全な食生活は、健康的な心身と豊かな人間性をはぐくみ、生きる力の礎となっていると思います。
 近年、子どもの孤食、つまり、親もいずに一人だけで飯を食う、あるいは親たちの都合で朝ご飯を食べられない欠食、朝食の欠食などが非常にふえているようでありますが、調査ですと、登校した後の子どもが、学校で落ちつかない、授業に身が入らない、いらいらする、けんか早くなるというものが非常にふえているようで、その大きな原因が、朝ご飯を食べずに我慢しながら登校してくるという、そういうものが起因しているようであります。
 いずれにしろ、家庭での基本的な食生活の習慣が乱れている。このままでは伝統的な食文化の継承も困難になるおそれが十分ございます。
 農業などの生産現場に接する機会が少ない東京では、生産体験を通じた自然への感謝の念をはぐくむことが必要であると思いますし、今後、学校における農業生産などの体験や、学校給食を通した生産者との交流、各地域で食育に取り組むリーダーの育成など、総合的に展開する食育の推進計画を策定するつもりでございます。
 今日の日本が失いつつある大切な食の文化を、東京が率先してよみがえらせていきたいと思っております。
 最後に、東京オリンピック招致についてでありますが、オリンピックは、東京という成熟した都市の姿を世界に示し、日本の存在をアピールし直す絶好の機会であるとともに、日本を覆うこの閉塞感を打破する起爆剤ともなると思っております。
 先般終演しましたあの愛知地球博も、それぞれ創意を凝らして、万博というのは大体どこがやっても同じような感じが否めませんけど、これは大成功で終わりました。こういったものも一つの好ましい事例だと思いますが、いずれにしろ、開催都市の国際的な競争に勝ち抜くには、国を挙げてのバックアップと周到な招致戦略が不可欠であると思っております。
 都は、都議会と一体となって、都民、国民はもとより、産業界や競技団体など幅広い分野からの支援、協力を得ながら、オリンピック招致のイニシアチブを発揮し、ぜひぜひ東京オリンピックを実現したいと思っております。
 なお、その他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監奥村萬壽雄君登壇〕
〇警視総監(奥村萬壽雄君) 駐車取り締まり関係事務の民間委託により期待される効果についてのご質問にお答えをいたします。
 来年六月を目途に施行されます道交法の一部改正は、ご指摘のとおり、二つの柱がありまして、一つは、放置車両の使用者責任を拡充して、いわゆる逃げ得を許さないようにすることでありますけれども、いま一つが違法駐車取り締まり関係事務の民間委託で、具体的には、放置車両の確認並びに標章の取りつけを民間委託できるようにすることでありまして、今、着々とその準備を進めております。
 施行の当初は、都内では、二十三区のうち、十二区におきまして民間委託を導入することになりますが、民間の駐車監視員が、その地域ごとの駐車実態に応じまして放置車両の確認事務を専従して行うことになりますことから、違法駐車取り締まりに係る執行力が強化されて、現在に比べまして相当程度違法駐車の解消が見込まれ、違法駐車を原因とする交通渋滞の緩和あるいは交通事故の防止が期待されるところであります。
 また、こうした民間委託を行うことによりまして、合理化されました警察力を、犯罪抑止対策、その他緊急に対処しなければならない業務に対応させることが可能になるものと考えております。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 国民体育大会についてでございますけれども、平成二十五年に開催予定であります東京国体は、東京の多様な地域特性を生かしながら、多摩・島しょ地区を中心に開催しまして、多くの産業や観光資源を有します東京の魅力を全国にアピールする大会を目指しております。
 本年六月に、区市町村や関係部局で構成いたします、実務レベルの検討組織であります東京国体準備推進会議を設置いたしまして、大会開催方針等の検討を行っております。
 また、七月には、全区市町村及び全競技団体を対象にしました連絡会議をそれぞれ開催し、競技会開催意向調査をするなど、具体的に開催準備を進めているところでございます。
 平成十九年度には、広く各界各層の方々から成ります東京国体準備委員会を設立しまして、全都的な取り組みを推進していくとともに、都議会において開催決議をいただきたいと考えております。
 次に、区市町村との連携についてでございますが、各競技会の開催に当たりましては、都と会場地であります区市町村や競技団体が密接に連携することが不可欠でございます。
 会場地選定や競技会の準備につきましては、区市町村の意向を踏まえながら、区市町村連絡会議等において、関係団体などとも十分協議、調整しまして合意形成を図って進めてまいりたいというふうに考えております。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕
〇財務局長(谷川健次君) 新たな会計制度活用の考え方についてでございますが、複式簿記・発生主義会計を導入する都の新たな公会計制度においては、個々の事業単位で、人件費、金利、減価償却費など、民間並みのコスト情報が反映された事業別財務諸表を作成することが可能となり、これまでは困難であった事業単位での費用対効果の検証などを行うことができるようになります。
 重要なことは、この財務諸表を活用し、これまで以上に質の高い決算分析や事業評価を行い、その結果を次の予算に的確に反映させることであり、いわば東京都版マネジメントサイクルを構築していく必要があると考えております。
 新たな会計制度を通じて、民間では至極当然のコスト意識や経営感覚を職員に根づかせ、こうした意識改革を原動力として、都政改革を強力に推進してまいります。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕
〇知事本局長(山口一久君) 行財政改革の新たな指針策定に当たり、外部の専門家を活用した検討についてのご質問にお答えいたします。
 現行の自治制度には、国と地方の役割分担を初め、広域行政の枠組みや大都市行政のあり方など、地方自治の本質にかかわる課題が山積しております。この仕組みを変えることは、今後の都政運営や都民生活に大きな影響を及ぼすことから、法律や制度の側面からだけではなく、大都市東京の実態や、広域自治体として都が果たすべき役割を十分に踏まえた上で議論を進めていく必要があります。
 そのため、さまざまな分野の専門家に加え、企業経営者等も交えた組織を設け、地に足の着いた東京発の自治論を展開してまいりたいと考えております。この会議では、道州制の議論や三位一体改革などの動向を見据えつつ、来年にかけて自治制度改革全般について方向を検討するとともに、本年十一月を目途に策定する指針の中にその議論の内容を反映させていく予定であります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕
〇総務局長(高橋功君) 都区制度改革に関する都区協議についてお答えをいたします。
 現在、特別区の助役と都の部長等で構成する都区財政調整協議会におきまして、五項目の課題の議論を進めております。これまでに協議会を五回開催しておりますが、去る九月二十一日には、個別の課題でございます小中学校改築経費、清掃関連経費、都市計画交付金につきまして、具体的な協議に入ったところでございます。
 ご指摘の各課題の解決は大変重要であると認識をしており、今年度中の合意形成に向けまして、都区双方からの提案を含めてさらに議論を重ね、精力的に協議を促進してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 環七地下調節池の効果と今後の治水対策の取り組みについてでありますが、今回の集中豪雨により、環七地下調節池には二期区間を合わせまして四十二万立方メートルの洪水を貯留し、約三十ヘクタールの区域が浸水を免れたと考えております。
 また、被害状況を検証しますと、一時間五〇ミリの降雨に対応する護岸や調節池が整備された箇所では比較的被害が少なく、減災効果が発揮されております。このため、妙正寺川や善福寺川の五〇ミリ護岸の未整備区間を緊急に整備できるよう、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施に向け、現在国と調整を進めております。
 また、平成十九年の出水期までに、妙正寺川からも環七地下調節池への取水が可能となるよう施設の整備を行うなど、水害対策に全力で取り組んでまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕
〇港湾局長(津島隆一君) 港湾に関連する四つのご質問にお答え申し上げます。
 まず、三宅島空港の再開についてでございますが、三宅村が本来の姿を取り戻すためには、空港の早期再開が強く望まれます。再開に当たりましては、空港を利用する方々などの安全確保が重要であることはご指摘のとおりでございます。
 具体的には、ターミナルビルの復旧、脱硫化や空港設備の改修等ハード面の整備、運航に必要な安全マニュアルの作成等、航空機の安全運航に必要な体制の確保が不可欠であると認識しております。
 このため、空港の一日も早い再開に向け、三宅村安全確保対策専門家会議や、国、航空会社などの関係機関と密接な連携のもと、必要な準備を早急に進めてまいります。
 次に、東京港の震災対策についてでございますが、現在、東京港においては、阪神・淡路大震災後の新たな耐震基準に基づき、緊急救援物資や国際コンテナ貨物を輸送する耐震強化岸壁を順次整備するとともに、海岸保全施設についても液状化対策等を進めております。
 首都直下地震の切迫性が指摘される中、先般公表いたしました第七次改訂港湾計画の中間報告では、東京港の防災機能の強化を最重点課題と位置づけ、耐震強化岸壁は、現行計画十八バースに加え、新たに品川ふ頭や中央防波堤外側など十四バースの整備を計画しております。また、ゼロメートル地帯を中心に海岸保全施設の耐震化を引き続き推進し、震災に強い東京港を実現してまいります。
 次に、第七次改訂港湾計画の物流機能の取り組みについてでございますが、中間報告では、経済活動のグローバル化に伴うアジア諸国との貿易量の増加を踏まえ、十年後のコンテナ取扱量を、現在の一・四倍となる四百六十万個と予測いたしました。この貨物需要に対応するため、本計画では、まず既存の大井及び青海ふ頭の機能を強化するとともに、新たに中央防波堤地区に我が国最大級となる大水深の国際コンテナふ頭を整備することとしております。
 また、羽田空港の再拡張に伴う航空貨物も視野に入れた高機能物流拠点を形成してまいります。
 さらに、IT化の推進や施設の共同利用による効率化など、ソフト面の施策についても官民一体となって取り組み、首都圏の生活と産業を支える東京港の国際競争力を強化してまいります。
 最後に、東京港の景観形成についてでございますが、東京港では、これまでも、緑豊かな海上公園や水辺と調和したレインボーブリッジなど、魅力ある景観づくりに努めてまいりましたが、ご指摘のとおり、今後、羽田空港再拡張に伴う来訪者の増加や水辺の観光振興の観点から、航空機や船舶からの景観も重要となります。
 このため、首都東京の玄関口に位置する中央防波堤地区を、港湾計画に良好な港湾景観を形成する区域として新たに位置づけ、先駆的な景観形成を進めてまいります。具体的には、デザイン、色彩、高さ等に配慮した各種の港湾施設と特色ある大規模公園や水辺が調和した、東京港ならではの景観形成を目指してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、沿道一体整備事業についてでございますが、木造住宅密集地域における沿道一体整備事業は、避難路や延焼遮断帯となる都市計画道路の整備をきっかけに、官民が協働して沿道のまちづくりを進め、地域の防災性の向上を図るものでございます。
 都では、平成十六年度から、東池袋、鐘ケ淵両地区の整備を重点事業と位置づけ、沿道住民の意向調査などを実施してまいりました。この結果を踏まえ、本年七月には地元区とともに住民との懇談会を開催し、道路整備にあわせて住宅の共同化や不燃化が行われるよう、合意形成に努めております。年内には全国初の本格的な沿道一体整備事業として両地区の事業化を図り、これをモデルに今後事業を展開してまいります。
 次に、木造住宅の耐震化についてでございますが、震災時に建物の倒壊から人命を守るためには、本格的な住宅の耐震化はもとより、安価で簡易な耐震改修工法の普及を図ることが重要でございます。
 このため、都としては、住宅の補強工法や、建物が倒壊しても人命は守れる防災用のベッドなどの装置について一般に募集し、その中から経済性、信頼性にすぐれた工法等を選定し、広く都民に情報提供していく予定でございます。
 また、避難の安全を確保するなど公共性の高い地域については、助成制度も含め、都民負担の軽減策を検討しております。
 今後とも、自助、共助、公助の原則を踏まえつつ、住宅の耐震化に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、避難場所の確保についてでございますが、避難場所は、地震時の大火から都民の生命を守るため、鎮火するまで待つ場所であり、身近なところに必要な広さを確保することが重要でございます。このため、公園などの公共用地だけでなく、大規模民有地についても、土地所有者の協力を得て都が指定し、その確保に努めております。
 しかしながら、ご指摘のような民有地については、開発に伴って避難場所としての機能の担保が困難となる状況が生じております。都といたしましては、開発を適切に誘導するための指針を策定し、その機能が引き続き確保できるよう協力を求めてまいります。
 また、同様に、工場跡地などの大規模開発で生まれる空間地につきましては、新たな避難場所として指定するよう努めてまいります。
 次に、渋谷地区の都市再生についてでございますが、当地区は、ファッションやITコンテンツなどの企業の集積を生かしつつ、職、住、遊、学といった多様な機能が融合する副都心として、首都東京の重要な機能を担っております。現在、地下鉄十三号線の整備などが進んでおりますが、大規模ビルの老朽化や狭隘ビルの乱立、駅周辺の交通混雑などといったさまざまな課題を抱えております。
 これらの課題を解決し、渋谷を副都心にふさわしいまちへと再生していくためには、まず地元区が主体となって、渋谷のまちづくりに向けた積極的な取り組みを進めていくことが必要でございます。都は、こうした地元区の取り組み状況を踏まえつつ、都市再生緊急整備地域の指定に向け、必要な支援、協力を行ってまいります。
 最後に、外環の国と都の考え方の具体的内容についてでございますが、外環は、経済活動の高コスト構造を是正し、首都東京の再生に必要不可欠な道路でございます。これまで、幅広く地元との話し合いを行うなど丁寧に取り組み、今般、外環の構造などについて基本的な考え方を、国とともに公表したところでございます。
 具体的には、外環の構造を大深度地下とすること、接続する高速道路は東名、中央、関越とすること、本線と同時に整備するインターチェンジは、目白通り、青梅街道、東八道路とし、このうち青梅街道インターチェンジについては、関越道方面だけの出入り口とすることなどでございます。
 今後は、この考え方をもとに、沿線自治体などの意見を聞き、外環の早期事業化に向け、速やかに都市計画の手続を進めるなど、積極的に取り組んでまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕
〇生活文化局長(山内隆夫君) 町会、自治会等との連携についてでございますが、ご指摘のとおり、都政のさまざまな課題を行政のみで解決していくことには限界があります。都民との協働を進め、対応していくことが重要でございます。
 町会、自治会は大切な地域コミュニティのかなめであり、行政と住民のパイプ役として非常に重要かつ公益的な役割を果たしていると認識しております。そのため、東京都では、平成八年度より、東京都町会連合会との連絡会を通じて、治安対策や防災対策などさまざまなテーマで意見交換を行っているところであります。
 今後とも、連絡会等を活用して緊密な関係を築き、地域の力が生かせるよう連携を深めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長舟本馨君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 治安対策における町会、自治会等との連携についてでありますが、平成十五年から都内の犯罪認知件数は減少に転じています。特に平成十六年は、前年と比べると空き巣やひったくりなどの地域における犯罪が大幅に減少しております。これは、町会や自治会の防犯パトロールや広報活動などの努力が大きく貢献しており、感謝をしているところでございます。
 治安対策では、地域がみずから防犯に取り組み、防犯力を向上させることが重要ですが、町会、自治会の活動は、まさにこうした地域の力を具体化したものと考えております。
 都といたしましても、東京の犯罪を減らすために、引き続き町会や自治会の活動を積極的に支援し、連携を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕
〇環境局長(大橋久夫君) 建築物解体時のアスベスト対策についてのお尋ねでございます。
 アスベストによる被害を防止するためには、解体事業者による飛散防止対策の徹底が極めて重要であります。このため、都は、関連業界に対し、解体作業場所の密閉など、法や条例に基づく飛散防止対策の徹底と近隣住民への情報提供を改めて要請したところでございます。
 また、今後、解体現場への立入検査を強化するとともに、周辺環境調査を実施するなど、飛散防止対策が確実に実行されるよう取り組んでまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 中小企業対策等についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業が行うアスベスト対策への金融支援についてでございますが、ご指摘のとおり、都内中小企業は依然として厳しい経営環境に置かれておりまして、アスベスト除去などの対策は新たな負担となる懸念がございます。しかしながら、事は従業員などの健康にもかかわる重要な問題でありまして、緊急の対応が求められております。
 このため、中小企業が行う工場や事業所のアスベスト使用状況調査や、その除去と機能回復工事などに要する資金への金融支援の実施に向け、融資要件などその具体的内容を早急に取りまとめてまいります。
 次に、制度融資による支援強化についてでございます。
 都が本年七月に実施した調査では、石油・化学製品の価格高騰による悪影響があるとする中小企業の割合は約八割に上るなど、原油高や鋼材価格の高騰が中小企業経営に大きな影響を及ぼしております。これらの中小企業に対し適時適切な金融支援を行い、経営の安定化を図ることが、景気回復を確かなものにしていくためにも必要でございます。
 このため、資金需要が高まる年末に向け、金融支援を強化すべく、信用保証協会等の関係機関とも連携しながら、融資要件の緩和などその具体的方策を検討してまいります。
 次に、新銀行東京についてでございます。
 都はこれまでも、新銀行東京がその設立趣旨に沿った中小企業支援を実施するよう働きかけてまいりました。融資・保証の九月末実績は七月末実績の二倍を大きく上回り、約五百六十億円にも達する見込みと聞いております。
 新銀行東京におきましては、「常に新しい」をキャッチフレーズとし、中小企業のニーズにこたえた新商品の開発を進めております。具体的には、新たに、公共工事の受注業者及び下請業者の資金繰り支援を目的とした公共工事代金債権信託や、商社の取引先に対する売り掛け債権を一時的に肩がわりする融資を行う予定であると聞いております。
 都は、今後とも、新銀行東京がこうした多様な手法による中小企業支援を一層充実するよう、株主として積極的に働きかけてまいります。
 最後に、産業技術研究所の技術支援機能強化についてでございますが、現在、来年四月の地方独立行政法人化に向け、外部人材の活用等による事業の弾力的運営や、産学公連携の推進など、ソフト面の機能向上を図るべく準備を進めております。
 また、都内中小企業の国際競争力を高めていくためには、世界に通用する品質証明書の発行や、先端技術を活用したスピーディーな試作品の開発支援などを可能にするハード面の整備も重要な課題となっております。
 こうしたことから、現在、企業ニーズ等の調査を実施中でございまして、これらの調査結果や最新の産業技術の動向等を踏まえまして、産業技術研究所の今後の技術支援機能の強化が図れるよう、鋭意検討を進めてまいります。
   〔下水道局長前田正博君登壇〕
〇下水道局長(前田正博君) 下水汚泥炭化事業の内容と効果についてでございますが、下水道局は、都庁全体の事務事業活動に伴う温室効果ガスの最大の排出者として、昨年、いち早くアースプラン二〇〇四を策定し、さまざまな地球温暖化防止対策に取り組んでおります。
 今回、その一環といたしまして、従来焼却していました下水汚泥から炭化物を製造し、発電用燃料として売却する国内初の取り組みを進めることといたしました。この事業によりまして、二酸化炭素に換算しますと、一年間で三万七千トンの温室効果ガスの削減が可能になります。これは、山手線内側の面積の一・七倍に当たる約一万ヘクタールの森林が吸収する量に相当いたします。
 今後とも、温室効果ガスの削減に向け、対策を積極的に推進してまいります。
   〔中央卸売市場長森澤正範君登壇〕
〇中央卸売市場長(森澤正範君) 中央卸売市場の整備計画に関するご質問にお答えいたします。
 本年十月に策定予定の第八次卸売市場整備計画では、卸売市場の競争力強化を図るため、東京都卸売市場審議会答申を踏まえ、消費者サイドに軸足を置いた市場運営を初め、二十四時間対応が可能な商品搬出態勢の強化など、市場機能をより効率的、効果的に発揮できる方策を取り入れてまいります。
 また、各市場の整備に当たっては、それぞれの市場が果たしている役割を検討し、老朽施設の計画的な更新、安全・安心の確保など、流通環境の変化に積極的に対応した施設整備、長期的な戦略的投資など、総合的な視点から計画化に努めてまいります。
 次に、多摩地域の卸売市場の整備についてでありますが、第八次整備計画では、中央卸売市場の新設を認めないという国の整備方針や、多摩地域においては地方卸売市場が生鮮食料品の市場流通の大部分を担っている実態などを踏まえ、今後、多摩地域の安定的な流通体制については、中央卸売市場の整備ではなく、地方卸売市場の機能強化により実現を図ってまいります。
 そのため、地方卸売市場に対して一層の規制緩和や品質管理の高度化などを図るとともに、多摩の地場産品の流通など地域特性を生かした生産、消費の連携が進められるよう、積極的に支援をしてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 子育て、高齢者支援策につきまして、三つのご質問にお答えいたします。
 まず、子育てに関する区市町村支援についてでございますが、安心して子どもを産み育てられる環境を整備するためには、すべての子育て家庭を対象に、地域の実情に応じた多様な施策を展開していくことが重要でございます。
 地域の子育て支援を担う区市町村の取り組みをより創意工夫されたものとするためには、お話しの補助制度を含めまして、柔軟な支援の仕組みに再構築することが必要と考えております。
 今後、こうした点も十分踏まえつつ、区市町村の取り組みが一層充実されますよう、都としてソフト、ハード両面から積極的な支援を行ってまいります。
 次に、児童手当の拡充についてでございますが、現在、少子社会への対応策につきましては、子育て家庭への経済的負担の軽減を初めとしまして、仕事と子育てとを両立できる労働環境の改善など、さまざまな議論があることは承知しておるところでございます。
 我が国の急速な少子化の進行に適切に対応するための方策につきましては、広く社会的なコンセンサスを得ることが重要であると考えております。ご提案の児童手当の対象年齢の拡大につきましては、貴重な政策提言と受けとめており、こうした議論や国の動向を十分に見定めながら、引き続き研究してまいります。
 最後に、介護サービス基盤の整備についてでございますが、都は、高齢者が介護が必要になっても地域で安心して暮らせるよう、これまでも認知症高齢者グループホームなどの設置促進に重点的に取り組んでまいりました。
 お話しの認知症高齢者などを地域で支えるためには、今後、ショートステイなどの在宅での暮らしを支えるサービスの充実や、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスの基盤整備をより強力に進めていくことが重要と考えております。
 こうした観点を踏まえ、本年度中に策定する東京都高齢者保健福祉計画におきまして、在宅サービス充実の方向性を明確にした上で、区市町村と連携し、地域における介護サービス基盤の整備に積極的に取り組んでまいります。
   〔病院経営本部長大塚孝一君登壇〕
〇病院経営本部長(大塚孝一君) 多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターのPFI事業による整備に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、PFI手法を選択する意義についてでございますが、いわゆるPFIの仕組みは、社会資本の整備と、より良質な公共サービスの提供を効率的、効果的に実現するため、官民の適切な責任分担のもと、公共施設等の建設や維持管理、運営などに、できる限り民間の持つ技術や能力を活用しようとするものでございます。
 今回の病院事業におけるPFIにおきましては、設計、施工、運営を一括して契約するとともに、長期包括的な業務委託を行うことによりまして、事業コストの削減を初め、きめ細かい患者サービスの提供ができるなど、大きなメリットがあると考えております。
 次に、医療環境の変化等に対応するための工夫についてでございますが、事業者の選定に当たりましては、事業環境の変化への対応力などを重視して審査することとしております。
 また、契約において大幅な物価変動や診療報酬の改定などに対応する弾力的な条項を設けることを初め、事業実施に際しましては、将来の変化に柔軟に対応できる具体的な業務計画を事業者に策定させるなど、安定した医療サービスの確保のためにさまざまな工夫を行っております。
〇議長(川島忠一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

   午後三時十六分開議
〇副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十二番中村明彦君。
   〔百二十二番中村明彦君登壇〕
〇百二十二番(中村明彦君) 私は都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長にお伺いいたします。
 まず、冒頭に一言述べさせていただきます。
 七月の都議会議員選挙では、多くの都民の皆様のご支持をいただき、前回を十三議席も上回る三十五名の公認候補の当選を果たし、都議会第二党に躍進することができました。都民の皆様方の温かいご支援に改めて御礼を申し上げる次第でございます。
 しかしながら、さきの衆議院選挙におきましては、郵政民営化に争点を絞り劇場型の選挙を行った小泉総理の前に、大敗を喫することになってしまいました。私たちは、この敗北を大きな試練として今後も精進を重ね、この総選挙に際して寄せられた二百万都民の皆様のご支持を忘れることなく、政権獲得に向けて再度チャレンジしてまいります。
 以上、私どもの決意を述べさせていただき、質問に移ります。
 最初に、今後の都政運営について伺います。
 まず、来年度予算の編成方針についてであります。
 最近の企業収益の好転を受けて、都税収入は今後も堅調に推移することが見込まれます。一度は底をつきかけた基金の積み増しも進み、財政的には一息つける状態となったといえます。
 こうした中、今都がやるべきことは、過去の都政運営の中で膨れ上がってきた負の遺産を、この際思い切って清算することだと考えます。バブルに踊り、三セクを中心に膨れ上がらせてきた返すに返せない大借金、それをいたずらに先送りせず、きっちり清算することにこそ、今生じた財政的余裕を投入するべきなのであります。
 しかるに都は、七月二十六日に各局に示した平成十八年度予算の見積方針で、平成十七年度予算額の範囲内で所要額を見積もるとして、前年度予算と同額まで予算要求を認めるゼロシーリングの方針を打ち出しました。これまで続いてきたマイナスシーリングを転換することで、都は積極的な財政運営へとかじを切るのでしょうか。今回の見積方針が、二十四年ぶりにマイナスシーリングを回避と大々的に報道されたことで、都庁内外には、予算の増額や新規事業への期待が高まっております。
 そこで、このマイナスシーリング回避の意味と見積方針の真意はどこにあるのかをお伺いいたします。
 また、重要施策二〇〇六(仮称)の策定についてでは、平成十五年度から平成十七年度までの重点事業の検証と平成十八年度の重点事業案の作成が指示されました。とりわけ重点事業案については、平成十八年度から平成二十年度までの三カ年の展開、方向性を明らかにすることを各局に求めております。重点事業といいながら、その年ごとに打ち上げられる花火のようになってしまっている現状から見れば、向こう三カ年の展開や方向性が示されることは一歩前進だと思います。
 しかしながら、各局は既に、今後の社会変化を見通した長期的な基本方針の策定を視野に入れ、動き出しております。例えば七月に財務局が発表した「都財政が直面する課題」では、人口減少、少子高齢化の社会の下で、将来にわたり安定した財政運営を行うために、長期的視点から財政運営のあり方を検討する時期に来ていると提言しております。同じく七月に発表された、総務局の「都におけるマンパワーの動向と今後の方向」でも、今後の都の人材育成に関する基本方針の策定が示されております。
 各局がこうした取り組みを進めているときに、これらを束ねる都全体としての新たな長期計画策定への取り組みが見られないのは残念であります。都政の基本的指針として長期計画を示し、その中に実施計画、単年度予算を位置づけるという当たり前のことを行うことが、都政の未来に向かって職員のモチベーションを高めることにもつながります。社会構造の大きな変化を踏まえ、都における新たな長期計画の策定に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、都区財政調整に関する主要五課題の協議に関してお伺いいたします。
 去る七月二十六日、都区財政調整協議会が開催され、二年余りに及ぶ都区検討会の検討結果の報告がなされました。しかしながら、その内容は、すべての課題について前向きな合意点を見出せず、大きく乖離した都区双方の見解を併記したにとどまっております。
 その原因は、平成十二年の都区制度改革によって法制度上確立した都と区の役割分担の原則にのっとり、現実の分担関係を明確にし、それに基づく財源配分を求める特別区と、従来より都が行っている事務の多くを大都市事務と位置づけ、かつ調整三税が都税と位置づけられていることから、現実の特別区の需要に応じてこれを配分するとする都の立場の違いにあります。
 私たち民主党は、この主要五課題の協議については、機関委任事務を廃止した平成十二年の地方分権一括法の趣旨を踏まえ、特別区を基礎的な地方公共団体と位置づけた改正自治法の原則に沿って整理されるべき課題であると考えます。すなわち、府県事務と市町村事務を仕分け、市町村事務は原則特別区の事務として、その事務のうち、都が一体的に処理することが必要であると認められる事務のみを都が行う大都市事務と位置づけ、この分担割合に応じて財源配分を行うべきであります。
 決着に向けて残された時間はわずかであります。都もこうした原則的な立場に立ち返って、膠着状態にある都区協議を打開する姿勢を持つべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 平成十二年改革において積み残された課題については、以上の原則的な立場に立って整理されるべきですが、さらにその上に立って、中長期的な視点に立った大都市行政のあり方等についても早期に検討されるべきであります。既に特別区制度調査会では、特別区の存する区域にふさわしい新たな自治制度について検討が行われており、この十月にはその報告がなされることになっております。こうした特別区も含めた東京圏の自治体のあり方、大都市行政のあり方、国との関係の整理、税財政制度のあり方については平成十二年以来の課題であり、私たちも再三指摘してきたところでございます。
 知事は、さきの所信表明において、自治制度から行財政システム全般にわたる改革を一体的に取り組むための新たな指針を、十一月を目途に明らかにするとし、さらに、今後、広域連携や基礎的自治体との関係をも踏まえた大都市行政のあり方について、外部の専門家も交え、地に足のついた議論を通じて東京発の自治論を展開するとされました。
 そこで伺いますが、知事はこれらの課題にどのような姿勢で臨まれるのか、所見をお伺いいたします。
 次に、防災対策について伺います。
 一昨年以来、全国各地で大規模な地震や豪雨災害が相次いで発生し、防災に対する国民の関心は非常に高まっております。ことしは、七月二十三日に千葉県北西部地震、八月十六日に宮城県南部地震、さらに九月四日には集中豪雨が都内各地に被害をもたらし、防災意識の高まりは、都民においても例外ではありません。
 民主党は、さきの都議会選挙において、震災対応力の強化をマニフェストの最重要課題に掲げましたが、石原知事も今定例会初日の所信表明において、都の直面する課題の筆頭として災害への備えを掲げており、その重要性に対する知事の認識を鮮明に読み取ることができました。
 そこで、まず、防災対策に取り組む知事の決意について、改めてお伺いいたします。
 これまでも都は、防災対策についてさまざまな施策を展開してきております。しかしながら、さきの地震や豪雨では、まだまだ課題があることが改めて浮き彫りになりました。例えば震災においては、震度データの送信システムの不備、超高層ビルと長周期振動との共振現象、エレベーターの閉じ込め問題、地下鉄のストップによる大量の帰宅困難者など、そして集中豪雨による浸水被害においては、河川や下水道整備をする上での想定降雨量が現実の雨量と乖離していたことなどが、連日のように各種メディアで指摘されております。
 こうした課題に対して、震度送信用サーバーの増設及びシステム全体の見直し、八都県市による大手コンビニ等との災害時支援協定締結、住宅金融公庫との災害時の住宅復興協定の締結など、都が可能なところから一つ一つ対応していることは、私たちも評価するものであります。
 しかしながら、これらはあくまでも対症療法的な対策であり、小手先の対応にすぎません。この一連の災害で浮き彫りになった課題を改めて整理し直した上で、被害想定や総合的な防災対策の総点検、見直しを行うことが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、震災対策に絞ってお伺いいたします。
 震災対策で最も効果的なのは、何よりもまず、建物や土木構造物の耐震性強化のようなハード面での強化、改善であります。いわゆる減災という考え方です。この都市の減災化にとって最大の課題は、民間建築物、特に耐震性に問題のある昭和五十六年以前の木造住宅の耐震化の促進です。私たちは、今年第二回定例会でも、また東京マニフェストにおいても提案いたしました、耐震改修促進のため、専門家による無料の耐震診断、耐震改修に対する補助などの制度の創設が、都においてもなされるべきだと考えます。
 例えば、住宅耐震化の促進の取り組みが先進的といわれている自治体として、静岡県が「TOUKAI―0」と名づけられた施策に取り組んでおります。これは、専門家による無料の耐震診断を行い、耐震補強計画を作成し、耐震補強工事に三十万円の補助を出すというものであります。木造家屋の耐震補強を促す一連の流れをつくり出しております。
 もちろん、制度をつくっただけでは活用されないのも現実で、静岡県の場合でも、当面の目標一万棟に対し、これまでの耐震補強の実績は三千三百棟にとどまっております。しかし、新潟県中越地震が発生した昨年は、申請件数が前の年の二倍に急増するなど、防災意識の高まりにつれて、次第に効果があらわれるようになっております。
 このような民間の昭和五十六年以前の木造住宅の耐震化促進策について、所見をお伺いいたします。
 震災対策に限らず水害対策にも共通するのが、被災した際の初動態勢と復旧体制の確立です。行政としての危機管理体制の一層の強化は、知事も所信表明で述べられているところであり、今後の引き締めに期待しているところであります。
 しかしながら、一方で都内各地域における被災時の防災力は、まだまだ不安があるように思われます。そのためには、東京マニフェストでも提案したように、防災ボランティアとの連携強化、住民参加型の防災訓練による防災コミュニティの育成など、日常的なソフト的での対策を早急に強化していくことが求められます。こうした被災時及び被災後の体制強化について所見をお伺いいたします。
 次に、浸水対策についてです。
 これまで都では、治水対策として、一時間五〇ミリの雨に対処できるよう、施設の整備を進めてきました。しかし、九月四日には、一時間一〇〇ミリを超える豪雨により、中野区や杉並区を中心に、床上、床下浸水合わせて五千戸を超える被害が生じてしまいました。こうした中、都は、被災地である中野区と杉並区に災害救助法を適用し、被災者や被災企業に対して、固定資産税など都税の減免や災害援護資金の貸し付けなど救済措置を迅速に決定しており、このことについては一定の評価をいたしております。
 今後は、浸水被害の再発防止に向けた取り組みが重要となります。例えば、都が作成した平成十二年東海豪雨並みの一時間最大一一四ミリの雨量を想定した神田川流域浸水予想図と、今回実際に浸水した地域との比較検証が必要です。杉並区は、想定していない区域で浸水被害が発生したとして、区の洪水ハザードマップを見直すことを明らかにしております。
 さらに、災害救助法の適用された中野区、杉並区の要望を踏まえて、河川改修の前倒し実施など、浸水被害の再発防止に向けた対応策が早急に講じられるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 昨年十一月の公営企業委員会で、杉並区選出の我が会派の田中議員が、近年では一時間一〇〇ミリを超える雨が増加傾向にあることから、浸水対策の想定雨量見直しの必要性を指摘したところ、下水道局は、一時間五〇ミリを超える雨への対応は困難であるとの見解を示しております。
 そもそも一時間五〇ミリの雨量に対応する施設の整備が完了しているのは区部の六割にすぎませんから、一〇〇ミリを超える雨への対応といっても、今すぐには難しいのはわかります。ただ、対応しなければならない雨量は、地域によって異なるはずであります。三〇ミリ対応でも十分な場所もあるでしょうし、逆に一〇〇ミリ以上の雨への対応を整えておかなければならない場所もあるはずであります。そうした精査を直ちに行った上で、必要な場所に必要な整備を行うというめり張りをつけるべきではないでしょうか。
 これまで都内一律五〇ミリ対応としていたことは、果たして妥当であったのかどうかという再検討や、避難対策の再点検と強化など、都市型集中豪雨への対応策を含めた総合治水対策について、抜本的に見直す必要があると考えるものですが、所見をお伺いいたします。
 次に、談合体質の改善についてお伺いいたします。
 昨年十月、鋼鉄製橋梁工事の入札に関して、公正取引委員会が関連業者等への立入検査をしたことに端を発し、国土交通省が発注する橋梁工事での談合が発覚いたしました。また、日本道路公団が発注する橋梁工事では、公団役員や天下りした公団のOBが関与する極めて悪質な官製談合の実態が白日のもとにさらされました。これらの事件に対して、多くの国民が天下りへの怒りを募らせ、この国の談合体質の根深さに嫌悪感を覚えたのではないでしょうか。
 そしてまた、立件対象とはならなかったものの、都が発注する橋梁工事についても談合疑惑が報じられ、例えば今議会に提案されている日暮里・舎人線なども、高い落札率であることが多く、疑念を抱かれても不思議ではありません。また、公取委が検査に入る直前の昨年九月の時点で、今回摘発された談合組織四十七社のうち三十社に都OBが天下りしていることも、この疑惑に拍車をかけております。
 このように東京都発注の公共事業についても、必ずしも疑惑がないとはいい切れない中にあって、都としても、あらゆる手だてを講じて談合体質の改善に取り組んでいく必要があります。私は、都職員の天下り禁止やOBの営業活動の禁止、入札制度の見直しや議員の口きき情報の公開などの手だてを積極的に講じて、談合体質の改善に徹底的に取り組んでいくべきと考えますが、石原知事の所見をお伺いいたします。
 日本道路公団の事件では、天下りOBの関与が大きな問題となりましたが、都の職員についても、天下りを原則禁止していくべきであります。現在、都は、局長級職員については、退職前五年間に担当した仕事に関連した民間企業への天下りを退職後二年間は禁止することなどの基準を定めております。しかし、今回の事件を受け公団では、役員については、関連企業への再就職を無期限禁止、管理職については、離職後五年間の再就職禁止などの談合防止策を発表し、国交省でも、談合事件に関与した企業への再就職の自粛、幹部職員については、公共工事を受注する企業への五年間の自粛などを発表しております。
 都の職員が、技術力や管理能力などのスキルを生かし再就職していくことは、東京の活力向上のためにも大いに役立つものと考えますが、受け入れ側の企業が都庁への営業活動を期待して受け入れている実態がある中で、少なくとも関連する企業への再就職については原則禁止するなど、より厳しく規定していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 入札制度の見直しでは、一般競争入札の拡大などが有効であります。ここではコンストラクションマネジメント、いわゆるCM方式の導入についてお伺いいたします。
 柿沢議員がさきの予算委員会でも提案しておりますが、CMとは、建築工事に当たって、発注者の立場に立つ代理人、第三者を介在させて、業者の選定から価格交渉、資材調達、施工管理など、工事、コスト、工程をまとめて管理させるという手法であります。都は、柿沢議員の質問に対して、CM会社と東京都のリスクの分担方法、CM会社の選定基準、CM方式に適する工事の種類の選択など、さまざまな課題があり、今後、幅広く研究していく旨、答弁をしております。
 しかし、国交省が二〇〇二年二月にCM方式活用ガイドラインを策定したことなどにより、既にCM方式の導入に踏み切っている自治体も見られ、また、都の監理団体、東京都地下鉄建設でもCM方式の採用事例が見られます。
 私は、発注のプロセスを透明にしていくことは、私たちが納めた税金の使われ方をチェックしていく上でも極めて重要であると考え、このような意味からも、CM方式の導入について、さらに前向きな取り組みを求めるものであります。見解をお伺いいたします。
 また、情報公開の推進を通じて、私たち議会と行政との関係も、健全で明確なものにしていく必要があります。日本道路公団による談合事件では、一部マスコミが、受注社の孫請に入ったダミー会社が政治家向けの裏金をつくっているなどと報じていましたが、このような疑念を抱かせないためにも、未然の策が必要であります。
 私たち民主党は、東京マニフェストにおいて、口きき行為の情報公開を提案いたしましたが、これは、私たち都議会議員が地域活動などで受けたさまざまな意見、要望を役所に取り次ぐに当たり、その要望が公文化されることを通じて、情報公開の対象にしていくというものであります。既に鳥取県や高知県などにおいて、このような制度が実現されております。都においても、一部口ききは記録されているものの、制度化されたものではありません。
 私は、政治と行政の癒着を未然に防止する意味からも、口ききを公文書化し、情報公開の対象としていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、監理団体、特に臨海関連三セクについて伺います。
 今定例会には、民事再生計画案を提出している東京ファッションタウン株式会社及び株式会社タイム二十四の債権放棄が提案されております。再生計画案では、東京ビッグサイトが二社を吸収合併することなどが大きな柱となっていますが、しかし、そもそもの疑問として、こうしたビル事業については、本当に都が出資する監理団体が携わっていく必要があるのでしょうか。私は、監理団体こそ談合体質、官僚支配の象徴であり、監理団体の役割と都との関係を明確にしていく必要があると考えます。
 東京ビッグサイトは、都が七三・五%を出資し、役員の大半も都のOBが天下りしているという、破綻した二社以上に都との関係が強い監理団体であります。こうした監理団体がビル事業を引き継ぐことについては、甚だ疑問であります。
 また、監理団体の甘えの構造、例えば都の関連する団体がテナントとして入居してくれる、倒産しても都が救済してくれるなどという甘えの構造を断ち切らなくては、同じ過ちを繰り返すことにさえなりかねません。
 破綻した二社については、都は、出資しているが民間事業者が主体的に設立したものだと、その都度、都合よく説明をしてきました。であるならば、都が主導的に再生計画案をつくるのではなく、民間事業者の自己責任、自助努力にゆだねられるべきであります。
 今回の再生計画も、まず東京ビッグサイトありきではなく、本当に都が関与してビル事業を継続する必要があったのかも含めて検討すべきであったと考えますが、見解をお伺いいたします。
 仮に事業が再生するまでの間、都の監理団体によってビル事業の継続が図られることを是とするとしても、破綻に至った原因を究明し、それを総括しなければ、民事再生計画も絵にかいたもちになりかねないと考えます。破綻した二社は、平成十二年度に経営改善策を策定していますが、なぜ経営改善策を策定しながらも破綻という結果を招いたのでしょうか。経営改善策以降、サブリース方式という形でこの二つのビルを運営してきたのは、ほかならぬビッグサイトなのであります。平成十四年十二月には臨海高速鉄道が全線開業するなど、テナント料改定のチャンスもありましたが、結局のところ、ほぼ満杯に近いテナント入居率でありながら、今日の経営破綻を招いているのであります。
 都は、経営改善策における失敗をどのように総括しているのか。また、民事再生計画の実効性の確保についてどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
 また、港湾局が所管する臨海三セクについても、法的整理を含めた処理が必要であると考えます。石原知事は、四月一日の定例記者会見でも、臨海三セクは営業黒字を出すなど、破綻した二社とは違う旨述べられました。しかし、来年三月期からは日本でも減損会計が適用され、投資額の回収が見込めない建物などの固定資産の帳簿価額を減額することになれば、これまでの含み損が一気に損失として計上されるのであります。
 そもそも私たちは、赤字だからだめで、黒字だからよいという理屈を超越して、民間でできることは民間でという視点から、ビル事業の見直しが必要であると考えます。例えば、東京臨海副都心建設株式会社が所有する三棟のフロンティアビルの意義は何なのでありましょうか。建設当時、東京都は、臨海副都心の都市づくりの誘導的役割を果たすためにも必要だったと説明しているようでございます。万が一そうした意義があったとしても、もはやその役割は終わっております。下水道中継ポンプ所などの供給処理施設が地下にあるので困難だという理屈も、後楽園の下水道ポンプ所の上を森ビルが利用している事例などを見れば、理由にはなりません。
 このように、都が全くかかわる理由がないビル事業を都が監理団体を通じてかかわるという構図は、事業の赤字、黒字を超越して早々に見直していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、次世代育成支援について伺います。
 私たち民主党は、都議会選挙において掲げた東京マニフェストの中で、幼保一元化や子ども手当の上乗せなど、総合的な子育て支援策を訴えてきました。各党の選挙公約でも子育て支援が重要課題に位置づけられたことを考えれば、都は、これまで以上の大胆さを持って総合的な子育て支援策を推進していく必要があります。
 中でも次世代育成という観点からは、単なる子育て支援にとどまらず、若年者雇用などの取り組みが不可欠であります。ことし八月に発表された国民生活白書では、一定の経済力を下回ると子どもたちを持ちにくくなると分析した上で、少子化の背景の一つに、パートやアルバイトで生活する低所得の若年者の増加を挙げております。
 少子化は先進国の一般的な傾向ではありますが、現在の日本においては、不安定雇用や数百万ともいわれるフリーター、ニートの増加により、将来の雇用や生計の見通しが立たない若年者が大量に存在することも、少子化に拍車をかけております。安心して子どもを産み育てられる社会づくりの観点からも、こうした若年者に対する支援が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 都内の子育て家庭の状況を見ますと、六歳未満の子どもを育てている家庭の実に九〇%が核家族です。地域社会の支え合いと接点を持たない人がふえており、子育て家庭の孤立化が進んでおります。だれにも子育てのことを相談できず、ひとりで思い悩むケースがふえているのであります。もはや今までのように保育所を整備すれば事が足りるという時代ではなく、働く親だけではない、子どもを持つ親だれもが必要に応じて利用できる支援を行うことが必要とされております。
 地域で必要な支援には、日ごろから気軽に悩みや疑問の相談ができる場所、やや具体的な相談に対処する場所といったNPOなど民間と連携して進めるべき課題、虐待など子どもの安全や生命にかかわる問題で公的機関が責任を持って対処すべき課題などなど、さまざまなレベルがあります。これらのさまざまなレベルのニーズを受けとめ、子育て支援体制を充実させていくために、どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
 施策について二点申し上げましたが、次に、制度に係る改革について申し上げます。
 私たちは、すべての子育て家庭を対象とした支援を実現するためには、財政面の改革を抜きにして語ることはできません。財政の厳しい中、補助金を出す以上は、コストパフォーマンスを追求し、サービス向上やコスト削減の努力をしようとしないぬるま湯体質を生み出さないようにしなければなりません。
 また、保育所は、大切な子どもが日中のほとんどを過ごす場所であるにもかかわらず、現在は利用者に保育所の選択権がありません。サービス水準がどうであろうと、原則として役所が決めたところへ我が子を入所させなければならないのであります。待機児童も多い中で、ともかく入所できればよいというのが現状です。認可保育所は国の制度ですから、根本的には国の改革が求められる課題ですが、自治体としてできる改革はあります。
 東京都の認証保育所では、直接契約制度が実現しており、保護者の選択が可能となっておりますが、保育料の高さから、すべての人が持ち得る選択肢ではありません。また、家庭で子育てをしている親からの要望が多い一時保育などにも、東京都が施設に対する補助金を設けていますが、実施が進んでおりません。都民が必要としているサービスに対してお金が使われていないのです。
 私たちは、こうした状況を変えていくためには、施設に対する補助から一定額を個人に対する補助に転換して、利用者側にイニシアチブを移すことが必要であると考えます。これを実現するのが、個人を対象とする使途制限のある補助金であるバウチャー方式であります。古典的な形では、クーポン券の配布方式があります。現在では、IT化の進展で磁気またはICのカードを活用したり、さらには情報のやりとりのみで、物理的に券を交付せずに対応することも可能であります。限られた予算から出す補助金を生かすやり方として、バウチャー制度の検討を行い、実現を目指すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、消費者行政についてお伺いいたします。
 まず、深刻な状況となっている高齢者の被害についてであります。ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が多い東京都では、お年寄りが点検商法などを行う悪質業者の格好のターゲットとなっております。高齢者の被害相談が年々激増しており、悪質業者につけ込ませない環境づくりを進めていかなければなりません。
 こうした被害を防ぐには、まずは高齢者自身が気をつけて被害を防ぐことです。そのためには、例えば在宅介護支援センターや福祉事業者、民生委員、町内会、老人会などを対象とした、最近の消費者被害に関する研修の機会を持つことが必要と考えております。この点についてどのように取り組むのか、見解をお伺いいたします。
 同時に、高齢者自身が予備知識を持ち、警戒することだけでは防ぎ切れない巧妙、悪質な業者による被害を防ぐための方策も必要であります。消費生活センターに持ち込まれた相談が終了し、解決した後でも、一度被害に遭った方はねらわれやすくなり、繰り返し似たような被害に遭う傾向もあるようであります。継続した情報提供を行うことや、判断能力の低下が見られる人には、福祉事業者、民生委員などによる見守り、さらには財産管理や身上監護を支援する成年後見制度の利用を促すことも有効であると考えられます。
 とりわけ、成年後見制度の活用は、一度被害に遭った方をねらう次々契約などによる多額の被害を防ぐ上でも有効です。制度は支援の程度によって補助、補佐、後見に分かれており、最も軽易な支援を行う補助をつけるだけでも悪質業者に対抗した法的手続がしやすくなります。法制度を積極的に活用していくためには、成年後見制度を担う専門家からも助言を受けて対応を進めていく必要があると考えます。
 高齢者の生活に密接にかかわる福祉と消費者行政との連携については、どのように取り組むのか、お伺いいたします。
 消費者被害は高齢者以外も遭遇しております。数年前から携帯電話などの架空請求問題が表面化し、多くの若い世代も被害に遭っております。消費者被害は、手をかえ品をかえ都民に襲いかかっているのが現実です。こうした実態に対応するため、都は、架空請求問題に対応するため緊急対策班を設置したり、リフォーム契約トラブルに対応するため特別相談を実施するなど、その対策を講じていますが、急増する消費者被害に追いついていないのが現実であります。
 第十八次の東京都消費生活対策審議会の答申では、さまざまな団体との連携が打ち出されました。私たちも、次々と新たな手口で襲ってくる悪質業者に対抗していくためには、これまでの枠にとらわれず広く連携して架空請求などの対応を進めていくべきと考えます。そこで、連携についての見解をお伺いいたします。
 さらにもう一つ申し上げておきたいことがあります。消費生活総合センターの相談時間についてであります。
 現在、消費生活総合センターの電話相談の受け付け時間は午前九時から午後四時までで、しかも土曜、日曜、祭日は休みであります。架空請求相談の電話については、四月から受け付け時間を延長したというものの、それでも午後五時までになっただけです。平日の九時から五時まででは、昼間仕事をしているサラリーマンは、一体いつ相談すればいいのでしょうか。しかも電子メールによる相談も受け付けてはいないのであります。これではお役所仕事と批判されても仕方がありません。消費者被害に悩む都民の相談を受ける体制としては驚くばかりの不十分さです。一日も早く十分な相談受け付け体制を整えることを強く求めておきます。
 若者から高齢者まですべての消費者の被害を防止し、よりよい消費生活を実現していくためには、消費者自身が力を蓄え主体的な行動をしていくことが必要であります。消費生活条例で都が先駆けて打ち出した自立した消費者ですが、国も後を追う形となりました。消費者行政は、ただ消費者を保護するだけではなく、市場のプレーヤーとして主体的に行動できる自立した消費者と協働し、よりよい消費生活の実現を図る時代となっております。
 しかし、実際には、高度化し多様化している社会の中で、消費者の側にそうした役割を主体的に担っていく情報や知識は十分でしょうか。自立した消費者の実現に向け、どのような育成政策が自立化時代の政策として適当なのか、議論はさまざまあります。私たちは、まず知識を持つ消費者を育成することが必要であると考えます。見解をお伺いいたします。
 次に、アスベスト対策についてお伺いいたします。
 アスベストによる健康被害が次々と明らかになる中で、都民のアスベストに対する不安も広がっております。政府もようやく重い腰を上げ、被害者への補償、救済を初めとする対策に取り組もうとしております。しかし、政府による過去の対応の検証が不十分である上に、省庁による縦割りの弊害を考えると、甚だおぼつかない内容となりそうであります。
 石原知事は所信表明で、政府の対応のおくれがアスベストによる健康被害を拡大しているとの認識を示した上で、国に猛省を促し、抜本的な対策を求めていくと述べられました。私も、全くの同感であります。そこで、都としては、国の対策が早期に、かつ十分に講じられることを強く迫っていくべきと考えますが、石原知事の見解をお伺いいたします。
 都内には現在はアスベスト関連工場はないと聞いております。したがって、都での重要な課題は、今後ますます増加する解体建築物の飛散防止対策であります。都では、環境確保条例において、建築物の解体時における規制対象施設を吹きつけアスベストの使用面積が十五平米以上とするなど、国の大気汚染防止法よりも厳しく規定しております。国もようやく大気汚染防止法の対象の拡大などの検証を始めたようですが、都が実施している建築物解体工事への立入検査や周辺環境調査については、さらなる徹底が求められます。建築物解体時には適用される法令も多く、所管も国、都、区市と多くが関連していることから、解体に伴う飛散防止措置を徹底するためには、これらの機関が連携を強化し、万全な安全対策を講じるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 建設物の解体時だけではなく、建物内のアスベストの損傷や劣化による飛散、あるいは地震被災時の飛散のリスクを未然に防止するためには、あらかじめ建築物のアスベストの使用状況を把握しておく必要があります。
 現在、国のかけ声のもと、民間の社会福祉施設や私立学校においても全国的な調査が進んでおりますが、特に国土交通省から各都道府県に依頼が来ている一千平米以上の建築物の調査については、その数も膨大で、ややもすると限定的で不十分な調査に終わることが懸念されます。
 今回、都は、民間の建物などがアスベストの使用状況などを点検する際に活用できるアスベスト点検の手引を作成いたしましたが、その内容は、広範なアスベスト材料を対象とするなど、有効性の高いものであると聞いております。私は、民間の建物のアスベスト対策が早急に進むよう、この手引を大いにPRし、活用を図ることと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、都庁舎におけるアスベストについてお伺いいたします。
 都がアスベスト対策大綱を策定したのは、平成元年五月のことでありました。民間にアスベスト追放をお願いする一方で、当時建設中の東京都庁の第二庁舎で大量のアスベスト建材が使われていることが大きな問題となりました。このことは、平成元年の九月議会で、自民党以外のすべての会派が代表質問で取り上げていることから、ご記憶のある方もいるのではないかと思います。
 当時の議事録を読み返してみますと、都の見解としては、いわゆる吹きつけアスベストとは違うスポンジ状の石綿発泡体なので、飛散のおそれはほとんどないというものでした。しかし、都庁舎においては、外壁のひび割れや落雷による外壁の落下など、予期せぬ出来事も起こっており、また、外壁シールの更新など、緊急的な改修が必要な状況にあるようでございます。ましてや、アスベストの使用がこれだけ大きな社会問題となっている中で、都としてもいま一度都庁舎におけるアスベストの状況を点検し、万全を期すべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、アジア大都市ネットワーク21についてお伺いいたします。
 石原知事の提唱により、東京を初めとするアジアの大都市が連携し、新技術開発、環境対策、産業振興など共通の課題に取り組むアジア大都市ネットワーク21を形成しています。従来の儀礼的な友好関係にとどまらず、多数の都市が参加する国際的ネットワークによって、具体的な共同事業を推進し、その成果をアジア地域の繁栄と発展につなげていくことを目的とする新たな形の都市間外交であると考えます。
 平成十三年に第一回総会が東京で開かれてから既に四年が経過し、中小型ジェット旅客機開発の取り組みなどが進められていますが、その成果が見えないとの声もあります。東京都は、これまで取り組んできた事業とその成果についてどのように評価しているのか、所見をお伺いいたします。
 ところで、ことしネットワークの総会を開催する予定であった北京市が去る八月三十日に突然ネットワークを脱退したため、北京総会は当然に中止となりました。知事は直ちに台湾を訪れ、馬英九台北市長と会談し、来年開催予定であった台北総会を半年前倒しで開催することで合意されました。
 しかし、アジアを代表する大国の一つである中国の首都北京市の脱退は、アジア地域の繁栄と発展を目指すアジア大都市ネットワークの活動に重大な影響を及ぼすことになります。来年一月を目途に稼働する感染症対策ネットワークシステムにおいても、北京市の脱退は新興感染症の発生の予防や早期制圧にとって大きな痛手であります。重要な構成員であるこの北京市の脱退を受けて、今後のアジア大都市ネットワークをどう展開していくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 最後に、東京オリンピックについてお伺いいたします。
 知事は、さきの所信表明において、成熟した都市の姿を世界に示し、改めて日本の存在をアピールする絶好の機会になるとして、二十一世紀の東京オリンピックを招致することを表明されました。
 オリンピックは、スポーツ選手が国を代表して競技する、文字どおり世界最高の舞台であり、応援する国民にとっても夢と感動を与える最大のスポーツイベントであります。しかし、オリンピックを高く評価する人々の間にも、これを東京に招致することについて、さまざまな課題を指摘し、疑問視する声もあります。
 例えば、招致活動についてですが、大阪市は四十億円以上の費用をかけて招致活動を行いましたが、かないませんでした。現実問題として、二〇〇八年に北京オリンピックがあるのに、その八年後にまたアジアにオリンピックを持ってくることができるのか。さらに、仮に開催が決定した場合、二〇一三年多摩国体に続く二〇一六年のオリンピックの施設の整備に係る巨額の財政負担をどうするのか。そもそも、経済的メリットの有無にかかわらず、オリンピックを日本で、さらに東京で開催する意義があるのかどうかなどなどであります。
 オリンピックを東京に招致するためには、これらのさまざまな疑問に答え、政府の全面的なバックアップと、都民、国民の合意を築いていくことが重要であります。知事は、二十一世紀の東京オリンピックについて、このような課題をも克服し実現すべきどのような意義があるか、改めてお伺いをいたします。
 さて、先ほど、口ききに関連して、情報公開に触れましたが、私たちは、行政の情報公開のみならず、議会の情報公開と議会運営の改革もまた第十七期都議会の重要な課題であると考えております。今後、各会派の皆様と協議させていただきますが、その第一歩として、今議会には東京都政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例案の提案を予定をいたしております。私たちの案は、従来会派にのみ交付されていた政務調査費について、都民から選任された個々の議員の調査活動の拡充を図る観点から、会派及び議員に交付することとし、政務調査費の使途に係る透明性の向上を図る観点から、収支報告書に領収書の写しその他これを証する書類をあわせて提出するとするものであります。
 第二の給与とも批判される政務調査費のあり方の見直しは、全国の議会で進められております。政務調査費を会派及び議員に交付するとしている府県議会は十七道府県に上り、収支報告書への領収書等の添付を規定しているのは、既に六府県議会となっております。さきの都議会議員選挙における新聞社のアンケートに対しても、最大会派の自民党は四十八人中二十二名の議員が、そして公明党は三名、民主党、共産党は全員が政務調査費の収支報告書に領収書を添付すべきと回答をいたしております。
 こうした状況にもかかわらず、国内最大の自治体議会である東京都議会が収支報告書への領収書等の添付について口を閉ざしていることは、もはや許されることではありません。明確な一歩を踏み出すべき時期と考えますので、よろしくご審議のほどをお願いをいたします。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 知事並びに関係局長の誠意ある答弁を求めます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 中村明彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、東京発の自治論の展開についてでありますが、いわゆる三位一体改革ともいわれておりますけれども、これは国と地方のかかわりを質的に変えるということで、国全体の体質をいかに変えていくかというものが主眼でありまして、決して、先年の政府からの拙速な提案のように金目の問題では決してない。あのときも、地方にお金が足りない足りないということで、それならということで、文部省には驚くことに一回も相談なしに、文部大臣が閣議で発言することもなしに、義務教育費というものをいきなり、要するに地方にくれてやるから、おまえら、これ何とか才覚しろというようなまことに乱暴な出発でありまして、結局空中分解したわけですけれども……。いずれにしろ、従来国が主唱して行われてきました議論というのはしょせん数字合わせに終始して、そもそもこの時代に国と地方がどういう仕事をそれぞれ分け合ってするかという基本論というのが全く前提になかったという、まさに空疎な騒ぎでしかありませんでした。
 これから時間的、空間的に、日本という国家社会が狭小なものになっていく。その中で便、不便もあるでしょう、メリット、デメリットもあるでしょうが、そういう状況というものを分析しながら、国と地方――地方といったって、東京のような大都市もありますし、人口が七十万に満たない小さな県もあるわけで、そういった範疇というものを識別しながら、やはり国と地方というもののかかわりを多角的に検討していくのが、これからの日本にとっても不可欠な問題だと心得ております。
 都は、これまでも地方分権改革に関する基本的見解を明らかにするとともに、八都県市との連携で広域的な課題を解決するなど、独自の取り組みを重ね、独自の経験というものを積んでまいりました。こうした実績や、都議会の行財政改革基本問題特別委員会の報告なども踏まえまして、自治制度のあり方について、外部の専門家を交えて検討も行い、国や他の自治体に対して強く発信していきたいと思っております。
 次いで、防災対策への取り組みについてでありますが、東京ではこのところ地震や集中豪雨によりまして、交通機関の混乱や地下への浸水など、いわゆる都市型の災害が続いておりました。都市機能のもろさが露呈されてもきております。今回顕在化しました課題に対して、都は既に関係機関、業界への改善も働きかけておりまして、今後地域防災計画の抜本的な見直しを行うつもりであります。
 また、密集市街地の整備や総合的な治水対策にも取り組みまして、少しでも災害に強い都市づくりを進めていきたいと思っております。
 さらに、訓練や啓発を通じ、自助、共助に基づく都民の災害対応能力の一層の向上に努めていきたいと思っておりますが、質問の中に、こういうものに対しては積極的に対策をする流れをつくるという言葉がありましたが、まさに流れをいかにつくっていくか、その取っかかりを具体的にどの地域でどの程度やっていくかということが、私はこれからの大事な選択になると思います。
 次いで、談合体質の改革についてでありますけれども、談合は公正な競争に反するものでありまして、公共事業に対する都民、国民の信頼を損ない、決して許されるものではございません。そのため、都はこれまでも一般競争入札の実施範囲の拡大や電子入札の実施などの方策を講じてまいりました。また、談合した企業に対しては、要綱に基づく指名停止措置を行い、厳正に対処しております。
 都職員の再就職は、在職中に培った知識、経験を社会に還元するものでありますが、都では、企業との関係を厳正に保つために、職員の再就職やその後の営業活動については独自の規制を実施しております。今後とも発注者として入札契約制度を見直すなど、談合の防止に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、アスベスト問題についてでありますけれども、これは一言でいうと、本当にツーレート、遅きに失したと思います。先ほどもお答えしましたが、ヨーロッパが問題にし出した八〇年代、生命保険会社は、この危険性を感知して、保険の率というものを考慮し直した。そういう事実がありながら、国はほったらかしにしてきたわけでして、これは私も随分手こずった覚えがありますが、水俣病のように、あるいは四日市の公害のように、固定発生源というものをクローズすれば済むことじゃありませんで、実際これを使用した建物が依然として多数存在するわけでありまして、これがある時間を経て解体、再建設するときに、その飛散をどうやって防ぐかということは、これから延々と続く重大な問題だと思っております。
 国はようやく被害者の救済や飛散防止対策の強化などの検討に着手したところではありますが、こうした対策を早急に実施するように求めてまいりますし、それも受けて、都は都で、解体工事などの厳重な検査、取り締まりといいましょうか、監察を続けたいと思っております。
 次いで、北京脱退後のアジア大都市ネットワーク21の展開でありますけれども、これは本当に私たち腹に据えかねる思いをしてきたのに、突然彼らは脱退していった。詳しい事情をご存じかもしれませんが、先年のジャカルタで、クアラルンプールという町が、事情で、ことし行えないということで、じゃ、どこにするかという段になりましたら、北京と台北が挙手しまして、ともに投票しましたが、棄権者もありまして、過半数に満たなかった。今までのルールで、その場合には再投票するんです。それも煩わしいし、では、それぞれ過半に満たないので、一票の差でありますから、北京に次いで再来年は台北ということでしたらどうだといったら、それで結構だという合意を得まして、それを盛り込んだアグリーメントにサインをする段になって、急に、台北という文字があるから、とにかく、アレルギー反応か何か知りませんが、北京はそれに署名をかたくなに拒否して、随分周りで説得したんです。主催地のジャカルタの県知事など、これは有名な将軍でもありますけれども、本当に怒りをこらえて説得しましたが、ついに聞かずに勝手に帰ってしまう。
 その間、事務局も礼を尽くし、理を尽くして説得しましたけれども、返事も来ない。やがて日本に行って説明したいというから待っていたら、来ない。今度は北京に来てくれぬかというから、行きましょうといったら、突然、いついつという返事のかわりに、おれたちはやめたという話でありまして、これは例えば中国が発生地のSARSなどという問題もこれからも起こり得るし、現にユーラシア大陸で鳥インフルエンザがあちこちにしょうけつし出して、これが転じて非常に新しい疫病になる可能性が十分あるという時代に、そういう点で、衛生にもいろいろ問題がある国もありますが、そういった、特に人口が密集している大都市が、リアルタイムにやっぱり情報を持ち、感染防止の措置をとろうじゃないかと。
 その責任は中国にも重大あるわけですが、そういったものを放てきして、政治的な配慮なんでしょうけれども、こういう措置に出たというのは非常に残念であります。現に北京は参加はしておりませんけれども、大都市のネットワークの中で、日本の通産省は及び腰でありますが、アメリカは日本の航空産業の復活を非常に恐れていますけれども、しかし、世界的にニーズの多い中小型のジェット旅客機を、とにかく日本とインドネシアとインドと、あるいはマレーシアと協力して開発しようという段になっても、中国はこれについてコメントしてきませんでしたが、そういう非常にフルーツフルなプロジェクトが展開しているわけでして、中国もほかの問題についても有力な可能性を持っているでしょうが、そういう点で、ご指摘のようにとても残念ですし、彼ら自身にとってもこれは大きな不利益を招くことになるんじゃないかという気がいたします。
 次いで、東京オリンピックについてでありますが、繰り返して申しますけれども、これだけの集中、集積の上に成長を遂げてきた東京という大都市でのオリンピックの開催は、成熟した大都市の姿を世界に示し、改めて日本の存在をアピールする絶好の機会であるとも思っております。日本を覆っている閉塞感を打破するためにも大きな引き金になるでしょうし、経済、観光、国際交流などへの大きな波及効果も期待しております。
 東京には膨大な都市ストックがあります。また、我が国の高度な技術力というものは今度の万博でも示されましたが、そういった有力なカードを有力に開いてみせながら日本をアピールしていく絶好の機会だと思っております。ただ、おっしゃったように、一六年、ちょっと無理じゃないかというから、私たちもそれは半々感じておりまして、この間、森君が体協の会長になったので、儀礼的に東京に協力してほしいという申し込みで来庁されましたが、そのとき二人で、一六年だめなら二〇年で頑張ろう。それまで二人生きているかどうかわからぬが、後事は皆さんに託そうということで合意をいたしました。できれば一六年に実現したいなと思っておりますけれども、後は皆さん若い人で頑張ってください。
 なお、その他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕
〇財務局長(谷川健次君) 三つのご質問にお答えいたします。
 まず、十八年度予算の見積方針についてであります。都は積極的に財政再建に取り組んでおり、着実に成果を上げてきておりますが、それでもなお、七年連続の赤字決算となり、加えて九千億円もの隠れ借金を抱えております。そのため十八年度予算では臨時的な財源対策を講じることなく予算編成を行うとともに、可能な限り隠れ借金の圧縮にも努めていきたいと考えております。
 同時に、限られた財源の中、時代の変化に合わせ、新たな施策を展開し、都民の負託にこたえていくことも大きな課題であり、先般の来年度予算見積方針においては、スクラップ・アンド・ビルドの考え方をより一層徹底し、シーリングの率をマイナスからゼロへと改めることといたしました。
 これは決してこれまでの取り組みの手を緩めるものではなく、より効果的な手法を用いることで、財政構造改革の実効性を高めていくことを意図したものでございます。
 次に、コンストラクションマネジメント、いわゆるCM方式の導入についてでありますが、CM方式は、国土交通省が策定したCM方式活用ガイドラインにおいて、期待されるメリットの一つとして、発注プロセスの透明性が挙げられております。同時に、あわせて多くの課題も示されております。
 国、または地方公共団体での採用事例が極めて少ない中で、都としては、CM方式に適する工事の種類の選択、CM会社を選ぶ基準、CM会社とのリスク分担などの課題があることから、他団体の動向も踏まえながら、今後も引き続き研究してまいります。
 最後に、都庁舎でのアスベスト建材使用についてでありますが、都庁第二本庁舎の一部において、外壁パネルの耐火目地材としてアスベストを含有したスポンジ状のものが使用されております。耐火目地材の屋外側は防水シール及びシーリング材で遮断され、室内側はモルタル及びパネルによって完全に覆われているため、人の手に触れたり、分離、飛散するおそれはなく、安全性は十分確保されております。
 なお、屋外側の防水シールについては、劣化度診断を実施するなど管理に万全を期しております。
 以上でございます。
   〔知事本局長山口一久君登壇〕
〇知事本局長(山口一久君) 二つのご質問にお答えいたします。
 新たな長期計画の策定についてでございますが、経済のグローバル化、少子高齢化の急速な進展など国内外の状況は大きく変化し、既存の社会経済システムは根本から変革が迫られております。時代の大きな転換期に当たって、今求められていることは、都政の構造改革を推進すると同時に、政策の基本的方向を示し、施策を時代に合ったものに転換していくことであります。このため、新たな重要施策の策定に当たっては、重点事業を選定し、平成十八年度以降三カ年にわたる展開を明らかにした上で、毎年度の検証を経て改訂していくことといたしました。
 次に、アジア大都市ネットワーク21の取り組みについてでありますが、大都市に共通する課題に取り組むため、現在、十八の共同事業を推進しております。
 中小型ジェット旅客機の開発促進事業では、目標を百席前後の旅客機と定めて専門家による議論を重ねており、旅客機開発の主体となる国内の重工メーカーでも具体的な検討を始めております。明日、ジャカルタで開催する国際会議には、多数のメーカーやエアライン等が出席するなど、開発に向けた機運が確実に高まっております。
 また、昨年のジャカルタ総会で、都の提案により、SARSや鳥インフルエンザなどの感染症対策プロジェクトに連携して取り組むことを決定しました。今月初めに東京で開いた実務者会議において、情報をリアルタイムで共有化するシステムを構築し、来年一月を目途に稼働させる合意を得ました。
 このほか、遠隔教育プロジェクト、危機管理ネットワーク、アジア舞台芸術祭、ウエルカムアジアキャンペーンなどの実績も重ねており、着実に成果を上げております。
 今後とも参加都市間の連携を強化し、共同事業のさらなる充実を図ってまいります。
   〔総務局長高橋功君登壇〕
〇総務局長(高橋功君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都区財政調整に関する五課題の協議についてでございます。
 平成十年の地方自治法の改正によりまして、特別区は基礎的自治体に位置づけられるとともに、都は特別区の区域で一体的に行うべき大都市事務を処理することが明確となりました。都が行う大都市事務の範囲につきましては、地方自治法では市町村が実施する事務の範囲である旨規定されておりますが、これは一般原則を示したものであり、都が具体的にどの範囲の事務を行うかは、大都市東京における膨大な行政需要、特別区の区域で徴収される税収の大きさ等を踏まえて決める必要があると考えております。
 今後とも東京の活力と魅力を高めていくためには、都と区が適切に役割を分担し、大阪や横浜などの政令指定都市をはるかに上回る首都東京の大都市機能を維持強化していくことが重要であり、そうした観点に立って引き続き協議をしてまいります。
 次に、総合的な防災対策につきましてお答え申し上げます。
 先般の地震や集中豪雨では、エレベーターの閉じ込めや建物の地下への浸水等、都市特有の災害が発生いたしました。都としては、これらの課題の整理分析を進めており、既に鉄道やエレベーターなどの関係事業者へ改善を働きかけております。
 特に地震では、業務要員の参集や震度情報の送信のおくれなど、初動態勢の問題点も明らかになりましたことから、直ちに全庁的な危機意識の引き締めを図るとともに、国等と協力して地震計システムの改善に取り組んでおります。
 こうした点検、改善を進め、今後は被害想定、地域防災計画の見直しなど防災対策の一層の強化に努めてまいります。
 次に、被災時及び被災後の体制強化についてでございます。
 被災直後の救出救助や被災後の復旧には、地域の防災市民組織やボランティアの役割が欠かせないと考えております。これらの育成には、地元である区市町村が主体的な役割を果たすものでありますが、都が主催する総合防災訓練でも毎年一万人以上が参加し、訓練の中心的な働きをしてもらうなど、都としても積極的に支援を行っております。
 今後は、防災リーダーの育成研修に今回の災害の教訓を取り入れ、また、地域の防災訓練に専門ボランティアを派遣するなど、区市町村との連携を一層密にし、地域の防災体制の強化に努めてまいります。
 最後に、職員の再就職についてでございます。
 民間企業への再就職は、民間企業の求めに応じて、職員の在職中の知識、経験を社会的に有効活用する観点から行われておりますが、いやしくも再就職に関して都民の誤解を招くことがあってはならないものと考えております。このため、都では、従来から独自の基準を設け、課長級以上の職員が民間企業へ再就職する場合は、一定期間、在職中の職務に関連する営業活動に従事しないこととしております。
 また、局長級職員につきましては、退職後二年間は、退職前五年間に担当した職務に関連する企業に原則として就職しないこととしてまいりましたが、さらに本年からは、より一層の厳格化を期するため、担当職務との関連のあるなしを問わず、都と密接な関係のある企業についても就職しないことといたしました。
 今後とも、都民から批判を受けることがないよう基準の遵守を徹底してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 防災対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅の耐震化についてでございますが、阪神・淡路大震災の例を見ても、死者の多くが古い住宅の倒壊などを原因としていることから、昭和五十六年以前に建てられた木造住宅の耐震化は重要でございます。このため、都としては、簡易な自己診断方法の周知など、都民への普及啓発に努めてまいりました。
 今後は、耐震化を促進するため、安価で簡易な住宅の耐震工法等について、都民に広く情報提供していく予定でございます。また、避難の安全を確保するなど公共性の高い地域については、助成制度も含め、都民負担の軽減策を検討しております。
 今後とも、自助、共助、公助の原則を踏まえつつ、住宅の耐震化に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、総合治水対策についてでございますが、近年、自然環境の変化や土地利用の高度化に伴い、短時間に大量の雨水が流出する都市型水害が発生していることから、河川、下水道の整備や流域対策などの総合的な治水対策が重要であると認識いたしております。
 都では、これまで関係各局及び区市町村で構成する協議会におきまして、流域別の治水計画を定め、総合的に対策を進めてきております。
 今後とも、降雨や被害状況などの流域特性を踏まえ、治水施設の整備や雨水流出抑制施設の設置及び浸水予想区域図の公表など、ハード、ソフト両面から総合的な治水対策のあり方を検討し、安全で安心できる都市づくりを進めてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕
〇建設局長(岩永勉君) 浸水予想区域図の検証と河川改修についてでありますが、都は、迅速な避難や生活様式の工夫、改善に役立つ浸水予想区域図を、神田川流域を初め浸水の危険性が高い二十七河川で公表しております。お話の水害の発生に伴う比較検証につきましては、既に現地調査を行い、実際の浸水はおおむね予想区域の範囲内で発生していることを確認しております。
 また、被害を受けた護岸の本格復旧に着手するとともに、浸水被害が大きかった妙正寺川や善福寺川の五〇ミリ護岸の未整備区間につきましては、緊急に整備できるよう、現在、国と調整を進めております。
 今後とも、重点的かつ効率的に河川整備を進めるとともに、ソフト対策もあわせ、区と連携して水害対策に取り組んでまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕
〇生活文化局長(山内隆夫君) 情報公開と消費者行政に関する五つの質問にお答えいたします。
 まず、政治家と職員とのやりとりを公文書化することについてでございます。
 情報公開条例では、職員が職務上作成または取得し、実施機関が組織的に用いるものとして保有しているものを公文書としており、公文書に対して開示請求を行うことができます。
 議員等からのご意見などについては、さまざまな場合があり、内容も多岐にわたることから、それらを公文書として残すかどうか、個々のケースにより判断されるべきものと考えております。
 次に、高齢者の被害防止のための研修についてでございますが、これまでも都は、高齢者の孤立や不安につけ込む点検商法などによる被害を防止するため、高齢者向け特別相談、高齢者一一〇番の実施や啓発リーフレットの配布、町内会への出前講座などを実施してまいりました。また、最近の悪質巧妙化する手口に対応するため、本年七月から九月にかけて、ホームヘルパーやケアマネジャー、民生委員等に対し、悪質商法の手口などを紹介する出前講座を都内五十カ所において実施してきたところでございます。
 今後とも、区市町村と連携し、高齢者の身近にいる福祉関係者への効果的な普及啓発に努めてまいります。
 次に、高齢者の被害防止のための福祉と消費者行政との連携についてでございます。
 悪質事業者から高齢者を守るためには、高齢者の身近にいるホームヘルパーやケアマネジャー、民生委員などの協力によりまして、被害を早期に発見し、消費者相談につなげていくことが必要であると考えております。
 福祉部門との連携については、介護事業者等への集中的な研修を今後も継続的に実施するとともに、ご指摘のように、成年後見制度の活用も含め、高齢者の消費者被害の未然防止や迅速な解決が可能となる仕組みづくりを行ってまいります。
 次に、消費者被害防止のためのさまざまな団体との連携についてでございます。
 消費者トラブルを発生させないためには、一義的には都の果たす役割は大変大きいと考えております。しかし、現在の消費者問題は複雑多様化しておりまして、もはや都単独での対応には限界がございます。
 限られた行政資源を効率的に活用するという観点から、これまでの消費者団体等との連携に加えまして、IT関連などさまざまな分野の事業者団体や企業などとも連携していくことが重要であります。こうした連携によりまして、最近の消費者被害に迅速に対応するとともに、教育、啓発や不適正事業者に対する規制などの面において施策の充実を図ってまいります。
 最後に、自立した消費者の育成についてでございます。
 よりよい消費生活を送るためには、多くの商品、サービスの中から、みずからに適したものをみずからの責任で選択することのできる自立した消費者の育成が重要であると認識しております。
 都は、これまでも各種の消費生活講座や出前講座などを実施するとともに、ビデオ教材などを作成いたしまして、消費者の自主的な学習を支援してまいりました。また、消費生活情報誌やホームページ等によりまして、的確な情報提供に努めております。
 今後とも、さまざまな手法により消費者教育や情報提供を積極的に行い、自立した消費者の育成を図ってまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 臨海関連第三セクター初め四点のご質問にお答えいたします。
 まず、今回の再生計画についてでございますが、東京ファッションタウン株式会社及び株式会社タイム二十四のビルは、中小企業が多く含まれるファッション関連産業及び情報関連産業の活動の拠点、交流の場としての機能を有しております。
 都といたしましては、産業振興の観点から、この機能を維持発展させることが必要であり、また、現在入居しているテナントへの影響を回避することが不可欠であると認識し、ビル事業の継続を図ったものでございます。
 次に、二社の経営再建についてでございます。
 平成十二年の経営改善策を踏まえ、二つのビルを受託運営してきた株式会社東京ビッグサイトは、テナントの誘致に努め、ほぼ一〇〇%近い入居率を維持するなど経営努力を行ってまいりました。
 その結果、二社は減価償却前利益を計上するなど一定の経営改善が見られましたが、引き続くデフレ不況の長期化により賃料相場の下落が続いたため、収入面において経営改善策との乖離が生じてきたところでございます。このことから、多額の負債の返済のめどが立たず、この経営改善策では立て直しは困難であると判断し、民事再生法による再建を図ることといたしました。
 次に、民事再生計画の実効性の確保についてでございます。
 今回の再生計画案は、現状の賃料水準を踏まえた上で、金融機関等に債権放棄を求め、負債を圧縮し、利払いの軽減を図るとともに、土地の等価交換によりビルの敷地を取得し、地代負担の解消を図るなど、ビル事業収支を抜本的に改善するものでございます。したがって、十分に実効性があると認識しております。
 最後に、若年者の就業支援についてでございます。
 いわゆるフリーター、ニートなどの若年者は、経済的に不安定な状況にありまして、晩婚化や、ひいては少子化にもつながると各種調査でも指摘されておりますとおり、重要な問題であると認識しております。
 都は、しごとセンターを拠点といたしまして若年者の就業を支援しており、特に今年度はカウンセリングの充実や職人塾などの職業体験機会の拡大に取り組んでおります。
 今後とも、若年者の就業支援の一層の充実強化を図ってまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕
〇港湾局長(津島隆一君) 臨海三セクビル事業についてのご質問にお答え申し上げます。
 職、住、学、遊の機能が複合した魅力あるまちづくりを目指す臨海副都心開発におきまして、三セクビル事業は、公共輸送を受け持つ「ゆりかもめ」や地域冷暖房の供給を行う臨海熱供給とともに、商業・業務等の拠点を形成するといった重要な役割を担ってまいりました。臨海副都心開発は確実に進んできておりますが、まちづくりは長期的なスパンで取り組む必要があり、今後とも東京都が責任を持って着実に開発を進めるためには、三セクビル事業の果たす役割は依然として大事であると認識しております。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 次世代育成支援について二つのご質問にお答えいたします。
 まず、子育て支援体制の充実についてでございますが、都は、これまでも児童相談所におきまして虐待などの専門的な相談に対応するとともに、民間団体などとの連携の核となります子ども家庭支援センターの設置を区市町村に積極的に働きかけ、子育てに関する重層的な相談支援体制の整備を進めてまいりました。
 さらに、今年度から地域の保健センターや医療機関が支援を必要とする家庭を早期に発見し、子ども家庭支援センターの適切な対応につなげる仕組みづくりに着手いたしました。
 今後とも、これらの取り組みを強力に推進することにより、地域における総合的な子育て支援体制の充実に努めてまいります。
 次に、保育におけるバウチャー制度についてでございますが、この制度は、利用者みずからが必要なサービスを選択し利用できるようにする仕組みであり、利用者の満足度を高め、事業者の競い合いを通じてサービス向上が図られることが効果として上げられております。しかしながら、仮にバウチャー制度を導入するといたしましても、対象者の認定の仕組みや利用者負担のあり方など、多くの解決すべき課題があると考えております。
 都は、これまで認証保育所制度の創設や第三者評価システムの構築など、利用者の選択と事業者の競い合いによる質の高い保育サービスの実現に努めてまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを進めることにより、すべての子育て家庭に対し、真に必要なサービスを効率的、効果的に提供できる体制を構築してまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕
〇環境局長(大橋久夫君) アスベスト対策に関する二点のご質問にお答えします。
 まず、建築物解体時の安全対策についてでございます。
 建築物を解体する際のアスベスト除去工事においては、作業従事者の安全確保と周辺への飛散防止が重要であります。そのため、都は、労働安全面を所管する労働基準監督署と環境確保条例を執行する区市と合同で立入検査を行うなど、法令に基づく作業基準の遵守を徹底してまいります。
 次に、建築物アスベスト点検の手引についてでございます。
 この手引は、アスベストの使用の有無や除去等の措置を行う必要性など、建物の管理者がみずから点検することができるよう作成したものでございます。その中では、建材などの商品名と建築年次とを照らして、アスベストの有無が一目で判断できるようになっております。手引は、新たな商品情報を追加するなど改良を重ねながら、環境局のホームページへの掲載、窓口での配布などさまざまな場を通じて情報の提供に努めてまいります。

〇副議長(木内良明君) 八十三番藤井一君。
   〔八十三番藤井一君登壇〕
〇八十三番(藤井一君) 都議会公明党を代表して、知事並びに関係局長に質問いたします。
 公明党は、都議会議員選挙の全員当選に引き続き、さきの衆議院選挙においても連立政権の中にあって、日本の構造改革を進める重要な立場をいただきました。国の政策や制度も駆使しながら、安全・安心の東京、少子高齢社会対策など喫緊の東京の課題解決に総力を挙げて取り組んでまいる決意であります。
 さて、本定例会の冒頭、知事は、東京オリンピックの招致を目指す意向を表明されました。一九六四年に開かれた東京オリンピックから四十一年、今再び東京オリンピックの開催を目指すことは、成長し続ける大都市東京の姿を世界にアピールする絶好のチャンスであり、知事の提言に賛同するものであります。
 東京でオリンピックを開催する以上、従来のような単なる地球規模のスポーツの祭典で終わらせるのではなく、今、世界の大都市が直面する共通の課題に真っ向から挑戦し、二十一世紀にふさわしい大都市のあるべき姿を世界に発信する機会とすべきであります。
 二〇一六年のオリンピック開催に照準を定め、安全・安心の防災、防犯先進都市東京、人間や地球に優しい環境先進都市東京、少子高齢社会に対応する福祉先進都市東京、そして交通・物流・情報通信のネットワーク先進都市東京を実現し、広く世界に都市再生のモデルを提示すべきであります。東京でのオリンピック開催は、千客万来の観光都市東京の実現、そして薄明かりの見えてきた景気回復の足取りを確固たるものにし、日本再生を促進する上でも重要であります。
 知事の明快な所見を伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 平成十年度決算において巨額の赤字を計上した都財政は、財政再建団体転落の危機に直面する中、二度にわたり財政再建推進プランを策定し、全庁を挙げて財政再建に取り組み、その結果、平成十七年度予算において財源不足の解消を実現いたしました。
 しかし、依然として、いわゆる隠れ借金は約九千億円に上り、一方で、都の財政需要は間違いなく増加が見込まれ、今後の財政運営は決して楽観できる状況にはありません。折しも来年度は第二次財政再建推進プランの最終年度に当たります。そこで、改めて都政全般にわたってのむだを省き、より効率的で効果的な都政を実現していく必要があります。
 そこで、伺います。
 第一に、規制緩和による歳出削減、効率化であります。現行の行政による規制や基準の中には、安全性や環境への配慮、あるいは施策の効果から見ても、根拠や存在理由を失ったものが少なくありません。例えば、学校建設の場合、教室の天井の高さは三メートルと決められています。これをオフィスビル並みの二・七メートルに改めれば、校舎建設費の二、三%の経費節減ができます。天井の高さを二・七メートルにしても子どもたちの教育環境には何ら支障がありません。都内のある小学校の場合、約五千万円の校舎建設費が節約できるという試算があります。
 公明党の神崎代表がこうした事例を小泉首相に伝えたところ、首相は早速、文部科学省に指示を出し、規制緩和が検討されることになりました。こうした事例はほかにも数多く存在するはずであります。
 したがって、都は、このような規制緩和による経費節減の事例を洗い出し、国に対して積極的に規制緩和を要請すべきであります。所見を伺います。
 第二に、徹底した事業の仕分けを展開し、大胆な歳出削減に着手する必要があります。従来型の一律カットの手法では、歳出削減はなかなか進展しません。そこで、行政のすべての事業について、そのサービスが本当に必要かどうか、また、行政と民間ではどちらが効率的か、さらに事業の効率的な執行のためには都、区市町村のどちらが所管すべきか、あるいは都の事業の各局の振り分けに不合理はないかなどを再度検討し、都の事業の絞り込み、あるいは事業の仕分けの推進を行うべきであります。
 これまで都は、職員定数の大幅な削減や監理団体の統廃合などの行政改革で所期の成果を上げてきましたが、残存する監理団体の中には、民間に売却した方がより効率的で効果的なサービスが提供できる団体がなお存在します。監理団体も含め、ぜひとも事業の仕分け作戦を展開すべきであります。所見を伺います。
 都は、平成十八年度より、公会計制度を抜本的に改革し、複式簿記と発生主義会計を導入します。このことは公明党がかねてから主張してきたことであり、英断を下された知事に敬意を表するものであります。公会計制度における複式簿記と発生主義会計の導入は、全国の自治体のみならず、国も注目しているところであります。これはまさに行財政効率化のための最も効果的なツールであり、都民に対するアカウンタビリティーも制度的に保障されます。さらに、決算をスピーディーに行うことができ、前年度の決算評価を翌年度の予算に反映することが可能になります。
 そこで、こうした公会計制度の改革にあわせ、都の行財政に対する新たな計画、実行、評価、改善というPDCAサイクルを制度化すべきであります。都の所見を伺います。
 これらの行財政改革は、何といっても強いリーダーシップのもとで実施されなければ実現できるものではありません。ぜひとも石原知事の強いリーダーシップのもと、より効率的で効果的な都政を実現すべきであります。改めて、行財政改革にかける知事の意欲、所見を伺います。
 次に、東京の安全・安心のための対策について伺います。
 まず、震災対策について伺います。
 公明党はこれまで、昨年の第三回定例会、第四回定例会、そして本年の第一回定例会本会議、予算特別委員会等で震災対策について取り上げ、今こそ都民の生命、財産を守り、東京の安全・安心のまちづくりのために住宅の耐震化を推進すべきであると繰り返し繰り返し訴えてまいりました。知事は、公明党の提案を受け、今定例会の所信表明において、木造住宅の耐震化の促進に取り組むことを明らかにしました。
 震災対策の最大の眼目は、公明党が繰り返し強調している木造住宅の耐震化であります。公明党は、国が住宅の耐震化に乗り出し、各区市も耐震助成制度を行っている今こそ、都は助成制度を設け、住宅の耐震化に取り組むべきと主張してまいりました。今こそ知事の決断を促すものであります。知事の所見を伺います。
 第二に、地震対策に関連して、現行の防災計画の見直しと、中規模程度の地震に対する新たな被害想定の策定について質問いたします。
 ことし二月、国の中央防災会議では、マグニチュード七・三規模の首都直下地震に対する被害想定を発表しました。公明党は、本年第一回定例会の代表質問において、都も改めて被害想定の見直しを行い、それをもとにした対策の確立と減災計画を策定すべきであると主張いたしました。これに対し石原知事は、被害想定や地域防災計画を見直すと答弁をし、今定例会の所信表明でも同様の趣旨の発言を行いました。
 そこでまず、新たな被害想定はいつ発表するのか、また、地域防災計画の見直しのポイントなどを明らかにすべきであります。
 一方、七月に起きた千葉県北西部地震では、都内でも最大震度五強を記録し、エレベーターの長時間停止と人が閉じ込められるトラブルの発生、地域住民の避難体制の盲点、東京都の初動態勢の脆弱さなど、さまざまな課題が浮き彫りになりました。今回の地震では、人的被害、物的被害が少なくて済みましたが、過去の地震の周期から見て、今後も同程度の規模の地震が多発する可能性は極めて高いと多くの地震学者が指摘しております。
 そこで、マグニチュード七・二規模の首都直下地震とは別に、マグニチュード六からマグニチュード七未満の地震による被害想定を新たに策定し、独自の対策を確立すべきであります。都の所見を伺います。
 その際、新たな対策に取り組むに当たっては、今回の地震の教訓を生かすことが重要であり、一つには、エレベーター閉じ込め防止対策、二つには、建物などの下敷きになり自力での脱出が困難になった場合、民間の建設機材などを活用した救助体制の整備などが緊急課題であります。また、既に指摘されている、高齢者や障害者などのいわゆる災害時要援護者の避難体制の整備も、改めてその必要性が浮き彫りにされました。これらの課題に対する当局の見解を伺います。
 第三に、予算特別委員会で指摘しましたが、耐震改修に名をかりた悪徳商法への対策も不可欠であります。安心して耐震改修を依頼できる耐震診断士制度を創設すべきであります。見解を伺います。
 第四に、地震計ネットワークについて伺います。
 先般の千葉県北西部地震では、地震計データを気象庁へ送信するのに二十二分もかかり、その結果、官邸対策室の設置や首都高速道路の閉鎖がおくれるなどの大きな影響が出ました。今回明らかになったのは都の地震計システムの能力不足でありましたが、各区市町村に設置されている地震計については、その老朽化が懸念されます。データのもととなる区市町村の地震計は、阪神・淡路大震災後の平成八年から設置し、既に十年近くが経過しており、信頼性に疑問が提示されております。首都直下型地震に備え、地震計更新を含めシステム全体の再整備が必要と考えます。所見を伺います。
 次に、税制面からの住宅の耐震化促進という観点から、固定資産税について申し上げます。
 都は、景気対策のため、平成十二年より、新築住宅については三年間、固定資産税、都市計画税を減免しております。しかも、五十平方メートルから百二十平方メートルの住宅では全額免除であります。中小企業への景気波及効果が極めて高い耐震改修についても、固定資産税の免除を行うべきであります。見解を伺います。
 次に、水害対策に関連し、地球温暖化対策について伺います。
 知事も所信表明で述べておりますように、地球温暖化に対する取り組みが国家レベルで求められており、八都県市でのディーゼル対策や都としてのCO2削減計画に積極的に取り組む知事の姿勢を高く評価するものであります。
 今、アメリカでは、相次ぐ強大なハリケーンの発生で、地球温暖化防止条約京都議定書への参加を拒否したブッシュ大統領に批判が高まっております。世界の異常気象からかけがえのない地球を守るため、アメリカを初め世界に向けて温暖化防止への取り組みを呼びかけるべきであります。知事の明快な所見を伺います。
 次に、水害対策について伺います。
 九月四日から五日未明にかけて、中野、杉並、世田谷、北区などは、一時間最大一一二ミリ、総雨量二六〇ミリの集中豪雨に見舞われました。その結果、中野、杉並両区を中心に東京都全域で約五千棟に及ぶ水害被害が発生しました。被災者の皆様には心からお見舞いを申し上げます。
 都議会公明党は、直ちに集中豪雨対策に関する具体的な申し入れを都知事に行ったところであり、公明党の提言を受け、被災者に対し都営住宅の提供など迅速な対応策を講じたことを高く評価するものであります。都においても、引き続き被災者支援を進めていくべきであります。
 さて、都は、これまで調節池や護岸の改修等に取り組み、治水対策を推進してきました。今回の被害の状況では、河川が未改修であった地域の被害が大きかったようであります。被害を受けた方々は、これまでも大雨のたびに危険にさらされ、不安な日々を過ごされてきました。この不安を一日も早く解消することが都の責務であります。頻発する今回のような集中豪雨と浸水被害に対して、都は真正面から立ち向かい、河川整備の前倒し実施など当面の対策並びに中長期の対策が必要と考えます。都市型水害への取り組みについて、まず知事の決意と所信を伺いたいと思います。
 今回の集中豪雨では、都内全域で五千棟にも及ぶ浸水被害が発生し、特に半地下の車庫や地下室への浸水が目立ちました。水害に関しては、既にハザードマップが作成されており、集中豪雨による被害もある程度予測が可能であります。
 そこで、事前に被害が予測できる地域、また過去に被害が繰り返された地域に関しては、止水設備や排水ポンプの設置を今まで以上に強く誘導し、義務づけることが必要であります。さらに、被害を拡大した半地下式住宅などについても、今後はその規制のあり方等を検討すべきであります。所見を伺います。
 さて、今回の水害では、大惨事につながりかねない深刻な事例も数多く報告されています。
 杉並区のある半地下のマンションでは、住居の一階部分が天井近くまで水没、住人が気づいたときには既にドアが水圧であかず、一一九番通報もつながらなかったために、近所の人が窓を割って救出しました。
 また、妊娠中の女性が駆けつけた救急隊員に助け出され、ボートで病院に搬送されたり、体の不自由なご婦人の寝ていたベッドが水没寸前となり、近くにいた公明党議員が腰まで水につかりながら、間一髪、救助いたしました。
 一方、行政サイドでも、通報や問い合わせの電話が殺到し、その対応に追われて、本来の業務や的確な初動態勢の確立に支障が生じたこともあったと聞いております。
 したがって、重要なことは、災害対策本部や応急対策本部の立ち上げなどを初め、緊急時の態勢を今回の災害の教訓を生かして見直すことであります。区市町村の役割、都、国の役割を改めて明確化した上で、災害の状況に合わせて的確かつ弾力的に対応できる態勢をあらかじめ検討し、整備すべきであります。とりわけ、災害時の情報収集・伝達体制、職員の出動、消防、警察との連携などの初動態勢のスムーズな展開が重要であり、都は、区市町村との連携を今まで以上に強化すべきであります。所見を伺います。
 関連して、これまで水害被災者に対しては、災害救助法の適用がない限り、一時的な避難場所として都営住宅の活用が行われておりませんでした。区市の担当者からは疑問の声が寄せられておりました。火災は、焼失面積が七割以上の場合、罹災住宅として都営住宅が活用されるものの、水害の場合は、家が流されたりしない限り適用外とされてきたわけであります。
 今回の広域水害の場合は、災害救助法の適用前に水害被災者に対して都営住宅の活用を都が打ち出したことは高く評価するものであります。今後も、水害発生時における被災者への都営住宅の活用については明確な基準を設けるべきであり、区市町村の要請にこたえて弾力的に活用すべきであります。所見を伺います。
 次に、学校の安全対策について質問します。
 公明党の提案を受け、文部科学省は、今年度の新規事業として、学校安全ボランティア、いわゆるスクールガードを活用した地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を実施することとしております。
 この事業においては、小学校におけるスクールガードを対象とした養成講習を今年度十四の区市で実施するとともに、これらのスクールガードの指導や学校の安全体制について指導助言するため、地域学校安全指導員、すなわちスクールガードリーダーによる巡回指導を十一の区市、百四十七校で行う予定と聞いております。早期に事業を開始すべきと考えますが、具体的な事業開始日程について伺います。
 また、平成十七年度に初めて実施する事業であり、実施の調整が整わなかった区市町村や、補正予算が組めないため実施がおくれた区市町村もありますが、今後とも各区市の教育委員会と連携を密にし、来年度はこの事業を実施する区市町村の増加を図るべきと考えます。都の所見を伺います。
 次に、警視庁においては、警察官OBを活用したスクールサポーターを警察署に配置し、非行防止や児童等の安全確保に効果を上げています。このスクールガード事業を実施するに当たっては、警視庁と関係部局の密接な連携が必要であると考えます。例えば、スクールガードの養成講習における講師を警察官や学校関係者に依頼し、また、スクールガードリーダーについては、経験豊かなノウハウを有している警察官OBに委嘱するなど地域の警察署との連携が重要であり、そのためにも関係部局による連携協力の体制を整えるべきであります。教育長の見解を伺います。
 次に、少子高齢社会対策について伺います。
 まず、少子化対策について伺います。
 全国的に少子化が進む中、東京は合計特殊出生率は全国最低でありますが、いわゆる都心回帰などにより児童数そのものは増加するという、他の都市には見られない状況にあります。こうした状況の中で、大都市東京の長として、少子化対策に関する知事自身のお考えをまず伺いたいと思います。
 次に、子育て支援策について伺います。
 先月発表された厚生労働省の人口動態統計の速報値によると、ことし上半期で我が国の人口が既に三万一千三十四人も減少したことが明らかになりました。下半期もこの傾向が続けば、年内にも我が国の人口は史上初めて減少に転じることになり、政府の予測よりも二年早く人口減少時代に突入することになります。
 そこで、公明党の提案によって昭和四十四年から東京都で発足し、今や国の制度となった児童手当についても、人口減少を食いとめたフランスやドイツの例に倣い、その対象年齢や支給額を大幅に引き上げるべきであり、ようやく世論もそれを認めるようになりました。かつて一部野党やマスコミがばらまきと批判したことが、いかに時代認識を欠いた批判であったことが明らかになったのであります。
 公明党はさきの衆議院選のマニフェストで、児童手当の対象年齢を来年度から小学校六年生まで引き上げ、所得制限についても一千万円まで引き上げることを明記しております。これは極めて実現性が高い施策であります。
 そこで、都制度である乳幼児医療費助成制度について、公明党はこれまで、制度の対象年齢の引き上げと所得制限の緩和を主張し、段階的に実現してまいりました。この制度の所得制限は、平成六年の制度創設以来、児童手当と連動しておりますが、来年度から児童手当制度の所得制限が公明党のマニフェストどおり大幅に緩和された場合、医療費助成制度の所得制限についても、当然これに準拠して緩和されるべきであります。見解を伺います。
 また、対象年齢については、現在、小学校就学前までとなっておりますが、これでは早生まれの子どもは六年強しか助成を受けることができないケースが生じるため不公平であるとの指摘もあります。対象年齢を七歳の誕生日前までとするべきであります。所見を伺います。
 次に、都営住宅を活用した少子化対策について伺います。
 少子化対策のベースは、いうまでもなく、安心して子どもを産み、育てられる環境を整備することであり、まず第一には住宅の確保であります。都は、全国に先駆けて若年ファミリー世帯を対象に独自の期限つき入居制度を導入しました。しかし、都心及び周辺区の利便性の高い地域だけでなく、すべての区と市で実施すべきであります。また、多子世帯についてもその優遇措置を拡充すべきであります。公明党は、本年の第一回定例会において、少子化対策として都営住宅の活用をさらに拡大すべきであると主張いたしました。
 そこで、期限つき入居制度及び都営住宅を活用した多子世帯に対する優遇措置の拡充について、都の所見を伺います。
 次に、認証保育所と保育ママモデル事業について伺います。
 都が平成十三年に創設した認証保育所は、都民の保育ニーズにマッチし、好評を博しています。しかし、制度創設から五年目を迎えた現在、認証保育所制度もまた新たな進化を遂げなければならない時期に来ていると思います。既に都内の主要な駅周辺に開設された認証保育所は、その地域にとって貴重な拠点施設となっており、さらにこれを発展させ、例えば家庭福祉員、すなわち保育ママなど既存のほかの保育機能との連携により、認証保育所をその地域における子育て支援拠点としてさらに整備、発展させるべきであります。所見を伺います。
 次に、子どもに関する相談体制について伺います。
 昨年度、都の児童相談所が処理した児童虐待の相談件数は三千二十六件と、十年前の十四倍近くに上っております。本年四月には児童福祉法が改正され、住民に身近な区市町村が児童相談に応じる第一義的な窓口となり、都道府県は、区市町村への支援と困難事例への対応に重点化することが明確にされました。
 既に都においては、全国に先駆け、身近な区市町村の相談窓口として子ども家庭支援センターの設置を進めるとともに、児童虐待防止の機能を持つ先駆型子ども家庭支援センターの設置を進めております。公明党もこれまで、早期に全区市町村に設置すべきであると主張してまいりました。
 そこで、先駆型子ども家庭支援センターの現在の設置状況と、全区市町村への設置の具体的なスケジュールをお示しいただきたい。
 また一方で、児童福祉法の改正により都の役割も明確化され、今まで以上に高い専門性を有した相談体制が求められております。都が進める、仮称子ども家庭総合センターについては、都全体を視野に入れた広域的かつ専門的な子育て支援のセンターとして位置づけ、福祉と保健の分野にとどまることなく、教育や青少年健全育成の分野なども含めた親と子を支援する拠点としていくべきであります。所見を伺います。
 次に、介護予防拠点について質問いたします。
 九月十八日の総務省の高齢者人口の推計によると、六十五歳以上の高齢者は総人口の二割に達し、国民の五人に一人は六十五歳以上となっています。
 こうした急激な高齢化に対し、公明党は昨年四月、介護予防十カ年戦略を発表し、平成二十年までに中学校区に一カ所、平成二十三年までに小学校区に一カ所、介護予防拠点を整備する構想を掲げました。
 現在、区市町村では、来年度の介護予防の本格実施に向けて介護保険事業支援計画の作成が進められており、また国の交付金や都の補助金を受け、モデル的に施設整備に着手しています。
 しかし、早くも、介護予防教室に申し込んでも定員が少なくてなかなか入れないとか、遠くて通うのが大変などという声が上がっており、身近な介護予防サービス拠点の早期整備が強く望まれています。
 こうした我々の主張を受けて都は、本年三月の予算特別委員会において、公共施設や学校施設の活用はもちろん、民間のスポーツクラブやアスレチッククラブなども活用して介護予防拠点の整備を進める方針を明らかにしました。
 改正介護保険法が成立した現在、民間施設を活用するなど多様な手法を駆使して、人材の確保や必要な機器類の整備を含め、拠点整備を急ぐべきであります。都の所見を伺います。
 次に、高齢者及び障害者の居住安定策について伺います。
 さきに述べたとおり、全国の六十五歳以上の高齢者は五人に一人に上り、十年後には四人に一人になると予想されています。増大する高齢者にとって大きな心配の種は、居住の保障であります。六十歳以上の高齢者で見ると、東京では約二割が民間賃貸住宅に入居し、今後とも増加傾向にあります。しかし、貸し主の側は、約六割が、病気や火災、事故などの懸念から、高齢者の入居に消極的であります。
 都はこれまで、高齢者が民間賃貸住宅に入居する際に見守りサービスなどを行うあんしん入居制度を創設し、活用を働きかけてまいりました。しかし、その窓口は、防災・建築まちづくりセンター一カ所しかなく、利用者の負担も大きいことから、平成十三年の制度発足以降、その実績は約百五十件にとどまっております。
 公明党は、本年の予算特別委員会において、後期高齢者や障害者にとっても安心して住める住宅の確保が重要であると主張いたしました。そこで、あんしん入居制度の申し込みの窓口を拡大して利用しやすいよう改善し、さらに障害者も利用対象に加えるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、高齢社会対策に関連し、シルバーパスの負担変更について一言申し上げます。
 十七年度の税制改正で高齢者の課税最低限が引き上げられ、結果としてシルバーパスの負担が増大することのないよう、強く要望するものであります。
 次に、難病対策について伺います。
 難病とは、原因不明、治療法が確立されていない疾病であり、慢性的な症状、長期にわたる治療のため、本人のみならず家族にも介護や看護など物心両面にわたる重い負担がかかっています。
 現在、国は百二十一の難病を指定し、そのうち四十五の疾病について医療費等の助成を行い、都は国の制度に上乗せして、二十七の疾病について独自の助成を行っています。福祉先進都市東京として大いに評価されるべきであり、今後も国に先駆けた取り組みを望むものであります。
 そこで、現在、難病対策で課題の一つになっているのが、難病に指定されない難病患者へのケアであります。原因不明、治療法未確立など難病の範疇に入りながら、病名が指定されていないため施策の対象にならず、難病の重い症状に加えて、経済的、精神的な負担に苦しんでいる患者がいます。
 都内に住む二十六歳のある女性は、全身にほくろがあり、低身長、低体重、聴覚障害で、十八歳のときにレオパード症候群の疑いと診断されました。しかしその後、原因不明の膵腫瘍、角膜混濁、右手・指の障害などさまざまな症状が次々と出て、最近になって反射性交感神経性ジストロフィーやスミス症候群の疑いがあるとも診断されました。
 しかし、反射性交感神経性ジストロフィーもスミス症候群も難病に指定されていないため、施策の対象になりません。現在、それぞれの症状について対症療法は受けていますが、根本治療の方法は見つからず、家族も医療費の負担に苦しみ、親亡き後の生活も心配されています。
 そこで提案ですが、国や都の指定を待って救済の手を差し伸べるのではなく、一歩踏み出して、国の指定を受ける前の難病患者を支援する枠組み、あるいは指定までのつなぎとなる新たな受け皿が必要であります。都の取り組みを強く求めます。所見を伺います。
 また、小児慢性特定疾患対策については、このほど国の制度が改変され、対象疾病がふえ、対象年齢も延長されました。しかし、その一方で、対象疾患ごとの認定基準が厳しくなり、今回の制度改変で医療費助成の対象から外れた子どもがいます。この認定基準について、疾病によっては厳格過ぎるのではないかという声も聞かれます。
 一人でも多くの子どもが助成の対象になるよう、東京都として認定基準の見直しを国に働きかけるべきであると思いますが、都の所見を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 昨年六月、高齢者雇用安定法が改正され、定年年齢の引き上げや継続雇用の導入などが義務化されましたが、それでも二〇〇七年問題と指摘されているように、今後は、団塊の世代の大量退職により、企業現場における人材不足が深刻化すると危惧されています。またあわせて、ベテラン社員が培ってきた技術、技能の後継者不足や、業種、職種によっては労働力の確保が困難となるなどの問題が顕在化し始めております。
 東京の活力を維持し、豊かな都民生活を実現するためには、団塊の世代が培ってきた技術や技能を、次代を担う若年者に円滑に継承することが重要であります。
 したがって、団塊の世代のノウハウを次世代に伝授するという視点と、従来から課題となっていた若年雇用の促進、職業能力開発という視点を組み合わせた施策が重要であります。
 そこで、昨年七月に開設し、若年者の就業支援にも積極的に取り組んできた東京しごとセンターと都内に十六校ある技術専門校との連携を強化し、団塊の世代の意欲と能力を活用した若年者に対する職業訓練の充実を図るシステムを構築すべきであります。同時に、そこで、再就職を目指す団塊の世代のスキルアップのための研修も可能にすべきであります。見解を伺います。
 次に、アスベスト問題について伺います。
 過去にアスベスト製品を製造していた企業の従業員が中皮腫で死亡する事例が相次いで報告されています。また、従業員の作業服を洗濯した家族が、付着したアスベストで中皮腫を発病した事例も出てきております。さらに、工場周辺の住民まで中皮腫を発病し、事業者から見舞金の支給も行われています。このように、アスベスト被害は労働者だけにとどまらず、家族、周辺住民へと広がり、労働災害から公害へと認識を改めなければなりません。
 アスベストは、一九七〇年代をピークに大量に輸入、使用され、吸い込んでから発症するまで平均三十八年とされることから、今後発病者がふえる可能性が懸念されます。したがって、都はこの問題で積極的できめ細かな対策を講ずるべきであります。
 まず、都の施設におけるアスベストの使用状況及び処理状況を明らかにすべきであります。
 次に、学校の校舎等のアスベスト使用について、昭和六十二年に当時の文部省の全国調査が行われていますが、調査対象を昭和五十一年以前の建築物に限定したり、給食室や廊下を除外したため、全国で調査確認漏れが相次いでおります。
 都内では、この夏休み期間を利用して、文京、大田、世田谷、北の四区で、十二の小中学校と児童館一カ所の計画的な除去工事が行われております。子どもたちが安全に過ごせるよう、学校等の教育施設はアスベストの使用が確認された場合、速やかに対策を講じるべきであります。
 また、学校で使用している給食用のかまなどの用具類のアスベストも問題であり、緊急かつ速やかに取りかえを行うべきであります。都の取り組みを伺います。
 また、学校の問題は、公立校だけでなく、私立の学校も同様の課題を抱えており、私学のアスベスト対策も不可欠であります。
 また、住宅関連では、都営、公社住宅が問題です。これらについても早急に対策を講じるべきでありますが、見解を伺います。
 次に、アスベストを使用した建築物の解体によるアスベストの飛散が懸念されています。今後、建てかえの時期を迎え、解体工事が増加します。解体工事現場からの飛散を防ぐためには、まず対象を的確に捕捉し、適切な対策が行われているか、確認、指導することが重要であります。都の対応を伺います。
 また、東京都は、どれだけ都内でアスベスト除去工事等が行われているのか、常にその実態を踏まえて、区市町村への技術支援や都民への情報提供を行うべきですが、都の考えを伺います。
 次に、羽田空港の再拡張、国際化に伴う跡地利用についてであります。
 国においては、現在、四本目の滑走路であるD滑走路整備事業が、来年の着工に向けて環境影響評価手続等を進めています。また、PFI手法を用いて行われる国際線地区の整備事業については、エプロン等整備事業が来年三月に契約される予定であり、国際線ターミナルや貨物ターミナルの整備事業も来年六月ごろには契約される見込みであると聞いております。
 このように、国の事業は着々と再拡張、国際化に向けて整備されています。いよいよ今後は羽田空港跡地利用の検討を本格化していくことが重要であります。
 地元大田区では、ことし六月に、跡地利用を検討するたたき台としてゾーニングイメージを作成しました。
 そこで伺います。
 第一に、沖合展開事業では二百ヘクタールとされていた跡地が、再拡張、国際化に至る過程で、残念ながら現在では五十三ヘクタールに縮小されてしまいました。これ以上減ってしまっては、跡地としてまとまりのある開発はできません。跡地の面積は五十三ヘクタールで確定すべきと考えます。都の所見を伺います。
 第二に、当初は、都が埋め立てた羽田沖の土地を国が沖合展開事業用地として購入し、一方、沖合移転後の跡地を都が国から購入するという計画でありました。この計画どおり、五十三ヘクタールの跡地については、あくまで都が国から購入すべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、都はこれまで、跡地利用について主体的に検討を進めることを表明してきました。そこで、具体的な検討を進めるための課題は何か、また、今後の取り組みについて明らかにしていただきたいと思います。所見を伺います。
 最後に、三宅島帰島支援について伺います。
 本年二月に帰島が開始された三宅村の発表によれば、九月現在、帰島した人は二千百五十八人であり、帰島した人の割合は六七%となっています。
 公明党は、帰島後の三宅支援策を探るため、七月下旬、三宅島に視察団を派遣しました。私も同僚三名とともに参加しました。雄山からのガスも少なく、全島を車で回り、都道や橋、砂防ダムなどが整備されている現状を見てまいりました。
 また、島民の代表と懇談し、さまざまな要望や苦情をお聞きしてきました。島民からは、空港や特養ホームを再開してほしいとか、観光客をふやしたい、漁場を整備してほしい等々、村や都、国の支援を強く求めていました。
 そこでまず、都道や砂防ダムを初め、治山ダム、港湾等のインフラ施設の整備状況について明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、三宅島空港の再開についてであります。現在、三宅島空港は敷地の半分が高濃度地区に指定されているため、定期航空路が途絶えたままになっています。島民を初め観光客が三宅島に行くには、夜行の船便しかありません。
 そのような中、このたび知事が空港の早期再開に向け検討することを指示されました。空港の再開に当たっては、安全確保を十分に行わなければならないのは当然ですが、三宅島の早期復興には、三宅島空港の一日も早い再開が不可欠であります。
 第三に、雄山の噴火による火山灰が三宅周辺の海に堆積しているため、イセエビやトコブシ、テングサなどが減っています。そこで都は、築いそのための投石事業など早急に漁場整備を行うべきと考えます。
 以上所見を伺い、代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、東京オリンピックについてでありますが、東京オリンピックでは、単なる国際的なスポーツ大会の枠を超えて、膨大な都市施設のストックを有効活用するとともに、我が国の高度な技術力や多様な歴史文化の蓄積とスポーツとをうまく組み合わせて、日本民族ならではの独特の情操、価値観というものを提示していきたいと思っております。
 このオリンピックを引き金にして日本を覆う閉塞感を打破し、二十一世紀の国際都市東京の姿を内外に発信していきたいと思っております。
 次いで、新たな行財政改革についてでありますが、国の方の改革が遅々として進んでいない中、都は、財政の立て直しに向けて道筋をつけるとともに、職員定数の大幅な削減や監理団体の統廃合など着実に成果を上げてきたと思います。
 財政改革の努力の結果として、例えば起債の依存率は、都道府県では日本で一番少ない六・二%、国は何と四一・八%ということでありますが、いずれにしろ、それでもなお東京の改革には終わりはありませんで、行政のむだを徹底して省き、経営改革や職員の意識改革をさらに進めていく必要があると思っております。
 新たに取り組む行財政改革では、公民の役割分担を原点から見直すとともに、国に先んじて導入する公会計制度や、新たな経営改革手法を積極的に活用していきたいと思っております。
 新しい公会計制度、いろいろ問題もあるでしょうが、しかし、これを徹底しますれば、国会でやっているように、四年前の決算委員会を開いて、内閣もかわり、大臣もかわっているのに閣僚が決算委員会に出席するというようなばかな、そういうルーチンというのは廃止されていくと思います。
 今後、十一月を目途に改革の指針を明らかにしまして、機を失することなくスピード感を持って、より効率的で効果的な都政の実現に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、住宅の耐震化への取り組みについてでありますが、阪神・淡路大震災の例を見ましても、私も、三日後に運輸省の依頼を受けて行ったついでに、被害の甚だしかった長田区と東灘区を眺めてまいりましたが、ともかく相当古い鉄筋あるいは鉄骨の住宅でも残っておりますが、木造は全部倒れているというていたらくでありました。しかも、死者の多くが住宅の倒壊を原因としているなど、住宅の耐震化は絶対に必要だと思っております。
 都としては、災害に強い都市を目指し、木造住宅密集地域などの整備、改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発など住宅の安全確保に努めてまいりました。
 今後は、自助、共助、公助の原則を踏まえつつ、安価で簡易な住宅の耐震改修工法などを都民に広く情報提供していきたいと思っております。
 静岡県がやっています事例を見ましても、幾通りかなるほどなと思うのがありまして、そういったものをゾーン、ゾーンでまとめて発注すれば価格も落ちつくと思いますし、いずれにしろ、そういう情報を広くとにかく都民に提供して、現実に少しずつでもまちを変えるということが必要だと思っております。
 建物の倒壊による道路閉塞は致命的なことになります。それを防止するなど、公共性の高い地域については、耐震化助成の検討など、都民の負担軽減を図っていきたいと思っております。
 首都東京の防災性を高めるために、より一層住宅の耐震化に取り組み、災害への備えに万全を期したいと思っております。
 次いで、地球温暖化対策でありますが、世界じゅうで干ばつや豪雨、そういった異常な気象が頻発しておりまして、災害が頻発しておりまして、島しょ国家は、例えばマーシャル、キリバチそうでありますけれども、水没の危機に瀕しているなど、地球温暖化は人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題であると思います。
 かつてクリントンの時代に、アメリカがイニシアチブをとっていい出した京都議定書が、代がかわり政党がかわれば、アメリカのイニシアチブで今度はつぶされる。アメリカだけがとにかく参加しないという理解できない状況が起こっているわけですけれども、今回のアメリカは気の毒ではありますが、二つのハリケーンでずたずたにされたというのは、これはやっぱり自然のアメリカの今日の政治姿勢に対する一つの批判ではないかという気がしないでもございません。
 いずれにしろ、京都議定書が二月に発効しました。これを日本も遵守し、それぞれの国が力を合わせて温暖化対策に真摯に取り組む必要があると思っております。
 いずれにしろ、この気候変動による深刻な影響を防止するためには、世界の国々がその責任に応じて温暖化対策に取り組まなければならないと思っております。
 都はこの夏、温暖化対策に積極的に取り組むドイツやイギリスの政府とともに、温暖化対策の強化を呼びかける一連のキャンペーンを行ってまいりました。今後とも東京から先駆的な温暖化対策に取り組むとともに、その成果を世界各国に発信するなど、地球温暖化の防止に向けた世界的な機運を高めるよう、都としても最大限の努力を行っていくつもりでございます。
 次いで、都市型水害への取り組みについてでありますが、治水は政の根幹をなすものでありまして、都はこれまでも河川の整備に重点的に取り組んでまいりました。
 今回の集中豪雨は、何しろ一時間に一〇〇ミリ、場所によっては短時間で二六〇ミリという記録的な降雨、豪雨でありました。
 被害が多かった妙正寺川や善福寺川の五〇ミリ護岸未整備区間の早期整備を指示いたしました。
 今後とも、未整備区間の解消や、流域の特性に応じた貯水池の効果的な整備など、治水対策に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 自然の災害というのは人間の知恵を超えたものがありまして、施設の整備だけで対応するにはおのずと限界があると思いますが、自助、共助の観点から、みずからの地域の危険性をまず知っていただく浸水予想区域図の公表など、ソフトの対応、提供も必要であると思っております。
 都民の生活を守るために、ハード、ソフトの両面から総合的に治水対策に取り組み、推進していきたいと思っております。
 次いで、少子化対策についてでありますが、少子化は、ある程度社会が豊かになり成熟してきますと、高齢化が進んだ先進国においては、長期的に見ると例外なく進行していく現象だと思います。
 しかし、それが度を越しますと、やはり危機感が増殖されて、フランスにしろドイツにしろ果敢にこれに取り組んで、ある効果を上げていますが、いずれにしろ、その背景には、それぞれの国家の成り立ちや社会経済システム、国民性、価値観などによる相違があると思います。
 また、少子化への対応も、税制や児童手当、労働環境の整備などさまざまな方法が考えられます。
 無論、単純にそれをまねて横引きできるものではありませんが、フランスにしろどこにしろ、日本の身になってみますと、非常にサジェスティブな先例もございまして、これをじかに見聞することは、この国の次代を担う子どもたちの健全な育成を考える上でも意義あるものと思っております。
 実は先般、ある予定がございまして、あわせてフランスに行って事情を視察しようと思いましたが、そちらの方の予定が中止になりましたので、残念ながら行けませんでした。日を見て、日程の都合がつけば、ぜひ現地に赴いて勉強してきたいと思っております。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、学校安全ボランティアについてでございますけれども、都教育委員会といたしまして、学校安全のために地域のボランティアを活用する取り組みを進めることが極めて重要でありますことから、ご指摘の地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を区市町村の希望に応じて実施することとしております。
 具体的な事業開始日程につきましては、都教育委員会から実施区市に対しまして、九月中旬に実施についての文書を発出したところでありまして、具体的に準備の整った区市から、十月以降順次実施していく予定でございます。
 次に、来年度の実施区市についてでございますけれども、ご指摘のように、本年度については、さまざまな事情によりまして本事業の実施を見送った区市も見受けられますことから、各区市町村に来年度の事業の実施についてのアンケート調査を行ったところ、スクールガードの養成講習につきましては十九区市、スクールガードリーダーによる巡回指導につきましては二十五区市から、来年度の事業実施の希望が寄せられているところでございます。
 東京都教育委員会としましても、今後とも多くの区市が実施できるよう努めてまいります。
 次に、関係部局の連携協力体制についてでございますが、都教育委員会では、本年二月の寝屋川市立中央小学校の事件を受けまして、教育庁の関係課に加えまして、青少年・治安対策本部及び生活文化局の参加を得まして、学校安全体制の整備等に関する連絡会を設置し、関係部局との連携を図っているところであります。
 地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業につきましても、この連絡会でその内容を調整し、さらに警視庁と連携しつつ、事業実施のための準備を進めているところであります。
 今後、この連絡会に区市の参加を求めて拡充いたしまして、なお一層関係部局との連携を図り、本推進事業の円滑な実施を図るとともに、事業成果の普及等にも取り組んでまいります。
 最後に、学校におけるアスベストへの対応についてでございますが、現在、文部科学省では、全国の学校施設及び用具類のアスベスト使用状況について調査を実施しております。
 都教育委員会としましても、これらの全国調査に対応して都立学校及び公立小中学校について調査を進めており、さらに都立学校施設につきましては、都有施設の基準を踏まえまして、項目を加えた調査を実施しているところでございます。
 調査の結果、都立学校においてアスベストの使用が確認された場合、施設におきましては緊急度に応じてアスベストの処理工事を行うとともに、用具類につきましても、緊急度に応じて使用禁止及びアスベストを使用しない用具等への交換措置を講じてまいります。
 また、公立の小中学校につきましても、区市町村教育委員会に対し適切な対応を求めてまいります。
   〔財務局長谷川健次君登壇〕
〇財務局長(谷川健次君) 行財政改革に関する二つのご質問にお答えいたします。
 まず、経費節減につながる規制緩和の洗い出し、及び事業の仕分けを通じた歳出削減の取り組みについてであります。
 都は、財政再建推進プランに基づき、最少のコストで最大のサービスを目指す、時代変化に即して都の施策の範囲及び水準を見直す、国の仕組みを変えるという三つの基本的視点から、抜本的な事業の見直しを進めております。
 先ほどお話のあった規制緩和の洗い出しと事業の仕分けにつきましては、我々の目指すところと軌を一にするご指摘であると受けとめております。
 今後、経費節減、歳出削減をより一層進めるためには、監理団体を含めた各局、各部署が、国の規制を絶対視したり、既存の制度を漫然と継続することなく、より現場に近い立場から絶えず問題意識を持つことが重要なことであり、全庁一丸となってすべての事業の見直しを徹底していきたいと考えております。
 次に、PDCAサイクルの制度化についてであります。
 十八年度から導入する都の新たな公会計制度では、民間並みのコスト情報が反映された事業別財務諸表の作成が可能となり、ご指摘のように、行財政の一層の効率化を進める上で有効なツールを持つことになります。
 今後は、事業を所管する各部署がこのツールを十二分に活用し、決算分析や事業評価の結果を次の予算に反映することが重要であります。
 新たな公会計制度の導入にあわせ、各局と連携しながら、予算、執行、評価、改善を一連のものとしてとらえる制度としての東京都版マネジメントサイクルを構築していきたいと考えております。
   〔総務局長高橋功君登壇〕
〇総務局長(高橋功君) 震災対策など六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地震の被害想定及び地域防災計画の見直しについてでございます。
 現在検討中の新たな被害想定は、国の中央防災会議が公表した被害想定に加えまして、千葉県北西部地震で顕在化した都市型災害や、現行の被害想定を策定した平成九年以降の東京の状況変化を踏まえまして、年度内に取りまとめ、公表することとしております。
 また、地域防災計画の見直しに当たりましては、中高層ビルの被害やターミナルごとの帰宅困難者数、地域別被害状況などをもとに具体的な検討を行い、予防対策から応急対策まで抜本的な見直しを行い、来年度に策定する予定でございます。
 次に、マグニチュード六クラスの地震の被害想定と、それに基づく対策についてでございます。
 この規模の地震は、首都圏において発生する可能性が高いといわれております。また、全都的に大きな被害が出ると予測されるマグニチュード七クラスの地震に比べまして、このクラスの地震は、地域別に被害の大きいところとそうでないところが鮮明となり、これに伴う想定は、計画的な地震対策を行う上で有効でございます。
 このため、現在検討中の被害想定の中に、マグニチュード六クラスの地震における被害想定も取り込むこととし、その対策についても十分検討してまいります。
 次に、エレベーター並びに自力脱出が困難な方の対策についてでございます。
 エレベーターの閉じ込め対策につきましては、緊急停止システムの改善や救出体制の整備などが重要でございます。都は既にエレベーター業界へこれらを働きかけておりますが、国も対策を検討しておりまして、国等と十分連携しながら対策を講じてまいります。
 また、自力脱出が困難な方の対策につきましては、九月一日の都の総合防災訓練におきまして、東京消防庁、消防団及び地域ボランティアが、地域連携を想定し、救出訓練を実施いたしました。
 今後、区市町村に対し、建設機材を有する地域企業の参加による救出訓練の実施を新たに働きかけるなど、地域における救出体制の整備に努めてまいります。
 次に、地震計システムの再整備についてでございます。
 今回の千葉県北西部地震では、地震計データの送信のおくれや機器の老朽化などの課題が顕在化しました。
 都は既に送信時間を短縮するとともに、都が主導して、国と八都県市による地震計データ伝送等改善検討会を発足させました。送信時間や機器の更新、システムのバックアップ等の課題につきまして、年度内には方針を取りまとめる予定でございます。
 この方針を踏まえまして、空白地域の解消を目指すとともに、一層の信頼性の向上を図るため、地震計の更新を含めたシステム全体の再整備を進めてまいります。
 次に、初動態勢における都と区市町村の連携強化についてでございます。
 被害を最小限に食いとめるため、災害発生時における情報収集、伝達や、職員参集などの初動態勢の確保は極めて重要でございます。都はこれまでも区市町村に対し、職員の動員配備計画や警戒情報の収集、伝達などの整備について働きかけを行ってまいりました。
 今後は、この災害を教訓といたしまして、災害情報の活用や避難勧告の判断基準の共通化などに努めるとともに、災害時における迅速な対応に向け、区市町村と連携を一層強化してまいります。
 最後に、三宅島のインフラ整備の状況についてでございますが、都道を初め電気、水道等のライフラインは、住民の帰島までにすべて復旧しておりました。
 その他のインフラの九月現在の整備状況でございますが、港湾等につきましては、被災した四つの港のうち三つの港の復旧が完了し、残る一つの港は今年度中に完了する計画でございます。
 砂防ダムにつきましては、五十一基の計画中四十基が完成し、残る十一基も今年度中に完成する予定でございます。
 また、治山ダムにつきましては、事業化されているダムの八割強に当たる百十基が完成しており、引き続き国など関係機関と連携しながら、残る整備を着実に進めてまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 少子化対策など九点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時要援護者の避難体制の整備についてですが、災害発生時に、高齢者、障害者などのいわゆる災害時要援護者に迅速に避難いただくためには、情報伝達体制の整備、災害時要援護者情報の共有及び避難支援計画の具体化が重要であります。
 こうした点を踏まえ、本年三月には、国の検討会におきまして災害時要援護者の避難支援ガイドラインが取りまとめられ、区市町村に示されました。
 都は、災害時における要援護者への対応について、障害者団体や民生委員などを通じて周知を図るとともに、安全対策の徹底に努めており、今後、ガイドラインも踏まえた区市町村の取り組みが強化されますよう、支援と総合調整を行ってまいります。
 次に、乳幼児医療費助成制度についてですが、この制度は、子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものであり、ご指摘のとおり、所得制限の基準は、国における児童手当に準拠してきたものです。
 お話のように、この基準の緩和は国の課題でございますが、これまで児童手当に準拠してきたという経緯を踏まえた上で、今後とも制度の趣旨に沿うよう適切に対処してまいります。
 次に、乳幼児医療費助成制度の対象年齢についてですが、現在、本制度の対象年齢を義務教育就学前としているのは、小学校においては、学校保健法に基づき定期健康診断の実施や保健室の設置など、健康管理体制が確立されていることを踏まえたものであり、現在の対象年齢の設定は適切なものと考えております。
 しかしながら、現在の対象年齢について不公平であるという指摘もあるとのお話でございますので、今後、関係者からの意見も聴取してまいります。
 次に、認証保育所についてでございますが、認証保育所は、事業者の創意工夫により質の高い保育サービスを提供していくことを基本的な考え方としており、ニーズの高い学童保育や病後児保育などの自主的取り組みを行っている施設もございます。
 昨年度には、認証保育所と少人数で家庭的な保育を行う家庭福祉員とが、それぞれの特性を生かして地域の保育力向上を図る連携の取り組みがモデル的に実施されました。今後は、これらの取り組みにおける成果や課題を、保育関係者などと連携しつつ検証してまいります。
 次に、先駆型子ども家庭支援センターについてでございますが、都はこれまでも、地域における児童虐待防止の取り組みを一層推進するため、区市町村における総合的な相談支援の拠点としての役割に加えまして、家庭における児童虐待防止のための機能もつけ加えました先駆型子ども家庭支援センターの設置を促進してまいりました。その結果、昨年度よりも十二カ所増加し、現在二十区市に設置されております。
 本年四月に策定いたしました次世代育成支援東京都行動計画では、平成十九年度までに四十九のすべての区市での設置を目指しており、この目標達成に向け、今後とも強力に働きかけてまいります。
 次に、子ども家庭総合センターについてでございますが、家庭や地域の養育力が低下する中、虐待、非行などの問題は複雑、深刻化しております。こうした問題に適切に対処するためには、福祉、保健、教育、警察などの専門機関の連携をより強化し、相談体制についてもその充実を図ることが必要であります。
 そのため、新たに設置する仮称子ども家庭総合センターにおきましては、関係各局が連携して支援を行う総合相談窓口の設置に向け、現在、児童相談センターを所管する福祉保健局、教育相談センターを所管する教育庁、少年センターを所管する警視庁が参加して、鋭意検討を進めている段階でございます。
 次に、介護予防拠点の整備についてでございますが、お話の区市町村によるフィットネスクラブなどの民間施設等を活用した介護予防拠点整備への財政支援については、これまで国に対し提案要求を行ってまいりましたが、今年度、新たに創設された、国の地域介護・福祉空間整備等交付金の対象とすることができました。また都は、この交付金の対象とならないトレーニング機器などの整備に対しても、今年度、区市町村への独自補助を実施しております。
 今後とも、これらの取り組みに加え、介護予防指導者の養成などの人材確保にも取り組み、来年四月からの改正介護保険法の施行に向け、民間施設等を活用して、身近な地域における介護予防拠点の早期整備に努めてまいります。
 次に、国の指定を受けていない難病患者への支援についてでございますが、ご指摘のとおり、国の治療研究事業以外の難治性疾患で苦しんでいる患者、家族がおられることは承知しております。都では、こうしたことを踏まえ、国の治療研究事業の対象とならない九疾病に対しても、都単独事業として医療費助成を行っております。
 今後とも、国に対し、治療研究体制の充実や対象疾病の拡大を強く働きかけるとともに、新たな難治性疾患の実態把握や、東京都特殊疾病対策協議会委員に新たな分野の専門家を加えるなど、より幅広い見地から検討を行ってまいります。
 最後に、小児慢性特定疾患の認定基準についてでございますが、今回の児童福祉法改正により、小児慢性特定疾患制度は法的根拠を持つ安定的な制度となり、対象疾患の拡大を図る一方、対象者を重症者に重点化するため、疾患ごとの病状による認定基準を導入いたしました。あわせて、慢性疾患の子どもを養育した経験者が相談員となるピアカウンセリングをこの十月から新たに開始いたします。
 お話のように、この認定基準につきましては、都民からさまざまなご意見もいただいておりまして、都としては、こうした声も含め、制度改正後の状況を十分に把握しながら、適切に対応してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕
〇都市整備局長(梶山修君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、耐震診断士制度の創設についてでございますが、都民が安心して住宅の耐震化に取り組むためには、技術者の育成と適切な情報提供が重要でございます。このため、建築関係団体と連携し、耐震診断や耐震改修を行う建築士、工務店等の知識、技能の向上に向けた講習会を実施するとともに、講習会修了者に関する情報を都民に提供する仕組みを構築してまいります。
 今後とも、都民が安心して耐震化が図れるよう、積極的に取り組んでまいります。
 次に、地下室などにおける浸水対策についてでございますが、集中豪雨による河川のはんらんから都民の生命、財産を守るためには、河川の整備とともに、地下空間における浸水対策が重要であると考えております。
 都はこれまで、地下空間への浸水を防ぐための防水板の設置など、国が定めたガイドラインの普及啓発に努めてまいりました。今後、業界団体を通じ、さらにその活用を図るとともに、都が主催する講習会、ホームページへの登載などにより、積極的にガイドラインの周知徹底を図ってまいります。
 また、浸水が予想される地域につきましては、区市町村と連携し、地区計画を活用した地下の住居規制などの方策を検討し、浸水対策の一層の推進に努めてまいります。
 次に、水害発生時における被災者への都営住宅の活用についてでございますが、これまで都は、三宅島噴火災害のような大規模災害発生時に都営住宅等の一時提供を行ってまいりました。
 今回の水害におきましては、被災した各区市からの要請にこたえ、災害救助法適用外の区域も含め、床上浸水のため避難所等に避難した被災者に対して、原則一カ月、必要に応じて三カ月まで、都営住宅を提供することといたしました。
 今後とも、自然災害により住居が全壊、半壊、床上浸水した場合などは、区市町村からの要請にこたえながら、一時避難所として都営住宅を弾力的に活用して、被災者の居住の安定を図ってまいります。
 次に、都営住宅を活用した少子化対策についてでございますが、次世代を担う子どもを安心して産み、健やかに育てる上で、住宅の果たす役割は極めて重要であると認識いたしております。
 若年ファミリー世帯向け期限つき入居制度につきましては、現在、都心及びその周辺区に限定して実施しておりますが、今後は、少子化の進行に対応して、対象地域を都内全域に拡大する必要があると考えております。
 また、子どもが三人以上いるいわゆる多子世帯への優遇措置につきましては、当選の確率が高くなる優遇抽せんや、特別枠による優先入居を実施してまいりました。
 今後は、多子世帯に対しても都内全域で期限つき入居制度を実施していきたいと考えております。少子化への都営住宅の活用に今後とも努めてまいります。
 次に、あんしん入居制度の拡充についてでございますが、高齢化の進展の中で、あんしん入居制度を高齢者等が利用しやすくしていくことは大変重要であると考えております。このため、制度の利用拡大に向け関係団体と協議を進めてまいりましたが、このたびその仕組みが整ったことから、十月の新制度実施に向けて準備を進めております。
 新制度では、新たに障害者を対象に加え、さらに利用料金の引き下げやサービスの細分化を図るとともに、申込窓口を地域の不動産店に大幅に拡大いたします。また、関係団体、区市町村、福祉部局を加えた連絡会を設置し、新制度の普及促進を図ってまいります。こうした取り組みを通じ、高齢者等の一層の住居の安定に努めてまいります。
 次に、都営住宅及び公社住宅のアスベスト対策についてでございますが、住宅は居住者が日常の生活を送る場であり、その安全性を確保していくことは重要であると考えております。過去の実態調査において判明した吹きつけ石綿等について、対策が必要なものに関してはすべて処理を行ったところでございます。
 現在、環境局の方針に基づき、改めて都営住宅及び公社住宅における飛散性石綿含有材料の使用状況等について調査中でございますが、対策の必要が生じた場合には速やかに対処し、万全を期してまいります。
 次に、羽田空港跡地の範囲についてでございますが、跡地は、国際線ターミナルなど国際化の拠点施設に隣接する重要な空間であると認識しております。
 ご指摘のとおり、跡地の範囲は当初の二百ヘクタールから大きく変更されてきており、現在、国は、跡地の範囲の見込みとして五十三ヘクタールを都と区に対して提示しております。
 跡地利用の検討に当たりましては、跡地の範囲が前提となることから、今後、再拡張、国際化の進捗に応じて、国が適切な時期に関係者と調整の上、責任を持って確定していくべきものと考えております。
 次に、跡地の取り扱いについてでございますが、羽田空港を取り巻く状況は、沖合展開事業開始時から今日の再拡張、国際化に至る間で、財源スキームや跡地の範囲などが大きく変化してきております。
 そうした中で大事なことは、空港機能をサポートするとともに、空港の持つ可能性を活用した跡地利用計画を立てることでございます。現在、国が所有している跡地の今後の取り扱いについては、その跡地利用の内容に応じて適切に対応していくべきものと考えております。
 最後に、跡地利用の課題とその取り組みについてでございますが、跡地利用の検討に当たりましては、まずは、今後明らかになる国際線地区におけるPFI事業の整備内容を十分踏まえることが必要でございます。その上で、幹線道路や護岸など跡地利用に不可欠な都市基盤施設の全体像を明確にしていくことが重要と考えております。
 こうした課題を国や地元自治体とも調整しながら、都が主体となって跡地利用計画の策定に取り組んでまいります。
   〔主税局長菅原秀夫君登壇〕
〇主税局長(菅原秀夫君) 税制面からの住宅の耐震化促進策についてお答えを申し上げます。
 固定資産税の減免措置を講じることにつきましては、さまざまな耐震化促進策の中の助成制度の効果等との比較考量、そして、中古住宅一戸当たりの固定資産税負担額が一万九千円程度でありまして、これを減免するとした場合の効果及び他の既存住宅との税負担の公平の問題など、種々検討すべき課題がございます。
 今後、ご指摘の中小企業への波及効果も含めまして、関係局と連携を図りつつ、国の税制改正の動向をも見きわめつつ、引き続き検討してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、団塊の世代を活用した若年者に対する職業訓練の充実等についてでございますが、東京の産業の活性化と豊かな都民生活の実現を図るためには、団塊の世代の技術、技能を若年者に伝え、若年者の就業を促進することが重要でございます。
 このため、しごとセンターと技術専門校が連携して、技術、技能を持つ団塊の世代を技術専門校の講師や民間企業における教育訓練指導者など、幅広く若年者の職業能力開発に活用する仕組みを検討してまいります。
 また、団塊の世代の再就職も重要な課題であり、しごとセンターや技術専門校におきまして、スキルアップや新たな分野での就業を促進するため、能力開発の充実を図ってまいります。
 次に、三宅島の漁場整備についてでございます。
 都では、噴火の翌年から、火山灰の堆積や流入による三宅島周辺漁場への影響を継続的に調査しております。現在、この結果を踏まえ、テングサの回復状況を示したマップを漁業者に提供しており、今年度は、伊勢エビなどの資源を回復するため、火山灰の影響が少なく早期の回復が望める赤場暁及び台ケ浜地域において、投石による漁場整備を進めております。
 さらに、ハタ類の稚魚やトコブシなどの放流によって着実な資源の増殖を図っており、今後とも、三宅島漁業の復興を目指して積極的に取り組んでまいります。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕
〇環境局長(大橋久夫君) アスベストに関する三点のご質問にお答えします。
 まず、都有施設のアスベスト使用状況等についてでございます。
 都では、平成元年度に都有施設のアスベスト使用状況を調査し、その結果に基づき対策を進めてまいりました。吹きつけアスベスト等の使用が確認された三百九施設のうち、除去等の措置が必要とされた百九十施設すべてにおいて必要な対策がとられていることを確認しております。
 なお、これまで対象としていなかった一部建材にまで調査範囲を広げるとともに、過去に対策を行った箇所の再点検も含めて、現在改めてフォロー調査を実施しており、十月半ばを目途に取りまとめる予定でございます。
 今後、対策の必要性の優先順位が高い施設から順次、アスベストの除去、封じ込め等の対策を実施してまいります。
 次に、飛散防止対策の指導等についてであります。
 解体現場におけるアスベストの飛散防止を徹底するためには、対象となる工事現場を把握するとともに、事業者に対する的確な指導を行うことが重要であります。このため都は、関連業界に対し、解体作業場所の密閉など、法や条例に基づく飛散防止対策の徹底と、近隣住民への解体工事に関する情報提供を改めて要請したところでございます。
 今後とも、解体工事現場への立入検査の強化や周辺の環境調査を実施するとともに、地元自治体と連携し、届け出時における指導を強化することや、事業者への説明会を開催することなどにより、飛散防止対策を徹底してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕
〇生活文化局長(山内隆夫君) 私立学校に対するアスベスト対策についてでございます。
 現在、文部科学省から調査依頼を受けまして、私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専修学校、各種学校を対象に、吹きつけアスベスト等使用実態調査を実施しております。
 都としては、昭和六十三年度、平成元年度に私立学校に対するアスベスト対策事業を実施したところでありまして、今回の調査結果に基づき適切に対処してまいります。
   〔港湾局長津島隆一君登壇〕
〇港湾局長(津島隆一君) 三宅島空港の再開についてでございますが、三宅島の早期復興のためには、ご指摘のとおり、空港の一日も早い再開が極めて重要であると認識しております。
 このため、三宅村安全確保対策専門家会議や国、航空会社などの関係機関と密接な連携のもと、火山ガスに対する空港利用者などの安全性の確保や、安全マニュアルの作成等、航空機の安全運航体制の整備、また空港ターミナルビルの復旧及び脱硫化など、空港の早期再開に必要な準備を早急に進めてまいります。
〇副議長(木内良明君) 環境局長大橋久夫君、答弁漏れがあるようです。再度答弁を求めます。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕
〇環境局長(大橋久夫君) 失礼をいたしました。
 最後に、区市町村への技術支援等についてであります。
 地元自治体がアスベスト除去工事に関し的確に指導監督を行っていくためには、解体現場を点検する上での留意点や、アスベスト建材に関する正確な情報を把握することが不可欠であります。
 このため、都は、飛散防止マニュアルや点検の手引を作成いたしましたが、今後とも地元自治体からの技術的な相談に応じるなど、必要な支援を行ってまいります。
 また、都民からの問い合わせ等に対しては、ホームページやパンフレットを十分に活用するなど、的確な情報提供に努めてまいります。
〇副議長(木内良明君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時一分休憩

   午後六時十六分開議
〇議長(川島忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行します。
 百二十六番吉田信夫君。
   〔百二十六番吉田信夫君登壇〕
〇百二十六番(吉田信夫君) 日本共産党都議団を代表して質問をします。
 今、国民、都民の暮らしと営業は、かつてない深刻な危機に直面をしています。リストラ応援政治のもとで、完全失業者は全国的に三百万人に達しているばかりか、働いている人の中でも、正規社員は三百万人も減り、パートなど非正規雇用が労働者の三分の一近くを占めています。このため、この四年間だけでも、家計の所得は一世帯当たり四十万円も減っているのです。
 一家の大黒柱が職を失い、妻のパートがふえ、子どもが進学を断念する、こういう事態が広がっています。青年の二人に一人がフリーターなど不安定雇用であり、月収十万円前後という貧困層が若い人の中にふえています。中小企業も四年間で六万六千件が倒産に追い込まれ、年間四千人もの経営者が自殺するという状況です。
 とりわけ東京では、完全失業者は三十四万人に達し、この間、一万件を超える小売店が閉店に追い込まれるなど、事態は深刻です。これに加え、お年寄りとサラリーマンの医療費が値上げをされ、年金や介護の負担がふえるなど、社会保障の切り下げが追い打ちをかけています。高齢者は、介護サービスや必要な医療費を断念してもなお追いつかないというぎりぎりの事態に直面しています。
 加えて重大なことは、小泉政権が進めようとしている庶民大増税です。総選挙が終わるや否や、谷垣財務大臣は記者会見で、政府税調でも示された扶養控除や定率減税の廃止、消費税率引き上げを検討することを表明しました。このような増税が実施されれば、四人家族年収五百万円の家庭で、所得税で四十二万円、消費税で十三万円、年間合計五十五万円、国民全体で二十四兆円という空前の大増税となるのです。さらに原油価格の高騰などの逆風が吹いています。この事態を放置すれば、家計も経済も破壊されることは避けられません。
 ところが、石原知事は、所信表明で、都民が置かれている現実や苦しみについて一言も触れようとしませんでした。知事、都民生活の困難が深刻化している事態をどのように認識しているのでしょうか。暮らしを破壊する庶民大増税に反対するとともに、都政が都民の暮らしを守るためにあらゆる手だてを尽くすことこそ、地方自治体としての最大の責務と考えますが、見解を伺います。
 都民の暮らしを守る上で重要な問題について、以下、具体的に提案します。
 まず、介護保険法改悪への対応です。とりわけ、十月一日から、特別養護老人ホームなど施設利用者の居住費と食費が保険から外され、全額自己負担になるという深刻な負担増にどう対応するかは、差し迫った緊急課題です。
 年金月額六万七千円の高齢者は、相部屋の場合でも、一割の利用料と居住費、食費で五万五千円の負担となります。このほか、医療費や介護保険料、国民健康保険料なども必要で、生活費にも事欠くことになります。個室の場合、九万円前後の負担となり、年金額を大幅に超えてしまいます。
 今、施設の現場では、不安と驚き、混乱と怒りが渦巻き、既に年金の少ない人は、個室から相部屋に移らざるを得ない、施設の利用をあきらめるなどの事態が生まれ始めています。
 国は、施設と在宅の格差是正のための改革だといいますが、在宅サービスに欠かせないショートステイの滞在費と食費、デイサービスや通所リハビリの食費も、全額自己負担となり、利用日数を減らす、昼食を断り、弁当やお握り持参にするなどが危惧されています。しかも、六月末に介護保険法改定が国会で可決をされ、まともな周知期間もなく、十月からこれほどの大幅負担増を強行しようというひどいやり方です。
 介護療養型施設に入所している方から、今までの月七万三千円が、居住費、食費などで来月からは六万円負担がふえるといわれ、腰を抜かすほど驚いた、特養ホームの入所待ちで十年、既に蓄えも底をついた、どうにも払えないという涙の訴えも寄せられています。
 知事は、今回の居住費、食費負担導入による深刻な影響をどう認識しているのですか。十月一日実施を再検討するよう国に申し入れるべきです。
 都としても、居住費、食費負担が利用者にもたらす影響を調査し、施設の利用をあきらめるとかサービスの利用を減らすなどの事態を生まないよう、対策をとる必要があると思います。お答えください。
 既に千代田区、荒川区、港区は、デイサービスの食費負担を軽減する独自助成を表明しています。今こそ自治体が頑張るときです。
 また、都立ナーシングホームについては、利用者の負担増やサービス低下を招かないようにすることは当然です。所見を伺います。
 都が国制度を拡充して実施している利用者負担軽減措置の役割は、ますます大事になっています。利用者負担を半額にする現行水準を堅持するとともに、所得と預貯金の制限を大幅に緩和すること、居住費とデイサービスや通所リハビリも含め、食費にも対応できるようにすること、老人保健施設や療養型施設も対象に加えることなどの拡充が必要です。お答えください。
 我が党都議団は、都内の特別養護老人ホームの影響アンケートを行い、四十八の施設から回答がありました。その結果、国が居住費、食費負担の導入を口実に、施設への介護報酬を大幅に削ったため、現在の試算で、一施設当たり平均年額千四百万円もの減収となります。経営破綻する施設も出てくる、サービスの低下が避けられないという切実な訴えが寄せられています。新たに食費を徴収するのに、食事の質が維持できないという声も共通しています。
 都内の特別養護老人ホーム待機者は四万五千人に及ぶことが明らかになっていますが、このままでは施設をふやす意欲も資金もなくなるという点でも放置できない問題です。特別養護老人ホームの現場は、かつての都加算補助が廃止された上、手厚い介護や医療的ケアが必要な介護度の重い利用者がふえ、多くの施設が今でもぎりぎりの運営という現状です。ユニットケアなど個別ケアを充実するには、国基準の職員配置では不十分で、ほとんどの施設が自前の負担で介護職員や看護師を増配置する努力をしています。介護報酬の削減どころか、支援の強化こそ求められているのです。
 新しい事態に対応して、都独自に実施している特別養護老人ホーム経営支援の運営費補助を大幅に増額し、今回の介護報酬削減による減収を補てんすることで、利用者負担を抑え、食事などのサービス低下を招かないようにする必要があります。さらに、手厚い個別ケアのための介護職員や、医療的ケアのための看護師の増配置、利用者の重度化に応じた加算などの拡充を行うことを提案するものですが、お答えください。
 少子化の克服に向け、子育て世帯への経済的支援の強化は急務です。
 石原知事は、昨年の第四回定例会で、我が党の代表質問に対し、フランスではかなり思い切った金銭的なインセンティブを子どもを産んだ家庭に与えている、これは非常にサジェスティブだと思うので、自分自身も赴いてそういう調査をしたいとの重要な答弁を行いました。その後九カ月が過ぎましたが、知事として、少子化克服に向けた経済的支援の拡充強化にどう取り組むのか、お答えください。
 とりわけ小中学生の医療費無料化は切実な要求です。二十三区では、港区、台東区が入院、通院とも中学卒業まで拡充したのを初め、十区が小学生、中学生までの拡充に踏み出し、住民と医療機関から歓迎されています。第二回定例会で、我が党の代表質問に福祉保健局長は、要望があることは十分承知していると答弁されました。子どもの医療費助成を小中学生まで拡充することを改めて提案するものですが、都民要望をどう受けとめ、対応するのか、見解を伺います。
 また、所得制限について、二十三区はすべて撤廃しており、新たに拡充された小中学生についても所得制限なしです。これに対して、多摩地域で撤廃したのは三市町にとどまっています。都は負担の公平のため所得制限が必要だといいますが、撤廃した自治体は、これによって、毎年受給資格が変わることなく、安定的に医療が受けられるため、むしろ公平性が担保されるようになったと述べています。都民も、区長会も、市長会も、所得制限撤廃を切実に要求しています。この願いにこたえていただきたい。お答えください。
 児童手当の拡充も重要です。現在の小学校三年生まで五千円、第三子以降一万円という国制度では不十分です。都は九八年度予算で、当時三歳未満が対象だった国制度を都独自に拡充し、第三子以降について、七歳未満まで月一万円の支給に踏み切り、国制度の充実を先導した実績があります。中学生や高校生の教育費を初めとした子育ての費用の負担は深刻な問題です。児童手当を少なくとも小学六年生まで拡充することに都として踏み出す必要があると考えますが、所見を伺います。
 原油価格の高騰が、都民生活と中小業者の経営に深刻な影響をもたらしています。
 今回の原油高騰は、発展途上国を中心とした急激な需要の増大、さらには産油国側の供給調整を背景に、アメリカのイラク侵攻やアメリカ南部のハリケーンによる石油施設の破壊などが影響しているものです。その上、見過ごすことのできないことが、世界的な投機筋による原油買い占め、価格つり上げ、石油元売会社の利益優先の姿勢です。
 こうしたもとで、数年前までは一リッター九十円台であったガソリンが、地域によっては百四十円の大台に乗ったのを初め、軽油、重油、灯油などは、三割から四割も価格が上昇しているのです。生活必需品や毎日の食材もじわじわと値上がりしています。私もまちを歩いていると、石油製品を使っている中小業者の方から、もう限界とか、生活を切り詰めてやりくりしているなどの声が寄せられ、事態の深刻さに改めて気づかされます。
 日本共産党都議団として、中小企業の聞き取り調査を行いました。杉並区などのクリーニング店からは、ボイラーの灯油はもちろん、洗濯に使う溶剤やハンガー、ポリエチレンの袋なども値上がりしており、売り上げが下がっているのにダブルパンチだなどという悲鳴の声が寄せられました。大田区の運送会社の方は、トラックを四十五台使っているが、燃料費だけで百五十万円も負担がふえる、運賃に転嫁できないので泣くしかない、何とかしてほしいと訴えられました。燃料に重油を使っている公衆浴場も深刻です。板橋区のある銭湯では、燃料費が七十七万円もふえたが、公定料金なので、値上げもできず、このままでは営業をやめるしかないといわれています。
 知事に伺いますが、東京都が原油高騰の深刻な影響から都民の暮らしと営業を守る先頭に立つことが必要だと考えますが、見解を伺います。
 価格を引き下げさせるためには、原油価格をつり上げ、莫大な利益を上げている異常な投機を規制することが必要です。また、当初見込みの二倍近い利益を上げ、ひとり勝ちといわれている石油元売各社に対して、利益を消費者に還元し、価格を引き下げるよう、強く働きかけることを求めるものですが、それぞれ知事の答弁を求めます。
 都は、かつて七〇年代のオイルショックのときに、物価・生活物資対策本部を設置し、緊急生活防衛条例を制定するなど、便乗値上げの監視、物隠しなどから消費者を守る先頭に立ちました。原油価格高騰の影響は、冬場を迎えるこれから本格化するといわれています。都として原油高騰対策本部を設置し、便乗値上げの監視や価格安定対策などに全力を尽くすことが必要です。見解を伺います。
 低所得者や高齢世帯など社会的弱者のための灯油や生活物資の低価格での提供や、価格転嫁ができない公衆浴場への支援などが求められています。
 中小企業に対しても、緊急に超低利の原油高騰対策融資をつくるべきであります。また、産業労働局が開設した相談窓口だけで終わることなく、大企業による価格転嫁や便乗値上げなど中小企業いじめを監視し、直ちに解決に当たれる体制をつくることが必要です。
 さらに、資源の枯渇がいわれている石油にいつまでも頼るのでなく、石油燃料にかわる植物性廃油の燃料化技術などの開発など、脱石油の取り組みを推進することも重要であると考えますが、それぞれ答弁を求めます。
 次は、三十人学級の問題です。
 少人数学級は、今や四十五道府県に実施が広がり、世論に押されて、中山文部科学大臣も国会でその必要性を認め、中央教育審議会の論議でも具体化の方向が提起されました。これを受けて、文部科学省の教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議で検討されてきました。
 八月末の中間報告では、財源を理由に学級定数改善が見送られてきましたが、全国の自治体が少人数学級に踏み出している実態を踏まえて、学校現場の判断で、四十人を下回る学級編制が自由に選択できる制度の方向が打ち出されました。
 とりわけ小学校低学年については、生活環境や学習環境の著しい変化で学級崩壊に近い状態になる、いわゆる小一プロブレムなどの課題に焦点を絞った対応が必要であるとして、小学校低学年では、学級とは別に学習集団をつくるよりも、生活集団と学習集団を一体として少人数化を図ることが効果的と考えられると、少人数学級こそが必要であることを明確に指摘しているのです。
 都は、小学校低学年における少人数学級の効果についてどのように認識しているのですか。小学校における校内暴力の発生が過去最悪になっていることからも、どの子にも目が行き届く三十人学級の必要性が一層強まっています。今こそ小学校低学年の少人数学級実施に踏み出すべきと考えますが、お答えください。
 周知のように、多摩の市長会からは、少人数学級の都独自の実施を求める要望が提出され、さらに幾つかの区や市では、自分たちの判断で学級定数を改善し、加配教員の配置を工夫することで少人数学級をスタートさせたいとの意向も表明されています。
 都教委は、中間報告で打ち出された方向を踏まえ、区や市町村がそれぞれの判断で、加配教員なども活用して少人数学級に踏み出すことを希望した場合、これを尊重するよう求めるものですが、答弁をお願いします。
 私が取り上げたこれらの都民の暮らしと福祉を守る課題は、どれも東京都の財政力をもってすれば解決可能なものです。
 東京都の予算は、財政が厳しいといいながらも、一般会計で約六兆円、特別会計や公営企業会計を合わせた全会計では十二兆五千億円という規模で、インドなどの国家予算の規模に匹敵するものです。この金を切実な都民要望の実現に振り向けることが求められているのです。しかし、石原都政がこの六年間に進めてきた道は、小泉政権の痛みの押しつけから都民生活を守るどころか、一緒になって福祉を削り、中小企業対策を後退させてきたのです。
 知事は、その理由として殊さら財政が厳しいことを挙げ、二次にわたる財政再建推進プランを都民に押しつけることで、六年間の累計で都民施策を中心に一兆円を超える切り捨てを進めたのです。切り捨ての中心は、老人医療費助成や老人福祉手当など、経済給付的事業を中心とした高齢者福祉や障害者対策、保育の予算であり、都立学校統廃合や都立図書館など教育予算の削減、制度融資の原資の削減や試験研究機関の廃止、都営住宅の新規建設ゼロ、多摩地域の都道の整備や中小河川、公園整備予算の連続的削減であります。
 都民施策に充てる財源が本当になかったのでしょうか。とんでもありません。この六年間の税金の動きを調べてみますと、全体として税収が大幅に伸びていて、一九九九年度の当初予算との比較では、累計で六千二百四十八億円、二次の財政再建推進プランと比較すると、同じく一兆六千百八十億円も増収となっているのです。
 一方、この六年間、首都高速道路への投資は千四百三十五億円、圏央道を初めとする国の直轄事業負担金に三千百三十三億円を初め、幹線道路、都市再開発、臨海副都心開発などにつぎ込まれた予算は、一般会計だけで毎年一兆円規模、六年間で六兆四千億円に上っているのです。都市基盤の整備自体は必要ですが、余りにも過大な投資といわざるを得ません。そのため、都の借金、都債の残高は六兆八千五百億円と過去最高水準となり、借金返しのための公債費は毎年五千億円規模で、都財政と都民施策を圧迫する最大の要因となっているのです。
 さらに重大なことは、石原知事が今後も、羽田国際空港化に伴う拡張工事に一千億円、首都高速中央環状品川線に千二百五十億円など、本来都が負担する必要のない支出を増大させようとしていることです。最近、国と都が計画段階に移行すると表明した外かく環状道路も、国が直接施行することになれば、五千億円近い都負担が発生するといわれています。全国を結ぶ自動車道をつなぐ環状道路が必要だとしても、圏央道、外環、首都高中央環状線の三本もの自動車道路が必要なのかという都民の声が広がり、圏央道裁判の判決でも疑問が呈されています。
 知事、投資の水準を、都民の暮らしを守る施策の充実と両立する適正な規模に切りかえることが必要です。そのために、都の責任を超えた国直轄事業負担金や首都高速道路の建設費負担、臨海副都心開発や臨海関連三セクへの支援など不要不急の投資に大胆にメスを入れること、また、橋梁談合で明らかにされた不正談合による価格のつり上げを是正する談合防止策が必要なのではありませんか。見解を伺います。
 それをせず、国際的な都市間競争に勝ち抜くというかけ声のもとに、大型開発に偏った財政出動を続けるならば、さらなる都民施策の切り捨てと取り返しのつかない財政破綻に直面することは明らかです。
 知事は、所信表明で唐突にオリンピック招致を表明しました。
 そもそもオリンピックは、五輪憲章にうたわれているように、あらゆる差別を排除し、スポーツを通じた平和でよりよい世界をつくることにその眼目があります。しかし、石原知事の所信表明にはこの立場からの発言は見られず、専ら日本の存在をアピールする絶好の機会とか、オリンピック開催を起爆剤として日本を覆う閉塞感を打破することが強調されています。定例記者会見では、みずからが総代を務める明治神宮外苑の再開発について言及するとともに、東京五輪で使った施設はみんな古い、すべての施設がリニューアルされることになると述べるなど、大型の箱物や交通インフラ整備の加速に言及したのです。
 明治神宮外苑についていえば、二〇〇三年に財団法人の日本地域開発センターが再開発のための調査を実施、昨年五月には電通が再開発プランを立てて大手ゼネコンを訪問するなど、オリンピック招致を前提として計画が練られてきたことが報道されています。もしオリンピック招致を専ら開発中心に考えるとするならば、ただでさえ巨額となる財政負担を殊さら増大させるばかりか、環境との調和、持続可能な開発を求めた五輪憲章から見ても問題となることは明らかです。
 実際に大阪オリンピック招致の場合、招致のための事前の経費だけで百十億円を超え、メーンスタジアムや会場の整備、阪神高速道路などの交通インフラの整備など、厳しい財政を考慮した範囲の計画でも、七千億円が投入されることに対する府民の批判が広がったのです。
 私は、オリンピックは、環境に配慮した簡素で心の通うものとするとともに、都民の合意が大前提となるものであって、いやしくもオリンピック招致をてこに、都民の間で賛否が問われている大型開発などを強行するようなことがあってはならないことを指摘しておくものです。
 最後に、石原知事の靖国参拝問題です。
 靖国神社は、その刊行物、遊就館図録などでも明らかなように、二千万人以上のアジアの人々と三百十万人以上の日本国民の命を奪った過去の侵略戦争を、事もあろうに自存自衛のための戦争、アジア解放の正しい戦争だったと正当化し、太平洋戦争は米国の陰謀によるものだとしています。しかも、戦争犯罪人として断罪されたA級戦犯をぬれぎぬを着せられた人と呼び、神として祭るばかりか、間違った戦争観を国民に広げることをみずからの使命とし、そのための宣伝センターとなっています。だからこそ、新聞各紙が相次いで首相の参拝中止を求める社説を掲載し、アジア各国で批判が渦巻いたのです。
 さらに、アメリカの新聞、ニューヨーク・タイムズは、特集記事で、靖国の歴史観は、ほとんどのアジア人、米国人にとって受け入れることができないと書くなど、欧米でも靖国神社の歴史観、戦争観への痛烈な批判が広がっています。
 戦後六十周年を迎えた世界は、ドイツ、イタリアがヨーロッパで、日本がアジアで起こした戦争について、いかなる大義もない侵略戦争だったという共通の認識に立っています。過去の戦争への反省は、日本国憲法とともに、国連憲章にも明記をされた戦後の国際秩序の原点です。
 ところが、石原知事は、この原点を否定し、日本の起こした戦争が間違ったとはいえないとか、日本がやった植民地支配はまだ人道的で人間的だったとか、日本は武力で韓国併合をしたのではないなど、靖国神社と同じ侵略戦争正当化の発言を公然と行い、靖国参拝を繰り返してきました。
 ことし八月一日には、みんなで靖国神社に参拝する国民の会が産経新聞などに掲載した全面広告に、現職の政治家としてただ一人発起人として名を連ね、靖国神社を参拝し、小泉首相には毅然として参拝していただきたいとのメッセージを発信しています。この全面広告に対して、韓国の百人を超える国会議員が市民団体とともに抗議声明を発表したのは当然のことです。
 知事、侵略戦争と植民地支配の正当化や靖国参拝をやめるよう改めて厳しく求めるものです。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 吉田信夫議員の代表質問にお答えいたします。
 しかしまあ、よくもまあいつも同じ貧しい発想で、同じ泣き声で、同じレトリックで、国民も聞き飽きたと思うし、それはこの間の選挙で証明されたんじゃないでしょうかね。
 まず、都民の暮らしを守る自治体の責務についてでありますが、それはもう当たり前のことでありましてね。そのために、都は議会と、共産党を除く議会と協力して、今まで福祉の改革、教育改革、治安の回復、大気汚染の改善をやってまいりました。都民は、都と議会のそうした努力を十分理解して支持してくださっていると思います。これからも、共産党だけは反対するだろう種々の改革を断行してまいります。
 次いで、介護保険制度の見直しについてでありますが、今回の法改正は、今後の高齢化のさらなる進展を見据え、介護保険制度を将来にわたり健全かつ安定的なものとしていくために見直しを行ったものでありまして、居住費負担などの導入についても、在宅サービスとの負担の公平や年金給付との調整の観点から必要な見直しだと思います。保険料の上昇を抑制するためにも、早期に実施することが必要であります。
 なお、利用者の自己負担額については、低所得者への配慮がなされておりますし、再検討の必要はなく、国に申し入れる考えはございません。
 次いで、少子化対策でありますが、先ほども申し上げたとおり、少子化は、先進国において長期的に見ると例外なく進行しております。しかし、その背景は、いろいろその国の成り立ちや社会経済システム、国民性などにより違いますが、いずれにしろ、子育て支援に係る経済的な支援については、税制のあり方も含めて社会保障制度全体を視野に入れ、国民的コンセンサスを得て行うべきものであると思います。
 基本的には国で対応すべき課題であります。諸外国の制度を単純に横引きできるものではございませんが、中にはなかなかサジェスティブがございますので、別に共産党にいわれなくても、日程の都合がついたら、私自身が視察に参ります。
 それから、原油価格上昇の影響についてでありますが、原油やガソリンなどの価格は、現在も確かに上昇傾向にございます。しかし、東京都区部の消費者物価指数は、依然として低い水準にあります。
 ガソリンに関して申しますと、少なくとも東京は世界に例のない鉄道網の発達した首都でありまして、余りガソリンの値段がかかるなら、業者はまた別でありますけれども、マイカーは自粛して、せいぜいしかし都民の税金でつくりました地下鉄を含めて、世界に例のないこの鉄道網というものを都民に利用していただきたいと思います。
 しかし、昭和四十年代に起きましたオイルショックのころの狂乱物価と同様の状況になることは、私は想定しておりません。原油を取り巻く国際情勢や、市場価格の動向を見きわめていく必要があると思います。
 次いで、投資の水準についてでありますけれども、都が進める財政再建は、都民施策を切り捨てるものでは決してございません。時代の変化に合わせた、新しい都民ニーズにこたえていくための複合性を伴った積極的な取り組みであります。
 厳しい財政状況にあっても、福祉施策や中小企業対策、安全対策など喫緊の課題に対しては、重点的に財源を配分しております。こうした施策と同様、これまで進めてきた都市基盤整備は、国際競争力を高め、活力を維持する上で不可欠な取り組みであると思います。
 現在の投資水準は適正な規模であると考えておりまして、将来を見据えた都市基盤整備に引き続き積極的に取り組んでまいります。
 次いで、談合防止策でありますけれども、前に申しましたが、談合は、公正な競争に反するものでありまして、決して許されるべきものではありません。
 都は、これまでも一般競争入札の実施範囲の拡大や、電子入札の実施などの方策を講じるとともに、談合した企業に対しては指名停止措置を行い、厳正に対処しております。
 また、談合による損害については、当然ながらその回復を図る必要があります。都では、談合が明らかになった場合には、賠償金の支払いを義務づけております。
 今後とも、発注者として談合の防止に積極的に取り組んでまいります。
 次いで、靖国参拝の問題でありますけれども、人間も、政党も、あるいは国もそれぞれの価値観を持っているものでありまして、私は、あなたが指摘したように、靖国の歴史観というものは、あなたが解釈されているものと全く違うと思います。ゆえに私は、例えば日清、日露の戦争にしても、我々の先輩、ごく近いご先祖が、この日本を植民地にしないために戦った、とうとい犠牲を払った戦争でありまして、それも含めて、あの太平洋戦争にしても、それに対する評価というものは国によって違います。
 韓国や、あるいは中国は、それを現政権の政権維持のために、うまくプロパガンダで使っているでしょうけれども、しかし、同じ現代におけるマレーシアのマハティールさん、親友ですけれども、あるいは私がじかに会いましたエジプトの最初の大統領のナセルにしろ、インドネシアのスカルノにしろ、あの太平洋戦争というものの存在というものは、結局私たちの崛起を促して、我々はいわば第三次大戦といえる独立戦争を戦って勝ったんだと。日本の存在を、そういう意味で、陰影あるかもしれないが、大きな大きな影響を私たちへ与えてくれたという評価をしております。
 ゆえにもまた、私は一人の日本人として、私たちの先祖の築いたこの近い過去に、批判もありますけれども、同時に誇りを持って、あなたは何といおうと靖国に毎年参拝いたします。あなたは行きたくなければ、行かなきゃよろしい。
   〔教育長中村正彦君登壇〕
〇教育長(中村正彦君) 三十人学級についてお答え申し上げます。
 まず、小学校低学年におきます少人数学級の効果についてでありますけれども、本年八月、文部科学省が公表しました教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議の中間報告で、小学校低学年における基本的な生活習慣や学習態度の育成には、集団の少人数化を図ることが効果的であるとの考え方が示されたことは承知しております。
 しかしながら、児童生徒に望ましい人間関係、あるいは豊かな社会性を培うためには、学級集団として一定の規模が必要であります。お話しの小学校低学年、特に入門期におきます基本的な生活習慣や学習態度を育成するために、東京都では一定の学級規模を維持しつつ、例えば専科教諭あるいは養護教諭が担任を補佐したり、合同授業を実施したりすることなどによりまして、成果を上げてまいりました。
 このことから、いわゆる小一プロブレムなどの課題を解決するためには、教員同士が協働し、かつ組織的に取り組むことが非常に重要であると考えております。
 次に、小学校低学年の少人数学級実施についてでございますが、ただいま申し上げましたとおり、都教育委員会としましては、小学校低学年、特に入門期におきますさまざまな課題について、まず教員同士が協働し、組織的に取り組むことが何よりも重要であると考えております。
 次に、区市町村の判断によります加配教員を活用する少人数学級についてでありますが、限られた教員定数の活用につきましては、教育効果という観点から、都教育委員会が主体的に判断すべきものと考えております。
 少人数教育につきましては、学級には一定規模が必要である一方、基礎学力の向上に配慮しまして、きめ細かな指導を行っていくためには、少人数指導の充実に努める必要があるというふうに考えております。
 なお、文部科学省は、先ほどの調査研究協力者会議におきまして、その中間報告を受けまして、学級編制に関する都道府県及び区市町村の権限について今後検討するということでございますが、その具体的な内容は、現在のところ全く明らかではありません。
 都教育委員会としましては、今後も国の動向を注視してまいります。
   〔福祉保健局長平井健一君登壇〕
〇福祉保健局長(平井健一君) 介護保険など八点のご質問にお答えいたします。
 まず、居住費、食費の見直しの影響についてでございますが、今回の見直しによる利用者負担額は、国の実施した介護事業経営概況調査及び家計調査の結果に基づく平均的な費用の額により算定されております。
 また、今回の制度改正に当たりましては、低所得者の負担が過重とならないよう、所得に応じた負担限度額の設定に加え、社会福祉法人による利用者負担軽減制度などにより、低所得者へのきめ細かい配慮がなされております。
 これらのことから、都として独自に調査や新たな対策を実施する考えはございません。
 次に、都立ナーシングホームにおける利用者負担についてでございますが、改正介護保険法に基づき、都立ナーシングホームにおいても利用者負担の見直しを実施するものであり、必要かつ適切なものと考えております。
 また、このことによりサービスが低下するようなことはございません。
 次に、都の利用者負担軽減制度についてでございますが、本制度は、国制度である社会福祉法人等による利用者負担軽減の仕組みをもとに、対象サービスと事業主体を都独自に拡大し、より公平で利用しやすいものとして実施しているものでございます。
 今回の軽減割合の引き下げ、対象者の収入、資産要件の緩和及び食費への対象経費の拡大につきましては、国制度に準拠して実施するものでございます。
 なお、対象サービスにつきましては、従来より在宅重視の観点から、訪問看護や通所リハビリテーションなど五種類の在宅サービスを都独自に拡大し実施しているものでございまして、特別養護老人ホーム以外の施設サービスへの拡大は考えておりません。
 次に、特別養護老人ホーム経営支援事業についてでございますが、本事業は、民間の特別養護老人ホームが介護保険制度に円滑に移行するために、制度発足を機に経過的な支援策として実施してきたものでございます。今回の居住費、食費の見直しに伴う介護報酬の改定及び利用者負担額の設定は、国が実施した調査に基づくものでございまして、適正な水準と考えております。
 したがって、今回の見直しに伴って本事業による補助を増額する必要はないと考えております。
 次に、個別ケアなどの加算についてでございますが、介護報酬における特別養護老人ホームの加算には、これまでも機能訓練指導体制加算などがあり、これらに加え、今回の居住費、食費の見直しにあわせて栄養マネジメント加算などが新設されるものでございます。このように、専門職等を配置した場合であっても、介護報酬において適切な加算措置が講じられていることから、都として独自に加算等の支援を行う考えはございません。
 次に、乳幼児医療費助成の拡充についてでございますが、現在、都議会での議論を初め、さまざまなご意見、ご要望があることは十分承知しておりますが、対象年齢を義務教育就学前までとする現行の制度は適切なものと考えており、対象年齢を小中学生まで拡大することは考えておりません。
 次に、乳幼児医療費助成制度の所得制限についてでございますが、本制度は子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものでございます。所得制限の基準は、国における児童手当に準拠しており、一定の所得制限を設けることは必要と考えております。
 最後に、児童手当の拡充についてでございますが、児童手当は、児童を養育する家庭の生活安定や児童の健全育成を目的とした国の制度であり、本来、こうした経済的給付は、国が社会保障全般の制度設計の中で対応すべきものと考えております。
 少子社会への対応策につきましては、現在さまざまな議論が行われており、広く社会的なコンセンサスを得ることが重要でございます。
 ご提案の児童手当の対象年齢の拡大については、先ほど自由民主党の野村幹事長にもご答弁申し上げたとおり、さまざまな議論や国の動向を見定めながら、引き続き研究してまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕
〇生活文化局長(山内隆夫君) 原油価格の上昇についての三つの質問にお答えいたします。
 まず、原油に対する投機の規制や石油元売に対する利益還元についてでございますが、原油についての異常な投機や石油元売会社の各社のひとり勝ちといった状況が事実かどうか、都としては把握できません。もしそのような事実があれば、国として対応すべきものと考えております。
 次に、原油価格上昇に伴う対策についてでございますが、原油やガソリンなどの価格については、現在、上昇傾向にあるものの、総務省発表の東京都区部の消費者物価指数によると、本年八月の総合指数は対前年同月と比べて〇・六%の下落と、依然として低い水準にございます。
 今後とも、原油価格の上昇による都民の消費生活への影響について注視してまいります。
 終わりに、社会的弱者や公衆浴場に対する支援についてでございますが、今後とも、原油価格や消費者物価指数の動向を注視、把握するなど、対応してまいります。
   〔産業労働局長成田浩君登壇〕
〇産業労働局長(成田浩君) 原油価格高騰に伴う中小企業への対応についてでございますが、都では、本年七月に実施した原材料価格高騰の影響に関する調査や東京都中小企業振興公社の巡回相談を通じて、中小企業への影響について把握してきております。こうした調査等を踏まえまして、今月二十二日には、都及び中小企業振興公社に特別相談窓口を設置し、経営環境や資金繰りなどが悪化している中小企業に対する相談体制を強化してきたところであります。
 また、資金需要が高まる年末に向け、金融支援の具体的方策を検討していくこととしております。
   〔環境局長大橋久夫君登壇〕
〇環境局長(大橋久夫君) エネルギー対策についてでございます。石油などの化石燃料の大量消費は、大気中の二酸化炭素を増加させ、地球温暖化を促進する要因にもなります。都民が安心して住み続けることができる都市とするためには、東京を化石燃料の依存が少ない社会に変えていくことが必要であります。
 このため、省エネルギー対策の推進に加え、引き続き、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を、国や民間事業者などと連携して進めてまいります。
   〔百二十六番吉田信夫君登壇〕
〇百二十六番(吉田信夫君) 知事に再質問いたします。
 知事は、都民の暮らしの痛みや苦しみについて全く理解できないのでしょうか。都民の間に入れば、この事実は明白です。しかも、OECDがことし二月発表した資料でも、日本の貧困率は十年前に比べて二倍、二十七カ国中、何と五位に上がっているという、こういう事実があるんです。この都民の置かれている実態に目を向けようとしない、手を差し伸べようとしないならば、それは自治体としてのまさに魂を失うものだ、そういわざるを得ません。
 介護保険の問題でいえば、我が党の申し入れに対して、厚生労働大臣でさえ、実態調査は直ちにやらせていただく、こういうふうに答えているんです。何らかの対応が必要だと思わないんですか、改めてお答えください。
 靖国神社の問題は、まさに侵略戦争を全面的に正当化する歴史観を振りまく、そのことが問われており、だからこそ批判が強まっているんです。知事は、日本が行った日中戦争、太平洋戦争を、二度と繰り返してはならない侵略戦争であったという、国連憲章にも明記をされた戦後国際政治の原点を認めるのか認めないのか、お答えをお願いいたします。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) それは、どんな成熟した社会でも、そこに住んでいる市民、都民、国民の痛みも苦しみもあるでしょう。しかし、やっぱりそういうものをサマライズして、何に優先順位を置いて措置するかが行政の肝要だと思います。そういうふうに私は都民の痛み、苦しみというものを理解するがゆえに、大気汚染の改善を議会と一緒にやってきましたし、中小企業の対策もしてきまして、福祉の改革もしてまいりました。
 それから、国連憲章の精神、何ですか、あなた、そんなもの。それは金科玉条なんですか。国連というのはそんなに大したものなんですか。神様みたいな存在ですか。冗談じゃないよ、あなた。共産党ってどんな価値があるかも知らないけど、今ごろ国連憲章なんていうものをまともに信じているばかはいませんよ、本当にそれは。
   〔発言する者あり〕

○六十七番(秋田一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(川島忠一君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時五分散会

ページ先頭に戻る